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1972-06-02 第68回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月二日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 高田 富之君    理事 稻葉  修君 理事 小沢 一郎君    理事 吉田  実君 理事 米田 東吾君    理事 和田 一郎君       天野 光晴君    奥田 敬和君       坂元 親男君    田村 良平君       高鳥  修君    羽田  孜君       服部 安司君    古内 広雄君       細田 吉藏君    向山 一人君       川村 継義君    小川新一郎君       坂井 弘一君    広沢 直樹君       川端 文夫君  出席政府委員         気象庁次長   山本  守君         建設省河川局長 川崎 精一君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局次長    倉本 昌昭君         環境庁自然保護         局計画課長   宇野  佐君         大蔵省主計局主         計官      金子 太郎君         文化庁文化財保         護部長     高橋 恒三君         通商産業省公益         事業局原子力発         電課長     武田  康君         気象庁総務部長 石原  明君         気象庁総務部航         空気象管理課長 安斎 政雄君         気象庁予報部予         報課主任予報官 越智  彊君         気象庁観測部長 木村 耕三君         建設省計画局宅         地政策課長   関口  洋君     ————————————— 委員の異動 六月二日  辞任         補欠選任   桑名 義治君     小川新一郎君 同日  辞任         補欠選任   小川新一郎君     桑名 義治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(地震対策、大沢くずれ対  策及び自然災害防止のための気象業務整備に  関する問題)      ————◇—————
  2. 高田富之

    高田委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、地震対策並びに大沢くずれ対策及び自然災害防止のための気象業務整備等について、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米田東吾君。
  3. 米田東吾

    米田委員 去る五月十一日でございますが、当委員会におきまして、主として地震対策の一環といたしまして、東京大学の萩原先生はじめ三名の学者から有益なお話をお聞きしたわけでありまして、その当時におきまして、私ども若干の質疑をそれぞれこの三名の学者との間におきましてなしたわけでありますが、私は、本日は、これと関連をいたしまして、政府当局に対して、特に放射能災害ということをひとつ主体にして御質問をいたしたいと思っておるところでございます。  私は、この十一日の委員会におきまして、入沢先生並びに中野先生にお尋ねをしたのでありますけれども、現在、地震列島といわれるこの日本の国土に超大型原子力発電というものが計画され、非常にこれがまた早い速度で建設あるいは計画というものが進められておる。これは災害対策立場からいたしまして、問題がないかどうか。特に原子力発電あるいは再処理工場というようなものは、一つ原子炉を中心にいたしました装置産業でございまして、冷却水その他一連の系統によりまして機能をするわけでございます。したがって、地震等によって、たとえば冷却水パイプがこわれるとか、あるいはつなぎ目が切れるとか、あるいは接点が離れるとか、これらのことはすでに学者の間では指摘をされておるところでございますが、こういう地震による地盤の変動によって生ずるであろう原子力発電や、そういう装置に対して、現在のこの超大型計画で一体よろしいのかどうか。  われわれは、もっぱら災害対策という見地から、実はこの問題をチェックしなければならぬと思うわけでありますが、そういう面で実は質問いたしまして御意見を聞いたところでございますけれども、何ぶん時間の制約もございまして、十分意を尽くした質疑はできませんでしたけれども、しかし、わずかの間の御意見でも、私が指摘したようなことについては十分危険性があるという回答がございましたし、何よりも、この原子力発電や、こういう原子力産業立地条件として第一に考えなければならぬのは、地盤であり、地殻の問題だということも指摘されておるわけでありまして、そういう点からいきましても、私の心配することは、学問的にもこれは問題にされているのではないかということを実は感じたわけであります。それに対して、科学技術庁あるいはこの原子力産業を扱う通産当局は、このことについて無関心では当然なかろうと思いますし、それぞれ検討が進められ、また、現に進められておる、これら産業開発等については当然いろいろな措置がなされておると思いますけれども、しかし、ざっと考えたところ、たとえば福島なり福井なりに、一基百十万あるいは百十万——百十万程度の世界どこにもないところの超大型原子炉設置がすでに検討されておる。科学技術庁通産当局においては、もうそれらについて調査を終わって、許可を与えるかどうかというところまできておるやにも聞いております。一面では、産業ペースにやはり押されて、安全あるいは防災という面が後退しておるのではないかと、実は最近私は強く心配もいたしておるような次第でございまして、きょうは、そういう点につきまして、私の心配が杞憂であるのかどうか、ひとつお聞きしておきたいと思っておるところでございます。  まず第一は、静岡県の浜岡町、それから福島県大熊あるいは富岡町、福井県の若狭湾、新潟県の柏崎あるいは巻、宮城県の女川町、これらはいずれも大きな地震との関係のある地帯である。私は、不十分かもしれませんが、日本列島地震が、過去どの地域でどういう規模地震がどういうふうにして起きているかという資料を実は持っているわけでありますけれども、これらの地域は、要するに地震の常襲地帯と申し上げて差しつかえないと思うのであります。こういう状況であります。  ソ連等では、このような地震地帯については原子力発電所を建てない、そういうふうに私は聞いておりますし、そういう例はないと思っておるのであります。また、アメリカ西ヨーロッパ等におきましても、このことについては非常にチェックがきびしいようでありまして、そういう計画はないと私は思うのでありますが、科学技術庁のほうで、私がいま申し上げましたような、こういう常襲地帯的な地域原子力発電を認めておるというような例が、いま私があげた諸外国にあるかどうか、そのところについては一体どんなふうに取り扱いがなされておるか、これは大事な問題だと思いますので、お聞きをしておきたいと思います。  第一の質問はこれでございます。
  4. 倉本昌昭

    倉本説明員 ただいま先生指摘のとおり、わが国は非常に地震の多発する国でございます。したがいまして、この原子力発電所設置問題ということにつきましては、初めより耐震については安全性の上から見て最も重要な事項として考慮を払ってまいりました。十分その設計におきまして安全であるように余裕を持って設計をするという趣旨で、この設計についての問題につきましては慎重な審査を行なって、これを確認してまいっております。  なお、各原子力発電所設置にあたりましては、原子炉等規制法におきまして、この認可を受けるにあたりましては、原子力委員会の安全に対しましての意見を聞くということになっておりまして、原子力委員会におきましては、原子炉安全専門審査会におきまして、地震問題につきましても、敷地地盤等調査十分考慮の上設計を行なうようにという指針を示しております。これに基づきまして、各電力会社及び炉のメーカーにおきましては、耐震の問題については十分考慮をいたし、設計をいたしております。  それで、この設計にあたりましては、炉の現在施設されております発電所及び今後の発電炉につきましても大体同じでございますが、原子炉施設につきましては、これを安全上の重要度に分けまして、原則として、原子炉施設というのはいわゆる剛構造という形で、その重要な建物構築物などは直接岩盤に支持をするということにいたしておりまして、この施設は、それぞれ安全上の重要度に従いまして、A、B、Cの三つのクラスに分けて、それに応じて耐震設計を行なっております。  特に原子炉建屋等のように、その機能喪失原子炉事故を引き起こすおそれのあるような施設及びその周辺公衆災害を防止するために緊急な施設というのは特にAクラスといたしまして、この耐震設計にあたりましては、特にこの基盤上における地震波というものを想定いたしまして、これに特に動的解析という方法を行なっておりまして、これにつきましては、建築基準法に示されておりますものの三倍を下回らないような値というものを一応基準にしてやっておるわけでございます。この中で、また特に原子炉格納容器でありますとか、制御棒駆動機構というような安全対策上特に重要なものにつきましては、さらに設計基準をシビアにいたしておりまして、ある程度想定いたしました地震動に対して全体としての機能地震の際にも保持されるというようなことを設計上確認をいたしておるわけでございます。  またさらに、タービン系でありますとか、廃棄物処理系でありますとか、高放射性物質に関する施設につきましてはBクラスといたしまして、また、その他の施設Cクラスというぐあいに分けまして、これらにつきましても、十分慎重考慮の上、その耐震設計を行なうということにいたしております。  また、強い地震が起こりました際には、原子炉を非常停止させるため、地震加速度検出計を設けておりまして、自動的にその原子炉を停止させるということを配慮いたしております。  なお、これらの審査にあたりましては、審査会の各専門先生方が慎重に御検討をされまして、ただ申請の出てきたものを確認するのみならず、それに対しまして、なお不十分であると思われる場合には、その設計を改めさした上でこれを認めていくというような形をとっております。  また、先生お話ございましたところの原子力発電所の立地しておる地点につきましては、地震活動性の比較的低い設置点でございまして、原子炉敷地付近におきましては地震による被害を受けたことがほとんどないところでございます。  また、現在御指摘のございました各地点につきましていろいろ調査をいたしておりますが、福島地点については、過去七百年の記録によりますと、福島県近郊は、会津付近を除きまして全国的に地震活動性の低い地点一つに当たっておりまして、特に原子炉敷地周辺は、地震による被害を受けたことがございません。また、敷地地盤条件も良好でございますので、地震建物等に与える影響は少ないと推定されております。  また、美浜地点につきましては、過去千二百年の記録によりますと、福井近辺では被害を及ぼすような大きな地震がたびたび起こっておりますけれども、敦賀市におきましては、ほとんど被害はございませんでした。そのうちで、同市街地でわずかながら被害のあった越前岬沖地震の際には、震央に近いにもかかわらずほとんど被害はございませんでした。これは敷地付近が花こう岩地帯のためでございまして、今後この地方に大きな地震が起こりましても敷地付近の震動はあまり大きくないという推定が下されております。  なおまた、浜岡地点につきましても、過去千二百年の記録によりまして、静岡近辺地震活動性はかなり高く、被害を及ぼすような大地震がたびたびございましたけれども、いままでのところでは、浜岡近辺ではほとんど被害を受けたことはございません。また、静岡県の遠江地方に大きな被害をもたらした東南海地震のときでも、敷地付近被害はほとんどなかったと聞いております。  また、大飯地点につきましても、これは福井近辺では被害を及ぼすような地震がたびたび起こっておりますけれども大飯付近での被害はほとんどなかったのでございます。  なお、先生からお話しのございました柏崎等につきましては、まだ申請を受けておりません。
  5. 米田東吾

    米田委員 具体的に私は地名をあげましてお聞きしております。柏崎巻等については申請を受けておりませんとはいいながらも、すでにここに大型原子炉ができることはもうすでに公知の事実になっているわけです。いま途中で企業の側でやめてしまうというようなことはないと私は思います。ですから、どんな事情でございますか。いまだいぶあなたのほうから詳しい説明がありましたが、この柏崎についても巻についても、資料がありましたら説明してください。
  6. 倉本昌昭

    倉本説明員 ただいま各地点につきまして御説明申し上げましたが、なお、その申請の出てきておりません地帯につきましては、この申請に基づきまして各専門部会においてこれらの詳細を検討していくということになっておりますので、現在のところでは、まだ詳細な検討をしておらないわけでございます。
  7. 米田東吾

    米田委員 きょうの新聞によりますと、科学技術庁の所管であります原子力委員会が、新しい原子力開発利用長期計画というものを発表されておりまして、これはいずれ近く閣議決定がなされるというふうになっておるわけでありますが、この内容を見ましても、実は私は直感するわけでありますけれども、報道されておりますように、放射線管理を非常に厳重にするとか、そういう点では相当厳重な原子力委員会としての意向というものが示されておる、あるいは放射性物質自然環境への放出国際基準を下回らないというような、こういう面についての相当な強い基準等についても意見が出されておる。総体的にいいますと、環境保全という点について相当重視をしているという評価意見のようでございますが、日本のようなこういう地震襲地帯、活火山の上にわれわれ日本列島というものは存在し、一億国民がそこに住んでいる、世界一の密集度の高い比率でここにわれわれが生存しているわけなんですが、こういう環境を考えますときに、かりに放射能自然環境への放出基準をきめるといたしましても、地震関係あるいはそれに基づくであろう災害等を抜きにしては出てこないのではないか、私はこういうような感じを持つわけでありますし、総体的に地震対策、こういう面についての関係というものが非常に軽視をされておるのではないか、実はそんなふうに直感的にきょうの新聞を見まして私は受けとめておるわけであります。  ただいま答弁もございましたが、過去の例では、地震はあったけれども被害がそうなかったという説明がございました。過去七百年や千年の歴史を見まして、いま私どもがこれから問題にする原子力産業、こういう装置産業に対する地震被害は、過去にこれは例があるはずはありませんし、また、推測すらなかなかできないであろうと私は思うのであります。それがそうたいしたことはなかったのだということだけで、こういう原子力発電というようなものが一体許されていいかどうか、これは私は非常に問題だと実は思うのであります。  諸外国アメリカあるいはソ連ヨーロッパ原子力関係では先進国だといわれるこれらのところも、地震というものについては一番規制を強めて、そういうところには発電所をつくらない、そういうことを強く国家が規制しておる、こういうふうに聞いているのでありますけれども、一体どうなんでしょうかね。諸外国でそういう例がありますか。アメリカあたりのような日本の何十倍というああいう膨大な地域を持ったところでも、私は、地震というものについて非常に強い規制をしているように聞いているわけであります。国の社会制度がかりに違うといたしましても、ソビエト等においても相当な規制をしておる。絶対にそういうところにはこのような原子力発電所はつくらない。それから現にソビエトでは、いまでも大体二十五万キロワット、そういう小型といいますか、そういう原子炉をたくさんつくる。日本のように超大型一基百万キロワットをこえるというようなものは、安全性立場からいって規制している。経済性からいけばそういうものがいいはずなんですけれども、つくらないということにしている。アメリカ等においても、五十万キロワットを限界にして、それ以上のものは認めない。最近、科学技術庁のほうでは、アメリカだって百万キロワット以上のものについて計画はありますし、認める方向が現に出ておりますというようなことを言っておりますけれども日本のように野放しにはなっておらないと私は思う。ほかの国の例は一体どうなんでしょうかね。これについてさっき私は御質問しましたが、明快な御答弁がございませんので、ひとつ教えていただきたいと思います。
  8. 倉本昌昭

    倉本説明員 お答えいたします。  まず最初に、昨日、原子力委員会から発表されましたこの原子力開発利用長期計画お話がございましたが、この中におきまして、原子力施設安全性という問題につきましては、環境保全の問題とあわせて、今度の長期計画の最重点の一つに取り上げております。また、その施設安全確保のために、原子力施設の安全に関する研究開発という問題につきましては、今後この長期計画におきましても、これを強力に推進するということにいたしております。その各論の中におきまして、この安全研究といたしまして、特に五項目につきまして、これを推進するということにいたしております。  その五項目と申しますのは、まず第一に、安全評価に必要な研究ということで、冷却材喪失事故時におきます挙動でございますとか、あるいは安全防護設備の効果、原子炉事故時の燃料破損機構燃料破損後の挙動安全解析コード開発等に関する研究でございます。  それからまた、この基準化に必要な研究ということで、これは鋼製圧力容器及びその配管の設計基準の問題でございますとか、コンクリート製圧力容器基準の問題であります。  それから三番目に、これは特に耐震設計に必要な研究ということで、これは全国的な設計地震強さの決定施設大型化に伴う限界設計考慮した各種材料地震許応力決定に必要な研究という問題を取り上げております。  なお、あと四番目、五番目には、この原子力施設の運転、保守の問題でございますとか、新しい立地条件を可能にする問題といたしまして、コンテナの問題でございますとか、地下発電所あるいは海洋発電所等の将来の問題等に関する研究も、この長期計画の中では考えていこうということになっております。  それから、先ほど外国での大型原子力発電所建設の問題がございましたが、現在私どもが聞いておりますところでは、百万キロワット級の原子力発電所は、米国におきましてすでに十六基、ソ連におきまして二基、西独において二基が建設中であると聞いております。  それからなお、外国地震等の現状、原子力発電所建設状況等につきましては、通産省のほうから回答していただきます。
  9. 武田康

    武田説明員 先ほど先生からお話がございました諸外国地震地帯原子力発電所をつくっている例があるか、あるいは動かしている例があるかということでございますが、先生お話にもございましたように、当日本国はいわば地震帯の上に乗っかっているようなものでございます。したがいまして、日本のどこに建てましても、ある意味では、地震の上に乗っかっているということが言えるかと思います。したがいまして、日本では、先ほど原子力局次長お話にもございましたように、いろいろな高度の耐震設計をし、高度の規制をしているわけでございます。  さて、外国の例でございますけれども、ちょうど日本列島太平洋の一番西側にございますが、アメリカ西海岸は、ちょうど日本と対称的に太平洋の一番東の端にあるわけでございます。日本列島外側地震帯が走っておりますように、アメリカ西海岸のすぐ外側、カナダの沖から途中で大陸の中に入りまして、アメリカ西海岸沿いに、日本とちょうど同じような地震帯が走っているというふうに私ども聞いております。  そういたしますと、個別地点ごとにはちょっとデータを持っておりませんけれども日本における地震帯と同様の地震帯の上にアメリカ西海岸原子力発電所は乗っかっておるというふうに考えられるわけでございます。アメリカでは、そういうことも踏まえまして、ほぼ日本と同等の強い規制をしておるようでございます。  それからヨーロッパにつきましては、どちらかといえば、日本に比べまして地震のない国でございまして、それはそれなりの地震対策をしておるようでございますけれども地震帯に乗っかってないところが多いようでございます。ただ、イタリアでは地震も少しございますので、ちょっと正確にどの程度耐震設計を考えておるか、はっきり数字的にはわかりませんが、イタリアでは一、二例があろうかと思う次第でございます。
  10. 米田東吾

    米田委員 いま原子力局次長お話によりますと、アメリカでは百万キロワット以上が十六基、ソビエト二基、西ドイツで二基という御答弁がございました。そしてアメリカの十六基はすでに建設中という御答弁がございました。これは一基がそれぞれどれくらいの規模でございますか。百万キロ以上というのは、具体的に百十七万キロワットであるとか、これはもちろん一基の話だと私は思うのでございます。どれくらいの規模にあるのでしょうか、これをひとつ正確に聞かしていただきたいし、ソビエト等においては、現在百万キロ以上の原子力発電所建設が進められておるとは、私は実は聞いておらないわけであります。ただ、中級くらいの原子炉幾つ設置して、そして総体的に出力を高めておる、こういうふうに聞いておりますけれども、たとえば一基二十五万キロの炉を幾つ設置して、そして総体的に五百万キロワットとか、八百万キロワットとかとやられておるというふうに聞いておるわけであります。一基百万キロがソビエトで二基、西ドイツで二基というのは一体間違いないのかどうか、もう一回念を押しておきたいと思います。
  11. 倉本昌昭

    倉本説明員 ただいまアメリカ建設中の百万キロワット以上の原子炉でございますが、数字を一、二例申し上げますと、百五万キロ、百十三万キロ、それから百十二万四千キロ、それから百十六万九千キロというような数字がございます。  それからソ連原子炉の話でございますが、ソ連原子炉につきましては一基が百万キロでございますが、ループが四ループになっておる。炉としては一基でございまして、このループが四つついております。それぞれのループが二十五万という形になるかと思われますが、原子炉につきましては一基百万キロというぐあいに聞いております。
  12. 米田東吾

    米田委員 日本で採用しておるのは要するに容器型原子炉で、これは御承知のように、冷却パイプというものがそれぞれ容器と接合されて、総体的に一つのプラント的な装置でもって進められておるわけなんでありますが、容器型原子炉という形でいまあなたが説明されましたような超大型原子炉が現にアメリカ建設中なんですか。これは間違いありませんか。炉の型が違えば、議論はちょっとかみ合わないと私は思います。
  13. 倉本昌昭

    倉本説明員 現在アメリカ建設中の原子炉の型は、現在日本建設中のものと同じ型でございます。
  14. 米田東吾

    米田委員 いま御答弁がありましたので、アメリカで現にそういう大型のものが進められておるということについてはわかりました。ただ、人口密度あるいはいろいろな関係からいきますと、アメリカは、これは見てきた人の話等もあるわけでありますが、日本のように都市周辺あるいは人口密度関係等からいって、比較できないくらいの安全性といいますか、そういうようなものが確保されているというふうに私は聞いておりまして、これが直ちに日本の場合の一つの前提にはならないだろう、私はそう思っておるわけであります。  こういう容器型原子炉は、あなたのほうの専門立場からいきまして、こういう地震帯の上にあるという立地条件を持った日本において、いわれておるような百十万キロ以上のそういう超大型原子炉を認めるということについて、いま次長が説明されました安全性立場からいって、一体無神経にこれはいいんだというふうに言い切れますか。やはりこれはもう少し検討を要するというふうに当然出てこなければならぬと思うのでありますけれども、どうでございますか。これはやはり安全性の面からいって、できれば五十万キロぐらいに押えて、そうして必要とするならばアメリカあるいはソビエトのような、そういう方式を採用するとか、いろいろあるだろうと思うのでありますけれども安全性というものを第一に考えれば、経済性を抜きにして考えれば、私は当然そうならなければならぬのじゃないかと思うのでありますけれども、あなたのほうはどういう感触でございますか。
  15. 倉本昌昭

    倉本説明員 容器型の原子炉と申しますものにつきましては、技術的には現在最もマスターされた型の原子炉でございまして、その安全性の点につきましては、十分現在の時点で技術的には最も安全な設計であるというぐあいに思っております。
  16. 米田東吾

    米田委員 あまり自信のない御答弁のようでございますけれども、これはいずれまた専門委員会等もございますから、私は、あまりさらに繰り返しませんけれども、とにかくわれわれの委員会は安全第一、防災第一でございまして、そういう見地からいたしまして、私は、いまあなたのほうが進めておられる原子力発電計画については重大な関心を持っておるし、場合によれば、現在超大型に進められておる一基百万キロをこえるというような計画については、当委員会の決議等をもって申し入れをするとか、そういうようなことを今後理事会、委員長等にも要請をしなければならぬと私は思います。どう考えましても、私は、安全性の面からいって理解できないのでございます。  それからもう一つ、私は次に提起をしたいのでありますが、入沢先生中野先生指摘によりますと、たとえば、廃坑とか地殻が非常に変動しやすいような状況を持っているそういう地盤、特に新潟県の場合なんかは、かつて柏崎のあの周辺というのは日本一の石油の出どころでございまして、日本石油はあそこで石油を掘って、そうしてたくさん出てもうかっていまの日石になっておるわけなんでありますけれども、国産の石油のほとんど大部分は、あの柏崎周辺に出た。その井戸がいま残っているのですね。私がちょっと調べただけでも、予定されている柏崎のあの地点の大体一キロ以内に古い石油の井戸が数十個あるといわれておるわけです。さらに、これを広げて五キロなり十キロなりにしますと、相当な関係の廃坑が数え上げられてくるのじゃないか、こういうような気が実はするわけであります。あるいは炭鉱や地下産業のかつて盛んであったところの周辺にある廃坑、こういうようなものに近接しているところについては、中型の地震でもこれは非常に危険度が高い、こういう指摘を両先生はしておられるわけでありますけれども、私は、このことについても、うなずけるわけであります。  こういうところについては、ただボーリングして地盤がいいとか、あるいはいまあなたが説明されましたように、地殻に基礎を求めてやるといいましても、私は、非常に危険度が高いのではないかと実は思うのでありますけれども、こういう特殊な廃坑あるいは旧坑道、そういうところに近接しておるところについでは、特別にチェックして、そういうところには認めない、こういうような予防措置というものが必要じゃないかと思いますが、この点についてはいかがでございますか。
  17. 倉本昌昭

    倉本説明員 ただいまお話のございました点につきましては、そのような地点申請が出てまいりました段階におきまして慎重に検討し、また、先生方等の御意見も尊重した上で判断を下していきたい、こういうぐあいに思っております。
  18. 米田東吾

    米田委員 それから、私が聞くところでは、柏崎等においては、まだ申請が出ていないんだから全然科学技術庁においては手をつけていないような御答弁でありますけれども、すでにボーリングもして、これは企業の側だと思いますけれども地盤や地殻については調査を終わっておる、その資料というものは、あなたのほう、ないしは通産省に出ている、私はそう思うのでありますけれども、こういう特に原子力産業に関する地盤あるいは地殻の調査資料というようなものは、安全性について関係市民や関係地域住民に安心を与えるためにも、これは秘密にしておかないで公開すべきじゃないか。科学的に見てだいじょうぶなんだというものでなければ許可しないのでありましょうから、したがって、公開しても私は一向差しつかえないと思うし、企業の秘密なんというものでこういうものが非公開にされるということは、私は、少なくとも地盤に関するこの種データというものはそういうものではないと思うのでありますが、いかがでございますか。
  19. 倉本昌昭

    倉本説明員 ただいま安全審査関係資料の公開等のお話がございましたが、この点につきましては可能な限り公開していくということを原則にしてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  20. 米田東吾

    米田委員 一般的にはあなたのいまの御答弁で私はいいと思いますけれども、私は特に設置場所の地盤あるいは地殻に関係する資料というものは、ある程度というようなものに属するものではない。確かに地上の装置、いろいろな関係というものは、これは企業の秘密とか、いろいろな関係があろうと思いますから、これが全面的に公開されるというようなことは、日本のような社会制度のもとではちょっと問題だと思いますけれども、しかし、地盤のボーリングのデータとか、あるいは地盤の層の資料というようなものは、これは当然公開すべきだ、私はそう思うのでありますが、再度どうでございますか。
  21. 倉本昌昭

    倉本説明員 この安全審査関係資料の公開の点につきましては、現在原子力委員会を中心として検討をこれから行なうことになっておりますので、その点、先生お話をよく検討してまいりたいと思います。
  22. 米田東吾

    米田委員 私がなぜこういうことを指摘するかというと、これはあなたは専門家でありますから御承知なんでありましょうけれども、要するに、先進国等では、日本がいま採用しているような、こういう容器型原子炉というものは、パイプによって総体的な施設機能するわけであります。地震による場合、炉そのものがかりに無傷であったとしても、循環するような冷却水とか、あるいは蒸気とか、そういうものを通すパイプは、鉄の厚みが強くなれば強くなるほど、要するに、厚みが多くなれば多くなるほど、接点というものについては、技術的に完全にするには非常に困難だといわれておるのですね。どういう方法でこの接点というものを処理するか、私はわかりませんけれども、鉄のパイプの厚みを多くすればするほど接合点の処理というものはむずかしい。逆に言えば、そういうところからの破裂あるいは破壊の危険度というものは高いということになるわけであります。冷却水が行かなければ炉というものは瞬時にして異常を起こす。  私はここに若干の資料もありますけれども、実はこれはたいへんな事態になるわけです。そしてその結果は、おそるべき放射能というものが結局は外に出されることになるわけでありますから、大気汚染をするわけであります。したがって、周辺だけじゃなしに、住民に対して——もう生物が何十年と生存できないようなおそるべき被害が予想されておるというように科学者指摘しておるわけですね。そういうことがあってはなりませんし、かつてそういうことの例はあるいはないかもしれませんけれども、万が一でもあったらたいへんなことでありますから、それを避けるためには、いろいろ科学者指摘をしておる危険だとか、あるいはこれはこうすべきだというようなものについては最大限尊重して、万全を期していかなければならぬのじゃないか、そういうふうに私は思うのであります。  それだけに、日本のようなこういう地域については、もしそれらをある程度チェックするものがあるとすれば、私はやはり大型にしないという——いまいわれておりますような百十七万キロとか、この計画によりまして昭和六十年度六千万キロワットというような計画が出ているのでありますけれども、まだこれからこういうような方向で行くとすれば、もっともっと超大型のものが出てこないとはいえないと私は思う。そういうようなものを規制して、五十万キロワットなら五十万キロワットというふうに、行政的にも法律的にもこれはきちっとしなければならぬと思いますけれども、まずあなたのほうがそういう基本的な姿勢をもって、現に出ておるこの種原子力発電等についての行政に対処していかなければならぬのじゃないか、私はこう思うのでありますが、いかがでございましょう。
  23. 倉本昌昭

    倉本説明員 現在、設計上の問題につきましては、静的の問題のみならず動的のものにつきましても、地震というものを考えた上で設計をいたしておるわけでございます。  また、立地の問題につきましては、敷地周辺への事故の問題という点につきましては、この仮想事故、非常にあり得ないと思われるような事故を想定した上で、立地という問題も審査をいたしておるわけでございます。したがいまして、現在建設中の原子炉及び今後建設される原子炉の安全の問題という点につきましては、十分安全の確保ということは果たされる、こういうぐあいに考えます。
  24. 米田東吾

    米田委員 私も時間をそういただいておりませんのでもう終わりたいと思いますが、ひとつ通産省の課長から、私がいま申し上げたようなことと同じ質問でありますが、私は、むしろ通産省が問題じゃないかと思うのです。たとえば、四日市公害とか、いまいろいろ公害が問題になっておりますが、一般的に行政当局が企業の側に癒着しておる、行政当局がもっとしっかりしておれば、公害や災害防止についてもっともっと前進した体制というものができるのじゃないか、一口に言えば、そういう方向で批判を受けておると私は思うのです。そういう中で、その姿勢のままさらに超大型原子力発電に向かって進められておる日本原子力産業、これらに対しまして私はほんとうにおそろしいような感じを実は持っておるわけでありますけれども、いま質問した趣旨のように、超大型原子力発電等について、少なくとも一基百万をこえるような——いま容器型原子炉を採用しておりますが、そういうようなものについては、あなたのほう自身認めない立場で行政指導なさる、そういうことが必要じゃないかと私は思いますけれども、ひとつ直接の監督にあるあなたのほうの答弁をいただいておきたいと思う。
  25. 武田康

    武田説明員 いまのお話は非常に重要な問題でございますので、私が通産当局代表というと——私は説明員でございますので、少し大き過ぎる問題かと思いますが、私のわかります範囲で答えさせていただきます。  私ども立場は、一つはエネルギーの一つでございます電気の供給というものを、やはり国民全体のために果たしていかなければならない。もう一つは、いま先生から御指摘ございましたように安全の問題、原子力の場合には放射能に対する安全と言っていいかと思いますが、他の場合には公害問題等もございますが、そういったことでは国民に被害を与えないという前提のもとで電気の供給をしていかなければならないというのが、私ども立場でございます。そのうちの、電気の供給もしていかなければいけないというほうの立場も持っている点で、先生から先ほどお話があったような御批判をあるいは受けておるのじゃないかと思います。私どもは、いままで、公害が起こってもいいんだということを考えたことは一回もございませんけれども、私どもの努力が足りないために、結果としてはそういう御批判をいただいているということになっているのじゃなかろうかと思います。  さて原子力の場合には、原子力の始まりましたもとがもとでございますので、むしろ安全の問題を十年、二十年先取りいたしまして、そちらのほうを先取りした上で原子力発電の開発が現在進められているわけでございます。その実態的内容といたしましては、先ほど原子力局次長からお話がございましたようなもろもろの安全確保対策原子力委員会中心でおとりになり、実態面では、私どももその線に沿いまして、一緒に御協力いたしまして安全の確保につとめておるわけでございます。  そういう意味で、原子炉設置許可があり、御専門先生方にいろんな角度からチェックしていただき、もちろん耐震の問題は、日本地震帯の上に乗っかっている関係で非常に重要なウエートを占める一つでございますが、そういう意味で、この防災関係とつながっているかと思いますが、それにつきましても、万全の措置をしていく、その上で、三十万から始まりまして、五十万、八十万クラス、百万クラス、百万クラスにつきましては、まだ設置許可の審査段階でございますので、個々の点についてどうこうというのは申し上げかねますが、かりにそういうのが設置許可になったとすれば、従前のもっと小規模のもの同様、あるいはそれ以上の安全性が確保されているということが前提であろうと思います。  かりに、そういうふうに安全が確保されている前提でございますと、それからまた、経済的な要因等が働きまして、あるいは技術が進歩すれば、もっと大きな規模のものも出てきてしかるべきかと思われますが、これは将来の予測の問題でございますので、現在のところ、百万クラスのところまで技術が伸びてきている、これは安全確保が前提で、十分確保されているとすれば、それはそれでけっこうなことではないかというような立場でございます。御説明が十分であったかどうかわかりませんけれども、私から申し上げられることは、この程度のことでございます。
  26. 米田東吾

    米田委員 まことに不十分ですけれども、これはまた別の機会に譲りたいと思います。  最後に、私一点だけ、これは科学技術庁のほうに実はお聞きしたいのですが、きょうは運輸省を呼んでおりませんので、あなたのほうからだけなのですけれども、実はこの間、新潟港で、運輸省第一港湾建設局のしゅんせつ船海麟丸が機雷に触れて爆破いたしまして、四十六名の負傷者あるいは二名の犠牲者を出しておるわけなのであります。  このことで実は関連がございましてお聞きするのでありますけれども、コバルト六〇が使われておった、これは地元の新聞、その他新聞等にも報道されまして、このことだけでもまた一つのショックを与えておるわけなのでありますけれども、このコバルト六〇は、御承知のとおり、ガンマ性のものでありますから、透視力が強い、したがって、しゅんせつするどろの量の測定、そういうようなものに使われておるのだそうであります。それが船長のおるブリッジのところにある一定の容器の中に実は入れられておったというのでありますけれども、大体その点については被害はなかったということで、これは安全が確保されたことについてほっとしたわけなんですけれども、この種しゅんせつ船、しかも、日本列島は、まだまだアメリカの戦時中の機雷封鎖による機雷、それから不発弾、そういうようなものが、一説では五千個以上あるとか、不発弾のごときはまだ数字すら明らかにされない、港湾のどの部分にどういう機雷や何かがあるかということは、まだこれは科学的にもはっきりつかめないわけであります。ただ、船が通る水路等については、一応掃海をして、安全だという宣言がなされ、保証されておりますけれども、少し水路からはずれて、岸壁に近い、あるいは浅いところというようなものについては、その下の土砂の中あるいはヘドロの下に機雷がまだそのままにされているということは、十分予測できるわけであります。そういうどろやヘドロあるいは土砂をしゅんせつするしゅんせつ船がコバルト六〇を使って、ホースを使って吸い上げてくるその土砂の測定をやっている、こういうことは、ちょっと無神経じゃないか。ガンマ性が強いから鉄を通して透視できるというような特徴があるのだそうでありますから、コバルト六〇が使えれば、一番それは機能的には十分なのだろうと思いますけれども、しかし、こういうエックス線、放射線はたいへんな危険性を持っておる、こういうのはそう簡単に、かりに性能があるからといっても利用させることについてはどうかと実は思いますけれども、これは他にかえることはできないのかどうか。要するに、コバルト六〇以外に、しゅんせつする土砂の測定等について他に方法はないのかどうか、それから、こういうものについては、今後もやはり使わせなければならないのかどうか、あなたのほうの立場からこれはもっとチェックできないのかどうか、そのことをひとつ最後にお聞きをして、これは運輸当局がおりませんから、主としてあなたのほうから御説明をしていただいて、問題が残れば、いずれまた運輸委員会等で私は聞きたいと思いますけれども専門立場答弁をもらっておきたいと思うのです。
  27. 倉本昌昭

    倉本説明員 ただいまのお話につきまして、私、はなはだ申しわけないのでございますが、そういうことがあったということを知りませんので、その点については、なお現在の段階ではお答えできませんが、コバルト六〇を使いましたり、あるいは放射性同位元素を使いまして、物の厚さをはかったり、あるいは水の水位をはかりましたり、そういう面で、放射線利用という面から各方面でいろいろ利用しております。また、利用いたすにあたりましては、放射線障害防止法という法律に基づきまして、使用機器の問題あるいはその使用者等につきましては、これの安全確保という面に留意をいたしております。
  28. 米田東吾

    米田委員 答弁はそれだけですか。——それではひとつ新潟のしゅんせつ船海麟丸についてのコバルト六〇の使用の状況、それから今後どうされるか、私がいま御質問申し上げた趣旨はおわかりだと思いますので、ひとつ検討していただきまして、やむを得ませんから、後刻私のところにひとつ返事をいただきたいし、問題によっては、本委員会に私はあなたのほうから答弁を求めるようにしたいと思いますから、そういう処置をさせていただきたいと思っております。  以上で終わりたいと思います。
  29. 倉本昌昭

    倉本説明員 ただいまの資料等、調査の上、御報告いたすことにいたします。
  30. 高田富之

  31. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私は、富士山を中心にしました表富士と裏富士、この開発問題並びにいま問題になっております大沢くずれを中心にいたしまして、建設省、環境庁、また関係省庁にお尋ねしたいと思います。  まず第一点に、大沢くずれの原因はいろいろといわれておりますが、昭和四十年からことしの一月、五月の大崩壊までの年々の土砂流の流出、四十年から四十六年、四十七年までの年度別の土砂流の流出量をお示しいただきたい。
  32. 川崎精一

    ○川崎政府委員 大沢くずれの過去の長い歴史的な崩壊のあとを追跡をいたしますと、大体おおむね五万立米くらいが平均値でございます。私どものほうで昭和四十三年から調査をいたしておりますが、昭和四十三年から四十六年までの間での崩壊量の平均値はやはり約五万立米くらいであります。これはまた一方、航空写真等によりまして、崩壊の調査もいたしたわけでございますが、三十五年から三十七年の間においても大体二十万四千立米ということで、約五万立米でございます。ただ、ことしの五月一日並びに五日の災害では、扇状地におきます実績を調査いたしますと、約二十万立米ぐらいの土砂が流出しておるということが測量の結果から出ております。
  33. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういたしますと、四十年からの毎年の土砂流の変化というものは四十五年、四十六年、四十七年と年を追って増加をしていると理解してよろしいのでございますか。
  34. 川崎精一

    ○川崎政府委員 必ずしも年を追って増加しているということは考えられませんけれども、やはり気象条件その他の変化によって、ときにはその数字が大きく動く。平均的にはやはり五万ないし七万じゃなかろうかと考えます。今回の五月の初めの雨でございますが、いずれも時間雨量で約八十ミリ程度のものが二回にわたって降ったというようなことで、記録でもかなりの強い雨ではなかったかと思います。したがって、今回の排出された土砂量というのは、最近では珍しく非常に大きな量であったと思われるわけでございます。
  35. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私がお尋ねしている要点は、四十年から四十四年までの土砂流は、大体平均なんでございますが、四十五年と四十六年では、四十四年度から見ますと数倍にふくれ上がっておる。特に四十七年には一挙に、いま局長から御説明いただいたような量になっておりますから、ここ四十五年、四十六年、四十七年の大沢くずれにおけるところの土砂流の増加というものは年を追って増加していると私は理解しているのですが、いかがかという質問なんです。
  36. 川崎精一

    ○川崎政府委員 今後も年を追って増加するかということになりますと、気象条件にかなり左右されるのじゃないかと思います。最近では、やはり四十五年、四十六年とおっしゃるような傾向にありまして、たまたま四十七年は気象的にもかなりの豪雨でございましたが、大きく土砂流の量がはね上がったという実態でございます。
  37. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういたしますと、四十七年の今回の大沢くずれのような事態がまた来年、再来年に起きないという断言はございませんが、現在施行しておりますところの防災工事によってこれ以上の大きな被害というものは想定されない、また、これ以上の土砂流の増加というものは現在の防災工事によって防げる、こう理解してよろしいのかどうか、それが一点。  二点目は、その周辺市町村並びに周辺にたくさんの人が集まっていくレジャーセンターとか、そういう観光地、寺院等がございますが、こういうところにどの程度の影響がいま想定されているのでございましょうか。
  38. 川崎精一

    ○川崎政府委員 大沢の全体を見ますと、いわゆるかなり上流部の源頭部とか、あるいは岩樋と言っておりますが、そういった部分とか、いわゆる富士山の頂上に近いところからくずれてくる分と、それからこれが一たん扇状地に入りまして、少し勢いが弱まるわけですが、やはりかなりの流量と土石を伴ってこれが下の潤井川に流れてくるわけでございます。したがって、その潤井川自身を、今度はまた河川そのものを侵食しながら下流に悪い影響を与えていく。私は二つに分けて考えるべきじゃないかと考えております。  それで、少なくとも富士山の頂上なりあるいは源頭部、こういったところからの土砂は何とか扇状地で食いとめたいというのが私たちの考えでございます。あるいは年々ふえるのじゃないかという心配もいろいろあるわけでございますが、現在の計画では、約九十万立米ぐらいの貯留の余力がございます。それで第一期工事を五十二年までに完成するように計画いたしておりますが、これによりまして大体扇状部等の床固めが完成いたしますと、約百七十万立米ぐらいの貯砂量を持つことになりますので、まず当面は、上からのいわゆる大きい転石等による被害というものは、ここで勢いを殺してとめられるのじゃないか。あとは下の、主として潤井川の改修になると思いますが、これにつきましても、現在、潤井川の水を富士川の本川に——星山放水路等をやっておりますが、この計画は、四十九年の出水期までには私どものほうで完成をしたいと思っております。これが完成いたしますれば、それ以降の下流の河川にはほとんど支障はないというようなことで、今回は一部にはんらんなり、あるいははんらんするおそれがあるのじゃないかというような御心配をかなりかけたわけでございますけれども、そういった放水路と、それからその上下流の改修の手当てとで、大体ここ二、三年の間に心配しなくてもいい状況になるのじゃないかと私は考えておる次第でございます。
  39. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 気象庁の方来ていらっしゃいますか。——来ておりますね。それではちょっとお尋ねしますが、一月と五月の大沢くずれの気象の状況並びに富士山の大沢くずれの地殻の問題、これらが四十九年の潤井川の抜本改修が終わる前に、雨季の時期にこういった土砂流が流れるような大きな災害が起きる予想というものは現在立っているのか立っていないのか。また、専門的に見て、気象状況とか富士山の地殻の問題等を勘案して、この二、三年の間に大災害が起きるというような予想というものは立てられているのかどうか、この辺のところを、われわれしろうとでございますので、御説明いただきたいと思います。
  40. 越智彊

    ○越智説明員 お答え申し上げます。  一月から五月までは大体富士山では着氷のつく時期でございますけれども、これからも私どもといたしましては、富士山のレーダーなどを有効に活用してまいります。  なお、ただいま先生がおっしゃいましたけれども、富士山のこれからの大沢くずれとかの大災害といったことにつきましては、長期予報のほうではいろいろと予測を立てますけれども、非常に長い期間について非常な災害ということは、私どもまだすぐ、直前にならぬとかなかなか予想は立てにくいということでございます。  以上でございます。
  41. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、一月、五月の二回のなだれに対しては、地くずれに対しては、予報というものは全然出てなかったのですか。
  42. 越智彊

    ○越智説明員 お答え申し上げます。  あのときのなだれにつきましては、一応地元のほうではなだれ注意報といったものは出されております。でございますが、その発表時期のおそい早いということは多少あろうかと思いますけれども、一応は、静岡地方気象台でございますが、そういった注意はなされておりますし、また、気象庁のほうからも、情報といたしましてそういった警告も一応は出されております。
  43. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、その予報というものは一月のなだれのどれくらい前に出されているのですか。
  44. 越智彊

    ○越智説明員 お答え申し上げます。  富士山のなだれで大量の遭難がありましたけれども、そのときに三月二十日六時〇〇分、これは静岡地方気象台が風雨注意報、波浪注意報並びになだれ注意報は発表してございますが、なお、その晩の二十二時四十分にも波浪注意報となだれ注意報をさらに出しまして警告されております。  それから甲府の地方気象台におきましても、三月二十日の九時十五分に同じくなだれ注意報、さらに二十一日の九時三十五分にもなだれ注意報を出しまして再警告をしております。
  45. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、この一日と五日、二回の問題の大沢くずれの警報というものは、正式にいうと何日前になっていますか。
  46. 越智彊

    ○越智説明員 先生がただいまおっしゃいました一日と五日につきましては、そのときの大沢くずれにつきましての、富士山になだれのあったことにつきまして、私いま手元にそのときのなだれ注意報のは、まことに申しわけございませんけれども資料を持ってきておりませんので、ちょっと判明いたしかねるわけでございます。
  47. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、ただいまあなたが発表なさったなだれというものは、富士山全体の注意警報でございますね。
  48. 越智彊

    ○越智説明員 そういうことでございまして、気象庁それから地元の甲府とか静岡地方気象台で出しておりますのは、自分のところの守備範囲のところの全般のなだれが大体起こるだろうということでございまして、特定地域につきましては、現在のところ、そこまで予報技術はいっておりません。
  49. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、この大沢くずれというのは、昭和四十二年に国会で取り上げられまして、佐藤総理も、この問題は大きな問題であるから国家的事業として取り組めという指示をなさっておることは、あなたも御存じのとおりだと思うのです。そうして今回大規模な土砂くずれがあったということになりますと、ただいまお聞きいたしたような警報だけでは、われわれは大沢くずれ対策というものは万全ではない、これは建設省ともまた環境庁とも、いろいろと関係省庁と御連絡があると思うのでございますが、特に私は、所管の防災工事を手がけております建設省当局でも、こういうニュースは知りたいと思っていると思いますね。そこで、この大沢くずれの気象対策特別班のようなものをつくって、特に警報、予報という問題について今後やるお考えがあるのかないのか、いかがでございましょうか。
  50. 越智彊

    ○越智説明員 ただいまの件につきましては、私いますぐどういうような対策というあれはありませんけれども、その方面のことは、よくこれからも上司と相談いたしまして検討いたしたいと思っておりますので、ひとつ御了承願いたいと思います。
  51. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設省にお尋ねいたしますが、この当該地点の地質の状態というものに今後大きな変化がどのように生ずるかということについて、関係市町村及びその当該人口集中地域とか、またはレジャー地帯とか、関係寺院とか、そういった人が集中するような地点についての予報というもの、地質の状態というものについて、事前に建設省並びにいま私がお尋ねいたしました予報関係関係者と御相談して、今後なさるおつもりがあるかどうかをお尋ねします。
  52. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私どものほうでも、今回の災害におきましても、いち早く最上流部の床止め工の付近には見張員を常駐させまして、土石流の方向なりあるいは勢い、こういったものを観測をしまして、一方地元の富士宮市の警察等とは十分連絡をとりまして、主として県道の通っております河底橋等の交通にいろいろ問題があろうかと思いまして、そういった連絡の処置は一応とったわけでございますが、いまお話しのように、やはり気象の問題ももちろん関連してまいりますし、市町村なり、そういった必要なところとは今後ひとつ十分な体制をとりまして、住民の方に安心していただけるというような処置はできるだけ講ずるようにいたしたいと思います。
  53. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ありがとうございます。国民の生命、健康、財産、こういった憲法に基本的に関係のある自然災害の問題については、ただいまも気象庁予報官からお話がありましたように、総合的な防災予報対策というものをこれからつくらなければ、いつ起きてくるかわからないようなこういう問題について、われわれ国民としては非常に不安である、こういうことを理解いたしまして、ただいまの御答弁は前向きな施策を講ずると理解してよろしゅうございますか。
  54. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私どものほうが中心になりまして、幸い地元に直轄の工事事務所もございますので、そういうところが中心で関係方面と連絡会等を設けまして、御趣旨の方向で努力をいたしたいと思います。
  55. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大沢くずれと反対側の表富士、そこでなだれや土砂くずれがいま非常に起こりやすくなっているということについて、富士山のなだれを研究しております気象庁の吉田泰治技官が、このほど富士山の乱開発にブレーキをかけるよう警告を発しておりますが、このことと大沢くずれとはどういう関係がございますか、気象庁にお尋ねします。
  56. 越智彊

    ○越智説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生のおっしゃいました大沢くずれと、それから富士山の御殿場口ですね、ちょうど反対側でございますが、そこでひんぴんとなだれがございますが、それはおそらく、やはり非常にあたたかい暖気が入ってきて、そういうような気象的原因につきましては、あるいは同じかもわかりませんが、しかし、地域的にそれが同時に起こるのか、あるいは別個のときに起こるのか、そういったことにつきましては、もう少しこまかく調査いたしませんと、同じとか、そういったことは、いますぐは断定できないのじゃないかと私ども考えております。
  57. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 富士山の地殻については、表富土も裏富士も同じような地質、そういった性格の土砂流だと思いますが、最近の富士山の開発が、気象現象や富士山自体の地質に多くの影響があるということで、あなたの関係のあるこの技官によって警告が発せられているということは、これはいまわれわれの非常な関心を呼んでいるわけであります。  そこで、この結果について、私ども国会のほうにどのような資料を提出していただけるのか、これはすみやかにわれわれは望んでいるわけでございまして、こういった面は、富士山国立公園の開発ということも含めた上で、いま建設省も重大な関心がおありと思いますが、その開発も、観光の名のみ書かれて、富士山が大きな危機になっているということを警告したこの警告を、ただ一片の警告としてわれわれ受けとめられない。これがただいま私が質問いたしましたように、大沢くずれとも気象上何らかの関係があり、そのことによって大きな被害が生ずるということであれば、これはすみやかに開発という問題についてブレーキをかけなければならぬ、こうわれわれは理解しておるのであります。関係建設省といたしましては、こういう観光開発という問題について予報官からブレーキの警告がかかっておりますが、この点については、どのような御見解をお持ちでございましょうか。
  58. 川崎精一

    ○川崎政府委員 どうもたいへんむずかしい質問でございまして、私の担当の立場からはちょっとお答えしにくいかとも存じますが、まあ率直な考えを申し上げますれば、富士山というのは、日本の風景の中でやはり無視できない一つの象徴的なものでございます。したがって、富士山の姿なり自然なりといったものを日本人とすればできるだけ保存したい、自然のままに残したいというのが国民全体の希望であろうかと思います。そういった意味で、私どもも、観光開発等によってそういったものが荒らされるということであれば、やはり何らかの適切な措置はとっていく必要があるのじゃないかと考える次第でございます。
  59. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ここは国土総合開発の立場からいきまして、富士山の二千メートル以下、また二千メートル以上はどういう指定地域に入っているのか。これは都市計画区域というような地域ではございませんし、無指定地域また国立公園地域として開発——そういった不動産業者が最近たくさん入り込んでいる。ここは一体開発地域に指定されているのですか。
  60. 宇野佐

    ○宇野説明員 一応環境庁の立場としてお答え申し上げたいと思いますが、環境庁の所管いたしております国立公園は、富士山につきましては昭和十一年に指定をいたしまして、現在、特にこの大沢くずれの関係のところで申し上げますと、標高にいたしまして約八百メートルくらいから上が国立公園の地域でございます。さらに標高にいたしまして千五百メートルから上が特別地域ということになっておりまして、私どものほうが管理をいたしておるわけでございます。したがいまして、観光開発に限らず、いわゆる工作物をつくるとか、あるいは木竹の伐採をするとか、そういう行為につきましては千五百メートルから上は環境庁長官の許可を要する、そういうふうな地域になっておるわけでございます。さらに私どもといたしましては、さらに上のほうにつきまして厳重に自然を保護していく地域、特別保護地域というようなものの指定をするという準備をいたしておるわけでございます。
  61. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 環境庁としては、大沢くずれの周辺地域は標高何メートルになっておるのか。この地域の開発行為の許可は建設省に出すのか、環境庁に出すものか。また、建設省が現在行なっておりますところの砂防指定地内の扇状地域のこの防災工事について、環境庁から環境破壊のクレームがついていると聞いておりますが、これらについていかがなんですか。
  62. 宇野佐

    ○宇野説明員 お答え申し上げます。  いまお答え申し上げましたように、大沢くずれの部分につきましては、国立公園の区域が標高にいたしまして約八百メートルから上でございます。さらに特別地域が千五百メートルから上、大体こういうふうになっておるわけでございます。したがいまして、この特別地域でございます千五百メートルから上のいわゆる開発行為につきましては、環境庁長官の許可を要するということになっておるわけでございます。  それで、御指摘建設省が行なっておられます砂防工事につきましては、現在のところ、大部分が千五百メートル以下の地域で行なわれておるわけでございまして、これは建設省のほうでおやりいただくことになっております。それで、この千五百メートルから上につきまして建設省が工事を行なわれる場合に、環境庁長官に協議をするということになっておるわけでございます。現実にはまだこの協議という段階に入っておりませんが、私どもといたしましては、建設省のほうから四十三年には調査のためのいろいろな観測装置設置とか、こういうふうな協議を受けておりまして、これについて応じております。  そういうふうなことでございまして、御指摘のように、私どものほうからクレームをつけたというふうな実態ではないと思うわけでございますが、私どもといたしましては、すでにほかの地域で、たとえば富士のスバルラインの例のように、道路をつけることが自然破壊につながるというふうな例もございますので、大沢くずれの防災工事につきましては、必要な工事はおやりいただくという原則に立っておるわけでございますけれども、その工事のやり方、特に資材を運搬するための道路というものにつきまして、自然破壊につながらないように十分御検討を願いたいというふうなことを御相談の間で申し上げておるわけでございます。  具体的なそういう工事のやり方、あるいは道路をどこにつけるというふうな問題が今後建設省のほうから提示されました場合には、いわゆる国土の保全という面を十分に考えながらその防災工事に対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  63. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設省にお尋ねいたしますが、昭和四十五年にこの防災計画が練られた際に、四十三年までは県単事業だったと思うのですが、これが国に移管されまして、本格的な、大々的なこの防災計画に取り組む際に、静岡県、山梨県の各教育委員会並びにただいま御説明があった環境庁や文化庁、こういうところから、取りつけ道路とか、二千二百メートル以上の地域についての道路建設ということは、非常に環境破壊がもたらされるおそれがあるのでやめてもらいたいということがわれわれの耳に入っておりますが、ただいま環境庁から御説明があったとおり、富士山の防災、そしてそれに伴うところの災害の防止、これなくしては環境保全というものはあり得ないのであって、われわれとしては、こういう立場に立って、両県の各教育委員会環境庁、関係当局のそういった御注意、また開発に伴うところの環境保全についてのいろいろな計画、こういう問題については、建設省としてどういうふうにお考えになり、どういう対策を講じ、また、こういった両者間の折衝についてどういうふうに臨むのか、この点をまずお尋ねしたいと思うのです。   〔委員長退席、米田委員長代理着席〕
  64. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私どものほうでも、ただいま環境庁からお話のありました考え方と基本的には変わってないわけでございます。特に現在扇状地等の工事をやっておりますが、こういったところでは、現在そういった特別な意見等は、私の耳にはいまのところ入っておりません。ただ、これから次第に富士山の頂上に向かって砂防ダムなりあるいは源頭部の処置、こういったものを進めていくことになるわけでございますが、現在の段階では、そういった準備工事というよりも、むしろどういう工法なり、どういう材料を使ってあれを始末したらいいかというふうな基礎的な問題でわれわれ大きな壁にぶつかっておるわけでございますが、何とか技術をあげて、この際、そういったものの解決と取り組みたいということで努力をいたしておる、こういうことでございます。したがって、そういった工法等がある程度輪郭がきまりました段階で、それじゃどのような準備工事をするかというようなことの具体的な問題が出ますれば、これは当然環境保護の立場から、あるいは地元の教育委員会等からもそれぞれ意見も出ますでしょうし、私どもも、やはり国土保全という立場から最小限の必要なものはやらしていただきたい、こう考えておるわけでございますが、まだ具体的には、そういった協議をする段階まで実は至っていないというのが現状でございます。しかし、先ほどの床止め工等を実施いたしておりますところについては、それぞれ今後は十分環境保護等も——幾ら災害防止のためとはいいながら、環境保護にはわれわれもやはり十分注意していく必要もございますし、環境庁等とも十分調整できると考えておる次第でございます。
  65. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 標高二千メートルから三千メートルを中心としました大沢くずれの中心部の崩壊防止に必要なお金というものは、建設省の推算ではどれくらいかかるのですか。
  66. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私どものほうで、第一期工事ということで、源頭部、峡谷部、それから現在実施しております扇状地の対策、こういったものを含めまして、五十二年までに約五十三億程度を考えております。その中で、扇状地から上流の部分が約三十億程度を予定いたしております。
  67. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 静岡県の調査によりますと、この崩壊を防ぐためには五百億以上の金がかかると推計しておりますけれども、その点はどうなんでございましょうか。
  68. 川崎精一

    ○川崎政府委員 これにはいろいろな意見がございまして、ある人によれば千億をこすのじゃないかというような意見もございます。私どもも、それでは富士山をどのように扱っていくべきか、これをはたしてプラスチックで固めてしまうというようなことはあまりにも自然を固定し過ぎて、やはりわれわれ人間の力でこの大きな自然の風化といった現象を食いとめられるものではないと私は思います。しかし、常識的な富士山の輪郭をできるだけ守る、それから下流に被害を与えないといったような立場からの必要最小限のものが一応この五十三億というような数字で、四十二年、三年と設けられました大沢くずれの懇談会等で議論された結果から生まれ出たものと思っております。しかし、今後調査が進み、工法が開発されますれば、その時点でもう一度検討し直す必要はあろうかと考えております。
  69. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、扇状地について四メートルのダムをつくるということを私たちは聞いておりますが、このダムを十四本つくって、くずれの拡大を防ぐという計画であったやに聞いておりますが、現在までにこの防災ダムは幾つできているのですか。
  70. 川崎精一

    ○川崎政府委員 扇状地につきまして、私ども計画では、一号から九号まで九つの床止めを実施する、そのほかに九号から上に砂防ダムを二基さらに予定いたしております。これは峡谷部になるわけでございます。それから下流は一応床止めを置いて、さらに流路工をもって潤井川に連絡をするということで、その九つの床止め工の中で、四号、五号、六号、これは県の事業で一応暫定的にじゃかご工法で竣工をいたしておりますし、さらに、今回の災害等の実情を見ますと、根固め等の補強その他が要りますので、あらためてこれは改築をいたしたいと考えております。そのほかに、四十四年から直轄で実施をいたしておりますが、それで七号、八号と九号の一部を現在実施をいたしております。したがって、扇状地の床止め工とすれば九本を予定いたしておる次第でございます。
  71. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、九号までは今年じゅうにできるのですか。そしてこの地域の土地の所有権者は、国ですか、県ですか、個人ですか。これは農地解放によって払い下げた地域でありますか、どうですか。
  72. 川崎精一

    ○川崎政府委員 九号はちょっと四十七年度中には完成はむずかしいかと思いますが、四十八年度にはおおむね概成できると考えております。  それから土地の関係でございますが、全体で約四百十四ヘクタールくらい砂防指定地をわれわれ指定しておるわけでございます。その中で三百へクタール近い民有地がございまして、四十四年、五年とすでに約三十八ヘクタールくらい買収をしておりまして、現在は民有地が二百六十一ヘクタールくらいございます。この中で、いわゆる工事の砂防堰堤をしなければいけない、あるいはそのために土砂がたまるというようなところは、これは砂防の機能上やはり当然国有地として私どもも管理をする必要があると考えますので、そういったところを買収する必要がございますが、今後必要とされる買収の面積は約百ヘクタールばかりでございます。お話しのいろいろ分譲をして、分譲地として取得したというような個人の方が、この百ヘクタールの中の約半分くらいおられるのじゃないかというように聞いております。
  73. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 環境庁にお尋ねいたしますが、この大沢くずれの二千メートル中心地に不動産業者が分譲地として土地を買い占めたというが、これは一体分譲地として買って、どういう目的でつくるのですか。ここにうちが建てられるのですか。
  74. 宇野佐

    ○宇野説明員 お答え申し上げます。  国立公園の先ほど申し上げました特別地域の中は、いわゆる千五百メートルから上あるいは二千メートルから上という御指摘でございますが、この地域は、静岡県側につきましては国有林、それから山梨県側につきましては山梨県有林がほとんどでございまして、いわゆる民間の不動産業者が大規模に買収をして分譲をするというところについては、私ども全然知らないわけでございます。
  75. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ただいま河川局長は不動産業者が買ってここを分譲ということをおっしゃっていたのですけれども、これは約百ヘクタールは必要だというのです。ということは、これは業者が何らかの目的で二千メートル、国立公園の中心地を買って、そして今度それを建設省では買収しようとしているわけです。これはどういうところで、こういうように許可になっているのですか。
  76. 宇野佐

    ○宇野説明員 お答え申し上げます。  ただいま建設省のほうでご説明になりましたところは、大体標高にいたしまして八百メートル以下の扇状地、これは区域外でございます。それから多少区域の中に入りましても、普通地域でございまして、これは許可が要らないところでございますけれども、一応国立公園の中心地というところは、私どもはもっと上流のほうの、標高にいたしまして千五百メートル以上というふうに考えておりますので、いわゆる中心地にはそういう民有地はない。建設省のお答えになりましたのは、国立公園の区域外、もしくはかりに入りましても周辺の一部ということになろうかと思います。
  77. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設省にお尋ねしますが、当該扇状地は標高八百メートルなんですか。それからその大沢くずれの中心地を防ぐための二千メートル、三千メートル地帯の防災工事の土地の取得はどうなんですか。
  78. 川崎精一

    ○川崎政府委員 現在私どものほうで砂防指定地といたしましてやっておる扇状地につきましては、これは将来上流部の峡谷部に入れます砂防ダムの位置を含めまして、標高九百から五百五十ぐらいまでの間でございます。それから上流は、千五百メートルくらいまでは国有林になっております。したがって、林野庁と協議をして事業の進め方等は行なう必要があろうかと思います。それから上につきましては、いわゆる峡谷部、源頭部でございまして、これらについては、まさに標高が大体千五百から以上になっておりますので、先ほどの国立公園の特別保護区域、そのほかに文部省のほうの文化財としての特別名勝、こういうことになって規制をされておりますので、いわゆる民間の土地の取得とかといったような心配はないんじゃないかと思っております。
  79. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ただいまの御説明で、私、標高のところでよくわかりましたが、大沢くずれでくずれているところへ、どんどんくずれ落ちてくるところへ、民間業者が観光を目的として、別荘を目的として、八百メートルの分譲住宅を分譲するなんということは、買うほうは一体どういう神経で買うのか。また、売り出す許可をするほうは一体どこなんですか。こんなに土砂の流れてくるところを分譲するということを許可していいのですか。こんなところを買った人は土砂に流されちゃうじゃないですか。そういう危険地域を分譲地として売る業者も業者ですが、これを取り締まらないほうもおかしいし、また、そういうところを分譲として許可をする側は、一体建設省なんですか、県なんですか、どこなんですか。こういうことはおかしいじゃないですか。
  80. 関口洋

    ○関口説明員 まず分譲を申し上げますと、いまお話の出ております土地を売ったというのは富士山麓開発株式会社というものが主になっております。これにつきましては、宅地建物取引業法で重要事項の告示というのがある点は先生御承知のとおりでございますが、いまお話の出ております砂防指定地内の場合には、砂防法第四条の制限があるということを告げなければならなかったわけでございますが、これを告げていないという事情が判明いたしましたので、静岡県警のほうから起訴されまして、四十六年の三月二十一日に罰金五万円ということで刑が確定し、県のほうは同年八月六日に免許を取り消しております。  そこで、いま基本的なお尋ねの、この土地を売り出すにあたって許可したのはおかしいじゃないかという御指摘でございますが、先ほど来先生お話にも出ておりますように、この区域は、都市計画法の適用されます都市計画区域外でございますし、また、私どもがそれ以外に関与できるものとしては、宅地造成等規制法に基づく許可権しかないわけでございますけれども、これについても住宅地として開発されるという地域しか適用されませんので、この区域も、遺憾ながらその区域外になっております。そういう意味で、別に許可したということではございませんので、その点、御了承のほどをお願いしたいと思います。
  81. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 宅地建物取引業法の一部改正が行なわれたときに、要するに、都市計画区域外の用地の売買をやっている不動産業者は、今回の宅地建物取引業法の一部改正の法律にひっかからなかった。それでいまこういう問題が起きてきているのですけれども、この問題については、取り締まりの網がざる法で目がこぼれてしまっているのですが、建設省としては、この地域の不動産屋は富士観光開発だけではない、いま所有しているのはこの一社だけではないですね。このリストはわかりますか。  それと、この富士観光開発は、現在は許可になっているのですか、なっていないのですか。これが二点。  三点目は、建設省は、この当該区域を一体平米幾らで買おうとしているのか。用地買収費、これはどうですか。
  82. 関口洋

    ○関口説明員 一般的に申しまして、許可を要しない地域における法人の土地取得の問題がいま非常に議論されておることは御案内のとおりでございます。それは裏返して申しますと、実情を私どもなかなか把握できません。そういう意味で、たびたび建設大臣のほうからお答えしておりますので、簡単にお答えさしていただきますが、私どもとしましても実情を調査中でございますが、本件に関しまして先ほどお話のございました会社は富士山麓開発株式会社でございまして、先ほどお答えいたしましたように、現在は免許を取り消されております。これが実情でございます。したがって、この会社以外にどういう会社が土地を持っており、現状はどうかという点は、東証一、二部の上場会社についてただいま調べておりますが、そういうものを待ちませんと現状は不明でございます。
  83. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いま、あなたのほうで都市計画区域外の法人の土地取得の状況というものを調査していると言う。大沢くずれは何回もやっているというこの問題は、もう一、二年前から、四十六年には、扇状地域の買収問題で富士観光開発株式会社が静岡県で摘発されている。もうこの時点でわからなければならないのが、いまだにわからないのですか。これはどうなんです。
  84. 関口洋

    ○関口説明員 県のほうと私どものほうも相談をいたしまして、いろいろ手を講じたのでございますけれども、現在のところ、遺憾ながら確信をもってどういう会社が土地を持っているということをお答えできるまでには至っておりません。
  85. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いつごろわかりますか。
  86. 関口洋

    ○関口説明員 東京証券取引市場の一、二部上場会社につきまして調査中でございまして、これは六月一ぱいに集計をする前提で進んでおるわけでございます。
  87. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設省がこの問題について非常に真剣に取り組んでいらっしゃることは私わかりますが、この一部の例を見たんではちょっと真剣さがないんではないかと思います。この用地買収はどうしても百ヘクタール必要だといま局長からお話があったとおりでございますが、この点は、局長のほうからも総点検をすぐしていただきたい。これは私のほうに資料を出していただきたい。これが一つ。  それから、この当該地域の百ヘクタールに対する平米当たりの買収単価は、業者はどのくらいのことを言ってきているのですか。
  88. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私どものほうの四十五年、六年の実績は、平米五百円ないし六百円程度でございます。で、分譲された時点での相場は約それの十倍近いんじゃないかというふうに私ども聞いております。これについては、最近の災害等の関連もあって、かなりそういった人の気持ちも変化してきておるので、地元の富士宮市のほうでも十分調整をして買収に協力したいという申し出もございまして、現在、出先の事務所と富士宮市でいろいろ折衝を重ねておるというところでございます。
  89. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設省に現在買収してくれと申し込んでいる業者の名前はわかりますか。
  90. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私どものところにまだ資料はございませんが、一応お話しのような事例につきまして、現地の事務所に照会いたしました上で御報告したいと思います。
  91. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは早急に調べませんとちょっと問題が起こると思います。  それで、十倍といいますと平米七千円ですね。そうすると、三・三平方メートルに直しますと三倍ですから約これが二万一千円。大体この大沢くずれの、くずれちゃってほかに用がないような土地を、建設省がいまの十倍というような、約七千円の三倍ですから一坪二万一千円。これは市街化調整区域内でもこんなに高い値段はない。これは無指定地域です。この地域で坪二万一千円も出して買うということになると、この辺の地価公示なんというのはもちろんないのですが、こういうわれわれの考え方は一体どうなんですか。
  92. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私も土地価格については専門ではございませんけれども、先ほども申し上げましたように、在来約五百円ないし六百円で買っておるわけでございます。したがって、いまの坪に直しますと二万円前後というような相場では、ずいぶん私どもの過去に買っておる例とはかけ離れておりますし、そもそもそういった対策工事を必要とする土地でございますから、やはり常識的な値段が当然あるんじゃないかと思います。そういう点については、どういう言い値をしてきておるのか、最近の事情は知りませんけれども、やはり常識的な判断で私どもも処置していきたいと思いますし、そういった価格の事例等につきましては、また私ども計画局等にも資料があろうかと思いますので、そういったものを参考として買収に当たりたいと考えております。
  93. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私どもに入ったニュースによりますと、その所有している業者が平米七千円以下では絶対に売らないんだ——売らないということになりますと、民有地でございますから、あなた方が御計画なさっております九号ないし十号、十一、十二、十三、十四という、これからつくらなければならない防災ダムというものはできなくなるんじゃないですか。そうすると、当然二万円でも買わなければならない。三万円でも言い値で買わなければならない。もちろんそういう人の弱みにつけ込んで国に膨大な経費——こんな高い額で富士山の、だれも使い道がない、土砂が流れてくるような、住宅も建てられないような土地が一坪二万一千円だなんて、ちょっとわれわれは想像ができないのですね。これは日本の土地問題の根本に触れる問題でございますが、それなら、もしも売らないということになって値段が成立しない場合には、これは土地収用法でもかけなければならないのですね。相手が十万円でも売らないということになっちゃったらこれはたいへんな問題になるのですが、そういうふうに、かりに業者が値段で国と交渉の成立ができない暁に、当局としては、どのようは態度を示しますか。
  94. 川崎精一

    ○川崎政府委員 これはすでに砂防指定地になっていますから、おそらく持っておる人も工事の制限等は受けるわけでございます。したがって、このままほっておけば、当然そういった方も土地を持っておるだけで全然使えないといったような状況になるわけでございますから、私は十分話せば調整はつくのじゃないかと思います。しかし、やはり大事な公共事業を進めておるわけでございますから、当然まとまらない段階では、やはり土地収用法等も含めたしかるべき処置はとるべきだと考えております。
  95. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これはまた非常に私は意を強くしたのですが、憲法第二十九条第二項では、やはり私権の制限がある。公共事業というものは優先するんだということになれば、このような二万円でもわれわれは高いと思っておりますが、かりに二万円で話し合いがついても、もっと意地の悪いのだったら五万、十万出さなければ売らないということになれば、これは明らかに公共が優先するという憲法第二十九条の精神また民法第一条の精神にも違反してくるのでありまして、強烈な手段を講じなければならぬ。その間にも大きな災害が起きて富士宮市の周辺関係市町村が迷惑をこうむったり、人命に影響が出てきた場合には、これは大きな社会問題に発展すると思いますので、この点重ねて御忠告申し上げるとともに、十分なる施策を講じていただきたいとお願いするものでございますが、まず御決意をもう一ぺんお聞きしておきます。
  96. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先ほど来申し上げましたとおり、私どももやはり大沢くずれ、こういう大事な国土保全の事業をやっておるわけでございますので、やはりその事業に支障のないように適切な処置をとりたいと考えております。
  97. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは次に移りますが、潤井川、これは二級河川でございますね。この改修については直轄として、早急に本川の改修または土砂流の撤去、これが考えられませんか。
  98. 川崎精一

    ○川崎政府委員 現在二級河川を直轄でやっておるのは、沖繩、北海道を除くとないわけでございます。したがって、河川の規模、それから静岡県は大県でございますからかなりの施行能力もあるわけでございます。また、河川の規模も、大体潤井川の流域が約二百平方キロ余りかと思います。そういったことも考えあわせますと、直轄施行というのは、全国の直轄をやっております規模等から見ますとかなり小さくなるのではないかという気がします。しかし、これは非常に重要な二級河川でございまして、現在下流の開発の状況、それから大沢川自身の持っております特殊性等から考えまして、途中で星山放水路というのを富士川に向かって掘っておるわけでございます。これが完成しますと、一応富士川水系とはこれは連絡することになりますので、その時点では、私は一級水系にしてもいいのじゃないかというように考えておる次第でございます。
  99. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これはたいへんありがたい御答弁をいただいたわけでございます。こういった特殊な二級河川、これは当然国が直轄として本川の改修及び災害対策を講ずるということにおいて私と意見が同じでございますことを私は非常にうれしく思っております。どうかひとつ前向きな態度で取り組んでいただきたいということをお願いしまして、最後に潤井川の埋没土砂のしゅんせつ費、これについては、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の適用があるのですか。
  100. 川崎精一

    ○川崎政府委員 河川の土砂の埋没とか閉塞ということは、これは通常の状態でも経年的に蓄積する、こういったような場合もございますので、いわゆる災害復旧の国庫負担法のたてまえからいきますと、閉塞というものは除外の事業になっております。  しかし、その実態が非常にあとあとに災害を起こすおそれがあるとか、それから破堤はんらんのおそれがある、こういったような場合にはやはり復旧の対象にするということでございます。それじゃどの程度基準かということになりますと、河積の大体三分の一以上閉塞されておるというようなときには、やはり次の出水で危険があるじゃないかというようなことで、こういったものについては災害復旧の対象にしようじゃないかということで、今回も一部そういった地区がございましたが、それについては国庫補助の対象にいたしまして、それ以外は県単費で処置するということで、現在、きょうあたりもうほとんど全部復旧が終わったかと思いますが、処置したわけでございます。
  101. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 地区ごとに適用なさった、土砂流の非常に激しいところ、そういう地区ごとになさったということでございますが、私はただいまの河川局長のお話にもありましたように、当該河川は二級河川であるけれども、一級直轄にしたいような御意向のもとに、この河川に対する取り組み方、これは当然私は全面的に国庫負担法を採用すべきである、こういう意見なんでございますが、どうかひとつこの点も勘案していただきまして努力していただきたいと思うのでございます。大体今回の土砂流撤去には、応急措置でございますが、どれぐらいの機械力と日数がかかったかということに私どもは関心があるのですが、これも非常に長期的にかかっておりますので、今後こういった問題について、全力投球で潤井川埋没土砂の撤去、本川の改修についての御努力をまずお願いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  102. 米田東吾

    米田委員長代理 広沢直樹君。
  103. 広沢直樹

    ○広沢委員 私は、これから気象業務に関する問題について、おもに気象庁を中心として御質問申し上げたいと思います。  気象業務のことにつきましては非常に各般にわたっておりますし、また、微細に検討しなければならない問題もございます。いま本会議の時間も迫っているようでありますので、質問漏れになった時点においては、また次の委員会におきまして重ねて質問申し上げたいと思いますので、その点よろしくお願い申し上げます。  最初に気象庁に伺います。  気象業務の重大なことは、いまここで論ずるまでもないことでございますけれども、わが国の気象業務の実態につきましては、やはり必ずしも現在満足されるような情勢にはないわけでありますし、ますますその拡充強化というものがはかられなければならないことは当然のことだと思うわけであります。四十三年に始まりました気象業務整備五カ年計画でありますけれども、その整備計画に基づいて基本的にどのようになってきているか、概況をまずお答えいただきたいと思います。
  104. 山本守

    ○山本(守)政府委員 お答え申し上げます。  気象業務整備につきましては、世界的な気象監視計画でございますとか、異常気象の監視体制の整備でございますとか、長期予報業務の整備、海洋開発関係の海洋調査の強化、気象情報処理システムの確立並びに大気、海洋汚染防止等に関する気象業務整備等、諸般の方面にわたりまして計画を立てまして、逐年この整備拡充というものを当庁としてはばかっておる次第でございます。
  105. 広沢直樹

    ○広沢委員 私がお伺いしたいことは、抽象な問題というよりも、同じく四十三年の九月十九日に、当委員会におきましては、自然災害の防止に資するための気象業務整備拡充に関する決議ということがなされているわけです。その中で、精密な予報というか正確な予報をされるように「気象観測網の大幅な充実強化を推進する」、その他四項にわたってなされております。また「気象業務に従事する要員の確保を図るとともに、その待遇等について特段の配慮を行なうこと。」等、五項目あるわけです。その時点において、ちょうどその当時の運輸大臣も、気象業務整備の五カ年計画に入っているところであるから、この決議の趣旨を十分に踏まえて、早急にそれを整備拡充あるいは強化に対応したいということを答弁されているわけであります。  ところが、いまの御説明で抽象的に整備拡充強化につとめているとは言いますけれども、当時、問題点として指摘された問題が何点かあるわけでありますが、もう少し具体的に、どういうふうに解決して、問題点としてこういう問題が残っているから今後こういうふうにやっていくんだ、特にこの五カ年の整備計画も、本年度から新たに初年度としてもう一度計画を練り直しているようでありますから、そういう点も含めて、時間がありませんので、具体的な問題といいますと時間もかかりましょうから、ポイント的にひとつ御説明いただきたいと思うのです。
  106. 山本守

    ○山本(守)政府委員 御説明申し上げます。  まず、決議におきまして御指摘いただきました予報精度の向上をはかれという点でございますが、これにつきましては、レーダーによる観測網を全国的に整備していくという点につきましてその整備をはかってまいりました。また、このレーダー観測網のうち、年がたちまして更新を要するものにつきましては、これの更新というものをはかってまいりました。四十七年度におきましては、種子島のレーダーと名瀬のレーダ一二カ所を更新する予定にしております。また、レーダー情報伝送網と申しまして、レーダーの画像を各方面へ伝送する通信施設でございますが、これも全国的に拡充整備をはかりつつありまして、四十七年度におきましては、日本海方面への伝送網の整備をはかる予定にしております。  また、気象ロケットによりまして高層観測の業務を始めるという点も開始をいたしました。また、太平洋上にブイを置きまして、自動的に洋上観測というものの数値が入ってくるというブイロボットの整備も、この四十七年度から本格的に整備にかかるという段階になりました。  そのほか、地上観測測器の近代化でございますが、この点につきましては、隔測化と申しまして、地点が離れておりましても自動的に観測数値がわかるという隔測化の整備というものをはかってまいりました。  なお、気象情報の迅速な伝達をはかるようにという点の御指摘がございました。これにつきましては、気象資料を自動的に編集する装置を強力にできる装置に更新をしていくという計画で予算を認められております。  また、一般的な通信施設整備は全国的に取り計らっておりますが、特に無線模写施設整備でございます。これはファックスによって天気図等映像を流すという施設でございますが、これの整備を当庁としては全国的に行き渡るように毎年計画いたしまして拡充をいたしております。  また、迅速、正確に情報が伝わるための措置といたしまして予報、警報というものの一斉伝達装置という装置がございまして、これの数を拡充整備するという方向をとっております。  また、地震関係の業務につきまして御指摘がございましたが、この地震観測施設整備近代化というものにつきましても毎年近代化をはかってまいり、特に地震予知対策でございますが、この地震予知対策につきましてはいろいろ関係の省庁がございまして、それが一団となって協議を重ねて本業務を推進いたしておるわけでございます。  それから、気象業務に従事する要員の確保でございますが、この要員の確保につきましては、毎年新規要求をいたしまして、相応の定員というものを私どもとしては獲得をしてまいっております。  それから待遇の改善面でございますが、これは観測機器というものを近代化いたしまして、労力の軽減をはかるということがまず重要なことと考え、この点の近代化を隔測化というような方法等によりまして労力の軽減をはかっております。また、健康管理というものにつきましても特に留意をいたしまして、特別に検診を行ないますとか、あるいは宿舎等の居住施設の改善につきまして、つとめて新しい施設になるようにいたしますとともに、人事的な交流面におきましても、あまり一カ所に長く滞留しないということを考慮して、つとめて人事交流というものをはかっております。  なお、最後に研究の推進という点につきまして御指摘をいただいたわけでございますが、この研究の推進ということは、気象業務の将来の発展のために基礎になるものでございますので、重要なものでございます。私どもといたしましては、ただいま気象衛星の研究開発をはじめといたしまして、台風、集中豪雨、地震等につきまして、その機構を解明してさらにこれらをより早く察知するということはどうしたらできるかという方向について研究を進めておる次第でございます。
  107. 広沢直樹

    ○広沢委員 いまお説のように、機械化並びに近代化等、あるいはもろもろのいま御説明のあった面については、それは前進はしているだろうと思うのです。  ところで、先般私が当委員会で高橋長官にお伺いした問題は、やはり気象観測の大幅な拡充と強化という問題につきまして、ことしから測候所がいわゆる測候業務というものを縮小して、気象台に集中される。従来の測候業務から通報所的な存在になるのじゃないかという点を御指摘申し上げたわけです。こういうことになりますと、現実に当時各方面からも陳情がございましたし、意見も出されたわけでありますが、やはり従来どおり測候所は測候業務というものをやるべきじゃないか。しかしながら、そのときのお話では、機械化がはかられ、近代化がはかられ、先ほどおっしゃったようなレーダー等の設備も整ってきたわけで、集中的にやることは、より精度の高い予報ができるのじゃないかというようなお答えであったようであります。しかしながら、気象条件というものは、これはいろいろいわれておりますが、確かに集中的にやることも一つの効果かと思います。しかしながら、一面では、非常に変化の激しい気象条件を持った日本の地理的条件といいますか、環境、風土にあるわけですから、それに必要な体制として今日までつくられた測候所が、その業務が気象台に集中されるということについては全く支障がないとはいえないんじゃないかと思うのです。  そこで、当時長官もこういうふうに私に答えているわけです。気象というのは非常に複雑だ、同じ県の中でも場所によっても違うし、さらに申すならば町や市によっても違うわけだ、したがって、その基本的な方針というのは変えるわけはないということを申されているわけであります。   〔米田委員長代理退席、委員長着席〕 気象台において集中されたものが、今度は地方においては、その刻々によって気象条件というものは変わってまいるわけでありますから、いま気象庁がとっておられる方針というものと、この大幅な充実強化をはかるという問題とは基本的に少し違うのじゃないかというふうに思うわけです。  具体的な例を指摘しながらお伺いしたいと思うのですけれども、先刻紋別測候所の管轄の中で、悪気象条件のもとで飛行機の事故がございました。この概要について、気象庁としてはどういう処置をおとりになっておったのか。この紋別測候所は、指摘するまでもなく今年からいわゆる従来の測候業務というものを網走の気象台に預けているわけです。したがって、通報所的役割りに変わっているわけですね。そういう面からいろいろお伺いしたいと思うわけですけれども、具体的にその当時の状況をひとつ御説明いただきたいと思います。
  108. 山本守

    ○山本(守)政府委員 お答え申し上げます。  紋別の空港出張所の定員は二名ということで業務を行なっておりますが、これは近くに紋別測候所というものがございまして、ここに定員が七名おります。この七名と二名とが一体的に業務を行なっているというのが実情でございます。  当日、航空機のほうから、丘珠並びに旭川方面の気象の照会がございまして、これにつきましては、紋別空港のほうから照会があった状況について説明をしてございます。  なお、その状況がどうであったかという点につきまして御説明申し上げます。航空の気象の実況といたしまして、八時の丘珠の気象でございますが、これは南東の風二十一ノットということでございますから、メートルに直しまして約十メートルでございます。視程は十キロ以上。それから全天のうち八分の三程度が雲でございまして、その高さは七百フィート、一番低い雲の状況が七百フィートでございました。それから旭川の状況でございますが、これは八時三十分の状況でございます。南の風で約八メートル、十六ノットという風速でございました。視界は十キロ以上。小雨が一時間前にあったということでございます。なお、雲の高さは、一番低いものは二千フィートという状況を知らせてございます。
  109. 広沢直樹

    ○広沢委員 山本次長、私が聞いていることをもっと正確に答えていただきたいと思うのですよ。何かしぶしぶ答えにくそうに答えておりますけれども、時間がありませんから明確にひとつ答えてください。  この事故の問題については、何も気象庁が責任があると言っているわけではないのです。要するに、悪気象に基づく事故だということでありますから、やはり先ほどから申し上げております気象状況の把握という問題あるいは通報という問題が非常に重要な役割りを占めていることは言うまでもないことです。  そこで、当時、現地におきましては、出発地点と目的の地点と、その両空港の気象条件が、視程においては五キロ、それから雲の高さにおいては千フィートですから三百メートルですか、以上でなければ原則として飛べないことになっている、こういう状況です。この報道によりますと、出発時点においては、視程はいまお話があったように十キロ以上で、視程においてはそれでいいかもしれませんけれども、雲の高さがいまおっしゃった七百フィートですね。ということは、結局三百メートルを割っているわけです。ところが、それに対して飛行しておるわけでありますが、この情報を伝達すべき、いわゆる紋別測候所の空港出張所においては、いまお話があったように、勤務している方は二人である。航空関係は特に気象条件が生命線でありますから、最も重要な地点であると思われるわけです。ところが、人員はたった二人である。そしてこの日一人は休暇であったということで、一人だけが勤務しておったということですね。そして非常に変わりやすい状況でありましたので、特別観測を行なって、そのデータが入ってきているけれども、その通報ができなかったといいますか、ここには気がつかなかったと報道には書いてございますけれども、こういうことは何を意味しているかといいますと、私が申し上げたいのは、やはりいまの人員の問題であるとか、あるいは観測網の整備をしていく上において、単なる通報的な役割りということじゃなくて、そこにやはり測候業務という、測候所において責任がある測候をし、刻々気象状況を航空関係その他に流していくという常備の体制がとられていないところに、この問題が出てきているのじゃないか。これも一つの原因じゃないかというふうに考えるわけです。  その点と、先ほどから時間をかけて聞いたわけですけれども、決議に基づく気象観測の大幅な充実拡充、それに対しては近代化、機械化がはかられて、その地方の気象台に集約されることがより精度の高い予報ができるのだという気象庁の答弁と、現実にこういうふうに刻々変わる気象状況において通報がおくれたり、あるいはいろいろな関係でそれが十分になされないという問題が起こっているのをどのようにあなたは理解されているのか、お考えになっていらっしゃるのか、それを伺いたいわけです。
  110. 山本守

    ○山本(守)政府委員 当日におきます勤務状態でございますが、九名おりますうち、一人は官署長会議、もう一人は永年勤続の表彰ということで、二名出張をいたしておりました。それから休暇が一名、夜勤が一名、勤務明けが一名という勤務状態であったわけでございます。したがいまして、出張のために勤務が一名であったということで、通常の状態ではなかったわけでございます。  なお、先生指摘の観測網の拡充整備というものをどうやってはかるのかというお話でございます。この点につきましては、テレメーター方式と呼んでおりますが、自動的に気象諸要素をはかりまして、それを地方の気象中枢機関へ電送してくるという、自動的な気象観測網というものを全国的に展開していくという計画を立てておりまして、すでに四十七年度から着手いたしておる次第でございます。
  111. 広沢直樹

    ○広沢委員 あなたは、私が聞いていることに正確に答えてないわけですよ。よく聞いてくださいよ。  ここに問題になっている、私が指摘していることは、先ほど基本的にくどくどとお伺いしました、いわゆる気象業務整備五カ年計画というものに基づいて、具体的にどういうふうにやってきているか。その中で特にあげた二点、いわゆる観測網を大幅に拡充しなければならぬ、強化しなければならないという問題と、やはり機械設備ができたって、そこに要員がなければ何もならないわけでありますから、要員を当然確保しなければならぬという問題と、その点は、あなたもお認めになっていらっしゃるわけですよ。ところが当時、私が前に高橋長官に伺ったときには、先ほど申し上げたように、気象台にその予報を集約して、それから現在の測候所の測候業務をそちらに移しても、実際には変わりはないということをおっしゃっていらっしゃるわけですよ。私はその当時、もしも予報がおくれたり、あるいはその地域に不便であったり、支障が起きるようなことがあったならば、高橋長官が支障はないんだと答えたこととは違うことになるから問題になりますよということを指摘しておるんです。ところが、先般起こったこの紋別における問題は、やはりいま私が御指摘申し上げたように、人員がそういう関係で不足をしたり、あるいは今年紋別測候所の測候業務を網走の気象台に移して間もなくのことなんです。  それじゃいままでに紋別測候所でこれを責任をもってその出先でやっておったときには事故があったかといえば、それは幸いなことに全然事故はなかったわけでありますけれども、そういうふうに、より精度の高いことができるんだというかたわらで、いままでかつてなかった事故が起こっているわけですね。それはもう少し内容を追及してみると、いま言うように、測候所においてはやはり人員が足らぬということだろうと思うんです。それは紋別測候所には七人いらっしゃるか、何人かいらっしゃると思うけれども、空港出張所には二人なんです。それで一人は、当然休まれることもあるだろうと思うので、休む。そうすると当然一人ですね。それで当日の気象条件は非常に悪かったわけです。じゃ、なぜかわりを出さないかという問題もあります。要員は二人ときまったものじゃないかもしれませんが、兼務していらっしゃるから、大体定位置におられるのは二人だと伺っているわけですね。したがって、飛行機が飛ぶ九時七分かに、飛行機は飛んでいるわけですけれども、その一時間前に特別観測を行なった予報が入っているわけですけれども、それに気がつかなかったと報道されていることは事実なのかどうなのか。そういうことになってくれば、先ほど私が基本的に指摘した問題は、大きな問題じゃないかということを私はいま指摘しているわけです。それに対して答えてください。
  112. 山本守

    ○山本(守)政府委員 八時の丘珠の状況と八時半における旭川の状況というものを照会に基づきまして通知をしておりまして、先生指摘の特別観測というものにつきましては、丘珠のほうで発表をいたしておるわけでございますが、時間が早く入らないかという、紋別のほうへ到着するかしないかというような時間的なぎりぎりの線でございますので、私どもとしては、いま状況をよく調べておるところでございます。
  113. 広沢直樹

    ○広沢委員 とにかく肝心なところへきますと調べているということでありますけれども、当然それはもうおわかりになっていらっしゃると思うのです。私が言いたいことは、ことしから測候業務に配置される測候所は、全国に数十カ所あるわけです。さらに、将来においてまたそうなるであろうところも数十カ所あるわけですね。いままではそういう事故もなく、あるいはいろんな問題点も指摘はされておったでしょうけれども、格別こういう大きな問題というものは取り上げられてなかったわけです。  ところが、先ほど御指摘申し上げたような状態において、紋別測候所の測候業務が中央に移管されたとたんにこういう問題が起こっているわけでありますから、もう一ぺんこういうような一つの考え方というものは、先ほど基本的に申し上げた気象業務の観測の強化拡充という面から考え直してみる必要があるんじゃないか。単に近代化、機械化がはかられたからもう要員は削減してもいいんだとか、あるいは業務は気象台で十分であるとか、まだそういう段階に来てないのじゃないかと私は思うのですよ。あるいは今日近代化、機械化がはかられたとしても、複雑な気象条件にあるわが国においては、それをプラスして充実こそすれ、これを合理化していく、あるいは整備していくという段階とは、私は違うと思うのですがね。その点どういうお考えですか。
  114. 山本守

    ○山本(守)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の点の業務の集約化の点でございますが、これは、たとえば一つの県の中で地方気象台があり、幾つかの測候所があるという場合に、観測値を得まして予報を出すまでにいろいろ作業がございます。つまり天気図というものを作成する作業でございますが、それに基づいて予報、つまり将来の気象状況を判断するという判断作業でございますが、これを一つの県内というような区域内におきまして数カ所で同じようなことをやらなくても、今日では資料を一カ所にまとめるならば、同じ判断作業というものが一カ所でできるのではないか、つまり観測というものを測候所でいたしまして、その数値を地方の気象台へ送ってもらうということをするならば、一つ地方気象台におきまして判断作業をし、それをすぐ通信線に乗せて返すということにすれば、業務が重複しないで軽減し得るのではないか、これを私どもは予報作業の集約化というふうに呼んでおりますが、測候所といたしましての発表行為というものに別にこれまでと変化があるわけではなく、測候所というものをなくしてしまうというふうに考えているわけでは決してございませんで、ただ、観測値から予報を立てるまでの作業というものを集約化するというやり方でもって重複作業を避けようということが今回とった措置でございます。  この点につきましては、種々の通信網の整備あるいはファックスの整備でございますとか、そういった近代的な機器類の発達というものによりましてそれは可能であるという判断を、気象庁のほうといたしましては、長い間かかって議論をし、研究を重ねてきたことでございますけれども、この四十七年度に実際にそういう措置に踏み切ったわけでございます。  なお、重ねて申し上げますが、測候所におきます観測業務並びに発表業務というものは、従来と変わりなく行なうということでございます。
  115. 広沢直樹

    ○広沢委員 結局は、測候業務を集約化していくということは、やはり政府の方針にもあるかもしれませんが、定員を削減していこうということも一つ含まれておるのじゃないかと思うのです。これと合致した問題が、今回の紋別における問題をも含んでおると私は思うわけですね。ですから、いま言う確かに機械化とか近代化がはかられて、集約してマクロ的に全体の気象状況を掌握し、それを通報する、これは重要なことだと私は思う。これを否定するものじゃないのです。  しかしながら、高橋長官もそう答えながら、その口の下では、確かに日本の国土においては、県においても市町村においても刻々変わるのだということを言っておるわけです。したがって、その地域地域に測候所を配置され、そこで具体的な測候業務を責任をもってやり、その地点において発表している、その問題と、マクロ的な時点とミクロ的な時点と合わせてやっていくことにおいて、測候の精度というものが向上していくと思うのです。機械化、近代化がはかられたからということで、それを集約していくということになると、いま言うように、ここに現実に出てきておると私は指摘しておるのですよ。紋別測候所においても、やはり定員を削減しておるでしょう。全国的にこれから定員を削減していくお考えもあるわけでございましょう。全然ないのですか。いかがですか。
  116. 山本守

    ○山本(守)政府委員 紋別の測候所から一名を地方気象台のほうに移したということはいたしました。  なお、地方の天候の特殊性の問題でございますが、その測候所がある地点におきますごく局地的な特殊現象というものにつきましては、地方気象台のほうから、天気概況についての判断というものが測候所に参りまして、測候所から発表する際に解説と称しておりますけれども、つけ加えて解説をして発表するということは行なっております。
  117. 広沢直樹

    ○広沢委員 とにかくこれは一点申し上げておきますけれども、先般の当委員会の各地の視察におきましても、こういった問題はこまかく取り上げられておるわけです。しかし、実際に気象庁で考えていらっしゃることは、必要なものは必要として存続させなければなりませんし、必要な人員というものは、たとえそれが移動しても悪いと言うのじゃないが、移動はけっこうですけれども、しかしながら、それに対しては十二分に補充をし、あるいは必要なところはかえって増員すべきではないかというふうに私は考える。これは先ほどは申し上げませんでしたけれども、周知の事実で、気象業務というものは、今日の災害の大半を予知し、予報していくのですから、最も重要な立場にあるわけです。その点を考えていくならば、こういった事故が起こってからものごとを言っておるのでは始まらないわけであって、それを予測していくのですから、多少むだがあるかもしれませんけれども、それは充実してやっていかなければならぬ問題だと思うのです。ですから、いま言うように、紋別の測候所を一つの例にあげましたけれども、やはり気象業務、気象観測の大幅な充実拡充という問題から、もう一ぺんこの点は考え直してみる必要があるんじゃないか。  それから人員の整理についても、削減するというような意向が伝えられておるわけでありますけれども、それについても、もう一ぺん検討していく必要があるのじゃないか。この点、はっきりと最後に伺っておきたいと思うのですけれども、いかがですか。
  118. 山本守

    ○山本(守)政府委員 お答え申し上げます。  これは長官もおっしゃっていることでございますが、先生指摘の点、必要な向きに人員の拡充をはかるという点について、今後も引き続き真剣に検討をしていかなければならないと思っております。
  119. 広沢直樹

    ○広沢委員 たいへん時間が迫っておりますけれども、次に、先般当委員会が四国地方をずっと視察されたおりに、それぞれの測候所において要望事項を受け、いろいろな問題点が指摘されているわけであります。それを言っている時間がございませんので、ただ一点だけお伺いしたいことは、当時、高知、徳島両県において、特にこの地域は農業地域でありますので、農業気象観測ということについて要望申し上げたことになっているわけでありますが、現在においても、その計画に入ってないわけでありますけれども、その点はいかがになっているか、御報告願いたいと思うのです。
  120. 山本守

    ○山本(守)政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、先ほど申しました地域観測網の展開ということによりまして、農業は申すまでもございませんが、その他各種の産業全般につきまして、より詳しいデータというものを提供できるように、いわゆるテレメーター方式による観測網の展開ということを考えておりまして、そういった方向でもって農業観測、農業気象の情報提供というものも充実さしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  121. 広沢直樹

    ○広沢委員 それでは次に、わが国の気象災害の大半は、台風だとかあるいは豪雨だとか、こういう問題によって起こってきているわけでありまして、先ほどからいろいろな点を申し上げておるわけでありますけれども、それぞれの地点において問題点はあろうかと思いますが、特に私は、この気象観測の中枢的な役割りを果たしております富士山測候所の問題について少々お伺いしておきたいと思うわけであります。  実は富士山の測候所については、四十五年度を初年度とし七整備がなされているはずでありますが、その概況について、非常に時間が切迫しておりますから、大まかにひとつ御説明いただきたい。
  122. 山本守

    ○山本(守)政府委員 ただいま御指摘のありました富士山のレーダー関係の改築でございますが、これは建物が老朽いたしまして、官庁営繕費で建物をつくり直すということで、四十五年から三カ年計画でもって発足をしたものでございます。当初いろいろ鉄筋コンクリートでやったらというような計画を立てましたが、非常に特殊な地点であり、特殊な気象状況地点であるために、途中で計画を変更いたしまして、したがって、予算金額的にも約五億から七億近くの金額になったという経過はございます。  なお、今期の工事は昭和十年ごろの老朽木造建物の更新でございまして、この中に収容してある計器類、つまり測器類の更新というものは別途検討をいたしております。
  123. 広沢直樹

    ○広沢委員 いまの整備計画の中で問題になっている面が先日も指摘されておるわけでありますが、その測候所の山頂の剣ケ峰に二号、三号塔を新築中である、そして三号塔については近々に完成されるそうではございますけれども、そこに問題になったのは、風速計がその用をなさないのじゃないかということが一つの問題になっているわけですね。ここは工事をするために、風速計をいまある地点に移して観測している。そこの地点においても、去年も指摘されているわけでありますけれども、当時四十五年ですか、十九号台風がやってまいったときの風速が現実と違うような状況にあったということが指摘されておりますね。したがって、それをまた位置がえをして、現在二号館、三号館を建てているその中間にその風速計を持ってくるのだ、しかし、その中間に持ってきた場合においても、やはり南のほうからはドームの関係があり、あるいはまた西側の関係においては、その二号館、三号館の新築される建物によって十分なる風速が測定できない、正確なデータを出すことができないのじゃないかということが指摘されておるのですが、その点はいかがなっていますか。
  124. 山本守

    ○山本(守)政府委員 その点につきまして、専門家である木村観測部長から答えさしていただきたいと思います。
  125. 木村耕三

    ○木村説明員 先生ただいま御指摘のとおり、現在やっています風速計は、建物の影響で、特に西風が三号館の影響を受けまして非常に弱まります。交代勤務の安全のためにも、どうしてもあそこでもって風をはからなければいけないということはわれわれ重々知っておりまして、実は昨年、研究所の風洞を使いまして、建物の模型を置いて、では正確に風をはかるには何メートルぐらいの高さの塔をつくればいいかということを検討いたしました。その結果、十数メートルの高さの塔を建てなければいけないということになりました。ところが、ああいう狭い場所でございますから、そういう十数メートルの鉄塔を建てるような場所もなく、それから保守の上で、現在の風速計は、エアロプレーンと申しまして、飛行機のようなかっこうをして、プロペラが回転する速度でもって風速をはかり、機体の向きでもって風向をはかる方法をとっておりますけれども、それは秋と春、ちょうど気温が零度からマイナス十度ぐらいになって霧氷というのがつきまして、これがつきますと観測できなくなりますので、電熱器を入れましてあたためておりますが、ぐるぐる回るものをあたためておりますので、しばしば故障を起こしまして、十数メートルの鉄塔の上へ再三上がっていって直さなければいけないということは非常に危険なことでございますので、幸い研究所が開発に手をつけまして、現在われわれで開発中の防氷型の球形風向風速計というものがございますので、それをとりあえずあそこにこの冬からつけて、まだ試験中でありましてどのくらいうまくいくかわかりませんが、少なくとも動く部分がないということで、故障の回数はおそらく少ないだろう、しかも故障をしてもすぐに直しに行かなくて、正副二台をつけてその観測ができるような方向で進めようと思って、ことしの冬から実験にかかります。それでたぶん目的は、とりあえずのところは達せられると思います。将来さらにもっと正確にはかる方法を、現在プラザビルの上でもって試験中でございます。
  126. 広沢直樹

    ○広沢委員 続いてお伺いしますけれども、現在改築のために移して、かりに設置してある風速計の位置というものは、やはりここに指摘されているように正確にはかれない状況にあるのですか。
  127. 木村耕三

    ○木村説明員 お答えします。  現在はかれるところは、ちょうど三号館と申しますあの高さが非常に高いものですから、吹き上げてくる西風がその壁でもって曲げられまして、風速計の上を通り越してしまうような形になります。西風が非常に吹いても弱く出てしまうというようなことがあります。これは当初計画のときには凍ったり何かして手入れをしなければいけませんので、昇降型の風向風速計をつくって、ふだんは下げておいてすうっと上げて観測するというような方式を考えたわけでありますが、それは建設省のほうで、あの場所で、あの建物の構造では、そういうものをつくるのは非常に無理だという結論が出たので、とりあえず現在のことをやったわけでございます。
  128. 広沢直樹

    ○広沢委員 確かに、高いところでありますから、それは平地で考えているように簡単にいかないことはわかるわけでありますけれども、しかし、やはり富士山のいわゆる気流の観測あるいは風速というものは、これは非常に重要な立場にあるわけでありますから、その用をなさなければ何にもならないわけですね。したがいまして、いま言うように、現在の位置であったとしても、これが適正な配置をなされていないということはたいへん遺憾だと思うのですよ。それが今度新しく設置されたようとする場所においても、高山の狭い場所でありますから、いろいろ問題はあると思いますけれども、それならばそれなりの状況を考えた処置をしなければならぬと思う。こういう条件にあるからいたし方がないということであれば、これは何の意味の観測かということになってしまいます。現実に今度あらためて計画されているところについても、昨今の新聞指摘されているように、すでに設計とか高さ、現実にいま土台を築いてやろうとしている計画そのものがやはり支障があるんじゃないかという指摘が出ているわけですが、その点いかがですか。
  129. 木村耕三

    ○木村説明員 現在まだ気候が悪くて改められませんが、夏の間は、場所を変えまして南風が十分にはかれる場所に持っていこう、建物の影響のないところに持っていこう、ことしの冬になりますと十数メートルのパンザマスト、鉄柱のようなところにさっき申しました機械をつけましてはかっていこうということで、まあ断言はできませんけれども、ことしの冬——昨冬ですか、伊吹山でやりましたときには無事に動いておりますので、たぶんことしの冬は十数メートルの塔の上で——塔といいますか鉄柱の上で観測ができるようになると思います。
  130. 広沢直樹

    ○広沢委員 しかしながら、いまの新しく取りつけようという風速計は、いまお話しのようにまだ正式に採用されたんじゃなくて、実験段階にあるのでございましょう。実験段階にあるとするならば、新しく今度設計されたし、これで風速をはかるんだということは、これは問題があると思うのですね。それから旧来のものをやはりつけるとするならば、いま言う問題はございます。ですから、やはりそれについては種々の条件を十分配慮した設計をしなければならぬと思うのです。  ただ、私が伺っているところによりますと、その風速計の施設は単に風だけをはかるんじゃなくて、今度はやはりそれにつく氷、これが飲料水になるんだということもあって、二通りの役割りを果たしているように聞いているわけですけれども、しかしながら、その問題はその問題として、きょうはあまり時間がありませんから別の機会に聞きますけれども、要するに、新しい機械というものを、いま実験中であるものを採用するということは、一つ問題があるのじゃないか。旧来のものをつけるとしたら、現在の設計上からいくと、非常にいま言うような計画のミスといいますか、そういう問題で確実な風速がはかれない状況にあるんだ、こういうように指摘されているわけですが、いかがですか。
  131. 木村耕三

    ○木村説明員 現在試験中とは申しましても、すでに風洞実験は終わっておりまして、風洞の実験では、地上では三十メートル、富士山のところの高さでは、密度が少ないですから四十メートル近くまでは完全にはかれる見通しを持っております。地上の三十メートルといいますと、沖繩あたりの台風の経験によりますと、二十五メートルで、すでに人間の行動不可能という結果が出ておりますので、地上で三十メートルの風速がはかれれば、少なくとも登山者が危険だけは救える。五十メートルとか六十メートルというような強い風が現在の機械ではかれるかどうかはまだ実験しておりませんけれども、少なくとも人体に小石が飛んだりして危険を及ぼすようなところは風洞実験でテストしてございます。
  132. 広沢直樹

    ○広沢委員 私は新しい機械の専門家じゃないから、それがいい、悪いということはともかくとして、ただ、実験中であるものが採用されてどうであろうかということに大きな疑問を持っておるということ、特に富士山頂における風速という問題には、いまお話しのように登山者の問題もありましょうし、やはり高空の一つの大きなポイントになっておると思うので、一つ間違えばまた大きな事故だって起こって、その観測の違いというものがまた問題にならないとも限りません。したがって、これは正確にやっていくということは当然のことであろうと思います。したがって、実験中のものを採用するということよりも、実験は実験としておやりになるのは適当だと思うのですが、それ以外に、現実に行なってきたものを、こちらが正式に採用されるまではそれを完全なものにしてやっていくべきではないでしょうかね。いかがですか。
  133. 木村耕三

    ○木村説明員 私も全く同感で、方法さえあればそうしたいと思いまして、いろいろ検討いたしました。昨年じゅう検討を続けたといっていいと思います。観測者が保守をするのに危険を感じないで正確にはかれるようなそういう施設をあそこにつくれないという結論が返ってまいりましたので、やむを得ず実験中ではありますけれども、一応の風洞実験は終わった、室内実験は終わったものを現地につけてやろうということになったわけであります。
  134. 広沢直樹

    ○広沢委員 具体的な問題については次回にまたお伺いしたいと思うわけでありますけれども、要するに、技術的にむずかしい、あるいは危険であるから従来のものを十二分に有効に使うことはむずかしいんだといういきさつですね、いまのお話は。そのように受け取っておいてよろしいですか。
  135. 木村耕三

    ○木村説明員 そのとおりでございます。  いろいろの条件が派生してまいります。鉄塔を建てます余地は確かにあると思います。一応われわれしろうとから見ますとあります。鉄塔を建てて、そこについた氷が落っこちてきて屋根に当たりますと、アルミニウム製でありますので、建物のほうが破損してしまうとかいうような中部地建側の検討で、これはだめということが出てきたわけであります。
  136. 広沢直樹

    ○広沢委員 非常に残念ですが、本会議の時間が来てしまったようでありますので、まだほかに問題になっておりますのは、いわゆるレーダードームがございます。これに非常に氷が付着してレーダー機能が果たせなかった時期があるという問題もあるわけであります。これについては一応突っ込んでお伺いいたしませんけれども、それについての気象庁のお考えだけちょっとお伺いしておきたい。
  137. 木村耕三

    ○木村説明員 先生指摘のように、レドームに氷がつきまして南西方向から西にかけてレーダーの観測が困難になることがあります。過去に、あそこにレーダーをつけましてから二回、一カ月くらいの間そういうことができない場合がございました。それを取るくふうをいたしましたけれども、風を吹きつけて取るという方法なんでありますけれども、そうしますと、レドームと建物の間にすき間をつくりませんと、風が吹き上げませんものですから、そのすき間から雨水が入ってきます。そうしますと、あのレーダーの塔、あそこには二万ボルトからの高圧が流れております。水にもしこれが浸って、観測者がそれを知らなかった場合にはたいへんな事故になってしまいますので、見えなくてもしようがない、人間のほうが大切だということで、その機械は撤去をいたしまして、現在はつけておりません。しかし、幸い南西から西のほうにかけては、まず近くには名古屋のレーダーがありますし、その先には室戸があります。その先に種子島というように、富士山に比べてずっと探知距離は短くなりますけれども、連続して観測点がございますので、観測上の支障はさしてない方向であります。
  138. 広沢直樹

    ○広沢委員 一応この具体的な問題については、次回に時間をいただいて、具体的に御質問申し上げます。しかし、いまお話しのように、当然、観測業務に支障があってはならないわけでありますけれども、それはそれとして、富士山につけられたレーダーは、その時期にいろいろ努力はなさったでしょうけれども、いままで有効な働きをしなかったときがあるというお話でありますが、これについては、そこに従事しておられる測候所員の方々が、一生懸命氷を落としたりいろいろなことをやっていらっしゃるようです。しかし、これはやはり十分な働きができるように対策を考えるべきじゃないかと思うのですが、これは次回に譲りたいと思います。
  139. 米田東吾

    米田委員 関連をいたしまして、気象庁当局に対して要望を一言申し上げておきたいと思いますが、実は当委員会は、気象業務につきましては前前から非常に関心を持ちまして、たとえば、災害の基本に関する小委員会あるいは当委員会等で、しばしば気象庁当局から説明を聴取したり、また、現状についていろいろお聞きをしたりしてまいりましたけれども気象業務の全般について当委員会が十分に調査をしているかというと、まだそこまでに至っておらないと思うのであります。本日も、理事会等で、四十八年度予算要求の前に、全般的に重点を置いて当委員会としてこの気象業務について調査をし、そして必要によっては皆さんと協力をして、気象業務の特に観測あるいは地震予知、それから予報という関係について提言をしたり、それから大蔵その他政府当局に対して必要があれば一緒になって要求をしようじゃないか、こういうようなことまで実は話をしておるような状況であります。  そこで、先ほどから答弁を聞いておりますと、率直に言って、皆さんのほうは、実態を十分にさらけ出した説明あるいは答弁がなされておらないように私は思うのであります。われわれ自身がしろうとでありますから、そういう皆さんを相手にして、われわれが幾ら気象庁のために、あるいは観測業務を充実させるために委員会でやろうといっても、皆さんのほうから説明がない、実態のさらけ出しがない限り上つらだけをなでて実際の委員会の趣旨に沿わないことになってしまうので、ひとつ皆さんのほうでいまから資料を十分整えていただいて、そうしてわれわれがそういう機会をつくりますから、場合によれば、いま現にありますところの災害の基本に関する小委員会、そこで重点的にやるかもしれませんし、あるいは当委員会でやるかもしれませんが、とにかくいずれにしても、皆さんから十分な資料提供と説明を求めるようにしなければなりませんので、ひとつ準備をしておいていただきたい。皆さんのミスを指摘したり、怠慢を指摘したりするためにやるんじゃないのでありまして、何といいましても、災害防止のためには、場合によっては気象庁を昇格させて機能をうんと強化をして、そうして防災第一、その点で気象業務というものを活用しなきゃならぬ。医学の場合はもう予防医学の段階に入っておるわけなんであります。災害対策だけがあと追いあと追いではいかぬ。したがって、予知や予報や観測を含めたそういう関係というものを十分機能させれば、ある程度災害防止については前進するだろうというのが私どもの考え方なんでありますから、そういうことで当委員会としては取り組むということになっておりますので、われわれのこの熱意にこたえて、十分な資料の提供、説明ができるように準備をしておいていただきたい。  以上申し上げて、次長のこれに対するお考えを聞いて私は終わりたいと思います。
  140. 山本守

    ○山本(守)政府委員 ただいま先生より御指摘の点、私どもにとりましてたいへんありがたい御指摘であったと思います。私どももよく意を体しまして、資料整備にこれから万全を尽くしたいと思います。
  141. 高田富之

    高田委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることといたします。  これにて散会いたします。    午後一時四十五分散会