運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-05-24 第68回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月二十四日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 高田 富之君    理事 稻葉  修君 理事 内海 英男君    理事 小沢 一郎君 理事 吉田  実君    理事 米田 東吾君 理事 和田 一郎君    理事 小宮 武喜君       天野 光晴君    宇田 國榮君       大石 八治君    左藤  恵君       坂元 親男君    塩谷 一夫君       高鳥  修君    羽田  孜君      三ツ林弥太郎君    向山 一人君       安田 貴六君    綿貫 民輔君       辻原 弘市君    小川新一郎君       坂井 弘一君    川端 文夫君       寒川 喜一君    津川 武一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 渡海元三郎君  出席政府委員         総理府総務副長         官       砂田 重民君         警察庁刑事局長 高松 敬治君         農林大臣官房参         事官     大河原太一郎君         消防庁長官   降矢 敬義君         消防庁次長   山田  滋君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 盛雄君         警察庁刑事局防         犯少年課長   川崎 幸司君         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         厚生省社会局施         設課長     新津 博典君         林野庁林政部林         政課長     小笠原正男君         通商産業大臣官         房審議官    仲矢  鍛君         通商産業省化学         工業局窯業建材         課長      原野 律郎君         通商産業省繊維         雑貨局繊維検査         管理官     半田 幸三君         気象庁予報部予         報課主任予報官 越智  彊君         建設省住宅局建         築指導課長   救仁郷 斉君         自治大臣官房参         事官      福島 栄造君         消防庁予防課長 永瀬  章君     ————————————— 委員の異動 五月十六日  辞任         補欠選任   川崎 秀二君     中山 正暉君   別川悠紀夫君     向山 一人君 同月十八日  辞任         補欠選任   中山 正暉君     川崎 秀二君 同月二十四日  辞任         補欠選任   川崎 秀二君     大石 八治君   田村 良平君     小渕 恵三君   細田 吉藏君     左藤  恵君   桑名 義治君     小川新一郎君 同日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     田村 良平君   大石 八治君     川崎 秀二君   左藤  恵君     細田 吉藏君   小川新一郎君     桑名 義治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  個人災害救済制度に関する件  昭和四十七年五月上旬の降霜による災害対策  大阪市におけるビル火災による災害対策  小委員長からの報告聴取      ————◇—————
  2. 高田富之

    高田委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  災害対策の基本問題に関する小委員長から、個人災害救済制度に関する件について報告いたしたいとの申し出がありますので、これを許します。災害対策の基本問題に関する小委員長天野光晴君。
  3. 天野光晴

    天野(光)委員 個人災害救済制度に関し、災害対策の基本問題に関する小委員会におきまして協議してまいりました経過及び結果につきまして御報告申し上げます。  個人災害救済制度確立につきましては、災害対策に携わる者の数年来の念願であります。当災害対策特別委員会におきましても、機会あるたびにこの制度確立が主張され、また、各地方公共団体等からも熱心な要請を受けてまいったところであります。  本小委員会は、去る二月三日設置以来、この問題に精力的に取り組み、小委員各位及び政府当局協議、懇談を重ねてまいりました。その結果、災害弔慰金構想として、次の事項につきまして、小委員会での協議がととのった次第でございます。  内容を申し述べますと、  一、政府は、大規模自然災害を受けた市町村当該災害によって死亡した者の遺族に対して支給する災害弔慰金について補助を行なうものとすること。  二、右の補助は、予算措置によって行なうものとし、その補助率は二分の一とすること。  三、補助の対象となる災害弔慰金の額は、一件につき十万円を限度とすること。  以上でございます。  個人災害救済につきましては、なお検討すべき各種課題があると思いますが、この災害弔慰金構想は、従来と比較する場合、個人災害救済措置として大きな前進であると存じます。  小委員会といたしましては、この災害弔慰金構想を、個人災害救済制度の従来の経緯に照らして画期的な制度として位置づけ、災害弔慰金に対する政府補助制度化することによって、国民念願にこたえようと、この構想を取りまとめた次第でございます。  簡単ではございますが、御報告といたします。(拍手
  4. 高田富之

    高田委員長 これにて報告は終わりました。      ————◇—————
  5. 高田富之

    高田委員長 ただいまの小委員長報告に関連いたしまして、米田東吾君から政府当局質疑を行ないたいとの申し出がありますので、これを許します。米田東吾君。
  6. 米田東吾

    米田委員 私は、災害対策の基本問題に関する小委員会を代表して、ただいまの天野委員長報告に関連し、災害弔慰金構想につきまして、政府当局確認要望を行なっておきたいと思います。  まず第一は、国民待望個人災害救済に関する画期的な制度として、災害弔慰金制度が小委員会でまとまったわけでございますが、この構想趣旨は、大規模自然災害を受けた市町村が、当該災害によって死亡した者の遺族に対して災害弔慰金を支給する場合、一件につき十万円を限度として政府が二分の一の補助予算措置によって行なうというものでございまして、政府予算措置によって実施するというものでありますが、政府としては、この構想に対してどのような考えを持っておられますか、お伺いいたしたいと思います。
  7. 砂田重民

    砂田政府委員 自然災害によります被害死亡者弔慰金を支給いたします問題は、過去十年来たびたび論議をされてきたところでございます。政府といたしましても、国が直接に弔慰金を支給いたしますことは適当でないという考え方を持ち続けてまいりました。しかし、現実には、こういった場合に、地方公共団体におきましては、そういった死亡者に対しまして、自主的な判断でこの種の弔慰金を支給する市町村がふえてまいりましたこともまた事実でございます。  ただいま小委員長から御報告のございました災害弔慰金構想につきましては、まず第一に、どこにも苦情の持っていきようのない、そういう自然災害により死亡した方の遺族に対する措置でありますこと、また、何らかの形で復旧が可能だというような財産被害と異なりまして、何ものにもかえがたいとうとい人命の喪失に対する弔慰金でありますこと、またさらに、たとえば災害救助法が発動された場合、こういった大きな自然災害の起こりましたときには、被災者相互間の助け合いでありますとか、被災者相互間の弔慰金の拠出であるとかということがなかなか期待しがたいものだと思います。そうしてまた、こういう被害を受けた市町村にいたしましても、財政的な打撃というものは非常に大きなものでございます。  こういったことを考え合わせますと、このような市町村自然災害によってなくなられた方に対して弔慰金を支給する、その場合、国がこれに補助をいたしますことは、十分に意義のあることだと考えます。したがって、政府といたしましても、御報告趣旨を十分に尊重をいたしまして、御報告内容を体して、これが実施を期して真剣に取り組んでまいる所存でございます。  実施を期して真剣に取り組んでまいる所存は、これは関係省庁が、総理府大蔵省自治省厚生省の四省庁にまたがるわけでございますけれども、この関係省庁の意思は、ただいまお答えいたしました方向で統一されておりますこともあわせてお答えしておきたいと思います。
  8. 米田東吾

    米田委員 次に、この災害弔慰金制度実施の時期でございますが、小委員会では、本年度より実施されたいという強い要望があったのでございますが、政府のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  9. 砂田重民

    砂田政府委員 この制度実施の時期につきましては、政府といたしましても、実施する以上は、できるだけ早い時期から実施をして実行したい、望ましいことであると考えますけれども、まことに残念なことでありますが、四十七年度予算には、この種補助金を支出すべき予算科目が実は計上されておりません。これを予備費使用によって支出することはどうかということも考えるわけでありますけれども予備費使用ということも、これは限定して許されたことでありまして、予見しがたい予算の不足という法律要件、こういう予備費使用法律要件にどうもなじみにくいのであります。また、予算成立直後のこの時点で、予算に計上されていなかった新規施策政府限りで恒常的施策として実施をいたしますことも適当ではございません。財政上の観点からすれば決して適当なことでは実は残念ながらないわけでございまして、さらに、何ぶんにも、これまでには全くなかった新しい政策的な制度を発足させることでありますので、補助要綱具体化をいたしますにつきましても、国並びに地方公共団体の体制の整備等、相当まだ時間がかかるわけでございます。このような事情からいたしまして、政府といたしましては、来年度からこれを実施できるように最大努力をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  10. 米田東吾

    米田委員 御説明がありました各般の事情があろうかと存じますが、さらに、本年度からの実施という点につきまして一そうの御検討要望しておきたいと存じます。  三番目に、この災害弔慰金制度実施にあたっては、具体的な実施方法政府計画を立案していくことになると思うのでございますが、早急にその作業を進めてもらいたいと存じますし、また、この制度趣旨を各地方公共団体によく普及、徹底してもらいまして、円滑に実施できるよう十分な御指導をお願いしておきたいと存じます。  なお、この制度主管庁はどこになりましょうか、あわせてお聞きしておきたいと思います。
  11. 砂田重民

    砂田政府委員 この制度具体化作業につきましては、今日できるだけ早い時期にまとめ上げたいと思います。それは、先ほどお答えをいたしましたとおりに、四十八年度から実施をするにいたしましても、四十八年度予算概算要求の時期はあともう三月しかないわけでありますから、この三カ月の中で固め上げてしまわなければなりませんので、先生の御要望のありましたとおり、早急に取り組んでまとめてまいりたいと思います。  また、この制度について、地方公共団体等にその趣旨普及徹底等につきましては、先生の御指摘のとおりに格段の努力をしてまいります。  主管庁でございますけれども、まだ事務的に明確の答えが実は出ておりません。しかし、関係四省、いろいろ考え、相談もしておりますけれども、おそらくこれは厚生省にお願いをすることに相なろうかと思いますが、これの実行につきましては、四省協力をしてやってまいりますことだけは、はっきりお答えができると思います。
  12. 米田東吾

    米田委員 第四番目に、この災害弔慰金制度実施された場合、一件について十万円を限度として政府が二分の一の補助を行なう、他は地方公共団体負担となっておるわけでございますが、この場合の地方公共団体負担についても特別な御配慮を行なうべきではないかと考えておるわけでありますが、政府のお考えを聞いておきたいと思います。
  13. 砂田重民

    砂田政府委員 二分の一を国が補助をするわけでございますから、あとの二分の一は市町村負担分ということになるわけでございまして、この市町村負担分につきましては、自治省のほうでもいろいろ配慮してくれることになろうかと思いますが、これは特交で見ていくことに相なります。ただ、特交でございますので、不交付団体の場合は、これは特交が配分されないという点は御了承いただかなければならないかと考えます。
  14. 米田東吾

    米田委員 次に、この制度の具体的な計画の立案及び実施に際しまして、特に要望しておきたいことを二、三あげたいと思います。  第一点は、この制度を適用する災害範囲についてでございますが、できるだけ市町村の実態を把握されまして、実情に即して実施していただきますように御要望を申し上げておきたいと思います。  第二点は、災害による死亡者即死者だけに限らず、当該災害原因でなくなられました者、または行くえ不明者等にも適用できるよう御配慮をしていただきたいと存じます。  第三点は、この災害弔慰金制度を契機に、個人災害救済に関するもろもろの制度の拡充、整備につきまして、さらに一そうの御努力要望しておきたいと存じます。  以上の要望の点につきましてお答えをいただきたいと思います。
  15. 砂田重民

    砂田政府委員 木制度実施いたします趣旨目的等につきましては、小委員長報告の中にも触れられておりましたし、私どももまさにそのとおりに理解をいたしておりますので、本制度具体的内容等につきましては、先生の御指摘のような趣旨に即して検討してまいりたいと考えます。  災害による死亡者につきましては、災害による即死者だけと限定するのは、これはどうも好ましくないのじゃないかというふうに私は考えております。やはり行くえ不明者にも、それから災害を直接的な原因としてなくなった方に対しても適用できるように配慮をすべきだというように私自身も考えておりますので、さように御理解をいただいてけっこうかと存じます。
  16. 米田東吾

    米田委員 次に、本年度予算に計上されております個人災害共済制度調査費でございますが、これはどのように取り扱われることになりましょうか。いままでの調査経緯から判断いたしますと実現は困難だと思うのでございますが、一応念のためお伺いしておきたいと存じます。
  17. 砂田重民

    砂田政府委員 御指摘のように、四十七年度予算個人災害共済制度関係予算が計上はしてございます。ただ、この個人災害共済制度委託費につきましては、小委員会におきまして、共済制度にかわって災害弔慰金補助構想というものがまとまりましたその経緯から照らしましても、個人災害共済制度委託費についてはこれを凍結をしたい、かように考えておるところでございます。
  18. 米田東吾

    米田委員 大体以上で私の御質問は終わるわけでありますが、最後に、先ほど天野委員長報告にもありましたとおり、個人災害救済につきましてはなお検討すべき各種課題があると思うのでございますが、個人災害救済制度の従来の経緯に照らしました場合、この災害弔慰金制度はやはり画期的な制度であると評価すべきだろうと思うのでございます。  この制度実現につきまして、特に天野委員長の長年にわたる熱心な御努力に対しまして深く敬意を表しますとともに、この制度のために同時に御努力していただきました総理府砂田長官に対しましても、ほんとうに敬意を表する次第でございます。なおまた、関係政府機関総理府はじめ大蔵省自治省厚生省、これらの関係機関に対しましても謝意を表しますとともに、今後この制度をはじめとする個人災害救済制度の発展を期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手
  19. 砂田重民

    砂田政府委員 ただいま過分のおことばをちょうだいしたわけでございますが、私どもといたしましても、災害対策特別委員会、また小委員会先生方に、この構想をお取りまとめくださいまして、心から敬意を表する次第でございます。  なお、中央防災会議事務局長といたしましては、大蔵、自治厚生、各省が非常に協力的に、積極的に取り組んでくれましたので、この関係者の皆さんにも謝意を表しておきたい、かように考える次第でございます。ありがとうございました。
  20. 高田富之

  21. 天野光晴

    天野(光)委員 米田委員質問で全部尽きておるのですが、重要なポイント二つについて再確認をしておきたいと思います。私の報告で十分御理解願っていることであろうと思いますし、小委員会審議の過程についても十二分了承されておるはずですから、手抜かりはないと思いますが、二点だけ確認しておきたいと思います。  それは自然災害といっても範囲があります。そういう点で、一応政府のほうでは、災害救助法が発動された場合は無条件だと思いますが、災害救助法が発動されなくても、地方自治団体において、これを同等とみなして弔慰金を出すというような災害についても適用するようにというのが、小委員会考え方でございますので、この点、発動する範囲というものに相当弾力性のあることも十二分に御了解していることであろうと思いますが、その点、まず確認しておきたいと思います。
  22. 砂田重民

    砂田政府委員 天野委員御承知のように、災害救助法には、災害救助法を発動する規模というものが大体定められておりまして、災害救助法を当然発動できるはずの規模災害の場合でも災害救助法を現実問題として発動しなかった、そういう例が過去にもあることでございますから、当然今回の小委員会構想というものを受けて私ども具体的な内容を詰めますときには気をつけなければならないことかと思います。  そこで、たとえば災害救助法が発動されれば、その場合は問題がない。たとえ災害救助法が発動されなくとも、災害救助法が発動できたはずの規模災害であるとするならば、たとえば厚生大臣が仕事をもっぱらおやりになることになりました場合に、厚生大臣がそれを認定をなさった場合、こういうときにはやはり同じ措置をするのでなければまた不公平ということも出てこようかと思いますから、そういう考え方具体的内容を詰めてまいりますことをお答えしておきたいと思います。
  23. 天野光晴

    天野(光)委員 もう一点ですが、これは非常に重要な問題なんですが、砂田長官は、予算がないから、これから検討して段取りをつけて来年度からやる、こう言っておられるのですが、内容については、先ほど来の答弁を聞いておりますと、これは来年度は必ずやりたい、やるようにするというように聞いているわけなんです。  そこで、善は急げということがありますから、できることなら、今年度災害に何とか、これから災害の時期ですから、シーズンを前に控えて、これがけさほどの新聞でずいぶん大きく出ている新聞もあります。それですから、災害があれば弔慰金が出るということは国民ひとしく期待していることでございますから、そういう点で、予算関係からいって来年度からということは、これはわれわれも了承しておるのでありますが、金額にして、いままでの過去の例をとると、四百四、五十人くらい、かりに出すとしても二千万そこそこの予算で済むことでございます。そういう点で、いいときまって来年度からやるときまったならば、もう一歩進めて、今年度の台風、自然災害の到来するこの時期ですから、ひとつ政府部内を詰めていただきたい。詰めてもどうしてもだめだという最悪の場合はやむを得ませんが、その努力はひとつ総理府がその窓口ということですから、そういう点で大蔵省と、もちろん厚生省窓口になったとしても反対ではないと思いますから、問題は大蔵省だと思いますが、その予算をどういうかっこうで支出するかというところに問題があると思いますが、予備費を使うのには金額が少な過ぎるとか、いろいろ問題があるのだろうと思いますが、その点、だめ押しをするようでありますが、国民期待をしておる新しい制度理解ある佐藤内閣が取り上げてやろうと前向きで考えておるということならば、もう一歩進めて今年度からひとつ何とかできるような措置をとっていただきたい。  先ほどから米田委員に対しても非常にむずかしいという答弁は聞いたのでありますが、もう一歩ひとつ進んで小委員会考え方を十二分御理解願えれば、もう少し努力してほしいと思うのですが、この点いかがですか。
  24. 砂田重民

    砂田政府委員 私の泣きどころを御指摘になった御質問でございます。  金がないという実は簡単なことではありませんで、予備費にあるではないかとおっしゃれば、まさに金は予備費にはあるわけでありますけれども、やはり予備費もまた財政の問題として見る場合に、そうかってにこれを使うわけにはいかない。いろいろな要件を具備しなければ予備費も使えない。この天野委員長構想というものが全く新しい、どう申しますか、初めて窓を開いたといいますか、やはりそういう新政策でありますだけに、そういう新しい政策というものは、どうも私も役人ぽいことを言うかもしれませんけれども、四十七年度予算を編成をし、国会で御審議をいただく段階でも予見し得なかった事柄、そういうふうに予備費というものの性格にどうも乗りにくいというところで議論しているところでございます。  しかし、先ほど米田先生にもその実情お答えをしたわけでございますけれども、たっての小委員長のお話でもございますし、できることならば本年度からやりたいのも私も同じ考えでございますから、なお一そうひとつ財政当局とも検討を続けさせていただきたいということをお答えをしておきたいと思います。
  25. 天野光晴

    天野(光)委員 非常に大切なことですから……。いろいろ金の使い方は、私たちよく内容はわかりませんから具体的に申し上げかねるのですが、いいことであってやりたいということならば、金額において新しい税を起こしてやるというような大きなものではなくて、わずか二千万か三千万という、まあわれわれのことばではした金という金ですが、それで善政をしけるということなら、私は少し無理があっても、これは与野党全部が協力してやりたいと言っていることなんですから、政府で行なうことに対してある程度の無理をしても少しも差しつかえないじゃないかという感じがいたしますが、これは政治的な問題も相当含むと思いますので、そういう点、副長官政治家でもあるが、現在はお役人ですから、それ以上の答弁期待することは無理だと思いますが、ひとつそれを含んで砂田長官に実力をこの機会に発揮してもらって、何とかこれを実りあるものにしてもらうように、われわれ委員会のほうも側面的にこの問題に協力いたしますから、そういう点をお含みの上、努力されることを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  26. 高田富之

    高田委員長 これにて個人災害救済制度に関する質疑は終わりました。     —————————————
  27. 高田富之

    高田委員長 この際、委員長から一言申し上げます。  念願災害弔慰金構想実現に際し、小委員各位の御努力並びに政府当局の御協力に対して心から感謝の意を表します。  政府は、今後災害弔慰金構想趣旨を十二分に体し、これが実施最大努力を払われんことを望みます。      ————◇—————
  28. 高田富之

    高田委員長 次に、昭和四十七年五月上旬の降霜による災害対策について、政府においてとった措置等について説明を聴取いたします。農林大臣官房参事官大河原太一郎君。
  29. 大河原太一郎

    大河原政府委員 御報告申し上げます。  前回の当委員会におきまして、五月上旬の東山、関東、東海、近畿等に及びます晩霜被害につきまして、被害の状況なり、あるいはとりあえずの被害調査あるいは技術指導等々の措置については御報告を申し上げたところでございますが、その後の状況なり、とった措置等について御説明を申し上げます。  前回の当委員会におきましても、諸般の施策をする前提としての農林省統計調査部調査を早急にいたす旨申し上げたわけでございますが、昨日、その国としての調査がまとまりまして、金額といたしましては七十八億円ということに相なりまして、最も大きいのは、当時の県報告でも明らかになっておりましたように、桑三十六億円、果樹二十二億円、茶十四億円等々でございまして、これらの作物を中心とした被害金額は確定したわけでございます。  これら被害金額が明らかになりましたので、前回の当委員会においても諸先生から強い御要望がございました天災融資法の発動ということにつきましては、政府部内の協議もととのいまして、月内をめどに発動いたしたいということで、諸般の準備をただいま進めているところでございまして、早急にこれを発動いたしたいということに相なっております。また、同じく御要望がございました天災融資法の発動と並行いたします低利資金としての自作農維持資金の災害ワクの設定につきましても、天災融資法が発動することに相なりましたので、地元の資金需要等をただいまとっておる最中でございますが、これについても早急な結論を得たいということで急いでおるわけでございます。  それから、そのほか同じく御要望がございました農業共済関係の蚕繭共済、養蚕関係の共済の早期支払いの問題につきましては、農林省といたしましても、実情が掃き立て不能等の農家が相当存するというようなこともございますので、支払いに必要な事務体制の整備なり被害調査等、所要の体制を整備するため関係官を被害県に急派いたしましたところでございますが、共済金の仮渡しなりあるいは連合会段階の保険金の支払い、さらに財源措置としての国の特別会計からの再保険金の支払い等についても、ただいま準備をしておるところでございまして、来月中には農家の手元に渡るような措置をいたすという準備を進めておりまして、これについての所要の通達等の措置もただいま終えるところでございます。  以上、かいつまんで申し上げましたが、今回の被害につきましても、それぞれ現地の御要望なり、当委員会の御論議に即しまして早急に手続を終りたいというように考えておるわけでございます。
  30. 高田富之

    高田委員長 これにて政府当局からの説明は終わりました。      ————◇—————
  31. 高田富之

    高田委員長 次に、大阪市におけるビル火災による災害対策について調査を進めます。  まず、被害状況調査のため、本院より派遣されました米田委員から発言を求められておりますので、これを許します。米田東吾君。
  32. 米田東吾

    米田委員 去る五月十三日発生いたしました大阪市におけるデパートビル火災事故につきまして、本院では、同月十七日、大野地方行政委員長を団長として、四つの関係委員会から構成された議員団を派遣いたしましたが、当災害対策特別委員会からは私がこの議員団に参加し、現地の実情をつぶさに調査してまいりましたので、当委員会調査の御参考までに、以下、被害実情等につきまして若干の御報告をさせていたきだたいと存じます。  詳細につきましては、かつまた正式な報告につきましては、後刻大野委員長から議長のもとに提出される予定でございますし、同時に、これは各議員にそれぞれお届けいただけるものと思いますので、口頭で、主として私の感想を中心にいたしまして御報告申し上げておきたいと思います。  今回、調査団に加わりまして現地へ参りまして、特に現場の検証といいますか、調査をいたしたわけでありますが、私の率直な感じは、一言にして言えば、百十八名のとうとい犠牲者を出した今回のこの災害というものは明らかに人災であったということを非常に強く感じました。  これはあとで触れたいと思いますが、いま少し、このビルあるいは七階のキャバレー・プレイタウン等の防災管理体制あるいは災害の管理体制というものが確立をし、かつ、責任の遂行について十分なかまえと努力があれば、今回の災害はもっともっと、特に人命については小規模に防ぎ得たのではないかということを強く感じたわけでございます。  今後このような事故を起こさせないために、まず第一に、徹底した事故の原因を究明していただきたいということを強く感じてまいりました。高層建築物、地下街その他不特定多数の者を収容する施設、特にサービス施設等については、避難、火災の通報施設の総点検を行なうなど、これらの設備機能が適正に維持され、かつ、災害において有効に使用できるかどうか、十分な確認をしておく必要があるということを強く感じたわけであります。  第二に、多数の死者が発生した最大原因は、七階のキャバレーの避難誘導が行なわれなかったという点でございます。各議員の諸先生にお届けしております資料によりましても、百十八名のうち九十六名が七階で、火災によらず煙と有毒ガスによって死亡しておるわけであります。七階を見てまいりましたが、まるでガスの火葬場のかまの中に入ったような感じがして、実は非常に強烈な印象を私は受けてまいりました。これだけの悲惨な事故は、避難誘導というものがほんとうに適切に行なわれれば起きなかったということを私は非常に強く感じたわけであります。  また、避難口の戸が施錠されたまま開放されなかった点がございました。要するに、避難口に戸を締めて、かぎをかけてしまった、そうして安全な避難のための体制に重大な欠陥があったものと考えられるので、避難救助対策の強化、複合用途のこれらビル等に対する共同防火管理体制の強化が、何よりも人命の安全につながるということを痛感してまいりました。  それから、避難誘導体制の総点検を行なう必要があると思います。災害時に避難誘導が有効適切に行なわれるような誘導の分担あるいは明確化、訓練の実施などが必要ではないか。なお、避難路あるいは遮蔽戸の施錠装置は容易に開放できるような、そういう施設の指導が必要ではないか、こう思いました。  それから、避難経路の安全確保であります。避難口あるいは避難経路があらかじめ予定されておりましても、それが全部物置き等になってふさがれておる、そういう事態がございました。安全確保のため、これらを常に確保するということが必要だと思いますし、特に屋外の階段またはバルコニーの設置を義務づけるというようなことが必要になってきておるのではないかということを痛感してまいったわけであります。とりわけ、今度の場合にかんがみまして、有毒ガスに対する防護策、これは一般的にそのような施設が、たとえばガスマスクとか、そういうようなものが考えられると思いますが、必要ではないかということを痛感してまいったところであります。  次に、建築基準法の適用除外建物であっても、特定用途及び一定規模を越える建築物については、防火、避難に関する規定の適用除外は一定の猶予期間を持つ程度にとどめて、全面的に適用させる必要があるのじゃないかということを痛感いたしました。複合建築物において、不特定多数の人を収容する用途の部屋を建物の高層部に設けるというようなことについては、全く再検討を必要とすると思いますし、むしろこれは法制上からも規制をして、こういうような建物の高層部に、このようなキャバレーとか、あるいは不特定多数を収容するような、そういう用途を持たせる部屋をつくってはならないというようなところまで、これは規制する必要があるのじゃないかということを痛感したわけであります。  次に、高層建築物あるいは地下街、その他不特定多数の人を収容する施設については、その内装用のいわば新建材でありますが、これを不燃化するとか、あるいは防煙化するとか、そういうようなことをこれから進める必要があるのじゃないか。特にこれらの建物については、煙を吐く排煙設備をある程度の基準を設けて強化する必要があるのじゃないかということを痛感してまいりました。  いろいろございますが、私が特に痛感したのは以上のような点でございます。  最後に、これはあとで自治大臣にもお聞きをしたいと思っておりますけれども、消防体制の強化であります。このような都市災害といわれる複合ビルあるいは高層ビルの火災対策、災害対策というものについては、もっと真剣に政府もお考えをいただいて、財政上の措置はもちろん、法律的にも十分万全の対策をこれを契機にして一そう推進するということが必要ではないかということを痛感した次第でございます。とりわけ、はしご車あるいははしご車が入り得ない道路の問題たとえば千日ビルの南側になりますか、あの面については繁華街で、屋根がずっとあるわけでありますが、そういうところがあるものでありますから、七階でホステスが顔を出して、早くはしごをつけてくれと言って手を振って救いを求めておるけれども、屋根がふさがってあるためにはしご車が入れない。みんなが見ているうちに、そこにおるそうした救いを求めた方々が次々と死んでいく、あるいは飛びおりてその屋根の上からまた下に落ちて死んでしまう、こういうような事態があったわけでありますので、こういうことについても、十分これから再検討する必要があるのじゃないか。最近繁華街が、雨が降っても傘を持たぬでも買いものができるような、そういう施設をどんどん進めておるわけでありますけれども、今度の事件を契機にして再検討する必要があろうということを感じたわけでございます。  なお、全体として百十八名の犠牲者がおるわけでございますが、このうち八名の外国人、といいましてもこれは朝鮮人でありますけれども、朝鮮人の方が含まれております。女四名、男四名、これらの方々は、当然いま労働基準局等で進めておりますこの救済関係等につきましては遺漏はないとは思いますけれども、補償の問題あるいは保険金の問題等につきまして、これらの方々に対しましても十分な措置ができるように、これは特に私は、在日朝鮮人でありましたためにそういうことを心配してまいりましたので、このことも付しまして善処を要望しておきたいと思うわけであります。  以上をもちまして、私の報告を終わらしていただきます。     —————————————
  33. 高田富之

    高田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  34. 高田富之

    高田委員長 速記を始めて。質疑申し出がありますので、順次これを許します。左藤恵君。
  35. 左藤恵

    左藤委員 ただいま御報告がありました大阪千日デパートの火災につきまして、百十八名という犠牲者があり、また、四十八名という負傷者があったことは非常に残念なことでございまして、なくなった方々に対して心から御冥福をお祈りいたしますとともに、負傷者の一日も早く全快されることを祈念いたすものでございます。  こういった千日デパートの火災は、非常に運が悪かったといえばそうかもしれませんけど、一平素からのこれに対する対策というものが十分であれば、こんな悲惨なひどい事例が起こるということは考えられないのでありまして、そういった点で、この大きな事故につきまして、われわれは、これを教訓として、今後いろいろなことを検討し直さなければならない問題が幾つかあるわけであります。  大臣、非常にお忙しい中でありますので、まず大臣にお伺いする点だけを数点御質問申し上げまして、そしてその他の点につきましては、関係官に後ほどまた質問をさせていただくことにいたしたいと思います。  私、先ほど米田先生から御報告がありました調査団の一員として、今回の千日デパートの状況をいろいろ見せていただきました。いろいろ御報告にもありましたとおり、誘導設備の点検が十分であったかどうか、避難の訓練が十分であったかという点は後ほどお伺いすることといたしまして、こういった建築基準法の改正されます以前にできまして、そして現在の基準法では遡及適用がないような問題について、こういった現在の基準法では相当安全性が確保できると認められるものでありましても、前にありまして遡及することができないためにそのままになっておって、それで一応消防の点から見て法的に基準に合致しておるということで放置されておるといいますか、そういうものが相当たくさんあると思いますが、こういった問題について、大臣は、消防の見地から見て、今後一定の過渡的な経過的な措置はとるといたしましても、再検討されるお考えがあるかどうかをまずお伺いいたしたいと思います。
  36. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 今回の事故は、まことに思わざる悲惨な事故でございまして、私も不幸にしてこの災禍にあわれた方々の御冥福をお祈りしますとともに、負傷者の御全快を祈るものでございます。  いま米田さんから報告ございましたように、私も、この事故は、訓練さえ的確であればあのような悲惨な事故にならずに未然に防ぐことができたと翌日さっそく視察して痛感したような次第でございまして、今後万全の対策を講じてまいりたい、かように考えております。  ただいま御質問のありました建築基準法によりますところの以前の建築物に対する法遡及の問題でございますが、建築基準法十条に従えば、抽象的にそういった危険物に対しましては遡及する、また改築命令を出すことができるというふうには規定されておりますが、実際は、その運用が行なわれていないというのが現状でないかと思います。  このような点にかんがみまして、いま中央防災会議におきまして、関係各省と鋭意研究を進めておりまして、必要とあれば法改正も辞さない、あるいは雑居ビル等におけるところの業種指定等も、業種の使用制限ということも含めまして御検討を願っておるという姿でございまして、このたび、とりあえず建設省を中心といたしまして、ビル等に対する火災の特別委員会をつくっていただいたという姿でございまして、全般的な点に対しましては、中央防災会議のほうで会議を開きながら検討を加えさせていただいているところでございまして、法の問題も十分検討させていただく対象としておりますので、御了解賜わりたいと存じます。
  37. 左藤恵

    左藤委員 いまお話ございましたような形でひとつ十分検討していただきたいのですが、その際に、今度の問題は結局雑居ビルであるということで、下に専門店が入ったようなデパートがございまして、その上にさらに繊維などを扱うスーパーのようなデパートがありまして、そして一番上にこういったキャバレーと申しますか、不特定多数の人がたくさん出入りをするような形のビル、こういうそれぞれの雑居ビルがある。その防火責任に対します態度というものが、ややもすると無責任体制になっておった、それが一つの大きな原因になっておるのではないかと私は思いますが、消防の点から見て、消防法上の点から考えまして、ひとつ大臣にお願いをいたしたい、また、御検討いただけるかどうかお伺いしたいと思いますが、防火責任者というものは、それぞれの店なら店において責任者というものは設けられておりますが、雑居ビルにおきまして、統括的に、総合的に、最終責任といいますか、その人の指令により避難なり何なりビル全体が対処できるような、そういう責任者を設ける必要があるのかどうか。また、そういうことが現在、現行法でもし認められておるならば、その運用はどういうふうにされて、どういう指導をされていくかということについてお伺いいたしたいと思います。
  38. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 今回の被害原因の大きな一つは、いま御指摘になりました雑居ビルにおける防火管理体制の欠如にあったと考えます。現在の消防法におきましても、ビル全体に対するところの統括的責任者を置かなければならないというものはございます。また、各防火責任者の協議会等にもはかり、共同しての計画等も立てなければならないというふうなことにはなっておりますが、実際の運営がそのとおりに行なわれがたかったのが今回の大きな原因の一つであろうと思います。これらの点に関しまして、今後とも指導強化をしていかなければならないという問題も検討の一つとしております。  なお、細部の点につきましては、消防庁長官から補足説明をさせます。
  39. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 ただいま大臣からお話ありましたように、雑居ビル全体の防火管理の立場から統括する人を、雑居ビルのそれぞれの施設の管理者が協議をしてきめるという制度は四十四年から発足させました。その中で、今回の火災上ぜひ検討しなければならないのは、その統括責任者にそれぞれの施設の者がどういうことを権限として付与するかということをそれぞれの管理責任者が集まって協議をしてきめるということであります。  この点は、考え方としては非常によろしいと私は思うのでございますけれども、やはりいま御指摘のような早期発見、早期通報、早期避難、こういうことについては制度的にきめまして、その人間が統一的な命令を出すというようなことを考えなければいかぬという点を反省しなければならぬと思っております。
  40. 左藤恵

    左藤委員 いまお話しのような点につきましては、私は、やはりまず国民の生命を守るという見地から考えていただく、どうしてもこういった施設については責任体制というものが明確になることが非常にむずかしい問題でございますので、そういった点を強く指導していただくということをお願いしておきたいと思います。  それからもう一つ、今回の非常に悲惨な事例で、結局高いところにキャバレーがあった、そうしてあるいは音響効果を目的にするものか、または飲み逃げを防止するためであったかともいわれておりますが、カーテンで非常口をおおってしまっておって、どこへ逃げていいかわからなかった。なるほど非常口というランプはあったと思いますけれども、とにかくそういうことで動転はしておりますし、黒い煙が入ってきて、なかなかそういうものの確認もむずかしい。初めて入ってきた人にとってみれば、これは全然勝手がわからない。そういうことから混乱して、あとでなくなられた場所を伺ってみますと、ちょっと考えられないような、たとえば窓口でない、全然反対のほうに行っておる、そういうところで首を突っ込んでなくなっておるというように、非常に短い時間の間に起こった事件ではありますけれども、混乱しておって収拾がつかなくなっておったというこの問題、そういうことは、すなわち、非常のときに対しまする退避訓練の指導という問題がめちゃくちゃであったということが言えると思います。  こういった非常口を施錠しておるとかいう問題につきまして、一方では、警察なんかは防犯の問題もいろいろ考えるだろうと思いますが、消防の見地から見まして、防火訓練の見地から見まして、こういう問題は非常に危険だと思います。かぎを別なところに持っておる、あるいは支配人がそのマスターキーを持っておっても、自分だけ先に逃げてしまったら、幾ら逃げようとして非常口にたどり着きましても脱出できないわけであります。そういうことにつきまして、こういう防犯、防火、この二つの問題について、消防を担当せられます大臣としまして、国家公安委員長、警察関係、そういうところと、強い姿勢で、まず人命の安全を守るという態度から何か折衝をし、法的な措置考えられる御用意があるか、この辺をお伺いしたいと思います。
  41. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いま御指摘のありましたカーテン等は消防法上特に規定はございませんが、避難口は明らかになるように誘導灯をつけなければならないということは規定されておるところでございます。かぎ等につきましても、非常の場合等を考えまして、現在の建築基準法では、内側からはかぎを用いずにあけることができるというような施設にするようになっております。残念ながら、この点は、古い建築物にまで遡及されておりません。これらは古いものに対しましても当然考えなければならない問題の一つである、かように考えておるような次第でございまして、いま御指摘になりましたような点は、特に高層階に不特定多数人を収容するような業種を入れるかどうか、ビル内の使用制限の問題まで含めて検討をさせていただきたい、私たちは、消防の立場からそのようにお願いして、中央防災会議関係各省と今後密接に協議させていただきたい、かように考えておるような次第でございます。
  42. 左藤恵

    左藤委員 いまいろいろな点を大臣にお伺いいたしまして、後ほどまた私は事務的に数点関係担当官の方々にお伺いいたしたいと思いますが、最後に、大臣には、こういった非常に危険な特に地下街——大阪あたりは非常にこの地下街がたくさんございまして、全然その様子を知らない人たちがそこを普通の道路と同じような形で通行する、地下街に現在店なら店を持っておられる人、こういう方々に対する消防訓練とかいうようなものは平素からもできるわけでありますし、そういった点で心配はそれほど多くはないと思いますけれども、一般の通行人が通行する場所におきまして、煙が非常に早いスピードで広がった場合、停電した場合、そういったときには、みずから死地に飛び込むような結果になりはせぬかと思いますので、こういった点について、ひとついままでの観念とは別の、ほんとうにそういう意味の一般の国民を守るという見地からの再検討をされる御用意があるかどうか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  43. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 今回のこの事件で痛切に感じましたのは、ただいま米田委員報告の中にもありましたとおり、不特定多数の人の集まる場所におけるところの避難訓練の不徹底ということにあったことは事実でございまして、私も、先般たまたまございました全国消防長会議で、消防は火を消すことよりも火を出さないことがまず第一の消防である、それは一般の方々に絶えずその考えを持ってもらわなければならないんだということをお願いしておいたのでございます。  御指摘になりました地下街等に対しましても、現在新しくできておりますところの八重洲口の地下街また札幌の地下街を私も視察させていただきましたが、大体あらゆる面におきまして、防火に対する設備はできております。しかしながら、古い地下街等におきましては、一朝事あるときには、いま御指摘になったような惨事になりかねないような状態でございますので、これらの地下街に対しましてもできるだけの防災の施設を行ない、また、非常時における避難等に対する万全の措置ができますよう総点検をしていただきますように、東京、大阪等地下街のあります大都市の消防に対して、特にお願いをいたしておるような次第でございまして、いま御指摘のございました総点検はぜひともやらなければならない問題であるし、このたびの事件に対するところの中央防災会議の議題としてもぜひ検討していただきたい、かように考えております。
  44. 高田富之

  45. 米田東吾

    米田委員 自治大臣に、消防関係の最高責任者でもございますので、そういう関係のみ、しかも基本的なものを一、二だけ御質問させていただきたいと思います。  まず、消防法の改正の問題でございますけれども、端的に、私、問題を提起したいと思いますが、防火責任者については、もう少し強制的な責任を負わせるような改正を考えないかどうか。この千日ビルの場合は、七階のキャバレーでは、これは新聞でも報道されておりますように、管理者の最高責任者である支配人か何かが一番先にかぎを持って逃げたということがいわれておるわけであります。しかも、これは法的には刑事事件として今後どういうふうになっていきますかわかりませんけれども、防災の立場からいきますと、これについてはどうにも手の打ちようがない。ちょうど遭難する船の船長が先に船から脱出したというのと同じだと私は思うのであります。  ことに、不特定多数のお客さんをたくさん収容することを目的とするキャバレーとか娯楽施設とかあるいはデパートとか映画館とか、こういうものの責任者には、もっと強制的にきびしく罰則を付して、これはきちっとやる必要があるんじゃないかという感じがするのでありますけれども、この点について大臣の御見解はどうかということが一点でございます。  それからもう一つは、さっきもちょっと申し上げましたが、消防のためのはしご車でございます。千日ビルの場合は、私、現地で聞きましたが、大阪市の消防局が持っておるはしご車はほとんどあそこに七台集中したというふうに言われておるわけであります。しかし、現地で説明を受けますと、七台のうち、人命の救出に役立ったはしご車は五台だそうでありまして、これは、はしご車をビルを取り巻いて配置したものでありますから、うしろのほうに配置したところからは脱出者がなかったということだろうと思います。今度の場合、出ますと、相当はしご車が効果をあげておるわけであります。  全体として、今度の場合、消防関係の方は非常に御苦労されて、もうほんとうに献身的な、しかも負傷者まで出して奮闘されておるわけでありますから、非常に私は感謝し、敬意を表しておりますが、さらに加えて、こういうはしご車の装備というものについて、これはもっと強化する必要があるんじゃないか。このはしご車で救出したのが、消防局の資料によりますと、七階から五十名救出しておるわけであります。これがもう少しあれば、私は、相当な人命の救助ができたんじゃないか、こう思っておるわけでありまして、この点については、特に都市災害の防止の立場からいきましても、はしご車の装備の強化ということについて、大臣からひとつ、これは予算上の折衝もあることでございますので、自治大臣の相当な力が必要じゃないかと思いまして、御決意のほどをお聞きしておきたいと思います。これが二点でございます。  それから同時に、はしご車の関係とあわせて、煙、それから有毒ガスを防ぐ防毒マスクの設備であります。今度も、あの七階は約三百度程度の熱で、消防署員ははしごの上から中に入れなかった。したがって、中のほうに倒れているのがわかったけれども、救出することができなかった、こういうことでありますが、しかし、翌日等はさっそく、マスクをつけて、そうしてまだガスの残っている中を入っていって、いろいろ点検をやったりあるいは死亡者確認をやったりして、非常な効果をあげているわけでありますが、この防毒マスク等についてもっと装備を、これも徹底する必要があるんじゃないか、強める必要があるんじゃないか。そうしてまた、これらの施設には、これの備えつけを義務づけるということも考えてみたらどうかという感じがするわけでありますが、このこともあわせてお聞きしておきたいと思います。  最後に、これは大臣だけの関係でありませんで、建設大臣との関係も出てくると思いますけれども、要するにアーケードというのでありますか、これは消防の立場からいきますと、おそらくこういうものについては、消防庁のチェックがあってもなおかつ現在行なわれているのだろうと思いますけれども、これは消防の立場からいきまして再検討を必要とすると私は思うのですね。これにつきまして大臣の御見解をお聞きしておきたい。今度の千日ビルの場合には、アーケードがなければ、あそこに消防車は、はしご車も含めてつけられたはずでありますし、そうなりますと、これはまだ相当な救助ができたはずであります。そういうことからいきまして、アーケードというものについては、この種の災害が予想されますだけに再検討を要するのじゃないかと思いますので、御見解をお聞きいたしておきたいと思います。  以上の点で私の質問は終わりますから、御答弁をいただきたいと思います。
  46. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 わざわざ御視察賜わり、また、ただいまは貴重なる御報告を賜わり、私も聞かしていただきました。ありがとうございました。  御質問のございました防火責任者の責任がどうであったかということでございますが、私も、全くこの点は、日ごろの指導せなければならぬ立場におる責任者の自治大臣として、国民の皆さま方にも申しわけないと思います。  旅館の重なる事故によりまして、現在旅館の防火訓練と申しますか、責任体制というものは、私たちがホテル、旅館等に参りましたときに、女中までが懐中電灯のありか、避難口のありか等をまず教えるというところまで来ていただいておると喜んでおったのでございますが、キャバレーとか不特定多数のところの防火管理者にそれだけの精神と責任がなかったというのが今度の事故じゃないかと思います。  今後ともこの点、法的には防火管理者を置かなければならない。置かない場合に対する罰則はございますが、防火責任者そのものに対する罰則というものが直接ございませんのは、防火の責任は、その建物の管理者であり所有者であり占有者であるというふうな関係で、それらの方々が、使用人が防火責任者であるという観点もございましょうが、検討すべき問題として今後は検討さしていただかなければならないと考えておるような次第でございます。  第二のはしご車の装備の件でございますが、ビルが高層化してまいります現在、はしご車の増強は急務でございますので、本年度補助率をアップさしていただきまして、その増強につとめておるというふうな姿でございます。しかし、あくまでも消防施設は市町村の本来の任務でございますので、補助というものは、これを奨励補助というふうな姿で、弱小でございますが、地方財源でありますところの一般財源、交付税の算定基準の中で見ておるという姿でございます。なお、起債等につきましても、これらの増強について格段の措置をさしていただかなければならないと考えておるような次第でございます。せっかく皆さま方の消防装備の強化に対する御援助をこの機会にこちらからもお願いいたすような次第でございます。  次に、消防活動の防毒マスクでございますが、この点もその必要性を感じまして、このたびの交付税の算定基準の中で、特に数量をふやして上げさせていただいておるような次第でございます。しかし、私のささやかな知識でございますけれども、防毒マスクをつけると同時に酸素ボンベを負って入らなければいけない。ところが、その酸素ボンベが、現在のところ非常に重たいものでございますから、活動が不便になる、何とか軽装のものをして、十分そんな中でも活動できるようなものができないかということで、消防研究所等におきましても、廃坑等を利用いたしまして、現在研究し、開発につとめておるような次第でございまして、今後ともに、これらの非常時における消防活動が円滑になるような装備の開発に努力せなければならないと考えておるような次第でございます。  なお、アーケードの問題、まさに私も現地におきましてそう感じた次第でございます。消防のためを考えたなれば、ああいったものはぜひ廃止していただきたいのでございますが、地面また、商店街におけるところの一般消費者の利益ということを考えますと、むげにできません。したがいまして、これらは建設当局と連絡をとりまして、これらの装置がある場合には、それだけの防火設備が行なわれるようなくふうと体制を考えなければならないということを痛感しておるような次第でございまして、関係各省と十分協議いたしまして、消防体制に遺漏のないように今後研究さぜていただきたい、かように存じます。  なお、細部の点につきましては、必要によりまして消防庁長官から補足説明をさせていただきたいと思います。
  47. 高田富之

    高田委員長 坂井弘一君。
  48. 坂井弘一

    ○坂井委員 千日ビル火災でなくなられました多くの方々に対しまして哀悼の意を表しますとともに、けがをされた方々には一日も早く御全快されますよう、お見舞い申し上げます。  さて、今回の大惨事の後、十七日の夜でございましたか、自治大臣が銀座の雑居ビルの視察をなさった。その際に、今後はやはり指導と取り締まりを強化せねばならぬということを非常に強く御発言されておったようでございますけれども、その指導と取り締まりを強化するという具体的な内容というものは、どのようなことをお考えになっていらっしゃるのか、先にまず聞いておきたいと思います。
  49. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 ただいまも米田さんの質問に答えさせていただきましたように、ホテル、旅館等におきましては、使用人に至るまで非常時に対するところの訓練がある程度徹底してきた、これがいまの大勢でないか、経営者自身もそのようなことを痛感してきておるのではないか。それに比べまして、私、この間も視察させていただいたのでございますが、ああいった高層ビルにおけるところのレジャー産業等の防火管理者が——現実に私も避難路も見せていただきました。また、屋外へ出るところも見せていただきましたが、現在の消防法の規定から申しましたなれば、施設としては一応できておると思います。しかしながら、はたして、一朝事あるときに、この避難路で千日ビルで起きたような事故が起こらずに済むであろうか、不特定多数人の群衆心理を押えながらの的確なる誘導ができるであろうかどうかということを考え合わせましたときに、りつ然としたような次第でございます。  その感想が、日ごろからほんとうに責任のあるところの避難誘導訓練、これこそが第一のサービスであるという経営者としての観念を持ってもらうことが最大要件ではなかろうか。施設ができ、消防法できめましても、それだけではだめである、日ごろからの、実際この施設の利用、また防火責任者、経営者、従業員、すべての者がその精神に徹して、初めて非常の際におけるところの措置を、最小限に被害を押えることができるのだということを痛感してあのように申させていただいたのでございまして、今後はそういった方向へ徹底を期していかなければならない、かように考えております。そのために、もし法的な規制が必要であれば法的なことも考えさしていただく、検討さしていただくという意味で述べさしていただいたのでございまして、法よりも何よりも、私は、まず指導、運営を十分やって徹底を期さなければならぬと、このように考えた次第でございます。
  50. 坂井弘一

    ○坂井委員 指導、取り締まりということを非常に強くおっしゃっておったようでございますので、私、今回のこの千日ビル火災の一つの教訓として、たとえば消防法の第五条で規定されておりますところのいわゆる改善命令、これは千日ビルの場合は、他に比較いたしますとかなり多い回数で査察が行なわれておったようですね。何回か改善命令が出されておりながら、改善勧告がなされておりながらも一向に守られておらない。  そういう中で、たとえばあの避難袋、これは後ほど事実関係をあげて私詳しく聞きたいと思っておりますけれども、非常に大事な避難袋にしても、何回か改善しなさいということをいわれながらも改善されない。消防法第五条によれば、これは強く改善を迫ることができたはずであって、これが少なくとも改善がなされておれば、まあ避難袋によってまた何人かの人たちが助かっておったであろうということは、これは結果論かもわかりませんけれども、予測できるわけですね。消防法にそううたわれながらもそれが適用されておらない、その辺の指導あるいは取り締まりに非常に甘さがある。つまり、何回こういうような査察を行なっても、ある意味ではなれ合い査察じゃないかというようなこともいわれる。だから、せっかくある法ですから、これはやはり人命に関することでありますので、厳格にこれを適用していくということは日ごろの姿勢としては大事ではないか、こう思うわけです。  そのことはさておきまして、ひとつ具体的に、先ほどから触れられておりますけれども、こういう雑居ビルに対する共同防火管理者といいますか、これが法改正によりまして五階以上のビルに適用されておりますね。千日ビルの場合はそれもなされておらなかったということでございますけれども、五階以上のビルというのじゃなくして、雑居ビルについては、もう五階以下であろうとも共同の防火責任者、管理者を置くべきじゃないかと思うのですけれども自治大臣いかが考えられるでしょうか。
  51. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 雑居ビルの場合におきまするところの防火管理体制、これに対しましては、現在でも、先ほど左藤委員の御質問に答えましたように、法的には規定されておりますが、実際においては、法の大体考えました姿の運営がなされてなかった、これが今日の事故の最大原因であったと思います。そのためにいま法の検討をいたしております。その際に、いま御指摘になりましたビルの改装等もあわせて検討の対象として検討さしていただいております。御了承賜わりたいと存じます。
  52. 坂井弘一

    ○坂井委員 具体的なことに入りますので、自治大臣にはそのあらましをなお一点お聞きしておきたいと思いますが、たとえば、先ほど触れました消防法に関係いたしまして第四条で「立入検査」、これが四十八時間前に相手方に通報する、こういうようなたてまえになっているようでございますけれども、何回かこの千日ビルに対しましても査察が行なわれた際、その四十八時間前に通報されておりますね。そういたしますと、これはもう相手側は何とかしてうまくそこをつくろおう、こういうような工作がなされてきた。そこで、実際の査察が意味をなさないようなことに終わってしまったということなんですけれども、こういう点に対しても、やはり今後のこの消防法のあり方、あるいは改正等の中であわせてお考えになっていただいたほうが私はよろしいのじゃないか、こう思うのですけれども、大臣、そういう点についてはどうお考えになりますか、どうでしょうか。
  53. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いまは四十八時間前に通告をしなければならないということになっておりますが、この間、東京消防庁でも行ないましたが、抜き打ち検査と申しますか、そういう検査も行なっております。しかし、そのためには責任者の同意を得なければならないということになっておるのでございます。私は、まあそういったこともせなければならないと思いますが、大体、法にきめられておるからそれだけのことをしておけばよいのか、また、来られたときにその設備をしておったらそれでよいのかという考え方ならば、私は、どんな設備を行ないましても事故をとめることはできない、むしろそれが不特定多数の客を預かる経営者としての管理者としての義務であり、一番重要なる責任であるという観念になっていただいてこそ、初めて設備が生きてくるのではなかろうか、かように考え、消防長会議におきましても、その点を日ごろから強調していただくようにお願いしておいたのでございますが、今回のビル火災におきましてもその点を最も考えまして、むしろ私は、法の拡充ということも当然必要でございますが、こういったビル等におきますところの不特定多数の客を受けるような業種に対する責任体制の強化と申しますか、その指導というものが完全になされなければならぬ、その点に今後とも努力せなければならぬということをあの際申さしていただいたのでございまして、今後とも、そういった意味で努力いたしたいと思います。そのために必要最小限の法の規制が必要でございましたなれば改正さしていただくように検討をいたしておるというのが現在の段階でございます。
  54. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣のおっしゃることは、私はよくわかります。確かにこれは良識に待たなければならぬとは思います。思いますけれども、今日まで続発してきたところの雑居ビルの火災の実態を見てまいりますると、ただいま申しましたような消防法五条あるいは四条、これらの法の精神というものは非常に守られておらぬといいますか、そういうような実態だったということですね。そういう中から起こってきた事故である。つまり、千日ビルの場合は、ある意味ではまだ許される部分もあったかもわかりません。もっと悪い雑居ビルというのはたくさんあります。そういうものをいたずらに、いつまでも待って、そういう啓発を行ない、良識に訴えるといたしましても、火災は次から次に起こる、こういうような現状を放置してよいかどうかということが私は非常に大きな問題であろうと思うのです。したがって、そういう場合に、やはりこの管理責任者なりに対してきわめて大きな責任、義務感、そういうものを持たせる意味においても、今回のこの事故を大いにひとつ教訓として前向きな姿勢で法改正も検討されてしかるべきであろう、私はこう思うわけでございますので、意見だけ申し述べまして、一応質問を終わりたいと思います。
  55. 高田富之

    高田委員長 小宮武喜君。
  56. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣にちょっと確認の意味で質問しますけれども、今回の事故は人災と大臣もお思いになるのかどうか、その点ひとつ確認します。
  57. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 私も、まさに御指摘になりましたように人災だと考えております。
  58. 小宮武喜

    ○小宮委員 まあ報告によりますと死者は百十八名になっておるようでございますが、この百十八名の中で労災に入った人、労災に入っていない人、どのくらいの数になりますか。——もし、おわかりになっておらなければ、この点についても意見として申し上げるのですが、この中には、労災に入っていない人も現実におるのです。したがって、やはり労災に加入しておらなくてなくなった方々の遺族補償、あるいは労災に入っていても、補償の問題でいろいろ問題が起きると思うのです。したがって、大臣も人災ということをはっきりここで認めたわけですから、いろいろそういうような問題が自後やはり起きてくるということを考えますので、この遺族の補償については、十分あっせんか、行政指導か、それをやはりやってもらいたいということをひとつ要望として申し上げておきます。  それから、大臣は閣議で、今後この雑居ビルの防火責任者の明確化をはかるために消防法の改正も場合によっては行ないたいということを言っておりますけれども、この防火管理の責任者の責任が不明確であったという点については、先ほどからも言われておりますように、こういうふうなビルにおいては、各階に防火責任者はおるけれども、それを総合統括しての管理者がいないというような問題を大臣も考えておられるのではなかろうかというふうに考えるのですが、この問題について、場合によっては消防法を改正したいということも言っておられるようですが、今回の事故の経験からいって、消防法を大体どのように改正されようと考えておられるのか、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  59. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 現在の補償の問題でございますが、労災の件につきましては、私、視察後労働大臣のほうへお願いをいたしまして、労働省のほうからも指導をしていただいておる、こういうふうな措置をいたしておりますので、御了承賜わりたいと思います。  なお、この問題は、経営者でありますところのあのアルサロですか、プレイタウンと、それから発火の責任者であるところのニチイ繊維、それから電気工事会社、あるいはビル管理者というふうな方々があろうと思いますが、これは現在警察当局におきまして事故の原因等を究明をしておられますので、これを待ってそれぞれの補償等きめられると思いますが、とにもかくにも、私が参りましたときに、あのキャバレーの責任者並びにニチイ繊維の責任者にお会いさせていただきました。それも大阪の市長とともどもにお会いさせていただきましたので、できるだけの補償をしていただくようにお願いいたしますとともに、大阪市長は、必要によっては私たちもあっせんの労をとらしていただくから、できるだけのことをしていただきたいということをともどもお願いした次第でございます。その後、帰りましてから聞きましたところ、大阪市長は、あのキャバレーの社長にも会ってそのことを依頼をし、また、ニチイ繊維のほうは社長がいま御病気中だそうでございますので、最高の責任者の重役に会ってよく補償の万全を期するようにお願いをしておいたという報告を受けておりますので、今後とも補償の万全を期していただくようにお願いをいたしたいと思います。  なお、災いにあわれた方々は非常に子供を持っておられる方が多い。これらの方々の、母親を失い、孤児となった子供さんを、私も現場で遺体の前で泣いておられる子供を二組見せていただきました。市役所へ帰りましてから、さっそく民生局長を向けておいたということでありましたが、事後の報告によりますと、住所等もわかりましたので、各地の民生委員等動員いたしまして万全の措置をとっておる、なお、大阪に居住しない方々に対しましては、関係現住所の市町村長に連絡して万全のことをやっていただくようにしたと、こういう報告を受けておりますが、今後とも、十分なる補償ができるように、現地の市を通じまして私たちもできるだけの注意を怠らないようにいたしたいと、かように考えておるような次第でございます。
  60. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまの消防法の改正の問題を……。
  61. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 消防法の改正の点でございますが、防火管理体制の責任体制をなお明らかにせなければならないという問題で、必要とあらば法の改正までもあわせて考えるという、閣議後の記者会見をいたしましたのをいま御指摘になったのだろうと思います。そのような方向で、この問題は、中央防災会議で、いままでに御指摘がありました雑居ビル等に対する建築基準法と、その他の法令の改正ともあわせて検討を加えさせていただきます。  消防法の改正の現在の検討点の細部につきましては、消防庁長官から説明させていただきます。
  62. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 消防法の関係で、一つは雑居ビル全体を防災の見地から統括する者を、先ほど説明申し上げましたように、それぞれの施設の管理者が話し合いをしてきめるということになっております。したがって、その話し合いの結果、統括責任者に何をさせるかというようなことも話し合いできめる。これは全体を防災という見地から見ると適当ではありません。したがって、私は、ここはもう、たとえば、この施設を建設した人間が責任をもって総括防火管理者という者を選び、それには早期通報、早期避難という見地からの全体を統括する者の権限を法律的に明確にしたい。  それからもう一つは、消防施設の関係で申し上げますと、施設につきましては、たとえば今回キャバレー、デパート等の施設がありまして、消防法では、それぞれの業態ごとに特殊の消防施設をつけろというようなことになっておりますけれども、これは決して適当じゃありません。したがって、雑居ビルにつきましては、ビル全体としてとらえまして、それに必要な施設、たとえば、私たちは、現在自動火災報知設備というようなものは当然つけて、全体としてそれは火災を早期発見をして、そして通報を全館にやるというような、そういう設備につきましては、ビル全体をとらえて強制するというようなことを内容としてもぜひ考えたい。  それからもう一つは、個々の施設ごとにつきましても、たとえば、従来遡及しておりません自動火災報知設備あるいは大量可燃物のあるようなところについては、スプリンクラーといったようなものについては遡及適用も考えてみたいという、こういうことを主たる内容として考えておるところでございます。
  63. 小宮武喜

    ○小宮委員 先ほど大臣が言われたように、ややもすると、雇用主あるいは経営者、こういうような人たちが複数の場合は、お互いに責任を転嫁して、そしてその補償について逃げる傾向が非常に強いのです。すでに今回の場合もそういった傾向が出ておりますので、特に私がこの問題を取り上げたのは、そういうようなことで、やはり経営者とか雇用主がその責任の転嫁をやって、そして遺族の方々に対してできるだけ補償を少なくしようということで非常に泣いておるというようなことが、従来までも例があるし、今回の場合もすでにそのきざしが見えておりますので、私はあえて質問したわけですけれども、そういう点について、大臣、これは労働省あたりとも連携をとり、現地の大阪とも十分連携をとりながら、こういう人たちが泣くようなことのないように特に配慮をしていただきたい。  最後に、大臣に聞いておきたいことは、今回の事故の模様を見ましても、大阪でも、近代的消防といわれながらも、実際は、救助された人は半数にも満たないということが出ておるわけです。特に、三十五メートルの消防車がかけつけていったところが、詰めかけた群衆のために立ち往生したということで、その群衆の中から公務執行妨害で六名が逮捕されたというような問題も出ておりますので、私は、大阪とか東京とか名古屋とか、大都市においては、十五階、二十階、三十階という高層ビルが林立する中で、地上からの消火、救助というものはやはり限界があるのではなかろうかというふうに考えるのです。特に、これが火災ならまだしも、もし東京あたりで震災があって、そういうような建物がこわれたという場合は、消防車も入っていけないというような事態にもなりますので、その意味では、地上からの救助とか消火とかという考え方をそろそろ改めて、空中からのヘリによる消火とかあるいは人命救助、こういったものも真剣に考えるべき時期にきているのではないかというふうに考えるのですが、ひとつ大臣の所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  64. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 都市の地下化あるいは高層化、これは今後の趨勢であろうと思います。これらに対する消火体制は、従来のものと見方を変えて考えなければならないことは当然でございます。  現在、はしご車にいたしましても、せいぜい十一階程度のものしか届かないというのが現状でございます。それ以上はどうにもすることはできません。しかしながら、現在できております高層ビルにおきましては、相当そういったことも考慮いたしまして、各階に、それ自体の中に防火の設備をしていただくように、建築基準法等においても規定していただきまして、現在考えられる建築の姿におきまして相当な設備をしておりますので、大体そのような事故も起こらずに済んでおるのが今日の姿でございます。  しかしながら、大震等の場合のことを考えましたならば大混乱が起こるのじゃなかろうか、私は仰せのとおりであろうと思います。空中からの避難措置、それらにつきましてもすでに検討を加え、東京が現在三台のヘリ、大阪もこの間実は買っていただいた。屋上へもし避難をすることがあったならば、これによって救うことができたのじゃなかろうか。ただ、私の聞きましたところによりますと、昼間におけるところの屋上の避難等はヘリによって行なうことができるけれども、夜間における避難活動ということはまだ非常に困難であるというふうな報告を受けております。しかしながら、山火事等に見られますような、空中から大火を防ぐという点は、今後の研究の課題として考えなければならないし、東京、大阪だけでなく、今後ともに、そういったほうの消防力の充実というものを期さなければならないと考えております。  なお、大震の際における火災に対しましては、東京都におきましてもこの間条例がつくられましたが、過密地帯の問題はほんとうに考えなければならない問題であろうと思います。本年度このためにも、あるいは地下の防災のための地下槽、あるいはいま仰せになりました大震等の場合は消防車が行けないじゃないかというところから、そういった場合に備えるための手動式のポンプ等につきまして、大震の予想されますような地区の分に対する補助金等も、新設の項目として入れさせていただいたような次第でございます。  これらに対しましては、各主要都市の体制に合わせまして今後ともその充実をはかってまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
  65. 小宮武喜

    ○小宮委員 あとは事務当局に対してまた質問したいと思いますので、大臣に対する質問はこれで終わります。
  66. 高田富之

    高田委員長 左藤恵君。
  67. 左藤恵

    左藤委員 それでは、引き続いて事務当局のほうに数点お伺いしたいと思います。  今回の火災に関連いたしまして、この千日デパートビルに対して、消防庁として、いつ設備の点検をされたか、そして避難訓練などの指導をどのようにしておられたかということの報告がもしあれば、お伺いしたいと思います。   〔委員長退席、米田委員長代理着席〕
  68. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 設備の点検は、昨年の十二月八日に行なっております。  それから、避難訓練等につきましては、昨年は七月六日に行なっておりまして、それは初期消火を想定いたしまして、一つは消火器の使い方、一つは避難誘導、避難口の確認、こういうことを中心に避難訓練を行なっております。参加した人間は二十九人でございます。
  69. 左藤恵

    左藤委員 私がそれをお伺いいたします理由といたしまして、こういう雑居ビルの場合に避難訓練は個々に指導されるのか。それからまた、先ほど来お話が出ておりますアルバイトサロンのようなところでは、従業員にいたしましても出入りが非常に激しい。こういったところに対して、昨年の七月以来避難訓練をやっていないということになると、実際にその避難訓練に従事した人の大部分は変わってしまっていないであろうということも予想されるわけであります。こういう出入りの非常に激しいところに対する非常事態対策というものが、いままでのような、たとえば六カ月に一回とかというふうな義務づけだけでいいかどうか、その辺についてのお考えを伺いたいと思います。
  70. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 確かにいま御指摘のこういう業態は、従業員の移動が激しゅうございます。したがいまして、訓練をするにいたしましても、参加する人間がそのときどきによって変わってしまうということでございます。そこで、やはり訓練は当然やらなければいけませんし、いま御指摘のように六カ月に一回程度でなくて、少なくとも年二回ないし三回ということはどうしても考えなければいかぬと思いますけれども、やはりそこの施設の責任者あるいはそのもとにおいて防火を担当する防火管理者、それを取り巻く人間、これを中心に、やはり避難誘導をどうするかということを問題の中心に置いて訓練をしなければならぬと思っております。  しかしながら、やはり御指摘のような問題がございますので、たとえば、先ほど私が御説明申し上げましたように、自動火災報知機、煙探知機と連動した非常口の施錠という問題が技術的にも開発されておりますし、こういうような機械をある程度使って、機械によって動くというしかけをもっと強力に義務づけて進めなければならぬという気持を持っております。  また同時に、訓練につきましては、やはり消防のほうもこれに参加をするということによって当然現場指導ができますので、訓練につきましても事前に届け出をしていただいて、いつ訓練をするというようなことでその点も明確にして、消防側におきましても積極的にこれに参加をして指導するというような体制をぜひつくってまいりたい、こう思っておるところでございます。
  71. 左藤恵

    左藤委員 防火責任者に対するいろいろな問題について先ほども御指摘がございましたが、私は、一般の従業員に対する訓練ももちろん大切でございますけれども、特に防火責任者に対しては、いままでのある特殊な場合の不特定多数の人か出入りすることが多いところの防火責任者に対しては、特別の法的な措置も必要ではないかというふうに思うわけで、この点については十分御検討をいただきたいと思います。  ところで、非常用のいろいろな施設、たとえば救命袋とか、そういったものの設備の責任者というのは一体だれになるのか、この辺についてちょっと伺いたい。
  72. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 ただいまの千日ビルのような雑居ビルでございますと、それぞれの施設、たとえば三階、四階は千日デパートであれば、千日デパートを管理する千日デパート会社そのものがそういうものの施設をする責任を持っております。したがって、消防法上さるべき施設をしていないときの施設をしろという命令は、その会社の最高責任者あてに命令を出すということになっております。
  73. 左藤恵

    左藤委員 この点について、防火責任者というここの問題と、それからそういった防火、非常用の設備、そういったものをする設備の責任者との間の関係というものをもう少し法的に明確化しておいて、防火責任者は、設備責任者に対してこれこれのどうしてもやらなければならない設備を要請する、設備責任者がやらなかったときには、たとえばどういう罰則規定をどうするかとかいう点の関連をもう少し再検討していただく必要があるのではないか。それで雑居ビルの問題、非常に複雑な関係になると思いますけれども、こういう点についてひとつ根本的に問題を考え直していただきたいということを要望いたしておきたいと思います。  それから、次に警察庁の刑事局長さんのほうにお伺いいたしたいと思いますが、今回の火元の責任は、新聞に報道されておるような電気工のたばこの不始末だというふうなことで、そういうことになったのかどうか、この辺お伺いいたしたいと思います。
  74. 高松敬治

    ○高松政府委員 十四日の夜に、当時そこで電気工事をしておりました監督者である大村電気商会の電気工を一名逮捕して現在取り調べ中でございます。確定的にこれが火元の責任であるかどうかという点につきましては、現在取り調べを進めておる最中でございまして、まだ正確な断定までにはなお若干の時日を要するであろうというふうに考えておりますが、大体において火の気のないところでございますし、電気関係その他からの漏電その他の事由も考えられない、大体このたばこのの火の不始末ということが原因であろうというふうに考えて捜査をやっておる状況でございます。
  75. 左藤恵

    左藤委員 この点につきましては、今回のような複合責任と申しますか、そういうことで、しかも、先ほどお話がございましたような遺族に対する補償という補償の責任の分担という問題もありますので、できるだけすみやかに明らかにしていただくように御努力いただきたいと思います。  それからもう一点警察庁にお伺いいたしたいのは、今回の大部分の方、プレイタウンのほうで九十数名の方がなくなられたのですが、結局煙で、一酸化炭素中毒と申しますか、窒息死されたという痛ましい結果になった。この問題は、やはり誘導上の不手ぎわというものが最大原因であったろうと思います。それで、この火災による問題というよりもむしろ煙でそういう窒息死された、そういう誘導上の不手ぎわというものは、一体刑事責任はどういうふうにお考えになっていますか。これは刑事責任は当然あると私は思います。たとえば、そういうものを誘導すべき責任者であった支配人とか、そういうものがあると思いますが、そういうものが刑法上どういうふうな責任があるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  76. 高松敬治

    ○高松政府委員 刑法的には業務上過失ということになってくると思われるのでございますが、問題は、この点についての業務上過失が成立するかどうかというところにございます。現在、高木支配人を中心にしていろいろ捜査を進めておりますけれども、過失罪をどの点においてとらえていくというところが——これは過失罪自身としても非常にむずかしい問題でございますけれども、特に今回のような場合に、一体どの点をとらえてその過失で問擬できるだろうか。防火責任者という問題も先ほど来いろいろ御指摘がございましたように、これはかなりゆるいものでございます。  そういう点と、それから本人の行動その他につきましても、現在、負傷している人あるいは生きている人、そういうふうな人を中心に本人の行動についてもいろいろと調べを進めておりますけれども、まだ明らかでないところがいろいろございます。そういう点で、これはもうしばらくいろいろ捜査をいたしまして、それによって刑事上の責任を追及できるかどうかということをきめてまいりたい、こういう段階に現在ございます。
  77. 左藤恵

    左藤委員 こういった問題も、社会的にたくさんの方々がなくなっておるということ、そういとことで、被害を受けられた方々の御遺族、もちろんそういう方々も納得されるような線で明らかにしていただきたいと思うのであります。  それから先ほどちょっと大臣にお伺いいたしました点で、例の非常口施錠の問題そういうふうなもので、警察庁のほうでは防犯というものを指導しておられる、そして片方で、先ほど申し上げましたように内側からやっておかなければいけませんけれども、古い建物はそういうことをしなくてもいいというふうな点について、もっとそういったところは内側から常にあけなければならないというふうに、消防の立場からは、当然また人命救助の立場からは、そういうものを考えていただかなければならないと思うのですが、一方、こそどろが入らないとか、いろいろなことについての防犯を指導しておられる警察庁のほうではどういうふうな御見解でおられるか、お伺いしたいと思います。
  78. 川崎幸司

    川崎説明員 お答え申し上げます。  キャバレー・プレイタウンを風俗営業として許可するにあたりまして、大阪府公安委員会は、善良な風俗を害する行為を防止するという観点から、七階に通じます特定の通路の防火シャッターまたは防火扉につきまして、非常の場合のほかは開放してはならないという条件をつけているわけでございます。この条件をつけております法律的な根拠につきましては、御案内のように、風俗営業等取締法第二条、それを受けての大阪府の施行条例の第四条に根拠があるわけでございますが、そういうキャバレーなどの避難口の施錠をかぎを用いないであける装置にするかどうかということにつきましては、御案内のように建築基準法で定めているところでございます。私どもといたしましては、今回のような悲惨な事故が再び発生いたさないように十分検討してまいりたいというふうに考えているわけでございますが、内側からあけられるような装置のかぎでありますならば、防犯上若干の問題点がありましても、なおかつ人命にかえられない問題でございますので、そういうふうな装置にすることが望ましいことではないかというふうに考えているわけでございます。
  79. 左藤恵

    左藤委員 いまの点につきましては、そういったようなことでまず人命ということを十分配意した指導をお願いいたしたいと思います。  次に、今度の問題につきまして、結局有毒ガスがたくさん発生したという点で、まず第一に、ニチイという衣料スーパーの商品が非常にたくさん焼けた。そのために煙が三階から七階に上がって、それで窒息死された方が非常に多かったということでありますが、繊維につきまして、綿だとかあるいは毛だとかいうものと合成繊維、アクリルといいますか、この繊維を現実に燃焼した場合、燃えた場合、非常に燃えやすいのかどうか。この点と、それから両者の有毒性の比較について何か資料がありましたら、通産省のほうからお答えいただきたいと思います。
  80. 仲矢鍛

    仲矢説明員 お答えいたします。  先生、最初におっしゃいました燃えやすさの点でございますが、繊維というものはそもそも燃えるというものでございまして、燃えやすさというのを比較するのはなかなかむずかしいのでございますし、また、その状況によりましていろいろ違いますので、一がいには申せませんが、ごく一般的に申しますと、繊維の中でも一番燃えやすいと考えられますのが綿、麻、それからレーヨン、ビニロン等が一番燃えやすいものでございます。それから燃えにくいグループに属しますものは、絹、毛あるいは最近のポリクラールというような新しいものでございます。それからナイロン、ポリエステル、アクリルというのが中間ぐらい、こういう感じでございます。  それから、燃えましたときに出るガスでございますけれども、繊維でございますので、燃えるということで一応燃えますと、これはたいへん恐縮な話でございますけれども、水と炭酸ガスが出る。その炭酸ガスが酸素の供給量が不十分なときには一酸化炭素になる。そういうことで、全部共通して言えますことは、一酸化炭素がまず出るであろうということは申せます。  それから先ほど言いました繊維を多少分類いたしますと、俗に化繊と言っておりますのは、スフあるいは人絹、キュプラというようなものでございます。これは大体その組成が木綿あるいは麻と同じものでございます。これが燃えましたときには、先ほども申し上げましたように、一酸化炭素というものが出る。ほかには、あるいは微量にそれにまじっているものが出ないとは言い切れませんけれども、原則といたしまして、それ以外のものは出ないとお考えいただいていいかと思います。  それから、合繊につきましては、いろいろ種類がございますけれども、これも三つくらいに分類できるわけでございまして、ビニロンでございますとか、ポリエステルというような、これは言うならば綿あるいは麻と同じような形で、組成が炭素あるいは水素、そういうものだけでできておる、先ほど言いました化繊あるいは木綿類と同じような組成を持っているものでございます。これにつきましては、燃えますと一酸化炭素以外の有毒ガスはまず出てこない、かようになると思います。  それからナイロン、これは俗に絹に似せてつくったということから、組成が大体絹に似ておりまして、絹と同じようなものを出します。それからアクリル、これは相対的な議論でございますけれども、毛と似ているとお考えいただいていいかと思います。したがいまして、合繊の中でもナイロン、アクリル糸のものは絹あるいは毛と同じような形の有毒ガスを出す。これは何かと申し上げますと、ナイロンあるいはアクリルあるいは絹、毛といいますものは窒素分を持っております。この窒素分が燃えますと、一つはアンモニアを発生いたします。   〔米田委員長代理退席、委員長着席〕  それからもう一つは、いわゆるシアン化ガスというものを発生いたします。いたがいまして、繊維全般でいいますと、一酸化炭素というのはどれが燃えても同じように出てくる。それから動物質の絹、毛あるいはナイロン、アクリルにつきましては、シアン化ガスが出てまいるということになろうかと思います。  それからシアン化ガスの程度でございますが、実際に燃えましたときにどの程度のものが出るかというのは、その燃焼の状況によりましてかなり変わってまいります。したがいまして、一がいには申せません。申せませんが、構造式等から判断いたしますと、アクリルがかなり多いということが言えるかと思いますが、いままでそれほど多く実験例があるわけじゃございませんが、実験例によりますと、絹、毛、それからアクリル等ほぼ同じ程度のシアン化水素を発生する、さようになっております。
  81. 左藤恵

    左藤委員 そのシアン化水素とか、そういった非常に有毒なものは別といたしまして、とにかく一酸化炭素が発生することによりましても窒息死する非常に大きな要素になっておると思いますので、この点につきましては、さらに十分その燃焼なり、有毒性というものを研究されて、そうして防火体制との関係を十分考えていただきたい。ということは、結局今度の問題は煙で巻かれて死んだ。いわゆる防煙区画というものを確立して——煙がしみるように上がってくるというふうなことがあったと思います。さらにまた、排煙設備というものを十分これからの建築に考えると同時に、いままでのものについても対策を考えていただきたいと思います。  それから次に、新建材の問題だと思います。これもやはり今度の直接の一酸化炭素を、有毒ガスを非常にたくさん上へ持っていった原因の一つにはなっておるのだろうと思いますが、この新建材につきましては、一般のその他の木材なりと比べまして燃焼しやすいかどうか、先ほどと同じような質問をいたしたいと思いますが、その点についてお答えいただきたいと思います。
  82. 原野律郎

    ○原野説明員 建築材料の種類は、非常に多いわけでございまして、私どものほうに設置されております軽工業生産技術審議会の中の建材燃焼性部会というところで、こうした各種の建材につきましての燃焼性あるいは煙、ガス等の問題について検討を行なっております。そのデータに基づきまして、いわゆる在来建材の代表といたしまして木質系の建材、それから新建材の代表例といたしましてプラスチック系建材をとりまして、この両者の関係について御説明をさせていただきたいと思います。  まず煙の発生でございますが、この発煙量につきましては、木質系の材料に比べましてプラスチック系の材料は非常に多量の煙を発生いたします。たとえば、塩ビあるいはウレタンフォームといったようなものは、木質系の材料に比べまして十倍から二十五倍程度の煙を発生するというふうなデータが出ております。それで、いわゆる火災の最盛期におきましては、こうした煙の問題が非常に避難等の行動の安全を妨げるわけでございますが、こうした煙を十分に希釈するに必要な空気の量ということを見てみますと、たとえば、木質系の材料の場合は、大体煙の量の四十三倍から二百十四倍の空気が必要であるというふうにいわれておるのに対しまして、プラスチック系の材料の場合は、三百倍から六千倍近い空気を要するというようなデータもあるくらいでございまして、非常にプラスチック系建材の発煙量というものは多い、かつ危険であるということが言えるかと思います。  次に、有毒ガスでございますが、有毒ガスにつきましては、一酸化炭素を中心といたしましたガスの発生量自体につきましては、木質系の材料に比べましてプラスチック系の材料が特に非常に多いというふうには言えないかと思います。ただ、プラスチック系材料につきましては、ただいまも説明がございましたとおり、塩化水素あるいはシアン化水素というような非常に危険なガスを発生することがございますので、この点につきましては十分注意を必要とするわけでございます。ただ、こうした有害ガスを希釈するに必要な空気量というものを見てまいりますと、塩化水素の場合では大体ガス量の約五倍程度、まあシアン化水素の場合には約二倍程度の空気の混入で安全になるというふうなデータもございますので、この煙とガスの関係のみについて申し上げます限りにおきましては、有害ガスよりも煙のほうがはるかに危険である。したがいまして、まず煙に巻かれて避難等の行動の自由を失う、そののち酸素不足による窒息死あるいは有害ガスによる死亡というふうに至るのではないかというふうに考えられます。したがいまして、もし煙を希釈するに十分な空気量のあるところにおきましては、有害ガスについての危険もすでに希釈されておるというふうに考えるわけであります。
  83. 左藤恵

    左藤委員 毒性が少ないということは肝心ではありますけれども、しかし、いまのお話しのように、煙という問題が一番大きな問題であるといたしますと、これから一つの新建材につきまして、たとえば発煙量の少ない建材を開発する。もしそういうものができればこれは防火上非常に有効であり、発煙量が少ないというPRをして、そしてそれをたとえばJISに指定するとかいうことで推奨していく、そういう積極的な指導をなさるお考えがあるかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  84. 原野律郎

    ○原野説明員 不燃建材の開発並びに建材の難燃化ということにつきましては、私どものほうの通産省の工業技術院傘下の各試験所におきましてこうした研究が進められております。すなわち、九州の工業技術試験所におきましては、耐火性の軽量建材の製造技術の開発、また、名古屋の工業技術試験所におきましては、防火セラミックス建材の開発に関する研究、さらに、大阪の工業技術試験所におきましては、住宅材料の難燃化、たとえば塩ビの難燃化というような研究をそれぞれ三年ないし四年計画で進めておりまして、着々その実をあげておる次第であります。  次に、JISとの関係でございますが、御承知のように、建材は公共需要が比較的多い関係から、JISマークの表示制度というのは非常に普及しておる業種の一つでございます。このJISマークの中におきましては、材料の難燃性、特に煙の発生量につきましての規定もすでに定められておるわけでございまして、このJISマークの表示ということを徹底させることによりまして、建材の燃焼性の向上ということの実をあげることができるかと思います。その意味におきまして、私どもは、建材業界に対しましては、JISマークの表示の徹底ということを非常に指導してまいってきております。ただ、いわゆる新建材と称せられておるものは、御案内のとおり、各社によってその品質、性能が違っておる、あるいは製造技術が違っているというような関係から、なかなかこのJISマークの制度にはなじまないものが多いわけでございます。したがいまして、こうした新建材と称せられるようなものをそのまま野放しにしておくことは、消費者、需要者にとりまして非常に不親切でございますので、私どもは昨年度から新建材の認証制度というものを発足させまして、JISができていない新建材につきまして、その優良なものを通商産業大臣が認証することによりまして、消費者の選定の便宜を取り計らうというような制度を発足させております。
  85. 左藤恵

    左藤委員 いろいろとお話を伺いました。ひとつそういう点は強力に推進をしていただきたいと思います。  これだけの大きな事故が起こってしまったことにつきましてはいたしかたないわけでありますが、これをひとつ教訓として、今後いろいろな問題、先ほど来御質問申し上げた、また、各委員からお話ございました点を十分配慮されて、たとえば消防のほうで点検をされますにつきましても、不良個所があったという場合、思い切って公表するというぐらいのつもりで、そして改めさせていくというような強い態度で、この教訓を生かしていく姿勢をとっていただくことを御要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  86. 高田富之

    高田委員長 坂井弘一君。
  87. 坂井弘一

    ○坂井委員 具体的な点につきまして、質問を進めていきたいと思いますが、その前に、確かに今回の事故で非常に特徴といいますか、教訓となりましたことは、煙害による死者、それから墜落死ということでありまして、直接火による被害者がなかったことは、いま御指摘のあったとおりであります。  そこで、誘導ということが非常に大事な問題であったということがいわれるわけでございますけれども、残念ながら通路が全部封鎖されておった。つまり施錠されておる、あるいは目隠しされておる、厳重なコンクリートブロックべいで階段もつぶされておったというようなもろもろの状態、それからエレベーターがとまったということになってまいりますと、殊された避難の方法となりますと、これは救助袋によるしかない。あるいははしご車。そこで、中にいる人は、何とかして救助袋で逃げたいということに当然追い込まれたということであろうと思うのですけれども、この救助袋で助かった人というのは、六名だということになっておりますね。三名が大けがをした。あと三名は無傷でおりた。ところが、せっかく救助袋にすがりながらも途中で転落死をした人が五人もあった。十七人の人がそれを待てずして飛びおりて墜落死をした。そうなってまいりますと、救助袋の効果が非常に発揮されていない。つまり欠陥救助袋であったということがいわれるわけですけれども、この救助袋が設置されたのは、一体いつだったのでしょうか。
  88. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 昭和三十三年の十二月でございます。
  89. 坂井弘一

    ○坂井委員 私が調べましたところでは、一番最初に取りつけたのが二十七年であって、その後三十八年の六月に取りつけ口の金ワク、これだけを取りかえたというようなことになっておるようなんですけれども、この救助袋が開かなかったというのですね。何でも腕一本入るくらいしか開かなかった。ですから、救助袋を使っておりた人は一人もいなくて、助かった六人の人もこれをすべるようにしておりたというふうにいわれておるわけですけれども、これはなぜ開かなかったのでしょうか。
  90. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 救助袋を下におろしたのは従業員の方というふうになっておりますが、その方は死亡しております。しかし、それは従業員の方がおろした。展張してそれから口を開くというところの操作につきましては、なぜ開かなかったかということについての究明はできておりません。それは、当時そこにおった人がほとんどなくなっておるからでございます。ただ結果的に、大阪の消防当局のほうで判断いたしますと、九十六人の方が七階でなくなっておりますが、そのうち三名の方は胸部圧迫というのがどうも主たる原因のようでございます。残りの方はほとんどガスでございますが、その三名の方が救助袋の付近におられるというようなことで、開こうとするときにうしろからずいぶん押されたのでなかろうかという推測をしておるところでございます。
  91. 坂井弘一

    ○坂井委員 救助袋というのは、いろいろあるようですけれども、普通には脱出口はこういうかっこうで金具がありまして開く、つまり人間のからだが入れるような状態になる、これが通常の状態だろうと思うのですけれども、これが全然開かなかったというのは一体どういうことなんでしょうか。
  92. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 救助袋を下におろして展張して、それから人が入るところのワクを上部に九十度上げるという操作をしなければなりません。その上げるところの操作につきまして、先ほど言いましたように、操作についてどうしたのかという点が実は具体的に解明できておらないのでございますけれども、いずれにしても、展張したあと、人が入るために九十度起こさなければならぬわけです。これが起きていないかっこうでございます。
  93. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、救助袋の一番下は、とめ金がありますね。このとめ金は、この場合あったのですか。
  94. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 この救助袋は下で展張するという方式になっておりまして、とめ金はございません。先般第二議員会館で訓練をやりましたときの救助袋は、下にとめ金がありまして、それでとめておりてくるという方式でございますが、このものは展張式で、下のほうで展張するという方式で、とめ金はございませんでした。
  95. 坂井弘一

    ○坂井委員 とめ金のない救助袋、そういう御説明ですからそのとおりなんだろうと思いますけれども、とめ金がなくて、下でささえるのでしょうか、人間が持つのでしょうか。私が調べたところでは、下の地下街の工事があって、それでとめ金をつける部分がなかった。したがって、これは救助隊として正常な状態に置くことができなかった、つまり紛失をしておったという話を聞くわけですけれども、そういうことについて、事実そうであるかどうか、あるいはいま御答弁ございましたとめ金は一切要らないんだ、とめ金のない救助袋なんだという御説明がほんとうなのかどうなのか、その辺のところがちょっと理解に苦しむわけですけれども、もう少し具体的に説明していただきたい。
  96. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 この救助袋は、下のほうで、地上にあらかじめ環を固定させてありまして、そこで環にそれを固定しておりてくるという方式でなしに、下のほうで人間が展張して、そしておりるという方式の古い型のものでございました。   〔「図面を書いて説明すればすぐわかる」と呼ぶ者あり〕
  97. 高田富之

    高田委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  98. 高田富之

    高田委員長 速記を始めてください。
  99. 永瀬章

    ○永瀬説明員 この袋は二本のロープでささえられておりまして、それに天井になる部分に布がございまして、下の部分が、二本のロープにたるませるようにして袋になっております。その地上部分に、上に張っております二本のロープの末端に近いところに、さらに取っ手が二カ所ずつ両側についておりまして、ここで人が持って下をささえる形式の古いものでございます。一般的には、現在のものですと、下の固定環に取りつけるような形式になっておりまして、これがもうほとんど全部でございますが、古いものでございましたので、人が持つ形式のものがつけられたものでございました。
  100. 坂井弘一

    ○坂井委員 それじゃ、もう一つ聞きますけれども、その一番下の、地上におりる一番先端ですね、そこに取っ手はこの場合ありましたか。
  101. 永瀬章

    ○永瀬説明員 このものは、初めから取りつける形式のものでございませんで、地面に埋められました固定環はございません。  なお、現場を見ますと、これをまっすぐ引っぱりますと、あの千日前のアーケードのあたりがございますが、それのほぼ中心ぐらいまで引っぱる形になるわけでございますが、要するに固定環は、下は設けてございません。
  102. 坂井弘一

    ○坂井委員 固定環じゃなくて、ロープの一番先の取りつけ金具です。
  103. 永瀬章

    ○永瀬説明員 ロープの一番先の取りつけ金具はございません。これは先ほど申し上げました袋自体の末端に近いところに、人が持つ部分が左右それぞれ二カ所ずつつけられておりまして、そこで人が持って袋をささえる形式でございます。
  104. 坂井弘一

    ○坂井委員 これの議論をしてもどうもむだなようでございます。私の調べたこととちょっと違うように思いますので、私のほうも正確を期しますので、なお調べてみたいと思います。  この救助袋がとにかく開かなかったということですね。ネズミにかじられて、二十センチとか三十センチの穴があったとかいうこともいわれておりますけれども、いずれにしても、全然開かぬというような救助袋なんということはどうも理解に苦しむわけですがね。このことに対しまして、四十五年十二月以来三回にわたって、消防庁のほうでは、この救助袋を補修しなさいということを言っておりますね。さらに、四十六年八月十三日の立ち入り検査の際にも、取りかえを命じておるわけですけれども、それが一向に改善されてなかった。こういう経過をたどってきておるわけですけれども、そういう状態で何回も何回も査察して、何回も何回も取りかえなさい、補修しなさいということを言いながらもそれが改善されない。消防庁としては、そういう点は非常に甘かったといいますか、せっかくの査察をしながら、こういう大事な——最後の一線ですよ、救助袋は。長い間こんな使いものにならないような救助袋が置かれてあった。私は大失態といわざるを得ぬですね。この場合、最後の望みの綱です。なぜもっと強力な指導をし、改善命令を出す——罰則規定も四十一条にございますよ。だから、使用の禁止の措置だってとれるじゃないですか。そこまでなぜ前向きで指導なさらなかったのでしょうか。
  105. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 予防査察の結果、トレースが十分でありません。その点はまことに御指摘のとおりでございます。これは私が就任した以来の事件としても、水戸の中央ビル火災等についても、同様の例がございました。一つは、御指摘のように改善命令を出して、そして罰則という問題がございます。いずれにしても、そういう罰則的な担保の前に、いまのような補修程度のものをなぜさせることができないのかということについては、単に一片の通達を出してどうするという問題じゃございません。私は、水戸の火災のときには、先ほど大臣のときにお話がありましたとおり、告発までもやれ——要するに、まず第一番に文書で期限を指定してやれ、そしてその期限が来ても何ら改善の届け出がなければ、みずから行って確かめた上で措置命令を出せ、措置命令に違反したら告発をやれということは、昨年の一月にも同じ事件でやっております。たとえば先生御案内のとおり、大阪の木造三階アパートについては告発をやった例がございます。  確かにこういう消防の姿勢の問題を責められても、私はほんとうに残念だといわざるを得ませんが、これを改めるのにもう一つの方法は、先ほどある先生の御質問にありましたように、結果を公表するという問題があると私は思うのです。この点は、大然閣ホテルが焼けましたあとに、ホテルを中心に予防査察、総点検をやっていただきましたときに、東京都では九件不適当なものについては公表しております。その結果、業者のほうからも非常に苦情があったようでございます。苦情があったというのは、お客さんのほうから問題があって苦情があったようでございますが、それが促進剤になっております。そういうようなやり方を考えて、どうトレースするかという問題については、私たち今回の消防長会議におきましても、予防査察のやりっぱなしの問題をどう解決していくのかという点について、ほんとうに自治体消防としてもっと取り組み方をいろいろな方法で考えていかなければならぬ、こう思っておりますし、その点は、全国消防長会議でも会議の議題に取り上げておりますので、今後、御指摘になるような点については、私たち一そう現地の消防と協力をし、いろいろな方法でトレース、実現していくということをぜひやらなければならないと考えておるところでございます。
  106. 坂井弘一

    ○坂井委員 長官、今日までこういう雑居ビルの火災、災害というものはもう続発してきているわけですね。そういう中で、不幸にして今回の大惨事に至ったということであります。消防庁は、たいへん御苦労なことだと思いますけれども、何回も何回も査察に入り、立ち入り検査をするつどつど、そこで幾つかの問題点を指摘し、改善の勧告をする、再査察もやるという御苦労を重ねられながらも、それが一向に実行されない、守られない、ここに非常に大きな問題があるので、これは全国的にたいへんなことだと思うのです。それを今度は再査察をやったって、手抜き査察じゃないかというようなことも一部ちまたにはうわさもされる、非難もされるというようなことに相なってまいりますと、消防庁本来の防災という立場から、これはむしろ、ここまでやりながらそういうことを言われることはきわめて心外だ、おたくの立場からすればそうかもしれませんけれども、しかし結果論として、こういう事故を起こしてしまうと、そういう非難もあえて甘受しなければならぬというようなことに相なると思う。  私は和歌山ですけれども、ことしの二月二十五日の椿温泉のあのホテルで三人死者を出しました。これも全く同じです。従来起こってきたところの災害、火災を見てまいりますと、ずっと問題点は同じことばかりを何回も何回も繰り返され、指摘され、そのつどつど何とかしよう——そういうことの経緯をずっと踏まえてきますと、消防庁としては、こうした査察の面につきましても、立ち入り検査の面につきましても、ただ単なる一片の勧告に終わるんではなくして、いま長官もおっしゃっておりましたが、これはやはり結果を見るというところまで、査察の内容等についても、法の運用等について毛検討していかなければならぬのじゃないか、実はそう思うわけです。そうした対処の具体的なあり方については各省との関係等もありまして、非常に問題も多かろうと思いますけれども、どうかひとつそういう前向きの姿勢で取り組んでいただきたいと思います。  もう一つお伺いしますけれども先ほど自治大臣にも伺いました共同防火管理者ですね。千日ビルの場合は、それが置かれてなかったんですね。六階以下と七階は別になっておった。このことに対しては、すでに大阪市消防局ではそれまで調査に行かれまして、そういう点についても事前にわかっておったはずだと思うのですけれども、具体的にどのような指導をなさってきたんでしょうか。
  107. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 防火管理者の問題については、いま御指摘のありましたように、千日デパートのほうはデパートとして定まっておりました。それからプレイタウン、ギャバレーのほうも防火管理者としては支配人が任命されておりましたが、全体の共同防火管理というものについての組織ができておりません。この点について昨年、十二月だったと思いますが、関係者を招集いたしまして、共同防火管理体制の組織づくりということについて南消防署を中心に協議を開いておりまして、われわれの聞いたところによりますと、南地下総合共同防災管理協議会、あの一帯を含めました協議会の規約もできて、そしてその規約を承認をし、だれを総括防火管理者にするかというところまでいっておりましたが、たまたま六階の遊技場について工事をやっておりましたので、それを待ってということで一応規約その他は整えておるかっこうでございました。したがって、今回火災が起きた場合におきまして全体を統括する防火管理者がいなかったわけでございますが、消防側としては、そういう手順を踏んで組織づくりについて指導をしてきた現状でございます。
  108. 坂井弘一

    ○坂井委員 それから二階から四階の火災の煙を七階まで運んだというこの主犯ですね。これは排煙筒がございますね。この排煙筒には煙が上へ吹き上がるのを防ぐために防火ダンパーというんですか、これが取りつけられてある。これは千日ビルの場合もあるんですね。これがさびついて作動しなかったということがいわれているわけですけれども、これは事実ですか。
  109. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 大阪消防局の調査によりますと、作動しなかったということは事実でございます。
  110. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは、昨年の十二月に立ち入り検査をなさっているはずですけれども、そのときには、このことについては指摘なさったのですか、どうですか。
  111. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 消防としては、消防法に基づく消防施設の検査はいたしますけれども、建築基準法に義務づけられているいわゆる構造上の問題については、建築当局のほうでこれをやるということになっておりまして、したがって、あの査察のときにもこの点については指摘をしておりません。
  112. 坂井弘一

    ○坂井委員 どうもそういうところが少し連携がおかしいですね。建設省おいでになっていらっしゃると思いますけれども、建設省は建築基準法に基づいて建物の建設の許可をした。その後においても建物の検査等なさっていらっしゃると思いますけれども、いまの防火ダンパーについてはいかがですか。
  113. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 お答えいたします。  既存の建築物につきましても当然立ち入り検査いたしまして、不適当なところがあれば改善命令を出すというようなことをしなければならないわけでございますが、大阪市の当局の話によりますと、従来二、三年ホテル火災が相次ぎましたために、ホテル、旅館等のそういった既存建築物の査察に主力を注ぎまして、あのビルに対して査察が行なわれなかったというようなことのようでございます。
  114. 坂井弘一

    ○坂井委員 いまの問題は非常に問題があると思うのですがね。これは法改正の際に、こういう点も含めて既存の建物についても防火ダンパー等どうするかということも御検討いただきたいと思いますね。  もう一点、建設省にお聞きしますけれども、階段が四カ所あるのですね。ところが、その階段の近くよりも、遠く離れた西側、ここで四十五人倒れておった。なぜだろうかというわけで、非常におかしいというので調べたところが、四月の末まで六階に通ずる幅十メートルの広い階段があった。その階段があると思い込んでこの西側へ四十五人が殺到した。ところが、これがつぶされておった。なかったというわけですね。これは無届けで階段をつぶしてしまったのですか。
  115. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 この建物は、御承知のようにプーレイタウンが従来六階まで一緒に使っていたわけでございます。そのために階段が設けられていたわけでございますが、今度六階部分をプレイタウンを廃止いたしまして、そこをボウリング場にするというような工事をちょうど現在進めていたわけでございます。そのために、これは用途が全然違いますので、これはむしろ建築基準法のほうからいいますと、用途が違うところは耐火構造の壁あるいは鉄のとびらで区画しろというようなことに相なります。したがいまして、むしろふさぐのが当然でございます。ただ問題は、こういうふさいだということを従業員が知らなかったというところに問題があろうかと思います。  それから、御指摘の建築基本法の届け出につきましては、これはキャバレーからボウリング場への用途変更でございますから、届けば要りません。しかしながら、実体的な規定は適用になりますので、当然実体的にはそこをふさがなければならないというようなことに相なろうかというように考えております。
  116. 坂井弘一

    ○坂井委員 確かに問題があるようですね。なお深くは私また次回に譲りますけれども、いずれにしましても、全部通路はふさがれておった。上へも行けなければ下へも行けない。エレベーターはとまっておる。窓から飛びおりるか、はしご車が来てもらってそこで救いを求めるか、ないしは救助袋を伝ってすべりおりるか、それしか方法がない。こういうような異常な状態に置かれるということは、これはどうも常識的にもちょっと考えられない。建策基準法の問題等、そういういまの改造等の工事に関係しましてかかってきますけれども、そこら辺にもやはり通路を、避難路というものを根本的に考え直さなければならぬじゃないか。そうした場合に、一つには屋外に避難のための段階を設けるというようなことは当然考えてしかるべきじゃないか。これを義務づけるような方向に検討なさるような御意思はございませんか。
  117. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 御指摘のとおり、屋外に設けた階段が避難上有効だということは私どもも承知しております。ただ、実際の建物になりますと、いろんな通路等の関係から屋外に設けられない場合もございまして、その場合には、階段とほかの部分とは必ずドアあるいはシャッターあるいはコンクリートの壁で区画しろというようなことに相なっているわけでございます。特に超高層の建物とかあるいは百貨店とか、そういうものにつきましては、一ぺん外に出て、そして屋外階段と同じような構造でございますが、特別避難階段というようなものを設けさせるように義務づけてございます。あのプレイタウンにつきましても、これは完全に法規に合っているかどうかわかりませんが、法律上義務づけられているわけではございませんが、屋外に階段が二つございまして、その外側に、かぎがあいていた階段でございますが、その階段は、大体一ぺんバルコニーに、外に出てから階段に通ずるような特別避難階段的な構造になっていると思います。
  118. 坂井弘一

    ○坂井委員 さらに一点伺いますけれども、四十七年度防災白書によりますと、建設省のビル、地下街の防煙設計法の研究費、これは減額されておりますね。複合ビルの災害に対しては、煙害、煙の一酸化炭素あるいは新建材によるところの塩素ガス等の有毒ガス、このガス、煙による災害が一番大きかろうということはもう前々から言われておることでもありますし、また、従来の経験からしましても、煙害による被害というものが、死者なり負傷者なり見ますと、比重は一番多い。その煙害に対する研究費が減額されるというようなことはとんでもない話じゃないかと思うのですが、とうですか。こういうことで実際できますか。
  119. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 煙害の研究費の問題でございますが、これは建設省の建築研究所でやっておりまして、私つまびらかには存じておりませんが、実際の研究費につきましては、一番金を食いますのが研究をやるための試験装置でございます。したがいまして、試験装置をやる際は非常に金を食いますが、あとそれを使って研究していく段階では、必ずしも金はそう要らないというような部面もあろうかと思います。そういう関係で減額になっているのじゃないかと私、想像するわけでございますが、今度の火災に際しまして煙害が非常に大きかったということから、煙害の研究をもっと根本的に進めようじゃないかということで、消防庁ともお話しいたしまして、現在科学技術庁のほうの特別調整費をもらって、そして本年度は、もっと大じかけな研究をやろうじゃないかということを相談中でございます。
  120. 坂井弘一

    ○坂井委員 白書によりますと、この四十七年度の防災関係予算の総額が七千七百三十八億三千一万、前年に比べますと約一千八百六十九億ふえております。しかし、治山治水の国土保全に対しましては三千八百九十六億四千万で、これは予算の約半額がさかれておりますね。そうすると、その災害予防費というものは、総額が約三分の一しかないわけですよね。消防庁、いかがですか。非常に少ないと思いますね。まさに先ほど自治大臣おっしゃったとおり、これは防災だ、それに力点を置かなければならぬ。考え方としては全くそうだと思います。しかるに、この防災関係予算においてこのような微々たるもので、はたして万全を期することができるかどうか、姿勢としてはきわめてうしろ向きだと思うのです。これはうんとひとつ要求しよう。大蔵大臣は要らぬところをけちってさいふのひもを締めたがりますけれども、こんなところを締めさせちゃいかぬと思いますね。いかがですか。
  121. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 安全投資の問題につきましては、国におきましてもあるいは民間におきましても、やはり予防を中心に当然やるべきものと考えております。消防庁としては、補助、起債等につきましては、前年より約二割ぐらいの伸びを示す予算をもって本年度からさらに積極的に助成をしていきたいと、こう考えておるところでございます。
  122. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が来たようでございますので、私は、聞きたいことは、こまかなことがたくさんあるのですけれども、やめておきたいと思いますが、たとえば、中央防災会議内容等にいたしましても、実際的には、先ほども大臣がおっしゃっておりましたが、なかなか内容において問題があるのじゃないか。専門職員等の問題もあるでしょう。事実、防災会議において前向きな積極的な防災対策がここから生み出されていくかということになりますと、はなはだ私は問題が多いと思います。ですから、こういう点についても、また後の機会において十分ひとつ聞いてまいりたい、こう思っておりますが、最後に、先ほど出ましたが、犠牲者に対するあとの補償の問題と同時に、さらに負傷者でいま入院中の方が十名か十一名いらっしゃる。それらの方々が一酸化炭素中毒の症状を訴えておる。こうした方々に対しては、もっとひとつ慎重な配慮をしていただきたい。高圧酸素の一施設のあるような病院に早く搬送するなりすれば、こうした症状はあらわれなかったのではないか。しかし、いまからでも、おそいといえばおそいですけれども、何とかひとつ万全の策をとるべく施設の完備した病院に移すというようなお考えをなさったらいかがでしょうか。脳神経をやられる。非常にこわいわけです。時間がたてばこれがなおるというような問題ではない。従来しばしばそういう経験をしております。しかも、十名ですか十一名ですか、そのうちの四人までがいまそのような症状を訴えておるわけでありますので、こういう人たちに対するあとの万全のひとつ策を講じられるように要求いたしますとともに、そのことに対する御答弁を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
  123. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 ただいまの御質問、全く同感でございまして、補償の問題でも、大臣は、現地におきましても、それからこちらに帰りましても、私どもと相談しながら市長のほうにいろいろあっせんの協力方をお願いをして進めております。いまの問題もその一つとして、ぜひ私のほうからも連絡をして万全を期するようにいたしたいと考えております。
  124. 高田富之

  125. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まず最初に、千日前の事故につきまして、最近の週刊誌に、こうやればビルの火災から助かる、こうやれば煙の害からのがれられる、その救済法十カ条を教えますとか、いろいろな興味本位的な週刊誌の記事が載っておりますが、消防庁はこの記事をお読みになりましたか。
  126. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 私はまだ読んでおりません。
  127. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まことに不勉強だと思うのですけれども、こういう大きな週刊誌が、各社が連続して書いております。その中で、このような方法で助かるとか助からないとかということが出ておりますが、これをどう受けとめますか。
  128. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 実は私は読んでおりませんので、ちょっとお答えしかねると思います。
  129. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 総理府の方、お願いします。
  130. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 私、読んでおりませんので、確たる御答弁はできません。
  131. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 こんな答弁じゃ質問を続けられませんよ。大事な問題について、これはどうしたのですか。
  132. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 まことに申しわけございませんけれども、事実は読んでおりませんので、そうお答えする以外に方法はございません。
  133. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 少なくともこれだけの百十八名ですかの方々がなくなられて、当然こういう問題が週刊誌や一般誌で提起されてくると思うのです。週刊ポストにしても週刊現代にしても週刊読売にしてもサンデー毎日にしても週刊朝日にしても、もう各社一斉に全部載せてあります。それを一冊もお読みになっていないのですか。ましてこの中には重大な提起がされているのです。  人間の生命を尊重しなければならない問題について、各社それぞれ問題の取り上げ方にまことに違いがありまして、私がきょう取り上げて問題に持ってきた六月一日の週刊現代では、ビル火災で助かる法はこれだけある。その前にも、ちょっと名前を言いませんが、各誌に、助かる方法は十カ条ある。こういう問題を記者が読んでおりまして、このとおりのことを実行してもしも助からないで事故が大きくなった場合には、だれが一体責任を負うのか。どこでこれはチェックするのか。こういう大事な問題を週刊誌がぼんぼん書いている。いろいろこういうふうにすればビル火災から助かるんだ、こういうふうにすれば煙の害からのがれられるんだということを提示している。その問題を、こういったいまの情報化時代、マスコミ時代に、どんどん売らんかな主義であったかどうか知りませんが、私はこれを読んでいて、各社の言っていることが違うのです。それをそのとおり実行した場合には一体どうなるかということなんです。これについて一体どう思いますか。
  134. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 マスコミといいますか、そういう方面でいろいろお取り上げになることは、たいしてどうのこうのということは私は申し上げません。私たちはやはり私たちの立場で、現に大阪市におきましても、御案内のとおり、この十四日、十五日からこういう複合ビルあるいはキャバレーというものについて、重点的に責任者を呼びまして、そして実際の今回の事故にかんがみてどうするということについてさらに徹底指導をしておるところでありまして、私たちの立場としては、やはりそういう立場において指導をしていくということをやりたいと思っております。
  135. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、そのほうの指導がもちろん一番権威ある指導方法ですが、そんなものはだれの目にも触れませんよ。あなた方の指導を一体どれくらいの人が見ているのですか。それよりもこうやって週刊誌に出たほうが——火事はきょうにだって起きるのですよ。これを読んでごらんなさい。このほうが早いですよ。それじゃ一体こういった人間の生命に関する問題は、たとえば週刊現代なら週刊現代が責任を負うものなんですか。消防庁としては、こういった問題は行き過ぎである、こんなことまで週刊誌に載せることは行き過ぎである、消防庁としての厳格なチェックの中で編み出された救助法ではない——一体どうなんですか。書くのはかってでしょうけれども、見て実行する側にとったら、これはいいかげんなことは言っていられませんが、これはどうなんですか。
  136. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 不特定多数の人が集まるときの場所において災害が起きるという場合に、やはりそのときそのとき行った人では、なかなか地形というものはわかりにくいわけでございまして、私たちは、やはりそこの責任者がどうするかということをはっきり自覚をさせまして、そういう避難誘導訓練を中心にやるということをどうしてもやらなければいかぬと思っております。
  137. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そんなことがないから死んだんじゃないですか。誘導ができないし、消防車のはしごが届かないし、消防車のはしごの数は足りないし、どんどん煙が出てくる、火に追われてくるから、自衛手段で飛びおりた。そうしなければ煙に巻かれるのです。だからそのことについて週刊誌が取り上げて、こういうふうにすればキャバレーで飲んでいても助かりますよ、どこそこに遊びに行ってこうなってもだいじょうぶですよということを書いているのですから、実際そういうところに出す——消防庁としては、こういう大事な問題について国民がそのまま認識していいかどうか。いまからでもおそくないんだから、どういう処置をするかということを聞いているのです。このままでいいのですか。
  138. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 その具体的な内容は私は読んでおりませんから、その点に関するお答えは差し控えますけれども、確かに先生のおっしゃるとおり、一般大衆にどういうふうにPRするかという問題がございます。それは私たちのほうで、地震の心得というものについても先般全部パンフレットをつくりました。そういう意味で、地下街とか高層ビルにおける避難というものについてもぜひ考えたい、こう思っております。
  139. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 消防庁長官、こういう問題が多数出ておりますから、この問題については、週刊誌の編集者を呼んで、これは消防庁がそのことについてまだ目を通していない、チェックしていないんだから、こういうことを今後出すことは消防庁に一ぺん問い合わせるなり、こういう人の命に関することをかってに判断した記事を載せてもらっては困る、こういう方式に行くのかどうかということを私は聞いているのですよ。このままうのみにして、このとおりやって——私はやっていることが間違っていると言っているのじゃないのですよ。これが正しいかもしれない。また行き過ぎている場合もあるかもしれません。専門家のあなた方が見た目で、これは確かに野放し状態になっているということがお認めいただけるかどうかということをお尋ねしているのです。
  140. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 野放しというおことばがございましたが、内容についてのお話だと思います。取材その他記事についてとやかく申し上げることはもちろんありません。私たちは、たとえば内政クラブとか社会部のクラブというものがございますので、そういうところについては私たちの資料も配付をして、御説明もして、そういう面からのPRもぜひ考えなければならぬと思います。いまお話がありましたように、プレス関係でいろいろ取材をされたものについてどうするかということについてのお話でございますが、その点は、やはりほんとうにだめなものなら、むしろ私たちのほうのPRを積極的に展開して、正しい避難誘導方法を教える、知ってもいただく、こういうことを積極的にやらなければならぬと考えております。
  141. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この週刊誌の取材で、消防庁に来て現場の記事とか、その当時の模様の記事を書いていることを私はいま問題にしているのじゃないのです。私が問題にしているのは、こうすれば火災現場から命を助けることができるという提案がなされていますから、この問題についていま問題にしているのであって、あなたはちょっと誤解していらっしゃるようだけれども、そのときの記事をどうとったかということを問題にしているのじゃないのですよ。それはいいんですよ。取材は自由ですからかまいませんよ。ただ、そういった現場の情勢をいろいろ判断して、かくすればかく助かるとか、こうこういうふうにすればビル災害からのがれられるとか、こうするんだという自衛方法も提案がいろいろなされているのです。そのことは非常に専門家の目から見れば行き過ぎている点もあるだろう。また、正しい点もあるだろう。また、足らない点も多々あるだろう。じゃなぜ週刊誌にそういうものを早く載せるなら載せる、取材に来たときに、ごうごうと聞かれたときにそれをしゃべっていかないのですか。そのほうがPRが早いじゃないですか。ほんとうの消防庁の権威あるPRは、こういったマスコミで早く知されたほうが一番確実だ。ほかの言っているものは権威がないのだ、われわれとしてはそういうものを伝播されたって、多くの大衆がそれを実践された場合には責任は負い切れない、これくらいの強い姿勢がなかったら、読んだ人はみんなそのとおりに実行しちゃいますよ。その点、私はさっきから聞いているのです。今後の問題を含めて、長官お答えをいただきたい。
  142. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 避難の方法についての取材というものは、私は具体的には受けておりません。それは別といたしまして、いまお話のありましたような点について、先ほど申し上げましたとおり、プレスの関係もございますし、また、われわれ自身のPRという問題もございます。そういう点を通して、私たちとしては、正しい避難のしかたというものについて十分にPRを考えていきたい、実行をしていきたいと考えております。
  143. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私、ほんとうにこういう責任ある立場に立っている者が関心がなさ過ぎることについては、まことに遺憾であると思います。これだけ何冊も出て何回も出ているものを、一回も目を通してないということについては、少なくともこの委員会でもいろいろと問題になっている、真剣さが足りないと思われてもこれはやむを得ないので、この点については、まず重大な警告を発しておきます。今後の問題については、ただいまのようなお答えでは私不満足でありますけれども、厳重にチェック機関というものを設けて、人間の生命、健康、そして財産に関するこういった問題についての提案なり提言という問題については、十分なチェックをしていただきたい。お願いしておきます。  その次に総理府にちょっとお尋ねいたしますが、予算のことについてわが党の坂井さんからもお話があったように、「大規模建築物・地下街の防煙設計法等に関する研究」、これについて昭和四十七年度予算が六百万、四十六年度予算が八百万で、二百万少なくなった、こういうことでございますけれども、その中で、——その点はあとで聞くといたしまして、皆さんからお配りをいただきました「昭和四十七年度において実施すべき防災に関する計画」、この六八ページにございますが、災害予防の「1教育訓練」という項がありますが、その中で、通産省が、四十六年の四千七百万円よりも四十七年度が四千百万円になって六百万円減っております。労働省が、四十六年のときに六億五千四百万円だったのが、実に十一億百万円と、四億四千七百万円も労働省関係では教育訓練費がふえております。これに対して、肝心の消防庁とか、建設省——消防庁は載っておりますが、建設省あたりの教育訓練費なんというのは載っておりません。それで、先ほどの坂井さんについては、総合的な訓練をするとかしないとか言っておりますけれども、どこに一体これは載っているのですか。教育費について、総理府でちょっと御説明をいただきたいのです。
  144. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 お答えいたします。  ただいまの教育訓練につきましては、この防災白書の二章の「科学技術の研究および災害予防」、この中に各対策が盛られているわけでございますが、この中で研究とそれから災害の予防、この「災害予防」の一番最初の項目に「教育訓練」ということが掲げられているわけでございます。これは御指摘のように各災害対策ごとに書いておりますので、多少お読みづらい点はあるかと思いますけれども、たとえば五ぺ−ジを見ていただきますと、その一番下に「災害予防」「教育訓練」というのがございますが、ここに警察庁における訓練あるいは郵政省における訓練という形で、まあこれは共通事項でございますから、そういうことで計上しております。  さらに第二節の「風水害対策」でございますが、科学技術の研究とともに教育訓練については、一四ぺ−ジを見ていただきますと、ここに建設省における教育訓練、それから消防大学校における教育訓練という形で、これは対策別にこのように整理いたしたもので非常にお読みづらくて遺憾でございますけれども、このように御了承いただきたいと思います。
  145. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それはわかっているのです。私も全部一枚ずつ読んでいるのだから内容はわかるのですが、労働省の十一億百万円、約四億四千七百万円もふえた。これは各項目にわたるところの合計が六八ページには出ているわけでしょう。違いますか。
  146. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 そうでございます。
  147. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ところが、労働省がこんなに多くなっているのですが、どこに労働省が出ているのですか。労働省の訓練のあれは出てないのですね。労働省は何をこんなにたくさんお金をつぎ込んで教育訓練するのですか。
  148. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 四四ページでございます。ここに「労働災害防止の人的面における安全衛生を確保するため、安全衛生教育に関する教習科目、教習方法等について安全衛生教育基本要領を作成し、その普及をはかるとともに、安全衛生教育センターを設置し、」と書いてございます。これはそのセンターの施設費と考えておりますが、この施設費がこのような形でふえている、このように御理解いただきたいと思います。
  149. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、安全衛生教育センターをつくるお金なんですか。
  150. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 そうでございます。
  151. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 安全衛生教育センターというものは災害予防のことを教えるわけですね。
  152. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 はい。
  153. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それから、通産省の減額になっておる理由は何ですか。
  154. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 四三ぺ−ジを見ていただきますと、その他の対策事項に入るわけでございますけれども、「鉱務監督官の研修等」の経費で、ここに前年度予算二千八百万、これが二千二百万になるとか、この関係費が落ちているわけでございます。
  155. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いや、これによると違うでしょう。四千七百万円が四千百万円になったわけでしょう。二千万じゃないでしょう。
  156. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 この一番最後の表は、全体の各種災害対策をそれぞれ集計したものでございます。その内訳を申し上げますと、いま御説明したような四三ぺ−ジに出ております事項、これが減少の対象になる、このように御説明したわけでございます。
  157. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 けっこうです。この予算内容が、私どもこの白書をいただいておるのですけれども、照らし合わせてみても、あまり明快にわからない。そのためにこういう質問が出てくるのでございますが、もう少しこの白書をわかりやすく、もう少し詳しくお書きになるようなことはできないですか。
  158. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 実は四十六年度までは白書は各省別に網羅的に書いてございました。それで非常にわかりづらいのではないか、災害対策別に、その項目ごとに分類して書くべきではないかというような各般の御意見がございまして、四十七年度からは、これは各省の絶大な御協力を賜わったわけでございますけれども、このような災害対策別に整理させていただいたということになっております。その結果、ただいま先生から御指摘されたような、あまり詳しく分けました関係で、どこに減の原因あるいは増の原因があるかということが理解できがたいような、そういう欠陥があるわけでございますけれども、今後防災白書のつくり方については、さらに御指摘の点も含みまして十分検討させていただきたい、このように思っております。
  159. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 消防庁の降矢長官にお尋ねいたしますが、高性能呼吸器具とはどういうものですか。
  160. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 現在用いられておる空気呼吸器は、最大活動の量としては三十分であります。訓練時には二十分でこれをやっていますが、実際の活動時になりますと、せいぜいどんなに持っても十五分以上は持ちません。それからもう一つは、あれは高圧ガス取締法の適用を受けますので、非常に重いボンベになっております。したがって、あれを全装備しますと十五、六キロになります。二つの欠陥がございまして、消防研究所におきましては、もっと長い時間持続できる呼吸器具、それからもう一つは、もっと軽量なものにするという二つの問題をとらえまして、研究所のほうでこれを開発すべくいまかかっておるところでございます。
  161. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、この間の大阪の千日前の事故のようなときには、消防士の方はガスマスクもしくはこういった呼吸器具をつけなければ入れない状態ですか。
  162. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 消防関係の方があの火災の最中に入りました部屋は一カ所ございます。それは北側に面したタレント控室というところでございます。それ以外は入っておりません。それで、明け方になりまして、五時八分に初めて入りました。それは当然空気呼吸器をつけて入ろうとしたわけでございますが、濃煙と熱気で全く見通しがつきません。そういうことで入れませんでした。いまのお話のように、当然煙とガスの問題がありますから、ガスマスクを当然つけて進入しなければならぬわけでございます。  もう一つは、やはりいまつけております、普通ごらんになっています防火服、あれは主として輻射熱を対象にして考えているものでございます。ほんとうに二百度、三百度になりますと、とてつもない耐火服みたいなものを開発しなければならぬわけでございますが、この点が実は消防活動上非常にむずかしい問題でございます。  いずれにいたしましても、ガスと煙の中で放水し、救助活動をするというためには、やはり私が先ほど申し上げましたように、新しい高性能の空気呼吸器というものをどうしても開発していかなければならない問題がございます。
  163. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 難燃性のポリ塩化ビニールについては、これは燃えたときに塩化水素は出るのですか。
  164. 原野律郎

    ○原野説明員 難燃化処理をいたしましても塩化水素は出ます。
  165. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設省では、JISのマークをつけている塩化水素の出るものについては今後も販売させていくのですか。
  166. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 現在建築基準法によりまして三階以上の建物、そのほか特殊建築物は当然でございますが、内装の不燃化、難燃化ということを義務づけられております。その中で、現在の試験方法の中では、煙につきましては、一定量の煙を出すものは不適格というような試験方法になっておりまして、有毒ガスにつきましては、いまJISにきめられております試験の中で有毒ガスを出さないことというような抽象的な表現になっております。この点につきまして、昨年来そういった有毒ガス等の発生量等につきまして試験方法を確立すべく、建築研究所のほうで研究を進めてまいっておりまして、ことしの秋ごろには結論が大体出せるのではないかというような段階になっている次第でございます。
  167. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 先ほど答弁では、難燃化したポリ塩化ビニール材料について塩素ガスが出るという。そういう強烈な毒ガスが出るものを、その実験が終わるまでは販売をさせ、JISのマークをつけて安全性をうたって市販されていることについてはどう処置するのですか。
  168. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 確かに塩化ビニールにつきましては、塩素ガスあるいは塩化水素等が微量出ることはわかっております。しかしながら、従来の火災の結果等につきまして、いろいろな解剖の所見等を見ますと、結局そういうような一酸化炭素以外の毒ガスによります死因というものが判然としない。ほとんど死因は一酸化炭素か酸素不足であるというようなことになっているようでございます。今度の千日前のデパート火災もそうでございましたが、ただ、確かに先生指摘のように塩素ガス等が出ることは事実でございます。したがいまして、その辺の、どの程度出るのか、どの程度出た場合に危険なのかというような判定を現在進めているわけでございます。
  169. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私どもの資料をいただいたのによりますと、一番出るのはビニールタイルで、これが塩化水素が三・七、それからいま申し上げました塩化ビニール板が、屋根なんかに使っているのが〇・一、そのほかレーヨン、ナイロン、サラン、アクリル、発泡性ポリウレタン、こういうものにも塩化水素並びに一酸化炭素、それからひどいのになりますとホスゲンガス、こういうものが出ると記録されておりますけれども、今回の大阪の事故については、まだ詳細のことはわからないにせよ、相当な各種の毒ガスが出ておると思いますが、現在までに判明した点を御説明いただきたい。
  170. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 これは私けさの新聞で知ったわけでございますが、遺体二体の解剖結果が、阪大の医学部だったと思いますが、捜査当局に報告されたという記事が出ております。その結果によりますと、二体の解剖結果は、一酸化炭素中毒とそれから酸素不足によるものであって、その他の有毒ガスは検出できなかったというような報告がなされております。
  171. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その毒ガスを吸う前に、酸欠空気ですか、これで倒れたというようなことも言えるわけですね。だから、毒ガスを吸う前にもう死亡状態になっていた、即死状態になったということで、必ずしも肺の中にそういうものが認められなかったということで、きょうのわずか二体の例でございますから、これをもってガス対策を行なうということは非常に危険であると思うのです。そのために、消防関係の方でさえも、ガスマスクをつけていても入らない。消防庁長官、今回の事故においては、ガスマスクを持ってどのくらい出動したのですか。それは総出動員数の何%持っていたのですか。
  172. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 空気呼吸器は五十三使いました。もとよりこれは交代を要するものでございます。したがって、いま総人員で何割ということは承知しておりませんが、当然交代をして終夜活動したわけでございます。
  173. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この問題についてはまた後ほど詳しく聞くといたしまして、全国消防長会総会が十八日開かれて、高層ビルの地下街の規制について行なわれたわけでございますけれども、業種別の用途制限をし、可燃物の量も各階ごとに規制する。二番、ビル内の店や事務所内の内装に不燃材を使うよう義務づける。三番、非常口のとびらは、火事や地震のときに自動的に錠がはずれる装置をつけるなどの緊急決議がなされております。これを今後どのように受けとめていくのか。  一については、雑居ビル管理者が異なった場合、消防法第八条の二に共同防火管理が規定されております。なお、これは昭和四十二年十一月の消防審議会の答申には、十一階以上の階には不特定多数の人が集まる施設はつくるべきでない、こういうことが出ております。  二については、建築基準法施行令第百二十九条に該当しますし、三については、同じく施行令百二十五条の二に規定しておりますが、これについてはどういうふうに受けとめていったらよろしいのでしょうか。
  174. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 私たちは率直にいいまして、当然の要望だと考えております。  第一番の共同防火管理体制の強化という問題は、先ほども御答弁申し上げましたが、現在の雑居ビルに対する消防関係の施設というものについて、施設ごとにそれぞれの基準を当てはめてやるという考え方をとっておりますが、これは全体としてとらえてものを考えるということに改めなければならぬ。  それからもう一つは、雑居ビルにつきましては、それぞれの施設者が話し合いをして総括共同防火管理者というものを置くことになっておりまして、そのなった人間が何をするかということについては、それぞれ話し合いできめよということになっておりますけれども、この点については、私は、早期発見、早期通報、早期避難誘導というものについては、施設を統一するとともに、そこに指揮系統の命令を与えなければならぬと考えております。  それから、用途制限あるいはその他建築関係のことにつきましては、これは建設省の方もおられますけれども、われわれはすでに話し合いを始めておりまして、先ほども大臣がその点についても御答弁申し上げましたが、そういう点についてさらに検討をした上で防災会議のほうに提出をして意見の一致を見るように努力いたしたい、こういう考え方でございます。  それから、消防施設の遡及の問題がそこに提案されておりますが、その点についてもぜひ考えてまいりたい。特に大量可燃物というものについてのスプリンクラーの使用については、何とか遡及適用という問題をぜひ実現いたしたい。それから自火報についても同じような考え方で進めていきたい、このような考え方作業を進めておるところでございます。
  175. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間が参りましたのでこれでやめさせていただきますが、最後に、救仁郷さん、これはお互いに建設関係でいつも議論になっているのですが、昭和四十五年の建築基準法の改正の例の磐光ホテルですか、あのときで排煙設備等が義務づけられた。これは新しい建築物についての義務づけであると思いますが、既存建築物のこういった問題については、どのようにわれわれ考えていったらいいのか、またどのようにこれは処置したらいいのか。私は、こういう問題について、建築基準法と消防法との問題について、各所管の消防庁や建設省がこういった査察をし、もしくは検査をするときにばらばらであったのでは困るので、この間来たときには建設省が来て、こういうところを直せと言っていった、今度来たら消防庁が来て、こういうことを義務づけていくようにと言った、これではまことにばらばらでございますから、できるならばペアで査察を行なったり、または視察を行なったり、検査をしたりすることができないだろうか。こういう問題等をお答えいただきまして、私、あとたくさんありますけれども、お約束の時間が来たようでございますからこれで失礼させていただきますが、お答えいただきたいと思います。
  176. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 既存建築物の不適格な部分につきましては、私ども従来どちらかというとサボっていたというような御指摘を受けてもしかたないと思います。今回の事件にかんがみまして十分な査察をやりまして、そして必要があれば十条の命令で是正をさしていくという強い態度で臨みたい、こういうように考えております。  それから、消防当局とのぺアの査察の問題でございますが、これは御指摘のとおりで、年二回やっております一斉査察につきましては、これは当然消防のほうと一緒にやっておりますし、今度の雑居ビルの点検につきましても、消防のほうと御連絡をとり、そして一緒に査察するというような体制をとっております。しかしながら、日常の査察につきましては、私どものほうの査察の手が非常に弱体でございます。そういった関係で、私どものほうとしては、そういった機構を整備するとともに、消防当局と十分御連携をとって日常の査察も強化してまいりたい、こういうように考えております。
  177. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 先ほどもその御質問をいただきましたが、私、当然のことだと思います。特に建築行政も市長の仕事であり、消防も市長の仕事である、市民に対する関係は全く同じでございます。その点を非常に強調いたしております。なるほど日常個々の問題はともかくとして、こういうような特殊の地下なり高層ビル、雑居ビル、ホテル、こういう不特定多数の人が出入りするようなところについてはそれぞれ共同の査察を当然やって、同じような姿勢のもとにそれを実行していく、こういうことをぜひやらなければならぬし、今回もそういうことで指導をしてやっておるところでございます。
  178. 高田富之

    高田委員長 小宮武喜君。
  179. 小宮武喜

    ○小宮委員 今回の大火災の原因は、三階の衣料品スーパーでの電気工事人のたばこの不始末だということがいわれておりますが、もちろんこの捨てたばこをした人が一番悪いにはきまっておるのですが、われわれが考える常識では、その三階の衣料品スーパーへ外部から工事人が入ってくるというような場合に、特に衣料品スーパーであればなおさらのこと、やはり盗難の問題、それからまたあと始末の問題、こういうようなことについて、その工事が終わるまでだれかが一人残って、工事が終わってからそれを確認して帰るというのが常識だろうというふうに考えるのですが、もしかりにそうしておったならば、この不始末のたばこは早く発見され、そして災害も未然に防止され、こういうふうな大事故に至らずに済んだのではないだろうか、こういうふうに考えるのですが、この場合だれか居残っていたのですか。
  180. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 御質問ごもっともでございまして、この火災においては、御指摘のように工事の現場には居残っておりませんでした。しかし、いまおっしゃったような趣旨で、大阪の消防のほうにおきましても、百貨店等における工事現場の防火指導ということで、いまお話があるようなことを含めたものを指導として出しております。実際この場合には、お話を承りますと、工事がさして大きくないということで、いま御指摘のようなことをやっていなかった。そのかわり、いろいろな防火上の注意事項というものを工事責任者に管理部次長名で渡しまして、実際の指導をやっております。そういった経過がございます。しかしながら、工事現場にいなかったということは事実でございまして、そういう点については、やはり防火の責任を持つ者として、施設者、管理者という立場において、先生のおっしゃったようなことをやるべきものと考えております。私たちも、そういう指導を今後も強化してまいる考えでございます。
  181. 小宮武喜

    ○小宮委員 消防法の第八条で、「火気の使用又は取扱いに関する監督、」それから最後に「その他防火管理上必要な業務を行なわせなければならない。」ということがはっきりしていますね。やはりこういうふうな工事の場合は、防火管理者というのは、管理する責任の範疇に入るわけでしょう。そうすると、ただ七階の問題だけが非常に騒がれておりますけれども先ほど大臣も、やはり消防というのは火災を未然に防止するのが本来のあり方だということを言われておりましたし、こういうような問題も、今回の経験を通じて問題になるのではないかというように考えるのです。だから、その防火管理者に対するそういった問題の指導というのは非常に大事ではないかというように考えております。  まさに居残っておらなかったということで、これはいま防火管理者に対する罰則規定があるわけではないし、どうにもならないと思うのですが、しかし、これが結局百十八名の方々を死亡させ、四十八名の重傷者を出し、けさの新聞によれば、中毒患者で十名が入院したというような問題のそもそもの発端になっているわけですから、その意味で、防火管理者の責任というものは非常に重大ではないかと思うのです。防火管理者に対しては、八条によりますと「政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、」ということになっておりますが、「政令で定める資格」とはどういうようなものですか。
  182. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 消防法施行令の第三条に書いてございまして、一つは「消防本部」あるいは「その他自治大臣の指定する機関が行なう防火管理に関する講習会の課程を修了した者」「学校教育法による大学」その他において「一年以上防火管理の実務経験を有するもの」あるいは「市町村の消防職員で、管理的又は監督的な職に一年以上あった者」こういうふうな者を書いてございます。
  183. 小宮武喜

    ○小宮委員 特に今度のこの火災で、支配人の防火管理者がまっ先に自分だけ避難して逃げてしまったというような問題等を考えた場合に、やはり防火管理者というものの責任は非常に重大である。こういうような火災の場合に、従業員とか、またお客さんを誘導すべきその責任者の方々がまっ先に逃げるというようなことも私は非常に問題だと思うのですが、これに対して、今後何か罰則規定でも設けるというような意思がないのかどうか。  それと、いまの「政令で定める資格を有する者」という中で、これも非常に簡単な資格のようですけれども、むずかしい国家試験というようなものではなくても、もっと資格を得る場合には、そういったきびしい条件を付してもいいのじゃないかというような感じがするのですが、いかがでしょうか。
  184. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 後段のいわゆるきびしい教育、講習あるいは条件というものについては、私はさらに検討したいと考えております。  それから前段の防火管理者に対して一定の罰則をもって担保するという問題でありますが、実は御案内のとおり、防火の責任者というものは、その施設の所有者あるいは占有者、会社でいえば社長ということでありまして、防火管理者は防火に関する専門的知識を持っておる者、すなわち、その使用人として、いわば事務官のもとに専門家がいるのと同じように、防火管理者を使用人として使う。それは八条にもその趣旨の規定をしておるわけであります。したがって、これに一定の罰則のもとにある行為を強制するということについては、立法のときもいろいろ考えましたが、むずかしいのでございまして、その点は、たとえば消防施設を設けるべきものを欠いておる場合には、それを設置しろという措置命令を出すのは防火管理者に対して出すのではありませんで、要するに、社長に対して出すということにしてあるのでございまして、いま先生のおっしゃったように、罰則で防火管理者の行為を担保するということについてはもっと研究さしていただきたい。結論的には非常にむずかしいのじゃないか。われわれ部内でも、今回の事件を契機にして考えてみましたが、もう少し慎重に検討しなければならない、こういうように考えております。
  185. 小宮武喜

    ○小宮委員 しかし、現実にはやはり防火管理者が、こういった災害があった場合には誘導をする役割りを果たすわけですからね。幾ら社長に言ってみたところで、社長が防火管理者であって現実に現場におるなら別として、いない人にそういうようなことを言ってもしょうがない。もっと防火管理者としての地位を明確にして、それで防火管理者に対してもっと責任を持たせるような——これは根本的に責任がないから逃げてしまったのでしょう、自分だけ助かろうと思って。これでは幾らりっぱな設備をしても、何をやっても、防火管理者がまっ先に逃げ出すようではどうにも手の打ちようがない。だから、そういった意味で、防火管理者に対するもちろん処遇の面もあるでしょう。やはりその意味で責任も持たせるような、現実に即したもう少し防火管理者としての立場を明確にする必要があるのではないかというように感ずるのですが、その点についてはいかがですか。
  186. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 その点は、先ほども御質問がございまして、その防火管理者が単にやるということでなしに、法律的には、たとえば、社長に対してこういう施設は必要であるというような助言といいますか、そういうようなことも、はっきり制度の上であらわしてはいかがという気持ちは、私は持っております。
  187. 小宮武喜

    ○小宮委員 だから、そういうような面も含めて消防法の改正等をする場合、また政令等を改正する場合は、やはりもっと責任の明確化を——ただ単にまあ責任者だから防火管理者になっておるというような感じだけではどうにもならないので、やはりもっともっとそういうような意味で防火管理者に対しての責任を重く持たせるようなひとつ指導をしてもらいたい、また、そういうように政令あたりでも考えてもらいたいというように思います。  それから、この現行の消防法でも、非常電源の設置だとか連結送水管、火災報知機、非常警報機の設置など防火対策については大体万全と思われるようなきめ方をしておるわけですけれども、この千日デパートビルの実態というものは、やはりこれには十分マッチして完備されていたのですか。
  188. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 消防設備の面からいたしますと、少なべとも現行法上適法でございます。それはさかのぼる四十四年に大改正をやりましたときに、誘導灯、漏電警報機、非常警報機、こういうものについてはみな遡及適用をいたしたわけでございますが、そのとき、自動火災報知機とスプリンクラーについては、一切の施設について原則として遡及適用いたしませんでした。その中で、自動火災報知機につきましては、ホテル、病院、重要文化財について遡及適用いたしたわけでございます。こういう点につきましては、私たちやはり施設の面において遡及適用の問題を今回の事件を契機にぜひ実現いたしたい、こういうふうに考えております。
  189. 小宮武喜

    ○小宮委員 消防署あたりでは、定期的な査察をやっても、査察される側は、ただ査察の場合に見せるだけの設備ということになりますので、ときには抜き打ち的な査察をやって、設備の機能が十分に作動しておるのかどうか、また避難訓練はやっておるのかどうか、それで実際に査察した場合に、これは夜間であればちょっとむずかしいと思いますけれども、避難訓練を実際にやってみさせるというような抜き打ち的な、こういうような査察というのはやっておるのですか。
  190. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 査察につきましては、先ほども御質問いただきましたが、たてまえとしては四十八時間前に関係者に通知をしてからやるというたてまえになっておりまして、ただ、建築物の関係者の同意を得た場合にはその場でやれるということになっております。それを今回東京都その他でやりましたのは翌日すぐやったわけでございまして、この同意を得てというところをとらえまして、いわば新聞はそれを抜き打ちと、こういうことを言ったのでありますけれども、そういう査察のしかたを今回やっておるわけでございます。したがって、一方的に抜き打ちで全部ぱっとやっておるという査察のしかたは、実はやっておりません。
  191. 小宮武喜

    ○小宮委員 査察の場合に、ただ設備、施設を査察するということでなくて、具体的に避難訓練などもやらしているんですか。
  192. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 そこが実は査察のやり方としてやはり不備なところがございます。消防のほうは、査察の対象が非常に多いということも現実にございますけれども、いまのような不特定多数の人が集まるような施設の査察は、少なくともいざというときに機能するのかどうか、機能させ得るのかどうか、これもあわせて査察をしなければならぬ。この点は、確かに私たちの指導も必ずしも明確でなかったと思いますし、現場の意識においても必ずしも明確でなかったという点も反省いたしております。したがって、今回総点検をお願いして、目下始めておりますけれども、今度のやり方は、少なくとも私がいま申し上げたような機能的に動くか、また現場の人に動かし得るか、あわせてこれを査察の対象としていまやっておるところでございます。
  193. 小宮武喜

    ○小宮委員 ちょうど十三日にこの大火災があって、十四日の日曜日の八時半からの「時事放談」で、細川隆元がおもしろいことを言っておったのですが、結局、各ビルのそういうような設備とか防火施設はだいじょうぶなのか、訓練あるいは防火管理者のそういうような指導は万全なのか、いろいろな消防に関するそういうような要件を点検をして、それで一番いい完備しているホテルには優という消防庁の発行した何か証明書を添付する。それを優、良、可ということにして、悪いところは可だという消防庁の証明書を添付したら、結局お客さんも入る場合に、ここは可だからちょっとあぶないなということで行かぬようになりはせぬか、そのために経営者のほうも競って改善をするのじゃないかというようなことを言っておりましたが、私もこれはなかなかおもしろいアイデアだというように感じたのです。たとえば、私もパリに行ったとき ホテルに星のマークがついていて、一等ホテル、二等ホテルとみなきまっていますね。あれを考えた場合に、その意味では、消防施設が完備され、完全に避難訓練でも何でもりっぱだというところに優を張るというような、こういうようなアイデアもこれは一考してもいいのじゃないかというように考えるのですが、消防庁長官の所見はどうですか。
  194. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 これは一つのアイデアでありまして、私も実は考えたこともございます。旅館の火災がかなり多く発生いたしまして、大衆、利用者による批判というのが一番いろいろなものを促進する道でございますから、私も実は考えたことがございましたが、実は消防庁の側からいうと、この施設は法律でちゃんとしなければならぬと命令をし、罰則で担保しておりながら、一面自分が検査して、ここはだめでございますというようなかっこうを出すのはどうもうまくない。  それからもう一つは、確かに施設の問題には保守という問題がございまして、つまり非常の場合、動くか動かないかという保守管理の徹底という問題があります。これは査察もさることながら、そこの施設者の責任において保守管理を当然やらなければいかぬわけですから、この辺のかかり合いがありまして、私もずいぶん考えましたが、同時に業界で自主的にそういうことをやるようなしかけはできないものだろうかという相談をしたことも実はあるのでございます。しかし、まあ実際そういうことを消防庁あるいは現地の消防機関として取り上げるということについては少し難点がございまして実現を見ないでおるところでございます。
  195. 小宮武喜

    ○小宮委員 長官もそのことはアイデアでなくて考えておるということであれば、やはりそれくらいやらぬと、監督官庁として、ただ単なる一片の通達とか指導だけではなかなかうまくいかぬので、先ほどからも何か週刊現代ですか、あれを見せておったように、むしろそういうようなことで大衆にぱっと見せて大衆がそれを判断するというような、そのくらいの刺激剤を与えぬと、なかなかそういうようなただ一片の指導通達だけではうまくいかぬのじゃないかというように考えるのです。それを業者の自主的な指導ということでなくて、むしろびしびしやってもらわぬと、火災のたびに長官自身がまたここでつるし上げを食うわけですから、その点では、長官もひとつ本気で取り組んでもらいたいと思います。
  196. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 確かに一つのアイデアでありますが、実はそれにかわるものとして、これは消防当局の姿勢の問題でありまして、つまり査察の結果を公表してはどうかという問題がございます。これもある意味では同じでございまして、実は大然閣ホテルが焼けたあとにホテルの一斉査察をお願いいたしました。そのときには、東京では相当多数のホテルの査察をやりました結果、九つは非常に施設がいかぬということで具体的な名前も公表したわけでございます。その結果、実はお客さんのほうからもある程度苦情がホテルごとにあったということで、むしろそれが促進剤になった経緯もございます。こういうことで、現地消防の姿勢の問題として、査察のあとをどうフォローして直させるかという一つの考え方としてもこういうことをどんどん取り入れていくようなことで、すでに行なわれておりますし、私たちはそれをプッシュしていくという姿勢でおります。
  197. 小宮武喜

    ○小宮委員 わが国の高層ビルは、大体防火設備についてはかなり進んでおるのですが、煙対策、これについては先ほどからも出ておりましたが、非常に無防備だといわれておるわけです。最近の火災による死者を見た場合には、直接火災によってやけどでなくなる人よりは、有毒ガスを含んだ煙によってなくなる方が全体の六〇%を占めているわけです。  その意味で、これは建設省にお聞きしますが、昨年一月の建築基準法の改正にあたって、地下三階以上、地上十五階以上の建物については、煙をさえぎる特別階段の設置が義務づけられておりますね。そうすると、今度の経験から見ても、地下三階以上とか、それから地上十五階以上とかいうような昨年改正された基準そのものについても問題がありはせぬか。私が考えまするに、やはりもう十五階とか地下三階じゃなくて、今回も七階ですから、少なくとも、三階は無理にしても五階以上くらいはすべて煙対策のいまの改正基準を適用するように改正できぬものかどうか、また改正すべきじゃないかというように考えるのですが、その点と、それから現在のこの改正基準は、この法改正以前に建てられた建物については適用が除外されていますけれども、これもまた問題で、やはりもう既存の建物は全部とにかく、十五階以上とか地下三階以上とかいうことではなくて、ある一定の、まあ五階なら五階以上は、この改正基準の煙対策防護を設置するように建築基準法の改正をすべきだと私は強く主張したいのですが、建設省の所見を聞いておきたい。
  198. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 第一点の特別避難階段の問題でございますが、御指摘のように、昭和四十五年の改正によりまして、地下三階あるいは地上十五階以上は——百貨店だけは特別でございますが、特別避難階段にするようにという規定が設けられたわけでございます。しかしながら、特別避難階段だけでなくて、一般的に避難階段というような施設もございます。これは階段でございまして、火災のときに必ず自動的にシャッター、ドア等が締まるようになって煙が入らないようにという措置をしているわけでございます。そういうものの義務づけのほかに、さらに、地下三階及び十五階以上につきましては、特別避難階段を必ず一カ所以上つけるというような規定になっているわけでございまして、私どもとしては、現在の技術では一応そういった趣旨で十分ではないかというような感じを持っております。  それから法律を全面的に遡及適用させるべきではないかという御意見でございますが、建築基準法は、御承知のように、全国三千万件に及ぶ建築物に適用されておりまして、これを一挙に遡及適用させることは、もちろん部分的でございましても相当大きな費用がかかります。したがいまして、私どもは、重点的に、やはり雑居ビルとか特殊建築ビルとか、そういうものの査察を強化いたしまして、十条の命令によりまして是正をさせていきたい、そういうふうに感じておるわけでございます。
  199. 小宮武喜

    ○小宮委員 これは建設大臣かだれかに直接聞きたいと思っておったのですが、いまのような問題をいろいろ考えた場合に、やはり改正基準の場合も、法改正前に建てた建物についてはこれを除外するということで、これはしり抜けなんです。特にいま言うように十五階以上とかいう規定になると、これはやはり今回の災害を見ても問題があるし、私は、この問題については、建設大臣か次官が来ればもっといろいろ質問したいのですが、いまあなたとやってもしかたがありませんので……。  そこで、いろいろ法律を改正するにしても時間が長くかかるようではこれは困るのです。火災はそれができ上がるまで待つわけではありませんので、いつ火災が発生しないとも限りません。したがって、さしあたりのところ、応急策としてビルの各階に絶対安全と思われる出口と屋外階段を設置をすべきだ。食い逃げの問題とか盗難の問題とか、いろいろありますけれども、それはそれなりにまた防ぐ方法はあると思うのです。さしあたりこういった意味では、やはり屋外に出る出口と、そういう階段あたりを義務づけたらどうかと思うのですが、この点について、ひとつ御所見をお聞きしておきたいと思います。
  200. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 御指摘のとおりでございまして、私どもも、屋外階段というものが避難上一番有効であるというように考えております。したがいまして、現在消防庁と御一緒に既存不適格な建物の是正措置等につきまして点検を行なっているわけでございますが、その中でも、私どもは、一番効果のあるものとして、やはり屋外階段を設置するように指導しろというような指導をいたしておるわけでございます。ただ問題は、屋外階段を敷地の関係等で設置できないような建物がございます。そういうような場合には、またそれにかわるような施設をやるようにという指導をいたしておるわけであります。
  201. 小宮武喜

    ○小宮委員 それからいまもし大地震があった場合にどうなるのかというような問題も非常に感ずるのですが、建設省は、いまの建築基準法で防震対策はどのように配慮されているのですか。
  202. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 日本の建築物は、日本は地震国でございます関係上、大正時代からずっと耐震に対しましていろいろな研究が進められておりまして、その結果に基づきましてずっと建築法規——戦前は市街地建築物法でございましたが、そういう形で設計され、つくられております。したがいまして、関東大震災くらいの地震でございましたら、まず一般的なビル等につきましては、建物本体ががらがらとくずれるというようなことはなかろうというように考えております。ただ問題は、木造の建物でございますが、これも新しいうちはいいわけでございますが、これが老朽化いたしまして、柱が腐っているというようなものにつきましては、やはり関東大震災級の地震が参りましたら、一%とか二%とかいうような被害が出るのではないかというように私ども想定しているわけでございます。
  203. 小宮武喜

    ○小宮委員 地下街に災害が発生した場合に、その防災対策がだいじょうぶなのかどうか。これは建築上の立場からも建設省と消防庁にひとつお聞きします。
  204. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 地下街につきましては、地震が起こりましても構造的な面はだいじょうぶでございます。ただ問題は、停電になりあるいは火災が発生したというような事態になったときどうかということでございますが、先ほど消防庁のほうからもお話ございましたように、新しい地下街につきましては相当な設備を義務づけておりますので、これは訓練を的確にやっておけばまずだいじょうぶだろうというように考えております。しかしながら、全国に五十五地下街がございますが、その中にはずいぶん古いものもございます。そして設備の古いやつもございます。こういうものに関しましては、消防庁と協力して一斉査察を行なって、これこそ必要な是正は必ずやらせるというように指導してまいる所存でございます。
  205. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 地震に対する地下街の構造的な面はともかくといたしまして、消防庁としては、やはりそこで地震のときに火が出ないということが第一。第二は、火が出た場合に避難できる、そのためには早く知らせる、こういうしかけをどうしても遡及をしながらこれを適用しなければならぬと考えております。地下街につきましては規制がなお不十分な点がございます。  先ほど複合用途ビルについて施設ごとに考える、キャバレーならキャバレー、デパートならデパートと施設ごとに消防の見地から考えるというところはやはり抜けております。地下街についても同じことでありまして、地下街全体として、これをいま申し上げましたような初期消火あるいは早期発見、通報、避難、こういうところをまとめたものとして、施設をもう一回検討して義務づけるものは義務づけたいと私は考えております。
  206. 小宮武喜

    ○小宮委員 災害と関連して私が特に質問したいのは、各市町村に常置されておる常勤の消防職員は別として、非常勤の消防団員の方々が特に中都市以下では非常に活躍するわけですけれども、この人たちがもし公務執行中死亡したとか、あるいは負傷した場合の療養補償、休業補償、傷害補償及び遺族補償について、現在消防庁で、政令で損害補償基準というものをつくっていますね。これに基づいて各市町村では、これを条例化して、それぞれ支払っておるわけです。ところが、これを見てみますと、現在の社会情勢を見た場合に、また団員の所得水準から見た場合も、非常に低いという気持ちがするわけです。やはり団員の方々は、家業をなげうって、自分の生命も捨てて、国民の生命、財産を守るために一生懸命に消火に従事しておるわけですから、何とかこの人たちに報いてやるべきであるという感じがいたしております。  ちょうどことしの消防団の出ぞめ式に私行きました場合に、そのあとで懇談会に行ったとき、表彰状をもらった団員が、もう片手では辞表を出しておる光景を見たのです。いろいろ聞いてみましたところ、この人たちは、遺族補償だとか休業補償だとか、こういう問題に異論を唱えておるわけではないのです。ただ、どうしても家庭の都合で、忙しいとかいろいろな問題があってと理由を言われておりましたけれども、団員の二、三十人の方々といろいろ話してみると、やはりいろいろな問題が出てきておりました。そういうことなんで、われわれほんとうに、そういうふうな非常勤の消防団員の方々が何も言わないだけに、あの人たちは犠牲的な精神で職務に精励しておるわけですけれども、それだけに、この人たちを何とかしてやらなければいかぬという感じがいたしたわけです。  そこで、ちょっと質問したいのですが、この非常勤の消防団員は、私いつか消防白書を見たら、毎年だんだん減っているというようなことが書かれていましたけれども、全国で大体何名くらいですか。そして最近のこの団員の方々の動向ですが、だんだん減っておるこの傾向はどういうふうになっておりますか、ちょっとお聞きします。
  207. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 消防団員の全国の総数は、四十六年四月一日で百十八万八千九百二十八人でございまして、四十五年四月一日に比べまして二万一千人くらい減少しております。  いま指摘がございました減少をする理由につきましては、いろいろな問題がありますが、基本的には例の過疎、過密の問題のような人の移動の問題があろうかと考えております。
  208. 小宮武喜

    ○小宮委員 この非常勤消防団員の待遇は、全国的に見た場合にどうなっておりますか。ちょっと教えてください。
  209. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 これにつきましては、一つは報酬の問題がありまして、私たち、地方交付税の財源措置では、団員の場合は一人年報酬五千円、あとから団長まで順次引き上げております。団長は二万円だったと思います。それから出動手当、出動訓練手当というものは、交付税におきまして千二百円措置しておるところでございます。  それからあと表彰とかその他の問題は別にいたしまして、公務災害補償の点は、一般の公務員の水準と同じところをとらえまして公務災害補償をやっておるところでございます。その他賞じゅつ金というようなものも当然国として出すようにいたしますし、府県、市町村については、これに準じて条例措置をするように指導しておるところでございます。
  210. 小宮武喜

    ○小宮委員 その政令で定めておる補償基準額というものは、各市町村でもこれに準じて条例化しておるのですが、これは基礎額は何を根拠にして算出したのですか、ちょっと聞かしてください。
  211. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 これは団員につきまして公安職俸給表の七等級十六名というのを基礎にいたしまして、あと勤務年限等について換算額を設けまして積み上げておるわけでございます。
  212. 小宮武喜

    ○小宮委員 特に災害を受けた場合に、団員の方々が直接生活に影響を及ぼす休業補償は、一日につき補償基礎額の六〇%を補償するということになっておりますね。そうすると、この補償基準額も、普通団員は十年未満で二千円、二十年以上が二千百六十円、十年以上二十年未満が二千八十円になっておりますね。そうすると、十年未満の方だったら、六割だったら休業補償は千二百円。そのほかに、地方自治体が大体これの六割を補償しておるのですが、千二百円ぐらいで、消火にかけつけて、休むようなけがでもしたらたいへんだということになるわけですよ。だから、その意味で、なぜこれは六〇%にしたのですか。
  213. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 消防団員の公務災害補償全体が昭和三十一年に発足いたしました。そういう意味では、非常に後発的な制度になっております。そのときに、労災、国家公務員、地方公務員等の公務災害補償法におきます休業補償の基準は日額の六割ということになっておりまして、現在もそういうようなことでありまして、他の制度すべてが六割ということになっておりますので、当然それに右にならえをしてやったわけでございます。
  214. 小宮武喜

    ○小宮委員 普通の国家公務員とか地方公務員の方々と違って、非常勤の消防団員というのは、先ほど申し上げましたように、自分の仕事をやめて消火にかけつけるわけですよ。だから、そういう意味では、先ほどから言うように、十年以下で二千円の六割の千二百円もらったって、一日家業を放棄しただけでもそれは二千円、三千円、五千円と損をする人もおるだろうし、必ずしもそういう国家公務員、地方公務員等に準じてやるのじゃなくて、非常勤の消防団員についてはもっと優遇すべきじゃないのかというように感じております。その意味で、その六割は六割としても、この補償基準額というものは、非常勤消防団員の場合はもっと引き上げるべきだと考えるのですが、その点は長官、どうですか。
  215. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 その点は、今回地方交付税措置考えました市町村に交付税で財源を補償しなければいけませんが、そのときに大体二千二百五十円ぐらい引き上げるという問題を私たちは一つ考えております。  それからもう一つは、先生指摘の休業補償六割という問題に関連いたしまして、いま消防法の改正を衆議院のほうにお願いいたしておりますが、この中に新しく福祉制度というものを取り入れたわけでございます。それで、その福祉制度というのは、公務災害によって障害を受けた方々に対して、けがの処置とか、リハビリテーションの利用というようなときに公費で負担するほかに、その他の事業として、いま先生があげられましたような休業補償とか奨学援護金だとか、こういう事業も新しく取り上げたらどうか。こういう点につきましてはさらに関係当局とも相談をして、私たちとしてもぜひ実施をいたしたい、こう考えているところでございます。全体として先生のおっしゃる御趣旨についてはわれわれは全く同感でありまして、毎年引き上げてまいりました。  それからもう一つは、今回衆議院のほうにお願いいたしております地方公務員災害補償法の一部改正におきまして、災害等の高度の危険が予想されるところで死亡したり障害を受けた場合におきましては、公務災害補償を一般の場合よりも原則として五割よけいにするという法律も目下地方行政委員会で御審議を願っているところであります。この法律が通りますれば、消防団につきましても御指摘の政令の改正をいたしまして、これを同じような補償水準にする、こういうことを目下考えているところでございます。
  216. 小宮武喜

    ○小宮委員 特に団員が職務遂行中死亡または廃疾になった場合、消防表彰規程に基づいて賞じゅつ金が国から支給されるようになっていますね。それが功労の程度によって最低百万から最高三百万円までになっております。しかし、これでは死亡したり不具廃疾になった場合、自賠法による五百万円の補償額にも及ばないのです。したがって、少なくとも自賠法の線までぐらいは引き上げるべきだというように私は考えるのです。その点について長官として引き上げる意思があるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  217. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 いまの法律制度は、四十五年に五十万から二百万であったものを四十六年度に百万から三百万に引き上げました。それで、私は全体として引き上げる気持ちを持っております。
  218. 小宮武喜

    ○小宮委員 また支給関係を見ると、これは功労の程度によって殉職者の場合、百万円、百五十万円以上二百五十万円以下、二百六十万円、三百万円の四段階に分かれていますね。また、障害者賞じゅつ金についても、功労の程度によって一級から八級まで区分されて、その支給額がそれぞれ違っているわけですよ。この障害等級は当然としても、大体功労の程度というのは——これを見ると抜群の功労だとかいろいろなことが書いてありますけれども、大体抜群の功労だとか、特に顕著な功労とか、多大なる功労があるとか、旧軍人時代の勤務評価ならいざ知らず、少なくとも一般の団員が消火に従事してなくなった場合に、抜群の功労があったとか、功労が顕著でありたとか、多大であったとか、こういうような功労によって支給額を区別しているということも、もうすでに現在では問題じゃないか。大体抜群の功労があったのか、多大な功労があったのかをだけが判定するのか。まあ判定する人はおりますよ。消防署長がおるでしょうけれども、しかしどうやって判定するのか。また好きこのんで死ぬ人もおらぬわけでですから、そういうような功労の程度によって区分するようなことは、障害賞じゅつ金にしてもそうですが、やめたらどうですか。なくなった人にそういう功労の程度で旧軍人みたいな差別をせぬでも、もう一律に最高でいくようにしたらどうですか。功労の程度だけはどうも私もちょっと釈然としないのですがね。もうこれはやめたらどうですか。
  219. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 消防活動につきまして活動の実際上、たとえば非常な危険をおかして人命救助に挺身している場合とそうでない場合というようなことで、災害現場における活動の程度というものについてやはり若干の評価はあってもいいのじゃないかと私は思っております。もちろん先生のようなお考えもあると思いますけれども、消防の現場から見ますと、災害現場でもう全然同じというのはいかがかという率直な気持ちを私は持っております。
  220. 小宮武喜

    ○小宮委員 どうもその考え方は遠い昔の軍人精神で、とにかく突撃しろというような思想に私はつながっておると思うのです。だから、少なくとも消火に従事してなくなった場合に、功労の程度というのはもういまの時代にあまりそぐわぬのじゃないかと思いますけれども、まあひとっこれも十分考えてください。いろいろ質問をしたいことがだいぶあるのですが、時間が来たということで先を急ぎます。  各市町村で広域消防組織というものがいまごろ盛んになってきたのですけれども、この広域消防組織に対しては、国として何か別途の助成措置をやっておるのですか。ちょっと教えてください。
  221. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 広域消防は、法律上の用語では消防の一部事務組合でございます。その一部事務組合を結成して広域的に数市町村が集まって消防業務をやるときに、個々の市町村に対する地方交付税の措置におきましては、態容補正というものによって高い補正計数をかけて財源を措置するということをしております。それから、もちろん私たちの補助金の配分につきましても、起債の充当につきましても、広域的な消防体制の整備という見地から優先的に配慮するということをやっております。
  222. 小宮武喜

    ○小宮委員 大体各市町村の消防組織に対して、これは人口一人当たり幾らという補助をしているのでしょう。大体広域消防組織は別にして、やはり既存の消防組織に対してどのような補助か助成かしているのですか。
  223. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 消防庁が扱っております補助金につきましては、各市町村が消防力の基準に従って消防力の整備計画をつくっております。また、四十七年から五カ年計画でつくらせるつもりでいま指導しております。そういう計画に基づいて各市町村補助の申請をし、起債の申請をしてまいりますので、それに対して広域消防の場合には優先的に配慮しておる、こういうことでございます。
  224. 小宮武喜

    ○小宮委員 消防道路の問題をちょっとお伺いしますが、御承知のように長崎は、坂の長崎といわれるだけあって、非常に高台が多いわけです。そうすると、高台までなかなか消防車が入れないところが非常に多いのです。それで、はち巻き型に消防道路をぐるっとつくったらどうだという意見がやはり強く出て、市としても、この問題については前向きで積極的に取り組む姿勢を示しておりますけれども、この消防道路については、建設省関係になるのか、消防庁として消防道路に対する何らかの特別の助成があるのかどうか。そうしないと特に長崎みたいに高台地区は消防車が行かぬ、もし火災があった場合には千日ビルの火災どころじゃなくて、相当の被害が出るということは明らかです。そういうような意味で、この消防道路についての国の助成は、どうなるのでしょうか。消防庁のほうか、または建設省のほうでひとつ答えてください。
  225. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 消防道路と先生おっしゃっておりますのは、おそらく国道や県道でなくて市町村道のことだろうと思います。それで、道路につきましては、御案内のとおり、一つは道路五カ年計画の中に市町村道、地方道の整備というものを入れておりまして、それに対しまして軽油引取税とか、あるいは自動車譲与税とか自動車取得税とかいう税の特別な充当を目的財源として与えております。それから市におきまして都市計画税を徴収するところは、そういうもので道路の財源に充てる、そういう目的税のほかに、当然一般財源というものを充当して市町村道の整備をしているわけでございます。したがって、いま消防道路とおっしゃいましたが、それは住民の日常生活から見れば当然市町村道路であり、また町の防災という見地から見れば、先生のおっしゃるように消防車が通れるという道路幅員を持つような道路設計をし構造をすべきものでありまして、その消防道路という名のもとに特別に市町村道に対して消防庁として助成するという考えはございません。
  226. 小宮武喜

    ○小宮委員 建設省のほうは、この消防道路の問題については何かございませんか。
  227. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 私、担当でございませんので的確な御答弁にならないかもしれませんが、いま消防庁のほうからお話がございましたように、消防道路として特に建設省のほうで補助する制度は現在ございません。これは一般的に、長崎市でございますと都市計画がございまして、都市計画が決定された道路で国の道路の補助の採択基準に合致しているもの、これに対しては補助制度がございますが、一般の市道に対しては自主財源でやっていただくというようなたてまえになっている次第でございます。
  228. 小宮武喜

    ○小宮委員 最後に一つ、これは建設省にお尋ねします。  長崎県の南高来郡吾妻町というところがあるのですが、ここの山田堤防というのが最近非常にひび割れがしてもう決壊の危険にさらされておるわけです。御存じのように、この吾妻町というのは有明海に面しておりまして、有明海は高潮地帯でございます。したがって、万一決壊するようなことがあれば、沿岸住民の生命、財産はもとより、また長崎県でもここは有数な穀倉地帯でもありますので、農作物の受ける被害も非常に大きいのでございます。したがって、沿岸の住民は非常に不安におののいておりまして、その復旧が強く以前から叫ばれておるわけです。  ところで、建設省もこの高潮対策として来年度予算で山田堤防の復旧工事を取り上げるというようなことをちょっと伺ったのですが、これは事実でしょうか。それでまた、事実であれば今年の予算は幾らあるのか、いつ着工していつ完成するのか、その点ひとつ御参考までにお聞かせ願いたいと思います。
  229. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 申しわけございませんが、私、住宅局でございまして河川の担当でございませんので、ちょっとお答えができないと思います。
  230. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは担当官がいないそうですから、あとで私のところまで、この件についてひとつ担当官に聞いて、どうなっているか、この点を御連絡を願いたいと思います。  以上で、私の質問を終わります。
  231. 高田富之

    高田委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることといたします。  これにて散会いたします。    午後二時五十七分散会