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門司委員 私はいまの答弁を聞きまして、
大臣は非常に大きな勘違いをされているのじゃないかと思いますが、なるほど
刑法の系列から現在の
段階で議論をすれば、あるいはそういう自然犯的なものではないという解釈が成り立つかもしれません。しかし、これは非常に大きな誤りだと思う。そこに
一つの
選挙法の
違反行為に対する大きな
考え違いが出てくるのではないかと思う。なるほど自然犯という犯罪については類別されていろいろ問題があるにいたしましても、自然犯というものについては、個々にはそれなりの一応理由があるわけです。
選挙違反をしなければならないという理由はどこにもないのですよ。自然犯よりもむしろこれのほうが悪いということであって、自然犯のほうにはいろいろ変な理屈をこねれば、どろぼうにも三分の理ありなんという
ことばが昔からあるわけでありますけれ
ども、
選挙違反だけはそういう抗弁の余地は
一つもないですね。純然たる
一つの
政治に対する冒涜であって、どうも
大臣のその
考え方は少しおかしいのじゃないかと私は実は思っておりますけれ
ども、ここでその議論を長くすると、
大臣の時間がなくなりますので長く触れませんが、どうもその辺は少し
考え直してもらったらどうかと思います。
選挙違反というものは国の
政治を大きく毒している問題であって、個々のいまの刑事犯とは違って、少したちの悪い犯罪であるということ、これは個々の問題でありますと、くどいようでありますけれ
ども、自己の何かの不満をどうするとか、あるいは自己の利欲をどうするとかいうことになりますけれ
ども、
選挙というのは国事、最も大きな国政に関する
一つの基礎的な行事でありまして、この基礎的な行事がゆがめられるということになると、国の
政治がゆがめられることであって、たいへんなものなんですね。それを非常に軽く、先ほどから申し上げておりますように、ある
意味においては国事犯のような何か
考え方があったり、一方には、いまの
大臣のようなお
考えがもしあるとすれば、これは
選挙違反はなくならないと同時に、
選挙違反もますます悪質にならざるを得ないのじゃないかということが
考えられます。
そこで、私は時間もあまりございませんので、その次に問題として取り上げてみたいと思いますことは、いまのようなことをずっと
考えてまいりますと、
選挙違反というのが、どうも
法律のたてまえ、それから現実の問題というようなことを
考えると、
特赦、
恩赦もあれば、さっき言いましたような
減刑だということになれば、また復権だということになれば、
選挙違反が復権の対象になることは当然でありまして、その他の復権についてないわけじゃありませんけれ
ども、本人の申請に基づいて
法務省の審査を受けなければ、いろいろな普通の犯罪の場合は復権するということはなかなかむずかしい、そう簡単に復権はできない。ところが、
恩赦の場合はそういうことと一切おかまいなしに復権をする、こういう形が出てきております。したがって、性質からいえば、
選挙違反については当然
恩赦の対象にすべきではないという厳然たるものがなければ、いつまでたっても
選挙の腐敗の防止はできない。いわゆる勝てば官軍だという、これも昔からの
日本の一種の思想でありますが、その思想がどこまでも支配する。そうすると、
選挙違反が絶えない限りは
選挙が公正に行なえないということ。
私の口からこんなことを言うと
皆さんにおこられるかもしれませんが、
選挙違反が検挙されております。ここに検挙件数を持っておりますが、過去二、三回の
選挙違反の検挙件数と起訴件数がありますが、これを調べてみましても、こういう起訴件数、それから犯罪検挙件数というようなものがいつまでたっても減ることはない。だんだんこれがふえていく。
政治に最も深い
関係を持っておる
選挙こそ厳正に行なわるべきだというならば、やはり厳正に取り締まるべきであって、いささかでもこれに触れるものは処罰をすべきであると私は
考えております。ところが、ここにあげられておる
数字も、
選挙違反全体の何分の一かということになるときわめてこれはわずかなんです。氷山の一角とよくいわれますけれ
ども、氷山の一角というよりももっと少ない。頭が出るか出ないか、まだ水の中に氷山があるくらいで、幾らかこの辺に氷山があるのだというような、頭くらいしか出ていないのじゃないか。氷山の一角といえば三分の一くらいは出ておるのですけれ
ども、それ以下である。
選挙犯罪全体の比率からいけばきわめて微々たるものだ。それはいまの警察力で、いまの捜査
範囲で全部を検挙することはできない。そこで一方においては、とにかくつかまった者が運が悪いのだというような概念がまた
国民の中に出てくる。その運の悪い人がまた
恩赦を受けるということになるとこれはどうしようもない。
選挙違反がエスカレートするという
一つの大きな原因だと私は
考える。そうなってまいりますと、この
選挙違反についての問題は、
恩赦からぜひ省くということを英断をもって行なうべきである。そうすることによって
選挙の粛正ができるのではないかということ。
いま国会で、
選挙法の
改正をこの
委員会が担当しておりますが、どんなことをやってもなかなか
選挙法の
改正というものはできない。根本的にはやれない。そして技術的に、部分的にびほう策だけを講じておる。びほう策をやればやるほどほころびが出てきて、ますますおかしな複雑な
選挙法になってしまう。こういう実態から
考えてみますと、この際、
政府は思い切って、
選挙違反に対する
恩赦を行なわないということのほうが、
選挙をきれいにし、
日本の
政治を明るくする最大の問題ではないかと私は
考えるのです。その感想について、先ほどから二人の方の御
質問に答えておいでになりますので、よけいなことを言うようですけれ
ども、同じような答弁をされると思いますが、私はもう一度念を押して聞いておきたいと思います。