運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-04-14 第68回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十四日(金曜日)     午前十時八分開議  出席委員   公害対策並びに環境保全特別委員会    委員長 田中 武夫君    理事 始関 伊平君 理事 林  義郎君    理事 山本 幸雄君 理事 島本 虎三君    理事 岡本 富夫君       久保田円次君    浜田 幸一君       村田敬次郎君    阿部未喜男君       加藤 清二君    中野  明君       合沢  栄君    米原  昶君   科学技術振興対策特別委員会    委員長 渡部 一郎君    理事 佐々木義武君 理事 石川 次夫君    理事 近江巳記夫君      小宮山重四郎君    福井  勇君       堂森 芳夫君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤  昇君         労 働 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     井上  保君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         環境政務次官  小澤 太郎君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         厚生政務次官  登坂重次郎君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省児童家庭         局長      松下 廉蔵君         通商産業政務次         官      稻村佐近四郎君         通商産業省公害         保安局長    久良知章悟君         通商産業省重工         業局長     矢島 嗣郎君         通商産業省化学         工業局長    山形 栄治君         通商産業省繊維         雑貨局長    佐々木 敏君         労働省労働基準         局長      渡邊 健二君  委員外出席者         水産庁調査研究         部長      松下 友成君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(ポリ塩化  ビフェニール汚染問題)      ————◇—————     〔田中公害対策並びに環境保全特別委員長、     委員長席に着く〕
  2. 田中武夫

    田中委員長 これより公害対策並びに環境保全特別委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件、特にポリ塩化ビフェニール汚染問題について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田幸一君。
  3. 浜田幸一

    浜田委員 私は、PCB問題について政府見解をただしたいと存じます。  まず第一に、環境庁の船後企画調整局長にお伺いをいたします。  確認をさしていただきたいと思うのでありますが、いま全国民に対して不安を与えておりますPCBの健康破壇の件につきまして、環境庁において各地域におけるPPM確認状況、この点の確認をさしていただきたいと思います。  きのう、実はこの問題について参考人にお伺いいたしましたところ、参考人はすべてそういう状況であるという確認の上に立っております。四つ五つ例をあげますが、まず第一の問題として、瀬戸内海のPCB検出例は一・〇から〇・一PPMである。同時に、京都の場合においては最高が一三・三PPMから平均四・七PPM、それから佐渡には七〇PPM山形においては最高が三・九PPMから平均が一・七三PPMであるという検出例がいわれております。それから東京におきましては、東京のセイゴには一二〇PPM、サギには九五PPM発見されているという状況であります。これらの状況に対して、これは四つ五つの例でありまするけれども、実際に日本列島全体におけるPCBに対する検出例について、環境庁はどのような確認をしておるのか、これをお伺いいたしたいと思います。
  4. 岡安誠

    岡安政府委員 PCB環境汚染現状でございますけれども、私ども、実はPCB水質底質その他につきましての分析方法がいままで確定をしておらなかったということもございまして、組織的に環境庁並び都道府県分析を依頼し、それを分析したという結果は持っておらないのであります。従来、それぞれの都道府県市町村等がそれぞれの分析方法によりまして分析した結果を公表した例を、いまお話しのような例を私どもは承知をいたしておるというのが現状でございまして、これはどういうようなところについて標本を採取したのか、どういう分析方法によって分析をしたのかという点につきまして、なお調査をしなければならないというのが現状でございます。
  5. 浜田幸一

    浜田委員 もう一回確認をさしていただきますが、それでは、環境庁においてはこのPCB問題についてははっきりした調査をしておらないということで確認をさしていただいてよろしいですか。
  6. 岡安誠

    岡安政府委員 現在までのところ、組織的な調査はいたしておりません。私どもはなるべく早い機会に全国の主要な汚染地域等につきまして、水質底質土壌等につきまして調査をいたしたいと現在計画をいたしておる段階でございます。
  7. 浜田幸一

    浜田委員 私には全く理解できないのですけれども、そうすると、環境庁とは関係なしに、通産省局長通達というものを業界に出したのですか。この点は今度は通産省にお伺いをいたします。
  8. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。  通産省といたしましては、PCBの人体に対する被害と申しますか、有害性にかんがみまして、全国の実態につきましては、いま環境庁のお話のように、全貌が未定の点もあろうかと思いますけれども、かかる有害物質を早急に処理する必要があるという前提から、去る三月二十一日に、電気機器等中心にいたします閉鎖系につきましても、今後原則としてPCB使用を禁止するという通牒を出したわけでございますが、それよりさかのぼりまして、開放系につきましては、すでに感圧紙塗料等開放系全体を通じまして、本年の一月、紙につきましては昨年でございますけれども開放系閉鎖系全体を通じまして、三月二十一日の閉鎖系通牒前提にして全面的にPCB使用禁止通達を出した次第でございます。
  9. 浜田幸一

    浜田委員 そうしますと、通産省通産省で、独自の見解PCB危険性を感じて、環境庁との話し合いは一切持っていないのですか。この点を一点伺いします。
  10. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 PCBの問題につきましては、昨年十二月に内閣官房長官から、早急に関係各省間の連絡体制を強化し、その対策を急ぐべきであるという内部通牒が出まして、それをもとにいたしまして環境庁厚生省科学技術庁通産省農林省等関係省庁間で連絡会議を持ちました。現在までに相当回数会合を開き、政府内部におきましては、この機構を通じてそれぞれの措置につきまして各省間の意思の疎通をはかっておる次第でございます。
  11. 浜田幸一

    浜田委員 ちょっと環境庁にお伺いします。  いま聞きますと、私の質問の内容が、PCB確認はしているのかということに対して、していないというお答えだったと思いますけれども、実際にはカネミ事件以来、PCB追跡調査というのは、環境庁ではどういう形でやってきたのですか。いま通産省に聞くと、それは相談をしてやってきたということだけれども、問題が国民世論の中で問題になってきたから、そういう協議体制をつくって、通産省相談の上でそういうものの全面禁止を命令したということだと思うのです。ところが、今日までPCBを野放しにしておいた、こういう問題が起こるまで取り上げなかったのは私は環境庁責任だと思う。環境庁の発足がまだ日が浅いからということだけでは済まない問題だと思う。たとえば四十三年以来のPCB追跡調査の問題について、環境庁は一体どういう考えを持っておられたのですか。
  12. 小澤太郎

    小澤(太)政府委員 ただいま環境庁並び通産省から御説明申し上げましたように、このPCBの問題、昨日の参考人意見を聞きましても、きわめてむずかしい、しかし何としてもやらなければならぬ問題でございます。そこで、政府といたしましては、官房長官の指令によりまして、科学技術庁中心といたしまして関係省庁連絡協議会を持っております。そして、各省分担をきめまして、たとえば水産庁におきましては魚介類あるいはプランクトン、それからまた、厚生省におきましては上水道の水あるいは乳肉製品のこういうものの調査をいたし、われわれ環境庁といたしましては、水質あるいは底質あるいは土壌等調査をいたす、こういうふうに分担をきめまして、たびたび会合をいたし、科学技術庁特別調整費によって調査をしてまいったわけでございます。先ほど、私のほうの局長答弁いたしましたのは、水質底質土壌について全面的な調査はいまやっておらない、疑わしきところについての調査はありますが、今度それを全面的にこれからやりたいということを申し上げたのでございまして、政府は一体として、それぞれいま申しましたような分担に従ってこの問題と取っ組んでおるという状態でございます。
  13. 浜田幸一

    浜田委員 私はこの問題についてはこのような見解を持っているわけです。たとえば行政措置のあり方が、テンポが非常におそい。そういう問題に対して私はやはり不満を持つ一人なんです。問題が問題であるだけに、国民不安感を除去するために必要な措置というものは十二分に早期に展開しなければならない、この厳然たる姿勢だけは堅持をしていただかなければならないと思うわけです。ですから、私は与えられた時間が短いものですから、この際この問題で議論はいたしませんけれども、どうか国民全体にその行政テンポのおそさというか行政怠慢というものを直接批判を受けないような形で、責任ある行政措置をおとりいただくようにお願いをいたしておきます。おいおい質問してまいります中で、なぜこういう問題が起こったかということで、だれも処理しようとする者がいなかったのだという結果が出ることはこれは明らかでありますから、そういう問題に対する御配意も賜わりたいと存じます。  そこで通産省に具体的にこの内容についてお伺いをいたしたいと思います。これは私のほうで指名いたしますと、指名いたします方が答弁をしないで、ほかの人が答弁をいたしますから、答弁は皆さん方自由にひとつされたい人がしてください。ほんとうは議員が指名した者が答弁するのが普通なんです。それをかってにかえて答弁するようなそんなばかなことがあるかと私は思うのです。それなら前もって答弁者は一人なら一人ということで私のほうに通告すべきなんです。  いま問題になっております問題について通産省意見を聞きますが、たとえば回収される方法ですが、これはいつまでにどのように回収されるのか、それから通産省通達によると、九月一日までは生産してよろしいということになっている、九月一日までに生産されたものはどのようにストックされており、またこれが使用される場合にはどのような条件のもとに許可されようとしているのか、この点を私は明確にお答えをいただきたいと思うのです。というのは、安全が確保される場合は生産されたものを販売してもよろしいという見解にもとれるわけです。それなら安全なる回収方法というものはどういうことなのか。たとえば弱電気関係の問題でありますけれども、これはパーセンテージの上でわずか一コンマ%程度のものだといわれますけれども、たとえば螢光灯に含まれた部分とか、テレビの中に入る小部分の中に含まれた部分とか、そういうものは絶対回収見込みのないものであるわけです。そういうものの取り扱いも含めて回収状況安全性確認しながらやられようとしているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。とりあえずこの二点をお願いいたします。どなたでもけっこうです。
  14. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 お答え申し上げます。  まず回収可能なもの、回収不可能なものに分けておるわけでございますが、不特定の需要者に対しまして供給する機械に含まれているものは回収不可能ということで、これは全部生産を禁止するわけでございます。それは具体的に申し上げれば、家庭電器製品等でございますが、回収可能という方向は大口の需要者、これは量的にも非常に多うございますが、そういう関係につきましては生産、販売を認めるわけでございますが、その際におきまして、生産者におきましても、また使うほうにつきましても回収可能な対象というものを十分きめまして、それを私どものほうに報告してもらいまして、それが必ず回収できて、そしてそれを最終的にメーカーならメーカーのほうに持ってきて、それが焼却その他の処理が十分できるという点を確認した上でやらせる、こういうことでございます。
  15. 浜田幸一

    浜田委員 重ねてお伺いいたしますが、たとえばそれでは通産省としては回収行為に対しては、それは企業に全部責任を持たせて、通産省はそういうものについては積極的に介入していかないということなんですか。たとえばいまの御説明を聞いておりますと、それは回収できるものだけは回収する、回収できないものは回収できないのだ。ということは、どこからどこまで、たとえば数量においては回収しなければならないものが五万七千トンから五万八千トンというものが国内に放置されている。その中で回収可能のものは幾らであるのかという、やはり具体的な数字にのっとった回収方法というものが、いま通産省に持たれていないのはおかしいんじゃないですか。たとえば、では何%回収されようとしておるのですか、その点お聞かせ願いたいと思います。
  16. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 回収の問題につきましては、電気器具だけでございませんので、私から御答弁申し上げたいと思います。  数字の問題でございますが、昭和二十九年から現在までに生産されました総量が、五万七千トンでございます。このうち、輸出、輸入等関係も勘案いたしまして、国内使用されましたものを実質計算いたしますと、五万三千トンということに相なるわけでございます。これが御存じのとおり電気用熱媒体感圧紙その他開放系等に使われておったわけでございますが、総括いたしまして、この五万三千トンのうちの三万六千トン分が回収可能であると、われわれのほうでは現在考えております。したがいまして、差し引き一万七千トン分は、回収ができないのではないかと考えておる次第でございます。
  17. 浜田幸一

    浜田委員 いまの御説明では、一万七千トンが未回収分になるということでありますが、その未回収分といわれるものは、たとえば何と何と何ですか。
  18. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 一万七千トンの内訳でございますが、電気用、いわゆるトランスコンデンサー等に使われている電気用でございますが、これは大型トランスコンデンサー等につきましては、大体使われている場所もはっきりいたしておりまして、たとえば国鉄とか九電力等々でございますので、回収率は非常によろしいわけでございます。この電気用につきましては、約九割が回収できるとわれわれのほうでは考えておる次第でございます。それから熱媒体と申しまして、各製造機器のところの熱の媒体として使われている部分につきましては、約七割弱が回収できる予定になっております。それから感圧紙につきましては、これはその後これが回収されまして故紙になり、いろいろと問題を起こしているわけでございますけれども、この辺につきましては、流通段階に非常に広く行き渡っておりますので、われわれのほうといたしましては、これの回収率につきましては確たることが言えないと申し上げざるを得ないと思います。それからその他開放系といいますのは、塗料等に使われているものでございますけれども、これはすでに塗料としてそれぞれの用途に使われておりますので、かたいところ、これは回収をわれわれはゼロと見ておるわけでございます。  以上、申し上げましたようなものを集計いたしますと、未回収回収不可能なものが一万七千トンと相なる次第でございます。
  19. 浜田幸一

    浜田委員 私はこの問題は、公害問題が起こりまして以来、今回のように企業が、きのうの宇井参考人の供述にもあったのですけれども企業責任を持って回収するという姿勢が出てきたことを、非常に私は大きな成果だと思うのです。しかし、だからといって、その許可を与えている通産省が、ただ業者にだけまかしておくという形では、回収成功率というものは、私は促進できないのではないか、こう考えるのです。  そこで通産省としては、業者指導育成をする、同時に指導体制を確立するということがいわれているのですけれども国民の安全を考える上において、通産省としては積極的にこれから何をなされようとしておるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  20. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 先ほど申し上げましたように、三月二十一日及び二十三日の二回にわたる通産省通達によりまして、これは非常に数多くの関係業界に御要請申し上げた次第でございますが、今後四月中に製品PCB使用計画、その切りかえ計画等をお出し願いまして、われわれと相談いたしまして今後の回収の万全を期したい、こう思っておる次第でございますけれども、問題は、この回収及び使用禁止行為が円滑にいきますためには、PCBにかわります代替製品開発がなされなければいかぬわけでございます。われわれといたしましては目下代替品開発、これはすでに相当いいものも出てきておりますけれども、今後より一そう引火性を少くするような研究開発等にもつとめまして、無害でありかつ非常に性能のいい物質開発ということにつとめてまいりたい、こういう方向で現在検討いたしておる次第でございます。
  21. 浜田幸一

    浜田委員 ちょっともう一点伺いしておきますが、熱媒体用の八千五百トン分ですね。この問題きのうも鐘淵の代表に聞いたんですが、その処理される——処理ということばの上では出てきているんですけれども、実際に七〇%処理されているというのは一体どういうぐあいに処理されるのか、この点やはり不安が一点残るんですよ。この点ひとつもう少し具体的に御説明いただけませんか。
  22. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 熱媒体につきましては、これを使用しておる段階PCB性能が落ちてまいりますとこれを切りかえる、要するに熱媒体のパイプの中に詰まっておりますPCB回収いたしまして、新しいものと入れかえるというのが従来のやり方であったわけでございますので、今後はこのPCBからPCBへの切りかえではございませんで、PCBから新しい安全性のある代替物質にこれを切りかえることを促進してまいりたいと、こう思う次第でございますが、そこで回収されましたPCBは、これは液体状のものでございまして、これを三菱モンサント及び鐘淵化学にそれぞれの熱媒体使用しております工場から送付いたしまして、そのPCB使用メーカーが現在持っております焼却施設においてこれを焼却するというかっこうで廃棄処分をいたしたい、こう思っておる次第でございます。
  23. 浜田幸一

    浜田委員 処理をしたいしたいと言われますけれども、きのうの参考人の発言によりますと、鐘淵だけで三十トンの処理能力しかない、二社合わせて幾らあるのですか。たとえば処理能力が二社合わせて六十トンとした場合に、八千五百トンの中の七〇%というのは五千六百トン以上あるということなんです。少なくとも六千トンからのものを三十トンの焼却炉処理できるわけがない。この問題で時間だけを食うことは、人間の健康に対してPCBがどういう悪影響を与えるかという問題を実は環境庁あるいは厚生省と議論しなければならないのに御答弁が簡単明瞭でないからそれに入ることができない。  それではひとつそういう焼却炉について、いま通産省は彼ら業者二社が持っているものだけで集めたものを処理できるだけの焼却炉と認めているのかどうか、この点についてどういう措置を講じられようとしておるのか、この点ひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
  24. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 PCB焼却処理施設につきましては、現在鐘淵化学におきましては年間六百トンの能力があるわけでございます。三菱モンサントにつきましては四月から年間二百トンの焼却能力のございます炉を稼働させる予定に現在になっております。当面返却されますPCB焼却はこの二つの炉で私はだいじょうぶだと思っておるのでございますが、今後先ほど来申し上げました通達等に基づきまして非常に大量の回収返却がなされますと、この二つの炉では先生御指摘のとおり不足するのではないかと考えておるわけでございまして、それに応じまして現在二社におきましては責任を持ってこの増設計画を進めておる次第でございます。なおPCB回収と申し上げましても、先ほど熱媒体のところで申し上げましたように、各社一斉にこれが返却ということに相なるわけでございませんで、おのずから時間のスケジュールが組まれまして返却されてくるわけでございます。  それから大型トランスコンデンサー等につきましては耐用年数に応じてこれが廃棄処分に相なるわけでございますので、詳細なる各年次別返却数量は現在のところ私のほうでつかんでおりませんけれども、少なくとも現在使われております機器の中に入っておるPCBが、ある日一斉に返却されるということはなく、当面のところはいま申し上げました現有設備でこれが消化できるのではないか、しかしそれでは不十分だと思いますので、現在二社では早急に増設計画を立てておる次第でございます。
  25. 浜田幸一

    浜田委員 この問題、実際にそういう答弁であれば、これは私に対して、その回収の見通しの年次計画、たとえば月にどの程度の、何トンくらいを回収をして、それをいま説明された六百トンと二百トン、プラスして八百トンの炉の中で完全に処理していく、そういう資料をきちんとお出しをいただきたいと思います。そうでないと、この問題を前に進めていくことができませんので、ひとつその点を通産省に特にお願いをしておきます。  その場合に特に通産省お願いをしておかなければならない問題は、公害基本法の第一条と第三条をきちんとお考えいただかなければならないということであります。公害基本法第一条に国の責任という問題が明示されております。第三条に企業責任が明示されている。そうだとすれば公害発生原因は確かに第三条適用企業責任であるけれども、今回は企業が全面的にそれをやると言っているわけですから、あとは国の責任を明確にすれば解決のつくことだと思う。たとえば焼却炉が小さい場合はそれに対して政府責任を持ってどういう形でやっていくのか、ただ指導育成ということだけでは国民不安感を除去することはできないと思いますから、この点についてはやはりお帰りになったら大臣相談されて、この問題に対して、公害基本法の第一条に関する国家責任条項適用範囲というものを定めて、もし国民にこれ以上危険が拡大してばらまかれるようなことであるとするならば、これに対して政府は積極的な解決を求めていく姿勢の確立をされるよう、私は統一見解を持っていただきたいと思います。この点はもう答弁は必要ありません。  それから私は時間が参りましたので終わらなければならないのですけれども厚生大臣一点伺いしておきます。  厚生大臣、この問題はきのう参考人の公述を受けましていろいろと勉強さしていただいたのでありまするが、教育者の中でも完全な健康に対する問題については結論を持っていない、ただこのまま放置しておけば危険であり、人間の生命が失われるかもしれない、こういう状態なんですね。そこで厚生省としてはこの問題をどうお考えになり、どう取り扱って、どう処理されようとしているのか。ただ、現実に立川教授あたりの報告によりますと、実際に魚が奇形魚になっている。そういうものを食べたら蓄積されて人間が危険だといわれている。そういう問題について大臣の所信を伺っておきたいと思うのです。
  26. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 PCBの健康に対する危険ということは厚生省も非常に重大に考えております。御承知のように、四十三年に起こりましたいわゆるカネミオイルのあの実害を身をもって感じております。したがって、あのときの被害患者の治療またPCBが人体内にどういうように害を及ぼすかということもあの当時から相当力を入れて、関係の学者あるいは医者等に研究を続けてもらっております。  今回の場合は——今回と申しますのは、いま論ぜられておりますPCBは、これは主として慢性毒性として考えなければなりません。今日PCBは、ああいったカネミオイルのような、PCBそのものをもろに摂取をしたという場合とは違いますから、したがって、慢性毒性という点から研究をいたしてまいらなければなりません。そこで、これが人体にどう入っていくか、ただいまの段階ではやはり食物を通じて——それは魚介あるいは鳥獣肉、そういったものが考えられます。いままで食品の中のPCBの汚染調査をいたしましたところによりますと、まだ完全な調査とは申せませんが、やはり魚介類がPCBの汚染度が高いようでございます。その他の野菜あるいは鳥獣肉というものはまだそれほどPCBの汚染にかかっておりません。しかし魚にいたしましても地域的に非常な相違がある、かように考えられます。いわゆるPCBが海中あるいは淡水の中に相当放出されているところが高いように思われます。  そこで、いまそういった食物の汚染を調べておりますが、これがどの程度あれば慢性毒性として害があるか。これは外国にもまだ確たる文献がございませんが、しかし諸外国でPCBの食物内にある許容基準というものをきめているところもあります。これを参考にいたしまして、それよりももっと安全性の高い基準をさしあたって設けたい。ただいま食品衛生調査会等の学識経験者にもお願いいたしまして、ここ一、二カ月の間にその暫定基準をきめたい、かように考えます。そしてそれを上回る食料はこれを摂取させない。おそらく問題になるのは魚であろうと思います。そういたしますると、一定地域におけるそういった魚を食べるということを禁止しなければならないことになるかと思いますが、いま急いでそれらの魚のPCB含有量を調査いたしておりますが、水産庁と協力しまして早急にそういう措置をとってまいって、そして人体に被害のないように予防してまいりたい、かように考えております。
  27. 浜田幸一

    浜田委員 時間がまいりましたので、私は要望を申し上げまして質問を終わらせていただきます。  第一点科学技術庁長官に対する要望であります。これは実は大阪の研究所が六月二十一日エルサレムで開かれる国際会議に発表しようとしているレントゲン放射によるPCB解決策についてであります。この問題について私は、科学技術庁としてはこのPCB解決をするためにこれらのレントゲン放射に関する研究を行なっている人たちに対して全面的なる技術援助もしくは財政援助をしていただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。この問題は焼却炉による解決策もありまするけれども、いま日本のあらゆる場面でこの問題が議論されております。実際にレントゲン放射によるPCB解決策というものは、日本の大阪において真剣に検討されてそれが成功している実例があります。この点を科学技術庁の長官は確認されまして、それらの参考意見を聴取されながら、国際会議において成功されるよう、ひとつ御協力をいただきたいと存じます。  それから私は政府全体にお願いを申し上げておきますけれども、いま私どもがいたく不審に感じておりまする点は、厚生省に行けばこれは厚生省は知らぬと言う。環境庁に行けば環境庁は知らぬと言う。通産省に行けば通産省は知らぬと言う。こういうような態度では困ると思うのです。あくまでも政府としての責任の果たし方というものをもっと明確にしていただかないと、公害基本法の第一条の精神というものは生かされてこないと思いますから、この点については十二分なる御協力を賜わりまして、国民不安感を一日も早く除去されるように御努力賜わりますよう、御要望申し上げておきます。  委員長、ありがとうございました。
  28. 木内四郎

    ○木内国務大臣 浜田委員に申し上げたいと思います。  いろいろ御心配をかけましてまことに恐縮でございます。実はこの点について五分ばかり時間を拝借して申し上げたいと思うのですが、このPCBが問題になりましたのは、御案内のようにカネミ油の中に熱媒体に使っておったものが流れて入った。しかも濃度の高いものが短時間に人体に入った。そこでここに急性の汚染を生じたわけであります。ところがこの急性の汚染あるいは亜急性の汚染というものは、わりあい濃度が濃いし、比較的これはわかりやすい、それで非常に問題になったのですが、政府といたしましても、この急性の問題に対する対策はもちろんでありますが、さらにこれら濃度の薄いものが長期間にわたって食品のうちに蓄積し、あるいはひいてはこれが人体のほうに蓄積されてくるということになればこれは重大な問題になるからというので、最近は非常にやかましくなってきましたが、一年ばかり前はこれほどでもなかったのです。去年のちょうどいまごろ、これは政府で何とかやらなければならぬというのでこの問題を取り上げたのですよ。ところが当時はまだ環境庁がありませんし、中心になるのは一体どこだということで科学技術庁中心になりまして、厚生省、あるいは農林省、あるいは労働省、これらの関係各省にお集まり願って研究をし、相談を始めたのですが、御案内のようにこのPCBは産業の面においては非常に役に立つ重要なものである。と同時に毒性が非常に強い。にもかかわらず、この問題については今日まで世界的にもあまり問題になっておらなかった。イギリスでもアメリカでもスウェーデンでもどこでも、みなこれを産業の面において非常に使っておる。にもかかわらず、この毒性というものに対する対策というものはあまり世界の各国で論議されておらなかった。さっき厚生大臣のお話もあったように、文献を集めようと思ってこちらの科学技術情報センターなどをわずらわしてやってみても、これというものはないのですよ。そこで関係各省集まっていろいろ相談した結果、まず一番困ったのは、いま申しました、カネミ油のような短期間の急性あるいは亜急性のものならわかるけれども、濃度の低いもの、しかもこれはDDTあるいはBHCと同じような有機塩素系のものである、調べた結果出てくるけれども、大体未熟な検査でやるとこれはことごとくDDTのあれか、BHCのあれか、みんな一緒になって出てくるので、高いといっても実はPCBであるかDDTであるかBHCであるか、みんなこんがらがって出てくるので、これは実際、そう申しては失礼ですけれども、未熟な分析家が分析した結果というものはわからないのですよ。PCBだけでなくほかのものもみんな一緒になっておる。そこで濃度は低い。そういうあいまいなみなこんがらがってしまうものがある。これではいかぬ。これは分析技術を確立しなければならぬというので、関係各省が集まって、研究の第一項目としてこれをあげたわけです。  それはそれとして、しからば汚染の実態はどうなっておるか。短期間に来た急性のものはわかるようですが、薄いものが出てきている。それを、一体汚染の実態はどうなっておるか。しかも汚染のメカニズムすなわちその経路ですね。これが一体どうなってここまで来ているのかということはわからぬですから、これを究明しなければ、対策といったところで、分析の技術も確立していない、汚染の実態またそのメカニズムもわからぬということではいかぬので、それを研究の第二の項目にした。  それから第三の項目は、薄いものは慢性的に来る。これは一体どういうふうに来るのだろうか。それで動物実験などをしなければならぬ、そういう研究もやる。  この三つの項目をあげて研究することにしたのですが、関係各省で集まったところ、予算がないぞ、こう言う。予算がなくたってこれは大事な仕事だからやらなければいかぬということで、それでは科学技術庁研究調整費から出そうというので三千七百余万円というものを出して、この研究厚生省あるいは水産庁、とにかくやってもらった。ところが、そこまで来ましたところが、当時は環境庁がなかったけれども、今度は環境庁さんができて第一線に出てこられた。環境庁中心にして今日その研究を進めておるわけです。その実態を把握した後にこれに対する対策を講じなければならぬというのが今日の現状です。いま申し上げた三つの項目だけでなく、また分析方法とか——いま私のほうでは非常に有名な本間博士が分析の権威者としてやっておられますけれども、それも方法がいろいろあるけれども、一台分析機を買うのに五千万も六千万もかかるというのでは、どこでもここでもやるというわけにいかぬから、分析方法を簡単にしなければならぬという問題もありますし、それからいま浜田さんがお話しになった、この問題が非常に大事だと思うのですが、もう出ているものはどうするか。将来新しく出るものは、通産省の御心配によって、これは非常に産業の面において有用なものだが毒性がある、これを消すことはできない、このままにしておいてはたいへんだというので、製造を禁止されたということは非常に大きな第一歩だと思うのですよ。鐘淵化学それから三菱モンサント、これはこの製造を禁止して、もとを絶ってしまったのだから、あとはいま出ているものをどうするかという問題になる。そうなってくると、この処理の問題が出てくる。そこで、いまお話しになった放射能でやること、これは非常にいいから、もちろん私どもで放医研に研究させます。また、私どもの理化学研究所では、それを酵素によって微生物によってなくしてしまおう。ところが、これは御案内のように、日本全国の海まで散らばっているものを放射能でやるといったってえらいことになってしまう。今度は放射能の扱い方というものが問題になってくるし、全国の海水その他の中に入っているものを、放射能でやる、酵素でやるといったって、なかなか実際できませんけれども、私どもの理化学研究所では酵素、微生物によってやる方法、その他どうしたらこれを防ぐことができるか、あるいはこれの代替物をどうするか。産業で非常に重要な世界各国であらゆる方面に使っておるものを、これをやめてしまうと、たとえば新幹線なども動かなくなってしまう、ほかのほうにもいろいろ影響があるので、それをどうするかという問題と、それからすでに出ているものをどうするかという問題、これは全力をあげてやるつもりでおるのです。ところが、私どもは基礎科学ですけれども、基礎科学のほうでいま申し上げたようなことをやりますが、同時に、これを行政面に適用するというのは、厚生省通産省あるいは魚の面では水産庁、こういうことになっておりますので、私どものほうは環境庁さんがおできになるまでは世話役としてやっておりましたけれども、いまは環境庁さんができておりますので、ちょっと遠慮と言っては悪いけれども、第一線は環境庁でやる。私どもが第二次的に——私のほうは三千七百余万円を出しましたが、環境庁さんは今度は三億五千万という金をもって対策を講ぜられることになったので、それにおまかせする。もしこれが足りないということになれば、私どもは九億五千万の研究調整費を持っておるから、この一部——これはPCBだけに出すわけではありません、ほかの研究も大事ですけれども、でき得る限り応援し、足りなかったら大蔵大臣に——大蔵大臣はさいふを締めておるけれども、大事な問題ですから、私は必ず必要な金は出してくれると思っております。そんなわけで、私どもはいままで世話役をしておりましたが、環境庁ができましたので、多少遠慮しながらできるだけのお手伝いをするつもりでおります。
  29. 浜田幸一

    浜田委員 どうもありがとうございました。
  30. 田中武夫

    田中委員長 次に、島本虎三君。  この際、質問者並びに答弁者に一言申し上げます。  本日は関連質問者を入れまして十人近い質疑の申し出があります。したがいまして、時間の制約もございますので、質問者、答弁者ともに簡潔、明瞭にお願いいたします。
  31. 島本虎三

    ○島本委員 じゃ、私のほうから……。ただいま、昨日の参考人のいろいろな意見の開陳に合わせて当局に質問を展開しているわけであります。私もいままでの質問と答弁を通じましてどうしてもふに落ちない点があります。まず、ただいま通産省のほうから電機用のものまた熱媒体のもの、あるいは感圧紙、こういうふうにしていろいろ発表がございました。しかし回収が不可能なものも感圧紙が一万七千トンあるということであります。こういうふうにして見ますと、これは重大な問題であって、先ほど鐘淵にも年間六百トンの処理能力がある、三菱モンサントには年間二百トンの処理能力がある、こういう発表があったわけでありますが、私どもが聞いたところによりますと、前に浜田委員が言ったように、三十トンの能力しかいま鐘淵にはないのであります。それから三菱モンサントは口を閉じて語らないのであります。年間六百トン処理できる能力がある、それから三菱モンサントには二百トンのものがあるというのは、どのような調査によってどこにあるのか、まずこれを伺っておきたいのであります。それと同時に、未回収のむのが一万七千トンもあるということになりますと、これは容易なことではございませんので、回収方法についての意見を承りたいと思います。
  32. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 先ほども申し上げましたように、鐘淵化学六百トン、三菱モンサント……。(島本委員「それはわかっておる。ほんとうにあるのか、どこにあるのか。」と呼ぶ)これは会社の敷地内部にございます。おそらく、きのう三十トンと申し上げましたか、私ちょっとあれでございますけれども、六百トンでございますので、月ベースで五十トンであるわけでございまして、ただしPCBだけを焼却することはできませんで、その場合には重油も吹き込まざるを得ません。したがいまして、いま先生のおっしゃいました三十トンというのは、月ベースの数字であり、設備能力からいうと五十トンのものが——私、詳細に存じ上げませんで恐縮ですが、重油等の吹き込み等勘案しまして、実質的に月三十トンということを申し上げたのだと思う次第でございます。  それから回収問題につきましては、先ほど来申し上げましたように、電気機器メーカー熱媒体機器使用者等を通じまして四月中にその切りかえの計画を出させることになっておりまして、耐用年数の問題、切りかえ時期の問題等を勘案しまして、目下調査中でございますが、今後の年別の回収数量等につきましてはこれを確認してまいりたいと思いますが、いずれにしましても全量が一斉に出てくることはないのではないかというふうにわれわれのほうでは考えておる次第でございます。
  33. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、感圧紙、これは故紙になっているということで、一万七千トン回収不可能なものがあるとして、それをまず回収してきてこれを処理するにしても四十五年かかる。四十五年もかかるのではやりきれない。一体これに対して通産省も何らかの措置を講じなければならないのじゃないかと思います。私は通産省がこれに対してどのような指導と、この処理についての考えを持っておるのか承りたいのであります。それと同時に、故紙になっているもの、また各省庁と民間会社の大量の在庫品があるはずであります。これはPCBメーカー処理しない。逆に処理方法がわからない。たとえば感圧紙はもう感圧紙になってほごになっていると、これは製紙会社の責任であるから、当然三菱モンサント並びに鐘淵化学責任がないのだといっているのです。そうなると、ここにはっきりつくったものは全部回収する、回収の原則を守るといいながらも、この故紙になったものについてはどこが責任を持つのかわからぬのです。まして各省庁の中にも民間の会社のものと合わせて相当に大量の在庫があるはずであります。感圧紙をつくった親製紙会社に、政府責任をもって処理させるのか。同時に、各省庁や会社の在庫品、こういうようなものに対しての回収を有償でやるのか無償でやるのか。また処分としてはどういうふうにして処分するつもりなのか。この際各省庁の問題になりますと政府の問題であります。政府の問題としては自分自身の問題でありますから、これは自分自身の問題から解決しないとだめだと思います。郵政省関係にも相当の在庫品がある、こういうようなことでありますが、一体政府自身自分の在庫品はどうするのですか。
  34. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 事の重要性を考えまして、これは一般廃棄物という取り扱いというわけにもまいりませんので、厚生省と昨晩煮詰めまして、焼却炉政府でこういったものを建設をするような方向で、いま具体的に進めてまいっておることを御報告を申し上げておきたいと思います。
  35. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 私の証言が不正確だったかもしれませんが、先生のいまの御質問で感圧紙として未回収一万七千トンというお話がございましたが、私の先ほど申し上げました一万七千トンは感圧紙ではございませんで、全PCBの未回収分ということでございます。感圧紙といたしましては従来使われましたのが約五千トンでございまして、これは市中に相当出回っておりますが、これは後ほど繊維局長からお話があるかとも思いますが、五千トンのうちの現在PCBを含んでおりますノーカーボン紙は回収いたしておりますので、このうちの相当部分はこれが処理できるのじゃないか。ちょっとその点、紙だけでございますと非常に少ない量でございますので訂正を申し上げます。
  36. 島本虎三

    ○島本委員 量が少ないということと違うのです。摂氏一千度以上の高熱を発する、こういうような焼却炉でなければ処理ができない。むしろ現在のようなものでやったのでは、それがまた空気の中に入ってそれが水の中に落ちるか、また山に落ちるか、またはわれわれのもとへ落ちるか、これが再びPCBが戻ってくるわけでありますから、そういうような焼き方をした場合はこれはとんでもないことになるのだ。したがって、高熱のいわゆる焼却炉、これに対する措置を聞いているのです。これはないし、いまこれからやると言いますから、その点についてはこれからやるとするならば年次計画を立てて、それからいま政府回収しなければならないようなもの、また会社の在庫品、郵政省なんかにも相当あるのですから、これに対してただ在庫品を置いておくばかりにはいかない。こういうような場合には高熱の焼却炉、こういうようなもの、何ぼ、どこにあるのですか。ないままにそのまま眠らしておくのですか、すぐつくるのですか。この処理というものはやはりいますぐ目の前に大事な問題になって浮かび上がってくるわけなんです。これに対してどういうふうにするかということを聞いているのですけれども、これに対してお答えございませんか。
  37. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 現在感圧紙の在庫につきましては、先生御承知のようにメーカー在庫は、昨年二月に生産を打ち切りましたから現在メーカー段階にはございません。流通段階も、卸業者はほぼ十五日程度の在庫が通常でありますから、これもほとんどないかと考えております。ただ先生おっしゃいましたように一般需要家、特に大口の郵政省等の需要家にはまだだいぶございますけれども、これにつきましては通産省としましては、現在使い古しの故紙については、通産省に問い合わせのございました場合は、関係省庁におきまして結論が出るまでしばらくその在庫の処分をしないように、使用済みの故紙の処分をしないようにというような指示をするつもりでございます。
  38. 島本虎三

    ○島本委員 処分をする、それはわかります。その方法がいまないから、政府のほうではいわば一千度以上の高熱の焼却炉、これを早くつくって処理しなければならない、これはやるのですね。やるのであればいいのですが、処理する、処理すると言ったって、処理する方法がいまないのです。民間のどこにありますか。これだって困難です。したがってそれを早くつくるなりして処理しなければならない、こういうことなんであります。それと同時に、いま一番魚が汚染されて、それが一番心配で、ことに濃縮されたまま検出されておるような現状でありますが、いま厚生大臣のほうからは汚染される近辺の魚は禁止する方向考えておると言う。それに対して水産庁の場合にはやはり漁業資源並びに漁民を守るためにも、これは早目にこの対策を講じなければならないと思いますが、水産庁はこれに対する調査並びに対策をお持ちでしょうか。
  39. 松下友成

    松下説明員 お答え申し上げます。ただいまの御指摘の調査の点でございますが、現在統一された方法によりまして主要水域における魚介藻類、プランクトン、海水、泥土、そういったものにつきましてこの分析を進めているところでございます。こういった分析の結果、その得られました結果に基づきまして、今後十分関係各省庁とも連絡をとりながら対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  40. 島本虎三

    ○島本委員 短かい時間でほんとにこれは意を尽くしません。しかしまず第一番目に、先般アメリカのFDA基準で、これは先方ではもうカネミの患者を中心にしてすでに暫定基準をつくっております。そこで厚生大臣も来ておりますが、先般厚生省に母乳から検出されるPCBの被害についてお尋ねしたところが、現在の程度ではそれにかわる栄養源がないし、まだいわば人畜に被害がない、こういうような御答弁があったのであります。しかし、きのうの学者諸先生の参考人意見によると、これはやはり放置できないし、対策が必要だ。あと二、三カ月という話です。もうすでにFDAの基準なんかもきまっている、そのようにして魚、鳥、ミルク、卵、幼児用のお菓子、食べ物、こういうようなものはもうすでに出ておるから、それと比較しながらでももう少し早く出るのじゃないか、こういうふうに思われますが、これはどれほどかかりますか、その期間だけはこの際お伺いしておきたいと思います。
  41. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 食品の暫定基準は、先ほどもお答えいたしましたように、事務当局では一カ月以内にと言っておりますが、余裕を見まして少なくとも二カ月以内には暫定基準を決定いたしたい、かように考えております。
  42. 島本虎三

    ○島本委員 なお昨日のいろいろな参考人の陳述によって、ことに鐘淵化学の大橋清男参考人の陳述によりますと、これはもう専焼炉をつくってやっておるし、そこから出る塩素も当然除去装置を持っているのだ、科学技術庁長官、そういうふうにはっきり言っておるわけであります。しかしそれ以上はお伺いしてもおわかりになりませんでしたけれども、なまの塩素としても出るところに問題があるのではないか。ことに塩化水素、これは確かになくなるかもしれません。塩化水素はアルカリで除去できるということであります。ですから、それはいいと思いますけれども、今度の塩素やホスゲンと申しますか、そのほかの有毒物質も出るわけであります。そうすると現在の専焼炉によるところの除去施設そのものも、塩素を除去する装置を持っておっても、これは不完全だということになるのじゃないかと思いますが、この方法等について十分お調べになってございましょうか、また御指導なんかもしてございましょうか、この点について科学技術庁から御意見を承りたいと思います。
  43. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 現在の鐘淵化学焼却施設につきましては、塩素ガスは中和装置をつけております。現在、その他のいま先生御指摘のようなホスゲン等の発生につきましては、通産省の所管の東京工業試験所の実地の検査によりましても、われわれの知りますところではそういう有害物質が出てないというふうに確認いたしておる次第でございます。
  44. 島本虎三

    ○島本委員 実際にはそういう心配がある。しかし出ておらない。これははたしてそうなのかどうか十分調査して、その結果を知らしてもらいたい。これだけはっきりこの場所から要請しておきたい、こう思います。それと、時間がないのでたいへん残念なんですが、最後に労働省の人来ておりますか。労働省だそも来ておりませんか。
  45. 田中武夫

    田中委員長 労働省は要求してなかったです。
  46. 島本虎三

    ○島本委員 要求してなかったのですか。
  47. 田中武夫

    田中委員長 労働省は要求がなかったから来ておりません。
  48. 島本虎三

    ○島本委員 要求がどなたかあったということだから要求しなかったのですが。
  49. 田中武夫

    田中委員長 労働大臣は十一時から十一時三十分ということになっておるのだけれども、まだ来ておりません。
  50. 島本虎三

    ○島本委員 では、これは厚生大臣、きのう参考人意見等いろいろ聞きました結果はっきりしたことは、いろいろと出ております被害者、この被害者の中で、亜急性または慢性の人で、被害を受けて、直接死に至るような状態があるのかないのか。これを聞いたところが、死に至る情勢としてはまだはっきりデータが出ないけれども、その前に、その扱っている職場で労災として処理されているから、はたしてそれがどういうふうに死んでいるのかわからない、しかし被害がないとはい亀ない、こういうようなことであります。そうなると、これは一つの労災としてその職場に発生していることでありますから重要だと思います。これは厚生大臣もそういうような点について十分配意して、労働大臣相談の上で、この点だけは善処するようにしなければならない、こう思いますが、その点はよろしゅうございますか。
  51. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 私も職場にそういった被害があるのじゃないか、またあり得る、かように考えておりますので、御趣旨のように労働大臣とよく話をいたしまして、職場内におけるそういった労災の防止につとめるように努力をいたします。
  52. 島本虎三

    ○島本委員 最後に、通産省、これは電気機械、この中に使われているPCB、これをどうやって回収するのか、その方法、それから熱媒体として大量に使っている化学会社からどのように回収するのか、その方法、それから塗料と難燃性のプラスチックなどに使っているものはどういうふうに回収するのか、この三つについての方法を伺っておくと同時に、きのうの参考人意見では全部通産省指導に従っていままでやってきた、こういうふうに言うわけです。指導に従ってやってきてこれだけのものが出たということです。それに対しては今後もう少し科学的な、一つの考慮の上に立って、許可、認可を含めて指導体制を強化すべきである、こういうふうに思いますが、いま言った三つとあわせて、この姿勢についてひとつお伺いしておきたいと思います。
  53. 稻村佐近四郎

    ○稻村政府委員 開放系の問題については、いま御指摘の電気器具の問題等に対しては、御承知のように松下電器等々は先月から代替器への切りかえということで、おそらく八月を待たずしてこれは取りかえられていくのではないかと思います。また、大型トランス、こういったものについては管理体制を特に強化いたしまして、特に取りかえられる部分については逐次取りかえていく、こういう方向で進めてまいっておりまして、特に今度の許可、認可等につきましては、先ほど来も局長お答えをいたしましたように、鐘淵、三菱等々については製造禁止、また開放系のものについては先ほど来も局長が申し上げましたように使用禁止、こういう形で、今後これに類するものについては当然許可、認可等はあり得べきものではない、こういうふうに考えております。
  54. 島本虎三

    ○島本委員 それではこれで終わりますけれども、いろいろ参考人意見並びに当局の意見を聞きましても、これからやるということのみであって、おそらくこれからの姿勢いかんに全部かかります。したがって、いま私がお伺いしましたけれども、その中で、今後はいままで出た分に対する回収や処置、これについて全部安心してきょうの質問を終わる、こういうようなわけにまいりません。しかしこれ以上のことはできませんので、いままで答弁された線に沿うて、ひとつ可及的すみやかにその対策を立て、処理計画を立てて、国民の安全のために寄与されるように、私は心から要請して私の質問を終わります。
  55. 田中武夫

    田中委員長 次に、石川次夫君。
  56. 石川次夫

    ○石川委員 きのう学者からいろいろな御意見伺いましたけれども、大体ここにお集まりの皆さん方がよく承知しておる範囲をあまり出なかったと思うのです。ローマクラブで御承知のようにショッキングな発表がございました。二十一世紀は環境保全と資源問題で、人類は生き抜くことができないであろうという、きわめてショッキングな報告であるけれども、これはわれわれとしても非常に関心を持たざるを得ない重大問題であります。そこで代表的な一つの典型的な例としてPCBを取り上げておりますけれどもPCBだけの問題ではないので、PCBというものの問題の解決を通じて行政を一体どうするかということが、われわれがここに連合審査を設けた一番の眼目ではなかったかと思うのです。私はPCBの問題については多くを申し上げませんが、回収の問題については先ほど質問がありましたから省略いたします。しかしここに関連をして、通産省のどこかわかりませんけれども、実は大企業では汚染問題というものに非常に関心を持っておるところほどそれを自分のところで回収をする。これはスラッジとして必ず残るわけです。スラッジとして残るものを、運輸会社と提携をしてこれを完全な無害に処理するという契約でもって処分させておるわけですけれども、その先が一体どうなっているかというと、私はこれは炭鉱とか鉱山の廃坑にどんどん埋めているという事実を目認しております。現実に見ております。そうなりますと、結局企業側では責任を持ってそういう体制をつくっても、スラッジとして地下水に流れるか大気汚染になるかあるいはまた海水に流れてしまうかということになってしまって、結局循環系統というものは変わらない。こういうことに対する業界指導というものは一体通産省としてはどうされておりますか。
  57. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 公害の原因になるような廃棄物を鉱山の終掘時のあと処理のために坑内に捨てるということがあるのではないかというお尋ねでございますが、この問題につきましては、昨年九州の炭鉱の立て坑の中にやはり化学工場からの廃棄物を捨てた事実がございまして、事実はその影響ではなかったわけですが、その付近の井戸水の汚染をしたのではないかという問題がございましたので、そのときに全国の鉱山の鉱害の防止の監督をいたしております監督局、部に通牒を出しまして、今後鉱山の終掘時にあたりまして、それが公害のもととなるようなものを絶対に捨ててはならない、そういう方向で監督をするようにという強い通牒を出しております。     〔田中委員長退席、始関委員長代理着席〕
  58. 石川次夫

    ○石川委員 このことは追及する時間がありませんからやめますけれども、非常に良心的にやっているところでもスラッジは自分のところで処理できないのです。そうするとそれをどこかに頼む。頼まれるところはおれのところが責任を持つ、こう言うのでしょう。言っているけれども全然放棄しっぱなしという現実が日本国じゅうに広く広がっておるという事実を見詰めておいて、それにどう対応するかということをぜひ厳重に対策を立ててもらいたい。これは強く要望しておきます。  それからPCBの問題ではいろいろ申し上げたいことがありますが、省略をいたします。たとえば代替品は塩素剤にかわって有機燐酸とかカーバメイト類、アルキルナフタリンとかこういうものにかわる可能性はありますけれども、これは分析技術が全然確立されていないのでなおさら危険性が多くなるのじゃないか、こういう危惧の念というものは昨日の学者の意見から出てきたわけでありまして、この点は許可する際には十分に事前の検討をした上でなければだめだということを強く申し上げておきたい。     〔始関委員長代理退席、田中委員長着席〕  それから二番目は臓器の表面の変化というふうなものを見ただけでは、これは末期的な症状でありまして、やはり酸素活性だとか細胞の微細構造の変化というものを追っていかなければならぬというところにまでは現在研究が全然行き届いておらないというのが実態であります。それで急性、慢性では急性だけ、しかも慢性のほうは全然手が届いていない。脳神経や発ガン性の問題についても全然ノータッチであるというふうな現状であるというようなことについてはこれからどう対策を立てるか。こういうことをひとつ厳重に責任を持って対処してもらわなければならぬ問題であろうと思うのであります。  それから基準をきめる問題がございますけれども、基準をきめることがいいかどうかというととは、私は非常に疑問を感じております。ということは、魚では四十八時間で実に九百八十倍に蓄積されたということが出ております。濃度の問題ではございません。したがって、これが蓄積されたら一体どうなるんだということを考えると、PCBの場合には基準を設けることではたしていいかという問題が残るわけであります。したがって、基準を立てたら、ここまではまあいいだろうけれども継続して食べてはいかぬという問題が必ず出てくるのではなかろうか。したがって、基準の立て方については、ただ単にこのぐらいならよろしいということだけではだめなんだということを十分にひとつお考えおきを願いたいと思うのであります。  それから質問に入りますけれども、現在はいろいろな環境汚染あるいは食品添加物その他の毒性の問題がびまんしておりまして、これが人命に非常に大きな影響を与えているということになっているわけでございますけれども、きのうの学者の意見でも研究費がまことに微々たるものである。私は農薬の研究の予算を回して使っているんだ。事実またこれは三千七百万という予算を研究調整費のほうから科学技術庁が出して、それに基づいて分析技術のほうから出発をして、まあそれに基づいて若干の成果というものは出てきたわけでありますけれども、こんなていたらくで一体これからの環境汚染に対処できるのかどうか、これはたいへんな問題だと思うのであります。  そこで一つ例として伺いたいのでありますけれども、国立衛生研究所の毒性部、現在何人おりますか。
  59. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 国立衛生研究所では現在四十四人おります。四十七年度予算でさらに三名増員する予定でございます。
  60. 石川次夫

    ○石川委員 そのうちの毒性部の関係は何名ですか。
  61. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 毒性部は二十一名でございます。
  62. 石川次夫

    ○石川委員 私が調べたときには十六名でありますから若干ふえておりますけれども、二十二名で、たとえば食品添加物は三百五十一種類、しかもこれは品目に直しますと何千品目というふうになる、この一つ一つの点検ができるかどうかということになると、二十一、二名の人数でそんなことは不可能です。予算はどうなっておりますか。というのは、アメリカでは一つの品目に対して、食品添加物に対しても五千万円を使っております。日本では大体百万円。これで一体検査ができるか。したがって許可をしておいてからあとで問題が出たら取り消すという体制になっているのです。アメリカのように慢性毒性までちゃんと研究した後に初めて許可をするという体制にはなっておらない。こういうふうな体制が非常に問題ではないか。したがって、この予算の問題と行政のこれに対応する機構の問題、これが現状のままでいいと厚生大臣お答えになっておりますか。これでは不十分だ、もっと予算をつけて行政的にしっかりした対応策をつくらなければいかぬというふうにお考えになっておるかどうか。
  63. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 人員、予算の不足であることは痛感をいたしております。したがいまして、今後もこれを増すことに努力をいたしたい、かように考えます。
  64. 石川次夫

    ○石川委員 いまも申し上げましたように、三千七百万でやっと分析方法を確立するということからいろいろな関連した成果が出てきたというふうなことで、この公害基本法にいうところの国の責任という面は私は全然果たされていないと思うのです。したがってローマクラブで言うように、このままでは人類は二十一世紀を生き抜くことができないでしょう。そういうふうな責任を痛感をして、これではとても国民の負託にこたえるととはできないということで行政的な対応策それから予算を十分とるということをやらなければ、とんでもないことになります。この点をよく御認識を願いたいし、責任を痛感をしてもらたいと思うのであります。  それからきのうからずっと聞いておりますと、一体どこで問題を提起をして、どこでその毒性の試験をして、どこで追跡の調査をして、どこで企業指導をするかということがまことにこんとんたる状態だというふうに私は考えられてならないのであります。問題提起は一体どこでなされておりますか。
  65. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 問題提起はどこという、どこでもということなんでございますが、しかし本質的にいいまして結局国民の健康の保持ということでありますから、厚生省が問題提起をいたすべきであり、またさようにいたしております。しかしいま環境庁ができまして、これを統括してまいるのが環境庁でございますから、環境庁の統括のもとにわれわれのほうが問題提起の、どちらかというと検事役になってやってまいるという体制でございます。
  66. 石川次夫

    ○石川委員 問題提起は厚生省ということをはっきりさせておきましょう。そうしないとどこかで問題を提起してもどこも受け付けない、どこでやるんだかわからぬという責任分担では困ると思うのです。環境庁のほうから問題提起をすることはありましょうが、それは厚生省のほうに移して厚生省中心になるというような体制の責任分担をはっきりさせてもらいたいと思います。  そこでもう一つ例として申し上げます。これはPCBと並んでアスベスト公害というものがこれから問題になるのではないか、これは一九二九年からイギリス、フランスでは問題になっております。アスベスト工場あるいはアスベストを使う工場、そういうところの付近では相当じん肺が出、またそれが肺ガンにまで及んでおる。最近の総合病院では、都会では相当肺ガンがふえておりまして、原因がわかりません。しかし東京都の衛生研究所、これは国の衛生研究所ではないですよ、東京都のほうが公害には国よりも熱心ですから。そういうことで、東京都衛生研究所の公害衛生第一研究室の溝口さんという方が東京都の大気中からこのアスベストの正体を発見をした、世界で初めてであります。  アメリカにおいてはすでにアスベストの吹きつけ工事というものは禁止をいたしておりますが、日本は禁止はいたしておりません。また自動車のブレーキライニングという問題も出てきておるわけであります。これはただ単にじん肺になるだけではなくて、二十年くらいかかると肺ガンになるのではないかということがほぼ定説になってきつつあるわけであります。この問題提起はされて、これに対応しておりますか。
  67. 浦田純一

    ○浦田政府委員 アスベスト肺及びアスベストに基因すると考えられる肺ガンの発生の問題につきましては、わが国では従来労働衛生の問題として研究が進められておったところでございます。しかしながら、一般の民衆の間から、先ほど御指摘になりました自動車のブレーキライニングなどによる大気汚染を通じまして肺ガンが出るということにつきましては、先ほど都のほうの研究があったということでございますが、全般的に申しますと、わが国においては一般的に肺ガンの発生の例については報告例はほとんどないのでございます。厚生省におきましては肺ガンの研究の中に含めまして、アスベストの作用、有害性についての研究を実施いたしております。しかしながら、御指摘のライニングによる大気汚染による健康阻害ということにつきましては、やはり環境庁中心といたしまして対策を推進する必要があるというふうに考えております。  なお、参考までに、わが国の肺ガンによる死亡率は現在のところアメリカの三分の一程度ということで、わが国は近年急激に増加の傾向にございますけれども、外国に比べればいまだかなり低いという段階でございます。
  68. 石川次夫

    ○石川委員 私はアスベスト問題は単なる問題提起、一つの例としてあげているのです。アメリカでは八十歳以上になると五五・四%が人体からアスベストが検出をされております。全体の平均は四八・三%。日本はいままでアメリカほど使っておらなかったのですが、最近これのいろんな特性が便利であるということでもって範囲が広がって、アメリカよりも急速度にこれが広がっておる。したがって、アメリカより肺ガンが少ないけれども、これからはどんどん激増するであろうということで、原因としてはアスベストはその一つとして考えられて当然しかるべきではなかろうか。特に大気中で検出をされたというのは東京都が初めてなんです、世界じゅうどこにもないのです。これは東京都の衛生研究所でもって調べられたということを考えても——こういう問題は労働衛生として考えておられると言われましたけれども、十年前にアスベストの工場の中で一立方メートル中二ミリグラム以下でなければならぬということが勧告されているだけで、非常に甘い基準なんです。こんなものは問題にならないのです。したがって、これの基準も一体どうするのか、企業指導として一体どうしたらいいか。石油は一九六〇年から大体五十倍にふえておりますけれどもアスベストは千倍にふえておる、どんどんふえていきます。しかし公害は一体どうなんだということも十分考慮してもらわなければならぬ問題ではないかと思っております。  そこで、非常に時間がないので申し上げてもしかたがないのでありますけれども、先ほどの責任分担の問題で、毒性試験というものは急性だけしかやっていない、食品添加物あるいはPCBを通じて急性しかやっていない。これは慢性にまで及ぼした後に初めて正式の許可をするというような体制をつくることが必要ではないか、それは厚生省分担をすべきものであろう。それからこの基準は一体どこでつくるのかというと、先ほど御答弁にあったように厚生省だというふうなお話でありますから、これは厚生省が基準をつくるという責任を持っている、分担している、こう考えてよろしいでしょうか。
  69. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ただいまの厚生省の毒性の研究検査は慢性を主としてやっております。ことにただいまのPCBのごときはこれの慢性毒性を研究をいたしております。もちろん急性、亜急性もやっておりますが、慢性に重点を置いておるわけでございます。  なお、食品の環境基準は、これは厚生省がきめることになっておりますので、その責任でやっていきたいと思っております。
  70. 石川次夫

    ○石川委員 時間がありませんからもうやめざるを得ないのでありますけれども、行政の対応する機構あるいは予算、これはきわめて不十分で不明確であるという点が問題ですけれども、その前に心がまえの問題として私はお訴えをしたいと思うのでありますが、この前母乳から〇・七PPM検出されましたときに、厚生省の係官はどう言ったか。六カ月ぐらいはだいじょうぶだと申しました。われわれしろうとの考え方でいいましても、赤ん坊の目方というものは十分の一から五分の一であります。抵抗力はないのであります。〇・七PPMをずっと続けますとカネミ油症の発生をした最低のものよりはるかに突破してしまうのは三カ月未満であります。六カ月といっておりますが、三カ月未満でカネミ油症の量に達してしまう。しかも抵抗力が少ない。こういう無責任指導のしかた、しかもその厚生省指導があるんだから、それに従ってやっているんだからだいじょうぶだという企業側の姿勢もこれに伴っておるわけであります。そういう事なかれ、責任回避的な言い方をするような心がまえであったのでは困る。国民の側に立って、国民の健康をどう守るかということの場合には、これを言えば問題が大きくなるとか自分の責任になるからということではなしに、率直にひとつ国民の側に立って指導してもらわなければならぬという心がまえの問題がございます。  それから農薬の許可の基準というものを見て私はびっくりしたのでありますけれども、農薬というものは、私はだいぶ前に、水銀農薬を畑にいもち病の対策としてまいておる、これは毒ガスをまいておると同じじゃないかということで、とうとうこれはとめてもらったことがありますけれども、そのとき農薬の許可基準は、きょうは農林省が来ておりませんから申し上げませんが、厚生省責任において聞いておいてもらいたいと思うのです。正常な防護道具をつけてそして正常にこれを使用して被害があった場合にはこれの許可を取り消すということになっておるのです。まるでめちゃくちゃです。ところが実際はどう使っているかというと、水銀というものは手づかみでもってばらまいておるのが実態です。正常に使ってないから、国民、おまえが悪いんだ、こういう指導のしかたでは困る。たとえどういう使い方をしようが国民や農民には害がないんだという万全な対策というもので許可基準というものをきめてもらわなければならぬ。この許可基準はまだ変わってないと思うんですね。そういうでたらめな指導のしかたであっては困る。したがって、母乳の問題といい、この農薬の許可の基準といい、こういうような体制の問題、心がまえの問題からして考えてもらわなければならぬ、それから責任分担というものをはっきりさしてもらわなければ困る、いろんな問題があるわけであります。  そこで最後に、科学技術庁長官にお伺いいたしますけれども、そういう問題を踏まえてこの環境の汚染を防止するという問題はきわめて重要、深刻だと思うのです。人類の絶滅につながる可能性を持っている。したがってこれをどうするかということについて、責任分担をどうし、予算をどうし、それから国立衛生試験所の毒性部でこんな陣容ではどうしてもだめなんだというようなことを含めて、あなたは勧告権を持っているわけであります、この問題はきわめて深刻な問題でありますので、ぜひこの勧告権を十分に活用してこの体制を確立をするようにぜひひとつお願いをしたいと思うのですが、科学技術庁長官、どうお考えになりますか。
  71. 木内四郎

    ○木内国務大臣 お答えします。  わが国の研究費が足らないことは先ほど来お話しになったとおりであります。実は、本日の閣議におきまして科学技術白書を提出したのですけれども、それの説明として、私は、特にわが国の研究投資が非常に少ない、幸いに本年はGNPの二・〇二%まできたけれども、これをもって決して安心するわけにはいかない、一兆一千九百億台になったのですけれども、それだけで満足するわけにはいかない、さらにこれをふやしていかなければならぬばかりでなく、政府の技術投資に対しては、各国の例に照らして、今後一そうこれをふやしていかなければならぬということを力説いたしておきました。  いまの勧告権の問題につきましては、まことにごもっともな御意見でありますので、ひとつよく研究してみたいと思います。
  72. 石川次夫

    ○石川委員 要望だけ申し上げておきます。  二%こしたと言うが、ほかの国に比べましてはるかに低いのです。ほかの国は大体三%をこしています。八%なんというところもあります。研究費が二%台に乗っかったからということで事足れりとするような態度では困ると思うのです。それから全体の研究費の中で政府の出資は二八%が二六%に下がっておりますね。アメリカあたりにいきますと、七〇%政府が出して、残りの三〇%は民間が出している。日本の場合は二八%が逆に二六%に下がっております。それを全部含めてGNPの二%台に乗っけたということで、何か自己満足をされているような態度は許せないと思います。しかも、研究費の中で特に健康と生命に関する問題については、事重要だから勧告権を十分に活用してもらいたい、強く希望しておきます。
  73. 田中武夫

    田中委員長 次に、岡本富夫君。
  74. 岡本富夫

    ○岡本委員 わずか三十分で三人ということですから、明確に答えてもらいたいと思います。  そこで、先ほどからも論議がございましたが、公害の行政の一元化をはかるために公害対策基本法も不十分ながら改正しまして、そして環境庁というものができたわけですが、そこでこの規制基準は環境庁で、食品の許可基準は厚生省製品の製造は通産省、それから特に魚に問題がありますが、養殖関係の餌料については農林省、それから分析方法科学技術庁、こういうことではこのPCB問題は解決をしないと私は思うのです。そこで、まずこれだけでも解決するために一つのプロジェクトチームをつくって根本的に解決をしなければならないと私は思うのです。  なぜかならば、先ほど科学技術庁の長官は、最近この問題が起こったのだ、こういう話ですけれども、きのうの参考人鐘淵化学のお話では、三十五年ごろに外電で、もう毒性が出ていたのだ、しかも四十二年の三菱モンサントが技術導入をしたころは、すでにアメリカでは毒性問題をやかましくいっておった時代、こういうことを考えますと、同時に、現在、三菱、鐘化、両方合わして約八万トン、こういう問題がこれから起こってくるのではないかということで、ここにプロジェクトチームをつくって真剣に取り組む気持ちはないか。これがまず第一。これは環境庁が一番中心にならなければならないわけですから、先ほど聞いていると、厚生省が問題提起するとかいうけれども、これはほんとうは環境庁の問題であろうと思うのですが、環境庁の政務次官からお答え願いたい。
  75. 小澤太郎

    小澤(太)政府委員 環境庁ができまして、公害並びに自然環境保全の問題を総合的に調整するという機能を持ったわけでございます。しかし、これは一元的にすべて環境庁が行なうということではございませんで、政府全体の機能を十分に発揮せしむるための機能でございます。したがって総合調整という、環境庁設置法によって与えられた私ども責任を果たすために、関係省庁に十分働いてもらうということをたてまえといたしまして、先ほどお話しのとおりに、環境基準とか排出基準とか、そういう基準の設定をいたしまして、その実施についてはそれぞれの省庁で担当して強力に進めてもらう、こういう体制をとりまして、政府一体の形でこの問題に取り組むという機構でございます。  それから、ただいま御提案がありましたプロジェクトチームをつくるということでございますが、事PCBの問題では、昨日の参考人意見等を聞きましても、これからやらなければならぬ問題がたくさんございます。しかも臨時的な問題ではございませんので、私は、やはり恒久的にこの問題と取り組むようなプロジェクトチームと申しますか、そういう機能を科学技術庁環境庁中心となって設定する必要がある、このように考えておる次第でございます。
  76. 岡本富夫

    ○岡本委員 ぜひこれはつくって取り組んでいただきたい。  時間がありませんから、次に母乳の問題でありますが、大事なこれからの育児あるいはまた将来の国民の健康を決定する問題でありますから申し上げたいのですが、この母乳問題で発表されたのはマスコミから出たのであって、これを検査したのは大阪あるいは京都でしておりますけれども、決して厚生省から出てきたのではない。したがって、やはり母乳問題というものをもう少し重視しなければならないのではないか。しかも大阪ではわずか十五人が対象、あるいはまた京都では約二十人足らず、こういうような、たまたま検査して出てきたという発表であります。したがって、妊産婦あるいは母子、こういう人たちの健康調査項目の中にこれは入れる必要があるのではないか、そうでなければならないと私は思いますが、厚生大臣いかがですか。
  77. 松下廉蔵

    松下政府委員 ただいま御質問のございました母乳の中のPCBの問題でございますが、先生御指摘のように、PCBによりまず汚染母乳につきましては、現在までに福岡、大阪、京都、愛知、高知、富山の六府県市におきまして調査が行なわれておりますが、かなりその数値はまちまちでございまして、大阪、京都がかなり高い、それから富山、愛知におきましてはかなり低いようなデータが出ております。  御指摘のように、こういった関係の母乳の汚染は非常に大きな問題でございますので、今後私どもといたしましても、さらに全国的な調査を当然進めていかなければならないと存じまして、現在準備を進めておるところでございます。なお、この調査につきましては、これもいま先生御指摘のとおり、母乳のPCB調査だけでなしに、母乳を出しておりますおかあさんと、それを飲んで育っております赤ちゃん、両方の健康審査を並行して行なうことが必要でございまして、すでに大阪におきましては、その十五人の子供たちにつきまして詳細な精密検査を行ないまして、現在までのところ何ら異常は認められないという報告を得ておりますが、なお、こういった問題につきましても精密なチェックリストをつくりまして、落ちのないような調査、検診を進めてまいりたい、そのように考えておる次第であります。
  78. 岡本富夫

    ○岡本委員 きのうの参考人の学者の皆さんの意見を聞きましても、この健康に対するところの問題、特に治療法、こういうようなことも全然わかっていないというのです。したがって、大阪のほうで、あるいは各府県で何の異常も認めなかった、こういうことでは、これは中央官庁としても、特に国民の健康を問題とするところの厚生省としても非常に弱いのではないかと私は思うのです。  そこで、参議院の公害委員会におきましてわが党の小平さんがこの問題について発言をしたときに、あと三年したら全国各地で被害が続出するのだというような意味の環境衛生局長の答えがあったように思うのですが、それについていかがですか。
  79. 浦田純一

    ○浦田政府委員 参議院におきます公害環境特別委員会における小平先生の御質問に対して私が説明いたしましたので、その関連がございましていま岡本先生からの御指摘の点について御説明いたします。  小平先生が、現在一PPMの魚を百グラム食べるということであるならば、三年たつとカネミ油症で起こっただけのPCBが体内蓄積するということになるがどうですかということで、算術上の問題としてはそのとおりでございますというふうにお答えいたしましたので補足して説明させていただきますと、カネミ油症につきましては非常に濃度の濃いたとえば二〇〇〇PPMあるいは三〇〇〇PPMといったPCBを短期間、二、三カ月あるいは長くても六カ月以内に摂取したということで、もう一つの魚などを通じまして現在問題になっておりますPCBの健康に与える影響と申しますのは、PCBが人体内に摂取されましてそしてどのような経路をたどって、排せつはどうなっておるか、あるいはその前において吸収はどうなっておるか、いろいろなむずかしい人体内の生理の条件がございます。したがいまして、それらを勘案しまして、正確には言えないわけでございますが、算術で単純に計算すればそのような量になる、こういうことでございます。
  80. 岡本富夫

    ○岡本委員 それでこの問題は厚生大臣、ただ大阪で十五人とか、それも住んでいるととろあるいはその環境状態によって違うというのがきのうの学者の意見でありました。したがって、やはりこの総点検をやっていただきたい。同時にもう一つは、母乳の検査をしてもらいに行っても、してくれるところがないというわけですね。これは私はあとで答えていただきたいと思うのですが、労働大臣が何か十二時から用事があるというので、ひとつ労働大臣にお聞きしたいことは、新聞の報道あるいは現地調査によると、三菱モンサントあるいはまた北陸電気ですか、こういうところでPCBの被害が従業員に出ておるということでありますが、これは労働基準監督署から調査もしているらしいのですけれども、そこで全国のこういった電気機器メーカーあるいはPCB使用しているこういったところの従業員の健康調査が必要ではないか。なぜかならば、なかなか普通ではわからない。しかし非常に早期に発見すれば非常になおりも早いというわけですから、労働省にひとつその点をお聞きしておきたいと思うのですが、いかがですか。
  81. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 いま二つほどの会社の例をあげられましたけれども、基本的にいえば昭和四十六年に労働基準法に基づきまして特定化学物質等障害予防規則というものをわれわれはつくっております。これに基づきましていまのPCB、砒素その他四十三品目については規制対象といたしております。さらに濃度等についてもそうであります。  それで今日までの皮膚炎にかかったという中で治療をしてそれが完全に治癒しているということでありますけれども、いずれにいたしましても働く者にとってはこれはたいへんな問題でありますので、検診の義務を与えておりますから、検診の結果はっきりすれば、これは労災法の適用によって補償の措置を講ずる。どの会社で何名ということがもし必要であるならば、事務当局から説明させます。働く労働者に対しましては、この面では十分の措置をとっておると私は信じております。
  82. 岡本富夫

    ○岡本委員 もう一つ、工場内の大気中の濃度の基準もまだきまっていないのです。それからもう一つは、従業員の皆さんの健康調査は、大きな会社では自分の会社の医者がやるわけですね。ですからはっきりしないわけですよ。したがって、やはりそういった面も考えてやらなければならないと思うのです。この二点についてのお答えをいただきたい。それで終わりたいと思います。
  83. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 PCBにつきましては、ただいま労働大臣からお答え申し上げましたように、昨年特定化学物質等障害予防規則というのをつくりまして、その中にPCBにつきましても環境濃度の規制がございます。一立米当たり〇・五ミリグラムということで、これを守るべき必要な環境基準として定めております。それから健康診断につきましては、同規則によりましてこれは使用者に義務づけておりますので、一応基準法に基づく健康診断は使用者がいたすことになっておるわけでございます。しかしながら、昨年初めて規則に基づきましてPCBにつきましてはそういう健康診断義務を講じましたので、当初のうちにつきましては十分行政機関としても把握すべきだということで、現在、昨年からやっております健康診断につきましては、健康診断の結果の個票を労働省に集めることにいたしまして、使用者に健康診断をさせた結果を労働省で集めまして、十分検討をすることにいたしておるわけでございます。
  84. 岡本富夫

    ○岡本委員 それで、実はきのうの参考人の話を聞きましても、米国のこの基準は〇・五というふうになっておりますけれども、日本ではまだそれをはかったことがないわけですね。この分析方法が労働省でなかったのじゃないかと思うのですね。ですから、法律だけ何ぼつくったりあるいは規制をつくりましても、現実に調査をひとつもしていないわけですよ。だからその点を重ねてよくこの分析方法科学技術庁に聞いて、そして立ち入り検査をして、そしてこの基準内におさめてやらなければいけないと私は思うのです。  最後に厚生大臣全国の母乳の点検と、それから申し込みがあればすぐ受けられるように保健所に指示をするかどうか、これだけお聞きして終わりたいと思います。
  85. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 お答えいたします。  PCBに対する幼児及びこれを食する、あるいは飲用するところの今後の行政につきましては、厳重に先生の御趣旨に沿ったような検査体制と予防体制の確立をはかることといたしたいと思います。
  86. 岡本富夫

    ○岡本委員 終わります。
  87. 田中武夫

    田中委員長 それでは次は近江巳記夫君。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がきわめて限られておりますので、簡潔に御答弁お願いしたいと思います。  まず初めに私感じました点申し上げたいと思います。それは、私いままで科学技術委員会あるいは商工委員会等でこの食品添加物の問題あるいは農薬汚染の問題いろいろとやってまいりました。そのたびに、まあ科学技術庁はうちは研究調整やるだけだからというようなやはり迷惑的なそういうような気持ちも多分にあったように私思うわけです。それは関係各省全部同じような態度でこられたように私思います。そういう点、結局どこにそういう原因があるか。結局いままで縦割り行政一本でやってまいりまして、そういうような領域と領域の間のそれを埋めていかなければならない、そういうシステムというか、そういうものが非常に欠けておった。そこが結局この責任の盲点という問題でなかったか。ですから、その責任回避というか、いろいろいままで私質問してきまして、常にそれを感じておったわけです。したがいまして、当然今後はこうした一連の問題に対する解決のためのそういうシステムというものを早急に確立をしなければいけないのじゃないか。このことをつくづく思うわけでございます。それにつきまして決意だけでけっこうでございますから、大臣並びに政務次官から今後そのシステムなりそうしたことに真剣に取り組まれていくのかどうか、各省別に簡潔にひとつお答えいただきたいと思います。
  89. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いま近江委員のおっしゃったこと、まことにごもっとものことでございます。そこで、先ほども私は申しましたように、これはやはりみな力を合わせてやっていかなければならぬというので——私はさっき長々と申し上げたので、ちょっと御注意を受けて長くしゃべるなということでありますから、あまり申し上げませんけれども、みな相談して基礎研究をしなければならない。とにかく残念なことでありまするけれども資料がなかったのですね。そこで、私ども中心になって各省分担して基礎的の研究をまずやらなければならない。それに対して今度はそれを行政面に応用する場合になりますというと、これはやはり厚生省厚生省の医薬関係その他食品関係、そういうものについてはこれはどうしても厚生省にやってもらわなければならない。従来からもやっておられるし、これからもやっていかれる。また農林省は水産関係なら水産関係、これは水産関係のことはやはり農林省にやってもらわなければならぬ。その場にきますというと、行政面においていろいろ分かれてきます。しかし今日は私どものほうはさっき申しましたように世話役として研究調整の調整機関としてやったのですが、今度公害関係環境庁さんがその研究の総合調整をやられるということになりましたので、公害関係はやはり環境庁さんが中心になってまとめられて、しかもこれを実施する場合には、食品関係厚生省、やれ何はどこ、産業関係通産省と、おのおの所管の事項に従ってやるということは、これはしかたがないのじゃないかと思うのです。しかしその間の緊密な連絡、協力というものは今後においてもいまお話しのとおり最も重視してまいらなければならぬ問題だと思いますので、政府としてもこの点に力をいたしてまいりたいと思っております。
  90. 近江巳記夫

    ○近江委員 あと答えていただきますが、先ほども問題提起は厚生省からするというようなお話もございました。ところが大臣はいま公害問題については環境庁中心になってやっていくのだ、もちろんそういうふうにおっしゃることはわかるのですが、いろいろそういう話の中でも、やはりまたそこにはそういう連携というか空間の問題があるわけです。ですから、いま私が申し上げておるのは、もう時間もないわけでありますから、今後それをほんとうに有機的なそういう行政システムを考えて、そして確立をしていただきたい、その決意だけをお聞きしておるわけです。真剣にやっていただけるのかどうか、簡単でいいわけですから。
  91. 小澤太郎

    小澤(太)政府委員 旧来もこの研究の調整は科学技術庁でやっておられました。いま長官から話がありましたように、事公害に関しましては環境庁が担当いたします。その予算面では、四十七年度に環境庁でわずかですけれども、三億五千万円の調整費を持ち、科学技術庁では九億五千万円の特別調整費を持っておりまして、こういう費用もフルに活用いたしまして研究の推進ということを一元的にはかりたい、これが私どもの事公害についての任務でございますから、そのようにやるつもりであります。
  92. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 お答えいたします。政府といたしましては、総合的な観点において先生の御趣旨に沿うように努力いたします。なお厚生省といたしましては、今後の予防と研究体制を強化いたして、全国的の衛生部あるいは研究機関等を督励し、そして万全を期すよう努力いたしたいと思います。
  93. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからPCBの場合、毒物劇物法に定める毒物また劇物でもない。あるいは食品衛生法その他の規定にも含まれていない。いわば工業原料剤としての新たな汚染物質であったわけです。そういう点、一連の工業製品等を見てまいりますと、やはり今後の新たな公害発生という心配がたくさんあるわけです。こういう点、その新たな観点から毒性あるいは汚染性というものを追求しなければならないと思うのですが、そういう点でそういう心配のある問題については全部総点検をする必要があるのではないか、このように思うわけですが、今後のそういう認可についてきちっとした基準なり、あるいはまた法律が必要ならば法律を設ける必要があるのではないか、このように思うわけです。この点ひとつ山形局長、簡潔にお答えいただきたいと思うのです。
  94. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 先生の御意見全く同感でございまして、通産省といたしましては、今後いろいろと新しい製品が出るわけでございますが、最終的には国家的にこれをチェックする機構をつくりたいということで、先般も予算委員会で大臣から御答弁したわけでございますが、軽工業技術審議会にこれをはかりましてやっていきたい。ただその中間に暫定的の経過期間といたしまして、新製品をつくりましたならば、これを権威のある中立の大学研究機関等の検査を経まして、われわれのほうにそれを届け出てもらうようにいたしたい、こう考えておる次第であります。
  95. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからPCB回収につきまして各業界に対して回収する旨の行政指導をしておる、こういうことでございますが、それでは私は手ぬるいと思います。少なくとも回収規定を明確に出すべきではないか、このように思います。この問題について簡潔にお答え願います。
  96. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 回収につきましては先般三月二十一日に出しました通牒に基づきまして、おそくも四月中に各これを使用しておる企業から、これの切りかえ計画及びそれの回収計画等を提出させるようにいたしておりまして、現在その方向で進んでおる次第でございます。
  97. 近江巳記夫

    ○近江委員 私が申し上げたいのは、たとえば工場ストック分あるいは電気機器使用分あるいは熱媒体用分、感圧紙分、いろいろなそういう用途別にあるわけですが、そういうことについて明確な基準を設けて、そしてきちっとした命令規定も出す、こういうやはり一種強制的な規定が大事じゃないか、このように思っておるわけです。あなたのいまの御答弁は非常に抽象的なように私は思うのです。そこまでのきちっとした規定を出しますか。
  98. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 非常に手ぬるいような印象を受けましたのはお詑び申し上げますけれども、現在関係団体及び関係企業密接に連絡をとりまして、立法行為とかいうことはとっておりませんけれども、万全の備えでいま進めておりますので、まことに恐縮でございますけれども、先生のおっしゃいますような意味での実質的な効果は達成できるとわれわれは確信しておる次第でございます。
  99. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはひとつ厳重にやっていただきたいと思います。  それから大気中のPCBにつきまして、非常に拡散されておるときのうも各社から指摘されたわけでありますが、この大気のPCB汚染について調査されたことがあるかないか、あるいは今後どうしていくか、これが一点であります。それから輸入品中のPCBにつきまして、PCB使用しておる輸入品についてはどうするか、この二点について簡潔にお伺いしたいと思います。
  100. 山形操六

    山形(操)政府委員 初めの問題にお答えいたします。  大気中のPCBのはかり方の問題でございますが、これは非常に微量で、その捕集方法、サンプリング等の根本問題もございます。したがって、現在やっております分析法の技術開発研究の進展を待って、今年度から大気に関する検査のしかたをやる計画を持っております。したがって、現在まで大気中の調査はしておりません。今年度から実施する予定にしておりますが、まず手段のほうを検討する段階でございます。
  101. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 PCBを使っております電気製品については、これを輸入しないように輸入業者に対して通達を出しておりまして、これによって実効を期したいと思っております。
  102. 近江巳記夫

    ○近江委員 普通の焼却炉で焼きますと、PCBは全然そのままで大気中に放出されておる。これは非常に大きな量になっておる、このように学者も指摘をしておるわけです。そういう点、いまからいよいよ研究を始めるという非常にのんびりした話でございますが、さらにこれは力を入れていただきたい。これは特に科学技術庁長官にもこの点を申し上げておきたいと思います。  それで、あと環境基準等の問題でございます。食品あるいは環境基準、いろいろあるわけですが、暫定基準というような形でいま考えておるわけでございますが、やはり暫定基準というようなことではなくて、世界一のきびしいそういう基準というものを、一日も早く明確に打ち出すべきじゃないか、このように思うわけです。この点環境庁にお尋ねして、あと関連して中野委員がやりますので、私は交代したいと思います。
  103. 小澤太郎

    小澤(太)政府委員 食品等の許容基準の問題は別といたしまして、環境庁で担当いたしております環境基準、あるいはそれに関連した排出基準、こういう問題は、水質並びに土壌底質、これについてPCBにつきましてはきめなければなりませんけれども、きのうの参考人の御意見のようになかなかとらえがたい問題でございます。また現在の分析技術の能力から申しましても、そこまで分析が可能であるかどうかという問題がございます。したがい、まして、環境基準並びに水質基準を早きに及んでつくるべきでありますけれども、精密なる調査が、また研究が現在完了しておりません。緒についたばかりのところでございまして、それができない。しかし、かといって、できるまでじんぜん待つわけにもまいりませんので、暫定的な指導指針をきめまして、これは関係各省とよく連絡をとった上で当分は指導をしてまいりたい、こういうようなたてまえにいたしておる次第でございます。御理解をいただきます。
  104. 田中武夫

    田中委員長 中野明君より関連質問の申し出があります。これを許します。中野明君。
  105. 中野明

    ○中野(明)委員 時間がございませんので、簡単に関連して御問質いたします。  昨日来当連合審査会が行なわれまして、関係の方々から貴重な意見が出ました。しかしながら、これがどこまでも問題提起だけして終わってしまったのではたいへんなのでありまして、きょうは連合審査でありますから、関係省庁一堂に会されて、いろいろとけさほどからも各委員の指摘がございましたので、ぜひともこの特別委員会が契機となりまして、PCBの問題についても大きくその対策に前進があることを私は望んでやみません。特に、私、きょう二、三点重ねて質問を申し上げます。  御承知のとおり、いままでPCBというのはどちらかというと都市公害的な考え方で見られておりましたが、四月七日に高知県の衛研が発表しましたその検出結果によりますと、すでに御承知のとおり、厚生省のほうへも、その他関係にも資料が行っていると思いますけれども、人体から一八・〇四、このようなおそるべき数字が検出されております。これは検査に当たった衛研の人たちも目を疑って、何回も何回もやりかえて、そして同じ数字が出ておるということでありました。こういう状態で、地元はたいへんなショックを受けております。同時に、四国のああいう西の果てのほうでもPCBが検出されるということで、もはやこれは一府県の問題ではなしに、全国的な問題であることは明らかであります。そうしてこのままで対策を放置されますならば、最終的にはわが国が世界の重大な汚染源だ、このように批判をされることもうなずけるわけであります。その点につきまして、あらためて毒性の強いこういうものの製造の禁止並びに使用の禁止についての当局の決意、これが一点です。  それから、ただいま近江さんからも話がありました回収の規定、これは御答弁がありましたのでよろしいですが、そういう汚染の多いと見られる関係方面の健康診断、これはぜひ実行して、国民の不安を除いてもらいたい。  それからもう一点は、予算の面でありますが、分析調査の予算というものは非常になくて、特に地方の県の衛研では、御承知のとおりたいへんな圧力があるわけであります。その中で学者の良心と申しますか、国民の生命を守ろうという強い信念で、あらゆる圧力をはねのけてこれを公表しておられるその勇気と申しますか、当然のことといいながら、私は推賞されるべき問題だろうと敬意を表しております。こういう人たちが乏しい予算の中で、PCBの予算を要求しても削られているというような現状であります。この点について関係方面の予算に対する考え方、ぜひひとつ補助なりそういうことも考えていただいて、一日も早く国民の不安をなくしてもらいたい。この点だけを質問して終わりたいと思います。関係の方々から御答弁をいただきたい。
  106. 木内四郎

    ○木内国務大臣 御質問の大部分厚生省その他がお答えになると思うのですが、予算の問題ですね。それは、先ほど石川委員からも御質問がありましてお答えしたのですが、確かに私は研究開発の予算は、国家としてももっと充実しなくてはならぬと思っております。そこで、さっき石川委員からあとでおしかりを受けましたけれども、きょうも閣議で、今度GNPの二・〇二%まで行ったということは、決して誇りになるものじゃない、もっと増さなければならぬということを力説しておきましたし、ことに政府関係研究投資というものは一そう増さなければならぬということを力説しておいたのですが、いま御指摘の。またこの委員会に関係のありますPCB分析の問題、これはさっきも申しましたように非常にむずかしいのです。有機塩素系のDDT、BHC、これがみな一緒に出てくるのですから。統計を見ましても、よほど熟練した人でなければ、私はそれを信頼しないというわけではありませんけれども、そこに間違いが起きやすいということだけは、私は申し上げておきたいのです。私のほうの理化学研究所に、御案内だと思うのですが、有機微量分析室というのがございます。これにはわが国の分析の権威者の本間博士という方が担当しております。非常に熟練しておられるのですね。そこでいろいろ研究してもらっておりますが、二つ分析方法があるそうです。ところが、一つのほうなどは正確に把握できるらしいのですが、一台その機械を備えつけるのに五、六千万円かかる、こういうことでしょう。そこに母乳の検査などにいたしましても、あっちからもこっちからも方々で母乳の検査を早くやってくれというお話がありましたが、私はその希望、望みはわかるのですが、それを分析することはできないのじゃないかということをむしろおそれているくらいなんであります。それよりもう少し安い方法のものもありますけれども、それでも五、六百万円ぐらいかかるという。そこでさっき申したのですが、これから先は分析技術を正確にしかも簡単にやり得るものを研究開発しなければならぬというのがいま私どもの第一の課題になっておるわけです。そういうわけですけれども、いずれにしましても分析その他の関係の予算は私のほうだけでなく、各省にわたってこれからそれを充実していかなければならぬというので、その点につきましては、公害関係環境庁のほうで所管して予算をまとめておられまするけれども、私のほうも極力これを応援して、協力してその充実をはかってまいりたい、かように思っております。
  107. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 お答えいたします。  PCBに関しましては、食品関係については私のほうの責任と心得て、本年度の予算は六千万ほどでございまするが、とりあえず妊産婦の検診等については別途予算をもって健康診断をするように予算措置も講じてありますから、できるだけ緊急のものを、あるいはそういう汚染地区、そういうものを重点的に厳重に調査研究したい、かように存じております。
  108. 小澤太郎

    小澤(太)政府委員 御質問の、また御要望の府県の衛生研究所の問題でございますが、これは御承知のとおり厚生省の所管でございます。しかし、私ども今度のPCBなりあるいはいままで問題になっております砒素の問題、こういう問題についてその研究機関を強化するために、私どもにあります調整費等を委託するとか、いろいろな方法でもってこの実験、研究が進むように協力してまいりたい、こう考えております。
  109. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 御指摘の点につきましては、各省庁と協議の上汚染の問題については積極的にまいりたいと思います。また、研究の問題についても各省庁と協議の上遺憾のないように努力いたしたいと思います。
  110. 田中武夫

    田中委員長 次に、合沢栄君。
  111. 合沢栄

    ○合沢委員 まず環境庁のほうにお伺いいたしますが、昨日の参考人の方々のお話を聞きますと、わが国はPCBの汚染では世界一だ。しかも魚をうんと食っておるというようなことからして、人体への汚染ということが今後相当長期にわたって心配されるというようなお話がございました。その話を聞きまして、私ども国民は非常に不安を持っておるわけでございますが、これに対処するために、先ほども意見ございましたが、私は何といっても腰を据えた長期的なしかも総合的な、徹底的な対策が必要だと思うのです。そのためにはこのためのプロジェクトチームを編成してそうして当たるということが最も有効だ。環境庁では先ほどの次官のお話では、そのためのプロジェクトチームを編成するという用意があるというお話がございました。一体いつから発足されるのか、時を移さず発足してほしいというように考えるのでいつから発足されるか、まずお聞きしたいと思うわけでございます。
  112. 小澤太郎

    小澤(太)政府委員 恒久的なむしろしっかり腰を落ちつけたそういう研究機構がほしい、こう思っております。ただいませっかく科学技術庁とも相談いたしておりまして、できるだけ可能な範囲に早く発足させたい、このような希望を持っておる次第でございます。
  113. 合沢栄

    ○合沢委員 早急にひとつ時を移さず発足するというようなことでお進め願いたいと思うわけでございます。  次に、通産省にお伺いいたしますが、最近通産省としてはPCB環境汚染ということの重大性にかんがみまして、これの製造禁止だとかあるいは使用禁止というような行政指導をされておりますが、そこでPCBにかわって新しいいろいろな代替品が出てまいっておるようでございます。しかし昨日の参考人のお話を聞きましても、この代替品が必ずしも環境汚染の原因にならないといえない、危険であるという意味のお話もあった。かえって管理さえ十分であればPCBのほうが安全だというような意味もあった、これは非常に大事な問題だと思う。そこで通産省としてはそのような参考人意見に対してどのようなお考えを持っておられるか、まずお伺いしたい。
  114. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 PCBは先ほどもお話が出ましたように、毒性そのものは著しいものでございませんですけれども、一番問題でございますのはこれが分解をしにくいという蓄積度の非常に高いという点が非常に問題であるわけでございます。現在代替品開発が進んでおりまして、閉鎖系のものにつきましては大体石油系の製品がいま代替品として使用されつつあるわけでございますが、開放系のものにつきましては最近開発されましたアルキルナフタリン、アルキルジフェニール等の、これは合成炭化水素でございまして塩素を含んでおりません。この辺につきまして御指摘のとおりわれわれも非常に心配でございますので複数の大学の試験もしていただきまして、一応現時点におきましては分解性もPCBに比較しまして著しく高い、毒性も急性、亜急性等については問題ないという一応の確認をいたしておるわけでございますけれども、この分解性問題につきましてはなお非常に問題もあろうかと思いますので、現在通産省の付属の微生物工業技術研究所に早急にこれを依頼いたしまして試験を行なわせておる段階でございます。
  115. 合沢栄

    ○合沢委員 その代替品については、全品目について現在調査中ということですか。
  116. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 閉鎖系のほうに使われますものは大体石油系の鉱油でございまして、これは化学成分からいいましても現実の石油とほとんど同成分でございますので、いわゆる毒性というものはないのではないか。私のほうでいま調査しておりますのは、開放系に使われておりますアルキルナフタリン、先ほど申し上げましたそういうようなものにつきましては、その分解性につきまして大学の試験は終わっておりますけれども、一応より慎重を期するために当省所管の微生物工業技術研究所で研究しておるということでございます。
  117. 合沢栄

    ○合沢委員 代替品等については再びこういうことがないような十分なる調査の上でひとつ使わせるように願いたいと思うわけでございます。  なお、次に回収のことですが、回収についてはその前提となるものは、私は現在メーカーあるいは事業所等使用者、流通段階のもの等をその在庫なり使用状況の把握から始めなければならないと思うのですが、その使用、在庫の状態の全調査をやっておるかどうか、まずお聞きしたいと思う。
  118. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 在庫問題につきましては、メーカー段階での在庫は、現在われわれのほうでメーカー確認いたしましたところ、五百トン程度あることが判明いたしております。このPCBを使いましてつくられました製品の流通在庫につきましてはなかなかむずかしい問題があるわけでございますが、現在調査中でございますけれども、私のほうの考えといたしましてはトランス、コンデンサー、熱媒体等に使われておりますものにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、今月中にもその使用状況等の実態把握はでき上がる前提でございます。ただ感圧紙等に使われましてこれがまた再生紙に転化して各需要段階にございますものにつきましては、はっきり申し上げまして、なかなかその実態は把握できないのではないかという感じでございます。
  119. 合沢栄

    ○合沢委員 これ以上のPCBの汚染を防止するためにはやはり困難でも可能な限りの調査をすべきだ、開放系のものにしてもやるべきである、そうでなければPCBの汚染は私は防止できないと思う。  先ほどの御質問でも、故紙とかそういった開放系のものについては流通部門ではむずかしいだろうというような答弁をしておりましたが、これはけしからぬと思う。当然あるのかないのか調査すべきだと思う。特にまた、大口の需要家等の在庫についても当然調査すべきだと思う。そして徹底的なこれが防止をはからなければ、これ以上にPCBの汚染が拡大するわけでございますので、徹底的に、流通部門はもちろん含めて在庫調査をやるべきであるというように私は考えるのですが、やる意思はありませんか。
  120. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 ただいまノーカーボン紙につきましては、流通段階並びに需要者でありますノーカーボン紙の使用者につきまして、メーカーを通じまして調査をいたしております。ほぼ一カ月くらいでもってその結果がわかろうかと思います。
  121. 合沢栄

    ○合沢委員 このノーカーボンに限らず、困難であっても可能な限りの調査をする、そして毒物であるところのPCBの所在を突きとめていく、そしてそれが回収の万全を期せられるというようなことでなければならぬと思うので、慎重にして、徹底的な調査をやるよう要求しておきます。  それからいまノーカーボンの話が出ましたが、新聞等を見ると、四月六日に広島市はノーカーボンの複写紙の使用を中止したということですが、政府ではこのノーカーボンの使用は中止しておりますかどうか、お聞きしたいと思う。
  122. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 御指摘の点につきましては、開放系のものについてはほとんど中止をいたしておるわけであります。
  123. 合沢栄

    ○合沢委員 政府ではもう全然使っていないというように判断していいのですか。
  124. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 在庫の点についてもこれは使用中止というか、かってに使用してはならぬ、こういうふうに通達をいたしておりまして、まあ使用中止をしておる、こういう形であります。
  125. 合沢栄

    ○合沢委員 どうもあいまいで答弁がはっきりしないのですが、現在使っていないと確認いたしていいのですか。さらに、政府というのは政府機関を含めてのことですが、県や行政庁に対してもまた一般に対してもノーカーボンの使用を中止するような要請をやってしかるべきだというように考えるのですが、どうですか。
  126. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 政府機関がたくさんございますので全体については確認をいたしておりませんが、中止という方向は打ち出しておることは事実でございます。
  127. 合沢栄

    ○合沢委員 まことに手ぬるいと思うので、私は少なくとも、これだけの問題になっておるのだから、通産省関係省庁相談をして、政府としては一切使用しない、在庫については凍結するというような措置をとってしかるべきだと思う。さらに関係の行政官庁をはじめ地方庁、そのほか商社に対しても、これは非常に危険だからということで中止を指図し、同時に凍結をする、そして安全な方法でこれを回収するということは当然やるべきことだと思う。ぜひ今後そういった方向で厳重な取り扱いを要請したいと思います。  それから次に回収でございますが、これはどこでも回収をして焼却できるものではないということでございまして、焼却には相当金がかかるようでございますが、その回収もたいへんだと思う。一体、いま回収が可能だといわれておるものについての回収費用、これはだれが持つのか、この辺がはっきりしないと私は回収が適当になるおそれがあると思う。完全に回収するためには回収の費用を一体だれが見るのか、メーカーに見させるのか、使用しておる者が持つのか、どうするのか、回収の費用についてお聞きしたい。
  128. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 回収費用の分担の問題につきましては、PCB自体の製造メーカーPCB使用いたしております機器メーカー、それからそれを使っておる関係者、いろいろと関係者が多いわけでございますので、現在関係者間でどういう分担方法をとるか、いろいろと考究中でございます。われわれのほうもその点指導をしてまいりたいと思いますが、従来もうすでに回収が若干始まっておりますけれども、これは電気機器メーカーで申し上げますと、電気機器メーカーのところからPCB製造メーカーのところに実費でもってPCBを持ち込みまして、これは非常に、千三、四百度の高熱で処理いたしますので、その処理費用は電気機器メーカーが実費を負担しておる。現段階ではそういうかっこうになっておりますけれども、これが全部そういうかっこうでいくのかどうかにつきましては、現在関係者間でいろいろと相談をしておる段階でございます。
  129. 合沢栄

    ○合沢委員 まあ回収の費用もそういった事業者がやっている場合はいいのですが、回収が不特定多数の一般の者になる可能性もあると思う、またそれはやらなければならぬ問題だと思うのですね。まあ開放系のものについても、そういう事業者ではなくして個人のものも集めるというようなことを徹底して可能な限りやらなければならぬだろうと思う。そうした中で回収の費用というものが非常に大きな問題になってくるだろうというように考えるわけです。  それからもう一つは焼却の費用でありますが、予定せられる回収可能量の焼却の費用というものは一体どれくらいかかるのか、概算でわかっておればお示しを願いたいと思う。
  130. 田中武夫

    田中委員長 山形化学工業局長。——局長、そんなことがわからぬのか。
  131. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 若干不正確の点があるかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように回収可能量は三万六千トンということでございますが、この三万六千トンの回収いたしましたものの焼却費用は、概算一億八千万円くらいとわれわれのほうの計算では現在なっておる次第でございます。
  132. 合沢栄

    ○合沢委員 今後PCBの汚染を拡大しないためには、回収焼却ということが最も大事なんです。そこで、回収にどのくらい金がかかるのか。また、焼却費用に幾らかかるのか、そういったものがはたして事業者だけの負担でできるのかどうかというような検討こそ、私は最も大事だと思うのです。同時にまた、こういった回収なり焼却といったようなものが、単なる行政指導でできるのかどうか、法制化しなくていいのかどうか、この点どうですか。
  133. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。  閉鎖系のものにつきましては先ほど来答弁いたしておりますように、ほとんど全部につきまして回収のめどがついておるわけでございますけれども、問題は開放系のものであると思うわけでございます。紙等の問題につきましては、これが一般ユーザーから放出されまして、いわゆる清掃法上の規定によりますと一般廃棄物という概念の廃棄物として蓄積されるわけでございますので、現在各市町村等の廃棄事業の一環にも組み込まれる可能性もあるわけでございますので、今後厚生省等とも御連絡をとりまして、業界の総力も結集いたしまして、高熱の焼却炉の建設等につきましては、国も協力体制をとることによって円満に解決していきたい、こう考えておる次第でございます。
  134. 合沢栄

    ○合沢委員 時間が限られておりますので、あと一、二問まとめて質問して終わりたいと思います。  いまの答弁ですが、この回収費というのは相当金がかかる。特にそれが事業者の負担になってくると、とかくルーズになる危険があると思うのです。それを補うためにはやはり法制化が必要だと思うのです。そういう点で、何とか法制化して規制するような措置考えるべきだといった意味の質問を私はしたわけでありますので、そのようにひとつ考えていただきたいと思うわけでございます。  さらに続けて二、三申し上げて終わりますが、新製品等について疑わしきものが出てくると思うのです。特にこういう点については、これからよほど審査制度というか、何かしなければいかぬのじゃないか。可塑剤とか安定剤とか界面活性剤といったようなものの中には、この汚染のもとになるような疑わしき物質というものがたくさんあるというように考えるのです。そこで、こういったものについても至急調査をし総点検するという必要があるだろう。さらに、新製品の場合にもそういった面の汚染ということを中心にしての審査というか、そういった点を加えるべきであるということを申し上げ、この点についての御意見をお聞きしたい。  それから次に、PCB研究ですが、昨日参考人等の御意見を聞いて、民間の学者、研究者が非常に少ないわけでございますが、そういった方々が予算を流用したりあるいは自費でもっていろいろ研究されているということなんです。このことをどのように政府は受けとめておられるか、まず政府のほうに聞きたいと思う。これだけ重大な問題について学者、研究者の数少ない方々は、みずからの費用で、あるいは予算を流用しながらやっておる。どのようにお考えか、その心境をお聞かせ願いたいというのが三点。  最後に厚生省のほうに、大事なことは、体内に入っておるところのPCBの蓄積されたものが体内から排出する、これを何らか解毒できるというような研究が最も大事じゃないか、この点についてどの程度研究がなされておるか、また見通しがあるかということをまとめてお聞かせ願いたいと思います。
  135. 木内四郎

    ○木内国務大臣 お答えいたします。  いまの予算の問題、これは非常に大事な問題でありまして、科学技術関係、私のほうだけでなくて、環境庁関係のものも不足のことは明らかなんでありまして、こういう点につきましては今後どうしても充実をはかっていかなければならぬということは、先ほど来お答えしておるとおりでありますので、今後におきましてもその点については努力をしてまいりたい、かように思っておるわけでございます。  それから体内に入ったもの、これはむしろ厚生省の問題だと思うのでありますが、私のほうにも有機化学の部門がありまして、有機化学第一研究室、第二研究室というものもありますし、また生物化学のほうもありますので、化学的の分解の方法あるいはまた生物学的の分解の方法ども研究をさせておるわけでありますが、まだその成果を得るに至りませんけれども、私のほうだけでなく、厚生省の国立衛生試験所その他においてもこの点については今後特に力を入れてまいる考えでおることを申し上げておきたいと思います。
  136. 浦田純一

    ○浦田政府委員 体内に蓄積されたPCBを的確に体外に排出するという研究はまだ完成されておりません。厚生省は過去カネミ油症の例におきまして、現在まで約八千万円余の研究費を支出いたしまして、それらの点も含めまして追跡調査研究を進めておりますが、結論から申しますと、現在までそのような薬剤はまだ開発されておりません。現在やっておりますことは、これと並行いたしましてPCBが体内においてどのような経路をとっていくか、どれくらい吸収されるか、また排せつされるかという問題について現在研究を進めている段階でございます。
  137. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 御指摘の新しい化学品が開発された場合、それが問題を惹起するとも考えられますので、これら新製品の実用化の前に安全性について何らかのチェックをすることが必要ではないかと考えております。したがって、今後通産省といたしましては広く関係者の意見を聞いて、適切なチェックの体制、基準等について早期に検討を行ない、必要な処置を講じてまいりたいと思います。
  138. 田中武夫

    田中委員長 次に、米原昶君。
  139. 米原昶

    ○米原委員 時間があと十分しかありませんから、ごく限られた問題だけ質問します。  昨日、参考人の、特に学者の方々の意見を聞きまして、PCBに関しては全く後手後手でやってきて、どうにもならないところに来ておる感を強くしたわけであります。そういう点についても聞きたいことがあったのですが、時間がありませんから、ただ一言、言っておきますと、ただいま合沢君の質問に対してお答えがあった中で、代替品の問題です。アルキル性ナフタリンがあるいは使えるかもしれないというので、最終的に微生物研究所にいまさらに調査させておるという回答がありましたが、昨日の学者の意見ではまさにこれを例としてあげられたのです。アルキル性ナフタリンなんか使った場合には、いまのPCBを使うよりもっと危険である、だからうかうか代替品は使えないのだ、こういう話をきのう承ったのです。そういう点で非常にこれは重大だと思う。こういう有毒性の物質製品化される場合の措置、これは十分注意してもらいたいと思うのです。慎重に検討が必要です。同時に、これを認める場合でも、きのうの学者の意見では、PCBの場合でも必ずしも全面禁止でなくても場合によってはいいんだ、そういう十分注意した使い方をすればいい面があるんだ、もちろん毒性のない代替品が出てくれば、これが一番いいでしょうけれども、そこまでまだ研究ができてない段階では、そういう点を考える必要があるという意見もあったわけです。そういう点で、特に考えるのですが、いままでこういうような有毒性の物質製品化された場合、ことにPCBの場合ですが、通産省から厚生省とか環境庁とか、そういうところに一体連絡されてきたのかどうかという点、私はそういうこともなかったんじゃないかと思うのですが、この点についてちょっと簡単に承りたいと思います。
  140. 山形栄治

    山形(栄)政府委員 従来、そういう有毒の可能性のあるものについて、そのつど通産省に連絡があったかという御質問でございますが、正直に申し上げまして、過去にはそれは非常に不備な点があった点は認めざるを得ないと存ずる次第でございます。ただし、最近時におきましては、人体の安全の問題等国民的な要請にこたえまして、新製品開発に関連いたしましては、各メーカーとも非常に慎重でございまして、必ずこれを公的なる大学研究機関等の検査を経まして、その検査結果につきましては事前に通産省のほうに届け出てきておるわけでございます。  なお、ちょっと恐縮でございますが、先ほど合沢委員の御質問に関連いたしまして、焼却施設の概算を一億八千万円と申し上げましたけれども、計算の間違いでございまして、約七億円と訂正させていただきます。
  141. 米原昶

    ○米原委員 いままでおそらく十分でなかったことははっきりしたのですが、毒物及び劇物取締法というのがあるわけですね。こういうものは、初めから毒物・劇物とわかっているから使うほうも注意をしなくちゃならぬということはわかっておりますからやっておるわけですね。今度のPCB回収という問題は、きのうも聞いてみましたが、やはり実際はなかなか回収できないものがたくさんあるわけですね。つまり、初めからこれは危険なものだということが商品に表示してあって、またこれを使うときにはどういう注意が必要だという注意書きをつけて、そうして売るということですね。そういうシステムをとっていくことが必要じゃないか。そういうことがあれば、今度のような問題が起こって回収という場合にも非常に簡単じゃなかったか。こういうものが野放しで売られて、もう各家庭に回るわけですから、全く処理に困っているのが実情だと思います。そういう意味でも、先ほども近江委員からも話がありましたが、毒性の検査取り扱い規則、それから販売する場合の措置、そういうものを規定した新しい法律をつくって厳重に監視することが必要じゃないか、この経験に基づいて、ということを考えるわけです。この点についてどう考えておられますか。
  142. 浦田純一

    ○浦田政府委員 PCBの毒性に関してのお尋ねでございましたので、御説明いたします。  御指摘のように、現在は毒物及び劇物取締法の毒劇物としてはPCBは指定されておりません。これは急性毒性で見まして非常に毒性が弱くて、現在の基準では毒劇法の指定には該当しないということでございます。  ちなみに、急性毒性はLD50で申しますと、マウスにおいて体重一キログラム当たり二・三ないし二・七グラム、ラットにおいては体重一キログラム当たり一・五ないし一・九グラム・DDTにおきましては、マウスにおきましては〇・三ないし〇・四グラム、ラットにおいては〇・五ないし〇・二八グラムということでございまして、PCBのほうが急性毒性から申しますとかなり弱いわけでございます。慢性毒性につきましては、御指摘のように現在不明な点が多いわけでございますが、これは鋭意国立衛生試験所等を中心といたしまして動物実験を急いでいる段階でございます。
  143. 米原昶

    ○米原委員 とにかく、急性毒性がないといっても非常に危険なものだということがここでわかったわけですね。そうすると、いままでの毒物及び劇物取締法とは別の形のこういう非常に危険なものに対しての使用規則をつくるべきじゃないかということなんですよ。——答えられなければ、もう時間がありませんから、もう一点だけ聞いておきます。  環境庁の方に聞きたいのですが、食品の許容基準が今度PCBの問題できめられた場合、たとえばこれは危険だ、こういうものは許されないとかきまった場合の出荷制限とか廃棄処分とかいうことが実際問題として出てくるのではないかと思うのです。そういう場合の補償はどういうふうにされる考えかということだけこの際聞いておきます。これは間もなく起こる問題だと思います。
  144. 浦田純一

    ○浦田政府委員 PCBの新しい取り締まり規制を法的に考えるかどうかということでございますが、これは慢性毒性その他の結論を見ながら考えていきたいと思っております。とりあえずはやはり食品の許容基準というものを早急につくらなければならないということで準備を進めておるわけでございますが、これとて実は学問的な裏づけを十分にし、慢性毒性の結果を待っておりますと一年余はどうしてもかかるわけでございます。したがいまして、いわば行政指導上の一つの基準といたしまして、暫定基準を早急につくりたいということは前にこの席で厚生大臣のほうからもお答えしたとおりでございますが、これらの暫定基準ができました場合には、やはり私どもはこれは行政指導ということになりますが、出荷の停止なりあるいは接触の禁止といったような措置はとらなくてはならない。これがさらに安全基準ということで法的な根拠を持ってまいりますと、この場合にはこれは法律違反ということになりますので、よりきびしい規制になるわけでございますが、これらの補償につきましては、実は食品全般にたとえばそういったような問題が、チクロの問題とか、いろいろと過去にもあったわけでございまして、これらにつきましては現在制度的なものについて検討中でございまして、まだ結論を得ていない段階でございます。
  145. 米原昶

    ○米原委員 もう終わりですが、いまの問題を聞きましたのは、きのうも学者の意見の中で、これは必ず補償の問題がからむわけです。補償を相当しなければならぬかというところで、基準をゆるめる。基準をつくるときから補償の問題が頭にあるわけですよ。政府の頭にもおそらくあると思う。ですから、補償をどういう方針でやるか、これが出ませんと逆に合理的な基準がきまらないというのが、いままでの基準問題でいろいろあるわけです。この問題についてほんとうに国民の納得するような方針を出していただきたい、このことを言っておきまして、私の質問を時間がありませんから終わります。
  146. 田中武夫

    田中委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時散会