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1972-05-31 第68回国会 衆議院 建設委員会地方行政委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月三十一日(水曜日)     午後一時九分開議  出席委員   建設委員会    委員長 亀山 孝一君    理事 金子 一平君 理事 田村 良平君    理事 葉梨 信行君 理事 阿部 昭吾君    理事 渡辺 武三君       小沢 一郎君    大村 襄治君       梶山 静六君    野中 英二君       古内 広雄君    森下 國雄君       山下 徳夫君    山本 幸雄君       井上 普方君    卜部 政巳君       佐野 憲治君    新井 彬之君       北側 義一君    浦井  洋君   地方行政委員会    理事 中村 弘海君 理事 豊  永光君    理事 山本弥之助君 理事 小濱 新次君    理事 門司  亮君       高鳥  修君    永山 忠則君       三池  信君    桑名 義治君       和田 一郎君    林  百郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         自治省財政局長 鎌田 要人君  委員外出席者         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         建設省計画局宅         地部長     河野 正三君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  新都市基盤整備法案内閣提出第一〇〇号)      ————◇—————   〔亀山建設委員長委員長席に着く〕
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより建設委員会地方行政委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出、新都市基盤整備法案を議題といたします。     —————————————
  3. 亀山孝一

    亀山委員長 本案に対する提案理由等は、お手元に配付してあります資料によって御了解願うこととし、直ちに質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本弥之助君。
  4. 山本弥之助

    山本(弥)委員 本法案は、人口産業都市への集中の抑制をするために、大都市周辺地域計画的な宅地開発を推進するために、新しい都市計画事業といたしまして宅地開発制度を創設するという趣旨でございます。いままで都市計画事業といたしましては、区画整理事業だとかあるいは新住宅開発事業だとかいう手法によりまして進めてまいったのでありますが、これは宅地審議会の答申もあった関係もありますが、新しい手法といたしまして、施行区域地域住民土地所有者から協力を得るという意味におきまして、均等に負担をしてもらうという新しい手法考えるのであります。その点におきましては、従来の都市計画事業に加えまして地域住民協力も全般的に得るという意味におきまして、私は一応評価をいたしておるわけであります。  そこで内容につきまして若干質問いたしたいと思いますが、この法案の第一条によりまして、大都市周辺地域というふうに規定がなされておるわけであります。また第三条の規定によりまして、相当規模の大きい、五万人の人口を居住できるような規模以上、あるいはその地域といたしましては、比較的住宅その他の建築物の少ない山林原野、あるいは農地の多い地域を選ぶというふうになっておるわけでありますが、この法案趣旨からいいますと、いわゆる首都圏あるいは近畿圏中部圏というふうな、そういう三大大都市圏圏域内に新しい手法によって宅地造成するという考え方でありますが、その点をまずお聞きいたしたいと思います。
  5. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 御趣旨のように、三大都市圏におきましても既成市街地からの人口産業の分散を目ざしてこの新手法を適用することができるわけでございますが、同時に、先生のいまおっしゃいました第一条の目的からいいまして、大都市周辺人口産業集中の著しい地域宅地需要の著しい地域でございますが、それ以外の、三大都市圏以外におきましても、地方大都市、たとえば地方中核都市というようなものの周辺におきましてもこの事業は適用することができるわけでございます。
  6. 山本弥之助

    山本(弥)委員 従来、地方中心都市あるいは地方都市におきましては市街地開発事業だとか、あるいは区画整理事業ということによりまして、既存の都市道路の拡幅あるいは新住宅地帯造成ということで実施をしてまいったわけでありますが、今回の措置は、もとより大都市周辺は、大都市人口集中を抑制するという意味におきましても、その大都市圏宅地造成することによって集中的に新しい都市造成されるという可能性が比較的大きいわけでありますから、当然その考え方に立つことはわかるわけでありますけれども地方都市におきましても、区画整理事業によりますと当然減歩の問題が出てまいるわけですね。したがいまして、こういう新しい手法、たとえば地域住民の全土地所有者協力を得ながら新しい町づくりをするというふうな考え方は、地価の高騰、あるいは土地所有者の将来の町づくり協力を得るという意味におきましては、地方におきましても人口の一割以上の増加を示しておる地域があるわけでありますから、しかもそれらの周辺市街化区域に指定もされておるということになりますと、当然そういった中都市周辺地域開発ということにつきましても、この新しい手法都市計画事業としての新しい手法を考慮すべきではないかというふうに私は考えるわけであります。もう一つは、制限からいいまして、五万人以上の町づくりということに制限をされておるわけでありますが、五万人といいますと、住区といいますか、大体小学校単位一住区といいますと一万人というのが常識になっておりますが、五住区の町づくりという新しいニュータウン建設になるわけであります。しかし地方都市周辺におきましても、あるいは一住区、二住区というような見当でこの用地を確保するという意味においての町づくりを行なわなければならぬ、またその必要性もあるのじゃないかと思うのであります。そういうことから考えますと、そういうふうな一住区あるいは二住区というような単位でのこの新しい都市計画手法を用いての町づくりということは配慮してしかるべきじゃないかと思うのでありますが、その点につきましてどういうふうなお考えでございますか。
  7. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほど申し上げましたように、この新しい法律による手法は、地方都市におきましても、大都市周辺でそういう条件が整えばできるわけでございます。そういう意味におきましては先生の御趣旨のとおりでございますけれども先生のおっしゃるとおり、この条件としまして相当規模のもの、人口五万以上というような制限があるので、これをもっと下げたら、ほかの地方都市においていろいろのこういう手法を利用するために、もっと基準を下げたらというお話だろうと思います。この新しい法案を出した趣旨のものは、総合的な土地対策観点及び国土の有効利用という観点からのものでございます。したがいまして、私ども考えておりますこの手法による新しい都市というものの性格は、母都市からのベッドタウンということでなくて、むしろ半独立型のものであるというふうに考えておる次第でございます。つまり、地方都市におきましても、母都市市街地を拡大していくというものでなしに、一応都市機能としては半独立的な機能を持った都市をつくり上げるということでございます。したがいまして、そういう見地からいいますとある一定規模相当規模でなければ、その都市におきまして都市機能をいろいろ持つ、大体日常の生活はその地域でできるということでなければいけませんからそういう規模にいたしたのでございまして、五万人というのは、先生も御承知のとおり、市となる条件が五万人ということでございますので五万人という基準を設けた次第でございます。しかしながら、先生の御承知のとおり、三大都市圏だけでなしに、地方大都市におきまして、この周辺におきましてやはりその圏域における一体的かつ有機的な整備をはかるという意味で、こういう手法を用いるということはできるだろうというふうに考えている次第でございます。
  8. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私の申し上げているのは、法案全体を貫く趣旨につきましてはよくわかるわけであります。しかし、私の評価いたしておりますのは都市計画手法なんですね。都市計画手法からいいますと、当然一万とかないし二万とかいうような町づくりを、その地域住民のほとんど、土地所有者の大多数の協力によって新しい町づくりをやるという場合に、従来の手法がすでに行き詰まっておるということであるならば、こういう手法も加味したものを地方都市建設都市計画事業として考えることがいいのではないか、そういう余地を残しておく必要があるのではないか、かように考えておりますので、その点をお尋ねしているわけであります。
  9. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生の御趣旨、よくわかりましたが、この新しい手法というのは、先ほどから申し上げておりますように、相当規模な新都市建設するという場合の手法、つまり大規模な新都市建設をするための大規模宅地開発というようなものにつきましては、用地取得が非常にむずかしゅうございます。したがって、新しい手法によりましてこの事業の進捗をはからなければ新都市ができないということから、こういう法案を提出して御審議願っているわけでございます。ただ、こういう規模までいかない中小のものにつきましては、従来の手法である区画整理事業、また新住事業というようなものの手法でそんなに行き詰まりは来たしてないということが私どもいえると思います。したがいまして、今回は、そういうことで用地取得その他で非常に行き詰まりを来たしておりますところのそういう大規模開発につきまして、その問題点を解決したということでございまして、中小規模のものにつきましては従来の手法でできるというように考えておりますけれども先生の御趣旨のように、なおこういうような手法も今後の推移によりまして十分検討していく必要があるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  10. 山本弥之助

    山本(弥)委員 将来検討されるということでありますので、時間の関係でこれ以上申し上げませんが、今後急激に都市をつくるということであるならば、大都市地方都市もいわゆるスプロール化してまいる形態においては変わりはないわけなんですね。しかも部分的に、公共施設の充実のために土地確保について相当高価に買収しなければならぬということがあり得ることと、農村都市化への一つの変革期においては、市町村地方自治のたてまえから考えても、ある程度まで地域土地所有者多数からの協力を得るということが、将来の都市運営といいますか、あるいは自治体の運営からいって非常に好ましい姿である。だから、そういう手法が必要が少ないということによって道を閉ざしておくということは適出ではない。十分将来御配慮願いたいと思っております。  それから次に、新しく新都市をつくり上げる基盤整備しなければならぬというところは、条件にもありますとおり、建築物の比較的少ないところということになっておるので、先ほど申し上げましたように、あるいはそう高くない山林だとかあるいは原野農地というところが多いのではないか。そういう場合に、そういう地帯の新しい町をつくってまいります地方公共団体、具体的に申し上げれば市町村現状との関連からいくと、どの程度の規模市町村に対して考えていくのか。あるいは一定人口あるいは財政力を持った市町村に限定されるのかどうかということにつきましてお聞かせを願います。
  11. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この事業を施行します区域につきましては、先生もう御案内のとおりでございますが、この地域をきめる場合には、第三条にも一項目ございますように、自然的、社会的な条件で一体として開発することが必要な区域施行区域としてきめるわけでございます。その際におきまして、先生の御趣旨はそこの行政を担当する市町村財政力も勘案するのかという御質問だろうと存じますけれども、私ども市町村財政力ということはこの区域をきめる場合には考えていないわけでございまして、いま申し上げたようなその他のいろいろな自然的、社会的な条件というものできめていくわけでございます。しかしながら、この施行区域の中には、行政単位というものが一つ市町村というような行政単位でないことはもちろん多いし、相当規模でございますから複数であることが多いかろうと存じます。そういう行政組織の問題、また財政力の非常に乏しい市町村というものに対する財政負担力をどうするかという問題につきましては、また別途のいろいろな角度から検討する問題が多かろうと存じます。それは関係自治省とも十分協議をしながら、私どもこの事業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  12. 山本弥之助

    山本(弥)委員 財政力ということばを使いましたので誤解を招いたかと思うのでありますが、私の申し上げるのは、たとえば宇都宮のように人口二十万以上の都市市街化区域を想定されておるのか。あるいは一万、二万の町村区域をも想定されておるのか、そういう地域にもニュータウンの適地であるならば建設するということを考えておられるのか。あるいは複数の、二以上の市街化区域市町村にまたがって考えておられるのか。
  13. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 第三条の条件に当てはまるものでございましたならば、これはさっきも申し上げましたように、複数市町村ということも考えられます。したがって、宇都宮のような大都市以外でも、その周辺地域で、宇都宮地域市街化区域であるし、また近隣の町村というものもその地域に含まれることが妥当であるということであれば、その町村も含めて施行区域考えたい、そういうことでございます。
  14. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ちょっと質問も悪かったかもれませんが、このニュータウン建設市街化地域ということの条件がありますね。そういたしますと市街化区域は、東京の首都圏でいいますと、おそらくこのニュータウン近郊整備地帯はあまり考えていなくて、開発地域ということを考えておられると思うのでありますが、開発地域のいわゆる市街化調整区域という利用区分をしておる地域は、相当規模都市及びその周辺というふうに私は考えるのであります。そうなりますと、おそらく大都市のいわゆる市街化区域に入っておる部分もしくはそれに連なる十年以内に市街化になり得る町村ということに限定されると思うのです。そこで私の聞いておるのは、地方首都圏なら首都圏区域中心都市市街化区域建築物があまりないところを今後いわゆるニュータウンとして開発する、あるいはそれに連なる町村を想定せざるを得ないのじゃないかと思うのですね。その場合に、いわゆる二十万以上の都市であればある程度までこの仕事をこなせる。しかし周辺の一万、二万の都市であれば、この事業をやるには相当こなしにくいのじゃないか。これはあとの財政問題でお聞きしなければならぬと思いますので、その前提として、そういう地域をも対象にされるのだろうと思うのでありますが、そうでございますか。
  15. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 簡単に申し上げますと御趣旨のとおりでございます。
  16. 山本弥之助

    山本(弥)委員 次に、第四条に開発誘導地区について、面積が四〇%をこえない制限があるわけですね。そのほかに公共施設区域がある。その公共施設は、りっぱな町づくりをするとなれば、道路その他の整備、公開まで含めますと二〇%をこえるのではないかと思いますが、大体ねらいは、ここで四〇%とありますので、いわゆる土地所有者から買収する面積と、従来から民有地として、あと整理をすることになりましょうが、民有地は大体半々というような構想、あるいは買収する区域が多少多いというふうな構想でございましょうか。
  17. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 根幹公共施設につきましては、従前からどのくらいそういうようなものがあるか、そういう公共施設がすでにあるかということ、また地域によりましては相当差異がございますので、これははっきり書いていないわけでございますけれども、やはり先生のおっしゃったような大体二〇%以内であろうかと存じます。場所によりましてはもっと少ない。しかし大体二〇%ということになりますと、残り八〇%ですから、民有地も四〇%ということで、先生おっしゃるとおり、ほぼ、根幹公共施設を除いたあと開発誘導地区民有地ということで折半するということになろうかと存じます。
  18. 山本弥之助

    山本(弥)委員 次に、今回の措置は従来の区画整理事業と違いまして、いわゆる減歩という措置を行なわないわけでありますが、そういたしますと、必要とする面積収用率をかけた面積を均等に買収することになると思うのです。そういたしますと、減歩でなくて、おそらく土地所有者一定の割合で金銭買収されるということになるのではないかと思いますが、その点を確認することと、それからもう一つ、おそらく山林原野農地であれば相当面積を持っておられると思うのでありますが、ただいまお聞きいたしましたとおりかりに半分買収されるとなりますと、農村地帯といえども半分の買収となりますと、あと利用する面積として、都市における個人の住宅の敷地といえば五十坪あるいは六十坪でいいのかもしれませんけれども、新しく開発される地域住民協力を得るということになれば、あるいは少なくとも百坪くらいはやはり農地であれば確保しておかなければならぬ。あるいは中にたまたま住宅があって、それは半分、いわゆる五〇%買収されるということになれば非常に僅少な面積しか残らないということになるわけでありますが、そういう場合の最小限度面積は残してやるんだというふうな関係はどうなるのか。それからもう一つ買収価格でありますが、これは密集地帯区画整理ですと、減歩した面積とそれから新しく換地されるのと、便益によりまして評価がひとしくなるというような計算をするわけでありますけれども、今回はとりあえず買収をするということでありますと、価格差というのは現状から推定した価格だけを考慮すればいいのじゃないかと思います。そういうやり方をおとりになるのかどうか。以上二、三点、一緒に申し上げましたが、お聞かせ願いたいと思います。
  19. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 第一点の四割の開発誘導地区につきましては、先生の御質問のとおり、これは有位買収するということになるわけでございます。ただ、先生承知のとおり、この手法によりまして残りますほぼ四割くらいの民有地というものにつきましても、これは最小限度宅地としてあとで使えるというために、また防災上の見地から、最小限度公共施設の新設をする必要がございます。区画街路みたいなものが必要でございます。そういうものにつきましては最小限度の無償減歩というものも私どもあわせて考えているわけでございます。  それからもう一つは、この半分だけ公的に取得し、あと残りは半分になりますけれども、これは非常に小さいと利用できないのじゃないかという、いわゆる過小宅地の問題についての御質問だろうと存じます。この点につきましては先生のおっしゃるとおりでございますけれども、私ども区域内におきましてこういうものはそうたくさんはないと考えておりますけれども、例外的にこういう過小宅地が出てくることはもちろん趣旨としてよろしくないことでございますので、一つは、御承知土地収用法の場合におきましても、用地買収のときにかえ地でこれを補償するという処置があります、地域外でもって。したがって、土地所有者がそういう希望がございましたならば、施行区域外でかえ地でこれをあっせんするとか、またかえ地で補償するという方法もございます。それからもう一つ法律手法考えておりますのは、そういう半分になりまして、それが一定基準以下の地積になると——私ども一定基準区画整理法の場合と同じように百平米というふうに考えておりますけれども、それ以下になる場合におきましては、大きな宅地地積を減じて、そして小さい宅地にこれを増して換地する、増し換地というものを考えておるわけでございまして、そうしてそういう一定基準以上にして換地をいたしたい。これはもちろん清算の問題は伴うわけでございます。そういうことによりまして過小宅地のないように考えておる次第でございます。  最後の点につきましては、大体先生の御趣旨のとおりと思います。
  20. 山本弥之助

    山本(弥)委員 もう二点ほどお聞きしたいと思うのでありますが、この掛買によりますと、最後には土地収用するわけでございます。売り主は当然税制上の特別措置がとられると思うのでありますが、そのとおりでございましょうか。  もう一点は、市街化区域という限定がなされておるわけでありますが、市街化区域調整区域を含めての施行区域を指定する必要のある場合は、一応市街化区域に編入して措置をするという手法をとられるわけですか。
  21. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 土地を公に提供する場合の税の特別措置というものは、先生承知のように千二百万の控除ということになる。これはこれについても同様でございます。  第二点の、この施行区域市街化区域ということになっておりますけれども、その施行区域が、先ほどから話が出ておりますように、三条の条件に当てはまって、それが市街化区域だけでなしに少し周辺調整区域も編入してやる必要があるという場合におきましては、これを市街化区域に綿入する手続を、都市計画法上のいろいろな慎重な手続を経まして、市街化区域にいたしまして事業を施行するということになるわけでございます。
  22. 山本弥之助

    山本(弥)委員 今回の法案が成立いたしますと、直ちに本年度からこの法案によりましての新都市建設基盤整備事業というものが遂行されると思うのでありますが、そういう必要性があってこの法案をつくるので、すでに大都市圏におきましてもそういう要望の市町村が多いと思うのであります。そこで、施行者地方公共団体及び住宅公団になっておるわけでございますが、私ども考えは、住宅公団の力を借りることも、すでに市街化区域については相当住宅公団が大きな役割りを果たしているわけであります。しかし将来の町づくりのことを考えますと、できるだけ市町村がその施行者となって推進をしていくことが、地域住民との関係からいいましても好ましいのじゃないか、私はかように考えるわけであります。それにいたしましても、この計画を進めますには相当の職員を必要とし、また相当計画性を持った技術者も必要になるということから考えますと、ある程度まで、計画作成段階から当然私は事務的な補助というものを考えなければならぬのじゃないか。ことに、自治省もお見えになっておりますので自治省からもお伺いしたいのですが、広域市町村圏というような計画を立てましてそれの計画を進めていく場合に、当然自治省から補助金が出ているわけなんですね。こういった基本的な町づくりをやるという場合に、私は、事務費についてあるいは計画作成段階から相当補助金を出してやらすのが当然ではないか、かように考えるわけでありますが、予算を計上しておられるのかどうか。この点、建設省自治省、両方から、時間の関係がありますのでお聞したいと思います。  さらに、計画作成段階における事務費補助ばかりではなくて、ある程度用地買収が済みまして、土地造成あるいは公共施設整備を逐次、相当先行投資的に進めなければならぬということになりますと、当然地方公共団体市町村に対する財政的な圧力となり、それだけ行政需要がかさんでまいるわけですね。人口急増地帯でありますので、これに対する交付税の配慮は当然なされるのでありましょうが、いろいろな事業を遂行してまいります上に、最近私どもは数え切れないくらい、地方公共団体に対しましては議員立法その他の立法によりまして補助金のかさ上げをやっておるわけでありますが、こういった町づくりにおきましては、当然特別立法によって補助金のかさ上げということを真剣に考慮しなければ、せっかく五年ないし十年以内ということで新都市建設するということがちぐはぐになりますと、これはかえって計画倒れになる心配もあるわけでありまして、そういった時限立法的な補助金のかさ上げということによりまして私は考慮しなければならぬのじゃないか、こう考えるわけであります。しかも、単に補助金のかさ上げのみならず、いろいろな、たとえば保育所があって小学校がない、小学校があって保育所がないというような関係各省の縦割り行政との関連において、緊密な連絡のとれた、老人層の多いときには老人ホームを先行する、あるいは保育所に入所する児童の時代になれば保育所を建設するというふうに、相当各省が協力して町づくりをしていくという体制をとらなければならぬと思うのであります。それに対する配慮、いわゆる行政指導の面における配慮と財政面における助成ということが必要になってまいるのではないかと思うのでありますが、その点につきまして建設省自治省、両方から承りたいと存じております。
  23. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 第一点の事務的経費についての補助金等の財政措置でございます。この私どもの新しい手法によります事業は、当面首都圏一カ所、近畿圏一カ所というふうに、そんなに数の多いものではございません。相当規模のものでございますからそんなに多いものではございません。したがって、私ども、具体的にどの県がやるか、また住宅公団がやるかというようなことはまだはっきりしていません段階でございますので、具体的にどういうふうだということはきめていないのでございますけれども、調査及び準備の進みぐあいによりまして、関係自治省とも十分連絡をとりまして、先生の御心配のないようにいろいろ考えたいというように思います。  それから第二点の、こういう新しい町づくりに伴いましての地方公共団体の財政負担の問題でございます。特に関連公共公益施設の整備相当地方団体の負担が要るのは従来からいろいろ問題視されているところでございますが、この新しい新都市基盤整備事業というものによります地方公共団体負担というものは、従来の新住宅市街地開発事業とか区画整理事業というようなものの地方団体の負担に比べて特に膨大になるというものではございません。しかしながら、こういう宅地開発に伴いましての関連公益施設の整備に要する経費のために、地方公共団体負担相当多くなります。この問題につきましては、先生の御承知のとおりでございまして、昭和四十二年からは五省協定で関係各省落ちのないように、縦割りにならぬように十分協力してまいっておる次第でございますけれども先生のおっしゃったような対象の施設の問題、それから補助金のかさ上げの問題、その他この問題につきましてはいろいろ問題点がございます。したがいまして、私どもも、この新都市基盤整備事業のほか、一般の宅地開発に関連しての地方公共団体の財政負担を軽減するために特別の措置考えたいというふうに思い、目下いろいろ大臣の指示をいただきまして検討している次第でございまして、それを関係自治省その他関係の省庁と十分詰めまして、早急にこの結論を出していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  24. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 新都市基盤整備事業に伴いまして関係市町村の財政負担が重くなることは事実でございます。これにつきましてはただいま建設省のほうからお答えございましたが、当面の問題といたしましては、一つは五省協定の拡充と申しますか、それから住宅公団等が行なっておりまする場合、学校用地あるいは道路用地等について減額譲渡の制度がございます。こういったものも活用する、これが第一段かと思うのであります。それから第二の問題といたしましては、今国会におきましても地方行政委員会等におきまして各委員から非常に御要望のございました、いわゆる人口急増地域市町村に対しまする財政援助措置、これが当然この場合にも当てはまるわけでございますので、それをひっくるめまして、この人口急増地域に対しまする公共公益施設、こういったものに対しまする国庫補助率のかさ上げ、その他交付税あるいは地方債等の措置を講じまして万全の措置考えてまいりたい。ただ、何ぶんにもまだ現段階におきましては、具体的にどの地点においてどういう事業が張りついてまいるかということは私どももつかめておらない段階でございますが、財政的な措置といたしましては、ただいま申しました人口急増地域の問題を第二の問題といたしまして、明年度拡充をはかってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  25. 山本弥之助

    山本(弥)委員 約束の時間が参りまして恐縮でございますが、最後に大臣にお聞きしたいと思うのであります。  今回の法案一つ町づくり手法なんですね。しかもこの手法は、従来のやり方が、都市計画事業が地価の高騰によりまして遂行できなくなった所産であるともいえるわけなんですよ。問題は、大都市のみならず地方におきましても、最近の情勢は、東京あるいは関西方面から、岩手県のような僻地におきましても宅地といわず山林といわず相当大金を持って買いあさっておるような状況なんですね。地元の県民は、地元におりますとそういう高ら土地山林には手が出ない。しかし東京や大阪周辺の方は、それは安いということで買いあさっているというのが現状なんですね。いわば町づくり手法も必要であることは当然なんですけれども、問題は地価対策、土地対策、総合的な対策なんですね。しかも最近は景気が悪いというわりには金がだぶついている。だぶついている金を、法人やその他、いわゆる土地会社、不動産会社のみならず、一般の法人を含めて、土地に投資をするという傾向は著しいものがあるわけですね。このことが将来の町づくりにも支障を来たしておることは事実なわけです。したがって、詳しくは申し上げませんけれども、いわゆる公示価格を権威あらしめるようにするとか、税制面も相当きびしいものにする。あるいは法人の土地の買いあさりに対して、大蔵省からの金融機関に対する監督指導の強化ということばかりでなく、法律的に大きな手を打たなければならない。あるいは市町村長に権限を持たせる。先般、建設省自治省との共管の公有地拡大促進法案を私ども審議したわけであります。これなんかも、先買い権はあるにしても、話がまとまらなければそれまでだ、しかも売買契約が成立してからでなければ届け出ができないという法案なんですね。これでは地価対策、土地対策というもののきめ手にならぬわけであります。前進ではあるけれども、きめ手にならない。そういたしますと、歴代の大臣はいろいろ案を出されたようでありますが、みんな机上の案としてそれにとどまっているわけであります。佐藤内閣も末期的になったようでありますが、大臣はどうかお残りになって、ひとつ大き問題に取り組んでもらわなければいかぬ。それで初めてこういう法案ができているのじゃないか。税制の問題、あるいは地価の耕価格がある程度まで有効な、単に公示地点を決定していくということじゃなくて、基準になって地価の値上がりが防止できるというような制度。市町村長に対する権限の強化あるいは一般経済情勢における総合的な対策、これらをぜひやっていただかなければならぬのでありますが、大臣の本格的に基本的な土地対策あるいは地価対策に取り組む決意を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  26. 西村英一

    ○西村国務大臣 この法律は、地価の安定ということについて直接的にはどれだけ効果があるか疑わしいのでございます。しかし、宅地が少ないからということで、なるべく大規模にやろう、それに少し手先を変えてやろうということでございます。したがって、これはこの法律としてぜひともお願いいたしたい。  いま申されました、どうも土地が投機の対象になりやすいからあちらこちら買われておるじゃないか。実は建設省土地に対して責任を持っておる省といたしましては、もう前から大蔵省とたいへんやり合っておるのでございます。したがって、原則的には土地は投機の対象にすべからずという強い態度でいきたいと思っております。しかし、いまいろいろ土地が買われておる。それも、工場分散のためにやっておるところもあるし、いろいろあって画一でございませんから、建設省としてはいま調査をいたしております。上場会社全部に対て詳しい調査をして、その実情をちゃんとつかんでからひとつ対処したい。これはあなたがおっしゃいますように、われわれ十分気をつけます。しかし、そこまではいいんですが、さあ私権を制限する法律になりますと、それから先がなかなかむずかしいことになりまして、今度の農地宅地並み課税のような問題もありますし、なかなかむずかしいでございまするが、いまやようやく世論は、土地問題については相当に真剣にやらなければならぬ、こういうことでございますから、十分留意したいと思っております。
  27. 亀山孝一

    亀山委員長 それでは次は、桑名義治君。
  28. 桑名義治

    ○桑名委員 今回の新都市基盤整備法は、都市あるいは地域づくりの観点から、いわゆる土地の売買及び土地の利用までの手法が述べられているわけでございます。この手法のみでは決して土地づくりはできるわけではございませんし、こういった面から考えた場合に、財政的なものはほとんど盛られていないと言っても過言ではないと思うわけでございます。これらの点についての財政的な面の処置はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、その点をまず伺っておきたいと思います。
  29. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 新都市基盤整備事業施行者は、御承知のとおり日本住宅公団または地方公共団体ということになっております。御承知のように、住宅公団地方公共団体も、従来から宅地開発につきましてはいろいろな事業を行なってきておるわけでございますが、従来の用地取得では非常にむずかしい問題が多くなりましたので、こういう新しい手法でそういう用地の取得難をあわせて解決しようということで、この法案を御審議願っている次第でございます。したがいまして、この財政措置といたましては、住宅公団は御承知の財投資金——従来の財投資金でございますが、この資金を活用する。また地方公共団体は、現在住宅金融公庫の融資が宅地開発につきましては半分以上ございます。いま半分以上と私申し上げましたのは、宅地開発全体を総計してみますと、大体資金としては住宅金融公庫から五十数%であるということを申し上げたわけであります。あと地方債、交付公債というようなものでこの宅造資金をまかなっておる次第でございます。そういう従来の資金をなおワクをふやして、そうしてこの事業を遂行してもらおうということを考えておる次第でございます。  それからもう一つ問題になりますのは、先ほどの御質問にもございましたけれども、こういう事業を行なう際の関連の公共公益施設の整備につきまして、その費用が地方公共団体負担になる、特に市町村相当負担になるという点についてでございます。これにつきましては、従来、四十二年に五省協定ができまして、事業主体によりますところの長期の立てかえ施行という方式でやってきたわけでございます。しかしながらこれにつきましては、その資金ワクの問題、またその償還期間の問題、対象の問題、そういういろいろな問題についてなお改善を要するものが多いわけでございますので、そういう点につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、私どもも地元の財政負担を軽減するような改善策を考えたいというように考えております。同時に、地方公共団体におきましての関係の公共公益施設の補助事業の財政の範囲を広げるとか、補助率のかさ上げの問題とか、また、これは自治省にぜひお願いしなければなりませんが、地方債なり地方交付税措置の充実というような財政措置を十分に考えるということが必要であろうと思いますので、私どもは特別の措置案というものをいま検討いたしております。これは早急に結論を出しまして、関係の方面と打ち合わせして実現をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。
  30. 桑名義治

    ○桑名委員 局長は非常に懇切に説明をされ、上のせのいわゆる財政措置のお話まで一ぺんに伺ったわけでございますけれども、いまいろいろな説明がございました。五省協定のお話もございました。その問題はまたあとでいろいろとお話をしたいと思いますが、要するに、いまお話がありましたように、この事業主体は公団もしくは地方公共団体であるということになれば一番問題になりますのは地方公共団体事業主体になるときたと思うのです。先ほどから、地方債あるいは補助率の改定等いろいろなことをおっしゃいましたけれども、現実にこの事業主体が市町村になった場合に、これだけ計画されたばく大な土地の取得がはたして可能であるかどうか、これは非常に疑問があると思うのです。何となれば、首都圏の中でも非常に財政力の貧弱な町である場合にはこれだけの負担能力というのは当然あり得ない。そういう面についてどういうふうな配慮が行なわれておるかということがまた一つの問題になると思うのですが、その点について伺っておきたいと思います。
  31. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 施行主体の販政力の問題についての御質問でございますならば、施行主体である地方公共団体というものがこういう事業計画します場合、もちろんみずからの財政力も十分考えながら事業をやるということになろうかと存じます。したがいまして、市町村におきまして財政が乏しいということでありますと、これは都道府県がこういう事業を行なう。また都道府県でもそういう事業をやりたいけれども財政力の問題でなお踏み切れないという場合におきましては、住宅公団がこれに乗り出して事業を行なうという場合もあろうかと存じます。したがって、この事業をやります前提といたしましての話でございましたら、そういうことを関係者で十分協議しながらきまっていくだろうというふうに考えておるわけでございます。
  32. 桑名義治

    ○桑名委員 この地域が指定をされた場合、いわゆる完成をするまでには大体何年を予定されておるわけですか。
  33. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 これはもちろん施行区域の広さとか、また位置だとか、各筆ごとの土地所有者が何人いるかということによって相当違ってくると思いますけれども、従来からの経験によりますと、用地取得に大体二、三年、それから御承知の、取得後に土地の整理を行ないますが、土地の集約整理の期間が大体四年だということで、大体七年くらいかかる。これは平均的なことでございますけれども、そのように考えて求る次第でございます。この事業は、御承知のように用地を確保いたしまして、そしてこれを集約整理して、開発誘導地区根幹公共施設用地というものと民有地というふうに区分するということで、あとはそれぞれの管理者なり施行者にこれを引き渡すというかっこうになっておる次第でございます。その土地の整理の終了までは、土地の整理がすぐできるとすれば、用地取得から四、五年目から七年までかかって土地の整理、集約が終わるというように考えております。
  34. 桑名義治

    ○桑名委員 この本法でございますが、いわゆる土地利用計画及び興収に一応限られているということになるわけでございますが、そうすると、その上の上のせの分については一応は現行法の適用を受ける、こういうふうに考えていいわけですね。
  35. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先年の御賛同のとおりでございます。
  36. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしますと、ここで考えられますことは、いまこの地域が指定された場合には約七年くらいと予定しているということでございます。そうしますと、一つの町というふうに限定をして考えると、一つの町に五万以上の集落が新しくでき上がる。そうなると、現在の人口急増地と全く同じような現象が出てくると思うのですが、現在の人口急増地における弊害、これを建設省としてはどういうふうに一応認識なさっておられすか。
  37. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 御承知のように、この法案の目的は、大都市周辺におきまして新しい都市計画的に秩序正しく建設していこう、その場合におきまして、この新都市は環境のいい、また公共公益施設を十分備えた適正なものにしようということでございます。したがいまして、先生の御質問の御趣旨が、人口急増地域における過密の状態、それから公共施設が整わない状態ということで御質問でございますれば、私ども計画的にそういう公共施設その他は先行的に整備する。また地域内のいろいろなマスタープランも先につくって、それに基づいて行なう。環境の良好な都市をつくるという意味におきまして、従来のように自然に人が集まるという人口急増地域と違って、相当りっぱな町になるというふうに私ども確信いたす次第でございます。ただ、先生の御質問が、財政力の問題で、その市町村がどうなるかということでございますならば、これは市町村の財政負担がやはり相当多くなりますので問題がございますから、先ほどからお答え申し上げておりますように、最近の情勢に応じまして何らかの特別措置を私ども考えなければならないということで、現に私ども特別措置法案というものを検討いたしておる次第でございます。
  38. 桑名義治

    ○桑名委員 いま局長からいろいろと説明がございましたが、現在の人口急増地域は自然発生的に大きくなっているわけじゃございません。いわゆる都営住宅ができたり県営住宅ができたり、あるいは膨大な公団住宅ができたりして、政府の政策的な意図をもってそういうふうに人口が急増しているというのが事実でございます。その上に立ってのいろいろな弊害が起こっているわけですから、その上に立っての弊害をどのようにお考えになっていらっしゃるか、この点を伺っておるわけです。
  39. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 さっき申し上げましたように、自然に人口が集まったというのは必ずしも個別にということでもないわけでございまして、従来のように小規模宅地開発なり住宅建設というものが、あまり秩序正しくなく建設されるという場合におきましてそういう弊害が起ころうかと存じますので、今回におきましては相当規模地域一定地域としてあらかじめ指定し、その中のマスタープランをあらかじめつくり、公共施設等を先行的に整備し、環境のいいものをつくろうというものでございますので、先生のおしゃるように弊害もこの手法を用いれば解決できるというふうに考えておるわけでございます。
  40. 桑名義治

    ○桑名委員 いま局長のせっかくの御答弁ではございますが、私はどうしてもその点については納得がいかない。現実に私は本法の提出の意味はよくわかります。しかしながら、いままで行なわれてきた住宅政策のひずみがはたしてこのことによって解消できるかどうか、この観点につきましてはどうも了承しかねるわけです。それで私は、今回この法律を出す前に、言うならば別途にこういったものに対応できるような財政法を作成して、そして並行的に本法の提出があってしかるべきではなかったか、こういうふうに考えるわけでございます。現在の人口急増地域にはいろいろな問題がございます。いわゆる地方負担分の異常な増加という問題、あるいはまた財政基盤が貧弱であるために非常に各市町村の財政を圧迫しているという問題、それから現在住んでいる住民と新しい集落の住民との間に非常に融和が欠けてくる、あるいはまた現住民の住居地、いわゆる現在の市街地でございますが、それと今度新しく生まれてこようとする住宅地との間で社会投資のバランスをくずすという問題、あるいはこういった新しい住宅地に対する投資がばく大になるために、言うならば旧市街地の環境整備が非常におくれてくる、このような問題が現実に起きております。これはもう局長も御存じのように、町田や船橋、そういったところに行ってみますと如実にその問題が起こっております。また現在の人口急増地の中で特に重大な問題になっておるのは、教育施設の立ちおくれの問題が非常に大きな問題になっておるわけです。こういった問題を現実に惹起している。先ほどから、言うならば地方債を云々とか補助率とか、あるいは五省協定だとか、いろいろな処置が一応提起されてはおりますけれども、しかしこれは決して確定的なものではない。いまからそういうふうな処置をとるべきであろうという希望的観測にすぎないわけです。また同じような結果を生み出していくのではないかという心配が非常にあるわけでございます。先ほど申し上げましたように、別途にこういった問題に対する財政措置を立案した上において、またある程度煮詰めた上においてこういう本法の提出があってしかるべきではないか。そうするとこの法律が非常に生きてくる、こういうふうに私は考えるわけでございますが、この点について大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか。基本的な問題でございますので、しかも重要な問題でございますので、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  41. 西村英一

    ○西村国務大臣 ごもっともな御質問でございます。だいぶん世相、が変わりまして、公共団体の方々の考えもだいぶん変ってまいりました。昔は、住宅をつくってくれ、工場も誘致しようと、いろいろやっていましたが、いまやそれとは全く反対な現象であります。したがいまして、私たちがこういう法律を出す以上は、やはりもう少し地方公共団体に対する措置もしなければならぬのは判然でございます。しかし地方公共団体措置は今回は間に合いませんでしたが、私としては、あくまでこの宅地を、こういうような大規模の新都市基盤整備をするからには、どうしてもそういう公共団体に対する援助がなければできないと思います。これは自治省と御相談をいたしまして、やはり追っかけてそういう措置をとりたい、かように私は考えているものでございます。
  42. 桑名義治

    ○桑名委員 この問題は自治省が非常に深刻な問題として現在取り組んでいるわけでございますし、学校問題は、これまた文部省が非常に真剣な問題として取り組んでおるわけでございますが、建設省自治省あるいは文部省との間にこの問題についてどれだけ詰めた話し合いが進んでいるのか、その点についてまず伺っておきたいと思います。
  43. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この人口急増だとか、または宅地開発に伴っての関連公共施設整備による地方公共団体の財政負担の増、この問題は新都市公団整備事業のみではございません。従来からもそういう問題があるわけでございます。この事業によって特に財政負担が多くなるというものではないわけでございます。したがいまして、この法案につきましてそれなりの規定がないわけでございますけれども先生のおっしゃるとおりこれは早急に解決する必要があるわけでございます。これの問題につきましては、そういうことで関係各省十分協議をして真剣に検討してまいっております。御承知都市センターにこういうことについての研究会がありまして、都市センターに委託して、関係各省集まって、部厚い報告書も、中小規模宅地開発に伴うもの、大規模宅地開発に伴うもの、二部すでに出ております。そういう研究会を通じまして関係各省十分打ち合わせて、ある程度のめど、改善策というものを持っておる次第でございまして、さらにまた、私どもが主宰いたしまして、関係各省の連絡会というものも設置いたしまして、この連絡会を活用して私どもいろいろこの問題の解決に当たるというふうに考えておる次第でございます。また特にこの問題について頭が痛い、また関心の一番おありの自治省とは私ども数度打ち合わせをしておるわけでございまして、先ほどから申し上げております。特別措置の案につきましても、すでに協議に入っているようなわけでございます。したがいまして、こういうものを十分詰めながら早く結論を出していきたいというふうに考えているわけでございます。  特に付言させていただきますならば、建設委員会土地住宅問題小委員会というのが設置されまして、まずこの問題を取り上げていろいろ討議をされることになっております。すでに第一回が開かれたわけでございます。したがいまして、そういう場に関係各省集まりまして、先生方の御指導をいただきながら、これは超党派で結論を出すことになろうかと存じますので、私どもも真剣にこれを考えてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  44. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどから申し上げた問題は、本法が提出をされて、これが施行になって初めて起こる問題ではないことは十分承知しているわけです。しかしながら、前々からこういう問題が起こっておるので、本法の提出に関してそういう問題を煮詰めながら進めることがベターである、こういった立場から私は申し上げているわけで、本法が執行になって初めてそういう問題が起こってくるというわけじゃございません。この点について自治省と文部省の御答弁を願いたいと思うのです。
  45. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、人口急増市町村の特殊な財政事情につきましては放置できない段階になってきているわけでございます。私どもといたしましては四十七年度予算要求に際しまして、関係各省とも同一歩調での補助率のかさ上げ等を内容といたします人口急増市町村に対します財政措置というものを定めまして、これに基づきまして関係各省、文部省、厚生省あるいは建設省、それぞれ予算要求をしていた、だいたわけであります。力が足りませんで、結局、この人口急増市町村だけに特定をされたわけではございませんが、義務教育の諸学校の補助率三分の一が二分の一に引き上げられた。そのほか下水道あるいはごみ処理、こういったものにつきましての単価アップ等が行なわれたわけでございます。あるいはまた都市公園等につきましての補助対象の拡大ということが行なわれたわけでございますが、もちろんこれをもってしては足りない。ただいまの御質問になっておりますようなことを伺うにつけましても、この人口急増市町村対策というものを、四十八年度を目途にいたしましてどうしても前進させなければならないというふうに考えておる次第でございまして、この点につきましては、自治省といたしましても関係名君と引き続き緊密な御協力をいただきながら、来年度の実現を目ざして精一ぱいがんばってまいりたい。それがまたただいまのこういった問題の解決に大きく資するゆえんであろうというふうに考えている次第でございます。
  46. 西崎清久

    ○西崎説明員 文部省から御説明申し上げたいと思います。  人口急増市町村の学校施設、用地の問題は非常に大きな問題でございまして、建設省自治省といろいろ御相談をしながら仕事を進めておりますが本年度はまず校舎の問題、特に急増市町村につきましては、新増築という形で、児童生徒の増に伴う校舎建設が非常に緊急な問題になっております。そこで対策としては二つあるわけでございますが、一つ事業量を非常に伸ばさなければいけないという形で、補助金の額にして百八十六億から三百十二億というふうに百二十六億の増をいたしております。これは全校の校舎、屋体等の額でございますが、ほとんどが急増市町村に回る補助金でございます。それから第二点は、ただいま財政局長もおっしゃいましたが、従来小学校の校舎の補助率は三分の一でございましたが、今年度からこれを二分の一に引き上げるということで、別途義務教育の施設費国頭負担法の一改正法案が本国会に提出されまして、本日参議院の本会議で成立いたしております。ここで小学校の校舎が補助率二分の一ということに相なったわけでございます。校舎につきましてはもう一つつけ加えさしていただきますと、従来は前向き整備という形で、三百戸住宅公団等の建物が建設予定の場合には一年半の前向きの整備をするというふうなことであったわけでございますが、本年度の法改正で三年前向きの建設ができるようにいたしております。こういう観点から申しますと、急増市町村の校舎建設もかなり充実されるのではないかというふうに考えるわけでございます。  それから次に用地の問題でございますが、用地につきましては、四十六年度だけで申しますと、六十億円の国庫補助金を用意いたしまして、三年分割でございますので単年度としては二十億の支出をいたしております。これは急増市町村のみに対する用地補助でございますが、四十七年度はこれを九十六億という事業費に拡張いたしまして、これに伴う所要の地方債等もつけていただくこととして、急増市町村に対する用地費の対策ということをやっておるわけでございます。  その砥か、立てかえ施行の問題とか超過負担に伴う単価の増額とか、いろいろ私どもで行なう仕事はたくさんございますが、これらにつきましても今後十分努力してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  47. 桑名義治

    ○桑名委員 かつて建設大臣の、この種の問題について五省協定を法律的なものにして提出をしたいというふうなお話を承っておるわけでございます。この点について大臣の御意見を伺っておきたいと思うのです。
  48. 西村英一

    ○西村国務大臣 いま自治省からも文部省からもそれぞれ、いままでとは違ってそれぞれ補助金の増額をやったということは一応はわかりますけれども、私は、これだけの都市をある公共団体でやろうというからにはそんなことじゃもう追っつかないと思います。したがいまして、いまも行政措置としていろいろ打ち合わせばしてやっておりまするが、今後こういうようなことが必要であるとすれば、やはりある程度の制度化をして、それでその地方公共団体を助ける、こういうことがなければ仕事は進まないと思います。また地方公共団体の長としてもまことに迷惑なことでございますから、絶対に自分から進んでやろうとはしません。しかしやはり公共団体の長も、困った人口は引き受けたいという気持ちはありまするけれども、金がなければしようがないのでございます。これはやはりこの段階に来れば、行政処置のみならず進んで法制化の処置をとらなければ仕事は進まない、私はかように考えておりまするから、近い将来にそういうことは絶対にやらなければならぬ。私は事務当局にもいろいろ言いまして、その素案はどうなるかというようなこともただいま研究させておる最中でございますから、よろしくお願いを申し上げます。
  49. 桑名義治

    ○桑名委員 大体時間が来たようでございますので、一括して御答弁を願いたいと思います。  今回の本法におきまして、都市計画に対するいわゆる趣意がいろいろと述べられておるわけでありまするが、計画段階でいわゆる民間デベロッパーが入り、事実上都市計画が中途で挫折をするというような心配もありますし、あるいはまた土地の交換分合というような問題がはさまっておりますので、それぞれの利害がからみまして、これははたしてうまくいくのかどうか疑問もあるわけです。たとえば、いわゆる農地改良のときに同じように土地の交換分合を行なうわけでありますが、このときにやはりいろいろな問題が出て挫折をしたというような事例も私知っておりますけれども、そういったいろいろな立場から、これははたしてうまくいくのかどうか、この点の見通しをどういうようにお考えになっていらっしゃるのか、その点をまず一点。  それからもう一点は、基盤整備事業の施行に伴いまして、いわゆる鉄道の建設をするというふうな場合も想定されているようでございますけれども、この鉄道の経営主体がどうなるのか。あるいはまた現在の国鉄の経営内容の中から考えまして、いわゆる資金の調達がどういうふうな方向で進められるのか、この点を御答弁願いたいと思うのです。  それからもう一点でございます。最近は都市化に伴いまして緑地が非常に少なくなりました。この緑地を確保するということが一つ都市を形成する上においては非常に緊急な課題として考えられているわけでございますし、また基本的な問題としてもこれは取り上げていかなければならない問題ですが、この点についてこの計画上どういうふうにお考えになっているのか。その三点について伺っておきたいと思います。
  50. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 最初の点は、交換分合がうまくいくかというような点についてでございますが、この点につきましては、先生承知土地区画整理だとか土地改良事業、従来からこういう方式でやっている次第でございます。確かに、場合によりましては先生のおっしゃるように、なかなか一ぺんにはいかないことが多かろうと存じますけれども、この事業の施行着たる住宅公団なりまた地方公共団体は、従来から区画整理手法は十分手なれたものが多いわけでございますので、そういう経験を十分生かしてやることによって、先生の御心配のないように指導してまいりたいというふうに思っておりますが、この法律におきましても、今回の換地におきましては、分散した土地土地所有者の申し出によりまして一括して換地する、利用しやすくするというようなことも考えておりますし、またこの換地計画というものは都道府県知事の認可によるということで十分適正を期しております。同時に、この換地計画の内容についても、公衆の縦覧とか、また、土地整理審議会にはかるというようないろいろな措置を講じておりますので、そういうような手続の中におきまして、この交換分合が適正にかつ円滑に行なわれるようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。  それから鉄道の点でございますけれども、これは経営主体がどういうことになるかということは、その地域の状況が、またその周辺にどういうふうにどんな主体の鉄道が延びてきているかということも関連がございますので、一がいに申し上げることはできない次第でございますけれども、ある場合におきましてはこれは国鉄、または公的な、たとえば公営の交通機関または公社がやるところの準公営の機関というもの、そういう公的なものがあろうかと存じます。それから同時にまた、多摩ニュータウンのごとく、私鉄がすでにある程度幹線を持っておりまして、それを延伸すればそういう新しい都市との連絡ができるというものもございますので、そういう私鉄による新線建設ということもあろうかと存じます。公的な場合の資金については特に申し上げることもないかと存じます。いろいろな公的な資金が従来からこれについて配慮されているわけでございますけれども、私鉄の場合におきましていろいろ、最近の収支計算が非常に私鉄の場合悪うございますので、問題になるわけでございますけれども、御承知開発銀行からこの鉄道建設についての融資があるわけでございます。比較的低利の融資がございます。また四十七年度から私鉄のこういう都市交通建設についての一つの助成策として、多摩ニューウタンにおきます問題では、鉄道建設公団が私鉄の肩がわりをして鉄道を建設する、そうしてこれを長期で割賦分譲していくという方式がとられたのでございます。その鉄建公団のやるものにつきまして国と地方団体から利子補給する措置がございます。そういうような措置を十分活用しながら鉄道建設ということについて十分に配慮をいたしまして、この点についてもそこの住民の足の確保ということについて遺憾のないようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  もう一つの点は、緑地の保全の問題でございましたか、緑地の保全につきましては、もちろん新しい都市をつくる際には十分考慮をする必要があるわけでございます。先ほども御答弁申し上げましたように、新しい都市は環境のいい良好な新都市を私ども考えております。そういう意味におきまして、いろいろなそういう配置をマスタープランで考えているわけでございますけれども、同時に、宅地開発に伴いまして環境保全のための観点から景観というものも十分考える必要があるわけでございますので、こういう地域におきましては従前の植生とか地形、そういう自然条件を十分取り入れられます。そういうものも十分配慮しながら宅地開発を進めてまいりたい。具体的には、従来からの土地利用の現況図だとか、また地形の現況図というものを十分活用して宅地開発を実施することは当然でございますけれども、植生図というような、そういうものも私ども新たにつくりまして、植生保全計画というようなものをつくって、そうして自然景観の保全ということも十分配慮してまいりたい。そういうようなことによりまして、先生のおっしゃるような趣旨を達成したいというように考えておるわけでございます。
  51. 桑名義治

    ○桑名委員 時間が参りましたので、最後に一言希望しておきたいと思いますが、さっきらかいろいろと申し上げておりますように、こういった計画が指定をされた市町村につきましては、非常にばく大な予算を必要とするわけでございます。裕福な市町村というのは少なく、いますでに日本全国ではほとんどぎりぎりの線で市町村の経営をなしているというのが実情でございます。補助率のかさ上げをしましても、これはばく大な裏負担分がございますし、超過負担もございますし、あるいはまた起債あるいは地方債、そういった問題を考えてみても、しょせんは借金でございますし、またそれに対応できるだけの財政能力がなければ、県の段階でこれが肩がわりをして一時事業を推進するということになっても、これもしょせんは払わなければならない金でございます。それと引きかえまして、こういう新しいいわゆる団地というものは、年齢層も非常に若くて、税収入の面から見ましてもなかなかこれに見合うだけの税収入はあがってこないということで、永久に貧乏な市町村で終わらなければならない。また永久に苦しんでいかなければならないというような実情でございます。あるいは五省協定の中身も、先ほどから話が出ておりますように、立てかえもしくは起債のワクを広げるとか、そういうような暫定的な措置でございますのでこれも抜本的な措世にはならない。こういったいろいろな意味を含めまして考慮を払いつつ、この法の施行にあたっては十二分な検討を願いたいと思います。  以上をもって終わります。
  52. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、門司亮君。
  53. 門司亮

    ○門司委員 最初に少し、この法律の出たことについての内閣のものの考え方を大臣に聞いておきたいと思います。そのことは、この法律をずっと読んでみますと、最後のほうに公有地の拡大の推進に関する法律の一部を改正すると、こう書いてあります。この公有地の拡大の推進に関する法律というのは今度の国会に出ているのですね。今度の国会で審議している法律をまたこの国会で直すのですか。こういう不見識な法律の出し方というのが一体どこにありますか。これはひとつはっきり答弁しておいてもらいたい。
  54. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 公有地拡大の法案につきましてはいろいろ御審議をいただいておる次第でございますけれども、これは私どものこの法案よりも先に先発して御審議いただいておる次第でございます。したがいまして、ここに附則の第四項でしたかにありますように、番号も入れずに載せて、これが先に通過いたして、そして私のほうが成立さしていただきますればこれを改正するというかっこうのものでございまして、これは従前からこういう方式はございます。法制局とも相談して、その結論によって提出して御審議いただいている次第でございます。
  55. 門司亮

    ○門司委員 いまの答弁は形式の論議であって、実体の論議ではないのであります。形式的にはこういうことはやり得るのであります。また従来こういうことをしばしばやってきた。従来、日本の法制の中にはこういうことは認められなかったのであるが、しかし、占領後のアメリカさんの示唆でこういうものがだんだんはやってきて、実は、この法律でどの法律の何条をどう読みかえるとなんとか、法律自体を改正しないでほかの法律改正されて、法律を受けるほうの国民の側から、うと何が何だかわからない。役人だけがそこを知っているということで、この法律はこう書いてあるじゃないか、いや、それは迷います、この法律でここはこうなっていますということで、法律自体のていさい、法律自体の権威というものが非常に便宜主義になっていることは事実であります。これは私は一つの悪いくせだと思っている。にもかかわらずここで、いま片一方の委員会で実際この法律は審議しているのですよ。ところがこっちの委員会でこんな法は要らないのだということになると、一体何のために論議しているのですか。せめて、できた法律があって、その法律の条項がじゃまになるというのなら、便宜上いま私が言ったような形で、よくはありませんけれども、この法律でこういうことを読みかえようという便宜的なものはあるかもしれない。しかし実際はまだ地方行政委員会ではこの法律をどうしようかというようなことでいろいろ議論されておる。これはまだ参議院も通っていない。これでは国会は全く侮辱されているということであって、われわれ審議することにきわめて大きな支障がある、というよりも審議ができないでしょう、こんなことでは。事務的にはあなたの言うようなことは言えますよ。しかし国会はどうなるのです。われわれは何のために審議しているのです。一生懸命でわれわれが、審議している法律を、このままこれを承認るかあるいはここをどうするかということでやっている、その同じ国会でこの法律は適用しないんだ。私は国会侮辱もはなはだしいと思うのですよ。これはひとつ内閣総理大臣に来てもらってここで答弁をもらわなければ私は了承はできない。内閣の問題ですから。出されたのは閣議を経てきていることは間違いないのです、この点だけは。繰り返して言うようですけれども、私どもとしては地方行政委員会で新券にこういうこと審議しているのです。それが、おまえたちのほうはそっちでかってに審議をやっていればいいんだ、こっちの委員会ではこういうものは削っていくんだということになると、これは法律のていさいとしてはたいへんなものであって、せめてこの次の国会くらいなら、前の国会でこうお願いしたんだけれども、どうもぐあいが悪いからここを直しましたと言いわけができるかもしれない。しかし、事務的にやれるからやるんだという官僚のものの考え方——私どもは真剣に与えられたものを審議しなければならぬ。この際委員長にお願いするんだけれども、この法律の通るまでにやはり総理大臣に来てもらって、両方とも閣議で決定をされたのですから、その間のいきさつを聞かない限りは、こういう法律を通すということは国会としてきわめて不見識だと私は思っておる。
  56. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほどの御説明に少し補足させていただきますけれども、私どものこの御審議いただいておる法案でも、公有地拡大の先買いの制度というのを活用するほうが、いろいろ先生方から御質問のございますような土地ブローカーの介入とか買い占めというようなものも防除できるために、これは必要だろうと存じておる次第でございます。ところが、私ども法案を閣議決定する前にすでに公有地拡大の法案が閣議決定になっておるわけでございまして、この法案と同じものを書くことはまた法案の技術上からいいましても重複になるわけでございますので、先発して閣議決定いたしました公有地拡大の法案が通りましたならば、これは番号を添えて、そしてあらためてこの事業についてもそれが適用になるという追加をしていただくということでこういう附則の案ができている次第でございまして、実質的にもぜひ必要であるというふうに私ども考えておるわけでございますので、よろしくお願い申し上げたいわけでございます。これは法律が通って一年後といいますと、一年間は公有地拡大の先買いの制度は適用にならぬことになりましてやはり相当問題が多かろうと存じますので、私どももこういう附則の改正をいたしたのでございまして、先ほど申し上げましたように、これは立法技術的にも、法制局と相談しまして、前例があるのでそういうふうにお願いをしたわけでございます。
  57. 門司亮

    ○門司委員 私は事務当局の答弁を要求しておるわけじゃございません。閣議で決定して、そしてそれが通るとか通らぬとかいうこと、これは国会の審議でございまして、われわれのほうの関係である。しかし、閣議は一応やはり通るというものの考え方で出されていることも事実である。通らぬだろうといって閣議で決定して出される法律というものは私はあまりないと思うんだが、ひょっとするとこのごろあるのかもしれません。しかしいずれにしても、同じ内閣で、同じ議会で、片一方に提出されているものが片一方の法律でこれが削られるとか読みかえられるとかという改正が行なわれるということについては、私は国会議長としては、政府のそういうやり方についてさようでございますかと言うわけにはまいらぬのでございまして、この点はぜひひとつ総理大臣に出てきてもらいたい。そして総理大臣がこれを了承しているかどうか。また了承しているとすれば、国会と行政府との関係を一体どう考えておるかということであります。少なくとも憲法で規定された国権の最高機関であると定められた国会に提案した法律が、同じ会期でこういう形で出てくることについては、これは明らかに国会の侮辱だと思うのです。審議権の侮辱だと思うのです。この点は総理大臣に出てもらって明確にひとつ答弁してもらうことを私はこの機会に保留をいたしたいと思います。これはひとつ委員にお願いをしておきたいと思います。
  58. 亀山孝一

    亀山委員長 門司委員にお答えいたします。よくわかりました。できる、だけ努力をいたします。
  59. 門司亮

    ○門司委員 これはできるだけの努力をしますと言ったって——私は委員長をあまり信頼しないわけでもありません。きわめて信頼の置ける委員長だと考えておりますので、できるだけと言われれ、ば大体そういうことを実行していただけるものだと解釈することがよろしいかと存じておりまするが、しかしこの問題について、単にここだけではなく、将来こういうものが出てきたら困る。法制局はこれでいいんだと事務的の考え方だけでやられたのでは国会は迷惑です。きわめて大きな迷惑です。だからこの点はひとつ特に委員長にお願いをしておきたいと思います。  したがって、本来ならそこだけで私はきょうの質問は実は終わろうと思っておったのです。これが片づかぬ限りにおいてはこの法律を見るという気がしないのです。ところがまあそうもまいらぬかもしらぬと思います。委員長はできるだけ努力すると言っておりますので、委員長のことばを一応信じて、それからまあ大臣もおいでになりますから、いろいろ内容の問題等についてもこの際少し聞いておきたいと思いますが、この法律の出てきた由来というものは一体どこにあるかということが私どもには疑わしい。そのことは、先ほどからしばしば議論されておりますように、資金係関その他が十分でないということである。それからもう一つは、一体これはどういう形にしようというのですか。私はその点がちっともわからぬのです。といいますのはどういうことかと言いますと、この法律でいう市街地の形成というのが、何にもないところのたんぼのまん中にこしらえるというわけじゃないでしょう。市街化区域なんです。市街化区域に指定されておる場所というのは、旧市街地が形成されておる部分があるのであります。それとの接触をどうするかということである。それから同町に、そういう土地においてはほとんど全部といっていいほど大体の青写真もできておりまするし、接触すべきものはたくさんある。どこでこういう点と旧市街地との調和をさせようというのか。この点はひとつ前段として私は聞いておきたいと思うのです。
  60. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この事業は、先生おっしゃいましたとおり市街化区域におきまして施行いたす次第でございます。この施行する地域につきましては第三条に規定いたしておりますとおりでございますけれども先生のおっしゃったようなことを中心に申し上げますと、御承知の、建築物の敷地として利用されている土地がきわめて少ないということで事業施行に伴いますところの摩擦を避ける、比較的土地の利用度が低いところをこの対象にするということを私ども考えておるわけでございまして、同時に、この事業によりましてでき上がりますところのものが環境のいい良好な新都市でございます。したがいまして、良好な住宅市街地相当部分占めるということを私ども考えておりますので、この地域におきましてそれに適したような用途地域、第一種住居専用地域だとか第二種住居専用地域だとかというようなものが指定されておるということも前提にいたしておるわけでございます。また主要な公共施設に関する都市計画も定められておるというようなことでこの地域を選定いたすのでございます。先生の御質問の御趣旨は、その施行する地域の旧市街地との接触ということでございましたけれども、私どもそういうような、先ほど申し上げたような基準からいたしまして、建築物がきわめて少ないというところを選ぶということをまず考えて、事業の摩擦を少なくするということでございます。しかしながら、先生の御質問趣旨が、そういうような新都市ができて、それと旧市街地との関係の格差というような問題でございますならば、その施行区域には旧市街地は入りませんけれども、この旧市街地におきましては従来の手法区画整理だとか再開発だとか、そういう手法を十分試みて、市街地の環境を整備していく、公共施設整備していくということもあわせて事業を進めてまいる必要があろうか、そういうふうに存じておる次第でございます。
  61. 門司亮

    ○門司委員 私がそういうことを聞きましたのは、この法律自体についての表題なんですね。「新都市」と書いてあるのですね。「新都市」とは何ぞやということです。いまの局長の答弁を聞いていますと、新しい都市をこしらえるのだというけれども、これは古い都市の中にできるのですよ、現実に。したがって、市街地整備するという法律ならわかるのです。新整備法というならわかります。新市街地市街地というのは何ですか。ここに書いてある「都市」というのは何ですか。そういうものの考え方で議論をしていくところに、さっきから言うような変な質問をしなければならぬようになるのですね。新しい市街地一つ都市の中にこしらえるのだ。現実に一つ都市の中の整備ですからね。そうなんでしょう。何も新しい都市でないところにこしらえるわけじゃないでしょう。だから、私はものの考え方が、この法律を見ておかしなことを書いているなと実は思っておったのです。新都市計画というなら、従来たとえば都市の形態を整えていなかった、そこに新しい五万なり十万なりの市街地をこしらえるのだという形なら、こういう法律で私はわかると思うのです。しかしすでに市街地の中であって、そして市街化区域になっておるところを整備するだけであって、いわゆる都市市街地整備であって、新しい都市をこしられるわけじゃないでしょう。だから、これはさっき言ったような既存のものがあるのだが、これはどうするのかといって聞いたのだけれども……。
  62. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 私どものこの施行する場所は、いわゆる大都市既成市街地から、東京でございましたら五十キロ以遠のいわゆる遠いところ、大阪でございましたら三十キロよりもっと遠いという場所で、新しい半独立型の都市考えようというふうに考えておる次第でございます。したがいまして既成の市街地の中ではそういうことをやるということはございません。そういうものの周辺相当遠いところで行なう。したがって、第三条におきましても、相当の距離がある関係で、そうして自然のままに推移したならば市街化が進まないという地域を設定して、先行的に公共施設等を整備しようということでございます。ただ、先生の御質問の中でありました市街化区域でやるのじゃないかという御質問ですけれども、御承知のように、市街化区域といいましても十年以内に市街化していくというところでございまして、既成市街地だけではございません。したがいましてこの対象となりますところは、市街化区域でございましても、先ほど申し上げたようにまだ建物の少ない敷地ということでございまして、いわゆる既成市街地ではございません。それから、先ほどもどなたかの先生にお答え申しましたけれども、この地域を指定する際に、市街化区域のそういうようなところ、大都市相当遠い周辺部で施行する場合に、市街化区域だけで施行区域が設定できない場合におきましては、その周辺調整区域を、都市計画法の慎重な手続を経ましてこの市街化区域に編入しまして、そしてそこにおきまして事業をやろうという次第でございます。したがいまして、もっと端的に申しますと、既成の市街地、家屋が連檐しておるというところは、これは施行区域には含まない。建物が非常に少ないところを対象にするということでございます。
  63. 門司亮

    ○門司委員 そうするとますます不可解になってくるのですが、先ほど質疑応答を聞いていますと、財源の問題についてはほとんど触れられておらない。日本の今日の都市行政で最も遺憾なのは先行投資がないということでしょう。市街地をこしらえるには、まず市街地にふさわしい先行投資をしておかなければ、そこに市街地を幾らこしらえると言ったってそれはきわめて非民主的、というよりも非文化的なものになる。これが日本の都市計画の最大の欠陥でしょう。たとえば、あなたのほうはよく御存じだと思うのですが、アメリカの都市形態を見てごらんなさい。たとえば道路はもとより、自動車の通る通路がなければならない。下水と水道と、即日電話の引ける場所でなければ家は建てさせないという方針をとっているでしょう。この規定をぴしっと当てはめて、あとで水道がないかいや下水がないだとかやかましいことを言う必要はない。ところがこの場合に、これに必要な予算というものがちょっとも考えられておらない。そして、いや財投を持ってくるとかあるいは公庫のお金がどうとか言われておりますけれども、こうなってくると、ひとつこの辺をもう少し掘り下げて私は聞いておきませんと、形の上だけでは家が建つことになった。しかしそこには−下水も完備しておらない、水道もどうなるか。水一道なんというのは、これは大邦市の今日の水道の状態で最も重要な問題は、水源地がだんだん遠くなっていくということである。もはや既成の、たとえば東京にしても横浜にしても大阪にしても、既成の大都市の水源地というものは、いままでの水源地では保障はできない。どうしても水源地はだんだん遠くなる。日本全体がだんだんと文化化してしくことになってくる。家庭の生活はだんだん文化化してくる。どんなに遠いいなかに行っても、結局は下水の処理場を設けなければならない。これが一本。私ども考え方としては、広域下水道というようなことで、地方における一つの大きな川のそばにもう一つの川を掘って、いわゆる汚水をその川へ流して、汚水はいままでの既成の川には流さないような形態をとっていくような大計画がこの際日本には必要だ。これは教育の問題でも同じだ。さっきから文部省の答弁を聞いておりましたが、いろいろな問題があります。過密都市ではもっとやっかいなことがある。私どもの横浜ではあと、五年くらいの間に、いままでの調子で人間がふえていけば、約二百くらいの小学校を建てなければ追いつかない。この資金と敷地を一体どう求めるかということである。私はこういう問題、いわゆる先行投資、ずっと新しい市街地をおつくりになるならば、まず財政の問題を考えて、先に、水道をどこから持ってくるんだ、下水はどう整備するんだ、学校はこうするんだという青写真がなければ、ただこの新都市計画であなた方の役人の何だか権力だけをふやすだけで、実態はどうにもならぬでしょう。  日本の今日の行政で最もおくれておるといわれておる生活環境の整備、この整備を一体どこでするのですか。この資金については、何かさっきから聞いておると、財投であるとかいろいろなことを言っておりまするが、今日の財投計画はそういうところに一体どれだけ回せるのか。地方の自治体はいまどうなっているか。地方自治体の借金している総額は、ごく大まかに見てまいりましても一般財政において約三兆、二兆九千七百七十億も借金を持っておる。こういう公共事業というか、いわゆる公営企業に対しては三兆三千億以上の借金を持っておる、こういう事態なんです。これに支払っておる元利合計が一体どうなっておるか。その上に仕事を、新しい都市をつくっていこうとするなら、そういう先行投資の財源が要るはずである。その財源を認めないで、見ないでおいて、そうして絵だけここにかいてみたところで、しょせんは青写真にすぎないのである。私はむしろ、こういう法案を出されるなら、大蔵省と十分話し合いを願って、そうして、まず道路はこうするんだ、学校はこうするんだ、水道はこうするんだ、下水はどうするんだという青写真をここに示されない限りは、こういう法律をつくられたからといってこの法律はどうにもならない。日本の今日の都市計画の全体を見てまいりますと、御承知のように、昭和二十五年の国土総合開発以来、地方開発に関する法律は、この法律ができると百七十七になるでしょう。百七十七という法律、この法律は全部地域開発に関連した法律である、多かれ少なかれ。そうしてこれは全部地方の自治体が背負わなければならない。しかも、こうした理想的な考え方がどんどん出てきて、そのしっぽのほうでつくるお金は一体どうするのだというと、そいつはまだわからぬというようなことで一体よろしいのかどうかということである。  私は少なくともこの機会に示していただきたいのは、さっき言いましたように地方ではたくさん借金を背負っておりまして、これの元利の償還がどうにもならぬようになっている。ことしまでは何とか、あるいは来年までぐらいは地方財政の中で起債がどうにか償還ができるかと私は思いますけれども、もうその次になれば、おそらく赤字公債を出さなければならないようなことになるでしょう。そうなってきた場合に、地方自治体がそれを償還する能力を持っているかということである。国は少なくとも、どんなに借金をしたからといって日本銀行が背負っておりますから、ある程度この償還できるはずである。ところが地方の自治体はそうはまいりません。そうなってくると、結局問題は、この問題を解決しようとするには財政の問題をひとつこの際明らかにしていただく。そうして地方の自治体に負担をかけない、あるいは負担をかける場合にこういう形になるんだということでないと、住宅公団住宅公庫から金を借りられることはだれでも知っているし、開発銀行からも借りられるかもしれない。あるいは地方の自治体はこの公営企業の金庫から借りられるかもしれない。どこからでも借りられることも私どもよく承知しておる。しかしそれだけではものは片づかぬのであります。こういう点について、こういう目安がほんとうにどのくらいついているのか。これを施行されようとすれば一体どのくらいの財源が必要なのか。それが一体どのくらい見込まれておるのか。ただばく然と思いつきでこういう法律を出されておるなら、それはそれでよろしい。しかしこれをやるんだということをお考えになっているなら、大体積算の基礎というものがあるはずだと私は思う。どのくらいのものを見込まれているか。水道にはどのくらい要るか。教育費はどのくらい要るか。下水はどのくらいでどうなるか。あるいは道路はどうなるか。はなはだしいのは、ここには「鉄道」という文字が入っておる。鉄道なんというのは敷こうとすればこれはそう簡単にはいかぬですよ。いま赤字ばかりこしらえている鉄道。どうにもなりはせぬ、これは。私はこういう法律全体をずっと一通りだけしか読んでいません。あなた方のほうの説明はこの説明書によって承知をした範囲ですけれども、どうもこの法律はあまりにも思いつきらしい法律ではないかという気がしてならない。  そこで、もう私に与えられた時間も、ここに委員長からえらいやかましい手紙が来ておりまして、これを見ると、あまり長くないように書かれておりますから、この機会に、この資金の見通しというのが一体どういう形になっているのか、これを大蔵省とそれから自治省のほうから、資金は心配ないというのなら心配ないという、そうして地方の自治体に迷惑をかけないというのなら迷惑をかけないということだけ、この機会にはっきり聞かしておいていただければ、大体委員長から指図された時間になろうかと思いますから……。
  64. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生のおっしゃった道路だとか下水道だとか学校だとか、そういうものを十分整備して新都市をつくらなければいけない。これは先生のおっしゃるとおりの事業でございます。そういうために、これは目的をごらんいただきますとおわかりのとおり、新都市基盤というものをまず先行的に整備しようということでこの事業が始まるわけでございます。したがって、ここにございますように、根幹の公共施設というのは道路、鉄道、公園、下水道その他の政令で定めるいろいろな施設というものを、まず先行的に用地を取付して整備していこう。同時に、開発誘導地区というように、この地域市街化を進めるための中心となるところ、そこの市街化を進めていこう。その中には学校も整備しましょう、その他の利便施設も整備しましょう。そういうような新都市基盤をまず先行的に整備して、しかる後にそれぞれの公共施設の管理者なり住宅建設の主体にこれを渡していこう。そのときに民有地のところは民間の手も借りて一緒に町づくりをしていこうということでございます。先生のおっしゃるとおりでございます。時間がございませんので簡単にしか申し上げませんが、この関係でしからばどのくらいお金がかかるかという点についてでございますが、実はこれは私どももモデル的にこまかく積算をいたしておるのでございます。これはごく簡単に申し上げますと、面積が大体標準的なもので千ヘクタール、人口が十万人ということを想定いたしますと、この新都市基盤事業で七百八十一億というものを私ども考えておる次第でございます。根幹公共施設及び開発誘導地区事業費で五百六十七億、その他関連の公益的施設の整備について百七十四億、それから民有地のところで必要なところの公共事業費で四十億というようなことでございます。もっとこまかい内訳がございますが時間がございませんので、先生のおっしゃったような下水道幾ら、何が幾らというのは全部ここにございますけれども、そういうふうに考えておるわけでございます。これを同じ規模人口新住事業考えてみますと千八十億、これは経費がかかります。それから、区画整理事業でいきますと七百四十三億これはかかります。その場合の地方公共団体負担につきましても私ども概算で推定いたしておりますけれども、この新都市基盤整備事業でいきますと二百十五億が地元の地方団体負担ということになります。新住事業では百九十六億、区画整理事業で二百十六億ということで、地元の公共団体の負担というのは、それぞれの事業、同じ規模であればこれはほぼ同じである。したがって、先ほどもどなたかの御質問に申し上げしまたけれども、新しいこの事業も、従来の手法新住事業区画整理事業、この二つしか宅地開発事業手法はございませんが、これと比較して特別に負担が多くなるというものではないということを申し上げた次第でございまして、ただこの地方団体負担につきましては従来からいろいろ問題がございますので、詳しくまたここで申し上げませんが、そういう財政措置につきましてはいろいろ特別措置考えたいということでございます。よろしくお願いします。
  65. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ念のために、これは自治省と両方、聞く前に聞いておきますが、私はいまのような答弁を求めようと考えていない。十万の都市をつくりますのに七百何十億とか要るということですが、それは積算すると、私はかなりの数字になると思います。それから地方の自治体がいまのこういうものと離れて、たとえばいま整備をしなければならない、非常に環境整備がおくれている日本において地方の自治体でやらなければならない仕事にどのくらい地方の自治体がお金が要るかということですね。これは昭和四十五年度に、そこに鎌田君がおりますから一番よく知っておると思いますが、自治省が積算したのが百十兆円要る、こういっている。去年かおととし発表した知事会の数字を見てみると、これは二十九兆といっている。これはまあ知事会のは知事会としての立場ですから、市町村が入っておりませんからあれでありますが、地方の自治体は将来なすべき仕事というものを、そういうものを背負っているわけなんです。いまの次元でものを考えているわけに私どもまいらぬわけであります。地方の自治体がこういう環境整備をしようとすればこれだけのお金が要ることになっている。この上にこういう仕事を持ってくるわけなんですね。だからさっきから言うように予算の関係を私は聞かなければ、どんなことをしたってこれは問題があるしするから、きょうは時間があればもう少し私は聞きたい。この法律自体で、ここに書いてある「根幹」とかなんとかいう字が使ってあるでしょう。一体こういう法律用語がどこから出てきたかということであって、こういう問題もやはり聞かないわけにはいかない。これは字のとおり解釈すれば根と幹ということになるんですがね。いままでの法律用語にこういうものが一体あったかどうかということも聞かないわけにはまいりませんが、しかし問題は先ほどから言っておりまするように、大蔵省と自治省からこの際——さっき私が質問いたしまして、いま建設省からはそういう数字の説明がございましたので、ひとつ自治省と大蔵省から、これに十分たえ得ることのために、地方の自治体には御迷惑をかけませんという答弁ができるならひとつこの際やっておいてもらいたい。
  66. 亀山孝一

    亀山委員長 門司君に申し上げます。  大蔵省のほうは御要求がなかったものだからきょう来ておりませんから、自治省の財政局長から……。
  67. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 この新都市基盤整備法の施行に伴いまして、関係地方団体の財政負担が全体でどれだけになるかということにつきましては、全体の何と申しますか個所づけと申しますか、これはまだはっきりいたしてないわけでございまして、先ほど建設省のほうから一つのモデル的な試算しいうものがございました。私どももそれを検討さしていただいておるわけでございますが、端的に申しまして、この市町村の財政状況によりましてはこれはきわめて重い負担になることは間違いございません。したがいまして、私どもといたしましてはまず第一には、公団施行の分につきましては例の立てかえの拡充というものによりまして当面の財政の負担というものを繰り延べてまいる。ところが、そういたしましてもいつかは払わなければならない金でございますから、これにつきましてはやはり、繰り返しになりますが、人口急増市町村という広い観点がら、これに対しまする財政措置というものをどうしても考えてまいらなければならない。これによりまして、たとえば義務教育施設が一番多いわけでございますが、こういったものの国庫負担率というものを、二分の一をたとえば三分の二に上げる、こういったことによりまして当該市町村の財政負担が軽減されるわけでございますので、こういった措置を講ずるということを前提にいたしまするならば、先ほどお話がございました地方財政の長期ビジョンの問題も含めまして、財政の運営ということは可能であろうというふうに考える次第でございます。
  68. 門司亮

    ○門司委員 これでやめておきます。
  69. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、林百朗君。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 埋設大臣にお尋ねいたしますが、  一体この法律の目的、これは条文の第一条にありますが、どうしようというのですか。どうするためにこういうことをやろうというのですか。
  71. 西村英一

    ○西村国務大臣 とにかく川既成都市人口が非常に集中しておる。したがってなかなか住宅等も思うようにいかない。したがいまして、いままでとってきた方法は、たとえば土地区画整理をしてなるべくいい都市をつくろうとか、あるいは多摩ニュータウンのように、あるいは泉北ニュータウンのように、いろいろ新しい都市をつくって、新しい町づくりをしてきたわけですね。その場合のやり方が、全部土地を買ったのです。ところが土地を全部買いますと、その売った方に利益が少しも残らないのです。そこで、その宅地造成をした利益を少しでもその土地を持っておる人に還元してやろう。しかし自分は立ちのいてほかのところに行くんだ、これは別の問題ですが、なるべくその土地におりたい。そうすれば、宅地開発をすればその土地というものは、従来、上がりますからね。そういうところは、あとそこにおれば利益が還元できる。したがって、土地を全部取ってしまわない。いわゆる鹿島でやりました四分六分方式というんですか、あれに似たような開発の手段に変えていこう。区画整理というものは大規模にはできません。全国でいま三十四、五カ所やっておりますが、いまの区画整理事業といってもきわめて小さいところしかできません。駅前だとか、そんな規模ならでます。しかしこれから東京都なら東京都、大阪なら大阪に人口をふやさぬようにするけれども、やはりじわじわ人口はふえているから、やはりいい都市づくりをしたところを考えたい。こういうことで、手段としてはいままでの手段ではいけないということでこういうようなことを考えたわけです。法案のヘッディングは、名称は適当でないか知りませんけれども、新都市というのはニュータウンのことなんです。そういうように、いままでの開発手法考えて、土地を掃、供した人にその逆元利益を上げたい、まあ端的にいえばそういうことなんですから……。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 いま政府や国民が、国土開発で矛盾が激化し、非常に困難な問題に逢着しているのは、たとえば首都圏だとかあるいは近畿圏だとか、具体的にいえば東京だとか大阪に人口集中するということでしょう。そこに非常に人口集中してくるということの中からいろいろの矛盾が生まれてくるわけでしょう。だからそういうところへ人口集中しないように全国土を計画的に開発して、人口のそういうただでさえ密度の濃い百都圏、近畿圏中部圏というようなところへ人口集中しないような国土開発を一することが政府としては重要なことじゃないでしょうか。ところが本法によれば、これは何も東京都に集中する人口が減るというわけじゃないでしょう。そういう東京都を中心としたところの地域の五十キロ向こうに一つの新都市建設して、そしてまたその人たちは東京へ通うようになるのでしょう。そこで生活ができるのですか。この法律を児ますと、結局  「この法律は、人口集中の署しい大都市周辺地域における新都市建設に関し、新都市基盤整備事業の施行その他必要な事項を定めることにより、大都市圏における健全な新都市基盤整備を図り、」というのだから、結局東京圏の健全な新都市基盤整備をはかるということになるんだが、東京へ集中する人口集中しないようにする、そうしていま東京へばく大な人口集中することを阻止することによって、都市集中する人口が無限増になってくることから出てくる矛盾を防ぐということのほうが大事じゃないでしょうか。だから、そんな東京から五十キロだとか、大阪から三十キロだとかいわなくて、たとえば裏日本だとか、そういういま人口集中して矛盾が激化している都市関係のないところへ新しい市町村建設していくことこそ国土の合理的な開発になるんじゃないですか。どうでしょう。——いや、国政として大臣に聞いているのです。
  73. 西村英一

    ○西村国務大臣 もちろんこれは近畿圏とか首都圏とかに限ったものじゃございません。ある都市、たとえば仙台なら仙台でますます人口がふえてくる。そうして既成市街地の中ではどうもさばき切れぬから、近郊で新しい宅地をひとつ開発して、そこに今後の人口を収容しようじゃないか。それにはまず先にその都市基盤をつくってやろうじゃないかというようなことでございまして、特定な地域を推定していないのです。あなたが言ように、国全体の施策としては全国を使うようにそれはやっております。この間通産省から出した法律もやはり産業の分散、またわれわれが道路をつくっておるのもなるべく国土を全般に使おうということなんです。しかし何と申しましても東京とか大阪とか、住宅がやはり非常に困っておるのです。人口も——人口を呼び集めるわけじゃございませんけれども、やはり人口はふえておるのです。先般も申しましたが、いま東京では社会的な移動のための社会的な人口増は減っております。しかし子供がたくさんふえるから総体の人口はふえていますから、やはりますます都市化されることになりますから、それにはこの近郊にひとつ都市を、ニュータウンをつくってやろう。そのニュータウンをつくる方法がいままでと違った方法をやったらどうか、こういうことでございまして、この法律でもって東京とか大阪に全部人間を集めるなどということは絶対に考えておりません。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 私、だって何も東京と大阪へ日本の人口を全部集めるなんて言っているわけじゃないですよ。いま都市に過剰な人口集中して、そこで矛盾が激化しているときに、その都市集中する人口を減らして、その減らしたそこで生活の地盤が成り立つような、そういう合理的な国土開発をすべきです。結局この都市をつくっても、その都市に住んでいる人は東京へ通うとか大阪へ通うのでしょう。結局、夜寝るときにはその都市に戻るにしても、昼間はこういうところに通う。場合によっては道路をつくる。それからマイカー族が出てくる。自動車の混雑なんか一そう混雑になってくるんじゃないですか。それから、あなたの言仙台といっても、これはあとでお聞きしたいのですが、要するに新全総でいう中枢管理機能を持っている人口の大葉積地、大阪だとかあるいは仙台、札幌、名古局、広島、福岡、そういうようなことを言おうとして一つ仙台だけ出たのですけれども、同じ問題ではないですか。それよりもっと、こういう人口がもう過大になってしまって矛盾が解決できなくなっているようなところとは別個な都市をつくっていく。そしてそこで生産業業も行なう、そこで市昂の生活もまかなえる、そういう国土開発をしていくことが、いま建設省としては重要なことじゃないでしょうか。それじゃあなた、東京と大阪ばかりでないというなら、どこだか、ここで言ってください。八つほどの候補地があるというのですから、言ってみてください。同じ矛盾を持っておる都市周辺じゃないでしょうか。
  75. 西村英一

    ○西村国務大臣 私は一例をあげたのでございまして、首都圏近畿圏というようなところばかりでなしに、たとえばそういうところが地方にあればということを言ったので、八カ所ほど云々ということは、これはどういうところか私は知りませんが、おもに首都圏近畿圏の範囲内を考えての話じゃないか、かように思っていますが、事務当局から説明をさせます。
  76. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この事業の対象地域は「大都市圏」におきましてのということが書いてございます。この大都市というのは何も三大都市圏ということじゃございません。この定義としては、私ども明確に何万以上ということではございませんが、流通業務市街地整備に関する法律にございます。そういう定義と大体同じ定義、つまり四十万以上の都市というものを一応頭に想定しているわけでございます。そうしますと全国で大体十九ばかりそういう都市がございます。その都市周辺だということでございます。  それから、先生おっしゃいましたけれども大都市圏のところで母都市よりも相当離れたところに新しい都市をつくりましても、その都市からまた母都市に通うのじゃないかということでございますけれども首都圏近畿圏におきましては、この法律にもございますように、工業団地の造成事業というのをあわせ行なうということになっております。したがいまして、そういうことを通じまして、地元でそういう企業を立地しまして、そして全部が母都市に通勤するということがないように考えたいと思っております。  それから八カ所というのは、私どもは八カ所というのを建設委員会でも申し上げたことございますけれども、これは一応いまのところで候補にのぼっている個所、当面のところはのぼっているのは首都圏及び近畿圏で大体八カ所であるというふうなことで、まだ具体的に煮詰まった個所ではございません。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 あなた、そう言いますけれども、工場団地の導入もありますよ。しかし工場団地の導入といったって、このいま公害が騒がれているときに、せっかく新しくつくった都市の中にどういう工業を導入しようとするのですか。公害との調整をどうするかという問題があるわけでしょう。そんなこと聞かなくても、もちろん公害との調整を考えるとあなた答弁するにきまっています。しかし五万、十万の都市をつくって、その人たちがそこで生活の基盤が成り立つような工業をそこへ導入して、そしてそこで公害の心配が何にもないというようなことが言えますか。私がそういう質問をしたからあなたはいま言ったような答弁をしますが、第一条にはそんなこと書いてないじゃないですか。「大都市圏における健全な新都市基盤整備を図り、もって大都市における人口集中宅地需給の緩和に資する」とあるんだから、目的は大都市圏における健全な新都市基盤整備じゃないですか。だから東京なら東京という大都市岡の周辺基盤整備をやるのであって、もう東京へ行かなくてもいいということじゃないでしょう。私の考えるところによれば、この基盤整備をして新都市ができれば、なおそこから東京へ一時間なり一時間半なりかかるんだから、鉄道を敷くというような問題も起きてくる。都市と東京とをつなぐような道路も敷かれることは当然だと思うのですよ。そうしますと、新しくできた東京から五十キロの都市から自動車で通うということは考えられることですよ。そうすれば一そう自動車による混乱、自動車による公害の発生、そういうことが考えられるのじゃないですか。どうして裏日本のほうに持っていかないのですか。  それからもう一つ、あなた、十九候補地がある、八つ具体的に考えているけれども、これは言えない。それじゃ、この法律が通ってとりあえず着手しようとするのはどことどこですか。
  78. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この法律を通過さしていただきますならば、直ちにいま調査にかかれるもの、事務的に内々いろいろ話をしておりますものは、首都圏に一カ所、それから近畿圏に一カ所でございます。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 首都圏に一カ所、近畿圏に一カ所というのは、東京を中心として五十キロ、大阪を中心として三十キロ、こういう意味でしょう。大臣、そうでしょう。とりあえずそこを考えているでしょう。事務当局でなくて、これは国策として大臣にお聞きしたいのですが、とりあえずはその二カ所を考えるのでしょう。
  80. 西村英一

    ○西村国務大臣 私はまだ土地の実際的な問題はどこであるか知りませんけれども、やはりさしあたりのところは、いま商橋局長が言ったように首都圏近くで一カ所、近畿圏近くで一カ所ということは私は知っておりますが、土地それ自身の問題は知りません。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣が法案を提案しておいて、どこから実行するかまだ具体的にわからないという答弁じゃ、質問のしようもないわけです。たとえば東京の例を一つとってみますと、市街化区域とはいえ、東京から五十キロ、この辺のところは大きな土地ブローカーが非常に大きく土地を買い占めているわけです。私のほうで大企業の土地の買い占めをちょっと調べてみたり、また週刊誌にも出ておりますからいろいろ調べてみましたら、大企業の買い占めた土地は東京周辺だけで——東京周辺ですよ、東京周辺といえば、いまはこの新都市基盤整備法案の適用になるような地域、たとえば埼玉県の小川町の辺も考えられるわけです。あるいは鎌倉の逗子から少し離れた江の島の辺だとか、こういうようなところが考えられるわけですが、こういう大企業の買い占めた土地は東京周辺だけで約一億平方メートル、前部圏における民間の全宅地造成実績の七年から十年分に及んでいる。三井不動産、三菱地所、東念、西武、東武など、一社で一千万平方メートルをこえている。これをたとえば西武の実績に照らしてみれば、向こう三十三年間にわたって売り出せる土地をかかえ込んでいる。さらに、大企業の所有地は、こうした住宅用地を別にしても、たとえば東京証券一部上場会社七百七十一社の所有地を見ると四十五億、八千平方メートル、全国の市街地面積に匹敵する広さになっている。こういうように民間大企業は、金融のゆるみとからんで土地の買い占めをしているわけです。これは大臣も御承知だろうと思います。大臣も何とかしょうとお考えになっているとは思いますが、現実は既成事実としてこういうことになっているわけです。さてそこへこの新都市基盤整備を適用した。たとえば西武などは向こう三十三年間にわたっても売り出せるような土地を東京の、首都圏の周囲に買いかかえている。こういうところへこの基盤整備法が適用されたとなりますと、そういう大企業に対して大きな利益をもたらすような結果になりませんか。大臣いかがでしょうか。たとえば、民間企業に言わせればこう言っているわけです。ある大きな不動産会社ですが、全体で十五万坪といっても道路や公園を取ると宅地として売れるものは半分です。それに水道には深い井戸を掘る。集中汚水処理施設をつくる費用がかさんでしまう。だから賢い取ってしまったものの半分が宅地造成して売れればいい。しかしそれにしても水道のために深い井戸を掘らなきゃならないし、集中汚水処理施設をつくらなきやならない。ところがこの新都市基盤整備法によれば、公団と自治体で大体宅地造成をして四割は戻してやる。だから大土地所有者からいえば、土地は買ってもらう、そして四割は大体宅地の粗造状態のもとで戻してもらえる。そこへうちを建てて売れば非常に大きな利益になるのではないですか。だから新都市基盤整備法によって、そういう首都圏周囲にすでにもう一億平方メートルも土地を買いあおり、民間の全宅地造成実績の七年から十年分も買い占めておるというような大土地所有者にとってはどういう結果がもたらされることになりますか。こういう大土地買い占め業者にとって非常な利益をもたらすような結果になるように私は思うのですけれども、どうでしょうか。
  82. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 民間のデベロッパーがすでにいろいろな土地を買っておるという点につきましては、私どもも現在実態調査をいたしております。新しい法案で対象にします事業をどこでやるかということはまだきまってないわけでございますので、テベロッパーがそういう相当のリスクを負いながら土地を買っておるということにつきましてはこれは論外といたしまして、この施行区域がきまりかけたころにつきましては都市計画決定できめるわけでございますが、その前の段階におきましては土地所有者も十分周知徹底しておりますので、デベロッパーに土地を売ることはあるまいというふうに考えておるわけでございます。都市計画決定いたしますと、先ほど議論いたしましたように、公有地拡大法案が通過いたしますと、それと同じように先買いができますから、デベロッパーが土地を買うときも、公的に土地を取得することができるわけであります。それから、施行区域をきめたら、中に不動産業者が土地所有者としてすでに存在していたという場合がございます。こういう場合におきましては、先生のおっしゃるように半分といいますか、根幹施設を除いた四割は大体手元に残るわけであります。それについて非常に得ではないかとおっしゃいますが、これは一般の土地所有者と同様の措置でございます。これはそのまま民有地を直ちに使えるということではありません。民有地は砂利まきくらいの粗造成で残っておるわけでございまして、実際に建物を建てる宅地化していくためにはさらに精造成をする必要があります。そのためには開発許可も受ける必要が起こってくるのであります。したがってそういうことのために相当負担が残っておるわけであります。直ちにそれをもって、不動産業者が前から買った土地で不当にもうけることはあるまいというふうに考えておる次第でございます。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣にお尋ねしたいのですが、いま答弁なさっておるのは河町宅地部長さんですか、あるいは高幡計画局長さんですか。——高橋さんは事務当局ですから、この法案について一生懸命に通そうと思ってこまかいところまでいろいろ答弁されております。八カ所の場所を発表しないというのも、善意に解釈すれば、へたに発表してしまってデベロッパーにそこに買い占めの手を伸ばされたのではたいへんなことになるということから発表を慎んでおるということもわかりますけれども、少なくとも首都圏と近畿閥、東京と大阪の周辺に本法を適用しようということを考えておることは動かしがたい事実だと思うのです。いま高橋さんは粗造成にすぎないのだと言いますけれども、しかしこの法律の中には言うまでもなく根幹公共施設、これをつくるわけですから、民間業者がやればなかなかできないことを根幹公共施設相当根幹的なものはできてしまう。それであと宅地として残るところが料造成程度で残る。これは民間のデベロッパーにとっては非常に有利だと思うのです。その上四割まるまる残ってくるわけです。そうでなければみずから根幹公共施設をデベロッパーがやらなければならないわけですから。  そこで大臣にお尋ねしたいのですけれども、すでに、あなた方建設省が本法を適用しようと考えておる首都圏近畿圏には、こういう大土地所有者がばく大な土地の買い占めをどんどんやっておるということ、こういうことに対して規制する方法、あるいは本法を適用した場合、そういう大デベロッパーに不当な利益を与えないような規制の方法、そういうことを政府は政策として何か考えているのですかどうでしょうか。事務的な問題でなくて、政府の政策、国策として私はお聞きしたいと思うのです。
  84. 西村英一

    ○西村国務大臣 とにかく、前も言いましたように、首都圏で一カ所、近畿圏で一カ所考えておりますが、これは事業主体がどこになるかということもございまして、そういう事業をするのはあるいは地方公共団体が一番好ましいわけですが、地方公共団体でなくて日本住宅公団がやる場合もあるのですけれども、たまたまそういうようなことでここへ土地を持っておった人があるといえば、あなたが行ったとおり、それをもうけさせるのではないかというようなことも議論になるわけですが、私は最初も言いましたように、つまり遊休地を持っておる、土地を投機の対象として考えるということは、これは絶対に今後は許されてはならぬと思っております。したがいまして、それで利益すればやはり法人に対する高額の所得に増額課税をやらなければならぬ。これは首都圏とか近畿圏のみならず、全国的な問題の土地考えなければならぬようになりましたので、法人に対する税金の問題については政府全体として——建設省はどちらかというといままでは大蔵省とたびたび折衝したのですが、法人の土地譲渡の問題は税法として非常にむずかしいということを言っておるのです。しかし、大蔵大臣ももう非常に前向きに、税制調査会にかけてこれからはぜひ土地の譲渡所得に対して考えたいということです。いま、言うまでもなしに金融がゆるんでおりますから、東京のみならず全国あちらこちらで買われております。買われておりますけれども、この実態が、工場分散のために善良な意味で買われておるのか、あるいはまた買っておけばいずれ土地は上がるのだからもうかるだろうと思って買っておるのか、その辺は画一的ではございません。したがいまして建設省は、非常に困難ではございましたが、先般一部上場、二部上場の千三百社に対して実態を調べるように、調査報告書の提出等も求めております。実態を調べないと、われわれは大蔵省あるいは税制調査会にプッシュするにしても非常に弱いから、実態を十分把握したい。政府全体としては、土地は投機の対象にすべからずということを今後強く押していかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 河野さんにお尋ねしますが、民間デベロッパーには粗造地だけが四割戻るのだというのです。私は根幹公共施設の問題だけ言いましたが、たとえば開発誘導地区でも、これは民間業者ではできないようなものもちゃんと、学校の施設だとかいうようなものはずっとできてくるわけです。民間デベロッパーとしてはできないことを地方自治体やあるいは公団がかわってちゃんと宅地造成をして、そして四割戻ってくるわけですから、これは私は、非常に大雪な土地、不動産を賢い占めておるデベロッパーとしては有利な条件だと思うのですね。そこで問題は時間がありませんのでもう一つだけ聞いておきますが、自治体ですね、さっきあなたの言われましたような、たとえば人口十万というような新都市を例に出しましたね、それで七百何十億かかるというような話でありますが、これを具体的にあなたが考える場合に、東京都から五十キロということになると大体町などが多いわけですよ。まあ市のあるところもありますけれどもね。市街化区域にはなっていますが、行政単位としては町というようなところが多いと思ううのですね。その町の予算というのは多くて十億くらいだと思うのですよ。そうすると、これは一つの町でやるとして、一体七百何十億の幾らを負担するような計算になるのですか。あるいは数町が一部事務組合か何かの形でやる場合もあると思いますけれども、これは一体地方自治体へ、さっきあなたの言った負担がどういう形でどのくらいの額が転嫁されてくるのですか。一つの場合はあるいは一部事務組合で——部事務組合としても、具体的な場所がわからぬのだからそこは幾つの町が一部事務組合になるといえませんけれども、もし一つの町がそんなことを背負い込んだらこれはとてもやり切れないのではないでしょうか、自治体の身になってひとつ考えてみていただきたいと思います。どうでしょう。
  86. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほど申し上げました七百八十一億は一応の想定でございますが、先ほど申し上げましたけれども地元の地方公共団体負担は二百十五億であります。そのうちに市町村が百五十億というふうに考えておる次第でございますけれども先生のおっしゃるように、この地域がどういう地域であるかということはまだはっきりしませんものですから、この行政単位が幾つであるか、複数であるのか単数であるのか、複であるとすれば幾つあるかというのはわかりません。わかりませんが、これをまとめて申し上げるとこういうようなことでございます。しかしながらこの地方負担につきましては、先ほどからいろいろ議論がございますように、現在におきましても五省協定というものがありまして、これは事業主体が立てかてこれをやっておりまして、住宅公団の場合で申しますと、立てかえて実際につくって二十年でこれを償還するというようなことになっおるわけでございます。したがいまして、そういうようなこととか、また地方財政の補助率のかさ上げだとか、また補助事業の採択の問題とか、地方債、地方交付税その他そういういろいろな財政措置を講じまして、もっと現在のものも改善いたしまして、地方公共団体負担を少なくしようというふうに考えて、先ほどそういうふうにいろいろと御答弁申し上げた次第でございます。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 委員長、もう時間ですね。建設大臣と自治省にお尋ねしますが、かりに七百八十一億がいろいろな関係で——これは時間があればもっと詳しく聞きたいのですが、それは結局市町村の純粋な負担が百五十億になる。私も、東京の中心から五十キロというのはどの辺に当たるかということで、ずっと当たってみたのですけれども、埼玉県にしても神奈川県にしましても千葉県にしても、これはほとんど町村になるわけなんですよ。町村になりますと、かりに一つの町で百五十億利用債を、立てかえるという意味がはっきりしませんけれども、立てかえる。利用債を持つことができるとしても、これはいずれその町村が支払いをしていかなければならない金額になるわけでありますが、かりに一つの町が本法を適用されることによってこれだけの基盤整備事業をやっていくために百五十億の利用債を背負い込んだとして、その町村は財政的にやっていけるでしょうか。その点をまず自治省。それから建設大臣にお尋ねしたいのですけれども、さっき五省協定五省協定と言っておりますが、それをもう少し詳しく責任ある答弁をここでまずしていただきたい。それから自治省に、この財政負担が一体たえられるものであるかどうかということをお尋ねしたいと思うのです。
  88. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 先ほど建設省のほうから、モデル計算で総事業費が七百八十億でありますか、市町村負担百五十億という数字につきましては、私どものほうも内容を現在精査いたしておるわけでございますが、かりに百五十億というものを前提にいたしました場合に、これが結局当面の金といたしましては、御存じのとおり五省協定——後ほど御説明があると思いますけれども、学校施設等でございますと住宅公団が立てかえて施行する。それにつきましては市町村が、現在では三年据え置きを含めまして二十年で返していく、こういうたてまえになっておるわけです。用地のほうでございますと、これは半額に減額譲渡をする、こういう思い切った措置をとられておるわけですけれども、いずれにしましても立てかえ払いの分は二十年間で三年据え置きですから、正味十七年で返していかなければならないということになります。その場合に当然、返していく分につきまして補助対象になるものにつきましては補助金がそのとき国から出ます。あるいは適債事業につきましては起債ができます。そういうことで、一般財源というものがどれくらいになるかということになるわけですけれどもこれも詳細、中身を洗ってまいらなければなりませんが、かりに三分の一程度のものが一般財源になるということにいたしましても、やはりここで五十億程度のものが、七年間になりますのか、何年間かにわたって出していかなければならないわけですから、そのものにつきまして、私ども先ほどから申しておりますように、これは単に都市基盤整備事業を行なっておる市町村だけでなく、人口急増市町村でも同じ問題があるわけでございます。都市センターでお調べいただきましたところですと、かりに四千人ふえますとやはり小学校二つ、中学校一つはつくってやらなければならない、こういうことでございますが、これが人口急増市町村で、ある意味におきましてはいわば自分の責めに基づかないのに人がふえてくる、そこへ施設をやらなければならないということでございますから、これにつきましてはやはり一般の市町村と違った財政措置というものを当然とってしかるべきではないだろうかということで、私ども先ほども申しました四十七年度の予算要求で、人口急増市町村に対しまする財政援助措置と国庫補助率の、端的に申しますと、補助負担率のアップでございます。それと、あとこれに関連いたしまして地方債なり交付税なりの措置をあわせて講じていく、こういうことで、四十七年度は不幸にいたしまして不十分なことしかできなかったわけでありますけれども、これは関係各省庁軌を一にしまして、四十八年度以降実現に持ってまいりたい。そういうことになりますと、市町村の大体の——これは個々のケースに当たらなければいけませんが、全体的な感じといたしましては、財政運営に支障なくやれるのではないだろうかという感じがいたしております。ただ自分のところの市町村にそういう事業をやるかやらないかということは、これは当該地方団体の判断によるわけでございますから、その際には、やはり私どもももちろんでございますが、建設省当局とも私ども十分に相談をしまして、市町村財政力によってたえられないというところでございますれば、私どもはやはり地方財政の健全確保という面からそこで意見を申し上げざるを得ない、こういうことでございますが、ただいま申しました人口急増市町村の財政措置というものが強力に講ぜられるということであるならば支障なく運営ができる、こういう判断をいたしておる次第でございます。
  89. 西村英一

    ○西村国務大臣 いま自治省からいろいろお話がございましたが、こういうような従来の人口がふえるところについては、五省の間でいろいろ立てかえ制度その他でやっておるのでございますが、私は、これも一つの方法でございますけれども、このように一定規模以上の宅地をやって、やはり急激に人口がふえるということに対しては法的措置を講じなければ目的が達しないのじゃないかと思っております。それはどういうような法律になるだろう、こういうことでしょうが、まだ実際法律をつくったわけではございませんけれども、適用の範囲ですね、どういう場合に地方公共団体について特定のことを度の範囲ですね。これはそれだけの、人口五万といえばあらゆる人間生活に必要なものがみんな要るのです。公共施設はもちろん、小学校、中学校、幼稚園、保育所。学校でも給食設備、プールも要るでしょう。そのうちの立てかえのものは、いまはわずかのものしか立てかえていないから、こういうものの範囲を拡大する。それからものによってはやはり補助のかさ上げをする。こうなると——小学校は二分の一になったと言いますけれども、これはどちらかというとこのためじゃなしに、少しおくれておったと私は思うくらいで、そういうようにやはり法律的な措置を持ってやらないとできない。これもしかし、人口が五万になると言ったって、すぐかかって五万になるわけじゃございませんから、じわじわ五万になるわけです。そうするとだんだん地方公共団体の収入もふえてくる。住宅公団あたりに立てかえと言いますけれども、やはりこういう地方公共団体の固有の仕事はなるべく自治省が公共団体のほうに責任をもって金をやるように、流すようにすべきだと私は思います。いずれにしても法的措置をもってこれは臨みたい。これから関係者に対して、各省関係しますから、ひとつ御相談を申し上げて、法的な措置をつくりたい、かように思っておる次第でございます。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 そういうことなら鎌田さんに申し上げますが、やっていけるだろうというお話ですが、自治省の幹部としてそういう発言がはたして適切であるかどうか、私は非常に疑問だと思うのですよ。いまは地方自治体で、私が言うまでもなくおわかりなのは、やはり中央の景気浮揚策に準づく公共事業に対する対応費をどうやって総出をするか。そして補助金があるとは言うけれども、その補助金の率なりあるいは額が実情と合わなくて、非常な超過負担で苦しんでおる。そういう実情であるところへ、一年間の予算がせいぜい十億前後の町がもしこういうものを大きく負担するようなことになればたいへんなことになると思うのですよ。ただ、あなたとしては、そういう場合い自治体としてそれを引き受けるか引き受けないかは、ノーという拒否権もあるのだというようなお話がありましたので、わずかそこに救いの道を私は求めたわけですけれども、鎌田さんとしても、これは慎重にお考えになって、かりにそういう事態が起きたとしても、十分実情に合うような補助なり、あるいは起債も負担にならないような紀債を考えるべきじゃないかということを警告をしておきたいと思います。  それから西村さんには、時間がありませんのでこれ以上私は申し上げませんけれども、やはり建設省がもう一つ高い次元で国土開発というものを考えるべきではないか。たとえば国全体にわたって、その地域の経済、文化のつり合いのとれた発展——これは何か非常にマンモス的な大都市ができて、そこではあらゆる矛盾が続発して、光化学スモッグでもおわかりのように、もうここのところ毎日毎日光化学スモッグが東京都には発生しておる。しかもその原因はよくつかむことができない。いたいけな子供がそれの被害者になって、学校も休校しなければならないという状態になっておることは御承知のとおり。通勤時とそれから夕方になれば、もう全く麻痺したような状態になっておる。こういうところを若干は緩和する意味がないとは私決して申しませんけれども、そういうマンモス的な都市をやはりアイデアの中心に置いてそれを幾らかでも緩和するという、そういうこそくな手段でなくて、広大な日本の国全体にわたって新しい経済地域をつくるとか、新しい住民の住宅地域をつくるとか、それが文化のつり合いのとれた発展を目ざすとか、そういう総合的な民主的な計画建設省としては思い切って立てる必要があるのじゃないか。そうしてそれぞれの地域の特色を生かしながら、生産や交通や通信、流通などの施設の全国的合理的な再配置を目ざしていく。過疎地域にも計画的で平和的な産業、無公害な産業が新しい基地、ファウンドをつくる。そして新しい都市が過疎地域にも配置されるというような、もう一段高い段階で、日本の国土をどう総合的に開発し、日本に住んでおる国民が平和で健康な生活ができるかということを考えていく必要があるんじゃないか。そういうことを私申し上げまして、この新都市基盤整備法については一定の批判をいたしまして、私の質問は時間が参りましたので終わらしていただきたいと思います。
  91. 亀山孝一

    亀山委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後三時五十一分散会