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1972-05-17 第68回国会 衆議院 建設委員会地方行政委員会農林水産委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十七日(水曜日)     午後一時六分開議  出席委員   建設委員会    委員長 亀山 孝一君    理事 天野 光晴君 理事 金子 一平君    理事 田村 良平君 理事 葉梨 信行君    理事 服部 安司君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 渡辺 武三君       大村 襄治君    浜田 幸一君       村田敬次郎君    山下 徳夫君     早稻田柳右エ門君    井上 普方君       佐野 憲治君    阪上安太郎君       松浦 利尚君    柳田 秀一君       新井 彬之君    北側 義一君       古田 之久君    浦井  洋君   地方行政委員会    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 中村 弘海君 理事 小濱 新次君       高鳥  修君    山口 鶴男君       和田 一郎君   農林水産委員会    委員長 藤田 義光君   理事 三ツ林弥太郎君    別川悠紀夫君       山崎平八郎君    角屋堅次郎君       田中 恒利君    長谷部七郎君       瀬野栄次郎君    小宮 武喜君       寺前  巖君   公害対策並びに環境保全特別委員会    委員長 田中 武夫君    理事 島本 虎三君 理事 岡本 富夫君       葉梨 信行君    浜田 幸一君       松本 十郎君    村田敬次郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤  昇君         農 林 大 臣 赤城宗 徳君         建 設 大 臣         国 務 大 臣         (近畿圏整備長         官)      西村 英一君  出席政府委員         近畿圏整備本部         次長      朝日 邦夫君         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁自然保護         局長      首尾木 一君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         農林省農地局長 三善 信二君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   太田 康二君         水産庁次長   藤村 弘毅君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省河川局次         長       川田 陽吉君         自治政務次官  小山 省二君         自治省財政局長 鎌田 要人君  委員外出席者         経済企画庁         総合開発局参事         官       牧野 俊衛君         建設省都市局下         水道部長    久保  赳君         参  考  人         (水資源開発公         団総裁)    柴田 達夫君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  琵琶湖総合開発特別措置法案内閣提出第一〇  四号)      ————◇—————   〔亀山建設委員長委員長席に着く〕
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより建設委員会地方行政委員会農林水産委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出琵琶湖総合開発特別措置法案議題といたします。
  3. 亀山孝一

    亀山委員長 本案に対する提案理由等は、お手元に配付してあります資料によって御了解を願うこととし、直ちに質疑を行ないます。  なお、本日御出席を願いました参考人は、水資源開発公団総裁柴田達夫君であります。  参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
  4. 角屋堅次郎

    角屋委員 本日は、関係委員会との連合審査が持たれまして、議題になっております琵琶湖総合開発特別措置法案の審議が展開されることになりました。ただ、私の持ち時間は約二十五分ということになっておりますので、総括的な問題全体について触れることはできません。あとわが党の同僚の関係では、阪上君、山口君あるいは島本君等の質問も展開されますので、主として農林水産関係の問題に焦点を合わせながらお伺いをいたしたいと考えております。したがって、大臣あるいは政府委員答弁はなるべく質問に対して簡潔にお答えを願いたいと思います。  本法案は、数年来各省の次官あるいはまた大臣等も加わりました関係県との話し合いに基づいて提案になったわけでございますが、いわば琵琶湖総合開発ということで、水を下流部から要請されております滋賀県の関係立場、あるいは下流部から要請しております大阪、兵庫等関係地域立場、治水、利水面をめぐって、本法案がかりに処理された場合でも、今後に具体的な計画の推進ではやはりいろいろ問題が出てこようかと思うわけであります。私はこの際、本法案は御承知のように時限立法として十年間ということで、五十七年三月三十一日までという時限立法になっておるわけですけれども、この十年間の中で、開発水量については水利権量として毎秒四十トン、それから琵琶湖水位については、利用水位マイナス一・五メートル、こういう前提に立った総合開発事業実施されるわけでありますけれども、また別に淀川水系におきますところの水資源開発基本計画というものによります昭和五十五年度の新規の水需要量というものを見てまいりますと、水道用水で約四十二・七トン、工業用水で二十三トン、農業用水で一・七トン、締めまして六十七・四トン毎秒、こういう需要が具体的に数値として出てまいっておるわけであります。したがって、こういった二十八トン近くの水の供給側需要側とのアンバランスの問題、具体的にそういう問題を処理するためには、やはりいままでの上水道の漏水の防止であるとかあるいは工業用水回収率の引き上げ問題であるとか、あるいは下水処理水還元利用の問題であるとか、あるいは農水サイドからは今後の取り扱いとしてどうするかという問題になります。慣行水利権合理化問題であるとかというようなことも含めて具体的に考えられなければならぬと思うわけであります。ただ、私はその前に、時限立法として十年間の計画ということで、琵琶湖総合開発計画実施されようというふうに本法では規定しておるわけでありますが、しからば十年以降、下流部におけるところの水の問題に対してやはり総合的な対策が樹立せられないと、再びこの琵琶湖の利水問題というふうなことが提起されないとも限らないと思うわけでありますが、いわゆる当面十年間について毎秒四十トンの水利権量、あるいは利用水位についてマイナス一・五メートルということを前提にした総合開発事業実施されようとしておりますけれども、十年以降の問題についてはどういうプランに基づいて時限立法としての当面の総合開発事業実施しようとするか、そういう点について、本法提案にあたって具体的に検討された点についてまず御説明願いたい、こう思います。
  5. 西村英一

    西村国務大臣 淀川開発を早く進めなければならぬ。なかんずく淀川の水の水質保全を早くはからなければならぬ。そこでとりあえず十カ年計画にしたのでございまして、水が十年計画でおさまるものではございません。なかんずくこの淀川水系中心にして、やはりこれ、琵琶湖のみならずいろいろな水のことについて考えなければならぬ。淀川水系基本計画はまだ経済企画庁でできておりません。ただいま、経済企画庁の方もおいでになっておるでしょうが、作成をやっておる最中でございまして、まあ十カ年たたなくても、その前から十年後に対する対策はそのおりにまた対処したい、かように考えております。
  6. 角屋堅次郎

    角屋委員 経済企画庁総合開発局から担当が来ておられますが、当面の総合開発十カ年計画の利水問題、先ほど申しましたように、十年以降の問題については今後どういう考え方で検討を進めるのか。場合によれば再び琵琶湖の利水問題ということが十年以降において提起されるのか、あるいは今後の問題については当面の時限立法として琵琶湖総合開発をやる、水の利用についての毎秒四十トン問題について終止符を打つという前提に立っておるのか、その辺のところについての考え方経済企画庁担当の方から御説明願いたい。
  7. 牧野俊衛

    牧野説明員 御指摘のとおり現在でも、十カ年計画で、計画といたしましては需給バランスがとれておりません。しかしそれは今後の開発見込みあるいは合理化その他のことを考え合わせて、水の合理化をはかっていかなければならない、かように思っております。したがいましてその後のことにつきましても、状況変化等をあわせまして、その時点において各関係者協議の上きめていかなければできないことだろうというふうに思っております。
  8. 角屋堅次郎

    角屋委員 本法実施の場合に、特に琵琶湖周辺の農林漁業問題なりあるいはまた約一千万にのぼる観光客中心にした観光レジャーの問題なり、総合的に琵琶湖中心にした滋賀県の問題というのは多いわけであります。私はこの際、農林水産関係の問題について若干お伺いをいたしたいと思います。  まず最初は、何といっても漁業関係の問題でありますが、漁業関係の問題については、法案では第二条第一項第二号のチの条項、あるいはまた第二条第一項第二号のハとの関連条項、あるいは第三条の第二項中に含まれております「前項第二号ハ事業琵琶湖における水産業に及ぼす影響について適切な考慮が払われたものでなければならない。」という関係条項の問題、それから第七条のところで漁業権補償関連をする生活再建の問題、さらに十一条のところで政令で定めることになっております下流地域地元負担との関連の問題の中で出てまいります水産業振興対策事業の問題、こういうふうな点が法案関係としては漁業関係関連しておる条項でありますけれども、これはまず水産庁関係にお伺いしたいのでありますが、今回の総合開発事業によって、琵琶湖におけるところの漁業現状にどういう影響を与えるのか、あるいは具体的にそういう影響に対してどういう対策を当面講じようとしておるのかという点についてまず冒頭にお伺いいたします。
  9. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この総合開発によりまして、農林関係、特に漁業関係影響を受けることは御指摘のとおりであります。  第一は水産資源減少という影響がございます。魚族の産卵場とか稚魚などの生息場の喪失、こういう水産資源減少、こういう影響、第二は漁港その他の諸施設が、水位が低下しますから機能障害を生ずる、こういう二つの点が予想されます。  これに対しましてどういう対策を講ずるかということでございますが、当面の対策としましては、被害について十分な補償措置を講ずる。それとともに、その影響を最小限にとどめるために、種苗生産とか放流等水産資源維持対策事業実施する、こういうことにしたいと思います。長い関係では、将来の琵琶湖水産業振興をはかるために、養殖業振興漁港等漁業生産基盤整備等の施策を推進してまいりたい。  それから、いまちょっとお話がありましたが、水資源のことでございますが、農業用の水については慣行の水の権利があるわけでございます。そこで、琵琶湖開発によりますと、工業用に相当使うと思います。工業用は使うのがはっきりわかるのですが、農業用は、これはなかなか科学的に数字が出てこないようなわけでございます。でございますから、水資源分配等につきましては、農業用の水が阻害されないように十分協議してきめていかなくてはならぬ。保全といいますか保持、こういうことを考えなければならぬと思います。これは農業方面でございますが、漁業方面にも関係がございますので一応申し上げておきます。
  10. 角屋堅次郎

    角屋委員 漁業関係は、関係の筋からお伺いしたところでは、漁港関係事業費として十億、あるいは養殖振興等で十三億、あるいは資源維持のために三十八億、水産関係として、補償は別にいたしまして、六十一億の事業費が想定をされておるというふうに聞いておるわけです。琵琶湖漁業の場合は、大体年間三十五億ぐらいの漁獲高というふうに承知しておりますけれども漁獲漁業関係真珠その他の養殖漁業関係等内容としてあるわけでありますが、四十三年センサスによりますと、漁業形態数が千六百三十、漁業者にして約三千五、六百名、漁港の数は一種漁港として約二十。漁港整備については拠点的な漁港整備も含めながらやりたいということでありますが、たとえば漁業損害の問題では、琵琶湖アユ種苗問題というふうな点では全国の需要の約七〇%以上を琵琶湖供給をしておる。これに大きな影響が出てまいるというふうなことになりますると、これはたちまち全国的な波及の問題になる。こういう問題も含めて、具体的に損害補償の問題については水資源開発公団等中心になって対処するということが考えられるのだと思いますけれども、今後の漁業の立ち行くようにするための方策についてどう考えているのか、それを御説明願いたいと思います。
  11. 太田康二

    太田(康)政府委員 琵琶湖につきましては先生指摘のとおりの漁業の実態にあるわけでございまして、私どもといたしましては、一つ水産資源保護培養対策ということで、これはただいま御指摘のございましたように、水資源開発公団あるいは下流地方公共団体負担をいたしてもらいましての事業ということで、まずアユとかビワマスにつきましての冷水性魚類種苗生産施設整備するというような事業、それからコイフナ等がおりますから、こういった温水性魚類につきましての種苗生産施設整備する、それからモロコ等天然繁殖保護助成施設整備するということでございます。それから中間育成場としての人造内湖、これを高度に利用する施設整備する。それから貝類等につきましては、底質改善のための湖底牧場造成をする。それからイケチョウガイ、真珠母貝ですが、これの生産施設整備というようなことも、先ほど御指摘計画では三十八億六千六百万という事業総額でまず実施をする。これはどちらかといいますと、今回の水位低下に伴う補償的な措置。  それから、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、今後の水産業振興対策ということで、本来私のほうの事業実施する事業として考えておりますのは、一つ漁港整備でございまして、先ほど申し上げましたように機能低下等もあるわけでございますし、二十港も漁港があるわけでございますから、この整備といたしまして現在計画いたしておりますのは、一応事業費総額で十億三千万くらいの事業実施をいたしたい。それ以外に、御承知のとおりあそこは内水面でございすますけれども、第二次の構造改善事業実施いたしておりますから、構造改善事業として取り上げていきたい。そこで考えておりますのは、アユとかニジマスにつきましての養魚団地造成事業あるいは小割り式養殖コイフナ等の湖中養魚集団施設整備、それからアユにつきましての種苗蓄養施設整備、それと魚礁の設置、それ以外に製氷、冷凍とか荷さばき所等漁業近代化施設整備、これらはいずれも構造改善事業対象事業でございますが、これらの事業構造改善事業として取り上げて実施をいたしてまいりたい、かように考えております。
  12. 角屋堅次郎

    角屋委員 法案の第七条の関係におきまして、「総合開発事業実施する者は、」こういうことで、「当該事業実施によって土地に関する権利漁業権その他の権利に関し損失を受けたため生活の基礎を失うこととなる者について、」云々、こういう条項が書かれておるのは、漁業権との関連があるわけでありますが、ここでいう「総合開発事業実施する者」は、法案としておそらく第五条の「事業実施」の者を受けるものであると思います。しかし、実際問題としては水資源開発公団中心になるものと、法案運営上は解釈して間違いはないわけですか。
  13. 朝日邦夫

    朝日政府委員 仰せのとおり、この総合開発事業水資源公団の行ないます事業以外に周辺の各種の事業が入っておりますから、それぞれの事業につきまして事業実施する主体が明らかでございます。それらの事業実施主体をさしておりますけれどもお尋ね水産業関連してどういう事業が最も影響が多かろうかということになりますと、あるいは仰せのようなことになろうかと思います。
  14. 角屋堅次郎

    角屋委員 事業費約四千二百六十六億といわれております中で公団事業が七百二十億というふうに承知をしておるわけですが、第七条に関連をいたしまして、水資源公団再建のためのいろいろなあっせん措置を講ずる。具体的にはどういうシステムでこういう補償問題、あるいは生活再建のためのあっせん措置というものをやられることになるのか、担当のところからお答えを願いたいと思います。
  15. 朝日邦夫

    朝日政府委員 先生の御指摘の、七条のお尋ねでございましたのでちょっと申し上げておきますが、七条はごらんのように、本来補償として行なうべき対策はそれぞれの事業主体がなすわけであります。そういたしました上で、先ほど水産庁からもお答えがありましたように、漁業に関しましていえば補償以外にいろいろと水産業振興対策を行なおうということにいたしておりまして、それでもなおかつそこに掲げてありますような事態に至ります場合には、事業実施者は極力あっせんにつとめる、こういう趣旨でございまして、これ自体が実は補償根拠規定ではございませんので、これはそういう意味で、他の法令にも例文がございますものですから……。
  16. 角屋堅次郎

    角屋委員 もちろん補償そのものについては、たとえば水産関係でいえば、漁業関係が出てまいりますれば漁業法の適用の問題、あるいは漁業関連する今後の振興対策の問題になれば、沿岸漁業等振興法関係があればそういうものと関連をしてくる。これは十分承知しておるわけでありますけれども、時間の関係もありますからこの程度にいたしまして、参考人も来ておったのでちょっとお伺いしたわけであります。  漁業問題でもずいぶん問題があるわけですけれども土地改良の問題、土地改良関係については、要するに補償との関連の問題が九十億、それから土地改良のいわば関連開発事業として五%の上積み分という、例の財政特別補助特別措置を伴う土地改良事業の規模としては五百四十一億というふうに承知しておるわけでありますが、この場合に、土地改良補償でやるべき面九十億、あるいは土地改良関連開発事業で五%上積み分を含めまして実施する土地改良分、こういうものの区分けは具体的には運営上どういうふうになるのか。大体琵琶湖の水を取るのは、該当耕地面積は七千ヘクタールといわれておりますけれども、今回実施する場合の対象面積としては、かんがい事業、あるいは排水事業、あるいは圃場整備事業等を含めて三万一千ヘクタールに及ぶということになっておりますが、これからの土地改良の、本法関連をして実施していくやり方について若干説明を願いたいと思います。
  17. 三善信二

    三善政府委員 土地改良事業実施やり方でございますが、いま先生指摘になりましたように、補償事業的なものは内容としても御存じと思いますけれども、ポンプの機場改修とかあるいは水路の改修、これは直接的に面積としては大体六千三百ヘクタールくらいを考えております。それから関連してやります圃場整備事業面積を約二万一千ヘクタールくらいに考えております。ダブったり何かしますので、三万一千ヘクタールというのは全体の用水改良事業としてはこのくらいになるという全体の面積であります。やり方といたしましては、建設省と具体的にまた話し合っていく必要があろうかと思いますけれども補償工事的な面につきましては水資源公団、あるいは県に委託してやるか、そういう問題があろうと思います。それから一般の関連した圃場整備事業につきましては、これは従来の県営事業というようなかっこうで進めていくことになる、こういうふうに考えております。もちろん、御指摘になりましたように、補助率等はそれぞれその場合はアップしていくということになるわけでございます。
  18. 角屋堅次郎

    角屋委員 この土地改良事業の場合に、別表あるいは政令との関係において、別表では百分の六十五以内ということで、政令事項国営かんがい排水事業が六十五、あるいは県営については五十五、団体営については五十、圃場整備事業につきましては五十というふうに、五%の補助かさ上げが行なわれるわけでありますが、現実にこの五百四十一億の事業費対象事業として、国営県営団体営等状況は、これからの工事実施としてはどういう状況になるのか、簡潔にお答え願っておきたいと思います。
  19. 三善信二

    三善政府委員 いま先生申されましたように、いろいろな種類の事業がございますが、現実国営事業がどの程度あるということは、これからその点はもう少し計画をしてまいらなければならないと思っております。現実に一般圃場整備の場合に地元とのいろいろの協議等もございますので、県、地元等と十分その点相談をしながら進めてまいりたい。現実幾ら国営事業幾ら団体営事業ということにはまだはっきりしておらないというのが現状でございます。
  20. 角屋堅次郎

    角屋委員 いまの点は、事務当局のほうでは日野川の約六千ヘクタールの用水改良国営として実施されることになるだろう、あと県営団体営関係になるだろうというふうに説明としては承ったわけであります。ただこの場合に、一・五メートルの水位低下という問題と関連をして、従来琵琶湖から水を取らなくて河川その他によっておったものが、結局いろいろな諸施設を通じて琵琶湖から水を取らなければならぬ。そういうことで、約七千ヘクタールの該当琵琶湖から取水しておったものをもっと大きく、三万一千ヘクタールくらいの対象事業をやるということになるわけでありますが、この工事実施いかんによっては耕作実施できるとかできぬとかいうような影響を生むような耕地が出てくるような危険性は全くないのかどうか、そういうことなく実施されることになるのかどうかという点はいかがですか。
  21. 三善信二

    三善政府委員 先生指摘になりましたように、水の用水量変化、これはまさに、現在琵琶湖から取っております水量に、将来プラスして琵琶湖からまた取水量を増加するということになるわけでございます。したがいまして、将来の農作の事業支障を来たさないように、そういうやり方をやるべきであるという御指摘でございますが、私ども工事をやります場合には、やはり耕作していない期間を選んで事業を特に実施をしていきたいというふうに考えておりますので、十分その点配慮をいたしまして、耕作支障のないようなやり方事業は進めていくということになります。また、その用水量の確保の問題、これもきわめて重要な問題でございますので、私ども現在考えておりますのは、琵琶湖からさらに三十トンくらいは用水量の増加をしていくということに今後になると考えております。
  22. 角屋堅次郎

    角屋委員 すでに連絡がありましたように、二、三問やっておる間に時間になったのでありますが、林業問題についても少しお聞きしておきたいと思います。  林業関係琵琶湖総合開発事業関係では、造林の関係で百四億五千万円、林道の関係で三十九億円、あるいは治山の関係で二百三億二千万円、特にこれは法律との関係におきまして、第八条の「国の負担または補助割合等の特例」を受ける分については、治山事業の復旧治山あるいは予防治山について補助率が、三分の二が四分の三というふうな適用を受けるわけでありますけれども、この問題と関連をしまして、例の第十一条の下流地域負担分との関係政令で定める中に、「下水道事業、造林事業、湖辺に設けられる緑地等の整備に関する事業、」先ほどちょっと取り上げましたけれども、「水産業振興対策事業、湖岸及び湖底の清掃及び整地の事業等」これら政令で定めるものについて、下流部との話し合いあるいはあっせんによって下流部負担がきまるということになっているわけでありますが、ここでいう造林事業、それと先ほどの事業対象であげましたこれらの問題の運営は具体的ににはどうなるのですか。
  23. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、造林事業につきましては、特に水源の涵養あるいは土砂の流出を防止するために治山事業実施しておりますが、これと関連しまして、造林につきましては「不利益を補う効用を有する事業」に該当する、かように思うわけでございます。したがいまして、下流負担対象事業となるかいなかにつきましては、今後検討の上に政令で定めることになっておりますので、十分この点を検討してまいりたい、かように考えております。
  24. 角屋堅次郎

    角屋委員 時間が参りましたので、農林大臣に最後に一言だけお伺いして終わりたいと思います。  いずれにしても農林水産関係は、これは自然を相手にしておりまして、水の問題にいたしましてもあるいは琵琶湖漁業をやるにいたしましても、自然相手でありまして、自然の環境に大きな変化がくるということになると、したがって被害を受けたり、あるいは新たな施設を講じたり、いろいろなことをしなければならぬ。そういう問題で、たとえば補償問題が起こったり、あるいは新たに事業実施を通じて農民負担が増高するというふうなことがあってはいけないと思うのですね。そういう問題については、本法がかりに制定された場合においては、特に自然を相手にした農林漁業の今後の問題について万全の対策を講ずるように、積極的にやはり直接の担当省として努力してもらわなければならぬと思うわけでありますが、その点いかがに考えておられますか。
  25. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御説のとおりでございます。農林関係は、自然を相手として農林漁業というものは成り立っている。しかも、土地を、あるいは水を、あるいは空気を中心として成り立っております。でありますから、開発にあたりましては、とかく農林の自然を害することもあり得るわけであります。しかし農林というのは自然をそこなうべきものではなくて、自然をより以上いいものにして、そして農林水産業が成り立つようにしていくのがわれわれの責任だと思います。でありますので、この開発につきましても、いまの御質問の趣旨を十分頭に入れ、そしてそれの施策を講ずる上においても万全を期していきたい、こういうふうに思っています。
  26. 角屋堅次郎

    角屋委員 終わります。
  27. 亀山孝一

    亀山委員長 それでは次は、小濱新次君。
  28. 小濱新次

    ○小濱委員 私は地方行政の立場からお尋ねをいたしたいと思いますが、何ぶんにも時間の制約を受けておりますので、どうか御答弁は簡潔にお願いしたいと思います。まずきょうは、主として西村国務大臣と自治省の小山政務次官にお尋ねしていきたいと思います。  本計画の円滑な実施をはかるためには住民の十分な理解と同意を得ることがこれは当然必要であると思います。滋賀県知事の作成した計画案について住民の同意を得るために、県議会にはかるような措置を当然これは考えているだろうと思いますが、この点について一点と、さらには、滋賀県知事が計画を策定するにあたっては、条例あるいは審議会等を設けるような措置を、これも講じていくであろうと思いますけれども、この点についてお答えをいただきたいと思いますが、おわかりになりましょうか。
  29. 西村英一

    西村国務大臣 滋賀県の開発をやるためには、滋賀県の地域住民の協力なくしては絶対にできません。したがって私は、滋賀県知事が計画をつくる場合には、それは議会にはかることはもちろん、あるいは必要と思われれば滋賀県自身の中におきましていろいろ審議会等をつくっていくのではないかと思っております。また私も近畿圏の整備本部の責任者といたしましては、広く滋賀県あるいは近畿圏の範囲内において、これはもちろん現在でも審議会がございますから、十分な皆さま方の意見を聞いて対処したい、かように思っている次第です。
  30. 小山省二

    ○小山政府委員 知事が計画を策定するにあたりましては、滋賀県の水政審議会に付議し、なお関係市町村の意見も十分聴取することを考えられますので、地元関係者の意見は十分反映できるものと考えております。
  31. 小濱新次

    ○小濱委員 ひとつ十分御配慮をお願いしたいと思います。  次に、これは確認をしておきたいと思いますのでお伺いをいたしますが、現在の段階で予想される琵琶湖総合開発計画の総事業費、これはどのくらいに考えているのか、これが一つ。それから二つ目には、その総事業費の国、県、市町村の負担額はそれぞれどのくらいなのか。それから三番目には、今回の補助率、補助負担率の特例によって県、市町村の負担はどのくらい軽減されるのか。この三点についてまとめて御答弁をいただきたいと思います。
  32. 西村英一

    西村国務大臣 政府委員をして答弁をさせます。
  33. 朝日邦夫

    朝日政府委員 お答えを申し上げます。  現在の時点で考えております琵琶湖総合開発事業の総額でございますが、事業費は約四千二百七十億円。これを資金別に見ますると、国費で約千六百八十億円、地方費で、これは県、市町村を含んでおりますが、千四百九十億円、その他といたしまして、水資源公団事業でございますとかあるいは道路公団の事業あるいは受益者負担等もございますが、それらのものが千百億円程度予定いたしております。それから、このたびの法案におきます補助率のかさ上げと申しますか、によりまして、国費の負担がふえますものは約百五十億円でございます。
  34. 小濱新次

    ○小濱委員 確認をしておきたいと思いましてお尋ねをしたわけでございますが、さらにお尋ねしたいことは、総事業費見込み額のうち、関連事業費の見込み額は現在でどのくらい考えているのか、関連事業費の見込み額であります。それから二番目には、関連事業費について地元下流団体の負担基準についてはどう考えているのか。それからまた、それに対する補助の特例、交付税及び地方債についてはどのように考えているのか。もう一点ございますが、下流団体のうち大阪府下の市町村、それから兵庫県下の市町村の負担基準についてはどう考えているのか。これら四つについてひとつお答えをいただきたいと思いますが、どなたが御答弁願えるでしょうか。
  35. 朝日邦夫

    朝日政府委員 先ほどの四千二百七十億円程度の中におきまして、水資源公団の行ないます事業が七百二十億円予定いたしておりますから、残余の三千五百五十億円程度が関連開発事業ということに相なります。
  36. 小濱新次

    ○小濱委員 ちょっと答弁が足りないようです。下流団体の負担基準——よく聞いておいてください。時間がありませんので、ひとつ急いで……。
  37. 朝日邦夫

    朝日政府委員 下流地方公共団体は、国の補助かさ上げによりまして負担がふえます分と同等の額を負担いたします。したがいましてこの額は百五十億円程度に相なります。それからこのほかに、下流地方公共団体滋賀県に対しまして資金の融通をいたすこととしております。この総額は五十億円を予定いたしております。なお、これの下流団体間の負担の配分につきましてはまだ確定をいたしておりません。これは、今後、この法案が御承認をいただきまして、事業実施に移ります段階で、関係団体間の協議によって決定をする予定でございます。
  38. 小濱新次

    ○小濱委員 自治省から御答弁願います。
  39. 小山省二

    ○小山政府委員 地方負担を伴います国庫補助対象事業は、単独事業におきまして三千四百四十億円、この対象事業補助負担金が約千六百八十億円、受益者負担が二百六十億円となっております。そのうち、地方負担額の千五百億円のうち地方債で約六百億円、一般財源で九百億円、かようになっておるわけでございますが、今回国におきます負担割合を引き上げることになるわけでございますので、これによりまして約百五十億円程度負担が軽くなるのではなかろうか、かように考えておる次第であります。
  40. 小濱新次

    ○小濱委員 時間がありませんので、次に入らさしてもらいますが、第九条に「普通財産を譲渡することができる。」とございますけれども、実際に譲渡すべき財産のない場合には第九条の条文は意味をなさないことになる、こう考えるわけですが、この点はいかがでございましょうか。
  41. 朝日邦夫

    朝日政府委員 この規定は、仰せのとおり具体的にどういうものがあってということで置いておる規定でございませんで、他のこの種の開発関係法律におきまして前例等がございますので、そういった趣旨で規定をいたしておるものでございます。
  42. 小濱新次

    ○小濱委員 さらにお尋ねしたいのですが、その場合、いわゆる有償なのか無償なのか、あるいはまた減額譲渡のいずれをとられるのか、今度のこういう事業内容から見て。この問題についてお答えいただきたいと思います。
  43. 朝日邦夫

    朝日政府委員 通常、有償無償の区別をいたす場合に、無償譲渡とかあるいは譲与とかいう字句を使っております場合には無償でございますが、本件の場合には一応有償を前提といたしておりますけれども、しかしながらその財産の譲渡の相手方によって、具体的に国有財産決算の規定によってきまってくることと存じます。
  44. 小濱新次

    ○小濱委員 さらにお尋ねいたしますが、開発事業実施者に対して「財政上及び金融上の援助を与えることができる。」と第十条にございますけれども、具体的な内容措置についてお尋ねしたいのです。交付税の場合、普通交付税で何らかの措置、たとえば一般の事業費補正等のほかに何らかの特別な措置を講ずるのか。もし普通交付税で特別な措置をしないとすれば、これは特別交付税で必要な経費を交付するのか、この問題についてお答えをいただきたいと思います。
  45. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 地元地方団体に対しましては、普通交付税と起債でおおむね財源措置ができる見通しでございます。
  46. 小濱新次

    ○小濱委員 おおむねという局長の御答弁がございましたので、ぼくは同じ委員会でございますから、それをまた見守っていきたい、こういうふうに考えております。  次に、琵琶湖の水の有効利用という見地から考えまして琵琶湖周辺の下水道整備は当然のことでございますが、しかし大阪、兵庫へ行く途中の京都府の下水道も当然整備をしなければならない、こう思うわけです。今度の問題については京都は対象になっていないようでございますけれども、この点についてはどのようにお考えになっておられますか。ちょっと具体的になりますので建設省からお答えいただきたい。
  47. 西村英一

    西村国務大臣 京都は下水道が最もおくれておりますので、桂川の流域下水道を急ぎたいと考えております。この計画の直接の関係者ではございませんが、もちろん京都をネグレクトするというようなことはございませんので、その点は実施面において十分やっていきたい、かように思っております。
  48. 小濱新次

    ○小濱委員 この計画に京都が入ってないということで、たとえば湖水周辺整備され、水の浄化ができたとしても、また受け入れ側の下流整備ができたとしても、その中間にある京都の下水道設備の問題は当然起こってくるであろう。ここでよごされたんではどうにもなりませんから、これは問題になることであろうというので、この下水道計画についてはわれわれも十分見守っていかなくちゃなりまませんのでお尋ねしたわけでございますが、きょうはこれは省略いたします。  さらに、これは自治省にお尋ねしたいと思いますが、滋賀県及び湖岸周辺の市町村並びに下流関係地方団体のそれぞれの財政力の現状について説明を求めたいわけです。これは負担ということ、持ち出しということで非常に問題がありまので説明をしていただきたいのですけれども、その第一は財政力指数という問題。二番目には、これは四十五年度でけっこうでありますが、赤字か黒字かの状況。それから三番目には、起債残高はそれぞれ団体としてどのような実態にあるのか。  ここで委員長にお願いしたいのですけれども、この詳細な資料を当然いただかなくちゃなりませんので、要求したいと思います。この点についてのお計らいをいただきたいと思います。本日は時間もありませんので、おもな問題点だけお答えいただきたい、こう思います。
  49. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 まず滋賀県の関係市町村でございますが、これは事業関係がございまして市町村数の範囲がまだ確定いたしておりませんので、下水道事業の多い市町村二十二をとって申し上げます。  財政力指数は市で〇・七二でございます。全国平均は〇・六でございます。町村の財政力指数は〇・五三でございます。全国平均が〇・三でございます。それから四十五年度の決算状況は、滋賀県は、県並びに市町村全部黒字でございます。それから起債残高でございますが、起債の残高はちょっとここに手持ちの資料がございませんので公債費比率で申し上げまして、あとで資料で補足させていただきたいと思います。市の公債費比率、一般財源に占めまする公債費の割合は五・五%でございます。全国平均が六・九%でございます。町村は四・五%でございまして、全国平均が五・四%でございますから、大体市町村の財政状況は全国平均よりやや上位にあろうかと思います。それから県でございますが、県の財政力指数は四十五年度で〇・五一でございます。全国の平均が〇・五九でございますから、全国平均より〇・〇八下がっております。やや下目といいましても、大体全国平均かと思います。それから下流十二団体につきましては、実はちょっとここに資料を持っておりませんので、後ほど資料で補足させていただきたいと思います。財政収支は四十五年度おおむね黒字で決算をいたしております。
  50. 亀山孝一

    亀山委員長 それでは資料の問題は了承いたしました。
  51. 小濱新次

    ○小濱委員 よろしくお計らいを願いたいと思います。  時間でありますので、最後にもう一点だけ西村国務大臣お尋ねしたいのですが、この計画は十一年計画といわれております。この十一年の間には、物価、事業費の変動が当然予測されるわけでございます。その場合、事業費については経済の諸情勢に伴って当然変更することが起こるであろうと思うのです。この場合に、地方団体がこの事業を行なうために他の一般行政とか住民サービスが低下してはならないわけです。この事業のために影響をこうむってはならないわけです。さらに公共事業を圧迫するようなことがあってもならないわけです。政府は十分これは配慮すべきであるとわれわれは考えるわけです。この点についてひとつ担当大臣としての御所見を承って終わりたいと思います。
  52. 西村英一

    西村国務大臣 琵琶湖総合開発ですが、これはただ単にばく然とこれをやるのだといってもいけませんので、とりあえずある程度の事業のワク、四千二百七十億円をワクとして十カ年という期間をきめたのでございます。しかしこれから物価も上がるでしょうし、事情も変わるでしょうし、また新全総等もできればワクは変更しなければならぬと思うわけでございます。絶対固定したものではございません。それから一般的公共事業がこのために圧迫される、そういうようなこともあってはならないと思っております。これは琵琶湖及びその周辺をよくするために、また下流の水需要の方々に対してもこれに報いるためにやっておるプラスの仕事と私は思っておる次第でございます。
  53. 小濱新次

    ○小濱委員 最後に、幹ができて、それから枝、それから葉を茂らしていく。下水道の完備ということが最後になっていくわけです。これが完全にできていかなければならないわけです。その期間もできるだけ短縮していかなければ効果はあがらないわけです。そういう点で財政上の問題も起こってまいりますし、地方自治体の税収の落ち込みということも将来考えなければなりませんし、いろいろな障害が予想されるわけです。特に担当大臣といたしまして今後十分なそういう点での配慮をしていただきながら、りっぱにこの事業が完成できますように心からお願いいたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
  54. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、阪上安太郎君。
  55. 阪上安太郎

    阪上委員 最初に私、近畿圏整備本部長にお尋ねいたしたいと思います。  ここ十数年来、開発整備関係の法律についていろいろなものが出てきたわけでございます。たとえば新産都市であるとか、国土総合開発法もそうでありますし、低開発地域工業開発促進法であるとかあるいは工業整備地域特別措置法であるとか、いろいろな法律が出てき、それに伴っていろいろな計画が出てきておったわけであります。しかし、たいへんにがい経験を実はなめてきておるわけであります。私ども社会党などにいたしましても、中には反対したものもありますが、大部分は賛成してやってきたわけであります。そこで、いまここでこういった整備開発関係につきましては、在来の発想と違った新しい発想で大きく出発されなければならぬだろう、このように考えるわけであります。いま、大臣も御承知のように、この六月からストックホルムでもって国連の環境整備に関する会議を開くことになっておりまして、そこでもやはり世界的に大きく、こういった開発整備というような法律につきましては、あるいはその手法については、在来の考え方から一大転換をしなければならぬ、こんなふうにいわれておるわけであります。そこで、いま出ておりますこの法律がそういう新しい時代の要求に応じ、わが国のにがい経験に徴してほんとうにそういった転換をすべきであるということで、そういった発想がこの法律の中に出ておるかどうか。私つぶさに検討いたしましても、どうもそこに何かもの足らぬものがあるのじゃないか、こういう感じがいたします。大臣はどうですか。在来のGNP主義から離陸しまして、新しいNNWといいますか、国民生活環境整備というようなものを重点とするところのそういう開発法になっておるかどうか。この点について自信がおありでしょうか、ちょっと伺っておきたいと思うのです。
  56. 西村英一

    西村国務大臣 法律の中にうたわれておるその文句でそれが出ておるか出ていないかは、ちょっとこれは感じでございまして、私は出ておると思います。端的に申しまして、あなたがおっしゃいましたようなこれからの発想の転換ということですが、一言でいうといままでの経済成長のしりぬぐいをこれからしなければならぬ。このためにいろいろなことが起こったのですから。いままでずいぶん金をもうけるためにやったので、そのためにいろいろ弊害が出た、そのあと始末だ。だから生活環境のあと始末には金をよけい出しなさい。これはなかなか大蔵大臣が言えることじゃないかもしれぬが、私はそういうようなつとめをもって建設行政をやらなければならぬ、国土開発をやらなければならぬという気持ちを持っておるわけでございます。この法律もその一つと私は考えておる次第でございます。
  57. 阪上安太郎

    阪上委員 大臣、なかなか思い切ったことをおっしゃいまして、非常にけっこうだと私は思っておりますが、しかし、そうだとするならば、いま少しくこの法律にそういった面が強く出てきていなければならぬじゃないかという感じが実はするわけなんです。たとえばこの法律の「目的」の条文を見ましても、「この法律は、琵琶湖のすぐれた自然環境の保全を図りつつ、」こう書いてあるわけなんです。きわめて抽象的なんですね。そして第二条の「琵琶湖総合開発計画内容」を見ますと、どうもいま大臣がきっぱりおっしゃったようなものがここに盛られていない。発想の転換がないように思う。そして「水資源利用とその観光資源等の利用とをあわせ」云々と、こういうようなことになっているのです。いま人間の生活環境、ことに自然環境と社会環境とに分けてみたときに、自然環境というものを考えるときに、ことにこの琵琶湖の場合には水質の保全ということがきわめて重要な課題であろうと思うわけなんですが、ここでは水の利用ということになっておりまして、ただ事業面においてそれと関連を持つ下水道事業、これは主として流域下水道だと私は思いますが、そういったものがちょっぴり頭を出しておるという程度のことであります。やはりもっと水質を保全していくのだという考え方が新しい発想として、開発関係法として出てこなければいけないのじゃないかというように考えるわけであります。  そこで水質の保全でありますが、これについてお伺いしたいと思うのですが、これは事務当局からでもけっこうであります。琵琶湖の水はいま水質が非常に悪くなっておる。いまのところはこの状態でなおがまんができるかもしれませんけれども、たとえば水資源保全ということを積極的に考えないで今後このままで放置して、工業立地なりあるいはレジャー施設の立地なりを放任しておきますならば、これはますます水質が汚濁していく。それならいま少しく積極的な保全対策というものを打ち出す必要があるのじゃないか。このことは下流といわず上流といわず、利害をひとしくするところの問題であろう、こういうふうに考えるわけでありますが、それがどうも消極的な面しか出ていない、こういうことだと思います。そこで、一体琵琶湖の水質が悪くなってきているその発生源をどういうふうに考えておられるか。これをひとつ、大臣でもけっこうですし、その他の政府委員でもけっこうですが、お答え願いたいと思うのです。
  58. 西村英一

    西村国務大臣 この法律の第一条、これはたいへんよくできているのですよ。第一番にあげておることは、非常にこれは考えたところなんです。「この法律は、琵琶湖のすぐれた自然環境の保全を図りつつ、」とあり、水資源利用をやるのだということが先にうたっていないのです。この辺が非常に考えたところなんです。もちろん自然環境の保全というのは、水質を保全することが自然環境の最もあれですから、あなたがおっしゃるような心がけでやっておるわけでございます。しかもこの事業の最大の事業は何と申しましても流域下水道、公共下水道、下水道その他をして水の保全をはかるということです。どういうふうにして水がよごれたかということについては政府委員から説明をさせますが、結局、水をきれいにしなければとんでもないことになるよというのが主眼でございます。どうぞ御了承賜わりたいと思います。
  59. 岡安誠

    ○岡安政府委員 琵琶湖の水の汚染でございますが、環境庁といたしましてはいろいろな方面で調査をして推定をいたしております。CODの負荷量の点からいいますと、琵琶湖の汚染につきましては工場排水の寄与率が大体七六%程度、それから家庭下水が約二〇%程度、あとはその他というふうに考えておるわけでございます。もちろん琵琶湖の汚染につきましてはCODの負荷量以外に窒素とか燐とか、そういうことによりまして富栄養化の問題もございます。これについてはいろいろ調査もございますけれども、現在まで必ずしもそのメカニズムが明らかになっておりませんので、環境庁といたしましては四十七年度から、琵琶湖も含めてこの富栄養化のメカニズムについてはひとつ詳細に調査をしてみたいと考えております。
  60. 阪上安太郎

    阪上委員 いま大臣は「自然環境の保全」を第一番にもってきたと言われた。それは文章としては非常にうまくつくってあるのでありますが、内容がよくないということを私は言っているのです。何もないじゃありませんか。下水道事業一つあるだけだ。時間がありませんから端的に言いましょう。下水道事業琵琶湖水質保全のために当然やらなければなりません。この点については先ほどもちょっと質問がありましたように、下水道五カ年計画等の長期計画をながめてみましても、大体五年くらいでもってものは処理していかなければどうにもならぬ。十年計画で六百億円の金をぶっつけて下水道事業をやるなんてなまぬるいことでは、さっき大臣が非常に大言壮語ではなかったけれども、力強くおっしゃったのとだいぶ違いますね、これは。こんな計画はもっと早く、五年くらいに、少なくともそれ以内にとどめていかなければならぬ。これは計画を変更すればいいのですから。そういうことは答弁は要りませんよ、大臣のようなりっぱな人がそんなことを考えていると私は思っていませんから。十年でもってのこのこと下水道計画をやっていたら、水はいつまでたってもよくなりませんから、これは思い切った措置を講じてもらいたい。私はこういうふうに思います。  それからいま一つは、琵琶湖の自然のろ過作用というものが非常に大きく在来から琵琶湖の水質を保全しておったということをいわれております。周遊道路をつくり、そのことがどういう形のものになっていくか知りませんけれども、一部コンクリート壁等でそれが張りめぐらされるというようなことであった場合には、自然の力を全く無視した水質保全政策であるといわざるを得ないと思うのです。こういった点につきましても当然配慮されるべきだと思うのであります。それからいま一つは、琵琶湖には在来から内湖というものがたくさんあったわけであります。これを食糧増産の目的からだんだんと干拓していった。現在、昭和三十六年から四十六年までの間に干拓された面積が二千三百五十五ヘクタールある、こういうことになっております。私、これを学者なり地元の人に聞きますと、そこに植わっておったアシというものがあるそうであります。ああいった植物が琵琶湖の水質を保全する非常に大きな役割りをしておった、こういうこともいわれております。したがって、ある説をなす者は、そういった自然の力というものをここで一ぺん考え直してみる必要がある、これは琵琶湖に対するきわめて愛情のあることばではなかろうかと私は考えているわけであります。いまは米もそうたくさんは必要でないようであります。簡単なことによって堤防をすればそういったものを再び復元することができる。琵琶湖関係周辺の中でこの法律案に対する反対論を唱えておる人があります。それらの人々もそういったところに着眼して、ただ単に下水道の完備ばかりではなく、ほんとうに自然の力を十分に利用したそういったものをやってもらいたいという声が非常に強いのであります。これは農林省のほうからでも伺っておきたいと思うのであります。  それから同時に私が主張したいのは、整々たる都市計画を促進して、そして都市の規模というもの、要するに人口と産業というものに対して一定の規制を加えなければいけないのではないか。今後、過去にわれわれがあやまちをおかしたように、いまのような状態でどんどんと工業立地が行なわれ、そして工業開発が促進されていくというようなこと、あるいは都市の人口がきわめて乱雑にスプロール化するような形において配置されていく。なお、都市というものは大きくなればりっぱな都市だと考えている向きがまだ非常に多いのであります。そういった都市の規模等も考えていかないと、誤った考え方のもとにというようなことであってはいけないと同時に、いま一つ琵琶湖周辺の自然環境というものを保全していこう。水以外のその他の自然環境であります。ある新聞なんかの伝えるところによると、周遊道路をかけていこうというようなその周辺土地は、ほとんどが企業がもう買い取ってしまっておる、こういうような状態にある。一体これをどう規制していくかということも、やはり水質保全ときわめて関連の深いことであり、琵琶湖のもっと広い意味の自然環境の保全ということと密接な関係を持っている。こういったものに対する配慮というものがはたしてここに出ておるかどうか、こういう点を私は非常に疑問に思うわけなんでありまして、もう時間がありませんから簡単に言いますけれども、こういったものについて思い切って公有地拡大の法律等を十分に適用し、財政的にも思い切った措置を講じてやって、公有地をどんどん先買いしていくというような考え方をこの法律の中にもたらしていかないと、ただ厳に琵琶湖のすぐれた景観を保全すると、こううたってみたとしても、これは絵にかいたもちであろう、こういうように思うわけであります。たいへん訓辞めいた長い話になりますけれども、時間の関係でこれはお許し願いたいと思うのです。そういった点で、いやそれはそうじゃないということでありますならば、各関係者の方から御説明願いたいと思います。
  61. 西村英一

    西村国務大臣 この法律の中には、開発に対する許認可とかあるいは土地の売買の制限とかいうような制限規定は一つもありません。しかしこの問題は、この琵琶湖開発のみならず全国的な問題でございますので、先般建設省と自治省の間で公有地の拡大を出したわけであります。しかし私は、滋賀県知事が計画をつくっていく上におきまして、やはり何らかの措置を講じてもらいたい。もちろん公共地の問題は、これは滋賀県にも適用されますから。その点につきましては、あなたがおっしゃいますように、この法律それ自身の中には制限規定を置いてないということ、その点については少しなまぬるいじゃないかというような点もありますけれども、私は計画実施に移りつつある間に、公共団体とも密接な連絡をとっていきたいということでございます。
  62. 首尾木一

    首尾木政府委員 琵琶湖の自然保護に関しましては、現在琵琶湖が国定公園に指定をされておりますので、その国定公園の制度のもとにおきましてできる限りの自然保護をはかってまいりたい、かように考えておるわけでございます。特に今回の開発に際しまして、さらにいままでの国定公園計画というものを再検討いたしまして、保護すべき地域の追加等をただいま検討をいたしておる次第でございます。そういったようなことでございまして、ただいま具体的な問題としましては、先生の言われました重要地点の買い上げの問題でございますとか、あるいは湖岸の道路の建設との関係において、いかに自然保護との調整をとっていくかといったような問題がございますので、そういう問題につきましても、十分国定公園という制度を活用いたしまして、その自然保護をはかり、いわゆる水の問題につきましても、そういった天然の浄化といったようなことを頭に置きまして自然保護を十分にはかってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  63. 阪上安太郎

    阪上委員 それでは内湖の問題につきましてはあとで伺うことにいたしましょう。  そこで、さらに近畿圏整備なりにお伺いいたしますけれども、社会環境のほうなんですが、これについて、都市の再開発というものと実際この周辺の市町村は取り組んでおるのかどうか、現況をわかったらちょっと知らせてください。——それではひとつまたあとで調べてお知らせ願いたいと思います。これもやはり忘れてはならぬことですが、水質保全のために、先ほどちょっと触れておりますけれども、都市の再開発ということについて配慮しておかないと、新幹線であの辺を通ってみましても、この中にどこに一体都市計画があるのかというようなことがわからぬような状態になっておるということでありまして、そういった都市環境というもの、これは下水道も含め、あるいは道路計画も含めて、あるいはただ単に通過道路ばかり頭に置いて、先ほどみたいに周遊道路みたいなことをいって、そうして生活道路なんかは全然頭に置いてないというようなことであっては私はいけないと思うのであります。それからいま一つは、広域行政ばかり頭に置くのでなくて、狭い範囲のいわゆる狭域行政、コミュニテーというようなものの新しい手法を導入した都市の再開発をやっていくというようなことをやってやらぬと、住民にとっては非常に不便な生活状態をしいられていくということになろうかと思います。この点もひとつ配慮されるべきではなかろうか、こういうように、意見だけでとどめておきたいと思います。  それからいま一つは、先ほど言いました規制の問題でありますが、そういった工業立地であるとかあるいはまた都市の人口の集中であるとか、これに伴う住宅建設であるとかあるいはまたレクリエーションの施設でありますとか、これは主として民間が進出して全く虫食い状態で、どんどん土地を買い占めてやっておるというようなもの、こういったものに対する規制でありますが、先ほどもちょっと触れておりますけれども、やはり県当局かあるいは市町村当局が思い切って公有地の拡大をはかり、先行取得をやっていくということがきわめて大切であって、これは西村大臣も御存じのように、われわれも土地に対する規制をやりたいということで、ここ数年来一生懸命取り組んできた問題であります。中にはやはりある程度の私権の制限もしなければいかぬというところまでまでいっているのですが、これがなかなか法律化されていない。そして苦肉の策として出てきたのが、過般問題となっておりましたような市街化区域における農地の問題等が出てきたわけなんであります。いずれにしてもわれわれとしては、この際ここで思い切って公共団体かどんどん先買いをしていく、そういうようなことによる規制という以外に手はいまのところないんじゃないかと思いますので、こういった水質保全のためにそういった社会環境をよくしていかなければならぬという場合に、思い切ってやはり土地が買えるような措置を講じてやらぬといけない、こういうように思うわけであります。そういう意味で計画の中にでも、思い切って資金手当てをしてやって、先行取得ができるような状態を生み出してやるということが必要であろう、こういうように私は思うわけであります。繰り返すようですが、もうほとんどのところは、まだ建物は建っていなくても土地は企業によって買い占められておる、こういうことなんでありますから、そこのところをよほど考えておかないとこれはたいへんなことになるだろうと思います。そのためには、ここに計画にありますような若干の、三十億か四十億のお金でもって土地を先行取得しろなんということを言ってみたってどうにもならない。これはやはり思い切ってそういう手を打つように、これは自治省ともよくご相談いただいて、どんどん買い占めていくような方途を講じてくれというようなことでなくてはいけない。これは私は意見として申し上げておきたいと思うのであります。どうせそういうふうにやってもらえるだろうと私は思っておりますから。  それからもう一つは、もう時間がありません。先ほどもちょっとお話がありましたように、琵琶湖水質保全、これはきわめて大切でありますが、同時に、せっかく保全された美しい水を下流に流すわけであります。毎秒四十トンというようなものを流していくわけであります。上積みされるわけであります、いまのものに対して。そういう水をもらっておきながら、その水自体が汚染されておるというようなことであってはいけないのであります。この場合、桂川からの水質はきわめて悪い。これはもう使いものにならぬ水になっております。淀川にしても右岸と左洋に分かれた。木津川方面から来る水と二つに水が分かれているという状態でございます。そこで、京都におけるところの流域下水道その他に対しても十二分な配慮をしてもらわなければいかぬが、同時に、いま汚濁されておるこの淀川下流の水というものは、これを浄化する方法というものはほとんどないんじゃないかといわれているのであります。この場合、これはたしか大阪府の発案であり、同時に関係市町村が強く要望しておるところの、汚濁されたところの汚水を導管によって別途に分離して、そしてそれを下手へ流すというようなことが強く叫ばれておるわけなんでありますが、建設省あたりもこれを検討されておると思うのでありますが、これはぜひともやらさなければならぬ仕事じゃないかと思います。はたしてそういう方法がいいか悪いかは別でありますが、もう緊急の手を打たなければならぬところまできている。琵琶湖側にいわせれば、水は国民の水でありますから、私ははっきりいって滋賀県の水というわけにはまいりません。しかしながら、そういう水の効用というものが成立していないというようなことであったら、これはそれでなくても地元県あたりは非常に水位が下がることに対して戒戒しているわけであります。貴重な水ですから、しかもその水は一千万の下流の人間の飲み水になるのでありますから、そういった点でそういった施策が伴っていかなければだめじゃないかと思います。これについて整備本部あたりは一体どう考えておられるか、ここのところをちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
  64. 西村英一

    西村国務大臣 いろいろなご意見がございましたが、とにかく土地を先行取得しろということについては、きょうは自治省の次官の小山さんも来ていますから、これは法律が通りましたら特に滋賀県については進めたい。  それからもう一つ言われた件で、私は同じ意見でありますが、琵琶湖の今度の開発で周遊道路というのですか、道路をつくるという。これは私は半信半疑なんです。四百二十億円かかるというのですが、これはやり方の問題だと思います。しかし滋賀県は望んでおるという、万里の長城みたようなことになることを。私は半信半疑です。やらないとかきらいとか言うとまた滋賀県がおこりますから言いませんが、やはりやり方をよほど考えねばならぬ、やるにしても。そういうことでございます。  それからもう一つは京都の桂川の問題です。桂川の流域下水道には強力にかかります。かかりますが、それかといって来年すぐできるものじゃございません。もともとおくれておるのです。したがって、その悪い水を無理やりに淀川本流に流さぬでもいいじゃないか、ほかの水路をつくったらいいじゃないかという議論がございまして、せっかく私のところの河川局長が勉強をしておる最中でございまして、結論はわかりませんが、つまり、桂川の流域下水道を急ぐか、あるいは急いでもどうしても早期にできないということになれば別途の方法を講ずるかということを、せっかく私どもも真剣に研究したいと思っておる次第でございます。
  65. 阪上安太郎

    阪上委員 はしなくも周遊道路についての本部長官の意見が出てまいりました。私全く賛成であります。ことに、四車線の周遊道路をあそこにずっとつくって四百数十億の金をかけるよりも、水質保全にもっと全力を注ぐべきだという考え方が非常に強いわけであります。しかし滋賀県としてはおそらく、観光資源による財源の取得であるとか、あるいは工業も若干引っぱってきて、貧乏県であるがゆえに何とかしなければならぬというような考え方も出るでありましょうけれども、無理からぬことだと思いますけれども、この際はそんなものはあと回しにして、思い切って水質保全、自然環境の保護に全力を傾倒していくという考え方のほうがいいのじゃないか、また私は下流に対する配慮をすべきじゃないかと思います。  それから最後に伺っておきますが、自治省関係でありますけれども、少なくとも四千二百七十億という膨大な事業分量でございます。これに対する地方負担というものはかなり重いと私は思うのであります。これは日本でおしりから数えて三番か四番の貧乏県であります。したがって、この超過負担なりあるいは事業負担というものは非常に大きいと私は思うのでありまして、この点については論議をする時間がありませんので、したがってやめますけれども、十二分な配慮をしていただきたい。  そういうことによって、やはりこういった法案というものはあまりかたくなにならずに、修正すべきものは修正すべきじゃないか、かように私は考えておるのです。そういう点でもご配慮をいただきたいと思います。いや、いたしませんなんて言われるとかっこうが悪いから黙って下がりますけれども、当然そうすべきじゃないか、こういうように思うわけでございます。このことを申し上げて私の質問を終わります。ありがとうございました。
  66. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、瀬野栄次郎君。
  67. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 琵琶湖総合開発特別措置法案について、関係大臣質問をいたします。私は、この琵琶湖総合開発については、百年の大計のために賛意を表する立場で以下質問をいたしたい、かように思います。  第一条には目的が掲げられまして、第二条には琵琶湖総合開発計画内容たるべき事項を規定し、「琵琶湖及びその周辺地域の開発及び保全に関する基本的な方針」について定められております。その中で、水資源開発事業により生ずべき琵琶湖水位変動が琵琶湖水産業に及ぼす影響の重大性にかんがみ、適切な考慮が払われたものでなければならない旨の規定がなされておるわけでございますが、私は農林水産委員会立場質問をいたすわけでございますが、その前に、まず最初に建設大臣にお伺いをいたしたいと思います。今回の琵琶湖開発計画によりますと、大阪、兵庫などに毎秒四十トンの水を送るために、十年間の平均によりますとマイナス二・五センチメートル水位が下がるということでいろいろな問題が起きてきておるわけでございます。現在すでに毎秒七十ないし八十トン、年間二十数億トンも淀川に流しておりますし、したがって上水道、工業用水もこれによって恩恵を受けておるわけでございまして、今回の四十トンの水によって年間十二億トンふやすことになるように私ども承知をいたしております。琵琶湖全域の水位は標準水位よりも一・五メートル低くして、毎秒四十トンの水を大阪府へ流す、こうなりますと、いろいろ論議をされておりますように、水産業にも、またあらゆる面にたいへん影響が起きてくるわけでござますが、この問題について従来滋賀県、また大阪府、兵庫県との間においていろいろ問題があった経緯があるわけです。滋賀県は琵琶湖を私物化しておるというようなことで、大阪、兵庫県からもいろいろ指摘を受けた事実もありますし、また政府と下流府県は水位低下は二メートル、利水量は四十トン、こういうふうに主張しておったものが、滋賀県側の主張によって、水位低は一・五メートルで利水量は三十トンというようなことがいろいろいわれて、この問題の帰着するところ、結局先ほど申しましたように一・五メートルの水位低下で毎秒四十トンの水を出すということで、いろいろ巷間うわさされましたように、結局対立しておった関係府県の要求を足して二で割って、政治的な妥協であると、こういうようなことが、いわれておる。そこで私は心配するわけですけれども、このデータというものは、水量検査は十分検討されて、このように一・五メートル水位が下がることによって毎秒四十トン確保できる、こういったことが行なわれておるか。それとも、政治的な妥協といわれるようなことで国民は不満を感じておるわけですが、その点をまず建設大臣から冒頭、この水量検査等についての経緯と、またこういった結果になったことについての所信を最初に承りたい、かように思うわけです。
  68. 西村英一

    西村国務大臣 この問題は一、二年前からの問題ではなくて、もう十年も続いた問題でございまして、互いにいろいろやりとりがあった問題で、なかなか上流と下流との意見が合わなかった問題でございます。そこで何か政治的にやみ取引をしたのではないかというようなお尋ねであったかと思いますが、そんなことは絶対にありません。それはやはり現在きめた程度が最も妥当である、妥当な線である。いままではそれぞれの地元関係で、下流のほうは何メートル下がろうと自分のほうに被害がないものだから主張し、上流のほうはそうはいかないというようなことであったわけでございますが、いいところに落ちついたわけです。この落ちつきましたのはやはり大勢がそうなったからです。やはり機が熟したのでございまして、非常に適当なところでもって合意を得た。これはやはり世論の力でございます。やはり上流のほうも下流のことを考え、下流のほうも上流のことはそうだろうという、そういう理解のもとに合意ができた、かように考えて、この合意のできた点は、現時点では最もいい合意だ、かように私は思っております。
  69. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 きょうは時間の制限があるのでいろいろ詰められませんが、一応大臣答弁は承っておくことにしまして、いま、長年これは問題になってきた、最も妥当な線であるとか世論の力でこういうふうになった、いいところに落ちついたという答弁がございましたけれども、将来これが問題となって起きるようなことがあった場合に、いろいろ国民に迷惑をかけるということになってはいけないということから、私はここで確認する意味でお尋ねをしたわけでございます。  そこでさらにお尋ねいたしますが、琵琶湖の水は大体十年から十五年に一回は一・五メートルぐらい水位が下がる。普通でも三、四十センチは下がる、こういうことがいわれておりまして、さらに今回毎秒四十トンの水を放流しますと、十年間を平均してマイナス二・五センチメートルの水位が低下をする。かりに一センチ水位が下がると七百トンの水に影響する、こういわれておるわけございまして、そういったことから見ましたときに、一年の中でも水がある地区においてはかなり減少をするということが考えられます。マイナス二・五センチというのは十年をならしてのことでございますので、そこで私がお尋ねしたいことは、最悪の状態が起きた場合はどうなるのか。すなわち、十年ないし十五年に一回、または十年ぐらいで一・五メートルも水が下がった。そこへ四十トンの水を放流するためにさらに一メートル五十水位が下がる。こうなると、極端にいえば三メートル下がる。三メートルまではいかなくても、二メートル下がるということはかなりあるのではないか。そこで先ほど質問しましたような問題が今後問題として残っている。またこの水位の問題が最大の焦点にもなっておるし、異常渇水の場合のことが今回の計画には明記されてないやに私は見ておるわけです。また最大二メートルの低下含みというふうに聞いておりますが、こういったことに対してはいかなる検討をされて法案を提出されておるか、建設大臣のさらに明確なる答弁をお願いしたい。
  70. 川崎精一

    ○川崎政府委員 琵琶湖の今回の計画にあたりまして、私どものほうで大正七年から昭和四十年までの過去の気象あるいは水文記録を検討いたしまして、在来の記録にさらに新しく四十トンの開発量を加えた場合にどのような水位変動をするだろうかというチェックをしたわけでございます。それによりますと、大体四百日でございますから、九八%はマイナス一メートル五十以内でとどまる。さらに一メートル以内でとどまる場合が約九四%ぐらいになろうかと思います。したがって、通常でございますと一メートル五十まで下がるという機会は非常に少ないわけでございますが、琵琶湖につきましては過去に約九十年ばかりの水位記録がございますので、そういった非常な異常現象もキャッチできたわけございます。したがって、通常の利用の最低水位を一メートル五十といたしておりますが、いまお話しのような異常な場合にどうするかということございますが、そういうことも考慮いたしまして、補償対策等についてはわれわれの予知し得る範囲で二メートルまでは実施しておきたい。現実に一メートル五十下がった場合にどのように操作するかというようなことにつきましては、これは琵琶湖周辺の環境とか被害状況あるいは下流の水の需給の状況あるいは下流淀川の汚濁の状況、こういったものを総合的に判断をいたしまして、関係の知事の意見を徴して建設大臣がきめる、こういう形をとっておるわけです。
  71. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長答弁になりましたように、去る三月二十七日、建設大臣、大阪、兵庫、滋賀三府県知事の会談で調印された覚え書きがあるわけで、なるほどそういった非常の場合はいろいろ検討するということでありましょうが、もう一点お伺いしておきたいことは、一・五メートルの下限を越す放流するような場合があったときにはたいへんな心配事が起きるわけです。もちろんその場合には協議をするということになると思いますけれども下流の住民、また琵琶湖周辺の農業、漁業に携わっている人たちも、そのような一・五メートルの下限を越えての放流というものはどうなのかということで不安に思っているわけです。九十年の記録があって、一・五メートル水位が下がるという機会はまず少ないように言っておられますが、いろいろな気象条件からこういったことが起きないとも限りませんし、現在は予期しないことがしばしば起きるときでもございますから、そういった場合の対策としてはどういうふうに検討されておったか。この機会に重ねてお伺いをいたしておきたいと思います。
  72. 川崎精一

    ○川崎政府委員 今回の事業計画が三府県の知事並びに大臣の調停でまとまるまでのいわゆる私ども計画といたしましては、マイナス二メートルまで湖面の低下幅をもちまして、下流に四十トンの放流をする。ただし、これを野放し放流をいたますと、昭和十四、五年のような渇水期がまいりますとマイナス三メートル十まで下がることになります。そういったことは、湖岸の水産その他の被害状況等を類推しますとこれはとても忍ぶわけにはまいりませんので、やはり制限をしていかなくちゃいけないということで、一メートル五十からは相当放流制限を行なう。同時に、下流でもそれに見合った節水等も実施していただくというようなことで、機械的に二メートルにおさまるような、いわゆる放流制限ルールをつくって、二メートルの範囲を最大の低水位利用幅にする、こういう形で計画しておったわけでございます。今回、利用最低水位を一メートル五十、ただし非常の場合は、上下流総合的な判断の上に立って操作するということでございますので、二メートルまで必ず下げるとか下げないとかいうことにつきましては、これはそのときの判断によるわけでございますが、かりにそうなった場合でも、われわれとすれば補償対策等についてはできるだけ十分に手当てはしておきたいということで、二メートルまでを補償対策の範囲にしておるという次第でございます。
  73. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 滋賀県の水産業の問題について若干お尋ねします。  琵琶湖漁業は、まず河川漁業、それからもう一つ琵琶湖漁業魚類養殖業及び真珠養殖業、こういうふうに大体四つに大別されるということになりますが、内水面漁業としては異例ともいえるところの、多種多様な漁法による特産的な漁業が営まれているのはご承知のとおりでございます。中でも、九州等にもたくさんの稚アユを移出していただいておりますが、稚アユなどの漁業については全国の七〇%の生産をしておられますし、その公共的役割りが大きいことはいうまでもございません。漁業者も延べ約九千人、企業体が約二千あるというふうに承っております。専業が二ないし三割、兼業が七、八割、昭和四十五年の実績は、生産量で魚介類が約七千八百トン、真珠が約六千トン、生産額で約三十三億、こういうふうにいわれておりまして、住民に寄与していること、まことに大きいのでございます。そこで、漁獲漁業に与える影響とか養殖業及び水産施設に与える影響、または漁港施設に与える影響というものはかなりあるわけです。こまかいことは申しませんが、これに対する対策については農林省当局はどう考えておられるか。簡潔にひとつご答弁いただきたいと思います。
  74. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 ただいまご指摘のとおり、漁獲漁業及び養殖業につきまして非常に大きな影響がございますと同時に、河川に放流されます稚アユを全国で約七〇%供給しておりますので、全国的に及ぼす影響も大きいところでございます。そこで、こういう水位低下の場合におきましても、そういう漁業を対象にしている者に対する補償を考えていただだくと同時に、その影響がなるべく少なくなるように、たとえばアユにつきましては、人工河川等をつくりまして産卵場をつくるとか、あるいは産卵床の造成を考えておりますし、それと同時に他の県におきますアユ種苗の人工生産なり海産稚アユの研究等をいたしております。また、ただいまご指摘漁港その他の施設につきましても、これが機能障害を来たすおそれがございますので、これの機能障害を起こさないように復旧工事を進めていきたいと考えております。
  75. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 漁業補償問題が今回たいへん問題になるわけですが、一メートル五十水位が低下しますと、漁港とか漁業にかなりの影響が出る。そこで当面補償問題が一番問題になります。ちなみに湖北のほうの問題を見ましても、一メートル五十渇水しますと、たしかあそこは五百メートルぐらいの距離にわたって水が干される、干潟になるということで相当の影響があります。さらに、先ほどから指摘しましたように異常渇水で、これがまた十年ないし十五年に一回一メートル五十も渇水をするということになると、七百メートルも八百メートルも干潟になるのじゃないか、こういうふうに思われるのですが、そういった場合の補償問題についてはどういうふうに考えておられるか。時間がございませんのでひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  76. 川崎精一

    ○川崎政府委員 水位の低下幅を広げることによりまして、当然琵琶湖の汀線の変動、それから地下水位の変動、こういったいろいろな問題が起こってくるわけございますが、物理的ないわゆる漁港施設あるいは港湾施設、こういったものについては施設を補強いたしましてこれは対処いたしたいと思います。それから地下水等の低下に伴いまして、在来湖中からくみ上げておったものにつきましては、これはポンプの容量というものの増強をはかる必要があろうかと存じます。それから、今後湖辺等の汀線が広がりまして干陸の範囲が相当増大する、こういったことにつきましては、やはり環境保全の意味からでまるだけ公有地を拡大して、しかるべく修景の保存につとめる。同時に、内湖等につきまして、これを保存できるもの、維持できるもの、あるいは人工的にそういったものが確保できれば、そういう振興対策も考えていきたいと考えております。なお、減産補償等につきましては、これはさらに慎重な調査を要すると思いますが、適切な補償と同時に、今後の水産資源の維持、それから人工的な振興対策、こういったものも、やはり水産庁等の指導を受けまして積極的にやっていく必要があると考えておる次第ございます。
  77. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 水産庁水産業問題でもう一点お尋ねしますが、イケチョウガイの真珠養殖は人工の見通しがかなりついておるということで、いま期待を持たれておるわけです。そういった問題も含め、アユ養殖あるいはテナガエビ、こういったものの試験をするために、とる漁業からつくる漁業ということが琵琶湖においては前からいわれておりますが、特にこれは国立の水産試験場等が必要である、こういうふうに思うのです。または研究所をつくるというふうなことについては今回の計画には載っていないように私は思うのですが、それはどういうふうに考えておられるか。ぜひこれはつくっていただきたい、かように思うわけですけれども、その点御見解を承りたいのです。
  78. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 研究機関につきましては、現在淡水につきましては東京都の日野にございます淡水区水産研究所で総合的に、湖、河川を含めまして研究いたしておりますし、アユにつきましてはまた天竜川河口にアユの人工採苗機関をつくって研究しているところでございまして、現在のところ直接臨湖研究所というものを考えてはおりません。そういう総合機関で研究を進めてまいりたいと考えております。
  79. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係もありますので、若干はしょって最後にお尋ねをいたして終わりたいと思います。  農業問題で、滋賀県の耕地は約六万ヘクタール、このうち湖水を水源にしているのは約七千ヘクタールであります。このうち県営団体営の水利事業で十分な施設のあるものが約三分の一といわれている。そのほかは簡単なバーチカルポンプを置いて逆水し、井ぜき等で調節しているのが大部分であるというようなことで、今後琵琶湖水位の低下等による被害でかなり大き影響を受けるので、近代施設への脱皮が望まれるということございます。それと同時に、異常渇水した場合にはまたかなり補償問題が起きてくるということになります。この二点を農業関係についてお尋ねいたします。  なお、林業については、造林事業、林道事業、治山事業についていろいろ計画がなされておるようでありますが、一般造林は二万七百ヘクタール、特に拡大造林あるいは再造林が盛られておるし、また公社造林等も一万五千三百ヘクタール計画されておるようでございますが、これはよほど投資をして進めないとなかなか推進がはかれないと思うのです。こういった問題についていかなる計画で進められるか。なお、これについて金融対策が望まれている。特に長期低利の金融対策が必要である。こういったことをぜひ行なっていただきたいと思うのですが、この点を簡潔にお答えをいただきたい、かように思います。  なお、建設大臣にもう一回最後に承っておきますが、時間の制約の関係で申し上げられませんけれども、実は今回のこの計画は京都の問題が、あまり直接には関係がないということで、いろいろ検討してみましたが、入ってない。すなわち、桂川から日吉ダム、こういったダムによって水がまかなわれて、現在琵琶湖からは毎秒二十三・六五トンの水を受けているので、いまのところは心配ないが、五十五年になると、経企庁が指摘しておりますように京都も水が不足になってくるということがいわれております。しかし琵琶湖は今回の毎秒四十トンの放流によって限度である。おそらく二期工事は考えられないということがいわれております。もちろん将来の大きな変化があれば若干の計画手直しということはあるにしても、二期工事、三期工事は考えられない。もうすでに限度にきているというようなことから、今回この計画が推進されますと、五十五年以降京都が水が少なくなった場合に、水利権等の問題からはたして琵琶湖の水をもらうことができるかどうかということを考えましたときに心配が起きてくるわけですが、その点についてはどのように検討されたか。  若干多岐にわたりましたけれども、簡潔にご答弁いただいて私の質問を終わりたいと思います。
  80. 西村英一

    西村国務大臣 今回の琵琶湖開発計画につきまして、京都は従来からのいきさつであまりこの関連を持っておらなかったのでございます。それは京都の要望にしましてもあるいはいろいろなところの要望にしましてもあまり関連を持っていなかったから、そして今回はこの計画はぜひまとめなければならぬからということで、ほかに理由があったわけでは絶対ございません。また京都自身の水需要につきましては、あなたがお触れになりましたように、これはずっと考えなければならぬ、かようなことでございまして、京都の地域住民のことに無関心でおるわけでは絶対にございません。従来の経験にかんがみて今回の計画では特に御相談はしなかったということございまして、京都の水需要については別途考えたい、かように思う次第でございます。
  81. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御指摘のように、この開発をいたしますと湖水面が低下いたします。低下いたしますので、ポンプとか水路とか取水施設等の機能が相当影響を来たします、障害があります。それから今度はまわりの耕地でございますが、水田などでは用水量が非常にふえると思います。もう一つは、こういうことをやる結果、長い間では水田でも地盤沈下をするのです。そういうことでそういう影響がありますので、揚水機場及び用水路の改修等必要な補償工事等が必要になってくる、こういうことを十分やっていきたいと思います。  また、森林は事務当局から答弁いたさせますが、琵琶湖水資源の湖であると同時に森林も水資源一つの沼みたいなものです、あるいはダムみたいなものです。ですからどうしても造林をして、水の供給をたいへん少なくしないように、変化のないようにしていかなければなりませんから、造林等も十分やらなければなりません。また金融措置のことでございますが、土地改良などをしなければならぬし、あるいは造林等においての金融などにつきましても十分手配をしていかなければならぬと思います。林野のことにつきましてはなお事務当局から答弁いたさせます。
  82. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 ただいま大臣からお答えしましたとおりでございますけれども、私から若干補足して説明させていただきます。  琵琶湖の南岸のほうはご承知のように花こう岩の風化した地帯でございます。また西岸のほうは破砕地帯でございまして、土砂が非常に流出しやすい状態になっておる地形でございます。したがって、治山事業を重点的にやっておりますし、今回の法律によりまして三分の二補助が四分の三補助になる予定でございます。なお、これに関連いたしまして造林事業も重点的にやっていかなければならぬということでございまして、先ほど先生指摘のように、造林の事業につきましては十カ年間の計画では二万八千七百二十ヘクタール、こういうことになっております。なお経費の点では百四億四千六百万ということで、特に最近までの実績を申し上げますと、公社造林が半分を占めておりまして、非常に熱心にやっておるところでございます。なお、融資の問題につきましても、農林漁業金融公庫からは、ただいまのところ四十六年度は二百五十五億二千万、四十七年度の予定は二百八十億七千七百万、これは全国の計画でございます。この地帯におきましては大体この計画の中でおさまる予定ではございますけれども、御指摘のような長期低利の金融の問題につきましては、国内の林業振興に関する全般的な問題でございまして、御指摘になりました点を今後十分考慮いたしまして努力してまいりたい、かように考えております。
  83. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、山口鶴男君。
  84. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 主として地方財政、住民の受益者負担という立場から若干のお尋ねをいたしたいと思います。  今回の法律によりまして総合開発計画を立てる、総事業費が約四千三百億。今回の補助金のかさ上げによりまして、地方負担が千五百億のところ約千三百五十億、百五十億円減少する。さらに下流県の負担、法律の第十一条ですけれども、この負担が約百五十億、したがってこの分がダウンをする。したがって地方負担が千二百億、こういうふうにお伺いをいたしておるわけであります。どこにお尋ねしていいかわかりませんが、近畿圏整備本部お尋ねしますが、このうち県の負担幾らで、七市四十町村あるそうでございますが、関係市町村の数が何ぼで、その受益者負担が一体何ぼになりますか、お伺いいたします。
  85. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 お答え申し上げます。  荒っぽい数字の段階でございますが、いまの千三百五十億は、先ほど近畿圏のほうからは千四百九十とお答えございましたが、荒っぽく千五百億をもとに置きまして、百五十億国庫負担かさ上げがございますので千三百五十億。その内訳は県が千百億、市町村が二百五十億、こういうふうに考えております。なお下流の百五十億につきましては、具体的に県と市町村とをどういうふうに割り振ってまいりますか、まだこれからきまってまいります段階でございますので、千三百五十を前提にして申しますと千百と二百五十、こういうことでございます。
  86. 朝日邦夫

    朝日政府委員 関係市町村の数でございますが、屎尿処理の事業をこの計画で取り入れて実施しようといたしておりますが、これは全市町村にわたって実施をいたすつもりでございますので、その面では五十市町村でございます。それから、それを除きますと、下水道事業が一番広く市町村に関係してまいると思いますが、これで申しますと二十二の市町村になっております。その他の事業、どこがどういう市町村に関係するか、ただいまのところまだ明確ではございません。
  87. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、滋賀県の負担が千百億、それから滋賀県内の約五十の市町村の負担が二百五十億、屎尿処理については全市町村であり、下水道の地方負担滋賀県内の二十二市町村、こういうふうに了解してよろしいわけですね——。  そこでさらにお尋ねいたしたいのですが、今回の法律第八条によりまして補助金のかさ上げをやる。特に下水道についてお尋ねしたいと思うのですが、流域下水道については二分の一のものを三分の二、それから公共下水道については十分の四のものを十分の五・五に引き上げる、こういうことはわかります。ただ問題は、この下水道事業くらい、率直にいって超過負担の多い仕事はないのですね。たとえば大阪とか東京とかあるいは神戸とか、大都市の公共下水道の事業の場合は補助対象になる割合が非常に少ない。そうして単独分というのが非常に多いわけですね。ですから、現実に十分の四補助金を出すといいましても、補助対象が半分とかあるいは半分以下、こういう状態にありますから、実際の実効補助率は十分の二ぐらいしかない、あるいはそれを下回る場合がある、こういう状況であることは、私ども関係市町村からずいぶん話を聞いておるわけです。そうしますと、今度の滋賀県内の下水道事業にあたりまして、特に公共下水道の場合、一体この補助対象の事業割合と単独事業の割合はどういうことになるのですか。通常の割合は幾らであって、今回この琵琶湖総合開発法によって他の状況よりも補助対象割合をもっとふやすのだ、これは当然だろうと思うのですけれども、そうなっていますか。まあ建設大臣でありますが、大臣ではあれですから、政府委員でもいいです。
  88. 久保赳

    ○久保説明員 お答えいたします。  下水道事業、下水道施設に対する国の補助の問題でございますが、これにつきましては、従来下水道法三十四条で、国の補助については政令の定めるところによって助成をする、こういう法体系になっておりましたが、昭和三十三年に下水道法が制定されて以来なかなかその政令がきまらなかったというのが実態でございました。ところで、昨年の六月にその政令がきまりまして、公共下水道施設のうち国が助成する範囲の明確化がなされたわけでございます。ちょうど昭和四十六年度から第三次の五カ年計画がスタートする時期でございましたので、第三次の五カ年計画からは昨年定めました政令に基づいて国の助成が行なわれる、こういうことになりましたが、その政令によりますと、公共下水道のうち国が助成する範囲は、この琵琶湖総合開発にかかわる公共下水道もそうでございますが、総事業費に対して七四%程度が国の補助対象施設になる、こういうことでございます。したがいまして残りの二六%くらいが単独事業といいますか、国の補助対象にならない事業になるわけでざごいます。  以上でございます。
  89. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 第三次の五カ年計画で、従来この補助対象が五四、単独分が四六というものでありましたものを、補助分五七、それから単独分が四三というふうになりまして、補助対象の割合が五四から五七ですから、スズメの涙ほどふえたということはわかっております。ただ大都市のほうが割合が非常に低いですから、一般都市の場合はいまお話のあったように、補助対象割合が七四、それから単独分が二六、そうなるであろうということでありますが、これは全国一律の問題でしょう。今回わざわざ琵琶湖総合開発特別措置法で補助率もかさ上げをいたしたわけでありますから、当然通常のものよりもこの滋賀県に対する下水道事業にあたっては補助対象をさらに拡大をするということがなければいかぬじゃないかと私は思うのです。特に法律でも、さっき大臣が言われたように、この法律の第一条は「琵琶湖のすぐれた自然環境の保全を図りつつ、」と、これが一番先に書いてあるのだ、こういうことを大臣非常に明確におっしゃったわけなんであって、そういう趣旨からいけば、当然補助率もかさ上げをやったり、当然補助対象事業の割合も拡大をする、このくらいのことはあたりまえじゃないかと私は思うのです。これは十カ年計画だが、特に下水については前期五カ年でもって集中的にやるというのでしょう。私はあとから関係市町村の財政状況と、それがはたしてこれだけの地元負担をまかなうことができるかという問題を議論しようと思いますが、それは一応おきましょう。そういうこともあるわけですから、当然補助対象を拡大するということもついていなければ、滋賀県としては了解しがたいだろうと私は思うのです。また私はこの法律の趣旨、大臣が言われた「自然環境の保全を図りつつ、」ということにも合わぬ、かように思わざるを得ないのですが、いかがですか。
  90. 久保赳

    ○久保説明員 補助対象の範囲の拡大の問題でございますが、このたびの琵琶湖総合開発の法律では補助率の引き上げの明定をいたしておりまして、補助対象の範囲については下水道法の政令に従うような形になっておりますのて、補助率のみの引き上げでございます。
  91. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 法律をつくった立場からいったお役人の御答弁としてはそうでしょう。しかし大臣、どうなんですか、先ほどわが党の阪上委員に対しても、いままでの産業発展のしりぬぐいをこの際断固やるのだ、私は大蔵大臣ではないが、こういうようなお話もあったわけですね。そうして「自然環境の保全を図りつつ、」と、これが一番先に書いてございますと大みえを切られたわけです。それはお役人の立場からはああいう答弁しか出てこぬと思うのです。補助金のかさ上げは法律で考えなければいかぬでしょうけれども補助対象は政令事項でしょう。政令事項だとすれば、いまの下水道部長としてはああいう御答弁だということはわかりますが、大臣とすれば当然、先ほどの御答弁の趣旨からいって、政令を手直しして、その補助対象の割合についても拡大をするというくらいの御決意があってしかるべきだと思うのですが、いかがですか。
  92. 西村英一

    西村国務大臣 補助対象の問題ですが、これはいつも問題になるのですが、一般的な問題もありますし、それからまたこの場合には特にという問題もありましょう。この場合は補助対象にはならなかったのですが、それは今後考えていきたいと思っております。沖繩の問題におきましても同じことでございまして、補助対象だけは明記されなければならぬから、沖繩と同じような程度にしたということでございますが、今後はこの点につきましては検討し、大蔵省等とこれはやはり十分な討議をしなければならぬと思っております。御質問の趣旨は十分了解いたします。
  93. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 検討するということですが、検討しているうちに肝心の公共下水道をやる前期五カ年が過ぎたということではこれは間に合わぬわけですから、検討される場合には当然水道事業について集中的にやる、前期五カ年のうちに十分実効があがるように御検討いただくということをお約束をいただきたいと思うのです。いいですね——。  それでは、次にお尋ねしたいと思うのですが、そういうことで今後の努力に期待するところがありますが、しかし、当然この法律でいけば関係市町村に二百五十億の負担というものがかかるわけであります。滋賀県の場合は他の事業もございまして一千百億の地方負担がかかってくるわけであります。自治省が作成いたしました財政白書で滋賀県の財政力指数はどのくらいかと思って拝見いたしましたが、まあ平均ぐらいにあるようであります。しかしこの一千百億の負担というものがたいへんだろうと思います。だからこそ下流府県が百五十億の援助もしようということになっておるだろうと思うのですが、これは単に県のみならず、市町村に対しても当然援助がかかってくるだろうと思います。地方負担が千三百五十億、下流県が百五十億見ますから、県と市町村の負担の総額が、このままでいきますと一千二百億ということになります。滋賀県の場合はこの十カ年計画で千百億、一体これが下流府県の負担によってどのくらい減るかわかりませんが、一応滋賀県の財政力から見てこの千百億という負担に一体たえられるのかどうか。この点まずお伺いをしたいと思うのです。  さらに、重要なのは私は関係市町村だろうと思うのですね。五十の関係市町村、それから下水道の関係市町村二十二、これらの町村の中には財政力指数が著しく低いものもあるだろうと私は思うのですね。かつて地方行政委員会でこのようなかさ上げ法案、成田空港の周辺整備法が議論されましたときには、具体的に、どこの町は現在税収が幾らある、そうして今回の周辺整備事業によって地元負担幾らになる、したがって、現在の財政力、それから将来これが税収としてこのくらいふえるだろうという中で、この地方負担がはたして重いか軽いか、負担にたえられるかたえられぬかという資料を実は委員会に提示をいただいたのであります。当然、この法案を出すにあたって近畿圏整備本部はそのくらいの配慮はしておられるだろうと私は思うのです。滋賀県の現財政からいって県の負担はたえられますか。今後十年間の財政状況からいってこの負担状況はどうなのか。関係五十の市町村、関係二十二の市町村の現在の財政状況はどうあって、それでこれが将来の負担に対して一体たえられるのかたえられぬのか、その資料をひとつ御提示いただきたいと思いますが、いかがですか。
  94. 朝日邦夫

    朝日政府委員 先ほど自治省のほうからもお答えがありましたように、この事業によりまして滋賀県なり市町村の負担がどれくらいになるかということにつきましては、資料はあるわけでございますが、先生指摘ではございますけれども、この事業を実行するにあたって、財政力指数等につきましていま個々の市町村を一々検討いたしたわけではございません。それから事業関係市町村がどこどこになるかも、これから計画の決定次第できまってくることもございまして、その点はまだつまびらかではございません。しかしながら自治省といろいろ御相談を申し上げた中で、国の補助率のかさ上げが百五十億、それから下流負担が百五十億、そのほかに五十億円の融資等も予定をいたしております。そういう手当てをいたしまして、なおかつそのほかに、もちろん起債その他地方負担に対します手当てはお願いしなければなりませんが、そういったものをできるだけ努力をしていけば、この事業実施するについて、財政負担の問題で実行が不可能になるということはないのではなかろうかというようなお話し合いをしておるところでございます。
  95. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 委員長も地方財政についてはたいへんお詳しい方ですね。聞いておられてどういう御感想を持つか、あえてお尋ねはいたしませんけれども、しかし成田周辺整備法の際には関係町村を明確にして、その財政力指数も出して、今後十年間の地方税として上がる見通しも一応書いて、これに対して起債はどのくらいに、それからまた負担はどのくらいになるかという計数を全部お出しになった、その上で私ども議論したのですよ。私はいまのようなお話ではどうも納得できません。関係する滋賀県というのは特定されておるのだし、関係市町村というものも特定されておるのですから、当然この事業、しかも前期五カ年に水道事業については集中的にやろうというようなことも言っておられるわけなんですから、これはひとつ自治省と早急に御相談いただいて、この法案建設委員会が審議をいたしておるうちに、当該県、当該市町村の財政力と、その負担状況はこうなる、負担にたえられるかたえられぬかということが判断できる資料くらいはぜひとも御提示いただきたい、こう思うのです。いかがですか。
  96. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 県のほうにつきましては、私どものほうで一般財源の伸び率を八・五%と置きまして、所要一般財源、下流負担等を織り込みまして、財政的には十分まかないがつくという試算を実は私ここに持っております。問題は市町村でございまして、市町村につきましてはただいまお答え申し上げましたように、下水道関係の市町村が二十二、滋賀県全体の市町村が四十でございますが、この市町村の負担といたしましては、先ほど二百五十億という数字を申し上げました。かりに下流負担の百五十億を荒っぽく七、三で県と市町村に割り振るということになりますと、市町村の負担が大体二百億、これが今後十年間の財政負担になってまいるわけでございます。その中の六割が下水道でございます。下水道につきましては起債と一般財源とを割り振ってまいりますので、個々の市町村ごとに財政収支を明らかにして提示申し上げますだけの資料を実はいま用意いたしておらないわけでございますが、交付税と基準財政需要、それからその他の一般財源の伸びで、県下の市町村につきましても支障なくまかないがつくという、感触で申し上げてはなはだ恐縮でございますが、そういう感じを持っておるわけでございます。  なお、資料等につきましては、私どもいま持っておりまする資料の範囲でできるだけのものをおつくりいたしまして、また御批判を仰ぎたいと思っておる次第でございます。
  97. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、県のほうは出せる、関係市町村については十分なものは出せぬけれども、ある程度の資料は出すということのようでありますから、その点はまた資料が出ました際にあらためてお尋ねするとして、保留いたしておきましょう。  次にお尋ねしたいのは、下水道に関する受益者負担の問題です。下水道に対しましては、大都市の場合は受益者負担なしで過去も事業をやりましたし、現在も事業をやっておるものがあります。しかし新たに下水道事業をやるという場合に、これは受益者負担がなくてはだめですよという行政指導が実は自治体に対して強力になされておることは私どもよく承知をいたしております。ただ、住宅で土地が三百平米程度の場合、大体三万ないし七万五千円くらいの受益者負担が現にある。この受益者負担を一体どうするかという問題です。今回、下流府県に百五十億という相当の負担を持たせる。いまの鎌田財政局長の話では、市町村分がおおむね五十億くらいだろう、こう言うのですが、とすれば、そういった下流負担金——たとえば大阪なんかはかつて下水道をやっていますから、受益者負担なしで下水道を実はやっているわけですね、そういうことを考えれば、私は、市町村がこういった下流府県の負担等を考慮いたしまして、受益者負担なしで当該地域の公共下水道事業をやっても建設省は文句を言うべき筋ではない、かように思うのですが、いかがですか。
  98. 久保赳

    ○久保説明員 下水道事業にかかわる受益者負担制度の問題でございますが、受益者負担金制度の根拠法規は都市計画法七十五条でございまして、七十五条に基づいて条例で受益者負担金の制度を開く、かようなことになっておりまして、その制度をつくる、つくらないというのは、あくまで当該下水道事業実施する市町村の自主的な判断でございます。したがいまして、建設省のほうではそういう制度がなければ下水道事業はやっちゃいかぬとか、そういう指導はしておりませんし、そういうつもりは毛頭ございません。
  99. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その点は明確に御答弁がございましてけっこうだと思います。結局、琵琶湖の水も下がることがあるかもしれぬ、琵琶湖の自然環境を保全するために下水道もやる、その上に受益者負担が一戸当たり七万円もくるということでは、私は滋賀県の当該地域の県民は納得しがたい面があると思うのです。いまのお話では、あくまでも受益者負担を取るか取らぬかは当該自治体の自主的な判断だ、こういうことですから、いろいろな負担金その他総合して、自主的に受益者象担を取りません、関係二十二市町村がそういうふうにきめれば問題はない、こういうことですから、その点は明確に承りました。けっこうだと思います。  最後に私はお尋ねしたい点があったのですが、時間の関係ではしょりたいと思うのですが、問題は、この法律の中に「生活再建のための措置」というのが第七条にありますね。私は関東ですけれども、将来の首都圏の水を考えた場合に、水源地域にダムをつくらなければならぬ。そうした場合に、水源地域開発法をこの琵琶湖総合開発特別措置法にある程度準じて考えなければ、これはもうどうにもならぬだろうということを、繰り返し建設大臣にも申し上げてまいりました。特にこの生活再建措置については建設委員会でもずいぶん議論があったと思います。この生活再建措置ば、従来建設省がやってまいりました昭和三十七年閣議決定の公共用地の収得に伴う損失補償基準要綱、これを改めて、建設委員会等で繰り返し議論になった生活再建対策措置をこの際思い切ってとる、こういう趣旨でこの第七条はできておるのですか。この点最後に承っておきたいと思うのです。
  100. 朝日邦夫

    朝日政府委員 この七条におきましては、現在定められております補償の基準に関します規定を特にこの事業実施のために改正をするということではなくて考えております。
  101. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういうことは非常に残念です。建設委員会でそのことはいろいろ議論になると思いますから私はそれ以上言いませんが、大臣に最後に言っておきますが、大臣、かつて水源地域開発法をつくらなければどうにもならぬだろう、こう言われました。琵琶湖を使って新たにダムをつくるという場合には、その地域住民の生活再建を一体どうするかということが一番の基本てす。水源地域開発促進法をもし建設省でおつくりになる——大臣も考えると言っておられますが、考える場合は、いまのような御答弁で、昭和三十七年の閣議決定を一歩も出ぬような、ただ訓示規定として生活再建というものを書くだけだということでは、この水源地域開発促進法はどうにもならぬ、こういうことだけ私ははっきり大臣に申し上げておきたいと思うのです。大臣として何かお考えがあれば承っておきたいと思います。
  102. 西村英一

    西村国務大臣 これから全国的にも相当なダムをつくるのだ。しかしダムをつくるといっても地域住民の協力がなければできない。しかし協力は訓示規定だけでは協力にならぬ。やはり実質的に、故郷を捨てる人、生活権を奪われる人、そういう人たちが具体的に納得し得るものがなければいかぬと考えますから、今回の国会には間に合いませんが、せっかくいま勉強させております。近い国会にはまた具体案になって提出の機会もあろうかと思います。さように考えておる次第でございます。
  103. 亀山孝一

    亀山委員長 それでは次は、岡本富夫君。
  104. 岡本富夫

    ○岡本委員 ただいま審議されておるところの琵琶湖開発につきまして、私は公害並びに環境保全立場から若干質問をいたします。  そこで、この法案を見ますと、下流の水需要のために水位を一・五メートル下げる、こういうことだけでは、今後また水需要が出てくるとまたこのような問題が起きる。そこで一番大切なのは水質の保全ではなかろうかと思うのです。水質が悪くなれば、とうとう琵琶湖が死んでしまうということになれば、これは何にもならない。そういう面からひとつ質問を申し上げますけれども、最初に取り上げたいのは、同僚の北側委員からも話があったと思いますけれども、私どもの調査班が、きれいにする会とともにこの調査をいたしましたが、琵琶湖に流れておるところの上流にある草津、ここの日本コンデンサから流れたPCB、三万二千PPMを検出しておりますが、これに対する対策はどういうようにしていくのか、あるいはまた現在どういうようにしておるのか、御承知のようにPCBはもう煮ても焼いてもしかたがないというようなところまできておるわけですが、こういうものが放置されておってどんどん琵琶湖に入ってくるということになれば、下流の大阪府にしても兵庫県にしても非常に心配である。まずこれの対策について建設省から概略お聞きをしたい。
  105. 岡安誠

    ○岡安政府委員 日本コンデンサのPCB汚染でございますが、現在すでに日本コンデンサにおきましてはPCB関係の製品の製造を中止いたしております。問題はかつて汚染されました地域についての対策でございますが、まず汚水が流れ出ましてため池にたまって、そのため池の底の汚泥が非常に汚染されている。これにつきましては、日本コンデンサがこのため池を買収いたしましてこの湖底といいますか、底の泥の処理をする。その場合コンクリートではなかなか固まらないということで、特殊な固化剤を用いましてこれを固化するという方向で現在検討しておるというふうに聞いております。  それから周辺の農地等の汚染につきましては、滋賀県で調査をいたしまして、相当程度のPCBが存在しておりますし、またPCBを含んだ玄米も生産されております。これにつきましてはさらに私ども細密な調査をいたしまして、すでに汚染された米につきましては一応これを凍結する。それからさらに今後PCBにつきましては調査を進めまして、できるだけ早い機会に土壌汚染防止法の有害物質に指定をいたしまして、汚染土壌の対策事業実施いたしたい、かように増えておる次第でございます。
  106. 岡本富夫

    ○岡本委員 このPCBは、御承知のように、いまあなたが言った日本コンデンサでただそのため池から出ないようにしたというようなことだけで解決する問題ではないと私は思うのです。排水路からは二千四百PPM、田の土から千二百PPM、それから排水路沿いにずっと百二十ヘクタールに及んだところのこういった多量の汚染地帯、これを始末せぬことにはこの琵琶湖はどうしようもなくなるわけてすが、いまあなたの答弁を聞いておりますと、日本コンデンサでやるのだ。それは原因者がこれを解決するのはあたりまえでありますけれども、それに対してもっと監視もしなければならぬ。あまりいいかげんに考えておるから、四十三年のカネミ油症においてもああいう問題があったのにいままでほうってあって、この日本の国内に約五万あるいは七万トンというのが入っておるわけでしょう。そういうことになれば建設大臣、これは環境庁だけでなくして、琵琶湖の問題を解決するためには相当強力な手を打たなければならぬと私は思うのです。いまこれの病気になったら、それをなおす方法もないのですよ。こういうものを捨ておいて、いかにいろいろな面を解決しようとしてもこれはどうしようもないと思う。それはあとのことにいたします、時間がありませんから。  そこで、向こうでとれた米の約六百七十三トンを出荷停止しておる。一・三PPM以上のものがあるわけですが、この米はどういうように処分するのか。カドミの場合であればこれをのりに回してもよろしいけれども、のりなんかに回すわけにはいかないと私は思うのです。農林省はこれについてどういうように考えておるのか、ひとつお聞きしたい。
  107. 三善信二

    三善政府委員 農地局長でございますが、食糧庁の問題でございまして、さっそく食糧庁に連絡して、あと先生の御質問中に、どういうふうに処理するか、御答弁を申し上げたいと思います。しばらく御猶予を願いたいと思います。
  108. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると食糧庁にそれは聞いてもらう。  その前に、では農地局長に聞きたいのですが、この汚染されたところの農地、この田をどういうように処理するのか。これははっきりしてもらわないと、ここからどんどん琵琶湖に入ってくるわけですから、この点についてひとつはっきりしてもらいたい。
  109. 三善信二

    三善政府委員 このPCBの問題につきましては、先ほど環境庁のほうから御答弁がございましたように、全般的にこれの影響その他を調査研究いたすことになっておりますが、この圃場に対する問題につきましては、私ども四十七年、今年じゅうにさっそく滋賀県と相談いたしまして試験地を設置して、そこでどういう作物に対する影響があるか、それから土壌とPCBの関係がどういうふうになっているのか、またそれを軽減するためにはどういう事業、客土等によってどの程度軽減ができるものか、そういった意味を含めまして調査研究をいたすことにいたしております。
  110. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは農林大臣を呼んでください。そんなのんきなことを言っておれる時代と違うと私は思うのですよ。しかも湖沼というのは、私はこの間長野県の諏訪湖ですか、見てきましたけれども、どんどん死んでいっている。これは排出するところが少ないわけですね。ほとんどたまっていくわけでしょう。しかもPCBはそのままでは分解しないわけです。こういう重大なものをこれから研究するというようなことでは話にならないじゃないですか。環境庁はこれについて、これから土壌汚染防止法の対象にしてからという、そんなことで、これはあなた、問題が起こってからずいぶんになるのです。これは草急に客土なり何かしなければならぬと思うのですが、いかがですか。
  111. 岡安誠

    ○岡安政府委員 日本コンデンサ付近の農地でございますが、先ほど先生から百ヘクタール余りというお話がございましたけれども、私ども二百ヘクタールにつきまして今年度精密調査をいたすつもりでございます。それによって土壌汚染の実態がわかると思いますが、ただ必ずしも明らかになっておりませんのは土壌中のPCBの許容度でございます。たとえばこのPCBが作物の生育阻害をどのようにするのか、また作物中にどのように吸収されるのかという点が必ずしも明らかでないわけでございます。先般玄米中のPCBの量が明らかになったわけでございますが、それにいたしましても土壌中のPCBとの関係が必ずしも明らかでない。たとえば土壌中のPCBの量が少ないところのほうが玄米中に多量のPCBが吸収されているというような例もございますので、この点につきましては至急この関係を明らかにいたしたいというふうに実は考えておるのでございます。多少PCBの研究はおくれております。これを至急進めまして、私どもといたしましてはその結果によって土壌汚染防止法の対象にいたしたいと考えている次第でございます。
  112. 岡本富夫

    ○岡本委員 大臣、いま聞いておりましたか。環境庁にしても農林省にしても、農産物にどういう被害があるかどうか、こういう研究ですよ。どんどん琵琶湖に入ってくるほうについては何にも研究していないのです。いま田の中にどれだけある、それがどんどん雨に流されてくるわけです。それがたとえ少しの量であっても、流れるのですから、たまるのは琵琶湖の中なんです。だからこの点は大臣建設省がこの琵琶湖開発について一番主導権をもってやってもらわないと私は解決しないと思うのですが、ひとつその決意を……。
  113. 西村英一

    西村国務大臣 御案内のように、PCBは政府全体の責任でいまやっておるのでございます。何と申しましてもやはり専門的なことですから、それぞれの省で手分けをしてやっておるわけであります。建設省といたしましても関係がないことはございませんけれども、やはり専門的ではないわけです。あなたのおっしゃいますように、特にこの琵琶湖については水質の保全を注意しなければならぬところでございます。建設省が音頭をとって、琵琶湖だけにつきましても急速に対策を立てる。それぞれの省では立てておるようでございますが、さらに注意をしたい、かように思っております。
  114. 岡本富夫

    ○岡本委員 大臣、私の言っているのは、各省で対策を立てていると言うが、いまお聞きのように農林省にしても環境庁にしても、立てているのは農産物にどういう被害があるか、こういうことなんです。この琵琶湖の問題は、琵琶湖にどれだけ流れてくるか、これを防ぐにはどうするか、ここに重点を置かなければ琵琶湖保全はできないと私は考える。だから、それをあなたのほうで音頭をとってもらいたいというわけであって、それぞれの省でやっているからと、これではだめなんです。いままで私は公害委員会におきましてもこの問題を論議しました。しかしいまのような考え方では琵琶湖の汚染に対してはどうにもならない、こういう結論に達して、きょうは特に大臣にお話を申し上げて注意を喚起しているわけですが、その点をひとつはっきり答えてもらいたいと思います。
  115. 西村英一

    西村国務大臣 あなたの御意見よくわかります。したがいまして、琵琶湖はわれわれのほうで総合開発をやって、琵琶湖の水質をよくしようというのですから、建設省としても特に音頭をとってやる、またみずからも十分気をつける、こういうことでございます。
  116. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで大臣、PCBの除去といいますか分解といいますか、この間鐘淵化学の調査に行ってまいりましたけれども、油性の場合は引き取って何とかします、今後また設備もつくってやっていきます、こういうことをいっている。ところが、ノーカーボンになったり、あるいはまた土壌に入ったものについては、このメーカーであるところの鐘淵化学もどうしようもないわけです。また機械器具になったものもそうでありますけれども、特に琵琶湖の問題については、これはどうしようもないところにきている。要するに、鐘淵化学も、また三菱モンサントとしても、油性であれば何とかできる。そうするといまのところこれはどうしようもないのです。そういう点をあなたが認識をしてもらわないと、これは解決しないと思うのです。だから、環境庁にしましても農林省にしましてもただ簡単に言っていますけれども、そうではないと私は思うのです。  そこで、農林大臣おいでになりましたから伺いますが、六百七十三トンのPCB汚染のお米、いま出荷停止してある。これをどうなさるのか。これを腐らしてそのままほうっておきますと、そこからまたPCBにどんどん汚染されて、ぐあいが悪いわけです。これをどう処置されるつもりをしておるのか、ひとつお聞きしたい。
  117. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この害を私ども十分把握しておりませんが、こういう方針でいきたいと思うのです。カドミウム汚染の米と同じような扱いをして、買い取らない、また配給しない、預かっておく、保管さしておく、こういうような形でいまやっておりますから、そういう方針でいくのが一番あぶなげがない、こういうことだと私は考えております。
  118. 岡本富夫

    ○岡本委員 大臣、それはちょっと御認識がなかったのではないかと私は思うのです。カドミで汚染されたお米は農林省で買い上げられて、そしてこれをのり業者、こういうところに回しているのです。ところがPCBの場合はのり業者に回せば、またそれが汚染源になるのです。これはどうしようもない、分解しないのですから。ですからこの問題だけはカドミ汚染のお米と同じようにしてはならない。この点を御認識をいただいて対策を立ててもらわなければいかぬと思うわけです。
  119. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 カドミと同じようにするということは、買い上げてのり業者に渡す、それと同じだというわけじゃないのです。カドミと同じように配給のほうに回したり市場に回すようなことをしないことにする、こういう意味で私は申したのでございます。
  120. 岡本富夫

    ○岡本委員 そのあとですよ。
  121. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そのあとにつきましては、私もまだはっきりさしておりません。
  122. 岡本富夫

    ○岡本委員 油性の場合は千二、三百度から千五百度ぐらい、純性であれば七百度から八百度で分解する。これは大阪府の衛研でいっておりましたけれども、それがまたそういう米の中に入ったりするとどのくらいの温度で分解するかわからないというのが、大阪府衛生研究所の所長の話でした。だからこれは特別にもう一度この対策を検討してやってもらわなければならぬと思うのです。  次に、北湖の湖底にカドミウムあるいは重金属が相当含まれておるわけですが、これがどのくらいの湖底にあるのか、どのくらいのものがあるのか、こういう調査を建設省のほうでなさっておりますね。してなければこの琵琶湖総合開発はできるわけがないのです。これは水質汚濁の面から特に必要ですから、この面についてひとつお聞きしたい。
  123. 岡安誠

    ○岡安政府委員 琵琶湖の底質のヘドロの中に存在します有害重金属でございますが、これは県の調査、それから滋賀大学の調査、いろいろございます。先生、特に北湖のことを言われたわけでございますが、北湖につきましては、滋賀大学の調査によりまして、クロム、カドミ、鉛等、相当量湖底に堆積しているという報告が出されております。その量につきまして私ども知っておることを申し上げますと、いろいろばらつきがあるようでございますが、最高を申し上げますと、鉛につきましては五〇〇PPM程度、それからトータルのクロムにつきましては最大が一八七PPM、それからカドミにつきましても最大が三・八四、この程度の量が検出されたという報告を私ども承知いたしております。
  124. 岡本富夫

    ○岡本委員 それは何の原因なのか。原因を追及いたしましたか。その原因と私がやかましく言うのは何かといいますと、この現地に参りますと、魚を周辺の人が食べないのです。アユでも三十尾に一尾くらいぴゅっと曲がっておるわけです。周辺の人は食べません。ここに見ますと年々琵琶湖はよごれていくわけですね。さらにここでいろいろな開発をやったときにどうなるかということを考えると、この際こういう面を抜本的に検討してちゃんとしておかなければならない、こういうわけで私は話したわけですが、原因をひとつ……。
  125. 岡安誠

    ○岡安政府委員 原因につきまして、まだ系統的に県等がやっておらないわけでございますが、まあ、鉱山からのものであるとか工場からのものであるとか、いろいろいわれております。私どもは至急これらにつきましては、その原因の調査をやりたいというふうに考えております。
  126. 岡本富夫

    ○岡本委員 原因がわからぬとどうしようもないわけですよ。これはこの奥に廃鉱があるということ、こういう原因もひとつもう一度よく調査をして、そして廃鉱の問題に対しても手を打たなければならぬ。そうでなければこの琵琶湖の汚染というものは年々どんどん進んでいくということを私は指摘しておきます。  最後に建設省、屎尿処理の能力、現在十六万戸の人たちが利用するらしいのですが、現在まだ二万戸くらいらしいですね。今度四カ所屎尿処理場をつくるということを私は聞いたのですが、これで全部屎尿処理ができるのかどうか。  それから南湖のほうで企業から出てくるところのいろいろな排水、これを三次処理までするのかどうか。これをしなければ、南湖のほうは非常によごれておる、あなたのほうからもらった表を見ましても。この二点について承って私の質問を終わりたいと思います。
  127. 浦田純一

    ○浦田政府委員 現在、琵琶湖周辺の屎尿処理施設整備状況でございますが、十二地区におきまして五・九キロリットル毎日処理できる能力を持っております。ただいま継続中のものといたしまして、このほかに九十キロリットルの日量の処理能力の工事が続行中でございます。さてどうするかと申しますと、屎尿処理はもちろん建設省のほうで工事を所管しておられますが、下水道によってやるということが基本的な態度でございまして、補完的な立場から屎尿処理施設整備していくという考え方でございます。したがいまして、将来の計画として一応五十年までに全般的に屎尿の衛生処理ができるように、地元のほうあるいは関係各省と協議中でございます。当初の計画は五十一年までといったようなことでございましたのですが、これではとても間に合わないということで、むしろ地元のほうに私どものほうから積極的に働きかけまして計画を短縮する。しかもそれと関連いたしましての下水道の工事その他につきましても、十分に関係各省庁とも協議いたしまして、しっかりした計画を立てていきたいということを考えております。
  128. 久保赳

    ○久保説明員 琵琶湖周辺の下水道の下水処理のうち、三次処理にかかる分野についてお答えいたします。琵琶湖の汚濁が特に燐分あるいは窒素分の流入によってプランクトンが異常に発生をし、いわゆる富栄養化現象による汚濁が著しい、またそういうことが将来ますます懸念されるということから、下水道に入ってくる下水のうちの燐分あるいは窒素分を除去する三次処理につきましては、現在その実用化につきまして検討中でございますので、それの成果を待ってこの下水道整備五カ年計画の中に入れてまいりたい、かように考えております。なお、この件につきましては、琵琶湖の水質環境基準なりあるいは排出基準の規制に対応して実施してまいりたい、かように考えております。
  129. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、島本虎三君。
  130. 島本虎三

    島本委員 私は琵琶湖総合開発特別措置法、これの内容、おもに公害対策と環境保全、この点に重点を置いて、農林水産、厚生の関係に若干質問したい、こう思う次第であります。  大臣ももう御存じのとおりであり、すでに質問も終わったかと思いますが、念のためにお伺いしますが、この琵琶湖総合開発特別措置法をつくるにあたって、環境保全に関して環境庁と十分意見の調整をはかりましたか。それをまず伺いたいと思います。
  131. 西村英一

    西村国務大臣 もちろんこれは関係省が多いのでございまして、連絡会議をつくって事務当局で詰めておるわけでございます。しかし、詰めておるといえども、環境については、ことに水質等は非常にむずかしい問題もあるわけでございまして、全部が全部詰まったとはいえませんが、連絡は十分行政のもとではとって進んでおるつもりでございます。
  132. 島本虎三

    島本委員 琵琶潮は、北湖のほうは環境基準AAに属する部分があるわけですが、環境庁はこういうような観点に立って、水質の汚濁の関係で、この計画を進めるとどのように変化するかという調査を十分なされたか、またそういうような点について検討をなされたかどうか。環境庁。
  133. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先生指摘のとおり、現在北湖はAA基準に直ちに当てはまるというような状態で、正常な水質を維持しているわけでございます。今回の総合開発によりまして毎秒四十トンの水を放出をするということになりますと、琵琶湖水位が常時でも多少低下するわけでございます。そういたしますと、影響といたしましては水の絶対量がある程度減ります。そのことによりまして水質がどれだけ影響を受けるかということにつきましては、必ずしも明らかでない点がたくさんあるわけでございます。ただ私どもは、AA基準を設定する際に、地元その他とも、関係省庁とも打ち合わせいたしまして、総合開発の結果、その実施の結果によりましてもなおかつAA基準を維持する、そのために必要な工場排水の規制、それから下水道の整備等は十分行なう。いわゆる現状の水質を維持するという前提において総合開発を行なってもらうということで、私どもは検討を進めているわけでございます。
  134. 島本虎三

    島本委員 そうすると、大体一番心配されるのは、まずAA地区における水質の変化、またその水質の変化、汚染源になるいろいろな物質がございます。   〔亀山建設委員長退席、田村(良)建設委員長代理着席〕 いま前委員の質問に、下水道計画なるものも、五十一年までのものを繰り上げ施行するように考えている旨の答弁があったわけでありますけれども、なぜこの下水道計画が、ただ二万人対象のものだけにして、あとの点は、このAA地区を含めていままで放置してあったのか。また、この下水道計画と終末処理、この関係は、環境保全のためにも、いわば観光地帯としても琵琶湖周辺は相当開発されていますから、その際に十分これは考慮しなければならないはずのものでなかったかと思うのです。この点について、なぜ下水道計画がこのようにこの地方だけおくれておって、今回特にこの開発計画に盛らなければならないような状態になったのか。それから終末処理の点においても、まだほんの一部しかやっておらない、ほとんどが出し流しの状態であるということを伺いますが、これではもう汚染されるのは当然じゃないかと思われますけれども、行政そのものが、いままで他のほうでは進んでおったにもかかわらず、この琵琶湖周辺がおくれておったという、この具体的な事例について解明を願いたいと思います。
  135. 久保赳

    ○久保説明員 滋賀県の下水道の整備は、先生指摘のように、全国の平均よりもかなり現状おくれております。数字を申し上げますと、昭和四十五年度末の全国の平均の下水道整備率は、市街地面積に対して二二・八%でございますが、滋賀県につきましては約八%というふうに非常におくれております。具体的な都市名をあげますと、滋賀県の大津市だけが公共下水道を実施しておる、こういう状況でございます。なぜそういうふうに滋賀県が全国の平均よりもおくれたかということに対しては、いろいろな事情があろうかと思います。公共団体の財源等の問題もあるいはあったろうと思います。しかし、基本的には下水道事業地方公共団体の固有の事務とされておりまして、住民に一番近い行政体である市町村が事業計画を定め、建設大臣の認可を受けて事業実施するということでございまして、事業実施する、しないの判断は、スタートは公共団体の意見から始まるということでございます。そういうようなところが、いろいろ地元の事情があっておくれた原因になろうかと思うわけでございますが、先般、昭和四十五年度末の下水道法の一部改正がなされましたおりに、下水道の目的が、市街地内の環境の整備だけではなくて、河川であれば下流側の水質保全その他の公共用水域の水質保全に資する、こういうふうなことを意図して下水道計画実施する、そういう目的を付与するという下水道法の改正がなされ、さらには、水質の環境基準が定まった地域に対しましては、流域全体を踏まえたいわゆる流域別下水道整備総合計画を府県が定める、こういうような法改正がなされました。したがいまして、そういうような法改正の趣旨に沿って、公共団体は自分のところの事情だけからではなくて下水道事業を進めるような法律の体系になりましたので、国のほうといたしましても、そのような水質環境基準が定められた地域内の公共団体に対しましては、積極的に下水道事業を始めるように指導、奨励をしておるわけでございまして、その趣旨から、昭和四十四年、五年ぐらいから琵琶湖周辺の総合的な下水道計画の策定の調査をいたしまして、四十五年から流域下水道の事業を始めるというふうな段階になりましたので、これからはかなりなスピードで整備を進めて、全国の平均を上回るような下水道整備の水準にしたい、かように考えておるところでございます。
  136. 島本虎三

    島本委員 環境の整備をしながら開発を進めたい、こういうようなお考えのようでございまして、私ども実は現地へ行っていろいろ関係者にも会って聞いてまいりました。なるほど、開発ということ、環境の整備ということ、この事業のいろいろな計画の中にはそれが盛られておるようであります。しかし実際はもう環境庁も、水質の点からもっと全国的に皆さんのほうで考えてやる必要があるのじゃないか。いま具体的にそれを一つ一つあげますが、たぶんこれも参考人として来た滋賀大学教授のほうから指摘があったと思うのです。私ももう驚いたのです。というのは、北湖のほうへ年間五十億トンの水が入る。琵琶湖の総量は二百七十五億トンだそうであります。そうするとちょうど五年余りで循環が全部終わる、当然私どもはそういうふうに考えておったわけでありますけれども、全然それが違うのです。というのは、もう冬と夏とによってそれぞれが全然違うようですね。おそらくは、密度流というのだそうでありますが、何かこういうようなことばで、冬はもう水温が、南のほうは浅うございますから下がるのです。そして北湖のほうは深いのでそのままになっておる。そうなると、水温が下がる南湖のほうから湖底を伝わって北湖のほうへ流れていく量が相当だというのです。移動が行なわれておるのです。それから、これは夏ですけれども、内部静振といって、十メートルの深さまで水温の躍層があるのだそうであります。それが風の向きによって振動を開始する。そして南湖から北湖のほうにまた侵入してくるのだそうであります。それがもう四千万トン、南湖から北湖へ出るのだそうなんです。そういうふうに見てみますと、なるほど静振、これが表面の振動によって南湖から北湖へまた入ってくる。こういうふうにして、五年くらいでやるのかと思ったら意外の速さでこれが行なわれておる。きたない水、南湖の湖底あたりにまだまだ相当たまっておる金属で汚染された水が北湖のほうに入っておるのです。これは先ほどもあったように、ただ単なる水の質だけでなくて、そこに入っておる動植物に重大な影響をもたらしておるわけです。  そういうふうになってくると、これは下水道なんかをいままで怠っておった点は、質の低下とあわせて、行政的な重大な問題点です。同時に、ふん尿の終末処理というようなものもほとんど一部分しか手がつけられておらなかったということは、環境を悪化する一つの重大なる原因になっておりますから、これはミスです。こういうふうにしたということは最近わかったわけでありますから、これは重大なことです。こういうような点も十分に考えて、AAに指定されておる環境庁は、その部所に対してはいま言った三つの原因によって悪い水がどんどんと移動しておるのです、見た目にはいいと考えても、その質の点においては重大な変化が行なわれておる、こういうような点も十分考えなければなりませんし、それが今度開発によって促進されるようなことがあっては、環境保全と水質汚濁の防止を考えながらそれを実行していくのだとおっしゃるけれども、それが逆になるおそれがあると思うのです。この点はもっともっと皆さんのほうで考えなければならない問題だと思うのです。環境庁、そういうような点をいままで十分配慮しなかったのですか。配慮していたとすると、この計画の中に今後この問題を解決する意向をどのようにして盛り込んでございますか、その点についてもひとつお伺いしておきたいと思います。
  137. 岡安誠

    ○岡安政府委員 おっしゃるとおり、琵琶湖につきましては交換が普通の川よりも当然おそいわけでございまして、その点によりまして富栄養化というものが進行しておるというふうに私どもは考えております。そこで、従来必ずしも交換の内容、流況等が明らかになっておりませんので、今年度、富栄養化対策の一環といたしまして、琵琶湖につきましては特に先生のおっしゃるような点も含めまして調査をいたしたいというふうに考えまして、その調査いかんによりまして、私どもはさらに現状以上に規制その他の強化をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  138. 島本虎三

    島本委員 調査をあらためてなさるのですか、それとももうすでにある調査を利用して、その対策を急ぐという意味ですか。
  139. 岡安誠

    ○岡安政府委員 あらためて四十七年度いたしたいというふうに考えております。もちろんその場合におきましては従来からの資料も参考にいたしたい、かように考えております。
  140. 島本虎三

    島本委員 環境庁に特にこの点は申し上げておきたいのです。滋賀大学のほうでは専門に湖水の環境、水低から四季の変化に至るまで詳細にもう調査されてあります。それを知らないのはこれは政府じゃないですか。もちろん政府自身も、自分の大学ですから、これは十分その資料を活用して、この開発のために、後顧の憂いないような措置をとらなければならない、こういうふうに思っておるのです。これはそういうような点からしてマンマンデー過ぎます。環境の汚染と破壊、これも急速度なんです。この点はもっともっと急いで、ある資料を十分使ってそれを急がなければならない、これだけはっきり申し上げておきます。大臣、資料はありますから……。  それと同時に、これは通産省どうですか、先ほども指摘があったように、銅、カドミウム、それから亜鉛、それからコバルト、クロム、ニッケル、アンチモン、ビスマス、こういうような重金属が相当程度湖底にいま蓄積されておる。それから南湖のほうは、鉛、亜鉛、コバルト、カドミウム、こういうようなものが北湖よりもまた多量に沈でんしておる。こういうような話です。そうなりますと、結局は底を洗わない、そのままでもし水位が下がる場合には、これはとんでもないことになることは予想されないでしょうか。ことにAAの基準がそれによって維持できる、こういうように考えておられましょうか。底をそのままにしておくのですか。それともこの汚染された底に対して、底質に対して将来は何らか具体的な措置を考えておられるのですか。これは通産省並びに還境庁から。
  141. 岡安誠

    ○岡安政府委員 底質につきましては、従来からこれも非常に残念ながら研究が進んでおりません。私どもは、水質のみならず、やはり底質が水質におよぼす影響等もこれは当然明らかにしなければならない。できれば、将来それらの関係が明らかになれば、底質につきましてある程度の許容限度といいますか、そういうものを設けたいと思っておりまして、これにつきましては四十七年度から、底質の状態と、それがおよぼす水質への影響というのを調査をいたしまして、その関係を明らかにし、許容限度を明らかにする。その場合、対策といたしまして、必要なところにはしゅんせつその他の対策実施するということにいたしてまいりたい、かように考えております。
  142. 島本虎三

    島本委員 まことに国会答弁としてはそつなく、最も妥当なような答弁なんですが、その答弁がよ過ぎればよ過ぎるほどあとが心配なんです。   〔田村(良)建設委員長代理退席、亀山建設委員長着席〕  湖周道路という計画があるようです。それから琵琶湖の観光等に寄与する道路の整備、こういうふうにして、それぞれ二車線で考慮されるようでございます。そうすると、こういうようなことが環境の保全になるようにするのですか。これをやると観光する人は喜ぶかもしれぬが、琵琶湖そのものを、全然環境を変えてしまうおそれがあるのです。この周遊道路というのですか——これは湖周道路となっております。湖周道路について特に配慮してございますか。その点について通産省並びに環境庁は、これらの道路についての規制、その他必要な事項について十分協議してございますか。
  143. 首尾木一

    首尾木政府委員 湖岸道路につきましては、琵琶湖周辺地区が国定公園——全周辺が国定公園ではございませんが、相当部分が国定公園になっておりますので、その国定公園の中の幹線道路等につきましては、これは国の国定公園計画でもって考えるというようなことになっておるわけでございます。この内容につきましては、滋賀県側のほうでこれを実施するにつきまして私どものほうと十分相談をいたすということになっておりまして、湖岸道路につきましては、私どもとしましてはなるべく内陸部のほうに寄せてつくりたいということでございますが、一部分につきましては、これはその道路そのものが治水事業といったような関係から、どうしても護岸のほうに寄らざるを得ないというような地域もあるというように聞いております。いずれにいたしましても、それらの点につきまして私ども十分滋賀県と連絡をとりまして、指導をいたしまして、自然の破壊ということが起こらないように措置をしてまいりたい、かように考えておるわけであります。また湖岸道路とそれから護岸との間に緑地帯を設ける等の配慮をいたしておるところでございます。
  144. 島本虎三

    島本委員 これは近畿圏の整備本部、この潮周道路——何というのかよくわかりませんが、ここに湖周道路と書いてありますから、湖周道路の計画、こういうようなものに対しては観光オンリーですが。それとも何らかそのほか配慮するものがございますか。
  145. 朝日邦夫

    朝日政府委員 お答えを申し上げます。  この琵琶湖の湖周道路は、一方水資源開発事業と申しますか、水資源公団事業実施するにあたりまして、治水の両から湖岸堤を築造しなければならない個所があるわけでございます。これは湖岸堤のみでございまするとさほど広いものは要らないわけでございますが、せっかくこれをつくりますならば、その上といいますか、天端を広げまして、これを道路として利用する。これは管理用の道路でもございますし、あわせてこれを一般の道路として使うということでございます。なお、そういった湖岸堤をつくる部分を道路にするに伴いまして、すでに既存の道路で湖岸を走っておる道路が相当延長がございます。これらをつなぎ合わせまして——湖岸堤をつくります部分は新たにつくります。既存の道路につきましてはこれは道路改良で実施してまいるということで、結果として湖周道路が完成するという形でございますが、まあこれはただいま申し上げましたように、湖岸堤をつくるにあたって管理用の道路をつくる、それを一般の道路として利用する、さらに既存の道路をこれにつなげてまいるというふうなことでございますので、特にどのためということではないかもしれませんが、やはりこの琵琶湖の観光資源を有効に利用するための道路として利用する部分が多大にあるということだと思います。  それから、湖岸堤を新設する部分につきまして、場所によりましては結果として内湖が自然にできるような個所もあるわけでございます。こういった点は、内湖の管理につきまして十分配慮をして、その水位の維持あるいは水生植物の維持等についても留意をするというふうな計画でございますし、ただいま環境庁のほうからもお話がありましたように、道路そのものについては必要な緑地帯も設けますし、歩道を設置いたしたりいたしまして、極力環境の保全と、その破壊につながる面を排除しようという配慮をいたす予定でございます。
  146. 島本虎三

    島本委員 この琵琶湖では開発が進めば進むほど、また現在でもそれが進行中のものに、ちょうど大津市の付近でプラクトンの、赤潮みたいな異常増殖というのが発生しておるような、こういうような傾向があるようであります。そういうようなことがひんぱんに最近起こっておる。これもいろいろ理由があるでしょう。洗剤なんかに含まれている燐酸塩、こういうようなものの影響も当然、それから終末処理その他下水道計画がおくれておるところによる点も多いでしょう。ただ、いまのようにして、道路をつくる計画はわかりましたが、環境保全をしながらこれをやっていくとすると、周囲を回る人は便利かもしれないが、その道路をつけたために、一年、二年、三年以内にもうその辺の周囲の環境ががらっと変わってしまう、この点等についても十分考えないといけないのではないかと思うのです。確かに道路をつけると便利でしょう。それから湖岸道路、こういうようなのもなかなかいい構想だと思うのですけれども、いまいったようにして赤潮みたいにだんだんふえてくる異常発生のプランクトン、そういうようなものを浄化している一つの作用にヨシだとかアシだとか、こういうようなものがあるわけであります。今度湖岸道路をずっとつけることによってこれらが全部変質をしてしまうわけです。三角州のようなもののすぐそばにそれがあって、自然と浄化作用をしているわけです。これが湖岸道路をつけることによって全部枯渇してしまうのです。このことを滋賀県では大いにおそれているわけですが、こうまでして湖岸の変化をさせながらでも観光客を楽しませる、これはほんとうの意味のレクリエーションではなかろう、こう思うわけです。こういうふうにしながら、ヨシ、アシ、こういうようなものの浄化作用を完全にさせる道路、こうやると、少なくとも湖岸から五百メートル離してつくらないとだめなんだということを大学当局あたりは指摘しているはずです。すぐ湖岸、その辺を走るのだ、こういうようにいうと、全然これは違った発想にならなければならないはずなんです。この辺を大学当局あたりは心配しておる。これに対して全然心配がないのですか、あるのですか。こういうような計画はおそらく滋賀県側からも提出されるのじゃないかと思うのです。道路は湖岸すれすれにきれいな景色をながめながら走っていく、こういうような計画のようでありますが、少なくとも五百メートル湖岸から離してつけてもらいたいという要請があるはずです。これに対してどういうように受けとめてこの計画を進めようと考えておられますか。
  147. 西村英一

    西村国務大臣 これはだんだん話が変わってきまして、初め、洪水のときに予防しなければならぬという治水計画から堤防をつくるという、堤防をつくるのならその上を道を通したらいいじゃないかというふうにだんだん変わってきているのです。それで、あなたは滋賀県のほうでそういう苦情があるがと言うが、滋賀県といってもいろいろな人があるから——私は疑問を持っておるのです。疑問を持って、役人の方に、こんな四百数十億円の金をかけて万里の長城をコンクリートで築くというようなことはどうかと言うと、これはしかし滋賀県がぜひにと、こう言うのです。そこで、かりに治水上やらなければならぬとしても、やり方とかその他十分注意しなければならぬ。また琵琶湖のことを大いに研究しておる識者がたくさんおるのですから、そういう人の意見も徴してやらなければならぬ。私はどうかというと、はなはだ、反対であると言い切るとまた問題が起こりますからそこまでは言いませんが、ややそれに近いような気持ちは持っておるのですから、やるにしても十分注意をいたします。
  148. 島本虎三

    島本委員 意外に時間が早いのでびっくりしたのですが、予定の時間より十分削られたのですか——。  これは水産庁のほうですが、イケチョウガイ、これは淡水真珠で、琵琶湖だけで成功しておる貝類ですけれども、これは核を入れないでも真珠ができるもので、これが繁殖する要件として、十メートルくらいの深さで育つ、子貝は二メートルくらいのところで住むような習性があるようであります。いまこの湖面が下がることによって、世界的にも有名なこのイケチョウガイ、淡水真珠琵琶湖だけの独得のものですが、これの生息に重大なる変化を起こし、これがもうすでに枯渇するおそれがあるということを識者によって訴えられております。これだけではなしに、今度はアユであるとかまたフナであるとか、こういうような点にも重大な影響があるようでありますが、水産庁としては、この計画そのものを進めることによる水産魚類のこういうような繁殖状況ならびに生育状況等についての変化を十分お考えの上でこの対策を考えておられますか。
  149. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 ただいま御指摘のように、イケチョウガイは十メートル以浅でおもに住んでおりますし、シジミももちろんそうでございます。それから、もしも一メートル半も水が減ればイケチョウガイが被害を受けることも御指摘のとおりでございますので、イケチョウガイの繁殖につきまして、内湖の一部を締め切りまして人造湖にして繁殖をはかること、あるいは池で人工ふ化をやらせようというようなことを検討いたしております。またもう一つ指摘アユその他の魚類につきましても、産卵場がなくなりますのと、稚魚の生育が非常に制約されまして、これらの生育が制限されますので非常に大きな影響があります。これにつきまして、温水性魚類あるいは冷水性魚類とも、それぞれに人工産卵、あるいは人造河川等によります天然産卵床の造成等を考えて、なるべく影響を少なくしたいというふうに検討をしておるところでございます。
  150. 島本虎三

    島本委員 意外に短い時間なのでがっかりしたわけですが……。  産業はいろいろ振興させる方策をとれば、これはいつでも世界自由主義の国でGNP第二位になれる要素があります。しかし、そのために一度破壊された環境は再びもとに戻らないのであります。したがって、世界的にも有名な学術的な生物さえあるという、こういうようなものは絶やさないように、そうしてこれあたりを十分に活用するように、そうしてまた永久に悔いを残さないような計画が必要であります。おかされた環境は再びもとへ戻りません。この計画の遂行のためには大もそこを考えていただきたい。私自身、公害対策臣として、環境保全のためには賛成できかねるわけであります。したがって、それだけはっきり申し上げまして私の質問を終わります。
  151. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、寺前巖君。
  152. 寺前巖

    ○寺前委員 私はいろいろお聞きしたいことがありますが、時間の都合もありますので、一千万人の京阪神、滋賀県民も含めての飲料水として使われている、これが一番大きな問題だと思うのです。同時に、滋賀県民はこれを中心にして農業なり漁業なりもやられているし、観光資源としてもまた位置を持っていると思います。いずれにしても大きいのは、飲料水として、生きる水として私たちはこれを大切にしなければならないというのが、一番基本的にみんながこの問題を見る中心だろうと思うのです。そこで私は二つの面からこの問題について考えてみる必要があると思う。それは、現状がどうなっているか、ほんとうに飲料水として維持されていく状態に現状はあるのだろうかという不安がこの一千万住民の中にある。今度、政府が琵琶湖開発計画をもって新しく京阪神のほうで四十トンの水を取るという事態が発生した場合に、それをめぐって起こってくる事態というものが一体どういうことなんだろうか。二つの問題について関係住民というのは心配をしている。先ほどからいろいろなお話がありましたので、私はもう率直に詰めた話を大臣にお聞きしたいと思うのです。  一つは、先ほど建設委員会で少し話を聞いておりましたが、琵琶湖の水の中にいろんな重金属がたくさん入り込んでいるという話が浦井先生から出ておりました。私もこの間、滋賀大学なり京都大学の先生方が琵琶湖の全面にわたって試料を採取されたそのサンプルの状況から、重金属がどのように分布されているかという資料を見せていただきました。これを見ると、いわゆる自然状態というものとの比較において、まあ比較にならないほどたくさんの重金属が、ヘドロというのですか、琵琶湖の湖底にたくさん出ているということをうかがうことができるのです。これはあと大臣も見てもらったらいいと思いますが、たとえばカドミの場合でしたら、自然状態〇・三というのに三・〇PPM以上というのが、大きなまるが打ってあるのが、もう琵琶湖の北部の東側というのはずっと出てくるわけですね。それから北湖の中間部分の西のほうにも出てくるし、また瀬田の唐橋にずっと行く方向に、浜大津の方向にも出てくるわけなんです。銅を見てもそうです。マンガンを見てもそうです。クロム、ストロンチウム、亜鉛、コバルト、鉛——まあ鉛なんかになると、浜大津から南のほうは大量に出てくるわけですね。これを見ておったら、おそるべき姿だということになるのですよ。だから、こういう問題について、さっき一例として鉱山の話が出ましたけれども、それじゃ、その鉱山はどうなっているかというたら、たれ流しの姿のままだ。ほんとうに琵琶湖の水をいまの状況から守っていこう、よくしようというのだったら、こういうものをどうするのかということをはっきり提起しない限り、ほんとうに守るということにはならぬじゃないか。さっき担当局長さんの話でしたが、聞いておりましたら、因果関係が不明確でございましてという状況でしょう、まだ。おそるべき事態が琵琶湖の水の湖底の中に発生しておって、因果関係がまだ不明確でございましてということでは、さあ法律をつくって一体何をやろうというのだ。こういうことを対策を組まなければならないから、それに必要な予算はこう組み、こういう事業計画を持ち、それに必要な法案はこういうふうにやりますのじゃと、前提はちゃんと改善するという前提があってこそ初めてその対策というのが法律となって生きてくると思うのですよ。これは先ほどお話の出た重金属に対する問題点ですよ。おそるべき姿というのは、阿賀野川のあの水銀中毒事件ではございませんけれども、それに匹敵するような状態があそこのとった魚から出ているという事実もあるじゃありませんか。あるいはまた、先ほどから出ておったPCB問題でいうと、アメリカで一つの基準を設けている、その基準以上の状況の姿があそこの魚から出てきているという実情があるじゃありませんか。そこまですでに破壊されているんでしょう。だから、重金属問題に対してこういうふうにしますんじゃというあそこにおけるところの態度を、率直にいまここで、できませんというのか、それとも対策は必ず一カ月以内に出します、それまでこの法律を待ってもらってもけっこうですというのか。ほんとうに責任をもってこの問題に対する処理方針をここに出さなかったら、この法案によってようなるということは期待するわけにいかぬという問題がある。これは重金属の問題です。  それから、現に北湖はいわゆる湖沼の環境基準でいうとAAという状況に、これはまあすれすれにあるというわけでしょう。南湖はそれまでの状況にないというのでしょう。Aという状況だ。これが現状であって、もうAも破壊されようという状況下にある。ところが工場からはたれ流しのあれが出ておる。だからモが発生してくる。植物プランクトンの異常な発生で、くさい水というのが長期にわたって起こっているという状態はもう先刻御存じのとおりで、私の京都なんというのは宇治茶という有名な茶がありますが、せっかくの宇治茶が、この水のために宇治茶の値打ちがなくなってしまう、あそこで飲んだって。それは何も京都だけではなくして、大阪自身がもうくさい水問題というのはたいへんな問題になって、もうずっと影響してきておるわけです。この問題にしたって、それじゃ工場のこの排水問題が、いつの時期にこれが処理をされるのか。これはその四十トン取るという問題以前の問題として、現状の解決のためにこういうふうにやって、必ずそれは解決します。あるいは、ことしの三月でしたか、琵琶湖というのはAAの基準に持っていくというのは方向として打ち出している。そのAAとしての方向の位置づけというのはこういう裏づけでもって必ず五年以内にはなりますのやとか、はっきりした内容をこの一千万人に責任もって提起してもらえるのかどうか。私は裏づけを、単純明快にして、必ず責任もっていついつまでにはこうできますということを示してもらいたいと思うのです。私はもう単純な質問です。大臣にお願いします。
  153. 西村英一

    西村国務大臣 まあ、いままでいろいろ手おくれをしてこういうふうになった。したがって——反駁するわけじゃございませんが、あなたからほめられるような状態になっておれば、これはいまごろ琵琶湖総合開発なんていってこんな法律をつくらぬでもいいわけです。しかし、いままでいろいろなことで手落ちがあって、どうしてもやはりこのままにはほうっておけぬ、そういうことで今回はおそまきながらスタートしたわけでございます。それですから、あるものによっては計画のできておるものもあるし、あるものによっては、むずかしいものは計画はこれからやるというものもあるし、いろいろでございます。しかしいままでの状態で、これを手をつけなければどうにもならぬじゃないかというのがこの法律を提案した理由でございまして、あなたからほめられるようなことだったら法律なんか出す必要はないと私は思うのです。いかにわれわれはしかられても、これはいままで手落ちであったのですからしようがないのですから、今後はこの法律によってあらゆる部面について力を尽くして、そうして取り返したい、おそまきながら取り返したい、かように思っておる次第でございます。
  154. 寺前巖

    ○寺前委員 取り戻したいと言ったって、大量の重金属が湖沼にずっと流れ込んだということはもう否定することのできない事実ですよ。これはもしもそれ以外に前からあったんだと言われるんだったら、はっきりしてもらったらいいのですよ、関係担当のほうで。どこも資料、何にもないのでしょう。結局、大学の先生が一生懸命サンプリングやって集められた資料しかない。その人たちはどう言っているかというたら、それはそこのところしか考えられないと言っている。また流れの状況から見ても、この抽出から見てそういうことになる。そこまで教えられたらはっきりと、因果関係がどうのこうの、まだわかりませんで云々なんということを言わぬと、さっさと積極的に、それが事実だとすればこういう手を打つ必要がある、ことしはこういうふうにやりたい、来年じゅうには御心配ないようにこういうようにやりますのや、というぐらいの積極的な話が出たらどうだと言うのです、私は。全部あらへんのや。さっきからの重金属の話を聞いておったって、因果関係不明確でございまして——不明確な話だったら、このことについては解決はせぬということを国民に明らかにしただけじゃないか。  それからくさい水の問題にしたって、モであるということはもういまさらここで言うこともない。そうしたらこの問題に対してどうするんだ。この問題については、さっきの話を聞いておったら五百何十億ですか、下水道計画があります。それでは、くさい水問題は何だといったら、燐と窒素の問題についてはもう一つはっきりせぬじゃないですか。その開発をやって、そうしてそれにのせていきたいというだけであって、のせるとするならばその金はばく大な金もかかるし……。そうじゃないですか。だから、それをいついつまでに必ずやります、そういうものを解決しないことには四十トンの水を取るという云々の問題は論外でございますくらいのことを環境庁の関係官が言うんだったらよろしい。一千万の住民に対する飲料水としての責任を持ってこの話を進めるんだなということになるだろうけれども、ちょっともその辺がはっきりせぬですよ。環境庁どうですか、この問題について。
  155. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先ほどもお答えいたしたと思いますけれども、湖底の重金属につきましてはなおいろいろはっきりしない点があるわけでございます。御指摘の湖北のクロムその他の重金属でございますが、あそこには土倉の休廃止鉱山がございます。一説によりますと、土倉の休廃止鉱山からいろいろ廃土砂その他が流出しておるのではあるまいかという説もあります。あそこの重金属の量がわれわれ想像した以上の非常に大量のものでございますので、ただ単なる排水以外にやはり何か重金属を多量に含むものが直接入ったという以外には私ども説明ができないわけでございまして、それらの点につきましてさらに詳細に調査をいたしたいというふうに私どもは考えております。それ以外のものにつきましても非常に広く湖の中に分布いたしておりますので、どこの工場から出たのかという点につきまして必ずしも明らかでないということを申し上げたわけでございます。  それからくさい水につきましても、これはそれぞれの大学、その他の試験研究機関にお願いをいたしまして調査をいたしておりますが、くさい水の原因というものは大体放線菌によるものであろう。これも必ずしも一〇〇%そうだという結論は出ていないようでございますし、またその放線菌とモ類ですか、それとの関係も必ずしも明らかではない。たとえばモがあまり発生しない時期におきましてもくさい水が出るというようなこともあるようでございますし、これらの点につきましても、研究を担当した大学におきましてはさらになお研究を進める要があるというのが私ども承知いたしております結論でございます。  環境庁といたしましては、そういうような不明確な点がたくさんございますけれども琵琶湖総合開発が行なわれた場合、現状以上に琵琶湖の水質が悪くならないということははっきりさせておりますし、南湖につきましてはこれはできるだけ早くAA基準まで持っていくということを私どもは考えているわけでございます。したがって、今回の総合開発の推進が琵琶湖の水質その他をこれ以上悪化させるということはないし、させてはならないというのが環境庁の立場でございます。
  156. 寺前巖

    ○寺前委員 その現状よりか悪くならないというのが私はわからぬというのだよ。というのは、学者が、廃鉱がたくさんあるじゃないか、どんどん流れているじゃないか、あそこが原因だろうと、こう指定しているのだ。それをほったらかしておいたら現状より悪くなるというのは常識だよ。
  157. 岡安誠

    ○岡安政府委員 多少はしょりましたので答弁が不十分な点があったかと思いますが、私ども、廃鉱その他工場からの排水等につきましては、現状以上にさらに排水の規制を強化するということを、環境基準を設定したときの前提として考えているわけでございます。それ以外に家庭下水につきましては下水道を整備をするというような対策をあわせて実行するということを考えておりますので、私どもはこれ以上琵琶湖の水を悪化させないということを申し上げたわけでございます。
  158. 寺前巖

    ○寺前委員 それじゃその廃鉱を具体的にどうするのです。廃鉱になってほったらかしてあるのだよ。どうします。業務命令でも出すのですか。いつまでにどんなふうにしてやりますのや。はっきり教えてくれぬことには、いまより悪くなりません、こうするさかいになりません、こう言わなければあかんがな。廃鉱問題が一つ。もう一つは工場からの排水問題、これがプランクトンの問題になっておるでしょう。現にくさい水の問題、これは生産をとめるわけではないから連続して流れていく。だからいまより悪くなるはずがないと言われたって、流れているのだから悪くなるのがあたりまえだ。だから、いつの時期まで悪いのは続く、ますます悪くなるだろう、しかしいつからはこうするだろう、こういうふうに言ってもらわなかったら、私たちはこの水で生活しているのだから、もう少し具体的に指摘してもらわなければあかんわ。
  159. 岡安誠

    ○岡安政府委員 少し整理して申し上げますと、まず休廃止鉱山の問題につきましては、土倉もそうでございますが、全国に休廃止鉱山たくさんございます。それらの対策の一環として、当然この鉱山も現状のままでは環境汚染をどのように与えているかということを私ども調査をいたしまして、必要な対策をそれぞれ具体的に打ちたいというふうに考えております。それから工場排水も、先ほど申し上げましたとおりさらに規制を強化する方向で参ります。ただ、くさい水の関係、富栄養化の問題でございますが、これははっきり申し上げまして、燐とか窒素等につきまして、必ずしも現在におきましてその対策は完備しておりません。たとえば下水道につきましてはいろいろその手段もあるわけでございますけれども、それ以外にも燐とか窒素がここに流入しているわけでございまして、それらの対策につきましては現在明らかにお答えするような手段を持っておらないわけでございます。これにつきましても私ども、先ほど申し上げましたとおり、全国の富栄養湖につきましては、そのメカニズム調査とあわせましてその対策も至急検討いたすという段階でございますので、すべてここでいつまでにこうするというお答えができませんけれども、少なくとも私どもは現在わかっております環境基準を悪化させないし、むしろ南湖につきましてはよくするという方向で努力するということを申し上げておるわけでございます。
  160. 寺前巖

    ○寺前委員 ですから、ことばではよくするという、実践的には裏づけはない。大臣お聞きのとおりでございます。ですからこれは悪いのが続くのですよ、これからずっと。ことばだけなんだから、具体的にこうするからこうなるとは言わないから。そうでしょう。だからちょっともよくならない。それが現状の姿なんです。だから死の湖に琵琶湖はなっていく、みんなこういう心配をしているわけですよ。瀬田のシジミなんというのは有名なんで、シジミ売りの人たちが私たちの町に毎朝来た。先ほどの話に出ましたけれども、いまごろシジミなんというものを買おうという人はおりません。三十匹のうち一匹はひゅっうとひん曲がっておる、あんなところの魚はだれも食おうとしなくなってしまった。琵琶湖の魚を、あそこで産卵させて全国へ持っていくでしょう。そういう魚でなくなっていこうとしておるのだから、だからほんとうに琵琶湖中心にして生きていた人間にはさびしいですよ。これがいつになったらとまるだろうか。ほんとうに私たち政治家の責任だと思うのです。そういう意味でそれを考えたときに、これが裏づけでもって押えていくという一つ一つが具体的に出なければ、責任を持ってよくなるだろうなんということを私は聞いておれませんよ、ほんとうのところ。  そこで大臣、次に話を発展させたいと思うのですが、こういう琵琶湖の水を四十トン取るということによって新たな心配が出てきた。それで学者先由が新たな心配を簡単に書いたのを大臣のところにも出しておられると思う。それは心配要りませんということを明確にしてやらない限りにおいては、ますますこの死の湖というのはひどいことになっていくじゃないか。ことばの善意じゃだめなんですね、裏づけがなければ。だから二、三点お答えをいただきたいと思うのです。一人の先生は、「一・五米水位低下が行なわれるような渇水期といえども人間活動は休止せず湖への排出物量は現在通りもしくはさらに増量するが、平均水深四米の南湖は水量が半減し、従って汚物の濃度は倍増する。これが北湖へも波及し、全湖が汚染する。安直に文化生活を享受するために将来にわたる命の水を汚す恐れのある琵琶湖総合開発法案には反対せざるを得ない。」こういっておるのです。要するに、四十トン取るから水位は下がる。ひどいときは一・五メートルから二メートル、こうなってくると、そうしたら水というのは濃縮されていく。濃縮されるような水になってくるから、排出物量はふえていくんだ、だからどうしてくれるんじゃという、この意見が一つの意見として出てくる。濃縮されるという問題について心配ありませんのかいな、これは。どうです。環境庁ですか、これは。
  161. 岡安誠

    ○岡安政府委員 まあ、おっしゃるとおり、琵琶湖から毎秒四十トンの水を取りますと、平均水位におきましても水位が低下するわけでございます。全体量として計算しますと水の量は数%減るということでございますけれども、おっしゃるとおり、場所によりましては平均以上になったり平均以下になったりすることは当然考えられます。その場合、流入する汚濁の量が同じ場合には汚濁がさらに進行するということは当然でございますが、私どもはそういうことに対処いたしまして、先ほども申し上げましたとおり、一律の規制を県独自でもってさらに強化をする。そういう汚濁が進行するようなことのないような、従来以上の排出規制をかけまして水質を維持してまいるという考えでございます。これにつきましては県の条例によるわけでございますので、個々に具体的な汚染の状態によって変わってくると思いますけれども、私どもはできるだけきびしい規制をしてもらいまして、汚濁が進行することのないようにいたすという考えでございます。
  162. 寺前巖

    ○寺前委員 その規制するのはいいけれども、実際に流れ込んでくるのが、水が減っているところへ流し込んでくるんだから濃縮しちゃうんじゃないか。大臣、わかりますね、常識的に考えて。だからそういう状態になるということが憂慮すべき状態だと学者は言っているんです。  その次に、またこれは別な学者は、先ほどもお話が出ましたけれども、循環の問題を提起しておられるんですね。「総量を流出量で除せば五・四年となるから、琵琶湖の水は五年半に一回の割合で入れ換っている、あるいは循環していると一般に言われている。ところが、この計算は誤りであって、誤りの原因は水の循環の仕組に関する考慮に欠けているからである。琵琶湖から流出する水は琵琶湖の水のみではなく、実は琵琶湖の水と流入した水との混合水である。この観点から先の計算をやりなおすと、十三年が経過しても完全には入れ換らずに、まだ当初の一割の水が残留することになる。つまり、琵琶湖の水は一般に言われているほど容易には循環しないのである。したがって、一度汚染すれば、その回復には長年月を要し、とくに汚染水の停滞が長期にわたれば、汚染は遂に底質におよび、その回復はきわめて困難となるであろう。」そういう、何というのですか、どぶのごとくなる。現に琵琶湖の水一平方メートル当たりからごちょごちょと出るミミズが百匹おるという状況が報告されてきているのですよ。もうどぶ水になってきているわけです、下のほうが。ですから、そういうふうな状態で循環しないようになってきたら、大臣、先ほど、いままで悪かったけれども今度はようするんだと言うたって、この四十トン取る作用というのはこういう作用になりますよという学者の心配に対する回答は出ていないんですよ。どうですか、これについて。
  163. 岡安誠

    ○岡安政府委員 おっしゃるとおり、湖につきましては、放置すれば富栄養化が進行いたしまして死の湖になるということはいわれておりますし、現に、琵琶湖ではなしに諏訪湖等につきましては非常に富栄養化が進んで、このまま放置すればまさに死の湖になるというような現状でございます。したがいまして私どもは、そういうような水の交換が非常に悪い、そういう湖につきましては、富栄養化の進行を阻止するために、今年度から特に琵琶湖、諏訪湖、霞ケ浦その他につきまして汚染のメカニズムの調査をいたしまして、対策を検討いたしたいというふうに考えております。当然、湖につきましては普通の河川以上の深甚な注意を払わないと、汚染は非常な速度で進行するということは私どもも考えておるわけでございます。
  164. 寺前巖

    ○寺前委員 環境庁の担当官のほうは、先ほどからの話にあったように、現状に対する対策で、いまよりもよくするという具体的な手だての報告はなかった。いま学者の人の出した一、二の例を提起した問題をめくってみたら、汚染される水、それがたまる、たいへんな事態になる、だから今後研究する必要がある。さあ大臣、えらいことですよ。水質がたいへんな事態になるという問題を裏づけたのじゃないでしょうか。大臣の善意はともかく、いま環境庁の職員の人から言わせるならば、そんなものは全部予想されない事態なんだ。たいへんな事態だということを考えなければならぬというのに、これから研究しますなんて……。下流の知事さんがほんとうに真剣に琵琶湖の水を、たとえば大阪の知事さんにしても水をほしいという立場から言われたけれども、どぶの水はほしいとは思ってはおられないでしょう。そういう事態が発生するということを予想しておられないんですよ。現に政府の環境庁の担当機関の人自身が、これからよく研究してみないとわかりません、自信ありませんという話じゃないですか。大臣、どうでしょうか、これらの研究をやった上でないと、四十トンを取るという問題は気やすく気やすく言えない話じゃないでしょうか。私はそのことを心配するのです。大臣、どうでしょうか。
  165. 西村英一

    西村国務大臣 学者の研究ではそういうこともいろいろ研究しておるのでございましょう。しかし環境庁の役人の言うことも、これはわからぬところはこれからやると、こう言うのです。これは無理がないのです。あなたの言うことも少し極端じゃないかと思います。結局四十トン取るというても、いまでも四十トン流れておる場合もあるのですから、これからあらためて四十トン全部いつも取る、どんなに渇水になっても取るというのじゃございません。しかし、ほうっといたらこれはよくなるかといったら、よくなりません。そうですから、やはりこれはいまからでもおそくはない。わからぬところはわからぬでこれからやるよりしようがない。まあ私はこう思います。それより方法はないわけです。しかしやっていけば、それは程度の問題があるけれども、必ずよくなります。よくならないのならまたやる必要がないのです。いつの時点でよくなるか、よくなるかと簡単に言いますけれども、どの程度によくなるか。あなたのような話じゃなくて、学者の話であったらもう少し詰めていかなければならぬわけです。少なくとも、これから工場に対しても排水の処理をいろいろやろう。廃鉱に対しても、いまはまだ調査が十分できておらないようでございまするけれども、それは十分にこれから調べよう。下水道もやりましょう。燐その他窒素の問題も、これは第三次処理をやらなければできないのだが、これすらもアメリカの技術といってもりっぱなものはないのです。いろいろやはりパイロットをつくって研究いたしておるのですから、そう一がいにすべてのことが一緒でもって全部できるわけじゃございません。われわれのほうでも、燐、窒素については第三次処理をしなければならぬ。そのためには公害に対する小委員会もつくってやっておるのです。私はそれですから、二次処理よりもやはり三次処理をする用地は買っておきなさい、いまのうちから、この計画には入ってないから、そういうふうに役人には指示しておるのです。したがいまして、あなたは非常に——反論するわけじゃありません。意味はわかります。意味はわかりますが、やはり少し極端と思います。しかし極端でひとつわれわれにハッパをかけるのなら大いにけっこうでございます。いずれにしてもこの法律をやれば、いずれ将来に向かってこれはだんだんよくなる。したがっておたくのほうのお茶の問題も、だんだんおいしいお茶が飲める。これはあまり遠からずりっぱなお茶が飲めると私は期待したいのです。どうぞよろしくお願いします。
  166. 寺前巖

    ○寺前委員 いや、そう極端なことないのです。私は先ほどのお話も裏づけさえもらえればどうにでも解釈するのです。そこで大臣、いまでもその対策がもう一つ出てこない。だから、これ以上悪くはならないと言われたって根拠は少しもない。準備はないのだから一定期間悪いのが続くだろう。一定の段階からいろいろな処理はされるかもしれない。その段階から、たとえば四十トンという問題について、四十トンどんどん流れているときに取るという問題じゃなくして、心配なのは、やっぱり渇水期におけるときの状況において低下がされてくる、その段階にこの汚濁問題が出てくるわけですね。極端な濃縮問題、その回復問題がそこへそれとの関連性で起こってくるわけでしょう。それを学者の諸君たちが心配して問題を提起しているわけです。そういうことですよね。だから全体としてはやっぱり不安なことはそのまま残っていく。それを解決するあの手この手の問題について手を打たれなければいかぬわけでしょう。だから、四十トンを取って水位の低下を一定の段階から許してやっていくという時期は、どれだけの条件がそろったときから実施しますのか。いますぐやられたらえらいことになりますのでしょう。それは言わぬかってわかっております、何の体制もないのだから。さあ、どれだけの準備がされたときにこれを実行して、もう御安心ください、うちのお茶おいしく飲めます、こう言ってもらわなければいかぬのだ。どれだけの条件がそろったときです。
  167. 西村英一

    西村国務大臣 この法律が通れば、あしたからもうすぐ、渇水になってもいい、水は取れますよとは言ってない。これを取るためにはいろいろな弊害が起こってくる、影響が起こってくる。それはもういろいろ問題が起こってきます。その問題がある程度保障されなければ……。また水質の問題もそうでしょう。水質の問題もだんだんよくなってきます。したがってある時期になれば、四十トンをこれから渇水になっても取れますよ、こういうような時期になれば、それはあらためて上流県と下流県とが相談をして、これはやはり了解のもとでないといけない。しかしそれが十年もかかるのかというとそうはいかない。私はやはり十年の前に、それは対策が整えば、その時点でもってあらためてやりたい、かように思っておる次第です。いまいつからと明言はできません。
  168. 寺前巖

    ○寺前委員 私は学者の先生の提起しておられる問題、不安、この不安が完全に裏づけをもってそうはならないとか、あるいはいままででも日照りのときに、三十何年のときですか、日照りでしたけれども、八十センチ下がっただけでもう井戸水がかれてしまって、二百メートル掘らなければ出なかったという事態もあったのですから、そういう問題の対策とか、一切がっさい、すべての最悪の事態を全部計算に入れた体制が整わない限り、このことは実施できるということにはならぬだろう。したがって私は、この法案を出すときにはそれだけの研究をされて出さない限り、住民に納得せいと言われたって住民は納得できない。先ほど島本先生が、私はこれは反対だと言われたのは、そういう問題に対して十分に科学的な裏づけと、十分な今後の見通しに対する問題が整備されていないところから反対だ、再検討すべきだという意見が出されたんだと私は思います。私はほんとうに先ほどから聞いておって、実際不安の問題が一つも解決していないですよ。学者の先生方が提起されるその不安、それに対する回答が、今後調査いたします、これでは私はこの問題は、議会の側でこの法案を御審議くださいと言われたってそうはいかぬ。やはりどうなるだろうかという問題に対する責任ある処置が明確でない、私はそういうふうに思います。もう一度御検討いただきたい。  終わります。
  169. 亀山孝一

    亀山委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後五時五分散会