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1972-06-07 第68回国会 衆議院 建設委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月七日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 天野 光晴君 理事 金子 一平君    理事 田村 良平君 理事 葉梨 信行君    理事 阿部 昭吾君 理事 小川新一郎君    理事 渡辺 武三君       小沢 一郎君    大村 襄治君       梶山 静六君    野中 英二君       浜田 幸一君    藤波 孝生君       古内 広雄君    村田敬次郎君       森下 國雄君    山下 徳夫君       山本 幸雄君  早稻田柳右エ門君       井上 普方君    佐野 憲治君       松浦 利尚君    柳田 秀一君       新井 彬之君    北側 義一君       吉田 之久君    浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣         国 務 大 臣         (首都圏整備委         員会委員長)  西村 英一君  出席政府委員         首都圏整備委員         会事務局長   川島  博君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         通商産業省企業         局参事官    田中 芳秋君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省河川局長 川崎 精一君  委員外出席者         首都圏整備委員         会事務局計画第         一部長     北川 博正君         環境庁自然保護         局計画課長   宇野  佐君         大蔵省理財局国         有財産第三課長 楢崎 泰昌君         文部省大学学術         局大学課長   大崎  仁君         文化庁文化財保         護部管理課長  宮野 礼一君         中小企業庁計画         部長      西田  彰君         自治省財政局財         政課長     近藤 隆之君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 委員の異動 六月六日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     中村庸一郎君 同日  辞任         補欠選任   中村庸一郎君     小沢 一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  首都圏整備法等の一部を改正する法律案内閣  提出第七九号)  都市公園整備緊急措置法案内閣提出第七二  号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出首都圏整備法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺武三君。
  3. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 まず大臣にお伺いをするわけですが、本法案は、首都圏整備法の第一条の「目的」を見てまいりますと、「首都圏整備に関する総合的な計画を策定し、その実施を推進することにより、わが国政治経済文化等中心としてふさわしい首都圏建設とその秩序ある発展を図ることを目的とする。」こういうふうに書かれておりまして、昭和三十一年でしたか、実はこの法が施行され、自来十数年にわたって運営をされてきておるわけです。その間毎年のごとくこの法律の一部改正が行なわれてまいっております。それは、この法律目的に定められたごとき秩序ある発展というものが、やはり阻害をされておるのではなかろうか、こういうふうに考えられるわけですね。そこで、今回この法律の中の主として既成市街地の中における工場等制限基準、これを低下していこう、そういう中に「都市環境整備及び改善」という字句を加えていこう、こういうことのようでございますが、きわめて抽象的に「都市環境整備及び改善」という字句が入っておるわけですが、具体的には、一体何をされようとしておるのか。つまり私の聞かんとするところは、従来この首都圏整備法目的にもあるように、今回改正をされようとしておるようなことは当然首都圏整備法目的であったはずなんです。そこで「都市環境整備及び改善」という字句が抜けておったためにその都市環境整備がおくれたり、改善がなされなかったりしたものではないであろう、むしろ原因はほかにあるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけです。したがって、その辺の見解をまず大臣からお伺いをしておきたい。
  4. 西村英一

    西村国務大臣 これは考え方でございまして、初めに首都圏整備法ができた当時、それは全体的なこととしてはやはりそういうような考えもあったと思います。秩序ある都市をつくるんだ、経済、社会、文化中心であるから、ということですね。それから具体的な問題になった場合の、たとえば工場制限をしようとか何とかいうようなこと、そのときの考え方中心は、何と申しましてもやはり人口産業の不要なものを外に出そうということが中心であったから、環境整備というところまで気持ちの中には含まれておっても、中心的な問題ではなかったからということで、あえてそのときは法律の中に入れなかったのでございます。しかし今日の事情は、それはもちろん人口産業地方分散ということも一つの柱ではあるけれども、同じことをやるにしても、それに環境整備ということは大切であるよという思想的なことを織り込めば、やはりそれは同じことをやるにしても、だいぶ気持ちとして違う、こういう観点からであろうと思っております。なお、具体的には一体どうするかということになれば、政府委員のほうから答弁をさせたほうが適当であろう、かように思っております。
  5. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  先生の御質問は、工業等制限法だけでなくて、一体首都圏過密対策環境対策に対しておまえたちはどう考えておるのか、こういうことであろうと思います。先ほど先生も読み上げられましたように、首都圏整備目的は、わが国政治経済文化等中心としてふさわしい機能的でかつ快適な環境に恵まれた首都圏建設発展をはかることにあるのでありまして、首都圏整備法目的規定はその趣旨を明確に定めたものと存じます。工業等制限法のこのたびの改正もこの趣旨にのっとり、単に人口産業過度集中防止のみならず、従来規制対象外となっていた小規模工場をも新たに規制対象に加えるなどの措置により、土地利用の混乱、都市公害助長等過密弊害防止をはかろうとするものであります。現下の首都及びその周辺における過密問題や環境問題が工業等制限強化のみによって解決できるものではなく、これが解決をはかるためには、実行可能な各般の諸施策を総合的に促進してまいる必要がございます。  まず、過密対策といたしましては、基本的には首都圏全域における合理的な土地利用に基づき、秩序ある整備開発を推進することが必要でありますが、当委員会としましては、既成市街地及び近郊整備地帯において現状の一点集中型の地域構造から多核軍属型の地域構造への転換をはかるとともに、都市開発区域におきましては北関東大規模都市筑波研究学園都市等建設整備を進めることとしております。このような見地から、特に都心部におきましては工業等制限法改正による工場大学等規制措置強化とあわせ、人口産業の最大の集中要因である事務所集中抑制及び分散措置を講ずることが必要と存ずるものであります。事務所対策につきましては、現在首都圏整備審議会におきまして鋭意検討中であり、近々その答申を得る運びとなっております。  また、環境対策としましては、環境庁と緊密な連絡をとりまして、都市における環境の総合的な保全を推進してまいりたいと任じておりますが、本委員会としましても過密対策を強力に推進し、人口産業集中抑制をするとともに、土地利用純化を促進して、大気汚染、交通麻痺等過密弊害の緩和をはかってまいりたいと存ずるものでありますが、さらにこれと並行して下水道、公園緑地環境施設整備充実を強力に促進してまいる所存であります。特に工場事務所等移転あと地における公園緑地等オープンスペースの確保及び首都圏近郊緑地保全法による良好な自然環境を有する緑地保全等により、都市環境全体の適正な保全開発を進めてまいりたいと存ずる次第でございます。
  6. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 おっしゃることはわかるのですが、ちょっとポイントがはずれているのではないかと思うのですよ。それはいわゆる首都圏整備法の本来の目的であって、今回提案をされておるのは、つまり首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律、この「目的」が実は直されておるわけですよ。この工業等制限に関する法律目的の中に、従来の産業集中人口集中を排除するためにいろいろな制限を設けられた。今回その目的の中に都市環境整備並びに改善ということを新たに加えられたわけですけれども、この法律の中において一体何をされようとしておるのか、こういうことを実はお聞きしておるわけです。私は、母法である首都圏整備法そのものは、いまおっしゃいましたように広範囲にわたっていろいろなものがあるだろう。今回目的改正をされております首都圏整備法母法とする一つ工場制限法案、その中に非常に範囲の広い目的を持ち込んできて一体何をされようとしておるのか、こういうことを実は聞いておるわけですよ。だから、おっしゃっておることは、首都圏整備法の中には当然そういうことが考えられていかなければならないし、またそれを目的としておるであろう。しかしそれを受けてできておりますこの工場等制限に関する法律というものは、工場なり大学なりをやはり制限をしていく。それでもって副次的に首都圏整備法目的としておる都市環境その他に貢献をしていこう、こういうことであろうと考えるわけです。ところが今度はその単独法律の中に新たにその目的を入れられたということは、この法律の中でさらに工場制限とか学校制限以外のいろいろな都市環境整備に関する諸問題を消化されようとしておるのかどうか、こういうことを実はお聞きしておるわけです。
  7. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  たいへん私の答弁が至らないために御迷惑をかけておりますが、この都市環境改善整備をはかるためには、工業等制限だけではもちろん十分でないわけでございます。ただ、たとえば都市計画その他であらゆる施策を総合してやらなければいかぬ。しかし工業等制限法もその運用いかんによっては、都市環境改善に寄与する道があるのじゃないだろうか。それは何だろうかということでございますと、今回八条一項一号の許可基準改正いたしまして、都内の住工混在地域から海岸の埋め立て工業団地等合理化集約化のために移転をする。いわゆる用途地域純化に役立つような形のものだけを認めることによって都市環境純化に貢献したい。それは消極的に申請があった場合に移すというだけでございますから、積極的に何をどうしようということじゃ言いませんけれども、しかし結果としては、この許可基準運用によりまして用途地域純化、ひいては都市環境改善に、そういう意味においてはこの法律は十分寄与し得るのじゃないか、私どもはかように考える次第でございます。
  8. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうもはっきりしないのです。というのは、この法律自身首都圏既成市街地における工場等制限に関する法律なんだ。そしていまおっしゃっていることは、そういう制限基準面積等を低下をさせて、いわばきびしくしていこう、こういうことなんです。それはもう従来からの法律の中でやられてきたことと同じではないか。工場やら学校やらをいろいろきびしく規制をしていこう、こういう目的を持っておるわけですから、それが副次的に人口過度集中防止したり、あるいは都市環境にも当然影響が出てまいるでしょう。そういうことで従来やってこられたわけです。何も目的を変えなくても、そのことであれば従来どおりの目的で十分できるのではないか。今回新たにそれを取り入れられたということに関して、何かほかの問題をやろうとしておられるのかどうか、こういうことを実はお聞きしたわけですけれどもお答えとしては、工場制限等等さらにきびしくしていくのだ、こういうお答えですから、それならば何もわざわざ変えなくても、そのままで従来どおりやっていかれるのじゃないか、こういうふうに疑問に思うわけです。どうなんでしょう。
  9. 西村英一

    西村国務大臣 いまあなたがおっしゃることは、端的にいって、そういう文句をわざわざ入れたの、だから具体的に何かあるか、こういうお尋ねであります。いままでの制限法というものが人口産業過度集中だけだから、こういうことでもって、これは実は審議会がございまして、審議会でそういう議論中心でやってきたのだが、その、審議会が、いやそれではいかぬ、それだけでは目的を達せぬの、だから、人口産業過度集中を排除するにしても、環境の問題を大いに考えてやらなければ、それも目的一つにしなさい、こういうような議論がありまして、それを目的一つに数えるということも、審議会の意思を尊重して入れたと私は思うのでございます。したがいまして、あなたが端的にこれによって何かやることが違うのかといえば、具体的な問題についてはこのためにこういうことを新たにつけ加えるとはいいませんが、やはり目的一つとしてそういう気持ち法律精神としてうたえば、それのやり方にふさわしいようにやるのではないかということで入れたまででございます。目的がこのために一つふえるとか二つふえるとかいうものではないと私は思っておる次第でございます。
  10. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣審議会答申は私も持っておりますが、確かにいろいろ描いてございます。その都市環境整備改善にも目的を広げなければならないということが書いてある。しかし、目的を広げなければならないと書いてあるのだけれども、具体的に一体何をやっていこうとなさっておるのか。大臣の御答弁は、審議会にそういう意見があったのでそういう目的を入れたのだ、こういうことですが、従来こういう法律があっても現実にはいろいろな問題を生み出してきておる。そこで今度はさらにきびしくしなければいかぬ。その上に都市環境整備改善ということも考えていかなければいかぬ、こういう方向です。方向ですが、反面考えられることは、従来「都市環境整備及び改善」ということが抜けておったからうまくいかなかったのだ、今回この字句を挿入する、目的を広げることによってさらにうまくいくであろう。従来の弊害をこの一点におっかぶせてくるような考え方がもしもあるとするならばこれはたいへんなことだろう。ただ字句を挿入しただけでさらに都市環境整備が促進をされたり改善されたりするものではない。したがって、そういう方向目的を広げなければいけないという審議会答申に基づいて具体的に一体何をやろうとしておるのか。ただ、目的の中だけにそういう字句を入れたからそういう精神でやるのだ、こうおっしゃっておるけれども精神だけでは私はだめだと思うのです。具体的に一体何をやらんとしておられるのか。相変わらずこういう制限だけでいいのかどうか、こういうことが疑問なものですから、その辺のお答えを……。
  11. 北川博正

    北川説明員 いままで首都圏整備法二十七条が工業等制限法のいわば目的になっておりました。これは人口過密ということを単に考えて、人口集中をさせてはいかぬということが法の目的としてあったわけです。しかし、今回これを入れましたのは、具体的にいいますと、知事が許可する場合、どういう場合に許可するかということが、八条一項一号で、移転増設いたします場合に、たとえば移転あと地公園なり何なり、要するに環境をよくするような形で移転がなされることが必要である。また移転をされるものが悪い、工場をつくられては困る。それはきちんとした近代化都市法等に基づいてやられるような工場でなければいかぬ。そういうことを含んでいる意味で八条一項一号に具体的に基準の内枠として入れたわけであります。
  12. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 都市環境整備をするために、工場移転させたあと地等緑地等にしていって都市環境整備をしていくのだ、こういうことをおっしゃっておるわけです。それはそのとおりであって、従来の制限法に基づく工場分散あるいは移転においてもそれは当然考えられていかなければならないことである。というのは、いわゆる母法である首都圏整備法の中がそういうことになっておるのですから、秩序ある都市発展をはかることを目的としておるわけですから、それはいままで当然やられていなければいけなかったことなのだ。そこで問題になるのは、そういう字句が入っていなかったからそういうことができなかったと、もしも逃げられるとするならばたいへんな間違いではないか。むしろ、いままでどおりでもそんなことは十分やらなければいけなかったのだ。それがやられていなかった。それはなぜかというと目的が非常に狭かったから、ただ産業人口過度集中を排除することが目的、だったからそれができなかったのだ、こうおっしゃるとこれはちょっとおかしいのではないだろうか。むしろ、首都圏整備法というものが母法としてあるわけですから、単独ではなくてその中の一部の法律ですから、目的は本法のほうへ戻っていく。そうすれば当然そういう方向あと地等も処理をしなければならなかったはずなのだ。にもかかわらずそれがやられていなかったのだ。そこで私が心配しておるのは、今回こういう字句を入れたからこれからはよくなりますよというような気持ちではなくて、従来やってきた方向にも相当問題点はあったのだという反省の上に立たないと問題があるのではないだろうか。こういうことを心配するあまり、しいて質問をしておる、こういうことです。よろしいですか。
  13. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。全くそのとおりでございます。
  14. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そこで具体的に内容に入っていきますが、今回工場等が千平米から五百平米に基準面積を低下させる、こういうことですが、従来千平米以下の工場規制対象外ということであるわけですから、この法案が制定されまして千平米から九百平米まで低下されますと、従来規制対象外工場規制されてくる、こういうことになるわけですが、この法律が制定されてから千平米以下五百平米までの間にある工場というのは一体どの程度あったでしょうか、具体的にわかりましたらお知らせ願いたい。
  15. 川島博

    川島(博)政府委員 御質問は、基準面積を現在の干平方メートルから五百平方メートルに引き下げた場合一体どれくらいの工場が新たに規制対象になるかということかと思います。制限基準面積を九百平方メートルに引き下げた場合、新たに制限対象となります工場数は、従来の工場の新増設の趨勢から判断いたしまして、私どもの推計では、年間、新設が約九十件、増設が約四百三十件、合計五百二十件程度でございまして、これは制限区域内における新増設件数の約一五%にすぎないわけでございますが、作業場の床面積から申しますと、新増設全体の五〇%以上が抑制されるものと見込まれております。
  16. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この答申そのものを見ましても、いわゆる規制内にあった工場は著しく減少しているわけですが、規制対象外工場は著しくふえてきておる。そして人口集中なり産業集中弊害が依然として続いておるんだ、こういうふうに書いてございますね。さらに、そのように制限基準を設けることによって規制外地域工場が逃げていくといいますか、誘導されていく。したがって規制地域の外周における工場がいわゆるスプロール化してくる。そして公害発生等広域化をしてきて都市環境を着しく害しておるのではなかろうか、こういうことをいっておるわけです。いまそのように実際に新たに規制をされる工場の数あるいは量等をお聞きしたわけですが、いずれにしてもすでにある工場はこの法が制定されましてもそのまま残ってしまうわけですね。したがって、何とかその住居地域内にある、すでに法律施行前に建てられている工場、あるいは首都圏整備法施行前にすでに建てられてしまっておる工場、つまり住居専用地域の中にそのような工場が多く存置しておると思うのです。したがって、都市環境整備ということをもし加えるならば、むしろそういうほうにも積極的な分散政策誘導政策というものが織り込まれてこなくてはいけないのではないだろうか。野放しにしておきますと、規制対象地域外周辺スプロール化をしてくる、こういうことでございますから、規制強化するという方向だけではなくて、むしろ適地工場用地なりあるいは学校用地文教地区というようなものを積極的に開発をしていくということが必要ではないであろうか。そういう面が、この法律だけではなかなかむずかしいかと思いますが、あわせて考えられていかないと、規制強化しただけではまたそういう弊害を生んでくる。そしてまた年々にわたってそういうあと追い的な改正しかされていかないのではないか、こういう心配があるわけです。その辺の今後に対する見通しといいますか、御決意はどうなんでしょうか。
  17. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  既成市街地への人口産業過度集中を抑制するとともに、既成市街地から移転分散する工場のための工業用地を確保する必要があることはお説のとおりでございます。このため、首都圏整備法におきましては、既成市街地及び近郊整備地帯以外の首都圏地域、つまり五十キロ圏以遠でございますが、のうち、工業都市等として発展させることを適当とする区域都市開発区域――これは法律上の名称でございますが、として指定することとし、首都圏近郊整備地帯及び都市開発区域整備に関する法律という法律がございます。この法律に基づきまして、これらの地域、五十キロ圏より遠い地域でございますが、において積極的に工業団地造成をはかることといたしております。現在までに鹿島地区をはじめ水戸・日立、宇都宮あるいは前橋・高崎地区答、十五の都市開発区域におきまして合計七千七百三十九ヘクタールの工業団地計画し、このうち約七割にあたる五千六百十ヘクタールは造成を完了し、その六割近くを工場敷地として処分いたしております。また、これらの地域におきましては、工業流通等の諸機能を広域的に受け入れるための産業基盤整備や、これらの機能を分担する都市相互間及びこれらの都市首都樹中心部とを連絡する交通、通信網整備を促進するとともに、生活基盤教育施設整備も積極的に進めることといたしております。  なお、近郊整備地帯のうち、既成市街地に近い三十キロ程度までの周辺部につきましては、既成市街地同様人口産業の集積に伴い過密化が進み、各種の弊害がすでに発生いたしておりますので、極力工業立地は抑制することとし、三十キロから外の外縁部につきましては、道路整備の進展と相まちまして、計画的な工業団地整備を推進し、既成市街地からの工場分散を促進することといたしております。
  18. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 適地をいろいろやっているんだ、こうおっしゃるのですが、現実にその都市の中に存置をしておる工場なり、法律施行前にできておったところの、もう法律施行後は当然できないような工場なり、そういうものを計画的に移転させておられるのかどうか。鹿島工業団地等はむしろそういうものではなくて、新たに他から導入をされてくるというような性質のものが多いのではなかろうかということが考えられるわけですね。そうしますと、それは別々に考えていくとだめなんで、確かに工場適地なりいろいろなものは設けておるのだ、こうおっしゃるけれども、それと都市の中に存置しておる既成工場等誘導計画その他がマッチしてこなければ、だめなんですよ。  そこで通産省にちょっとお伺いをしたいのですが、そのような環境の中で通産省としては一体どのようにお考えになっておるのか。たとえば今国会で審議をされております工業再配置促進法案だとか、あるいは新都市基盤整備法案等々の中にも工場分散、誘導ということがはかられておるわけですね。そうして首都圏既成市街地の中における工場等は多分に都市環境整備の面からいっても思わしくない、こういうことがあるわけですが、その辺、通産省としての工場移転の誘導といいますか、特に住居専用地域等に散在する工場等移転計画なり、あるいは行政指導なりについて今後どのようにしてやっていこうとしておられるのか、あるいは以往どのようにおやりになっておるのか、お聞き脅したいと思います。
  19. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 通産省といたしましては、今国会に工業再配置促進法案の御審議を願っておるところでございますが、この法案は、御承知のとおり、工業等制限区域等を移転促進地域といたしまして、一方、工業開発がおくれております北海道あるいは東北等の裏日本側、こういったところを誘導地域といたしまして、移転促進地域から誘導地域への工業移転を促進いたしますためのいろいろな助成措置を盛り込む、こういう法律になっておるわけでございます。こうした観点から申し上げますと、ただいま御指摘のありました東京都内のいわゆる既成市街地内におきます工場の再配置、住宅地域から工業専用地域工場移転させるというような問題も確かに一つの大きな問題でございますけれども、私どもの考えといたしましては何よりもまず、国土面積の一%にも満たない地域において鉱工業生産が要するに六割近く上げておる、この状況を何としてでも早急に是正しなければならないということで、こうした地域からの工業分散、これをまあ日本国土全体を巨視的にとらまえまして、そうした観点のもとに分散を促進してまいろう、こういう形の考え方になっておるわけでございます。それから申しますと、既成市街地内におきます一つ土地利用面におけるいわば構造改善と申しますか、御指摘ございましたような点につきましては、この法案が直接の対象とはいたしておりません。しかしながら、これは確かに先生がおっしゃいますように一つの大きな繰越であると思います。しかし一方におきまして、私どもがいま再配置法案でねらいとしておりますのは、そうした工業等制限区域から工業をとにかく移転促進地域等へ分散させる、そのあと地を、今後新たに、産炭地域振興中業団法の改正法案もあわせて御審議を願っておるわけでございますが、ここで工業再配置公団をつくりまして、そのあと地をこの公団が買い上げることによりまして、その当該土地を都市の再開発に利用できるような形にいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。この公団が買い上げました土地につきましての再開発につきましては、首都圏側あるいは地元の東京都、こういったところと十分相談をいたしまして、御指摘のような都市の再開発に資するように運用をいたしたいと思っておるわけでございます。こういった観点から申し上げますと、御指摘のありました点はまさに私ども当面の緊急な課題かと思いますけれども、物理的な面から考えますと、住宅混合地域から工業専用地区へ工場を移すといいましても移す場所がない。そこを、まず工場を追い出しまして、その追い出したあと地をいま申しました公的機関が保有し、それを首都圏、東京都等と相談をしながら都市の再開発に回していく、物理的にいえばこういう第二段階の問題として私ども今後検討してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  20. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 時間がありませんので急ぎますが、私は工場のみならず学校も同じようなことがいえるのではないだろうか、つまりこの工場等制限法工場並びに学校規制をしておるわけですから。ところが、いろいろ数字を調べていきますと、この法律が効力を持ってからも依然としてやはり学校大学、特に大学等は相当ふえてきておるということですね。したがって、これもやはり積極的にひとつ大学地方分散等をはかっていかなければならないわけですね。その辺の計画は文部省としてどうでしょう。文部省お見えになっていますね。
  21. 大崎仁

    ○大崎説明員 お答え申し上げます。  法律施行後、いわゆるベビーブームの波が大学まで及んできたというような事情もございまして、御指摘のように制限区域内における学生数等もふえておるわけでございますから、私どもといたしましては、今後の拡充整備ということにあたりまして地方大学中心に行なってまいりたいということで、四十七年度予算案におきましても、学部学科等の新増設は地方大学整備充実ということで措置をいたしておるわけでございます。さらに筑波研究学園都市等に東京教育大学あるいは図書館短期大学等、新しい構想で移転をさせるというような計画もございますので、今後ともそのような方向で努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  22. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣、お聞きをしましたように、通産省も文部省のほうも今後努力をしていきたい、こうおっしゃっておるわけですよ。これはたいへんなことであって、一生懸命で建設省、たとえば新都市基盤整備法案でもそうですが、一つの基盤を整備されて、あの中にもありますね、工業団地計画が。ところが工場を積極的に移転をさしていくという仕事の所管は一体建設省が担当するのか通産省が担当するのか。あるいは学校ならばこれは文部省が担当するのか。建設省はただ基盤だけをつくればいいのかどうか、その辺がどうもわからなくなってくるのですね。一つの政府を形、つくっているものの中で、全体的な政策として基本的に打ち出されてきているものについては、これはやはり各省が足並みをそろえた方向で消化をされていかなければいけないし、やられていかなければいかぬ。ところがややもすると、それはまあ建設省の計画でおやりになったことでしょう、われわれのほうはいろいろ検討しているんだが、なかなかむずかしい問題が多くてそう簡単にはいきませんよと、こういうことになりますと、これはちぐはぐになってしまってたいへんなことになってくる。一方ではどんどんと都市環境は悪化してくる、こういうことですからね。現実にこういう制限法令ができてまいっておっても、もろもろの問題点は多く出てきておって、年年改正をしていかなければならぬ。あと追いあと追いになってきている。しかし現状見てみろと、各省間のそういう一つ目的に向かってお互いの分野の中で協力をしていくという体制の確立ということがまだまだなされていないような感じがするわけです。こういう点については大臣一体どうお考えでしょうか。私はこれはたいへんな問題ではないだろうか。せっかく首都圏整備委員会がおきめになっても、具体的にそれらの市街化区域の中にある工場移転分散ということは一体、だれが担当するのか。通産省のほうは、非常にそれもわかるけれども、現在は日本全体の国土を有効利用するために、まずは過度集中している工業地帯の工場を過疎地帯へ分散したいのだ、こういうことを第一義的に考えておられるようです。一方都市のほうは、それも住居地域に混在しておる工場等を何とかしたい、こういう考えは持っておられる。ところが所管が一体どこなのかということが一向にはっきり確立をしていない。片方のほうは、用地は基盤整備ができるでしょうけれども現実にその移転計画その他は一体どこが強力にそれを推進していくのか。この辺がどうも疑問に思えるわけですが、いかがでしょうか。
  23. 西村英一

    西村国務大臣 私もあなたと同感な点が多いのです。ただ、この首都圏整備法ができました当時は、やはり首都圏の範囲内でものごとは考えておったわけです。したがって結局、とにかく新設はまかりならぬ、改築もまかりならぬ、しかしあるものを、既存のものを追い出すというだけの力がない、力があるのには金を持たなければいかぬということなんです。そこでそこまでは首都整備委員会としての力がなかったということですね。しかし工場に例をとれば、いまや工場もそんなことではいかぬからと、全国的視野において工場分散をはかろうとしておるのが今回通産省から出した工場の再配置の法律でございます。したがいまして、これは端的にいって、首都圏整備委員会というものが総予算を持った総実行的な積極的なあれがなかった。あなたが言うがごとく、一方不要な工場分散を積極的にやるということならば、首都圏委員長にやはり予算を持たせなければやれる仕事じゃないのです。通産省、それからまた文部省の仕事にしてもそうです。文部省も自分のところの学校は大部分、既成市街地の郊外へは出たと思います。出たと思いますが、既成市街地において同じことがやはり行なわれておるのです。したがいまして、それを文部省にものを言わせぬで首都圏委員長が権限を持つのには、いわゆる一時唱えられたように首都圏庁をつくって、予算を全部その範囲内においては握ってしまうということならばこの力が出るのですが、それはなかなか大きい政治上の問題でございまして、首都圏庁という主張もございましたが、なかなかできなかったわけでございます。私は今回この委員会について、経済企画庁と同じように――私は委員長をしておりますが、委員長としても絵をかくだけなんです、ここはこうだ、ここはこうだといって。手ぶらです。何にもできません。そこで、私をしてやらしめるには、少なくとも経済企画庁と同じように調整費を持たしてもらいたい。それでなければ委員長は、あるいは近畿圏、中部圏は長官になっておりますが、正直なところ、行って演説をするだけなんです。それですから力は何にもないのです。委員会の方々、学識経験者、相当にいろいろな方々が集まって、シビアに、大臣は演説するだけじゃないか、絵をかくだけじゃないかという批判がありますから、私は今回の予算について若干の調整費を持たしてもらいたい、それでなければ何にも、調整することすらもできないじゃないかということを、相当に、予算折衝のときに粘ったのでございます。経済企画庁が持っておる調整費、八十億になんなんとする金は首都圏と近畿圏に大部分は使われておるのでございます。これは政府のぼろを言うようではなはだ悪いですが、あなたは非常にこの痛いところを突いてまいりましたので、私も直に申し上げておるのです。しかしいずれにいたしましても、それが全部権限を持たしてやっても、一方においては通産省というれっきとした工場を所管しておる役所があり、文部省という役所があるのですから、やっぱりそれをネグレクトしてやるわけにもいかぬということで、あなた方から考えるとなまぬるいじゃないかというおしかりは当然受けなければならぬと思っておりますが、私としては、委員長としてはさらにこれに一歩進めようということで、千平米を五百平米にしたわけです。よく聞いてみますと、大きいところを押えても中小企業はどんどんやっておるから同じじゃないか、それならもっと押えようじゃないか、範囲も広げようじゃないかという、委員会のあれもあるし、私たち全く同感でございますが、今回はこの法律を提案いたしたような次第でございます。あなたと気持ちは全く同じでございます。
  24. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 確かに立場上いろいろやりにくい点もあろうかと思いますが、ひとつ勇断を持たれて、閣議等でも相当強力に発言されて、いま人間環境の悪化ということが一番問題なんですから、それを一口も早くやれるような方向で極力努力をされるように強く要請して、質問を終わりたいと思います。
  25. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、浦井君。
  26. 浦井洋

    ○浦井委員 首都圏にまず最初にお尋ねをしたいわけなんですけれども、今度の法改正を見てみますと、昨年十月に出された第一次の百部圏整備審議会答申からいろいろな点で後退をしておるように思うわけです。この点を私はそれなりに理解をするわけなんですが、業界からもいろいろな要望が出ておる、あるいは自治体の意見もまちまちであるということで、それなりに私自身も理解はしておるわけなんですけれども、その点について少し意見をお聞きをしたいと思うのです。  たとえば東京都の隣にある埼玉県の川口市の例を取り上げてみます。これはなぜ取り上げるかといいますと、今度の改正で具体的には五百平米から千平米の工場敷地のところが問題になる。そういうところは大体従業員が十人から六十人くらいの中小企業であるということになりますので、ちょうどそれにぴったりのところで、首都圏でいえば川口市が問題になるだろうと思って取り上げるわけなんです。御承知のように、川口市からは市議会から意見書が出ておる。あるいは川口の市長さんからは要望が出ておるというふうに私聞いておるわけなんですが、現在は川口市のいわゆるキューポラのある町、鋳物工業の大部分のところが制限区域に入っておって、特にこの地域は特別の配慮で特別工業地域に指定されておるというような処置をとられておるそうです。それが今町の改正では、市が特別に工業団地造成しておるような、そういうところが今度の制限地域の中にすっぽりと入ってしまうということでさしあたっては問題になっておるというように私は聞いておるわけなんです。そこで、こういうような非常に由緒があるといいますか、独得の地場産業、こういうものを保護するという観点でも、こういう特殊な事情にあるものについては、この法改正後、執行されるときでも、何らかのそういう配慮がなされるべきではなかろうかというふうに私思うわけなんですが、まずその点について首都圏の御意見をお聞きしたいと思います。
  27. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  まことにごもっともな御意見でございますが、川口市については、現在、既成市街地のうち一部が工場等制限区域からはずれておりますが、この際、制限区域既成市街地に、全域に拡大をするという基本方針のもとに今後政令で措置をいたしたいと考えております。したがいまして、御指摘になりました工業団地等も今回新しく制限区域に編入をされるわけでございますが、本来それは都内の工業をリプレースするというためにあの団地をつくっておるわけでございますから、それについては制限法の網は一応かけますけれども、これに対しては手当てをする必要はもちろんございます。これは一般的には本法の八条一項一号によりましても、いわゆるリプレースという形で新設される場合は、これは許可することができるとござい出ますから問題ない。しかも私どもは、お配りしてございます政令の基本方針にございますように、経過措置といたしまして、今回新たに制限区域に編入される区域並びに今後竣工するであろう工業用の埋め立て地については、五年間に限って、リプレースはもちろんのこと、新増設も許可することができる。ただし都市環境の感化に著しい影響を及ぼさない限りという条件はつけますけれども、そういう条件で認めていこうということでございますので、川口市の場合も万々御心配はございません。
  28. 浦井洋

    ○浦井委員 市議会からの意見書の中の一部分を読んでみますと、こういうように書いてあるわけなんです。与野党一致した意見書だそうでございますけれども工業移転等による用地の確保ならびに移転にともなう補償及び貸金の融資その他税制上の措置がありません。又今日の段階においては本市のような中小企業の公害防止について国の積極的措置こそ急務の課題であり、これなくしては環境の向上、市民の営業権、生活権の確保も望みがたいと考えます。」「したがって工場移転対策、公害対策の具体的措置のない今回の法改正による制限区域の拡大、制限基準強化については強く反対いたします。」こういう意見が川口市議会から出ておるし、市長からも要望書が出ておるということを聞いておるわけなんですが、ここでいわれておるところの、移転に伴う川地の確保の問題であるとか、あるいは移転に伴う補償あるいは資金の融資、あるいは税制しの措置、こういうようなものについては、私が先ほど申し上げた昨年十月の第一次答申でも指摘をされておるわけなんです。だから、制限だけを一方的にやって、その規制によって出てきた結果に対しては何らの措置も考えられないというような形の受け取り方を現地の中小企業の方々がするならば、これはその人たちが制限に反対するのも理由なしとしないというふうに私思うわけでございますので、あえてもう一度、大臣並びに首都圏のほうからのお答えをいただきたいと思います。
  29. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃることはよくわかるわけでございますが、私どもは基本的に、やはり既成市街地というのはすでに過密の限界に達した地域である。したがいまして、この中にあります工場はできるだけ外へ行ってほしい。やむを得ない場合には、都市環境改善に資するという観点から、集団化あるいは協業化というような形の新増設を認める、こういうことになっておるわけでございます。まあ政策の視点が、既成市街地から、既成市街地外へ出る工場移転を促進するというところに政策の力点がございます。したかいまして、この視点からは、たとえば金融、税制面では、首都樹の既成市街地から地方へ移転する工場につきましては開銀から長期低利の融資が行なわれておりますし、また租税特別措置法によって資産の買いかえの場合の課税の特例も認められているわけでございます。さらに政府としては、工業等制限区域における工場等のあと地を買収する地方公共団体に対して都市開発資金の貸し付けも行なっておりますし、また政府の貸し付けとは別に、たとえば東京都などにおきましてはみずからの単独予算で百八十億以上のあと地買い上げ予算を計上しております。また、今国会で審議中の、先ほど来お話の出ております工業再配置促進法案等におきましては、移転工場に対する固定資産税の減免、工場移転地方公共団体に対する補助、融資並びに移転あと地の融資及び買い上げ等の誘導策が講じられようとしておりますが、それらの施策によって、既成市街地から既成市街地外への工場分散に力点を置いて実施をいたしたい、かように考えているわけでございます。
  30. 浦井洋

    ○浦井委員 それに関連して――中小企業庁は来ておられますか。――それではお尋ねをしたいんですが、昭和四十六年度の中小企業白書によりますと、都市部にある企業のメリットあるいは上反対のデメリット、こういうものをあげておられるわけなんですが、この結果を見ますと、百人から三百人くらいの中小企業の場合、その四割の企業が移転の必要性を訴えておられる。自覚をしておられるということです。ところがいざ移転をするということになるといろいろな困難点がある。たとえば移転の資金であるとか労働力の確保の問題であるとか、あるいは関連取引先の関係、あるいは移転先の社会資本が整備されておるかどうかというような困難点をあげておられるわけなんですけれども、今回の改正では、現存そのままある中小企業が移転をするという事態は起こらないわけなんですけれども、将来公害問題がここに書かれておるように表面化し、ますます表面化していくということになってまいりますと、どうしても移転をしなければならないというような事態が必ず私も起こってくると思うわけなんですが、そういうような事態になった場合、中小企業庁としてどういうような対策を考えておられるのか、ひとつお聞きをしたいと思うのです。
  31. 西田彰

    ○西田説明員 いま先生から御指摘がございましたように、この法案とは関係なしに、私どもで、中小企業の実態といたしまして、やはり過密化の中からもっと活動しやすいところへ移転したいという希望が多いことは、白書で分析をいたしましたとおりでございまして、問題点も、先生の御指摘をいただきましたように、それらの傾向に対処する政策というものをもっと強化しなければならないというように痛感している次第でございます。で、今回の法案におきましては、零細のものにあまり急激な影響がないようなお願いをいたしたわけでございます。これは消極的な考え方でございまして、次第に、小規模の企業といえども、こうした天下の大勢の中で、もっと明るく生きる方向を見出すという考え方に立つべきであるというふうに感じております。ただいま中小企業の移転等につきましてございます措置は、先ほど答弁がありました中にも含まれておりますが、そのほかに中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫におきまして、公害関係で移転をいたします場合の低利融資を実施いたしておりますほか、中小企業振興中業団が共同化という形で団地を造成して移転をするというような場合には、ごく低利あるいは無利子の制度が用意されております。しかしこれらは、先生が御指摘になりました全般的な対策に対しまして、なお改善あるいは拡大というような方向のものを考えるべきだということは御指摘のとおりだと思いますので、今後そういった方向に沿いまして対策を樹立いたしてまいりたいというように存じております。
  32. 浦井洋

    ○浦井委員 そういう措置が講じてあるというお話なのですが、一つの問題は、そういう措置をいわば中小企業の企業主が使いこなせないという問題があるだろうと思うのです。だから、官庁の側からいきますならばPRが、不足しておるということになるだろう。しかしその奥に横たわっておる大きな問題がやはりあるだろうと私は思うのです。というのは、先ほど申し上げた川口市の場合でも、鋳物工場からは非常に騒音であるとかあるいは粉じんであるとか、こういうような公害が発生して、企業主自身も、できれば移転をしたい、迷惑をかけないようなところに、あるいは公害発生させないようなやり方で移転をしたいというふうにおそらく考えておられるわけだろうと思うのです。しかしその企業主の方たちのそういうことと同時に、一番の最大関心は、私も向こうの方にお会いをして聞いたわけなのですけれども、昨年のドル・ショック以来非常に経営の見通しが立たなくなってきておる。事業そのものがお先まっ暗だというようなことに最大の関心といいますか、関心以上の関心を持っておられるというんとなのでございまして、こういうことに対応するには、いまお答え願った中小企業庁の施策というものは必ずしも十分ではないのではないか、こういうふうに思うわけなのです。もっと総合的な措置というようなものが必要ではないかというふうに思うわけなのですが、その辺の間隙を埋めるといいますか、一番根底に迫るような措置を考えておられるかどうか、この辺をお聞きしたいと思います。
  33. 西田彰

    ○西田説明員 中小企業が何らかの事由で移転ということをいたさなければならないという事情が生じました場合に、一番根幹的な問題は、資金問題その他いろいろございますが、何といいましてもやはり土地の問題でございまして、最近、土地の収得関係が非常にむずかしい状況にございます。その辺のところに着目いたしまして、先ほどちょっと申し上げました集団化、共同化によりまして、共同工場あるいは団地を造成するというような場合におきましても、いままでは土地は自分で見つけてこい、そうすればなるべく低利の金や貸しましょうという制度のものでありましたものを、土地を団地造成等で極力先行取得して、これを団地化に役立てるような措置をとるというような方向におきましてものを考えている次第でございます。なお、先生御指摘の、もっと総合的に根本的な対策を樹立すべきであるという御説につきましては、なお検討をさしていただきまして、その方向でものを考えてまいりたいというふうに考えます。
  34. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 関連質問で。川口の問題でございますが、いま浦井さんのほうから御指摘があったとおり、ほんとうにそのとおりなんです。私が住んでおります関係上よく土地の問題を知っておりますけれども、中小零細の鋳物工場から発生する公害という問題に対しては、いま非常な社会問題化しているわけです。五百平方メートル以下の新増設などという問題よりも、もう三百平方メートル、二百平方メートル以下の増設ということが問題になるくらいの小さいところでございまして、そういった問題で私がいま一番そこで関心を持っているのは、そういった団地をつくるところ、具体的に埼玉県内の一体どこで、市街化区域内でこれを受け入れるところがあるのかどうか、これがいま非常に県で問題になっておりますし、市でも問題になっております。それで私は、特別に調整区域内にでも持っていかなければ具体的な土地問題として――また、こういった鋳物の特殊な団地というものは、荒川の砂を使わなければならない、そういった地理的関係上どこでもいいというわけにまいりませんので、市街化区域内、調整区域内の河川の砂がとれるところ、そういった地域的制約を受けるところで、いま川口で問題になっておりますこの鋳物工業、地場産業を育成する立場からいって、具体的に首都剛の一体どういうところに移転をさせる工場団地計画がおありなのか。この点、私どうしても地元の問題として、いま浦井さんから許可をいただいて発言を求めたわけですけれども、どうか大臣な問題でございますので、この問題について一問だけお尋ねをさしていただきたい、こういうわけです。よろしくお願いします。
  35. 西田彰

    ○西田説明員 川口の問題につきましては、県あるいは関係の省庁のほうと積極的に私ども連絡をとりまして検討さしていただきたいと思います。ちょっとただいま不勉強でございまして、いろいろ御協議いたしておることは存じておりますが、特にこういうふうに処置することにしたという明快なお答えをこの席でいたす用意がございませんので、たいへん申しわけございませんが、なお検討さしていただきたいと思います。
  36. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、いまこういう問題なんで、五百平方メートルどころの騒ぎじゃないのですね。それ以下の問題でいま騒いでおるのです。それで、これに対して建設省としては土地の手当てとか、また埼玉県、これは自治省とも連絡があると思います。首都圏の問題として当然最高責任者でありますので、これに対して一念に財政措置とか土地の用途指定をしていただくとか、何らかの、具体的な確約をいまできないにしても、ひとつ前向きの御答弁をいただきたいのです。
  37. 西村英一

    西村国務大臣 この法案につきましては、五百平米以下はこの法存外でございますが、現実の問題、川口という具体的な問題でございます。いずれにいたしましても、中小企業の方はおそらくたいへん困っておることは私も想像ができます。したがいまして、これは建設省といたしましても、やはり庶民のためにはできるだけの努力をして、現実の問題はなかなかむずかしいと思いますけれども、できるだけ努力をして御希望に沿いたい、かように考えておる次第でございます。
  38. 浦井洋

    ○浦井委員 首都圏にお尋ねしたいのですが、土地の問題なんですけれども、確かに中小企業が移転をする場合の最大のネックは土地の問題だということはよくわかるのです。それでは、川口市に限らず、中小企業の移転の受けざらとして一体どのような計画を持っておられるのか、このことをひとつ一般的にお答えを願いたいと思うのです。
  39. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  先ほども御説明申し上げましたが、私ども工業団地開発については特別の立法を持っております。これは土地収用権まで発動できる強い権限を持った法律でございます。全国で工業用地の収用権が認められているのは、首都圏、近畿圏以外にはございません。そのような強権発動力まで持った工業団地造成事業が首都圏に限っては法律上実行できますので、この法律によりまして、先ほど申し上げました五十キロ圏以遠都市開発区域に十五の工業ニュータウンの指定をいたしまして、地方公共団体及び日本住宅公団が工事を分担するということで、団地造成が各所で行なわれております。その総数は先ほど申し上げましたように七千七百ヘクタール、完成が五千何がし。これは、この法律に基づきまして敷地を工場用地として処分する場合は工業等制限区域から移転する工場が最優先、希望のない場合に限って他からの新設を認めるということになっております。したがいまして、私どものほうが手がけております工業団地造成事業に関する限りは、移転工場が希望を申し出れば最優先で払い下げることにいたしております。
  40. 浦井洋

    ○浦井委員 そういう受けざらが、速成中が七千七百ヘクタールですか、そして分譲済みが五千ヘクタール、十五カ所というふうに聞いているわけなんですが、その造成中のところが全部でき上がったとして、一体首都圏の中で既成市街地工場のどれだけが移転できるのか、ひとつお知らせを願いたいと思います。
  41. 川島博

    川島(博)政府委員 どうもたいへんむずかしい質問でございまして、ちょっとお答えいたしかねます。
  42. 浦井洋

    ○浦井委員 いずれにしても、中小企業の工場移転の問題について最大のネックが土地問題だ。それでひとつ一般的に大臣に、中小企業庁もそうですが、お尋ねするのですが、大企業は新全総で、むつ小川原も行けるし、それから志布志湾も行けるし、すでに鹿島でも相当大きなコンビナートができておるということなんですが、中小企業はそうはいかぬわけです。ですから、企業自身も非常に困っておるし、またその対象になった自治体も、その点では非常に苦労しておるわけなんです。やはり国がもっと積極的に乗り出して、いろんなよい条件をつけて、国がもっと前向きの姿勢で援助をしていくということが私必要だろうと思うのですけれども、国務大臣である西村さんと、それからそのあとで中小企業庁のほうから、総括的なお答えを願いたいと思うわけです。
  43. 西村英一

    西村国務大臣 五百平米以下の工場は、これは法律対象になりませんから、既成市街地でも用地があったら建ててもよろしゅうございますよ、それ以上のところはやはり人口集中するからどこかにつくるところを見つけてくれ、こういうことになるのでございます。したがいまして、いま政府委員が言いましたように、この法律のうらはらとしては何カ所かの地点を用意してやっておるということでございます。それがうまくマッチしなければ中小企業は困ることはあたりまえでございます。通産省の提起しておるものはもっと規模の大きい程度工場分散をやろうといたしておるのであります。したがいまして、私たちとしては工場の土地問題は、それは工場のみならず住宅問題その他の問題がありますので、用途地域をちゃんと指定して、これは工場地域にすべきところだ、これは住宅地域にすべきところだ。工場地域にすべきところというのは、それに対して積極的に工場団地をつくってやる、ということしか答弁ができないわけでございます。
  44. 西田彰

    ○西田説明員 率直に申しまして、中小企業対策としていろいろやってまいりました施策で、共同化、集団化というようなことで中小企業施策というものを推進してまいったわけでございますが、そうした事情の中で、公害問題あるいはこうした土地取得の困難の問題、あるいは都市過密化の問題ということが大きな問題になってきたわけでございます。私どもといたしまして、先生の御批判がございましたが、率直に申しまして、いままで別な目的で持っておりました育成手段を、そうした新しい問題が起こってきたので、それに向けていま改善しつつあるという段階でございまして、総合的に移転そのものに目を向けて、それを根幹にして打ち出した政策というふうなていさいになっておらぬことは認めざるを得ないと思います。したがいまして、確かにいま用意いたしております共同化、集団化ということによって土地を造成し、土地を用意して、中小企業にそこに移っていただくという施策は、利便を受けられる企業にとりましては非常に有効な施策でございます。しかし、そのほかにもたくさんの中小企業、零細企業の方がおられるわけであります。これらの企業の方に広く及ぼすような施策というものをもっと強化していく必要があるということを私ども感じておりますので、御指摘の方向に沿いまして、全般的に総合的に対策を樹立いたしたいというふうに考えます。
  45. 浦井洋

    ○浦井委員 あまり十分なお答えではなかったわけなんですが、時間がございませんので、この問題の最後に大臣にもう一点お聞きしたいと思います。それは、川口市の例を私は申し上げたわけなんですけれども、私も、公害を発生さしておるのは中小企業といえどもやはり規制して、移転をさせるということは基本的に必要だというふうに思うわけなんです。けれども、これを、特に中小企業の場合は、機械的に単純一律に規制をかけてしまうというようなやり方は混乱を招くだけである。やはり業種であるとかあるいは、地域、こういう実情を十分に見た上で、弾力的な措置が必要ではなかろうかというふうに思うわけなんです。この点について、この問題の最後に大臣に御意見を一言お聞きをしたいと思います。
  46. 西村英一

    西村国務大臣 やはり原則的に、業種別の制限はないようでございます。ただし印刷業というような、その土地におらなければならぬというような特別のものはありますけれども、鋳物はいいけれどもこれは悪いとかいうような、業種別にはきめていない。やはり五百平米以上のものについては新増設は……と、こういっておるのであります。業極刑ということになるとまたこれは技術上非常にむずかしい問題になります。したがいましてそこまでの配慮はしておりません。正確に言うとそれはあるいはそうかもしれません。公有を出す企業はこうだ、あるいはこういう業種についてはこうだとかいうことはあるかもしれませんが、そういう制限ではなしに、一般的に五百平米以上、こうやっているので、いまのところそういうことでしか、しょうがないのじゃないか、かように思っておる次第でございます。
  47. 浦井洋

    ○浦井委員 時間がございませんから次の問題に移りたいと思うのですが、これは工場規制、それから学園の移転ということに関係があるわけなんですが、筑波研究学閥都市の問題です。まず最初に、筑波研究学園都市の現状は一体どうなっておるのか、これをお聞きしたいと思うのです。
  48. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  御案内のように筑波研究学園都市は、昭和三十八年九月十日の閣議におきまして、筑波地区に面積おおむね川下ヘクタールの、国の研究機関、教育機関を中心とする新しい町づくりをするということが了承されまして以来、今日まで約十年を経過したわけでございます。この一同、この土地の収得、造成は日本住宅公団に一手でやらせるということが閣議で了解されましたので、日本住宅公団は昭和四十一年の米から用地買収に着手をいたしました。最終的な計画は当初の四千ヘクタールから若干縮小いたしまして、計画面積は一千七百ヘクタール、そのうち国が、公団が買収する用地面積が千七百九十三ヘクタールという最終計画になっております。この町には将来人口周辺地域住民も含めまして二十万ないし、二十二万、最終人口はその程度の全く新しい独立自営の新都市をつくろう、こういう計画でございます。すでに用地買収は実質一〇〇%完了いたしておりますし、御案内のように先般の閣議決定によりまして、関係九省庁四十三機関の移転または新設が正式に決定をいたしました。したがいまして、来年度以降はこの学園都市建設は一段とピッチを上げてくるものと考えております。
  49. 浦井洋

    ○浦井委員 いま御説明があったように、先般の開議決定では「筑波研究学園都市建設する研究および教育研究機関等について」ということになっておると聞いておるのですが、これが四十二年の九月の閣議の了解では移転を予定する機関云云というふうになっておるというところから見て、いまお答えになったように移転する機関については最終的に決定されたものであるというふうにみなしてよいわけですね。
  50. 西村英一

    西村国務大臣 さようでございます。
  51. 浦井洋

    ○浦井委員 それでは、それぞれ移転する機関というのはどういう基準で選ばれたのか、どういう手続で決定されたのか、この点をお聞きをしたいと思うのです。
  52. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  筑波研究学園都市建設に関しましては、御案内のように一昨年議員提案によりまして法律ができたわけでございますが、この中で私ども首都整備委員会が分担すべき守備範囲は、要するにこの二十二万の人口を収容するに足る、しかも二十一世紀になっても誇り拠る理想的な頭脳都市をつくる、その町づくりの責任が私どもにまかされているわけでございます。したがいまして、上下水道、公園、道路、河川等々の公益施設あるいは高等学校、中学校、幼稚園、保育所、警察、消防、ショッピングセンター、そういった町づくりについては私どもが一応全般的に統括し、責任を持つということになっておりますが、ここに進出すべき機関の選定並びに決定につきましては、政府部内に筑波研究学園都市建設推進本部、これは西村委員長が本部長で、部員は関係省庁の事務次官でございますが、この会議にはかりまして決定をするということになっておるわけでございます。特にこの移転機関の選別につきましては私どもには能力ございませんので、研究機関については科学技術庁、教育機関については文部省が窓口になって選別をするということで従来作業をし、結論を得ましたものを推進本部会議にかけて御承認を願っておったわけでございますが、この際、最終的に移転機関を閣議、内閣全体の意思でもって決定する必要があろうということで、先般五月十六日の閣議決定に至った次第でございます。
  53. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると、これは当然推進本部長である西村国務大臣も御承知の問題だろうと思うのですが、たとえば当初厚生省の移転機関が四機関であった。ところがそれが今度は二機関になっておる。   〔委員退席、天野(光)委員長代理着席〕 しかもそれもその中の一部になっておるという、その理由というのは一体どういう事情が介在しておるのか、お聞きをしたいと思うのです。
  54. 西村英一

    西村国務大臣 前には閣議決定じゃなかった。閣議了解でございます。こういうものは移転をするようにひとつ努力したいという予定でございました。今回は、それ以来いろいろな関係の省が関係の機関と連絡をして、相談をして、諸般の事情を考えて、そうして最終的にこういうことにしたいというのが各省の意見でございまして、私はその各省の意見をうのみにしたわけではございませんが、やはり考えてみればそれは妥当であろう。あるいは中にはなかなかしり込みをしたところもありまするが、それは積極的にやってもらいたいということでまとまったところもあります。あるいは前の予定からオミットしたところもあるわけでございます。終局的にこれでよかろうという決定をいたした次第でございます。
  55. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣お答えはそれなりにわかったわけですが、そうすると、厚生省を離れて、今度決定された移転するそれぞれの機関で働いておるところの研究者であるとかあるいは職員は、移転については十分に納得しておるというふうに考えておられるわけですね。そうでなければ決定できないと思うのですが、その辺の心情はどうですか。
  56. 西村英一

    西村国務大臣 それは私は一人ずつ研究者とか職員に当たったわけではございません。それは当該担当者でそれぞれやっておる、したがって私は納得を得たものだ、かように考えておるのでございます。納得というのはなかなかむずかしいことなんですけれども、まあその省として、やっても差しつかえないという決定を見たから私はやったのでございます。
  57. 浦井洋

    ○浦井委員 納得したのだろう、しかし納得はむずかしいという。まさにむずかしいわけなんです。私、こういう文書を読み上げたいと思うのですが、昭和四十六年十二月四日、通産省の地質調査室長から工業技術院長あての報告書によると、この所内でアンケートをとったところ、筑波研究学園都市への工業技術院の移転計画に対してこういう結果が出ておるわけなんです。参加すべきであるというのが六十五名、参加すべきでないというのが百七十二名、その他が五十六名、無回答が七十一名、計三百六十四名ですね。だから、分数をいたしますと、参加すべきであるというのがパーセントにしてわずか二〇%、参加すべきでないという人が何と六〇%に近い数字を占めておる、こういうことになる。しかし、いま答えられたように、移転するのだというふうにきめられておるわけなんですが、その報告書の中で「今回の決定に、至る過程において少なからざるトラブルが所内に生じました。その原因として、管理運営事項であるべき「所の移転問題」に関する省、院責任者の御発言、あらかじめ立てられた短期間のスケジュールに行動を拘束されざるを得なかったことが重なって、強圧的と見られ、反発を招いたことは遺憾ながらいなみ得ない事実であります。」こういうふうに書かれている。こういう事情は、基本的には通産省関係の九研究機関とも同じような状況で、通産省だけでなしに、筑波研究学園都市に行く他の省庁の研究機関でも同じような問題が発生しておるというふうに私は聞いておるわけなんです。この委員会でこの建設法を成立させたわけでございますけれども、そこの目的の項には「試験研究及び教育を行なうのにふさわしい研究学園都市建設する」、こういう目的をほんとうに生かした新しい研究学園都市をつくるということであるならば、その研究機関、あるいは具体的にその都市に住む人たち、研究者、あるいは教育に携わる人たちの意向が十分に反映をされて、現在は東京におるけれども、みな喜んで筑波に移れるようにしなければならぬわけなんです、この趣旨からいくならば。ところが先ほど私が読み上げたように、現実はその逆であるというふうに思わざるを得ないわけなんです。だから、こういう現実で、はたしていま推進本部長である西村国務大臣が言われたような真の新しい研究学園都市が一体できるのかどうか。この辺の基本的な問題について大臣の御意見なりあるいは決意なりをひとつお聞かせを願いたい。
  58. 西村英一

    西村国務大臣 りっぱな研究字画都市ができると思います。――いや、そう笑っちゃいかぬです。それはできます。ただなかなか生活上の問題とかいろいろな問題がございます。しかし、一たんはあまり賛成しなかった人も拝んでそこに行くようになったという都市をやはりつくらなければならぬ。あらゆる生活環境には十分の措置をすることは当然でございます。したがって、皆さんが初めは反対したけれども、それは行こうじゃないかと喜んで行けるような、そうして静かなところで喜んで研究に従事してもらうような、喜んで教育に従事してもらうような都市をつくりたいという考えでございます。
  59. 浦井洋

    ○浦井委員 これはいろいろ問題がございまして、時間がないのが惜しいわけでございますけれども、あらためて機会があれば、筑波研究学園都市の問題は総合的に当委員会で取り上げてみたいというふうに思うわけなんです。何度も繰り返すようですけれども、研究学園都市というからには、単に建設サイドの既成概念で、道をつくり建物を建てればそれでよいのだというようなものではなくて、やはり内容を総合的に十分に検討する必要があるというふうに私は思うわけです。だから、もうすでに決定した、すべり出しているんだからつべこべ言うなというような態度をとるのではなくて、具体的にそこへ行かれる研究者、これは日本の科学の発展について非常に大きなウエートを持たれる方々であるわけでございますかち、そういう人々と十分話し合って、もっと慎重に、できればもっと根本的なところから洗い直して計画を進め、その事業を進めていくというような態度が私は必要ではなかろうかというふうに思うわけなんで、この点を要望しておいて私の質問を終わりたいと思います。何かお答えがございましたら……。
  60. 西村英一

    西村国務大臣 大いに批判してもらいたいと思います。批判する中にいいものができるわけで、絶対私たちは安易な道をとらないで、りっぱなものをつくりたい。これから十分批判はしてもらいたい、かように思っておる次第でございます。
  61. 天野光晴

    ○天野(光)委員長代理 松浦利尚君。   〔天野(光)委員長代理退席、葉梨委員長代理   着席〕
  62. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 まず大臣は、あるいは事務当局でもけっこうですが、先般科学技術庁のほうで、関東地方の例の光化単スモッグ等の原因について発表がなされたわけでありますが、その問題と関連をして、地域的に関東地方にガス、ばい煙等の三分の一がどうしても停滞をする、特につゆどきにはそういった状態が顕著であるという科学技術庁の兆表がなされているわけであります。それの関連から見て、この法案はどういう位置づけになるのか、そのことの見解をお示しいただきたい。  それに関連をして、井上委員のほうから関連質問がありますので、委員長のほうで御配慮いただきたいと思います。
  63. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  私も実は先日の新聞を見ましてたいへんびっくりいたしましたわけでございます。いずれにいたしましてもこれが事実といたしますればたいへんなことでございます。私どもはこれに対する対策は相当な決意をもって総合的な施策を進めなければいかぬと思います。ただ、現在御審議いただいております工業制限法の立場から申し上げますと、この汚染源はおそらく工場の燃料から出る悪いガス及び車から出る悪いガス、これが問題であろうと思いますが、私ども法律による制限強化することによりまして、いわゆる既成市街地内の工場立地がさらに強力に規制され、場合によってはこの移転の促進にも連なるということになりますと、全体としての工業集積の拡大を防ぐばかりでなく、場合によっては工業集積の縮小にもつながる政策ではなかろうか。これはとりもなおさず汚染源である工場のエネルギー源から発する毒ガスを少なくすることではないか。そういう意味におきましては、この「汚染大気の箱の中」というショッキングな見出しでございますが、こういった中におきましても何ぶんかの役割りはこの工業制限法も果たすのではなかろうか。しかし、事柄はことほどさように重大な問題でございます。あらゆる手を打ってこの現実を打開する。これはとても首都圏整備委員会、われわれ五十人ばかりの小さな役所でございますけれども、専門家もおりませんし、とても手に負える問題ではございません。環境庁中心に政府全体が一丸となって対策を考えるべきことではないかというふうに考えます。
  64. 葉梨信行

    ○葉梨委員長代理 関連して井上普方君。
  65. 井上普方

    ○井上委員 ただいま川島さんからお話を承りました。こういうように科学技術庁の資源調査会から文書が出てくるのですよ。しかも、責めるわけじゃありませんが、新聞記事だけであなたそういうような御答弁をなさるのは、首都圏整備法のこの法律を出されている責任者として、非常に怠慢じゃないか、私はこのように思うのです。この文章を見てみますると、関東地方における気象条件からいたしまして、大体三分の一の間は排気ガスが停滞するということが載っておるのです。これは新聞記事には見出しとして非常にショッキングな形で、東京都内にある樹木は五十年後には大体枯れてしまうであろうということが、データとして出ておるのです。そこで、この首都圏整備法改正に一体どれだけそういうことが加味されておるか、ここが重大だと私は思う。ただ単に工業立地規制を二十キロやあるいは三十キロ外側に出したところであまり効果がないということがこれに出ておるわけなんです。むしろそれよりも、茨城県の水戸のほうにまで移転させろというような提言すら出ているのです。そういたしますと、この首都圏整備法改正案というものも、首都圏がこういうような気象条件下にあるとするならば、一体このままでいいんだろうかということが考えられるのです。これは科学的データですから、これをいかにして政治の面にあるいは行政の面にあらわすかということが、私どもあるいはまた行政官庁のつとめじゃなかろうか、このように思うのです。そこで、これと首都圏整備法との関係をいかにお考えになって対処されるお考えか、このことをお伺いしたいのです。
  66. 西村英一

    西村国務大臣 これは事務当局の問題でもありますけれども政治の問題でもございます。私も詳しくそのデータは読んでおりませんけれども、五十年後には首都圏の東京都の樹木は全部枯れてしまう、いまのままでいけば、という前提じゃなかろうかと思うのであります。したがって、いまのままでいけば五十年後には何もかも枯れてしまうよということで、警告を発しておるのでございます。しかし、いま光化学スモッグが発生しているこの現実の問題にどう対処するか、これはたいへんむずかしい問題でございまして、とても私はこうするこうするということはここでは言えません。それはやはり川崎とか板橋とか、いろいろな大きいスモッグになる源泉があるのですから。しかし、今回のこの法律も、これは人口産業集中を排除しようということですから、これで決定的にはなりませんけれども、多少の役目はしよう、私はそう思っております。別にいままで制限をしなっかたら既成市街地はもっとひどくなっておるかもしれぬので、多少この法律の功績は認めてもらいたい。そして一歩規制を進めようというのですから。決定的な解決にはならぬ、それは別な方法をもってしなければならぬと思いまするけれども、いまあなたがおっしゃいました、科学技術庁がそういうように警告をいたしておるのでございますから、政府としては十分取り取んでいかなければならぬ、かようなことを申し上げる程度にしかいま御答弁はできないのでございます。
  67. 井上普方

    ○井上委員 この勧告によりますと、いままでのように人口産業集中するスピードをとめたならばこうこう、こういう結果だ、スピードをそのまま置けばという前提じゃないのです。現状のまま進んでも、現状の関東地方における工場立地あるいは人口、そのまま置いておいても五十年後には樹木は枯れてしまいますぞという勧告なんです。そういたしますならば、この首都圏整備法改正案にいたしましても、やはり現在進みつつある産業並びに人口集中をある程度緩和させようというねらいなんです。でありますから、私は事重大だと思うのです。それで、政治に科学が導入されない、科学的な勧告を政治が受け入れないときには悲惨な目になると私は思います。そういうような面からいたしまして、この勧告と首都圏整備法との相関関係、非常に重大じゃないか。特に関東における気象条件が非常に悪いというようなことを考えるならば、ますますこの首都圏整備に  つきまして工場規制を、われわれの卜部君からも指摘いたしましたし、またこれから松浦君からも指摘するでしょう。こういう、工場の立地の制限もなお、そうきびしいものにしなければならぬ。現在の工場をさらに関東地方からともかく過疎地帯へ移転をさせる――これは問題あります。いろ  いろとそういう考え方には、まだまだ考え方としては、過疎地帯に公害をまき散らすのかということにもなりますし、しますが、ともかくそういうような考え方で進まなければ、首都圏内における工場規制というものをきびしくやらなければ、これはたいへんなことになる、このように考える次第であります。首都圏整備委員会が人間がわずかの五十人で、環境庁なりとか、そんな権限がないというような消極的な態度でもってやられたのでは、将来の首都圏は非常なものになることを私は警告をいたしたいと思うのであります。大臣の御感想を承りたいと思います。
  68. 西村英一

    西村国務大臣 私は、井上さん御存じのように、公害は科学技術の発達といいますか、それで起こったと思うのです。したがって、それを押える根本問題はやはり科学技術で抑えなければならぬ、こう私は感じます。ということは、やはりその発生源をまず押えるということであろうと思います。したがって、あなたの言うように、この発生源にはいろいろありますけれども、やはりいままでの既存のものはなるべく被害を起こさないようにするとともに、被害のないようなところに移すということはもう根本でございます。やはり科学を政治に反映させなければならぬということは、あなたもそれを言っておると思うのでございます。重大な問題でございまするので、私がここでとやかく言っても空論になりますけれども、非常に大きい問題、また私たちの首都圏整備に無関係な問題でもございません。ただ力が足らないので、これぐらいの法律しか出せないのです。したがってそういうように御了承を賜わりたい。十分留意をいたす次第でございます。
  69. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまの大臣の御答弁よくわかりますが、この勧告が大体五月三十日に勧告されておるわけです。ですから、この首都圏整備法が今国会に出された時期から見て、確かにこの法案と勧告との間に特用がありますので、これとの関連性がどうかということの質問をする私たちにもちょっと無理があることはよく承知いたしております。しかし問題は、大臣が言われたように、首都圏整備委員会というのが、先ほどの渡辺委員質問でもおわかりのように、力がない、銭もない。それぞればらばらに通産省その他文部省等に権限がいっておるものをまとめる事務的な、五十人のスタッフで行なっている程度ですから、こういった勧告が首都圏整備委員会そのもので解決するなどとは私どもは思っておりません。ですけれども、やはりこの首都圏整備法の一部改正そのものも公害の除去、環境整備ということに基本があるはずでありますから、そういった意味では、この勧告を契機として、国務大臣建設大臣の立場から、あるいは首都圏整備委員長の立場からぜひこの問題を把握していただいて、こういうこそく的なことではなくて、やはり発生源を食いとめるといった、環境庁の問題もあるでしょう、そういった問題、もろもろの問題を含めて、私はやはり首部圏の整備という問題については、地方自治体等の意見もいれて、もっと抜本的に基本的な立場から再検討を加えるべきだということを実は申し上げたかったわけなんです。そういう意味でひとつ大臣の決意を一度お聞きをいたしまして、法案の、審議に入りたいと思います。
  70. 西村英一

    西村国務大臣 まずやはり首都圏、なかなかたいへんなことになっております。われわれといたしましても今後、こういうような大問題も起こっておることでございますから、また新しい観点から、いままでのような小規模でなしに、新しい御点からもう少しものごとを考えて対処したい。ことに今度の科学技術庁のこの勧告もありますから、十分留意をしたい、かように考えておる次第でございます。
  71. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それではそのことを期待をして、法案の具体的な問題について質問いたしたいと思います。  まず防衛庁にお尋ねをするのですが、本委員会でも防衛庁、長官に来ていただきまして、例の抜き打ちに移駐をやりました立川基地の問題について防衛庁長からも意見が述べられたわけでありますが、この立川基地移駐の問題について首都圏整備委員会等の意見を聞いたことがあるのかないのか、そういう点について防衛庁のほうから明確にお答えいただきたいというふうに思います。
  72. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 お答えします。  立川の移駐問題につきましては、昨年の六月五日、首都圏整備委員会の川島事務局長のところにお伺いしまして、今回の移駐はあくまでも米軍施設の共同使用であるので、暫定的なものである。したがって、米軍の施設が返還になれば、その時点において自衛隊の共同使用権は消滅する。そこで、この返還後のあと地の利用の問題につきましてはその時点において関係機関がよく協議をして決定するということで、わがほうとしてはその際、それまで共同使用してきたというようなことは白紙に戻して、そういう立場でひとつ協議をするつもりであるということをよく御説明をしまして、そしてまあその点、首都圏整備委員会のほうで考えております立川基地の都市計画というものと直ちにこれが矛盾するというようなことではない、やはり都市計画を、実施するのは基地の返還後であるというようなことから、御了解を得て、その後関東地方の国有財産の審議会にかけて御了承を得た、こういう形になっております。
  73. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 川島事務局長にお尋ねしますが、いま、六月五日にそういった連絡があった、こういうことでありますが、その事実について簡単にお答えいただきたい。そのことは門違いありませんか。
  74. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  六月五日にお見えになったことは事実でございます。ちょっといきさつを、その前後申し上げますと、第一回の国有財産審議会、立川基地の自衛隊共同使用に関する承認案件がかかりましたのが、昭和四十六年の五月二十五日でございます。その国有財産関東地方審議会、私が委員を命ぜられておりますので、委員の一員として特に発言を求めたわけでございます。それは、かねてから私どもが構想をあたためております、立川基地あと、地を中心にいたしまして、この基地のあとを、丸の内、新宿に次ぐ第三の新都心に育てるべきである、こういう構想を、根本前大正のときでございますが、御了解を得て発表しております。そんないきさつもございまして、私は去年の五月二十五日の審議会におきましてわがほうの構想を述べまして、ぜひ、この五十キロ圏では得がたい適地であるから、これは何とかひとつ私どもの構想が実現できるような形で使わせていただきたいという意思表示をいたしました。これに対しまして、その日は保留になりまして、次回までに政府間で話を詰めろということになりまして、いまお話にございましたように、六月五日に防衛庁からわざわざお見えになって、方針について協議をいたしたわけでございます。その結果、先ほど鶴崎参事官が言われたように、米軍共同下における暫定的な一時使用である、こういう形で自衛隊の移住を認めるが、正式返還の暁には白紙に戻って検討する。しかし、あそこは六百八ヘクタールございまして、そのうち五百十五ヘクタールが国有地でございます。返還の暁にはおそらくこれは国有財産法上普通財産として大蔵省の所管に移されます。したがいまして普通財産の処分については大蔵大臣の権限で決定をいたすことになりますが、その際、私どもは私どもの主張を強く述べまして、できれば私どもの構想どおりに利用させていただくように大蔵大臣にお願いをいたしたいというふうに考えております。
  75. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま言われたことで非常によくわかりますが、米軍との共同使用下において移駐をしたのだ。だから返還された場合は白紙である、こういうことでありますが、一つ心配するのは、既成事実の積み上げということで、結果的に既成事実として、あそこが百邦画整備委員会の方針とは逆に、陸上自衛隊の防衛庁のほうの施設として使われるのではないかということを非常に警戒をするわけです。ですからいま言われたことについて、くどいようですが、両省間で話し合ったわけでありますから、両省間で話し合って得た結論でありますから、通常そういう場合には両省覚え書きとか事務次官同士の覚え書きとかいう文書交換をしておるのです。そういう事実はあったのかどうか。ただ単なる口頭なのか、それとも明確にいま言われた内容について防衛庁と首都圏整備委員会との間では文書で交換されておるのかどうか。その点もひとつ明確にお聞きをしておきたいと思います。
  76. 川島博

    川島(博)政府委員 先ほど申し上げましたように、昨年の六月二十四日の国有財産関東地方審議会におきましては、米軍が基地を返還するまでの間、米軍管理のもとに基地の一部を防衛庁に一時使用を認めるものとし、返還の暁においては回春地の使用について審議会においてあらためて検討するという旨が決定されたわけでございます。これを受けまして、同じ六月二十九日に、防衛庁の一時使用についての閣議決定が行なわれたわけでございます。二十九日に閣議にかけますに先立ちまして、二十八日の事務次官等会議におきまして、私メンバーの一人でございますが、防衛次官から本件に関する説明があったわけでございますが、その際もはっきり、これは米軍管理下の共同使用である。暫定的なものである。正式返還の暁にはあらためて検討をします、こういうことをはっきり次官会議の席上で、防衛事務次官、いまやめられました内海さんですが、述べられましたので、この点は政府の意思として、確認された文書はございませんけれども、私はそう存じております。
  77. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま確認されたことは、内容はよくわかります。あとは力関係だと思うのです。満省間の力関係だと思うのです。白紙であるということは、極端にいうと、首都圏整備委員会の意思が通るか通らないか、まだ白紙だということです。そうすると、既成事実としてもうすでにあそこにヘリコプター部隊を含めて陸自が移駐をしておる。そういった場合に首都圏整備委員会のこりしたいまいった構想、そういったものが必ず通るという保証がないのですね、これはあくまでも白紙ですから。そこで私は大臣にこの際明確に御答弁をいただきたいのですが、少なくともこういった東京都の過密状態、首都圏整備、こういった問題が中心でわれわれはいまここで議論をしているわけでありますから、そうなった場合には、やはり現在の立川基地が完全返還された暁には、首都圏整備委員会の構想どおり実施されることが、あと地利用がされることが国民のためだ。この過密状態の東京都を救う道だ。全体の道じゃないですけれども一つの道だ。私はこのように考えておるのです。ですから、白紙であるということは、逆に言うとどうなるかわからぬということなんでありますから、   〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕 その意味では、その際政治信念として、現職の建設大臣として、その場合には必ず首都圏整備委員会の構想どおりあと地を利用するということを、そのための努力をするということなんですが、その点をひとつここで明確にしていただきたいというふうに思うのです。地理内に見ましても、立川市のどまん中にあんなでっかい基地があって分断されておる。しかも過密都市で公害に悩み、騒音に悩み、いまヘリコプターがぶんぶん飛んでおって、この前、調査が新聞発表で出ておりましたが、前よりもむしろ騒音がふえておる状態なんです。そういうことを考えれば、あと地利用は当然首都圏整備委員会の方針どおりあと地利用さるべきだ。私はこの建設委員会の与野党を通じて一致した意見になると思う。そういう意味でひとつ大田の決意のほどを承っておきたいのです。
  78. 西村英一

    西村国務大臣 大体のことは川島君からお話ししたとおりでございまして、あらためて相談をする、白紙に返して相談をする。重要なことは申されたとおりでございまして、一分われわれの所期の目的を希望どおりやりたいと思います。希望どおりにやりたいと首部圏が言うような保証もないじゃないかと言うけれども、またその反対の保証もないわけでございますから、こちらが十分必要性を説いて、われわれの希型どおりに持っていきたい。これはあくまで首都圏として――首都圏というよりも、国全体としてやはりそれがいいという方向に持っていかなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
  79. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 防衛庁長官に御出席いただこうと思ったのですが、諸般の関係で参事官の御出席をいただいておるわけですが、建設委員会としては、あと地利用については、首都圏整備委員会が構想しておるように、少しでも東京都の過密を緩和するために、第三の副都心として立川のあと地利用を考えておる。そのことを念頭に置いて防衛庁のほうの考え方をまとめていただきたい。これは私は建設委員ですから建設の立場で防衛庁のほうにお願いをするわけですけれども既成事実があるからもうおれのほうだ、こういうことにならないように、少なくとも首都圏整備委員会でこういう計画のもとに実施されておるわけですから、あと地利用については少なくとも建設委員会  ではこういう議論があった、そのことだけひとつ銘記して防衛庁長官に報告しておいていただきたいと思うのです。その点約束できますか。
  80. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 ただいま先生のお話しの点、われわれとしても十分理解できるところでございます。現在共同使用をしておるから、既成事実によって引き続きそれを足がかりとして使用を継続するのだというような気持ちは毛頭持っておりません。あくまでも返還になった時点においては白紙の状態で話し合いをするという気持ちでおります。なお、首都圏にいろいろな公害問題その他ございますが、それを解決する一環として立川基地を開発したいというような計画につきましては、われわれとしても十分その重要性というものは理解はできますけれども、やはり防衛という立場もございますし、そこら辺は今後の調整の問題ではなかろうかと思います。なお先生のおっしゃった御趣旨は、帰りまして十分防衛庁長官にもお伝えをすることをお約束いたします。
  81. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ヘリコプター部隊ならどこか別なところがあるわけですね。それから陸自ならほかに市ケ谷とか練馬とかあるわけですから、何もどまん中に出てくる必要はない。ですからその点は――先ほどちょっと防衛の問題も云々、こう言われました。そのことが少しひっかかりますけれども、いずれにしてもそういう意見があったということを上長官に御報告いただくということでありますから、ぜひ……(「防衛の問題は見解の相違だから」と呼ぶ者あり)いま不規則発言がありましたけれども、見解の相違じゃないですよ。これは大切な問題なんです。こういうことすら実現できなければ、首都圏整備委員会なんか何をやったってだめなんですよ。あと地利用ができないようなことになるなら、首都圏整備委員会なんかむしろ解散したほうがいいですよ。いま不規則発言があったので言うんですけれども、見解の相違ではない。どこかへ行ってしまえというんじゃないですから、ほかにあるんですから、見解の相違ではないです。その点はひとつ、いまの不規則発言があったことに勇気づけられて防衛庁が変なことをせぬように、くぎをさしておきますよ。  次に事務局長にお尋ねするんですが、この首都圏整備法の内容が、昨年の十月二十一日に審議会から答申がなされた線から大幅に後退しておりますね。特にその中で重大な問題としては、工場の改築制限という問題についてしり抜けになってしまっておる。この首都圏整備審議会答申どおり法案が出されなかった原因は一体どこにあるのか。せっかく、審議会が長い間議論を積み重ねた答申法案にあらわれてこない。どこに原因があるのか、その点を明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  82. 川島博

    川島(博)政府委員 昨年の十月、答申を受けました内容につきましては御案内のことと思いますが、その答申の中で、答申どおり改正法案に盛り込まれなかった問題が若干ございます。  これについて順番に申し上げますと、まず工場基準面積の引き上げについては、思い切って大幅に引き上げろ、こういう御提案をいただいたわけでございますが、特に住民生活と密着している生業的な小零細企業への影響を考慮いたしますと、やはりそこはある程度のところで線を引かざるを得ないということになったわけでございます。御案内かと思いますが、当初私どもの原案では、五百平米では少し高過ぎるということで、実は三百平米、九十坪以上まで下げたいということで関係方面と交渉いたしたわけでございますが、地元地方公共団体をはじめ経済団体がこぞってそれでは困るということで、結局は五百平方メートルに落ちついた次第でございます。ちなみに申し上げますが、ロンドンにおきましても制限基準面積は約四行六十五平方メートル以上でございますし、パリにおきましても、五十名以上の従業者を有するかまたは五百平米以上の作業場を有するかということが基準になっております。したがいまして、これらとの比較から見ましても、またわが国の実情から見ましても、まあこの際、線を半分の五百平方メートル程度に引き下げることが妥当ではないかということで、五百平方メートルにいたしたわけでございます。  それから御指摘のように、答申では「工場移転分散を促進し、その配置の適正化をより積極的に図ることにより都市環境整備改善を進めるためには、制限施設の新設および増設制限するだけでなく、その改築についても制限する必要がある。」と、述べられております。この提案は、現行法のたてまえであります集中抑制のための工場の新増設規制、すなわち工業集積の絶対量の増加を押えるという立場を大きく踏み越えまして、既存の工業集積の縮減を通じて過密の緩和をはかるべしとするものでございまして、従来の新増設制限とは質的に異なる規制内容を含む画期的なものといってよろしいかと思います。過密対策の前進のためにはきわめて有効な方策として評価できるわけでございますが、反面においてはまた検討すべき問題点も残されておるわけでございます。何となれば、上既存工場の改築を原則として禁止するということになりますと、政策的には制限区域の老朽工場のスクラップダウンを強制し、制限区域外への移転を余儀なくせしめて工場の再配置を促進しようとするものでございますが、対象施設である老朽工場の経営者にとっては、改築が許されないということになれば移転か転廃業かの二者択一を迫られることになり、場合によっては企業の命運にかかわる、重大な問題でございます。したがいまして、このような企業経営に重要な制約を加える政策は、あわせて移転分散を効果的に行なうための企業の誘導助成策、さらには転廃業を余儀なくされたものに対する移転あと地や施設の買い取り請求を認めるかどうかなどなど、憲法二十九条との関連においても検討を要する問題点が多いわけでございます。したがいまして、制限区域内における改築の実態、改築制限の効果等に関するきめのこまかい吟味も含めまして、今後の検討をまって立法化することとし、今回はひとまず見送ることにいたしました。  首都圏整備審議会答申ではさらに工業等制限区域の拡大につきまして、「首都圏既成市街地およびその周辺地域過密弊害防止して健全な大都市圏域として発展せしめるためには、工場等制限法の適用区域をすでに過密化した地域に限定することなく、今後における過密弊害の予防を必要とする範囲に拡大すべきである。従って、制限区域既成市街地全域に及ぼすことはもちろん、近郊整備地帯であっても、すでに工業の集積の著しい地域、又は近い将来において人口産業過度集中が予想される地域については、工業等制限法対象区域とする必要がある。」と述べています。この答申を受けまして、私ども事務局は、昭和四十五年の国勢調査における人口集中地区統計及び工業統計等によって、人口、炭業の集積度の高い地区として、東京都の北多摩の各市、千葉県の市川市から千葉市に至る臨海部――これは後背市街地を含めての話でございますが、市川市から千葉市に至る臨海部、埼玉県の川口市に連なる市街地、及び神奈川県では横浜市に連なる市街地等を既成市街地に指定し、工業等制限区域とすることが、妥当であると考え、具体案を示して関係地方公共団体と協議をいたしてまいりました。しかしながら残念なことにうまくいかなかったわけでございますが、その理由は、現在これらの、私どもが拡大をはかった近郊整備地帯は、首都圏整備法上の近郊整備地帯の指定を受けており、これに伴って、首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地品等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律によりまして、都府県に対する地方債の利子補給及び市町村に対する国庫補助負担率のかさ上げという特例措置が講ぜられており、提案を受けた関係自治体は、既成市街地に入ることによりこれらの恩典を失うことに強い反対の意向を示してまいっております。したがいまして、この際はとりあえず工業等制限区域を上既成市街地全域に拡大するにとどめ、周辺近郊整備地帯制限区域に編入することにつきましてはなお慎重に検討し、関係自治体とも十分協議の上、できるだけ早い機会に答申趣旨に沿った改正を行ないたいというふうに考えております。
  83. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 局長、たいへん申しわけありませんが、もう時間が来ますので、答弁のほうはひとつ簡潔にお願いしたいと思います。  それで、いまの局長のお話、よくわかっておるのですが、ただ、何といっても工場の改築制限を加えるということは、そのことによって工場のスクラップ化が促進される。それは逆にいうと、移転をしていくそのあと地が整備され、利用されていくんだという意味で、やはり何というても改築制限ということは方向としては当然今度の改正の中に含めるべきだった。いまいろいろ言われましたけれども、それでは憲法二十九条に抵触するではないか。強制してそのままにしておくから二十九条に抵触してくると私は思う。そうなってきた場合には、当然助成措置、税制の優遇措置あるいは長期低利の融資あるいは換地のあっせんとか、そういった具体的な手だてが打たれて改築制限というものが今度出されてくるべきだった、私はこのように思うのです。ところがそういうことが議論されずに、ただむずかしいからということでそのことが見送られた。そういう点では私は非常に答申に対して、せっかく答申が出ておるわけですから、そういう意味では私は一歩後退の感を免れないと思うのです。  それで、いま通産省から企業局の田中参事官おいでとのことでありますが、今度工業再配置法案、これは商工委員会を経て本院ではすでに通過して、たしかいま参議院の審議だと思うのでありますが、これとこの首都圏整備法のそういった問題との関連ですね、それは通産省としてはどういうふうに位置づけられておるのか、それが一つです。それから、改築等の制限を行なう場合に、私が申し上げた税制措置あるいは長期低利の融資、換地のあっせんとかいうようなことが通産自体で議論されておるのかどうか。その二点について明確にお答えをいただきたというふうに思います。
  84. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 通産省といたしまして工業再配置法案をいま御審議願っておるわけでありますが、私ども考え方は基本的にはやはり過密地域から工業地方分散させるべきだ、こういう考え方でございます。この点につきましては首都圏の考えと基本的には何ら変わっていないのではないかと考えているわけでございますが、問題の、たとえばそれでは改築制限等について、これを今回の首都圏のほうでお取り上げにならなかったこととの関連から申し上げますと、私どもといたしましては、やはりこういった問題について基本的にはスクラップダウンを進め、工場地方分散を促進することが必要である、このように考えてはおります。ただ、たとえば下請企業のような立場にありますものにつきましては、地方分散と申しましても、親工場に動いてもらえない限りは、ただ単独で地方へ分散いたしますとこれは市場を喪失するというような、なかなか効きにくい形にあるわけでございます。こうした点を考慮いたしますと、ただ出ればいいというだけの形式的な議論では済まないというふうに考えられます。したがって、私どもといたしましては中核企業をぜひ動かしていきたいと思っておるわけでございますが、これはやはりそれ相応の規模でございますので、若干の時間を要するというふうに考えます。その間におきまして、中小の企業につきましては、やはり法律の定めるところに従いまして、公害対策の所要の諸設備をしなければならないと思うのです。また最近におきます東京を中心とします水需給の逼迫というような観点から、私どもといたしましては水の回収率の向上をぜひはかってもらいたいということで、状況によるましては今後立法措置をも検討しなければならぬかというふうに思っておりますが、こうした地盤沈下対策をも兼ねますためのいわば施設の設置等につきましても、やはり御協力をしていただかなければならぬだろう。それから最近の労働衛生というような、あるいは労働環境の向上というような点から、一部の工場におきましては、たとえば工場ぐるみ冷房をつけろというような例も、二、三見えております。こういったいわば最低限の、公害対策のほかにやや新しい政策課題が、残っております工場にもやはり要請をされてきている状況ではなかろうかということも考えますと、一律に改築を絶対禁ずるというようなことにつきましては、私ども基本的にはそういったスクラップダウンを進めることは賛成でございますけれども、なお技術的に検討をしていかなければならぬ点があるのではないかというふうに考えまして、実は首都圏のほうにもそういったことをお願いをいたしたのであります。これはしかし、今後首都圏のほうとされましても十分検討課題とされるということでございますので、通産省といたしましても円滑にそういった趣旨が実現され、そして基本的には工業地方分散につながりますように、経過的な処置としてどう処理していくかの技術的な問題を十分詰めてまいりたい、そして御趣旨に沿うような方向にできるだけ進めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  85. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 要するに早急具対策をつくっていただきたいということを申し上げておきたいと存じます。  それから次に、これはもう大臣、事務局長も御承知のように、工場の問題よりも首都圏過密をつくり出す問題としてや直り事務所があるわけですね。ある新聞社の論説によると、東京で一年間に霞が関ビル一つくらいの事務所がどんどんとできておるのだ。そのことはやはり人口過密を呼んでおるわけでありますが、この事務所規制というものあるいは事務所地方分散といったような具体策が現実にこの審議会議でいま議論されておるわけでありますが、建設大臣としては、首都圏委員長としては、事務所地方分散あるいは規制というものについて明確に必要だということを感じておられるかどうか。これまた事務所規制の方法としては課税の問題その他いろいろな方法がありますけれども、そういった問題は別にして、そういう政治的な方向としては当然規制されるべきだというふうにお考えになっているかどうか、その点をひとつ基本的にお聞かせ願いたいと思います。
  86. 西村英一

    西村国務大臣 私は端的に申しまして、規制さるべきものだと思っております。しかし、いま審議会でいろいろ討議しておるのは、元来事務所というものは中央にあるべきものだ、こういう一つ考え方をしておる人もあるのです。なかなかまとまりがつかないということで大きい研究課題になっておるのです。ただ押えるだけでなく、何らかの方法によってその負担をかけるというような行き方の問題、考え方の問題――考え方としては、私は確かに人口集中のようなことからすればやはりこれは規制すべきものと思いますが、いろいろ議論があってただいま検討中でございます。端的には私もこれは規制すべきものだ、かように考えております。
  87. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 首都圏整備のためには事務所の問題も早急に手をつけるべきだ。答申を早く受けて具体的措置をとるべきだ。そうしないと、御承知のようにどんどん人口集中してくるわけでありますから、私はその点をひとつ要望として申し上げておきたいと存じます。  もう一時になりましたからあとくどくどと質問いたしませんが、ただ最後に一つだけお尋ねをしておきたいのは、建設省のほうで関東地区に三つのブロックを設けて、北関東の三カ所に百五十万都市をつくるという構想が現実に進められておるわけでありますが、実際にそういった百五十万都市構想というものが、それじゃ地方自治体の同意を得て具体的に方向づけられるのはいつごろだというふうに見ておられるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  88. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  北関東大規模都市建設構想につきましては、これは震源地が私どもであることは間違いございません。法律的にはいわゆる首都圏整備に基づく都市開発区域として、水戸・日立、宇都宮、前橋・高崎、この三地区を広域的な開発整備をなすべき都市開発区域として昨年の春計画を決定いたしております。御案内のように、首都圏人口は現在約三千万おります。これが昭和六十年、すなわち十五年後には、私どもの推計では三千八百万に達するであろう。これをこのままほうっておけば南関東にばかり集中するわけでございます。現在南関東には二千四百万、北関東に六百万の人口が住んでおります。最近は北関東は人口はやや増加傾向に転じましたけれども、それは国勢調査の結果では五年間でまだわずかに三十万程度でございます。したがいまして、今後十五年間に三千万から三千八百万になるわけでございますから、八百万のふえたものを南関東、北関東にどう振り分けるかということでございますが、私どもは、自然にほうっておけばおそらく北関東は百万もふえないと思います。しかしこれは政策的に大規模都市育成によりまして、北関東の増加人口を二百万に高めたい。反対に南関東に集中する人口は六百万に押えて、昭和六十年時点では北関東が八百万、南関東が三千万、こういうバランスで人口を配置することが首都圏の均衡ある発展にとって絶対に必要である。こういう観点に立ちまして、それでは今後十九年間に二百万人の人口を北関東、山梨県を含めて四県に定着させるためにはいかなる政策努力が必要であるかということで浮かび上がってきたのが、この北関東大規模都市構想でございます。  これは現在、三県は首都圏の中ではいずれかというと過疎地帯でございまして、最近ようやく工業集積あるいは人口集積に顕著な変化があらわれておるわけでございますが、現状は依然として後進的な地域であることは否定できないわけでございます。したがいまして、これらの三地区をそれぞれ人口百万程度の大規模なものに育て上げたい。それには絵にかいたもちではだめなのでございまして、戦略的な手段が必要でございます。その戦略手段として考えられましたのが、高崎から宇都宮南部を通過いたしまして水戸周辺に至る大規模な横断高速道路を建設する。少なくとも六車線以上で、ノンストップで飛ばせる高速道路を建設する。しかしそれだけでは不十分でございますので、今度は海の出口であります水戸周辺――幸いあそこには、現在米軍管理下にありますが、射爆撃行為を四十三年末以来中止しております水戸射爆撃場というかっこうの土地があるわけでございます。これが総面積三百五十万坪で、これは完全に全部が国有地でございます。先ほどの立川基地が六百八ヘクタールで百八十万坪でございますから、立川基地の倍の面積を持つ射爆撃場あと地がいまはほとんど遊んでおるわけでございます。これを一刻も早く返還していただいて、ここに大規模な流通港湾をつくる。北関東三県で生産する工業製品の原材料並びに製品は、従来はすべて東京湾経由で運ばれておりましたが、今日の東京湾の過密状態を救うためにも北関東に大規模港湾をつくって、大都市を結ぶ物資の連絡輸送はすべてこの新しい大規模流通港湾を通じて行なう。これが実現いたしますれば、この三地区の百万都市構想の実現はきわめて容易である。幸いに難役省御当局並びに運輸省御当局の御協力によりまして、昨年は経済企画庁から一億円の調整費をちょうだいいたしましたし、本年度からは、先ほど大臣からお話ございましたが、四村大臣の御尽力によりまして首都圏独自の予算といたしまして二億円の調査費をいただきました。この二億円の調査費をもちまして、運輸省、建設省にそれぞれ約一億円ずつになると思いますが、移しがえをいたしまして、建設省、運輸省の責任において北関東横断道路並びに北関東大規模流通港湾の建設促進のための調査に使っていただくということで、現在手続中でございます。
  89. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまの局長のお話でよくわかったわけでありますが、いずれにしても、結論として申し上げたいことは、この首都圏は、政策が一日おくれればまたそれだけ過密していくわけです。そういう意味では、せっかくできた計画でありますから、あまり早過ぎて粗漏があってはいけないですけれども、しかしいずれにしても出された政策というものは早く煮詰めて早く実行に移す。そうしなければ私は首都圏のこういうマンモス状態というものは増大をするだけだと思うのです。ですからそういう意味では、思い切った考え方で勇気をふるってやっていただきたい。確かに通産省あるいはもろもろの省にまたがっておって、やりにくい点があることはわかります。しかしこれほど都民が要望し国民が要望しておる重大な問題でありますから、そういう意味では勇断をふるって、幸い延段大臣首都圏委員長も兼ねておられるわけでありますし、しかも実力のある大臣でありますから、佐藤内閣はもう近々でしょうけれども大臣が思い切ったことを提言していただいて、こういったことがすみやかに実行されるように期待いたします。  私の質問はもっとあるのですけれども、私のほうの党のこの関係の打ち行わせ会があるそうでありますから、私の質問はこれで終わらせていただきたいと思います。
  90. 亀山孝一

    亀山委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  午後二時再開することとし、この際休憩いたします。    午後一時七分休憩      ――――◇―――――    午後一時六分開議
  91. 亀山孝一

    亀山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出参議院送付都市公園整備緊急措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新井彬之君。
  92. 新井彬之

    ○新井委員 私は、都市整備緊急措置法につきまして質問をさせていただきます。  この公園の問題につきましてはいままでにもいろいろと論議をされておりまして、非常におくれておるということははっきりしておるわけでございまして、今後これをどのようにするかということで、審議会答申等を経まして、今回公園等の緊急整備五カ年計画というのが出てまいったわけでございます。そこで、いままでなぜそれがおくれてきたのかということについては大臣もいろいろなところで答弁をされておりますし、あるいはまた参議院の委員会等でも答弁をされておるわけでございますけれども、そのおくれてきた原因というもの――を大臣が、この公園というのは非常に大裏なんだ、そういうわけで予算も一生懸命に獲得のためにやったけれどもこの九千億に落ちついてしまったのだ、今後これはどんどん伸ばす、こういうぐあいに言っておられるわけでございますが、この答申等を見まして、四項目にわたってのおくれた原因というものが書かれておるわけでございます。そこで、今回のこの五カ年計画にあたりまして、大臣としては、公園は非常に大事だということは再三言っておるわけでございますが、一体今回のこの予算程度で、大臣が大事だ大羽だと言いながら、現実にはこんな少ない予算でやるということについて、言っていることとやっていることと違うのじゃないか、こういうぐあいに私は思うわけでございますけれども、そういう、ほんとうに公園が大事である、公園の今日的な恩義についてまずお伺いをしたいと思います。
  93. 西村英一

    西村国務大臣 もう必要性のことは私が言うまでもございません。おくれた原因というのはいろいろあると思いますけれども、やはり端的にいって、戦前はもちろん資金がほかのほうに使われた。軍部のために使われた。その余裕がなかった。戦後は日本の復興のために使われた。やはり端的に申して、国全体として、あるいは地方公共団体として資金の不足ということ、それともう一つは、やはりそれよりももっと、衣食住という、生活そのものの直接のものがあったというようなことではなかろうかと思っております。われわれ大和民族としても、やはり公園の必要性とか、あるいはそういう緑の場所とかをもともときらいであったというような民族じゃなかろう。いろいろな原因があって今日までおくれたということでなかろうかと私は思うのでございます。それで今回は、従来もおくれておりましたけれども、一歩を進めて、非常にワクは少ないけれども、とにかく計画的に五カ年計画のあるワクの中でやっていく。計画性を持ってということは私は非常に進歩じゃないだろうか、かように思っておるような次第でございますが、このワクで十分であるとかこのワクで大かた片づくというようなことでは絶対にない、かように思っておるような次第でございます。
  94. 新井彬之

    ○新井委員 いま答弁がありましたけれども、これは答申でもいわれております。「従来、官民を通じて都市公園に対する認識が低かった」、こういうことでございまして、いまは住民のほうは非常に認識があるわけでございますけれども、やはり政府のほうが一歩おくれておる。そういうわけで、その財源的な計画においてもまだまだここに指摘されていることの反省の上に立ってやらなければこれはできない、このように強く思うわけでございます。  そこで具体的な問題にまいりますと、この都市公園整備五カ年計画の達成のために必要な財源というのは、答申によりますと総額で一兆六千億円、その中で用地費が一兆二千二百億円、それから施設費が三千八百億円、こういうぐあいに見込まれておるわけでございます。この答申で一兆六千億円と見込まれたそれを九千億にした。したがって今回のこの計画は非常に小規模といいますか、この内容はほとんどできないような状態になっておると思いますけれども、一体この答申についての考え方大臣どのようにお考えですか。
  95. 西村英一

    西村国務大臣 答申は尊重しなければならぬと思っております。そこで、実際的に答申とはなはだ違うワクできまった。これは全くだれの罪でもございません。私の力不足でございます。これはほんとうに、答申があればそれ以上にというのがわれわれの考えでございまするが、国全体の予算の規模として非常に少ないワクできまったということは全く私の力不足でございます。私は非常に不満だったのです。しかし最終的にそうなりましたことは、はなはだ残念に思っておる次第でございます。
  96. 新井彬之

    ○新井委員 とにかくこれではこの五カ年計画のまず第一段階としてもたいしたことはできないのではないか、このように思うわけでございます。  そこで、この公園用地で確保目標というのは今後一万七千ヘクタール確保するということだそうでございますが、そのうちの河川敷関係が二千ヘクタール、それから国公有地関係が三千四百ヘクタール、それから区画整理関係が六千六百ヘクタール。それからこの一万七千ヘクタールのうちで純粋に用地買収をするものというのは五千五百ヘクタールということになっておるわけでございますが、この五千五百ヘクタールを市街地なりあるいはまたその他の地域に確保する場合に一体どの程度の単価を見込んでおるのか。これを一ぺんちょっと局長にお伺いしたいと思います。
  97. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 用地の単価の見込みでございますが、公園の種別によりまして単価の算定も異にいたしておりますが、住区基幹公園で申し上げますならば、児童公園、近隣公園、地区公園、こういうふうな分類がございます。こういうのは、主として既成市街地の中でこういう公園をつくっていくというふうなことから、当然に用地費も高くかかるわけでございまして、私ども五カ年の積算におきましては、児童、近隣、地区を通じまして、平米一万八千四百円というふうな単価を見ておるわけでございます。
  98. 新井彬之

    ○新井委員 いまどういう計算でやられたかわかりませんけれども、これは私の計算によりますとそんなに高くはとれない。要するにこの施設費を入れないで用地費だけでやってみても、平均した場合そんなに高くとれないというような計算でございます。これは局長も御存じのように、都市公園の種類というのはいろいろございますけれども都市公園法にきめられたような内容の完備しているところはほとんど少ない。ひどいところになりますと児童公園さえ持っていない市町村が多数存在しておる。そしてこれは全国の都市計画区域指定市町村の約三六%にもなっておる。それから全国の都市を通じまして、都市計画決定された公園緑地のうち、開設済みの都市公園面積は約三三%にすぎない。こういうようなデータがございますけれども、そういうわけで、都市公園法にきめられたような内容もいまのところほとんどない。そしてまたそういうところへ今度きめられたように公園をつくろうと思えば、非常に地価の高いところを目がけてつくらなければならない。局長の言うようにそれを認めて、平米当たり一万八千円程度で、少なくとも首都圏あるいは近畿圏あるいは中部圏でそういう用地が確保できると思っているのかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  99. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 確かに御指摘のように、公園整備におきましては用地費の占めるウエートというものが非常に大きいわけでございます。したがいまして、用地が確保できるかどうかということが公園整備一つのきめ手になるわけでございます。五カ年計画の際の私どもの単価の見込みにつきましても、私ども最大限の努力をしたつもりでございます。いろいろ調査等もいたしまして積算をしてまいったのでございますが、先刻申し上げましたのは大体平均的なことを申し上げたわけでございます。これは都市の規模によりましておのずから地価等の差もございます。若干具体的に申し上げてみますならば、私どもは、基幹公園につきましては都市規模に応じまして単価の見込みを変えております。たとえば人口百万以上の都市の基幹公園につきましては、既成市街地におきましては平米当たり五万円、それから百万から三十万程度都市におきましては四万円、こういうふうに若干、都市の規模に応じまして地価もおのずから差があろうということで差をつけておるような次第でございまして、これではたして十分かということになりますと、一〇〇%私ども確信は持てませんけれども、これは平均でございますので、実際に買います際にはこれより高いところもありましょうし、また努力をいたしましてそれよりも安いところも買うということで、大体こういうレベルの単価でもって極力公園用地を確保してまいるというふうにこれから努力をしてまいりたいと思います。
  100. 新井彬之

    ○新井委員 局長としても、本来ならば総額一兆六千億、この問題でもなかなかたいへんだろうというようなことだろうと思います。しかしながらこういうことで閣議決定をされてきまった以上はその段階でしなければならぬ。したがってそういう計算を出されていると思いますけれども、私たちが現在公害であるとかあるいはまたいろいろな問題から公園がほしいというような地域に行って、そこらへんの一軒家を建てるときの土地の単価を聞いたときに、建設省が思っているようなそういうところは非常に少ないわけですね。したがって、そういうようなことについても、ただ高く買ったらいいということではございませんけれども建設省もちゃんと地価公示価格をきめてやっておるわけですから、やはりそういうことも五カ年間の計算というものをよく出していかないと、本年一万八千円だったものが来年は二万二千円になる、そういうようなことも考慮しないと、途中で用地が結局取れなくて、できなくなる、こういうことをはっきり申し上げておきたいと思う。これは局長の言いたいことを私が代弁して言っておるようなことだと思いますけれども、また建設大臣も同じだろうと思いますけれども、どうか、ともにつくるということで努力をしていただきたい、このように思うわけでございます。  それから、大蔵省が来ていると思いますが、大蔵省は公有地関係で――三千四百ヘクタール、これだけの土地を今後公有にするということで建設省のほうから出ておりますが、一体大蔵省は、国有財産法第二十二条でいうところの公園に無償貸与しようといえるような土地というものはいまどの程度お持ちなのか、お答え願いたいと思います。
  101. 楢崎泰昌

    ○楢崎説明員 ただいま御質問のありました点につきまして、私ども普通財産についての統計を持っておりますが、大体現在利用計画を策定してないというものが約三千ヘクタールございます。ただこれは北海道の非常に僻地の未利用等を含んでおりますので、これが全部公園になるとは考えておりませんけれども建設省では個別に国有地について当たられておりまして、約八百ヘクタール程度公園にできるのではないかというふうにお考えのように伺っております。私どもそれにつきましては、建設省から、あるいは実際の公園設置者である市町村等から御相談ありましたときには、現在の都市問題等を考えまして、できる限り公園緑地のほうに充てたい、さように考えております。
  102. 新井彬之

    ○新井委員 そうしますと、現在三千ヘクタールの普通財産を持っている。いろんなところがありますから、今回建設省として五カ年計画で使用できるものは公園で約八百ヘクタールある。この五カ年計画が済んだあと、いまのところは大蔵省の普通財産としては未利用地としては三千ヘクタールですから、もちろん農林省関係あるいはほかの各省関係の土地はあるでしょうけれども、大蔵省関係としては五カ年計画以後はそういう公園にするような土地というものはなくなりますか。
  103. 楢崎泰昌

    ○楢崎説明員 先ほど三千ヘクタールというふうに申し上げましたのは現在の未利用地でございます。それ以外に私ども、在日米軍に提供している土地などがございます。御承知のように、現在米軍施設の再編成等が若干行なわれる傾向にございまして、それらが実現しまして、もし在日米軍の土地が返ってくるというようなことになればさらに追加的に未利用地が出てくる。それが公園にできるかどうか、その時点で判断しなければならぬ、かように考えております。
  104. 新井彬之

    ○新井委員 それじゃ時間がないのでどんどん進めてしまいますが、要するに大蔵省としては、要望的に申し上げておきますけれども、少なくとも公園というのはお金を取って使うところではありません。無料使用というのが基本的な原則になっている。そしていままでは、大蔵省としてもその補助対象率であるとかあるいはまた補助率が非常に少ないということから一つ公園がなかなかできなかったということがあるわけでございます。したがいまして、こういうものについてはこれからも、とにかく環境整備の時代だ、こういうぐあいに言われておるわけでございますけれども、極力出していただきたい、このように要望しておくわけでございます。  それから、自治省が来たのですね。――自治省、これは各市町村からいろいろの要望があると思いますけれども、先ほど私が申しましたように児童公園を持っていないようなところもある。そういうようなことで、ほかのほうにも土地がいろいろ要るというようなことがあると思いますけれども、自治省では公園の必要性はどういうように認めておるか、お答え願いたいと思います。
  105. 近藤隆之

    ○近藤説明員 私からお答え申し上げるまでもなく、都市づくり、村づくりの、公園というのは一つ中心をなすものでございまして、われわれといたしまして過去もそれぞれ地方交付税あるいは地方債等で所要の措置を講じてきたわけでございますけれども、今回五カ年計画が発足いたしますので、それに即応いたしまして所要の財原措置を講じてまいるつもりでございます。
  106. 新井彬之

    ○新井委員 そうしますと、答申の中でいわれておりますが、「地方債については、国費分を除く、用地費全額を地方債の対象とするとともに、施設費についても適債性を有するものについては、あわせて地方債の対象とする。」こういうぐあいに一つあります。それからもう一つは、「都市公園整備事業が本来収益性のない公共事業であることにかんがみ、できる限り、政府資金等の長期かつ低利の資金をあてる。」ということでございます。「地方交付税については、基準財政需要額の算定において「公園費」を設ける等充分な配慮を行なう。」この三点があるわけでございます。この五カ年計画にあたって具体的に何をやられますか。
  107. 近藤隆之

    ○近藤説明員 第一点の土地につきましては、地方債で全額買えということでございますが、地方債、御承知のように今年度の元利償還ということになりますので、必要に応じてもちろん地方債の発行を認めますけれども、地方債とそれから交付税措置、それから都市計画税等の税収入、そういったものでこの公園の施設整備を行なっていきたい、基本的にはそのように考えております。それから三番目でございますか、交付税で公園費の費目を設定しろということでございますが、これは御承知のように今度の国会におきまして改正いたしまして、五カ年計画に即応いたしまして、従来市町村分の都市計画費の中に入っておりましたものを抜き出しまして、昨年の二・五倍というふうに措置額も増加いたしまして公園費を設けました。したがいまして、その交付税で措置しております額は四十七年ベースで、経常、投資両方合わせまして三百七十六億というふうになっておりますし、そのほか、従来の実績からいたしましても、都市計画税の中で七、八十億というものはこの公園に阿るものと思います。そのほか土地等につきまして地方債の所要額も確保しておりますので、五カ年計画の初年度分は十分措置できるものと思っております。
  108. 新井彬之

    ○新井委員 それからもう一つ大蔵省に言っておきたいのですが、五カ年計画におきましては、いままで四十六年が補助対象事業費が七十六億、それから単独業事費が五百五十三億、補助対象事業費の割合というのは二四・二%、それから内訳としまして国費が六十五億、地方費が六百六十三億、そういう中で国費の割合が八・九%ということになっております。四十七年度ではこれが三六・五%、それから二五・八%というように伸びたのですけれども、公開の重要性にかんがみましてこの補助対象専業というものを今後建設省としてもどんどん伸ばしていきたいということを思っておると思いますけれども、そういう点についてどのようにお考えになっていますか。
  109. 楢崎泰昌

    ○楢崎説明員 私は国有財産の担当で、主計局じゃないのですから……。
  110. 新井彬之

    ○新井委員 わかりました。けっこうです。  では建設省として、局長としては、補助対象事業、それから補助率のアップということについては、大蔵省なりそういうところへどのような交渉をされておりますか。
  111. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 公園関係五カ年計画の発足ということで、四十七年度の予算の折衝におきましても私ども最大の努力を実は払ったわけでございますが、結果的には御指摘のような姿になりまして、私どもは決してこれで十分とは思っておりません。他のいろいろな都市施設関係についての国の負担割合等とのバランスからいきまして、公園についての国の負担すべき割合というものが、決して現状が十分なものというふうに私ども思っておりません。したがいまして、これはきまったものでございますので、一応これで五カ年計画は発足させたのでございますが、今後はあらゆる機会を通じまして、私どもは、こういう都市公園計画的に推進していく上におきまして、公園というもの、緑地というものが占める社会的、国家的にも重要な地位というものを強調してまいりまして、そういう財政負担というものについての改善についての努力を払ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  112. 新井彬之

    ○新井委員 今後昭和六十年までに、この答申の中におきましては、一人当たり公園面積は十平方メートルである、そういう水準を確保することを目標とすべきである、それには約十兆円の予算が要るということになっております。それから、この水準は、すべての都市計画区域における最小限の水準であり、新たに建設される都市においては欧米並みの水準を設定すべきである、こういうぐあいにいわれておりますが、局長は九平方メートルを今後の目標にすると言っていますね。なぜそれが九平方メートルに設定されたのか、その理由はどういうわけですか。
  113. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 昭和六十年の長期の目標といたしまして一人当たり九平米という数字を出した根拠でございますが、これにつきましては、都市計画審議会の中央審議会の中間答申によれば十平米というものが出ておるわけであります。この十平米の根拠でございますけれども、これは私は確たる根拠はないと思います。しいて言うならば、現在の欧米の各都市におきますところのいわゆる都市公園の警備水準が大体二十平米前後というのが通例でございますので、少なくともその半分程度のものを確保しようというのを一応の目標に設定したというふうに私どもは理解をいたしております。それからなお、十平米が九平米になったのはどういうわけかということでございますが、これはいろいろこまかいことになりますけれども、応長期計画というもの、五カ年計画を立てます際の、長期の計画についていろいろ議論をいたしましたが、私どものほうで立てました計画の内容について、一部緩衝緑地が運動公園になるのではないかというような計画上の調整というようなことも、折衝の過程でそういうことがわかってまいったりしまして、そういうのを調整した結果、まあ実質九平米でも当初考えておりました十平米のものの量が確保できるというふうなことからそういうふうになったようなわけでございます。
  114. 新井彬之

    ○新井委員 時間がありませんのであまり言いませんけれども、私が一番問題にいたしますことは、確固たる根拠がないのに九になったり十になったり、あるいはまた十五にふやしたりするということが一番問題じゃないか。これがやはり答申でいっている、官民ともにそういうことに対する考え方が非常に浅いというところじゃないかと思います。私は、りっぱな局長でございますからそういうことはいろいろ計算をされての上だとは思いますけれども、やはりこれから一番大事になってまいりますことは、われわれの環境整備ということについてこの空間をどのようにとっていくか。いま局長も言われておるように、ストックホルムでは環境会議が開かれておりますけれども、そういうところではまたいろいろな基準が出てくる、こういうことになってくるかと思いますけれども、やはりそういうこともがっちりしなければ、大蔵省においても、あるいはまたいろいろのところに折衝するにしても、やはり予算というものがとれない、こういうぐあいに思うわけでございます。  いろいろお聞きしたいことがありますけれども、時間がありませんからもうどんどんはしょりまして、大臣、ちょっと提案をしたいと思います。一つは、公園緑地の用地取得難にかんがみまして、河川敷の利用、国有農地の払い下げの転用、公共施設あと地の利用、再開発あと地の利用、土地区画整理事業、新住宅市街地開発業等による公園造成をはかるとともに、教育施設運動場と児童公園との兼用、屋上庭園の設置、環境衛生施設との併設等を考慮して今後建設していかなくてはむずかしいのではないか、こういうことを提案するわけですが、これについてはどのようにお考えですか。
  115. 西村英一

    西村国務大臣 私は、公園は行政上ますますこれから重要性をさらに増したという気がするのです。さらに増したというのは一体どういうことかといいますと、いままで公園ができなかったというのも、いろいろ理由をあげてみましたが、そのうちの一つに、やはり国民生活の違い、欧米と多少違っておったと思うのです。つまり、いままでは土地がわりあい安易でありましたから、マイホーム、自分のうちに庭を待つということの生活様式であったと思うのです。それが今後ますますそういうことができない。やはり共通の庭を持たなければならぬというふうになったから、今後はますます必要性が――ますますというのは私はそういう意味であろうと思う。したがって、これは私、建設大臣だけでできるものではございません。やはり金を持っておる、なかんずく大蔵大臣が、大蔵省がそういう気になってもらわぬと困る。しかし全般的にやはりなかなか金の要るところが多いから思うようにはいきません。  それからもう一つの問題、国有地、公有地を使えという話でございます。もっともでございます。まず隗より始めよ、私は建設省の国有地、たとえば高速道路をやりまして、あの下がたいへん遊んでおる。日本道路公団においても同じです。その下の土地を一体どういうふうに使っておるか。使えるところは全部児童公園に開放しなさい、東京についてはそれぞれの区にひとつ使わせなさい、まず隗より始めよということをやっておるような次第でございます。いずれにいたしましても、いまあなたが御提案になりましたこと、たいへんけっこうでございます。  もう一つ、小さい金でございます。これはとってもやれるようなワク内の金じゃございません。したがって、何と申しましても日本は、いなかにおきましてはまだ緑があるわけです。これは諸外国、雨の降らないようなところと比べればたいへん恵まれた土地であります。一番困っておるのはやはり大都市なんです。したがいまして、やはり少し土地は高くても大都市公園を急ぐ。広さもそんなに大きいことは要りません。やはり数が多ければいいと私は思うのです。それですから、土地が高くても思い切って買うことです。私はそういうふうに思います。予算の運用、どちらかというと予算は小さい金をばらまきたがるのですが、そういうやり方は予算の実効上あまりよくない。まあ、一ぺんにできるわけではございませんから、いなかのほうは少し待ってもらって、とにかく困っておるところを重点的にやろう。大規模の公園よりも小規模の公園をよけいつくる、こういうことではどうだろうか。これは私の私見でございます。そのようにしていまはやっておるのでございますが、いずれにしても重要な御提案をいただきましたから、その線に沿うて努力したい、かように思っている次第でございます。
  116. 新井彬之

    ○新井委員 では、あともう少し提案がございますので申し上げます。ざっと言いますから、最後にお答えをいただけたらけっこうです。  一つは、幹線道路の両側には必ず緑地帯を確保するようにする。公共施設敷地の緑化、街路樹の育成等によって公開緑地の不足を補うようにつとめる。それからもう一つは、工業団地造成にあたっては、その無秩序な膨張を防止するために、周辺緑地化をはかるべきであるということです。それからもう一つは、公園の配置にあたっては、中央公園、森林公園、近隣公園、教育公開、運動公園、児童公園等、地域の実態と発展方向に即し、かつ全体として相互の連携を保つように考慮すべきである。それからもう一つは、地方都市においては市で公園課を持っているところが非常に少ない。現在では六十二か六十三くらいしか公園課を持っていないと聞いておりますが、このために公園の管理等まで手が回らなかったために、公園目的外に侵食されているところが過去にあったと聞いておるわけですが、これらに対処していくために機構の不備を是正する必要がある。またもう一つは、中央においても、今後大がかりに都市緑化をはかっていくためには、現在の建設省の公園緑地課職員十四名では対処していけないのではないか。したがって、今後、現在の公園緑地課を、かつて、下水道課が部になったように、公園緑地部にするとか、国民の、要望に対処していけるような機能にすべきであると考えるがどうか。そういうようなことが提案でございます。  約束の時間も過ぎておりますから、こういうことを今後大いに検討して、実現をしていただきたい、このように思うわけでございます。
  117. 西村英一

    西村国務大臣 一々それにお答えするのは時間がたいへんかかりますから、いま速記録に残っておりますから、せっかくの御提案でございまするから、速記録を見ましてそれに対して対処したい、かように考えておる次第でございます。
  118. 新井彬之

    ○新井委員 終わります。ありがとうございました。
  119. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、吉田之久君。
  120. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 いま他の委員からもいろいろ御賛同ございましたけれども、また大臣の御答弁にもありましたとおり、われわれこの公開問題を別機に、日本と諸外国の都市そのものの構造ないしは概念の根本的な違いをもう一度大いに反省し、そして問題を、再確認しなければならないというふうに思うのです。モスクワへ行きましてもパリへ行きましても、プラハでもウィーンでも、どこの町でもそうですが、上から見るとともかく森の中に近代的な家が配置されて、静かに、連想しながらひそみ込んでいるという感じがいたします。ところが日本の近代都市は、ともかく見渡す限り全部ビルでなければならぬのじゃないかと思い込んでいるぐらい感覚が違う。いま大臣からお話がありましたように、確かにその民族の持っておりますいろいろな歴史的沿革も違います。個々に庭を持ったり、あるいは神社やお寺を持ったり、そういうことで沿革は違うと思うのですけれども、しかし日本もここまで近代国家として発展し、先進諸国に伍して国際的に交流をはかっていかなければならない、あるいは国民の生活、健康そのものをより科学的、近代的に再検討しなければならないということから考えますと、今度提案されております緊急整備計画はまさに時宜を得たものだというふうに、私どもは敬意を表しております。  しかし、そこでどうしても気になりますのは、この公園行政のおくれそのものは、やはり私は政府にもあると思うのです。特に今度の法案を見ましても、いわゆる公園に対する水木的な、基礎になる法行がいかにもばらばらで、不備で、思いつきだというふうな感じがしてならないのです。私は特にこの機会に申し上げたいのですけれども建設省が一応責任を持っている都市公園あるいは今度問題になっておりますいわゆる都市公園等という考え方、それから環境庁が管轄いたしております自然公園、この辺は非常に概念がはっきりしなくて、お互いに交差しておりはしないか。もう一ぺんこの辺でいろいろと整理し直してみる必要があるのではないかと思いますけれども大臣はその点、そうはお考えにならないでしょうか。
  121. 西村英一

    西村国務大臣 整理して見直すというのはどういうことをいうのかちょっとわかりませんが、結局私は法律だけではうまくいかぬと思います。都市公園法というのはずいぶん前につくった法律です。ずいぶんうまいこといっておるわけですけれども、やはりそのおくには今日のような状態なんです。したがって、今回のあれはほんとうに都市公園法を受けて具体的な問題でございますから、これによって具体的には進むと思うのですが……。再検討してみる気持ちはないかと言われても、再検討する点はどういうふうなところにあるのか、御質問意味がちょっと私にはわかりかねます。もちろん不備なところは法律を直さなければならぬことは当然であります。
  122. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 ちょっと私の考えを御説明いたしますと、いわゆる都市公団というものは、都市公園の健全な発達をはかり、もって公共の福祉を増進するためにつくるんだ。だから、いまだんだん近代化している市街化地域と申しますか、いわゆる都心部そのものに緑をどう与えるか、あるいは子供たちの遊び場をどう与えるかということがやはり本来の定義だと思うのです。ところが、たとえば明治六年、太政官布告で定められた公園がありますね。東京の上野公園とか芝公園とか、金沢の兼六公園とか、奈良公園とか、これはやはりそういう意味でつくられたものではないと思うのです。しかしこれは現在一応都心公園の範疇の中に入っているわけなんでしょう。それからいま一つは、今度たとえば飛島に国営公園ができます。これはまことに感謝いたしておりますが、同時に、武蔵丘陵森林公園あるいは淀川河川公開ですか、こういうところはそれぞれ、明治百年を記念したり、あるいはいろいろと過去の歴史を振り返ろうということでつくられている。こういう国営公園という発想が現在出てきておりますね。これは広義の都市公園的なものとは別な意味を持っているものだと私は思うのです。それがチャンポンになって一応建設省の領分の中で持ちかかえて走っておる。一方、国立公園というものは、わが国の風景を代表するに足る傑出した自然の風景地などを公園として保存しようではないか、そういう考え方が主体となってできている大規模なものだと私は考えます。そうすると、いま申し上げましたように、都市公園と一がいにいっても、本来の、近代都市のどまん中にある、住民に対応する生活上の公園と、それからいわば家庭にあるたとえば一つの庭か座敷のような配置として国家が持たなければならない公園と、さらに大規模な国立公園あるいは国定公園的なもの、この辺の概念がもう少し整理されないで、ただともかくその時代時代の動きの中で、ではまあうちでとりあえずやろうかというふうなかっこうで公園行政が走っている。その基礎になる法律そのものがそういう個個ばらばらなかっこうなのではないかというふうな疑問を感じてならないのです。その点、大臣どうでございますか。
  123. 西村英一

    西村国務大臣 そういう御説明ですとよくわかります。その辺の整理といいますか、法律の上の整理、それからわれわれが考える上の整理、それはぜひともしなければならぬと思っております。しかし、現在建設省があずかっておるいわゆる公開というものは、建設省が都市行政を持っているから、やはり、都市計画で決定した都市の中の公開というものが主眼にならなければならぬと私は思います。しかし例外として、厚生省が、いま環境庁がやっておる自然公園に似たようなもの、あるいは史跡公園といいますか、森林公園といいますか、とにかく自然公園で総括されるようなものを、たくさんではありませんが場合によっては持っておる。しかし建設省でいわゆる公園というのは、おもに都心計画によって決定した都市内の公園ということで概念的には私はつかまえておるけれども、いろいろなこの公園の姿は、自然公園のカテゴリーに含まれるような公園も一部分やっておる、かように考える次第でございまして、法律上これをどういうふうに整理していくかということはまた別な問題でございますが、そういうふうに考えております。その辺につきましては少し考えをまとめなければならぬというふうに思う次第であります。
  124. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 別にいますぐやらなければならぬ問題ではございませんけれども、やはり一度この辺で、建設大臣環境大臣環境庁長官が協議されて、その辺の公園の概念の交通整理、それからお互いの持ち場の明確化ということをやられるべきでないか。私はやはり、いま大臣がおっしゃいましたように、当面何よりも緊急を要する問題は、いわゆる自然のあとかたもない今日の精神的に荒れ果てた都市、これをどう手直ししていくか、自然を取り入れて、より情緒的な、人間の快適な環境に変えていくかという問題にやはり最重点を建設省はぶち込むべきである。その他の面では、さらに国土全般のいわゆる環境をどう保全していくか、美化していくかというふうな問題は、環境庁なら環境庁で真剣になって考えるべき領域ではないかというふうな気がいたします。環境庁の方いらっしゃいましたら、いまの時点でこういう問題をどう考えているか、参考までにお聞きしたいと思います。
  125. 宇野佐

    ○宇野説明員 いま先生御指摘の問題、私どももいろいろ考えはいたしておるわけでございますが、ただ都市公園とわれわれの自然公団と、それぞれにやはり沿革がございまして、また制度的にもいろいろ違いがあるわけでございます。特に自然公園について申しますと、わが国の土地の所有形態とかいろいろな社会的な情勢がございまして、現在のようにいわゆる地域制と申しますか、区域をきめて指定をするというふうな制度になっておるわけでございます。そういう意味で、たまたま自然公園の中にあるいは都市公開がある、あるいは都市計画上のいろいろ施設が入ってくるという問題もございまして、一がいにこれを完全に分けてしまう、分離してしまうということは実はむずかしい問題でございます。ただ具体的な問題になりまして、いろいろ都市計画あるいは都市公園の問題と自然公園の問題がぶつかり合うというふうなことがありました場合には、常に建設省と私ども環境庁の両省の間でそれぞれ相談をし合いまして、調整をしてまいっておるわけでございます。根本的な検討というものが必要であるかもしれませんが、いまのところ私どもとしては、この沿革あるいは社会情勢から考えまして、当分はこのままでやむを得ないのじゃないか。それぞれ調整し合っていきたい、そういうふうに考えております。
  126. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 大臣、国営公園なんかをつくられた場合に、その管理などは環境庁のほうの出先にまかしたり、あるいは地方公共団体にまかしたりなさるのだろうと思いますが、その辺も非常にいろいろと各省にまたがる微妙な問題が出てくると思うのです。ただつくっておけばそれでいいというものでもない。いろいろと法律整備も必要でしょうし、またそういう仕事の分掌もやはりできるだけ一貫した、筋の通ったものにされることが一つの大事な問題ではなかろうかと思いますので、その点は申し上げておきます。  そこで、私はいつも気になるのですが、たとえば日本の都市の一人当たりの公開の保有面積ですね。これが諸外国のそれと比べてはまるでけたが違う。諸外国の場合、ここで出てくるたとえばベルリンの二十四・七平米、ニューヨークの十九平米というふうな数字は、いわゆる都市公園的なものをその人口で判った数字ですか。その辺はどうなっているのでしょうか。
  127. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 お尋ねの点は、都市公園的なものを人口換算したものだと思います。先ほどいろいろ御質問がありました公園というものの概念でございますが、私どもの公団というものは営造物公団という考え方で、つまりつくり出した公開である。都市公開法の公開はまさにそういうものであります。それから国営公開も、これは都市公園法じゃございませんが、都市公園法に準じまして国がそういう営造物としての公園をつくるということでやっておるものでございます。諸外国の統計に出ておりますものも、そういうふうにつくられましたいわゆる営造物としての公園、そういうものを統計で示したものでございます。
  128. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 その辺だと思うということでは少しあいまいでして、私たちもその辺、そうだろうと思いますけれども、歴史的な背景も違いますが、いわゆる同じ次元のものをとらえてそして論じていく、ないしは、自然公園的ものであっても一応その都市中心部に所在するものは、これは公園機能に変わりはないわけですから、人間との関係においてはやはり取り入れて計算していくということで、日本が諸外国に比べてなおどういう現状にあるかということを精密にいろいろ検討して、どこまでアプローチしていくかという問題の目標を立てていただきたいというふうに思います。  それからいまちょっと思い出しましたが、国営公園も基礎的な法律はないようですね。ですからこれもたいへん思いつき的だと言われればそんな感じがいたしますので、その辺の背景をはっきりしてほしい。  それから、公園というものは読んで字のとおり公のものでありまして、これは個人の能力でできるものじゃございませんので、国費が九%ないしは十数%ではまさにお寒い話だと思うのです。少なくとも半分くらいは国費をぶち込んで公園を国民のためにつくっていくんだ、庶民のためにつくっていくんだということのために今後一そう馬力をかけて努力をしていただかないと、この程度ではとても日本の現状を諸外国に近づけることは不可能だというふうな感じがいたします。  それから、時間がございませんのでいろいろ申し上げますが、特にこの際気を配ってほしい問題は、いわゆる市街地の問題は大臣いまお考えのとおりですけれども、さっき新井さんとのお話にもありましたが、いわゆるいなかの町ですね、これをどうするかという問題です。私は、ここで巨大な金を投じて、いま公園をあらかじめ配置していくということは日本では少し無理だと思います、市町村財政からいっても。しかし、先ほど大臣もおっしゃったように日本にはそれなりの沿革がありまして、鎮守の森と、いうものがあるのですね。こういうものがいま非常に荒廃しております。これは少し金を投じて手を加えればそのまま公園的なものになる。それがいなかの都市が大きくなっていった場合に非常に大きな役割りを果たすというように思います。また現にそういう意見が学者の間でも出ております。これも現に手直しをすればすぐに役立つ公園ができ得るということをお気づきいただきまして、その方面でいわゆる既存の公園らしきものをどう保存し、充実していくか。  それから、都市の全然の砂漠のようなところに新しい公園を、これはもういかに国費を投じてでも土地を買い上げてしまって、本来の都市公園を新しくどうつくっていくかという問題を整理してかかっていただきたいと思うのです。私は特にいま着目していただきたい問題は、工業再配置法ができますので、工場移転される場合に、そのあと地を全部公園にしていくくらいの気がまえが必要じゃないか。これは価格の問題で相当折り合いがむずかしいと思いますけれども、その辺は多少、市民の将来のために、大胆な措置をしてでもこれを公開化していくのがいいのではないかというふうに考えますが、大臣はいかがですか。
  129. 西村英一

    西村国務大臣 工場移転する場合、適地でないから工場移転するのですから、それじゃそこを何にするか。ほかの工場が来れば同じことですから、それはやはり市民のいこいの場にすべきだ、児童の遊びの場にすべきだという考えは当然でございます。しかしそういうところは主として高いのです。高くても買え、私はこう言うのです。それでなくちゃ公園はできません。また一番必要なところです。どこでもここでもつくれというなら、いなかならもっと安いのです。邪心でなしにいなかに行けば安いのですが、そういう愚かなことはしちゃいかぬ、高くても買うべきだ、そういうところこそ必要なんだ、こういう考え方でございます。  それからもう一つ、あなたの言われました神社、仏閣の境内をうまく使え、これは非常にいい考え方でございます。私どものほうがそれにどういうふうな手を差し出すことができますか、これは別な問題でございますけれども、あの位置を使わなければいけないと私は思うのです。なおでき得べくんば、わずかな金で整理ができれば、それはしゃくし定木のことでなしに、それに金を少しつぎ込んで児童の遊び場あるいはいこい場ということにすれば、これは一、石でもって非常に効果をあげるわけですから、たいへんいい考え方だ、私はかように思っておるような次第でございます。
  130. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 それから、実はこの間、市街地化区域の農地、特にA農地の問題が税制上の問題でいろいろと問題になりました。そのときに公園または緑地にしようではないか、そういう名目とそして態度がはっきりすれば配慮していいということに現状なっております。こういう動きをとらえて、これが単に税金のがれのか便ではなしに、ほんとうに説得して、緑地ないしは公園地に買い上げていくということは、建設省がことしあたりからほんとうに真剣になって取りかかっていかれていい問題ではないか。またそうでもしなければいまの市街地の公園問題は解決しないと思います。この点、大臣は今日どういう御心境でいらっしゃいますか。
  131. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 例の農地課税の問題につきましてはああいう経緯になっておるわけでございます。私どもはあの問題について、いま先生御指摘のような、つまりこれからの都市は、市街化をはかっていく上におきまして必要な都市環境上の緑地、オープンスペース、そういうものを積極的に考えていかなければならない。その際には、都市公園とかそういう公共団体がつくっていくような公園だけでは十分カバーできない面がございます。いわゆる生産緑地と申しますか、そういったようなものも積極的に都市計画の面で取り上げていくということも考えるべきじゃないか等々の理由から、先般都市計画中央審議会の第二次の答申もいただいております。つまり、都市計画区域内におきますところの民有の緑地をいかに保全をしていくかというふうなことにつきましても、何らか新しい制度を考えるべきであるという答申をいただいております。これにつきましては先般の自然環境保全法とのからみもございまして、いわば自然環境保全法の都市版という新しい制度を、環境庁ともどもどもが次期通常国会までに制度化をはかるということになっております。そういう新しい方向のもとで、いま御指摘の市街化区域内の農地の扱いというものも検討していきたい、かように考えております。
  132. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 チャンスというものは生かさなければならないと思いますので、いま御答弁のとおり、ひとつ政府としては関係各省庁の大田と緊密な連絡をとられまして制度をつくり、法が必要ならば法律をつくられて、こういう公園拡大のためにいろいろな手だてを整備していただきたいと思います。  それから、文部省の文化庁、お見えですね。――いわゆる緑とオープンスペースを確保するためには、都市公園整備とあわせて、郷土史的なあるいは文化的な価値を有する自然環境保全しながら公園化していくということがこれから非常に大事だと思うのです。各地でやっておられるようではありますけれども、何か文化庁は、いわゆる古文化財に対して保存しろというストップをかけられることは非常にうまいのですが、実際の金の面や、さらにそれを活用していく面では、たいへんいろいろと御苦心をいただいておるようですけれども、われわれにすればたいへんいらだたしい感じをときどき持つわけであります。その点、今度の公園の緊急整備計画と相まって、文化庁としてはこうした問題をどうお考えになっておるか。ついでに聞いておきたいと思います。
  133. 宮野礼一

    ○宮野説明員 お答えいたします。  文化庁のほうは文化財の保護という観点からこの行政を担当しているわけでございますが、私ども文化財の保存というものは、もちろん保存がまず第一義的に大事で、これが後世に伝えられなければいかぬという性質のものでございます。同町に文化財というものがいかに大事であるか、国民のみんながそれを大事にするという気持ちを持ってもらうためには、国民の皆さまがこういう文化財についていろいろ理解を持ち、愛着を持ってもらうことが必要だと思います。そこで私どものほうは、文化財の保存と同時に活用ということも大事な課題と考えておりますので、そういう観点から歴史的に重要な地区、これは私どもでは文化財保護法上史跡として指定をしておりますけれども、史跡として指定した地区の環境整備等をいたしまして、公園的な形で国民の皆さまに活用していただくということを考え、できるだけやっておるわけでございます。建設省のこのような事業に対しましても、私どものほうとしてもそういう観点からできるだけ御協力を申し上げたいと考えております。
  134. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 文化財というものは、ただそれだけを守るのだったら、正倉院みたいにどこか倉庫のようなところに全部入れておけばいいわけです。しかしそれは現に生きている人、将来生まれてくるであろうわれわれの子孫たちに対して文化財に接しさせることが非常に大事でありまして、そのためには足を運んでみようというような環境を用意しなければならない。またそういう美しい環境があって初めて文化財というものが守られ、その真価を発揮することができる。だからこういう公園行政につきましても、文化庁はさらに積極的な意見を建設省などに申されなければならないというふうに思います。  それから最後に、これから生活様式がどんどん変わってくる、自由時間がふえてくる、そしていわゆるレクリエーション都市というふうなものが必要になってくる。それには相当大規模な金がかかるから、いわゆる第三セクターを設立して、そういうレクリエーション都市というものをつくっていこうではないかという考え方があるようでございます。私は大体の考え方としてはいいと思うのです。しかし公園と遊園地は私はやはり本質的に違うと思うのです。だから、国が公園行政を考える中で、そういう民間の遊園地に手助けするようなことが本質的にいいのだろうかどうだろうかという疑問がわいてくるわけです。といって市町村だけではとてもやっていけない。この辺の考え方の統一をわれわれはしないといけないと思いますので、そういう点、ひとつ局長か大臣からかお答えをいただきたいと思います。
  135. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 レクリエーション都市考え方といいますものは、先生御指摘のように官民合同で第三セクター方式でやっていこうという考え方でございますが、中身としますれば、やはり健全な、いい内容のりっぱなそういうレクリエーションの基地をつくろうということが結局終局のねらいであるわけでございます。それのために、やはり核になるところは都市計画公園として整備する。たとえば一千ヘクタールあります場合に五百ヘクタール程度のものを都市計画公園にいたしまして、これは本来ならば公共団体がやるべきでございますが、これを二つに分けまして、公共団体がやるものと、それから民間、つまり第三セクターに特許いたしまして、そこへ公開をつくるというもの、そういうものの合作でそういう核になるところのパブリックな公園をつくることが一つのねらいでございます。それから、それを取り暫く周辺に、公園中心に、しかもその周辺の風致景観に富んだ自然環境を十分にエンジョイするためのいろいろなレクリエーション基地と申しますか、休泊施設を計画的に、都市計画によるところの土地利用計画のもとに配置していく。それからさらにその周辺、これは風致地区とか、そういうふうな都市都市計画規制をかけまして、良好な環境保全していく。そういうものを含めました総体的なものをレクリエーション都市ということで私どもは考えていきたい、こう思っているわけでございます。したがいまして、これが一特定の民間のために、独占企業のために奉仕するとかいうことになることは一番避けなければならないというふうなことを、十分私どもは配慮していきたいと思っております。
  136. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 要望ですが、やはりパブリックなものですから、そういう意図でつくられたせっかくの公園あるいは施設が入園料ばかりかせがれるものに悪用されたのでは、全く事志と違う結果に終わると思います。したがって、あくまでもわが国公園行政の拡大の中で、基本的には公園は大衆のために無料で開放されたものでなければならない、こういう鉄則を貫きながらひとつ国が積極的にみずからの経費を投じて、いま局長からお話ありましたようなもろもろの手だてを講じていく。それが公害をなくする一助にもなりますし、また今日の学生運動の暴走を見たときに、こういう精神的な荒廃をなくしていく一つの大きなささえになると思いますので、一そう馬力をかけてがんばっていただくことを要望して私の質問を終わりたいと思います。
  137. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、油井君。
  138. 浦井洋

    ○浦井委員 時間があまりないから簡単に質問をしたいと思うのです。  公園、特に都市公園といえども公園をつくり整備するということは自然環境の保護というようなことと町立したものでなければならぬというふうに思うわけなんですが、これは当然そうだと思うのです。そこでひとつ具体的にお答え願いたいと思うのですが、難役省は直轄事業として淀川の河川公園に着手するということなんですが、この計画とか、あるいはどういう公園をつくるおつもりなのか、簡単に御説明を願いたいと思います。
  139. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 淀川につきましては先生も十分御存じのとおりでございまして、非常に広大な河川敷をかかえております。私どもの調査では全体で九百ヘクタールくらいの河川敷がある。三川合流地点から下でございますけれども、そういうふうに承知をいたしております。そこへもってきて、淀川のこれからの低水路工事というものが現在行なわれておるわけであります。この際に、その淀川の低水路工事にあわせまして都市河川環境整備事業というものを河川局のほうでお考えいただき、それに私ども公園整備事業が一体になりまして、そこへ国賞の大規模な河川敷公園をつくろうというふうな構想になりまして、それを四十七年度から手をつけることになったわけでございます。具体的には、とりあえず五カ年ではそのうちの三百ヘクタール程度のものを約三十億の事業でやる。その三十億の内容は、まず十億が河川事業――都市河川環境整備事業といっておりますが、その河川事業でやっていただきまして、それから次に十億が、私どもの国営公園でもって大規模なそういう河川敷公園の根幹になるような施設をやっていこう。それから残りの十億につきましては、こういう河川敷でございますから、各地先地先の公共団体がそれを利用するような、身のまわり的な都市公園的な施設をここへ入れ込んでいこう、こういう全体の構想のもとに今年度から手をつけるという計画になっております。
  140. 浦井洋

    ○浦井委員 計画の大要はわかったわけなんですが、いまこの淀川の河川公園について京阪神の学者から、淀川の河川公園をつくると淀川の残っておる自然をさらに破壊していく、そして野鳥であるとか貴重な植物が失われるのではないかというような批判が行なわれておって、これは政府にも要望書が提出されておるというふうに聞いておるわけなんですけれども、こういう学者の意見に対しでどういう配慮がなされておるのか。一たん公園にしてしまって一つの企画にはめてしまうと、自然のままの状態にはなかなか戻らないということは学術的にもいえるわけですし、こういう点で、淀川の河川公開をつくるという際にもう一度この計画について十分な検討をすべきではないかという意見が地元では非常に強いわけなんですが、その辺の問題についてひとつ大臣なり都市局長の御意見を承りたいと思うのです。
  141. 川崎精一

    ○川崎政府委員 淀川は、御承知のように明治の初めから改修工事にかかっておるわけでございます。したがって、かなり自然的な公物ではございますけれども、一方では相当改修といったような手を加えて現在の河川を維持いたしておるわけでございます。しかし、それはそれとしまして、一応現状のような自然の環境のバランスがとれまして、都市としては珍しい、緑なりあるいはいろいろな生物環境をつくり出しておるわけでございます。したがって今回のこういった公園計画を機会に、どのようなフルプランをかくかということがこれからの問題であろうかと存じます。私も先日大臣のお供をいたしまして、そういった淀川の公園計画の一部を現地を見てきたわけでござ・いますが、やはりできるだけ河川の機能に支障のない範囲では、現状における自然の状態というものもやはり長い間のバランスのとれた結果生み出されたものでございますから、なるべく残していきたい。しかしまた一方、都市ではいわゆる都市公園的な施設とかあるいは運動場、こういったものも不足しておるわけでございますから、ある程度はそういったものもやはり満足させていく必要があるのじゃないかと思うわけでございます。現在、いろいろな学者の方々からの御意見もございますし、都市局と私どものほうとよく協議いたしまして、さらにそういった御意見等も入れまして、今後の具体的な計画を練るようにいたしたいと考えております。
  142. 浦井洋

    ○浦井委員 河川局長も都市局長も関西のことはよく御承知だと思うのですけれども、もう一つ具体的な問題をお聞きしたいのです。これは猪名川の廃川敷の問題。この廃川敷は、周囲からは猪名川の自然林というふうに呼ばれて、約三十ヘクタールある。すでにこの建設委員会でも取り上げられたわけですけれども、ここには残り少ないいろいろな樹木が群生をしておって、もちろん野鳥や昆虫も残っておる。兵庫県と大阪府にまたがる地域では最後の自然林だというふうにいわれておるし、さらにその地域の近所には田能遺跡というような貴直な遺跡もあるということで、学界でも非常に高く評価をされておるわけなんです。ところが、尼崎市あるいは豊中市は、九万平米の国有地は公園にして残すけれども、あとは区画整理して宅地に指定してしまおうという計画を持っているわけなんですが、これに対して、先ほどの淀川と同じように、その地域に住んでおられる京阪神の学者、文化人、こういう方々が集まって、近畿のふるさととしてこの自然林を保護しようというような大きな運動が起こっておるわけなんです。昨年の暮れ、環境庁長官も見に来られて、建設省をはじめ関係機関に善処方を依頼して、自然林の保護をはかっていただきたいと思いますというような手紙も学者の人たちはもらっておるということを聞いておるわけであります。この前の建設大臣の答えでも、いろいろそのために努力をしたいということなんですが、その後、事態もだいぶ進んでまいりまして、尼崎としてはその全部を保存するのはとても金がないので不可能だということで、やはり公園をできるだけ広くとって、あとは宅地にしようというような話が具体化しておるというように聞いておるわけなんですが、これはやはり非常に貴重な自然林ということで、一部を公園にするだけでは、植物あるいは動物の生息ということから見て非常に不十分だ。やはり、先ほども言いましたように、一度失われた自然というものは再び返ってこないということを十分に重視をしていただいて、地元に対して国の側からも十分な御援助を、というよりも特別な措置がやはり必要ではないかというふうに私思うわけなんですが、この点についてひとつ大臣のお考えを尋ねておきたいと思います。
  143. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ごく最近の自然公開の保護の問題につきましては、都市局のほうでいろいろ検討をしておられると聞いておりますが、私も現地を見まして、猪名川地区には、規模は小そうございますけれども内容的にはむしろ自然に近いようなかなりの森林があるわけでございます。お話しのように、約四五%程度が国有地、いわゆる河川敷になっておりますが、民地と官地が混在いたしておるものですから、その間にやはり所有者の問題、それからすでに区画整理等が進んでおるわけでございまして、そういった既往の事業との調整、こういったものもいろいろ出てこようかと思います。なおそのほかに、川をつけかえておりますので、いわゆる伏流水といいますか、そういったような排水の機能を保存しておくというような土地も今後は必要じゃないかと思います。そういった点を整備をいたしますれば、現在まだ河川敷になっておりますけれども、こういったものについてそういった新しい計画にできるだけ協力するように、私どもも大蔵省と協議をいたしたいと考えておる次第でございます。
  144. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 猪名川の自然林をいかに保護するかということにつきまして、私ども十分現地からの話を伺っております。先般、大臣も現地へ御視察いただいたようなわけでございます。ついせんだって、これは直接関係いたします豊中市、尼崎市の関係者の方が見えまして、具体的にそういういろいろな自然環境保全をする立場の方々からの御要望、いかにこれを生かしていくかということについてのお話し合いも伺っております。まだ最終的に結論が出たわけじゃございませんが、現在計画いたしておりますところの北のほうの都心公園、これは当然、既定どおり整備するわけですが、それの南のほうにつながっておりますところの帯状の自然林地帯を、極力樹相のいいところを残すという方向で土地の交換分合をやろう。といいますのは、河川局長が申し上げましたように、いろいろ官地と民地とが入り組んでおりますので、それを整理いたしまして、その結果そういう帯状の緑地を残す。これについて私どものほうも都心公開としましてできるだけ国の立場から援助をしようというふうな方向で、いま話を詰めつつあります。これは、区画整理もからんでおりますので、そういう区画整理との関係において公園緑地をできるだけ確保していくというふうなことを優先的に考えてまいりたい、かように思っております。
  145. 西村英一

    西村国務大臣 私も非常に心配になりましたが、実は猪名川はずいぶん前からの改修で、少し言い方がおそかったですね。しかし、まだ全部木を切り払ったわけじゃございませんから、もちろん地方公共団体においての予算の問題もありましょうが、しかし、もうでき得るだけたくさん残すということが私のほうの本心でございます。少しおそかったような気がいたしまして、非常に残念に思っておりましたが、あなたの言うとおり、できるだけのことは公共団体と連絡をとってやる。  淀川の問題ですが、これは大学先生等も相当に意見を持ってきております。もっともです。したがって、上は枚方から下はあの大阪の河口に至るまで、相当な面積です。これを全部遊ばせておくということももったいないわけでございますから、政府が国費を出して整理しよう、そして皆さんに使わせようというのだが、やはり重要なところは、これもずっとコンクリートで張り詰めたようなことをせずに、十分その辺考慮を払ってぜひ公園にすべきだ、こういうことは私は現場で指示をいたしておきました。したがって、これがいよいよ具体的にこうなるああなるという計画ができれば、さらに識者の方々の意見も取り入れまして、りっぱな公園にしたいというようなことを考えておる次第でございまするから、御了承を賜わりたいと思います。
  146. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣、あまりおそかったということを前面に出されずに、ひとつ前向きで取り組んでいただきたい、それはそれといたしまして、次の問題に入りたいと思うのです。  都市公園等の整備五カ年計画で私が一番問題にしたいと思いますのは、やはり第三セクターによる大規模レクリエーション基地をつくるという問題だと思う。たとえば、一つお聞きしたいのですが、紀伊長島町でやられる話があるそうでございますけれども、具体的にこの株式会社の資本構成であるとかあるいは役員の構成であるとか連帯というものを教えていただきたい。どういう予定になっておるのか、報告が来ておれば教えていただきたい。それから、こういう株式会社の行なう事業に国と県あるいは町はどういう財政援助をする予定になっておるのか、この辺の数字を教えていただきたいと思います。
  147. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 紀伊長鳥レクリエーション都市開発株式会社のことについてでございます。昨年の暮れであったかと思いますが、新しい会社が設立をされまして、この会社の資本構成でございますが、私どもが現在報告を受けておりますのは、当初として一億円の資本金ということでございまして、二十万株でございます。授権資本が八十万株というふうになっております。当初の出資構成でございますが、三重県が五万株でございます。それから紀伊長陽町が三万株、名古屋鉄道が七万九千株、以下、紀伊長島漁業観光株式会社、それから三井物産とか、その他銀行関係としまして日本長期信用銀行、東海銀行、百五銀行、第三相互銀行等、そういった金融関係も、持ち株はわずかでございますが、それぞれ出資をしておるわけでございます。資本構成は大体そういったような状況になっております。それから役員でございます。役員は、社長には、これは非常勤でございますが、名鉄の副社長でございますところの梶井さんという方が社長になっております。専務には三重県の元の出納長が、浜田という方でございますが、就任をいたしております。以下、常務には名鉄の前総務部次長の蜂矢という人が就任をいたしております。あと収納役には県並びに地元の市町村その他出資関係の代表者が名前を連ねております。こういうような構成でスタートをしておるわけでございます。  それから、これについて私どもがこれからどういうふうな援助をしていくかということでございますが、実はまだ会社が発足したばかりでございまして、全体の業下請計画等が十分にセットされておりません。いまそれについて作成中といったような段階でございますが、考え方としますれば、先ほど私が申し上げましたように、レクリエーション都市といいますものは、まず都市計画公園というものを核にいたしまして、その周辺自然環境を十分エンジョイするようないろいろな勤労者のための休泊施設とかあるいは遊戯運動施設を配置する。それが全体として大きなレクリエーションの拠点といいますか、基地になるというふうなものをつくる考えでございます。その核になりますところの都市計画公園、これを折半いたしまして、半分は公共団体が都市公園として、半分は第三セクターの株式会社が都市計画公園をいわゆる特許を受けまして整備をしていく、こういうことでございまして、私どもが補助をいたしますのは、公共団体が整備いたしますところの都市公園に対しまして補助をいたします。それから第三セクターがやりますところの公園整備業事、それからその周辺のいろいろな関連施設の整備業事、そういうものにつきましては日本開発銀行から融資を受けるというふうな道がございます。これも計画が具体的してまいりますと開銀の融資が導入できるということになっておるわけでございます。概略はそういうことであります。
  148. 浦井洋

    ○浦井委員 いろいろ言われたわけなんですけれども、この点はすでにこの法案が参議院で論議をされたときに、わが党の春日議員が建設大臣やあるいは都市局長にいろいろお尋ねをしたので、十分御承知だと思うわけなんですが、こういうレクリエーション基地をつくるという構想というのは、ひっきょうするに、大観光資本といいますか、大レジャー産業貸本といいますか、こういうものが非常にやりたいという恣意的なものが働いて、それに対して国や自治体が社会資本をつけてやるというような形にならざるを得ないのではないか、またそういうことが十分に予想されるというふうに私思うわけでございます。都市局長のほうからいろいろお話があったわけなんですけれども、そのときに特殊事業といいますか、特殊な認可を与えて、その中でやらせるのだというようなお話もあったように聞いておるわけなんですけれども、といって、こういう名鉄であるとかあるいはいろいろな銀行資本が入ってくるということは、もうかるということが前提になっておるわけでございます。もうかるという観点を置くならば、最大限もうけたいということになってまいりますと、これはよほど注意をいたしましても、いま日本でいろいろ起こっております観光スプロールというようなことが私当然起こってくるように予想されるわけなんですけれども、こういうことに対して建設省の側としてどのような観点で、どのような措置を講じようとされておるのか、ひとつお尋ねしたいと思います。
  149. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 観光スプロールというお話でございますが、そういうふうな世の中の動きに対しまして、私ども計画的なそういういい観光基地をつくろうという、その一翼をになおうという考え方からこういうふうな構想を出して事業をやっていこうということにいたしておるわけでございます。したがいまして、私ども、レクリエーション都市なりレクリエーションの基地をつくります際には、世上いわれておりますようなそういう乱開発になるということを絶対避ける、すでに持っておりますその土地のいい自然環境をこわさないような、ほんとうにりっぱな、いい環境のレクリエーション基地をつくるということに最大の努力を払ってまいりたいと考えております。  それからもう一点の、紀州独占資本に奉仕すると申しますか、それに振り回されるのじゃないかという御意見でございますが、これにつきましては参議院の御審議でも十分御注意等がございまして、私どももそういったことにならないように、資本構成の面において適正を期してまいりたい。といいますことは、紀伊長島の例で申し上げますならば、現在は第一期の事業でございます。たまたまその第一期の事業といたしておりますところが名鉄関係のそういう地域にかかわりがあるところでございまして、この紀伊長島のレクリエーション都市はさらに西のほうにりっぱないい計画地がございます。そういうところも、一期、三期というところで事業を拡張してまいります。そういたしますと、そういう地域につきましては他の民間の企業というものをこの会社に参加していただきまして、そういう複数の健全な観光関係の企業の参加を得て、それのバランスのとれたしにおきまして第三セクターが適正に運営されていくように、十分私どもこれから配慮してまいりたいと考えております。それから特許事業という点でございますが、これは都市計画法上そういう制度が実はあるわけなんです。都市計画を民間の者にやらせるための一つの方法でございまして、例といたしましては、一団地の住宅経営でございますとか、あるいは都市計画の駐車場でございますとか、そういうものにつきましては、都市計画の決定いたしましたものをそういう特定の会社、企業に特許をしてやらせるという例はもうすでにたくさんございます。そういうふうな都市計画法上の制度を活用いたしましてこの事業を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  150. 浦井洋

    ○浦井委員 資本構成については、第一段階としてたまたま名鉄が関係のあるところが多いのでたくさんになったというようなお話だったのですが、これは参議院でも言われたわけなんですが、新聞記事によりますと、資本同士のあるいは大企業同士の観光開発争いというようなことではっきり地元の新聞にも出ておるわけなんです。こういう点から考えますと、いまの御説明では私はとうてい納得できないと思うわけなんです。  それからもう一つ、この特定事業という問題につきまして関連して質問したいわけなんですが、   〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕 このレクリエーション都市というものはいろいろな三段論法といいますか、そういうものがあるわけでございますけれども、要するに都市計画上特許事業だということで、この第三セクターであるところの株式会社というものは土地収用権を持っておるということになると思うわけなんですが、この点はどうなんですか。
  151. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 都市計画法によりまして、五十九条でございますか、そういうふうな施行権限が特許で与えられることになっております。したがいまして、その事業主体は都市計画事業を実施するということになるわけでございまして、都市計画業につきましては、関係の用地につきましては収用対象事業になり得るというふうな法制になっております。
  152. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうことになってまいりますと、そういう名鉄や――近鉄が少し乗りおくれたというようなことがこの新聞に書いてありますけれども、こういう私鉄資本あるいは観光資本、こういうものに自分の土地が、最悪の場合、収用権を発動されて取り上げられるということになると、これはとうてい土地所有者というものは納得しがたいのではなかろうかということを考えるわけなんです、どのような理由をつけましても。だからそういう意味で、この五カ年計画の中に第三セクターというような項目がすっと入っておりますけれども、これは国やあるいは公共団体が行なう公園をつくっていく事業とは全く本質的に違うものではないか。だからこういう項目はこの際むしろ取りはずしておくほうがよいのではないかというふうに思うわけなんですけれども、この点についてひとつお答えを願いたいと思います。
  153. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 たてまえは、私申し上げましたように都市計画事業でございますから、そういうふうな権能が小業主体に与えられておるわけでございます。しかし、たてまえはそうでございますが、実行しにおきましては、すでに先行してそういう土地を任意買収でもってある程度取得してからこういった事業が行なわれるのが通例でございます。したがいまして、特許事業であるからといって収用権を発動してやるという例はおそらく私はあるまいと思います。ただ、メリットといいますと、収用対象事業でございますので、税金の面で、たとい収用権を発動しなくても、任意買収の場合におきましても、収用対象事業ということで税法上特典がございます。そういう点から土地が入手しやすいというメリットは実はあるわけです。なお、こういう特許事業につきましては、たとえば一団地の住宅施設ということで、電鉄会社が多うございますが、すでに特許事業でもって、都市計画事業で団地建設というものをやっている例もあるわけでございます。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕 いずれもそういう例は、収用権を発動してまでやっているという例は、私は寡聞にして聞いておりません。ただ計画上十分私どもチェックする。そういう観点から、税法上のいろいろな恩典を受けられるというふうなところにこの事業の特色があるのではないかというふうに理解いたしております。
  154. 浦井洋

    ○浦井委員 しかし、いずれにしてもそういう大観光、大レジャー産業資本が、万々なかろうという予想ではあるけれども、収用権を持つということは事実ですし、やはりそういう事業に国やあるいは自治体が基盤整備をやってやるという点は、これはいま吉田委員のほうからも御指摘がございましたように、非常に問題だというふうに思っているわけで、私は大臣に最後に要求をしておきたいと思うのですが、先ほども申し上げましたように、この法案の第二条の三号、こういうものはこの際この緊急措置法からはずすべきであるというふうに要望をしたいと思うわけなんですが、その点について大臣のお考えを聞いて、私の質問を終わります。
  155. 西村英一

    西村国務大臣 さいぜん吉田さんからもお尋ねがありましたが、遊園地と公園とは違うのでございます。それが非常に大事なところです。遊園地と公開は迷う。私はこの三号は、これは一つの方法ではありましょうが、運用にあたってはわれわれ注意をしなければならぬというところでございます。しかし、皆さま方御案内のとおり、民間の人人はいずれも悪人だ、いずれも金もうけばかりに徹しておるのだ、こうきめつけることはできないと思います。やはり善良な意味において、国家も金が少ないのであろうから、われわれもやはりできるだけ国家の援助をしてやりたいというような人もなきにしもあらずでございます。したがいまして、これは今回はこの法律で通していただきまして、この結果非常な弊害があるというようなことになれば、そのおりにまた考える。私は全部これは否定するわけにはいきませんが、運用については非常に首を傾けるところです。あなたと全く同じような意見を持っておる。運用には十分気をつけます。民間には絶対悪人ばかりだとは思わぬ。中には大いに国家に援助したい、こういう人もあるわけです。どうぞその辺で御了承賜わりたいと思います。
  156. 浦井洋

    ○浦井委員 私は、弊害が当然予想されるからあらかじめ削除してほしい、しなさいというふうに言っているわけなので、その点はもう一度重ねて要求をいたしまして、質問を終わります。
  157. 亀山孝一

    亀山委員長 小川君。
  158. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 関連して二、三問ちょっとお尋ねいたしますが、上野公園の問題で聞きたいのです。ただいま緑の問題で、あそこの地下鉄の問題、また成田の新幹線等の問題で、上野公園周辺地域の緑がそこなわれるということで、東京都の美濃部知事から、反対の声があがっておりますが、あの辺の公園に対する都市計画上の成田新幹線との関係はいまどうなっていますか。
  159. 西村英一

    西村国務大臣 私は詳しいことは存じませんが、一応いろいろ東京都とやりとりがありまして、なかなか紛糾したのでございまするが、その後会社とそれから東京都、中に環境庁等も入りまして、一応の解決を見た。工事は予定どおり、予定というよりは多少変更しましてやるようになったということは聞いております。
  160. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 都市局長にお尋ねしますが、そういたしますと上野周辺の上野公園には、成田の新幹線及びその都市問題上の、交通対策の、公団としての侵害というようなことはいまないのですか。
  161. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 上野公園との関係の問題は、一つは京成電車の上野駅、あれは現在地下に入っております。これを線増いたしまして、少しターミナルを整備しようということからあの地下を拡張する工事に関連いたしまして、いろいろ話題になったわけでございます。これはいま大臣からお答えございましたように、いろいろやりとりはございましたが、結論といたしましては既定方針どおり、都市公園としましては地下占用を認めよう、そのかわりに工事については、あるいはあとの復元については、それからちょうど公園の入り口のところの地下でございますので、中にある樹木については十分な配慮をするというような条件等つけられまして片づいたように私ども伺っております。あともう一つの問題は、たしか東北新幹線、東京駅から出ます東北新幹線が秋葉原あたりから下に入りまして、上野公園の下をかなり深くトンネルで通るというふうな計画になっておるようであります。これにつきましては相当深くシールドでトンネルになりますので、直接は公園には関係はないことだと私思いますが、隣接いたします下忍池の地下水の問題等がからみまして、そういう工事をやると非常に影響があるのじゃないかというようなこともからんで議論がされておるやに伺っております、これにつきましてはまだ完全に話し合いがついたというふうな報告は私受けておりません。
  162. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それから第二の問題として、河川敷地内の公園設置の件については、建設省としてはいまどのような計画があるのですか。
  163. 川崎精一

    ○川崎政府委員 現在河川の高水敷が主としてその対象になっておるわけでございます。今回治水の九カ年計画で定められました河道整備の内容といたしましては、約五カ年町で千五百ヘクタールばかりを公園にいたしたいと考えております。これは河道整備を私どものほうでいたしまして、上ものについてはやはり公園計画の一連としてやるということになろうかと存じます。
  164. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、多摩川のゴルフ場のあとの公開、東京都の公開をつくりたいという問題や、埼玉県でいま荒川の河川敷の公園で、民間ゴルフ会社が占用しておりますところを都民や県民に開放して都市公園としたいというような構想について、いま県や都からあると思います。これらについては民法上の所有権のトラブル等がいま係属審理になっておりますが、埼玉県のあの荒川の河川敷について、いま建設省がやっていただいております開平橋からあすこの笹目橋の一帯の都市公園建設状況というものは、あれより拡大して埼玉県に払い下げるようなことがあるのですか。また埼玉県に公園として許可するお考えがあるのですか。
  165. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ただいま申し上げましたのは主として国有地についてでございまして、かなり民有地といいますか、利権の問題等もあろうかと思いますけれども、私どもといたしますれば、できるだけ不特定の方が利用できるというような意味で、公園なりあるいは運動場なり、こういったものをふやす方向で検討していきたいと考えております。
  166. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、土地問題と公園というのは非常に大きな問題がありますが、既成市街地内において公園をつくるということはたいへんなことなんですね。そこで、川口は既成市街地に入っておりますから、荒川の河川敷が相半広大な面積でありますので、あすこを県民いこいの広場とか市民いこいの広場というような公開を設置してもらいたい。ただ、河川敷地内でありますので、上ものを置いておくことは河川法上できませんが、都市公園としてのある程度の形態を整えたところの河川公園というようなものの設置について、建設大臣前向きにひとつお考えをいただきたい、こういうことで私質問しておりますが、どうかひとつその点で御答弁いただきたいと思います。
  167. 西村英一

    西村国務大臣 あすこは私は土地カンがありませんで、私の知った荒川はずいぶん昔のことですが、ゴルフ場もありますし、そういうところかしらぬと思ったのですが、そのゴルフ場を返してもらって公園ということではないそうで、一般に遊んでおるというところでありまするから、これは遊んで地域住民の希望があればひとつわれわれのほうも公開として前向きに考えてもいい、かように思っておる次第でございます。
  168. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、地域住民の意向ということは、県会で決議をしたり市会で決議をしたりという、機会で決議をしたということに理解するわけですか、それとも陳情、請願であればいいということなんですか。
  169. 西村英一

    西村国務大臣 陳情でよろしゅうございます。決議をするとか、そういうかた苦しいことでなくても、陳情を受けて、希望を聞いて判断をいたしまして前向きにやりたい、われわれはかように思う次第でございます。
  170. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、荒川の河川敷の国有地内において、地域住民の陳情、請願があれば、これを前向きに検討していただける、こういうふうに理解してよろしいですね。
  171. 川崎精一

    ○川崎政府委員 まだ残されておるところもかなりあると思いますし、地域の方々の要望といいますか、利用の度合いというものもやはり考慮しなくちゃいけないと思いますし、あとの維持管理とかいろいろな問題があろうとも思いますけれども、ただいまのお話の趣旨で私どももできるだけ努力をいたしたいと考えております。
  172. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 たいへんありがとうございました。以上で終わります。      ――――◇―――――
  173. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、内閣提出首都圏整備法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに質疑は終了いたしておりますので、これより討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  内閣提出、首部圏整備法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  174. 亀山孝一

    亀山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  175. 亀山孝一

    亀山委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、天野光晴君、阿部昭吾君、小川新一郎君及び渡辺武三君から、附帯決議を付すべしとの動機が提出されております。  まず、提出者天野光晴君から趣旨の説明を求めます。天野光晴君。
  176. 天野光晴

    ○天野(光)委員 ただいま議題となりました首都圏整備法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してあります。  御承知のとおり、本案は、首都圏既成市街地における都市環境の悪化に対処するため、工業等制限に関する制度について所要の改善措置を講じようとするものでありますが、本法の施行にあたっては、制限区域を拡大する場合の都市計画との斉合、自治体の主体性の尊重、工場の改築制限大学地方分散の推進、事務所規制の中期法制化、公害発生のおそれのある小工場の新増設移転工場のあと地利用等について十分配慮する必要があると考えられますので、ここに附帯決議を付し、政府に対し強く、要望しようとするものであります。  以上で趣旨の説明を終わります。委員各位の御賛同をお願いいたします。     ―――――――――――――    首都圏整備法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行にあたつて次の諸点について留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。 一、工業等制限区域の範囲を近郊整備地帯等に拡大する場合においては、都市計画との斎合性を図るとともに関係地方公共団体の主体性を尊重すること。 二、工場移転分散を促進し、都市開発整備改善を図るとめ、工場の改築制限について、前向きに検討すること。 三、大学等地方分散を図るため、学園都市建設、地方大学の拡充及び助成の強化等の諸施策を推進すること。 四、既成市街地における事務所の増加が、過度集中に大きな比重を占めている現状にかんがみ、事務所規制について、すみやかに所要の法制を整備すること。 五、規制対象外小規模工場の新増設に際し、公害発生のおそれのあるときは特別の配慮をすること。 六、移転工場跡地の利用については、当該地域環境保全に資するよう配慮すること。   右決議する。     ―――――――――――――
  177. 亀山孝一

    亀山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  178. 亀山孝一

    亀山委員長 起立総員。よって、天野光晴君外三名提出のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、西村国務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。西村国務大臣
  179. 西村英一

    西村国務大臣 本法案の御審議をお願いして以来、本委員会におかれては熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見については、今後その趣旨を生かすようにつとめるとともに、全会一致をもって決議されました附帯決議についても、その趣旨を十分尊重し、今後旭川に万全を期して、各位の御期待に沿うようにする所存であります。  ここに、本法案の審議を終えるに際し、委員長をはじめ委員各位の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表して、あいさつといたします。どうもありがとうございます。(拍手)     ―――――――――――――
  180. 亀山孝一

    亀山委員長 なお、おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  182. 亀山孝一

    亀山委員長 次回は、来たる九日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時七分散