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1972-05-17 第68回国会 衆議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十七日(水曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 天野 光晴君 理事 金子 一平君    理事 田村 良平君 理事 葉梨 信行君    理事 服部 安司君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 渡辺 武三君       小沢 一郎君    大村 襄治君       藤波 孝生君    村田敬次郎君       森下 國雄君  早稻田柳右エ門君       井上 普方君    佐野 憲治君       柳田 秀一君    新井 彬之君       北側 義一君    西田 八郎君       吉田 之久君    浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣         国 務 大 臣         (近畿圏整備長         官)      西村 英一君  出席政府委員         近畿圏整備本部         次長      朝日 邦夫君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省河川局次         長       川田 陽吉君         建設省住宅局長         事務代理    沢田 光英君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局参事官  牧野 俊衛君         建設省都市局下         水道部長    久保  赳君         自治省財政局指         導課長     植弘 親民君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 五月十七日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     阪上安太郎君   吉田 之久君     西田 八郎君 同日  辞任         補欠選任   阪上安太郎君     松浦 利尚君   西田 八郎君     吉田 之久君     ————————————— 本日の会議に付した案件  琵琶湖総合開発特別措置法案内閣提出第一〇  四号)      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を聞きます。  この際、西村建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。西村建設大臣
  3. 西村英一

    西村国務大臣 最近、建設省関係がありますたいへん重大な事故を起こしまして、まことに相すまない次第でございます。  そのうち、まず大阪市の千日デパート火災について御報告申し上げたいと存じます。  大阪市の千日デパート火災によりまして多数の痛ましい犠牲者を出しましたことは、まことに残念しごくでございます。皆さま方もすでに御承知かと存じますが、本建築物昭和七年大阪歌舞伎座として竣工し、後昭和三十三年に千日デパート用途の変更をいたしました。プレイタウンを開設したのはその後昭和四十二年でありまして、このビルはたびたび改造をいたしておるのでございます。このような事態に対処するために昭和四十五年に建築基準法改正をいたしまして、防火、避難の規定の整備強化をはかるとともに、法改正前から存在するこのような複合用途建築物並びに地下街高層ビル等につきましては、なおこのような建築災害が発生するおそれがありますので、十分に措置しなければならぬ、かように考えております。  建設省といたしましては、このたびの災害にかんがみまして、関係行政機関との密接な連絡のもとに、この種の既存の特殊な建築物について至急に総点検を実施し、必要な是正、措置を命ずるとともに、特に管理体制指導を徹底するなど、再びこのような惨事の起こらないように一そう対策の万全を期したいと思う次第でございます。  また、先般の首都高速道路四号線の事故でございます。  首都高速道路四号線二期工事場所甲州街道下り線桜上水交差点付近におきまして工事中、橋げたの落下事故によりまして、その下を通っておりまする清掃タンク車一台、ライトバン一台を押しつぶしまして、そのために四名の死者、二名の負傷者を出しましたことは、まことにこれまた国民に申しわけない次第でございます。  建設省といたしましては、この種の事故を未然に防止するため、従来より工事の安全に対する指導監督強化につとめてまいりましたが、このたびの事故の発生にかんがみ、事故原因を徹底的に究明いたしますとともに、工事安全管理に対する指導監督を徹底するなど、今後このような惨事の絶滅を期したいと思うのでございます。特にただいま警察当局の調べを受けておりますので、まだはっきり関係者から原因を調査することができませんが、この原因につきましても徹底的にひとつ究明して、今後このような事故の再び起こらないようにしたい、かように思う次第でございます。  ここにあらためて皆さま方を通じ、このような大ぜいの犠牲者を出しましたことを国民に対して深くおわびを申し上げる次第でございます。  以上御報告申し上げます。      ————◇—————
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 内閣提出琵琶湖総合開発特別措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北側義一君。
  5. 北側義一

    北側委員 この琵琶湖総合開発特別措置法案に入る前に、ただいま大臣が報告なされました千日デパート火災の件なんですが、私も実はこの火災が起きましてすぐ参ったわけです。と申しますのは、ちょうど私のほうの選挙区の関係で、テレビでニュースを見てすぐ飛んでいったわけです。この火災で一番問題点は、これは建設関係とは関係ありませんが、消防のほうの関係になるわけですが、防火責任者が、階段があるにもかかわらず全くかぎをかけておった。そうしてあのような悲惨な事故が起きておるわけです。初め死傷者の数も、二十一名、二十三名、二十六名。その際に、あの七階にあるキャバレーの中にあれだけの人が死んでおった、こういうことは想像できなかったわけです。朝の四時半ごろ消防隊決死隊が入って初めて確認されたわけです。そこで一番問題になるのは、やはり建設省関係としては、ああいう七階であれだけの事故が起こったわけです。ところが建築基準法改正になりまして、改正以前の建物につきましては、そういういわゆる防火または救助の面の措置というものがとられておらない。そういう面を考えてみました場合に、東京あたりを見ますと、高層ビルの非常に高いところに不特定多数の人が寄るようなそういう場所がずいぶんあるわけです。これから日本においても都市開発等が進められまして、最近のビルにつきましてはそのような施設がかなり整っておると思うのですが、整っておりましても、まずその防火管理者がよっぽどしっかりしておらなければ同じような事故が起こってくるんじゃないかと思うのです。それと、これから建築するそういう建物につきましては、やはり階段等を考えてみますと、私らしろうとですが、非常階段は外につけるべきではないか。というのは、あの七階で死にました多数の人は全部ガスで死んでおるわけです。御存じのとおり、大体三階から火が出まして、四階にエスカレーターを伝って火が燃え移った。そうして五階になりますと完全には燃えてないわけです。六階は燃えておりません。七階も当然燃えておらない。ところが窓側に全部が出まして、はしご車が救出した。ところが救出すべき人がおらない。もうおらないだろうと思ったところがあの中で死んでおったわけですから、おそらく一分か二分の間に煙、ガスに巻かれて死んでいったのであろう、こう想像するわけなんです。そういう点を考えますときに、これからの建築物についても、いままでの基準法以前の建物についても、よほど考えなければいけないのじゃないか。このような考えに私立っておるわけなんです。細部にわたっては、琵琶湖のほうがきょうの賛同になっておりますので、しませんが、そういう点について、総点検なさることについては非常にありがたいことですが、建築基準法の適用以前の建物については今後どのようにやっていかれるのか、それだけひとつ伺いたいと思います。
  6. 西村英一

    西村国務大臣 法改正以前の建物でございますが、これにつきましては、法改正のときには多少大改造のときにやってもらいたいということでございましたが、やはり今回の事故にかんがみまして、ひとつ新しい改正法に準じてできるだけ改造するように指導したいと思っております。それから、とにかくああいう事故があったときにいつも開くことでございますが、水上のホテルの事故でもそうでございますが、非常口があっても非常口がさびついてあかないとか、あるいは非常口を締めておったとか、とにかくいかにりっぱな建築基準法を守っても、運用の面について非常に足らないところがある。これは自治省消防の問題ではありまするけれども、私のほうも一緒になってやらなければとてもやれる仕事ではありません。私は自治大臣と今度はとことんまで打ち合わせて両方でやりたい。ことに目的のたくさんないわゆる複合ビルというものは管理者がそれぞれまちまちでございまして、なかなかこれの取り締まりもできないというようなこと、いろいろな問題があります。したがいまして、これはこの犠牲者をむだにしないために今度は徹底的にやろうということで、現に大阪相当にやっておりますけれども、何さま対象物もたくさんありますので容易ではありませんが、ひとつ今後は十分検討したい。なお、従来の不適格の建築物についても十分やらなければならぬと思っております。高層ビルもたくさんできますので高層ビルの問題もございますが、地下街の問題です。いまも土地が狭いからずいぶん地下街をつくれ、つくれといっていますが、あれがもし事故になったら一体どうするのかということも非常に心配なんです。したがいまして、地下街の問題についてもいまのようなことでもって許可していいかどうか。あるいは道路下占用許可にしても、事故が起こればもろに建設省責任です。建設省責任はどうでもいいとして、大ぜいの死者が出たらたいへんと思いまするから、今後十分注意をして、今回の事故に対して特にわれわれは管理体制をもう少し徹底的にやりたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、御報告申し上げます。  ただいま傍聴席エチオピア帝国の皇孫及びエチオピア帝国の大使が来ておられますので、御報告申し上げます。拍手をもってどうぞ……。〔拍手
  8. 亀山孝一

  9. 北側義一

    北側委員 その点ひとつこれから他の建設委員会でこれはみっちりやりたいと思いますのでよろしくお願いいたします。  まず、この琵琶湖総合開発法案に入る前に一つお尋ねしたいことは、これからますます水の需要ということについては非常に大事な問題になってくるわけです。日本は非常に降雨量が多いわけですが、残念ながら非常に河川が急流である、また一度に雨が降る、こういうことで非常にむだな水がすぐ河川から海へ入っていく、こういうことになっておりまして、今後の水需要については非常に大きな課題であろう、こう思うわけでありますが、大体欧米先進国とか、またそれ以外の低開発国、また東京大阪、このようなところで、一体今後の水の一人当たりの一日の需要量というものはどのように上がっていくのかということについてまずお伺いしてみたいと思うのです。昭和四十五年、昭和五十年、昭和六十年、文化が進めば進むほどこの水の需要というものは非常にふえてくるのじゃないか。琵琶湖総合開発計画にいたしましても、やはり下流側水需要に対する計画そこらからマイナス一・五メートル、四十トン——これは琵琶湖の都合もあるでしょうが、そのような見通しを立ててやっておられると思うのです。そういう点で、現在と昭和五十年、昭和六十年、欧米諸国では大体一日当たり一人の水の需要量がどうなっておるのか。また東京大阪ではどうなっておるのか。こういう問題について一ぺんお聞きしたいと思うのです。
  10. 西村英一

    西村国務大臣 国民一人当たりどれだけ要るかということについて、その水の用途の問題、第一は生活用水、ということになれば日本相当によけい使っていると思います。河川局長が来ておりますから、間違っておればあとで訂正していただきますが、五百リットル・パーマン・パーデー。生活用水は多少ふえますけれども、そうむやみやたらにふえるものではありません。ほかにふえるのはビル等用水の問題でございます。なお先進国、アメリカは別として、欧州あたりの人よりは東京あたりはたくさん使っているのではないか、そういうような気もいたしておりますが、それは前の知識ですからわかりませんから、河川局長にでも欧米との比較はしていただきます。
  11. 北側義一

    北側委員 水の需要については工水とか上水、農水、いろいろみな違うものですが、私が言ったのは上水でありまして、一日大体五百リットル。現在日本では一日平均全国平均がおそらく一三九十ぐらいじゃないかと思うのです。これが昭和五十年、五十五年、六十年になってきた場合に、文明の近代化という点とマッチしてこの需要が非常にのぼってくるのじゃないか。そこらから今後の日本全体の地域水需要というものは考えなければならない、そのように私は思っておるのです。そういう点でお聞きしたわけですが、これはあとのほうでも出てまいりますので、あとでまた質問さしていただきます。  そこで、この法案の第一条の目的の中に「自然環境保全を図りつつ、その水資源利用とそ観光資源等利用とをあわせ増進するため、」このように書いてあるわけなんですね。これは非常に大事な問題だと思うのです。ということは、どうしても自然環境保全ということと水資源利用及び観光資源等利用とは相反するものじゃないかと思うのです。どうしても自然破壊につながっていくものじゃないか。そこらがこの法の一番最初の目的にうたわれておるわけですけれども、これがはたしてうまくマッチしていくのか。たとえば一つの例をあげますと、琵琶湖周辺道路ができる、観光施設ができますと、そこにどうしても住宅等も建ってくるのじゃないかと思うのです。ということは自然環境保全ということと逆になってくるのじゃないか、こういう考え方を持つわけなんですが、そこらの調整といいますか、そのようなものは大臣としてどのように考えておられるか、それをまずお聞きしたいと思うのです。
  12. 西村英一

    西村国務大臣 私は、自然環境開発とは反しないと思います。なぜかと申しますと、ああいう琵琶湖のような景観のところは、開発しようとしないとにかかわらず、現在の状態では観光及びレクリェーションに自然に人は集まります。集まります場合に、便所一つつくるのも開発でございます。道路を必要なところにつくるのもやはり開発でございますから、その開発をしつつ自然の環境を保持するということがいまの国土では必要じゃなかろうかと思うのです。開発営利事業でやるならば、それこそ自然の破壊になるわけでございますから、適当な環境を保ちつつ開発をする。開発環境をそこなわないように開発するという精神でいくべきじゃないか、私はさように思っておるのでございます。それから、この法の目的の中に自然環境保全が第一だといったのは、かりにいまのままにしておけば一体琵琶湖はどうなるかということでございます。好むと好まざるにかかわらず人がたくさん寄ってくるのでございますから、そこで水の清浄の問題も大気汚染の問題も含んでの自然環境保全を第一の目的にしますよ、こういうことでございます。
  13. 北側義一

    北側委員 大臣の言われることはわかるわけですが、ただ私の心配しますのは、たとえば、今回私は視察して見たのですが、御存じのとおり湖西線ができるということで鉄道が新しく敷かれる。そういうことで、また総合開発が行なわれることによって観光事業等が乗り出してくる。そこで現在土地買い占め等が行なわれておるというのです。いま大臣が言われた、このまま琵琶湖をおいておいたら琵琶湖は死の湖になる。全くそのとおりだと思うのです。そこでこの琵琶湖開発して、そして自然環境破壊を防ぐ。大臣の言われることはよくわかります。しかし実際問題として土地買い占めが行なわれているということは、そこに何らかの観光業者が乗り出してくることは当然じゃないかと思うわけなんです。そこらの問題の規制とかいうものがなければ、ここに書いてあるような法の目的どおり自然環境保全ということは非常にむずかしいのじゃないか、このように思うわけなんです。やはり観光業者となりますと、これは当然営利目的ですから、そこらのことが心配なわけなんです。それでいまお尋ねしたのです。たとえば土地買い占めとか観光業者が進出してくることに対して、自然環境保全をはかっていくような何らかの形のものをこの計画の中においてとれるわけですか。
  14. 朝日邦夫

    朝日政府委員 お答え申し上げます。  民間業者土地を取得することについて制限をする措置は、いまのところ私どもとしても持ち合わせておりませんけれども、この総合開発事業の中で観光資源利用、活用をはかるということにいたしておりますのは、先ほど大臣からもお話がございましたように、ほうっておきますと仰せのとおり非常に乱開発になってくる。これは好むと好まざるにかかわらずそういうふうになっていくわけでございます。たとえて申しますと、レクリエーションの基地の建設等計画いたしておりますけれども、これはやはりそういった琵琶湖周辺観光資源利用する意味で、その利用のための施設を集中的に計画的にいたすことによりまして、少しでもみだらな利用を排除しようという考え方予定をいたしているわけでございます。それから民有地を買い上げる計画がございます。これは主として景観の保持上必要なところであるとか、あるいは自然のたとえば水生植物が生育いたしておりますような地域でこれを買い上げて、そのまま保全をいたすことによってそういった自然の環境を保持しようとかいうような、土地をいわば公有化することによって自然環境を保持していこうというふうな事業予定をいたしております。それからさらに、自然公園なり都市公園整備の問題でございますが、特に自然公園につきましては、湖岸の緑地の保全ないしはこれの育成の事業を考えておるわけでございます。そういったことで、乱開発と申しますか、ほうっておけば現在の制度のもとでは民間の自由な活動を抑制できない面がございますけれども、この総合開発計画の中で公的に関与することによって、そういった面を極力排除するようにつとめたい、こういう考え方でおるわけでございます。
  15. 北側義一

    北側委員 そこらの問題はひとつよくやっていただかなければ、現在もうすでに土地買い占め業者がやっておる。そういうことになりますと乱開発される危険性が非常に出てくるわけです。そうしますと、この目的の自然の環境保全と、このようないわゆる観光資源利用、こういうものはこの法の目的どおりにならないように思いますので、その点特にひとつよく考えてやっていただきたいと思うわけです。  それから、この琵琶湖総合開発につきましては二十数年米の懸案でありまして、大臣が非常に苦労なされてやられたことに私は感謝しておるわけですが、しかし初めの計画ではマイナス二メートル、四十トン、こういう下流側意見があったのです。この下流意見というものは、下流側意見だけではなくして、建設省としてマイナス二メートル、四十トンという、こういういわゆる建設省の試算がそうなつておったわけです。ところが話し合いによってマイナス一・五メートル、四十トン、こういう中間案のような答えが出てきたわけですが、このマイナス一・五メートルで四十トンという値と二メートルで四十トンという値、これは渇水期に問題になるのじゃないか、こう思うわけですが、ここらの考え方はどのような考え方で私ら考えていいのですか、これは。
  16. 川崎精一

    川崎政府委員 琵琶湖の戦後の総合開発につきましては、第一期の河水統制事業昭和十八年から始まりまして二十七年に終わったわけでございます。その後、琵琶湖利用のしかたにつきましていろいろ検討がなされてきましたが、私どものその間における計画につきましても、いろいろ変遷と申しますか、そういった経過があったわけでございます。当初は琵琶湖を南北に締め切って、北湖のほうを三メートルまで使う。その後さらにできるだけ全湖を利用したい、深さも三メートルでは少し極端過ぎるのじゃないかというようなことで、北のほうを低いもぐりぜきで締め切って使おうじゃないか、こういう計画もございました。しかし、その後いろいろ水産調査その他湖岸調査等を行ないまして、大体全湖二メートルで利用したいという計画が一番新しい私ども計画でございました。ただし、この計画におきましても、大体この水位で現在の四十トンを常時供給をいたそうと思いますと——どものほうで過去明治七、八年くらいから歴史的な記録があるわけでございますが、このほかに桂川とか木津川、こういった資料が全部整ったのは大正年代に入ってからでございます。やはり枚方にある大阪基準流量を見つめながらそういった木津川桂川を合わせて調節をいたしますと、大正七年くらいから約四十七、八年間の語録を調べてみますと、私どもの当初二メートル案といっておりましたものにつきましても、やはり野放しで放流しますと三メートル十ばかりほとんど昭和十四、五年ごろには下がるわけでございます。しかし、これは非常に被害が大きいということで、これを確立してといいますか、約四十八年間で四百日程度、九八%程度二%だけはこれを割るというようなことで、一メートル五十以下になりました場合には機械的に放流量をしぼっていく、こういう操作をしたら二メートルにおさまるのじゃないか、こういう案でございました。大体琵琶湖のいろいろな被害その他が、マイナス一メートル五十ないし二メートルから急激にふえるということが水産その他でも予想されるわけでございますので、一メートル五十ないし二メートルというのは一つの幅ではなかろうか。ただし、私どもが機械的にそういった制限を加えて二メートルということを一応考慮したわけでございますが、今回はやはり一メートル五十を通常の利用水位、それ以下につきましては、これは単に琵琶湖周辺の問題だけではなくて、下流の水の需要の実態、それから下流の淀川の各河川渇水状況による環境の変化、こういったものも総合的に判断しながら建設大臣がその操作をきめる、こういうことで、実質的には大きく変わっておりませんが、判断基準をやはり広域的な環境面も加えて判断をしようということになった次第でございます。
  17. 北側義一

    北側委員 第一期河水統制昭和十八年から昭和二十七年、このあとの問題につきましてはもう少しあとのほうでお聞きしたいと思うのですが、要するにいろいろな統計を見られて、マイナス一・五メートルで渇水期においては四十トン、あとの問題は大臣がいろいろ協議してきめていく、こういうお話でありますので、その問題についてももう少しあとで触れてみたいと思うのです。  そこで、今後の下流側水需要等を考えてみますと、経済企画庁あたりの想定では、昭和五十五年までの新規水需要、これは毎秒大体七十トン、こういわれておるわけですね。ところが琵琶湖からそのうち四十トン、そのほか室生ダムとか、一庫ダムとかこういうダム建設で毎秒約十トンの水が生み出せる。しかしそれにしてもまだやはり新規需要量に対しては不足するわけなのですが、そういう不足分についての考え方というのはどのように今後やっていくのか、それをお伺いしたいと思うのです。
  18. 川崎精一

    川崎政府委員 お話しのように琵琶湖開発いたしますと約四十トンの新規水利権がふえるわけでございますが、それでもなお十トンばかり不足するわけでございます。したがって、できるだけ流域の開発をさらに進める等、あるいは他水系あるいは裏日本、こういったものの広域的な開発も行ないたいと思いますが、やはりダム建設も簡単には進まないわけでございますし、一方需要もあすから四十トンすぐに需要がふえるという実態でもございません。したがって私どもとしますれば、できるだけそういった需要の実態に合うように供給の面の強化あるいは拡大をはかっていきたい。ただし、御承知のように非常に貴重な水量であり、水質もいろいろ問題が出ておるわけでございますので、ひとつできるだけ水の合理的な利用ということもあわせてやはり施策として取り入れていく必要があるのじゃないかと考えておる次第でございます。
  19. 北側義一

    北側委員 まあそのようなお答えであろうと想像しておったわけですが、大臣、今回の琵琶湖総合開発計画、これは、いままでかつて水資源開発としてはおそらくこういうやり方はなかったと思うのですね。いわゆる受益者が負担金を持って、そうして法律できめて地域開発等を行なっていく、これは水資源開発一つの方法であろうと思うのです。しかし私の心配するところは、こういう方法は、これから先においてこういう方法でやる場合もあるでしょう、しかしそれが一つ問題点となって、必ず下流は上流に対して何らかの負担をしなければならないような問題が、ここでそういう考え方が出てくるのじゃないか、こういうことなのです。そういう問題については、いわゆる琵琶湖総合開発計画のこういう進め方で今後やるような地域はあるのか。私があとで申したような問題について大臣としての考え方はどうなのでしょうか。
  20. 西村英一

    西村国務大臣 このような例は私はあまりないと思います。あまりないというのは絶対ない言い切れないからでございますが、あまりないと思います。琵琶湖日本最大の湖でございますし……。しかしこういうことはあり得ると思います。つまり、これからやはり水を上流でたくわえていくダムをたくさんつくっていかなければならぬ、上流は結局何らの恩典も受けないで、ダムをつくることによって人家は立ちのきを迫られる、生活権は奪われるというようなことでございますから、上流の水源地の方々に何らかの形でやはりそれに見合うところの恩恵を施したい。上流の水源地の開発法と申しますか、開発的な措置を何か考えなければならぬ。しかし、今回のように下流の方々にその公共事業を負担してもらうとかいうようなことは、あるいは全部の公共聖業について特別なかさ上げをするとかいうようなことはあまりない。今回は特別。特別ということは、やはり水を利用しなければならぬということと、水をきれいにしなければならぬ。そうしてその水の需要の最も激しい下流大阪府、兵庫県の方々に対して生活用水を送る、工業用水を送るという特別な理由で、国家も補助金を上げてしっかりやりますから、下流の方々もどうかひとつお願いを申し上げますということであるわけでございます。一般的にはやはり水源地の振興対策というものは考えたい、かように思っておる次第でございます。
  21. 北側義一

    北側委員 今回のこの琵琶湖総合開発計画、これが最初であるわけです、こういうやり方につきましては。今後またこういうやり方でやるような見通しのところはあるのですか。
  22. 西村英一

    西村国務大臣 いまのところ考えておりません。
  23. 北側義一

    北側委員 下流側が、今回の場合ですといま大臣が言われたとおり百五十億、国が百五十億、このようになっておるわけです。ところが私の知るところによりますと、滋賀県側としては四百億を要求しておられた。結局三百五十億になった。その五十億については、私が一番初め、ちょうど大臣が三者会談を行なわれたときに見た新聞によりますと、一応国の負担になるような記事が書いてあったわけなんです。ところがあとで見ましたところが、これはやはり下流負担、こうなっておるわけなんですが、ここらの問題は、この下流負担というのはどのようなやり方でやっていくのでしょうか。
  24. 朝日邦夫

    朝日政府委員 ただいまのお話は、滋賀県に対しまして下流大阪府なり兵庫県なりの公共団体から資金の融通をすることに決定をいたしております五十億円の件であろうかと思いますが、交渉の経緯は、大臣が三府県知事とお話し合いをいただきました中で、まずお話の五十億円の下流負担、これはこの法案でも十一条の一項で考えております負担でございますが、これはおよそ国が特別にめんどうを見る。いわゆる補助金のかさ上げの額と相当の額はとにかく負担いたしましょうということで、その国のかさ上げ額がただいま予定をいたしております事業費を基礎にいたしますと約百五十億円になりますので、金額にいたしますと下流もそれじゃ百五十億円程度は負担をいたします、こういうことでまず合意を見たわけでございます。しかしながら、いま先生も仰せのとおり、滋賀県の要望といたしましては、国なり下流負担なり、いずれにいたしましても総額四百億円程度の援助がほしいという御要望がありましたために、なお百億円程度の開きがある。これをどうするかということで、できる限りこれは国のほうでめんどうを見て、少なくとも滋賀県に負担にならないように措置をしたいという方向で検討しておったわけでございますが、結論といたしましてやはり、三団体、三知事の間で合意を得ましたのは、下流の府県から五十億円滋賀県に融資をいたしましょうということでございます。ただ、百五十億円程度になりますその負担金についても、あるいはいまの五十億円につきましても、滋賀県に対します納付と申しますか、そういった方法なり、あるいは融資の点でございますといろいろ条件等もあると思いますが、こういったことにつきましては、基本的にただいまのような合意を得ておりますけれども、いずれこの法案が御承認をいただきまして、具体に計画の策定、実施に入ります段階で、関係地方公共団体の協議によって決定されることでございますが、私どもといたしましてもその協議には参画をいたしまして、この基本的な線が実現をいたすように取り計らってまいりたい所存でございます。
  25. 北側義一

    北側委員 この下流負担につきましても、下流側としてはおそらくこれは上水の飲料水の値上げ等、いろいろな問題が出てくるのじゃないかと思うんですね。この百五十億以外に五十億の問題につきましては、私思いますのは、これは下流が負担すれば、いわゆる下流が負担しておそらく起債等をやられるのじゃないか、こう思うわけです。かりに起債をやりましても、その条件等、これまた非常に大きな負担になってくるのじゃないかと思うのです。そこら考え方というものは、自治省側と協議なさるのかわかりませんが、どのくらいのことを考えておられるのか、それをお聞きしたいと思います。
  26. 朝日邦夫

    朝日政府委員 ただいまのお答えで大事なことを申し落としたわけでございますが、いまの五十億円に対しましては、下流団体としては滋賀県に融資はいたします。しかしながらそれのための財源手当てについては、ひとつ国のほうでできる限りのことをしてほしいという御要望もあわせてございます。これに関しましては、私ども自治省当局とも協議をいたしまして、ただいまお話しのように、その財源として下流団体が起債をする、そういった方法等も、よく財政状況ともにらみ合わせた上でできるだけの手当てをいたしたいということで、このことも、自治省と私どもとの間並びに下流団体との間でそういう方向の合意は得ておるわけでございます。しかしながらその起債がどういう条件で認められるのかといった詳細につきましては、これから細目の協議に譲りたいと考えております。
  27. 北側義一

    北側委員 そこらのことをできたらはっきり伺いたかったわけですが、たとえば下流側が負担をしてそうして貸し付けるということになりますと、その起債についてはやはり起債の利子等の問題もあろうと思うのです。また貸し付けたら一体いつ滋賀県側から下流側にそれが返済されるのか、どういう返済になるのかということも、これは金額が非常に大きいものですから、非常に大事な問題じゃないかと思うのです。そこらが明確になっておらないわけなんです。もう少し明確に答えられないのですか、これは。
  28. 朝日邦夫

    朝日政府委員 ただいま申し上げましたように、確かに先生お話しのような問題がいろいろあろうかと思います。しかしながら、事の発端は滋賀県の負担をなるべく軽くして差し上げたいということでスタートをいたしておりますし、そのことについては下流団体も十分御了承のことでございますので、そういった方向で、お話しのような問題ございますけれども、これはまさにこれから十分関係団体間で協議をしてきめていかなければならぬことでございます。そういう問題があることは私どもも十分承知をいたしておりますから、先生お話しのような御趣旨をも十分頭に置いて協議を進めてまいりたいと思っております。
  29. 北側義一

    北側委員 なるほど、滋賀県の負担を軽くしたい。しかし下流の負担はこれは一般府民に及ぶわけです。そこらも考えてやっていただきたいと思うのです。たとえば起債にしましても、国のほうで利子を補給するとか、そういう手もまた考えてもらいたいのです。そうしなければ、下流としてもそれだけ負担がかかることによって、一般府民に対してあらゆる上水の値上げ等で返ってくるようじゃ、これは困るわけです。そういう点から申し上げているわけです。そういう点、ここでやりとりしてもおそらく明確にならないでしょう。ならないでしょうから、私はそれを見守ってまいりたい、こう考えております。  それから、滋賀県の造林公社の問題なんです、か、これ等を見ますと、下流団体がこれの社員となって負担をしておるわけなんです。これの借入金の利率等は一体、どれくらいになっておりますか。
  30. 朝日邦夫

    朝日政府委員 ただいまお話しの滋賀県造林公社についてでございますが、これは四十一年でございますか、農林大臣の許可に基づきます社団法人でございます。これは今回の話が出てまいります前に、いわば滋賀県の琵琶湖の水源を涵養すると申しますか、そういった見地で造林を進めるにあたって、従前から水を利用しております下流団体としてもこれに参画していこうということで、お話しのように、滋賀県及び滋賀県内の市町村のほかに、下流の公共団体が参画をして出資をいたし、かつまたその事業の運営につきましてはそれぞれの団体が、農林漁業金融公庫の融資のほかに融資をしておるわけでございまして、その融資の条件のお尋ねであるわけでございますが、ただいま実行されておりまするものは、下流団体が年利三分五厘で造林公社に貸し付けておるという状況でございます。
  31. 北側義一

    北側委員 これなんかも資料を見ますと、利率は年利三分五厘くらいですね。実際の問題として毎年物価は五・五くらい上昇しておるわけです。百五十億の問題につきましては、十年間で工事をやっていくわけですから、物価上昇に従って百五十億が百六十億、百七十億になってくると思うのです。ところが貸し付けるほうの起債については、五十億起債を受けて貸し付けても、これまた物価上昇した場合には、金の実際の値打ちは非常に下がってくるのじゃないか、こういう見方を私はしておるわけなんですよ。そうすると非常に大きな負担になってくるのじゃないか、こう思うわけなんです。先ほどの造林公社の問題じゃないんですが、いまの五十億の問題につきましても、できるだけそれらの点も含んでひとつやってもらいたい、その点お願いします。  次に、先ほど問題になっておりましたトップ会談の話し合いの中で、大臣下流側の補償や基礎工府、これはマイナス二メートルになっておりますね。ところが、異常渇水時マイナス一・五メートル、四十トンというときに——おそらくマイナス一・五メートルというのはかってないわけなんですが、毎秒四十トン取った場合に——そういうことも起こり得るのじゃないかと思うわけなんです。下流としては四十トンもらわなければ断水やむを得ないという非常事態が起こってくるのじゃないか。長年の間には必ずくるのじゃないかと思う。そのときに、建設大臣マイナス一・五メートル以下の分については調停をなさる。これは実際の問題としては非常にたいへんなことになるのじゃないか。そこらの問題として、大臣もこれから次々かわっていかれるわけなんですが、大臣としてはどのように考えておられるのか、それをお伺いしたいと思います。
  32. 西村英一

    西村国務大臣 ちょっと質問がはっきりわかりませんでしたけれども、とにかく一メートル五十以下に下げるときはたいへんだろう。これはまあどちらにしてもそういうときは、水に対して調節の義務を持っておる建設大臣としては、どうしても現実の問題として調節はしなければならぬと思うのです。したがって、そのときの事情によって、これは一メートル五十下げてもらわなければ非常に困るというようなときは、需要のほうでもこれはある程度節水するとかなんとかいうようなことも起こり得るし、供給の面も困らない程度にひとつ下げてもらう。これこそそのときの事情によって調節をとらなければならぬ。そういうことがたびたびあるかどうかということです。これはないとは限りませんけれども、おおむね毎秒四十トンくらいならば一メートル五十でおさまるだろうということです。  それから、さいぜんの下流のほうの負担の同順ですが、北側さんは地元でありますから当然ですが、私は必ずしも下流の方々の負担が大きいとは思わないのです。毎秒四十トンです。しかもきれいな水を供給するためには、滋賀県はあまり富裕県ではございませんが、何と六百億円の下水道をやらなければ水はよくならないのです。現在下水道は五百九十億円になっていますけれども、私はそれでも足りないと思います。したがいまして、これはいまの計画事業をやりますが、今後相当に変化、があると私は思っておるのでございます。毎秒四十トンの水というものはたいへんでございます。それを普通の状態でやれば、いまの補助率二分の一でやっても、下水道だけで滋賀県は三百億円の負担をしなければならぬ。滋賀県はとても負担にたえられないという。それをひとつお願いしたいというのです。したがいましてそう下流の負担にはならない。実は政府も初めは、正直なところを申しますと、下流はやはり利用県だから、政府としてもそんなに金は出せぬ、そんなに補助率を上げるわけにいかぬ、補助率を上げたのは沖繩県だけだという議論もあって、下流のほうが百億出せば政府はまあその半分、五十億くらいでいいだろうというようなことから進んだのですけれども、私として調整するからには、下流に負担をかけるだけ政府も負担しなければならぬ、一対一だ、下流が二百億出さなければならぬのなら政府も二百億出します、出さなければやっていけません、こういうことでいろいろ補助率を詰めてみましたところが、どうしても百五十億くらいの補助率にしかならないのです。そこで、一対一でございますから、下流の兵庫、大阪のほうからも五十億ということです。しかしそれでは滋賀県のほうがまだ不足なんです。そこは調節のところなんですが、その不足の金につきましては政府は何らかの形で一時融通をします。しかし、これをやっていく上におきましては変化があると私は思います。工事量も、総体がおおよそ四千数百億円になっていますけれども、その中の変化もありましょうし、また下水道の変化もありますし、一方補助率が川当上がっていく、それに兄合うだけということになりますから、今後の状況によってこれは変わっていく。ただし、政府は、これだけの事業をやるのでございますから、下流も上流もなるべく負担がかからないように、あらゆることに配慮していかなければならぬという気持ちを私は十分持っておるつもりでございまするから、事業をやっていく過程においてまたいろいろ御相談を申し上げたい、かように思っておる次第でございます。
  33. 北側義一

    北側委員 わかりました。正直に申し上げて、これは大阪府会あたりでいろいろ問題が論議されておるわけです。たとえば第一期河水統制以後、洗いぜきでマイナス一メートル、こうなっておっても、実際は一メートルまで下げてくれなかったとか、そういう不信感が非常に強い、下流下流として。それは府会議員あたりからこういう事情だということを私に言うてくるわけです。そういう点で、これはどうしても上流と下流と相反する利害の問題がございますので、非常にむずかしい問題であろう、こう思うわけです。しかし法できちんと制定された以上は、それはどうしてもそのとおりやらなければならない、このように私は思うわけです。  そこで一番心配になるのは、きのう参考人の皆さんがおっしゃっておられました水質汚濁の問題なんです。これは非常に大事な問題ではないかと思うのです。御存じのとおり、琵琶湖の南湖あたりは最近非常に汚染されてきておるわけです。そこでこの琵琶湖湖の水質について、これは工場排水、家庭排水とあるわけですが、ちょうど昨年の十二月でしたか、くさい水が出たわけなんですよ。植物性プランクトンの異常発生、これが原因である、このようにいわれたわけですが、マイナス一・五メートル下げた場合に、かりにそういう四十トン毎秒流すわけですから、どうしても水位がいままでよりも低下するのではないか、こう思うわけです。その場合に、南湖のこういう植物性プランクトン等が発生して、やはりくさい水の出る危険が非常に多くなるのではないか。たとえば水深が浅くなりますと、どうしても太陽の熱が入りやすいわけです。そうしますとこういう異常事態が起きて、くさい水がどうしても出るのではないか、こういう心配をするわけですが、そこらの見通しについてはどのように考えておられます一か。
  34. 西村英一

    西村国務大臣 非常に専門的でございますから、私よりは、下水道部長の久保さんが見えておりますから……。
  35. 岡安誠

    ○岡安政府委員 もし水位が低下した場合に、琵琶湖湖のくさい水がもっとふえるのではないかという御質問でございますが、琵琶湖水位が低下し、その絶対量を多少減らした場合に水質にどういう影響を与えるかということは、現在必ずしも明らかでない点がたくさんございます。特に、くさい水の原因といわれますのは放線菌であろう。放線菌がなぜ発生するかということにつきましては、モの類が多発した場合に放線菌が相当出るとという説もございますし、そういう因果関係は必ずしもないという説もございます。いずれにいたしましても、私どもはくさい水の原因は放線菌であろうと思いますし、その放線菌はやはり琵琶湖の富栄養化の状態が進むという場合に多くなってくるというように考えざるを得ないわけであります。したがって問題は、琵琶湖水位が低下した場合に琵琶湖の富栄養化がどれほど進むかということになろうかと思いますけれども、私ども今後、やはり富栄養化の原因であると思われます窒素なり燐というものにつきまして、外部からのいわば流入というものを極力規制するという方向に持ってまいりたいというように考えております。ただ、下水道とか工場排水から出ます窒素燐分につきましては、現在必ずしもそれらを完全に除去する技術というものが開発されておらないわけでございます。私ども、四十七年度以降におきまして富栄養化のメカニズムを明らかにすると同時に、その対策につきましても至急開発をするという方向でもってまいりたいと考えている次第でございます。
  36. 北側義一

    北側委員 今度水質汚濁防止のため、琵琶湖については、北湖が即時、湖沼AAで、これはCOD一PPM以下、瀬田川が河川AでBOD二PPM以下、こういう基準がきめられておるわけです。南湖については、現状のCOD一PPM以上の水質を、五年をこえる期間で基準に達するよう、こういういわゆる水質汚濁防止のための施策がとられたわけです。これについて、そのようないわゆる方向、基準に持っていくためには、工場排水、家庭排水等が非常に多い南湖の周辺、これらの下水道計画、これは現在滋賀県でもやっておりますが、これらについてどのような見通しに立っておられるのか。
  37. 久保赳

    ○久保説明員 お答えいたします。  滋賀県が琵琶湖の水質保全をはかる一助といたしまして、全琵琶湖周辺についての下水道計画昭和四十四年から四十五年にかけまして調査をいたしまして、全体の下水道計画の基本構想を定めたわけでございますが、その中で特に緊急を要する部分といたしまして南湖の周辺、これに流域下水道をやりまして南湖の水質保全に資そうということから、四十五年度から着工をいたしております。以上でございます。
  38. 北側義一

    北側委員 一応この基準については達成できるわけですね。
  39. 久保赳

    ○久保説明員 下水道計画全体は、先般琵琶湖に定まりました環境基準の達成を目途にいたしておりますから、それの達成が下水道分については可能でございます。
  40. 北側義一

    北側委員 それとあわせて、最近、これは新聞にも載っておりましたが、琵琶湖でとれた九年前のシジミの中からPCBが発見された、このように京都の市街生研究所で発表になっております。これはおそらく日本コンデンサ草津工場から出たのではないか、こういうことが新聞でも報道されておるわけです。このようなことになりますと、重金属というのは御存じのとおり現在下水処理では取れないわけです。そうしますと、水の中に重金属類が含まれますと非常に重大な問題になるわけです。そこで、いわゆる琵琶湖周辺のこういう重金属をたれ流すようなそういう工場等を現在どのように規制しておるのか。これについてはどうでしょうか。
  41. 岡安誠

    ○岡安政府委員 現在、有害重金属の排出規制につきましては水質汚濁防止法によりまして焼制をいたしておるわけでございます。カドミウム、水銀、鉛等でございますけれども琵琶湖のように水の交換その他が非常にむずかしいような水域につきましては、国が認めております一律基準ではやはり問題があるのではなかろうかということで、滋賀県におきましては国の基準に上のせをいたしまして、一そうきびしい規制をするということにしておりまして、先ほど先生がおっしゃいました琵琶湖の水質を非常によく保つというためには、滋賀県といたしましても一そうシビアな基準を設定するということを考えて、すでに設定しておりますけれども、さらにシビアにするということを考えております。それからPCBにつきましては、現在水質汚濁防止法で規制がされておらないわけでございますけれども、これにつきましては現在分析方法なりいろいろな規制の方法等を研究中でございまして、できるだけ早い機会におきまして規制の対象にしてまいりたい。ただ分析方法が確立しておりませんので、法律上の規制になるかどうか多少問題があろうかと思いますけれども、少なくとも行政指導の指針というようなものについての基準をつくってまいりたい、かように考えております。
  42. 北側義一

    北側委員 この問題は、淀川のちょうど大阪あたりの取水口のヘドロの中からも出てきておるわけです。かなり大幅に汚染されておるのではないか、こう思いますので、この問題は非常に大事な問題ですので早急に対策をとって、またそういう工場等についてはもうすでに全部チェックされておると思いますが、この点特によろしくお願い申し上げたいと思うのです。  それから、大石環境庁長官が先般大阪の淀川等をずっと視察なさったときに、現在琵琶湖御存じのとおり国定公園になっておりますか、これを国立公園にするのだ、そうして自然環境破壊からこれを守るのだ、こういうようなことを長官が言っておられたわけですが、この問題について現有とうなっておるのですか。——それではけっこうです。これはまた大臣あとで聞かしてもらいます。
  43. 川崎精一

    川崎政府委員 淀川の河川敷につきましてはかなりの面積がございますので、これを国営公園ということで、総合的な河川敷の利用を、半面は淀川の三川合流点から以下の左右岸でございますが、そういった点を中心にしまして直轄で公園事業を実施する。これにつきましては単に公園の施設だけではなくて、河川上のいろいろな問題もございますので、河川事業でも環境整備事業と並行して実施して、できるだけいい自然公園というような意味で、河川事業都市計画事業、双方で協力して実施するという形になっております。
  44. 北側義一

    北側委員 もう時間が参りましたので、まとめてずっと言いますからひとつまとめて答えてください。  下水道部長にお願いしたいのですが、たしか昭和四十四年の八月だったと思うのですが、宇治川と木津川の合流点にあった城南衛生組合、これは屎尿処理場で、相当量の、普通一日百キロリットルの処理能力しかないのに二百三十キロリットル処理しておった。そんなことで、放流水の基準はBOD三〇PPM、ところが実際は七倍の二〇〇PPMくらい流しておった、実例があるわけですが、このように淀川流域というのは現在人口が非常にふえてきているわけです。そうしますと処理場の能力以上のものを処理しなければならないような実態になって、その放流水が全部淀川に流されておる、それが淀川の汚染に非常につながっておるわけです。また三川合流点を見ましても、京都から入ってくる桂川が一番汚染されているわけです。ところが京都の下水道計画というのは、流域下水道ですか、たしか達成年次が昭和六十年、このようになっておると思うのです。いただいた資料でもそうなっておるのです。下流大阪あたりは五十五年達成、こうなっておるわけです。淀川の水質の問題で、やはりどうしても桂川をきれいにしなければならない、こう思うのです。上流と下流を見ますと、上流のほうが達成年次が五年おそい、大阪あたりと比べますと。これを何とか早くやるような方法をとらなければ淀川の水質というのはよくならぬのじゃないか、こう思うわけなんですか、その点どうでしょうか、どういう考えを持っておられるのですか。この二点について。
  45. 久保赳

    ○久保説明員 第一点の、宇治川と淀川の合流点付近の衛生組合の問題がございましたが、これは屎尿処理場で、実は私どものほうの所管でございませんけれども、下水道関係でも同じような事情のところがかなりございまして、たとえば終末処理場の処理能力がもうオーバーロードになっておって、放流水が基準を上回るというようなところも間々ございますが、私どもは下水道投資の最重点としまして処理場設備の強化をはかって、環境基準が設定された区域はその基準に一日でも早く近つける、こういう投資の方針で進めておりますので、淀川流域も同一方針で進めたい、かように考えております。  それからなお京都市域の問題でございますが、御指摘のように淀川全体、特に下流部に対する汚濁の発生源が大部分は京都市域でございます。したがいまして、京都市域につきましては京都市の公共下水道の整備強化、並びに先生御指摘の桂川の流域の対策を強力に進める必要ありということで、数年前から桂川流域につきましては流域下水道の実施が適当であるという結論が出ておったわけでございますが、これは国の直轄事業ではなくて京都府の施行になるわけでございますので、京都府のほうもその後進めてまいりまして、本年からこの桂川流域下水道の着工の運びになりましたので、今後鋭意それに重点を入れて、淀川の水質保全のために下水道整備を進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  46. 北側義一

    北側委員 もう時間が参りましたようで、あとの方に迷惑をかけてもいけませんので、まだ数問残っておりますが、次の機会にでもやらしていただきます。
  47. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、西田八郎君。
  48. 西田八郎

    西田委員 最初に建設大臣にお伺いいたしますが、ことしの予算分科会のときに、琵琶湖総合開発特別措置法についての提案は今国会中にするかということをお伺いしましたところ、下流府県との間のコミュニケーションが成立すれば提案をする、こういう御回答でございました。そこで、今回こうして審議をされているわけですが、その下流府県との間にどういうコミュニケーションというか、話し合いが成立したのか、その辺からひとつお伺いをいたしたいのです。
  49. 西村英一

    西村国務大臣 本件は非常に長い間の問題でございまして、おおむね合意に達するところは、水はやはりうまく使わなければならぬ、これはもう両県の皆さま方一致しておったわけでございますが、何と申しましても、上流の開発をするのには滋賀県のほうも金がかかる。また下流のほうはできるだけ負担は少なくて、できるだけよけい水を送ってもらいたい。要望がそれぞれ違うわけで、なかなか合意に達しなかったわけであります。しかしながら、世論がもう待てないのじゃないかということで、大体の世論によりまして三県の首脳者も本気になって、合意に達しなければならぬ’いう大局的な考えがあったようであります。そこで私も、これは待てば待つほど救いがたいものになるから、また待てば待つほど開発の金も要るようになるから、この際ひとつ大局的な見地でお考えを願いたい、一、二年でもってされる仕事ではございません、あなた方に私がいろいろおすすめするからには、将来、政府としてもただ手ぶらでやるということは絶対いたしませんということを話しまして、幸いにして三県の首脳者の方々、それぞれ合意に達した。多少の言い合いもありました、多少の意見もありましたけれども、大局的においてそれではひとつそうしよう、こういうことで合意に達したことは、県民の皆さま方にとってまことに幸いなことだと私は思っております。したがいまして、十カ年計画とおおむね踏んでおりますから、その間にいろいろの問題がまた起こってくると思います。ただ単に今日法律を出しただけで全部オーライだというわけにはまいりません。したがいまして、今後とも三県の県民の方々の福利増進のためになるように政府としても考えたい。こういうことが主眼でございます。
  50. 西田八郎

    西田委員 そういう意味で合意に達したのでしょうけれども、しかしもめてきたのは、琵琶湖水位の低下、それから毎秒四十トンの水をさらに付加して送るということが非常に問題になっておったわけですよ。したがって、そういう水量の問題あるいは水位の問題もある程度話し合いをし了解点に達したと聞いているのですが、その点はいかがでございましょうか。
  51. 西村英一

    西村国務大臣 やはり四十トンというものが点にきまったものではございません。下流のほうの需要者はやはり四十トン以上というような気打ちで、多々ますます弁ずでございます。上流のほうは、四十トンは困る、三十トン。毎秒三十トンというのはたいへんな水ですよ。まあしかし結局のところ、いままでの水の状況から見て、三百六十五日のうちに四十トンを送ってもたいして水位を下げなくてもいいというようないままでの資料から、四十トンはそれじゃしようがない、送りましょう、こういうことになったわけでございまして、いままでのいろいろな経過と、それからそれを踏んまえておのずからそういうふうになったのでございまして、最低水位の二メートル、これについてはずいぶん両者の間に意見があったわけでございます。それは二メートルということになれば、滋賀県としてもそれによって受ける被害というものは甚大なものであるから簡単にはこれは承知はできない。したがってそんなことは約束されては困る。そこで、おそらくそういうような非常渇水というときになればこれは上流の滋賀県だけに食掛をかけるというわけにもいきませんでしょう。また下流水需要の点につきましても何らかの、節水あるいは需要を押えるというようなこともしなければならぬと思いますので、この点は水に責任を持っておる建設大臣にひとつ御一任を願いたい、こういうことで、まあそれじゃやむを得ないかというようなことで合意に達したような次第でございます。したがいまして、まあ両者の間の御要望は両者わかりますけれども、大局的な見地に立ってこういうことになったわけでございます。
  52. 西田八郎

    西田委員 そうすると、従来いわれてきた二メートルであるとか一メートルであるとか一・五メートルというような最低水位ということについては、建設大臣に一任されておるのであって、その一・五メートルというものはきまったものではないというふうに理解していいわけですか。
  53. 西村英一

    西村国務大臣 いやそうじゃなしに、利用水位の低下は一メートル五十まで下げることに責任をもっていたしますということを、これは上流県の滋賀県知事は了承しておるのです。それ以下に下げることは、それはそのときによって建設大臣におまかせしますということでございます。
  54. 西田八郎

    西田委員 そこで、水位が一・五メートル下がるということは近年の統計上にはないわけですね。一メートル三センチというのが一回記録があるわけでありますが、それ以上水位が下がったということはないわけです。したがって県側でも、一・五メートルという約束はしたけれどもまずそういうことは起こり得ないのではないかという想定のもとに、県知事としてもこの機会に大乗的な見地からという立場で一・五というものが理解されたと思うのです。しかしこれは水源涵養なりあるいは治水の事業なり等が行なわれるということを前提にしてだと思うのです。いまのお話のように開発計画が十カ年かかるといたしますと、十カ年かかるまでに極端に一・五というような水位を下げなければならぬというような事態に立ち至ったときに、十分それの予防措置が講ぜられていない、水位だけが約束によって下げられるということになりますと、これは滋賀県側の被害というものはきわめて甚大になると思うのですが、そういう点についての処置というものはどういうふうになるのか。
  55. 西村英一

    西村国務大臣 この申し合わせによって、それじゃ法律が通ればあしたからやるのか、端的にいえばそういうお尋ねでございましょうが、そうはいきません。ある程度のそれに対応する措置ができなければ、直ちに、この法律が通ったからあしたからやるというわけにはいきません。その措置はしからばいつやるのか。十年後にやるのか、こういうことにもまた解釈ができるわけですが、そうもいきません。したがいまして、私は、ある程度の対策ができて、そしてこの程度ならばこの低水位を一・五にしてもいいのじゃないかというような時期を見れば、そのときにはまたやはり三県の知事にあらためて相談をして、合意の上でやらなければならぬ、かように考えておるのでございまして、あしたからやるというようには考えておりません。また十年後でなければ、全部仕事ができなければやれないということでもない。あらためて相談をする機会があろう。かように考えておる次第でございます。
  56. 西田八郎

    西田委員 そうすれば、念を押すようですけれども、いわゆる一・五というものは、琵琶湖自然環境保全から、かつまた琵琶湖周辺地域の県民の生活その他に重大な支障を及ぼさない範囲内において水位を下げる。そういう心配が起こった場合は、たとえその一・五というリミットがあったとしても、非常に大きな被害が出ると認められる場合は、建設大臣関係府県との相談の中でそれはきめていくのだというふうに理解していいわけですか。
  57. 西村英一

    西村国務大臣 さように理解してよろしゅうございます。
  58. 西田八郎

    西田委員 そこで、この法案の本質的な問題になるわけですけれども、特別措置法第一条では、「この法律は、琵琶湖のすぐれた自然環境保全を図りつつ、その水資源利用とその観光資源等利用とをあわせ増進する」こうなっておるのがこの法律の目的のように思うわけですね。そういたしますと、従来一メートル以上下がったことがないというような歴史的な統計上の事例に従いまして、それ以上下がるということは非常な自然環境破壊といいますか、保全がもうできないということにもなろうかと思います。学者の話によりますと、いかなる湖であろうとも水位を一メートル以上下げるということは、これは自然環境保全のみならず、いろいろな面において、その周辺における産業その他に及ぼす影響も大きくて、それ以上下がるということは湖としての用をなさないのだというふうに説かれる学者もおられるわけでありまして、そういう点から考えますと、現在の一・五まで下げるということになるとかなりな自然環境破壊というようなものも生まれてくると思うのです。そこで、この法案目的が、その第一番に自然環境保全といわれながら、問題はやはり水資源開発というよりもむしろ利水ということに重点が置かれておるように思うわけでありますけれども、その辺は大臣としてこのどちらに重点を置くか、この点についてお伺いをしたい。
  59. 西村英一

    西村国務大臣 まあ、どちらに重点が置かれるか、これは相関関係でございまして、これが第一だから、これが第二だから、そう簡単に順位はつけられないと思いまするが、とにもかくにも、いまのままで自然にほうっておけば、それこそ水位水位で保たれるでありましょう。しかしそれでは、人間社会の発達によって必ずしもいままでのようにはならない。そこでやはりこれは開発というものもしなければならぬのだ。しこうして傍に、水をやはりこれは利用しなければならぬのがということになるのでありまして、第一番はこれで第二番はこれで第三番はこれだというふうに、そこはあまり極端に考えなくてもいいけれども、ほうっておけないのだ。また淀川の下流の方々は水がますます要るようになるのだ、それで使わしてくださいということで、相関連したことと私は思います。
  60. 西田八郎

    西田委員 さらに関連して、琵琶湖は淀川水系ということに入っておるわけですが、淀川水系にはいろいろな河川があるわけです。先ほども北側委員の質問の中に出ておりましたけれども、京都の木津川桂川、これらの改修等を含めて考慮をすれば、大半は琵琶湖にたよるということになりましょうけれども、しかしただそれだけにたよるということでもないと思うのです。ところが桂川の場合はとにかく汚濁のしつばなし、そしてまたたれ流しといえばいささか問題があろうと思いますが、ほとんどたれ流しの状態になっておる。こうした水資源保全といいますか開発を同時に行なわれるのかどうか。ただ、あのように大きな二百七十五億トンという水槽である琵琶湖があるから、その琵琶湖だけにたよって、そして他の淀川水系に対する流入河川についての改修も、またそれの水資源開発も行なわないということになれは、これは片手落ちになりはしないかと思うのでありまして、木津川桂川等の改修なり開発について何か計画があればひとつお伺いをいたしたい。
  61. 西村英一

    西村国務大臣 決してそうじゃありません。木津川桂川開発して、もう木津川水系はダムができていまして、いま工事中のところもある。桂川もいまつくろうとしている。しかし、しれたものなんです。とてもそれだけでは下のほうの大阪、兵庫県の水需要をまかなうわけにはいきません。今後の水の利用は、もちろん木津川桂川のダムもやりますけれども、今後水を生み出す方法は、琵琶湖は四十トンであっても、もし足らないとすれば、むしろ大阪、兵庫においての水の再生方法です。安いからみだりに使うというのでなく、できた水を再生する、再利用をするという方法、それにはもう少しこの下水処理を高度化するということのほうがやはり当然やるべきじゃないかと思うのです。支流のほうを開発しても、これは河川局長から後ほど説明してもいいが、わずかな水だと思います。
  62. 川崎精一

    川崎政府委員 ただいま大臣から大要のお話がございましたように、淀川水系の全体といたしましては経済企画庁を中心にいたしまして、淀川水系の水資源開発基本計画というものを中心にしまして開発しておるわけでありますが、すでに宇治川筋では天ヶ瀬ダム、それから木津川筋では高山ダム、青蓮寺ダム、それから室生ダム、さらに本年度から比奈知ダム、こういったものを建設を予定をいたしております。それから桂川につきましても、これは主として京都府の水需要でございますが、日吉ダム等も建設しておる。桂川の上流につきましては地形、地質等もございましてなかなか制約があるわけでございますが、水資源開発公団事業として本年度から着手をいたしたいと考えております。しかしいずれにいたしましても淀川流域の五五%が琵琶湖でございますので、こういった派生的と申しますとあれでございますが、今後の支川のダムは、琵琶潮の操作等を中心にしましてこれらのダムを組み合わせて下流需要をまかなっていく、こういう方式をとらざるを得ないと思います。
  63. 西田八郎

    西田委員 それは大臣桂川木津川を改修してダムをつくったって水量としてはしれているのです。しかしそれは気持ちの問題です。特に京都の場合、二十三・六トンですか、疎水を通じて送られておるわけですね。それがかりに半分でもその開発によって役立つということになれば、これはそれだけ琵琶湖は今度は淀川を通じて大阪へ送ることができるわけですよ。だから、そういうふうに小さいものであるからといってほうっておけば、これは結局はどうにもならないというふうに思うのです。いまのところ水資源は、私は水なんというのはあり余っておると思っておったのですが、いろいろ水のことについて見ると非常にむずかしい問題が出てきている。特にいま水が足りない。どうしてこんなに水が足らぬのかというほど水が足らないわけですが、そういう時期に、たとえ小さなものでもやはり改修をするなり開発をするなりして水資源というものを大切にしていかなければならぬのじゃないかというふうに思いますので、この点はぜひともひとつ進めていただきたいと思うのです。ただ私どもは、京都は何か特殊な地方自治体のようにとられてしまって、最近どこでも公害条例等をやかましく言って設けておるわけですが、京都の公害条例ができましたのはつい最近のことでもありますし、とにかく何かさわらぬ神にたたりなしといいますか、うるさいやつにはさわらぬほうがいいのだという考え方ですとこれは非常に困った問題になります。したがって、そういう点はぜひひとつ強力に進めてもらいたいということを要望しておきたいと思うのです。  そこで、水の再生という問題が出されましたけれども大阪では上水道用の水を中小企業等においては工業用水にも使われておるというふうに聞いておるわけです。それはどうしてかというと、工業用水を導水するための費用よりは現在入っている上水道の水を使ったほうが安くつくからだというようなことをいわれておるようでありますけれども、やはりこういう点は、同じ水にしても、工場用水等で再生水でいいものは、そんな浄水した水をわざわざ使う必要もなかろうかと思うのです。そういう点でやはり指導を一そう強化してもらって、できるだけ水を大切にしてもらうためにこれは御指導をいただかないと、幾らでもあるのだからというわけにはまいりませんので、ぜひその点をお願いしたいのですが、今日までそういう指導をしてこられたのか、今後どういうふうにしてそれを対策をしていかれるのか、お伺いしておきたいと思います。
  64. 西村英一

    西村国務大臣 建設省が積極的に指導したわけではございませんが、企業のほうでおのずからそういうことはやっておるところがあります。これはしかし今後は建設省として指導しなければならぬ。相当に二次処理の水を工場に送っておるところがたくさんあります。大阪もそういう計画はあるが、私はデータを持っておりませんけれども、調べはいたしております。今後やはりこれを計画として相当にやっていかなければならぬ。これは通産省等とも合議して……。それは確かに処理水でございますと単価が安いのです。しかしそこまで持っていかなければならぬから、処理場から工場までパイプが要ります。いろいろな問題がありますから、あしたからやるというわけにはいきませんけれども、水利用のためにはこの問題は建設省としても一つ問題点として取り上げざるを得ない、かように考えております。
  65. 西田八郎

    西田委員 ぜひひとつその点は強力な指導をしていただきたいと思う。ニューヨーク、ワシントンあるいはロンドン等と比べて、あるいは東京と比べましても大阪上水道の使用量は非常に高いといわれておるわけです。そればやはりそうした工業用水にも回っているというようなこともあるので、先日大阪へ行って私自身が調べてきたことなんですけれども、そういう点はやはり大切な資源でありますから特に御留意をいただきたいというふうに思うわけです。  次に、先ほど大臣がおっしゃったように、水の質をよくするということに重点を置かなければならぬと思うのです。よごれっぱなしの水をどんどん送ってそれでもいいのなら別ですけれども、それに他の河川からの流入によって付加されていきますから、やはり一番大きな水源地である琵琶湖の水はできるだけきれいな水を送らなければいけない。従来は南湖から取水する水でも十分水道用水として間に合ったが、最近は南湖の水はAクラスに落ちておりますから、とてもじゃないが上水道としての使用にはたえ切れぬのじゃないかというふうに思うわけですが、そこで琵琶湖の水の汚濁状況についてひとつ関係の方からお伺いをしたい。
  66. 岡安誠

    ○岡安政府委員 琵琶湖の水質の状況でございますが、北湖と南湖とは非常に状態が違うわけであります。北湖のほうから申し上げますと、CODで申しますと、北湖は大体一PPM以下というのが普通の状態でございます。平均して〇・七四というふうに私どもは理解しております。南湖のCODは一PPMをこえておりまして、平均で一・二四という程度でございます。問題は富栄養化の状態でございまして、窒素と燐がどうかということでございますけれども、北湖のほうは窒素で大体〇・一四PPM程度、それから燐が〇・〇〇六程度ということでございますので、まだ富栄養化といわれる状態にはなっていないというふうに考えておりますけれども、南湖につきましては窒素が大体〇・三五PPM、それから燐につきましては〇・〇一八PPMということでございますので、通常いわれております富栄養化の状態にもう入っているというふうに私どもは考えております。そこで今後このような汚染が進行しないように、環境基準を北湖につきましてはAA、南湖につきましてはAといたしましたけれどもなるべく早くAAに持っていきたいというふうに考えております。
  67. 西田八郎

    西田委員 いまの調査は何年の調査ですか。
  68. 岡安誠

    ○岡安政府委員 昭和四十五年度の調査でございます。
  69. 西田八郎

    西田委員 四十六年、ことし四十七年ですが、相当加速度的によごれておりますから、この数字以下になっておる。以下になっておるというのか以上というのか、よりひどくなっておることは事実ですね。そういう事実をお認めになりますか。
  70. 岡安誠

    ○岡安政府委員 四十六年度につきましては私ども全部の数字を持っておらないわけでございます。先ほど申し上げましたのは年間の平均の数字を申し上げたわけでございます。四十六年度につきましてはまだ全体の数字を持っておりませんが、先生おっしゃるとおり、相当汚濁が進んでおるというような数字も、私ども一部承知いたしております。
  71. 西田八郎

    西田委員 これは京大の臨湖実験所だとか滋賀大学の湖沼研究所とかで出されておる数字とはだいぶ違うわけです。大学のほうは学術的な研究の立場から出されるし、また観測をされる地点の相違によって多少の数字の違いはあろうかと思いますが、しかしやはりそうした警鐘というものには耳を傾けていかなければならぬと思うのですが、そのような違いについて水質保全局としてどのように把握しておられるか。
  72. 岡安誠

    ○岡安政府委員 お話しのとおり、水質の調査といいますのは地点にもよりますし、時期にもよりますし、またこの採取の深さといいますか、いろいろ違うわけであります。私どもなるべく密にといいますか、細密に調査をいたしたいと思っておりますけれども、その辺がかないませんので、まだ常時調査というわけにもまいりません。またその辺につきましては、県以外の調査の数字を参考にいたしまして、今後の対策には反映いたしたい、かように考えております。
  73. 西田八郎

    西田委員 そこで、水はそのようによごれてきておる。だからAからAAに上げるというのはこれは当分の間不可能なことですね。むしろAからBに下がるというほうが可能性が強いわけです。そこで水質の汚濁を防止するためには何としても下水道整備ということになろうと思いますし、やはり総合開発事業の中心になっておるのも下水道の整備ということではなかろうかと思うのですが、前回の質問のときの計画からいきますと高島地方が一応除かれておるように思うのですが、これはどうして除かれたのか、ひとつ下水道部長からお伺いしたいと思います。
  74. 久保赳

    ○久保説明員 お答えいたします。  琵琶湖の水質保全をはかるための下水道整備のしかたでございますが、そのしかたは、一応現在考えておりますのは流域下水道とそれから公共下水道、両者を合わせて処理をして放流する、こういうことを考えておるわけでございます。流域下水道につきましては、これは非常に広域的にやるわけでございますから、その流域下水道の方法が経済的かどうか、こういう問題がございます。高島地区につきましては除かれているのではなくて、公共下水道で実施をするほうが当面効果をあげ得るということから、流域下水道計画からは除かれておるわけでございまして、公共下水道計画の中に入り込んでおるということであります。以上でございます。
  75. 西田八郎

    西田委員 そこで、下水道を整備していくためにはかなりの資金と年月を要すると思うので、十年を待っているということになると、百年河清を待つということばがありますけれども、十年河済を待つというのと同じような結果になりはしないかというふうに思うわけでして、これはできるだけ早い期間に仕上げていかなければならぬと思うのですが、その点については計画を繰り上げ実行するというような考えがあるのかどうか。
  76. 久保赳

    ○久保説明員 下水道事業整備、特に水質保全をはかるための下水道整備にあたりましては、琵琶湖環境基準を達成するために必要な流域下水道並びに関連の公共下水道などを整備させていくわけでございますが、特に水質保全対策を強化するために、流域下水道については事業期間を繰り上げまして、終末処理場であるとかあるいは幹線管渠等を概成することによりまして、早急に家庭下水あるいは下水道整備区域内の工場排水の琵琶湖への流出を防いで、琵琶湖の水質保全をはかることが適当である、こういうふうに考えております。ただこの計画は滋賀県知事さんのほうから出てまいりましたものを内閣総理大臣が決定をする、こういう手続がございますので、滋賀県当局に対しましてもそのような趣旨で指導をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  77. 西田八郎

    西田委員 その場合に費用の負担というものが非常に問題になってくるように思うわけです。現在滋賀県は非常に貧乏県でありまして、最近工場誘致等によって多少県民所得は上がっておりますけれども、各市町村の財政力というものはきわめて貧弱であります。大津市が十七万で県下最大の都市といわれるぐらいでありますから、あとは特例によってつくられた市がほとんどであって、いわゆる普通にいわれる市としての態様を形成しているのは大津を除いて二市、あとの四市は五万以下の人口の市が多いわけですし、まして町村に至っては、合併はいたしましたけれども地域だけは広域であって財政力はきわめて弱いというような状況のもとで、財政負担にたえられないというような面が今後かなり出てくるのではないかというふうに考えられるわけですが、そういうことも考慮されておるのかどうか。
  78. 朝日邦夫

    朝日政府委員 お尋ねの総合開発事業の中で、ただいま計画をいたしております下水道事業は、流域下水道で二百八十億円、公共下水道で三百十億円、合わせて五百九十億円という計画でございます。これに対しまして、御承知のとおり流域下水道は三分の二、公共下水道は十分の五・五という国庫負担の特例措置を講じました結果、県の負担が流域下水道で約五十六億円、市町村も回顧の負担になるわけでございますが、公共下水通につきましてはいずれも市町村の負担でございまして、百五十二億円程度が負担になるわけでございます。したがいまして市町村の負担が、合わせますと二百八億円程度になろうかと思いますが、これらの負担につきましては、まず起債の充当をいたすわけでございます。さらに一般財源につきましての手当ての問題があるわけでございますが、そのほか受益者負担もございます。これらの財源手当てにつきましては、自治省等とも十分協議をして、遺憾のないように取り計らってまいりたいと思います。
  79. 西田八郎

    西田委員 遺憾のないように取り計らってまいりたいということですが、その遺憾のないということはどういうことなんですか。たとえば事業をする場合に建設省等で単価をきめて計算されます。その単価というのは一年半ないし二年おくれる。それで計算をして現実にやる場合には必ず上積みをしなければならぬ。これはもう常識になっておるわけです。その上積み部分も、今日の物価高等から考えますと二割や三割は覚悟しなければならぬのじゃないかということになりますし、おそらく起債のほうも当然それには利子を払っていかなければならぬというようなことが起こってくるわけです。そうしますと、そうでなくてさえ苦しい財源の中から、それだけのものを負担するということにはならないと思うのです。また起債の面につきましても、やはり一つのワクがあって、そのワクを越えることは許されないということになれば特別ワクを設けてもらう。そうしたら、特別ワクを設けてもらった場合の利子等についてどうするかというような面が当然出てくるわけであります。したがって、琵琶湖の水は流れるだけ流せばいいじゃないかというような考え方から、どうよごれておろうと、実際は滋賀県そのものは琵琶湖の水がよごれてきたからといってそう大騒ぎするほどのこともないわけです。県民がまだそこまで実際に認識しておらぬわけです。それに下水道なんて言い出すと、一体だれのためにやるのだという住民の不満が高まってくる。それになおかつ財政負担まで持たされるということになれば、これはとてもじゃないがたえられぬじゃないか。いまもっぱら反対運動をされる人の主張される点がその点なんです。何でおれらが銭を負担してよその府県のためにやらなければならぬのか。私は決してよその府県のためとは思っていないのですけれども、素朴な県民の考えというものがあるわけです。したがって、市町村の財政が大幅に圧迫されて、市町村本来の住民福祉を重点に置いた施策がおくれるというようなことになっては、自治本来の姿にももとるのではないかというふうに私は考えますので、その辺に何か特別の配慮があるのかどうか。
  80. 朝日邦夫

    朝日政府委員 この総合開発事業を実施するにあたりましての滋賀県ないしは県内の市町村の財政負担の問題、これは必ずしも下水道事業だけを取り上げて云々するわけにはまいらない問題もあろうかと思います。しかしお話しのように、最も緊急に実施しなければならない、しかも負担も相当巨額に達する事業であることは事実でございまして、これに対する手当がどうなるかということが滋賀県民にとって非常に関心の中心であることも事実でございます。なおまた、ほかの事業と比べてみましても、特に下水道事業は市町村の負担になります部分が多いわけでございます。そこで国といたしましても補助率アップの手出てをいたしますと同時に、今回特に下流負担の制度をつくろうとしておるわけでございますが、これの趣旨は、水資源開発事業によりまして下流が水の供給を受けて利益を受ける。   〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕 しかし、先ほど来お話がありましたように、地元の滋賀県にとってはそのためにいろいろな影響が出てくる。同時にその影響を排除するがためにしなければならない事業、あるいはこの総合開発事業その他、特に下水道事業などはその最たるものかと思いますが、どうしてもやらなければならぬ。そのために不利益と申しますか、財政負担を伴うということがございますので、これはまさに下流負担の対象たるべき事業一つに考えておるわけでございます。したがいまして、いまの下流負担百五十億円程度になるという使い道でございますが、これはこの法案でも下水道事業の地方負担等にも充当していただいていいように考えておりますけれども、具体的にそれをどういうふうに配分するかということは、これからまた滋賀県の県内の市町村に対する配分と申しますか、そういう使い方の問題にもなってまいると思います。その点、いま私どもがこれにどうということを申し上げる段階ではございませんけれども、その使い方について滋賀県当局も十分御考慮いただいて、特にいまの下水道事業に関する市町村の負担を極力軽減するという方向に下流負担を使っていただくということも非常に重要なことであろうかと思っております。
  81. 植弘親民

    植弘説明員 自治省の財政局指導課でございますが、いまの下水道関連の問題で朝日次長から御答弁いたしましたが、先生御指摘のように、全般的にこの事業につきましては、開発事業につきまして十年間で大体二百四、五十億の地方負担が予想されております。したがって、その中でも下水道は大きいわけでございますが、大体滋賀県における関係市町村の財政力がどうであるかという点をざっと申し上げてみますと、財政力指数で見ますと全国平均でいいほうであります。もう一つは、この事業の推進によりまして起債も相当ふえると思いますけれども、現在の起債率は全国的に見ますとわりと低いほうでありますので、余裕はあると思います。しかしながら、いろいろな観点から御質問がありましたように、市町村にとりましては相当大きい問題と思いますので、特に下水道につきましては交付税措置相当考えることになっておりますし、地方債等の手当ても優先的に考えたい。かたがた、先ほど次長から言われましたように、下流負担の使途等につきましても、こういう非常に負担の大きいものに優先的に充てていくというかっこうで、何とか市町村の財政運営が窮地におちいらないように努力してまいりたい、かように考えております。
  82. 西田八郎

    西田委員 それは特別の措置をしていただきたいと思います。財政がいいほうだと言われるが、統計上はそうかもしれません。しかし実際は住民負担ということでかなりな負担をさせられて地方財政の均衡を保っておるというのが現実ではなかろうかというふうに私は理解をいたしておりますし、また現実にそのとおりでありますから、そういう認識で対処されるとこの問題は非常に困るので、いまおっしゃったような点で地方財政が大きく圧迫を受けないような特別の配慮を自治省のほうにもぜひひとつお願いをしておきたいと思います。  そこで、水質汚濁のためにいまいろいろな費用をかけて、当然下水道処理をして水質の保全ということに努力をするわけでございますが、これは環境庁の水質保全局長に伺いますが、現在琵琶湖の水がよごれているおもなる要因は何かということをひとつお伺いしたいのです。
  83. 岡安誠

    ○岡安政府委員 琵琶湖の水質汚濁の原因につきまして、私どもの一応の調査によりますと、COD負荷量に換算いたしましてその寄与率を見てまいりますと、工場排水によるものが大体七六%程度、家庭下水によりますものが二〇%、その他が四%というふうに実は考えておるわけでございます。
  84. 西田八郎

    西田委員 CODでいうと工場排水であるというわけですが、実は私らが地域調査をしてきた中からいいますと、むしろ家庭排水のほうが琵琶湖の水をよごしておる原因になっておる。もちろん汚染をする重金属等につきましては工場排水等が中心になるでしょうけれども、汚濁という状況からいけばむしろ家庭排水のほうの寄与率のほうが高いというふうに開いてきたわけですが、その辺はいかがですか。
  85. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私どもの申し上げましたのは、北湖、南湖の全体の合計を申し上げたわけでございまして、場所によりましては工場排水よりも家庭下水のほうが汚濁の寄与率が大きいところもあろうかと思います。
  86. 西田八郎

    西田委員 そこで、家庭排水と農業排水等に含まれておるいわゆるNとPです。燐と窒素ですが、下水道部長、これはまだそれを処理する第三次処理法というのはアメリカでも完全には実用化してないというふうに聞いておるわけですが、一体わが国におきまして実用化する方向に向くのかどうか。その期間ですが、一体どれくらい先になったらそれが実用化できると考えておられるのか。
  87. 久保赳

    ○久保説明員 先生御指摘の窒素あるいは燐の除去の問題でございますが、これは下水の第三次処理といわれている分野でございます。諸外国、特にアメリカ、ヨーロッパにおきましても、特に湖の汚染対策のために数年来かなりの研究が行なわれまして、ヨーロッパ、アメリカの一部では実用化の段階に入っております。わが国でもこの必要性が琵琶湖のみならず、たとえば霞ヶ浦あるいはそのほかの湖等で必要な地域がございますので、私どもといたしましては今度の五カ年計画の後半期、これは昭和五十年が五カ年計画の一番最終の年度でございますが、その後半期には実用化の段階にこぎつけたいということで調査をすでに実施しております。一部、昭和四十六年度の下水道事業調査費で横須賀市の下水処理場の中にテストパイロットをつくりまして、もう運転を開始いたしております。ただこの問題は、実用化を始める前に、いかにして経済的な建設が行なわれ、あるいは経済的な維持管理をしていくかという、とが最大のポイントでございます。したがいまして、私どもはこの建設費並びに維持管理費の経済化ということに重点を置いて調査をいたしまして——環境基準あるいはいろいろな排出規制でNあるいはPの規制を検討するということがいわれております。先般の水質審議会でも中央公害対策審議会でもそういうことが指摘をされておりますので、子の基準が定まる時期までには実用化の段階にこぎつけたいということを予定しております。
  88. 西田八郎

    西田委員 そうすると、第三次処理はまだ先のほうになるということですね。そこで、その第二次処理が先のほうになるし、下水道整備はこれからまだ十年かかる。早めても五年というわけにはまいらぬと思うのですが、それまでどんどんと琵琶湖に流入されてくる水等について、農業排水、家庭排水——工場排水はそれぞれの工場に排出規制基準をつくってきびしく監視すればいいわけですが、農業排水、家庭排水というのはそういうわけにまいらぬと思うのです。それまでの間に何か便宜な方法というものを講じて、せめて一次処理の沈でん法をとるか何かの方法でやるということが考えられませんか。
  89. 久保赳

    ○久保説明員 下水道整備方法を変えることによって、先生御指摘のように十年あるいは五年以上かからないと効果が出ないということではなくて、たとえば先に終末処理場を建設し、それから終末処理場につながる幹線をやりまして、いわゆる下水道の毛細管の前に既設の排水路等から汚水を取り込んで処理をし、そうして湖に入り込んでる汚濁量を減らすというやり方を現在考えておるわけでございまして、そういうやり方をきめこまかく実行に移すことによって、先生御指摘の、そんなに長期間かからないと効果が出ないというやり方を改善してまいりたい、かように考えております。なお、農地からの問題はなかなかむずかしい問題でございまして、私ども、農地から排出してくるいろいろな汚濁量の軽減のしかたにつきましては、現在のところ明確な対策というものを持ち合わせておりませんけれども、市街地区域につきましてはただいま申し上げたような方法を強化することによって対策にしてまいりたい、かように考えております。
  90. 西田八郎

    西田委員 下水道部長とこの議論をするのは私はこれで三回目くらい、じゃないかと思いますので、私の考え方はいままでに何回か申し上げておるわけですけれども、やはり公共下水道が整備されるまでの間の処置として、主要幹線流域下水道に導入される方法をぜひ講じていただいて、琵琶湖の汚染及び汚濁を少しでも緩和せしめるという方法をぜひとっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  そこで建設大臣、いまお聞きのとおり、非常に財政的に負担も大きくなるし、急がなければならぬことなんですけれども、この定められた国の分担率はもう不動のものなのかどうか。もう全然変えられないものかどうか。もう少し国の負担をふやすというようなことは考えられませんか。
  91. 西村英一

    西村国務大臣 補助率は一応事業によってセットしたのですから、これはもう変えられないと思います。ただ事業量がふえてくればおのずからまたその負担もふえてくるものと思っております。いずれにいたしましても地方公共団体に負担のかかることは確実でございます。しかし公共団体も、これは百年の計ですから、多少の無理はしても皆さま方の御好意を得てぜひともやっていただきたい。政府もなるべく負担がかからない措置は十分に今後も考えたい、かように思っております。
  92. 西田八郎

    西田委員 それでは希望を持っていいということですね。
  93. 西村英一

    西村国務大臣 さようでございます。
  94. 西田八郎

    西田委員 次に、水位の低下ばかりがいま問題になっておるわけですけれども、むしろ琵琶湖の過去の例からいきますと増水のときのほうがひどいわけですよ。したがって、足りないときに水をよこせということはわかるのですけれども、増水のときは水を流してもらっては困ると、逆に今度は下流府県からのきびしい申し入れがあって、過去南郷の洗いぜきあるいは鹿跳付近の農民が水のことで死人を出すようなすさまじい騒ぎを起こしたことは、もう過去に歴史があるところであります。そこで、水がどうにもならぬほど増水してきたときの処理として、やはり淀川水系を通じて流出せざるを得ないと思うのですけれども、それに対処する方法を何か考えておられるのかどうか。
  95. 川崎精一

    川崎政府委員 お話しのように、琵琶湖周辺は歴史的には水位を低下してずいぶん開発されてきたわけでございます。今回の琵琶湖総合開発にあたりまして、治水、利水の基幹事業考え方といたしましては、まずできるだけ洪水期の水位を下げておく。在来はプラス三十センチからできるだけゼロに近つける、こういうような操作をしておりましたが、今回はそれを三十センチ下のほうにずらしまして、ゼロからマイナス三十センチくらいの方向に下げていくというようなことでかなりの吸収ができるのじゃなかろうか。それから、明治時代に三メートル七、八十も上がったような、ああいう歴史的な水位等を検討いたしましてやりますと、やはり一メートル四十くらいの洪水はあるいは覚悟せざるを得ないかもしれない。そういったところで現在の湖辺の治水状況等を見まして、一部そういうものに被害があるというようなところは湖岸堤をあわせて建設をする。それからなお、できるだけ今度は水を早く下流に出すということも大事でございますので、放流力も現在よりは増強したいというようなことで、基幹事業の中で十分検討していきたいと考えております。
  96. 西田八郎

    西田委員 次に、「琵琶湖管理基金」、法案第十二条ですね、管理基金を設けて、そして琵琶湖の「湖底の清掃及び整地」というふうにうたわれておるわけですが、琵琶湖の湖底とは一体どの部分までをいうのか。一番深いところは四メートルもあるわけですから、その湖底はとても清掃することはできない。しかも一説によりますと、湖底には七百メートルか千メートルのヘドロがあるのではないかというような説も最近はいわれておるのですけれども琵琶湖というのはまだ知られざるところが非常にたくさんあるわけでございますが、その湖底の清掃ということになるとたいへんな事業になりますけれども、一体どの程度までを考えておられるのか。
  97. 朝日邦夫

    朝日政府委員 この琵琶湖の管理基金の制度でございますが、特に地方自治法で任意に設置できる基金をこの法案で掲げまして特記して強調いたしておりますのは、琵琶湖の問題、特に総合開発事業の施行もさることながら、あとの管理が非常に重要な問題であろうという観点から、県当局の要望等もこれあり、この法案に取り上げておるわけでございます。ただいまの湖底の清掃でございますが、水が引いたり何かいたしまして出てまいります干陸部と申しますか、その辺のところに残ります部分の清掃という程度でございまして、いま水が満々とたたえられておるその湖底までの清掃という大がかりなことまでは考えておりません。
  98. 西田八郎

    西田委員 それと、「琵琶湖及びその周辺地域の全部又は一部をその区域に含む地方公共団体」、こうあるわけですが、琵琶湖周辺地域というのは淀川水系に隣接する府県というふうに考えてもいいのですか。
  99. 朝日邦夫

    朝日政府委員 琵琶湖周辺につきましてこの総合開発事業を実施いたしまして、それで設置をされます施設もございますし、それに関連してできる施設もございますが、おおむねそう奥のほうまでは考えておりません。いずれにしても琵琶湖関係する部分まででございますが、これは市町村も管理責任を有する施設等もございますから、市町村もおつくりになることを拒まない趣旨ではございますけれども、ただいまのところどこまで設置の計画があるか、まだそこまで詰まっておりません。少なくとも県当局はこれはぜひ設置をしてまいりたい、こういうことでございます。
  100. 西田八郎

    西田委員 最後にもう一度大臣にお伺いをしておきたいわけですが、南郷の洗いぜきの管理権というのは建設大臣が持っておられるわけですけれども、実際に操作するのはいままでは滋賀県知事の意見を非常に重視してきていただいたわけですけれども、こういうふうになってまいりすと、約束があるからということで下流県から強い突き上げがあるということになると、県知事としても板ばさみになると思うのです。その場合の管理権について、操作について、十分地元の知事の意見を徴してやってもらえるかどうか、念のためにひとつ伺っておきたいのですが。
  101. 川崎精一

    川崎政府委員 現在は河川法に、こういった重要な構造物につきましては操作現川をつくる、こういうことになっております。当然洗いぜきにつきましてもつくるべきでございますが、いろいろ過去の経緯等もございますし、今回の新しい琵琶湖総合開発の時点で水位操作の幅も変わってまいりますので、その時点で私ども操作規則を整えたい、こういうことで実は明治以来の慣例的な操作を準用して現在もきておるわけでございます。当然今回の事業の進捗に従いましてこういった操作規則もつくらなくてはいけませんが、これは河川法で関係知事の意見を聞くというふうにはっきりきめられておりますので、当然滋賀県知事の意見も十分反映できると考えております。
  102. 西田八郎

    西田委員 いろいろ申し上げたいこともたくさんあるわけですが、ちょうど与えられた時間が参りましたので終わりますが、最後に、長年の懸案であった琵琶湖総合開発がいよいよ単独立法として出てきて、これから日本一大きい水資源の、水槽ともいうべき琵琶湖総合開発が行なわれるわけでありますが、どうしても印象として、利水に重点が置かれて、自然環境なり治水というものがなおざりになりはしないかという心配が、これは地元九十万県民の大きな不安と、もう一つは疑惑として持たれておるわけであります。さらに、琵琶湖は数千万年前にできたといわれておるわけでありますけれども、非常に神秘な、まだ解明されていない部分もたくさんあるわけでありまして、そうした点を十分今後も研究調査をされながら、の貴重な水資源利用について、また開発について万全を期していただくように特にお願いを申し上げ、そしてまた、いま非常な速度で進行をいたしております汚濁についても、できるだけ早い期間に、可能な限りの努力によってそれの防止につとめるということに重点を置かれましてひとつ進めていただきたいことを大臣にお願いをしまして、私の質問を終わります。
  103. 天野光晴

    ○天野(光)委員長代理 浦井洋君。
  104. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣に初めにお尋ねしたいのですが、三月の末に、マイナス一・五メートル、毎秒四十トンということで三県知事と取りきめをされたということなのですが、私いろいろなものを読んでみたりあるいはお話を聞いてみても、極端に言えば、聞けば聞くほどわからぬようになるわけなんですが、その内容についてひとつお尋ねをしたいと思う。たとえばこういう質問をしたいのですが、滋賀県側の意見を聞きますと、あの取りきめは、マイナス一・五メートルが水位低下の最高限度なんだ、だから大体一メートルくらい水位が低下し出すころから下流のほうにも相談を持ちかけて節約をしてもらいながら、できるだけマイナス一・五に押えたい、二メートルなんかにはとてもならないんだというような、しかし補償のほうはマイナス二メートルということでやってもらうというような受け取り方のようなのです。滋賀県当局の態度自身もおかしいのですが、というのは、一年くらい前の滋賀県の出された資料によりますと、被害のないのはプラスマイナス三十センチだということをしきりに強調されておるのに、いまになってマイナス一・五メートルまでは差しつかえないのだというような変化も少し解せないところがあるわけなんですが、とにもかくにも、滋賀県側の県民でなしに、県当局はそういう意向だ。ところが一方下流大阪府のほうの意見を聞いてみますと、一・五メートルまではこれは文句なしに下げてもらうのだ、それだけ水をもらうのだ。非常渇水というのは具体的にマイナス一・五から、めったになかろうとは思うけれども、二メートルぐらいのところだ、このときが問題なんで、この時点で大臣は相談しようというふうな取りきめを持ち出されたのだということを言っておられるのですが、ここに私は相当な、しかも微妙な違いがあると思うのですが、一体これはどちらが真相なんでしょうか。この辺をひとつ大臣にお聞きしたいのです。
  105. 西村英一

    西村国務大臣 御質問がいろいろありましたから端的にわかりませんけれども、とにかくゼロラインがあって、ゼロラインが、それが一番いい水位でしょう、標準水位で。それから前後して何センチぐらいがいいのだと言われておったようなこともあるかもしれませんけれども、いままでの経過をずっとたどっていきまして、まあ滋賀県のほうも、下流の水利用のためにはゼロラインから一メートル五十までは下げてもあまり被害がないのじゃないかというふうに、その施設をやってもらえば、ということになったと思うのです。それから水を使うほうは、あれだけの水があるのだからもっと使わせてもらってもいいのじゃないかということも長年言わせておったわけなんです。しかし、いろいろいままでの資料等から考えて建設省もたいへんそれは研究いたしておりますから、水利用の問題、水を送るためには水面を下げなければならぬ、こういうようなことで今度合意に達したのだというのが今度のあれなんです。その間にまあいろいろやりとりはしたと思いますけれども、あまり食い違いはないのです。もちろんその要望はあります、水源地の方々と水を需要するほうの方々には。そこで、初めマイナス一・五メートルというのは標準低水位、こうあったのですが、滋賀県は、標準低水位というのはいつもゼロラインからマイナス一・五メートルにするのが標準のようになっていくということで抵抗があったわけです。そこで利用水位としたのですよ。それですから、水源地、それから下流のほう、いろいろ要望はございましたけれども、いまのようにきまったわけなんです。何か答弁がわからぬのですけれども、質問のほうもわからぬわけですから……。
  106. 浦井洋

    ○浦井委員 一向にわからぬわけなんですが、要するに滋賀県の主残しておる滋賀県の理解と、大阪府の理解と、どちらが真相に近いのかということをもう一ぺん端的にひとつ答えてください。
  107. 西村英一

    西村国務大臣 それならわかります。理解というのは、こういうふうに理解をしておるわけでございます。とにかく一律に四十トン・パーセコンドの水を送水しましょう、そのためには一メートル五十まではこれは利用水位として下げます、それは責任をもって下げます、それ以下に下げることはなかなか承知はできません。それは滋賀県のほうのあれです。マイナス一メートル五十まで利用水位として下げます、それで四十トン・パーセコンドは送れます、それ以下に下げることはそれはできません。それから下流のほうは、四十トンをもらうことはいいけれども、やはりもう少し下げてもらいたい、ことに渇水町には水がないので非常に困るのだからもう少し下げてもらいたい、二メートルまで下げてもらいたい、こういう要望でございます。したがって調節をとる。私としては、利用水位は一メートル五十、これは滋賀県のほうも責任を持つと言っておるし、建設大臣責任を持つが、それ以上、渇水期になればこれはまた二メートルぐらいまで下げなければならぬ場合もありましょう、そのときは、ただ単に滋賀県へそれ以上の低水位を要求するばかりではなしに、下流のほうでもやはり水の節減をする等の措置を講じてやらなければならぬと思っておるから、そういう危急存亡のときは建設大臣が両者の意見を聞いて、これをひとつ調節いたします。こういうことでございます。
  108. 浦井洋

    ○浦井委員 それでも私はわからぬわけなんです。というのは、滋賀県側はマイナス一・五メートル、三十トン、大阪のほうはマイナス二メートル、四十トン、いかにも割り切ったような答えをされたわけなんですが、要するにそれを斜めに切って一応それできめた。このあとわからない部分については、今後いろいろ腹と腹とでひとつそのときには解決していこうではないかというようなことではなかろうかというように私思うわけなんです。  そこで具体的に河川局のほうにお尋ねをしたいのですが、マイナス一・五メートル、四十トンという、わからないところがたくさんあるわけなんですが、一応この取りきめによりますと、いままでよりも水位の変動がどれくらい起こってくるものなのか。この辺のことについていろいろ調益をされておるだろうと思いますので、水位低下でたしに、水位の変動がどれくらい起こってくるものだろうか、この辺をお尋ねしたいのです。
  109. 川崎精一

    川崎政府委員 現在でもいろいろ、一応第一期河水統制の趣旨で、琵琶湖水位はプラス三十センチからマイナス一メートルを限度にいたしまして変動しておるわけでございます。実質的には七、八十センチにとまっておるわけでございますが、大体現在はゼロないしマイナス三十センチぐらいを中心に変動をしておる。今度の場合それじゃどうなるかということでございますが、一応過去四十七、八年の気象状況、琵琶湖への流入状況、こういったものが再現されるといたしまして、それに新しく四十トンの新規水量を加えるということで、同じような状況でどうなるかというようなことを試算をしたことはございます。それによりますと、大体現在ゼロ中心と考えておられるものが、まずマイナス五十センチぐらいになるのじゃなかろうか。これはたとえば河川でございますと平水量とか低水量とか渇水量というのがございます。低水量というのは、大体二百七十五日これより下らない量を低水量と称しておるわけであります。それと同じような感覚のものを琵琶湖水位に当ててみますと大体マイナス五十センチ余り。それからいわゆる普通の河川で渇水量と称しておるもの、これは三百五十五日をその対象にいたしております。それを当てはめるのが適当かどうかわかりませんが、その場合にマイナス一メートル五十まで下がるというようなことでずっと日数を計算いたしますと、四十八年間で約四百日程度これを割るということで、それ以外は全部一メートル五十におさまるというのが水位の変動の状況でございます。
  110. 浦井洋

    ○浦井委員 水位の変動の幅は、結局いまのお話ではどれくらいになるわけですか。
  111. 天野光晴

    ○天野(光)委員長代理 時間がありませんから要領よく答弁してください。
  112. 川崎精一

    川崎政府委員 水位の変動の幅は、プラス三十センチでございますが、洪水期に一メートル四十まで上がることがあります。通常は、利水といたしますとプラス三十センチからマイナス一メートル五十まで、ただし統計によりますと、二%程度以上の場合には先ほどの大臣お話しのような措置をとることになると思います。
  113. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると、要するに四十トン取るということによって、いままでよりも水位変動の幅ないし頻度はひどくなるという——ひどいという表現は少しきついかもしれませんが、多く出てくるというふうに理解して差しつかえないわけですか。
  114. 川崎精一

    川崎政府委員 在来よりは大体五十センチくらい下のほうが中心になって水位が変動するというように考えていただけばいいのじゃないかと思います。
  115. 浦井洋

    ○浦井委員 水位の変動と水位低下とが一緒になっておるので非常にわかりにくいわけですが、そういう水位の変動によるいろいろな被害については調査を進められたり、いろいろな資料は持っておられるわけですか。
  116. 川崎精一

    川崎政府委員 かなり長期間にわたって私どものほうでもその水位変動による被害調査を行なっておるわけでございますが、ちょっとその概要を申し上げましょうか。(浦井委員「簡単に」と呼ぶ)水位の変動によります汀線の移動の問題、地下水の問題、それから水位低下に伴いましての漁業の関係の問題、こういった問題につきましてやはりかなりの影響がございますので、そういったものにつきましてはわれわれの理解できる範囲で調査をいたしております。あわせて対策工事等も今後さらに実際に合ったように計画を立てていきたいと考えております。
  117. 浦井洋

    ○浦井委員 河川局長にもう一ぺん前のことを繰り返しますけれども、いままでゼロであったところがマイナス五十センチになる、そして五十センチを中心として変動する、こういうように理解してよろしいわけですね。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕 そうすると、そういうふうに理解したとして、水位の変動の回数とかあるいはその幅はどうなるかという点、もう一ぺんちょっと確認しておきたいのですが……。
  118. 川崎精一

    川崎政府委員 今度は水位操作幅を広げておりますので、明らかに変動の幅は大きくなると思います。それから変動の中心は前よりも少し下がったところに置かれるのじゃないかという感じがいたしますが、これはいずれにしろ過去の資料から類推をしておるので、今後気象状況がどうなるかという予測とはやはり若干違ったものになるかとも思いますが、一応われわれのチェックではそういう形をとっております。
  119. 浦井洋

    ○浦井委員 今度の補償事業では低いところの堤防を一メートルくらいかさ上げをする、片一方で低水位の補償としてはマイナス二メートルくらい考えるということになると、建設省のほうでは水位の変動の幅が三メートルくらいということも起こり得るのではないかというようなことも考えておられるというふうに勘ぐっておる、主として周辺の漁民の方々もたくさんおられるわけなんです。その場合、いろいろな生物、動物、植物、魚も含めまして、そういうところの影響がどうか。それからいま一つは、たとえば大津市の計画によりますと、例の浮御堂、これなんかも水位低下の問題と関連もいたしますけれども、もっと沖へ出す、そうして建て直すというようなことも考えておられるようだし、やはり地元の方々は、市町村を含めて、水位に川当な変動があるというふうに受け取っておられるようなんですが、その辺はどうなんですか。
  120. 川崎精一

    川崎政府委員 ただいま申し上げましたように、洪水時にはかなり幅があるわけでございますが、先ほど西田先生にもお答えをいたしましたように、夏季の洪水期には在来よりもむしろ三十センチ程度下げて水を迎えるということで湖辺の治水の安全度を増す、こういう考えでおりますので、上のほうの幅はほとんど問題はないと思います。利水には全然関係ございません。したがって利水といたしますと、下のほうに、在来約一メートルからさらに一メートル五十を利用水位といたしておりますので、やはりその間の水位低下に対する対策は必要ではなかろうか。さらに一メートル五十を割らないという保証はございませんので、私どもとすれば、操作判断大臣がされるわけでありますけれども、十分手当てをするという意味で二メートルまでいたしていきたい。したがって、水位低下に伴いまして、いわゆる湖からいろいろ取水をしておる施設、それから港湾等の施設、漁港、それから観光、こういったものにつきましては、それぞれ湖周辺の修景なりあるいは環境保全するという意味から十分の手当てをいたしたいと思います。なお水産につきましては、私どももかなり、京大あるいは臨湖実験所の先生方、滋賀大の先生方、約六十二名程度の先生方に昭和三十六年から四十一年までいろいろ調査をお願いをいたしました。その結果、やはり生物相あるいは魚のかなりの減産等が予想されるわけでございますが、これらにつきましては、実施にあたってさらに十分地元の関係者とも協議しながら対策を講ずるようにいたしたいと考えております。
  121. 浦井洋

    ○浦井委員 水位低下の話に移ったわけですけれども、もう一度水位低下の問題についてお尋ねしたいのです。マイナス一・五に下がる頻度というのは大体どのくらいなのかという点と、マイナス一・五がゼロにまで回復するには大体どのくらいの口数がかかるのかという点をお尋ねしたい。
  122. 川崎精一

    川崎政府委員 先ほど申し上げました在米の資料から逆算をいたしますと、大体一万七、五百日の中で一メートル五十を割ると予想されますのは約四百日ぐらいでございます。ただしこれはまた節水のしかた等によって、その日数は二百五十日なり六十日なりに縮められるという、操作のしかたによっては短くなると思います。したがって、一メートル五十を割るというのは、資料的にいきますと約二%ぐらいのオーダーで実現するのじゃないか。しかも連続して起こりますので、回数としますと、昭和十五年を中心とする大きな渇水が一度だけでございました。それ以外は大体一メートル五十センチ前後におさまっております。したがって絶えずその二%の頻度で起こるというようなものではございませんが、統計的には二十年に一ぺんぐらい起こるのじゃなかろうかと予想されるわけでございます。(浦井委員「回復の期間」と呼ぶ)これは、何日でどこまで戻るかというの中いま手元に資料を持っておりませんが、先ほど申し上げましたように連続して起こっておりますので、そのまま野放しで放流するとすれば四百日でまた一メートル五十に戻る。一メートル五十をかりに割った場合に、戻るのが約四百日でございます。その場合には水位低下が三メートル十くらいまで割ると思います、かりにずっと野放しでやった場合ですが。これをある程度、二メートル以内におさめるというような操作をすれば約九カ月ぐらいで回復すると思います。
  123. 浦井洋

    ○浦井委員 仮定の話で、一番琵琶湖の周囲の住民の方が関心を持っておられるそういう水位低下の問題についてどうもはっきりした答えが出ないし、よくわからないというようなことなんで、私はけしからぬというふうに思うわけなんですが、たとえば一万何千日ですかの中で四百日くらいがマイナス一・五以下というようなことなんですが、これは明治以来のずっとの統計でしょう。そうですね。そうしますと、最近は昔よりはずっと低水位になっているのですから、最近の頻度のほうが高いはずなんですよ。そういう点でやはり、統計から出てきた数字が今後も起こる確率に相当いたしますというようなことは、こんりんざい私は言えないと思うのです。だから、そういう点でもっと真剣に、どのくらいの頻度で低水位が起こるのだ、しかもそれがどれくらいすれば回復するのだということが、十分な調査もし、学者の意見もいれて、はっきりしたものを住民の方々に提示できるようなものでなければいかぬのじゃないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  124. 川崎精一

    川崎政府委員 過去の実績が今後そのまま当てはまるかどうかという点については、いろいろ議論はあろうかと思いますが、一応予想するためにはそういったものを根拠にせざるを得ないわけでございまして、特にそういったカーブの水位の変動の中で、やはり代表的なタイプというのが幾つか予想されるわけでございます。普通、先ほど申しましたような異常渇水の場合に、大体出現いたしますのが十一月ごろに最大の渇水になるわけでございますが、それから復元をいたしますのが大体約五カ月くらいで復元をしております。まあこれをそのまま、今後もこのようなことで水位が変動するかどうかというようなことになるといろいろ議論があろうかと思います。
  125. 浦井洋

    ○浦井委員 ようわからぬわけなんですが、要するに私が思うのに、大ざっぱにいいますと、小さな渇水期でもいままでよりも頻度筒く低水位が起こる。そこへ何年間に一回ぐらい相当大きな渇水が起こって、結局琵琶湖の低水位あるいは水位変動というものが、いままでより以上に頻回に起こるのではないかというふうに予想されるわけなんです。  その場合に、いま河川局長が言われたのはこのパンフレットだと思うのですが、この中にいろいろなことが書いてある。たとえていいますと、貝類の場合、「水位がさがったばあい、セタシジミとイケチョウガイはたちまち露出して、露出した貝は間もなく死んでしまう。」そして「つまり、水位が下ると、露出地の貝類は全滅するものと考えるのが無難である。大規模の水位変動が、」いまあなたの言われた「仮りに二十年に一回起るとすると、その影響が回復するのに、何年位かかるであろうか。貝の成熟年令や寿命、その他若干の実例から考えて、まず四—五年もすればもとにもどると考えられる。」というのは、逆にいえば四五年はもとに戻らないということなんです。だから、いままでと同じような形でいってもこうなんです。相当大きな被害が貝だけでなしに魚にも起こってくるのではなかろうかと私は思うのです。きのう参考人に来ていただいてお聞きをしても、魚類に対する影響というのは相当致命的だというふうに言われておるわけなんですが、こういう点での措置は一体ほんとうにこの法律で十分にやれるのかどうか。特にこれは十年の時限立法ですから、十年たったあとこういうような低水位が起こって、そして予期せざる被害が出てきた場合には、これも十分補償されるわけなんですか。どうですか。
  126. 川崎精一

    川崎政府委員 先ほどの先生の資料は、実はそれは三十六年ころからのかなりたくさんの先生方に調べていただいた調査でございます。その当時は、いわゆる北湖三メートルまで、そういったところから、現在、利用水位一メートル五十以上の場合でもまあ二メートルまでという線を出したわけでございますが、そういったような資料を参考にいたしまして、一メートル五十ないし二メートルというのがやはり一つの、環境なりお魚の面から見た限度じゃなかろうかとわれわれも判断したわけでございます。しかしお話しのようにかなりな影響がございますので、たとえば南湖等につきましては特に水位の変動が多いというようなことで、ある程度水位を維持できるような、できるだけのしゅんせつだとか、あるいは内湖をある程度人為的なことによって確保する、そういったような対策、それから今後減産しないようにどのような措置をとるかというようなことにつきましては、これはまた水産庁等の指導を受けまして私どもも実施いたしたいと思います。なお、予測せざる事態というような問題につきましては、私どもできる限りそういった手当てをするという意味で、まあ二メートル程度までの補償は実施したいと考えておるわけでございますが、異常な事態についてはまた別途やはり必要な措置は講ずる必要があろうと存じます。
  127. 浦井洋

    ○浦井委員 人為的な確保をされる。養殖も含むわけですね、雌雄漁業。たとえば、いま琵琶湖には、琵琶湖にしか見られない無類も含めまして六十一種類ですか、住んでおる。その中で一体養殖されるのは何種類ぐらいされるわけですか。——わからぬわけですか。一体、その漁業資源をできるだけ保護していきたい、そのためにこういう膨大な金もかけたいと言われておる。ところが具体的には何もわかっていないのですか。どうです。
  128. 西村英一

    西村国務大臣 何もわかっていないわけじゃないのです。全部調べておるわけですが、きょうはたまたま農林省の方が来ていないから——魚の、六十種類ともいうし七十種類とも、いろいろいっています、そういうことについては農林省は農林省で。またこれは被害があることは確かなんです。井戸の水は枯れるでしょうし、いろいろまあ被害がある。そういうことは一応各省において詰めて、そういう被害があってもなおかっこの事業はやったほうがよかろうということでやっておるわけで、被害がないわけではございませんし、いま現在の範囲内において十分調査はいたしておる。各省でいたしておる。たまたまきょうは農林省の方がお見えになっていないようですから、直ちに農林省の方に来ていただいてもよろしゅうございます。後ほど答えてもよろしゅうございます。
  129. 浦井洋

    ○浦井委員 建設省でも調査しているはずですよ、こういうりっぱなパンフレットを出しはるわけですから。だからこれはあとでひとつ詳しく教えていただきたいというふうに思うわけなんです。  きのう来られた参考人の方も言っておられたわけなんですが、先ほどからの同僚の議員も言われておりますけれども、まだまだ琵琶湖については、特に湖流については非常に未知な分野がある。そういうような中でいまマイナス一・五メートル、四十トンというような取水計画が立てられておることに、きのうも言うておられたでしょう、大臣はおられなかったけれども琵琶湖を研究しておる良心的な学者はこぞってこういうやり方に反対をしておるのだ、われわれは声を高くして叫んでおるけれども、一向に行政の側はこの声を取り上げてくれない、こういうことをきのうは切々と訴えておられるわけなんです。だから、もっとこういう点について、専門的に研究をしておる学者やあるいは長年の経験でいろいろなことを知っておられる漁民の方々にも十分意見を聞いて、そして調査をした上で態度をきめるべきだというふうに私は思うのですが、その辺の問題についてひとつ大臣に……。
  130. 西村英一

    西村国務大臣 それは専門家の方々のいままで述べたこと、あるいは書物になったこと、あるいは講演会で述べたこと等は関係の方々で十分承知をして、そして対策は講じておるわけでございます。しかしそれ以上にやってみてまた別な問題が出るかもしれません。それはもう水産関係でも種類のあることでございます。植物関係もございましょうし、いろいろあるわけでございます。十分そういうことはそれぞれの担当者のほうでしんしゃくして、そうしてきめたことでございます。なお今後、はかり知れざるようなことがあれば、またそれはそのときに対処しなければならぬ、かように考えておる。建設省が全部わかっておるものではございません。へたな答弁をして間違っても悪いですから、関係者の方々であれしたほうがそれはいいと思います。
  131. 浦井洋

    ○浦井委員 一時までということなので全く時間が迫ってきておるわけなんですが、次に下流の問題に移りたいと思うのですが、経済企画庁の方にお尋ねをしたいのですが、昭和五十五年までの水の需要予測、六十七・四トン毎秒、こういう数字を出されておるわけなんですが、時間がないので一書、これはやはり新全総に基づいてこういう数字をはじき出されたわけなんですか。
  132. 牧野俊衛

    ○牧野説明員 お答えさせていただきます。基本的には全総の精神にのっとってやっております。いまの需要見込みの水量につきましては、すべて地元の各県の要望も聞き、それから関係各省の意見を聞きまして協議の上できめたものでございます。
  133. 浦井洋

    ○浦井委員 そうしますと大臣、たとえばこういう数字があるのですね、人口推計なんですけれども、兵庫県の人口なんですが、兵庫県の県勢振興計画によりますと昭和六十年には五百八十二万人になる。ところが厚生省の人口問題研究所では五百四十万人になるというふうに、権威があるというふうな数字でも四十万人違っておる。これは、一人一日三百リットル、あるいは大阪の場合九百リットルの使用水量というようにいわれておるわけですが、この水量で換算いたしますと、兵庫県の人が全部琵琶湖から水をもらうわけではないのですけれども、たとえば琵琶湖の水を四十万人の方が飲むとすると、六十七・四トンというような予測はこれだけ見ても大幅に狂ってくるというふうに私は思うわけなんですが、やはりこういう場合、もう一度下流の人口予測なりあるいは工場の水の必要量なり、こういうようなものは、新全総も洗い直さなければいかぬ時期だと政府自身がいわれておるわけですから、もう一度はっきり洗い直して、できるだけ正確な数字を出すような努力をまずされるべきではないかというように私は思うのですが、どうでしょう。
  134. 西村英一

    西村国務大臣 新全総が新たに決定しますれば、その時期におきまして修正しなければならぬものはまた修正しなければならぬと思います。事業全体の計画にいたしましても四千二百億円ときめてありますが、いろいろこういうこともまた洗い直すことがあろうと思います。ただし、新全総ができてからでなければやれないというようなことになりますと、すべての事業はそのために待っておらなければならないということがございますから、とりあえずこういうワクでひとつやりたい。また人口等の問題につきましてもそれはいろいろありましょう。それはどこの統計を信用していいのか知りませんけれども、しかしわれわれとしては信用できる資料をとっておるつもりでございます。
  135. 浦井洋

    ○浦井委員 そこで、たとえば下流の水の需要予測の問題なんですが、これは前の下水道事業センター法案のときにも、それから治水五カ年計画のときにも私は申し上げたのですが、まだまだ節水、節約をする余地があるというように思うわけなんです。たとえば大阪府の出しておる工業用水の回収率、これも昨日も尋ねたわけですが、昭和四十四年の実績が五〇・二%、これを六十年に六五・七%にしか回収率を高められない、これはやはり努力が不足しているのじゃないかと思う。すでに千葉県とかあるいは水の少ない福岡県などでは七〇、八〇、いまの時点でも回収の実績をあげている。もっと大阪あるいは兵庫の、下流は回収の努力をすべきだというふうに思うわけなんです。それと同時に、やはり下流の大企業あるいは中企業、こういうようなところではいままで製品一トンをつくり出す水の量、原単位ですね、原単位が比較的高いところでばらついておるのではないか。だからもっと生産工程まで十分に行政当局のほうでもチェックをしながら原単位を低める努力をぐっとやっていく、こういうことをするならば、私は事、工業用水に関してはもっと節約できるのではないか、こういうふうに思うわけなんです。一言だけ大臣にお尋ねしたい。工業用水節約のポイントは一体何でしょうか。
  136. 西村英一

    西村国務大臣 工業用水節約のポイント、これはやはり水の再利用でざいましょう。しかし建設省としてはいまそれについて積極的に取り組んでおるとは思われません。どちらかというと、工業用水は通産省、農業用水は農林省、生活用水は厚生省、したがってそれにまかせ切り、ではいかぬ。水は大体建設省にまかして水を開発すればいいのだ、ダムをつくってためればいいのだ、こういう考え方ではいかぬ。少なくとも水に関する限りは何と申しましても建設省責任を持たなければならぬ役所だから、つくるのみならず、それがどういうぐあいに利用されておるか、またどういうふうに再利用するかということを気をつけなければならぬ、こう言っておるわけでございます。
  137. 浦井洋

    ○浦井委員 私は大臣意見が違うわけなんです。学者も言っておりますけれども、最近特にそういうことを主張する論文が多く出ておりますけれども、工業用水を節約させ、原単位を下げる、あるいは再利用を促進する一番のポイントは、いまのような低料金の工業用水の補助金政策をやめるべきだ、そうしてもっと工業用水の料金を上げることだということは、ほとんどの学者の一致した意見です。だからこれは特にやっていただきたい。それが一つ。  それからもう一つ上水道の場合、これも項目だけにとどめておきますけれども、もっと阪神地方の下水道の処理をして、その処理水を工業用水のほうに回すというような努力をする必要があるのではないか。それから、いま八十八・五トンで実際には七十トンといわれておる河川維持用水の活用と、水質保全をもっとがっちりやればもっとやれるはずですから、これをもっとやってほしいということと、それから大きなビルであるとか事業所とか団地、こういうようなところでは上水道をしいて使わなくてもよい部分が、先ほどから出ておりますが、あります。だから、中水道というようなものをもっと促進するのだ、こういう努力を、四千億円かけるならもっと先にやる。水質保全の問題は午後の連合審査でやりますから抜かしますけれども、こういうことをやって、そうしてできるだけ取水量をふやさなくても済むような方法を講ずるべきだ。そういう努力を真剣にやってなおかつほんとうに水が足らないのだというようなときにはいろいろな——結局わからなかったわけですが、水位低下の問題、こういう被害が起こらないような範囲内で、十分滋賀県民の納得を得られるような方法で、新しくその事点で取水計画を立てるべきだというふうに私は思うわけなんです。これは御意見を伺いたいのですけれども時間がないので、最後に水質保全の中で重金属の問題についてお尋ねをしたいわけなんです。  ここに写真を持ってきておるわけなんですが、ここに重金属のこの湖底の分布図がある。これは亜鉛ですか、ZN、それからマンガン、それからカドミウムもございます。これは大臣、ひとつ見ていただきたいのですが。——きのうの参考人の立川先生も言われておったわけなんですが、その琵琶潮の湖底の重金属の汚染の分布状態を見ますと、一つは南部の工業地帯からの汚染があるというふうに明らかに思われるわけなんです。ところが一方では、南部と関係がないと思われるような北湖の姉川の河口のところからずっと時計と逆の方向に回ったところで、カドミウムであるとかあるいは鉛、亜鉛というようなものでよごれておる。そこで私行ってきたわけなんですが、その姉川をさかのぼってみますと、土倉鉱山という鉱山の廃墟があるわけです。これも大臣、見ていただきたいのですが。——そこへ行ってみますと、その写真に出ておりますように幽霊屋敷のような、そこに粗末な沈でん池があるわけなんですけれども、その沈でん池は常に、水がたまると穴があいて漏れておる。そしてそれが姉川を伝って琵琶笹湖を汚染させておるというふうなことが一目りょう然であるわけなんです。だから私は環境庁にひとつよく見ていただきたいと思うわけなんですけれども、この重金属の汚泥、底質の沈でんをそのままほうっておくと、一つは水にある程度溶け出るのではないか、イオン化いたしまして。それからもう一つは、それが水草に付着したり、あるいは食われて、それが小さな魚、大きな魚、鳥、人間というように、ちょうどPCBと同じような形で、結局は人間のからだに蓄積をしていくのではないか。こういうことで、早急にその対策を講じなければならぬ。だから、ぜひ琵琶湖湖岸にあるいは滋賀県内にありますところの鉱山、廃鉱、こういうようなものの調査をやっていただいて、そしてそういう重金属の流入の防止をやっていただかなければならぬし、それと同時に南のほうの工場の排水規制、これもいままでのようないわゆるPPM方式ではだめです。環境庁も考えておられるような総量規制の方向でぜひやっていただきたい。そしてヘドロのしゅんせつも、これは漁業に全く害を及ぼさないようなじょうずな技術開発をやって、速急にやっていただきたい。こういう要望をしたいと思うわけなんですが、ひとつ環境庁からお答え願いたいと思います。
  138. 岡安誠

    ○岡安政府委員 お話しのとおり、琵琶湖の湖底につきまして、いろいろ汚染されているということは知っております。ただ十分な調査がされておりませんので、今後できるだけ早く詳細な調査をいたしますと同時に、先生御指摘のとおり、湖底の重金属等がどれだけ水の汚染に影響があるかということも必ずしも明らかでございません。そこで四十七年度から私どもはその因果関係等につきましても十分調査をいたしまして、できれば今後のしゅんせつその他の行政指導の指針となるような許容限度というものもできるだけ早くつくりたいというふうに考えております。それができますれば、その原因となります企業、鉱山等の規制も十分やってまいりたい、かように考えております。
  139. 浦井洋

    ○浦井委員 最後に大臣に、私の先ほどの意見に対してひとつお答えを賜わりたいと思う。さっき頼んでおいたでしょう。まず水質保全をかっちりとやって、環境保全を確立して、そして下流でも節約をやって、そのうちにあらためて民主的な総合的な取水計画を立てるべきだ、こういうふうに私は言ったでしょう。それの意見……。
  140. 西村英一

    西村国務大臣 私もあなたの意見に賛成でございます。賛成でございます。そうしなければならぬと思います。
  141. 亀山孝一

    亀山委員長 次回は、来たる十九日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五分散会