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1972-04-26 第68回国会 衆議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十六日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 天野 光晴君 理事 金子 一平君    理事 田村 良平君 理事 葉梨 信行君    理事 服部 安司君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 渡辺 武三君       小沢 一郎君    大村 襄治君       梶山 静六君    浜田 幸一君       藤波 孝生君    古内 広雄君       村田敬次郎君    森下 國雄君       山下 徳夫君    山本 幸雄君     早稻田柳右エ門君    井上 普方君       卜部 政巳君    佐野 憲治君       松浦 利尚君    柳田 秀一君       北側 義一君    吉田 之久君       浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省河川局次         長       川田 陽吉君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質規制課長 山中 正美君         大蔵省理財局国         有財産第三課長 楢崎 泰昌君         林野庁指導部長 松形 祐堯君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     田中 恒利君 同日  辞任         補欠選任   田中 恒利君     松浦 利尚君     ————————————— 四月二十四日  都市公園整備緊急措置法案内閣提出第七二  号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  河川法の一部を改正する法律案内閣提出第六  三号)  特定多目的ダム法の一部を改正する法律案(内  閣提出第六四号)  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第七一号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出河川法の一部を改正する法律案内閣提出特定多目的ダム法の一部を改正する法律案及び内閣提出参議院送付治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田之久君。
  3. 吉田之久

    吉田(之)委員 河川三法の質問をいたしたいと思いますが、初めに、治山治水緊急措置法の一部の改正、特に第四次治山治水五カ年計画の発足をなさろうとすることに対しまして、若干の質問をいたしたいと思います。  そこで、われわれの側から見ますと、ああまた例によって繰り上げての新五カ年計画かというふうな感じがどうしてもつきまとってしかたがないわけなんです。特に私はこの機会に御質問申し上げたいことは、いろいろと政府がおっしゃっております経過の中で、いままで再三の五カ年計画がすべて途中で打ち切りになって、繰り上げて再発足するということがしばしばでございます。全部とは申しませんけれども、非常にそういう機会が多い。なぜこういう非常に締まらない再出発をするのか。やりかけたことは、まあ四次防、三次防じゃございませんけれども、やはり五年間なら五年間一応全力をあげてやってみて、そしてその経過を見直してまた新しい意欲で再出発するということのほうがやはり原則だと思うのであります。特に建設省関係の五カ年計画にしょっちゅうこういう手直し、やり直しが続いておるという点は、どうも意気が上がらないような気が一般にいたします。この点、大臣は今後に向かってどういう考え方をお持ちになっているか、まず伺っておきたいと思います。
  4. 西村英一

    西村国務大臣 仰せのように、これは建設省建設行政のみならず、政府はいろいろな公共事業につきまして五カ年計画というものを策定いたしております。五カ年計画を策定いたしておりますが、それはやはり一応の目標ということになっておるので、財政上その他の理由によって多くの変更がなされることは御案内のとおりでございます。願わくは計画どおり、あるいは計画を上回ってやることを希望いたしますが、どうもそうなっていないのがいままでの実例でございます。この治山治水事業につきましては比較的、この前の第三次五カ年計画は守られたほうでございます。四十六年度、去年まではそれでいったのでございます。したがいまして、四十七年度の最後までもう一年しか残らないのだから、あるいは前の計画をそのまま踏襲してもいいんじゃないかという議論もございましたが、一応、河川行政としてはいまの行き方でいきますると、やはりある程度ワクを広げておくことが必要であろうと思ってあえて改定をいたしたのでございます。あなたのおっしゃいますように、きめられたことは、多少の経済の変動がありましてもどんどんそれを実行していく、計画どおりに実行していくということは、行政をあずかっておるわれわれとしてもやりいいわけでございまするが、いままでの実情はそうなっておるわけでございまして、これは建設行政のみではございません、政府全体の五カ年計画がそういうような傾向になっておることは認めざるを得ない、あまり好ましいことではない、かように思っておるわけでございます。
  5. 吉田之久

    吉田(之)委員 大臣のおっしゃる気持ちもわれわれとほとんど違わないと思いますが、こういう現状に照らしてワクを広げていきたいという積極的な意図はよくわかります。しかし、国家の方針としておよそ五カ年計画というようなものを策定した場合には、相なるべくはやはりそれの権威を高めていくということが、国民政治に対して非常に具体的な親近感信頼感を持つ重要な要素になるのではないかというふうな気がしてならないのでございます。コンピューター時代でありますし、最高の頭脳を集めている政府のことでございますから、ある程度先の見通しを確たるものを立てて、そしてやりかけた以上はやはり五年間を完全にやるという態度を今後大いに堅持してもらわなければならないのではないかというふうな気がいたします。特に気になりますのは、全国総合開発計画が総点検されるべき時期に来ている、あるいはまた新経済社会発展計画も本年中に改定されることが明らかになっている、そういう時期であるだけに、いまなぜ一年繰り上げて出発しなければならなかったか。あるいは、繰り上げる気持ちはわかるとしても、この時期がほんとうに妥当なのかどうか。出発してみて、そういう一番根幹になる大計画が定まってくることによってまた手直しを必要とすることがありはしないかというふうなことが、われわれは出発にあたって非常に気になるわけでございます。そういう点で、この計画が再度手直しされることはあるのかないのか、現時点における予想を伺いましょう。
  6. 西村英一

    西村国務大臣 前の五十五兆という経済発展計画のときに、河川のほうは二兆九千億でございます。したがいまして、今度はその総計の額は幾らになるかわかりませんが、私は、多少関連がないことはございませんが、これは全貌が発表されましても直ちに改正するということはあまり考えておりません。とにかく五カ年間で今度きめました四兆何がしのあれがあれば、まあまあわれわれのいま考えることは目的を達せられる、多々ますます弁ずでございますが、達せられる。もしこの経済社会発展計画のトータルが非常に額が多いということになれば、この計画改定しなくても、繰り上げ施行をするという方法もあろうかと思われますので、今日改定してまた明年改定をするということはしなくて、もしそれ以上に河川にはひとつ注ぐべきだという経済発展計画規模が出ますれば予算の繰り上げ施行をしてはどうか、私はこういうふうな考えをしておりまして、新しい発展計画ができて、それじゃ直ちにまた明年も変えるんだということはしたくない。それならばむしろ繰り上げ施行するというふうに考えておる次第でございます。
  7. 吉田之久

    吉田(之)委員 大臣の一応のき然たる態度は了承いたしました。ぜひそういう意気込みで、あまりふらつかないで計画どおり推進をしていただきたいと思うわけですが、実はいままでの経過を振り返ってみましていま一つ気になります点は、災害予想発生量と、そして現に起こった災害とが、ずいぶんそごを来たしているということでございます。たとえば昭和四十年を初年度とする第二次治山事業五カ年計画においても、初年度から連年異常な災害に見舞われ、四十二年末までに、予想した五カ年間の発生量の一・六倍にも達したというような状態であります。あるいはその前にもそのような例が間々見られます。一体、この災害発生予想というのは、どういう科学的根拠あるいは統計的な根拠によって算定していくのか、この辺のところを少し御説明いただかないと、われわれにはこの計画が正しいのかどうかという点がちょっと判断しかねるわけでありますので、災害予想というものは一体どのように算定されるのか、ひとつ御説明願いたい。
  8. 川崎精一

    川崎政府委員 災害発生予想いたしますことは、御承知のように非常に困難な問題でございます。われわれのほうで、いろいろ過去の統計的な水文資料、それから地域的な開発状況、こういったものから見まして、たとえば一級河川でございますと、かなりの大河川におきましては、百年に一度の確率で出現するような大洪水といったものに対して、安全に水を疎通させるのにはどの程度改修の費用が要るか、あるいはダムをつくらなくてはいけないか、こういったような計画規模と、雨が降りました場合にどの程度の区域がそれによってはんらんし被害を受けるか、そのときの被害状況はどの程度になるか、こういったような計画をして治水効果というものを積算しておるわけでございます。したがって、そういった計画確率とマッチしたような雨が全国に平等に降りますとそういった統計資料にのるわけでございますけれども、必ずしも雨はわれわれが予期しないような規模なり場所なりに降るわけでございますし、それから河川流域自身にいたしましても、地域開発その他が相当進んでまいりまして、必ずしも当初われわれが意図しているような開発状況にはなっていかない。さらに大都市につきましては地盤沈下とか、そういったような新しい都市公害も起こってまいるわけでございます。したがいまして、適当な時点時点で修正をしまして、計画等改正をいたしておるわけでございますが、われわれの目標といたしますと、昭和六十年程度に約三十六兆ぐらいの治水投資をいたしますれば、まあまあ通常の災害についてはこれを防除できるといいますか、改修事業が概成できるのじゃないかというような試算をしておるわけでございます。そういったものを目標にしまして、全国マクロ的な統計的考えから早く治水関係の環境を概成したい。そのために今回の第四次五カ年計画というのはその第一歩を踏み出すものだ、こういった考えから今回の五カ年計画を策定しておるわけでございます。
  9. 吉田之久

    吉田(之)委員 局長の御説明、抽象的にはよくわかるのですけれども、しかし、たとえば例をあげれば、今度の四次計画を立てるにあたって、こういう根拠でこの地域考えましたとか、そういう御説明はいただけないものでしょうか。われわれから考えますと、何か国の全体の財政規模考えて、昭和六十年度までにほぼこの程度の金は何とか調達できるだろうということをまず精一ぱい考える、その辺でやるだけやってみよう、それでそれを乗り越えるような大災害があればもうしかたがないわというふうな考え方が終始根底にあるのではないかという気がします。それも一面の理屈としてわかります。しかし、私が特にこの機会に聞いておきたい点は、たとえば五十年に一度の災害とか百年に一度の災害とおっしゃいますが、必ずしも災害にはそういう周期というのがあるのかないのか、これもよくわからないのです。それから百年に一度の災害というのは大体どういう規模災害を想定しているのか。いままでのどの例を基準として、あるいはそれに何ぼかの係数をかけて想定しているのかどうか。この辺をもう少し具体的に御説明いただければありがたいと思います。
  10. 西村英一

    西村国務大臣 ちょっと吉田さんに申し上げますが、質問がちょっとわからないのですが、いまの五カ年計画予算災害は入っていないのです。(吉田(之)委員災害発生量です」と呼ぶ)五カ年計画を離れての災害発生量ですか。——五カ年計画の中には災害関連事業は入っております。しかし災害そのものは入っていないのです。災害そのものは別の金になっておるのでございます。いまちょっと調べてもらったのですけれども、昭和四十年から昭和四十六年まで、おおむね千五百億から千八百億。去年は非常に災害が多かったのです。四十六年は千八百億、これが災害の額です。四十年が千四百八十八億。これは一年間に起こった災害の量でございます。この五カ年計画に入っておるものは、その災害の原形復旧するのみならず、改良復旧したり関連仕事がある。この関連改良事業はこの五カ年計画に入っております。災害そのもの災害そのものでやっておるので、五カ年計画に入っていないのです。それに誤解がなければいいのですけれども、それだけちょっとお断わりいたしておきます。
  11. 川崎精一

    川崎政府委員 先ほど申しましたような長期的な構想、新しい五カ年計画事業目標なり規模、それから実際にそれを個々河川にどうやっておろしていくかということでございますが、大体大規模河川に対しましては、これはかなり水文資料等も整っておりますので、ある程度統一的な処理にのるわけでございます。こういったものについては百分の一程度安全率を持たせるようにいたしたい。たとえば利根川でございますとカスリン台風だとか、淀川でございますと室戸台風、こういったものを対象考えておるわけでございます。それから普通のいわゆる中小河川といいますか、大河川の幹川以外の河川につきましては、これは資料その他もさることでございますが、地域開発状況とかウェートからいきますと、いわゆる大都市を控えておる大河川ほどには重要さも少ないということで、五十分の一前後というような雨を対象にいたしております。それから都市河川等につきましては、これは時間雨量五十ミリ程度の雨に対応できるような治水関係処理をしたい。  こういうような大まかな計画を立てまして、その上で実際それじゃどういう河川からどういう順序で仕事をしていくかということでございますが、やはりこれは全国的に平均にレベルアップをしていくということになりますと、どの河川昭和六十年を目標にしますと六十年までかかるわけでございますが、そういったことはやはりできない。また台風あるいは集中豪雨の降り方によっては新しく改修を要する、こういったような河川も出てくるわけでございます。一般に、中小河川といたしますれば、在来は大体十カ年計画くらいである程度中小河川規模改修を終える、こういったような方針でございますが、第三次の五カ年計画では一河川につき大体八年か九年ぐらいで終えるというような程度になっております。今回の事業投資規模も、われわれの当初の要求より多少は圧縮されておりますので、個々河川にわたってどの程度改修計画を立てるかというようなことについてはこれからいろいろ作業をするところでございますけれども、私の目の子といたしますれば、中小河川は今回の五カ年計画であれば、大体現在手がけておるものは七年くらいで完成をさせるということで今度の五カ年計画処理していきたい。したがって、五カ年計画個々の具体的な内容をきめまして、さらにそれを各河川ごとに整理します場合には、それぞれの河川につきまして一定の一つの期限的な目標をつくって、それへ向かって改修なり何なりを進めていく。もちろん途中で社会情勢変化とか大災害が起これば別でございますけれども、何か河川改修が百年河清を待つのじゃないかといわれるような批判の起こらないように、一つ一つ区切りをつけていくということを今後はひとつ検討していきたいと考えておる次第でございます。
  12. 吉田之久

    吉田(之)委員 大臣にお聞きしますけれども、予算編成技術上は、いわゆる治山治水計画に基づく河川改修、あるいは山林の地すべり防止とか、水資源涵養林の造成とか、いろいろな計画が出るわけでしょう。しかしそれはやはりその災害に耐え得る治山治水を常時完備していこうということですね。もちろん災害が起これば別に災害予算が充当されるということはわかっておりますけれども、やはり基本としてはそういう災害を防ぐに足る治山治水事業というものが推進されるのが一番の目的でありまして、私どもは、それを全く事務的にさい然と分離して事を論じていくということはあまり意味を持たないのじゃないかというふうな気がするわけです。だから先ほどから、この計画といわゆる災害予想量あるいは発生量等との関連をお聞きしているわけなんです。  特に私は治山関係についていろいろお聞きしたいと思うのですが、たとえば治山の問題でもそういうことが随所に書かれているわけでございます。たとえば昭和三十五年三月の緊急措置法に基づいて出発した治山航業十カ年計画の初期の五年間の計画、これは三十九年に終了いたしておりますけれども、その実施状況を見ると、事業費七百二十九億円に対し、実施額はこれを一八%上回ったが、計画事業量は、計画当初予想した災害発生量を大幅に上回ったこと及び労務、資材等の高騰があったことなどから、その進捗率は五八%を示すにとどまったというふうな、過去の経過に対する評価と反省がなされているわけです。このようなことが随所に見られるわけですから、私はやはりこの際、新しい五カ年計画に入っていくからには、できるだけ思い切った大幅な計画を立てて、そういう実際に起こってくる災害に十分対処し得る計画にしていかなければ、結局さいの川原の石積みをやっているような感じ治山治水行政に終わってしまいはしないだろうかという点を心配するわけでございます。  だからそういう点で私はさらにお聞きしたいのですが、こういう災害発生のいろいろなデータというものをいかに正しく予見するか。いま一つは、今日まで進められてきたそういう行政上の手当てというものが、自然現象がもたらす災害をいかに少なく食いとめる効果を発揮したかということですね。いままでのいわゆるきき目がどの程度あったのか。たとえば過去十年を顧みて国のそういう河川行政というものがどの程度効果を発揮したであろうか、この問題が一つ。いま一つは、いろいろ政府がいわれておりますけれども、最近の都市過密によりまして、あるいは社会構造の大変化に伴いまして、過去と現在を比べてみて、いわゆる自然現象人間に与える被害というものがどのようにふえてきているか。こういう両面にわたって精細検討していかないとほんとう計画にはならないのではないかという感じがするわけでございます。だからこの機会に、そういう政治が、行政が果たしてきた効果はどの程度であったか、あるいは間違って、いわゆる人口過密のこういう東海道メガロポリスができ上がってしまった時点において、これがどのようにマイナスの効果を及ぼしているか、この辺を少し御説明いただきたいと思うのです。
  13. 西村英一

    西村国務大臣 金を使って、その金の効果がどれだけ出たかということは最も大事なことでございます。そこで私、きょうは表は持っておりませんが、結局その最も効果をあらわしたということの問題は、被害の額がどれだけ減ったかということ、それによる死傷者がどれだけ少なかったかという、この三つのことでございます。総括的に申しますと、河川はわりあいに投資が少ないのにもかかわらず相当な効果をあげたように私は見受けられます。台風状況にもよりますが、直轄河川等は非常によくなっておりますし、また海岸等もよくなっておりますから、もしかりに伊勢湾台風という、ああいうまれに見る台風が来たとしても、現在はあれほどの死傷者は出さない、あれほどの被害は受けない、こういうようなばく然たる感じが私はいたしておるのでございます。したがいまして、いま一歩というところであり、またこの河川被害を受ける状況は違ってきたということでございます。もしこの河川手入れを怠ったならば、死傷者も、いまくらいの災害があると、過去は四、五百人の被害があるんじゃないかと思っておったのですが、現在二百人台でもってとどまったようであります。終戦直後非常に災害が多かったのですが、そのときは何ともう数千人台の被害者。それから金の額は、いま換算しなければわかりませんが、相当な被害を金の面でも受けております。大体いまの程度では、被害の総額は二千億円くらい、これは最もひどいほうだ。それから死傷者は、これは予測するようではなはだ悪うございますが、二百人限度というような気持ちがいたしておりますから、いま少し直轄河川手入れをしたら、はるかに被害の額も少なくなるんじゃないかということで、この効果を追跡するということは最も必要なことでもございますが、河川は金を使わないわりあいに効果をあげた、もう一歩だというような気がいたしておるのでございます。もし河川局長が手元に持っておれば御説明申し上げます。死傷者もいまのような比ではございません。以上でございます。
  14. 吉田之久

    吉田(之)委員 大臣がおっしゃるような傾向が事実であるとするならば、これはまことに喜ばしいことでありますけれども、はたして年々発生する災害の中で国民が死亡する数字というものがそんなに激減しているのかどうか、これはちょっと、よほどわれわれもさらに精細に検討いたしまして、また他の委員からもいろいろ御質問があるだろうと思います。  同時に、私は、人数が減ることも大事でありますけれども、やはり被害の度合いといいますか、昔といまと比べてみて富が集中いたしております。したがって、同じような被害であっても人間にもたらす災害というものはたいへん大きくなってくる。それからその社会機構というものが、交通その他もろもろの機関が非常に複雑にからみ合っておりますから、それが関連して他に与える影響というものは、常識上非常に大きくなってきていると思うのです。だからその辺のところはよほど今後建設省当局とされましても、過去と現在、そして現在から未来、こういう社会変化に対応しながら、実際に国民の生命と財産がどのように完全に守られ始めてきているかということを、具体的に統計の中から、数字的な説明の中からひとつ確たるものを国民に示して、そして国民の協力を求めながらこの事業を推進していく、こういうことに一そうの努力をしていただきたい。手にとるように国の行政国民に与えている効果というものをわからしめること、これはやはりこの段階で非常に重要なことだというふうな気がするわけでございます。  それから、この機会に伺っておきますが、伊勢湾台風など、いわゆる台風がもたらす被害、これもいま申しましたようにきわめて重要ではありますけれども、ちょっとしたがけくずれ、しかしそのがけくずれがきわめて重大な人命の損害を与えている。たとえば飛騨川のあのがけくずれによってバスが転落して大災害をもたらしたというふうな例が近くにございます。だから私はこの際、特に部分的ながけくずれ防止をどういうふうに推進していくかということも今度の計画には非常に重要な要素だと思うのです。そこで、話は少し横にずれますけれども、たとえばこの同問題になりました、科学技術庁が地すべり実験をいたしましてとんでもない大失敗をしでかした。あのとき建設省も入っていたと思いますね。したがって、建設省サイドから見て、ああしたいわゆるがけくずれ実験反省と、これからの経験の生かし方というふうな点で、相当月日がたっておりますので、あの問題を今日の時点建設省としてはどういうふうに上反省し、またどういう対策を講じようとしておられるのか。この実験経過をこの機会にただしておきたいというふうな気がいたします。
  15. 西村英一

    西村国務大臣 いま水害のための死傷者は非常に少なくなりましたが、いわゆる集中豪雨によるがけくずれの問題、これが何さまあちらこちらで起こりますと、その一カ所の死傷は少ないけれども、トータルしますと、四十六年度でも二百人何がしの死者のうち百七、八十人はがけくずれでございます。大部分ががけくずれ。これは集中豪雨というものが近ごろはどこかで起こるわけでございまして、がけくずれは最もわれわれが注意しなければならない一つになっております。  それからもう一つの問題は実験の問題ですが、これはどういうふうな反省でやっておるか、政府委員説明をさせます。
  16. 川崎精一

    川崎政府委員 最近の人命被害の実態を見ておまりますと、堤防の破堤とかいったことは大河川では非常に少ないわけでございます。むしろ、お話しのようにがけくずれ等による人命被害が非常に多い、こういうようなことで、私どもは、急傾斜地の崩壊防止に関する法律というのがございますが、これの法律に基づきまして、できるだけそういったきめのこまかい行政がだんだん必要になってきたのじゃないかということを深く認識しておるわけでございまして、そういった点で、私どもといたしましてはできるだけあの法律を生かして、早く危険区域の網を全国に張ってしまいたい。それから一定の基準以上のものにつきましては、これは防止事業として国も援助の手を差し伸べられるわけでございますから、そういった事業については大幅に推進していきたいというようなことで、在来は五十戸以上、緊急の場合は三十戸以上の人家の被害対象としてがけくずれに補助してきたわけでございますが、今回、四十七年度予算では、いろいろ大臣のお骨折りもございまして、三十戸、それから緊急の場合は十戸程度規模のものまでこういった範囲を広げていくというようなことで予算措置をしておるわけでございます。ただ御承知のように、がけといいましてもすべて個人の財産でございますので、そういった私権を制限するとか、あるいは地価が下がるとか、いろいろな制約が加わるものですから、市町村といたしましてもなかなか危険区域の指定をよほどでないと促進したがらない、こういったような傾向も一方にはあるわけでございます。したがって、必ずしも私どもが期待しておるほどには指定個所がふえていかない。現在約千六百カ所余りであったと存じますが、そういったところにつきましては、それぞれ規模等に応じまして、あるいは国が援助し、あるいは県や市町村が単独でやるとか、そういったことで総合的に安全を確保するような方向を進めていきたい。なお、そういったところにつきましては、まず当面はやはり避難とか、こういったものが先に立つのじゃないかと思います。したがって、こういったものについては地域の防災計画の中に入れて、避難誘導とか、あるいは連絡、これからもできるだけ緊密にとれるように、各市町村も十分注意をしていただく。それから、私どものほうでは、先ほどもお話のございましたああいうがけくずれ等につきまして実験なりその他の調査研究をいろいろやっておるわけでございまして、あれほどの犠牲を出したことでございますし、ああいう経験をできるだけ生かして、そして一般の方々にそういったものが実際の生活上参考になるというようなことで、どの程度のがけでどの程度の雨が降ればどういう災害が起こるからどのように避難をしなさいとか、今後家を建てる場合にはこういうように家を建てるほうが安全ですよ、こういったような安全基準等も現在作成を検討させておるわけでございます。そういった総合的な面から、在来よりはできるだけきめこまかく気を配っていくように私どもも努力いたしたいと考えております。吉田(之)委員 局長のお話の中にもございましたように、特に急傾斜地の地すべりはいま一番人命をそこねている、無視できない問題だと思うのです。国が、三十戸から二十戸あるいは十戸というふうにだんだんと当該居住戸数を縮小しながら、したがってきめこまやかに対応策を講じられておることはわかりますけれども、しかし、実際山間僻地へ参りましたら、局長も御承知のとおり、家というものはそんなに密集して建っていないわけです。ほとんど一戸か二戸が並んで、しかもことごとく急傾斜地の下に点在しているというのが現状でありまして、われわれも非常に危険な個所をたくさん知っております。ところがこれの対策が、現在国としてもあるいは県、市町村としても十分にはとり得ない。移転したいという希望は持っているけれども、そして何がしかの援助があればこの際そのことを実行することができるのだけれども、しかし独力ではできないので、依然として危険な下に住んでいるという人たちが一ぱいおります。一戸、二戸の住宅に対してまで国が直接全部に手をおろすことはできないと思いますけれども、県や市町村を通じてそのことを促進させる方法をこの際もっと具体的に考えてやるべきではないか。あるいはそういうことに対する国からの地方自治体への財政的な援助という方法も、さらに積極的に講じてやるべきではないかというふうな気がいたします。なぜかと申しますと、この間のがけくずれ実験の場合でも国民が周知いたしましたように、あれはまさに一瞬にして音もなしにくずれてくるわけなのです。だから、いまおっしゃるように避難誘導ということもよくわかりはいたしますけれども、これは昼日中、よほど用意されたときにのみ初めて効果を発するものでありまして、たいていの場合は深夜、寝ている間に土にまみれておったというふうなことが多いのであります。したがって、さらにきめこまやかな人命尊重の政策が建設省の指導のもとにこの機会にとり得ないものかどうか。さらに、いまおっしゃいましたように、これから新しい住宅を建てる場合、その安全基準等について、厳格な指導、規制が必要ではないかというふうな気がいたします。特に一戸、二戸のそういう危険千万な住宅に対して、この際何らかの措置を講ずる方法はないだろうかということについてお伺いいたします。
  17. 川崎精一

    川崎政府委員 ただいまお話しのように、私どもも実際現地を見てまいりますと、いわゆる急傾斜地の崩壊防止事業だけではどうしても対策を講じられない。これもおっしゃるように、個人の住宅でございますし、一戸一戸につきしてそれぞれ、がけくずれの防止対策をやるということになりますと、これは非常にたいへんな事業量になりますし、主として個人の財産でございますので、そういった点で個人に対する援助のバランスというものも考えますといろいろ問題があるわけでございます。しかし、現実にそういった災害が起こって人命がそこなわれておるということにつきましては、われわれもこれをこのまま置いておくというわけにまいらないと考えます。そういった事情も考えまして、いわゆるがけ地に近接いたしております危険な住宅につきまして、これはまあ移転したほうがいい、地方の公共団体も応援しようというような場合には、それにつきまして国のほうでその補助額の三分の一程度を援助するというような制度を四十七年度からつくっております。これは住宅局の予算でございますが、やはり私どものほうのがけくずれ対策の一環でございます。そういった意味で、戸数の少ない危険家屋につきましても、これを移転するとか、あるいはその先で建築する資金、こういったものについて、十分ではございませんけれども、四十七年度からそういった道を開いていきたいということで、若干の予算の手当てをしておるわけでございます。こういったものではたして十分かどうかという点につきましては疑問がございますけれども、何かそういった道をまず開きたいということでいろいろ努力をしたわけでございます。
  18. 吉田之久

    吉田(之)委員 林野庁、お見えですね。——特に治山計画についてこの際林野庁にお聞きしておきたいのですが、一番気になりますのは民有林と国有林のアンバランスでございます。特に国有林の場合には、治山予算の伸び率が民有林のそれと比べましてだんだんと格差を生じてきております。われわれの聞いておりますところでは、いわゆる国有林自体の経営、運営の不振が一つの要因になっているのではないかというふうな気がいたします。財貨は横ばい状態の中で人件費は上がってくる一方でありまして、しかも森林の場合には生産性の向上というものも数字的にはきわめて低いものだと思います。こういう中で、このままで、いままでのいわゆる独立採算的なやり方で国有林が保全されていくのかどうか。特に国有林の果たしております治山関係の役割りというものは公益性が非常に大きいと思うのであります。その点で林野庁としてはどういう考え方をお持ちになっておるか、お聞きいたしたいと思います。
  19. 松形祐堯

    松形説明員 お答え申し上げます。  ただいまお話がございましたように、最近の外材あるいは代替材の進出とか、さらには自然保護等の要請によりましてたいへん伐採量が減る、あるいはいま御指摘がございましたような人件費の高騰ということで、たいへん赤字をかかえるような事態になっております。したがって、私どもそれらをとらえまして、事業の徹底的合理化とか経常体制の刷新というようなことを含めまして、現在鋭意検討いたしているところでございます。ただ、ただいまお話がございましたように、国有林の治山事業につきまして、特に重要な地帯を占めております関係から、私ども、現在御検討いただいております第四次案におきましては民有林とほぼ同じような規模で、二倍程度というようなことで計画いたしておりますが、このような赤字をかかえるという事態にまいりますと、やはり一般会計の負担をお願いしなければならないというふうなことを考えております。したがって、四十六年度は十大流域につきまして一般会計で約二十三億円程度持っていただいておりましたが、四十七年度の案におきましてはそれを拡大いたしまして、七十五流域について六十六億円という大幅な一般会計の負担をお願いしているところでございます。なお、先ほど申し上げましたように、国有林の問題につきましては抜本的に検討いたしておりますが、その中でも、この治山問題というものを含めまして検討いたしておる段階でございます。
  20. 吉田之久

    吉田(之)委員 大臣に申し上げておきますが、われわれはやはり国有林の保全というものは非常に気になることでございます。いまも説明がありましたけれども、今年度は六十六億円を一般会計から導入するそうでありますけれども、今後とも相当思い切った導入を一般会計からしていかないと、ちょっと国有林自体の特別会計では完全な保全が不可能ではないかというふうな気がいたします。やはり水を治めるためには山を治めなければならないという大原則に立ち戻って、大臣としてもひとつ積極的な御努力をお願いいたしたいと思う次第でございます。   以上で私の質問を終わります。
  21. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、卜部政巳君。
  22. 卜部政巳

    ○卜部委員 本論に入る前に大臣にちょっとお伺いをいたしたいと思いますが、神奈川県下の厚木インターチェンジと大井松田間の中間に、今度秦野のインターチェンジが新設をされる問題がございますが、これに伴って住民から不信の声があがっていることについて御存じでしょうか。
  23. 西村英一

    西村国務大臣 不信の声は新聞で知りました。秦野のインターチェンジの問題は、昨年の六月、道路審議会にかけて決定したそうでございまするが、最近それをめぐってトラブルがあることは新聞で承知いたしております。
  24. 卜部政巳

    ○卜部委員 そのインターチェンジはぜひとも必要とされるものでしょうか。同時に、中国縦貫道路なり横断道路でもそのとおりでありますが、そのインターチェンジをつくるときは、少なくとも住民の圧倒的な要請というものが行なわれておるわけですね。この場合にはそういう要請どころじゃなくて、むしろ変なうわさが住民の中にあるということはどういうことか。と同時に、そのインターチェンジがほんとうに必要とされるのかを私は疑問に思う。その点はどうなんですか。
  25. 西村英一

    西村国務大臣 東名高速道路の初めの計画には、建設省の試案としては秦野のインターチェンジは入っておったようでございます。ところがそのときは何らかの理由によってやめたようでございます。そこで現在は東名高速道路にはないわけでございまするが、昨年の審議会においてそれが必要であるということになりまして、審議会として決定されたということになっております。これは私は必要があろうと思われます。思われますが、それをめぐってとやかく議論があれば、建設大臣としては注意をしなければいかぬということは当然でございます。必要は十分あるということは、審議会を通っておるのですから私もそう認めるわけでございます。実施にあたっては慎重な態度をとらなければならぬということは、これはあたりまえでございます。
  26. 卜部政巳

    ○卜部委員 ですから、住民からそういう切なる要望があるかどうかを聞いているのです。私たちの場合、中国縦貫道路の場合は、ここにインターチェンジをつくってくれという住民あげての陳情を行なっていますね。そういうような盛り上がりがあるのか。そんな必要はないのじゃないかということが出ておるときに、インターチェンジをつくる必要がどこにあるかということなんですよ。その点を聞いている。そういう声があるのかどうか。
  27. 西村英一

    西村国務大臣 インターチェンジは住民の希望があるから必ずつくるというものではございませんで、高速道路の維持、その利用、運営のために、ある一定の区間、距離を置いて、こういうところはやはりつくっていくべきだというような一般的な基準でやっておるわけでございますが、中には基準に合わなくてもつくってくれというところもあります。また、われわれの基準と地方の住民の希望とが一致をするところもありますし、いろいろありまするが、それは道路の運営上、高速道路の使命を果たす運用上として基準をつくってやっておるのでございます。私はまだ十分な調査をいたしておりませんが、結局、東名高速道路の初期のときにそれは必要であるということで、一応建設省案としては考えられておったけれども、何らかの理由によってそれは初めはやれなかった。次に中間でやろうということに昨年の審議会で答申を受けたのですから、私ももう少し調べてみたい、かようには思っております。
  28. 卜部政巳

    ○卜部委員 これがうわさにあるように、住民の声のように、ゴルフ場のために云々ということがありますと——たとえば今度の中国縦貫道路でも、備中町という町が岡山にありますが、東城インターチェンジができることを条件にして備中町と丸紅飯田とが土地の売買契約をやっておる事実がある。そういう点もありますが、こういうような問題等とからみ合わせまして、何かうちのところの建設省の幹部なりこういう人たちがあわてて会員権を返上したとかいうようなことがございます。こういうことは住民にとってはいささか不信をもたらしてくるものが多いかと思いますが、いま建設大臣のほうから十分に調査をしたいということでございます。私たちも十分に調査をしまして、その状態というものを監視をしていきたい、こう思います。これが本論に入る前の質問でありますが、ひとつ十分その点の調査をお願いしておきたいと思います。  今度は大臣でありませんが、最近の大都市におきますところの配水量と実際に各家庭で使用する水の量との差はどのくらいになっておるかをひとつお伺いをしたい。
  29. 川崎精一

    川崎政府委員 ちょっと御質問の趣旨がわかりかねるのですが、一般の各家庭の水の使用量といたしましては、ビル用水などを除きますと、全国で約二百リットル・パー・人日が平均になっております。これはヨーロッパ等の都市部におきましても、団地等は大体その程度の使用量でございますが、しかし東京、大阪といったような商業都市につきましては、これは営業用のビル用水というものがかなり使われておりますので、そういったものについては四百リットルから五百五十リットルくらいの数字にのぼっておるわけでございます。  それから量の関係でございますでしょうか……。
  30. 卜部政巳

    ○卜部委員 それでいいでしょう。いま局長のお話にあるように、大都市では一日一人当たり大体四百五十リットル、こういう説明がなされておりますが、実際に使われておる数量というのは幾らになるのかということを私は質問しておるわけです。配水量は四百五十リットルだ、しかし実際は幾らぐらいだろうか、こういうことですね。
  31. 川崎精一

    川崎政府委員 実際に水道企業者が供給しておる量と家庭が使用しておる量の差がどのくらいあるかという御質問かと存じますけれども、有収率と申しますか、途中でいわゆる漏水等がございまして、実際には水資源は供給しておるけれども利用されていないという率が大都会ではかなり高いようでございます。ちょっと正確な数字は失念いたしましたが、一〇%を上回るのじゃないかと考えております。
  32. 卜部政巳

    ○卜部委員 一〇%を上回るということは、それは無限大でありますから、その数字の問題でのやりとりは私は避けたいと思いますが、実際は百五十から二百ということになっているわけですね。そういうことからいたしましても、いま局長のおっしゃるように、漏水などというもったいない現象も出てきておるわけです。こういう点から見ると、水の目的別の使用構造の試算というものがあってもいい、私はこう思うのですが、これはどの都市でもいいのでありますが、わかれば出していただけませんか。
  33. 川崎精一

    川崎政府委員 ちょっとマクロ的なお話で恐縮でございますが、昭和四十年時点の調査でございますと、年間の使用量が大体五百億トンでございますが、その中で農業用水が約七〇%ぐらいを占めております。それからその他が都市用水で、これには生活用水それから工業用水が入っておるわけでございますが、生活用水が約二%、残りが工業用水でございまして、約七十一億トンでございますから一四%ぐらいでございますか、それが大体の分布の状況でございますが、今後はやはり生活用水と工業用水が中心に伸び率が大きくなっていくのじゃなかろうかと考えられます。  それから、これは生活用水となっておりまして、先ほど申し上げましたように、一人当たりにしますと、都市では五百リットル前後の使用量になりますが、実際の団地等の水の使い方を見ますと、日本でもヨーロッパでも大体二百リットル前後に落ちついておるわけです。したがって、その他は官庁であるとかビルとかいったもののいわゆるビル用水、社会活動の用水が半分ぐらいを占めておるのじゃないかというふうに思われます。  それから工業用水につきまして、一番水を使っておりますのは化学工業でございます。その次に鉄綱、パルプ、こういったものでほとんど約七割ぐらいを占めておりまして、その他は一般の工業がそれぞれ使っておるのが実情かと存じます。
  34. 卜部政巳

    ○卜部委員 いまの局長のお話ですと、大ざっぱなお話がなされておるわけでありますが、この目的別の使用構造の試算というのは毎年行なわれているのですか。
  35. 川崎精一

    川崎政府委員 水道用水と工業用水の需要の実態でございますけれども、これにつきましては、厚生省、通産省でそれぞれの用水の統計をつくっております。たしか毎年ではなくて、三年とか四年程度資料を集めて、そういった統計一般に公表しておるようでございます。
  36. 卜部政巳

    ○卜部委員 私はそれはちょっと間違いだと思います。ということは、実際これはあまり公表したがらないのですね。そういうふうな問題があって、こういう資料の提供を求めてもこれは公表しない。マル秘文書と若干似通った点がありますけれども、こういう点が出ております。でありますから、この種の調査というのは毎年でもやって、そしてこれを公表すべきが筋合いだ、私はこういうふうに考えるのですが、この点に対して建設省は公表するということをここで確約できますか。
  37. 川崎精一

    川崎政府委員 私ども、水を主として供給する立場からまいりますと、なかなかダム建設その他につきましても進捗が思うにまかせないということで、水資源の確保そのものが非常に重要な課題になっております。したがって、一方では基本的な水資源の開発はもちろん重要でございますが、同時に水をできるだけ有効に使っていただきたいという気持ちがするわけでございます。したがって、そういった水の有効利用、合理化という面からいきますと、それぞれ水を使っておる方々が十分そういったことを考えて水の使用をしていただきたい。それにはやはり現在どういうふうに水が使われているかということが一番肝心じゃないかと思います。通産省とか厚生省がどういう扱いをいたしておるか知りませんけれども、やはり国民に対して水の認識を深めるという意味からも、そういった必要なものはできるだけ公表すべきではないかと私は考えております。
  38. 卜部政巳

    ○卜部委員 大臣、どうですか、いま局長がおっしゃったように、せっかく水資源の開発その他をやってもむだ使いがあり、あとから申し上げますが、漏水なんかもたくさんあるのです。そういうような問題の目的別使用構造というものが明らかにされずに何かうやむやになっている。これでは建設省としてはたまったものじゃないと思います。だから、所管大臣あたりにもその点は十分連絡をして、目的別使用構造というものについての試算、こういうものを毎年やれ、そしてまたそれを明らかにせよということを連絡をして、今度の建設委員会の中で、各大臣のどういう検討があったのか、お答えを願いたい、このように要請をしておきたいと思います。  そこで局長、先ほど私若干ちゃんぽんになったきらいもありましたけれども、局長のほうから漏水云々という問題に触れられたわけでありますが、この漏水の原因は一体何なんですか、これをひとつお聞かせ願いたいと思う。
  39. 西村英一

    西村国務大臣 実は先生からたいへんいい御注意を受けたのです。いま水の問題は、使用別にいきますと、農業用水は農林省、工業用水は通産省、生活帯水は厚生省、建設省はそれをつくる、生み出すのだということで、経済企画庁がまとめておるのですが、私はそれではいかぬと思うのです。経済企画庁はとにかく数字の上ではまとめますけれども、実質をつかみ得るのは建設省なんです。その点に建設省の盲点があるのです。この水をつくり出すということは、一方では水を節約しなければならぬということにつながるわけです。節約は収入の裏ですから。だから建設省がただつくり出すことのみを考えておるのではいけないので、それがいかなる用途に使われておるかということを納得して初めてつくり出さなければならぬと思っておりますけれども、建設省はとにかくダムをつくるのだ、河川を直すのだ、流水を変更するのだという、いわゆるコンストラクションばかりにかかっておるような傾向があるわけです。水の用途は一体どうなっておるのか、こういうことをもう少しよくつかまなければ、私は建設省という役目が果たせないと思う。ところが、行政的には経済企画庁がそれを総括的にまとめておることになっているのですが、その点に非常に盲点がございます。したがって、いまの御注意はたいへんいい御注意でございまして、私たちは、水をつくる以上はその用途について的確な資料をつかまなければならぬ。もちろんこれは農林省の意見を聞き、その他の各省の意見を聞くことは当然でございますけれども、非常にいい御注意で、私と全く同意見でございます。建設省は水をあずかる以上は、つくることはもちろんであるが、その用途の点——いま言いましたような漏水の点も用途をつかんで初めてわかることでございますから、ひとつ十分注意をいたしたい。  なお、漏水の問題につきましては、技術上の問題でございますから政府委員から説明させます。
  40. 卜部政巳

    ○卜部委員 その前に、大臣、そういうおことばでございましたので意を強うしたわけでございます。ともあれ通産省あたりは、ここら辺の二百トンの水が余っておるとか、たとえば河川の問題に対しても水資源の問題に対しても、もったいないだとか、こういう干渉はしますけれども、いま言うような目的別の構造というものはわかりませんから、出していないのですから、その点はしかとあなたのほうから注意をしていただきたいと思います。そのことを要請します。  ではひとつ漏水の点について……。
  41. 川崎精一

    川崎政府委員 前々から大臣の御意向もございまして、私どものほうで水がどの程度、どの方向で使われておるか。特に工業用水等につきましては、回収率等がかなりこれから問題になるわけでございまして、できるだけ循環使用をして水を節約してもらいたいというような趣旨から、各省の資料等を集めまして、私どものほうでも現在概要の輪郭をつかまえる努力をしておるわけでございます。漏水につきましては、主として水道部門が担当いたしておりますので、現実に私手元にちょっと資料を持ちませんけれども、主としてやはり戦前等の老朽施設、こういったものがずいぶん現在でもそのまま使われておる。したがって、こういったものを全部配管をやり直すというような点につきましては、東京都等におきましても相当努力をいたしておるようでございまして、逐次更新をしておりますが、なおそういった点では十分行き渡っていない。それから最近はいろいろ特殊の計器を使いまして、そういった漏水の実態等をパトロールをして把握をしておるようでございますが、こういった点でもまだ十分行き渡っていないというのが原因じゃなかろうかと思います。なお、一般の家庭、特にビル関係におきましては、これはいわゆる漏水じゃなくてむだ使いといいますか、せんを締め忘れたり、そういったようなことで一時的に計器のメーターが上がっておる。こういったような、いわゆるメーターは上がっておるけれども、われわれの認識から見ると異常な使い方をしておる、たとえば学校だとかあるいは大会社のビル、こういったものは間々そういったような現象も見られるわけでございまして、実際にそういった水をどういうように有効に使っていくかということになりますと、配管の途中の漏水の実態とこれの改修、それから一般の水を使用される方の認識といいますか、水に対する態度というものと、両方がマッチしないとうまくいかないのじゃないかという感じがいたします。
  42. 卜部政巳

    ○卜部委員 よくわかりました。そこで、これはいま仰せになったように、メーターによると使った量の差もある。これが戦前からの古い云々ということもございましたけれども、その流れている漏水——まあたとえばメーターが上がっている、もったいないという、この面もございますが、かりにいまのようにメーターが上がればその家庭が払うというかっこうになるわけですね。しかしながら、そういうようにメーターが上がらずに水がどんどん流れていくということであったら、これはおかしな話なんです。ですが、それは戦前からの水道管だからやむを得ませんということでいいのだろうか。たとえばこれが民間の経営だったら、とてもじゃありませんがそういうことで済まぬと思うのですよ。すぐさまこれは取りかえたり何かすると思うのです。そういう点が何かお役所仕事のような感じがあるような気がするのです。そういう問題についての指導なり、そうして漏水を防ぐという面からのあわせた両方の指導というものを強めていかなければいかぬと思いますが、今後どういうふうにやろうとされておりますか。まあまあゆっくりやろうかという程度ですか。
  43. 川崎精一

    川崎政府委員 いまの上水道あるいは工業用水の漏水でございますが、直接は厚生省の水道課というようなところが所管をして、これも真剣に指導をしておるわけでございます。直接私ども担当いたしておりませんので、先ほどの答えもきわめて不十分であったかと存じますが、そういった実態につきましては十分また後ほどそれぞれの所管とも連絡をいたしまして、御参考に供するようにいたしたいと考えております。  なお、私どもとしましては、先ほど申し上げましたとおり貴重な水でございますので、そういった配分にあたりまして、そんなに東京都なんかの漏水が多いなら漏水分だけは水の割り当てを減らすぐらいの覚悟をしたらどうだ、こういったような強い態度で、それぞれ水需要はかなり計画を上回っておりますので、東京都なりあるいは川崎市なり千葉市なり、こういったところの配分にあたってはそういったことも十分考慮して、もっと合理的にやってもらいたいというような指導は機会あるごとにやっておるわけでございますが、御指摘でもございますし、もっと今後とも、それぞれの厚生省、通産省と言わずに、積極的にそういった水を節約をして有効に使うという方向で私どもも強力に進めるように努力いたしたいと存じます。
  44. 卜部政巳

    ○卜部委員 当事者でないのであまり詳しい答えができないという前提がございましたけれども、これは私の調査では、大体その漏水が三割から四割に達しておる。これは大都市です。こういうような現状でありますので、いま局長がおっしゃられたように、ひとつそういうような漏水をやるならストップさせるぐらいの気がまえでやってもらいたい、こういうふうに思います。  そこで本論に入りますが、今度の法の改正の中で、治水目的を持つ、または利水の目的を持つ二つ以上の河川の連絡をする導水路の建設は、ここでいう流況調整河川工事ではないのですが、具体的にこういう単一目的を持つ導水路の建設工事が行なわれたことがあるのかどうか。これをひとつお伺いをしたいと思います。
  45. 川崎精一

    川崎政府委員 私ども流況調整と申しておりますのは、在来からの放水路のような、洪水を処理して洪水の流量を低減する。それから次には、地域の維持流量等をこれによって増加をしまして、できるだけ水質を希釈することによってよくする。それから通常の処理の容量をこの水路で調節をしてよくする。あるいはその流域の内水等の浸水をその河川にくみ上げて治水環境をよくするとか、いろいろな意味を常識的には考えておるわけでございまして、その中の一つのケースが、今回特別の利水者負担金を課する流況調整河川工事という形をとっておるわけでございます。したがって、一般的な流況調整の河川工事ということでございますれば、すでに放水路等もございますし、それから分水工事だとか、たとえば利根川でございますと武蔵水路なんかもやはりその一つじゃなかろうかと思いますし、隅田川等に浄化用水を送り込んでおる、こういったようなものも流況調整かと存じます。また発電あるいは都市用水、こういった多目的の水路でこれを分水しておる、これは主として利水サイドの意味でございますが、そういったものも含めて、広い意味では流況調整の工事が在来からも行なわれておったと考えておる次第でございます。
  46. 卜部政巳

    ○卜部委員 だから、単一目的を持ったところの工事というものはなかったということですね。ただ広い意味でいま言う流況調整みたいな工事をやったという程度ですね。
  47. 川崎精一

    川崎政府委員 たいていは複合した目的が多いわけでございますが、単一としますれば、洪水を吐くための放水路、水路のつけかえ、こういったものも一種の単独の流況調整河川工事ではないかと思います。
  48. 卜部政巳

    ○卜部委員 では今後はどういうふうにされるおつもりですか。
  49. 川崎精一

    川崎政府委員 今回法律の改正をお願いしておりますような種類の工事は、主として在来の治水工事に加えて新しく兼ねて水資源が生まれてくる、こういったことをねらった工事でございますが、今後ともやはりできるだけ水資源の確保、それからそれを平地部でできるだけ有効に使う、こういった合理化という面からいきますと、やはり河川間を水路で結ぶことによりましてそれぞれの河川の流況の違い等を調整すれば、これをまとめて運用すれば新しい水資源になる。また農業川水等につきまして、こういったものは一度利用されて還元してくるものがむだに海に流れるのを、この調整河川によって水資源に顕在化できる、こういった効用がございますので、私どもとすればできるだけ積極的に取り上げていきたいと存じます。ただ、在来からのいろいろの水利の慣行、秩序がございますので、こういたものを尊重しながらまいりませんとまたいろいろトラブルを起こすもとにもなりますので、そういった点では十分慎重を期しながら、やはり今後の農地の水の利用の合理化あるいは河川の流況の度合い等を見詰めながら促進するようにいたしたいと考えております。
  50. 卜部政巳

    ○卜部委員 それに関連をするのですが、そういたしますと、たとえばこれは将来の展望なんですが、水の余っておるところと水の足らぬところというのは、これは歴然としておりますね。そういうふうな関係から、たとえば日本海と太平洋側とを結ぶというような、こういう長期展望はないのですか。
  51. 川崎精一

    川崎政府委員 私どものほうで実現をしたいというつもりで調査をしておるわけではございませんが、先般広域利水調査等を行ないました時点で、やはり水資源が地域の需要状況に対して非常に偏在をいたしておるということでございますので、そういった点では、今後ますます大都市の水需要が増大すればそういったことも考えざるを得ないというようなことになるのじゃないかと思います。しかし一方、そういった時点では今後の地域開発ということも当然考慮しませんと、分水をされるほうの地域開発が制約されるわけでございますから、そういった点ではいわゆる分水事業というのは非常に問題が多いわけでございます。しかしもう一つまた別の観点に立って、たとえば相互に融通し合う。たとえば日本海のほうに水が必要ならば、そして太平洋側に余っておる時点では融通するんだ、そういったような大構想に立てば、やはり何らかの連絡水路があればそういったことも可能になるわけでございますので、長期的な展望とすれば、いろいろな基礎調査を私どももしていきたいと考えておる次第でございます。
  52. 卜部政巳

    ○卜部委員 この「国土建設の現況」というものをながめてまいりましても、昭和六十年における水需給対策といたしまして、今後年間四百六十一億立方メートルの水資源の開発を行いたい。そういう意味合いにおきまして少なくとも四百八十のダムの施設をつくる云々という展望が出ておるわけですね。そうしたらこうした展望に入れてもいいじゃないですか。というのは、率直にいって、こういう四百八十のダムを、いま局長がおっしゃったようにはたしてできるかできぬか、かなり問題がありますね。問題があるけれども、その想定をし、年間四百六十一億立方メートルのそれが必要なんだからそうなるという構想に立って、四百八十のダムを建設をするというのでしょうね。そうなれば、水が当然不足するところと余るところとを結びつけるという構想の展望くらいは、この「国土建設の現況」並びに将来の展望の中に浮き彫りにさして何ら恥じるところがないと思うのですね。その点が若干矛盾したような感じがしたのですか、どうですか。
  53. 川崎精一

    川崎政府委員 「国土建設の長期構想」の基礎といたしまして、先ほど申し上げましたような広域利用の調査をしたわけでございます。これは一定の、昭和六十年町点の人口だとか、あるいは工業出荷額といったような工業用水の需要の基礎の単位をいろいろ仮定をいたしまして、それぞれの地域でどの程度に水の需要が発生するだろうかというようなことを概略予測をしたわけでございます。そういったものを踏まえまして、一方で日本の水資源開発というものが、これは決して無限ではございませんので、可能なのは大体どの程度であろうかということで、これを一応上流の水源地域で水を生み出すとすればどの程度要るかというようなことで計算をしたわけです。その結果、やはり関東地域、それから近畿圏、こういったところでは、二地域だけでも約五十数億トンの不足が生ずるというのが一つの数字としてあらわれてまいったわけでございます。しかしこれは、いまの地域開発、それぞれの大都市圏の発達がこのまま伸びていくというような一つの仮定がございますし、それから今後の平地部におきます水利用の合理化、あるいは農業用水等がもちろんその中に入りますが、回収水等のできるだけ効率的な利用、そういった、面ついては私どもまだ調査が及んでいないわけでございます。  それから一方、それでは六十年に、いまのような状態で日本の国土開発といいますか地域開発が進んでいくかどうかということになりますと、やはり今後は相当過疎過密型から地域分散型になってくるのじゃないかと思います。そういった点では新しい全総の見直しなり何なりが現在行なわれておるわけでありまして、そういったものと合わせた具体的な水の計画をつくっていかなくちゃならないのじゃないかと思います。マクロ的には、私どものいたしました調査で大体、足らない地域、足る地域というものがはっきりしたわけでございますから、今後は、地域開発のあり方に従って、不足なところをどうするかとか、水の豊富なところに新しい地域開発事業発生させるとかいうような、また大きい政策との関連もございますので、特に具体的なおっしゃるような構想をいますぐ水だけの感覚から打ち出してはたして妥当かどうかという点についていろいろ議論もございまして、特に触れてはございませんが、予備的な私どもの基礎調査とすれば、そういうことも現在いろいろ調査はいたしておる次第でございます。
  54. 卜部政巳

    ○卜部委員 数年前の「国土建設の現況」をずっと拾ってまいりましても、河口ぜきだとか河口湖の問題は出てきておりません。しかしながら論議としては河口ぜきや河口湖の問題は出てきておったわけです。ところが四十六年度版には河口せきが出る。法案の中にも出てきたように、取り上げられておるわけですね。そういう点で、いまここで論議されておるこういう問題も、やはり先ほどの局長の長期展望に立った中の問題として基礎調査云々ということばで納得しますけれども、少なくともそれが具体化されるように、展望の中に明確に打ち出して、おく必要があるんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。  なお、それに伴いまして、水資源の開発の問題ありますが、従来ともこの水没補償については地元関係者と十分に納得のいく話し合いがなされた。さらに今後はこの水没者の生活再建対策はもちろん、地域開発上の問題について検討をする必要があると言うのでありますが、どういうような検討をするのか、この点お伺いをしたいと思います。
  55. 川崎精一

    川崎政府委員 水資源の開発がいろいろ地域の用地問題あるいは地域開発の問題、こういったところで難航をいたしまして非常におくれておるわけでございます。そういったものを打開する意味で、やはり何らかの水資源の開発に伴ういろいろな問題を解決していく必要があるのじゃないかというようなことで、昨年来河川審議会に水資源開発の小委員会といったようなものができまして、こういったところでいろいろ議論がされておるわけでございます。もちろん水の利用の合理化の問題だとか、あるいは水の資源を開発するコストがどんどん上がっていくじゃないか、そういった問題もございますが、やはり水資源開発の施設そのものをつくるときにどうしても地域開発の問題を避けて通るわけにはいかないというようなことで、その小委員会を中心にいろいろ検討はされておるわけでございます。またそれとは別に私どもといたしましても、できるだけそういった地域開発をするのには関係各省の協力を得る必要があるというようなことで、現在経済企画庁にお願いをしまして、いろいろ音頭とりを、水資源開発に対する各省の共通の土俵づくりをひとつぜひやってもらいたいというようなことで、現在企画庁のほうでいろいろ努力をしてもらっておるわけでございます。そういったことで何らかの打開をはかっていきたい。  同町に、やはり水資源開発地域につきまして、ダムをつくられるところの地域の住民感情、それから下流の開発される地域の住民感情、こういったものがかなり違っておるわけでございます。それから、水没される場合に残存される方の生活再建がどういうふうになされるべきか。非常に過疎地域の場合が多いわけでございますが、ますます人口が減っていくじゃないか。そういった場合にやはり生活再建はどうすればいいかというようないろいろな問題がございまして、特別立法をしろというような声もずいぶん出ておるわけでございます。この点につきましては大臣からもいろいろ御指示がございますので、私どもも何らかの形でそういった水資源開発の隘路を打開する制度をひとつ考えていきたいというようなことで、今後はそういった問題に積極的に取り組んでいきたいと存じております。
  56. 卜部政巳

    ○卜部委員 経済企画庁に依頼するだとかなんとかということでは私は解決はできないと思うのです。私たちの地域の中に、先ほど局長がお話しになった、工場分散なんかをかりにこれからの問題として考えたときに、私たちは、上流にそんな工場なんかを持ってこられまして、そのために水が必要なんだ、こういうためのダムをつくってくれといってもこれは納得できないと思うのですよ、そういう場合は。経済企画庁は率直にいっていまの状態では何か企業優先的な措置をなされておるので、そういうことではいけない。  そこで生活再建に対する特別立法云々というような問題と制度化という問題があるのですが、これとても過疎法と同じように、生産基盤、生活基盤というものを無視して、ただ補助率のアップだけで事足れりというような、こういう小手先細工の立法であればこれも意味がないと思う。ですから、技術者が言っているように、水との対話、人との対話、こういうものを総合的に行なった一つ地域開発が行なわれなければならぬと私は思うのですよ。そうした場合に、少なくともこの人たちが再建のめどが立つ、いまの生活よりもより明るい生活ができるという保証をやはりやってやらなければいかぬ。そこにはやはり地域的な開発も同時に行なわないとだめですよ。こういうものを踏まえなくして、ただ立法だ、過疎法みたいに立法だ、企画庁におまかせだ、さらには制度化して云々だということでは私は納得ができないし、またそういうことでは解決ができないと思うのです。そういう意味合いにおいて、大臣、どうですか、これからの水資源開発に対する対策、また水没の住民の方々に対する対策というのは、私が主張したとおりに、国がやろうと思ったらできるのですから、そういうことはそういうふうな方向で、やはり四百八十というダムが、施設ができるようにしなければ、こんなのは机上のプランですよという以外にないと思うのです。その点の見解をひとつお伺いしたいと思います。
  57. 西村英一

    西村国務大臣 これから水開発をするのには、やはり降った水はためておかなければならぬということでダムが必要だと思います。これは多目的ダムであろうと単目的であろうと、ためておくことが必要だ、それにはやはりダムが必要だ、こういうことになります。しかしそのダムをつくる場合には、やはり地域住民の了解が得られなければなかなかうまくいくものじゃございません。したがいまして、地域住民の了解、了承を受けるやり方の問題、まあ一口に言えば、結局いままでよりは町づくりがよくなったじゃないかということを皆さんが納得すれば、そうだそうだということになるわけですが、しかしそういうことを心がけなければ、今後はダムの建設というものはできないと思います。しかしそうばかり言っておっても、やはりいまの法は、公共事業の場合でも補助金等は何らかの制度化をしないと、かさ上げもできぬし、町づくりの特別の措置もできないのでございますから、とりあえずやはりこれは水源地の地域開発というような法制をもってしなければならぬと思うのです。私はその機は熟しておると思います。したがいまして私はいろいろ研究をさせておるのですが、その場合に、地域住民の了解を受ける方法は一体どういう方法をもってすればいいかというようなこともやはりその法案の中に織り込むべきだ、かように考えておるわけでございますが、やはり早急に立法化し制度化していかないと、今後のこういうダム建設は進まない、かように私は考えておるので、せっかく検討中でございます。
  58. 卜部政巳

    ○卜部委員 従来、ともすれば金額の補償でもって交渉しようとするきらいかあったと思うのです。そういうことではやはりいろいろな問題が出てくるわけですから、いま大臣がおっしゃったように一段階として制度化するというのもいいですよ。いいけれども、それにはやはりその人たちが、先ほども申し上げたように、きょうの生活よりもあすの生活が明るくなるという展望がなければいかぬと思うのですよ。その展望というのはやはり私は地域開発だと思うのです。ですからその目標に向かってひとつ御尽力を賜わりたいし、その大臣のお答えはただきょう限りの大臣のことばで終わるのでなくして、これは引き継がれて、制度化がどういうふうになるかは注目したいと思いますが、ただ小手先細工の制度化じゃなくて、地域開発を含めた一つの制度化だということに理解をしたいと思います。そういうふうに了解をして次へ進んでいきたいと思います。  次に、先ほど申し上げた河口せきの問題が出てきました。これは四、五年前から取り上げられて論議をされておったけれども、今回字となってあらわれてまいりましたが、四百八十のダムと同時に、河口ぜきというものは大体幾らくらいつくろうとしているのか。いまの出てきておる観点からしまして、六十年度くらいには四百八十のダムとあわせて何ぼくらいつくる予定ですか。
  59. 川崎精一

    川崎政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもの将来展望といたしまして、水源地域で水を把握すればどのくらい確保できるかというのが、四百八十ダムという一つの数字になって出てきたわけでございます。しかしこれだけではとても、ダムも進みませんし、やはり平地部の雨も有効に使うということを考えませんと水とすれば不足するというようなことで、現在第二次の広域利水調査というようなことで、そういった河口ぜき、それから先ほどの流況調整の連絡水路、こういったものも含めて広域的な管理をすればどの程度水が出るかというのがこの次の調査の重点でございます。それについて現在われわれのほうでいろいろ調査をいたしておるわけでございまして、まだまだ全貌が出るのには少し時間がかかろうかと思います。しかしそういった方法につきましては、かなりの河川がございますので、逐次実現に当面は移してまいりますが、全貌については少し時間をかしていただきたいと存じます。
  60. 卜部政巳

    ○卜部委員 それでは時間がありませんから次へ進んでまいりますが、河口湖ですね、これは言うまでもなく貯水池的なものですね。これは下流部から湖に水を入れるというのですから、貯水池みたいなかっこうになるわけです。そうすると、これはかなり容量の大きな貯水池みたいなものにならなければならぬと思うのですが、この建設費のダムとの比率です。これは小さい大きいということはありますが、この建設費の比率はどうなんですか。何百分の一ですか。
  61. 川崎精一

    川崎政府委員 現在のダム建設でございますと、大体水を毎秒一立方メートル生み出すというのに十四、五億から二十四、五億というのが、全国で私どもが実施しております幅でございます。それから河口湖につきましては、残念ながらまだ私どものほうでは実施をした例がないわけでございます。しかし、御承知のように、青森のむつ小川原の地域とか、あるいは今後長崎だとか福岡、そういったところでかなり河口湖を利用したいという計画がございますので、私どももそういった広域利水の、今度はいわゆる広域管理の面から見て平地部の水を最終的に有効に使うという立場からの調査の中にはそういったものも含めていきたいと存じます。ただしかし、これには塩分をどうやって排除するか。それから、かりにそういった塩分の排除ができましても、流入してまいりますいろいろな汚水によって、今度は水の流動性がなくなるものですから、非常に水質上問題が出てくるのではなかろうか。それから漁業補償等の問題ももちろんございますし、相当実現には慎重な調査と時間がかかるのではないかという気がいたしております。
  62. 卜部政巳

    ○卜部委員 調査の段階ですから多くを語りませんが、深く掘ればやはり海水が入ってくるわけですね。いろいろむずかしい問題があると思うのです。  そこで、河口湖で思い出したのですが、水を貯蔵するということになりますと、蒸発する水を防ぐ方法——これはたいへんな量ですね、水の蒸発というのは。この蒸発を防ぐという調査なり研究なりというものは建設省のほうでいまやられておりますか。
  63. 川崎精一

    川崎政府委員 非常にむずかしいというか、まだ学問的な検討の段階のようでございます。たとえば琵琶湖なんかでございますが、年間、ちょっと数字は忘れましたが、相当な蒸発量になるわけでございます。そういうために、何か水面に皮膜をつくってそういったものを防止できないかというような、ちょっとまだ思いつきの域を出ない程度のような検討は若干なされたという記憶がございますけれども、こういった水の蒸発を防ぐとか、台風の方向を変えるとか、こういったようなことについてはほんとうに基礎的な段階での若干の調査が行なわれておるというようなことでございまして、かりに湖水面なんかにそういう皮膜をつくりますと、また別の、その湖自身の持っておる環境に、単に蒸発させないということだけの目的を達しても、いろいろな反応があるわけでございますので、実現というようなことにはまだまだほど遠いといいますか、むしろ方向をどうやっていくかということのほうが問題ではなかろうかと思うのです。それよりはむしろ、現在の雨に対する長期予報とか、そういったものの開発のほうが先行すべきじゃなかろうかという感じがいたしております。
  64. 卜部政巳

    ○卜部委員 何だかんだといっても、日本というのは水に恵まれておるからそういうことでいいと思うのですね。砂漠地帯だったらこれはたいへんなことですよ。やはり水を乾燥させないような措置が行なわれると思うのです。いま研究段階云々というのですが、現実にアメリカやオーストリアあたりではやっておるということを聞くわけなんですが、私はこの水循環に総合的な計画といいますか、水資源開発ということを織りなしていくべきだと思うのです。これは、日本は水に恵まれておるから、だからこの程度ということじゃなくて、将来やはり水が枯渇するようなことは考えられることでもあるのですから、そういう水循環全般の問題は考えていく必要もあるだろう。だから少しく研究に入ってもらいたい、こう思うわけであります。  それで、次に、これはローカルのほうにはたくさん問題があるのですが、時間が十二時までということですから、ローカルの問題にちょっと触れてみたいと思います。現在、河川に放置されているところの廃船があるわけであります。これは見た目にもきたならしいと思うのでありますが、これには建設省のほうはどういう手を打っていらっしゃるわけですか。
  65. 川崎精一

    川崎政府委員 お話しのように、河川あるいは湖沼、こういったところにつきまして、全国でも沈船の例がかなりたくさん出ておるわけでございます。これにつきましては、役所のいわゆる所管といたしますと運輸省の海運局の所管になっておりまして、海運局の指導で日本内航海運組合総連合会、こういったものが中心でその実態調査あるいは処理を行なわせるというようなことで、たまたま四十三年の十一月に海運局のほうから私どものほうにそういった要請がございました。当然河川管理上も困っておる問題でございますので、ひとつそれでは大いに協力してやりますからしっかりお願いをいたしますというようなことで、その後は各地のそういった海運組合が中心になりまして、持っておった船の旧船主の確認、それから沈船の処理、こういったことを中心に進めております。これは基本的な筋書きでございます。しかし、実態を見てみますとかなり放置されたものがある。そういった場合に、やはりこれは持ち主があったわけでございますから、いろいろさがして、当然原因者が処理すべきものであろうかと私ども思いますけれども、そういったものにかなり手間どっており、しかも全然不明のものもかなり出てきております。そういった点で河川管理上支障がある場合には、これはもうやむを得ませんので、私どものほうで、治水上あるいはまた橋脚その他護岸施設等に支障がある、こういうことであればやはり河川管理者としても相当の処置をとらざるを得ないということで、私どもの修繕の費用をさきまして撤去した例もかなりございます。しかし、それでは今後必要以外のものはほうっておくのかというような問題になりますと若干問題がございますが、やはり原因者があることでございますので、できるだけそういうものをさがして処理させると同時に、必要なものは何らかの形で私どもの責任で処理をしていく方向をとらざるを得ないのじゃないかと考えております。
  66. 卜部政巳

    ○卜部委員 すでに質問の前にいろいろと調査に来られておりましたので調査済みだと思いますが、宍道湖、中海の、廃船数はどの程度あるのですか。その点をひとつお知らせを願いたいと思います。
  67. 川崎精一

    川崎政府委員 宍道湖、それから大橋川、それから中海及び境水道、これらにつきまして、宍道湖には現在ないようでございますが、大橋川に十三隻、中海に二百五十一隻、境水道に八十五隻で、合計三百四十九隻となっております。このうち大橋川につきましては、昭和四十二年の時点で十九隻でございました。これが十三隻になっておるということで、所有者の判明したもので除去命令によって撤去したもの、それから河川管理者のほうでやむを得ず撤去したもの、こういったことで十三隻になっておるということでございます。
  68. 卜部政巳

    ○卜部委員 そうすると、船籍のあるものは何隻、船籍不明のものが何隻という区分はできますか。   〔委員長退席、田村(良)委員長代理着席〕
  69. 川崎精一

    川崎政府委員 ちょっと手元にそこまでの資料を持っておりませんが、先ほど申し上げました組合のほうでそういった船籍等いろいろ調べておりますので、お話しのような分類はできると思います。
  70. 卜部政巳

    ○卜部委員 船主の明らかなものは強制代執行がやれるようにちゃんと法令にあるわけですね。だからこれはすぐやるべきだと思うのです。同時にまた、もしなければ、これは残念な言い方ではありますが、国のほうで税金を使ってでも焼き払わなければならないわけでありますが、いま御承知のように三百四十九隻が大橋川から中海、境水道まで沈船をしている。率直に申し上げて、見た目にも実にきたない。ことに大橋川なんというのは東洋のベニスだといわれている宍道湖とつながっておるのですが、そのきたない十三隻が大橋川から見えるのですよ。四十二年云々で十九隻が十三隻になったというのですが、一番大きい船のきたないのが何十年——何十年といったら語弊がありますが、十数年間も朽ちた巨体を浮かべておるわけです。しかもへさきだけ出しておるというようなかっこう、こういうものを放置しておるということは私はいけないことだと思うのです。中海にある二百五十一隻、これはばく大ですから、すぐさまといってもたいへんなことだと思います。しかしながらこの大橋の十三隻はすみやかに手を打ってもらいたい、私はこう思うのです。この点はいかがなものでしょう。
  71. 川崎精一

    川崎政府委員 私どもも沈船の処理にどのくらいかかるかというのはよくわからないのですが、大体一隻で三、四十万ぐらいはかかるのじゃなかろうかというお話です。したがってかなりのお金が要るものですから、それと同時に、そういったものは工事費じゃなくて、維持管理費から出すのが至当かと思いますが、そういった点で非常に制限をされておりますので、ほんとうに必要な分だけというようなことで、二、三隻程度処置してきたというのが精一ぱいの実情でございます。しかし、やはり大橋川自身は洪水時に非常に洪水の疎通もございますし、舟航その他にも使われておりますので、あるいはまた最近の環境保全といいますか、景観保持の上にも大事だと思いますので、できるだけ短期間にそういった整理ができるような計画を立てまして、お話しのように整理をしていきたいと存じます。ただ、私どもがあまり積極的にやりますと、あとは建設省がみんな始末してくれるというような風潮が出ても困りますので、港湾管理者ともよく協議をしまして、向こうのほうにも持つべき責任は持っていただいて、その上でできないというものについては私どものほうで積極的に始末をしていく、こういうことで、なわ張りを云々するわけではございませんが、十分連絡をとりながら御趣旨の方向に努力をいたしたいと思います。
  72. 卜部政巳

    ○卜部委員 霞ケ浦あたりの、夜陰にまぎれて漁船を持ってきて埋めるというのとはわけが違うのです。これは十数年来浮かんでいるのです。だからこれはすぐ手を打ってもらいたいと思うのです。なぜそういう廃船を霞ケ浦だとか中海のほうに持ってきて埋めるのか、その背景はいまここで論議してはいけないのですが、これも行政のまずさからこうなっているのです。それは一隻三十万とか五十万で焼かなければいかぬ。しかしながら、今度はそれに対する新造船をつくる場合のいわゆる融資資金の問題等のからみ合わせから、ここで論議すべき内容のものではありませんが、こういうような結果が霞ケ浦あたりに持ってきては埋めるというかっこう——埋めるというとおかしいのですが、置き去りにするという形になります。建設サイドからはそうしたことはタッチできませんけれども、大臣は農水あたりの関係から積極的にそういう点も訴えていただいて、そういうように至らしめる原因をなくせしめなければいかぬと思うのです。その点はひとつ研究しておいていただきたいと思います。  では局長、中海の問題等については可及的すみやかに、特に大橋川にあるところの十三隻は明年中ぐらいには完全になくなるということでよろしゅうございますか。
  73. 川崎精一

    川崎政府委員 私どもも、先ほど申し上げましたように、いろいろ当面の海運局等との話がございますので、向こうのほうで責任を持てるものは持ってもらう。だれも持ち主がいないし、しかたがないというようなことであれば、これは河川管理上、当然私どものほうで覚悟せざるを得ないと思っております。しかしいろいろ調査等もございますし、予算措置等もございますので、ことし中にやれとおっしゃられると、ちょっと私自信がございませんけれども、それくらいの意気込みでやっていきたいと存じます。
  74. 卜部政巳

    ○卜部委員 わかりました。  もう一つでありますが、宍道湖から中海、境水道、そこに貯木場があることを知っていらっしゃいますか。かなり広域にわたっての貯木場がある。このことについて御承知でありましょうか。
  75. 川崎精一

    川崎政府委員 境水道を中心に十三カ所程度、そういった貯木場として占用しておるということは承知いたしております。
  76. 卜部政巳

    ○卜部委員 この貯木場というのは、いま中海の干拓をやっているので、従来は大根島の入江深く、細々と貯木場があったという状況でしたが、ここ数年来こういう貯木場ができて、しかもこの水道の航路にくいを打って貯木場がずっとでき上がっている。なるほど考えてみれば真水と海水とが交差するところが一番いい、そこが一番適当だと思うのでありますが、しかしこれはもし台風なんかがあって、このくいが——くいと言ってはおかしいのですが、係留がちぎれたという場合、伊勢湾台風じゃありませんが、こういうふうな材木がだあっと流されたらたいへんなことになると思うのです。この点に対しての管理は一体どこがやるのか。これはおたくがやっておるのか、港湾管理組合がやっておるのか。どっちがやっておるのですか。
  77. 川崎精一

    川崎政府委員 境水道の利用の歴史的な経過からいきますと、これは主として当初は港湾区域といたしまして、港湾利用に関連をしてそういった貯木場等も行なわれてきたわけでございます。四十四年ごろに、これに河川の区域を延長して、中海等の干拓なんかの計画もございましたので、一貫して河川のほうもできるだけ管理を強化していこうというようなことで取り組んだわけでございます。したがって、特に境水道等につきましては、これは港湾利用の面から主としてスタートしておるというような経緯もございまして、まあ一義的には、第一とすれば港湾の機能優先ということに確かになっておると思います。しかし、お話しのようなことであれば、別にどちらが第一でどちらが第二だというわけじゃございませんで、両方で管理できるものはやはりそれぞれ分担し合って、盲点のないような行政をすべきだと存じます。
  78. 卜部政巳

    ○卜部委員 すべきでなくて、現実に共同管理をやっておるのでしょう。
  79. 川崎精一

    川崎政府委員 やっております。
  80. 卜部政巳

    ○卜部委員 やっておるわけですね。そうすると、いままで入江に細々と、と言ったらおかしいのですが、あ、ここに貯木場があるな、ここら辺ではやむを得ないだろうな、そういうような貯木場が、局長がおっしゃったように、境水路に向かって十数カ所で、それも何千本といわれるほどの材木が並んでおるというのですね、いかだ状で。この中で公害なんというものが発生しないとお思いでしょうか。公害が発生しますか、しませんか。
  81. 川崎精一

    川崎政府委員 先ほど先生おっしゃったような出水時等におきまして、係留施設、こういったものが十分でなければ、やはりいろいろ問題を起こすおそれはあると存じます。そういった点では、これは港湾管理者と私どものほうと回方で十分検討していくべき筋のものだと考えております。
  82. 卜部政巳

    ○卜部委員 先ほど申し上げましたように、真水と海水が交差するところが一番いいということでおそらく持ってきたと思うのですね、腐らないというために。だけれども、材木が水につかっておる部分とつかっていない部分があります。そうするとこれはひっくり返さなければいかぬ。そうでしょう。ひっくり返しますと、これは何が起きますか。皮がむけるのです。皮がむけて、この皮が沈でんをしますよ。これは公害にならぬとお思いですか。
  83. 川崎精一

    川崎政府委員 それが地域にどの程度に影響を与えるかは、処理のしかただとか、あるいはその地域の利用の形によって変わってくるのじゃないかと思いますが、やはりやり方によっては原因になると思います。
  84. 卜部政巳

    ○卜部委員 局長御存じかと思いますが、いまこの材木を、これもちょっと問題があるところですが、中海から大橋川を通り、大橋川から宍道湖へと曳航していくのです。いま言うように、今度出ました政令によってだいぶ問題があるところだと思いますが、曳航していく。それはまたあとから触れるといたしまして、そこから陸揚げをされて、出雲市という市がありますが、そこにパルプ会社があるわけです。その木材が腐って、いまのような皮が悪臭を放って、住民からものすごい、こういうことのないようにという不満の声が満ち満ちているのです。これは中国新聞だとか島根新聞なんかでも、地元の新聞がどんどん書いておるところであります。ましてや、何万本あろうかと推察される、そのいわゆる境水路にある貯木場、その皮が落ちて、これが全然害がないなんということはないですよ。その辺の川底を調査したことがあるのですか。
  85. 川崎精一

    川崎政府委員 その辺の沈でんした実態等についての調査の報告はまだ私ども聞いておりません。
  86. 卜部政巳

    ○卜部委員 調査を命ずる意思と、また調査をする意思がありますか。
  87. 川崎精一

    川崎政府委員 実はこの問題につきましては、たしか昨年の暮、先生から御指摘を受けたような気がいたします。当面その時点では私も治水上に支障がないのだろうかということで調べさしたわけでございますが、かなり木材の皮の腐敗といいますか、そういったものがいろいろ地域で問題になっておるようだというような話も聞きましたので、私どものほうでもかなり水質に対する予算措置等も充実——充実というほどじゃございませんが、ひとつ宍道湖、大橋川等を含めて、中海も含めて、あの辺一帯の水の水質環境について少し肩を入れる必要があるのじゃないかというようなことで、特に松江市内等については今度は浄化用水等の処置なんかも考えておりますし、この四月に両県——島根県、鳥取県、それから建設省、それから運輸省の出先、こういったものも入れまして、水質汚濁の地元の防止協議会を発足させております。その中でただいまお話しの、一体木材によるどういう影響があって、現在どうなっておるか、それからどういうふうに対策を講ずべきかというようなことをひとつ真剣に取り組むというようなことで、現在中国地方建設局でそういった処置をいろいろ準備いたしております。水質調査に対する予算も、若干ではございますけれども準備をいたしております。したがって、新しい年度が発足いたしますれば、だいぶ時間がかかって恐縮ではございますが、予算措置等もあって、おくれておりましたけれども、本式に私どものほうでも取り組めるのじゃないかと思います。なお、この問題につきましては、単に現在ある宍道湖の水質、中海の水質だけではなくて、今後の地域開発によっていろいろまた排水も増加してこようかと思いますし、あるいは島根県等では江の川等、いろいろからんだ処置もあるようでございますから、そういったものを総合的に調べてみて、場合によっては、環境庁もそういった水質基準等の専門の役所でございますから、いろいろ知恵を借りて、両方ひとつ共同でやろうじゃないかということで現在お話を進めておる次第でございます。
  88. 卜部政巳

    ○卜部委員 局長がおっしゃるように、ひとつ本式に取り組んでもらいたいと思います。私たちも実はこの中海と、さらにそこに点在しております大根島という鳥がございますが、中海干拓との関連、さらには、このいままでの入江の中に係留されていた貯木場との関連かどうか知りませんが、そこら辺はいま調査しますが、どうも井戸水が濁る。しかも井戸水を飲んでおる住民に肝臓病が続発をしておるという現状にあります。そういう点もひとつ私たちのサイドからも調査をいたしますが、建設省のほうもいま言われたように、本式に、本格的な取り組みを要望して、若干時間が長くなりましたが、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  89. 田村良平

    ○田村(良)委員長代理 浦井君。
  90. 浦井洋

    ○浦井委員 まず最初に治山治水五カ年計画についてお聞きしたいのですが、これは時間がないので数字のほうはこちらで申し上げますけれども、四十七年度を第三次五カ年計画の最終年度とみなすと、そうすると河川とかダムとか砂防、その合計、こういうものの事業費における達成率というのは大体どのくらいになるものですか、ちょっとお聞きしたいのです。
  91. 川崎精一

    川崎政府委員 四十七年度を消化いたしますと、全体で九七・一%になります。
  92. 浦井洋

    ○浦井委員 九七%ということは、三%は第三次五カ年計画が達成できなかったということなんですが、これも非常に遺憾なことだと思うのです。それと同時に、これは事業費でいくわけですが、年々人件費だとか材料費、こういうものが上がっておるわけですから、五年前にきめた金額ということになると、その中の事業の現物は九七%という数字よりも相当低くなっておるのではないか、こういうふうに思えるわけなんですが、この辺はどうですか。
  93. 川崎精一

    川崎政府委員 物価等の変動を考えますと、大体四%ないし五%くらい低くなるんじゃないかという感じがいたします。
  94. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうことで、数字の魔術といいますと少し大げさな表現にはなりますが、実際上相当程度第三次、五カ年計画が達成できなかったというふうに私は思わざるを得ないわけなんです。たとえば、河川の中でも補助事業のほうでは相当着手、竣工の数字が、計画に比べるとおくれておるというところからもそういうことがいえるのではないかと思うのですが、そこでそれを責めるというよりも、その事業量をあらわす指標を建設省としても考えるべきではないか。通路の場合は舗装率であるとか改修率というので比較的一般的にもわかりやすいわけなんですが、河川の場合は数をあげてみてもなかなか実態をあらわしにくいわけですから、何かその面のでメルクマールになるべき指標、しかもある程度実態が一般的に把握できるような、そういう点については建設省として何か考えておられますか。
  95. 川崎精一

    川崎政府委員 お話しのように、河川のシビルミニマムと申しますか、そういったもので一般の方にすぐ理解していただけるという指標がほとんど在来はなかったわけでございます。したがって、五カ年計画とか長期計画等説明いたします場合に、私どもわれわれなりに少し戸惑いをするような場合も非常に多いわけでございます。そういった点で、今回は何らかの形で整備指標というものを曲がりなりにもひとつ打ち出して、大体の進捗の度合いが大方の方に認識していただけるような方向に持っていきたいというようなことで、私どもの一応の長期構想としては昭和六十年時点ということになっておりますが、これの概算をいたしますと、河川が通常の災害等に対してまず安全だというような状況にするのに大体どの程度河川を整備すればいいかということから出発いたしまして、そういった投資がなされて河川が概成された姿を一〇〇%ということに仮定をいたしまして、現在の河川改修状況、それから五カ年でそれが目標に向かってどの程度進捗するかというような整備指標を、一応五カ年計画の参考的な資料として私ども作業をしたわけでございます。たとえて申し上げますと、中小河川等につきましてはいわゆる要改修延長概成をするのに約二万六千六百キロ程度が必要でございます。これに対しまして現況の改修の率が一六%でございますが、これを今回の五カ年計画でできるだけ二十数%まで促進をしたい。それから、たとえば都市等の河川の場合には、五十ミリの時間雨量に対しまして現在対象となっておりますはんらん面積が約六千八百平方キロでございます。これに対して二五%の整備率でございますが、都市でございますので、これをできるだけ四〇%近くまで今回の五カ年計画では整備をしたい。こういうような一応の整備指標を準備いたしまして、その第一期ということで今回の第四次土五カ年計画の内容を積算していきたいと考えておる次第でございます。
  96. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣にお聞きしたいのですが、私は、五カ年計画を新しく策定するときに、今度はいまお話があったようにある程度一般の方にもわかるような指標をつくってやられたというふうに言われたわけなんですが、まだ不十分だと思うのです。今後いろいろ研究していただきたいというふうに考えますが、こういうものをフルに活用して——いまのように金額であらわすのは、特にいまどんどん毎年のように一割足らず物価が上がっていくというような時期に、五カ年計画を金額であらわすというのは不合理ではないか。だからむしろそういう指標をフルに活用して、事業量といいますか、事業の現物で五カ年計画を策定していくような方向に今後は進めるべきではないかというふうに私は思うわけですが、大臣のお考えをひとつお聞きしたい。
  97. 西村英一

    西村国務大臣 いま数量でもってやっておるのは住宅だけでございます。住宅はもう戸数なんです。こういうような戸数でやっております。その他の五カ年計画はこれは全部金でやっておるわけです。したがって、物価上昇というようなことで、どれだけの仕事量がこなせるのかということは非常にあいまいな点が多々あるのでございます。したがいまして、きめるのは私は金額でいいと思いまするが、それと同時に、それと見合う事業量をつけて発表するということが必要であろう。金の面では確かに金だけあるということになって、やはりほとんど事業の見当がつかない場合が多い。これからひとつそういうことを改めたい、かように考えております。
  98. 浦井洋

    ○浦井委員 それで本論に入りたいと思うのですが、四−六年度の「建設白書」とか、「広域利水調査第一次報告書」ですか、四十六年の四月に発表されたこの内容を見てみますと、昭和六十年度、の水の需要量が出ておるわけなんですが、非常に足らない。特に大都会のある京浜、京葉、京阪神、こういうところの水不足が相当深刻な程度で予測されるということなんですけれども、なぜ水が不足するのか、これに対する対策は根本的にどういうふうにしたいのかという辺を、これはいろいろな意見がありますから、ごく簡単に要点だけお答え願いたいと思うのです。
  99. 川崎精一

    川崎政府委員 水を担当しております私どもの立場といたしますれば、日本のいわゆる山地部のダムで貯水できるという範囲をまず見渡しまして、水の資源はこの程度に現在なっておって、今後開発をしてもこの程度ですよというような、いわゆる今後の大きな国土計画なり地域開発画の一つの指標としていただく。それによってまた新しい今後の新全総なりあるいは工場の分散とか、こういったことも考えられておるようでございますが、できるだけそういったものの指標にしていただきたい。しかしなお当面、大都市の過密等がやはり直接の原因だと存じますけれども、住んでおれば水を供給せざるを得ないというのが実情でございますから、そういったものにはできるだけ積極的に水資源を開発いたしますけれども、同時に水利用の合理化とか、そういったものもあわせて処置をしていく必要があるんじゃないかという意味で、あの報告書をまとめたわけでございます。
  100. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると河川局長、大都市の過密というのは何で起こるわけですか。これはちょっとはずれるかもわかりませんけれども……。
  101. 川崎精一

    川崎政府委員 どうもむずかしい質問でございますが、やはりいろいろ政治上の問題、経済上の問題、それから生活のある緯度の水準が都市では維持できる、あるいはそこで収入が得やすいとか、いろいろな原因があってこういった大都市の過密現象を来たしたのではないかと思います。
  102. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうことなんですが、やはりいま、ここ六〇年代から七〇年代にかけて、新全総が政府開発方針の一番基本にあるだろうと思うのです。それに基づいて一番初めには、何といいましても一番大もとは、相当巨大な産業が大都会の中あるいは周辺にセットされる、そして事務所も当然そこへ集中する、人も集中するということで、いまの過密というものが進行したのではないかというふうに思うわけなんです。そこで対策について河川局長は、過密があるのでしかたがないから供給せざるを得ぬ、できるだけ合理化をはかりたいというような御意見なんですが、どうも、の辺の、ざるで水をすくうような過密の対策、都会がどんどん大きくなるのをいわば無政府的にそのままにほうっておいて、あるところから強引に水を取ってくるというようなやり方は、もうこの辺で少し考えなさなければならぬのじゃないかというふうに私は思うわけなんですが、大臣、この点はどうでしょう。
  103. 西村英一

    西村国務大臣 これはもう河川局長の範囲を越えておりまして、また建設大臣の範囲も越えています。政府の姿勢でございます。したがいまして、いま対処しなければならぬことは、水と土地とは有限でございます。無限ではございません。したがいまして、産業、人口の集中を防ぐためにはやはり人口、産業の分散ということが、結局これからの政府の最も重要な課題になるわけであります。水のあるところに行く、土地のあるところに行く、こういう方針、これが政府方針として——これは建設大臣だけでやれるものじゃございません。しかし私も国務大臣としては今後はそれに力を注ぎたい。そういうふうな水のあるところ、土地のあるところ、こういうところに人口、産業は移るべきだ、移動すべきだ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  104. 浦井洋

    ○浦井委員 水と土地は有限だ、そしてその水と土地のあるところに、産業もそれから人も移っていくべきだ、こういうことなんですね。なるほどそういうお考えで進んでおられるだろうと思うのですが、この「広域利水調査報告書」によりますと、六十年度の水の需要をまかなうために、地域によって水需要の逼迫の程度が異なるため、在来の常識的な水の需給圏を越えた水の融通も考えられる、こういうこと。そして、被分水地域の住民感情を考慮した上で、国土の高度利用をはかる上でその緊急度、重要度に応じた分水について検討すべきである。このあとの項は具体的にお尋ねしたいのですが、前段の項は大体大臣のお考えと一致しておるわけなんですか。
  105. 西村英一

    西村国務大臣 大体一致しておると思います。
  106. 浦井洋

    ○浦井委員 それで大臣考えはよくわかったわけなんですが、そこで分水の問題ですね。そういう考えに基づいて分水についても検討すべきだということなんですが、すでに表に出ているのは吉野川の総合開発の問題だとか、いまもお話が出ておった山陰、山陽の江の川とか、いろんなのが表に出ておるようでございます。そういう分水計画としては今度の五カ年計画にどの程度織り込まれておるのか、その辺のことをひとつ具体的にお聞きしたいのです。
  107. 川崎精一

    川崎政府委員 その前に、先ほどの広域利水調査で、そういったことを検討していく必要がある、こういうことを最後に書いておるわけでございます。私どもの感じは、いわゆる首都圏が足りないからどんどん首都圏に水を持っていくということだけではなくて、これはある程度人が住んでおればやはり水を供給せざるを得ないわけでございますけれども、その分水される側の地域開発ということもやはり考えていかなくちゃいけないと思います。それから同時に、分水だけじゃなくて、むしろ水を相互に融通し合う、たとえば北陸地域等では、冬季の積雪等から見ますと春の水が非常に多いわけでございます。そういった水の多いときには関東へ持ってくるかわりに、また別のときには逆に北陸へも水を送り出すというくらいの、相互に融通し合うくらいの構想を持てば、どの地域も今後やはり開発の余力を持っていけるのじゃないかという気持ちもございまして、単に一方的な方向にだけ分水をしていくという姿勢じゃなくて、ただし現状とすれば水の不足はこういうところでございますというような意味であの報告書をまとめたわけでございます。  それから具体的な分水の事業でございますが、御指摘の吉野川の関連につきましては、早明浦ダムのほかに池田、それから新宮ダム等がございますので、こういったものはやはりそれぞれ何らかの形で四国四県をうるおす水になるのではないかと存じます。それから現在中国地方で土師ダムというのをやっておりますが、これも江の川を広島の太田川に分水することになります。それから近畿地方では紀の川の上流の奈良県にダムをつくっておりますが、これは下流の和歌山と同時に、山を越しまして大和川流域の奈良平野の水ということで、これもやはり一種の分水でございます。それから紀の川上流の室生ダムというのかございますが、これも奈良平野に分水を計画しておりまして、現在進行をしておるわけでございます。それから九州等におきましては、どうしても北部九州は水の逼迫しておる地域でございますので、今後筑後川その他の水資源開発が進みますれば、やはりそういった一部は分水をして都市用水等の補給をするという計画が進んでこようかと存じます。
  108. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると、たとえば今度の河川法改正で流況調整をやるということなんですが、それもいまのお考えに基づいておると思うのです。なるほど上水道の需要が非常にふえたので、それを供給せざるを得ない。それからいろんな公害が起こっておるので、それをいわば水に流すといいますか、「除却」という文句で書かれておりますけれども、こういうようなことで必要な場合もあると思うのですけれども、どうも、いまのお話もそうですし、いろんな政府関係の資料を調べてみますと、住民感情を非常に重視しながら慎重にやると言いながら、やはり根本はそういうざるを防ぐということをせずに、やむを得ないのだということで、どんどんと無理やり取っていくための計画だというふうに私考えざるを得ないわけなんです。そういう場合に、たとえば今度の流況調整の場合に、具体的に甲の河川から乙のところに水を取るという場合に、甲のところのいまある水利権というものはどういうふうに処理されるか。
  109. 川崎精一

    川崎政府委員 先ほど申し上げましたいわゆる分水においては、それぞれ特定のダムをつくりますとか、水資源の開発施設を、つくりまして、あわせて分水をやって、水の逼迫している地域の水需要をまかなう、こういうような、どちらかといえば積極的な開発の手法でございます。それで、今町流況調整河川という新しい観点から特別に水利使用者に負担をしてもらうという法改正をお願いいたしておるわけでございますが、これはそういった考え方とは少し違っておりまして、在来の水の利用形態なり秩序に支障のない余り水をうまく融通し合おうじゃないか。たとえば利根川に入っております鬼怒川水系等では発電等に相当利用されておりますが、冬季の水が多いわけでございます。それから一方中川筋、これは荒川と江戸川にはさまれた流域でございますが、相当農業用水のしぼり水がかんがい期には出てくるわけでございます。したがって、そういうものをショートさせますと、ほぼ年間を通じましてある程度の、在来の秩序を変えないで新しい水資源もあわせて生まれてくる。もちろんねらいはその地域の内水の排除だとか、中川等への浄化用水の導入とかいった本来の治水目的もあるわけでありますが、連絡して両方の川の流況をながめながらうまく調節しますと、毎秒十立方メートルばかりの水が生まれるのではないか。これをひとつ江戸川筋で東京都なり千葉県なりが有効に使えば、当面のいろいろな水の逼迫にも対処できるというようなことで、先ほどのいわゆる分水事業とは違って、既得の農業用水あるいは上水道用水、こういったものの取水の範囲を越えた余剰水はうまく季節的にコントロールしたい、こういうのが趣旨でございます。
  110. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると農業川水の場合もその中に含まれて、あまり支障はなかろう、支障ない範囲で取りたい、こういうことなんですね。
  111. 川崎精一

    川崎政府委員 今度の流況調整河川で生まれてまいりますのは都市用水でございますから、新しく生まれる需要とすれば農業関係はございません。しかし、導水される河川の下流には当然、利根川でございますからそういった農業川水の需要は十分あるわけでございますが、そういったものの需要を上回った分、余剰水といいますか、そういった範囲で水を取水するというたてまえになっております。
  112. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣にそれに関連してお聞きしたいのですが、先ほど、流水の正常な機能に支障のない範囲内で取るということなんですね。そうすると、これは次に出てくるのかもわかりませんけれども、たとえば琵琶潮で毎秒四十トン、マイナス一メートル五十センチ——これは少し次元が違うかもわかりませんけれども、ああいうことは、それだけさらに新たに琵琶湖から、取水をするということは、いま言われた流水の正常な機能の維持に支障がない程度だというふうに大臣考えておられるわけですか。
  113. 西村英一

    西村国務大臣 ちょっと質問の趣旨がなかなかむずかしいですけれども、琵琶湖は別に水を生み出せるわけじゃございません。琵琶湖にはたくさんな河川が、四百三十何河川入っていますよ。特別に水を生み出せるわけじゃありません。川に降ったのがみなたまっておる。ですからダムをつくる場合とちょっとそれは違うのであります。流域変更をするということは、やはりダムをつくって水を生み出す。したがって、従来の既得水利権は侵さぬでほかに分水ができるのじゃないかということでやっている。琵琶湖の場合はちょっとそれに的確に当てはまらないと思います。琵琶湖で水は新しくつくれるものじゃございません。しいてつくれるとこじつけをすれば、それは植林をしたり、上のほうを治めて水を何とかするということになるでありましょうけれども、積極的に  つくるというわけじゃありませんから、ちょっと例が当てはまらないと思います。
  114. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣がどこかに行かれるらしいので、次の問題でちょっと大臣に聞きたいのですか、中水道というのは御存じですね。上水道と下水直の間の、家庭飲料水には使えないけれども、たとえば車を洗うとか庭にまく水とか、こういうものについては大臣は必要であると考えておられるかどうか、この点をお聞きしたいのです。
  115. 西村英一

    西村国務大臣 必要でございます。現に三次処理をした水は相当に使っております。東京でも使っております。江戸川の浄水処理場、あそこは相当の量をやっております。単価は幾らでしたかよく覚えませんが、トン四円五十銭くらいで売っているわけでしょう。また品川の操車場の新幹線の車を洗う水も第二次処理のでやっておる。その他使っております。したがいまして、第二次処理から出てきたものも使えるのですから、今度は下水道で第三次処理をやれば、相当な水がこれは還元して利用できると見なければなりませんから、私のほうも水の還元の問題については積極的に進めたい、かように考えております。
  116. 浦井洋

    ○浦井委員 それに関連して、工業用水、工水の再利用の問題についてもっと研究体制を整えて、いまの再利用のパーセンテージをもっと上げるべきだと思うのですが、その辺についての大臣の御見解と、それから最後に、治水予算が五カ年計画でまだ非常に少ないと思うのです。建設省自身も、六十年の予測で、幾らでしたか、三十六兆は要る。自治体が出しておる数字を全部集めますと五十二兆必要だということで、非常に金が要ると思うのですが、その辺今後どのような決意をもって治水計画に臨まれようとしているか、その三点だけ大臣に先にお聞きしたいと思います。
  117. 西村英一

    西村国務大臣 建設省で広域の水問題を調べたときは、何らの制限を受けぬでやればこれだけの水を生み出せるだろう、これだけの水を河川に依存できるということではじいたものが三十六兆であろうと思うのです。しかし実際問題は制限を受けます。ことしの五カ年計画改定によって、実は建設省としては四兆七千億円出したのです。それが四兆円にきまった。はなはだ私は残念だと思います。四兆円にきまりますと、これが第四次五カ年計画でございますから、あと昭和六十年までに二期あるわけです。第五期、第六川と倍ずつにしましても、今年度第四次が四兆、第五次が八兆、第六次が八兆の倍の十六兆としても、二十八兆にしかならないのです。ところが、ことしを四兆七千億にすれば三十兆円になる。五兆円にすれば、次は十兆円、次は二十兆円ですから、三十五兆となるのです。したがって、ことしの四兆円はもう少しがんばりたかったと私は思うのです。三十六兆、要るであろうというのは、何にも制限がなくてやればダムをこれだけつくりたい、こういう計算でございます。  それからもう一つ、水の再利用の問題は、建設省といたしましても体制はできておりませんが、少なくとも私のほうで下水道にあれだけの金をつぎ込んでやろうというのですから、出てきたところの水は再利用の方法を考えなければならぬと思います。しかしこの処理場とそれを利用する場所が比較的近くなければ、送水管等が要り、高くつきます。それらの点もやはり初めから相当に考慮して、水の再利用ということをなるべく今後はやらなければなりませんから、これにはやはり一つのシステムとして考えておきたいのでございます。余分なことになりますが、通産省は海水から水をとる。それは海水から塩をとれば水になるのですから、水をとれば塩になるのですから一挙両得です。いま何か聞きますと、通産省では五十億円の金をかけてやっておるということですが、これは研究でけっこうなことだと思いますが、それはなかなか容易にはできない。利用はできない。できても高くなる。したがって、水の再生、再利用のほうがもっと安い金でできるような感じがいたすのでございます。これは余分なことで、通産省を非難するわけではございませんが、私は水の利用についてはそういう考え方を持っておるので、このシステムはひとつ体制をつくりたい、かように考えている次第でございます。
  118. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣からいろいろうんちくを傾けていただいたわけですが、そこでもう一ぺん逆に返りまして、上水道の節約の問題、これは部会によって迷うだろうと思うのですが、大阪で上水道用水のうちで家庭用水の占める比率が大体二八%だ。それから神戸で三一・五、尼崎で三九・七、伊丹三八・七、明石四七・九、西宮六〇・七というふうに、その都会の性格によって比率が異なっておるわけなんです。大体こうやって数字を見ますと、上水道の水を実際にそれでなければならぬ別途に使っているのは四〇から五〇%ぐらいだというふうな数字が出ておるわけなんです。東京都での調査でも、炊事であるとか飲料水であるとか、そういう必ず上水でなければならぬのが、統計をとりますと大体五〇%、そして必ずしも上水でなくてもよい水洗のトイレとかあるいは車を洗う、庭に水をまくというのは五〇%という数字が出ておるわけなんですか、この辺は建設省としては重々御承知だと思うのです。こういう点で私は中水道のことについて大臣にお尋ねをしたわけなんですが、たとえば新しくできる巨大な団地、ニュータウンであるとかあるいは大きなビル、こういうようなところにはひとつ率先して建設省のほうで中水道構想というものを具体化すべきではないかと思うのですが、その辺について河川局長の御意見をお伺いしたいのです。
  119. 川崎精一

    川崎政府委員 確かに先生お話しのように、私どものほうでいろいろ過去の例等も調べますと、住宅専用地区の一人一日の家庭用水の使用量は大体二百リットルから二百二十リットルぐらいに、世界各国おさまっておるようでございます。したがって、最近の大都市等の水需要等を見ますと四百五十から多いところは五百五十ぐらいを占めておるわけでございますから、その中に占める家庭川水というのは半分以下になりつつあるのじゃないかという感じがいたします。その一つの原因は、主として官庁、それから商店、ビルのような、いわゆるビル川水が非常に多いわけでございます。しかしビルにいたしましても、洗車だとか水洗といったようなもの、いろいろに使われておりますので、その辺の分析は私どもももう少ししてみたいと思っております。それから先ほどの家庭用水につきましては、台所、ふろ、それから洗たくとか手洗い、こういったものはまた間違いますと危険かございますので、やはり在来の上水道にたよらざるを得ないだろう。それが各都市の形態によっていろいろ違うわけでございまして、名古屋なんかは洗たく好きかなにかですか、非常にパーセントが高いのですが、いわゆるきれいな水というのは大体七〇ないし八〇じゃなかろうか。あとはトイレとか掃除とかあるいは散水、こういったものが大体二〇から三〇ぐらいの数字だと思います。  したがって、それではこういったものを何らかの形で転換できないかということは当然問題になることでございまして、実は私どもでも若干そういった調査をしておるわけでございます。これにつきましては、住宅団地等においてどのような水利用が実態的になされているか。それから中水道利用につきましては、これはやはり生活上混乱を生じたりするおそれもあるわけでございます。たとえばヨーロッパの一部等では中水道に使えるような水道の使い分けをしておったのですが、やはり何か社会的な混乱があったり間違いが起こるということで、一部は廃止したというような歴史的な経緯もあるようでございますし、相当問題がございますが、そういったことを含めて、昨年も少し金をかけまして住宅公団等ともいろいろ調査をいたしております。こういったものがまとまった場合に、はたして適当な量をどこで処理してどの団地にどういうふうに供給するかということになりますと、住民の意識の問題、それからまとまった供給量と需要量がございませんとまた変なことになるわけでございます。そういった点ではかなり慎重な検討を要するのじゃないかと思いますけれども、方向とすれば、これだけ窮屈な水でございますので、何か有効に反復利用したいというつもりで、もう少し調査を進めさしていただきたいと考えておる次第でございます。    〔田村(良)委員長代理退席、委員長着席〕
  120. 浦井洋

    ○浦井委員 時間がないのであれなんですが、まずそういう面で中水道構想というものはもっと国が力を入れて進めるべきだということと、それから先ほど大臣が言われた工水の再利用川の問題、これなんかもコストを上げれば使用量が下がるというふうに一般的にいわれておるわけです。その辺のことも具体的に考えて、そしてそういうことをまずやるべきではないか。そういう面での節水をやるべきではないか。でないと、この有限の水資源をどんどんと使い切ってしまうということは悔いを千載に残すのではないかというふうに私は強調しておきたいと思うわけです。  それで、ダムを聞く時間がなくなったわけなんですが、具体的な問題なのでちょっとだけ聞いておきたいのです。ダムもいろいろ問題があるわけなんですが、群馬県の八ツ場ダム、吾妻川の八ツ場ダムの問題についてお伺いしたいのですか、これはいまダムをつくるということで、住民の反対かあって、工事調査がとんざを来たしておるというふうに聞いておるのです。そこで、ダムになるべき予定地の一番上のほうでがけくずれのあるところがある。私もそこの写真を見てみまして、非常に危険だというふうに思ったわけなんですが、そこにできるだけ早く崩壊防止の工事をしてほしいというふうに、町長や町議会、あるいは住民が願っておられるわけなんです。私もその人たちにお話を聞いてみますと、もっともだというふうな条件があるわけなんです。ところが建設省のほうは何と、崩壊防止の工事をやるということで、そのことについては承知をされたのですが、そのための調査ということでダム建設の相当大規模な調査をやろうとしておられるというふうに私聞いておるわけなんです。こういうような、まあだまし打ちといいますか、一部の住民が非常に人命に危険を感じて切実な願いを持っておられるのを利用して、ダム工事の調査を強行するというようなやり方は私はけしからぬと思うわけです。ぜひこういう点では、町議会の陳情あるいは町長の意向もありますし、群馬県なんかもすでにがけの状況あるいは地質調査なんかやっておられるようですし、ダムと切り離して、さしあたって崩壊防止の工事だけをやるベきだということを要望したいと思うのですが、この辺の御意見、この問題についてひとつ河川局長から……。
  121. 川崎精一

    川崎政府委員 ただいまのお話は、先般の予算の分科会でも山口先生からも若干お話がございまして、ダムの貯水池の上流でございますので少し調べてみないとわかりませんが、貯水池をつくることによって水位が上がった場合に影響があるのかどうかという点が、若干私気になるわけでございます。それを除きますと、大体在来のままでございますれば、川の必要なところには護岸もしておるようでございますし、それから上はほとんど全部天然のがけのようでございますが、全部民地になっておるわけです。したがって直接ダムと関係をつけるという必要は私はないと思っております。しかし、たまたまあそこに八ツ場ダムの事務所がございまして、そして地域開発とかといったような関連の調査もしておるものでございますから、いろいろ地元の力から陳情に見えましたので、何らかの形でひとつ調査に協力はしましょう、こういうことを申し上げておきました。ただ現地では、これはダムを建設する事務所なものですから、多少仕事に熱心のあまりに行き過ぎがあったのじゃないかという気もいたしますので、そういった点では誤解のないように今後町当局とよくお話し合いをしなさいと、その点は関東地方建設局を通じまして考え方は徹底をしたつもりでございます。
  122. 浦井洋

    ○浦井委員 そういう趣旨で努力をしていただきたいと思うのです。  それで最後に、これは非常に簡単な問題ですが、河川環境の整備の問題なんですが、あの中にしゅんせつの項がありますね。先ほどもちょっと問題が出ましたけれども、汚泥のしゅんせつについて、汚染の著しい河川について実施するという標準があるわけなんですね。この辺の具体的な実施順位をきめる基準ですね、これを建設省として持っておるのか。あわせて尋ねますけれども、その中にたとえば亜金属などのいわゆる健康基準ですね、こういうものが入っておるのかどうかという点を聞いておきたいと思うわけです。
  123. 川崎精一

    川崎政府委員 私どものほうで都市環境の整備事業ということで、お話しの浄化とか、それからしゅんせつをやっております。この浄化というのは、浄化用水、希釈水を導入しておるわけでありますが、こういった場合には大体環境庁の水質の環境基準とその対策に見合って、やはり下水道の整備とあわせてやるといったような場合には私どものほうも協力して、並行して対策を進めましょうということでやっておるわけです。  それからしゅせつでございますが、これは主として治水上の要請で、そういったところはかなり汚泥の沈でんが多いものですから、河積もどんどん狭くなっていって、水の疎通も悪くなる。兼ねてその辺の都市環境にも、やはり底質が悪いと水質もまた悪くなるわけでございますので、兼ねてやっておるということで、全部公共費で在来はやってきたわけでございます。したがって、お話しのように底質がどういうものを含んでおるからどうしなくちゃいけないというようなところからスタートしたわけではございませんけれども、最近はそういったものがかなり問題になってきておりますし、また原因者については費用の負担の道も開けておりますので、今後は一定の基準をつくって重点的にやっていきたいと考えておる次第でございます。
  124. 浦井洋

    ○浦井委員 重金属がこの中に含まれますか。
  125. 川崎精一

    川崎政府委員 もちろん、河川に堆積しておって環境上悪いというものはなるべく私どものほうで始末をしていきたい。したがって、重金属が一般にそういった支障を来たすならば十分始末をしたいと思います。ただ、これは掘るだけでその住民がよくなると同時に、汚泥を始末する方法もあわせて考えなくちゃいけませんので、その点については十分検討を要するかと思いますけれども、できるだけ私どもとすればそういった方向で今後とも進めたいと存じます。
  126. 浦井洋

    ○浦井委員 けっこうです。
  127. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、松浦利尚君。
  128. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それではこの法案に入る前に、関連をして二つのことをまずお尋ねしておきたいと思います。  大蔵省の理財局から来ておられるかどうかですが、いかがですか。——これは沖繩の臨時国会のときにもたいへん問題になりました例の三億二千万ドルの問題にからみまして、七千万ドルは御承知のように核撤去その他の高度な政治的な配慮、こういうようなことで、その他のものについては沖繩にあるアメリカの財産の承継部分、あるいはアメリカ軍の労務賃金、こういった見返りとしてアメリカに支払われるもの、こういうことだったわけでありますが、そのときに私も再三にわたって建設関係の承継財産について理財局に質問をいたしまして、最終的には福地ダムの建設問題だけに焦点をしぼりまして、一千三百一万二千ドルの工事について、その未使用分については水道公社に現金を支払っていくのだ、こういう口上書が委員会途中で取りかわされたわけですね。そこで一応、理財局にお聞きする前に建設省のほうにお尋ねしておきたいのですが、現存、沖繩が復帰する時点である五月十五日現在で、一体福地ダム関連工事を含めて何%ができ上がっておるのか、残部分が何%なのか、完工見込みというのは一体いつになるのか、その点について正確にひとつお答えをいただきたいというふうに思います。
  129. 川崎精一

    川崎政府委員 福地ダムにつきましては、これは在来から外務省等を通じて非常にはがゆい調査をいたしておったものですから、なかなか十分実情を把握できなかったわけでございますが、最近現地に派遣をいたしまして、そういった調査の結果をいろいろ調べておるわけでございますが、現状では進捗状況が約八〇%程度と思われます。現存米側においてこれの促進方をつとめておるわけでございますが、復帰後につきまして私どもが現存予定をしております予算は約三億七千万円でございます。これは推定の費用でございますので、復帰の時点と工事の進捗状況等によって、所要の経費がどのくらい要るかということについては多少数字が動くんじゃないかと存じます。それから現在の見通しでは、このダムは当初三月末完成、こういう米軍の話でございました。しかしかなりおくれておるようでございまして、私どもも実際に引き継いでみないと、いつまでに完成をするという見通しを申し上げにくいかと存じますけれども、できるだけ早急にダムを完成するという方向で私どもも努力をしたいと考えております。
  130. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いつですか、見込みは。
  131. 川崎精一

    川崎政府委員 やはり数カ月を要するのじゃないかと考えております。
  132. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その数カ月、それはまたあとでお聞きしますが、数カ月では私はやはり問題が残ると思うのです。私が知っておる範囲内では、完工見込みというのはおそらく本年の十月前後になるのではないか、こういう話も実は聞いておるわけでありますが、その点はもう一度明確にしていただきたいと思います。  それで理財局のほうにお尋ねをいたしますが、一千二百一万二千ドルのうち、五月十五日現在未完成部分として現金で水道公社に置かれていく部分、これは幾らになりますか。
  133. 楢崎泰昌

    ○楢崎説明員 先ほど先生御指摘になりましたように、先沖繩国会の際におきまして、十二月十三日にアメリカ合衆国政府と日本国政府との間で「口上書」を取りかわしました。その際に、福地ダムの建設は復帰の時点までには完工するように努力するけれども、それが復帰までに完成されない場合には、ダム建設のために予定している千二百一万二千ドルのうち、未使用部分を琉球水通公社に移転しておくということが日米間の約束として取りかわされたわけでございます。それで、現在の時点で支払われた額は約九百万ドルでございまして、それが五月十四日現在において幾らになるかは、ちょっとこれからの出来高がどういうぐあいになるかということがさだかにわかりませんが、いずれにいたしましてもその千二百二百二千ドルに達しない部分、すなわち未使用部分につきましては、復帰前に琉球水道公社のほうに移転するということを確認いたしております。口上書を取りかわしたあとにおきましても、現地で民政府の役人その他と具体的な打ち合わせを始終やっておりますけれども、その際にも確認をされておるところであります。
  134. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、いま九百万ドルが水道公社に支払われておるというわけでありますから、残りの約三百万ドルが、きょう時点で引き継いだとすれば水道公社のほうに米軍から移転される、こういうふうに理解をするのです。ここで先ほどなぜ私がその完成の期日にこだわるかといいますと、実際に付属ポンプ等を含めて一千工百一万二千ドルという工事計画だったわけですが、実際きょう時点でわずか八〇%、残り二〇%が未完工のまま残されておる。ここで建設省の見解を承りたいのは、残っておる二〇%の未完成部分かはたして一千二百二万二千ドルのワクの中に入るかどうかということです。現金で置いていく部分が、たとえばいまかりに三百万ドルなら三百万ドルと仮定をいたしましょう。そうすると、残っておる二〇%のダム工事ははたしてその三百万ドルで工事が完成するという保証があるのかないのか。私は沖繩の臨時国会でも相当このことについては議論をしました。しかし明確な答弁がなかったわけです。外務大臣から言われたことは、いずれにしても一千二百万二千ドルだ、これでできるのだ、しかしできない部分については現金を移転をするのだ、水道公社に現金としてそれを承継するのだ、こういう話だったのですが、現実に福地ダムの相当残されておる未完工部分について、三百万ドルで完全に完工する見込みがあるかどうか、その点について明確にお答えいただきたいと思うのです。
  135. 川崎精一

    川崎政府委員 先ほど完成時期を数カ月と申し上げましたが、大体八月末程度を目途にすればほぼ完成するのじゃないかという報告のようでございます。それから引き継いだ残りの金でそのダムが全部できるかどうかという問題が一番私どもも心配をしておるわけでございますが、どうも若干不足がちじゃないかという感じがいたします。こまかい数字につきましては現在調査をいたしておりますので、その結果を待ってまた十分会計方面と協議をしたいと思っております。
  136. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大蔵省の理財局のほうでは、米側川部分の現金が水道公社に移転されて、そのワクの中でこの福地ダムは完全に完工するというふうに見ておられますか。
  137. 楢崎泰昌

    ○楢崎説明員 お答えいたします。  福地ダムにつきまして日本国政府とアメリカ合衆国政府との間で約束をいたしましたことは、福地ダム予算として割り当てられている千二百一万二千ドル、これのうち未使用部分があればそれを日本国政府に引き渡すということを口上書きではっきり書いているわけでございます。千二百一万二千ドルでそのダムが完全に完成するかどうかということについては実は触れておらないわけでございます。それはなぜ触れておらないかと申しますと、私ども大蔵省としてアメリカ政府と折衝いたしましたのは、福地ダムについて幾らの評価があるのかということを中心としてやっておりますので、千二百一万二千ドルでできるダムがすなわち千二百一万二千ドルの評価があるという、評価の観点からやっておるのであります。ですからその点については触れておらない、さような関係であります。
  138. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そこで河川局のほうにお尋ねをするのですが、私は、残っておる、現金で移転をしていった部分だけでは足が出ると思うのですね。しかも、工事の期間が延長されるということは、それだけ労務賃というものが当然ふえてこなければならない。逆に言うと、私は、五月十五日以降福地ダムに関しての補正予算を組まざるを得ないのじゃないか、そういう状態に追い込まれてくるのではないかという気がしてならないのですが、だいじょうぶそういう点は一切ない、当初の計画どおり進行する、あるいは手持ちの建設省なら建設省事業費の中から差し繰ってでもやれるのだ、こういうふうに考えておられるのか。それとも、大蔵省なら大蔵省のほうに新たに折衝して福地ダム建設に関する予算をとらざるを得ないのではないか、完工のための予算を必要とするのではないか、私はこういう、想像ですけれども、見込みなんですが、そういう点について建設省の明確な御答弁をいただきたいと思います。
  139. 川崎精一

    川崎政府委員 先ほどもお答えいたしましたとおり、千二百万ドル余りの評価をしておるわけでございますが、それじゃこれで完全に福地ダムができるかということになりますと、若干私どもも疑問は持っておるわけでございます。したがって、どの程度それじゃ足が出るのか出ないのか、その辺につきましては、これからの進捗状況もございますし、米軍の支払いの結果を待たないとよくわからないのでございまして、現在いろいろ現地に人を派遣したり等いたしまして詰めておるわけです。しかし、いずれにしましてもこのダムは多目的ダム法を適用いたしまして建設大臣が直轄でやります。費用も全部国が持ちますというたてまえをとっておるわけでございますから、もし、私どもも心配しておりますような不足の事態というようなものがございましたら、当然何らかの措置をとって完成に支障のないようにすべきだと存じます。具体的にはもう少し詰めました上でそういった検討もいたしたいと考えております。
  140. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、非常に不明朗だと思うのです。不明朗ということばが適当でありませんけれども、問題があると思う。いまここに外務大臣がおられないから、外務大臣をここできびしく言うつもりはないけれども、あのときには、福地ダムというものができ上がる。しかし未完成だった場合には一応一千二百万ドルというものででき上がるんだ、そういう前提に立って、その米承継部分については、未使用部分については琉球水道公社に預けていくのです。口上書にもそのとおりなっているのですね。しかしそのときには必ず値上げをして、足が出るのではないかということを私は何べんも質問したのです。それについては的確な答弁がなかった。しかもこれは財産の承継である、こう言われたのです。びた一文国民の税金は使いません、こう言って三億一千万ドルというワクの中に入れたわけですね。ところが実際には福地ダムというものが未完成で、新たに支出を要する、新たに銭を出さなければならない。むしろ、福地ダムというものの建設がこういう状態であるなら、私は、未使用部分についてはアメリカに支払うべきではない、三億二千万ドルの範疇に入れるべきではないという主張をしたけれども、いや財産の承継は固定資産の場合もあるし、現金、流動資産の場合もあるのだ。ところが実際には一千二百一万二千ドルではできないわけです。逆に何億円か日本政府が支出しなければいかぬ。アメリカに承継する金を出した上に、われわれ国民はさらによけいな税金を払わなければいかぬという状態にいまなっているのですよ。当然その部分についてアメリカから取るということがほんとうは私は正しいと思う。アメリカから財産を承継するなら、その足の出た部分はアメリカが全部出せ、現金で置いていけ、これが私は正しい国益だと思うのですよ。今度は逆でしょう。彼らがいう建設予算ワクだけ置いていけば、あとは日本政府が完工まで全部銭を出しましょう。しかもこれはおそらく大蔵省あたりで予備費の支出をやらなければだめですよ。建設省事業費予算の差し繰りでできるようななまはんかな未完成部分じゃない。一体これを国民に対してどういう言いわけするのですか、政府は。だからそれについて、建設大臣が先ほどおられなかったのですか、あなた説明員だから、そういう国の問題について説明できますか、責任持って。
  141. 楢崎泰昌

    ○楢崎説明員 一九七一年十二月十三日の口上書を読んでいただきますと、福地ダムでございますが、「同ダムが復帰までに完成されないことが明らかとなったときは、合衆国政府は同ダムの建設のためにすでに割り当てられている千二百一万二千合衆国ドルのうちの末使用分を復帰前に琉球水道公社に移転するものである旨申し述べる光栄を有する。」こういうぐあいに口上書に書いてございます。千三百二万二千ドルという金額は約束をされておりますが、それでもって全部完成するということにはなっていないわけでございます。そして、先ほども申し上げましたように、私どもの資産の承継はまさに資産の承継でございまして、それを評価したわけでございます。千二百万ドルかかったものが千二百万ドルと評価されるわけでございまして、ダムを千二百万ドルというぐあいにして評価しているというか、最後に完成された姿で千二百万トルだといってぴしっとしているわけではございませんで、千二百万ドルという価値を有する資産、それが物の形になっているか金の形になっているか、それは問わない、そういう形で評価をしたのだ、こういうぐあいに了解をいたしております。
  142. 松浦利尚

    松浦(利)委員 理財局の課長さん、あなたの言っていることはよくわかりますよ。しかしそれは答弁になっておらないのです。それはあなたの頭のいい答弁だけであって、実際的には福地ダムの建設予算なんですよ。これは、福地ダムの一千二百一万二千ドルというものが建設単価なんだ、予算なんだ。それをそのまま日本政府は承継したわけですよ、できたものとして。金額の承継じゃないですよ。これはもともと一千二百一万二千ドルという評価を、工事予算の総体の予算がこれだからということで、その額で承継したというだけなんですよ。いまになったらあなたは、できた部分について、こういうふうな言い方をするけれども、当初承継した段階ではこれは工事予算だった。総額だった。これで完成するという工事予算で承継したわけです、一千二百二万二千ドルで。だから私はそのとき質問したのです。未完成部分で、物価が上がる、労賃が上がる、そういった場合に足が出るじゃないか。どうするのだ。だから未完成部分についてはこっちは払わぬ。その分は、一千二百一万二千ドルの現金を向こうは置いていくという部分については、おれのほうは金は払わぬ、アメリカにはお金を払いませんよ、こういったことで現金で置いていくということで最終的に口上書ができただけですよ。極端な言い方をすると、われわれは一千二百一万二千ドル福地ダムについてアメリカに払った上に、工事完成もしないものを引き継いで、完成する上ではさらにわれわれが、国民が税金を払わなければならない、工事費に使わなければいかぬ。それじゃそれが建設省予算に組んでありますか。そのあなたが言うことがほんとうなら、建設省のほうには福地ダムの未完工部分について執行のための予算が組んであるはずだ。それは河川局長、幾ら予算の中に組んでありますか。
  143. 川崎精一

    川崎政府委員 現在、特にそういった不足分としては建設省予算に計上いたしておりません。
  144. 松浦利尚

    松浦(利)委員 全然予算は計上してないでしょう、建設省のほうは。一千二百一万二千ドルでできるということで承継したという、そういう外務省なりあるいは大蔵省からの連絡ですからね、それは当然ですよ。あなたの言っておる答弁と違うじゃないですか。あなたはさっき技術的なことを言ったでしょう。それはあなたは課長さんだから、もう言わぬほうがいいですよ。あなたは課長さんという立場でものを言われたんだから、それはそれでいいです。あなたの答弁はそれでいいですよ。しかしこの福地ダムの建設について、未完工部分についての金は一体どうするのか。参議院で四十七年度予算が通ってしまうのですよ。二十八日に採決するでしょう。建設省関係予算にないのだから、これを建設省のほうの事業費ワクの中で支出することができますか。おそらくできない。一体こういうものについてどう扱うかということについて、私は非常にあいまいだと思うんです、政府考え方は。だから問題がいつまでも尾を引くのですよ。これは私は建設省のほうに予算がないというのはほんとうだと思うのですよ。それではあなたのほうはできない部分については金はどこから出すのですか。どういうふうにして出すの、大蔵省、あなたは答えられないでしょう。あなたは理財局だから、財産の評価をしただけでしょう。手をあげるけれども、あなたが答弁できるはずはないよ。さっきの答弁でいいよ。あなたの答弁はわかった。まだあれで足りなかったのですか。
  145. 楢崎泰昌

    ○楢崎説明員 はい。先ほどお答えいたしましたのに若干補足させていただきますが、資産承継は、千二百万ドルでダムができるという前提のもとにといいますか、考えのもとにそういう予算があったのではないか、それもまさにおっしゃるとおりでございます。ただ、私いまでもそれが千二百万ドルでできるのじゃないかと思いますが、もし足らない場合どうするか、こういう御質問でございます。もし千三百万ドルでなければできないダムでございますると、それは千三百万ドルに評価しなければならない、こういう関係になります。私どもは千二百万ドルでこれを評価したのですから、千二百万ドル分の資産をアメリカ合衆国政府が置いていけば、資産承継としてはそれで足りる、かように考えておるわけでございます。これは資産承継の考え方でございまして、足らない場合はどうするかというお話は、おっしゃいますように予算の問題でありますので、私ちょっと御答弁はいたしかねますけれども、それをどういうぐあいにするかは別個の問題である、かように私は存じます。
  146. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この問題は私ははっきりしておかなければいけないと思うのです。もうすでに予算は上がるわけですからね。当然こういうことはわかっておったんだから、政府側で何らかの形の修正なり何なりを建設関係の予算に加えるべきだった。ところが大蔵省のほうはそのまま通してしまっているのですよ。これは現実的にこういう問題が起こってきておるのです。しかも沖繩の臨時国会における外務大臣なり大蔵大臣の答弁というのはこういう答弁じゃなかった。いまあなたが言ったような答弁じゃなかった。口上書はこういうことです。アメリカ側はいいのですよ、一銭の得も損もしないんだから。当初の建設計画どおり未使用分については水道公社に移転すればいいのですから、アメリカ側はそれでいいのです。問題は日本政府です。  私は、この問題についていまここで議論しても関係大臣がおられないから、それなら外務大臣と大蔵大臣をここに呼んでもらいましょうか。それじゃないとこの問題ははっきり詰められない。委員長、どうでしょう。詰められないです、この問題は。——それではただいまの問題については、建設、外務、大蔵で御相談なさって、政府のほうで九日の日に統一見解を出していただけるように努力なさるそうでありますから、それが出るということを前提にして保留をさせていただきまして、さらに質問を続行させていただきます。たいへん申しわけありませんでした。中断をして申しわけなかったと思います。  それでは、あと二十分ぐらいですから、質問が非常に多岐にわたってたくさんあるわけでありますが、その中で法案に入る前にもう一つ質問をしておきたいのは、環境庁のほうからもおいでいただいておると思うのですが、宮崎県の私の地元のことを例に取り上げてたいへん恐縮ですが、実は一ツ瀬川という二級河川があるわけであります。この一ツ瀬川という二級河川の流域に一市二町ありまして、約七万四千人が生活を営んでおるわけでありますか、たまたま昭和三十八年六月にアーチ式のダムが——九電の多目的ダムでありますが、これができ上がりました。このダムができ上がったために一ツ瀬川がたいへん濁るので、この問題について政府なり九電側にいろいろと問い合わせましたところが、ダムができ上がった後、三、四年は当然汚濁するのだ、こういう答弁があった。それじゃしかたがないということで、九電から五百万の補償を西都市流域に出しているわけでありますが、地元の人たちはダム建設に対して非常に協力的で、観光開発とひっくるめまして実はダムの建設に協力体制をしいたわけであります。小学校の校歌の中にも「一ツ瀬川の清流」という一節が必ずあるくらいのところです。ところが、台風十九号、二十三号が吹いたあと、濁りがとれない。全くの濁流です。どろ水です。水郷杉安峡といいまして、いかだを流したり、あるいはやかた船を出して、アユや何かの名産地だったのですが、もうアユもとれない、遊覧船も出せない、全くの汚濁した状態が今日まで続いておるのです。これは明らかにダムを建設したために起こった一つの大きな公害だというふうに見ておるわけでありますが、環境庁のほうではこれをどういうふうに見ておられるのか。これからどんどんと多目的ダムというものがつくられていくと思いますが、一体これはどこに原因があるのか。そういう点についてもうすでに調査を終わっているのかどうか、その経過について御説明願いたいと思います。
  147. 山中正美

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、一ツ瀬ダム昭和三十八年にできまして、それ以後三、四年はやはり御指摘のように濁っていたわけでございますが、一時清浄に返っていた場合があったわけでございます。それ以後台風等がまいりまして、以後、昨年度に至りまして非常に濁ってまいりまして、環境上も、それからかつ農業用水としても非常に問題を生じた、こういうことになっているわけでございます。宮崎県の黒木知事から、この問題について環境庁として対策に取り組んでくれないかというふうな御要請がございまして、私ども環境庁だけではございませんで、関係の建設省なりあるいは通産省、農林省とも協議いたしました。一ツ瀬ダムは一地方公共団体の問題ではあるけれども、問題としては非常に大きい問題であるから、私どもも相談いたしまして、一応宮崎県のほうに対策委員会というのをつくっていただいて、正式の名前は一ツ瀬川長期濁水専門調査委員会という名前でございますが、東京工業大学の吉川教授を委員長といたしまして、約六名の先生で構成しているようであります。第一回を本年二月に開催いたしまして、現在各先生の割り当てをいたしまして、各問題にテーマごとに取り組んでいただいておりまして、その結果、中間報告的なものとしてこの五月の中旬に第二回を開催いたしたい、こういうふうに考えております。
  148. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま環境庁からも御指摘がありましたように、原因がどこにあるのかということについてはいま調査中だ、こういうことですが、私はここで建設大臣にぜひ知っておいていただきたいと思うのですが、ある意味でここの原因というものははっきりしているのです。どういうように原因がはっきりしているかというと、ここの上流の粘土粒子というものが多量にダムの中に流入してまいりまして、この粘土粒子が水の比重と全く同じ状態なんです。ですからダムの取水口のところに沈でんせずにずっと浮いているわけです。そういう状態がいま現実に起こっているのです。そういった事前の土質の調査といったものにある意味で問題があったのではないか。こういう状態であれば、ダムの取水口の取り方とかなんとかを設計上もっと変えることができたと思う。ところがそういうことはせずに、土質の調査その他が行なわれないままダムをつくってしまったために、実は清流がいつの間にか汚濁したという形になったと思うのです。確かにダムをつくるということは非常に大きな労力と、経費もかさみます。また電気を供給する、多目的に使われるということで、住民もそれによってプラスすることもあります。しかし問題は、いままで清流であったところがダムができたために濁ってしまった、使えなくなってしまった、そういう状態がかりそめにも生れたらこれは重大な責任だと思うのです。問題は大きいと思うのです。ダムをつくることはいい。しかしダムをつくる場合にはこういうことを念頭に置いて、もっと慎重な土質調査、もっと慎重なダムの設計のあり方、こういうものについて検討を加えていただきたい、私はそう思う。一ツ瀬川という私の郷里の川ですから、非常に濁っていることについては私は不満があります。早く直してもらいたい。早く清流に戻してもらいたいというのがわれわれ県民の要求です。それと同町に、ダムをつくったためにもう二度とこういう事態が生まれるということの繰り返しだけはやめてもらいたい。そういう意味で私は一ツ瀬を例としていま大臣に申し上げているわけです。そういった事前の調査、ダム設計の慎重な配慮、こういったものについて大臣の所見を承っておきたいと思います。
  149. 西村英一

    西村国務大臣 私も昨年水害のときに向こうに行きまして、知事さんからつぶさに聞きました。いま松浦さんが言われるように、いろいろ方法をやっておるけれどもなかなかよくならぬ。沈まないのだ。中間層に浮いておる。それで凝結剤を投げ込んでみたが、それもうまくいかないということなんです。私も非常に心配いたしておりまして、黒木知事には、直らなければひとつときどき報告してくださいということを言っておきましたが、何さま多忙で、その後報告は向こうからもありませんで、先般も川崎河川局長に、その問題は一体どうなっておるのだと、私はこう聞いたわけであります。本人がここにおって悪いのですが、実際こうしておるということはあまり聞いておりません。もちろん現地では学者を集めたりなにかしていろいろやっておると思いますけれども、責任問題はともかくとして、原因があるわけですから、原因を突きとめて早くこれを清浄化しなければならぬということだけは先に急ぐ。今後のダムの建設につきましては十分注意しなければならぬということでありまして、私も非常に心配いたしておる一つの問題でございますから、これは十分調査をいたしたい、また建設省としても力を尽くしたい、かように思っております。
  150. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま大臣もあのように言っておられますから、河川局長からひとつ明確に答弁してください。
  151. 川崎精一

    川崎政府委員 ダムの予備調査の場合に、いわゆる水量とかダムを建設するダム地点の地質、私どもも在来こういうものを中心に調べてまいったわけでございますが、そういった流出する土砂、特に微粒子の影響というものを十分事前に調査しておればあるいは予測できたのじゃないか、そういう点では率直に反省をいたしておるわけでございます。環境庁からお話がございましたように、私ともも協力をいたしまして——五月ころには中間報告が出るということでございますが、結局は取水設備の改造の方向で検討する以外には当面の良策はないのではないか。したがって、どういう位置で、どういう構造で、いい水をなるべくいいところから引き出すというようなことについて、報告が出ましたら急いでそういった改造等についても検討をいたしたいと考えております。
  152. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま言われたように、取水口を移動させる、どこかに変えるということだけでも、私はまた清流を取り戻せるというようにも思います。いずれにしても今後の問題としては、こういうことか二度と繰り返されないということについて大臣がお約束されました。もう一つは、局長も含めて、一ツ瀬については早急に何らかの手を打って清流に戻すという御答弁をいただきましたから、これ以上この問題について議論をいたしませんし、お願いしておきたいと思うのです。ただ、全般的に言えますことは、多目的ダムは常に満水にしてあるわけですよね。これを正式に質問すると、答弁はもうわかっております。調整のためにちゃんとこうしてあるのだ、こういうふうに言われるけれども、企業側はやはり水を常に満タンにしておって初めて採算に乗ってくるわけでありますから、いつも満水しておる。ですから、一たび洪水か何かあったときには急激に放水するわけです、貯水能力以上に一ぱいになっておるわけですから。通常、そういったときに備えて、ある程度余裕を持たしておかなければならぬというのが定めであり、建設省でそういうチェックをしておられるのですが、実際に全国ダムを見て歩くことはめったにないと思うのですね。行って見れば常に満水にしてあるでしょうから、台風が来て水がふえるというようなときには一挙に放水するわけで、そのために下流のほうの橋が流されたり、あるいは堤防の欠壊を起こす。極端に言うとダムがあるために、当然洪水調節のためのダムとしてあるにかかわらず、そのダムが原因となって堤防をこわしたり橋を流すということも事実問題としてあるのですよ。こういうものについて、もっときびしく企業側を指導してもらいたい。これが甘ければ私は災害を大きくすると思うのです。その点について河川局長のほうから、そういうことがあってはならぬのですけれども、現実にある問題についてどうなさるのか、この際お答えをいただきたいと思います。
  153. 川崎精一

    川崎政府委員 お話しのような現象が、実は先般の建設委員会でも井上先生から御指摘がございました。問題のあるダム、それから別に問題を起こさなくとも、在来からのダムで十分監督の行き届いていないダム、こういったものにつきまして、私どものほうでも操作規則等を全部見直そうじゃないかということで、逐次改善ははかっているわけでございます。急激にダム放水等をいたしますと、下流の人たちは全然寝耳に水、こういったことになりますので、放流のしかたとかあるいは予備放流水にできるだけ余裕を持たせるとか、こういったことでは現在積極的に指導はいたしておるつもりでございますが、なお今後も十分注意をして、そういう方向でやりたいと思います。ただ、一ツ瀬ダムについては、これは電気専用のダムでございますので、若干治水ダムのようなわけにはまいりませんが、しかしそういった不安を起こさないように私どもも指導いたしたいと思います。
  154. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ぜひ全国的にそういった問題についてのチェックをきびしくお願いをしておきたいというふうに思います。  それでは法案の直接的な内容に入りますが、この緊急措置法ですね。先ほども吉田委員からも御質問があったようでありますが、緊急措置法というのがすべてに法案として出てくるのですね。そのことは私はそれなりに否定はしませんし、けっこうなことだと思うのです。ただ問題は、今回提案されているこういった緊急措置法というのは一体どういうものなのか。要するに治山治水に対する長期的な計画なのか、あるいはただ単なる財政計画なのか、その点が非常に私はあいまいだと思うのです。ですからそういう意味でこの緊急措置法というのは一体どういう性格のものか。ただ単なる財政計画なのか、それとも治山治水という重要性にからんだ長期プランなのかどうか、そういったことについてひとつ明確にお答えいただきたいというふうに思います。
  155. 西村英一

    西村国務大臣 これは、五カ年計画河川のみならず、いろいろな問題にありますから私がお答えしますが、戦前は予算は継続予算であったわけですが、現在は単年度予算です。しかし事業をやる場合に、単年度では目標が立たないわけです。したがって前の、戦前の継続予算に見合ったような、五カ年くらいはある程度ワクとある程度目標はつくっておこうじゃないかというような思想からこの五カ年計画というものができたのでございます。したがって、五カ年計画は全部を一銭一毛も違わないように作成はできません。ある場合には相当に減額する、ある場合にはそれをオーバーしてやるということはありますけれども、ことしは単年度である、来年はかいもくわからぬ、これでは事業の継続性も何もありませんから、そういう一つ目標を持ってやっておる。五カ年くらいはやはり公共事業ですと見通しをつけてやるほうが効果的だということでやっておる次第でございます。
  156. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私はその大臣の言っておられることがほんとうだと思うのです。やはり治山治水という、国の基本に触れる重大な問題であります。もちろんどれもすべてそうですが、ややもするとこれが基本計画というものからはずれて、財政計画的性格を帯びてくるのですね。結局、進捗状況といえば、これだけ予算があってこれだけ使いましたから何%の支出ですという、実際の工事実績ということよりも、そのお金が幾ら出ていったかということについての進捗が中心になるのですね。私はそれは間違いだと思う。金が幾らたくさんあっても、たとえば土地が高騰していって、実際に計画は地代に食われて一つも進まないという場合だってあるわけでありますから、そういう意味では、実際にこの五カ年計画でどれだけのことができ得るのかという実行計画でなければならぬと私は思う。そういう意味では大臣が言われたように、これは単なる財政計画ではないということを前提に置いて、きょうここでもう時間がありませんから、法案が通ったあとでもけっこうですが、これに関してどれだけのものをこの予算の中でやる、これだけの工事をやる、そういった実施計画というものをこの緊急措置法関連さして御提示いただきたい。私はその点ぜひお願いをしておきたいと思うのですが、これはこの法案が通ったあとでもけっこうですからね。でないとまた御心配なさるといけませんから。今後の議論として必要ですから、ぜひ計画を出していただきたいというふうに思うのです。  その次に問題になりますのは、昨年も一昨年もこの建設委員会ですべての方が議論をなさっておりますけれども、いまの新全総、あるいは新経済社会発展計画、こういったものにおいては水の問題が非常に少ない。水という問題がこの中にもっと重要視されていいんではないかという議論が再三あったはずです。御承知のように、いま経済企画庁のほうで昭和四十七年度に新しい計画を立案中ですね。経済社会発展計画本含めて立案中でありますが、新しく出るであろうその計画とこの出されておる緊急措置法というものとは明確に関連をしておるものかどうか、あるいは全然無関係なものかどうか、その点をひとつ明確にお答えいただきたいと思います。
  157. 川崎精一

    川崎政府委員 現在経済企画庁において新しい経済社会発展計画あるいは新全総の見直し、こういったものが事務的にはなされております。しかし、昨年私どもがいろいろ五カ年計画を検討した時点では、そういったものがいつ大体まとまるかというような見通しにつきましてもさだかでございませんでした。したがって、昨年は御承知のように非常に災害の多い年でもございましたし、いろいろ都市環境あるいは水資源、こういった面からも旧の第三次五カ年計画ではどうもうまく運営できないというようなことで、多少先行した気味はございますが、改定に踏み切ったわけでございます。しかしその間にいろいろ事務的には経済企画庁、こういったところとも十分話し合いはいたしておるわけでございまして、緊急措置法におきましても経済企画庁の長官等と十分協議することになっております。したがって、今後ともこの五カ年計画が新しい全総なり経済社会発展計画の中でも十分尊重される、こういうように私どもは確信をいたしておるわけでございます。
  158. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そういった意味で、この緊急措置法との関連をぜひ明確にしていただくという機会をまたつくっていただきたいと思う。そのときにまたこの問題はあわせて議論をさせていただくことにして、いまの答弁に対しての質問は留保させていただきます。  次にお尋ねをしておきたいのは、実は治山治水の問題と関連をして一番問題になりますのは、何といっても海岸関係の法律が非常に不備だということだと思うのです。御承知のように治山治水三法というのは、砂防法、森林法あるいは河川法、こういったものを中心として実質的には治山治水三法というふうにいわれておるわけでありますけれども、実際に河川というのは海岸まで到達をするわけでございまして、やはり国土保全という立場からするならば、海岸事業というものもこの三法の中に入るべき性格のものではないか。一貫した治山治水ということを言うなら、海岸というものを度外視することはできないのではないか。そういうことを考えると、海岸事業というものについてもやはり長期計画を立てるべきではないか、しかも法的な根拠をそれに与えるべきではないか、緊急措置法的なものをつくるべきではないか、こういうことを私は再三にわたって本委員会でも質問をし、前向きに御答弁をいただいておるわけでありますが、実際問題としてこの緊急措置法改正するにあたって、海岸事業というものに対してそこまで掘り下げた議論があったのかなかったのか。なかったとすれば、今後こういうものに含めていく、法的な根拠を与えていくということについての考え方があるかどうか。その点、二つあわせてお答えをいただきたいというふうに思います。
  159. 川崎精一

    川崎政府委員 海岸事業は御承知のように、その利用の面からいきまして、港湾機能を有する範囲、それから漁港等の範囲、それからその他の、私どもの言っておるいわゆる海岸といったことで、機能的にも、保全の目的も、非常に違っておるものですから、こういったものを一つの法律にまとめまして、そして計画の主体とかあるいは財源措置とかいうことになりましても、それぞれの事情が異なるというようなことで、やはり海岸全体を見詰めた一つのものだという要望は非常に強うございますけれども、実質はなかなか困難である。したがって、せめて海洋事業五カ年計画というような意味で、各省がまとめた計画を立てて閣議決定まで持ち込んだ、これは一つの前進であろうと思います。しかし、お話しのようなことはやはり重要な問題でございますし、また海岸そのものは治水事業治山事業とも密接な関係があるわけでございますから、そういったものの調和をどういうようにとるか、どういうふうに統合するかということについては、私どもも今後ともひとつ検討いたしていきたいと思いますが、非常にむずかしい各省にわたる問題でございますので、その間の調整等について十分努力をしないとなかなかうまくいかないのではないか、率直にそういう感じがいたします。
  160. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの問題については大臣からもひとつ、大臣が建設大臣のときに見通しを立てて、ぴしゃっとしていただくように決意をあとで伺いたい。各省にまたがる問題だから非常にむずかしいという答弁が繰り返し繰り返し出るわけですね。そういう意味で、あとで大臣の御答弁をいただきたいと思います。  もう時間がないそうですから、最後に一つだけ、まだたくさん質問があるのですが、もう連合審査の時間だそうですから、あと最後に一つだけ質問をさしていただいて、あとは機会がありましたらそのときにまた質問をさせていただくということでお尋ねをするわけであります。  従来の区間主義の体系というものが旧河川法時代にあった。それが今度新しい水系一貫主義ということで現行河川法に制定されてきておるわけでありますが、この河川法をせっかく改正なさるならこの際もう少し一歩進めて、新河川法のもとで七年か八年近く運用されてきておるわけでありますから、そうだとするならば、現行の河川法運用の経験にかんがみて、現行河川法体系について根本的な改正を加えたらどうだろうか。都市部に人口が集中してきておるという社会経済変化というものも踏まえて、都市河川とかあるいは普通河川とか、こういった問題ともからませながら、全体的に法改正というものに検討を加える時期に来ておるのではないかと思うのですが、そういう点について局長のほうから御答弁いただきたいというふうに思います。
  161. 川崎精一

    川崎政府委員 御承知のように、新しい河川法ができましてからすでに七年ほど経過するわけでございます。したがって河川を取り巻くいろいろな環境もかなり変化を来たしております。特に最近は地域開発に伴う問題、過密都市化に伴う問題、こういった都市河川等に関する問題が非常にたくさんあるわけでございます。したがって、私どものほうでも河川審議会に都市河川に関する専門の小委員会等をつくっていただきまして、いろいろ御検討もいただいておるわけでございます。当面今回の改正におきましては、在来から水系一貫主義で治水事業を進めておるわけでございますが、必ずしも水系一貫として改修計画を立てる必要はなくとも、地域地域のいわゆる面的な面からいきますと、末端では治水環境が非常に悪くなっておる、あるいは管理が不徹底である、こういったことがございますので、在来の制度を改めまして、準用河川というものを一級水系、二級水系の末端にも適用しまして、それによって地域に適したきめのこまかい管理なり適用ができるのではないかということを期待をいたしまして、一つの前進ではあろうと私ども思っておりますが、法改正をお願いいたしておるわけでございます。しかし、やはり根本的な問題もございますので、河川審議会等を通じまして私どもももっと勉強していきたいと存じます。
  162. 西村英一

    西村国務大臣 前の問題の海岸の問題ですが、いまは全然やっていないことじゃないのです。それぞれやって、閣議の了解を得ておりますが、私はこの河川の法律に、五カ年計画に入れるのはどうかと思うのです。これは単独で、この緊急措置法にならって海岸だけを別にやったらいいと思うのですが、一体海岸とは何ぞや、これから始めなければならぬ。いまは公有水面の問題がこれからたいへん問題になります。したがって、公有水面の利用も含んでいわゆる海岸とは何ぞや。これは河川とは何ぞやというのと非常に意味が違うのです。また非常に分け方がむずかしいと思います。しかも各省、建設省、運輸省、これは農林省も関係しておりますから。しかしこれにならったまとめ方をすべきだ、別な立法をすべきだ、私はこう思っておるわけでございます。したがってこれも系統立てて河川行政をやっていきたい。その場合に公有水面の問題をどうするか、いまでは砂利を取るとかなんとか、海岸というものの境がわからぬといういろいろな問題がございますけれども、十分検討したい。あなたの言うように私は必要だと思う。しかしこの法律に入れることはあまり賛成じゃございません。独立にやるべきだと思っております。  それから河川の管理ですが、これはいま河川局長からお話がございましたように、河川の管理は旧法によるよりもはっきりしたと思います。一級河川は建設大臣が所管する区域をきめまして地方公共団体にまかせる区分もある。二級河川は地方公共団体の長がやるんだ。準用河川、いわゆる三級河川はそれぞれの市町村の範囲であるから市町村長がやるんだということではっきりいたしております。ただ、いわゆる三級河川、準用河川についてはきわめてあいまいなところがございました。しかし河川を直すにはその小さな枝葉、準用河川、三級河川に当たるものが非常に問題でございますから、これをさらに広げていきたい。河川管理の体系としてはいまの方向は間違っていないが、部分的に少しはやはり考慮しなければならぬ問題があると私は思います。今回は部分的な改正をお願いしたのですが、さらに検討いたしたい、かように思っております。
  163. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは最後にお願いを申し上げておきたいと思うのですが、建設大臣に対する私の一般質問のときにお願いをいたしました河川の「堤外民地の取扱い方針」これが建設省のほうの案として出されております。これは字句になって出てきておる。前向きの内容であることは私は認めます。しかし問題は、何といってもこれに対する効果としての予算の裏づけというものが出てこなければ私は解決しないと思います。ですから、せっかく「堤外民地の取扱い方針」が出されて、これから河川管理上十分完全を期していくという方針になっておるわけでありますから、いますぐということはもう予算が衆議院を通っておる段階でありますからここでくどくどと申し上げませんが、いずれにしてもこの問題について早急に建設省として年度別に、あるいは長期的な方針を立てて、官有地にしていく、公有地にしていく。せっかくここに出された方針でありますから、そういったことについての御配慮をお願いいたしまして私の質問を終わらせていただきます。また機会がありましたら質問させていただきます。      ————◇—————
  164. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  現在当委員会において審査中の琵琶湖総合開発特別措置法案について、委員を派遣し、審査の参考にいたしたいと存じます。ついては、議長に対し委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣地、日時、派遣委員の人選及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  167. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、お知らせいたします。  本日午後二時より第八委員室において、地方行政委員会と連合審査会を開会いたしておりますので、御出席を願います。  次回は、来たる五月九日火曜日午前十時委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時十三分散会