○
川崎政府委員 最近の人命
被害の実態を見ておまりますと、堤防の破堤とかいったことは大
河川では非常に少ないわけでございます。むしろ、お話しのようにがけくずれ等による人命
被害が非常に多い、こういうようなことで、私どもは、急傾斜地の崩壊
防止に関する法律というのがございますが、これの法律に基づきまして、できるだけそういったきめのこまかい
行政がだんだん必要になってきたのじゃないかということを深く認識しておるわけでございまして、そういった点で、私どもといたしましてはできるだけあの法律を生かして、早く危険区域の網を
全国に張ってしまいたい。それから一定の基準以上のものにつきましては、これは
防止事業として国も援助の手を差し伸べられるわけでございますから、そういった
事業については大幅に推進していきたいというようなことで、在来は五十戸以上、緊急の場合は三十戸以上の人家の
被害を
対象としてがけくずれに補助してきたわけでございますが、今回、四十七年度
予算では、いろいろ
大臣のお骨折りもございまして、三十戸、それから緊急の場合は十戸
程度の
規模のものまでこういった範囲を広げていくというようなことで
予算措置をしておるわけでございます。ただ御承知のように、がけといいましてもすべて個人の
財産でございますので、そういった私権を制限するとか、あるいは地価が下がるとか、いろいろな制約が加わるものですから、市町村といたしましてもなかなか危険区域の指定をよほどでないと促進したがらない、こういったような
傾向も一方にはあるわけでございます。したがって、必ずしも私どもが期待しておるほどには指定個所がふえていかない。現在約千六百カ所余りであったと存じますが、そういったところにつきましては、それぞれ
規模等に応じまして、あるいは国が援助し、あるいは県や市町村が単独でやるとか、そういったことで総合的に安全を確保するような方向を進めていきたい。なお、そういったところにつきましては、まず当面はやはり避難とか、こういったものが先に立つのじゃないかと思います。したがって、こういったものについては
地域の防災
計画の中に入れて、避難誘導とか、あるいは連絡、これからもできるだけ緊密にとれるように、各市町村も十分注意をしていただく。それから、私どものほうでは、先ほどもお話のございましたああいうがけくずれ等につきまして
実験なりその他の調査研究をいろいろやっておるわけでございまして、あれほどの犠牲を出したことでございますし、ああいう経験をできるだけ生かして、そして
一般の方々にそういったものが実際の生活上参考になるというようなことで、どの
程度のがけでどの
程度の雨が降ればどういう
災害が起こるからどのように避難をしなさいとか、今後家を建てる場合にはこういうように家を建てるほうが安全ですよ、こういったような安全基準等も現在作成を検討させておるわけでございます。そういった総合的な面から、在来よりはできるだけきめこまかく気を配っていくように私どもも努力いたしたいと
考えております。
吉田(之)
委員 局長のお話の中にもございましたように、特に急傾斜地の
地すべりはいま一番人命をそこねている、無視できない問題だと思うのです。国が、三十戸から二十戸あるいは十戸というふうにだんだんと当該居住戸数を縮小しながら、したがってきめこまやかに対応策を講じられておることはわかりますけれども、しかし、実際山間僻地へ参りましたら、
局長も御承知のとおり、家というものはそんなに密集して建っていないわけです。ほとんど一戸か二戸が並んで、しかもことごとく急傾斜地の下に点在しているというのが現状でありまして、われわれも非常に危険な個所をたくさん知っております。ところがこれの対策が、現在国としてもあるいは県、市町村としても十分にはとり得ない。移転したいという希望は持っているけれども、そして何がしかの援助があればこの際そのことを実行することができるのだけれども、しかし独力ではできないので、依然として危険な下に住んでいるという人たちが一ぱいおります。一戸、二戸の住宅に対してまで国が直接全部に手をおろすことはできないと思いますけれども、県や市町村を通じてそのことを促進させる方法をこの際もっと具体的に
考えてやるべきではないか。あるいはそういうことに対する国からの地方自治体への
財政的な援助という方法も、さらに積極的に講じてやるべきではないかというふうな気がいたします。なぜかと申しますと、この間のがけくずれ
実験の場合でも
国民が周知いたしましたように、あれはまさに一瞬にして音もなしにくずれてくるわけなのです。だから、いまおっしゃるように避難誘導ということもよくわかりはいたしますけれども、これは昼日中、よほど用意されたときにのみ初めて
効果を発するものでありまして、たいていの場合は深夜、寝ている間に土にまみれておったというふうなことが多いのであります。したがって、さらにきめこまやかな人命尊重の政策が
建設省の指導のもとにこの
機会にとり得ないものかどうか。さらに、いまおっしゃいましたように、これから新しい住宅を建てる場合、その安全基準等について、厳格な指導、規制が必要ではないかというふうな気がいたします。特に一戸、二戸のそういう危険千万な住宅に対して、この際何らかの措置を講ずる方法はないだろうかということについてお伺いいたします。