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1972-04-12 第68回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十二日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 天野 光晴君 理事 金子 一平君    理事 田村 良平君 理事 葉梨 信行君    理事 服部 安司君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 渡辺 武三君       小沢 一郎君    大村 襄治君       梶山 静六君    浜田 幸一君       古内 広雄君    村田敬次郎君       森下 國雄君    山下 徳夫君       山本 幸雄君  早稻田柳右エ門君       井上 普方君    堀  昌雄君       松浦 利尚君    新井 彬之君       北側 義一君    吉田 之久君       浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省道路局長 高橋国一郎君         建設省住宅局長         事務代理    沢田 光英君  委員外出席者         総理府内閣総理         大臣官房参事官 栗林 貞一君         警察庁交通局交         通指導課長   池田 速雄君         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         建設省住宅局住         宅企画官    京須  実君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     島  守一君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     前田 光嘉君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     山川 尚典君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事長)  鈴木 俊一君         参  考  人         (水資源開発公         団総裁)    柴田 達夫君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の移動 四月十一日  辞任         補欠選任   浜田 幸一君     石田 博英君 同日  辞任         補欠選任   石田 博英君     浜田 幸一君 同月十二日  辞任         補欠選任   佐野 憲治君     堀  昌雄君 同日  辞任         補欠選任   堀  昌雄君     佐野 憲治君     ————————————— 四月七日  名古屋市都市高速道路鏡ケ池線建設反対に関す  る請願外二件(加藤清二紹介)(第二二一〇  号)  同外二件(横山利秋紹介)(第二二一一号)  同外二件(加藤清二紹介)(第二二二八号)  同外二件(横山利秋紹介)(第二二二九号)  同外二件(加藤清二紹介)(第二二五二号)  同外二件(横山利秋紹介)(第二二五三号)  同外二件(横山利秋紹介)(第二二八六号)  同外二件(横山利秋紹介)(第二三四七号)  同外二件(横山利秋紹介)(第二四〇八号)  地代家賃統制令廃止反対に関する請願青柳盛  雄君紹介)(第二二八七号)  同(浦井洋紹介)(第二二八八号)  同(林百郎君紹介)(第二二八九号)  同(浦井洋紹介)(第二三四八号)  同(林百郎君紹介)(第二三四九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりをいたします。  建設行政基本施策に関する件調査のため、本日、日本住宅公団理事島守一君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、時間が制約されて、きょうは質問なさる方が非常に多いそうでありますから、政府のほうも簡潔に答弁してください。それから、大臣は歯が痛くて答弁がしにくいそうですけれども、できるだけ政府委員の方でけっこうですから、政策的な面ではひとつ大臣、御答弁ください。  まず第一点は、二つお尋ねしたいのですが、まだ労働省の方が来ておられませんからその質問あとにしまして、都市計画法扱いの問題について質問をさしていただきたいと存じます。  その一つは、これは法文の解釈になってたいへん恐縮ですが、都市計画法の三十四条、市街化調整区域にかかる開発行為規制についてお尋ねをしたいと思うのです。実はこれは事前建設省側と十分打ち合わせしていろいろと議論を詰めてみたんですが、なお非常に不明確であります。特にこの調整区域における開発行為規制の中で、三十四条十号ロ項の問題ですが、読んでみますと、「開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行なうことが困難又は著しく不適当と認められるもの」こういったものは開発審査会の議を経る、こういうようになっておるわけであります。具体的にお尋ねをしますけれども、この市街化調整区域の中にボウリング場などをつくることについてはこの法律では認められるかどうか、規制をを受けるかどうか、その点をひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  6. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 御質問の点でございますが、調整区域につきましては、当面市街化を抑制する区域として線引きがなされたわけでございます。しかしながら例外といたしまして、その住民の日常生活の利便のためだとか、また計画的な市街化の上に支障ないというものとか、経過措置だとか、その他そういう意味におきましていろいろ例外があるということは御承知のとおりでございます。調整区域におきまして、ボウリング場だとかレクリエーションの施設だとか、そういうものを設置する根拠といたしまして、いろいろ根拠もあるわけでございますけれども、ただいまお述べになりました十号の一項におきましては、そのレクリェーションの施設、たとえばボーリング場というようなものをとってみましても、これが市街化を促進するおそれのないもの、たとえば野外的なもの、運動場とか、それから野外のプールだとかゴルフ場だとか、そういうものを主体といたしまして、それに関連するところの必要最小限度の付属的な建物、たとえば宿泊の施設だとか、そういう娯楽施設というようなものも含むものにつきまして、これがどうであるかということについてでございますけれども、これにつきましては、たとえば地方公共団体総合開発計画というようなものをつくりまして、それと一体として行なう、そういう計画に適合するというものに限りましては、御承知の同条の開発審査会というものの議を経て許可しても差しつかえないというふうに考えておる次第でございます。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その点が非常にあいまいなんですね。たとえばレジャーセンターなら認めて、野外施設だとかなんとかじゃなくて、屋内施設をつくる、ボウリング場などというものは、これは市街化調整区域につくるべきようなものじゃないと思うのです。ただ、ここで私が議論しておるのは、そのボーリング場を単独で調整区域につくることはどうなのかと、こう聞いておるわけです。
  8. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 一般論として、市街化調整区域におきましてボーリング場をどうかということだけに限って申しますと、この点につきましては、いろいろな経過措置その他のことを例外として除きますと、これは普通は開発許可を受けられない、こういうふうに考えます。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう一つお尋ねしますが、全然別個のものとしてホテル二つ三つもつくることはどうですか。
  10. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 これも一般論としてお答え申し上げますけれどもホテルにつきましては、都市計画法三十四条第二号に「観光資源の有効な利用上必要な建築物」というものがありまして、たとえば県立公園の中で展望台とかホテル、旅館というものも、場合によっては開発審査会の議を経て許可することもできるとございますけれども、そういうもの以外のことは、いわゆる九号の経過措置のほかは、やはりそういうもの二つに該当しなければ、これは許可は受けられないというように考えております。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、いまのお話で、観光資源開発としてのホテルですね、これはただし書きということで認めることが可能だ。それではホテルをつくって、そのホテル関連さしてボウリング場をつくるというのはどうですか。具体的になりますが、ホテルをつくって、それに関連さしてその横にボウリング場をつくる、それは認められますか。
  12. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 ただいま申し上げました二号で観光資源の有効な利用という意味許可を得る場合におきまして、それの付属という意味必要最小限度ボウリング場ということは必要じゃないかと考えておる次第でございます。個々によってこれは判断しなければいかぬ問題だと思います。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、私はこの三十四条の二号と十号というのは非常に矛盾した規定だと思うのです。いまここで具体的に申し上げると、一般論として申し上げておきたいと思うのですが、レジャーランドをつくるんですね。極端にいうとゴルフ場をつくったり、その横にはオープンの競技場もつくりましょう。しかしホテル二つ三つもつくる。それに関連さして今度はボウリング場をつくる、遊技場をつくる、こういったことがどんどん観光開発、二号という形で許可されていくわけですね。観光資源開発というものの中に、極端にいうとどこまでが観光資源開発なのか、そういったものの行政がいま非常にあいまいになっておると思うのですよ。あと面積規制を加えるのだ、こういっておりますね。面積、平米である程度規制を加えていく条項で押えます、こういつておられるけれども、実質的に、市街化調整区域の中に観光開発という名のもとにホテルが建つ、あるいはボウリング場が建つ、あるいは射的場が建つ、そういったことが開発として許されていったら、結果的に市街化調整区域というものは意味がなくなるのではないか、こういう気がするんですがね。そういった観光開発についての限度、それに施設としてやる設備はこれが限度だというような、そういった基準があるのですか。観光開発と一言で片づけてしまいますけれども、そういったものについてはどうですか。
  14. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 いまの二号のについては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、これにつきましては、先ほどこれもつけ加えて申し上げましたけれども個々ケースによってこれは判断されるわけです。そういう観光資源の有効な利用上必要な建築物であるかどうかというのは、これは客観的に判断されるものでございまして、したがってやはり個々判断されるべきものでございます。ただ、これは具体的に数字の基準というものは必ずしも私ども明確にきめているわけではございません。客観的にやはり個々ケースによって判断されるというふうに考えておる次第でございます。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう一ぺんお尋ねしますが、個個のものについて許可をする、こういうことですが、事前建設省に、これは開発許可していい行為かどうかという連絡は審査会を通してありますか。
  16. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 これは知事開発許可の権限を持っているわけでございまして、知事ができるわけでございます。したがって、普通、通常の形では知事自分判断許可いたします。しかし、中には法の解釈上疑義があるものについては問い合わせのあるものもございます。ただ、一般的には知事自分判断でやっております。そのために私どもも、この開発許可につきましては、具体的ないろいろな通達その他を出して判断基準みたいなものは与えているつもりでございます。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 知事判断をしてきめるのですから、その知事判断によっては、三十四条の扱いというのは非常にばらばらになってきておるのですよ。それは間違いないのです。ですから私がさっきから言っているように、市街化調整区域開発問題についての一定基準、あるいはそういったものに対する指導目標は出されてしかるべきではないか。あるところでは許可したけれども、ある県では許可しなかった。逆に、許可したために市街化調整区域を設定した意味がなくなった、それでは何のために新都市計画法をつくったのかわからないのですから、なぜ調整区域をつくったのかわからなくなるわけですから、そういう問題で基準があるのかないのか。なければないと言ってもらえばいいのです。
  18. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほど申し上げましたように、この施行にあたりまして、開発許可判断基準なるものは通達で出しております。昭和四十四年十二月四日付で「都市計画法による開発許可制度施行について」という通達を出しております。ある程度具体的にいろいろなことを書いてありますけれども先生のおっしゃいますように、この都市計画開発許可運用もある程度の年月を経てきました。そのやっている間にいろいろな問題がやはり起こってきております。判断知事が迷う点もあろうかと思います。したがいまして、先般から私ども各県のおも立った担当者を呼びまして、いろいろそういう点についての検討をいたしておりますので、さらにまたそういう点を十分に誤りなからしめるような基準その他を設定するようにいたしたい、そういうことで早急に検討いたしたいというように考えている次第でございます。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それからもう一つお尋ねしておきますが、レジャーランドですね。観光という面とそれから娯楽という面、そういったものがミックスされて、最近はレジャー施設といったものが調整区域に非常にたくさんできるわけですよ。そういうものについては基準を示しておりますか。
  20. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 レジャーというものは、観光資源の活用という問題とからんでくることは先ほどの議論のとおりでございます。ただ、これをボウリング場だけだという御質問でございますと、先ほど申し上げましたように、ボウリング場だけについては調整区域許可をいたすということは一般的には考えられませんから、そういう基準は示していないわけでございます。
  21. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、ボウリング場というものを除いて、レジャーランドとしてそういうボウリング施設とか射的場とか、ずっとつくるわけですね。そういうものについてはどうかと聞いておるのです。基準があるのかないのかということです。
  22. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 ただいま申し上げましたように、それについての基準は具体的に示しておりません。
  23. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、非常に歯が痛いそうですけれども、小さな声でもいいですから答弁してください。  いまここでなぜ三十四条を問題にするかといいますと、最近は市街化調整区域レジャー施設といったものをどんどん開発していくのですよ。ところが、いま局長お話しになりましたように、それに対する一定基準がないのですね。ただ観光開発という二号によって審査会許可をしているのです。ところが実際には観光施設レジャー施設というものは紙一重なんですね。だからそういった意味では、政府市街化調整区域に対する指導あるいは一定のワクをはめる、こういうことをもっときびしくする必要があるのではないか、こういう気がしてならぬのですが、そういう方向でこの三十四条の運用については指導されるというお気持ちがあるかどうか、その点をお聞かせいただきたいと思うのです。
  24. 西村英一

    西村国務大臣 御案内のとおり、観光という思想レジャーという思想は、思想的にはだいぶ違うと思います。しかし実際問題はやはり接近しておる場合が多いと私は思う。したがって、いま言いましたように、そういう施設は、これは市街化区域じゃないからやはり調節をしなければならぬと思いますが、乱れる場合が非常に多いと思います。十分な指導をしたいと思っておりますが、法律だけの問題でもなかなかこれは言いあらわしにくいと思います。やはり行政指導をおもにやらなければならぬ、私はかように考えております。もちろん県の開発審査会があっていろいろ審議はしておりましょうが、この法律をつくりました建設省としても行政指導の面は十分注意しなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  25. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は法の運用をきびしくせよと言ているのではなくて、同じ県で、あるところではレジャー施設調整区域につくって出したら観光資源ということで許可された。ところがある人が出したら、今度はそれはだめだといわれたということになると、極端にいうと、これは法律運用を適当に曲解されたり利用されたりするわけでありますから、そういう意味では、この調整区域開発行為というものは一定基準をきちっと指導していただきたい。知事判断であることは事実ですけれども、小さなものは別にして、大きなものについてはぜひ知事等事前建設省の見解を求める、そういったルールだけは確立しておいていただきたいということを要望として申し上げたいと思うのですが、局長、いいでしょう、大臣答弁で。
  26. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 ただいま大臣から答弁申し上げたとおりでございます。また先生のおっしゃった御趣旨に従いまして私どもも種々そういうふうに検討いたしております。そういうものをなるべく早くまとめまして指導基準といたしたいというふうに考えております。
  27. 松浦利尚

    松浦(利)委員 都市計画法の三十四条についてはわかりましたので、これで終わります。  次いで警察庁の方にお尋ねしたいのです。その前に建設省のほうにお尋ねをしておきたいのですが、東亜道路工業株式会社というのがありますね。これは資本金が非常に大きい。十億八千万円。総合工事株式会社だと思うのですが、その点、そういうふうに理解してよろしいですか。
  28. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 お話のとおり、東亜道路工業というのは資本金十億八千万円、従業員が千百六十五人という会社でございます。
  29. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私はこれは一つの例として申し上げるので、何も東亜道路工業株式会社がどうこうという意味ではありません。その点はひとつ間違いないように前もってお願いしておきたいのです。  まず警察庁お尋ねをしたいのは、昨年の四月一日に東亜道路工業株式会社の熊本県人吉工事事務所で、琢磨軍琢磨大字渡村道工事で、タイヤショベルカーコンプレッサーを移動させるために、鶴井清という二十歳の土工が運転を誤って転落をし、死亡した事件が発生しておりますが、確認をして調査をしておられますか。
  30. 池田速雄

    池田説明員 昨年の四月一日の十三時七分ごろでございますが、いまお話のございました鶴井さんという方が、球磨郡の球磨村の大字那良口というところでございますが、その国道の二百十九号線におきまして事故を起こされて、なくなられておるという事実がございます。
  31. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その鶴井さんという方は、警察のほうの交通事故証明等によりますと、免許保持者道交法にいう免許を持っておらなかった者、こういうことになっておりますが、無免許者であったことに間違いありませんか。
  32. 池田速雄

    池田説明員 無免許交通事故、こういう報告を受けております。
  33. 松浦利尚

    松浦(利)委員 タイヤショべルカーを動かすためには大型特殊免許が必要だというふうに理解をしておるわけですが、間違いありませんか。
  34. 池田速雄

    池田説明員 大型特殊免許を必要といたしております。
  35. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは警察庁の方にお尋ねをいたしますが、この事故処理はどういう形で事故処理をなさっておりますか。ただ本人の自損行為交通事故を起こしたという程度でありますか。それ以上掘り下げての調査が行なわれておるかどうか。その点をお聞かせいただきたい。
  36. 池田速雄

    池田説明員 当時一緒に工事をやっておりましたその同僚、それから上司、その他関係者等からも調査をいたしまして、その結果、鶴井さんの自損行為であるというふうに判断をいたしております。
  37. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その調べられた方の中に大型特殊免許を所持していた人がおられましたか。
  38. 池田速雄

    池田説明員 詳細は聞いておりませんけれども、当日このタイヤショベルカーをチャーターしたということになっておりまして、その専属の運転手はいるというふうに聞いております。
  39. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの調査でおわかりになりましたように、なくなった方は、当然持っておらなければならない大型特殊免許を持っておらなかったわけですが、その大型特殊免許というのは、普通免許——私は免許を持っておりませんからわかりませんが、普通の免許よりも非常にむずかしい、所持者も非常に少ない、こういうふうに聞いておるのですが、その点間違いありませんか。
  40. 池田速雄

    池田説明員 特殊自動車でございますので、運転そのものに普通の自動車とは違った点がございますので、特別の免許制度を設けているわけでございます。それから免許を持っておる数でございますけれども、これは従来、実は戦前等免許制度でございますと、特別なものを必要としていなかった時代等もございますので、現在運転できる免許の数ということになりますと、全部で九十五万ほどということになりますが、いまこの大型特殊だけという方になりますと、一万八千という数になっております。ただこの九十五万の中には、大型も持ち、それからほかの免許もお持ちの方がございますので、実際に運転されておる方の数につきましては、いまのところわかりません。
  41. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この事件——事件というよりも、この事故は、一つ本人大型特殊免許を持っておらずにタイヤショベルカー運転してコンプレッサーを移動させるときに、本人が幅員の狭いところに来て転落して死亡した、こういうことなんですが、現地で調査をいたしました範囲内では、いま説明員から御説明がありましたように、このタイヤショベルカーというのはチャーターしてきたのですね。そのチャーターしてきたショべルカーコンプレッサーを牽引して移動させるということは、本人の意思でできるとお思いになりますか。状況判断ですけれども、それはどういうふうに判断されますか。
  42. 池田速雄

    池田説明員 御指摘の、なぜ運転したかという点でございますけれども、これは私どもの聞いておる範囲とは、いま御指摘の点が若干相違いたしておりまして、業務として運転したのではなくて、ちょうど昼休みの時間でございまして、その間にだれも知らない間に、おそらく練習のためかとも思われますけれども無断運転された、こういうふうに聞いております。
  43. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その無断運転をしたかどうかということは、ここでいろいろ議論してもこれは水かけ論で、警察のほうでお調べになったことがほんとう、処理されたのがほんとう、だろうと思うのですが、そのときに、この工事責任者に対して何らかの注意をなさいましたか。
  44. 池田速雄

    池田説明員 詳しくは聞いておりませんけれども、一般的に申し上げますと、特に業務に関する事故がございました場合には、これは道交法規定等にもよりまして、雇用者その他の関係者にも通知する、こういうことになっておりますので、当然そういう措置をとっているものであろうというふうに考えております。
  45. 松浦利尚

    松浦(利)委員 労働省お尋ねをいたしますが、いま説明の方といろいろここで事実関係について議論をしましたが、本人の意思行為であったか、あるいは命令を受けて行なったのかというのは、死人に口なしでこれはわからないのですが、いずれにしても人命が一名失われているのは事実です。無免許の者が死亡しておる。こういったことに対しての業者あるいはそういった者に対する監督、こういったものについてはどういうふうにしておられますか。この結果を見てどういうふうに判断されますか。
  46. 吉本実

    ○吉本説明員 お答えいたします。  タイヤショベルカーのような、動力による土木建築用機械の運転業務につきましては、現行の基準法に基づきます安全衛生規則の四十五条の一項の十四号に規定がございまして、「技能を選考した上指名した者でなければ、」当該「業務に就かせてはならない。」こういうふうになっております。それで、この技能選考の基準といたしまして、道交法上の運転免許を有する者は当然のことでございますが、かりに免許を持っておらなくても、構内で、工事現場におきます運転だけを行なう場合には、運転に必要な技能を有しておれば就業させることができる、かような形の法制になっているわけでございますが、本件の被災者につきましては、過去におきましても工事現場内においてショベルカー運転しておったというような形で、このこと自体が基準法の違反であるというふうには考えていないわけでございます。しかしながら、こういった形が危険を伴うような道路等で行なわれる場合には、やはりいろいろの問題が起きますので、各事業主に対しましてもそういった点の徹底をはかるように日ごろから指導しているというような次第でございます。
  47. 松浦利尚

    松浦(利)委員 熊本の労働基準局はこの事故に対して、発生状況は「工事現場よりコンプレッサーを二キロメートル移動させる為、コンプレッサーについているけん引棒を、ワイヤロープでタイヤショベルの後部に固定し、(タイヤショベルとコンプレッサーの間隔一・五メートル位)被災者がタイヤショべルを運転し、時速二十キロメートルで運搬中、幅員の狭くなった所でハンドルを切ったところ、コンプレッサーが横に振れ、路肩より転落し、」こういうようなことですね。これは明らかに二キロメートル移動させるためにこの人は運転しておる。鶴井さんというその人は、その目的のために運転をしておる。それが本人の意思であったかあるいは命令であったかということはここで、死んだ人のことでわからないわけですから……。命令した人も命令したとは言わぬでしょう。実際にここで、労働省が発生状況を直ちに現地で調査をした報告書ではこうなっておる。二キロメートル移動させるために本人運転しておった、そういう状況説明になっておる。ところが、それがだんだん調べが進むうちに、今度は本人が自損行為——警察のほうも最終的には交通事故で、本人の自損でやったんだという程度で済ましているわけですね。もちろん労災保険が払われておることは事実です。しかし、こうした状況判断を見ますと、先ほど警察庁の方から御説明いただきましたように、大型特殊免許を持った技術者というのは非常に少ないのですよ。少ないために、こういう球磨郡のような小さな村道の舖装工事などにこういった機械を入れるときには、技術者がおらぬわけですよ。はっきりいうと、そういう技術を持った者はこっちのほうの、東京のほうの高速道路とかそういったところに技術者が全部集中しておることは事実です。熊本の球磨郡のようなところでそういった大型特殊免許を持って働くよりも、こっちへ来て働くほうが賃金が高いのです。そういう意味で、私はもっと労働省の監督を、人の命がかかっておるわけですから、きびしくしてもらわなければ困ると思うのですね。先ほど局長から御答弁がありましたように、この東亜道路工業株式会社というのはもう一流会社ですが、その一流会社において、末端の人吉工事事務所というのは二十七人の小さいところですね、そういうところにはそういうあれが及ばないのですね。ところが、御承知のように四十七年度は景気浮揚策、こういうことで非常に大きな公共投資をやりますね。道路、港湾、いろいろなところも政府が財政的な援助をしながら公共土木を進めている。そうしますと、こういう事故は多発する危険性があると私は思うのです。人の命にかかわる重大な問題でありますから、私は労働省のほうはこういった問題の扱いをもっときびしくしていただきたいと思うのです。その点、労働省どうでしょうね。
  48. 吉本実

    ○吉本説明員 お答えします。  私ども基準行政のうちで、特に安全衙生の問題につきましては監督上も最重点にしてございます。年間の監督の件数のほぼ半分程度は建設業に向けてやっておるような次第でございます。しかしながら、建設業の実態につきましては、ただいま御指摘のとおりいろいろ複雑な関係がございますので、まず親企業を含めました下請との連携を含めて安全管理体制をとらせるとか、あるいは企業内におきましてその監督を自主的にさせるような仕組みを考えるとか、いろいろな手はずを考えてございます。それからまた、こういった小さい出先の事業場につきましてはなかなか手が及ばない点もございますので、一つの店社別監督というような形を最近考えまして、そういった連携の中で監督を強めていく、こういうふうな形にしてございます。それからさらに、今国会に御提案してございます労働安全衛生法案におきましても、特に建設業につきましてはそういったところの裏打ちをさらに一そう進めたいという形で、現在労働省としてもやっている次第でございます。
  49. 松浦利尚

    松浦(利)委員 四十七年度の予算が通って、いよいよ景気浮揚策のための公共事業が始まりますと、事故が非常に起こる危険性が多分にありますから、そういう意味ではもっときびしく労働省のほうで、いままでもやっておられたでしょうけれども、現実にこういう事故が起こっておるわけですから、そういう点をぴしっとやってもらいたい。  それから警察庁にお願いをしたいのは、これをただ単に交通事故処理でばっと片づけてしまいますと——この書類を見ますとまことに簡単です。労災保険ですから、労災保険を受けるためには——自動車損害保険ですね、自動車保険、これはもらえません。そのためには、交通事故証明というのを警察からもらう。その交通事故証明で、これは明らかに自損行為であって自動車保険はもらえませんという証明がなければ労災の支給にならない。ですから事業体のほうはそれをもらいたがるわけですね。もらってさっと労働省に出す。労働省の考えは、事故証明が来たのでからといって労災で出す。それは死んだ労働者に労災を渡すことはいいと思う。しかし、ただ単なる交通事故事故処理で終わったのではないか。もっとそういうものはきびしく、これがほんとうに自損行為による交通事故かどうかということをもっと法律に照らしてみて、あるいは大型特殊免許の所持能力の問題から見て、ほんとう工事事務所に持っておる人が一人もおらなかったのか、あるいは一人おったか、こういうところまで調べていただいて、二度とこういう事故が起こらないような手だてというのはやっていただきたい。もちろん一般の交通事故もきびしく規制してもらわなければ困りますけれども、しかしそういった面についてもっと警察庁のほうもきびしく事故原因を調べていただきたいと思うのですが、その点どうですか。
  50. 池田速雄

    池田説明員 運転に関します事故につきましては、特に業務がからんでおります場合には、先ほど申し上げましたように、その事故ほんとうの原因と申しますか、背後の原因までも追及するということをたてまえにいたしておりまして、もし運行管理者等に、あるいは無免許、あるいは酒、あるいは過労運転、あるいは積載違反等の下命、容認の事実がございました場合には、それを検挙しておるというのが実態でございます。そういう規定もありますし、両罰規定等もございますのでその活用をはかっておりますが、今後もその面につきましては努力してまいりたいと考えております。なお、大型特殊につきましては、大型特殊に関係あります取り締まりは、昨年で大体三千五百件ほどございますけれども、そのうちに実は、先ほど御指摘のとおり、無免許が千八百件以上ありまして、非常に無免許の占める割合が多いということでございますので、特にその点につきまして注意して今後運用に当たってまいりたい、こういうふうに考えております。
  51. 松浦利尚

    松浦(利)委員 最後に建設大臣にお願いをしておきたいと思うのですが、労働省のほうは監督をきびしくする、警察のほうは事故が起こった場合にその事故処理をきちっときびしくやる。ところが率直に申し上げまして、大型特殊免許を持った人の賃金が非常に高いのです。ですから請け負った人が、そういう業態はないと思いますけれども、しかし往々にして安く上げようとするのですよ。だから、当然大型特殊免許がなければ乗れないものも、無免許だろうが、あるいは普通免許だけで、大型特殊免許なんか持っておらぬでも、安いものだから運転させる。事故が起こったらこれは先ほど言ったようにきびしく警察からやられる。先ほど御答弁がありましたように、相当無免許大型特殊を動かしておるのですね。みんな安く上げさせようと思っておるからなんですよ。建設省は発注する側ですから、こういった人を安く上げるという意味じゃないけれども、単価の問題があって安く上がるようにしておるかもしれませんけれども、実勢単価と予算単価の違いがあるから、大型特殊の人件費を少しでも削減しようという気持ちがあるのかもしれません。そういうものがあるかないか別にして、問題は、そういったことをしておる企業、事業体、こういったものが発覚した場合は、少なくとも国なり地方公共団体の公共事業についてはもう請負させぬ、これくらいのきびしい姿勢というものがないと、私は、こうした事故はなくなってこないし、もっと四十七年度はふえてくるのじゃないかというふうに危惧するのですが、その点どうでしょう。
  52. 西村英一

    西村国務大臣 いまお話を聞きましたが、私が実際調べる場合は、結局大型特殊自動車をチャータしたのでしょうから、したがって、運転手がやったのかあるいは運転手自身ではないのか、そこらが一つのきめ手になると思うのです。この場合、その点が……(松浦(利)委員「この場合じゃない」と呼ぶ)わかっております。そこで、結局産業災害は終局的には元請業者の責任でございます。私はそう思います。いろいろ理由がございましょう。もちろんしかし、建設省が請負へ出す場合にそんなことまでして安く上がらなくてもいいと思います。したがって、あらゆる場合に——事故を起こしたという最終の責任はこの場合は東亜道路工業株式会社だと私は思いますが、こういう事故がますますあるということになりますれば、私のほうでも十分注意をして業者を指導しなければならぬと思います。
  53. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、誤解をしないようにしていただきたいと思うのです。ここで一つの例として出したので、先ほどから冒頭に言っておるように、こんなに労務管理のびしっとしておった会社でも、末端のほうにいくとそういう事故が起こっておるのだから、そうでないところはもっとたくさんありますぞ、こういうことを申し上げておるのです。想像ですけれども。ですから、このことを私はこれで責めておるのではない。これからの問題として、こういった事故を起こしておるようなところは警察で調べるとすぐわかるのです。どういう企業があるということもすぐわかる。そういうところについては、次に発注する場合には、おまえのところはこういうことじゃないかということで発注をとめるというくらいの姿勢がないと、これからどんどんどんどん発注がふえていくわけですから、事故というものは減らぬではないか。少なくともそれくらいの腹がまえで請け負う側に対してはきびしく当たっていただきたいという希望なんです。その点どうです。
  54. 西村英一

    西村国務大臣 私もその点は了解いたします。さようにいたしたいと思います。
  55. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは私の時間が来ましたら、これで終わります。
  56. 亀山孝一

  57. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、昨日の新聞で、千葉県の態度が、住宅公団の建設を抑制するという新聞報道が出ておりましたが、それについて二、三お尋ねしたいと思います。  第一点は、第二期住宅建設五カ年計画の東京、埼玉、神奈川、千葉、この四都県の割り当てについて数字を示していただきたい。
  58. 沢田光英

    ○沢田政府委員 結論から先に申し上げますと、関東の茨城、埼玉、千葉、神奈川、東京につきましては地方住宅建設計画ができております。その中、県別にもすでにきまっております。茨城県は公団住宅につきましては九千戸でございます、五カ年計画の間に九千戸。埼玉県は六万八千戸、千葉県が六万七千戸、東京都が十一万戸、神奈川県が七万三千戸、合計で三十二万七千戸、こういうかっこうになっております。
  59. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 埼玉六万八千、千葉六万七千、東京十一万、神奈川七万一千、これを見ますと必ずしも千葉県の公団住宅の建設戸数は多いとは思いませんが、いかがですか。
  60. 沢田光英

    ○沢田政府委員 数字からいいますと、千葉県と埼玉県ではややひとしい数字になってございます。県の実勢からいいましてもおおむねこういうことだろうと思いますが、こういうことをきめますに際しましては、建設大臣知事と協議をいたしまして各種の事情を取り入れてきめております。したがいましてかような数字になっておるわけでございまして、必ずしも多いとか少ないとか、その程度はわかりませんが、そういう経過できまったものでございます。
  61. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 住宅公団はどう考えますか。
  62. 島守一

    ○島参考人 ただいま住宅局から回答がございましたとおりでございます。
  63. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、首都圏の人口問題を考えたときに、千葉と埼玉、神奈川の三県は同じような条件下にあるわけです。人口も年間二十五万から三十万ぐらいずつふえております。こういった状態の中で千葉県が今回、新聞を見ますと、住宅公団並びに大型開発のデベロッパ一に対して、建設戸数を大幅に制限するということが報道されております。こういった人口の流動に伴うところの市町村、都道府県のバランスというものはいまのままでいいと思いますか。
  64. 西村英一

    西村国務大臣 ちょっと質問の趣旨がわからなかったのですが、人口のバランスがいいと思ったかというのはどういうことですか、もう一ぺん。
  65. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 人口は絶えず動いておりますね。動いておりますが、年間二十五万も三十万もふえていく千葉とか神奈川とか埼玉のような状態が好ましいか好ましくないか。
  66. 西村英一

    西村国務大臣 好ましくありません。これは住宅のみならず、いろいろな施設が行き詰まるのでございます。したがって、もう少し産業、人口を全国的に分散しなければならぬ、こういうことが最も緊急なことでございます。これを政府が、またわれわれが阻止することができなかったら、現在のやり方はますます行き詰まると私は思っておりますから、これは私は好ましくないと思います。
  67. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 好ましくないということは、人口の張りつけ方、住宅の張りつけ方が好ましくないということになるわけです。そうしますと、第二期住宅建設五カ年計画のただいまお聞きいたしました埼玉六万八千、千葉六万七千、東京十一万、神奈川七万三千の公団住宅の一例をとってみましても、好ましくないという現状からいくと、当然この数字というものは将来五年間に変わると理解していいのですか。
  68. 西村英一

    西村国務大臣 ちょっと変わるか変わらぬかわかりませんが、われわれはいま五カ年計画に基づいて住宅をやらなければならぬと思っていますし、またその方針で進みます。しかし終局的には、住宅をつくるよりもやはり人口の分散、工場の分散を考えるほうがもっと急務じゃないか。現在のやり方ではなかなか追いつくものじゃございません。しかしそれかといって、いま住宅はたくさんあるわけじゃございませんから、不足を補うためには現在の五カ年計画に沿うて現在は進めていかなければならぬ、かように考えておりますけれども、根本的には人口の移動を防ぐということのほうが第一義でございます。したがってそういうふうな面にむしろ力を注ぎたい、私はかように考えております。
  69. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それじゃ具体的な例に入りますけれども、千葉県が住宅公団並びに民間企業の抑制というものを打ち出してきた、これは間違いありませんか。
  70. 沢田光英

    ○沢田政府委員 千葉県の内部におきまして、そういうふうな宅地開発、これは人口その他の問題に関連するわけでございますが、宅地開発に関します計画をどういうふうにしていくかということを協議いたします委員会を設けまして、その委員会の中で宅地開発計画を一々チェックをいたしまして、それにつきましていろいろな条件をつける、さようなことで調整しようというふうなことが現在やられております。これはあくまで内規の程度でございますが、そういうふうなことが現在やられております。  それから最近起こりましたことは、すでに新聞にございますように、私が申し上げましたように六万七千戸という公団の数字につきましても、あるいはその年次割りにつきましても、千葉県が予定をいたしましたいわゆる人口の計画、これを最近では流入人口がオーバーしてきておるから、したがってそういうものももう一度考え直してもらいたい。そういう意味規制といいますか押えるといいますか、さようなことを最近申しておるわけでございます。
  71. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、民間自力建設の五百七十万戸のうち、千葉県の配分計画は五年間で幾ら見込んでいるのですか。
  72. 沢田光英

    ○沢田政府委員 千葉県の五カ年間におきます民間自力建設は二十二万二千戸を見込んでおります。
  73. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、二十二万二千戸は本年度分はどうなのですか。
  74. 沢田光英

    ○沢田政府委員 これは年度に割ってございませんけれども、おそらく割るとすれば定率増くらいで割るのだろうと思います。これを定差で割りますれば年間四万何がしということになりますが、定率でございますから四万前後ということになろう、かように思います。
  75. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、千葉県の現状においては四万戸以上オーバーしている、五年間では二十二万二千戸オーバーする、こういう確信に立った上で千葉県との話し合いが建設省で進められているのかどうか。そこからはじき出して六万七千戸の住宅公団の戸数の削減をやるのかどうか。この辺は大事でございますから、ちょっとお聞きしたいと思います。
  76. 沢田光英

    ○沢田政府委員 私どもがこの数字をきめる際には、千葉県と打ち合わせをいたしました。千葉県のほうも長期計画をもって私どものほうに話し、私どももある推計をもって話し合いまして、いま先生のおっしゃったような経過でこういう数字になったわけでございます。しかし、それが今後、ことしなり何なりでどうなっているかということは、私どものほうはまだ千葉県から報告を受けておりませんので、それの変化の状況というのはまだつかんでございません。
  77. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういう年度計画の中で千葉県は、このような二十二万二千戸の民間自力建設をやるという五カ年計画の数字がオーバーするから、たとえば公営住宅にしても民間住宅にしても制限をするのだ。その制限をするのは、交通とか水の事情とか関連公共事業におけるところの市町村の超過負担とか、いろいろな問題が首都圏の中で錯綜していることを考えた上で千葉県側としては当然出してきたものと思いますが、建設省当局はそのような実態不明瞭のままで、千葉県の一方的な言い方をのむのですか。
  78. 沢田光英

    ○沢田政府委員 この問題は、実は私どものほうで計画時には相談をいたしておりますが、このことが新聞に報道されましたのはたしか一昨日だと思います。それから公団から報告を受けましたのが昨日だったと私は思っております。そういうことで、私どものほうと千葉県のほうとの接触はまだございません。したがいまして、こういう問題が起きておりますので、まず公団が接触しておりますけれども、公団の成り行きによりまして私どももこの問題の解明に至急当たりまして、状況によりまして折衝に入る、かようなふうに思います。
  79. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 埼玉県、千葉県、東京都、同じような問題が惹起した場合には、住宅建設五カ年計画に大きなひびが出ると思います。住宅というものは二十キロ圏、三十キロ圏、五十キロ圏という圏内で、東京を中心に扇形に拡散しているわけですね。茨城県のとんでもないところとか、栃木の山の奥とか、長野のほうまで住宅を張りつけるわけにいかないから、首都圏内に何万戸という計画が打ち出されている。その中の最も重要な住宅供給地である千葉県がこういった問題を提起したことは、埼玉県にも同じ問題が出てくるわけです。そうなった場合、これはどうなんですか。
  80. 沢田光英

    ○沢田政府委員 いまのような問題は、いわゆる広域で考えなければいけないということで、私どもは住宅建設計画法の中で、国全体の五カ年計画の下の段階で地方住宅建設五カ年計画をきめております。この中で、いま私が申しましたような関東臨海というものがとらえられておるわけであります。しかも、関東臨海の中で県別にまた分けておる、こういう手続でございます。それが現在御提示のような問題を起こしてきたわけであります。今後これをどうするかという問題でございますが、私どもは、これを策定する段階におきましても、人口の増その他は統計によりまして相当詰めて話しております。したがいまして、予想される程度の伸びというものは計算に入っておるわけでございます。それを越えたのか越えないのか、そういう話し合いは今後の話し合いでございまして、そういう予想を越えた場合には当然調整なり検討なりがあるはずでございますけれども、現在のところ私どもはそれほど大幅なものはないというふうに考えておりますので、この五カ年計画の割り当てはできるだけ遂行するという態度で千葉県その他と接触をしたいと考えております。
  81. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 確認いたしますが、住宅建設第二期五カ年計画の千葉、神奈川、埼玉、東京の割り当ては現況のままで推していく、こう理解することが一つ。もう一つは、公団住宅の六万七千戸の千葉県の割り当ては不当ではない、こう理解して、このまま公団側としては、協議の段階にあった数字については、いかなる千葉県の要請にあっても変更する意思がないのかどうか、この点について。
  82. 沢田光英

    ○沢田政府委員 まず建設省の考え方を申します。いま申し上げましたような経過でこの地方住宅建設五カ年計画がきまっております。したがいまして、その範囲内の問題でございますればその計画は完全に遂行したい。ただ、その中に大幅な変動があれば、これは当然変えなければいかぬということになりますが、私どもは現在、大幅な変動というものをまだつかんでおりません。したがいまして、現在は変更するつもりはございませんけれども、しかしこの際、そういう問題がかなり潜在的にありそうだという空気がありますので、一々この各県の事情を聴取いたしまして、その後に結論を出したい、かように考えております。
  83. 島守一

    ○島参考人 ただいま先生から御質問がございました点につきましてお答えいたします。  この第二期五カ年計画の六万七千戸につきましては、昨年、五カ年計画が始まるにあたりまして、千葉県と公団が協議いたしまして、お互いに確認し合ったわけでございます。それで四十六年度スタートしたわけでございますが、われわれ、その五カ年間の六万七千戸は一応協定する、では毎年何戸ずつ建てていくかについては、その年度について県と公団で協議してきめる、そういうやり方をしております。そして第一年度の四十六年度においては、約一万六千戸という協定に達したわけでございます。したがいまして、現在千葉県がいっていますのは、初年度は景気刺激その他のために多く認めたが、少し千均よりも多く認め過ぎたので、本年度あたりはもう少し減らしてもらいたいという希望を持っておるわけでございます。それについては、これから四十七年度の建設計画について公団と県で協議を始める、そういうふうな段取りをしております。
  84. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 日本住宅公団の南部哲也総裁に対して、友納千葉県知事から四月八日に「千葉県における日本住宅公団による住宅建設について」という文書が出ております。それを読み上げますと、最初のほうは飛ばしますが、「貴公団が計画しております本県における住宅建設は極力抑制し、協議済の団地についても再検討され建設および入居時期の延期、戸数の逓減について練り直すようお願いします。」こういう公文書が来ていますね。
  85. 島守一

    ○島参考人 ただいまの公文書につきましては、これは八日付でございますが、一昨日入手いたしました。すぐ、きのう東京支所で千葉県といろいろ打ち合わせを始めております。県側の意向はまだ正確につかめていませんが、いまのところ、六万七千戸そのものは、これをすぐ減らしてもらいたいというふうな感触でないように聞いております。今後これにつきまして、われわれとしてはやはり六万七千千戸建てさせていただきたいのでございますが、逐次交渉を重ねていきたいと思います。
  86. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 感触であるとかなんとかじゃなくて、文書になっているじゃないですか。感触じゃないのじゃないですか。
  87. 島守一

    ○島参考人 この文書そのものも、たとえば「戸数の逓減」という解釈でございますが、それが六万七千戸を減らしてほしいという意味と、もう一つは初年度多くなり過ぎたから少しピッチを落としてほしいという、そういうふうにもとれる。そういうことで、今後の打ち合わせでどういうことになるか。われわれとしては、できるだけ年度のピッチを落とす、そういうことで御了解を願いたいということでいま交渉を始めておるわけでございます。まだきのうのことでございます。はっきりしたことは申し上げられません。
  88. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 年度のピッチとかなんとか言っておりますけれども、住宅公団がそんなにピッチを上げていまここでやっておるのですか。
  89. 島守一

    ○島参考人 その点につきましては、六万七千戸を平均しますと大体一万三千戸になるわけでございます。それに対しまして県のほうは、四十六年度はそれをこえて一万六千戸を建ててよろしいということで協議ができまして、お願いしたわけでございますが、現に建設を始めたわけでございます。そこで、その当時はそれでよかったのだが、その後情勢を見ると、どうも人口の全体の増が多過ぎるから、公団のほうも少しピッチを落としてもらいたいというふうな意向も強いようです。
  90. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 はっきり私が聞いているのは、四十六年に一万三千戸を一万六千戸まで県が認めているのです。その一万六千戸をこえたかと聞いているのです。ちっともこえてないでしょう。
  91. 島守一

    ○島参考人 現実の戸数は一万六千戸発注しております。
  92. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それではちっとも、急ピッチも何もないじゃないですか。県の言うとおりにやっているんじゃないですか。
  93. 島守一

    ○島参考人 もちろん六万七千戸を協定しまして、それを毎年同じ戸数を建てるとすれば一万三千戸くらいになるわけでございますが、それをわれわれとしましては年度ごとに、それぞれ土地事情もいろいろございますので、いろいろ話ししまして、初年度を平年以上に多く建てさしてほしい、そういうことをお願いしたわけでございます。それに対して県のほうは、いまの事情ではそれでもよろしかろうということで了解が成立した、そういう事情でございます。
  94. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 だから、「協議済の団地についても再検討され建設および入居時期の延期、戸数の逓減」ということを向こうで言ってきているわけですね。四十六年から五十年までの第二期住宅建設五カ年計画の初年度から早くもクレームがついてしまった。こんなことでは、五年先のことでは、人口はもっとふえたらもっと減らされてしまうのではないか、それを私は心配している。まだ初年度ですよ。
  95. 島守一

    ○島参考人 この問題につきましては先生のおっしゃるとおり、そういうふうな県の意向で、そういうふうになる可能性は多いわけでございますが、現在のところわれわれはあくまで、やはり県といろいろ打ち合わせをしまして、全般的な事情を御説明して所期の五カ年計画を全うしたい、そういうふうに考えております。
  96. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私それ以上のことはもう申しませんが、住宅公団がもっとがっちりとした計画と積算の上で、千葉県の状態というものを把握しながらやってもらいたい。これは埼玉県も同じ状態だから私はあえて質問するのです。  それでは建設大臣、いまのは公団住宅建設戸数で、いまのやりとりでおわかりになったと思いますが、公団はあくまでも六万七千戸を押し通す、こういうことですが、今度住宅の民間自力建設の六〇%の人たちが、三十キロ圏、五十キロ圏の土地が安いところへ殺到してくる。となれば、これは好むと好まざるとによらず、千葉県とか埼玉県になる。それを今度、民間自力建設も大幅に制限すると千葉県ではいっているのですが、それに対してはどういうお考えを持っておりますか。
  97. 西村英一

    西村国務大臣 その問題についての直接のあれは持っておりませんが、結局話は逆でございまして、たとえば千葉県に五万戸割り当てた、それは少ないじゃないか、七万戸ぐらい割り当ててくれ。埼玉県に六万戸割り当てた、それは少ないじゃないか、私のところは八万戸ぐらい要りますというのが普通の話なのだが、大体逆になっておるのですね。それはやはり相当に理由があるのです。そこで私は、やはり公団というものも曲がりかどに来た、公営もやはり曲がりかどに来たということを言っておるのでございます。曲がりかどに来たから、おまえどうするのだといっても一言で言えません。  そこで、民間の住宅の問題ですが、これもあなたが言うとおり、やはりそういう土地の安いところに行きましょう。平米二万五、六千円といえば、埼玉、千葉というようなずっといなかのほうに行くことになります。こういう問題につきましても今後いろいろな問題が起こると私は思います。おそらく、結局千葉あたりも民間の住宅は予想以上に進出しているのじゃないか。これは数字を持っておりません、感じですが、そういうような感じがいたしますから、公営住宅も予想どおりやったらたいへんなことになるだろう。民間住宅は予想以上に来る。いろいろなことで予想外に総体として人口がふえてきた。水は足らない、こういういろいろな原因があると思います。したがって今後は、いま直ちにこの五カ年計画を改定するというようなことは考えておりませんが、地方公共団体のどこが一体弱点かということ、どういうことを建設省はしなければならぬのかということを十分打ち合わせをして今後進めていかなければならぬ。いわゆる曲がりかどに来たというような感じでございます。
  98. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、そんな抽象論じゃないですよ。はっきり申し上げますと、四十七年三月現在、千葉県には二十六件、三千三百五十ヘクタールの開発申請が出されている。このうち県は、空港関連事業の貨物基地などの公共事業関係の四件、二百八十九ヘクタール以外は許可しないといっているのです。どうなんですか、そうなったら。これであなたは、建設基準は少ないとか多いとかいうのはどこで判断するのですか。
  99. 沢田光英

    ○沢田政府委員 私が先ほど申し上げました民間の千葉県におきましては二十二万二千戸、これは住宅建設計画法に基づきます地方住宅建設五カ年計画でございますが、これはまた千葉県の建設計画でもあるわけでございます。したがいまして、いろいろの検討の結果、両方合意でこれをきめた問題でございます。したがいまして、こういうものに従っていくというふうなことがたてまえだと思います。そこで私どものほうも、公共のものもこの計画に従ってできるだけ努力をする。また、民間のほうは二つパターンがあると思うのです。一つは、いわゆるスプロール的に個々の敷地に入っていく、これはなかなか押えにくいと思います。しかし、デベロッパーがいまおっしゃったような民間宅造でやるというのは、公団と同様目につきますから——目につくというか、手法的に押えやすい。そこでそういうふうな押えをやるというのだろうと思います。そうなりますと、千葉県の中の住宅がいかにすればよくなるか、スプロールでいくのがいいのか、しかも、公共的なものあるいは優良なデベロッパーが開発した住宅地に住宅を建てるのがいいのか、かような質の選択の問題になろうかと思います。いずれにいたしましても、千葉県知事はその辺は県内の問題といたしまして十分考えながらやるだろうと私どもは考えております。
  100. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そのために新都市計画法において市街化区域調整区域の線引きが行なわれたのじゃないですか。そのほかにあらゆる都市関係法が錯綜しているのじゃないか、民間デベロッパーがどうのこうのとか、スプロールがどうのということを危惧して、われわれ国会で網を引いたわけです。調整区域にじゃんじゃん家なんか建てられないじゃないですか。当然市街化区域に殺到してくるわけです。そんなことはわかり切っていることなんです。それが現実に水の問題とかいろいろの問題を手配しないところになる。  だから、私は切り返して質問すると、東京湾横断橋ができて川崎市と千葉県の富津が結ばれるという計画は、これは大臣、いつ具体化されるのですか。この問題は重ねて聞くけれども……。
  101. 西村英一

    西村国務大臣 これはなかなか大事業でございますから、そう簡単にできるとは思いません。
  102. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは計画に載っているのですか、東京湾横断橋は。
  103. 西村英一

    西村国務大臣 どの計画か知りませんが、そういう考え方はずいぶんあるわけでございます。またそういうことは必要であるから、いろいろ相談はいたしておりますけれども、まだ具体的には何もありません。
  104. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設大臣は首都圏整備委員会をやっていらっしゃると思うのです。それから防災会議、国土開発の最高責任者は総理大臣。特に首都圏の問題では、東京湾横断橋は川崎と富津という地名まで出ている。これができたら千葉県なんかもっと人口が入ってきますよ。その準備のために民間デベロッパーが調整区域に殺到しているから、千葉県側としては心配になってこういう問題が起きているということと理解しておる。重ねてお尋ねします。そういういいかげんな答弁では私は納得できない。この横断橋については、建設大臣としては大体いつ起工して、いっそれが完成するかという計画建設省サイドで出てこなければ、千葉県の富津と神奈川児の川崎なんという地名が出てくるわけがない。これははっきり言ってどうなんですか。
  105. 西村英一

    西村国務大臣 それは調査、研究はいたしておるのです。その段階でございます。したがって、この架橋がいつできるか、またいつ着工するかというようなことは、いま全然きまった問題じゃございません。もちろん調査、研究はいたしております。これは東京湾の外環道路の一環としていろいろ調査をいたして、調査費も建設省で持っておるわけでございますけれども、いまの、架橋にいつ着手していつ竣工するか、またどういう体制でやるか、これはそう簡単なものじゃございません。調査はあくまでいたしております。   〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕
  106. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、これは計画にのっとって調査しているわけですね。そう理解していいのですね。
  107. 西村英一

    西村国務大臣 計画にのっとってということをいえば、計画にのっとってといえないこともないでしょう。東京湾環状の道路の一環として、それは計画にのっとってやっております。
  108. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは専門局長はどなたですか。
  109. 西村英一

    西村国務大臣 道路局長です。
  110. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 道路局長、これをもう少し明確に答えてください、大事なことだから。
  111. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま大臣が御答弁いたしましたように、いわゆる木更津と川崎を結びます東京湾横断道路の計画につきましては、首都圏の整備計画にもございません。また昭和六十年博を目標といたします首都圏の構想にものっておりません。したがいまして、こういう計画は東京周辺の大都市の交通対策網の一環としてわれわれは調査いたしておりますけれども、いわゆるオーソライズした調査計画としてはのっておりません。これが実情でございます。
  112. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、これはいろいろなところで聞いてみますといろいろな動きがあるのですか、昭和六十年の時点にまで——はっきり申し上げると、いまは昭和四十七年ですから、昭和六十年というとあと十三年ですね、この十三年の間には東京湾横断道路はできない、こう理解していいですか。
  113. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま申し上げましたのは、現在の新全総計画であるとか、たとえば首都圏の六十年構想にはのっておりませんけれども、この調査の成果によりまして、もしこれが実現可能であるというめどがつけば、将来改定した場合に加わることはあり得ると思いますが、現時点ではのっていないというふうに申し上げたわけでございます。
  114. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設省の道路局長としての所感としてはどうか。東京湾横断道路をつくらなければならぬ、房総半島の開発や首都圏の住宅行政、人口流動の受け入れ体制としてこれは当然必要である、われわれはこう理解した上で、新全総にはのってないし、首都圏整備計画の上にものっていないけれども、至るところでこの話が出てきて、一部業者や一部有力者によってこの話が進められておるということも聞いているのです。そういう建設省の態度では、私どもは国民として、また議員として、非常に不明確であるので、あなたの所見を聞きたい。
  115. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 先ほども申し上げましたように、首都圏整備の六十年のビジョンにのっておりませんが、首都を中心といたします幹線道路網の調査を数年来建設省では直轄でもって実施しております。その一部といたしまして、東京湾岸道路のための調査事務所まで設置いたしましていろいろ調査をやっておりますが、横断橋につきましてはその中の重要な問題として現実に調査を実施中でございます。したがいまして、この調査成果によりまして、もし、すべての調査が完了いたしまして、東京湾に横断道路をつくることが可能だという結論が出た場合には、われわれといたしましてはこの工事にかかりたいというふうに考えております。
  116. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは根本さんがちゃんとこの委員会で言っているんだ。そんないいかげんなことでは困るんですよ。これはたいへんな地元の問題に関連してくるし、人口問題としても大きな問題になる。もう一ぺん重ねて聞きますが、やる意思があるのかないのか。
  117. 西村英一

    西村国務大臣 これはもうずいぶん前の話で、根本さんよりもずっと前の話です。しかしこの建設を進めていく上にはやはり調査が必要なんです。十分な調査をしなければできない。その調査は、たとえば港湾問題ならば港湾協会に調査を依頼し、またわれわれのほうでもやっておるのです。具体的にいまあなたがいつ着手して、いつでき上がるのか、こう言うから、そういうものはまだでき上がっていない。必要なことはわれわれも十分認めておる。しかしこの橋だけでは役目をしない。この橋ができればアプローチが要るわけです。それがいわゆる東京湾岸道路になるわけです。やはりそれをもにらみ合わせてやらなければならぬから、おそらくこれは政府だけでもできないから民間を入れて、また民間の有志もつくるべきだという意見があるから、非常に熱心にはやっておるのです。熱心にはやっておるけれども、直接いま、いつ着手するか、どれだけ金がかかるか、どういう方法でやるのか——一つの案はあります。ところがその案は、港湾協会ではそれでは困ると、水路、通路に対しての意見が出ております。こういうことをせめてもう少し調査を進めなければほんとうのことにならないのでございます。調査だけは十分やっている。その必要は認めます。
  118. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いま最後に、認めますということでございますから、私もそれ以上言いませんが、なぜこういう問題をいま議論しているかと申しますと、千葉県の住宅抑制政策から発想した問題として、神奈川と千葉をブリッジし、東京をブリッジすることによって、千葉県には昭和六十年を機としてさらに人口が大きく爆発的にふえるだろう、それを危惧していま言っているのですから、御理解いただきたい。  もう一つは、新都市基盤整備法という法律がいま出ることになっておりますね。これによると千葉県は、人口五万以上の市街化区域内における新都市基盤整備法によるところの整備地域に入っているのですか、入ってないのですか。八カ所だけということを聞いておりますが、その八カ所の名前をあかしていただきたい。
  119. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 新都市基盤整備法案の対象地域というものは先生も御承知のとおりでございます。私どもいろいろな過程におきまして御説明を申し上げて、八カ所ということを申し上げた機会もございましたけれども、まだ具体的にその候補地をどこにきめたというものではないわけでございます。この新都市基盤整備事業というものは、都市計画法に基づきまして都市計画事業としていろいろ決定されてやられるわけでございますから、いろいろな手続が要ります。したがって、この法案をお認めいただいて成立しました暁におきまして、それからいろいろまた相談をするわけでございます。具体的な場所は私どもきめておりません。したがって、千葉県のどこであるということもきめてございません。
  120. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると大臣、問題が出てきますよ。千葉県の「昭和四十七年度における宅地開発事業の指導方針」の一番最後の二番目のところに「公的機関による宅地開発について」という項があるのです。その中に「日本住宅公団の住宅建設を極力抑制し、協議済の団地についても再検討を促し建設が計画後期になるよう強力に申し入れる。なお、公社、協会等についても市街化調整区域および首都圏近郊整備地帯外においては、これを抑えるよう指準ずる。」ということになりますと、この新都市基盤整備法をやる主体者は地方公共団体と住宅公団、これが主体となって人員五万以上の新しい新都市整備をやるということについては、このような千葉県の方針でいったら、千葉県にはこれはできないということになると私は理解する。いまから心配する。この法律についてはこれから議論するとして、きょうはその前提として、その指定の八カ所がまだあかされていないから、千葉県は取り除くのかという私の質問に対してお答えがないからあえていうと、千葉県の四十七年度における宅地開発事業の指導方針の中で、もうこういうように予防線を張っちゃっているのだ、千葉県側は。そうすると、この法律の指定がたまたま千葉県に指定したとしても——もしも指定しなかったらおかしなものになる。埼玉県、神奈県だけに指定するということになったら、爆発する東京都を中心とする新興都市の住宅の問題について、埼玉県が一方的にしょわなければならなくなってくる。埼玉だって水もなければ道路もないで問題なんです。この間もこま川団地では水のないところに団地をつくった。そういう状態は千葉も埼玉も変わりがない。それを埼玉県に一方的に押しつけられることを私はおそれるがゆえに、もしも千葉県に指定しないのならば、八カ所の指定の中で埼玉県を除くか、こういうことなんです。どうです。
  121. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 ただいま申し上げましたように、新しい法案によります地域は具体的にまだどこということをきめているわけではございませんので、千葉県を除くとか除かないという議論はまだないと思います。それから千葉県の今度の指導方針、千葉県の言い分を聞きますと、こういうことを抑制せざるを得なくなった理由というものは、水の問題、通勤鉄道の問題、また地方財政の問題ということを理由にあげております。もちろんこういう問題がありますことは私ども承知いたしておるわけでございます。しかしながら、今回の新都市基盤整備法案というのは、いままでのそういう社会資本がある程度充実した開発適地というようなものから、開発不適地のようなものにつきましても社会資本を十分整備して、たとえば鉄道を敷く、また水資源を開発して、そうして新しい都市をつくっていこうということでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように法案が成立しました暁において、そういうことを関係府県、市町村なりと十分打ち今わせしてこの事業を進めていくということになるわけでございます。したがいまして、ただいまお尋ねございましたような、千葉県でやるかやらぬか、埼玉県はどうするかということは、私どもまだ具体的にきめていないわけでございます。
  122. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは浜田君から関連質問の話が出ておりますから、私は関連質問の彼に譲ります。  最後に一点だけ質問させていただいて私の質問を終わらせていただきます。新聞報道によりますと、公有地先買い法が地方行政委員会に付託になっておりますが、先ほどの市街化区域内における農地の宅地並み課税については非常に後退してしまったという批判もある。これはわが党もいろいろ検討したのですが、そういう問題が出てきた。そこで、この公有地先買い権ということは、西村大臣が今回の大臣のときも、前々回の大臣のときにも推進者であった、こう理解しております。聞くところによると、自民党の野田卯一議員は、この問題については民間デベロッパーの問題をもう少し考慮しなければならぬ、こういった法案はもう少し検討しなければいかぬという。その検討が前向きなのか、あと向きなのか、ここでは私は論評を避けますが、そういうふうに政府できめた問題が、先ごろの市街化区域内の農地の宅地並み課税と同じように、政府自民党の議員さんの中から、もしもあと向きのような公有地先買い権の法案について論議が出てくることはわれわれとしても考えなければなりません。大臣としては、この土地問題の基本であるところの私権の制限を踏まえた上で、公有地先買いの問題についてはどのような姿勢をお持ちになっていられるのか、この点をお聞きいたしまして、私いま時間がないからこれで終わらせていただきますが、いかがですか。
  123. 西村英一

    西村国務大臣 とにかくこの土地政策についていろいろな構想が出ています。しかしそのうちで議論として皆さん方が行うことの最も大きいものは、やはり土地は国もしくは公共団体がなるべくたくさん所有することだということは、どなたもこれは異論がないのであります。実際問題になりますとまた違います。思想的考え方としてはそういうふうになるわけで、事業がきまって土地を買うことは非常に土地の単価をつり上げますから、あらかじめここは買っておきたいというときは、売りたい人に相談をして、それを開発する公共団体かあるいは公共団体に準ずるところに買い上げたいということでございまして、私はこの法律の通過をぜひとも皆さん方にもお願いを申し上げる次第でございます。
  124. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、もしも自民党の議員の中から骨抜き、後退なんということが出てきたら、大臣は極力これは押える決意ですか。
  125. 西村英一

    西村国務大臣 そういう人が中にはあるかもしれません、何さま自民党は大ぜいでございますから。しかし、それに絶対負けないように、ひとつ皆さん方の御協力を得たいと思っております。
  126. 天野光晴

    ○天野(光)委員長代理 この際、関連質問を許します。浜田幸一君。
  127. 浜田幸一

    浜田委員 私は、いま問題になりまして、大臣答弁をされました東京湾横断堤の問題についてお伺いをしたいと思います。  かつてこの委員会で、私の質問に対して根本前大臣は、この問題は首都圏の開発のために絶対必要なものであるので、できるだけ千葉県の意向もくみながら前向きに取り組んでこれを解決したい、こういう答弁をされました。その後、この問題については千葉県ともいろいろな話し合いは進んでおります。これは半官半民会社を設立してやる以外にないのではないかということで、実は半官半民方式というものが真剣に検討されて、その後の状況としては、そういうものをつくり上げていくためには特殊会社の設置が必要であろうということで、すでに特殊会社というものをどういう形で設置するかという段階まで検討がされているわけです。  ところがいま大臣は、この問題については計画の中には入っていないという御答弁をされましたけれども、そういう進捗状況を御存じかどうか、一点ただしておきたいと思います。これは道路局長にも同じ問題を質問さしていただきたいと思います。と申しますのは、すでにこの問題は、川崎までたとえは特殊会社でつくり上げて——これは数字まではっきりしているわけです、現在の計画では。調査の段階を過ぎて、もうすでに設計の段階にまで調査は進んでいるわけです。その中につくられる横断堤というものは予算にして約二千五百億円を必要とするであろう。そして二千五百億円の内容としては、東京湾の中に島を二つつくって、そこで船の通るところは千五百メートルの航路を獲得をして、その島から沈埋トンネルでこれを送るという形まで検討されている。ところが、もっと詳しく申し上げれば、東京湾の岩盤は非常に弱くて、そこはヘドロ地帯である。ヘドロ地帯であるがゆえに普通の工法ではできない。ではどういう工法でやるかというと、そのヘドロを一たん全部取り上げて、そこに山土を埋めて、そこで基盤の確立をしなければならぬ。この建設を進めていくというのは、科学的な研究まで実は進んでいるわけです。ところが大臣はじめ道路局長は、その問題については調査をしているだけのことでありますという御答弁をいただいたわけでありますが、そういう特殊会社の設立をした場合にはだれをトップにすることがいいのかということで、実は東京湾総合開発委員会の中で、根本先生におやりをいただくことがいいのではないかということを中心として現在進めている段階なんです。そして千葉県側の要求としては、これは友納知事の考え方もそうでありますが、とにかく五十年に着工、六十年完成を目途としてこの問題を解決してもらいたいという要求を国に対して十カ年間続けてきております。それを受けて立って現在の計画は進められていると思うわけでありますが、友納知事の要求はもう一歩進みまして、着工は一、二年早めていただきたい、科学の粋を集めてやれば約七年間で解決ができるであろう。その完成時期は五十六、七年度にしたいというのが実はわれわれ千葉県民の要望であるわけです。そこまで具体的な要望を突き詰めて要求をしている問題について、私は、現職大臣がこの問題に対して何ら関心を示し得ない答弁をするようなことは全く遺憾である。同時に、自由民主党の内閣において、前大臣答弁と現大臣答弁との食い違いがこのようにも激しいということは、やはり私は道路行政あるいは総合開発計画を実施する上においても大きな支障を来たすのではないかと考えるのです。  私は質問にお答えをいただいたあとで、特に委員長にお願いをしておきたいのでございますが、もしそういうことで進んでいるとするならば、次の機会にこの問題について質疑討論のでき得る時間をぜひお与えをいただくようお願いをしておきます。  ひとつその問題について、私はお答えをいただきたいと思います。
  128. 西村英一

    西村国務大臣 全部私は知っております。根本さん以上に知っています。結局これは立法しなければなりません。また、わが党の中にそういう委員会ができて熱心にやっておることも知っています。千葉県知事が熱心なことも知っています。しかし、ただ言うだけではできないのです。根固めがないのです。法律は一日あったら書けます。そういうことじゃなしに、根固め、基礎ができていない。そこで一番問題になるのは、やはり港湾問題、船の問題でございます。そういうことにもまだ結論が出ていないのでございます。民間の方々が熱心なことも私は知っています。一応政府はどれだけ出す、公共団体がどれだけ出す、そういうふうな表もできています。したがって、いま根固めを一生懸命やっておる最中でございます。決して誤解のないように願いたいと思います。そういうことについては最も熱心でございますが、ただ橋ができただけでもいかぬ。やはりアプローチがなければどうにもいかぬ。それも同時に進めなければいかぬことでございます。これは非常な大事業でございます。また、地方公共団体といいましても、千葉県もあれば神奈川県も東京都もございます。いろいろな問題がございます。これらの了解も十分受けて根固めをしなければ、これはなかなか容易じゃありません。したがって、私は後退は絶対いたしておりません。いま根固めを進めつつあるわけでございます。いずれ立法して、また皆さま方に御審議を願わなければこれはできないわけでございます。どうぞ誤解のないようにお願いたします。
  129. 浜田幸一

    浜田委員 時間の関係がありますので、道路局長答弁はけっこうであります。  ただ、私は大臣一つだけお願いしておきたいことは、大臣がこの委員会席で先ほどのような答弁をいたされますと——全部御理解なさった上での御発言だということもわかりましたけれども、ただわれわれ四百万の千葉県民の十カ年間の希望ですね。日本列島から離れている盲腸的な千葉県がいろいろな開発計画をつくり上げてきた中で、京葉工業地帯の造成もその一点なんです。何とか東京の心臓部との連結をはかりたい、日本列島との直結をはかりたいというのが一つの願いで、公害問題もあるだろうけれども、五百社の工場誘致に踏み切った。そこで京葉工業地帯が完成した。第二番目の問題は、成田新東京国際空港をつくるというのも、これはやはり日本列島よりもおくれた千葉県であってはならないということを達成するための友納県政の芳しい施策であったわけです。そこへもってきて、いまようやく日本列島との格差の是正というものにわれわれは成功したけれども、第三番目の問題として、東京湾の横断堤というものをつくり上げるということは、実は四百万の千葉県民の夢なんです。その夢を破壊するような形で御答弁されることについて私は御注意をいただきたい。お知りになっているならば第一回目の小川先生質問に対して、実はこの問題については議員立法なら議員立法が必要である、あるいは政府提案をして法律をつくった上で、前向きに取り組んでいきたいという御答弁をいただかないと、私どもはまた前回委員会において行なった質問を行なわなければならなくなるわけですから、ひとつその点については特に御留意をいただき、本問題については前向きに、いま御答弁いただいたように積極的な解決を求めるためにお進みをいただくよう私は特にお願いをいたして、関連質問を終わらせていただきたいと思います。
  130. 西村英一

    西村国務大臣 十分承知いたしました。
  131. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 関連質問でございますから締めくくりますが、私聞いておってほんとうに腹が立ってきましたね。自由民主党の浜田君には懇切丁寧に答弁して、公明党の小川新一郎には、そんなに何もかもよく知っていて、前大臣よりも知っていて、まだ知らないような答弁をしていたじゃないですか。西村大臣、そんな薄情な大臣じゃ困りますよ。私はこれから一切協力しませんよ。あなた、一切何でもかんでもよく知っていて、浜田君の質問にはどんどん答えて、私が一生懸命つばきを飛ばしてしゃべっているのに答えようとしない。そういう態度はいかぬと思うのです。私は、少なくとも建設常任委員会理事として、いままでもいろいろな面で協力もしました。大臣答弁はもう少し懇切丁寧にしてもらわないと困る。  その点で私はもう一点だけ……。大臣調査調査と意っておりますが、調査費というのは一体どこから出ておるのですか。
  132. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 調査費は、建設省の直轄の調査になっておりまして、いまちょっと数字は忘れましたが、たしか東京湾岸を含めての横断堤の金になると思いますが、約三億じゃないかと存じます。
  133. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 きょう初めて東京湾横断堤の調査費が三億円であるということがこの委員会で明確になったわけでありますから、先ほどの大臣の御答弁を私はほんとうに期待して、どうか一日も早く千葉県民の要請にこたえられるよう、またこの横断堤ができたことによって、千葉県にどんどん住宅ができちゃって、逆にまた千葉県が困るようなことになってはなりませんので、その点十分な総合的な施策をお願いいたしまして、質問を終わります。
  134. 西村英一

    西村国務大臣 ちょっと小川さん、たいへん誤解があったようでございますが、いつ着手していつ竣工するか、それはあまり正直にわからない、いろいろ調べておるからということを言ったのであって、公明党のあなたには秘密にし、自民党にははっきり言うということではなかったのです。それは聡明なあなたですから、よく御理解を願いたいと思います。
  135. 天野光晴

    ○天野(光)委員長代理 古田之久君。
  136. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 古都保存の問題は建設省の所管でございますので、この機会に、特に飛鳥・藤原宮跡の保存と開発の問題につきまして、若干の御質問をいたしたいと思います。  実は、御承知のとおり去る三月二十七日に、明日香村の高松塚古墳、特別大きい、またいままであまり注目されている古墳でもございませんでしたけれども、たまたまその古墳の発掘調査をいたしましたら、何と千三百年前の古墳の中から壁画が原色のまま出てきたということで、日本じゅうの耳目を集めたわけでございます。実は同じこの日にちょうど、松下幸之助さんが会長をしておられます財団法人飛鳥保存財団が飛鳥の宿泊研究施設の起工式を祝戸という明日香の一地区であげているわけなんです。このようにいたしまして、再び飛鳥は保存と開発の両局面が同時にクローズアップされてまいりました。七千人の村民は、たいへん興奮したり、また戸惑ったりしているのが実相でございます。  実は、総理が四十五年三月十四日、したがって万博の開会式の前日に、各大臣と一緒に明日香に来られた。そして民族の遺産であるこの飛鳥の保存と開発は、国家が最重点的に実施しなければならない問題だということを言明された。その後閣議決定もなさっているわけでございますが、しかし、明日香村自体として、あるいは奈良県自体として、あまりにもこの保存という問題はいわば荷が重過ぎるという感じで、最近は村民の生活をどう守っていけばいいのであろうか、またこの保存と開発をどう調和さしていけばいいのであろうかという点で非常に苦慮いたしているのが現状でございます。  したがって、まず初めに、今日までこの飛鳥問題について、特に建設省はそのサイドからどのような配慮を行なってこられたかということを御質問いたしたいと思います。
  137. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 飛鳥の問題につきましては、先刻御承知のことかと存じますが、政府としては一昨年の十二月に閣議決定をいたしました。飛鳥地方の保存対策についての基本的な国の考え方を打ち出したわけでございまして、この中身につきましては、大きく分けまして、保存をするためのいろんな地域地区制等を、現存の諸制度の充実や必用によってこれを整備拡充していくという点が第一点でございます。それからもう一点は、飛鳥地方の地域住民の生活向上も含めましたいわゆる開発でございます。開発を進めていくために、飛鳥という特殊性を持った地域の保存との調和をはかっていろいろな施設の整備を進めるべきであるというようなことで、どういうことをやるかということにつきましても、各所管別に応じました施設の整備事業についての基本的な考え方はきまっております。したがいまして、この基本方針に基づきまして、四十六年、それから本年四十七年というふうに私どもは事業を進めてまいってきておるわけでございます。  それから、この事業を進めるにあたりまして、御指摘の地方の財政負担との関係でございますが、閣議決定のときにもこの一点にも配慮がされまして、一部の事業につきましては、たとえば公園につきましては国営でもってやる、それから飛鳥の周遊保存につきましても、全額国費でもって県に対して事業の援助をするというような特別な財政上の配慮もなされることになって、そういうことで今日まで事業を進めてまいっておるのが大体の経緯でございます。
  138. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 それではちょっと具体的に一つずつ……。  まず、明日香村村議会から政府に対して要望いたしております、特に建設省に関係のある諸点を申し上げたいと思います。まず「保存のため規制の拡大については土地所有者の了解を得やすいよう、その時期、範囲については充分な配慮の上実施されたい。」こういう要望が国に対してなされておることは御承知だと思います。たとえば、先ほど申しましたように、思わざるところから思わざる史跡や古墳が出てくる。今後ますますこれは地下から出てくる可能性が大きいようであります。こういうことの起こるたびにいろいろと規制を拡大したり、あるいは土地を買い上げたりしなければならなくなってくると思います。こういうことについて、土地所有者とどういう話し合いを進め、また円満な了解を得るための努力をしようとなさっておられるかということをまずお聞きします。
  139. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 先ほど申し上げました中の保存のための土地利用規制の関係につきましては、具体的には昨年の八月、奈良県におきまして、風致地区という制度がございますが、都市計画法上の風致地区という制度を拡充いたしまして、約七十八ヘクタールの拡張をいたしております。都市計画できめております。それから同じく昨年の十月に、例の古都法に基づきますところの歴史的風土特別保存地区というものが現にこの飛鳥地区には設定されておりますが、それをさらに四十二ヘクタール拡張をすることにいたしたのでございます。いずれも、こういった都市計画法上の地域地区制を定めるにあたりましては都市計画法上の諸手続がきめられておりまして、関係の公共団体の地域住民の意向等も十分にくみながら説明会等を重ねて、大かたの了解を得た上でこういう都市計画決定が行なわれたというふうに私どもは理解をいたしております。
  140. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 次に、土地の買い上げの価格の問題についてでございますけれども、村議会のほうでは「施設用地、宮跡、道路敷地等の土地の買上げ価格については、明日香村内の売買価格以外に隣接市町村の時価も参酌して価格を決定されたい。」こういう要望をしているわけでございます。これはもっともな要望でございまして、たまたま明日香村なるがゆえに全部その規制の網をかぶせられて、いまお話しのように風致地区等も設定されて、開発が進められない。ところが一方、その村外へ出ればもういまや坪五万、十万の高値を呼んで、どんどん開発が進んでおる。こういう事情であります。一体飛鳥は、われわれが長い祖先の遺産を継承し、そしてそれを保存してきたがゆえに、われわれはこのような責め苦にあわなければならないのか、こういう犠牲に甘んじなければならないのかという点で、非常に住民は悩んでいる状態でございますが、今後土地の買い上げ等については、そういう特殊事情を十分勘案されて買い上げていかれる方針であるのかどうか。単なる地価公示に従って事務的に機械的に進められていいものであろうかという点、私たちも非常に心配いたしておるわけでございますが、その点いかがでございますか。
  141. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 いろんな事業をやりますのは、奈良県、それから一部明日香村、それから国営に関しましては私ども建設省が直轄して事業をやるという分担になっておりまして、それぞれの施設用地の取得につきましては現地でもって関係権利者と話し合いをしながら進めておるわけでございますが、お尋ねの価格につきましては、私はつまびらかによく承知をいたしておりませんが、一般的に言いますと、これは当然客観的な近傍類似の時価ということが基準になることは当然のことでございます。ただ、御指摘のような明日香という地域とその隣接の地域との間におきまして、土地利用等の現況からいきまして、若干土地買い上げに客観的な価格の差があるというふうなことも想像にかたくないと思いますので、その辺をどういうふうに調整していくかということはむずかしい問題かと思います。実態を私どもよく調査をしたり、聞きまして、適切な用地買収が行なわれるように指導してまいりたいと思います。
  142. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 次に、土地取得基金を早急に創設しなければ、外部からの開発行為に対してこれを防御することができないという要請が出されておりましたけれども、この土地取得基金の創設について、その後どのように進んでおりますか。
  143. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 取得基金という新たな制度を創設することは現在考えておりません。それとは別でございますが、古都法によりますところの特別地区につきましては買い取り請求という制度が認められておりまして、これに応ずるための予算措置は私どももいたしております。その範囲内でそういう請求に応じてまいりたいというふうに考えております。
  144. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 次に、県のほうから最近要望いたしております諸事項の中で、特に歴史的風土特別保存地区内の土地の買い上げの予算のワクをふやしてくれということと、それから同時に国庫負担率をもっと引き上げてもらいたいという要請が出ているはずでございます。私ども考えるのですが、こういう民族の遺産を守るために土地を買い上げなければならない、重要な部分を買い取ってしまわなければならないということは当然うなずけるわけでございますが、それをどうして地元が負担しなければならないのだろうか、たとえ十分の二であっても地元が負担するべき問題であろうかどうかという点を非常に疑問に感ずるわけなんです。国家そのものの遺産なんですね。ところが現在国庫負担率は十分の八だと承っております。一体こういうことで、今後無尽蔵に出てくるかもしれないいろいろな文化財の保全あるいは地域の買い上げ等が可能であろうか。現在村も県も非常に財源が枯渇してまいりました。飛鳥を守ることがとてもたえ切れないというふうな財政的な現状でございます。一体この現状をどうお考えになりますか。
  145. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 古都保存関係の買い上げの予算は、四十七年度で申し上げますと、奈良、京都、鎌倉、この地域でございますが、国費でもって四億程度の予算計上をいたしております。それから負担率の問題につきましては、御承知のとおり国が五分の四という高率の負担をする、残りの五分の一は奈良県が負担をするというふうな仕組みになっております。いろいろな各種のこういった事業の中の国、地方の負担割合からいえば、最高に近い国の負担という制度になっております。したがいまして、将来の問題は別としまして、当面はこの制度でもって十分対処していけるのじゃないか。あとは、買い上げが多く出てきました場合に、予算措置をいかに適切にそれに対応して確保していくかという問題になるのじゃないか、かように存ずる次第でございます。
  146. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 局長、将来と当面とを分けておられるようですが、現に当面、県知事もこんなものは県としてはまかない切れないという態度を出し始めているわけであります。これは将来の問題がまさに当面の問題になってきたというように判断いたしますので、あと大臣がお帰りになれば特別立法の問題とあわせて意見を申し上げるつもりでございますけれども局長としてはその辺の現状をよく御認識いただかなければならないと思います。  同時に、歴史的風土並びに自然景観保全上、県が必要と認めた土地を高率の国庫補助を得て買収し得るよう措置しなければならない、こういう問題が出てきております。これはすでに村が初めは努力をいたしておりましたけれども、ぜいぜい農協から金を借りて、そうしてあらかじめこの辺は保全しなければならないだろうということでいろいろ手だてを講じているわけでございますが、小さい村の財力ではもはやどうにもなりません。県が当然やらなければならない問題だと思いますけれども、これについて現在どの程度の国庫補助がなされているのか、またそれで十分と思うかどうか、お聞きいたします。
  147. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 先刻申しました古都法の関係の特別保存地区に開運しました土地の買い上げについての制度以外に、私どもの関係ではそれ以外のは承知をいたしておりません。特に国のほうで特別な補助とかそういうものがあるようなことは私どもは伺っておりません。
  148. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 総理府の方いらっしゃいますね。——総理府は、この問題は特に建設省と文化庁の両面にまたがる問題でありますし、その取りまとめなどをいろいろ配慮していただいている部門でございます。特に山中総務長官も明日香へ来られて、たいへん出題をよく理解して帰っていただいているはずでございます。こういう周辺の景観を保持する、あるいはあらかじめ必要と認めてその史跡の周辺を県あたりが公共用地として買い取っておかなければならないという問題は、当然理解を示しておられると思いますが、総理府としてはこの問題についてどうお考えになりますか。
  149. 栗林貞一

    ○栗林説明員 現在総理府でやっております仕事は、いま建設省でいろいろお話のありました点、それから文化庁で文化財関係諸施設の保全をやっておりますが、そういうことを取りまとめて推進するという役割りを果たしております。具体的な問題について特に申し上げることは現在むずかしいわけでございますが、私どもとしてはできるだけ関係省庁の連絡を密にして、なるべく事業が円滑に進むように努力をしていきたいということでございます。
  150. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 再び建設省にお聞きいたしますけれども、この飛鳥、藤原地方のいわゆる地方道、それから中小河川になりますが、これらの整備についても非常にせかれているわけです。しかし、これにつきましても補助率が三分の二とか、あるいは特殊改良については二分の一程度しか出されていない。観光客がすでにどんどんやってきているわけでございます。明日香の人たち、あるいは奈良県の人たちは、自分たちの村や県の開発のためではなしに、いわゆる古都が観光の対象として全国のために開放されつつある。そのことに対して諸施設を整備していくのに、なぜ自分たちがこのような補助率の少ない中で苦労をしなければならないのであろうかという点で、悩み切っているわけなんです。この辺について建設省は、どういうふうに事情を把握しておりますか。
  151. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 地方道の関係、河川関係、先ほどお答え申し上げましたように、現行の一般の補助率ということで飛鳥対策関連事業をやるということになっております。これにつきましては、一昨年の政府の方針をきめますときにも特にいろいろ議論のあった点の一つでございます。結局、地方道にいたしましてもまた河川、飛鳥川の改修等にいたしましても、いわば地域開発関連する事業でもありますので、現行の道路、河川等の一般の補助率と変わりございません。その補助率の範囲内において十分これはまかなえるのじゃないかというようなことから、あとはその事業を極力ピッチをあげて効率的に確保していくということが大事である、計画的にやることが大事であるということから、具体的な事業予算の配分にあたりましては、特に飛鳥対策の関係には十分配慮いたしまして、他地域よりは特に事業の進捗の点で考慮いたしておるというふうなのが実態でございます。
  152. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 ことばの上では十分配慮なさっておるようでございますけれども、実際の現状の認識はずいぶんズレていると思います。これで何とかまかなえているだろうという御認識のようでありますけれども、決してそんな現状ではございません。まさに四苦八苦の現状でございます。したがって、建設省とされましてはもう一度この時点で、こうしたことに対しての援助の手の差し伸べ方というものを再検討されなければならないと思います。きょうは文化庁はいろいろな関係でどうしてもここへお見えになれないようでございますので、建設省と総理府に、両方に要望いたしておきますけれども、たとえば文化財保護法による指定地域の整備等はすべて国の直轄事業でやってもらいたい。それから、文化庁の出先機関を設けて直接実施してもらいたいという声がいよいよ強くなってきております。あるいは飛鳥地方における重要史跡の保存ための発掘調査、管理等の保全事業に対する強力な財政措置を講じてもらいたいというのが実態でございます、たとえば板蓋宮というのが出てまいりました。この板蓋宮の発掘調査がいまなされております。しかし補助率は二分の一であります。そうすると、当然半分は県や村が持たなければならない。そういう板蓋宮という千三百年の史跡を発掘して調査して保存していくのに、どうしてその半額をこの小さい七千人の村が、あるいは小さい県が持たなければならないのかという問題でございます。いまやどうしても、これは大臣がお越しになったら再度まとめて申し上げるつもりでございますけれども、やはり特別立法というものが、飛鳥や藤原宮跡には必要なのではないかというふうな感じがするわけでございます。この点、特に総括的に、建設省としてあるいは総理府として、われわれのこの問題点の指摘をどう感じようとなさるか、再度お答え願いたい。
  153. 栗林貞一

    ○栗林説明員 お答えいたします。  村とか地元の財政負担の問題につきましては、地元のほうから私ども昨年来いろいろとお話を聞いておりまして、あるいは県知事さんもおいでになっていろいろお話しになりました。総理府では山中総務長官も非常に関心を持たれて、いろいろ努力するという点で建設省のほうにもお話しするなり、あるいは自治省のほうにお話しして、できるだけのことはするというふうなことで来ております。今後も、これは各省にまたがることでございますので、それぞれの省庁でできるだけの配慮はするということでございますが、私ども総理府はまとめ役でございますので、その点十分地元の意見を聞いて配慮していきたいというふうに考えております。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕
  154. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 いま総理府からお答え申し上げましたように、飛鳥対策のいろいろな諸施策は各省庁にまたがっております。そういうことで、総理府が中心になって推進をいたしていただいておるわけでございます。公共事業関係は確かに建設省が一番大株主でございます。大いに私ども関心を持っております。したがいまして、今後御指摘のような、御提言のような特別立法なり補助率のかさ上げなり、そういうものが必要になるかどうかという点につきましては、奈良県当局なり関係公共団体とも十分意見を交換しながら、四十八年度以降のことになろうと思いますが、総理府と打ち合わせをしながら検討してまいりたいと思います。
  155. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 それではちょっと別の問題に入りまして、道路局長にお聞きいたしますけれども、実は飛鳥の近くに橿原市というところがあります。実はこれは奈良県のまん中で、人口は八万から十万に近づきつつある程度の町ではございますが、全く東西南北の交通の要路になっております。この前局長もたしか奈良県へ建設委員会の視察で来られましたときに実情を見ていただいていると思いますけれども、二十四号線のバイパスの問題あるいは百六十五号のバイパスの問題、橿原地区を中心としてこの二つのバイパスの問題がいまその地域における県民の重要な要請になってきております。建設省があの際現地調査に来られまして、県とこの委員会と三者立ち会いの上で、二十四号のバイパスをずっと北から南へおろしてくる予定ではあるけれども、特に問題の地区を先にやろうではないかということで、いまそれを受けて徐々に地元は対応を始めております。しかし、聞くところによりますと、まずことしは五億円程度で土地の買収を始めたい、まず三年くらいはかかるのじゃないかというようなうわさでございます。これは二十四号線の、正確に申しますれば奈良南バイパス(橿原地区)ということになるだろうと思います。これほど火急の問題が、たかだか年に五億や七億くらいの用地買収で三年もかからなければできないことなんだろうかという問題でございます。あるいはこの橿原地区から大和高田市のほうに行くべき六十五号のバイパス問題もあります。これはすでに路線決定はされておりますけれども、これとても本年度はまだ十億程度しか考えられていない。全然遅々としてはかどらない現状でございます。早く二十四号線のバイパスの路線決定を進めていただきたい。それから百六十五号線の高田バイパスの促進をはかっていただきたい。  なお、時間がございませんので固めて申しますけれども、北のほうに名阪国道が走っております。西名阪のほうはおいおい整備もできてまいりまして、四十七年度中に四車線になる予定であります。しかし、どまん中のいわゆる名阪国道のほうは四車線にするのが五十年までかかるであろう。ところがこの名阪国道はたいへん見通しが悪くて、しかも山間部をよぎっている国道でございますから事故が続出をしております。一昨日も私の親しい友人がタンクローリーにはねられて、もはや危篤の状態でございます。いろいろ調べてみますと、死亡事故というものはますます名阪国道ではふえてきている現状であります。ちなみに数字を申し上げますけれども昭和四十五年には人身事故が百五十六件、そのうち死亡者が十五名、負傷者が三百二十八名、それが四十六年では百四十一件、総数においては横ばい状況でありますけれども、死亡者は二十一名にふえております。負傷者も二百六十四名。一方、四車線になりつつあります西名阪のほうでは、九十二件の人身事故が六十八件に減り、また死亡者も十名が六名に減り、負傷者も八十四名から百四十二名に減り始めている。こういう一年間の数字だけをもって即断することはできないと思いますけれども、やはり道路というものがすみやかに四車線にされなければならないということの一つの証明だろうと思います。つきましては、いま事故が続出いたしておりますたいへん危険な国道の一つであります名阪国道の四車線完了は、大体昭和五十年までかかると聞いておりますけれども、せめてここ一、二年の間に完成はできないものであろうかどうかということを、この機会にひっくるめてお聞きしておきたいと思います。
  156. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 国道二十四号線の奈良南バイパスにつきましては、最も交通の隘路となっております橿原市のバイパス区間から着工することにいたしまして、四十七年度新規に着工する予定にしているわけでございますが、御承知のように、新規着工になりますと、おそらく測量に入りまして、それから各個人の買収する面積まで一々当たりますのでたいへん時間がかかりまして、ことしの四十七年度中にはようやく用地折衝に入れる段階にしかなりません。したがいまして、事業費としてはそう多額に見込むことができないのが従来の例でございます。もし地元が用地買収に応ずるならば、用地費はとりあえず県に立てかえていただいて、四十八年度以後に支払っていきたいというふうに考えておりまして、ただいま約一千万程度の金を用意しているわけでございます。  それから六十五号につきましては、先生もうすでに御承知のように、橿原バイパスということで一部補助事業で着工し、大部分は直轄事業でもって実施しているわけでございます。これは、補助事業の分につきましては、すでに昭和三十七年に都市計画決定されたものでございますけれども、文化財保護法に基づきます藤原宮跡付近を通過するために、昭和四十一年から昭和四十三年にかけまして発掘調査を行なった結果、史跡指定を追加するというふうな意見が文化庁から出されておりまして、その結果、当初計画しましたルートを変更しようということでただいま調整中でございます。地元ではだいぶルートの反対があるというふうに聞いております。したがいましてここの区間につきましてはなかなか工事が進んでいない。ルートの調整中だということになるかと思います。なお、直轄で行なっております大和高田バイパスにつきましては、もうすでに用地買収に一部入っておりまして、これもできるだけ早急に解決するように、用地買収が終わりましてできるだけ工事が早く完了するように鋭意進めているわけでございます。  それから最後の御質問のいわゆる名阪国道のことでございますが、御指摘のとおり昭和四十年に二車線でもってとりあえず供用開始しております。用地買収はすでに四車線で終わっているわけでございますけれども、そのために御指摘のように交通事故も多いという非難を受けているわけでございます。われわれもできるだけ四車線化を進めておりまして、とりあえず四十六年度までに縦断勾配の急な区間、これは米谷地区と山添地区になりますが、優先的に工事を行なっておりまして、縦断勾配が五%ないし六%という急勾配の区間につきましてはおおむね完了する予定になっております。それから四十七年度以後につきましては、勾配がわりにゆるい五%以下の区間につきまして、交通量の比較的多い区間、たとえば福住のインターチェンジから西の約十二キロにつきまして拡幅を予定しております。ただいまの計画ですと、昭和四十七年度までに奈良県内につきましては約半分以上、五十数%の拡幅が終わります。昭和四十九年度末までには全線の概成をいたしたいというふうに鋭意つとめている次第でございます。
  157. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 大臣がお帰りになりませんので、一応ここで私の質問をやめまして、できましたら大臣がお帰りになって適当な時間に、ちょっと二、三最後のまとめの質問をさしていただきます。
  158. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、北側君。
  159. 北側義一

    ○北側委員 大臣が来られてからまたひとつ、その分だけあとへ残しておきたいと思います。きょうは時間が三十分ということですから、三点について伺ってみたいと思うのです。  まず公営住宅の入居基準ですね。これについて伺ってまいりたいのですが、御存じのとおり今度文部省のほうで就園奨励補助金というのが出ているわけです。これはいわゆる四歳、五歳児が幼稚園に行っている場合に、両親の所得が八十万以下の児童については年間一万円、そして両親の所得が八十万ないし百三十万までの分につきましては年間五千円支給されるようになっているわけです。国費が三分の一、あと三分の二が地方公共団体、こうなっておるわけです。ここで私は思いますのは、文部省あたりでそのような一つ基準をきめて、これはあくまでも低所得者に対する補助金という名目で文部省ではきめておるらしいのです。そういう点を考えまして、公営住宅の入居基準、その収入基準ですね、これを見ますと、大体二種でいま七十六万近くですね。一種で百四万近くです。それ以上オーバーした場合にはこれは申し込みができないわけです。そういう点につきまして、同じ政府で文部省と建設省となぜこのように見方が違うのか。内容は当然、公営住宅の収入基準とは違いますが、片一方ではそのような低所得者に補助をしておる。片一方ではこういうふうにワクを締めくくっておる。そういう点で私非常に矛盾を感ずるわけなんですが、そういう点についてどうでしょうか。
  160. 沢田光英

    ○沢田政府委員 文部省で、たしか幼稚園だったと思いますか、そういうふうなところに行けない方々、行くのにつらい方々にはさような補助をしているということを聞いております。その基準と私どものほうの二種の入居基準との食い違いがある、これはどうか、こういうお話だろうと思いますが、私ども率直に申しまして、その点の連絡もあまり受けておりませんし、考えておりません。しかし、ものごとの性質は、私どもは要するに自力で居住水準が確保できないものはどこかというふうなことで、公営住宅の三分の二補助を得ていかなければならないものは、計算によりましていま先生のおっしゃった金額だ、こういうふうにきめております。それと幼稚園に就園するほうの問題が、はたして食い違うのか食い違わないのか、その辺も検討してみなければいけませんけれども、私どものほうは一応独自でさようなことでやっておるわけでございます。
  161. 北側義一

    ○北側委員 いま沢田さん言われたとおり、建設省はこの公営住宅の収入基準について、これ以下の人であるならば自力で建てられないであろう、こういう考えでやっておる。しかしこれは答弁が少しおかしいのじゃないかと思うんですよ。たとえばいま年収百五十万円あっても、なかなか自力で実際の問題として住宅は建設できないように思うのです。そういうあれは私はちょっとおかしいと思うのです。問題は、片一方の文部省のほうではそういう低額者に対しては補助金を出しておる。片一方のほうではワクをくくって、そのワクが非常に低い。しかも百三十万までありますからね。一種の場合百四万近くですからね。そういう点、私自身が見まして、片一方ではそのように国のほうでは、文部省では補助を出しているし、片一方ではワクをくくって、それ以上は公営住宅に入居させないようにしておる。同じ政府であって非常にバランスがとれていないように思うのです。そういう点を私言っているのですよ。
  162. 沢田光英

    ○沢田政府委員 一種と二種ございまして、それぞれ限界があるわけでございますが、そういう住宅の面から見まして二分の一補助、あるいは三分の二補助、こういうふうなもので賃貸住宅として家賃を安くして、適正な家賃負担で適当な住宅にはいれるという状態をつくるために、私ども地方公共団体に補助をしておる。かようなわけでございまして、片や幼稚園の就園の話は、これもやはりたしか地方公共団体に助成をしておると思います。そういう一種、二種の階層、あるいはちょっと食い違うかもしれませんが、どういう階層の方に一体助成をして幼稚園に通っていただかなければならないか、この辺のところにつきましても、私どものほうはその限界は現在ちょっとつまびらかでございません。それが必ずしもぴったり一致しているとも限らないというふうに考えておりますので、私どものほうは住宅独自でさようなものをきめておるという次第でございます。
  163. 北側義一

    ○北側委員 この問題は、建設省建設省としての考え方でそうやっておるんだ、こういうお答えだと思うのです。そこで、たとえば大阪あたりで昨年の公募したいわゆる一種、二種住宅の中で、特に二種住宅の中で公募数に満たない場所が二カ所ほど出ております。これは、だから住宅難が緩和したのかというとそうじゃないのです。建設された位置的な場所も問題があるかと思うのですが、しかし東京の場合とか大阪の場合、大都会の場合の勤労者の所得というのは非常に高いのです。御存じのとおり、東京あたりでことし女学校を出た生徒が百貨店あたりに行きますとかなり高給が支給されておりますし、そういう面から見まして、この入居基準というのはこれは全国一律になっております。いま青森の場合も鹿児島の場合も、これは前も私お話ししたのですが、大阪の場合も東京もみな同じなんですね。ここら、非常に都会の場合といなかの場合と勤労者の所得というのは全然違うと思うのです。そういう点から考えましても、この入居基準、公営住宅の収入基準というものはこれはよほど考えなければいけない、こう思うのです。大体ずっと見てみますと、そういう公営住宅に入居したいといっても、一たん申し込んで、しかも当たっても、そういう収入基準をオーバーしておるので入れなかったという世帯が方々でずいぶん出ております。そういう点でこの入居基準を、たとえば昨年の四月一日に上がったわけですが、その後これは上がっていないわけです。御存じのとおり毎年消費者物価にしても上がっておりますし、また勤労者の所得にしましても上がっておるわけです。そういう点から見るならば、これはどうしても変えて、やはりそれにスライドして上げていくような考え方、こういうものを考えなければいけないんじゃないか。それとあわせて、日本住宅公団の特に都会における公団家賃が非常にいま上がっております。そうしますと、この公営住宅に入居できる基準の人と公団住宅へ入居する基準の人、この間にギャップが出ておるのです。いまそういう人はどこへも申し込めない。やはりそれに合わすようにしなければならない、こう考えておるのです。そういう点、この入居基準を引き上げるような考えはないのかどうか、お答え願いたいと思うのでございます。
  164. 沢田光英

    ○沢田政府委員 たいへん幾つかの御質問だったと思います。  まず第一点、大阪地方においてあき家があった。決して住宅難が解消されたのではないのにあき家があったんだ。これについて私どものほうも実はたいへん心配いたしまして調べております。これはやはり三千何百戸という府営住宅を第一回に一時に出した。そういたしますと、同じ時期に二団地を申し込めないという実情がございまして、何といってもいい団地を目ざすということで片寄りまして、二団地ばかりがあき家になっておる。その後二次募集、三次募集をやってこれを埋めておる状態でございます。これの問題につきましてはやはり、一度にやったといいながら、学校に遠いとか交通機関がまずいとか、そういうことで毛ぎらいされるようなところに建つということは、私どもとしては不都合なことだというふうに考えております。こういう問題は超過負担その他にからみます単価の問題もあろうかと思いますので、そういう面から今後こういうことを起こさないように、実際に実需要があるわけでございます処置をしたいと考えております。  それから二番目に、いまの公営住宅に対します入居基準、収入基準が低い。低い上にもう一つは公団とのギャップがある。したがって、そいつを上げる意思がないか、こういう御質問だと思います。実は先生おっしゃいますように、昨年の四月に上げたわけでございます。しかしその後地方公共団体のほうからも、ことに都会地におきまして、いろいろとそういうふうな意向が私どものほうにたびたび伝わっております。私どもは、これは毎年調査をして、必要なつど上げるという原則に立っております。したがいまして、私どもはこれを前向きに、上げるという方向に向かって検討するという態度で現在検討しております。  それから公団とのギャップでございますが、その上げる際に考えますのは、都会地におきましては特に公団とのギャップの問題でございます。現在ギャップがあるかないかという議論に対しましては、一応の理屈といたしましては、場所を考えなければ一応はつながっておるという状態になっております。ただし東京で申しますれば、便利な場所の都営住宅と非常に遠いところの公団住宅とがつながるということで、実情には沿わないというようなつながり方のところもございます。そういうふうなことがございますので、物価の値上がり、あるいはそういうことを考えまして、先ほど申しましたように前向きに検討いたして処置したい、かように考えております。  それからその次は、全国的に一本できめておるじゃないか、これはいろいろの場所によって違うものだから不都合ではないか、こういうお話だと思いますが、私どもも全くそのように考えておりますし、審議会におきましてもそういうふうな問題を実は私どもに申しつけております。しかしこれは具体的に、東京の所得者と地方の同じ所得者とでは住居費負担が一体どういうことになるのか、あるいは物価がどういうことになるのか、そういうことで、非常に広範な調査をいたした上で収入基準というものは非常にむずかしい、それをきめるためには非常にむずかしい作業が要るということで、私どもはできればそういう方向に持っていきたいと思っておりますけれども、現在そういう作業をやっておるということで、検討中の問題でございます。これも前向きでございます。  それから最後に、公営住宅に申し込んで当たっても、あとで調べたところがいまの入居基準に合ってないからはねられた、そういうのはどういうことだ、こういう話でございますが、元来、理論的に申しますれば、登録制か何かしきまして、一番困っておる方から順番に入れるというのが一番けっこうな制度だと思います。しかし大都市におきましては困窮者も非常に多いということから、大体抽せんでやっております。抽せんで当たったけれども、当たった者について今度それを調べ返しまして、公営住宅の入居基準に合っているかどうかということで調べて、合ってなければ御辞退といいますか、はいれない、かような結果になるわけで、結局それも先ほどの収入基準のアップの問題につながる問題かと思います。
  165. 北側義一

    ○北側委員 大臣、申しわけないと思うのですが、先ほど私のほうの小川委員質問の中で大臣答弁なさっておられたのですが、公団住宅とか公営住宅、これは曲がりかどに来ておる、こういう大臣お話だったのです。これは私非常に大事な問題だと思うのです。いま私、入居基準の問題をここで論議し、これから超過負担の問題も論議していきたい、こう思っておるわけですが、その前提となるのはやはりこの第二期五ケ年計画の住宅建設になってくるわけですから、そこらが曲がりかどに——いままだ第二年目に入ったところです。そこで曲がりかどということになりますと、そういう問題を論議するよりそっちのほうが非常に重大な問題になってきたのです。どういう意味大臣が曲がりかどに来ていると言われたのか、それをお聞きしたいと思うのです。
  166. 西村英一

    西村国務大臣 この前もちょっと触れましたが、公営住宅にいたしましても、私たちのほうはやはり東京とか大阪とか、ずいぶん住居難のところにこなしたい、こう考えておりますけれども、それがなかなか思うようにいかないというような事情があります。これはノルマをこなすのは全国的に考えれば非常に簡単です。私の郷里の大分あたりに割り当てればこれは喜んであれするわけですけれども、そうはいかない。そこにやはり好まない何かの、地方公共団体が非常に難儀をする。そうしてあげくの果てにはあまり喜ばれない。質もよくないといわれて、努力してもあまり喜ばれないということ。一方また公団にいたしましても家賃の問題がある。それから、前に入った人は同じところでも家賃が安くて、これからの人は非常に高い、これも公平のことからいえばそれはいろいろ文句がある。これもやはり政府としてはなるべくそのレベルを合わしたほうがいいというような考えがありますし、そういう問題につきましていろいろ問題があろうと思うのであります。しかし、そういうことを考えて曲がりかどに来ておるから、いろいろな問題につきまして考慮したいというのです。もちろん、第二期五カ年計画といえどもやみくもにいまの戸数をきめたものじゃございません。しかし、聞くところによると、昭和四十三年の住宅統計によってやったのでございますから、これも時代とともにずいぶん変わってくる。これはかりに——私は約束しませんか、もし今度新全総が出るというふうなときに、この前の新全総のときは全部の公共事業五十五兆に対して七・一%の三兆九千億円であったわけです。それが今度新しい新全総が出たときに、いまの五十五兆がトータルとして幾らに出るかわかりませんが、そのときに住宅のランクづけは一体どれくらいになるのか、こういうようなことも考えれば、これは計画の改定というようなこともひとつ考慮に入れておいてもいいのじゃないか。もし計画の改定をしないとしても、五カ年計画は五カ年計画としていじらなくとも、繰り上げ施行ということはやり得る。これは金だけ出せば繰り上げ施行はやり得るのですから、そういうことを考えて、われわれとしてはやはり今後いろいろなものを調べて勉強していかなければならぬ、こういうことを考えているわけでございます。
  167. 北側義一

    ○北側委員 なるほど大臣言われたとおりと思うのです。この問題につきまして、御存じのとおり民間自力建設もいま落ち込んでおります。これは景気が回復すればよくなるのではないか、こういう建設省意見なんですが、私らから見た場合に、いままでに持ち家を建てるべき人は大体建てたのではないか。あと、いわゆる宅地を自分で買って、そうして建てなければいけない階層、そういう階層がほとんど現在残っておるのではないか。だから、建設省が思っておられるほど甘い見通しではないのではないか、私はこういう考えを持っているわけです。たとえば、第一期の場合四五万戸です。今度の場合には、五百七十万戸ですか、そういう点からいいますと、相当の伸び率を毎年示している民間建設でも、九百五十万戸を達成できないわけです。そういう点からいいますと、いま大臣言われたとおり、公的なものに相当方を入れなければならない。四十三年度の住宅統計調査によって検討された第二期五カ年計画の策定であろうと思うのです。そういう点から考えましても、住宅公団の家賃も年々ずっと三千円近く上がっておりまして、大阪市内においても三DKは全然建っておりません。全部二DKです。大臣のこの間の話をちょっと新聞で読んだのですが、三DKにしていきたいと大臣述べられておりますが、そういう面、いろいろなものを総合して考えてみますと、政府の住宅対策というものがどの方向に進んでいくのか、いろいろな土地対策、用地対策、また工事費の値上がり、あらゆるものを考えていきますと、非常にお先まっ暗というのが実情じゃないかと思うのです。やはりここらの住宅対策については抜本的に考え直さなければいけない時期が来ているのじゃないか。そういう面から曲がりかどに来ておる、こう大臣もおっしゃられておるのではないか、こう思いますが、やはりこれは地価の抑制策、これがなければ、公営にいたしましても先ほど大臣が言われたとおり、東京、大阪、福岡、名古屋、こういう方面は用地獲得が非常に困難です、正直に申しまして。私もずっと大阪府なり大阪市の用地買収を見てみますと、非常に急カーブでやはり用地がなくなっております。これが現実の姿です。いまそういう点から考えますと、大臣が言われたとおり、この五カ年計画も情勢に合わせて改定していく。新全総が出なくとも大体わかるのじゃないかと思うのです。そういう点から、この住宅問題につきましては、特に公共住宅、この面につきましては早急に考えなければならないのじゃないか。そうせぬと、幾らここで私たちが論議しても、正直申し上げてこの住宅問題は解決しないのじゃないかと思うのです。そういう点をひとつよろしくお願いしたいと思うのです。いまの問題、答弁していただけますか。
  168. 西村英一

    西村国務大臣 もう答弁するまでもないのですが、結局新全総ができて、どれくらいの規模で公共事業をやるかということになって、そうすれば相当の分野を住宅にさいてもらいたい。住宅というのは、これはちょっとしたことで感じがうんと違うと思うのです。もう少しゆるくなれば感じが非常に違うと思うのです。ことに、私がいまの計画で聞いてみまして、これは第二期五カ年計画のわが党の現在のものを非難することになってはなはだ申しわけないのだが、たとえば新婚の人なんかは、これはずいぶん困ろうと思うのです。いま結婚がようやく百万組以上になりましたか、百二万か百三万くらいでしょう。今後この百万組以上が三年、四年続きますとたいへんです。それらにいま住宅をどれだけ充てておるか。それは充てておるでしょう、新世帯の分について。そういうこともいろいろ考えてみますと、とにかく新全総でもう少し住宅に身を入れるということ。それから、第一期は公的と民間は四対六です。今度第二期は公的がふえたかというと、ふえないでやはり四対六ですから、こういう問題を一体どうするのかということももうちょっと考えてみたいというようなことで、私ども曲がりかどに来たということでございます。これは皆さん方のほうが私より知恵があると思うのです。また実際面に非常に詳しいと思いますから、いい案があったらひとつどうぞお教えを願いたい。私も勉強したい、こう思っておる次第であります。
  169. 北側義一

    ○北側委員 いい案があったら教えていただきたいということですが、これはもうすでに予算の組かえのときに私出しておるわけです。それが認められないだけでありまして、もう案は出ております。  問題は、この間東京都の都営住宅の問題につきましても、国のほうで大体二万戸建ててもらいたいという。東京のほうでは一万九千戸になったわけです。これは大臣がいろいろ話し合いされてそこまでになったわけですが、実際問題として、四十六年度の都営住宅の建設にしましても目標を達成してないわけです。この一万九千戸も達成するかしないかわからないわけです。その大きな一つの原因としては、まず美濃部さんの要求では、聞くところによりますと、超過負担を解消してもらいたい、これが一つ二つ目は、もっと国有地等を解放してもらいたい、こういう要求があったと私聞いておるわけです。それに対して建設大臣が具体的に、これについてはこういたしましょう、これについてはこういたしましょうというぐあいに言われたと思うのですが、そういう内容について、私新聞で読んだ限りでは、結局十二階以上の高層を認めましょう。これはことしから新らしく認められたわけですね。そのように聞いております。その建設費の補助については百七十八万プラス十八万ですか、十八万だけが結局二種の場合で東京の場合は多くなった、こういう意味でしょうか。それと二つ目には、東京を特例と認めて、用地費を百七十三万を百九十七万にしましょうということなんですね、書いてあったのは。また国有地の解放。この三つのことを大臣は具体的に話し合いをされて、このようでやっていただきたいというようなことで一万九千戸になった、こう了解しておるのですが、それはどうでしょうか。
  170. 沢田光英

    ○沢田政府委員 いま先生のおっしゃいました高層の単価、それから用地費の単価、これは事務的な話でございまして、私ども大臣お話し合いのあとを受けましてそういう処置をするという話でございました。大臣ベース以下の話でございます。大臣はもう少し上の段階のお話をいたしたわけであります。
  171. 北側義一

    ○北側委員 そうすると、私の言ったことはそれで間違ってないわけですか。いまずっと読み上げたところは間違いないのですね。
  172. 沢田光英

    ○沢田政府委員 間違いございません。
  173. 北側義一

    ○北側委員 私思うのですが、東京都の場合、なるほど大阪あたりと比べますと住宅難は大阪よりも激しいと思うのです、人口が非常に多いですから。しかし、いずれにいたしましても、こういう問題についてこの超過負担という問題が各地方公共団体の非常に大きな問題になっております。私非常に心配しますことは、最近建設されましたものをこの間ずっと見に参りましたが、いまから五、六年前に拠った公営住宅と比べていま建っておるのはなるほどスペースは少し広くなっておりますが、何というか、建設されたそのもの、団地自体が非常に安っぽく建てられておると思うのです。たとえば柱にしましても、五、六年前に建った住宅の柱と比べると全然細いものが使われております。これは大臣まだ見られたことないのじゃないかと思うのですが、一ぺんずっと見て回られるとそういう点がよくわかると思うのです。というのは、どうしても地方公共団体としては入札等をやるのですが、その場合にできるだけ低く単価を押えてある。業者としてもしかたがないから、どうしてもそういう建物を単価に合うようにどこか安くしなければならないわけです。雨漏りがしたり、入居して一年もたたないのに戸がはずれてしまったり、こういう欠陥団地がずいぶん方々に出ておるわけです。私のほうの大阪の地元でもそういう話を聞いておりますし、また東京、福岡、ここらでもそういう話を聞いております。これはわが党で先般公営住宅の総点検をやった場合にもそういう問題が出ておるわけであります。そういう点で超過負担というのは非常に大きな問題じゃないかと思うのです。こういう問題をやはり考えなければならない、かように私は考えておるわけです。  先ほどの入居基準の問題、これは沢田さん答えておられたのですが、時間がありませんのでやめますが、入居基準の問題につきまして前向きに検討なさるとおっしゃいましたが、これは早急に検討してもらいたいと思うのです。いつも前向きで検討すると言うだけで、答弁が終わって、いつまでかかるのかとずっと見ていると、あまり長くかかってまた同じ質問をしなければならない。これでは話にならぬと思うのです。だからその点を明らかにしてもらわぬと困るのです。
  174. 沢田光英

    ○沢田政府委員 現在検討中でございますけれども、必要かどうかという判定はまだ下っておりません。しかし、先生のおっしゃいます意見というものは、逆に地方公共団体を通じまして非常に私どもに出ております。そういうことを十分体しまして処置したいと思います。
  175. 北側義一

    ○北側委員 時間がないのでもうやめますが、もう一つ建てかえ事業なんです。というのは、東京とか大阪の場合、建てかえに住民が非常に反対しております。しかし中には木造で相当古くなりまして、建てかえてもらいたいという意見の場所もあるわけです。そういう場所に対しての建てかえ事業に対しても、たとえば、いま現在の制度上におきましては、除去費とか仮設住宅費、こういうものは全然補助金が出てないのです。公営住宅法一部改正でこういうようになったのですが、そういう助成がなければ、地方公共団体としても反対は非常にきつい。かりにやってくれといったところで、そういう費用はずいぶん持ち出しになっていく。そこでやはり公営住宅の建てかえについてもストップさしておるような、こういう状況にあるのじゃないかと思うのです。どうしても必要な分については、国のほうからやはりそれを推進する意味において補助制度というものを拡充せぬといけない、こう私は思うのですが、その点どうでしょうか。
  176. 沢田光英

    ○沢田政府委員 建物の老朽化の問題もございますし、それから法律化されました。要するに土地の有効利用、土地のない大都会におきまして二、三倍にふやして使おうということでございまして、そういう意味で法定化されました。それの実行の際にはいま先生おっしゃったような費用の問題が当然あります。こういうものがなければもちろんやりにくい。いままで地方公共団体は非常に努力してやっておりますけれども、思うように進まないことになろうかと思います。私どもも今年度もそういうものの獲得に努力をいたしましたけれども、今後もそういうものはぜひ制度化したい、あるいは予算化したい、かように考えております。しかし今年につきましてもそういう問題はございます。今年度につきましては、私どものほうも公営住宅の予算の中に特殊費というような、いろいろな使い道のバリエーションのある費用もございます。こういうものの運用でいささかながら配慮できるのじゃないだろうかと思っておりますので、先生の御注意もございますので、さような方向に持っていきたいと思っております。
  177. 北側義一

    ○北側委員 まだもう一つあるのですが、時間が来たようですからこれは今度の機会にやりましょう。超過負担の問題も、これは答弁はしていただいてないわけですが、大臣十分ひとつやっていただきたいと思うのです。東京都だけを特例にやって、大阪は特例じゃないなんて、非常におかしいと思うのです。大阪だって困っているのですから、やはりやるんだったら、地方公共団体で一応まじめに一生懸命やっているところはやる。特例にならないで困るのはみな同じだと私は思うのです。こういう点はやはり考えてやってもらわぬといけないのじゃないかと思うのです。そうするとやはり建設に対する意欲が、他の地方公共団体が、結局東京はあのように特例になった、私のところはずいぶん少ないじゃないか、あまりやらぬでおこうか、そうすると交渉次第でまた特例になるだろう。そうなるのじゃないかと思うのです。そこら辺が足かせになるような気もするのです。そういう点も考えてやっていただきたいと思うのです。答弁はけっこうですから……。     —————————————
  178. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、おはかりいたします。  先刻決定いたしました参考人に追加いたしまして、本日、日本住宅公団総裁南部哲也君、日本道路公団総裁前田光嘉君、同理事山川尚典君、首都道路公団理事長鈴木俊一君及び水資源開発公団総裁柴田達夫君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと任じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  180. 亀山孝一

    亀山委員長 引き続き、質疑を続行いたします。阿部昭吾君。
  181. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 最初に大臣、道路公団の幹部がいま汚職、贈賄の事件に問われている。それから、元の建設委員長の金丸さんはたいへん栄進をされて、まさに時の人なんでありますが、一昨年私どもは中央高速道の調査に行ってきました。いま中央高速道は地すべりか何かで問題が起こっております。こういう状態でありますが、特に池上という道路公団の名古屋の支社長が汚職事件を起こした。二月であります。その以降いろいろな機会がありましたが、大臣から綱紀の粛正をやるというごあいさつを伺ったこともない。道路公団総裁のほうからも、一体どういうふうにするのかという意思表明もない。現時点でどういうふうに思っていらっしゃるのか、承りたいのであります。
  182. 西村英一

    西村国務大臣 まずもって、全委員の方々に深くおわびをいたさなければならぬ……(阿部(昭)委員「国民にだ」と呼ぶ)国民にも……。日本道路公団の名古屋の支社長が贈収賄事件に問われまして、ほんとうに皆さんにおわびしなければならぬと思っております。事件のにことつきましては、きょうは総裁も来ております。本人は昨日出所したようでございました。これに対する処分はもうとっくにいたしましたが、私といたしましては、公団その他の監督の不行き届き、私もまたその責任を免れないと思います。たいへん御迷惑をかけましたことは深くおわびをいたす次第でございます。綱紀の粛正につきましては、私は言うまでもなく常日ごろ非常に注意はいたしておりますが、たまたまこういうことがあったということ、これをひとつ機会にいたしまして、今後とも十分留意して、国民の期待に沿いたい、かように考えておる次第でございまして、皆さま方に対して、国民に対して深くおわびを申し上げる次第でございます。  詳細につきましては、道路公団の総裁が見えておりますから説明させます。
  183. 前田光嘉

    ○前田参考人 当公団の名古屋前支社長池上雅夫が、去る二月十五日以来贈収賄の容疑をもちまして警視庁に逮捕されまして、すでに起訴されました。われわれ公団に従事する者、特に非常に重要な高速道路に従事する者としまして、私もかねてから綱紀の粛正につきまして再三注意を促しておりましたが、今回このような事件を出しましたことは私の監督の至らざるところでございまして、深くおわびを申し上げる次第でございます。  池上雅夫につきましては、起訴されており、昨日出所いたしましたが、本人の重大な行為に関しまして、すでに懲戒免職をいたしました。また同人を監督すべき地位にあります者、関係の理事及び副総裁、これには減俸の処分をいたしました。また私自身もその責任を感じまして減俸の措置をとることにいたしました。同時に、すでに関係の全国の支社長を集めまして、かかるような不祥事件を今後絶対に出さないようにお互いに反省し合い、今後に対する措置につきましては、絶対にこういう事件を起こさないような措置につきまして誓いを立てた次第でございます。  今回の不祥事件に対しましては深くおわびしますと同時に、今後一そう責任を痛感いたしまして、与えられました仕事につきまして万全の努力をするつもりでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  184. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、こういう問題は、民意を代表する私どもがわざわざ催促をして御発言、こういうのは私はちょっと違うと思うのであります。やはり問題が起こったら——あれ以来国会は開会されておったときであります。いち早く国民の前に国会を通じて明らかにしていく、こういうのが本筋だと思うのであります。したがって、私のほうから催促がましく問題を申し上げていまのような御意向の表明があったということは、実はあまり気持ちよくない。  そこで、この池上という男、普通の人ならば八年間かかって踏んでいく昇給、これを一気に踏み越えていった男であります。まあエリート幹部職員ということになるのだと思うのであります。そうしてその結果いまみたいな問題が起こった。そこで大臣にこのことだけはまず——ほんとう大臣はほかの人になんておっしゃりたいところだと思うのであります。しかし大臣はさっきも言われたように、根本前大臣以上に何でもかんでもよう知っておられるのでありますからお伺いいたしておきますが、道路公団とか住宅公団あるいは首都高速、水資源公団、こういういわゆる建設四公団、この労使関係は何の法律に準拠しておると大臣は考えていらっしゃるか、承りたいのであります。
  185. 西村英一

    西村国務大臣 池上君のことでございますが、いま御指摘になりましたように、この件も私は皆さま方にいち早くあやまらなければならぬと思っておったのですが、実は正直なところそれに適当した機会がなかったわけでございます。したがいまして、ほんとうに事後になりましてまことに相済みません。  それから公団の問題でありますが、公団はそれぞれの法律に基づいていまの公団ができておるということでございます。
  186. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いま私、大臣に問いましたのは、一般労働関係法、これが適用されておる労使関係なのか、公務員のようにいろいろな制約を受けておる労使関係なのか、このことについて大臣はどういう御理解を持っていらっしゃるか、承りたい。
  187. 西村英一

    西村国務大臣 労働三法の適用を受けておる公団でございます。そういうふうに理解しております。
  188. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 さすがは大臣、何でもよく知っていらっしゃいまして、きわめて明快な御答弁であります。  そこで、一般労働関係法が適用されておる労使関係が、この四公団の中に厳然として存在しておるのであります。そうすると、このいわば労使の関係で、組合員たり得る範囲、組合員たり得ない管理職とかいろいろなものがあるのであります。これはちょっと専門的ですから大臣ではあれだと思いますので、四公団あるのでありますが、池上事件を起こした手前もありますから、道路公団のほうからひとつこの組織の、つまり組合員たり得る者はどこまでで、組合員たり得ないところはどの限界かということを教えていただきたいのであります。
  189. 前田光嘉

    ○前田参考人 道路公団におきましては、本社の課長以上の者、また支社におきましてはそれに相当する者を管理職といたしておりまして、中には職務の都合上、そういう地位を持っていなくても組合員としてない者もございますが、それ以外の者は組合員としております。
  190. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 総裁、ちょっとはきっとしないのでありますが、組合員たり得ない者あるいはたり得る者、この線は、課長以上の者は全部だめですか、本社の場合は。それから出先段階ではそれに相当する者というのはどのあたりですか。
  191. 前田光嘉

    ○前田参考人 資料によりまして明確にお答え申し上げます。  組合員の範囲につきましては、当公団におきましては、先ほど申し上げましたように本社の課長以上の者及び支社におきましては部長以上の者は、その仕事の性質上管理監督の地位にありますので、組合員となっておりません。
  192. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そうしますと、総裁、現在支社において課長である方、この方は組合員たることができますね。ただいまの御答弁で、できるわけでありますね。
  193. 前田光嘉

    ○前田参考人 御指摘のとおり、理論上は、課長である者は組合員になることができます。当公団の実際を見ますと、大部分の者は組合員になっておりませんけれども、中にはなっておる者もあるように記憶いたしております。
  194. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 きわめて明快な御答弁であります。  そこで、今回年度末一時金の管理職に対するかさ上げの支給措置をとられましたね。そして、このことは組合と総裁との間の団体交渉の事項ではない、こういうたてまえを貫かれました。これはひとり前田総裁ばかりじゃなくて、他の三公団も全部同じような態度をとられたのであります。そうすると、組合員たることができ得る人で、いろんな事情で組合員でなくなっておる人もおると思うのです。だとすれば、この皆さんのかさ上げ優遇措置を内容とする行為、これは当然団体交渉の事項じゃないでしょうか。それを拒否するということは不当労働行為になりませんか。
  195. 前田光嘉

    ○前田参考人 先ほど申し上げましたように、ほとんど大部分の課長である者は組合員となっておりませんので、今回のかさ上げ指貫も団体交渉の対象ではない、こう考えまして措置したわけでございます。
  196. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いや、私が言っておるのは、全くの法律的な立場で組合員たることができるのです。したがって、組合の立場からいえば、沖繩の領土権じゃないが、潜在主権みたいな、そういうものがあるということになるわけでしょう、皆さんの給与にかかる問題は、一歩譲っても——この議論は私一歩譲っておるけれども総裁、あなたのほうで団体交渉事項じゃない、組合員の者はほとんどおらなかった、いまかさ上げ優遇措置の対象にした方々はほとんど組合員ではなかった、だから団体交渉事項じゃありませんといって貫かれたわけでありますが、組合員たり得ることになっておるのでしょう。したがって、この皆さんのことは、一歩譲っても、当然に団体交渉事項じゃないでしょうか、これが一つ。  それから、この四公団はどういう扱いをされておるか、詳しいことは私もいま調査中でありますから、きょうの質疑で尽くし得ない問題はまた次の機会で詰めさしてもらいたい、こう思っておりますが、かさ上げの予算、これは別ワクですか。道路公団は建設省その他と折衝して、財源について別ワクのかさ上げ予算を確保されたのかどうか。
  197. 前田光嘉

    ○前田参考人 今回かさ上げいたしましたのは、本社の部長、それから……(阿部(昭)委員「課長」と呼ぶ)支社の課長には及んでおりません。そこで、先ほど申し上げましたように、組合には関係ない、こういうことから団体交渉の対象でないと考えたわけでございます。  それから予算につきましては、これに必要な予算は、その分として認められております。
  198. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 たいへん明快な答弁であります。  そこで総裁、組合員資格を有し得る者であっても組合員ではなかったとしても——いまの大臣答弁から私の判断ですが、こういうふうに理解してよろしいかどうか。現在は組合員ではないが、組合員たることができるということになっておる人が対象になるようなかさ上げ措置——私一歩譲って、予算の関係と別途の問題で譲っておるわけですが、その場合は当然団体交渉の事項になりますか。なるという答弁のように私いま理解をしたのですが、よろしいかどうか。
  199. 前田光嘉

    ○前田参考人 ただいまの御質問は理論上の問題かと存じますが、私たちは現在実施いたしましたのは、現実の問題として組合員が入っていないということからやりましたが、そういう場合につきましては今後検討しなければならぬと思います。と申しますのは、理論的になり得るということと、それから現実に支給の対象になる者が組合員であるかないかということを考えまして、どういうふうな形でその問題を措置していくかということは、その際に検討すべき事項かと考えます。
  200. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 総裁、それはちょっとおかしくありませんか。その際にまた検討するなんということでは、正しい労使関係というのはつくられないのじゃないでしょうか。やはり一定の原則というものは明瞭にしておかなければ、行き当たりばったり、そこでお互いにもつれたりなんかして、正常な労使関係というものがつくられていかぬということになる。そうじゃありませんか。そのときそのとき、行き当たりばったりというんじゃ、お話にならぬ。そこで大臣大臣は冒頭、これは一般的な労働関係法に基づく労使の関係だ、こう言われたのであります。そうだとすると、少なくとも給与に関する問題であります。この問題は当然に労使の間で——国家公務員やその他の、いろんな制約を受けておる労使関係ではないのであります。この場合は当然に団体交渉の中で、労使の間で十分の話し合いをして一定の結論を出す、これが当然のことだと思うのであります。私さっき、一体建設省関係四公団の労使関係はどの根拠をもって労使関係が存在しておるのかということを問うたのも、そのことなんであります。いまのように行き当たりばったりで、前田総裁おっしゃるように、そのときそのときでまた考えてみましょうみたいな話では、なかなかそれはいかぬのであります。この問題は一つ提起をしておきます。  それから次の問題は、さっき私申し上げました、名古屋の池上という人ですが、普通の建設省の相当のエリートの課長さんやなんかでも、昇給というのがあって、ずっと順繰り順繰りに任を踏んで、そうして給与が上がっていくのであります。池上という人は普通の人よりも八階級特進をしておりますね。この事実、前田総裁御存じかどうか。
  201. 前田光嘉

    ○前田参考人 池上君は、先般の事件のことは不覚にも知りませんでしたが、それ以外の面におきましては、部長あるいは事務所長等といたしまして仕事をよくやっておりました関係上、数回の特別昇給によりまして昇給をしたことは事実でございます。
  202. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 とにかく、そういたしますると、私のいま問題にいたしまするのは、八階級特進のようなことをやっておったほかに、さらにかさ上げになるのであります。いまの年度末一時金ですね。そうなりますと、普通建設省一般の方々と比べて、建設省からそういうところに出た相当のエリート幹部、この皆さんは、もとにおったときの現給は保障されて、その上に池上のように八階級も特進をしていく、その上に年度末一時金はかさ上げ、こういうことは私ども、公団の内部で働いておる一般的な職員の皆さんに与える影響もよくないと思う。現給は保障されて、その上にいまのように八階級特進のようなことも——この池上という人はいま問題を起こしたのでありますけれども、問題を起こしておらぬ、りっぱにやっておられる方々の給与のデータをみんな持っておりますが、みんな特進をされていっておるのです。現給は保障されて、その上に特進、その上に年度末一時金はさらにかさ上げ、こういうことであります。私はこのあり方は、やはり公団内部において現場で苦労して働いておる現場職員、はえ抜きの職員、こういう連中に対して、気持ちの面で非常に芳しからざる影響を与えておると思うのであります。総裁、どういうお気持ちでしょうか。
  203. 前田光嘉

    ○前田参考人 池上の点につきましては私の不明をおわび申し上げますが、公団の一般の職員に対する措置といたしまして、本人の経歴及び本人の能力等によりまして、それぞれの段階において定期昇給及び特別昇給をやっております。池上君につきましては、特に本人だけを抜てきしたというわけではございませんで、本人の経歴あるいは能力から見まして、他の同僚等とも考え合わせまして、特別昇給という措置はあったのではございますけれども、相応の、妥当の線で待遇を与えておると私考えております。
  204. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 妥当なことをやっておるということにならぬのじゃありませんか。それは妥当でない、わがほうの意見は。  そこで、これは大臣に承りますが、四公団のかさ上げの問題もいろんなものも、団体交渉事項からはずして、指示、内示ということでいきなさいということは、大臣のほうで指示をされましたか。
  205. 西村英一

    西村国務大臣 私は指示をしたことはございませんが、事務当局に、そういう指示をしたかどうかお答えいたさせます。
  206. 大津留温

    ○大津留政府委員 公団の職員の給与その他の労働条件は労働三法の適用があることは、大臣の申したとおりでございます。ただ、御承知のように、公団の職務の性格からいたしまして、それぞれの設置を定めました公団法に、そういった給与の基準を定めたり変更したりする場合には、建設大臣が承認を与えるということに相なっております。そこで今回の、いま問題になっております特別手当の加算につきましては、昨年の人事院勧告によりまして公務員につきましてはそういうことが制度化された。で、公団の職員も、その仕事の中身あるいは職務の内容、まあ公務員にある程度類似した面もございます。したがって、この公務員に新しく加えられました特別手当の加算ということを、公団につきましてもこれを実施するのが適当ではないかというふうに考えまして、こういったような給与の基準の改定を行なわれるならば、承認いたしましょうということを、あらかじめ内示をしたということはございます。
  207. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣は私は指示をいたしません。しかし官房長はこのとおり指示をしたのであります。内示、指示だな、したわけであります。これもまあ、官房長が頭の中で考えたのか、あるいは建設省の労務対策全般を専門にやっておるスタッフがその周辺にいるのじゃないかと思うのでありますけれども大臣、どう思いますか。一般的な労使関係なんであります。公務員と違うのであります。これに結果的には建設省が介入するというかっこうになりますね。これはいかがでしょう。
  208. 西村英一

    西村国務大臣 それは介入するといいますか、その人事院勧告等によってそれぞれの手続を踏んで、そうして事務的にやることは、これは行政としてはあり得ると思うのです。それから労働協約があれば労働協約に基づいて、それは労使の間でやればいいんですから。ただ民間で多少違ったことがありましても、それは人事院の勧告とかなんとかという規定に基づいてやることでありまして、私は今回の事情はつまびらかにしませんけれども、一般的にはそう思われます。
  209. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、公団の関係は人事院勧告でやられるのですか。
  210. 西村英一

    西村国務大臣 人事院勧告でやられるわけじゃございません。労使協約があれば労使協約でやるわけであります。
  211. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 やられるわけでないのに、内示というかっこうで官房長はやりましたと、こう言っているじゃありませんか。それは行き過ぎです、明らかに。  そこで大臣にお伺いしておきますが、建設省以外にこのような特殊法人がたくさんあります。昔は四公団の労使関係というのは、おそらく特殊法人の中でも、いろいろな給与水準その他はトップにランクされておったのです。いま、やはり池上みたいな者も出ますから、だんだんきびしくなったかもしれませんけれども、ずっと下のほうに下がっておりますよ。データ、私持っておりますが……。そこで他の公団では、建設省以外の公団では、この問題は全部労使の間の団体交渉事項として扱った。年度末一時金のかさ上げの問題は、ほかはちゃんと労使関係の団体交渉事項にしておるのに、建設省は内示、指示というかっこうでやっちゃったんです。さっき言ったとおり、私は基本的にいって、団体交渉からこの問題をはずすということでおっかぶせて押しまくったという態度は間違いだ、こういう認識なんであります。総裁どうですか。
  212. 前田光嘉

    ○前田参考人 先ほど申し上げましたように、今回のかさ上げは組合には関係ないという判断からいたしたものでございます。
  213. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 関係ないということはありますか。関係あるじゃありませんか。職場環境が悪くなっている。頭のほうは八階級も池上のように特進されて、おまけに年度末一時金ではいまみたいなことがやられているが、職場内の空気が、やはり管理職の人ももっと下の人もこん然一体になっていかなければ、道路公団のいまかかえておる大事業なんというのは私は達成できないと思う。そうじゃありませんか。関係ないなんという認識は間違いじゃありませんか。そういう認識だから池上のようなことが起こってくるのです。だけれども総裁、この問題、池上の問題は何もきのうきょう始まった問題ではなくて、事実関係はずっとその前に始まって、いま発覚したのですよ。名古屋へ行ってから起こしたんじゃないんだ。その前からずっときておったことでしょう。私は、これは労使関係、団体交渉事項と関係ありませんなんという認識は間違いだ。さっきは、組合員たり得る者がおってもたまたま組合員でない場合だったのでやったんだということですが、もしその中から組合員が出てきた場合にはその段階ではまた考えますと言う。私が百歩も二百歩も譲った指摘に対して、さっきの総裁答弁はそうでした。いまになったら開き直ったような答弁じゃ、あまり反省の色がないんじゃありませんか。ほかでもみんな団体交渉事項にしているところ、一ぱいあるんですよ。
  214. 前田光嘉

    ○前田参考人 先ほど申し上げましたように、今回の措置は団体交渉の対象でない、こう考えていたしたわけでございます。
  215. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 それは間違いじゃありませんか。
  216. 前田光嘉

    ○前田参考人 今回の措置は私は間違いだとは考えておりません。
  217. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 あなた、再検討してみなければならぬ、こう言ったでしょう、さっきは。今度は開き直るのですか。
  218. 前田光嘉

    ○前田参考人 今回は、先ほど申し上げましたように組合員が入っていない、現に入っていない管理職に対するかさ上げでございましたので、そこで対象にしなかったのでございます。今後のことはその際もう一ぺん検討したいということをさっき申し上げました。
  219. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 それでは総裁、私も決してそう悪党じゃないので、根はやさしい人間であります。心はあたたかいのであります。そういう意味で、ぜひひとつリラックスして御答弁願いたいのでありますが、組合員たり得る立場にある人々、たまたま組合員でないのです。この皆さん、組合員になるかもしれません。その皆さんに、組合員でないとこういう優遇措置の対象になるぞというような印象を与えるしかけになりますわな。私は、そういう意味でいうと不当労働行為のおそれさえある、こう言っておるのです。この問題、いま総裁と押し問答をやってみてもあれですので、さらにもっと材料を用意して次の機会に詰めたいと思いますけれども総裁どうですか、他の関係の公団では労使の団体交渉事項としていまの管理職の優遇措置を扱ったのです。建設省関係公団もそういう姿勢で考え直してみる、そういう準備はありませんか。
  220. 前田光嘉

    ○前田参考人 私は、今回の措置につきましては妥当だと考えていたしたのでありますが、今後の問題につきましては、各方面の御意見を考えまして、さらに慎重に検討したいと思います。
  221. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、いま、これから先のことは、総裁は慎重に検討して正しい労使関係、職場内のいい状態をつくるために努力するというふうに私はいま理解しましたが、御答弁がございましたが、大臣もそういう方向で——私は指示などしておりませんでしたが事務当局がどうやっているか、官房長はやっていました、こういうことなんですけれども、今後はひとつこの問題については大臣が率先されて、部内を統括されていろいろな指導をなさるようにしてほしい。この場合考えてもらわなければならぬのは、一般労働法規の適用なのであります。それに建設省があまり深く入りますとこれはいかぬことになりますね。その辺のかね合いはありますけれども、今回建設省が四公団をがっちり掌握をして、内示とか指示とかいうかっこうでやったことは、これは正常なる一般的労働関係法規の適用の労使関係であるこの労使の関係の中に大津留官房長が介入していったということになる。大津留さん、いけませんぞ。私は大津留さんらしくないやり方だったと思う。たぶんそれは大津留さんじゃなくて、その周辺に少々意図を持ったブレーンがおったに相違ないと私はにらんでおるのであります。このあたりも私はいずれ大いに追及していきたい、こう思っております。  そこで、いまの表を私持っておりますけれども、天下りをやっていく、建設省から公団に。そうすると、賃金の安い職員から賃金の高い幹部職員までずっと平均線があるわけでありますが、そこで天下りしていった方々は令部平均の線よりも上にずっとみないっておるんです。表を持ってますよ、調査を相当やらしてもらいましたから……。私は、現給を保障するということはいいと思う。ところがどうも建設省の人事を見ると、おい、そっちのわき道にそれろ、公団に行け、そうするとちょっと考えなければならぬ点があるというので、ずいぶんとみな平均の線より上に上げておるという感じになっておるのじゃないか、そういう気分さえ持つのであります。外の公団に行ったって、また建設省へちゃんと戻ってきたっていいんじゃないですか。特に功成り名を遂げた局長クラスが理事なんかで行く場合じゃない、普通の職員の場合、現給保障をやって、しかも平均のラインからいうとみんな上のほうへいくしかけになっている。池上なんかの場合は典型的なもので、八階級特進。大体本人も偉くなるでしょう、八階級も特進するのですから。そしてああいうことになっていく。私はこのあたりで、今回のかさ上げ措置に見られるそのやり方は、やはり現場で苦労をしている方々、この人たちにもっと光を当てていくという行き方でいかなくてはいかぬと思うのでありますが、大臣いかがでありましょう。
  222. 西村英一

    西村国務大臣 とにかく、組合員でない者に賞与をよけいやれというようなこと、それは間違いですよ。そういうこそくなことをしてやったんじゃ労使の関係はうまくいきませんよ。今回のことは、道路公団のみならずほかの公団も同じような道を通ったんじゃないかと思われますが、これはいまあなたが御指摘になられました、これは全く法的な立場から御指摘があったのですから十分研究はいたしますが、いまの国家公務員から公団に行くという場合は一ぺん退職して行くようなことになっていますね。そこで、これは現場ですから、それは給与規程があるんだと思います。そこでもって、せっかく現地で働いてもらうんだからということで優遇措置をとるのかもしれません。これはほかの公団も相当に国家公務員より高い給与ですから、そのこと自身はあまり悪いこととは思いませんけれども、これにも程度がございます。ただ、公団に行くんだから八階級も飛び上がるというのはちょっと考えられないのだが、どんな階級に飛び上がったのか、ちょっとこれは想像がつきませんが、しかしそれはやはり給与規程があるんですから……。その制度を一ぺんやめて、やはり人事交流からいって国家公務員並みで行ったらどうだ、それで帰ってきたらどうだ、そういう考え方もあろうかと思います。思いますけれども、いまの制度はそうなっておりませんから、これは現在の状態でやるよりしかたがないと私は思っております。
  223. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、これは誤解があるといけませんから申し上げますが、私は上のほうをよくしてはいかぬとは言っていませんよ。問題は、やはり下のほうからもっとよくしていかないといい職場の状況というのは生まれないのじゃないかと私は思う。そういう意味です。なぜ今回の問題が起こるかというと、かつて公団全体からいうと、建設関係というのは道路にしても住宅にしても首都高速にしてもたいへんな職場です。だから特殊法人関係の中では給与水準はみんなトップの段階にあった。いま全体からいうと、トップのほうはずっとよくなっちゃっているけれども、ずっと現場で働いている末端のほうは、実はランクがだんだん建設関係特殊法人のほうは下がってきているのですよ。そこに問題がある。その上に今回のいまの年度末一時金、高い人は割合でいけばやはり高い年度末一時金をもらっておるのです。そのほかにかさ上げをやったのです。  さっき総裁、予算のことは正確な答弁がございませんでしたけれども、かさ上げの予算は別ワクで、つかみ金でしょうが。何か建設省と折衝されてちょうだいしたお金でしょうか、何か特殊の科目の違うところから今回のかさ上げの財源というものは得られたんでしょうか、総裁にお伺いしておきます。
  224. 前田光嘉

    ○前田参考人 今回のかさ上げ分として別ワクで予算をもらったわけでございます。予算をその分としてもらったと申しますか認めてもらったわけでございます。
  225. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 総裁、それ間違いありませんか。そうすると一般の普通の年度末手当の予算は従来の公団の予算科目、今回のは何か別の科目から出しましたか。
  226. 前田光嘉

    ○前田参考人 科目は同じでございますが、その積算として、その分として承認をもらったと私は記憶しております。
  227. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、今後も管理職、そういう現給は保障されて、平均線よりもずっとこっちへいっている方々の分だけはどんどん別ワクのものを出されますか。下の者の分は出さぬ、あてがいぶちできまっているものだけ、こういうことになりますか。
  228. 西村英一

    西村国務大臣 とにかく、あなたからいろいろ聞きましたこと、最も大事なことは、建設省関係の公団が他の公団よりも下のほうが悪い、これはたいへん建設大臣の責任でございます。私はどれくらい開いたのかいま数字を知りませんからこれは調べますが、やはりいま言われましたように、下の者、ほんとうに第一線の者がわずかで、上の者だけ特別にというようなこともこれはあれですが、その辺はどういうふうになっておるのか十分調査をしたい、かように思っております。
  229. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 わかりました。それでは大臣調査をされて、そのあれに基づいて私どももまた大臣とよく、こういう機会でない場所ででもいろいろと私ども意見をさらに申し上げたい、こう思います。  そこで、私申し上げておりますのは、かつて、全体の水準に比して建設省四公団というのは、政府関係特殊法人の中で一番のトップにあったのです。いまこれがだんだんずっと下のほうへ下がってきているのです。よそをみんなよくしたのか、建設省のこの四公団だけずっと抑えてきたのかということですね。こういう状況が起こっておるのでは現場の士気が上がらぬのも当然であります。だんだん乱れて汚職みたいなものが出てくるのは当然であります。そこでぜひこの問題を、大臣ひとつ事務当局を鞭撻されて十分の調査をされて、建設省関係四公団の正常なる労使慣行をつくるように……。大臣、団体交渉事項をいやがるなんということは、近代社会において間違いだと私は思います。堂々と話し合って、そして組合のだれであろうとかれであろうと説得していけるだけの確信がなくては……。その確信がないから、みんなはずしてしまって、団交事項じゃありません、こういう態度は現代におけるうしろ向きの態度。話し合って堂々とやってもらいたい。しかも内示の問題だって、官房長、ほとんどが支給する年度末ぎりぎりの十日余り前か何かに発表しているでしょう。よそなんぞは去年の暮れあたりからいろいろとその問題で話し合っておる。建設省四公団が、建設省が介入したほかに、もう期間などほとんどないように——組合のほうからこの問題を、よその話が耳に入ってくるから、どうなっておるのかということを何度も何度も呼びかけておるのに、ぎりぎり迫った十日ぐらい前にぽかんと出して、話し合いじゃありません、内示です、指示です、こういうことではいい労使関係をつくることにならぬと思う。したがってこういう問題も含めて、建設省関係四公団の労使の関係というものをほんとうに円滑にいくように善処をしていただきたい、このことを強く希望いたします。  最後に申し上げますのは、時間の関係で私はあらためてまたこの問題を次の機会にお願いしたいと思うのでありますが、たとえば、さっき申し上げましたが、中央高速道は地すべりを起こしておる。ああいうのは道路公団としても大問題だと思うのであります。あそこをやるからにはそれなりに十二分の調査を行なって、工事をされたはずだと思う。道路は通った、地すべりは起こる、これじゃちょっと困るわけであります。それから住宅公団は千葉県あたりにこういうものを建てよう。先ほども小川委員や北側委員浜田委員等からも出ましたように、これから住宅公団の事業を進めていくにしても、それはなかなかたいへんな事態です。用地の問題からいろいろな問題、なかなかむずかしい問題がある。こういう問題をやっていくということになると、幹部職員だけでは仕事はできないのですよ。幹部がどんなに命令したって、そこで働く部下職員が真剣になってやる雰囲気を常に確保していくということにならなければ、りっぱな仕事は進めていけない。そういう意味で、いま大臣から前向きにひとつ検討していくという御答弁がございましたので私は安心しましたが、先ほどからの道路公団の総裁みたいな木で鼻をくくったような話をしておったら汚職ばかり出てくると思う。ぜひ考え直してほしいと思う。  それから、今回不況対策ということで、私の調査によりますると、道路公団は三割ぐらい事業量をふやしたんじゃないでしょうか。住宅公団だって大体そのくらい、水資源も大体そんな程度だと思う。首都高速はどういう状況になっておるかよくわかりませんが、とにかく事業量を非常にふやした。ふやしたにかかわらず人員のほうはどうか。三割事業がふえたのに、人員のほうは一%もふやしておらぬのです。そうなりますと、いままでおる職員にいろいろな意味できびしい任務を分担さしていかなければ、せっかく政府がいま、景気浮揚策をとらなければならないといって大きい予算をとってみても、そう簡単にいくものではない。そういう意味では、労働関係の問題に対して基本的に、うしろ向きの態度じゃなくて、前向きなかまえ方でやっていかなければいかぬ段階に来ておると私は思う。このあたりについて、大臣どうですか。
  230. 西村英一

    西村国務大臣 御意見には私は大体賛同いたします。(阿部(昭)委員「大体では困る」と呼ぶ)いや、それは大体です。大体賛同いたします。  それから今回のことにつきましては、これは弁解する余地はないのです。ただ、それだからといって、一般の従事員の方も非常に不服があると思いますけれども、それは不服は不服ですが、それとこれとはやはり別でございます。結局、私も役所に相当長くおりましたからわかるのですが、非常にできるという人は、とかくこっちがだまされるのです。なかなか重宝ですからね。それだから監督者が間違いをおかすことがあるのです。それはなかなか注意しなければならぬ。相当に彼は金をもらっていますから、ぜいたくもしておるはずです。また自動車も持っておったというようなことも聞きますからね。やはり周囲の友だちが監督するとか、少しは見てやらなければ、結局相当にできても本人を誤らせることになる。ところが、技師長あたりが相当に忠告をしたということも聞いておりますけれども、それは徹底しなかったのでしょう。とかく、できぶつ、役人としてもできる、エリートといわれる人は便利でありますけれども、監督者は横目で注意しておらないと、たいへん間違いを起こすのです。これは、私は長い間の官吏生活からそういうあれをくみ取ったのです。  それと労働者の問題は別でございます。けれども、仕事をやっていく上においては、現業で、第一線で働いてくれる人をあくまでも大事にしなければ、仕事はできるはずはありません。私も若いときは現業ばかりやってきたのでございます。したがいましてその点は十分わかります。労使は仲よく、また労働者に対してはほんとうに親身になって考えてやる。労働者と話をするのをいやがるようなことでは現在の仕事はできません。建設省としてもこれを機会に十分注意をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  231. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 頭文字は、大体わかったということなんですが、答弁を聞いておりますと、大体ではなくて相当にわかったように思います。そこで大臣のただいまの御答弁を私は信頼申し上げます。大臣のお人柄もそうでありますから。やはり建設省の労使関係、建設省周辺の労使関係というものを偏見の目で見ないで、そのくらいの問題は全部団体交渉で堂々と話し合っていく。従業員全体に理解と納得と共鳴を得られるような確信を持てない指導者なんというのは、これから指導者としてつとまらぬ、管理者としてつとまらぬと思うのです。そういう姿勢で、いま起こっております問題の経過の中から手直しをすべきは手直しをする、こういう方向で善処してもらいたいということを希望いたしまして、まだ材料をいろいろ持っておりますけれども、時間の制約がありますので、なお調査をして、次の機会にまたいろいろお尋ねしたいと思います。
  232. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、浦井洋君。
  233. 浦井洋

    浦井委員 私はきょうは、地代家賃統制令が昨年の暮れに告示によって改正をされた、この問題を取り上げてみたいと思うわけです。時間が半時間ということなので、要点だけ、住宅局関係の方並びに大臣お尋ねをしたいと思います。  私、まず最初に申し上げておきたいのは、この統制令というのは、過去四回も国会に提出をされて、廃案あるいは審議未了という形になった。それだけを見てもなかなか撤廃されないだけの理由がある、存在理由のあるものだというふうに思うわけなんです。しかし一方で、零細な地主あるいは家主さんなどから、統制家賃と統制外家賃との間に格差がある、あるいは統制家賃の額が非常に低いということで不満もある、端的にいえば撤廃を望んでおるという声も知っておるわけなんで、その辺のことを基本的に踏んまえた上で、具体的な告示改正の問題について質問をしたいと思うわけです。  まず第一点は、これは公的な文書だろうと思うのですが、七二年二月の「建設月報」に住宅局が表を掲げておられる。そうむずかしいことではないのですが、ここに、具体的には五二ページなんですが、家賃でいえば、去年の暮れの改正前の統制額と統制対象外の家賃の比較が出ておる。これは十二・二倍であるということなんですね。それからその横に、統制対象の家質と公営木造一種の家賃の比較が出ておる。これは四・一倍という数字が出ておる。地代はもう時間がないので省略いたしますけれども、ここでお尋ねしたいのは、統制家賃の基礎になるデータ、統制外家質の倍率を算出された基礎になる数字、公営木造住宅の一種の基礎になる数字、これはそれぞれいつごろの数字なのか。数字の具体的なものはよろしいですけれども、いつの数字なのかということをます最初にお伺いしたいのです。
  234. 沢田光英

    ○沢田政府委員 まず、統制対象外家賃は昭和四十四年度前二カ年の実態調査から推計をいたしました。それから公的家賃につきましては四十六年度の予算単価よりの積算でございます。
  235. 浦井洋

    浦井委員 これは表の下に書いてあるのでそのとおりだろうと思うのですが、私この比較が大体おかしいと思うのです。この統制対象の家屋というのは、統制令にあるように昭和二十五年七月の十日以前に建てられたものである。だから少なくとも二十年以上たって、ほとんどが木造ですから、償却が終わっておる。ところが、ここにたとえば公営木造一棟の数字が出されておるのですが、いまお答えになったように四十六年度の予算単価による積算だ、こういうことになりますと、これは比べる数字のベースが違うのではないか、こういうふうに思うわけなんです。私、試みに神戸市にちょっと聞いてみたのですが、神戸市では二十五年に建設をされた市営住宅、公営住宅の木造一種、現在の家賃が千五百円から二千円、そうして二種が九百円、だから坪当たりの家賃に直しますと八十円からぜいぜい百二十円、ということになると、この表に掲げられておる統制家屋の家賃とほとんど同じかあるいは少し低いくらいになる、こういう計算になるわけですね。この点はお認めになりますか。
  236. 沢田光英

    ○沢田政府委員 確かに、比べる時点といたしましては、二十五年以前の建物と、それからいま積算のほうは四十六年度のものだという違いはございます。ただ私どもは、そういうねらいをつけますのに公営住宅水準ということを一応頭に置きましてやりました。その背景には、やはり昔の建物はいい場所にございましょうし、それからまたいま先生のおっしゃいましたようない神戸の木造住宅、こういうものは、私の推量でございますが、公営住宅の値上げの大臣承認の制度があります、自動的に上がるような、それをおそらくやっていないのじゃないか。やれば、まあぴったりはいかないまでも相当程度上げられるということになる、そういう感じで、一応公営住宅相場的な見方で私どもはねらったことは事実でございますが、そういう比較がこの月報に出ているのを私ちょっとうかつで知りませんでしたけれども、ねらいは公営住宅程度ということでねらったことは事実だろうと思います。
  237. 浦井洋

    浦井委員 それはちょっと、一番根本の問題が抜けているのじゃないですか。私先ほど、一番初めに申し上げたように、二十年で公営住宅の場合、木造の場合償却ができる。それですでに償却が済んでおるのですからね。それといまの四十六年度の積算というような形での数字の置き方というのは、極端な表現を使えばペテンではないかというふうに思うわけなんです。だから、さらにいえば、今度の告示の改正の問題、こういうような数字を出して、いかにも統制対象になっておる家屋の家賃が低いのだということを強調するための一つの誤ったやり方ではないか、こういうふうにさえ思うわけなんですが、どうですか。
  238. 沢田光英

    ○沢田政府委員 私どもは統制額の引き上げに際しまして、特にそれを低く見せようとかなんとか、そういう意図はございませんで、どの辺に持っていったら適当なのかということから出発してございます。すでに先生御存じのように、そこに書いてもございますように、一般市場家賃と十三倍からの差がある。もちろんこれを一挙に上げることもたいへんな問題でございます。そこで三倍以下というふうなところにねらいをつけまして、片や、現在の公営住宅というものはやはり低家賃の制度である、一番の低家賃の制度でございます。したがいまして、その辺に合わせてねらいをつけて水準を置いた、かような見方でやったわけでございます。
  239. 浦井洋

    浦井委員 いま十二・二一倍という数字が出たわけなんですが、統制対象外の家賃と統制家屋の家賃との比較なんですけれども、これについても先ほどの公営住宅との比較と同じようなことがいえると思う。統制対象外の家賃というのは、おそらくこれは二十五年当時よりも多少は上がっておりますけれども、やはり先ほどと同じような形での議論が成立し得るのではないかということを、この問題については私指摘しておきたいと思うのです。  それからその次の問題は、この告示が改正されたということで、ことしの一月の七日に住宅局長通達が出ておるわけですね。これを読みますと、こういう表現があるわけなんです。「この額」、この上がった額ですね、「この額は統制の最局限度であって、地代又は家賃が自動的にその限度まで引き上げられるものではなく、あくまで貸主の請求により改訂されるものである。」こういう表現があるわけなんですが、これはそのとおりだろうと思うのですけれども、しかし実際の世間の常識からいきまして、こういうような最高限度の額がきめられた、二・八倍、二・七倍というような額がきめられると、地主または家主の立場としては、もう限度一ぱいに値上げをたな子に対して要求してくるというのが常識ではなかろうかというふうに私は思うわけなんです。たくさんの訴えが私のところに来ておりますけれども、一例だけ申し上げてみたいと思う。これは家主からたな子のところへ内容証明つきで送られてきた値上げ要求の文書でございますが、こういうふうに書いてある。「昭和四十六年十二月二十八日附毎日新聞夕刊第一頁に掲載されている通り、家賃地代、三倍アップ建設省が告示、統制額、来年から手直し、と題して建設省では、「昭和二十五年七月十日以前に建築された建物で家貸統制令に定めるところの率に従つて家賃々徴収し、その後引続き家賃の値上げをしないで現在に至っているものについてはその二・八倍迄に引き上げるとの告示をし昭和四十七年一月一日より実施する。」とあります。同日毎日新聞をご参照下さい。私方ではこれに該当するものと解釈しております。」こういうようなものが送られてきておる。だから、これが最高限度で、十分に話し合うとかそういうようなことはここからはくみ取れないわけですね、このたな子に対する値上げ要求書だけに関していうならば。だから、こういうような傾向を一体建設省としては、これはどんどん出てくるだろうと思うのですが、どういう形で押えようとされておるのか。ほんとうの告示改正の精神を具体的にどういう形で徹底させるために指導されておるのか、その辺のことについて聞きたいのですが。
  240. 沢田光英

    ○沢田政府委員 私どものほうの告示の改正で、二・八倍とか、さような額が適当であろうということできめたわけでございます。したがいまして、これが世の中にどういうふうに受け取られるか。当然、私契約、契約でそれをきめるわけでございますから、まず当事者同士が話し合うというかっこうになります。しかし、一般的にはそこまで上げようというほうが多いかもしれません。実際にいまの統制額を守っておるのはほんのわずかである。しかしわずかながらあるということも事実でございます。したがいまして話し合いでうまくいくケースもあるかもしれません。しかし話し合いがうまくいかぬときには、いろいろ裁判やその他にもなるかもしれません。その場合にはやはり告示の額というものが最高になるということは、私どもも改正をいたしましたことからいってやむを得ぬことではないかというふうに思っております。ただ、それが公営住宅水準なんだというところで私ども一つの目安を置いてきめたわけでございます。しかしそれに便乗して、統制額以上に取っていたものを上げるとか、あるいは統制対象外のものを上げる、こういうほうはその反対に厳に取り締まる必要があるということでございまして、私ども行政に携わっております県の住宅課がおりますので、これを通じまして、そういう事例については厳に取り締まるようにということで、会議その他を行ってその徹底方を現在ももやっておるわけでございます。
  241. 浦井洋

    浦井委員 それは通達のそのあと書いてあるわけですね。「貸主から地代または家賃の改訂の請求があった場合において、貸主、借主の両当事者間に無用の紛争を生ずるおそれのあるときは、今回の改正の趣旨に沿って両当事者が円満に解決できるよう万全の指導をされたい。」これは知事に対する通達になっておるわけなんですが、そうすると、いろんな紛争が起こって自治体のほうにその問題が訴えられたという場合に、一体その自治体の側で、特に関西、その中でも大阪が非常に数が多いのですけれども、具体的に大阪府に、そういう訴えを受けて紛争を処理していけるような能力があると思っておられるのかどうか、その辺をお聞きしたいのです。
  242. 沢田光英

    ○沢田政府委員 住宅行政は、公営住宅を割り当てを受けて建てるとか、そういうことはむしろやさしいことでございまして、むしろいまの統制令にからんだ問題、そのほかの家賃にからんだ問題、そういう問題が実際にはむずかしい住宅問題だろう。したがいまして、私どもはそういう問題を解決する方向に行政を行なうことが住宅行政の役目であるというふうに考えておりまして、そういう方面に力を入れるようにという指示は再三下しております。ただ能力の面でどうかと申しますと、まあいずこも同じでございますが、人員の面で足りないとか、そういう面があろうかと思います。しかし私どもは、人員が足りなければこれを充足し、あるいは足らざるは努力で補って、私がいま申しましたような問題をむしろ、重点に処理すべきだ、そういうことで地方公共団体指導しておる次第でございます。
  243. 浦井洋

    浦井委員 そしたらひとつ具体的に聞きますけれども、地代家質統制令の第十五条に、知事は「統制額を減額する場合には、都道府県地代家賃審査会意見を聴かなければならない。」こういうふうに書いてある。各都道府県に審査会があるような形になっておるわけなんですが、一体全国の都道府県の中にどれくらい審査会が設置されておるのですか。
  244. 沢田光英

    ○沢田政府委員 こういう法律制度がございまして、しかもこの統制額を守られ方が非常に少ないという問題、それの延長上の問題といたしましていまの先生おっしゃった審査会、それもほとんどございません。したがいまして、行政的にはたいへん手落ちがあるということは認めざるを得ないと思うのでございます。
  245. 浦井洋

    浦井委員 そうすると、審査会はないし、一片の通達だけで、あるいはマクロの立場で見れば——沢田さんのお好きなことばでございますけれども、非常に数が少ないんだということで、いままで長年、戦前から安い家賃で住んでおった方が、今度は三倍あるいは四倍、場合によっては便乗値上げでもっと上がるかもしれぬ、こういうことに泣き寝入りしなければならぬという形が非常に強いと私は思うわけなんです。それと同時に、建設省は一片の通達を出す。受けるほうの自治体は——たな子、家主、どっちも困っておるわけですね。そこで住民の側から紛争の訴えをやられるということで、自治体が非常に困ると思うわけです。その証拠に、これは住宅局のほうでも御存じだと思うのですけれども、大阪の府議会が、これは四十七年の三月ですからついこの間ですが、意見書を出しておるわけです。ちょっと読んでみますと、「この改正は、統制地代、家賃のきわめて大幅な値上げの要因となるほか、統制外の地代家賃の便乗値上げをも許し、諸物価の高騰を招く要因となり、国民の生活に深刻な影響を及ぼすものである。よって、政府は地代家賃統制令の趣旨を尊重し、今回の引上げの決定の告示を直ちに撤回されたい。」建設大臣西村英一殿。府議会の議長さんか著名されておる。同じような趣旨の意見書が京都府やあるいは京都市からも出ておるわけです。一体この意見書を建設大臣としてどう思われますか。
  246. 西村英一

    西村国務大臣 議会としてもいろいろな苦情の陳情を受けて、そういう決議になったかもしれませんけれども、この地代家賃統制令というものは、いまのあなたのお尋ねとは別に、原則としてはこれはもう廃止したほうがいいんじゃないかと私は思っておるわけなんです。しかし四回もこれを国会に出して通過しなかった。それにもそれぞれ理由があるわけです。そこで私として考えなければならないことは、家主のほうも困る、それから借りておるほうも困る……
  247. 浦井洋

    浦井委員 大臣、それはあとで聞きますから、私が尋ねたこの意見書について答えてください。
  248. 西村英一

    西村国務大臣 私どものほうもそういう決議があったということは知っておりますけれども、どう思われるかといいましても、これはすでに告示をやったものですから、これをいまから取り消す、こういうわけにもいきません。
  249. 浦井洋

    浦井委員 大臣のお答えによって、自治体はいろいろな紛争をもろに受けて非常に困るという事態が関西を中心にして起こってくるのではないか、こういうふうに思うわけです。  そこでもう一つ聞きたいのですが、この通達にもありますように、先ほど言いましたように「この額は統制額の最高限度であって」云々というふうになっておるわけなんですが、二・八倍、二・七倍というふうに地代家賃が上がった。その統制額が最高限度であるという法的な保障は一体ございますでしょうか。といいますのは、沢田調査官は借家法、借地法というのを御存じだろうと思う。私ここにちょっと書き抜いてきたのですが、それによりますと、たとえば、同じ文句が出ておるのですが、借家法の附則第八、ここに、要するに紛争が起こった場合に裁判にかかる、そうするとたな子のほうは家賃相当額あるいはそれを少し上回る額を供託する、こういう形になりますね。それは統制外家屋の地代家賃に適用されるのであって、統制内の統制家屋については、ここにいわれておる最高額の統制額以上供託しなければならぬということをここにきめてあるわけなんです。借家法の附則第八、これはどうですか、御存じですか。さらに言いますならば、昭和三十一年八月十七日の東京高裁の判決にもこういう同じ趣旨のことがきめられておるわけです。だから皆さん方は、この統制額というのは最高限度だといわれておるけれども、この法であるとかあるいは判例によって、むしろ実質上最低限度にならぬですか。どうですか。
  250. 沢田光英

    ○沢田政府委員 ちょっとそういう事例について知りませんで、申しわけなかったのでございますけれども、しかし今度きめました統制額、これは一応告示で出したものでございまして、それ以上のものは契約でやられるということはあるかもしれませんけれども、それ以下の分も契約でやられる場合もあるかもしれませんが、これはやはり最高限ということで私どもは考えておる次第でございます。
  251. 浦井洋

    浦井委員 それは答えになっていないわけなんです。だから、私が言っておりますように、実際上これはあなたの言われるように最高限を示しておるのでなしに、裁判所が、むしろ最低限ですよ、これ以上積まなければたな子のほうが契約不履行で立ちのきを迫られてもしかたがございませんよと、こういうことをちゃんと判例で残しているわけですよ。この辺をひとつじっくりとあとで調べて御返事願いたいと思うのです。
  252. 沢田光英

    ○沢田政府委員 京須説明員説明させたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  253. 京須実

    京須説明員 御説明申し上げます。  借地法の附則に、確かに統制令対象家屋につきましては、かりに一時払いで値上げ要求があった場合に、払う額について、万一それ以上に裁判所で額がきまった場合には一割払うという規定がございまして、それを統制対象の場合には適用除外する。一見いたしますと、統制令につきましては、裁判所は必ずその額までは認めなければならぬといったように読めるおそれもあるといいますか、そういう条文がございますが、その点につきましては、統制対象でございましても、すべて自動的に統制令の最高限まで裁判で上がると私ども考えておりません。その点につきましては、口頭でございますが、法務省とも話し合いをいたしまして、しからば統制額を下回ってかりに金を仮払いをしていた場合に、どういう利子を払うかという問題が出るのでございますが、その点につきましては民法の一般の利息の五分では低いので、やはり類推解釈をして一割になるか、いろいろ問題があるかもしらぬというような話もしておるわけでございまして、自動的に上がるとは考えておりません。
  254. 浦井洋

    浦井委員 そうすると、紛争になって裁判にかかった、そしてたな子は家賃相当額を供託する場合は、必ずしも統制額を上回らなくてもよいのだということになりますね。それを確認したいのです。
  255. 京須実

    京須説明員 御説明申し上げます。  その場合問題になりますのは、裁判で判決がおりました額につきまして従来払っていなかった場合に債務不履行になりまして、契約解除、つまり立ちのきの問題が起こることが現実の問題だと思いますが、そういうことはないと思います。でございますから、賃借人のほうは適当と思う額を払っていくということになると思いますが、ただしその場合に、後日一定額の一割になるかと思いますが、課徴金と申しますか、そういうものを取られるおそれはあると思います。  またもう一点、地代家賃統制令の十条に規定がございまして、裁判所の場合には、裁判あるいは和解、調停等によりまして地代家賃統制令の額を上回って判決される場合もございます。いろいろな事情がございまして、従来もそういう例がございました。そういう場合もございますので、最高限と申しましても、統制額を上回って裁判の結果行なわれる場合もあると思います。つまり、裁判はそういう統制額というものを考えずにやれるというように考えております。
  256. 浦井洋

    浦井委員 非常に重要な発言で、ひとつ今後その成り行きを見守っていきたい。こういう事例が生じて、たな子が契約不履行で明け渡しを要求されるというような事態が絶対に起こらぬようなやり方をとっていただきたい。このように私は思うわけなんです。  もう一つの問題は、例の標準額の問題、これはこまかい数字をあげるのは時間がありませんので省略いたしますが、要するに固定資産税評価額の標準額ですね、調整額、これによってどんどん今後地代家賃が上がっていくわけなんですが、この計算でいきますと、改正前に比べて昭和五十年ぐらいには統制額は大体どれくらいになるのですか。
  257. 沢田光英

    ○沢田政府委員 固定資産税評価額が、たとえば一つの試算でございますけれども、年率一五%ずつ上がったといたしますと、その結果として二十倍以上になるという試算になります。
  258. 浦井洋

    浦井委員 調整措置としてとられておる標準額の計算でいきますと、どうなるのですか。
  259. 沢田光英

    ○沢田政府委員 いま私が一五%と申しますのは、固定資産税評価額といっておりますけれども、これを緩和するために調整額をやっておるわけでありまして、原理は同じでございます。固定資産税評価額あるいは調整額が毎年一五%上がったといたしますと、二十倍をこえる額になるわけであります。
  260. 浦井洋

    浦井委員 その数字、私が計算したところでは三十倍ぐらいになるだろうと思うのですけれども、いずれにしても、もし五十年にはそういう数字になりますと、一番初め私があげましたように、現在十二・二倍でしょう。そうすると、いまの統制外家賃が今後五十年までにある程度上がるとしても、むしろ統制額のほうがそれを上回っていくということが当然予想されるわけなんですがね。そうですね。
  261. 沢田光英

    ○沢田政府委員 理屈はそういうことだと思います。ただ、統制額が市場よりも上がった場合には、むしろ自由契約で市場相場になるのだろうと思います。
  262. 浦井洋

    浦井委員 その辺が住宅局のつけ目であろうと思うのですけれども、そうなると、現在統制令があって、五十年までにどうなるかわかりませんけれども、去年の暮れに統制令の告示が改正されたというだけで、五十年にはこのままほっておけば全く統制令というものがないにひとしいという形になるわけですね。そうしますと、むしろ、統制令を撤廃するよりも一片の告示でこういうかっこうで改正して実際上なくしてしまうというやり方のほうが、非常に込み入った悪質なやり方ではなかろうかと思うわけなんです。統制令、これは大臣も十分御承知のように、戦前、あれは昭和十三年ですか、十三年から一次、二次、三次、戦後というふうにいろいろ変わってきておるわけですけれども、やはり一貫して地代家賃の高騰を防ぐということを目的としてきたわけですよ。そしてこの統制令の中心というのは、統制額をどこにおくかという、いわば額の問題なんです。これが一番の中心なんです。ところが、あとの文句はともあれ、その額自身が、国会というような場も経ずに、統制令の撤廃と撤廃反対とが相打ちになって、採択されずにごちゃごちゃしているすきに、昨年の暮れに告示が改正されるということになると、これは非常に問題だと思うのです。実際上あれによって統制令の生命が失われたというふうに言っても過言ではないと思うのですが、こういうやり方は、大臣、どういうのですか、大臣の権力の乱用ではないか、裁量権の乱用ではないかというようにさえも思うわけなんですが、その点、御意見をひとつお伺いしたい。
  263. 沢田光英

    ○沢田政府委員 まず、ちょっと私から申し上げさしていただきたいと思います。二十何倍と申し上げましたが、結局家賃の中には地代と建物の分があるわけでございまして、その地代の分が三十八年の固定資産税で押えられておった、そのようなかっこうで、それが解除されて上がっていくということでございまして、たとえばほかの税金等は毎年上がっておったわけでございますし、また市場家賃もどんどん上がっていくわけでございまして、そういうものを差し引きますと、先ほどの二十何倍というのは実質的には四倍程度の値上がりになる。現在は二・八倍ぐらいでございますが、四倍程度になると予想される、市場も上がりますから。さようなことで、先ほどの、何かどこか追い越してしまうというのは相当あとの話だというふうに考えます。
  264. 西村英一

    西村国務大臣 いまの法律であったらなかなか通らぬのでしょうが、現在の統制令は、この告示の最高限をきめることは建設大臣にまかせられておりますが、これは地主と借家人とのやはり非常に大事なところで、どういうことが一番両者に利益かということを考えて、あまりにもいまのあれは行き過ぎじゃないかということで、結局その最大限を上げたということです。ところがいま聞きますと、借家法との関係のにらみがあるということで、これは最小限になるのじゃないかというのですが、これは私は初めてあなたから聞いたわけです。もっとも私もこれは確かめようが足りなかったと思います。けれども、この程度の上限の上げ方でもまだ、一般の対象外の建物と比べてそう高くはないということなんです。したがいまして、原則としては、私はこれをただ撤廃してそのままほうっておこうというのじゃないわけなんです。相当にもう老朽ですから、またそれを、住宅政策からいって、建てかえをやったりなんかしていいほうに向けたら、両者とも利益になるのじゃないか。これは多少反対する人もあります。しかし、現在行なわれておるこの上限を守っておる人のほうが少ないという統計もあるわけですから、その辺は、どちらが利益か、全体を考えてこのたび告示したわけでございます。いまの、これから出す法律ではなかなかこれは通らないと思います。
  265. 浦井洋

    浦井委員 大臣、私いろいろ資料を使っていま質問したのですが、私に資料を提供してくれた人は、大臣をこの問題について告訴しているわけなんです。だからひとつ十分に問題の本質をつかんでいただきたい。大臣は被告の席にすわらされておるのですから、その点を十分に御認識いただきたいというふうに思うわけなんです。  時間がございませんので、最後に私の考えを少し述べて、また大臣なり住宅局の決意を聞きたいのですが、私自身も、昨年末に行なわれた告示の改正というのは、これはさしあたって撤回しなさい。しかし、改正前に存在しておった統制額が必ずしも妥当なものとも思えない部面もありますと、こういうことなんです。だから、大臣もいま答弁の中で少し触れられておったように、だれでもが納得し得るような客観的なデータを出す。いま沢田さん、二十倍が実際は四倍少々ぐらいだろうということを言われたのですけれども、こういう数字も全然信用できぬわけなんですよ。だから、だれでもが納得し得るような客観的なデータを出す。そして国会でも十分に討議する。あるいはいろいろなたな子やら零細な地主、家主の方とも十分に民主的に討議を重ねるというようなことをやって、統制額を新しくきめる場合にはほんとうに公平な適切な額をきめるべきではないかというふうに私は考えておるわけなんです。それと別個に、弱小の地主、家主が困っておるからという理由だけで、いきなり年末のどさくさにまぎれて、実際上統制令の命を奪ってしまうというようなやり方でなしに、確かに弱小の地主、家主の方は困っておられる方がたくさんいる、だからそういう方には、たとえば別途に税金を安くしてあげるとか、あるいは家の建てかえについて資金を融資してあげるというようなやり方を考えて、むしろこういう人たちも保護をしていくべきではないかというふうに私思うわけなんですが、その辺について大臣の御意見、どうでしょうか。
  266. 西村英一

    西村国務大臣 そういう方法も確かにあろうかと思われますが、しかしそれはなかなか容易じゃないと私は思います。そういう方法も考えられますけれども、それは容易じゃないと思っておるわけでございます。今回の告示は、これが制定になりましてからたしか二回目だとだと思っておりますが、何も暮れを目がけてやったわけじゃないのでありまして、前から考えておったわけです。元来は、私が言いましたように、やはりこれは統制をはずしたらどうか、二十五年も前のもので統制するというのはどうか、両方のためにならぬのじゃないか、住宅政策しもあまりよくないのじゃないかというふうに考えて、しかし一時にそういうことはできないから、実は廃止についてあなたに相談しようかしらんと思っていたのです。
  267. 浦井洋

    浦井委員 大臣、私の言うことが一つもわかっていないわけなんですね。私先ほど大臣に具体的な方法をサゼスチョンを与えたわけなんです。だから、ぜひこういうやり方を利用していただきたい。  さらに根本的にいうならば、皆さん方がやっておられるような、低い家賃地代を高くするのでなしに、いまどんどん無制限に統制外のところでは高い家賃地代が存在しておる、これをもっと低くする。そしてあなた方の好きなことばでいうならば、そういうやり方で格差是正をやはりやっていくべきじゃないかというように私は思うわけなんです。たとえば、大臣、フランスでは住宅手当制度をこしらえたり、あるいは低所得者であるとかお年寄りの世帯には家賃の手当制度というようなものをつくって、少しでもいま日本で起こっているようなそういう事態が起こらぬように予防措置を講じておるということを聞いておるわけなんです。だから、せっかく二度建設大臣になられたわけでございますから、私の言うことも取り入れて、前向きの姿勢でこの問題についても取り組んでいただきたい。  さらに言うならば、私がいつも言っておりますように、こういう問題を考えていくにつけても大事なことは、いま政府がやっておられるような民間の自力建設主役というような形でなしに、国や自治体が責任をもって公営住宅、公団住宅を大量に建てていく、このことが根本になければ、末梢のことを幾ら取り上げてみてもうまいこといかぬ、こういうことを最後に強調いたしまして終わりたいと思います。沢田調査官、何かひとつ答えを……。
  268. 沢田光英

    ○沢田政府委員 お説のとおり、低いものを上げるよりも、うんと高いほうを下げるというのが本道だろうと思います。ただ、地代家賃統制令の話に関しましては、この統制額の適用を受ける住宅に入っておる者は必ずしも低額所得者でない部面も相当ございます。もちろん低額所得者もございます。そこでその低額所得者が、統制額が上がったときに困る問題が出てくる、これをどういうふうに処理するかということで、いま先生いろいろ御提案があったわけであります。そういうことについてはいろいろと私どものほうの審議会からも答申を得ておりますし、私どもも常日ごろ勉強しております。そういうことは勉強いたしたいと思います。
  269. 亀山孝一

    亀山委員長 それでは次は、堀昌雄君。
  270. 堀昌雄

    ○堀委員 建設委員会、これで二回目だと思うのであります。きょうは、たいへん地元に関係する問題ばかりで恐縮でございますけれども、お許しをいただいて、ひとつ建設大臣の御見解を承りたいと思います。  最初の第一点は、私が居住いたしております尼崎市とその東側の大阪府の豊中市との間に猪名川という河川がございます。この河川は非常に紆余曲折をしておりまして、しばしば水害をもたらすということで、この部分については昭和四十年から四十五年の間に、工費十四億五百万円をかけて、建設省所管によりまして、川がまっすぐに改修されまして、そこで旧河川敷がその西側に残ることになりました。この旧河川敷の公有地を尼崎市は北のほうに集めまして、昭和四十三年の一月から約七万平米の都市公園、現在猪名川公園と申しておりますけれども、これに着工をいたしまして、現在工事を進めておるわけでございます。  実は、それに先立って、この地域に住んでおられます大阪大学の医学部の病理学の教授であります岡野先生が、この猪名川の旧河川敷にあります堤防上に、ケヤキでありますとかあるいはムクでありますとかというような、非常に古い、三百年以上も経た大木をはじめとして、ツバキその他の自然林がずっと連なっておりまして、現在摂津平野の中でこのような自然林がこの形で残っておりますのはここだけになっておる、こういう実情に実は気づかれまして、尼崎市の市長その他に、あるいは兵庫県会等にも、これらの河川敷の自然林を学術調査をして、その結果が出るまでは、現在豊中市と尼崎市の行なっております都市計画、西利倉地区の区画整理事業を一時中止してほしい、こういうような陳情をされております。  尼崎市というのは、御承知のように全国的にも、あとでこの問題にも触れますけれども、公害の多い都市——これは御承知のようにたいへんたくさん工場がありますし、関西電力の発電所が集中的に南部にあるというような関係で、つとに、大気汚染その他の公害問題というのは尼崎市は日本では全国に先がけて調査もし、対策もとってきておる町でありますから、特にやはり公害の町でありますから、住民のそういう自然にあこがれるという気持ちはひときわ強いものがございます。  そこで私どもも、この岡野先生のいろいろのお話を聞き、また同じ地域の医師の町塚先生という方もたいへん熱心にこの自然の環境の保護を訴えておられましたので、私たちもその線に沿って努力をしたいと考えておりましたが、実はいま申し上げたように公有地だけを北のほうに集めて一応公園をつくるというかっこうになりまして、残りを都市計画に基づく区画整理を行なう、こうなっておりますものですから、その残りの部分は実は民有地としてほとんど残されておるという現状になっておるわけです。そこで、その後、県その他に呼びかけをいたしまして、かろうじて一万三千平米だけの堤防の緑地を残すというところまで実はまいっておるわけでありますが、関係の大阪あるいは神戸の各大学の植物学、生物学、それらの関係の学者の皆さんの調査によりますと、現在残されておる緑地だけでは、周辺が全部区画整理をされて住宅が建ってしまうと長期の保存にたえない、自然林は消滅をしてしまうであろう、実はこういう御意見が出されておるわけであります。  そこで私どもは、せっかく善意の皆さんが自然保護について努力をしておられることでもありますので、この際ひとつ、現在残されております一万三千平米の緑地が長く自然林として残せるだけの最小の範囲の土地をその周辺に確保をいたしまして、そうしてそれを新しく自然公園として保存をしたい、実は私どももこういうことで努力を続けておるわけでございます。先般建設大臣にもお目にかかりましてこの問題についてお願いいたしましたし、その後私どものほうの尼崎市側の兵庫県第二区選出の各議員、それから、これは大阪府にわたりますが、豊中市側の大阪三区選出の各党の議員の皆さんにもお願いをいたしまして、この問題はひとつ超党派的に、豊中市、尼崎市、いずれもこういう自然林がないところでありますので、こういう摂津平野唯一の自然林であり、この自然林の北側には田能遺跡というのが弥生文化の遺跡としてすでに発掘されて、観覧の用に供されております。その自然林の南側には富田遺跡という遺跡がある。やはり由緒ある地域でありますから、ただいま尼崎市、豊中市、兵庫県、大阪府に働きかけて、これらの保存について協力を要請しておるわけでありますが、事の性質上、ひとつ建設省としてもこの方向について御配慮がいただきたいというのが実は第一点の私の意見でございます。何さま、すでに北側に都市公園もできておるところでありますので、関係者はいま寄り寄り話を進めておりますが、おおむね関係者意見がまとまると私どもは考えておりますので、そういう地方自治体の意見がまとまる際には、ひとつ建設大臣としてもこの自然環境の保護のために建設省としての御配慮をわずらわしたい、こう考えるわけでございますが、いかがでございましょうか。
  271. 西村英一

    西村国務大臣 私、猪名川もずいぶん前にはちょっと見たことがありますけれども、いまの地点は土地カンがございませんから、どうかわかりません。わかりませんが、少なくとも大事な自然林ですから、むやみに開発の名でつぶしてはいかぬと思います。しかし、いろいろな計画もあったことであろうと思いますが、またそれは開発をするにしてもどれくらいな金が要るか、それもわかりませんが、原則としては、あの関係者地方公共団体の方々の合意を得れば、建設省としてはこれは大賛成でございますから、ひとつ地方の関係者の方々、公共団体の方々の話がつけば、建設省としてはあなたのおっしゃいますように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  272. 堀昌雄

    ○堀委員 たいへん明快な御答弁をいただきまして、いまその線に沿って努力をいたしておりますので、ひとつそれらの議がまとまりました場合にはよろしくお願いしたいと思います。  次に、実はいまやはり公害の問題で触れましたけれども、この尼崎市の南部に国道四十三号線という広い道路が走っております。国道四十三号綿はいわゆる阪神第二国道と申しておりますけれども、実は十車線の国道でございます。この十車線の国道ができるまでは、旧阪神国道、国道二号綿でありますか、これがもっぱら使われておったわけでありますけれども、今日、この四十三号線が開通をいたしまして、この道の自動車の通行量というものはたいへん膨大なものがございます。あわせて、この地域は先ほども申し上げましたように、南部に、西のほうから神戸製鋼、関西電力、その他の各鉄鋼会社、旭硝子、住友鋼管、鉄鋼なりガラスなり電力なり、いずれも大気汚染に関係のある企業がずっと並んでおりますために、それらの工場の排気ガスにあわせて国道四十三号線の自動車の排気ガスのために、この周辺住民が受けております公害の被害は非常に大きなものがございます。そこへ実はいますでに西のほうから西宮まで阪神高速道路というのがついておるわけでありますが、この阪神筒速道路というのは国道四十三号線のまん中の上に設けられておる高速道路でございます。それがいよいよ西宮−大阪線ということで、この尼崎から大阪の間をつなぐことになってまいったわけでありますが、いま申し上げたような客観情勢でございますから、住民の強い実は反対運動が生じておるわけであります。いまの住民の気持ちはそういうことであります。すでに国道四十三号線で排気とたいへんな騒音——私もこの地域をよく通って感じるのでありますが、もう騒音ではなくて、ごう音と申しますか、特にトラックその他の重量物の車がたいへんたくさん走りますから、ほとんど東京では想像ができないほどの実はたいへんな音がしているわけであります。その上にこれから六車線の高速道路がつくということでございますから、住民はたいへんな騒音と排気による公害について心配をいたしております。そこで反対運動がかなり強く盛り上がっておるというのが現状でございます。  私は、私ども関係者とも相談をいたしまして、実はこの間阪神高速道路公団の方ともお会いをいたしまして、いろいろと協議をさせていただいたわけでありますけれども、結論的に、私どもは次に申し上げる三点が了解をされるならば、それらの問題が履行されるならば、この高速道路の着工についてやむを得ない、こういうふうに考えておる点がございますので、それをちょっと申し上げて建設大臣の御見解をひとつ承っておきたいと考えるわけであります。  第一点は、いま申し上げましたように周辺住民がたいへん騒音と、自動車の排気を含めた大気汚染に悩んでおりますから、新たにできます高速道路について、両わきに、いま現在一メートルの側壁がございますけれども、これを少し高くしてもらいたい。当初、公団のほうは、それでは二メートルのコンクリート壁にしようかというお話でありましたが、私のほうではできればひとつ三メートルまで何らかくふうはできないだろうか、こういうふうに申し上げておるわけでございます。これについて、もし三メートルまで何らかの措置がとられれば、横に対する騒音もたいへん制限をされる。上のほうへ上がるからあまり直接的な影響は受けない。大気汚染の排気のほうも、上のほうへ上がればそれだけ拡散をいたしますから、広い範囲に広がって、すぐ周辺のものに必ずしもすべて影響することにはならない、こういう考えを持っておりますので、公団側にそういう形の申し入れをいたしておるわけでありますが、これについてひとつ建設大臣の御見解を承われれば幸いだと思います。
  273. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 具体的な問題でございますから、私がかわりましてお答え申し上げます。  ただいま御提案の件、よく私ども承知いたしております。全般的な大阪−西宮線の今後の建設につきましては、先生以外の各方面の先生方からも、そういういろいろな打開策についての御提案等もいただいておりますが、いま御指摘の高欄をかさ上げするということにつきましては、現在の高欄に二メートル程度の、プラスチック製のものだろうかと思いますが、そういう遮音板を設けるということにつきましては、防音効果がどの程度期待できるかどうかは技術的な検討をもう少し詰めなければいけませんけれども、そういう方向で公団に今後検討を指示してまいりたい、かように思っております。
  274. 堀昌雄

    ○堀委員 もう一つの問題は、実はこの阪神高速道路の料金所が尼崎の城内小学校という小学校のすぐ南側に設けられるという計画に相なっておるようであります。私どもの側の関係者の諸君は、このために、実はその付近が尼崎市では最も集中的に工場のばい煙、排気その他がよぎる地域でございますので、できればひとつこれをもう少し東に移してもらえないか。特に学校のそばでありまして、料金所で車がみなとまりますと、そこから今度出ますときに猛烈にふかして通るわけであります。東京の高速道路のように、主として車が乗用車でありますと比較的問題も少ないのでありますけれども、何さま工業都市でありますから、そういう場合には非常に重量の重いトラック類も通りますので、それによる騒音と排気、これが学校にもたいへん影響を与えますが、あわせて特にその辺はそういう汚染されている地域でございますから、これを何とかひとつ辰巳橋という、大阪府との境に川が流れておるわけでありますけれども、その川の付近まで束へ移転さしてもらうと公害についての被害というものがたいへん軽減をされる、こういうことで、住民の皆さんもそういう強い希望でもありますので、これについてもこの間公団側に善処方を求めておるわけでありますけれども、これについてもあわせてひとつ答弁をいただきたいと思います。
  275. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 尼崎地区に予定いたしておりまするところの料金所の計画につきましては、本線とともに、昭和四十四年でございますか、これは都市計画を決定いたしております。現在の位置に料金所を設けました経緯につきましては詳しくは申し上げませんが、まあいろいろな土地利用の状況等から考えまして適当であろうということできめられたものと私ども承知いたしておりますが、その後のいろいろな地元の事情等を伺いますと、御指摘のような予定地点の北側に国道をはさみまして小学校があるというようなこと等もございまして、かりにこれを原案のとおり実施することにいたしましても、やはりそういう公害対策といいますか、そういうふうな措置を相当考えなければいろいろ問題が起きるというふうな認識は十分私どもは持っております。そこで、御提案の、いろいろ問題があるから少し東にずらしたらどうかということでございますが、辰巳橋、左門殿川に寄ったところに現在のブースを移転するということになりますと、これは都市計画をまず変更しなければいかぬという問題がございます。といいますことは、当然新たにまた民地にかかるというふうなことになるわけでございます。それが一つの問題かと思います。ただし、技術的にいろいろさらに詰めなければいけませんが、私ども伺っているところによりますと、御指摘のような辰巳橋周辺に移すということはそう不可能な問題ではないというふうなことのようでございます。御案内のとおり、都市計画は、本件の場合は兵庫県知事が決定をするということになっておりますし、かりにこれを左門殿川のほうに寄せますと、これは場合によれば大阪にもかかるということにもなりますので、大阪府知事都市計画の変更というもうな問題にもからんでくる。いまここで私どもも確実にそこいらについてはお約束をいたしかねます。そういった点につきまして、地元並びに兵庫県等の意向を十分に聴取いたしまして、とにかくすみやかにこの問題の円満な解決がはかられ、一日も早く工事にかかれるようにつとめてまいりたいと思っております。
  276. 堀昌雄

    ○堀委員 実は、おっしゃるようにあそこはすでに都市計画もされておることでありますので、県の副知事なり土木部長のほうにも連絡をとってみました。地方自治体である尼崎市の側で了解をされるということになれば、それらの変更については十分協議をして、できるだけいまのブースの移転について配慮をしてまいりたいというようにも伺っておりますので、どうかひとつこの点については関係地方自治体であります尼崎市、兵庫県とも十分協議をしていただいて、いまお話しのように技術的には不可能ではないということのようでありますので、ひとつこのブースの移転について十分前向きに善処をしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。ちょっともう一ぺん。
  277. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 先生の御趣旨の点、十分踏まえまして、よく公団並びに関係の県とも連絡をとって善処してまいりたいと思います。
  278. 堀昌雄

    ○堀委員 あともう一つありますのは、実はいま私が申し上げましたように下に十車線、自動車が通ります。上に六車線自動車が通ります。あの狭いところを十六車線の自動車が通るというたいへんな事態が起こるわけであります。私どもはいまの公害の問題から考えましても、これはこのままではどうも周囲の住民の皆さんがなかなか納得しにくい問題もございますので、これは道路局のほうの問題だと思いますけれども、これまでの十車線が十六車線にふえることでありますし、上は高速で、流れはずいぶんよくて、たくさん通れることになるわけでありますから、この際ひとつ四十三号線の歩道側に面した部分に緑地帯、グリーンベルトをつくっていただけないか。尼崎はいま申し上げたような非常に大気汚染の激しいところでもありますので、グリーンベルトを両側に約一車線程度のものを考えていただくならば、これは積極的な公害対策の面でもきわめて有効なことになると思いますし、あわせて下の部分における十車線が八車線になりますので、多少その点における排気なり騒音に対する被害の問題も軽減されるのではないか。ただ、しかしそうだからといって、全体としては依然として四車線ふえるということになるわけでございますので、この点についてもひとつ、これは建設省プロパーの問題でありますけれども建設省側の善処を期待いたしたいのでありますが、いかがでありましょうか。
  279. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 先生指摘のように、第二阪神国道は幅員五十メートルの十車線の車道を持ち、両側に六メートルの歩道を持っておる道路でございまして、一番まん中に四メートルのグリーンベルトがあったわけでございますが、そのグリーンベルトをつぶしまして、そこに橋を立てまして、その上に六車線の阪神高速道路をつくる計画になったわけでございます。中央のグリーンベルトをつぶす関係で、われわれといたしましては両側の六メートルの歩道の中にグリーンベルトをつくりたいということで計画はしておったわけでございますけれども、ただいま先生指摘のように、十車線の車道が十六車線になるのでございますので、両側にそれぞれ一車線ずつつぶしましてグリーンベルトにしますと緑地帯が相当広くなりますので、そういうような計画をいま検討させたいというふうに考えております。もし、検討いたしまして具体的にそういうような案ができましたら、近畿地方建設局と、それから阪神高速道路公団と兵庫県、それから県の警察、それから地元の関係市の五者の協議会におきまして正式に決定したいというふうに考えております。
  280. 堀昌雄

    ○堀委員 もう一つ、私うっかりしておりましたけれども、これは高速道路公団のほうの関係なんですが、実は武庫川の東側のところのインターチェンジ、つまりランプですが、何かたいへん高い架設物になるために、その北側の住宅地帯が全然日が当たらなくなるということのようでございます。どうかひとつ、これは希望でありますけれども、そういう道路の架設物ができたために、これまで十分目の当たっておった人たちが全然日が当たらなくなるということは、これはちょっと適切を欠くと思いますので、この点についてもひとつ十分な配慮をお願いをしたいと思うのでありますが、これもひとつお答えをいただきたいと思います。
  281. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 実情を調査いたしまして……。
  282. 堀昌雄

    ○堀委員 実は、この阪神高速道路が住民の反対でいまのような形になっておりますが、西宮までは来ております。片一方大阪はかなり進捗して、あと残った部分をつなげれば下側の車も上に上がるということで、まあ先のことはいざ知らず、当面はいまのような配慮をしていただきますならば、この四十三号線と阪神高速道路の西宮−大阪線による公害問題はかなり軽減される、こう考えますので、たいへん前向きの御答弁をいただきまして私も喜んでおるわけですが、ひとつ全体を含めて建設大臣から一言承って私の質問を終わりたいと思います。
  283. 西村英一

    西村国務大臣 非常に都市の道路につきましてはいろいろ御注文が出るようになりました。これはもっともなことでございます。ただ車が通る道路をつくればいいということでは済まされないのでありまして、したがいまして、多少時間もかかるし金もかかりまするけれども、やはりこれはどうしてもやらなければならぬ問題と思いますので、ひとつ慎重に検討させて、皆さん方の御了解が得られるように、りっぱな道路ができた、またあまり被害もない、こう喜ばれるような道路にしたい、かように考えておる次第でございます。
  284. 堀昌雄

    ○堀委員 終わります。
  285. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、新井彬之君。
  286. 新井彬之

    ○新井委員 私は道路の問題につきまして、三、四点にわたりましてお伺いしたいと思います。  第六次道路五カ年計画がいま着々と進行しておると思いますけれども、その進捗率はどのようになっているのか。まあ順調にいっているということはお伺いしているわけでございますけれども、この第六次道路五カ年計画を設定いたしましたときに、非常に全国的に交通渋滞のところがある、したがいましてその交通渋滞を解消するということが主眼であったと思うのでありますけれども、現在どんどん進んでおるにもかかわらず、国道一号あるいはまた国道二号、至るところ渋滞度がどんどんふえておるのではないか、このように思うわけでございます。そういう中で、交通安全対策五カ年計画におきましては、現在の交通事故を半減さすのだという目標のもとにいまやっておりますけれども、この道路の第六次五カ年計画の進捗率とそのような交通渋滞の解消ということ、そういうことについてのからみ合いをお伺いしたいと思います。
  287. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 最初御質問の第六次道路整備五カ年計画の進捗率でございますけれども、十兆三千五百億のうち、一般道路、有料道路事業、地方単独と、三つの大きな種別に分かれておりますが、全体を含めまして、四十七年度末におきまして五五・一%の進捗になります。そのうち、一般道路事業は五五・三%、有料道路事業は五一・二%、地方単独事業が五八・五%ということになっておりまして、地方単独事業が最も進み、有料道路がややおくれているという進捗率でございます。なお、五カ年計画あと四十八年度、九年度の二カ年しか残されておりませんが、二カ年間におきます平均伸び率はわずかに六%弱でございまして、きわめて進捗がいいという状況かと思います。  それから第二点の御質問の、五カ年計画の進捗が予定どおりに進んでおるにもかかわらず、交通混雑区間が非常に多いわけでございます。第六次五カ年計画を作成するときにあたりましては、全国各地の交通量調査の結果、非常に混雑している区間をいわゆる混雑度という係数であらわしまして、混雑度が一をこえるものにつきましては昭和四十九年度末までに全部解消したいということで工事にかかったわけでございますけれども、御承知のように、バイパス等の工事一つのプロジェクトを実施するまでに数年間を要します。したがいまして、そういう個所が随所にできまして、全国各地の混雑の多いところがいまだに解消せずに残っておるわけでございます。特に最近は事業費の値上げが非常に大きく、計画をはるかに上回るような事業費の増大になりまして、そういうことからかなりおくれているのが実情でございます。なお加えて申しますと、推定自動車の保有台数の推移と申しますか、これがわれわれの予想をはるかに上回りましたことも、混雑を激しくしている大きな理由になっておるわけでございます。
  288. 新井彬之

    ○新井委員 そこで、具体的な面でお伺いしたいと思いますけれども一つは、兵庫県の揖保郡揖保川町正条というところに正条橋というのがかかっておるわけでございます。これは国道二号線でございますけれども、橋は昭和六年に新設をされまして、全長が三百メートル、幅が六・一メートル当時といたしましては非常に思い切った橋であったようでございます。けれども、著しい車両の大型化と激増に伴い、極度の混乱を現在来たしておるようでございます。特に国道二号線というのは幅が九メートルと非常に広いわけでございますけれども、正条橋は六・三メートルと極度に狭くなっておりまして、車の流れがそこで非常に停滞をする。また交通事故が多発しておるわけでございます。特に夜間は大型の特殊車両、そういうものが通過するために、橋の欄干が各所で破損して川の中に落ちている。これも写真等を持ってまいりましたけれども、非常に各所がいたんでおります。それからもう一つは、大型車両の通過のときは橋の手前で停車しないと、向こうから大型車が来る場合には通過不能となる、こういうような状態でございます。それから交通量でございますけれども、四十六年の八月までの交通量観測調査によりますと、一日二十四時間平均が実に四万二千九百四十台、一時間の平均が約千九百台、一分間三十二台の車両が通過をしておるわけでございます。交通事故も、四十六年一月より八月までに百七十九件、そのうち死亡が一名、負物者が百五十六名、その七割までが正条橋を中心に起こっておるわけでございまして、急激な停滞によって追突事故が圧倒的に多く、とうとい人命を失い、また一生取り返しのつかない不具者となって暗い人生を泣いて暮らしている人が非常に多いということで、一日も早くこの改良工事を促進していただきたいということを再三にわたって建設省のほうに申し入れがあったと思います。この件については予算もついてきちっとなっておるということを聞いておりますけれども、その件についてどのようになったか、お聞かせ願いたいと思います。
  289. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 国道二号線の揖保川と交差します正条橋の拡幅の事業でございますが、昭和四十六年度に調査設計を行ないまして、昭和四十七年度から用地買収並びに橋の下部工事を実施いたしまして、もし用地買収が順調に進むようでしたら昭和四十八年度、来年度には完成させたいということで鋭意仕事を進めさしております。
  290. 新井彬之

    ○新井委員 その規模でございますけれども、その計画は、いまの正条橋の北側にもう一つの橋をかける。それから取り合い道路を現在の国道に取りつける、こういうように聞いておるわけでございますけれども、取りつけ方はそのような取りつけ方をなさるのですか。
  291. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの揖保川の橋につきましては、現在の橋の上流に新しく新橋をかけまして、そのあと旧橋を撤去いたしまして、さらに四車線に新橋を広げるという拡幅の工事になるわけでございまして、現道をちょっとはずれるような計画になります。
  292. 新井彬之

    ○新井委員 次に、現在姫路バイパスがどんどん進行しておりまして、四十九年の三月には完成するということだと思います。とにかく姫路が非常に交通渋滞を来たしておりまして、よしんばこの姫路バイパスができましても、今度はそれ以後の西行きの車というのが非常にこむのではないか。現在西行きの車というのは、先ほど申しました国道三号線、これは一時間に千九百台、それからもう一つは二百五十号線というのがございますけれども、二百五十号線というのは一時間に約九百台の車両が通っておるわけでございます。したがいまして、今後、先ほども局長からお話がありましたけれども、バイパスをつくる場合においては非常に時間がかかるということでございまして、いまからその設計等もしなければならないのじゃないかと思うわけでございますが、西播バイパスですね、もう一つは山陽道ともいわれておりますけれども、その建設予定はどういうふうになっておるか、きまっておれば教えていただきたいと思います。
  293. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの御質問は、国道二号線の姫路から西のほうでありましょうか。
  294. 新井彬之

    ○新井委員 そうです。
  295. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 だといたしますと、これはただいま山陽自動車道の一部として調査をずいぶん進めております。すでに基本計画が昨年の六月の審議会の議を経まして策定されまして、ただいま整備計画のための調査を進めております。したがいまして、できるだけ早く調査を完了いたしまして、山陽自動車道として建設するのが最も早いのじゃないかと思いますので、そのほうの調査を鋭意進めさせることにしております。
  296. 新井彬之

    ○新井委員 そうしますと、いまのところはそのルートとか、あるいはまたいつごろやろうというような予定、あるいは予算的にはどのくらいになるのだというようなことは、概略はまだ全然わからないわけでございますね。
  297. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 先ほども答弁いたしましたように、山陽自動車道については昨年の六月の審議会で基本計画ができた段階でございまして、それ以後、現在においても整備計画のための調査を進めております。整備計画調査は、四十六年度の調査は終わりましたが、その調査成果を検討いたしまして整備計画をつくれるまでの調査が進んでおるならば次の審議会に間に合おうかと思いますが、ただいまその資料はまだ手持ちにございませんので、現段階では整備計画を出せるかどうかははっきりいたしませんが、われわれといたしましてはできるだけ早く整備計画をつくりたいというふうに考えております。
  298. 新井彬之

    ○新井委員 いまの、基本計画が大体できたということでございますが、聞くところによりますと、その通る場所はちょうど相生市のいまの区画整理事業のまん中を通るというふうに聞いておるわけでございます。そこでいろいろと問題があるようでございます。国鉄がありまして、その上に国道二号線が通る、それから百メートルも離れないところをその山陽自動車道が通るというようなことで出ておるので、非常にこま切れにされてしまうのではないか、このような問題も出ておるようでございます。そういうわけで、今後整備計画を進める上におきまして、そういう地元の意見等もよく聞いていただきたい、このように思うわけでございます。  それからもう一つ、姫路から西行きの車は、先ほど申しましたように二百五十号線というのがございますけれども、この二百五十号線は大体海岸べりを通りまして、そして相生に抜けて、相生からまた赤穂へ通過する。しかしながら比較的市内を通っておりますし、先ほども申しましたように、通過車両は一時間約九百台ということで、その道路幅が六・五メートルぐらいのところを通っておるわけでございます。したがいまして、交通事故等が非常に多いということで、これは相生市としても何とかしなければならぬということでいろいろやっております。前に、昭和二十九年に、相生市のまん中を通さずに相生大橋を建設しようというような問題がありましたけれども、それも立ち消えになっている。海岸べりにするとか、いろいろの案があるようでございますけれども、その二百五十号線のことについて建設省としてはどのような考え方をお持ちになっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  299. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 国道二百五十号線のうち、姫路市飾磨というところから岡山の県境までの約五十キロの現況について申しますと、御津町岩見というところから同じく御津町の室津の間、並びに相生市の鰯浜地区の約九キロを除きまして、すべてが改良済みになっております。本区間の整備計画につきましては、昭和四十六年度約一億六千万円の事業費をもちまして、未改良区間の改築並びに姫路市網干地区の二次改築を実施しておりまして、昭和四十七年度も引き続き整備を促進する方針にしております。それ以外に、先生から先ほど御質問がございました相生大橋という橋をかけましてバイパスにする計画につきましては、現在検討中でございますけれども、やるかどうかはまだきめておりません。以上でございます。
  300. 新井彬之

    ○新井委員 もう一点、いまの二百五十号線は下側を通るわけでございますけれども——下というか、相生から赤穂に入ってしまう。それから山陽道におきましても大体似たようなルートを通るということになっておるようでございますが、第二国道沿いにまっすぐ岡山に入るという道がないためにこの国道が非常に混雑をするのではないかということがあるわけでございます。現在も非常に停滞をいたすために、竜野から上郡あるいは岡山県の吉永町に通ずる県道があるわけでございますけれども、そこのほうが一ぱいになってまいりまして、非常に細い道なんですけれども、そこはいつも車が一ぱい通るという状態になってまいっております。その西行きのほうの線について何か今後考えることがあるかどうか、その件についてお伺いしたいと思います。
  301. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 西行きの線につきましては、旧道二号線につきましては、先ほど申し上げましたように、山陽自動車道を至急つくることによりまして交通を緩和したいというふうに考えております。ただいまの国道二百五十号線につきましては、赤穂から西の岡山県境までは、西のほうから岡山県の東備西播開発有料道路が参ります。したがいまして、これによりまして岡山にまっすぐ入れるような計画になっておりますので、ただいまの二百五十号線は主として東備西播有料道路、それから国道二号線に関連する交通は山陽自動車道をつくることによりまして、かなり緩和される、こういうふうに考えております。
  302. 新井彬之

    ○新井委員 国道二百五十号線、そしてまた国道二号線、それから山陽道、中国縦貫道路、国道九号線がずっと縦貫していくわけでございますけれども、それを縦で結ぶ道路、こういうものが今後必要になってくるのではないかと思います。そういう面についてはどのようにお考えになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  303. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 縦の線につきましては、姫路から北の豊岡のほうにまっすぐ行きます国道がございます。それからそれ以外にも南北に通じます国道がかなりございまして、これらの整備をすることによりまして有機的に道路網が形成されるというふうに考えております。
  304. 新井彬之

    ○新井委員 道路局長もあまり現地のことをごらんになったことがないのでおわかりにならないので、非常に大きな範囲お話をされておりますけれども、最後に、現在中国縦貫自動車道の建設がどんどん進められております。そしてインターチェンジであるとかバスストップであるとか、そういう計画は大体きまってきつつあると思います。そこで、インターチェンジをつけない場合にはバスストップをつけていただきたい。特に兵庫県の山崎町あたりは今後非常に発展する地域だということで、そういうようなことの陳情なんかも局長のほうにいっていると思います。そしてこの件については何か検討するというような答弁をされておるようでございますが、それ以後何らかの検討がなされたかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  305. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 山崎町の地内におきましてバスストップを増設してくれという御要望を二、三度お聞きしたことがございまして、ただいまその件につきまして、当省並びに日本道路公団におきまして検討を進めている段階でございまして、まだ結論は出ておりません。
  306. 新井彬之

    ○新井委員 最後に大臣、道路の問題については先ほどもお話がありましたけれども、大都市におきましては六車線とかあるいは八車線というために、非常に公害問題、そして車が通ることはもう環境破壊であるという問題がある。それともう一つは、地方に行きますと今度は車が非常に渋滞をする、スピードを出すために交通事故が起こるというような、いろいろな形の違った問題が日本全国にあろうかと思います。そういうわけで、やはりその地域地域の状況によって公害を防止する、そしてまた交通事故もない、そして停滞をなくすというような方向において今後十分に検討し実施をしていただきたいと思いますけれども、一言そのお考えをお聞きして質問を終わりたいと思います。
  307. 西村英一

    西村国務大臣 道路問題は、従来とは違いまして、いろいろな要素を考えてやらなければならぬと思っております。ことにまた量の問題につきましてもいまたいへん整備がおくれておりますので、交通関係が非常に渋滞を来たしておることもまた事実でございます。しかも交通事故は年々歳歳減りません。これらのことを踏まえまして、道路行政につきましても十分注意深くひとつやっていかなければならぬ、かように思っております。皆さま方郷里のことには非常に詳しいわけでございますから、こちらからいろいろ御相談をするというようなこともあろうかと思いますので、今後ともどうぞひとつよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
  308. 新井彬之

    ○新井委員 ありがとうございました。
  309. 亀山孝一

    亀山委員長 それでは、吉田之久君。
  310. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 先ほど特に飛鳥、藤原の保存と開発の問題で御質問いたしましたが、ちょうど大臣ちょっと中座をされておりましたので、まとめて——局長からいろいろ御答弁をいただきましたけれども、それを要約してひとつ大臣問題越点をもう一度申し上げて、善処をお顧いしたいと思うのです。  一つは、明日香村としては、いろいろ所定の土地をどうしても国が買い上げるとおっしゃいますから、それはそれに応じなければならない。ところが、土地の値段というのは、先ほどの局長お話では、近傍隣地の値段できめる。そこらの原則はわかっております。ただし、この明日香というのは全く特別な地区にならされてしまっておるわけですね。だから民間デベロッパーが入り込むわけにもいかない。それから、何の転用もききようがない。そういう特殊な条件で手かせ足かせをはめられてしまった土地というものは、もちろん全然上がるはずはございません。だからといって、その近傍隣地みんな値段が安いから、その値段で買い上げるんだということに現状はなっているわけなんですが、これほど住民にとってひどい迷惑な、不利益な話はないと思うのです。先ほど局長お話では、確かにそういうことで、他の類似の市町村の土地価格をもしんしゃくして調整すべき必要はあるでしょうなという程度の御答弁でございますが、ひとつこの辺も大臣、よほど真剣に考えてやっていただかなければならないと思うのです。それが一つ。  いま一つは、あらかじめ村自体が、特別史跡のある周辺は別として、全体の明日香村の調和ある保存と開発を進めていくためには、民間デベロッパーによって踏み荒らされたのではたいへんでごいますから、特に風致地区にかかっている、かかっていないは別として、先行所得を村がしなければならないという実態にございます。ところがそれには膨大な金が要ります。それで村としては土地取得基金というものを創設してほしいということをかねて政府に要望しているわけです。しかし、先ほどの御答弁では、まだ現状そういうことは考えておりませんという御答弁でございます。  それから、たとえば板蓋宮の発掘調査をする、保存をする、これは全く国のことですね。遠き千三百年昔の祖先が残した遺跡を、たまたまその地域住民は大事に大事に守ってきたわけです。守ってきたがゆえにその発掘調査や保存の二分の一を地元住民が負わなければならないという理屈は、私は今日通らないと思うのです。そこまで守ってくればまだごほうびをいただいても当然なんです。ところが、いま申しましたように、ごほうびどころか、さんざんな不利益を受けて、なおかつ保存のために半分をおまえさんら出せというのですから、これはもう七千人の村ではとてもついていけないと思うのです。他の河川の問題あるいは道路の問題、一々申し上げる必要はないと思います。私は、この段階まで来れば、いわゆる古都保存法やあるいは都市計画法やその他の既存の法律だけではこういう地域は守れないのではないか。この際、思い切って特別立法を制定していただく以外に方法はないのではないかというふうに考えます。これは私一人の考えだけではなしに、ここにいらっしゃる同県御出身の服部先生も、全くそうだといつもおっしゃっているわけなんです。だから、総理や総務長官はお見えになりましたけれども、できたら建設大臣みずから一度現地を見ていただき、あるいは都市局長や道路局長や河川局長さんらもひとつその辺の事情をほんとうに見ていただいて——われわれただ地域のために何とか言いがかりをつけて金を取ってくればいいわというようなけちな根性で申しているわけではございません。もはや限界に来ておりますので、どうかその辺のことをひとつ思い切ってこの段階で検討してもらいたいと思いますが、大臣のお考えはいかがでございますか。
  311. 西村英一

    西村国務大臣 私もちょっとべっ見はいたしましたけれども、まだつまびらかに見ておりませんから、一応拝見させていただきたいと思います。古都保存法ができましたときにはやはり相当に予算はつけましたけれども、二、三年、予算の消化ができなかったのです。ところが、いまはまたあの当時よりもいわゆる古跡の保存ということがだいぶ重要な意味を持ってくるようになりましたので、特別立法をしなければ飛鳥は守れないか守れるか、これは知りませんけれども、やはり国家がこういうものを人類の大事な保存物として認めるならば、地方公共団体にはそんなによけい負担をかけてはいけないものだと私は思います。したがいまして、これは言うだけではございません。どれだけ金が出るか知りませんけれども、そういう気持ちで、やはり国家が責任をもってやるというような気持ちが第一だろうと思います。そのためには立法して補助金をあげなければならないということもあり得ると思いますが、これは私だけの問題ではございません、政府全体の問題でございますので、いずれ関係大臣にも私はよく相談をいたしまして、皆さま方の御期待に沿いたい、国民の御期待に沿いたい、かように考えておる次第でございます。
  312. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 ありがとうございました。  それから、もう一点だけ、大臣、時間で恐縮でございますが、先ほど道路局長にも申し上げたのですが、たとえば藤原宮跡のところをよぎるバイパスの問題、あるいは二十四号線でも、奈良の周辺、平城官跡の付近で、せっかくちゃんと計画がきまり、決定がおりたのに、いよいよ工事を始めてみたら、重大な塔頭のあとが出てきたとか塔院のあとが出てきたとか、あるいは国宝クラスの埋蔵物が出てきたというので文化庁はストップをかけてしまうわけです。あげくの果ては路線を変えろというわけです。また全然初めからやり直しておるわけです。私は、こういうことによって生じたおくれというものは国の責任で取り返してもらわなければ、奈良県なんかはとてもやっていけないと思うのです。実は、先ほど申しましたように、二十四号線のバイパスも百六十五号線のバイパスも、全部そんなような事情でおくれておるのです。だから、三年かかってやろうとか五年かかってやろうとかでなしに、そういうおくれは国の責任なんです。そういう史跡あるいは重要文化財はたまたま埋まっていたのですから、その辺を特に大臣としては御了承いただきまして督励をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  313. 西村英一

    西村国務大臣 とにかく、道路をつくることも、これは何も建設省のためにつくっておるのじゃありませんで、やはり国民のためにつくっておる。それはやはり調和してやっていかなければならぬと思っております。いずれにいたしましても、今後道路をつくる、あるいは公共事業をやるのにつきましていろいろそういう問題が起こってきますが、これは調和をとりつつやらなければならぬ。古跡とかいろいろな問題でも、やはり程度の問題もいろいろありますから、いまあなたのおっしゃいましたところはどういう程度のものであるかわかりませんけれども、それは調和をとりつつ進めていかなければならぬ。いずれにいたしましても、私たちせっかく勉強しまして、皆さま方の御期待に沿うようにやっていきたい、かように思っております。
  314. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 どうもありがとうございました。
  315. 亀山孝一

    亀山委員長 次回は、来たる十四日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時八分散会