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1972-03-10 第68回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月十日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 天野 光晴君 理事 金子 一平君    理事 葉梨 信行君 理事 服部 安司君    理事 阿部 昭吾君 理事 小川新一郎君    理事 渡辺 武三君       小沢 一郎君    梶山 静六君       浜田 幸一君    古内 広雄君       村田敬次郎君    森下 國雄君       山下 徳夫君  早稻田柳右エ門君       井上 普方君    佐野 憲治君       松浦 利尚君    柳田 秀一君       新井 彬之君    北側 義一君       吉田 之久君    浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 江崎 真澄君  出席政府委員         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省河川局次         長       川田 陽吉君         建設省道路局長 高橋国一郎君         消防庁次長   山田  滋君  委員外出席者         首都圏整備委員         会事務局計画第         一部長     北川 博正君         建設省住宅局調         査官      沢田 光英君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     中込 達雄君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     島  守一君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 三月八日  名古屋市都市高速道路鏡ケ池線建設反対に関す  る請願外二件(加藤清二紹介)(第一一五五  号)  同外二件(横山利秋紹介)(第一一五六号)  同外七十二件(赤松勇紹介)(第一二六七  号)  同外二件(加藤清二紹介)(第一二六八号)  同外百七十七件(春日一幸紹介)(第一二六  九号)  同外七十四件(塚本三郎紹介)(第一二七〇  号)  同外二件(横山利秋紹介)(第一二七一号)  同外二件(加藤清二紹介)(第一三三六号)  同外三件(横山利秋紹介)(第一三三七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第六一号)  建設行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求に関する件についておはかりをいたします。  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案審査のため並びに建設行政基本施策に関する件調査のため、本日日本住宅公団から、総裁南部哲也君、理事中込達雄君及び理事島守一君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ――――◇―――――
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  5. 井上普方

    井上委員 大臣は二度目の建設大臣のおつとめでございます。私は四十二年にこの議席を得まして、当時建設大臣があなたでございました。それから五年たっておるわけでございますけれども大臣としまして、四十二年当時の建設大臣としてのお考え方と現在のお考え方では、建設行政に対するお考えが変わってきておるのじゃなかろうかと思うのです。したがいまして、あなたの、政治家である西村さんとしての建設行政に対する前の考え方――いままでのあなたの御答弁を承っておりますし、また所信表明を昨日も読み返しました。ところが、所信表明の演説は全部役人がつくった文章のように思われてならない。したがいまして、政治家西村さんといたしまして、建設行政はかくあるべきだという御方針が五年前と現在とでは変わっておらなければならないと思うのであります。端的にその点をひとつお伺いいたしてみたいと思うのであります。
  6. 西村英一

    西村国務大臣 私、二度目の建設大臣をつとめてございますが、いま政治家としてどういう態度かと端的に申しますと、建設省というものは、建設大臣はミニスター・オブ・コンストラクト、ただつくるのだ、建設するのだというような建設省性格が前はあったと思うのです。しかし、私は前も考えていましたが、いまこの段階で建設省のやる任務考えますと、そういうことではいけない。建設省は、何と申しますか、国土省というような、非常に広い意味の建設行政というものをやらなければならぬ。国土省考え方でやらなければならぬというような考え方を持っておるわけでございます。また、そういう姿勢でなければ建設省任務はつとまらない。どういうことをやりましても、非常に社会が複雑になったとともにまた考え方相当に変えなければならぬ。ただつくるだけではいかぬ、こういうような考えを持っておるわけでございます。その点を少しも表現されたいのじゃないかといえばこれはそういうことですが、考えとしてはそういう考えを持っておる次第でございます。
  7. 井上普方

    井上委員 私はいままでの大臣、あなたで四人でございますが、一言も二言も多い大臣もおりましたし、指示ばかり出して実現のできない大臣さんもおられたようでございます。しかしあなたは、何といいますか、淡々とした中にも風格のある政治家だと私は考察いたしておるので、この点につきましてお伺いいたしたわけでございます。  建設省国土省性格を持つべきである、私もその一面は理解できるのであります。そこで、そういうような考え方でものごとを考えましたときに、四十四年に策定いたしました全国総合開発計画、それに先立つ社会経済発展計画、これらにのっとって現在の建設省の五カ年計画なるものが進められておると思うのでございます。しかし、あの当時における社会経済発展計画現状とは合わなくなってきておる。たちまちの問題といたしましては、昨年来のドル問題にあらわされるがごとく、あるいはまた一昨年来から非常に国民生活を圧迫いたしております公害問題の続発、あるいは国土過密過疎の問題、これが特に顕著なあらわれとなっておりますがゆえに、国土計画そのものも変えなければならないということは政治家一様に痛感しておるところであろうと思うのです。  そこであなたは、国土省とすべきであるという考えからいたしますならば、当然社会経済発展計画の練り直しもやらなければならないでありましょうし、また新全国総合開発計画そのものにもメスを入れなければならない立場にあるのじゃなかろうかと私は思うのです。したがいまして、特にあなたのあげ足をとるようではございますけれども、新全国総合開発計画矛盾点建設大臣としていかに克服するべく努力されるか、あるいはまた全国総合開発計画を練り直す必要性につきましてはどのようにお考えになっておられるか、この点ひとつお伺いいたしたいと思います。
  8. 西村英一

    西村国務大臣 たいへん具体的なむずかしいことでございますが、新しい新全総をつくるということになっておりますから、それに対して建設省としても長期的なそれぞれの調査はいたしております。しかし私はいまそれに対してまだ判断を下す準備をいたしておりません。いずれこれに対して私たちが意見を申し述べる機会は十分あろうと思いますから、そのときには建設省としての、また建設大臣としての意見を十分申し述べたいという考えは持っておりますが、具体的には、これをこうする、あれをこうするのだというようなことを申し上げてもしかたがないのじゃないか。しかし少なくとも建設省がこれから考える、あるいは私が考えることはぜひとも盛り込んでいきたいという考えは持っております。
  9. 井上普方

    井上委員 大臣、私は政治家としての西村さんにお伺いしているのです。政治家であり、建設省大臣としての御抱負をお伺いしておるのです。二回目のつとめであると言いますけれども、昨年の七月に就任せられてから今日までの間に、あなたの国土省であるべきだという考え方は、何かそこには現在の行政矛盾、あるいは政治の行き方、そういうのに対して矛盾があるし、現在遂行せられておる各種計画の中に矛盾を生じたがゆえにそういうお考えになっておられるのではございませんでしょうか。それをいかにして直していくか。私は小さいこと個々を申すのではございません。荒筋においてこういう点に矛盾があらわれた、だからこれを直していこうという御抱負を承っておるのでございます。具体的にひとつご答弁をお伺したい、お考え方をお伺したいと思います。
  10. 西村英一

    西村国務大臣 質問が非常に抽象的でございますのでまた答えも抽象的にならざるを得ないのです。姿勢だけは私はさいぜん申し上げたことでございます。建設省の姿は国土省の姿でなければならぬ。具体的に土地問題をどうするのか、都心問題はどうするのか、また道路問題にしても、都市からかかるかいなかからかかるか、いろいろなそういう具体的な問題について新全総であれするので、いま具体的な問題でない、きわめて抽象的なご質問ですからこちらも抽象的にならざるを得ないようなことなんでありますから、その辺御了承願いたいと思います。
  11. 井上普方

    井上委員 でございますならば具体的に一つ一つお伺いいたしていきたいと思います。  まず第一番に、昨日から問題になっております立川基地自衛隊の移転問題でございますが、この問題につきましては、あなたが委員長をせられておる首都圏整備委員会におきましてあの立川基地あと地利用する方策をおきめになっておるはずであります。これは一体どういう内容でございますか。
  12. 西村英一

    西村国務大臣 それは首都圏整備委員会できめたものではないわけでございまして、首都圏整備委員会として、とにかく立川は御案内のとおりいまもこれは返還になったものじゃないのですから――飛行場飛行活動をやらないというだけで、正式に返還になったものじゃないわけでございます。飛行活動をやらない部分についてどうするかということで、私の前でございますが、昨年の六月に国有財産審議会があって、首都圏事務局長もそこに出て、もしそれが返還になった暁にはこうこうしてもらいたい、住宅をつくりたい、事務所をつくりたいという意見をそれぞれ申し上げたのでございます。しかし、飛行場飛行活動だけはしない。現在住宅もありますし病院もあるわけで、完全に返還になっていないわけですが、そういう臨時的に自衛隊に使わせようということの閣議決定を私の前に、六月にしたそうでございます。その閣議決定に基づいていま行なわれておるのでありまして、首都圏整備委員会としては、もしこれが完全に返ってきましたら私のほうでも十分そのあと地利用については意見がございます。そこまでまだいっていないのでございまして、首都圏整備委員会がきめたものではないわけだと私は了解いたしておるわけであります。
  13. 井上普方

    井上委員 大臣、問題が違うと思うのです。首都圏整備委員会返還後の立川基地利用計画を策定いたしております。その四日後にこれを自衛隊に使わせるという閣議決定をなされておるやに承っておるのでございます。大臣の話とだいぶ違うんです。この点いかがでございますか。大臣が就任前と申されますならば、すなわち首都圏整備委員会委員長に就任せられる以前の問題ではあるかもしれません。しかしその間の経緯につきましてもう少し明確にひとつ御答弁を願いたいと思います。
  14. 西村英一

    西村国務大臣 私の前でありましても私は責任がありますから、それはもう前であろうと何であろうとそんなことは関係ないのですが、結局、ずいぶん立川は広いのですから、もし返還されるとすれば、首都圏整備を担当しておる大臣としてはこの地を有効に使いたいという計画を持つのはあたりまえでございまして、もし返ってきたとすれば、この方面住宅に使いたい、この方面は公園にしようじゃないか、この方面事務所をつくる団地にしようじゃないかという計画をいつも委員会は練っておるわけです。それは立川のみならずほかの地域についても首都圏整備委員会としては練っておるわけです。そういうことで、それは事務的に研究しておるということでございまして、それが確定したものではないわけでございます。したがって私はそう理解しておるのですが、なお事務当局からひとつその当時の詳しいお話しをさせてもよろしゅうございます。
  15. 北川博正

    北川説明員 ただいま大臣が申し上げましたとおり、関東地方国有財産審議会におきまして首都県事務局長から、もしもこの立川基地が全面返環の暁には事務所あるいは住宅の施設をぜひつくりたいというお話しはいたしました。ただその審議会においては、全面返還の暁前の一時使用についてどうするかという問題がございまして、その一時使用については一応了承いたします。ただ全面返還の暁にはこうこうしたいという御希望を申し上げておるわけでございます。
  16. 井上普方

    井上委員 それはいつの話です。日にちをはっきりしましょう。日にちはいつです。
  17. 北川博正

    北川説明員 審議会がございましたのは、たしか六月二十四日でございます。
  18. 井上普方

    井上委員 たしか六月二十四日ではぐあいが悪いのです。
  19. 北川博正

    北川説明員 六月二十四日でございます。
  20. 井上普方

    井上委員 それでは閣議決定がされたのはいつでございますか。
  21. 北川博正

    北川説明員 六月二十九日です。
  22. 井上普方

    井上委員 そういたしますと、委員会というのは計画決定する委員会じゃないのだ、計画をつくる委員会だ、こう大臣言われましたが、そのような性格のものでございますか、首都圏整備委員会というのは。どうでございますか。
  23. 西村英一

    西村国務大臣 こういうようなところについて首都圏整備委員会委員会の案というものをつくりまして、それを案としてこういうふうに進もうじゃないかといえばそれは決定でございますけれども、それが全部これを支配するものじゃないわけで、これは各省関係を持ちますから、それはどうしてもやはりいま言ったとおり国有財産になれば国有財産審議会の場を通したり、いろいろ煮詰めまして、最後は、このような重大な土地でございますから閣議決定まで持っていかぬと、各省意見がそれぞれございますから……。首都圏整備委員会の案としてこうしようじゃないかということを、それはまあ決定といえば決定でございましょうが、私はそういうふうに理解をいたしておって、いずれにしても閣議決定まで持っていかなければいけない。やはり最後まできまらぬ、かように了解いたしております。
  24. 井上普方

    井上委員 委員会というのは私はそういう性格のものだろうと思います。しかしその委員会が、少なくとも首都圏整備専門家が集まって決定された案である。それを、政府自衛隊を移駐させるというためには、首都圏整備委員会の中の地方自治体意見というものも当然諮問しなければならないと思うのです。その合意の結果が、結局あそこに副都心的な性格をつくるという案で示されたのじゃございませんか。
  25. 北川博正

    北川説明員 こういった計画は、実は現在近郊地帯整備計画として、きのううちの審議会におはかりいたしましてその結論を得たのでございます。立川八王子、この近辺を近郊整備計画といたしまして、この辺を一つ都市の核とするという考えを持っております。その一環としてこういったものもあわせ考えたいということで、この近郊地帯整備計画においてそういった内容がきめられていく。これはきのう審議会でもって決定されたことですが、具体的に詳細には、立川がどうだとか八王子がどうだとか、そういうこまかい内容は含めておりません。ただ整備計画として、こういったところを一つの大オフィスセンターにしたいという内容を盛り込んでおるわけでございます。それによってきまってくる、そう考えます。
  26. 井上普方

    井上委員 それで私は大臣に一番最初伺いました、国土計画省的な性格建設省は持つべきであるというならば、やはりそういうような近郊整備計画あるいはまた首都圏整備計画、こういうような計画にのっとって――建設大臣としては両方の委員会委員長でございますので、やはりそういうものに重きを置いた国土計画をお立てになるべきじゃなかろうかと思うのでございます。ましていわんや自治体の東京都の知事がこの立川移駐には反対する、あそこは副都心的なものにしてほしいという以上は、民主主義の世の中でございますので、あくまでも地方自治体意見を尊重しなければならない、このように思うのでございます。  また江崎防衛庁長官は昨日も国会の答弁の中で、あそこは防災拠点にするのだ、こう言われたやに承っておるのであります。しかし防災最高責任者は、私は現在の法規上からいえば建設大臣だろうと思うんです。あるいは総務長官かもしれませんが、御相談はあったのでございますか、どうでございます。
  27. 西村英一

    西村国務大臣 そういう相談はございません。
  28. 井上普方

    井上委員 防災最高責任者である建設大臣に御相談なくして、立川基地首都圏における防災拠点にするんだ、出動の拠点にするんだというお話を承ると、私はどうも防衛庁長官の一時のがれの御答弁ではなかろうかと思うのであります。しかも大臣に対しましてはそういうお話は全然なかった、こういうことを承る以上は、私どもはこの問題につきましてもう少し究明したいと思います。  委員長に御処置をお願いいたしたい。こういうように、政府部内において防衛庁長官建設大臣相談なくしてやられようとすることは、やはり閣内における意見の不統一がある。したがいまして、この場に防衛庁長官を呼んでいただきまして、私どもはその間の究明をいたさなければならないと思います。防衛庁長官の召換をお願いいた  したいと思います。
  29. 亀山孝一

    亀山委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  30. 亀山孝一

    亀山委員長 速記を始めて。
  31. 井上普方

    井上委員 ではただいまの問題は防衛庁長官が来られてから質問さしていただくことにいたしまして、続いての問題は、国土計画をするという性格を持つ建設省といたしまして当然やらなければならない問題について、私は具体的に御質問いたしたいと思います。  昨日の朝日新聞を拝見いたしますと、土地高騰が非常にひどくなってきた。この原因は、都市銀行資金土地投機方向に流れておる。具体的に言うならば、建設業者に対しましては昨年中に四二%以上貸し出しがふえておる。あるいは不況パルプであるとか繊維会社土地業者に変わりつつある。それに対しての資金がこれまたどんどん流れているという新聞記事が出ておるわけであります。政府当局といたしましては、金融緩和をやって景気の浮揚をはからなければならないという方針で臨まれておる反面、一方において建設省国土省的な性格のもとに土地高騰を押えなければならない。そして、土地高騰を押えると同時に公共事業の進展をはからなければならないという二つの面を建設省は持っておる。ところが金融緩和方向土地投機方向に向いておるということになりましたならば、政府のとっておる経済政策建設省考えておる方向と全く反した方向に進んでおると思うんです。この点につきまして建設大臣としていかなるお考え方で臨まれるのか、お伺いいたしたいと思います。
  32. 西村英一

    西村国務大臣 あなたも御存じのとおり、都市問題というのは地価問題、もう一つ最近の都市問題は公害の問題、この二つがあります。結局都市問題は地価問題といわれているくらいで、われわれとしてもない知恵をしぼって、その地価の問題について建設省としては対処しておるのでございます。これは公共事業をやるからでございます。しかし、あなたが言われておるとおりでございます。したがいまして、土地を持っておる人はなるべく吐き出してもらおう。土地というものは、私が申し上げるまでもなく買っておけば保管料があまり要りません。ほっておいてもいいし、売り惜しみをしても管理費がかかりませんから、どうしても投機の対象にしたがるのでございます。そこで、先般来、個人が持っておる土地はなるべく出してもらおうじゃないかということで、個人譲渡所得の制度ができたのであります。法人相当土地を持っておる。それは現に統計にあります。したがいまして、法人譲渡所得に対して措置をしたいというのが建設省考えであり、私の考えです。私は今度の税制調査会でも大蔵省と相当に交渉したわけです。しかしこれは税の問題で、税制調査会では法人税譲渡所得についてはなかなか手がつけられぬ。非常にむずかしい。何がむずかしいのか。私は税制上の問題としてむずかしいことがあるんだろうと思う。その辺は私はつまびらかにしませんが、少なくとも法人の持っておる土地はひとつ出させたい。そうでなければ、いまあなたがおっしゃいましたように、金融緩和で金を借りてどんどん土地を買い込むということができて、ますます地価をつり上げるようなことになりますので、この法人税の問題については今後とも十分私はやりたい、そして不必要な土地は出させたい、かように考えておる次第でございます。
  33. 井上普方

    井上委員 私は大臣のその御方針に賛成でございます。現在の土地問題につきましては、個人土地思惑よりもむしろ法人企業土地思惑のほうが大きいんじゃないか。ましていわんや、予算委員会におきましてわが党が主張いたしましたように、法人の持っておる土地の再評価をやらなければならないというような問題もあると思うのです。しかしとりあえずは、まず企業譲渡所得についてメスを入れなければならないと思います。しかし、現状におきましては、都市銀行貸し出し土地投機方向に向いておる。これは大臣が就任して以降のことでございますが、新しい現象として出てきておる。まあ新しい現象ではないにしても、増加の方向に向いてきておりますので、これに対してチェックしなければならないと私は思うのです。いままでこれに対する対策というものが建設省としても全然とられておらぬし、かつまた内閣におきましてもとられておらないようであります。  御存じですか。金融緩和が拍車をかけまして、建設業あるいは不動産業に対する貸し出しパーセンテージが非常にふえている。パーセンテージで申しますと、建設業には昨年中に四二%ふえている。あるいはまた私鉄とか百貨店、スーパーのほかに、繊維や紙やあるいはパルプ業界にも広がっておる。これらの連中は土地投機に金を出すために、そこらの不況の廃業に対しても他の産業以上に――繊維でございますと、四十五年末の都市銀行貸し出し比率よりもはるかに上回った比率繊維業界に出ておる。不況産業ですよ。これは何だといいますと、繊維産業土地投機に金を使っておる、こういう現象が起こっておるのであります。この半年の間の土地の値段の高騰都市周辺においてはすさまじいものがある。これは個人住宅を確保する上においても非常にむずかしい問題になりますし、かつまた公共投資の効果の激減ということにもなろうかと思うのです。したがいまして、当然この金融緩和による土地投機への金の流通というものをチェックすべく内閣としてはやらなければならないと思う。それがなされておらないでしょう。この点についてどうでございますか。どういう方針で臨まれるか、私は西村さんにお伺いしたい。私、いままでの大臣を見ますと、指示をたくさん出して、実現もできないような指示を出すような大臣もおりました。しかし、あなたであれば不言実行と申しますか、必ずやっていただけるという期待があるから私はお伺いしておるんですから、この点ひとつ明確にお答え願いたい。と同時に実行していただきたい、このように思いますが、いかがでございますか。
  34. 西村英一

    西村国務大臣 この土地に対する法人税、これは個人の譲渡の場合もやったんですから、これはバランスとしても法人をやって当然なんだと私は思う。また、個人はそんなにたくさん持っておらないが、法人はうんと持っておると私は思う。したがってそれを何とか法人税譲渡所得考えなければならぬと思う。どうもその点はざっくばらんにいって大蔵当局と意見が合わないんです。しかしぜひ私はやりたい、かように思っております。  それからもう一つ、これはお尋ねがありませんが、地価問題で、いま建設省としては地価の公示をやっていますが、これはいま半分くらいしかできておりませんが、地価の公示ができましたら地価公示に合わせるように地価をやるというこの方法を活用しなければならぬと思う。活用するのは、あなた方もそう言っておられるように、地価公示価格以上で売った所得に対しては税法上で何とか対処しなければ、せっかく一生懸命地価公示をやっても何にもならぬということもありますから、この二つの問題、法人で持っておる土地を吐き出させるということと、それから地価公示法で公示価格を何とか生かすということ、この二つ地価問題については最も重要なものだ、こう思います。地価が上がるのは需要が上がるんだから、宅地を大量にやれば、こう言いますけれども、宅地を大量にやることもいいが、それは一時的にできることじゃありません。したがって宅地の増大以上にだんだん上がっていきますから、宅地のいまあなたがおっしゃいましたような制度をぜひひとつ私はつくりたい、かように思っておる次第でございますので、どうぞ御協力のほどをお願いいたします。
  35. 井上普方

    井上委員 あなたの法人に対する考え方につきましては私は了といたしますし、強力に推し進めていただきたいと思うのでございますが、しかし公示制度につきましてのお考え方は少し甘いんじゃないかという感がいたします。この問題につきましてはまた機会を得ましてやることといたしまして、私はとりあえずの問題としては、ドル・ショック以降日本の大蔵省の、佐藤内閣の経済方針としては金融緩和に大きく踏み切っております。ところがその金が土地投機のほうにうんといきかけておる。土地投機に、そういう方向に流れておる。これをどういう方向にチェックするかということをお伺いしておるんです。たちまちの問題として、おそらく都市周辺でありましたならば、このままでいきますとこの半年の間で三〇%から三五%くらいの土地の値上がりがあるだろうということが予想せられるわけです。これは大企業、そういうような不況産業あるいは住宅産業、あるいは不動産あるいは建設業あるいはまた私鉄、こういう連中がともかく土地の買いあさりに狂奔しているからにほかならない。その金はといいますと金融の緩和、四十五年末よりも四二%も貸し出しがふえておる。こういうようなところに原因がある。この点、当面の問題として、この金融緩和土地の値上がりとの問題、これについて建設大臣としてはどういう考え方で進められるか。考え方がいまのところなかったらないでけっこうでございます。お伺いしたい。
  36. 西村英一

    西村国務大臣 それは確かに重大な関係は持っておりますが、それかといって私は建設大臣の立場で、金融の問題について、これはたいへん複雑なことでございましょうから、一年、二年の問題でございませんから、土地を買う金は貸さないとかなんとかいうような、そういうこともこれはなかなか私としてはできそうにございません。が、そのために結局緊急を要しない相当な金がそのものに投資されておるということは私も十分了承いたしておりますが、その対策いかん、こういうことになると、ちょっといまあなたに申し上げるような手は私は考え出せません。
  37. 井上普方

    井上委員 私は了としますけれども、あなたも佐藤内閣の閣僚の一人です。でございますので、都市銀行がこういうような方向に進んでおるが、大蔵省とすれば行政指導の面でチェックできます。当然建設大臣として、あなたはこういうような事態を見られたならば、大蔵省当局に対し、大蔵大臣に対し、このチェックを要求するのがあなたの立場じゃなかろうかと思うのでございます。いままで考えつかなかったとおっしゃられますが、今後は大蔵大臣に対しましてこういうような申し入れをしていただきたい、そしてきびしく土地高騰を押える努力をされたいと思うのですが、いかがでございますか。
  38. 西村英一

    西村国務大臣 十分趣旨はわかります。全然大蔵大臣に言わないことはないのです。それは正式に申し込まないだけであって、ほんとうにそういうことは私はもう大蔵大臣にはしょっちゅう言っております。少し大蔵大臣からいやがられるほどしょっちゅう言っております、正式には申し込みませんが……。なお御注意もございますので十分注意をいたします。
  39. 井上普方

    井上委員 先ほどの立川基地への移駐の問題は、江崎長官が出られるそうでございますので、そのときにひとつ委員長におきましてはお取り計らいをお願いいたしたいと思います。  土地問題が現在では非常に大きい問題だと思いますので建設大臣にお伺いいたしたのでありますが、あと続いて住宅の問題でございます。庶民が住宅をつくるには、土地の入手が非常に困難だということはこれは問題でございますが、この問題は別にいたしましても、昨今の住宅の建設費というものは毎年一〇%から一四、五%上がっております。建設省としては住宅産業の機械化ということに、すなわちプレハブ住宅をつくられるというような方針に力を入れられておるようでございますけれども、指導されておるようでございますが、しかし依然として高い。それだけ力を入れられても一〇%から一四、五%の建設費の高騰がある。これは人件費もございましょう。人件費もございましょうが、材料費もあるようであります。特に材木関係、木材の高騰は、国内においては停滞しておるにもかかわらず、末端の小売り価格においてどんどん上がっておる。しかもその間においてドルの切り下げ、円の切り上げによって、外材の値段というものは当然下がらなければならない。ところが実際は、末端小売り価格においてはむしろ上がりぎみである。これは建設省の統計を見れば私はわかると思います。これらに対しまして大臣としてはどういうような処置をとられておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  40. 西村英一

    西村国務大臣 住宅の建設費は年々歳々上がっておりますが、最近特に上がったということは私は思っておりません。材料にいたしましても、必要な鉄材なんかそんなに上がっておるとは思いません。一番上がっておるのはセメントでございましょうが、材料を注意して見ていると、セメントはセメントのいろいろな問題のために相当に上がっておりますが、その他特に顕著な上がり方というものはございません。それからプレハブ住宅の問題でも、どうしても上がるというのはやはり絶対の戸数が少ないからです。その絶対の戸数の少ないのを業者の多くの人に少しずつ分ける。これが、あるところが大量にやるというふうにきめれば相当に下がるのだろうと思うのです、ああいうものは。それだからして、プレハブの場合、絶対量を少し大量にふやすようにしなさい。そして業者を少なくするようにしなさい。しかし、業者を少なくするということに対しては、業者のほうにとってみれば公平の原則で、少しずつやるというふうになるものだから絶対の建設費は非常に上がるのでございまして、上がる要因についてはいろいろあろうと思われますが、これはつとめて私のほうでも注意して、建設費の低下、なるべく下げるようにというようなことは十分考えてやっておるつもりでございますが、所期の目的はあまり達していない、こういうことでございます。
  41. 井上普方

    井上委員 私がお伺いするのは、一例といたしまして、円の切り上げによって当然下がらなければならない外材が依然として上がっておる。これらに対してはやはり追跡調査をされるなり――この問題は、輸入関係は通産省でございましょう。しかし建設省としても庶民住宅を建てるという大命題がございますので、やはりここらあたりの追跡調査をやられる必要があるのじゃなかろうかと思うのです。ドルが下がって円の切り上げがあったにもかかわらず、依然として外材は末端小売りにおいてやや上昇ぎみであります。円の切り上げによって少なくとも国民はその恩恵といいますか、利益というものを得なければならないと思うのです。それがなされておりません。ここらあたりについての行政指導を建設省としても当然関心を持つべきだと私は思うのです。ここらあたりに対してどうでございましょうか。
  42. 西村英一

    西村国務大臣 この問題は物価問題でもたびたび出るのです。円の切り上げによって輸入価格は下がるのじゃないか、少しも下がらぬじゃないかという問題は出るのですが、それは非常に複雑な問題がたくさんあると思うのです。たとえば総代理店の問題だとか流通機構の問題でなかなか下がらないようになっておる。これは木材のみじゃございません。ほかの物資もあまり下がっていない。よくウイスキーの話が出るのですが、なかなかこれが下がらない。近ごろ少し下がったというようなことですが、そういうことについては、少なくともこの円の切り上げの効果を生かさなければならぬということはしょっちゅう閣議の席でも出るわけでございますが、私もそういう点につきましてはあまりくろうとじゃございませんからよくわかりませんけれども、あなたのおっしゃったとおり、これは今後は建設大臣といたしましても十分注意をいたしてみたい。いままでも注意をしておりますが、なかなか全般的に効果をあげていないのです。そういうことが現状でございます。
  43. 井上普方

    井上委員 住宅問題につきましては、また詳しい問題につきましては後々お伺いいたします。きょうは総論ばかりやっておりますので、概論的な話をひとつやらしていただきたいと思います。  続いてお伺いいたしたいのは水事業につきまして。これは、水の需要供給の面においてアンバランスが生ずるのではないかと思います。上水道で使った下水をまた浄化するというようなこそくな方法、あるいはまた工業用水を浄化してもう一度使うというような方法をやられておるようでございます。しかし将来、あの新全国総合開発計画によりますれば、首都圏の人口は爆発的に多くなる。しかも、国民の一日の水の使用量というものは現在三百八十リットルを大体予定しておるようでございますけれども、将来まだまだこれは伸びてくると思うのです。経済企画庁の役人と私はこの点について論争したことがございますが、アメリカで個人の必要がこれだからこれの何割でいいのだろうというような、まことに大まかな計算をやられておったようでございます。水の専門家である安芸皎一さんの御意見でございますが、首都圏の水の需要というものはこれはたまったものではない。将来は富士川あるいは信濃川の水を首都圏に導入しなければこれは解決できないだろう。それだけでもまだ足りませんというようなお話でございました。  そこで、工業用水が何といいましても都市用水のうちの大多数を占めますので、これを地方に分散していくという計画全国総合開発計画の中に組み入れなければならない問題だと思います。しかし、たちまちの問題といたしまして、近畿圏においては琵琶湖の総合開発計画、あるいは首都圏においては霞ヶ浦の水の調整をやろうとされておる、こういう計画があります。あるいはまた利根川の水を江戸川に導入するという問題がございます。しかしそれとてもたちまちの問題といたしまして、霞ヶ浦あるいはまた琵琶湖に水利権を持っておる漁民、農民あるいは周辺に住む住民がそれに対して反対する。反対する立場も私はよくわかると思うのです。今度も琵琶湖の総合開発の法案を出そうとされておるようでございますけれども、実際問題としてあそこの水位を一メートル半ないし二メートル下げるということになれば周辺の農業用水はもちろん不足になる。地下水をくみ上げておる場合はこれをやり直しをしなければなりませんし、同時に漁民の方々は、おそらくあそこに生息する魚類の生態が全然変わってくる、とれなくなるというような面からいたしまして、将来の生活に不安を生ずるというような問題が私は出てくると思うのです。  その際に、いままでの建設省の方式としては全部補償という形、金で解決するという方向でいつも進んでおります。しかし、そういうような生活に密着した農漁民にとりまして、特に琵琶湖あるいは霞ヶ浦の農漁民にとりまして、これは生活保障の方向――世界の土地収用あるいはそういうようなことにつきましての補償の形式は、金の補償ではなくて生活保障のほうに現在向いておりますが、こういうような方向をやはりわが国でもとる必要があるのじゃなかろうか、このように思うのですが、いままでの建設省の補償方式というのはあくまでも金一本でいっておった。それよりも生活保障の方向――生活保障というのは非常に多岐にわたって技術的にはむずかしいと思います。むずかしいけれども、そのような方向に進まなければならないのじゃないかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  44. 西村英一

    西村国務大臣 水の問題ですが、私のほうでも調べております。私も調べましたが、全国的にこれはたいへんな差があるわけです。いま結局国民全体が使っておる水の量、それを単位にすると、全国的には開発可能で使える水の量はいまの倍くらいはあるでしょう。しかし、たとえば北海道なら北海道とかあるいは東北なら東北とかいう地域は余るけれども、関東それから近畿、それがやっぱり足らないわけです。したがって、人口の分散、産業の分散ということは、土地の問題と水の問題から論じてもそういうことになるわけですが、それが遅々としてなかなか容易じゃないわけなんでして、いま一生懸命やっておるわけです。  そこで、水の問題の解決の場合にダムをつくってそうしてやる場合にも、人家の立ちのきを金で解決するというような方法、しかしこれをあなたが言ったとおり金じゃなくて生活の面でひとつやったらどうか、こういうことももっともなんです。しかし、私は端的にいって役所の仕事ではできないと思うのです。なかなかこれは複雑でできない。それで早い話が金で解決するのです。そこで、やはりそれをやらせるのは民間の組織を使わないとできないと思うのです、その保障の方法は。沼田の問題が起こりまして松永老人がやったときも、やはりそこで職場を失った人はほかに職場を持たせる方法――農民の方々あるいは漁民の方々にはそのほうがいいのです。金をもらったらすぐ使ってしまうのですから、そこで生活の方法を考えてやったほうがいいことはわかっておりますが、役所でやれば限界がございまして、どうしても金で対処しなければならぬ。たとえば代替地を買ってあげるとか生活の方法をほかに考えてやるというようなことは、役所の仕事としては限界がありましてなかなかできがたいと思います。精神はあなたの言うとおりそうあるべきだ、金で対処すべきじゃない、やはりほかの方法で、生活の方法で対処すべきだということは私も考えておりますが、何かそれについていい方法がございましたら私はこういうことは進めてみたい、推進してみたいという考えはいたしております。
  45. 井上普方

    井上委員 私は大臣一つの事例を持っておるのでございます。私の生まれたところで実は百四十町歩を県が先行投資で、工業団地とするということで全部買収いたしました。まだ一、二名残っておりますけれども、戸数としましては百八十戸ぐらい買収したのであります。その際に県の役人に私は申したのでありますが、生活をどうしてくれるんだ、生活保障が大事だということでやかましく言いましたら、県庁の役人はなかなかうんと言いません。しかしそのときに、工場が参った場合には一世帯一人を工場に入れる覚え書きを書かぬ限りは私は出さぬという強力なる交渉をいたしました。結局はその覚え書きを私は手に入れましたけれども、そういうふうに役人がやろうと思えば、工業開発の面においてもやはり解決する道はあると思うのです。それが十分ではないにしてもそういうような指導の方向というものは当然あるべきではないか、このように思います。この点につきましては答弁は要りません。  もう一つの問題といたしまして、私は水の問題を先ほど申しましたが、たちまちの問題といたしまして琵琶湖の問題あるいは霞ヶ浦の問題、それらを一体どうするのだ。しかもそこに住む農民あるいは漁民に対して、金だけでは済まぬ問題じゃなかろうか、こう思うのです。あの人たちの反対する理由も私はそういう面からよくわかるのです。しかし、この都市圏の膨張する水の需要を一体どうすればいいかといいますと、やはり考えざるを得ない。しかしそれには、先日も阿部委員が質問されておりましたように、企業が公害物質を薄めるために大量に水を使うということの規制をやらなければいかぬと思います。何を言いましても工業用水というのが都市用水の大半を占めるのでございますから、ここらあたりをひとつチェックしていく必要があるのじゃなかろうか、このように考えるのであります。同時に、将来水需要が首都圏においてもあるいは近畿圏においても非常に爆発的になる。しかしその反面において、先ほど大臣産業の地方への分散をはからなければいかぬがなかなかむずかしい、こうおっしゃっておられますけれども、新全国総合開発計画、これによりますと、やはり太平洋ベルト地帯に人口の七五%が集中するという予想のもとにあの新全総というのは立てられておるわけなんであります。したがって早急に着手しなければその後、日本における矛盾が出てきております。これらの問題を解決するには、どういたしましても新全国総合開発計画の早期改憲をやらなければならないのじゃないか、このように思うわけです。いま内々作業を進められておると大臣は言われましたけれども、これは早急に表面に立てて、論議の対象、世論の対象に持っていくべきじゃないか。そうして日本の国土をいかにして開発していくか。太平洋ベルト地帯に集中するのじゃなくて、いかにして過密過疎という問題を解消していくか、あるいはまた水需要をいかにして直す、都市問題をどういうようにして解決する方向に進むのかというような、大胆な総合開発計画の改定を行なう時期が来ておる。早急にやる必要があると思うのでございます。大臣はやる必要はあると言われておりますけれども、まだこれは一般には公表されておりません。そして世論の対象にもなっておりません。ここらあたりを大胆率直に早急に出す必要があると思うのですが、大臣いかがでございますか。
  46. 西村英一

    西村国務大臣 今度新全総ができるようなときには十分われわれの意見を取り入れたい。それには私たちも相当考えを持っていないわけではございません。われわれの考えるところを相当に新しい計画には取り入れたい、このように考えておる次第でございます。
  47. 井上普方

    井上委員 これは国土省等の一つ性格も持つ建設省が特に――いままでは全国総合開発計画を立てる際にはどうも経済企画庁がイニシアをとって、机上のプランで立てられるケースが非常に多いと思います。したがいまして、実際第一線に立つ地方自治体あるいはまた建設省等々と意見の食い違いが出てくると思うのです。むしろ、この新全国総合開発計画の策定にあたっては、建設省は積極的に参加してやらなければならぬじゃないかと思うわけです。それにも増して、現在の新全国総合開発計画はこれは改定しなければならぬということはもうおわかりのとおりです。これは早急に変えなければならない。それでなければ末端の諸計画も、長期計画というものもくずれてくると思います。したがいまして、どうかこの点につきまして早急にやっていただきたい、このように強く要求いたしておく次第でございます。  川の問題につきまして質問いたしましたので、私の地元の問題でございますが少しくお伺いいたしたいと思います。これは大臣じゃなくてよろしゅうございます。河川局長おいででございますか。――いままで河川局は、あるいは建設省と申しても過言じゃございませんでしょうが、河川開発をやる場合に、電源開発をやる場合に、一河川一会社主義というのを貫かれておったやに承るのでありますが、その方針はいまでも変わらずやられておるのでございますか、どうでございます。
  48. 川崎精一

    ○川崎政府委員 電源開発の関係につきましては、これは電源開発審議会が御承知のようにございますので、そういったところで電源開発のあり方等についていろいろ審議をされまして、どういうところが適当かとか、規模あるいはその会社等についても審議されておりますが、私どものほうでは、そういった計画が河川管理から妥当かどうかという検討の相談はございますけれども、特にいままでどの会社がどの水系を独占するんだというような話は聞いておりません。
  49. 井上普方

    井上委員 河川局長、私どもは、私も地方自治に実は携わってまいったわけでございますが、そのときにはいつも一河川一企業主義だということが建設省方針だということをやかましくいわれてまいった、こう思うのでございます。いまのお話でございますと、どうも奥歯にもののはさまったような、はっきりしない方針のようでございますが、これはまあともかくといたしましょう。  一級河川の那賀川の問題でございますが、那賀川を開発いたしましたのは、最初県営の総合開発をやりました。ところがその後昭和三十六年になりまして、電力会社が奥地に二つのダムをつくりたいという申し入れがあったのであります。その当時に県も、この那賀川の奥地開発のためにあと三つのダムをつくるんだということを公表し、水利権も得ておりました。ところが昭和三十六年に当時の知事が、これはもちはもち屋だからということで実は四国電力会社に、この地点は昭和四十年までに、この地点は昭和四十五年までに電源開発のダムをつくるんだという方針で契約をいたしまして、そしてやったのであります。水利権を県は放棄いたしまして電力会社に渡したことがございます。ところが電力会社はその約束を守らずに、一つのダムしかつくらなかった。それもずっとおくれて、三年もおくれて昭和四十四年につくった、こういう経緯があるのです。ところが水力発電は企業採算に合わないという理由で、あとのもう一つのダムをつくろうといたしません。つくろうといままでしなかったわけであります。約束違反であります。その間に――これは河川局長、あなたも、私が昨年の十月に質問いたしました際に私に約束しておるのでありますが、ダムの操作のあやまちと私は理解いたしておりますが、そのために下流に被害をこうむった。そうするとこの上流に、今度は電源開発じゃなくて、総合開発的なダムをつくるんだということを建設省方針として打ち出しておるわけであります。  そこで私はふしぎでならないのでありますが、一体その二つの、電源開発の電力会社のダムをつくりさえすれば、河川統制というものは私は十分にできると思うのです。しかも、そういう河川統制にも役立たせるし、かつまた都市用水もこれによって将来は毎秒十三トンの水を確保いたしますという約束をやっておるのであります。ところが片一方、一つのダムを昭和四十五年までにつくるという約束を全然ほごにいたしましてつくらない。約束違反の地点に今度は建設省がダムをつくるというのでありますから、いつの間に電力会社の肩がわりを国はやるのであるか、それに税金を投入するのか、私はどうも合点がいかないのであります。この点についてのいきさつを明快にひとつお伺いいたしたいと思います。私はこういうことを言いたくありませんけれども、いままで、昨年来通産官僚と企業との癒着というようなことが言われました。私は建設官僚がそういうようなことはあり得ないと思いますが、言われてもしかたがないようなやり方をやられておるやに、そういう方法をとられるということは私は残念でたまりません。ひとつこの点につきましての明確なる御答弁をお伺いいたしたいと思います。
  50. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ただいまの那賀川の上流におけるいわゆる電力あるいは水資源の開発でございますが、先生もお話しのように、いろいろ徳島県の中では四電あるいは県との間に経緯があったようでございますが、実は私、十分その辺のいきさつについて承知しておらぬわけでございまして、発電につきましては、これはおそらく利水専用のダム計画であろうと思います。それが結果的に洪水調節なりあるいは河川の流況が改善されまして、したがいましていろいろ利用ができるという副次的な効果があるいは当時期待されたかもしれぬと思いますけれども、私どもの立場といたしますと、那賀川の水につきましては、一級河川になりましてからいろいろ治水面を主にしまして、それから下流の阿南市とかあるいは那賀川町とか、こういったところの今後の水需要、こういったところをあわせて検討いたしまして――御承知のように、年々あの流域につきましてはいろいろ洪水の被害を受けておるわけでございまして、現在の長安口のダムだけではとても十分な治水対策ができないというような、主として治水を中心とする立場から河川全体の検討もいたしまして、その結果、上流に細川内のダムをつくろうじゃないか。これにつきましては治水だけではなくて、やはり多目的に、先ほど申し上げました下流の都市用水、それから落差を利用しましてあわせて発電も行なうというようなことで、独自の立場で調査をしてまいったわけでございまして、過去に徳島県と四電とにどういう経緯があったかよく存じませんけれども、われわれとすればそういったものについての、何も特別に建設省に対する話し合いとかというものは全然受けておりませんし、独自の立場で計画をしておるわけでございます。ただその間におきまして、水の需要その他については県とも十分に話し合いを進めているということでございます。  なお、昨年の水害後、いろいろ現在の新しいダム計画が進んでおるわけでございますが、既存の長安口のダムにつきましても操作のしかたにいろいろ問題がある、こういうふうな御指摘を受けたわけでございますが、これにつきましては昨年の洪水も十分解析をする必要があるということで、その後県等といろいろ共同で作業いたしております。したがって現在の方針は、今回の出水期までにいろいろ予備放流を、少し水位を変更できないかどうか。初期放流の方法をもう少し誤解を招かないように、そして雨量、貯水池等の関係をもう少し明確にして、操作が十分に徹底できるような方法を考える必要があるということで、この出水期までに結論を出しまして、変更する必要のあるものは変更する、細則でもう少し厳重に縛るものは縛る、こういうことで現在作業を詰めております。なお観測体制等につきましても、どうも企業局の方がいろいろ操作をいたしておりましたので、河川管理上の立場からも水利に明るい専門家がやはりダムの管理をしたほうが適切じゃないかというようなことで、そういった観測管理あるいは操作の体制をもっと整備したい。それから災害のございました加茂ダムと鷲敷、ああいったところにつきましては、やはり観測とか通信、連絡、警報の伝達、こういったものにつきましても、観測施設の整備を十分にしたいということで、現在、四十七年度の出水期までにそういったテレメーター化等も実施をいたしたいと考えておる次第でございます。
  51. 井上普方

    井上委員 防衛庁長がお見えになりましたのでお伺いいたしたいと思います。  あなたは昨日の内閣委員会においても予算委員会においても、立川基地への自衛隊の進駐は――これは出兵はと言ってもいいでしょう、あれは首都圏防災拠点にするためだ、こうおっしゃられた。これは間違いございませんか。
  52. 江崎真澄

    江崎国務大臣 自衛隊が国の独立と平和を守るという本来の任務があることは、これはもう申すまでもないと思います。そこで陸上自衛隊の場合でありまするが、――まあ海でありますと、たとえば貿易立国として立っておりまする関係から航行の安全を期するとか、あるいは空の場合ですとホットスクランブル、たまには領空を侵犯するような――これは間違った領空侵犯が多いわけですが、そういう場合に飛び立つというようなこともしばしばあるわけであります。そこで陸の場合は、これは当然本来の任務を踏まえながら訓練をいたしておるわけでありまするが、まあ陸上自衛隊が防衛出動をするというようなことはこれはたいへんな場面ですし、好ましくないわけです。したがいまして、平時においてはやはり民生協力ということに十分意を用いていくことは私は大切なことだと思っております。したがいまして、今度の立川への移駐そのものはもちろん自衛隊本来の任務ということも踏まえておりますが、もし首都圏、わけても京浜地区、この方面に大災害が発生した場合には、もともとヘリコプター、それから小型の連絡機、これの基地でありまするから、この性格にかんがみて当然これは災害の緊急出動部隊という形で民生協力をいたさせます。またそういう背景を持っておることは事実であります。こういうことを予算委員会あるいは内閣委員会等においてしばしば申し上げてきたことは御指摘のとおりでございます。
  53. 井上普方

    井上委員 大臣、あなたに私が聞いておるのは、きのう何とおっしゃったか。きのうあなたは、防災拠点にしたいために立川基地に移住するんだ、こうおっしゃったんじゃございませんか。そのことだけなんです、私がお聞きしているのは。余分のことはどうぞおっしゃらぬでください。
  54. 江崎真澄

    江崎国務大臣 平時においては当然防災一つ拠点にしたい、こういうあれは――まあちょっと表現がどういうふうであったかということは確たる記憶はありませんが、いまでも私そういうふうに考えております。そういうことです。
  55. 井上普方

    井上委員 大臣、昔から、顧みて他を言うということばがある。あなたの話を承っておると、きのうおっしゃったそのことと、いまたちまちここでおっしゃることは話が違うようである。あなたはきのうそうおっしゃっておる。会議録をとりましょう。それからあなたに質問しましょう。
  56. 江崎真澄

    江崎国務大臣 まあそうおっしゃらず……。私、一言一言まで記憶をいたしておりませんが、どういう点でしょうか。当然、立川は大災害のあったときの民生協力、やはりそういった面に立ち働く拠点にしていきたい。平時は、ヘリコプター、連絡機等二十八機であります。しかし、ほんとうに大災害が起こったというときには、あの立川飛行場に百機ないし百二十機くらいのヘリコプターを全国から寄せまして、そして救援活動その他に使っていきたいということは、きのうもたしか言うておりますし、一昨日も言っておりますし、いまでも私そういうふうに考えておるわけでございます。
  57. 井上普方

    井上委員 大臣、きのうの内閣委員会予算委員会におけるあなたの御答弁ときょうの御答弁とがたちまち食い違っておると私どもは思う。そこで、これは私も議事録を取り寄せまして、さっそくに――ここで水かけ論をやってもしようがない。違っておる場合には、委員長におかれましては、ひとつもう一度防衛庁長官をこの委員会にお呼び願いまして、質問をさしていただくことをお願いいたしたいと思います。
  58. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 関連でお尋ねをいたしますが、首都圏防災首都圏の整備その他、これは建設大臣が所管をするので、したがって――いまそのことを言ったか言わぬか、どうも一言一句までははっきり記憶はないということですから、その先になるのでありますが、私どもは、少なくとも首都圏防災という観点で立川に行ったとするならば、立川移駐にそういう目標を持っておるならば、これは当然首都圏の整備その他の責任を持っておる建設大臣との間に協議なり意思の統一かなければならぬものと、こういう認識をしておる。先ほどそのことをわがほうの井上委員建設大臣質問いたしましたら、江崎長官からは何らの相談もありません、こういう答弁であります。  それからいま一つは、これは御答弁によっては内閣総理大臣の御出席も願わなければならぬのでありますが、中央防災会議の会長は内閣総理大臣、したがって、立川というあの基地防災拠点にするというこの江崎長官の御発言がそのとおりだとするならば、中央防災会議との関係はどのようになさったのか。いろんな意見統一をはかられたのかどうか、防災会議は開かれたのかどうか、このことをお聞きしたい。
  59. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御質問でございますが、なるほど西村建設大臣には、私、今度のことでまだ直接お話し申し上げておりません。これはもともと昨年の六月二十九日、中曽根防衛庁長官の当時に、首都にもし大災害があったらどうするのか。あの当時の論調が、いつ大地震がくるかわからないといったような非常な不安が、一昨年から昨年にかけてずっと新聞などにもよくありましたですね。そこでいろいろ検討した。ちょっと長くなって恐縮ですが、検討した結果、木更津はどうだというわけでしたが、木更津は、江東地区にもし災害が起きたときは木更津でカバーができる。しかし京浜地区というような場面だと、どうもやはり立川が適当であるというような考慮がなされ、冒頭にも申し上げたように、これは自衛隊本来の任務ということは申し上げるまでもないわけですが、陸上自衛隊というものは平時においては訓練以外にそれじゃ何をやるかといえば、やはり何といっても民生協力であります。そういうたてまえで、今後立川基地に本隊が移動をすれば、もう当然、一朝事あったときには――一朝事あったというのは大災害でもあったときには、有効適切にこれが活動に出なければならぬと思っております。一昨日配備にきましたものは管制の実地訓練のための先遣隊これは有視界飛行をやりまして、そうして将来最底三カ月かかるということを言っておりますが、管制の実地訓練をやる部隊であります。あとから来る本隊が地上部隊約五百名程度、そうして航空機はヘリコプター――ちょっといま資料を持ち忘れましたが、航空機等、いわゆるペラ機の小型の連絡機、そういったものを二十八機予定しておるわけです。そうして、もしも大災害が起きたときにはそういうことで活動する。私いま御質問の経緯等よくわかりませんが、こちらの政府委員室から連絡がありましたので、そういうことについては打ち合わせをしたのかといって話しましたところ、これは中曽根防衛庁長官当時に、当然自衛隊自衛隊の本務に奔命をするわけですが、しかし民生協力の面ではこうこう、こういうことをします。ついては、ここにお認めをいただく上からは民生協力という面では十分な活動ができるということで、私どもいまここにも連れてきておりまするが、鶴崎参事官という施設担当の内局の責任者が首都圏整備委員会の川島事務局長と話し合いをいたしておる。またそれに前後して、ちょっとこれは日取りをつまびらかにいたしませんでしたが、当時の建設大臣である根本龍太郎氏に、やはり私どもの当時の内海事務次官が参りまして、ぜひひとつ御了承を得たいという了解を得ながら、やはり災害救助活動には遅滞なく出動をするようなことにもしていきたいというわけで、その目的等についてもお打ち合せを申し上げておる、こういうわけであります。いよいよほんとうにあそこへ部隊が入るというためには、まだこれは三カ月間の管制訓練が終わった上でのことであります。したがいまして、同じ閣内におりまするので、建設大臣に対しては私どもも今後とも詳密な連絡をしながらまいりたいというふうに考えております。
  60. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 江崎長官はいろんな経過をたどってここに防衛庁の責任者として登場された。従来自民党内部のハト派の一方の棟梁、こういう意味で練達の政治家だ、こういうふうに私どもは認識をしておったのです。いま私ども長官のお話を聞いて、実はすっとこない。疑惑がますます深まってくる。これは民生協力が主だというのであれば、なぜああいうこそこそしたむちゃくちゃなやり方で――私どもは、江崎長官ほどのハト派の練達の政治家を長官に据えてもシビリアンコントロールはできなかったのじゃないか、実はこういうような感を深くせざるを得ない。したがって、いま長官からお話のあった中曽根前長官、これはタカ派なのかなにか知りませんけれども、そのあたりと前の建設大臣根本龍太郎さん、そのもとにおける川島首都圏整備委員会事務局長との間にいろんな連絡があったのだ。ところが西村大臣は、私には何らの話がありません、こういうことですね。したがってどうも私は、今回の立川移駐のあり方は、いま長官の言っておりまする民生協力とか防災拠点にするなどと言ったのは、事の成り行きのあまりに大きな国民的ないわば批判の声の高まりに周章ろうばいをして、急に取ってつけて理由にしたにすぎない。今回の立川移駐というのはある意味でいうと、江崎長官の文民優先、シビリアンコントロールというものは成り立たなかったという一つの端的なあらわれじゃないかという気がするのです。そういう意味で、いまの長官の説明では、私が尋ねましたのに対して、首都圏整備その他の重要な担当大臣であります西村大臣との間には、今回あの抜き打ち的な挙に出る前に詳密な連絡がなかったということを先ほだ大臣は説明されておる。そうすると、防災拠点にするというのであれば、内閣総理大臣が会長をなさっております中央防災会議の中で当然の意思統一、協議、こういうものがなければならぬのじゃないかと思う。そのあたりの協議は行なわれたのかどうか。行なわれたとすればいつ行なわれたのか。その議事録なりそういう資料を提出をしてもらいたい。
  61. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほども申し上げましたように、これは前、そういう背景を踏まえながら閣議決定がなされております。これは中曽根長官のときに、そういう背景を踏まえながら立川移駐ということがきめられておる。私は十二月の初めに就任をしたわけですが、引き継ぎの時点でもそういう背景の引き継ぎが西村前長官からありました。しかもその後一月二十一日の閣議において、これは中曽根長官時代の取りきめである、災害は忘れたころに来るというが、いつ何どき来るかもしれないというわけで、この背景を踏まえながら立川移駐というものは急ぎたい。これには航空管制実地訓練というものが必要なので、この先遣隊を出すこと等については、時期その他は私にまかせてもらいたい。これは閣議のときにはっきり、そういう民生協力、災害緊急出動ということも説明をしながらお話ししたわけです。これはおそらく西村建設大臣も聞いておっていただけたと思います。(「居眠りでもしておったのでしょう」と呼ぶ者あり)まあそんなことはないと思います。これは聞いておっていただけたと思いますが、事務的には私の代になってから詳密な打ち合わせをしておりません。これは手落ちといえば手落ちかもしれぬと思いますが、そういう立川配備を閣議できめた段階では十分な連絡、説明がなされておった、こういうことで御理解を願いたいのであります。
  62. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 長官、私が尋ねましたのは、災害出動や民生協力、防災活動の拠点にする、したがって、立川へ行ったけれどもかんべんしてくれ、こういうのが端的に言えばこの問題の発生以来長官が方々で説明されている内容なんです、ぼくらの聞いておるところでは。だとするならば、防災拠点にするというならば、中央防災会議最高責任者内閣総理大臣だ、これが会長であります。したがって防災会議の中で――いま閣議の中でやられたと言っていましたが、それは防災会議なのかどうか。そういうところで正確な意思統一がはかられておるのか。おるとするならば、いつやられて、そのときのいろんな論議の経過はどうであったのか、これを資料として提出を願いたい。
  63. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私が就任をいたしましてからはそういうことはございません。あるいは過去にあったかどうかということは私いま存じません。
  64. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 委員長、ではあとで資料をぜひ提出してもらいたい。
  65. 井上普方

    井上委員 江崎長官のお話の中で私はどうも合点がいきかねる点が多々あります。一つには、これは技術論になりますが、木更津は江東地区はできるけれどもほかの全部はできないという技術的な問題、これは解明しなければならない問題であると思うのです。まあこれはともかくといたしまして、一番大事な問題は、あなたは民生協力のために立川に進駐したのだ、こうおっしゃる。民生協力をするのであれば、当然地元の方との十分な話し合いの上で、納得ができた上でやらなければならぬでしょう。それができてないじゃないですか。東京都の知事はもちろんのこと、あるいは立川の市長につきましても話し合いができてないじゃないですか。これで民生協力ができますか。自衛隊は、防衛庁は民生協力の押し売りをするのですか。どうでございます。
  66. 江崎真澄

    江崎国務大臣 大事な点だと思います。もちろんあれは陸上自衛隊に所属する部隊でございまするから、自衛隊本来の訓練を続けることは――これは本隊が入ってからの話ですが、もう当然でございます。その任務の最たるものは防衛出動である。首都圏を守る、これは大事なことです。しかしそんなことはあってはなりませんし、幸い戦後平和を享有して今日に至ったわけでありますから、しからば平素は何をやるのかといえば、これは当然民生協力に出る自衛隊でなければならない、その拠点になりますということを申し上げておるわけであります。  しからば、なぜ地元側の十分の協力を得なかったのか。これについては非常に議論があるところだと思います。私どもも極力了解を得るべく阿部市長さんにも二度ほど会いまして、これは二回とも数時間にわたっていろいろ懇請をしたわけですが、どうしても御了解を得ることができませんでした。ところが一月の、日は忘れましたが、十六、七日ごろだったと思います。市長さんと市会議長さんはじめ市議会の代表者がうちつれてやってこられました。そのときに、私がだんだん事情を説明してお話やら懇請をいたしましたら、立川市の市議会の議長さんが、わかった、実は自衛隊の配備に自分たちは反対の決議を市議会で決定しておったのだが、あなたがそういういろいろな事情を踏まえながら懇請されるというのならば、自分は一ぺん市議会に戻って議員と相談をしてみたい、こういう申し出があったわけです。そこでその後議長は立川市に戻られて、市議会側と御相談になって、いまのいろいろな事情を勘案して、自衛隊配備反対というのを取り下げられたわけです。そしてこれは十九名の多数であったというふうに私ども聞いておりますが、そのことについてはわれわれとしても了解した、自衛隊が入ってくるということはよくわかった、だからもしほんとうに配備するというのであるならば配備をされることが望ましい。一方ではまた、アメリカ軍からすみやかに立川基地全体の返還を求める。御承知のとおりいま共同使用でございます。そこで全面返還を求めて、自衛隊がアメリカ並みに全部要るということではないでしょう、だから必要最小限のものを自衛隊が確保されたら、あとはひとつ地元に協力してもらいたい。これは強い要請がございました。わかりました、それはもちろんわれわれも、御理解を示していただくということになれば、少しでもよけいに地元に協力できるような形でぜひ返還したいと思いますということを、議長さんはじめ市議会の代表者の皆さんと話し合ったというのが真相であります。したがいまして、一応私どもも、市長さんはどうも何度懇請しても了解はしていただけませんが、幸いと申しまするか、市議会の多数の方たちが自衛隊配備反対を撤回して、そして協力をしよう、こう言っていただけたということを踏まえながら、今回の配備に出たというのがあらましでございます。
  67. 井上普方

    井上委員 いきさつは聞きましたけれども、納得できません。といいますのは、あなたの発言は地元の勢力を分裂さすおことばとしか私は承れないのであります。地方自治体をあなたのおことばによって混乱におとしいれると私は思います。市長は反対であったけれども議会は賛成だというようなことをおっしゃるのは、それが地元納得の理由であるとするならばまことに不届きしごくであると思います。地方自治体の首長である市長を現在直接選挙しておる。このあり方についての御認識がないと思うのです。あくまでも市長が直接公選をされる、このやり方は、住民の声を、市政への住民参加というためにやられておるものだと思う。このことを抜きにいたしまして、市会が反対決議を取り消したからということで一方的に了解が済んだというあなたのお考え方は、江崎さん、あなたは有力な政治家だと思っておりましたけれども、地方自治に対する御認識が全く欠けておるといっても過言でないと私は思います。住民が直接参加する方策のために市長を直接選挙するのです。その市長が反対しておるのです。それにもかかわらずあなたは了解ができたというような立場に立ってこれをやられるということは、私は納得できませんし、かつまた、それで地元の了解工作ができたとするならば、あなたの政治家としてのやり方はまさに落第点がつくのじゃなかろうか、このように考えるのです。  のみならず、地元の民生協力ということをあなたは先ほど来盛んにおっしゃる。ところが民生協力をやるならば、あくまでも地元の納得がいった上でなければ自治体との民生協力なんというものはできやせぬでしょう。ところがその東京都の知事に対しましても了解工作はやっておらぬし、立川市に対する了解工作はいまおっしゃられたような状況。このもとでなぜやられるのか。私はどうも合点がいきかねる。しかもその理由といたしまして、災害時の出動の拠点とする。拠点とする以上はあくまでも防災会議にかけなければならないし、また防災計画にのっとった方策がなされなければならない。きょう川島事務局長来ておられますか。――ともかくあなたのほうとの連絡は私は聞いておりません。少なくとも西村大臣はそのことを御存じないというふうなことなんです。どうも民生協力なんということ、あるいはまた災害出動なんということの手続の上からいっても不備である。それを理由にする何ものもないということを私は強調せざるを得ないのであります。  いずれにいたしましてもこの問題につきましては、昨日の議事録を私は取り寄せまして、そして突き合わせて、その上で再質問することを委員長においてお許し願いたいと思います。その機会をなるべく早急につくられることを委員長に要請いたしまして、江崎長官に対する質問をこれで打ち切ります。  私は河川局長に質問を続行いたします。一級河川の那賀川の問題でございますが、これはダムの操作の誤りであることをあなた方は認めると、責任者を出さなければいかぬというようなことになるかもしれないのでおそらくお隠しになっておると私は思います。であるならば、私どもはこれは非常手段に訴えざるを得ないということも一応警告いたしておきます。でありますが、いずれにいたしましても昭和三十六年に徳島県と電力会社との間に協約いたしておるのであります。私はその協約に立ち会った一人であります。そして、これは利水面においても洪水調節面においても十分にやるんだという契約がなされておるのです。電力会社がつくるダムが二つできたならば、工業用水は毎秒十三トンでございますので、日量百二十万トンの水が大体確保できるということに相なっておるのであります。したがってそれだけふところが大きくなり、かつまた治水効果も絶大であるというので、私どももしぶしぶ判こを押した経緯があります。にもかかわらず、電力会社がこれは全然やっておらぬ。ダムを四十五年までに二つつくるというのはつくっておらぬ。つくらない。洪水にダムの操作の誤りがあったと思われる災害が起こった。県といたしましてはその約束を忘れたのです。おたくのほうに要求いたした。そうするとこれをお認めになった。しかし、これも地方議会においては問題になりまして、それじゃひとつ県の負担というものは、これはあのときのいきさつからいたしまして、四国電力会社が県負担分を負うのかという質問に対しましては、知事はあわてふためいて、もう少し勉強さしてくれというようないきさつがあります。これは最近の話であります。この点は御存じないと思います。でありますので、この事業につきましては私はもう少し慎重にやる必要があるのじゃなかろうかと思います。むしろそれよりも一番下流のダムにおけるダム操作の規程を厳重にやるならば、これは災害防止には役立つと思うのであります。できると思います。局長、私はあの一級河川那賀川の最下流の三角州で生まれた男なんです。この問題につきましては私は十分知っておるのです。にもかかわらずこのような災害が起こる。やったことは、私はダムの操作の誤りであった以外何ものでもないと思いますが、ともかくもう一度あなたのほうも――その県と電力会社とのいきさつにつきましてお知りにならぬということで先ほどの御答弁はございましたが、この点につきましてもう一度十分調査されて再検討される必要があると思いますが、どうでございます。
  68. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、当時徳島県と四国電力の間でどういうやりとりがあったかというようなことにつきましては、私ども全然存じ上げないわけでございます。したがって、むしろ治水の立場を中心にしまして、県の水需要とかあるいは電力需要、こういったものを検討した上で現在の計画を立てておるわけでございます。しかしやはり地域開発のためのダムでございますから、いろいろ県内事情その他につきましては先生のお話しのようなものも含めまして十分県とも協議をして、その間の不分明なことのないようにわれわれとして仕事を進めていきたいと思っております。
  69. 井上普方

    井上委員 局長、事業を進める前に、もう少し県と企業との間の約束事ないしその間のいきさつをお調べになる必要があるのじゃございませんか。どうでございます。
  70. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先生のお話しの問題は、県の負担の問題四国電力との負担関係で何か契約的なものがあったというふうなお話でございますが、そういった点につきましては、今回計画しておりますダムについてはやはり一定のルールで、できるだけ自治体の事情をくみ上げながら、そういった費用の負担も含めまして計画を進めていきたい、こう思っておる次第でございます。
  71. 井上普方

    井上委員 前提が違うんですよ、局長。これは四国電力が水利権を持っておるのです。現在あなたのところに電力会社から水利権の取り消しの申請が来ていますか。
  72. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ただいまのお話しの水利権につきましては、担当の課長まだよく知らないようですが、直ちに調べまして、どういった経緯になっておるか十分調査をいたします。
  73. 井上普方

    井上委員 局長、一番大事な水利権の問題がどうなっておるかさえあなた方知らないんでしょうが。その上に立って計画を立てるというのですから、根底がくずれておるじゃないですか。砂上の楼閣で、砂の上に家を建てたと同じじゃないですか。一番の基礎があなた方もはっきりしていない。  大臣、どうです。水利権がどういうようになっておるかも知らない。いままでのいきさつをお聞きになっていただいたと思う。そうして県当局と会社側との協約内容御存じない。いきさつもどのようになっているか知らぬ。しかし建設省はダムをつくるんだ、こうおっしゃるのですが、どうです、もう一度根本から再検討されたらどうでございましょうか。
  74. 西村英一

    西村国務大臣 那賀川の具体的なことは私は知りませんけれども、いま話を聞いておりますとどうもおかしいわけでございます。局長も全部知っておるわけじゃございませんから――これからダムをつくるのですから、おかしければやめればいいのです。合理的にやればいいのです。それはそのとおりです。十分調べまして、とにかく水資源はいかにしてもやはりなかなか大事なもの、発電も大事でございましょうし、ダムをつくることも大事でございまするけれども、納得がいかないで、ただ前からきまっておったからやるんだというようなことは、何も問題が起こらなければいいが、問題がありそうでございます。私は事実は知りませんから、建設省といたしましても十分調べまして、そうしてまた皆さま方にも御相談申し上げたい、かように思っております。
  75. 井上普方

    井上委員 大臣の御答弁だったら私は納得するのです。私も水資源、エネルギー資源の開発に反対するのじゃありません。しかしそのやり方です。いきさつがある。そのいきさつを黙殺してともかく強行しようとする、計画を推し進めようとするのはどうも納得がいかないので、私はあえて河川局長にお尋ねいたしたのです。大臣がそういうような方針で行かれ、かつまた皆さん方にも御相談の上とおっしゃるのでございましたならば、私はそのように進めていただきたいことを強く要求いたしておきます。  国土省的な建設省に対しまして、いろいろ道路の問題であるとかあるいはまた運輸行政の問題であるとか、住宅問題につきましてもまだまだ御質問をいたしたいのでございますが、時間がございませんようでございますので、総論中の総論だけ申し上げて、まことに失礼でございましたが、これで本日の質問を打ち切ります。
  76. 亀山孝一

    亀山委員長 松浦利尚君。
  77. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 時間が経過しておるそうですから簡潔に質問をします。簡潔に御答弁ください。抽象的な議論は一切避けて、具体的な問題を提起しながら建設大臣の基本的な考え方を承りたいと思います。  第一点は道路の問題であります。御承知のように、いま第六次道路整備五カ年計画が進行中であります。ところがこの道路建設の問題が、いま主要幹線でも住民の反対が起こって工事にたいへんな障害が起こってきておるわけであります。これは住宅との関連でもそうでありますが、従来のように、要するに道路は延ばせばいいんだ、住宅はつくればいいんだという感覚では、これからの建設行政国土建設というのはできない時代に入ってきておるのではないか。発想の転換をしなければならない段階に来ておるのではないかというふうに私は思うのです。  いま反対をしておる人たちの意見を聞いてまいりますと、道路の問題で一番反対意見が強いのが自動車公害の問題であります。ところがこの自動車公害については、現在建設省側、道路を建設する側では解消する方針が全く立っていない。逆にいうと、住民の反対を押えるだけの理論的な根拠というものを持たないし、またそれに反対の皆さん方を説得するだけの方針というものがないというのが現実の姿であります。こういったことを考えていきますと、第六次道路整備五カ年計画というのは大きな支障がくるのではないか。そういった意味を考えると、この際道路建設のあり方について基本的な考え方というものが新しく出されていいのではないか、かように思うのでありますが、こうした住民の騒音に対する反対に対して、しかもそのことが国土開発である道路建設というものに大きな支障を来たしている今日でありますから、発想の転換といいますか、建設大臣の明確な御答弁をいただきたいと思うのです。
  78. 西村英一

    西村国務大臣 御案内のとおり、自動車交通が戦後盛んになりましてから、道路もひとつつくらなければならぬということで、第一次、第二次の計画のときは一生懸命道路をつくることに力を入れたのです。いまから反省してみますと、交通事故ということがやかましくなってから初めて、道路というものはやっぱり人間も通さなければならないなんということに気がついたのでございます。これは建設省としても非常に反省しなければならぬところです。どういう国道でもやっぱり歩道がまだついていないところがたくさんあります。交通事故がやかましくなって、では架道橋もつくらなければならぬ、歩道もつくらなければならぬということに反省してきているのでございます。いままた新たに起こった問題が、いま松浦さんが御指摘になった公害の問題です。  そこで、今後道路の第六次五カ年計画を推進していく上におきまして非常にブレーキのかかる問題が三つあると私は思います。第一は交通事故防止の対策であります。第二は公害の問題でございます。第三は自然環境の保護、古跡の保護をしなければならぬ。この三つのブレーキが――ブレーキと申しては悪いですが、道路を推進するとしても三つの絶対守らなければならぬ条件があるので、非常にわれわれは難儀をするわけでございます。しかしながら、それはそれとしても、やはりわれわれは努力をいたしまして、第六次五カ年計画の事業量は達成したい、かようにいま基本的には考えております。   〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕  そこで公害問題でございますが、公害問題については何にもしていないじゃないか、こういうお話でございます。これは何にもしていないわけではございませんが、道路は点ではございませんで線でございますから、あらゆるところにこういう公害が起こってくるのでございます。公審と申しましても主として騒音でしょう。しかし自動車の排気あるいは振動というものも多々あります。したがいまして、私は今後それはケース・バイ・ケースで臨んで、これは程度問題もございますけれども、道路のために地域住民に迷惑をかけないという方針でやることはもちろんでございます。公害問題のためにストップしておる道路がないわけでもございませんが、われわれは今後十分考えて、少なくとも五カ年計画だけは何としても達成したいということを考えておるような次第でございます。
  79. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまの大臣の御答弁、非常に抽象的な御答弁でしたが、率直に言って、公害防止のための経費とかそういったものがいまの大臣の御答弁から出てくるなら――あの第六次道路五カ年計画をつくったときには、そういった道路周辺の環境整備費とかなんとかいうのは見込まれておらない。片一方では土地代が、先ほど井上委員からも指摘がありましたようにどんどん高騰しておる。計画よりも地価高騰が激しいために路線が延びない。同時にいま言ってきた公害問題というものが発生してきて、道路の両側の環境整備、道路の通る地域の環境整備というものも考慮しなければ道路が抜けないということになりますと、率直に言って第六次道路五カ年計画というのはもうそこで修正しなければならぬ段階に来ておるのじゃないか。目標は確かに目標だけれども、ある程度現時点で改めなければならない段階にも来ておるのじゃないか、そういうことを私は懸念をするのですが、その点についてどういうふうにお考えになるかということが一つです。  それからもう一つは、これは道路局長でもけっこうですが、私は烏山北団地に行ってみました。ここに入った方々は、昭和四十一年にここの住宅公社の住宅に入居しておられるのです。ところがそのあと、まん中に中央高速道が抜ける、地域を分断をするということで住民の反対運動が起こって、その間の八百メートルは全く高速道路ができないという状況に置かれておりますね。これなんかは、入居するときに入居する人たちにちゃんと示しておけばよかった。中央高速道がここを通るということをはっきり言っておけばよかった。ところがそれを言っておかなかったばかりに、入った住民の人たちは、いまごろになって何だといって、極端に言うと協定まで結んで拒否の態度に出てきておる。こういった点を考えますと、こういった烏山北団地の中央高速道の支障の問題と関連させて、大臣から、道路の両側、道路の通るところの住民環境の整備という問題を含めてどのようにお考えになるのか、その点をもう少し具体的にお答えいただきたいと思います。
  80. 西村英一

    西村国務大臣 この騒音の問題は最もひどいのでしょうが、それはやはり道路の構造を変えるということでございましょう。高架にするとか、あるいは掘切り、その上にカバーするというようなこと、そういうようなものは現地に臨まないとなかなかわからないのでございます。第六次五カ年計画は道路が通る付近の環境についてまで予算を計上しておるのかというようなことになりましょうが、厳密にいえば必ずしも計上しておりませんけれども、それは大きい予算の中ですからケース・バイ・ケースで多少のことはやれると思います。しかし、今後道路が延びていくのにつきましては、環境のことも十分考えてやらなければならぬようになろうかと私は思いますから、いまそれだから第六次五カ年計画をすぐ改定するのだということは申しませんが、私は今後とも十分そういう方面に意を注がなければならぬのじゃないか、かように考えておる次第でございます。  烏山の実際の問題はひとつ局長から……。
  81. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 鳥山団地のまん中を中央高速道路が通ることにつきましては、かねてからこの国会でも問題にされておった問題でございます。すでに前にも御説明したと存じますが、団地の計画と同時点に高速道路の計画がございまして、当時あまり環境に対する配慮が、必ずしも現在ほどの世論がなかったせいもございまして十分でなく、したがって団地のすぐ近くを、団地の中を通りまして、しかも高速道路と団地とはきわめて近接して、近いところでは三メートルくらいのところを通るようなかっこうになったわけでございまして、この問題でただいまも地元から反対の強い要望がございまして、したがいましてただいま工事を中止している段階でございます。それで、ただいまそのために日本道路公団と、それから下が街路になっておりますので東京都と、それからその団地をつくりましたのは住宅供給公社でございますが、それに地元の四者で会談を続けているわけでございます。昭和四十六年十二月、昨年の十二月に第一回の四者会議を開いたわけでございますけれども、なかなか十分な了解に達せずに、ただいま再びいろいろそれぞれの分野で持ち寄りまして、もう一回相談しているわけでございます。現在まだどういうような方法で解決できるか見通しが立っておりませんが、したがってその間工事は中止しております。そういう状況でございます。
  82. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、いま道路局長が言われたように、どういう方法でやっていいかわからないから中止されておるのですよ。具体的な方針がないからです。道路構造令ですね、これは道路を構築するだけのことが技術的に書かれておるのですね。この問題に関連させて、やはり環境という問題を含めた総合的な通路行政のあり方――道路構造令の中に環境整備の問題も加味せよというようなことは、これは私たちしろうとでありますから専門家である道路局長などに御検討いただきたいと思うのですが、どういう方法をするかということは別にして、いまのように道路だけつくればいいんだというような道路行政建設行政のあり方から、少なくとも道路が通る周辺の環境というものも考慮に入れて道路行政というものを早く方針として立てない限り、私は第六次道路五カ年計画というものも絵にかいたもちで終わる。いま烏山北団地の皆さん方が何と言っておるかというと、あの八百メートルの間は地下道を通せというのです。高速道を下を通せというのですよ。それは実際にそういうことをするとすればものすごい金が要りますけれども、しかしそれは住民の要求だから検討してもらわなければいかぬと思う。現に住宅の密集地を道路が通る場合のあり方としてもう検討する段階に来ているんじゃないか、この烏山の一例をとってみても。だからそういう意味で、道路をつくればいいというんじゃなくて、第六次道路五カ年計画というものの中に環境整備というものを含めていくなら、私はこの際発想の転換というか、これは全面的に修正せよとかいうことは申しませんけれども、きょうは建設大臣の所信に対する質問ですからそういうことは申し上げませんが、そういった面について建設行政としては早く措置をする、積極的に前向きで解決をしていく、こういったことについて大臣のお考え方をもう一度お尋ねしておきたいと思うのです。
  83. 西村英一

    西村国務大臣 発想の転換は相当しておるわけです。要するに初めは、道路をつくるときはまさにつくればいいと思っておったのですが、いま公害問題が非常にやかましくなっており、またそれは考えなければならぬのでございます。ことに地域住民に非常に迷惑をかけることについては、十分これから道路をつくる場合に考えておかなければならぬことでございます。今後道路計画を進めていく上におきましては十分その点を考慮して、また予算面からも、今後計画が改正されるようなことがございましたら、そういうことにつきましてもさらにその辺を十分考慮してやっていかなければならぬということでございます。せっかく御注意もございますので、その点は今後十分考えていきたい、かように思っております。
  84. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それからもう一つ具体的にお尋ねしますが、これは鳥山北団地の一つの例なんです。東京外郭環状でもそうだし、全部そうやって支障がきておるのですね。私は大体、住宅の密集した、アパート群があるところに高速道路が走るというのは、この計画に問題があったと思うのです。しかし現実に建っておるのですね。住民は反対しておるのですよ。これを大臣はどう解決しようとするのか。もっと具体的に言うと、住民は東京都と住宅公社とそれから道路公団ですか、四者が調印をして、住民が納得しない限り工事はいたしませんという調印をしているのですよ。住民が納得しない限りあの八百メートルは絶対にできない。法的に有効な協定書ですから。私も見てみた。現実に道路公団も印鑑を押しておる。住民の反対があったら工事をいたしません。それなら住民の地下道を通してくれという要求ですね、それを認めますか。それを認めたらたいへんな金になりますが、こういう場合にはいまの状態で大臣どういうふうに解決されますか。予算はない……。
  85. 西村英一

    西村国務大臣 私は具体的にそこの場所を知りませんが、それかといって両方から来てそこを通らなければ絶対道路ができないということになれば、いかにむずかしくてもそれはやはり解決しなければならぬと思います。初めにさかのぼってそのルートが悪かったのだといまごろ言ってみてもそれはしかたがないことでございます。しかし、総体的にこれからルートの選び方は非常にむずかしくなります。道路は御案内のとおり点ではございませんから、もうほんとうに線でございますから、どういうところに行き当たるかわからないです。非常にむずかしいことになる。  しかしこの際私は国民の皆さまに言いたいことは、やはり道路は国民のためにつくるものでございますから、それはそこの点を考えていただかなければ――公共のためにつくるので、建設省が何か道路を好きでつくるのじゃございませんから、やはり皆さん方が、国民全般が使っていただくというためにつくるのですから、程度の問題でございます。程度の問題でございますから、その辺はひとつ国民大衆の方々の御協力を得なければ何ごとも公共事業というものはできません。程度の差でございます。いま問題になっておるところは私も部分的にはちょっと聞いておりますが、現地を見たわけではございません。十分な認識がないから、ここで隧道でやるのだと言い切るわけにもいきません。十分調査をいたしましてとにかくひとつ善処しなければならぬ、かようにお答えする以外に、いまはそれ以上のことはちょっとお答えはできませんが、とにかく結ばなければ道路になりませんから……。その辺で御了承を賜わりたいと思います。
  86. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、いまじょうだんで言われたのだろうと思うから私は受け流しておきますけれども、国民のためにという発想でいままで道路をどんどんつくってきたのですよ。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕 高度経済成長が進んだ。それに伴って道路をやったのです。ところがそれではいかぬという批判が出てきている。福祉優先という形に変わってきた。公害という問題が起こって環境整備という問題が起こってきている。環境を整備せずにどんどん道路をつくればいい、そういうことができない時代にいま来ておるのですよ。そこに発想の転換があるわけでしょう。  現実に予算の問題で具体的に申し上げますと、あの中央高速道路の道路予算ですね、あれにかりに環境整備の予算を加えていくと当初の計画よりふえるわけです。道路公団はよけいに金を出さなければいかぬことになりますね。道路一キロ当たりの単価が上がるわけですよ。そうすると第六次五カ年計画に支障があるということで、そういう環境整備の予算は押えよう、抑えようという動きが道路公団に現実にあるのです。あるから現に話が進まないのです。だから、環境優先ということを頭に置きながら、建設省が道路公団に対してこういう環境整備をやれ、こういう目標でやりなさいという指示さえ与えれば、住民との納得のもとに整備が進む。しかしキロ当たりの単価は上がるわけですよ。環境整備を含めると構造令によるところの道路単価はばっと上がることは事実ですよ。ですから私がさっきから言うように、第六次五カ年計画に対して環境整備予算というものをある程度つけるという姿勢がなければこれは失敗いたしますぞ、こう申し上げておるのです。私はいま大臣から答弁をいただこうと思いません。今後道路問題等についてさらにこの問題を含めて議論をしていきたいと思いますから、道路を建設する場合の環境整備についてはどうする、そういった方針建設省として本委員会にぴしっと出していただきたい。今国会終了まででけっこうです。そのことを要望として申し上げておいて、私は道路に対する大臣所信表明に対する質問は終わらしていただきます。道路については委員長にそのようにお取り計らいいただきたいと思いますが、委員長よろしいでしょうか。
  87. 亀山孝一

    亀山委員長 いいです。
  88. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それではそのように、道路局長さんのほうもお聞きになったでしょうから、ひとつ早急に本委員会に出していただきたいというように思います。  次に、河川の問題に入ります。先ほどいろいろ水利権の問題などで井上委員からきびしい御指摘がありましたが、私もその具体的な問題について最近非常に問題になりつつあること、特に河川敷の中の堤外の民有地の問題、この問題について若干建設省方針をお聞かせいただきたいというふうに思うのです。これは事前に御報告しておきましたが、旧河川法時代の判決であります。「河川附近地制限令四条二号、一〇条は憲法二九条三項に違反する」ということで上告した人が、最高裁の大法廷でそういう必要はないということで却下されたという判決がございますね。これは大臣見ておられますね、前もって事務当局に申し上げておきましたから。ここで言っておる内容で私たちが注目しなければならないことは、判決は確かに却下だけれども、その理由群の中の第一項で最高裁はこのように言っておるのですね。これは旧河川法ですからそういうふうな感覚で書いてあるのです。「同令四条二号による制限について同条に損失補償に関する規定がないからといって、同条があらゆる場合について一切の損失補償を全く否定する趣旨とまでは解されず、本件被告人も、その損失を具体的に主張立証して、別途、直接憲法二九条三項を根拠にして、補償請求をする余地が全くないわけではない」こういうふうに書いてありますね。  御承知のように、いま河川の中には、堤外、提内を含めて非常に民有地がたくさんある。特に堤外地についてはその形ですね、地目とかその他を変更する場合には工事事務所に届け出なければならないのですね。届ける義務がありますね。それで河川の保安上支障がないと思ったときにはそれを許可するというシステムになっていますね。ところがその手続は、いまの堤外地、堤内地に民有地を持っておる人たちに大きな衝撃を与えておるのですよ。その一つは、たとえば堤外の民有地に樹木も何にもないから、洪水が来たら農作物がかぶってしまう。ですからその堤外地の民有地に木を植える、こう言ったら許可しないのですね。木を植えることは許可しない。許可しないのはけしからぬじゃないかと言ったら、いやそれは個人が甘んじて受けなければならない公共性の一部だから補償の対象にならない、こう言っておられるのですね。ところが、一方ではそういって許可を取り消しておきながら、片一方のほうでは民有地に依然として家が述っておったり樹木があったりする場所があるわけですよね。そういう河川の中の民有地の中に現実に樹木があり、家屋まであるのに、何でおれの民有地に樹木を立てたらいかぬのかという訴訟の対象という問題が当然いま起こりつつあるわけですね。一貫性がないのですよ。現在この民有地に対する河川行政として、こういったものについて建設大臣はどういうふうにこれから扱おうとするのか。しかもだんだん裁判がふえてきておるのです。この内容について訴訟がふえてきておるのです。河川の堤外、堤内における河川敷の民有地についての扱いをどうなさろうとするのか、その点についての大臣の所見を承っておきたいと思います。
  89. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ただいま先生のお話しのように、河川そのものはいわゆる自然の公共用物でございますので、いろいろ歴史的な経過その他がございまして、民有地をずいぶん河川区域内に取り込んでおるわけでございます。したがって、ただいまお話しのようにいろいろ私権の制限を加えざるを得ないというようなことで、私どもの管理上の立場からいきますと、いわゆる河川区域、これは公共のためのものでございますから全部国で買収をしまして国有地にすれば、そういった問題は非常に解消するわけでございます。しかし、やはり財政上の問題とかその他いろんな問題がございますので、やむを得ず、たとえば新しく堤防をやるとかそういったような機会に、できるだけその土地は公共のために新しく買収をして取得をする。こういうようなことを重ねて、逐次買収を進めておるわけでございますけれども、現在堤外の民有地が全国の河川で約十二万ヘクタールくらいでございます。これは金額に直しますとやはり数千億くらいの大台になろうかと思います。坪千円にいたしますと約三千九百億でございます。かなりばく大な額になっておる。それから一方、利用の形態も、なるほど家の建っておるようなところもございますが、農耕地等で、そう毎年も被害は受けない。したがって通常の農耕なりあるいは放牧等で特に支障なく運営もされておるというようなところがほとんど大半を占めておるわけでございます。そういった意味では、多少われわれも管理上扱いにくい点もございますが、一般の受忍の範囲でできるだけ河川管理を円滑にやっていきたい。しかし、お話しのように、判決にもございますように、非常に強い何といいますか、通常の受忍義務を越えたような規制を加えたときには、これはやはり先ほどお話しの憲法二十九条三項、そういったようなもので当然国に対して請求する権利は認められておるわけでございます。
  90. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、いま河川局長がお話しになりましたように、河川というのは従来は建設行政の中心だったのです。ところが最近、予算その他も河川というのが非常に多いことは事実ですけれども、依然としてそういった基本的な問題が解決されておらないのですね。河川敷の中の民有地の問題等が依然としてずっと継続して残っておるのです。この前災害があったときに災害の調査に行ったときに、堤外の民有地に大きな木が立っておりまして、増水してそれにたくさんの流木がひっかかって堤防が決壊をして事故になっておるのですよ。ところが実際にその民有地の樹木がなければあるいは堤防決壊という障害はのがれられたかもしれないですね。しかしそれは民有地なるがゆえにそのままに放置されておった。  もう一つの例は、河川砂利を取ってよろしいという許可をとって、河川の砂利業者がどんどん河口の砂利を取っておった。その中にたまたま民有地があった。その民有地も了解を得て、了解を得たら、民有地が畑だったのですから、その畑地から砂利を取っていいかどうかということで土木事務所に連絡をして聞いてみたら、土木事務所は、河川砂利を取ってよろしいといって全部許可したところですから、それも許可せざるを得ない。これは許可しないとおかしい。ほかを取っておいてこっちは取っていかぬというのはおかしいから、それで許可した。ところがだんだん河川砂利の取り過ぎで、河川保安上砂利採取を禁止しますといって中止指令を出した。ところが民有地で取っておる分については、これは民有地から私は取っておるのですといってどんどん取る。形状変更をせよといったって砂利を取るということで認可をしてしまっておるわけですから、そういったことで、そのために飲料水、井戸水がかれて、地元の間にたいへんなトラブルを起こした砂利メーカーもおりました。  そういった意味で、河川敷におけるそういった民有地のあり方については、早急にやはり買い上げる国が買う、そういった方向へ改むべきだ。しかしその金額は、先ほど局長が言われたように、もう従来河川敷の中に民有地として入っておるわけだから、それを法外な値段で売るといえばこれは別だけれども、ほとんどの人が、もう役に立たない。水が出れば水をかぶるし、その他畑をつくっておって、そして台風が来てかぶってしまえば農作物の補償もしてくれない。だからもうこれはどうかしてくれ、どうでもいいから早く処分してくれという気持ちになっておる住民もいることは事実です。そういった意味も含めて、河川予定地については補償対象になるわけでありますから、そういった意味では河川の補償のあり方、特に河川敷における堤外の民有地については早急に河川行政のあり方として方針を立てていただきたい。どういう方針を立てるとか、そういうことを明確にして、これまた本委員会に、河川の民有地についてはこういうふうにする、補償しない、こういうものについてはこうするという具体的な方針を御提示いただきたい、そういうふうに思うのですが、大臣よろしいでしょうか。
  91. 西村英一

    西村国務大臣 ただいまの河川の中の民有地、これは原則としてはやはりそれは賠償してちゃんとしたほうがいいでしょう。しかも河川は御案内のとおりずいぶん長い歴史を持って、いろいろな不合理な点が起こっておるのでありますから、十分その賠償をするというような方法で進むということはこれはもう大いにやりたいと思います。ただ、それまでの間にどういうふうな対処のしかたをするかということでございまするから、これは十分われわれのほうでも検討いたしまして、また皆さま方に御相談申し上げたい、かように思っております。
  92. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もっと具体的に申し上げますと、補償する、買い上げるという前提に立って、一ぺんに買い上げるわけにいかないのですから、こういう形で買い上げていきますという具体的なものを出していただきたい、こういうことでありますから、委員長のほうでそのように御配慮いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  93. 亀山孝一

    亀山委員長 いいです。
  94. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは次に、住宅の問題について御質問をいたします。御承知のように住宅の問題につきましては、依然として三百万戸ぐらい不足をするということが盛んにいわれております。今度の予算におきましても住宅建設等についてはたいへん大幅な予算が計上をされておることも事実です。ただ、地価対策が確立をされておりませんので思うように住宅建設が進まないというのが今日の現状だと思うのです。土地問題につきましては、土地問題だけ議論をしておりますと二時間、三時間あっても足りませんので、この土地問題はあらためて本委員会で議論をさしていただきますから保留をさしていただいた上で、具体的な問題を申し上げながら大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思うのです。  その前に、住宅公団から来ておられますので若干の状況を御説明をいただきたいと思うのでありますが、一つは、再三報道等でも議論されておりますこま川団地ですね、埼玉県のこま川団地の問題。これは現実に四十五年三月八百五十戸発注して四十六年十二月に竣工し、四十五年十二月に五百十戸発注して四十七年一月に竣工、四十六年二月に五百四十戸発注して四月ないし九月に竣工予定、一千九百戸の団地をつくろうとしておるわけでありますが、この団地に住民が、水がないために全然入らない。そこで住宅公団のほうにお尋ねをしたいと思うのですが、なぜこういう結果が生まれたのか。千九百戸ものばく大な投資をして、なぜ水が出ないということになったのか。建てて水が出ないということがわかったのか、こういう問題についてお聞かせいただきたい。そのことを公団の方からお聞かせいただきたいと思うのです。
  95. 島守一

    ○島参考人 ただいま御質問がございましたこま川の団地でございますが、これの水につきましては、この土地を取得いたします前にわれわれのほうで水をどうするかということで検討したわけでございます。そのときに地質調査をしまして、地下水で、井戸を掘った場合には給水可能であるという結論が出ましたので買収に踏み切ったわけでございます。そして事実六本の井戸を掘りまして、掘った当時は水が出ていたわけでございます。ところが工事中に、昨年の六月でございますが、だんだん水の湧出量が減ってまいりました。住宅公団といたしましては二千二百トンの水が要る。それにかかわらず、永久的にその井戸から取水する場合においては五百トンくらいしか望めないであろうという事実がわかったわけでございます。そこで急遽町当局といろいろ相談いたしまして、その井戸をさらに追加して、それを町営水道でやったらどうだろうかというようなお話も出ました。その井戸を追加することになったわけでございますが、町のほうからこの辺で掘ったらどうかというその井戸の位置が河川の保全区域にかかっております。そのためにやはりそれはまずいということになりました。そこで第一のそごを来たしたわけでございますが、その後、町及び埼玉県ともいろいろ御協議いたしまして、現在の段階では、とにかく恒久的にあの辺一帯の給水設備を考える必要がある。そのためには、現在の町当局の案では、川に沿いまして貯留池をつくる、そしてその貯留池を水源にしましてあの辺一帯の恒久的な水道計画を立てたらどうか、そういうことで、町のほうで県当局といろいろお打ち合わせしながら現在計画を練っておられる段階でございます。
  96. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、こま川団地の問題についていま住宅公団からお話がありましたけれども住宅をつくる。しかし、現実に千九百戸も建っておるのに、まだ千九百戸のうち幾らか建っておりませんが、人が入らない。しかも肝心の水がない。こういうことでは私は幾ら住宅予算をつけてもだめだと思うのです。やはり住宅を建設するというときには計画性を持っておらなければならない。現実にそれじゃ家賃は幾らになるかといえば、六本の井戸を掘ったやつは全部家賃にかぶさってきますね。いまのお話しのように、最終的には四十九億かけて埼玉県にお願いをしてダムをつくる、それから水をもらう、そういう話にまでなっておる。ところがそれは、あとから小川委員のほうから関連質問があるそうですが、そういった問題についてはこれまた住宅公団が負担をしなければならない。この土地は一番初めは東急不動産が持っておったのですね。東急不動産が持っておったものを一平方米当たり四千三百六十五円で取得をなさっておられる。その周辺には東急不動産が分譲住宅地をつくろうとしておられるわけですね。ところが住宅公団のほうは、その団地に水を持ち込むために六本の井戸を掘ったり、あるいは四十九億のダムを将来つくったり、暫定的に町のほうから分水してもらうというような計画をしておられるけれども、これまたみんな住宅公団がかぶらなければいけない。ある程度分担をしなければいかぬ。それはみんな入居者にかぶってくるのですね。ところが分譲のほうの東急不動産のほうは、水のないところに住宅公団がわざわざ水を引いてくれるから、土地はどんどん高騰する。何のことはない、住宅公団のこういう政策で、住宅公団で家をつくるという政策が、先ほど大臣が言った法人が持っておる土地価格を押し上げる役割りを実質的にはしておるというのが、いまの段階ではこま川団地の計画なんですね。こういったあり方について私は改めてもらわなければならぬと思います。ですから、家はつくればいいんだ、そういったことではなくて、やはりまず環境の整備、まず環境がどうかということから発想していかなければ、安いからといってぱっと飛びついて土地を買うようなことをすると、結果的に売ってくれた不動産会社をもうけさせる役割りをするということになると思うのです。そういう点で、このこま川団地の問題について大臣どのようにお考えになりますか。
  97. 西村英一

    西村国務大臣 こま川団地については、いろいろ御批判を受けておりますことは十分知っております。結局一言で言うと計画のミスでしょう。あるいは調査の粗漏でしょう。そういうことがあったということは、これはまことにおわびしなければならぬと思っております。しかしそれかといって、いまできたものに早く住居を与えなければならないということもひとつやらなければならぬことでございます。したがいまして、そのかかる費用につきましてどういうふうにこれを処理していくか、これをもろにかぶればそれだけ家賃が上がるのですから……。私は、いまどういう段階でダムをつくって、そうして水がいつごろから供給されるかというような詳細なことは知りませんが、これはほんとうに計画の粗漏です。調査の不備です。おわびするよりほかありません。しかしそれはそれとして善後処置は急ぎたい、私はかように考えておる次第でございます。
  98. 亀山孝一

    亀山委員長 関連質問で小川君。
  99. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 総裁、これは私の埼玉県の問題なので一言だけ、お許しをいただいて関連質問させていただくわけでありますが、これはきのうも埼玉県の本会議で問題になったのです。知事の答弁の中では、ちっとも相談がなかったというのですね。住宅公団が本気になってここへ建てるのに、両方で水の問題等々のコミュニケーションがはっきりしていなかった。それでこういう問題が起きたんだ。だからこれはかかって公団の責任であるというような答弁をしております。私は、いま大臣がおっしゃったように、いまここでどうのこうのと言ってもしようがないのですが、これは実は高麗川をせきとめて貯水池をつくるという答弁がきのう出ているのですが、いまも松浦さんからお話があったように四十億からのお金がかかって、埼玉県で非常にたいへんなのでございます。この財政措置ですね、この点についてどのように御配慮していただけるのか。そして一日も早くこの地域の水問題を解決していただかなければならない。また、このダム――ダムというほどでもないのですが、貯水池、池ですが、これができ上がるのは一体何年で、いつごろいま言った水の供給ができるのか。こういう点を一点だけお聞きしたいと思いまして関連質問をさせていただきました。特に財政の問題では御援助いただきたい、こういう要求を兼ねての質問です。
  100. 南部哲也

    南部参考人 こま川団地の水の問題につきましてはいろいろと経緯がございまして、ただいまお話のあったような問題が現在まだ未解決に残っております。水の問題の費用の分担でございますが、これは上水道を使う場合にはやはりその分担金が要るということで、日高町の今後のいろいろな問題は、お話にございました東急不動産のほうの住民割り、あるいは西武鉄道のほうの団地がありますればそれの住民割りということで、事業各団体がそれぞれの計画人員に基づきまして分担をするという点は話がだんだん進んでおります。それから地元のほうの負担と県のほうの負担でありますが、これらのことはどうなるかというお尋ねだと思いますけれども、これらにつきましては建設省のほうでやはり河川行政としてのいろいろな措置があろうかと思います。それらについての地元負担が軽くなるような措置があるならば、われわれのほうとしては最善を尽くして、これは国のほうにもお願いをし、国、地方それから事業者、この三者の間で負担をして公正にやっていくということにいたしたい、このように考えております。  現在私が聞いておりますのでは、貯水池の完成までにはおそらく三年から四年の日時が要るというふうに聞いております。
  101. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設省にお尋ねしたいのですけれども関係局長お願いしたいのですが、いま総裁からのお話でありますと三、四年はかかる。これは日高町は財源的に非常に困っておりますので、こういった住宅公団の住宅がすでにでき上がっている、またでき上がりつつあり、ここに人が入ってくるのだけれども水がない、こういう場合に、市町村財政が極端に圧迫されなければならないような水の供給施設を必要とする場合には、県や市町村団体に対しては国はどのような財源措置を講ぜられる道があるのか。またあるとするならば、四十七年の予算、四十八年、来年の予算にはどのように配慮していただけるのか、これについてお尋ねしたいと思うのです。
  102. 沢田光英

    ○沢田説明員 お答えいたします。  ただいまのところそういうふうなものに対して直ちにできるという方法を持ち合わせておりません。しかし、これはいままでの審議の経過からいきましても、また今後も、起こってはなりませんけれども、こういうものが起こる場合もありますので、水道に関しましては厚生省あるいはその他自治省も含めまして、早急に私どものほうで打ち合わせをいたしまして、できる限りの検討をいたしたいと思います。
  103. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 とにかく水がなければ一日もここへ入ってまいれませんので、いま言った関係各省との連絡をひとつ密にしていただいて、至急この対策を立てていただくようにお願いしたいと思うのです。そういたしませんと、日高町一町ではとうていまかない切れない。また埼玉県も助成、負担の面において条例等できびしく規制されておりますので、この配分については県会でも相当いろいろ議論が出ておりますので、何ぶんともにこれを早くやらないと困るわけです。ここでどうしたどうしたという議論よりも、いかにしたら水を早く引けるかということ――この責任問題はこれは当然起きてきます。でありますが、私はこのような問題を今後繰り返さないためにも、自治体の長もしくは県知事等と綿密な事前の連絡、調査、こういうものをやらなければならぬことは言うまでもありませんが、いま言ったような財源措置についてひとつ格段の配慮をしていただいて、すみやかにこの地域の問題を解決していただきたい。最後大臣に一言お答えをいただきまして終わりにしたいと思います。
  104. 西村英一

    西村国務大臣 十分真剣に検討して解決をいたしたい、かように考えております。
  105. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまの関連質問からでもおわかりのように、当初の計画をはっきしておけば要らざる支出はなかったはずなんです。計画がずさんだったからいろいろな経費がかさんでくる。しかも地元にまで迷惑をかける。受け入れる埼玉県にまで迷惑をかける。四十九億ですからね、これはたいへんな問題だと思うのです。こういうことから、住宅公団が東京近郊の各県に住宅をつくろうとしても、各近郊の市町村がみな断わる、来てもらっては困る。私はそういった意味で、ここの最大の欠点はやはり戸数を消化するというところに問題があったと思うのですよ。割り当てはこれだけだから早くつくらなければいかぬ、こういった発想に私は非常に重大な欠陥があったと思うのです。  まだあるのですよ。同じ埼玉県のわし宮団地。これは昭和四十六年六月に第一次募集、昭和四十六年七月に第二次募集をして、四十七年二月末現在で二千四百四十九戸募集した。ところがそのうち六百六戸はあき家です。入る人がおらないのです。募集しても全然人が来ないのです。もうここで千九百戸と六百六戸ですから、埼玉県だけで住宅公団の家が二千五百戸、人が来ずということであき家同然に建っておる。日本住宅公団は御承知のように家賃で財投資金と利子を返していかなければならぬ。資本が全然回転しないで眠っておる。その分だけ住宅公団は経営が困難になるのですね。しかも入居した者は、家賃は七十年間で償還をするようになっておる。住宅公団は短期で返済をしていかなければいかぬ。金利に追われる国鉄と同じですよ。いまは政府がついておるからいいけれども、国鉄のような形になってごらんなさい、もう赤字赤字で、極端に言うとどうにもならない状態に追い込まれてしまいますね。私はもっと慎重に扱ってもらわなければいかぬと思う。やはりここにも高度経済成長政策からくる、つくればいいのだという発想があると思う。確かに国民は住宅をつくってもらわなければ困ります。しかし、もっと計画性を持ち、もっと国民の意思に沿った形で住宅建設というのはなされなければならぬと思うのです。このわし宮団地などは東京に来るまでに通勤に二時間かかるのです。乗り継ぎ乗り継ぎで二時間かかる。そのことで入る人が来ないというのです。このわし宮団地を建設するときに、もっと入居する人たちの気持ちになって計画性を持たしてやるべきだったと思うのです。  だからそういう意味で、この水の不足の問題あるいはわし宮団地の距離の問題、こうしたものを関係さしてくると、家をつくればいいのだということではなくて、団地をつくるからには水の問題もあるだろうし、あるいは電気の問題もある、あるいは通勤距離の問題もある。距離が遠くても通勤バスや何かがあれば住民は来るわけですね。非常に不便だから来ない。そういった意味では交通機関との折衝の問題があるでしょう。そういった総合計画を立てて団地建設というものがなされないと、これからこういう問題が次から次と出てくると私は思うのです。そういう意味で、私はこの欠陥についてここで追及しようとは思いませんけれども、少なくとも住宅行政のあり方についてはこれまたいまから発想の転換をしていただきたい。こういった問題を基礎にしてひとつ住宅公団を指導してもらいたい。同時に住宅公団は、要するにつくればいいのだ、全部消化せぬとどうも来年度予算を削られそうだというような発想でなくて、こういったような場合には建設省ともっと連絡し合って、十分相談し合ってやってもらいたい。そのことを私は団地の問題として意見として申し上げておきたいと思うのです。総裁、どうです、これから建てるところには決して再びこういう事態は起こらないということを、国民に向かってここで約束していただきたいと思うのです。このことを私は責任として問いません。これからはこういうことを二度と起こさないということを、ここで国民の前に、総裁、約束してください。同時に建設大臣……。
  106. 西村英一

    西村国務大臣 総裁も後ほど御答弁しますが、非常に正直なことを申しますと、従来は住宅公団も相当住宅難緩和について功績をあげたと思います。しかし最近の事情を見ておりますと、この土地問題ないし家賃の問題が非常に高くなるというようなことから、どうしても事業に非常に難儀をいたしておると思います。公団といたしましても、ある割り当てられた計画をこなすためにはこれは一生懸命になっておりますから、その辺でやはり多少無理が出てくるのじゃないかというようなことも考えられます。これはいろいろミスはありますが、いま言いましたようにこま川団地なんかは調査のミスでございましょうが、またやってみて初めの計画と違ったというような見込み違いもあるかと思います。思いますが、大体どちらへというと、住宅公団についてはいま発想の転換と申しますか、相当考え方を変えないと、これから多くの住宅を予定どおり住宅公団がこなせるかこなせぬか、こなそうとするならばいま言ったように相当の無理をする、家をつくったけれども入らぬ、それから交通機関のないようなところに家をつくるというような欠陥が出てきますから、これから日本住宅公団住宅建設は非常にむずかしいと思いますが、われわれも十分現地の方々と協力して、今後いろいろ考えていきたいということを私は思っておる次第でございます。
  107. 南部哲也

    南部参考人 公団の事業につきましていろいろ御注意いただきまして、われわれとしても肝に銘じてこのようなことのないようにひとつ措置していきたいと思います。ただ、御承知のような現下の用地取得難という問題が片や控えておりまして、またもう一つには予算的に、一戸をつくるための予算の経費というものがきまっております。こんな関係でどうしても遠隔地に立地せざるを得ないというようなことでございまして、通勤時間の増大ということだけは避けられないという状態でございます。水がないというようなことは、これはまことにまれなことで、今後このようなことは絶対にないということで措置していきたいと思いますが、通勤時間がだんだんと多くなるという点につきましては、いまだんだんおっしゃるとおり、戸数をこなしていくという場合にこれも全然なくしていけるかといわれますと、そこら辺のところはもう少し検討しなければならない。しかし、建てても人が入らないというようなものを建てたのでは、おっしゃるとおりこれはナンセンスでございますから、そういう点につきまして今後十分注意いたしまして仕事を進めていきたい、かように存じております。
  108. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は通勤距離が長くなるということは理解できるのです、土地問題がありますから。しかし、建てたけれども人が入らないのですから、さっきから言っておるのは。遠いところにつくってもいいけれども、遠いところに入った人がどういう形で行くかということを、交通機関や何かと事前に話し合いをしてやってくれ、こういうことを申し上げておるのですから誤解のないようにしてもらいたい。しかし、再びこういうことが起こったときにはそれこそ責任問題ですぞ。いまは責任のことは言いませんけれども、今度起こったときには責任ですから、これは国民のお金ですから、遊ばしておくことはたいへんな問題だと思います。  それでは最後住宅問題で二つお願いをしておくのですが、いまの住宅公団の総裁の話でもおわかりになりますように、何といったって土地問題なんです。この土地問題は十五日の予算委員会の一般質問大臣と私はやる予定にしておりますからきょうは控えますけれども、やはり土地問題ということが根本的な解決策だと思うのです。いうところの私権の制限というものを思い切って打ち出すべき段階に来ておると思う。そういうものについて、今度の十五日までに大臣のほうで、議論をする場合のこういう状況を踏まえてひとつ検討しておいてください。同じような答弁を繰り返しておったらまた議論になりますからそのことを申し上げておきたいと思います。  もう一つの問題は、実は事前に昭和四十五年から四十六年までの建築物の火災の状況をこちらにいただきましたが、この資料、間違いありませんね。
  109. 山田滋

    ○山田(滋)政府委員 差し上げました資料は四十五年の統計でございまして、間違いないと思います。
  110. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それではいただきました資料を、時間がありませんから私が読み上げます。昭和四十五年中の建物火災件数が三万九千八百四十五件、昭和四十五年中の建物火災による死者数一千三百一人、昭和四十五年中の共同住宅火災件数はそのうち二千九百十六件、昭和四十五年中の共同住宅火災による死者数九十五人、昭和四十六年中の建物火災件数三万九千二百九十四件、昭和四十六年中の建物火災による死者数一千百九十三人。  私がここで質問したいのは、実は最近の建物火災による死者数の増加ですね、これは私は非常に重大な問題だと思うのです。その中でも特に共同住宅火災による死者数というものがだんだん増加をしてきておるのですね。こういった問題について消防庁のほうでは、先般建築基準法を改めたばかりですけれども、こうした事実にかんがみて、現在の消防法あるいは消防法施行規則あるいは細則、こういったもので共同住宅については十分である、このようにお考えになっておるかどうか、その点をひとつ消防庁のほうからお聞かせいただきたいと思います。
  111. 山田滋

    ○山田(滋)政府委員 この問題につきましては前にも先生から御注意をいただいたことがございます。消防庁といたしましては、御存じのように三十六年当時、十年前でございますが、建設省と合意をいたしまして、消防法の一部改正に伴う共同住宅の取り扱いにつきまして通達を発しまして、共同住宅は通常のそれぞれの住戸集合体でございますので、火を用いる責任が各戸にございます。それから、比較的他の住宅に及ぼす防火上の危険性が少ないということで、そういう意味もございまして、全体を一戸として扱わずに、集合するそれぞれの戸ごとに特別の防火対象物として扱いまして、御存じのように消火器具以下七点につきまして特別な措置をすることに通達を発して行なってきたわけでございます。その当時といたしましては大体そういうところで無理がないだろうということでございましたが、いまお話がございましたようにその後十年も経過いたしております。そこで、最近の共同住宅の構造等を見ますと非常な高層のものがふえてまいりました。あるいはまた特別な新しい形式のもの、そういうものもふえております。それからまた特にげたばきでございますか、そういったような下階に店舗等を備えたようなものもございまして、十年間に非常な変化がございます。最近、御案内と存じますが、全国の各地にこういった併用住宅等については特に火災の事例もございます。  そこで消防庁としては、三十六年当時に行ないましたその通達の措置をこの際何らか見直しをすべき時期に来ているのじゃないかということで、現在検討いたしております。その後も、実はお話もございましたので、あるいはまた私どもも自主的にいろいろ検討いたしまして、特に現地の消防機関の意見を聞こうということで、七大都市の消防機関、消防庁の意見を徴して、寄り寄り協議を続けてまいりました。それが大体、まだ完ぺきとは申しませんが、相当程度意見が出そろいましたので、それに基づきまして消防庁自体の考え方を確立いたしまして、それによって建設省のほうと協議をいたそう。それによって従来の通達措置を、原則的には一般の防火対象物並みに、緩和措置を改めるといいますか、規制を強化する、そういう方向に進みたい、かように考えております。  大体の基本的な考え方は、一般の住宅とその他の防火対象物の中間的なものでありますけれども、少なくともそこに住んでおる人がまず火事をいち早く早期に知りまして、しかもそれを早期に通報する、同時にまた初期の消火態勢を整える、この三点の重点だけはぜひ確保いたしたいということで、いろいろ中には直ちに設置するのは無理だと思われる、たとえば自動火災報知機であるとか動力消防ポンプであるとか、こういったものはいま直ちにということは無理かと思いますけれども、その他最小限度といいますか、少なくとも現在の危険性を排除するに足ると思われるところまで規制を強化いたしたいということで、これから建設省と協議をいたしたい、こういうように存じております。
  112. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そこで建設大臣にこれはぜひお願いをしておきたいのですが、消防庁のほうで、いま骨格はここへ出ましたけれども、まだ細部にわたってこれから消防庁として議論をなさって建設省と協議に入られるそうであります。私はそういうことは過去になかったとは思いますけれども、ややもすると建設コストにウエートがかかり過ぎて、建設コストということがあまりにも頭にあり過ぎるために、消防庁から提起する問題についてはできるだけ押えていこうというような考え方があったやに漏れ承っておるわけです。そうではなかったかと思いますが、私は直接わかりません。しかし、やはり人命事故にはかえられないと思うのです。だからそういう意味では、消防庁が現在検討してこれから建設省と協議をしようとする内容については、人命尊重という立場からぜひある程度、建設省サイドではなくて消防庁サイドで、人命救助というサイドでこの問題に対処していただきたい、このように思いますが、大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  113. 西村英一

    西村国務大臣 その点はたいへん大事なことでござい出すから、第一にはやはり人命ということを当然考えなければならぬと思います。そのように私も指導いたしたい思います。
  114. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それじゃ最後に消防庁の方にお願いをしておきますが、いまここで言われたことで概略わかったのですが、消防庁のほうで内容がきまりましたら本委員会にその内容について御提示をいただきたい。そのことについて委員長にお取り計らいをいただきたいと思うのです。――それじゃよろしくお願いしておきます。  あと阿部理容の一般質問があるそうでありますから、私の大臣に対する一般質問はこれをもってきょうは終わらせていただきますが、なお土地問題その他につきましては今後に議論させていただきますので、保留させていただきたいと存じます。
  115. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、阿部昭吾君。
  116. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 委員長質問に入ります前に……。このあとで引き続き住宅金融公庫法の審議に入ります。その意味ではもうちょっと委員のメンバーをそろえていただきたい。メンバーがそろいますまで、私のほうから一昨日に引き続く一般的な御質問を申し上げます。  実は大臣建設業者、まあ業法の改正が四月一日から効力を発する、こういう状態で、建設省当局が非常な作業の積み重ねをいまやられておるわけであります。その中で、私ども、いろんな問題が起こるのであります。たとえていえば、季節労務、季節出かせぎの方々に対して、ちょっと常識で考えられないような規模の大きい賃金不払い事件が起こる。ああいうのはしょっちゅう起こっているんじゃ困るわけでありますが、まあ十人、二十人くらいの、一カ月分くらいの百万単位あるいは二百万くらいまでの賃金不払いというのは至るところで実は起こっておる。私どもどもずいぶんその調査や問題の解決を相談をされたりして、実はたいへん苦しんでおる例がたくさんある。したがってそういう問題に対して、今度四月一日からは効力を持つ新しい業法改正で、元請が一切の責任を持つというこの効力が発効するわけでありますが、ひとり賃金不払いの問題のみならず、たとえば労働者に労働災害が発生をした、したがって当然労災補償法の適用を受けるのがあたりまえなんですけれども、それを受けさせない。したがって、中で妙なことをやっている間に眼球が化膿し始めましたなんというようなことになって大騒ぎしているような問題も起こっておる。そうかと思うと、たとえば一つ企業の中で働いておるそういう出かせぎ労務者のような方々に差別待遇をする。約束と全然違うことをやる。そうして、それが今度労働関係法に違反をしておるというので地方労働委員会等、都労委あるいは地労委等に対して提訴をされる。そこで命令が発せられ、陳謝文を出させられる。ところが、いや、命令が地労委段階で出たならば行政訴訟でさらにその業者は争うんだ。そうすれば出かせぎ労務者のような方々がそう長年大業者を相手にしてがんばれるはずはないので、そのうちみんな腰砕けになるだろう。したがって地労委の決定等が出てもそれは受け入れない、そして訴訟で争うんだ、出かせぎ者はいなかへ帰ってしまう、こういうような問題とか、たくさんのことが起こっておる。  今回、賃金不払いの問題は一切の責任が元請と、こうなったのでありますが、まだまだあれだけでも弱い。したがって、そういう業者に対してはやはり、少なくとも公共事業の入札参加というものを制限していくというようなことでも――これは何も法律の問題じゃなくて、つまりそういう事業を発注する場合には発注者たる建設省なり公共機関なり、こういうところの判断で、そういう不都合な、ふらちなことをやっておるようなものは公共工事の入札参加からはずしていくというようなことは、これは行政的に可能なわけであります。私はそういう意味で、一ぺん建設省がこの業者のあり方に対して――その新たな許可をするとかしないとかの問題じゃなくて、いままで許可を受けておる業者で現場ではそういう問題がたくさん起こっておるのであります。そういう問題たとえば労働省の関係で問題を起こしたとか、あるいはその他いろんなところでたいへんな問題を起こした、こういう業者については、やはり建設省としてきびしく規制し、チェックをしていくということが必要だ、こう思うのですが、いかがでしょう。
  117. 西村英一

    西村国務大臣 工事の発注者は当然そういうことは考えてやはりやらなければならぬと思いますが、またやっておるんだろうと私は思います。それがなお不払い等をすれば、すぐ発注者にはわかってくることでございましょう、うわさによって。そういうときは十分業者を呼んで、そんなことをしたらこの次の入札の資格はないよというような注意はやはりいたしておるものと私は思いますが、しかし業者といってもたいへんだくさんありますから、中にはいろいろあると思います。個々の行政のやり方としてはあなたのおっしゃるように、十分その辺は考えてやらせるように指導いたします。
  118. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 よくわかりました。私もきょうは一般論だけで、具体論は申し上げないことにしておるのであります。  そこで、労働省労働基準局あたりでこれについての処分を決定した、賃金不払いや何かを起こして、あるいは労災補償法の当然に措置すべきことをしなかったために処分をされた、注意をされた、こういうようなものについては、やはり業者というのはなかなか激しい競争であることは私よくわかります。したがって、一番その業者がそういう問題に対して自粛をする、きびしく自己にものを問うていくということは、やはり公共事業へらの入札に参加できるかどうかということで一番きびしく受けとめて――私は、この間あるところでたいへん不都合なそういう問題が起こったので行ったら、いや、うちのほうには有力な政治家が顧問でずらっといるんです、野党のあなた代議士かもしれませんが、言われても痛くもかゆくもありませんなんという、たいへん強い業者も中におられるのであります。したがって、いまその業者は監督署あたりの問題も起こっておるし、それから地方労働委員会あたりでも問題が起こっておる。そういう事実はわれわれが問題にするのじゃなくて、たとえば地労委という機関ならば、これはそれぞれの知事や何かが任命したメンバーであります。こういう公平なる第三者機関の決定をしたことに対して、こっちは業者だし、相手は出かせぎ労働者だ、かりに地方労働委員会決定が出ても、あとは訴訟で争っておれば相手は疲れちゃってそのうち腰砕けになるだろうなんという、こういうふらちなものについては、やはり建設省としてはきびしい指導とチェックが必要だ、こう私は思うのでありますが、大臣、これは全く私と同感ですね。
  119. 西村英一

    西村国務大臣 同感でございます。ただ、実情を把握することがやはり大事でございます。しかし非常に業者が多いし、ことに都道府県はもうたいへんな業者がたくさんおりますから、なかなかこの実情を調べるのは、本省ではわからないわけですけれども、あなたのおっしゃったことは基本的には私は賛成をいたします。
  120. 亀山孝一

    亀山委員長 関連して天野君。
  121. 天野光晴

    ○天野(光)委員 いまの問題でちょっと関連してお聞きしておきたいと思うのですが、業法の改正を行なったときにはこの問題が非常に議論されまして、最近の大手業者というものはいわゆる総合的な請負でやられて、いわゆるデパートみたいなものじゃないか。大手業者が請け負ってそのまま末端まで仕事をやっている業者はないのじゃないか。しかし末端において、いま阿部委員が質問したように不始末をでかしたものの責任は、その直接請け負った業者が責任を持つべきだということで、これは理事懇談会で相当強い議論をされた問題でございます。そういう点で末端の出かせぎ労働者が出てきて働いて一銭にもならないといったような問題を引き起こした場合においては、大手業者が、元の請負者が全部責任を持つべきである。言うなれば労働賃金だけは完全に確保しておいて、そして支払いをすべきでないかというところまで議論をしたのですが、これはいわゆる業者を行政的な指導でそういうふうに持っていこうという話で落ちついておったわけでございます。最近非常に出かせぎ労働者に対する労働賃金の不払いというものが目立ってきたようでありますから、この点ひとつお含みの上、厳重にひとつ行政指導をやっていただきたい。そうして、親請負が子に請負をさせ、孫請負をさせ、ひこ請負をさせるというような状態では、どうしても元請負からの現実仕事をしている段階における監督等も不行き届きになるというそしりも受けますので、そういう点十二分に配慮されまして、この問題については善処するようにしてほしい。いわゆる請負の指名停止等も私はあってしかるべきだと思います。そういう点、きつくしていただかないと、末端までの元請負の監督は不行き届きになるきらいがありますから、そういう点お含みおきの上、厳重に処断してやっていただくように、大臣の御意見をひとつお伺いしておきたい。
  122. 西村英一

    西村国務大臣 元請が全責任を負うことは当然でございます。働かして賃金を払わないような、当然それは処罰すべきでございます。当然それは考えていいことでございますから、責任は元請に十分持たせるように指導いたします。
  123. 天野光晴

    ○天野(光)委員 それはけっこうです。それでいいんですが、ただ先ほど阿部君が質問しておるときに述べておるように、裁判となりますと、元請と一介の労務者とではとても裁判の対象になりません。そうですから行政的な指導として、元請負に、そういう行跡のふしだらなものが出た場合においては指名停止をやるというところまでひとつ強くやっていただかないとこの問題の解決はできないと思いますので、その点ひとつ十分に御検討を願うようにお願いをして、私の関連質問を終わります。
  124. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 ただいまの天野委員の関連質問、この趣旨で私の言わんとするところは尽きております。住宅公団の総裁、いまの御答弁は、住宅公団においていろいろ発注される業者においても全く同様だと思いますので、御確認を願いたい。このことを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  125. 南部哲也

    南部参考人 賃金の不払い等の不始末というような点につきまして、われわれのほうといたしましても今後十分気をつけまして、指名の際に考慮していくという措置を考えていきたいと思っております。      ――――◇―――――
  126. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、内閣提出、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  127. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 きょう、本案についての質疑をする予定でありましたが、本会議の予鈴が鳴りましたので、本問題に対する質疑は次回に繰り延べたいと存じます。よろしく取り計らい願います。
  128. 亀山孝一

    亀山委員長 次回は、来たる十五日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十四分散会