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1972-04-11 第68回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十一日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 福田 繁芳君    理事 白浜 仁吉君 理事 菅波  茂君    理事 濱野 清吾君 理事 森下 元晴君    理事 綿貫 民輔君 理事 下平 正一君    理事 鳥居 一雄君 理事 吉田 賢一君       笠岡  喬君    中川 俊思君       中山 利生君    井野 正揮君       坂井 弘一君    瀬長亀次郎君  出席政府委員         外務政務次官  大西 正男君         通商産業政務次         官      稻村佐近四郎君         通商産業大臣官         房参事官    増田  実君         通商産業省重工         業局長     矢島 嗣郎君         運輸省航空局長 内村 信行君         郵政政務次官  松山千惠子君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 浅見 喜作君         労働政務次官  中山 太郎君         労働大臣官房会         計課長     大坪健一郎君         自治政務次官  小山 省二君         自治大臣官房会         計課長     山本 成美君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局審議官  増淵 亮夫君         行政管理庁行政         監察局監察官  相沢 正文君         外務省アメリカ         局外務参事官  橘  正忠君         外務省アメリカ         局安全保障課長 松田 慶文君         大蔵省主計局主         計官      徳田 博美君         会計検査院事務         総局次長第五局         長事務取扱   鎌田 英夫君         会計検査院事務         総局第一局長  服部 桂三君         会計検査院事務         総局第二局長  柴崎 敏郎君         会計検査院事務         総局第三局長  桜木 拳一君         会計検査院事務         総局第四局長  田中  稔君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社理事     遠藤 正介君         公営企業金融公         庫総裁     荻田  保君         参  考  人         (日本航空機製         造株式会社専務         取締役)    若杉 礼三君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君 委員の異動 四月十一日  辞任         補欠選任   石田 博英君     中川 俊思君   高田 富之君     井野 正揮君   芳賀  貢君     中澤 茂一君 同日  辞任         補欠選任   中川 俊思君     石田 博英君   井野 正揮君     高田 富之君   中澤 茂一君     芳賀  貢君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十四年度政府関係機関決算書  昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十四年度国有財産無償貸付状況計算書  (郵政省所管日本電信電話公社労働省所管、  自治省所管公営企業金融公庫通商産業省所  管)      ————◇—————
  2. 福田繁芳

    福田委員長 これより会議を開きます。  昭和四十四年度決算外二件を一括して議題にいたしとう存じます。  本日は、まず郵政省所管日本電信電話公社労働省所管自治省所管及び公営企業金融公庫について審査を行ないたいと存じます。  まず郵政省所管について、その概要説明を求めとう存じます。松山郵政政務次官
  3. 松山千惠子

    松山政府委員 郵政事業特別会計郵便貯金特別会計簡易生命保険及び郵便年金特別会計並びに一般会計昭和四十四年度決算について、その概要を申し上げます。  郵政事業特別会計歳入予算額は六千二百六十七億四千九百三十八万余円、歳出予算現額は六千五百七十三億七千九百二十七万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では六千四百二十三億九千九百六十七万余円、歳出では六千三百八十五億一千三百十六万余円となっております。この中には収入印紙等業務外収入支出借り入れ金建設費等資本的収入支出が含まれていますので、これらを除きました事業運営による歳入歳出は、歳入では四千六百九十億六千百六十五万余円、歳出では四千五百八十九億四千百九十八万余円となっております。  郵便貯金特別会計歳入予算額は四千百九十八億九千四百六十三万余円、歳出予算現額は三千四百五十七億四千四百四十四万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では四千四百億四千五百九十万余円、歳出では三千四百五十五億九千三百八十四万余円となっており、差額九百四十四億五千二百五万余円は法律の定めるところに従い、翌年度歳入に繰り入れることといたしました。  簡易生命保険及び郵便年金特別会計につきましては、保険勘定歳入予算額は五千七百三十億二千二百一万余円、歳出予算現額は三千十四億一千百三十三万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では五千九百十二億九百四万余円、歳出では二千九百十六億一千二百十四万余円となっており、差額二千九百九十五億九千六百九十万余円は法律の定めるところに従い積み立て金といたしました。年金勘定歳入予算額は二十八億九千六百七十五万余円、歳出予算現額は三十五億一千三百二十四万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では二十五億六千五百五十万余円、歳出では二十九億三千六百万余円となっており、差額三億七千五十万余円は法律の定めるところに従い積み立て金から補足いたしました。  また、一般会計におきましては、歳出予算現額五十七億五千三十万余円に対し、支出済み歳出額は五十七億二千八百十六万余円となっております。  次に四十四年度主要施策事項について申し上げますと、  第一は事業近代化をはかるため、前年度に引き続き郵便番号制度の推進、郵便局舎等改善につとめたことであります。  また、作業機械化につきましては、郵便物自動み取り区分機自動選別機、自動取りそろえ押印機を増備して郵便作業機械化を推進したほか、為替貯金窓口事務及び原簿事務についても機化を一そう推進し、簡易保険事務機械化についても引き続きその拡充をはかりました。  第二といたしましては、郵便貯金増強であります。  四十四年度郵便貯金増加目標額九千八百億円に対しましては、一兆二千二十五億六千六百七十一万余円の成果をあげ、目標額をはるかに上回ることができました。郵便貯金の四十四年度末の現在高は六兆二千四百五十八億五千六百七十万余円となりまして、資金運用部資金の約五二%は郵便貯金預託金で占めている状況であります。  第三といたしましては、簡易保険増強であります。  四十四年度は、保険金最高制限額を従来の百五十万円から二百万円に引き上げるとともに、時代の要請にこたえて傷害特約制度を創設いたしました。このため簡易生命保険新規募集目標額八十四億円に対しまして九十九億三千六百四十七万余円の実績をあげることができ、四十四年度保有契約高は八兆五千三十七億二千六百七十七万余円となっております。  なお、四十四年度における簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの財政投融資額は三千三百五十八億四千百万余円であります。  以上をもちまして、四十四年度決算概略についての説明を終わります。  次に、昭和四十四年度日本電信電話公社決算書類会計検査院検査報告とともに第六十五回国会に提出いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十四年度における日本電信電話公社決算は、前年度に引き続き黒字決算となっており、損益計算上の利益金は、事業規模の拡大に伴い、給与その他諸費利子及び債務取り扱い諸費等が増大しましたが、収入が順調に推移したため、前年度よりも増加し、二百六十八億百万余円となっております。  また、建設計画につきましては、集団電話を含め加入電話増設約百九十五万五千加入主要工程とする建設工事を実施いたしました。  以下、決算内容勘定別に御説明申し上げます。  損益勘定におきましては、収入済み額九千三百四億七千四百五十一万余円、支出済み額九千百四十億二千八百五十一万余円でありまして、収入支出を超過すること百六十四億四千六百万余円となっております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては予算額八千八百六十五億九千七百九十五万余円に対し、四百三十八億七千六百五十五万余円上回っておりますが、これは電話収入及び専用収入で四百五十二億一千六百二万余円の増収があったのに対し、電信収入及び雑収入で十三億.三千九百四十七万余円の減収があったためであります。  他方支出におきましては、支出済み額支出予算現額九千百五十八億一千八百六十六万円に対し、十七億九千十四万余円下回っておりますが、この差額は、翌年度繰り越し額九億六千六百六十七万余円と不用額八億二千三百四十七万余円とであります。  資本勘定におきましては、収入済み額は六千八百六十二億六千百四十万余円、支出済み額は六千五百三十九億七千六百五十八万余円でありまして、収入支出を超過すること三百二十二億八千四百八十二万余円となっております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額六千三百八十三億二千八十三万円に対し、四百七十九億四千五十七万余円上回っておりますが、これは損益勘定より受け入れが百億三千八万余円、資産充当が三十一億九千七百二十五万余円、設備料が六十億三千九百七十二万余円、電信電話債券が二百八十六億七千三百五十一万余円、いずれも予算額に比べ増加したことによるものであります。他方支出におきましては、支出済み額支出予算現額六千五百四十三億八千四百七十七万余円に対し、四億八百十八万余円下回っておりますが、この差額はおもに翌年度へ繰り越すこととしております。  建設勘定におきましては、収入済み額は六千二十七億二千七百三十四万余円、支出済み額は五千.九百七十四億九千八百五十一万余円でありまして、収入支出を超過すること五十二億二千八百八十二万余円となっております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額五千八百七十億円に対し、百五十七億二千七百三十四万余円上回っておりますが、これは資本勘定より受け入れ増加したためであります。他方支出におきましては、支出済み額支出予算現額六千二百七十六億八千四百八十四万余円に対し、三百一億八千六百三十三万余円下回っておりますが、この差額は全額翌年度へ繰り越すこととしております。  なお、昭和四十四年度日本電信電話公社電信電話拡充第四次五カ年計画の第二年度に当たっておりますが、実施いたしました建設工程のおもな内容について申し上げますと、加入電話増設は、事業所集団電話及び地域集団電話を含め、百九十五万加入予定に対し約百九十五万五千加入公衆電話増設は四万個の予定に対し約四万個を実施し、また、市外電話回線増設、新電話局建設及びデータ通信等についても、それぞれおおむね予定どおり実施いたしております。  最後に、昭和四十四年度予算執行につきまして、会計検査院から不当事項一件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾なことでありまして、日本電信電話公社に対し、適正な事業運営につきまして、今後一そうの努力をいたすよう指導監督してまいりたいと考えております。  以上をもちまして、私の説明を終わります。
  4. 福田繁芳

    福田委員長 次に、この際、会計検査院当局から、検査概要説明を求めとう存じます。柴崎会計検査院第二局長
  5. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 昭和四十四年度郵政省決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 福田繁芳

    福田委員長 次に、会計検査院事務総局次長であり、第五局長事務取扱鎌田君が参っておりまするから、これまたあわせて説明を求めとう存じます。鎌田君。
  7. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 昭和四十四年度日本電信電話公社決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が一件でございます。  これは、検査報告の一五二号に記述してありますが、中継線用地下管路工事の施行にあたり、契約変更の際、管路布設工の覆工費及び土留費積算が適切でなかったため契約額割り高になったと認められるものでございます。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  8. 福田繁芳

    福田委員長 次に、日本電信電話公社当局から、その資金計画事業計画等について説明を求めとう存じます。米澤日本電信電話公社総裁
  9. 米澤滋

    米澤説明員 昭和四十四年度事業概要について御説明申し上げます。  昭和四十四年度電信電話拡充第四次五カ年計画の第二年度に当たりますが、大幅な電話架設を順調に実施し、また、景気が好調に推移したこともあって、事業収入予定を上回る結果となりました。  一方、事業支出について見ますと、人件費並び減価償却費利子及び債券取り扱い費などの資本費用増高は引き続き著しいものがありましたが、業務合理化能率的運営につとめました結果、損益計算上二百六十八億百万円余の利益をあげることができました。  四十四年度決算について見ますと、損益勘定収入におきましては、予算額八千八百六十五億九千七百九十五万円余に対しまして収入済み額は九千三百四億七千四百五十一万円余となり、四百三十八億七千六百五十五万円余上回りましたが、その内容は、電信収入で二億九千八百二十六万円余の減、電話収入で四百十五億五千二百三十三万円余の増、その他の収入で二十六億二千二百四十九万円余の増となっております。支出におきましては、予算額に前年度からの繰り越し額及び予算総規定による経費増額を加えた予算現額九千百五十八億一千八百六十六万円に対しまして、支出済み額は九千百四十億二千八百五十一万円余となり、十七億九千十四万円余下回っています。  また、建設勘定におきましては、予算額に前年度からの繰り越し額及び予算総則規定による経費増額等を加えた予算現額六千二百七十六億八千四百八十四万円余に対しまして、支出済み額は五千九百七十四億九千八百五十一万円余となり、差額三百一億八千六百三十三万円余は翌年度へ繰り越しました。  なお、建設勘定支出及び債務償還等の財源に充てるため電信電話債券の発行により二千六百七十八億七千三百五十一万円余、設備料として五百八十三億千百七十二万円余の受け入れを行ない、一方、債券及び借り入れ金等について五百十一億四千九百二十四万円余の償還を行ないました。  次に、四十四年度に実施いたしましたおもな建設工程内容について見ますと、加入電話増設は約百六十二万加入予定に対し約百六十四万加入地域集団電話増設三十万加入予定に対し約三十万加入公衆電話増設四万個の予定に対約四万個などのほか、データ通信施設システム予定に対し二システムとなっております。  このような増設を行なったにもかかわらず、電話の申し込みを受けてなお架設のできないものが、四十四年度末において約二百八十五万にも達し、依然として熾烈な需要に応じ得ず、かつ情報化の進展に伴う電気通信サービス多様化高度化等に対する要望も著しい状況でありますので、さらに施設拡充及びサービスの向上をはからなければならないと存じております。  最後に、四十四年度決算検査報告指摘を受けました事項について申し上げます。  不当事項として一件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じております。  これは近畿電気通信局奈良電気通信部が施行した大和高田橿原間市外ケーブル方式工事において、契約変更の際、覆工費等積算にあたり、仮設条件の判断に配慮が足りなかったため契約額が割高となったものでありますが、今後は十分注意いたします。  以上、簡単でありますが、概略説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  10. 福田繁芳

    福田委員長 次に、労働省所管について、その概要説明を求めとう存じます。中山労働政務次官
  11. 中山太郎

    中山政府委員 労働省所管昭和四十四年度決算について、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算について申し上げます。  歳出予算現額は一千九十三億二千四百三十四万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額一千九十億一千六百十六万円、前年度繰り越し額七百五十万円、予備費使用額三億六十八万円余となっております。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額一千八十四億五千七百六十三万円余、翌年度繰り越し額七百五十万円、不用額八億五千九百二十一万円余で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額のおもなものについて申し上げますと、失業保険費負担金及び失業対策事業費等であります。  これらの経費は、失業保険法に基づく失業保険給付等に要する費用の一部負担及び緊急失業対策法に基づき実施した失業対策事業等に要したものでありますが、このうち、失業対策事業のおもな実績は、事業主体数一千七十六カ所、事業数四千三百二十二件、失業者吸収人員一日平均十四万七千人となっております。  なお、不用額のおもなものは、職業転換対策事業費等であります。  次に、特別会計決算の大要について申し上げます。  まず、労働者災害補償保険特別会計について申し上げます。まず、歳入につきましては、歳入予算額一千八百七十一億六千七百四十三万円余に対しまして、収納済み歳入額一千九百十九億一千三百六十七万円余でありまして、差し引き四十七億四千六百二十四万円余の増加となっております。これは、適用労働者賃金水準上昇及び適用事業場増加等によるものであります。  次に、歳出につきましては、歳出予算現額一千八百七十四億七千四百二十六万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額一千八百七十一億六千七百四十三万円余、前年度繰り越し額三億六百八十三万円余であります。このうち、予備費使用額は、七十七億五千六十三万円余でありまして、これは主として保険金に要した経費であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額一千百七十四億六千七百七十二万円余、翌年度繰り越し額一億八千二百九十九万円余、不用額六百九十八億二千三百五十四万円余で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額のおもなものは、労働者災害補償保険法に基づく保険給付に必要な経費及び労働者災害補償保険事業業務取り扱いに必要な経費等であります。  この事業実績概要について申し上げますと、適用事業場数百十五万九千件余、適用労働者数二千六百十四万七千人余でありまして、保険給付支払い件数は四百七十九万九千件余、支払い金額は一千十億六千三百六十二万円余となっております。  なお、不用額のおもなものは、予備費等であります。  次に、失業保険特別会計について申し上げます。  まず、歳入につきましては、歳入予算額二千三百八億八千六百五十万円余に対しまして、収納済み歳入額二千六百三十一億四千七百十五万円余でありまして、差し引き三百二十二億六千六十五万円余の増加となっております。これは、被保険者賃金上昇率予定を上回ったこと等によるものであります。  次に、歳出につきましては、歳出予算現額二千三百九億五千百八十三万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額二千三百八億八千六百五十万円余、前年度繰り越し額六千五百三十三万円余であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出・額一千九百六十七億七千四百二十七万円余、翌年度繰り越し額四千六百六十二万円余、不用額三百四十一億三千九十三万円余で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額のおもなものは、失業保険法に基づく保険給付に必要な経費及び失業保険事業業務取り扱いに必要な経費であります。  この事業実績概要について申し上げますと、適用事業所数六十七万五千件余、一般失業保険保険者数二千七十一万二千人余、日雇い失業保険保険者数三十万二千人余となっております。また、保険給付平均受給者人員は、一般失業保険五十万八千人余、日雇い失業保険十八万七千人余でありまして、支給金額は、一般失業保険一千四百八十一億九千百四十四万円余、日雇い失業保険四十九億三千三百三万円余となっております。  なお、不用額のおもなものは、予備費等であります。  最後に、石炭対策特別会計のうち、労働省所掌分炭鉱離職者援護対策費及び産炭地域開発雇用対策費歳出決算について申し上げます。  歳出予算現額は、七十六億三千六百五十七万円でありまして、これは歳出予算額と同額となっております。  この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額七十三億九千三百二十九万円余、翌年度繰り越し額五千九百六十六万円余、不用額一億八千三百六十万円余で決算を結了いたしました。  この事業実績概要について申し上げますと、まず、炭鉱離職者援護事業につきましては、移住資金八千百四十八件、雇用奨励金七千二百六十七件でありまして、支給金額は、移住資金四億三千五百二十一万円余、雇用奨励金三億一千二百六十一万円余となっております。  次に、炭鉱離職者緊急就労対策事業につきましては、事業主体数五十五カ所、事業数四百五十三件、吸収人員一日平均四千五百三十六人、また、産炭地域開発就労事業につきましては、事業主体数四十一カ所、事業数百五十九件、吸収人員一日平均三千三十一人となっております。  なお、不用額のおもなものは炭鉱離職者援護対策費等であります。  以上が労働省所管に属する昭和四十四年度一般会計及び特別会計決算概要であります。  なお、昭和四十四年度決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。  これらの指摘事項につきましては、鋭意改善につとめ、また、このような御指摘を受けることのないよう一そうの努力をいたしたいと思います。  以上をもちまして、労働省所管に属する一般会計及び特別会計決算の御説明を終わります。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  12. 福田繁芳

    福田委員長 次に、会計検査院当局から、検査概要説明を願いとう存じます。桜木会計検査院第三局長
  13. 桜木拳一

    桜木会計検査院説明員 昭和四十四年度労働省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告不当事項として掲記いたしましたものは、九七号の一件でございます。  これは、失業保険事業における給付に関するもので、保険金受給者が再就職しているのに、引き続き失業保険金を支給していたなど、給付の適正を欠いているというものでございます。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  14. 福田繁芳

    福田委員長 次に、自治省所管について概要説明を求めます。小山自治政務次官
  15. 小山省二

    小山政府委員 昭和四十四年度における自治省所管決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額は、当初予算額一兆三千八百三億六千六百九十万円余、予算補正追加額九百九十五億五千三百五十九万円余、予算補正修正減少額四億九千百八十三万円余、総理府所管から移しかえを受けた額二千百三十七万円余、前年度繰り越し額一千二百八十四万円余、予備費使用額六十四億九千百七十三万円余、合計一兆四千八百五十九億五千四百六十二万円余でありまして、これに対し、支出済み歳出額は一兆四千八百五十四億二千五百三十二万円余で、差額五億二千九百三十万円余を生じましたが、この差額のうち、翌年度繰り越し額は三億七千九百三十三万円余、不用額は一億四千九百九十六万円余であります。  以下、支出済み歳出額のおもなものにつきまして御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金でありますが、歳出予算現額は一兆四千三百二十八億二千三百五十九万円余、支出済み歳出額は一兆四千三百二十八億二千三百五千九万円余でありまして、全額支出済みであります。この経費は、昭和四十四年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額に過年度精算額及び昭和四十三年度の特例措置に伴う昭和四十四年度加算額を加算した額から昭和四十四年度の特例措置による減額分を控除した額に相当する金額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れたものであります。  次に、特別事業償還交付金でありますが、歳出予算現額は百三億円、支出済み歳出額は百三億円でありまして、全額支出済みであります。この経費は、公共事業費等特定の事業費の財源に充てるため昭和四十一年度において特別に発行を許可された地方債の昭和四十四年度分の元利償還金のうち普通交付税の交付を受ける地方団体分として算定された額に相当する金額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れたものであります。  次に、奄美群島振興費でありますが、歳出予算現額は十八億九千五十三万円余、支出済み歳出額は十八億五千八百七十万円余、翌年度繰り越し額は三千百七十七万円余、不用額は五万円余となっております。この経費は、奄美群島の急速な復興をはかるため及び住民の生活の安定に資するため、同群島における主要産業の振興、公共土木施設の整備等の振興事業の実施に要する経費について補助するために要したものであります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、歳出予算現額は二十六億円、支出済み歳出額は二十六億円で、全額支出済みであります。この経費は、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し交付したものであります。  次に、交通安全対策特別交付金でありますが、歳出予算現額は百十七億三千六百十八万円余、支出済み歳出額は百十七億三千六百十八万円余で、全額支出済みであります。この経費は、交通安全対策の一環として、反則金にかかる収入額に相当する金額を、道路交通安全施設の設置に要する費用に充てさせるため、都道府県及び市町村に対し交通安全対策特別交付金として交付したものであります。  次に、小災害地方債元利補給でありますが、歳出予算現額は十八億九千八十八万円、支出済み歳出額は十八億八千六十万円余、不用額は一千二十七万円余でありまして、この経費は、公共土木施設、農地等の小災害にかかる地方債の昭和四十四年度分の元利償還金の全部またはその一部に相当する額の元利補給金を関係地方公共団体に交付したものであります。  不用額を生じましたのは、元利償還金が予定より少なかったため、これに対応する元利補給金を必要とすることが少なかったことによるものであります。  次に、市町村民税臨時減税補てん債元利補給でありますが、歳出予算現額は百十一億一千五百二万円余、支出済み歳出額は百十一億一千四百八十万円余、不用額は二十二万円余でありまして、この経費は、市町村民税の課税方式の統一等に伴う市町村民税の減収を補てんするために起こした地方債の昭和四十四年度分の元利償還金の三分の二に相当する額の元利補給金を関係市町村に交付したものであります。  不用額を生じましたのは、元利償還金が予定より少なかったため、これに対応する元利補給金を必要とすることが少なかったことによるものであります。  次に、地方公営企業再建債利子補給でありますが、歳出予算現額は十五億三千三百三十六万円余、支出済み歳出額は十五億七百二十五万円、不用額は二千六百十一万円余でありまして、この経費は、地方公営企業の財政再建を促進するため、再建企業を経営する地方公共団体が起こした財政再建債の利子の一部に相当する額の利子補給金を当該地方公共団体に交付したものであります。  不用額を生じましたのは、利子の支払い額が余定より少なかったため、これに対応する利子補給金を必要とすることが少なかったことによるものであります。  次に、衆議院議員総選挙費でありますが、歳出予算額は五十八億六千七十一万円余、支出済み歳出額は五十八億三千九十三万円余、不用額は二千九百七十八万円余となっておりまして、これは昭和四十四年十二月に執行されました衆議院議員総選挙に要した経費であります。  不用額を生じましたのは、立候補者が予定より少なかったこと等によるものであります。  次に、消防施設等整備費補助でありますが、歳出予算現額は十六億二千六百八万円余、支出済み歳額は十六億一千四百六十六万円余、翌年度繰り越し額は一千五十四万円余、不用額は八十七万円余となっておりまして、この経費は、消防施設等の整備に要する経費の一部を関係地方公共団体に対し補助するために要したものであります。  不用額を生じましたのは、補助事業費の精算の結果、消防施設等整備費補助金等を要することが少なかったためであります。  以上が一般会計歳出決算概要であります。  次に、交付税及び譲与税配付金特別会計決算につきましては、歳入予算額は、当初予算額一兆四千五百十七億一千百十七万円余、予算補正追加額九百九十四億八千四百四十八万円、合計一兆五千五百十一億九千五百六十五万円余でありまして、これに対し、収納済み歳入額は一兆六千二百十九億八千九十一万円余となっております。  また、歳出予算現額は、当初予算額一兆四千五百十七億一千百十七万円余、予算補正追加額九百九十四億八千四百四十八万円、前年度繰り越し額六百八十四億一千二百四十五万円余、昭和四十四年度特別会計予算予算総則第十一条第一項第七号の規定による使用額十八億二千二百二十九万円余、合計一兆六千二百十四億三千三十九万円余でありまして、これに対し、支出済み歳出額は一兆五千八百二十九億一千三百三十六万円余で、差額三百八十五億一千七百二万円余を生じますが、この差額のうち、翌年度繰り越し使用額は三百八十一億九千百十二万円余、不用額は三億二千五百九十万円余であります。  支出済み歳出額のおもなものは、第一に、地方交付税交付金一兆四千五百五億四千五百八万円余でありまして、これは、地方団体の基準財政需要額が基準財政収入額をこえる場合にその財源不足額に応じて必要な財源を、また災害復旧その他特別な財政需要等に対し必要な財源を、それぞれ地方団体に交付したものであります。  第二に、地方譲与税譲与金九百三十億五千二百二十九万円余でありますが、これは、この会計の歳入となる地方道路税、石油ガス税及び特別とん税の収入額に相当する金額を、それぞれ地方道路譲与税譲与金、石油ガス譲与税譲与金及び特別とん譲与税譲与金として関係地方公共団体に譲与したものであります。  第三に、特別事業償還交付金百三億円でありますが、これは、一般会計において申し上げましたように、特別事業債の昭和四十四年度分の元利償還金のうち、いわゆる交付団体分に相当する金額を当該地方団体に交付したものであります。  以上、昭和四十四年度自治省所管決算概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  16. 福田繁芳

    福田委員長 次に、会計検査院当局から、検査概要説明を求めとう存じます。服部会計検査院第一局長
  17. 服部桂三

    ○服部会計検査院説明員 昭和四十四年度自治省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  18. 福田繁芳

    福田委員長 次に、公営企業金融公庫当局から、その資金計画事業計画等について説明を求めとう存じます。荻田公営企業金融公庫総裁
  19. 荻田保

    ○荻田説明員 公営企業金融公庫昭和四十四年度業務の概況につきまして御説明申し上げます。  昭和四十四年度における貸し付け計画額は、当初九百十一億円でありまして、この原資としては、産業投資特別会計からの出資金二億円、公営企業債券の発行による収入六百七十八億円及び貸し付け回収金等の資金二百三十一億円を充てる予定をいたしておりましたが、決算の結果、貸し付け実績は、千七百六十三件、八百八十七億五百十万円となり、その原資としては、産業投資特別会計からの出資金二億円、公営企業債券の発行による収入七百四十八億五千七百四十八万円余及び貸し付け回収金等の資金百三十六億四千七百六十一万円余を充てたのでございます。  この貸し付け実績を前年度の貸し付け実績、千六百四十五件、七百六十七億八千百四十万円に比較いたしますと、件数において七%、金額において一六%の増加となっております。  貸し付けのおもなる内訳は、上水道事業九百六十五件、三百六十四億一千二百八十万円、地域開発事業二百一件、百九十億一千四十万円、工業用水道事業七十七件、八十八億二千九百万円、有料道路事業三十八件、八十八億二千四百万円、下水道事業二百五十二件、四十四億五千八百十万円、港湾整備事業五十四件、四十二億六千三百万円、その他百七十六件、六十九億七百八十万円となっております。以上のほか、短期貸し付けとして、三百五十三件、三百七十二億九百四十万円の貸し付けを行ないました。  以上により、当年度末における貸し付け残高は三千八百四十六億二千三百八十二万円余となり、前年度末貸し付け残高に比較いたしまして六百五億七千七百六十万円余の増加、率において一九%の増加となったのでございます。  なお、元利金の回収額は合計五百二十八億二千三百二十九万円余でございまして、延滞となっているものはございません。また、当年度におきまして、下水道事業に対する貸し付け金の償還年限を十八年から二十一年に延長いたしました。  以上のほか、市町村が行なう公有林整備事業及び草地改良事業に対して農林漁業金融公庫から委託を受け、千五百九十六件、四十一億六十万円の貸し付けを行ないましたが、受託貸し付けの当年度末における貸付残高は百九十九億七千百七十六万余円となっております。  次に、公営企業債券の発行額は八百三十六億五千万円でありまして、このうち公募債が四百二十億七千万円、縁故債が四百十五億八千万円であります。なお、公募債のうち百五十五億七十五万円余は、昭和三十七年度に発行した債券の満期償還に必要な資金に充てるために発行したものであります。また、縁故債のうち八十三億円は低利の債券を発行いたしました。  次に、収入支出について申し上げますと、収入済み額は、収入予算額二百五十七億八千三百九十四万円余に対し二百五十八億一千六百四十七万円余、支出済み額は、支出予算額二百六十億七千三百九十五万円余に対し二百五十三億六千百二十一万円余でありまして、収入支出を四億五千五百二十六万円余上回っております。  次に、損益の状況でございますが、貸し付け金利息等利益金勘定合計二百七十三億四千三百九十六万円余に対し、債券利息及び事務費等の損失金勘定合計二百六十億二千百六十四万円余であり、差し引き十三億二千二百三十二万円余を各種の償却に充当いたしました。このため利益金は生じておりません。  以上、昭和四十四年度公営企業金融公庫業務の概況について御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  20. 福田繁芳

    福田委員長 これにて説明聴取は終わりました。     —————————————
  21. 福田繁芳

    福田委員長 これより通商産業省所管について審査を行ないたいと思います。  本日は、参考人として日本航空機製造株式会社専務取締役若杉礼三君の出席を願っております。参考人からの意見聴取は、委員の質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森下元晴君。
  22. 森下元晴

    ○森下(元)委員 今回の私の質問は、通産省に対しまして、航空機産業の問題についてお尋ねしたいと思いますけれども、その前に、私が昨年の五月二十一日、当委員会におきまして運輸省の航空局に対しまして、航空行政の問題につきましてお伺いいたしました。そのときに保留をいたしました問題もございますので、その問題を先に取り上げたいと思います。  第一の問題は、最近特に航空需要が増大いたしております。それに従って空港の整備の問題、それからいわゆる安全航行に対する施策の問題その問題と、ちょうど昨年の五月十五日に第三の航空会社といたしまして、いわゆる東亜国内航空という新しい会社が発足したわけでございます。いろいろその発足を危ぶまれながら出発したわけでありますけれども、残念ながら七月の三日に函館上空で「ばんだい号」事件、こういう問題もございまして、私が指摘したことが実はそのとおりになりまして、航空事故に対する問題安全についての問題は非常に航空行政における重要な問題でもございますので、その三点につきまして、ちょうど航空局の局長さんおいでになっておるようでごいますので、まずお尋ねをいたします。
  23. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいまの三点についてお答え申し上げます。  まず航空需要の増加傾向、それに伴って空港整備並びに安全策をどうするか、こういう問題でございます。航空需要につきましては、昭和四十五年まで、これは非常に大きく伸びてまいりまして、大体平均年率三〇%以上というような大幅な伸びを示してまいりました。しかし、昭和四十六年度に入りましては、ドル・ショックその他の景気後退、それから特にその二つの大きな事故というものもございました関係から、伸び率は従前に比べましてだいぶ伸び悩んでおるというのが実情でございます。しかし、本年に入ってからはややこの需要も持ち直しているというような感じがございます。おそらく、いろいろ景気変動もございますけれども、長期的に見ますと、マクロに見まして、昭和五十年度くらいには国内線が大体四千万、国際線旅客が大体一千万になるであろうというふうに推定されるわけでございます。  こういった背景におきまして、私どもといたしましては、まず空港の整備、それから安全施設の整備、これをやっていくということが重要な問題でございまして、そのために、四十六年度を初年度といたしまして、六、七、八、九、五十年度まで、第二次空港整備五カ年計画を策定いたしまして、総額五千六百億でございます。その中で、特に御指摘ございました保安施設につきましては、約七百億円というものを計上いたしまして、もっぱら優先的にかつ重点的に保安施設の整備をはかってまいりたいというふうに考えております。  さらに、東亜国内の問題でございます。これにつきましては、先生御指摘のように、大きな事故を起こしたことはたいへん残念でございまして、私もほんとうに申しわけないと思っておる次第でございますが、それを契機といたしまして、安全については万全を期したいということからその事故、さらに全日空の事故も重なりましたが、それに対しましては、訓練空域を設定するとか、あるいは特別管制空域を設定するとかいたしまして、いわゆる交通の分離をはかるということによって安全性の確保をはかるということをとりあえずいたしました。  それから、さらに今後航空法の一部改正、これは、航空法というものは膨大なものでございますが、特に緊急に必要な交通規則的な面の改正をはかりまして、その改正案を本国会で御審議願いたい、こう思っております。さらに、事故調査委員会というものを航空局から分離いたしまして新しく独立させ、さらにその会社に対しましては、事故後もしばしば立ち入り検査をし、必要な指導、勧告等をしております。こういうことによって万全を期したいと考えております。  大体概要説明申しました。
  24. 森下元晴

    ○森下(元)委員 もう一点航空局長にお尋ねしたいと思います。  いろいろ航空の安全につきましては配慮されておるようでございますけれども、現在国内の航空会社は日本航空、それから全日空、東亜国内航空と三社ございます。会社によりましていろいろ個性もあります。たとえば日本航空は国際線を持っておりまして、また出資の半分は政府が持っておる。全日空は純民間会社でございまして、できるだけ多くの方々がその経営に参画しておる。そこで東亜航空と国内航空が昨年合併すると、その三社の間に、特徴もございますけれども、いわゆる経営内容にかなりの格差があるように見受けられます。他の交通機関でございましたら、そういうことはあまり安全ということには影響ないと思いますけれども、航空の場合には、ちょっとした整備の不行き届きとか、またパイロットの質、また飛行機自身のいい悪いの状況、それから会社の経営内容に対する職員とかあるいは経営者の態度いかんによって、いつ大きな事故が起こらないともわからない。いろいろこの審議会等を見ましても、大体日本航空でも全日空でもまた東亜国内航空でも同じような経営内容になるように指導するのだというようなことも書いてございます。私はそのとおりだと思います。そういうときに、ちょうど昨年も問題になりましたけれども、日本航空から国内航空に対しましていわゆる債権債務二十三億円のあの問題が残っておるように聞いておるし、答申を見ましても、四十六年の大体十月までにその処理について結論を出す、そういうことによって、三社とも健全な経営をすることによって航空の安全を期するのだ、そういうように実は承っておったわけでございますけれども、東亜国内航空対日本航空の債権債務の問題について、その後の処理状況についてお伺いをしたいと思います。
  25. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま先生御指摘のように、わが国における定期航空会社三社ございまして、これはそれぞれの特徴を持って行なっておるわけでございますが、おっしゃるように、航空企業というものは特に安全が大事でございます。したがいまして、その企業基盤の強化ということは十分に考えていかなければならないというふうに考えております。こういう点につきまして、現在、政務次官が中心になりまして、その三社がそれぞれ所を得てりっぱな企業になるようにということをいま考究中でございます。  そこで、御指摘の例の債権債務の関係でございますが、これは、いまさら御説明する必要はないかと存じますが、かって四十五年の閣議了解の以前に、日本航空と当時の国内航空とが合併するということを前提にいたしまして、日航である程度の援助を行なった、それが今回新しい再編成によりまして、合併をしなくなったというために、そういう前提において行なわれた援助というものは清算すべきではないかというのが一つの問題でございます。そこで、それにつきましては、昨年の五月二十一日の先生の御質問で、これをすみやかにやりなさいという御指摘を受けたかと存じております。私どもも、鋭意その御趣旨に沿いまして、特に閣議了解の線に沿いまして解決をはかるべく努力した次第でございますが、残念ながら「ばんだい号」の事故があったとか、あるいはこの清算問題につきましては、両社によっていろいろ見方が違います、そういうふうな点もございまして、残念ながらいまだ完全な解決を見てないというのが実情でございます。ただ、この点につきまして、いま政務次官を中心といたしまして、この辺の両社の言い分をよく聞きながら合理的な解決をはかりたいということで、ほぼ両社も政府に一任したいというような意向を見せておりますので、遠からず解決をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  26. 森下元晴

    ○森下(元)委員 それでは通産省の重工業局長さんにお伺いしたいと思います。  YXの開発問題でございますけれども、先ほど航空局長からいろいろ将来の航空需要の問題について説明がございました。昭和五十年には航空人口が年間に四千万にもなる。また昭和六十年度には航空人口が一億二千万、日本の人口以上の方々が飛行機で旅行されたり、また仕事のために旅行される。これくらい航空需要がふえるわけでございます。経済が高度成長すればするほど、また文明の程度が進めば進むほど交通機関は発達するわけでございますけれども、総合交通体系の中におきます航空需要というものは、まことに目ざましい伸展があるわけなんです。そういうことに対処して五カ年計画をつくって、そして空港の整備とかまたパイロットの養成、いろいろ考えられておるようでございますけれども、一番肝心な航空機の製造が、YXの開発内容を見ましても、まことに離陸しない状況にある。これは私はまことに残念なことだと思うのです。その一つの例が、昨年の決算でもかなり追及されましたいわゆるYS11の製造また販売に関するいろんな赤字問題等がございまして、少し自信を失墜し過ぎておるのじゃないだろうか、こういうことの問題です。  それと、航空機製造に対するいわゆる国の姿勢と申しますか援助というものがまことに中途はんぱである。諸外国の例を見ました場合に、コンコルドという大型の超音速機がフランスと英国との間で共同開発をされておりますけれども、こういう開発費というものは全部国でやっておる。またエアバスというものがヨーロッパの国で計画、開発されておりますけれども、これも英国とオランダですか、それとドイツ、フランス、こういう国が共同して開発しておりますけれども、これも全部国の費用で開発をしております。  大体この航空機の開発は、軍需が優先いたしまして、そして十分な金をかけて、そのあとに民需が続いていく、これが世界の趨勢でございますけれども、わが国の場合には、軍需というものの比率が非常に少ない。予算委員会等でも、防衛費の先取りの問題で、T2の練習機の問題とか、またC1の輸送機の問題いろいろ飛行機の開発が計画されましたけれども、ああいう形で現在は凍結状況になっておる。どうしても民間航空の開発のために、かなり国がてこ入れしないと私は優秀な飛行機はできないと思うのです。  だから、航空時代になってせっかくYSという優秀な飛行機をつくりながら、次期のYXというものが現在中止の状況になっておる。しかも、現在までに約九億くらいの予算をつけて開発過程にありながら、昨年はゼロ。ことしも三十数億を要求しながら、わずか二億に削られてしまった。そういうこともございまして、せっかくダグラスとかロッキードとか、またグラマン、そういうようなアメリカの会社が意欲を見せながら、日本政府が熱意がないために、彼らも手を引きかけておるようにようなお寒い状況なんです。  こういうことにつきまして、局長の見通しと申しますか考え方を述べていただきたいと思うわけでございます。
  27. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生がおっしゃいますように、わが国におきましても航空機の乗客の需要は非常にふえるわけでございますが、さらに世界的に見ましても、航空機の需要は非常にふえるわけでございまして、何と申しましても将来のわが国の産業としては、航空機は非常に有望なものだということが言えると思います。それからもう一つ、わが国は資源の関係、労働力の関係等でいろいろ隘路がございますが、将来は、いわゆる知識集約産業と申しますか、付加価値の非常に高い産業のほうに産業構造を移行していかなければならぬ、こういうこともございます。それからさらに、飛行機は技術波及効果と申しますか、飛行機をつくることによりまして、そのシステムの研究もできますし、それから部品の関係その他材料の関係、非常に波及効果が多いということで、非常に大事な産業だと思います。そういう意味におきまして、私どもといたしましては、ぜひともこの民間航空機産業というものを発展させなければならぬと思っておるわけでございまして、そのためにいろいろ努力しておるわけでございますが、遺憾ながら本年度、四十七年度予算におきましては、負担方法の点について調整がつきませんで本格的な開発にスタートすることができなかったわけでございますが、決してこれでもって開発を中断したということではございませんで、引き続いて開発の方法等について研究を続けていくわけでございます。
  28. 森下元晴

    ○森下(元)委員 いま局長のお話では、決してあきらめておらない、これから前向きでいくのだという力強い発言で安心しておるわけでございますけれども、四十三年度以来、四十七年の予算案の二億も入れまして約九億五千万、それだけの国庫補助金が出ておるし、また出る予定になっておるようでございます。それから民間出資でも六億五千万、これだけの金がもうすでに出されておるのです。そういうことで、これはどうしてもやらなければいけない。われわれが羽田の国際空港に参りましても、大阪の伊丹の空港に参りましても、たとえ日の丸のしるしをつけておりましても、航空機がほとんどロッキードの製品であったり、またダグラスその他のメーカーにかかわるものであって、われわれはまことにさびしい気がいたします。ただ、YS11がしょんぼりと、と申すことばが当たっておるかどうかわかりませんけれども、日本の飛行場で何か肩身の狭い思いをしているような姿を見るたびに、かつては鉄鋼においても、また現在でもそうでございますけれども、造船においても、また自動車においても、いわゆる世界的なりっぱな製品をつくっておるこの重工業界で、飛行機だってやればできないことはない、このように実はわれわれは思っておるわけなんです。そういうことで、先ほど申し上げましたように、その隘路となっておる問題の一つに、YS11がせっかく期待されながら、しかも優秀な飛行機でありながら、その売り方において、また国の助成措置が十分でないために百八十機で生産が中止になってしまった。ことしで終わりでございますけれども、その内容につきまして、やはり決算の立場としてはそういう問題も取り上げなければ、ただ前向きばかりではいけませんので、このYS11の問題について少し触れたいと思いますし、またその製造を担当しております日本航空機製造の専務さんもおいでになっておりますので、一言お尋ねしたいと思います。  昨年もそれは問題になったわけでございますけれども、出資金を越える大きな赤字を出してしまった。その赤字の原因が、いわゆる海外に対する売り方、せっかく売りながら金がなかなかもらえないような問題とか、それからリースしたリース賃がもらえない、必然的に引き揚げしなければいけない、こういうような経営としては非常にまずい面があったわけなんです。それに対しまして政府の指導もございまして、航空機製造のほうも社長さんも交代された、また専務さんも交代されて、かなり新しい経営陣で意欲をもってやられておるわけでございますけれども、ひとつ専務さんに今後新しい意欲をもってどういうようなお覚悟でやられておるか、その決意のほどをお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  29. 福田繁芳

    福田委員長 この際、ただいまの森下委員の御質問に関して、参考人の日本航空機製造株式会社専務取締役をいたしております若杉礼三君に先ほど申し上げたように本日御足労願っておりますから、若杉君から御答弁願いとう存じます。若杉君。
  30. 若杉礼三

    ○若杉参考人 お答え申し上げます。昨年、当委員会におきまして、当社の経営内容についての御叱責を受けまして、深く遺憾に思っている次第でございますが、その後、いま先生からお話がございましたように、経営陣の交代をいたし、なお御叱責いただきましたその点を深く反省いたしまして、現在われわれがこれから何をやらなければならないかということを、少数の人員ながら努力をしている次第でございます。  まず、私どもがいま当面やらなければならないのは、先生御指摘の現在計画をいたしております百八十機の生産販売終了でございます。百六十七機本日現在ユーザーさんにお渡ししておりますが、残りの飛行機の中で現在引き当て未定の飛行機が八機ございます。これを四十七年度中にお客さまを見つけまして全部売りさばくということを努力したいと思う次第でございます。  第二の点は、そういうふうに全部売り切りをいたしましても、いままでユーザーさんにお使いになっていただいております飛行機に対するアフターケアの問題がございます。これにつきましては、向後約十年間くらこのアフターサービス、補用品の供給、こういった業務が継続してまいります。最低どうしてもわれわれが果たさなければならない業務というものが残るわけでございまして、これに対する体制その他収支計画、こういったものを現在立案中でございます。  第三は、先生が御指摘になりましたように、四十七年度の政府原案では二億円というYXの開発調査費がついているわけでございますが、この十年間つちかってまいりました私どもの従業員の貴重なノウハウをもとにいたしまして、本年一ぱいこの調査を続けまして、来年以降急上昇のYXというものを、ぜひ政府当局並びに関係筋からの御高配を得まして、われわれが次のYXが離陸できるように御支援賜わりたい、かように考えている次第でございます。非常に簡単でございますが……。
  31. 森下元晴

    ○森下(元)委員 稻村政務次官が所用のために出なければいけないということで、先に政務次官に御所見をお伺いしたいと思います。  先ほど来航空局長とかまた重工業局長のお話がございました。その内容でも、航空機産業は宇宙開発産業と同じように、非常に技術が先導する産業であって、波及効果が非常に大きい。それから一九八〇年には世界の航空需要が年間十兆円にものぼるといわれております。わが国産業のリーディングインダストリーに成長の可能性もございます。造船とか鉄鋼とか自動車にとってかわるいわゆる未来産業でもあるわけです。ただ残念ながら、先ほど申しましたように、非常に民間企業ばかりにまかせて国の補助政策が中途はんぱである。このままほうっておくと、航空機産業の中にはいろいろ技術者もおられますし、また工員の方もおられて、新聞等を見ましても、現在は火の消えたような内容になっておるようでございます。工場の操業率が非常に低下しておる。現在工場従業員の遊休化が深刻な問題になっておる。このために労働組合も仕事獲得を会社に強く要求している。従業員の配置転換、いろいろな社会問題まで発展しかけておる。といって軍需産業を奨励するようなことを言うわけではございません。だから、日本の場合は、航空機生産というものが決して軍需産業を優先するのじゃなしに、民間産業、いわゆる民間航空を先導さすことによっていわゆる航空機の平和利用と申しまするか、それ済いろいろ他の産業にも波及していく、こういう効果をねらわなければいけないと私は思うのです。幸い田中通産大臣のもとに稻村大型の政務次官もおいでになるので、私は非常に意を強くしておるわけでございますけれども、政務次官から、この問題に対しましてひとつ政治的な御答弁、御所見をいただけたら幸いだと思います。
  32. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 御指摘の点につきましては、重工業局長、それから専務がこまかくお答えをいたしたわけでございますが、先ほどからの御指摘のように、航空機工業というものは、わが国の知識産業化という意味合いから、私はたいへん重要な産業である、こういうふうに考えておるわけです。そういう意味合いから、先ほど御指摘のあったアメリカのボーイング社との共同開発、三十三億という問題が、いろいろ分担金等の問題で見送りのような形になったわけですが、二億計上いたしまして今後も継続して開発をしなければならぬと考えております。会社の問題についても、すでに先ほどからお話しがございましたように、七十八億減収をいたします。四十七年度予算で四十九億計上をいたしたわけです。そういう意味合いから、もちろん民間負担も二十億というような関係から、会社の体質の改善も大幅に、先ほどもお話がありましたように、経営者の一新であるとか、あるいは監督の強化であるとか、またこれを認可をしていくとか、それから社長会等との会合も活発化するとか、会社の内容等々も刷新をしつつ、先ほど来も申し上げたように、重要な知識産業である、特にわが国の経済発展のために育成をはからなければならぬ、こういう意味合いから通産省といたしましても積極的に取り組んでまいりたいということをお答えいたしたいと思います。
  33. 森下元晴

    ○森下(元)委員 政務次官より非常に力強い御発言をいただいて、将来の航空行政に期待するわけでございますけれども、最後に、日本航空機製造株式会社の問題につきまして、若杉専務さんと重工業局長に一言ずつ御答弁を願って私の質問を終わりたいと思うのです。  いま政務次官からお話ございましたように、資本金を上回る赤字を出してしまった。これも非常に心配された問題でございますし、その対策として、今回の予算でも約五十億のいわゆる赤字対策費が予算に組まれておるようでございますけれども、私は、現在の情勢では、これだけの赤字では済まされないと思うんです。御承知のように、円の切り上げが昨年行なわれまして、三百六十円が三百八円という計算になってしまった。また、最近は三百八円を上回りまして三百二円十五銭、だから、このドル建てで売っておりますからまだまだ赤字が出るわけなんです。それから、いわゆるリースした飛行機も引き揚げなければいけないというようなことで、引き揚げればどうしても引き揚げ損というものが出るわけなんです。そういうものをいろいろ含めたり、金利計算しますと、二百億近い赤字が出ると思うんです。私は、ただ赤字が出たからすべて悪いというのではなしに、これはこれでいろいろ審議会等もございまして、早くすっきりするようにして、せっかくのYXの開発問題も控えておるのですから、あまり過去のことばかりにこだわって、せっかく浮揚しかけた航空機産業を墜落させないようにひとつ勇気をもってやってもらいたい、そういう意味で重工業局長と若杉専務に決意のほどをひとつ発言願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  34. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの森下委員の御質問に対して、まず一応通産省の矢島重工業局長から所見を伺いたいと思います。矢島君。
  35. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生のおっしゃるとおりに、まず日本航空機製造株式会社のYS11に伴う赤字対策を早くケリをつけまして、そうして次の段階であるYXの問題を促進して、これを早く離陸させなければならぬと思っております。それでYS11の赤字対策につきましては、昨年の九月、航空機工業審議会が長い間検討いたしまして、結論を出しまして、二百四億円という赤字を算定し、その対策を的確に出しておるわけでございまして、それはすべて四十七年度予算、本年度予算に反映しておるわけでございますが、その後、十二月十八日に円の切り上げもございまして、それに伴う為替差損の問題、それからその後の事情変更に基づく赤字が若干あると思いますが、こういうものにつきましては、その九月の答申に盛られておらないので、現在再び航空機工業審議会で学識経験者によりまして検討をしておりまして、そのもとに、開銀総裁の石原さんが委員長である経営改善専門委員会で検討しておりまして、五月末には結論が出ると思いますが、その結論に基づきまして、これを四十八年度予算に反映して、これを全部解決するということにいたしたいと思います。そういたしましてこのYSの問題をすっきりさせ、日本航空機製造の基盤を固めました上で、さらにYXの問題を早急に推進いたしたいと思っておる次第でございます。
  36. 福田繁芳

    福田委員長 次に、本件に関して、本日参考にんとして御出頭願っておりまする日本航空機製造株式会社専務取締役である若杉君の所信を伺いたいと思います。若杉君。
  37. 若杉礼三

    ○若杉参考人 簡単にお答え申し上げたいと思います。先ほど重工業局長からの御説明にありましたように、私ども赤字を出しましたことについての反省を深くしておるものでございますが、今後なお行政官庁の指導のもとに、四十七年度以降、人員対策等をやりまして、必ずこのYS事業が次の民間輸送機事業につながるように、役員、社員も心を新たにして再出発をしたい、かように考えておる次第でございます。
  38. 森下元晴

    ○森下(元)委員 終わります。
  39. 福田繁芳

    福田委員長 次に、郵政省所管及び日本電信電話公社について質疑の申し出があるので、これを許します。坂井弘一君。
  40. 坂井弘一

    ○坂井委員 在日米軍の電話料金問題についてお尋ねいたしたいと思います。  戦後、占領軍の指令に基づいて終戦処理費によって建設をしましたいわゆるTOW施設、及び昭和二十七年以降、平和条約発効後、安全保障諸費支弁によって建設しましたJGCP施設、この電話料金につきましては二十七年以降今日に至る十九年間という非常に長い間にわたって、電話料金の問題がそのまま未解決で、米軍との間で紛争が続いてきたわけでございますが、昨年、昭和四十六年五月二十七日における日米合同委員会でもってこれが急転直下決着をつけられた。その決着に至る経緯及びこの決着の内容についてひとつ簡明にお答えを願いたいと思います。
  41. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの坂井委員の御質問に関して、まず郵政省の柏木電気通信監理官が来られておりますから、一応の御答弁を願えばけっこうと存じます。
  42. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいま御指摘のように、きわめて長い期間にわたりました米軍紛争料金につきまして、昨年日米合同委員会におきまして結論に達しまして、その結果、日本電信電話公社と米軍との間で協定を結びまして、すでにその線に沿いました金額の支払いも終わっているわけでございますが、この経過につきまして概略まず郵政省のほうから御説明申し上げます。  御承知のように、米軍の利用いたします電気通信サービスにつきましては、一般の公衆電気通信設備として電信電話公社の自前の資金で建設したものを使用しているものが大部分でございますが、そのほかに、ただいま御指摘のような終戦処理費支弁の施設あるいは安全保障諸費支弁によって建設した施設がございまして、この二つの施設につきまする取り扱いにつきまして、米軍側は、地位協定の第二条にいう米軍基地の運営に必要な設備であるということで、同協定の第二十四条によりまして無償で使用できる、こういう主張を続けてきたのでございます。日本側といたしましては、これが公共の役務であるという見解に立ちまして、同じく地位協定の第七条によりまする有償の使用提供を主張してきたということで、この基本的な地位協定の解釈につきましての見解が分かれており、これがために昨年まで解決が長引いてきたといういきさつのあるものでございます。  この問題につきましては、平和条約の発効以来、日米合同委員会で引き続き検討してきたのでございますが、この見解が一致しない、そういう理由によりまして、このサービスを電信電話公社側が一方的に打ち切るということはできないという事情もございまして、昭和三十年に電電公社と米軍間で保守協定を締結しているのでございます。そしてこの協定によりまして、電電公社はこの両施設に対しまして必要最小限度の保守を行なうということになって、自来十数年の日にちがたってきたわけでございます。この結果、TOWの施設及びJGCPの施設とも最小限の必要な保守を行なうというためにたいへん老朽化してきておりまして、またこの期間内に相当の施設が廃止されまして、あるいはまた電電公社の自前の資金でつくりました一般の専用線に切りかえられて、一般並みの料金を公社側が収納しているというものに変わってきているのでございます。  ところで、この昭和三十年の保守協定におきましては、TOW施設につきましては、保守費の支払いを受けるということを取りきめたのでございますが、JGCPの施設につきましては、これを取りきめないでおったのでございます。したがいまして、電電公社といたしましては、TOW施設については実損がないという結果になっておるのでございますが、JGCP施設につきましては電電公社の実際に保守に要した費用は回収されていないという結果になって、昨年まで経過したわけでございます。それで、昭和四十四年の国会におきましても、政府がこれを早期解決したいという見解を表明いたしたのでございますが、その後関係省間で打ち合わせました結果、これらの施設が終戦処理費及び安全保障諸費という特別の政府資金で建設されたものである、つまり公社が自前の資金で建設したものではないという基本的な性格と、また十数年にわたってこれらの施設が取り扱われてきました実態、実情、つまり最小必要限度の保守だけを行なってきた、取りかえ工事というようなことは行なっていない、その結果この施設が著しく老朽化しているという実態を考慮いたしまして、電信電話公社の実損がない、こういうことにしなければならぬということ、これをまず念頭に置きまして、施設の保守に要する費用を料金とする別個のサービスとする、こういうことに日米合同委員会において協議をいたしまして、四十六年五月二十七日に合意に達したわけでございます。この米側との合意によりまして、平和条約発効の日から昭和四十五年度末までの分としまして米側が支払う金額は約七億二千九百万円という額になるのでございますが、このうちTOW施設の分の約四億四千四百万円につきましては、すでに昭和三十年の保守協定によりまして電電公社に支払われておりますので、実際にさかのぼって米軍から支払いを受ける金額といたしましては、約二億八千五百万円ということになったわけでございます。  以上が経過の概略でございます。
  43. 福田繁芳

    福田委員長 ちょっと坂井君お待ちください。あなたの御質問に対していま郵政省の立場で若干御答弁があったのだが、外務省に非常に関連性があると思うので、きょうは橘アメリカ局参事官が来られておりまするから、あわせてあなたの御質問に答弁させます。
  44. 橘正忠

    ○橘説明員 本件の経緯につきましては、ただいま郵政省のほうから詳細御説明があったとおりでございます。外務省のほうといたしましては、特に米軍の関係でございますので合同委員会の議案としてかねて懸案になっておったわけでございますが、本問題の解決のために、合同委員会のもとに特別の小委員会などもつくりまして、検討を重ねてきておった次第でございます。先ほど郵政省のほうから御説明がございましたとおり、日米間で地位協定の解釈についての見解の隔たりがございましたが、年月はかけましたが、ようやく昨年の五月落着という運びになった次第でございます。
  45. 坂井弘一

    ○坂井委員 ずいぶん不可解な御答弁をいただきました。私には全然納得がいきません。  そこで、ひとつ簡単にお願いしたいと思いますが、昭和二十七年講和条約発効後、昭和四十五年末に至るまでの、日本側が米軍に対して請求した総額は幾らになりますか。
  46. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 その金額につきましては、電信電話公社のほうから資料によりまして御説明していただきたいと思います。
  47. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。ただいまお話のございました金額は、請求をいたしておるわけではございませんが、一般のサービスとして提供した場合の積算の金額を合算した金額で申し上げますと、四十五年度末までで約八十三億円になります。
  48. 坂井弘一

    ○坂井委員 請求したわけではない、つまり計算書を送ったにすぎないというような御答弁であろうかと思うのですけれども、これはいただけない御答弁でございまして、従来しばしば、請求権は日本側にあり、こういう見解の上に立って請求をしてきたはずなんです。当然米軍との間には、先ほど御説明のありましたように地位協定、つまり米軍は二条、二十四条、日本側は七条、この解釈をめぐって相対立をしてきた、これは事実でございます。しかし、その間において日本側があくまでも主張したことは、請求権は当方にあり、したがってその見地、考え方の上に立って八十三億の計算書を米軍に送ってきた、それが今日まで続いてきた、こういうことです。いまの御答弁はちょっとおかしい。  そこでお尋ねしますけれども、いわゆる日米間の見解が一致しない、そういうことを理由にして一方的にサービスを打ち切るわけにはいかないという先ほどの御答弁がございました。そこで、やむなく公社と米軍の間で保守協定を締結をした。それが昭和三十年のことである。その保守協定によってTOWについては、これは保守費用を日本側が支払いを受ける、こういう締結を行なった。ただしJGCPの分については取りきめをしなかった。それが今日まで残された。それがようやく昨年の日米合同委員会において、このJGCPの分のみの保守費の支払いを受けて、一切がっさい請求権を放棄した形で締結を行なった。ここにまさに問題があるということを私は指摘しているわけであります。したがって、もう一ぺんさかのぼりますけれども、JGCPの施設について、なぜ保守協定において保守費の支払いを受けるべく締結をしなかったのか、その理由は何なのか、お尋ねしたい。
  49. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。これは昭和三十年の保守協定でございますので、当時の事情をつまびらかにはいたしかねますけれども、おそらくJGCPの施設というのは、御存じのように公社発足後の施設でございますので、この保守協定そのものが非常に暫定的な、本来協定ではございませんので、当時としてはこれを抜いたというのが真相ではなかろうかと私ども考えております。
  50. 坂井弘一

    ○坂井委員 保守費はこれは日本側が当然の要求として米側に請求をする権利がある。それと別個にこの電話の料金、専用料金については、これは日本側は地位協定第七条の公共の役務に供する、こういう解釈のもとに当然の請求権として米側に対して請求を行なってきた、そういう経緯です。したがって昭和三十年の保守協定においては保守費の支払いは受けるとは締結をしたけれども、請求権の放棄は日本側は言ってないはずです。つまり三十年以降においても請求権ありとして米側に対して請求をしてきた。計算書を送ってきた。それが合計されまして八十三億になっておる。この八十三億の電話料として請求したものを全面的に日本が請求権を放棄した、全面降伏の形でそれをすりかえて、そして保守費だけでもって合意に達した、こういう奇妙な話はないじゃございませんか。一方的に米側に押し切られたといいますか、そうとしか受け取りようがない。したがって、お尋ねしたいことは、一体日本側は請求権を放棄したのかどうなのか、その一点ひとつ明確に御答弁願いたい。
  51. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 お答えいたします。この交渉の際に日本側として最も配意いたしました点は、やはり日米地位協定によりまする解釈の問題としまして、これが有償であるという立場を貫きたいということでございます。金額の内容につきましては、いろいろ事情がございまして、保守の実費相当額の料金を内容とするサービスであるということで決着したわけでございますが、決して請求権を放棄するということでございませんで、必要に応じました妥当な料金をいただく、つまり請求権ありとしての立場でこの交渉に当たって、そのような決着になったわけでございます。
  52. 坂井弘一

    ○坂井委員 ますます納得がまいりません。昭和三十年の保守協定においては、先ほど申しましたように、保守費として米側からその実費を日本側が収納する、こういう取りきめを行なったにすぎないわけです。これは当然でしょう。つまり、その時点においては、やはり米側に対する電話料金の請求というものは、請求権は日本は留保したはずなのです。したがって昭和三十年以降においても、日米合同委員会においてはしばしばこの請求を日本側は米軍に行なった。それを昨年四十六年の五月二十七日の合同委員会においては、三十年の保守協定において取りきめた保守費そのままを電話料金に該当さしてしまった。つまり、あなた方がさっきおっしゃいました保守費を料金とする別個のサービスとする、これは一体どういうことでしょうか。保守費がそのまま料金だ、こういう形にすりかえた。何ら金額の差はありません。したがって私が申し上げておりますことは、従来、請求権は日本側にあるのだとしばしば日本政府がそれを主張して、そうして米側にそのことを迫っておった。交渉した。強く求めた。その請求権というものが八十三億という料金算定がなされて計算書を送っておった。合計八十三億。その八十三億が一切たな上げされた形で、それがそのままそっくりと保守費、昭和三十年に取りきめた保守費でもって充ててしまう。これではだれが聞いたって納得できないじゃございませんか。したがって、私は請求権を放棄したのか、こうお尋ねしたわけなのです。納得するはずはないと思いますね、電電公社は。日米合同委員会という外交の正式ルートに乗せて、米側に対して強く要求するということは、しばしば大臣が答弁しておる。  そこで、外務省にお尋ねしますけれども、一体昨年の日米合同委員会において、どなたが米側のだれと交渉して合意に達したのか。そしてその合意の内容、そのときの状況というものをできるだけ簡単でけっこうですけれども、明確に御答弁願いたい。
  53. 松田慶文

    ○松田説明員 お答えいたします。日米合同委員会の事務局を外務省がつとめております関係で経緯を御説明申し上げます。  本件につきましては、その技術的性格等を勘案いたしまして、合同委員会のもとに特別の小委員会を設置して日米交渉を行なうことが問題解決促進のために有意義だと認められましたので、昭和三十一年十月、合同委員会の中に本件処理に関する特別小委員会を設置いたしました。その日本側代表は郵政省にやっていただきまして、もちろん外務省、私どもも御協力申し上げつつ、自来十数年にわたりまして努力してまいった次第でございます。昭和四十五年、坂井先生からも御指摘がございまして、本件の問題解決にさらに一そう努力すべしという政府の心がまえのもとに、四十五年の四月以降鋭意積極的に小委員会の会合を重ねまして、約一年の継続と集中的交渉の結果、特別小委員会におきまして、先ほど来御説明のあります方式による解決について合意を見、これを両国政府がそれぞれ承認いたしまして、五月二十七日の合同委員会における合意と相なった次第でございます。  なお、合同委員会の日本側代表は外務省アメリカ局長であり、米側代表は在日米軍参謀長でございます。
  54. 坂井弘一

    ○坂井委員 いまの御答弁ですと、いままで請求をしてきた請求権は実質的に放棄したとしか受け取れないじゃございませんか。日本側はあくまでもこのサービス料金について米側に請求してきたはずなんですね。それを保守費でもってすりかえたというのはおかしいじゃないかと私は指摘しておるわけです。  では、一点伺いましょう。昭和三十年に先ほど申しました保守協定を行なった。昭和三十年以降保守協定とは別につまり保守費を受け取っております。TOWについては保守費を受け取っておりますけれども、その保守費以外に、あなた方が当初から主張してこられましたところの、日本側が主張したところの、トータルで八十三億になんなんとする電話料金の請求をしたのかしなかったのか、その一点。
  55. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 先ほど申し上げましたように、保守協定に基づきまして計算書を送付いたしておりますが、請求はいたしておりません。
  56. 坂井弘一

    ○坂井委員 まことにおかしいのです。請求はいたしてない。請求権はあるんだと言っておるのですよ、日本側は。昨年私が質問した際にも大臣は明確に、請求権は日本側にある、何となれば、その根拠は財産権、これは当然日本政府出資によって建設をされた二つの施設である、それがいま公社に財産権があるのだ、したがって、請求権は生じておるのだ、だからあくまでも日本側の主張は正しいのだ、こういう答弁でありました。私はまことに当然であろうと思う。したがって、請求をするのだ、計算書を送っておるのだ、しかしながら、地位協定をめぐって双方に見解の相違があるので、容易にこの問題は解決できない、できるだけ早い機会において妥結を見ることに努力をする、こういう答弁であったはずなんです。何回もこれは重ねられております。それを、いまのあなたの答弁では、請求はしていない。請求はしていないということは、最初から請求権はなしという解釈に日本側は立っておったのですか。
  57. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 ただいま私のことばがちょっと不備だったかもわかりませんが、会計上正規の請求手続はいたしておりません。先生おっしゃいましたように、この問題については、基本的にどういうサービスであるかという問題が保守協定とは別の方法で争われておるわけでございますから、それが落着をいたしました段階で、当時の請求権がはっきりいたしますれば、それを根拠として数字を示しておることは示しております。しかし、これは経理的に正式の請求をしたわけではございません。しかし問題が落着すれば、いつでもそういう形のものは取れるようにしておったわけでございます。
  58. 坂井弘一

    ○坂井委員 非常に弱腰といいますか、もこあいまいとしたような形で理由をつけてきた、こうとしか言いようがない結論的には。しかし三十年以降しばしばこの問題が論議される中で、日本側が主張したことは、請求権ありということです、あくまで。その根拠に立って、七条で米側に対して計算書を送ってきた。私が、さっきから何回も言っておりますことは、三十年の保守協定によって保守費の支払いを受ける、これは当然でしょう。しかし、あくまでも請求権は残して、その後においても料金の請求は続けてきたにもかかわらず、一方的にその料金の請求を放棄した形で昨年の合同委員会においてその保守費をもって別個のサービス料金とするというようなまことに奇妙な考え方、そういう考え方が合意された。そしてここに妥結された。これは一方的に米側に押し切られたといいますか、そうとしか言いようがないじゃございませんか。正式な外交ルートの中で、正々堂々と、双方平等の立場に立って協議されて妥結された内容ではございませんね。昨年の五月の二十七日といえば、沖繩返還交渉がまさに大詰めの段階であります。しいて言うわけではございませんけれども、勘ぐりたくなりますことは、いま問題になっております例の秘密文書、秘密電信、これが当時の愛知外務大臣から牛場駐米大使に送られたのが、いま申しますところの昨年の五月二十七日日米合同委員会の翌日、すなわち五月二十八日であります。そういうきわめて返還交渉が大詰め、ぎりぎりで、非常にむずかしいといいますか、そうした段階において、いま言ったような形で、私をして言わしめれば、すべていままで主張してきたところの、日本側が請求してきたところの一切のものを放棄した形で妥結された。一方的に押し切られてしまった。ということは、沖繩返還交渉の中で一括処理されたのではないか。八十三億に及ぶ電話料金をワン・パッケージの中で、アメリカさんにすべてこの請求を放棄してしまって、返還交渉に応じたというような疑惑すら生まれてくるではございませんか。従来とも政府側が主張してきたこととこの妥結のあり方は全然違うわけです。それでそのことを言ったならば、いや、請求はしていないのだ。請求権はあるのだといっていままで請求をしてきた、請求はしておったのだ。これは詭弁にすぎぬじゃございませんか。  重ねて聞きますけれども、外務省、日米合同委員会において、正式な外交ルートの中で交渉をされた。一体このような不可解な締結のあり方は、私は、政治的な判断に立って解決を急いだのではないか、こう思うのですけれども、いかがですか。
  59. 橘正忠

    ○橘説明員 郵政省及び当省のほうから御説明申し上げましたとおり、本件は十数年来にわたって交渉を重ねてまいりましたものでございます。おことばではございますが、沖繩の返還協定とは全く無関係に、この問題自体としての処理をいたしたものでございます。その点は誤解のないようにお願いいたします。  なお、地位協定の関係で申しますれば、米側の主張でいえば、地位協定の第二条によって提供される施設・区域、それの運営に必要な設備ということで、地位協定の二十四条によって全く無償であるというのが向こうの立場でございましたので、今回の落着につきましては、結果として、わが方の第七条による処理であるという主張が通っている次第でございます。
  60. 坂井弘一

    ○坂井委員 全然納得がまいりません。八十三億の請求をしてきたんです。それが、昨年の日米合同委員会で七億二千九百万円で合意した。一割に満たないです。むしろ、言うなれば、実質的にはJGCP分のみ、つまり二億八千五百万円を受け取って、それで八十三億をたな上げしてしまった。それを理由づけるために、先ほどから言いますように、施設の保守に要する費用を別個のサービス料金とすることとして、日米合同委員会において協議、合意に達した。これは、全くアメリカの言いなりじゃございませんか。郵政省、電電公社に対して、外務省からいささか圧力があったんではないかとすら私は勘ぐりたくなります。外務省は、日米交渉の中で沖繩返還協定を急ぐのあまり、返還交渉の中で一括処理してしまおうというようなことがあったのではないかということは、国民の目からはそういう疑惑は残りますよ、いかに強弁されようとも。なぜかならば、先ほどから何回も繰り返しますように、十九年間という長きにわたって、しばしば日米合同委員会の中で、この八十三億については請求してきたはずなんです。それが一切たな上げされたということ、この事実、これをもって、あなた方がいかに巧言を弄しようとも、これは国民には通用しますまい。  ここで何回繰り返しても結論は出ないのでございます。したがって、私はこの際、委員長にお願いいたしたいことは、昨年の五月二十七日の日米合同委員会における本問題に対する協議の内容、これを明らかにする文書の提出を求めたいと思います。
  61. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの坂井委員より委員長に対するお申し出はよく了承いたしました。いずれ後刻の理事会において御協議して、貴意に沿いたいと思います。  そこで、坂井君にちょっと御相談があるのだが、もう定刻が過ぎ去ったので、これで本会議がありまして、本会議散会直後に、あとからおはかりして当委員会を継続いたし、勢いただいまから午前中かけての御質問の続行をいたしまするから、それまで政府当局も御休憩の上、鋭意御検討、御記憶をおたどり願いたいと思うのです。坂井君、いかがでございます。
  62. 坂井弘一

    ○坂井委員 了承いたしました。これで終わります。
  63. 福田繁芳

    福田委員長 それなら、この際、諸君におはかりいたします。本会議散会後再開することにして、暫時休憩いたしとう存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 福田繁芳

    福田委員長 御異議ないようですから、さようにいたします。暫時休憩いたします。    午後零時四十四分休憩      ————◇—————    午後二時二十分開議
  65. 福田繁芳

    福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省所管、郵政省所管及び日本電信電話公社について、質疑を続行いたします。坂井弘一君。
  66. 坂井弘一

    ○坂井委員 続けますが、昭和二十七年の講和条約発効以来昭和四十五年末に至る間、TOW・JGCP、おのおの年々ツケを米側に渡しておる。計算書を送っているのですね。その総合計が八十三億三千万、こういう数字になってあらわれております。この額が米側に請求した、公社の言い分によれば計算書を渡したという額でございますが、この八十三億三千万の積算根拠というものをひとつ明確に示していただきたい。
  67. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。これは国内で一般に行なわれております電話専用の料金をそのままこの際適用いたしまして、積算をいたしております。
  68. 坂井弘一

    ○坂井委員 その積算根拠は、地位協定第七条に基づく積算根拠である、こう理解してよろしゅうございますか。
  69. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 そのとおりでございます。
  70. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、従来、国会論議の中でしばしば政府側の主張してこられたことは、地位協定第七条によって、日本側には請求権ありという考え方、その上に立って、トータル八十三億三千万の計算請求をしてきたのだ、こう言ってきているわけですけれども、それに間違いございませんか。
  71. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 間違いございません。
  72. 坂井弘一

    ○坂井委員 しからばお聞きいたしますが、それが昨年の昭和四十六年五月二十七日の日米合同委員会において、従来八十三億三千万円の請求をしてきたものが、いきなり急転直下そこで合意、締結された額が七億二千九百万、しかも実質的には、すでにTOWの分四億四千四百万円は日本側は収納しているわけでございますので、その差額と申しますのはJGCPの分二億八千五百万で合意、締結したということでございますが、そうなりますと、当然地位協定七条において、わがほうに請求権ありとして八十三億三千万円を請求してきたにもかかわらず、昨年の日米合同委員会においてそれが二億八千五百万でもって一切の決着をつけた。これは一体どういう根拠に基づいてそのようなことになったのでしょうか。
  73. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 地位協定七条に基づきまして、公社の管理をいたしております設備を米軍に提供いたしておるわけでございますが、ここで確かに先生のおっしゃいますような見方もあると思うのでございますけれども、米軍に対するサービスの提供といたしましては、現在国内で一般にサービスを提供いたしておりますのは公衆電気通信法に基づいて提供いたしておりますが、米軍に対しましては公衆電気通信法に基づいて提供いたしておりません。別個の協定ができまして、それに基づいて法的な根拠としては提供いたしておるわけでございますが、その中の大部分のものは、実質的には国内のサービスと同じものでございます。先ほどからお話しも出ましたように、一般の専用線と同じものを現に米軍に対して提供いたしておりまして、それに基づく料金も、国内の専用線と同じ料率でいただいております。  ところで、この七条に基づく請求権、つまり電電公社の管理をいたしております設備を提供する方法といたしましては、いま申し上げましたような一般の電話の専用線としてサービスをする方法もございます。そういうことが本来一番あるべき姿かもわかりません。しかし、この問題につきましては、必ずしも先ほど申し上げましたように、公衆電気通信法によるサービスだけではなくて、別個のサービスを取りきめることが可能でございます。その結果、長年の交渉の経緯等から、当初はそうでありましたものを、別個のサービスと申しておりますのは、七条に基づき管理しておる設備に基づくサービス、米軍に対して従来の一般電話の専用線と違ったサービスを提供する、その料金というものは保守費の実費をいただく。こういう新しい別個のサービスを提供することに最終的に取りきめたということになろうかと思うのでございます。  したがいまして、私どもの見解といたしましては、そういう意味で、七条に基づく請求権の一つの方法といたしまして、サービスの実体が変わるわけでございますから、七条に基づく請求権を放棄したということにはならない、こう考えております。
  74. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、最初はいわゆる地位協定七条に基づく請求権から、このTOW、JGCPについては、一般専用線並みの料率によって積算をいたしまして、それがトータル八十三億三千万になったわけですね。その八十三億三千万の一般料率を、いまあなたのおっしゃるところの別個のサービスであるという考え方に立った、この時点はいつでしょうか。
  75. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 このことは多年検討していた問題でございますが、そういよううな米軍側と交渉をしようという方針を政府部内ではっきり取りまとめましたのは、四十四年の国会におきまして、これらの施設が特別の資金をもって建設されたという事由によって、解決を促進したいというふうな政府側の方針を申し上げたわけでございますが、そのとき以降のことでございます。
  76. 坂井弘一

    ○坂井委員 ずいぶんおかしな話ですね。二十七年の講和条約発効以来の問題でありまして、それが請求権ありという考え方に立って、その算出根拠に基づいて、年々一般専用線料金並みの請求書、あなた方でいえば計算書を渡してきた。途中で昭和三十年、保守協定が結ばれておりますね。この保守協定を結んだ段階においては、やはり請求権ありという考え方の上に立って、保守費とは別にサービス料金は請求するというお考え方はあったわけですね。その点はいかがでしょう。
  77. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 そのとおりでございます。
  78. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、別個のサービス料金であるという見解に至ったというのは、昭和四十四年の国会議論の後でございますか。
  79. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 お答えいたします。別個のサービスであるという方針を米軍側に示しまして、その方針で解決をはかろうということを決意したのが、四十四年の国会以降のことであるということでございます。
  80. 坂井弘一

    ○坂井委員 ちょっとわからないのですけれども、日本側から米軍に対して別個の料金としてこれを考えるということを示した。その示したのが四十四年の国会論議の後でございますか。
  81. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 四十四年以前の交渉におきましては、これは一般専用と同じ料金をいただける、そういうサービスである、つまり一般公衆電気通信法に基づく料金に準拠したサービス内容とするものであるという主張を繰り返していたわけでございます。
  82. 坂井弘一

    ○坂井委員 もう少し明確にしていただきたいと思うのですけれども、別個のサービス料金であるという考え方に立ったのはいつかということなんです。それを公社側が米軍に示したのでしょう。米側から示したのじゃない、こちら側からそういうことを示した。それはいつなんですか。いつかということだけをはっきりしてもらいたい。
  83. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 この問題を早急に解決したいということで、政府部内の意思統一をはかりまして、その結果再交渉を申し入れをしているわけでございます。その時点が四十四年の十二月でございます。
  84. 坂井弘一

    ○坂井委員 四十四年の十二月に日本側からそういう考え方を示した。ずいぶんおかしいですね。四十四年の国会論議におきましては、明らかに日本側に請求権はあるのだから、したがって米側に対して、トータルでございますけれども八十三億三千万の請求はする、そして、努力をして早い時期においてこの問題の解決をはかりたい、こういう答弁をしているわけですね。これは総理も言っています。郵政大臣も言っていますね。外務省はこのことに対して、そのとおり正式な外交ルートに乗せて、米側に対して強力にこの請求権を主張して、請求額の支払いを受けるようにしたい、こう言っている。そのあとで、公社が別個のサービスである。アメリカ側が、米軍側が言うならばいざ知らず、こちらからそのような考え方を米側に示したということは、これはまことに奇怪な話ではございませんか。だれが一体アメリカに、米軍に対してこのような考え方を示したのか、その責任者はどなたでしょうか。
  85. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 先ほど申し上げましたように、新しい考え方に基づいて交渉の再開を申し入れたのが四十四年の十二月でございます。それまでにいろいろ交渉の方法あるいはこちら側の主張の基礎となります資料等の整備をしたわけでございます。その結果、翌年つまり四十五年になりまして向こう側がその交渉に応ずることになったわけでございます。そこで日米合同委員会の下部機関といたしましてのアドホックコミッティーというものをつくりまして、郵政省、外務省、電信電話公社の関係者が米軍関係者とそこで問題の討議を開始するという運びになったわけでございます。  その運びになりましたところで日本側の具体的な解決案を示したわけでございますが、そのときに、先ほど御指摘のような別個のサービスとして、つまり電信電話公社が一般の公衆電気通信設備をもって、公衆電気通信法によって行なうサービスとは違う、つまり、公衆電気通信法の特例法によります地位協定に基づいて両者が合意の上で行なう特殊のサービスである、という前提に立ちまして、その料金等もその方針で検討するということを日本側から提案したわけでございます。
  86. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、従来日本側が主張した地位協定第七条の解釈を変更したということでございますか。
  87. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 請求権があり、つまり有償使用の主張というものを当初来続けておりまして、米軍側がこれは無償使用できるものだという主張をしておったわけでございますが、あくまで日本側としては、それは有償使用のものである、つまり請求権ありという立場でこの交渉に当たっているわけでございます。
  88. 坂井弘一

    ○坂井委員 どうもはっきりしないですね。ではお尋ねしますけれども、四十四年の十二月以降、別個のサービス料金である、こういう考え方に立って小委員会、下部機関においてその交渉に入ったということでございますが、第一回の下部機関、小委員会でございますか、その交渉に臨んだ米側、日本側、双方の責任者名をはっきりしてください。そうして、いつですか。
  89. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの御質問に、外務省の安全保障課長の松田君が来ておりますから、外務省の松田課長から答弁させます。
  90. 松田慶文

    ○松田説明員 事務的なことでございますので御説明さしていただきます。会合同委員会の下部機関の一つである電話料金に関する特別小委員会は、四十五年四月二十二日に会合をいたしました。これは、先ほどの御説明で申し上げましたように、小委員会の設置そのものは昭和三十一年十月でございますけれども、最も基本的な原則的考え方の対立のために、以降十分な審議を経ることなくこの時点まで至った次第でございます。  先ほどの柏木監理官の御説明のように、四十四年十二月の段階で本件を積極的に解決するという政府内部の意思決定の結果、これを米側との交渉の場に移しましたのがただいま申し上げました四十五年四月二十二日の特別小委員会第一回会合でございます。  この会合に対します日本側代表は、柏木電気通信監理官でございまして、それ以外に電電公社及び外務省からメンバーとして参加しております。米側は、在日米軍通信部の責任者でありますところのワイゲルという陸軍大佐が当時の米側委員長でございました。米側はその後代表の交代がございまして、中途段階からは、同じ職務にありますヒックマンという大佐が、後半におきまして、向こうの人事異動がございまして交代いたしました。当方はかわることなく、最後まで郵政省の柏木監理官が議長をおつとめになりました。
  91. 坂井弘一

    ○坂井委員 日本側は柏木参事官がお一人でございますか。外務省、それから郵政省はいかがでございますか。
  92. 松田慶文

    ○松田説明員 郵政省の代表としての柏木電気通信監理官のほかに、電電公社から営業局長、当時は武田営業局長で、途中から遠藤局長に人事異動でおかわりになりました。外務省は安全保障課長、当時私の前任の宮川安全保障課長が外務省からの参加者でございました。あと、もちろん若干の補佐員、随伴員が会議のうしろに控えることはございましたけれども、これはそのときどきの会議で顔ぶれは違っております。
  93. 坂井弘一

    ○坂井委員 小委員会に臨むにあたって、つまり第一回、昭和四十五年四月二十二日、その以前において四十四年十二月以降、別個のサービス料金によって米側と交渉に入ろう、こういうような政府部内の決定でございますね。それを受けまして、日本側からいま申された方々が出席されて、そしてそこで交渉に入ったということでございますが、政府部内で別個の料金という考え方に立ったその政府部内の関係者、つまり外務省、それから郵政省、それから電電公社、この間どういうような話し合いがなされたのか、つまびらかにしていただきたい。
  94. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 その関係で私の記憶するところでは、関係官庁といたしましては大蔵省、法制局等々、多くの関係官庁が寄って事務的な打ち合わせをしたということでございます。
  95. 坂井弘一

    ○坂井委員 電電公社にお尋ねしますが、電電公社は別個のサービス料金という考え方でよいと、こう主張されたのでしょうか。
  96. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 了承いたしております。
  97. 坂井弘一

    ○坂井委員 電電公社のほうからそのような見解を示されたのかとお尋ねしているわけです。
  98. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 私も当時は、いまお話しのように現在の職についておりませんのですが、電電公社からこういうぐあいなものということを申し上げたことはないと思うのでございますけれども、いろいろ協議の結果、この紛争料金といわれるものを早期に解決するためにこれが一番いい方法じゃないかということで、電電公社としては了承いたしたということでございます。
  99. 坂井弘一

    ○坂井委員 問題の焦点は、まさに別個のサービス料金であるという考え方に変わった、私はあえて変わったと言います、そこに問題がある。電電公社のほうは、そういうことを電電公社側から示したことはない。まず私は当然だろうと思うのです。一体だれがこのような見解を提案されたか、それをはっきりしてもらいたい。
  100. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 このような考え方を固めるにつきましては、さっき申しましたように関係各省並びに電電公社の専門家がたびたび検討した結果そういうことになったわけでございますが、米軍側にそういう考え方で解決をしたいということを申しましたのは第二回かと思いますが、向こう側が原則的にこの日本側の交渉再開に応ずるということがあったあとで、日本側の解決の方法を述べたわけでございますが、当時私も郵政省の代表としてそこに入っておりまして、私の口から述べたように記憶しております。
  101. 坂井弘一

    ○坂井委員 郵政省のほうから別個のサービス料金という考え方を示された、こういうことでございますが、その根拠は何ですか。
  102. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 これは日米合同委員会のアドホックコミッティーという、一つのきめられた約束ごとでの日本側代表という立場で米側に日本側の考え方を示したわけでございますが、もちろんこれは郵政省独自で決定したことでもございませんし、十分電信電話公社その他関係各省とも相談して意見を検討した結果、このような結論になりましたものを代表いたしまして私が申し入れをしたということでございます。
  103. 坂井弘一

    ○坂井委員 まことに苦しい答弁をなさる。これは少なくとも外務省、郵政省、電電公社あるいは大蔵省等、関係各省が寄って協議されたことは確かでしょう。しかし少なくとも、従来請求権ありという考え方のもとに立って、そうして八十三億三千万というサービス料金を請求をしてきた。それが別個の料金という考え方に交わったわけですね。この別個の料金であるという考え方に立つということは、私は電電公社としては考えられない。ましてや郵政省としてこれを唯々諾々としてのむということはまずなかろうと思う。ましてや提案されるというようなことは、これはまことに考えられない。それをいま監理官は、郵政省のほうから示したのだ、こうおっしゃるかと思えば、いや、各省で協議したのだ、またこうおっしゃる。一体だれがこういう別個のサービス料金だというような見解でもって米側と交渉に入ろうということをきめたのか、その責任の所在を私ははっきり突きとめたいと思う。それをはっきりしてくれないと、この問題の根本的な解明というものはできない。これを明確にお聞きしたい。
  104. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 もちろん、この問題は日米合同委員会の場で結論が出されるものでございますので、合同委員会につきましては外務省が主管となっております関係上、解決案をつくりましたのは郵政省が中心となったものでございますが、その案をもとにいたしまして、外務省を通じまして、このような方法で交渉の再開をお願いしたいということを申し上げた次第でございます。
  105. 坂井弘一

    ○坂井委員 どうも問題の焦点がぼけますが、もう一点、最初に返りますけれども、八十三億三千万というものが七億二千九百万、一割に満たない額になった。この七億二千九百万という額は、別個のサービス料金という考え方に立ったからこうなったのである。しかもその考え方に立ったときは昭和四十四年十二月以降、そうして第一回の小委員会が四十五年四月二十二日に持たれた。そのときに初めてそういう案を日本側から提示した。その前に政府部内で意見調整をはかって協議の結果、このような別個の料金という考え方で米側に示そうというそういう結論に到達をしたがゆえに小員会においてその見解を米側に示した。こういうことでございますけれども、八十三億三千万が最終的にそういう考え方のもとに七億二千九百万。一体その差額はどこへ消えてしまったのですか、なくなったのですか。消えていったその行く先を追いたいわけです。どういうわけでそのような十分の一に満たないような額に化けてしまったのか、その根拠というものを明確にしてもらいたい。
  106. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 これは私どものほうからお答えしたほうがよろしいと思いますのですが、いま申し上げましたように、料金と申しますのは、ある一つのサービスに対する料金でございますが、一般の専用線の料金で計算をいたしますと八十何億になるわけでございます。それで計算をいたしましたものを、そういうサービスをして七億何千万になれば確かにおかしいのでございますが、私どもは、ここで別個のサービスと申しておりますのは、地位協定七条に基づく、本来の請求権に基づくサービスの一つとして、従来私どもは普通の公衆電気通信法でいう一般の専用線のサービスをいたしまして、その料金をいただくということで、いまの八十何億という料率をお示しをしておったわけでありますが、そういうサービスはもうやめて、全然それより程度の悪いサービスを、俗なことばで申しますと程度の悪いサービスをいたしまして、それに対する料金を新しくきめた、こういうことでございます。  もっと端的に申しますと、それじゃどこが違うのかということになりますが、一般専用線と申しますのは、結局私どもがそういう線をお貸しをいたしますわけですから、私どもの責任で常にいい状態にメンテナンスをいたしております。したがって向こうさまから何ら請求がなくても、私どものほうで常時保守をいたしますとか、あるいはそれが使えなくなれば取りかえてまた新しいものをつくりまして提供する、そしてそれをずっと使っていただく、これが一般専用線のサービスであります。私どもは、当初そういう形でこの請求権七条に基づく私どものサービスをやっていきたい、またやっていくべきだろう、こう思っておったわけです。したがってそういう形のサービスを継続すれば八十何億になる、こういうことを申し上げておったわけです。ところが、この新しいあれでは、請求権を放棄したわけじゃございませんけれども、サービスの中身を、もうそれが悪くなりましたら捨ててしまって、新しいものはまた別にお金をもらって、アメリカから言われればつくります、もうこっちの責任では新しいものはつくりませんとか、あるいは向こうから直してくれということを言うてくるまでは、こちらが責任をもって保守をしないとか、そういう点が非常に違うわけでございます。それを私どもは、法律的な根拠はあるのかとおっしゃいますと、先ほど申し上げましたように、アメリカとの間では公衆電気通信法を適用しないで別個の協定をやっておりますから、それを私どもは国内法上の一般専用線とは別個のサービスというぐあいに申し上げているわけでございまして、そういう意味で、現在のサービスに対して八十何億はそのまま七億にカットダウンされたということではございません。その点は御了承お願いしたいと思います。
  107. 坂井弘一

    ○坂井委員 よろしいですか。一番最初は、これははっきりと第七条に基づいて請求権があるんだ、一般専用料金並みにアメリカから当然受け取るべきであるというわけで、この料率を当てはめて、そして年々ずっと累計したのが八十三億三千万なんですね。ところが途中で別個のサービス料金であるという考え方に変えたわけです。そして結果としては、そういうことであるから七億二千九百万円しかもらえなかったのですね。変わっているんですよ、中身が。いまあなたはサービス内容が変わった、こうおつしゃいますけれども、しからば一体いつから変わったのですか、サービス内容は。老朽化してきたから、こういうことですね。だからサービス内容を変えたんだ、そういうことをおっしゃるなら、百歩譲って、しからばサービス内容を変える以前の分については、これは当初請求したとおりの額を取るのが当然じゃございませんか。
  108. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 これは大体この設備そのものが公社のお金でつくりましたものではございません。この点がまず当初から違うわけでございます。したがいまして、資産として私どもの資産になっておりますけれども、最初のお金というものは公社のお金でつくったものでないという点で違います。  それからいまのサービス内容でございますけれども、これは三十年の保守協定時代から、こういうことについては、御存じのように大体もう一般専用線並みのサービスをしないというぐあいできめております。したがいまして、その時点から大体こうなっておると私どもは了解いたしております。
  109. 坂井弘一

    ○坂井委員 では郵政省にお尋ねしますが、いま公社のほうでは、これは公社が出した金でない、つまりTOW、それからJGCPの二つの施設は、これは政府資金によって建設されたものである、したがって公社は実損がない、保守費のみを受け取れば実損はない、こういう考え方に立ったのだろうと私は思う。そうであるならば、郵政省にお尋ねしますけれども、国損はございませんか。
  110. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいまの御質問のように昭和三十年の保守協定以来サービスダウンした保守をやっておる、つまり一般の保守よりももっと程度の悪い、ごく設備として使えるぎりぎりのようなサービスをしているわけでございます。大体一般の保守費は、その料金の二割程度が保守費ということを、公社の資料によっても承知しておるわけでございますが、二割よりは——これは通常の保守でございますので、巡回や油さしや部品の取りかえも相当まめにやるわけでございますが、そういうことをしない。サービスダウンしたのでございますから、それにかかりました電信電話公社側の実際の費用というものが、計算してみますと七億何千万円というようなことになるわけでございまして、解決の方法といたしましては、それだけ電電公社のほうでは回収すれば、まず満足できるということに考え方を合わせたわけでございます。
  111. 坂井弘一

    ○坂井委員 米軍が昭和四十五年末までに日本側に対して支払う額は七億二千九百万円である、これが合意されたわけですね。七億二千九百万円のうちTOW施設の分は、すでに四億四千四百日本が受け取っておるわけです。この四億四千四百万を受け取った根拠というのは、昭和三十年の保守協定において日本側が米軍に対して請求した電話料金を支払ってくれないから、この電話通信を打ち切る。しかし一方的に打ち切るわけにはいかぬ。地位協定の解釈の相違の問題もあるし、まして特別のサービスであるような考え方もある。したがって一方的に打ち切るわけにはいかぬから、せめてここで保守費として、修繕に要した費用の実費だけは米軍からもらわないことにはならぬ。こういうわけで三十年の保守協定を結んだ。その結果丁OWの分について四億四千四百万受け取った。昨年の日米合同委員会においてJGCPの分、この分の保守に要した費用として一億九千五百万円と、それに伴うところの利子九千万、合わせて二億八千五百万円を受け取って、これで一切がっさい解決した。こういうことに合意したわけですね。これは保守費じゃございませんか。料金じゃないですよ。従来請求してきたところの料金八十三億三千万は一体どこへ行ったのか。八十三億三千万と、そしてこの両施設合わせて七億二千九百万円との関連性、七億二千九百万円になったその根拠、それをもっとはっきり示してもらわないと、問題の理解はできないじゃございませんか。
  112. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 地位協定七条に基づきます請求でございます。これはサービスの中身によって異なると申し上げましたのですが、私どもとしては、現時点ではこの請求に二種類あると思うのでございます。一つは、一般国内で行なっております電話の専用線と全く同じサービスをし、それに伴う全く同じ料金を請求する。それからもう一つは、いま先生が保守費ではないかとおっしゃいましたが、これはほかで保守受託というサービスもあります。要するに保守だけ。先ほどは俗なことばで申しましたが、程度の低い保守をいたしまして、取りかえやその他のときは全然別にお金をいただきます、こういうサービスは国内ではやっておりませんが、この米軍については行なうことができるわけでございます。  この二種類のサービスのうち、前者のほうを私どもは当初考え、またそれ以外に頭が及ばなかったというのが実態だろうと思うのでございますが、それに基づいて、具体的に請求をしたわけではございません。そういうサービスを提供したわけではざごいませんが、そういうサービスをやるとすればこうなりますという金額が積もり積もって八十何億になったわけでございます。したがって、一たん請求をしたものであれば、これはもう公社としても未収金になります。会計上の責任がございますから、必ずいただくことになりますが、そういうものではございません。この三十年の保守協定に基づいて請求書を送る、こういうぐあいになっておりますので、前者のサービスでない、第二種の後者のサービスというのをここでいう別個のサービスというふうに表現をいたしておるわけでございますが、これは私どもは地位協定七条に基づく、本来の請求権に基づく新しいサービスの形式であり、それに基づく金額を正規にはじいていただいておる、こういうように理解をいたしておるわけでございます。
  113. 坂井弘一

    ○坂井委員 別個のサービスという考え方に立った。つまり施設がだんだん老朽化してくるし、サービスがダウンしてきた。当初は永続的な考え方があったから一般料率で計算をして米側に計算書を送ったのだけれども、途中で老朽化してくるし、いずれはこの施設はなくなるだろう、いわゆる非永続施設である、したがって、一般料率では米側に請求するのは無理である、したがって別個のサービスという考え方に立とう、いまの説明はこういうことであろう。そういたしますと、別個のサービスという考え方に立った以前、老朽化してない以前のその分についての料金の請求、これは一体どうなったのでしょうか。もし百歩譲って、別個のサービス料金である、老朽化しているから非永続的なものであるし、地位協定に基づく双方の意見の相違もあるから、したがってこの際は請求権は残すという形の中で保守費というものを別個のサービス料金という考え方の上に立って、米軍との交渉をここで妥結させようという考え方に立ったとするならば、しからばサービスがダウンする以前の分についてはどうなったのでしょうか。その請求額はどこへ行ったのでしょうか。
  114. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。具体的には昨年妥結をいたしたわけでございますが、実際の保守は御存じのように三十年の保守協定当時以来、こういうサービスを継続をいたしております。したがいまして、そういうものはない、私どもはこういうぐあいに理解をいたしておるわけです。
  115. 坂井弘一

    ○坂井委員 全然納得ができないですね。  もう一ぺん変えますが、柏木監理官にお尋ねしますけれども、日本側が別個のサービス料金であるという考え方を示した、そういう考え方が出たのは一体いつなんですか。
  116. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 たびたび申し上げておりますように、実際にサービスダウンをしている、サービスはすでに昭和三十年の保守協定の時点からそういうことで公社は現在に至っておるわけでございます。またしたがって、そういうような状態の保守をしておりませんので、老朽化が進んだということでございまして、老朽化が進んでいるというその事実は、実は保守程度をサービスダウンしたというところから出発しているわけでございます。このような事情は十数年間の経過において次第にはっきりしてきたわけでございますが、そういうような経過を踏まえまして、特に四十四年の国会におきまして早期解決をはかるという段取りを進めるにあたりまして、このような事情に基づいた新しい提案を米側に示すのが妥当ではないかということになったわけでございます。
  117. 坂井弘一

    ○坂井委員 では論点を変えましょう。  七億二千九百万円の内訳を示していただきたいのです。つまり七億二千九百万円のうち保守費該当分は幾らか。それから老朽化してはきたけれども、従来電話料金として請求してきたのが八十三億三千万円あるのですが、それが老朽化してきたことを理由に米側に請求することは無理だ、こういう考え方に立って七億二千九百万円ということになったのだと思いますが、いま申しました七億二千九百万円のうちの保守費の分と電話料金のサービス料、それをそれぞれ額を示してください。
  118. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。正確を期しますために、電話料金と仰せでございましたけれども、専用線の料金というぐあいに理解をさせていただきますが、この中では先ほど申しましたように専用線サービスをいたしておりません。そういうことをいたしておりませんので全部保守実費でごいざます。したがいまして、七億三千万のうち保守実費といたしましてTOW関係の保守実費、それはすでに納まっているものでございますが、四億四千四百万、JGCP施設の保守実費が一億九千五百万円でございます。この中には先ほどお話のございました利子九千万円が入っております。言うならば全額保守実費でございます。
  119. 坂井弘一

    ○坂井委員 全額保守実費である。そうすると、いわゆる専用線料金は一切含まれていないということですね、従来は請求してきたわけですね。少なくとも請求権ありという考え方の上に立って計算書を送ってきた。だから、請求権を放棄したのですか。つまりこの専用線料金は全部たな上げしてしまった、こういうことでございますか。
  120. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 これはたびたび申し上げますように、一般専用線のサービスを当初からいたしておりません。したがいまして、これはいつでも切りかえられる状態にはございたましけれども、当初から保守実費、つまり保守実費だけをいただくサービスに、先ほど申し上げました程度の悪いサービスにいたしておりますので、そういうサービスを提供しておるのであれば別問題でございましょうが、当初からそういうサービスを提供いたしておりませんので、私どもといたしましては、この専用線サービスの料金をカットダウンしたというふうには考えておらないわけでございます。
  121. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは地位協定の解釈を日本側は故意に、米側に対して請求もできないものを、第七条を根拠にして、請求できないということを知りながらも、むしろ何とかしてこれを取ってやろうというふうな、まことによからぬ魂胆で八十三億三千万を請求した、こういうことになりますか。
  122. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 いまの別個のサービスといわれるものを私ども当時は考えておりませんでした。その時点におきましては、早くこの問題が落着をして、従来から行なっておる一般専用線サービスとしてそういうサービスを行ない、かつそういう料金もいただきたいというのが私どもの念願であったわけでございます。そういうことが非常にむずかしくなってまいりましたので、いま申し上げましたような別個のサービスというぐあいに切りかえたわけでございますが、その時点におきましては、あるいは保守協定の時代もそういうことで専用線のサービスそのものをいたしておらないわけでございます。
  123. 坂井弘一

    ○坂井委員 ずっと請求してきておるわけですよ、少なくともツケは米側に渡したわけですね。計算書を送っておるのです。しかも国会論議の中ではしばしば、日本側の主張は正しいのだ、第七条という根拠があるからこの請求をするのだ、しかもそのことについて未解決であったことははなはだ遺憾である、したがって米側に対して強くこれを要望して、早く請求額を納入してもらうように努力いたしたいと答弁していたではございませんか。それをいま聞いておりますと、まるで最初から取れないものを無理に請求計算書を送っておったのだ、こういうふうな答弁にしか受け取れませんよ。なぜそのようにぐるぐる変わるのでしょうか。だからこそ昨年の五月二十七日における日米合同委員会で、急転直下八十三億三千万の要求がわずかに七億二千九百万になってしまった。十分の一に満たない。その金がどこかへ消えてなくなってしまった。おそらく私は政治的な解決をしたのであろうと思う。言うならば、沖繩返還交渉の中でこの問題を一括して処理をしようとしたのではないか。そういう政治的判断がここに加わったのではないか。言うなれば、一種のつかみ金としてこれを受け取って、あとはパアにしましょう、こういうふうな勘ぐりすら出てきはしませんか。国民の目から見たら、これは決して明朗な協議の結果の合意とは受け取れませんよ。少なくとも、七条を根拠にして日本側が請求してきたその請求権というものは私は正しいと思う。そういう判断に立って政府が、郵政省あるいは電電公社、そうして直接には外交ルートに乗せた外務省が、十九年の長きにわたって正式外交ルートの中の日米合同委員会でその主張をしてきたことも、これまた事実なんです。それが一転して昨年、それを放棄した形で七億九千二百万円で手を打った。これは何とも奇怪な話じゃございませんか。だから、それをあなた方がいま、別個のサービス料金という考え方に立ったのだ。これはいつかと言いますと、いついつだ。その理由は何かと言いますと、老朽化してきた、非永続的な施設であるということになった。したがって、最初から予定したところの一般専用料金並みの料金を請求することは無理である。しかも、四十四年の国会におきまして早期に解決をするというような政府の考え方を示しておるので、早く解決をしたかった。そうは言っても、八十三億三千万がわずかに七億九千二百万というようなことでもって、あとは全部たな上げにしたような実態がここにあらわれたということは、これはだれしも納得ができませんよ。その辺のところをもっと明確に答弁願いたい。一体だれが——柏木監理官は私のほうから示したのだ、こうおっしゃっております、別個のサービス料金ということを。郵政省がそういうことを示すということは私はないと思う。  では、ひとつ聞きましょう、外務省。外務省からは一切米軍に対して請求してきた八十三億三千万について意見は申してはおりませんか。つまり、別個のサービス料金に立つのだから七億九千二百万でよろしいという郵政省の考え方をそのまま受け入れたということでございますか。
  124. 松田慶文

    ○松田説明員 当初からの経緯を存じております立場で、かわってお答え申し上げます。  本件がかなり長年月にわたりまして日米間で紛争案件となっておりました基本的な事由の一つは、米側は日本側から受ける電話サービスを全体として一つのものだという考え方に立ってパッケージディールという形で交渉に臨んできたというところに原因がございました。すなわちJGCP、TOWは米側の全体的な電話需要の中ではかなり少のうございまして、数百億という料金額に及ぶ一般専用サービスというもののほうが、割合からいくと過半を占めておることは先生御承知のとおりでございます。ところで、地位協定七条によりますと、米側はわが国の官庁並みよりも不利ならざる条件で公共のサービスを受ける権利を有するというふうにきまっております。わがほうの官庁料金の中には、先生十分御承知の警察料金の問題がございまして、米側にしてみれば、警察といえども日本の一官庁ではないか、最も安い官庁と同等ないしはそれ以上ということが条約できまっておるのだから、米側の一般専用料金も警察並みの三分の一でいいじゃないか、ということを講和条約発効時から実は言い続けてきたわけでございます。これは先生御承知のとおり、警察電話をそのまま電電が受け取ったということに伴う特別な体系でございまして、わがほうにとってみれば、それをもって官庁並みと言われてはとても不利でございますので、これは終始反対してきたわけでございます。ところで米側は、一方においてそういう通常料金を三分の一にすることが地位協定七条の趣旨であるという議論を立てつつ、他方JGCP、TOWについては、地位協定二条に基づいて日本政府から提供を受けたいわば基地の一部であるから、それは無料ではないかという二本立ての議論をもって、しかもそれは別々に扱いませんで、一本の議論として臨んできたわけでございます。これが実は紛争解決の非常な難点でございました。もちろん、わが国にとりましては、利用の大きい一般料金のほうで譲らないことのほうが大事であったわけでございます。それで、国会からのずいぶんの御叱責も受けまして、四十四年後半以降、郵政省、電電公社を中心に本件の根本的解決をお計らいになりまして、外務省に御協議がございました。その段階において外務省といたしましては、米側がかりに一般専用料金のほうについてもう文句を言わないということをかちとり得るならば、少ないほうの問題点であるところのJGCPとTOWについて、所管庁である郵政省及び企業体である電電公社が理論的にも実際的にもこれでよろしいのだという案をお示しになるのであれば、これは交渉上一つのバランスの問題であるので、関係各位がそれでよろしければ、私どもとしてもそれを御支援申し上げましょうということで、私どもが窓口となりまして米側に、従来からおまえたちの言っておる二十年来の主張を分けろ、専用料金のほうは一般並みということで、警察同様ということはもう言うな、そのかわり、こちらはこちらなりに八十三億という数字はあるけれども、その中身は実は一般並みのサービスはしていなかったのだから、それに見合うような新しい考え方を郵政省、電電公社は示す用意がある、これでどうだ、ということで数カ月交渉いたしまして、米側はやっと一般専用料金はあきらめるということを納得しつつ、他方JGCP、TOWにつきましては、八十数億、七十数億ということは、年々積算をすればそうなるけれども、専用サービスをすればこうなるという計算書にすぎない、だから、それをたな上げして、サービスの実態を把握した上で合理的な料金は幾らになるであろうかということを日本側が協議に応ずるのであれば、米側としても積極的に前向きに取り組みましょう、という回答を得たわけでございます。かくして、根本的な対立点が解決いたしたものでございますから、先ほど御報告申し上げましたように、四月二十二日に再開第一回の会合をやりまして、柏木監理官から基本的な構想を述べるとともに、具体的な金額算出のための作業部会を設けまして、自来一年間作業を行なったわけでございます。  なお、八十三億対七億という——外務省は電信電話には必ずしも十分の知識は持ち合わせておりませんけれども、私どもの理解といたしましては、過去十九年間毎月毎月実は計算書を送ってきた実益はあったと思います。それは御承知のとおり、昭和二十七年二千八百件ありました基地は、昨今では百二十件以下に減っております。その間でJGCP、TOWの線もある月に廃止され、次第に減ってまいりました。その実態は計算書の基礎として記録に残っているわけでございます。したがいまして、本件を今回解決するにあたりましても、日本側が十九年間出してまいりました計算書の裏づけ資料、何々基地から何々基地まで何キロ、これを積算してトータル何キロで幾らというのが今度の計算の場合の根拠となって、日米間の資料と相なったわけでございます。  以上、経過を御説明申し上げました。
  125. 坂井弘一

    ○坂井委員 私はいまの御答弁はまことに重大な問題を含んでいると思います。むしろ外務省じゃございませんか。外務省から郵政省、電電公社に対して案を示した。  一点聞きましょう。アメリカ側が一般専用料金と、TOW、JGCP、これとを一緒にひっくるめた考え方で日本に対して、まけろ、一般官庁並みならば、警察は三分の一である、そういうような考え方を示してきたのはいつですか。
  126. 松田慶文

    ○松田説明員 お答えいたします。米側の先ほど私が御説明申し上げましたような当初の態度は、昭和二十七年以来のものでございます。私、あるいは御説明がつたなくて失礼したと存じますが、外務省が案を示唆したというふうに私はお答え申し上げておりません。郵政省及び電電公社のほうから四十四年末に至りまして、サービスの実態を基礎とした料金という考え方が示されましたので、私どもはそれを米側にぶつけるにあたりましては、米側が一般料金と本件とは合わせて一本であるというふうに従来から二十年来言っておりますのを、その壁と申しますか態度を改めてもらって、米側に専用料金のほうは別として、本件はTOW、JGCPのみの問題として扱う、こういうことで了解をとるのに十二月から五月までかかったということを御説明申し上げた次第でございます。
  127. 坂井弘一

    ○坂井委員 ますますおかしいです。一般料金は正常に日本側は受け取っておりますよ。何も、米側がそのような主張をしたとて一般料金としてちゃんと入っておるじゃありませんか。収納しておるじゃございませんか。このことは別に考えればいいことであって、向こうが払わないで——あなた方のことばをかりれば、ただ計算書だけ送って、一般料金については払ってくれない。それが交渉の過程の中で、一般料金もこのTOW、JGCPも含めた考え方の中で処理してもらわぬと困る。したがって、料金は下げろというような要求が米側から来たとするならば、いまのような考え方に立つのもある意味ではやむを得ないかもしれない。しかし、一般料金はすでに年々ちゃんと入っておるじゃありませんか。何ら関係ない。しかも、かりに三分の一ということになれば、三分の一ということで大幅に譲ったとしても、二十七億取れる。日本側は三分の一じゃがまんできませんとあなた方は言ったじゃございませんか。それを最終的には七億九千二百万円で終わってしまった。米側のまるまる三分の一という要求をのみ込んだとしても、二十七億取れておるはずなんですよ。全然計算が合わない。
  128. 松田慶文

    ○松田説明員 お答えいたします。米側が、電話に関します二本立ての問題を合わせて一本として、一つの問題として要求しておりましたのは、先ほど申し上げましたとおり、昭和二十七年来続けてのことでございます。ただし、一般専用料金につきましては日本政府側で警察料金にするということを承知いたしませんでしたので、米側は月月の専用料金を電電公社に支払いつつも、三分の一であるべきであるという主張を常に繰り返してまいりました。と同時にJGCP、TOWについて問題を解決しようという毎年の私どもの要求に対しては、三分の一の問題と一緒でなければ議論できない、そういうかたい態度を四十五年までとってきたということを申し上げたつもりでございます。
  129. 坂井弘一

    ○坂井委員 この結論を見ますと、一方的に譲歩したとしか取りようがない。米側は米側として二条、二十四条に基づく主張をするでしょう。しかし、わがほうはわがほうとしての主張があるのです。七条に基づく根拠がある。その交渉の過程の中で、いまのような結論では一方的にアメリカの要求に押されてしまった。言うなれば、まるまる日本側がのみ込んだ、完全に降伏をしてしまったというような、これは結論じゃないですか。いまいろいろ御説明なさるけれども、それはいまの時点において言われることでありまして、私は単なる弁解にすぎないとしか受け取れない。したがって、この問題、ここで幾ら論議してみても結論は出そうにございません。  したがって、委員長にお願いいたしますけれども、少なくともこの合同委員会ないしは小委員会における日米双方の主たる論点、これを明らかにする内容の資料を提出いただきたいと思う。
  130. 福田繁芳

    福田委員長 坂井君に申し上げます。あなたのただいまの御請求は一応ごもっともと委員長は存じまするが、この方法は、いずれ次回の理事会で各党の諸君の意見を拝聴して御趣旨に沿うようにしたいと存じ上げます。
  131. 坂井弘一

    ○坂井委員 けっこうです。留保いたしまして質問を終わります。
  132. 福田繁芳

    福田委員長 次に、井野揮君の御質問を許します。井野君。
  133. 井野正揮

    井野委員 私は通産省にお尋ねをしたいと思います。  本会議の代表質問でもお尋ねをしました行政管理庁の公益法人の運用管理についての指導監督に関する監察結果に基づく勧告があるわけでございますが、この勧告をつぶさに検討さしていただいた中で、特に通産省に関係する部分について逐次お尋ねをしてまいりたいと思うわけであります。  この勧告書を見ますと、大きく分けて九項目に分けられておるわけでありますが、一項から九項までの該当事項を拾ってみますと、通産省は一項も漏れなく全部該当しております。特に八項については、細分して三つに分けておりますが、これまた通産省は三項とも該当しておるわけでありまして、管理庁の勧告に従えば、公益法人の指導監督について最もきずの多い省であるといわなければならぬと思うのであります。そういうような、この勧告を見まして、まず第一に通産省が監督の責めにあるところの公益法人は幾つあるか、またこの勧告に基づき所管する公益法人についてどのような改善の検討に入っておられるか、その姿勢についてまずお答えをいただきたいと思います。
  134. 増田実

    ○増田(実)政府委員 お答え申し上げます。ただいま先生からのお尋ねで、一つは通産省の監督しております公益法人が幾つあるかということでございますが、ちょっと私手元のほうに幾つか正確なものがございませんので、あとでまた調べましてお答え申し上げたいと思いますが、通産省の所管の業種の公益法人でございますので、御存じのように通産省の所管いたしております商工業、非常に広いために、公益法人の中の相当大きな数字が通産省の所管となっております。このために、ただいま先生から御指摘を受けましたように、行政管理庁からの勧告事項、各項目とも通産省所管の法人がこれに該当するということになっておるわけでございます。こういうようになっておりますことについて私どもも反省しておりまして、行政管理庁から勧告をいただきましたあと直ちに、これについて各項目に沿いまして改善措置を現在やっております。
  135. 井野正揮

    井野委員 たとえばこの勧告の中には、役員の欠格条件の中に、公務員は兼務が禁止されておるとか、あるいは役員に現職職員が当たる場合には専念義務の解除をしなければできないとか、いろいろなことがあるわけでございます。こういうような具体的な事項について、これは改善するとすれば早急に行なわなければなりませんし、業務分掌や人員配置、定員との関係等々もあり、かなり思い切った措置をしなければできないことにもなると思いますが、そういうような事例をお持ちになって具体的に検討なさっておられる、こういう意味に理解してよろしいですか。
  136. 増田実

    ○増田(実)政府委員 ただいま御指摘のありました事項につきましては、管理庁の勧告の内容の線に沿いまして具体的に全部改善するように現在行なっております。たとえば通産省の現職の職員が各公益法人の役員に名を連ねている分につきましては、全部調べまして、一応原則として全部退かしております。ただその中には、学会のような団体あるいは技術関係の試験研究所の技術官をどうしても役員にしなければならないものにつきまして、これは行政管理庁の勧告にも、そういう場合には例外として取り扱うということでありますので、それを除きまして、それ以外の者につきましては、最近までに全部役員から退かせるようにいたしました。
  137. 井野正揮

    井野委員 行管のほうにお尋ねをしたいんですが、勧告書によりますと、何しろ数が非常に多くて、政府の場合で四千二百、都道府県は一万四千件にも及んでいるので、抽出をして検査をしたというふうに説明がされております。先ほど増田参事官からもお話があったように、通産省はたいへん範囲も広いし、また種類も多いわけでございますし、商工業等に関係するものがあるわけですが、行管のほうでは、通産省については、抽出検査した法人全部をあげて各項目該当事項について通産省に示しておりますか。
  138. 相沢正文

    ○相沢説明員 お答えします。行管で抽出して法人を調査しましたのは全部で百六でございます。ちょっといま資料が手元にございませんが、通産省はそのうちたしか十七、八ぐらいじゃなかったかと思います。調査した結果につきまして、今後通産省として公益法人の監督行政上いかなる点をどういうふうに改善することが望ましいかということで、御意見申し上げましたその裏づけの法人の内容につきましては、先生御承知の九項目に該当する法人につきましては、具体的に通産省のほうに内容をお示しいたしましたが、特に問題がなかった法人については個別には提示しておりません。  そういう状況でございます。
  139. 井野正揮

    井野委員 そこで、これは行管と大蔵と通産の三省にお尋ねしたいのです。民法上は特殊法人ということばはございませんけれども、俗に政府のほうではこの種の法人を特殊法人と呼んでおられるようですが、通産省の所管の中で自転車振興会についてお伺いしたいと思うわけです。これはたいへん大きな金額を扱い、各般の広範な法人との関係を持つ特殊法人でございますから、十分調査されたことと思うのですが、この公益法人の範疇に入らぬということで自転車振興会については調査されたかされなかったか。もしされたとすると、勧告事項に該当しておったかしていなかったか、ひとつお伺いをしたいと思います。
  140. 相沢正文

    ○相沢説明員 お答えします。行管で総理の指示を受けまして昨年監察をしました対象は、これは民法第三十四条に基づいて主務大臣が許可しました法人でございます。公益法人と通称いわれておりますが、その中にはいろいろございまして、極端に申し上げますれば、いま先生がおっしゃいました特殊法人というものも、いわゆる公益性あるいは公共性が非常に強いものは広義にはその中に入ると思います。そのほかに、御承知の宗教法人あるいは社会福祉事業法人あるいは私立学校法による学校法人、こういうのを含めまして広義の公益法人と呼んでおりますが、行管の対象にしましたのはあくまでも民法三十四条に基ずく公益法人でございます。したがいまして、いまお話にございました振興会は、これは三十四条に基づく法人ではございません。特別な法律に基づいて設定されましたいわゆる特殊法人でございますので、対象にいたしてございません。  以上でございます。
  141. 井野正揮

    井野委員 これは行管としては何がねらいであったのか知りませんけれども、どうも少しく源を正さないで葉っぱのほうばかりさわってみられたのではなかろうかと思うのです。本会議で田中通産大臣も私にお答えになったように、この特殊法人の資金をもっていわゆる民法三十四条に基づく法人に対して多くの補助を行なっておるわけでありますから、まずこれらの法人の運営、各般の好ましからざる事象に対して正すとするならば、とのもとを正すべきだったと思うのであります。ところが、もとのほうを正さないで葉っぱのほうばかりおやりになったということは少し理解ができませんけれども、それはそれとして、次に質問を続けていきたいと思います。  この自転車振興会は、自転車競技法十条に基づいて自転車競技会、いわゆる施行者の収益の中から、この法に示す別表第一ないし第三によって振興会に交付金が義務づけられておるわけでありますが、先ほども申し上げましたように通産大臣の御答弁によりますと、昭和四十四年には百十六件、八十一億八千六百万円、四十五年には百二十三件、九十一億七千六百万円、四十六年には百四十一件、百七億七千九百万円、この機械振興についての補助を出しておるわけです。また公益事業に対しては、四十四年三百八十一件、七十二億九千万円、四十五年三百九十三件、八十八億六千三百万円、四十六年には三百六十七件、百三億六千四百万円でございますと答弁をなさっておられるわけでありまして、この二つの金額を合わせてみますと、四十四年には両事業関係で百五十四億七千六百万円、四十五年は百八十億三千九百万円、四十六年は二百十一億四千三百万円という多額の金を扱う法人になっておるわけであります。しかも、件数はいま申し上げたようなたいへん広範な件数になっておるわけでございますから、この団体の数から見ても金額から見ても、国民生活、福祉の向上に寄与する度合いはきわめて重大だと思うわけであります。このことについて、国家資金ではございませんけれども、国の法律をもって行なわせておる事業で、国の法律命令をもって収納させておる金でございますので、これらの機構、制度の中でこういうような金の取り扱いというもの、こういうやり方というものがはたして今日こういうふうに大きくなってきて妥当なのかどうなのか、この点行管と大蔵省のお考えをひとつ聞きたいと思います。
  142. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの井野委員の御質問に対して、大蔵省の徳田主計官が来られておりますから、徳田主計官から一部御答弁願いたいと思います。
  143. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。ただいま御質問の自転車振興会の件でございますが、実は昭和二十九年に制度改正が行なわれまして、地方財政に資するために国庫納付金制度をやめまして、それ以後大蔵省といたしましては、一般会計あるいは特別会計を通じましてこの資金については全く関連を持たない、こういう姿になっているわけでございます。したがいまして、先生御指摘の点につきましては、こういう制度改正を必要とした実態が現在どうなっておるかということを含めまして、今後の問題として検討するべき事柄ではないか、このように考えております。
  144. 福田繁芳

    福田委員長 なおつけ加えて通産省の増田参事官にお願いいたします。
  145. 増田実

    ○増田(実)政府委員 ただいま大蔵省の徳田主計官から御説明がありましたが、従来競輪の収益につきましては、これは昭和二十三年に競輪が開始いたしまして、以後自転車あるいは機械工業の振興にこれらの資金を一部充てておったわけでございますが、その後昭和二十九年に法律改正が行なわれまして、当時たしか宝くじの国営も廃止になりました。こういう事業が国の納付金制度が改められまして、ただいまのように自転車振興会を通して補助を行なう、こういうように制度改正がなったわけでございます。このときにもこの制度改正につきまして国会でもいろいろ御審議いただいたわけでございますが、昭和二十九年以降そういうように自転車振興会を通してやるほうがよいのではないかということで御決定いただいたわけでございます。
  146. 井野正揮

    井野委員 私も調べてみましたから、本法制定以来十次にわたる改正が行なわれていることはよく承知しております。しかし、私あえてここで質問しなければならないのは、やはりこの運営を通じて多くの疑義を持つに至っているからでございますので、逐次質問を続けていきたいと思いますが、これは国庫の収納金ではありませんから、会計検査院検査対象にはならないわけでありますし、この規則によりますと、振興会を法人として、しかも運営委員会を設けて、その監督指導にゆだねることになっていると思いますが、それだけでこの自転車競抜法に基づいて行なわれるいわゆるギャンブル、そして千分の七十五がこの振興会に交付されるわけで、残りの収益の中から、お話しのように地方公共団体の社会福祉その他の事業が行なわれるということによってギャンブルが反社会性を消滅する、こういう法律だと思うのであります。その千分の七十五の金額がただいま言ったように年々こういう膨大な金額になっているわけでありますから、したがってこの振興会の仕事を大別してみますと、片方に「競輪の公正かつ円滑な実施を図ること」を目的とする、これはそれなりに競輪という事業があるわけですから理解できるわけであります。もう一つの柱として「自転車その他の機械に関する事業及び体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興に資することを目的とする」となっておるわけです。しかし、よく考えてみますと、この競輪の公正円滑な実施に当たることは当然だとしても、自転車の振興といってみても、自転車生産業の振興ではないだろうか、こういうふうに考えるわけです。また機械生産等の振興ということになりますと、これは通産省の本来の行政責務でございまして、何も自転車振興会にギャンブルをやったその肩がわりに機械産業を振興してもらわなければならぬという性格のものでもないと思うわけであります。ことに体育の仕事ならば文部省、厚生省、あるいは社会福祉の仕事ならばこれまた厚生省あるいは労働省など、そのことを主要任務とする省庁があるわけでありますから、このギャンブルの持つ反社会性をこれらのいわゆる社会慈善事業的な面において消滅をさせようとしておるところに本法の運営の無理がある。あるいは終戦直後の特に占領下等において行財政がアメリカの占領政策の中に大きくゆだねられておった当時の便法としてならわかるけれども、文化国家として成長し、国民総生産世界第二位を誇るような時代に、こういうようなものの考え方それ自体がかもし出す反社会性というものはあるのじゃないだろうかという気がしておりますので、この点について実はお聞きしたいと思いますのは、この競技会から交付された金の補助について、法によりますと、振興会の監督は通産大臣に定められておるわけです。したがって、この交付金の計画とか、あるいは交付の手順とか、あるいはその監督は二つの規定が設けられており、一つは自転車及び機械工業振興に関するもの、もう一つは体育その他の公益事業に関するものとなっているわけでありますが、この中身について実施をされました数多い団体等の検討は、いま言ったような社会公共の福祉に益するのだという目的をもってこの法人が認可され、事業が進められておる限り、そして通産大臣が監督、指揮をしておる限り、そして会計検査院検査からは免れておるわけでありますから、この審査を衆参両院の国会の場において資料を求められれば提出をし、一つ一つの団体について審査すべき性格のものでもあるし一これは求められなければ別ですよ。求められた場合には審査すべきものでもあるし、また疑義等が生ずる場合は全体的の観察の上からもそれらの資料は当然提示されるべき性格のものだと思いますが、この点についてそうであるのかないのか、ひとつ行管、通産の御所見を伺いたいと思うのです。
  147. 福田繁芳

    福田委員長 ただいま井野委員の御質問に対して、通産省の矢島重工業局長が参っておりますから、矢島局長に答弁させます。
  148. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生御指摘でございましたように、自転車振興会は毎年二百億を上回る膨大な金を使っており、それは公益事業もありますし、それから先生のおっしゃるように、通産省の本来やるような機械工業振興、あるいは自転車も含んでおりますが、そういうところをやるわけでありますから、いかに特殊法人といえども、この特殊法人にまかせるということについては問題があると私思います。そういう意味で、特殊法人であるこの自転車振興会がひとりでやっているわけではないわけでございます。先生、お手元の資料もございますので御存じと思いますけれども、この自転車競抜法はいろいろな監督規定がございまして、その補助金をやる場合の具体的な対衆事業の項目とか、あるいは補助の手続とか補助の基準、そういうものについては自転車競技法に基づく業務方法書、これは通産大臣の認可にかかっておりまして、そういうルール自身すべて通産省の認可にかかるということで、ルールをかっちり押えているということが第一でございます。  それから、当然のことながら毎年の補助は公示によって申請を受けて、その手続によって振興会が慎重に審査するわけでございますが、これまた振興会の審査だけでございませんでして、法律の十二条の十八によりまして、補助の対象その他について全部一件一件通産省の認可を受けるということに相なっておるわけでございます。  それから、さらにこの補助の対象その他につきましては、第十二条の二十によりまして、通産大臣がその認可をしようとする際に、車両競技審議会の意見を聞かなければならないということでございまして、車両競技審議会にかけているわけでございます。この車両競技審議会はいろいろな学識経験者がおるとともに、公益事業その他関係方面の意見が十分代表されるようなことに相なっておるわけでございまして、こういうふうに、いわば補助金の決定につきましては、二重三重の審査が行なわれるというような厳重な仕組みに相なっておるわけでございます。さらに事後の監査につきましても、振興会において補助目的に照らして適正に運用されているかどうかをきびしくチェックしているわけでございまして、以上のように十分な、二重三重のチェックをいたしておるわけでございますが、先生御指摘のような点もございますので、今後とも一そう厳正な運用を行なうように十分監督してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  149. 井野正揮

    井野委員 矢島局長、私はそんなことを聞いたじゃないんですよ。そういう行政事務の範囲の中に入ることなんだから、国会で疑義を持ち調査審議をするときには、求められればその資料を出す義務を負うのではないですか、と聞いたんですよ。
  150. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 たいへん失礼いたしました。最後の点をお答えしないで申しわけございませんでしたが、あの自転車振興会、もう一つ小型自動車振興会がございますが、これの関係は、機械振興資金と公益資金と両方にわたって補助を行なっているわけでございますので、その内容について補助対象の種類ごと、たとえば公益関係、体育関係、社会福祉関係、公衆衛生関係云々というふうに、そういう種類ごとに件数、金額、主要な事例等についてまとめた資料を提出させることにいたしたいと思います。
  151. 井野正揮

    井野委員 まとめた数字とお断わりになったけれども、全体を観察する場合には、まとめなくて一件一件ばらしたものも見ないと、これはわからぬことになる。そういうことですから、それはいまのお答えの中に包括されて、求められれば出さなければならない、拒むことはできないものだというふうに理解してよろしいですね。
  152. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 その中にいろいろこまかい問題もございますので、御指摘の点がございますれば、その点について幾らでも資料は提出いたすつもりでございます。
  153. 井野正揮

    井野委員 どうもありがとうございました。  そこで、この補助対象選定にあたっての方法書、十二条十八の二項五号の中の問題でありすが、この業務方法規程によっていろいろ定められております。いま局長からもお話があったように、振興会自身でも十分様式を定めて申請をさせ、かつその法人の性格、内容等についても十分の精査を行なって、その上、大臣の認可を受けるわけですが、相当の件数になっておりますから、大臣が責任をもって認可するということになりますと、通産省の中における、これは車両課で扱われるのかどうか知りませんけれども、かなりの労作必要だと思うのです。振興会でもその対象を十分選択をして本法の目的に沿った事業をやる、また認可するにあたっては通産省も遺漏のないように相当に詳細にやることだろうと思いますが、この機会に、大体どんなような手続とどれくらいの人員で、これは事業実施と予算年度との関係がありますから、どのようにされるのか、概括的でけっこうでございますから、理解できるように説明してください。
  154. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先ほど申し上げましたように、最初に自転車振興会自身が慎重に審議するわけでございます。自転車振興会におきましてはこの関係で部が幾つかございますが、特に機械関係は機械事業部、それから公益関係は公益事業部というふうに分かれまして、両方でもって約四十人の人間がそれに従事しております。  さて、その自転車振興会で一応審査したものを通産省で認可するわけでございますが、通産省におきましては、窓口としては私ども重工業局にある重工業課、これが機械関係の担当をやっておりますし、公益関係は公益関係と、それから自転車関係は車両課のほうでやっております。それで両方合わせて十六人の人間がこの審査をやっておるわけでございます。   〔委員長退席、森下(元)委員長代理着席〕  なお以上は窓口としての話でございますが、機械関係のワクといたしましても、これは実は機械に関連しまして貿易の関係、それから流通の関係あるいは各業種にわたりまして雑貨の関係、いろいろございますので、その関係原局の人は総動員されますので、通商局あるいは企業局その他の局等が全部動員されますので、そういうものを全部合わせますと相当なスタッフにのぼるわけでございますが、いま関係した者が何人かはちょっとわかりませんです。
  155. 井野正揮

    井野委員 この二つの業務方法書、方法に関する規程ですね、この中でいずれも選択の条件、資格ついては三条、四条で定められておるようでありますが、特に公益の場合は、公益団体であって法人に限定されておるわけであります。この場合、特に公益法人のことについてお伺いをしたいのですが、行管が勧告しましたこの文書によってもわかるように、一万二千からある法人でございますし、そして実際には、この事業の対象として認められる法人の認可された主管庁は総理府であったり、あるいは文部省であったり、あるいは厚生省であって、通産省が認可をした法人ではない法人が補助対象になる。片方は、通産省が認可をしたところの特殊法人である法人が、他の公益法人を選択をして補助対象を選んでいく。そこで一つ心配な点が出ますのは、国みずからが法人の適格性ありとして認可したものであるからという前提に立って、これを補助対象の法人として適格条件とした場合、この行管が示すような欠格条件が多いとされているのですから、これはえらいことになるわけですね。そういうような、最終的に法人が法人の資格を審査をする、行政庁がやるわけじゃないのです。こういう仕組みについて瑕瑾がありはしないか、あやまちがありはしないか、こういう気がいたしますが、いままでの経験上、こういう業務規程のしかたで完ぺきを期することができるかどうか、たいへん私は疑問に思うのでありますが、この点いかがですか。
  156. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生のおっしゃるように、自転車振興会も特殊法人とはいえ法人でございますので、その自転車振興会がいまおっしゃいましたように公益法人を審査するということであれば、これは適当でないと思います。しかし実際上の運用は、この基準に「公益法人」云々と書いてございますが、具体的な公益法人に対してどれだけの補助金を出すかという毎年の作業におきましては、それぞれの所管官庁——厚生省関係が非常に多うございます。文部省関係もございますが、それぞれ全部申請内容を厚生省なり文部省なりが見まして、そこで全部スクリーンいたしまして、その結果を先ほど申しました私の局の車両課のほうに持ってきて協議するという形をとっているわけでございますので、決して自転車振興会自身が、もちろん事前審査はやりますけれども、審査も事業内容でございまして、決して法人としての適格性その他などを審査するというわけではございません。いずれにしても、その上にそれぞれの所管官庁である厚生省、文部省がかぶさって、十分な審査をするという体制をとっているわけでございます。
  157. 井野正揮

    井野委員 局長、ただいまの説明は少しいただけないと思うのです。私がこの業務方法に関する規程の第三条、第四条を指摘いたしましたのは、ここに明確に法人の適格性について条項をあげて審査するとしてあるんですよ。その適格した者が通産大臣の認可を受ける手続が行なわれることになっているのです。第一義的には自転車振興会がそれをやって、そうして第二義的にそれでよろしいと大臣が認可するようになっているのです。いまの答弁反対じゃないですか。
  158. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 あるいは私のお答えがまずかったかと思いますけれども、先生もお手元にございますように「事業の選定の基準」というのがございまして、たとえばこの四条には「補助事業の対象となる事業者は、次の各号の要件に適合しなければならない。」といって、(1)、(2)、(3)、(4)とございますが、その中に、二号目に、いまお話しの「原則として公益的団体であって法人格を有すること。」こういうことになっているわけで、まずその補助事業の対象となるものは公益法人でなければならぬ、こういうことを言っているわけでございます。ですから、その公益法人の中身がどうのこうのということを言っているのではなくて、まずその第一に公益法人でなければならぬということで一つ網をかぶせているというか、そういうような形になっているわけだと理解しておりますが、十分お答えになっているかどうか知りませんが。
  159. 井野正揮

    井野委員 答えるつもりで一生懸命やっていらっしゃることはわかりますけれども、局長自身がこの業務規程を十分熟読しておられないことだけ明らかになっておりますが、法人の中身がどうであるかということ、前提が法人であるということ、その二つになっておるわけです。したがって事業内容が遂行する力があるかどうか、その成否を判断をしなければならぬようになっておるわけです。当然のことだと思うのです。したがって、先ほどお答えのように、通産省がそれを一義的に調べるのじゃなくて、この振興会という法人が一義的に調べるのだ、こういう認定に立つならば、法人が法人を調べるというようなことになってきて、しかも申請をしてきた法人は、あるときは東京都が認可した法人であったり、あるときは総理大臣佐藤榮作君が認可した法人であったりしておるわけなのです。そしてまたその理事長が何々先生というように、私どものように国会経験の薄い先生ではなくて、八期、九期、大臣経歴者というような人がほとんど法人で理事長になっておられる。これではたして振興会がチェックできるだろうかという危倶を私は持っているから聞いたわけなので、制度的にこういうやり方ではたして万全を期することができるだろうかと疑問を投げかけたわけですが、局長、この点はもう少ししかと勉強をなさっておく必要があろうということを忠告しておきたいと思います。  次に進みたいと思います。  さてそこで、法人としても適格である、事業計画もよろしい、振興会も十分調べた、そうして大臣のほうでも矢島局長のもとにおいて水田課長一生懸命やって調べた、その結果交付をした、ところがどうもその後さっぱりやらない、補助金はやったけれども仕事はできていない、おかしいというので監査をしてみたところが、これは全くでたらめであった。その場合、この規程第二十七条——両方とも二十七条になっております。二十七条によって補助の取り消しまたは償還を命ずることができるとされておるわけであります。ところが、交付した金額は非常に大きい、実際に調べたときには、金を費消してしまってなかった、解散してしまうとこの金の取り立てようがないことになるわけであります。それだけに補助対象の人格というものについては、厳密な審査が加えられなければならぬということになろうかと思うのでありますが、四十四年度決算をいま審査しておるわけでありますから、四十四年、四十五年、四十六年、この間において、ただいま言ったように、第二十七条に該当して補助金を取り消しをしたり、あるいは補助金の返還を命じなければならないような事柄があったか、なかったか。名前などは決して要りませんから、あったか、なかったか。また、あったとすればどれくらいの件数に及んだか、大略でよろしいからお聞かせを願いたいと思います。
  160. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 いま先生のおっしゃった、二十七条に基づいて返還をしなければならなくなったような事態は、私の記憶するだけでも二件ないし三件ぐらいあると思います。
  161. 井野正揮

    井野委員 それはもう調査をして、たとえば取り消しをするとか、償還を命ずるとかというような具体的な措置が講じられたものですか。
  162. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 私の記憶している二件については、具体的な措置がとられておるものでございます。
  163. 井野正揮

    井野委員 私がこういうことを質問しております中には、実は通産省は競輪のギャンブル益金の問題でありますが、農林省には競馬があるわけであります。そして運輸省にはボートレースがあるわけであります。この三つの金を合わせてみますと、少なくとも年間一千億をこえる金が、実は政府の厳重な監督のもとと言いたいけれども、監督したようなしないような、また一般にはこういう利用制度があるのを知らない人が多いような膨大な金が、ギャンブルを正当化する、あるいはギャンブルの罪悪を相殺するというような形で行なわれているところに、文化国家としては少しく問題があり、検討しなければならない時期に来ているという気がするわけであります。そして、こういうような収納金はもとはもちろん国庫に納入させる手続をとったというのが、今日こういうふうにゆだねられているという傾向と、もう一つは、この特殊法人の性格でありますが、行管のものさしが今日の行政の実態に合わないで、行政需要があるにもかかわらず、同じ省庁の中の人間を減らさない限り、新たな需要に対して認めてくれないというような大蔵省、行管の姿勢があります。そこで、いま提案されている法律の中にもございますけれども、その必要とする人員全部を、民間でもなければ官庁でもない特殊法人という形で、国家の行なうべき新たな仕事をこれに求めようとする。半役人——半民間ではないのですね。まことに妙なものができつつある風潮等に照らし合わしてみて、こういう姿では、ほんとうに行管のものさしというのはものさしになっていないのじゃないか。こういう気がしますので、特に通産省の場合、これを取り上げてみたわけであります。  そこで最後に、ただいままで私が述べてきた中で、きょうは特に私は具体的なものについて触れることを避けておりますが、いま局長がお答えになった二つの団体については、資料としてその経過なり実態なり、交付された金額がどの程度回収することができたか、こういうような問題についてさらに究明をしたいと考えますので、ぞひ資料提出を求めたいと思います。委員長においてよろしくお取り計らいを願いたいと思います。
  164. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先ほど私が申し上げました補助金の返還を命じておるような二団体について、概要その他資料を提出させていただきます。
  165. 井野正揮

    井野委員 最後に、若干行管と大蔵省に注文をつけて批判がましい意見を述べたわけでありますが、この機会に、ぜひ行管と大蔵省の御見解を承っておきたいと思います。
  166. 徳田博美

    ○徳田説明員 先生御質問の点に関連しまして、自転車振興会等につきましてはいま財政当局として直接関連していないということは、先ほど御説明申し上げたわけでございますが、一般法人の監督に関連しましては、一般の行政諸費として財政当局としても関心を持っておりますので、そういう面、十分に検討してまいりたいと考えます。
  167. 増淵亮夫

    ○増淵説明員 特殊法人につきまして先生のただいまの御発言でございますが、行管といたしましては、こういう仕事をなぜ特殊法人がやらなければならないかという点について御説明申し上げたいと思っております。  ただいまお話のございましたギャンブル等に関する特殊法人は、交付金の配分業務を、財源の性格等を考えまして、国にかわって、国とは別個の法人に行なわせる必要がございます。と同時に、交付金の配分業務その他公営競技に関します業務の性質上、この法人につきましては国が特別の監督統制を加える必要があるということで、特別の法律によりまして、国が強制的に設立し、特別の監督統制のもとに特殊法人がやっておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、特殊法人の益金の関連産業に対します配分でございますとか、あるいはその認可でございますとか、そういった仕事が諸官庁で適正に監督が行なわれ、また適正な運用が行なわれるように期待しておるわけでございます。  それから、ただいまの、行政組織機構を認めないために特殊法人ができるという点でございますけれども、これにつきましては、特殊法人の仕事の性格で特殊法人を承認するわけでございまして、これが機構なり定員なりにかわるというふうには考えておらないわけでございます。  なお、毎年度の特殊法人の設置の要求に対します査定等の仕事も、各省庁から具体的な実情を十分聴取いたしまして、できるだけ必要のなくなったものはスクラップをしまして、新しい特殊法人の増加を押えるようにやってまいっておりまして、そういう意味では、ここのところ特殊法人の数はほぼ横ばいということになっております。いろいろと御指摘がございましたので、私どもといたしまして、できるだけ各省庁から実情を承りまして、先生の御期待に沿うように努力してまいりたいと思います。
  168. 井野正揮

    井野委員 大体満足をしましたが、大蔵省にはもう少し考えていただきたいと思いますのは、先ほども言いましたように、自転車振興会のやる仕事のうちの一つは——当然ギャンブルの審判から運営、開催日程まで公務員がやれ、国営ギャンブルをやれという考えを私は持っておりません。しかし、どうしてもこういうギャンブルが必要だというのなら、やはりこの特殊法人はあくまでも競輪の運営に関する全国的な総元締めというかっこうでいいんじゃないか。文部省やあるいは厚生省や労働省のやるような社会福祉事業を中途はんぱな形で行なっているところに、必ずしもこの益金が普遍的に社会に貢献するという性格ではなくして、私もあの登録された書類を見せてもらいましたけれども、たとえば体育館の補助金が出ておったとしても、四十六都道府県の中できわめて限られた県が毎年補助を受けて、他の県は受けていない。あるいは身体障害者の福祉事業等についても、きわめて限定された地域に集中しているという傾向が、一覧しただけでも出ております。しかし、わが国の身体障害者に対する社会政策としては、国が行なっておるわけでありますし、相当の社会投資もしておるわけでありますから、これにさらに加えられて行なうとするならば、きわめて普遍的にあるいはまた重点的に、あるいは緩急の度合いを総合的な政策の上から判断できる有効な資金になると思うのでありますが、限られた振興会の運営委員二十人によってきめられていくというような姿は、私は少しく間違えているのじゃなかろうか。それはもとをただしてみると、結局この交付金が運営以外に幅を持って、何かギャンブルというものの反社会性をこのことによってカバーするのだというような考え方があるからそういうことをするのではないか。むしろこの交付金は国庫に収納すべきだ、今日の時点ではこういう考えに立っていいのじゃないか。競輪、競馬、ボートレース等が発生した当時の地方公共団体の財政状態と今日とは著しく変わっておるわけでありまして、非常に大きな財源の都や府がこれを廃止する傾向にあり、逆に財政の弱い過疎地帯のところでやりたいというような空気も出てきておるわけでありますが、地方財政の調整機構に用いるベきものではない、こういうふうにも考えられるわけで、ギャンブルが射幸心を誘って人々の喜びに寄与しておる一つのいい側面もあるということまで私は——私は競馬や競輪に行かないから、そういう偏見を持とうとは思いませんけれども、しかし財政運用上の面から、私は、もう訂正が加えられる時期に来ている、こういうふうに考えておるわけであります。若干知ったかぶりのことを言いましたけれども、ぜひこのことは、決算というものを必ず新しい政策への発展の足がかりにすべきだという主張と照らし合わせて、これを検討していただきたい。  以上、希望を述べまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  169. 森下元晴

    ○森下(元)委員長代理 瀬長亀次郎君。
  170. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 きょうはVOAの傍受施設について、自衛隊の専用のケーブル、さらに航空料金について、電話架設料金について、全逓労働者の待遇についてお聞きするつもりでありましたが、時間の関係がありますので、最初に、全逓関係労働者の身分、処遇についてお伺いします。  いま、四月の四日から百二十時間ストを打ちまして、九日まで沖繩の全逓労働者は待遇問題についてストを打っておりますが、これについて郵政省から、いままでの全逓労働者から要求されたもの、さらにまだ未解決のもの——未解決なものを解決するためにストライキに入ったと思うのです。それで、この点を最初に明らかにしてほしいのです。  二十七年間アメリカの軍事占領支配の中で、全逓労働者が五日間ストを打つのは初めてなんです。本土ではまさかないと思います。非常に熾烈な要求であるという点がはっきり出ておりますので、そういった点を明らかにしてほしいと思います。
  171. 北雄一郎

    ○北政府委員 沖繩郵政職員が本土へ復帰しました後の基本給、この問題につきまして先般現地でストがあったわけでございます。私ども、これにつきましては、かねがね関係の組合と交渉をいたしてきております。  私どものこの問題についての考え方を申し上げますと、沖繩郵政職員の復帰後の給与につきましては、復帰時におきまして本土並みに切りかえる、こういうことにいたしております。その結果、復帰前の沖繩郵政職員の給与水準が本土に比べまして高いということ、あるいは両方の給与体系に差異があります。そういった点から、結局復帰前の給与を上回る者とそれから下回る者とが出てまいるわけでございます。上回る者は、そのまま上回った給与を支給したいと考えておりますが、現給を下回る者につきましては、この差額の補償措置というものを講じたい、こういう態度で当たっておるわけであります。
  172. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 具体的にはどのようになっていますか。いまのような、おっしゃるのがほんとうであれば、何もストを打つ必要は毛頭ないのじゃないかと思うのです。現在まで取っておる給料、これが一ドル三百六十円で保障され、基本給にいたしましても、諸手当にいたしましても、現在取っておるのが本土以上の者はそのまま、以下の者はその差額を支給するなどということになれば、なぜストを打つわけですか。そのストを打った理由、未解決なのがあるはずなんです。どういう要求を出して、郵政省としてどこまでこれを認めておるか、認められないものは何か、これがなければならぬはずなんです。この点を説明してほしいのです。これは具体的にやってください。
  173. 北雄一郎

    ○北政府委員 身分の引き継ぎという問題もございます。しかし、この問題につきましては、一般公務員の場合も同様でございますけれども、私どもそっくりそのまま引き継ぐということをつとに表明しておりまして、これも何かストの題目にあったように記憶しますけれども、これについては全然問題がないはずでございます。それからまた、一ドル・三百六十円か三百八円かという問題もあるように聞いておりますけれども、これにつきましても、これはいわば政府全体の問題でございますので、私ども一郵政当局だけでどちらという段階ではございません。結局、問題の本筋は、先ほど申し上げましたような給与の問題だと理解しております。  給与につきましても、さっきも申し上げましたけれども、これまで関係組合に申しておりますのは基本給部分についてでございまして、その基本給について先ほど申し上げたとおりの態度を表明しておるわけでございますが、やはり現に給与レベルが沖繩の場合高い、この高い格差というものを将来とも何らかの形で保持をしたい、こういう希望があるようでございますけれども、私どもやはり復帰、本土並みということから考えまして、また本土の職員と沖繩の職員と将来全く同じであるという観点から、そういった格差を将来とも保持するというわけにはまいらない。ただ、さしあたり、本土復帰によりまして現給が落ちる、これはいかにも気の毒でありますので、それにつきましては、一定の差額補償措置を別途講じたい、こういう考えでおる、こういうことであります。
  174. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 あなたの最初におっしゃったことと逆じゃないか。いま基本給で、具体的に私説明しますが、本土でまず百ドル、三万六千円取っている。ところが沖繩は百四十ドルという場合に、格差が四十ドル出ますね。これは本土並みという観点からいっても、そのままのむわけにはいかぬという意味なんでしょう。どうなんですか。
  175. 北雄一郎

    ○北政府委員 給与の決定にあたりましては、復帰時において本土採用、そしてそれ以前の琉球政府の職員である期間につきましては、一〇〇%本土の郵政職員の期間として見るということでありますので、結論的には、復帰後におきましては本土の職員と全く同じ待遇に基本的にはする、こういうことであります。したがいまして、現に向こうで百四十ドルである、こちらで百ドルであるとかりにいたします場合に、百四十ドル現在取っておる人が復帰いたしましても百ドルになる筋合いでございます。しかし、それでは目の前で四十ドルという落下が生じますので、それについては一定の差額補償措置を講じたい、こういうことであります。
  176. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 大体沖繩での全逓労働者の手取りを見てみますと、もしおっしゃるような本土並みを実施するとなりますと一平均四十ドルダウンします。これを一体どのように措置するのかという問題、この点がはっきりしませんといかぬわけなんです。この点を明らかにしてほしいのです。
  177. 北雄一郎

    ○北政府委員 先ほども申し上げましたように、終局的には本土と同じようにする。しかし目の前で四十ドル引く、こういうことでは気の毒でありますので、その点は、方法はいろいろございますけれども、その四十ドルという差額を一定の方法で経過措置として補償したい、こういうことであります。
  178. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 具体的に言ってください。四十ドルとなりますと、全逓労働者が二千人としてばく大な金額になりますよ。それを何年補償するのか、さらに定期昇給の場合一体どうなるのか。定期昇給があるでしょう。そういった問題が関連していまだに解決しないからこそ、あれだけの労働者が五日間も歴史的なストを打っているのじゃないですか。別に、何もストライキを打ちたくて打つ労働者はいません。そういったまだ未解決のもの、これは明らかにしてほしいのですよ。
  179. 北雄一郎

    ○北政府委員 琉球の職員が復帰いたしました場合に、全体としてどれくらい下がるのか、どういうことになるのかということにつきましては、ただいま各個人について、先ほど申し上げましたような方式で切りかえの計算をしておる最中でございます。したがいまして、その結果が出ませんと、全体として一人平均四十ドル下がるのだとか二十ドル下がるのだとかいうことは私どもとしては言い得ない状況にございます。ただ、はっきりいたしておりますのは、本土復帰によって上がる人もある、これはそれでいいわけで、下がる人も出てくる。この人につきましては、おっしゃいましたように何年かの間それは維持してあげる、しかしそのままじゃなくて、定期昇給で消し込む。現実には毎年ベースアップもこれまではございましたけれども、これは消し込みには使わない、定期昇給を消し込みに使う、こういう考え方で経過措置としての差額補償措置を考えておる次第であります。
  180. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 一ドル・三百六十円での読みかえは実施しますか。
  181. 北雄一郎

    ○北政府委員 その点につきましては、先ほどお答えいたしましたとおり、郵政一当局のみにおいてこれを決定することができませんので、申しわけございませんが、何とも御返事のいたしかねる次第であります。
  182. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これに対する政府の方針はまだきまらないという意味ですか。というのは、全逓労働者の問題は、電通関係、全林野、専売、その他官公庁労働者の全体に響いてくる問題であるだけに、沖繩の働く人々はもうほんとうに、復帰反対じゃないのですよ、日米沖繩協定、この路線を押しつけられたらこうなるのだということに不満があっちこっちから出ておるわけなんです。したがって、いま申し上げましたように、一ドル・三百六十円での読みかえはやるのだ、たとえば山中総務長官はやるのだとかいう、あなたのところはまだわからぬという。どっちなんですか。
  183. 北雄一郎

    ○北政府委員 私どもの給与は、やはり一般公務員との均衡を見るという上に立っております。一般公務員のほうの切りかえがいかなるレートでなされるかということがきまっておらないわけでございます。それを見た上で、私どもそれに順応する、こういうように考えております。
  184. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 一ドル・三百六十円読みかえについての政府の方針がきまらないということは、それは北人事局長さん責任をもって言えますか。
  185. 北雄一郎

    ○北政府委員 私どもは一般公務員の切りかえがいかなるレートによってなされるかということについて、このようにきまったという話には接しておらないわけでございます。
  186. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、賃金はダウンするのもいるし、さらに上がるのもいるとか言っておりましね、個々を調べると。そういったものの調査をして、実際、もう復帰まではあと三十日余りしかないわけですよ、それまでに引き継がぬといかぬということでしょう。大体いつまでにそういう全逓労働者の要求を聞き入れるだけの調査ができるのか。どうせ団体交渉をやらぬといかぬでしょう。その点明らかにしてください。
  187. 北雄一郎

    ○北政府委員 私どもが考えております方式での沖繩の職員の給与の切りかえという作業は、まあ仮切りかえの作業でありますけれども、と申しますのは、まだいかにして切りかえるかということにつきまして組合との合意がございませんので、そういった意味で仮でございますけれども、先ほどのような考え方での切りかえ作業というものをやっておりまして、これは数日中に完了する運びになっております。したがいまして、その後関係の組合とも交渉をいたし、先ほど来の諸般の事情、客観情勢の確定もまちまして、できればこの月内には各個人に、復帰後具体的にこれこれになりますよという通知ができるようにしたいということで、鋭意努力をしておる次第であります。
  188. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩からの情報では、大体一ドル・三百六十円での読みかえは実施する、さらに、本土と比べて高い給料をもらっておる分だけは、五カ年間はそのままにする、そのかわり、定期昇給は認めないといったような案が郵政省から出されて、これを政府の案だということを言っておるとかいっておりますが、ほんとうですか。
  189. 北雄一郎

    ○北政府委員 三百六十円ということは、私ども言った覚えはございません。三百八円と言った覚えもございません。レートの問題につきましては、先ほど来申し上げているとおり、その態度を鮮明にしてきておるわけであります。  それから自余の問題その経過措置としての差額補償措置でありますけれども、これにつきましては、まあおおむねいま先生のおっしゃいましたようなことでございます。
  190. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの案では、この日米沖繩協定というものの中身がどんなに残酷なものであるかということがわかるのですよ。これは二十七年になるでしょう。ああいった銃剣のもとで、全逓労働者のストの場合は、刑務所に入れられたこともあるんですよ。そういった中でかちとった生活給なんです。かちとった権利なんです。こういうのを本土並みとかということで、いま取っている給料も、さらにダウンしないならばしない、ところが、昇給は認めぬ、で、一ドル三百六十円で、読みかえもまだどうになるかわからぬ。そうなりますと、いまたとえば百ドル取っておる人がおるとしますよ。三百六十で保証されれば、ここの金で三万六千円取れますよ。これが、あとで関連しますが、いまレートで三百円ぐらいですよ。沖繩からドルを持ってきて、この前立法院議員が銀行でかえたら二百九十円だ。七十円ダウンしていますすよ。もし実勢レートでやられた場合には三万円ぐらいにしかならぬ。いわゆる賃金が復帰と同時に引き下がってくる。こういった問題がいまだに解決されないということになると、これは政党とか政派とか信条とか、そんな差別乗り越えていますよ。自分たちの生活が五月十五日から急に転落していく。わかりきったことじゃないか。  そこで、時間がありませんので、この点私希望申し上げますが、沖繩県民、全逓労働者の要求は、いままでの本土並みというのじゃなしに、こういった生活と権利を守るという面では、本土を沖繩並みにしろということなんですよ。悪いやつ、すなわち戦争につながるやつ、基地につながるやつ、自衛隊につながるやつ、こいつはどんどん持ってきて本土並みにする。ところが、沖繩県民の要求は、本土並みだといって、せっかくかちとった、あの苦しい中でかちとったものからダウンするんですよ。そうしてはいかぬ。こういったものこそむしろ本土を沖繩並みにしろということの要求なんですよ。これは人間としての、労働者とか労働組合とかという前に、人間としての要求のはずなんだ。そういった観点を踏まえて、政治的にこれを解決するようなことになりませんと、沖繩では全逓労働者だけじゃありません、全官公庁労働者が、もう不安がみなぎっております。だから、五月十五日、ちょうちん行列するかと思いのほか、抗議大会を持ってデモをやる。これは何からきている。ここからきているんですよ、こっちから。何もそれには、政党がどうのこうのとかいう問題でもありません。労働組合の組合員がこっちの政党に属している、そっちの政党に属している、そういったような問題でもないのですよ。こういった問題こそ、本土を沖繩並みにしろ、これなんです。そういった点を踏まえて、いまの全逓労働者の要求をぜひ通してほしい。この点について、あとでも機会あるたびにお聞きするようにしますが、時間がもう迫っておりますので、ついでに、電話架設料の問題についてお聞きします。  これも、沖繩協定が実施される五月十五日になりますとどうなるかという問題なんです。いま架設料金は二十六ドルです、沖繩は。本土並みにする場合にどうなるか、答えてください。
  191. 秋草篤二

    ○秋草説明員 ただいまの瀬長委員の御質問になりました琉球電電公社にただいまあります制度のいわゆる設備料、あちらではただいま装置料と言っておりますが、この問題は先般の特別国会でもずいぶん論議された問題でございます。また、内地の日本電電のたくさん積滞のあった過程でも一万円、三万円、ただいまの五万円というふうな改正が行なわれて、やはり同じようなたくさん申し込みの積滞をかかえて、そういう制度の改正が行なわれた前例もあって、たいへん困難な問題でございました。で、結論的に申しますると、ただいまは先生の沖繩では約九千円、私どものほうでは今度の復帰とともに最終的には五万円になりますが、制度的に、政府の強い要望にこたえまして、これを三段階に分けて、ただいまの九千円と三万円と五万円と三段階に分けて、この問題を解消していきたいという方針に法律上なっております。
  192. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これも全逓労働者の要求と同じなんですよ。いま琉球電電公社ですか、あれだけの設備をし赤字ではないんですね。それを復帰と同時に本土に吸収されていく。沖繩の場合、あれだけの設備を持っていながらも、なお二十六ドル、九千円程度でやっていたわけなんです。これがもうすでにお手元に資料は来ておると思いますが、全沖繩で幾らぐらいの負担過重になるかということの計算はすでに出ておると思うのです。私が沖繩調査の団に加わって行ったときの調査でありますが、いわゆる三段階に分けてやってみたところで、現在よりも架設料がふえるということは事実なんです。だから、こういったようなものをなくするために特別に配慮しなければ、沖繩の電話普及率というのは御承知でしょうが、いまのような状態からいきますと、沖繩の電話の普及率はなお本土より格差がどんどん出てくるということになるわけなんです。そういった点をもっと政治的に配慮できるのかどうか、そこら辺を明らかにしてほしいんです。
  193. 秋草篤二

    ○秋草説明員 ただいまの政府の方針あるいは今後の問題私どもはお答えする資格もございませんが、ただ、申し上げて多少御理解もいただきたいことは、日本電電が琉球電電と一緒になりまして、いろいろなお客さまに対するサービス上の変化がございます。この中でやはり料金というものは最大の関心事だと思いますが、すでに御案内のように、一般の料金につきましては、沖繩の復帰に伴って、通話料、市外通話料、基本料、いろいろ含めまして、大ざっぱに申しまして三割から四割ぐらい五月十五日からは安くなる、これは相当沖繩の皆さんに喜んでいただけるのではなかろうか、こういう部面もございます。  それから、電話料金制度全体には、やはり基本的な初度調弁費の創設費を内地式に強く負担をかけるという制度もあれば、アメリカのように創設費にはほとんど負担をかけないで料金を高くとっていくというやり方もございます。日本の制度におきましては、やはり従来初度調弁費、創設費を加入者にかなりかけて料金は割り安になってくるというのが伝統的な歴史的な制度になっておると思います。したがいまして、この制度も、政府の強い要望で、本来からすれば、内地の公衆電気通信法と同じ制度にするということが閣議で決定されたのでございますけれども、特別な例外として、この設備料だけは、初めての制度だから、沖繩につきましては一挙に五万円ということはたいへん問題だろうということで、三段階にいたしたようなことでございまして、ただいまこの方針を将来どうするかということは、私ども申し上げる資格もないと思いますけれども、私個人の意見としましては、十二分にこれで御理解いただけるのではなかろうかと思います。
  194. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩県民は全然理解できないのです。大体、復帰したら架設料もより安くなると思ったところが、安くならない。ますます負担が大きくなるのだ。現に約四万人の積滞数がもう出ているわけです。需要に対して積滞数を出しますとこれだけ出ている。これを三段階に分けてみたところで、いままでより以上に架設料を負担しなければ電話加入できないのだという状況が出てくるわけです。そこで、たとえば電話加入の普及率にいたしましても、本土が一五・七、九州で一〇・六、沖繩七・三、もちろんこれは百人当たりなんです。そういったところから見ても、この架設料が上がるということは普及率に関係します。見放されます。よほどの金持ちか会社かでなければどうにもならぬというところまで沖繩が追い込まれていくのです。だから三段階に分けたんだというわけでしょうが、三段階に分けられるということ自体に問題がある。なぜいまよりよくはなっても悪くはならぬような制度にしないかというのが沖繩県民の要求なんです。これに対してさらに政治的な大きい問題になります。こういった加入率がすでにあらわれているわけです。さらに公衆電話は、千人に対して本土は四・三個でしょう。九州が四、沖繩はただの一・一、これを見ても、いかに電話関係から見放されているかということがわかる。それになおまたこういった架設料がふえるということになると、格差が縮まるのではなくて、格差がますます大きくなっていく。何があたたかい心で沖繩県民を迎えるのだという声が、そういったようなごく小さいところからも出ている。出ているからこそ、沖繩県民の気持ちは、五月十五日を迎えるについて当然次第次第に怒りとなってあらわれてくる。この点をざらに内閣に進言し、内閣のほうで具体的に政治問題としてこれを解決しなければ、沖繩県民の文化向上の問題とも関連し、生活の問題とも関連するだけに——電話というものはもう生活の中に入っているわけなんです。それが、沖繩はそういったような公衆電話は千人に一個、さらに一五・七に対して沖繩は七しかないという現状、これを踏まえるならば、ちっとも親心はこの中に反映してないというのが沖繩県民のほんとうの気持ちだということを、きょうは総裁がおられぬので、特に副総裁にお伝えして、これを配慮してほしいという要望をいたしまして、時間の関係もありますので、締めたいと思います。
  195. 森下元晴

    ○森下(元)委員長代理 ちょうど政務次官がおいでになっておりますので、一言御発言願いたいと思います。
  196. 松山千惠子

    松山政府委員 先ほどから沖繩の電話状況につきまして、逐一いろいろと御意見、御要望を承ったわけでございますが、私ども、沖繩県民が長い間にわたって苦労をしてこられたことは重々承知いたしております。あらゆる面でほんとうの意味での沖繩県民の福祉を考えていかなければならないと存じております。先生も御承知のように、大体、原則といたしましては、沖繩復帰は本土並みにということになっております。ただいま先生の御意見の中にございましたように、その面でいい面も悪い面も出てくると思うのでございますけれども、沖繩県民にとって不利な面は、先ほどからお話に出ておりましたように、何年かの間にわたりまして、いろいろと社会事情、生活環境の違った中に置かれておりました沖繩県民でございますので、ある期間をおきまして、その間に徐々に是正していく、そして本土並みに近づけていくということでいかなければ、やはり本土並みということは実現できないのではないかと思いますので、原則としてそういうような方向に政府の方針といたしてもなっていくと思うのでございますが、その間におきまして、重々そうした先生のおっしゃいましたような御意見も含みながら、今後沖繩の発展のために施策を講じていかなければならないと存じております。
  197. 森下元晴

    ○森下(元)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会