運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-04-17 第68回国会 衆議院 外務委員会内閣委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十七日(月曜日)     午前十時十九分開議  出席委員   外務委員会    委員長 櫻内 義雄君    理事 青木 正久君 理事 石井  一君    理事 坂本三十次君 理事 正示啓次郎君    理事 永田 亮一君 理事 松本 七郎君    理事 西中  清君 理事 曽祢  益君       鯨岡 兵輔君    小坂徳三郎君       田川 誠一君    福田 篤泰君       福永 一臣君    豊  永光君       角屋堅次郎君    黒田 寿男君       小林  進君    辻原 弘市君       中川 嘉美君    松本 善明君   内閣委員会    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 坂村 吉正君    理事 塩谷 一夫君 理事 山口 敏夫君    理事 大出  俊君 理事 伊藤惣助丸君    理事 和田 耕作君       天野 公義君    篠田 弘作君       中山 利生君    葉梨 信行君       湊  徹郎君    金丸 徳重君       川崎 寛治君    楢崎弥之助君       安井 吉典君    横路 孝弘君       坂井 弘一君    受田 新吉君       東中 光雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 福田 赳夫君         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 江崎 真澄君  出席政府委員         防衛庁参事官  高瀬 忠雄君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         防衛庁装備局長 黒部  穰君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         外務政務次官  大西 正男君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省条約局長 高島 益郎君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         外務委員会調査         室長      吉岡 俊夫君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――   〔櫻内外務委員長委員長席に着く〕
  2. 櫻内義雄

    櫻内委員長 これより外務委員会内閣委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際、申し上げます。質疑時間につきましては、理事会協議により決定いたしました時間を厳守していただきますよう、特にお願いいたします。  質疑を許します。青木正久君。
  3. 青木正久

    青木委員 このたび、楢崎委員から提出されました核部隊創設、これの資料につきまして、これはわが国国政の基本にかかわるまことに重大な内容を含んでおります。事はきわめて重要だと思う次第でございます。この点につきましては、すでにアメリカ大使館では偽造文書であることを公式に発表しております。政府でもこれが偽造であるという態度をとっておりますけれども、大体国政審議の場におきましてはおのずから良識がありまして、質疑者質疑のために提出する資料とかあるいは提示する事実が真正なものであることが大前提であると思うわけであります。したがいまして今度の問題は、いわゆる核部隊創設ほんとう電報であるのかないのか、これは対決をしても最後まで徹底的に明らかにしなければならない問題と思うわけでございますけれども外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  4. 福田赳夫

    福田国務大臣 今回の楢崎委員による発表は非常に重大な問題を含んでおると思うのです。つまりこれがほんとうであるとすると、これはわが国政府がいままでとってきた政策が全部虚構であったということにもなる。ですからここで真偽を明確にしておく必要がある、そういうふうに思います。  そういう見地から、アメリカ側がいまこれを調査しておる、この調査結果には最大の関心を持っておる、こういうことでございます。ただいままでアメリカ側は、これは虚偽文書である、偽造文書である、こういうことを言っておりますが、なおこれが固められるということを深く期待をしておる、こういうことが私ども立場でございます。
  5. 青木正久

    青木委員 われわれとしてはやはりアメリカ政府発表あるいは政府の正式な見解にたよるほか方法はないと思います。それ以外にたよるといったら一体何にたよっていいか、まことに困るわけであります。しかしながら今回提出されたような種類の文書が真正なものであるかどうかを確実に証明することはきわめてむずかしい問題でありまして、たいへん困った問題でございますけれども、この件について審議を進めるためには、やはりそうした立証の方法とか手順というものをあらかじめ明らかにさせておかなければならないと思うわけでございます。  そこで、政府並びにアメリカ当局が今回提示されました資料について調査した結果、これがにせの文書であるということを明らかにしましたけれども、そのいきさつ根拠防衛庁長官からお伺いしたいと思います。
  6. 福田赳夫

    福田国務大臣 先般楢崎委員から発表されました文書は直ちに米大使館に送りました。そうしますと、二時間ぐらいあとアメリカ大使館から通報がありましたわけです。これは偽造文書である、そういうことでございます。  アメリカ側ではわが国からの通報を受けまして直ちに調査した、それは横須賀駐とんの米海軍司令部に対して照会したわけです。そうすると、そういう電報は受けてはおらぬということが確認されました。それからまた発信先である米海軍長官、こちらのほうでも発信した事実がない、こういうことが明らかにされた。よってこの文書偽造である、こういう判定を一応下したわけです。  なお一方、ワシントンにおきましても、これは重大だというのでいろいろ調査をしておるようです。その調査の結果、中間的な結論でありまするが、やはり偽造である、こういう結論でございますが、なお詳細ないきさつにつきましては、アメリカ側からの通報も受けておりますので、政府委員のほうから説明をいたさせます。
  7. 吉野文六

    吉野政府委員 アメリカ側はこの電報を見ましたらすぐに、これはだれかいわばしろうとというのか、少なくともほんとう海軍電報を書いた人が書いてる電報じゃないんだということを反応として申しましたが、念のために、それではどういうところが違うんだ、こういうことを聞きましたら、いろいろの形式的な違いを申しました。ただし、これらの形式的な違いをいまここで詳しく申し上げますと、また将来偽造事件が起きるということもありまして、したがってこれについてここで詳細に申し上げるわけにもいきませんし、また先方もこれを望んでおりません。  しかしながら、まず第一に一番形式的にいわれますことは、アメリカ海軍長官というのはシビリアンでございます。これが横須賀司令官に対して直接電報を打つというようなことは、これはもうあり得ないことだそうです。これは、彼らのルートはそれぞれありまして、それぞれのルートを使って発信するわけでございますから、したがってそのようなことはあり得ない。  それから第二点は、このような重要な内容をかりに電報にする場合には、一つ電報を見て全貌がわかるというような電報は絶対打たないわけでございます。ことにこれが海軍司令官あて電報でございますから、したがって単純にこれこれのことをやれということを指令しまして、そのあとで、あるいは先に、いろいろの準備資料を何通かの電報に分けて送るというのが常識でございますし、これは何もアメリカに限らずあらゆる国がやっているわけでございます。  その他、言い出せばたくさん技術的に疑問な点がございます。そして、ことに内容に至りましては、これは話にならないというのが先方反応でございます。これらにつきましてはおいおい御質問に応じましてお答えさせていただきたいと思います。
  8. 青木正久

    青木委員 全くのにせものである、こういう御発言でございますけれども、もしにせものとすると、これははたしてこういう委員会審議する対象になるかどうか、非常に大きな問題になると思います。国会という非常に神聖な場におきましてにせもの電報を中心に論議をするということ、この前例が出ることは非常に遺憾に思うわけでございますけれども、この点、外務大臣に確認をしておきたいのですけれども、この電報は全くにせものであると断言してよろしゅうございましょうか。
  9. 福田赳夫

    福田国務大臣 アメリカ政府調査によると、一応にせものである、こういうことになっております。私どもといたしましても、アメリカ核拡散防止に非常に熱心である、それからわが国非核原則を持っておる、これはお互いによく承知している問題です、その上さらにわが国には秘密保護法というものがない、そのわが国アメリカがとらの子のようにしておる核の問題を披露する、こういうようなことは絶対あり得ない、こういうふうに思うわけです。  それからいま政府委員からもお話し申し上げましたが、海軍長官がこの種の電報部隊指揮官にあてる、こういうこともあり得ない。  それから電報発信者海軍長官だったわけですが、その発信当時には海軍長官は国外におりまして、アメリカにおらぬわけです。  それから、この海軍電報には必ず件名が入るそうです。この電報には件名がない、これも非常にふしぎなことです。  それから参考配付先、この電報参考として配付する、その配付先の序列が非常に通例と変わっておる、そういう問題もある。  それから文章です。電報文章というのは電報独特の文章があるのです。それが普通の文章になっておる、これも摩訶不思議のことである、こういうふうにアメリカ側は言っておるのです。  それはそれといたしまして、わが国非核原則、これはアメリカもよく承知しておる、秘密保護法もないこともよく承知しておる。その日本と大事な核協定をする、こういうようなことは絶対あり得ないことである、私はそう確信をいたしております。
  10. 青木正久

    青木委員 永田委員に……。
  11. 櫻内義雄

  12. 永田亮一

    永田委員 ただいま青木議員政府とのやりとりを聞いておりまして、これがにせの電報であるという御発言でありました。これがもしもほんとうににせの電報であるということであれば、われわれがかりに骨とう屋からにせのつぼを買わされたとか、あるいはにせの絵画を美術館が間違って買った、そういう程度のものじゃないのです。もっと重大な問題を含んでおる。これはもうどうしても徹底的に究明しなければならぬ重大な問題だと思うのであります。それはなぜかといえば、このショッキングなことが国民に与えた不安とその影響が非常に大きい。ただにせのつぼを買わされたというようなことでは済まされない、もっと大きな問題を含んでおると思うのです。国民はこういうことについてほんとうの真相を知る権利があると私は思います。  そこで防衛長官にちょっとお尋ねしたいのですが、防衛庁では、これはにせであるということを新聞にも発表されておる。それでそのにせであるという根拠国民の前にもう一ぺんはっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  13. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御質問の点でありまするが、事はきわめて重大であります。しかも、当日あらかじめ政府委員に対して質問要旨の御連絡がありましたときに、きわめてショッキングな問題であるというので、こちらで質問が行なわれておるときにもすでにこの調査にかかったわけであります。それから具体的な電報例示がありましたので、外務省で御調査になると同時に、横須賀海軍軍司令官に対しまして私ども防衛庁海上幕僚長から照会をしたわけです。横須賀軍司令官が申しまするのには、こういう電報がシビルである海軍長官から出先司令官である私に来るというようなことは、アメリカの慣習として、また指揮命令の系統からいって想像できぬことでありますと、また現在そういうことを私ども考えておるというようなことは一切ありませんと、こう申します。  それから当時の発信が本年の一月五日、もしこれが発信であるとするならば発信者のサインがない、受信であるとしてもこういうものが出されたり、送りつけられてきたということは一切ありませんと、こういうことであります。  それからその後調査をいたしましたところ、核に関する問題で、かりに万一、日本側協議することがありとしても、それは米国政府が直接日本政府最高首脳に話しかける、少なくとも外務大臣に話をするということが当然の順序でありましょう。出先同士軽々話し合いをするなんていうことは、これはとうてい考えられることではありません。現地軍を通じてかかる話をするなどということは原子力法マクマホン法ですね、にも見られる米国の核問題の取り扱いに関する基本的な原則にこれはそむくことになります。したがって、そういう軽率なことはわれわれユニホームがやれるていのものではありません。  また電報に述べられておりますような構想、すなわち二国間の核戦力部隊を実現しようというようなことになれば、相手国秘密保護の法律があり、かつアメリカとの間に核の秘密保護に関する協定のあることがやはり大前提になりましょう。この意味からいっても、この種の話を日米間で行なうという基礎は全然ありません。  なお、この電報に見られる構想は、かつてNATO諸国との間で話し合われたことがあるMLFの考えと同じであるが、米国としてはその後こういう構想というものは全く持っておりません、こういうような回答が来ておる次第であります。
  14. 永田亮一

    永田委員 重ねて防衛長官にお尋ねしますが、国民の中に多少疑惑を持っておる人があるかもしれない。それは、たとえばことしの一月にアメリカのアンダーソン氏がすっぱ抜いた日米関係秘密文書の中に、駐日のアメリカ大使館の中で日本核武装予想論というのがある、これはわれわれも非常にびっくりしたのでありますが、こういうことは全く私どもの関知しないことであります。しかし、まあ中には火のないところに煙はないというような気がしないでもない人があるかもしれない。それで私は、総理とかあるいは外務大臣防衛長官が御存じなくても、あるいはその佐官クラスあたり制服組の中で、日米合同核戦略のプラスとかマイナスとかいうことについて独自に秘密話し合いでもしておったんじゃないかという疑問を持っておる人があるかもしれない、それでこういう勘ぐりをする人があるかもしれないというので私は防衛長官にお尋ねするのですが、こういうことはにおいもなかったのか、全くなかったのかということを防衛長官にお尋ねしたいのであります。
  15. 江崎真澄

    江崎国務大臣 わが国には政府の厳たる方針として非核原則があります。しかもまたこれは国会でも決議をされた重要な政策であります。したがって、そういうものがあるにもかかわらず制服軽々両国間において核兵器共同で使用するなんというようなことを話すはずがありません。これはもうごうもありません。  そればかりか、これは海幕長、三月に更迭をいたしましたが、それまでは海幕副長であります。したがって、副長というものは事務的にもこういった問題がもしかりに議論としてでもありといたしまするならば、逐一詳細に報告を受け、監督をする立場にあるのが副長であります。この海幕長にただしましたところ、全然ない、もうこれはごうまつもありません、はっきり確言を得ておる次第であります。
  16. 福田赳夫

    福田国務大臣 アメリカは、核につきましては非常に大事にしておるのです。私はサンクレメンテでの首脳会談におきまして、あらためて核に対するアメリカ取り扱いとその厳粛さに驚いたような次第でございまするが、これはもう大統領のほんとう最高の判断にまつべきものであるということを、私はいろんな会談を通じてしみじみと感じ取ってきたわけなんです。  それから、佐藤総理のほうから日本の核に対する考え方、これをるる申し上げたんです。そうしますとアメリカでも深い理解を示しておる。これは一九六九年の共同声明にも出ておりますが、今回のサンクレメンテ会談におきましてはさらにそれを突っ込んで話し合ったわけですが、日本非核政策につきましては全面的にこれを強力に協力をする、そして沖繩返還時、これには沖繩に核のないこと、これをアメリカ政府が宣言をするわけでございまするけれども、その際に広く日本核政策、これに触れるという態度を示しておりますので、私はそういうことから考えましてもアメリカ政府当局日本核提携をしようというようなことを考えておるということはよもや思い当たらざるところである、そういうふうに考えております。
  17. 永田亮一

    永田委員 よくわかりましたが、もしもこれがほんとうににせの電報であるということがはっきりすれば、この連合委員会を開く意味がないのです。にせの電報を前提にして議論をする必要はないわけです。だから、この委員会を開く意味もなくなるわけでありますが、もう少し、野党の諸君もいろいろお話があると思うので、聞いてみたいと思っております。  それで、ついでですが、外務大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、世の中に謀略説というのがあるのです。これは、まあ多少推理小説のような感じもするのでありますが、たとえば、日本アメリカ関係を悪くしよう、日本アメリカの緊密な関係を離間させる、そういう目的で第三国が仕組んだ電報じゃないか、こういう謀略説も流れております。それから、もっとうがったことを言えば、あるいはこのごろアメリカでよく機密が漏洩する、次々漏洩するので、そういうルートを調べるために意識的にアメリカがこういうものを、にせのものを出してみた、こんな謀略説まで流れて、非学に手の込んだ話まで流れておるのですが、こういう謀略説については、外務大臣どうお考えになりますか。
  18. 福田赳夫

    福田国務大臣 本件の国際謀略説につきましては、いろんな形のものがあるということを、私は情報として聞いてはおりまするけれども、もとより私にその真偽のほどはわかりません。しかしいずれにしても、どうも、先ほど申し上げましたようなこの電報の形式、それから日本アメリカの核に対する考え方、そういうことからいたしまして、この電報が、ほんとうにこういうものがあったのかどうか、そういうことにつきましては、はなはだこれは、まあ疑わざるを得ないし、また、私どもといたしましては、これはどうもアメリカが言うとおり、虚偽のあるいはにせの電報じゃあるまいか、そういうような気がするのですが、さあ、それが国際謀略、こういうようなところから出ておるのか、あるいはどこかの国内謀略というようなところから出ておるのか、その辺につきましては、私も想像することが非常に困難でございます。
  19. 永田亮一

    永田委員 総理はまだ御出席になりませんか。――総理が来られたらお尋ねしたいと思ったのですが、まあ次期の有力な総裁候補である外務大臣がいらっしゃるので、政府としてのお考えを伺いたいのですが、先ほど来るるお話がありましたように、今度の電報というものは非常な衝撃を受けた。国民衝撃を受けました。私ども常識から考えまして、まああり得ないことだというふうに考えておる。  非核原則というのは、先ほど大臣もおっしゃったように、これはもう日本の自民党も野党も、全部のコンセンサスであります。佐藤総理もたびたび議会においてこのことを、非核原則については繰り返し繰り返し、また言っているなというぐらいに徹底的におっしゃったのであります。  ところが、もしもこの電報本物だとすれば、いいですか、この内容は非常に重大なものでありまして、電報の中に「続行中」ということばがある。この話し合いを続行しようということがあるのでありまするから、いままで話し合いが行なわれておったということになるわけであります、本物だとすれば。もしいままでそういう話し合いが行なわれておったというようなことがほんとうであるとするならば、これは内閣としてはたいへんな責任問題だと思うのでありますが、もし本物であった場合に、内閣はどういう処置をとられるかお尋ねしたいと思います。
  20. 福田赳夫

    福田国務大臣 わが国非核原則は、これはわが佐藤政府国民に厳粛にお約束をしている問題であります。この厳粛にお約束いたしておる核政策に対しまして、国民への約束に反するというようなことがありますれば、これは私は、佐藤政府日本国民に対するところの背信行為であるとまで考えます。その背信行為としての責任は当然とるべきものである、かように確信をいたします。
  21. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そういう話し合いがあったのではないか、これはまあ横須賀軍司令官に来ておる話ですから、自衛隊においてもきわめて重大な問題ですから、十分調査をいたしました。先ほど申し上げたように、そういうことは全然ない。  そればかりか、さっきもちょっと申し上げましたように、NATO条約機構に基づいて多国間核部隊というものが議論されたことは確かにあります。確かにありますが、これは六二年から六三年、約十年前の話ですね。しかも、その話し合いをされた背景には、ドイツが核兵器というものに非常に強い関心を示した。それからイギリス、フランス、この両国核兵器を持とうという考え方に基づいてアメリカ協議をした、そういう背景があるのです。むしろ、核兵器を持つべきであるという強いNATO条約機構関係諸国の間の話を、主張をどう押えるか、押えるために話し合いを出したのが、いまのNATO条約機構における多国間核部隊話し合いなんですね。ですから、いま外務大臣が言われるように、日本の場合は非核原則で、こちら側が一つも要請しないのにそういうものを出すはずがないということ。  それから、あの質問がありましたときに私とっさに申し上げたように、米中雪解け友好ムードが上がっておるときに、それとは全然逆な構想日本に押しつけるということが一体あるであろうか。これは常識的に考えても考えられない。いまでも私はさように認識しております。過去においても現在においても、アメリカ側制服話し合いをしたなどということは絶対ありません。これは念のために補足申し上げておきます。
  22. 永田亮一

    永田委員 栖崎議員がこの爆弾質問をされたときに、おそらく政府アメリカも直ちに否定するであろうということは百も承知で質問をされたんだろうと思うのでありまするが、よほど自信がおありかと思います。しかしそれだけに、これだけの問題を投げかけたのであれば、責任を十分に感じてもらわなければならぬと思うのです。そういう意味でも、私は、政府に徹底的に国民ほんとうに納得できるように究明をしていただきたい、このことだけを申し上げて質問を終わります。
  23. 櫻内義雄

  24. 正示啓次郎

    ○正示委員 先ほど来の青木永田委員の御質問で、今回のこの橘崎委員の得られた資料真偽については、これはまあ権威ある外務大臣及び防衛庁長官から、これは絶対に真実であり得ない、こういうお話があったわけでありますから、後刻ぜひともこれは、これに対する反証を提案者である楢崎委員から出していただくことを、私はこの際強く要望いたしておきます。  それから、最近のベトナムの情勢を見ましても、ニクソン訪中後のこの予算委員会を通じての発言は、もっぱら緊張緩和、まあ外務大臣はときどき緊張緩和の「緩和」を落とされまして、外務大臣緊張緊張としょっちゅう言われるので、私はひやひやしておったのですが、どうもやっぱり外務大臣が言われたような緊張になってきたのですね。そこでやっぱりこの国際情勢について、にわかに、ニクソンが訪中したから緊張緩和だ、平和だというふうな、野党のまあ一部の方が言われたようなことがいかに間違っておったかということを最近しみじみ国民は感じておると思うのですね。こういう一事をもっても、私は今回のこの問題提起について、これはぜひ野党はりっぱな資料を出して、これが真実であることを立証する責任がある、このことを強く感ずるのでございまするが、自由のあるところ責任あり。私は、先般来のこの報道の自由についても、自由のあるところ責任あり。国会は言論の府でありますから、言論は自由であります。しかし、その言論に対して責任を負わないことになったらば、これは一体、国権の最高機関である国会が、国民に対して何のかんばせあって相まみえるかということになるのでありますから、これはひとつ十分に責任を果たしていただくということを、強く私はこの際要望するのであります。  そこで、最後に一、二外務大臣防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、日本核政策あるいは憲法九条のこの条章、この平和政策というものに、国会の中からこれだけ、われわれはひざを交えて長年相話し合っておる野党からでも、そんなことを一体政府はやっておるのかというような、こういう声が上がるということは、私はもってのほかだと思うのですよ。少なくともそういう基本的な問題につきましては、非核原則ということについては、社会党さんはこれはたいへん残念でございましたが、参加されませんでしたが、ほかの野党はきん然として参加されて、先般国会で議決されておる。そういう国の最高方針に対して疑惑を差しはさむような問題を提起されたことについて、私は、野党第一党である社会党の責任は重大であると思うのであります。これについて外務大臣防衛庁長官から所見を伺いたいと思います。   〔発言する者あり〕
  25. 櫻内義雄

    櫻内委員長 静粛に願います。
  26. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいまの正示委員の御発言、これは国会内部の御意見といたしまして傾聴いたしたわけでありますが、ともかく私どもは、非核原則というものは、これは国会の決議にもなっている。また国民にも、これをもうおごそかに約束をしておるのです。この約束が守られない、こういうようなことがもしありとすれば、これは先ほども申し上げましたが、政府国民に対する重大な背信行為である。その責任は、わが佐藤政府は当然とっていいくらいの問題である。そういう重大な問題でありますから、何とぞこの問題の本質の究明、これは十分国会においてこの機会に行なっていただきたい、私はかように存じます。
  27. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ただいま外務大臣から詳細にお答えをいたしましたので、繰り返す必要はないと思いまするが、全く外務大臣と同感に思っております。
  28. 正示啓次郎

    ○正示委員 今回民社党の委員長も訪中してお帰りになりましたが、またわが党の三木さんがわざわざ訪中されましたが、いまやこの日中国交の正常化もいよいよ政府間交渉をやる以外にない、こういう段階に来ておることは、これはもうだれも異議のないところだと思います。私は、すみやかにその正しい段階において処理されるように熱望しておる一人でございますが、今回のこの問題に対して、われわれはこれの真偽のほどを確かめるについては、これは一体どういう方法があるのでしょう。私は、これはアメリカを代表する駐日米国大使館、これに確かめて、そしてこれは野党のほうもおいでになったらしい。だから、野党のほう自身が大使館でお確かめになったと私は思う。その結果が、ある新聞報道によりますと、決してわれわれに対する回答と違わないように私は承知をいたしておるのであります。このアメリカの大使館がわが日本政府に対して言うことを信じることができない、こういうことになったら、これはどういうことになるんでありましょうか。今日世界の平和、アジアの平和、これに対して日米関係というものが非常に重大なるモメントになっておるということは、何人も異議はないと私は思うのであります。ですから、そのアメリカ大使館責任を持ってわが政府に対して確言をしたこと、これをまず信じられないということは、私はあり得ないことだと思うのであります。そういうことでは、一体日中国交の正常化もあるいは日ソの平和条約締結の問題も、何一つとして政府間交渉をまともにやっていく道が開けないではありませんか。この点については、私は、野党の諸君も全く同じ考えであらねば、日本は外交的に無能であるということになってしまうと思うのであります。  そこでまず第一に、外務大臣は、いまワシントンにおいてもさらに調査を進められておるようでございますけれども、われわれとしては、この国交は、常に正当なる大使館その他のルートをもって信を腹中に置いてこの外交交渉をやっていく以外にないと思うのであります。しかるにかかわらず、ここに彼らの、野党の一部におかれては、その真偽のほどについてははっきりしないけれどもとにかく連合審査だというふうなことでは、私は、国権の最高機関であるわが国会の権威に非常にこれは関係するところが重い、こういうふうに思うのであります。この大使館という外交の正当ルート、そして国会の権威、この二つの問題を照らし合わせますとき、今回の連合審査のごときは、わが国会史上の将来に一体これはよき歴史的事実として残るのか、それともばかばかしいことをやったというふうな恥ずかしい記録として残るのか、まことにいまこの国会に議席を持つ者としては重大なる関心を払わざるを得ないのでありますが、このいま申し上げた外交正常化、また正常なる外交関係、信を大使館なら大使館の責任者に置いて国交をやっていく以外にないと思うのでありますけれども、この点について外務大臣から一言お答えをいただきたいと思います。
  29. 福田赳夫

    福田国務大臣 この問題の本質は、電報の中に日米間で、両海軍当局で話し合いをした事実がある、それを続行する、こういうようなことがあるわけなんです。そこが問題になってくるわけなんです。そこで、これはそういうことが事実であれば、先ほど申し上げましたように、これは日本の政治の中核に触れるところの大問題である、そういうふうに考えまして、楢崎さんの披露されました電報は直ちにアメリカ大使館にこれを回付した。そうするとアメリカ大使館から二時間後に反応がありまして、これは虚偽電報である、こういうふうに言ってきております。つまり偽造電報である、こういうことであります。アメリカ大使館でそういう断定をするにあたりましては、それなりの調査をしたと思います。同時に、わが国といたしましては、駐米大使をしてアメリカの国務省に照会をいたしております。それに対しまして、これはアメリカ大使館偽造電報であると言った同じ趣旨の回答をいたしております。そうしてその根拠といたしまして、先ほど永田委員にお答え申し上げましたようないろいろな理由を掲げておるわけでありますが、とにかくわが国非核原則を持っておる。アメリカは核不拡散の政策をとっておる。そうしてわが国には、機密保護という点につきまして何らの法制がない。そういう間において、この大事な大事なアメリカ核兵器の機密をわが海軍に開示する、こういうことはあり得ないことである。そういう諸般のことを考えまして、今回のこの電報、これは私どもアメリカ政府の言うとおりだ、こういうふうに信じておりますが、しかし事は問題になった、しかも国会によって問題になった、こういうことでございまして、かつ連合審査会が開かれる、こういうことになりましたので、この席におきましてその真偽のほどが解明されるということをぜひ期待いたしたいと存じます。
  30. 正示啓次郎

    ○正示委員 最近の政情は、これは私はたいへん遺憾な点が多いと思います。国権の最高機関である国会がいろいろとやっておることについては、日本の民主政治の発展にプラスになるのかマイナスになるのか、いろいろ問題が多いと私は思うのでありますが、その基本的なものは、わが自民党が多年政権を独裁しておるということにある。これは結果的に自民党に国民の支持が集まっておるからしようがないのでありますけれども、願わくは、これは野党がりっぱに成長されて、政権の交代ということが行なわれることが、ほんとう日本の民主政治の発展のために願わしいと思うのです。その野党第一党、しかも私の尊敬する楢崎委員です。実にりっぱな人だ、個人的に。そういう楢崎さんが今回の問題を提起された。私はけさ楢崎さんには、あなたはトラブルメーカーだ、トラブルメーカーだというふうに申し上げたんです。しかし今度のことは、これが大いに結果的に本物であったというふうなことを彼がどういう理由で信じたかを明らかにすることによって、私は彼の真価を評価しなければいかぬと思うのです。そこで、日本の民主政治の発展のためにも、私は先ほど来申し上げるように、やはりどうしてもこの野党第一党である社会党、その社会党のこういうことを得意とされる楢崎さんは、これはひとつこういう理由で真実なるものと考えたからゆるがせにできない、だから政府政策をたださなければならぬのだということを、以下の質問において明らかにされますることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  31. 櫻内義雄

    櫻内委員長 楢崎弥之助君。   〔「総理はどうした」と呼ぶ者あり〕
  32. 櫻内義雄

    櫻内委員長 ちょっとこのままお待ちください。――間もなく総理出席いたしますから、このままお待ちを願います。  楢崎君。
  33. 楢崎弥之助

    楢崎委員 先ほどの理事会におきまして、本日の連合審査の目的は、一つは、私が提起をいたしました米海軍電報内容があり得ることか、あり得ないことかという内容の問題が一つ。私はこれですべてだと思いますけれども、これが本物にせものかという、もう一つの目的も、本日の委員会の目的であるというふうにまあなったわけであります。それで、そう理事会できまった以上は、これは、一つは政治判断の問題である。いま一つは、裁判的な判断である。もしそのような要求をされるならば、委員長、私どもは、あの沖繩国会の経験によって、あのような、沖繩県民を含めて日本の運命に関する重要な返還協定のあの審議に対して、すでに明らかなとおり、政府はうその答弁で終始された。そして今日、その責任の状態はあいまいである。私は、その答弁がいかに重要であるか、その重みとのかね合いにおいて、委員長に、本日答弁されるときには証言法によって証人としての証言をしていただきたい、このようにまず要求をいたします。
  34. 櫻内義雄

    櫻内委員長 先ほどの理事会の申し合わせとただいまの御発言とはちょっと相違しておりますので、いまの楢崎委員のお申し出については、後ほど理事会で再度協議をいたしたいと思います。
  35. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いや、私はいまから、あれほど与党の議員も言われるのですから、私も当然責任を感ずるし、私にあやまちがあれば、これは当然です、責任をとるのは。何も言われなくてもわかっております、国会議員として。それだけおっしゃるんだったら、答弁するほうも絶対うそを言わないという、もしうそを言ったらどれだけの責任をとるかということをはっきりしてもらいたい。そのためには、ちゃんと罰則規定があるこの証言法による証人としての答弁に切りかえてもらいたい。それを私は要求しているんです。
  36. 櫻内義雄

    櫻内委員長 先ほど私申し上げましたように、この連合審査会のきょうの議事運営については、ただいまの楢崎委員のお申し出のような運営をするようにはなっておりません。もしそうであれば別途考慮しなければなりませんが、従来連合審査会ではそういう形をとった記憶が私にはございません。そこで、先ほど申したとおりに、楢崎委員のお申し出であれば別途理事会協議をいたしたい、こういうことでございます。
  37. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私も、こういうことは言いたくないのです。しかしいままで、あの沖繩国会においてあれだけの事実と違うことを――世の中ではこれをうそといいます。うそをつかれたのです。こういうことがあっちゃならないわけですから、私はその政府答弁の重みというものを重視したいと思いますから、あえてこのようなことを申し上げておるのです。もし正式の手続がないならば、この証言法の第三条に基づく宣誓をして答弁するというような気持ちでひとつやってもらいたいと思うのです。  そこで、私はやはり沖繩密約問題における一連の動きを見てみまして、政治の責任のとり方、この問題についての責任のとらせ方、そういう点について、やはり国民の目から見ても私は不公平な点があろうと思う。  外務大臣、井川前条約局長はどういう措置になっておるのですか。
  38. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、今回の措置によりまして、二つの問題がある、その二つの問題に対する措置をしておるわけです。つまり機密漏洩に対する公務員の責任、こういう問題。それから国会において妥当でない答弁をした責任。前者につきましては、これは法並びに内規に照らしまして処断をいたしております。それから後者につきましては、これは追って人事異動をもって処置、処断をいたしたい、かように考えております。
  39. 楢崎弥之助

    楢崎委員 後者と申しますと、井川前条約局長のことでございますか。
  40. 福田赳夫

    福田国務大臣 後者というのは、この国会において妥当な答弁をしなかったということについての責任論であります。
  41. 楢崎弥之助

    楢崎委員 これはもう蒸し返したくありませんですがね、妥当とかそういう性質の答弁じゃないんでしょう。もしそういうふうな認識でおられれば、私は、やはりここで証言法に基づくきちっとしたものをやっていただきたいと思いますよ。重ねて申し上げます。もし与党の諸君があの質問で言われるような重要な責任を課されるのだったら、これは黒白を明らかにしなくちゃなりませんから、われわれが要求する資料はマル秘であっても出されますか。
  42. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは出し得るものもありますが、出し得ないものもあります。
  43. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そういう状態でどうしてこれがにせものとか本物とか言えますか。できないでしょう、そういうことじゃ。そうすると、結局政治判断しかないじゃないですか。そこで私は、この問題の審判を下すのは、やはり最終的には国民であろうと思うのですよ。だから、しょせん国民に対して、どちらがより説得力があるかという問題になるでしょう。  そこで、私はまず、この信憑性を問題にするならば、一体言っておるほうが、はたして信憑性がある人たちが言っておるのか。いままで真実ばかりを述べてきた人が言っておれば、また言っておることに信憑性はあるかもしれない。あなた方がいままで言っておるのは、全部アメリカがこう申しますから、また防衛庁はそれを受けてこうこう、それだけが根拠でしょう。いままで、社会党なり私を含めて、われわれが提起した問題でうそがありましたか。断じてありませんよ。(「うそばかりだ」と呼ぶ者あり)断じてありませんよ。私が提出した問題でうそはありません。全部秘密理事会で突き合わしております。何を言っておるのですか。いいですか。  それじゃ申し上げます。装備品等の制式に関する訓令、その別表の中に化学器材というのがある。その中にCBR関係がある。CBRとは、御承知のとおり核兵器、細菌兵器、毒ガス兵器です。訓練用CBR器材というものがありますね。これは本物じゃないですか。本物をわざと訓練用と称しているのではありませんか、防衛庁長官
  44. 江崎真澄

    江崎国務大臣 あくまで訓練用、実験用、勉強用のものであります。
  45. 楢崎弥之助

    楢崎委員 しかとそうですか。
  46. 黒部穰

    ○黒部政府委員 訓練用の化学機器材、いま御指摘の毒ガス類でございますが、これは小さなアンプルに入っておりまして、それをこわしてにおいをかいで、これがこういうにおいのものであるということを訓練するようなものでございます。さようなものは少量ございます。
  47. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなた方は、本物のこのCBR弾丸を訓練用と称するという通達を出した覚えはないですか。
  48. 黒部穰

    ○黒部政府委員 先ほども申し上げましたように、アンプル入りのものでございまして……(楢崎委員「そんなことは聞いておりませんよ、通達があるかと聞いているのです」と呼ぶ)通達はないと思います、爆弾がございませんから。
  49. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなた方は私の文書偽造文書と言ったね。偽造文書本物がどういうものであるか、この通達を出しなさい、通達を。あるのです。それを偽造文書と言うのですよ。(「問題をそらさない」と呼ぶ者あり)何がそらすか。うそを言っておるものが何を言うか。   〔発言する者あり〕
  50. 櫻内義雄

    櫻内委員長 静粛に願います。
  51. 楢崎弥之助

    楢崎委員 どんなに防衛庁がうそを言うか、あるいはアメリカがうそを言っているか、それを私はいまから立証しますよ。その人たちが、私のこの電報に対してうそなんて、何を言っておるのですか。
  52. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは察しまするに、あくまで訓練用である。もし本物であるというような誤解を生むといけないから訓練用であるということを徹底しろ、そういうことを言うことはあると思いまするが、うそであるということを正式に通達するということは、とうていあり得ないことであります。
  53. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうじゃないのです。本物を、これは本物だと言ったら非核原則にひっかかるから、あるいは毒ガス兵器は持たないということにひっかかるから、これは本物であっても、表示するときには訓練用とする。核に関係があるのです。CBRです、これは。出してください、その通達を。
  54. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そういうことはあり得ないと思います。現在すぐわかりませんから、調査いたしましてお出しいたします。
  55. 楢崎弥之助

    楢崎委員 同時に、陸上自衛隊達七七一、三十四年四月十五日、化学剤取扱規則、これも一緒に出してください。  しかし、こういう偽造文書を公然とあなた方はつくっておるのですよ。CBRに関係する問題です。いかにあなた方がうそを言っても、陰でどういうことをやっておるかという問題でしょうが、この核の問題について。それが出てこなくちゃ、あなた方は何を言ったってだめですよ。それが出てくるまで私は質問を続けません。
  56. 江崎真澄

    江崎国務大臣 毒ガス等は、禁止兵器でありましても使われる場合があるというので、そのにおいをかいで識別をしておる、これはやはり専守防衛の日本の自衛隊としても大切なことだと私は思います。  いま御指摘の点につきましては、十分調査してお出しするようにいたします。
  57. 楢崎弥之助

    楢崎委員 だめです。そういうものじゃないのです。何べん言ってもわからぬのですか。本物をこれは持っておったらぐあいが悪いから、訓練用と称して表示するようになっているのです、その通達がありますよ。十分相談してください。偽造とはそういうことをいうのですよ。
  58. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いまごらんのとおり、防衛局長を呼んで確かめましたところ、直ちに調べておりまするが、現実に訓練用、少量しかありません、間違いありません、調べて出せるものは出します、こう言っておりますから、どうぞ御安心ください。
  59. 楢崎弥之助

    楢崎委員 総理出席の時間もあるし、他党の話し合いもありますから、私は……。  これは実は重要な問題なんです、CBR関係ですから。それで、先ほども総理のおられない間に、与党の皆さんから質問がありました。もし非核原則にもとるようなことをこっそりやっておったり、そういうことをしておった場合には、佐藤内閣としては当然即座に総辞職する、そういう決意の表明が外務大臣からありました。総理はいかがでしょうか。
  60. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまも外務大臣からそういう話を聞いております。万一さようなことがあれば、もちろん私ども責任をとる、これに間違いはございません。はっきり申し上げておきます。
  61. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それじゃ私は、出てくるまで保留をいたします。
  62. 櫻内義雄

    櫻内委員長 委員の皆さんに申し上げます。――委員の皆さんに申し上げます。  理事間の申し合わせがございまして、続いて、中川嘉美君の総理に対する質疑を許します。
  63. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 先ほど来与党の委員の皆さんあるいはまた楢崎委員等に対する答弁を聞いておりますが、これらの問題、特に先ほど来与党の皆さんからの質問に対する答弁等を聞いておりまして、これらの問題は将来やはり何らかの形でその真相が究明されていかなければならないという非常に重大な問題である、このように思うわけであります。今日の段階で言えますことは、たとえばグリーン国務次官補あるいはレアード国防長官等の発言にあるとおり、いわゆる核戦力の存在等に対する国民の疑惑というものは、これは高まる一方である、そしてまた憲法を逸脱したところの四次防あるいは五次防、こういったものが行き着くところはやはり核兵器そのものであるといわざるを得ない、このように私は考えるものでございます。また数日前には、沖繩において毒ガス漏れの事件があった。この毒ガスは、報道によりますというと催涙ガスではない、むしろ致死性のガスであるという報道、要するに一方では全面撤去というようなことを言いながらまだこういった疑いが残されておる。そうした背景から、私はどうもアメリカ側を信頼するといっても、国民は、日米間で何が行なわれておるのかさっぱりわからないというのが実情ではないかと思います。こんな背景から、国民は、これらの問題を深刻に受けとめているというのが私は実情であると思いますが、また別の観点からするならば、ベトナムの例、このベトナムを見ますと、ワシントンポストに、ベトナムでの共産側の攻勢が計画的な米軍の撤退を脅かすような場合、ニクソン大統領は核兵器を使う用意をしておる、このように報道をされております。戦況が不利になるというと、アメリカは必ず核兵器の使用を考えようとする、こういうわけでありまして、わが国はそういう国と現在安保体制のもとにある。一方ニクソン・ドクトリンから見て、日本アメリカの肩がわり、軍事力の増強等を要請されている。要するにこのままでいけば、いずれわが国核兵器の使用にずるずると引き込まれていく、こういった必然性を多分に持っておるといわなければならない。  要するに、これらを総合いたしますと、日本国民はこぞって核兵器の保有に疑惑を持っておる。したがって今回のこの核部隊の配備問題の発言等に対して、私たち国民は、重大な関心を持つのは当然といわなければならないわけであります。こういった情勢から考えて、核兵器に関して日米間で話し合いが持たれたということに対する政府側の先般来の答弁でありますけれども、残念ながら私としてもやはり疑惑を持たざるを得ない。  そこで伺いたいわけですが、こういった疑惑を持たれるに至った経緯、いままでずっと項目別にしゃべってきました。この経緯について総理はどのように考えておられるか。そしてあわせて聞いてしまいますが、いわゆる制服組の中には、核の問題についていままでアメリカと一切話し合ったことはないし、あるいはまた将来もあり得ない、このように断言書できるかどうか、まず最初にこの点を明確にひとつ総理からお答えをいただきたい。
  64. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 外国の事柄、御承知のように核兵器を持っている国がただいま五カ国もあるのですから、これはとやかく言うことはない。また、それぞれの必要があっておそらくそういう国は持っておる。しかし、わが国の場合は、政府がかねてから一切さようなものは持ちません、非核原則を守ります、かように申しております。政府だけでは不十分だ、こういうことで、国会においてこのことは、非核原則、これは確認されました。私は、今日かような状態、行政府も立法府も核は持たない、かようにきめている国は非常に少ないのではないかと思っております。これをしもいろいろ疑うという、そういうところに政治の不信というものがつながっているのか、かように私は心配いたしますが、ただいまの状態、この非核原則、これは私ども国民に誓っておることでございます。したがいまして、そこには疑惑が生ずるはずはないと私は確信をいたしております。  また、いわゆる自衛隊の制服組、そこらが非核原則について反対の方向で何か打ち合わせをしている、かような疑問が持たれるということですが、さようなことはございません。ただいまのところ、この点は厳重に守られておりますし、私は十分確信をもってお答えすることができます。
  65. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 おそらくそのような御答弁であろうかと思って、実はいろいろ、毒ガス漏れの問題であるとか例を引いて実はお聞きしたわけでありますけれども、今国会予算委員会においても、まずしょっぱなから、四次防の問題あるいは沖繩への自衛隊装備の移送の問題、あるいは立川への自衛隊の移駐問題、そしてまた沖繩の返還に伴うあの外交秘密文書の問題、とにかくことごとく外交、防衛問題は、国民の裏で秘密裏に進められてきているというこの事実を考えますというと、今回の核兵器に関する国民の疑惑というものも、どうしてもこれはぬぐい切れない、このように表現をせざるを得ないんじゃないかと私は思います。私は、このように国民をつんぼさじきに置いたアメリカとの秘密外交は断じて許してはならない、こういう立場から、きょうは十五分程度しか総理にお聞きする時間がないということで、二、三だけ御質問をしてみたいと思います。  例の沖繩返還に関する極秘文書ですね、この中の請求権のところ、「本大臣により、日本案を受諾されたいと述べたところ、大使より、米側としては、日本側立場はよくわかり、かつ財源の心配までしてもらったことは多としているが、議会に対し」云々、このように表現をされております。多とすると言った以上、そこには何かこれに相当するものがあるんじゃないか、当然あるはずではないか、私たちはこのように読み取るわけでありますが、外務大臣がせんだって答弁された内容によりますと、最初に三億二千万ドル、これがきまっていたなら何も多とするという表現が使われるはずはない。こういうことだから私は、国民は交渉そのものに裏取引があったんだと確信せざるを得ないんじゃないか。なぜならば、ここで多とするというようなこういう表現がどうして出てきたのか。そして外務大臣は、せんだっての連合審査で、これに関してはアメリカ側から多額の支払い要求があったにもかかわらず、政治折衝で三億二千万ドルに値切ったんだというような答弁をしておられる。もしそうなら、多とするどころか、アメリカとしてはこんな不満な話はない、私はこのように解釈いたします。この点どうでしょうか、いま一度この観点から答弁をしていただきたいと思います。
  66. 福田赳夫

    福田国務大臣 三億二千万ドルの決定、これはアメリカ側から相当多額な要求があった、マスコミのほうでもあるいは四億になろうか、あるいは五億になろうかというような見通しもしておったわけです。それが三億二千万ドルで決着をした。私は、これは私のほうから見ると、たいへんいい解決であった、こういうふうに思っております。  それから一方、アメリカ側から見るとどうだろうかというと、私は当時大蔵大臣でありましたが、これは何といっても支払いは少ないほうがいい、こういうことで三億ドル台だ、こういうようなことを外務大臣に伝えておったわけなんです。外務大臣も私の意を受けまして相当がんばってくれた、そういう経過がありますが、それが三億二千万ドルというところできまった、こういうことから見ますると、アメリカ側といたしましては、わが国の三億二千万ドルまでとにかく出たということにつきましては、結果的にはこれを多としておるのじゃあるまいか、そういうふうに考えておるわけであります。  いずれにいたしましても、三億二千万ドルというものがきまったわけなんです。そして、かたがたこの復元補償費の交渉というものがあり、アメリカは復元補償のわが国の要請につきましては、これはもう頑強に拒否しておった。それが諸般の状況にかんがみましてこれを受け入れましょう、こういうことになった。受け入れることになりますると、一体アメリカ政府としますると、アメリカ国会にその受け入れをどういうふうに説明するかという問題がありまして、そして三億二千万ドルの中で四百万ドルをどういうふうに扱うかということにつきまして、わが国との間でいろいろ論議があり、この四百万ドルをイヤマークしてくれぬかという要請が最後にありまして、そして愛知外務大臣がこれを拒否した、こういういきさつがあるのです。それらのいきさつを御了知願いますと、いまお読み上げの電報、この趣旨が御了解願えるのじゃあるまいか、そういうふうに考えます。
  67. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 どうも了解ができません。これは要するに多額の要求があったのに対して引っ込んじまったわけですね、三億二千万ドルに。それに対して多とするなんということはどうしても考えられない。先ほど読んだとおりです。「財源の心配までしてもらったことは多としている」それは解釈もいろいろありましょうけれども、いまの外務大臣の答弁は、残念ながら私のお聞きした質問に対する答弁になっておらぬというふうにいわざるを得ないと思います。多とするという以上は、四百三十万ドルというこの復元補償とまず見ざるを得ない。もしそうでなければ――これは時間がもうあまりないから、いわゆる六月十八日付の西山記者の記事がありますけれども、この中に二百三十四億円、すなわち六千五百万ドルという米軍施設の改良工事費を負担するということを多としたのか、多とする以上は三億二千万ドル以外に何かやったといわざるを得ない。すなわち、日本から何かの給付を与えないことには多とするというような表現は出てこない。その辺答弁をごまかさないでひとつはっきりともう一度、この二百三十四億円の問題をもかみ合わせて、お答えをいただきたいと思います。
  68. 福田赳夫

    福田国務大臣 中川さんの御疑問を解くためには、この妥結の交渉過程におきまして三億一千六百万ドルという段階があって、そうして四百万ドルを積み上げましたということになると、それは中川さんの疑惑のとおりになるのです。ところがそうじゃないのです。これはるる御説明申し上げておりますけれども、三億二千万ドルというものはきまっちゃった。いかなる段階におきましても、三億一千六百万ドルがきまって、その上に四百万ドルが積み上げられましたという経過は全然ありませんから、そういう経過に照らしますると、先ほど申し上げましたような私の御説明、御理解がいただけるのじゃあるまいか、そういうふうに存じます。
  69. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 これについては、三億二千万ドルということにこだわればそういう答弁も出てくるかもしれません、これはいま大臣の言われたとおり受け取れば。しかし、財源ですから、はたしてそこからどうするのかということでなしに、あるいはまた別途そういった二百三十四億円、六千五百万ドルを何らかの形で考えるということもこれはあり得る。私はそういうことをずっと調べていきますと、どうしてもこれらのことがまさに秘密外交であると私たちはいわざるを得ない。政府のいわゆるいままでの答弁、こういったことにもし間違いがなければ、いま答弁をいただいたような、ではどういう経過があって多としたのかということを証明するはっきりとしたこの資料を出してもらいたいと思いますが、この点はどうでしょうか。
  70. 福田赳夫

    福田国務大臣 資料とおっしゃいましたが、私が申し上げておるとおりでありまして、それ以上の資料はございませんです。御必要でありますれば何回でも御説明申し上げまするが、私の答弁で御理解願えるのじゃあるまいか、そういうふうに私といたしましては確信をいたします。
  71. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 時間が来ておるようなんで最後に聞きますが、こういったものに対する資料、口頭で説明する以外にないというようなことではならない。私たちは前から、沖繩国会当時からそういった裏づけというものを何べんも要求してきておる。しかし、政府からなかなか出てこない、こういうことで、時間もないですけれども、私は最後に総理大臣に伺いたい。西山記者が書いたこの記事、二百三十四億円という改良費、この支出にあたっては、一切日米間にいろいろな話し合いが存在しなかったのだ、そのように了解してよろしいですね。もし了解に反して将来このようなことがばれてきた、外へ出てきた、いろいろな資料が出てきた。これは重大問題。その場合に政府はどのような形でこれらに対する責任をとるか、最後に総理にお答えをいただきたいと思う。
  72. 福田赳夫

    福田国務大臣 これはおそらく総理が御存じないことかと思いますから私からお答え申し上げますが、六千五百万ドルというのは、これは対米支払いとは全然関係のない問題なんです。つまりわがほうといたしましては基地の整理縮小を要請いたしたわけであります。その整理縮小を要請したのに対しまして、アメリカ側は整理縮小には金が要りますよ、こういうことです。つまり一カ所に部隊を集めるとかあるいは宿舎を集めるとか、そういうようなことでいろいろ金がかかりますよ、また特に那覇飛行場のP3の移転問題がある、それなんかにつきましては大かた二千万ドルぐらいの金がかかりますよ、その他いろいろなことを含めますと六千五百万ドルぐらいの金が整理縮小というようなことでかかりましょうかというようなことを軽く言った時期があります。しかし、これは日米間を拘束する約束とかなんとか、そういうことじゃ一切ありませんから、これは三億二千万ドルの対米支払い、つまり三億二千万ドルはわが国政府アメリカ政府に対して支払う金なんです。六千五百万ドルはそうじゃない。地位協定に従いまして沖繩で配置転換が行なわれる。そういう際にわがほうにおいて、わが国の予算に基づいて皆さんの御審議を経まして支出する金なんです。そういう性格の金が、整理縮小ということをやればそのくらいの金はかかるんですよ、こういうようなことも私ども承った段階はあるのですが、これは約束事でも何でもない。大かたの見積もりでありまして、あるいはそれ以上にかかる事態が出てくるかもしらぬ、あるいはそれ以下で済むかもしれません。いずれにいたしましても、国会に付議いたしまして十分御審議をいただく問題であります。
  73. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 一言、質問じゃありません。要するに、答弁は御答弁として伺っておきますけれども、とにかく秘密外交というものに対する疑がいがどうしても晴れない。きょうはその問題にひっかけて、私は同僚委員の坂井委員に後ほどこういったことに関連して質問を譲ってまいりたいと思うわけですが、時間が参りましたので、次の方に引き継ぎたいと思います。
  74. 櫻内義雄

    櫻内委員長 曽祢益君。
  75. 曾禰益

    ○曽祢委員 本日ここで審議しております連合審査の課題である日米核合同戦力の問題、この電報によって提起された問題については、確かに楢崎委員が言われたように二つの問題があると思うのです。一つは、こういったような構想、これが政策的、理論的に可能性があるのかということと、それからかりに政策的、理論的に可能性があっても、この電報そのものははたして真実なのかどうか、二つの問題がわれわれの、また国民の前に提起されたわけです。私は第二の電報そのものの信憑性の問題に、今日の段階で深くしかも断定的に入ることは非常に困難だ、これがほんとうでないというならやはり証拠をはっきり示して、そしてほんとうでないということを言わなきゃいかぬし、ほんとうだというのなら、やはりそれに対する裏づけというものを国民の前に提起するのが私は議員のモラルだと思う。そこで、その問題は非常にデリケートでありまして、いま本委員会はわれわれが政府質問しているのですから、その段階においてこの問題を取り上げて深くやるのは、私としてはあまり適当でないように思います。したがって、第一のこれが一番根本の問題だと私は思う。要するに、いわゆる日米共同戦力、合同戦力、こういうことが非常に理論的にも政策的にも、少なくとも現時点において可能性がどうなのか。これに対して政府は、ただ電報が信憑性がないとか言っているだけでは済まない。というのは、これは日本非核原則、それから日本が安全保障条約のもとにおいても日米の合同戦力みたいなものをNATOと違ってつくってはいけない。いまだかつてつくったことはない。にもかかわらず、もしこういうことがどんな下のレベルでも話し合いが予備的にもされておったら、これはわが国非核原則のみならず、わが国の安全保障に対する自主防衛を、アメリカの安全保障協力によって補うが、NATOのような合同戦力、統合戦力なんかは絶対つくらない。これは不動の精神から見ても非常に大きな問題です。  したがって、私がまず最初に政府に、総理に伺いたいのは、もしこういうことがいかにアメリカ側のイニシアチブであったにせよ、わが国防衛庁の、あるいは外務省のレベルにおいて、どんなレベルでもほんとうに予備会談をやったということがもし事実ならば、このことが事実であるということになれば、これはもうおどしでも何でもない、即座に総理大臣は職をやめてその責任をはっきりとる、私は、この基本姿勢が政府としては要請されると思うので、はっきりしたお答えを願いたいのであります。
  76. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほども申しましたように、万一ただいまのような事態があればこれはもう即刻私ども責任をとるべきだ、かように思います。これはかねてから国民に、政府態度として基本的な非核原則、これを約束しております。それだけではありません。国会においてすら非核原則が決議を見ておる。これで日本の行き方ははっきりいたしたと思っております。また、ただいま曽祢君から、二国間の条約、多国間の条約、こういうように区別して話しされておりました。日本の場合は二国間でございます。日米安全保障条約、この関係においてアメリカは核を持っておる。しかし、その核で日本が守られてはいるけれども、核の抑止力、かさの下にはいますけれども日本の国内に核を持ち込むとかいうようなことは許さない、いわゆる国会の決議であります。先ほどのNATOのような多国間の約束、こういう場合には――これには西独は入っておりますけれども日本の場合は多国間の条約は現憲法のもとにおいて許されない、かように私は思いますので、さような心配は全然ない。したがって、日本政府並びに立法府、これがきめたこと、国民約束したこと、これは厳重に守られなければならない。したがって、これと反するような行ないがいかなるレベルでもあったとすれば、これは政府責任をとるべきだ、かように私は思います。
  77. 曾禰益

    ○曽祢委員 そこで、このいわゆる日米二国間の核戦力問題については、私はこれはむろん断定はできません。断定はできませんが、この核軍縮あるいは逆に核の引き金までは渡さないにしろ、核について何らかの形で合同戦力をつくろうとか、いろいろな動きが国際的にありました。その歴史から見て、私はどうも――かつて六〇年から六七年ごろまでは、確かにアメリカも西ドイツも、いわゆるNATO、これは軍隊そのものが合同しているのですから、あるいは大西洋あるいはNATO的な多角的核戦力という構想がありました。これが国際的なレベルで真剣に討議されたことも、これは事実ですね。ただし、その場合にはむろんNATOである。しかしこの構想はだれもよく知っているように、おおむね六五年ぐらいからまずソ連が、西ドイツが、どんな形でも核に接近すること絶対反対、フランスもアメリカが指導権をとったそういう核共同勢力反対、そういうことでだんだんぼけて、そして結果的にはだれでも御承知のように、むしろ六六年ぐらいからアメリカ考えを変えて、そして米ソがむしろ中心になって、核はもう拡散を防止する。たとえ同盟国でも核の接近はさせない、こういう方向がこれは強くなった。それが結局御承知のように六八年にいわゆるMLFだとか、多国的核条約とか、北大西洋、大西洋核兵力というものは完全に捨てられて、いわゆる核拡散防止条約が、どちらかといえば米ソの核の超強大国の悪くいえばなれ合いだといって、フランスや中国から激しく追及されたけれども、むしろ和解して核防条約をつくった、こういう経緯がありまして、これは多国的の場合でも二国間の場合でも、核防条約ができて以後というものとできる前とでは、私は、核兵力に関する国際的のやり方、またアメリカの方針は大きく変わっていると思います。いわんやいま申し上げたように、日米間においては、NATOと違って、一緒になって艦隊をつくって乗り組み員も共同でやる、そんなべらぼうなことはとんでもないことであって、そういう意味から言っても、かりに核ということをしばらくおいても、そういったような合同軍、統合軍というようなことは、全然いまだかつて問題になったことは私はないと思う。私はそういういろいろな経緯からいうと、MLF、BLF、多国間であろうが二国間であろうが、どうもほんとうかな、これは決して専門的なことでなく、よく国民が知っているような気持ちからいって、普通の知識からいって、核防条約以後、そしてしかもいまアメリカは、何といってもソ連との間に戦略核兵器コントロールのいわゆるSALTといいますか、この交渉に非常に大きな重点を置いている。この五月にソ連にニクソン大統領が乗り込む。これは最大のねらいはSALTの成功にある。また言うまでもなく、日本が核武装するとか軍国主義になるというのはとんでもないということで、米中がむしろ和解の方向にある。こういう点からいっても、私はにわかに――まずこの電報そのものの信憑より前に、アメリカの言うことがどうだこうだというのじゃなく、どう考えても、アメリカがこの際日本に二国間の核合同兵力をつくろうということを考えるとすれば、ちょっとこれはおかしいのじゃないかというほうが常識じゃないか。そういうようなことでございますけれども、事きわめて重大です。  外務大臣のさっきからの御答弁等を伺っておりますと、どうもそれだけの重大性、なるほどありそうもないことだけれども、もしやったのならたいへんだという意味の重大性――日本の従来の歩みからいって、非核原則からいっても日本日本の自主防衛だ、安保条約ができているから日米合同軍なんか絶対つくらない、それに対して、国際的にも重大なわが国の歩みに対する問題が問われている。ですから、総理大臣は、外務省に命じて、アメリカの協力でその真否を問い合わせ中だとか、それは確かに大使館が否定した、電報そのものは否定したでしょうけれどもアメリカのハイポリシーからいってそういうことはない。この大きなレベルの問題を海軍長官が在日海軍司令官電報連絡して、日本側と接触されるというような問題でもないようにも思うけれども、そういったような問題にして、この問題に関しては一点の疑いもないように、日本政府の核に対する政策はこうだ、またアメリカに対しても、ただ電報の信憑性云々だけでなく、場合によったら両国最高首脳が、にわかに共同声明がいいかどうかについてはこれは考えなければいけませんが、少なくとも日米両国最高責任者がハイポリシーの問題としてこれに対する態度を明らかにする。絶対にそういうことをしない、これはたとえば日本の対ソ、対中外交からいってもきわめて重大な問題だと思うので、この電報の信憑性の追及だけにエネルギーを置くのではなく、これは日本の歩みに対する非常に重大な問題であるから、最高責任者のこういうことに対する日本政策としてのはっきりした否定、アメリカもこの問題に対するはっきりした政策としての否定が必要だと思うので、御所見を伺います。
  78. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまお話しのようにMLFあるいはBLF、こういう説が一部にあることは事実でございます。そういう学者もいる。また、国内において自衛力、かように申しても、核武装しなくてどうするのだ、こういうような議論をする極端な人たちもいること、これはわれわれも無視はできない、かように思います。しかし、ただいまのような状態でBLF、さようなものはないということ、これはもう常識だといわれておりますけれども常識的なものがそのとおりでないところにいろいろ皆さん方も疑問を持たれる、かように思うのでございます。  そこで私は、先ほども申しましたように、日本の場合は、この国会決議、また同時に政府のたびたびの声明、これによって何ら心配することはないのじゃないか。国会の決議が無視される、こういう状態なら、これはもう立憲民主政治を行なえないということになって、これはめちゃくちゃだ、信頼すべき何ものもないのだ、かように思います。したがって、いままでの政府の声明も国会の決議も厳重に守られなければならない、かように思うので、いろいろの議論は一部にありましても、さようなものはいま十分対処はして、顧慮して、さような問題が大きくならないように注意はいたしますけれども、われわれの方向は間違いがないんだ、これだけははっきりいえる、かように思っておりますので、私は、胸を張って、この上とも国民の協力を得て、現在のこの姿勢をくずさないように努力したいものだ、かように思っております。
  79. 曾禰益

    ○曽祢委員 最後に一言だけ。同僚正示委員が、何かここの連合審査でこれを取り上げたことがやや軽率であったかのような御発言だったと思いますが、私はとんでもないことだと思う。軽率に取り上げているのではありません。事が重大であるから取り上げている。まず政府責任を徹底的に明らかにする。しかし、やはりこの問題については問題を提起した人にも私は責任をとってもらわなければいかぬ。  そこで、いまのお答えについては、ちょっとお答えが足りなかった。私は、国際的に――国民に対する問題もむしろそうなんですが、国際的にもこういう疑惑がかかることはたいへんなことなんで、日米両国ハイレベルで、国際的にもこういうことを払拭する、そういう政策は絶対とらないというはっきりした行為をおとりになる必要があるだろうし、アメリカにもはっきりとってもらう必要があるのではないかということを申し上げ、その点についてだけお答えを願います。
  80. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は昨年国連に参りまして、日本は経済大国にはなったけれども、軍事大国には絶対にならない、こういう演説をしたばかりであります。これは日本態度を国際的にも認識してもらう、かような意味でございます。ただいま言われますように、日米間でさらにこの核の問題について共同声明の必要ありとか、かようには私いま思っておりませんけれども、ただいまのような御疑問が出ておる限りにおいて、これに対処する、こういう意味でさらにその点については検討を加えることにいたしたいと思います。
  81. 曾禰益

    ○曽祢委員 外務大臣に対する質問を留保して一応終わります。
  82. 櫻内義雄

    櫻内委員長 この際、社会党の総理に対する質疑の持ち時間の範囲で、楢崎君の質疑を続行します。楢崎弥之助君。
  83. 楢崎弥之助

    楢崎委員 資料がまだ出ないようでありますから……。  私も、いま曽祢委員のおっしゃったこと、ほとんど同意見です。私は、これがにせであってほしい。こういうことがあってはいけません。ところが残念ながら、客観的な情勢、いままであらわれておるいろんな基礎、そういう点から、この内容は非常に可能性のある問題だとわれわれは思います。  そこで総理に聞いていただきたいのですけれども、あり得ることだとわれわれがなぜ思うか。それは、まず一九六七年の九月にアメリカは五十億ドルかけて薄いABM設置に踏み切りました。そのときに日本政府の部内にこういう意見が高まっておるという新聞の報道がありました。現在の段階で日本がABMを配置しないと言明してみずからを縛るべきではない、こういう意見が日本政府部内に高まりつつあるという報道がありました。同じく、これに関連して外務省筋は、核拡散防止条約がまとまり、日本が加入しても、ABM用の核弾頭を米国が管理するなら、日本国内にABMを建設、展開しても法律的に支障はない、こういう意見をアメリカのABM設置に対して言われております。さらにニューヨーク・タイムズは、日本米国のABMについて詳しい説明を受け、両国間で率直な意見の交換が行なわれていることを国防省は語った。さらに今度は六八年の二月にはフレッド・グリーン論文が出ております。この論文の内容はまさにこの電報内容そのままであります。これは後ほど大出委員から詳しく内容を説明していただきたいと思います。  同時に、今度は六九年七月にはニクソン・ドクトリンが出されました。それに対応してレアード長官のいわゆる総合戦力構想発表されました。この総合戦力構想の中にもこの電報の中身がそのまますっぽり当てはまる内容であります。これも同僚議員の説明があると思います。  それから、この核問題に関していえば、昨年の七月四日レアード長官が日本に見えられました。随行されたフリードハイム国防次官補代理、この方がいわゆるレアード訪日の背景説明を記者会見でなさった。そのときに、日本は一九八〇年代初めにABM配備に踏み切るであろう、これが問題になったところであります。  さらに本年一月十三日、例のアンダーソン氏が、在日大使館筋がこういうことを言っておる、それはやはり日本の核装備の可能性ということをすっぱ抜いたときに、いわゆるブリーフィングを日本アメリカ大使館は送られ、そのときにハワード・メイアーズ大使館政治軍事問題担当参事官、この方もやはりそのアンダーソンの指摘を肯定いたしております。その可能性について肯定をいたしております。もう中身は詳しく言いません。  そして本年の二月八日、これは、防衛庁長官はたとえば、こういう問題は太平洋軍司令官とかあるいは米本国の海軍作戦本部長が扱うべき問題だということも言われました。それに関連してことしの二月八日マッケーン太平洋軍司令官、ズムワルト米海軍作戦本部長が来日しておりますね。そして海幕長と話し合っておる。同日にどういうわけか知りませんが、江崎長官はマイヤー大使と会談をされておりますね。  こういったいろんな客観情勢を見てみて、われわれはやはりこの内容の可能性について非常に心配をいたしております。  グリーンの論文について大出委員の関連質問をお許し願いたいと思います。
  84. 櫻内義雄

    櫻内委員長 大出俊君。
  85. 大出俊

    ○大出委員 時間がたいへん短うございますから、言いたいことはたくさんございますが焦点をしぼります。  そこで、総理、また外務大臣防衛庁長官おいでになりますけれども、「アメリカ政策とアジアの安全保障」と申します、一九六八年、四十三年でございますが、ここでお書きになりましたフレッド・グリーンの著書をお読みになったことございますか。どなたかあったらお答え願いたい。――大臣に聞いておるのです。ほかはいいです。――どうもどなたもお読みになってないとなりますと、先ほど来二、三度グリーンに触れた御発言があり、やりとりがありましたが、お読みになっておらぬでお答えになっているというのはどうも奇妙な現象で、それじゃ総理、やはりほんとうの論議はできませんよ。総理はしゃあしゃあと、私がここに立っているのだからと言って、みごとに私はだまされた。櫻内委員長に私は沖繩返還協定特別委員会で、まさか強行採決をやるまいと思ったところが、さっき御質問なさった青木さん、あなたのみごとなる連係プレーでここにいる二人ともみごとにだまされた。  外務大臣、あなたに私は昨年の十二月七日に三億二千万ドルの問題で質問をいたしました。私のほうは愛知・マイヤー会談等についての議事録を持っている、資料を持っている、だから私のほうから出させることでなくて、外務大臣、あなたのほうからお出し願いたいということを十二月七日に横路君の質問に関連をして私は聞いた。あなた、何と答えたのですか。この間私、時間がなかったから言わなかったけれども、御指摘のような会議の性格でございますから、いまお話しの議事録はもとよりのこと、メモもとっておりません、すべて口頭でございますとあなたはゼスチュアを加えて、そういうものはしたがって一切ございません。一切なかったはずならば出てくることはないんで、一つ秘密騒ぎをすることはない。みんな出てきてしまう。私は、だからお答えをいただくにあたって、何にもあなたはお読みになっておらぬで答えるというのはこれはいかがなものかと思うのです。ただ状況説明は明確にしておかなければ困る。そういう意味で申し上げますが、私ここに「アメリカ政策とアジアの安全保障」なるたいへん分厚いフレッド・グリーン氏の著書を持っている。これは曽祢先生から先ほどお話がございましたが、一九六八年と申しますと、六五年の時代のMLF問題については一応決着の方向に進んでいた時代、それを踏まえて三年たっている。この時点で、しかもこのフレッド・グリーンという人はどういうことをやっておった人かといいますと、この著書に書いてある。一九六六年に――この著書をお書きになったのは六八年でございますから、六六年の中ごろに、この方は教授をやっておられましたけれども、国務省の政策担当スタッフで国務省に入っておいでになった。ここにございますが、国務省の情報調査局に入っておられた。で、アジア太平洋部なるものを担当されていた時代であります。ここで、このみずからのやってこられた形の中でこの著書をお書きになっている。だから明確に、この表題からそうでございますが、アメリカ政策――中身もそうでございます。「アメリカ政策とアジアの安全保障」こうなっている。  そこで、この中にございますものを二、三点申し上げて明確にしていただきたいのですが、この中身は四四七ページにございますが、「西太平洋」という部門でございますけれども、この中で「さきに核兵器問題を論じたときに、われわれはひとつの結論を下した。」アメリカ政策という意味結論です。「われわれはひとつの結論を下した。その結論は、日本は、アメリカとの同盟関係を継続させるための代償をワシントンに求めるだろう。」というところから始まりまして、核の問題に触れている。中国の核の脅威が非常にふえてくる、そうするとアメリカが一部の核兵器を供与するということを将来日本アメリカに求める、そういう場合をグリーン氏はここで予測している。「われわれはひとつの結論を下した。」これは一人じゃないですよ、政策担当ですから。ここから始まりまして、「前にこの問題を論じた際、」つまりさっきのわれわれが結論を下したときの話だ。「われわれは日米間の海軍BLF(二国間核戦力)の可能性を指摘した。これは、日本は核問題に参画するが、管理権をもたないという解決策である。」いまの海軍長官電報と一緒です。「管理権をもたないという解決策である。だが、この場合にも、そのような艦船が、」艦船ですよ、艦船の核は三国間管理だ、管理権はアメリカにある。「果たして制約された基礎、あるいはもっと全般的な基礎に基づいて、日本の港湾を使用することができるのかどうか、という問題がいぜんとして」これは日本アメリカが話し合って最後まで「残るだろう。」と予測をしている。「また、この種類の問題は、日本が自国の国防のために、重大なリスクを冒す用意があるかどうかを、」これはそうですよ。いまこの席上だって総理はやめるやめないという問題まで論ぜられているのでしょう。楢崎委員に対して、ほんとうならば総理の問題になるのだけれども、うそならば質問をした楢崎委員責任問題まで皆さん論じているのでしょう。大きなリスクを伴うと、これも予測している。しかしこのことは、つまりBLFを日本に求めることは「もっとも基本的な次元で、」これらのつまり重大なリスクに関する問題を「ためすことになろう。」重大な発言です。重大な内容です、これは。  ここから始まりまして、もう一点だけ、この点申し上げますけれども、BLFは沖繩の返還にからんでいることまでここに書かれている。ちょうどこれは佐藤・ニクソン会談の時期に近づいている。ジョンソン会談等が行なわれている。そこでここに明確になっておりますのは、「BLFを創設し、日本の港を自由に使用させる。日米安保条約を長期間延長する。以上のことに日本政府が合意すれば、その代償に沖繩の施政権を返還しても、アメリカにとって、安全保障の面で公正な取引きとなろう。」ここまで明確にしているのですね。いいですか。ここまで明らかになっているものを――まだ資料はほかにありますが、時間がありませんから、BLF問題はこれ一つだけにしぼりますが、ほかにもBLF問題が出てくるのがあります、アメリカ政策として。ここまで明確になっていて――かつて私は、 エコノミストに書いてある人の論文に引用してありましたから、当時、私はこれを読んで国会質問した経験がある。にもかかわらず、外務省はじめ皆さんは、江崎長官もそうですが、アメリカ側はその構想もない、このことをあなた方はまるのみして新聞にものを言っておられる。私は、これはたいへん不見識きわまると思うのです。マクロスキー情報官の説明は、構想もない、全くない。それをあなた方は受け売りしてものを言っておられたんじゃ、何のために私どもはしからばフレッド・グリーン論文に触れてかつて論議したのか、これはわからぬ。どんどんあなた方はお変わりになるからそういうことになる。この点について、しかとあなた方は、この構想アメリカ政策の中にないということを言い切れますか、承りたい。
  86. 福田赳夫

    福田国務大臣 いまグリーンの著書について触れられましたが、これはあくまでもグリーンの話であって、アメリカ政府の問題じゃないのです。アメリカ政府は一体どうなんだ、こういいますれば、先ほども申し上げましたように、核不拡散方針をとっておる。わが国のほうはどうかというと、非核原則をとっておる。これはもう非常によくお互いに承知しておる問題なんです。サンクレメンテ会談でも、これはもう総理からるる日本核政策については申し上げまして、向こうも一〇〇%これを了承しておる、こういうような状態であります。そういう基本的な背景、こういうものがある。そこへもっていってグリーンという一学者が言ったこと、これが日米間の大きな政治的つながりの背景を構成する、そういうようなことは私には信じられません。これは一学者の意見である。そういうような学者、それはグリーンばかりじゃない、ほかにもおるということは私も承知しておりまするけれども、問題はわが国の姿勢にあるのです。アメリカが何を言おうと、わが国が厳としておればこれをはねつけることができる、そういう立場にわれわれは立っておる。その点をしっかり自主的に判断をすべき問題である。アメリカが幾ら何を言ってきても、それは私は問題じゃないし、またアメリカが現にそういうことを言っておるのじゃなくて、グリーンという一学者が言っているという問題なんです。その学者の言説をとらえまして、今回の問題に結びつけよう、私は少し飛躍があるのじゃないか、そういう感想でございます。
  87. 大出俊

    ○大出委員 あなたはこの書物を読んでおらぬことを冒頭に確認されている。そうして一学者、一学者とあなたは言っておる。総理も、外務大臣も、防衛庁長官も全然お読みになっていない。それでいまのようにそういうふうにぬけぬけとお答えになっても答えにならぬ。それが前回の沖繩交渉をめぐる沖繩国会の中身になる。そういう言い方をあなたはとっさに思いつきでおやりになるから問題になる。この中身はあなたは読んでいないのだからしかたがないが、お読みになれば、一学者という立場でものを言っているのじゃないのです。政策スタッフが集まって、太平洋部長をやっておったのですから、これは情報調査責任者なんです。だからこそ「アメリカ政策」と明確にうたってある。ここに中身に書いてありますよ。われわれ、つまり国務省の先ほど申し上げた情報調査局、この中のアジア太平洋部部長なんですから、迎えられたわけですから、そこの方々が相談をされ、分析をされた。アメリカがきめている政策について分析をした。その分析の結果、こういう結論に達した。つまり彼がアメリカの高官という立場でやってきた立場を明確にしているのです。一学者というのじゃない。中央、中枢にいたのです。だからこそ、新聞がいろいろなことを伝えているけれども、この中には、こういう構想アメリカにあることを指摘している新聞もちゃんとある。しかも制服話し合いという問題についても、ここにあります私の持っている新聞には、国防総省や何かに近いところの方々が言っていることをここに引用している。これは現地から送ってきた電報でしょう。十四日の新聞、この中にはまず第一に、「こうした日米協議制服組同士の間で行なわれているということはないとはいえない。また話し合い内容文書化され、国防総省や政策決定機関である米国家安全保障会議に送られたとしても不思議ではない」、明確にここのところにうたっている。しかし、簡単にこの政策日本との間で実行できないということもこの諸君は予測している。そういうふうに書いてある。こう伝えている新聞もある。それをあなたは一学者一学者、聞いていたら四回あなたはおっしゃるけれども、四回言ったって、あなた自身読んでもいないものを、そういうのをうわのそらという。それじゃいけませんですよ。  時間がありませんから、あと質問者がおいでになるようだから、指摘だけにしておきますけれども、そういう無責任な答弁を外務大臣がなさっちゃいけません。事日本にかかわる問題です。国民にかかわる問題です。冒頭に言ったように、私は、ほんとうのことを言われたことがない人ばかり集まっている席だから、どうせその意味ではほんとうのことを言わない人ばかりなんだろうと思うけれども、しかし明確にこの点だけは指摘しておきます。こういう論拠がある。あの海軍長官電報の中身とほとんど同じことがここには書いてある。われわれが分析をして得た結論ということを書いてある。その点だけ明確にしておきます。あと、別な時間に続けます。
  88. 福田赳夫

    福田国務大臣 言いっぱなしばかりじゃ困りますから、一言申し上げます。  私は二つのことを申し上げているのです。  一つは何かというと、アメリカにいかなる意見がありましても、わが国が主体性をもってこれをはねつける、こういう厳然たる姿勢を持っておれば何らの心配はない、こういうことなんです。  それからいま引用のグリーン、これは第二義的の問題でありまするが、これは学者の意見であって、いまだわれわれはアメリカ政府筋からさような意見を聞いたことはない、こういうことであります。
  89. 大出俊

    ○大出委員 あなたのほうがまたそう言いっぱなされては私のほうは困るので、これは一昨年の十月八日に韓国を回ってきたアメリカの統合参謀本部議長が来てあなたに会った点を私は本会議で質問したでしょう。あのときに、日米制服の会同を持とう、つまり恒常的な話し合いの機関、あなたは同意されているじゃないかと本会議で聞いたら、それは確たる筋の情報だと私が言ったら、あなたは普通なら、あのときもほんとうのことを言うんならあなたはおこるんだけれども、あなたはにやにやしながら――あなたがにやにやしているとうそを言うんだから。だけれども、この間はしゃあしゃあとしている、そう言うのですから。あのときだって、あとで今度は本会議でなくて聞いたら何とおっしゃったかというと、そういう恒常的なものをつくらなくたって、ハワイで向こうの制服とこっちの制服が年じゅう情報をとり、話し合っているから、それでいいんだという。年じゅう話し合っているんじゃないですか。そうでしょう。だから、さっき私が読み上げた新聞記事になる。うそを言ってもだめですよ。こういうときこそ、あなたが中央公論に四十年にお書になったように、あまりといえば自衛隊が国民ほんとうのことを知らせなさ過ぎる。もっと知らせるべきである。あなたは自分で野にあるときに書いた、三矢事件のときに。この間あなたはお認めになったでしょう。お読みになりましたか。今度は防衛庁長官になると、言わないことに一生懸命で、秘密主義に徹しようとする。それはいけませんよ。
  90. 江崎真澄

    江崎国務大臣 重要な問題ですから……。さっき、制服間において話し合いがどうか、これはいままでにずいぶん時間がありましたので、厳重に調査しましたが、ごうまつもない、片りんもない、これだけははっきり申し上げておきます。
  91. 大出俊

    ○大出委員 私、時間超過のようですが……。
  92. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 このまじめな席で、私がにやにやしているからまたうそをついている、かような話があるが、それだけは取り消していただきたい。私はここでまじめに答えているんだ、それだけははっきり申しておきます。
  93. 大出俊

    ○大出委員 何をうそを言うんだ。そんなばかなことがありますか。あなたはこの間沖繩国会で何と言ったのですか。私がにこにこ笑って、しゃあしゃあとここに立っているんだから、もし私がそういうことを知っていればしゃあしゃあと立っていられない、あなたはそう言ったでしょう。そのことを私がいま言っているんだ。うそだったじゃないですか。うそだったじゃないですか。ここに電報がちゃんとありますよ。何であなたはそんなことで開き直らなければいけないのですか。そんなことは速記録にちゃんとある。何でそんなことをあなたはわざわざ私に言うのですか。
  94. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの話は、ニクソンのおじさんの話というか、極東放送の話だ、かように思いますが、しかし私が知らなかったことは知らない、そのとおりなんだ。あまりにも低次元の話をされるから私はにやにや笑っていた。ただいまはしかし、さような問題じゃございません。国会の決議、その決議に反するような行為があるという、そういうことでいままじめに審議されている、かように思います。私は、その事件が、この前の事件とはたいへん違うと……(大出委員「冗談じゃないですよ」と呼ぶ)冗談じゃないですよ。こちらが言うことですよ。
  95. 大出俊

    ○大出委員 あなたはそんなことを言うけれども、知らないから知らないと言ったと言うけれども、この間の十五分間のこの席の予算委員会の最終日のやりとりに、あなたは知らぬと言ったじゃないかと言ったら、知らないとは断じて言わないと言ったじゃないですか、あなたは。記憶薄れしていたんだと言うんだ。知らないと言ってないでしょう。しかも、愛知外務大臣がたぶん私にニクソンの一族がおったことを報告したはずである、だから知らないと言わないと、あなたは言い直したじゃないですか。いままたここで、知らないと言う。議事録をお読みになってごらんなさい、あんなことを言って。いけませんよ、そういういいかげんなことばかり言ったんじゃ。(佐藤内閣総理大臣「にやにや笑っているからとかなんとかということはやめていただきたい」と呼ぶ)笑って答えたじゃないですか、あなたは。やじに応酬はしませんが、ほんとうのことを言ってください、おこってもいいですから。
  96. 櫻内義雄

    櫻内委員長 松本善明君。
  97. 松本善明

    松本(善)委員 時間がないようでありますので、簡潔に、質問をまとめてしたいと思います。  いま大出委員が言っておりましたあのグリーンの著書の問題は、これは、福田外務大臣が言われるような、そんな一学者のものでは決してない。これは私もそう思います。全くそうだ。これはアメリカの公式の立場、国務省の情報調査局のアジア太平洋部長ですから、これは一学者のものだということで済ますわけにいかない。しかも、総理大臣も言われるように、これがほんとうであるならば内閣が総辞職をしなければならぬというような大問題である。それについてアメリカの公式の立場の人が発言をしているならば、これについては日本政府としても、それに相応するような形で何らかの申し入れとか何らかの意思表示とかする必要があると思いますけれども、それについての総理の見解をひとつ聞きたいということと、もう一つ、まとめて全部言ってしまいます。それから、こういう問題について国民の疑惑が深くなる原因は、核の問題でありますとか、それから、アメリカ軍との関係についてべールがかかっている、はっきり言わないという問題があって、しかも、日本がベトナムの侵略戦争の根拠地になっている。この核使用の危険が、日本を基地としてされるんじゃないか、こういう疑惑もあるからです。このことについては、アメリカの大使館のジェラード・サットンという二等書記官が、ベトナムで戦術核兵器の使用の可能性があるということを言ったこと。それから、十五日に、国際平和組織のベトナムに関するストックホルム会議のスパンストローム議長からベトナム人民支援日本委員会に手紙が来て、ベトナムで戦術核兵器が使用される直接の危険が迫っているということを訴えてきた、こういうことがありますので、総理にお聞きしたいのは、もう一つの点は、ベトナムで戦術核の使用というようなことは決して許されないという考え方総理が持っているかどうか。先ほど申しましたグリーンに関する問題です、何らかの措置をする。それから、ベトナムでの核使用についてどう考えているか、この二つについてお答えをいただきたいと思います。
  98. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 グリーンに関することは、さらに外務大臣からお答えするということで、私から答えません。  もう一つ日本は、核実験すら反対しております。このことはもうはっきりおわかりだと思う。たびたび核実験そのものについて抗議を申し込んでおりますから、これがアメリカであろうが、中国であろうが、同じように抗議を申し込んでおります。したがって、これが実際にまた使用されるということになれば、それはたいへんなことですから、これはもう当然私どもは容認できないことをはっきり申し上げておきます。
  99. 福田赳夫

    福田国務大臣 フレッド・グリーンのこの著書が政府と非常に関係があるようなお話でございます。そうでないことは、この序文でもはっきりしておりますが、著者はこういっております。「本書は六四-六六年にウィリアムス・カレッジで書かれた。」ウィリアムス・カレッジで書かれたんです。「極東の政治的軍事的推移を分析した書物、定期刊行物に反映されている学術界の業績に非常に大きく依存している。」学術界の意見だと、こういうことであります。なお「下書きが完成した直後、」下書きがもう完成したのです。その直後「私は六六年中頃、一時的に国務省で東アジア問題を扱う仕事を提供され、受け入れた。しかし、この研究は編集の小さな手直しと内容の更新を除けば、六六年春に完成したときのまま」でありますと、こう書いてある。一点の疑義はありませんです。
  100. 櫻内義雄

  101. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、われわれがこの内容についてなぜ心配をしておるかという客観的な条件がある。さらに、外務大臣は、グリーン論文は一学者一学者と、さっき大出委員が言ったとおり、おっしゃいますが、昨年三月、ニクソン・ドクトリンに対応してレアード長官が、先ほど申し上げたとおり、総合戦力構想を出しております。これは、一学者でも何でもありません。国防の最高責任者であります。この内容を御存じですか。
  102. 福田赳夫

    福田国務大臣 大体知っているつもりですが、その核の関係のことについては、私の記憶には全然ありませんです。
  103. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は、ここに手元に持っております。これだけのものです。時間がありませんから、その核の部分だけ一応聞いていただきます。――戦略核戦争を抑止するには今後とも米国の戦略抑止部隊に大きく依存するであろう。戦域核戦争を抑止するには米国も主たる責任を持つが、わが同盟諸国のうちにもそれ自身の核能力によってこの責任を分担し得る国がある――まさに日本は、この、それ自身の核能力のある国であります。そういう構想の中にりっぱに入っておるんですね、もうアメリカのその戦略構想の中に。それから、私は、さらに信憑性の問題とも関連をいたしまして、何か、防衛庁のほうではいろいろ、これがにせである、理由は何々、とおっしゃっていますが、その中で、米国核政策から見てこの内容は信じられない――われわれは米国核政策から見て、逆にこの内容が信憑性があると、こういわざるを得ないのです。いままで説明したとおりであります。さらに、日本が核保有を考えていないことから見ても疑義がある――この点について私は大きな疑義があるんです、むしろ防衛庁の中に。いいですか、これまた、時間がないから、私は問題の指摘だけしておきますよ。三次防の技術研究開発計画の中に、原案とおっしゃいましたが、AMMが入っておりましたね、これも確認したとおりです。四次防の技術研究開発計画の中にも原潜を持つということは既定の事実として研究課題になっておるではありませんか。これも防衛庁と確認したとおりであります。さらに、原潜だけ持ったってこれは意味がありません。当然サブロック級のものを持たなくちゃいけない。したがってUAUM、サブロックです。いまはサブロックしかありません。これは久保防衛局長が答弁したとおりです。それも研究課題の中に入っておったでしょう、おたくの資料で。すでにそういう構想を持っているんですよ。それで私は心配をするんだ。それも、われわれがやっぱりこの資料をいろいろ検討してそれを指摘して、やっとあなた方は、最初はそんなものはないと言っておったが、理事会を開いて突き合わせて、現物を出して初めてあなた方は肯定したのですよ。それがいままでの経過なんです。それからさらに、これもまた懸案事項でしょう。時間があれば大出君が追及するかもしれません。横須賀に入った原潜の数をこまかく検討してみたら、サブロックの原潜が入っておる。これはもう算術計算で出てくる。それについても未解決であります、政府側の答弁は。さらにあなた方のこの問題に対する対応はたいへん早うございました。私は時間をずっと綿密に検討してみたのです。沖繩密約の問題ではあんなに本物か何とかということで時間がえろうかかりましたが、在日米大使館のあの対応の早いこと。そしてまた米国に関する限りは、よく防衛庁は知らないとかあるいはわかりませんとかいうくせに、この問題についてはいやに詳しく対応の早いこと、どうですか。それからこういうことは私は言いたくはありませんが、外務大臣がおっしゃいましたから申し上げますけれども、一月五日にチャフィー長官は外国のどこへ行っておったのですか。あなたさっきおっしゃったでしょう、答弁の中で。どこに行っていたのですか。いつアメリカをたってどこへ行っておったのですか。
  104. 福田赳夫

    福田国務大臣 まずレアード報告を引用されまして、同盟国の中には核能力を持つ国がある、こういうことを言っておるそうでありますが、これは私は記憶がないと申し上げましたのは、わが国をさしているんじゃないのであります。これはNATOのことを言っておるんだということだったんだろうと思います。(栖崎委員「だろうじゃない、だめです」と呼ぶ)私の記憶になかったゆえんのものを説明をしておるのです。そういうことですが、事実核能力を持つ国があると言っておるのであって、わが日本がその核能力を持つ国であるという指摘は一切しておりませんから、その辺はよくひとつ誤解のないように御理解願いたい、かように存じます。  なお、今回の問題につきまして、アメリカ側の対応が早い。私は早いのは非常にけっこうなことじゃないか。おそかったらまた楢崎さんにおそい、おそいとしかられるところを早く済んだ。たいへんけっこうだ、こういうふうに思います。それはアメリカ側で相当自信がある、そういうところが私は根拠じゃあるまいか、そういうふうに存じます。  また、レアード長官が、あの電報発信された時点におきまして、国外におったということを申し上げましたが……(栖崎委員「チャフィー長官」と呼ぶ)そうそう、それは政府委員のほうからお答え申し上げます。
  105. 吉野文六

    吉野政府委員 この問題の電報発信された一月五日に、チャフィー海軍長官が南極へ行く途中タヒチにいたという説もありましたものですから、われわれとしても念のために、一体彼は当時どこへいたかということを、国務省を通じまして海軍省に照会しましたところ、一月五日の十四時五十二分、すなわち発言時刻とされている時刻には同長官は国外にいた。ただしどこにいたかということは言えない、こういうことでございますから、いずれにせよ彼が不在中であり、しかも国外にいたということは確かでございます。
  106. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなたは向こうの言うことなら何でもそのままこの日本国会に持っていって信憑性ありとして言うんですか。われわれの調査したところによると、一月五日国内におったんですよ。それももう一ぺん調べ直してください。そういう不確定なことをわれわれも慎みますが、政府自身が慎まなくちゃいけませんよ、ここで言うんだったら。
  107. 福田赳夫

    福田国務大臣 私どもがそう言っておるんじゃないのです。アメリカがそう言っておるということを御紹介申し上げておる、そういうことでございます。
  108. 楢崎弥之助

    楢崎委員 だからさっき言ったじゃないですか。その信憑性も確かめもせぬで、アメリカがこう言うからということだけでしょう、あなた方がいろんな資料が怪しいという根拠に持っていっているのは。全部そうでしょう。それから海軍省のあの電報の中の特別委員会とはどういう委員会か知っていますか。
  109. 吉野文六

    吉野政府委員 この点につきまして、われわれはやはりわれわれなりに調査したわけでございます。ところが米側はこのような委員会なんというのは話にならない、全然ない、こういうことでございます。  そこでまず第一にこの問題の本質である、日本アメリカが協力して二国間の核の艦隊をつくろうという思想なんでございますが、これにつきましては、御存じのとおりキッシンジャー、彼自身が根本から反対なんです、こういう考え方は。したがってこういう考えはおよそあり得ないわけなんでございます。それにもかかわらずこのような報告が出たということは、非常にわれわれとしても心外なことだと思っております。
  110. 楢崎弥之助

    楢崎委員 何でキッシンジャーがそこへ出てくるのですか。何ですかキッシンジャーが。何言っておるのです、あなたは。そういうことでこの電報の怪しいということを幾ら言ったって国民は信じませんよ、あなた。客観的な条件は全部われわれが申し上げたとおり、内容はまさに可能性ありですよ。そうでしょう。日本の自衛隊だってそうでしょう。わかりましたか、私が指摘した点が。
  111. 江崎真澄

    江崎国務大臣 防衛庁が手回しよく調査をした。それは楢崎さん、やはり紳士的で、もう大体こういうような質問をするということを関係職員に漏らしておられます。内容をちょっと仄聞するというと、これは非常に重要だ。だから私あの御質問のある前防衛庁へ出ましたときに、こういうようなことらしいが、照会をしております、調査をしておりますというわけで、これはやはり調査をしておったわけで、非常に努力しておったというわけですから、これはひとつ御信頼を願いたいと思います。  それからさっき御指摘の化学剤取扱規則、これはもうすでに四十六年の六月二十五日に廃止をしておるわけです。その前に楢崎委員に疑問を指摘されて、ありもしないものをこういう規則持っておる必要はないじゃないか。なるほど、昭和三十四年に陸幕長通達という形でできておるというわけで御説明にもあがり、指摘を受けたことに基づいて廃止をした、こういう経緯であります。  詳しいことは装備局長から答えさせます。
  112. 黒部穰

    ○黒部政府委員 御指摘の化学剤取扱規則は、ただいま長官申し上げましたように廃止になっておるわけでございますが、ただし、この規則の中には、化学剤を訓練弾と称せよというような規定は、文言は入っておりません。
  113. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私の話をよく聞いておってくださいね。私は二つ資料要求したのですよ。いいですか。それで冒頭御答弁になった分は資料として出せますね。
  114. 江崎真澄

    江崎国務大臣 お出しできます。ただし廃止したものです。
  115. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それは私どもが指摘したからでしょう。それまではあったのです。なぜそれを廃止しました。その中に化学剤のA剤、B剤、持ってはならないものを持っておったからです。それが一つ。  それから二番目にCBR、これを訓練用――大体は本物なのに、訓練用と表示しなさいという通達はどうなりましたか。
  116. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いま申し上げておるのはCだけの問題であります。したがいましてこれは当初から、まさに訓練用しか持ったことがない。事実また日本というのはこれを持つ必要がない。専守防衛でありまするから、相手が攻撃を加えてきたときにこれが何であるかということは、これは判断しなければなりません。しかし、われわれが海外に侵略するということはあり得ないわけですから、新兵器もちろん禁止兵器でありまするが、さようなものが訓練場の外に出るということは、もうさらに必要がない。疑義があるものならこれもなくていいじゃないかということです。  それからもう一つ、もし疑問がおありであるとするならば、これは米軍基地と違いますからどうぞいつでも、自衛隊でありまするから、場合によってはごらんをいただくということもあり得ると思います。
  117. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いや私は、後段の通達はありますか、CBR関係本物を、ぐあいが悪いから訓練用と表示する、そういう通達がありますかと言っておるのですよ。
  118. 江崎真澄

    江崎国務大臣 それはありません。詳しくは政府委員から答弁させます。
  119. 黒部穰

    ○黒部政府委員 御指摘のような通達ございません。
  120. 楢崎弥之助

    楢崎委員 なぜそんなにうそを言うのです。これを偽造というのですよ。偽造本物をお示ししましょう。いいですか。そういうことはたなにあげておって、何がこっちの資料偽造だなんと言うんですか。(「問題のすりかえだ」と呼ぶ者あり)何を言っておるのですか。CBR核関係が入っておるのですよ。あなた、内閣委員長ともあろう者が何を言うんですか。いいですか。これだけ言うからまた持ってきなさい、私ヒントを与えますから。こっちから出すと、すぐまただれかが傷つくから。  「陸幕から本物のA弾を訓練用A弾と称する旨の通達が出て、部隊、業務隊等をえらく混乱させた。」これはあなたのところの人が書かれた論文です。通達があります。それだけ言っておきますから、もう一ぺん調べて出しなさい。
  121. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほどから調べました結果、ない、こう申しておりますが、なお重ねて調査をいたします。
  122. 黒部穰

    ○黒部政府委員 訓練資料といたしまして弾薬取り扱いというのがございます。その中にABCDの種類がございまして、そのAがいわゆる毒ガスのものでございます。でございますけれども、先生おっしゃったような趣旨には入っておりません。   〔「趣旨は違うが資料はあるんだな」と呼ぶ者あり〕
  123. 楢崎弥之助

    楢崎委員 何ですか、いまのは。何をおっしゃっておるのですか。
  124. 黒部穰

    ○黒部政府委員 ただいま私申し上げましたのは、防衛庁陸上自衛隊の中にあります訓練資料として弾薬取り扱いというものがございます。その中にABCDという名前は出てきておりますけれども、こういうものを訓練用弾ということで表示しようという通達については心当たりがございません。
  125. 江崎真澄

    江崎国務大臣 補足申し上げますが、ただいま申し上げましたものも御要求があればいつでもお出しいたします。
  126. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いろいろ問題がありますからこれは私もはかりかねますが、あるのです。(江崎国務大臣「ちょっと補足説明させましょう」と呼ぶ)いや、補足はもういいです。そのものがあるかどうかです。
  127. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 いまお話がございました弾薬取り扱いという陸上自衛隊の訓練資料がございます。これは……。
  128. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ちょっと待ってください。それはいま聞いたんでしょう。それは違うと私は言っておるのです。それは違う。
  129. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 その内容を若干説明したいと思いますが、これはもともと米軍の翻訳の資料でございまして、それに先ほどお話しのようにABCDの分類がございますが、これは自衛隊にはさような分類は適当でございませんし、実際に実情に合わない分もございますので、これを改正したわけでございます。これが四十六年の七月の十二日に改正をいたしまして実態に合うようにいたしました。
  130. 楢崎弥之助

    楢崎委員 先ほども申し上げたとおりいまのは違うのです。いまのは違います。それでいろいろあるのはあるのです、いま言ったような実にけしからぬ通達が。しかしそれはデリケートな問題がありますから……。本来ならそっちから出していただきたいんだけれども、どうしますかね。
  131. 櫻内義雄

    櫻内委員長 楢崎委員に申し上げますが、大体この種の問題は内閣委員会のほうで別途また御発言を願って、この連合審査会はきょうの目的がございますから、内閣委員会のほうに移管されたらいかがでしょう。
  132. 楢崎弥之助

    楢崎委員 一応そういうことも理事会でそうきめられるんだったら私は従いますけれども……。
  133. 櫻内義雄

    櫻内委員長 それではいまの理事の打ち合わせもございます。内閣委員会理事会のほうへ移させていただきます。
  134. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それじゃこれで終わります。
  135. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっと申し上げましょう。やはりいろいろ御疑問があるようですから、いまも政府委員にも督励いたしておりますが、すぐなかなか出し得ない、陸幕長通達はもちろん相当数あるというんですね。そこでこれは詳細に調べまして、もしそれに該当する系統のものがあればお出しをするようにいたします。
  136. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それじゃこれで私は終わりますが、本日の連合審査の総括をさせていただきたいと思います。  結局、あなた方がこれは本物ではない。われわれは本来形式はどうでもいいのです。中身が問題なんです。そして中身は非常に可能性がある問題という点をわれわれはきょう説明したわけです。  そこで私はその結論として申し上げたいのは、これはもう一二〇%確実な内容であります。それだけ申し上げておきます。もしあなた方がそれでもなお何かおっしゃりたいんだったら、また委員会でも開いていただけば時間があればこの続きをやります。それだけ申し上げておきます。
  137. 櫻内義雄

    櫻内委員長 坂井弘一君。
  138. 坂井弘一

    ○坂井委員 沖繩返還協定が大詰めの段階にまで至りまして、日米間で行政協定ないし地位協定関係をして、請求権をめぐって紛争が持ち越されてきた、そういう幾つかの問題がございますが、その中で特に金額的に一番大きいのは、いわゆる米軍に対する電話料金の問題であったと思うのです。そこでこの問題の経緯につきまして、私のほうから荒々概略を申し上げますから、まず確認をしていただきまして、時間の関係上そうした形で審議に入っていきたいと思います。  昭和二十七年の四月、つまり講和条約発効前に米軍に提供いたしました施設、これは終戦処理費でもって建設をしましたいわゆるTOWの施設がございます。それから二十七年以後、安保諸費支弁によって建設をしましたJGCPという施設がございます。この二つの施設につきましては、二十七年以来昭和四十五年末に至る間、日本側が米側に示しました額は総額で八十三億三千万円であります。その額を請求をした。ところが、二十七年以来この地位協定の解釈をめぐりまして、アメリカ側は二条、二十四条を主張して無償である、日本側は七条を根拠にしてこれは有償である、解釈がお互いに対立をして、そのまま紛争になってきた。ところが昭和三十年の八月の二十四日、それからおくれて十月の二十四日に暫定協定として保守協定を結んだ。これはなぜ結んだかといいますと、このまま米軍が、日本側が請求する電話サービス料金を払わないままでケーブルが、電話線がいたむ、故障する。それを修繕しなければならぬ。保守費が要る。この保守費をそのまま日本側が持たされたんでは、これはまるまるの実損である。それではあまりにも米側は虫がよ過ぎる。それだけは払ってもらわなければならぬというわけで、保守協定を結んだ。つまり、保守協定によっては保守の実費額を受ける。この受ける実績が、TOWの分については年々収納いたしております。これをトータルいたしますと四億四千四百万円。残されたのはJGCP分であります。これが昭和四十六年の五月の二十七日、日米合同委員会において最終の妥結を見た。その妥結の内容は、いま申しましたJGCP分に対する保守の実費額相当額一億九千五百万円、これに利子を九千万加算いたしまして、それで一切がっさい終わった、こういう形になったわけでございますけれども、いま申し上げましたこと、間違いございませんかどうですか、確認をいたしたいと思います。
  139. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 いま坂井先生御指摘のように、金額は間違いございません。ただ八十三億円につきましては、正式の請求書でなくて、一応計算書を提示するという程度でございまして、したがいまして、電電公社の未収金の中には計上してないわけでございます。
  140. 坂井弘一

    ○坂井委員 いま郵政大臣、いわゆる単なる計算書であって、請求権に基づく請求書ではないとおっしゃいましたけれども、間違いございませんか。
  141. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 そのとおりでございます。
  142. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは郵政大臣は三十年八月及び十月の保守協定、その内容を御存じですか。
  143. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 三十年にそういうことを話し合っているということを聞いておりますけれども、詳しい内容については電電公社の総裁から答弁させます。
  144. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  昭和三十年に電電公社と米軍との間に、ただいま御指摘の保守協定を締結いたしました。その協定のおもな内容は、いわゆる終戦処理費、TOW、安全保障諸費、JGCPの施設については必要最小限度の保守のみを行なう。それから、この施設については一般の専用線、これは現在でもきちっとした料金をもらっておるわけでありますが、この一般の専用線と同率で計算した額を毎月米軍に知らせること。それから第三は、米軍は上記の計算した額を削除する、デリートする権利を有する、こういうふうになっております。
  145. 坂井弘一

    ○坂井委員 私が手にしております資料の中には、明らかに請求になっておりますよ。これは間違いですか。
  146. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  保守協定は、ただいま申し上げたとおりでありますが、公社といいますか政府のほう――私が政府の答弁をするのはおかしいのでありますが、日本側といたしましては、これは請求として要求してございますが、ただ形は計算書を送っておる、こういうことになります。
  147. 坂井弘一

    ○坂井委員 だからおかしいのです。日本側は、あくまでも七条に基づいて請求権ありという立場で請求をしたのです。少なくとも三十年の保守協定の時点には、請求をしたことは事実です。それをあなた方は最後まで、それは単なる計算書にすぎないんだ、そうすりかえておっしゃるからおかしくなる。ここに一点問題があるのです。  それから外務大臣にお尋ねしますけれども、四十四年の二月の十八日、外務省と郵政省の間で協議いたしました結果、政府の統一見解を国会に対して提出をしていらっしゃる。その内容外務大臣、御存じでしょうか。
  148. 福田赳夫

    福田国務大臣 政府委員からお答え申します。
  149. 吉野文六

    吉野政府委員 われわれの手元にございます――読み上げるわけでございますか。政府の見解、統一見解ございます。読み上げる必要ございませんか。
  150. 坂井弘一

    ○坂井委員 政府はそのときに統一見解を出した。外務大臣御存じないそうですが、これは非常に大事な政府の統一見解なんです。その後におきましては、日米合同委員会の中で寄り寄り協議が重ねられてきた。しかもさかのぼりますと、この問題につきましては、昭和三十五年に政府間交渉に移されております。事柄が非常に大きい。  そこで外務大臣、お伺いしますけれども、米側から、この請求権の関係をめぐりまして、一括処理されたいというような申し入れを受けた事実はございませんか。
  151. 吉野文六

    吉野政府委員 われわれの聞いておるところでは、米側は当初から、この料金とそれから専用電話の電話料金とを一括して解決してほしいということを言ったわけでございます。
  152. 坂井弘一

    ○坂井委員 米側は執拗に、一括交渉の中で処理してもらいたいという要求が日本側に参ってきておる。そういう中で、そういう経緯を踏まえながら、昭和二十七年以来四十五年末に至るまで、過去十九年間という長きにわたって日米間で争点となってきた。最後まで日本側が七条を根拠にして請求権ありという立場で米側に交渉した、請求書を送ったことは事実です。しかるに昭和四十六年の五月の二十七日の最終の日米合同委員会において、急転直下、八十三億三千万の要求をしたものが、その場においては一億九千五百万という額を受け取って一切がっさいを帳消しにした、私をして言わしめれば。一切がっさい帳消し、なぜか。一億九千五百万というのは、JGCP分の保守実費相応額ですよ。保守実費額です。一体一億九千五百万の中身は、いま私が指摘いたします保守実費額であるかないか。もしかりそめに保守実費額ではなくして、日本側が当初から請求した八十三億三千万に該当する分であるというならば、政府ははっきりと、いずれに属するのかということをここで明言をしていただきたい。
  153. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 それは、最終的に七億三千万に妥結いたしましたその金額の一部だと考えておるわけでございます。どういうわけで八十三億と七億三千万という非常に大きな金額の違いができたかという問題でございますが、これにつきましては、最初電電公社は、ただいま御指摘のように、終戦処理費でありますとかあるいは安全保障諸費、そういうものでつくった専用電話線、これをあたかも電電公社の自分の資金でつくったかのごとき計算をいたしまして、しかもその後の保守にいたしましても、ただいま御指摘のように、もう最小限度でよろしいというような話し合いができた、協定ができた。老朽は老朽したままで、別に取りかえする必要もないというようなことでありますわけでございますけれども、電電公社の計算は、すべて電電公社の資金において建設し、そうしてその保守におきましても万全を期する、老朽したものを取りかえる、修繕は続けてやるというような計算をやり、しかも、当時専用線の料金というのは、個人の使用を優先するという考えから、この専用線の建設につきましてはむしろ禁止的な、非常に多額な料金を取るということにしておりましたものですから、計算が非常に大きくなった、こういうように聞いておりますわけでございます。でございますから、七億三千万は七億三千万ではっきりした根拠がございます。八十三億は八十三億の計算の根拠があるかと思いますけれども、それはもとが、出発が違っておりますわけでございまして、あたかも電電公社が自分の資金で建設し、しかも万全の補修を講ずるということでございますからそういう計算になりますけれども、資金は政府資金でございますし、それから保守についても、もうほとんどやる必要はない、最小限度のことでよろしいということでございますから、計算といたしましては、もう非常に軽微の修繕費あるいはそれについての人件費、しかも減価償却の費用も要りませんし、利子の加算も必要でないというようなことになりますから、驚くべく非常に安くなったというわけでございます。
  154. 坂井弘一

    ○坂井委員 外務大臣あまりよく御存じないようですが、よくお聞きいただきたい。郵政大臣、あなたがいまおっしゃったことは、そういう経緯につきましてはよくわかっています。  そこで、この問題は、日米合同委員会ないし日米両国間の政府間交渉に移されておる。つまり、正式な外交ルートの上に乗ったわけですね。そして、いま私が前段から申し上げておりますように、八十三億三千万というのは、これは請求書である。少なくとも三十年の保守協定以来は、日本側は請求を主張した、請求権ありという立場に立って、請求書を出した。これは、先ほどの公社の総裁の答弁で明らかなんです。それが最後まで持ち越されて、そして昨年五月の二十七日の合同委員会で出た額が一億九千五百万円だと、その事実もあなた方はお認めになった。しからば、一億九千五百万という額は保守費ではないか。つまり修繕をしたそれは実費ではないか、こう私は言っているわけです。間違いですか、間違いございませんか。それだけ、その一点だけお答えいただきたい。
  155. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 いまの計算書か請求書かの問題につきましては、当時この問題に関与いたしておりました政府委員から説明させます。
  156. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 先ほど電信電話公社のほうから、政府が請求を出したというような受け取り方をされる表現がございましたが、これは電信電話公社の名前で、計算書として出しておるものでございます。政府間は政府間で合同委員会を通じましての交渉をしておるわけでございまして、そのほうでは請求権ありという主張を依然続けておるわけでございます。
  157. 坂井弘一

    ○坂井委員 したがって、請求権を日本側は最後まで主張したことは事実なんですよ。国会答弁においても、そのことをあなた方は最後までおっしゃっていらっしゃる。このような案で妥結しようということを日本側から提案したのだそうですけれども、ではいつ日本側から、この保守費実費額でもう一切がっさい、いままで請求したものは放棄しましょうというような提案を米側になさったのですか。その時期だけおっしゃってください。
  158. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 昭和四十四年の決算委員会におきまして、先ほどお示しの政府としましての統一見解を出しております。その後、その基本方針に基づきまして、政府関係者間でいろいろ打ち合わせをいたしまして、大体日本側としての方針というものを固めたわけでございます。それに基づきまして、外務省を通じまして、四十四年の暮れに交渉再開の申し入れをしていただいたわけでございます。その際に、日本側としては、大体こちら側の腹づもりの解決の方針をこの中で示しているということでございます。
  159. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は、会議録を全部つぶさに見ました。政府側の答弁は終始一貫して、昭和四十六年二月の二十七日、同じく三月の二十五日、四月の二十六日、ずうっと、あくまでも請求権を放棄したのではなくして、この八十三億三千万に対しては米側に強力に支払いを要求しておる、こういう答弁ですよ。それが四十六年四月二十六日以後、そのような答弁を重ねられて以後、あくる月の五月の二十七日の日米合同委員会で、いままで政府が答弁されてきたこととは逆に、ただ単なる一億九千五百万という保守費、修繕費だけで米側と合意したというのはいかにもおかしいじゃないか、つまり実質的な請求権を放棄したのではないかということを私は指摘しているわけです。  一体、なぜこのような方法をとらざるを得なかったかという経緯を踏まえてみますと、ここに数々の疑問点があらわれてくる。私はある意味での資料を持っておりますよ。外務大臣、また郵政大臣あるいは大蔵大臣政府部内において検討された資料、米側からの申し入れ――まあ何でもかんでもあなた方はマル秘ですからね。これもマル秘になっておりますけれども、ただの紙くずだとおっしゃるかもしれない。しかし、この中には明らかに一括処理という申し入れがある。そしてその中に、いままでの米軍の日本側に対する電話使用料金、未納金を全部帳消しにしてもらいたいという申し入れもある。そういう中でワンパッケージで処理しよう、こういう提案です。それが沖繩返還のぎりぎりの時点においてなぜこのような形で妥結したのか。まさに沖繩返還協定関係をしてこの問題を一括処理した、そう疑われてもやむを得ぬではありませんか。時を同じくしますよ。同じですよ。もっと正確に申し上げれば、このときというのは、沖繩返還協定が正式に閣議決定されたのが六月の十五日。その前に、六月の九日には愛知・ロジャーズ会談が行なわれた。この六月の九日の日に一億九千五百万プラス利子九千万をもらって、全部帳消しなんです。よろしいか。これは事実です。返還協定が正式調印されたのは六月の十七日、全く符節を合わしているじゃございませんか。終始一貫、請求するんだといいながら、最後のこの時点、返還協定ぎりぎりの時点においてこのような保守費だけ――もらうのはあたりまえでしょう。保守費だけで、あとは一切請求しません、こんなおかしな話はないじゃありませんか。時期の点、内容の点、明らかに返還協定関係した――返還協定の中で、密約であるかどうであるか、私はそこまで申しません。しかし、返還協定関係をして一括処理されたということは、きわめて疑いが持たれるということであります。その点について明確にしてください。もしこれを明確にしようとするならば、日米合同委員会における会議録ないし小委員会の会議録、それら一切の資料を提出されれば、それによっていま私が申し上げましたことの疑義がはっきりすると思いますけれども、会議録をお出しになりますか、どうですか。
  160. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 請求権の問題でございますが、これは冒頭に坂井先生がおっしゃったように、わがほうとしましては、地位協定第七条によって有償であるという考えのもとに、ずうっと続けてその考えを一貫して持っておったわけでございますから、そういう意味におきましては、もう最初から請求権のことは考えておったわけでございます。ただ八十三億なんという計算が出ましたのは、これは正式な請求書でなくて、私どもも計算書ということに承っておりますわけでございます。  それから、いろいろ御指摘になりました沖繩協定との関係でございますが、これは先刻も政府委員が御答弁申し上げましたように、政府の方針といたしましては、昭和四十四年の十二月暮れに、お金をいただく、つまり請求の金額については、こういうような基本的な方針でいこうということで、まあ解決策と申しますか基本的な方針と申しますか、そういうものを固めまして、それが四十四年の十二月でございます。そういう方針でずっと協議が進められまして、その方針に基づいて昭和四十五年度末までに七億三千万という金をいただいたわけでございまして、もうすでに四十四年の十二月にはそういう方針ということに、電電公社、われわれのほうでは固めておったわけでございまして、にわかに四十六年の協定直前になりまして譲歩したというわけのものではございません。  それから会議録のことにつきましては、これは郵政省の所管ではなくて、外務省の所管でございますから、資料提供の問題でございますが、外務省のほうから御答弁をしていただきたいと思います。
  161. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま郵政大臣からお答え申し上げたような実情でございますが、私はちょうどそのころ大蔵大臣をしておったわけなんです。そしてちょっと記憶がありますが、こういうふうな妥結にしたいということを主計局長から私に報告がありました。だいぶ多額な要求をしておったという記憶が私にありますので、この額でいいのかという質問をしたことがあるのです。そうしたところが、これこそ非常に自信を持って、これで非常にけっこうな解決なんですと、こういう話があり、私もそれを了承した、そういう記憶があります。したがいまして、この問題は、いま沖繩返還交渉の一環として処理されたというようなお感じをお持ちの上での御質問のようでありますが、私は当時、そういうふうな受け取り方は全然いたしておりませんでした。そのことをはっきり、私の記憶をたどりながら申し上げさしていただきます。  なお、当時の日米合同委員会の会議録を出せというお話でございますが、会議録自体は、これは日米両国合意のもとに公開しないことにしておりますから、これは差し控えたいと思いますが、その内容は必要に応じまして御説明ができます。
  162. 坂井弘一

    ○坂井委員 両大臣の御答弁をいただいて、ますます疑いを深めます。時間が参りましたので、私、終わりますけれども、最後に一点申し上げておきたい。  郵政大臣、先ほど、四十四年の十二月からそう決定したとおっしゃっておりますけれども、それならば、それ以後における国会答弁は全部うそになりますよ。一々指摘しようと思って私は全部議事録を持っておりますが、時間がございません。大臣答弁は全部うそ。国会を欺いたのですか。過去十九年間、これは十数回にわたって論議されておる。全部うそを言ったことになりますよ、そうであるならば。そういうことになる。  それから、いま大蔵大臣おっしゃっておりますけれども、大蔵大臣はあまりにも内容を御存じなさそうです。これは最後の段階まで来て、まことに政治的な判断に基づいて返還協定にからませたという疑いは、国民の目から見て、私が先ほど申し上げましたような具体的な数字をもって、事実をあげて、私はこの問題をはっきりさしてもらいたいということを言っておるのです。一向に納得できません。したがって、この会議録の提出をいたしなさい。少なくとも結論が出た、その結論が納得のいかない不可解な結論であるならば、交渉の途上における日米間のたとえ合意事項であったとしても、米側に了解を求めて会議録を提出するのは当然じゃございませんか。何でもかんでも提出できない。これだけ明白な問題に対して、なぜ出せないのですか。したがって、いますぐに結論はお出しにならないのでしょうから、ひとつ適当な時期を選んででも、会議録を提出するようによくお考えをいただきたい。私は場所を改めて、この問題の徹底究明をしたいと思います。  以上で終わります。
  163. 米澤滋

    ○米澤説明員 一言つけ加えさせていただきたいと思います。  たしか昨年の二月だと思いますが、たしか衆議院の予算委員会におきまして質問がございまして、そのおりに申し上げておるのでございますが、警察料金というようなものの要求がなかったかという御質問がございました。その際、警察料金と専用線と同じように扱うという場合に、それではアメリカ側日本に払い過ぎることになるのではないかという御質問がございました。警察料金でありますと、一般の専用料の三分の一になります。一方、アメリカとの交渉におきましては、いわゆるJGCP、TOWのほかに、一般に公社が自分の金でつくった専用線を、やはり警察料金並みに下げてくれということになりますと、アメリカは公社に過払いになるのではないかという御質問がございました。したがって、公社といたしましては、自分の金でつくったものは、警察料金というものは特別な料金でございまして、やはり一般の民間並みのものをもらいたいということで今回まとまったわけでございまして、その意味では請求権というものが達成されたのじゃないか。ただし、このTOW、JGCPにつきましては、これは公社としては実損のない形で解決しておりますし、またこれはよく調べてみますと、私も実は国会で早くこれを解決しろということを、たびたび御要求を受けました。それで私が自分で資料を詳しく調べてみますと、これは非常に古い設備で、しかも保守をほとんどしていない。ことに建設勘定の金で取りかえをしたというようなことは全くないのでありまして、いわゆるつくってほうり捨てたような設備でございますので、やはりこれは保守費でいいのではないか、そのかわり、公社が自分の金でつくった専用線については、警察料金のように一般の専用の三分の一というようなものではなくて、全体の料金をもらいたい、こういうことで請求権が達成された、こういうふうに思っております。
  164. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっと先ほどの楢崎委員とのやりとりについて訂正をいたします。  先ほど、例の電報問題をめぐって、私は、慣例に従って質問要旨楢崎委員政府事務当局にお教えをいただいたというように早合点をいたしまして、そのような表現をいたしたのでありまするが、これは事実と違っておりまして、防衛庁当局に何となく同じような傾向の内容を持った情報があった、それに基づいてとりあえず調査にかかった、こういう意味でありまして、この点は訂正をさせていただきます。
  165. 櫻内義雄

    櫻内委員長 曽祢益君。
  166. 曾禰益

    ○曽祢委員 先ほど総理に対する質問の中で、おおむね六六年ぐらいからアメリカの核に関する政策が大きく変わったということを申し上げたのでありますが、正確に申し上げると、六六年の十二月のNATO理事会で、いままで六〇年ごろから何回もやってきたいわゆる多角的核兵力あるいは大西洋核兵力、これを全部断念した。これ以来、アメリカはむしろ核防条約の道を歩んだことは明瞭なんです。こうして、六七年には今度はむしろ米ソが、六七年の八月に核拡散防止条約を、米ソの妥協案を国連の軍縮委員会に提出する、こういうふうに大きく変わった。したがって、グリーン論文のメリット、いろいろ見方はあるでしょうけれども、私がさっき申し上げたことは一つも変わらない。グリーン論文が六六年ごろ書かれ、六八年の二月に出ても、その時点においては、もうすでに大勢としては核防条約のほうに、核拡散には反対だという方向が非常に強くなった。むろん多数国の場合でも、何も西ドイツにまで核の引き金を渡そうということじゃない。ただ、合同の所有の形にして、むしろ発射するときに拒否権を与えるぐらいなことまでは考えておったということが事実のようであります。  いずれにいたしましても、非常に重要な問題ですから、ここで私は外務大臣にお伺いしておきたいのですが、そういうような背景から見て、この核防条約から見ると、その核兵器及び核兵器の管理に対するいわゆる接近というものについては、これは条約上非常に厳重な禁止条項があると思うのです。その点はどうお考えですか。核防条約にはその被締約国に核兵器の管理、核兵器そのものはむろんですけれども、その管理を移すというようなことを禁止する、こういうはっきりした条項がありますが、その点は御承知ですかということを聞いているのです。
  167. 福田赳夫

    福田国務大臣 そのような規定があるようであります。
  168. 曾禰益

    ○曽祢委員 そんなだらしのないことじゃ困るので、第一条には、締約国である核兵器国は、つまりアメリカ等が、核兵器その他の核爆発装置、それを被締約国に渡してはいかぬということになるのですが、それよりかその管理ですね。核爆発装置、核兵器の管理を「いかなる者に対しても直接又は間接に移譲しないこと」、これははっきり移譲してはいけない。さらにまたその同じ条で、核兵器その他の核爆発装置の管理の取得についても「いかなる非核兵器国に対してもなんら援助、奨励又は勧誘を行なわないことを約束する。」核兵器の管理、つまりほんとう核兵器のいわゆる引き金に関しては、これはもう絶対にいかなる国に対しても、核兵器保有国はそういうものを絶対に譲ったりあるいはそれを奨励したりあるいは援助したりして拡散してはいけない。それから第二条には、締約国である非核保有国は、核兵器その他の核爆発装置またはその管理をいかなる者からも直接または間接に受領しないことが義務になっている。これが私は基本原則なんで、そういう点から見てもその後の、それから最近に至る国際情勢の動きから見ても、核兵器について二国間であっても、この電報によれば、日本核兵器に接近するということは、まあ不利な点であるけれども核兵器に接近ということばがありますが、接近というものはどういう意味か知らないけれども、少なくとも核兵器に関する管理権まで譲るなんかということは、とうていこの核防条約から考えると条約の義務違反、これはアメリカが義務違反です。日本は、まだこれは条約発効はしておりませんけれども、批准はしておりませんが、日本としても、日本政策からいってもそういうことはあり得ないと思うのですが、その点はどうお考えですか。
  169. 福田赳夫

    福田国務大臣 その辺を先ほどから私はるる申し上げておるのです。アメリカアメリカ立場といたしまして核不拡散の政策をとっておる。核不拡散条約の熱心なる推進国でもある。そういう立場アメリカが、わが国に対して電報のような趣旨のことを言ってくるはずがない。また同時に、わが日本非核原則を持っておる。これもアメリカとしてはよく承知していることである。そういうような背景考えながらこの電報を見る。この電報には、またいろいろ電報自体に問題点もある。そういうようなことを考えまして、私はこういうこの電報のような次第、これはあり得ないことじゃないか、こういうふうに見ておるわけであります。
  170. 曾禰益

    ○曽祢委員 この条約から見ると、いわゆるこの電報にあるような接近というものをどう評価するか、いろいろ問題があろう。少なくとも条約に書いてあるような核爆発装置、核兵器の管理、これについては、絶対に譲ってももらってもいかぬということも、これははっきりしているのですね。どこが限界なんでしょうか。たとえばかつてのいわゆるNATO条約国の中におけるものであったけれども、多角的核兵力の問題のときには乗り組み員は一緒にするとか、あるいは西ドイツが自分の国からいわゆるミサイルを発射することについては少なくとも拒否権を持つ、いろいろな、自分が引き金権の共有は許さないけれども、ある種のこれは接近といえば核の接近ということが認められるような形で、そのこと自身が非常な論議を招いて、ソ連が絶対反対したのみならず、フランスですらそういうことを、絶対にそんな接近でもいかぬということを言って、この多角的核兵力なり大西洋核兵力がつぶれた。そういう点にも核の接近の程度ということは非常に重要なんです。その点は少なくとも核防条約の中心ですからね。このいま問題にされている核の接近という、かりにこの電文の中にある文句に関連して政策論争を私はやっているのですが、日本政府の核防条約による禁止の範囲、どこまでなんだ、これをひとつ明確にお示し願いたい。
  171. 高島益郎

    ○高島政府委員 曽祢先生の核防条約における核へのアクセスについて政府はどういう考えかという御質問のように思いますけれども、私ども核防条約に関しまする法律的な見解といたしましては、同条約の第一条及び第二条に関する解釈といたしまして、従来からこの核の核爆発装置の管理について、核を持っている国はこれを譲渡してはならないし、また持っていない国はこれを受けてはならないという双務的な規定になっておりまして、そういう方法によって核の管理ということにことばがなっております。われわれはその管理の意味につきまして、まだこれから、具体的にどういうものを管理と解釈するかということにつきましては、まだ確たるわが国としての解釈はいま申しました以上のことはございません。
  172. 曾禰益

    ○曽祢委員 そんなばかばかしいことは私は絶対ないと思うんだ。核の管理についてはどこまでが管理と認められるのか。これは大体通説によれば要するに発射権だ。それ以外は必ずしも条約に禁止した管理じゃない。管理というのは核兵器そのものを支配するのですから、要するに引き金を持つということが通説のようですが、まあこの点は、この論争についてこれ以上やってもしようがないですけれども、まだ日本政府の解釈はきまっていないなんて、そんな御返答でははなはだ心もとない。そんなことではいけない。日本政府が核防条約について、少なくとも賛成の方向でいろいろ注文つけた政府の特別声明すら出しているのに、その管理の問題について、そんなあいまいな態度なんかというものはあり得ないと思うのです。  そこで本題に返りまして、防衛庁長官、もう一ぺん明確にしていただきたいのは、単にアメリカに聞いてみたらこういう電報はなかったとかうそだとかいうのでなくて、問題にされている今度は純粋に日本側防衛庁の職員が、いかなる時点においていかなるランクの地位の者でもかかるこの問題に関する予備交渉ですな、そういうことはなかったということを断言できますか。はっきりしてください。
  173. 江崎真澄

    江崎国務大臣 きょうの時点にまで相当時間もありましたので、厳重に部内についても調査いたしましたが、断じてございません。
  174. 曾禰益

    ○曽祢委員 長官はまた、ここ日本防衛庁長官として、日本がこういう危険な核接近をやるような方向は絶対反対である、二国間でいかなる形でもいわゆる核合同部隊みたいなものをつくるということは断じて日本政策に反すると断言できますか。
  175. 江崎真澄

    江崎国務大臣 もちろん断言できます。先ほどから曽祢委員御指摘のように、NATOにおきましても、それから先ほど御指摘のあったグリーンの論文に見ましても、これはその後変化しておるわけですね、アメリカ政策というものが。しかもあれは中国封じ込め当時の一つの試論という形で主張されたもの、こう踏まえております。したがって、わがほうに断じてないばかりか、アメリカ側でも今日ではああいう政策はあり得ないというふうに承知をいたしております。
  176. 曾禰益

    ○曽祢委員 最後に外務大臣に、これは総理にも伺ったことなんですけれども、非常に重要ですから、やはり電文そのものを追及するばかりではないので、これが投げかけた大きな問題、これは口をすっぱくしてもう一ぺん反復する必要はないのですけれども、要するに、日本の核接近じゃないかとか、あるいは日米が何というか合同の総合兵力をつくるというようなことになったらこれはたいへんなんですから、この問題については、アメリカとハイレベルでこの点をはっきり政策として否定するというような措置をおとりになるお考えはないか、この点もう一ぺん伺いたい。これで質問を終わります。
  177. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいまの問題につきましては、総理からお答え申し上げたとおり、よく考え  てみます。
  178. 櫻内義雄

    櫻内委員長 松本善明君。
  179. 松本善明

    松本(善)委員 この問題について、電報真偽について私は知る立場にはありませんけれども、先ほどのグリーンの論文でありますとか、特にその指摘していたとおりに、沖繩協定を締結した直後に来たレアード長官が、総合戦力構想とか、一部戦場核の肩がわりとか、核積載潜水艦の建造を示唆するというような報道があったために、沖繩協定の締結を契機としての日米共同作戦体制、混合軍事体制、これはアメリカの核戦略体制の中にどういうふうになっているのか、日本の自衛隊がその中にどう位置づけられているのか、こういう点については明確にされていない。だからこういう疑惑が起こるのは当然だと思う。こういう観点で私は若干の質問をしたいというふうに思います。  防衛庁長官がお急ぎのようなので、先に防衛庁長官についての御質問をしたいと思いますが、四月八日の参議院の予算委員会で、わが党の岩間正男議員が、東京府中にあるアメリカ第五空軍司令部に核管理機構がある、そして核兵器担当将校が常駐しているという事実を指摘して質問しました。この質問に対して久保防衛局長は、第五空軍は世界的にどこへでも移動できる、その際核の準備ができているという態勢をとっておるということが、抑止力としては非常に大事である、こういう答弁をされたのであります。これは核爆弾を持っていることとは違うのだ、そういう態勢をとっていることが大事なんだ、こういう答弁をされた。第五空軍がいつでも核使用ができるような準備をしているということになりますと、これは核兵器の再導入ということがあるのじゃないか。いまかりにないということを言っていたとしても、これはあり得るのじゃないか。そういうことになると、これはさらに私どもの党で明らかにしました、中曽根元防衛庁長官が、核兵器の再導入について選択の可能性を残して留保しておくことが賢明だということをアメリカに行ってしゃべって、そのことが歓迎されている、こういう事実を想起せざるを得ないわけです。  そこで、外務大臣防衛庁長官、双方お答えいただける方でけっこうですけれども、一体第五空軍は、核攻撃の任務を帯びて日本から出動する場合には、必ず核弾頭の補給というのは日本外でやる、そういう義務を日本に対して負っているのかどうか、この点について政府の明確な見解を伺っておきたいと思います。
  180. 福田赳夫

    福田国務大臣 非核原則はあくまでも順守いたします。また同時に、事前協議の対象として、核保有ということ、これはわが国においてはその対象となる、こういうことになっております。でありますから、わが国に対しまして米軍が、わが国の国土において核を持つということについては必ず相談がある。その際にわが国においては必ずノー、こういうお答えをいたします。
  181. 松本善明

    松本(善)委員 そういたしますと、外務大臣の言われたとおりであれば、第五空軍は必ず日本では核装備はできない、必ず日本外で核弾頭は持たなくちゃならぬ、核攻撃の任務を持つ場合にですね。そういう義務を負っているのか、端的にお聞きしたいわけです。事前協議がある、その場合必ずノーだ、こう言われるならば、日本ではもう装備できないはずです、理屈からいえば。第五空軍はそういう義務を日本に対して負っているのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  182. 福田赳夫

    福田国務大臣 日本に核がないのですから、第五空軍といえども日本で核を装備するということはあり得ないわけであります。そういうことを申し入れたという際におきましては、われわれはノーとはっきり申し上げます。
  183. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、結論的には、第五空軍は日本では核装備はできない、こういうふうに伺ってよろしいですね。答えだけ言っていただきたい。
  184. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほど御指摘の防衛局長が答弁しました場に私もおりましたが、防衛局長としては、本来第五空軍の性格というものはそういうものであるが、核兵器というものは日本にないし、また持ち込んでもらっては困るしというたてまえで、先ほど外務大臣が言われた答弁のとおりである、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
  185. 松本善明

    松本(善)委員 防衛庁長官、けっこうです。  外務大臣に伺いますが、先ほどベトナムでの戦場核の使用の問題について総理大臣に伺いましたけれども、それに関係してベトナム出撃と日本との関係というものも、やはり日本国民にとっては非常に疑惑になる問題の一つだと思います。外務大臣、お聞きしたいのは、いまハノイ、 ハイフォンの爆撃でベトナム侵略が非常にエスカレートしております。ベトナムについては、六九年十一月の佐藤・ニクソン共同声明で、これは早く終わることを総理大臣も希望するということだった。そういう立場からすれば、このハノイ、ハイフォン爆撃をして拡大をするということについて、日本政府アメリカ政府に対して抗議をする意思があるかどうか。もう一つ日米共同声明四項による再協議の可能性が起こってこないかどうか、あるいはベトナムへの自由出撃を認めざるを得ないというようなことになってこないかどうか、この点について外務大臣の見解を伺いたいと思います。
  186. 福田赳夫

    福田国務大臣 まず、わが国アメリカ政府に対して北爆に対して抗議をするか、こういう問題でありますが、抗議をする意図はございません。つまりベトナム半島の事態は非常に不幸な事態だ、こういうふうに考えておりますが、これは南と北との間の問題、南といえば南越政府もありますし米軍もおるわけでありますが、そういう両国間の問題である。今回のいきさつを見ましても、北越側が中立地帯を越えて南に進攻してきておる、そういうようなことが発端になっておるということもあります。しかし、いずれにいたしましても、これはよその国の問題であり、どっちが正しくてどっちが正しくないのだというようなことをわれわれとして判定すべき立場にはない。言い得ることは、早くこの戦乱が終わって、そうして和平が南北ベトナムにもたらせられること、これを希望する、こういうことは言えますが、北爆に対しまして日本がこれを一方的に非難をするという立場にはありません。  それからもう一つの再協議の問題、これは私はそういう可能性はない、かように存じます。
  187. 松本善明

    松本(善)委員 ベトナムへこれとの関係で事実上自由出撃を認めざるを得ないような情勢になってくるということはありませんか。
  188. 福田赳夫

    福田国務大臣 さようなことはいま予想しておりません。
  189. 松本善明

    松本(善)委員 私は、日本からベトナムに空母が出かけたり、それから海兵隊が出かけたりして基地になっておりますだけに、外務大臣の先ほどの御答弁、抗議をしないというのは、実際上それを認めていくということに、アメリカ日本を基地にしていくことを認めていくということになると思うので、たいへん遺憾だと思いますけれども、もう一つ聞いておきたいのは、この核の問題について、日本政府は、私たち共産党が聞いたことも含めて、なかなかはっきり答えていないということが非常に重要な疑惑を生む原因になっていると思います。  私はまとめて聞いておきたいと思いますが、わが党不破書記局長が昨年十一月に、沖繩で核模擬爆弾のBDU8を使っての投下訓練のことを聞きました。これについてはことしの三月の予算委員会で、どうなっておるかと言ったところが、吉野アメリカ局長は、肯定も否定もできないというアメリカ側のとりあえずの回答があって、照会を続けているということであった。これについていまどういう返事が来ているかどうか。  それから第四〇〇弾薬整備部隊のことについて不破局長がやはり三月の予算委員会で聞きましたところが、総理大臣吉野局長をその場で席へ呼んで、これは私も覚えておりますが、この点を確かめろ、そして、もしあればそれを撤去してほしいということを指示したのだということを答弁の中でも言われました。一体これはやられたのかどうか。  それからもう一つ。先ほど申しました岩間参議院議員が四月八日の参議院の予算委員会で核管理部隊のことを聞いた。そのときに総理大臣は、この問題では随時協議を行なって十分検討するというふうに言われました。これは一体どうなっているか。  この三つの点についてお答えをいただきたいと思います。
  190. 吉野文六

    吉野政府委員 最初に伊江島の模擬爆弾の投下の件につきまして、これにつきましてはすでに一部お答えいたしましたが、米側は、日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負っている国際義務の効果的遂行を確保するためには、多種多様の訓練を行なう必要がある、しかしながら、事前協議に関する米国立場はすでにしばしば明らかにしているとおりであり、核弾頭、中長距離ミサイルの持ち込みを伴わない訓練であれば、事前協議の対象となるものではなく、したがってその意味での一般的な多種多様の訓練は行なっておる、こういうことでございますが、これに対して政府としてはさらに話し合いを続けております。  それからもう二つの核に関する御質問でございますが、これはいずれも御存じのとおり、原則として核の問題については何も言えないけれども、しかしながら日本に、沖繩復帰後においては、沖繩を含む日本本土には一切核を保有しないし、また持ち込まない、こういうことでございます。
  191. 松本善明

    松本(善)委員 第四〇〇MMS、弾薬整備部隊については、撤去を申し入れたのですか。そのことと、それから核管理機構についての協議を行なったのかどうか。答えだけでなく、その日時、それをはっきりさせてください。
  192. 吉野文六

    吉野政府委員 第四〇〇整備部隊につきましては、先方とさらに話し合いを続けておりますが、いま一つの核管理部隊につきましては、われわれの了解では、これは日米安保協議の場においてこういうことを論ずる、こういうことであったと思います。したがってこれは、日米安保協議が開かれる際にはわれわれとして取り上げたい、こういうことでございます。
  193. 松本善明

    松本(善)委員 総理は随時協議とはっきり言ったのです。それはどういうことになっておるのですか。間違いですか。総理の答弁を取り消すようなことになるのですか。はっきり議事録にそう残っております。
  194. 吉野文六

    吉野政府委員 日米安保協議も随時協議の一種でございまして、いずれにせよ日米間で随時に安保条約の運営につきまして協議するわけでございます。したがって、一番この問題につきましておそらく最近に開かれる権威ある協議は、日米安保協議ではないかとわれわれは考えておったわけです。
  195. 松本善明

    松本(善)委員 終わります。
  196. 櫻内義雄

    櫻内委員長 以上で本日の連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後一時四十四分散会