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1972-05-24 第68回国会 衆議院 外務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月二十四日(水曜日)     午後一時二十分開議  出席委員    委員長 櫻内 義雄君    理事 青木 正久君 理事 坂本三十次君    理事 正示啓次郎君 理事 永田 亮一君    理事 山田 久就君 理事 松本 七郎君    理事 西中  清君 理事 曽祢  益君       石井  一君    鯨岡 兵輔君       小坂徳三郎君    田川 誠一君       西銘 順治君    福田 篤泰君       福永 一臣君    豊  永光君       勝間田清一君    黒田 寿男君       堂森 芳夫君    楢崎弥之助君       三宅 正一君    中川 嘉美君       松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 福田 赳夫君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 竹下  登君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 江崎 真澄君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         外務政務次官  大西 正男君         外務省アジア局         長       吉田 健三君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省欧亜局長 有田 圭輔君         外務省経済協力         局長      大和田 渉君         外務省条約局長 高島 益郎君         外務省国際連合         局長      影井 梅夫君         外務省情報文化         局文化事業部長 加川 隆明君         運輸省航空局長 内村 信行君         海上保安庁次長 須賀貞之助君  委員外出席者         外務大臣官房領         事移住部長   遠藤 又男君         大蔵省理財局次         長       大蔵 公雄君         文化庁文化部長 吉里 邦夫君         参  考  人         (海外技術協力         事業団理事長) 田付 景一君         参  考  人         (海外移住事業         団理事長)   柏村 信雄君         外務委員会調査         室長      吉岡 俊夫君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十四日  辞任         補欠選任   勝間田清一君     楢崎弥之助君   正木 良明君     中川 嘉美君 同日  辞任         補欠選任   楢崎弥之助君     勝間田清一君     ――――――――――――― 五月二十三日  世界連邦建設決議に関する請願八百板正紹介)(第四一五六号)  日中国交回復実現決議に関する請願鶴岡洋紹介)(第四二九八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十三日  日朝友好促進に関する陳情書外一件  (第二五四号)  日中国交回復促進に関する陳情書外一件  (第二五五号)  尖閣列島領有権に関する陳情書外二件  (第三二四号)  日中国交回復等促進に関する陳情書  (第三三六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 櫻内義雄

    櫻内委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、国際情勢に関する件について、本日、海外技術協力事業団理事長田付景一君及び海外移住事業団理事長柏村信雄君の両君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 櫻内義雄

    櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 櫻内義雄

    櫻内委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。正示啓次郎君。
  5. 正示啓次郎

    ○正示委員 きょうは、総理外務大臣防衛庁長官の御出席を得まして、私ども外務委員会で非常に大半な問題をお尋ね申し上げるわけでございます。  最初に私が発言することになりましたので、まずお尋ねをいたしたいと思いますが、たいへん時間が制約されておりますので、一、二に限定をいたしまして、特に総理大臣のお答えをいただきたいと思います。  佐藤総理御就任後、外交問題、防衛問題というふうなたいへんむずかしい問題と取り組まれて、今日まで非常に多くの業績をおあげになったことはまことに敬服にたえないのでありますが、総理がいわば歴史的な使命として外交問題に取り組まれました過程を振り返って私考えますれば、総理は終始イデオロギー外交というものと取り組まれて、今までたいへんな御苦心をなさったように思います。最近の沖繩返還という歴史的な事実について考えてみましても、最後まで私どもとしては現実的な沖繩返還ということを強調いたしたのでありますが、一部の論者は、イデオロギーに非常にとらわれて、いわば沖繩の理想的な返還ということをたいへん強調したように思うのであります。そういうときに、総理としては非常な御苦心をなさった。これはそばから拝見しておってもほんとうに御苦労であったと、私は総理のおやりになったこの御苦心に対して、心から敬意を表する次第でございます。  しかしながら、いまや世界外交はいわゆる脱イデオロギー段階にきておるということは、何人も否定できないところだと信じます。さきにニクソン訪中あり、いままた訪ソの最中でありますが、いわばニクソン大統領は反共のチャンピオンとまでいわれた方でありまして、この方が中国を訪問し、あるいはアメリカ大統領として最初ソ連訪問者になろうとは、これはちょっと想像できなかったことでありますけれども、しかしいま申し上げたような脱イデオロギー現実に即して世界外交を運営するという見地に立つならば、今日のニクソン訪ソは当然のこととむしろ受け取るべきではなかろうか、まずかように私は考えます。  先般、東ドイツから、国会議員を含めまして社会主義の政党の方々がお見えになりましたけれども、私が大学時代にカール・マルクスの資本論を読んだという話をいたしましたところが、苦笑しておられるような次第でありました。私は、東ドイツからおいでになった方々に、いまや世界は脱イデオロギー現実に即した外交展開されるときであって、西ドイツブラント首都のもとにいわゆる東方外交展開しておることも、これは決してわれわれにとっても不自然な感じはいたさない、こういうことによって東西緊張緩和ということに大きく功績をあげられることを心深く期待するのであって、当時は西ドイツ国会状況は非常に不安に思われましたので、われわれとしては心からその成功を祈っておるのだという話をいたしたことを思い出すのであります。  私は、総理大臣がこの国会における外務委員会おいでになりました機会に、いままでの外交関係に取り組まれた数々の困難な事柄を思い起こされ、吉田総理以来歴代自民党総理が取り組まれた問題、特に佐藤総理は、現実日韓の問題、沖繩返還問題ということをあげられる過程において、いまのようイデオロギー外交との戦いということに非常な御苦心を払われたけれども、今日の世界は脱イデオロギー現実に即した外交展開段階にきておるということを痛切にお感じになっておられるのではないかと思うのでありますが、まず最初に、この問題についての総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  6. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま外交基本は脱イデオロギー外交現実的な処理だ、こういう御意見を述べられましたが、私が平素いつも口ぐせのように申しておりますのは、自由を守り平和に徹する、これがわが国外交基本である、かように申しております。このことは、もちろん現実に即した外交をやるということでありますし、どこまでも平和に徹するということで、自由を守り平和に徹する、これが私の所信でもあります。
  7. 正示啓次郎

    ○正示委員 いま総理が言われました自由に徹し平和を守る、これは各国との間もそういうふうに運営していくんだ、こういう基本的な信念をお述べになりましたが、今度のニクソン訪ソということで、世界の平和の問題をいまやクレムリンにおいて、両国首脳がいろいろ話し合われておるときに、この外務委員会が開かれ、総理が御出席になったということは、私は非常に意義があると思うのであります。先ほど申し上げましたように、西ドイツ東方外交が幸いに成功いたしまして、いまやヨーロッパを中心緊張緩和という方向で歴史は大きく進みつつあると申し上げていいと思うのであります。  しかしながら一方、アジアにおきましては、ベトナム事態というものは、これは当時おそらく米中の首脳さえも予想しなかったような、またわが国におきましても、ニクソン大統領訪中によってアジア緊張は大幅に緩和されるのだ、日米安保体制というふうなものも根本的に考え直さなければならぬ段階だというふうな議論が一部あったようでございますが、そういう方々から見ますると、今日のベトナム情勢というものは意想外なことであったのではないか、かように私は考えざるを得ないのであります。  しかしながら、それにいたしましても、いま総理も言われましたように平和を守り自由に徹する、こういう信念善隣友好外交展開していくという見地からいいますれば、日中国交正常化はもとよりのことでありますが、韓国北鮮との問題等々につきましてもその現実を認めて、いたずらに韓国北鮮統一というふうなイデオロギーに走ることなく、現実を認めて、現在の状況のもとに平和をいかにして確保するかという外交展開が必要だと私は考えるのであります。すなわち、そうした東西に分裂しにドイツ、南北に分裂した韓国北鮮、そういうふうな現実を認めつつ、そこに平和を守っていくということがこれからの外交基本的な考え方でなければならぬように思いますが、その点について平和を守り、自由に徹する総理としてはどういうふうにお考えでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
  8. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は今回のベトナム問題、これで非常に心配したのは、沖繩祖国復帰返還、これにどういう影響を持つかという、そういう問題でございました。私がアメリカに出かけてニクソン大統領と話し合って帰りました際に、ベトナム条項があるじゃないか。はたしてそのとおり行なわれるか、当時の情勢のもとでは実はベトナム、これがまだ火を吹いている状況だ、それがようやくおさまったと思ったやさきベトナム情勢がまた悪化した。そこでこの沖繩条項沖繩復帰協定ベトナム条項があるだけに、十五日にはたして復帰式典を行ない得るかどうか実は非常に心配をしたのです。しかし、幸いにしてアグニューさんがニクソン大統領の名代として日本に来、そしてこれが行なわれた、やれやれというよう感じで私はあの式典を終えたことを実は非常に喜んでおります。  ところで、一面ベトナム問題は火を吹いたというが、その前にはニクソン大統領訪中が行なわれるという、北ベトナムうしろだてをしておる中国あるいはソ連、その両国に対して、ニクソン大統領ソ連訪問も実施する。このモスクワ訪問が予定どおり行なわれる限りにおいて危険はない、実はかように思っておりましたら、予定どおり行なわれた。そしてただいま御指摘になりますように、ベトナムの問題ももちろん話題にのぼるでしょうし、また米ソ間の直接二国間の問題もいろいろ議題になるだろうと思います。しかし、何といっても出かければ西独東方政策、これが両国間の話し合いの問題になるだろう、これが最もウエートを持つだろう。幸いにしてそういう方向に話は進展しつつある、かよう考えます。  昨日、ちょうど訪日中のポーランド議長さんはじめ議員諸君とも私、会いました。一体どういうように評価しておられるかというふうなたいへん率直な話し合いをしたのです。やっぱりあなたのほうはこれが東方問題、これでやっぱり西独がおさまればポーランドもたいへんしあわせになるのじゃないか、国境も制定されることになるのじゃないか、こういう端的な質問をしましたら、そのとおりです、一カ月はおくれるでしょうが、これから私ども国へ帰る、そのころにはニクソン大統領ポーランド訪問ではないかと、こう言って、やはり平和への道を非常に心から期待している、こういう状況であります。  私は、冒頭に脱イデオロギー外交だといわれるが、しかしいまや世界各国とも平和を望んでいる。そのためのいろいろの支障になるような問題は困難なことではあるが、お互いにこれを取り払おう、こういう努力をしておるのではないか、かように実は思います。  そこでアジアに眼を向けてベトナム問題、ただいま申し上げますよう沖繩は幸いにして問題なしに返ってまいりました。しかし長い間沖繩は米国の施政権下にあっただけに、今回のようベトナム問題が、その戦乱が激しい、B52が立ち寄った、こういうことでまたいろいろわれわれも心配している。一日も早くこの問題がおさまることが何よりも望ましいことであります。しかし、私はアメリカ努力もそういう方向にあると思うし、また東方においてもやはりアジアの平和、これについての深い理解はある、かように思います。私はそういうことを考えながらいまだ国交正常化のできていない日中国交正常化、これがまず第一の基本的な問題でありますし、これは何としてもやらなければならない。そして、ただいま戦争の行なわれておるベトナムにつきましても、やっぱり戦争がやみ、平和がそこにもたらされること、これを心から望むものでありますし、また近くの韓国北鮮との関係におきましても、北鮮ということばは不適当ですが、人民共和国との関係もそのうち調整されるものだ、かように私どもは期待すべきだ、かように実は思っております。そして、やはり平和への努力お互いがするという、そういうことでありたいものだ、かように思っております。
  9. 正示啓次郎

    ○正示委員 たいへん時間がありませんので、最後総理外務大臣防衛庁長官に私、御要望だけ申し上げまして私の質問を終わりたいと思います。  きょう米ソ首脳クレムリンであいさつされたことが日本の新聞に報道されておりますが、ニクソン大統領は、われわれは紛争や危機にあたって他の国の行動をやわらげるよう影響力を行使するのは大国の責任であることを認識すべきであると言っておられます。これに対しましてソ連側ポドゴルヌイ議長は、米ソ友好関係は第三者であるいずれかの国、いずれかの人民を犠牲にすることなく確立することが可能であり、望ましいことであると述べておるのであります。それぞれの立場を端的に表明していると思うのでございます。  そこで、われわれ先ほど申し上げたよう外交姿勢をとっていく立場から申しまして、いま総理も御指摘になりました日米安保条約、その事前協議の運用の問題等がこれからも相当問題にされると思いますが、これは私は条約論法規論からいって、いま国会政府側がいっておられることは当然である、かように思うのであります。しかしながら、一方においてアメリカ大統領ソ連首脳者がいま申しておりますけれども、しかし世界の人類が一様に希望していることは、ベトナム人のいわゆるナショナリズムを傷つけることなく、ここに戦火が一日も早くおさまるように、両当事者がパリにおける平和交渉のテーブルにつくこと、これをこそ私はこいねがっている、かように思います。と同時に、私どもの身近な事前協議制の問題になりますと、やはり条約論法規論だけでなくて、何とかひとつ日本政府としてはアメリカ合衆国に対して、一日も早くベトナム化政策を遂行してベトナムからその兵をおさめることを熱望する。ソ連中国に対しても、したがって北越に対する援助、武器の援助、それが戦争を一そう熾烈にするものであるならばそれを差し控えるようにと、こういうことが私は日本現実主義外交政策基本でなければならぬ、かように思うのであります。そういう意味から、きょうは総理外務大臣防衛庁長官おいででございますが、私は心から日本外交基本的な姿勢をそういう平和外交総理が言われた平和外交の確立と推進に向かって全力を傾倒せられますように切なるお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  10. 櫻内義雄

  11. 青木正久

    青木委員 ただいま正示委員から外交の全般的なことについて御質疑があったわけでございます。それを受けまして御質問を申し上げます。  沖繩が返ってまいりまして、いまや次の外交展開基礎固めをする、そういう時期だろうと思います。次の外交といいますと、やはり先ほど総理も申されましたとおり、日中、日ソが最も大切なる課題ではないか、こう思うわけでございます。時間が五分余りしかございませんので、簡潔直截にこの問題について御質問をいたしたいと思います。  まず日中国交回復でございますけれども、これがさしあたっての外交案件で、政府自民党首脳はそれぞれのルートを通じまして非公式に接触をしていることは私もよく存じております。一方中国側も、公明党の第一次訪中団に示されましたように、態度をやわらげつつあることも事実だと思います。総理の御退陣が夏だか秋だか私存じませんけれども、在職中にこの大きな問題の土台をつくっておくことが日本の将来にとりまして非常に必要なことだ、こう確信をするわけであります。そこで中国側日中国交回復原則というものを掲げておるわけでありまして、つまり中国が唯一の合法政府である、台湾は中国の一部である、日華条約の廃棄ということであります。この三原則につきまして、政府統一見解あるいは自民党総務会の決定などがあることも私承知しております。総じて言えば、政府はこの三原則を否定はしておらないけれども、認めるまでには至っていない。認める一歩手前で足踏みをしているという状態だろうと思うわけでございます。  そこで総理にお伺いしたいことは、この日中国交回復原則について今後努力するお考えがあるかどうか。具体的ではなくて全般的な姿勢として日中国交回復原則、これに努力するおつもりがあるかどうか、お答え願いたいと思います。
  12. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 青木君に、もちろん私ども努力するつもりがございますが、それだけでは簡単過ぎますが、私は国連中心、そこまでいままではいってきている。さよう考えますと、国連決議というものはやはり尊重されなければならない。中国を代表するものは中華人民共和国であるという、これはやはり動かすことのできない状況でありますし、またかねてから主張しておりますように、中国一つだ、かように申しておる。それらの点を踏まえて国連のその決議を尊重した形で交渉は始めるべきものだ、かように思っております。
  13. 青木正久

    青木委員 私が御質問を申し上げたのに対しまして、総理日中国交回復原則について努力するということをはっきり申されました。周恩来首相公明党の第三次訪中団に対しまして、日中国交回復原則について努力する政府代表団は歓迎する、こう明言をしているわけであります。つまりいまの御答弁により、中国佐藤総理を歓迎するという理屈になるのじゃないか。いろいろ事情はございましょうけれども、そういうことになると思います。  そこでお伺いしたいのは、日中国交回復基礎をつくるために日中双方の条件が整った場合、総理自身が北京を訪問することもあり得ると理解してよろしいでございましょうか。
  14. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 なかなかむずかしい問題のお尋ねでございます。ただいまの公明党の第二次訪中団、これに対する報道、これは間違いはないだろうと思いますが、なお私どもみずからが具体的に確かめる方法がなければならない、かように思いますので、ただいまの問題だけで直ちにいかにするか、かような問い、これはどうもちょっと仮定の事態でございますので、私答えることを差し控えさしていただきます。
  15. 青木正久

    青木委員 それでは時間がございませんので、もう一問だけお願いいたします。  もう一つ動き出した大きな問題は日ソ関係でございます。米中接近以来ソ連の対日アプローチというものがたいへん目立っていると思いますけれどもわが国としてはこの際懸案の北方領土を返してもらう絶好の機会だろうと思います。日ソ交渉はこの秋モスクワで開かれると確信をいたしておりますけれども日ソ双方の主張は出尽くしている感じがいたします。事務的な交渉の余地はほとんどないんじゃないかとさえ考えられるわけであります。つまりいまや北方領土が返ってくるのはソ連側の政治的な判断一つにかかっている。日本側からしますと、北方問題解決の糸口を政治的に見つける時期に来ておる、こう思うわけでございます。  そこでお伺いしたいことは、この秋日ソ交渉の始まる前に、やはり総理自身モスクワに行かれまして、政治的な話し合いを行なって日ソ平和条約締結基礎を固めると非常に有益だと思いますけれども、そういうおつもりがあるかないか、お伺いしたいと思います。
  16. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 日ソ間の問題は、いま青木君の御指摘ように、本年内には、グロムイコ外相がせんだって訪日した際に明言しておりますように、平和条約を締結しよう、こういうことを申しておりますので、本年中には必ず、平和条約締結、そういうほうに大きな動きがある、またさように期待してしかるべきだ、かように思っております。これはしかしだれがやるか、こういうこととは関係なしに事柄は進むだろう、かように私は期待しております。
  17. 青木正久

    青木委員 あと一分しかないので、今度は防衛庁にお伺いいたします。  きのう参議院で問題になりました事前協議の問題でございますけれども、最近のベトナム情勢に関連いたしまして、わが国にある米軍基地動きがたいへん活発になっている。またわが国基地から発進する戦闘作戦行動について論議が持ち上がっているわけでございますけれども、この問題は事前協議の対象になるようなものは私は一切ないと信じておりますけれども、まあこのあと楢崎議員がおられましてこの問題を質問されると思います。それにつきまして最近のアメリカ軍基地の実情というものをお聞かせいただきたいと思います。
  18. 江崎真澄

    江崎国務大臣 お尋ねの点、全般からいいますると米軍基地全体は比較的平静である、こういうことが言えると思います。制服等情報を聞いてみましても、キューバのときとほ全く雰囲気が違う、むしろ平時のあり方からいささか警戒体制というか、その程度の動きにあるように見受けられる、こう言っております。ただいろいろな報道情報等を総合しますると、次のように承知をいたしております。  わが本土にありまする米軍基地の横田、岩国、こういったところでは、輸送機発着が比較的増加しておる。また岩国基地での部隊等の移動が目立つほかは、ただいま申しましたように他の基地では特別の変化は認められない。  それから第二点、沖繩でありまするが、嘉手納、普天間、那覇、それぞれの基地での各種の航空機の発着が増加しております。ホワイトビーチへの入港艦艇がふえておるほか、海兵隊動きが活発化している。大体しかしこの米軍基地動きというのは、通常の方法によるいわゆる修理、補給そして訓練、こういったものであるというふうにわれわれは了解をいたしております。
  19. 青木正久

    青木委員 終わります。
  20. 櫻内義雄

  21. 楢崎弥之助

    楢崎委員 総理質疑できる機会が今国会あるかどうかわかりませんので、冒頭予算委員会で問題を提起いたしました敵前逃亡の問題、これは幸いなことに本日午前十時から予算委員会理事会が開催されまして、そして政府側からは総理の代理として官房長官、また厚生省の援護局長、法務省の刑事局長、それから法制局次長、それに予算委員長以下各党の理事で審議を行ないまして、そして以下のことが決定されました。  まずブーゲンビル島関係だけをモデルケースとしてきめる。そしてブーゲンビル以外のケースは、もしブーゲンビル関係と同様のものがあれば同じような取り扱いをするということで、私が要望しておりました敵前逃亡の汚名をそそぐ、つまり軍法会議の裁判はなかったものとして処理すべきではないかという点について、法的措置がなかなか困難でありますので、高度の政治判断から、軍法会議の裁判はなかったものとして取り扱うことを閣議決定したい。それが一つ。  二番目に、政府を代表して、総理から該当者に、長い間ほんとうに敵前逃亡の汚名のもとに御苦労をかけたという謝罪とねぎらいの書簡を出すとともに、予算委員長から、その経過説明書を添付する。なお、該当者に見舞い金または見舞い品を贈りたい。  それから三番目に、ブーゲンビル勘関係の方で長崎刑務所で獄死した五名の方がおられます。この方々は戦死扱いとして、この七月にも叙勲をしたい。すでにその手続が進行中である。  それから四番目に、一切の記録から敵前逃亡罪という文字を抹消して、なくしてしまう。  それから五番目に、これは事務的な問題ですが、敵前逃亡期間を恩給年限に加算する問題。あるいは、そのときに銃なんか持っていった場合の窃盗とか横領とかということが併合されているものですから、そういうものの抹消もケース・バイ・ケースで考えていく。  以上のようなことが大体きまったわけであります。私はこれはたいへんいい措置である、このように思います。少なくとも軍国主義の亡霊と申しますか、戦争のつめあとがこれで一つ消えることになる、こういう点で、私はこの点は総理にお礼を申し上げたいと思います。それで、すみやかに閣議決定等も行なって、以上きまりました措置をすみやかにとっていただきますように、お願いいたします。
  22. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 適前逃亡罪その他についての楢崎君の御提案がただいまのように円満に話し合いがついたということ、これはたいへん私も国のために喜ぶと同時に、ただいまのよう敵前逃亡その他窃盗罪等の汚名を着せられた方々が、おそきには失しておりますけれども、これによって救われる面もあるだろう、かように思いますので、たいへんしあわせに思いますし、御提案になりました楢崎君にあらためて敬意を表すると同時に、政府で、残っておる処理、閣議決定その他について、これは積極的に、ぜひとも早目に取り計らいたい、また取り計らうということを、この機会に申し上げておきます。先ほど食事の際に、官房長官から大要については私報告を受けましたけれども、さらにただいまこの機会に、提案された楢崎君に、たいへんわれわれの抜かっていた点をこれによって救われた、かように思いますので、そのことを申し添えてただいまのお答えといたします。ありがとうございました。
  23. 楢崎弥之助

    楢崎委員 総理との行き会いは長い期間でございましたが、総理からおほめのことばをいただいたのは二件ございまして、一件はいわゆる未解放部落の解放政策の特別措置法の問題、それと今回の問題です。  それは別として、なお戦争のつめあとはこれだけじゃありませんで、たとえば、今日もなお戦争時代の毒ガス等が放置されておったということが原因となって被害が出ておるというような問題、あるいは原爆の被害者その他の戦争被害者の救済も、私はきめこまかい御措置をお願いいたしたいと思います。  それで次に、率直にいって、やがて佐藤総理も任務を終えられることになろうと思いますが、佐藤内閣時代ずっととってこられた外交、防衛方針、これは後継内閣を拘束し、引き継がれるものと考えてよろしゅうございますか。
  24. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私のとってきたいろいろの政策のうち、国家的な基本的な政策そのものは引き継がれる、かように思います。しかし、私自身がそのつど考え事柄について、これを全部拘束するということは、これは無理だ、かように思いますので、ただいまお尋ねになるような国防の基本的方策、これなどは私も先輩のあとを引き継いだのでございますが、その点においては変わりはない、かように御理解をいただきたいと思います。
  25. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それをはっきりしないと、いまここで聞いても何にもならないことになりますから……。  それで、最近のベトナム戦争の再激化と在日米軍基地とのかかわり合いが非常に問題化しております。代表的なその事態をあげてみますと、たとえば四月三日に横須賀港から急遽空母のコンステレーシヨンが出撃をいたしました。あまり急いで出撃したから二十数名の水兵を積み残したというような状態の出撃であります。それから、四月六日には岩国基地からF4ファントムが二個中隊、三十数機出撃したといわれておる。あるいは十六日には、同じく岩国基地からA4スカイホークがやはり二個中隊出撃しておる。五月二十日には、問題のB52が緊急着陸、給油という事態が起こってまいりました。その間、広、秋月、佐世保の弾薬庫等から弾薬が直接ベトナムに輸送されておるという問題も起こっておる。あるいは広島の弾薬庫では、欠陥弾薬の補修がなされて、これまたベトナムへ搬送されておる。相模原補給廠における米軍及び南ベトナム軍戦車の修理、それから輸送の問題、あるいは佐世保湾へ戦火にまみれた米駆逐艦が入港して修理を受けた後また出航する。そして、B52のベトナム出撃に対する沖繩からのKC135の給油の問題と、どれ一つとっても、国民の目から見たら、一体どうなっておるのであろうか、このままで何のチェックもされないとすれば、憲法も、安保条約の事前協議も何もあったものではないではないかという不安があろうと私は思うのですね。  それで、総理としては、このようベトナム戦争と在日米軍基地の深いかかわり合いについて国民が不安に感じておる、その理由は一体どこにあると御認識されておりますか、それをお伺いいたしたいと思います。
  26. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほどもベトナム問題、その動向があるから沖繩が返ってくるかどうか私自信が心配した、こういうことを申し上げました。私は、沖繩はとにかく返ってこられた、これはよかったと思っております。しかし、ただいまベトナム戦争状態が続く、それが激化する、そういう状態だと、これに巻き込まれないように、われわれは絶えず注意しなければならない、これが一つの問題だと思っております。私は、幸いにしてただいまの訪中訪ソ、そういう事柄ベトナムにどういうよう影響を与えるか、北ベトナムでは、小国といえども大国の考えどおりにはならない、こういうことを言っているということまでいわれております。また、私ども自身としては、南北ベトナム戦争は激しくても、北ベトナムとの間の通商関係の代表、そういうものの交渉はあります。そういうことなど考えると、たいへん複雑な状況下に置かれておる、かように実は思っております。そこで私どもは、これが平和への道がさがせないことはないはずだ、そういう方向においてわれわれの努力すべきことはもっと積極的に努力すべきではないか、これはまあ外務当局とも絶えず話をしておるのであります。私はそういうことなど考え、ただいま御指摘になった、あるいは岩国基地から、あるいは横須賀において、あるいは佐世保においてというよう事柄がないように、また補給自身にいたしましても、補給修理等について、これは米軍自身の問題だといういままでの考え方ではございますけれども、しかし、ただいまのベトナム戦争が続く限りにおいて、いろいろ問題が起こり、そうしてそれに引き込まれる危険が多分にある、私どもはそのもとをただす、もとを直していくというそれが何よりも大事なことではないだろうか、かように思っております。あるいは皆さんたちは安保があるからだとこう御指摘になるかもわかりませんけれども、これは私は立場は違いますけれども日本の安全は確保しなければならない、そのための安保でありますし、ただいまのような状態が日本周辺あるいは極東、その背後地域等において行なわれないことを、そういう事態が起きないことを心から願う、またそういうものが早くとどまるようにわれわれは働く余地があるんじゃないか、かように私は考えております。
  27. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ただいまの根本の問題、平和解決を早急に急がなければならないということはそのとおりでありますが、しかしさしあたって今日、日々起こっておるこれらのベトナム戦争と布日米軍基地との深いかかわり合いに対する国民の不安は一体どう解消するのかというもう一つの日々の問題があるわけであります。で、先ほど申し上げたベトナム戦争と布日米軍の深いかかわり合いの実態について、日本は安保条約を通じてベトナム戦争に対して米国と協力関係にある事実を示しておると思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
  28. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまどういう点について……。あるいは修理補給等、これは日本で行なっておりますから、そういう意味において、ただいまのようなことはそのまま言えるんではないかと思います。
  29. 楢崎弥之助

    楢崎委員 その半面協議制度のかかわり合いは別として、米国と協力関係にある、ベトナム戦争に対して。それはお認めになったわけであります。そうすると、もしベトナム戦争に対して日本が米国と協力関係にあるとすれば、日本ベトナム戦争に対して中立的な立場にはないと思いますが、この点はどうでしょうか。
  30. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 日米関係、これを私はどこの国よりも大事な関係にあると実は考えております。この日米関係が円滑にいかない限り、日本の繁栄も、また日本の安全も、これを確保することは困難だ、かように実は思っておりますが、しかし、ただいま言われるように、大きくベトナム戦争への協力者だと、かように言われると、私もやはり一言なきを得ない。私が申し上げるまでもなく、ただいまは中立ということばを使われました、私は中立ということばが当たるか当たらないかわかりませんが、われわれはベトナム紛争の当事者ではない、局外者である、これだけははっきりしておきたいと思います。  しかし一面において日米関係、その関係を十分見ると、やはり日米安保条約というものがある。その意味においての米国への協力というか、これは日米安全保障条約の責任だ、義務だと、かように私は思っておりますので、いわゆるその中立ということばはどうかと思いますが、当事者でないことだけははっきりしている。また局外者である、かように理解していただきたいと思います。
  31. 楢崎弥之助

    楢崎委員 当事者でないことはそのとおりでありましょう。しかし協力関係にあるということは、やはり純粋な意味で中立関係にはないということ、これは常識ではないでしょうか。いま一度御答弁をお願いします。
  32. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私はどうも外交の用語に弱いんですが、ただ私が聞いたところでは、あまり中立という観念がこういう場合にはなさそうだ。いまのような局外者、それを中立とおっしゃるならそのとおりだ、かように思いますが、局外者と言ったほうがいいんじゃないか。当局者ではもちろんない、局外者である、さように私は理解しております。
  33. 楢崎弥之助

    楢崎委員 局外者ではあるが、しかし米国に協力しているという、その事実関係はお認めになったわけですね。  そこで、これは昭和四十二年、時の椎名外務大臣は、日米安保条約のおかげで日本は中立ではないという答弁をされておるのです。四十二年六月一日ですね。自由民主党の鯨岡議員がこういう質問をしております。日本はいまベトナム戦争に対して日米安保条約のおかげで中立ではないと言うが――これは外務大臣がですね、中立ではないと言うが、もしそうであれば日本北ベトナムから見れば敵性国家になる、そうすると米軍発進基地沖繩が報復攻撃を受けてもやむを得ないことになるではないか、こういう質問をされておるのです。これは社会党じゃないのです。与党の鯨岡さんがされておる。これに対して椎名外務大臣はどういう御答弁をなさったかというと、確かにそのとおりです。ただし幸いにして北ベトナムと――このときは沖繩は返っておりませんから……。ただし幸いにして北ベトナム沖繩は距離が離れておりますから、現実にはその危険性はありません。つまり戦争に巻き込まれる危険性を距離の問題にされた答弁をなさっておるわけであります。だから私は、そういう意味ではもうこれは椎名外務大臣の御答弁のとおり中立ではない。もうことばのあやは別として、そのようにいまは思わざるを得ません。  そこで、協力ということを確認されました。協力といいましても、おのずからそこに限界があると思います。あるいは条件があると思います。その条件をひとつ具体的にお示しをいただきたい。
  34. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 日本アメリカに協力する、これは安全保障条約の命ずるところというか約束ごと、その範囲内である、かように御理解をいただきたいんで、したがってただいまのような強い協力というか、これは事前協議の対象になりますから、そこらで一応線は引かれる、かように理解すべきじゃないでしょうか、私はさように理解しております。
  35. 楢崎弥之助

    楢崎委員 おそらくそう答弁されると思ったんですよ。  そこで、協力の限界というのは、結局事前協議に明確にかかるもの以外は協力をする義務があるから、そういう御答弁のように私は承りました。  そこで、そうすると、事前協議に明確にかかるような事項以外では協力を、それは困るといってお断わりされるような事例というものはもう考えられないんでありましょうか、どうでしょうか。
  36. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど申しました、誤解のないようにお願いしたいのは、日米関係、その関係日本の国益、その観点に立ちましてやはり守るべき基本的な立場だ、かように思います。したがって、私は、その範囲において協力する、そういうものもあるだろうと思います。しかし同時に、また、ただいま御指摘になるように、また先ほど私が答えたように、日米安全保障条約でやはり協力する範囲はおのずからきまってくる、かように私は思っております。したがって、日本の場合に、無制限に協力というようなことはあり得ない。やはり条約に書いてないことで、われわれは両国の間を仲よくしていく、こういう意味で協力することもあると思います。しかし、日本の国益に反するそういう問題になれば、これは協力しない、こういうことでございまして、いわゆる日米安全保障条約ばかりが両国の間を規律するものでないこと、これはひとつ御理解をいただきたいと思います。私のことばの足らなかった点は、この機会に訂正させていただきます。
  37. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、くしくもいま総理が言われたように、必ずしも安保条約の内容、具体的に言えば事前協議に明確にかかるもの以外は全部協力するということではないのだ、広く国益から考えて協力を断わることもあるのだ。そこで、ここが一番問題点なんですが、ベトナムがあまりに離れ過ぎております。極東の範囲の周辺ということばであります。ここで問題があるのです。これは安保条約に賛成の人でもその点は問題意識を持っておられると思うのです。ベトナムがあまりにも日本から離れておる、ベトナム戦争へのこの協力のしかたがあまりにも不安を国民に与えておる、こういうことではなかろうかと思うわけです。そこで、いま安保条約に賛成、反対と言われましたけれども、安保条約に賛成の人でも事前協議制度の目的、意義は私は賛成であろうと思うのです。つまり、日本関係のない紛争に巻き込まれる、あるいは戦争に巻き込まれないための歯どめの役目であるというこの目的については、安保条約に賛成の方でも、私はそれを評価しておられると思うのです。そこで、国民の不安を解消する一つの問題として、この事前協議制度のいま申し上げた目的あるいは意義に沿うように積極的に活用する、そういうことが国民の不安を解消する一つの問題であろう、このように思いますが、どうでしょうか。
  38. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私の理解する限りでは、ただいまの楢崎君の言われるとおりだと思います。
  39. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、今度は具体的な問題になってまいるわけであります。  もし、積極的にその意義に沿うように運用しようと思えば、明確なものははっきり事前協議にかかるでしょう。しかし、非常に疑いのある問題がある。たとえば問題になっていますB52に対するKC135の沖繩からの給油、これなんか非常にデリケートなところであるが、外務大臣は割り切ってということを何回も言われました。割り切って事前協議の対象としない。割り切られた理由は何ですか、そのデリケートな点は。
  40. 福田赳夫

    福田国務大臣 給油はひとしく補給行為です。補給行為は安保条約で、われわれは認めなければならぬという立場にある。ところが、地上給油になりますと、これはどうしてもベトナムにそこから発進をするということになる、そういうことにつながってくるのです。ところが空中給油になりますと、それとやや異質である。まあ、ひとしく給油であるという点でまぎらわしい。しかし、そういう基地から発進をするという点をとらえて、これは割り切って差別して考える、こういうことを申し上げておるわけであります。
  41. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、問題が分かれるわけです。もし事前協議制度をその目的、意義に沿うように積極的に運用するという姿勢であれば、非常にまぎらわしいデリケートな問題は、事前協議制度の対象にするという方向ならば、これは積極的に運用するという方向になりましょう。しかし、外相のように割り切って、かけないのだというよう姿勢は、まさに事前協議制度の消極的な運用、そのようにならざるを得ない。つまりいままでの政府の解釈のしかたは、私どもの目から見ればなるたけ事前協議制度にかかる問題を少なくしよう、あるいは事前協議制度にかからないようにするにはどう条約の解釈をしたらいいか、悪いことばですが、三百代言的な解釈のしかたしかしていないというようにしか映らないのです。だから、事前協議制度をなるたけ活用しないのだというふうに国民は受け取ると私は思うのです。国民の不安は、そういったベトナム戦争と在日米軍との深いかかわり合いの実態を心配しておるのです。事前協議の対象になるような使用のしかたはされてないから安心しなさいといったって、国民は安心しませんよ。問題は実態ですよ。そういう条約の解釈で国民は安心しませんよ。ときには外務大臣は実態ということを言われる。その次にはいまのような割切った答え方をされる。私は、やはり実態に即してものを見ていく、これが国民の不安を解消する道であろう、このように思うわけです。そこで、事前協議の正式メンバーはきまっておりますか、日米とも。
  42. 福田赳夫

    福田国務大臣 日本側においては外務大臣防衛庁長官アメリカ側におきましては駐日アメリカ大使及び太平洋軍司令官、この二人であります。
  43. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いまのは日米安保協議委員会のメンバーですね。
  44. 福田赳夫

    福田国務大臣 事前協議につきましては、これは形はきまっておりませんです。これは随時適当な形で協議が行なわれる、こういうことでございます。
  45. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それがまた六〇年安保のときの政府の御答弁と違うのです。これは昭和三十五年四月二十八日安保特別委員会質問者は民社党の受田委員であります。このとき受田委員はこういう質問をしておるのです。「通常の場合、事前協議の方式は、時間的余裕があるときは大統領日本の岸総理、余裕がないときは現地の米軍の責任者と、日本の場合は常に総理かどうか。」これに対して岸国務大臣は、岸総理はこう答えておる。「日本の場合におきましては常に総理であります。アメリカの場合におきましても、その問題についてはアメリカ政府を代表する大統領である。ただ、大統領の委任を受けていかなる問題を大使がやるかというような問題はございましょうけれども日本側の場合においては総理であり、われわれが相手に考えておるのはアメリカ大統領、こういうわけでございます。」これが当時の答弁です。いつからそういうふうにクラスが下がったのです。
  46. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは事前協歳を受ける最終の責任者が常に総理大臣だ、そういう意味だろうと思います。そういう行政上、軍事上の行為、意思表示、それを一々総理大臣が直接受けるというようなことは私はあり得ないことである、こういうふうに考えられます。
  47. 楢崎弥之助

    楢崎委員 この答弁はそうなってないです。何ならここにありますからごらんになってください。日本の場合は常に総理。ということは、事前協議でもしイエスと言う場合は、これは戦争に巻き込まれる可能性が非常に重大なときですよ。だから、少なくとも日本で行なうのですから日本の場合は常に総理が出る、これが岸総理の御答弁なんです。最終的なその責任は総理にあるから、こんな答弁をしておる。そんな不明確なものではないです。これは明確にしてください。
  48. 福田赳夫

    福田国務大臣 もし岸総理がそういう答弁をされたというと、私どもこれはちょっと理解できません。今日、佐藤政府におきましては、佐藤政府の指名するところの適当な人が事前協議の直接の受け手になる。それの判断なり、それは最高責任者である総理大臣がする、これは当然のことであると思います。
  49. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それは外務大臣が解せないとおっしゃっても、政府関係ですから私ども責任ありませんよ。岸総理大臣があんな明確に答弁されている。そこで、それでは総理、いまの問題は明確にしてください、大事なところですから。そういうあいまいな考え事前協議考えておるから、事前協議というのは空洞化する。一つはそうなんですよ。この辺はひとつ明確にしていただきたいと思います。もし答弁が変わったんなら、考え方が変わったんなら変わったように明確にしてください。そうしてその理由を明らかにしてもらいたいと思います。その点はよろしゅうございますか。  それから事前協議の内容、結論は総理は必ず国会に報告されますか。
  50. 福田赳夫

    福田国務大臣 まず事前協議を受ける相手方、これはわが国におきましては政府を代表するしかるべき機関、つまり外交当局であります。そう御了解願います。  それから、事前協議を受けてそれの処置について国会に報告するか、こういうことでございますが、そのときの状況によりなるべく国会に、事後においてということが多かろうと思いますが、報告したほうがいい、かよう考えます。
  51. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それも答弁が違うのですね、岸内閣のと。岸内閣の答弁は、原則として国会に報告する、こうなっておるのです。だから、その後段の外相のお答えも私は納得できません。いつからそのように変わったのか。変わった理由を明確にしてください。こういう事前協議というような重大な協議をメンバーもあいまいなんということは、一体これは何ですか。だから、承前協議なんて安易に考えているとわれわれが言う理由はそこにあるのですよ。これは時間がございませんから、後ほど明確にしてください。その際、総理大度から結論についての御答弁をいただきたい。――いまできますか。
  52. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま外務大臣が答えました、これが岸総理のときと違う、こういうことでたいへん問題であるかのよう感じていらっしゃるようですが、ただいま外務大臣が答えたように、事前協議はやはり手続としては外務省、外務大臣が、私が命じてそうして交渉する、こういうことであります。また、事柄によりまして私自身が出る場合もあると御理解をいただきます。また、事柄によりましては事前に国会に話さなければならない場合もあろうかと思いますし、あるいは多くの場合においては事後、またはものによっては国会に報告しないものもあろう、かように思います。問題はやはり事前協議の対象になる事項が相当分かれておりますから、事柄によりましてはそれを一々報告する、こういうわけのものではない。これは専門に研究していらっしゃる楢崎君だから、多くを申し上げなくとも御了承がいただけるのじゃないか、かように思います。
  53. 楢崎弥之助

    楢崎委員 総理に差しつかえあるときはということはあり得るのです。しかし原則として事前協議には総理出席するのだという、この原則についてはどうですか。私は、岸総理原則を明確にされたと思うのですね。その点はどうですか。
  54. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま原則だと申しましても、あまり行なえないようなことをこの機会に申し上げるのはいかがかと思います。私は原則論よりも実際の扱い方、これが時期を失せず、事前協議の対象になるものは時期を失せず協議をするということが必要なことだと思っておりますので、その辺のところも御理解をいただきたいと思います。  また、国会に対するものは原則として報告する、これが筋だろうと思います。しかし、一々編成等について報告することはいかがかと思いますから、先ほどのようなお話をしたわけであります。それらの点では、誤解のないようにお願いしておきます。
  55. 楢崎弥之助

    楢崎委員 やはり事前協議制度の重要さに対する認識が私どもと違う。やはり原則としては総理が出るという従来の岸内閣時代の考え方が私は正しいと思います。その点は問題を残しておきます。  それでもう一つ、後段の点ですが、その事前協議制度の内容、結論は原則として国会に報告する、それは了承されました。ただ、編成等は私はそのとおりであろうと思います。つまり刑特法がありますから、日本政府といえども米国の了解なしにはその内容は公表されない。しかも、事前協議にかかるような内容はおそらくこれは公表されていないものであろう。したがって、米国に対してその公表についての積極的な了解をとるように、この点は努力をされる必要があろう、このように思います。よろしゅうございますか。
  56. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 原則論で議論してもしかたございませんが、この事前協議政府はもちろん重大な意義のあるものだ、かように思っておりますから、そういう意味で、私どもないがしろにするつもりは毛頭ございません。したがって、もちろん閣議にもかかるでしょうし、また事柄によっては先ほど申したよう国会にも報告しなければならないし、あるいは場合によっては事前に連絡をとる場合もある、かように御了解をいただきたいと思います。必ず原則として総理が扱うのだ、かように申すことはやや窮屈過ぎると私は思いますので、事柄の性質として十分総理が責任のとれるような処理をしろ、かように言われることについては十分理解しておりますから、その辺御了承いただきたいと思います。
  57. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは、北ベトナムに対する港湾封鎖の機雷の敷設、これは、もしその必要がなくなったときにこれを掃海するのもたいへんな仕事であろうと思うのですね。で、お聞きをしておきますが、日本の海上自衛隊なり海上保安庁がその掃海作業に協力をするようなことはないでしょうね。
  58. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 大体、自衛隊が出かける領域ではない、かように思います。いままで海外に派兵しないというそのたてまえから申しまして、いまの掃海に協力するようなことは自衛隊としてはない。海上保安隊としてそういうことがあるかというと、これまた私はノー、かように申し上げます。
  59. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いま海上保安隊とおっしゃいましたが、これは海上保安庁の間違いだろうと思います。いま保安隊はありません。  しかし、私はその可能性は全然ないとはいえないという心配をするわけです。なぜならば、一九五〇年の朝鮮戦争のときに、実は海上保安庁のいわゆる掃海部隊が国連軍及び米軍の編成の中に入って朝鮮の掃海作戦に従事をした。しかもその際、掃海艇が二隻沈没している。そして戦死者が一名出、負傷者が八名出ておる。そういった事実について総理は知っておられましょうか。
  60. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 不幸にして存じ上げませんが、ただいま御指摘になるように、私は、海上自衛隊の場合、これはもう厳に禁止されておることだから、そういう海域までは出ていかない、かように思いますが、海上保安庁の場合――海上保安隊じゃございません。御指摘になりましたように、保安庁の場合、これが国連の編成下に入った場合には、いまのような問題が起こり得るんじゃないか、かように思いますが、私はそれもただいまよほど慎重にやらないと、国連を隠れみのに使った云々と言われても困りますが、これはしかし国際的な平和機構である、こういう意味において国連には協力すべきではないか、かように思いますが、これもそのときには十分考えた上で結論を出したい、かように思います。
  61. 楢崎弥之助

    楢崎委員 国連からの要請があったときには、それはもう断わるんじゃなくてそのときで考えるという意味ですか。そうですか。重要な答弁だと私は思います。過去の歴代政府の御答弁と違うようですが、どうでしょう。
  62. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これははっきり申し上げたいと思いまするが、国連から要請がありましても、それがいかに平和的なものであっても、現在の自衛隊法に国連の任務に参加していいという任務規定はありません。したがって、そういう要請があっても自衛隊は参加することができない、これははっきりいたしております。
  63. 楢崎弥之助

    楢崎委員 海上保安庁はどうですか。
  64. 須賀貞之助

    ○須賀政府委員 お答えいたします。  海上保安庁といたしましては、自衛隊法第八十条の規定によりまして、自衛隊に対し防衛出動の命令または治安出動の命令がされた場合であって、総理大臣が特に必要と認めるときは海上保安庁は防衛庁長官の指揮下に入ることになっておるわけでございます。この場合においても、保安庁の任務は海上保安庁法に定められた海上における治安の維持、安全の確保に関する業務の範囲内に限られるものであって、自衛隊の任務が付加されているものでないというよう考えるものでございます。
  65. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると総理の御答弁と違うわけですね。どうですか。その点、総理、もう一ぺん明確にしてください。
  66. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私の答弁と違う、やはり事務当局がいままで扱っておるとおりですから、この機会に私の違っておる点は訂正させてもらいます。
  67. 楢崎弥之助

    楢崎委員 その辺は非常にあり得ることですから私は心配している。それで、海上保安庁次長はいまそういう御答弁をなさいました。先ほど申し上げたとおり、過去あるのですね、これは。私はちょっとここで御披露して――重大な問題ですから、あり得ることだから、常識で考えられないことが実際に起こっておるから、私は明白にいまからしたいと思います。これが事実かどうか、ひとつ御調査の上御返答をいただきたいと思います。  一九五〇年九月、朝鮮西岸の仁川に対する奇襲上陸作戦で成功をおさめたのに続いて、マッカーサー元帥は東岸の元山に対してさらに上陸作戦を実施することにした。同計画は九月二十七日、統合参謀本部の承認を得て、上陸実施日を十月二日ときめられた。  たまたま朝鮮東海岸は海流及び水深の状況が機雷敷設に理想的な海域であった。一九四六年、日本に駐留していたアメリカ海軍掃海部隊はカルフォルニアに引き揚げ、一九四七年までに太平洋方面掃海担当の太平洋機雷戦部隊はチェスター・ニミッツ海軍作戦部長によって廃止され、掃海作業は後方支援及び駆逐艦部隊の付随業務に移管されていた。一九五〇年八月、極東アメリカ海軍部隊司令官C・ターナー・ジョイ中将の参謀副官アーレイ・バーク少将は、アメリカ海軍が相当の障害を排除し得る掃海部隊を持っていないこと、特に北朝鮮海域に進入すれば複雑なソビエト製感応機雷に遭遇する可能性についてよく知っていた。この感応機雷を処理できる高い練度を持つ大きな掃海部隊がたった一つあった。それは海上保安庁の掃海部隊で、日本内地の沿岸航路や瀬戸内海の掃海作業に従事していたのである。元山上陸作戦実施がはっきりと決定されたあと、パーク少将は当事の海上保安庁長官大久保武雄氏を極東アメリカ海軍部隊司令部作戦室に呼んで、アメリカ軍の元山上陸作戦の必要性を説明し、大久保長官に対して、日本の掃海艇を残らず対馬海峡地域に集合させて、元山沖の掃海を援助し、仁川の敷設機雷の後始末を支援するよう要請した。大久保長官は、この要請を受け入れる決定は、海上保安庁長官としてはあまりにも重大過ぎるので、決定を下してもらうために吉田首相と会って話を伝えることにしようと答えた。吉田首相は掃海作業は戦闘であり、海上保安庁法第二十五条には、海上保安庁は非軍事的部隊であると明記されているし、旧海軍軍人に対して、アメリカ軍の支援作戦に彼らの生命をかけさせることはきわめて説明困難と考えた。しかし結局、憲法施行後とはいえ、日本はまだ当事なお占領下にあったので、同庁の掃海艇をアメリカ海軍の希望どおり派遣するよう伝えた。  当事、海上保安庁航路啓開部長であった田村久三元海軍大佐は、一九五〇年十月二日、彼が指揮官となって朝鮮派遣掃海部隊を編成した。隊員の給与は二倍になっております。  一九五〇年十月から十二月にかけて、日本の掃海部隊は、国連軍あるいはアメリカ海軍任務部隊に編入され、作戦行動のため海外に派遣されたわけである。掃海艇は朝鮮海域にあるときは、ただ国際信号旗のE旗だけを掲げるよう指示され、ジョイ中将は運輸省に対して、連合軍最高司令官の公式承認書をとり、極東アメリカ海軍部隊司令官の命令どおり掃海艇二十隻を集合させるよう命じた。  田村掃海部隊は、機雷原の間を縫って、アメリカ艦船の先導をするようたびたび要求された。一九五〇年十月二日から十二月十二日までの間に四十六隻の日本掃海艇、大型試航船及び千二百名の旧海軍軍人は、元山、群山、仁川、海城、鎮南浦の各掃海に従事して、三百二十七キロメートルの水路と六百七平方マイル以上の海域を掃海した。  その間、二隻の掃海艇が沈没、一隻は元山沖で掃海中触雷、他の一隻は群山で座礁。掃海艇が触雷沈没する際に、日本水兵一人、これは中谷安太郎という司厨であります。本籍地は山口県大島郡安下庄町、この方が戦死をされ、八人が負傷されております。  大久保長官は、毎日、掃海艇部隊が朝鮮にある間、こっそり吉田首相に、同海域の掃海について簡単に報告をし続けております。日本政府は、戦死者や戦傷者に対する補償についての立法措置を講じていなかったので、総司令部公安局の者がその戦死者の家庭を弔問し、その父親に補償金を支払っている。  一九五〇年十二月十五日、朝鮮派遣日本掃海部隊の編成は正式に解かれた。  以上が経過であります。これが事実であるか、調査の上お答えを願いたい。もっともこれは占領下であります。しかし四七年の五月には憲法は施行された。憲法施行後である。施行後に公然と海外派兵が行なわれた。それも国連軍あるいはアメリカ海軍任務部隊に偏入されて作戦に従事しておる。これは重大であります。このような問題があるから私はベトナム海域に対する機雷封鎖の掃海あるいは国連軍という名のもとにその作業なりに従事させられる可能性があるのではないかという心配をするわけであります。で、この事実関係の報告を願うとともに、憲法との関係は一体この事実はどうかかわっておるのか、これも同時に御見解をお示し願いたい。  なお私はいろいろな実例をあげていままで各野党が事前協議の問題にしてきた。ところが、そのほとんどすべてが、簡単に言えば、日本基地を立つときに戦闘作戦命令を受けていなければもう事前協議の対象にならない。すべてそこに帰一をするわけであります。  それでいままで出てない例を一つ出して見解を承っておきますが、戦闘作戦命令を受けた海兵隊員を直接戦場に輸送する行動戦闘作戦行動に入るかどうか、これだけ承っておきます。
  68. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ただいま御指摘になりましたよう事態があったかどうか、これはいまここに資料を持っておりませんので、お答えすることはできませんが、その時点では、いわゆる自衛隊というものはありません。したがって占領下においては海上保安庁が掃海業務を担当しておったわけです。したがってその後、ちょうど朝鮮戦争が起こりました年、昭和二十五年の七月、警察予備隊、いわゆる自衛隊の前身が発足するわけですね。その後海上自衛隊というものが約一年くらいたってから発足するわけです。その時点で、海上保安庁が担当をしておりましたいわゆる魚雷等の処理、掃海業務というものは、自衛隊の任務として、法律によって明確化したわけです。したがっていまこの問題を提示されて、国連軍に偏入をされたりあるいは米軍の要請によって掃海業務に自衛隊が当たるということはあり得ない、これは私が先ほど答えたとおりであります。こういう問題は、いろいろ国民的不安を醸成しやすい問題ですから、誤解があるといけませんので、はっきり申し上げておきまするが、今日の自衛隊が現存しておる状況においては、そういうことには絶対ならない。占領下の海上保安庁がそういう業務を行なったかどうか、これは調査をしたいと思います。
  69. 福田赳夫

    福田国務大臣 戦闘作戦行動であるかどうかということにつきましては、厳密に言いますと、主観的条件と客観的条件、こういうものが必要だろうと思うのです。主観的条件とは、戦闘作戦行動に移る、移らせるという統帥部の意思表示、これはまさに一番端的にあらわし得るものは行動命令である、こういうふうに思います。  それから客観的条件とは何だというと、武器、弾薬、戦闘に必要な装備をしている、こういうことです。そういう実態を備えておる。そういう主観、客観の条件を備えておる出動行為、これが戦闘作戦行動への出動である、こういう理解をいたしておるわけであります。
  70. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私はそんな理解を聞いておるのじゃなしに、具体的な例を一つあげて聞いたのです。どうなのか。つまり戦闘作戦命令を受けた海兵隊を直接日本基地からベトナム戦場へ輸送する行動戦闘作戦行動に入るか、こう聞いておるのです。
  71. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま申し上げました条件に、第一の点、主観的条件、これは当てはまるようです。しかし第二の点、これは楢崎さんのいまのお話だけではちょっと判断できない。これはほんとうに戦闘のための装備をした、こういうような客観性を持っておるものであるかどうか。その三つがそろえばこれは戦闘作戦行動への出動である、こういうふうに理解します。
  72. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それではたとえば岩国のファントムが作戦行動命令を受けて、明確に受けて飛び立ったときには、途中どこに寄ろうとそれは事前協議の対象になりますね。
  73. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま申し上げました二つの要件を整えて出動いたしまする場合は戦闘作戦行動への出動である、こういうふうに理解いたします。
  74. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いや、私が聞いた点に明確に答えてください。戦闘作戦命令を明確に受けておれば、たとえばフィリピンにちょっと寄って給油してベトナム戦場に行くというような場合も、事前協議の対象になりますねと聞いておるんです。
  75. 福田赳夫

    福田国務大臣 単なる、たとえばフィリピンへの移駐であると、そういうような場合、これは事前協議の対象にはいたしません。ただ、私が申し上げておりますのは、この二つの条件、主観的条件、客観的条件、これを兼ね備えておるという場合には、これははっきり作戦行動への出動である、こういうふうに理解します。
  76. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは、時間がありませんので、最後にまとめて聞きますから……。  そうすると、戦闘作戦命令を受けたかどうかというのは、一番究極のポイントになるわけでしょう。受けたかどうかは、アメリカから言われる以外にない。アメリカが言うということは、つまり事前協議を申し込む、そのこと以外には把握のしようがない、そのようにお考えですか。客観的のほかに、戦闘作戦命令を受けたかどうかをアメリカが言うこと以外に客観的に把握する方法、手段がありましょうか。その点どうですか。
  77. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいまはアメリカのそういう通報を信用する、こういう考え方です。日米の信頼関係、そういうものから見てそれで十分である、かよう考えております。
  78. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それが十分でないのですね。私は、時間がありませんから……。私は一つ方法があると思います。それは、VOAが心配されたような機能を果たさせないために、傍受をして、そしてチェックをするという方法沖繩のVOAについては講じられておりますね。それとやや似ておるのです。私は、日本基地から米軍機が飛び立つ際には、計器飛行の場合は全部フライトプランが管制センターに出されておる。それには目的及び目的地が書いてある。そのフライトプランを四月、五月、二カ月間、日本基地、たとえば岩国――岩国だけ一応例にしましょう。岩国を例にして、四月、五月のフライトプランを管制センターが把握しておる限り全部出せるかどうか、それが一つ。  それから、そのフライトプランが流れてくる際には、いわゆるテレタイプの通信回線の優先順序があるはずであります。その優先順序と、緊急を要する戦闘作戦命令が出たかどうか、これは重要な関係があるはずであります。  そこで、その優先順序はこのようになっておるはずであります。最初が、一番きびしいのがSS、次がDD、次がFF、次がJJ、次がLL、次がKK、これがいわゆるテレタイプの一番上に出てきます。このSS、DD、FF、一番最初の三段階ぐらい、これはどういう内容のときにこの優先順序がきまるのかどうか、これが二番目であります。  三番目に、米軍岩国基地司令官と福岡管制部はいわゆる協定書を結んでおるはずであります。たとえばその協定書の中にはASW、アンチ・サブマリン・ウォーフェア、つまり対潜作戦の場合は最優先権を与えるというような条項が含まれておるはずであります。これを資料として出せるかどうか。  以上、どうですか。
  79. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま御指摘の通信の順序、一番目がSS、これは非常報、いわゆる遭難なんかの場合は一群最優先であります。次が安全報、これはFFといっております。これはフライトプラン、それから発報。次がGG、これは運航報といっておりますが、フライトプランの変更、着報といっております。その次がJJ、これは業務報でございますが、NOTAMその他の一般の通報でございます。それからその次にSVというのがございます。これは局報でございまして、通信運用上の通報ということになっております。それから最後がLL、これは一般の事務報ということになっております。これが通信の順序でございます。  それからもう一つ、協定書の問題、これは岩国と福岡の管制部との間にローカルアグリーメントがございます。これにつきましては、全文は合同委員会関係の書類でお出しできませんけれども、先生御指摘のASWですか、その辺は確かめまして御報告を申し上げられると思います。
  80. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私がお伺いしているのは、防衛庁長官でよろしゅうございます、最後ですから。  このテレタイプの通信回線の優先順序、これが戦闘作戦命令が出たかどうかの一つの判断に私はなると思う。それが一つ。いま一つは、戦闘作戦命令が出た場合にはどういう暗号が出ておるか。これは防衛庁は把握しておられますか。
  81. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはわれわれのほうで把握いたしておりません。
  82. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は、これは把握していると思います。そしていまのフライトプランは自衛隊も全部把握しておるはずであります。ここに私はその点から一つのチェックができる、外務大臣このように思うのです、日本側から。ただ一つ二点についてこの問題も抜け穴がある。一つは何かというと、有視界飛行の場合はフライトプランを出さない。だから全然どこへ行っておるかわからない。これが一つの抜け穴。いま一つは嘉手納の管制センターがまだ日本に返らない。あと二年ぐらい返らないそうであります。嘉手納管制センターが日本に返っておれば当然追跡できる。――福岡管制部のカバー範囲は緯度の何度になっておりますか、南のほうは。
  83. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 北緯三十度まででございます。
  84. 楢崎弥之助

    楢崎委員 北緯三十度までは追跡できるけれども、それから先は目的地をベトナムと言わないでフィリピンならフィリピンと書いておけば、北緯三十度以降は福岡管制部の管制ができないから、追跡ができないから、これはどうなっているかわからないわけですね。あとどっちに行っているか追跡できない、こういう抜け穴があることはわかっております。しかし先ほど申し上げたとおり、フライトプラン、四月、五月、岩国の軍用地、それからローカルアグリーメント、岩国と福岡管制部、これをぜひ出していただきたいと思います。そのほか懸案にしておる問題は、次の機会にひとつ御答弁をいただきたい、これで一応問題を残しながら終わります。
  85. 櫻内義雄

    櫻内委員長 西中清君。
  86. 西中清

    ○西中委員 ベトナム戦争が激化いたしまして、四月上旬以来横須賀の空母コンステレーション出港、その後岩国からの海兵隊及びファントムF4出動、さらにはスカイホークの二個中隊出動、その他米陸軍相模補給廠での戦車の修理、佐世保における駆逐艦の修理補給作業、広の弾薬庫からのベトナムヘの出港、こういうような矢つぎばやの日本本土における在日米軍基地動きというものは非常にあわただしい状況になっております。先ほど防衛庁長官は、日本米軍基地は静かである、比較的平静であるなどとおっしゃっておりますが、少なくとも国民は、そうしておのおのの基地においては、非常な不安感を持っていることは疑いのない事実であろうと私は思います。かねてよりの事前協議に関するこれら事例の問題点はすべて対象にはならない、こういうようなことでございました。ある面では、事前協議というものが少なくともこれら軍事行動について機密事項であるという考え方に立てば、将来ともにいままでと同じよう事前協議が発動されることはないのではないか、私はそのよう考えておりますが、この辺の問題について、国民は事前協議がどこまで歯どめとしての役目を果たすかどうかということについて深い関心を持っておるし、いままでのところは少なくとも政府はこれについて国民を納得させるだけのものを持っておらない。今後ともおそらくこの事前協議の発動はないのじゃないか、このよう考えておるのですが、この辺のところに対する見解を最初にお伺いしたい。
  87. 福田赳夫

    福田国務大臣 事前協議の制度が始まりましてから十二年になりますが、そういう制度の適用のあったケースはありません。今後、今日のベトナム戦争事態考えてみますと、これは非常に遠いところで戦闘行為があるわけであります。そういうことでありますので、私はベトナム戦争に関する限りにおきましてはこの事前協議制度の発動というケースはないのじゃないか、こういうふうに予想をしております。万一ありましても、しばしば申し上げますとおりノーという立場をとっておる。では将来はどうだということになりますと、非常に近接したところで非常な事態が起こる際にはあるいは事前協議というような問題が起こるかもしれぬ。その際におきましてイエスと言うかノーと言うか、これはそのときの情勢判断である、国益を踏んまえてきめるという性格のものである、かよう考えます。
  88. 西中清

    ○西中委員 この論議はしばらくおきまして、時間もわずかでございますので具体的な問題に入りたいと思います。  B52が沖繩に飛来をしてきたという情報がございました。その際に政府が発表いたしましたのは台風と気候状況が非常に悪い、こういうような発表があって、現地の米軍は給油のため、こういう食い違った報道があったわけであります。これはあまりにも違い過ぎる。少なくとも関連性のある話で誤解があったとかなんとかというならわかるのでありますが、全く異質の答えが出ておるということはどういうことなのか。両者の間には全く関連性がないと思いますが、このようなところはどういうふうになっておるのか、簡単に答えていただきたい。
  89. 福田赳夫

    福田国務大臣 東京における発表も沖繩における発表もこれは食い違いはないんです。つまり気象が問題になるわけですが、気象のために空中給油ができなくなった、こういうことです。そのために不時着をするということで、これは矛盾も何もありません。
  90. 西中清

    ○西中委員 矛盾もないというのは外務大臣の一方的な言い方だと思います。受け取るほうは非常なショックです。この辺はアメリカの言明というものはしばしば疑わしい問題がある。いい例でいけば、かつてのトンキン湾事件、これは典型的な例だろうと思います。当時米上院でも、北ベトナム側は、これはトンキン湾事件のときはこの事実を否定した。また、米上院では、全くの捏造であったということが最終的に暴露をされております。すなわち、当時米軍はトンキン湾海上にあった米軍艦に対して北ベトナムの水雷艇数隻が暗雲がたれ込めていた夜陰に乗じて攻撃してきたというふうに言っております。しかし、当日は晴天であり、月が明るかったというのが実態である。要するにアメリカはそういうような御都合主義な声明をして、これは特に軍部ではないかと思いますが、そういう声明をするという少なくとも前歴がある。今回は気象状況が非常に悪かったということについては、気象庁の発表では違うようになっておりますが、その辺の実態はどうなんでしょうか。
  91. 福田赳夫

    福田国務大臣 その後気象状況を確かめてみましたが、この飛行機の目的地でありまするところのグアム、その周辺は晴天であります。しかし、沖繩周辺、これは気象状況は非常に悪い状態であった。空中給油というのは非常にデリケートな行動ようでありまして、気象がかなり影響する、こういうふうに言われていることをつけ加えさせていただきます。
  92. 西中清

    ○西中委員 B52については、沖繩県民が、かつていわゆる県民運動としてかちとって、世論の盛り上がりによって米軍としても考えざるを得ないという過去の経過がある。いわんやまだ返還されて旬日のうちにこのB52が飛来した。外務大臣としては事前に通告を受けておられたと思いますが、その瞬間少なくともそういうことを政治的に配慮して、これは非常にまずいことだ、すぐに空中給油が絶対不可能だという確認をした上で、これはOKを出すのが、私は道理だと思いますが、その点はどうなんでしょうか。
  93. 福田赳夫

    福田国務大臣 二十日の日の午前八時に私はそういう通報を受けたのです。それで九時ごろに着陸をするのだ、こういうことであります。これはもうその事情いかんをせんさくしている余裕も何もありません。私はこれはやむを得ざることである、これを拒否するということになったら、これは一体どうなんだ、たいへんなことになりはしないか、そういうふうに直観をいたしたわけでありまして、これは事前協議ではなくて、事前通報ではありまするけれども、これはやむを得ないことである、そういうふうな認識を持ったわけであります。
  94. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、今後天候が悪いという理由があればいかなるときも全部了承されるわけですね。
  95. 福田赳夫

    福田国務大臣 私はその通報を受けたその後におきまして、インガソル大使に会いました。その際に大使、これは新しい方でございまするから、特に申し上げておく必要があろう、こういうふうに思いまして、B52に対する日本国民の感触、これは非常に悪いのだ、これを申し上げたのです。そして、今回は緊急着陸である、やむを得ないことである、それを了とするけれども、今後緊急着陸といえども反復しないような配意は、これはしてもらいたいということを申し入れてあるわけなんです。同時にわが国民はB52の移駐につきましては、非常に強いアレルギーを持っておる、この移駐も絶対にないようにあらためて要請をしておく、こういうことをいたしたわけでありまして、その私の二つの要請に対しまして、アメリカ大使はこれを了とする、承知いたしました、かように申しておる。それだけの努力をいたしておることをひとつ御了知願いたい。
  96. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、場合によっては再び来るということもあり得るということでございますね。
  97. 福田赳夫

    福田国務大臣 なるべくそういうことがないように配意してもらいたい、こういうことを言っておるのです。しかし、絶対に私はないというわけにはいかぬと思います。これは天変地異、何が起こるかわからぬ、そういう際に不時着と、それを言ってくる、困る、困ると言う、これはたいへんな人道上の問題にも発展するのじゃないか、こういうふうにも思います。そういうことは絶対にないと、こういうふうには確言はいたしませんけれどもアメリカ側においては緊急着陸といえども、これが反復しないように最大の配慮をする、こう言っておりますから、それで十分のことじゃありませんかと、こういうふうに考えておる。
  98. 西中清

    ○西中委員 話を変えますが、ベトナム戦争で実際に戦闘作戦を行なった軍隊または航空機、軍艦、これは日本に来る場合は事前協議の対象ではなく、自由である、こういうよう政府見解でございますが、まことにこれはわれわれとしては納得しがたいものでございます。従来の戦争であっても、また自衛行動による戦争であっても、また安保理事会ないし総会等の決定による軍事的制裁行動であっても、戦争というその性格には私は変わりはないと思います。これは国際法的にも一応一致した見解ではないかというふうに考えます。要するに、ベトナム戦場でさんざん戦闘した軍隊や航空機や軍艦が第三国で便宜を受けるならば、他方の交戦国がこれを攻撃するのは当然の権利であるというよう考えるわけです。ですから、こういう関係からいきますと、先ほども椎名外務大臣の答弁を引かれまして楢崎委員質問しておられましたが、敵性を持つということでしょう、一言でいえば。こういう点でいけば、戦争というものは、要するに聖域というものはないのじゃないか。少なくとも今日日本が補給にしろ何にしろ、相手方から見れば、在日米軍基地というものはこれは聖域であるということは言えない、私はそのよう考えますが、その点どういうよう外務大臣はお考えになりますか。
  99. 福田赳夫

    福田国務大臣 日米安全保障条約はわが国にとって最も大事な条約でございます。この条約はこれは厳粛に守っていかなければならない、こういう立場わが国はあるのであります。この条約によりますると、米軍の資材の補給あるいは補修、修理、これは認める、事前協議の対象としない、こういうことになっておる、これは御承知のとおりであります。それをこのベトナム戦争、その関連で認める、私はこれはもう当然のことじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  しかし、国民においていろいろ心配する向きがある、そういうことにつきましては、先ほどB52三機のことにつきまして申し上げましたが、できるだけの配意はする。しますけれども、当然の権利としてわが国米軍のそういう補修あるいは補給ということを拒否し得る立場にはないということもまた御了知願いたいのであります。  大事なことは、わが国がこの条約は大事だからといって、この大事な条約のゆえに戦争に巻き込まれるということがあっては断じて相ならぬことである、こういうふうに考えております。そのための歯どめとして事前協議はある。事前協議はこれを厳格に施行する、こういう方針である。私は大多数の国民はあの遠いベトナム戦争日本が巻き込まれる、こういうふうな感触は持っていないのじゃないか、そういうふうに観察をいたしております。
  100. 西中清

    ○西中委員 距離の遠い近いの問題じゃない。いま申し上げておるのは、在日米軍が絶対攻撃されない聖域であるというように、こういうようにお考えなのかどうなのかということを聞いておるのです。
  101. 福田赳夫

    福田国務大臣 ベトナム戦争につきましては、事前協議を要するよう事態がありましても、わが国はノーと言うと、これはつまりアメリカの在日基地を、これを作戦行動基地としては使わせないというかたい考え方をとっておるわけであります。したがいまして、何もこれが報復爆撃を受けるという立場にはない。わが国北ベトナムに対しまして主観的にも客観的にも戦争しておるという状態ではありません。あの北爆の最中でも北ベトナムの産業視察団がわが国に来ておる、こういう状態でありまして、私はそういうような不安というものは大多数の国民は持ってないのじゃないか、そういうふうに観察をいたしております。
  102. 西中清

    ○西中委員 私は現実論を言うているわけじゃない。要するに聖域であるかないか。いまのお話しですと、聖域であるというふうに判断されておるのかどうか、この点もう一ぺん……。要するに北ベトナムとしては絶対法的に考えてこれを攻めるべき場所ではないというふうに考えるべきものだ、政府はそういう見解をとっておるのかどうかという点です。
  103. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、北ベトナム国がわが国が敵性国家であるというような認識は持っておらぬ、かよう考えております。
  104. 西中清

    ○西中委員 そうすると椎名外務大臣の答弁は変更したということでございますね。
  105. 福田赳夫

    福田国務大臣 まあ椎名外務大臣は私と違いましてたいへんな大ものでございまして、かなり大胆なものの言い方をする方でありますから、法的に詰めておっしゃっておられない場合がしばしばあることを私も感じるのでありますが、私が言ったところでわが国政府立場は御理解願いたい、かように存じます。
  106. 西中清

    ○西中委員 そうすると椎名元外務大臣は法的には詰めた話をしておられなかったということになりますね。
  107. 福田赳夫

    福田国務大臣 私のただいまの答弁で政府立場は御理解願いたい、かように存じます。
  108. 西中清

    ○西中委員 そういういいかげんな答弁はおかしいですよ、ほんとうに。少なくとも国会においてきちっとこれは敵性があるというふうにはっきり申しておられるのです。外務大臣はしないとおっしゃるなら、今度は敵性を持たないという法的根拠はどうなりますか。
  109. 福田赳夫

    福田国務大臣 それもまた先ほど申し上げましたように主観的な条件、客観的な条件、三つの問題があると思うのです。わが国北ベトナム戦争しておるという主観的な立場にはありませんです。だれも一人も北越と戦争していると考えている人はいないと私は思います。それから客観的にわが国米軍基地がある。しかしこの基地から戦闘作戦行動の場合に出撃するということがありますれば、これは事前協議の対象となり、それに対しましてはノーという態度をとっておる、客観的にもそういう事態はあり得ないのであります。したがいましてわが国はそういう北越と戦争しておるのだというよう立場にはない、北越もまた北越だと思う。つまり先ほども申し上げましたように、非常に友好的な雰囲気もあるわけなんでありまして、日本戦争しているのだ、そういうような気持ちは一片もない、かように見ておるのであります。
  110. 西中清

    ○西中委員 これは自衛権の問題になります。  それで時間がおそくなってからあとまた、二十分いただけるそうですから、そのときに続けてやるとしまして、B52に対するKC135の給油についてお伺いしたいと思います。これは簡単にお願いします。  空中給油の往路は事前協議の対象になるのかならないのか、帰路は事前協議の対象になるのかならないのか、確認の意味でもう一ぺん聞いておきます。
  111. 福田赳夫

    福田国務大臣 行く場合、これがベトナムに向けて戦闘作戦行動に参加するという条件を整えて発進をする、そのための給油であるというならば、これは事前協議の対象となります。しかし帰りがけであるという際におきましてはこれは事前協議の対象にはならない、そういう見解です。私はいま地上のことを申し上げたわけです。空中につきましては行きも帰りもこれは事前協議の対象にはいたしませんです。
  112. 西中清

    ○西中委員 空中の給油をしなければ航空機というものは爆撃に行けないわけです。それを事前協議の対象にしないというのはどういう理由によるのでしょうか。
  113. 福田赳夫

    福田国務大臣 それはしばしば申し上げているのですが、補給活動であるから、こういうことなんです。ところが地上の場合、事前協議の対象とするのはなぜかというと、補給ではありますけれども、その補給を足がかりといたしましてベトナムに向かって爆撃のために出撃をする、こういう出撃という問題が付加される、そういうことなんです。そこで私は、非常にデリケートな問題である、ひとしく補給だというのでどういうふうにするかということをいろいろ考えてみたのですが、そこは割り切って考えないとあとで紛議を起こす、こういうふうに考え、ただいまのような結論を下した、こういうふうに御理解願います。
  114. 西中清

    ○西中委員 それは一方的で、国民はだれひとり納得してないだろうと思いますね。少なくともこの給油がなければ爆撃ができないという点になれば、これは密接な戦闘作戦行動といっても私は言い過ぎではない、このよう考えます。  そして、ここでお尋ねしておきますが、福田外務大臣戦闘作戦行動と密接な補給活動は事前協議の対象となるというふうにお述べになっておりますが、この戦闘作戦行動と密接な補給活動とは何をさすのでしょうか。その辺はどうでしょうか。
  115. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは戦闘作戦行動と補給活動が一体不可分のよう関係、例をあげますと、よく言うのですが、落下傘部隊が降下をする、その降下部隊に対しまして上空から爆弾等を投下する、こういうようなことはこれは降下部隊の作戦行動とそれから物資を補給する投下活動とがもう一体のものである、そういうようなことで、そういう場合におきまして、沖繩から爆弾を積んで発進する、これは事前協議の対象とする、こういうことを申し上げておるのです。ところがいまの油の補給の場合になると、非常にまぎらわしい問題なんです。そこで私は言っておるのですが、そういうまぎらわしい問題であるから、割り切った考え方をしてはっきりさせておかないと、あとで紛議をかもす、こういうことなんです。
  116. 西中清

    ○西中委員 日本政府は、実際これが帰路の場合は問題ない、爆撃に行く、戦闘作戦行動に行く場合にこれは事前協議の対象になる、地上給油ですね、こういう判断でおられますが、そのチェックはどういうふうにしてなされるつもりですか、これははたして行くのか帰るのかという……。
  117. 福田赳夫

    福田国務大臣 これはケース・バイ・ケースでチェックの方法はいろいろ変わってくると思いますが、一つは、先ほどから申し上げているように、主観的の条件はどうだ、つまり戦闘作戦行動命令を受けているかどうか、また実態は爆弾を積載し、そういう戦闘の実態、隊形を整えているのかどうか、そういう点で判断をする、こういうふうに御理解願います。
  118. 西中清

    ○西中委員 実際問題としては、これは米軍から一々報告を受けなければわからぬじゃないか、私はそういうふうに思います。ですからこういう論議は実際事前協議の解釈について、ことばのあやだけで済まそうというような印象はどうしてもぬぐえない。  それから、先ほどちょっと聞きのがしましたが、空中給油の場合は、ベトナムの往路も帰路も、これは事前協議の対象にならないとおっしゃいましたが、間違いございませんか。
  119. 福田赳夫

    福田国務大臣 間違いございません。
  120. 西中清

    ○西中委員 これは四十四年三月十三日の愛知元外務大臣の参議院予算委員会の答弁でございますが、「ベトナム爆撃に向かうB52に空中給油のため、日本基地を使う場合」は事前協議の対象になるかとの質問に対しまして、「給油の場合も明らかに発進する飛行機が作戦のために飛び立つという戦闘命令を受けて途中で給油をする場合はその範疇に入る」、すなわち事前協議の範疇に入ると、こういう答弁をしておりますが、それはいつ変わったのでしょうか。
  121. 福田赳夫

    福田国務大臣 いまお読み願った愛知答弁、それを聞いておりますと、戦闘作戦命令を受けまして飛び立った飛行機、つまり、これはおそらく沖繩基地のことを言っているのじゃないかと思います。それに対して給油をする、そのケースのお答えじゃないかと、こういうふうに思います。よく愛知答弁が引用されるのですが、私はいま愛知答弁を覚えておりませんけれども、私ども統一した見解は、空中給油が事前協議の対象になるのだというようなことは言っておらぬ、こういうふうに承知しております。
  122. 西中清

    ○西中委員 これをグアムの場合であるとしたならばどうなのですか。変わったということですか。
  123. 福田赳夫

    福田国務大臣 グアムの場合は、グアムから飛んできて沖繩に着陸する、そこで給油を受ける。そこから爆撃のために発進をするという際には、これは事前協議の対象になります。しかし、沖繩には立ち寄らぬ、グアムから発進して直路ベトナムへ向かう、それに対しまして給油を行なうという際におきましてはこれは事前協議の対象にはいたさぬと、こういう見解です。
  124. 西中清

    ○西中委員 時間がございませんので、あと一つだけまとめてお聞きしておきます。  アメリカ北ベトナムの沿岸を機雷封鎖いたしましたが、その封鎖はどういう種類の封鎖になるのか。いわゆる戦時封鎖か、それとも平時封鎖なのかということですね。戦時封鎖は中華人民共和国を含めてすべての国の船舶の封鎖線突破を禁止しております。平時封鎖は原則として対象国の、沿岸国の船舶の出入りを禁止するが、第三国の船舶は対象外とされておる。要するに戦争の第三国の船舶は対象外とされておる。ですから、新聞報道によりますと、米当局は第三国の封鎖侵犯に対して実力を行使して阻止するというような意味のことでございますが、こういう点で戦時封鎖になるのか、平時封鎖になるのか、こういう点をひとつお聞きしておきたい。  そして、この場合いろいろと問題があるわけですが、この封鎖によってわが国が受けるかもしれない損失、機雷に触れるという場合もあるでしょう、それから石炭等を買いつけておりますから、それに対する業界の損失ということもございましょう、これは米国に補償要求をすることはできるのかどうなのか、その辺のところを最後にお聞きをしたいと思うのです。
  125. 高島益郎

    ○高島政府委員 国際法上の問題でございますので、私から簡単にお話しいたします。  アメリカ国連の安保理事会にこの機雷封鎖措置の直後に報告いたしておりますけれども、この中でも書いてございますとおり、封鎖ということばは一言も使っておりません。したがいまして、これは最初から国際法上のいわゆる封鎖というものではない。ただ実際上の効果といたしまして機雷敷設という行為は封鎖と同じような効果を持ちますけれども、しかし、ただいま先生がおっしゃったとおり第三国に対する臨検とか拿捕とかいろいろ貨物の検査ということは絶対行なえないわけでございます。したがいまして、ただ封鎖じゃなくして、機雷敷設の結果としまして実際上に第三国の船が多少の被害を受ける、国によってはたいへん被害を受けるということはございます。特にこの報告に書いてございますとおり、これは北側が一九六八年の約束に違反して公然と休戦ラインを突破して出てきた、これに対する措置としてどうしてもこういう補給を停止する措置をとらざるを得なかったということが理由になっております。その措置のためにとった、そういう目的のためにとった措置であるというふうに考えております。ただ先生が御指摘になったようないわゆる第三国に対する影響、これをどう考えるかという――日本も含めてでございまするが、これも非常に国際法上はむずかしい問題があろうかと思いまするけれども、このような戦闘行為、いわば合法的な戦闘行為の結果、第三国に若干の影響があるということは、これはやむを得ないことかと思います。ただ、これはあくまでも自衛権の一つの法理でございまするけれども、侵略に対しまする自衛行為、これはいわゆる均衡を保たなければならない。したがって侵略をどのように評価し、これに対応する措置として適当であるかどうかという問題はもちろんあろうかと思います。しかしいずれにしましても、そのために第三国に絶対に影響を与えてはならないというところまで厳重に解釈できるものかどうか、これはまだ結論を得ておりません。
  126. 西中清

    ○西中委員 戦時封鎖でも平時封鎖でもないということですか、その点だけはっきりしておいてください。
  127. 高島益郎

    ○高島政府委員 先ほど申しましたとおり平時封鎖でないことはもちろんでございますが、戦時封鎖でもありません。戦時封鎖と申しまするのは、国際法上ある一定の港湾等を軍艦等をもちまして完全に封鎖して、敵の艦船並びに第三国の艦船がいかなる方法によっても突破し得ないような厳重な封鎖線を敷いて、そこでいろいろ中立国の船舶等を臨検し捜索し拿捕することができる、そういうものであります。
  128. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  129. 櫻内義雄

    櫻内委員長 曽祢益君。
  130. 曾禰益

    ○曽祢委員 きょうはおそらく総理国会の当委員会における少なくとも最後質疑応答になるのではないかと思います。そこで、時間が非常に短いので残念ですけれども日本の当面する外交、この外交はどなたが衝に当たられるにいたしましても非常に重大な問題がいま山積していると思いますので、その幾つかをあげまして総理と私との間の意見の交換ということになりますか、簡潔に私も意見を交えて御質問し、総理からもはなはだ恐縮ですけれども簡潔にお答えを率直にお願いしたいと思います。  まず最初に、何といっても今後とも日米関係日本にとってまたアメリカにとっても非常に重要な外交課題であろうと思います。そこで、いろいろな観点から日米間にわだかまるあるいは存在する問題があるのですけれども、何といっても一つはやはり日米安保を時代に事情に即しながら、その必要なものは当面これを使っていかなければいけないけれども、やはり新時代に応じた検討を加え、実質的にあるいは形式的にも必要な修正、改定を加えていくことが問題の一つだと思います。それは何といっても、先ほど来も議論が出ておりました駐留と基地の問題、そのあり方、これは大体においてやはり基地駐留というものは、常時駐留というものを減らしていく、これは本国に帰ってもらう、沖繩を含めてでありますが……。この問題と、しかし残る基地が極東のための基地として使われる限り、常に事前協議の問題が残るので、この事前協議についてもやはり行き過ぎがないよう現実的な事前協議に対する歯どめを明らかにしていく、強めていく、こういう関係が必要ではないか。駐留基地のあり方の検討、そして常時の縮小、事前協議の明確化、それでそういうことの積み上げの中からやはり安全保障のあり方についても日本中国との国交回復、日本ソ連との領土問題を含む平和条約の締結と相まって、これらの国とも個別的な不可侵条約等を併用していく、日米安保がありながら併用していく、こういうような大きな安保の一つの新しいあり方に対する間断のない検討が必要だと思います。この点についてまず総理のお考えを伺います。
  131. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 日米関係をいまのような緊密をいまのような緊密な関係を持続する、これは同感でございます。  安保条約を再検討しろ、こういうような発言でございますが、ただいま言われるように、私とあなたとの間でこれが最後のやりとりだろう、かように言われますので、ただいまの再検討するという時期は私の時代には来ない、かよう考えますので、これははっきり申し上げておきます。  なお、日中、日ソ、この関係については、これまたいわゆる等距離、こういうことは私は申しませんが、もちろん日本は十分それらについても考えていくべきだ、かように思います。  ただ、私は誤解のないようにお願いしておきたいのは、日米間を大事にするといたしましても、いまの日本基地のあり方、これはこのまま続いてよろしい、かようには言えないし、ことに返ったばかりの沖繩基地、この態様はよほど変化があってしかるべきだ、かように私思いますので、それらの点はいま言外に述べられたその点を私どもも十分含んで取り組んでいかなければならない、かように思います。
  132. 曾禰益

    ○曽祢委員 総理が巧みに、だいぶ先の話であるからという意味でお答えにならなかったのですけれども、当面の問題としても問題になっております、何といっても極東のための基地の使用が、直接戦闘作戦行動の発進の問題はむろんのことであるけれども、一般的な補給活動等についても、単にベトナムが遠いから戦禍をこうむらぬということじゃなくて、ベトナム戦争に対する国民的な嫌悪感というものもあります。そんなことから、極東の平和と安全のためということがベトナム戦争まで続くのだという安保の解釈そのものにも非常に無理がある。あなたと私とのかなり貴重な本国会会期中における応酬の中にも、あなたも認められているように、すでに六九年の佐藤・ニクソン共同声明のあの台湾に対する言及、台湾海峡の安全に関する言及あるいは朝鮮半島に対する言及についてすら、一言多かったということを率直に認められているようなわけで、そんな意味から、当面の問題としても安全保障条約のきちんとした厳格な解釈と適用ということは、ただ単に事前協議ということだけにかかわらず、もっと広く基地の利用、基地の存在そのものについていま問われているのだということは間違いないと思うのです。そういう意味でもっと積極的なお答えが得たかったのですけれども、そればかりやっていても時間がございませんので、この安全保障に関連してもう一つ大きな問題は、すでに本国会で非常に問題になりました日本の自主防衛ということから、ますますもって必要なことがシビリアン・コントロールの問題だと思うのです。自主防衛にいろいろ量的、質的の限界を明らかにするということと、それから自主防衛といえばいうほどますますシビリアン・コントロールというものを重要視して、これが今後の政治の大きな課題である、私はさよう考えます。  それからもう一つ、自主防衛といえばいうほど日本の武装の内容、つまり軍事大国の道を踏まないということをあらゆる観点から政治姿勢の問題として明らかにする必要がありますが、特に私は、核兵器、核に接近しないということは何回言っても言い足りないくらい重要な問題だと思うのです。  そういう意味から、やはり問題になっている核防条約の問題等も、いよいよ米ソの間のSALT、戦略兵器の制限交渉が少なくとも実質的に非常に進展しておる、あるいは協定ができるかもしれない。これはやはり二大超核大国の間に、多少なりとも核兵器に対する自制というきざしもあらわれている。また国連等を通ずる、核を持たないという国に対する安全保障のあり方についてもかなり突っ込んだ、ある大国だけにたよらなくても、複数の核保障の問題も若干進展している。問題は、平和利用を妨げない、あるいは核を持たない、平和的利用をする国だけ非常に不当な平和利用の制限になるようないわゆる保障をやらないように、国際原子力機関との話を詰めていく、そういうことが進むならば、日本の国策としては核拡散防止ということには肯定的な態度をとる、そのことによって、日本が現時点においても核兵器には接近しないという態度を、国会決議もあるけれども、おごそかな国際条約で明らかにする必要がありゃせぬかと私は思うのですが、この自主防衛に伴うシビリアン・コントロールの問題と核兵器に対する接近に反対だということを、何らかの国際的な意思表示をすることが必要だと思いますが、その点をどうお考えですか、お答え願いたい。
  133. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この国会でたいへん論争を呼びましたいわゆる自衛力、シビリアン・コントロール、これはたいへん収穫が多かった、私はかように思います。これは何といってもシビリアン・コントロール、政治が優先するという、そういう立場で理解される、またその意味においての国会の活動もより活発になるだろう、かように思います。  ただ問題は、その場合でも一つの問題がある。これは問題を提起するのにとどめますが、自衛力の限界は一体何なのか、どこなんだ、こういう問題が一つあると思います。自衛力だといって、これは使い方だけの問題だ、こういうことで強力な自衛隊ができてはずいぶん問題があると思います。したがいまして、そういう意味で自衛力の限界ということを十分私ども考えなければならぬ、かように思います。  ただ、いまの状況のもとにおきまして、小さくてもやはり近代的な武装兵器は持たなければならない。核は除いて、その他の面において旧式なものを大事にするというようなことでは、これは意味をなさない、かように思います。それかといって、日本国内に軍需工場が興ろうとは私は思いませんが、そういうことも念頭に置かないと、シビリアン・コントロールだけ口にして、自衛そのものが忘れられては困る。やはりわが国の安全を確保する、その観点に立って、ただいまのようなたいへん重大な問題ですから、これと取り組んでいくこと、これが望ましい姿ではないだろうかと私は思います。  また国会において決議をいたしました非核三原則、これは厳重に守られなければならない。その意味において、国会が積極的に非核三原則を約束した、国会決議をした、これは国民とともに将来の日本の自衛力のあり方を明示したものだ、かように私は高く評価してしかるべきではないかと思います。  そこでただいま言われるように、核拡散防止条約、そういうものに積極的にもうすでに調印はしているが、これがやはり批准を受ける手続をとる必要がある、また米・ソ・中・仏・英等核保有国に対しましても、積極的に核の防止ということについて、もっと厳重に監視体制もとられてしかるべきじゃないかと思います。  もう一つは、同時に、平和利用の面で非核三原則をとるがゆえにおくれをとる、こういうことがあってはならない、かように思いますので、これらの点におきましても平等の扱いを受けるように、われわれは一そうの努力を必要とするのではないか、かように思うのであります。  そういう意味において、さらに一つ考え方をいま御提示になったと思います。具体的にただいまどういう方法が最も望ましいか、これはまだ私にもわかりませんけれども、これは国際会議の場を通じまして、核を持たないもの、そういう国が平和利用の面でおくれをとることのないように十分考えをいたしてもらいたい、かように思います。また、米ソ両国の間でSALTについての話し合いができるということは、これはたいへんしあわせなことではないか、かようにこれは歓迎すべきことだ、かように思いますが、さらにそれが徹底して、いわゆる核保有国全体がやはり核についての感覚をもっと明確にさるべきだ、かように私は思うのでありまして、それらの点がこれから後の問題だろう、かように思います。私はいま、感じましたことを率直に御披露したような次第でございます。
  134. 曾禰益

    ○曽祢委員 日米間には、経済的な摩擦についても重要な問題がありますが、この重要性を決して軽視するわけじゃありませんけれども、より純粋政治的と申しますか、国際政治の問題の課題といたしまして、次に、これは同僚青木委員も提出された問題ですけれども、やはり日中問題について、私はもう何としてでも政府あるいは政府の代表者の交渉に移らなきゃならない。その場合、どうしても、いわゆる中国側の三原則といいますか、これはいろいろ表現等もございましょうが、私をして言わしめるならば、きわめて常識的な線として、要するに、中国を代表するものはいまやただ一つ、正統政府、正統の統は統べるという字を書いたのが正しいと思うんですけれども、要するに、中国という民族国家を代表するその唯一の相続人という意味の正統政府は、いまや人民共和国政府のみである、これが一つ。それから、台湾は中国の一部である、中国の代表者が中華人民共和国政府であるということを認めるならば、中華人民共和国の領土権はその中華人民共和国に帰属するという、これを私ども日本としては認めていい、そういう方向で認めるべきである。第三は、何といっても、かつて結んだ台湾の国民政府との間のいわゆる平和条約は、中国全体を代表する性格の政府との平和条約の資格はない。ゆえに、日本と大陸中国、中華人民共和国との間には、やはり形式的に戦争状態の終結及び平和国交という外交手続が済んでおらない、これだけは間違いがないことだ。以上のような、きわめてだれにもわかる常識的なセンスでこの三原則を受けとめ、正しいその方向において、それじゃ実際この日華平和条約をどういうふうに始末していくのか。存在の根拠が失われたといっても、それを一方的に破棄するということでなく、何か、これが新しい国交条約によって取ってかわられるということもあろうし、そういう問題、あるいは台湾と日本との事実上のいろいろな経済関係等の処理、こういうものを踏まえた国交調整の交渉政府の手でやらなきゃいかぬという、私はそういうことじゃないかと思うんです。そういう意味で、本国会を通じて何回も議論がされ、しかも統一見解まで出たのを、それをどう変えろとかいう問題でなくて、そういうきわめてあたりまえのこの常識によって、われわれは、ひとつ何とかして早く政府が、党内の意見もきめて、そして政府の態度をきめて、国交調整に臨むべきだと考えますが、これは非常に重要な問題ですから、総理の御答弁をひとつ伺わしていただきたいと思います。
  135. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 外交は、政府ばかりがやるんじゃなくて、民間外交ということばもあり、もうそれにずいぶんなじんできております。しかし、何と申しましても、最終的には政府が責任を持つ、これが近代国原の外交のあり方かと思います。さよう考えますと、隣の国、中国との間に平和条約もない、あるいは修好条約もない、そういう状態はこれは異常な状態といわなきやならない、かように私は思います。でありますから、昨年の国連において決議をされた、中国を代表するものは中華人民共和国だと、こういうことになったこの状態はわれわれもはっきり認識しておるのですから、その点に立って、そうして政府間の交渉をすべきだと、かように思います。ただ領土の領域について、われわれが放棄したその領域、これがどこの帰属だとか、かようにいうことはいかがかと思います。私ども発言権が実はないと、かように思います。そうして中国一つであるという、また中国一つであり中国を代表するものは、これはただいまも正統ということばを使われましたが、正統政府、それは国連で認むるように中華人民共和国だと、これに間違いはないのでございますから、それと話し合いをしよう、かよう日本はいっておるわけであります。ただ問題は、あのサンフランシスコ条約、それに引き続いて日華平和条約を結んだその相手国の扱い方いかんの問題であります。これは国連では昨年処理されました。しかしただいま曽祢君は簡単に、この日華平和条約は不当なものであるような言い方をされましたけれども、私はやはり原点に返って当時の状態を一度考えてみると、私は、吉田内閣が当時の国民政府を選んでこれと国交正常化と申しますか、戦争終結を約束した、これは、日華平和条約は、そういう意味において考えてしかるべきじゃないだろうかと思います。したがってただいまの状況のもとにおいて政府間で交渉する場合に、これから先の扱い方がどういうことになるのか、そういう問題が必ず起こってくる。そういう場合に、私ども基礎的な、基本的な考え方を見失わないようにすることが大事だと思います。これは何かといえば、中国は正統な、唯一正統な政府、それは中華人民共和国であると、そういう観点に立って交渉すべきだと、かように思います。そうして、ただいまお述べになりました点は、これは私どもの関与するところでないことなんです。さような観点に立って積極的な外交展開すべきじゃないかと、私はかように思う次第でございます。
  136. 曾禰益

    ○曽祢委員 意見の交換だけでいいんですけれども、あえてちょっと二言だけ反駁といいますか、意見を申しておきたいのは、一つは、私はこの条約が不当だということばは言わなかった。事情に適さなかった。初めから、これは吉田総理も好まなかったところだと思うのです、サンフランシスコ平和条約でどちらの政府も呼ばなかったのですから。ところが人民共和国政府でなくて台湾政府、国民政府との間の修好条約ぐらいは結べということを、言うならば選択の余地なしに選ばされたという事情がある。その事情はあっても、やはり結んだ条約ですから、その実体があるならば続いてもいいのかもしれぬ。実体は失われているんですね。すでにもう局地政権だけになってしまっているんだから、やはり平和国交をやるための妨げにならないよう考えていったらいいんじゃないかということを申し上げたわけであります。  もう一つの点もありますけれども、それだけで議論してても始まりませんから、意見意見として、次に日ソ関係ですが、これは言うまでもなく、何だか中国ソ連とをうまく手玉にとって、きわめて日本にふさわしくないマキャベリ的な外交をやれなんということは現実的でないし、私はそういうことを言うつもりは毛頭ございませんが、しかし、これはやはり日中国交回復という戦争あと始末と、日ソ平和条約によって本来の領土を回復することとはやはり並行的に――どっちが重要だ、どっちが先だということでなく、いずれも重要であるし、大体同時に並行的にこれを進めていくのが常識的な、しかも健全な外交ではないか、そういう意味で、日中国交調整の交渉がきわめて早く行なわれるであろうことを期待しつつ、やはり日ソ平和条約、領土問題の非常に重要ないまはポイント、時期だと思うのです。その時期にやることが一番適当である、初めて到来したチャンスであるし、このチャンスはやはり時期においてとらえる必要があるんじゃないかと深く考えますので、どうかひとつあなたの意見を、伺わなくてもわかっているようですけれども平和条約は結ぶけれどもどうも領土についてはまあ安保条約、日米安保の問題と関連させて、何かどこかに条約の留保条項にしておこうじゃないかというようなことではいかぬ。少なくとも歯舞、色丹はむろんのことですけれども、国後、択捉まではサンフランシスコ平和条約で放棄していないんですから、ここまでは平和条約締結とともに返させる。ほかについては私は勘弁してやってもいいような気がしますが、こういう基本精神で、これはもうことしの秋に絶対実現するような勢いで、そのためにばかりじゃございませんが、日ソの経済協力あるいは漁業に関する問題、幾らでも私はそういう問題に付随して、日ソ間の平和的な、経済的な交流の強化けっこうですけれども、この問題は積極的に進める必要があると思いますが、総理のお答えをお願いしたいと思います。
  137. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 日中の関係はただいま申したとおりであります。なお、この点でももう少し不足の点があろうかと思います。と申しますのは、日ソの場合に、鳩山内閣によって平和条約は締結しないけれども平和宣言をした。そういう段階が日中の場合にあるかどうか、これが一つあるわけであります。私は今日の日中間の問題になればああいうはうな段階をとらないで直ちに北京と話をする、これから中国の代表者と政府交渉を持つという、これが望ましいことではないか、かように思いますが、日ソ間にはいわゆる鳩山内閣のときの平和宣言なるものがある、それによって一応戦争状態はやんだ、しかし大事な国境線は決定されておらない、こういうことであります。しかし、ことしになりましてグロムイコ外相が来て、そうしてひとつ平和条約を締結しようじゃないか、これに賛成してくれた、これはたいへんな進歩であります。私はよく申すのでありますが、アメリカ、これも二回にわたってアメリカの占領している地域を返してくれた。一度は小笠原諸島、今度は沖繩、これは両方の人口、これを返してくれた。祖国復帰が実現する。だから、北方の領土の場合について見ましても、さようなことはあるいは一九五五年の鳩山さんのときの場合だと何だか十分に意を尽くしておらない、かように思います。ただいま御指摘になりますように、日本古来の領土、その主張をなぜしなかったか、北海道の一部である歯舞、色丹については、これは明確に言っておるが、国後、択捉についてはあまり触れておらないので、これが、われわれ国民的な要求と申しますか、主張から見ましても遠いもののような気がいたします。曽祢君はそれをはっきりとただいま発言して、そうして少なくともこれまでは確保すべきではないか、こういうことを言われます。私どもも同じよう考え方をしておりますので、ただいまの平和条約が締結される、こういう場合にはその線でぜひ進めたい、かように思いますので、これはどうか御協力を願いたいと思います。  私は、一番大事なことは、いま日米、日中、日ソこの関係、あるいは等距離の外交をしろという話があったり、あるいはもっと卑俗な例でいえば、これをかけ引きの道具に使って外交を進めろ、こういうふうな話がありますが、私ども外交は正々堂々と進むべき道を進む、こういう態度でなければ信頼は得られない、日本の信用を失うだけだ、かように思いますので、そういうかけ引きにとらわれることなしに、常々と要求すべきものは要求する、そういうことで等距離とは申しませんが、それぞれの特質を生かして交渉する、かよう方向で進みたい、かように思っております。
  138. 曾禰益

    ○曽祢委員 まだ朝鮮問題あるいは南北問題、発展途上国に対する日本基本的な積極外交というようなことについて伺いたいのですけれども、だいぶ時間を超過したので、半分以上は総理の熱心なる長い答弁のおかげだと思いますけれども、時間がありませんので、これをもって、あと外務大臣に対する質問にかえます。
  139. 櫻内義雄

    櫻内委員長 松本善明君。
  140. 松本善明

    松本(善)委員 総理に伺いたいのでありますが、沖繩協定が発効してから十日目になります。沖繩協定審議にあたっては、当時から問題になっておりました核部隊でありますとかあるいは謀略部隊について、十五日以降は変わるんだということを再々言われてきた。そのことを確かめるということはいま非常に大事な問題であろうというふうに思います。総理には核の問題に限って私はお聞きしたいというふうに思っておるわけです。  私たちの党の不破議員が今国会で、実際に核爆弾を扱っておる第四〇〇弾薬整備部隊のウエポンズブランチの問題を問題にし、それから伊江島の核攻撃訓練の問題なども問題にいたしました。これに対して総理は、第四〇〇MMSについて言うならば、これはもしあれば撤去してほしい――あのときの状況を覚えておられると思いますけれども、わざわざアメリカ局長を呼んでいま言ったところだ、こういう話でありました。それから伊江島の核攻撃訓練については、外務大臣が、もうそういうことは五月十五日以降はやらせないように厳重に警告するということを言われた、そうして総理もそのとおりだということを言われたわけであります。このほかにもありますけれども、一体この一つのことについてもうなくなったのかどうか、またこれは四〇〇MMSのウエポンズブランチについては撤去させる、それから核攻撃訓練はやめさせる、こういう方針でいるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  141. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 核があるかないか、これは大体沖繩返還に際しては、核は日本の政策どおりとする、こういうことをニクソン大統領が私と約束してくれたところであります。どうもそれだけでは不十分だという、なかなか日本は疑い深いといいますか、やはりどうも信用できない、かように申しますか、そこでこの十五日にいよいよ沖繩が返ってきた、その際にロジャーズ国務長官から外務大臣あてにそれらの点を書簡としてやはりはっきりさせてくれております。したがいまして、私は現段階においてとやかく言うことはないように思っております。もしもこれが疑いがあるようならば、そういう不信な相手国と安保条約を締結するということはたいへん危険なことだ、かように思っております。私はその一事をもってしても政府自身アメリカを信頼している、だから安全保障条約を結んでおるんだ、かように御理解をいただきたいと思いますし、ただいまの状態においては何ら疑うべき点はない、かように私ははっきり申し上げておきます。  ただ訓練その他の点について私はまだはっきりしたお答えができませんから、いま事務当局から答えさせます。
  142. 吉野文六

    ○吉野政府委員 伊江島における核模擬爆弾の投下訓練につきましては、わが方としては米側に対してまず第一にこのような核模擬爆弾の投下訓練を行なっているかいないかということを照会するとともに、このような投下訓練が行なわれている場合は復帰後はこのような訓練を差し控えるように申し入れてきました。これに対しまして米側としては、常に一定の技術的水準を維持していかなければいかぬ。したがって多種多様の訓練を行なっておる。ことに核攻撃を受けた場合の対処訓練とか模擬爆弾の投下訓練も一般的に米側の訓練の一環としてこれをやらないということは約束できない。しかもこれは安保条約では禁止されていない、このように先方は返答いたしました。これに対しましてわが方としては、わが国民の核兵器に対する一般的な感情にかんがみまして、なお米側に対してこの点はひとつ再考慮してくれ、こういうことを申し入れております。
  143. 松本善明

    松本(善)委員 総理確信していると言われるけれども、ロジャーズ国務長官の書簡をと言われるわけですけれども、これは六九年の十一月の日米共同声明の八項の引用にすぎない。もう六九年から論議をし尽して、それでもみんな日本の国民は疑っているのですよ。この世論調査でも沖繩県民の七割以上の人が核抜きは信じられないと言っておるのですよ。私は率直に反省すべきだと思うのです。これだけ論議してもまだ信用されていない。  それで総理大臣の伺いたいのは、この核模擬爆弾の投下訓練はやめるわけにはいかないというのがアメリカの答えだということをいまアメリカ局長は答えました。この問題についてあなたはどう答えたのかというと、これは申し入れをするけれども、もしアメリカが言うことを聞かなかった場合一体どうするんだということをわが党の不破議員が聞いたときに、いやもう互いに信頼し合っていればこの要請に必ずこたえてくれる、聞かなかったらどうするかということまで考える必要はないと言って答えたのですよ。いま聞かないじゃないですか。アメリカを信頼しろと言うけれども、全く信頼できないじゃないですか。あなたの言うとおりにならないじゃないですか。この責任はどうしますか。
  144. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 一ぺん交渉したからそれで断わられた、こういうことであきらめてはおりません。あまり興奮しないで最後まで聞いていただきます。何度でも私どもは繰り返してわれわれの要求を十分理解できるように相手方に伝えるつもりでございます。要求していくつもりでございます。
  145. 松本善明

    松本(善)委員 要求するのはけっこうでしょう。総理、十五日以降どういうことになっているのか、日本基地を提供しているのですよ。日本が主権者ですよ。そういう日本の気にいらないことをやっているならば当地の提供はしないということを言える立場なんですよ。そういう立場で言っていますか。
  146. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 日本が主権者であり、われれが基地を提供するのであります。そこにいままでとは変わった状態ができております。したがって私は必ず日本側の要望にアメリカはこたえる、かように思っておる次第でございます。
  147. 松本善明

    松本(善)委員 いままでの答弁でわかりますが、核を扱う部隊、第四〇〇MMSにしても撤去したという答弁は、私が五月十三日に出しました質問主意書に対する答弁書にもない、いまも答弁はない。それから核模擬訓練はいまもやるということをアメリカは言っている。こうしますと、核部隊が五月十五日以降も残っているということは明白であります。  このことについて私がさらに伺いたいのは、この点についてのアメリカ側の態度を、先回行なわれました四月十七日の衆議院の外務、内閣の連合審査会で吉野アメリカ局長から、アメリカ側は伊江島の核模擬爆弾の投下の件については、「日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負っている国際義務の効果的遂行を確保するためには、多種多様の訓練を行なう必要がある」ということでこれを合理化していっている、こういう答弁がありました。きょうは省略されておりますけれども。  この文章は総理も覚えておられるように、日米共同声明の第七項の文章です。総理大統領が一致したと言っている文章です。総理はこの核模擬爆弾の投下訓練が、アメリカ日本を含む極東の諸国の防衛のために負っておる国際義務の効果的遂行を確保するために必要な訓練だとこうお考えになっているかどうか。総理の見解を聞きたいと思います。
  148. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、すでに国会でも決議して日本は非核三原則を守る、そういう立場でございますから、米軍が何をしようと、日本自身がこれに必要だとか必要でないとか、そういう筋のものでないことは、日本は非核三原則、これを守る、こういう立場でございますから、そこは誤解のないようにしておきたいと思います。おそらく米軍は、安保条約のもとにおりますけれども米軍自身本来の、いかような攻撃に対しても対処する姿勢、そういう意味の訓練をいろいろやっておるんじゃないか、かように思いますから、これは米軍の訓練に私どもが一々とやかく言うわけにはいかない。しかしその施設、区域、これは日本が提供するのでありますから、その意味において先ほど来言うような歯どめはある。かように御了承をいただきたい、かように思います。
  149. 松本善明

    松本(善)委員 七項は、この施政権の返還は、いま申しましたアメリカの負っている国際的な義務の効果的遂行を妨げるものでない、そういう見解を総理大臣は表明したということになっているんです。あなた自身の見解として表明したのですよ。そのあなたの見解では、模擬爆弾の核攻撃訓練はこれに当たるのか当たらないのか、こういうことを聞いているんです。はっきりとお答えいただきたい。
  150. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 米軍としてあらゆる訓練をする、これは米軍としての当然の権利だ、かように私思います。
  151. 松本善明

    松本(善)委員 そういうような見解では、私は日本から核部隊を撤去させることはできないと思います。  さらに総理に聞きたいのですけれども、安保条約の適用下で日本に核部隊がいまいることはもう明白です。その核部隊は、もし総理の言うとおりであるならば、日本には核がないというのがほんとうであるならば、その核部隊が動くときに必ず日本以外で核装備をするという法的な義務を負っておるはずであります。そうであるかどうか明確にお答えいただきたい。これは非常に大事な問題ですし、総理自身がきめてきたことですから総理自身に伺いたい。
  152. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は日本には核の攻撃部隊はいない、かように理解しております。しかし日本に対して攻撃がかけられた場合、これは防御することは当然でございますから、そういう意味の部隊はいるかと思いますが、いわゆる核攻撃部隊がいる、かようには思っておりません。先ほど来の訓練にいたしましても、投下訓練といいましても、これは積極的な攻撃用の訓練ではございません。その辺も誤解のないようにお願いをしておきます。
  153. 松本善明

    松本(善)委員 それはもうとんでもないことです。核爆弾の投下訓練が何で攻撃でないのですか。何の防御なんですか。攻撃的な訓練であること、明白じゃないですか。この期に及んでそういうことを言っているというのは、私はとんでもないことだと思います。  総理、私が聞きたいのは、核部隊が日本以外で必ず核装備をするという、いま日本に核爆弾がないというなら必ず核装備はほかでするんだという法的義務は食っているはずであります。そうならそうとはっきり言ったらいいじゃないですか。それでもまだ首を横に振っておられるから、私は言いますけれども、六九年の日米共同声明を思い出していただきたいが、八項についての愛知外務大臣の説明では、核兵器の日本への導入は法的に禁止されるということではないということを言っております。そうだとするならば、日本にいる核部隊は必ず日本以外で核装備をして出撃しなければならないというような義務は負ってないというふうに解するのが当然ではないかと思います。総理の見解をお聞きしたい。
  154. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの愛知外務大臣のその答弁を引き合いに出されますが、私ども国会決議をしたのはそれから後でございますよ。だから、そのときの状態と今日の状態は変わってきているのですよ。それをやはり区別しないで一緒にして議論されては、どうも話が違うと言わざるを得ない。だから、その新しい事態のもとにおいてわれわれはどうするか、こういうことを考えていただきたい。
  155. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、総理の言われることは、当時は国会決議をする前だから、米軍はそういうような核兵器を日本へ導入するということを禁止されるという法的義務は負っていない。しかし、いまは米軍はそういうことを禁止されるという義務を負っている、核兵器を持ってくるということは禁止される、そういう法的義務を負っている、こう言われるのですか。
  156. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 もっと正確に、この安保条約のたてまえからいえば持ち込みは事前協議の対象となる、こう言ったのが愛知君だろうと思います。しかし、今日国会決議までしている、そうして非核三原則を声明している、そういう場合だと、これは事前協議の対象にもならないわけです、全然持ってこない、そういう状態でございますから。その変化のあることは十分考えていただきたい、これは新しい私ども考え方であります。
  157. 松本善明

    松本(善)委員 私が聞いておりますのは、それは事実経過として別に総理から聞かなくても、新聞を読んでいる者は、経過を見ている者はみんな知っていますよ。それがどういう意味を持っているかということをここで聞いているのですよ。法的義務を負っていないということは変わったのですか。愛知外務大臣が、核兵器の日本への導入は法的に禁止されることではないということを言った共同声明八項についての見解は変わった、そして法的義務を負うようになった、こういうふうに理解していいのですか。その点はっきり答えてもらいたい。
  158. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 愛知外務大臣の言っているのは、核の問題はそのときは事前協議の対象になる、こういうことだと思います、その核の問題は、そうでしょう。それは何も事前協議の対象にならないで、持ってくるということじゃないと思います。それはそのとおりであって、それは間違いない。今度国会決議をしたら、これは政府考え方じゃなしに国の政策ですから、非常にはっきりしている。核は禁止だ、こういうことだから、相手方が夢前協議の対象にするとかなんとかいうような問題が起こらない、これが日米間の関係です、こう言っているわけなんです。だから私は、国会決議があるからアメリカを縛ると、かように申しておるわけじゃありませんよ。ここは大事なところですから誤解のないようにお願いいたしますが、とにかく日本の政策ははっきりしているから、事前協議の対象になってイエスもある、ノーもあるというようなものじゃないのだ、これはもうはっきりノーばかりですね。そういう状態だからそこは誤解のないようにお願いいたします。
  159. 松本善明

    松本(善)委員 答弁ではないのですよ。これは愛知外務大臣アメリカでこれについて説明された練りに練った文章ですよ。「事前協議制度のもとでは、核兵器の日本への導入は法的に禁止されるということではなく、ただ日本政府は現在その政策たる非核三原則により、これを断るという方針をとっています。」こういうことなんです。だから総理のお考えはこの点について少し誤解があると思います。非常に重大な誤解だ。私がこれだけ言っても、いま言われたことは、しかし結論的に、アメリカを拘束するものではないということを言われました。これはアメリカが核兵器を日本へ置いてはならないということを法的に規制されているものではないということを総理が言われたことだと思いますが、私は最後総理に聞きたいのは、そういう国民の疑問、ここで何べんも何べんも核の問題が論議をされている、その問題について決着をつけたいと思うならば、総理アメリカに対して政府としては日本へは核兵器は絶対持ち込ませないのだ、そういう義務を負わせるような協定を結ばせる、それをやれば――まず最初にできることですよ。それをやるべきだ、政府はそういうことをするべきだというふうに考えないかどうか。これは結局国民を信頼させるかどうかの一つのポイントですよ。それをやるのかやらないのか、はっきりお答えいただきたい。
  160. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは先ほど申し上げたとおりに、大統領と私が約束をし、さらにまたロジャーズ国務長官から外務大臣あての書簡でその点を明確にしております。私はその上ただいまのように疑う、人を見たらどろぼうと思えというわけにもいかぬ。私どもは相互信頼する、その関係日米安保条約を結んでいるのですから、先ほども申したとおり、それはやっぱりこれだけのはっきりした傍証があれば信用してしかるべきじゃないか、かように申し上げておるわけです。
  161. 松本善明

    松本(善)委員 これで終わりますけれども、結局はアメリカを信用しろということだけです。これは何年も前から言ってきた答弁以上に一歩も出ない。これでは国民はとうてい信用することはできない。先ほどの質疑でも、あなた自身の期待さえも裏切られていることがありましょう。私はそういうよう政府の方針は絶対納得できないということを言って、私の質問を終わります。
  162. 櫻内義雄

    櫻内委員長 三宅正一君。  三宅委員に申し上げます。参考人として海外技術協力事業団理事長田付景一君及び海外移住事業団理事長柏村信雄君の両君が出席されております。
  163. 三宅正一

    ○三宅委員 総理出席されまして、たいへん時間がおそくなりましたので、参考人にもおそらくたいへん待っていただいたかと思いまして、恐縮に存じておるわけでございます。外務大臣も忙しいと思いますから、なるたけ簡単にやりますけれども、答弁のほうも要点だけにしてください。  私は、最近のいろいろな事情を見ておりまして、非常に一種の危機感に襲われておりますことは、高度成長の行き過ぎで、国内は公害に象徴されるたいへんな問題が起きておるし、国際的には孤立する形勢が出てきておるということについて、非常に心配をいたしております。きょうは主として中南米の移住地の問題につきまして質問をいたしたいし、意見も述べたいのでありまするから、全体の問題はいずれまた別な機会にいたしますけれども、私はこの辺で日本人がほんとうに姿勢を直さないとたいへんなことになる。暴走いたしまして、軍備で興った日本が軍備で滅びたのですが、私はまた、経済で興った日本が経済で滅びる危険性もあると考えておりまして、その意味において、中南米は日本に対しまして非常にいい感じを持っておりまする意味におきましても、また大ぜいの日本人があそこへ行って、向こうのために非常によく働いておるという意味におきましても、非常に重大だと考えますので、思いつきました点を逐次質問いたしたいと考えます。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕  姿勢を直すという問題について、開発途上国に対する第一日本の態度というものからして、姿勢を直さなければいけないと思います。私は、五年前でございますが、ソ連からずっと回ってカルカッタへ入りましたときに、カルカッタで三井、三菱その他の商社を総領事が呼んでくれまして、話をいたしましたときに、その諸君がインド人の悪口ばかり言っておるのでございます。あまり私は感じが悪かったので、そういう席で発言するのもおかしかったのだけれども、少しどなり上げたのでございます。それはどういうことかと申しますと、確かにインド人がいろいろな点で非難されるような点があることは明らかだけれども、それもイギリスの植民地統治が二百年も続いた結果であって、そういうところまで同情してものを見なければだめだ、そうして君らの態度はどうだ、第一白人に対しては一種の劣等感を抱き、そうして開発途上国の有色人種に対しては優越感を持っている、話をしておるのを聞いておれば、早くロンドンの支店にかわりたいとか、ワシントンの公使館にかわりたいとか言って、ほんとうに腰が落ちついておらぬのじゃないか、しかも商社の関係でいけば、過当競争をやって、それこそ数年で元を取ろうというような態度でいけば、やがてアジアから総スカンを食うのは当然だぞということで、私は憤慨をして話をしたのでございますが、ともかく日本は、世界から原料を売っていただいて、そして世界へ、付加価値をつけてものを売らなければ生きていけない国でございますから、それこそ国際的に孤立いたしますることが一番大きな問題だと思うのでございます。これはもう前提でございまして、外務大臣も御異議のないところだと思います。その意味において、私どもはまず一つ姿勢を直すという点において、いま言ったような白人に追いついて、追い越して、そして日本の独立を守ろうという百年の伝統でもって、いわゆる白人に対する崇拝と、そして有色人種に対する侮べつ感というような、こういうものをひとつほんとうに直さなければいかぬと思うのでございますが、そういう点からいきまして、まず第一に、外務省の姿勢についても直してもらいたいと思う点があるのでございます。それは何かというと、外務省の幹部についていいますれば、やめられた森次官からして、各局長の中の大部分の人が開発途上国に一ぺんも行かない人であります。そうして白人国と本省におって開発途上国の政策や援助計画などをつくられましても、これはほんとうのものができるわけがないと思います。しかし、少なくとも外務省において幹部になるような諸君は、開発途上国へ必ず何年か赴任するだけでなしに、ほんとうに開発途上国を尊敬をし、愛し、そしてその事情を知るという立場でなければ、ほんとうのこれからの政策はできないと思うのでありまして、まずその点だけお伺いいたします。
  164. 福田赳夫

    福田国務大臣 国際社会に臨むわが国のあるべき姿勢についてのお考えは、私は三宅さんと全く同じです。私は国際社会ではマイホームじゃいかぬ、アワ・ホームイズムでなければいかぬと言っておるのは、まさに三宅さんのおっしゃるような意味合いのことを一言で言っておる、こういうふうに御理解願いたいのです。  そこで具体的に外務省の人事機構の問題にお触れでございますが、私もこれは同感です。そこで私も近く外務省の幹部職員につきまして人事の異動を考えているのですが、そういう考え方に基づきましてやってみたい、いままでは、どっちかといいますと、どうも欧米に行かなければ、ほんとうに立身出世とはいかないような受け取られ方でございましたけれども、やはり私どもがもっと目を向けなければならぬのは第三の世界である、こういうふうに思います。そういうところへ今後期待されるような人材を配置いたしたい、こういうふうに考えて、そういうことを近く実行してみたい、かよう考えております。
  165. 三宅正一

    ○三宅委員 おそらく気づいておられるだろうと思うけれども、幹部をずっと調べてみられると、外務省の主要な幹部はほとんど開発途上国に行っておらぬのです。行っておらぬこと自体もまずいと思うのですが、私は外務省にもうだんだんなくなると思うけれども、もしそんな気持ちがあって、欧米だけ行きたい、それで開発途上国に行くのはその中のBクラスだなんという、そんな感じがありましたら、ナショナリズムに目ざめました開発途上国が、もうその気持ちだけであいそをつかすと思いますので、ひとつそういう意味の姿勢を直してもらいたいということが第一であります。  第二は、最近は学生なども実にたくさん海外へ旅行をいたすのでありますが、その学生などの旅行者の指導などにつきましても、人の足らない点もありますけれども、本気にこれを指導して、そして援助もするという姿勢がなければだめだと思うのでありまして、その意味においては、領事機関というものをもう少しふやす必要があるのではないかということをまず第一に考えます。同時に考えます点は、外務省の観念でございますけれども、外務省はほんとうの日本人だけを相手に領事事務をすればよろしいという考え方がある。中南米の問題はあとから触れますけれども、ともかく向こうの国籍を取った人でありましても、日本人であることは明らかであります。そして向こうのために働いてくれることも、それは大事なことでありますから、やると思いますが、どこの国だって、ともかくドイツにしても、オランダにしても、イタリアにしても、自分の国から出た、いわゆるその国の系統の人々に対しまして、相当な配慮と援助を与えておるのは当然でございまして、私はその点で二、三実例をあげて注意を喚起したいと思いますことは、インドネシアに行きますと、ジャビンドーという名前の日本人がおります。向こうの国籍になっておるかもしれませんが、これは何かと申しますと、大臣も御承知だろうと思うのでありますが、ともかく日本があの戦争に負けまして、そしてオランダからインドネシアが独立する戦争のときに、敗戦の将兵として日本に帰ることをいさぎよしとせずに、向こうに残って向こうの独立運動を助けていって落ちついてしまった人であります。現地人と結婚しておられます。戦争が済んでもう二十七年ですが、どこにだれがおるかという名簿も十分に調べられておりません。そしてたとえばそこにせめて日本の印刷物でも少しは行ったり、それからまた結婚して子供ができたらその子供を日本に連れてきて教育をしてあげるという、それがありません。交流が絶えておりますから、いまでは土人に返って、テレビも見ないし新聞も見ないから日本語も忘れてしまった。そして土人に返っておるというような状態が出ておるのであります。私は、外務省においても本気になってひとつこれらの諸君を調べられまして、そして日本とも交流するし、向こうのためにもひとつ働けるようにして、ぼけちゃって原住民になるような状態を防いでもらわなければならないと思うのであります。これが第一点であります。  第二は、豪州へ行きますと、豪州の対日感情というものは終戦後非常に悪かったのでありますが、それがたいへんよくなりましたのは、いろいろな理由がありますけれども一つ戦争花嫁のおかげであります。豪州は御承知のとおり政治犯やその他の囚人が送られたところであって女が足らない。だからして豪州の婦人というものは働かぬし、男がサーバントのような形になっておりますときに、それは戦争花嫁の中には料理屋におられた人もおったり、いろいろな人もおりましょうけれども日本人として非常にこまやかであるし、よく働かれるということで、豪州人の日本に対する気持ちが直りましたのは、豪州における戦争花嫁のおかげでございます。これらの諸君がどこにどれだけどうしておられるかということについて、もう少しやはり日本の外務省出先機関などがほんとうに名簿を調べられまして、そうして日本に留学したいと言ったら留学さしてやるし、場合によればそのような諸君を日本へも呼ばれるしということをしなければならない。私は五年前に、それからも行きましたけれども、豪州に行きましたときに、ちょうど香港へ出る飛行機ができましたから、ニューギニアに入りました。ニューギニアに入るのにそこに日本人がおりますかと聞くと、まだそのときは領事館がなかったときだと思いますけれども、ともかくわからぬというのであります。それで豪州の外務省が世話をしてくれまして、行ってみますると、向こうの豪州人と結婚をしまして、役所におる人であるとか大学の先生をしている奥さんでありますとか何人もおりまして、そしてそれが案内をして飛行機で連れて歩いて奥まで入りました。その奥に入ってびっくりいたしましたのは、ラエとかその奥だと思いましたが、行きますと、豪州人と日本の婦人が来て待っているのであります。それは豪州の兵隊で呉かどこかに来ておりまして、日本にほれ込んで、そして新聞広告を出しまして日本人の細君をもらったのであります。その細君は連れ子があるがいいかと言ったら、連れ子があってもいいから来てくれと言うので結婚しました。その連れ子に連れてきました娘さんが豪州の奥のほうの役人と結婚いたしまして、珍しい結婚式でおそろしく盛大な結婚式になったそうであります。その豪州人は、退職したら日本へ行ってお茶でも飲んでひとつ日本で死にたいということを言っておるのでございます。こういう諸君に対しまして、私は少なくとも名簿などはちゃんとわかっておって、そうしてそれぞれやはり民間人として国交をよくするために働いておるのでございますから、私はその子供さんを今度つくられた文化事業団などで連れてきたり、それから日系人大会をやりましたときにも、今日では中南米だけではなしに、そっちからもそういう諸君が来るようにいたしますことが、そして世界ととけ合っていくという状態をつくらなければいかぬと思うのであります。  タイへ行きますと、これも大臣御承知かもしらぬけれども、山田長政の墓がありますところに行きますと、これはビルマの戦線でインドまで逃げ込んで何年もかかって歩いてきた衛生兵上がりですが、現地で開業の医者になっておりまして、そうして向こうの華僑の婦人をもらいまして、りっぱな子供さんがたくさんできておる。もうその子供さんは日本語を知らない。ともかく優秀な中国の人種と日本の衛生兵とが結婚してできた子供ですから、もし日本がそういう点での配慮がありまして、日本の大半でも出しておきまして、それでまた向こうへ帰しますれば、どのくらいタイのためにもなるかわかりません。私はそういう点の配慮というものが実に足らないんじゃないか。赴任することはいやだし、早く欧米へ行きたい、そして学生が来てちょっと迷惑をかけたら、迷惑でかなわないというようなことじゃしょうがないのでありまして、領事事務の係が足らなければ、現地でそういうことのわかる人などを採用いたしまして、少なくとも名簿というものは、どこに散らばっておるかということがわかるだけの姿勢というものはとっておかなければならぬのじゃないかと思いますので、これも御異議があるわけはないけれども、それをまず申し上げておきます。
  166. 福田赳夫

    福田国務大臣 たいへん貴重なお話を承りまして感謝いたします。やっぱり海外におる日系人、これがわが国とその国との間に立ちまして尽くす役割りというものは高く評価していかなければならぬ、こういうふうに私も思います。わが国はどうしても、いま三宅さんのおっしゃるように、資源がない国だ、世界じゅうから資源を求めなければならぬ、その資源に加工して世界じゅうにこれを売りさばかなければならぬ、そういう国柄でございます。アメリカソ連だと比べますと、そういう特異体質の国でありますから、これからの日本というものは世界じゅうに友好関係を求める、そういう姿勢がなければならない、こういうふうに思いますが、そういう際にいまお話を承ったような海外におるわが日本民族の血を受けた人の存在、これは非常に貴重な存在ではないか、そういうふうに考えまして、ただいまもそういう状態の把握にはつとめておりまするけれども、一そうそういう状態につきましては正確な把握をし、これが日本と諸外国との間のほんとうに重要なきずなとなるような役目を尽くし得るように尽力をしてみたい、そういうふうに考えます。
  167. 三宅正一

    ○三宅委員 それでもう一ぺん念を押しますけれども、外務省のいままでの古い観念では、国籍が日本人である者を世話すればいいのであって、日系で二世三世になった者などは領事の関係においても大使館の関係においても世話や何かしないという感覚があるようであります。私はこの感覚というものも、さっきの話じゃないけれども、欧米へ行きたいという感覚と一脈通ずるのであって、もしいまでもそういう空気があるなら、ひとつ大臣これを在外公館から本省からすべて空気を直してもらわないと、私はそういうところから排斥やいろいろの問題が出てくると思いますが、私の意見に賛成ですかどうですか、お考えを承りたい。
  168. 福田赳夫

    福田国務大臣 大賛成です。いま私のうしろには領事移住部長もお話を聞いておりまして、おそらく感銘深く伺った、かよう考えます。そのとおりに思います。
  169. 三宅正一

    ○三宅委員 そういう立場から見まして、私ども外国を回って非常に心細く思いますのは、国の名前は言いませんけれども、ともかくその国のことばのわかる人が一人も公館におらぬというような場所があるのであります。隣の朝鮮に対しまして、朝鮮語科のあります学校は大阪大学と天理大学だけで、永井道雄氏はやかましく隣の国じゃないか、その国のことばをと言っておりましたけれども、現地語を解さない者があるというような状態は、私はこれはたいへんだと思うのであります。いやしくも世界の市民として世界と共存同栄しようという新しい日本の国づくりから考えまして、ともかく後進園、開発途上国のどんな小さな国のことばでありましても、私はそれを精通しておる者が相当おるという姿勢をとらなければうそだと思うのであります。  現地で聞いてみますと、現地語を、たとえばビルマ語を覚えて東京へまた帰ってきたって、それは英語をほんとうに熟達しておるならば商売になる、仕事になる、ビルマ語を覚えて帰ったって仕事にならぬという、これも確かに一つの理屈でございます。それからまた、現地の諸君が日本語を勉強いたしますについて、英語ならば現地でうんと使えるのだが、日本語を覚えたって、そのほかに英語を覚えなければ国際的に通用しないから、二重の負担だということをいっておる面があります。  それから、さらにインドネシアなどで調べてみますと、日本人の商社が日本へ留学いたしました現地の人々に対しましてなかなか使わない。変に日本語がわかっておると、仕事の合い間に悪口を言ってもすぐわかってしまうという、そんな根性で使わない。アメリカなどの関係だというと、アメリカの大学を出た者をその国で重用いたしまして、やはりアメリカの国益のために使っているのでありますが、使わないという状態がある。これも日本人の島国の閉鎖的な感覚からでありまして、そういう状態でエコノミックアニマルが出ていったりしておりますと、ほんとうに私は、ちょうどアメリカが中南米から総スカンを食ったと同じように、東南アジア全体から日本が総スカンを食う危険性があると思うのであります。  ことばの問題についてもひとつそういう点を分析されまして、少なくとも世界じゅうのことばを一億の日本人の中で何人かは精通しておる者がおるということにしなければいけない。英語やその他国際的に通用していることばは別問題として、少なくともビルマ語であるとかあるいはタイ語であるとか、ともかくそういう小さい国のことばにつきましては、私は、それに精通した人のリストを、日本に帰りましたならばリストをやはりちゃんと持っておられなければいかぬと思うのです。そうして年に一ぺんくらいは研修会もやったり、A、B、Cと格づけしておきまして、ほんとうに通訳のできる――ビルマ語のわかる人だったら、ビルマから大ぜいのお客さんが来たときにはその人を活用して、通訳して、ことばが死んでしまわぬようにして、そういうかゆいところに手の届く配慮がなければ、世界とほんとうに仲よくしていくということは私はできないと思うのでありまして、そういう点に、ほんとうにかゆいところに気がつくようなそういう空気を日本じゅうにつくらなければいかぬと思います。そして、たとえば日本ビルマ友好協会があったら、その会員にビルマ語のわかる人を推薦しておいて、そしてときどきは印刷物も送ってあげるとか、東欧にしても北欧にしても、どこの国のことばにいたしましても、小さい国のことばだってわかる者がおらぬなんということじゃしようがありませんし、それから現地にはことばのわかる者が少なくとも何人か置かれるという姿勢をひとつとっていただきたいと思います。
  170. 福田赳夫

    福田国務大臣 これまたごもっともなお話でございまして、外務省としても努力し、外務省自身も、各国のことばに通暁いたしました専門家、これは心がけて養成をいたしておりますが、大事なことでございまするから、この上とも努力をいたすことにいたしたい、かように存じます。
  171. 三宅正一

    ○三宅委員 それで中南米の問題に入りますが、移住事業団についてもそれからOTCA、海外技術協力事業団につきましても、情勢が最近非常に変わってきておりまするので、いまのままの形ではいけない。中には廃止しろという説もありますけれども、私は廃止すべきではないという気がいたしますけれども、少なくとも、海外移住事業団と海外技術協力事業団との間にもっと密接な協業と分業の関係などをつくって、新しい方向へひとつ乗り出す段階じゃないかと思うのであります。たとえば海外移住事業団などにいたしましても、中央の機構などはもっと簡素化さるべきだと思います。そして現地で採用した人の中にもりっぱな者がおるし、それから私見てみて、ブラジルに八年おってほんとうにブラジルを愛しているとかあるいはボリビアにおったとか、やはり相当にそっちのほうを愛しておる人々もたくさんおられると思います。だから、私は、この段階へ来ましたら、移住者の数は、技術移住その他変わりましたけれども、またふえ出してきておりまして、けっこうなことだと思いますが、中央の機構はなるたけ簡素化して、それ以外の経験のある諸君をみんな現地へ出して、現地でもっと本格的に現地の世話ができるようにする必要があるということを私は痛感をいたします。この点について、参考人おいでになりましたから、簡単でよろしゅうございますが、どんな方向へ持っていくつもりでおられるか、技術協力事業団もそれから移住のほうの事業団も一言ずつお考えを聞かしていただきたいと思います。
  172. 柏村信雄

    ○柏村参考人 お答えを申し上げます。  ただいま三宅委員からのお話まことにごもっともに存ずる次第でございます。  OTCAとわが事業団との関係につきましても、まさに国際化の時代を迎えましてきわめて緊密に連絡をとり、お互いに協力し合っていくということに私どももいま心がけておる次第でございます。  また、私どもの機構につきまして御指摘がございましたが、これもまことにごもっともなことでございまして、私どもとしましては、もちろん今後出ていく人たち、これは主として若い青年が多いのでございますが、こういう人たちについて十分海外の状況を認識させ、適切な指導のもとに適材適所に希望に応じて送り出すということ、これは非常に重要なことで、その点は今後とも努力をしてまいりたいと思いますが、機構全体といたしましては、中央の本部の組織ももちろんでございますが、地方の組織につきましても、来年からむしろブロック化をいたしまして、能率的に国内の業務は運営してまいりたいというふうに考えておりまするし、外地につきましては、ただいま御指摘ように、いままで出た人間、移住者の定着安定ということ、これの繁栄ということに私ども全力を尽くしておるわけでございまして、できるだけ現地の体制の強化、それから援護業務の拡大ということにつとめてまいりたいというふうに考えております。
  173. 田付景一

    ○田付参考人 ただいま三宅先生からお話がございましたように、われわれのほうも中南米に対しまして技術協力いたしておるのでございますが、遺憾ながら、アジア方面と比べますと中南米に対します技術協力というものがやや弱いという感じがしております。これは先ほどもお話がございましたように、ことばの問題というような点がございまして、われわれとしてもこの点もっと強化しなければならないというふうに考えております。  私のほうの仕事といたしましては、専門家を中南米各地に出しておりますし、また、中南米各地から研修員を日本に呼びまして技術の援助をしておるというかっこうでございますが、ただ、われわれの機構としての事務所というものが、いままで中南米にほとんどなかったわけでございます。ことしから幸いにして、ただいま御審議を受けておられます予算の中に、通過いたしますればメキシコに事務所を置くという案になっております。そういう意味で、だんだん中南米に対しましても海外の事務所をふやしていきたい、こういうふうに考えております。
  174. 三宅正一

    ○三宅委員 移住事業団について申しますれば、移住事業団の責任というわけじゃございませんけれども、いままでのやり方というものは、戦後計画移住させた移住者だけの世話をしておられる。金もないし手も足らぬということでございましょうが、百万のいままで行った人々の世話というものまで手が回らない。しかし、考えてみますれば、戦争を間にはさんで勝ち組み負け組みというものができるほど苦労をいたしまして、そしてまた戦後立ち直ってきました。しかし中にはいろいろ困ったことになっておる人もおる。百万の日系人に対しまして、戦後行った者だけ世話して、そっちのほうの世話は見ないなんということは、ちょうど私は外務省が日本人だけで日系人の世話をしなかったという昔の悪いくせと同じくせがそこへ入っておると思うのでございまして、私は改組の方向といたしますれば、中央の機構を縮めて、ひとつ現地へぐっと出してしまって、領事事務などとの関係で領事が足らぬところだって世話をする、そういう関係でひとつほんとうに現地の人々の世話をできる関係にしてもらいたいと思うのでございます。すなわち現地領事事務の補助機構としての役目を果たし、ほんとうに事情を知っておって、現地に行っておる人を経営的にも福祉的にも文化的にもあるいは医療の問題についてもサービスをするという機関になっていただきますことが非常に必要だし、そういうことの適性を持った職員というものは私は相当おると思うのであります。  これは大臣知っておられるかどうかわからぬけれども、この間日系人の大会がありましたときに、ブラジルのロンドリーナから来ました向こうの在留の人々が注文をつけておりましたが、ロンドリーナには日系人が大体十万おるそうです。そしてサンパウロから非常に遠い。人口十万の町と言えば日本で言えば市でしょう。あれだけの大きな市役所を持っている。そこに領事館がないという状態で、広いところに、そのロンドリーナだけに十万人おる。どうしてもひとつ領事館をつくってもらいたい、もしできなかったら出張所でもいいからつくってもらいたいと言っておりましたが、私はこういう点だけはほんとうに配慮して、昔国が貧乏しておったときのことは別だけれども、いまはほんとうにやってやらなければいかぬと思うのです。その点などについては、ひとつ本気に前向きで約束をしてやってもらえば、この間来た日系人も非常に喜ぶだろうと思いますので、その点の御答弁をいただきます。
  175. 福田赳夫

    福田国務大臣 実はその話は三宅さんと一緒に伺ったような記憶です。領事館を置けという話が実は方々からございまして、一度にというわけにはまいりませんけれども、非常な熱意を持って要請しておる案件でございますので、とくとひとつ前向きで検討してみたい、かよう考えます。
  176. 三宅正一

    ○三宅委員 これは全体の問題ですけれども、中南米もその一環ですが、資金援助の問題について本気にひとつ考えられる必要があるのではないかと思うのであります。現地にサービスを非常にするという姿勢ができ、そして技術協力も中南米に対しても大いにやるいう姿勢ができたそういうときに、それからもう一ぺん円の再切り上げがこのまま死蔵しておれば来るというような状態のときに、私は技術援助や盗人の援助も必要ですけれども、資金をひとつ本気にもっとふやしてやる必要があると思うのであります。たとえばジェミスというのですか、向こうの金融機関、現地法人になっております、そこなどの資金についても、もっと思い切って資金のワクを広げて仕事ができるようにしてやる。それから南米銀行だとか東山銀行だとかいうようなところの原資もふやしてやる。日本が仕事をどんどんしているのですからふやしてやる、それが向こうのためにもなる。  それからこの間パラグァイの大統領が来ましたが、パラグァイだとかコロンビアなどから、それらの国の開発銀行にバンクローンをくれといってきている。これもひとつやってやらなければだめです。それで外貨を減らす努力をすると同時に、開発途上国が生きていけるようにしなければいけませんが、その点についてもワクをふやすだけでなしに、金利とか期間などの問題についてもドイツ系統、大臣は御承知だから、私のようなしろうとが言う必要はないが、ドイツ系統が三分五厘で二十年という金を銀行に預託しておるときに、こっちは五分五厘で期間は十年だとか七年だといろことじゃやはりだめですから、少なくとも西欧の先進国と同じ条件で、あと利子補給したらいいのですから、それでひとつ出すということを本気でやってもらいたい。  それから同時に、日本に余っているドルをニューヨークやワシントンの外国に預けるのではなしに、日本の為替銀行が、外為を扱っている東京銀行は方々に支店を持っているのですから、そういうところへドルを預託いたしまして、そうしてそれが経済的にも使われる、そうして事業団や経済協力会が協力をするという姿勢をとるべきじゃないかと思うのでございまして、こういう点についてひとつ勇断をもってほんとうにやってもらいたいと思うのですが、どうも聞いていると大蔵省あたりがしぶっているという話です。それも大局からしぶっているのではなしに、局が幾つかに分かれておって、官僚特有のなわ張り争いがあったりしてなかなか――この前だって大蔵省が勇断を欠いたために日本は大損しているのですから、今日ドルの過剰の問題で円の再切り上げの問題が起きたらたいへんですから、その意味におきましても、これは外務大臣だけでなしに、大蔵大臣としての経験も十分に持っておられる大臣として、本気に考えて決断を下していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  177. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は移民問題はたいへん質が変わってきている。こういうふうに思うのです。一つは、量の問題でなくて、移民の質の問題、これを考えなければならぬということですね。もう一つは、すでに移民をいたしましたそれらの人々、またさらにその二世、三世、そういう方々への配慮、そういう両面から移住問題全体を見直すべきときに来ておる、こういう認識を持っておるのです。そういう方向で諸施策を進めてみたい、かようにいま考えておるのです。さしあたり金融問題の話でございますが、この間パラグアイの大統領が参ったあるいはメキシコの大統領も参った。大統領じゃありませんけれども、中南米各国のほとんどの国の代表者が日本にやって来ておるのです。やって来ておりますのは、一つは戦後二十六、七年の間によく日本はここまで来たなということについての勉強もしたい、同時に日本の進んだ技術の協力を得たい、あるいは財政上金融上の協力を得たい、こういうような目的でありますが、私どもはそういう情勢、これはひとり中南米だけじゃないのです。あるいは中近東でありますとかアフリカでありますとか、世界的におくれた国々の方々がわが日本に期待を持って来る。それらの人々にこたえる姿勢をとるということこそが、これからのわが日本世界に臨む姿勢基本をなさなければならぬ、こういうふうに考えておりますので、金融につきましても、いまドルの預証の問題というようなお話がありましたが、今度銀行預託をすることにいたすわけでございますが、そういうものが活用できるとかあるいはバンクローン、これなんかずいぶんそういう国々に対しましてはお役に立つことかと思いますが、これも積極化する、それから借款の条件についてわが国は他国に比べまして劣悪である、こういう状態でありますが、これも改善をするという決意をいたしておるわけであります。それには政府として金が要ることでございますけれども、いま御指摘の大蔵省においてもこれを納得いたしましたから、これからは相当積極的に活発な活動ができるのじゃないか、それを大いに進めたい、かよう考えております。
  178. 三宅正一

    ○三宅委員 時間がありませんので急がなければなりませんからどうも残念ですが、その次は計画誘致をここで再検討、政府側も移住事業団の側もだんだん考えておられるようでありますが、ここでほんとうに考えられる必要があるのじゃないか。大臣は農林大臣もやられましたから御存じでしょうけれども、戦後日本の内地へ帰ってきました諸君を開拓地へ入れました。それで土地を誤って入りましたのは幾ら働いてもどうにもならなくて、結局整理して帰したのです。今度だって別に悪意があってそうされたということを私は言うのじゃないけれども、ブラジルにおきましても移住事業団ができて十年たちまして、もう五〇%ぐらいはその割り当てられた土地から脱農しています。そしてひどいのになると二〇%しか残らないというものも出ておる。私は日本内地の経験から見ましても、土地の選定を誤りましたら幾ら入った諸君が一生懸命にやったってうまくいかないのですから、もうこの辺で決断を下しまして、ほんとうにだめなところなら帰る、そして脱農しない前に働けるよう考えてやるというその手当てというものはほんとうに必要じゃないかと考えておるわけでございます。  こまかいことは別にいたしまして、アマゾンの奥で十家族くらいで、それこそ医療対策も子供の教育も結婚なども将来のことを考えるとどうにもならぬ。それでもう土人化してしまっているという地帯もある。動くに動けないという地帯もあるのでありまして、この点についても本気にやはり前向きの姿勢でやらなければだめで、ともかくその点についても一言でよろしい、時間がありませんから。
  179. 福田赳夫

    福田国務大臣 御指摘の点はまさにただいま検討をいたしておるところでございまして、実効をあげ得ますように必ずいたしたい、かよう考えております。
  180. 三宅正一

    ○三宅委員 きょうは答弁は求めませんけれども、たとえば柏村さん来ておられますが、グアタパラの直営地で自殺した農民が出てみたり、いろいろの話が耳に入るのであります。ひとつこれも、内地だって戦後失敗してほとんど大部分の開拓地というものはもうおらぬようになってしまったというところが多いのですから。それから見ますれば五〇%の歩どまりでも私はまだ相当の歩どまりだと思いますけれども、ひとつ本気に、自殺した連中の人の気持ちになって考えてやっていただきたいと思います。  その次は医療対策、教育対策の問題でございますが、時間もありませんから、そしてわかりきった話でございますから何ですけれども、ともかく広いところにおりますのですから、奥地の教育対策といろものはもっと本気に考えなければいけない。きょうも文部省から来てもらっておりますが、時間がないから御答弁求めませんけれども、ひとつほんとうに各省力を合わせられまして、日本語の教育もできるようにするし、ほんとうの普通教育もできるようにする。それから小学校でさえもう広いところだから学寮が要りまして泊めなければならぬのでありますから、これなどもひとつ思い切って分布をよくしてやる。それから上の学校になりますれば、上の学校のあるところにひとつ教育施設をつくる。  それからお医者さんの問題にいたしましても、少なくともベレンを中心とするアマゾン地区、それからサンパウロや東伯の地帯、それぞれのところに巡回診療などつくられまして、同時に巡回診療に行ったときには子供の漫画の本を持っていってやったり、それから富山の薬じゃないけれども、それらを実費でもって置いてきて、巡回診療に行かぬときだってやれるという、ともかく本気にひとつそういう点を考えてやってもらわなければならぬ段階だと思うのであります。  お医者さんの問題ですけれども、この際、外務省はひとつこの手も打たれたらどうでしょうか。たとえばブラジルなどは日本の医科大学を出て国家免状を持っていったって、向こうで開業させません。これをひとつ医師の免許協定をやられまして、ブラジルでとったものも日本へ来てもやれる。日本へあまり来ないでしょう。あるいは台湾から来ておられるお医者さんで僻地で無医村へ来てくれるというお医者さんもあるのですから、そういう志を持って日本へこられれば、ブラジルからこられるお医者さんだってけっこうだし、それから日本のお医者さんが行ってもちゃんと資格があるという相互の免許協定といいますか、これをひとつ開発途上国と全部、結べるところから結ばれまして、私は若いお医者さんなどで志を持って行ってやろうというお医者さんは必ずあると思うのです。そういう教育をしなければだめだ、そういう気風をつくらなければだめだ、そういう点でいわゆる免許協定などをひとつ、進んでおるか、あるいはやられる意思があるか。なかったら、いままでやっておらなくてもひとつ前向きでやろうということの御答弁を願いたいと思います。
  181. 福田赳夫

    福田国務大臣 医療協定、これはそれぞれお互い立場がありまして、なかなかむずかしいのだそうです。しかしお話しのように、わが国の国民あるいは、一世、三世、そういう者が多数におる国、そういうものについてはこれは検討したらどうだろう、こういうふうに思いますが、話し合ってみます。  それからそういうことも時間がかかりますので、さしあたり中南米に対しましては巡回医療団というものを組織いたしまして、そういう御要請にとにかく臨時、緊急にこたえる、こういう体制を整えて、ことしの予算でそれを実行する、こういうことにしておりますが、たいへん御貴重なお話なので努力をいたしたい、かよう考えます。
  182. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 三宅君、だいぶ時間も過ぎましたので……。
  183. 三宅正一

    ○三宅委員 ではもう二つ、項目だけ言いますからお許しを願います。私は二十分と書いてあったから五時二十分だと思った。それはすみませんでした。  そうすると、項目だけ申し上げます、留学生の問題ですが、御承知のとおり自分の県から行った移住者の子供さんをその県が呼びまして入れているケース、それから家族会がやっておられるケース、事業団がやっておられるケースとありまして、これ三つとも非常にやはり要望があります。しかし私は規模が非常に小さいと思うのでございまして、たとえば北米等の関係でやっておる農業の研修の二年間やりますあれなどだって、年に二百人ずつ出しているのですが、百万人近く行っております。中南米へ行きたいという希望のあります留学生などは、ほんとうに迎えることが必要でありますので、これについては宿舎の関係もございますし、来てから排日になって帰るなんということでなしに、ほんとうに親切に世話するということが必要でありまして、私はこれらの世話は少なくとも家族会の諸君に本気にひとつ一はだ脱いでもらうことが必要ではないかと思うのです。それはともかく身内の者が行っておる諸君ですから、そうして家庭の楽しみも味わわせてやるという意味におきまして、それをひとつお願いをいたしたいと思います。  それからその次は、これも具体的な問題でありますが、年金や扶助料の扱いにつきまして、これいま向こうの領事などでやってくれなかった関係がありまして、日本の内地の知人に頼んで扶助料をもらっている。恩給にしましても、厚生年金なども、石炭関係の労務者が鉱山がつぶれて、向こうへ行きまして、取る時期になったら、やはりこっちへ来なければならない。そういう手紙がたくさん来ておりますけれども、その手紙を見ますと、そういう人が来られぬようになったとか、えらく手数料を取られたとか、または使い込まれたというようなケースも起きております。私はこういうものこそ、手が足らなかったら事業団にも応援させて、そして領事関係でやっていただきたいと思います。大体その話は進行しているという話も聞いておりますけれども、もう一ぺんここでひとつ確認をしていただきたいと思います。  それともう一つ、時間がありませんから、これも現地から再々の要望が来ておりますので大臣も御承知だと思うのでありますが、アルゼンチンにおきまして、ドルでやると、四倍くらいインフレで上がってしまって、どうにもこうにもならないという状態なので、現地通貨で物が払えるようにこれをやってくれ、これはブラジルもようやくそういうふうになりましたけれども、まだ率の関係でいろいろと実はありがたみが少ないのでありますが、アルゼンチンなどについても、これは領事館のほうでもその事情をよく知っておられてすすめておりますので、これを早くやっていただくように確認をしていただきたいと思います。  しり切れトンボになりましたけれども、時間を超過しては申しわけありませんから、それだけちょっと御答弁をいただきます。  方々の役所から来ていただいたのですが、時間の関係質問することができなくて、かえって御迷惑をかけました。その点をおわびをいたしておきます。
  184. 福田赳夫

    福田国務大臣 たいへん貴重なお話をいろいろ承りましたが、いずれもごもっともなお話だと思います。  つきましては、ただいまもうすでに大蔵省あたりと交渉しているよう案件もあります。まだそこまで至らないものもありますが、お話のよう方向につきましては積極的に大いに努力をいたす、そういう方針でございます。   〔正示委員長代理退席、委員長着席〕
  185. 三宅正一

    ○三宅委員 それでは参考人の方、ありがとうございました。
  186. 櫻内義雄

    櫻内委員長 参考人の方は御退席を願ってけっこうです。  先ほどの楢崎委員質疑に対しする政府の発言の申し出がありますので、これを許します。須賀海上保安庁次長
  187. 須賀貞之助

    ○須賀政府委員 先ほど楢崎先生のほうから、朝鮮戦争のときに海上保安庁が元山あたりの水域を掃海して死人が出たという事実があるかどうか、こういうお話があったわけですが、突然のことでもあり、また非常に古いことでもあったわけでございまして、その後いろいろ調べてみたわけでございますが、私のほうといたしましては、当時私のほうは、昭和二十三年の五月一日に海上保安庁というものができたわけですが、そのときにその一つの部として航路啓開部というのがあったわけでございます。この啓開というのは拝啓の啓という字に開く、啓く開くと書くわけでございますが、ここでわが国戦争中における機雷の掃海を行なうということになって、わが国の掃海を行なっておったというのも事実でございます。これは昭和二十七年まで約四年間の間、この啓開部というのは海上保安庁にあったわけでございます。  この掃海に従事した船は海軍の古い掃海艇であったというように聞いておるわけでございますが、これが朝鮮半島のほうの掃海を行なった事実があるかということにつきましていろいろ調査したわけでございますが、先ほど話が出ました大久保初代長官にもいろいろ問い合わせたわけでございますが、大久保元長官はちっとお留守でわかりませんでしたが、私のほうの、昭和二十五年に入ってずっとそのまま保安庁におる職員が現在部長でおるというかっこうでございまして、それも入りたての三十五年であるということではっきりしたことはわかりませんが、そういうことがあったようであるということでございまして、はっきりしたことはよくわからない。現在いろいろ記録その他も調べておるわけでございますが、うちにはないわけでございますので、もしあるとすれば防衛庁のほうに、その後啓開部が防衛庁の前身であります保安庁といったほうに行っておりますので、そちらにあるとすればあるということでございますが、今後この件につきまして防衛庁とともに海上保安庁におきましても調査していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  188. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ちょっと注文をしておきたいのです。  初代大久保長官は現在自由民主党の代議士であります。この真相を知っておられるのは、なくなられた吉田元首相、それから大久保元長官、それから先ほど出しましたバーク少将並びに当時海上保安庁におられました三田さん、この三名だというふうに私は伺っております。で、大久保元長官にお聞きになれば一番真相がわかるはずであります。で、私が本日御披露しました内容は、これはまさに真相であると私は確信をいたしております。この事実は、占領中ではあっても憲法が現実に踏みにじられて、じゅうりんされて、公然と海外派兵をしいられた上に、戦闘作戦行動に参加したというまぎれもない事実であって、私どもはほんとうにこの内容を知って驚くわけであります。で、現憲法下において武装解除をされたはずの旧帝国海軍の部隊がまぼろしのように生き続けておる、そしてその部隊は後に海上警備隊に、それから今度は海上自衛隊に現在編入をされて生き続けております。そしてその部隊は大規模化されて、非常に近代化された現在では、西太平洋地域では最大かつ最良の掃海部隊になっているはずであります。しかもアメリカ海軍のほうは、朝鮮事変のときと同様に、一九六八年から昨年にかけて、私の調べたところでは、日本に駐留するアメリカ海軍掃海艇はカリフォルニアに撤退をいたしております。そして、太平洋機雷戦部隊司令部は現在廃止をされております。で、太平洋地域の米掃海艇の全隻数は現在大きく削減をされております。そして全く朝鮮戦争のときと同じ状態になっている。だから北ベトナム封鎖機雷の掃海作業に何らかの形で協力を求められる可能性というものは非常に強いわけであります。お断わりになるかどうかは別として、そういう事実が現実にあったのですから、だから私はここに厳重に注意を喚起いたしておきたいと思います。  それでこの真相は、防衛庁にすべて部隊も行っておるし資料も行っておるそうでありますから、協力の上明らかにしていただきたい、注文をいたしておきます。  なお、先ほど時間がありませんでしたので、ちょっと最後にお伺いしておきますが、昨年四月に岩国の第一海兵航空師団が編成されましたが、事前協議の対象の一つにいわゆる師団規模の配置というのがある、これは事前協議の対象になります。で、これは重大な配置の変更に当たると思うが、どうして事前協議の対象にならなかったか、それが一つ。  二番目に、あのベトナム戦争が今日再激化しておりますが、その激化のさなかに沖繩の第三海兵師団と岩国の第一海兵航空師団は一つに結ばれて、海兵第一緊急出撃軍となっているはずであります。それでこの緊急出撃軍は本来事前協議になじまないと申しますか、事前協議のワクをこえる部隊であろうと私は思う。したがってこの部隊の性格、指揮系統、これは早急に米側に確かめて明らかにしていただきたい。  三番目に、鶴崎さんここにお見えですが、あなたは沖繩米軍基地を今後あと十カ所ばかり自衛隊と共同使用したいと思っているということを発表されました。具体的にどういうところを考えておられるのか、以上三問を一ぺんにお伺いしておきます。
  189. 江崎真澄

    江崎国務大臣 資料につきましては、海上保安庁と協力をして防衛庁においてあとう限り調査をいたしたいと思います。  それから、御心配の点はさっきもお答えしましたからくどく繰り返しはいたしませんが、かりにアメリカからどんな要請がありましても、ベトナム地域に海上自衛隊が出ていくということは、これはできません。国連軍、それがかりに、平和的目的でありましてもどういう目的でありましても、現在の自衛隊法の中にその任務規定がない。これは自衛隊法を改めて、国連軍には参加したり、掃海のようなそういう事後処理ができるというようなことに改められない限り自衛隊を出すわけにはまいりませんから、御懸念の点は心配ないということをはっきり申し上げておきます。  あとの件につきましては、それぞれ政府委員からお答えいたさせます。
  190. 久保卓也

    ○久保政府委員 岩国の航空部隊は、われわれは第一海兵航空団、ウイングと呼んでおります。したがいまして、ウイングが二つないし三つ集まって師団、こう呼んでおりますので、岩国の部隊だけでは配置についての事前協議の対象にならないんじゃないか。  それから、四月編成ということでありましたが、あとで確認してみますけれども、部隊そのものは以前からあったので、もし編成ということであれば名称が変わったのではないかというふうに思います。  それから、沖繩の部隊とあわせての海兵の部隊でありますが、これは現在指揮系統は、第七艦隊の指揮を受けているというふうに思っております。
  191. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 先般も衆議院の内閣委員会それから参議院の内閣委員会でお答えしましたが、自衛隊が沖繩に行きました場合に当然演習場とか訓練場、こういったものを必要とするわけでございますが、沖繩には御存じのよう米軍基地がたいへん多いということでございますので、新たに自衛隊のための演習場や訓練場を取得するということは適当でない。そこで、復帰後におきまして引き続き米軍が使う演習場や訓練場をやはり自衛隊が共同使用するという形が必要であるということをお答えしたわけでございますが、具体的には、演習場としましては沖繩本島の中部にございますキャンプ・ハンセン、これの一部を共同使用したいというふうに考えおります。それから、それ以外にも小規模の射撃場あるいはライフルレンジというようなものも検討はいたしておりますけれども、これはまだすぐに共同使用するというところまでいっておりませんので、現在内部において検討中である、こういう状況になっております。
  192. 楢崎弥之助

    楢崎委員 一問だけ。  久保さん、一ウイングというのは師団というふうにわれわれはいままで解しておりました。だから岩国第一航空師団と普通通訳して呼んでおります。それが一つ。それから、六〇年安保改定後その部隊が編成されておれば、これまた私が指摘しておるように、当然事前協議の対象となる。それから三番目に、緊急出撃軍というのは本来事前協議になじまないというか、事前協議のワクを越える部隊ではないかということを言っておるのですが、それに対する御答弁がございませんでしたが、それはどうです。
  193. 久保卓也

    ○久保政府委員 先ほど申し上げましたよう岩国は第一海兵航空師団司令部であります。そしてそれの上級部隊は第三海兵両用戦部隊司令部、それの上級は第七艦隊司令官、さらにその上は太平洋艦隊司令長官、こうなっております。  そこで、航空師団といいます場合には、私どもはエア・ディビジョンということばを使っております。この場合はウィングのはずであります。したがいまして、ウィングが二つないし三つ集まって航空師団になるという考え方であります。したがって、新たにこういった航空師団が配置される場合にはおそらく事前協議の対象になろうかと思います。  それから緊急出撃の部隊であるという性格そのものだけで、これは私の所管ではないかもしれませんけれども事前協議の対象になるということではなくて、その部隊が、やはりよく言われますような作戦任務行動に出るか出ないかということが事前協議にかからしめられているというふうに思います。
  194. 楢崎弥之助

    楢崎委員 その第一航空師団、ウイングの場合でも、新しく編成されたら事前協議の対象になると、いま明確におっしゃいました。したがって、それは時期が問題ですから、それは明確にしてください。
  195. 久保卓也

    ○久保政府委員 ウイングの場合に事前協議の対象になるとは申し上げません。エア・ディビジョンの場合と申しました。つまり航空師団の場合と申しました。
  196. 楢崎弥之助

    楢崎委員 問題を残しておきます。
  197. 櫻内義雄

    櫻内委員長 鯨岡兵輔君。
  198. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 外務大臣に、いつかそこの廊下でちょっと申し上げたことがあるのですが、日本に留学生が大ぜい来ていますが、それは大まかに分ければ国費並びに私費というふうに分けられます。そこで、私の調べたところでは、日本国際教育協会というのは、駒場に学生会館というのがありまして、二百八人ぐらいおります、関西のほうでは九十二名、これは文部省の管轄なんです。それで文部省からお金を出しているのですが、それからもう一つ、外務省のほうは財団法人国際学友会というのが新宿にあります。これは百五十五人くらいいるのです。  きょうは、これは質問通告の内容ではございませんが、外務大臣にひとつぜひお考え願いたいと思いますので申し上げるのですが、ものすごく劣悪な状態で住んでいるのです。お話にならない。外務省も認めている。ここでお考え願いたいことは、外国の若い者が日本へ来て勉強しているのですから、これは文部省の管轄や、これは外務省の管轄やというふうに二つあることはおかしいと思うのです。日本で勉強を終わって、帰ってから、日本はよかったなと思わせるために、日本も貧乏じゃなくなったのですから、どっちの管轄やということではなしに、学生ですから、いい状態でなくてもいいですが、だれが見ても、こんなところに住んでいるのはかわいそうだなという、そんなことではなくできないものでしょうか。これは、しようと思えばあしたにでもできることなんです。これはきょうの質問の通告の問題じゃありませんが、外務大臣、ひとつお考え願いたいと思います。いかがですか。めちゃくちゃに悪いですからね。
  199. 福田赳夫

    福田国務大臣 私もさような話をちょいちょい聞くのです。それで、ことしの予算でも多少のことはいたしてみましたが、これは私、それだけで十分ではない、こういうふうに考えております。次の機会にぜひお話しのようなことを是正したい、そういうふうに考えておりますから、ひとつお含みおき願います。
  200. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 これは、ぜひお願いします。多少の、と言ったって、五千万円ですからね。家を直すのですから、五千万円じゃどうにもなりません。これは文部省や、外務省やと言わずに――帰ったあと日本はよくなかったという印象をその青年たちに与えることは、仏つくって魂入れずですよ、いやな状態だったというふうに言われますから。どうぞひとつ、よろしくお願いをいたします。  それから、いよいよ通告いたしたことについてお聞かせを願うのですが、外務大臣、先ほど総理大臣は、沖繩返還について、ベトナム条項があったのでこのことが心配だったのだ、ところが発動されないので私は安心しました、こういうお話がありました。私はずっと外務委員会で勉強さしていただいているのですが、外交というのはそんなにむずかしいことではない。さっき、総理大臣も国民外交ということを言われました。やはり外交はわかりやすいことだというふうに考えるのですね。そういう見地からすると、ベトナムがあんな騒ぎになるようなときに沖繩は返ってきた。僥倖があったのですから。ちょっと待ってくださいと言われてもこれはふしぎでないので、返ってきたということの裏には、ちょっと待ってください、いや、そんなことを言わないで、こっちは期待していたんですからというようなやりとりがあって、それでもう返ってきたというふうに考えるか、あるいは、えらいことだけれども約束だから返しますけれども、そのかわりにはというような話があったか、先ほど総理大臣もちょっと触れられましたので、そのことをちょっと伺いたいと思います。
  201. 福田赳夫

    福田国務大臣 この沖繩返還がきまりましたのは、最終的には批准書を交換した三月十五日なんです。ここで確定をしたわけです。その実施が五月十五日、こういうわけですが、この沖繩返還の確定しました批准書交換の時点では、ベトナムがこういうふうになろうとは実は全然思わなかったわけなんです。アメリカ側も予想しなかったことだろう、こういうふうに思うわけであります。しかし、不幸にしてこういう事態になったわけではございますけれども、もう事はきまったあとのことでございまするので、返還を延ばす、これは協定のやり直し、こういうことにもなりますので、自然、そういう事態の変化はありましたけれども、批准書交換のとおり五月十五日にはこれが実施になった、こういうことでございます。
  202. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 おっしゃるとおり時間的にはそのとおりなんですが、それにしてもアメリカ側はちょっと当惑したと思うんです。だから、私はそんなことを伺ったんですが、きょう、総理大臣のお話をよく聞いておりましたら、こんなこともおっしゃいました。ベトナム戦争に巻き込まれないようにわれわれは絶えず注意しなければならない、それから、南北ベトナム戦争があるとしても云々というような、そういう話があったんですが、そういうふうにおっしゃりながら、総理大臣は、日本はこの戦争で中立ではない、協力関係にある、こんなふうにおっしゃったわけであります。きょうのお話であります。そこで、日本はこの戦争に対して当事者ではない、協力関係であるということですが、ここで伺いたいのは、憲法の九十八条で、条約及び確立された国際法規は誠実に順守することを必要とする、こういうふうに言っているんですが、条約局長、そのときの国際法規というのは何ですか。
  203. 高島益郎

    ○高島政府委員 通常、国際法規と申しますのは、まだまだ慣習法が多うございまして、成文の法規というのは、正式に締結しました条約でございます。そういうものを合わせまして国際法の全体の体系をなしておりますので、一般にひっくるめて国際法規というふうに考えております。
  204. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 条約局長、あなたはさっきのお話の中で、ベトナム戦争は何か自衛権の発動であって、いわゆる戦争という範疇に入るのやら入らないのやら、あなたのお話ではちょっとわからなかったのですが、総理大臣は明らかにベトナム戦争に巻き込まれないように絶えず注意しなければならない、それから、南北ベトナム戦争があるとしても云々、こういうふうに言われたので、これはやはり戦争と見ていいんですね、これは総理大臣が言われたんですから。
  205. 高島益郎

    ○高島政府委員 この国際法上の考え方を申し上げます。  現在国連憲章のもとにおきまして、あらゆる加盟国は武力の行使を禁止されております。唯一、武力の行使を禁止されない例外的場合といたしまして、国連憲章五十一条に自衛権の行使の場合は安全保障理事会が必要な措置をとるまでの間、暫定的に自衛権を行使することが認められる、こういうたてまえでございます。そういう体系のもとに現在国連加盟国はあるわけでございまして、世界は大体、国際法としてそういう体制のもとに置かれているというふうに考えます。したがいまして、第二次大戦までに起きましたようないわゆる戦争というものを合法化し、戦争当事国以外はすべて中立国であるという考え方は、現在の国連憲章のもとではございませんで、もしそういう考え方に立つとしますと、たとえばベトナムの場合は、ベトナムの両交戦当事国は戦争当事国である。それ以外のすべての国は中立国であるというふうになりますと、これは厳密に中立法規をみな守らなければならない。交戦国もそういう中立法規を念頭に置いて、中立国の船を臨検したり拿捕したりというふうなことも生じますが、そういう考え方でございませんで、現在は、たてまえが、あくまでも侵略があった場合に、これに対抗する自衛権として加盟国の行動が認められる。それ以外の国は、いわゆる戦争が当然国の権威であった時代の意味での中立国の存在いうものを認めておらない。国連憲章はまさに中立ということばは全然使っておりませんで、むしろ集団安全保障、国連加盟国すべてが寄ってたかってその侵略を排除しよう、そういうたてまえでございます、もちろん北側はどういうふうにとるかということは私たちは存じませんが、アメリカの言い分からしますると、北のほうの浸透があって、これに対する南ベトナムの自衛権の行使があって、その南ベトナム援助があって、これに基づいて米国が介入している、そういうことでございますので、この事態は法律的に申しますと、あくまでも国連憲章第五十一条のもとで説明されるというふうに思います。
  206. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 条約局長、それはちょっと無理な御判断のように、私自民党ですが思うのです。それはアメリカのほうは自衛権の発動というでしょう。だがそれなら北ベトナムだって自衛権の発動だといいますよ。だから総理大臣が言われたように、ベトナム戦争にはわれわれは巻き込まれないように絶えず注意しなければならないというのが一番国民にわかりやすいですよ。それから南北に戦争があるにしても云々というそのほうがわかりやすいですよ。条約局長、国民にわからない話をしてもらっては困る。専門家で、学問としてはどうか知りませんけれども、やはりわかりやすい――外交論議としては、そういうお話は私は通らないと思うのです。  そこで、そうなってくると、条約局長の話とちょっと違いますから言えないのですが、「国際法の原則からすると、戦争に参加している交戦国以外の第三国は、当然に中立国となり、その領域では、交戦国は戦闘行為を行ってはならないことになっている。しかし、たとえ中立国の領域であっても、交戦国のいずれか一方の軍事基地となり、戦争のために使用される場合には、その範囲内において、交戦区域になり、戦闘が行われても、国際法上文句がいえないことになっているのである。」これは「国際法の話」という田畑茂二郎先生の本で、えらいわかりやすい本です。これはNHKが放送したものですが、なかなかいい本だと思うのですが、こういうふうに書いてあるので、なかなかむずかしいなと私思うのです。そこでそういうことからいうと、先ほど外務大臣も言われたように、そしてまたかつて私が椎名外務大臣お尋ねしたときにも言われたように、いま日本人はだれだってベトナムから報復爆撃を受けるなんて考えておりませんよ。それは外務大臣の言われたとおりです。このことによって戦争に巻き込まれるとは思いませんが、それは北ベトナムなどというのは遠いし、小さいし弱いからです。そうすると、もし近いから、相手が強いからということになれば、あぶないからこれは考えなければならないけれども、遠いから、弱いから考えなくてもいいということになれば、先ほど総理大臣わが国外交は正々堂々たる外交でありますと言ったこととちょっと違うよう感じがするのですが、外務大臣いかがでございましょうか。
  207. 福田赳夫

    福田国務大臣 日本国民の多数が、ベトナムは遠い国だ、そこに起こっておる戦乱がすぐわが国に波及するというふうな感じは持っていない、こういうことを私は申し上げたのですが、それはそういう実感を持っているだろうということなんです。別に、小さい国だ、あれは弱い国だというような表現がありましたら、そんなことを申し上げておるのじゃないんです。しかし、そういう国は遠い国でありまするから、したがって、わが国がこの戦争の軍事基地になるんだ、作戦行動そのものの基地になるんだというようなことは、これはない。かりにあろうというような場合におきましても、そのアメリカ側の要請に対しましてはこれを拒否します、しても不自然ではない、こういうことを申し上げているわけなんです。
  208. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 ちょっと私の推測を交えたので、外務大臣の御意思に反したようですから恐縮に存じますが、これはきょうの朝日新聞に載っているんですが「問われる安保の本質」という囲み記事ですが、外務大臣の言として、「形式上はともかく、実態として戦闘作戦行動であれば、事前協議の対象とする」、どこでおっしゃったかちょっと書いてないのですが、外務大臣は最近そんなことをおっしゃったことがありますか。
  209. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは国会でしょっちゅうそう言っているのです。
  210. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 どうもありがとうございました。  それでは、久保防衛局長お尋ねいたします。  防衛庁長官江崎先生はなかなかけっこうなんですが、二十三日参議院の内閣委員会で、嘉手納のKC135がどうとか、これが十三機か十五機であったが、いま四十機になったとか、ホワイトビーチで爆弾の積み込みがあるとか、岩国のC141の活動が活発になっているとか、秋月の弾薬庫がどうだとかいうことをずっと並べておっしゃいましたが、形式上はともかく実態としての作戦行動であるというふうに考えますか、考えませんか。
  211. 久保卓也

    ○久保政府委員 作戦行動そのものではありませんで、作戦行動の裏で動いている諸動きと思います。
  212. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 それで国民がわかりますかね。国民は非常に不安に感じていますので、それでは私わからないと思うのですが、あなた、専門的なお立場を離れて、いまのあなたのお答えわかりますか。
  213. 久保卓也

    ○久保政府委員 作戦行動そのものは、ベトナムで戦闘行為そのものを行なう、あるいは爆撃を行なう、あるいは艦艇による爆撃を行なう、これが作戦行動そのものであろうと思います。  ところで、現地におきまするいろいろな修理を要する兵器ができた場合に、本土に持って帰ってきて修理をするといったよう事柄、これは作戦行動そのものではない。それからまた、いまファントムあるいは艦艇などが本土から出港しておる、あるいは航行しておるといったような場合に、沖繩とかフィリピンを経由してベトナムに行っている形跡がある。こういったものも、そのこと自体は作戦行動ではないというふうに考えております。そういったもろもろの動きをさして、作戦行動の背後に行なわれておる諸活動である、こういうふうに申し上げたわけであります。
  214. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 時間がありませかんから簡単にお答え願いたいのですが、久保さん、仮定の問題で答えられないと言われればそれまでですが、あなたがもし北ベトナムの飛行機の親玉だとしますと、日本から爆弾を持っていってというときに、もし力があれば日本を爆撃しようと、それだけの飛行機を持っていれば、やろうと思いませんか。
  215. 久保卓也

    ○久保政府委員 私が申し上げておりますのは、日米安保条約の運用上の解釈からの見地で申し上げているわけで、たとえば私がそういうよう立場にあります場合に何かをしたいと思えば、適当な口実を設けるというのが従来の各国の慣例であろうと思います。
  216. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 わかりました。  江崎防衛庁長官、伺いますが、B52の飛来がたびたび繰り返されることは好ましくないと述べるとともに、江崎先生は、ベトナム戦争のエスカレートによって現実米軍当地がいままで以上に使われているのは事実だが、国民的不安の除去が必要であり、不安や疑惑が起きれば日米安保協議委員会などで真相を究明し、注意を喚起するのは当然だとお述べになりましたか。
  217. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そういう表現でありましたかどうか、ちょっと記憶はありませんが、やや似たよう方向であったことは間違いありません。それからまた事実B52の問題は、沖繩県民感情から見まして、これはやはり好ましくない。この間はにわかに一種の不時着みたいなかっこうで緊急着陸といいますか、ああいうことになったわけでありますが、これは私は、大使がわざわざ外務大臣をたずねて、まことに遺憾の意を表明したりしておるように、今後これが繰り返されることはないと思います。しかし、そういうことがたびたび繰り返されるというようなことになれば、これは注意を喚起することはあり得ます。そういう前後の場面でお答えをした、こういうふうに記憶しております。
  218. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 きっとそうだろうと私も思います。  竹下官房長官にお忙しいところ御出席いただいて、まことに恐縮なんですが、竹下官房長官は先日法眼次官をお呼びになって、国民は非常に不安に感じている、こういうことはちょっとわかりにくい――私の説明が間違っていたら訂正してください。飛行機に給油するのは、地上から給油するときには、行きはいけないけれども帰りならいい、空でやる分にはいいなんというのはやはりちょっとわかりにくいから――これは私の説明ですから、どうかわかりませんが、そこで安全保障条約第四条の協議の議題にして、こういうことはつとめてもっとわかりいい、国民に不安を与えないようにしなければならないというようなお話をなさいましたか。
  219. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは五月二十二日の午後の私の定例記者会見の際、記者団の質問がありました。たまたま私と外務省の事務次官との定例報告というのが通常月曜日の午前九時半からであります。ちょうどその日でございましたので、私はその朝法眼事務次官と協議いたしましたことに触れて、話者会見の場で答えをして申し上げたことであります。  その内容は、B52が緊急着陸したという理解の上に立っての発言でありましたが、こうしたことについては、いままで沖繩が米国の施政権下にあっただけに、ものごとがとかくイージーに扱われるという不安感が日本国民にあるではないだろうか、だから、このような緊急着陸はまさに人道上の見地からもやむを得ないものとしても、これがイージーな考え方の中に定着していくというようなことは最もシビアに考えなければならないところであるので、こうした点については、そのつど外交チャンネルを通じてきびしく注意を喚起すべきではなかろうかということを、まず一つの議題として話し合いをいたしたのであります。そしてそのことは、翌日二十三日の午前十一時ぐらいでありましたが、外務大臣からの指示に基づいてアメリカ局長から注意を喚起し、そしてこれらについてはもとより二度と繰り返すことのないように、米側としても十分な答えを得ることができた。なお、これはその問題の責任者であるわけではないが、ランパートさんに対してもそういう形のお話をしたところ、まさに二度と再びそうしたことはあってはならないことであるという趣旨の返答ももらったという報告に私は接した次第でございます。  それから第二の議題として話し合いましたことは、これは従来の安保論争、この十二年の間国会の場で確かにいろいろやられてきたが、特にその安保論争の中で、極東の範囲内において起こった事態に対する事前協議あるいはその場合のわが国の態度ということについては、国会の場等を通じて国民にある種の理解を得られるだけの論議がなされておると自分は理解をしておる。がしかし、いわゆる遠いところでという表現に新聞ではなっておりましたが、極東の周辺すなわちベトナムのことをさして話し合いをいたしたのであります。極東の周辺において起こったこれらの武力紛争が極東の中にさらに緊張をもたらし、ひいてはわが国の安全と平和に対して直接の影響を与えてくるという問題についての論争は、もとより国会でたびたび議論はされておるものの、なお極東の範囲内における問題ほどに国民に理解をされていないのではなかろうか。こういう点について正確に国民の理解を得るための努力お互いしなければならないということが話し合いをした第二点であります。  それから第三点の問題は、今日安保協議委員会を開くということについて、おおよそ常識として九月ごろということが私自身には理解できることである。しかし相次いで起こるこのよう事態に際しては、国民感情からするとそれが非常なスローテンポに感じられるではなかろうか、したがってもとより事務的に、つまりその外交チャネルを通じて注意を喚起し、それによって措置されるもの等々はそのつど敏速な形において行なわれるべきではなかろうか。しかし安保協議委員会そのものについてはおよそ九月ごろと私も理解するが、それはそれなりにまた国民になるほどと理解できるような議論なり説明なりをするお互に努力が必要であろう、こういうような三点についての意見交換、たまたま事務次官の私に対する一週間に一回必ずやります定例報告の機会でありましたので、そのようなことをお互いに検討し、お互いの――私が指示したと申しますよりはむしろ検討課題として問題提起をお互いの間で行なった、このように御理解いただければ幸いであります。
  220. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 時間が来たから結論に入れということですから、結論に入りますが、竹下官房長官、その際に、四条の安保協議委員会などを早くやって、こういう国民的な不安を除去するためにやはり何らかの作業がなければならぬというふうなことをあなたが言われたのに対して、外務省側は別にその必要はないでしょうというような発言があったように新聞には書いてあるのですが、いかがですか。これが第一点です。  それから第二点は、その際、事前協議というのはアメリカ側だけに提議権があるが、日本からも提議権があるように直す必要があるのじゃなかろうかというような話題も出たように書いてありますが、いかがでございましょう。この二つ。
  221. 竹下登

    ○竹下国務大臣 第二点の問題につきましては、実はもろもろの定例報告の中でありましただけに、その後発表になりましたチャウシェスクさんの問題をも含めたわずかな時間でありましたので、事前協議そのものの提案権の問題についてはそのとき意見交換をいたしておりません。  それから第一番目の問題につきましては、安保協議委員会そのものは、私なりに理解しておりますことは、いろいろ事務的に洗ってみなければならない問題がたくさんあろう、そして最終的に外務大臣が出かけて話されるという場合最も大事な問題というのは、お互い国際情勢の認識をどうするか、こういうことを突っ込んだ話し合いが行なわれるのが私は終局的に最も好ましいものである。したがって、それ以前に事務的な詰めとかあるいは注意を喚起することによってそういう不安を除去することができる努力をすべきではないか、このよう考え方を申し述べたのであります。したがって、安保協議委員会をできるだけ早く開くということは好ましいことであるが、それなりの準備も必要であろうし、そのことは私なりには十分理解ができるが、国民はもっと早く開けばいいんじゃないか、こういう感じはあろうかと思う。それに対しては国民次元にも説明するだけの努力を怠ってはならない、こういう趣旨の意見交換をいたしたのであります。
  222. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 これで終わりにいたしますが、質問ではありません。竹下官房長官のお話で、なお私は聞きたいことがありますが、いろいろ御心配になっていること、よくわかりますし……。私は外務大臣に申し上げたいのですが、私、椎名元外務大臣に対して質問をしたときも現在も、日本は防衛力が何にもなくていいと、江崎先生、考えてもおりません。それから、安保条約がなくてもいいと私は考えておりません。時代が推移してくるのですから形は変わってきていいと思いますが、なくていいとは私は思っておりません。思っておりませんが、時間がありませんから端的に申し上げますと、沖繩から空で給油する分にはこれは作戦行動ではないのだ、それから地上からやるときには、行きはいけないけれども帰りはいいんだというようなことは、私、一生懸命考えるとわかるような気がするのですよ。しかし国民はこれはわかりません。だから私がお願いしたいことは、やはりこれから、むずかしい外交ですが、テレビやラジオでもって国民もだんだんよくわかってきておりますから、もっと国民にすぱっとわかるような――それだけの協力をしてくれるのならそれだけの協力はしなければならないじゃないか、アメリカにだけやってもらって日本は何も協力しない、そんなばかな話があるか、ギブ・アンド・テイクじゃないか、そんなエゴなことを言っても通らないじゃないかということをなぜ国民にはっきり言わないか。それを言わないで、何とかかんとかつじつまを合わせようとするからわけのわからない話になるのではないかと思いますので、どうかひとつ、国民にわかる話を日本外交はしていただきたいことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
  223. 櫻内義雄

    櫻内委員長 西中清君。
  224. 西中清

    ○西中委員 最初に、御答弁は要りませんけれども、先ほど私が冒頭質問したときに外務大臣からお話があって、将来にわたって事前協議ベトナム戦争について発動されることがないじゃないかということについてのお答えが、ベトナム戦争は遠いところで行なわれておる戦闘である、ベトナム戦争に関する限り事前協議にかけられることはないだろう、将来近接したところで戦争が起これば対象になることもある、そのときにイエスと言うかノーと言うかは国益によってきめる、こういう御発言があったわけですが、私はこれはやはり問題だろうと思います。ということは、将来どういうことが起こるか、聞くほうが無理な面もありますけれども、ないだろうというようにおっしゃる。それが、いままで事前協議について非常にあいまいな、どうも国民にわからないということの最大の原因になっているのじゃないか。わが国が提案権はないにしても、一つ一つの問題についてきびしい態度で臨むということが基本になければ、やはり国民とすれば政府はいつも最大限に米軍行動を許容されるよう姿勢にあるのじゃないか、こう疑っているわけでありますから、私はこれは非常に残念な、また問題の発言ではなかったかと思っております。これはともかくとして、先ほど鯨岡委員が御指摘になりました問題で、私も聞いてみたいと思っておったところなんですが、こり前も若干このお話をいたしましたが、自衛権云々ということで、アメリカ行動は自衛権の発効だということで、どうも日本政府アメリカ軍行動を合法化、是認するというよう立場に立っておられるようでございます。その点は先ほど軽くおっしゃっておりましたが、条約局長、納得されたわけですか。どうもまだ自分はあくまでもこれは自衛権の発動である、こういうようにお考えなんですか、どうでしょうか。
  225. 高島益郎

    ○高島政府委員 私の説明がどうも一般にわかりにくいというお話でございまするけれども、どこまで申しましてもやはり国際法上の立場というのは、これは私個人の意見ではございませんで、現在国際的にもまた慣例上もそういうふうに考えられておるというのが現状でございます。少なくとも戦争というのは、法律上は、国際法上はない。国連憲章が現存の世界の規範でございまして、そのもとでは自衛権の名でしか武力は行使できない、これだけはわかっていただきたいと思います。  そこで、第二番目にそれでは米国の自衛権行使がはたして正当な意味での自衛権行使であるかどうかという問題であろうと思いますが、これはわれわれが判断する立場にございません。あくまでも憲章のたてまえから申しまして、安全保障理事会がその決定をするということになっております。もちろんそれに対しまして各国がそれぞれの意見を持つというのは当然でございます。しかし、客観的な判断を下す権限のあるのは、どこまでも安全保障理事会であるということでございます。ただ、遺憾ながら国連が憲章を発足させた当時のようになかなかうまくいかない。その結果は現在のように非常に混乱した事態が起きているというふうに考えます。これはしかし、あくまでも世界のいろいろな国際関係、これが当初、戦後各国が期待したよう方向に向かっていないということの結果でございまして、これはわれわれ日本といたしましても、国連ができた当時の方向に進むよう国連を何とかしていきたいというのがわれわれの希望でございます。
  226. 西中清

    ○西中委員 国連で決定するということでございますから、決定されてから初めて自衛権云々ということは論拠として成り立つわけでありまして、どうも答弁の中にそれがしょっちゅう出てくる、この辺は私は問題だろうというふうに思っております。確認の意味でお伺いしますが、ベトナム戦争国連は全く介入しておらない。安保理事会も総会も議題となっていない。そうして、交戦国のいずれが正当であるとか、侵略者であるというような決定もしていないと思いますが、この点は間違いないですか。
  227. 高島益郎

    ○高島政府委員 ここに正確な記録はございませんけれども、一九六四年八月にトンキン湾事件というのが起きまして、先ほど先生ちょっと言及されましたのですが、これが契機になりまして実はアメリカが軍事的に介入することになったことだと思います。当時、アメリカは直ちに安保理事会に報告いたしまして、その報告に基づいて安保理事会が開かれました。開かれました結果、北越と南越のそれぞれの代表を呼ぼうという決議が出たわけでございます。これはソ連の提案に基づいてそういう決議が出たわけです。ところがソ連の意に反しまして、北越のほうの拒否にあって、その結果、北越は出席できない。したがって、その結果安保理事会では何の審議も行なわれないままに終わっているわけです。その後、二回ほどアメリカはやはり集団的自衛権の行使ということで安保理事会で憲章の規定どおり報告をいたしました。しかし、依然としてソ連あるいは中国あるいは北越等のほうの非常に強い反対がございまして、ベトナム問題は国連の関与する問題ではないという立場に基づきます反対がございまして、その結果依然として安保理事会が開かれていない、したがってその安保理事会において黒白の決定が出ていないというのが現状でございます。
  228. 西中清

    ○西中委員 同時に、国連が米国に対して南ベトナム援助して北ベトナム軍とか民族解放戦線に制裁を加えるという依頼をしたということもないですね。それで、今日までの政府の答弁によりますと、ベトナム戦争に米国が介入した法的根拠は国連憲章五十一条である、こういうように繰り返しおっしゃっておる。その五十一条の自衛権によるものだ。これは、北からの侵略に対する自衛行動であるというよう考えておられるとしか考えられない。日本政府はこの米軍行動をそういう点で正当化して、実質的に、安保のたてまえからいって当然とはいいながら、ともかく支持をするよう立場に立っておる。北からの侵略ということをよくおっしゃいますが、それはだれも決定していないんじゃないですか。少なくとも国連の決定ではない、このように思いますが、それはどうでしょうか。
  229. 高島益郎

    ○高島政府委員 当初、これもはっきり年度は覚えていませんが、一九六二年だったと思いますが、まだジュネーブ協定に基づきます休戦監視委員会ができた当時だったと思いますけれども、その報告の中には、北からの浸透があったという報告が出ております。もっとも、これは先ほど申しました安保理事会における報告ではございませんで、ジュネーブ協定に基づきますところの休戦監視委員会、この報告の中にはそういうくだりがございます。
  230. 西中清

    ○西中委員 それは第三者機関で認められたという意味じゃないでしょう。もう一度……。
  231. 高島益郎

    ○高島政府委員 安全保障理事会でそういう報告が認められたということではもちろんございません。先ほど申し上げましたとおり、安全保障理事会は開かれておらないわけでございます。
  232. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、国連憲章五十一条をたてにとるということは非常におかしな問題です。少なくともこれは米国の主観といってもいいんじゃないでしょうか。この点はどうでしょうか。
  233. 高島益郎

    ○高島政府委員 国連憲章のたてまえは、自衛権を発動する場合は、その自衛権を行使する国が第一義的に侵略があったという認定を下しまして、その判断を安全保障理事会に仰ぐというたてまえでございます。
  234. 西中清

    ○西中委員 ですから、米国は主観的にそう判断したと解釈していいと思いますね。そうしますと、それを支持する日本政府もそういう主観によって判定しておるということになろうかと私は思います。そうしますと、一方、北ベトナム側はアメリカの侵略に対する自衛行為であり、民族独立の正当行為であると主張しております。これはいまの論法でいきますとやはり主観的には成り立つ、こういうようになると思いますが、いかがでしょうか。
  235. 高島益郎

    ○高島政府委員 私ども、北側のほうでどういう判断を下しているかということについて情報を持ちませんので、どうこうということを言うことは差し控えさしていただきたいと思います。
  236. 西中清

    ○西中委員 そういうことじゃなくて、そういう主張をしているのですよ。そういう場合に、一応理論的には成り立つのではないかと聞いているのです。
  237. 高島益郎

    ○高島政府委員 この問題も含めまして、もし安全保障理事会が開かれれば、当然その場でもってどちらの主張が正当であるかということになろうかと思います。
  238. 西中清

    ○西中委員 まだ開いていないのであって、現時点において理論的に言えるのではないか、主観的には北ベトナム側が同じことが言えるのではないかと言っている、アメリカが言うのと同じように。どうでしょうか。おかしくないでしょう、言ったって。そういうことを聞いている。
  239. 高島益郎

    ○高島政府委員 もちろんそういうことを言うことは可能であろうかと思います。
  240. 西中清

    ○西中委員 少なくとも国連憲章をたてにとってお話しなさる場合には、国連で決定しておらない、こういう時点においては、私は五分五分とは思っておりませんけれどもアメリカ立場北ベトナム立場というものは、いまのところ五分五分であろうと少なくともこの主張については言い得るのではないかというように思うのです。先ほどの御答弁からもそういう結論になるかと思います。これは沿革から尋ねていけば、非常にこの戦争はいろいろの問題を含んでおります。どちらが侵略したかしないか、こういう問題は非常にむずかしい問題でありますけれどもアメリカが一九五〇年からフランスに対して軍事援助を続けてきた、こういう事実ははっきりしておるし、一九五四年のジュネーブ協定成立後も、引き続きゴ・ジン・ジェム政権に軍事援助を行なった、こういう事実もございます。先ほどおっしゃったジュネーブ協定が決定しているその時点において、南北の統一選挙が行なわれることになったけれども、ボイコットした。それは実際上はアメリカの示唆によるものであるというように、今日では周知の事実となっておる。ですから、沿革的に見た場合には、アメリカベトナム介入というものはフランスの植民地時代から続いておる、すでにこれは二十年以上を経ておる問題でございます。先ほど機雷の封鎖についてもどういうことなのかと聞いたときには、やはり国連でこれは自衛の行動であるのかどうか決定しなければはっきりしないなんて言っておりますが、このベトナム戦争についてはもう相当の年数がたって、先ほどあなたが御説明になった経過で今日決定される結論が出ない問題であるし、議題にならない問題であるし、将来もまたこれはあり得ないのではないかというふうに私たちは考えざるを得ない、こういうことであろうと思います。ですから、北からの侵略に対して云々なんということは、理論的にもまた政治的にも、言うのは非常にまずいのじゃないか、私はそのよう考えております。  それで、こういう背景から考えて、いままでの御答弁をお聞きになって、外務大臣は、アメリカ行動があくまでも北からの侵略に対する自衛行動である、こういうような主観的判断というものを依然としてお持ちかどうか、その辺をお伺いしたい。
  241. 福田赳夫

    福田国務大臣 二つに問題を分けて考えたらどうかと思うのですが、わが国アメリカの対ベトナム政策、これは軍事行動を含めてであります、これについては理解を示し、これを承認をしているという姿勢をずっととっておるわけです。  それからもう一つの問題は、個々の軍事行動が行き過ぎであるかないか、たとえば機雷封鎖というようなことがどうか、こういう問題があるだろう、あるいは北爆が一体どうなるのか、こういう問題がある、それはどうかと、こう言いますると、これは両方に言い分があるだろう。これは安全保障理事会に、アメリカは憲章五十一条に従ってやっている行為だ、こう主張しておる。これは国連安全保障理事会の判断を待ってこれを理解するほかはない、こういうふうに思っておるのです。ですから、ベトナム政策全体としては、私どもはこれに対して友邦アメリカに対しまする理解を示しておる。個々の行為の判断につきましては、両方に言い分のあることであろう、こういうことでございます。
  242. 西中清

    ○西中委員 これは先ほどから申しておりますように、あくまでもアメリカ側の主観的判断、それは正しいか正しくないかは別問題として、現状においてはそういうことです。ですから、日米安保条約に基づいて提供した在日米軍基地が、一〇〇%正当化された戦争に使われているというようには理論的には言えない、こういうふうに私は思います。アメリカベトナム戦争に在日米軍基地を使用することは、日米安保条約第六条の規定に私はいささか疑念が生じてくるわけです。御承知のように、極東における国際の平和と安全の維持に寄与するという判定がまだついてない、国連においても決定してないこの戦争において、第六条を適用するということがはたして適法なのかどうなのか、その辺の疑問も若干持っておるわけですが、その点、外務大臣はどうお考えでしょうか。
  243. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは西中さんが疑問にしておるのです。西中さんの主観の問題なんです。日本政府といたしましては、アメリカの軍事行動を含めてのベトナム政策に対して理解を示し、これを支持しておる、そういう立場である、こういうことかと思います。
  244. 西中清

    ○西中委員 私が言っておるのは、私個人じゃなくて、北ベトナムアメリカもフィフティー・フィフティーの立場にあるのだ、その上で日本政府アメリカをそのまま支持しておる、こういう立場に立った場合は、これはおかしいじゃないですか、はたして第六条に適合したものであるかどうかということは、決定的なものではないというように言えるのじゃないか、もしも逆に北ベトナムのほうが正しかったとなったときは、これは完全におかしくなるのじゃないですか、そういう意味で聞いておるのです。
  245. 福田赳夫

    福田国務大臣 わが国アメリカの対ベトナム政策、軍事行動を含めての意味でありますが、これに対して理解を示し、これを支持しておる、こういう立場をとっておるのですから、これは別におかしなことでも何でもない、それがおかしいというのは、西中さんのほうの主観的立場ではあるまいか、そういうことを申し上げているわけであります。
  246. 西中清

    ○西中委員 私は、これはどっちが正しいとか正しくないという、そういう主観でものを言っているわけじゃない。いま理論的にそういう話をしておる。ですから、もう一歩進んで言えば、国連で決定してないこの戦争に対して、日本アメリカを支持する、こういう姿勢をとって、先ほどからいろいろと問題になっております日本基地が非常に危険な状態になるのじゃないか、もちろんその距離が遠いからどうこうということはございます。私も実際問題として、攻めてくるなんということは現実問題とは思っていませんよね。理論的にはそういう心配があるということが先ほどから言われておる。少なくとも日本立場としては、やはり何といっても一方の交戦国を支持するという必要が積極的にはないのじゃないか。したがって、わが国は不介入の立場をとるということが何よりも大事なんだ。ですから、先ほど皆さん方からも提案がありますように、この徒地の提供については厳重に事前協議の歯どめをしなければならぬ、こういう主張もあろうかと思います。ですから、将来平和な時期が到来したときに、わが国立場というものを考えたら、少なくとも戦争の終結ないしは平和の労をとるという立場に立つということが、やはり何といっても大事な立場ではないか、それは日本が平和国家として立ち上がっていくという立場からいっても、先ほどの総理からの外交基本姿勢からいっても、私は合致しておるのではないかというふうに考えておるのですが、その点の御見解はどうでしょう。
  247. 福田赳夫

    福田国務大臣 わが国は、先ほど総理から申し上げましたように、南北ベトナムにすみやかに平和が到来する、こういうことを念願しておるのです。さらばこそ、わが国戦争の当事者じゃございませんけれども北ベトナムにも人を出したりして連絡をつけておる、そういう配慮までいたしておるわけです。なお、この戦争が終了するという際には、積極的にこの戦争の惨禍からの復興、開発、こういうことに援助をする、協力をしようという姿勢も打ち出しておるわけなんです。それはもうそのとおりなんです。しかし、今日展開されておるベトナム状況に対してどういう態度をとるか、こういう問題になりますると、アメリカにはアメリカの主張があります。これも広く国際社会において承認をされておる行動である。わが国もこれに対しまして理解を示し、またこれを支持するという立場をとっておる、こういうことでございます。
  248. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  249. 櫻内義雄

    櫻内委員長 曽祢益君。
  250. 曾禰益

    ○曽祢委員 先ほど総理大臣に伺いましたことに続きまして、なるべく短く外務大臣に伺います。  第一点は、これはむしろ外務大臣のみずからの主張であったわけですけれども事前協議に関するいろいろな問題をひとつこの際――この際という意味は、やはり沖繩返還されたんだし、特にベトナム戦争についてもいろいろな問題が起こっている、両方の意味からだろうと思うのですけれども事前協議の問題をいろいろ洗い直して、そしてきちんとしたい、こういうことを言っておられる。私はそれに非常に賛成であるし非常に必要であると思う。特にこのいわゆる発進についていろいろいま問題になっておりまするから、そういう点も含めてやはりきちんとしなければいかぬ。ただ問題になっているそのベトナムについては、きょう非常に長い間いろいろな質疑応答がありましたけれども、私はベトナムがただ遠いからというだけでなくて、やはり確かにそういう意味からいっても、はたして安保条約がほんとうに考えておった極東の平和と安全にベトナムは実際不可欠な問題じゃないと思うのですね。ですから、極東の範囲に本来は入ってない地域の問題であるし、したがって日本国民から見ると、日本の防衛のため、あるいは日本の付近でたとえば朝鮮半島で五〇年代のあの朝鮮戦争みたいなものが起こった場合には、これは日本の安全にも非常に関係のある戦争、どっちがしかけた、しかけないかにかかわらず、これは非常に大きな日本の安全にも関係した問題だということは、はだ身で感じるわけです。いやおうなしに局外者におられないという気持ちになるわけです。それからまた、そういうこともむろんないだろうと思うけれども、万一不幸にして台湾の帰属をめぐって大陸とそれから台湾との間に戦闘が起こるとして、アメリカ軍がこれに介入するというようなことだって、これは日本として迷惑千万な一大事件ですね。それほどの近接的な感じは持ってない。したがって、遠いところであるし、しかも日本は実際上補給基地として、あるいは場合によったら戦闘作戦行動と補給基地との間の非常にボーダーラインの、たとえば爆撃に対する給油、それを地上でやる空中でやるにかかわらずそういった問題があるとか、あるいは機雷の投下というような活動がはたして従来考えていた戦闘作戦行動かどうかという非常にボーダーラインな問題もある。したがって、まことに迷惑である。かてて加えて、日本国民の多くは、決して一方的に、それは戦争行動ですから、どっちだけが悪いということを考えてないと思う。しかし、早くやめるべきじゃないか。アメリカもやめることを望んでいるのだろうし、北ベトナム及び解放戦線側も、自分の条件で早くやめたいということを考えている。そうして最近においては、全く、戦闘作戦行動をなるべく早く停戦するということと、アメリカ軍が撤退する、このことについてはもう実際上の合意ができている。ただ、その後のいわゆる南ベトナムにおける政治のあり方等についてのかけ引きというと少し大げさかもしれない。やはりそこの政治的なあり方についての非常につばぜり合いのことで、両方が軍事的なエスカレーションをやっているのだ。こういう感じが国民にある。だから、ベトナム戦争のために日本基地が何らかのことで深く使われることは困るという感情が非常に強いわけです。だからそれを何らかの形で何とか日本のいわゆる不拡大、不介入という方向をなるべく強くしてほしいというこの国民の感情にどうこたえるのか。と同時に、安保条約というものはあるのですから、安保条約におけるミニマムな――ミニマムと言ってはしかられるかもしれない。最小限度の義務というものは履行する、ここの問題だと私は思う。ですから、少なくともベトナム戦争に関してはボーダーラインの問題についてはなるべく不介入という方向に、強い方向に政治のかじを取っていくようにしてほしい、これは私は国民の願いだと思うのです。もう一点だけ伺いますが、その点をどうお考えであるか、まずその点を伺います。
  251. 福田赳夫

    福田国務大臣 ベトナム戦争、これはどういうふうに国民が受けとめるか。私は、このベトナム戦争に対して日本の国が軍事作戦行動基地化するのだ、こういうことであってはならぬ、これが結論だろうと思うのです。しかしそのためには一体どういうことをするのだ、こういうと、いま曽祢さんがおっしゃるようにこまかい配慮もしなければならぬ。ならぬが、しかしわが国わが国としてわが国の安全自体のこともまた別の角度で考えなければならぬ。つまり日米安全保障条約ですよ。日米安全保障条約、これが、保障条約そのものが空洞化してしまう、こういうようなことになりますれば、これはもう意味がないことになる。わが国の安全に非常に重大な問題があるだろうと思うのです。その辺もまた考えなければならぬ。その辺のボーダーをどういうふうに持っていくか、その辺がなかなかむずかしい点ですが、一面において日米安全保障体制はこれを堅持する、そういうたてまえ。それから他面において日本の国がベトナム戦争基地化するということについては絶対にこれを阻止する、こういうかまえです。その辺の調整ですね。そこに私はただいまのベトナム事態に対するむずかしさというものがある。そういう意識です。それで間違いないようにその二つの問題をよく調和させるという方向で対処していきたい、こういうふうに考えております。
  252. 曾禰益

    ○曽祢委員 私は安保条約は当面必要であるという立場です。それから日本の自衛のミニマムな自衛力は必要である。そういう立場からいっても、安保条約がいわゆる継続性を必要とする意味からいっても、やはり事前協議をきちんとするとか極東の範囲というものをほんとうに厳格にあれして、日本国民が望んでいない、ベトナム迷惑だという感じを強めることは、安保条約を日本の防衛のために使をためにいってもまずいんじゃないか、こういう見地で、その点の評価が外務大臣と違うと思うのです。ですから、これはもう論戦ですから平行線やむを得ないと思う。  もう一つ、きょう実はかなり重大な問題と思って取り上げたいのは、最近、具体的には私のいま手元にある新聞は五月二十一日の朝日新聞です。必ずしも大きくない記事なんですけれども、要するにその内容は、ワシントンのロイターの電報で、レアード国防長官が、二十日公表された下院の歳出委員会の議事録の中で、日本が最終的には核保有することを支持したものと解釈された昨年のレアードの発言をもう一度繰り返すつもりだ、こういう意向を明らかにした、こういう趣旨の電報でございます。それでそれに関連して下院の歳出委員会の国防支出小委員会は、これはだいぶ古いのですが、去る一月の聴聞会でレアード長官にこの点をただしたところが、マホン小委員長の説明によると、長官の発言は日本で大きな反響を呼んだと思うがと述べたのに対して、レアード長官は、そのとおりだ、だが私はもう一度それを繰り返すつもりだ、こう答えている。議事録は安全保障上の配慮から削除された部分もあるというふうに書いているのです。そこで問題は、昨年の七月八日のワシントン・ポストが在日特派員の報道として、在東京の米当局君はアメリカソ連のSALT交渉の結果アメリカは核戦略配置を日本付近で縮小するかもしれないので、日本は八〇年代になると、中国の核脅威に対抗するために独自のABMの開発をきめるかもしれないと語った。これが実は問題の発端になっておるのです。そのワシントン・ポストの報道そのものについては、当時日本政府筋としては、そんなばかなことは絶対ないと否定している。これが別の形で、その後ことしの二月のアメリカの下院の歳出委員会でもう一ぺん繰り返されて、その場合に、レアード長官の言ったことはどうもはっきりしないのですが、日本の八〇年代の、自前のABMをあれするというところを強調したのかどうかあやしいので、私はマホン小委員長の言っているところを見ると、結局レアード長官がこの点を再確認したという部分は、「私は というのはレアードのことなんですが、「(国防の分野で)日本がやっていることに満足していない。日本は今、国民総生産の約〇・八%を国防費に使っており、その比率は増大してはいるが……。」それからもう一つ、「米国は日本に核のタテ、核のカサを提供している。米国は日本のために提供しているのだ。」築三に、「私は日本アジア地域で、いっそう大きな責任を持っていると思う。私は日本がこの地域の平和を守り安全を維持していくための責任を、軍事的にはもちろん経済的にもいっそう拡大していくべきだと思う。」こういったような、よけいなことだといえばよけいなことでありますけれども日本が軍事的な責任をより分担してほしいという、レアードのというか、アメリカ側の希望について再確認したという意味じゃなかろうかと思うのですけれども、この新聞報道のとり方によっては、またレアードが日本の核武装化にあるいは肯定的な発言をしたのではないかととられるような重大なニュースでもある。時たまたまSALT問題が、先ほど総理大臣に申し上げたように、米ソのSALT協定ができるかもしれない、ほとんどできかけている。そうなると、この論理からいうと、日本が核武装――みずからABMをやるのじゃなかろうかというようなことがまた幽霊のごとく出てくるのじゃないか、この前から当委員会あるいは本院において、しばしばアメリカ海軍長官のいわゆる電報事件という形で、アメリカ側が日本に共同の核戦略部隊をつくろうじゃないかということをやろうとしたとかしないとかいうことが議論されて、私は私なりに政策的にアメリカがそんなことは考えていないだろうということを強く主張した立場なんですが、一体レアード長官のこの発言というものを、これはやはり日本の核政策、核接近というようにとられたら、まことに迷惑千万だ。この点については、新聞にもかなり大きく出ていることでもあるし、時たまたま日本の核政策の問題が議会でも議論になっているときなんですから、当然外務省としてはさっそく真意を確かめられたことと思いますが、いかがであるか、お答え願いたいと思います。
  253. 福田赳夫

    福田国務大臣 ここに下院歳出委員会のレアード国防長官の発言の仮訳がありますが、一読してみまして、核の問題について日本に増強を行なう、保有を求める、こういうようなニュアンスのことは全然ありません。ただ、この委員会でのレアード長官の発言でにじみ出ておりますのは、日本の防衛努力に対してはなはだ不満である、こういうことのようであります。いずれにいたしましても、わが日本アメリカに対しましてるる説明しておるのです。核は持たぬ、アメリカ日本の核政策につきましては協力をする、こう言っておるのでありまして、核につきましてアメリカ日本に期待をするという事実は私はあり得ない、こういうふうに見ております。
  254. 曾禰益

    ○曽祢委員 そうだろうと思いますけれども、私は、事非常に今日的な課題だと思うのです。私がもし楢崎委員だったら、さっそく飛びついて、傍証からいっても、レアード長官がまた再確認したじゃないかとやる。ほんとうですよ。ですから、ただ報道を取り寄せたとかあるいは公表された下院の記録をざっと読んだ、そういうふうに簡単にとらないでほしいと思う。私は、これはどういう方法がいいかについてまでは申しませんが、そうでないならそうでないとやはりはっきり否定しておいたほうがいいと思うのです。こういう幽霊が出て、日本が核武装をする、アメリカの国防長官も大体それはわかっておる、かりにそれが支持でないにしろ半ば容認しているようなニュースが流れて、それに対するはっきりした否定がないということは、非常に両国のためにならないと思うので、適当な訂正といいますか、これを明らかにする明確な措置をぜひとつていただきたいと思います。御承諾願えますか。こまかい方法論はおまかせいたします。
  255. 福田赳夫

    福田国務大臣 ごもっともなことですから、明らかにするような措置をとります。
  256. 櫻内義雄

    櫻内委員長 松本善明君。
  257. 松本善明

    松本(善)委員 先ほど来ベトナムでのアメリカの侵略戦争日本との関係がいろいろ論議をされておりますが、私も少しお聞きしておこうと思います。  日本ベトナム戦の自由出撃の基地になっておる、私どもはそういうふうに実際上は思います。それについての懸念がいろいろな形で表明されております。与党の委員でもこの委員会でもその懸念が表明されたわけです。それは外務大臣もとうとう補給基地になっておるということまではきょう認めるようになりました。補修をしているとか、あるいは補給をするというのは当然のことである、こういうふうに認められておる。私そこでお聞きしたいのは、自由出撃の基地かどうかということはきょうはやりませんけれども、補給の基地との関係でお聞きしたいのは、安保条約の六条の、日本の安全に寄与し並びに極東における国際の平和と安全の維持に寄与するという場合に限って米軍の補給基地となることが認められるということだろうと思う。そうだとするならば、外務大臣は、この米軍ベトナムでの軍事行動というものが、安保条約六条の日本の安全に寄与する、極東における国際の平和と安全の維持に寄与する、こういうふうに考えておるのかどうかということについてまず伺いたいと思います。
  258. 福田赳夫

    福田国務大臣 しばしばお答えしておるように、そういう見解です。アメリカベトナム政策はこれを支持する、こういう基本姿勢に立ってやっておるわけであります。
  259. 松本善明

    松本(善)委員 日本の国民は、アメリカ軍ベトナムのサイゴン政権を助けるために集団自衛権の行使と称して出ていっているわけですね。このベトナムのチュー政権を助けるということがなぜ日本の安全に関係するのだろうか、何でそんなところに出かけていかなければならぬのだろうかとだれでも疑問になるのは当然だろうと思う。日本を守るためと称してベトナムまでなぜ出かけていかなければならぬか、その補給基地に何でしなければならぬか、これは日本の国民すべて疑問に思う。外務大臣、この米軍ベトナムでの行動、サイコン政権を守るということがなぜ日本の安全に関係するのですか。
  260. 福田赳夫

    福田国務大臣 これはいわゆる極東の周辺において戦乱がある、こういうよう事態、これはわが国としても非常に不安な事態であります。わが国はずいぶん世界じゅうからいろいろな物資を輸送したりいろいろな関係があるわけです。そういうような際に、わが国の近接した地域におきまして戦乱がある、これはわが国としては非常な不安を感ずるところであります。そういう関係から見まして、アメリカがこの自衛権の発動をする、これに対して理解を示す、これは私は当然のことじゃあるまいか、そういうふうに考えます。
  261. 松本善明

    松本(善)委員 たいへん説得力のない話でありますけれども、その点はこれ以上は申しません。  私のもう一つ向いたいのは、先ほどは核の問題について総理に伺いました。謀略部隊の問題について、外務大臣に少し伺っておきたいと思います。CSGについて、私が質問主意書を出しましたところが、これは布日米軍に組み入れられたから、安保条約上問題はない、こういう答弁書がきております。まず、五月十五日前はこれはCIAの機関であったということは認められるのかどうか伺いたいと思います。
  262. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは、かつてはCIAであったが、その機構はいまや米軍の組織の中に組み入れられておる、そういうふうに御理解願います。
  263. 松本善明

    松本(善)委員 その米軍の組織に組み入れられたのは、いかなる措置によっていつ行なわれたのか、御説明いただきたい。
  264. 福田赳夫

    福田国務大臣 そういうような活動をする機構が、軍の機構の中に入っているケースもあれば、入ってないケースもあるんです。それはいかなる判断でそういうふうにするのか、これは私ども知る由もありません。ありませんが、とにかくそういう二つのケースがあるということは、私も承知しております。
  265. 松本善明

    松本(善)委員 これはもし軍でなければ、安保条約の違反になることです。このことはもう論証するまでもないと思います、政府もそういうふうに答弁されたんですから。それがなぜそういう軍に入ったのか、その根拠は河か、いつかということは、当然、国民に説明しなければ、安保条約違反でないということは、説明できないということなんですよ。それはいまできないんですか。
  266. 吉野文六

    ○吉野政府委員 このCSGすなわち米陸軍混成サービス群というのは、従来から在琉米陸軍司令部に属しておる、そして兵たんの義務を行なっておる、われわれはこういうように等介してきた次第でございます。ところが、昨年ニューヨーク・タイムズがその……(松本(善)委員「わかっておることはいいです。いつ、どこで、どういうふうに措置が変わったかということです」と呼ぶ)そこで、これについて、われわれが米側に照会したところが、先方は、これはあくまでも沖繩の米陸軍司令部のもとにあるんだということでございます。  なお、御存知のとおり、ことしの七月一日までには、これは撤収されることになっております。
  267. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣、何も根拠を説明していないじゃないですか。CIAだったんでしょう。それがいつ、どういう法的根拠に基づいて軍に入ったのか。それが説明できなければ、安保条約に違反していないということが説明できないじゃないかと言ったら、いまできますと言って、それについて一言も答えていない。何事ですかね。
  268. 吉野文六

    ○吉野政府委員 われわれは、このCSGがCIAの管轄下にあるかどうかということは承知しておりませんが、かりにCIAの管轄下にありましても、これらは同時に米陸軍機関のもとに、軍人として十分活動するわけでございます。現に、この所属の人たちは、大部分は軍人でございます。したがって、沖繩にいる限りは沖繩の司令部の階下にある、こういうことでございます。
  269. 松本善明

    松本(善)委員 私は、いまの答弁を聞いて、まことに遺憾だと思いますよ。この沖繩協定発効後の安保条約の適用の問題について、政府は何の関心も払っていない。まさに私たちが言ったように、安保条約の中に沖繩基地をそのまま組み入れることによって、安保条約そのものが変質しているということを、まのあたりに見ているような気がします。  さらに質問を続けたいと思います。エア・アメリカは、これはベトナム秘密報告書でCIAの機関となるというふうにいわれております。このエア・アメリカの飛行機は、米軍基地を使用できますか。
  270. 吉野文六

    ○吉野政府委員 エア・アメリカが、CIAの機関だということは初耳でございまして、われわれはそういうことは承知しておりません。しかしながら、エア・アメリカはいわゆる地位協定の第十四条機関ということでございまして、地位協定の第十四条によりまして航空輸送業務に当たっております。したがって、この十四条の資格で在日米軍の施設が利用できる、こういうことでございます。
  271. 松本善明

    松本(善)議員 ベトナム秘密報告書をもう一度読み直してもらったらいいと思います。まことに不勉強だと思いますね。私は、エア・アメリカの飛行機がいま来ているということをこの際指摘しておきましょう。  外務大臣、さらに伺いたいと思いますが、FBISについて、私は去年の予算委員会外務大臣にお聞きいたしましたときに、こういうことをお聞きしました。社会主義国や解放勢力の通信を傍受しておる、こういうことはよくないじゃないかと言ったら、外務大臣は、これは現在は――五月十五日前ですね、その当時は安保条約を逸脱するという状態にある、しかし五月十五日以降は安保条約の制約下に置かれるんだ、こういう話をされました。FBISはもう社会主義国の通信を傍受するというような仕事はやめたんですか。
  272. 吉野文六

    ○吉野政府委員 このFBISにつきましても、すでに国会中に御答弁申し上げましたが、昨年の六月一日に在琉米陸軍の一部となるという最終決定が行なわれまして、十月四日にこの手続を完了いたしました。
  273. 松本善明

    松本(善)委員 アメリカ局長、出てくるときには、質問をちゃんと聞いて出てきなさいよ。社会主義国の通信を傍受することについて聞いたところが、外務大臣は、いまは安保条約を逸脱するという状態にあるけれども、九月十五日以降は安保条約の制約のもとに入るんだということを答弁しているんですよ。だから、いまはやめたのかどうかということを聞いているのです。外務大臣にかわって答えるならば、責任をもってちゃんと問いに答えなさいよ。
  274. 吉野文六

    ○吉野政府委員 どうも先生の御質問を勘違いいたしまして、はなはだ申しわけございません。依然としてこの傍受の仕事は沖繩においてやっております。
  275. 松本善明

    松本(善)委員 私は、昨年総理大臣が言ったことも外務大臣が言ったことも全部、そのとおりにはなっていないということを指摘しておきましょう。  もう一つ、第七心理作戦部隊について、無差別爆撃を予告するビラを印刷してまいている、こういうことはやめさせるのかと言ったら、外務大臣は、そういう人道にそむくようなことはないように注意すると言われました。こういうようなことはもうやらないと確約しているのかどうか、これについてお聞きしたいと思います。
  276. 吉野文六

    ○吉野政府委員 この点につきましては、私の記憶では、そのような宣撫活動を一切やらないように先方に言うというようなことは、われわれとしては約束していないと思いますが、いずれにせよ、われわれとしては、国際法上不法のものがあれば、これは許さない。しかしながら、ビラの印刷、補給のごときものは、これは兵たん活動の一つである、こういうよう考えております。
  277. 松本善明

    松本(善)委員 アメリカ局長、あなたはそういうことは約束していないと言うけれども、つい最近もらった答弁書に、その趣旨は十分伝えてあると書いてあるのですよ。あなた方はそのときそのときの出まかせを言っているのですか。こんなものは信用できないのですか。こんな答弁書はそのときにかってにつくっているのですか。
  278. 吉野文六

    ○吉野政府委員 これをやめさせるということは、われわれ約束してございません。もちろん、われわれといたしましては、なるべく刺激的な行為はやめてほしい、こういうふうに申し入れているわけでございます。
  279. 松本善明

    松本(善)委員 私はまことに憤慨のきわみです。  外務大臣最後に伺いますが、こういう謀略部隊というのは平時に他国の後方撹乱をやる。平和のためのものでもない。非常に攻撃的なものです。平時に軍事活動をする部隊です。これが安保条約の目的に沿いますか。外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  280. 福田赳夫

    福田国務大臣 いずれにいたしましても、私は沖繩の部隊のこまかいことは存じておりませんけれども、安保条約は沖繩にも五月十五日から適用になるのですから、その適用の範囲内においての行動しか差し許さない、これははっきり申し上げます。
  281. 松本善明

    松本(善)委員 きょうの答弁を聞いて、私たちの主張が全く正しかったということを私は公然と言うことができます。謀略部隊にしても核部隊にしても、何も変わってないじゃないですか。私たちの言うとおり、安保条約は変質をしていることが明白に証明されたということを言って、私は質問を終わります。
  282. 櫻内義雄

    櫻内委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる二十六日午前十時より理事会、午前十時十五分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後六時五十二分散会