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1972-05-10 第68回国会 衆議院 外務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十日(水曜日)     午後一時九分開議  出席委員    委員長 櫻内 義雄君    理事 青木 正久君 理事 坂本三十次君    理事 永田 亮一君 理事 山田 久就君    理事 松本 七郎君 理事 西中  清君    理事 曽祢  益君       池田正之輔君    石井  一君       小渕 恵三君    田川 誠一君       西銘 順治君    豊  永光君       堂森 芳夫君    三宅 正一君       松本 善明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省条約局長 高島 益郎君         外務省条約局外         務参事官    穂崎  巧君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部連絡調整官  高島 正一君         沖繩北方対策         庁調整部参事官 荒木  睿君         沖繩北方対策         庁調整部参事官 棚町 祥吉君         外務省アジア局         外務参事官   中江 要介君         外務省アジア局         南東アジア第一         課長      三宅 和助君         外務省アメリカ         局外務参事官  伊達 邦美君         運輸省航空局審         議官      寺井 久美君         外務委員会調査         室長      吉岡 俊夫君     ————————————— 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   中川 嘉美君     正木 良明君 同月十日  辞任         補欠選任   福永 一臣君     小渕 恵三君 同日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     福永 一臣君     ————————————— 五月一日  世界連邦建設の決議に関する請願(大久保直彦  君紹介)(第二八六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  航空業務に関する日本国政府ビルマ連邦政府  との間の協定締結について承認を求めるの件  (条約第一二号)  航空業務に関する日本国政府メキシコ合衆国  政府との間の協定締結について承認を求める  の件(条約第一三号)  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 櫻内義雄

    櫻内委員長 これより会議を開きます。  航空業務に関する日本国政府ビルマ連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件、及び航空業務に関する日本国政府メキシコ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件、以上両件を議題として審査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。松本七郎君。
  3. 松本七郎

    松本(七)委員 前回委員会で御質問したことなんですけれどもソ連モスクワ東京−台湾−マニラ−サイゴンまたはバンコクの路線要求するということを聞いておりますが、運輸当局政府は御存じかということに対して、出時はまだそういうことは全然知らないという御答弁だったようです。近く何かモスクワ交渉が始まるように聞いておりますが、前回委員会から今日まで、これらの新しい情報でもキャッチされておれば御説明願いたい。
  4. 寺井久美

    寺井説明員 お答え申し上げます。  前回質問がございまして、その後われわれといたしましても調査をいたしましたけれども、いまのところソ連側がそういう路線希望しているという情報はございません。ただ、昨年の十一月の中ごろの香港の中国新聞に、シンガポール情報といたしましてアエロフロートがモスクワ−タシケント−ニューデリー−シンガポール−台北−東京という路線を計画しているという情報がございました。これはただいまの御質問路線が違いますが、この路線についてもその後確たる情報はございません。
  5. 松本七郎

    松本(七)委員 今度のモスクワ交渉は何日からどのくらいの予定で行なわれるのですか。
  6. 寺井久美

    寺井説明員 十五日から約一週間の予定で行ないますが、こういう路線ソ連側希望がございますれば当然出てくると思いますが、いまのところそういうふうな要求があるというふうな情報は受けておりません。
  7. 松本七郎

    松本(七)委員 おもな交渉内容はどういうことが予定されておりますか。
  8. 寺井久美

    寺井説明員 当面議題になる予定になっておりますのは、日欧間のシベリア路線で、東京モスクワ−フランクフルト、東京モスクワ−ローマというこの二つの路線議題になると思います。
  9. 松本七郎

    松本(七)委員 ソ連側東京ビヨンドは何も出ないのですか。
  10. 寺井久美

    寺井説明員 ソ連側ビヨンド要求につきましては、いままでのところ具体的に出てきておりません。ただすでに、日本側モスクワビヨンドとしてパリ、ロンドン、それから最近に至りましてコペンハーゲンを開始いたしておりますので、先方から要求がございますれば、これはある程度考慮しなければならないと考えております。
  11. 松本七郎

    松本(七)委員 それから、これは大臣に伺いたいのですが、聞くところによると、ニクソン大統領訪中後、米中間定期航路の話がかなり出ているというようなことを聞くのですが、そういう情報をキャッチされておりますでしょうか。
  12. 福田赳夫

    福田国務大臣 そういう話が出るのじゃないかというようなことを、ニクソン大統領訪中前に情報として日本の中でそういう見方をする人がありましたが、訪中アメリカからいろいろ聞いたところでは、そういう話は出ておりませんようでございます。
  13. 松本七郎

    松本(七)委員 日本政府としてはどうですか。日中間航空協定民間協定にしても最近非常に往来がひんぱんになってくる、今後も予想されるわけですが、ジェット機なら東京−北京間をおそらく二時間半でしょう。福岡−上海間なら一時間、こういう距離なんですが、何らか民間協定でも結ぶような方向にいく可能性はあるでしょうか。
  14. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは日中間政府間交渉段階でぜひこれを実現したい、こういうふうに考えておるのですが、日中間政府間交渉、これを実は非常に取り急いでおるということは御承知のとおりでありますが、その前に民間協定というようなことでそれが実現されるかどうか、それにつきましてはその可能性がない、そういうふうに判断をいたしております。
  15. 松本七郎

    松本(七)委員 その可能性がないというのは、中国側からそういう希望も出ないし、こちらからかりに希望を出しても中国側が応じないという意味で可能性がないのですか。
  16. 福田赳夫

    福田国務大臣 いま日中間の総合的な状況判断ですね、いろいろそういうことの可能性につきましても考えたことがあるのです。あるのですが、総合的な判断としてこれは政府間折衝の際の課題である、こういう結論でございます。
  17. 松本七郎

    松本(七)委員 だいぶ前でしたか、中国側が新幹線の技術導入について非常に関心を表明したということをを聞いておるのですが、その後これについてはどういう進展状況ですか。
  18. 福田赳夫

    福田国務大臣 その話は全然聞いておりません。
  19. 松本七郎

    松本(七)委員 運輸当局はどうですか。これはかなり新聞にも出ていた問題ですが……。
  20. 中江要介

    中江説明員 お答えいたします。  事務当局でも、具体的な話としては現在までのところ何ら聞いておりません。
  21. 櫻内義雄

    櫻内委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  22. 櫻内義雄

    櫻内委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論申し出もありませんので直ちに採決に入ります。  まず、航空業務に関する日本国政府ビルマ連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件承認すべきものと決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  23. 櫻内義雄

    櫻内委員長 起立総員。よって、本件承認すべきものと決しました。  次に、航空業務に関する日本国政府メキシコ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件承認すべきものと決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  24. 櫻内義雄

    櫻内委員長 起立総員。よって、本件承認すべきものと決しました。  おはかりいたします。ただいま議決いたしました両件に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 櫻内義雄

    櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  26. 櫻内義雄

    櫻内委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。青木正久君。
  27. 青木正久

    青木委員 まず、ベトナム情勢がたいへん緊迫してまいりまして、アメリカの強い態度機雷設置による海上封鎖を中心といたしますたいへん強い態度発表されました。これはわが国もたいへん大きな関心があることであります。  そこでまず外務大臣に、ベトナム情勢についての御見解を伺いたいと思います。
  28. 福田赳夫

    福田国務大臣 ベトナムの今回の北爆問題、これにつきましては重大な関心を持っておるわけであります。私ども日本政府は、南北ベトナム武器を捨てテーブルに着いた、そういう形でこの問題の収拾に当たられたい、こういうふうにかねてから念願をしておりました。私ども戦争の当事者じゃございませんから、主導的な役割りは演じられません。しかしアジアの隣邦といたしまして、いささかでもそういう目的に沿うように、こういうふうに念願いたしまして、先般外務省の係員をハノイに派遣をするということなどもいたしてみたわけです。その視察報告によりますと、北ベトナムの大衆、これはもう平和の一日も早く来たらんことを念願しておる、こういうことでございます。それがありありとはだに感じられる、こういうことです。一方、南ベトナム側におきましても、同様な空気がほうはいとして起こっておるということを私ども承っておるわけであります。そこで、南北ベトナムの間には、おのずから水の低きに流るるがごとく、和平の日が必ずやそう遠からず到来するであろう、こういうふうに考えて期待もしておったわけでありまするが、今日のような事態になった。  その事態になった理由を考えてみますると、北ベトナム側主張はよくわからない。北ベトナム軍中立地帯を越えて南進をしてきた。どういう意図で南進をしてきたんだろうかということを、国際的に非常に見方が分かれておる。またわからないというようなことが一般的にいわれておるのでありますが、国交を持たないわが国といたしまして、北ベトナム側主張また考え方、これは知るよしもないのです。これに対してアメリカ側のほうは、中立地帯を侵犯をしそして南進をしてきた北ベトナム軍に対して対応の措置をとらなければならぬ、こう言っておるような状態であります。それが高じまして今回の事態まで発展をいたしておる、こういうのが現況じゃないかというふうに思うのですが、アメリカのとりました今回の海上陸上封鎖措置、非常にシビアなものでありまするが、ただ一つ抜け穴がある。それは、国連監視委員会監視下に停戦が行なわれるということ、それからさらに捕虜の釈放が行なわれること、そういうようなことになれば米軍は四カ月以内に撤退をする、こういうこと、そういうような、この一面においては戦闘は激化するというような状態でございますが、しかし他面においては和平へのそういう道もまた開かれておる、こういうような状態で、私は完全には悲観視しておりません。しかし、南北ベトナムの両国民の動き、そういうものを考えると、起伏はありまするけれども私はいずれは南北に平和が到来する日が来るであろう、わが日本政府といたしましては、南北両国がすみやかに武器を捨てて、テーブルにつくという日の一日も早からんことを念願をいたしておる、これが現状でございます。
  29. 青木正久

    青木委員 このベトナム情勢緊張とも関連して、去る四月から問題になっておりますいわゆる日米核部隊電報真偽の問題、連休でちょっとぼけたような感じもいたしますけれども、この際やっぱりはっきり、ますますもってはっきりさせなければならない、こういう時点に来ていると思います。  私はこの電報をにせと断じておりまして、この前の委員会チャフィー海軍長官から私にあてました電報をお示しをいたしました。これに対しまして社会党側は、電報真偽に直接触れた議論はなかったように私は思うわけであります。きょう松崎議員はおられないようですけれども発言の要旨は、入手経路は明らかにできない、それから二番目は、電報真偽よりも内容可能性に問題があるという態度のようにお見受けをしたわけでございます。内容可能性について松崎委員が熱心なのは、私も十分わかります。事が核の問題でございますから。しかしながら、その前提となった電報真偽の判別も、これは非常に大切なことだと私は思うわけであります。  栖崎さんは、入手経路は明らかにできないと委員会ではっきり申されました。その理由といたしまして、入手経路発表すると迷惑のかかる人がいる。しかしながら、入手経路発表して迷惑のかかる人が何人いるか知りませんけれども発表しなければ一億の日本国民全部が迷惑がかかるのじゃないか。したがいまして、やはりあくまでも入手経路を明らかにして、やっぱり国会ですから経路のはっきりした資料に基づいて論議を進めるべきだ、こう私は考えるわけであります。社会党立場もわからないではありませんけれども、あくまでも白黒をはっきりさせなければならない、こう考えておるわけでございます。  ところで、だいぶこの前から日がたっておりますけれども外務大臣はこの間何かこの問題につきまして新しい情報がございましたら、御報告をお願いしたいと思います。
  30. 福田赳夫

    福田国務大臣 楢崎委員の指摘せられました電報、これにつきましては、アメリカ当局はこれはまぎれもなく偽電であるということをはっきりと言明をいたしておるわけであります。その理由につきましては、先般の委員会においてるる申し上げたところでありまするから再びこれを申し上げることを省略いたしまするが、最後のアメリカからの接触は、去る四月二十一日のものでございます。これは、アメリカ政府本件調査を打ち切ったごとき情報が流れた、それに対しましてそういう事実はないという連絡であります。ただ、この偽電偽作者をまだ判定するに至らない段階である、そういうことを申し上げるほかはない、こういうふうなことで、依然としてアメリカ当局においては本件のこの偽作者はだれであるかという点に重点を置いた調査を進めておる、これが実情かと思います。
  31. 青木正久

    青木委員 私がこの前お示しいたしました海軍長官電報、これです。これで私はもうすべて明らかになっておると思います。署名入り海軍長官としてはまことに例外的な電報を打ってくれたわけでございまして、何人ももうこれはにせの電報であるということを判断できたと思うわけであります。しかしながら、念のため私はさらに調査を進めました。いわゆるにせ電報というのは、チャフィー海軍長官から日本にいるアメリカ海軍司令官バーク提督にあてられたものでございまして、よって私は去る四月の二十八日にバーク提督手紙を送りました。その返事が五月五日に到着しました。さらにこのバーク書簡と一対となるところのアメリカ大使館スナイダー公使、これの書簡を五月八日付で受け取りました。現在の大使はまだ新任の方でございまして、この問題の起こったときのいま大使館におられる最高責任者スナイダー公使でございます。このバーク書簡スナイダー公使、この二通の書簡によって、いわゆるにせ電報というものがバーク提督のもとに来ていないことが明らかになった、私はこう思うわけでございます。そこで私はこのバーク書簡スナイダー書簡を朗読をいたします。  まずバーク書簡でございますけれども、   在日米海軍司令官艦隊郵便局、シアトル、九八七六二、一九七二年五月五日   拝啓 海軍長官から発せられ、私の司令部あてに送られたと主張された偽造極秘海軍指令についての一九七二年四月二十八日付あなたの手紙に対してお答えをいたします。本件に関しては、存在するすべての情報東京米国大使館に提供したことをお知らせすることを喜びといたします。したがって私は、あなたの御照会米大使館に転送いたしました。米国大使館があなたの希望する情報を提供できるものと確信をいたしております。本件に対するあなたの御関心に謝意を表します。敬共 J・T・バーク・ジュニア米国海軍少将 日本国東京衆議院議員青木正久殿 これでバークさんがはっきり言っておりますように、偽造ということばを使っておる。それから米国大使館にすべての情報を送っておる。つまり米国大使館はこれをうそだということを正式に発表しております。  このバーク書簡に関連いたしまして、スナイダー公使から私に参りました書簡を朗読いたします。   日本国東京 一九七二年五月八日  拝啓 在日米国海軍司令官ジュリアン・T・  バーク・ジュニア海軍少将は本年四月十三日国  会で初めて質問が行なわれた偽造電報について  の一九七二年五月五日付同少将からあなたにあ  てた書簡の写しを私に送ってまいりました。こ  のバーク提督書簡は彼が本件に関し存在する  すべての情報米国大使館に提供したこと、及  びあなたの望む情報は当大使館により提供され  得ると考えて四月二十八日付のあなたの照会を  当大使館に転送したことに言及しています。私  は本件につきバーク提督と協議した結果、四月  十三日にバーク提督司令部の発した声明並び  に同日付の大使館自体新聞発表を繰り返した  いと思います。いずれの声明国会主張され  たような指令在日米海軍司令部で受領された  ことはないこと、また同司令部に発せられたこ  ともないこと、さらに核兵器についてのいかな  る軍事的ないし海軍間の協力に関しても日本政  府と何らかの討議がいまだかつて行なったこと  がないことなど全面的に否定しました。加えて  日本との間に海上国間核部隊のごとき構想も  ないことを述べました。私はいまなお万が一に  もこのでたらめの主張を信ずる者があるとすれ  ば、上記の事実をもう一度述べることが有益だ  ろうと思います。敬具リチャード・L・スナ  イダー公使日本国東京 衆議院議員青木正久殿以上読みましたのがバーク書簡スナイダー書簡であります。  発信人チャフィー海軍長官署名入り否定をいたしております。いま読み上げました受け取り人であるバーク司令官スナイダー公使とともに署名入り否定をいたしました。ばく然とした大使館発表とか司令部発表ではございません。サイン入りの私は証言であろうと思います。これで偽造であるということが十二分に証明された。もうチャフィーバークスナイダー、そのほか日本政府関係の方は責任を持ったお答えをされております。もし証言台に次にだれが立つかといいますと、私は神さましかいないと思います。私は神さまを呼んでくるわけにまいりません。といたしますと、証言台に立つ者はやはり天下の公党の社会党の良心しかないと私は信じます。  いずれにいたしましてもこの問題ははっきりさせなくちゃならない。このバーク書簡並びにスナイダー書簡について外務大臣の御所信を伺いたいと思います。  委員長、その前に資料をお配りしたいと思います。
  32. 櫻内義雄

    櫻内委員長 はい、どうぞ。——福田外務大臣
  33. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま青木委員の御指摘の問題は、これは非常に重要な問題である。もしこのにせ電報といわれる電報がにせ電報でなくてほんとうのものである、つまり日米間において核戦力協議が行なわれておる、こういうことであるとすれば、これは非核三原則を天下に公約しておるところの政府背信行為である、そういうことです。ですから私は、予算委員会で申し上げたのですが、この問題がもし事実であるとするならば、これはもう内閣の責任問題である、そこまで重大な問題であるという認識を持っておりますので、政府といたしましてもできる限りの努力をしておる。つまり、アメリカに対しましてその真偽を明らかにするように努力せられたい旨の督促を重ねてしたわけなんです。また同時に、青木委員が事の重大性を把握されまして、ただいま御披露になりましたような措置をとられた、この措置に対しましては深く敬意を表します。  私ども政府といたしましては、これがにせの電報であるということにつきましてはもう一点の疑いも持ちません。これはアメリカ側のいろいろな資料もあるし、またわれわれの判断といたしましてああいう種類のことがあり得るはずがない。いろいろな角度から考えまして、そういうことにつきましては一点の疑いもないところでありますが、どうか国会におきましても、事の重大性にかんがみまして、十分この点につきましては御究明になることが妥当である、こういうふうな見解を持っておる次第でございます。
  34. 青木正久

    青木委員 私の質問を終わります。
  35. 櫻内義雄

    櫻内委員長 関連質問申し出があります。これを許します。曽祢益君。
  36. 曾禰益

    曽祢委員 前回のこの委員会における、いわゆるアメリカ海軍長官から来たといわれる電報の事件について私の見解を申し上げながら政府質問したわけですが、それをきわめて簡単に要約いたしますると、少なくとも一九六七年以降、特に六八年の核防条約に関して米ソのはっきりした共同戦線かできて——核拡散防止条約と言ったほうがいいと思いますが、核拡散防止条約ができて以来、アメリカ現時点において特に中国とのいろいろな接近をしているし、またソ連との間にも、歴史的なニクソンの訪ソを前にして、しかも現にフィンランドのヘルシンキにおいてSALTすなわち戦略兵器制限交渉がかなり有望に進行しているさなかに、どうも傍証として——この電報そのものの真否の問題もむろんありますけれども、いわゆる楢崎君が言われる傍証的に、理屈からいっても政策からいってもはたしてこれがありそうなことかというと、どうもありそうだというほうが非常に無理があるということを、これは私が証明する力はないですが、少なくともわれわれは良識、常識からいって、そういったようなアメリカ日本に対して核兵力を合同でつくろうというようなことを申し入れておるということはちょっと考えられないのではないかということを申し上げたわけです。その点は現時点において、御承知のように特にニクソン大統領ベトナム戦争エスカレーション、したがって、そのこといかんによっては米ソ緊張が相当高まるかもしれない、場合によったら五月二十二日に予定されておるニクソン大統領モスクワ行きがあるいは延期されるのではないか、流れるのではないかというルーマーすら飛んでおるようなこの時点においても、どうも私はやはりこの戦略核兵器あるいは核ミサイル問題については少なくとも米ソの間に、かりにこのベトナム戦争におけるニクソン措置がかなり瀬戸ぎわまでいくような問題があるにしても、どう考えても、そういう点から見てもアメリカがいま重要な核問題についてソ連中国を決定的に刺激するような日米間で核戦力をつくろうというようなことを考えるということはこれは常識に反するのではないかというような気が私はますますするわけです。  しかしそれはそれといたしまして、そういう点もございますので、この前から私は委員長に実はお願いしておったのですが、いま青木委員も言いましたし、また政府を代表しての外相の発言にもありましたように、どうしてもこの問題は黒白を明らかにしなければいかぬ。日本の核に関する政策にこれだけ重大な疑いがかかったことは、国民立場からいっても、また世界に対する日本の顔という立場からいっても、これはどっちか決着しなければいかぬ、いいかげんなことは許されない、私はこう考える。しかしそれには、やはりこの委員会のいままでのしきたりからいっても、どうもわれわれは、普通の場合には議会は政府質問する、国政調査権という意味ですね、あるいは法案審議、こういうのが慣例でありまして、同僚の委員あるいは同僚である議員にわれわれが質問するというようなことは、これは正式に証人喚問という手続という場合は別でしょうけれども、異例中の異例なんですね。したがって、そういうことはなんだけれども、この問題に関しては特に、やはり資料を提供した楢崎委員、それから、もう一つの資料を提供し、また本日さらに第二弾としての資料を提供された青木委員、私は、公平に両君を自発的に証言台に立ってもらい、われわれ委員からも質問するというようなことをどうしてもやるべきではないか。そうでないと、やはり片手落ちになってはいかぬ。私はそういうふうに考える。だから、そういう意味で、この段階においてますます、いま、向こうから発信人海軍長官否定電報は確かに拝見しました。今度はその受け取り側のパーク司令官、これはくしくも私の選挙区の横須賀にいる人で、知っている人でもありまするから、そのバーク司令官あるいはスナイダー公使からの否定証言があった、これについても私は青木委員にも質問したい。またこれに関連してどうしても、さっき言ったような核政策時点で、アメリカが平素米中関係を、核問題については非常に気に使っている現状からいって、傍証的に、どうも日米合同核戦力というような変なことを、ほかのことについてアメリカをいかに疑うにせよ、この点についてはどうも私は理屈に合わないという気がするんで、そういう点についても、単に虚報の真否の問題だけでなくて、これはやはり青木議員にも、楢崎議員にも、私は私なりにどうしても質問をしてみたいという気がするわけです。したがって、これは政府に対する質問にならないので、はなはだ恐縮ですけれども発言を許された機会に、とうかそういう意味で——きょうはこれ以上この問題をやるのはよくないと思うんです、御本人が来てないんだから。その点からいっても、私は、この次の最近の機会に委員長において、この前申し上げて、理事会でその取り扱いをおはからい願うことで取り扱いはけっこうなんですけれども、ぜひこの両君に進んでわれわれの質疑に応じていただくような、またこれを記録にとどめた形の正式の委員会として、そういう一つの場をつくっていただきたい、このことを並ねて要求いたします。委員長から御返事を伺えばけっこうです。もう一つあとでちょっと外務大臣質問があります。
  37. 櫻内義雄

    櫻内委員長 曽祢君の重ねてのお申し出でありますので、すみやかに理事会において協議の上、御発言の趣旨に沿って善処をいたしたいと思います。
  38. 曾禰益

    曽祢委員 もう一言だけ言わしていただきますが、いま青木委員のお話ですと、これをこれ以上進める場合に証言台に立てるのは、また立つべきなのは社会党の良心と、もう一つは神さまですかと言われました。私は必ずしもそうは思わないのです。ですから、証言台ということばは必ずしも適当でないと思います。有権的に証言台に引っぱるのではなくて、青木委員楢崎委員も喜んで堂々とひとつ証言に立っていただきたい。それからもう一つ、これは非常に異例かもしれませんが、青木委員にはたいへん失礼かもしれませんが、何も電報書簡だから信用しないというんじゃないのです。そうじゃないけれども、私は、異例中の異例かもしれないけれども、これも任意に、少なくとも、アメリカチャフィー長官に来てもらう、これは無理ですけれどもバークさんなりスナイダーさん、日本におるのですから、東京か横須賀にいるのですから、こういう方にひとつ任意に、これも任意に、本委員会に出て本件の究明にひとつ協力をしてもらえないだろうかという感じがするのです。この点も今度は追加して、ひとつ委員長においてこの委員会の意思をはかっていただきたい。ただその前に、そういうことは、私自信も、かなり異例だとは思います。むろんこれは外交官の特権あるいは地位協定の規定からいいましても、日本の法権による正式の証人喚問、こういう意味では毛頭ございません。しかしわれわれの同僚委員に返電をくれたんだから、わが同僚委員質問に対して書簡で返事してくれたんですから、ついでに、少なくとも、海軍長官はちょっとしばらくおいて、在日海軍司令官バーク少将スナイダー公使、この両氏に本委員会に出てそして証言してもらえないだろうか、この点をひとつ委員会の正式の意思の決定された後に、正式に委員長からのお話があると思いますけれども、そういうことに関して、もし委員会の意思がきまったならばお取り次ぎ願えるかどうか、外務大臣から御答弁願います。
  39. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいまの御提言は、理事会で御相談があるようですから、またその御相談の結果を受けまして私のほうでは善処いたします。
  40. 曾禰益

    曽祢委員 委員会の決定を待ってから返事をするということ、目下留保ですね。わかりました。  本日は、私の発言はこれで終わります。
  41. 櫻内義雄

    櫻内委員長 曽祢君に申し上げますが、参考人として外国人から意見を聞いた例は、あることはございます。しかし、重要なことでありますので、これも理事会で十分御協議を願いたい、こう思います。  永田亮一君。
  42. 永田亮一

    ○永田委員 私もこの電報問題に関連して御質問を申し上げたいと思いますが、先ほど来同僚の青木議員が発表されましたように、青木議員が非常に努力をされまして海軍長官並びにバーク司令官その他の手紙を受け取って発表された。私は、常識的に考えて、もうこれでこの電報問題は勝負あった、少なくとも九九%はにせであるということがはっきりしたと思うのであります。しかし問題は、これをいま曽祢議員も言われたように、うやむやのうちに何だかしり切れトンボで終わらしてしまうということがあっては断じていけない。これほど大きな問題を提起されて、何だかわからずに終わってしまった、これでは私は外務委員会理事の一人としまして、外務委員会の権威のために、断じてそういう、うやむやの結論をさしてはいけないということを委員長に申し上げたいわけであります。いま曽祢議員が、海軍長官は無理だけれども在日の米軍司令賞、スナイダー公使を証人に呼びたいというお話がありました。これも、もちろん来ていただければたいへんけっこうだと思います。しかしこの手紙あるいは電報にサインをしてあるということは、これはもう曽祢議員もよく御承知のとおりでありまして、サインということは、これは日本人にはあまり慣例がないと思いますが、日本流にいえば判こを押した、実印を押したと同じことなんです。むしろ、印鑑証明をつけて実印を押してきた、これがサインであります。ですから、このサインが入っておる手紙電報というものは、私は、全面的に信頼していいものじゃないか、こういうふうに考えます。しかし、なおその上に証人として来ていただけるならば、これはもうそれにこしたことはないと私は思っておる。重ねて申し上げますが、楢崎議員があの爆弾質問をやったということは、これは先ほど青木議員も言ったように、日本人全体がびっくりした。そればかりじゃない、これは世界にたいへんな影響があるんです。いまでも東南アジア中国などでは、日本に軍国主義が復活しているんじゃないか、こういう疑念を持たれておる、こういうときに、ああいう核戦略部隊の結成というようなことがもしほんとうだとすれば、これは日本の国益にとって大きなマイナスであります。こういうでっかいマイナスをうやむやにするということは断じてできない。私は何としても楢崎議員が、きょうはおられませんけれども、あれだけの問題を提起された以上はその責任をとってもらわなければ承知できない、こういう気持ちであります。  ここでちょっと外務省にお尋ねしたいのでありますが、先ほどちょっと外務大臣も御返事がございましたけれども、先月のあれは十四日でしたか、在米の日本大使館から米側海軍当局に対して犯人がだれであるかという調査を依頼したという御答弁がございました。それでその際に何か参考資料としてチャフィー海軍長官の下で電信係をしておった、いまはどこかの反戦団体に属しておるとかいうマックルという人が疑わしい、そういうことが伝えられておるわけでありますが、このマックル氏ということについてのその後の何かわかったことがあったらお知らせいただきたいと思います。
  43. 吉野文六

    ○吉野政府委員 この点につきましてはわれわれも在米大使館を通じましていろいろ米側に調査を依頼し、またわれわれとしてもできるだけのことを現地においてしたわけでございますが、マックルという人の名前も浮かんでおりましたし、そのほか一人か二人違う名の人も浮かんでおりました。しかしいずれも調べてみましたところ、その名前に該当する人はいないようでして、あるいはその居所をつきとめることができませんでして、その意味でこの点はまだ調査中でございます。
  44. 永田亮一

    ○永田委員 きょうは楢崎さんがいらっしゃらないのでありますが、楢崎議員が初めに質問をされたときに、たしかこうおっしゃったのです。自分もこの電報がにせものであることを願っておるという発言をされたように思っております。しかしそれが本物であるかにせものであるかということは、これは楢崎議員にルートを明らかにしてもらうのが一番早い解決の方法であります。もしも楢崎氏が、これは先ほど青木議員も言われましたがわずかの人に対して迷惑をかけるということを懸念してルートを発表しないということはまことに遺憾である。もしもほんとうに楢崎氏が核に対する反対の気持ちを持ち、愛国心を持っておるならば、国益ということを考えるならば、私はこのルートを楢崎氏がはっきりすべきだと考えております。いつも楢崎氏は爆弾質問をやる。爆弾のときには大きな音がしてびっくりするけれども、それはあとになってみると空砲であって、しまいには線香花火みたいになってしまう。こういうことを繰り返されたのではたまらない。われわれ外務委員としてもそのたびに連合調査をやって、そのたびに時間を空費して、しかも国民に不安な気持ちを与えた。こういうことに対する処置について、先ほど曽祢議員からもお話がございましたが、あらためて楢崎議長に出ていただいて私も質問をいたしたいと思いますので、よろしくお取り計らいを願いたいと思います。
  45. 櫻内義雄

    櫻内委員長 永田委員に申し上げます。  御発言の趣旨は結論的には曽祢委員と同様であるようでございますので、先ほど来申し上げますように、理事会においてよく協議をいたしまして善処をいたしたいと思います。  松本七郎君。
  46. 松本七郎

    松本(七)委員 本日は国際情勢の問題に関連して、主として日韓条約成立後の朝鮮との関係を御質問する予定だったのですけれども、いま各議員から再度電報問題の扱いが取り上げられておりますから、社会党理事として、責任者としてこの問題に対する考え方を申し上げておきたいと思います。いずれこれは理事会でまた御相談しますから、その席でさらにその後の状況を踏まえながら私どもの考え方は御相談するつもりでおりますが、この際、いま永田委員も言われたように、楢崎君が最初この問題を持ち出しましたときの発言には確かに真偽を明らかにしたいということを言われたわけです。疑わしいものを国会で論議するのは当然な責務だと思います。  そこで、きょう理事会のあとで、私もあの理事会の席で曽祢さんその他から御発言のあったことを詳細に楢崎君に伝えまして、今後の取り扱いについても御本人の希望その他を聞いたわけです。  結論的に申しますと、今後の扱いは一切私にまかせるということですから、今後理事会で具体的には御相談いたしますが、基本的には、最初から私が申し上げておるように、一つはこの電報そのもの真偽をできれば明らかにしたい。これは直接の方法です。その際に問題になるのは、やはりいま永田委員も言われましたが、もし出所を明らかにすれば、それは非常に論議はしやすいわけなので、それを望まれるのはよくわかるのですけれども、私は楢崎議員の気持ちを非常に尊重したいと思いますのは、すでにいろいろな問題で、いわゆる極秘文書というか、役所の秘密文書というものを私どもが入手して、それを国会で論議する場合に、できれば人に迷惑をかけないようにやりたい、そういう角度から質問の形で政府資料要求をするわけですが、なかなか政府は知らぬ存ぜぬで逃げてしまう。これはもう長年私どもが痛い経験をしておるところなんです。そこで出させるには、結局はその出所を明らかにする形でやらないと政府はかぶとを脱がない。やっとかぶとを脱がせたかと思えば、とんでもない方向に問題の重点が移されて、そして犠牲者も出るというような最近の経験もある。そういうことから、ましてや、これは楢崎さん私に述懐しておることなんですけれども、国内の情報ならばまだこれはいろいろ方法が、むずかしい点はあっても出しやすい。けれども何しろ外国からの電報ですから、御本人も言っているように、アメリカの国内法との関係も考えなければならぬ。そういうことで、私は私なりの判断でこの出所を明らかにすることは、きわめて本人の意向を中心に対処すべきだと思いますけれども、国内法の関係があるだけに慎重を期したいという私の気持ちです。しかし何としてもこれはもう少し方法がないだろうか。さっき曽祢さんは、四角ばった喚問、証言という形ではないが、委員同士でひとつ直接楢崎さんあるいは青木さんに質問するという形で、対政府質疑応答でなくて、委員同士でやったらどうかという提言がきょう理事会であったわけですけれども事務当局のきょうの理事会での説明では、それは禁止はないけれども、そういう前例はない、委員外発言なら前例がある、こういう説明でした。私その後調べましたら、前例はあるのです。委員外発言でなくても、形式は委員全員の懇談会ということになります。結局速記をとめてやった例があるのです。ですから、その方法については私どもも今後十分研究してみたいと思います。これはもうアメリカ国内法との関係もあるし、慎重一点ばかりでというわけにもいかなくなることも予想されますので、その際速記をつけて公開でやるか、あるいは速記だけはずして委員同士の質疑応答という形でいわゆる懇談会の形式でやるか、それらは確かに今後の問題です。したがって結論は出ておりませんけれども、御本人から私まかせられておりますから、その点は今後も御相談していきたいと思います。  それからもう一つは曽祢さんも主張され、御本人も強調される点なんですが、傍証というか、これは内容的に可能性があるんだ、いろんな他の状況から判断して十分可能性のある問題だという楢崎さんの主張に対して曽祢さんの御意見は、核拡散防止条約の動きその他からいってもむしろあり得ないんだ。国際的な状況からいってむしろ逆の判断をされておるわけです。これは私は非常な論争点になると思います。したがって、これもじっくりと両方の観点から御本人をまじえて討議することが非常に有意義だとは私は思いますけれども、これに関して私が再三強く要求しておるのは、前回委員会楢崎君が資料要求をしました。つまり防衛庁の統合戦略年次見積り書ですか、これをやはりどうしても出すということが——なぜ御本人がそういうことを言うかといいますと、政府はあのような内容のことを否定しておりながら実際には防衛庁ではそういう文書があるんだ。だからこれがもしほんとうだとすれば、核部隊についても政府否定しておるにかかわらず可能性——常にこれは状況判断と一緒になってくるわけですけれども状況判断からいってもこれは可能だし、政府否定していたことが事実地の問題でこういうふうに秘密文書としてあるのだから、したがって今回の電報の問題にしてもほんとうである可能性が多いんだ。こういう見通しというか結論づけをしているわけなんですから、そのときに曽祢さんの出された問題が一つの論争点となってやはり出てくると私は思います。  ですからそういう関係のある問題として出しているのですから、先般要求した防衛庁の秘密書類というものをできれば公の委員会に出してもらって、そしてこれについての政府の解釈、こういう計画があるが実現はしないんだと言われるのか、あるいはこの文書をめぐる解釈そのものも公の場所で論争する。そしてそれとあわせて全体の状況についての可能性の問題を論争する。そういうことをどういう形式でやるかもあわせて今後協議することがもう少し深くこれを論議する道ではなかろうか、こう思います。したがって委員長も、私どもの考えがそういうところにあるということを御理解の上で今後の処置をしていただきたい。私どもも、できるだけそういうふうな論議を深める方法についてなお考慮する用意のあることをここに申し上げておきたいと思います。
  47. 櫻内義雄

    櫻内委員長 松本委員の御発言については委員長も御趣旨はよくわかりました。理事会の協議の際に参考にいたしたいと思います。
  48. 松本七郎

    松本(七)委員 それで本日の主題なんですけれども、私、今後の日本の外交の大きな問題とすれば、これはもう当然日中の国交回復、それから戦後のいわゆる分裂国家に対してどうするかということがまた一つの大きな課題であろうと思いますが、その中でも南北朝鮮の問題、それと関連して、もうすでに自民党の中でもぼつぼつ論議が出ておりますが、安保体制というものについてこれを今後どうしていくかということ、これがやはり今後の外交の大きな課題になってくるだろうと思います。さしあたり私はきょうは、この朝鮮問題について外務大臣の率直な御意見を伺いたいのです。  それは、日韓条約審議当時何度も当時の三木外務大臣とも論議をしたことなんですけれども、韓国と条約を結ぶということばかりでこれと深入りし過ぎることが北との関係をより悪化させ、ひいてはアジア全体の状況、日本の今後の戦後処理、日中国交回復を含めて今後の日本の進路にとって障害になるようなことがあってはならないじゃないかという観点から、当時もいろいろな御質問をしたわけなんです。当時三木さんの御説明は、北朝鮮との関係もそれはよくしたい、しかしさしあたりまず韓国との関係を条約によっていわゆる正常化して、その上で朝鮮民主主義人民共和国との関係にも対処していきたいんだ、こういうことを繰り返し言われたわけです。  けれども、まあ詳しいお話は省略しますが、その後の状況では——確かに政府のその気持ちはあると思うんですね。もう日韓は条約が成立したんで、ひとつ今度は北へという気持ちはあるでしょうが、具体的に進もうとすれば必ず韓国側から文句が出たりあるいは抵抗があったり、そういうことで結局は思うことができないのかどうかわかりませんけれども、現実には北朝鮮との関係というものは少しも進んでない。むしろ全体の状況からすれば後退しておる面さえ私はあると思うんです。小坂外務大臣時代ですか、やっと直接の貿易は認めようというところになった。ところが肝心な技術者の交流が認められないために、引き合いは来るけれども大きなプラント輸出等はよその国にとられるというような状況になってくる。こういう点を考えますと、最近の朝鮮民主主義人民共和国と韓国のいろいろな接触、赤十字を通じての接触その他を考えれば、日本としてもう少し、飛躍的とはいかないまでも北朝鮮との関係を前進させる具体的な方途というものが見出せるんじゃないだろうか。これらについて全般的なお考えをまず外務大臣から伺っておきたいと思います。
  49. 福田赳夫

    福田国務大臣 松本さん御指摘のように南北朝鮮問題、これはわが国外交の当面する大きな問題になる段階になりつつある、こういうふうな認識でとらえておるわけです。で、私は基本的な考え方、そういうことからすると、同じ民族が二つの国に分かれておる、これはまあ不自然なことである。これはどうしても統一ということ、これが必要であろう、こういうふうに考えておるんです。しかしいろんな歴史的ないきさつを経ておる南北朝鮮ですから、これが急に統一に向かうというふうには現実の問題として考えることはできませんけれども、長い歴史の流れといたしましてはどうしてもそこへいくだろうし、またいってもらいたい。そういうふうに考えておるんです。  そこで、わが国は、その南北の南のほうといま基本条約締結いたしまして友好親善の関係にある。しかしそういう歴史の中に流れておる北のほうに対して何らの対策を講じないということもまた、大きな歴史の流れから見て自然でない。こういうふうに考えておりまして、現実に即しながら逐次北との間の調整も考えなければならぬ、こういうふうに考え、逐次その方向の施策をとっているのです。何もしないじゃないかと言うけれども、そうじゃないのです、逐次とっておる。われわれは現実を踏まえながらやっておるから、そう飛躍的なことはいたしかねます。しかし現実に則して着実に歴史の流れを追っておる、こういうのが現況でございます。
  50. 松本七郎

    松本(七)委員 それじゃ具体的に何をやっておられるのですか。
  51. 福田赳夫

    福田国務大臣 民間貿易は、まずやっておることは御承知のとおりです。それから政府間の接触、これは別といたしまして、民間ベースの文化、スポーツ、そういうものの交流、これは始めておるわけであります。また情勢の推移に従いまして交流の分野を拡大していく、こういうふうに考えておる、そういうことでございます。
  52. 松本七郎

    松本(七)委員 確かにスポーツは幾らかやっておるようですが、文化と言われるけれども、もうだいぶ前に朝鮮民主主義人民共和国から舞踊団を派遣したいという話が出て、外務省に持ち込んで結局これは出ないのです。入国ができない。舞踊団なんかは今後それでは入国を許可されますか。
  53. 福田赳夫

    福田国務大臣 舞踊団の入国の要請があったという話を私は聞いておりませんけれども、おそらく私が外務大臣に就任する前のことじゃないかと思います。今日そういう要請があるということでありますれば、ケース・バイ・ケースで前向きで善処いたします。ケース・バイ・ケースというのは、これはその舞踊団の性格、これは政治的に非常に偏しておるというような性格、そういう形でありますとちょっと考えさしてもらわなければならぬような面がありますが、純粋な舞踊団で、文化交流であるというようなことでありますれば、前向きに検討する、そういうふうに御理解願いたいと思います。
  54. 松本七郎

    松本(七)委員 舞踊団が政治的に偏しているというのはどういうことですか。
  55. 福田赳夫

    福田国務大臣 舞踊団に名をかりて政治活動とかそういうようなことがないとも限りませんから、私は用心深くそう申し上げたのです。舞踊団だから何でも入れろ、こういうふうに言われても差しつかえがある場合がないとも限らぬ、こう用心深くお答えを申し上げておるわけであります。
  56. 松本七郎

    松本(七)委員 舞踊の内容が政治的なものが入っているという意味じゃないのですね。そういうものは許さないという意味ではないのですね。
  57. 福田赳夫

    福田国務大臣 内容とかそういうような個々の点について申し上げておるのじゃないのです。全体としてみて政治的色彩、こういうものが非常に強い、問題である、こういうようなときにはこれはよく考えてみなければならぬ。とにかく慎重にお答えをいたしておる、こういうふうに御理解願います。
  58. 松本七郎

    松本(七)委員 しかしそれにもかかわらず、新たにそういう要請があれば前向きに考えるということですから、今後具体的に問題が出た場合にまた善処をお願いすることにしたい。  そこで、いま貿易はやっておるのだ、こう言われましたが、私は、特に朝鮮の場合は、ただ民間にまかせて、さあしっかりやってくれだけではなかなか伸展しないと思うのです。最近の状況も大臣御存じかどうか知りませんが、鉄鋼関係がかなり大きな鋼材の引き合いが来ています。これについても、これらの問題はやはり朝鮮側から経済使節団でも一度招かないと、引き合いは来てもそれが実を結ぶところまでいかないという状況になっておるのです。そこで、最近日本の鉄鋼界でも、この引き合いを実を結ばせるためには、ぜひ朝鮮側の経済使節団を日本に入れたい、こういう要望が強うございますから、近くこれは具体的に出てくると思いますが、この点もひとつ前向きに対処していただけますか。
  59. 福田赳夫

    福田国務大臣 経済問題につきましては、民間の貿易につきましてはいま順調に行なわれている、こういうことは御承知のとおりであります。ただ、韓国との関係もありまして、ただいま政府が介入する意味の貿易、これにつきましては慎重に考慮することにいたしております。たとえば輸銀を使用するような性質のもの、これにつきましては慎重に、いわゆるケース・バイ・ケースという考えではございますにしても、慎重に扱いたい、こういうふうに考えておる、そういうような状態でございますが、民間の貿易につきましてはこれに対して何ら制肘は加えない、こういう考え方をいたしておるわけです。
  60. 松本七郎

    松本(七)委員 そこで、輸銀使用は別問題として、それとは関係なしに、とにかく経済使節団を招きたいという場合には、これは認めますか。
  61. 福田赳夫

    福田国務大臣 その経済使節団の性格なんです。先ほど申し上げましたが、舞踊団ということにつきましては、それがほんとうの意味の舞踊団である、文化交流であるというような際には、これは私は前向きに考えてよろしい、こういうふうに考えておるわけです。それから経済使節団、これが純粋の経済使節団であるという際には、そのケースをよく検討いたしまして考えるというふうなことにいたしましたらどうだろう、こういうふうに考えます。
  62. 松本七郎

    松本(七)委員 純粋の経済使節団と言われるけれども、何で判断するのですか。その機関の性格、その人の属しておる機関、そういうもので純粋の経済かどうかというのを判断されるのですか。
  63. 福田赳夫

    福田国務大臣 そういう個々の点でいろいろの問題があるのです。それを総合して判断をする、こういうことかと思いますが、使節団の性格がどうか、その性格として構成メンバーがどうであるとか、いろいろな問題があるだろうと思うのです。そういうようないろいろな状態を考慮いたしまして考慮する問題である、こういうことなんです。どこか一点をとらえて、その一点から判断するというのではなくて、総合判断でやっていくのだ、こういうことでございます。
  64. 松本七郎

    松本(七)委員 これは近く、具体的にさっき申し上げました鋼材の引き合いが今後どう発展するかに関連して、おそらく日本の財界としても経済使節団を招きたいということになってくると思いますから、そのときはひとつぜひ少しでも前進するように善処されることを要望しておきます。  きょうはこれで終わります。
  65. 櫻内義雄

    櫻内委員長 西中清君。
  66. 西中清

    ○西中委員 先ごろより種々の報道がされております沖繩の那覇空港におけるP3の移転について、本来ですとこれは言うまでもなく沖繩復帰と同時に移転を完了すべきものである、こういうものでございますが、その点についていささかの疑念が出てきたのでございます。この辺の事情はどういうふうになっておるのか、正確に御説明を願います。
  67. 福田赳夫

    福田国務大臣 沖繩の那覇飛行場の完全復帰、つまりP3並びに関連諸施設を撤去する、こういうことにつきましては、さきの沖繩国会におきましても終始一貫そのように、五月十五日返還時点には、ぜひそういうふうにいたしたいし、する、こういうふうに申し上げてき、なおこの国会の前半におきましても同じようなことを申し上げたわけでございます。  ところがその後ちょっと事情の変化があった。ありましたのは、これはそればかりじゃないのでありますが、一つは国会における予算の審議がおくれまして暫定予算一カ月を組まなければならぬということになってきております。実は私どもは五月十五日の復帰時点においてP3の完全撤去並びに関連諸施設の完全返還、これを当初考えておった時点におきましてはそれに代替する施設、つまり飛行場の整備はもとより格納庫の建設等も考えておったのでありますけれども、それはなかなか工事期間がかかる、とても格納庫の建設までをしておったのでは五月十五日に間に合わぬ、こういうことになりましたので、急速米軍当局と相談をいたしまして、そしてとりあえずこの那覇飛行場から移転するP3の受け入れ体制、その最小限度のものをしよう、つまり普天間における滑走路のかさ上げをいたしましょう、これなら一カ月半かそこらでできそうだ、こういうふうなことで予算が三月一ぱいに成立いたしましたならば、格納庫も含めた三十六億円の予算が四十七年度に計上されておりますが、その一部を使いましてそして滑走路のかさ上げを早急にやっちゃう、そして五月十五日の時点においてはとりあえずP3の移転を行なう、こういうふうに考えておったところ予算が一月おくれた、こういうことになりまして、それも不可能になった次第でございます。そこで五月十五日私ども念願しているところは実現をできないということになってきた。ところがその後また新しい事態が起きておりますのは、移転先である普天間、それに付随して嘉手納も関連あるのですが、主たる移転先である普天間におきましてP3の移転、それを歓迎しない、こういう動きが出てきておるわけなんです。そこで屋良主席はじめ県当局はいまたいへん頭を病めておるというのが現況でございます。  もう予算も成立いたしたのでありますから、早急に工事着手ということになるべきでありますけれども、そういう新たなる情勢も加わりまして、まだ移転計画が実行に移されない、こういうような状態であります。しかしこれは既定の計画でありますので、いずれはこれは撤去されなければならぬということにはなっておるのでありますけれども、その時期をなるべくすみやかにいたしたいというので、地元との調整工作等諸般の問題を協議中であるというのが現況でごいます。
  68. 西中清

    ○西中委員 いま理由としてあげられたのは普天間の工事の問題、予算の問題それから新しい事態の変化、大体三つだったと思います。しかしながらこの問題はさきの沖繩国会におきまして政府としては完全返還、こういう目玉商品ともいうべき大宣伝でやられた問題であって、いまさらこういうことでおくれたからできないんだというようなことは、当然国会に対する御答弁の上からもまた国民に対する信頼の上からも非常にまずい問題であろう、このように私は考えるわけでございます。そういう点では政府責任を感じられるのが当然である、私はそのように思うわけです。  そこで先ほどあげられた問題について具体的にお聞きをしていきたいわけでございますが、このP3の移転は普天間に行なうということであったのですが、何日ほどの工事でできるというようにお考えであったか、その辺の計算はどうなっておったのか、その辺はお答えできるでしょう。
  69. 福田赳夫

    福田国務大臣 この国会の前半期つまり三月末日以前の状況におきましては四月一日から普天間飛行場の滑走路のかさ上げ工事をやる、取り急ぎやる、それでその日数は四月、五月半分、こういうふうに考えておったわけであります。それでやっとこさっとこ五月十五日には間に合い、P3は普天間に移転をするというふうに考えておったわけなんです。それに関連して若干の嘉手納のほうの施設もありますが、主たる工事対象は普天間の滑走路である、こういうのですが、大体五月十五日には間に合うという目算をもちましてさような御答弁をいたしておったわけであります。
  70. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、工事は一カ月半ぐらいでできるということだと思います。いまこれがおくれるということでございますが、この工事の問題については一カ月半で済むということですね。もう一度その点を確認しておきます。
  71. 福田赳夫

    福田国務大臣 当時の状態におきましては一カ月半で工事を完了する、その工事というのは滑走路のかさ上げ工事なんです。ほんとうは格納庫までつくらなければならぬというわけでありますが、ともかくいかにいたしましても五月十五日、それに間に合うようにP3の移転をいたしたい、こういうことが頭にありましたものですから非常に取り急いだ、暫定的な措置でありますが、かさ上げだけをするんだ、こういうことで本工事のほうは残しておったわけであります。
  72. 西中清

    ○西中委員 かさ上げだけで工事を終われば飛行機は移動できるということには間違いない、そういうふうに理解をいたします。
  73. 福田赳夫

    福田国務大臣 当時はそう考えておったわけであります。
  74. 西中清

    ○西中委員 そうするとその後の事情として変わってきたというのは、地元の歓迎しないムード、こういうこと以外に何かございますでしょうか。事情が変わってきたとおっしゃったのですが、その事情はどういう点が変わっておるのかということです。
  75. 吉野文六

    ○吉野政府委員 お答えいたします。  その後に事情がどういうように変わってきたかと申しますと、主たる原因は、先ほど大臣の御答弁のとおり宜野湾市すなわち普天間の飛行場の周辺の住民の方々から一部反対運動があるということが一番大きな問題でございますが、このP3を那覇空港から普天間に移すことにつきましては、われわれはこれは目玉商品だからぜひやってほしいということで先方もこれをのみまして、結局時間の都合その他で昨年の暮れぐらいからともかく普天間の飛行場のかさ上げだけしてくれればP3は当面移る、そしてP3の修理その他に必要な施設についてはこれは場合によっては、たとえば普天間に移った後もエンジン等をトラックで那覇空港まで運んでそこで那覇空港の現在ある施設を使って修理してもよろしいというところまで先方の了解を取りつけたわけでございます。したがって普天間の滑走路が予定どおり完成しておればP3はその時点において移ったわけでございます。しかしながらいまや五月十五日までに間に合わすという大目的が、予算がうまくつかなかったというようなことから不可能になってきた現状におきましては、米側も、そうなればひとつ修理施設その他も一緒に普天間に移してほしい、そしてそれができるまでは彼らとしてはP3を依然として那覇空港にとどめておきたい、こういうように先方は主張しております。これは目下交渉中でございますが、何せ、それに先立つ普天間自身のかさ上げの工事も思うようにいかないというのが現在の状況でございます。
  76. 西中清

    ○西中委員 それはいろいろと説明はありますけれども、まことに納得のしがたい話でありまして、少なくともこれは一カ月半かかるのだから、予算の関係も出然十分考えておかなければならぬ問題であったと私は思うのです。こういうことで最初から簡単に、予算がおくれてどうしようもないのだと言いますが、これは一つの言いわけにすぎないのじゃないかというように考えるわけです。特に予算がそういう点で問題があるとするならば、それだけの手当をしてやっていろいろと別の方途でお金を出してくるという手もあろう、私はそのように考えております。しかもかさ上げ工事が一カ月半で終わるものならば、たとえわずかな期間であろうとも少しでも工事を追いかけて、早い時期に返還するために、もう今日まで十分に話し合いの上で進めておらなければならない、そういう性質のものではないかと思う。私がこの点を申し上げるのは、何といっても、今回の沖繩返還に関して政府側が目玉商品として今日まで繰り返しお答えになった全面返還というものについて、本気でこれをやられる気持ちがあったのかどうなのか、疑問に思うからで、このほかまだA表、B表、C表のあの関係も、あとでお話をいたしますけれども、これは非常に大きな返還協定に関する問題として、やはり慎重にそして早期にこれを着手していかなければならない問題であったろうと思います。その点は責任をお感じになっておるのかおらないのか。先ほどのお話ですと、どうもアメリカは今日事情が変わってこういうように言ってきているのだ、無理なことを言っているのだというような感覚しかないように私は思うのですが、その点もう一ぺんお答え願いたい。
  77. 福田赳夫

    福田国務大臣 私どもはこの事態はもう非常に残念に思っておるのです。まあ目玉商品というお話しですが、まさに私どものほうもそういうふうに考えて、これは最後の最後まで、沖繩交渉の中でわがほうが主張したところなんです。何とかして那覇飛行場の完全復帰を実現したい、こういう考え方で一ぱいだったわけであります。それでありますからこそ、三十六億円にも及ぶ代替施設の支出をお願いをするということまでいたしたわけなんです。そこで、しかし工事には時間がかかるから、さしあたり普天間飛行場のかさ上げ措置だけで移転をぜひしてくれというので、これも米軍との間に話し合いができた。ところが暫定予算ということになってきた。そこで、暫定予算にこの普天間の滑走路のかさ上げ工事費を一体組み込むかということを検討いたしたのです。これはもう慎重に審議をいたしたわけでありますが、どうも暫定予算というのはこれは新規の施設は盛り込まないというのが通例である、これは大蔵省においてもかたいそういう見解をとっておる、そういうようなことで、暫定予算に盛り込むのは妥当でないという結論になった。そこで予備費でこれを支出するか、こういうことも考えてみたわけです。ところがいま予備費は予見し得ざる使途に充てるということになっているので、予備費の性格にも合わない。まして国会は開会中である、予備費で出すくらいならなぜ補正予算の追加かそういう形でやらぬか、というような御論議が必ず皆さんのほうから出てくるに違いない、そうすると事はそう簡単には片づかぬ、こういうふうな判断に到達したわけです。そうするとどうしても、このかさ上げ工事にいたしましてもこれを実行するすべがないということで、やむを得ず五月十五日に、さらにしばらくの間那覇空港の施設の再提供をしなければならぬ、こういうことになってしまったわけであります。非常に残念に思っており、とにかくいろいろな経過があるにいたしましても、そういうことになりましたことはまことに申しわけがない、私は予算委員会におきましても深く沖繩県民にこれをおわびをいたしますということを申し上げておるわけでありまして、決して責任を感じておらぬということではない、むしろ責任を感ずればこそ、これからなるべく早く那覇飛行場を完全な姿にしてわが国において使用したい、こういうふうに考えており、これを進めようとしておる、こういうことでございます。
  78. 西中清

    ○西中委員 予備費等でも出せないことはないということだろうと私は思います。いろいろと論議があるし、また補正予算等でも出せば問題になるのじゃないかというようなお話もありました。しかし、この点については国民の願いに合致した問題でございますから、われわれだって反対するはずがない、むしろ予算措置も、これは政府がどうしてもやらなければならない問題として取っ組んでおれば私は不可能ではなかったというように考えます。予算上の措置は問題はないし、また日数的に言ってみてもわずか一カ月半でかさ上げをやるということでありますし。しかし本格的な工事をしたところでどれほどの期間がかかるのか、その点の計算はなされておったのかどうか、私はその辺が疑問なんであります。参考までに、本格的な工事をされるのにどのくらいの期間がかかるのか、その点をお尋ねをいたしておきたいと思います。
  79. 福田赳夫

    福田国務大臣 予算には三十六億円見積もっておりますが、その工事を全部完了するのには半年を要します。  それから先ほど私は補正予算ということを考えたというふうに申し上げましたが、正確に言うとまだ補正予算ではないのです。まだ四十七年度予算が成立しておりませんでしたから、四十七年度予算の修正ということになる、まあ補正予算と同じような性格のものであります。
  80. 西中清

    ○西中委員 そうしますと御説明では、半年以上おくれるということに間違いはございませんか。
  81. 福田赳夫

    福田国務大臣 工事だけから見ると半年内外おくれる、こういうことでございます。
  82. 西中清

    ○西中委員 まことに残念な結果でございますが、半年以上おくれる、そのほかのいろいろな事情をお考えになって一年ぐらいおくれるのじゃないかというような推測もなされておるのではないかと思います。しかし私は、先ほどから言っておりますように予算措置を何らかの形で解決できないという性質ではない。とすると、悪く勘ぐれば、むしろアメリカは当初から居すわりをするような気持ちがあったのではないか。また、それでなくとも、今回のベトナム戦争の激化にあたりまして、情勢の変化から、那覇空港はそのまま使えるようにしておいたほうがいいというような判断から、いまになっていろいろと工事の上でもそういうような条件をつけてくるような、こういうような感じがしてまいります。少なくともアメリカは、これは単に日本側の譲歩であるとかなんとかいうだけではなくて、条約及びそれに関連した了解事項等で取りきめをいたしておるこの那覇空港の問題については、アメリカ側からも当然これは移転を完了すべき義務がある——義務とまでは申し上げませんにしても、これはやはり約束事でございますから、当然それは考えなければならぬ問題であったろうと思います。この点について米政府にどのように交渉されたのか、その辺の事情を御説明いただきたいと思います。
  83. 吉野文六

    ○吉野政府委員 那覇空港からP3を撤去する件に関しましては、これは沖繩協定署名の一月ぐらい前から米側と非常に折衝いたしまして、先方も最初はなかなかうんとは言わなかったわけでございますが、最終的には結局P3の移転に伴う必要な諸施設を日本側でつくるということを条件に先方はこれに応じたわけでございます。その後、そのような必要な諸施設とはいかなるものであるかということを米側にずっと照会してまいりまして、その間先方もなかなか必要な資料を出してくれなかったわけでございますが、昨年の暮れ近くになりまして、先方はそれに必要ないろいろな施設をわがほうに提示しまして、それに基づきましてわれわれは本年度の予算を請求したわけでございます。そうこうしておりますうちにだんだん日がたちまして、われわれとしては、ぜひとも五月十五日、すなわち復帰日までにP3が撤去してくれなければ困る、したがって、最小限度の必要な施設について工事するからひとつP3を撤去してくれ、その他の施設については追ってP3が普天間に移った後に工事を続ける、こういうことで交渉したわけでございます。そして先ほど申し上げましたとおり、最終的には先方は、普天間のかさ上げ、それから那覇空港の一部のエプロンその他を修理する、これは御存じのとおりP3以外に少数の海事機が那覇空港におりますから、それも同時に那覇空港から普天間に移す、こういうことで納得したわけでございます。ところが先ほど御説明したとおり、予算の関係でこれらの工事が遂行できなくなったというのが現状でございます。
  84. 西中清

    ○西中委員 その事情はよくわかりました。それで合意をされたということでございますか。
  85. 吉野文六

    ○吉野政府委員 先方は、先ほど申し上げましたとおり、普天間及び嘉手納の最小限度の工事をすれば、P3及び海軍機を那覇空港から移すということに合意いたしました。しかしながら、予算の関係でできなくなった。そこで先方は現在の立場は、このようになった以上、問題をもとに戻して全部御破算とはいかなくとも、結局先方の見解では、延びついでであるからひとつほかの工事も一緒にやってほしい、こういうことをいま先方は主張しております。そこで目下先方ともこの問題につきまして調整中でございます。
  86. 西中清

    ○西中委員 それに関連して普天間の基地についてお伺いしたいのですが、新聞報道によりますと、普天間基地はベトナム戦争でも主役を演じている海兵隊の基地で、最近のベトナム戦争の激化で同基地の利用も活発になっている。とりあえずこの滑走路整備だけを済ませてP3を普天間に移すことはきわめて困難な情勢となっておる。要するに、ほかの施設ということも先ほどからおっしゃっておりますが、この報道によれば、むしろベトナム戦争によってこの普天間の基地はさわれない。非常にひんぱんに出入りをしているということは、私たちも現地からの状況で聞いておる。その点は政府はどのように認識をしておられるのか。またこの間の事情を周知しておられるかどうか。これは本土の横田基地等をはじめといたしましてのいろいろな基地の現在の状況から推測しても当然いえることで、動きが非常に激しくなっておる。私はむしろこういう状況のほうが大きな要素になってきたのじゃないかというふうに思うのですが、その点はどのように掌握しておるか。
  87. 吉野文六

    ○吉野政府委員 この点につきましては、私も気になりましたものですから、四、五日前沖繩へ参りまして、現地を見てまいりました。ところが案外普天間の飛行場は閑散でございまして、先生のおっしゃられるような、あるいは新聞報道に伝わるほどの激しい往来はないようでございます。御存じのとおり、海兵隊は沖繩からは、従来出ております第七艦隊に乗り組ましておる部隊を除きましては特に動いておりません。したがって、その観点からも普天間の飛行場が特に忙しくなっている理由はないと思います。  なお米側は依然としてP3及び少数の海軍の飛行機を嘉手納及び普天間に移すことに非常に熱心でございまして、われわれに対してともかく約束どおりやろうじゃないかということを先方も依然として言ってきておりますから、したがって、ベトナム戦争の関係で普天間の飛行場に移ることが困難になってきたというような事情は全然関知しておりません。
  88. 西中清

    ○西中委員 そうすると、現地からの報告なり新聞のいうこととだいぶ違うわけでございますが、それはそれでいいでしょう。局長が行かれて敬意を表して動かなかったかもしれませんからね。しかし海兵隊の行動は、普天間基地が言うならばベトナム戦争と直結するというか、そういう関係にあることは事実だと思います。それがたとえ戦闘作戦行動でない、おそらく政府はそういうように今後おっしゃるだろうと思いますが、そういう立場に立ったとしても、普天間基地とベトナム戦争を結ぶ軍事行動であることに間違いはなかろうと思うのですが、沖繩返還まであと五日でございますけれども、その後はこのような軍事行動、これは何も普天間に限りませんけれども、こういったことは政府としては認められるのかどうなのか、その点はどうでしょう。
  89. 福田赳夫

    福田国務大臣 作戦軍事行動は認めませんです。
  90. 西中清

    ○西中委員 そうすると、これは事前協議があった場合でもノーと言うことになられるのですか。それともイエスもあり得るということなんですか。その辺はどうでしょう。
  91. 福田赳夫

    福田国務大臣 沖繩の基地がベトナム戦争の作戦軍事行動の基地となるということでありますれば、それは事前協議の対象となる、こういうことでございますが、ただいま政府見解といたしましては、事前協議を受けた場合におきましてこれに応諾を与えない、こういう考えでございます。
  92. 西中清

    ○西中委員 沖繩返還後も沖繩米軍基地が、ベトナム戦争に使用されるということ、これは戦闘作戦行動でない、こういう立場であったとしても、そういうような場合に、いままでですと日本の端、基地とすれば九州ですね。これですと、ベトナム側から見まして、日本側から見ても一緒ですが、これは遠い国だ、危険がないというような判断で今日までわれわれはきておる。しかし沖繩が返還されますと、これは非常に近い関係になってくるわけでございます。そこで政府は、返還後に米軍の戦闘作戦行動については、いま事前協議があってもノーである、このようなお答えでございますが、軍事行動は要するに認めるという立場でチェックも何もしない、野放しのそのままである、こういう立場でいかれるのかどうなのか、その辺はどうでしょうか。
  93. 福田赳夫

    福田国務大臣 沖繩基地に駐在する米軍、これは本土も同様でございますが、これは軍隊でありますからじっとそこにおるというわけじゃございません。もう常に動き回っておる。ことに飛行隊あるいは艦船、これはもう太平洋地域を広く遊よくをしておる、こういう性格のものですから、その一々についてチェックはいたしません。チェックをいたしますそれは、作戦軍事行動のために出撃をする、つまりわが国の基地が作戦基地となる、こういう際には事前協議、これによってチェックをする、こういうことでございます。
  94. 西中清

    ○西中委員 そこでチェックはしないという立場に立ちますと、ベトナム戦争でのわが国立場というものは明らかにこれはアメリカの軍事行動を支援する、こういう立場になろうかと私は判断をいたすわけですが、その点の認識はいかがでしょうか。
  95. 福田赳夫

    福田国務大臣 厳密にいって関連がない、こういうわけじゃないと思いますが、とにかくあくまでもわが国の基地が作戦基地になるということは絶対にない、こういうことはもうはっきり申し上げられます。
  96. 西中清

    ○西中委員 作戦の基地でないけれども軍事行動という広い面からいきまして、要するに支援するという形になる。これはもう好むと好まざるとにかかわらずこういうことになるということはお認めになるのですか。
  97. 福田赳夫

    福田国務大臣 岩国のF4の戦闘機、この場合を見ましても、その駐屯地域をフィリピンに移す。フィリピンが作戦基地となって、そしてベトナム攻撃が行なわれる、こういうことになる。作戦基地のその前段階日本を発進しておるF4でありますから、そういう意味においては関連はある。これをないと言ったら、これは言い過ぎじゃないか、こういうふうに思いますが、あくまでも申し上げたいことは、作戦基地にはいたさない、これははっきりしております。
  98. 西中清

    ○西中委員 この前の委員会でも私はその点をお聞きしたわけですが、どうもあいまいだったのですが、少なくともそういう立場で考えていきますと、日本が敵性を持つということは私は戦時法規の上からいっても当然考えられることであろうと思います。その点はきょうは論議はいたしませんけれども、少なくとも日本が支援をする立場に形はともあれ入っていくということは事実であろうと思うのです。無関係ではない。先ほどそのように外務大臣も仰せになりました。この辺が国民のまた沖繩県民の大きな不安の立点でございますが、そういう中で那覇空港はこのような形で残るということは非常に大きな意味があるし問題があろうかと思います。しかも便宜的に一時使うというならこれは話はわかりますけれども、実質上那覇空港はほとんど全面的に返らないというようなこういう状況だろうと私は思います。なぜそこまで日本政府は譲歩をしてこの話に応じていかなければならぬのか。まだ交渉中だという面が残されておるようでございますけれども、私たちはむしろこれについては佐藤・ニクソン共同声明の四項にありました考え方、そういったもので日本政府としては返還時においていろいろな事情が起こって、アメリカの実際行動、軍事行動等について十分これは利益を害さないようにしてやらなければならぬという、もうすでにこれは話はついているのだというような感じがいたすわけでございますが、そういう点で外務大臣、佐藤・ニクソン共同声明の四項、こういう問題からわれわれとしては非常に納得できない。むしろこれがひっかかってしまったのじゃないか、完全にこれはこの網のもとに米軍がいよいよ返還の時期を控えてこういう形で無理を言ってくるという点で弱みになってしまったのじゃないかというふうに感じるのですが、その点はどのようにお考えでしょう。
  99. 福田赳夫

    福田国務大臣 いろいろの憶測をされるようでありますが、一九六九年の共同声明沖繩条項、あれとは全然今度は関係がないのです。事実この問題は今回の北爆が開始されてから起こった問題じゃないのです。もうその前からの問題でありまして、ことに私どもが一番心配している問題は嘉手納の付近の住民の動向なんです。私どもベトナム戦争を考えてこのP3の問題を処置を変えたんだ、こういうことは一点もありませんから、その点は誤解なきようにひとつ御理解願いたい。
  100. 西中清

    ○西中委員 そういう点でP3が残る、こういうことになりますと、どうもA、B、C表、特にA表とC表が関係あるわけでございますが、いわゆる返還協定第三条に関する了解覚書のA、B、C表、A表、C表は変化をするないしはこれは変わるのだ、こういうように考えなければならぬと思いますが、その点は、どうでしょうか。
  101. 福田赳夫

    福田国務大臣 沖繩返還協定の了解覚書のA、B、C表、これは一応の目途を示したものでありまして、法的な意味はないのであります。あのA表、B表、C表によって沖繩返還協定の細目は処理しなければならないという政治的な意味合いを持つものであります。そこで、法的な意味は持っておりませんけれども、政治的に重大なこのA、B、C三表、これに従いましてただいま米軍基地の処理をいたしておるということでございます。そこで那覇飛行場につきましては一応返還になる。そこで飛行場自体は、これは米軍管理からわが運輸省管理、こういうふうになるわけであります。それからその付属諸施設はアメリカの財産からわが国の国有財産になるわけであります。ただP3が、またそれに関連して一部の部隊が残るものですから、その残るものの使用の限度において再提供をする、こういうことになるのでありまして、この再提供の手続、これを日米合同委員会においてきめる、こういうことにいたしておるわけであります。A表、B表、C表を変更するわけではございませんです。
  102. 西中清

    ○西中委員 日米合同委員会できめられるということになりますと、あと五日しかないのですが、その間に開かれるわけですか。
  103. 福田赳夫

    福田国務大臣 来たる十四日に開催する予定でございます。
  104. 西中清

    ○西中委員 それでは、いまちょっと大臣もお話をされましたので関連して。  P3が残るということになりますと、これは地位協定上どういう位置に置かれるのか。新聞報道いろいろございますが、その点の御説明をお願いします。
  105. 吉野文六

    ○吉野政府委員 P3の残留に伴いまして、那覇空港全体は御承知のとおりすでにC表の一におきましてわがほうに返ることになっておりましたが、その一部を那覇海軍航空施設ということにしまして、これを当分の間基地とする。それからその他の海軍機がおりますから、それらの海軍機に必要なものにつきましても、これを那覇海軍航空施設のうちに一部占める、こういうような形で目下米側と話し合いを進めております。いずれにせよ飛行場の大部分は返還され、わが国の管理に移るわけでございまして、当面民間の航空のために、ないしは自衛隊の飛行場の使用のためには、特に妨げになるような事態は生じないというふうに考えております。
  106. 西中清

    ○西中委員 私が聞いておるのは、地位協定の何を適用するのか、何条を適用するのかということでございます。
  107. 吉野文六

    ○吉野政府委員 いかなる地位協定の適用をするかという点でございますが、この点につきましては、このP3の那覇空港に暫定的に残留するに必要な施設は、地位協定第二条の一項の(a)で提供いたします。それから滑走路はわが国に管理権が移っておりますから、これはいわゆる二4(b)といいまして、期間を区切って先方にも使わせる、こういうことになると思います。
  108. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、新聞報道は正確だったろうと思いますが、P3の駐機場、修理工場、隊舎等は二条一項(a)、それから滑走路、誘導路等は一時使用、二4(b)であるというふうに解釈してよろしいのですか。
  109. 吉野文六

    ○吉野政府委員 そのように御理解になってけっこうだと思います。
  110. 西中清

    ○西中委員 そういたしますと、この二1(a)というのは、これは全面的に米軍の基地に提供する、こういう立場になろうかと思います。それから二4(b)のほうは一時使用、管理権は日本側にある。そして米軍に一時使用させる、こういうことになります。そうなりますと、先ほど大部分は返されるというような表現がございましたが、残るところは一体どこなのかというと、自衛隊の使用部分とターミナルと芝生だけである。自衛隊のほうは先にきまっておりますから、今回この問題について言うならば、芝生とターミナル周辺、これぐらいしか返らないということになると思いますが、その点どうでしょうか。
  111. 吉野文六

    ○吉野政府委員 先ほど申し上げましたとおり、滑走路は全部わが国の管理権に移るわけでございますから、したがって、それを必要な範囲内においてP3に共同使用を許す、こういうことでございます。したがって、現実的には面積からいいましても、使用濃度からいいましても、那覇空港の大部分の施設はわが国に返ってくるわけでございます。
  112. 西中清

    ○西中委員 そういう言い方をされると、一応そういうように聞こえるのですけれども、現実問題としては、誘導路と滑走路わきの芝生とビル。今度は滑走路の面からいけば、これは共同に使用していく、こういうことでございますから、非常に制限がされる。要するに完全返還は完全に骨抜きになったという実態がこのようにあらわれていると思う。そこで、滑走路のことをおっしゃいましたが、一時使用ということになりますれば、当然これは日本の管理権のもとにあるとしても、米軍の使う間は地位協定が適用される、その点は間違いございませんか。
  113. 吉野文六

    ○吉野政府委員 滑走路につきましては、米軍が使用する間は地位協定が適用されるということですが、その意味ははっきりわかりませんですが、いずれにせよ二4(b)ということでございまして、期間を限って共同使用を許す、こういうことでございます。
  114. 西中清

    ○西中委員 私が言うのは、刑事特別法等が要するにこういった場合には適用されるのじゃないかという疑問です。その点はどうでしょうか。
  115. 吉野文六

    ○吉野政府委員 このP3のために専用に、わが国が期間を限って二条の一項の(a)で提供する施設につきましては、もしその中で何か事態が起きるような場合には、刑事裁判権その他は米軍の犯罪に関する限りは先方にゆだねられることになりますが、これも期間を限って先方に提供するわけでございますから、P3が移転可能のときにはこの施設はなくなるわけであります。なお共同使用の二4(b)の滑走路につきましては、これはわがほうに管理権があるわけであります。
  116. 西中清

    ○西中委員 使用中もそうですが、たとえば東富士の演習場というものも一時使用ですが、この場合は当然刑事特別法も適用されるのではないかというふうに、私たちはいままで認識しております。だから私が言いたいのは、この滑走路を使っているという期間中には、やはりそのようになるのではないかということを言っているわけですが、その点はどうでしょう。
  117. 吉野文六

    ○吉野政府委員 われわれはあくまでも米軍の飛行機が滑走路上にいて飛び上がるまで、あるいは上空にいた飛行機が滑走路を使って着陸し、かつ誘導路等を通りまして米軍の施設内に入るまでの間、二4(b)によって一部先方に共同使用を許す、こういうことでございますから、その間に刑事特別法を適用するような事態というものはほとんど考えられないと考えております。
  118. 西中清

    ○西中委員 これは非常に都合のいい解釈をして適用されておるように私は思わざるを得ない。いまの御説明ですと、飛行機が飛んでおりてくる、この滑走路を使用している間だけが二4(b)で、間は違うということです。この二4(b)で使用する那覇空港というのは一瞬一瞬のうちに変わっておるということですか、もう一度御説明願います。
  119. 吉野文六

    ○吉野政府委員 これは実際には共同使用でございますから、われわれが一定の期間を限って、その間はP3が着陸してよろしい、こういうことを許すわけでございますから、したがってその期間のうちは先方もいわば無制限に使えるわけであります。これは管制塔その他がございますから、むちゃくちゃに飛行機がおりたり飛んだりすることはできないわけでございますが、そこであくまでも期間を限っておるわけであります。  それから実際に刑事特別法が適用するかどうかという問題は、これは共同使用でありまして管理権はわがほうにありますから、通常の場合には刑事特別法が適用されるような事態は起こり得ない。万一アメリカの飛行機が偶然にその滑走路の上にいて、その飛行機の中で、あるいはその周辺で何か起きたときにそういう問題があるかどうかということは、理論的には問題になるだろうと思います。
  120. 西中清

    ○西中委員 共同使用ということばで、その辺はあいまいにせられては困るわけです。一4(b)は一時使用。共同使用というのは一体地位協定のどの条項を適用してお話しになっているのですか。
  121. 吉野文六

    ○吉野政府委員 共同使用と申しますのは、二4(b)によりまして一時使用を許す、しかしながら管理権はわがほうにあり、使用の主体はわがほうである。共同使用の態様は二つありまして、二4(a)と二4(b)ということになっておりますが、(b)のほうは先ほど申し上げましたようにわが国が大部分これを使っておりまして、先方に期間を限り、ないしはそのつど使用を許す、こういうことになっております。
  122. 西中清

    ○西中委員 するともう一ぺん確認をいたしますが、二4(b)を適用しておるのは、たとえば六カ月なり一年おくれる、その間P3が駐留しておる。その間二十四時間全部毎日毎日かかるのか。飛行機が飛んでおるとき、おりておるとき、こういうときだけなのか、この辺のところを明快にしてもらいたい。
  123. 吉野文六

    ○吉野政府委員 いままでの二4(b)の一定期間を限って米側に一時使用を許すということに関する統一見解は、昭和四十六年二月二十七日のものがございます。これによると四つの態様があるわけでございます。一つは「年間何日以内というように日数を限定して先方に提供する方法」、その次は「日本側と調整の上そのつど期間を区切って提供する方法」、三番目が「米軍の占用する施設区域内への出入のつど使用を許す」というもの、それから四番日が「その他右に準じて何らかの形で使用期間を限定する」という四種類がございますが、那覇海軍航空施設の場合はP3の場合には四番目の「その他右に準じて何らかの形で使用期間を限定する」これによってやりたいと思っております。
  124. 西中清

    ○西中委員 まことに都合のいい解釈をおとりになったようでありますけれども、そうすると、これは新聞等で伝えられておる一定期間、たとえばその概念が六カ月以内であるということが述べられておりましたが、その辺は全然無関係になるわけですか。
  125. 吉野文六

    ○吉野政府委員 先ほども申し上げましたとおり、「右に準じて何らかの形で使用期間を限定」して使用を許す、こういう形で先方に共同使用を許す、こういうことにしたいと思っております。したがって、期間を区切って何カ月間占用に使わせる、こういうことにはならないと思います。
  126. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、一年ということもあり得る、すなわち駐留が長引けばこの適用でずっと行けるという判断でございますか。
  127. 吉野文六

    ○吉野政府委員 したがってこのP3の必要な施設が完成するまで何らかの形で使用を許可する、こういうことになるだろうと思います。
  128. 西中清

    ○西中委員 時間が参りましたので、これ以上追及いたしませんが、この最後の四項目の四十六年の申し合わせといいますか、合意した二4(b)の解釈というものもまだ非常に疑問が残っております。それでUC45、UB26、これは十数機居すわるんだ、便乗残留だ。これはわれわれも国会においても今日まで知らされておらなかった、そういうものがあるということがわからなかった。その辺は非常に不満があるわけです。こういうものは今回の先ほどの予算の問題とも現実問題としては関係がないというように私たちは判断をいたしますが、なぜこういうものが便乗残留することになるのか、その辺はどうでしょうか。
  129. 吉野文六

    ○吉野政府委員 これは便乗ではなくて、最初から那覇空港にいた海軍機の一部でございます。これらにつきましてもP3と同様にわれわれは撤去を要求しまして、先方もこれを応諾したわけでございます。したがって彼らを収容するために嘉手納にエプロンその他の一部の増設をしてほしいということを先方は要求しておりまして、これに基づきまして本年度の予算に全体として三十八億円の予算を要求した次第でございます。これらの飛行機につきましては、嘉手納の施設が整い次第先方は移る用意がもともとありましたし、現在もあるようでございますから、これにつきましては嘉手納の施設が整い次第移ってもらう、こういうことで目下先方と調整しております。
  130. 西中清

    ○西中委員 そうすると、返還協定交渉段階ないし沖繩国会等においてはこの飛行機はあったけれども話はしなかったというだけのことなんですか。
  131. 吉野文六

    ○吉野政府委員 これらにつきましても、われわれはあったことを前提としまして先方と交渉してきたわけでございます。なお国会におきましても、この点につきましては、いまここに記録はございませんが、私もP3その他の飛行機、そしてそれらにつきましては嘉手納にも移るというようなことを言及したこともたしかあると思います。
  132. 西中清

    ○西中委員 私は、そういう点では予算とも関係ないように思いますし、要するにいま撤去しようと思えばできる飛行機ではないか、一歩譲ってP3を置いたとして、そのまま残留するのを認めたとして、少なくともUC45、UB26はいかにも国民には便乗残留という印象が非常に強いわけであります。これについては絶対認めない、さらにはP3も認めないというような交渉をされる意思はございませんか。
  133. 吉野文六

    ○吉野政府委員 この点につきましては従来からの経緯もございまして、先方は嘉手納の飛行場が狭過ぎるからエプロンその他の施設をつくった上で移転する、こういうことになったわけであります。したがってわれわれとしてもそれに必要な予算を請求した次第でございまして、それができるまでは移らないと先方がいっておるのも、一応従来の交渉の経緯から見まして、われわれも応諾してきた経緯もございますし、目下嘉手納の飛行場にこれに必要な施設を至急つくりたいと考えております。
  134. 西中清

    ○西中委員 時間も参りましたので最後に一つだけお聞きしておきたい。VOAでございますが、これについては種々の論議がなされております。そうしてこれに関する取りきめもあったわけでありますが、要するに合意議事録でVOAは五年以内にこれはどこかへ移すというものと、それから別に、最後のほうに、予見されない事情により代替施設が五年の期間内に完成されないことが明らかになったときには、日本政府はVOAの継続について十分な認識を払う、こういう表現が実はございます。今回のP3のような問題が出てまいりますと、同じように何だかんだの理由がついてこれも存続していくのではないか。そうでなくても、これは国会でもそういう疑いを強く持って繰り返し質問をされておるわけでございます。この点は別な取りきめなりお話し合いなり了解が日米間であるのではないか、五年過ぎてもまだ置いておくのではないか、こういうように考えるわけです。秘密の取りきめとかまた了解というものが日米間でほかにあるのじゃないか。これは後日のためにお聞きしておきます。これが一点。  それからVOAを撤去するためには歳月はどれほどかかるのか、要するに工事を開始して完了するまでにはどれくらい日にちがかかるものか。先ほどのP3は土盛りだけでも一カ月半、本工事は六カ月もかかるようなそういう工事が、五月か七月かわからぬような時点でこうして了解覚え書きにはっきり入ってしまっている。先ほどからの論議の中で、どうも期日がなくなったからどうしようもなかったという言い方をされております。本工事をやるのに六カ月もかかるのなら、当然に早い時点で工事に着手しなければならなかった問題だ、こういうふうに判断をいたします。その面からもVOAの撤去はどれほどかかる、こういう点もわかった上で五年以内というお話をなさっているのじゃないかと思いますが、その点はどうでしょう。
  135. 吉野文六

    ○吉野政府委員 まず第一に、VOAにつきまして先生御指摘のような秘密文書は一切ございません。この点につきましては、再三国会で御説明してきたとおりでございます。  その次に、五年以内にVOAがどこに移るか、そのためにどれだけの歳月が工事にかかるか、これは先方の問題ですから、われわれとしては先方がともかく五年以内に立ち去るということが協定上規定されておるということでございますが、念のために申し上げますと、御存じのとおり復帰から二年後に先方と協議するということになっておりまして、その協議の過程において先方はどこどこへ移りたい、ついては、先方としては工事その他について日本側の、場合によっては何か援助をしてくれというようなことを、つまり援助というのは工事の建設に援助を頼むということを言ってくるかとは思いますけれども、いずれにせよこれは先方がどこに移り、どの程度かかるかということをきめるべき問題だと思います。しかしながら、当時われわれが関係省といろいろ見積もった経緯によりますと、必要な施設を建設するのには日本の技術によって大体二年くらいかかるだろう、こういうようなことがありましたから、二年後には協議に入る、こういうことになっておったわけでございます。なお不慮の事態が起きない限りということばはちょっと忘れましたが、そういうことでございますが、これはあくまでも先方がすでに移転地をさがしまして、そこで、工事をしておりまして、その際天災地変が起きた、たとえばどこかに立っておる塔が地震で倒れたとか、台風でだめになったとか、こういうような事態しか考えておりませんから、しかも、その場合にも日本側は単にこれを十分な認識を与えるということだけでございますから、したがって、われわれとしてはあくまでも五年以内に先方は立ち去る、こういうことを前提としてこの協定を結んだわけでございます。
  136. 櫻内義雄

    櫻内委員長 松本善明君。
  137. 松本善明

    松本(善)委員 昨日発表されましたニクソン大統領ベトナムに関する発表措置、これは世界の平和に対する重大なきわめて狂暴な挑戦だというふうに私は思います。  で、この事態について私はきょうこまかくいろいろお聞きしたいと思います。  まず第一に、封鎖をするということを言っておりますが、この封鎖というのは、タス通信も、あるいは国内の各紙も国際法に違反をしておるのではないかという論評をしておりますけれども日本政府は、これは国際法に違反をしておるというふうに考えないのかどうか、この点を外務大臣に伺いたいと思います。
  138. 高島益郎

    高島政府委員 ニクソン大統領発表いたしました機雷敷設によりますところの実質的な港湾封鎖、この措置につきまして、実はわれわれ法的な説明を米国のほうから何ら伺っておりませんし、これをどういうふうに法的に解釈したらいいかということにつきましては、実はよくわかっておりません。ただ従来ベトナム事態につきまして、米国は、これは北からの侵略に対しましてベトナムの自衛権を米国が集団的自衛権に基づいて援助しているという説明をしておりますので、この援助行為の一環としてこういうことをやっているというふうに考えますると、この事態は米国といたしましては集団的自衛権の行使の一部というふうに考えているのではないかとただ私たち想像するわけでございますが、現在何ら昨日の発表以来、以外につきまして法的な見解を聞いておりませんので、われわれとしても法的にどうこうということを断定的に見解を申し述べる立場にないことを御了解いただきたいと思います。
  139. 松本善明

    松本(善)委員 この発表の前にアメリカ政府日本政府に対して、NATO諸国と同じように事前通告をしたということです。その内容は一体どういうことを通告されたのか、御報告をいただきたい。
  140. 福田赳夫

    福田国務大臣 この発表は昨日の午前十時に行なわれておるようでありますが、それに先立ち、わが国の総理大臣にあてましてアメリカ政府よりメッセージが来ております。それはニクソン大統領の十時の発表の要約である。その最後に、これに対して理解を求める、こういうようなメッセージでございます。  それから、同じ時刻に、つまり十時ちょっと前の時刻にアメリカ駐在の日本大使館の大河原公使に対しマーシャル・グリーン国務次官補より同様の趣旨の説明があった、こういうふうに承知しております。
  141. 松本善明

    松本(善)委員 新聞報道によれば、大河原公使にはソ連の了解を得ていないとか、そのほかの説明があったということですが、公式な発表以外の説明はなかったのでありますか。
  142. 三宅和助

    三宅説明員 御説明いたします。  大河原公使に対するマーシャル・グリーン国務次官補の説明によりますと、公式の発表以外に二つの点がございました。  一つは、この問題につきましては、ソ連の事前の了解を取りつけていない。第二点は、この問題につきまして国連の安保理事会に報告する。この二点でございます。
  143. 松本善明

    松本(善)委員 日本政府がほんとうに世界の平和を守るという立場であるならば、このような行動が行なわれたときに一体それは正当であるかどうかということについて、重大な関心を持たなければならないはずであります。安保理事会に通告をしたというのは、おそらく集団的自衛権の行使だということで通告したのではないかというふうに思いますが、この法的根拠については日本政府アメリカ政府に何らただしていないということでありますか。
  144. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただしておりませんでした。——いまの答弁は間違えましたから、政府委員のほうからお答え申し上げます。
  145. 高島益郎

    高島政府委員 米国に対しまして至急その根拠につきいろいろ聞いております。
  146. 松本善明

    松本(善)委員 現在聞いておりますということですか。回答はまだ来ていない、こういうことですか。
  147. 高島益郎

    高島政府委員 まだ回答は参っておりません。
  148. 松本善明

    松本(善)委員 これはアメリカ政府の回答を待つまでもなく、私は日本政府としてこういう封鎖によって第三国の商船は全部影響を受けるわけです。日本が実際にそういうことがあるかどうかは別として、日本も影響を受けるわけです。それについて日本政府は何ら見解を持たないということでいいのかどうか、これから後見解を持つ可能性もないのか、どうか、この点を伺いたいと思います。
  149. 高島益郎

    高島政府委員 先ほど申しましたとおり、現在米国に対しまして今度の措置についてのいろいろ法的な解明を求めた上で検討いたしたいと思っております。
  150. 松本善明

    松本(善)委員 宣戦布告をアメリカベトナムにしていない。これは世界でだれも知っていることです。そういうもとでこういうことはできないのだというのは国際法学説上の通説だと思います。その点については外務省はどう考えておるのか。
  151. 高島益郎

    高島政府委員 お説のとおり、現在国連憲章のもとにおきまして武力の行使は一般に禁止されております。  ただ、集団的自衛権あるいは個別的自衛権の行使の対象として武力の行使を行なう、あるいは国連の集団的な措置に基づいて加盟国が武力の行使を行なうということがあります。これは二つの例外でございます。  したがいまして、ベトナム事態につきましては、われわれはあくまでもこれは自衛権の行使という範囲内でしか考えられない事態である。当然、したがってこれは戦争ではないという立場でございます。そういうことでございますので、一般的に戦争のもとで許されます戦時法規、つまり従来の概念でいう戦争でありますれば、あらゆる害敵手段つまり戦時法規上認められた一切の害敵手段、つまり戦時封鎖も含めて許容されるわけでございますけれども、ただ自衛権の行使の範囲内ではたして今度行なわれたような機雷敷設によります実際上の港湾封鎖ということが可能かどうかという点につきましては、実は今回が初めての例ではないかというふうに私は思います。そこで先ほど申しましたとおり、こういう事態に対しましてどういうふうに法的に考えたらいいかという点につきまして、いろいろ検討しているところでございます。
  152. 松本善明

    松本(善)委員 もしこれが集団自衛権の行使だということになるならば、その機雷を排除していくということは侵略行為になるということに論理上はならざるを得ないと思います。まことに考えることのできない事態ではないかと思います。論理上はそういうことになるというふうにお考えになりませんか。
  153. 高島益郎

    高島政府委員 先生の御質問の意味がよくわかりませんけれども、これは米国といたしましては要するに南越を援助するために集団的自衛権を行使して、その行使の結果このような措置をとっているというふうに思いますので、これをさらに排除することが侵略とかなんとかいうことに当然なるかどうか、ちょっと私はその点確信持てません。ただしかし、米国がいわゆる自衛権の行使としてこういう措置をとったということは大体推測し得るところではないかというふうに思っております。
  154. 松本善明

    松本(善)委員 私がお聞きしたいのは、もしこれが集団自衛権の行使だというふうに考えているならば、アメリカはそう考えているらしいということでありますけれども、その立場日本政府が認めるならば、排除するという行為は国際法上非難される行為になるのかどうか、無法であるからこれは排除していってもいいんだというふうに考えるのか、それとも排除していくのはよくないことだ、こういうふうに考えるのかということを日本政府見解として聞いているわけであります。
  155. 高島益郎

    高島政府委員 ちょっと先ほど説明が不十分でございましたけれども情報によりますと、アメリカは安全保障理事会に対します報告の中で国連憲章第五十一条に基づく自衛権の行使だということを言っているそうでございますので、これは先ほど私が推測として申し上げましたけれどもアメリカはそのとおり考えているということでございます。  たてまえといたしましては、そのように安全保障理事会に報告されまして、その結果安全保障理事会が招集されてそこでもって侵略がどうであったか、またこれに対して集団的自衛権の行使が適法であったかという点が判断されて安全保障理事会の結論が出るというのが筋でございます。したがいまして私どもはそのような公的な機関つまり国連の正当な機関が判断を下す前に私どもとして日本が独自の判断を下すということは現在の状況のもとではちょっといたしかねるということでございます。
  156. 松本善明

    松本(善)委員 このことによって日本ベトナムの貿易も障害を受けるわけであります。日本政府としてはこのことについてはアメリカ政府に対しては何らの意志表示もしないのか、それはそのまま認めるのかどうか、これは外務大臣に伺いたいと思います。
  157. 福田赳夫

    福田国務大臣 いずれこの問題は安全保障理事会であるいは結論が出る問題かとも思います。あるいは安全保障理事会が開かれないということもあるかもしれませんけれども、国連がきめる、その国連の決定に従ってわが国わが国態度をきめる、こういうことになろうかと思います。
  158. 松本善明

    松本(善)委員 それでは日本ベトナムの侵略戦争とどういうかかわり合いがあるかということについて私は聞きたいと思うのであります。  先ほども少し質問がありましたが、この問題についてはいままでもたびたび論じられております。私は外務大臣見解を明確にするためにかつての答弁を引用して、これが現在でも維持されるかどうかということをお聞きしたいと思います。  それは四十一年の七月十八日の予算委員会で行なわれた椎名外務大臣の答弁であります。これは質問ベトナム戦争に対して今日日本がどのような立場に置かれていると外務大臣は考えているかという質問であります。「日米安保条約がありまして、極東の平和と安全に関係のあるアメリカの行動がある場合には、安保条約に基づく法律関係に従わなければならぬ。すなわち、日本の施設区域を、米軍がこれに関連して使用することを認めなければならぬ、こういう役務があるのであります。そういう意味において、ベトナム戦争に対して、日本は純然たる法律上の立場から言うと、中立的な立場ではない。何となれば、アメリカの軍隊が日本の国内にあって、合法的に施設区域を使用しておるという状態がある限りにおいては、純然たる中止の立場にはない、こういうことが言える。」ということを椎名外務大臣が答弁をしておられる。この立場は現在も維持されておるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  159. 福田赳夫

    福田国務大臣 まあ椎名さんは御承知のように非常に大局的な発言をされる方です。ですから法的な意味においていろいろ発言をされておるんだというふうに私は思いませんが。私どもとにかく戦争の当事者ではない、私が言っておるわけです。そういうことを何回もり繰返して申し上げておりますが、そのとおりに御理解を願います。
  160. 松本善明

    松本(善)委員 これは椎名外務大臣は「純然たる法律上の立場から言うと、中立的な立場ではない。」法律論としてはっきり言っているのです。この答弁は変えられるのかどうか。「中立的な立場ではない。」という外務大臣の答弁をいま変えられるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  161. 福田赳夫

    福田国務大臣 椎名さんはまあ非常に常識的に事をおっしゃる方です。ですからその言い回しもそうじゃないか、こういうふうに思いますが、私が申し上げていること、これはいろいろと考えて言っているのです。これはベトナム戦争に対しましては私ども戦争の当事国ではない、こういうことでございます
  162. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣なかなか慎重な答弁をされますけれども、それは自衛隊が行ってないということだけではありませんか。実際に日本にいるアメリカ軍がベトナムへ行っているということはもう事実でしょう。みんな新聞が書いていますよ。日本じゅうで一体それを否定しているものがありますか。外務大臣、その事実を認めませんか。日本にいたアメリカ軍がベトナムで戦闘している、横須賀から出ていった第七艦隊が機雷を敷設をしている、こういう事実を認めませんか。
  163. 福田赳夫

    福田国務大臣 日本の基地から飛行隊が飛び立つあるいは艦船が太平洋を遊よくする、そういうことはありますよ。その遊よくしておる飛び立った飛行機がどこそこの地点を基地といたしまして戦闘に参加する、こういうことはある。あるが、あくまでもわが国ベトナム戦争の基地になってはおらぬ。これは厳然たる事実である。これもまた御承知願いたい。そういう意味においてわが国ベトナム戦争の当事国ではない、これははっきりしていると思います。
  164. 松本善明

    松本(善)委員 戦闘作戦行動の基地になってないということを再々外務大臣は言われます。私どもはそれもおかしいと思いますけれども、しかし現にベトナムで使った武器が修理をされ、日本にいた部隊か行ってやっているじゃないですか。新聞も現に出撃していると一ぱい書いていますよ。沖繩国会で密約問題でいろいろ問題になりましたけれども、そのときに問題になったときには、国会が、政府国民をだましてはいかぬということが問題になったでしょう。いま日本国民がみんな事実を知っている。外務大臣はことばの上で基地になっていないと言って通ると思いますか。自衛隊は行ってないでしょう、あるいは戦闘作戦行動の命令が出ているかどうかそれはわかりません、出ているかもしれない。しかしベトナムで戦っている戦車の修理をやったり、武器の修理をやったり、日本にいる部隊が行ったりしていることは事実でしょう。その事実を認められませんか。それを認めた上で率直に国民にどうするかということを現うのが当然ではありませんか。その点について外務大臣どうお考えか、重ねてお伺いいたしましょう。
  165. 福田赳夫

    福田国務大臣 わが国に駐とんする艦船、部隊が、これが回り回って、ベトナム戦場におもむく、こういうようなことはあり得るです。これは安保条約否定しておるわけじゃない、そういうことは私も承知しております。しかしわが国はあくまでもベトナム戦争の基地になっておるわけじゃない、こういうことを申し上げているのです。したがってわが国ベトナム戦争の交戦当事国ではない。何か松本さんはベトナム戦争日本を巻き込みたいような発言をされておりますが、そういうことにつきましては私どもも巻き込まれないようにという考え方を持っておるわけでありまして、その辺は安全保障条約、これはそういうたてまえでできているのですから、そのたてまえを厳重に守っていきたい、こういうふうに考えております。
  166. 松本善明

    松本(善)委員 私の言いたいことは、日本がいかなる意味でもこのベトナム戦の根拠地として使われることを拒否すべきだ。ベトナムで使った小銃であるとか、あるいは戦車であるとか修理をされているでしょう、そういうようなことを一切断わるべきだ。それが日本の憲法でほんとうに平和を守るという考え方に立った場合の当然のことではないか。ベトナム戦への協力は一切しませんということを外務大臣は言えないのですか。
  167. 福田赳夫

    福田国務大臣 南北ベトナム戦争しておる。その南北ベトナムに対しまして、その交戦に必要な武器を供与しておる。北ベトナムには御承知のように幾つかの国が武器を供与しておるわけなんです。これも松本さんよく承知しているはずです。しかし戦争の当事国であるかというとそうではない。わが国はそれに反しましてとにかく武器輸出はいたしません、これまで慎重に考えておるわけなんです。そいうようなことでわが国は慎重な配慮をしながら、ベトナム戦争には巻き込まれまいという配慮をしておる。これはよく御理解願いたい、かように存じます。
  168. 松本善明

    松本(善)委員 私は、ベトナム戦に日本が加担をしておる、日本政府が加担をしておるという事実はまぎれもない事実だと思いますけれども、別のことを伺いたいと思います。  これは世界の平和全体にとって非常に重大な事態だと思うのです。これはもちろん緊張激化をしていく。私冒頭に世界平和に対する挑戦だというふうに言いました。こういう措置をやめろ。これはベトナムが、ベトナムの人たちがアメリカに行っているのではありません。アメリカの軍隊がベトナムへ行っておるのです。アメリカの機雷がベトナムの港に敷設されておるのです。どちらが侵略者であるかというのは私は明白だと思うのです。こういう措置をやめろということを外務大臣アメリカ政府に対して言うお考えはありませんか。
  169. 福田赳夫

    福田国務大臣 南北はいま戦争しておるわけですから、戦争の手段としていろいろな道が選ばれる、これは当然だろうと思うのです。私どもは、南北この非常な事態がすみやかに鎮静するように、そして南北両者ともテーブルについて話し合いによってこの事態を解決するようにということを念願しております。これはアジアの隣邦といたしまして当然のことだろう、こういうふうに思いますが、しかしこの事態、特に今回の北爆に始まる事態、これはアメリカ側が、あなたもよく御承知のとおり北越が中立地帯を侵して南進をしてきておる、それに対する対応のかまえである、こう言っておるのです。そういう主張、それから客観的にもまず南進が先だったということは世界的にいわれておるところなんです。そういうようなことでありますから、アメリカだけに向かってこの戦闘を取りやめろ、その戦闘作戦の行動はいかがなものであろうか、こういうようなことを言う、これは私は当を得ない、こういうふうに思うのです。両方に向かって武器を捨ててテーブルにつけ、こういうことこそ言うべきであって、一方を非難する、これは非常に片寄った考え方じゃないか。私はアメリカに対して警告を発し、あるいは抗議をする、そういう考え方は毛頭ございませんです。
  170. 松本善明

    松本(善)委員 これは南進と言われるけれども、あの十七度線というのは国境だと思っていますか、外務大臣は。
  171. 福田赳夫

    福田国務大臣 いはゆる中立地帯というのは国境だとは思っておりませんです。
  172. 松本善明

    松本(善)委員 国境ではないのですよ。そしてこのジュネーブ協定の精神というのは、ベトナムは一つだということでしょう。その精神に反して外国の軍隊を送っているのはアメリカではありませんか。アメリカあるいは韓国、アメリカの同盟軍以外に外国の軍隊が入っているのはどこですか。外務大臣、どうお考えですか。
  173. 福田赳夫

    福田国務大臣 アメリカの軍隊が、ベトナムに駐とんしておる、これはベトナム政府の要請に基づき駐とんをしておるわけなんです。このベトナム半島の事態のもとのもとをさかのぼると、いろいろ御議論もありましょう、ありましょうが、いま問題になっているのはそうじゃないのです。この北爆を契機とする非常な事態をどういうふうに救っていくか、これから脱出するか、こういう問題だろうと思うのです。その先の先、もとのもとまで議論をしておる。これは議論は尽きませんからそこまでは申し上げませんけれども、私が申し上げたいことは、アメリカも非常な措置をとっておる。とっておりますけれども、これは戦争をエスカレートしようという意図じゃないと思うのです。やはり戦争のエスカレート、これは事実で、そういう段階に来ておるわけでありますけれども、これをさらにエスカレートしようというのじゃなくて、このエスカレーションを通じて和平の道を探ろう、さればこそアメリカは国連による監視委員会、そのもとでの停戦が行なわれる、あるいは捕虜の釈放が行なわれるということになれば、ひとつこういう行動はやめようと、こう言っておるのです。そうしてテーブルにつく、こうまで言っておるわけです。そういう平和を念願しておる行動であるということにも、まあ注意をされたらどうであろうか、こういうふうに思います。一方的にどうも、南が悪いんだ、アメリカが悪いんだ、こういう議論が私は妥当ではない、こういうふうに考えております。
  174. 松本善明

    松本(善)委員 私は、これだけ重大な世界の平和の問題ですから、さかのぼって、一体だれが侵略者なんだということを明確にすることが必要だと思うのです。日本政府がほんとうに平和を守るという立場であるならば、侵略者がだれかということを明確にして態度をとるべきだということを言っておきたいと思います。   それからもう一つお聞きしておきたいのは、いま南ベトナム政府から依頼を受けて駐とんしているというお話をされました。私はこれはかいらい政権だというふうに思うわけですけれども、大体外国の援助によって初めて成立をしている、その援助がなくなれば瓦解するというような自主性のない政府というのは、これは正統な政府とは考えられない。これは政府を正統な政府承認するかどうかの一つの基準だと思うのです。国際法上でも断然いわれておる基準であります。このサイゴンの政府というのはアメリカの援助なしには成立し得ない、その援助がなくなれば崩壊をするというそういう政府であるというふうに外務大臣はお考えにならないかどうか、これを伺いたいと思います。
  175. 福田赳夫

    福田国務大臣 さようには考えませんです。わが国は南ベトナム政府承認をいたしておる、これにはそれ相当の理由があって承認をいたしておる。そういうことでございます。
  176. 松本善明

    松本(善)委員 もしそれならアメリカ軍はすぐ撤退すればいいじゃですか、撤退してもちゃんと成立をしている強力な政府であるならばすぐ撤退をすればいいじゃないですか。それをしないというのは崩壊するからでしょう、その事実が何よりもこれはかいらい政権だということを物語っていると思うのです。  私はもう一つ外務大臣に伺っておきたいと思いますのは、外務大臣は、このベトナムの北爆の問題が起こりましてからたびたびの委員会で無差別爆撃のことが問題になったが、アメリカはそういうことはやっていない、民間人が犠牲になるようなことはやっていない、そういう報告は少なくとも受けていないということで、これは非難をしないと言ってこられました。今度の封鎖の場合は食糧も入らないわけです、交通網も遮断するというのです。民間人が犠牲を受けることは明らかでしょう、軍事施設の攻撃だけでないことは明白でしょう、非人道的であるというとは明白でしょう。あなたはこれに抗議しませんか。
  177. 福田赳夫

    福田国務大臣 戦争の一々の態様につきましては抗議はいたしませんです。
  178. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣のあとのほうの答弁を聞いてみますと、ことばの上では局外者であるというようなことを言われるけれども、実際上はアメリカ立場をすべて擁護をしておる、非人道的な行為についても、侵略的な行為についても、民族自決権の侵略に対しても、世界の平和に対する挑戦に対しても、外務大臣はそれを擁護をしている。日本政府はそのような立場を絶対にとるべきではないということを申し上げて、私は質問を終わりたいと思います。
  179. 櫻内義雄

    櫻内委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる十二日午前十時より理事会、午前十時十五分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後三時五十二分散会