○正示
委員 与えられた時間にたいへん大事な問題の二、三について伺います。
まず第一に、大先輩からいろいろ
お話しがありましたので、静かに拝聴いたしておりましたが、ちょうど二十数年の歳月、先輩の御郷里の岡山へいまから前には東京から何時間かかりましたかね。それがいまや五時間弱ですぐ岡山に行ける時代になりました。
お話を伺っておりますと、まあたいへん失礼でございますけれ
ども、いわゆる唯物史観といいますか、
歴史観といいますか、そういうものに立脚されてものごとを流動的、発展的に把握される先輩が、きわめて固定的にあの当時の論理を展開されておることにまず私はたいへん残念に思ったわけであります。
たとえば、これは
外務大臣に伺いたいと思うのですが、先ほど
黒田先輩から今日
中華人民共和国が
国連に
議席を
回復し、
安全保障理事会党任
理事国になられたという事実をもって、すなわち
国連の
侵略国である
決議もこれは死滅したんだということをあげられたのでありますが、私は同じ論理に立てば、
日本はすでに
国連に
加盟してから何年になりますか。また戦後のいわゆる平和憲法を採択してから何年になりますか。その
日本にいわれもなき軍国主義の非難があるということについて、
黒田先輩はどういうふうにお
考えにたっておられたのかということをふしぎに思ったわけであります。
外務大臣からは
国連に
加盟した今日において、
中国の
侵略国としての
国連決議は死滅したんだ、こういうふうに言われたことと、
日本のステータスとをあわせ
考えて、たいへん割り切れないものを感ぜざるを得なかったということを申し上げるわけであります。
それから、先般の米中会談に基づくいわゆる共同コミュニケ、これを読みましての一番強い私
どもへの感じは、かねがね
日本が主張しておりました
中国は
一つである、こういう
考え方が非常に強く、
ニクソン大統領にインフルエンスを与えておるということを
考えざるを得なかったのでありますが、こういうふうなことについても、私はいままでの、この国会において日中問題を議論した、これは与党、野党を問わず、ひとつ大いに参考にすべきことではなかろうか、こういうふうにも
考えます。
さらにまた、昨年のいわゆる
中華人民共和国の
国連加盟、このときにわれわれが最も重点を置いたのは、いわゆる逆重要でございまして、逆重要ということを私はあまり好まないのでありますけれ
ども、と申すよりは、
中華人民共和国は
国連に
加盟することは当然である。また
常任理事国になることも当然であって、問題は
国民政府というもの、これを追放するというアルバニア
決議案は単純多数決であるけれ
ども、その追放ということは、三分の二の多数をもってすべきが
国連の一般的ルールから言って当然ではないか、きわめて明快な
考え方をわれわれは最も強調したのだと思うのであります。そういうことを静かに
考えながら、いまの質疑応答を拝聴しておりまして、私は、
歴史の
流れという
外務大臣の
考え方、また脱イデオロギー、いまや日中問題は、
歴史の
流れに沿い、脱イデオロギーの
立場においてこれを処理すべき段階にきた。すなわち、いままでは、
黒田先輩をはじめ社会党の先生方、あるいは公明党の先生方、いまや民社党の先生方も、いわゆる
中華人民共和国と
接触をされるわけでございますけれ
ども、やはり
国交正常化は
政府間
交渉にまたざるを得ないという決意のもとに、
福田外務大臣は、いつでも北京に行きたい、この意想を
表明しておられることに、私は非常な敬意を表するわけでございますし、また、同感の
考えを持っておるわけでございますが、この
歴史の
流れ、また脱イデオロギー、そういう時代の推移に従って私
どもの
外交のあり方というものを
考えていくという
現実的な
政策を、私はひとつ思い切ってこれからも進めていただきたい、こう思う。これに対して、非常に残念なことは、いまのような固定的に過去の事実ばかりをつかまえて、いつまでもそれは変わらないものとして、残念ながら
日本の政界の中に、いわゆる
外交というものは、できれば超党派的な支持を得てやるところに力強さがあるのにもかかわらず、これが不幸にして非常に分裂をしておるというふうなことは、たいへん残念なことだと思うわけでございますが、いまや対
中国外交を率先してみずから身を挺して
政府間折衝に当たろうとしておる
外務大臣のこれに対する御
所見をまず伺っておきたいと思います。