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1972-05-10 第68回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十日(水曜日)     午後一時二十七分開議  出席委員    委員長 渡部 一郎君    理事 田川 誠一君 理事 藤本 孝雄君    理事 石川 次夫君 理事 北側 義一君    理事 吉田 之久君       稲村 利幸君    加藤 陽三君       海部 俊樹君   小宮山重四郎君       橋口  隆君    森  喜朗君       内海  清君    山原健二郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     井上  保君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         科学技術庁原子         力局長     成田 壽治君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君  委員外出席者         原子力委員会委         員       山田太三郎君         農林省蚕糸園芸         局野菜花き課長 関谷 俊作君         水産庁長官官房         調査官     前田  優君         通商産業省化学         工業局化学第二         課長      小幡 八郎君     ――――――――――――― 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   近江巳記夫君     北側 義一君 同月十日  理事近江巳記夫君同月九日委員辞任につき、そ  の補欠として北側義一君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  科学技術振興対策に関する件(原子力開発及び  環境科学技術に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 渡部一郎

    渡部委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  昨九日、理事近江巳記夫君の委員辞任により、理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行ないたいと思いますが、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渡部一郎

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、理事北側義一君を指名いたします。(拍手)      ――――◇―――――
  4. 渡部一郎

    渡部委員長 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田之久君。
  5. 吉田之久

    吉田(之)委員 この前の委員会のときに、原子力安全性について、いわゆる基本的な理念と申しますか、安全性のフィロソフィーというようなものについて、この際、科学技術庁中心になって相当確固たるものを確立されるべき必要があるのではないかということで、若干の御質問をさせていただいた次第でございます。  実は、きょう私は、いま一つの重要な問題として、現に原子力発電所日本に次々とでき上がりつつある現状の中で、原子力発電所安全性の問題についていかに正しいPRをしていかなければならないか、あるいは地元住民との調和あるいは地元住民へのサービスの確立、そういう点でさらに具体的に政府はいろいろな対策を急がなければならないのではないかというふうな気がするわけでございますので、そういう点に問題をしぼって、一、二の御質問をいたしたいと思います。  まず、きょうちょっと耳にはさんだのでございますが、北陸電力の能登ですかで、原子力発電所地点を設定する問題で、何だか地元住民投票に近く付されることになったというような話を聞いたわけでございます。そういう動きがあるのでございますか、いかがですか。
  6. 成田壽治

    成田政府委員 北陸電力の能登半島におけるサイトにつきましては、われわれ具体的に何らまだ聞いていない情勢でございまして、おそらく県等が入って、地元事業者の間で事前のいろいろな話し合いが行なわれているのではないかと思います。したがいまして、政府に対して――科学技術庁はもちろん通産省に対しても、現在政府に対する説明というものはまだ何ら行なわれておりませんので、実情については全く把握していない情勢でありまして、そういう御指摘がありましたので、今後いろいろ調べてみたいと思っております。
  7. 吉田之久

    吉田(之)委員 私も聞いたばかりでございまして、単なるうわさか、一つのデマであればいいと思うのでありますけれども、十分その説明がなされず、あるいは来るべき原子力発電所の実態がまだ何であるかも熟知されていない中で、いきなり住民投票をやるというようなことは、やはり今後に非常にむずかしい例やしこりを残していくのではないか。しかもかりに模擬投票と申しますか、試みに投票してみようかというふうな形でやられたとしても、やはり民主主義の原則からいえば、一たん投票された以上は、それはほとんど決定的な意味を持つことになりはしないかということでございます。どうかこの辺のところをよくひとつ御指導をいただきたいと思います。  同時に、今後各地原子力発電所がそのサイトを選んでつくられていくことになるわけでございますけれども、一体どういう手順が一番正しいものであり、そうしてそういう手順というものはどこの場合においても不変であるというようなことが確立しないと、あちらのやり方とこちらのやり方が違うというふうなことになりますと、たいへんな混乱を招くのではないかという感じがいたします。  そういう点で、実は具体的な例として、岩内地区村会主催公聴会が開催されたと聞いておりますけれども、もちろんその公聴会論議された内容は、安全性の問題や温排水の問題あるいは地域開発への問題等論議されたことだと思います。しかし、実際問題として、こういう現地のいわゆる地域的なローカルな公聴会というものは、ほんとうに科学技術の深遠をきわめる高度な安全性論議にまで立ち入ることができるものであろうかどうか、結局消化不良のままで、わからないままでいろいろと反対反対だとか、あぶないあぶないというふうなことになったのでは、これはわが国エネルギーの将来にゆゆしい問題を残すと思います。そういう点で、この岩内地区で行なわれた公聴会経過にかんがみて、科学技術庁としては、あるいは原子力委員会としては、どういう教訓を得られたか、あるいはどういう評価をなさっているかということを伺いましょう。
  8. 成田壽治

    成田政府委員 ことしの二月五日、北海道岩内町の、これは町議会主催で、地元におきましては公聴会という名前でございますが、町議会主催発電所立地に関する説明会が行なわれたと聞いております。この内容についてはあまり詳しくは聞いておらないのでありますが、もちろん北海道電力原子力発電所申請は、電源開発調整審議会にも出ておりませんし、また、科学技術庁に対する許可申請もなされておりませんので、安全性問題等につきましては、一般の地元人たち議論でありますので、専門家安全審査会中央でやっているようなああいう高度な内容議論でなくて、非常に初歩的な議論に終わったのじゃないか、むしろ温排水の問題とか、それから地元とのメリット、デメリット、そういう地域的な利害関係議論中心に行なわれたのではないかというふうに聞いております。  そういう意味におきまして、われわれも今後地元意見を、これは地域住民理解協力がないと円滑な原子力発電所設置ができませんので、十分地元協力を得ないといけませんが、今後地元意見協力を得るための方法について、そういう点の示唆というものも十分考えて、いろいろ今後具体的な検討をやっていく場合の参考とすべき点が多々あるのではないかというふうに考えております。
  9. 吉田之久

    吉田(之)委員 そこで、今後もいろいろとこういう公聴会が開かれていくと思うのですけれども、むしろ科学技術庁としては、あるいは原子力委員会としては、いわゆる国政レベル公聴会と、それからローカルな公聴会と、はっきりと二つに分けて、そして国政レベル公聴会は、もちろんあらゆる専門家、学者を動員し、きわめて純粋に科学技術的な立場から論議をかわしていく。それから一方、ローカルな公聴会というものは、私は何もその論議が初歩的であったからといって、それはたいへん軽視すべきものであるとは思わないのです。やはりいわゆるその地域住民が何となく素朴に、はだで感ずる安全性、こういうものが一番重要でありまして、そうしてまた、そういうものの積み重ねと経験の累積の中でわが国原子力発電というものが軌道に乗っていくのではないかというふうに考えますので、ただローカルでやればいいのだ、時間をつぶせばいいのだというふうな行き方ではなしに、もっと唆別した、そしてきめのこまやかな公聴会というものを指導していただく必要があるのではないかという感じがいたします。  ついでに承っておきたいのでございますが、四月十八日の大飯説明会は、先ほどの北海道岩内地区のそれと比べまして、どういうニュアンスの違いがあったか、いろいろ経過を御説明いただければありがたいと思います。
  10. 成田壽治

    成田政府委員 大飯発電所につきましては、四月十八日と四月二十八日の二回にわたりまして、県が間に入りまして、地元における説明会が行なわれたのであります。この説明会に対しましては、安全審査会の安全であるという答申も出ておりますので、安全審査会の会長の内田教授、それからもう一人、原子力安全審査会先生等が行きまして、これは安全審査が終わっておりますので、安全審査内容、どういう理由でこの大飯発電所については安全であるという結論が審査会として出たかという説明が、非常に詳細に、高度の問題でありますが、非常に平易に説明が行なわれております。これに対して、遺伝学的にどうだとか、あるいはいろいろなECCSの問題とか、最近問題になった安全上の問題点については、地元の人からこれもかなり専門的な質問も行なわれて、非常に内容的には有意義な説明会であったと思います。  そのほかに、温排水の問題とかあるいは環境に対する問題とか、若狭湾地域開発との関連原子力発電所との関連とか、いろいろな環境問題等論議がなされておりますが、北海道岩内の場合と違いまして、安全審査がなされたあとでありますので、むしろ安全審査説明会、どういう理由で安全であるかという説明中心に行なわれたという点が違う点であったと思います。
  11. 吉田之久

    吉田(之)委員 それで、その感触として、そういう安全審査内容説明が、ほぼその説明会に出席された地域指導者人たち関係者人たち理解されたようでしょうか、その辺の感触はいかがでしょうか。
  12. 成田壽治

    成田政府委員 これは具体的には、町長県知事等感触を聞いてみないとわかりませんのですが、ただ二回にわたる説明会によって、非常に長時間にわたって安全性説明が詳しく行なわれましたので、従来のような安全性に対する不安感から来る反対動きというのは、われわれの感じではかなり理解いただけたんじゃないか。ただ、依然として反対等を唱える方も一部にあると思いますが、説明会の前に比べますと、非常に安全性に対する理解が深まったということは十分言えることだと思います。ただこれが具体的に、いま知事あっせんをお願いしておりますので、知事あっせんの解決の内容にどういうふうに反映してまいるかということは、これは県知事町長の両者間の話し合い、あるいはその後の折衝できまることでありますが、われわれから見た感じとしては、そういうふうな点が言えると思います。
  13. 吉田之久

    吉田(之)委員 次に、東海地区水戸原子力事務所というのがあるようですし、敦賀地区では敦賀原子力事務所というものが、それぞれ設けられていると聞いております。今後こういう原子力発電所を開発していかなければならない地点、あるいはすでに開発している他の地点、こういうところにこの種の原子力事務所を統一的に積極的に置いていかれるという考え方はお持ちになっているわけですか、いかがですか。
  14. 成田壽治

    成田政府委員 御承知のように、水戸昭和三三年ごろから原子力事務所をつくりまして、これがたった一つ原子力事務所だったのでありますが、その理由としましては、あそこには原研とか燃料公社等政府関係機関施設が非常にたくさんあるので、その放射能の管理、モニタリング等の仕事があるというのでつくったわけでございます。ただその後、原子力発電所が非常にたくさん設置されるに至りまして、特に若狭湾におきましては、先ほど問題のように、かなり集中立地という問題もありまして、いろいろな地元の要請もありまして、四十七年度から科学技術庁の職員を二名程度予算がとれまして常駐させるという組織が認められました。これが一般的な言い方としては事務所というような扱いになってまいると思います。これは関西電力、民間の電力会社施設がたくさんつくられるということでそういう駐在員を置くわけで、これは従来の水戸事務所とは非常に違う考え方が新しく導入されたわけであります。  それでは、敦賀以外に今後発電所のあるあらゆるところに置くかということになりますと、これはいろいろ問題もありまして、一がいには言えないことだと思います。ただ敦賀のようにかなり集中した立地がなされ、しかも非常に地元理解協力を得るための組織的な機構が必要であるという事態になりますと、どの地点であるかは今後の問題でありますが、そういうものの設置についても検討する必要があるんじゃないかというふうに考えておりますが、ただ、いま、敦賀に認められましたので今後発電所のできるところは全部つくれるとは言えないと思いますが、ただ同じようないろんな地元との問題がある場合には、当然駐在員を置くなり事務所設置することは検討すべき問題であろうというふうに考えております。
  15. 吉田之久

    吉田(之)委員 各地区でそれぞれ所与の条件が非常に違うものですから、したがってたいへんケース・バイ・ケース的な面も今後出てくるだろうと思います。しかし、できるだけその根底に一つの統一的な秩序や機構というものが少なくとも国家ベースにおいてあるということは、やはり住民に対しても信頼感を与えることになるだろうと思うわけでありまして、いよいよこれからそういう問題が次々と出てくると思いますので、ひとつ長官のほうでもこうした点でいろいろとお考えをいただきたいと思うわけでございます。  それから、特に私どもが心配いたしますのは、たとえば電力会社がいろいろとモニタリングをやったりすることは当然の義務でもございましょうけれども、しかし、それはユーザーがいろいろかってにやっているんだという印象をとかくまだ与えがちであります。したがって、それとは別個に、地方自治体がみずから参画する、そしてコントロールする、そういう観測あるいは監視というものが推進されて、両方が網の目のように重なっていったときに、問題は非常にスムーズに解決するのではないかというふうな気がするわけであります。実はこの間、「原子力施設自治体」という調査報告を読ましていただきましたけれども東海村の村長さんをはじめ関係自治体理事者の方々がいろいろと先進国においての公聴会あり方等についてよく調査をしてきておられまして、そして非常に学ぶべき点が多かった、きわめて興味ある資料を得ることができたというようなことが書かれているわけでありまして、やはりその一番重要なポイントの一つは、自治体みずからが測定して、責任を持って住民にその安全を証明しつつあるということではないかと思うわけでございます。こういう点について、長官としてどういうふうにお考えでございますか。
  16. 木内四郎

    木内国務大臣 私は、実はたびたびここで繰り返して申し上げておって、あるときは、もうそのことは三年前から耳にたこのできるほど聞いておるというようなことを言われたこともあるのですが、私は、原子力平和利用発電につきましては、何としても科学的に安全を第一にしなければならぬ。それだけでなく、さらに社会的にそれが地域住民その他によく理解されるようにしなければならぬ。これは昔からというか前から考えておったのですが、そのためにはあらゆる手段を講じなければならぬ。公聴会の問題もいろいろあるでしょう、その他説明会もあるでしょう、あらゆる手段を講じて、最善の努力をしたいと思っておるわけです。  それから、いまのモニタリングの問題などにしましても、官庁でやるだけでなく、あるいは企業者においてやるだけでなく、いまお話しのように、地方自治体あるいは地域住民も、自分たちが見てもそれは間違いないのだと認め得るような、そういう仕組みでやっていかなければならぬと常々考えておるのでありまして、その点はいまお話しになりましたとおりだと私は思っております。そういう点についても今後とも十分力を入れてまいりたいと思いますし、先ほど私の意見もお聞き願いました地方事務所を置く問題につきましても、もちろんできるだけそういう地域に対しては理解を求めるためにそういう駐在員を置くとかその他のことを、今後とも考えていかなければならぬと考えております。  それから、先ほど直接私に御質問がありませんでしたけれども、例の公聴会の問題は地方だけでなく中央でもどうかというお考えがありましたけれども、これは高い立場からごらん願っておる非常に貴重な御意見であります。私どもは、将来この問題を扱ってまいります場合におきましては、有力な参考として、その趣旨に沿ってできるだけの努力をいたしたい、かように思っております。
  17. 吉田之久

    吉田(之)委員 次に、今後ますます大型化してくる原子力発電所というものをどの程度集中すればいいのだろうか、この点ではいろいろと論議を呼んでおりまして、過度集中に対する地域住民抵抗感は当然非常に大きいと思います。しかし一方、原子力立地地点というものはそうどこにでも求められるわけではございません。いろいろと限られた条件というものがあります。したがって、日本全土でまず十五ないし二十地点くらいなものではないか。この地点の設定のしかたにもいろいろ論議がありますけれども、まあ大まかに申しまして、そういうほぼ予定され得る電源立地地点を、あらかじめひとつ政府責任において公表しながら、着実に準備の整い次第、公表や説明を始めていくというようなこともそろそろ必要なのではないかというふうな気がするわけであります。  国会でも、四十二年の五月であったと思いますけれども、適正な配置というふうに附帯決議が修正されているようであります。一体適正な配置とはどの程度配置をいうのかということにつきまして、なかなか一挙に答えは出ないと思いますけれどもわが国のすべての条件と今後のエネルギーの将来とを考えたときに、そろそろそうした具体的な検討がなされていい時期だと思うのですが、いかがでございますか。
  18. 成田壽治

    成田政府委員 原子力過度集中の問題は、われわれは原子力発電所は、ある程度適当なサイトがありますと、そこに集中するのが一つ傾向として出てくるのはやむを得ないことだと思いますが、ただ、それが非常に過度集中することは、厳に避けるべきことだと思います。じゃ、過度というのはいかなる基準であるかという問題になりますと、これは非常に具体的な問題であって、めんどうなのでありますが、ただ地元で、非常にたくさん立地されて、非常に大きな反対運動になっている事態とか、あるいは温排水等の環境に対する影響がかなり大きな影響があるという場合には、それは適正な集中ではなくて、ある程度過度的なものとして考えてもいいのではないかと思います。そういう意味で、原子力発電集中ということはやむを得ない、また適当な地点にはある程度集中する傾向にあると思いますが、ただ過度になってはいけない。これは安全審査放射能影響は、相乗効果等考えまして、当然たくさんある炉の全体の放射能を見て安全であるかどうかということを考えておりますから、安全性の面からの過度集中という問題はないと思いますが、ただ環境とか、あるいは地元民の地域開発との関係の問題からの反対運動が非常に強いとか、そういう場合は、これは適正な集中という概念をやや越えるのではないだろうかと思うのであります。  それから全国的に六千万キロワットを昭和六十年度に目標として掲げられておりますが、これをどこへつくるか、事前地点をきめるという問題につきましては、これはある意味では、そのほうが非常に望ましい点もありますが、ただ、いまのような電力会社が主体になってそういう電力経営体制をとっている現在の時点において、政府が、あるいは電力会社が直接に事前に十分ここを予定するということを言えるかどうかという点が問題であると同時に、政府立地地点に対していろいろな助成なり、あるいはいろいろな規制なり、いろいろな方法をとるという前提があれば、そういう地点事前に公表して、いろいろな準備段階に入るということが十分適切な方法だと思いますが、そういう方法についても、いろいろいま通産等と一緒になって検討してまいっておりますが、いまの段階で十年先、十五年先の地点を、ここにどのくらいということを発表することが原子力発電立地を円滑にするかどうかというのは、いまの制度なりいまの政策の事情においては多少の問題もあるので、その点は十分プラスマイナス検討し、また、立地対策というそっちのほうを十分詰めることが先決ではないだろうかというふうに考えております。
  19. 吉田之久

    吉田(之)委員 それから、この原子力発電所を持っていくときに、いろいろ安全の問題もさることながら、やはりそういうものがそばに来ることに対する当然の抵抗感というのが、いずれの場合でもあります。万が一という心配ももちろんあります。そういう問題をまず十分理解してもらって、なおかつ、その原子力発電所が誘致されることによって地域として受けるメリットという問題、この問題をいろいろ地域人たちは要望しておられるようでございます。たとえば福井県の場合に、発電税の創設を考えておられるというふうなことも聞いております。  さて、今後こういういろいろ地域に対するサービスあるいは見返りあるいはメリット対策、そういうものが行なわれていくときに、各地でばらばらのことになっても、これは将来またたいへんむずかしい問題になるだろうと思います。極端に言えば、あるところは電気代半分で地域に供給したとか、あるところはものすごい税金を地方自治体に納めたとか、あるいはいろいろな遊園地娯楽場をつくって提供したとか、あまり千差万別であることも必ずしも好ましいことではないというような気がいたします。こういう点で非常にむずかしい問題ではありますけれども政治サイドとしても、その量や質は別として、一つ地元に対する行なうべき措置のパターンと申しますか、そういうものもそろそろ検討され始めていいのではないかというふうな気がするわけでございますが、いかがでございますか。
  20. 成田壽治

    成田政府委員 原子力発電所をつくる場合には、やはり地域に十分な利益メリットが落ちるということが非常に必要なことだと思い、安全性のほかに地域利益に合致するということが非常に大事なことだと思います。そのためには、それではどういう形でそのメリットを落とするのかというのは、先ほど発電税の問題も御指摘がありましたが、担当局等検討では、どうも料金をまけるとか発電税とか、そういう形は弊害があって、あまり適当でないのじゃないかという中間的な意見も出ているようでありまして、ことしから、これは非常に微々たるものでありますが、府県税である事業税改正をやりまして、発電所のある県の府県税に対する配分がかなり多くなるような事業税改正が四十七年度から行なわれております。これは全体の事業税の中の府県別配分が、発電県にちょっとよけいいくという点で、それほど具体的なメリッにはならぬと思いますが、今後、来年度以降につきましても、そういう税制によって、さらにこの地元を潤す方法考えていく点の検討を、いろいろ関係省ともやってまいります。  それから、やはり地域開発に役立つような方法を、たとえばいろいろ地元住民が非常に早くつくってもらいたいというような道路等があれば、これが県等から要請があれば、科学技術庁、建設省、通産省等と話し合いをして早期に着工できるような方法等も、そういう地帯整備といいますか、そういう公共事業費による地域を潤す方法も、これも具体的にやっていきたいというふうに考えております。  その他具体的な方法につきましては、いま検討中でありまして、やはり地元原子力発電所に来てもらって非常によくなるというような経済的なメリットがないと、六千万キロワット等の目標もなかなか実現することは困難でありますので、その方法について至急検討してまいりたいと考えております。
  21. 吉田之久

    吉田(之)委員 最後に、やはり原子力問題で一番大事なことは、ほんとうに科学技術上の安全性が徹底的に追求されるということでなければならないと思うのです。地元サービスしたから、何とか承知したからそれでいいのだというふうなことであっては断じてならないと思います。  そこで私は、今後わが国原子力の研究開発を考える場合に、いわゆる燃料の濃縮の問題もあります。あるいは高速増殖炉をどう開発していくかという研究の面もあります。しかし、そういうものは一応別において、要するに、現に実用されつつあるところの、あるいは実用されようとしている現在の原子力発電所安全性に対するいわゆる科学技術的な徹底的な研究と証明というものがやられなければならない。これはやはり原子力に取り組むべきわが国の一番重要な問題になってきているのではないかというふうに思います。  さて、そういうふうに考えましたら、今日の時点で、いまそういう安全性をほんとうに追求するためになされるべきまた用意されるべき研究開発の費用というものは、長期的に見て一体ほぼどのくらいであろうか。そしてまた、そういう費用は一体どこが負担すべきであろうか。もちろん政府だけで持つというような問題でもないと思います。政府もメーカーもユーザーも、みんなが出し合わなければならない問題でありますけれども、こういう重要な時期に国家みずからがこの問題に相当巨額の経費を投じて国民にほんとうの安心感を与える、それで将来へのエネルギーの確保に対する重大な足固めをすることが必要だと思うのです。そういう点につきまして、現時点で政府はどのようにお考えになっているか、お教えをいただきたいと思います。
  22. 木内四郎

    木内国務大臣 いまの問題は非常に大事な問題でありまして、私も、原子力は非常に貴重なエネルギーであるが、同時に危険も伴う、しかし、この危険を防止するために、安全性を確保するために最善の努力をしなければならぬ。  そこで、私どものほうにおきましては、原子炉の規制法その他の法律、制度は形の上では十分整っておるのですが、そのほかに安全審査の専門部会を原子力委員会の中につくりましてやっております。こういうこともありますし、そのほか科学的にいろいろな研究を重ねておりまして、詳細は局長のほうから御説明させますけれども、予算の面においても最善の努力をいたしておるようなわけでありますし、今後においてもその点については最善の努力をしてまいりたい、かように思っております。
  23. 山田太三郎

    ○山田説明員 安全性の問題の重要であることは、先生御指摘のとおりでございますが、たまたま軽水炉は日本で開発されたわけではございませんで、アメリカで開発されましたものでございまして、アメリカのメーカーあるいはアメリカの原子力委員会等において、だいぶ前から研究がずっとなされてまいっております。しかしながら、これは日本につくられるものでございますので、同時にわれわれのものでございますから、いままでその点に若干ウエートが少なかった感を免れないのでございますけれども、いま長官の御指摘になりましたように、環境安全専門部会の中におきまして、安全研究のテーマにどんなものを選ぶべきであるかということをいま洗っております。  これは、全部日本でやったほうがいいか、あるいは国際協力をやったほうがいいかについては、まだはっきりふるい分けができておりませんけれども、国際協力をやる場合におきましても、日本にある程度ベースがなければとてもできませんので、そういう範囲をカバーしていきたい。そのアイテムにどのくらいのウエートをつけていけばいいか、それから、どこがやればいいか、政府が大体主体になるわけでございますけれども、アメリカの例でいえばメーカーが大部分やってきておるというようなこともございます。それから日本の場合には電力会社も研究能力がアメリカと違ってむしろ相当ある形になっておりますので、あらゆる力を総合することにしていかなければならぬと思いますが、その基本方針は、現在進めておりまする環境安全専門部会におきましてがっちりした研究体制をとっていく。これは簡単に思いつきのやり方でやっておったとは申し上げませんけれども、いままで確固たる方針を持っておりませんでしたものですから、そういったもののガイダンスのもとにおきまして安全研究を強力に進めてまいりたい。これはもう先生の御指摘のとおりにやってまいりたいと思っております。
  24. 吉田之久

    吉田(之)委員 いま山田先生がお述べになりましたように、やはりこの種の問題は、相当確固たる方針と組織がつくられていかないと、その目的を達成することはできないと思います。特に、間々あるわが国の悲しい例でございますけれども、とかく研究家たち、学者たちが、自分の研究だけをきわめて秘密的に保持しようというような傾向が依然としてございます。役所の中にもそういう官僚のセクト主義的なものがある。電力会社相互にでも、九つがそれぞれ秘術を尽くしてやって、時には相手をけなしたりしている向きがまだあるのではないかというふうな気がいたします。そういうことではこれはもう間に合わない時期に来ておる。同時に、ひとり国内的だけではなしに、国際的にいかに知識を総合し、経験を集約していくかということに積極的な努力を払わなければ、原子力安全性の問題は解決しないのではないかというふうな気が私はするわけでございます。  最後に、原子力に対する正しい認識を国民に求める、また国民にそういう知識を与えるということも、これからの近代的な国家像として、あるいはそういう人間像を形成していく一つの重大な仕事として大事なことだと思います。  ところが、はたして政府がそういうことに沿って積極的な努力をいままでなさっているだろうかということを考えますと、少し薄ら寒い感じがいたします。たとえば、ここに通産省が出しております「原子力発電 その必要性と安全性」という冊子がございます。いろいろデータもその後少しずつ修正すべき点が出てきていると思いますけれども、しかし、原子力に対する一応の理解や知識を与える点では非常に役立っている。したがって、そのパンフレットをいろいろな団体がさらに同じように増し刷りをして配っているということを考えますと、そういう時期に来ていると思うのです。私は、科学技術庁みずからももっと積極的にそういう正しい原子力の認識、国民へのPRにつとめていただきたい。あるいは科学技術庁とか通産省とかにこだわらないで、いわゆる通産サイドからも、あるいは公害、厚生省関係環境庁の関係からも科学技術庁からも、役所が打って一丸となって総合的な面から国民に正しい理解を与えていく、協力を求めていく努力を直ちに一そう積極的に始めていただかなければならないのではないかという感じがいたしますので、その点を強く要望いたしまして、質問を終わらしていただきます。
  25. 渡部一郎

  26. 山原健二郎

    ○山原委員 私の質問は、公害対策関係する面もありますが、いままでしばしば海洋汚染の問題について質問をしてまいりましたが、本日は別の意味で、ある意味では問題提起の意味で、ビニールの問題について各省の見解を伺いたいと思います。  現在、ビニールの使用量は非常に増大しておるというふうに思うのですが、たとえば最近は、施設園芸の場合ほとんどビニールを使っておるという状態でございます。特に大体全国的に見まして、ビニールの施設園芸における使用は昭和二十七年度から、特に昭和三十年度から急激にふえてまいりまして、それまでは油紙を使ってハウスを構成しておったのです。現在ではほとんどビニールになってしまっております。そして、それが急速に施設が増大をしまして大型化する、同時に、面積も非常に広がっていくというような状態であります。農林省のほうでお聞きしますと、施設園芸の場合を見ましても、千葉、茨城、埼玉、静岡岡、愛知、熊本、福岡、宮崎、高知、奈良、大阪、群馬、北海道、徳島というふうに主産県としての名前が出ておるわけでありますが、しかもそのほとんどが海岸線にハウス園芸が行なわれておる、こういう状態です。  その使い古したビニールの処理の問題でありますけれども、これが全く現在処理する責任者といいますか、そういうものが明らかになっていません。そして、これがある県では海に投棄をされております。あるところでは、そのまま河川に乗って海に流されていくというような状態があるわけです。千葉県の例ですと、これははるかに黒潮のところまで持っていってここで捨てておるという状態なんです。これも、これが続きますとたいへんな問題になるわけでして、それが波に乗ってまた海岸に流れついてくるという意味では、漁業者のほうで非常な心配が起こっているわけです。それから河川に乗って沿岸に流れ出る一般家庭用のビニールあるいはハウス園芸のビニールというものが海へ流れたときにどうなるかといいますと、これが海の中できらきら光るわけであります。そのために魚類が散逸をしてしまうというような状態、それからそのために魚がほとんどとれなくなったという地域も生まれています。それからスクリューにビニールが巻きついて船が動かなくなるというような問題が各地で発生をいたしておるわけですが、これについてもどうしようもないというような状態で、漁業者も困れば、園芸をやっている農民のほうもこの処理についてはどうにもお手あげだ、市町村もお手あげだというような問題が起こっているわけです。これはますます今後ひどくなってくると思うのですが、このあたりでかなりきちんとした対策を立てる必要があると私は思うのですけれども、これについて最初に農林省は現在どういうふうな対処をしようとしておるか、あるいは現状がどうなっておるか最初に伺っておきたい。――環境庁のほうにもお伺いしたいのですが、いまの質問に対しまして検討されておることがありましたらお答えいただきたいのです。  同時に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律が来年の四月から完全に運用されるわけでありますが、このビニールの処理についてはいわゆる一般廃棄物それから産業廃棄物と分けまして、産業廃棄物のほうに入るのでしょうか。そして、産業廃棄物に入るということになりますと、これは企業責任ということになってまいりますが、企業者というのはこの場合だれが企業者になるのか、その辺もあわせて伺っておきたいと思います。
  27. 岡安誠

    ○岡安政府委員 まず園芸用ビニールでございますけれども、これにつきましては廃棄物の処理及び清掃に関する法律のたてまえからは産業廃棄物ということになっております。したがいまして、産業廃棄物につきましては、事業者がみずから廃棄物の運搬、処分を行なうということになっておりますので、事業者という農業者がその廃棄物の処理をする責任を負っておるということになるわけでございます。現在、廃棄物処理法のたてまえから申し上げますと、この園芸用プラスチックにつきましては、大体埋め立て処分ということになろうかと思っておりますが、その場合におきましては、こういうように広い園芸用ビニールフィルムにつきましては、大体十五センチ以下にこまかく切断をいたしまして埋める、または溶かすとか焼くとかいうようなことをして埋めるということを指導してまいりたいというふうに私ども考えております。  ただ、現在、先生御質問のとおり相当広範囲にこれは普及しておりますが、この廃品である園芸用ビニールフィルムを切断をしたり、または溶融をしたり焼却したりという施設がまだ普及しておりません。そこで、私ども、法律上のたてまえからいきますと、こういうような処理は来年の三月三十一日までに処理設備を整備いたしまして、来年の四月一日以降はこの政令に従って確実に処理をさせるということにいたしたいということで、関係省庁とも相談しまして指導しておる最中でございます。
  28. 山原健二郎

    ○山原委員 この産業廃棄物の企業者というのが製造業者になるのではないかという感じが私はするのですけれども、農業者が企業者ということになってまいりますと、そういうことで現在きておるわけですけれども、そのために現在農業者はまず運搬、それから切断、この費用も負担をしておるという現状なんです。ところが、御承知のように現在ハウス園芸というのが非常に競合産地、至るところにふえまして非常に農作物をつくられる。ピーマンにしましてもあるいはキュウリ、トマト、これらのものが価格が不安定であり、決して収入が多いというわけではないのですね。しかも資材は上がってくるという状態の中で、これにたえながら零細な農民がその事業者としての責任を負わされるということは、いかにも不当な感じを持つわけでありますけれども、これは当然私はビニールを製造しておりますところの製造業者のほうに回収処理の施設をつくる責任を負わすべきじゃないかという感じを持つのでありますけれども、法律上はそういうふうな解釈しかできないわけですか。
  29. 岡安誠

    ○岡安政府委員 法律の解釈、運用はもっぱら厚生省の所管でございますので、私からお答えするのはいかがかと思いますけれども、法律の二条の三項によりますと、産業廃棄物というものは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうちでこれこれというふうに指定がされておるわけでございます。これを、先生のおっしゃるとおり、事業活動のときに使う原材料のさらにまたその生産者であるところまでさかのぼりますと、すべてが廃棄物のもとの生産者のところに回収をされるということになるわけであります。法律上のたてまえからいってそういうことが可能かどうかということを考えまして、おそらくそういうことではなしにこういう規定になったのではなかろうかと実は考えております。  もちろん、PCBのごとく使用者の段階におきまして処理することが非常に困難な場合におきましては、通産省のほうの御指導によりまして、これは焼却炉を持っておりますところまで回収をするというような指導もなされておりますけれども、この廃プラスチック、特に園芸用プラスチックフィルムの処理につきましては、農林省におきましても、これは事業者である農業者の段階におきましてこれを処理させるというような方針で、すでに四十七年度におきましては、金額は非常に些少でございますけれども、園芸用廃プラスチック処理施設設置費補助金というものを新しく設けまして、これを普及をいたしたいというように考えておるようでございます。私どもは補助金のみならず融資その他によりましてできるだけ共同処理という方法でもって普及できるようにということを願っておるわけでございます。実際問題の処理といたしましては、やはり農業者の段階においてこれを処理していただくということ以外には、なかなか円滑な処理はできないのではなかろうかというふうに考えております。
  30. 山原健二郎

    ○山原委員 問題はそこから先ですけれども、そういう法律上の解釈といいますか、それが農業者ということになりますと、それはそれとして、それでは問題が処理できないわけなんです。というのは、農業者としてはもう限界に来ておりまして、結局処理できないということでやむを得ずそこらあたりに積んでおくとかいうような状態が出ているわけですね。  それから、単にハウス園芸のビニールだけでなくして、現在ハマチの養殖なんかにおきましては、えさは全部いまはビニールで包んでいるのですね。これなんかがどこの海岸に行っても山のごとく積まれているわけです。処理のしようがないということですね。そして、それが台風とかいうようなときにはまた散らばって海へ流れ込んでいくというふうなことを繰り返し、そしてその中で海が荒れていくわけです。事実私は一昨々日、自分で地びきを引いてみたのですけれども、そうするともうビニールが一ぱいなんですね。だから網の目にビニールがひっかかってまいりますから、網そのものが重くて引けないという状態まで出てきておるわけです。  最近私の県で起こったのですが、これは象徴的なできごとかと思いますけれども、ことしの四月から五月にかけまして約一カ月半にわたって大紛争が起こったのです。それは漁民が魚がとれないというので、しんぼうしかねて河川の水門に金網を張ったのですね。ところが、金網を張りましたら金網にビニールがひっついて、そしてそれに雨が降ると川が溢水をしまして水田地帯に水があふれるという状態で、農民と漁民との深刻な対立が起こりました。ついに県知事が入ってこれを処理しなければならぬということで、最終的には各政党も入りましてついに和解をしたわけでありますけれども、しかし、問題はそれでも処理できないということで、どうすれば問題の処理ができるだろうかということを考えているわけですね。ところが、それはただ一つの県だけかと思って各県調べてみますと、各県ともそういう問題に逢着をしておるわけです。だから、この問題については国としても相当きちっとした体制というものをつくっていただく必要があると思うのです。  いまお話がありましたが、農林省のほうでは今年度の予算で初めて予算が組まれたという状態だと思いますが、農林省のこれに対する予算措置並びに今後の対策といいますか、それについて伺っておきたいのです。
  31. 関谷俊作

    ○関谷説明員 園芸関係でプラスチック類を使用しましたビニールハウスでありますとか、そういうものが最近非常にふえておりまして、そういう関係からだんだん廃棄されますプラスチック類の処理が問題になっておりまして、この対策につきましては、かねてからいろいろ検討してまいったわけでございますけれども、四十七年度から初めて予算措置を講じまして、これは主として県段階で生産者団体がプラスチック類の廃棄されるものの処理施設設置します場合に補助を行なうということで、四十七年度の予算額総額で二千六百万円になっておりますが、四カ所分計上いたしておりまして、一カ所千三百万円の処理施設設置する場合に二分の一補助で四カ所計上しております。これは当初いろいろ検討したわけでございますけれども、現在補助対象施設として考えておりますのは、いわゆる溶融、溶かしまして固めまして、多くは建設資材、くいでありますとかそういうような建設資材に再生いたします場合の処理施設、こういうものにつきまして大体現在できておりますものの機械だけで一基千四、五百万円くらいのものになりますので、これを当面四カ所分計上いたしたわけでございます。
  32. 山原健二郎

    ○山原委員 私ちょっと不勉強ですが、二千六百万円の予算が今度初めて組まれたということですが、一つの処理施設が千三百万円くらいでできるのですか。一基といいますか、一カ所千三百万円くらいでできるのですか。お聞きしますと、大体一日六トンの処理能力を持っておるというわけですね。それが千三百万円くらいでできるのだろうかという疑問を持つのですが、それは技術的に可能なわけですか。
  33. 関谷俊作

    ○関谷説明員 現在できております溶融固化施設にはいろいろございますけれども、何社か施設がございますが、大体いままで一部の園芸主産地で使われておりますものを見ますと、大体一日フルに稼働しますと六トン、多少低いものでも四トン程度のものからございます。大体千三、四百万円くらいの機械費でできる、こういうことになっております。
  34. 山原健二郎

    ○山原委員 これは大体四カ所程度今年度は計画して、その後はどうなるのですか。
  35. 関谷俊作

    ○関谷説明員 これにつきましては、全県と申しますか、相当幅広く設置することが終局的には必要でございますけれども、園芸の主産県では大体年間のビニール廃棄物等の排出量が千トンをこえるかあるいは千五百トンくらいで、こういう程度のところを一応主産地と考えますと、全国で私どものいまの推定計算では十四、五県くらいになるのではないか。これを何年計画かで少なくとも各県で一カ所、一つのパイロット的な意味でまず手始めにつくるものについては補助対象にできればしたい、こういうことで初年度四カ所計上したわけでございます。これは予算措置のことでございますので、来年幾つつくるとかあるいは何年後に幾つつくるというような約束というようなことはまだございませんけれども、農林省の腹づもりとしましては、当面四十七年度四カ所にいたしまして、その結果等も見ながら十数県の主産地には逐次一カ所ずつは補助したい、こう考えております。
  36. 山原健二郎

    ○山原委員 たとえば、県の段階でそういう処理をするためいろいろ検討した結果、関係者による公社をつくるというような形でこの処理体制をつくっていきたいという意見も出ているわけですが、そういうことについては農林省としては推奨されるようなお気持ちなんですか。
  37. 関谷俊作

    ○関谷説明員 実は園芸用ビニール廃棄物の処理につきましては、いま御質問にもございましたように、公社と申しますか処理体制の問題が実は非常に重要なわけでございます。ほかのものと違いまして、相当地理的に広範囲に散らばって廃棄物が出るわけで、それをどこかできれば県内一カ所に集めまして処理をしますものですから、やはり農協それから地方公共団体、こういうものが協力して処理体制、廃棄物を集める体制をつくることが非常に肝心になるわけでございます。そういう意味で、普通の場合には各県段階の農協連合会が単独で設置するということが起こり得るのではないかと思いますし、その県段階の農協連合会に県なり市町村なりというような公共団体が合わさりまして公社等つくるというような場合は、非常に処理体制がうまくいくのではないかということで、けっこうなことじゃないかと考えます。
  38. 山原健二郎

    ○山原委員 通産省のほうにお聞きします。  技術的に伺いたいのですが、現在ビニールの処理の技術的な問題ですけれども、いまお話がありました溶融固化のやり方ですか、そういう方法とかあるいはもっと適切な処理方法というのはあるのですか、それは研究されておりますか。  また、いまお話がありましたように、一つの県に一カ所できたととしても、これはそこに運ぶだけでもたいへんな問題があるわけですけれども、そういう問題で、はたしてこれが処理できるかどうかという疑問を私は持っているわけです。ある程度改善はされるだろうと思うのですけれども、それについてちょっと伺ってみたいと思います。
  39. 小幡八郎

    ○小幡説明員 お答えいたします。  現在ビニールの処理技術といたしましては、これを焼却いたします技術とこれを有効に利用するという技術と、大きく分けますと二つございます。  焼却する技術につきましては、これは必ずしもビニールに限ったことではございませんけれども、プラスチックス一般の焼却技術といたしまして、国の研究機関でも研究をしておりますし、また、民間のプラスチック製造業を中心といたしましてプラスチック処理研究協会というものを設立いたしまして、近くプラスチックスの専用焼却炉の実証プラントを建設する予定になっております。したがいまして、これの実用化というものは間近に迫っているというように考えてよろしかろうかと思います。  それから有効利用の技術でございますけれども、これは先生御承知のことかと思いますけれども、高知県でこの農ビを集めまして、これを再生いたしましてビニールのコンパウンドにして、これをはきもの等の製造業者に供給して、そこでそれらのはきものをつくっておる、こういうような事例がございます。この技術は、私どもから見ましてもすでに十分企業化できる技術であるというように判断しておるわけでございます。  それから回収の問題でございますけれども、確かに方々に散らばっているビニールを回収して一カ所に集めるということはなかなか容易なことではないというように思いますけれども、高知県の例を見てみますと、県とかあるいは経済連等が協力いたしまして一つの回収システムというものをつくって、そうして回収をして、そのコンパウンドの再生工場で処理しているという実例もございますので、これは私はビニールの処理の一つのモデルとなるのではないかというように考えております。
  40. 山原健二郎

    ○山原委員 いまお話がありましたが、確かに日本樹脂という会社ができておるわけですけれども、これは何といっても企業ですね。だから少しよごれたビニールでも入ってくるとのけて、そしてきれいなやつだけで再生していく、これは企業としては当然のことだと思うのです。またこれにもいろいろ問題があるわけですね。これがすべて処理できるというような状態でないから今日のような問題が各地で起こるというわけですから、そういう施設は各県ともこれは切実な要求になっていると私は思います。その施設についてどういうふうな国としての支援といいますか補助といいますか、そういうことをするかということが今日問題になっておると思うんです。農林省の場合は、今年度初めて二千六百万円の予算が組まれた、こういうわけですが、通産省としてその点について何かお考えがあるのか、計画があれば示していただきたいんです。
  41. 小幡八郎

    ○小幡説明員 通産省といたしましては、プラスチックスの廃棄物の処理は、これはただ燃してしまうとかあるいは埋めてしまうということではなくて、これを有効に利用して付加価値のあるものをつくり出すということが必要なのではないかというふうに考えております。そうして、そういう有効利用の事業が民間で企業化が促進されることが望ましいわけでございますので、その点について通産省といたしましては、四十七年度の予算で民間企業に対する債務保証のための資金といたしまして、七千五百万円の補助金を計上しておるわけでございます。民間と申しますか、プラスチックの製造業者の団体から七千五百万円、国の七千五百万円、合わせまして一億五千万円で、民間企業で資金調達力の弱い事業に対して、その資金調達のための債務保証をやることによりまして、そういう企業が勃興するということを期待しておるわけでございます。ただいまのビニールの問題になりますと、これは企業の形態が、私どもが一般的に考えております民間企業ということじゃなくて、あるいは公社とかそういうような形態になるかとも思いますが、その点になりますと、本年度計上いたしましたそういう促進のための債務保証というものがはたして適用できるのかどうかという点は、問題として残されておるかと思います。
  42. 山原健二郎

    ○山原委員 同じことを水産庁のほうへ伺いたいんですが、先ほど私申しましたように、このビニールを海洋投棄するという問題が残っているわけですが、これは将来たいへんな問題だろうと私は思っています。これについて水産庁の見解を伺いたいのと、同時に、漁業者がずいぶんこういうふうな大きな課題をかかえていろいろ陳情もやっておるのではないかと思いますが、水産庁としてこれに対する対策はどういうふうに立てられておりますか。
  43. 前田優

    ○前田説明員 水産庁といたしましては、瀬戸内海をはじめといたしましていわゆる内湾部それからいま内海の関係のところに、いわゆるビニール類によりますところの廃棄物の堆積が非常に多くなっておりまして、魚の生活環境、漁場に非常に影響を及ぼしておるというのは、先生先ほど来御指摘のございましたとおりでございます。  で、水産庁といたしまして、四十六年度からいわゆる堆積物のしゅんせつ等によりまして、漁場環境を維持、保全するための事業を実施しているわけでございます。四十七年度につきましても、いま申し上げました漁場環境の維持対策といたしまして四千八百万、補助金の額でございます。事業者負担法の関係がございますので、県等の公共団体が負担する額の二分の一の補助という形になっておりまして、直ちにこれを事業費に換算するのはいろいろなケースがございますので無理かと思いますが、最小限度といたしましても四千八百万の倍額、ですから九千六百万の事業費という形で組んでございます。
  44. 山原健二郎

    ○山原委員 この四千八百万はどういう状態ができたときに配分をするわけですか。
  45. 前田優

    ○前田説明員 今年度予算に組んでおります四千八百万につきましては、いわゆる漁場環境の維持、保全ということでございますので、ビニール等の堆積物――ビニールとは限っておりませんけれども、いろいろな堆積物によりまして漁場の能力が非常に低下いたしました場合、それを取り上げまして、それで漁場の環境をよくするためでございます。したがいまして、現在一番問題になっております高知の問題につきましても、四十七年度の高知が行ないます事業につきましては、国のほうといたしましてもそれ相当の応援をするという段階になっております。
  46. 山原健二郎

    ○山原委員 いまお尋ねしましたように、各省庁ともそれぞれ一応の対策は、特に最近においてとられておるということはわかるわけです。しかし、これは実際にそれではたして問題が処理できるかというと、そうもなかなかいかぬだろうと思うんですね。特に抜本的な回収体制といいますか、あるいは処理体制というものを確立してもらいたいという声が非常に強いわけです。また、それをしなければ、これ以上海を汚染するということは許されないことだと思うんです。  ところで、そういうものをまとめて、各省ともやっておられるけれども、一体これに対する対策の基本はどこから出てくるか、これはどの省が総合的にこれを推進をされるのでしょうか。環境庁でしょうか。その総合的な対策というのは、いわゆる廃棄物の処理と清掃に関する法律に基づいてこれを総合的に進めていくところは一体どこですか。
  47. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先ほどもお答えいたしたわけでございますが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行の責任官庁は厚生省ということになっております。したがって、厚生省が中心になりましてこの法律の施行をいたすわけでございますが、廃棄物の最終処分の基準等につきましては環境庁がつくるということになります。そこで、やはり環境汚染をこれ以上拡大させないという立場からは、私どもと厚生省が中心になりまして、関係の省庁と相談をいたしまして、それぞれ事業の実施にあたりましては担当の省庁に責任を負ってもらいまして、ただ、計画その他につきましては厚生省並びに環境庁が中心になって今後事業をさらに推進してまいりたいと、かように考えております。
  48. 山原健二郎

    ○山原委員 水産庁、さっき海洋投棄の問題、これについてお答えがなかったようですが、これは続けるわけですか。
  49. 前田優

    ○前田説明員 先ほど千葉の例で御指摘がございましたわけですが、廃棄物処理に関します施行令も出まして、順次漁業者に対しましてもその趣旨の徹底を現在急いでいるわけでございます。まだ十分に徹底されない部面がございまして、先生御指摘のような事態が発生したかと思うわけでございます。できるだけ、といいますか、極力この趣旨の徹底をはかってまいりたいと考えております。
  50. 山原健二郎

    ○山原委員 いま環境庁の水質保全局長のほうから御答弁がありましたように、これはもう、ぜひ各省連絡をとり合っていただいて、この問題についてはこれからもずいぶん大きな問題に発展する可能性がありますから、いまのうちから十分な対策を立てていただくように要請をいたしまして、私の質問を終わります。
  51. 渡部一郎

    渡部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時四十三分散会