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1972-04-26 第68回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十六日(水曜日)     午後一時二十九分開議  出席委員    委員長 渡部 一郎君    理事 木野 晴夫君 理事 藤本 孝雄君    理事 前田 正男君 理事 石川 次夫君    理事 近江巳記夫君 理事 吉田 之久君      小宮山重四郎君    橋口  隆君       松永  光君    森  喜朗君       内海  清君    山原健二郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     井上  保君         科学技術庁原子         力局長     成田 壽治君  委員外出席者         原子力委員会委         員       山田太三郎君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長) 村田  浩君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事)   山崎 文男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(原子力関発に関  する問題)      ————◇—————
  2. 渡部一郎

    渡部委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  原子力開発に関する問題について、本日、日本原子力研究所理事長村田浩君及び同理事山崎文男君を参考人として意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼び者あり〕
  3. 渡部一郎

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行ないますので、さよう御了承を願います。     —————————————
  4. 渡部一郎

    渡部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川次夫君。
  5. 石川次夫

    石川委員 この問の原研における廃液漏れ事故がありまして、私は実は現地を行って見てまいったわけであります。いままでも再三事故がございまして、そのつど原子力委員会なり、科学技術庁なり、あるいはその当局が、きわめて初歩的なミスである、こういうことで、今後はそのようなミスのないように厳重に注意をするということを再三繰り返しておったのでありますけれども、私はこの廃液漏れの問題を、行ってみまして実はがく然といたしました。これは初歩的なミスなどという以前の事故ではないのだろうか、こういう感じがしてならないわけであります。  これは現場事情は、原子力局長、行ってごらんになりましたか。
  6. 成田壽治

    成田政府委員 原研等から詳細事情を聞いておりますが、いろいろ時間がなくてまだ現場には私は行ってないのであります。
  7. 石川次夫

    石川委員 局長、あれは一回ぜひ見ておいてもらいたと思うのです。まことに初歩的なミスという以前の問題であって、こんなことがあったのでは、とてもじゃないが原子力安全体制を語る資格はないのではないかという感じがしてならないであります。これはあとから、担当の理事さんもおいでになっていますから、その後の善後策等については説明を伺うといたしますけれども、とにかく普通の水道がそこにあるのです。水道があって、そのわきにいま問題になった廃液漏れになったパイプが出ておる。パイプにはちゃんとネジがついている。ネジは全然とめてないわけです。だれでも動かせるようになっている。だから、普通の人が行けば——しかもこのパイプに、これはたいへんな廃液漏れ、重要なものだという指示も何にもしてない。それからめくらぶたもしてない。だれだってすぐこうやりたくなるのです。普通の簡単な危険物であっても、たいていは黄色と黒のしるしぐらいはついているわけです。ところが、普通の水道のすぐわきにそれがあって、めくらぶたもついていなければ、たいへん危険なものなんですよという指示もなければ、だれだってあれは回したくなりますよ。人為的な要素が多いとかなんとか、いかにもまことしやかに人為的要素にすりかえようというふうな魂胆が見えるようでありますが、だれがやったとしたって、やったほうが悪いなんということにはあれはなり得ません。たまたまあれは早く見つかったからよろしいので、それでも〇・七トンぐらいは漏出しているわけです。ところが、これがもし一昼夜ぐらい知らずに、休みのときに出っぱなしだという可能性だってあったわけです。そうなったらとんでもない事故になると思うのです。これは、とにかく普通の水道があって、車を洗うとかそこら辺を洗うということをやっている水道があって、そのすぐわきにこういう太いパイプがあって、ネジがついていてだれでも動かせるというかっこうになっているのです。その事故のことについて、私が日立製作所の工場関係安全管理をやっている責任者の方に聞きましたら、ちょっと考えられない、われわれのところだってそんなばかなことはやりませんよ。だから、われわれが考えるのには、原子力という問題は特殊な問題である、こういうことで、原子力のことはおれにまかせろと言うし、外の人も、原子力のことは原子力の人にまかせるほかない、専門的なことだというふうになっておりますけれども、それ以前の最も単純きわまりない管理体制というのが全然ないということなんです。  だから、私はそのとき思ったのでありますけれども、安全管理体制は、原子力関係の方は、原子力はおれにまかせろというかっこうじゃなくて、普通の工場安全衛生をやっている方に一回点検をさせたらいい。こんなばかばかしい事故を出すようでは、問題外だという感じがする。論外ですよ。その点の経緯と、それについてどうお考えになっておるか、これはひとつ原研のほうから御説明をいただきたいと思うのです。
  8. 山崎文男

    山崎参考人 ただいまの御質問に対して経過を申し上げます。  今般の漏洩事故でございますが、これは四月十九日の午後一時四十分から二時にわたって起こったのでありまして、漏洩個所は、東海研究所JRR2の付属建て屋の南側のトラックの入っていく入り口のところでございます。  その漏洩状況について申しますと、十九日の午後二時二十分に、JRR付属施設を巡視しておりました職員が、同建て屋のただいま申しました屋外トラックヤード入り口タンクローリー用ホースカップラーから廃液漏洩し、付近の土壌にしみ込み、一部はコンクリートの路面を伝わって道路わき側溝に入っているあとを発見いたしました。直ちにタンクローリー輸送用バルブを締めまして、関係方面連絡をいたしまして、汚染拡大防止のため汚染個所全面ビニールシートでおおいまして、立ち入り禁止のなわ張り、標示を行ないました。  廃液核種を調査しましたところ、主としてセシウム一三七であり、同日午後一時四十分ごろから約二十分間ホットラボ廃液貯留タンクから放射性廃液輸送管を通しまして廃棄物処理場へ輸送した約三・三立方メートルの廃液の一部であることがわかりました。  漏洩した廃液濃度は、ベータ・ガンマンで8×10−3乗マイクロキュリー・パー・ミリリットル、アルファで3×10−5乗マイクロキュリー・パー・ミリリットルでございました。地表面での最高汚染密度は、約5×10−3乗マイクロキュリーパー平方センチで、許容濃度の約十倍のオーダーでございました。汚染面積は約四十平方メートルで、側溝に流れ込みました漏洩廃液は、さらに第二排水口を通りました。そのときの流量、濃度、時間などを考慮いたしますと、第二排水口から出ました放射性物質の量は約二百マイクロキュリーでございます。  また、汚染した土壌濃度は、平均として4×10−3乗マイクロキュリーパー立法センチメートルで、土壌の量は約一立方メートルでありました。これらは除去いたしまして、廃棄用ドラムかんにおさめまして、除去しました後の土壌表面汚染密度平均2×10−5乗マイクロキュリーパー平方センチでございました。  汚染したコンクリート表面汚染密度平均5×10−3乗マイクロキュリーパー平方センチ汚染面積は約三十平方メートルでありました。これらは除染剤除染した後、汚染拡大防止のため再度ビニールでおおいました。また、バルブハンドルは取りはずし、バルブの開閉ができないようにいたしました。  漏洩廃液のしみ込んだ土壌汚染濃度は4×10−3乗マイクロキュリーパー立方センチ土壌の量は約一立方メートル、コンクリート表面汚染密度は5×10−3乗マイクロキュリーパー平方センチ汚染面積は約三十平方メートル、第二排水口へ流れました放射性物質の量は約二百マイクロキュリーであることなどから、合わせまして漏洩した廃液の総量は約〇・七立方メートルであるということが推定されました。  その翌日に汚染したコンクリート表面及び側溝除染剤でさらに除染いたしまして測定したところ、平均10−4乗マイクロキュリーパー平方センチとなりました。  なお、廃液漏洩したバルブは通常は使用しておらないバルブでございまして、四月七日JRR2の運転開始前の点検でそのときは異常がなかったものでおります。  また、今回の漏洩によって人体の汚染あるいは被曝はありませんでした。  ただいままでは情報でございます。あと対策といたしましては、  このバルブ部分につきましては、ホースカップラーをはずしまして、めくらプラグを取りつけることにして、これは五月の中旬までに終わることに考えております。それからまた、バルブあたりには金網でおおいをいたしますし、かつ、こういう性質のものであるという標示をいたすことにしております。  それから、汚染の残ったコンクリート部分は、さらに剥離いたしまして除染を完全にいたすつもりでおります。  また、東海研究所にございますその他の廃液貯蔵設備バルブについても点検を行ない、それぞれ廃液漏洩が発生しないようバルブやそれぞれの注意表示ハンドルの取りはずし、あるいは周囲に金網を張るというような処置をいたし、またいたそうとしております。なお、施設の改善、さらに操作、点検マニュアルを一そう検討いたしたいと存じております。  以上でございます。
  9. 石川次夫

    石川委員 事故経過とその問題に対する対策という点では一応それはわかるのですよ。わかりますけれども、根本的な体制の問題を今後どうするかということには全然触れてないわけですね。この問題が一つの非常な典型的な例だと思うので、さらに質問をしたいと思うのです。  これはバルブのある場所が大体管理区域になっていないですね。だれでもあけられるようになっておって、それが管理区域にも入ってない。しかもそのわきには普通の水道が置いてある。だから、だれでもあけられる。そしてバルブ放射性物質というふうな表示が全然ついてない。だから、これはだれがあけたって、おまえけしからぬと言う資格はないわけですよ。だれでもあけられるようになっておって注意表示も何もないわけですから、だれがあけたってこれは文句を言われる筋合いのものじゃないと思うのです。それから、ホットラボとか、JRR2、処理場の三者の系統的なマニュアルがない。それから、外部バルブの外にめくらぶたが全然ない。あらゆる点からいってもう抜け穴だらけなんですよ。お話にならないのです。普通の工場だって、ちょっと危険な場所は、非常に厳重に管理して、人が寄りつかないようになっておりますね。原子力体制はそんなことをしなくてもいいのかな。これは全く、工場の基本的な安全管理というものについては無知なんではないだろうか、こういう印象を受けざるを得ないのです。これで私たちのほうは安全対策は十分やっておりますなんて言ったって、この一つを見ただけでもって、もうわれわれとしてはとてもまかせられぬという感じがするわけです。  たとえば、あのパイプが詰まって、あるいはひび割れがあってリークをしたというような場合にはどうやってこれを発見しますか、その体制はできておりますか。
  10. 村田浩

    村田参考人 経過はただいま山崎参考人から申し上げたとおりでございますが、御案内のとおり、原子力研究所昭和三十一年にできまして、いろいろな原子力施設が設けられまして、JRR1から2、3とできたわけでおりますが、その際に当然、こういった施設から出てきます放射性廃液処理、処分ということがございます。  それで、当初の考え方といたしましては、それぞれの施設から出ます廃液を、たまりましたときにタンクローリーにこれをとりまして、それを廃棄物処理場のほうへ運んで処理する、こういう方式で考えておりました。その後、施設がだんだんとふえましたし、それに伴いまして廃液の量もふえてまいると、いろいろの能率上の問題のみならず、タンクローリーで輸送するということの安全性、あるいは特にホースカップラーからタンクローリー廃液を移します際の漏失等のおそれの点からして、昭和三十七、八年のころであったと思いますが、今回事故の起こりました放射性廃液輸送管を敷設いたしたわけであります。  このJRR2、3、4、それからホットラボ等から出ております輸送管は、反対側にございます廃棄物処理場まで総延長にしますと約八百メートルぐらいの管を使っております。それで、この配管等からのただいま御質問ございました漏失、そういったようなことについて点検いたす必要があるわけでございますが、八百メートルのうち、約三百メートルはいわゆるピットの中に納めまして、必要に応じてそのピットの中を点検できるようになっております。残りの五百メートルは土中に埋設されておるわけでおりますが、一番この漏失等のおそれがございますのがカップラー、つまりジョイントのところでございますので、パイプジョイント個所、合計してたしか二十五カ所と記憶しておりますが、ここには特にそのための点検口を設けてござまいして、この場所点検を随時行なって、漏失のおそれがあるかないかをチェックするようにいたしております。  それから、ただいま漏失のございましたバルブにつきましては、先ほど申し上げましたような事情で、当初タンクローリーで運ぶというような考え方でつくられましたことと、かつまた、その後におきましても、輸送管の何らかの故障等によりましてそれが使えない、あるいは大きな改造工事等のため使えないという場合のために、やはり何らかのときにはタンクローリーで運ぶということも考えておかなくてはいけないということから、このホースカップラーはそのまま残しておいたわけでございまして、そのようなホースカップラーは全体で七つばかりございます。今回、この漏失事故の起こりましたホースカップラーのほかに同じようなのが三つばかり、それからその他のものは、たとえばピットの中にちゃんと納めてあるということで、人が簡単には近づけない形になっておりますが、この四つのものは、いろいろ御指摘ございましたように、一応地上に出ておりまして、そうしてこれに現在の状況では人がだれでもが所内において近づくことができる、そういう状況にあったわけでありまして、この点は確かにもっと十分な措置考えておくべきだったと思います。ただ、タンクローリーで運んでおりますときは、当然のことでございますけれども、このホースカップラーのおりますところは所定の標示をし、かつ、まわりにはさくを設けまして、そして近接できないようにしてあったわけでございますが、その後輸送管をつくりまして、もっぱらそちらを通して廃液を輸送しておった、このカップラーを使うことがございませんでしたために、その後撤去されたようでございまして、そういったところの措置の適切さという点につきましても、確かに問題があったか、こういうふうに反省をいたしております。
  11. 石川次夫

    石川委員 点検口をあちこち設けて点検をするということになっていますけれども、地下に埋没をして点検口以外で漏れたという場合には、排出したところと受け入れたところ、両方で計算するといったってそれでわからぬ場合が出てくる。それが地下にしみ通って、排水溝を通って海に排出されるという可能性もあるわけです。相当濃度の高い場合も考えられるわけです。こういうことを考えますと、地下に埋没したほうがはたしていいのかどうかという疑問を私は非常に感じている、これは私のしろうと考えですけれども。そういったところから出直して、あと一回これは考え直さなければいかぬのじゃなかろうか。こういうふうな初歩的なミスという、それ以前の問題のような単純なミスが行なわれるようでは、それは総点検をやったやったと何回も原子力当局は言っているし、原子力委員も言っているし、きびしく指示をしたというふうなことを、事故があるたびに言っているわけなんですけれども、一片の通達だけでそれが行なわれたということにはならないので、官僚体制というのはとにかく通達を出せば守るものだと思っているようだけれども、どれだけ守られているのかということを実際に確認する必要がある。それが行なわれていないということの有力な証左じゃなかろうかと私は思っております。こんな事故が起こるようでは、あなた方、安全について絶対われわれは確信を持っているとか、安全対策について研究をしているなんと言う資格はまずないのじゃないかということを言われても、返すことばがないじゃないかと思うのです。これはどう考えても、だれでもあけられるようになっていて、しるしもついてなくてというようなところで、そこのネジをひねりやすぐ放射能が一ぱいに入っている濃度の高い廃液がどんどん出てくるのだというふうな体制のままでほうっておいたということは、これは弁解の余地はないと思うのです。  それで、通報の問題ですけれども、この通報は一昼夜おくれて出たというので、東海村の議会あたりでも相当憤慨をして抗議文も出ているはずです。こういうところの通報は、いろいろ対策を練ってこうして、というふうな時間的なものでずれたのではないかと思いますけれども、とにかく通知をする、そのあと対策考える、そうしてまた報告をするというふうな体制ができてない。従業員だってみな新聞を見て初めてわかっているのですよ。当局側から何も知らせを受けてない。新聞見てあっというふうな体制では困ると思うのです。この通報に対してどういう体制をこれからとりますか。
  12. 村田浩

    村田参考人 漏出事故が起こりましたのは、先ほど山崎参考人から申し上げましたように、十九日の午後一時四十分から二時くらいの間でございまして、見つけましたのは二時四十分くらいだったかと思いますが、その間まず第一に必要な汚染防止対策をとりますと同時に、関係個所へ当然連絡をいたすわけでありますが、一つには漏出したものの核種等の測定、それからまた先ほど御説明申しましたような、どのくらいの量が漏れ、海へどの程度のものが流れたかというようなことのチェック、そういったようなことをやはり専門的にやっておく必要がございますので、それにいろいろ努力いたしました。しかしながら、それを非常に急いでやりますれば、おそらく四、五時間もあれば十分できたのではないかと私も思います。したがいまして、その当日の午後七時半とかあるいは八時ぐらいになりますときには、この内容をかなり正確に御報告し、御連絡申し上げることができたかと思います。実際には村当局あるいは県への連絡は翌二十日の昼過ぎになったというふうに報告を受けておりますが、その間、確かに若干時間的なロスがあったと見られてもしかたがない点があるかと思います。ただ、やはり所内の者としましては若干言いわけめくかもしれませんけれども、これが所内だけにとどまったことでございますし、所外に出ましたものは、海へ放出されたものだけで、その点に関して言いますと、もちろん許容量以内におさまっておりますし、そういうことでございますから、非常に急いで不正確な報告を送るよりも、十分内容を検討し、かつ、対策の点につきましても遺憾なきように検討した上で御報告申し上げたほうがいいのではないかというふうな配慮が入ったもののようでございます。  しかし、そういったことがただいま御指摘のとおり、かえって逆のいろいろな不安感を抱かせるというようなことになりましては、これはかえって逆効果でございますので、私どもただいま、実は、私も今週の初めに東海研に参りましたときに、東海研究所長ともその点についてよく相談いたしまして、この種の事故というか、そういったことにつきましては、その程度の大きさにかかわりなく、できるだけ早くいわゆる第一報を送る、第一報内容は十分な正確さをもって御報告はできないかもしれませんけれども、とにもかくにも、その事実というものをできるだけ早く関係方面へ御報告申し上げる、そしてそれに追いかけまして、さらにその後判明した正確な情報を第二報あるいは第三報としてお送りするようにすべきである、こういうことで今後そのような措置をとることを相談してまいったような次第でございます。
  13. 石川次夫

    石川委員 いつも今後は万全の策をとるといいながら、いつも守られていないというのが実情であって、そのつどまたこのようなことを繰り返して質問をし、究明をしなければならぬということは、非常に残念だと思うのです。  科学技術庁長官、いまの私とそちらの話を聞いていてどう思いますか、いままでも何回もこういうことを繰り返して、初歩的なミスであって申しわけない、今後は万全を期する、総点検をやるとうことを何回も繰り返されている。依然として同じ、同じではなくて、いままでのものだったらまだ私は釈明余地があったと思うのですが、今度のものばかりは釈明余地は全然ないと思うのですよ。どうお考えになりますか。今後どうされるおつもりですか。
  14. 木内四郎

    木内国務大臣 いまいろいろ御指摘になりました。私ども非常に困ったことだと思っております。私考えますのに、原子力研究所構内ですから間違いないだろうというふうに、研究者の方々、職員の人々は、ことばは適当でないかもしらぬが、人がよ過ぎたのですね。だれもそんなものにさわる者はないだろう、こんな危険なものにさわる者はないだろう、この構内にあるものはみな危険なものであるからと、自分を標準にして考えておったのが今度のようなあやまちのもとだと思うのです。しかし、いま御指摘のように、いろいろの人が入ってきておるのだから、やはりそういう人たちレベルといっては悪いけれども、そういうレベルを頭に置きながら、今後においてはより一そう注意深い管理をしなければならぬ。たとえばいまバルブなどにつきましても、廃棄物を流す前に一応ずっと見るべきじゃないか、こういうことを考えております。それからいまのバルブのところに表示をする、あるいはかぎをかけるといっては何ですが、かりに手を触れても自由にそれを動かすことができないようにするというふうな、いろいろなことをやらなくてはならないと思うのですが、そういう点につきましては、いままでも十分注意は促しておるのですけれども、さっき私が申しましたような、原子力研究所自分たちの頭のレベルでものごとを考えておったというところにやはり原因があるのじゃないかと私は思います。今後におきまして、そういう危険なものに対しは、どんな人が入ってくるかもわからぬが、そういう人が入ってきても間違いがないようにするように十分心がけるようにしてまいりたいと思います。  また、この通報がおくれたということも、いま村田参考人からお話がありました。私もよくわかるのです。その結果といいますか、実態をよく把握してから報告しなければならぬという日本人の特有な気性、それからいってよくわかるのですけれども、そういうことにつきましても、今後におきましては十分注意するように、ひとつ関係当局者注意をいたしておきたいと思います。
  15. 石川次夫

    石川委員 いまの長官答弁答弁になってないのですよ。原子力研究所職員が非常に人がいいとかなんとか、あるいは人為的であったかのごとき答弁なんですが、人為的かどうか、まだわからないのです。ものをぶつけたってすぐ簡単にネジがくるっと回りますからね。人為的だという証明もないのですよ。まして部外者がやったなんという証明はどこにもない。部外者はそこに行ってないと思うのです。だから、そういうことで答弁にならないのと、これはああいうことでうかつに過ごしたというのですけれども、東海の労働組合で、この前廃棄物の火災が起こったときに、こういう事故報告書を出しているのです。非常に精密にやっています。その中で、点検を要するということについては、一から七まで、これだけのものをやらなければいけませんよというのが出ている。その第一項目に出ているのですよ。いいですか。「輸送配管は一九六二年に敷設され、その後点検体制が確立されていない。」だから、輸送配管については十分これをやらなければいかぬということを第一項目で書いてあるのです。だから、研究者が人がよくて、間違いないだろうなんて思っていたわけではないのです。これではあぶないということを完全に指摘されているのです。  そこで問題は、ちょっとずれていくのですけれども、原子力というのは若い科学ですから、やっている方は若い科学者が多いし、若い科学者が大体第一線ですね。そこで労働組合等ができていると、労働組合というものを何か敬遠をするという傾向が非常に強い。しかし、こういうりっぱな報告書が出て、しかもその中の第一項目でもって注意をしているのに、それが全然取り上げられておらない。だから、組合に対する考え方が、いろいろと偏見と予断が多過ぎるんではないか。若い科学者が集まって組合の立場でいろいろ考えて、自分たちの身の安全ということで考えられておることは、ほとんど無視されておる。組合何ものぞという気持ちが底に流れているのではないですか。自分たちがやるんだから組合は黙っていろということがはっきりここに出てきたんじゃないかと思うのです。私はあえて組合側を擁護しようということで言っているんじゃありませんよ。しかし、組合のほうで、ちゃんと第一項目で、輸送方法と輸送配管の問題について注意をしている。そのことが、無視されているということはたいへんな問題だとぼくは思うのです。こういう科学者たちが集まって労働組合という名のもとでいろいろなことを報告をしている、要求をしていることは、それが安全に関する問題であり、技術に関する問題であり、研究体制の問題である限りは、聞くべきものは謙虚に聞くという態度がほしいと私は思うのです。組合という名前が出るとすぐ敬遠してしまうというような気風があり過ぎるのではなかろうかという感じがしてならないのです。  たとえば、これは社労で言うようなことになって恐縮なんですが、私も終戦直後はある工場の勤労課長もやっておりましたから、労働基準法も一通り心得ているつもりですが、ことしの一月二十五日の労務課長通達に「すでにご了知のとおり、年次休暇等の付与は、職員等に服務票を提出させ、これを所属長が承認することによって行なうことが定められており、口頭、メモ等による申し出は認められておりません。」こう書いております。これは非常識ですね。年次休暇というのは従業員の権利ですよ。もらうことが権利なんです。だから、職場の事情でどうしてもこの日は困るから出てもらいたいと、むしろ職制側が頼まなければならぬという立場です。むちゃくちゃに年次休暇をとられても困るという場合もあり得るということはわかります。しかし、所属長が承認することによって初めてこれが生きるのだ、正式の手続でなければいけないのだ、こんなことは民間では通りませんよ。当然の権利だから、口頭だってメモだって、年次休暇である以上は——職場の事情もありますから、一応常識としては、所属長の了解を得るとかなんとかいうことになりますよ。しかし、たてまえとして所属上長が承認をすることによって、正式な手続によって、初めてそれが付与されるのだというような考え方、これは正しいと思いますか。どうですか、科学技術庁長官
  16. 木内四郎

    木内国務大臣 いまの具体的のことは私はよくわかりませんけれども、労働組合から申し出られたことでも、いいことは当然管理者が実行すべきだ。私は当然管理者というものはそういう注意を払っておるというふうに考えております。
  17. 石川次夫

    石川委員 科学技術庁長官はそういう労働問題はおわかりにならないから御答弁にならなかったようですが、この通達は撤回してもらわなければいかぬと思うのですよ。こんなことを言ったら、明らかに労働基準法違反ですよ。裁判ざたにするようなことでないから裁判にもしないでしょうが、公のところでやったら、こういう通達は一体何だと、これは一笑に付されますよ。慣例としては、むちゃくちゃに休まれちゃ困るから、上長に了解を得るということは、常識として行なわれるでしょう。しかし、通達を出して、所属上長の承認を得て正式の手続でなければ与えないぞといっているところは、日本国じゅうぼくはないと思うのですよ。慣習としてはこれはわかります。慣習としてはそうあるべきだ。従業員の態度としてはわかるのですよ。しかし、当局のほう、あるいは会社の側からこういった通達が出るということはまずないでしょうね、そういった何か組合員に対する一つの偏見があると私は見ているのです。だから、こういうりっぱな報告が出ても無視してしまうという態度がそこから出てくる。第一項目に出ていてちゃんと注意されてあったものが全然無視されている。これは注意深く読めば、なるほどそうだとすぐわかるわけですよ。これが全然無視されている。  それから、実はこの前も東海へ社会党の関係で行きましていろいろ話をしたのですけれども、その話の蒸し返しになりますから、きょうはやりません。しかし、理事長はそのときに出ておられないで、きょうはどうしても理事長に出てもらいたかったのですけれども、理事長は出ておられませんから、理事長のいらっしゃるところで、あらためて話をしたいと思っております。  その中で、あと一つ、どうしてもわれわれここで明らかにしておきたいのは、たとえば再処理工場については、いろいろ問題があります。たとえば不活性元素の問題なんかは世界的な問題です。これは原子力発電所どころの問題じゃありませんね。廃棄物の中でのたとえばクリプトン、トリチウムの問題は、これはたいへんな問題になっているわけです。これをど処理するか。この不活性元素は、不活性だからどうにもならないのだといってほっておいていいのかどうか。ほかの国では人里離れたところでやっているからまだいいかもしらぬけれども、日本の場合のように、日立があり水戸がすぐわきにあるというふうな場所では、特にこの点は何らかの対策が必要なんではないかという危険性は、知る人ぞ知るでもって、不安感を持つのは当然だと私は思うのです。ところが、この前も話をして私は驚いたのでありますけれども、原子力研究所では、いろいろな就業規則なり何なりというものがあるでしょう。所の方針というものがあるでしょう。しかし、それに優先するものは、私は原子力基本法だと思うのですよ。平和の問題に関し、ことに自主、民主、公開という原則は厳然として貫くということを当局は何回もおっしゃっているけれども、実際はそうなっていない。秘密主義です。たとえばこの間大飯の発電所の安全審査に開する申請書と、それからそれに対する会議録なんかもらいましたが、こんな薄っぺらなものですね。あんなものでわれわれとても安全性を確認できませんよ。アメリカあたりじゃ一五〇〇ページもありますよ、二つの発電所で。これが全部図書館に出ていますよ。図書館に行って私驚いたんですけれども、日本の図書館にも来ています。それを訳してくれといったら、とてもじゃないが訳せないという返事があったらしいようでありますけれども、そして堂々と公開されている、そして堂々と討論されている。だけど、日本の場合にはこんな薄っぺらなもので、三〇ページかそこらのもので、これで安全性が確認されたなんてとても私は言えたものじゃないというのは、しろうと考えでも考えられる。そういうふうに公開の原則、安全性対策というふうなものを原子力の場合には完全に守ってもらわないと、原子力発電所の建設は進まない、平和利用は進まないということをわれわれは絶えず警告を発しているわけです。これは、積極的にやらなければならぬ面は、大いに協力はいたしますし、また将来のエネルギー源としての原子力の大切なことはよくわかっていますから、そういうことについては協力は惜しみません。しかし、行き過ぎた、片方の開発のほうだけが進んでしまって、安全対策がおくれているような現在の当局体制について、われわれ非常な不安を現在感じて、いろいろ御意見も申し上げておるわけなんです。  再処理の問題についても、やはりそういう話を聞けば、なるほどあぶないなというふうに感じて、そして村役場に請願をする。請願に捺印した者は、当局のほうから所の方針にもとるということでもって、徹底的に弾圧を食っているんです。これは請願権の完全な無視ですね。基本的人権の無視ですよ。こんなばかなことがあっていいんだろうか、ちょっとどうかしているんじゃなかろうかと思うんです。ほかにもたくさんあるんです。ほかにもたくさんあるんですが、たとえばこの反対のための請願をする。それを出した者の名前を全部、だれかスパイをさせたかどうか、調べ上げて、そこのうちまで上長が行っている。所の方針にもとるから——所の方針と言うんだけれども、これは動燃団の関係原研関係じゃ直接ないわけですね。こういうことがあっていいんだろうか。これは労働組合としてはえらい憤激して、何回も抗議をしているわけなんですけれども、このとった措置は一体正しかったと科学技術庁長官思いますか。
  18. 木内四郎

    木内国務大臣 いまいろいろ御指摘になりましたけれども、私は、あるいは報告はアメリカに比べて簡単な点はあるかもしれませんけれども、私のほうで委嘱している安全審査の専門委員会の方々、きわめて詳細に検討されて、内外のいろいろな研究の結果などに照らしまして安全だという結論を下しておられるものと思っておるのですが、その資料の点について不備な点があるとかなんとかいうことは、いま御指摘がありましたが、私はよくわかりませんけれども、私はわが国の権威者の方々の審査の結果に全幅の信頼を置いているわけです。  そこで労働組合その他からいろいろ申し出のことはあったわけでありますが、そういうことはもちろん考慮に入れるべき点は、私どもは十分に参考にすべきだと思っております。十分にそれを取り入れておらなかったとか、あるいはそれについて検討を加えておらなかったということがあれば、これは大いにわれわれのほうとしてもそういう点注意をして、今後そういう御指摘のないようにできるだけ努力をさせたいと考えております。
  19. 石川次夫

    石川委員 長官の話はピントがどうも合わないので困るんですけれどもね、請願権を無視するということはいいかどうかという問題なんですよ。これは基本的人権なんですよ。堂々と憲法で認められた権利ですね。ところが、そういう反対の者は所の方針に違うからといって、その請願に判こを押した人に一々うちまで押しかけていって、おまえけしからぬから撤回しろというようなことを一体やっていいんだろうかどうかという問題を私は聞いているんですよ。  それから再処理問題についていえば、何も原研の労働組合は再処理反対とは言っていませんよ。原研の組合としては再処理反対なんてこと、まっこうからうたっていません。これは学者の良心的な立場でいろいろ検討して、疑問は多いけれども、何も明確に反対なんて態度を打ち出しているわけじゃないんです。だから、その点もぼくは認めてやってもらいたいと思うんです。しかし、その中にはいろいろな点で不安を感ずる人がいて、あるいはまた知らないで名前を書いた人もあるでしょう。しかし、いやしくも請願をした者に対して請願はけしらかぬ、反対するのはけしからぬ所の方針に違うんだということは、私はちょっと行き過ぎじゃなかろうか、ちょっとどころじゃなくて大いに行き過ぎじゃなかろうか、そういうふうな態度は根本的に是正してもらわなければならぬ。その態度は、これは再処理の問題については、組合の問題でも何でもないんですけれども、そういうふうに従業員に対してさっきのような労務課長の通達が出る、それから労働組合から来ればほとんどそれは無視されるというようなことで、ほんとうに研究体制というものはしっくりいくだろうかという不安を私は持たざるを得ないんです。  いまの請願権無視の態度は、一体これはどういうふうにお考えになりますか。重ねて伺います。
  20. 木内四郎

    木内国務大臣 いまいろいろ請願の問題、労働組合の申し出などについて御意見がありました。そういう問題は、もちろん一々詳細に担当のほうで検討しておるところであります。それを無視したり、あるいはこれを一がいに退けるということは、私はないものと思っております。
  21. 石川次夫

    石川委員 どうも長官と話していると、ピントが合わないんだ。実際問題として、一人一人呼びつけられて文句を言われているんですよ、上長から。うちまで行かれているんですよ。しかし、この再処理の問題は、あなたは安全審査部会でもって日本の権威がきめたんだからいいというけれども、私はいまだにそうは思っていませんよ。このクリプトンとトリチウムの問題だけは何とかしてもらいたいと思っています。いまでも思っています。これは世界的な問題なんです。これは動燃団のほうでそういう努力を怠っているとはぼくは思ってないんです。これは排水の問題なんかは相当慎重な配慮をして、ウインズケールなんかよりもはるかに少ない放射能の排水しか出しておらないというふうな細心な配慮を払っていることは、よくわかるんです。しかし、大気中に出るクリプトンとトリチウムだけはどうにもならぬと、これはお手あげなんです、世界的に。しかし、それでもいいんだろうかという疑問は、だれでもまだ持っていると思うんです。安全審査部会の人といえども、ぼくは持っているはずだと思うんです。これは世界的な大問題なんです。ただ、場所東海村のようなところだけに、日本のような人工稠密なところでは、ウインズケールと同じような考え方で対処するわけにはいかぬだろう、こういうことでこれは何とかしなきゃいかぬのじゃなかろうかというあせりをむしろぼくは感じています。これは安全審査部会で出たからそれでいいんだ、それに反対するのはおかしいんだというふうなピントのぼけたような答弁をいただくと、ぼくは心外なんですよ。  それとあと一つは、問題がすり変わっちゃうからあらためて言い直しますけれども、請願権を押えるということは決してあってはならない、これは組合としてやったことでも何でもないんです。組合の中にはそういう意見の人も相当ありますよ。だから、こういう管理体制がまことにわれわれとしては不十分。さっきの問題提起も、ちゃんと輸送管については十分に点検をして、一九六二年以来何もやっていない、こういう問題提起をしているのにかかわらず、全然これが顧みられなかったというこの一事を見ても、組合といえば排除するというふうなことではなくて、何とかその意見を取り入れて十分な体制をつくるという謙虚な姿勢がないと、安全性についてまかせ切れないという気持ちを強く持たざるを得ない。これは私はどう考えても当局側は弁解の余地はないと思うんですよ、あやまる一手ですよ。ただ今後どうするかという点について先ほど伺いましたけれども、十分な組織的な意味での体制というものについての解明はされないんです。ただ通報を早くしましようとか、これから気をつけますとかということだけなんですね。また同じ間違いを繰り返すんだろうと思うんです。私は初歩的なミスと言いましたけれども、初歩的なミス以前のあまりにもばかばかしい事故だ、考えられないような事故であったということについては、ほんとうに私は責任を究明したいんです。対策についても、それなりに十分にひとつ抜本的に考え直してもらいたい。現場へ行ったら局長、一回写真見てでもわかりますけれども、あまりにばからしくて話になりませんよ。そういう点を十分ひとつ今後善後策を講じてもらわなければならぬと思うし、また、そういう点について労働組合なり従業員の側からいろんな意見が出れば、謙虚にこれを受け入れるという姿勢がないから、こんなに第一項目で指示されたものが守られなかったということになっているわけなんです。  だから、労務管理対策についてもいずれあらためて私は伺いたいと思っておりますけれども、いろんな点で、もっと不離一体な形で聞くべきものは謙虚に聞く、いたずらに所の方針、所の方針といって、自分の立場を守るというふうなことだけではなくて、もっと中立的な立場でものを考えてもらわないと、私は原研に対する国民の信頼を失うと思うのです。これは原研だけではなくて、動燃団その他たくさんありますけれども、いまのような体制では私は非常に不安です。これは答弁をしろと言っても答弁できないと思うので、これからは改めるという、十分にそういうものを含めて、根本的に、抜本的に考え直す、安全対策についても、労務管理対策についても、あとひとつ考え直してもらうということについて、木内長官、どうですか。
  22. 木内四郎

    木内国務長官 きょうはいろいろなかなか有益なお話がありましたので、関係の機関に対しても十分注意しまして、御意見の趣旨は十分尊重してやってまいりたいと思います。
  23. 石川次夫

    石川委員 では、きょうはこれで終わります。
  24. 渡部一郎

  25. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほど、石川委員のほうから、所内バルブ漏れ事件のことにつきましていろいろ質問をされたわけでございますが、私も原研へ行きまして、そのときに案内をしていただいたのが村田さんでもあったわけですが、そのときにも私は安全性ということで特に御要望しておいたわけです。あのときはたしか、廃液ドラムかんの中に入れてあった、それが燃え出したという事件で見に行ったわけですが、そのときに一連の要望として、原子炉のそういう安全性、またそういう安全対策ということについての当然の問題として、要するに関連する周辺の機器といいますか、そういう一連のものの安全性が確保されて初めて事故を未然に防げるのだ、ですから、特にそういう周辺のことについては非常にいろんな点でやはり失敗がある、そういうところについては十分にひとつ配慮をしていただきたい、こういうように申し上げておったわけです。ところが、今回こういうような廃液の事件が起きまして、非常に残念であるわけです。事故などというものはだれしも起こそうと思って起きるわけじゃないわけでありますが、しかし、こういうことが大事故になってまた発生するわけでありますので、十分これからもひとつ安全対策をとっていただきたい、このように思うわけです。  これにつきまして、ひとつ所感と今後の決意を、村田さんと、それから科学技術庁の成田原子力局長と、長官と、その順序でお願いしたいと思います。
  26. 村田浩

    村田参考人 昨年七月に東海研廃棄物処理場で発生しました火災事故につきまして、その後、近江先生御指摘のごとく、所内におきまして、安全担当理事を長とする組織でいろいろと改善方策を検討し、同時に、いわゆる安全総点検を行なってまいりました。その結果いろいろと出てまいりました問題につきましては、この改善策を計画的に実施してまいろうということでやってきておるわけでございます。  この火災の起こりました処理場そのものにつきましては、至急に予備費から約二千万円を支出いたしまして、処理場の復旧並びに改善を行ないました。もちろんこれは処理場だけの問題でございますので、その中には当時ついてなかった火災警報装置を新たに設けるとか、あるいは外部からの放射性廃棄物を受け入れます設備を、処理場とは別に、ちゃんとチェックできるようなところにつくるとか、こういったような内容の改善をすでに四十六年度で行なっております。  しかしながら、当時の経験に即しましてわれわれいろいろ反省したわけでありますが、原子力研究所、特に東海研究所は設立されました昭和三十一年からすでに十六年経過しております。したがいまして、初期の時期につくりました設備、機器の中には、いわゆる経年劣化といいますか、そういうようなものが出てきておるのがだんだんあることも事実でございます。こういったものを見のがしますことは直ちに事故等につながるわけでございますので、そういった点につきてまして、これまた計画的にそういったいわゆる老朽化したものを復旧していくということをやりたいということで、四十六年度からは大体毎年相当な予算をその方面に投入して改善をはかって、全体といたしましては四十六年から五年の計画でこれを完成させたいと思っております。   〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕  四十六年で申しますと、ただいまの廃棄物処理場自身を復旧改善するのに要しました二千万円を別としまして、大体原子施設関係で一億二千万、それからその他の研究施設関係で一億八千万、合わせまして三億円余りをこういったような経年劣化関係の予算として配分いたしてやってきております。  また、今年度、四十七年度におきましては、原子施設関係につきましては一億二千三百万、それから研究施設関係、ただいまの放射性廃液等の問題の施設はこちらに入るわけでありますが、この関係では約二億、合わせまして約三億二千万円ばかりを経年劣化に対処する予算として使用いたしたい、こういうふうに考えております。  問題は、そういった中でどれから先にやっていくかというような点がございまして、施設を動かしながら改善をはかっていくわけでございますので、なかなか一挙にやってしまうというわけにまいりません点もございますが、できるだけ効率的にやってまいりたいということで、このような措置を特にとってきております。特に今度廃液漏出の事故のございました輸送管、あるいはそれに関達したバルブその他の設備等における経年劣化の要素が——今回の漏出はその経年劣化のゆえではないというふうに見ておりますけれども、しかしながら、先ほど石川先生の御指摘がございました地中埋没管の問題もございます。そういった点を含めまして、特にそういったような廃棄物処理関係につきましては、次年度以降三年計画で全面的に見直して改善をはかるよう、いま計画をつくっております。来年度予算にはこの第一年分が要求されるようにいたしたい、こう考えておるわけでございます。  輸送管それ自体について申しますと、これを土中に埋没するのがよろしいか、あるいは地上にはわせるのがよろしいか、いろいろ検討はされたようでございますが、たとえば地上に敷設いたしますと漏洩その他がありますときには非常に発見しやすいわけでありますが、同時に、たとえば冬季においてはこれが途中で凍って割れるとか、そういうようなおそれもあり、そういうことから一応地中埋没ということにいたしたわけでありますが、それをただ単なる埋没でなくて、いわゆるU字管といいますか、U字管のようなみぞにおさめてその上を土でおおうというような形のやり方等も考えまして、改善方策を具体化してまいりたい、こういうふうに考えております。
  27. 成田壽治

    成田政府委員 昨年の原研廃棄物処理場の火災問題に関連しまして、原研あるいは原子力関係の政府機関の安全管理の徹底を期するという意味で、あらゆる原子力施設あるいは安全管理施設の総点検あるいは安全教育の徹底を内容とした通達を出しまして、その実施を要請したわけでございます。それと同時に、科学技術庁に、政府関係機関の責任者あるいは稼働しておる原子力発電所の電力会社の責任担当者、科学技術庁、通産省の担当者からなる原子力施設安全管理連絡会議というのを設置しまして、これは昨年の八月でございますが、そして月一回集まって、いろいろな問題がある場合には、それがどういう原因で、そして今後どういうふうに気をつけていったらいいかという連絡会議を開催して、すでに八回ぐらいやっております。そしてその中で、ことしの二月におきましては、放射性廃棄物処理の問題もテーマとして各所からいろいろな意見交換が行なわれておりまして、そういう意味で、われわれとしては役所のほかからはいろいろな安全管理の徹底を、十分連絡要請しておったところでございます。  それから昨年の川崎の地すべりの関係におきまして、昨年の十二月に科学技術庁長官の名前で、原研を含めまして、科学技術庁所管の各機関に対して安全管理の徹底を要請し、それに対して理事長等からどういう方針でこれに沿ってやるかという回答の書きものも出させておりまして、その励行をいままでやってきておったわけでございます。  今度の原研放射性廃液の流出事故というのは、そういう意味からいきまして、われわれは非常に遺憾なことであると思っております。特に原因が、バルブがどうして自然にあいたのか、あるいは何かものに当たってあいたのか、そういう締まってあるべきものがあいたという原因がどうして起きたのか、二度とそういうことのないようにというその原因の問題が一つあります。それから、あいておったバルブ点検が行なわれなくて十分気がつかなくて、そして廃液を流したという点検の励行がされてないという点の問題も第二の問題としてわれわれ考えないといかぬと思っております。それらか先ほど御指摘ありましたように、特に科学技術庁に対する連絡がおそかった、通報の問題等この三つの点からわれわれは非常に遺憾な問題であり、またこの事件に関連して、非常に考えるべき、今後改善すべきいろいろな問題が包含されておりますので、十分その点は根本的に、また初歩的なミスということでなく、実施面で十分徹底するための問題が非常に含まれていると思います。  たとえば原子炉とが非常に重要施設安全管理は非常に徹底して、とかく目が届くのでありますが、こういう関連施設についてとかくおろそかにならぬかという点、この点は十分徹底して、安全管理の徹底をこの点につきましても十分考えないといかぬ。  それからもう一つは、今度の場合はホットラボJRR2と廃棄物処理場、三つの施設の関連の中での、パイプバルブ関係ということで起きておりますが、そういう意味で、こういういろいろな関連施設の中のマニュアルといいますか、そういう組織的な扱いが十分行なわれて徹底しているかどうかという点、そういういろいろな問題が含まれておりますので、われわれこれを契機にさらに安全、しかも実施面で徹底方を十分注意してやらせたい、こういうふうに考えております。
  28. 木内四郎

    木内国務大臣 いま、原研のほう、また私どものほうの原子力局長からお答えしたとおりでありますが、私は初めからたびたび、皆さまからもうそんなこと前にも聞いているからいいと言われるくらい、原子力につきましては安全ということを何よりも優先して、しかも高い度においてこれを優先していかなければならぬと常々考えております。しかし、それにしましても、いろいろな機会に、いま局長から申し上げましたように、そういう趣旨に従ってたびたび総点検を命じたり安全管理の徹底を期するように命令を出しているのですが、ときどきあるいは注意を怠ったといいますかあるいはちょっと間違いを起こして、いろいろ御心配をかけておるのはたいへん恐縮に思っておるのですが、いま原子力局長からもお話し申し上げたように、これを契機にして一そうその徹底を期してまいりたい、かように思っているわけでございます。  ただ、この際あるいはちょっとよけいなことであるかもしれませんけれども、私はこの前もこの委員会あるいは参議院のほうでもたびたび申したのですが、この安全管理の問題は、いまの原研の副理事長からもお話しありましたように、幹部を集められたりあるいは主任を集められたりしてその徹底を期しておられるけれども、これはそういう幹部とか主任とかそういうクラスの人だけでなく、すべてこれに携わる人全部が、原子力というものは非常な貴重なエネルギーであるが同時に非常な危険を伴うものである、もしこの扱いを誤れば自分だけでなく社会全般に、また他の人にも非常な危険を伴うものであるということの自覚をほんというに身につけないと、これがうまくいかないのじゃないかということをいつも心配している。ことに今度のことでその感を深くいたしました。先年たいへん御心配を願った、あれは原子力発電会社ですか、あそこで、危険物を扱っていた者は着物を着かえて出るというのを着物を着かえないでそのまま外へ出て酒を飲んでいた、こんなようなことがあった際にも私は申しましたのですが、幹部とか主任とかそういう人たちだけに徹底しましても、この問題は私は防ぎ得ない問題じゃないかということをおそれております。そこで、そういう人たちだけでなく、これを扱う人すべてが非常に危険性を自覚するといいますか、それに対する認識を持ってもらって、そしてすべての者がそういう気持ちになってもらうようにしてこの安全管理の徹底を期するようにはかってまいりたい、かように思っております。
  29. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま、三名の方から、それぞれ御意見があったわけですが、村田さんのお話を聞いておりますと、非常に施設が老朽化しておる、これはよくわかるわけです。しかし、成田局長がおっしゃったように、開いておいたそのパルプが、点検の励行をしておればいち早く見れたのではないか、こういう点からしますと、管理の点においてやはり大きなマイナス点があったのではないか。そういう点がありますので、これは老朽化した点について心配なところは早く更新しなければならぬと思うのです。その点の予算等については、これはひとつ、きょうは長官も来られおるわけですから、十分ひとつ配慮をしてあげていただきたと思います。  しかし、こういうことはすべて老朽化のためのためである、そういうところにしわ寄せするということについては、私はこれは少なくともやはり管理していただいている以上は、古いながらもそこについては万全の責任を持ってやっていく。これは私は責任というこの二字でそういう事故は防げるのではないか。全然穴のあいたぼろぼろの老朽化したものであればこれは無理かもしれないけれども、その点で、安全管理という点において、これはひとつ村田さん、その辺は反省もしていただき、さらに徹底をしていかないといけないのじゃないか、このように思うわけです。そういうことで、常に申し上げておりました関連施設、こういうところを万全にやっていただく、安全を確保していただく、こういうところから事故が防げるわけですね。それから、さらにそういう警備等におきましても、これもひとつ厳重にしていただかないと、治安の上においても何かやはり不安な要素というものがあるように私は思うのです。そういう点も、今後は特にこういう施設については十分な配慮をしていただかないと、一たび事があるとたいへんですから、特に要望しておきます。それでいまいろいろな反省を込めたお話がありましたので、ひとつ今後はそういう事故を起こさないように、これを契機に、科学技術庁を中心としてあらゆる関係機関がさらに緊密な連携をとって、事故を起こさないようにしてもらいたいと思うのです。安全な運営をしていただきたい、これは特に要望しておきます。  それから、その次にお聞きしたいのは、動燃事業団体がいよいよ遠心分離法によるウラン濃縮装置を完成して、試験に入るということを聞いておるわけです。そこで、濃縮ウラン製造装置において、原子力基本法の公開の原則がどのように適用されるかということなんです。これについてひとつ局長からお伺いしたいと思います。
  30. 成田壽治

    成田政府委員 動力炉・核燃料開発事業団が原子力委員会の定めました計画に従って濃縮ウランの研究、特に遠心分離法の研究開発を進めてまいっておりまして、四十七年度におきましては十四億五千万円の予算も取れてやってきております。  それで、当然動燃事業団も原子力基本法の公開の原則の適用下にもちろんあって、進んで公開を守るべき機関であることはもちろんでありますが、ただ公開の原則というのは、成果を公開するということでありまして、開発途上にある段階の場合とか、あるいは動燃などがいろいろ関連企業に発注してつくらせている機械等がありまして、そういう関連の企業機密の問題等があるようでありますが、たてまえとして、成果がある段階に来た場合には当然基本法による公開の原則を守って公開すべきであるというふうに考えております。
  31. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは科学技術の分野においては非常に両刃のやいば的なものになると思うのです。これは原子力だけでなくして、宇宙においてもしかりですし、この辺のところの問題についてやはり相当論議もして煮詰めておかないと、途中の企業機密なんだというような名前をかぶして結局おおい隠してしまう、この原子力基本法による公開の原則の法律違反じゃないか、この辺が非常にむずかしい問題なんです。これは紙一重の問題ですから、今後こういう法の解釈と運用について十分配慮をしていただきたいと思うのです。そうでなければ将来たいへんなことになりますよ。長官、この問題についてどう思われますか。
  32. 木内四郎

    木内国務大臣 いま御指摘の問題は非常に大事な問題と思っております。わが国におきましては、諸外国と違いまして公開の原則を原子力基本法によってきめておりますので、原則として私どもは成果はこれを公開したい。他の国とは違いまして公開をしてまいりたいと思っておるのですが、きょうの新聞でごらんになって御指摘になっている遠心分離機の問題です。これはお聞きになっていると思うのですが、動燃では四社に注文しまして、競争的にこれをいま研究開発させている途上なんです。そして、四社から出したものをみな別の部屋に入れて、四者の者しかいまのところ入れていないというような、全く開発の途上にある関係であり、そこに特許前の問題、あるいはノーハウの問題などがあって、いまの段階で、研究の途中において、あるいは特許を前にして公開するということは非常に困難な問題でありますので、そういうものはその限度においてはやはり公開することはできないと私は思うのです。成果を得ますれば当然これは公開されるもの、かように思っております。
  33. 近江巳記夫

    ○近江委員 これはIAEAの査察の対象になるわけですか。
  34. 成田壽治

    成田政府委員 当然IAEAの国際査察の対象になります。
  35. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、企業機密という問題で、その辺の線をどこで引くかということになってくると非常にむずかしい問題があろうかと思うのですが、公開が可能な装置、不可能な装置その辺についてはどう考えておられますか。
  36. 成田壽治

    成田政府委員 日本で自主開発をやっておる機械装置、これは当然すべて公開の対象になると思います。ただ、先ほど言いましたように、開発研究段階の途中の場合、あるいはメーカーに発注して、メーカーを競争させていろいろ製造させておる場分と、メーカーのほうで特許とかノーハウの申請中であるとか、そういう時期的な場合には例外的に公開の途外になる場合があるということでございます。最終的には、当然特許がとれた場合とか、そういう場合には公開になるものでございます。
  37. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは先ほども申し上げたわけですが、こういう点は非常に微妙な問題がありますので、きょう原子力委員も来られておるわけでございますし、その辺はよく今後検討していただいて、いささかも国民にそういう疑惑とかそういうことを起こさないように、フェアに、あくまでも法律に基づいてやる、こういうことをやっていただかないと、将来私は必ず禍根を残すようなことになると思うのです。特に要望しておきます。  それから、大石環境庁長官が二十五日の参議院予算分科会で、「原子力発電所から排出する温排水による自然破壊や放射能廃棄物安全対策については、これまで科学技術庁の意見をそのまま採用してきたが、反省の要があることがわかった。今後は住民の立場に立つ環境庁の本来の使命に沿って、慎重に対処したい」という旨の発言があったということは、報道もされておるわけですが、この内容について科学技術庁長官としてどういうようにそれの受けとめていらっしゃるか、ひとつ所見をお伺いしたいと思います。
  38. 木内四郎

    木内国務大臣 実は、私は大石長官の発言の速記録は読んでおらないのですけれども、大石長官の言われることは、私はこう解釈しているのです。いままでは科学技術庁が放射能の関係で主としてこれを見ておった、けれども、自分のほうは環境庁の立場から、これから意見を言おう。これからといっても、いままでだって私は当然環境庁のほうでは環境庁の立場から意見はあったと思うのです。そういうことを言っておられたのじゃないかと思うのですが、そうなれば私は当然のことだと思うのです。私どもは、放射能関係のことで主として見ておる。環境庁は環境庁の立場からまたいろいろ意見があるでしょう。アメリカにおきましても、原子力委員会もありますが、同時に、環境の保護法ができて、そのほうの意見も、今度はアメリカは日本と違って原子力のほうを扱うほうは除外しておりませんから、当然のことだと思うのです。わが国におきましても、われわれはわれわれの立場から意見を言いますし、環境庁は環境庁の立場から当然意見を言われてしかるべきものだ、かように思います。
  39. 近江巳記夫

    ○近江委員 この大石長官の発言からいきますと、科学技術庁の意見をそのまま採用してきた。「原子力発電所から排出する温排水による自然破壊や放射能廃棄物安全対策については、これまで科学技術庁の意見をそのまま採用してきた」こうおっしゃっているわけですね。それに基づいて審査がパスしてきているわけですよ。そうすると許可が出てまだ着工してないところもあるわけですね。これは当然環境庁としても見直しをする必要があると思うのです。長官、どう思われますか。
  40. 木内四郎

    木内国務大臣 大石長官はそう言っておられますけれども、今日までも環境庁の立場からの意見は述べられており、われわれはその意見も聞いてものごとを処理しておる、そういうつもりでおりますから、私は実質的には変わりはないものだと思っておるのです。
  41. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは大石さんが来られてないので一方通行のようになっておりますが、それでこの安全審査、安全対策における環境庁との連携を基本的に今後どう取り組んでいかれるつもりかということなんです。いままでわれわれも審議をしてきまして、この原子力施設安全性についての審査というのは、どちらかというと放射性にからむものに限られておったわけです。温排水等についてはどうも対象外になっているように思うわけです。そうすると今後は、この原子力委員会の安全審査に加えて、環境庁の何らかのチェックを得て、最終的に設置を許可するという方向にこれはなるわけですね。これについて局長あるいは山田さん、それから長官——長官は一番最後でけっこうですから。
  42. 成田壽治

    成田政府委員 原子力発電炉の安全審査等における環境庁との連携の問題でございますが、御承知のように安全専門審査会におきましては、放射能に関連する環境問題等については十分審査しておりまして、ここでだいじょうぶであるということになれば、放射能に関して最終的な安全性のオーケーが出たことになるわけですが、ただ温排水につきましては、これは厳密に言いますと従来の安全審査会の仕事の対象外、領域外という考えできております。したがいまして、われわれは温排水につきましては、事業者、電力会社と地元あるいは漁業組合等との関連の問題として、当事者間の経済的な問題として従来処理されてまいったのでありますが、最近のように非常に大量の温排水が出る、あるいは周辺に幾つかの炉ができるとなりますと、これが環境一般に対して相当影響を与えるのじゃないかというような懸念も出てまいりまして、そういう意味では環境全般を見ておりますところの環境庁も、従来のように安全審査会はあまり検討しない、そのままでいいかという問題になってまいりまして、この点につきましては、環境庁、水産庁、科学技術庁一緒になって、いまのところ温排水が環境あるいは魚等に対してどういう影響を来たすかという影響の実態が十分把握されておりませんので、実態把握を三者あるいは県の水産試験所等を使って強力にやろうではないかというところに来ておるわけであります。  それから温排水の規制の基準というのをつくるとしますと、これは法律的には水質汚濁防止法の対象になっておりまして、これは環境庁が基準をつくるたてまえになっております。それで現在温水に対する基準はない、影響に対する実態把握をいま調査中であるという段階でありますので、温排水に対する環境庁の規制基準ができますなら、当然原子力発電についてもそれを守らせるような措置施設等をやらせなければいけませんが、現在は環境庁サイドの法律も規制基準がまだない、実態把握の段階である、そういう意味で実態把握を三者で十分調査をやっていこうじゃないかという段階になっております。  したがいまして、いま問題になっている地点の発電炉について、原子力委員会等が許可ができないとか、そういう問題ではないと思います。むしろこれから実態把握の温排水の影響調査をやって、水質汚濁防止法による基準が将来できると、それをいま動いている発電所等につきましても適用がさかのぼる場合には守らせるという措置あとからとっていくという、そういう形の問題だと思います。
  43. 山田太三郎

    ○山田説明員 大体成田局長の御答弁でいいと思うのですけれども、現在原子力委員会といたしましては、原子炉等規制法によって原子炉の安全審査をやってあります。この中には温排水についての項目はダイレクトにはないというふうに考えられると思うのであります。したがいまして、放射能に関係した問題について主として安全審査においては検討しておる。しかし、現在のような段階になってまいりますと、原子力発電所のほうは火力発電所に比べまして一キロワット当たりでも大体六割から八割排水が多いというようなことに加えまして、わりあいに集中立地されておりますので、その影響はどうしても大きくなる。したがいまして、単に現在やっておりますような地元漁民と電力会社等の話し合いだけは日本の将来にとっていかがかということに当然なってまいると思います。  しかしながら、この温排水の影響というのは、具体的になかなかつかみ切れませんで、本来ならば環環庁に全部やっていただきまして、それで基準も出すところまで行ってそれを守るやり方については原子力委員会でやれるかあるいは環環庁と二重になるか、そこはわかりませんけれども、しかしその前段階の、どんな影響があるかということにいってなかなかわからない状態でございます。温度が何度くらいになるがということにつきましては、その範囲がどのくらいかということについてある程度わかってまいると思いますけれども、それが一体一年間を通じて魚類にどういう影響を与えるかということになりますと、なかなかむずかしいことになりまして、当然ある距離では何度までのところが問題かとかいうようなことがなかなか言えないのじゃないかというようには思いますけれども、そういう基準をつくりませんと、またその問題の規制が法的にできませんものですから、いま局長答弁いたしましたように、水産庁とそれから科学技術庁、それから環境庁と三者が力を合わせてその問題を検討していこう。さらにもう少し具体的に別の角度からといたしまして、原子力委員会に三月ごろから動き出しました環境安全専門部会の中でも、相当大きなテーマといたしまして温排水の問題を取り上げてまいるということになっております。
  44. 木内四郎

    木内国務大臣 ただいま原子力局長また山田先生からお話しになったとおりでありまして、将来この問題につきまして一定の基準を設けられるということになれば、当然それに従っていかなければならぬ。今日までのところは、さっき原子力局長が申し上げたとおりでございます。
  45. 近江巳記夫

    ○近江委員 この前も予算委員会の分科会で、私もこの問題は何回もやっておりますけれども、言ったときに、浦田さんですか、あの人が、今後調査をして必要であれば基準を設けるという御答弁をされたわけですよ。これは成田さんも出席されておりました。したがって、環境庁の意向としては、そういう基準を設けるということについては、今後やっていくということを答弁されているわけですよ。したがって、あとはほんとうに漁業のこと、また国民生活、そういうことをいろいろ考慮して当然これは規制もしていかなければならぬわけです。それをしていくためにはやはり立法措置をしなければならぬ。局長さん、また山田さんもお話しになったわけでございますが、長官もおっしゃったわけですが、したがってあとはもうこれは所管が環境庁だからということではいかぬと思うのですよ。やはり環境庁といったって、原子力発電所の温排水問題といえば、それはやはり科学技術庁が中心になって、そしてプッシュをして——そういう基準を出したりするのは環境庁かもしれませんけれども、これについては今後精力的にやっていただく、これがやはり一番大事だと思うのですよ。それをサブかあるいは中心でいくのか、これをもう少し今後積極的にやっていただけるのかどうか、これはもう一ぺんひとつ局長さんにお聞きしたいと思います。
  46. 成田壽治

    成田政府委員 法律的な基準をつくりますのは環境庁でありますが、その前に影響の実態把握が必要でありまして、それがわからないと規制基準ができないという状態でありますので、いま早急に必要なのは影響の実態調査だと思います。そのためにわれわれは前向きに、環境庁、水産庁と一緒になって前向きに、むしろ必要があったら科学技術庁が引っぱっていってもやりたいという気持ちで、そういう見地から先ほど山田委員が言いましたような原子力委員会の環境安全専門部会をつくりまして、温排水の担当の分科会がつくられることになると思いますが、環境庁の専門家も委員に入ってもらい、水産庁も入ってもらって前向きにこの問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  47. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま局長さんから、原子力委員会の中に温排水、被放射能についての審査をする部門を設置するというお話がございましたが、これはほんとうに山田さん、真剣に考えていただいているわけですね。もう一度お聞きします。
  48. 山田太三郎

    ○山田説明員 環境安全専門部会と申しますのは、これは一般的にそういう問題の研究の推進を一体どうやったらいいかということを検討するのでございまして、それが審査という段階になるかどうかはむしろ環境庁サイドできまることだと思うのであります。われわれが大いに力を出してやるのはいいのですけれども、水産庁あるいは漁業者の立場から見ますと、科学技術庁があまりに推進するということはどうであるかということも考えられます。したがって水産庁あたり大いにがんばっていただくことが必要であると思うのですが、しかし、実際問題として金の取り方やなんかについては、もしわれわれが力が多ければそういうことはいたしますけれども、あまり表に出て全部われわれがっくり上げてしまうということは、いかがかと思います。
  49. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは最終は環境庁のサイドでやると思うのですが、少なくとも科学技術庁としても、ただの放射能のその辺のことだけでやっていくという時代は過ぎたわけですから、当然それはダブルのチェックをしてもおかしくはないし、むしろそういう取り組みの姿勢があってこそ国民の共感を得られるのじゃないか、私はこのように思うわけです。ですからそういう点で何にも環境庁に遠慮なさる必要はありませんから、もしも環境庁がそういうことで何か言ってくればわれわれはまたこの委員会で申し上げますから、大いにひとつやっていただきたい。これは特に強く要望しておきます。  そういうことで、一応約束の時間も来ておりますので、きょうはこれで終わりたいと思いますが、いずれにしても最近はこうした一連のPCB問題とか原子力のそういう安全性の問題、いろいろな問題があるわけでございますが、特に科学技術庁はそういう問題を全部、これは深い関係というよりもむしろ中心になっていろいろと調整をやっていく機関でありますので、今後はひとつあらゆる点に神経を張っていただいて、後手後手にならないように先手を打っていける、そういう科学技術庁としての存在でやっていただきたい。特にこれは要望しておきます。そのことについて長官から所感をお聞きして、終わりたいと思うのです。
  50. 木内四郎

    木内国務大臣 ただいまいろいろ御鞭撻を賜わって非常に恐縮しておるのですが、御趣旨に従って私どもとしても他の官庁と力を合わせて前進してまいりたい、かように思っております。
  51. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  52. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時五分散会