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1972-04-19 第68回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十九日(水曜日)     午後一時十八分開議  出席委員    委員長 渡部 一郎君    理事 木野 晴夫君 理事 佐々木義武君    理事 石川 次夫君 理事 近江巳記夫君    理事 吉田 之久君       大石 八治君    海部 俊樹君      小宮山重四郎君    橋口  隆君       福井  勇君    堂森 芳夫君       内海  清君    山原健二郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  出席政府委員         科学技術政務次         官       粟山 ひで君         科学技術庁長官         官房長     井上  保君         科学技術庁原子         力局長     成田 壽治君         外務省条約局外         務参事官    穂崎  巧君         外務省国際連合         局長      影井 梅夫君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部連絡調整官  高島 正一君         経済企画庁総合         計画局参事官  大石 敏朗君         外務省アメリカ         局外務参事官  宮川  渉君         外務省国際連合         局外務参事官  石川 良孝君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(原子力開発に関  する問題)      ――――◇―――――
  2. 渡部一郎

    渡部委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件、特に、原子力開発に関する問題について調査を進めます。  政府は、原子力平和利用における国際協力のため、ウラン資源国であるオーストラリア及び核物質保有国であるフランス両国とそれぞれ原子力協定締結する交渉を重ねておりましたが、すでに、署名を終え、協定締結について、現在国会承認を求めているのであります。  両協定は、わが国原子力政策にとって重要な意義を持つものであります。この際、本委員会調査の必要上、両協定交渉経過と、そのおもなる内容につきまして関係政府から説明を聴取することといたします。最初に、木内国務大臣
  3. 木内四郎

    木内国務大臣 政府は、いま委員長からお話がありましたように、オーストラリア連邦政府及びフランス共和国政府との間に、原子力平和的利用に関する協力のための協定締結するため、かねてから交渉を行なってまいった結果、原子力平和的利用における協力のための日本国政府オーストラリア連邦政府との間の協定につきましては、昭和四十七年二月二十一日に、また、原子力平和的利用に関する協力のための日本国政府フランス共和国政府との間の協定につきましては、同月二十六日に、それぞれ両政府代表者間におきまして署名を行ない、現在、国会において、いま委員長のお話しになりましたように、御審議をお願いいたしておる次第でございます。  これら両協定について、簡単に御説明を申し上げたいと思います。  わが国における原子力平和的利用は、実用化進展が非常に目ざましく、原子力発電についてみますと、その設備容量は、昭和六十年度末でわが国発電設備容量の約四分の一を占めることが予想されるなど、その重要性はとみに高まっておるのであります。  従来、わが国原子力平和利用に必要な原子力技術、また核燃料資源等入手は、主として日米日英日加の三原子力協定に基づいて行なってきましたが、いま申しましたような原子力利用実用化進展に伴いまして、原子力に関する技術交流を一そう推進するとともに、核燃料資源の安定的、経済的確保をはかることが急務となってまいっております。  以上のような状況に対処して、このたび、ウラン資源国たるオーストラリア並び原子力技術及び核燃料保有国たるフランスとの間に、従来の高速炉等の各種の研究協力ウラン探鉱に関する協力等を踏まえまして、原子力平和利用に関する広範な分野にわたる協力を行なうための協定締結することとした次第であります。  両協定締結は、原子力に関する国際協力関係を多角化するとともに、天然ウランを含む核燃料等入手を可能ならしめまして、核燃料供給源多元化をはかることとなり、わが国原子力平和利用促進に大きく貢献するものと考えます。  両協定内容につきましては、両協定ともにほぼ同じ内容を持っておりまして、原子力平和的利用のための協力の方法として、専門家交流情報交換並びに資材設備施設及び役務供給受領規定いたしますとともに、協定に基づいて入手した資材設備等平和的目的にのみ使用されること、それらの資材設備等保障措置適用されること等について規定しております。  以上、両協定について、簡単ながら御説明を申し上げた次第でございます。
  4. 渡部一郎

  5. 影井梅夫

    影井政府委員 ただいま長官から御説明のございました日豪原子力協定及び日仏原子力協定につきまして、最初にこの両協定署名に至りますまでの経緯、続いてこの両協定協定本文につきまして、簡単に御説明申し上げます。  最初に、日豪原子力協定調印に至りますまでの経緯でございますが、この協定は、今年二月二十一日に豪州連邦政府首府キャンベラにおいて正式調印されたわけでございますが、この協定交渉の発端と申しますか、これは一昨年、昭和四十五年五月十九日に、在京オーストラリア大使館より外務省に対しまして、この協定締結方申し入れてまいりますと同時に、その際、豪州側提案を提示してまいりました。わがほうはこれを受けまして、わが関係省庁とも協議の上でこの検討を進めた次第でございます。  内容につきましては、後刻簡単に御説明申し上げますが、わがほうはこの豪州の案に基づきまして、これに検討を加えました結果、昨年、昭和四十六年五月二十一日、わがほうの対案在京オーストラリア大使館に手交した次第でございます。  昨年の九月十三日、十四日の両日東京におきまして本件協定の予備的な協議が行なわれまして、その問題点が煮詰められました。この協議に基づきまして、同じく昨年の十月五日、わがほうから豪州側に対しまして、わがほうの第二次案を手交したわけでございます。  続きまして、同じく昨年の十二月二日及び六日の両日にわたりまして、この日本側の第二次案及びそれに対します豪州側対案をもとに、第二回の予備的協議を行ないました。  昨年の十二月十六日より東京で正式な交渉を行ないまして、昨年十二月二十一日合意に達しまして、仮調印を行なった。  こういう経緯でございます。  次に、日仏原子力協定署名に至りますまでの経緯でございますが、本件協定は、昭和四十四年十月二十三日、東京において開かれました日仏定期協議機会に、フランスシューマン外務大臣から原子力平和利用分野におきまする日仏間の協力を一そう進展させたい、こういう観点からいたしまして、フランス側から原子力協定締結のための交渉を行ないたいという申し入れがございました。日本側は当時の愛知外務大臣から、核燃料物資供給先多角化等の考慮からいたしまして、このフランス側申し入れに対しまして、原則的に異議はないけれども、その具体的時期等については外交チャンネルを通じまして協議させたい旨の回答をいたした次第でございます。同じ趣旨のことが、同年十二月、パリにおきまして木内科学技術庁長官及びフランスオルトリ科学大臣、この両者の会談においても話し合われた次第でございます。  一昨年、昭和四十五年六月に、フランス側からわがほうに案文の提示がございまして、その後数次にわたりまして案文提案等、相互にかわしまして、検討が加えられてまいりました。  昨年二月八日より東京におきましていわば正式の交渉が行なわれまして、昨年の二月二十五日に仮調印を了した次第でございます。  ただ、この日仏原子力協定につきましては、ちょうどその時期が、直ちに正式調印を行ないまして、続いて国会の御承認を得るために提出をするということは、時期的その他でやや困難な事情がございましたので、正式の調印は、本年二月二十六日に行なわれた、こういう次第でございます。  次に、この日豪原子力協定、それから日仏原子力協定の主要な点につきまして、この両協定はかなり共通部分がございますので、日豪日仏の違う点、これを大きい点二、三点につきまして、やや相違する点がございますので、日豪協定基礎といたしまして、日仏について違っている点を御説明申し上げたいと考えます。  これはお手元に配布してございます説明書に記載してあるとおりでございますけれども、まず、いわゆる序文に相当いたします前文、これはただいま木内長官からも御説明がありましたとおりに、この協定趣旨、すなわち原子力平和的利用促進及び開発、このために両国政府協力することを希望している。また、この協定に基づいて供給されました情報資材設備施設、こういうものが平和的な目的にのみ使用される、これが両国政府の意図するところである、これの確認を行ないました。また、これは日豪についてでございますが、日本ウラン資源を必要としていること、またオーストラリアはそのウラン産業を発展させることを希望している、これをお互いに認めまして、この協定を結ぶ。日仏の場合には、フランス原子力関係技術日本が必要としているという点に相違がございます。  本文の第一条、第二条、第三条、これは大体共通でございますが、ただ、第三条の最後保障措置協定、いわゆる核不拡散条約の第三条第四項に基づきます保障措置適用につきまして、巨象日仏の間にやや相違がございますが、それを除きましては、第一条、第二条、第三条それから第四条、大体共通と申し上げることができると考えます。  第一条は、両政府間におきまして、両国間で専門家及び公開されております情報交換資材設備及び施設供給または受領、並びに役務提供等を行なうことによりまして、原子力の平和的な利用促進し及び開発するために両国協力するということを定めております。  それから第二条は、両国政府は、この協定に基づいて入手されました資材設備施設等を平和的な目的にのみ使用することを確保する。また、原料物質または特殊核分裂性物質が、その移転先において国際原子力機関保障措置のもとに置かれる場合または供給国政府の事前の同意がある場合を除きましては、自己の管轄外または国際機関に移転されないことを確保するというお互い義務を定めております。  第三条は、平和目的にのみ使用するということを確保するためのいわゆる保障措置に関する規定でございますが、両国政府は、国際原子力機関がこの協定の第四条の規定、次の条でございますが、に適合保障措置適用するように、この両国国際原子力機関との間にいわゆる三者協定締結することを約束する。この協定保障措置、これは受領国政府がこの協定効力発生の日において締結しております国際協定に従い、その国の領域において国際原子力機関保障措置のもとに置かれる原料物質特殊核分裂性物質設備または施設については適用しない。第三項におきまして、これは日豪のほうでございますが、いずれか一方の政府核兵器拡散条約、いわゆるNPTでございますが、このNPTの第三条第四項に定めておりまする協定国際原子力機関との間で締結する場合には、その国に関する限り、先ほど申し上げました三者協定保障措置適用、これは停止するということを定めております。  この点につきまして、日仏におきましてはやや違った規定をしております。それは、御高承のとおりに、フランスがいわゆるNPTに加入していない、署名をしていない。したがいまして、このNPTに基づきまする保障措置適用ということは起こらない。その場合にどういうことが起こるかと申しますと、先ほど申し上げました三者協定による保障措置のほうがNPTの三条四項に基づきまする保障措置協定よりは煩瑣と申しますか、やかましいと申しますか、そういうものになるわけでございます。そこで日仏におきましては、日本はこのNPT条約に入りまして、この簡素化され、合理化されたほうの保障措置適用を受けることになる。フランスのほうはその場合にそれを受けないことになるという、フランスにとりましての都合の悪い事態が起こる。またもう一つフランスは御高承のとおりに、現在世界にございます五つの核兵器国一つでございますが、これは日本と立場が違う。そういう点を考慮いたしまして、日仏におきましてはやや違った規定のしかたをしております。  第四条は、ただいま御説明申し上げました第三条の保障措置、これが適用されない場合に、供給国政府設備施設の設計を検討する件、並びに原料物質または特殊核分裂性物質計量正確性検認等目的のために代表者を派遣する権利を有する、つまり、供給国のほうが受領国に対しましてその独自の査察、これを行なう権利を有するということ、また、受領国政府原料物質及び特殊核分裂性物質計量に関する記録、これを保持することを約束する、こういう趣旨規定でございます。  第五条、これは関係者締結する取りきめ及び契約の実施に伴う責任、これを両国政府責任はしないということを定めております。  それから第六条、日豪の第六条は、両国政府代表者は、この協定適用から生ずる問題につきまして、随時協議のための会合を行なうことができる。  日仏につきましては、御高承のとおりに、フランスユーラトム締約国でございまして、ユーラトム締約国であるという地位からいろいろな権利義務を有している。この日仏協定によってフランスユーラトム締約国として有しております権利義務、これはいささかの影響も受けないという趣旨規定を掲げております。  第七条、これは用語の定義でございます。  日豪の第八条、これは日仏にはない規定でございますが、これは豪州という国のお国柄と申しますか、御承知のとおりに、豪州はいわゆる本土のほかにパプアニューギニーという特殊な地域を持っております。このパプアニューギニーにつきまして両国政府がこの原子力協定規定適用するということを定めております。  第九条は、これは効力期間について規定したものでございまして、日豪のほうは二十五年間効力を有する、それから日仏のほうは効力は十年間という規定をしております。日仏が十年であるにかかわらず、日豪が二十五年効力を有する、これは日豪の場合におきましては、日本企業豪州に進出するという可能性を多分に見込みまして、その場合に、かりにこの協定有効期間を十年という短い期間にしたのでは、企業進出にあたって不安が生ずるだろう、少なくとも二十五年くらいの期間にわたって効力を有せしむべきである、こういう観点からいたしまして日豪のほうの有効期間は二十五年というふうに定められております。  第十条、これはいわゆる効力発生要件その他に関しまする規定。  それから最後に、末文におきまして、この協定の作成の日付、場所並びに用語、英語、日本語、フランス語、こういった点についての規定を行なっております。
  6. 渡部一郎

    渡部委員長 これにて説明の聴取は終わりました。
  7. 渡部一郎

    渡部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川次夫君。
  8. 石川次夫

    石川委員 原子力の問題ではたくさん申し上げたいことがあるのですが、きょうはこの協定の問題に限って関連する問題について質問をしたいと思っております。  原子力基本法にもありますように、国際協力促進するという意味から申しまして、オーストラリア並びフランスと多角的に協定を結ぶということ自体は、非常に望ましいことだと思うわけであります。ただ、若干この機会に伺っておきたいのでありますけれども、豪州との関係におきましては、「日本国ウラン資源を必要としていること、及びオーストラリアがそのウラン産業を発展させることを希望していることを認識して、」ということが前提となってこの条約が結ばれておるということで、新聞などの情報によりますと、日本オーストラリア資源開発をするとか、あるいはまたウラン濃縮技術共同開発をしようではないかとか、いろいろなことがいわれているようでありますが、フランスのほうにはこれがないわけであります。したがって、オーストラリアの場合の、「ウラン資源を必要としていること」ということの内容は、一体共同開発――資源の採掘の問題もありますけれども、それ以外に濃縮の問題、そういう点で何らかの話の進展があるのかどうか、いままでの経緯をひとつ長官から伺いたい。
  9. 成田壽治

    成田政府委員 オーストラリアとのウラン資源に関する関係でございますが、オーストラリアは非常にウラン資源埋蔵量の豊富な国の最大な国の一つとなっております。最近のIAEA等調査によりますと、オーストラリアウラン資源埋蔵量は十五万トンをこえるということになっておりまして、これは二年前はたしか二万トンぐらいの埋蔵量というふうに登録されておりますが、この最近、十数万トンの新しい埋蔵量が発見されておるということであります。したがって、将来日本が非常に必要とするウラン資源増加需要に対して非常に安定的な供給先として期待される。現在、動燃事業団オーストラリア資源地帯ウラン鉱基礎調査をいろいろやっておりまして、その結果、これは基礎調査でありますので、はっきりしたあれはありませんが、非常に期待が持てる、そういう形で、あるいは今後、いろいろな商社等が、オーストラリア開発する資源ウラン鉱日本に将来持ってこれないかという交渉も進められておりますが、現在までのところ、オーストラリアからウラン鉱を入れるという契約はまだ一つも成約した例はないのでありますが、今度この巨象原子力協力協定締結されますと、今後オーストラリアからウラン鉱を輸入する話も進展するし、また、動燃基礎調査をやった結果に基づいて、日本オーストラリア合弁等によってウラン資源探鉱開発を、日本企業国際協力合弁の形でやるというケースも非常にふえてまいると期待されております。  それからウラン濃縮につきましては、オーストラリア濃縮技術はもちろん持っておりませんので、むしろ石炭を使って安い電気が期待されるという意味で、アメリカウラン濃縮技術あるいはフランスウラン濃縮技術を使って濃縮工場を、将来、国際共同事業一つとしてその工場サイトになる可能性があるかどうかという検討が、たとえばフランスオーストラリアの間で話し合いもなされておりまして、そういう意味では国際濃縮共同工場サイトとしてオーストラリアが期待されることも考えられるということであります。
  10. 石川次夫

    石川委員 その質問のついでに伺いたいのでありますが、ウラン資源というものは日本にはほとんど、ゼロではありませんけれども、人形峠等を含めて〇・〇五%のものが五千トン程度ということで非常に貧しいわけでありますから、全面的に海外依存をしなければならぬということで、私は前々から金属鉱物探鉱促進事業団、これは銅、鉛、亜鉛だけが対象になっておったのですが、それだけじゃまずい、どうしてもウランを入れなければいかぬということを主張した結果これは入ることになり、ことしからは成功払い――これはたぶん七五%だったと思うのですが、成功払いという方式もことしから採用されることになったということで一応の進歩を見たわけでありますけれども、しかし、全体的に見ますと、大体アメリカ埋蔵量は三十万トンといわれ、カナダが二十万トンといわれ、南アフリカが二十万トン、こういうことで全体を合わせても八十万トンではないかといわれるところに、オーストラリア埋蔵量が案外多いという希望が見えてきたわけでありますけれども、オーストラリア、ラテンアメリカ、インドは大体ウラン鉱輸出は禁止されておったと思うのであります。現在その禁止は解かれておりますか。
  11. 成田壽治

    成田政府委員 オーストラリアにおきましては、従来、輸出数量制限等、非常に調整制限がなされておりましたが、たしか昨年から数量制限措置は解除されておりますが、ただ政府の厳重な許可が要るということになっております。したがいまして、政府許可基準としては、輸出価格が適正であることと、もう一つは、そのウラン鉱軍事目的利用されないことと、この二つ審査基準要件になっていると聞いております。したがいまして、今回この協定によって日本軍事利用等には使わない、平和目的に限るという保障がされますと、そういう意味政府輸出許可等においても非常に便宜がはかられる、日本への輸出が伸展されるというふうに期待しております。
  12. 石川次夫

    石川委員 いまのところは濃縮ウランは全国的にアメリカ依存をしておって、この前のアメリカとの協定では百六十一トンということに濃縮ウランの取りきめができておるわけでありますけれども、アメリカ自体が、一九七五年には二万トンぐらい必要であって、生産能力は大体一万五千トンぐらいだろう、こういうことでありますから、あくまでもアメリカの側としては賃濃縮である、原料までは責任を持たぬぞというようなことが暗に示されておるわけであって、私もこの委員会で、アメリカに全面的に依存することはきわめて危険だ、しかも濃縮技術日本が持っておらないということで、一体これをどう考えるのだ。たとえば先ほど私、南アフリカ二十万トンと申しましたけれども、アフリカは御承知のようにホワイトアフリカブラックアフリカの対立というのが相当激しい。したがって、ホワイトアフリカのほうと取引をするとブラックアフリカのほうの取引はどうなるかという危険性があるというようなことで、思い切った取引もなかなかできかねるというような制約があるわけです。そうなりますと、どうしてもアメリカカナダのほかにオーストラリアというものが非常に有望な市場として見えてきたというふうなことは、日本にとって非常な救いであろうと思っておるので、そういう意味ではこの協定ができたことは、私は非常におそきに失したとはいっても歓迎すべきものだと思うのであります。  そこで、伺いたいのでありますけれども、いままで日本でもウランを何とか自力で開発をしなければならぬということで、エリオットレーク地域ではカーマギー社提携をいたしました。それから前にはカナダデニソン社提携をいたしました。いずれもどうも見通しは芳しくないようであります。現在はそれはどうなっておりますか。
  13. 成田壽治

    成田政府委員 日本電力会社が将来のウラン資源安定供給のためにカナダあるいはアメリカ等々の会社契約を結んでいろいろ基礎調査をやっておりましたが、この二つケースともいままでのところ非常に成果が出てない、それで大部分のものは契約解除みたいなかっこうになっておりまして、この二つケースにつきましては大体非常に不成功に終わったというふうに見られます。  ただ、一昨年の五月に、アフリカニジェール共和国におけるウラン資源開発につきまして、日本関係業者海外ウラン資源開発会社というものをつくり、それからフランス原子力庁CEA、それからニジェール政府、この三者によりましてニジェールアコカン西部地域共同探鉱を開始しておりまして、この成果は、来年末までに開発に入るかどうかということを決定することになっておりますが、現在までのところ、非常に有望であるという中間報告がなされており、これは相当期待してよい探鉱計画と考えられております。
  14. 石川次夫

    石川委員 ニジェールの話は私も聞いているのですけれども、一九七九年に完全操業して日本の取り分が年六百十トン、これは年間所要量の大体八%足らず、これは完全に成功したとしてもその程度ということにならざるを得ないと思うのです。そうなるとその他は一体どうなるんだというと、ソマリアだとかアフリカだとかどことか相当多くの国では積極的に開発を始めているわけですけれども、日本ではいまのところ見込みのあるのはこのニジェールだけというような状態です。そういうことではこれから先火力にかわる原子力発電をする場合に一体どうするのだということを、私は前々から申し上げておったのですけれども、この前のカーマギー社とかデニソン社の場合は、私はこの公開の席上でも申し上げたのですが、電力会社が金だけ出して向こうへまかせっぱなしなんですね。日本技術が向こうへ行って、日本技術者が向こうと一緒にやっていくというふうな積極性がほとんど見られない。向こうが有望だからというので電力会社が金を出す。電力会社の金は税金でないからいいんだと言うかもしれませんけれども、やはり相当財投の金が電力会社それ自体にはつぎ込まれておるわけです。したがって、これは民間の金だというふうに突き放した考え方はできない。そういうことから考えると、このやり方自体、これはあらためてまたこの点については質問したいと思っておりますが、ニジェ一ルの場合には日本技術者も行っております。そういう関係でかなり確認できる情報として受け取っていいんじゃないかと思うのですが、前の場合は、有望だ有望だというのはあちらの情報なんですね。金だけ出して人は行っていないのですよ。こういう開発のしかたというものはこれから考え直してもらわなければいかぬ。日本技術者は非常に数は少ないのですけれども、しかし、曲がりなりにも日本技術者もそれに参加をするという姿勢でオーストラリア開発の場合もひとつやっていただかなければならぬのじゃなかろうか、こういう感じがするわけであります。  いずれにいたしましても、アメリカ自体賃濃縮でもって契約をしているという現状から見て、原料の確保ということは緊急を要するたいへんな課題だと思うのです。南アフリカなどというのはちょっといろいろな制約があってむずかしい。カナダアメリカというものをひっくるめて考えても、アメリカ原料が足りないから、賃濃縮をやる場合には原料カナダから入れるというふうな状態なんですね。アメリカ自体原料を使いっぱなしに使うというのは、生産能力からいってもあるいはまたアメリカの将来の見通しからいっても、なかなか困難だという事情です。したがって、カナダがあまり当てにならぬというふうなことではなかろうかと思っておるのです、まあ全然絶望だということじゃありませんけれども。そうするとオーストラリアあるいはアフリカその他のものを対象として日本の将来の自主開発は――エネルギーの問題については三割ぐらいはどうしても自力でもって確保したいという大前提があるわけで、これに対してニジェールニジェールということがもう二言目には出てくるんだけれども、まことにニジェール自体は有望ではありましょうけれども、全体の所要量からいったら問題にならないということを考えると、成功払いという制度は成り立ちましたけれども、これだけでこれは見通しが明るくなったということにはならないわけなんで、よほど腹を据えてこの資源開発確保ということに取り組まないと、発電所をつくったのはいいけれども、濃縮技術もないしウラン鉱もないんだということでは、このいまの計画は一体どうなるんだという心配をする。いまからもう出ているわけです。これはよほど積極的に政府全体として取り組まなければならぬ課題じゃなかろうかと思うのですが、長官の決意のほどを伺いたいのです。
  15. 木内四郎

    木内国務大臣 このウラン資源の確保につきましては、石川委員におかれましてはかねがね非常にこれを重大視されまして、私ども政府当局に対して御鞭撻また激励をいただいておりまして常に感謝しておりますが、いろいろ今日までお話を伺った御趣意に従って、いま私どもの局長から申し上げましたように、豪州、これにもウラン資源供給源をひとつ確保するその第一歩を踏み出しておるわけですが、それからいまお話し申し上げましたようにニジェールなどについても始めておるわけでありまして、もちろん直ちに多くを期待するわけにもまいりませんし、これらのものもどれだけの効果をおさめるか、これもやってみなければわからぬという点もありますので、今後におきましては、いまおことばの御趣意によりまして、政府としては全力をあげこの供給源の確保にひとつ努力をしてまいりたい、かように思いますので、この上ともひとつ激励を賜わりたいと思います。
  16. 石川次夫

    石川委員 これはたいへんな将来の問題になりますから、これは単にいまの決意の表明だけにとどまらないで、政治家は結果責任ですから、何とかして政府全体の姿勢としてそれを確保するということをぜひ実現をさせてもらわなければ困ると思うのです。これができなければ科学技術庁長官の資格はないと言っても過言ではないんじゃなかろうか、こういう感じがするわけです。  それで、こまかい点いろいろ伺いたいのでありますけれども、時間もありませんから実に大ざっぱな質問になって恐縮なんですが、この豪州の場合とフランスの場合では若干ニュアンスが違ってきますが、アメリカとの原子力協定の場合のようにたくさんな問題はないような感じがいたします。アメリカの場合は、私も前の国連局長さんとはずいぶん長いこと討論をした覚えがあるわけなんですけれども、この二つ条約ではそれほど大きな問題はなかろうと思っておりますけれども、オーストラリアの場合の第一条の(c)の場合に「資材設備施設その他の必要な物」とこう書いてある。この「その他の必要な物」というのは一体これは何をさしているのか。
  17. 影井梅夫

    影井政府委員 「その他の必要な物」といたしまして考えておりますものは、重水等の減速材、それから超ウラン元素などを考えております。
  18. 石川次夫

    石川委員 そうしますと、話が飛躍しますけれども、今度重水なんかも考えておると言いますが、いまのところは重水はアメリカから輸入しています。日本だって重水をつくる技術がないわけではない。ただ値段の関係アメリカから買ったほうが安いということなんですが、重水を入れた場合には、これは査察の対象になりますか。
  19. 成田壽治

    成田政府委員 重水の場合は査察の対象にならないことになっております。それは第三条の(2)にありますように、「この協定保障措置は、この協定に基づいて入手した原料物質特殊核分裂性物質設備若しくは施設、」等でありまして、重水はこの概念に入らないので、査察の対象にならないと解しております。
  20. 石川次夫

    石川委員 これはあとから聞こうと思ったんですが、減速材料はアメリカとの原子力協定では入っているのですよ。ですから、NPT締結をされても問題はたくさん残るのです。アメリカとの原子力協定NPT以外のものがだいぶ残っているのです。そういう問題をどうするかということを私は最後に聞こうと思ておったんですが、それはいまの御説明でわかりましたが、具体的にフランス等ではいま再処理の問題がありますね。再処理の問題が日本に入ったと仮定をして、それが完成をしたと仮定をした場合の査察は、NPT締結をされたと、これは仮定です、あくまでも仮定ですけれども、批准をされたと仮定をいたしまして、その査察のもとに置かれてフランスの査察もまた受ける、こういう形になるのですか。
  21. 成田壽治

    成田政府委員 御承知のように、動燃がつくっておりますところの再処理工場フランスのサンゴバンから施設技術をもらいましていろいろ建設をやっておりまして、そういう意味ではフランス協定の対象にもなり、あるいは将来NPTに入った場合には、再処理施設でありますので当然NPTの査察、保障措置の対象になりますが、先ほどの規定、三条の三項にありますように「いずれか一方の締約国政府核兵器の不拡散に関する条約」、フランスの場合は核保有国NPTの加盟国ではありませんが、そういう場合を考えれば、先ほど外務省から説明がありましたように、これと同様の協定が結ばれた場合には、この「三者間協定保障措置適用は、停止する。」NPTに入った場合はNPTのほうの査察が適用になりましてこちらのほうは停止になるという重複を避ける規定がありますので、一つ保障措置の対象のみということになると思います。
  22. 石川次夫

    石川委員 それからオーストラリアの第四条ですけれども、第四条の(a)の(i)に「この協定に基づき」云々とありまして、そのところに「その管轄の下にある認められた者に供給された設備」とある。この「管轄の下にある認められた者」というのはどういう者なのか。その認められ方というのは両国のオーソリゼーションが必要であるというふうに考えるわけなんですけれども、そういうオーソリゼーションがあった者だけに限られるのか。たとえて言えば日本では九電力というものがあり、それからその他またいろんな民間業者というものはたくさんこれから出てくるであろうと思うのですが、それをオーソライズされた者だけを「認られた者」とするということになるのか、その点の手続論は一体どういうふうになりますか。
  23. 成田壽治

    成田政府委員 「その管轄の下にある認められた者」であるオーソライズドパースン、これは原子力基本法に基づく規制法あるいは輸出貿易管理令等の法令によって認められた、法的に認可されたものに限定されるわけでありまして、現在このオーソライズドパースンの運用は規制法等によってやっております。実際は電力会社以外にあるいは商社等がオーソライズドパースンとして、政府許可すればオーソライズドパースンになり得るのでありますが、現在のところは発電用の燃料については電力会社だけに限定してオーソライズドやっておりまして、燃料の取引の秩序が十分確保されるような運用をやっておるところであります。
  24. 石川次夫

    石川委員 私、これにも意見があるのですけれども、九電力がばらばらにやるといっても、九電力の技術格差というものはかなりあるわけです。それからまた、その他の民間の業者にその他オーソライズして認めるということになると非常にばらばらな行政になってくるということで、私はこれは窓口を一本にして、科学技術庁なり原子力委員会、どうなるかわかりませんけれども、そういう形で進めていかないと発展を阻害することになりはせぬか。九電力にはいろんな懇談会を持っていろいろな意思疎通をはかっているということは言うのでありますけれども、かなりの格差というものを認めないわけにはいかない。それがばらばらないろいろな注文を出していくというようなことでは、どうもその発展を阻害することになりはしないかというふうな危険があって、これはやはり統一した窓口でもってその発注というものを見ていくという形が必要なんじゃなかろうかというふうに考えております。これはいまここで御答弁をいただいても、ああそうですかというふうなことにならないと思うのです。答弁は要りませんけれども、強い要望として持っておるということだけをこの機会に申し上げておきます。  それから四条の(a)項の(i)、(ii)とあって(ii)の最後のほう、これは追加ですか、「産業上の秘密又は他の秘密の情報を漏らしてはならない。」こうなっておるわけであります。それからフランスのほうでも八条のところに「「公開の情報」とは、「秘・防衛」又は「極秘・防衛」の秘密区分に属しない情報をいう。」こういうことになっておるのです。これは具体的に一体どの程度までが秘密というふうになって、秘密というものを法律的にぴしっと区分をするという技術的な方法あるいは事務的な方法があるんですか。
  25. 成田壽治

    成田政府委員 四条の(a)項の最後のところは、これは査察員が「公的任務により知るに至った産業上の秘密又は他の秘密の情報を漏らしてはならない。」ということ、これは査察員の当然の――公に報告する等はこれは公務でありますからそれはよろしいのですが、それによって知り得た秘密を漏らしてはいけないというのはこれは査察員の当然の義務でありまして、これはIAEA等でも、それからNPTの場合も厳重に定められている規定でございます。  それからオーストラリアの場合の第七条の「部外秘、秘又は極秘の秘密指定を受けていない情報」、これが公開の情報として交換される情報の対象外になっております。これは豪州フランスにおいては、安全保障上の観点から情報の機密の指定が行なわれておるようでありまして、そういうフランス豪州における安全保障上の観点からの機密指定の区分に従った安全保障上の秘密の情報のことであります。したがって、日本におきましてはこれに該当する情報はないのでありますが、相手方のフランス並びにオーストラリアにおいてはこういう情報機密の指定が行なわれているというふうに伺っております。
  26. 石川次夫

    石川委員 一応説明でわかるのですが、日本の場合に、御承知のように原子力基本法というものがあって、公開の原則が守られなければならぬ。二、三日前に私は原子力研究所へ行ってまいりまして、事故があってもほとんどもう表に出すまい、それから原子力の安全性についてのいろいろな疑義が出たり、それに異議をはさむ学者があれば、その意見が表に出ないように出ないようにと徹底的に封じ込んでいるという傾向があることを見てまいりまして、私は非常に慨嘆にたえないのです。そこへ持ってきて、また商業上の秘密とかなんとかというふうなものがふんだんに出てくる。新聞の切り抜きですら外務省ではマル秘にしているような状態です。そうすると、全部これは原子力関係もマル秘、マル秘でもって押えられてしまうのじゃないかという非常な危険を私は感じているのです。この件は、原子力基本法の公開の原則は一体どうなんだということについては、またあらためて質問することにして、きょうはこれ以上その点については申し上げません。  それで、ほんとうはまだまだ聞きたいことがたくさんあるのですけれども、時間が非常に制約されておりますので、先を急ぎまして、核防条約関係――わが党ではまだこの核防条約に賛成という態度にはなっておりません。批准するかどうかということについては、これから検討を要する問題がたくさんございます。  一番問題なのは、核軍縮あるいは核兵器を廃棄するということについて、アメリカとソビエトはそれぞれ責任を感じ、これを明文化するというようなことになっておらないで、自分のところだけは見せない、ひとつの国だけは査察をするという、こういう不遜きわまる態度に対してはわれわれどうしても納得がいかないということで、実は海外におととし行ったときも各国を回ってこの趣旨を徹底して説きました。実はソビエトへ行きましたとき、外務省で頭から、なぜ日本は批准しないんだというふうな言い方をされました。それで私は憤然として、一体こんな身がってなことがあるか、大体あなたのほうは、自分のほうは全然見せないでおいて、ひとの国だけ査察をして、核武装はさせないんだというのでのぞき込んで商業機密まで盗んでいく、日本の国における査察の実態をあなたは一体知っているのですか、けしからぬというようなことで激論をしたことがあるわけです。そういうことで、われわれは賛成するのには非常な抵抗を感じておるわけです。  しかしながら、一方では日本の核武装というものに対する危惧の念というものは、国民だけではなくて国際的にもだいぶ広がっておる。したがって、このNPTにも参加をすることを通じてそういう疑惑を取り除くという必要性も、別の見方から出てくるのではなかろうか。その機会というのも、ユーラトムのほうで現在交渉を進めておるわけですから、それをはずれて日本だけがおくれるという形になると、それと対等の条件がとれないかもしれぬという危険性もあるし、また、日本だけはいつまでも査察をさせないことに抵抗しているという印象を与えることもいかがか。これはまた別な見方をすれば、日本の軍国主義というものに結びつけた懸念を諸外国に与えるのではなかろうかというようなことも、一面考えられないことはないのです。  でありますから、これに対しては、査察が非常にひんぱんに日本は行なわれている。世界で一番多いのです。しかもわけのわからぬ連中がといってはたいへん語弊があるが、権威者が来ているわけなんですけれども、炉をとめちゃう。炉をとめちゃって、炉を開始するのには相当な手数とロスがあるわけです。それを、簡単にそういうことも命令するというようなことも行なわれている。非常に回数が多い。  それから、何といっても日本の国においては基本法というものを守って自己管理というものが相当行なわれておるわけだ。技術的にいえば、大体二〇%以上の濃度になればこれは軍事用だという可能性も出てきますけれども、二〇%以下ならばこれは軍事用ということはまず考えられない。多少はあります。高速増殖炉のために若干使うということはあるが、ごく微量であります。そういうふうなことがあって、その範囲内であるということの確認ができるような自己監査というものが十分行なわれておれば、別にNPTのほうでのぞき込んでみなくたって、これは十分証明ができることじゃないのか。電力の消費量を見ただけでも、それはわかるわけなんです。  それから査察のやり方については、のぞき込んで一々調べるということではなくて、出口と入り口で調べる。そして中にあるのはどのくらいだ。あるいは電力の消費量なんかもからみ合わして考えれば、計測技術というものは相当発達をするということはアメリカでもいっておったし、ヨーロッパでもそういうことをいっておりました。したがって、自己査察というものをやる上にそういう計測技術というもので出口、入り口でもって大体見れば、中をのぞき込まなくてもわかるという問題が一つあるわけです。  それから商業機密に関しては、だからそういうものについては決して立ち入りはしないというようなことで、何とかユーラトムと並行して話を進めるという努力をしたほうがいいのではなかろうかと、これは私個人の見解なんでありますが、思っておるわけです。それに対する意見を国連局長から伺いたい。  それからあと一つ、これは保障措置についてはモデル協定が結ばれているわけですね。これは日本の意見が、いま私が言ったような意見がだいぶ入ってモデル協定ができておって、国内の管理制度とユーラトム地域管理制度というものは、大体平等な形でもって見ていくというようなことが前提となってそういう話が進んでおるというふうに聞いておるわけです。原子力局長に伺いたいのでありますが、このモデル協定が一体どういうふうなものか。これは資料があればひとつ出してもらいたいと思うし、それからいま言ったようなことでどういうふうに話が進められておるのか、国連局長に伺いたいと思います。
  27. 影井梅夫

    影井政府委員 NPTの批准問題これは非常に高度の政治的判断を要する問題と考えますので、私事務当局の観点からお答えさしていただきたいと考える次第でございます。  御承知のとおりに、わが国がこのNPT署名いたしましたときに声明をいたしておりますが、ただいま先生のおっしゃいました趣旨、これが私は日本政府による声明の中に非常に明らかにあらわれていると考えております。一つの面は、ただいま先生御指摘のとおりに、安全保障及び軍縮の観点から、もう一つは、平和利用に際しまして日本が他国に比して不平等な取り扱いを受けないこと、また査察に際しましての簡素化、合理化、こういう点に特に日本は注意しているということをこの声明において明らかにしている次第でございます。  最初に軍縮面と申しますか、安全保障面でございますが、ただいま先生御指摘のような不平等性というものは私どもも同じように感じておりまするけれども、この日本政府署名に際しましての声明において明らかにしておりますとおりに、私どもといたしましては、軍縮交渉の進捗状況、特に核兵器保有国の態度というものを注目している段階でございます。核兵器保有国の、特に大国である米ソの間におきまして、御承知のとおりに一昨々年、一九六九年の十一月からいわゆるSALT交渉が行なわれておる。これは御承知のとおりに、この両国間のいわば秘密交渉でございまして、正確なところは私どもになかなかわからない。ただ昨年の夏でございますか、これは核軍縮の本質に必ずしも触れるものではございませんけれども、モスクワとワシントンの間のいわゆるホットラインの改善、それからもう一つは、偶発的な事故の場合の処置という点に関しまして、これは全く周辺の問題ではございますけれども、とにかくこの両核兵器保有国の間に一歩前進が見られた。それから今年に入りましてから、御承知のとおりヘルシンキで第七回のいわゆるSALT交渉が始められておりまして、これも私どもその内容はなかなか正確にわからない。ただ新聞情報その他から判断いたしまして、あるいはABMに関しましてある程度の合意――どの程度かわかりませんけれども、ある程度の合意に達する可能性はあるかもしれない。また、これはたしか二月の初めでございましたか、ニクソン大統領が記者会見におきまして、潜水艦から発射いたしますミサイルについての合意、これは今度ニクソン大統領がモスクワを訪問するときになかなか合意に達することはむずかしかろうという、記者会見における説明をしておりますけれども、他面、あるいはこの面につきましても何らかの合意ができる可能性があるという報道にも接している。ただ、全体といたしまして、わが国NPT署名いたしました際の日本の意図、これを満たすものではないということは明らかであると思います。この意味におきまして、軍縮また安全保障面におきます日本が行ないました声明、この線にどの程度核軍縮の現実が進んでいるか、これを注目しているという段階でございます。  それから平和利用の面におきまして、ただいま先生御指摘のとおりに、ユーラトムとそれから原子力機関との間に交渉が進められております。私ども現在の立場といたしましては、このユーラトム自身による計量その他の措置をIAEAがどの程度認めるか、これをまた日本適用した場合にどうなるかという点、これを注目しながら、これも同じくこの声明で明らかにいたしましたとおりに、日本の立場が他国に比して不平等にならないように、また簡素化、合理化その他についても同じ程度に均てんしたいという態度で、現在ユーラトムとそれから原子力機関との交渉進展ぶりを見守っておる。この点につきましては、ウイーンにございますわがほうの大使館とも緊密に連絡いたしまして、どういうふうな措置をとるべきかということを注目して見ているという段階でございます。
  28. 石川次夫

    石川委員 政府のほうでも最終的な態度がはっきりしたわけでもないし、わが党ではまだ核保有国への適用が行なわれないという点について、相当疑問といいますか、不平等性というものについてぬぐい切れない不信感というものがありますから、賛成という態度にはなっておらないわけです。そういうことでありますので、いまの時点であまり突っ込んだ質問はできないのであります。でありますけれども、少なくともユーラトムには大幅な保障措置の移管が行なわれて、日本の自己査察というものについては大幅な移管が行なわれないというようなことがあったのでは困るということだけは、強く申し上げておきたいと思うのです。その点はぜひひとつお考えおきを願いたい。  原子力産業の産業活動の阻害要因というものを何とか除去していくこと、それから保障措置というものは平等であるということ、それから産業機密が漏れないということ、そういうふうな条件をなるべく満たすような形で、しかし、最終的には核保有国への適用ということはなかなかむずかしい。アメリカは軍用以外は公開をするような態度をとっておりますけれども、ソビエトに至っては全然これは見せないという態度ですから、どうもこの点はわれわれとしては納得ができないという不信感はぬぐい切れないわけなんです。しかしながら、いま言ったような条件を何とかかちとるような努力だけはぜひやってもらわなければならぬと思っております。  それから、これはちょっとこの話をしますと長くなりますからやめたいのでありますけれども、時間もありませんので簡単に申し上げますが、アメリカとの原子力協定で、私、ずいぶん長いこと議論をしたことがある記憶が残っておるわけであります。このNPTが批准されても、なおかつアメリカとの原子力協定は残るのですか。
  29. 影井梅夫

    影井政府委員 かりに日本NPTを批准した場合に、直ちに日米原子力協定を廃棄するということは、私どもは考えておりません。
  30. 石川次夫

    石川委員 それだとすると、たいへんこれは問題が残ってしまうのです。これはNTPに参加をする、批准をするということを前提としての原子力協定になるのですけれども、具体的に申し上げますと、たとえば日米原子力協定の第五条に「他方の当事国政府は、その情報が正確であること又は完全であることを保証せず、また、その情報資材設備及び装置がいずれか特定の使用又は応用に適合することは保証しない。」というふうな文句が出ておるのです。これはアメリカの非常に一方的な言い方。それから、これは第八条でありますけれども、「この条の規定に基づく合衆国委員会の要請に従って契約締結されない場合には、合衆国委員会は、このようにして契約締結を要請した同位原素U-三二五の濃縮ウランに関するすべての義務を解除されることが了解される。」一方的に解除してしまう。これが「この条の規定に基づく」ということがどういうことかということはたいへん議論になりまして、たとえば中国と日本協定したら一体どうなんだ、けしからぬ、ソビエトと協定したらどうなんだ、けしからぬということで、向こうで一方的に解除するというおどしがここに入っているというふうに読めるわけです。こういう点が残るのではないか。  あるいは第十一条、「国際原子力機関保障措置によって代置される範囲を除き、次の権利を有する。」ということになって、その中に「減速材物質若しくは合衆国委員会が指定するその他の資材のいずれかを使用し、加工し、若しくは処理する次に掲げる物の設計を審査する権利」というものが入っております。ところが、減速資材というのはNPTには入ってこないのですね。それからその他の資材というのもNPTには入ってこないのです。そうすると、たとえば先ほど話が出ました重水なんかは、日本でもつくれるけれども、安いからアメリカから買う。ところが、現実にその重水を見せてくれといって査察に来たということがあるのです。それからメーターを、日本ではちょっと精密なものがない、特殊なものがないということで、アメリカから入れるということになると、そのメーターの査察だということでまたのぞき込みに来るということが現実にあり得るわけなんです。ですから、NPTが批准をされたと仮定しての話でございますけれども、アメリカとのこの原子力協定はそのまま依然として生きるのだということになると、たいへんな権限をアメリカに付与しておるという形にならざるを得ないわけです。  それからまだあります。十一条のBの四項ですが、「B(2)の規定適用を受ける原料物質及び特殊核物質の計量に必要なすべての場所及び資料に日本国内において近づくことができる要員を指名する権利。」これをアメリカが持っているのです。これはNPTではおそらくアグリーする権利があるわけです。アグリーする権利ということは、拒否する権利というものもあるわけです。これは拒否できないのですよ。向こうが一方的に指名してくる、これは受けざるを得ないという一方的な原子力協定。これはまことにアメリカからしか濃縮ウラン供給できないという日本の弱みがありますから、こういうふうな一方的な片務協定みたいなものをのまざるを得なかったのではないかということで、当時もだいぶ問題にしたのでありますが、強引にまかり通ってしまったといういきさつを持っているわけです。  この一つ一つについて一々伺う時間の余裕もありません。ありませんけれども、これはNPT締結をされても原子力協定は更改をするとかあるいはまたやめるとかというふうなことは考えておらないといういま国連局長のお話だったのですけれども、これは非常な片手落ちのものが依然として残ってしまう。しかし、これは国際原子力機関、IAEAの査察ということになっておりますから、IAEAに一体この日本アメリカとの原子力協定におけるアメリカ側の権利がそのまま移譲されるのかどうかという法律的な問題も一つ残るわけです。そういう点をどうお考えになっていますか。これは、日本アメリカに全面的に依存しなければならぬので、多少の無理も聞かなければならぬということで、片務協定と私は言ったのでありますけれども、こういうふうなものにならざるを得なかったということはわかりますが、NPTが批准になったときにはこれは当然直すのか、それともこれは全部NPTのほうに移しかえるということでなければ、これはどう考えてもおかしいんじゃないですか。
  31. 影井梅夫

    影井政府委員 まだ実は厳密に詰めて考えているわけではございませんけれども、この日米原子力協定締結の際の交換公文、日付は一九六八年二月二十六日、ワシントンで行なわれました交換公文の第八項に、「両当時国政府は、協定規定がその時に存在する新しい状況に対処するに不適当となったときはいつでも、協定規定を改正する目的をもって相互に前議する。そのような協議は、いかなる場合においても、両当事国が原子兵器の拡散防止のための条約の当事国となったときは行なわれる。」この規定に基づきまして、少なくとも日本側からはこういった協議提案することができるというふうに考えています。
  32. 石川次夫

    石川委員 ですから、提案することができるんですから、こういうふうな片務的な協定NPTができた時点においては当然変えなければいかぬ。先ほどの御答弁では、これを変更するという意思はございませんという御答弁だったから私は聞いているわけです。そういうふうな、交換公文には出ておりましても、その意図がなければできないわけですね。これは非常に片務的なんですよ。これを読んでいくと、どう考えても、もうおまえのほうにくれてやるんだからこれぐらいの言うことは聞けと言わんばかりの、非常に高圧的な片務的な協定だということを、かねがね私は感じている。NPTというものが批准をされそれに参加をするということになれば、当然これは事情がだいぶ変化するわけでありますから、当然その他の国と国際間の協定らしいものに、平等なものに移しかえてもらわなければならぬ、こういう点を強く要望したいのですが、どうお考えですか。
  33. 影井梅夫

    影井政府委員 御趣旨よく承りまして、その趣旨で今後検討してまいりたいと考えております。
  34. 石川次夫

    石川委員 きょうはこれで終わります。
  35. 渡部一郎

  36. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後、原子力発電というものを、平和利用という点から政府としては非常に推進をされようとしておる、これはよくわかるわけですが、やはりその安全性ということについて十分注意をしていただきたい、これはもう常に私ども言っておることでございます。今後わが国の天然ウラン資源の必要性あるいはその確保策、これについてどのように考えておるか、さらに世界のウラン資源埋蔵量の状況等、まず簡潔にひとつお伺いしたいと思います。関係局長でけっこうです。
  37. 成田壽治

    成田政府委員 世界のウラン資源埋蔵量は、最近のデータによりますと百十六万トンということになっております。それから日本天然ウランに対する需要量は、昭和六十年度一年間で一万二千トン、現在から昭和六十年度までの累積量で見ますと十万トンということでございます。
  38. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、フランスオーストラリアからわが国天然ウラン等の核燃料入手する、そういう可能性についてどのように考えておりますか。
  39. 成田壽治

    成田政府委員 昭和六十年度において日本が必要な天然ウランが累積量で十万トンでありますが、この中には電力会社が短期契約、長期契約によりましてすでに確保しておるのが六万トンあります。この中には、フランスも四万五千トンぐらいの埋蔵量を持ってかなり資源量の多い国になっていますが、そのフランスの産出のウラン鉱のものも若干入っておりますが、オーストラリアにつきましては、先ほど御指摘がありましたように、政府輸出規制によって、いまのところこの六万トンの中には何も入ってないのであります。しかしながら、この協定ができますと、原子力協力関係が非常に促進されまして、今後必要なものはオーストラリアからのウラン資源に相当期待できるというふうに考えています。
  40. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで日豪協定を見ますと、「日本国ウラン資源を必要としていること、及びオーストラリアがそのウラン産業を発展させることを希望していることを認識して、」このようにあるわけですけれども、この規定趣旨あるいはその背景についてお伺いしたいと思うのです。  それからまたさらに、それに基づく具体的なそういうスケジュールあるいはプラン等についてはどうなっておるか。
  41. 成田壽治

    成田政府委員 日豪協定では、「日本国ウラン資源を必要としていること、及びオーストラリアがそのウラン産業を発展させることを希望していることを認識して、」と前文が趣旨を書いておりますが、これは先ほど言いましたように、日本原子力発電の伸展とともに非常に膨大なウラン資源量を必要としますので、埋蔵量の豊富なオーストラリアに対して大いに期待しておる。それからオーストラリアとしましては、自分のところに賦存しておりますところのウラン資源を使ってウランの精錬とかウランの加工産業を自国で興したいという希望を非常に持っておりまして、そういうオーストラリアの国策に対して、日本もいろいろな資材とか技術の提供をしてオーストラリアにおいてウラン資源の産業が発達することに協力してやる、そういう両者一体の利害関係から生まれた協定でございます。  それから、具体的な日本の計画としては、いまのところ動力炉事業団がオーストラリアの各地の有望地点で基礎調査をやっておる、そうしてかなり有望であるということがわかっておるという程度でありまして、むしろ具体的な計画は、協定が成立したあとにおいて非常に促進されて進展していくと思います。  それから、ウラン濃縮については、先ほど言いましたように、フランスオーストラリアとが、フランス技術を使ってウラン濃縮工場をつくるということができるかどうかという検討をやっておると思いますが、日本オーストラリアとは直接にウラン濃縮工場についての話し合いはまだ何も行なわれていないという状態でございます。
  42. 近江巳記夫

    ○近江委員 当然、この協定が結ばれる背景というものは、やはりいろいろなことがバックにあると思うのですよ。いま局長がおっしゃったことについて、私、そのとおりだと思いますが、しかし、ほかにまだありませんか、具体的なそういうスケジュールとかプラン、それを私は聞いておるのですから……・。
  43. 成田壽治

    成田政府委員 具体的に、ことに政府ベースの問題としてほかにはないのであります。ただ去年の夏ですか、アメリカから、アメリカ技術を使って、日本カナダオーストラリアその他ヨーロッパ諸国に働きかけまして、共同濃縮工場をつくることの検討を働きかけがあったのでありますが、その際、やはり石炭を使って非常に安い電気が期待されるオーストラリアというのが、安い水力を使うことが期待されるカナダとともに工場の立地地点としては各国ともその点は考えておったようでありますが、ただその話はその後具体的な進展を見ていない状況にあります。
  44. 近江巳記夫

    ○近江委員 わが国としては、それについてはどう考えておるのですか。
  45. 成田壽治

    成田政府委員 日本は、濃縮ウランが将来にわたって非常に必要でありまして、現在はアメリカとの日米原子力協定によって一九七三年まで着工する発電炉の所要濃縮ウランだけが確保されておりますが、これはアメリカとの原子力協定によって当分もらっていくことと思います。ただ、アメリカも一九八〇年になりますといまの三つの工場の能力が限界に来ますので、どうしても国際的なマルチナショナルの計画化、あるいはアメリカが新しく第四工場をつくることが必要になってまいっております。したがいまして、日本も国際的なマルチナショナルの計画に参加するか、あるいはアメリカの新工場に参加するかというそういう形で、一九八〇年以降のウラン濃縮の確保策としてはその方法によらざるを得ない。  そういう意味におきまして、まあサイトをどこへ置くか、欧州になるのかアメリカになるのか、オーストラリアになるのか、いろいろこれから検討すべき問題でありますが、そういう意味ではオーストラリアも重大な関心のある国として検討しないといかぬと思っております。ただ、いま日本濃縮ウラン工場の建設についていろんなスタディー、初歩的な検討をやっているのは、日本フランス、それから非公式ながら日本アメリカ、この二つ関係だけ行なわれておりまして、豪州と直接にまだ話し合いの段階には入っておらない。ただ、フランス豪州の二国間ではことしその話し合いが、協定といいますか話し合いが行なわれて進行しているというふうに聞いております。
  46. 近江巳記夫

    ○近江委員 このフランス及び豪州ですね、核燃料輸出にあたって、平和利用原則の堅持についてどういう態度をとっておるのですか。わが国としてはそれをどう受けとめておりますか。
  47. 成田壽治

    成田政府委員 豪州につきましては、先ほど申し上げましたように、全然ウラン鉱海外輸出を禁止しておりましたが、最近それが緩和されまして、政府許可のもとに置かれて、輸出価格が適正である場合、それからその輸出が輸入国において軍事目的利用されないこと、この二つ要件を満たす場合には認めるという基準になっておりますので、原子力協定ができまして、日豪間において平和目的に徹するという国際的な約束ができると、そういう面で輸出が相当伸展するもの、日本から見て輸入が相当伸展してまいるものと考えております。  それからフランスにつきましては、政府が核物質の海外輸出について一般方針を公的に表明したことはありませんが、日本フランスとのこの定交渉において平和利用保障され、そしてその平和利用についてIAEAの国際的な保障措置適用がなされるならば輸出も考えられるということを表明しておりますので、そして先ほどのすでに手配済みの六万トンの中にはフランスの産出のウラン鉱も若干入っておるということを考えますと、日本の輸入がかなり期待できるというふうに考えております。
  48. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで先ほど石川委員もおっしゃったわけですが、IAEAの現在の保障措置の制度の問題ですが、これは日本だけが非常にシビアなそういう査察を受ける。これについては政府も前から公平にいけるように努力をする、こういうようにおっしゃっていたわけですが、その後どういう公平のための運動をしておるか。あるいはこの制度のそういう行き方について政府としてはどういうように思っているか。これでいいのかどうか、その辺の忌憚のない御意見を聞かせてもらいたいと思うのです。
  49. 成田壽治

    成田政府委員 御承知のように、一昨年の秋だったと思いますが、日本原子力発電株式会社の敦賀の発電炉につきまして、IAEAの保障措置が非常に厳重過ぎるという問題があって、かなりトラブルがあったわけでございます。これにつきましては日本側が厳重な抗議もやりまして、その後IAEAの保障措置が、昨年は大体十回くらい受けております、それからことしに入ってはいままで四回受けておりますが、そういう敦賀炉の問題等の反省もありまして、いろいろな意味で改善をされて、現在は一昨年のようないろいろなトラブルを起こすような問題は出てない、そういうふうに考えております。  ただ、先ほど話がありましたNPTの、日本はもちろん参加がきまっているわけではありませんが、このNPTにおける保障措置委員会において、日本の意見も十分取り入れたモデル協定案というのが案として決定になっておりまして、このモデル協定案がNPT加盟国である非核保有国とIAEAとの保障措置協定のモデル基準になるということになっておりまして、このモデル協定案によりますと、さらに査察が合理化、簡素化されて、たとえば査察員が立ち入る施設は事前に締約国の同意をとった施設に限定されるとか、それから査察の業務量が、施設によって最大業務量という一つの限界が設けられて、その以内で行なわれるという、査察の業務量の限度も設けられ、それから日本が、その国が、自己管理が十分であるという、信頼できるという程度に応じまして、IAEAの査察も簡化素される、そういう非常に改善された案がモデル協定案としてIAEAにおいて承認になっております。これはもちろんNPTへ入るかどうかというのは、これはきまった問題ではありませんが、もしも入った場合には、そういう意味でいまよりもさらに合理化され、簡素化された査察の受け方になるということは、原子力利用面では言えることだと思います。
  50. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから原子力委員会とCEA、フランス原子力庁の間でウラン濃縮についての可能性調査するワーキンググループが設けられて作業しておるということも聞いておるわけですが、どの程度のことをどういった方向で作業しておるのか、これについてひとつお伺いしたいのです。
  51. 成田壽治

    成田政府委員 去年の夏にフランスから非公式に、フランス濃縮技術を使って、最大の消費国である日本フランス共同濃縮工場をつくる検討をやらないかという申し入れがありまして、まあ調査団も派遣して、そしてその結果フランス濃縮工場を――参加するという前提ではありませんが、参加するべきかどうかという検討をするために、濃縮工場技術の問題、それから経済性の問題を検討するワーキンググループをつくって、最初はことしの三月の末に東京においてフランスの代表のワーキンググループと日本のワーキンググループとの会議が持たれたわけであります。しかし、これは最初でありますので、いろんな今後のやり方とかそういう点が検討されて、そして第二回目は六月ごろパリでまたやるということになっておりますが、大体来年のいまごろまでにはワーキンググループとしての結論を出したい、そういう計画になっておりまして、この検討によって、フランスとのマルチナショナルの計画に日本が参加すべきであるかどうかという決定がこのワーキンググループの検討結果によってきまると思っております。
  52. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどもお聞きして、大体のそういう傾向というものは私はわかったわけですけれども、フランス原子力庁、CEAが、三月九日にフランス豪州共同オーストラリアウラン濃縮工場を建設する、そういう可能性調査する、このように発表したわけですが、今回のこういう日仏あるいは日豪協定を見ておりますと、そういうフランスの動き等考えまして、一つのそれは考えであるということは先ほどおっしゃったわけですが、私は非常に可能性の濃いそういう背景のもとに今回の協定が結ばれたのではないか、このようにも考えるわけですが、その辺の点についてもう少し詳しく、ひとつ局長と大臣にお伺いしたいと思います。
  53. 成田壽治

    成田政府委員 先ほど言いましたように、日本ウラン濃縮がどうしても大量に必要であって、アメリカの能力も一九八〇年になると限界になるので、どうしても国際的な濃縮工場に参加するというかっこうで確保することが必要だと思います。そういう意味で、フランス提案あるいはアメリカ提案等についても十分検討すべき問題でありますが、ただ、これはいろいろ技術の問題、それから経済性の問題等がありまして、フランス日本の国際濃縮工場日本が参加するという前提でワーキンググループの検討に入ったのではなくて、いまのところは参加すべきかどうかという検討のためのワーキンググループである。それからアメリカにつきましては、まだ具体的な検討が行なわれておらないのでありますが、これにつきましても同様の見地から慎重な検討が必要であろうということで、決して参加する方針で具体的な問題の検討に入っているというところではないのでございます。
  54. 木内四郎

    木内国務大臣 いまの濃縮の計画については、局長から申し上げたとおりですけれども、この日豪協定を結びました趣旨は、やはりわが国ウラン供給源の拡大ということにねらいがあるのは当然でありまして、そういう意味からいいますと、それは同時にさらに濃縮にも関係してまいるわけですし、しかし、濃縮だけでなく、そのもとの原鉱をやはり確保しておくことが必要だ、そういうことで日豪協定が結ばれたのでありますが、これから先の進展というものは、当然濃縮の問題、国際濃縮計画あるいはわが国濃縮計画の問題に関連してくるものだと思います。
  55. 近江巳記夫

    ○近江委員 関連してくるということをおっしゃったわけですが、そうしますと、日仏豪あるいは三国共同事業のそういう可能性について具体的な検討が行なわれる第一歩と考えていいわけですね。どうですか、大臣。
  56. 木内四郎

    木内国務大臣 関連があるのですけれども、第一歩とお考えになるところまではまだ行っていないと思うのです。いずれにしましても、ウラン供給源を確保しておきたいというのがこの条約のねらいでございます。
  57. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからいよいよ沖繩が今度返ってくるわけですが、本委員会においても特に那覇軍港等でコバルト六〇等が検出されたというようなこともありまして、沖繩のそうした問題について、この調査の準備をしてもらいたいということも言っておったわけですが、具体的なスケジュールはどうなっておりますか。
  58. 成田壽治

    成田政府委員 沖繩におきまして、アメリカ原子力潜水艦は二年くらい前までは那覇港とホワイトビーチの二つに寄港があったのでありますが、最近はホワイトビーチだけになっております。おそらくいろいろ交渉した結果におきましても、将来はホワイトビーチに寄港するようになるのではないかということで、いろいろな事前のモニタリング等の調査も、こちらから専門家が行ってやって、そして五月十五日の沖繩返還後におきましては、日本での佐世保、横須賀と大体同じような放射能調査をやれるような体制を、これは沖繩県が主体になってやるのでありますが、そういう意味で返還後すみやかに体制を整えるということでいま準備を進めておるところでございます。
  59. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう点については、こういうことはスケジュールが非常におくれるものでありますから、いまから準備を万端にして、できるだけすみやかにそういう体制をとり、また進めてもらいたいと思うのです。これについて大臣何かありましたら……。
  60. 木内四郎

    木内国務大臣 この問題につきましては、いまお話しのように、やはりいつ入ってくるかわかりませんけれども、準備万端は十分にやっておくつもりであります。
  61. 近江巳記夫

    ○近江委員 いつ行なわれるかわからない、そういうことでは困るわけですよ。ですから、やはりいま局長もすみやかにということをおっしゃっているわけですから、大臣としてはもう一歩進んで、いつごろからやるというくらいの答弁は、またしてもらわないと、そういう抽象的なことでは困るわけです。
  62. 成田壽治

    成田政府委員 大臣言われましたように、返還になったら十分体制が整っているように、いろいろ事前の準備をやっておりまして、たとえばモニタリングカーとか、製作にかなり期間を要する設備につきましては、ことしの一月ですか、予備費から支出していまいろいろ製作しておりまして、大体五月中にはモニタリングカーを中心とした放射能調査体制が完備されるという情勢になっております。
  63. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、その中身は大体どの程度になるのですか、佐世保とか横須賀には手を打っていらしゃるわけですけれども、沖繩についてはどのくらいの規模でやるのですか。
  64. 成田壽治

    成田政府委員 予備費四千万円を含めまして、それから実際の運営費等を入れまして、四十七年度の予算としては七千万くらいの予算を用意しておりまして、大体佐世保、横須賀――ただ地形の変化によりまして、佐世保や横須賀と地形が違っておる点に関連しましては、地形に合わせた放射能体制を考えておりますので、地形の違いによる差異はありますが、大体本土並みのちゃんとした放射能体制が確立されることになっております。それから県の担当官の教育も十分やらないといけませんので、そういう教育につきましても、いままでにかなり研修等もやって整備しておるつもりでございます。
  65. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでホワイトビーチということをおっしゃったわけですが、しかし、向こうは向こうとしてやはり軍事機密があるわけですよ。協定に基づくままで使っておった軍港がやはりたくさんあるわけでしょう。そういうことを、ただホワイトビーチだけということで限定をしていいかどうかという問題なんです。その辺のことについてははっきりとした協定はできているのですか。
  66. 成田壽治

    成田政府委員 米軍と外務省との折衝によりまして今後はホワイトビーチになるということは大体確定的なのでありますが、ただ、あそこは米軍の基地でもありますので、放射能調査をやるには米軍の協力も十分にないと実効があがりませんので、その点につきましては外務省が米軍と十分話し合って、しっかりした取りきめをきめることになっております。
  67. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは外務省も来られておるわけですから、その辺のいままでの経過あるいは見通し等についてお伺いしたいと思います。
  68. 成田壽治

    成田政府委員 いままで外務省の国連局長がおりましたが、協定関係は国連局でありまして、沖繩関係アメリカ局でありますので、局の分担が違いますので、お帰りになったというふうに思っています。
  69. 近江巳記夫

    ○近江委員 局の分担が違うといって、この法律は外務省検討するんだけれども、私もきょうはそのこと並びに関連のことについてやるというのですから、石川委員だけがこの法律をやったのとは違いますよ。私もちゃんと通告しているのですから……。何で外務省は帰るのですか。問題ですよ。すぐ呼びなさいよ。
  70. 石川良孝

    石川説明員 局長は帰りましたけれども、この協定関係の審議には私が来ておりますので、協定関係につきましては十分お答えできると思いますが、ただいまの御質問につきまして、私自身直接やっておりませんので、この場ではお答えすることができませんので、その点につきましてはアメリカ局からよく調べましてお答えしたいと思います。
  71. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは、委員長にお願いしておきますが、直ちに呼んでいただいて、説明をさせるようにひとつお願いしたいと思います。
  72. 渡部一郎

    渡部委員長 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  73. 渡部一郎

    渡部委員長 速記を起こして。
  74. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、沖繩にも関係するわけですが、原潜の安全性ということについて、われわれとしては一次冷却水の問題もありますし、あるいは事故、この前の要するに補償の問題で相当本委員会でも何回も討議したわけです。あのときにわれわれが質問して、政府にそういう安全性を迫って、その後相模湾あるいは土佐湾のそういう原潜の訓練海域というものがはずされたわけですが、われわれとしてはそれでは満足できない。チャーリー海域をはじめとして日本近海のそういう周辺海域は非常に船舶も多いし、事故の可能性もある。そういう点で、縮小の方向で政府検討を願いたい。さらに沖繩周辺海域を見ますと、ほとんどがそういう訓練海域になっている。したがって、この縮小あるいはわれわれとしてはなくす方向で考えてもらいたいといままで言っておったわけですが、その後どのように検討されているのですか。防衛庁もきょうは来ておるはずですからお聞きしたいと思うのです。
  75. 渡部一郎

    渡部委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  76. 渡部一郎

    渡部委員長 速記を起こして。
  77. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから例の秘密の問題がこの間からマスコミでも非常な問題になったわけです。国民も非常に大きな関心を示しておるわけです。そこで、できるだけというよりも、秘密はなくしていく。それはやはり一国の政治においてはそういうこともわれわれもわかりますけれども、国民が知るべきそういうことまでふたをしてしまう、何でもかんでもマル秘にするということは私は非常によくないと思うのです。特に科学技術庁は原子力にしろ公開の原則がうたわれながら、企業秘密とかいろいろなことがありまして、われわれとしてもその辺の問題については一まつの不安を抱いておるわけです。そういう点で少なくともこの国会答弁においてはほんとうのことを言ってもらいたいし、あるいはわれわれが質問の準備をするときにおいてもわれわれの質問を封じるというような、本委員会でわれわれが質問する前の準備としていろいろお聞きしているときでも、ほんとうでないことを言っておる。これはないとは言えぬわけです、私は現実に体験しておるのですから。  たとえば館山沖にああいう放射性廃棄物をほっておる。私はずっと以前から聞いておったから、ほってないか、ほってないかと何回聞いたって、ほっておりません。そうして、若干ほっておるようです、半年くらいたってからそういうようなこともあって、私が昭和四十五年の十二月九日に本委員会質問しているわけです。そのときにどういう答弁かといいますと、何本ぐらいほったかと私が聞いたのに対して、そのときは梅澤さんですよ。梅澤さんが、約百本弱だ、こう言っておるわけ。その後、うちの矢追参議院議員が同じく参議院の科学技術特別委員会で翌年の三月十九日にやっておるわけですよ。これは一般マスコミが全部取り上げたわけですけれども、このときははるかに本数がふえまして、合計二百リットルのドラムかん千六百本、十年の間に館山沖四十キロのところの二千六百メートルの深さのところに放棄した。国会答弁においてそういういいかげんな答弁をしてもらっては困るのですよ。しかもわれわれが準備のときにそういうことを打診していろいろ聞いておるときに、そういうことはない。こういう秘密性ということについて今後そういうような行き方をあなた方がするなら、われわれだって徹底的にあらゆる調査をしなければならぬわけですよ。われわれは国民の代表として聞いておるわけですよ。  こういう秘密性ということについてどう思いますか。そのときは成田さんは局長でなかったけれども、成田さん、それから大臣の率直な反省の答弁をひとつ私はお聞きしたいと思う。
  78. 木内四郎

    木内国務大臣 いま何か御説明申し上げるのが十分でなくて、たいへん失礼したような点があったらしいのですけれども、私は、故意にやったのではなくて、勉強不足か何かで資料をそのとき持ってなかったような関係で、ちょっと食い違ったお答えをしたんじゃないかと思うのですが、いまお話しになったようなことは今後は十分に気をつけさせ、そういう間違いのないようにひとつさせたいと思いますから、御了承願いたいと思います。
  79. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは、そういうような言い方をしてしまえばそれまでのことですけれども、事はそういう個人的なことじゃないわけですよ。われわれは少なくとも国民の代表としてこの委員会でやっておるわけです。それだったらそれで、それではただいま調査をして正確な数字を言うなら言う、そうでなくちゃ困るわけですよ。われわれは皆さんを信頼して、百本と言われたら、ああそうですか、われわれは何も現地で勘定したわけではないし、皆さんの言うことを信用するしかないわけでしょう。その当時原子力局の幹部だった人もこの中にいらっしゃるでしょう。お聞きになっているはずです。その当時原子力局におられて関係しておられた人、どなたでもけっこうですから、ひとつお聞きしたいと思うのです。
  80. 成田壽治

    成田政府委員 当時私は原子力局におらなかったのでありますが、議事録を見ますと、四十五年の十二月、約百本ぐらいじゃないかという答弁を局長がやっておりますが、四十六年の三月におきましては、局長昭和三十年から四十四年まで十五回、二百リットルのドラムかんで千六百本、館山沖四十キロのところの水深二千六百メートルのところに実施しておりますと答えておりますが、このあとの昭和四十六年三月の答弁が、われわれもその後いろいろ調べた結果、これは非常に正確なものでありまして、その後昭和四十四年十月以来は海洋投棄は一回も行なわれていないという実情でございます。答弁が食い違っておったので申しわけないと思っています。
  81. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、この委員会で公に質問したときは当然として、その前にも――われわれは委員会ですべてのことを何も言っているわけじゃないわけですよ。時間的な制約もあるし、やはりわれわれとしては一番お聞きしだい点をその与えられた時間の中でやっているわけですよ。そういう点で前もって政府の方に聞いて、そういうことはありませんと、それじゃ悪く言えばわれわれの発言、都合の悪いことについては委員会質問させない。そしてもう答弁しやすいような、そういうことについては資料を持ってくる。そういう秘密性というものは絶対に許せない。  いま、科学技術庁にはどのぐらい秘密があるのですか。まあ秘密の中には極秘とかいろいろあるらしいですけれども、どのぐらいあるのですか。数ぐらい言うていいでしょう。
  82. 井上保

    ○井上政府委員 ただいま手元に資料がございませんので、正確な数字は覚えておりませんが、最近調査いたしたところによりますときわめて予想外に少のうございまして、大体うちでは機密、極秘、秘文書、三種類に分けて整理をいたしておりますけれども、機密文書はたしか一件もなかったと思いますし、極秘文書もほとんどなくて、一件もなくて、秘文書が若干ございましたけれども、これも非常に少数でございます。それで、私そのとき各省のものをずっと注意して見たんでございますが、科学技術庁は非常に少ないという印象を持っております。
  83. 近江巳記夫

    ○近江委員 官房長はそう言いますけれども、やはり官房長というのは一番大臣のふところ刀ですから、あなたは一番やはりそういう点についての今後は責任があるわけです。いま私が言ったことについて、そういうような傾向があったことはもう間違いないのですから、私のこの事例を通してでもはっきりしているのですから、これについてはあなたはどういう反省をしておりますか。今後またあなたはどういう決意で臨みますか。
  84. 井上保

    ○井上政府委員 ただいま先生から御質問がございましたような点につきましては、従来も十分に注意いたしてまいったのでございますけれども、今後ともそういうことのないように極力デ一夕を整理いたしまして、十分に勉強して資料を提出するというふうにいたしたいと思います。
  85. 近江巳記夫

    ○近江委員 ついでに言っておきますけれども、いままで原子力発電所あるいは原研等のそういう施設等についての安全性ということはもうわれわれ何回も言ってきたわけです。それでそういう事故があって、その後はこういうことはすみやかに注意すべきは注意し、公表すべきは公表する、こういうことであった。私がいま申し上げるのは過去のことでありますけれども、たとえば本委員会で取り上げたプルトニウムの飛散した事故にいたしましても長い間伏せておった。科学技術庁はともすればそういうやはり傾向があるわけです。  ですから、そういう点は大臣、私は大臣自身の御性格からいってそういうことはないと思うのですけれども、しかし、現実にはある。ですから大臣としては、特に科学技術の面については秘密を隠してやってくる、やはり両刃の剣的なものが多いわけですから、ほんとうに重視してもらわなければ困るわけです。その点ひとつ大臣の反省をお聞きしたいと思うのです。
  86. 木内四郎

    木内国務大臣 どうも科学技術庁は非常に秘密が多いようなお話でしたけれども、いま官房長から申し上げましたように、科学技術庁じゃほとんど秘密はないんです。私はまたこういう性格だからもう何もかもあけっぱなしで委員の方に申し上げておる。それでときにはしかられたりなんかしますけれども、そんなようなわけで、ただ時間的に新聞社の関係等もありまして、ここで一緒に発表する、それまでは秘密だ、こういうことはよくあるんです。これはどこの役所にもあり得ることだし、これは科学技術庁だけという意味でなくて、対外関係でそうしたほうがものごとがスムーズになごやかに円満にいくだろうという考え方からきておるのでありまして、特に秘密にしているというようなことはほとんどありません。  そこで、ことに原子力につきましては御案内のように自主、民主、公開、もう世界の各国が驚くように日本には何もかもみんな自分たちの秘密は出せないというくらいに日本はオープンになっておりますから、故意に私のほうは秘密にしているということは私はないと思うのです。ただ、さっき申し上げましたような政府委員の答弁は、ちょっと勉強が足らなかったのですね、私に言わせれば。だから、そういう点はまことに申しわけなく思っております。今後は、いま官房長が申しましたように、十分に気をつけさせたいと思います。お答えする場合には自信を持って正確な資料によってお答えする。実はきょうは資料を持ってませんがこんな程度かもしれませんなんという答弁をしておくと、あとになっておしかりを受けるようなことになりますから、そういうことのないようにひとつ注意させたいと思います。
  87. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで来ましたですか。――そうしたら、吉田委員も予定しておりますので吉田委員にかわって、入りましたら、吉田委員にお願いしておきますが、すぐチェンジさせてもらいたいと思います。
  88. 渡部一郎

    渡部委員長 次に吉田之久君。
  89. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 私もちょっと外務省のほうにおきし聞たいことがあるんですが、あとでまた見えたときに近江さんと一緒に御質問をいたしたいと思います。  そこで、まず、このオーストラリアフランス両国に対して原子力平和利用協力協定というものが調印されたということは、まことに喜ばしいことでございます。先ほど石川委員質問にもお答えなさっておりましたが、現在世界じゅうに埋蔵されているウランは百十六万トンであろう、そうしてわが国昭和六十年までに必要と目されるウランは約十万トンである。すでに確保したものが六万トン、その中にはすでに民間の電力会社等がフランス等と契約を結んでいるものも若干入っているという御説明でございますが、この両国に対する協定が結ばれることによって今後輸入でき得るウランの量というものはどの程度上積みされる見通しがついたのかということをまずお聞きいたします。
  90. 成田壽治

    成田政府委員 この両協定によってどれだけウラン資源ウラン鉱日本の確保量として上積みになるかという点につきましては、まだこれからの問題でありますので具体的に答えられないのでありますが、先ほど申し上げましたように、いままで確保されている六万トンの中には七千トンぐらいフランスとの契約ものがありますが、今後これもかなりふえるだろう。それから六万トンの中に一トンも入っていないオーストラリアウラン資源の確保につきましては、先ほど述べましたように一年、二年の間に十万トン以上も埋蔵量の増加分が発見になっているオーストラリアの賦存状況からしまして、相当オーストラリアからの確保量は増量として期待できるのじゃないか。そして現に動力炉事業団の基礎調査も各地有望地点の調査も行なっており、また、日本の商社も相当オーストラリアの鉱山会社との接触もとっておりますので、この協定が結ばれて、日本が軍事利用のおそれが条約によってないということになりますと、相当な購入成約が期待されると同時に、日本オーストラリア共同探鉱、さらには開発に進むケースも相当出てまいると思います。どのくらいになるかはむしろ協定成立後の動きによってきまると思いますが、われわれは相当期待しておるところでございます。  で、先ほど述べましたように、六十年度で十万トンに対して六万トン確保されているということは六割でございますが、昭和六十五年になりますと十七万トン必要になりますので、その場合でも六万トンしかいま確保されていないということでありますので、五年先を見ると確保をしている量が非常に少ない。そういう意味海外探鉱開発もむしろこれから――先ほどカナダアメリカの失敗の例もありますけれども、各地へ日本開発に乗り込んで、そして少なくとも三分の一くらいは確保したいというのが委員会の方針であって、成功払い等の制度もことしからとられた、そういう意味で国内的にもかなりわれわれは期待していいんじゃないかというふうに考えております。
  91. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 昭和六十年までに約十万トンという見通しでございますが、これはこの間も石川委員質問の中でおっしゃっておりましたけれども、当初昭和六十年では原子力発電は四千万キロワット程度となるであろうというふうに想定されておったものが、つい最近になって約六千万キロワットアワーにスケールアップしてくるのではないか。一体この十万トンという数字のはじき方はどちらを見越してのことでございますか。
  92. 成田壽治

    成田政府委員 去年の暮れの通産省のエネルギー調査会で昭和六十年度の原子力発電量が六千万キロワットという修正になっておりますので、この計算は六千万キロワットの新しい見通しに基づいて計算しておるのであります。
  93. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 さて、輸入されるウラン資源の見通しについてはまだ確たる答えは出ないようでございますけれども、先ほど局長がお述べになりました軍事利用のおそれがないという確認が得られた場合ということに関してでありますけれども、わが国におきましては、いま大臣がお述べになりましたように、もう全く平和利用に限られておる。国会の決議も完全になされ、政府もその方針を非核三原則という中で明確に打ち出している。だとするならば、一体そういう両国間のお互いの確認というものは具体的に今後どのような手順がなお必要なのであるかということをお教えいただきたい。
  94. 成田壽治

    成田政府委員 平和利用の確認につきましては、まあ国内的には御承知のように原子力基本法がありまして、これはわれわれの憲法として非常に重視すべき法律として、その下にいろいろな規制法等がありますが、これは平和利用に徹するというためのいろいろな制度がとられております。それから国際的に協定等におきましては査察保障措置制度がありまして、この日豪日仏等に見ましてもIAEAと日本フランスあるいは日本オーストラリア、IAEAの三者協定をこの協定の発効と同時に結びまして、そしてたてまえとしてIAEAの国際査察を受けることによって日本入手した燃料核物質等が十分平和利用に徹して行なわれておるかどうか。軍事利用には絶対流されてもないし、また、そのおそれもないということが国際的に確認されることになりますので、また、そのためのむしろ条約ということでありますので、この点も十分心配のないようなたてまえになっておると思います。
  95. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 それでは今後日本の必要な、先ほど申し述べられました十万トンないし六十五年までは十七万トンというウラン入手につきましては、この条約が結ばれた後、オーストラリアに対してきわめて積極的にその辺の交渉が推進、拡大されていくならば、ほぼわが国の将来の見通しは成り立つものとお考えになっているのかどうか。
  96. 成田壽治

    成田政府委員 六十五年の十七万トンの累積所要量が、この増分が全部オーストラリアに期待できるかどうかというのはもっと検討しないといかぬのでありますが、このうちの、増量の相当部分オーストラリアに期待できるのじゃないか。それから最近、先ほどお話のありましたように、ニジェール等のアフリカの――南アフリカはちょっと政治的な事情があってあまり期待できないと思いますが、その他のアフリカの各地におきましても、動燃事業団基礎調査によると相当有望な地点が考えられる。それが企業探鉱あるいは開発になるには相当時間を要すると思いますが、そういう新しい地点の今後の開発というものにも相当期待できる。そういうことを考えますと、日本の六十五年十七万トンというウラン鉱は、もちろん相当な馬力をかけて政府も積極的な行政をやって初めて確保されるということになると思いますが、そういう意味ではまあ期待できると思います。
  97. 近江巳記夫

    ○近江委員 それではお見えになったようですのでお聞きします。  もう一度申し上げますけれども、本委員会におきまして原子力の損害賠償の件で法案を審議したときに、米原潜の一次冷却水をはじめとして、あるいは船舶との衝突事故等を考えて、そういう危険性ということが非常に大きな問題になったわけです。そういう点で特に相模湾あるいは土佐湾、そういうところが原潜の訓練海域になっておる、これはまずいじゃないかということでわれわれ申し上げ、その後これが取り消しになったわけです。いずれにしましても、今後、日本経済のそうした成長等も考えていきますと、やはり日本近海の船舶の航行というものはふえる一方である。そうなってきますと、たとえばチャーリー海域をはじめとして数多くのそういう訓練海域がある、こういう点については当然事故の発生等も考えられるし、今後の、将来の方向として縮小あるいは廃止の方向にいってもらいたい。さらに沖繩を考えますと、ほとんどの海域が訓練海域に指定されておる。したがって、当然沖繩が返還になったときにはそういう訓練海域の大幅な縮小なりあるいはできれば廃止をしてもらいたい、こういう方向で検討してもらいたいということは、私も何回もその点を申し入れもしておったわけです。いよいよ沖繩も返ってくることになりまして、その点できょうは特にこういう原子力の外務にかかっておりますフランスあるいは豪州との協定の問題さらに原子力の関連問題をやっておりますのできょうお伺いしたわけなんです。  そういうことでございますので、ひとつできるだけ詳しくその問題についてお聞きしたいと思うわけでございます。
  98. 宮川渉

    ○宮川説明員 たいへんおくれまして申しわけございませんでした、ちょっと会合をやっておりまして。  いまの御質問二つあったかと思いますが、第一点は本土のほうの話で、先生御指摘のように、昨年この委員会におきましても、土佐湾、相模湾の潜水艦訓練水域と申しますものについて御質問があり、それからいろいろ危険もあり得るからこれについての廃止等アメリカ側と話せ、こういうお話がありまして、それでこれも御承知のように、土佐湾につきましては昨年米側との話がつきまして解除になっております。それから、これはアメリカ側に対しましてもしょっちゅう申しておることでございますし、国会でもしばしば政府から申しておりますが、こういう演習水域というものも、もちろん安保条約のもとにおきまして、米軍の必要とする施設、区域それから水域というものを提供するという日本側義務がございますけれども、他方わが国の国民の生活、安全それから経済の発展、こういう見地からしまして絶えず検討してもらい、必要でなくなったものは返してもらう、こういう方針で臨んでおることは御承知のとおりでございます。今後とも本土の周辺の水域につきましては同じような態度で絶えずアメリカ側と連絡をとり、解除できるものは解除していきたい、こういうのが方針でございます。  ただ、一言だけ申しますと、御指摘のありました土佐湾の水域にしましても、これは原潜の訓練水域ということではございませんで潜水艦の行動区域ということでございますので、原潜のための訓練水域、そういうことではございませんので、この辺だけは一言つけ加えさせていただきたいと思います。  それから沖繩につきまして、御指摘のように非常に広範な水域を演習水域にしておりますが、これにつきましては鋭意アメリカ側と折衝しておりまして、その方針といたしましては、これも先生が御指摘になりましたように、航行の安全とかあるいは日本側の漁業の利益とかそういう観点からできるだけこれを縮小していく。ことにこれから沖繩におきましては経済開発というような計画もだんだん出てくるわけでございますから、そういうことをいろいろ指摘いたしまして折衝しておりまして、ただいま現在の段階ではまだ最終的に確定しておりませんので具体的に申し上げるのはごかんべん願いたいと思うのでございますけれども、現在というかいままで米軍が使っておりました水域につきましては相当程度範囲を縮小するなりあるいは使用条件というものを限るなりという方向で話を詰めておりますので――もちろん全くなくすということにはなりませんけれども、従来からのアメリカ側の使いように比べれば非常にこれは縮小と申しますかできるかっこうになってきております。もちろんこれも従来から大臣その他が申しておりますように、復帰後も引き続きそういう方向でアメリカ側とも話をしていく方針でございます。
  99. 近江巳記夫

    ○近江委員 一点は、日本近海につきましてその後ほぼ煮詰まっておるところも私あると思うのですよ。沖繩については非常に縮小しておる、そういう抽象的なことではなくして、それは最終結論にはまだいっていないにしても、どの海域がそういう検討にあがっておって、全体としてそれは大体何分の一に縮小するのか、その計画がなれば。その辺のところは最近はもう――先ほども私、科学技術庁長官に言ったのですよ、何でも秘密にしていこうという政府のそういう姿勢があると。ですから、その辺のところはやはり忌憚なく言っていただきたいと思うのですよ。
  100. 宮川渉

    ○宮川説明員 ごもっともでございますが、何でも秘密にする、そういうことではございませんので、まさに、まだ交渉が完了しておりませんものでございますから、いまの段階で具体的に申し上げることは、まことに申しかねますけれども、ごかんべんいただきたいのでございます。  ただ、先ほども申しましたように、従来あそこの地域、陸上も水上も米側が全部管理をしておったわけでございますから、いわば非常に自由に使っておりましたのを、たとえばわがほうの船舶の航行の通路に当たるところは避けるとか、あるいは漁業が盛んであるところはその水域を縮小するとか、あるいは演習の時間をはっきりさせるとか、あるいは事前通告をなるたけ前広にさせるとか、いろいろそういう点を要求いたしまして、これは実は面積――いま具体的に資料はございません、申しわけございませんが。先ほど申し上げましたように、いまいわば最終的な詰めの段階でございますので、そういう具体的な数字、ちょっと申し上げられませんけれども、相当に、現状に比べれば復帰後は縮小されるということは申し上げられると思います。
  101. 近江巳記夫

    ○近江委員 相当、相当ということをおっしゃっておるわけですが、それなら沖繩について何割ぐらいなくなるのですか。そのぐらいは言えるでしょう。
  102. 宮川渉

    ○宮川説明員 ちょっとこれは、ほんとうに申しわけないのでございますけれども、いま、数でどれだけとかあるいは面積でどれだけということを集計しておりませんので、隠しだてするのではなくて、ほんとうにまだはっきり言えないのでございます。  しかし、たとえば一例を引きますれば、施設、区域の前面の水域というのがいろいろ演習に使ったりなんかするので制限をやっておるわけでございますけれども、こういうものも原則としては――これは本土でもそうでございますけれども、施設区域の前面、いわゆる保安のためのでございますね、五十メートルとか百メートルとかこういうふうに限られておりますので、原則としては沖繩においてもそうしろ、たとえば場所によりましては五百メートルとか七百メートルとか、非常に広い水域をとっておりましたのを、そういうふうに縮小させるとか、そういうことでいろいろ話をしておるわけでございます。
  103. 近江巳記夫

    ○近江委員 防衛庁も来られておるわけですが、直接の窓口はもちろん外務省を通じてやっておられると思うのです。当然安保条約のそういう関連性からいっても防衛庁は非常に密接な関係にあるわけですが、防衛庁はその辺はどのように検討されておるのですか。
  104. 高島正一

    ○高島説明員 お答え申し上げます。  その点につきましては、目下連日、外務省と詰めておる段階でございます。
  105. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃ大体いつごろはっきり決定するのですか。
  106. 高島正一

    ○高島説明員 はっきり何日ということはいま申し上げかねますが、とにかく五月十五日の復帰に間に合わせるように鋭意努力中でございます。
  107. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、相当大幅に縮小するということをおっしゃったわけですが、大体何割ぐらい縮小するのですか。
  108. 高島正一

    ○高島説明員 先ほど外務省参事官からお答え申し上げたとおりでございまして、まだ私ども何割というふうなことを申し上げられる段階にはございません。
  109. 近江巳記夫

    ○近江委員 沖繩もなんですけれども、日本近海の船舶の航行というのはたいへんなんですよ。漁場がだんだんまたこのように公害問題等で荒らされてきておりますし、これについて具体的な点をさらにお聞きしたいと思うのです。日本近海については日米間でどういう煮詰めをやっておりますか。
  110. 宮川渉

    ○宮川説明員 これにつきましては、具体的な例が昨年の晩秋でございますか、先ほどお話のありました土佐湾を含めまして、あるいは東京湾あるいは佐世保という水域につきまして廃止がなされたわけでございます。それ以外の水域につきましては、ただいま現在どこがどうということは申し上げられる段階ではございませんが、先ほど申しましたように、絶えず向こうの必要というものとにらみ合わせて、必要でなくなるものは解除するようにということを随時アメリカに要望しておる次第でございます。
  111. 近江巳記夫

    ○近江委員 沖繩海域については相当大幅に縮小するということはおっしゃったわけですが、日本近海についてもう少し具体的なそういう表現はないのですか。
  112. 宮川渉

    ○宮川説明員 沖繩につきましては、これもちょっと先ほど申し上げましたように、いままでいわばアメリカが管理権を全面的に行使しておりますので、非常に、何と申しますか、自由にと申しますか、腹一ぱいと申しますか、ぜいたくと申しますか、使っていたわけでございますけれども、これをいわば本土の態様にも照らし、それから船舶の航行とか漁民の希望とか、そういう観点から、こういうところはこうでなくていいじゃないかということで話をしまして、でございますから、いわゆる本土並みの見地から折衝いたしまして、先ほど申しておりますように、相当縮小できるという見通しがついておるわけでございます。そういう意味で、沖繩のほうはいままでが非常に、何と申しますか、いわば腹一ぱいにやっておったのを縮小するという点で、修正変更になる余地が非常に多いわけでございます。  本土のほうは、これは従来からもたびたびアメリカとは話をしておりますが、こちらのほうは従来から検討し詰めておるという意味で、沖繩に比べますれば、沖繩のように、何と申しますか、いわばぜい肉が多いということではございません。そういう点で、沖繩のように本土のほうがぐっと変わってくるということがいえない事業がございますので、その点は御了解いただきたいと思います。
  113. 近江巳記夫

    ○近江委員 吉田委員がおりますので交代したいと思いますが、交渉によって決定に至らないということは、それはどんなことでもそんな一〇〇%決定に至るということはないわけですよ。ですから、どことどことどことの海域がそういうような話にあがっておるということは言ってもらっても差しつかえないのじゃないか。そのとおりいかない場合だって、それはあるわけですよ。その辺のことについてはどうですか。
  114. 宮川渉

    ○宮川説明員 でございますから、その点は昨年の晩秋にやりましたものが……(近江委員「いや、沖繩ですよ」と呼ぶ)沖繩は、実は訓練水域と申しましてもいろいろございまして、先ほど例に申しましたようないわば施設、区域の前面の保安水域というようなものから、あるいは上陸演習の水域であるとか、あるいは進入水路であるとか、あるいは射撃のための区域であるとか、それから爆発物の安全区域でありますとか、実は非常に種類が多うございまして、それからまたその使用態様につきましても、従来はいわば常時、四六時中制限しておるというのが非常に多いわけでございますけれども、こういうものをそれぞれの態様に応じまして、訓練やる場合には何時から何時とか、あるいは制限する場合も、演習やっていない、いわば不使用時だけに限り、使用してないときには、たとえば船が通れるとか漁業ができるとか、あるいは漁業にしましてもたとえば船などにひっかかる網の漁業はいかぬがさお釣りの場合はいいとか、非常にきめのこまかいいろいろな折衝をやっておりますので、どこがどうということはちょっと一口に申しかねるのでございます。しかし、先ほど高島調整官からもお答えいたしましたように、いま鋭意やっておりまして、復帰前までにはその点をはっきりいたしまして、そして公にしたい、発表いたしたい、こう思っている次第でございます。
  115. 近江巳記夫

    ○近江委員 これ以上言っても平行になると思いますので、これでやめますけれども、そういう決定の時点で直ちに私のところへ報告、また本委員会にも資料等でもって直ちに報告を願いたい。その点を特にお願いしておきますが、よろしゅうございますね。返事だけもらって終わります。
  116. 宮川渉

    ○宮川説明員 政府で決定いたしますれば、当然公表いたしまして、しかるべき経路を通じまして御連絡申し上げます。
  117. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 ちょっと外務省もおっていただきたいのですが……。  そこで、先ほどの質問に続きますが、結局ここ当面のウラン資源確保については、この両協定によって相当のめどがついてきたようには思いますけれども、しかし、わが国のエネルギーの将来を考えるときに、より多角的に、より国際的にこの種の協定というものがさらに諸外国と結ばれ、推し進められていくことが一番望ましいと思うのです。そういう点でいま局長からもお話しありましたが、ニジェールなどアフリカ各国を含め、さらに将来は共産主義国との間にもこの種の協定というものが進められていくべき必要性があるのではないかというふうに考えますけれども、その点につきまして、外務省それから科学技術庁、双方の御見解を伺いたいと思います。
  118. 石川良孝

    石川説明員 ただいまお話がありました点につきましては、ウラン資源安定供給源の確保という観点から対処していきたいと思っております。
  119. 成田壽治

    成田政府委員 非常に膨大な需要量になりますので、いま協定のありますアメリカ、イギリス、カナダ、それから今回のオーストラリアフランスだけでなくて、ほかの有望な地域があったら大いに国際協定等を結んで円滑に入手されることが非常に望ましいと考えております。
  120. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 そこで、先ほど外務省のほうから経過と内容についての御説明を聞きましたけれども、ちょっとふに落ちない点が一つございます。  それはフランスとの交渉の問題についてでありますけれども、四十六年の二月に正式に交渉を終わって仮調印をしてあって、その後いろいろとわが国国会の審議の状況などもにらみ合わせて一年間いわばそのままたなざらしにしたかっこうで、四十七年の二月に正式調印したというふうに私は受け取ったわけなんですけれども、一体この種の重要な調印というものが単なるそういうような憶測で一年間たなざらしにされていいものであるかどうか。いわばフランスオーストラリアとの、この二国間の協定をセットにして国会承認を求めることのほうがよりやりやすいという、そういう戦術的配慮からなされたものであるかどうかという点で、私たちは非常に疑問を感ずるわけでございますが、お答えをいただきたい。
  121. 石川良孝

    石川説明員 ただいま御指摘がございました点につきまして、少し先ほどの国連局長説明がことばが足りなかったかと思いますので、追加説明を申し上げます。  この協定は、昭和四十四年の十月二十三日に、東京における日仏定期会議フランスのシューマン外相から、日仏間の原子力分野における協力を一そう進展させたいという観点から、ぜひこのための交渉を行ないたいという申し入れがあったわけですね。それに対しまして、当時の愛知外務大臣から原則的に異議はないということを答えまして、外交チャンネルを通じて協議するということになって、それから交渉に入ったわけでございますが、同じ年の十二月に、パリにおきまして木内大臣とフランスのオルトリ大臣との会談においてもそういうことが話し合われた。そして四十五年の六月になりましてから、言い出したのがフランス側だったものですから、四十五年の六月に初めてわがほうに案文の提示があったわけです。そしてそのあとこの案文お互い交換していろいろと検討してきたわけで、それから四十六年の二月八日に、ただいま御指摘されましたとおりに東京において交渉が行なわれまして、仮調印が四十六年の二月二十五日に行なわれた。ただし、このときに正式調印に続いて国会に提出を行なうということが時期的に困難なこともありましたし、それからいろいろと国内的な手続を政府の中で進めなかった関係もございまして正式の調印がおくれたわけで、その間に特にほうっておったというような事実はございませんでした。
  122. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 いまの説明でわれわれはなお納得いかないのです。種々困難なこともあったしとか――国内的手続をなぜ進めなかったのかということなんですね。きわめて重要な国益のための協定であるならば、一刻も早く正式調印を進めて、そして国会の審議にかけるべきであるというのが私どもの常識でございます。  これ以上は聞きませんけれども、われわれとしては何か外務省の姿勢そのものに非常に不信感を持たざるを得ない。国会対策上こういうものが半年、一年延ばされてもいいものなのかどうなのかという感じがいまの答弁では残りますよ、私たち。
  123. 石川良孝

    石川説明員 仮調印は、もう先生も御承知と思いますが、仮調印を行なうことによってその条文が完全に最終的にきまるという――元来ならば仮調印まで持っていけばその後修正しないのでござ  いますが、その後、当事者間においてそれについて少し異論があるような場合においてはこれを修正することも不可能ではないのでありまして、この日仏の場合におきましては、フランスのほうから  このイニシアルのあとで修正提案がありまして、その修正提案行なわれたことに対しまして、こちらのほうもさらにそれを検討するというような経過をたどっておりましたので、この正式調印がおくれた次第でございます。
  124. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 その辺はそれぐらいにいたしておきまして、科学技術庁にお伺いをいたしますけれども、今度この協定が結ばれることによって、フランスとの場合には特に再処理問題を中心にしていろいろと交流がはかられるのではないかというふうに私たちは考えます。もちろんウラン資源そのものについても進められることは承知でありますけれども、オーストラリアとの比較にお  いて主たるメリットはそのほうにかかってくるのではないかというふうに考えるわけです。  そこで、私どもがお尋ねしたいことは、いわゆるウラン濃縮の問題についてでありますけれども、アメリカといい、フランスといい、ガス拡散方式を基本としていると思います。もちろんフランスの場合には遠心分離法の研究も進められているようではありますけれども、大勢としてはガス拡散方式なのではないか。  さて、日本の場合、遠心分離かガス拡散かという問題が依然として腰がすわっていないというのか、きまってないと申しますか、そんな感じを私たちは強く受けております。この種の協定が推進され、そしていろいろと両国間の交流がさらにしげくなることによってわが国ウラン濃縮の将来の発展のしかたに微妙な影響が起こり得ないかどうか。同時に、ガス拡散方式というものは非常に多量の電力を食うという点で、特に日本の場合には非常につらい方法なのではないかというふうにわれわれは考えておりますが、そういう点との関連をどう科学技術庁としてはお考えになっておられますか。
  125. 成田壽治

    成田政府委員 濃縮ウラン技術につきましては、アメリカフランスも現在かなり実用化されておりますのはガス拡散法でありまして、いまアメリカなりフランスから共同事業の提案がありましたのもガス拡散法による国際工場の建設の話であります。したがいまして、遠心分離法は英国、ドイツ、オランダの三カ国の協定で遠心分離の工場をヨーロッパへつくる計画もいま進められていますが、一般的に言って、ガス拡散のほうが実用化に早く到達して、実際にウラン濃縮を生産しておるのもガス拡散法であります。したがいまして、この国際共同事業に入る場合は――日本がいまガス拡散法と遠心分離、両方の技術開発をやっておりますが、ただ国際的な事業に入る場合も、ガス拡散法につきましては、アメリカ等は特に機密の問題がありまして、日本がどこまで肝心の隔膜等の技術にタッチできるかというのは、もうちょっと交渉を進めてみないとわからない問題であります。したがいまして、そういう場合のことも考えて、日本も自主的にガス拡散の研究開発もやっておくことが必要なんじゃないかというので、現在大体四十七年度の予算で五億円のガス拡散法の研究をやっております。  それから遠心分離法につきましては、四十七年度予算で十四億の予算を投入して動燃等で技術開発をやっておりますが、これは各国ともまだそれほど進んだ段階でないので、日本も自主開発をやっていくと将来この日本技術によって日本の国内で遠心分離の工場をつくる可能性もあるという期待を持って、自主開発をやっておるわけであります。そういう技術進展の段階の違いと、もう一つは、御指摘のとおり、遠心分離法の場合、ガス拡散の場合の電力より七分の一とか十分の一ぐらい少なくて済むという動力の事情、日本のように電気料金の割り高なところにおいては、つくるとしたら燃料経済の面から遠心分離のほうがベターなんじゃないか。  そういう二つの事情が考えられるのでありまして、いまのところ、技術開発がほんとうに実用化に十分進むという自信がつくまでは、もちろん日本国内で工場をつくるということは軽々しく言えないのでありますが、ただ、そういう必要性から、国際濃縮工場の参加問題もありますが、ガス拡散法の自主開発は、やはり肝心の技術日本も会得しておいたほうが協力する場合もいいのじゃないかという点、遠心分離につきましては外国に追いついていって、将来ほんとうに成功した場合には、電力費の割り高な日本においても工場をつくる可能性が考えられるという事情でございます。
  126. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 次に、この協定に示されている公開の情報といいますか、あるいは情報の公開といいますか、この問題についてでありますが、先ほども長官がちょっとお述べになったように、わが国の公開のしかたと諸外国のそれとはだいぶ事情が違うようでございますね。皆さん方の言を信ずるならば、わが国の科学技術庁にはほとんど秘密というものはないのだとおっしゃいますので、一応そうだといたします。しかし、諸外国の場合、たとえばフランスの場合なども核兵器を現に保有している国でございます。したがって、それと直接、間接、微妙に関連のあるこの平和利用につきましても、やはり日本よりははるかに微妙な秘密というものが存在するのではないか、また、して当然だと思うのです。そういたしますと、いわゆる秘密の基準というものが両国間においてずいぶん違いがあるのではないか。しかし、お互い技術交流しなければならない。そしてその中で情報は公開していかなければならないということになりますと、逆に外国のほうの機密の基準のほうがきびしくて、このことによって機密の基準というものが日本に逆輸入されて、ないしは連鎖反応を起こして、日本の機密そのものが現状よりもよりうとましくなってきはしないかというふうな心配をわれわれはするわけなんですけれども、そういう心配はございませんか。
  127. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話しのように、また、私が先ほど申しましたように、機密の問題はやはり両方違うと思うのですけれども、日本にはさっき申しましたように、すべて公開になると大体秘密はないと言わなくてはならないと思うのです。アメリカの例をとると、アメリカではこれは原子力だけではありません。宇宙などでも、機密のリストに載せてあるというものは、向こうでは機密として扱っておるらしいのですが、私はよくこまかなところはわかりませんけれども、そうなってくると、向こうの軍の機密なら軍の機密ということで、向こうが指定すればそれは機密になっておる、こういうようなことですから、そこにやはり相当な違いが出てくる。私どものほうは機密というものはない。たまたま商業機密というようなことを言っていますけれども、これは国家として機密の保護をしているわけではないのでありまして、ただ商業上の、契約上の義務ですから、そこにおのずから違いが出てくるのじゃないか、かように思っておるわけです。
  128. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 だから、ほんとうはリストとリストを突き合わせして、アンバランスのないようにしないと、ほんとうの交流というものはできなくならないですか。その辺、たとえば日本では機密扱いにしていないけれども、同種のものが向こうでは機密だとされるというふうになってくれば、バランス上日本もその辺まで機密のワクを広げなければならないというふうな影響は今後起こってこないですか。
  129. 木内四郎

    木内国務大臣 将来においてはそういうことももちろんあり得ることだと思うのですが、現在におきましてはこちらのほうがおくれておりまして、たとえば濃縮の問題にしても何にしても、こちらのほうがおくれておって、向こうのほうが進んでおるというようなわけですから、いまのところは、わが国としてはそうこれによって不利益をこうむるというようなことはないのじゃないか。将来において日本も非常に進んでくる、同じことになってくると、そういうことは十分あると思いまするし、また理論上、こちらのほうはすべてオープンだ、向こうはリストに載せてあるものは機密だということになれば、それによりましても抽象的に言えば幸、不幸というものはある、かように考えるのですが、まあいまの状態では、それによって日本が特に不利をこうむるというようなことはないものだと、私はかように思っているのです。
  130. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 ちょっと長官の御答弁はいいかげんだと思うのですね。利益、不利益の問題はわかります。しかし、これは両国間の協定でございますから、その中にやはり理論的なものが一本筋が通っていなければならないと思うのであります。当分うちは損することはないからこれでいいだろうというふうなことは、ちょっと協定内容の審査にあたっては正確な答弁にはならないと思うのです。しかし、将来この辺の問題が、わが国も巻き込んでたいへん複雑微妙な問題になってきはしないとかいう懸念がございます。特にわが国の特殊事情というものがありますので、どうかその辺につきましては最大の配慮を払いながら、自主、民主、公開の基本線がいささかもくずれないようにひとつ努力をしていただきたいと思うのです。  なお、原子力発電の安全性の問題、言うならば安全フィロソフィーの確立について御質問したいのでありますが、あと山原さんの御質問の時間もあるようでございますから、他日に譲ることにいたしまして、きょうは私の質問はこれで終わらしていただきます。
  131. 石川良孝

    石川説明員 ただいまの点につきまして、この協定によれば交換する情報は「公開の情報」ということになっております。そして「「公開の情報」とは、」日豪日仏も、ちょっと規定の表現は違いますけれども、要するに「部外秘、秘又は極秘の秘密指定を受けていない情報をいう。」そういうふうに規定してございます。
  132. 渡部一郎

  133. 山原健二郎

    ○山原委員 初歩的な見解を二、三述べまして、私の見解に賛成するかどうか、長官最初に伺いたいのです。  一つは、日本原子力開発というものについてでありますが、これは日本の科学者の大半も要請しておりますように、安全の確保、それから自主、民主、公開の三原則、これを基礎にしまして基礎研究を着実に発展させながら、総合的なエネルギー政策の上に立った研究を推進することが必要だと私どもは主張しておるのですが、この見解には賛成されますか。
  134. 木内四郎

    木内国務大臣 賛成でありまするし、法律の規定でもありますので、その趣旨でやっていきたいと思います。
  135. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、学術研究開発などの国際交流及び協力については、平和、平等、それから互恵、対等を原則として進めるべきだと思うのですが、これについてはどうですが。
  136. 木内四郎

    木内国務大臣 お説のとおりだと思うのですが、ただ、交流の場合、対等、平等といっても、こちらがおくれておる場合にはそれはどう解釈するかという問題はもちろんありますけれども、平等ということは、とことんまでそのとおりというわけにはいまの状態では言い得ない点もある。こちらのほうが進んでおるものもあれば、向こうのほうが非常に進んでおるというものもあるということですから、そういう点も頭に置いての平等の意味と解釈して、私は先生のおっしゃるとおりだと思います。
  137. 山原健二郎

    ○山原委員 原則的には賛成をしていただいたわけですが、ところで、昭和四十三年の七月十日に発効しました日米原子力協定についてでありますけれども、これは三十年間にわたってアメリカの低濃縮ウラン依存することを取りきめて、そしてこれが日本への一方的な査察を許しておるという点で、日本原子力開発アメリカへの従属を意味しておるというふうに私は考えるわけですが、この点についてはどうですか。
  138. 木内四郎

    木内国務大臣 いまのお説の点は、私は必ずしも賛成いたしかねるのです。核兵器の不拡散条約になってきますと、これは条約自体の形から、また今日の国際感情、いろいろなことを見まして、これは非常に一方的であるというようなことも言い得ると思うのですが、私どものほうは自分のほうにないものを向こうから得てくる。しかもこれについてはアメリカのほうとしても秘密を保たなければならぬし、拡散していくことは困るし、また、平和利用を約束するだけでなく現実に行なっていかなければならぬというこのアメリカの要求を、私は当然だと思うのです。したがいまして、それに基づく査察というものは私はアメリカの要求するのも当然だと思うのですが、これは単にいまのアメリカの問題だけでなく、現に国際原子力機関というものがあって、それで査察をやっている。それに基づいて各国ともにその条件をのんで、そして今日査察を受けながらそういうものの供給を受けているというような実情でもありますし、必ずしもこれをもってアメリカに対する従属であると断言することは、私はちょっと行き過ぎじゃないかというような気がいたします。
  139. 山原健二郎

    ○山原委員 従属を一そうきびしくしたものであるというふうに私は考えているわけですが、その点では見解が若干違いますけれども……。  次に、いわゆる日本が経済大国になったというところから、内外において日本の軍国主義復活、同時に、核保有のおそれが指摘されておることは事実だと思うのです。それで、それに対して政府核兵器をつくる能力はあるけれども核の保有はしないということで、内外の批判に対してこれを否定してきておる段階だと思うのです。ところが、またわが国の一部には、核保有マイナスエックス年国ということばがありますように、今日、いつかはわが国が核保有国になるであろうという危惧の声があることも事実だと思うのです。これに対して長官として、真にこれを説得するだけの内容を持つ説明ができるのかという点、これについて伺ってみたいのです。
  140. 木内四郎

    木内国務大臣 日本も御案内のように戦争によってあそこまで、どん底までいったのですが、それが回復して、そして今日の状態になりました。これを経済大国と言っていいかどうか、私はまだ経済大国というあれに当たらないと思うのですけれども、経済力がだいぶついてきたことは事実でしょう。さあそうしますと、外務大臣が国会の当初の演説でも言いましたように、力がついてくると、そうすると、いままで過去におきましては、力のついた国は大体軍備を拡大して軍国主義へ行ったのがいままでの歴史の示す大筋じゃなかったかと思うのです。そんなことがありまするし、また、日本の過去の行状といっては悪いけれども、過去の行動から見まして、日本がああいう国だから、ここまで力がついてきたらまた軍備をひとつ進めるのじゃないか、そしてあるいは核を持ち得るところまで科学が進んできているのだから核を持ちはしないかという、こういうような一種の危惧の念といいますか、そういう考えを持つ人が国際的に出てくることは、これは私は否定できないと思うのです。しかし、わが国は御案内のように非核三原則、しかもこれは国会の決議もありまするし、それに原子力基本法によりましても自主、民主、公開、そして平和利用だけとはっきりいっているのですから、それ以外に使わないように法律でも国会の議を経てきめておるのですから、それに政府の非核三原則ということもありまするし、私はそういうことは絶対にあり得ない、また、われわれはそうしてはいかぬ、かように考えております。
  141. 山原健二郎

    ○山原委員 昨年もこの委員会で問題になりました一九七〇年、一昨年、中曽根防衛庁長官アメリカへ参りまして、日米共同濃縮ウラン開発構想を提唱したということが、またこれが一つの大きな危惧の念を抱かす原因になっておると思うのですが、この点について長官の現在の見解を伺ってみたいのです。
  142. 木内四郎

    木内国務大臣 中曽根前長官が向こうへ行っていろいろ公言されましたことをいま御引用になって、濃縮ウラン開発の面を共同でやろうと言ったことが、そういう危惧の念を一そう強めさせたというお話でありましたが、あるいはそういうことがあったかもしれませんが、私は中曽根前長官もそういう意味で軍国主義化する、あるいは核爆弾を持つ、そういうような意味で言ったのじゃないと思うのです。濃縮ウランというものは平和利用にどうしても必要なものだ。だからその開発は、アメリカも、さっきから私どもの局長が申し上げておりますように、いまは三工場あるけれども、それじゃ足らなくなるんだ。それでアメリカだけでやるかというと、アメリカも通貨事情、いろいろなことがありまして、やはり外国と提携して共同してやろうという空気になっている際ですから、そのことを言っただけでありまして、それをもって直ちに日本が核を持つというようなふうに解釈することは、少し行き過ぎだと思うのですけれども、まあ人間は何十億もおるのですから、また顔が違うように意見の違う人もあるのですから、そういうように考える人もあるということは私は否定できないと思いますが、われわれは決してそういうような国にはならないし、そういうことはしないとかたく考えておる次第でございます。
  143. 山原健二郎

    ○山原委員 何十億の一人の毛色の違ったのがいま言っているのかもしれませんけれども、しかし、これは米側がこの提唱に対して肯定的な反応を示しておる。そこから再び日本における濃縮ウランの論議が活発になって、原子力産業会議が七〇年の十一月十三日に濃縮ウラン自主開発計画を発表して、同じく三十日に原子力産業会議の松根宗一副会長が太平洋諸国による核燃料共同体設立構想を明らかにするという事態が起こりまして、原子力産業界の中で濃縮ウラン開発に関する論議が急速に高まったということは事実です。これはどうですか。
  144. 木内四郎

    木内国務大臣 むしろ私は少しおそかったんじゃないかと思うのです。先ほど来原子力局長が御説明申し上げておるように、これから先、非常に原子力発電その他が進んでいく、わが国の必要とする濃縮ウランの量というものがだんだんふえていく。そこでどうしてもわが国としても濃縮ウラン供給を安定的に、経済的に確保しなければならぬ。それにはアメリカだけにたよっているわけにもいかぬ。そこで今度の協定を結んでウランの原鉱を入手するような方法、あるいは濃縮ウランあるいはプルトニウムを入手するようなことを計画しているのですが、そういうことはもう当然責任の地位にある者は考えなければならぬ。産業の面においても行政の面においても、責任の地位にある者は考えなければならぬ。去年になってそういうことを言い出したということは、私は決して早くはない、むしろおそかったものだと思っております。そのためにあらぬ危惧の念をお持ちになる方もあるいはあるかもしれませんが、私はそういう必要は毛頭ないと思います。
  145. 山原健二郎

    ○山原委員 ところで、この活発になったといわれる論議の中で特に問題になる点は、原子力基本法第二条の原子力平和利用三原則というものがウラン濃縮技術の導入の妨げになっておるという見解が出てきておると思うのです。これはこの前の委員会で私が質問したときに、長官もたしか金を出して外国で、よその国でつくればいいという、この考え方の中にそれが含まれておると感じておるわけです。その点についてはあとでお伺いしますが、この原子力平和利用核兵器開発とは技術的に全く同一のものであるということですね。したがって、この平和三原則というものはどうしても堅持していくという姿勢をはっきりさせなければならぬということを感じます。  そこで、現在AEC、アメリカ原子力委員会の発表によりますと、日本の電力産業が米化学産業と協力して米国内に十億ドルの濃縮ウラン製造工場を建設することを検討中であると述べておるのでありますが、これは事実か。事実とすれば、どの程度に進んでおるのか、具体的な説明をしていただきたいと思うのです。
  146. 木内四郎

    木内国務大臣 その問題につきましては、先ほど来原子力局長が前の先生方にるる御報告申し上げておるのですが、とにかく八〇年代になりますと、アメリカ濃縮ウラン供給能力というものはもう頭打ちになってしまう。そこで、三つのいまの工場のほかにもう一つつくらなければならぬ、こういうことはさっき申し上げたとおりなんですが、そうなってきますと、アメリカとしては、今日のドル情勢その他から見て、ばく大な金をかけるところの工場を自分のほうだけでやるよりも、やはり国際――ほかにも理由がありますけれども、そういうドルの事情などを考えて、ひとつ国際的協力によって共同でやろうじゃないか、こういうことを考えていることは事実です。それはさっきも申しましたように、アメリカも考えておるし、あるいはフランスのほうでも考えておる。しかもフランス日本にもそれを呼びかけておる、あるいは豪州に呼びかけておる。これもさっき御説明したとおりだと思うのです。しかし、それは十億ドルでこういうふうにするというようなことは決していま具体化しておりません。それは目下こちらのほうでフランス提案についてもアメリカ提案についても考究中、研究中であります。
  147. 山原健二郎

    ○山原委員 金をわが国が出して、たとえばアメリカで製造するということになれば、よその国でやれば三原則は守られなくてもよいというようなお考えはありますか。
  148. 木内四郎

    木内国務大臣 いまアメリカ濃縮ウラン工場共同出資によってつくるという場合には、アメリカでかりにつくろうが、わが国におけるところの原子力基本法の精神というものは変わりないのですから、別に原子力の爆弾をつくるわけでもなく、平和利用に必要な濃縮ウランをつくる共同計画ですから、私はこれは原子力基本法と少しも矛盾するところはないと思います。
  149. 山原健二郎

    ○山原委員 この協定の第八条の例の「公開の情報」と「秘・防衛」「極秘・防衛」という問題、先ほどから質問が出ておりましたが、こういうことばが原子力平和利用のための協定の中に規定として必要なものであるかどうかということですね。これを伺いたいのです。  さらに、四条にありますところの「産業上の秘密又は他の秘密の情報」、このまたは他の情報というのは、先ほど「産業上の秘密」の問題については説明があったように思いますけれども、「又は他の秘密の情報」、これは全くどういう範囲に及ぶものか、ちょっとわかりかねるわけですが、この二つについてもう一度説明をいただきたいのです。
  150. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 お答え申し上げます。  最初に御質問のありました公開の条項の定義「「秘・防衛」又は「極秘・防衛」」とかあるいは部外秘、秘または極秘の秘密規定ということでございますけれども、日本は先ほど来たびたびお話が出ましたように、原子力基本法によりまして公開の原則というものがございますから、したがって、ここにあります「公開の情報」と申しますのは、それぞれ相手国であるフランスまたはオーストラリア情報について公開の情報でないものは日本には提供する義務がないということでございます。  それから二番目の点、ちょっと私いま聞き漏らしたのでございますが、もう一度おっしゃっていただけませんでしょうか。
  151. 山原健二郎

    ○山原委員 第四条の(a)の(ii)の終わりですが、ここのところにあります「産業上の秘密又は他の秘密の情報」、「他の秘密の情報」とは何ですか。
  152. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 これは特に特別の意味はございませんが、一番おもなものは産業上の秘密であり、もしほかに何か秘密ありとすれば他の秘密ということでございまして、特に何か特定のものを考えて設けられた規定ではございません。
  153. 山原健二郎

    ○山原委員 だとすると、この文言は不必要ではないか。先ほどから出ておりますように、秘密拡大の問題が出ておるわけですから、「産業上の秘密」以外になければ、「他の秘密」ということになるとこれは全く歯どめのない、どこまで拡大されるかわからぬという問題が出てくるわけですね。
  154. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 いまおっしゃいました点は、日本の秘密につきましてはあるいはそういう点ないかもしれませんが、これはフランスないしはオーストラリアとの協定でございまして、特にこの条項は相互査察の条項でございます。そこで、日本が向こうへ参りました場合に、向こうで知り得た秘密というものの中には、あるいはここにあります産業上の秘密以外に他の秘密があるかもしれません。したがって、そういう場合を予想いたしますと、そういう秘密を漏らしてはいけないということは向こうの、すなわちフランスのあるいはオーストラリアの立場から言えば当然かもしれません。私、特に日本だけの関係ではございませんで、あるいはフランスないしはオーストラリアの立場からの秘密があり得るのではないか、そういうふうに思います。
  155. 山原健二郎

    ○山原委員 あまり時間とれませんけれども、秘密条項というのは、いかなる場合でも最低限に押えるべきが当然のことであって、これは拡大解釈されるようなものが、いかなる場合でもこういう形で出されておるということは、これは非常に心配すれば切りのない問題であって、その辺はもう少し明確に、産業上の秘密以外に何があるのかということの質問が出てくるのは当然のことであって、もう少し明確な御答弁がいただければこの際いただいておきたい。
  156. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 繰り返しになりますが、日本ではそういう、いま御心配になるような秘密はないと思います。ただ、お互いに査察をするわけでございまして、この四条が適用になりますと、フランスないしは豪州日本から査察に行くこともあるわけでございまして、ここに書いてあります「他の秘密」と申しますのは、日本の秘密ではなくて、フランスにある秘密または豪州にある秘密、そういうものを日本から行った査察員が漏らしてはいけない、そういう意味でございます。
  157. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がありませんから、四時半に大体終わる予定のようですから、最後に、長官も言われておりますように、原子力エネルギーというものに対する需要が高まり、非常に重要性を増しておるということは事実です。ところで、この問題を契機にして、各地における原子力発電所の開発の中でいろいろな問題が起こり、原子力発電所の設置に関しては、ほとんどのところで住民との間にいろいろ問題が起こっておるという状態があります。その中で、私は前々から愛媛県の伊方町に設置される四国電力の原子力発電所の問題について取り上げてきたわけでありますけれども、この経過を見ますと、これは非常に重要な中身が含まれているわけです。設置にあたっては、特に漁業協同組合、農業協同組合の了解を得るために、いろいろな画策がなされているわけです。たとえば愛媛県の町見漁協という当該地の漁業協同組合がありますけれども、ここでは漁業権の放棄ということについてはずっと反対をしてきておるのですが、その漁業協同組合の臨時総会あるいは定期総会において反対の決議がされておるのをくつがえすために、たとえば組合に対する戸別訪問あるいはすでに設置されておる原子力発電所の視察にあたっての供応あるいは買収、こういうものが随所に見られるわけでございます。たとえば臨時総会を開く前には、漁民を自動車に積みまして、八幡浜市の旅館、料理屋に招待、供応するとかいうことも行なわれております。また部落の集会所でも、四国電力PR課長が組合員を饗宴するというような事態も起こっています。さらにまた、組合に参加さすために、折り弁当と一緒に二万円のお金が渡されるというような問題、これは一部にすぎませんけれども、こういう事態が起こり、しかも組合の定款すら守られないで組合会議が開かれるというような状態、そしてそれを県の水産課が指導しておるというような問題、これは時間がありませんから逐一申し上げることはできませんが、全く常識では考えられないような供応、買収というものが行なわれる中で、漁業協同組合あるいは農業協同組合というものが、いままでは非常に仲のよい組合としてきたものが、この問題を契機にして組合が分裂させられ紛争が起こる。中には漁業協同組合の組合長さんが昨年の一月にいろいろな心労のために死亡するというような事件が起こりまして、原発問題を中心にして、地域の住民の混乱というものはたいへんなものがあるわけですね。  こういう事実というものについて、実際に、たとえば、経企庁もお見えになっていますけれども、電源開発審議をする場合に、こういうことが調査をされておるのか、そういう住民の動向というものが十分に検討されて決定というものがなされていくのかということについて、私は非常に憤慨をして、事実を知れば知るほど奇々怪々な買収工作というものが行なわれているわけです。  また、委任状なんかにしましても、これは農業協同組合の場合ですが、決議をする場合には、賛成派の方だけに委任状が配られるというような状態、そして決議は完全に企業側にとって有利な方向に変わっていくというような経過をこの二年間見せられているわけであります。  こういう事態について、これはたいへんな問題だと思いますが、これなんかは、政府としていろいろな決定をする場合に、調査をされたりあるいはそういう動向というものを判断されたりしておるのかどうか、この点について伺っておきたいです。  それからもう一つは、この前問題になりました、私が質問をいたしました伊方町の原子力発電所の水の問題でありますけれども、たしかこの間の御答弁によりますと、一号炉については喜木川という川の地下水を取る、二号炉についてはまだその辺は話がない、こういうことですね。原子力発電所にとって水は非常に重要なものでありますし、また水は住民にとっての重要なものでありますが、その水が確保されないまま原子力発電所の計画が政府によって認定をされていくという事態、これも非常に奇怪な問題だと私は考えておりますが、その後研究されておると思いますので、この二号炉の水は一体どこから取るのか、この二つの点について伺っておきたいのです。
  158. 大石敏朗

    大石説明員 ただいま御質問の伊方原子力発電所の件につきましては、二月二十五日の電調審にかけたわけでございます。これをかけます前に、関係官庁の連絡会議がございまして、いまの水の問題を含めまして、各省それぞれ所管の事項につきまして意見を交換しまして、それから県当局の意見もお聞きいたしまして、問題がない、これは適当であるという判断に達しまして、審議会にかけたわけでございます。その結果、特に問題ないということで審議会の答申が得られたわけでございます。  それから、先ほどの御質問の第二点である水の問題につきましては、一号炉の水につきましては、先ほど御質問にございましたように、喜木川の水、地下水を導入する。それで大体現在の一般的な水の需要を含めまして需給がそれで合う、そういう情報をわれわれ持っておりますので、第一号基につきましては問題はないというふうな判断に達したわけでございます。もちろんわれわれの議論をいたしましたのは、いわゆる基本計画でございまして、実際発電所を着工いたしますときには、電気事業法とか原子炉等規制法に基づきまして、さらに具体的な計画につきましてそれぞれ検討が行なわれるわけでございます。ただいま御指摘の水の問題につきましても、そういう段階に達しましたときにさらに具体的な詳細につきまして検討が、関係各省で加えられる、こういうふうに承知しております。
  159. 山原健二郎

    ○山原委員 二号炉は検討されましたか。
  160. 大石敏朗

    大石説明員 二号炉の設置につきましては、一応予想されておるところでございますが、われれれのところには現在まで二号炉についての正式な申し出その他ございませんので、特にここで申し上げるような結論には達しておらないわけでございます。
  161. 山原健二郎

    ○山原委員 時間が過ぎて、すみません、これで終わりますから……。  いま、書面で審査をした上では、県の出しておる書面によれば問題はないということでありますが、そういうところに問題があるのではないのでしょうか。これは、そういう簡単なことであれば、各地において紛争が起こるわけはないわけですね。これは長官も御存じのように、各地から長官に対するいろいろな陳情も来ておると思います。それは簡単な処理はできない。この住民の動きというものについて、これは政府がほんとうにつぶさに知らなければならぬことだと私は思うのです。その中で、どれほどの混乱や悩みや嘆きといいますか、夫婦別れあるいは子供との縁を切るというような問題までここでは起こっているわけですが、そういう想像もできないような混乱を起こしながら、企業はどんどん進めていくわけですね。書面の上にはきれいに、問題がないのだという形で政府に出てくるのですけれども、この中で政府に対する不信感というのはものすごく強くなっている、あるいは県に対する不信感というものが強くなっているわけです。力で押しまくれば押し切ることはできるかもしれませんけれども、これでは住民の気持ちをつかんだとは言えませんよ。国民の気持ちに即した行政だとは私は言えないと思うのです。  水の問題にしましても、喜木川から取れるのだ、喜木川の地下水で取れるのだというのですけれども、喜木川の水は少ないのです、私はここで言ったのですけれども。だから、あの保内町という、喜木川の流れておる町では、水を守る会というのがほんとうに超党派でつくられているのですね。そういう問題がある。それをなぜ皆さんがつかんでくれないかということです。  これはもう時間がありませんので、これでおきますけれども、最後長官に申し上げたいのですが、確かに原子力エネルギーの需要は高まっております。重要性はわかります。しかし、それを企業が実行していくわけですね。その間に、企業のやっている動態、あるいはそれによってどういう混乱が起こっており、住民がどういうことを考えておるかというようなことは、少なくとも細部にわたって政府としてはこれを探知をして、それに対する少なくともあたたかい体制というものをとるべきだと私は思うのです。そうでなければ、幾ら需要がふえたからといって、必要だからといって、それを押し切ってやっていくということは、これは行政として誤ったやり方だと私は思いますので、その点についての長官の見解を最後に伺っておきたいのです。
  162. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話しになりましたことは、たいへん大事な問題だと思います。私は、この原子力発電というものが、これは必然的にだんだん拡大していくものと思うのですが、それにつきましては、やはり安全第一、これは非常に大事なことでありますので、科学的にこの安全第一ということをまず考えて、研究し、そうしてそれだけでは足りない、社会的に安全であるということを理解してもらう。また、そのほかの面において、いまお話しになったいろいろな問題がありますが、そういう問題につきましても、地域住民の理解と協力がなければ、これからこの原子力平和利用というものは十分に発展さしていくことができないと思うのでありまして、そういう方面に最善の努力をいたしたい、こういうふうに常々考えておることをこの機会に申し上げまして、お答えにしたいと思います。
  163. 渡部一郎

    渡部委員長 次回は、明二十日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十一分散会