運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-03-08 第68回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月八日(水曜日)     午後一時二十分開議  出席委員    委員長 渡部 一郎君    理事 木野 晴夫君 理事 田川 誠一君    理事 藤本 孝雄君 理事 前田 正男君    理事 石川 次夫君 理事 近江巳記夫君    理事 吉田 之久君       大石 八治君   小宮山重四郎君       井上 普方君    堂森 芳夫君       華山 親義君    内海  清君       山原健二郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  出席政府委員         科学技術政務次         官       粟山 ひで君         科学技術庁長官         官房長     井上  保君         科学技術庁計画         局長      楢林 愛朗君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         科学技術庁原子         力局長     成田 壽治君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君  委員外出席者         原子力委員会委         員       山田太三郎君         経済企画庁総合         計画局参事官  大石 敏朗君         環境庁自然保護         局企画調整課長 須田 秀雄君     ————————————— 三月八日  理事内海清君同日理事辞任につき、その補欠と  して吉田之久君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  科学技術振興対策に関する件(原子力発電の安  全性に関する問題)      ————◇—————
  2. 渡部一郎

    渡部委員長 これより会議を開きます。  まず、理事辞任の件についておはかりいたします。  理事内海清君から理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渡部一郎

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  ただいまの内海清君の理事辞任に伴い、理事が一名欠員となりましたので、その補欠選任を行ないたいと思いますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 渡部一郎

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、理事吉田之久君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 渡部一郎

    渡部委員長 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  最初に、木内国務大臣より、科学技術行政に関する所信を聴取いたします。木内国務大臣
  6. 木内四郎

    木内国務大臣 第六十八回国会にあたりまして、科学技術庁長官としての所信を述べさせていただきます。  戦後の四半世紀を通じて、わが国はめざましい経済成長とこれによる豊かな国民生活実現につとめてまいりましたが、その原動力として科学技術が大きな役割りを果たしてきましたことは申すまでもないところであります。  科学技術発展は、経済社会構造高度化基本的条件であるとともに、環境を保全しつつ未知の領域を開拓し、人類の夢を実現するためにも不可欠の要因であります。  今日、私たちは、対外的には激動する国際社会への適応、対内的には環境問題、都市問題の深刻化等の諸問題の早急な解決に迫られておりますが、このような情勢に対処いたしまして、わが国の繁栄とより豊かな国民生活確保をはかっていくためには、人間尊重基本的理念にのっとり、科学技術振興を強力に推進していくことが、まさに現下の緊要な課題であるといっても過言ではありません。このような観点に立ちまして、私は、昭和四十七年度において次のような諸施策推進してまいる所存であります。  第一は、科学技術振興基盤強化であります。  わが国科学技術を総合的、計画的に推進するため、科学技術に関する基本的な計画策定一環といたしまして研究開発目標体系化をはかることにつとめるとともに、研究公務員処遇改善等研究環境整備のための施策を引き続き推進してまいる所存であります。特に現在、研究環境の画期的な向上をはかることを目的として筑波研究学園都市建設が進められておりますが、科学技術庁といたしましては、無機材質研究所等関係研究機関移転等をはかるほか、科学技術に関する総合調整官庁といたしましての立場から理想的な研究環境整備されるよう、その建設に力を尽くしてまいる所存であります。さらに、広く国民科学技術に対する正しい理解を得るため、科学技術普及啓発活動強化につとめてまいる考えであります。  第二は、原子力開発利用推進であります。  近年におけるわが国原子力開発利用の急速な進展濃縮ウランをめぐる国際情勢展開等にかんがみ、次の施策を重点的に推進してまいりたいと考えております。  まず、新型動力炉開発については、高速増殖炉実験炉建設昭和四十九年臨界目標推進し、同原型炉建設の諸準備を進め、また新型転換炉原型炉建設昭和五十年臨界目標推進いたします。  次に、ウラン濃縮技術研究開発推進国際濃縮工場計画への参加についての検討海外ウラン資源調査促進使用済み燃料の再処理施設建設等適切な核燃料サイクル確立を目途とする核燃料政策を総合的に推進いたす所存であります。  また、原子力開発利用に欠くことができない原子力施設安全対策及び環境汚染防止対策に万全を期する所存であります。すなわち、反応度事故実験研究を新たに開始し、冷却材喪失事故実験研究推進するとともに、放射性廃棄物海洋投棄安全性を確認するため、海洋調査実施するほか、原子力施設の多数所在する地域における連絡体制強化をはかる等、万全の措置を講じてまいりたいと考えております。  これらのほか、原子力船むつ」の海上運転を開始し、食品照射核融合等に関する研究を一そう推進するとともに沖繩本土復帰に伴い、沖繩における放射能調査体制整備につとめてまいる所存であります。  第三は、宇宙開発推進であります。  宇宙開発につきましては、宇宙開発計画に基づき、昭和五十年度打ち上げを目標技術試験衛星I型の開発を、昭和五十一年度打ち上げを目標技術試験衛星II型の調査検討を進めることとしております。また、これら人工衛星打ち上げのためのNロケットにつきましては、第一段の製作に着手するとともに、第二段等上段ロケット開発を引き続き進めることといたしております。このほか、打ち上げ施設試験管制施設等整備をはかるとともに、宇宙開発長期ビジョン気象衛星等実用衛星開発計画策定に必要な調査充実並びに国際協力強化をはかる所存であります。  第四に、海洋開発につきましては、海洋開発総合的推進の要請にこたえ、海洋開発審議会において海洋開発推進基本的方策について審議を進めるとともに、科学技術庁内の開発業務体制強化及び昨年十月発足いたしました海洋科学技術センター拡充強化をはかる考えであります。また、海中作業システム確立目的としたシートピア計画について水深六十メートルにおける海中居住実験を行なうほか、潜水シミュレーター建造潜水調査船「しんかい」の運用をはかる等の施策推進いたします。  第五は、国民生活に密接に関連する科学技術等推進であります。  わが国は、世界でもまれに見る高密度社会であるだけに、環境問題、都市問題等解決するための科学技術欧米諸国に先がけてより強力に推進する等真に豊かな国民生活実現をはかるため、国民生活に密接に関連する科学技術振興につとめていくことが重要であります。このため、環境都市防災等社会開発関連科学技術研究開発推進するとともに、ライフサイエンス及びソフトサイエンス振興に力を注いでまいりたいと考えております。ライフサイエンス生体機能解明を通じて環境問題の解決医療充実等に資するとともに、今後の技術革新の芽となることが期待される分野であり、また、ソフトサイエンス公害防止都市開発等現代社会における複雑な政策課題解明等に資するものであります。  第六は、研究開発一般推進であります。  これまで述べてきました措置と並んで、基礎的共通的な研究を進めるとともに、独創的な新技術開発促進するため、新技術開発事業を一そう強力に推進し、情報化進展に対処して科学技術情報全国的流通システム構想整備をはかるほか、最近の資源をめぐるきびしい情勢に対処し、資源総合的利用方策確立を目ざして調査研究を進めてまいります。  また、科学技術に関する国際交流重要性が一そう増大していることにかんがみまして、先進国との協力拡充をはかるほかアジア諸国をはじめ発展途上国との科学技術協力を進める等国際交流強化につとめてまいる所存であります。  以上、昭和四十七年度における科学技術振興施策の概要について述べてまいりましたが、これらの諸施策実施するため、昭和四十七年度政府予算案におきましては、科学技術庁分として、原子力開発のため約五百五十九億円、宇宙開発のため約百九十八億円、海洋開発のため約九億円等総額八百八十九億円を計上いたしました。  私は、科学技術振興の衝に当たる者といたしまして、その使命の重大性を十分認識し、いま申し述べました諸施策実現を期して全力を尽くす所存でございます。  ここに、委員各位の一そうの御支援と御協力を賜わりますよう、お願い申し上げる次第であります。     —————————————
  7. 渡部一郎

    渡部委員長 次に、昭和四十七年度科学技術庁関係予算について、説明を聴取いたします。井上官房長
  8. 井上保

    井上政府委員 昭和四十七年度科学技術庁予算案につきまして、御説明申し上げます。  昭和四十七年度政府予算案におきまして科学技術庁予算額は、歳出予算額八百八十九億四千九百万円、国庫債務負担行為額二百七十六億九千百万円を計上いたしております。これを前年度当初予算額に比較いたしますと、歳出予算額百八十一億五千九百万円の増額となっており、その比率において約二六パーセントの増となっております。  次に、予算要求額のうちおもな事項について、その大略を御説明いたします。  第一に、科学技術振興基盤強化といたしまして歳出予算額九億一千百万円を計上いたしました。  これには、まず、わが国における科学技術を長期的な観点に立って、計画的、かつ、総合的に推進するため基本的な計画策定一環として行なう各種調査検討に必要な経費並びに科学技術会議運営をはかる経費など、四千六百万円を計上いたしました。  また、研究学園都市建設促進につきましては、無機材質研究所高温合成実験棟建設及び国立防災科学技術センター大型降雨実験装置整備などに必要な経費といたしまして、四億九千二百万円を計上いたしました。  次に、科学技術普及啓発活動推進につきましては、科学技術映画製作科学技術功労者の表彰、原子力平和利用及び宇宙開発その他一般科学技術に関する国民理解を深めるための広報活動を行なうほか、新たに、テレビによる科学技術普及啓発を行なうに必要な経費四千四百万円を含め一億七百万円を計上いたしました。  さらに、優秀な人材養成確保をはかるため国内及び海外への留学、研修及び国際研究集会への派遣などに必要な経費といたしまして、二億六千六百万円を計上いたしました。  第二に、原子力開発利用推進といたしまして、五百五十七億五千百万円と国庫債務負担行為額百三十四億八千万円を計上いたしております。  まず、動力炉開発につきましては、高速増殖炉実験炉及び新型転換炉原型炉建設を進るとともに、高速増殖炉原型炉に必要な研究開発及びその建設のための諸準備を進めるため、動力炉・核燃料開発事業団動力炉開発分といたしまして、三百十八億八千七百万円と、国庫債務負担行為額百十億六千万円を計上いたしました。また、同事業団核燃料開発関係業務といたしましては、ウラン濃縮研究開発海外ウラン資源調査等拡充強化するとともに、使用済み核燃料処理施設建設促進いたしてまいります。  以上のため、動力炉・核燃料開発事業団に対し政府出資金及び補助金を合わせ総額三百八十億五千万円と国庫債務負担行為額百十億六千万円を計上いたしました。  次に、原子力第一船「むつ」につきましては、原子炉艤装を完了し、出力上昇試験及び海上公試運転を行なうとともに、定係港施設整備、乗員の養成訓練等のため、日本原子力船開発事業団に対し政府出資金及び補助金を合わせ十七億二千四百万円を計上いたしました。  また、日本原子力研究所におきましては、新たに反応度安全研究装置等設置して原子炉施設安全性研究強化するとともに、前年度に引き続きウラン濃縮核融合食品照射研究開発及び各種原子炉運転整備等に必要な経費として、政府出資金及び補助金を合わせ百二十四億四千九百万円と国庫債務負担行為額二十三億六千五百万円を計上いたしました。  さらに、放射線医学総合研究所におきまして医療用サイクロトロン建設を進めるほか、国立試験研究機関等における原子力試験研究及び民間に対する原子力平和利用研究委託など合わせて二十八億四千万円を計上いたしました。  このほか、安全対策一環として、放射能測定調査研究並びに新たに実施する放射性固体廃棄物の処分に関する海洋調査等に必要な経費として四億五千百万円を、また、核燃料物質の借り入れ、保証措置関連施策強化等行政費及び国際共同ウラン濃縮事業調査などに二億三千七百万円と国庫債務負担行為額五千五百万円を計上いたしました。  第三に、宇宙開発推進につきましては、宇宙開発計画に基づき、ロケット及び人工衛星開発中心とし、これに必要な経費として百九十七億八千百万円と国庫債務負担行為額百四十二億一千百万円を計上いたしました。  まず、宇宙開発事業団につきましては、宇宙開発計画に基づくNロケット及び技術試験衛星I型の開発等を進めるとともに、種子島宇宙センターのNロケット打ち上げ関連施設整備を行ないますほか、研究学園都市建設を行ないますロケット及び人工衛星開発試験施設整備などを行なうため必要な経費として、政府出資金補助金を合わせ百八十二億六千八百万円と国庫債務負担行為額百四十二億一千百万円を計上いたしました。  次に、航空宇宙技術研究所における宇宙開発関連研究といたしまして、ロケットエンジン高空性能試験施設整備など、基礎的、先行的研究に必要な経費として十二億一千三百万円を計上いたしております。  第四に、海洋開発推進につきましては、まず海洋科学技術に関する試験研究大型共用施設設置及び運用人材養成等を行なう機関として昨年発足いたしました海洋科学技術センターに対し、高圧実験水槽建造などに必要な経費として政府出資金補助金を合わせ三億一千九百万円を計上いたしました。  また、海中作業基地海中実験潜水シミュレーター建造潜水調査船による大陸だなの調査等に必要な経費として五億八千五百万円を計上いたしました。  第五に、国民生活に密接に関連する科学技術等推進といたしまして、まず、特別研究促進調整費の活用をはかることとし、ライフサイエンス都市科学国土保全産業保安技術及び基礎電子技術等総合研究実施いたしますとともに、不測の事態に対処し緊急に行なうべき研究の円滑な実施をはかるため必要な経費として九億五千万円を計上いたしました。  次に、ライフサイエンス振興といたしまして、前述の特別研究促進調整費九億五千万円のうちより一億八千万円の配分を予定しておりますとともに、理化学研究所における生体高分子及び顆粒の理化学的研究に必要な経費として八千五百万円を計上いたしました。  第六に、研究開発一般推進といたしまして、新技術開発科学技術情報流通国際交流及び資源総合的利用方策推進並びに試験研究機関整備強化をはかるため九十二億三千八百万円を計上いたしました。  まず、新技術開発推進につきましては、新技術開発事業団に対する政府出資金補助金を合わせ八億三千万円を計上することにより、研究開発委託契約限度額を二十億円に引き上げるなど、その業務拡充をはかるとともに、発明実施化試験費補助金として三千四百万円を計上いたしております。  次に、科学技術情報流通促進につきましては、科学技術情報全国的流通システム構想整備などに必要な調査費として一千二百万円を計上いたしましたほか、日本科学技術情報センターにおける内外科学技術情報の収集、整理、提供業務充実をはかるとともに、新たに九州支所を設けるなどこれら業務に必要な経費として政府出資金補助金を合わせ十一億三千三百万円を計上いたしております。  次に、国際交流促進につきましては、欧州原子力機関共同研究等への参加、東京で開催を予定いたしておりますアジア科学協力連合会議実施、二国間の科学技術交流拡充等のため一億三千七百万円を計上いたしております。  次に、資源総合的利用方策推進につきましては、海外資源長期安定確保に関する調査等資源調査会中心とする調査等実施するとともに、資源調査所における基礎的調査充実をはかりますため一億五千三百万円を計上いたしております。  最後に、試験研究機関整備強化につきましては、六十九億三千九百万円を計上いたしましたが、これは当庁の付属試験研究機関のうち、金属材料技術研究所金属材料疲れ試験設備整備無機材質研究所研究グループの増設及び研究用機器整備航空宇宙技術研究所汎用飛行シミュレーター整備並びに国立防災科学技術センター地震予知研究実施等に必要な経費のほか、理化学研究所研究運営等に必要な政府出資金及び補助金であります。  以上簡単でございますが、昭和四十七年度科学技術庁予算案のうち重要項目につきましてその大略を御説明いたしましたが、このほか、一般会計予算総則において、原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約限度額を三百十七億円に、また、使用済み核燃料の再処理工場建設資金のうち、動力炉・核燃料開発事業団が借り入れる資金の一部につきましては、同事業団法第三十四条の規定により、政府が保証する債務限度額を「元本金額五十四億円及びその利息に相当する金額」と定めることといたしております。  以上でございます。
  9. 渡部一郎

    渡部委員長 以上で説明聴取は終わりました。     —————————————
  10. 渡部一郎

    渡部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。最初堂森芳夫君。
  11. 堂森芳夫

    堂森委員 科学技術庁長官木内さんを中心にしまして、今回、世界で現在運転をやっておる原子力発電所では最大のもので、まだ運転しておられないような百十七万五千キロワットという超大型原子力発電所が福井県の大飯町に、大島半島という若狭湾中心部にありますところの半島の突端に、一号炉、二号炉合わせますと二百三十五万キロワットくらいの発電キャパシティを持つような超大型原子力発電所建設することを、安全専門審査会はこれは安全であるという断定を下されました。いよいよ九日に原子力委員会が開かれて、これが決定されるならば、新聞が報じておるところによりますと、五十一年あるいは五十二年にはこの二つの百十七万キロワットという超大型原子力発電所運転を開始する、発電を開始する、こういうふうに報道されているのであります。同時にまた、同じく若狭湾の続きでありますところのこの一帯の原子力発電をすでにやっておる美浜町の、現在一号炉はすでに運転中であります。二号炉もすでに完成に近づいておる。第三号炉は八十数万キロワット、これも大型発電所が三つ同時に安全専門審査会をパスしまして、原子力委員会が九日にはさらにこれの審査をする、こういうふうに新聞に報道されておるのであります。  特に大飯町という町では、すでに大臣も御承知でありますが、この地域住民が全くまっ二つに割れまして、そして血で血を洗うような争いを展開しておる地域であります。また、この町の町長は昨年リコール運動の対象となって、そのリコール運動の途中に町長はやめて、そして新しいいまの町長が生まれてきた。そして町長は、何とかして町の住民の諸君の大体における合意が生まれてくるまでは、町の住民たちの激しい争いがおさまるまでは、その工事を中止してもらいたいというので、国会にも請願を出してきました。この委員会理事会でも、私はその請願紹介者として、請願が何とかして採択されるように努力したのですが、どうしても合意を得ることができませんでした。科学技術庁が責任を持って現地を調査しまして、そして私に詳細な報告をしますとか、昨年の臨時国会中にそういうことが理事会でも決定されたのですが、いまだに何も報告がないのであります。それも後ほど私は御答弁願いたいのであります。  科学技術庁長官は、こういうような状態であるのに、原子力発電所開設を、政府としては、安全専門審査会審査があった結果を見て、また、原子力委員会がそれを妥当と見て決定するならば、これはもちろん政府の決定になるわけでありますが、そういうふうな方向で、原子力発電所開設をあくまでも既定方針どおり政府はその許可を与えていくという方向考えておられるかどうか、まず、それをお伺いしておきたい、こう思います。
  12. 木内四郎

    木内国務大臣 この問題につきましては、堂森委員にかねていろいろ御心配をかけておるようであります。  いまお話がありましたが、私は、原子炉安全専門審査会報告を受けたばかりでありまして、この報告につきましては、今後原子力委員会において慎重に検討して、そしてその上でこの問題をきめようと思っておりまして、そういうことの手続を経ないでいきなり私が独裁的にきめるというようなことは考えておりません。その点は御安心を願いたいと思います。
  13. 堂森芳夫

    堂森委員 もちろんそれは当然のことでありますが、そんな逃げるような答弁をせずに、あくまでもこの原子力発電所、しかもこんな大きなものは世界でまだ始動していないのですよ。そういう大きなものを二基も一緒に許可をして建設を始めるということは、地域人たちにとっては重大なことでございます。地域が意見が割れてまっ二つになって、血で血を洗うような争いをやっている。こういう地域許可をしていくということは、私はたいへんなことだと思います。原子力発電所について地域人たち合意、同意といいますか、そういう一般的な——一〇〇%ということはそれはないかもしれません。しかし、大体において大飯町の世論というものがよかろうというようなことにならないのに、そういう原子力発電所開設をどんどんやる、設置を進めていくということになるとたいへんな問題になってくる、私はこう思うのであります。  それでは、どういう手続をとっておやりになろうとしておるのでありましょうか、御答弁をお願いしたいと思います。
  14. 木内四郎

    木内国務大臣 この発電所設置につきましては、私は、いまに始まったことではありません、もう今度大臣になる前からいつも言っているのですが、まず安全性が第一だ。そのためには科学的にまずこれを検討しなければならない。これは科学技術庁として当然だと思うのですが、そこで、まず第一に科学的に安全性を確認をする。しかし、それだけでは足らぬということを私はいつも言っているのです。やはり地域住民理解協力を得なければうまく行なわれていかないのじゃないか。そこで、そういう手段を十分に講じてやっていかなければならぬということを私はたびたびもうここで、この間などは、あなたは三年前から同じことを言っているじゃないかと言われたのですが、私は終始一貫そういう方針でおるわけです。  ところで、今度六日の日に、おとといですね、安全専門審査会から報告が出ました。いまのお話にありましたように、幾つもの原子炉をいずれも安全であるという結論に到達しているのでありますが、しかし、この安全専門審査会の先生方は、この一つ一つについて独立して安全だと言っているのじゃありませんで、いまお話ししたように、幾つもの炉があるがその相乗関係をも頭に置きながら、これは科学的には安全だという結論を出して、私のほうに報告書をお出しになったわけであります。  しかし、それはそれとして、科学的には安全だというそういう結論になりましたが、私がさっき申しましたような方針から、そのまま直ちにこれに対して科学技術庁長官建設の認可を与えるかというと、それはそうはいきません。それは、いま私が申しましたような原子炉の安全性というものに対する私の考え方は、単に科学的だけではいけない、やはり地域人たち理解協力を得なければうまく行なっていくことはできないということを頭に置いていますから、そういう意味でものごとを考慮していきたいと思いますので、その点は御了解願いたいと思う次第でございます。
  15. 堂森芳夫

    堂森委員 大臣のおっしゃること、私よくわからぬのですが、あなたは科学的に安全である——それは絶対ということはないですよ、大臣、ありますか。とにかく安全である、いまの人間の持っておる学問、技術では安全である、こういうふうに安全審査会が結論を出した、こうおっしゃる。それじゃ、ことばを返して言いますと、なぜ地域人たちがそんなに不安がって反対するのですか。どうお考えでございましょう。この点ひとつ大臣のお考えを承りたいと思います。科学的に安全だというものを、なぜ地域人たちはそう心配するのでしょうか。どうお考えでございましょうか、わからなければわからぬでもいいですけれども。
  16. 木内四郎

    木内国務大臣 私は技術者でもありませんし、また、ものごとに一〇〇%安全ということは言い得ないということは、世界の学者もみな認めておるわけです。ところが、今度出た報告を私はまだこまかに見ておりませんけれども、世界的の国際放射線防護委員会の基準などに比ベまして百分の一くらい、あるいはそれ以下の基準を目標にしてやっている。私は、これは高く評価していい問題だと思うのですよ。そういう点もありまするし、この安全専門審査会の先生方の最善の努力に対して深く敬意を表してこれを尊重してまいりたい、かように思っております。
  17. 堂森芳夫

    堂森委員 科学的に安全であるという結論だということでありますが、私も疑問点がありますので、きょうは原子力委員会の山田先生も来ていらっしゃいますから、それは後ほで聞きますけれども、それでは大臣は、地域人たちがあんな不安がっている問題に対して、どういう手続をとって地域を納得させていこうとお考えでございますか、もう少し具体的に御答弁願いたいと思います。
  18. 木内四郎

    木内国務大臣 いまの問題につきましては、私は離れてもおりまするし地域人たちの様子はよくわかりませんが、知事の意向を聞いたりいろいろな方法によって、地域人たち理解協力を得るように努力をいたしたい。これは抽象論であるかもしれませんが、私はそういう考えでものごとを進めてまいりたい、かように思っておるのです。
  19. 堂森芳夫

    堂森委員 局長、調べておられるのでしょう。少し現地の事情を説明してみてください。私はよく知っているのですから、いいかげんなことを言ってもだめですよ。
  20. 成田壽治

    ○成田政府委員 昨年のこの科技特でも、請願の取り扱いに関連しまして、現地の事情を科学技術庁みずから十分調査せよという御指摘が先生からありまして、われわれも県当局とは十分いろいろ打ち合わせ、きのうも局の幹部の者を知事のところに相談にやっておりますが、ただ、県といろいろお話ししまして、大飯地区に乗り出していろいろ調査に行くべきかどうか、これにつきましては、県の判断はまだ時期が早いのじゃないかという御判断でありまして、大飯の現地調査にはまだ行っていない状態でございます。ただ、大飯町長、きのうも参っておりますが、町長あるいは賛成派の町会議員、反対派の町会議員等が東京に出てきたつど、われわれは直接にいろんな実情をよく聞いておりまして、きのうも町長から二回にわたっていろいろ事情を聴取しております。
  21. 堂森芳夫

    堂森委員 完全に地域を納得させ得るような確信をお持ちですか。局長いかがですか。
  22. 成田壽治

    ○成田政府委員 現在のところは、先生御承知のように、町議会も二つに割れ、町長も現地の混乱を除くために非常に苦慮しているという状態はよくわかっておりますが、ただ安全審査会から出る前の状況で、まあ原子力に対する不安感というものも現地の反対の半分ぐらいのウエートは占めているんじゃないか。あるいは安全問題以外に現地の利害問題というものも一つの反対の原因となっていると思います。  それで、安全性につきましては、安全審査会で結論が出た以上、どうして結論が出たかを十分説明して、十分納得していただきたい。それから利害問題につきましても、これは県知事なり町長等の責任者と十分話し合って、この点についても適正な処理ができるのではないか、また、そういう方向科学技術庁としても努力してまいりたいと思っております。
  23. 堂森芳夫

    堂森委員 後ほどまに聞きますが、それでは大臣、直ちに認可をしていくようなことはないんだ、考えるんだ、こういう御答弁のようでありますが、大臣は現地の人たちの意見をたとえば公聴会とかあるいは何か、まあ形はいろいろあるでしょうが、そういうふうな現地の声を決定までにいろいろ聞くというような考え方をお持ちでございますか。そんなことはしないんだというようなお考えでございますか、どうですか。
  24. 木内四郎

    木内国務大臣 さっき私申しましたような基本方針ですから、当然現地の人たちの意見も聞きますし、また、理解協力を得るような努力もしたい、こう考えております。今日までも現地の反対の人も来ましたが、賛成の人も大ぜい来ています。まあ、いろいろな意見を聞いたりしますけれども、とにかく要は地元の方々の理解協力を得てこれを進めるのでなければ十分な効果をおさめることはできない、私はかように考えておるので、その線に従って努力したい、かように思っております。
  25. 堂森芳夫

    堂森委員 それは現地ではたいへんな騒ぎなんですよ。いまの段階で工事を始めようといたしますならば、おそらくこれはたいへんな血の騒ぎが起きてくると私は思うのです。したがって、慎重にしなければならぬことは当然でありますが、現地において公聴会等の形においていろいろな意見を聞いていくというようなことをおやりになる意図があるのかどうかということを聞いておきたいのです。意見を聞くということはそれはあたりまえですわ。請願に来たり陳情に来ればあなたが聞くのはあたりまえです。そんなことじゃなしに、現地でそういうことをおやりになるおつもりですかどうですかということです。
  26. 木内四郎

    木内国務大臣 現地の意向を聞いたり協力を求めたりする方法はいろいろあると思うのです。私はいまこちらにおりますから、私が現地に行って一々意見を聞くというわけにもいきませんし、いろいろな方法はあると思うのですけれども、私はいろいろな方法を使って——どういう方法によるかということをいまお約束するわけにはいきませんけれども、いろいろな方法によって現地の意向を聞き、かつ、理解協力を得るように努力をしたい。堂森先生もやはり福井県の御出身ですから、どうか十分な御理解と御協力を賜わりまして、ものごとが穏やかにいくようにひとつお願いいたしたいと思います。
  27. 堂森芳夫

    堂森委員 あなた、世界で初めての一番大きなものをつくるのですよ。百十七万キロワットというものはまだどこにも動いていないのですよ。どこにも動いていないようなものを一ぺんに二つ同じ町につくるのですよ。そしてもうあの辺一帯に原子力発電所が、まあ林立するというとちょっとオーバーな表現かもしれませんが、あの地帯はもう全部が原子力発電所の地帯、こう言ってもいいような地域になりつつあるわけですよ。そういうところに、一々現地へ行って意見を聞くというようなことはできないとかそういうことじゃなしに、いろいろあるとおっしゃいますが、それじゃどういう方法で現地のいろいろな世論というもの、考え方、いまいろいろ人心の動揺しておる状態というものについて——いま局長は、まだ現地へ行くのは早いんだ、県庁で相談しているんだ、そういうような報告しかできないのですから。ではゆっくり、いろいろと、現地の情勢をもっと的確につかむように今後やっていこう、こういうことでございますか。もう一ぺんお答えいただきたい。
  28. 木内四郎

    木内国務大臣 それは御質問までもなく当然現地の事情をよく調べて、また、その人たちに対する理解協力を求めるような努力をしなければならぬ、かように私は考えております。
  29. 堂森芳夫

    堂森委員 私はそれは、世界で初めてできるような大きなものをつくるんですから、現地の住民たちに対していままでにやってこないような努力をいろいろとしていただくこと、それは私は当然だと思うのですよ。とにかくそういう努力をしなければならぬ、こう思うのでありますが、じゃ私は希望を申し上げておきます。必ず現地において公聴会のような形をとった、地域人たちの意見をよく聞くような、反対の人の意見も聞くようなそういう機会をぜひつくってもらうように、私は国会議員として大臣に要望をしておきます。  そこで、政府また大臣にお願いしたいのですが、まあ安全審査会をやってこられた。これはかなり長期間のものであります。しかし、これは毎日会議をやっているわけじゃないのですから——毎日やっておったわけじゃないと思うのですが、まあとにかく長い時間をかけて審査をしたんだ、こういう態度であろうと思うのですが、その審査をやってこられた、討議をされているそういう審査の資料というものをこの委員会に資料として出してもらうように私は要求するんですが、大臣できますか。いかがでございましょう。
  30. 成田壽治

    ○成田政府委員 安全審査会が三月六日終了しまして、三月九日の原子力委員会報告して委員会が答申を受理することになりますので、その資料につきましては当然ここへ提出いたします。ただ、議事録という形ではとっておりませんので、その要点だけを記載したものになると思いますが、御提出いたします。
  31. 堂森芳夫

    堂森委員 それじゃ局長聞きますが、議事録はないんですか。
  32. 成田壽治

    ○成田政府委員 具体的にどの先生がどういう発言をしたかという直接の議事録はないのでありますが、議事要旨的なものはありますので、それをまとめて御報告したいと思います。
  33. 堂森芳夫

    堂森委員 できるだけ詳細な資料にして出してもらいたいと思うのです。前に、去年ですか参議院で私の党の辻君という議員が質問しておったら、あなた、それは企業の秘密等の関係があって、審査の経過等はこれを資料として出すことができぬというような、私きょう急いで議事録読んだのですが、そういう答弁しておるのですが、それは間違いですか。どういうことですか。
  34. 成田壽治

    ○成田政府委員 参議院におきましては申請書をそのまま提出してくれないかというお話がありまして、これはまあ企業機密も入っておりますので、その点十分調査した上で出しますということになっております。それで、申請書の概要になりましたが、これも提出しておりますし、それから過去において審査の終わった炉についての議事要旨的なものも参議院には提出しております。
  35. 堂森芳夫

    堂森委員 よくわかりました。それでは九日の原子力委員会が済み次第、一日か二日というわけにはいかぬかもしらぬが、なるべく早くこの委員会に提出してもらいたい。その資料によってまた私がお尋ねしたい点も出てくると思いますので……。それは約束してもらえるですね。
  36. 成田壽治

    ○成田政府委員 はい。
  37. 堂森芳夫

    堂森委員 そこで私、さらにお聞きしてみたいのでありますが、山田委員いらっしゃいますね。これもきょう、参議院における辻君の質問の速記録を読んでおって私いろいろ考えておったのですが、あのときにアメリカにおける安全審査のやり方、基準というものと日本の場合違うじゃないか、こういう質問をしておる。そしてその際また、従来日本は五百ミリレムですかでやってきたが、アメリカでは、これは五ミリレムですかにすべきである、こういうようなことに変わってきておるので、日本もそのようにしていきたいと思う、こうする、こういうような意味の答弁をしておられますが、間違いございませんか。
  38. 山田太三郎

    ○山田説明員 この前の参議院の速記録をよくお読みいただければいいかと思うのでありますが、アメリカでもいまの五ミリレムの問題は、これをほんとうの規則にすべきであるかどうかということの検討をやっておる最中でございます。まだ完全なルールにはなっておりませんです。これはこの前の参議院のときも申し上げましたが、五ミリレム以上になってはいかぬという規定ではございませんで、基準自身は五百ミリレムで変わっておりません。しかしながら、原子力発電所を設計する際にはそういう目標で、五ミリレムという目標で設計しなさい、しかしながら、運転の途中においては放射能、気体廃棄物ですか、そういったものがあまり出ないようにする機械がございますが、それもときにはこわれることもあるかもしれない。そのときにすぐ原子力発電所をとめろということでは非常に困る。それは先生は十分御承知のとおり、一年間なり十三週間の平均の放射能についてどうこうでございますから、一時間とか一日ということは問題にならぬわけであります。そういう意味で、そういうときにもすぐに原子力発電所をとめるということでは運転上困るので、それの二倍から四倍ぐらいになった場合には、発電所のほうでよく検討しなさい。しかしながら四倍から八倍になったときには監督官庁であるアメリカの原子力委員会が指示を出す、こういうような形になっておるわけです。したがいまして、五ミリレムそのものは基準ではございませんので、われわれとしてはいま言ったような、二段、三段というようなアンビギュイティーのあるものを基準としたほうがいいかどうかということについては、まだ検討の余地があると考えておりますが、しかし、検討ばかりしておりますとじんぜん日がたちますので、規則そのものにいたします前に、実行可能な範囲でわれわれがやれますことは、原子力発電所運転に対しましては、保安規程というものを原子力局で指示いたします。その中で数値をできるだけ低くするということにさせる。大飯の場合にはたまたま五ミリレム以下にはもちろんなっておるわけでございますけれども、それがどこでもというわけにはすぐまいりませんですが、そういう方向でこういう運転をいたしますという約束をさせるという形に現在はしていこう、そういうふうに考えております。
  39. 堂森芳夫

    堂森委員 そうすると、山田委員がおっしゃることは、今度の大飯の百十七万キロワットの大型原子力発電所許可する安全性審査するにあたって、従来とは、五百ミリレムというような基準ではなしに、五ミリレムと百分の一にしたような基準にすべきであるという立場で、安全性規定するような立場で審査をされたのですか。あるいは従来のとおりでやったということですか。たまたまやってみたら、新聞で読みますと二・四ミリレムになる、こう書いてありますけれども、どういう立場でおやりになったんですか。
  40. 山田太三郎

    ○山田説明員 必ずしも五ミリレムにしなければ許可しないというような形で考えたわけじゃございません。しかしながら、その方向にできるだけいくことが望ましいということと、この場合には可能である。しかしながら、これはここが可能であってほかが可能じゃないということでは困りますので、だんだんにほかへ及ぼしていくことは考えておりますが、それを一朝一夕にはできませんけれども、方向としてはそういう方向へ持っていく。五ミリレムというのはまだ日本できめておるわけじゃございませんので、これでなければいかぬという基準はございません。
  41. 堂森芳夫

    堂森委員 しかし、山田委員にお尋ねしますが、少ないほうがいいのでしょう。少な過ぎて悪いということはないですよ。どうでございますか。
  42. 山田太三郎

    ○山田説明員 仰せのとおりでございまして、アメリカの考え方も、アズ・ロー・アズ・プラクチカブルで、アズ・ロー・アズ・ポシブルではございません。したがいまして、技術的あるいは経済的に可能な範囲においてやれ。これはICRPもそれに近い考えでございまして、そういう範囲のことでございますから、これをたとえば二・四がまだもっと少ないほうがいい、〇・四にしろとかいうようなことではございませんが、少ないほうがいいことはICRPの基本精神。五百ミリレムというのも基準でございますし、ICRPは考え方のバックグラウンドに低いほどいい、こういうことを言っておりますから、それに近づけることが望ましいわけでありますが、それではアズ・ロー・アズ・プラクチカブルという数字は何であるかということについては、まだアメリカが一例を出しただけでございまして、定説はございません。
  43. 堂森芳夫

    堂森委員 少し個条書きみたいにして聞いていきたいのですが、すでに昨年、PWRについては、アメリカにおいて、緊急冷却装置ですか、あの実験でたいへんな世論が巻き起こってきた。そして、これについては、環境問題等の世論も非常に巻き上がってきて、アメリカにおいてはPWRの新しい炉、発電所の炉の設置については、何か一時中止を命じているというようなことを新聞で読んだことがあるのですが、その事実をちょっと私は聞きたいものですからお尋ねするのですが、どうなんですか。
  44. 山田太三郎

    ○山田説明員 そういう事実はございません。ただし、昨年度アメリカにおいて起こりました新しい問題は、アメリカの環境保護法の施行をアメリカの原子力委員会がやるということがきまったのが去年の七月でございます。これは美観の問題であるとか温排水の問題であるとかといったようなことにつきましては、従来、アメリカの例で申し上げますと、担当の官庁から、その原子力は、そういういろいろな基準がありますが、それでは基準に反しておらぬという副書をもらいまして、それをつけてアメリカの原子力委員会許可しておったわけでございます。しかしながら、去年の七月から、まあ日本の状態とだいぶ違いますけれども、七月からは条件が少し変わってまいりまして、いろいろな官庁がそういったものを出すというのは、そこが個々に考えて、そこだけの許可をするだけである。ところが、そのアメリカの原子力委員会の立場に立ってまいりますと、もしも原子力発電所をつくる際には、もっと総合的にいろいろな観点を全部あわせて、原子力発電所をつくることをアメリカの原子力委員会が認める際には総括的な判断をすべきである。したがって、たとえばほかの官庁がこれはこういう基準には合っておりますという副書をつけただけではだめではないかというのが、去年の七月二十三日のカルバートクリークという発電所に関する法廷での判決でございまして、これでAECは敗訴したわけでございます。  したがいまして、その意味からいきますと、アメリカの原子力委員会は、従来放射線については専任の管轄権があるといわれておりましたのに加えまして、原子力発電所については総合的に環境についての検討をしなければならないという問題が出てまいりました。これは実は非常にアメリカの原子力委員会は困っておるわけでございまして、非常にむずかしい問題がその環境の総合判定をするという問題につきまして起こってまいりました。これも申し上げますと非常に長くなりますが、そういう状況がある。そのために、そういう環境に関する判定がなされたものでなければ運転許可をしてはならぬということになりましたので、去年の七月から出ました環境報告というものがなかなか出せない。エンバイロンメント・リポートというのと、もう一つは、コスト・ベネフィット・アナリシスと申しまして、原子力発電所をそこにつくるけれども何かほかの対策をしたほうがいい点と悪い点が出てくるであろう、その利害得失を全部検討しろ、こういうようなアナリシスの報告をしなければならない。そういうことがこの審査をおくらせておる理由であるというふうに考えております。
  45. 堂森芳夫

    堂森委員 そうすると、山田委員の御答弁は、昨年の七月以来、原子力委員会もそうした世論に対して非常に慎重になって、そして——いや、私、聞くのですよ、あなたに。あなたは答弁する義務があるのですよ。日本の原子力の安全の責任を持っておる人ですよ。人ごとじゃないですよ。ですから、そういうものに対して原子力委員会、AECは非常に慎重になって新しいものは許可していないということなんですか。どうなんですか。その間よくわからぬから私聞いておるのです。
  46. 山田太三郎

    ○山田説明員 要するに、いまの環境に関する審査報告書ができないということが一番の問題でございます。
  47. 堂森芳夫

    堂森委員 できないということは、それじゃ許可できないということじゃないですか。どうですか。
  48. 山田太三郎

    ○山田説明員 結果的にそのとおりでございます。アメリカは環境保護法が適用されましたので、その環境に関するリポートが完全にでき上がるまでは許可ができないわけでありますから。
  49. 堂森芳夫

    堂森委員 アメリカのような、日本から、われわれの国から見たら、少なくとも原子力開発原子力利用、もちろん発電もそうでありますが、ずっと先進国でしょう。そういう国でそんなに慎重にならなければなかなか原子力発電の工事の許可はできないというか、してはならぬというか、そういう状況になっておるということは、私はこれは、あれじゃないですか、わが国のような国土が狭くて人口が多くて、いろいろな意味で私は好ましくないというか、原子力発電所をつくる上にはやはりいろいろな問題点の多い国であると思うのでありますが、もっとわれわれはアメリカよりも慎重に環境問題を考えるということは当然でないでしょうか。いかがでしょうか。
  50. 山田太三郎

    ○山田説明員 もう少し詳細に申し上げないとおわかりにくいかもしれないのですが、ただいまの環境報告と申しますのは、すべて環境によって、原子力発電所をつくることによって受ける利益をできる限り金額、ダラーバリューであらわす。それからエンバイロンメントコスト、すなわちそれによって受ける被害を、これまたできる限りダラーであらわせ、こういうことでございます。しかしながら、その中にはほとんどダラーであらわせないものが多いわけでございまして、そういう報告書を書くことがなかなかむずかしいというのが現状でございまして、気持ちが、日本がそうでないとかあるとかいうことじゃなくて、そういうような形の報告書をつくることになっておるということでございます。
  51. 堂森芳夫

    堂森委員 私はそれじゃ方面を変えてお聞きしてみたいのですが、これも科学技術庁から私もらった資料ですが、アメリカの原子炉の設置にあたってはアメリカ原子力法第十章による規制がなされておる。これは調整課でもらったのですよ。そしていろいろな十章からなる規制があるのですが、この規制によっていろいろな厳重な規制が行なわれておる。そしていろいろな原子力発電所の炉心から人口の中心地帯との距離といいますか、そういうものを計算値で書いたもの、それから実際においては距離がどれだけあるかという表を私、役所からもらったのですが、それを見ておると、たとえばどの原子力発電所も、十八万キロから四十四万キロぐらいのもので、実際の距離は一番近いもので十五キロ、それから遠いもので三十四キロくらい、こういうことですね。ところが、私の県の福井県の状態を見ますと、今度できる大飯町はもちろん、それから高浜にも二号炉ができるわけでしょう。敦賀に一号炉、また二号炉をつくるでしょう。それから美浜が三号炉までできるでしょう。いずれもこれは十五キロなんてそんなにないです。全部近いです。そうすると、こういうアメリカにおける規制というものは非常に厳重じゃないですか。距離が、日本はどうしてこんなに短いのですか。狭いところに、しかも人口が三万、四万とあるような都市がある付近につくるというようなこと、アメリカの規制と日本の規制とどうしてこんなに違うのでしょうか。それを説明してもらいたいと思うのです。
  52. 山田太三郎

    ○山田説明員 アメリカの場合と日本の場合と違う点につきましては、参議院においてもディスカッスされました。結局どういう資料を先生がごらんになっておられるかわかりませんけれども、アメリカといたしましては、これだけなければならないという距離につきましては、そんなに十何キロというものではございません。しかし、アメリカは広いのでそういう場所があり得ると思うのですけれども、実際に原子力発電所をつくる場合に、都市からこれだけの距離をとらなければならぬという距離につきましては、そんなに十何キロということはございません。
  53. 堂森芳夫

    堂森委員 それではアメリカでは——これは役所からもらった資料ですよ。間違いじゃないです。いいかげんなことを言っておるのではないです。こんなに長距離をとって、人口の中心地帯との距離をとっておる。こんなに要らぬですか、あなたは。  では、日本の場合、たとえば高浜の一号炉、二号炉からは町は八百メートルぐらいしかないですよ。それから美浜二号だって敦賀まで七百メートルくらいでしょうか。一キロあるのかな。それから美浜一号炉、七百メートルくらいではないだろうか。どうですか。私、そう思いますが、こんなに狭いところにどんどんつくっておって、アメリカでは十何キロとか三十三キロというような長距離。それはアメリカはむだなことをしておるのですか。私はやはりアメリカのようなやり方のほうがより合理的だと思うのですが、いかがですか。
  54. 山田太三郎

    ○山田説明員 もちろん遠ければ遠いほどよろしいというふうには思いますけれども、どれだけなければならないかという逆のほうから考えていきますと、それだけ必要はないということでございます。
  55. 堂森芳夫

    堂森委員 それでは、どういうわけでそんな差ができておるのですか。アメリカではそんなふうに、ただ広いからやっておるだけですか。日本は国土が狭いから、狭いところへそういうものをつくっておるんだということなんですか。どうでもいいことですか。そんなこと、私はないと思いますが……。
  56. 山田太三郎

    ○山田説明員 例示の点が問題だと思いますけれども、アメリカの例をすべて調べてまいりますと、もちろんこのとおりに遠いところもございます。しかしながら、一マイルとかあるいは二マイルといったようなものも当然ございまして許可されております。
  57. 堂森芳夫

    堂森委員 もう時間がありませんので、途中で何も聞けませんです。  そこで、今度の大飯発電所では何か安全性を保持するためのアイスコンデンサーというものがつけられるようになったので、危険というものは蒸気ですかそれが外へ放射能を持ち出すような漏れ方はしないようになるのだ、こうあなたのほうは説明しておられるわけでしょう。ところがこのアイスコンデンサーというのはまだどこでも使ってないものだという話ではないですか。これもやはり実験段階ではないですか。いかがですか。
  58. 山田太三郎

    ○山田説明員 これが現実のものとして運転された例がないという意味では、先生の御指摘のとおりだと思います。しかしながら、こういう案を考えます前には、すでにいまから七、八年前からウェスチングハウスにおきましてこういうモデルをつくりまして——モデルという意味が非常に小さくしたという意味ではございませんで、四分の一とかいうところのフルモデルでございます。パートモデルと申しておりますが、そういうモデルをつくりまして、これが十分効果があるということについては確かめられてございます。しかし、もちろんこれが実際のものについて運転しておりませんですから、建設に入ったり工事の段階におきましては十分検討いたしますし、そういう点は必要といたしますけれども、原理的には十分にそういったものが、先生の御指摘のように、格納容器の中の圧力が減りますから外へ出る分がだいぶ減ってくるということにはなる、こういうふうに考えております。
  59. 堂森芳夫

    堂森委員 私はそういう点も非常に心配がある。地元の人たちは、初めてのものをおれのところにつくるのだ、初めての世界一の大きなものをつくる。また、そういう安全装置にしても、まだ実用に使ったことのないような、まだどこも使っていないものを、今度は実験として成功しているからそれを使うのだ、こういうようなことも私は大きな不安を与えるような原因になる、こう思うのであります。  そこで、もう時間がありませんから二、三の点を聞きたいのですが、私は、たとえばこういう大型原子力発電所を一ぺんに二つも同じところへどうしてそんなに許可するのですか。世界でまだ使っていないものでしょう。それを日本で初めてつくるのに、一ぺんに二つもつくるということは、私は少なくとも学問の常識からいったら一つずつしていくのが常識じゃないですか、どうですか。
  60. 山田太三郎

    ○山田説明員 それはこの技術に対する信頼の程度によると思いますけれども、先生御指摘のように、ここでは同時に建設に着手するという点は非常におかしいではないかというお話でございますが、アメリカですでに十数基こういうものが建てられております。建設中でございますが、これはほとんどすべてといっていいくらいに二基同時に建設許可を得ております。たとえばチオンというのも、これも百五万キロでございますが、一号、二号ともに同じ時期に建設許可がおりております。それからドナルドクックという、これはアイスコンデンサーでございますが、これまた同じように六九年七月に二台とも同時に建設許可がおりております。それからセイラムというのも、これも百五万キロ、これもやはり六八年九月に一、二号とも許可がおりております。それからなおマクガイヤー、これもPWRでございますが、百十五万キロ、これも同時に申請しておりますし、アイスコンデンサーを使っておりますセコイヤーというのも、これも同時に二台、それからワッツバーというのも同時に二台、みんなそういう形でもってツインの形で建設するというのがむしろ常識になっております。日本で全く同じ手をやっていいか、それになるかならぬかは別でございますけれども、しかし、いま申し上げました例としてほとんどのものが二台同時に建設に着手しておる。しかしながら、実際の建設は若干ずらしまして、工事を一番能率よくやるとは思うのでございますけれども、そういう例がむしろ多い。ほとんどのものが二台同時に許可しておるというふうに考えます。
  61. 堂森芳夫

    堂森委員 それから私はこう思うのです。われわれがまだ世界にないものをつくるという場合、いまアメリカで十一基ですか、建設中というじゃないですか、西独で一基ですか、それは正確な数字は知りませんが、十一基つくっておる。そして、これはいつの日かは完成します。そういうものの経過を見てわが国がやるという、それでいいんじゃないでしょうか、どうなんでしょう。あわてて、まだ実際実験中のものまでもアイスコンデンサーというものをつくったりつけたりしてやる、しかもこのアイスコンデンサーというのは何か半減期の長いものにはあまり効果がないんじゃないかという説もあるというふうに聞いております。あなたは専門家だからよく御承知だと思うが、そういわれているように私は聞いております。そういうものを諸外国の、アメリカは先進国だと思うのです、先進国の例を見て、運転の経過等を見て、そうしてわが国がやるというほうが私は合理的だと思う。  それからもう一つ、やはり普通のものごとの安全とかそういうものを確かめる場合、五十万キロワット、六十万キロワットでこうであったから、これを百十七万にしたってこうだ、それはおそらく計算で推定だと思う。それも一つの安全を証明する方法にはなるかもしれませんけれども、私はほんとうは実験ということが大事だと思うのです。そういうものをせずに、全部計算で推定して安全だと、こういうやり方をする。今度の温排水だって、これは安全性についての委員会では何も触れていないというでしょう、地元の漁師たちは、あんなあたたかい水をどんどん出すから、魚等についてもいろいろ大きな影響を来たす、こう言っているわけです。  それからまた、いろいろな推定をしておられますけれども、潮流というものは実際には変わるんじゃないでしょうか。そのときによって変わるでしょうし、いろいろな条件があると思うのです。そういうものが実際計算されるものでしょうか。いまの美浜の一号炉でもこうであるから、これが何倍になったからといってこうにしかならぬという推定だけでは、温排水の問題一つ考えましても、私はそれは不確かだと思うのですが、山田委員いかがでしょう。
  62. 山田太三郎

    ○山田説明員 先生たくさんのことをおっしゃいましたので、答えが抜けると失礼でございますが、最初にお話のございました、こういう建設は、外国が建設して、しかも運転をして、それが十分いい成績になった段階でやればよろしいというお話でもございますけれども、しかし、先ほどちょっと申し上げましたように、すでにアメリカでは六八年の四月から着工しております。いまから三、四年前でありますが、そういう六八年のものが三、四台すでにございます。われわれとしてはそういう先行炉ができ上がっていく段階をあとからいつでも追っかけてまいりますので、そういう意味では特別に問題はないのではないかと思います。  それから、百十何万キロというお話でございますが、これは実は一つのループにつきまして大体の出力がきまっております。大体三十万キロぐらいということになっておりますから、八十万キロ、九十万キロ級のものはスリーループでございます。それにループをもう一つ足すということで百二十万キロになる。したがいまして、その全体を大きくするのではなくて、コンポーネントが、三つのものが四つにふえるという形でふやしてございますので、出力が上がる分についてはそういう標準がもうすでにでき上がっておる。それを組みつけるという形でお考えいただきたいと思うのです。  それからもう一つは、これはことばじりではなはだ申しわけないのですが、アイスコンデンサーは特別に中にあります放射能を減衰する目的を持ってございませんので、たぶんチャーコールベッドの話じゃないかと思います。  それから、温排水につきましては、確かに御指摘のとおりでございますが、非常にむずかしい問題がまだこれは解明されたというふうには申し上げかねるのだろうと思うのです。原子力委員会は確かにいわゆる放射線安全ということでまいっておりますけれども、やはりアメリカの例もありますように、われわれの管轄、権限ではないのでございますけれども、温排水につきましては、日本の将来の水産業等を考えますとどうしても研究しなければいかぬし、調査もしなければならぬというふうにもちろん考えております。
  63. 堂森芳夫

    堂森委員 もう私の時間は十何分過ぎましたのでやめます。水産庁に温排水の問題について聞きたかったのですけれども、時間がありませんので、これで終わります。  大臣若狭湾はまるで原子力発電所の基地みたいになっているわけです。こんなにたくさんの原子力発電所若狭湾に集中して持ってくるということについては、私は大いに疑義があるのです。たとえば、絶対そういうことはないとあなたはおっしゃる。私は、何か原子力発電についてはそういう障害というものは一万分の一ぐらいの確率であり得るだろうというふうに聞いておるのですが、一万分の一くらいで起きるということになると、二十の発電所があって五十年間に一つぐらい起きることになるんじゃないでしょうか。そうすると、こんなにたくさんの原子力発電所若狭湾に持ってきて、そしてつくっていくということについては、私は大臣に考慮してもらいたいと思うのですよ。こんな同じ狭い地域にずっと原子力発電所ばかりつくっているのです。これはやはりいろいろな意味で安全ということは、それは絶対ということはないとおっしゃいますが、私はそのとおりだと思います。そういうことが起こる可能性はあんなにたくさん原子力発電所をつくれば、そういう障害というか災害というかそういうものが起こってくる可能性は、やはり一つある場合よりも二つ、三つよりも四つ、五つと、多ければ多いほど出てくることは、これはもう当然でありますので、あんなに同じ地域ばかりに原子力発電所をつくっていくというようなことについては、私は重大な考慮をしてもらいたいということを大臣に希望しておきます。  いずれ資料をもらいましてからまたいろいろ聞きたいと思います。きょうは私は時間がありませんから、これで終わりたいと思います。
  64. 渡部一郎

    渡部委員長 次に、石川次夫君。
  65. 石川次夫

    ○石川委員 原子力平和利用については、超党的に将来のエネルギー問題を考慮して推し進めなければならぬということで、われわれもこれに協力を惜しまなかったわけでありますけれども、最近のいろいろの長期計画を見ますと、大体一九八五年に四千万キロワットの原子力発電所というのが、急遽おととしの暮れに六千万キロというように、スケールアップというか相当テンポが早まっております。それと、アメリカに比べまして、日本は単位面積当たりのエネルギーの消費量が大体八倍というふうに推定をされております。そういうことから考えると、それに対応してわれわれは新しい炉を開発をする、あるいは核燃料を確保しなければならないということについては、もちろん協力を惜しむものじゃありませんけれども、それに対応する日本独自の環境の対策というものは一体十分なのかどうかということになると、非常にわれわれは危惧の念を持たざるを得ない。  われわれは決して原子力平和利用というものを推進することにやぶさかではないけれども、この体制のままではだめだということで、昨年の暮れ科学技術庁長官あるいは原子力委員会のほうには、このスローダウンというよりも、現在の建設計画を一応中止をして見直しをしなければいかぬのじゃないかという意見を出しておりますことは御案内のとおりだろうと思うのです。そのことの内容についていまここで詳しく申し上げる時間もございません。わずか三十分足らずということになっておりますので、どうもきょうだけでは質問ができないのは非常に残念でございます。  端的に伺いますが、たとえばこの放射能によるところの被害の見方というものはいろいろございます。たとえばスタングラスの意見に対しましてはゴフマンとタンブリーが反発をする。それに対してまた有名なラルフラップという人が反発をするということで定説がないというのが実態でありますが、それだけにわれわれとしては最低限の人命を守るという立場から、いろいろな環境的な基準というものをきめていかなければならぬのじゃなかろうか。まあ定説として一応言えるというのは、大体二十年後に突然変異によるところの遺伝の倍加線量というのは四十レントゲンではなかろうかということが一応の定説として認められておる。それから有名なこれはノーベル賞をもらったマラー博士が言うのには、遺伝学を知らない人は原子力施設の周辺で生まれた子供に何ら影響がないように見える、そう思っている人が多いけれども、これはたいへんな間違いだ。目立たないかすかな障害をもたらす突然変異が、生まれてきた子供たちの間に広範囲に広がりつつある。この小さな突然変異が結婚によって積み重ねられ、そしてその地域住民が遺伝的に怪物化されていきつつあるのだという重大な警告を、この遺伝学によってノーベル賞をもらったマラー博士が言っておるという点もわれわれは十分考慮しなければならぬと思うのであります。  そういう点で、いろいろな点でわれわれは不安に思うのでありますが、端的に、具体的に質問申し上げますけれども、TID一四八四四の基準の資料というものをあとから私は提出を願いたいと思うのです。それからその資料が現在は適用されておるのかどうか、適用されておらない、あるいは緩和されておるということになれば、一体どういう根拠によっておるのか、その点を山田委員のほうから伺いたいと思います。
  66. 山田太三郎

    ○山田説明員 TID一四八四四につきましては、原文ならすぐに御提出できます。そのうち訳してお出しできると思います。  それからアメリカの現状につきましては、アメリカのほうではTID一四八四四自身が、これをやめたとはいっておりませんけれども、実際問題といたしましては、テクニカルガイドというものを安全について持っておるようでございまして、それによって実際はやられておるというふうに伺っております。
  67. 石川次夫

    ○石川委員 廃止はされておらないので、一応の権威を私は認めなければならぬと思うのですね。そうなりますと、先ほど堂森委員のほうからいろいろとお話がございましたけれども、たとえばイギリスのバークレーからシンクレーポイント、これが世界で一番密集している地帯というふうにいわれておりますけれども、これに対して敦賀市から高浜五十一キロの間の基準は、これに合わせますと大体二倍以上になる。距離の点を入れると大体三倍以上になるということになっておるわけです。きわめて密度の高い場所が若狭湾に生まれようとしているという点で、われわれは関心を持たざるを得ないわけであります。コネチカットヤンキーなんかは四十四万キロでもって、これを計算的に言いますと、TID一四八四四によりまして二十八・七キロメートルでありますけれども、実際には十五キロだということになっております。十五キロというふうに下がっておりますけれども、しかし、日本の場合に一体どうなんだということになりますと、この距離の立地指針というのは、実際に事故が起こったら人命にどういう影響を与えるかということではかるのですから、これはアメリカだろうが日本だろうが同じわけですね。それ以外に日本としては、単位当たりのエネルギーの消費量が非常に高い。原子力発電所の密度が相当多くなるだろう。それによって、自然放射能によって、放出される放射能によって受けるところの影響というものは一体どうなんだということで、これは相当厳密な、アメリカ並みじゃなくて厳密な基準をつくらなければならぬ。これは常識だろうと思うのです。したがって、アメリカが、たとえばICRPの百分の一といえば、日本は百分の一でいいんだということにはならないのだというような観点から私は出発していかなければならぬと思うのです。  そのことの議論はあとで行なうといたしますけれども、このTID一四八四四という数字で、実際値が十五・三キロで、しかも四十四万キロワット、こういうことから比べて、若狭湾の場合は三百五十万人も、観光のためというか海水浴の客が一夏に集まるというような場所なんですね。そうするとどう考えても、TID一四八四四、これは実際値のほうをとってみても、あまりにも密度が高過ぎるのじゃなかろうか。こういう点は、どういう基準で、これを無視したというかっこうに結果的にはなって、許可をなぜしたのだろうかという点の説明が、どうもわれわれには理解できないわけなんです。この点はどういうふうに御説明されますか。
  68. 山田太三郎

    ○山田説明員 このTIDの一四八四四というのは、要するに原子力発電所のキロワットがきまれば距離がきまるという、きわめて一義的に、簡単な形で非常にはっきりいたしております。しかしながら、そういうことではなかなかそういう地点が得られなくなってきたというのが、アメリカにおきまして大体一九六四、五年のころのことでございます。しかしながら、初めのうちはそうは言うけれども、なるためTID一四八四四に近い値にしておきたい、つまり逓減係数を小さくしておかなければいかぬという感じを持っておりましたが、現在におきましてはそういうことだけではきまっておりませんで、距離がやはり一マイルぐらいといったようなものも出てまいっております。
  69. 石川次夫

    ○石川委員 どうもそれだけでは説明にならぬと思うのですね。たとえば技術的に相当安全性が高まってきた、あるいは実際環境に対する影響というものがこういうふうに確認もされたというようなことがもとになって、これが緩和されたということなら、われわれはこれは理解するのですけれども、たとえて言うと、アイスコンデンサーというふうなものが用いられて、PWRについては、この非常冷却の装置に対する非常装置、緊急装置というものが十分に働くのだというようなことが、現実にこの緩和をする条件になっておるわけですか。
  70. 山田太三郎

    ○山田説明員 この一番初めの考え方は、原子炉はできるだけ人間から離すべきであるということで、距離だけしか制限する意思がなかったわけでございます。しかしながら、その後コンテナというものによって、やや人間のいるところまで近づけていきたいという感じが出てまいりました。しかしながら、それだけではやはりどうしても非常に離れたところになりますので、そこで、いまお話しのECCSだけではございませんが、エンジニアリング・セーフガード、エンジニアリング・セーフティー・フィーチャーといいますか、安全防護設備が使われてまいったわけでございます。しかしながら、安全防護設備につきましては、初めのうちはそういうものがただあらわれただけだということで、それに対する信頼度を低くしておったのが、だんだん信頼度が高くなってきたということでございます。
  71. 石川次夫

    ○石川委員 たとえば新しいセーフガードがあって、それに基づいてだいぶ緩和されておるというふうなこともいわれておるのですけれども、それについてアイスコンデンサーが一枚かんでいるのじゃないかと思うのです。しかし、アイスコンデンサーというものは実験はやられたかもしれませんが、実際問題としては、これは適用されたということはないわけですね。それとあと一つ、これはこまかいことになって恐縮なんですけれども、この〇・一%が順次放出をされていくというようなことで、アメリカはアイスコンデンサーの場合には計算をしておるわけですね。日本の場合には、永遠にそれは全体の量が〇・一%ずつ漏れるということになっているのだけれども、そういうふうな基準を設けない。どこかの地点でそれがとまるであろうというような前提でもって計算をされておるのではなかろうか、こう私は判断をするのです。  そういうふうに、アメリカよりもきびしくしなければならぬ、アメリカほど技術が高度に発達しておらないと思われる日本でありますだけになおそういう点は厳格でなければならぬものが、何か距離の間隔からいっても、あるいは許可基準のいろんな点からいっても、どうもアメリカよりはゆるやかになっているのではなかろうか。そうなると、先ほど申し上げましたように、相当密度が高くなる日本では、とてもこのままわれわれは認めていくわけにはいかぬ。  特に、端的に若狭湾の例だけをいま取り上げて問題にしておるわけでありますが、今後の計画についてはわれわれとしてはいろいろな提言をしているわけです。しかし、その辺がいま認められておるわけじゃございません。そういう前提が満たされておるわけじゃございませんだけに、特にこの問題について申し上げるわけなのでございますけれども、この新しい基準が、日本で認められたたとえば大飯発電所のような場合、どういう理由で一体これがこういうふうに緩和されたか。あるいは、アメリカより相当緩和されているということは——アメリカでも最近では許可になっておらないと私は思うのですよ。あなたは二基ともにどんどんどんどん許可されておるというふうなことを言っておりますけれども、ここ一、二年ぐらいの間はほとんど原子力発電所というものは許可されておらないし、それからあと一つは、御承知だと思いますけれども、ミネソタ州をはじめとして十州ぐらいが法廷でもって係争中ですね。たとえて言うと、ミネアポリスの北五十キロのところにある原子力発電所なんかは、つくってはみたけれども運転はできないというような状態にまでなっておるというくらい、アメリカのようなあの広大な土地ですらそういう問題が出て、最近は原子力発電所というものはなかなか許可ができないという事態に追い込まれておるのに、それに逆行して日本だけは寛大な措置に出てどんどん許可しておる。たとえば、ソビエトは百万キロの原子力発電所をつくろうと思っておりませんよ。ソビエトは、百万キロの発電所が必要だと思えば二十五万キロを四つつくる、こういうことでいっているというのがソビエトの実情というふうにわれわれは聞いている。ということは、百万キロが一ぺんに事故を起こしたらとんでもないことになる。二十五万キロ四基なら、そのうちの一つが事故が起こっても、そう大きな事故にはならぬとは言いませんけれども、これは四分の一ということに計算としては出るわけです。そういうような考え方もあって、何でもアメリカに右へならえということで、一カ所に百十七万キロというような膨大なものを二基も認めるというようなことで、しかも人口の密度からいって、これはTIDの計算値から見てもあまりにもかけ離れ過ぎておる。かけ離れ過ぎておるその根拠となるものは一体何だというと、いまの説明だけではとてもわれわれは理解できない。  したがって、要求したいことは、時間がないので非常に残念でありますけれども、この安全審査部会でどういう根拠でこれは許可されたか、これは徹底的にわれわれは公表してもらわなければいかぬと思うのです。これは自主、民主、公開の原則の公開の原則に基づいて——これはノーハウの問題ではないと思うのです。したがって、この許可をされたという問題は、安全審査部会の報告書をつぶさにわれわれも検討さしてもらいたい。これは軽々に許可をすべきではないというふうに判断をいたしますけれども、長官どうお考えになりますか。
  72. 木内四郎

    木内国務大臣 科学的な問題についていろいろ御意見がありますけれども、私は、さっき申し上げましたように、原子力は非常に貴重なエネルギーであるし、これはどうしても今後開発していかなければならぬ。これは世界的の傾向だと私は思っております。それにつきましては、どうしても安全ということが第一になってくるのですが、私は、原子力開発した人間は必ずやこれに対する弊害というものを除去する能力はあると常々深く確信しておるのです。これは今後の努力によって必ずこれを克服し得ると私は思うのですが、今日の段階ではわが国の科学者の衆知を集めて、しかも世界的基準を頭に置きながら今日判断されたこの結果に対して、私は、さっきも申しましたように深く敬意を表し、かつ、これを尊重してまいりたい、かように思っておるのです。
  73. 石川次夫

    ○石川委員 どう説明を受けても、若狭湾であれだけ密集して——まあ抵抗の弱いところにどうしても立地をするということで、大体日本では立地基準、指針がないのです。アメリカには一応あるわけです。ところが、日本にはないのです。たとえて言うと、非居住区域とか低人口区域とか人口密集地からの距離とかということが一応出ておりますけれども、アメリカでいっているところの二万五千人の人口に対してそれからどのぐらい離さなければいかぬかというと、たとえて言うと、東海村なんかで見ても、十五キロなんといったらもう五十万人ぐらいの人口が入ってしまうのです。それだけに審査基準というものを相当厳格にしていかなければいかぬ。これは事故が起こったらどうなるかということですから、アメリカだって日本だって変わりないわけなんです。ところが、現実には、向こうは二万五千人で十五キロだという基準があるのに、日本の場合は、東海村で今度百万キロなんという話が出ておりますけれども、百万キロとなったらもっと距離は長くなるでしょう。その場合に五十万の人口から今度百万の人口が入ってしまうというようなことになりかねないのですね。それだけに、この安全対策というものは、環境衛生の立場からもあるいは工学面の上からも厳格に計算をされ、実験をされ、そしてだいじょうぶだというふうな確信の上に立って出てこなければならぬと思うのですけれども、どうもそういう用意がなさそうに思えてならないのです。  あと一つ申し上げたいのは、先ほど堂森さんからもお話がございました。したがって、われわれとしては、原子力発電所をつくる場合には、現地の人たちの了解が得られなければ、実際つくろうと思ってもできませんよということは、前から御注意申し上げておるわけなんですけれども、大飯町の実情を見ると、まっ二つというよりは、現実の問題として反対のほうがはるかに多いようです。したがって、これは何とか了解を得るという場合に、長官あたりの了解の得方は、何とか町の議会のほうを納得させるとか、あるいは知事のほうの協力を求めるということではなくて、アメリカだって原子力発電所をつくる場合には公聴会をやっているのです。したがって、日本の場合もその現地でもって、ちゃんと堂々と説明する自信があるならば、公聴会を開いて現地の人たちを納得させるという気がまえがなくちゃいかぬと思うのです。この公聴会をやられる意思はございますか。これこそ原子力基本法によるところの公開の原則の一番肝心かなめな点ではないか。あなた方がほんとうに自信があって、どうしてもつくらなければならぬのだ、また、つくっても絶対にだいじょうぶだ、こういうことがあるなら公聴会を開くべきだ。アメリカがやっているのですから、アメリカに何でも右へならえしている日本は当然やるべきだ、こう思うのですが、どうですか。
  74. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話しになった公聴会を開くのもやはり一つの方法だと思うのです。私は、いろいろな手段を講じて地元の方々の意向を徴し、かつ、了解を得るように努力したいということを常に申しております。必ずしも公聴会だけでなしにいろいろの方法もあるでしょう。その方法は、いま何をやるかということはここで直ちにお約束するわけにはまいりませんけれども、あらゆる方法を講じて住民理解協力を得るように努力したい、こういうように考えております。
  75. 石川次夫

    ○石川委員 公聴会をやると、すかっとした返事が私はほしいのです。これは公聴会をやるといったって、だれでもかれでも全部参加しろという形でやれば理想ですけれども、必ずしもそうではなくていいと思うのですよ。ある一定の人を限定して、賛成、反対全部集まってもらって、それぞれ討論会かなんかの形になるかもしれませんけれども、そこで公聴会をやるという形だけは最低限とらなければ、私は大飯発電所は現実の問題として不可能だと思うのです。われわれは原子力発電所をつくることにまっ向から反対しようと思っているのじゃないので、そういうことをやるためにもそういう最低限の手続というものをどうしても踏まなければいかぬだろう、こういうことを非常にへりくだっても私は考えざるを得ないと思うのです。そういうことをぜひ強く要望したい。  それと、これはどうも時間があと五分ということなんで、たいへんどうも私は舌足らずになって非常にはしょった議論になってしまって残念なんですけれども、たとえば温排水の問題も、先ほど堂森さんが話しかけて時間がなくてとぎれてしまったかっこうなんですけれども、温排水の場合は、たとえば温度のことだけ問題にしていますね。これは安全審査会でどういうことになっているか、その報告をいただけばわかるのですけれども、温度だけが問題になっているけれども、当然トリチウムは不活性ですから、これは入ってくると思うのです。入らざるを得ない。それから燃料棒破損というふうな事態はちょいちょい起こると考えなければならぬ。そういうことになれば、コバルトとかストロンチウムは当然入ってくるわけです。  それとあと一つ、そういうふうな排水の中で、それが海に広がった場合に、生物に凝縮して、それを食べた場合の人体にどういう影響を与えるのか、こういう調査というものは何ら私はこの新聞報道に関する限り触れておらないのじゃないか。ただあたたかい水が出ても、それによって養殖をするんだというふうな何か問題のすりかえをやっているという感じがしてならないわけです。そういうふうな調査がされているのかどうかという点と、たとえばPWRですと一日一トンから十トンくらい第一次から第二次に水が回っていくわけですね。当然トリチウムや何かの放射能がその中に漏れるというふうに考えなければならぬと思うのです。  それとあと一つは、温度の分析ですけれども、現実に潮流なんかを考えて、実態に即した調査というものはやってないと思うのです。大ざっぱに一キロ以上行ったらどうだとか、何百メートルのときはどうだとかいうような簡単な計算だけで、この潮流を考えて実態的に一体どういうふうになるんだというような調査をされておりますか。
  76. 山田太三郎

    ○山田説明員 当然やってございます。しかしながら、原子力発電所の場合におきましては、海の場合におきましては、その量は非常に小そうございます。したがいまして、魚類を通じてくるフードチェーンにおける放射線の被曝というものは年間に〇・〇〇二ミリレムのオーダーでございます。
  77. 石川次夫

    ○石川委員 この説明というか安全審査会の報告書を見れば一応私は理解できると思うのですけれども、いまの説明だけでは何のことだかさっぱりわからないのです。私は、おそらく潮流なんかの実態調査は、現地からの報告によると、ほとんどされておらないように思う。ただ大ざっぱに、何メートル離れたら何度になる、何メートル離れたら何度になる、あとはもうほとんど、そういうふうな温排水によるところの放射能というものはどういうふうに凝縮をするかというふうなところにまでは、私は調査をされておらないというふうに見ておるわけなんです。これはひとつ御報告をいただいた上でまた検討したいと思っております。  その他申し上げたいことはたくさんあるのですが、時間が来てしまった、時間を厳重に守ってもらいたいというきょうの理事会の約束なので、非常に残念であります。  とにもかくにも、アメリカの基準よりもゆるやかな基準になっているということの根拠は一体何だということは、いまの質疑応答の中でも全然解明されておりません。それとアイスコンデンサーなんかは一体緩和する条件の中に入っているかといったら、おそらくアメリカでは入れておらないと思うのです。その証拠には、美浜の場合にはアイスコンデンサーはつけないわけですね。おそらく百十七万キロワットになりますと百メートル以上の圧力容器というものはアイスコンデンサーをつければ要るようになってくるのじゃないかというような計算値が一応出ておるわけです。これは私はなかなかめんどうな問題も技術的にからんでくるのじゃないかと思いますが、それらの点についてはきょうは質問する時間がございません。  そういうことで、いろいろな点で疑問点があまりにも多過ぎる。われわれは原子力発電所あるいは平和利用というものにブレーキをかけようという気持ちは毛頭ないのだけれども、どうも環境衛生というか公害というか、そういう面からいって、促進のほうだけが行ってしまって、たとえば原子力委員の中には環境衛生の関係者は一人もいないですよ。だからそれに対応するだけの組織、片方で高速増殖炉あるいは新型転換炉というものをやることそれ自体をわれわれは決して足を引っぱろうという気持ちはない、推進をしたい。しかし、それに対応するだけの安全性に対する措置というものはほとんどないというような実態のままで、とにかく抵抗の弱いところにどんどんつくっていくのだというようなことではとんでもないことになる。  それから一つだけ伺いますが、若狭湾は国定公園ということで、そのうち国立公園になろうという動きがあるわけです。和歌山県でも国定公園の中に原子力発電所をつくるという動きがあるわけです。しかし、御承知のように、火力発電なら使い終わって耐用年数が終われば、これは取っ払うことはできます。ところが、この原子力発電所に関する限りは、放射能は原子炉の中に充満しているわけですから、取っ払うわけにはいかないのですね。その場合にどうするかという問題はこれからの課題です。そうすると、あと二十年とか十五年とか耐用年数はいわれております。それはそのところの国定公園の中に、国立公園の中に立って、自然環境との調和の問題は一体どうなるのだ、取っ払うことはできないからそのままそっとしておくのだ、あるいはセメントを詰めるか鉛を詰めるかそっとしておくのだ、いつまでもそのままの状態でおくわけにいきませんから、だんだん荒れてくる。そうするとゴーストタウンになる。一基も二基も並べるとなおさらそういう傾向は強くなる。そうすると五十年や三十年後世の人たちに、国立公園のどまん中にこういうようなゴーストタウンをつくったのは一体先代は何という不心得か、こういう批判を受けることはこれは免れないと思うのです。そういう点をお考えになっておりますか。
  78. 山田太三郎

    ○山田説明員 御指摘のとおりに、耐用年数が過ぎた場合にはいかにするかというのは、確かに大きな問題だと思います。しかしながら、そこに大きな放射能があるというのは燃料でございますので、それ以外はそれほどものすごいほどのものではないと思います。したがいまして、その対策は、いま手に持っておりませんからお答えにならないかもしれないけれども、非常に不可能な問題ではないというふうに思います。
  79. 石川次夫

    ○石川委員 時間がないからやめますけれども、これは不可能でないかもしれませんが、可能だいう結論は出ていないのですよ。可能だという結論を私は寡聞にして聞いておりません。そうなればゴーストタウンになる可能性は十分にある。そういうふうなことを完全に解明されたという後でなしに、そういう原子力発電所をぼんぼんつくっていくということそれ自体、私は非常に問題が残るのではないかという感じがするわけなんです。この点はまだいろいろ申し上げたいことがございますから、後日またいろいろ議論をしたいと思いますけれども、時間がございませんので、これで私はやめます。きょうは非常に納得のできないままで質問を中止いたします。
  80. 渡部一郎

  81. 近江巳記夫

    ○近江委員 この日本原子力産業会議がまとめた「二〇〇〇年にいたる原子力構想」によりますと、わが国原子力発電設備容量が、二〇〇〇年において二億二千万キロワット、総発電設備容量のほぼ五〇%に達するわけです。いまのこの原子力発電所建設状況また計画を見ておりますと、確かにその点は私はそれ以上上回る線で進んでいくのじゃないか、このように思うわけです。このエネルギー政策の面からいきまして、私たちは決して平和利用ということをまっ向から反対しておるわけじゃないわけです。しかし、私どもがいつも申し上げておりますように、もろもろの安全性の問題とかあるいは環境汚染の問題とか、そういうことをシビアに対策を練らずして、ただ計画だけが先行しておる。この点を私どもは非常に心配するわけでございます。特に今回、この福井の大飯世界最大級の原発が、原子力委員会原子炉安全専門審査会、ここで一応パスをしたということになっておるわけでございますが、これだけの大型のものはいまだかつてつくられたことがないわけです。こういう点、どこまで慎重に検討されたか、非常に心配になるわけであります。  そこで、今回のこの炉型を見ますと、これは軽水型の一つということを聞いておりますが、大体米原子力航空母艦等と同じ型式の、それの大型である、このようにも聞いておるわけであります。そこで、この審査をパスされたというわけでございますけれども、いままでこれだけの大型のものはまだない。こういうことで、いままでの軽水型のこういう経過をずっと見てまいりますと、昭和四十二年十二月、オイスタークリーク発電所、これが圧力容器の水圧試験を行なったところ、圧力容器底の溶接部、あるいはパイプ百三十七本のうち百八本のつなぎ目にひび割れが発生しておる。同様なひび割れば、インドに輸出されたタラプール発電所でも、イタリアでも生じているわけです。こういう点からいきますと、米国型のこの軽水発電所の第一号というものは、実質的には敦賀発電所であったといえるんじゃないか、このようにも思うわけです。そうしますと、この敦賀発電所の核燃料のこういう燃焼プログラム、これはオイスタークリークの経験によることになっておるわけですが、わずか数カ月先行して動き出した発電所の経験がノーハウであるというような、それはわれわれとしては確信の持てるものじゃないわけです。  米国原子力委員会は、軽水型原子力発電所の実用価値認定について、次のように決定しているわけです。「原子力法第百二条における意味では、軽水炉の実用価値の法律的な認定は、現在建設中の大型原子力発電所技術や実績にもとづく経済性の十分な評価を待たねばならない」云々、「大容量プラントの完成とその運転がなされるまでは、AECはいかなる型の原子力施設も、原子力法第百二条の意味において実用価値がある程度まで十分に開発されたと法律的に設定するための、軽水炉などの原子炉の建設運転のコストが十分に確定されたとは考えていない。」簡単にいいますと、メーカーは実証炉と宣伝しておりますけれども、五十万キロワット以上の大型軽水炉の運転実績はまだ一つもないから、技術的にも経済的にも実証された商業用発電炉としては認定できない、こういうことを言っておるのですよ。それをあなた方は、何万キロワットですか、大飯はたしか百十七万五千でしょう。これだけの大型のものを、何の根拠に基づいてパスされているのですか。まずその性能等の問題について、確とした、私たちが確信の持てる答弁をしてください。
  82. 山田太三郎

    ○山田説明員 ただいまのアメリカのお話は、実は裏があるわけでございまして、アメリカの場合には、この原子炉の申請をRアンドDという名前で呼んだのであります。したがいまして、原子力法の何条か忘れましたが、百三条のPかなにかだと思いますが、そういうふうにいたしました。その理由は何かといいますと、プラクチカル・バリュー・ファインディングということが非常に問題になるわけでございますが、もしもプラクチカル・バリューがあるといたしますと、アメリカの原子力法の中では、その場合に、これはたしか原子力ができた時期が非常に古いものですから、そういったものはなるたけ公営企業、あるいは国に近い企業でやるべきであるということがもとであったわけであります。したがいまして、その場合にどういう問題がアメリカで起こったかと申しますと、たとえばある電力会社が非常に大きな発電炉をつくったといたしますと、アメリカのその近所に非常に小さな公営企業がございますから、その中の一万キロワット分だけ原価で売ってくれ、こういう話がございました。したがいまして、アメリカではこれが実用であると認めますとそういうことにならざるを得ないということがございまして、RアンドDという名前で呼んでおったわけでございます。したがいまして、これはアメリカでもしばしば議論になったわけでありますが、原子力委員会にはRアンドDといいながら、株式市場といいますか資本市場に対しては実用炉であるといって金を集めているではないかというのがいつも問題になったわけでありまして、そういうアメリカの特殊な事情がございます。  しかしながら、最近になりまして実用炉と認めることになったわけでございまして、これがいわゆるアンチトラスト法と非常に関係があることになっております。そういうような意味で、アメリカでそういうふうにいっておるという意味は、アメリカの原子力法自体の構成の中にあるというふうに御理解願いたいと思います。
  83. 近江巳記夫

    ○近江委員 このAECの新基準は、非常用冷却系をコンテナと併置するということを言っているわけですけれども、いずれにせよ、この実証炉という宣伝が始められたあとでAECの命令で安全装置が強化されたということは、軽水炉が特に五十万キロワット以上の大型発電炉については、現状では確認できないことが山積しておるということを示しておるわけですよ。このように不安であるという証拠は何ぼでもあるわけですよ。さらに、こういう点についてはどう思いますか。
  84. 山田太三郎

    ○山田説明員 これまたアメリカの歴史からお話ししたほうがいいと思いますが、アメリカにおきましては、TID一四八四四をつくります際には、いかなる保護装置があろうとも原子炉の中にある燃料は溶けてしまう。したがいまして、すべて溶けた状態において、それから出てくる放射能をコンテナでカバーする以外に手がないという感じを持って進めておりましたのが、一九六三年ぐらいでございます。  しかし、その後、やや技術的因子、エンジニアリング・セーフティー・フィーチャーというものが若干認められてまいりました。しかしながら、その際にはまだECCSというものについての価値を認めておらなかったのであります。それはフィルターであるとか、そういったものの価値は認めるという形でございました。ところが、一九六六年にアーゲン・リポートという報告が出たのでございまして、それは原子炉の燃料を溶かすということは非常に危険であるということになってまいったのであります。したがいまして、単に原子炉をほうりっぱなしにしておいて、あとコンテナでかぶせればいいんだという概念ではなくなってきたのが一九六六年以降でございます。  それで、近江先生も御承知だと思いますが、アメリカでは軽水炉の安全装置の実験のためにロフトという実験をやっておりますが、これも最初の段階におきましてはこのECCSその他をつけたものではなくて、ただ原子炉の中で主冷却管の破断を起こして、燃料が溶けたならばどうなるかということを見ようとしておったんですけれども、六六年、六七年以降になりまして、ロフトECCSという形の実験に変わってまいったということでございます。  そういうことから考えてまいりますと、いままではECCSといろのは飾りものだと思って考えておったのに対して、それではとてもだめなんであるということで、これの技術基準を非常に固めますと同時に、それの設計を非常に厳重にする。それだけではなくて、このECCSというものは原子炉の運転期間中、何年かわかりませんが、ただ一ぺんしか働かないものでございますので、そのときに働かなければ何にも意味をなさないというので、インサービス・インスペクションと申しまして、運転中にこのインスペクションを十分にやれる方法をつくるといったような形になってまいりまして、いま近江先生御指摘のように、いろいろな新しい問題と思われるものが出てまいったわけでございますが、日本では初めから燃料を溶かすということは非常によろしくないという考え方で、日本の原子力委員会考え方は、重大事故というものにおきましてはこの燃料をできるだけ溶かすまいという、ECCSの効果を見ることが非常に大事である、それからまあ仮想事故におきましては、それの溶けた状態と等価的な放射能が出てくる、こういう感じの書き方になっておりますが、アメリカの場合には初めから全部溶けたとほとんど同じだけの放射能が出てくるという考え方で現在でも進んでおります。
  85. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからあなたはさっきたいへんなことをおっしゃったと思うのです。原子力委員会環境審査はできないというようなことをおっしゃったわけですけれども、いまほどこの環境問題がやかましくいわれているときはないのですよ。そんな重大なことが原子力委員会でできないのですか。
  86. 成田壽治

    ○成田政府委員 安全審査会におきましては温排水の問題は扱ってない。それで排水中の放射能の環境影響は放射能問題でありますので扱っておりますが、温排水については安全審査会の対象にはなっておりません。ただ原子力委員会なり政府許可をする際には、安全以外の要素も考えてやるたてまえでありますので、環境庁の汚染防止法で基準をつくって、まだ基準が出ておりませんが、府県が取り締まるという規定もありますが、そういう基準ができた場合には当然原子力委員会許可においても配慮し、当然取り入れて検討してまいることになると思います。  それから、非常に現在環境問題が大きな問題でありますので、安全審査会は放射能だけだというのも、そのたてまえはいいのでありますが、そういう環境問題も当然委員会としては検討すべきであると考えて、先月原子力委員会環境安全専門部会というものをつくりまして、温排水問題を含めまして環境問題も専門家を集めて取り上げて、これは環境庁のほうの法規制と相まって原子力委員会でも検討してまいりたいというふうに考えております。
  87. 近江巳記夫

    ○近江委員 この許可の条件としては、いま科学技術庁としては、要するにこの安全審査会を通ってあと政府がチェックすればパスと、こういう形でしょう。では必ずあなたはこの環境安全審査会の検討をちゃんとしますか。どういうプロセスで政府は決定するのですか、どこがチェックするのですか、環境問題について。
  88. 成田壽治

    ○成田政府委員 先ほど言いましたように、安全審査会は放射能安全等が中心でありまして、温排水は対象にしておりませんが、われわれは、温排水問題、これはたてまえとしては事業者と漁業等の当事者間の問題であろうと思います。ただ、どれだけ温排水によってその地区の沿岸漁業が影響を受けるか、プラス、マイナスの両面の影響があると思いますが、マイナスの影響がどれだけあるかという問題、これはそのサイトの海津の状況とか気象とか海流とか、いろんな条件が違いますので、実態的な調査をやって、そして影響がわかりましたら、それは事業者が補償等の形で処理するとか、あるいは漁業組合といろいろ交渉の問題があるのでありまして、それでそういう実態調査をどういう形でやるかというような問題を専門部会で十分検討することになると思います。これはいまのところは許可基準の問題としてでなくて、いろいろ実態調査のやり方、それから魚のプラスの面、マイナスの面等のいろいろな具体的な地形に即応してのあり方等を調査するというための専門部会でありまして、安全審査会のような審査会ではないのであります。
  89. 近江巳記夫

    ○近江委員 そんな力のない審査会でどうしますか。それじゃ今回、普通のケースでいけば安全審査会が通れば大体十日くらいで科学技術庁許可するわけですよ。それじゃその辺一帯のそういうような調査も全部終わったんですか。温排水の影響とか、そういうことを全部調べましたか。そういうことを調べもせずそのまま政府が通すとなれば、これは重大問題ですよ。
  90. 木内四郎

    木内国務大臣 近江委員の御心配、まことにごもっともですが、さっき私がお答えしましたように、安全専門審査会が放射能の関係で安全だからといって原子力委員会がすぐに十日間の間に許可するとかなんとかいう問題ではないのですよ。原子力委員会においてこれを検討して、その放射能の安全管理の問題だけでなく、そのほかのファクターも考慮に入れて、それで原子力委員会がこれをきめる。それでその上で今度は科学技術庁が私が長官として総理大臣に進達して、その名前においてこれを許可する、こういうような形になるのでありまして、出たから十日目にこれはほかのことはかまわないでやるというような手順じゃないのです。さっきからもちょっと申し上げておりますが、その点は御了解願いたいと思います。
  91. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからさっき成田さんは、環境庁の環境基準がまだきまってない、これは非常に逃げ口上ですよ。きょうは環境庁が来られているのですから、環境庁はこのことについてどう考えておるのですか。
  92. 岡安誠

    ○岡安政府委員 環境庁としましては、やはり水の汚染の中には熱汚染があるわけでございまして、私どもは早急に温熱排水によります被害の状況等を調査いたしまして、排水基準といいますかそういうものをつくりたい、できれば環境基準というものにも及びたいと考えております。ただ現在温排水によります排水のメカニズムといいますかこれは必ずしも明らかでない。さらに水産動植物その他によります影響も必ずしも明らかでない。現在今年度から鋭意調査をいたしていくという段階でございます。
  93. 近江巳記夫

    ○近江委員 今年度から鋭意調査をするなんておっしゃってますけれども、それだったら完全に調査をして研究ができて、きちんとした環境基準ができるまで待ちなさいよ。そんなずさんな、還境に対する配慮もなくしてずるずると政府はパスさす気ですか。けしからぬ話ですよ、これは。還境庁も今年度から費用がついたか知りませんけれども、今日、御承知のとおりこれだけ原子力発電所がどんどんできておるわけですよ。それを鋭意調査する、そんなことばのニュアンスを考えてもそんなゆっくりしたことじゃ困るわけですよ。真剣になって重点問題として研究されたらどうですか。いつごろまでにあなたは環境基準をつくられるのですか。
  94. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私どもも温排水によります影響調査、これは今年度から始めておりますけれども、ゆっくりやるつもりはございません。なるべく早く——最近のように原子力発電の問題それ以外にも温熱排水によりますいろいろ環境汚染の問題が出ておりますので、私どもはできるだけ早く基準はつくりたいと思っておりますけれども、先生御承知のとおり、温排水によります影響等は非常に微妙なものが、ございまして、調査そのものも実態そのものも明らかでない。したがって、それから基準をつくるということにつきましては私どもも努力はいたしますけれども、なかなか簡単にはいかないのではないかというのが現状の見通し、まあ正直な見通しです。
  95. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは温排水とおっしゃってますけれども、原子力発電所から出る水は核種を含んでいるのですよ。プランクトンが食べ、魚が食べ、人間が食べるのですよ。しかも排出口で規制しているだけであって、絶対量については何もやってないじゃないですか。百十七万キロワットのそんなものが何基もできてどんどん放出をする、ばく大な量になるわけです。それが累積をされていけば一体どうなるかという問題ですよ。たとえば電気出力百万キロワットの原子力発電所の場合、復水器冷却水として約三百万キロワットの熱を放出することになるのですよ。熱の問題を考えても温排水の問題を考えてもこうです。さらにそこに当然核種が水の中に入って流されるわけです。それが濃縮されていったらどうなりますか。アメリカでは環境ということはそれだけ重視されて、それはもう要するにパスの大きな条件になっておるのですよ。あなた方も決して気持ちを持ってないと私は言いませんよ。これは気持ちだけではだめです。はっきりとした政府としての対策を立てるべきですよ。そういう何の尺度もなくて、結局構造的にだけ見てそれでいい、これはもう今日の時代においては許せないことです。局長、この問題はどう解決するんですか。
  96. 成田壽治

    ○成田政府委員 排水の中に含まれております放射能につきましては、安全審査会で十分検討いたしております。たとえばコバルト六〇とかマンガン五四とか鉄五九とか、そういういろいろな問題の核種については検討して、許容基準よりも千分の一から十万分の一という非常に少ない量で出されることを確認した上で安全審査会を通っております。ただ、先ほどから問題になっておりますところの排水の温度の影響、これは環境庁の水質汚濁防止法の対象にもなっておるし、また、原子力委員会でもいろいろ実態調査を進めていくということを申し上げたのでございます。
  97. 近江巳記夫

    ○近江委員 私はいまの答弁は納得できません。環境庁さんは一生懸命苦労なさっているのは私はわかりますけれども、あなた、これはいつごろまでにやるんですか。全然目標もなくてやってはだめですよ。
  98. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いつごろまでといって明確に期日を申し上げるわけにはまいらぬのでございますけれども、私どもはできるだけ早くということでやっております。これは繰り返すようでございますけれども、現在温熱排水によります拡散にいたしましても、末端のほうは一度とか二度とかいう差、それに対しまする魚族その他藻類等の影響等も考えなければならぬわけでございますし、また季節、海流等によりましても違うわけでございます。したがって、基準としてこれを明らかにするということにはやはり多少時間がかかるんではなかろうかというのが現在の私どもの見通しでございます。
  99. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう状態でこれで通してしまうということはたいへんなことです。それまで、環境基準ができるまでは政府としてはどうするんですか。大臣でも局長でもどっちでもけっこうです。
  100. 成田壽治

    ○成田政府委員 先ほど言いましたように、排水の温度問題は、われわれのたてまえとしては、事業者と影響を受ける漁業組合との関連の問題であって、これは従来補償問題として解決されてきた問題であります。ただ、どれだけ影響があるかというのは、いろいろその実態をよく当事者間で調べ、あるいは水産試験場等、十分県当局が調べてもらって、その上でマイナスの影響については補償するというかっこうで従来も来ておりますし、今後もその点の交渉を当事者間で十分県等が間に入って進めてまいるべき問題だと考えます。
  101. 渡部一郎

    渡部委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。石川次夫君。
  102. 石川次夫

    ○石川委員 実は私は、原子力委員会のほうでは推進のほうと監視のほうと両方やるということはたてまえ上おかしいんじゃないか。したがって、これは環境保全庁あたりでもってやるべきだという意見が、アメリカあたりでも相当強い意見として出てまいっておるということにかんがみて、私は日本でも環境庁のほうにこの権限をゆだねるべきだというふうに考えておったわけです。ところがいつか大石さんは、相当自然環境破壊ということについて関心を持っておられるんですけれども、この話をしたことがございます。そうしましたら、原子力は公害が少ないからというんで、火力とは全然見方を変えた、原子力というものは公害はないんだというふうな非常に一方的な見方をしておるので、実はこれでは環境庁にはまかせるわけにはいかぬなというふうな感じがしたわけなんです。これは原子力に対する理解がまだ十分じゃなかったんじゃないかと思うんです。実は、環境庁はいまのところ温排水の影響だけだと言っておりますけれども、私は、先ほど申し上げたように、やはりここには放射能として当然出てくるものがあるわけです。核の種類が相当多岐にわたるこの影響まで実は環境庁でやってもらいたい、こういう希望を本質的には持っておりますけれども、しかし、温排水によるところの影響だけでも、私は潮流の関係とかなんとかいうんじゃなくて、ただ単に何キロで何度、何キロで何度上がるんだということだけのことしか、いまは安全専門審査会では答申をしていないと思うんです。それに対する影響は一体どうなのかということは全然出てこない。出てこないままで今度こういうふうな答申でもって許可をするというようなことは、実に環境というものを無視した答申になっておるのではないか。したがって、どうしてもこの問題が解決するまでは、この大飯発電の関係は、それに対する自信がつくまでは許可すべきではないと、率直に国民の側に立って私は考えざるを得ないわけです。そのほかにもたくさんございますよ。だけれども、温排水だけ考えてもそういうことが言えるのではないか、私はこう思うのですが、長官どうですか。
  103. 木内四郎

    木内国務大臣 御心配の点、ごもっともな点があるのですが、さっきから原子力局長また環境庁のほうからのお話にありますように、温排水は、放射能の問題ではなくて温度の高い水を出すという問題でございまするので、それによる影響は放射能に対する害の問題とはちょっと別に考えなければならぬ問題だと思います。  そこで、今日までは局長から申し上げておりますように、それによってその近海の魚族にどういう影響があるか、それを一番よく知っておるのはその近所の漁業組合、地形がみな違っておりまするから非常に軽微な影響のところもあるし、案外深刻なところもある。そういうことは地方の漁業組合が最もよく知っておりまするので、それとの間の補償問題として今日まで解決してまいったのが現状です。しかし、いまお話しのようないろいろな問題もありまするので、今後、原子力委員会に設けましたところの環境安全専門部会においてその問題を慎重に検討しつつこの問題を進めてまいりたい、かように思っております。
  104. 石川次夫

    ○石川委員 関連ですからあまり多くを申し上げられないのが残念ですけれども、漁民が知っているというけれども、百十七万キロの経験は全然ないわけですよ。それに対する影響は一体どうなのかということは漁民もわかりません。そういうことがわかった上で、今度補償問題がどうなるということになるのが順序でしょう。そういうことあ全然わからないのが現状です。そういう現状においていきなり許可をしてしまう、そういうところの見通しが立たないままに許可してしまうということは、私はなかなか納得性がないと思う。これは小さな原子炉ならまだいいですけれども、こんなに大規模なものになったら当然そこまで見通した上で地元の納得を得ることが必要なんで、その納得性が得られない、まだそこまでわからないという状態では、私は軽々に許可をすべきではないということを強く申し上げておきたいと思います。
  105. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、環境基準もこれからということになっておるわけですけれども、いま要するに科学技術庁または通産省ももちろん関連しておるわけですが、安全審査会を通れば大体パスをする、そういうシステムになっておるわけですよ。当然それと並列して、同じウェートでその環境審査ということは政府としてはやっていかれるわけですね。局長、確認しておきます。
  106. 木内四郎

    木内国務大臣 それはもちろん、さっきから申し上げておる点を御了解願えばおわかり願えると思いますが、安全専門審査会では放射能の関係は安全だという結論を出されて、私どもの原子力委員会のほうに出された、私はこれに非常に敬意を表し、かつ、尊重しているのですけれども、原子力委員会におきましてはまた独自の立場から、安全性だけでなく他のファクターも考慮に入れて検討するのでありまして、通ってきたからもうそれにぽんぽん判を押してしまったらいいというようなことは毛頭考えていないのですから、その点は御了解願いたいと思います。
  107. 近江巳記夫

    ○近江委員 それではその問題は十分考慮する。ここにおいて結局私がいま申し上げた温排水あるいは核種の問題、特に漁民との問題でも、補償だけすればいいという考え方が濃厚に出ておるわけですよ。人類の生命の将来、また遺伝とか、そういうあらゆる点に対する配慮、そういうものは、大臣以下全体の答弁のニュアンスではほんとうに薄いわけですね。これはけしからぬことだと私は思います。これは皆さん方が守らずしてだれが守るのですか。ですから十分考慮して、特に軽々しくこれを政府が認可するというようなことになれば、これはもう私、大問題だと思います。これだけ委員会でもチェックをして私は申し上げておるわけですから、長官もいま決意を表明されたわけですから、その点は十分の検討をされなければ大問題であると、これだけ申し上げておきます。  それから、安全性という問題になってきますと、依然としてずさんなことがやはり行なわれておるわけです。この間も動燃で一人死んでいます。一人重症、それからもう一人事故があって重症になっていますね。これは放射能でないとおっしゃるかしらぬけれども、一連のことは全部こういう不注意なことが積み重なって大事故になるのです。私は何もそういう直接の、放射能を浴びる浴びないの、そういうことよりも、すべてのそういう配慮、綿密に安全性をした上で初めていいものが、安全なものができるわけです。こういうずさんなことが起きておって、これでいいのですか。この件についてひとつ簡単に報告してください。どう反省していますか。
  108. 成田壽治

    ○成田政府委員 二月の二十八日に動燃の大洗のナトリウム大型循環ポンプケーシングの設置の工事の際、アルゴン溶接中に、請負業者の日立製作所の作業員二人が酸素不足によって窒息のため倒れまして、病院へ運びましたが一人はその日の午後なくなっております。その原因は、請負業者の日立製作所の作業員のアルゴンが空気よりも重たい性質を有するということを顧慮しなかった、溶接作業上のミスからきたものでありまして、これはまあ放射能事故じゃありませんが、原子力工事の関連の事故と、非常に遺憾に思っておりまして、今後全事業所にわたって重大な人身災害防止の徹底をはかり、また請負業者に対しても十分徹底するように指示いたしております。
  109. 近江巳記夫

    ○近江委員 もうそれはあやまってしまえばそれで済むという問題じゃないと思うのですよ。そういうことで、厳重にそうした点を守らせるようにしてもらいたいと思うのです。  それから環境庁さんにお聞きしますけれども、国立公園、国定公園ですね、ここにもう現実に運転中のものもあれば、あるいは造成中のものもある。あるいはボーリングを申請してそれを許可しておる。こういう環境破壊ということについて、どういう基本的な考えを持っているのですか。環境庁がほんとうに国民の唯一の残された、そういう自然環境というものを守ってくれる一番のとりでなんですよ。それをずるずるずるずるなしくずしでくずしていくような態度、これはもう国民はほんとうに大きな不信感を持っていますよ。今後どういう基準でやるのですか。
  110. 須田秀雄

    ○須田説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、まず国立公園、国定公園の地域内で現在運転中の原子力発電所若狭湾の二カ所でございます。それから国定公園の地域内で発電所建設が進んでおりますのは、同じく若狭湾の二カ所でございます。それからそのほかに国立公園地内で原子力発電所計画を持っておられます点で環境庁のほうに相談が、協議が上がってきておりますところが、吉野熊野の国立公園地内の一カ所と瀬戸内海の鹿久居島の原子力発電所と二カ所でございます。  自然保護の立場から、やはり環境庁といたしましては、どうしても絶対に守っていかなければならない地域というものにつきましては、原子力発電所に限らず、建設を絶対に遠慮していただくという点で、地点の設定あるいは工作物の設置の方法等について、自然破壊を伴わないような対策が進められるように慎重に厳重に指導してまいりたいと考えております。そういう点で、現在瀬戸内海及び勝浦の両発電所につきましてはなお検討中でございまして、対策を保留している段階でございます。
  111. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは環境庁さんも新しくできて、いままでのことはとやかくは言いませんけれども、やはりそれじゃもう許可をしていくところは、ある程度破壊されてもやむを得ないという考えのもとに許可したのかということになるわけです。少なくとも国立なり国定はやはりそれだけの景観を国民に楽しんでもらおうと、そういう大きな立場から規定しているわけですよ。それにもかかわらず許可をしていくということは、政府のそういう方針というものはまるっきり誤っておるわけです。ですからその辺で、何の基本的な考えもなく、わけのわからぬような、そういう納得できないようなことで次々となしくずしに許可をしてていくということについてはやっぱり問題だと思う。その点、やはり環境庁としてはあくまでも自然を守っていくという立場から、原則から、シビアに私はそれをやってもらわなければ困ると思うのです。そうなってくれば、なしくずしにみないきますよ、これは。その辺もうちょっと基本的なことを簡潔にひとつ答えてください。
  112. 須田秀雄

    ○須田説明員 国立公園あるいは国定公園地内におきましても、自然状態を守っていくという立場から、やはり地域によりましてすぐれた景観地の、あるいはそれに準ずる地域といったようなそれぞれの地域による実情がございます。そういう意味で、最もすぐれた景観地域であり、自然の角度から人手を加ええることを、工作物等を、あるいは森林の伐採等を避けなければならない地点というものは、今後とも絶対にそういった状態を守っていくという立場で厳正に進めてまいりたいと考える次第でございます。そういう意味で、国立公園地内の自然度というものも十分に勘案しながら、適正な配慮、厳正な配慮でもって処してまいりたいと考える次第でございます。
  113. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは特に強く要望しておきます、これ以上の答えはあなた出ないと思いますから。  それから、もう時間がありませんから、もう一点ほどで終わりますけれども、現在年間この二百トンのウランを処理できる再処理工場を動燃事業団が東海村に建設する計画が進められておるわけですが、しかし、今後のそういう発電炉から出る使用済み燃料のそういう排出量というものを考えていきますと、この再処理工場の能力では、昭和五十年にもう能力不足になることは明らかなんです。そうしますと、当然第二工場の設置あるいは一定地域発電所を対象とする中央集中方式になるのじゃないか、そういうように心配されているわけです。最後には発電所ごとに付属する方式になるのじゃないか、こういう心配もあるわけです。この点、こういう今後の問題についてはどう考えているのですか、廃棄物処理全部含めて。
  114. 成田壽治

    ○成田政府委員 いま東海で建設中の再処理工場、年間処理量二百十トンであります。それで計画に即して発電所ができてまいりますと、昭和五十年度初めごろに年間二百トンぐらい以上になって、おそらく六十年度には一千トンぐらいこえる処理量が必要となってまいるわけでございます。したがいまして、これは長期計画でもうたっておりますが、動燃の試験的な第一号工場のほかに、第二、第三の工場が需給上は必要となってまいりまして、これは民間業者が当然建設するものであるという考え方を長期計画でうたっておりますが、いろいろ民間でも検討しております。  ただ、先ほど言いましたサイト問題がありまして、ことに安全環境の問題があって、いま地点をどこにつくるかということ、サイトの面から非常にいろいろ問題があって、何ら具体的な計画になっておらない。もしもそういう場合は外国へ送るということも考えられますが、燃料政策の面から見ますと、なるたけ国内で再処理工場をつくったほうが、自主的な燃料サイクルの確立という見地から望ましいのでありますが、先ほど問題になりましたような環境問題あるいは立地問題によりまして、まだ何ら具体的な段階になっていないということでございます。
  115. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がありませんから終わりますが、そういうような現状でどんどんと原発が出てくるということについては、こういう一つの問題を考えてもたいへんな問題です。したがって、政府がただ馬車馬のように走っておって、あとのそういう処理あるいは環境破壊というようなことについて配慮をしていない。いままでも、口だけで自然との調和だ何だと言ってはおりますけれども、これはもう非常によくないと私は思うのです。ですから、こうした問題を真剣に政府としては考えていただきたい、これは強く要望しておきます。  私は時間があったらもっといろいろ聞きたいのですけれども、きょうはもうありませんからこれで終わりますけれども、先ほど長官は所信表明をされて、「環境を保全しつつ未知の領域を開拓し」と、非常に高邁なことを述べていらっしゃるわけです。しかし、現実はまだ、そういうわれわれが見ておってはらはらするようなことばかりやっておるわけです。ですから、おっしゃった以上は、実行できる大臣になってもらいたいと思うのです、口だけでは何ぼでも言えるのですから。この点、最後に長官にその決意をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  116. 木内四郎

    木内国務大臣 近江委員にはいつも格別の御配慮をいただいておりますが、いまの問題も非常に大事な問題でありますので、さっき局長からお話ししましたように、二月十七日に環境安全専門部会をこしらえて、これを検討することにしました。これをこしらえる以上は、いまお話しのように、真剣になってこれと取り組んでいく決意であることを申し上げておきます。
  117. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  118. 渡部一郎

    渡部委員長 次に、山原健二郎君。
  119. 山原健二郎

    ○山原委員 最近、私は二回、環境庁と科学技術庁原子力発電所の問題でお伺いしたのです。一度は新潟県の柏崎の原発の問題について、住民の方たちにお供をしまして参りました。長官にもお会いしたわけです。それから一度は、ごく最近でありますが、二月二十五日に、愛媛県の伊方町の原発の問題について、環境庁長官、また科学技術庁のほうへ参りまして、ともに話を聞いたわけでありますけれども、その中で感ずることは、政府側の言っておる安全だという問題と、地元住民の持っておる不安というものとの間が全くすれ違っているということなんですね。そういう点をしみじみ感じました。しかも一方では、政府側がいろいろ言っておるけれども、企業側のほうではどんどん仕事を進めていくという問題があるわけです。  その問題はあとでちょっと触れたいと思うのですが、長官は四時十分には出られるそうですから、最初に長官に対してお聞きしたいのです。  現在、原子力開発計画が改定をされまして、六十年に六千万キロワット、さらに原子力産業会議では一億二千万キロワットにのぼる計画が出てくるということで、膨大な計画であります。  その中で、まず最初に伺いたいのは、燃料ウランについての問題なんです。それだけの計画があるわけですが、昭和六十年に原発六千万キロワットの計画とすると、ウラン約八千トンというものが要るわけですね。これを確保することができると考えておるのかどうかですが、その点について最初に伺ってみたいと思います。
  120. 木内四郎

    木内国務大臣 いま御心配願っておる点、非常に大事な問題であって、私ども日夜心を砕いておるのですが、この四十八年までに着工する発電所の所要のウランは、これはアメリカとの原子力協定によりましてアメリカから供給してもらうということになっておるわけです。しかし、それからあとの問題が、これは供給してもらえると思うのですけれども、いろいろな問題があります。また、根本的にわが国にはウラン資源はなし、濃縮ウランの設備もありませんので、非常に問題があるのであります。  そこで、私どものほうでは、ウラン鉱の獲得と同時に濃縮の設備の研究を、ただいまガス拡散法と遠心分離の方法で研究しておりますが、このごろ国際情勢がたいへん変わってきまして、ひとつ国際的に共同計画でやろうというようなことがアメリカのほうから出ておりますし、あるいはフランスのほうからもあったりします。そこでわが国としましては、ウラン鉱あるいは濃縮ウランを含めてですけれども、アメリカだけにたよっておるわけにいかぬ。そこで、アメリカ、カナダ、イギリスとの間には原子力協定を結んでありますけれども、さらにウランの供給源を多元化してこれを確保しなければならぬというので、豪州とも原子力協定を結びました。またフランスとも原子力協定を結びました。これらの諸国とは、技術の交流だけならば別に原子力協定を結ばなくてもいいのですが、ねらいはやはりウランの獲得をねらいとしてフランスとも豪州とも協定を結んだ。そして多元化していく。同時にウランの濃縮の問題、これはどうしても解決しなければならない。  ところが、アメリカのほうでは、ひとつ一緒にやろうじゃないかという話もあるのですが、わが国は機密の保持が十分でないものですから、そこに非常にむずかしい問題があります。この機密保持の問題に触れることなしにこれを開発していくような方法はないか。たとえば、金はこっちも出すがアメリカでやったらどうかというような問題もありまするし、またフランスとの関係もあります。そういう方面との関係も、いま特別のグループをこしらえて、その計画について実行できるかどうか、実行する価値があるかどうか、いろいろ検討しておるような段階でありまして、この問題はいま御指摘のように非常に大事な問題でありまするので、私どもは最善の努力をしてまいりたい、かように思っておるわけです。
  121. 山原健二郎

    ○山原委員 アメリカの場合は、長官が言われましたように機密の保持ということについてきわめてきびしいものがあるわけですね。その際に、アメリカとの共同事業を考えられる場合に、自主、公開、民主の原則というもの、これを実際にどう守っていくかということについては、私ども多少疑念を持っているわけです。いまちょっとアメリカでやるとかというようなお話が出たわけでありますけれども、長官のほうでは、アメリカとの間に共同事業としてやるという考え方も持っておられるわけですね。その際に、この三原則をどう守っていくかという点については、もう一度はっきり伺っておきたいのです。
  122. 木内四郎

    木内国務大臣 いまの自主、民主、公開の原則、これはもう原子力基本法できまっていることでありまして、だれが科学技術庁の長官になろうと、だれが総理大臣になろうとも、法律できまっているこの大原則はあくまで貫いていかなければならぬ、私どもはそういう考えでおるのです。  ところで、さあそうなってくると、かりに日本で——まだこれは共同のものをやろうということをきめたわけではありませんが、これをやる場合、日本でやるとなったら、自主、民主、公開と機密の保持はなかなかむずかしい問題になってきます。そういう場合には、この問題で大事なとこはアメリカにやらせて、これは仮定の問題ですけれども、こちらは金を出してやるということになれば、この機密保持の問題に触れないで済むのじゃないかという考え方は成り立ち得るだろうと思います。極端なことを言えば、金は出すけれどもアメリカの技術でつくってもらって、それをこちらに持ってくるということも、共同経営の一つの考え方ではないか。別にきめたわけでもございません、アメリカと一緒にやるということをきめたわけでも何でもないのですが、想像してみればそういうことも成り立ち得る、かように考えております。
  123. 山原健二郎

    ○山原委員 この膨大な原子力開発を行なう場合に、現にアメリカさえみずから需要をまかない切れないという状態が出てきておるときに、これだけの計画が改定をされて、六十年六千万キロワットというふうなものが出てくるということになってくると、当然濃縮ウラン確保については考えなければならない問題ですね。その際に、やはりいまお話がありましたけれども、はたして金だけこちらが出してアメリカでやるから自主、民主、公開の原則が守られるかということになってくると、私はその点にも多少疑問を感ずるわけですね。それだけで守られるのかという点ですね、共同事業としてやる場合にはたしてそれが可能なのかどうかということなんです。それらについて原子力委員会の中にも対策委員会ですか、できておるそうですし、また、昨年から本年に入って第一回の会合を持たれたようでありますが、その辺についての検討はされておられるのですか。長官のほうから……。
  124. 木内四郎

    木内国務大臣 そこで自主、民主、公開の原則を守っているということをさっきから申し上げているのですが、それは技術の自主開発によってわが国が自分で開発した技術であるということになれば、原子力基本法第二条によって、これは成果は公表する——研究の過程において出すと研究者はいろいろいやがったりする点もありますけれども、研究の成果はそれを公表するということが法律のたてまえですから、これは当然できると思うのですが、さあ自主開発、それが間に合うかというと、そこに一つの問題がある。それから、アメリカでアメリカの技術を共同開発する、こういうことになれば、この方法が、形式がいろいろあると思うのです。金は出して工場はつくる、これは何千億もいろいろなことでかかるだろうと思うのです。二千億とか、工場だけであるいは発電所の設備その他で何千億というばく大な金が要りますけれども、金を出し合ってつくる、つくって向こうから持ってくるということになれば、向こうの工場でつくったものを買う、簡単に言えば買うようなかっこうになると思うのですね、金は出しますけれども。そうなればここに技術の公開ということなしに済むのではないか。しかし、それまで公開しなくちゃならぬと言われると、これは少しむずかしい問題が出てくるのではないか。これはいずれもまだきまったことではなくて、想像の問題、頭の中で考えるだけの問題ですけれども、そういうことは成り立ち得るということで、これは共同経営の形式いかんという問題になってくるのではないか、かように考えております。
  125. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、原子燃料の使用済みの処理の問題でありますが、先ほど近江委員のほうからお尋ねがありましたが、再度伺っておきたいのですけれども、現在までプルトニウムの処理——原子爆弾のための処理が行なわれておったのでありますけれども、今後これが今日の段階で使用済み燃料の処理が相当未利用の分が出てくる。私の計算では、昭和四十八年から二百トンの処理能力を持つ動燃事業団の能力があるということ、先ほどお話がありましたが、それでも未利用のプルトニウムが一九七七年には約三トンになるだろう、これは長崎原爆の数十倍も数百倍もの力を持つ数量ですね。そういうものの処理についてまた管理というものについてどういうふうに現在考えておるのか。これは再度の質問になりますけれども伺っておきたいのです。
  126. 木内四郎

    木内国務大臣 再処理の問題、産業的には非常に大事な問題になってくるのです。いまお話しになったように、再処理をしてプルトニウムができるから原子爆弾をつくるのかというと、そんなことは私ども考えたことはない。(山原委員「いや、いままではですよ」と呼ぶ)いままででなくこれから先も厳として法律があって平和に限るというのに、原子爆弾をつくるなんてことは考えたことがない、また、これから先も考えることはあり得ない問題と私は思っております。ただしかし、これから先プルトニウムが出てくる、これは非常に貴重な燃料ですからこれは生かしていかなければならない。再処理してこれを生かして使っていかなければならぬ。そのためにはどうするかというと、再処理工場をいまつくりつつありますけれども、それだけでは足らないからさらに大きな能力を持っておる工場をつくらなくてはなりませんが、それが間に合わなければ、いまイギリスまで送って再処理をやってもらっておるような非常にコストの高い処理になってしまう。それではいかぬから何とかして国内でやろう。しかし、それで出てくるプルトニウムは断じて原爆などには使うものではないということは、ひとつはっきり御認識願っておきたいと思います。
  127. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、先ほどからずいぶん出ました温排水の問題であります。これは環境庁のほうからも実態の調査などが先ほど出ておったのですけれども、原子の火がついてからすでに十五年経過しているわけですね。十五年経過した後において初めてその実態の調査が行なわれるというふうな、実は緩慢というか話にならない対策が、わが国原子力発電所に対する対処のしかたではないか、そういうふうに私は考えておるのです。  ことに瀬戸内海の場合でありますけれども、これは一体どうするのかということですね。瀬戸内海に二カ所原発をつくるということで、西のほうには愛媛県の伊方町につくるということで、去る二月の二十五日に電源開発調整審議会はこの計画を決定をするという状態が出ておるのです。なぜ二月二十五日と言うかといいますと、伊方町の住民が反対の意向を持って陳情した日なんです。その日の午後二時から開かれた調整審議会において決定をしたということですね。ほかの安全性の問題については私は触れませんけれども、一つは温排水の問題と原子力発電所をつくる上にあたって水をどう処理するかという問題について伺いたいのですけれども、瀬戸内海の場合、御承知のように大阪湾からずっと西のほうまでほとんどもう汚染されてしまっている。死の海になろうとしている。そういう状態の中で百七十万トンに及ぶ温排水を放出をする原子力発電所を瀬戸内海側につくるということが、はたして温排水の面から見ても水の汚染の面から見ても正しいのかという問題です。そういう点についてどういう論議をされたのか、伺っておきたいのです。
  128. 成田壽治

    ○成田政府委員 瀬戸内海原子力発電二カ所というのは、鹿久居島と四国の伊方、この二つをあげているのじゃないかと思いますが、これにつきましては科学技術庁原子力委員会のほうへは安全審査申請がまだない。原調審がやっと通った段階で、具体的な計画についてわれわれまだ詳しくは知っておらないのでありますが、ただ温排水の問題につきましては、まあ福島のような外洋型については非常に希釈が早くて問題が非常に少ないということは言えると思います。それで若狭湾のような湾の場合と比べて外洋型の場合は非常に問題が少ない。伊方の場合はどういう形の湾、われわれも地図で若干知っておりますが、その影響がどのくらいになるかというのはもうちょっと具体的に調べてみる必要があると思います。  それから鹿久居島についても、これはまだ原調審にも上がっておりませんので、むしろ環境庁のボーリングの許可もまだ出てないという状況でありますので、われわれ具体的な内容を全然知らない情勢でございます。
  129. 山原健二郎

    ○山原委員 長官出られるそうですから質問でなく実態をお話ししておきたいのですけれども、これから環境庁と経企庁のほうへお伺いをしたいのですが、伊方町ですね。こういう決定をするにあたって温排水の問題なんかについても何も研究されてないのです。あの瀬戸内海を全く死の海にするつもりかと私はお聞きしたいのですね。さらに、原子力発電所をつくるには水が要ります。ところが、この愛媛県の伊方町というところには水がないのです。どこから水を引いてくるのか、これを聞いても、それぞれの省に聞きましても十分な回答がない。地下水をくむんだとかいうようなことを言っているのですけれども、水がないのです。そういうところへ計画を決定するという、そういう国の態度というものに対して非常に疑問を持っているわけです。そのことを長官にお伝えしておきまして、どうぞ時間がないそうですから……。  それでは、経企庁の計画局長お見えになっていると思いますが、二月二十五日の決定について、どういう資料のもとでああいう決定をなされたのか、伺いたいのです。他の点では聞きません、この伊方町に原子力発電所をつくるという計画を決定するにあたって、この発電所で使用する水はどこで確保するということになっておったのですか。その辺、調査をされておったら伺っておきたいのです。
  130. 大石敏朗

    大石説明員 電調審を開催するにあたりまして、各省連絡会議を開きまして、そこでいろいろ意見を調整して、異存はないという結論を得まして、電調審にかけたわけでございます。したがって、電調審自体で非常に細部の問題についてこまかな議論をしたというわけではございません。しかしながら、一応関係各省それぞれ監督その他の関係もございますので、そこでいろいろ検討を重ねた結果を持ち寄りまして、一応各省では異存はないということになりまして、電調書にかけたわけでございます。
  131. 山原健二郎

    ○山原委員 異存はないということでかってにきめられても、原子力発電所は水が要るわけでしょう。大体五十万キロワットの原子力発電所一基で海水約毎秒三十トン要ります。海水のことはおきますけれども、真水が要るわけでしょう。その真水をどこから取るかということすら研究しないで、大体異存はなかろう、そういうことで決定をするわけですか。これは水の問題はいま重大な問題になっているわけです。伺っておきたいです。
  132. 大石敏朗

    大石説明員 われわれの聞いております情報によりますと、一号基に対しまして、一日当たり千五百立方メートル必要だということでございます。これは喜木川という川があるそうですが、喜木川流域より地下水を導入する。これは一応ボーリングの結果確保できる見込みであるというふうに承知しております。
  133. 山原健二郎

    ○山原委員 住民の水を、ボーリングして水があるということで確保できるなんてかってにきめられる問題じゃないですよ、水の問題は。ここは喜木川というのですね、喜木川というのは水がないのです。地下水を、それはボーリングをしたらあるかもしれませんけれども、この水は絶対にこの地域の人々にとって必要な生命の水なんですね。伊方町というのは御承知かもしれませんが、これはナツカンの産地です。日本でも有名なミカン地帯なんですね。このミカン地帯にとって水は生命の水なんです。しかも、ここにはスモークミートという工場がありますけれども、これが地下水を取っておるために非常な被害を受けているわけです。だから、この喜木川の水で生活をしておる農民、保内町の人たちは、これはあげて反対しておる。もう一部の人の反対じゃないのですよ、この水は。このスモークミートという工場が水を取るために、日曜日にスモークミートの工場が仕事を休むと井戸の水が一メートル上がってくるというぐらい水が少ないところなんです。井戸水もかれるような状態の中でどこで水を取るのですか。一号炉の水を、ボーリングをしたら水があるから取るんだなんという、そんな簡単なものではないわけです。住民には住民の生存権があるでしょう。なぜそんなことを研究しないのです。なぜそういうことを研究して決定をするなら、決定をしないのですかね。かってに官庁が、あそこに水があるから取るなんという、そういう問題では私はないと思うのですがね。それだけの研究ですか、異存がないということだけで決定したのですか、もう一回伺います。
  134. 大石敏朗

    大石説明員 新規着工地点として問題がないということでございます。これを、この審議会を開くに先立ちまして、県の意向その他いろいろ調べたわけでございますが、地元県におきましても、新規着工地点として追加することに異存はない、賛成である、そういう趣旨の回答をいただいております。その辺のところは、いろいろ尽くすべき手段は尽くして審議会にかけた、こう考えております。
  135. 山原健二郎

    ○山原委員 これはまさに住民を無視した行政の立場というものははっきりしておるわけです。まさに企業側に立った立場ですね。二号炉の水はどうするのですか。
  136. 大石敏朗

    大石説明員 二号炉につきましては、現在、申請も出ておりませんので、その辺のことはまだ承知しておらないわけであります。
  137. 山原健二郎

    ○山原委員 そんなざっとした原子力発電所計画がありますか。あれは五十三万キロ二基ということが事業側から出て、それでいままで来ているわけでしょう。第一号炉の水は地下水を、かってであろうが何であろうが取るけれども、二号炉計画はあるにかかわらず、しかもその地域にできるということはわかっておるにかかわらず、そんな水の条件さえわからないで何でそんな決定をするのですか、何でそんな計画を認可するんですか。二号炉の水はどうするんだ、将来の計画はどうだ、そういう全面にわたっての総合的な調査をし、そういう資料を集めた上で決定するのならまだわかりますよ。ほんとうにすぐ一号炉ができて二号炉ができるという計画の中で、二号炉の水はどこから出るかわからぬというようなそんなことで決定するのですか。それは了承できぬですね。二号炉の水はどこから取るのですか。申請が出たらどうするのですか。
  138. 成田壽治

    ○成田政府委員 水の問題は、具体的には通産省の電気事業法の許可申請、科学技術庁に対する規制法による許可の申請の場合に具体的な案として出てまいると思います。現在、まだ出ておりませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、一号炉につきましては、さっき経企庁から言ったようなことを事業者は考えておるようであります。ただ、一般的な例としまして、大飯発電所につきましても、工業用水をどこから入手するかというのは非常に問題がありまして、当初、佐分利川から取るというような案もあったようでありますが、最終的には、海水を淡水化をやってパーデー四千トンの工業用水を入手するという、そういう計画大飯の場合はなっております。これは主として海水の淡水化をやるということであります。ただ、まだ具体的な計画が出ておりませんので、四国電力からそういう計画は全然聞いておりませんが、そういう方法も大飯の場合はあるということを申し上げておきます。
  139. 山原健二郎

    ○山原委員 経企庁のほうで聞きますと、一号炉については喜木川の地下水を使う、二号炉については導水をはかるという話をきょう聞いたのですけれども、そういう計画なんですか。当面地下水を使う、その後については導水を考えているという申請があったというんですが、そうじゃないのですか。
  140. 大石敏朗

    大石説明員 いま先生のお話にございました話は、正式には聞いておりません。
  141. 山原健二郎

    ○山原委員 おそらくそこから先言えないだろうと思うのですけれども、ここに「南予水資源開発計画」というのがあるのです。これは四国を流れておる渡川、別名四万十川といいますけれども、この川の水を取るという計画が出ているのですよ。だから、これをねらっておるのだと思うの下す、四国電力というのは。ところが、この渡川の水というのは流域の市町村全部が反対しておるのです、この水を渡すことはできないと。そういう状態ですから、ここに原子力発電所ができましても、水がないのです。先ほど言われました第一号炉の喜木川の水を取ることは困難です、できません、そんなことは調査をしていただきたいのですよ。県がどう言おうが、水は住民の生命の水ですからね。しかも、農業用水として地下水を使っている。しかも、日本唯一のナツカン地帯であり、グレープフルーツの輸入やオレンジ、果汁の輸入によってミカン地帯を壊滅させるならともかく、現にミカンをつくっている、一番のいいミカンのとれるところです。そのミカンが一番必要な水をあなた方はこれを取るという計画を立てて、かってに水はあるのだということでしょう。こういうことでは、住民が納得しないのは当然のことなんです。  だから私は、もしこれを簡単に、皆さんが言うように決定、決定で進んでいくならば、重大な蹉跌に突き当たるであろうということを警告いたしたいと思うのです。だから、この点については今後十分な調査をしまして、住民の立場に立ってものごとを考えていくという態度を貫いていただきたいということを申し上げまして、時間が経過しておりますので、私の質問を終わります。
  142. 渡部一郎

    渡部委員長 それでは、本日の委員会におきまして数々の問題点が出ておりますので、先例に基づき、話の内容を整理するために私から原子力委員会に対し質問をいたします。山田委員、お答えください。  原子力委員会に属します専門委員会である原子炉安全専門審査会はその審議事項として、山田委員は原子炉の安全性審査しているものであり、原子炉周辺の環境についての安全性審査の対象外である旨の御発言がありましたが、そのように了解してよろしゅうございますか。山田委員、お答えください。
  143. 山田太三郎

    ○山田説明員 環境という概念の中にはいろいろなものがございますが、環境の中の環境に及ぼす放射線の影響についてはもちろんやっております。しかし、温排水そのものの問題はわれわれの直接の権限外であるという考えであります。
  144. 渡部一郎

    渡部委員長 そうすると、環境の問題についての概念が依然として不明確である、こういう意味ですか。別のことばで言いますと、原子炉安全専門審査会審議する事項の中に、むしろこれは原子力委員会のほうの審議事項といってもいいかもしれませんが、「原子炉に係る安全性に関する事項の調査審議(1)環境放射能調査に関する基本方針  (2)人体および環境に対する放射線の影響に関する国際協力の方針 (3)放射性降下物による障害の評価 (4)放射性降下物による障害の防止に関する対策の方針」、以上「原子力ポケットブック」によりますが、このように書かれております。  したがって、原子炉の周辺全体の、うんと範囲が広い全体の環境に関する安全性審査することは、当然環境に対する定義を広げれば、これはもう審査の内容に入るという立場をとられるのか、それとも、これはもう温排水をはじめ、そんな広い範囲のことを論ずるのじゃない、原子炉単独の安全性についてのみ考えておるのだ、こういうどちらの立場をとっておられるのですか。
  145. 山田太三郎

    ○山田説明員 むしろ、単独の安全性とおっしゃいますが、原子力発電所から出てくる放射能は、やむを得ざる部分は当然環境に出てまいりますから、そういう意味の放射能についてはやっております。こう申し上げております。  それから、先ほど温排水のお話がございました中で、温排水は温度の与える影響の問題と放射線の与える影響の問題とがあります。そのうち放射線の与える影響の問題については当然安全審査会で検討しておりますが、温度が魚類とか漁業その他にダイレクトに与える問題はやっておりません。まあ話は聞いておる程度で、これをどうでなければならぬということはやっておりません。
  146. 渡部一郎

    渡部委員長 次に、原子力局長も関連されてあとで、ただいまの御答弁の中にありましたが、原子炉の環境及び立地問題についての基準がない、こういう表現をとられました。これは原子力委員会あるいは原子炉安全専門審査会において審査する場合、放射能による害以外の環境条件変化を規制する基準及び原子炉の立地基準、そうした基準がない、こういう意味と理解してよろしいですか。
  147. 成田壽治

    ○成田政府委員 私が基準がないと申しましたのは、温排水に対する規制の基準は水質汚濁防止法の規定がありますが、それがまだ整備できておらないという意味で申し上げたのでございます。
  148. 渡部一郎

    渡部委員長 いや、そういう意味ではない。
  149. 成田壽治

    ○成田政府委員 それから、それ以外の基準は、たとえば立地指針等もできておりますので、まあ放射能関係の基準は立地指針をきめまして、委員会、安全審査委員会でできております。
  150. 渡部一郎

    渡部委員長 石川委員の質問に対するあなたの答弁は、明確に立地問題についての基準がないと述べられた。それはどういう意味ですか。
  151. 成田壽治

    ○成田政府委員 もしもそう申し上げたとしましたら、それは訂正していただきたい。  私が申し上げましたのは、温排水の基準がまだ法律上できていないと、そう申し上げたつもりでございます。
  152. 渡部一郎

    渡部委員長 それでは、私は問題をまとめるにとどまりましたから、私はこれで発言を終えたいと思いますが、本日の御答弁の内容を聞いておりますと、原子炉の安全性に対する国民の重大な関心にもかかわらず、御答弁の内容はあまり十分ではなかったのではないか、引き続きこの問題は十分審議する必要があるのではないか、こう感じております。ひとつ十分この問題についても今後御検討をお願いしたい。こう要望いたしまして、私の発言を終わります。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十分散会