○森(喜)委員 それから最後に、
国会の
委員会で持ち出すということはどうかと思いますが、特定の本を取り上げることも私は必ずしも賛成ではないんですが、先ほど私が
質問を始める前にも申し上げたんですが、
佐藤内閣がとにかく命運をかけて沖繩返還に取り組んでこられた。ところが、そうしたいろいろな善政をやはり国民に広く周知徹底せしめていくのが政治家のつとめであろう、また
国会もその場であろうと思っておりますが、どうも一方的に、マスコミの偏見もあるような感じもしますが、特に沖繩の中での動きというものは、先ほどのメダル一つの動きについても明らかに出ておるわけでありますが、本土で出ておる出版物について見ても、どうも
政府を批判することしかない。沖繩返還は沖繩県民は喜んでいないというような本がかなり出ております。私はここに毎日グラフを持ってまいりましたが、これを読んでいささかうんざりしております。特にこの中身については、日の丸というものは加害者の旗になっているとはっきりと確定的なことも書いてあります。あるいは写真のとり方なんかも、おもちゃ屋さんでわざとこうなったのかもしれませんが、私は沖繩のおもちゃ屋さんで調べさせていただきましたが、位置はこのままであったのかもしれませんが、タンクの上に日の丸が上げてある。これはああいう日の丸は戦争に通ずるのだという構図のとり方、あるいはもう一つは、たまたま復帰祝賀県民大会というのが光明会館で十四日に行なわれたのですが、参加者はばらばらで何人も入っていない。これは全然喜んでいないのだと解説がここに書いてあります。「日の丸の小旗もうんざりするほどあまってしまったのである」と書いてあります。ところがこれを調べてみますと、これはまだ大会が始まる前に演芸をやっておったとき五時ごろ写したものであって、同じ日の読売新聞にはちゃんと超満員の写真が出ておるわけであります。これなんかも多少意図的なものがあると私は思うのです。さらに「沖繩県」というお祝いの横のたれ幕が引き破られた。「横断幕も旗ざおで引裂いていった。あちこちで歓声や拍手もわいた。止めようとする者はだれもいなかった。そのとき沖繩の人びとの激しい怒りを見たのである。」こういうことでありますが、私は、これは調べが間に合わなかったのですが、その町にいた人たちにとってはそんなふうに拍手した者もいなかったし、これをやった人は逮捕されたということも私は聞いております。この毎日グラフというのは公正な毎日新聞——毎日新聞というのは最近いろいろ問題になっておりますが、そこで出しておられる。これが
日本国じゅうのいろいろな喫茶店とか床屋さんだとかいうところにある。それを
日本の人たちが見てひどいものだなと——いまの
日本の国民は特に目で見る。新聞で活字を見るよりも、いまはテレビだとかの映像が非常に強いわけですから、なおさら
日本の国民は、沖繩は何をやっているのだろうか、あるいは逆にいえば、
日本の国民にとってそんなにいやならかってにすればいいじゃないかということが当時沖繩の特別
委員会でも出た議論である。私は、いま毎日グラフをどうこうするというわけではございませんが、いま
日本の中で行なわれていることについて、もちろんこうした出版社に対して、
大臣からあるいは総理府からこうしろということは言えないかもしれませんが、少なくともこういうことに対して、何か抗議ということでもないでしょうが、毎日新聞に対して
お話しなさったことがあるのかどうか、あるいはこういうことがこのまま行なわれておっても、やむを得ないのだということで放置されておいていいのだろうか、あるいはこういうことをされるなら、われわれは違うのだ、沖繩開発庁としてはこうじゃないのだ、総理府からももっと別の
意味の広報というものを大いになさるべきではないだろうか、反論をなさるべきではないだろうか、私はこういうふうに思います。
時間が参りましたので、いま私が申し上げましたことについて、
日本国民が喜んでほんとうに沖繩返還を、復帰というものを喜ぶべきことでないというならばそれも自由でありますが、同時に
日本の国民に正しい真実を伝えるということも私
ども政治家のつとめであるし、また行
政府のつとめでなければならぬというふうに思っておりますので、長く申し上げましたが、そのことについて最後に御
見解なり御所見を承っておきたいと思います。