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1972-06-09 第68回国会 衆議院 運輸委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月九日(金曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 古屋  亨君    理事 箕輪  登君 理事 内藤 良平君    理事 田中 昭二君       石井  一君    唐沢俊二郎君      小此木彦三郎君    菅波  茂君       佐藤 守良君    福井  勇君       羽田  孜君    増田甲子七君       細田 吉藏君    久保 三郎君       井岡 大治君    松本 忠助君       斉藤 正男君    内海  清君       宮井 泰良君    田代 文久君       和田 春生君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         運輸政務次官  佐藤 孝行君         運輸省海運局長 鈴木 珊吉君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省船員局長 佐原  亨君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 秋富 公正君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         海上保安庁長官 手塚 良成君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   池田 速雄君         警察庁警備局警         備課長     鈴木 貞敏君         環境庁大気保全         局特殊公害課長 松井 三郎君         農林省農政局植         物防疫課長   福田 秀夫君         通商産業省公害         保安局参事官  森口 八郎君         労働省労政局労         働法規課長   岸  良明君         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         消防庁参事官  矢筈野義郎君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         日本国有鉄道経         理局長     石川達二郎君         日本国有鉄道旅         客局長     伊江 朝雄君         日本国有鉄道貨         物局長     泉  幸夫君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君     ————————————— 委員の異動 六月八日  辞任         補欠選任   石井  一君     國場 幸昌君 同日  辞任         補欠選任   國場 幸昌君     石井  一君 同月九日  辞任         補欠選任   内海  清君     和田 春生君 同日  辞任         補欠選任   和田 春生君     内海  清君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(貨物自動車運賃に関する問  題等)  海運に関する件(外航及び内航海運に関する問  題等)  航空に関する件(国際空港における警備に関す  る問題等)  海上保安に関する件(海洋汚染の防止に関する  問題)  日本国有鉄道経営に関する件(新幹線の騒音  対策に関する問題等)      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空日本国有鉄道経営及び海上保安に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 きょうは主としてトラック輸送秩序維持、それに関する問題でお尋ねするわけであります。  この問題についてはすでに当委員会で、この国会で野村自動車局長を中心に運輸大臣等にもお話を申し上げて、政務次官でありましたか、お約束いただいているのは、関係省庁と御相談の上しかるべき対策を立てる、こういうようなお話もいただいているわけであります、その後どうなったかと聞くのはやぼでありまして、それは一番あとから聞くことにいたしまして、私はまず第一に運輸省にお尋ねしたいのは、トラック輸送現状というのはどうなんだろうか。私が質問しようとするのは、たいへん初歩的な輸送秩序を維持しようということなんでありますが、現状はどうなんだ。観念的には非常に混乱しているというか、見ようによってはそんなに混乱していないという見方もあるかもわからないので、おそまきながら第一科から説明してもらいたい、いかがですか。
  4. 野村一彦

    野村政府委員 トラック輸送現状はどうかという御質問でございますが、これは内容としては非常に広範な問題であると思います。一般的に申し上げますと、トラック輸送というものはやはり中距離あるいは近距離と申しますか、そういう地域におけるわが国の基幹物資輸送として相当に量的にも分担の幅が大きいということはいえると思います。ただ最近はトラックだけの輸送ではなくて、先生案内のように、それが鉄道複合の形をとるあるいはカーフェリーを利用するというような形をとりまして、いわばトラックだけではない、他の輸送機関との連携というようなこともかなり進んでおるということがいえると思います、ただその反面におきまして、大都市等におきまする交通の混雑とかそういう問題があります。また公害というような問題がありまして、一方では大部市におけるトラック乗り入れ規制というような声があがっておることは先生案内のとおりでございます。これに対して、私ども業界指導いたしまして、ただ規制反対ということではなくて、これについてはある程度協力をすべきである。ただそれには、やはり大部市の周辺にトラックターミナルをつくりまして、そこで小型の集配車と申しますか、そういうものと大型トラックの受け渡しということをスムーズにやるような施設を整備しながら、そして大都市のそのトラック乗り入れ規制についても必要な協力をすべきであろうという指導をやっておるわけでございます。運輸省といたしまして、いま特に取り上げておりますのは、私がいまお答えいたしましたことに関連するわけでございますが、四十七年度予算要求の過程で実現いたしませんでした複合ターミナルというものの一環に、もちろんトラックも参画をして、そして今後複合ターミナルというものをどういうふうにつくっていくかという構想を長期的に考えるべきだということと、それからもう一つはやはりトラック事業そのものの、特に中小企業対策としてのトラック事業を進めるべきである。これは中小企業近代化促進法に基づきます第一段階であります近代化はすでにやりまして、目下第二段階としての構造改善に入るかどうかということでやっております。これは業界といたしましても必ずしも足並みがそろいませんでまだペンディングになっておりますが、私どもは、業界を強く指導をして、第二次構造改善に入れるような体制業界としてはぜひつくっていきたいということでやっております。  それからもう一つは、この前の当委員会におきまして先生から御質問がありました、トラック業界全体の業務の正常な運営について必ずしも適正でないところがあるということから、四月六日でございましたか、私の名前をもちまして全日本トラック協会長あてに文書を出しまして、業務体制改善について要望いたしました。したがいまして、いろいろな面を講ずるにあたって、事業者団体としてのトラック協会活動がまだ十分でないところがあるので、トラック協会活動を十分活発にしてやらなければならない。その中でいろいろの社会問題、労働問題に対する適正なる処理、それから前々回の委員会等で御指摘かありました過積みの問題とかあるいはダンピング問題等についてももっと業界が歩調をそろえてやっていくようにすべきであるという観点からいま業界指導をしておる。きわめて大綱的に申し上げますと、私どもがやっております、あるいは現在行なわれておりますトラック輸送を取り巻く最近の問題はそういうものがございます。
  5. 久保三郎

    久保委員 お話ありがとうございました。  そこでもう一ぺん、くどいようでありますが、トラック輸送秩序というのは混乱しているのか、いないのか、単純な話については混乱しているということでありましょうか。どうなんでしょうか。
  6. 野村一彦

    野村政府委員 混乱しているかいないかという端的なお尋ねでございますが、これはほかの先生からも御質問があったことでございますが、たとえば一部ダンピングが行なわれておる、あるいは過積みがある、またいわゆるシロトラというものがまだ相当あることから見れば、輸送秩序は残念ながら混乱をしておるというふうにいわざるを得ないと思います。
  7. 久保三郎

    久保委員 私は、つとめて問題を単純化して解決方法をひとつ探り当ててもらいたいと思っておるのでありまして、高度の政策をいま要求しておるわけではないのです。至って実務的なことを要求しておるのです。  そこで、混乱ということの取り方には二つの面があると思う。道路運送上の運行による混乱があるかどうか。それはたとえば交通公害交通事故、それから輸送効率の問題も当然ありますが、そういうものが道路面における運行しの混乱としてあらわれているかどうかということです。もう一つは、輸送面での荷物運送面での混乱はあるかどうか。これはいまあなたが指摘されましたように、運賃ダンピング、あるいは過積みの問題、あるいは労働強化の問題、こういう幾つかの問題があるかと思うのです。だから、この二つの面の混乱は適切な方策をとらなければならぬ。私の見方からいけば、総合交通体系の中において一番先に整理し、位置づけをするものは、陸上におけるトラック輸送だと、ちょっと誇張した言い方かもしれませんけれども、こう思っております。なぜならば、日本列島の中の根幹をなす輸送機関は、やはり量的にはトラック輸送でしょう。そういうことからいけば、トラック輸送の動向によっては国鉄の輸送も内航の輸送も影響してくるわけです。あるいは三者一体として影響する場合もあるかもしれないけれども、いま輸送秩序が全体として混乱しておるとすれば、その元凶といったらことばが強いが、もとをただせば、一番先に姿勢を正してもらわなければならぬのはトラック陸上輸送である、こういうふうに思うのです。この混乱を少なくとも実務的に静めていく方法がこの際必要である。総合交通体系云々の問題は別にして、病気でいえば病気の根源であるそのところに薬なり手術をすることが一番先であって、人間のからだをどう改造するかは、そこが正常な機能が果たせるようになって、初めて大きな手術なり改造すべきだと私は思うのです。多少間違っておるかもしれませんが、私はそういうふうに思うのです。  そこで、きょうあらためて尋ねたいのは、混乱があるかどうかということをお尋ねしておる。これは御説明というかお答えをいただかなくても、混乱したことは事実。そこで混乱を静める方法をこれからお尋ねするわけです。  あとから警察庁もおいでですから、警察あるいは総理府の関係もお尋ねするのでありますが、まず第一に、運輸省に、一つトラック運賃制度がいま正しく機能しておるかどうか、いかがですか。
  8. 野村一彦

    野村政府委員 トラック運賃制度は、一般的に申し上げまして昨年の改正前に比べて改正以後は順守をされておるという意味では改善されておると思います、しかしながら、なお一部にダンピング等がありますので、そういう意味におきましては、なお運賃制度の実施は必ずしも十分でないということを卒直に申し上げざるを得ないと思います。
  9. 久保三郎

    久保委員 運賃ダンピングがあるというのは、ダンピングはどうしてできるのか。それからあわせてダンピングがあると認めているならば、そのダンピングをやめさせるくふうはどういうふうに思っていらっしゃるのか。
  10. 野村一彦

    野村政府委員 ダンピングはどうしてあるかということでございますが、これはいろいろ直接、間接の原因があると思います。一番基本的な原因は、これも前回先生の御質問にお答えしたと思いますが、荷主に対してトラック事業者が非常に経済的に弱者立場である。したがいまして、運賃制度を正常に適用していく、いわゆる姿勢を正すという点になお欠ける点があると思います。したがいまして、トラック事業者としては、事業は免許、運賃認可制、その認可制幅運賃の中において、その幅運賃の限度において市場原理が出るわけでありますけれども、そういうことについて運賃を守るという基本的な姿勢が必ずしもとられていない。それは経済的に弱者であるということ、これは先生も前回おっしゃいましたが、それには団結よりほかに道がないのではないか。私もまさにそのとおりであると思います。そういう意味におきまして、荷主に対してトラック業者が少しでも対等の立場輸送の契約が結べるような体制に持っていくべきである。それにはやはりトラック業者団結を強化して姿勢を正すことをやらなければいけないというふうに思っておるわけであります。それがひいては過当競争、つまり私のところはこれだけ運賃を割り引きますから私のほうに荷物をくださいという、それが過当競争を激化する一つ原因となっております、これは非常に根深い原因だと思いますが、基本的にはそういうことが一つの大きな原因であろうと思います。対策としては、抜本的な対策を立てて相当思い切った対策をやらなければならないと思います。
  11. 久保三郎

    久保委員 抜本的な対策というのはどういうことなのかお聞きしたいのです。それともう一つは、荷主に対して弱い立場にあるから団結してというのですが、協業化は大体五割くらい進んでいるのですか。協業化というか、そういうものはどの程度進んでいらっしゃるのですか。そういうことがお聞きしたい二つの点であると同時に、その前に、弱い立場にどうしてあるんだろうか、ただ単にばらばらであるから弱いというだけなのか。協業化するなり、体制を整えれば対等の立場になれる性格のものであるのか。しかし、よしんばそうだとしても、いま直ちにそういう体質を改めることはかなり困難だというならば、別な方法をとらねばならぬと思うのです。たとえば、運賃制度一つとっても、もう少し考えていくべきである、なるほどあなたがおっしゃるとおり、最高、最低、大体一〇%ないし五%の幅で、言うならばその幅で競争していくんだという考え方、それはけっこうかもしれませんが、その中身が全然機能していない。一〇%の幅の中、五%の幅の中、そういうものは全然機能していない。機能していないところに問題がある。機能しない原因は、単に弱い立場にある業者であるからだめなんだということだけでは、問題の解決にはならぬと私は思うのです。おのれの責任をたな上げしておいて、業者団結の力が弱いからというだけなら、これは私の発言なら通るのですよ。運輸省立場からはあまり通らない。はっきり言えば、いまの運賃制度に対する反省がないわけです。それならばお聞きしますが、各業者がどのくらいの運賃を取っているか、運輸省はおわかりになりますか。トラック業者運賃が、いわゆる実際に荷主からもらっている運賃というのはどの程度のものをもらっているか、おわかりですか。そういう統計がございましたらば資料として出していただきたい。いかがですか。ありますか。
  12. 野村一彦

    野村政府委員 最後の御質問でございますが、どの程度運賃をもらっているかということにつきましては、なかなか実態はむずかしいと思いますが、極力調査いたしまして先生のもとにお渡しするようにいたしたいと思います。
  13. 久保三郎

    久保委員 そういう態度自体に私は不満があるのです。自分で認可しておいた運賃かどの程度その幅の中で取られているのか、守られているのか、さっぱりわからぬで何の行政かと私は言いたい。これは、どうなんだ。
  14. 野村一彦

    野村政府委員 その点につきまして、ただいま私の手元にその資料はございませんが、これは調べればすぐわかることでございますので、できるだけ調べましてお答えいたします。
  15. 久保三郎

    久保委員 調べればわかるじゃなくて、調べたものがありますか。実際に取っている運賃を調べたのがありますか。
  16. 野村一彦

    野村政府委員 これは私どもで調べた運賃は持っております。
  17. 久保三郎

    久保委員 その運賃認可運賃と相違していないか。いかがですか。
  18. 野村一彦

    野村政府委員 相違をしている部分がある程度あるというふうに私どもは思っております。
  19. 久保三郎

    久保委員 ある程度というのはどの程度か。これはことばじりをつかまえて何かいやがらせを言っているのではなくて、そういうあいまいな態度が今日の混乱をもたらしている原因だし、責任を持った立場とは、これは野村局長、言えませんよ、はっきり言って。自分で認可しておいた運賃がどの程度守られて、どうなっているかわからないで何の行政だ。私は全般的なことは、もう過積みの問題はきょうはあなたに聞きません。あなたの職制の中の問題である運賃だけ聞きます。どうなんですか。
  20. 野村一彦

    野村政府委員 ある程度というのはどの程度かという御質問でございますが、これは私どもこういうふうに理解をいたしております。つまり品目別で見ると、たとえばどういう品目ダンピングが多いか、それから今度は企業別に見てどういう企業にそういうものが多いかということでございまして、それはかなり錯綜しておるわけでございます。そういう意味で一がいにどういう程度ということばなかなかお答えできないわけでございます。その品目によりまた業態によっては、認可運賃を収受している業態もあるわけでございますが、中にはそうではないものがある。それは企業別あるいは品目別あるいは地域別ということもあると思います。そういう点は私ども定期的に集めております資料を見まして、ある時点でそれを分類していくということによって把握をいたしておりますので、一がいにどの程度だということはここでは必ずしも正確なお答えはできないと思います。内情はそういうことでございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 実際はあなたがおっしゃるようにある程度なんというものではなくて、大半が守られていないというのが表現の正しさじゃないですか。そこに問題がある。では、どうして守られないのか。結局いまの認可運賃制度、しかも一〇%ないし五%の幅、そういうものだけを認可していけば何とかなるだろうという時代ではない。そういう情勢ではない。実勢運賃というものはずいぶん違う。もちろん中にはたまたま合っているものもあるかもしれませんが、大半が波を打っているわけですね。もちろん大手企業などは正しく取るものもあるだろう。しかし大半はそうではない。いまの混乱原因はだれがつくったかといったら、中小弱小業者が多いわけだ、企業体質からいっても、これは一番先に保護してやらなければいけない立場なんだ。だからそういうことを考えれば、実勢運賃が違っているということは、運賃が公示されていないということだ、営業所か事務所か知らぬが、そこにあなたのほうで認可した運賃だけを公示していればいい、これを掲示しておけ、こうしろ。ところがこれはもう飾りものにすぎない。だから、実際の運賃を公示する制度をやはりこの際考えていくべきではないかということです。それを単に認可した運賃には一〇%あるいは五%の幅がありますという運賃や何かを公示すれば足りるなんというのは、実際には合わないんじゃないか。そのもとの制度はいいです。しかし公示する役務を負わせて、きちんとやれ。ところがいまはこれに違反したら五万以下の罰金か何かありますね、第一処罰したことがありますか。道路運送車両法によって認可運賃に違反して処罰した例はありますか。
  22. 野村一彦

    野村政府委員 認可運賃に違反したという理由で処罰をした例は私はないと思います。
  23. 久保三郎

    久保委員 そうでしょう。そこが問題ですよ。処罰するのが能ではないですよ。私は極力処罰しろなんということを言いたくない。しかし法律に違反しても処罰しないところに問題がある。片方では認可運賃、これで運賃を取りなさい。ところが違ったものを取っても処罰されないというのはおかしな話じゃないですか。だから、この運賃制度について、いまぼくが言うような方向で検討する用意があるのかどうか。これはこの場限りの問題ではなくて、ぼくもそれが一番まっとうに正しいとは思ってない。専門家じゃないからわからない。わからないが、考えてみればこういうところじゃなかろうかということなんです。だから率直に答えてほしい。
  24. 野村一彦

    野村政府委員 いま先生の御指摘になりましたような運賃を守らせるということについて、私どもは当然監督行政の任にあるものとしてやらなければならないと思っております。したがいまして特に先生も御指摘になりました中小企業対策としてこれをやるということにつきまして、私どももここ一、二年来いろいろと検討しておるわけでございます。それは一つは、企業体制というものをただ精神訓話によって運賃を守りなさい、これを守らなければ法律違反ですよということではなくて、これが守れるような体制をつくり、たとえば共同荷受け施設をつくる、あるいは共同配送センターをつくる、あるいは共同計算センターをつくるというようなことにつきましては、現在私ども業界参加も得てワーキンググループをつくって、いろいろと検討しております。先生も御示唆になりましたそういう共同化協業化というようなことをできるだけ実際の組織の上に生かしていって、そして集荷それから包装あるいは仕分け、配送という一連の作業というものが非常にむだなく合理的に行なわれるというようなことの体制を整えるということは必要でございますので、そういう意味中小企業対策というものに特に力を入れてやることによって、企業体質改善をし、それによって企業者姿勢を正す、また関係方面荷主等協力を得るということもそういうことによって可能になると思いますので、ただ認可運賃を守れという、そう言うだけではなくて、いわゆる構造改善と申しますか、そういう体質改善をしながら、そういう体制組織としてつくっていくというようなことで、ぜひそういう体制を少しでも改善をしていくような努力を今後とも続けたいと思っております。
  25. 久保三郎

    久保委員 そこで、あなたが幾つ対策をお述べになりましたが、いつのころまでにそれは完成しようというねらいなんですか。大体いつまでかかるのか。やってみようが、そのうちに結論出ようかもしらぬというようなことではないと思うんですね。それは大体タイムリミットはあるのかどうか。
  26. 野村一彦

    野村政府委員 ただいま申し上げました対策の中にございますが、これは中小企業ばかりではございませんが、トラックを含む共同ターミナルと申しますか、複合ターミナル構想につきましては、これは四十八年度予算を要求するときにその一つの大筋の構想というものはまとまらなければなりませんから、そこで私どもは四十八年度の政府要求案が固まる段階では一歩を踏み出せるようにやりたいと思っております。  それから、いろいろ共同計算とかあるいは共同荷受けとか、そういうことを通じましての体質改善の問題につきましては、一つは外部の学者の方々の御参加を得まして研究会を現に開いております。これが研究会としての結論が出るのは来年になるかと思いますが、私どもとしてはかねてからその研究会の中に考えられております、私がいま言いました共同計算センターとかあるいは共同荷受けというようなものについては、これは実は私ども予算要求のときに、四十七年度もいろいろ検討をしてついに実らなかったのでございますが、そういうことはさらに今後の四十八年度予算を要求する段階におきましても、もう一ぺん前年度実らなかった案をたたき台にしてこれを考えて、そして少しでもそれが実現するような方向でいきたいということでおります。  それからもう一つは、特に中小企業専門対策としての構造改善事業にこれが踏み出すかどうかという問題、これは実は私どもありていに申し上げまして、私どもの努力ももちろん足りませんが、業界の内部にもいろいろな事情がありまして、まだ必ずしも足並みがそろっていないということで、近代化の五カ年計画は終わりましていま一年有余、まだ構造改善に踏み切る態勢に至っておりません。業界自身の歩調がそろっておりません。そういう意味で、これはぜひ私ども業界に強く呼びかけて構造改善の第二ステップに入れるようにしたい。これはもうできるだけ早い機会にということで、構造改善の指定を受けるには予算その他の都合がございますから、年度の途中ということはなかなかむずかしいわけでございますが、四十八年度からはこれができるように努力を私どももしたい。また業界にも強くそのことを要請しませんと、せっかく乗りかかった近代化事業が中途にして停とんをするということになると思います。そういうテンポで私どもいままでもやってきたつもりでございますが、今後もさらにその方向で努力をしたいと思っております。
  27. 久保三郎

    久保委員 いまお話しの中で複合ターミナルにたいへんな焦点を合わしておられますが、これは輸送近代化というか効率化からいけば、これはそれで正しいと思う。しかし、いまのトラック輸送秩序を維持することからは少し違うんじゃなかろうかと私は思う。なかなかこれはたいへん、無理です、これだけでは。だからむしろあとからお述べになった共同計算あるいは共同荷受け、そういう方向を先行させるのが私は——これは複合ターミナルが要らぬということではありませんよ、路面交通上における輸送、いわゆる輸送上の混乱を防ぐためには複合ターミナルが必要でしょうね。しかし、経営混乱を防ぐのには多少役に立ちますが、全体的には違うのじゃないか。むしろいま、育ったように、共同計算の機構をまずひとつ考えてみなければならぬ。共同荷受けといってもなかなか、これはいまの荷主業者関係はそう簡単なものじゃありませんから、これは二の次になろう。しかしながら、できれば合わせて一本で運賃の管理機構というか、そういうものをひとつつくるべきだと思うのですね。これが、いま役所の機構をふやすことがたいへん無理だとするならば、一つの第三者的なものをつくって、そこで管理機能か果たせるようにすべきだろうと私は思うのであります。外国の例などはかなりもうお調べになっておると思うのでありますが、外国ではこの運賃の、大体輸送秩序はそういう面では維持されておるというふうにてまえどもは承知しておるわけです。ついてはこの共同計算くらいはある地域を指定なり、ある路線を指定して、そこだけでも一本強力に指導してつくってみたらどうかというふうにわれわれは考えておる。全国を一本にしてこれを一斉にやるということはかなり困難だと思うし、また失礼でありますが、そういう能力は陸運当局にはいまないだろうと思うのです。というのは、人手も足りないししましていろいろな問題がありますので、それだけにかかわり合っていられないと思うから、ある特定地域なり特定路線を指定して、そうしてこれに多少予算もつけて誘導していくということは可能だと思うのですね。そういうものを来年度予算の中に——大体共同計算とか共同荷受け構想は出したが、予算査定でパアになったという話ですが、パアになるのには実現性がないから、これは絵にかいたもちみたいだからパアになったのだろうと私は思うんです。本物であればこれは大蔵省の折衝の段階においてだって、あるいはこの国会の筋だってもう少し応援してものにするはずだったんだな。全国一本くらいの話でやったのでしょう。そんなのはだれも本気にしませんよ、はっきり言うと。ある特定のパイロット地区か路線をつくってやらせる、こういう方向を考えていくべきだと思うのです。あまり大幅なことをやったってそれはできっこはないと思う。だからそういう意味でこれは考えていくべきだろう。しかも、学者先生を入れていろいろ検討をされてけっこうだと思うのでありますが、いずれにしても、来年度予算の中にはそういうシステムが入るようにぜひやってもらいたいと思うのですが、いまの私が言ったことについては何か……。私と同意見ですか。同意見ならいいのですが。
  28. 野村一彦

    野村政府委員 先生のおっしゃったお考えは私全く賛成でございます。実は昨年も四十七年度予算段階におきましてそういう共同計算センターという案を準備したわけでございますが、これは全国一本でございませんで、地域割りをしてある地区を中心に、東、名、大というようなところを中心にしてやはりモデルケース的にやろうという案でございましたが、これはまだ私どもの問題の煮詰め方が足らなかったと思いますが、そういう意味で実りませんでしたが、構想としては今後もぜひこれを、もう少し案を練り直して実現をしたいということで、ただいまの先生の御示唆の線と私は合致するものだと思います。
  29. 久保三郎

    久保委員 それからもう一つは、トラック輸送分野についてです。これはだんだん、たとえば海上コンテナが出てくれば八×八×二〇もまあ言うなら輸送するという、もちろん輸送できる面ではけっこうでありますが、最近の路面事情からいけばそういうものをはたしてそういう形でやっていいのかどうか。もっとも路線を特定したもので許可しているかもしれませんけれども、一般的にはどうも不都合ではないかというふうに思う。それから最近はカーフェリーの問題もありますから、一がいに長距離トラックというものも、過去における長距離トラックと同じには解釈できないかもしらぬ。しかしながら、大体トラック輸送分野というか、輸送距離というのは、おのずから運転手の労働の問題あるいは安全、公害の問題からいっても限界があるはずだと思う。ところが、われわれが追跡調査した範囲ではかなりこの長距離をやっているのですね。カーフェリーをまん中に置いた形でやる場合は別でありますけれども、これはやはりある程度の限界というものを見きわめて、これは労働問題もありますし、交通事故公害の問題もありますが、総合的にこれは考えていくべきだと思うのだが、こういう検討はしておりますか。
  30. 野村一彦

    野村政府委員 トラック輸送分野といいますか、輸送距離につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、トラックのみによる輸送というものの距離的な一つの限界というものは、私は鉄道貨物に比べて一番短距離的なものであると思います。しかしながら、現実的には、たとえば二百キロ前後といわれておりますトラックの限界を越えて、路線におきましても区域の面におきましても輸送いたしております。これはやはりいままでは、カーフェリーの利用とかあるいはフレートライナーの利用というようなものが、必ずしもシステム的に出てこなかったということもありますが、その場合の指導としては、二百キロを一つの限界として、そこで運転手を交代させるような措置をとって、なるべく労働過重にならないような施策はとっております。しかしながら、ここ四、五年に至る昭和三十年代あるいは四十年代前半ごろには非常にトラックが路線を延ばし、行動範囲を延してきたということで、あるべき姿から見れば、確かにトラック輸送距離というものは非常に延びておると思いますが、これはやはりそれに必要な対策をとらなければならないと思います。
  31. 久保三郎

    久保委員 対策をとらねばならないということですが、そういうものを検討しておりますかと聞いているのです。具体的に、たとえばトラックの基準というものは、おおよそ何キロぐらいまで、あるいは何トンぐらいまでが基準であろうというようなことをこの際もはや考えておく必要がありはしないか。ただ単に申請があれば、道路もあるし運転手もあるようだから、それじゃよかろうということで許可していく時代じゃなかろうというふうに思うのですよ。(「いまにタンカーみたいになっちゃうぞ」と呼ぶ者あり)だから、いまタンカーということばも出ましたが、でっかい特殊車両というようなものもありますし、特殊車両も許可しておる。これは警察にも関係がありますが、特殊車両だから許可していくという時代ではもうないと思うのです。これがもっと鉄道なら鉄道輸送にかわるものなら、安全とか交通の円滑化からいってもそっちへ持っていかせるというくふうが必要だ。特殊車両があるから貨物もこれでいいのだということではないだろうと思います。これは警察にもお答えいただきたいのですか、そういう指導が必要だと思うのですね。何でもとにかくやってみたらどうかということはけっこうですが、そうじゃないと思うのですね。検討しておりますかと聞いておるのです。いかがでしょう。
  32. 野村一彦

    野村政府委員 先生のただいまの御質問のような事項につきまして検討いたし、一部実施いたしております。  というのは、先ほど申し上げましたような運転手の疲労交代というようなことを指導させて、一定の距離以上については同一の運転手がやらないようにそこで交代をするというようなことで、なるべくそういう疲労による事故防止というようなことを未然に防止すること、そういう意味の検討をいたし、実施をいたしております。  それからコンテナ等による大型のかさばる貨物の輸送につきましては、これはやはりフレートライナーとかあるいはカーフェリーの利用というようなことを合理的に進めるような道を検討し、現在ある程度これが進んでおりますので、これは海上コンテナ等の、特に大型のコンテナで運ぶ輸送形態につきましては、やはりそれを専門にやるような輸送機関というものが実は相当できておりまして、それぞれの海運会社とタイアップしたコンテナ輸送を中心にする限定トラック業者というものができてやっておるということで、ある程度体制はできております。方向としては、そういう体制をさらにもっと合理的に進めていくという検討をいまもやっておりますし、今後も、さらにやりたいと思います。
  33. 久保三郎

    久保委員 警察にもさっきの話をちょっと聞きたい。
  34. 池田速雄

    ○池田説明員 長距離輸送の点につきましては、主として過労運転の問題が問題になろうかと思いますが、過労運転は道交法上禁止してございまして、一般的に形式的にするわけではございませんで、実質的な内容を見まして、かりに乗車が短時間でございましても、実質的に過労であれば過労として処置するということでございますので、いま形式的にはきめにくい点があると思いますが、そのほうは行政官庁のほうで御留意をいただきまして、私どものほうは、実質的にそういう点から配意してまいりたいと思います。  なお、大型車につきましては、実は警察の立場から申し上げますと、車自体の大きさを越えてはみ出す、あるいは高さもそうでありますが、そういうものにつきましては、規制の対象になっておりますが、それ以外のものにつきましては、車自体を規制する権限は残念ながらございませんけれども、現実にその車が交通の場に走ります場合、一般的にそういう車が走ることは望ましくない、あるいは時間的に望ましくない、こういう点につきましては規制をしておるわけでございますので、その方面につきましては、また関係のところとも協議いたしまして、交通の安全あるいは円滑という面から見まして、十分配意しながら措置を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  35. 久保三郎

    久保委員 これは総理府にも聞きたいのですが、いまの超大型の車ですね、こういうものを技術が発達していますからどんどんつくりますね。さっきのタンカーの話じゃないが、輸送というものは、大きいほうがいいのです。だからどうしても大きくなっていく。大きくなっていけば限界がある。道路面では当然交通渋滞もあるし、公害もあるし、それから操作が不如意でありますから、交通事故原因にもなることは当然であります。  それから、いま警察庁からお話がありましたように、警察庁としては、大体合格した車に合格した荷物が乗っかっておる限りは、これは許可していくというかっこうで、だからそういう車をつくるもと、そういうことについて総理府は調整する必要がありはしないかと思うのですが、これはただ単に——車をつくるほうは通産省ですね、取り締まりのほうは警察庁、運送を許可するほうは運輸省、それじゃここでこれが妥当であるかどうかという判断を下すのは、これは運輸省でもないのだね。だから、総理府ぐらいでやるほかはないのじゃないですか。どうなんですか。
  36. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、大型の車につきましては、いろいろ警察の取り締まり、あるいはつくるほうの所管が通産省というふうに所管庁が分かれておるということもございますし、それからまた道路をつくる場合におきましては、道路構造にも——大きな車が走るということは相当な影響もございますので、道路構造面からもこれは十分に考えていかなければなりませんし、それから先生おっしゃいましたように、事故防止という面からも考えていかなければならないというふうに考えております。  ただいま御指摘の問題につきましては、私ども関係省庁と協議して、対策を考えたい、こういうふうに考えております。
  37. 久保三郎

    久保委員 室長、ここだけの話ではなく、やはり持ち帰って関係省庁と協議をしてもらいたい。  それから警察庁にも言っておきますが、運転者の交代があればいいという問題じゃないのですね。結局は道路面での渋滞という問題があるのですよ。道路面での交通緩知はどうしたらいいかというと、これは車の運行を規制するということですね。制限するということですよ。だから、制限するのにはいろいろな方法があるけれども、分野に応じたところを一応限界にしていく規制が、一番初歩としてやることだと思うのです。だから、そういう意味から言うと、言うならば、同じ車で三百キロも、千キロも、運転手が交代すればいいということでやるのじゃなくて、そういうものは、そういうふうに長距離に輸送するものは、言うなら国鉄に載せられるものは国鉄に載せなさい、そうすれば、それだけ道路面からあくわけでありますから、そして有効な、その分野に応じたものを輸送してもらうのが一番全体的な輸送からいって効率的で安全だと思うのですが、そういう意味から私は言っておるのです。運転手が交代すればいいという単純なものではないと私は思うのです。だから、カーフェリーをはさんだ場合でも同じですね。同じですよ。そういうことをひとつ考える必要があると思うのです。これは警察の分野ではありませんね、距離は。ありませんけれども、大体関係省庁として考えてもらいたい。だから、運輸省が大体そういうものは中心だと思うのですね。輸送の分野については運輸省が中心だと思うのでこれは考える時期だと思う。  もう時間がありませんから先に行きますが、次に交通規制というか、先般申し上げた過積みの問題ですね。過積みの取り締まりは運輸省もその責任があるわけだな。警察庁も現実にあるわけだね。ところでこの過積みで処罰というか、処罰ばかり言ってもたいへん気がひけるのでありますが、取り締まりはどんなふうにやっているのか、運輸省から聞きましょう。運輸省は過積みをどの程度取り締まっておられるのか、過積みによって処罰した例があるかどうか。
  38. 池田速雄

    ○池田説明員 昨年の例でございますけれども、実は積載違反で検拳いたしております件数は十四万四百三十九件でございまして、一昨年に比べましても三%ほど増加いたしております。これはいまの規制が直接運転手の規制ということになっておりますので、運転手を検拳した数でございますが、この過積みにつきましてはその責任を運転者だけ追及するということじゃございませんで、安全運転管理者等のあるいは運行管理者等の者に責任があります場合にはその責任を追及いたしておりまして、その関係で検拳いたした者が千三十二件、それから法人等につきまして両罰規定をかけましたのが四千九百九十三件、こういったような数字になっております。
  39. 野村一彦

    野村政府委員 ただいま先生のお尋ねでございますが、私ども立場といたしましては自家用車と営業車と分かれておりまして、自家用車につきましては自動車の検査はもちろんのことやっておりますが、その運送上の監督といいますか、これは私ども権限的にございませんので、これは私どもやっておりません。  営業車につきましては、これは当然私どもが過積みを防止し、それを取り締まらなければならないという立場でございまして、取り締まりにつきましては先生も御案内のとおり、警察の御協力を得てといいますか、警察が主体となっていろいろ現象としてあらわれた面の取り締まりを、いま警察のほうから答えられましたようなことでやっていただいておるわけであります。
  40. 久保三郎

    久保委員 それで警察に、こまかいことでありますが、この十四万何千件かの数でございますが、全トラックの数に比べてはかなり少ない数ですね。もっとも多いのを望むわけじゃありませんけれども、実際はずいぶん過積みで走っているのが目につくわけでありますが、いっとき大体三割くらいは過積みはお目こぼしということになっておるようでありますが、取り締まりの基準はどういうようになっていますか。
  41. 池田速雄

    ○池田説明員 まず検拳が少ない点でございますが、これはやはり積載物の重さをはかる、こういう過程が必要でございまして、それをはかりますためにまず固定の重量計のある場所が現在非常に限られております。したがいまして、この点につきましてはもう先刻御指摘ございまして、道路管理者等とも協議いたしまして早急にその場所をふやしたい、こういうことで、原則といたしましては高速道路でございますともうインターチェンジに全部つくったらどうだろう。それから主要の国道等につきましてもなるべくつくるということで道路管理者等とも協議いたしまして、昨年来非常に数がふえてきておりますが、残念ながら絶対数が少ないという点がございます。それからあと携帯式のものではかるということでございますが、最近の車が重くなりましたしあるいは軸がふえてまいりますと、いままで警察が使っておりました簡易なものではなかなか間に合わない点もございますので、そのほうの整備もこれから専門的に進めてまいりたい、そういうふうに考えております。したがいまして、その一部のものが罰せられるということでなくて、公平な取り締まりができるように努力してまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、なお取り締まりにつきましては、一部道路交通法上罰則金の制度もございますが、罰則金の場合も十割以上のもの、それからそれ以下のもの、五割程度のもの、そういったいろいろ段階はございます。運用上は特に運転者の責任を問うわけでございますので、なかなか認識の点があろうと思います。実際に一々はかって載せるというわけでもありません。大体容量等から見ましておおむね積載量の範囲内であろうということ、を考えていると思いますので、その点につきましては非常に過酷な取り締まりにならないように運用上は十分配意いたしまして、少々認識のないようなものまで取り締まるというようなことはいたしておりません。
  42. 久保三郎

    久保委員 私は取り締まりを強化しろという点に力点を置いて質問をしているわけじゃない。これはどう指導していくかという問題ですね。取り締まる場合には、いまの道交法でいくと目方をかけなくちゃいけないのですね。現実にこれはオーバーしていると見ても目方にかけてこれはオーバーしている、こう認定しなければ罰することができない、こういうことだと思うのですね。そのためにはかりをたくさんつくらねばならぬ。ばかばかしい話だろううと私は思っているのです。これは非常にばかばかしいことを一生懸命やっているわけですが、だれが見てもこれはずいぶん積み過ぎているのではなかろうかというのがたくさんある。だから、一つ方法としては、載積計算というものを考えたらどうか。積載物に石を積む場合あるいは材木を積む場合、だいぶ違うと思うのですが、そういう載積計算というものを導入して指導していったらどうだろうか。大体鉄は側板の半分くらいしか積めないとか砂なら倍に積めるとかそういう載積計算の基準というものを示して指導することも一つだろうと思うのですね。もちろんおっしゃるようにこの業態の実態を根源的には改めていかなければならぬことは当然でありますが、さしあたり交通公害や事故の問題を言ってもそういう方法はどうだろうかという感じもするわけです。指導方法としてこれは大体側板二枚くらいまでですよとか、そういうもののほうが実態に合ってはいないのか。大体はかりを各所につけるなんというのもたいへんだろうし、警察官が一々とめて、おい、はかりに載せてみろというようなこともいかがかと思うのですね。その点お答えいただきたい。いかがでしょう。
  43. 野村一彦

    野村政府委員 ただいまの先生の御提案、私ども一つの検討すべき方向だと思います。この問題につきましては、たとえばミキサーみたいな容積がこちっとしまして、そうして容量それから重量というものが客観的に判定できるものとそれから一般のそうでないトラック、それに差しワク等を使っているもの等がありましていろいろ問題があると思いますが、これは私どものほうの技術者にもぜひ研究をさせたいし、民間の協力を求めたいということで、御提案の趣旨を一つの示唆として研究したいと思います。
  44. 久保三郎

    久保委員 これは警察の分野じゃないのだね指導は警察だな。これはどうなんです、いまの場合は。運輸省でその載積計算というのは指導の方針として考えたらとうか。だからそれは運輸省にも関係あるのですよ。だけれども、直ちにそれで異議を申し立てた運転者がいれば目方をはかるところへ連れていって道交法によってやったらいいが、ただ目方をはからなければ処罰できない、処罰だけを中心にしているから、どんどん過積みの車が走っていても処罰するだけが目的であって過積みをやめさせるということを大体頭に置かないでいることは、本末転倒というか問題を正しくとらえていないのじゃないかと思うのですね。そういう点で警察はどうですか。
  45. 池田速雄

    ○池田説明員 私ども立場といたしましては、検挙に至りませんでも十二分に指導、勧告はしているつもりでございます。しかし、徹底的にそういう現象をなくしますためには、どういたしましてもやはり最終的には検挙という手を使かわざるを得ない、こういうことでありますので、検挙だけでございませんので、十分指導もやっておりますが、なお十分努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  46. 久保三郎

    久保委員 総理府安全対策室長、これはやはりいまの提案を一ぺんあなたのところでまとめてみてください。それは警察の立場は最終的には検挙しなければいけない。そのとおりで、これは悪いことをやった者は検挙しなければならぬ。しかし、それは交通の面では検挙が中心ではないと思うのですね。その前段が大きな力点としてなければいけない。だからこれは否定をしているわけではないでしょうけれども、いまの載積計算のよるところの目の子勘定で、これは超過ですよ、それはおろしなさいというくらいの指導ができる基準をつくる必要がありはしないか。しかしこれは直ちに罰するということでなくて、おろせおろさぬというなら目方にかけてもということで私はやったらいいのじゃないかと思うのですね、くどい話が。いずれにしても過積みの問題はいろんな問題を引き起こしているのですね。だから総合的に過積みをなくすることは、いまの載積計算だけが問題じゃないのですよ。経営の実態もそれから運賃のあり方もいろんな問題をひっくるめなければできない問題ですが、これはこの前も申し上げたが、総合的な対策としてぜひ考えてもらわねばならぬ。しかも早急にやってもらいたい。  最後でありますが、政務次官、いままでそれぞれ申し上げてきたことは、この前委員会で申し上げたこととあんまり変わりはないのです。中身は多少具体的な提案をしたわけですが、私は、責任を持って来年度予算要求に間に合うように、すべての面でトラック輸送秩序維持の問題を取り上げてもらいたい。ここで政務次官の約束してもらって、これは総理府が中心になるのか、運輸省が中心になるのかわかりませんけれども、いずれにしても少なくとも三者が集まって真剣に討議をしてもらわなければならない問題だと思うので、御所見を承わっておきたい。
  47. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 いまの質疑応答の中にもありましたように、製造は通産省、取り締まりは警察、許可は運輸省、さらにその中には輸送分野の運賃の問題、道路は建設省あるいは労働条件ならば労働省、非常に広範多岐にわたる問題をかかえているわけでございます。こういう広範しかも多岐にわたる場合は、往々にしてあまり行政上円滑な行政が行なわれていないのは御指摘のとおりだろうと思います。関係官庁とも連絡をとった上で総合的な対策を立てるのは先生指摘のとおりで、また緊急を要する問題と判断いたしますので、ぜひ御指摘方向に従って早急に検討し、その対策を立てるよう努力する所存であります。
  48. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 先ほど大型車の問題につきましても関係省庁と協議するということを申し上げましたが、過積みの問題につきましても、関係省庁と十分協議して有効な防止対策を推進してまいりたいというふうに考えております。
  49. 久保三郎

    久保委員 ありがとうございました。  最後に資料を要求しておきたいのですが、それは先ほども質問の中に出しましたが運賃の守れなかった実勢運賃というのか、そういうものの実態、それが一つ。  それからもう一つは、警察庁でありますが、さっき言った取り締まりの十四万何千件かの内訳ですね。これは業務用とかあるいは営業用とかいろいろ区別がありますが、そのほかにもまた路線トラックか区域か、いろいろな区別でとっておられるのじゃなかろうかと思うが、できるだけ分析した中身の数字を御提示いただきたい、こういうふうに思うのです。取り締まった中身ですね。大体十四万何千件取り締まったというだけじゃないでしょう。それは白ナンバーとか青ナンバーとか、そういう区別くらいはあるでしょうし、何トン車が多かったとか少なかったとか、何トンの車がどれくらい積んでいるのか、そういうのがあるのじゃなかろうかというのですが、どうですか。あれば出していただきたい。
  50. 池田速雄

    ○池田説明員 非常に詳細なものはございませんが、ごく大ざっぱなもの等はございますので、そのわかる範囲で至急に御報告させていただきたいと思います。
  51. 久保三郎

    久保委員 それでは大ざっぱなものをさしあたりいただくことにしましても、どこの地区でもいいですから一ぺん詳細に分析ができるような、どういう実態であろうかというのがすぐわかるような御調査を、ひとつある期間限って、ある地域でもいいですからやってほしい。東海道が一番いいかもしれませんが、よろしくお願いします。  以上で終ります。
  52. 小峯柳多

    小峯委員長 斉藤正男君。
  53. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私は去る五月の十日に国鉄運賃並びに国鉄財質再建特別措置法の審議にあたって、特に新幹線公害について約二時間伺ったわけでありますけれども、その後運輸省並びに国鉄当局がこの問題と良心的に本格的に取り組んでいる姿はかいま見れると思うのであります。しかし突然一昨日、山田副総裁は、「『新幹線公害』に二百億円」「五年計画」「騒音八十五ホン以下に」という形の記者会見による発表をやっております。それでこの内容を読んでみますと、きわめて粗雑であり、不十分だと思いますので、以下私は関係者に数点にわたって伺いたいと思うのであります。  まず第一に、この国鉄の山田明吉副総裁は七日の記者会見で云々ということになっておりますけれども、この重要な記事が掲載された新聞は読売、朝日等に限定されておって、すべての新聞に書かれているわけではない。一体いかなる形の記者会見をやったのか。副総裁がいませんから残念でありますけれども、当局はどのように聞いておりますか。
  54. 長浜正雄

    ○長浜説明員 六月の八日に出ました新幹線公害に二百億という記事が、先生指摘のように読売新聞あるいは朝日新聞、また、サンケイにも小さく出ておったようでございますが、こういう記事が出ております。  これはどういう場でこういう話が出たかと申しますと、先生の御質問でございますが、これはその前日に副総裁が定期的に記者クラブと懇談の形で話し合いの場を持っております。そのときに、これは二つクラブがございまして、中央紙とそうでない民放とか地方紙、そういうふうに二つに分かれておりますが、その民放とか地方紙の方々との懇談の席で新聞記者のほうから、公害に対してどういうふうに考えておるかというふうな質問があったようでございます。そのときに、いま国鉄の部内で考えておるようなことを副総裁がその質問に応じたかっこうでしゃべったように聞いております。したがいまして、中央紙の正式の記者会見でこういうことを発表したのではなくして、そういう質問に応じてやった話し合いのときに、どれくらい金がかかるのだとか、それじゃこの内容についての金額はどれくらいだ、どれくらいの年限の間にやるのだというような話のやりとりの間でこういう話が出て、それを記事にまとめたものじゃないかというふうに私承知しております。
  55. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 時間がありませんので、答弁をひとつ簡単に要領よくお願いしたいと思うのです。  この山田副総裁の発言を見ますと、どうもこの発表は、東海道新幹線あるいは山陽新幹線が開通後、予想もしなかった騒音や振動にたいへん悩まされている被害者に対し、これを何とか救済、補償しなければならぬという考え方なのか、あるいは東海道、山陽新幹線の各地に続発している新幹線公害が、いわゆる新新幹線の建設に大きな障害となっていて、これを片付けなければ新新幹線の建設は不可能だというような、関係住民への宣撫工作というような意味が含まれての新聞発表なのか、明らかでないわけでありまして、私はむしろ後者をとって、東海道や山陽の騒音に悩み振動に苦しむ住民を補償しなければならぬという考え方よりも、このことによって、新新幹線の建設を容易にしようというようなアドバルーンのようなものじゃないかというように思うのですが、目的は二つあったというのか、あるいは目的は後者であったけれども、手段として前者のようなことも当然言ったんだというのか、二つ一つだと思うのですが、お答え願いたい。
  56. 長浜正雄

    ○長浜説明員 新幹線の騒音、振動につきましては、非常に地元の方々に御迷惑をかけておりまして、この件につきましては斉藤先生はじめ各先生から、国会の場をはじめいろいろな場で御質疑なり御注意をいただいておるわけでございまして、国鉄としましても、騒音、振動によりまして、地元の皆さんに非常に御迷惑をかけておるということを痛切に感じておりまして、何とかこれを解決する方法をということで、全社をあげていろいろな面で、技術的の解明に努力をし、それに対する対策をしてきておるわけでございますが、何ぶんにも東海道の新幹線につきましては非常な御迷惑をかけております。その後、われわれがそういうことで勉強をいたしまして、勉強いたしました結果をできるだけ山陽新幹線の場合には応用してまいりまして、その結果として、何がしかの騒音、進動に対する効果があったと承知しております。したがいまして、われわれとしては、いままで検討しましたことを山陽に実行いたしまして、効果があがりましたので、それをできるだけいままでの東海道新幹線にもおくればせながら実行していきたいということがわれわれの本旨でございます。われわれといたしましては、やはり御迷惑をかけておる方々に対して、何とかいま考えられる対策を実行したいというところにあるわけでございます。もちろんそれによりまして、今後できます新幹線の建設のときまでになお新しい技術が関発されましたならば、それも取り入れていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  57. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 山田副総裁はうそを言っているのですよ。「昨年から名古屋、浜松地区の二カ所の鉄橋の橋げたなどをおおって防音試験を続けたところ、騒音が八〇—八五ホンまでさがることがわかった。」と書いてある。私は浜松というところにも住んでおりますし、名古屋の現地もたびたび視察をいたしましたけれども、あの国鉄が多額の金をかけてやった消音装置、しかし百十三ホンなどという最高ホンが八十ないし八十五ホンまで下がっていない。こういううそを新聞に発表するというようなことはけしからぬと思うのですね。山田副総裁がいないから、たいへんどうも場所が違うと思いますけれども、どういう意味でこういうことを言ったのですか、聞いておりますか。
  58. 長浜正雄

    ○長浜説明員 先生おっしゃいますように、鉄げた部分で八十ないし八十五ホンまで下がったということにはなりません。これは、先生御承知のように、森田架道橋をはじめ各橋梁でいろんな対策をしておりますが、まだ現暗点ではなかなかここまでは下がり切らないわけでございます。しかしわれわれとしてはいま検討を進めておりまして、できればこれをこの程度まで下げ得るような努力はやっておるわけでございます。現時点では、下がっておりません。ただこの記事が出まして、こういう発言をしたように出ておりますが、このいきさつは、私も同席しておりませんので、ちょっとわかりませんが、副総裁も当然現実の姿、そこまで下がってないことを承知しておりますので、あるいはこう申し上げたのではなくして、私の推測いたしますのに、山陽新幹線の場合にも橋梁はたくさんございますが、山陽新幹線の場合の橋梁は、御承知のように鉄げたをやめてやりましたので、すべてコンクリートの有道床げたにした、道床を持った橋梁にしたということでございますので、そういう意味で、山陽新幹線の場合は、橋梁につきましても八十ホンないし八十五ホンまで下げることができたという意味を発言したのじゃないか、こういうふうに承知しております。
  59. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 しゃべったほうが悪いのじゃなくて取材した記者のほうが悪いんだというような言い方ですけれども、天下の新聞がこういう最も重要な数字、計数について間違うことはないと思うのであって、山田副総裁、あまり新幹線公害のことを知らぬのじゃないかというように思います。私が非常に怒り、しかられたということを直接伝えてください。  この副総裁の発表によりますと、五年間に二百億円を投入する、さしあたり四十七年度は三十億だ、こういうように書いてありますけれども、この五カ年計画あるいは三百億円の積算の基礎、防音工事の施行場所等々はもうきまっているのかどうなのか、あるいは本年度の三十億だけをきめたのかどうなのか。新聞記事によれば、東京−大阪間で十数カ所、山陽新幹線で数カ所というようになっておりますけれども、一体この五カ年計画ができているのか、そしてその計画のもとに二百億という数字が生まれたのか、あるいは本年度東海道新幹線で十数カ所、山陽で数カ所、締めて金額で三十億というようなものは、実施計画なり何なりはもうできたのかどうなのか。いかがですか。
  60. 長浜正雄

    ○長浜説明員 この二百億という数字を副総裁が申しましたのは、約二百億ということでございますが、山陽新幹線で東海道のとき以来勉強しました騒音対策を——山陽新幹線並みに東海道を引き上げる、あるいは山陽新幹線でも一部足りないところのものをするといったようなことをするならば、概算二百億くらいになろう、こういうところでございます。   〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕 具体的に側々、どの場所、どの場所という積み上げをやってのことではございません。事柄的に、たとえば防音壁をつくる、あるいは変電所の防音装置をつくる、あるいは夜間騒音を防止するための低圧回線を引っぱりましてもいわゆるEGの発生音をなくするといったような工事、あるいはレールを、現存東海道新幹線は五十キロレールを使っておりまして、これを山陽新幹線の場合には、いろいろ検討しまして六十キロレールに直しました。六十キロレールに直すことによりまして、IXといいますか、いわゆるレールの縦方向のたわみ、これの強度を強くするということをはかったわけでございます。若干技術的になりますけれども、IXが大体三五%くらい上がっております。したがいまして、これによる縦方向のたわみがなくなる。結局騒音の発生源の大きな部分が、レールと車輪との摩擦音によります。したがいまして、現在まくら木とまくら木との間があいておりますので、その間でレールがわずかでもたわむわけでございます。目には見えませんが、このわずかなたわみが、車輪のいわゆる波状走行といいますか、そういうことによって発生すると思われますので、レールを太くすることによって騒音の低下に役立っておるというようなこともわかりました。こういうことを大々的に東海道線についてやりたい、ただ、これはなかなか一挙にやるわけにまいりませんので、各種の状況をにらみ合わせまして、五年間では大体二百億程度やれるのじゃないかということで、そういう見当をつけておるわけでございます、具体的にどの場所にということは、これからやるわけでございます。したがいまして、先生質問の今年度の計画をどこをやるかということにつきましても、今年度約三十億程度予算を計上したいということで、具体的な場所は、地元の、騒音に対して悩んでおられる方の多いところ、あるいは騒音の強いところから重点的に施行しなきゃならぬということで、そういう方面の検討を進めて、いま計画をつくりつつあるところでございます。
  61. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 環境庁の特殊騒音部会の調査団は、道路並み六十五ホンというようなものを、基準にして暫定基準なり本基準の作成に入りたい、こういうことをいっているわけであります。八十五ホン以下とはいっておりますけれども、最高はやはり八十五ホンだというような意味にとられてならない、勘ぐって考えれば、環境庁がつくろうとしている暫定基準なり本基準に対する先制攻撃をかけたのだというようにもとれないわけではないと思うのですけれども、八十五という数字は、国鉄の技術水準からしてこれ以下はだめなんだということから八十五というようなことを発表したのか、特殊騒音部会が六十五という道路並みを現地で発表し、大々的に取り上げられましたけれども、それを意識してのことなのか、これも本人でないから申しわけないのですけれども、どうなんですか。
  62. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま環境庁のほうで新幹線騒音に関する基準をおつくりいただくことでいろいろ御検討いただいておる段階でございまして、われわれとしては、この基準ができましたならばそれに沿うように努力をしたい、こういうことでございますが、現時点でわれわれとしてもできるだけ騒音の基準を下げていくように努力をしなければいけない。そこで、現時点でどこまで努力ができるかということで努力をしました結果が山陽新幹線の現在の状況でございます。そういう関係上、山陽新幹線で現在大体八十ホン以下くらいに押えられておるのでございますが、場所の関係あるいは構造物の関係だろうと思いますが、八十ホンをオーバーしまして最高八十四、五ホン程度にまでなっておる場所も測定の結果出ておるようでございます。しかし、いまの段階では平均八十ホン程度には山陽新幹線では押えられております。したがいまして、八十五ホン程度ならいまの技術で押えられるという意味で副総裁は申し上げたのじゃないか、こういうふうに承知しております。われわれとしてはできるだけ押えるような努力を今後とも進めていきたい、こういうように考えている次第でございます。
  63. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 先ほどレールの交換のお話等も出ましたけれども、その交換レールの代金も含めて五年間に二百億というのか、あるいは本年度は三十億というのか。レールなんというのは高いものですから、もう寿命が来ていて東海道新幹線のレールは全面的にかえなければならぬ、そのために膨大な金を使ってレール交換用の施設もつくっている、また新レールもつくっているということだけれども、その購入費も含めて五カ年間に二百億というのか。あるいは消音、防音工事のためにのみ五年間に二百億使う、本年度は三十億使うというのか。レールの購入代も入っているとなりますと、これは何もやらないでレールをかえて防音工事をやりましたということになるのですか。それはどうなんですか。
  64. 長浜正雄

    ○長浜説明員 さいぜん申し上げますように、レールの交換によりまして、レールを太くすることによって騒音低下、消音効果がありますので、われわれとしてはレール交換も騒音対策の一環として——全部がそうではございません。もちろん新幹線の安全対策という面からもこのほうが好ましいことではありますけれども、騒音を消す効果に応ずるものでございますから、これも先生指摘のように二百億の中に入っております。ただ、それ以外のわれわれがいままで申し上げておりました、側壁を高くするとか増設するとかその他のことももちろん入っております。いま私が最初に申し上げましたように、二百億程度で、レール代も含めましてでございますが、この工事を施行いたしますと、現在いろいろ御注文いただいております百数カ所の地点は大体消音効果が行なわれる。ただ、問題は橋梁部分でございます。これにつきましては別の検討をしなければいかぬということで、いま鋭意進めておる次第でございます。
  65. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私が心配していた答弁が残念ながらあったわけでありまして、レールの交換費を含めて、百億というのでは、本質的な積極的な前向きの消音なり防音の工事というものは微々たるものになりはしないか。東京−大阪間のレールの延長をレールの価格でかけてみればすぐレール代は出るわけでありまして、東京−大阪間、いまのレールを新しいものにかえるのに金は幾らかかるのですか。
  66. 長浜正雄

    ○長浜説明員 この五カ年間の二百億の中には、東京−大阪間を全部かえるレール代は入っておりません。東京−大阪間を全部交換いたしますと約二百億ちょっとかかる予定でございます。ただ取りかえるだけだともう少し安いのでありますが、約二割程度のものは五十キロから六十キロかえるというための総額になろうかと思います。ただ、私さいぜん説明を落としましたけれども、これによりましてパットとかそういうものの改良も同時に進めていきたい、そういうものも入っております。
  67. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 やはり山田副総裁の発表はインチキです。被害者の立場に立ってとうてい了承できるものではありません。特にレールをかえるとかパットをかえるとかあるいは防音壁をつくるとか、それは新幹線の線路内のことであって、いわば騒音がなくても振動がなくても、もうレールの寿命が来て国鉄がやらなければならない仕事を、騒音対策という看板にかえてやるのだというようにしか思えない部面がある。したがって、積極的な騒音対策公害対策にはなっていないと私は言わざるを得ない。そういう意味からいたしますと、たとえば家屋の損傷とかあるいは電話の聞き取り困難、あるいはテレビの難視聴等々いろいろあるわけでありますけれども、そういうものはこの二百億の中にどれだけ見込まれるのですか。レールを交換すればそれで全く終わりだ、数カ所防音壁を新設したり高くしたりすればそれで終わりだというようにしかとれないわけでありますけれども、線路内の防音、消音施策でなくて、線路外の被害者住民の実損に対する対策といったようなものがこの中に一体どれだけ含まれているのか。
  68. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま申し上げました二百億を五カ年計画で山陽新幹線並みにということでございますが、実はレール交換は五カ年間では実際上ちょっとできませんので、あとに期間が残ることになります。したがいまして、レール交換に二百数十億かかりますけれども、この二百億の中にはもちろん入り切らないわけでございます。それができた後もなおかつレール交換は続けていかなければならない。この工事費約百億ぐらいは引き続き継続すると思います。そうなりますと、この二百億のうちレール交換以外のものに数十億の工事費をかけなければならぬ。これは防音壁あるいは夜間の低圧回線あるいは変電所の消音装置あるいは橋げたの防音工事等に必要であります。そういうことに対する工事をやろうと思っております。もちろん、レールの交換もさいぜん申し上げますように、相当音の低下のためには役立ちますので、これもそういう意味からは騒音防止対策の一環としてわれわれは積極的にやりたい、こういうことで副総裁もそういうところで話が出たというふうに承知をしております。  先生の御質問の、それ以外のテレビ障害だとかあるいは振動によります家の破損に対する補償、こういうものにつきましては、その発生しました個々具体的な事象をつかまえてこれをやらなければなりませんので、これを積極的にいま進めております。したがいまして、こういうケースにつきましては、できるだけ積極的に早く解決を進めたい。この前も先生からの御質問をいただきまして御答弁申し上げましたが、各新幹線の保線所にそれぞれ振動対策の補償班といいますか、そういうものをつくりまして積極的に現地の住民の方と接触をいま進めております。最近名古屋の管内でも、一カ月間に十数件、振動による補償を解決したというように、積極的にいま進めております、これの金額につきましては、その発生しましたものは、この中に含まれる含まれないにかかわらずやるつもりでございます。
  69. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 概略的にはわかったわけでありますけれども、たとえば振動による家屋の実損補償あるいは防音電話の取りつけあるいは難視聴テレビ対策のための共同アンテナの建設等々、具体的な施策が行なわれようとしておりますが、これらの補償にあたって一番むずかしいのは、どこで線を引くかということだろうと思います。隣の家までは補償されたけれども、うちからは補償にならぬ、対象にならぬ。これは被害者の側に立てば、なるべく多く含めてほしいという、国鉄の立場から立てば、なるべく少なくしようとする、これは人情だと思う。そこらの調整あんばいは、地方自治体がどういうようにこのお手伝いをするのか、そしてまた、被害者住民の団体としての意見あるいは個人としての意見は、どこでどのように調整するのか。一つのパターンがなければ、あそこの地域ではこうなった、この地域ではこうだった、千差万別では、いやしくも国鉄のやる仕事としてはおかしいと思う。その一定のパターンというのはどのようにお考えですか。
  70. 長浜正雄

    ○長浜説明員 確かに先生指摘のように、一定のパターンをつくって第三者的にも納得のできるような方法でなければいけないと私も承知しております。したがいまして、テレビ障害等につきましては、技術的にもわれわれのほうではプアーでございますので、NHKとお話しをしまして、NHKの御指導共同でこの対策をする、こういうことにしておりまして、現在までに東海道なり山陽を含めまして四億の対策費を投入しております。振動等によります実害の補償につきましては、われわれとしては、まだ基準は環境庁等から出ておりませんけれども、これらにつきましては、われわれと地元の方との話し合いで話がつけばそれでけっこうでございますけれども、話のつかないものにつきましては、できるだけ地方公共団体にお願いをしたい。地方公共団体に中に入っていただいて、それで地元との話し合いを円満に解決したい、こういうふうに考えておるわけでございます。地方公共団体にできるだけそうしてほしい、これは建設をいたしますときは地方公共団体にできるだけ入ってもらっておりますので、それを延長していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  71. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 家屋の損傷の実損補償あるいは防音電話、テレビの共同アンテナの建設等々は、国鉄が全額持つことはあたりまえでありますけれども、東海道新幹線でいうならば、実に七年有余この振動と騒音のために悩み苦しんだ苦しみ賃というのは一体だれが出すのですか。交通事故を起こしたって痛い賃というのは慰謝料という形で出して、そうして治療費を全額なり生活費の応分なりは補償の中に入っているのがあたりまえであります。さんざんいままで苦しめておいて、悩ましておいて、それはがまんせよというのでありましょうか。当然いままでの苦しみ賃というようなものも金銭の補償という形で見るべきだ。せっかく国鉄が本格的な新幹線公害対策に乗り出した以上、これもまたむずかしい問題ではありましょうけれども、金銭補償以外に被害者を救い被害者に報いる方法はない、いかがお考えですか。
  72. 長浜正雄

    ○長浜説明員 新幹線建設以来開業いたしましてから、いままで騒音、振動によりまして沿線の方には非常に御迷惑をかけておることは御指摘のとおり、私も何回も申し上げておるとおりでございます。この点につきましては、われわれとしても何とか早くそういう点を少しでも解決したいということで努力をしておりましたけれども、いままでの努力が足りないで非常に御迷惑をかけておるわけでございます。われわれとしては今後できるだけ早く処置を進めたい。それでいま申し上げました振動等によります実害についても、できるだけ早く解決して御納得をいただくように処置していきたいということで進めておるわけでございます。ただ、いままでのそういう、先生が御指摘のような迷惑賃といいますか、そういうものにつきましては、ちょっとわれわれのほうではいまのところどうにもなりませんので、それよりも、われわれとしては誠意を示しまして根本的な解決に一歩でも近づくようにできるだけの努力をしたいということで皆さんの御了解を得たい、こういうふうに考えておる次第であります。
  73. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 それが国鉄根性、国鉄魂というのなら、私もそのように理解をいたしますが、常務理事、こういう「新幹線公害」というりっぱな書物がありますけれども、ごらんになりましたか。
  74. 長浜正雄

    ○長浜説明員 拝見しておりません。
  75. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 後ほど差し上げますから——いかに被害地の住民が悩んでいるか、そして病気を重くしたか、そして勉強ができなくなったか、そして子供を生むことすらやめたか、如実に実例が出ております。私は、いやしくも七年もの間、騒音、振動で国鉄が住民を苦しめたのですから、何らかの形でこれは検討いただかなければ、うしろへ下がるわけにはいかぬ。国鉄として当然のことですよ。どんな補償だって、公害病といわれるいろいろな補償が問題になっておりますけれども、いままで苦しめ悩ましてきた犯人は国鉄なんですから、当然そういうものに対しましても補償をすべきだというふうに考えておりますから、いまの答弁では不満であります。しかし担当常務だけでお答えできないというならば、国鉄首脳部で十分御検討いただいて、また私は追跡質問をいたしますから、そのときには前向きの御回答をいただきたいと思うわけであります。  環境庁、お見えでございますか。——たびたびお尋ねをして、大臣も局長も、昭和四十七年度中に新幹線についても基準をつくる、こういう答弁をいただいて、当然のことでありますけれども、力強く感じているところであります。一体四十七年度中につくる騒音基準は暫定なのか本基準なのか、そして暫定ならば、どういう拘束力があるのかないのか、本基準が出れば、どういう拘束力があるのかないのか、拘束力をつけるにはどういう法律なり手続きが必要なのか、この際、国民にわかるようにお教え願いたい。
  76. 松井三郎

    ○松井説明員 お答えを申し上げます。  現在、中公審におきましては、新幹線騒音等の特殊騒音の環境基準、本基準につきましても審議をしておるわけでございます。しかし本基準作成につきましてはいろいろ検討すべき点もございますので、この結論を得るにはなお相当の期間を要するものと考えられます。しかしながら、現在東海道新幹線沿線の一部におきましては非常に著しい騒音の被害が発生しておりますので、これらの地域について早急に何らかの対策を講ずるのがまず当面の急務ではないか、このようなことから現在中公審におきましては、とりあえずこれに対する基準の設定を急いでおるような現状でございます。したがいまして、本年度中に出る基準というのは現状改善のための当面の基準、こういうものになるかと思いまして、こういう意味ではどのような基準をどのようなもので設定するかということは今後の問題としまして、暫定的な基準ということになると思います。   〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕 この暫定の基準になります場合、これはもちろん環境庁が環境上の指針をきめるということでございますので、これに対して拘束力を持つものではございませんが、昨年の航空機の騒音にとられたような措置もございまして、環境関係の省庁と十分協議いたしましてこの実現がはかられるものと思っております。なお本基準は政府として決定いたすわけでございますので、その達成につきましては、関係の当事者等につきましても当然達成すべく努力する義務があろうかと思っております。ただ、現在騒音規制法等におきましては、航空機、新幹線等につきましては法的な規制はなされておりませんので、そういう意味の法的な規制は現在のところとられておらない、このような現状でございます。
  77. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 航空機騒音に対して運輸省航空局がとっている態度、これは一つの手本であり規範かと思いますけれども、暫定基準ができた際、国鉄当局は航空機騒音に対して運輸省航空局がとっているような態度をおとりになりますか。
  78. 長浜正雄

    ○長浜説明員 環境庁がどういう暫定基準をお出しになるのかまだわれわれとしては承知いたしませんけれども、われわれとしては騒音等に対しましてできるだけの努力をしなければいかぬというつもりでおります。したがいまして、暫定基準が出ました暁には、できるだけそれに従っていくようにわれわれとしても努力をしたい、こういうように考えておりますが、まだこれにつきまして暫定基準が出ておりませんので、確たるお返事はできませんけれども、われわれのかまえといたしましては、できるだけそれに従うように努力していきたい、こういうように考えております。
  79. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 その辺になってくるとだいぶまたあやしくなっていきますけれども、環境庁が年度内に間違いなく暫定基準をつくるとたびたび答弁をされておることを私は了承すると同時に、道義的な意味からいきましても当然運輸省あるいは国鉄としてはこの基準に対し、暫定であっても中実でなければならぬというように考えておりますので、これまた窓口もできたことでございますから、国鉄当局は鋭意前向きの姿勢で取り組むことを強く要請するものであります。  最後に、この防音、消音工事等を、残念ながら夜間しかできないという新幹線の特殊性がある。この夜間工事がまた副次的な騒音その他の発生かいたしておることは御承知のとおりであります。その際関係住民を説得し理解をいただくために、いままで国鉄は工事請負者を前面に立てて関係住民と接触をさせておった。これは工事の発注者である国鉄が全面の責任があることは間違いないのです。関係住民への説得まで請負工事者は請け負ったわけではないと思う。必ず国鉄当局が前面にあって第一線で関係住民と接触すべきだ。この工事中の騒音その他のことについて、関係住民は非常に神経敏感であります。こういうものを騒音対策という仕事の本質上どのようにお考えですか。  それから共同アンテナを立てていただくのはけっこうだけれども共同アンテナ一本立てればあとは銭が一銭もかからぬというわけじゃない。その維持費なんかは一体被害者住民で持てというのですか。その辺こまかいことでありますけれども、いかがでございましょう。
  80. 長浜正雄

    ○長浜説明員 前段の騒音防止の工事は御承知のように昼間はあれだけの高速で走っておりますので、安全対策しどうしても夜間でないとできませんので、その点はその他の保守工事と同様でございます。したがいまして、工事に際してはとかくトラブルもあろうかと思いますが、そういう点もできるだけ住民のじゃまにならないようなくふうをしなければならぬことは当然でございます。これは新幹線建設の工事のときも同様によく注意をさせておるわけでございます。  そこで住民との接触でございますが、これは当然企業者であります国鉄が企業者としての立場から住民の方々との接触、そして納得をいただくような処置もしなければなりません。それを受けました業者業者としての範囲内において責任がございますので、これまた地元の方との接触もしなければならぬということでございまして、これは全部を業者にまかせてしまうということでは、もちろん先生のおっしゃるように問題があろうと思います。当然企業者として、嘱前に地元の方々の地方公共団体等を通じ、あるいは部落を通じてそういうことの処置をしなければならぬことはもう当然でございます。今後とも十分注意をさせていきたいと思います。  それから第二段の件につきましては、いま現地でどういう処置をしておりますか、ちょっと私もいま具体的なことは承知してこなかったわけでございますが、現在アンテナの保守につきましては、NHKが技術保守基準をつくっております。そういうものに従って、われわれのほうとしても、今後の問題としてそれを検討していきたい、こういうふうに考えております。よろしくお願いしたいと思います。
  81. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 国鉄は愛知県に対し、そしてまた静岡県浜松市に対し、実損補償等の文書回答をされたように聞いておりますけれども、百ホンをこす浜松地区、名古屋地区等を優先的に今度の公害対策でやられると思う。その際、百ホン以上だから優先的にやりました、九十五ホンですからその次です、八十ホンですからその次ですというような態度は、私はまかりならぬと思う。やはり人体に影響をし、家屋、工作物に影響をするというようなものは、予算がきまり方針がきまれば一斉にやるべきだ、そして国鉄は真剣に取り組んでいるという姿を、被害者にも国民全体にも示すべきだというように思うわけでありますけれども、東海道新幹線の十数カ所、山陽新幹線の数カ所、場所はあえて聞きませんけれども、そのような心がまえでおるかどうか、最後に伺いたい。
  82. 長浜正雄

    ○長浜説明員 全く先生指摘のとおりでございまして、普通の工事のやり方、あるいは処置のしかたよりもやはりかまえとしまして先生のおっしゃるような趣旨でわれわれもやらなければならぬ、こう承知しております。いま施工個所を督励いたしまして、できるだけ早急にやらせるように処置を進めていきたい、こう考えておる次第でございます。
  83. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 了解。  運輸省海運関係の皆さんに伺いますが、プレジャーボート行政について聞きたいわけでありますけれども、私の調査では、今日プレジャーボートというのは、十六フィート以下が昭和四十五年度で四万九千三百隻、十六フィート以上が八千七百隻、締めて五万八千隻のプレジャーボートがあるというように聞いております。これが昭和五十年には二十九万隻になり、昭和六十年には百二十三万隻になるであろう、こういうことを聞いているわけでありますけれども、こういうプレジャーボートの増加ぶりを運輸省としてはどのように把握をされておりますか。私が言ったような数字であり、伸びであるというようにお考えでございましょうか、いかがですか。
  84. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 先生のおっしゃるとおりだと把握いたしております。  最近、レジャーの大型化、海洋指向、そういうものとあわせましてレジャーボートの建造技術の発展もこれに寄与いたしまして、最近のレジャーボートの伸展は非常に著しいものがございます。  先生の仰せのとおり、四十五年度におきましてはおおむね五万隻くらい、四十六年度におきましては約十万隻、五十年度におきましては約三十万隻、大体こういう伸びでいくものというふうに考えております。
  85. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私の申し上げた数字を肯定されております。メーカーの生産隻数からいきましても、四十六年一万九千隻、四十七年には三万六百隻、五十年度には六万五千六百隻、六十年度においては十万隻が建造されるであろう、こういうようにいわれていることを見ますと、たいへんな勢いでこのプレジャーボートというのはふえていくというように考えなければならぬと思うのですが、これらに対応する運輸省の、たとえば免許行政あるいは港湾行政あるいは指導監督行政といったようなものが、はたしてこれに対応しているかどうか。船といえばタンカーだ外航船だ計画造船だというようなことでたびたび話題にもなり、委員会の論議にもなりましたけれども、これらプレジャーボートについて本格的に運輸省のすべての体制が整備されているかどうかという点について私は疑問に思う。これは各局長、私どものほうはやっております、私どものほうはやっておりますと言うにきまっておるのだから、次官ひとつ総括的に、運輸省のレクリエーションボートに対する対策が万全であるかどうか、局長から教えられた答弁でなくて、ベテラン次官の見解を伺いたい。
  86. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 それぞれの分野でやってはおりますが、御指摘のとおり満足のいくものではないと思います。先般、斉藤委員からお話ございましたので、国会の審議の状況等も勘案いたしまして、できるならば先進国のそういう方法論、先進国の運営その他対策、そういうものを調査さすべきじゃなかろうかということで、現在調査している最中でございます。
  87. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 昨年から小型船舶操縦士免許の関係が固定をいたしまして、解釈もいろいろありましたけれども、私の過去における本委員会でのお尋ね、それに対する当局のお答えとはだいぶ違った実態になりました。しかし小型舟艇といえども、いやしくもこれを操縦する者が免許を持つということについて私も同感であります。しかも、先ほどから申し上げましたように、驚くべき数字でこれらがふえていくという現状を把握したときに当然だと思うわけでありますが、この小型船舶操縦士の免許にあたって、第一種の取り方、第二種の取り方というのがありますけれども、いまだにこの一種、二種の解釈が国民にはわかっていない、ひとつ担当者から、一種とはどういうものであって、どういうようにして取れるのか、二種はどういうものであってどうすれば取れるのか、国民にわかるように説明してください。
  88. 佐原亨

    ○佐原政府委員 先生指摘のとおり、遊漁船を含めまして小型船舶操縦士の免許の取り方に、成規の試験を受けてとる取り方と、それから一昨年の職員法改正によりまして、指定養成施設で講習を受けて免状を与える方法と二種類ございます、大きく分けますと。その後者のほうがさらに二つに分かれまして、第一種養成施設と第二種養成施設、こういうことになるわけであります。第一種養成施設と申しますのは、乗船履歴のない者がその講習を受けまして、実技の講習も合わせて受けるのを申します。第二種養成施設と申しますのは、規定の乗船履歴を持った者で、座学だけで講習を終了するものでございます。実態に合わせまして申しますと、大体遊漁船関係は実歴と申しますか、経験年数のある人がほとんどでございます。主として第二種のほうにまいる。プレジャーボート関係は実技も合わせて行なう第一種のほうにまいる。非常に平板的に申しますとこういうことになっております。
  89. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 乗船履歴のない第一種は、最近どのような講習日数あるいは実技講習等々で免許を与えておりましょうか。
  90. 佐原亨

    ○佐原政府委員 原則といたしまして、座学でもって四十時間、実技でもって、これは最近でございますけれども、やや短縮いたしました結果十二時間、合わせまして五十二時間、日数に換算いたしますと十二、三日、こういうことでございます。ただ、あとで申しますが、本年に限ってちょっと簡単な講習を考えておりますので、それは後ほどまた申します。
  91. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 座学の四十時間、実地が十二時間、必ずしも簡単な講習や実技ではございません。かりに四十時間というようなことを考えますと、三時間ずつやっても十三日かかる。四時間やっても十日かかる。一日八時間やれば五日で済むということだし、一日十時間やれば四日で済むということですけれども、そういう時間の制限と同時に受講日数の制限もやっておられるというように思いますが、一体四十時間を何日でとるのですか。
  92. 佐原亨

    ○佐原政府委員 原則といたしまして座学のほうは一日五時間、したがいまして八日でございます。それから実技のほうは一日三時間でございますから四日間、合わせて十二日でございます。
  93. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 需要者の急増、それからレジャーボートの急増あるいはレクリエーションの大型化等々に対応して、運輸省は特別措置を本年ははかっていただいておるということを聞いているわけでございますが、時宜に適したことだと思います。その臨時特別措置というのはどのような内容でございましょうか。
  94. 佐原亨

    ○佐原政府委員 先ほど先生指摘のとおり、モーターボートの普及度が非常に急カーブで伸びておりますので、ただいま申しました成規の第一種養成施設だけではとても消化し切れないような現状でございまして、したがいましてこれをうんとレベルダウンすることも一つ方法でございますけれども、これまた先生十分御承知のように、小型船舶操縦士と申しますのはモーターボートのみならず二十トン未満の漁船の免状にもなっておりますので、全体のレベルダウンをすることは漁船の関係で問題がございます。したがいまして、モーターボートだけの特別な免状を創設すればこの問題は解決するわけでございますが、遺憾ながら現行法のままではそれができない。したがいまして、立法措置は将来にゆだねるといたしまして、断面先はと申されました——われわれのほうはメーターで表示しておりますけれども、四・五メーターの限界で、それ以上のモーターボート、それ以上のモーターボート、四・五メーター以上と申しますと大体内水あるいは海岸沿いに走る程度のモーターボート、四・五メーターをこしますとかなり外洋にまで行ける、これは施設面から申しましてそういうふうに分けて考えておりますけれども、その四・五メーターをこすほうはただいま申しました四十時間と十二時間の講習をやはり受けていただく必要があろう。小型のほうのモーターボート、いわゆるレジャーボートのほうは、まあそれほどの必要性はないようにも思われますので、シーズンに限りまして座学で五時間、実技で四時間、合わせまして二日程度で受けられる講習を、同じ施設ではございますけれども開きまして、そこの受講証明書を持っておれば取り締まりの面で猶予をする、こういうような臨時措置を考えております。  モーターボートの伸びと現行法制との間に非常にギャップがありまして、いろいろ試行錯誤をやっておる段階ではございますが、近々立法措置とあわせまして、安定した姿に持ってまいりたいと考えております。
  95. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 お答えにもありましたように、船舶職員法という五十万トンタンカーと同じような法律のもとに免許がいまのところ行なわれているわけでございますから、これは私は決定的な矛盾であり、実情にそぐわないように思うわけでございまして、ぜひともこういうレジャーボート、小型船舶の、特にいまお話のありました四・五メートル以下の舟艇につきましては特別な措置をすべきだというように思って——まあ暫定的にいま説明されましたようなことが行なわれているわけでありますから、ぜひ近いうちに根本的な検討をいただきたいというように思うわけであります。  次に、乗客というものの定義がまことにいまだに不徹底であります。それは、昨年の八月十三日付の京都新聞によりますと、「船舶職員法の一部改正で今夏から五トン未満の船でも五人以上客を乗せる場合、小型船舶操縦士の免許が必要となっているのに」と、これでは「五人以上乗客を乗せる場合」、こういう表現がされておるのであります。これは京都新聞です。それから同じく昨年八月十三日の読売新聞では、「五人以上の旅客を乗せる場合は小型船舶操縦士の免状を持ったものが最低一人乗船していないと運航できないことになっている」云々。これもさっきの京都新聞とほぼ同じですが、同じく昨年八月十三日の朝日新聞では、「船舶職員法により五十ン未満の小型船でも二人以上乗る場合は操縦資格者がかならず乗らねばならぬことになっている」と、二人以上ということばが使ってある。それから同じく昨年の八月十二日の富山新聞では、「年々、多様化、大型化していくレジャーも昨今は三十−六十万円はするというモーターボートに人気が集まり」云々と書いてありまして、続いて「七月一日からモーターボートにも船舶職員法が適用され、免許制になった。ところが二人以上乗るときは「客を乗せた」とみなして免許を必要としている」こういうふうに書いていて、朝日新聞の記事とほぼ同じであります。  なお、こういう例があるのです。運転と接岸の船務従事に二人は必要、それ以上は旅客だ、だから二人までは旅客ではない、三人目から旅客だ、しかもこれは中国海運局呉支局の見解であります。ある人は五人と言い、ある人は二人と言い、ある人は三人と言い、どうもこの辺が不徹底なんですがね。この際ぴちっと、無免許でも乗れるのは一人だけだ、どんな人であれ、もう一人乗せれば、それは免許を持っている人がなければだめだということなのか。二人まではいいが、三人以上乗せる場合はそのうちの一人は免許を持っていなければだめなのか。もうぴちっとしているはずですから、明確にお答えください。
  96. 佐原亨

    ○佐原政府委員 ただいまの新聞記事の日付、八月十二日あるいは十三日というその時期から判断いたしますと、昨年の八月二十七日付で局長通達を出して解釈を変えておりますが、その解釈通達の出るちょっと前の時点の話のように見受けられるわけでございます。  旅客の定義につきましては、沿革的に申しますと、過去数回の通達が出されまして、モーターボートの普及度、問題意識の向上につれまして段階的に変遷を見てまいっております。時期的に申しますと、後になるほど強化と申しますか、旅客の幅を広げていく傾向が見受けられておるわけでございます、先ほど申しました昨年の八月の通達以前は、船務に従事する者以外は旅客である、こういう解釈で一貫しておったはずでございます。したがいまして、その船務のとり方がいろいろございまして、いまのような二名とかあるいは五名とか、これは地方の担当者それぞれの解釈がまちまちであったということが多々ございます。それから、昨年のシーズンには海上保安庁がこのレジャーボート関係一斉取り締まりを初めて行ないました。まあ、取り締まりの面からもいろいろむずかしい問題があった。たとえばそれまで、私もここでお答えしたことがございますけれども、二人以上乗せておって交互に運転する場合はそれは旅客ではない、こういう解釈でまいったわけであります。ところが昨シーズンの取り締まりの経験から申しまして、四、五名の若者が乗って非常に無謀運転をやる、しかしおれたちは交代にやっているんだ、そう言われますと、それ以上の追及はできません。取り締まり面のほうからも、何とか客観的に把握できるようにしてもらいたい、こういう要請がございまして、シーズンの盛りを過ぎた時期ではございましたけれども、八月末に至って、新しい解釈通達を出したわけでございます。  この考え方でいきますと、ただいま先生申されましたように、厳密にいうと一名の場合、二名の場合が実は残っておりますけれども、通常のモーターボートの場合、要するに操縦と機関の運転が同一人でできるようなボートの場合には一名、こういうふうにはっきり解釈を定めまして、こういうことで、その後メーカー、ディーラーあるいは展示会の機会を通じまして広く周知徹底をはかっておりますので、今シーズンはさほど混乱はないのではないか、このように考えております。
  97. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そうすると、明らかになって、操縦とエンジンの調子が一人でできる場合、これは一名しか乗れない、その場合は無免許でもよろしいし他の場合は免許が必要だ、すなわち、運転する人が一人乗っていて、家族であろうが友人であろうがクラブの所属員であろうがほかの者が乗っている場合には操縦者は免許が要るのだ、こういうようにぴしゃっと解釈してよろしいですか。
  98. 佐原亨

    ○佐原政府委員 そのとおりでございます。ただ、一人の場合は要らないということ、これは旅客運送という表現を使っております以上やむを得ませんけれども、将来は自動車のオーナードライバーと同様に、一人であっても免許を持たせるような方向でいまいろいろ検討を始めておる段階でございます。
  99. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 事ほどさように、ネコの目が変わるごとく本委員会における答弁も変わってきたし、いろいろありましたけれども、今日明らかになった。  そのためには、免許をとりたい人に免許をとらせるような施策がなければならぬ。免許をとりたくても、講習会場もない、試験場もない、あるいは指導員もいないというようなことでは困ると思うのです。その後の施策で、一昨年よりも昨年、昨年よりもことし、例の船舶職員養成協会等々の、講師になり得る職員というのはどの程度にふえておりますか。
  100. 佐原亨

    ○佐原政府委員 講師には、いわゆる学科のほうを教える講師と実技のほうを教える講師の二種類ございます。学科のほうを教える講師は、遊漁船関係でかなり前からいろいろ施策を講じておりますので、昨年と比較いたしましてもあまり伸びはございません。四十六年の五月に全国で百九名の講師がございましたが、最近の時点ではこれが百十四名に伸びております。実技のほうは、主として、昨シーズンの終わる四十六年の九月ごろから、第一種のほうの充実に力を入れてまいりましたので、四十六年の九月には二十名であったのが、今時点では五百三十名に伸びております。
  101. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 最後に、時間が参りましてたいへん恐縮ですが、昭和六十年にはたいへんな、百二十三万隻にもなろうというようなレジャーボートができるわけですが、それに対応するマリーナ、港湾が全くできていない。——全くと言ってもいいほど欧米先進国に比べて貧弱である。そこで、このレジャー港湾というようなものに本格的に取り組むべきであるというように思うのですが、港湾局はどういう態度をとろうとされておりましょうか。
  102. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先生指摘のように、どうも施設というのはあと追い型になりましてなかなか先取りできないものでございますけれども、概略考えますと二種類ございまして、一つは既存の港の中で普通の一般船が使っているところにどんどん割り込んで使う、これを何とか整理しなければいかぬという問題が一つ。それからもう一つは、先生指摘のように、いわゆるレクリエーション港湾というものを新しく整備しなければいかぬというふうな、二つの問題がございます。  前者につきましては、港湾計画の中で既存の港湾の整備のときにつけ加えていくというふうに考えておりますし、後者につきましては、現在行なっております五カ年計画の中にも一応十二港湾程度考えておりますけれども、これは今後の増加の程度、状況を見まして、御承知の調整項目というものがございますので、各県あるいは市という公共団体が構成します港湾管理者を通じまして、その事業実施その他によりましてそういう混乱が起こらないようにということで、第一の点、第二の点両方あわせましていろいろな問題を起こさないようにというふうに考えております。
  103. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 最後に御要望申し上げながら終わりたいと思いますが、マイカーの増加で道路事情は御承知のとおりであります。湖沼、河川あるいは海洋、前車の轍を踏むべきではない。いまから計画的に対処しなければたいへんなことになっていくというように思います。  最後に次官から伺いたいわけでありますけれども、事ほどさように舟艇工業の現状、あるいはレジャーの質的な向上、内容の変化等々、放任できない問題に対する総合施策が運輸省になければならぬと思うのは私だけではないと思います。そういろ意味で、ぜひ来国会あたりには総合した抜本的な法の整備ができるよう鋭意御検討をいただきたいと思うと同時に、このことはやはり先進諸国に学ばなければならない問題が多い。井の中のカワズで、ああだこうだと役人が言っておったってできるものじゃない。百聞は一見にしかず、私は運輸省が全力をあげてこれと取り組む前提として、当然先進諸国を調査すべきだというようにも思うのですが、次官の見解を伺って終わります。
  104. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 私も全く同感でございます。したがって、最初にお答え申し上げたように、そういう先進諸国の長所を取り入れて日本の将来のレジャー産業のあり方というものを根本から検討し、時代の要請にこたえるような対策を早急に立てたい、かように考えております。
  105. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 終わります。
  106. 小峯柳多

    小峯委員長 宮井泰良君。
  107. 宮井泰良

    ○宮井委員 私は本日は、先般のテルアビブ空港におきます事件に関連いたしまして、運輸省、警察両当局より空港の警備体制についてお伺いをしたいと思います。  いままでハイジャック対策として、航空機内での個人携行品または身につけている物の中から凶器を発見するということに専念し、種々対策をとっておられることは私も承知しておるのであります。このたびの狂気のさたの事件では、犯人はこうした対策の裏をかいて、あらかじめチェックインのときに預ける旅行かばんの中に武器を入れておき、目的地に着いて税関でかばんを受け取りそこで武器を取り出し凶行に及んだと聞いております。こうした手荷物の検査というものは現在までどうなっていたのか、前半の空港警備体制とあわせて御説明願いたいと思います。
  108. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま御質問のいわゆる空港の警備体制でございますけれども、四十五年の三月に例の「よど号」事件がございました。その発生を契機といたしまして、いわゆるハイジャック対策といたしまして空港の警備というものをやっておるわけでございます。今回の新しいテルアビブの事件、それと比べますと、その警戒の方法について若干違った形に今回はなっておるかと思います。  従来の方法を一応申し上げますと、まずお客さまの手荷物、これについて疑わしい場合には、航空会社のほうであけてくださいと言ってあけることを求める。それを拒否した場合には搭乗をお断わりするというようなことを運送約款ではっきり定めてあるわけてございますので、それを励行するということが一つでございます。  それから定期便の発着いたします四十五カ所の空港がございますが、この四十五カ所の空港に金属探知器をつけまして、乗り込むお客さまに対して金属探知をするということ、それから特に東京、大阪におきましては、そういった金属探知器とともに、工業用テレビをつけまして、そのテレビの画像をうしろのほうで専門家が見ておりまして、挙措動作等に注意しながら、挙動の不審な者はそこでもってしかるべき措置をとる、凶器を調べるとか、そういうふうなことをやっております。  それから、さらに、その警備をしやすくするために、東京国際空港におきましては旅客と送迎人を分離するさくを設けて警備をしやすくしておるわけでございます。  このようなことをやっておりますけれども、そういったようなことを迅速かつ適確にいたしますために、それぞれの空港におきまして、空港当局のほかに警察あるいは税関あるいは出入国管理、あるいは航空会社、こういった各方面の人々が集まりまして空港保安委員会というものを設けまして、そこでもってその土地、土地におきます適切な警備体制をしくというようなことをやっておったわけでございます。  これが従来までの警備体制でございましたけれども、今般のテルアビブの事件がございまして、これはちょっといままでの方法では防げないという性格のものでございます。と申しますのは、航空機の腹に積み込んだ荷物、それを取り出してその中から銃を取り出したということでございます。それを防ぐために、チェックインをいたしますときには航空機の腹に積み込むものも一緒にチェックいたします。その際によく注意をして、変なものが持ち込まれないようにする、こういうことをやらなければいかぬわけでございます。したがいまして、今回の事故の後、特に航空会社のほうにも要請いたしまして、そういったチェックインの際に手荷物を厳重に見るようにというふうな指示をいたし、また、ともに警察のほうにも御依頼いたしまして、受け取りの荷物についても特に警察のほうで監視を厳重にするというような方法をとっていただいておるというのが現状でございます。
  109. 宮井泰良

    ○宮井委員 いろいろ御説明がありましたが、要するに、ハイジャック対策としては非常に強化しまして、凶器探知器その他、せんだってのハイジャックにかんがみてそれはなされていると思うのですが、いまもあったように、その裏をかいた事件がまた出てくるという可能性は今後あるわけでありまして、その点をさらに厳重にしなくてはならない。もちろん手荷物のチェックあるいは厳重な警備体制というものは必要なんでありますが、あまりこれがまた行き過ぎましても、単なるはね上がりのそういった学生というものはほんとうにごく一部のものでありますから、旅行者に対しまして不愉快な思いをさせるというようなことがあると思うのですが、その点は配慮されておるのでしょうか。
  110. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 確かに先生指摘のような問題もございまして、その取り締まりと申しますか、警備というものが過度と申しますか、あるいはピントはずれにやった場合にはこれはいかぬかもしれませんけれども、しかし、やはり基本的にはどうしたらお客さま方が安全に行けるかということが基本でございますから、そのためには若干お客さま方が不愉快に思われてもこれはやむを得ない。やはり基本的なことは安全を確保するということが第一でございますから、なるべくお客さまの感情を傷つけないようにいたしますが、それにとらわれて警備が不十分になるということがないようにつとめたい、こういうふうに考えております。
  111. 宮井泰良

    ○宮井委員 この事件のあとで丹羽運輸大臣は、空港の警備体制の強化あるいはエアターミナルの警備等一連の指示をしたということを新聞紙上などでも伺っておるわけですが、具体的にどのように処置をとっておられるか、その点をお伺いいたします。同じく、警察庁には、その立場からどのような手を打たれておるか、両当局から見解を伺いたいと思います。
  112. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私どもの指示ましたのは、先ほど申し上げましたように、空港保安委員会において、具体的な事情に沿って警備体制をしっかりしろということを申しましたが、それとともに、航空会社のほうでは中近東向けの飛行機に対しましては、特に日航におきましては、長距離の国際線につきましては手荷物を全部開いていただきまして、それによってチェックをするという方法をとっております。それから日航以外の航空会社につきましては、中近東のテルアビブへ寄港するものにつきましてはこれは厳重なチェックをしておりますが、そのほかのものについては、会社によりましては会社の指示がないからそこまではできないというふうなものもございますが、これはなるべくその警戒をすべきことを慫慂するとともに、空港の職員に同時にその警戒に当たらせるというふうな方法をとっておるわけでございます。さらに、警察のほうにもお願いをしまして警備を厳重にしていただいております。
  113. 鈴木貞敏

    鈴木説明員 いま運輸省のほうからお答えがございましたが、警察としましても、御承知のとおりあの「よど号」事件以来こういった事件の波及性といいますか影響、そういうことを勘案しまして、全国のそれぞれの空港、五十九港ございますが、これに常駐体制、あるいはまた飛行場によりましては臨時の体制をとらせまして、大体恒常的に四百名の人員をもちましてこれら空港の一般的な治安に当たっておるわけでございます。  今回のロッド空港事件を契機にいたしまして、さらに国際線を持つ主要なる空港を中心にいたしまして、陣容を強化いたしまして約五百名の陣容で現在警備に当たっております。もとより一般的に空港に関連しましたいろいろな犯罪があるわけでありますが、何といいましてもこういった危険な荷物を持ち込むあるいはいわゆるハイジャックあるいはまた航空機爆破、こういう事件を未然に防止するという観点から、警察としましても各関係機関と協力いたしまして、警察の分野でそれぞれ努力しておるというふうなことでございますが、先ほど運輸省のほうから御説明いたしましたように、幸いほとんど空港保安委員会というものが設定されておりまして、運輸省、入管、税関、警察、こういった空港を受け持つ各機関が定例的に、さらにまた問題の時点時点におきまして会合を開きまして、緊密な連携のもとにそれぞれの問題点を検討し合っておるような状況でございます。また、万が一不幸なこういった事犯が発生した場合、どういうかっこうで乗客を避難させるか、そういうものを含めまして実際の実地訓練を各保安委員会の主催で実施しておるというふうなこともございます。  そういうことで、現在の段階で百名の人員をふやしまして約五百名の陣容で当たっておるわけでありますが、もとより先ほどの運輸省の御説明にもありましたように、今回の事件はまた非常に特殊な、いままでにない新たな、要するに荷物と人間の税関区域におけるドッキングという問題でございます。したがいまして、こういった入国時の荷物の流れをどういうかっこうでチェックをするかという新たな問題も提起されておるわけでございます。凶器探知器の問題あるいはエックスレイでこういった荷物の内容を事前にチェックするような問題、さらにまた荷物をパッセンジャーが受け取るまでに何らかのかっこうで十分確認した上で渡すとか、さらにまた税関区域においてそういった場合に備えて税関の方のいろいろの装備の問題、さらにまた警察がどういうかっこうでその場で初動の措置をとり得るかというふうな問題も含めまして、現在それぞれの空港の特殊性に応じましていろいろ検討を重ね、改善すべきは改善するという方向で進んでおるような状況でございます。
  114. 宮井泰良

    ○宮井委員 その点は、一般旅客者の生命の安全を確保するために大いに努力をしていただきたいことを要望いたします。  そこで、イスラエルの運輸通信大臣から丹羽運輸大臣に親書を送ってきたというふうに伺っておりますが、その内容はどんなものであったのか、お聞きいたします。
  115. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 去る六月一日、東京に在住しているロン・イスラエル大使から、運輸大臣あてにただいまお話あったようなメッセージをいただいております。内容は、アラブゲリラ組織の最近の犯行にかんがみまして、航空機の乗客あるいは乗り組み員、航空機など、民間航空の安全を確保するために必要なあらゆる処置を当局並びに航空会社がすみやかにとるように御要請したい、こういう内容でございます。  運輸省といたしましても、直ちに国際線の発着する各空港に警備体制を強化するよう指示するとともに、航空会社に対しても検査を強化するよう指示してまいっております。特に問題となるテルアビブ、カイロ、ベイルートの寄港便については特にチェックインを厳重にして、日本においてもかような事故が起きないよう十分な配慮をするよう指示もし、また監督もしているところでございます。
  116. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、特に中近東方面に往復する飛行機の厳重なチェックを指示した、こういうお話なんですが、私もせんだって東京国際空港をそういった警備体制やその他を簡単に視察をしてまいりましたが、本件の事件の類似事件の再発防止のために、東京国際空港では、ただいまお話のあった中近東方面に乗り入れる旅客の手荷物の点検を関係航空会社で始めることとした。そこまではいいのですが、日航はそれはできます。日本航空は厳重にチェックができるということでありますが、乗客へのサービス低下を心配して、外国航空会社、各社あると思います。エールフランスあるいはパンアメリカンその他各社があると思いますが、この実施を渋っておるということを聞いておるわけであります。日本政府が苦慮しておることはわかっておるけれども、それは聞かない。本社からの連絡であると、その種の航空会社はすぐそのことを実施しますけれども、他の機関から言ってもなかなかこれを了承しないということを聞いておるわけであります。これでは運輸省が幾ら保安を強化しても全くしり抜けであって、ただでさえこの事件では負い目のわが国といたしましては、これは軽視できない問題であると思うわけであります。その実情はどういうことになっておるのか、あるいはまたどう対処していかれるのか、この点をお伺いしたいわけであります。
  117. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 確かにテルアビブの事件以来航空会社も相当その警戒には熱心でございます。しかし、先生指摘のように、外国航空会社の中には、本社から指示がないというふうなことを理由にいたしまして、何と申しますか、若干手荷物の検査等に消極的であるというところもなきにしもあらずでございます。  したがいまして、そういうところに対しましては、私どもといたしましても、極力全体のお客さまの安全のために警戒を厳重にするようにということを指導しておりますが、とりあえず、そういうふうな消極的なところにつきましては、空港事務所の職員をその検査に当たらせるというふうなことをいたしております。しかし、いずれの会社も、テルアビブへの寄港便につきましては、各社とも本社から指示を受けておりまして、それによって自主的にすべての荷物を開いて検査をするということをいたしております。私どもとしても、これは結局その航空会社としても困る問題でございますから、よくその辺を説明いたしまして、全体一体として厳重に警戒につとめるというふうに指導いたしたい、こう思っております。
  118. 宮井泰良

    ○宮井委員 お話のように、この事件が起きたテルアビブの空港へ直接乗り入れる飛行機については多少チェックはできておる。しかし、ベイルートその他を回ってテルアビブに入る飛行機についてはなかなか強化されていないというふうにお答えからも感ずるわけでありまして、その点は今後運輸省あるいは外務省等を通じて何らかの手を打たれるように希望いたしておきます。  そこで、次に、報復手段として日航機の爆破の情報が相次いでおるわけでありまして、新聞紙しでも再三これが出ております。それが確かに信憑性のあるものか、それともいやがらせの情報なのか、その点は私どもわからないわけであります。その実情はどうなっているのか、あるいはまたそうした情勢に対処するために日本航空はどのような手段をとっておるか、乗客の不安を一掃しなくてはならないと私は考えるわけでありますが、その点をお伺いいたします。
  119. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 今回の事件の後に、日本航空の在外支店数カ所におきまして脅迫めいた電話がかかっておりまして、これについてはローマの警察とかあるいはIATAのほうからその警戒を勧告されております。しかし、こういうふうな脅迫めいたことは言ってまいりますが、現実にそういう爆弾が発見されたとかそういうふうな質例はございません。しかし、日本航空といたしましては、万が一にもお客さまに御迷惑をかけることのないように警戒を厳重にいたしておりまして、国際線の全線につきまして、一定の近距離国際線は除きますけれども、最も厳重に警戒いたして、つまり手荷物を全部あけて検査いたします。これはお客さまのほうは若干不愉快な思いをされるかもしれませんが、安全にはかえられない。したがいまして、手荷物を令部あけて検査していきたいと思います。なお、近距離国際線につきましても、これに準じて、怪しいものについてはすべてこれを開いてみるというふうな処置をとって、厳重な検査によって、万が一にも爆弾がある、そういうふうな不祥事のないようにということを気をつけておるわけでございます。
  120. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、警察庁のほうにお伺いいたしますが、このような過激な学生というものは、ゲリラ活動のために国外に出る場合、羽田においても、もちろんこれは国内線も入っておりますけれども、聞くところによりますと年間一千万人にのぼる旅客者が出入りしておるという現状である。このような中において一部のこういった過激な学生が国外に出るというものをチェックするということは不可能に近いというふうに私は考えておるわけですが、しかし、何らかの対策を講じていかねばならないということを強く感じるわけでありまして、これらの対策についてどのようにされておるか、お伺いします。
  121. 鈴木貞敏

    鈴木説明員 出国者のチェックの問題でございますが、これは確かに仰せのとおりいろいろな問題があろうかと思います。警察としましては、やはりこれは情報面そういった面から、きわめて虞犯性の強いあるいはそういう容疑的な動きが察知される場合、これについては事前にこれを押えるということで努力すべきことは当然でございます。ただ、一般的に現在の空港警備といいましても、やはり警察の立場としましては、荷物そのものはそれぞれの航空会社、そういったものがチェックするわけでございますが、警察としては目の色とか服装とかそういったものをとにかく細大漏らさず現場で十分目をこらして、そういう不審者をひとつさがし出す。また官民からの通報があった際にはそれに協力しまして職質を徹底してやる、こういうことでございますが、人出国のチェックにつきましては入管当局なりあるいは外務省当局なり、そういう機関と綿密に、緊密に連絡いたしまして、今後そういう今回の不犯のようなことがないような線でひとつやっていこうということで、現在鋭意関係機関と検討中でござい復す。また、警察の段階での手持ちの情報、そういったものにつきましても関係機関と十分密接に連絡し合いまして、また各空港にございます保安委員会にも、その種情報は適宜適切にお流しして力を合わしてこういう事犯を防止していこう、こういう気持ちで努力してまいりたい、こう思っております。
  122. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこでこのハイジャック防止あるいはまた空港のこういった乱射事件のごときものを未然に防ぐためには、羽田国際空港等が中心になってきますけれども、空港の警務課等にしましても、あるいはまた警察官の配置にしても、どうも私が視察した感じでは人手が足りないということで、手薄になっているのじゃないかというような気もいたします。また実際に現場の方々の声を聞いてみますと、非常に人手不足である。先ほどは五百人に増員しておるというお話もありましたけれども、実際これでよいのか、あるいは増員を考えておられるかという点。また羽田国際空港に力を入れておりますと、むしろこういった過激派の学生というものは京都を中心にして関西に出ておるということから、関西の伊丹空港のような空港が危険性が多い。その点、人員の配置また警備体制は手抜かりはないかどうか。この点をお伺いいたしたい。これらの点についての航空局長の答弁のあとには、それらの全国の空港に対してのそういった指示というものを、運輸省として手抜かりなく手を打っておられるかどうか。全般のお答えを政務次官から最後にいただいて終わりたいと思います。
  123. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 確かに先生指摘のとおり、羽田だけではなく、地方の国際線の就航する空港についても厳重に警戒いたしませんと、それが抜け穴になるおそれがございます。したがいまして、私どもといたしましては、大阪、板付とか沖繩、あるいは千歳といったふうに国際線の就航するような空港につきましては、全部指示をいたしまして、厳重に警戒をするように言っております。  そこで、たとえば大阪などにおきましても、二日に空港保安委員会を開きましていろいろ検討いたしました結果、中近東向けの飛行便、これはエールフランスが週三回やっております。それについては手荷物検査を強化するというふうなこともやっております。  それからさらに人の問題でございますが、実は空港の警務課の要員と申しますのは、これはもう定員できまっておりまして、これをふやすというのは実はなかなかむずかしいことでございます。したがいまして、警察のほうに警備の増強をお願いすると同時に、あるいは航空会社等におきまして、ガードマンその他による警戒体制の強化というふうなことをさせることによって、万遺憾なきを期したいと思っております。
  124. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 御指摘の点、確かに航空行政を担当する運輸省としても十分配慮しなければならない問題だと思います。具体的な方策なり、また現在行なっている実情については、ただいま航空局長から答弁したとおりでございます。さらに一そう注意を喚起し、また具体策をより綿密なものにして、日本においてかような事故がないように配慮していく所存でございます。
  125. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは航空問題はこれくらいにいたしまして、次に国鉄の問題を質問したいと思います。  山陽新幹線の開通を機にいたしまして、三月十五日に改定になりました新ダイヤでは、ローカル線のダイヤの削減が目立っておりまして、住民はその通勤、通学等に非常に困っておるわけであります。特に、岡山以西においてたびたびそういうことが起きておる。これらのダイヤ改正の問題点につきましてまずお伺いいたします。  具体的に二、三例をとって申し上げますと、国鉄の徳島線においては、徳島発午後五時二十三分、石井発午後九時二十七分のローカル列車が廃止されたことにより、県立名西高校定時制に徳島市内より通う夜間生徒の通学に、深刻な影響が出てきておるというふうに聞いておるわけですが、これは新聞には見出しとしては「ひどすぎませんか国鉄さん」「四国各地の通学者が悲痛な訴え」「登校不能の生徒続出」「生活列車の大幅廃止、過疎をさらに深刻化」というような意味でございます。これに対してどのように対処されたか、お答えをいただきたいと思います。
  126. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、三月の十五日に山陽新幹線の岡山開業を契機といたしまして、全国的な時刻改正をいたしたわけでございます。その際にいま御指摘のローカル線等、特に御利用の少ない列車を統合いたしましたりあるいはやめたりいたしましたが、その際はやはり私どもも若干でもお客さまがございますと、代替輸送、並行道路にバスの輸送がひんぱんに行なわれておるのかどうか、そういったいろんな事情を検討いたしまして、具体的に列車の手当てをいたすわけでございますが、いま先生指摘の列車は、確かに私どもが今回削減をいたした列車でございます。  先ほど先生指摘の学校は、名西高校という学校だそうでございますが、夜間の定時制高校の生徒さん方がこの列車を利用いたしますについて、これがなくなると次の列車まで待つのに一時間四千分くらい待たなければならない。こういうことで確かに苦情がございます。ただそこには非常にバスが頻発いたしておりますので、この時間にバスを御利用いただければよろしいわけでございますけれども、多少運賃の違いもございますということからの苦情だったと思いますが、学校当局と話し合いをいたしました結果、もう少し様子を見て新学期、九月でございますか、九月に依然としてこの利用の状況がまだ続くようであったなら、少し考えてほしいというふうに、学校当局からの御指示と申しますかお打ち合わせの結果もございますので、九月になりました時点でもうちょっと様子を見たい、かように考えて、現在はダイヤを修正せずにそのままの状況に経緯をいたしておるようなわけでございます。
  127. 宮井泰良

    ○宮井委員 どうも手の打ち方がおそいように私は感ずるわけであります。その間にも毎日通学しておるわけですから。また、それが九月になればほんとうにできるのかどうかもはっきりしない。今後ひとつしっかり取り組んでもらいたいと思います。  さらにもう一つ例を出しますと、山陽本線の吉永駅の貨物取り扱いの問題ですが、山陽本線吉永駅では、岡山県和気郡吉永町で生産しているクレ——クレというのはろう石を粉末にしたものだそうです。クレを出荷していたが、三月十五日のダイヤ改正により滞貨がひどくなっておる。吉永町ではこのクレを生産する企業はほとんど零細企業で、この滞貨は企業の死活問題となってきておる。吉永−岡山間の貨物取り扱いは、瀬戸、万富、熊山、和気の各駅が中止となり、その分が吉永駅に集中してきておる。吉永駅はこのためにより一そう設備を改善しなくてはいけないのに、一向に改善する様子がない。貨車をとるのに毎日岡山鉄道管理局とけんかをしておる。最近のATS闘争、郵便車の火災などの事故によりなお一そうひどくなっている。ここ一カ月で、町全体は一千万円の損害をした、このように聞いております。原料の入荷にも困るし、品物の納期にも間に合わず、企業の死活問題となっておる。国鉄は弱いものに対して非常に冷淡なような感じがするわけですが、この点はどのように改善されたでありましょう。お答えいただきます。
  128. 泉幸夫

    ○泉説明員 先生ただいま御指摘をいただきました吉永駅の貨物の問題でございますが、荷主さんにたいへん御迷惑をかけました点は、ちょうど四月九日から二十九日まで、私どもの動力車労働組合が、東京周辺の拠点となっております新鶴見操車場を中心にいたしまして、二十日間の長きにわたりまして順法闘争をいたしまして、ヤードにかかります貨車が麻痺状態になりました。そのために、四月八日までは吉永駅でろう石をはじめ荷主さんの皆さんから御要望のございます貨車に対して、十分御要望に応ずるような輸送をやっておったわけでございますけれども、九日の日から闘争が始まりまして、新鶴見のヤードが麻痺いたしまして以来、輸送が詰まってまいりまして輸送できない、これは全国的な傾向でございますけれども、吉永駅におきましても大体一日二十車程度の貨車をお使いになるわけでございますけれども、闘争期間中は、ちょうどその半分程度、十二車程度の御使用しか願えなかったということで、たいへん御迷惑をかけたわけでございますけれども、その後春闘も終わりまして、三十日以降今日に至りますまでの間、大体御要望が三十車から十五、六車というところでございますけれども、全部御要望の線に沿いまして、二十車、十五車というようなそれぞれの御要望に応じた貨車を使っていただいておりまして、現在のところ、闘争からきます一時的な御不満は解消いたしておるというふうに承知いたしております。  もう一点は、貨物の集約という問題でございますけれども、先ほど先生から御指摘ございましたように、この三月岡山までの新幹線開業とともに、私どもの貨物の面におきましても、従来非常に貨物輸送がのろのろしておる、おそい、あるいは到着時間がはっきりしていないということで苦情が多かったわけでございますが、これを何とか改善をいたしまして、もっとスピードの出る、しかも到着時間のはっきりした形に改善したいということでいろいろ勉強してまいったわけでございますが、当岡山管内におきましても、山陽線を中心にいたしまして、先ほど御指摘がございましたように、和気、瀬戸、東岡山、年間わずか一万トン程度、一日貨車の数にいたしまして三車程度のところはもよりの大きな駅に持っていっていただくということで、集約をさせていただいたわけでございます。吉永駅について申しますれば、和気駅からちょうど五キロ離れておりますけれども、従来和気駅に託送されておりました約一万数千トンの荷物というものは吉永駅に持ってきていただく、そのかわり、途中の駅がなくなりましたので、目的地に非常に確実に着く列車をつくりまして、質の面でサービスしたいということで、荷主さんの御了解を得まして、吉永駅に集中したようなわけでございます。  現作出吉永の扱い能力といたしましては十四、五万トン程度でございまして、現在の実績が大体十一、二万トンということでございますので、現在の状況におきましては、荷主さんに設備の面で御迷惑をかけることはないというふうに考えておるわけでございます。なお、今後ろう石等の出荷がふえたりその他の貨車がふえて、設備的にどうしても扱いがむずかしいということになりますならば、またその時点で改善の手を打ってまいりたい、このように現在の時点では考えておるわけでございます。  以上でございます。
  129. 宮井泰良

    ○宮井委員 以上、ごくわずかな——その他にもたくさんありますが、一、二の例を引いてこれを申し上げたわけですが、国鉄では、ローカル線などの地方の生活線の削減を行なったのは、これははっきりした方針を立ててやっておられるのか、それとも岡山まで新幹線が来たために予想していなかったようなそういう事態になってきたのか、あるいは、もちろん国鉄は赤字ですから、企業努力でもうけてもらわなくてはいけませんが、ただもうけ主義だけで、公共輸送ということを考えないで、国民のための足であるということを忘れてしまったためにこれが起きたのか、この点をお伺いします。
  130. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 たいへんむずかしい問題でございますけれども、私どももやはり内部の経営の合理化と申しますのと、お客さまの御便宜というものが相矛盾するようなかっこうでは、輸送立場からは万全を期せない、こういうわけでございます。一部ローカル線あるいは本線を走っております普通列車につきましても、時間帯によりましては、非常に効率と申しますか、お乗りいただいているお客さまが少ない、こういうふうな状況がずっと続いておりますと、やはりいろんな経費上の問題もございますし、また長距離のスピードの速い列車の先行きをじゃまする、それから貨物輸送にも影響するというふうなかっこうでございますので、やはり輸送の体系を、スピードの速いものと、あるいは通勤通学の輸送の確保あるいは長距離の特急、貨物列車の体系化、こういったような体系化に進んでいかなければならぬという事情が一方にあるわけでございます。したがいまして、そういう立場から輸送構造を再編成するということを進めてまいることになっております。  その一環といたしまして、ローカル線につきましては、それから本線上の地方交通線につきましても、そういう立場から、お乗りいただく利用度の少ない効率の低い列車はどんどん整理をいたしまして、その間を優等の列車あるいは頻度の高い貨物輸送、こういったかっこうに進めてまいりたい、この立場からローカル線の削減というものを今日までやってまいりましたし、今度ともまたそういったものを見直してやってまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  131. 宮井泰良

    ○宮井委員 そういうことでローカル線を削減してきたということですが、ダイヤ削減の結果全国から不満が出て、四月二日に二十三本の鈍行を復活さした。さすれば、なぜ削減する前によく事情を調査しなかったのかということを私は考えるわけであります。  それでは、全国で何本くらい削減したのか。不満が非常にたくさん寄せられておると思います。特に岡山以西につきましてもダイヤ改正で非常に不便になっておる。私なども防府駅とかそれから岩国駅へ行くという場合に、なかなか思いどおりの時間に自分がそこへ到達することができないという経験を——県民ももちろんみな持っております。  そこで、岡山以西のダイヤ改正というものはこのままで将来までいくのか。それともいろいろなことで勘案して今後改正をしていくのか。こういった問題をどのように解決していくかということをお伺いします。
  132. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 まず前段の御質問の点でございますが、三月十五日に時刻改正いたしまして、確かにいろいろと事情が変わりておりましたことを見のがした、きめのこまかい配慮に欠けていた点がございまして修正したものでございます。いますでに落ちついておりますけれども、その時点から今日まで大体四十本程度復活をいたしました。  それから、第二点の岡山以西の輸送の問題でございますが、これは二つに大きく分けられると思います。一つには、東京から岡山まで新幹線で参りまして、岡山から西のほうへ連絡いたします輸送力の問題。それから従来の在来線と同じようなかっこうで頻度をどうあげていくか、この問題と二つあると思います。前者の特に広島から下関、九州方面への輸送力の増強につきましては、三月十五日以降、四月の中旬にも時刻改正いたしまして、特急の増発をいたしております。また、この十月にも、車両ができてまいりますにつれまして手当てをいたしまして輸送力の増強をはかりたいと存じております。そのほか、シーズンには特に臨時列車の運行はもう当然でございます。しかも、臨時列車の運行にあたりましては、やはり従来の御利用の御不便がございますので、特急の停車駅を臨時的に少しふやしまして御利用のチャンスを広げたい、かように考えております。そのほかこれから快速列車のネットを張りたい、かように考えておりますので、車ができ次第逐次整備をしてまいりたい、かように考えております。もちろんこれは山陽新幹線だけではございませんで、岡山からネットいたします伯備線その他四国の方面、すべて連絡の起点となります線につきましては、車のでき次第、増強してまいりたい、かように思います。
  133. 宮井泰良

    ○宮井委員 私は臨時列車だけでは解決しないと思います。毎日運転しないとできない、このように思いますから、その点も勘案してやっていただきたいと思います。  それでもう一点、同じようなことになると思いますが、山陽新幹線開通に伴って、このダイヤ改正というものは非常に見通しが甘かったのじゃないかということを考えております。広島駅を中心とした上下線の特急、急行の運行は全く実情に合っていない。四国、九州、山陽、山陰の客が一手に岡山に集中して新幹線を利用するような運行改正をされたつもりでありましょうけれども、今日の状態では、いまも申しましたように、小郡あるいは徳山、柳井、岩国、あるいは広島のほうへ参りますと、尾道、福山、倉敷等の主要線で岡山からの新幹線を利用したいお客さんが切符が手に入らない、大混雑の状態であるということを御承知であると思います。その後改善されて、いまはスムーズに切符の入手もあるいは連絡もいっておるかもしれませんが。その点どのようにされておるか、お答えしてもらいたいと思います。
  134. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 確かに岡山駅まで開業いたしました節には、連休という思わざる人出のシーズンがございましてたいへんに混乱をいたしました。その混乱をいたしました原因を私ども考えてみますと、やはり岡山の駅で各方面からの列車を全部接続するという点が非常に大きな問題点であろう、かように考えております。そのほか岡山が博多まで開業の途中の開業であるということでありますので、設備的には必ずしもターミナルの様子を整えている設備にはなっておりません。そういうことのために不便があったということと、それからすべて岡山接続というかっこうになりましたために、先生のおっしゃいますように、乗車券の入手というものが岡山駅を中心としてネットされた駅に配られるわけでありますけれども取りにくい、こういう状況でございます。  最初のほうの物理的な場所の問題はどうしようもございませんけれども、接続の時間その他の調整のしかたによりましては混雑を十分に防げるであろうと思います。また、現在はシーズンも過ぎましたために、多少その場所の利用になれたせいもございましょうけれども、非常に落ちついてきた。二番目の乗車券の人手の問題は、先生指摘のとおり、改善されたというふうにお話ございましたけれども、率直に申し上げましてまだ実は改善されておりません。絶対的な輸送力の不足というものがございまして、最近では特急、急行券の需要が非常に高うございます。全体の需要の供給力が足りないということで、これがまだ解決されない限り、どうしても依然として御指摘のような御不便があると思います。これは今後輸送力をもう少し増強いたしますとともに、現在のコンピューターによる発売のシステムが現実に若干合わない点がございます。その機械を今度大きくいたします機会に——大体フル稼働いたしますのは来年の春になると思いますけれども、その時点に大きな機械のコンピューターを入れまして、いままでの発売システムとかえることによりまして御不便のないような方向を考えてみたい、かように考えております。
  135. 宮井泰良

    ○宮井委員 次の問題ですが、これは貨物の問題です。山口県宇部線、これは小郡−宇部間を利用しておりますが、いま宇部興産KKに石灰石を毎号三十一本の列車、月二万トン運搬しているそうでありますが、宇部から終点宇部港貨物駅間の住民から貨物列車の振動、騒音などの苦情が出ているわけであります。この沿線には約四百世帯の住民が、屋根がわらが落ちる、家屋の寸法が狂ってくる、たなに上げているものが落ちてくる、夜、赤ん坊が寝つかないなどの被害を訴えております。振動の影響は線路から二百メートル半径くらいでありまして、特に岩鼻駅から終点までの間がひどいということであります。列車はD51のSLで振動、騒音のほかにばい煙の被害もある。それが夜中の零時から二十分ないし三十分間隔で三十一本の列車が運転されているということであります。この事実に関してどのような御見解を持っておられるかお伺いいたします。
  136. 長浜正雄

    ○長浜説明員 宇部港へのピストン輸送は、おっしゃいましたように石灰石が発生いたしますので、この輸送要請によりまして貨物列車で輸送しておるわけでございます。この線は先生御承知のように明治四十四年ごろに完成しております。それ以来、私鉄で開業したようでございますが、終戦前に国鉄が買収いたしましてその後営業しておるわけでございます。明治以来の営業区間でございます。その当時は、もちろんそれほどの石灰石の生産量がございませんので、それほどの輸送量でもなかったようであります。最近輸送要請が非常に強うございまして、これは集約的な輸送ができるということでピストン輸送をやっておるわけでございます。したがいまして、貨物列車一個列車の編成として宇部港のほうに持っていっているということでございます。つきまして、その貨物列車が通るについて振動、騒音がある。これは在来線、全国的にいま二万一千キロございますが、至るところこういう状態で列車が走っておりますので、騒音、振動のないところはないわけでございますが、特にこの地帯が激しいという話は、現地の責任者のところにお話が昭和四十一、二年ごろにあったようでございます。その後、いろいろわれわれのほうも調査をし、地元の方ともお話し合いをいたしまして、できるだけ輸送量に合ったような線路構造にしなければいけないということで線路構造の改良等も行ない、また特にこの地区だけがそういう状態だということになりますと、いろいろ改良をしなければならないということでございまして、レールにつきましても太くするとか、そういう処置をいたしてまいりまして、また、騒音、振動に対しましても部外の——私、調べてみましたところ、山口大学のほうにも依頼をいたしまして、どの程度の影響があるかというようなことも調査してもらったりいたしまして、その結果に基づきまして、地元の方とお話し合いを進めてきておる段階でございます。ただ一般的に、いま申しますように、国鉄の営業キロ二万キロございまして、やはり列車が大体この程度は走っておるわけでございますが、この地区は、特に私承知しておりますのは、地盤が悪いことのように想像されます。これはこの地質が悪いために特に振動が激しいのではないかというふうに考えられますが、何ぶん明治四十四年ごろに建設されたルートでございますので、そういうことへの配慮といいますか、そういうものもこの当時の輸送量と見合いで考えられたものであろうと思います。したがいまして、国鉄としていまわれわれ現地にやらせておりますが、軌道強化ということでこれが対処できるのてはないかというふうに考えております。それ以上につきましては、これはなかなか、全国的な問題でございます、いろいろ問題がございますが、できるだけの処置は国鉄としてやれるものはやっていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  137. 宮井泰良

    ○宮井委員 話し合いをされたということなので——私の聞いているのでは、どうもそうではないらしいのですね。なかなか住民の声を聞いてくれないという不満を持っておる。国鉄にとって、わずか四百世帯の住民の言うことは、また一地方のローカル線の問題には関心を示さないのかという声が寄せられておるのです。この沿線の住民は昭和四十一年当時に国鉄宇部・小野田線管理所に広島鉄道管理局あての陳情書を提出したが、何の回答もなかったということであります。そのために、その回答の要求をしたところ、広島鉄道管理局にはこの書類は届かずに、途中広鉄局下関出張所でとまっていたということであります。そこで、しかたなく宇部・小野田線管理所で代表が話し合いで交渉をしてきたということであります。一向に問題は解決しない。しないどころか四十四年ごろよりなお一そう本数も増加され、夜中もかまわず毎日三十一本の列車が往復しておるし、この石灰石の運搬のほかにも数本貨物列車、大体五本ぐらいだそうですが、走っているということであります。住民の要望は、走っておるD51型の機関車については、全国でも走っているのは珍しいのではないか、これは御承知のことと思いますが、電気機関車にすれば少しはよくなるのではないか、また線路などの設備を改良すればよいのではないか、こういう声が寄せられておるわけであります。これは一地方の小さな問題かもしれませんが、何といいましても再建に真剣なあまり、住民の苦情を受け付けるという弾力性に欠けていくようであってはいけませんので、その点を心配しておるわけであります。何年間も住民の苦情を無視するということはいけないと思います。この問題は解決できるかできないか、そういった点、この地域においてはそういうことで国鉄に対してなかなか評判が悪いわけです。もう一度今後の方針をお聞きいたします。
  138. 長浜正雄

    ○長浜説明員 私、御質問があるというので調べましたところ、確かに四十二年に当時の市会議員の町内会長の方から書面がまいっております。それに対しまして、われわれのほうとしては、できるだけ書面でなく面接してお目にかかって御返事を申し上げたほうが念が通るということで、約二カ月半ほど後にお目にかかって回答を申し上げております。もちろん、その間にいろいろ調査をして、その上でお目にかかってお話を申し上げておるということでございます。われわれもそういう場合にはできるだけ念の入ったお話を申し上げたほうがいいというふうに指導しておるわけでございます。今後ともそういうふうにしていきたいと思います。  そこで、この線の改良といいますか、そういう点でございますが、現在も速度は非常におそい、三十五キロくらいで列車を走らせておるようでございまして、これを引っぱるのは、いまD51と先生おっしゃいましたが、この機関車につきましては、国鉄の動力近代化の一環として近く二、三年のうちには全国的に動力が全部近代化されることになっております。その時点までのうち、なるべくひとつこういう地点を早くそういう処置をするようなことも考えていかなければなるまい、こういうふうに考えておる次第であります。そういうことで地方の方々からのお話を無視するということではなく、できるだけ念の入ったお話し合いをするように今後とも進めていきたい、こう考えておる次第であります。
  139. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、あと二、三質問したかったのですが、本会議の時間も迫っておりますので、以上で終わります。
  140. 小峯柳多

    小峯委員長 本会議終了後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時四十八分休憩      ————◇—————    午後三時七分開議
  141. 小峯柳多

    小峯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中昭二君。
  142. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 きょうは時間もあまりございませんから、問題に直ちに入らせていただきますが、私がお聞きしたいことは、きょうは、福岡市におきまして油の流出事故があったのです。そのことでございますが、場所は福岡市中央区一丁目荒津石油基地でございます。そこで、当初海岸で油の流出がありまして、その発見は、その辺の民間人が通報いたしまして、関係当局がそれを知りまして、油の汚染ということを発見したわけでございます。  まずそういう汚染事故の原因と経過措置につきまして、状況報告をお願いしたいと思います。
  143. 手塚良成

    ○手塚政府委員 五月二十四日の昼過ぎに、ただいまお話のありました福岡港内の荒津石油基地付近の海面に浮流油があるのを通行人が発見いたしまして、福岡海上保安部に通報がございまして、保安部が現場の調査を行ないました。その結果、岸壁のすき間から油が少量ずつ点々と漏出をしておるという事実がわかりました。その事実に基づきまして、当面オイルフェンス等で漏出個所等の油の拡散を防止する。同時にいまお話のありました原因調査を開始をいたしております。  その調査にあたりましては、市の港湾局、消防局、公害課、こういうところと共同ということでやっております。その調査の対象といたしまして、埋設送油管、それから石油基地のタンク、こういうところからの漏出があるのではないかということで、さしあたり岸壁沿いの道路上十二、三カ所に、消防局の指示によりまして穴を掘った。その穴の中からいずれも油が湧出をしてきた、こういうことでございますので、漏出のもとは、この基地の中にあるいわゆるB地区、出光、伊藤忠、相光石油がありますB地区付近と推定をされました。その後さらにその具体的な漏出源を探究いたしますためにタンクの底の調査をやることになりまして、現在その調査を実施中という段階でございます。それからパイプの系統にも漏出個所がある模様でございますので、このパイプについても現在漏出個所を調査中——数か相当にございますので、全部油を中から抜きまして洗ってからということになりますので、まだ一部のタンクとパイプが調査をされただけで、全部の調査が行なわれておりませんが、おおむねタンク並びに送油管からの漏出ではないかと推定されております。
  144. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまの概略の説明がございましたが、私は海の汚染をあずかる海上保安庁の報告にしてはあまりにも簡単過ぎる、ものごとを重大視してない、こういうような感じを受けるわけです。といいますのは、発見が五月二十四日です。そして去る六日の日にはその原因が一応究明されまして、私が最初にお尋ねしました原因がわかっておるはずなんです。その原因の発見についてはまだ調査中というふうなことでありましたけれども、私はそういう現実を調査中というようなことで報告してもらっては、現場のこの事故に当たっておる海上保安庁の責任者並びに現場の人たちに対してたいへん申しわけない、まずそういうふうに思います。   〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕 私も現場に参りまして思いましたことは、まずそういう油の汚染、流出が発見されたのは、その近所の民間人の通報によって水上警察署に連絡があった、それから海上保安庁に連絡があって知ったということ、こういう体制であることが私はたいへんお寒いことである、このように思うわけですが、その点と、いまの原因究明についてほんとうにまだ原因がわからないのですか、もう一回お尋ねいたします。
  145. 手塚良成

    ○手塚政府委員 いま非常に概略の御説明を申し上げましたが、先ほども申し上げましたタンク、これは出光興産のタンクは二十二基ございます。相光石油は十一基、伊藤忠は五基あります。それぞれのその数の中で現在調査を完了いたしましたタンクは、出光が二十二基中九基、相光が十一基中七基、伊藤忠が五基中五基、こういうタンクの調査を現在完了しております。残りの完了は大体六月十六日ごろまでかかる、こういうことになるかと思います。そしてこのタンクを調査しましたところ、そのうちの一基、昭和三十六年に設置いたしましたものがタンク底の鉄板が非常に薄くなっておるのがわかりまして、これをハンマーで強くたたいたところ穴があいた、こういうところから、このタンクから漏洩しているということはまず間違いなかろう、こういうことでございます。こういうことで、残りのタンクその他を全部調査をし終わるということが十六日までかかるということでございますので、目下調査中、こういうふうに申し上げたわけでございます。パイプにつきましても四気圧の水圧を受けまして、その結果一本が二時間に〇・八気圧低下をしたというようなことでございまして、このパイプもやはり原因一つではありますが、全部のパイプの調査が完了していない、こういう状態でございます。  なお、こういう実情を発見いたしますのが非常におそかったという点につきまして、これは岸壁のすき間から少量ずつ点々と漏出しておったということ、こういうものも私どもの監視の範囲には入っておるわけであります。ここもパトロールはしておりましたけれども気がつかないというのが事実であったようでありまして、こういったことについての監視の充実は今後の一つの課題であると考えております。
  146. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 監視をするということが課題だというのはどういうことですか。当然の義務じゃないですか。いま海上保安庁から報告があったことは、こちらからいろいろ指摘しても、どうも真実をおっしゃらないような気がしてならない。だからそういうことを言ったら、現場のあなたの部下は泣きますよ。もう少しこの問題につきましては、海に流れ出したということと同時に、油が土中にずっとしみ込んでおるような状態ですから、そういう見地からこの事故の状況説明をもう一回、消防庁のほうからおいでいただいたと思いますから、お願いしたいと思います。
  147. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 事故が起きましたのは五月の二十三日でございますが、消防局のほうには海上保安部よりの連絡によりまして現場に参りまして、港湾局と海上保安部と協議をいたしまして対策を講じたわけでございますが、油の流れておりますところの範囲を中心としてオイルフェンスを張り、中和剤で分散させ、岸壁の穴のあいておるところをふさぐ等、海上への流出油の阻止に努力したわけでございます。ただいま海上保安庁のほうから御報告ありましたように、漏洩源を探索するために、基地付近の三六十カ所に穴を掘りまして、油の漏洩状況に関します調査をいたしましたが、およそ百メートル幅、百二十メートルの範囲にわたりまして油の漏洩の痕跡が発見されたわけでございます。なおその間六月の六日までに六千五百十リットルの油が回収されております。  さらにどのタンクあるいはどの配管から漏洩しているのかという具体的な捜査になりますと広範囲にわたるので、それぞれ水圧検査を受けながら配管の検査を行ない、出光については二十二基中七基完了、残十五基、伊藤忠については五基全部完了しましたが、これは異状ございませんでした。相光については十一基中四基を残して検査を終了いたしましたが、ただいままでのところ配管より水圧検査の結果、五本漏洩個所のある配管が発見されておるわけでございます。もっともそれは腐食によるものと考えられます。  そのほかタンクの検査につきましても検査をいたしましたところ、出光の五百キロリットルのC重油タンク、これは昭和三十六年設置の古いものでございますが、底部から五カ所腐食の痕跡が認められまして、漏洩個所のおもなる個所ではなかろうかと発見されておる次第でございます。  さらに他の配管、タンクにつきましても現在検査を続行中でございます。  以上でございます。
  148. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この石油基地というのは、大体いまから十四年ぐらい前に埋め立て地にできたわけでございますが、この間年間取り扱い数量が百五十万トンというたいへんなものでございます。月にタンカーが三百四十隻ぐらい入ってきまして、運搬のタンクローリーでも月に延べ八百台をこえるというような基地でございます。この基地で油汚染の問題が過去にも三回、タンカーによる油流出事故が起こっております。そういう状況のもとで、いま概略の説明を聞きましたけれども、私はもう少し事実関係を確認しながら進めていきたいと思います。  大体油が漏れただろうと思われますタンク——このタンクは出光のタンクだそうでございますが、このタンクを昨年十二月に会社は修理をしておるという事実を御存じですか。
  149. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 お尋ねの出光の五百キロリットルC重油のタンクは、昨年の十二月十五日に底部から破損個所が発見されたため修理をいたしているという事実がございます。
  150. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 タンクを修理しておるということは、事前にそのタンクに貯蔵されておりました油が何らかの形で異常な状態であったということが——このタンクの設備の中には自動計量器というものもついておるはずでございます。そういうものがなかったとしましても、タンクを修理した。先ほどの海上保安庁の話では、何かタンクの底を金づちでたたいて破ったというようなお話ですけれども、どうしてそんなことをするんだろうと私は思いますよ。油が入っているものを、タンクの底を金づちでたたいたりなんかするということは、私はほんとうにびっくりして、その質問にはまだ入らないものですが、政務次官どうですか。これは監督官庁がタンクの底を破ったというのですよ。私が聞いておるのでは、親指大の穴が三つぐらいあいておったということは、調査の結果聞いておるのです。  話が途中になりましたが、いま常識的に考えてみてください。昨年の十二月十五日、会社がその出光のタンクを修理しているのです。修理しているということは、その前から漏れておったということじゃないでしょうか。漏れておるか、何か不備があった。そして、さらにもうことしになって六カ月です。まる五カ月経過しているのです。その間どういう処置がとられただろうか。常識的にも十二月の修理されたときにおいてこのタンクがどうであったかというふうなことを、私は事前にそのタンクを修理するときには現地の消防局が立ち合いでもして修理するのがあたりまえだと思うのです。その辺のところは政務次官、どのように思われますか。
  151. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 ハンマーでたたいたから穴があいたということですが、まあ修理したということは、一般論から言うと危険性があった。あるいは何かそこに異常な状態が予測されるので修理した。いずれにしても危険性はあったものと判断いたします。私も初めてのことなんで詳細はわかりませんが、(田中(昭)委員「常識的な話でいいのですよ」と呼ぶ)まあ常識的な話というならば、油の被害というのは、特に最近環境問題その他において、ゆゆしい問題ということで、油濁防止法なりいろいろ関連の法律もございます。一刻も早く原因を究明して、未然に防止するのが本来のあり方ですが、応急処置なり、しかるべき対策を講じて、原因の究明と同時に将来にわたってもそういう事故がないよう配慮するよう指導する方針であります。
  152. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私が聞いたのは、そういう修理するということは、そのときに何かタンクに不備があったんではないか。不備があるということは、油の流出か爆発につながるか、何かの危険が考えられるが、それを認めますか、こう言っておるわけです。いかがですか。
  153. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 先ほど申し上げたとおり、正常なものじゃなかったんじゃなかろうか。しかし、それが原因が判明していない現在からいうと予測はできかねますが、正常じゃなかった。したがって、その対策を立てなければならないという観点から修理したんじゃなかろうか、こういうふうに判断します。いずれにしても結論が出た上で——私のほうは海上保安庁ですか、海上保安庁を督促して問題の処理に当たりたいと思います。
  154. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 正常じゃなかったというのですが、正常じゃなかったタンクの中から油が漏れたという事実がもうはっきりしているのですよ。それをどうして、こういう国会の審議ですなおに認められないのですか。
  155. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 現実に油が漏れていることは私自身も報告を受けておりますし、承知しておりますが、いまの御質問は、修理したという形跡がある、それはどういう関係で修理なさったんだ、こういう御質問ですから、私は、それは異常なりあるいは正常じゃなくあるいは危険性を感じたから修理したのじゃなかろうか、こう判断いたします、こうお答えしたわけです。多少話がかみ合わないことは申しわけございません。
  156. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 政務次官、現場を御存じないから……。そういうことでとにかくタンクが正常でなかった。正常でなかって、そのあとで何カ月かたって油が地下に漏れておったという事実が出てきたわけです。これは全然関連がないとはいえない。その時点においてきちっと油が漏れないような処置はとれなかったのか、当然とるべきであったのではなかろうか。そういうものを法律規制によって、それこそ監督官庁が監督なり予防をするという意味においては、そこが大事じゃないか、私はこういうことを言いたいわけなんです。  そこでもう少し具体的事実を確認していきます。  タンクの底に親指大の穴があいておったということが現地では明らかになっておりますが、これは事実ですか。
  157. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 現地の消防局よりの報告によりますと、大きさははっきりいたしておりませんけれども、私どものほうに入っておる情報では、五カ所腐食の痕跡のある穴があるということのようでございます。
  158. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういういいかげんなこと……。よく見なさいよ。あなた自分が報告書を持っておるでしょうが。タンクの底、それは違うのですよ。いまあなたがおっしゃったのは、配油管が五本悪かった、こういうのでしょう。その証拠にあなたのほうの、消防局のほうでも、この状態を見て、こういうふうに言っているのですよ。消防局の担当者は、十分な点検を怠った業者のミスが考えられる、こう言っておるのです。こういうことを指摘しているということは、親指大の穴が、三つであろうと四つであろうとあいておったことは間違いない。その前には修理もしておるというのでしょう。修理が不完全だったかもしれませんね。  それでは、これはやはりそういう事実を認めざるを得ない。まさか政務次官はそれを違うとはおっしゃらないでしょうね、いまの話を聞かれて。確認しておかないとあぶない。
  159. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 私のほうの出先の海上保安庁からの報告によりますと、御指摘のとおり、親指大の腐食個所が三カ所発見された、こう報告がございますから、事実関係として御指摘のとおりだろうと思います。
  160. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 結局昨年の年末ごろからずっと油が漏れて汚染しておったか、最近になって油の流出が発見される間近にこういう穴があいたのかということは、これはやはりまだ推定の段階だろうと思います。いずれにしろ広範囲の地域にわたって油が地下に滞留しております。報告によると土中に滞油しているという。  ですから、私は、まず、汚染地区の範囲というものを調べたんだろうか、またその汚染地区の範囲のいかんによっては打つ手も変わってこなければなりませんから、そういうものの把握と、それからそれに対する事故処理計画等でございましたらお聞かせ願いたいのです。これは、それをやりませんと、二次災害のおそれがあるのです。やっておりますか、やってないか、面積はどういう地域に広がっておるのか、それだけ、わかっておればお聞かせ願いたい。
  161. 手塚良成

    ○手塚政府委員 海上保安部としては、これは海面に流れましたもの、それとの関連におきまして、市の消防局と連絡をとってやっておりますので、陸上関係については、消防局御主体で御調査になっておると考えております。  海面の防止等につきましては、私どものほうで先ほど申し上げましたようなオイルフェンス等を点検さしておりまして、現在の段階においては、外部への拡散は防止されておると思います。
  162. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 基地の陸地の部分につきましては、三十六個の穴を掘りまして、ガスの検査をやった結果、おおよそ百メートル掛ける百二十メートルの範囲に油の漏洩している個所が限定されているのではなかろうかというふうに報告を受けております。
  163. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私、現場へ行きましたときに、その汚染地域の見取り図を要求しておったんですが、海上保安庁のほうにきておりますか。
  164. 手塚良成

    ○手塚政府委員 まだ私のほうの手元にはきていないようでございます。
  165. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そこで、海上保安庁は、陸上のほうのことだから消防局にまかせたといういまのあなたのお話でありますけれども、実際の現場はそうじゃないです。海上保安庁が先頭に立ってやっているんです。穴を掘ったのも、全部海上保安庁が音頭をとって業者なり、港湾局なり、消防局を呼んで、話し合いの上でやっているんですよ。どうも現場に対する認識というものが、そういう間違った感覚で——こういう問題を、これだけの事実関係を確認するのに、これだけ時間が要るというのは、ほんとうにどうしてだろうかと思うんですよ。やはり海に流れた油の問題については、現場では海上保安庁が先頭に立ってやっておる。それに対しては、私は敬意を表している。また現場も一緒に見に行きました。穴も二十六カ所掘ってあるでしょう。ところが、私たちが見れないような場所にも掘ってある。立ち入りできないところに掘ってあって、確認ができません。いま消防庁のほうでも百メートルの百二十メートル四角の広さだ、こうおっしゃいますが、穴の掘ってある部分を見ますとそんな範囲じゃないですよ。何倍と広い範囲ですよ。あまりにもその調査がずさんであるから、私のほうで調査したものをどんどんあなたたちに教えていくようなことでは、これは質問にならぬ。はなはだ残念です。  そこで、私のほうからいまわかっている事実関係をもう少し申し上げますと、そのほかにタンクから油を輸送します配油管、配油管といいますかパイプですね、これにも五、六カ所の損傷があった。消防庁のほうは五カ所といいますが、私が調べたのでは六カ所、これはマッチ棒くらいの穴があいておった、こういうことなんです。私が先ほどから言っておりますように、昨年からこういうわずかずつの油の流出事故が起こったりしているならば、まず油の流れ出したと思われる数量というのは、タンクの中に入っているんですから——まだしかし、完全にタンクを調べたわけじゃありません。半分くらいしか調べていない。半分くらい調べた中の一つのタンクはそのように穴があいておった。それと別に配油管にも穴があった。そのタンクからの配油管か何かわからないんですが穴あいておった、こういうことになりますと、このタンクに入っております油がほんとうはどのくらい流出したものか、こういう点と、いま申し上げました、汚染された、地下にしみ込んだその汚染の範囲といいますか、こういうものがまず把握されなければならない問題ではなかろうかと私は思うわけです。ところが、どうもそれはまだ完全になされておらない、はっきり言えないというふうに私は聞き取ったのです。  そこで、次に問題にしたいことは、こういうことを聞いていろいろ調査なり現場に当たって調べてみますと、一番問題点は、そういう石油基地、タンクを持っておる企業に対する注意といいますか、油を貯蔵しているその貯蔵設備、機械等に対して常に注意をしておかなければいけない、そういうことがそれ以前に大事ではなかろうか。今度の事故にしましても、そういう段階でほんとうならば海上保安庁なり関係当切に、修理をしたというような連絡があればいいんですけれども、そういうことも企業立場に立ってみればしない。そういう企業独自のエゴ的な考え方、方向かありますから、それを何とかここで、タンクについては一切の設備について年に一回あるいは何年に一回定期検査でもするとか、また消防庁のほうでは抜き打ち的にそういう検査をやるとか、そういうふうにすべきだと私は思うのですが、この点いかがでしょうか。そういうことをやるべきではなかろうかと思いますが、政務次官のお考えはいかがでしょうか。
  166. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 私ども海上保安庁の現地からの報告に依存するより方法がないわけですが、陸上で三十何カ所穴を掘ったところ、その各穴から依然として油がわき出ていることは御承知のとおりです。石油というのは、水があってその上に浮いているものですね。そうすると、穴を掘ってそこからみんな油が浮いているということは、ある程度どもの想像よりもっと多い量が地下に浸透しているのじゃなかろうか。しろうと考えですが、こう判断します。そういう判断からすると、これはよほど重大な事故であって、簡単に済まされる問題じゃなかろう。また今後のことを考えた場合、他にもこういう事故が発生した場合のことを想像したとき、御指摘のように、定期検査なり現場の監督なりについて、油によって与える被害をよく認識した上で、もっと適切な処置をとらなければ、たいへんなことになるのじゃなかろうか。御指摘のとおり、二次、三次の公害に発展するおそれなしとは言いがたいと思います。したがいまして、御指摘の点と、私の考え方とは全く同感でございます。
  167. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それでは消防庁のほうはどうですか、そのことについて。
  168. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 消防法に基づきまして、石油タンクあるいは配管についての構造規制、取り扱い規制ないしは技術的にとるべき具体的な予防上の措置等についていろいろ現地の消防局が指導をしておりますが、御指摘のとおり、こういう漏洩事故にかんがみまして、今後はもう少し検査のやり方を具体的にきめまして、実際的な点検が局のほうでとれるよう指導して、このような災害が未然に防止できるよう指導してまいりたいと思っております。
  169. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 消防法によりますと、危険物の施設の設置手続とか、その施設の維持規定というようなものがきめられておるようです。ところが、その維持規定によりますと、たくさんございますが、その中で、先ほど私ちょっと触れましたが、タンクの中に入っております油の量を自動的にはかるいわゆる自動計量装置というのが設置基準の中にあるそうでございます。そうしますと、私さっき申しました、そのタンクの中に入っております油の減りぐあいが必然的、自動的にわかってくるということですね。消防庁のほうでは、この出光のタンクの中からどのくらいの油の流出があったか、その辺の調査はなさっておりますか。どのくらいの量がなくなっているのですか。
  170. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 いま入手いたしております情報によりますと、昨年の十二月の検査のときに補修いたした場合、三百八十七リットルくらい漏れたのではなかろうかということが想定されております。現在までに至っております漏洩量についてははっきりした量を把握しておりません。
  171. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 おかしいですね。昨年の修理したときは三百八十七で、その後の量はわからぬといいますが、ずっと漏れておったことは事実でしょうし、自動計量装置がついておればわかるのじゃないですか。どうですか。
  172. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 油の出し入れの数的なことについては出光の記録を調べることによって判明することだと思いますので、後日御報告をさせていただきたいと思います。
  173. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまお答えになりましたその記録ですけれども、記録を見せてもらいたいと思っていろいろ交渉してみたのですが、現実に油が流れ出て油が地下にしみ込んだものを穴を掘って見てみますと、そこはまっ黒いものかどんどん出ているのです。そこに監視員が一人おるのですけれども、黙って、何もものも言わないし、見ているのか見ていないのかわからないような状態で穴を見ているわけですが、油はどんどん出ている。そういうような現場を見まして、会社の記録にそういうものがあるのではなかろうかということで尋ねてみましたけれども——やはり企業の秘密でしょうか、そういうものと関連があるのでしょう。そういうことになりますと、この原因者である企業、並びに原因をつかまえてそれに対する対策を立てようとする当局との——また不安がっておる住民の人たちを納得させる意味においても、私は何かそこに現在の消防法の規定だけではもの足りなさを感ずるのですが、そういうことについての検討をしてみるお考えはありませんか。
  174. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 タンクから油が漏洩しますと、火災危険その他の海上汚染等の災害を惹起するわけでございまして、現地の消防局としてはかねがね危険物品の施設については特に重点的に査察をしておる実情でございます。今回の漏洩につきましては、残念ながら情報の人手に乏しく、御指摘のとおりの結果になっておりますが、昨年の十二月に出光のほうのC重油のタンクを修理しておりますが、その修理の時点にさかのぼりまして、これが適法であるかどうかの検討を含めて強い態度で臨む措置で目下検討中でございます。
  175. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 事故が起こってからでもそういうことをやってもらうことはいいことでございますが、そういう石油基地にあります危険物の貯蔵庫がそういう状態であること自体に私は少し不安を感じますし、まずいまの維持規定等を見ましても、タンクというようなものはある一定の正常な状態のところに置かれておるときのタンクの耐久度といいますか、そういうものと、ああいう埋め立て地のような場合、その場所へ行きますとほんとうに潮のにおいかぷんとしますが、塩分を含んだような埋め立て地にそういうものを置いた場合の耐久度も当然考えていかなければならない、こう思うのですが、そういうタンクを新設するときには、もちろん何か設置基準等のいろいろな規定がありまして、検査もあるようですけれども、一回新設して、その後は何も検査というものがないように聞いておりますが、それは間違いありませんか。それが一つと、タンクというものは大体どのくらいの耐用年数といいますか、耐久度を保つことができるのか、そういうことについて調べてあればお聞かせ願いたいと思います。
  176. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 消防法に規定されております検査の規定は、年に何回という定期的なそういう規定のしかたではございませんけれども、常に必要とあらば査察をいたしまして危険個所の具体的な検査をするようになっておりますので、現地においてはそのようにやっておるはずでございます。  第二の御指摘のタンクの寿命につきましては、御指摘のとおりタンク基地の土地の状況、埋め立て地の土質等からそれぞれきまる問題で、耐用年数等をなかなか一がいに申し上げにくいのですけれども、私どものほうの常識では、一応十五年以上はだいじょうぶではなかろうかという判定を常識的に下しておる状況でございます。
  177. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 原因者である石油企業のほうの監督官庁であります通産省としてはどういうお考えでありますか。
  178. 森口八郎

    ○森口説明員 本件は、漏出をいたしまして地域の住民についていろいろ不安感を抱かせましたことは、まことに申しわけないことと思っておる次第でございます。元来石油基地そのものは、大体一般的には水を扱いません。また漏出は非常に少ないケースでございますので、おっしゃるように企業側の監視体制も行き届かない点があったのではなかろうかというように存ずるわけでございます。事故の原因等につきましては、取り締まり官庁であられる消防庁ないしは海上保安庁のほうでそれぞれ究明中でございます。その事故原因の究明を待ちまして企業指導をいたしたいというふうに考えております。
  179. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 原因者である企業を監督する通産省がそういう抽象的なことでは私は納得いかない。もちろんそういう流出事故などのあった場合の措置は、海上保安庁なり消防局がやるかもしれませんけれども、油を流してわからなければ黙って知らぬ顔をしておるという企業に対して、あなたたちはそういうことだけしかできないのですか。私も現場に二週間もたって行ってみましたけれども、あの油の出ておる穴のところにもしもマッチやたばこの吸いがらでも入れたらどうなるのでしょうか。よくわかりませんけれども、住民なんかもいっております。大爆発が起こらなかったからよかったものの、今後はたいへん心配で夜も眠られない。住民の不安の原因企業じゃありませんか。その企業を監督しておる官庁が、規定のものをつくっておったから、規定の検査に合格したからといっても、実際はそういうものが腐れて穴ができるということが起こっておる。いま耐用年数は十五年だと聞きましたけれども、このタンクは十年たってもう腐れておる。そういう危険物に対する通産省のお考えははなはだ満足できません。これを機会にしてもいいですから、もう少し何とかこの問題に対する監督をきびしくするなりそういう方向でのお考えをお聞きしたいと思います。
  180. 森口八郎

    ○森口説明員 若干ことばの足らなかった点がありますので申し上げたいと思います。  こういうような事故が起こります原因について、当然監督官庁等でも原因の究明はされるはずでございますけれども企業側のほうでも現在、いかなる原因でこういう漏出事故が起こったのか。一般的には考えられないところに起こってきたわけでございますから、現在技術者を現地に派遣をいたしまして、事故原因の究明につとめております。私どもはそういう事故原因について企業側の報告を徴しまして、ほかの企業でそういうような事故が再び起こりませんよりに、先生のおっしゃいましたように、この事件を契機にいたしまして厳重に企業指導をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  181. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 佐藤政務次官、いま監督官庁の通産省のほうがそういうお考えで、たいへんまだ抽象的な言い方で私はほんとうに納骨できないのですが、政務次官、政治家としてこういう企業のエゴイズム的なやり方に対してはどのようなお考えをお持ちですか。
  182. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 政務次官という立場で広義的に解釈すると政府側ということになるかと思いますが、事実関係からいうとむしろ私のほうは被害者的立場に立つわけでございます。これは御承知のとおり消防法上の問題であって、消防庁並びに地方公共団体、またそういう企業に許可している通産省はもっとき然たる態度で問題の処理に当たるべきものと考えます。また海上保安庁の立場から、運輸省立場から申し上げますと、いま指摘しました消防法上ですと自治省でございますから、自治省並びに通産省に対しても一刻も早くタンカー等に積みかえるなりあるいはタンクローリーに油を抜き取るなどして、原因を究明すると同時に、善後策に万全を期するよう、当方の立場からも一緒になって問題の処理に当たりたい、かように考えております。
  183. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もう少し消防庁のほうにはっきりお答え願っておきたいことは、これは先ほどからタンクのことばかり触れましたが、配油管の件ですけれども、この配油管が地下に埋設してあるために、今度の事故を見ましても、事故発見のためにたいへん手間をとっておるというようなことで、この地下に埋めたものを地上のほうに配管をし直すというようなことを現地の消防署では指示しておるようでございますが、また約来しておるようでございますが、これに対する消防庁のお考えはいかがですか。
  184. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 配管を敷設する場合は、地上のほうがより安全であると思いますので、その指導は適切であろうと思います。  なお、タンクの一般的な配管についても、かねがねできるだけ地上配管で敷設するように指導しておりますので、さらに今回の事故を教訓として検討してまいりたいと思います。
  185. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 その問題はそれでは考え方が一緒のようでございますから、そのようにしていただきたいと思いますが、こういう問題がいままでに起こらなかったからいいような問題の、全国的にこの石油基地というものはたいへん多くできておりまして、またそれによりますいろんな汚染というような問題も問題になっておりますし、この際こういう石油基地のあるところにつきましては企業側を監督、督励して、ひとつ点検をしてみるというふうなことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  186. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 今回の事故の原因を早急に究明するとともに、タンク及びタンクの配管等からの漏洩事故のないよう、タンク類についての具体的な検査を現地をして指導してやらせるよう、なお点検のやり方については上のほうからこまかい指針をやはりつくってやる必要があるのではなかろうかと思っておりますので、さらにそういう点をも加えて保安に万全を期してまいりたいと思います。
  187. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういう消防庁の行き方に対して、それを受けまして通産省では石油基地につきまして、特に業界の自主的なそういう安全点検ということ、施設改善等について力を入れるべきである、こう思いますが、いかがですか。
  188. 森口八郎

    ○森口説明員 今回の事件を契機にいたしまして、石油基地等につきまして安全性あるいは公害防止等について、点検を実施するよう処置いたしてまいりたいというように考えております。
  189. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 その場合、いまの消防庁の意見をよく聞きながら、まず指摘されるまでもなく通産省独自で業界が自主的に行なえるような、また行なわせなければならないようなことを通達してもらいたいのですよ。ただこの場であなたたちそういうことを言うだけで事を済まそうとしておりますと、またどういう事故が起こるかわからない。一ぺん事故が起こったら、これは取り戻すことができないじゃないですか。人命にしろ自然の汚染にしろ、たいへんなことだということを私はつけ加えておきます。  そこで問題は、今後まだこの地中に流れ出ました、地下に滞留しております油によるところの被害、いわゆる二次災害というものも起こる可能性が十分ある。私が現場を見ましたときにも、あの辺は埋め立て地でございますから、砂浜です。そういう砂浜で子供が遊んで土を掘って、そこにまず油が出てきた。そういうところに引火物が投げ込まれた場合には、どういう人命損傷の事故が起こるかわからないと思うわけです。それは一応仮定の話でございますけれども、そういう事故なりまた海の汚染によります魚貝類の被害、こういうものが現在もう出ておるような状況でございます。そういう現実に起こりました被害と今後起こり得る被害を予防すると同時に、起こった場合にはどういうふうな責任をとられるか、そういうことをお聞きしておきたいと思います。
  190. 森口八郎

    ○森口説明員 現実に起きております人命被害あるいは公害防止というふうな観点につきましては、それぞれ取締法で取り締まるべきであるというように考えております。  なお、不幸にしてそういういろいろな被害が起こりました場合の損害の賠償ということにつきましては、一般的には民法の原則に従って、不法行為として賠償を加害者が支払うという考え方が基本的でございます。もし加害者が、企業が現実に被害を与えておるということが判明いたしました場合には、当方としてもしかるべく企業指導してまいりたいというように考えております。
  191. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この事故に関連しましては、以上で終わっておきます。  次に、国鉄の問題につきまして、先日国鉄運賃法の審議をいたしました場合に、時間がないために私のほうから質問等を投げかけたままで答えをいただいていないものがございますから、その問題にちょっと触れてみます。  それは、政務次官もそのときいらっしゃっておればたいへん助かるのですが、おそらく十二日の運賃法の最後の審議のときはいらっしゃらなかったと思うのです、いらっしゃったですか。まあ私のほうから申し上げましょう。  国鉄は毎日の収入があります。収入を国庫のほうに預託する、その国庫に預けました金が四十億円をこえないと利子をつけないという問題、いわゆる国庫預託金に対する利子の問題、それからさらに四十億をこえた分については、余裕金として国債等の運用を許されておる、こういう問題です。そこで、こういう収入が三十六年からですか、いわゆる国庫預託金にしました中から余裕金が出て、国債等を利用しましてあがりました収入、国鉄の一年間の収入が相当な金額になるわけです。何十億という金額になるのですが、この何十億という金額を国鉄が国会に提出する予算に計上したときもあるし、計上しない年もあったという事実を私が指摘したのです。   〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕 これは国会に出す予算で、国鉄の収入が当然あがるものがあがらないという予想をかってに立てて予算の収入面にあげないということはどういうことですかね。
  192. 石川達二郎

    ○石川説明員 ただいま御質問の、予算にあげなかった年は四十一年からでございまして、四十年度まで予算にあげておりました。余裕金の運用利益の収入を四十一年度についてあげなかった理由というのは、当時の事情をつまびらかにいたしかねるものがございますが、大体の推測でございますが、三十九年、四十年と大幅の赤字が出始めております。再建計画等につきましても四十年はまだ実施されておりませんで、その辺のところから四十一年には余裕金はほとんどないのではなかろうか、余裕金を運用する余地があまりないのではないかということで、一応余裕金の運用利益を見込まなかったものと考えられる次第であります。
  193. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういうことは言えないのですよ。四十年から国鉄が赤字になったから予算にあげなかったと言うけれども、それじゃ、ずっとその後赤字ですからずっとあげられないのじゃないですか。四十年には予算には四億ですか、端数は切り捨てますが、あった。政務次官聞いておいてください、四十年は四億あげておったのです。実際は七億七千万円収入があがっておるのです。予算には四億三千万、それが実際は七億七千万あがったのです。そして、いま御答弁いただいたように、その後は、国鉄が赤字になるようだから利子の収入はあげなかった、こういうことですけれども、実績は十六億あがっておるのです。予算にはゼロにあげて実際は前の年の二倍以上あがっておるのです。これはこうなりますよ。国鉄の収入というのは四十年と四十一年は毎日の収入がそんなに減るわけはないから、その毎日の収入、支払いについてちゃんと計算している、あなた経理局長だからよく御存じのはずです。ですから、そんなに景気が悪くなっても、国鉄が赤字になったからといって、前の年に一日平均収入が三十億の収入が二十五億とか二十億になるはずはないのですね。三十億以上あるはずです、毎日の収入が。ですから、そういうことを考えれば四十一年だけあげなかったということは、四十一年は赤字に転落したからそういう方向であげなかったということにはならない。その証拠に、四十二年も収入面にあげない。ところが、今度は四十一年のまた倍、三十二億あがっているのです。四十三年はちょっと減って二十億あがっているのです。これはやはり国鉄の体質の問題といいますか、まずこういうことをきちっと指導しない政府の、特に大蔵省の——このとき私申し上げましたが、前国鉄総裁の石田さんが、大蔵省のことを一ぺん右向いたら絶対に左を向かない体質だから大蔵省はだめだ、そういうことばお話しになっていることを私例に引いて言ったのですけれども、まだこまかく入りませんけれども、こういう、ある意味からいえば、国民をだましたやり方ではないですか。政務次官どう思われますか。
  194. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 私は予備知識も何もなく、いま初めて聞くことです。御指摘のとおりとせば適当な方法ではないと思います。
  195. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 適当な方法でなかったことは、もうだれも認める以外にないと思うのです。ですから、今後、国鉄はそういうものをどう反省してやっていくかというような問題になる、こう思うのですが、もう一回最後にそういう点について。政務次官だけに聞いてもどうかと思いますが、国鉄当局から反省して、大蔵省もそういうことについて、ほんとうに赤字経営の国鉄を国民の鉄道として何とか育てていこうと思うならば、いまの制度はよくないということは、私はまた何かの別な機会で論議をしたいと思いますが、いま私が言ったことについては、大体事務当局はよく御存じのはずですから、それに対するそれぞれの簡単な答えをお聞きして終わりたいと思いますから、簡単にやってください。
  196. 石川達二郎

    ○石川説明員 四十一年から四十三年の予算に計上しなかった点はおっしゃるとおりでございまして、その後の実績を十分に勘案いたしまして四十四年度から予算にもきっちり計上してございます。しかも、年々苦しい資金運用の中からこの面の収入を増加するように、その後もできるだけ努力をいたしてございます。
  197. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 いま経理局長お話を聞いて理解できたわけですが、決して正当な予算計上の方法ではなかったと思います。反省すべき点は反省し、国民の負託にこたえるような明瞭な経理の方法を今後とも指導する所存でございます。
  198. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 以上で終わります。
  199. 小峯柳多

  200. 和田春生

    和田(春)委員 本日は国政審査の一般質問の時間でございまして、幾つかの問題があるわけですけれども、まず最初に、当面している海員ストの問題について運輸省当局にただしたいと考えるわけであります。  海運局長、船員局長来ておりますか。——この問題について、前回の委員会でもっぱら本件に集中して質問をいたしておりますので、その重複は避けたいと思いますけれども、この前の私の質問からすでに相当の期間がたっております。その後幸いにして内航の全内航関係は一応解決をすることになってストが解除されておるようでございますが、外航二団体と内航二団体はいまだに解決のめどが立っていない、争議が続行中であるわけであります。  そこで、まず最初に船員局長に伺いたいのですけれども、争議の現状をどのように把握しておるか。時間もありませんから、私は専門ですから、端的に要点だけをお伺いしたいと思うのです。
  201. 佐原亨

    ○佐原政府委員 現在いまだに労使の主張が隔たったままで争議が続行中でございます。六月七日現在で、停船隻数が、外航のほうで五百八十二隻、内航のほうで百九十隻という状況でございます。
  202. 和田春生

    和田(春)委員 争議の状況というのは、とまった船の数じゃないですよ。あなた船員局長でしょう。陸では労働省が労働行政を担当しておるわけですが、海の場合には、運輸省というのはもちろん船だけではないけれども、船員局というものが船員の労働行政を取り扱うことになっておるわけなんです。言うなれば海の労働省のはずなんです。この前質問をしたときも、船が何隻とまっているとか、まだ被害はあらわれておりませんとか、まるっきりどこかの第三者みたいなことを言っているけれども、いまの争議の状況をどういうふうに把握しているかということを聞いているのです。
  203. 佐原亨

    ○佐原政府委員 五月二十八日に船主のほうから団体交渉再開の申し入れを全日海にいたしましたところ、全日海のほうでは、漁船もすでにきまったことでもあり、かなり思い切った回答がなければ団交に応じても意味がないということで、一応団交は再開されないまま今日に至っております。したがいまして、現在では、全日海の態度は、漁船あるいは漁船プラスアルファという線でございますし、船主のほうは二次回答に若干の上積みも考えられぬこともございませんけれども、船主経済の立場もあってそんなに高額は出せない、こういう対立のまま現在に至っておる、このように把握しております。
  204. 和田春生

    和田(春)委員 交渉の内容ではなくて、いま言ったように、争議の現状をどういうふうに把握し考えているかということを聞いているわけなんです。船員中央労働委員会運輸省の所管になっているわけですね。私は決して政府が民間産業における労使の団体交渉に直接介入しろということは言ってないわけです、しかし、現に非常にたくさんの船がとまっている。外部に対しても次第に大きな影響を与えつつある。しかも、この争議はもうずうぶん長いこと続いているわけです。そういう中で、漁船部門は解決をした。また海運産業の一応底辺をなすといわれている一番小型の内航の分野の全内航も妥結をした。その中心をなすところの外航二団体、内航二団体が依然膠着状態のまま進んでいる。陸上の賃金も大かた解決した最近においては、およそ賃上げの場合の世間相場というものもありますし、そういうものをお互いにらみながら、波及効果というものは労使ともに計算しながら問題を妥結していく。海の部門でも漁船と内航というものが解決の線が出ているにもかかわらず、この争議は依然として解決のめとが立っていない。そういうことについてどう考えているかということを聞いているわけです。  あなたが答えられなければ、ひとつ政務次官にお伺いしたいと思いますけれども運輸省の中で、大臣、政務次官を含めてこういう問題について検討したことがあるかどうかお伺いをしたいと思います。
  205. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 たいへん苦しい答弁になりますが、新聞紙上で見ると、すでに五十何日を経過しているというお話ですが、今日まで私は詳しい報告を受けていません。したがって、御指摘あるいは御批判をいただく結果になると思いますが、私に関しては、そういう対策を役所が一緒になって今日までとったという報告を受けていないということは肯定せざるを得ないと思います。
  206. 和田春生

    和田(春)委員 いまの政務次官の答弁は実際驚くべきことだと私は思うのです。この間から、運輸大臣に対しましても、何度かこの問題について、別に公式にどうこうというわけではございませんが、たいへん重大な問題だからいろいろと話し合いをやりたいという形で連絡をとりました。ところが、まるきり国鉄の運賃値上げのほうに頭が向いてしまってうろうろしておって、時間がとれるかどうかわからぬという態度であります。確かに国会の会期も残すところ少ない、そういう中で、政府にとって国鉄の運賃値上げ法案は非常に大切かもわからない。しかし、国内における貨物輸送のおおむね半分は海運が背負っている。また、外航は日本の貿易、輸出入にとっても非常に重大な関係がある。争議が十数日になっている。こういうような状況のもとで、国鉄を担当している鉄監局長ないしはそのスタッフが夢中になることはいいけれども運輸省があげて国鉄運賃の問題に血道をあげて、この大事な海運争議について関心を示していないばかりでなく、船員局長から政務次官のところにそういう問題について詳しい報告をやっていないというのは一体どういうことなんですか。船員局長、どういう連絡をとったのですか。
  207. 佐原亨

    ○佐原政府委員 まことに申しわけなく思っております。実は、大臣、事務次官、海運局長、船員局長はたびたび会合いたしまして、それから船員中央労働委員会との接触もたびたび行なっております。ただ、こういう場所でこうあからさまに言えないことがございますので、たいへん失礼でございますけれども、全然手をこまねいておるわけでは決してございません。一日も早く解決するように努力いたしておるつもりではございます。ただ、政務次官にちょっと連絡が悪かった点は、まことに申しわけないと思います。
  208. 和田春生

    和田(春)委員 政務次官は大臣が不在のときに大臣の代理をされるわけでありますし、この前の質問のときにも政務次官に立ち合ってもらっていたわけです。やはりこういう問題については、もっと部門の連絡をよくして、的確に対処することが必要だと思うのです。しかし、その問題はその問題として、運輸省の内部の体制の問題ですけれども、船中労委も運輸省の所管になっているわけですが、この争議について現在船員中央労働委員会はどういう動きを示しておるか、そのことについてお伺いしたいと思います。
  209. 佐原亨

    ○佐原政府委員 船員中労委は船員中労委なりにいろいろ所沢会長以下公益委員先生方が集まりまして協議をされております。それからストの妥結を願いながらいろいろ裏面において説得工作に当たっておるわけでございます。
  210. 和田春生

    和田(春)委員 いろいろじゃ困るわけですよ、いま国会で質問しているわけですから。もちろん、そういうものの動きについてはいまにわかに公にはしにくいという動きがあるかもわからない。しかし、船員中央労働委員会運輸省の所管になっている。たとえば、中央労働委員会は労働省の所管になっている。しかも、中労委と労働省はその役所を別にしておりますけれども、私も公労委やその他陸上関係にタッチしているけれども、重大な争議が発生しているときには、やはり労働省はそういう問題について的確につかんでおりますよ。争議に介入するような動きはもちろんしないけれども、やはり争議が続いているということは国民にとって不幸なことですから、どうやってこれを円満に解決をするかということについて常に関心を払っている。もし政府がその中において果たすべき役割りがあるというならば、即刻手を打たなければならない。このことについては、この前の委員会でも海運局長にもいろいろ政策面ではお聞きしたわけです。いろいろやっているというふうなことでは答えにならないですよ。どういうことをやっているのですか。
  211. 佐原亨

    ○佐原政府委員 船員中央労働委員会と私のほうとで、あるいは事務次官を含めましていろいろと連絡をとっておりまして、話はつながっておりますが、まことに申しわけございませんけれども、こういう席ではちょっと他言をはばかるような面もございますので、御容赦いただきたいと思います。
  212. 和田春生

    和田(春)委員 他言をはばかるようなこともあるので御容赦を願いたい、こういうことですが、この前のときにも私は質問をしたのですけれども、船主サイドでは運輸省に報告に行って、出せないから出さぬのではない、組合の体質改善が先であるとか、あるいはこの際労使関係を徹底的に直すためには断固戦わなくてはいかぬとか、こういうようなことを言って、問題をエスカレートさせるきらいがあるということについてただした。それについてあなたは、表現のこまかいところは別だけれども、大体そういう趣旨の話は聞いている、こういうふうに答えた。それでは、私は、そういうことを聞きっぱなしにしておいていいのか、こういう点でもっと運輸省はしっかり考え方をきめてもらわなくてはいけないという意味のことを意見として申し上げ、ただしたはずなんです。なぜならば、組合の要求が高い低いということはありますよ、人によって見方があるのだから。しかし、それは団体交渉できまることでしょう。またそれぞれの立場によって見方もいろいろあるわけです。だから、組合の要求が高いとかあるいは船主の回答が低過ぎるとか、そういうようなことならいいけれども、出せないから出さぬのではない、体質改善がどうのこうのということに問題が発展をしていけば、それは経済問題として要求している組合の要求と労働争議が全く別の次元に発展をしてしまう。そういう形で経営側は受けて立つというならば、組合側もそういう間違った土性骨をたたき直すために断固戦い続けるという形になれば、経済的な問題として要求をしていることが、まるっきり問題点が別に移ってしまって、争議がますますエスカレートするではないか。  そういう点について、争議の中に入って、賃金を幾らにしろとか、組合の要求を下げろとか、船主はもっと出せとか、そういう介入を運輸省はすべきではないと思うけれども、労使関係の根本に関係する問題について、そういう不届きな言い分を聞きっぱなしにしておいていいのか。むしろ、経済問題は経済問題として解決するように適切な助言をするということが、海の労働省としての運輸省の役割りではないのですか。そういう点どうなんですか。
  213. 佐原亨

    ○佐原政府委員 前回の御質問のときに、そういったことばの端々にそういうことを言っておられるということを私は認めましたけれども、それからその後新聞記者会見の場でも船主側が同じようなことを言っておるようでありますけれども、そういう点につきましては、あくまでも経済問題として、少しでも高額回答をするように、そういった体質の問題は別なんだということで説明はしております。ですから、いま一歩絶対出せないということではございませんけれども、組合側の要求額の漁船並みまでは出せないという経済問題として現在主張が対立しておる、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。決して体質問題でいまひっかかっておるということではないと思います。
  214. 和田春生

    和田(春)委員 あなたはそう言うけれども、現実に争議はだんだん長引いておる。ほっておけばいつまで続くかわからない。国民経済にとってもたいへん大きな損害であるわけです。  どうも今度の争議の経過というものを見ていると、巷間一部のうわさですけれども運輸省が船主をけしかけて争議を長引かせているのではないかというような声すらあるわけです。まさかそういうことをしておるとは私は思わないけれども、客観的に見ると、そういうことについて、解決のために果たすべき役割りというものはいろいろあるはずです。私がここで政府の局長に、こんなことはどう、こんなことはどうと言って教える必要はないと思いますけれども、いままでの経緯を見れば、そういう点についてあなた方は、局長たる資格において、労働行政の最高責任者なんですからわかっているはずなんですが、あまりにも動きがにぶいではないか。つまり、争議に介入するのではなくて、公正に解決をできるような舞台づくりをやるということのために影響力は行使できるはずです。特に運輸省の場合には事業官庁が一緒になっているわけで、いろいろな政策面を通じて——このこともこの前私は言ったけれども、船主との間にはいろいろな面でパイプもあれば接触もある。そういうときにいまのような状況がいいかどうか、こういうことについては十分考えてもらわなければいかぬと私は思うのですね。  そういう点で、政務次官は、十分な連絡を受けていないのでまことに遺憾だけれどもその点については的確な答えはできないと言うし、船員局長もはっきりした答弁ができない。やっている具体的な中身についてここで言うのではなくとも、少なくともこういう問題に対しての考え方というものはあっていいと私は思う。大臣がいなくて、政務次官にあなたが十分報告していないというなら、あなたが一番の責任者でしょう。そういうような運輸省の船員行政のあり方というものは、争議をエスカレートさせる遠因、誘因になっていると私は思うのです。事業官庁かもしれないけれども、労働問題については常に労働者の立場に立ってものを考えなければならぬ。これは労働組合の立場に立ってものを考えるということではないのですよ。やはり労働者の立場に立ってものごとを考えていくという一つの視点がなければいけないわけです。そういう点では、やはりここまで争議が長期化をしているわけですから、運輸省全体として根本的に反省する必要がありますし、大臣でも運輸次官でもまた政務次官でも、どんどんそういう点は相談をして——国鉄の運賃値上げに血道をあげているような態度というものはやめる必要がある。したがって、この点については政務次官から、この問題に対する質問の最後として、所見を伺っておきたいと思うのです。
  215. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 その職責からしてまことに申しわけないと思いますが、振り返ってみると、例の海員ストライキの中でも最初に解決しました漁船関係、このことについては、私は海員組合に直接出向いていろいろ相談した経過等もございます。また、先般の全内航の件についても、和田先生御承知のとおり、私は全く関係していないことはございません。事務当局からは報告は受けていませんが、私なりに与えられたる職責を考えて微力でございますが多少なりとも努力したつもりでございます。しかしながら、現実面においていまだその解決を見ていないことは、たいへん不幸なことだと思います。金額が高いとか安いとかいう問題を離れて、お互いの立場を尊重しながら、より早くより公平な結論が出るように、運輸行政の監督の立場にある者として積極的に事に当たって問題を解決したい、かように考えております。
  216. 和田春生

    和田(春)委員 いま政務次官のそういうお答えでございますが、文字どおりそういう気持ちでやってもらいたい。そうでないと、船員局なんというものは運輸省の盲腸みたいなものだから、そんなものはないほうがいいというような意見が出てくるというのは、やはり確固とした主張がないからだと私は思うのですね。そういうことが言われないように、海の労働行政をあずかっているということで、これは船員局長だけではなくて海運局長も含めてしっかりと問題を把握しながら対処してもらいたい、こういうように要望しておきたいと思います。  時間の関係もございますので、次の問題に移りたいと思います。  これは争議にも非常に関係があるわけですが、先般も内航海運対策につきまして海運局長の所見をただしました。内航の場合には、実際それぞれの業態によって立場は違いますけれども、政策的に非常に立ちおくれている。そのこと自体が外航との間に差をつけられて、船主の立場をたいへん苦しいものに追い込んでいるということはこの前も強調いたしましたし、重ねて申し上げる必要もないほど運輸省でもよくわかっておると思うのです。  ところで、この前幾つかの問題について質問をいたしました。また、關谷委員からも、宿題という形で幾つかの提起がございました。これらの問題について、その後運輸省内部において検討した要点を、これまた簡潔に要点をまとめて海運局長にお伺いしたい、こういうふうに思います。
  217. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 内航の海運対策につきましては、先般先生の御質問に対しまして、こういう方針でやっていこうということで、現在関係の海員組合あるいは総連合会とうちの担当の課長あるいは参事官が一緒になって案をつくっておるということでございまして、あるものにつきましてはかなり見通しを得た。たとえば組合関係組織の再編成とか、こういう問題につきましてはずいぶん進んできた。それから、オペレーターの船の保有義務の比率、これをもっと多く持たせようという点につきまして、現在まだ突っ込んで議論しております。大方の反響は、不況でもございますから、特にこの際自分たちの企業構造改善というものをやっていこうという非常に積極的な意向に向いておりまして、私ども非常に指導がいがあるというふうに考えておりまして、いま鋭意やっております。  それから、先般、和田先生との関連で關谷先生から四点くらい、こういう問題はどうだということで宿題にしておくということがございました。たとえば余剰船を国が買い上げろという問題、あるいはまた今後建造する場合には、集約といっても、やはり何かそのためにある程度メリットがあるというようなものがないと普通はなかなかできないじゃないかということで、たとえば今後これらを解撤してかつ建造する場合には利子補給をやったらどうかという御意見も、実は私どもが考えておる案に対しましてつけ加えられたという意味で御質問がございました。  買い上げにつきましては、これはすでに去年議論をいたしまして、船主さんサイドとの打ち合わせもありまして、まあ不況で船か余るから政府がすぐ買い上げるということはちょっとできにくいのじゃなかろうか、そのかわり解撤ということでやっていこうじゃないか。ただし発展途上国に対しまして、たとえば政府間ベースで国の借款とかそういうベースに乗るならば、そして海外援助として出すというような場合には、これは国の機関を使って国が買い上げるということも可能だと存じます。ただ一般に船か余っているからというのですぐ国が買い上げてくれということはちょっとむずかしいのではないだろうかということで、去年はそのために解撤に変えたわけです。解撤するかわりにこの資金を出そうじゃないか。ですから、その点は私ども議論が済んでいるというふうに考えていたのであります。  ただ、問題は利子補給をどうするかという点でございますが、これはまさに検討の課題でございます。しかし、現在船が余っておりますが、いますぐということは——いま建造を中止しておりますけれども、もうしばらく様子を見たほうがいいんじゃないだろうか。それで、この辺でつくってもいいだろうというときがくれば、その際集約を奨励するような方法で船をつくらせるということでやっていきたい。その場合に、利子補給するかどうかということがにわかにいいというふうに実は私どもは十分検討してありませんけれども、たとえば非常な集約を強制したというような、義務を負わせるというような場合にはそのかわり国がこういう金をめんどう見よう、こういう金は補助してやろうということは通例でございますので、いまにわかにそういう問題をここでいいだろうと言うわけにはまいらぬだろうと存じます。これにつきましてはしばらく時間をかしていただきまして、船腹状況とかあるいはさらにどういうふうに不況が続くのか、もうしばらく見さしていただきまして、いずれにいたしましても、いまのところはそれはいいだろうという結論は出しておりません。ただ、内航海運企業構造改善についてもし予算が必要なら来年度予算の下ごしらえに入れていこうということでございますので、目下検討中準備中ということでございますけれども、気持ちは前向きに進めていきたい、かような現状でございます。
  218. 和田春生

    和田(春)委員 もちろん今年度の予算できめられたワク内でできることとできないことがあると思いますし、来年度の予算にまたなくてはならぬという問題であることもわかっております。  そこで、具体的に少しお伺いしたいのですけれども海運局長も慰めておられるように、内航海運を再建をしていくということのためには、海運の形態からいってやはりオペレーターというものがしっかりしなければいかぬ。ここでいいかげんなことをやっておりますと、何をやってもそこからくずれてしまうわけです。そこで問題は、オペレーターの基準を引き上げる、そういう方向運輸省が検討しておられるのはけっこうだと思うのですが、しかし幾ら基準を引き上げても、自己保有船の中に系列会社からの定期用船を含めたりあるいは支配船腹というものに定期用船以外のいわゆる運航委託船というものを含めるというようなことをいままでのように認めておりますと、幾ら基準をきめてみても意味がない。これは全く抜け道ができて、極端なことをいえば自社船を一隻も持っていないものがそういうかっこうで形だけつくってオペレーターの基準を満たす、そういうことになると思うのです。したがって、基準を引き上げるだけではなくて、いまの運航委託船とかあるいは系列からの定期用品、こういうものを支配船腹ないしは自社保有船の中から排除していく。自社保有船といえばそれは文字どおり自分が持っている船でなければならない。支配船腹というときには少なくとも定期路線契約を結んでいることが前提であるというふうにする必要があると思うのですが、その点はいかがですか。
  219. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 その問題につきましては先生の御指摘のとおりだと存じます。過去を振りかえってみますと、大体二割ぐらい自社船保有ということでございまして、あと残りの八割が運航委託船であるということでございますので、そういうことでは実際の把握力はない。責任観念もないというのがありますので、この点につきましては全く同感でございますので、先生の御意見を十分参照いたしたいと存じます。現に私どももこれにつきましては、残り二割ぐらいは運航委託というむしろ逆の割合にしたいというふうに考えている次第でございます。
  220. 和田春生

    和田(春)委員 そういう点については抜け道がないように、ほんとうにオペレーターにしっかりしてもらって公正な事業の運用に当たってもらうというような基準をつくることを促進してもらいたい、こういうふうに考えます。  それからこの前質問をしたんですけれども、標準運賃がきまっておっても標準用船料というものがきまっていない。そのために、一応標準運賃は受け取っても、たたけるだけたたいてオーナーには非常に不当に安いものしか渡さぬというようなことが中小のオーナーを苦境に追い込んでいる一つ原因である、したがって標準用船料というものについても定めていく必要があるということを申し上げたわけですけれども、その点はいかがですか。
  221. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 私どももいま考えておりますのは、用船料そのものをいま直ちに標準をきめるという前に、現在きめております標準運賃、それの荷主からの収受について、荷主からもらってもそれをオーナーに分けるその中において不合理があるんじゃないかと存じます。これは商慣習とか実力の相違ということで公正な配分が行なわれていないという点が多々あると存じます。したがいましてオペレーターが荷主からきめられた用船料をまずもらう。それからもらった用船料を合理的に配分するということで、その点につきましてそれが確保できるように——これはもちろん事業者のモラルの問題もあると思いますが、その次にはやはりそういうことができるようなシステムを確保する必要があるのではないか。それを確保して、その上にさらに用船料の標準というものをきめたらいいのではないかというふうに考えておりますが、まず第一段階運賃の収受を合理的にし、しかも公正に配分する、こういうことをするにはどうしたらいいだろうかということをいま考えております。先年御指摘の標準用船料の問題ももちろん検討課題でありますけれども、まずその前に第一段階といたしましては、運賃の収受と配分ということにつきましてどうしたら合理的、適正なものにできるかということを考えておる次第でございます。
  222. 和田春生

    和田(春)委員 この点はもちろんいろいろな他の措置を講じて、不当な中間利ざやがかせがれているというようなことを防いで、公正にオーナーに配分をされればいいわけです。しかし実態を考えていくと、やはり標準用船料というところまである程度いかないとなかなかそれが保証しがたいというところがあると思うのです。たとえば荷物は標準運賃で引き受けた。ところがそれを運ばすほうには、からで帰るよりも油代だけでもあったらそのほうが得じゃないかというようなことを言って、スズメの涙ほどの金を渡して荷物を運はせるというようなことだって実際行なわれているわけです。そういう点についてはもちろんいろいろな行政的な手段もあると思いますけれども、的確に配分が行なわれる、しかもそれが公正に行なわれるという点についてさらに努力をしてもらいたい。具体的な問題については、委員会の席上ではなくても詰めたいと思うのです。  次にお伺いしたいのは、過剰船腹の処理について買い上げるというのはいま直ちには不適当ではないか、こういうお話でございました。しかし内航の船腹というものがあまりに過剰である。しかもその船腹量というのは政府責任において定めてきているわけですから、そういう点についてはやはり責任がある。繊維と一緒にするわけにはいきませんけれども、繊維の構造改善のときには紡機を政府資金を出して買い上げる、スクラップにするということもやっているわけです。そういう意味ではいまスクラップの面についてある程度の助成策はとられておるわけですけれども、これは積極的に考える必要があると思う。しかしそこまで政府の資金を使っていかなくても、スクラップにする——解撤のほかに海外売船をどんどん促進するという方法があると思います。外航船の場合にはこれはまたいろいろな問題がありますけれども、内航船では海外に売った船が日本にやってきて安い運賃で日本の海運を痛めつけるということはないわけでありまして、向こうの国内で運航されるわけですから、そういう海外売船を促進するということについては積極的な姿勢をとるべきだと私は思うのですが、その点についてはいかがですか。
  223. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 私どもこれは昨年あたりからどこかいい先がないだろうかということで、いろいろさがし回ると言うとおかしゅうございますが、そういうチャンスはないだろうかと思って聞いておるのでございますが、たまたまインドネシアが一つの例でございます。インドネシアは内航海運がああいう国でございますから、内航海運の需要も非常に高い。しかも、船は修理はあまりしないで、つまり造船施設がないために故障になるとそのままほったらかしておくという、そういう現状がある。非常に国内の輸送が詰まっておるわけであります。日本へ何とかして力をかしてくれないかという話が去年からございました。それで私ども運輸省の担当の職員とか、開銀の職員とか、電波関係あるいは造船所の技術屋さんとか、そういう人をインドネシア政府海運総局の顧問団ということで、いまチームを派遣しております。その顧問団でインドネシアの内航海運現状、将来のあり方等につきましていろいろと検討いたしました結果、これは船が足りない。これは船をつくることもありますが、いますぐ既存船が要るということで日本の援助を仰いでおります。なお別に日本の援助以外にも、たとえば世界銀行の援助等もございまして、全部が日本というわけにいきませんけれども、そういう方向の案をいまつくりつつあります。これなど低開発国に対する非常に大きな援助になりますし、かたがた日本でも、そういう船が有効に活用されれば非常にいいと存じますので、この点は、ぜひそういう話を実らして、そういった援助物資という形で提供いたしたい。これは現在やりつつあります。  それから、それ以外に具体的にはバングラデシュが、国の再建にからみまして、道路や鉄道を敷く前に、大きな用があるので千トンクラスのタンカーとか貨物船がほしい。これは国連ベースでやっておりまして、直接日本政府のほうに参りませんけれども、国連を通じましていずれそういう要望もあるのではないか。それにつきましては、日本から、運輸省からも入りましたけれども、現地視察に参りまして、そういった再建のための諸施設調査をしています。船舶が非常に必要だということをいっております、これも行く行くは実現するのではないかと思います。  いま現在具体的に話があるのはその二件でございまして、今後こういった面でいろいろな要望がありますれば、単に船を出すということのみならず、向こうの船員の養成問題もございますでしょうし、修理の問題等ございまして、いろいろな問題についての資金なり技術の点での援助を積極的にやっていきたいというふうに考えております。
  224. 和田春生

    和田(春)委員 いまのお話で、政府としてもいろいろ積極的にやっている、こういうことについては了承するわけですが、先ほど言ったこととの関連で、たとえばそういう場合に過剰船腹を保有する何らかの機構を政府出資でつくる、そして内航船を買い上げるということも当然考えていいと思うのです。いま予算措置の裏づけもないのに、やりますとか、やりませんとかいうことは言えないと思いますが、そういう点はぜひ取り上げてもらいたい。というのは、現在内航では船腹が余って困っている。船員のほうは足りなくて困っている。そして船腹過剰というものが内航海運の市況を悪化させている一つの理由である。そういう点を考えれば、余っている船腹を買い上げて、それを開発途上国に対する援助という面に積極的に振り向けるというためには、政府機関としてそういうものをぜひ検討してもらいたいということを要望しておきたいと思うのです。  同時に、海外売船を促進するには、政府の努力だけではなくて、民間の海外売船を促進しやすいように政府がいろいろと手だてを講じてやるということも必要だと思うのです。そういう点で船舶整備公団が内航関係の船舶建造について、応募資格の中に解撤と海外売船と、一つの条件を入れている。私はけっこうだと思うのです。このことについて最近、少し理解できないような事件が起こっているわけです。具体的な船主名とかそういうものは避けたいと思うのですけれども、一応当初は船舶整備公団の応募条件に従って、解撤適船、船齢十年以上の船を解撤する、そしてかわりに新船を建造するという形で申し込んだ。それは応募のときには海外売船の引き合いが全然なかったから、そういう形で申し込んだ。ところがその後商社が間に入って、海外売船の引き合いができて売れるという話になった。そこで整備公団のほうに出かけていったところ、売ることは相ならぬ。最初おまえのところは解撤をする、こういう約束で申し込んだんじゃないか、あくまで解撤をしろ、こういうことで非常に困っているという実情を私は聞いたわけです。なるほど応募の条件としては解撤をするということにするか、あるいは海外売船は応募のときに成約をしている、こういうことが条件かもしれないが、外に売れる船があるということになれば、売らしたらいいと私は思う。だれも損しないわけです。そのことで政府が損をするわけではない。解撤のワクが広ければ別の船を解撤にすることもできる、船主も解撤よりも売船をすればそれだけ収入が多いという形で、船をそういうふうに外国に売るということについては、国内においてだれも損する者はいない。しかも業界団体もそういうことを認めてやってほしい、こう言っているのに、しゃくし定木に最初解撤という形で申し込んだのがあとから売船が出てきた、そんなものは認められぬ、こういう形でえらいゴリ押しをしておるというのは、海外売船を積極化していくという方針と実際のやり方は違うんじゃないでしょうか。その点はいかがでしょうか。
  225. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 そういう実例のあることも聞いております。実は去年までは海外売船ももちろん入りますし、解撤も両方ありますけれども、締め切り後に船がうまく話がついて売れたというのも認めていたわけでございます。ことしからはそれをやめたのでございます。それはなぜかと申しますと、いままでの例で申しますと、海外売船になるからということで建造、購入を申し込みましたところが、実は引き合いがあったけれどもうまくいかなかった、商談が破談したのだということで実は船が売れなかった、もう購入の時期に来ちゃったというのが多うございまして、そういった面での弊害が非常にあったのでございます。  そこで、ことしはそれを変えて、応募以降に船が売れてもだめですよ、それは承知ですねということを念を押して、そういう手続でことしやってみたわけでございます。ところが、実はあとでもって船が売れそうだということかと存じますけれども、ことしはそういうような手続をやっておりますし、それを承知で手続を踏んでやっておられるので、いまさらできたら何とかしてくれというのは無理ではなかろうか。形式論はそういうことでございます。ただ私どもといたしましては、先生がおっしゃったように、せっかく海外売船のチャンスでもあるじゃないか、国として損じゃないかということはよくわかりますし、それを否定するわけではございませんけれども、一応手続はそうきめておりますので、そうかということでそれをしょっちゅう変えるわけにもまいらないと思います。ただそのためには、手続の中には、過去一年以内に船を海外に売ったものがあれば、これはいまの解撤同様海外売船の資格があるんだといっておりますので、今回不幸にして、かりに締め切り後に船が売れかかったといたしましても、これは残念ながらあきらめていただきまして、その次の回にその実績をもっていけばできるというふうに規定がされているわけでございます。その点もおかしいとおっしゃれば別でございますけれども、過去の悪例があったものですから、それを今度変えてみたわけでございます。しかも、そういったような意味で、過去一年以内に海外売船をしたものは認めるということになっておりますので、締め切りにおくれたということではなくて、次回にその実績をもってくればいいんじゃないかというふうに私は考えている次第でございます。
  226. 和田春生

    和田(春)委員 いま海運局長が言ったうちの、海外売船するといっておって実は成約ができなくて売れなかったから解撤のワクに入ってくる、それはけしからぬですよ。そういうのはおかしいと思いますよ。しかも解撤のワクの中にねじ込んでくるわけですから。船をつくることにしてしまったから何とかしろ、それをとめる意味で、申し込むときにはすでに成約もできているものという条件をつけたのはわかるというのです。しかし、どうせスクラップにして解撤しようという形で申し込んでおったけれども、海外との取引なんというものは、いつどこでどんな話ができるかわからない。今度引き合いがあって売船ができるということになったものを、おまえは解撤で申し込んだから売ることは相ならぬ、あくまで解撤しろ、そういう指導はおかしいじゃないか。売れるものはどんどん売れ、解撤するものは解撤する、そうして新船建造するときには船質のいいものをつくって構造改善をやっていこうという趣旨から考えた場合に、いささか官僚的、しゃくし定木的で、政策目的が何かということを踏み違えているのではなかろうかという点で持ち上げたわけですけれども、この問題についてはきょうは時間もございませんのでこれ以上申し上げませんけれども、十分検討していただきたい、こういうふうに思います。  農林省、来ておりますか。——それでは農林省にお伺いをしたいと思いますが、実はいまもう時間ぎりぎりに来ておりますので、私は端的に申し上げるので端的にお答えを願いたい。  第六十三回国会、昭和四十五年九月十日に私はこの委員会で輸入植物の消毒についてメチルブロマイドの使用、それからそれにかわるべきより安全で性能の高い薬品の使用という問題について質問をいたしました。岡安農政局参事官が答えているわけでございます。  そこで、その後メチプロはいろんな面で問題がある、特に今日薬害、公害等の関係でメチブロのような危険なものについてはいろんな面で問題にされている。これにかわるべき性能のいい薬品として燐化アルミニウムというものが登場してきているわけです。私も海外の資料をずいぶん調べておりますけれども、非常にこの薬品の安全性及び性能というものが認められて、たいへん多くの国でこれが広範に使われているにかかわらず、わが農林省は徹頭徹尾メチブロを擁護して焼化アルミニウム剤の使用をいかにして妨害するかということに血道を上げてきている。ここに新聞の切り抜きもずっと持っておるけれども、きれいに新聞の切り抜きを並べれば、まさに農林省のそういう姿勢がクローズアップされる。そのことについて、四十五年の質問のときに、聞くところによると、メチブロ製造会社に農林省の役人が天下りをしておる、そのために民間のメチプロ製造会社の利益を守るためにわざと新しい、しかも安全だということで世界各国で使われている薬品の使用を妨害をしているのではないか、こういうことを質問したことに対して、そういう事実は知りません、メチブロの製造会社にかつて農林省におった人間が入っているということは私どもは聞いておらぬ、こういうことなんですが、ほんとうにそうかと私は念を押したわけです。ところが私の調べたところによると、ちゃんと入っておる。具体的な問題は名誉に関しますから、ここで会社の名前や人名は申し上げません。そうして農林省の一部の役人が、燐化アルミニウム剤の使い方を、そういうふうに使ったら効果がないとかまずいという使い方をわざと実験をやって、効果がない、効果かないといって、昭和三十七年以来十年間これを積極的に使用させないように、依然として危険なメチブロの使用を強制している。そのことのために、これは薬の会社じゃないですよ、使うほうの業界から農林省に何度も何度も要請が出ているはずである。さらに最近はコンテナ輸送というものがドア・ツー・ドアで能率化というものが要求されこのコンテナの輸送に対しては燐化アルミニウム剤の使用というものが非常に適切であるということに対しても、要請をされているけれどもなぜか言を左右にして農林省はそれに対して積極的な態度をとらない。いろんな面でことさらにむずかしい条件をくっつけては妨害する挙に出ている。そういう事実があるわけです。時間がないので一々言いませんけれども、一体この輸入植物の消毒ということについてどういう考え方なのか、燐化アルミニウムの使用についてためられている理由は何か、またそれの使用をすみやかにさせるという考え方はないのかということを確かめたいと思うのです。
  227. 福田秀夫

    ○福田説明員 ただいまいろいろ御指摘ございましたけれども、端的に申しますと、ただいま御指摘いただきましたことは、私どもとしましては、全部そのような事実はないと自信を持ってお答えいたせるのでございます。  若干こまかい問題についてお答え申し上げますが、まずメチルブロマイドと燐化アルミニウムの毒性の件でございますが、この毒性につきましては農林省は元来の所管でございませんが、WHO等の資料もございますし、厚生省さんのほうの御指示もございまして、メチルブロマイドは厚生省のほうから劇物に指定されておりまして、燐化アルミニウムは特定毒物に指定されております。  それから外国で非常に多く使っているにもかかわらず、わが国農林省は取り入れていないというお話でございましたが、外国もわが国も全部同じような考え方で取り入れております。諸外国でも一般の燻蒸に取り入れておるのでございまして、わが国でも一般の燻蒸には取り入れてございます。ただ検疫燻蒸には、私どもの調べた限りにおいてどこの国でも取り入れていないのでございまして、わが国の農林省におきましても検疫燻蒸にはこれを取り入れておりません。しかしながらこの薬の使いやすさとか、あるいは場合によりましてはメチブロで燻蒸できないようなものがございます。たとえばばら積みの穀物などはメチブロの燻蒸が困難でございますので、そういうところには燐化アルミニウムを使うのが便利であろうということで、いろいろ試験を重ねてまいりまして、その結果、昨年でありましたか、四十五年七月三十一日だったと記憶しますが、公聴会を開きまして、これを穀物の燻蒸に取り入れることにしたわけでございます。  なおコンテナ等につきまして使うことにつきましても、鋭意研究を進めておりますが、この試験がなかなかたいへんでございまして、実際のコンテナで運んでまいりました貨物を使って試験をいたさないと結果がわかりませんものですから、輸入業者協力を得ましてコンテナを使わせていただきたいということをお願いしたわけでございます。再三再四いろいろな輸入業者あるいはその団体にも参りまして、コンテナに燐化アルミニウムが使えるならばたいへん都合がいいので、これをいずれ使いたいから試験をしたいということをお願いしましたが、なかなか協力が得られなかったのでございますが、やっとお願いが通りまして、コンテナを使った試験を幾つかやりまして、その結果としましてコンテナに使う要領かわかりましたので、現在コンテナにこれを取り入れるべく業法の改正を行なっているところでございます。  なお、この問題につきまして三十七年からというお話でございますが、なるほど古い歴史があったようでございます。それで燐化アルミニウムを検疫燻蒸に取り入れるための試験は、やはり実際の倉庫を使ってやらないとできませんものですから、業界協力を得まして検疫に関係のないような倉庫を使って幾つかのデータを出し、そしてその出た範囲内においてまず使うようにし、その範囲で使うようにすれば業界も使ってくるから、その使う場を使ってさらにその条件を直すような研究をしていきたい、そういうことで進めてきたわけでございますけれども、その途中のデータにつきまして、そこまでの段階でこれを使うということに関しましてホストキシンの製造会社のほうからそれは困るというような異議があってできないということだったようでございます。この問題は私が植物防疫課長に着任したその日に、まっ先に上司並びに前任者から引き継ぎを受けたものでございますので、なるほど歴史があったようでございます。しかしながら、私は四十五年三月からやっておりますが、四十五年の七月に、いままでわかった範囲内でこれを開くということで、公聴会を催しまして、これを開いたわけでございます。その範囲内で業者がお使いになるならば、その場を利用させていただきまして——さらにその実験をずっといろいろやっております。現在その実験がだいぶたまっております。その結果によってまた先々条件を変えるよう検討してまいりたい、こう考えております。
  228. 和田春生

    和田(春)委員 時間がないのでこれで質問は終わりにしたいと思うのですけれども、ていさいのいいことを言ってはいけないですよ。なぜ協力を示さなかったか。そうじゃないので、協力をしましょうと、特にコンテナができてからコンテナを使っている船会社あるいは関係者からもいろいろ申し出があるのだけれども、あなたのほうで特定の人物がことさらに歪曲したインチキなことをやるから、それが検査に立ち会うならお断わりということで断わられたのが事実です、協力しないというのは。そうじゃないなんてしらばくれて、もしあなたがそうじゃないと言うなら名前を全部出してやりますよ、日時から何まで。いいですか。したがって、そういう点はつべこべ言わずにもっと積極的にやるべきなんで、それならばその実施要領というものを出す、出すといって出しましたか。まだ出していないでしょう。去年に終わっておって、いままで半年以上たってなぜ出ないのですか。
  229. 小峯柳多

    小峯委員長 質問者も答弁者も簡潔に願います。
  230. 福田秀夫

    ○福田説明員 昨年以来実験を続けておりまして、八つか九つのコンテナの実験が済んだと思います。なお実験を続けておりますけれども、三月以来それをまとめまして、近々出すようにいま手続が進んでおります。
  231. 和田春生

    和田(春)委員 私はその実験のデータもここへ全部持ってきている。コンテナをやったやつの八つか九つというけれども、みんな持っているその実情はよくわかっているわけだ。結局、全般の利益ということを考えた場合に、メチブロにいつまでもこだわっているようなおかしな姿勢をとっていると、農林省はそういうメチブロの製造会社と癒着をしておって、その消毒を受ける関係者がこぞって希望していることをことさらに妨害をしているというふうにいわれるのです。そしてあまりにもマンマンデーだからです。十年間も、ああでもない、こうでもないといって、ほかのことでは簡単に踏み切る日本の役所がこのことだけについてはことさらにマンマンデーで、しかもメチブロについてはばかにこれを持ち上げているということは、四十五年にも私はすでに質問をしているのです。したがって、そういうことをいわれないように、私の言ったことがどうもぐあいが悪いというならば、そうではないように、やはり態度できちんと示していただきたい。そのことを要望して質問を終わりたいと思います。
  232. 小峯柳多

    小峯委員長 田代文久君。
  233. 田代文久

    ○田代委員 現在アメリカのノースウエストやパンアメリカン航空で、そこで働いている日本人の労働者の労働条件、賃金その他の問題が非常に難航している。先ほど海員のストライキも非常に難航しているという問題もありましたが、航空のノースウエストやパンアメリカンなどでもそういう賃金交渉などが難航して、そしてそれがますます強化されるというような状況にあると思うのですが、私どもが大体調べたところでは、これはやはり争議をやらざるを得ないというような、特にノースウエストにつきましては、労働条件が悪いというふうに私たちも見ておるわけなんですが、運輸省並びに労働省関係は、このノースウエストやパンアメリカンなどの賃金、いろいろほかの条件もありますけれども、とりあえず賃金、労働条件か西ヨーロッパ諸国の航空会社の従業員あるいは日本の日航あるいは全日空などの賃金と大体どういう格差が生じておるかということを、まず御答弁願いたいと思うのです。
  234. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私ども労働問題についての主管ではございませんけれども、一応私どもが承知している範囲で御説明申し上げます。  各航空会社の賃金比較を地上従業員についていたしますと、エールフランスが四十六年十二月で九万二千四百三十円、パンアメリカンが、四十六年平均をとりまして八万一千三百八十円、KLM、これはオランダでございますが、これが四十六年十二月で九万八千六百円、それからアリタリア、これはイタリアでございますが四十六年平均をとりまして七万三千四百九十円、スカンジナビアが、四十六年十二月で九万円、それから中華航空公司、四十六年平均で六万円、日本航空が、同じく四十六年平均で七万六千四百円、ノースウエストが、同じく四十六年平均で六万六千七百八十四円かと存じます。
  235. 田代文久

    ○田代委員 大体いま読み上げられたことによっても明らかなように、ノースウエストは非常に安いのですね。ノースウエストで働いている日本の労働者の賃金は非常に安い。日本の日航あるいは全日空なんかよりも安いということになっているわけですね。普通の常識からいいますと、外国の企業が日本にきた場合に、外国並みのことを考えますと、当然労働条件は日本の労働者よりは相当いいというのが常識になっているのですね。ところが実際においては、ノースウエストは特に安いということは、われわれ日本人としてこれは大体どういうことか。これは雇用関係の問題がからみますから、すぐこれはこうしろと、権力によって言えない面もありますけれども、日本の立場、国家の立場からいえば、外国の企業に働いている日本人の労働者の労働条件が非常に劣悪であるということになりますと、これは当然政府、直接は運輸省あるいは労働省はやはり責任を感じなければならないと思うのです。先ほど船のストライキについて、次官は責任を感じられて私的に調査にも行かれたというようなお話も聞きましたけれども、これはごもっともだと思う、当然責任がありますから。  ですから、こういうノースウエストで働いている日本人の労働者の条件が劣悪であるということについて、なぜそうなのか、考えられたことがあるのか、またこれに対して何かアドバイスするというようようなことができないのか。場合によってはノースウエストと航空協定を結ぶ際に、こういうことをやってもいい、といったら語弊がありますけれども、そういうことを許されるような取りきめかたとか、あるいは内諾らしいものがあったのか、疑惑を持たざるを得ないのですが、そういう点、いかがですか。
  236. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 別にそういった取りきめは何もございません。そこで、そのノースウエストの労働条件か非常に悪い、それについて日本政府として何らかのアドバイスなりをすべきではないか、こういう御意見かと存じます。おっしゃるお気持ちはよくわかりますけれども、船員の場合は船員局でございますが、海運行政と違いまして、私どものほうは労働行政をやっておりませんので、企業に対してもあるいは組合に対しても、労使間の問題については厳正中立ということを私どもは堅持しておるつもりでございます。したがいまして、どちらにもこうせよ、ああせよということは言いにくいというのが、実際問題、私ども立場でございますので、その辺、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  237. 田代文久

    ○田代委員 いまおっしゃたことは、日本の憲法からいいましても、組合法、基準法からいいましても当然のことなんですが、では実際において労働省なり運輸省なり——私がそういうことを最初に質問いたしました根拠があるわけなんです。これはひっかけているわけでも何でもないわけですね。そういう問題について日本政府はほんとうに日本の労働者の立場に立って考えておるかどうかという点について疑問を持つわけです。いまのことばでは、厳正中立、それは当然のことなんです。  ところが御承知のように、ノースウエストのいろいろの労働条件の争いに対して東京のノースウエストの組合員が争議中に、アメリカ本国その他からノースウエストは非常にたくさんの一人、二人じゃない、何十人というほどの人をこちらによこして、そして争議をやっている人たち、日本人の労働者の穴埋めのためにこれを使って、なお言えばスキャップをやらしておるということ、私たちは事実としてつかんでおりますが、そういうふうにお考えになっておりますか。いわゆるノースウエストに、そういう多量の、争議期間中にアメリカの本国やその他から日本にとかく入国さして、そしてとにかくスキャップにひとしい——これは事実上のスキャップだと私は思いますけれども、そういうことをやらしておるというような事実をおつかみになっておるか、そういうことは全然ないのか、お答え願いたいと思うのです。
  238. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 先ほど申し上げましたが、私ども航空行政上の問題からものを見ておるわけでございますけれども、羽田にはおっしゃるようにノースウエストの整備その他の基地がございます。羽田につきましては、いわゆる制限地区と申しまして滑走路とかあるいはエプロンとか、そういう中に入ります場合にはバスを出しまして、一般の人は制限しております。特に入る場合にはパスを出してそこの中に入ることを認めるこういったようなことをやっております。したがいまして、いま先生指摘の点は、そのパスを出して相当多量の者が入っておるのではないか、しかも特定目的のためではないかというふうな御質問ではないかと思います。私もそういうふうな御質問もございましたので、一体その状況はどうなっておるか見てみたわけでございますが、確かにノースウエストに対してランプパスというものが、外人に対してもある程度の数が出ております。ただこれは現地の空港長といたしましてこのランプパスを出すということの制度の趣旨でございますけれども、これは制限区域内では少なくとも安全を確保するために、安全を阻害するようなことがあってはいけない、したがって制限区域の規則を熟知しておるとか、それに入っても絶対に安全であるということを一応基準にいたしまして、そういうふうな見地から出しておりますので、このパスを出すに際しましてこれが一体組合と申しますか、労働法と申しますか、そういう意味からどういう意味を持つかというふうなことまでは審査をしないで、空港長としてはパスを出しておるというのが実情であろうかと存じます。
  239. 田代文久

    ○田代委員 全然納得できません。たとえば六月現在六十数名というような多量の人が、とにかくいままでそういう争議行為がないときには全然来ないのに、来ているということですね。そのときに大体その入国の目的ですね、どういうことで入ってきているかというと、またどういうことで日本の政府は許可しているかというと、短期間の業務の連絡、また事務の打ち合わせのためだ、こういうことで申し出て、それでとにかく入国しておるわけですね。それ間違いありませんか。
  240. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私どものほうはその点はよく存じません、入管の問題でございますので。
  241. 田代文久

    ○田代委員 私たちが調べたところでは明らかにそういうことを言っておるのです。そうすると、実際において短期間の業務連絡とかあるいは事務の打ち合わせのために、——特にそういう労働者なり企業との間の争議行為が現在継続し発展しつつあるときに、こういう名目で多数の人が入ってきているということは、これは明確にスキャップじゃないですか。日本の労働者を守るという立場からこのようにお考えになりませんか。とにかくこういう目的で入ったということは事実であるし、また、これは私はあとから伺おうと思っておったのですが、羽田の空港長が構内を自由に動くフリーパスを出しているという、どういう権限でやったのですか。そういうことが許されますか、外国人がこういう形で入ってきたのに。御答弁願いたいと思います。
  242. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 このランプパスを出します標準は、航空機の整備あるいは運航管理者、乗客の誘導または航空機との連絡要員あるいは燃料、貨物等の積みおろしその他制限区域に出入することを本務とする者に対して発給する、こういうことになっておりますので、おそらく現地はそれに照らして適当と認めて出したものと存じます。ただそういうことが先生おっしゃるように労働争議の上でどういうふうな意味を持つかということは、これは私どもちょっとわかりかねますので、むしろその主管の御当局労働省にお聞きいただいたほうがけっこうかと思います。
  243. 田代文久

    ○田代委員 これは労働省ひとつ御答弁願いたいと思います、いまわからないとおっしゃるから。
  244. 岸良明

    ○岸説明員 ただいま御質問のありました事案でございますが、私ども過日ノースウエストの労組のほうからいろいろ事情を聞かしていただいております。私どもの承知している限りにおきましては、今回の春闘におきましてまだ賃金問題が解決をしない、昨年の十二月に組合側におきましては一律一五%プラス一万円の要求を出し、六月二日に会社側は回答をしているようでありますけれども、これが妥結しないで現在までいろいろトラブルが起きておるということを聞いております。私どものほうには、これは御承知のとおり公益事業になります。四月十六日に、四月十六日から争議行為に入るという予告がございました。すでに四月の二十六日、二十九日、五月の十六、十七、二十四、二十五日、六月の三日、八日と、これだけストライキが行なわれたということを承知いたしております。なお先生の御指摘の、そのストライキに際しまして会社側では本国のほうから人を呼び寄せ、そしてそのストライキによって欠けた業務を補完さしておる、こういうことも私どもは聞いておるわけです。
  245. 田代文久

    ○田代委員 いま労働省がノースウエストのいわゆる企業側からの御意見をお聞きになったということを御答弁になりましたね。
  246. 岸良明

    ○岸説明員 ただいま申し上げましたのは、私は組合側から聞かしていただいたということを申し上げたのであります。
  247. 田代文久

    ○田代委員 組合側からお聞きになったならば、明らかに組合側としては——先ほど運輸省のほうから答弁あったのですけれども、安全のためにとか、それから羽田の空港長が整備のために入ってきたいというのでフリーパスをやった、ところが実際において整備員として羽田の空港の中を自由に歩き回ることのできる——常駐のいままでおるそういう人たちではないのですよ。これは争議中に入ってきたんでしょうが。さっき言ったように、名目としては短期間の業務連絡とか事務の打ち合わせ、こういうことで偽ってとにかくこれは入国してきているじゃないですか。しかも、実際上においては短期間の業務連絡でもなければ、事務の打ち合わせでもない、何十人という人間が来てこれをやっている。これは明確にスキャップじゃないですか。ノースウエストがそういう日本の憲法やらあるいは労働組合法なんか無視して、全く日本を植民地かなんかのごとく、おれたちはとにかく日本なんかなんだ、やっちまえばいいんだ、ばたばた言うな、こういうことで低賃金をずっと押しつけて、そして労働者が立ち上がった場合に、こういう名目で本国からどんどん人を入れてやっておる。しかも、いま労働省お話しになりましたけれども、これは明らかにスキャップとはお思いになりませんか。とにかくスキャップに類する行為が現にノースウエストにおいては行なわれておるという判断はつきませんか。これは全然正当である、このようにお考えになりますか。
  248. 岸良明

    ○岸説明員 外国の航空会社でありましても、日本に支社があります限りは日本の労組法、労調法をはじめとして各労働法を守らなければならないことは当然でございます。ただ御指摘の、こういうストライキ中に使用者が業務を継続するということが、事実上どのように評価されるか、これはわが国の法律でどう評価されるかという問題でございますが、これにつきましては先生よく御承知だと思いますけれども、争議行為の際に、これは当該組合が所属の組合員を引き揚げて、そして業務の正常を阻害するということは憲法上認められた当然の権利であります。しかしながら、問題といたしまして、そういう場合でさえも使用者は業務の継続が許されないかということになりますと、これは御承知のとおり、ストライキ中でありましても使用者が業務の継続をするということは、現行の法律では禁止をされておらないわけでございます。したがいまして、確かに労使関係の上からいいますと、争議中に組合側のほうでは団結権を固めようとする、それに対して対抗的な措置をとることは好ましくないことであることは間違いはございませんけれども法律の上、わが国の労働法、労組法の上から見まして、争議中において使用者は業務の継続を一切許されないかということになると、それは法律上禁止をしておらないということでございます。
  249. 田代文久

    ○田代委員 それは私は、政府が厳正な立場から中立を守りているということは言えないと思うのです。いま、継続するということを言われましたね。じゃ、実際において労働者がどうして自分の身分を守ることができますか。これは日本政府自身が全くアメリカになめられていると思うのですよ。先ほど申しましたけれども、全く植民地みたいに考えてやられる。労働者が自分の身分を守るために、当然ストライキ権というものは許されている。したがって、ストライキ権によってとにかく資本家の低賃金なり劣悪な労働条件に対抗して自分を守るという権利を、日本の政府は当然保障すべきだと思うのですよ。ところが、偽って入国して、フリーパスまでやっておる。それでは労働者の権利というものは全然認められていないじゃないですか。全く中立が守られたということはいえないじゃないですか。どうして日本の労働者が日本の憲法によって、日本の労働組合法によって、基準法によって守られることができないのか。どうされますか。こういう場合においてやむを得ない、アメリカがどんなうそを言っても、どんどん事業を継続をしなければならないとか、かってに安全とか——それは安全ということはわれわれも考えますけれども、ストライキをやるという場合には、国鉄がやろうが私鉄がやろうが、あるいは新日鉄がやろうが、当然企業に対してある程度の打撃を与えなければ、労働者の利益は守られない。それは企業に対する反省を求める行為なんですから、当然のことなんですよ。その権利はとにかく労働者に保障されている。ところが、これは全然保障されてないということになるじゃないですか。ましてや、外国の航空会社がそういう劣悪な低賃金でやってきて、しかも、これは明らかにこういうかってなうそっぱちを言うて入国してきて、それに対しては全く至れり尽くせりの手厚い、フリーパスなんかを空港長が出すということによって、名目は安全のためだとか事業を継続しなければならないということだけで労働者の権利が全然踏みにじられるということが許されますか、少なくとも日本の労働省なり、運輸省もそうなんですけれども、労働省というのは、日本の労働者、労働組合がいつも悪い条件にやられているわけですから、どう守ってやるのか、日本の国民の権利、生活条件あるいはまたそういう法規上の問題をどう守ってやるかということを厳守すべきことが私は中立だと思うのです。ところが、実際から見ると、これは中立にならない。  なお申しますけれども、したがって、労働省はわしは知らぬというふうにおっしゃるかもしれぬが、これはやはり労働省、運輸省、法務省、外務省、当然私は政府全体として申しておりますから、こういう形で入国することは認めるべきではない、うそを言ってきているんですから。どう思いますか。これはひとつ政務次官政府立場から、それから労働省もお答え願いたいと思います。日本の労働者の権利を私は守っていただきたいと思う。当然ですよ。これは守られておらない。どうです。
  250. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 運輸省立場は、先ほど航空局長が御答弁したとおりだろうと私は思います。願わくば、労使関係の円満な解決によって、刻も早く正常な姿に立ち返ることを、われわれ航空を担当する運輸省としては希望している次第でございます。
  251. 田代文久

    ○田代委員 全く無責任きわまると思うのですよ。なぜ、こういううそを言って入ってきて、スキャップを現実にやっているのに対して、政府としては——そういう日本の国を侮辱し、自分の利益のためにうそを言って入国して、スキャップをやる、ストライキを破る、そういうことに対しては、日本の国の憲法なり日本の国の独立した法規上からいっても、そういうことではとにかく入国は許可できないという態度をなぜはっきりとられないのか。いまの次官の答弁は、そういう態度をとるということが全然けぶりも見えないですね。じゃ、どうして日本の労働者のあれが守れるのですか。私は申しますけれども、法務省なり外務省なり、とにかくこういう形で入国することは許すべきではないということをはっきり言っていただきたいと思うのですが、どうですか、その点。こういうことをやられたらたまったものじゃないです。
  252. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 いまお話を聞いて、労使関係の紛争に必要な人員が不足のためにパスポートに偽りがあって入国したのじゃなかろうか、こういう御指摘ですが、事実関係は私はよく詳細に承知しておりません。もしそういうことだとすれば、私は御指摘のとおりだろうと思うのであります。事務当局並びに入管を担当する法務省等とも相談の上適切な処置を構じたいと思います。
  253. 田代文久

    ○田代委員 私がいま申し上げたことは全く控え目な事実なんです。政府が日本の労働者を無理にオーバーに守ってくれなんて私は言っているんじゃないのです。オーバーして守られたって決して行き過ぎじゃないのですけれども、とにかくそういう立場から、いまの次官の御答弁ですが、これははっきり政府責任において調査をし、そしてとにかく善処していただきたいということを述べまして、最後に質問いたしますが、こういうことは他の面にも確かにあらわれているのですよ。いわゆるノースウエストのやっていることは、低賃金とこういうスキャップを国際的な形でやっている。そしてそれに対して日本の政府は、そういう労働法規に違反するようなことをそのまま野放しにしている。単にこれは日本だけの問題じゃないですよ。ノースウエストは、日本をとにかくオリエントにおける基地として、ほかの東南アジアなんかでもどんどんやっているわけなんですから、そうすると、日本政府というのは何だ、日本の政府はこういう労働問題に関する当然の法規すら守れないというようなことで、そういうオリエントの諸国は見ざるを得ないと思うのです。そういうことはひいては、日航なんかがシェアを広げるという問題についても、そういう飛行機が来てもらっちゃ困るということで、日本の航空事業に響くことは明らかですよ。だからそういう点で、私は明確な正しい立場をとってもらいたいということを申し上げたいのですが、いかにノースウエストがやっているかという点についてもう一つ申し上げます。  六月一日、二日、このノースウエストの役員が労働省と運輸省をたずねていったということを聞いておりますが、たずねていって大体どういうことを話しましたか。運輸省並びに労働省、お聞かせ願いたいと思います。
  254. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私のところには来ておりません。
  255. 田代文久

    ○田代委員 運輸省には来てないですか。
  256. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 少なくとも私は会った覚えはございません。
  257. 田代文久

    ○田代委員 あなたが会ったかどうか、そんなことは問題じゃない。何言っているんです。
  258. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 いま事務当局に聞きましても、来ているとは言っておりません。
  259. 田代文久

    ○田代委員 労働省はどうですか。
  260. 岸良明

    ○岸説明員 いまお尋ねの件は、ノースウエストの労働組合の役員ということでございますか。
  261. 田代文久

    ○田代委員 いや、ノースウェストのとにかく役員ですよ、六月一日。
  262. 岸良明

    ○岸説明員 会社側の役員でございますか。
  263. 田代文久

    ○田代委員 そうです。
  264. 岸良明

    ○岸説明員 それは私は承知いたしておりません。私どもは組合の方々とはお会いをいたしておりますけれども、会社側の役員が労働省をたずねられたということは聞いておりません。
  265. 田代文久

    ○田代委員 そうすると、六月一日、二日に組合の役員の方々がおいでになっていろいろお話があった、こういうことなんですか。
  266. 岸良明

    ○岸説明員 日にちは明確でございませんけれども、私どもの労働組合課長がお会いをいたしまして、そして実情を伺った、私はそういうふうに承知いたしております。
  267. 田代文久

    ○田代委員 最後のたった一点ですけれども、ノースウエストという会社はいま言ったようなずっと一連のことをやりながら、たとえばこういうことを——これは労働省御存じと思いますけれども、ノースウエストが労働基準局に届けておる就業規則、あるいは労働協約のほかに社則、いわゆるこれは内規のあれですよ、アドミニストラティブマニュアルというような自分の会社の、何も公的な意味を持たないもので、ここで働いている労働者に対していろいろマークしたりチェックしたりするということによって、三回それが重なるというと、これをとにかく降職したりあるいは減給するというようなことをおくめんもなくやっているということを御存じですか。それからいま私が申しましたそういうマニュアル、これをとにかくごらんになったことがありますか、お答え願いたいと思います。
  268. 吉本実

    ○吉本説明員 お答えいたします。  ただいまノースウエスト会社におきます社則の問題でございますが、これはさっそく調べておりますが、監督署においてはまだ届け出がされておらない、こういうことでございますので、よくその点を確かめまして調査したいと思います。
  269. 田代文久

    ○田代委員 これは結局こういう自分たちの規則によって、日本の基準法なんかくそ食らえでやっておるわけです。ですから、私は日本の政府としては当然ノースウエストに対してそういうマニュアルをはっきり提出させて、そしてこれが労働協約に違反しているかどうかということをはっきり調べて、もし違反していればそれに対してはっきりした処置をとっていただきたいと思うのです。どうです、そういうことをおやりになりますか。
  270. 吉本実

    ○吉本説明員 そのようなことが事実でありますれば、しかるべき処置をとるつもりでございます。ただ、現在スト中と聞いておりますので、その辺のところは十分考えさせていただきたいと思います。
  271. 田代文久

    ○田代委員 ではその結果はまたの機会に、あるいは私のほうに報告していただくとして、質問を終わります。
  272. 小峯柳多

    小峯委員長 次回は、来たる十五日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十一分散会