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1972-05-12 第68回国会 衆議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十二日(金曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 細田 吉藏君    理事 箕輪  登君 理事 内藤 良平君    理事 田中 昭二君 理事 河村  勝君       石井  一君    江藤 隆美君      小此木彦三郎君    大村 襄治君       奥田 敬和君    唐沢俊二郎君       佐藤 守良君    塩川正十郎君       菅波  茂君    羽田  孜君       福井  勇君    古屋  亨君       増田甲子七君    綿貫 民輔君       井岡 大治君    勝澤 芳雄君       金丸 徳重君    久保 三郎君       後藤 俊男君    斉藤 正男君       松本 忠助君    宮井 泰良君       内海  清君    田代 文久君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君         自 治 大 臣 渡海元三郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      木村 俊夫君  出席政府委員         経済企画政務次         官       木部 佳昭君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         大蔵省主計局次         長       吉瀬 維哉君         運輸政務次官  佐藤 孝行君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 秋富 公正君         自治省財政局長 鎌田 要人君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局国土調査         課長      大月洋三郎君         大蔵省主計局主         計官      金子 太郎君         大蔵省理財局次         長       大蔵 公雄君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         日本国有鉄道常         務理事     小林 正知君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君     ————————————— 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   關谷 勝利君     羽田  孜君   中村 弘海君     菅波  茂君   西銘 順治君     佐藤 守良君 同月十二日  辞任         補欠選任   石井  一君     奥田 敬和君   菅波  茂君     綿貫 民輔君   増田甲子七君     大村 襄治君   金丸 徳重君     後藤 俊男君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     増田甲子七君   綿貫 民輔君     菅波  茂君   後藤 俊男君     金丸 徳重君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出  第四二号)      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。田中昭二君。
  3. 田中昭二

    田中(昭)委員 私はこの二法案に対しまして前回保留いたしました質問を許していただいておりますから、まずそれから入るわけでございますが、私、まず当初にお断わりしておきたいことは、時間も制約されております、しかし前回お尋ねした問題も未解決でおそらく調査はできておりませんし、また現状はわからないというような状況でございますから、そういう点を踏まえましてひとつ答弁は、そのほかの問題も簡潔にしていただきたい。これはひとつ委員長のほうからも再度御注意願いまして円満なる審議を進めていきたい、こう思いますからお願いしておきます。
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 お申し出のようなことでございますので、どうぞ簡潔に答弁を願います。
  5. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、前回大臣から御答弁いただいた福岡県の古賀構内周辺に関する土地につきましては、大臣お答えは、具体的な問題であるので、当局としてもその答弁に非常に欠けるところがあった、こう思うので、これは早急に具体的な回答をさせるように指示するつもりでございますので、御了解願いたい。さらにまた重ねて、それは具体的に調べて御納得のいくような御答弁をさしたい、このようにありますが、とにかくきょうは時間がございませんから、これは現実現場を知らなければわからない問題でございますからこのままにしまして、後日また資料か何かで説明を受けたい、このように思います。  そこで、もう一つ土地の問題でせんだっては駅の全体の面積は大体正確であるというようなお話でございましたが、その全体も正確でないという事実だけを申し上げておきます。  その土地面積が正しいか正しくないかということは、政府のほうである町村については国土調査ということを行なっております。全国的に幾つかの市町村で所在面積の実測を行なう国土調査をやっておるようでございますが、その結果は、各所有者ごと所有面積は実測されたものでありますから正確であると聞いておりますが、いかがでしょうか。経企庁のほうにお願いします。
  6. 大月洋三郎

    大月説明員 実測されましたものはある精度に従いまして行なっておりますので、その範囲内において正確であるということができます。
  7. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは国鉄にお尋ねしますが、福岡宗像町に所在する国鉄土地面積の広さは幾らですか。
  8. 長浜正雄

    長浜説明員 国鉄用地台帳によります土地面積課税対象面積が二十六万六千六百八十平方メートル。それからそのほかに非課税となっております認定道路敷がございますので、その分が千九十五平方メートル、これだけございます。
  9. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの数字国土調査の結果によりますと違います。宗像町で実際実施しました国土調査の結果によりますと、国鉄用地は二十七万七千六百六十平方メートル、このようになっております。違う証拠に、前回私が事務当局に提出願った数字とも約千平方メートル違います。こういうふうに国土調査が行なわれました具体的な宗像町の面積についても違うというようなことであるならば、私が前回取り上げました古賀町なんかは国土調査なんかも行なわれておりませんから、これはだれが考えても国鉄用地常識的にさらに不正確であるということを指摘せざるを得ないのであります。これについては先ほど言いましたように現地を知りませんから、再度のお尋ねはいたしませんが、このように国民の財産を預かっておる、管理しておるものがたいへんにずさんである、また昨日も不法占拠されておる国有鉄道土地が大々的に報道されております。こういうことを考えれば、私が当初から申しましたように、どんなに政府援助——政府援助無為無策な点もありますけれども、それを受け入れる国鉄側経営の中においてずさんなことであるならば、どんなことをしても効果があがらない、いわゆるざるに水であるということをつけ加えておきます。  次に、土地の問題はもう少しやりたいのですけれども、時間がありましたらまたやることにいたしまして、まず最初に大臣にお尋ねいたします。  公共料金で法定化されておるものがございますが、どのようなものがあるか、それらと国鉄運賃との相違点といいますか、そういうものをどのようにお考えになっておるか、また今回国鉄運賃認可事項化が検討されたと聞いておりますが、大臣のお考えをお聞きしておきます。
  10. 山口真弘

    山口政府委員 現在公共料金で法定化されておりまするものは国鉄運賃普通運賃のほか郵便料金電信電話料金郵便為替料金郵便振替料金がございます。これらはいずれも財政法第三条の特例に関する法律の中に事実上国独占に属する事業料金ということの範疇におきまして法律で定められておるわけでございますが、郵便料金とかあるいは電信電話料金、こういうものと国鉄運賃との相違点ということになりますと、これらの前者のほうはいわば国及び電電公社経営する独占事業料金でございますが、鉄道事業運賃というものは現在ではすでに独占的な地位を失っているところの運送事業料金という点におきまして相違があるというように私ども考えております。
  11. 田中昭二

    田中(昭)委員 輸送機関の中におきます国鉄地位というものもたいへん変わってきておりますし、そういうことは認めるわけでございますが、実際問題として国鉄運賃引き上げが他の料金物価等に及ぼす影響は大であります。この意味現行運賃決定のたてまえを堅持すべきだと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  12. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 各国の例をとりますと、そういったもので法定をされておるのは日本だけでございますけれども、いま御指摘がございましたように、物価その他に及ぼす影響も重要でございますので、現時点におきましてはやはりその方針で、従来の方針を貫いていくのが妥当である、こういうふうに思う次第でございます。
  13. 田中昭二

    田中(昭)委員 公共料金引き上げを一時やめるというようなことは、その期間がある程度過ぎますと、次の値上げは当然だというような安心感がありまして、何かしら企業努力がおろそかになっていると思います。そのような場当たり的な政策をとらずに、むしろ値上げを必要とする構造的な欠陥に根本的なメスを入れて悪循環を断つべきだと思いますが、その点どうなのか。その意味で今回の国鉄再建計画では、なおたいへん未解決問題点が数多くありますし、必ずしも——必ずしもと言わぬでも、ほんとうに抜本的なメスが加えられておらない。国民値上げをしいる前に、政府として、また国鉄として多々やるべきことがまだ残されていると思いますが、この点について大臣総裁の簡単な御答弁をお願いします。
  14. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 時間の都合で簡単に御答弁申し上げまして恐縮でございますが、大体におきまして、私もそういった点におきましていろいろの施策も講じなくちゃいかぬというふうに思っている次第でございます。しかし再三申しているように、現時点におきましては、ことに四十七年度におきましては、この財政規模から申しまして、いまの政府施策、そうして国民の御協力を願うということがやむを得ざるぎりぎり一ぱいの線だと考えている次第でございます。
  15. 磯崎叡

    磯崎説明員 抜本的な問題といたしまして、国鉄といたしましては、まず自分自身努力の問題がございます。その点につきましては、先般も先生から御指摘がございましたようないろいろな矛盾あるいは不合理の解決、あるいはいままでの惰性でやっていた仕事の刷新というふうな部内全体の企業努力がまず第一だ、そういうふうに存じます。  と同時に、いわゆる地方交通線その他の問題につきましてもいろいろ問題が残ると思いますが、まず第一に国鉄自身の問題が第一だというふうに考えている次第でございます。
  16. 田中昭二

    田中(昭)委員 第一に言わなければならないことは、赤字発生源である地方交通線問題でありますが、昨年地方交通線に対する抜本策の必要がいわれておったのですが、今回の再建計画ではそれが変わりまして、今度は三千四百キロの地方閑散線の問題にすりかえられたように思いますが、一体これはどうなったのですか。それと、この閑散線ほんとう赤字を生ずるのは年間幾らなのか、これからお答え願いたいと思います。
  17. 山口真弘

    山口政府委員 地方交通線という意味でございますが、結局基幹的な線路と比べた地方交通線という意味であろうと思います。  それから、今回の地方閑散線と申しますのは、その地方交通線の中におきまして、鉄道から道路へ転換したほうが適当と考えられるような線区というものを地方閑散線としてとらえて、そうしてこれについて今後これを廃止の方向に向かっていくということでございます。この地方閑散線につきましての赤字は、年間おおむね三百億程度でございます。
  18. 田中昭二

    田中(昭)委員 お聞きのとおり、地方閑散線に対する赤字は三百億、こういうことですね。私はそのまま見のがすわけにばいかないと思いますが、もう議論する時間がございませんからそういうことにとどめまして、かりにこの地方閑散線をやめるとしましても、そのことによって国鉄体質がよくなるというようにはどうしても思えない。依然として地方交通線に対するほんとうに強力な政府の思いやりのある施策が必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  19. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 確かに御指摘のごとく、地方閑散線を整理するというだけでは国鉄赤字の解消あるいは体質改善にはならぬと私は思う次第でございます。ただしかし、鉄道の特性もすでになくなってしまって、代替輸送もできる、道路の整備もできている、そのほうが国民経済的に非常に合理的であるといったものの整理もしないで企業努力があるかということの問題でございます。それではやはり国民の世論にこたえることができないのじゃないか、御信頼にこたえることができないのじゃないか、ほんとうにそういうぎりぎりのものはやはり国民の御協力を願い、地元の御協力を願いましてこれは整理すべきではないか、こういう意味でございます。
  20. 田中昭二

    田中(昭)委員 まだ利子の問題、人件費問題等たくさんございますが、時間がありませんから次に移っておきます。  次は具体的な問題で、はなはだこまかい問題かと思いますが、国鉄収入国庫の中に入ります。この国庫に入りました金の、いわゆる国鉄余裕金運用実績について、もう時間がございませんから私のほうから申し上げますが、運用実績はどのようになっているかということを事務出局に聞きましたところ、四十六年十二月末で運用利益が百八十六億、純益が八十九億、その中で四十二年度末は、運用利益全体が九十五億八千百万円、運用して起債等を買って得た純益が四十七億一千九百万円、これに間違いございませんか。
  21. 磯崎叡

    磯崎説明員 間違いございません。
  22. 田中昭二

    田中(昭)委員 ここで私はぜひ指摘しておかなければならないふしぎなことがあるのです。四十二年度末の運用総益と純益につきまして四十四年の五月六日に参議院の運輸委員会におきます当時の、石田総裁の御発言によりますと、いまの九十五億に相当する分を、石田総裁は百三十二億とお答えになっている。四十七億に相当する分を六十五億とお答えになっている。これは会議録です。私はこのいまの数字ふしぎですからただしてみましたところが、誤りがあるかと思われます、こういうことなんです。だれかこういうことを言わなかったら、国鉄は間違ったことを発表しておってそのままにしておくのですか。その辺の言いわけがありましたら、一応言いわけも聞いておきましょう、言いわけになりませんけれども。
  23. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点御指摘がございまして、当時の会議録も調べました。前総裁は確かにそういう数字を申し上げておるようでございます。その当時の事情を、私は出席しておりませんでしたけれども、調べてみますと、四十二年度と四十三年度という言い違いが一カ所、四十三年度に二十億ございますのでそれが一つ。それから四十四年度の予算一緒に合計して言われたものだというふうに——そうすると大体百三十億になりますので、四十二年と四十三年の言い違い、それから四十四年度の予算、この余裕金運用以外にも若干ございますので、それを含めると百三十二億になりますので、それを一緒にして発言されたものというふうに推定いたします。
  24. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういう言いわけをされますけれども、四十四年の五月ですから四十二年の実績はわかっておるでしょう、常識的に。四十三年度の実績もわかっておるかもしれません。しかしいま国鉄総裁は、四十四年度は予算額計上した、こう言われますけれども、それが違うのです。予算額計上しますと百三十二億にならないのです。何べん出してみても、ただ数字つじつま合わせだけです。  これは事務当局に聞いてみたい。この百三十二億を合わせるために、予算計上さるべき運用利益じゃないものが出てきている。はっきり申し上げますと、四十四年度は予算額計上では百二十九億になるのです。それを数字を合わせるために四十四年度の十二億七千五百万円を十五億二千八百万円と書いて、そして私のところへ持ってきている。ここにございます、国家予算計上した運用利益とこの実績を、かりに四十三年度までの決算額を合わせてみても、違う。大体国鉄予算計上したものでも実行した場合に足らない足らない、赤字だといっている。この運用利益なんか見てみますと、予算計上したときもあるし、計上しないときもある。大体予算というものは、そんな上がる収入計上しなくていいのですか。これはただ議事録を訂正するというような事務的なことでは私は納得いかない。委員長、これはいかがでしょうか。予算というものは、そんなふうに国鉄政府国家予算として組みます。その国家予算にはあるときは上げたりあるときは上げなかったり、上げてみてもその倍も三倍も実際は上がってきたり、こういうことをやっておる。四十年までは予算に四億くらい上げておるのが、実際は七億上がっておるのです。四十一年、四十二年、いま問題になっております四十三年、全然上げていないのです。四十一年ではゼロと上げたものが実績は十六億上がっておる。そして四十二年はさらにその四十一年の倍、三十二億上がっている。その上がっているときも予算計上はゼロです。私は根本的に、国鉄赤字で困っておるというときに、予算を組んで政府に、この国民の代表で審議される場所に出すものがそのようなことでは、ただ事務的な違いであったということでは絶対に納得できないということをまず申し上げておきます。これはどうせ返答はできませんから。  時間がございませんから次に移ります。  大蔵省にお尋ねしますが、国庫預託金制度のもとで、預託金の取り扱いが国鉄と他の二公社については多少の相違点があると思いますが、これはどういうところですか。簡単に相違点だけ言ってください。
  25. 大蔵公雄

    大蔵説明員 お答えいたします。  国鉄電電公社国庫預託金に関しましては、一定限度まで無利子預託を受けまして、ほかの一般の特別会計その他の預託は全額無利子でございますが、たとえば国鉄の場合で申しますと、四十億円をこえる部分に関する預託に関しましては三%の金利をつけて預かっておるわけでございます。
  26. 田中昭二

    田中(昭)委員 その四十億円をこえる部分公債等を買われるということで、違うということですね。そういうことですね。  そこで国鉄にお尋ねしますが、時間がございませんから私のほうから申し上げますが、国庫預託金についてはいま御説明のあったとおり四十億円まで無利子になっておる。四十億円をこえた額について年三%の利子が付されることになっておる。また、国鉄預託金のうち四十億をこえる額については、いま大蔵省からおっしゃった国債の保有及び資金運用部預託の方法によって通用が認められている。ここで無利子限度額の四十億を定めた昭和二十八年当時と現在では、国鉄収支客観情勢が著しく変わっていると思いますが、いかがですか。国鉄総裁、変わったか簡単に言ってください。
  27. 磯崎叡

    磯崎説明員 私は変わったと存じます。
  28. 田中昭二

    田中(昭)委員 さらにこの四十億をこえる業務上の余裕金運用についても昭和三十六年開始、当時の国鉄状況もさらにまた変わっておる、いわゆるこのあとから国鉄が少し経営が悪くなった、そういうことを私言っておるのです。これもお認めになりますか。
  29. 磯崎叡

    磯崎説明員 さよう存じます。
  30. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで私は、この四十四年の石田総裁発言をここで引きたいと思うのです。こういう国庫預託金制度においてたいへん実際と合わないようなことを、前監査委員長であって当時の国鉄総裁は、大蔵省に対してこのようなことを言っておられますね。簡単に申し上げますと、とにかく大蔵省というところは、一ぺんきめたことは絶対やめない、そういうようなことをずっと述べられて、こういうことでは国鉄企業体としてやっていくことに対して全然間違いである、そういう意味のことを言っておられます。ということは、国鉄借り入れ金については全部利子を払っておる、預ける金は全然利子つけない、そういう大蔵省体質石田総裁はきびしくその当時に言ったわけです。そういうことを考えますと、国鉄が現在、当座支払いのたびに預託金をなぜ持たなければならないか、こういう問題、また国鉄が民間会社同様に支払い準備金が必要だということ自体がおかしいのです。現実のこの国鉄支払いを見てみますと、毎週一回ちゃんと支払い日をきめまして一切の支払いをしております。そこに一つも不都合はないのです。次にその内容を少し調べてみますと、月二回、十五日分の日別収入見込み額というのを把握して、そして資金運用計画をつくり、毎日これに修正を加える、そういうことをやっております。その収支見込み額及び運用に基づいて毎週一回翌週分日本銀行に予報して、国庫全体の資金繰りに協力しておる。このように国鉄毎日ごと収支額を事前に把握する仕組みを持っているならば、国鉄預託金当座預金的性格支払い準備金は必要ないことは明らかであります。常識である。これが私は常識だと思うのです。国鉄企業としてこの常識をどうお考えになりますか。
  31. 磯崎叡

    磯崎説明員 いま先生のおっしゃいましたとおり、同じ数字でございますが、支払い、いわゆる歩積みのような性格のものと、それから無利子限度額と両方あるわけでございます。私どもは少なくともその無利子のほう、四十億まで利子をつけないということはおかしいので、四十億までの利子だけはせめてつけてほしいということもいろいろお願いいたしております。石田総裁のときに、その監査委員長時代にいろいろ言われまして、結局、それじゃ四十億以上の余裕金運用だけ認めようということになったわけでございますが、私はいま先生のおっしゃったとおり、四十億までの無利子限度額、いわゆる無利子ということをやめていただきたい。ということは、国鉄が借りる場合には初めからかかるわけでございますから、無利子限度額をやめてもらいたい。それから片方の歩積みのほうは、これはいろいろ折衝いたしまして、四十億をもっと減らすとか、あるいは電電公社が三十億でございますから、もう少し減らしてほしいというふうな要求をいたしたいというふうに思っております。
  32. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまお聞きのとおり大臣、これは総裁だけにまかせるのでなくて、監督者である運輸大臣大蔵省は筆先一本でできるのですから、またそれが常識的なのです。また総裁もいまここでそうおっしゃいますけれども、あなたは総裁になってから、石田総裁あとを受けてこういうことがわかりながら、何べん当局に要望し、大蔵省にも乗り込んでいってそういう折衝をしたかというと、しない。記録の上ではないのです。そういうふうに当然やるべきことをやらずして、そしてやれ人件費だ、やれけちけち運動だ、経費を節約しろ、そんなことじゃどうしても現場で働く人の不信を買うと私は思うのです。  まだ指摘したいことはたくさんございます。検査院指摘事項でもそうです。過去十年間を私調べてみましたが、三十六年から四十五年まで十年間工事高の高価なものだという指摘は毎年ずっと続いておるのです。最近は一件か二件です。一件です。これも私おかしいと思うのです。おかしいという証拠に私はこういうことを聞きました、検査院でも国鉄内部でも。検査院から毎年何百通かの資料調査の照会がある。その資料の中には、検査院といえども、私は失礼ですけれどもそんなに現場のことは詳しくないと思うのです、詳しい国鉄現場の人から見れば。そういう何百通か来る資料の中で、まあ四十通とかなんとか言っておりましたけれども、そんなことはラブレターみたいだ。どういうことですか、ラブレターというのは。私はそういう監査を経験したこともございます。このことばは意味深長であり、これは私はすべての関係当局の癒着をあらわしておると思うのです。ということは、資料が来ます。照会があります。それがありますと、国鉄職員は、係の人はそのことによって遠いところに出張して、そうしてかせげるのです。どうせ検査院では具体的なことはわかりませんから、現場の人が適当につくって検査院に報告する。その中から全国的にはただ一カ所ぐらい、工事が高過ぎるということを検査報告に載せている、こういういきさつとしか思われない。これは検査院指摘事項だけでも、十年間一つ一つ言えば何時間あっても足らない。私は納得できない。そのほかほんとうに、私が申し上げました財産の管理でも、未利用地につきましても、第一年目に私が要求したときには百十二件しか出さない。昨年です。ことしの一月になってから四百二十六件出してきた。そうして最近になって、ようやく六百三十七件出してきた。その六百三十七件の中にも、私がこの前言ったようなはっきりした、あの福岡県の志免炭鉱のあと地でも十万坪しか入ってない。七万坪は抜けている。ここに私は不用地の六百何十カ所の資料をもらっておりますけれども、こういうことを平気でやれる国鉄の、これが六百何十カ所の場所を書いた、線名と広さと、そういうものなんです。ほんとうにそのほかサービス問題でも一昨日も、それから購入資産の不正競争入札でも、外郭団体との癒着でも、人件費の問題、これも私はこの人件費の裏づけとなる給料の支払い調書を調べてみました。これまた納得がいかないのです。給料を払えば必ず税務署に税金の申告をします。支払い調書といいます。それと、国鉄人件費が納得いかないのです。裏づけですから、給料を支払ったならばそういう支払い報告が行っているはずですけれども、それとも合わない。それから食料費というのがあります。これは普通の会社にはないのですけれども、これは何か交際費みたいなものらしいのですけれども、これは本社と、それから総局の役職のある人しかないそうですけれども、こういうものはまたたいへんあいまいです。私は聞きますけれども、結論はわからない。それはそうでしょう、国鉄の担当課の人で国鉄の経理を二十年間、二十五年間やっておるけれども、一つ国鉄ほんとうのことはわからないという実情を訴えているのですから。こういういままでのようなシステムになっておったらそれがほんとうだろうと思うのです。そういうその場におる専門家が二十何年もおってわからない経理を、このように予算を組んだ、やれ実行予算だの決算だの国家予算だの幾重にも幾重にもその姿がわからなくなっておるのです。こういう予算計上したりしなかったりするということと、国家予算、この審議のほうに出す予算、それから実行予算、各総局に割り当てる予算、決算、こういう問題をほんとうにやらなければならないと私は思いますが、そういうふうにまとめまして大臣、こういう問題はひとつこの際国民にこのような運賃値上げをお願いするならば、できるものからすっきりしなければならないと思いますが、いかがですか。
  33. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いろいろ貴重な御指摘をいただきまして、確かにいま御指摘がございましたように改善すべきもの直ちに検討いたさせまして、できるものから順次改善をしてまいりまして、そうして国民の御期待にこたえたい、こう思う次第でございます。
  34. 田中昭二

    田中(昭)委員 大体時間がきたようでございますが、いまの問題を一つ一つ取り上げてみてもたいへんな問題でございますが、並びに今度の二法案の審議につきましてはいままでにない審議がなされた。これをずっと聞いておりまして、当委員会が前回国鉄運賃値上げ法案また再建法案の審議がほとんどなされなかったというようなことも私は聞いております。それがなされなくて今度の法案が何でできるかということも痛切に聞いた、そういうものをもって現地調査、地方公聴会、中央公聴会、参考人の意見聴取、そういうものを通してこういう姿を見てみると、過去十年間にはこのような慎重審議がなかったことは疑いもない事実であります。しかし、この審議を通して一番反省しなければならないのは、自民党、与党をはじめ政府国鉄当局であることも明らかになったと思います。現在まで再建のために貴重なる公述人、参考人等の意見並びに各委員指摘されたものは一つとしておろそかにできないりっぱな御意見であり、適切なものもあります。ですから、私はその言うことは、言われたことは一つも間違いないし事実であるし、それを受けた政府当局ももう承知のとおりであります。そこで、言うことはどんなことでも聞きますが、問題はそれをどう受けとめるか。そこでその受けとめる段階で直ちに実行ができる必要不可欠なことを政府当局が本気になって実行する以外にないと思いますが、大臣総裁の決意を最後にお聞きしたいと思います。
  35. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 御意見のとおりと思う次第でございます。改善すべきものは直ちに改善するよう強く国鉄当局のほうを指導し、監督してまいりまして、そうして国民の御期待に沿いたい、こう思う次第でございます。
  36. 磯崎叡

    磯崎説明員 私は国鉄運営の責任者といたしまして、ただいまの先生の御発言あるいはいままでの諸先生方の御意見、参考人、公述人の方々の御意見、非常に肝に銘じて承っております。今後微力ではございますが、全力を尽くして皆さま方の御意見に沿って国鉄を運営してまいりたいと思っておる次第でございます。
  37. 田中昭二

    田中(昭)委員 同じようなことを聞くようでありますが、大臣総裁の御決意を聞きましたが、私はいままで指摘された中に、国鉄が金を要するとか特別なことを要しなくてもできるものを、企業努力一つくらい具体的なものを聞かなければ、きょうの新聞等でこういうふうに国鉄ほんとうにずさんなことが報道されております、新線建設についても。ですからそういうことを考えれば、ひとつ総裁この辺で何か一つ大きな、国鉄の内部だけでそう費用を要せずにできるような具体的なものはこういうものがありますからこれをやっていきますというような御発言はできませんか。
  38. 磯崎叡

    磯崎説明員 実はただいま御審議願っておりますのは、すべて数字になる、金の裏づけのあることでございますが、私どもは私どもなりにいわゆる計量化されない業務刷新というものをぜひしなければならないということで、たとえば人事の問題あるいは業務運営の問題等につきまして、いろいろ具体的に百年を期しての刷新案、改善案を考えておるわけでございまして、いま先生がいみじくもおっしゃった金のかからない国鉄だけでできるということがたくさんございます。それをやってまいるつもりであります。
  39. 田中昭二

    田中(昭)委員 以上で終わります。
  40. 小峯柳多

    小峯委員長 井岡大治君。
  41. 井岡大治

    ○井岡委員 国鉄の財政の再建については過去何回かにわたって国会で審議をされたわけですが、私はそのこと自体決して失敗だとは申しませんけれども、過去約十何年間にわたって同じことを審議をしている。したがって私は、ここでもう一度国鉄というものはどういうものであるか、こういうことをあらためて考え直す必要があるのじゃないか、こう思います。ちょうど三十二年の国鉄運賃のときには国鉄性格の問題を非常にやかましく輪議をしたわけですが、その後の国鉄運賃改定にあたってはお金の問題だけはかなり突っ込んで討議をされますけれども、国鉄性格、こういうものについては少しおろそかにしておったのではないか、この点、私たちも反省しなければいかぬと思います。特にこの間と申しますか、四十四年の財政再建促進法を審議をするときに私はやっておくべきだったと思うわけです。これが、私は議事録を調べてみましたけれども、あまり十分な討議が行なわれておりません。これでできるのだ、こういうお話だけで、決してそれがどう申しますが、核心に触れたものがない、こういうように思うわけです。  そこで、私はまず最初にお伺いいたしますが、国鉄法の第一条に「国が国有鉄道事業特別会計をもつて経営している鉄道事業その他一切の事業を経営し、能率的な運営により、これを発展せしめ、もつて公共の福祉を増進することを目的として、ここに日本国有鉄道を設立する。」ここで問題は「能率的な」、こういうことで公共企業体に移行されて、そうして従来の官庁経理から、悪いことばでいうと大福帳経理から複式簿記に切りかえられて、そうして収入と出資を明らかにする、こういう制度をとられたと思うのです。そのことをおやりになりましたけれども、しかしそれがまだ私は十分徹底をしておらないと思いますし、これだけ大きな企業でございますから一銭一厘間違いがない、こういうことが私は望ましいことではありますけれども、そのことを望むべくはないと思うのです。それはあっていいとは言わないけれどもやむを得ないことだと思うのです。そこでもう一度ここで「能率的な運営」、これにウエートを瞬くのか、その次に「もって公共の福祉」、ここに置くのか。私はこれは「もつて公共の福祉」に置くべきであって、「能率的な通常」等については私は部内の近代化であり、合理化でありあるいは企業意欲である、こう考えるわけです。それは第二条に「日本国有鉄道は、公法上の法人とする。日本国有鉄道は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十五条又は商事会社その他の社団に関する商法(明治三十二年法律第四十八号)の規定に定める商事会社ではない。」こう書いてある。したがって、私は商事会社でないということであれば、これは「公共の福祉」に重点が置かれなければ、能率に重点を置く、ここのところを私は国鉄当局もあるいは政府当局もはき違えておったのではないか。これはお金が足らないものですからそういうことになるのかもわかりませんけれども、この点を明確にしないと、今後幾ら年間で今度は一兆円をつぎ込んでおやりになるといったって、私は決して再建できない、こう考えるのです。この点まず大臣からお伺いをしたいと思います。
  42. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの井岡先生の御質問でございますが、国鉄の存在意義というものは申すまでもなく、ただいま御指摘がございましたように公共の福祉の増進、これが第一義でございます。それがために能率的な経営を十分やれ、こういうことでございまして、この能率的の経営も公共の福祉という大前提に吸収される、私はそう解釈をしております。そのような方針で再建策をやるべきだということで今日までまいってきておる次第でございます。
  43. 井岡大治

    ○井岡委員 いまのことについて、大蔵省どなたかおいでになっていますか。——大蔵省からも一度お伺いしておきたい、こう思うのです。
  44. 金子太郎

    ○金子説明員 日本国有鉄道法が施行されました時期におきましては、まだ公社とかいわゆる特殊法人とかいうような観念が熟しておりませんで、したがいまして、第一条に能率的な運営と公共の福祉の増進という表現が入りますと同時に、第二条ではわざわざいわゆる商事会社ではないんだという規定が入ったというふうに私どもは理解いたしております。  なぜ日本国有鉄道という公社にしたかということは第一条にあるわけでありますが、何といいましても特別会計というのは一般会計と同じように、財政当局予算上のコントロールがかなりこまかいところにまで及ぶものでございますから、事業を能率的に運営することに支障のある場合が多い、こういう判断で公社に移行いたしまして、したがって公社予算上のコントロールは特別会計よりもだいぶ緩和された形になっております。そういうことによって能率的な運営をはかるというふうに考えられたと聞いております。  また公共の福祉と能率的な運営の関係でございますが、これは申し上げるまでもなく、その後の特殊法人等の設立の動機がみな同じでございまして、高い公共性を持つものと、その事業の能率的な運営をいかに両立させるかということがわれわれに与えられた課題になっているというふうに考えます。したがいまして、四十七年度予算におきましても、一方において合理化その他の努力によって能率的な運営をはかりますと同時に、国といたしましても国鉄の高い公共性に着目いたしまして、大幅な出資その他の助成に踏み切ったという次第でございます。
  45. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、今回の再建にかなり思い切った措置をとられたことについては敬意を表します。しかしいまの答弁では私は満足できません。ということは、公共の福祉というのは、私は一生懸命調べてみたんですが、免許事業についてはみんな公共の福祉があるわけです。その代表的なのを一つ読んでみます。海上運送法の第一条に「この法律は、海上運送の秩序を維持し、海上運送事業の健全な発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とする。」やっぱり公共の福祉が書いてある。ところが一生懸命日鉄法を調べたんですが、この海上運送法には二十七条にたいへんなことが書いてあるのです。「前条の規定による命令により損失を受けた者に対しては、その損失を補償する。」「前項の規定による補償の額は、当該船舶運航事業者がその航海を行つたことにより通常生ずべき損失及びその命令を受けなかつたならば通常得らるべき利益が得られなかつたことによる損失の額とする。」そうすると国鉄は、同僚議員から盛んに閑散線の問題を話をされておりました。こういうものは命令を受けておやりになっているわけです。あるいは建設にいたしましてもそうなんです。建設は地域の開発あるいは住民の希望、こういうものから、ここはつくっても赤字になるということは百も承知で国鉄はつくらなければならないわけなんです。しかも、これは国の命令によってやらされておるわけなんです。商事会社にはその損失の補償を全部することをきめておりながら、これは同じ運輸省です。しかも国鉄は、輸送は多様化しておりますけれども、何といっても国民国鉄であり、国民国鉄に期待をするものは、どの事業よりもより大きなものがあるといって差しつかえないと思うのです。そういうようにするとするならば、いま大蔵省の主計官お話になったように、単にほかの公社と、こういうだけでは済まされないのではないかと私は思うのですが、その点もう一度いかがですか。
  46. 金子太郎

    ○金子説明員 国鉄をほかの公社あるいはほかの特殊法人と並列に扱って議論することは適当でないという御指摘については全くそのとおりと思いますので、訂正をさせていただきたいと思います。ただ、国鉄に対する財政当局の立場ということになりますと、何と申しましても国鉄鉄道運送という事業をやっておるわけでございますから、基本的にはその事業に伴うコストは利用者に負担していただくというたてまえに立たざるを得ない。そこの受益者の負担というものに限界があるという場合にその公共性に着目して財政面からも援助をする、こういうふうに私どもは理解いたしております。
  47. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、長浜さんにお尋ねをしますが、概略でいいと思いますが、独立採算でやらなきゃいけない、受益者負担でやらなきゃいけない。これは会計法上から考えても、いまの自由主義経済の中で私は当然だろうと思うのです。ところが、特にここに先ほど読み上げましたように、国鉄は商事会社じゃないということを規定している。そうして一方では命令を受けたものにはこれは補償していっている。ところが、片っ方は命令を受けたものには補償がない。これが今日国鉄の財政を困難にした最大の原因だと思うわけです。そこで長浜さん、お聞きしますが、公共負担それから通勤、通学の割引、それからいわゆる建設線、閑散線の建設、国土開発による建設線、こういうものに要したお金は大体何ぼくらいありますか。
  48. 小林正知

    ○小林説明員 ただいまのお尋ねでございますが、まず、運賃上のいわゆる公共負担と申しますか、通勤通学等に対しまして、普通の所定の運賃に対しまして法律で定められた限度、一カ月の定期で申しますれば五〇%ということになっておりますが、その五〇%をこえてさらに割り引いた分を私ども運賃上の公共負担ということで称しておりまして、先生よく御承知のとおりだと思いますが、これは四十五年度の実績で申し上げますと……。
  49. 井岡大治

    ○井岡委員 ちょっと待って……。四十五年度だけ言ってもらったのでは話にならぬのですよ。というのは、海上運送法で、命令を受けたものについては国が損失を補償する、こう書いてある。だから公共企業体になってから損したものを言ってもらわなきゃ、四十五年や四十六年だけ言ってもらったってこれは話にならぬですよ。
  50. 小林正知

    ○小林説明員 御質問の趣旨を取り違えましてはなはだ失礼いたしました。公共企業体になりましたのは二十四年でございますが、それからあと現在、四十七年度の見込みまで合わせまして、累積で約一兆二千億というものがいわゆる運賃上の公共負担でございます。これは先生いまおっしゃいました通勤通学の問題等全部含んで、そのほかに貨物等の分も含んでおります。  建設線のほうの問題でございますが、公共企業体になりましてから鉄道建設が国鉄の手で、さらに三十九年になりましてから公団の手で実施をされておりまして、その建設線によって生じました赤字は五百六十三億という累積になっております。
  51. 井岡大治

    ○井岡委員 利子の計算をいたしますと、これは複利になりますから約二兆五千億くらいになりますね。総裁、そうなりませんか。
  52. 磯崎叡

    磯崎説明員 複利で計算いたしますと大体それくらいになると思います。
  53. 井岡大治

    ○井岡委員 そういたしますと、ここで大臣にお尋ねをいたしたいのですが、十年間で一兆円を出す、そしてこれで再建できるのだ、こういうようにお話しになっておりますけれども、若干の修正はありましょうけれども、とにかくいま一兆円から一兆五千億という金を一気に先に出して、今後十年間幾ら出すかということによって再建ができるのであると考えるのですが、この点どうですか。
  54. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 再建を早期にするのには、国の財政支出を大幅に直ちに出すということが一番望ましいことは申し上げるまでもございません。しかし、国に対する財政需要は国鉄だけではございません。福祉方面その他いろいろの方面の財政需要もございまして、今年の財政規模におきましては、ここが一番ぎりぎりの線ではないかということを考えまして私は政府案に賛成をし、御審議をお願いしている次第でございます。
  55. 井岡大治

    ○井岡委員 大臣がいままでにない御努力をされたことについてはお互い議員として、国民の一人として私は敬意を表しているわけです。だけれども、なるほど国は国鉄だけでなしに全体の財政需要というものを考えなければいけないことは承知をいたしております。けれども、たとえばいま国鉄がかりにほかの商事会社のように破産をしてこれが動かなくなった。こう仮定をいたしますと、日本の産業、経済というものは麻痺をしてしまうと思うのです。麻痺だけでなしに破産をするだろうと思うのです。こういうことをとうから考えると、努力されたことについては私は感謝しますけれども、そうだからといってこれは全面的に感謝はできません。少なくともいままで不足をしておる一兆二千億、それから五百六十三億、約一兆三千億というものは、この十年計画をかりにお立てになるとするのであれば、これだけを盛り込まなければいけないのです。それを一兆円にとめられておるということはどうしたって納得できません。なぜなら先ほど言うように、商事会社には命令させて損したらそれは補償してやるのだ、こういうことです。国の事業です。しかもこの事業が停止をする、あるいはダウンをするということによって大きくわが国の産業、経済に影響を持つとするならば国として責任を持つべきだ、こういうように考えるのです。この点大臣にもう一度お伺いしたい。
  56. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 海上輝送法にございますのは、要するに命令航路についての問題、こう思う次第でございます。同様の意見におきまして、いわゆる不採算路線につきましてもそうでないか、こういう御質問と思う次第でございます。  確かにいま御指摘がございましたように、万一国鉄が運営できなくなるということはえらい問題でございまして、私もその認識は十分に持っているつもりでございます。そういう点におきまして、いままでのそういったような命令路線と同じようなものについての国の財政の支出が足りないのじゃないか、こういう御指摘だと思う次第でございますが、出資において一兆、それから利子負担その他につきまして一兆、約二兆、これはぎりぎりの線で私ども政府の財政支出を予定している次第でございます。これを急速に進めてまいりまして、あるいはまた国民の御協力また企業努力をやりまして、また国会での法案審議、国民の監視ということ等も御協力いただきまして、それによって必ず国鉄の、国民の陸上の大動脈としての使命は達成できる、産業の発展にも寄与することができる、いまこういうふうに思っている次第でございます。
  57. 井岡大治

    ○井岡委員 大臣、私は、非常に努力されたからというのはあまり好まないのですよ。好まないのですが、二兆円の金を支出をするといっておいでになりますが、これは十年間に二兆円を支出しようじゃないか、単なる申し合わせ的なものなんです。そうでないといわれるなら、同僚議員が年次計画を出しなさいと、こう言ったけれども、運輸当局はそれを出さなかった。年次計画は出ておって、この二兆円というものを、本年は五百十億出した、あるいは利子を入れて九百億ほど出した、来年はこれを千五一億出すのだ、あるいは再来年は何ぼ出すのだ、こういうものがあって初めて大臣の言われることを信用していいと私は思うのです。ところが、経済ですから浮き浮みがあります。いままで何回か御答弁をされておりましたが、国鉄がこんなに赤字になって経営がやりにくくなってきたのは、日本の経済の伸びが予想をはるかに越えたものだった。そうして独占であるべき国鉄の輸送事業が後退をした。特に国民の多様化の要求によってなることは当然だ。さいぜんの田中君の質問に、鉄監局長は、国鉄はいまや独占であり得ない、こう言っているのです。そうだとすると、そういう計画があって初めてこれが可能であるのであって、浮き沈みする日本経済——私は日本経済というよりは、今日では世界経済といったほうがいいと思うのです。世界経済に大きく左右をされるわが国の経済として、そう簡単に、はい、よろしゅうございますというのは、大臣幾ら大臣努力されたからといっても私は了解できません。  そこで主計官に聞きますが、あなた方、この法律が通って——これが通るか通らぬかは別として、この計画をするにあたって、あなた方簡単に、やみくもにお金を出しておいでにならないと思うのです。来年、再来年のことを考えておいでになると思うのです。この点どうですか。
  58. 金子太郎

    ○金子説明員 申すまでもないことでございますが、現在の予算制度は単年度主役をとっておりますので、四十八年度以降のことについて公約的なことを言うことは慎まなければならない、そういう気持ちから、国鉄あるいは運輸省のほうは十年間の計画をなかなか提出されなかったのではなかろうかと思いますが、私どもと運輸及び国鉄との間におきましては、十年間に出資についておおむね一兆円、工事費補助等についてまたおおむね一兆円、再建債の発行で約七千億円、あわせて二兆七千億円という大ざっぱな計算は一応できております。国鉄再建計画は、この特別措置法に基づきまして、この改正法案が成立いたしますれば、おそらく数カ月後に国鉄当局から運輸大臣に提出されて承認があると思いますが、いまの段階ではまだまだ不確定要素が多いものですから、計画のしかとした内容は固まったといえない、そういう状況にあるというふうに理解いたしております。
  59. 井岡大治

    ○井岡委員 いまのお話だと、大まかなものは年次別に大体考えている、二兆七千億について考えている、こういうことです。私は、きょうあなた方が言われたからといってこの次に、間違っておったから、これはおまえ食言じゃないか、こんなことを言って追及しようとするほど小さくはないつもりです。そこで鉄監局長、運輸当局と話はしてあるというのですから、大体大まかに言ってください。
  60. 山口真弘

    山口政府委員 国鉄の長期計画でございますから、したがってこの長期計画をやるいろいろな前提というものを考えていかなければならぬわけでございます。その前提の一つとして、今後の収入の基礎となる運輸数量というものはどのような伸び方をしていくかという一応の想定をして、さらにその収入の基礎となるところの運賃の単価はどのようになるかということを一応の試算として実収一五%の値上げを三回、そして五十六年の時点においてさらに実収一〇%の運賃改定を検討するという形。それからその他工事費補助金につきましては、現任の四分五厘というものを踏襲をしていく。そして出資につきましては、十年間約一兆というものを今後の出資として見込む。さらに財政再建債利子補給金でございますが、結局現在の過去債務につきましては、できるだけこの過去債務の負担を減少するという意味において、四十六年度末約三兆の債務の中から、政府管掌債及び政府保証債合わせて約二兆につきまして、これに対する利子の十年間支払いというものに対して財政再建債を発行いたしまして、そしてこの財政再建債にかかります利子については全額利子補給するということ。  それから地方閑散線の対策といたしまして、鉄道としての特性を失うと考えられますところの三千四百キロにつきましてはこれを撤去するが、暫定的な問題として国と地方公共団体が助成する。さらに人件費につきましては、従来の再建計画の破綻の経緯にかんがみまして、人件費の想定を慎重に行なうという意味において、経済社会発展計画が考えております一二・一%を基礎とし、今後の経済情勢を考えまして、その後、一一・一、一〇・一というものにしていく。さらに人件費一つの要素でございまするところの要員数というものにつきましては、十一万人の削減ということで試算をする。それから、その他資産充当というものにつきましては、平均約六十億円程度というものを目標にこれを考える。それから鉄道建設公団に対する出資というのが従来はございましたが、これは、今後はこの鉄道建設公団に対する出資はしないということに一応考えている。それから、その他一番大きな要素であると考えられますのは工事規模でございますが、その工事規模といたしましては、七兆円というものを今後十年間に投資いたしまして、そして国民の要望するところの輸送サービスの提供というものにつとめる。大体こういう考え方で収支試算をいたしておるわけでございます。
  61. 井岡大治

    ○井岡委員 いまの局長のお話は、この審議が始まってから毎日のように聞かされたことなんですね。私の聞いておるのは、それを聞いているのじゃないのですよ。大蔵省は一兆円を十年間に出す、こう言っている。利子補給については一兆円出すと言っておる。工事費については七千億を出す、こう言っている。そうすると——私は収入のことを聞いているのじゃないのですよ。その二兆七千億というものをポケットからこう出して、これをかってに分けてくれと言ったのではないだろうと思うのです。大蔵省ともあろう省がそう簡単に二兆七千億やるからおまえようやれということは言わないですよ。二兆七千億をするためにこまかく計算をしているはずですよ。それば概略詰めてあります、こう言うのです。そこできょう言ったからといって、これが違っても、経済の振幅がありますから、そんなことは私は追及しません。けれども、ここでこのことを明らかにしておかないと、私は、国定に対して取るだけは取るわ、二兆七千億出すのだ、出すのだと言うけれども、出すのやら出さないのやらわからないのです。現に今度は六百十億しか出していないじゃありませんか。こういう点を考えれば、当然基礎があるはずですよ。それをここで出しなさいよ。
  62. 山口真弘

    山口政府委員 それは先ほど申しましたように、一兆を今後十年間に出すということを政府部内におきまして、運輸、大蔵両名の間で相談をいたしまして、それが基礎になりまして本法の改正案というものも国会に提案をされ、また四十七年度予算もそういう考え方のもとに編成されておるわけでございます。その意味におきましては、ただいま先生がおっしゃったように、今年度の予算だけでなくて、将来のものをも含んでの上での提案ということでございます。
  63. 井岡大治

    ○井岡委員 だから出しなさい、こう言っておるのですよ。なぜ出せないのですか。ここは国民がみんな知りたがっているところなんですよ。その知りたがっておるところを隠しておって、とにかくこの場さえ済んだらいいというのが——私は政府を責める、あるいは国鉄を責めるという意味じゃありませんが、それが今日まで何回やられてきたのですか。だから私は最初に、この際国鉄性格というものを、この問題をあらためて討議をしておかなきゃいかぬのと違うか、こう言っておるわけですよ。しかもあなたは十一万人と言っておいでになるけれども、こんなものできっこありませんよ。なぜできっこないか、具体的に言いましょうか。昨年、ニクソンの新経済政策で、日本は労働者を働かせ過ぎる、こういうことを指摘をされた。そこで労働省は官公庁の職員について、週二日の休日制を検討している。おそくとも来年あたりからできればやりたい、こう言っているのですよ。国鉄の職員だけいままでのように週一日休日でいいのですか。こんたことはできないでしょう。やはり二日制をやらなきゃいかぬのです。そうだとすると、この十一万へ切るなんて、どうして大きなこと言えるのですか。将来としたってできないですよ。こういうことを考えれば、やはりこの際、洗ってみてここはこういうふうに修正しましたと言ったほうが私は、将来国民国鉄は信用されると思うのです。総裁、そう思いませんか。
  64. 磯崎叡

    磯崎説明員 私もそういうふうに考えます。先ほど主計官から言われたように、私のほうといたしましては、一応の試算を持っておるわけでございます。何年には大体どのくらい投資をする、利子補給は幾らになる、その場合に政府出資は幾らになる、大体見込みをするわけであります。ことに十一万人の問題とからんでおりますが、後ほど御質問かとも存じますが、十一万人と申しましても、実は先生からもあらかじめそういうお話がございまして、考え方といたしましては、五十三年までにやる、四、五、六の三年間は減らさないということは、実はそのことのアローアンスはとっておるわけでございまして、ちゃんと計算には入れてございます。しかしその各年度ごとの、さっきおっしゃった財政上の問題については、運輸省と大蔵省の間では大体詰まっておる。私のほうにももう自動的に計算できるものもございます。ですから、あとば投資規模をどうするか、これも七兆ということで大体きまっております。ですから、そうむずかしいことはないというふうに私は考えております。
  65. 井岡大治

    ○井岡委員 それは局長、私は、なぜこれを言うかと言ったら、これは言っておかなければいけない問題ですよ。そうしないと、国鉄だって、いわゆる手形をもらったけれども、その手形が裏づけがあるのかないのか、不渡りになるか、何もわからぬようなことで、国鉄のしりをたたいてどうしてやれるのですか。ぼくは特にこの際総裁に言っておきたいのは、私は、とかく国鉄は、総裁以下職員、いろいろな問題があって苦労されております。しかしこういう問題が明らかになって、われわれはこういうビジョンで再建するのだ、だから職員の諸君もやはりひとつがんばってくれ、この声がない限り、なかなか私は解決しないと思うのですよ。そのためにはどうしたってやれるように、こういう一つのなにを——簡単なことじゃないですか、あなたの言われたことを計算すれば、利子の問題は基礎がわかっておるのですから、借金の。これは利子をどうたな上げしたら何ぼになる、それから建設は何ぽ、こういうようにする。わかっておるのじゃないですか。
  66. 山口真弘

    山口政府委員 先ほど申し上げましたように、国の助成というものは、とにかく十年間に一兆行なう。今年度六百十六億から漸増をいたしまして、約一兆を行なう。それから政府再建債の利子補給金といたしまして、政府管掌債務につきましては、四十六年度末の政府管掌債務というものの額がきまっておりますから、当然それに対する政府再建債の額がきまっております。したがいまして、そのきまっておりまする再建債の額に対しまして、六分五厘の利子補給があるわけでございます。したがいまして、その額というものは当然きまっておりまして、たとえば四十七年度は九十四億円だが、四十八年度は百四十一億円だというようにちゃんときまっておるわけでございまして、その工事というものが十年間で約二千八百二十億円、それからたとえばその次に政府保証債でございますが、この政府保証債の額というものは、四十六年度末でございますから、それはそれでもうきまっております。それに対する利子支払いというものが当然再建債になりまして、この再建債に対しまして六分五厘の利子がかかるわけでございます。その六分五厘の利子に対しまして、その全額を補給するわけでございますから、したがって当然四十七年度は十二億だ、それに対しまして、四十八年度はそれが三十四億になり、四十九年度は四十九億になるということで、全体が五百九十億になるということになる。したがいまして、そういう意味ではその政府管掌債の利子並びに政府保証債の利子というものがきまりまして、そうしてそれが三千四百億ばかりになる。それからさらに地方閑散線の補助でございますが、ことし百二十五億でございますが、当然これは三千四百キロというものを一定の計画によって撤去してまいるわけでございまして、そうしてその残りというものに対する補助金でございますから、当然その残存地方閑散線のキロ程に対応いたしましてその額がきまっておるわけでございまして、たとえば四十八年度が百六十三億というようにきまっておるわけです。そういうことにいたしまして、全体の十年間で約五百億ということにちゃんときまっておるわけです。したがって、そういうことでやってまいりますと、そういう意味での直接的な政府の助成と申しますか直接的な政府の補助というものが約二兆四百億くらいある。そのほかに、先ほど話がございました再建債の累積分というものが十年間で七千億あるということでございまして、そういう意味では先ほど申し上げましたように、条件というものがはっきり一はっきりと申しますか、一応の試算としてはきまっておるわけでございます。
  67. 井岡大治

    ○井岡委員 初めからそう言えばいいじゃないですか。私が何回も何回も同じことを聞いて初めて来年はこれはこうなるこうなると言い出したのでしょうが。そこが私は国鉄に対しても不親切だし、国鉄も計算はしておいでになるでしょう。計算はしておいでになるでしょうけれども、監督官庁としては当然こういうことを考えなければいかぬ。同時に、国民に対しても親切なことなんですよ。それは何回か私がこれを言ってください、こう言ってもあなたは一つも言わずに、そしてようやくこうきまっているのですよと言う、少しやはり不親切じゃないですか。  そこで総裁にお伺いしますが、日鉄法の三十九条の十四、「日本国有鉄道は、支川予算については、当該予算の目的の外に使用してはならない。但し、予算の実施上適当且つ必要であるときは、第三十九条の五の規定による、区分にかかわらず、彼此流用することができる。」「日本国有鉄道は、予算で指定する経費の金額については、運輸大臣の承認を受けなければ、流用し、又はこれに予備費を使用することができない。」こう書いてあるわけです。三十九条ずっと書いてあるのですが、これは予算の弾力条項だと思うのですが、こういう場合どの範囲、またどのくらいな金額まではできるのか、この点をひとつお伺いしておきたいと思うのです。
  68. 磯崎叡

    磯崎説明員 この細目は実は毎年度御審議願う予算総則の中できまっております。そして、たとえばいま先生指摘の三十九条の十四で流用できない費目といたしまして、たとえば人件費でございますね。大体人件費がおもでございます。それからその前の三十九条の十四の第一項のほう、予算の目的外、すなわち私のほうでは、三十九条の五で収入支出予算は資本勘定と、それから損益勘定と工事勘定と三つ、一応別になっておりますので、それの彼此融通はいけないというふうにきまっております。たとえば、損益勘定のものを予算にきめられた以外に工事勘定に使ってはいけないとか、工事勘定で借金したものを予算できめられた以外に損益勘定に使ってはいけない、こういうのが三十九条の十四であります。十四の二項のほうは、さっき申しましたように予算総則で相当こまかくきまっておりまして、これは予算書の前文についておりまして具体的に全部書いてございます。流用できる金額はそのつど、たとえば今度仲裁裁定が出ますと既定人件費ではやれませんので予備費を使うあるいは何と申しますか、繰り入れを減らすというふうな措置にならざるを得ないと思います。そういう場合には三十九条の十四の二項で、国鉄限りでできませんので運輸大臣の御承認を得る、こういうことでございまして、大体人件費がおもで、予備費は普通は災害目的に使う以外は主として仲裁裁定の財源というふうに考えておりますけれども、その場合でも大臣の御承認が要るわけでございます。その意味で弾力性を持っておるわけでございます。
  69. 井岡大治

    ○井岡委員 そこでまた一ぺん戻りますが、主計官にもう一つだけ聞いておきます。  どの運送事業でもなにになっているわけですよ。原価を償わなければならないということと、それから一定の利潤を得なければならない。これは道路運送法にしてもそのとおりですね。そういうようになっておるわけです。ところが、国鉄は初めから損なところがあるわけですね。そこにやはりあなた方がいままで踏み切れなかったのを踏み切られたのだろうと思うのですよ。そこで、そうだとすると先ほど申し上げましたように、やはり一方においては企業会計としてやっておるわけですからどうしてもつじつまが合わなくなってくるわけです。特に、私はあとで聞こうと思いますが、いろいろな予定線とかあるいは建設線があります。これなんかは全部赤字なんですよ。かりに政府が全部金をつくって、そうしてこれを建設してもらったとしても維持費それ自体が赤字になるわけです。そういう点から考えて、やはり先ほどから申し上げておりますように、いまあなたに二兆七千億を三兆円にしろなどということは私は申し上げません。言ってみたってそれはあなたはお答えにならないでしょうし、また聞いてもこれはお互いがマスターをするだけの話になるわけです。だから私はそれは聞こうとは思いませんけれども、最初に聞きましたように、少なくとも二兆五千億という、いままでに企業体になってからの損失というものがあるわけです。そしていままであなた方は、国鉄はいろいろその人によって評価が違うでしょうけれども、あれだけ大きな財産を持っているのだからこれを担保に入れて金を借りられるじゃないかということは私はいかないと思う。ですから、市中銀行から借りているのを全部切りかえてやる、こういうことになりませんか。
  70. 金子太郎

    ○金子説明員 ただいまの問題は四十七年度の国鉄予算を編成いたしますときに、要求側と査定側の間で非常に長々とまた深刻に議論されたポイントでございまして、国鉄に対する財政助成を大幅に増加する場合にはどのポイントに着目して助成するのが一番いいかという問題になったわけでございます。  考え方の一つといたしまして、また要求側の考え方にもあったわけでございますが、過去債務というものをきれいにする、そうして国鉄を身軽にして今後はあまり大幅な助成を受けないでやっていく、こういう考え方もございました。また要求の中には出てまいりませんでしたが、ただいま御指摘のございました国鉄のしょってきた公兵負担あるいはそれに準ずるようなものについて一般会計が穴埋めをする、そういう考え方もございました。ただ、私ども財政当局といたしましては、第一点につきましては何といっても国民の税金を国鉄に投入するわけでございますからなるべく前向きに使いたい、また入れる場合に長期的に国鉄に体力のつくような方向で考えたい、こういうことを考えまして、要求にはなかったわけでございますが、出資という方法を用いたわけでございます。したがいまして、損益をより急速にあるいは帳簿づらだけでも改善しようと思いますれば、この出資をやめまして損益勘定に補助金として投入すれば、十年間国鉄の損益は一兆円改善されるわけでございます。その方法はとらないであるいは出資という方法を選んだ、こういういきさつがございます。  それから第二点の公共負担の問題でございますが、公共負担に着目して、その負担相当額をストレートに穴埋めするという方法もございますが、何といっても全国的な規模において事業を営んでおられる国鉄といたしましては、黒字の線もあれば赤字の線もあるということは、ほかの民法上、商法上の私人と全く同じような状況もあるのではなかろうか。特定の部門、特定の地域における黒字でほかの部門、ほかの地域の赤字を埋めるというやり方でもやれるのではないか。むしろ国として国鉄の損益勘定に補助金を投入するならば、それは公共の負担というものに着目するよりは全然別の角度で、いわゆる工事費の補助あるいは利子の補給という形をとったほうがいいのではないかと判断したわけでございまして、結果的には金に色はないわけでございますから、公共負担を埋めたというふうに解釈することもできないことはない、そういうような感触でございます。
  71. 井岡大治

    ○井岡委員 三十二年の運賃改定のときに私たちは出資ということをやかましく言ったのですよ。それから三十五年か六年のときにも同じように言いました。ところが大蔵当局はがんとしてそれには応じられなかった。それを今度応じられた。このことについて私は敬意を表しますよ。額それ自体は別として、敬意を表します。ただ問題は、あなたがいま言われた中で、ほかの企業と商法上、民法上の問題などと言われますとちょっとひっかかることがあるのです。なるほどそれは黒字の線があるでしょう。たとえば東海道新幹線のように一千億からの黒字を出しておる。これはいわゆる総合賃金制をとっておいでになるから黙っておるのであって、ほかの商売だったら、これは利益者に還元しなければならぬですよ。それを黙ってみんな払っておるのは、赤字のあるところをお互い補おうじゃないか、こういうことで私は承知をされておるのだろうと思うのです。だから、その民法上、商法上などと言われると、私はちょっとひっかかるのです。そして商法上の問題になると、先ほど私が読んだ海上運送法などというのは、命じたものについては損をみんな払ってやる。国鉄は金がもうかるところでも損のところがあるからというので、これはみんな理解しているというのは、国民国鉄だと思うから、みんな文句は言わないのですよ。そうだとすると、私は総裁に先に聞いておきますが、これは小林さんでもけっこうですが、民間から鉄道債を受けているのは総額で何ぼですか。
  72. 小林正知

    ○小林説明員 四十六年度末全体で約三兆八百億円ぐらいでございますが、そのうち政府管掌の債務が約一兆四千億ございますので、約一兆六千億ばかりが民間から受けている金でございます。
  73. 井岡大治

    ○井岡委員 政府債については今度は大蔵省も何とか利子をめんどう見てやろう、こういうことです。この一兆六千億の中には建設の費用も入っておるわけです。そうだとすると、国鉄国民のものであると同時に、地域開発に寄与している道路一緒じゃないですか。道路は国がこしらえてやって、そうしてそこを使用する者は利益を得なければいかぬ、分割利益を得ることが原則だと、こう法律で規定しているのですよ。だからこの一兆六千億というのに対しても政府が何らかのめんどうを見る、こういうことになりませんか、お尋ねします。
  74. 金子太郎

    ○金子説明員 道路鉄道に対する国の助成が違うではないかという問題は各方面から指摘されているわけでございますが、道路の中で鉄道と対比さるべきものは有料道路であろうかと思うのでありますが、道路公団等が建設いたしております有料道路の資金コストは、一部出資等をからませまして、大部分借り入れ金に依存して、平均資金コストが六%程度になっております。昨年までの国鉄予算を編成いたします場合には、せめてその道路公団並み、有料道路並みということを私ども中にあって悲願しておったわけでございますが、四十七年度以降は道路よりもはるかに——はるかにと申してはことばは過ぎますが、相当低い五%弱の資金コストになるという点では、有料道路よりは改善されたというふうに考えております。ただお説のとおり過去債務、とりわけ過去債務の中の民間債務についてはなおかなり重い負担になっているという点ば率直に認めなければならないと考えております。
  75. 井岡大治

    ○井岡委員 主計官、二つ問題があるのです。いわゆる公団の道路と匹敵するのではないか、こういうお話です。ところがあの料金はかってに上げられるのですよ。この間まで百円だと思って百円出したら二百円取られたのですよ。国鉄はこの運賃値上げするのに、大臣以下が頭を下げたり腹を立てておっても笑ったりしていなければこれはしがらぬのですよ。だから、この点についてはあなたは間違いですよ。一ぺんに百円が二百円になるという、こんなべらぼうな値上げがありますか。これが一つ。  それからいまあなたのほうは、民間の点については五%で有料近路よりはまだちょっと下がったからというのですが、それは私がいま言うような点から考えて了解できません。もっとやはりこれは高いなら高いということにしておいてください。
  76. 金子太郎

    ○金子説明員 前の点はお説のとおり、その違いがあるという点を申し上げなかったのは私の不行き届きだったと思います。  後者のほうは、民間の五%弱で十分であるかどうかということは大きな問題ではございますが、財政事情もございますので、今回の再建計画におきましては、この程度の財政助成でぜひやっていただきたいというのが私どもの立場でございます。
  77. 井岡大治

    ○井岡委員 大蔵省の希望はわかりました。しかし、やはりここにネックがあって、大臣一生懸命努力をされてこれで十年で立て直る、こういうようにお考えになっておいでになるかもわかりませんが、おそらく大臣答弁だからそう言わざるを得ないということだろうと思うのです。したがって、大臣、この点について引き続いて努力するということになりませんか。
  78. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 金利の引き下げについての助成の問題、これは私も御説のとおりと思う次第でございまして、ただいま一般的に金利も漸次低減の方向に向かっております。今日ただいまの財政規模におきましては、やはり現時点ではやむを得ませんけれども、将来の問題といたしましては十分検討いたしまして大蔵当局とも折衝してまいりたい、こう思う次第でございます。
  79. 井岡大治

    ○井岡委員 昨今の新聞を見ていますと、国会の開催中ですからまだ具体的にのぼっておりませんけれども、景気の浮揚が思うようにいかない。そこで大幅な補正予算を組まなければいかぬのじゃないか。こういうようなことを閣議等でお話しになっておるように新聞等は報じております。私は、景気浮揚をやる場合は公共投資だという説、それには賛成です。問題は、いま計画をされておるいわゆる国鉄の建設計画というものをもっと早める必要があるのじゃないのか、こういうように考えるわけです。そうだとすると、当面ここの問題は大きなネックになってくる、私はこう思うのです。   〔委員長退席、宇田委員長代理着席〕 そこで、もし大幅な補正予算が組まれるというようなときには、きのう話をしてまとまったのだからきょうはもう言われないというのでなくて、こういうときは私は大胆にいったほうがいいと思うのです。国鉄の再建というのは非常に厳密であると同時に大胆なものでなければどうにもならぬと思います。この点もう一度お伺いしておきたいと思います。
  80. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 まだ閣議では補正予算の話は全然出ておりません。いろいろ機会がありますときには御趣旨を体しましてできるだけ前向きで検討してまいりたい、こう思う次第でございます。
  81. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、再建措置法の問題について少しお尋ねをいたしたいのですが、第一条に「この法律は、日本国有鉄道をして、将来とも国民経済及び国民生活におけるその使命を遂行させるため、日本国有鉄道の財政の再建の促進に関してとるべき特別措置を定めるもの」である。それに伴って今度の措置をおとりになったのだろう、こう思うのです。ただ、先ほども申し上げましたように、それだけでは解決しません。繰り返し総裁は内部の近代化をはかり、企業努力を払う、こういうように言っておいでになります。その考え方等についていろいろお伺いしたいのでございますけれども、時間もございませんから、それらの問題はこれが終わりました後でも十分聞けることでございますから、きょうはお尋ねはいたしません。  そこで、ここにも国民経済それから国民生活の安定、こういうようにうたっておるわけです。そういう意味から考えると、今回の運賃値上げというものは、なるほど鉄監局長国民経済、生活に及ぼす影響ばたいしたことはないと言っておいでになりますけれども、必ずしもそうじゃない。便乗値上げというのがあるわけです。通産省おいでになりませんから言いませんけれども、税に東京瓦斯は三二・二%の値上げを申請してきているのですよ。しかも、いままで七立方メートルまで使っておった人は二百五十円だったのに一挙に六百円に引き上げようとしているのです。こういう意味から考えて便乗値上げはある、私はこういうように考えていいと思うのです。したがって、ここでこれだけしか出せないというのでなくて、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、過去債務というもの、概算にしていままで国鉄がお払いになった利子を含めて二兆五千億という金が、これは国の命令によって行なったものだけです。企業努力の問題ではないのです。これに企業努力を押しつけられて、線をはずすかはずさぬかで——そこをはずすというので、だいぶむちゃなことをやった人もありますけれども、そんなものは企業努力の発露として恕していいと思うのです。だけれども、少なくともその部分についてはやはり考えてやる、こういうことをここできめても決して不都合でない、こう思うのですが、大臣、どうですか。
  82. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの点でございますが、再三申し上げましたとおり、国鉄はそういった採算のとれない路線も含めまして総合原価主義をとっておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、将来の助成についてもこれでけっこうだ、これで努力をしないというわけではございませんが、いまの二兆だけあれだから、こういうお話でございますが、それらにつきまして申しますと、新幹線その他いろいろ増収もある。それらと勘案をいたしましてこれだけの命令路線というと恐縮ですが、企業体でございますから十分やっていけるというような見込みもございましてやっていたという点もあると思う次第でございまして、いままで利子とこれだけかかったからそれだけを原則として出すということにはなかなかいかないのではないか、こういうふうに思っておる次第でございますが、いろいろな需要も勘案をいたしまして、国鉄経営ほんとうに良質サービスも提供できるし、合理的にやれるように、国としてさらにさらにそういった助成策その他の点につきましてもまたいろいろ検討してまいりまして、また御鞭撻もいただきまして善処していきたい、こう思う次第でございます。
  83. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、これから新線を鉄建公団が建設するのでなくて国鉄だけがおやりになるのはどれとどれとどれですか。ここにいただいておりますが、ひとつ読んでみますと芦別線、ずっと三十一線、十線、四線、四十八線……。
  84. 山口真弘

    山口政府委員 新線建設でございますが、国鉄が建設いたしております新線建設といたしましては、全国新幹線鉄道整備法に基づきます新幹線は国鉄が建設をいたします。在来線の新線建設につきましては鉄道建設公団が建設をいたしておるということでございます。
  85. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、これからの新線建設は鉄道建設公団がやる、こういうように理解してよろしいですね。
  86. 山口真弘

    山口政府委員 現在、鉄道建設公団法によりまして、今後の鉄道の新線建設につきましては、新幹線を除きまして鉄道建設公団が行なうということになっております。
  87. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、新幹線の東北線を除いて、いま計画をされている、あるいはこの間答申がありました三線、山陰線からずっとありましたね。あれはどこがやるのですか。
  88. 山口真弘

    山口政府委員 現在新幹線で建設をいたしておりますのは、先ほどお話がございました東北新幹線でございます。そのほかに山陽新幹線もやっておりますけれども、その他上越、成田につきましては鉄道建設公団、それから先般鉄道建設審議会がございまして、その鉄道建設審議会におきまして、札幌−青森、青森−盛岡、東京−富山−大阪、それから福岡−鹿児島、この新幹線につきまして、これを基本計画に組み入れをすることが適当であるという答申がございました。これに対しまして、近くこの基本計画を決定いたしまして、国鉄、鉄建公団に対して調査の指示をするという段取りに相なっております。  それで、いま申し上げました新幹線につきましては、その建設主体を国鉄にするか公団にするかにつきましては、国鉄も建設をする主体に新幹線法で成り得るわけでございまして、まだ現在きまっておりません。それからその他の新幹線につきましては、鉄道建設審議会で御議論が出ました福岡−長崎につきましては、今後基本計画の組み入れについて措置すべきであるという建議がございました。それから山陰方面の新幹線その他につきましては、一応鉄道建設審議会でお話が出たということでございますが、長崎以下の新幹線につきましては、現在まだどうするかということは全然きまっておりません。
  89. 井岡大治

    ○井岡委員 きまっていないということでございますけれども、これらの建設は、同僚の諸君も言っておりましたように、私は東海道新幹線のような業績はあげ得ないと思うのです。必ずしも黒字になる、これすら私自身実は自信がないのです。そうだとすると、かりに公団がやってくれた、あるいは政府がかなりそのために出資をしてくれたとしても、かなり大きな財政負担になるだろう、こう思うのです。そこで、先ほどから申しておりますように、これはこしらえなさいという命令ですから、当然こしらえぬわけにいわぬでしょう。何ぼいやだといったって、国鉄は自分の商売じゃないのですから、こんなこと言っちゃ悪いですけれども、総裁以下みんな給料いただいて、そしてまかさせているわけなんですからね。国が命令をしてきたら、せぬわけにいかぬでしょう。そこから大きな負担になってくる。そこで先ほど申し上げましたように、もう一度公共の福祉ということについて検討をする必要がある。私は直ちに別な法律をつくってというほど、まだなにを考ておりませんけれども、とにかく日鉄法による出資という項があるわけです。ですから、これは建設をしてやるというだけでなしに、建設をしてもらっても、そこからくる赤字があるわけですから、出資を一億円にするのだ、こういっておいでになりますが、これがもっともっと早まらない限り大きな負担になってくる、こう思うのです。こしらえていくのは三年か五年の間にぐわっとこしらえるわけです。しかし、金はぼちぼちあとからしかくれないわけですから、しかもそのお金よりは大きな工事をするわけです。当然それによる負担がかかってくるわけです。償還をしなければいけません。国鉄債券は、いま償還期限は何年ですか。
  90. 磯崎叡

    磯崎説明員 いろいろありまして短いのが九年、長いのが三十年でございますけれども、一番大きい十年ものが三分の一くらい、それから再建債が三十年ですから、平均いたしますと、やはり十年ちょっとになります。
  91. 井岡大治

    ○井岡委員 国鉄の線路の法定償却というのは何ぼでやっているのですか。
  92. 磯崎叡

    磯崎説明員 いろいろ内容によって違いますけれども、いま償却資産が約三千億でございますから、償却資産を償却費で割ってみますと、大体二十年ちょっと、二十二、三年になると思います、車からトンネルから全部平均いたしまして。
  93. 井岡大治

    ○井岡委員 大臣お聞きのとおり、借りた金は十年ぐらいで返さなければいかぬ、そして償却するのは二十年かかるのだ。これは一緒になりませんか。そうしないと、計画した金繰りというものはやっていけないのじゃないか。やはり返還のほうに金がいってしまって、どうにもならぬ、こういうように思うのですが、今後の鉄道公債をもっと延ばす、こういうふうにお考えになりませんか。
  94. 山口真弘

    山口政府委員 ただいま先生指摘のように、償却年限と申しますか、耐用年数がおおむね三十二年でございます。それで資金のほうでございますが、これはいろいろな条件があるわけでございますが、最も早いものは、先ほど総裁からも申し上げたようなことでございます。したがいまして、まず資金運用部その他のもの、財政投融資につきましては、これは期間が長いわけでございます。一番長いのが財政再建債でございますが、相当長いわけでございますので、やはり財政投融資のワク、特に資金運用部資金等のワクを広げていただくということをどうしても考えていかなければならないだろうというふうに思います。  それから出資でございますが、一度出資がございますと、これは永久に無利子というようなかっこうになるものですから、出資の増額とそれから財政融資の拡大ということに今後大いにつとめてまいらなければならないものと考えております。
  95. 井岡大治

    ○井岡委員 出資まで利子を取られたのではたまったものではない。そんなばかなことを言うものじゃない。同時に、再建のためにこれは長いのはあたりまえの話です。これは、先ほどの話から聞きますと、国が負担すべきものを国鉄が負担をしておったためにこれだけの負債になったわけなんです。そういうことを見合いにして、これは長くしてやるのがあたりまえですよ。  そこで今後の問題なんです。今後の問題は、先ほど申し上げましたように、つくってもペイしないわけですね。そしてそれを十年に返さなければいかぬということではいけない。だから、これが耐用年数が二十年なら二十年、二十二年なら二十二年、私は専門家じゃありませんからわかりませんけれども、一つの線を敷いて、直ちに採算がとれたのは東海道新幹線くらいでしょう。客足がつくというのは、かなり長い時間がかかるわけです。ですから、要すれば、私はそういう金は一定期間据え置きにして、そしてある程度金が回るようになってから償還に充てていく、こういうようなことを考えなければいかぬのじゃないか。そういう考えはありませんか。
  96. 山口真弘

    山口政府委員 鉄道の投資は、これは先生指摘のように、大きな資金を要しますが、一方それに対する採算というものは非常によくない。いわゆる懐妊期間と私ども言っておりますが、懐妊期間が非常に長いということが特質でございますから、したがって、その資金のコストというものはできるだけ安くなければこれがやっていけないということでございます。したがいまして、今後国鉄に対しまする投資というものをふやしてまいります場合には、当然それによりまするところの国鉄収支の内容の悪化というものを考えていかなければならぬわけでございまして、それで今回の長期の計画におきましては、七兆の設備投資をする。これによりまして収支の悪化というものが利子の負担の増、あるいは減価償却費の増というものにあらわれてくるわけでございますけれども、そういったようなものも考えあわせた上で国の助成というものも考えて、そして全体としてこれがやっていける、再建期間が終わったときには、今後いい姿でやっていけるというようなことになるということで再建計画を立てておるわけでございます。
  97. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、鉄道事業というのはそういうものじゃないと思うのですよ。計算どおりいくのならみんなうまくいっておるはずなんですよ。計算どおりにいってないのが現状なんですよ。たとえば、これはまあ総裁に悪いけれども、何回か運賃値上げをするときに、通勤をよくします、なにをよくしますと言うけれども、それよりはもっと、追っつかなくて、悪くなっていっているのが現状じゃないですか。そうしてそれを救うためにまた別のことを考えなければいかぬというのが実情じゃないですか。そういう点を考えると、輸送サービス、こう言われるけれども、輸送サービスというのはなかなかできにくい、特に採算のとれておる線では。採算のとれてないところはからですから、それはサービスもできるでしょう。そういう点を考えれば、私は償却期間というものは据え置いて、それからやる、こういうようなことを考えていかないと、鉄道転業というものはうまくいかない、私はこういうように思うのです。だから鉄監局長うまいこと言うけれども、そんなうまいこと言うてくれたって、もう何回も聞いておることですから、一向に信用することはできません。もう一ぺん言ってください。   〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕
  98. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これからは非常にばく大な投資をいたしまして、輸送サービスの改善をする次第でございます。したがいまして、金融条件の緩和というものが非常に大きな問題と私も思っておる次第でございます。いま先生から非常に適切な御意見を承った次第でございますが、据え置き期間の延長というようなことは、これはやはり最も大切なことではないか、こう思っておる次第でございます。せっかく御趣旨に沿いまして、将来財投その他の場合におきましても、それらの延長の問題と積極的に取り組んでまいる、こういうつもりでございます。
  99. 井岡大治

    ○井岡委員 繰り返して言いますけれども、午後もおやりになるようですから、時間を若干、私——午後は、本会議は一時ですから、皆さん御飯を食べていただかないと、そうなにもしていられませんから残しますけれども、とにかく私は、最初海上運送法と日鉄法を対比して申し上げたのは、やはり国鉄というものは、国民の期待というものが非常に大きい。にもかかわらず、いままでこれは私たち国会議員としてのつとめを果たしておらなかったのかもわかりません。先ほど反省をしなければいかぬと言ったのはそこだと思う。一部の諸君から、おれらは悪役を買っておるのだ、こう言われるけれども、悪役を買っておるのは、だれも一緒なんですよ。反対したから、賛成したからといって、悪役であったり、いい役であったりというものではない。私は、やはり国会議員としての私たちに力が足りなかったということを率直に反省すべきだ、こう思うのです。  そこでもう一度、私は、いま申し上げたようなことを考えるならば、ほかの商法と違うわけですから、しかもこれは国がやっておいでになるのですから、特別な配慮というものをしても、私は、国民国鉄だけにいいようにしたといって、だれもおこる人はないと思う。むしろそのことのほうが国民は喜ぶだろうと思うのです。そこらを私たちは考える必要があるのじゃないか。そういう意味で、どうかいまのいわゆる財投の問題にしても政府の金なんですから、若干政府それ自体が全体の資金計画にむずかしいところがあるかもわかりませんけれども、それは、政府は公債を発行することもできるわけです。国民経済を、あるいは国民の足を、そうして公共の福祉に貢献ができるというのであれば、その償還する額を公債を発行してもやるべきだ。それを国鉄に公債を発行さして    見ておる。なるほど今回から政府管掌についてはめんどうを見ていただくようになっておりますけれども、なおかつ民間から一兆六千億という金を借りておる。こういうようなことでは私はいかぬと思うのです。ですから、今後の建設等については、十分な資金的な配慮をしてあげないと、おまえは総裁の能力がないといっておこってみたって、こんなものはどうにもしかたがないわけだと思うのです。おこるよりも、私は、どうして育てるかということをみんなで考える必要があるのじゃないですか、こう思うのです。この点いかがです。
  100. 山口真弘

    山口政府委員 お説のとおりだと思います。国鉄法一条の公共性、公共の福祉を増進することを目的とするということでございまして、そういう目的のもとにつくられた法人でございます。いわば法人の性格自体が、法律から与えられているところの公共の福祉の増進ということでございます。しかもその国鉄自体が全額政府出資の法人でございまして、したがって、いわば国民の財産それ自体の問題でございます。そしてその仕事のやり方も、先ほど海上運送法をとって申されましたが、国鉄法の場合には、全体として国民の福祉の増進ということで運営をいたしておるわけでございますから、したがいまして、東海道新幹線のようなものを持つと同時に、その他の地方線等も持って運営をしておる、その他の公共負担も負って運営をしておるというところから考えまして、国がこれに対して是正をするということにつきましては、それによって国民の御納得を得ることができるというように、私ども先生と同様に考えるものでございます。
  101. 井岡大治

    ○井岡委員 先ほども申し上げましたように、本会議がありますから、なにをいたしますが、いずれにいたしましても、ほんとうに病人になってしまったわけですから、その原因というのはどこにあるのだ。その原因というものが公共の福祉ということで、私たちは、私たちを含めてやはり独立採算という採算上の問題だけに重点を置いておったのではないのか、少しなおざりにしておったのではないのか、これが私は大きな原因だと思うのです。したがって、もう一度これを見直して、普通の民事上、商法による会社ですら、国が命令をしたものについては負担をするという制度を設けておきながら金は一銭ももうけちゃいかぬということになっているのですよ、正直に言うと。もし国鉄が皆さんのお力によって再建をされたとするならば、これは運賃を下げるなり何らかの方法あるいは車両を改造するなりいろいろな方法で、もう一度国民に返さなければいけない性格の事業体なんです。そういう点から考えて、私は今回の六百十億を出すからといって、それで皆さんこれで運賃値上げを承知してもらいたい、これじゃいかぬと思うのです。私はもっともっと出して、そうしてその分についてはこうだ、だからこれくらいはひとつ何とかしてくれ、そのためには当面国鉄に国が負わした二兆五千億という金を先に出してやる、それから問題を発展をさせなければいけない、こういうように考えるのです。この点について大臣と見解が異なっておるようですから、この件についての答弁を私は求めようとは思いませんけれども、少なくともこれだけいままで思い切って要望したことを、できなかったことをおやりになった大臣ですから、先ほどから申し上げますようにさらに一段と努力を払っていただきたい。同時に、もう一度国鉄をみんなで見直そうではないか、このことを提案をして、大臣の御答弁をいただいて、ひとまず私の質疑を打ち切りたいと思います。
  102. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 非常にあたたかい、ことに国鉄に対しまして愛情あふれる御提言をいただきまして非常に感激をしている次第でございます。  御承知のとおり、わが国の交通社会資本投下がいままでも非常に少ないということは、私も率直に認めざるを得ない次第でございます。これは御承知のとおり戦前、戦争に明け暮れました。戦後また国土が壊廃をいたしましてその復興も非常におくれました。そういうような点につきまして、諸外国と比較をいたしましてそういった社会資本の投下が非常におくれている、充実してないということは、十分に私どもも認識をしておる次第でございまして、それらのおくれをいかにしてこれから取り戻すかということが一番の運輸行政の根本であると思っておる次第でございます。また、その中心となっております国鉄の財政の再建につきましてもいろいろ御審議をいただいている次第でございますが、国家としてもやるべき点はぜひともこれから進めていかなければならないというふうに私も痛感をいたしておる次第でございます。将来、国民協力によりまして財政規模も上がってくることでございます。また、皆さまの御鞭撻をいただきまして国鉄に対する助成措置も漸次高めていただくと思う次第でございますが、私どももいまの御趣旨を体しまして十分その面で、国鉄を含めまして交通社会資本の充実のためにはほんとうに力を入れまして努力する所存でございますので、御了承願いたいと思います。
  103. 小峯柳多

    小峯委員長 午後二時四十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      ————◇—————    午後二時五十九分開議
  104. 小峯柳多

    小峯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  この際、質疑をなさる皆さまに申し上げます。  質疑時間は理事会において申し合わせたとおりでありますので、その時間の範囲内においてお願い申し上げます。したがって、答弁もなるべく簡潔にお願い申し上げます。  それでは久保三郎君。
  105. 久保三郎

    ○久保委員 総理も当委員会でお会いするのはこれが最後かもしれませんので、そういう意味で……(「よけいなことを言うな」と呼ぶ者あり)よけいなことじゃない。はっきりあとに引き継いでもらわなければなりませんから、そういうことで私は、強い要求を込めてお尋ねするのであります。  それからもう一つは、長年総理の座についておられまして、政治全体について、しかも行政全体についても詳細に御理解いただいている総理でありますから、本来ならば所管大臣答弁していただくものも、この際はあえて総理にお答えをいただきたい、こういうふうに思っているわけであります。  またもう一つには、国鉄の財政悪化というか、経営が悪くなってきたのは、ちょうどあなたが総理になられた年ごろからであります。すなわち昭和三十九年ころから悪くなってまいりました。そこで、いままさに総理の座をお去りになるような時期になりまして、国鉄は百年目を迎えているのでありますが、今度の御提案なさっている再建計画を、いままで長時間にわたって審議してまいり、さらには参考人や公述人の意見も聞きましたが、なかなか御提案のとおりでは起死回生は望み得ないであろうというのが総括した判定であります。そういうことでありますので、この際われわれは、冒頭本会議でも申し上げたように、この提案を撤回されて、ぜひ出し直していただいたらば一番いいというふうに思っております。  そういう前提をつけて実はお尋ねするわけでありまして、たいへん恐縮でありますが、以下それぞれ、当委員会では二番せんじ、三番せんじのきらいがある問題でありますが、お答えをいただきたいと思うのであります。  まず第一に、おとといでありましたか、大蔵大臣は衆議院の委員会において、御承知のように預金金利の引き下げについて言明されました。なるほど今日、日本の経済事情からすれば、低金利政策はやはり必要な一つの政策だと考えております。しかしながら、預金金利を引き下げた場合における庶民の生活について何らの保障がないことであります。しかも片方では、いまお尋ねするような運賃値上げがあります。運賃値上げは、旅客が二三・四、貨物が二四・六%、こういうふうに相なってはおりますが、実際は特に通学定期等の問題は、もろにそれぞれの家庭の負担にかかわるわけでありますが、値上げ幅はかなり大きいものがあります。三割ないし五割とさえいわれておる区間もあります。そういうものを考えた場合に、この際金利引き下げの問題は、一そう庶民の生活の足を引っぱる形になると思うのでありますが、これを見ましても、この際運賃値上げを断念すべきだと考えているわけであります。もちろん金利引き下げに伴うところの金融上の政策は別途あろうかもしれません。しかし、いままで申し上げたように、片方では運賃値上げをして庶民の生活を、年間千七百八十八億、正常というかノーマルで、平常のままでいくならば、千七百八十八億、そういう負担がかかるわけであります。去年の暮れから十五カ月の減税をいたしましたが、その減税は公称千六百五十億といいます。減税分を充てても、なおかつ三百億に近いところの国民負担が増しているさなかに、また預金金利の引き下げということでは、庶民の生活を思っている施策とは断じていえないだろう、こういうふうに思います。もちろん大口の法人の預金等についての問題は別であります。私は早々のうちに調べて、専門的な立場にもありませんから、あるいは正鵠を期し得ないかもしれませんが、私の調査によりますれば、庶民の預貯金、そういうものは郵便貯金十兆円を入れて、相互銀行あるいは信用金庫、そういうものを入れて、大体大まかに見て四十兆の残高があるだろうと思うのです。これが、大蔵大臣が言明するように〇・二五%から〇・五%の間の預金金利の引き下げをするということになりますれば、平均して、低く見て、〇・三にしましても三、四、十二で一千二百億の庶民のいわゆる損になるわけであります。そういうものを考えると、佐藤内閣末期だとはいいながら、ずいぶんひどいことをしておやめになるなという感じを、私は率直に国民の一人として思うのであります。しかも運賃は慎重審議でやってまいりました。まさか会期延長は、引退なさる総理のもとでなさるはずはないと思います。そうなれば、物理的に計算いたしましても、本日、この法案は通るでありましょう。来週本会議を通って参議院に送られるかもしれません。そうなっても、断じて物理的には五月二十六日の会期切れまでには、この法案は残念ながら成立しないと見て差しつかえないと思うのでありまして、これは単にわれわれが慎重審議したからではなく、世論というものがそうさせていることを十分お考えになっていただきたいと思うのであります。いかがでしょう。私は冒頭申し上げたように、すでにこの法案は四月一日からの施行になっております。このまま通っても穴があきます。万が一通っても穴があく。しかも、われわれは予算審議の際に、野党三党の提案として組みかえ動議を出しております。これは運賃値上げを避けるための窮余の一策として、政府が手を伸ばさなかったところの、言うならば一兆円余りの、いわゆる国鉄自己調達の資金としての国鉄債券、これに対する孫利子方式によるところの助成をしたらこれは避けられるのではないかということであります。一兆円の金利、七百億ぐらいになりましょうか、これに対する孫利子は五十億足らずであります。そういうことをやることによって、このピンチを切り抜けることが一つである。  と同時にもう一つは、すべての計画、あとから御質問を申し上げますが、新全総にいたしましても、経済社会発展計画にいたしましても、あるいはつい最近できました総合交通体系についても、これはいまだ総合的に調整しておりません。そういうさなかにお出しになってきた提案は十カ年計画であります。しかも十カ年計画は、あとから聞きますが、オーソライズされているのかどうか。しかもオーソライズされているようなものは、これから昭和五十六年度まで四回にわたるところの運賃値上げを計算済みである。どこの世界に、三年おきにこれからも運賃値上げをします、パーセンテージは今回と同じであります、最後の五十六年だけは一〇%にしましょうという予約つき法案なんて、どこに行ったってございません。しかも十年間の計画というものに狂いがあるようにわれわれは思うのであります。当然、情勢は変化するであろう。あるいはもっと違った形の発展もあるだろう。もっと別な政策も、考え出すものもあるだろう。そうしなければ、生々発展する中の政治とはいえないのであります。十カ年計画、なるほど計算としては承ります。しかしながら政治の場面で議論するのには、これはナンセンスであります。そういうものを前提としてこの法案を強行して通すということは、私は断じて考える筋合いではないだろうと思う。そういうものを前提にして、どうでしょうか、預金金利の引き下げをやったり、公共料金をいま上げようというさなかに、そういうものを敢行しようというその神経はどういう神経なのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  106. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 久保君にお答えをいたしますが、この問題はすでに大蔵大臣からお答えをした、こういうことで、私からとやかく申さなくても、もうすでに御承知のことだと思います。ただいまのわが国の経済、これは最近はたいへん経済が拡大した、そういう意味で一面それを自慢もしております。しかし、一面どういうわけで国際基準通貨であるドルがこうたまるのか、こういうことを考えると、いわゆる金利が国際金利と必ずしも均衡がとれてない、経済の平常化と申しますか恒常化、さらに景気の挽回等を考えるときに、いわゆる金利、これはやはり国際的に均衡がとれるということが何よりも必要なことだと思います。ただいま預金金利を下げるということは預金者あるいは貯蓄者にとってたいへんな損害だ、こういうことを御指摘になりますが、やはり金融という面から見ると借りる人もあるわけでございます。預ける人だけでもない。その両面を見ていかないと十分の判断がつかないんじゃないだろうか。利があえて多くを言わなくとも久保君にはそれらの点はよくおわかりだ、かように思います。したがって、今日のわが国の異常経済、その経済を正常化する、そういうたてまえから考えれば、国際金利との均衡をとるということ、これもひとつ望ましいことではないか、かように思っております。ただ、片一方で預貯金の金利は下げる、こういい、また公共料金は上げる、そういうことには国民はたえられないんじゃないか、確かにたいへんな問題だ、かように私は思います。ただいまも減税というもののうちに——預貯金の金利引き下げが減税とどういう関係にあるか、これも理解していただきたいと思うのです。これは確かに預金者にとっては、どうも預貯金の金利を下げるということは減税効果はないと思いますが、やはり事業する方面から申せば所要の資金を調達する、そういう上からもこれは預貯金金利が下がる、公定歩合が下がる、そういうことは役立つことではないか、かように私は思いますし、むしろ事業の面から見ると減税効果より以上の効果があるんではないだろうか、かように考えます。  また公共企業それ自身をごらんになると、これはもう久保君もそういう経験があり、私も過去においてそういう事業に携わった経験から申しましても、やはり公共企業体国民に利便を供与しているその立場において必要な資金を調達する、またそれを政府援助いたしますが、何よりもみずからの努力によってこれがまかなわれる、こういうことでなければならない。ただ運賃を上げるというその面からだけ国民負担を考えてもいけないんじゃないか。そこらはやはり企業体の持つ性格、これを十分に考えて、国民に利便を供与すると同時にむだ使いはしてないんだ、これが現実に必要な状態なんです。この事業を継続していくためには、これまではひとつ国民の皆さんもしんぼうして負担してください、こういうものがあっていいのじゃないだろうかと私は思うのでございます。そういう意味で、十分の御審議をいただき、国民の納得いくような処置でなければならない。これは先ほども言われるように、ただ数にたよって問題を解決するということではいかぬ、かように私は思っております。そういう意味で、各党の十分の御理解を得るように、いままでも努力してまいっておる、この上も努力する考えでございます。
  107. 久保三郎

    ○久保委員 時間もたくさんありませんから、繰り返しはたくさんお尋ねができないのでありますが、いま大蔵大臣あとからおいでになりましたから……。いま、預金金利の引き下げと公共料金の問題について総理にお伺いしたのであります。いまのお答えでは、何か、預ける人もあるが借りる人もあるんだ。それはそうです。そのとおり。しかし庶民の中では、預ける、少額の預金はするが、少額の金融というのはそんなにないのであります。たくさんはないのです。結局預金金利で損をする比重はだれが多いかといったら庶民階級だとわれわれは考えているわけであります。それから運賃値上げでだれが一番損をするかというと、これは庶民であります。金持ちは世の中にそんなにいるわけじゃありません。しかし学校の子供もつとめ人もたくさんいるのです。そういうのを考えますと、やはりどこに施策の重点を置くかということもお考えになるのが当然ではなかろうかと私は思っているわけなんです。  そこで総理にお尋ねしたのは、公共料金のこの運賃値上げをしようというさなかに今度は預金金利は引き下げる、おまえらの預金の金利は下げるぞということは、庶民の生活をあまり思わない施策ではないだろうかというお尋ねをしたのであります。もちろん金融政策の中で単に預金金利の引き下げっぱなしじゃなくて、あるいは何か別の政策があるのか知りませんが、そういうものの考え方についていまお尋ねしたのでありますが、大蔵大臣はどんなふうにお考えでしょう。
  108. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 物価国民生活の関係をいいますと、物価よりも国民の所得増のほうが上であれば私はいいと思っております。そういうことから、国民所得が、各個人の家計収入にしましても、年々どれだけ増加するかということが問題でございますが、その生活費のうちの余剰が貯金になる。貯蓄の金利と物価そのほかのものを比較するという比較のしかたは必ずしも当を得ていないのじゃないか、生活に関連するものはやはり基本的には所縁の増加の問題との比較が正しいのじゃないか、そう考えますと、何としても国民の所得増を保証するというためには経済の安定成長というものをやはり確保しなければならないということになろうと思います。そういう意味から申しますと、ここで一応、いま今年度の予算編成の目的となっておりました経済の不況を克服する、好景気にできるだけ早く持っていくということと国民福祉の向上という政策への切りかえ、この二つをとにかくやらなければなりませんが、ようやく予算が通って政府の要求した財政政策というものは、今後この予算の執行を通じて行なわれていくと思います。そうすれば、この機会に政府はさらに何をしなければならぬかということについて、まだいろいろ金融政策の問題もございますし、あるいは輸入政策とからんでいわゆる外貨の活用問題とかいろんな問題がいま提起されております。また総理からも出ましたが、それと減税との関係とか、あらゆる問題が、この経済の安定成長、この不況を急速に克服するという問題とからんでたくさんの問題が提起されておりますので、いま政府はその問題を総合的に検討しているところでございます。その検討の過程におきましていろいろ出てきている問題は、もう一歩の金利水準の引き下げということを必要とするかどうかという問題も主要な検討事項でございます。これは、福祉政策を遂行するという方針をとりますと、収益の高い生産事業に運営される金融でありましたらある程度の金利の高いということはがまんできますが、そうでなくて、収益性のない福祉事業への金融が今後相当大きくなってくるということを考えますと、そういう国内政策の面から、金利水準はもう一歩低いことが望ましいということが言えましょうし、また国際政策の上からもそういう問題が出てくる。もしそういう方向が必要だという場合には、頭金金利との関係なくして済むかということも検討事項でございます。昨年公定歩合の引き下げのときには、まだまだこれと関係させなくても、金利引き下げの余裕というものは金融機関の中にはあるんだということで、一応引き離した問題として解決してまいりました。またこれからも、預金という問題は重大な問題でございますので、私どもは慎重に検討いたすつもりでございますが、これ以上の金利水準の引き下げというものをもしかりにやろうとしましたら、預金金利との関係なしでやれるか。もし何にもしないとすると、大きい市中銀行などはわりあいに楽かもしれませんが、それより先にほかの金融機関でまいってしまうものもございますので、こういう実情の分析をいまやっておるところでございまして、結局これは関係させざるを得ないという結論になろうと思いますが、まだその結論、政府のやり方、その方針はいまきまっておるわけではございません。したがって、そういう点は、一応全部国民生活に関連する一連の問題でございますから、いま慎重に検討しておるところでございます。
  109. 久保三郎

    ○久保委員 時間がありませんから先にいきます。いまの御答弁では、まだこれから検討をなさるそうでありますが、金利引き下げが必要だとするなら、いわゆる金利コストの面からも鋭いメスを入れてやっていくべきだし、またその前に、われわれが運輸委員会でいま審議中の運賃値上げなどは取り下げて、もう一ぺんあらためて考えていくべきだということを申し上げて、先へ進みます。  次に、財政再建の十カ年計画をことしから五十六年までの間にやろうというのですが、その土台になったのは、大蔵大臣あるいは運輸大臣が与党の幹部と覚え書きを取りかわしたようであります。いま提案されている新しく改定しようとする国鉄の財政再建十カ年計画の裏づけになったものは、「国鉄財政新再建対策要綱」と銘を打った大蔵大臣運輸大臣、自民党政調会長、そして自民党国鉄再建懇談会座長、この四名が連署したものがその土台になっているのかどうか。これは代表して運輸大臣にお願いしたほうがよろしゅうございますか。
  110. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この点は政府部内の問題、政党内閣でございますから、与党の政調会長を加えまして、十年間における大体の考え方をきめた次第でございます。
  111. 久保三郎

    ○久保委員 運輸大臣、ちょっとはっきりしないのでありますが、時間もありませんので、要点だけお願いしたいのです。これはいま提案されている新しく出発しようとする十カ年計上画の土台になっているのですか、こう聞いているのです。
  112. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 そのとおりでございます。
  113. 久保三郎

    ○久保委員 私は寡聞にして、そういうものが国会の審議の対象になるとは考えていないのであります。これは政府と与党との間のメモというか、お約束でありまして、国民に対する約束でも何でもない。  そこで総理、こまかいことで総理は御存じないと思うのでありますが、ここに資料として提出されている四十七年度を初年度とする五十六年までのいわゆる長期国鉄収支試算表なるものがある。これはやはり参考資料というか、提案の裏づけだということで出してきたのであります。この中身については一々申し上げませんが、これの裏づけになっているのは、いま申し上げた両大臣とお二人の与党幹部の覚え書きで、これは当然私の考え方からすれば閣議の決定事項として、要綱なり何なりはおきめになってくるべき筋合いのものであろう、こういうふうに思うのであります。ところがそういう手続をなさらぬところに、この十カ年計画の脆弱性というかナンセンスな点があると思うのです。これは逃げられたのではなかろうかと思っております。これまで国鉄財政再建というか、経営の再建が叫ばれて、三十三年以来では十五年になりますね。そういう長い月日かかっていま、だに再建ができない理由は幾つかあります。国鉄性格あるいは運輸交通産業の中での地位の動揺、いろいろあるのです。しかしこれをささえることができなかった大きな原因は何かというと、大体政府施策に確固たるものがなかったからであります。財政再建促進特別措置法でありますが、これができたのもやっと四十四年なんですよ。しかしこれは文書だけがずっと埋め尽くしてあって数字がちっともないという、言うならばナシのつぶてのような法律でありまして、財政再建と名のつくものの促進には役に立たない。立たないから一年目でだめになって、ことしまたやり直そうかというのであります。なぜだめかというと、三十二年から毎年この予算は単年度ころがし予算であります、はっきり言って。いろいろな約束はしましたが、単年度ころがし予算だから、これは当然できっこありませんよ。だからここに十カ年計画というような表を出してきても、これもできっこないです。来年はおそらくこれはやはり軌道修正をしなければならぬと思うのです、はっきり言って。私は少なくとも政党政治でありますし責任政治でありますから、そうならば、この与党と関係大臣お二人が判を押したものは当然閣議に出して、閣議決定事項としてこの委員会にも御披露あってしかるべきだと思うのです。いかがでしょう。
  114. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 御意見私も賛成できないものでもございません。しかし御承知のように、私どもは総合開発計画、新全総というものをただいま継続中であります。そのうちの一部をなすものだ。これがいまの鉄道網あるいは道路網、あるいは港湾整備計画あるいは通信整備計画等々あるわけです。したがって、やはり閣議決定をするとなると総ワク、全体を考える。その中であまりこまかな問題、これは取り上げるわけにもいかないが、そのうちの一部としてこの鉄道再建計画、そういうものが出てくる、かように考えて御了解をいただきたいと思います。私は新全総で全然取り上げられないようなものなら、これは久保君からおしかりを受けても当然だ、かように思いますけれども、十分新全総、そういう場合にこれが考えられればひとつ御了承いただきたい、かように思っております。長期計画の各部門について、やはりただいま言うような考え方で取り扱いをいたしております。
  115. 久保三郎

    ○久保委員 総理、あなたのおっしゃるとおりなんですよ。これは新全総を軌道修正しようというさなかであります。当然経済社会発展計画もそれに見合って直さなければいかぬ。ところが一番先に出てきたのが総合交通体系なんですね。実際は総合交通体系は新全総や経済社会発展計画の土台の上に築かるべきなんだ。みんなちぐはぐで、木に竹を継いだようなかっこうに運輸行政というものがなってきている。しかも今度の国鉄十カ年計画は、総理がおっしゃるとおり、軌道修正すべきところの新全総をないがしろにして十カ年計画を出してきているのです。これは誤りだと思うのです。誤りでなければ、私が御要求申し上げたように、当然対策要綱なるものの要点は、全部これは閣議で決定してくるべき筋合いなんですよ。だから今度の提案に対しては、法案に書いてあるだけが提案なんであって、その裏には何もないということなんです。提案に書いてあるのは何かといったらば、運賃値上げが明確に書いてある。実収一五%、これは上げます、あとは出資は適当にやります、政府保証債も利子補給はします、十カ年計画は四十七年から五十六年までに直します、はっきりしたのはこの四点だけなんです。あとは何にもない。そういうことをいわれてもしかたがないじゃないですか。総理がおっしゃることは当然肯綮を得ていますよ、新全総を直すなんて。だから、いま国鉄十カ年計画だけ先にオーソライズして出すわけにはいかない、そのとおりですよ。そのとおりのものをなぜお出しになってきてごまかそうとするのか。十カ年計画、私はそこらに問題が置きかえられていると思う。真剣に十カ年で建て直すというなら、十カ年の財政計画を出してごらんなさい。どこから金を持ってくるのだ。中身はここに書いてある。これも対策要綱だ。この数字をはじいたもとはここにある。こういうものはどうしてオーソライズされないままに出てきて審議せいというのですか。これは無理というものじゃないですか。そういうものをやろうというところに私は問題があると思う。せめて私は百歩譲ります。新全総やなんか軌道修正するときには、当然これからの長期計画も軌道修正しますと、どうぞおっしゃってください。そしてさしあたりは、この与党と二人の大臣がメモを取りかわした要綱に基づいて金は出しましょう、こういうふうにおっしゃるのならば、なるほど、内容のいい、悪いは別にして、ああそういうものかということであります。これはいかがでしょう。
  116. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 久保君のいわれるとおり、やはり抽象的なものだけではいかぬ、もっと数字が入らないと長期計画の実をあげようとしてもできない。ただ、長期にわたっての数字をあげることができないのがただいまの経済の情勢でございます。新全総自身も相当の意図は持っておるけれども、それを全部数字にぴっしゃり割り当てて、毎年毎年をきめるわけにいかない。これまた予算自身がそういう形のものですから、今日、いま言われるような要望はしごくもっとも、わかりやすいことではありますけれども、そのとおりにはできない。そこでただいま、ことしはどういう予算を組む、その範囲において大蔵当局がのめる案、いわゆる長期計画のその一部、それを実施する、こういうことに予算でなるわけであります。しかし、ただいま言われるように、基本的にはそういう十カ年の長期計画、それを持っていなければならない、かように思います。また新全総自身が変更になるときには当然そういうものにも手を加えなければならない、かように私は思います。
  117. 久保三郎

    ○久保委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、この対策要綱というのは大蔵大臣政府を代表して運輸大臣とともに判を押されたと思うのですが、これはいま総理の答弁と少し違うと思うのですが、これはやはりこのとおりやろうということでありますか、いかがでしょう。
  118. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御承知のとおり四十四年に再建十カ年計画ができましたが、これはもう一年で見込みどおりにいかなくなって赤字が非常に多くなる。今年度もそのままいくのなら償却前の赤字が千七百億というのですから、償却後の赤字を入れたら三千何百億、四千億近い赤字ということになろうと思います。もうこれを放置するわけにはまいりませんので、ここで相当思い切った鉄道の再建策を立てなければならぬと私どもは考えまして、それには相当大きい資金も要することと思いましたので、今年度の予算編成の終わりになってこの鉄道再建問題を取り扱った場合には、あるいは予算の編成難におちいらないとも限らないということを心配いたしましたので、本年度の予算編成はこの鉄道再建問題と地方財政問題、この二つを先に片づけてから編成に取りかかるというような気持ちで、この鉄道問題は一番最初に政府部内で取り組みをいたしました。その結果、ここで思い切った再建策を並立てなければこれは年々赤字を増大させるだけだということを考えましたので、御承知のように国がこの十年間に二兆円以上の支出をするということ、再建債も七千億円以上で、この再建債の利子は全額国が持つというようないろいろなことをやって、現在三兆円以上の債務をかかえている国鉄の再建をどうやるかということを、今回は相当根本的に関係当局で洗い直したつもりでございます。その結果、利用者にこの程度の負担をしてもらう、鉄道当局自身の企業努力によってこれくらいのことをしてもらう、これに対して国はこうする、それなら十年間に出資を一兆円見よう、もし一兆円見るのなら、金利の負担はそれでも三千六、七百億円負担が軽くなるし、それに再建債の六千六百億円の利子負担を見れば一兆円の利子負担をするということにもなりますので、そこまで国も考えなければこの再建はできないと思いましたので、大ざっぱなそういう設計を描いて、この線に沿った再建策を立てようじゃないかということで、関係者の相談でこれを約束したものがいわゆる要綱でございます。  それで、私どもはその線に沿っていかなければこの再建策はくずれると思いますので、この線に沿っていきますが、沿っても、こまかい年次計画というようなものは、さっき総理が言われましたように、これは日本の長期計画、他の経済社会発展計画とかいろいろなものと関係いたしますし、今後の日本の財政事情とも関係いたしますので、こまかい長期十年計画、財政計画というものは、これからもっと綿密につくらなければならないと思いますが、大ざっぱな線は、この線を守るのなら、私は十年で鉄道は大体再建できるのじゃないかというふうに思います。
  119. 久保三郎

    ○久保委員 いろいろ意見もありますが、時間がありませんので、先に進めてまいります。  この対策要綱に関連して自治大臣にお尋ねをいたします。あなたはこの対策要綱に閣僚の一人として承認を与えておられるのだろうと思いますが、この中には、地方閑散線は五年以内に撤去する。それでいままでの政府側の答弁は、五年間に三千四百キロを撤去する、さしあたり今年度は二百キロを撤去する。そして五年間に撤去するのでありますが、その間は地方自治体でことしの予算では五十億、政府が七十五億出す、こういうふうになっているのであります。たしか地方財政計画の中にも何かのあれで五十億入っているそうでありますが、これはいまの法令の中で出せるはずはないと思います。地方財政再建促進特別措置法の中では、政令にあがっているもの以外はあなたの承認がなければ、これはできないはずですね。これは政令を改正してもやはり五年以内に撤去する考えでありますか、いかがです。
  120. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 地方閑散線の問題につきましては、いま御指摘のとおり、三千四百キロについて閑散線として撤去する。その地方閑散線の認定の手続あるいは地方閑散線としてきまりました場合、地方自治体が五年間に限って存置を要望する場合、その赤字の一部を地方財政の中から負担をさしていただくということでございますが、その市町村と府県との区分あるいはこれに対する財政措置その他についてまだ検討中でございまして、十分なことはいま手続その他について関係各省と折衝中でございますが、閑散線の地域はおおむね過疎地帯であると考えますので、財政力も弱く、国のほうで何らかの財政措置をしなければならぬ、かように考え、目下検討いたしておるところでございます。  いま御指摘になりました法的な根拠でございますが、地方財政再建措置法によりまして禁止されておることは事実でございますので、もしそのような手続がきまりましたなれば、政令の改正等行ないまして、出す道を開かなければならない、かように考え、現在検討中でございます。
  121. 久保三郎

    ○久保委員 現在検討中である、海のものとも山のものともわからない、これがはっきり申し上げて御答弁の要旨かと思うのであります。財政再建の大きな比重を占めるものですね。三千四百キロといったらこれはたいへんですよ。そういうものはこれからどうするかはきまっていない。ところが、いままでの政府側の答弁によりますれば、こういう基準によって廃止していくんだ、しかも、財政措置についても、さっき申し上げたように、初年度は関係の地方自治体から五十億いただく、それでことしの予算はできておる、十カ年計画もそのとおりで、ここに五年以内に全部これはいただくということになるわけですね。こういう提案は、これはふまじめだと思うのですね。同時に提案して、政令なら政令を改正して手続をして、そしてそういう手続の裏づけをもってきて初めてそういう計画ができるものと私は考えているのです。しかも、法律で縛ろうとする。こういう計画はナンセンスだと言わざるを得ないのでありますが、総理、どうでしょう。これは対策要綱にも書いてあるし、それから政府側の予算もそうだし、十カ年計画の中の話もそういうふうな計算がしてある。いままでの質問の中で、どういうふうにして廃止をしますかというと、大体廃止基準案なるものが出てきているのですね。支離滅裂だと私は思うのですよ。私は、閑散線について多分に異論のあるところがあります。たとえば要綱のとおりおやりになるにしても、いまのような自治大臣の立場がある限りは、これは計画どおりいかないはずだと思うのですね。これはいかがでしょう。不見識じゃないでしょうか。
  122. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 理論的に閑散線だからやめちまえという、また赤字線だからやめちまえというたいへん簡単な言い方でございます。しかし、やはり公共事業として国民に与えている利便のことを考えると、そう簡単に割り切れるものではございません。ただいま自治大臣も、そういう点で地方の自治体等の十分の理解を得るための努力はいたしておりますが、わずかでもこういう利便を供与しているものがなくなるということについて強い抵抗のあることは、これは当然考えなければならない。代替し得るものがあるからいいじゃないかと簡単に申しますが、必ずしも代替するもの、それが鉄道からバスにかわっただけで代替されるとも実は思えない。あるいは荷物はトラックだ、こういうわけにもいかないものがあります。でありますが、いま国鉄自身でやっているいろいろな経営の合理化、それらの努力を十分考えてやると、苦心しておることもよくわかるのじゃないか。いままでのような単純な、赤字だからその線をやめろ、こうすぐ飛躍した結論は出ないように実は思うのです。白棚線、白河−棚倉間がバス路線にかわった、これなどは非常に成功した例でございます。しかし、なかなかそうはみんな成功するものでもないように思う。でありますから、あるいは閑散線というものについて請負制度がどの程度やれるか等々のくふうもする、あるいは無人駅、あるいは非常に乗務員を減らした運転方法ができるかとか、編成も非常に簡易にするとか等々のことで、合理化をいろいろはかってみて、やはり供与している利便は根こそぎなくなるというようなことでないような方法はないか、もっと努力すべきじゃないか。そういう意味から国も応分の援助をするという今回とりました処置など、今回の予算にはその片鱗が出ておる、かように評価されてしかるべきじゃないか、かように私は思います。
  123. 久保三郎

    ○久保委員 前半のお答えは、なるほど専門家としてのお答えで拝聴します。後半は、あまりにもうしろにいる人たちを意識しての御答弁でありまして、そういう意識をなさらぬで、率直にお答えいただいて後輩に道を示していただいたほうがよろしいかと思うのであります。  次に、時間もありませんので、たいへん恐縮でありますが先へ進ましてもらいたいのであります。  企画庁長官にお尋ねしたいのでありますが、先般新幹線網の一環として、第二次の追加路線を基本計画に組み入れることが答申になりました。これ自体いろいろな問題があろうかと思うのでありますが、この十カ年計画の中には、言うなれば九州、北海道あるいは北陸、こういうものの新幹線は、いわゆる可動するまでの計画は入ってないようであります。これはまた資金計画についてもあまり明確ではありません。というのは、七兆円投資の中で、保留されているその他の新幹線というのはたしか一兆一千億ですね。一兆一千億ではこれはとてもできかねますから、そういう点でも、十カ年計画と新しくやろうとする三つの新幹線についてはたいへん疑問があるわけです。そういうものを無視して、どうしていまこの三つの新幹線を出してきたんだろうかと私はふしぎに思っておるわけです。何か人気取りでやろうということなのか。  それからもう一つは、さっきからたびたび総理からお話がありました新全総のいわゆる軌道修正の問題もあるわけですね。そればかりではありません。これは大体九州やその他の問題を一つとらえても、空港一つとっても、鹿児島にもりっぱな空港ができました。熊本もりっぱであります。大分にもできた。そのところに新幹線を引くという意義についてもっと明確な位置づけがやはり必要だと思うのですね、一つは。私は、新幹線を鹿児島まで延ばすことについててっぺんから反対はしません。しかし、二重投資、過当競争をこれはしいるものではないだろうか。そうなりますと、国鉄の再建にどんなメリットがあるのか、たいへんむずかしい問題だと思うのです。  それから総合交通体系の中からいっても、それぞれの輸送のシェアについてやはり厳密に指導すべきだと思うのです。これはそういうものをやらぬから、今度運賃値上げを、たとえばこのまま通るとすれば、待っているのはだれか。一番先に待っているのは、私鉄と航空なんです。航空は新幹線が値上がりするのを待っている。そこで、これは競争しよう。こういうばかばかしいことをいつまでもやるということが新しい政策なんだろうかという疑問を私は持っておるわけであります。いかがですか、お答えいただきたいと思います。
  124. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 国鉄再建十カ年計画と新全総計画との関連という問題は、御承知のように新全総についてはいまの現行計画におきましても、全国的に交通通信ネットワークを拡大していく、これが根本の趣旨になっております。結局するところ、いままでのような拠点発展主義でなしに、国土開発の可能性を全国に広げるという意味で幹線鉄道を広げていくということが趣旨でございます。したがいまして、そういう趣旨に今回の新しい三つの新幹線の計画がはたして合っておるかどうかというお尋ねでございますが、私は、その点からいいますと、新全総計画の交通通信ネットワークの拡大について、この新しい三新幹線はむしろその趣旨に沿うものである、決して矛盾していない、こう考えるものでございます。  また次に、その中で今後一体再建計画との関連をどう結びつけていくか。御承知のとおり、再建計画国鉄の財政再建でございますから、直ちにこれが新全総計画の内容と結びつくものではございません。しかしながら、国有鉄道の役割りというものは、新全総計画、また今後における総点検の中でも非常に重大な位置を占めておりますので、その点については再建計画のこれからの一そうの現実化というものと、新全総計画の再点検は当然これは関連をするものとして十分慎重に検討していきたいと思います。  また、いま最後にお触れになりました総合交通体系との関係、いままで陸海空の各交通機関がややもすると統一性、総合性を欠いていたということはいなめない事実でございますから、そういう各交通施設の間の連絡、斉合性というものを総合交通体系の中でもう一度見直して、一番大事なのはやはりこれを実行する各機関、各省の連絡でございますから、密接に、緊密な連絡のもとに、交通全体の総合性、統一性を確保していこうというのが総合交通体系の趣旨でございます。そういう意味で、国鉄財政再建計画、これが国鉄自身の本来の役割りを十分果たしていくということが総合交通体系の趣旨に合うものでございます。
  125. 久保三郎

    ○久保委員 もはや時間でありますから先を申し上げませんけれども、いまのお話の中で特に、国鉄の再建は財政再建でありますから、必ずしも関係はないようなお話がありました。それは少しことばのあやであろうかと思うのでありますが、財政再建といいながら、これは経営再建でありまして、そういう意味からいくと、やはり総合交通体系の中できちっと新幹線なら新幹線の占める分野というものを確立すべきだと私は思うのです。しかも、あなたの説にも私は半ば理解はありますけれども、いま一番問題になっているのは、新全総で、軌道修正の大きなポイントは何かといったら開発ですね。開発に対する反省というか、ブレーキというか、コントロールというか、そういうものと、もう一つは集中と分散の問題だと思うのです。新幹線を引いた場合に、これを戦略的にどういうふうに使うかの前提条件もないままに、ただ単に子供のおもちゃと同様に新幹線を引けばいいのだ、早ければ何でもいいのだということは今日通用できないと思うのですね。それをわれわれは心配しているのです。  それと同時に、国鉄再建の中にこういうものが的確に織り込まれているのならまだしも、織り込まれていないというのでは、十カ年計画はナンセンスである、こういうふうに思うし、新全総が軌道修正する前にそれを前提にして修正するというのではおかしいじゃないかと私は思うのですよ。いずれにしても、予算を含めて、この国鉄の財政再建の方策というのはかなり問題があるし、いままで同僚各位からもお話がありましたとおりでありますから、冒頭私が申し上げたように、総理、あなたに御答弁をお願いする時間はもうありませんが、中途はんぱで国鉄再建がまた再びだめになるようなことがあっては困るので、私は心配しているのです。  それともう一つは、庶民の生活——感情があるからというが、感情があって人間でありますから、その感情がやわらぐ時期というものをやはりくふうしなければいけませんよ。赤字だから値上げするのはあたりまえだというふんぞり返った態度をとるべきではないと思うのです。しかも、政府がやることをやっているのだろうかというと、なるほど去年よりはたくさんやっていますよ。大蔵大臣いらっしゃいますけれども、いままで、ことしからのいろいろな財政措置を、われわれも四、五年前から言っているとおりやっていたならば、きょうのうき目はみないでも済むのですよ、はっきりいって。ところが、今日千百億ぐらいやっても焼け石に水ですよ。しかも六百五十億の出資などは何の意味ですか。新幹線か何かつくるための資金だけでしょう。在来線について、国民生活はこれが中心になっているのですよ。シビルミニマムについての確保はどうするのか、そういうものも問題になっている。未来の鉄道を築くのも大事、しかしながら、国民の日常生活をささえることも大事なんです。そういうところに重点を置かないで、何かビジョンがあるからそこへ行こうじゃないか、そういうことは私どもは同意しかねる。どうかこれは、参議院までいく必要ないから、この辺で引っ込めて、ひとつ一ぺん考え直したらどうかというのがわれわれの主張であります。  以上で終わります。ありがとうございました。
  126. 小峯柳多

    小峯委員長 松本忠助君。
  127. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 本日は、総理をはじめ大蔵大臣、経企庁長官、また運輸大臣国鉄総裁、メンバーを多くそろえまして審議が行なわれているわけであります。しかし残念ながら、久保委員質疑を通して私拝聴しておりますと、あまり明瞭な回答が総理からも出ておりません。はなはだ遺憾でございます。しかも、時間の制限がありまして徹底して論議ができそうもございません。今国会におきますところの健保と国鉄のこの法案は、いわゆる二大悪法案でございます。この悪法をわれわれ野党四党は、こぞって廃案を目ざして対決をしてまいりました。この重要法案の締めくくりでございますけれども、答弁は、先ほど委員長からもお話がございましたように、簡単でけっこうでございます、要点のみお答えを願いたいと思います。  ただいま久保委員よりいろいろとお尋ねがありました件、これにつきましては重複を避けまして、観点を別にいたしまして、私四点ほど総理にお尋ねをいたしたいと思っております。  第一は、国鉄再建ははたして可能かどうか、こういうことであります。第二は国鉄の貨物輸送におけるところの営業割引につきまして、公正妥当を欠いているという点がございますので、この点についての総理の見解をただしたい。第三は国鉄と通運事業者との関係についてお尋ねをいたしたいわけであります。最後には大都市における共通運賃制度についてお尋ねをいたしたいと思っております。  まず総理に申し上げたいことは、当委員会の審議を通じまして運輸当局答弁は、新再建計画は抜本的な計画である、これはあなたの率いるところの内閣の閣僚のことばであります。しかし私どもは、新再建案は抜本的再建案どころか、根本的に大きな誤りをおかしている、誤りを持った再建案であると指摘をしてまいりました。また鉄監局長からは、抜本的ということについて、五十三年度を過ぎるとずっといいペースが続く、そうして累積赤字は、かなりの姿で累積されるが、そのころから減少の方向に向かうと言われました。そういうことで抜本的な再建であると言われたのであります。  しかし、こんなことで抜本的な計画とは私どもは評価できません。少なくとも、今日の国鉄よりも十年後の国鉄が経理内容について改善されたという証拠が出なければ私は抜本的な計画ではない、このように思うのでございますけれども、総理の見解をひとつお示しを願いたいのであります。
  128. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 十年先は一体どうなるか、その納得のいくような説明がないと改正はだめなんだ、こう言われるのだが、十年先というとずいぶん先でございまして、政治家にとってはたいへんなことです。とても私などがこの機会に十年先を見通しての話などできませんですから、松本君、これはひとつお許しを得たいと思います。  ただ、私がこの際に申し上げ得ること、これは、今日対処する一番いい方法、それは何か、こういうことでやはり処理していかなければならないのじゃないか。公共企業、この鉄道国民に提供している便益、これが低下しない、質が下がらない、量的にもそれが下がらない、そういうものであって、それを維持していくためにどうしたらいいか。私は、今日まで国鉄の労使双方がたいへんな努力をしてきていること、これはもっと国民も高く評価していいのでないかと思います。最近の春闘で、一部あるいはダイヤが乱れた、こういうことが大きく報道されるがゆえに、いかにも労使双方が何だか対立して、せっかくの本来の使命を忘れているのじゃないか、かような言い方をされがちでございますけれども、私はそうじゃない。私の経験から見て、私が鉄道にいた時分からもうずいぶんだっており、そうしてその間にずいぶん量もふえてきている。それでもなおかつ従業員の数はそんなにふえておらない。これは大きな企業体ではございますから、ずいぶんふえてはおります。しかし、それにしても一番多かったときよりも最近のほうが減っておる。こういう点をもう少しよく国民に理解をしていただくように積極的な努力が必要なんじゃないだろうか。運賃改正、さきには組合側のストによって足を奪われた、今度は経営者側の運賃値上げによって国民に負担をしいる、こういうような言い方は国鉄の持つ公共的な利便を無視した議論ではないだろうか、私はかように思っております。したがって、もちろんいままでの態度でこれでもうよろしい、こういうものではございません。くふうはこの上にもして、そして公共の利便を害さないようにもつとりっぱな質、量ともに交通の利便を国民に提供するように努力すべきことは当然でありますけれども、私は、国鉄としてはよく今日の苦しい状態に耐えてきている、このことを実は考えざるを得ないのでありまして、私はこのことをまずひとつ考えていただきたい。そしてこの際にどうもやむを得ないことだがある程度の運賃値上げ、これはひとつ了承していただきたい。先ほど久保君が言うように、政府ももっと早くからやっていたらこんな運賃値上げ考えなくても済んだんだと言われるが、ことしはとにかく約千百億、これは思い切った財政援助でありますから、そういうこともひとつお考えいただきたいと思います。
  129. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 総理の答弁に対して私、反駁を試みたいわけでありますけれども、時間が制限されておりますので一応先に進みます。  総理も御存じと思いますけれども、先ほど久保委員指摘されました国鉄でつくり、運輸省が認めたところの、そしてまた当委員会に提出されましたところの資料、この中に「新財政再建計画による収支見通し」というのがあります。これを見ますと、十年後の昭和五十六年には九千七百七十四億円の累積赤字計上されるというふうになっております。四十六年度末の累積赤字八千億に加えますと、驚くなかれ一兆七千七百七十四億という累積赤字になります。これはあくまで見通しであるといえばそれまででありますけれども、総理がただいま言われました一番いい方法でやられてその結果が十年後にはこういう赤字になる。これだけの赤字をかかえてそして抜本的な再建策であるということは、私どもは認めることができないわけです。この累積赤字を総理は一体どうなさろうとするのか。係子の代まで残しておくのか、それともあるいは何かの方法をもってこれを解決しようとなさるのか、これをそのままでおくとしたならば、あまりにも無責任過ぎるのではないかと思うのであります。しかし当局では、おそらくその時点には一兆円にのぼるところの出資がなされているということをあるいは、言うかもしれません。この出資金とて国民のお金であります。常識的な頭脳の持ち主であるならば、こんな大きな赤字をかかえたところの国鉄に出資をするわけがございません。配当もない、そんな会社に出資をするわけはありません。出資金は出資金、累積赤字は累積赤字でございます。もう少し言わせていただくならば、かりに五十三年度や五十四年度に百億程度の黒字が出ました、出るという計算ができています。この程度の黒字がかりに毎年出たとしても、一兆八千億円の累積赤字を消すのには百八十年もかかるわけでございます。総理は十年先のことがわからないと言われた、百八十年も先までこの赤字を解消するには時間がかかるわけです。二世紀にもなんなんとする歳月を借金払いして暮らすあなたの子孫、それは総理に対して何と評価するかということです。私たちの先祖に佐藤榮作さんという人がいた、その人が赤字をつくっていってくれた、その赤字を私たちはしょって暮さなければならない、こう言ってあなたを非難するでしょう。私はそう思います。この累積赤字をつくられた最高責任者はどなたか、総理自身ですよ。先ほども総理が御自身で、私が国鉄にいたとぎ、こういう意味のおことばがございました。総理は鉄道の出身であります。国鉄マンの最高です。一体どうなさるおつもりか、簡単でけっこうであります、お聞かせを願いたいのであります。この一兆八千億に及ぶところの赤字の解消策、これをどうなさるのか、この点をお伺いいたしたいのであります。
  130. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 とにかくいまのような状態で進んでいけば、もう国鉄は全然償却できず、そうして償却できないばかりじゃなく赤字がふえる、こういうことであります。これは子孫永劫に国民の負担になる、こういうことであります。いま国鉄で最も必要なことは、償却前に適正な黒字財政、そういうところを実現することが、これが事業経営の基本的な態度であります。そういうものができるためにただいま御審議をいただいておる、かように御了承いただきます。
  131. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 よけいなことを言って論議したくないのでありますが、償却前の損益面について見ますと、四十九年度は二百九十六億の赤字ですけれども、それ以外は一応全部黒になっている。黒になっているけれども累積赤字は依然としてどんどんふえていくというこの収支の見通しを総理はごらんになっているのかどうかということです。  総理も御承知のとおりに、国鉄財政再建計画が四十四年度から発足しました。三年にして崩壊したわけであります。なぜ失敗したかについて当委員会におきまして再三にわたって論議をいたしました。これは新財政再建計画を再び失敗させない、愚を繰り返したくない、こういうために私たちは真剣になって討議をいたしたわけであります。  その第一の理由とするところは、通貨収入の伸びが予定どおりにいかなかった、すなわち収入の減であります。第二は、べースアップによるところの人件費の大幅な上昇、すなわち支出増であります。こうなった原因は、収入は過大に見積もり、支出は過小に見積もってつじつまを合わせ、数字を羅列したところの再建計画、こうであったためにこのようになってしまいました。この点は当局もお認めにならざるを得ないと思うわけでありす。そこで新財政再建計画、すなわち四十七年から五十六年までの十カ年の計画において再びこの愚を繰り返さないためにも収支ともに正しく見積もるべきである、こう当然されなければならないわけであります。ところが、依然として支出を少なくし、収入を多く見積もるつじつま合わせの作文の経理であります。この点については、詳しくは私は質問しておりますので議事録を見ていただけばわかるわけでありますけれども、実にでたらめな見積もりだと言っても過言ではないと思うのであります。ここでもう一ぺん繰り返す必要はございません。総理は、一体この責任はどなたがおとりになるのか伺いたいわけでございます。  新財政再建計画を立てたということは、前の計画が失敗した、だからこそ新財政再建計画を立てなければならなかった、こういうわけであります。一体、前の再建計画が四十四年から四十六年、この三カ年で画餅に帰してしまった、この責任は一体だれがおとりになるのか。それから、少なくとも四十六年度末、正確にまだ出ておりませんけれども、いわゆる八千億円の累積赤字が出るということをわれわれも承知をいたしております。この八千億の赤字は自民党政府、特に総理の在職中に赤字がふえている、総理も御承知のことと思います。佐藤内閣が成立いたしました三十九年度には千二百九十五億の黒字でございました。四十一年度には、値上げをいたしましたけれども、五百三十六億の赤字になっておるわけであります。四十二年度末には千四百七十七億の累積赤字となっております。四十三年度は二千八百二十一億、前年の倍でございます。四十四年度末が四千百三十七億と約一倍半赤字が伸びているわけです。四十五年度末は五千六百五十四億になりました。四十六年度末は、ただいま申し上げましたように未確定ではありますけれども、約八千億の累積赤字だということがいわれているわけであります。このように累積赤字が出ているという現状を総理は御存じないわけはないと思います。この事実を国民に対して、何と総理は回答なさるのか、これが第二番目のお尋ね、佐藤内閣自身でつくったともいわゆるこの八千億の累積赤字、これに対する責任、これは総理御自身がおとりになるべきだと私は思うのでありますけれども、いかがでございましょうか。
  132. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 国鉄はたいへん累積赤字がふえている、それはだんだん毎年ふえる。これはまことに残余なことです。しかし冒頭に申し上げましたように、ことしは労使双方とも何とかして立ち上がろうとする、また国民に対しても輸送の質を低下しないようにしようというその努力を高く評価していただきたいと思います。  そうして私がこの際申し上げたいのは、やはり交通の革新の時代に遭遇しているんだ、こういうことをひとつわれわれも念頭に置かなきゃならない。でありますから、一方で新幹線の旅客輸送のほうは比較的にとにかく順調に推移しております。しかし狭軌の旧線はだんだん悪化している。あるいはまた都市交通の場合においても、運賃が適正でないために、相当の輸送量はあるがやはり自動車交通にとられている面が非常に多いとかそれぞれ理由なきにあらずです。その赤字のよって来るところ、だから片一方で、もしも運賃をどんどん上げていけば、ますます今度は利用者が減る。こういうことでかえって財政をよくしようとしても収支が悪くなる、こういう結果にもなるだろうと思います。私は、だから運賃を上げるばかりが能でないことも、これも百も承知でございます。やっぱり適正な料金をとるという、そういう態度でなければ交通機関はまかなっていけないものだ、かように思います。これはひとり国鉄ばかりではございません。私鉄の場合においても同様なことがいえる。いままで高配当していたものがやはり運輸収入だけではその配当は持続できない。他の事業収入によって高配当を維持している。他の民間企業等で鉄道事業等ごらんになれば、ただいま苦しんでいる状況がよくわかると思います。  私は、これはもちろん第一の責任者は運輸当局だと、かように考えます。しかしながら私ども自身もこういうものは、あれは運輸当局のやったことだからといってのほほんとしているつもりはございません。また国民にこれだけの便益を供与している交通機関ですから、皆さんも同じようにやはり国民のために健全な交通機関としての国鉄、これが存在し得るように努力していただきたいものだと、かように私は思います。
  133. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 責任の問題について運輸当局に責任がある。しかし運輸当局の責任ばかりではない。総理御自身にも大きな責任があるということを私ははっきりしていただきたいと思います。私たちも決して運賃を上げることがほんとうにやむを得ないというのならば——しかしそうでない。企業努力をすればまだまだ十分できる。またあとでも述べたいと思いますけれども、労使の話し合いという問題、こういうものに欠けている、こういう点をいつまでもいつまでも改善しない限り国鉄赤字は永遠に続く。総理がいかにすぐれた政治家であろうとも、この事実はやはりお認めにならないわけにいかぬと思う。総理が、運輸当局の責任ばかりではない、御自身にも責任もあるというような発言がございましたので、私も了とするわけでございます。  私どもの子孫から、国鉄の財政について先代の政治家どもは何をしていたのだというような悪評が出ないようにありたい。私たちは現代においてそういうものが出ては困るわけなんです。再びこのような赤字を残さないためにも、総理も一そうのひとつ御努力を願いたいわけであります。  そこで、今回の新再建計画の内容につきまして、先般論議をいたしました。人件費の見積もり、物件費の見積もり、これも過小に過ぎております。そうしたことが明白になりました。収入はどうかというのに、現在の国鉄企業外力ではとうてい収入を見通しのとおりに確保することは困難だと私は思うのです。全くずさんな再建計画だといっても言い過ぎではないと私は思っております。おそらくこの新再建計画でも一、二年を出ずして再び崩壊するだろうと私は予想するのです。四十八年度の国鉄予算はどうにかつじつま合わせをできたとしても、四十九年度の予算はどうしてお立てになるのか。来年の夏ごろ、これは見ものでございます。  総理は先ほど十年先のことはわからぬと言われたけれども、四十八年、四十九年の予算、これすら立てるのはたいへんな御無理だ、御苦心があろうと私はいまからお察し申し上げておるわけであります。四十九年度の予算を組むことは不可能であろうという見方を私はしております。そのときになりまして総理が、おれは知らぬぞ、総理じゃないのだぞ。もちろん総理じゃない。そのときは責任回避をしてはいかぬと思うのであります。  去る五月二日にも鉄道建設審議会におきまして、東北、北海道、北陸、九州の四新幹線の基本計画組み入れが決定を見ました。この建設費は膨大なものになるでしょう。さらにそのあと福岡−長崎間の新幹線あるいは四国新幹線あるいは山陰新幹線、さらには第二東海道、こういうふうに続々と続いてくると思います。これまたたいへんな建設費であります。しかしこの中でペイするのはわずかに北陸新幹線だけだ、こう私どもは考えております。  こうした長期の展望に立ってみたときに、国鉄財政はにっちもさっちもいかない、こういうときが必ず来るわけであります。いまこそ根本的に国鉄再建策をお立てになるときではないかと思うのであります。総理は間もなく退陣されるでしょうから御無理と思います。したがいまして次の内閣、次の総理の手にゆだねなければならないだろうと私は思っております。しかしながら、いずれにいたしましても根本的な国鉄再建策を立てて、われわれの子孫に大きな財産を残すべきであろうと私は思います。負債を残すべきではない、これは断じて申し上げられるわけであります。  それにはまず、国鉄の労使間の話し合いが大事だと私は思うのであります。先ほども総理がお述べになりましたけれども、この労使間がお互いに不信感を持っているという現状であります。この現状は何とも氷解ができません。これを解決せずして再建はできない、私はこのように思います。再建のまず第一歩は、労使間の不信感をぬぐって、お互いの話し合いが十分に納得がいくまでできるようにすることだ、こう思います。そして国鉄マン全員の再建に取り組む姿勢、これを国民に示さなければ国民は納得しないと思います。この点を総理はどのようにお考えであるかを伺いたいわけであります。  私は国鉄マンの企業に対する取り組み方、この姿勢、これが改まらない限りは絶対再建不可能、こう断じております。根本の姿勢を改めずして、ただいま申し上げましたような、要するにつじつま合わせの作文の経理、見通しというものであってはだめでございます。そこで、新再建計画もすべからく撤回をして出し直しをすべきじゃないかと私は思うわけであります。  公共料金の横綱型といわれるこの国鉄運賃値上げが、あらゆる物価に響くであろうということは、総理もお認めにならないわけにはいかぬと思います。政府主導型の物価値上げは、国民生活を大きく圧迫をします。国民に苦難を与えるだけでございます。このような悪法こそ、総理が国民の幸福を願うならばいさぎよく撤回する。そして総理の最後を飾るべきではないかと私は思うわけであります。  この値上げ案と再建案は、自民党の数で押し切ることはたやすいでしょう。議会制民主主義の破壊につながる問題だと私は思います。少数ながら正しい意見、これを尊重して初めて議会制民主主義であると思うわけであります。総理はその最後を飾るためにも、国民のすべてが反対するところのこの二法案をいさぎよく撤回すべきであろうと思うわけでございますが、総理の見解をお示し願いたいと思うわけであります。
  134. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 前段で、労使双方がもっと話し合いができ、そうして国鉄一体というものを取り返せと、こういうお話、私もさように思います。このことが最も大事なことだと思います。また今回の春闘に際しましても、与野党とも国鉄出身の先輩諸君が、たいへん成り行きに重大な関心を示して、そして事態の収拾についても努力されたことを私は心から感謝し、また先輩として当然やるべきことであった、かように思って、これは高く評価しております。やはり先輩は先輩でございますが、先輩よりも何よりも現役の諸君がただいまのような点について、もっと真剣に思いをいたすべきではないだろうか。きょうこのうしろに総裁も来ておりますから、この会議において審議されていること、これは十分理解しておると思います。今後さような方向で国鉄が立ち上がる、かように私は期待するものであります。  ところで、松本君は、いさぎよく本案を撤回してやれ、こういうお話しでございます。(「そのとおり、そのとおり」と呼ぶ者あり)また、そのとおりだという不規則発言もございます。しかしどうでしょう。これで全部が片づいた、こういうものでないことは、これはもう先ほど来御指摘のとおりであります。したがって、いまやる事柄も、何とかして再起するその手づるとでも申しますか、そのチャンスを見つけよう、そういうものじゃないか、かように私は思います。もしもこれを引っ込めるということになれば、再建はそれだけおくれる、立ち上がる能力がそれだけそがれる、かように思うのでありまして、やはり、こういうものは今日取り上げて、そうして国鉄というものが必要だ、さように考えれば、これに力を添えてやる。しかしながら、国鉄自身がもっと積極的な自主的な努力をしなければだめだ。これは大いにしかるのもけっこうです。鞭撻するのもけっこうです。しかしながら、もとがどうも不足しておる今日の状態でありますから、これはこの際撤回など言わないで通していただいて、むしろ国鉄に力をつけてやる、こういう方向で善処をお願いいたします。
  135. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 第一の問題にかなりの時間を費やしてしまいました。  第二の問題に入りますが、国鉄は貨物の獲得にあたりまして、営業割引という名目で、まことに大幅な運賃の割引行為をしております。これは総理も御存じのことだと思います。その実態につきまして、私は国鉄に資料を要求して確認をいたしました。三〇%以上の割引をしている。もちろんこれには条件があるわけでございますけれども、このことも私も承知しております。一定期間に契約トン数を越えて輸送を寄託した場合、この営業割引が行なわれるわけでございますけれども、四十六年上半期で五百一件中、契約トン数に未達成のものが約一割の五十三件、残りの四百四十八件が達成して割引を受けているわけであります。このうち三〇%以上の割引が行なわれているものが二十七件ございます。北海道関係の局が十一件、広島の局が八件、こういうふうにございます。いま膨大な赤字を抱えている国鉄がここまで割引をしなければならない理由、このせんさくを私は後日に譲りまして、その割引行為のやり方をきょうは総理に知っていただきたいと思うのであります。  というのは、時期を同じくして、発駅も同じ、着駅も同じ、そうして同一品目、こういう場合、Aなる荷主に対する割引率とBなる荷主に対する割引率が全く異なっている。そればかりではなくて、すべてが極秘を条件として契約がなされているという事実であります。このことは国有鉄道運賃法の第一条の国鉄運賃は公正妥当なものでなければならないとされておるのに、著しく公正を欠いていると私は思うのであります。国鉄という国民の公共的輸送機関を利用しようとするとき、このような差別が意識的に行なわれていいかどうか。絶対にいいわけはないわけであります。  そこで、国鉄当局は営業割引の行使にあたっては、割引の条件と割引率を堂々と公示すべき義務があると思います。また、すべての国民国鉄を同一の条件によって利用し得る権利があると私は信ずるものであります。旅客の割引にありましてはこのような例はあまり聞きませんけれども、貨物の輸送にありましては、この不公平がしばしば行なわれているのを私は知っております。国鉄の常業マンが荷主さんのところに行きまして契約するときには、ないしょですよ、おたくだけですよ、ほかに漏らしては困りますよ、こういうことを言うわけです。ですから、恩恵を受けるところの荷主さんは何も言うわけはありません。ところが本社に聞いてみると、そういう指導はしていない、こういうふうに答えるわけでございます。この公正妥当を欠く取り扱いについて私が運輸省や国鉄に聞いてみても言いわけをするだけでございます。あえて聞きません。そこで総理にこの取り扱い方についてどうあるべきかを直接お聞きしたいのであります。もう時間がございませんから簡単でけっこうでございます。
  136. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 運賃、取り扱いその他一般に公正妥当でなければならない、これはもう御指摘のとおりであります。
  137. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その公正妥当なことを総理がいまお認めになっていらっしゃる。ところが現場はそうでない。そこを私たちは指摘したいのです。今後総理から十分指導監督を運輸大臣にもしてもらいたい、国鉄には運輸大臣からさらにやってもらいたい。このことは特にお願いしておきます。  次の問題に移りますが、通運事業者と国鉄の関係でございます。  総理以下各大臣のお考えを聞きたいわけでございますが、総理も御承知のように、今日では通運事業というすばらしい名前がついておりますけれども、昔はいわゆる国鉄の大運送に対する小運送、こういう名前で呼ばれていたわけであります。それというのも、国鉄と通運業者は全く表裏一体になって互いに助け合いながら国鉄の貨物輸送に邁進すべきでありましょう。しかし、国鉄は通運事業者に対してあまりにも粗末過ぎる冷たい扱いをしていると私は思うのであります。日本交通公社がお客さんに乗車券を代売するごとく通運業者は荷主さんに対して貨車を売る行為を国鉄にかわって行なっているのであります。このような考えをしたときに、国鉄は通運業者に対してもっともっときめこまかいめんどうを見るべきだと思うのであります。それがなされておりません点をまことに残念に私は思うものでございます。遺憾のきわみであります。国鉄は通運事業者と一体になって貨物輸送の赤字解消に取り組むべきであるにもかかわらずそれがなされていない。むしろ路線トラック業者や地場の業者に顔を向けているとしか考えられない事実がございます。  それはコンテナ輸送に国鉄が力を入れるあまり、その荷主獲得の手段として持ち込みを大幅に荷主に許しております。通運事業法の第十五条によりまして指定を受ければ、地場のトラックも路線のトラックも駅構内に自由に入ってくることができます。したがいまして、荷主はこの指定を地場や路線の業者にやらせるように言います。そうなりますと、通運事業者の集配の分野は大きな打撃を受ける。  私の調査したところによりましても、一号級の都市におけるところの通運現行料金が原価を大幅に割っております。取り扱い料について申し上げますと、原価はトン当たり七十三円ですけれども現行料率では五十三円であります。積みおろし料についても原価はトン当たり百七十四円ですが、現行の料率は百十円です。集配料は原価が四百九十二円ですけれども、現行料率は三百五十六円五十銭、こうなっております。これらの原価は管理費も適正利潤も含んでいないものでございます。このような採算割れであっても通運事業者は営業をしているわけです。しかしながら取り扱い料や積みおろし料というものでは収益はあまりあがらないことは総理も御存じと思います。何としても集配料に大きな期待をかけているのが事実でございます。それにもかかわらずただいま申し上げましたように、国鉄は路線トラックや地場トラックの持ち込みを許している。こうなりますと、通運事業者はまいってしまうわけです。  それにも増して今回さらに大きな負担をしいられているのがいわゆるコンテナ、国鉄のコンテナが八×八×一二といういわゆるC20型になりましたためにいままでのトラックは積載が不安定になります。改造するなり新車に代がえするなりしなければならなくなったという事実がございます。この改造費が、東京においては一両十七万から三十万くらい、大阪におきましては二十一万から二十五万くらいという、こういう負担を通運事業者は新たに負っているわけであります。  さらに加えて全国の通運事業者は、国鉄貨物運賃が値上がりすることによりまして運賃の立てかえが約二百八十億円以上増加するという私の計算であります。先般国鉄当局から資料をとりましたけれども、昭和四十五年度の実績でございますが、日通が千百八億、その他の新免、旧免、限定の合計が七百四十五億、合計千八百五十三億でございます。この一五%としても二百八十億円後払い運賃が増加するわけでございます。先ほどもちょっと触れましたけれども、日本交通公社をはじめ、乗車券を国鉄にかわって代売している業者は国鉄から手数料を収受しております。しかし、通運事業者は国鉄にかわって荷主さんに貨車を売っているのですから、当然国鉄から手数料をもらえるわけでありますけれども、もらっておりません。それのみか二百八十億円以上の立てかえ増になる。この金利も負担増になるわけであります。しかも仕事をやってから収受するまでには六十日かかる。現収などは微々たるものであります。ほとんど手形であります。その手形も平均百三十日から最高百九十日というサイドが慢性化している状態。この手形を割り引くため、資金化するためにどれくらい苦労しているか国鉄はわかっていない、私はこう思います。そこで、鉄道運賃後払い制度は、御承知のように月ごとに取りまとめ、翌月の末日払いになっていますけれども、最長六十日、最短三十日、平均四十五日で立てかえ払いをするわけでありますが、この時点では荷主から運賃も諸掛かりも収受していないのであります。  そこで、一つの例をもって申し上げますならば、せめて後払い期間を延長して翌々月、すなわち取りまとめ後六十日に税金納付することが考えられないか。または保証協会や銀行等が連帯保証書を入れているのですから、通運事業者の振り出す三十日後を期日とした手形を国鉄が受け取る用意はないか。この方法は単なる私の考えでございますけれども、この点について総理、大蔵運輸大臣のお考えを簡単に、そしてまた国鉄総裁考えを聞いて終わりにいたしたいと思います。
  138. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 簡単に御答弁申し上げます。  ただいまの問題は、末端集貨の必要は十分認めておるところでございまして、いますでにそういう問題につきまして検討をしているところでございます。十分業者とも連絡をとりまして、さらに具体化に進むと思っておる次第でございます。
  139. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 長い間の慣例である後払い制度がもし改善を要するということでございましたら、これは国鉄当局と運輸業者の間で解決さるべき問題だと思います。
  140. 磯崎叡

    磯崎説明員 通運業者の事情もよく知っておりますし、また私のほうの資金繰りも問題もございますので、十分検討いたします。
  141. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 大運送と小運送、こういうことは、これが唇歯輔車の関係にある、かように私ども考えておりますので、これは十分連絡をとってもっと調査し、そして緊密な営業ができるようにする、これがやはり集貨制度を実効あらしめるゆえんだ、かように思います。  また先ほど話のありました諸割引制度等についても、やはり鉄道自身が非常に困っておるこの際でありますから、ひとり貨物といわず、旅客につきましても諸割引制度についても十分検討すべきだという御注意がありましたので、十分検討するつもりでございます。
  142. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 終わります。残余のいろいろな問題が質問できなかったことは残念でありますが、次回に譲ります。
  143. 小峯柳多

    小峯委員長 内海清君。
  144. 内海清

    ○内海(清)委員 私はたいへん時間が少ないのでございます。いま審議されております二法案が提案されてからずいぶん時間もたちます。したがって、今日までに相当詳細な質疑が行なわれてまいりました。しかしながらこの段階で総理に質問申し上げるといたしますと、いままでの質疑の中でわれわれが十分納得し、理解しにくかった問題、こういうことに相なろうかと思うのでございます。したがって、国鉄の財政再建問題に対します基本的な問題とも思われるような点を私は二、三お伺いしたいと思いますので、ひとつお答えは簡潔にお願いできればこの上ないと考えております。  まずお伺いいたしたいと思います問題は、いわば国鉄財政再建の目標ということでございます。これはすでに御承知のように日本国有鉄道の財政再建に関する特別措置法というものが四十四年にできております。その中で基本方針といたしまして、目標は再建期間の前半においては償却前赤字の発生を防止しつつ極力財政基盤の強化をはかり、後半においては逐次償却の完全実施が可能となるようつとめて、少なくとも最終年度においては償却後黒字を生ずることを目標とする。こうあるわけであります。したがいまして、今回の特別措置法におきましてもこの目標が置かれておるのではなかろうか、かように考えるのであります。そういたしますと、新十カ年計画によりますと最終年度であります五十六年度末におきまして、試算表によりますと償却後の黒字が出ることに相なっておるのであります。ところが累積赤字と累積債務はまたそのまま残ってくるのであります。こういう状態でこれがはたして真の国鉄財政再建に相なるであろうか、私はかように考えるのであります。その点につきましてまず総理の御見解をお伺いいたしたい。
  145. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま御指摘になりますように財政再建計画の目標、これはやはり償却前の黒字状態、こういうことを目標にしておる。しかし、累積赤字はだんだんふえるじゃないか、こういうお話です。そこで問題になりますのは、それが企業だけの負担においてただいまのような事柄ができるのか、さらに一般財政負担、そのほうからの援助を必要とするかどうか、そういう問題もあるわけでございます。あわせてそういうことを考えながら累減赤字をなくする、こういうことにいかざるを得ない、かように私は存じます。
  146. 内海清

    ○内海(清)委員 ただいまの総理のおことばでございますが、試算表を見ましても、償却後黒字というのは最終年度、その年度のものであります。したがって、それまでの累積赤字は残っていく。同時に四十六年度末で約一兆一千億の累積債務がありますが、これも減るめどはないのでありまして、その点がただいまの総理のお話と私はちょっと違うように思う。
  147. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 具体的の問題でございますから私からお答え申し上げます。  私も再三答弁申し上げましたとおり、十年後に償却後の黒字になる次第でございますから、国鉄財政の規模が非常に膨大になってまいります、資金投資の額も非常に多くなってまいります。これらが累増してまいりますと負債が多くなってくることは当然であります。私、前も申し上げましたとおり、負債がございましても、それに見合う収入が漸次増大をしてまいりますればそれは健全なる経営ではないか、こういうふうに思う次第でございまして、ぜひそういうふうに持っていきいた。しかも、過去の累積赤字につきましては、十年の後には償却後黒字が出る。償却後黒字が出てまいりますことによりまして漸次、これは将来相当長い期間でございますが、これを解消していくことができる。漸次国鉄の財政再建のめどはついてきた、こういうふうに思って御審議を願っておることでございます。
  148. 内海清

    ○内海(清)委員 大臣のそういう御答弁はいままでたびたび聞いておるわけです。累減赤字は最終年度で黒が出る、それから黒が出てくればこれはだんだん償却されていくだろう。しかし債務は三兆一千億もあるのであります。これが黒によって償却されるということは夢のような話である。したがって、真に財政の再建をするというのであるならば、少なくとも十カ年の再建計画の最終においては、償却後の黒だけではなしに、累積債務におきましてももっとこれが考えられなければならぬ。これは一に財政の措置にかかってくる問題だと思うのであります。真の財政の再建とはそういうものでなければならぬかと私は思うのであります。その点についての御所見をお伺いしておるわけであります。
  149. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど申しましたように、これは事業収入ばかりではないんだということは言えるのじゃないか。またことにいわゆる累積赤字もあるが、累積資産というかそういうものもふえてくるのじゃないか、かように思いますので、どうもそこらのところ、私にお尋ねの点がぴんとこないように思うのです。累積赤字は片一方にあるけれども、片一方に累積資産も大きくなっているんじゃないか、かように思います。そこでバランスはとれている、こういうことになる。それに持っていくのがこの再建ではないか。またそのために必要な財政的支援、一般会計からそういう財源も必要なものをつぎ込んでいく、こういうことであります。
  150. 内海清

    ○内海(清)委員 総理のせっかくの御答弁でございますけれども、四十七年度を初年度として政府もいままでにない財政措置をとられておることは、私どもは、これはかなりな前進であると見ておるのであります。しかも十年間のそういうものも、これはあとでまたお尋ねいたしますが、先ほども同僚委員からお話がありましたように、いろいろ疑問もありますが、一応出されておる。それでもってなおかつ最終年度おいて累積の債務が残るわけであります。しかも、それから後だんだんと累積赤字は償却されていくだろうけれども、かなり大きなものがここでも残るわけです。九千何百億というものが残る。こういう状態でありますから、真の財政再建ということであるならば、この再建期間において、もちろん累積赤字もだんだん減ってくるようにし、特に累積債務についてもできるだけの措置をすべきである。もちろん、ことしも措置がございますよ。ございますけれども、これはあとから申しますが、なおわれわれは国が手を差し伸べるべきものがあるのではないか、それこそ真の財政再建ではないかということを申し上げておるわけであります。御理解いただきましたか。  それでは、時間がございませんから十分詰められませんが、次には国の財政措置の問題で若干お伺いいたしたいと思うのであります。今回の国の財政措置に、先ほど申しましたように、現在の再建計画に比べますならば、かなりな前進になっているということは率直に認めたいと思うのであります。この財政措置は、本年の一月十一日に取り組まれました、先ほど久保委員からお話がございました「国鉄財政新再建対策要綱」これがその根拠になっておられたと思うのであります。ところが先ほど伺いますと、これは大蔵大臣運輸大臣と自民党の政調会長それから自民党の国鉄再建懇談会の座長、四者の間の申し合わせであって、このことは閣議の決定を見たものではないということであります。そういたしますと、再建計画の基本計画の中にはたしてこれが入っておるのかどうかという問題が出てくるわけであります。決定されておりますならば、これははっきりした国の一つの有権的な背景を持ちました施策でありまして、責任をもって遂行せられるであろうという信頼性を私どもは持つわけであります。ただこれはそういう申し合わせ的なものであって、はたしてわれわれが真にこれに対して信頼することができるかどうか。それぞれの責任者でやったのだからいいじゃないかというお話があるかもわかりませんが、やはり政治はそれではいけない。やはりとるべき手続はとって、ほんとうに有権的なものとしてこれが実施されなければならぬ、かように私は考えるのであります。もちろん四十七年から始まりました、ことしの予算にありますものはこの線に沿うたものでございましょう.これは現実予算化されておるという点でわれわれはこれを認めるわけでありますけれども、この要綱の点につきましては明確にしておかなければならぬ問題であると私は考えるのであります。したがって、これは閣議決定されておらないけれども、総理はこの要綱の内容というものを確認しておられるのかどうか。確認しておられるならなぜ閣議決定しなかったか、こういう問題であります。その点につきまして御所見を伺いたいと思います。
  151. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま私から説明するまでもなく、先ほどもお答えがありましたが、ただいま政党内閣制、そういう政治をやっておりますから、与党と政府が申し合わせをした、こういうことでいかにも何かなれ合いのような言い方をされますが、そうじゃなくて、やはり与党と政府が話し合った事柄、これは公式な意義を持ちます。公の意義を持ちます。したがって、これを基礎にして予算が編成され、予算はただいまのようないきさつを十分説明して、そして初めて閣議決定を見るわけであります。私はただいま内海君の御指摘になりますように十分知っているかと言われる。これは知っております。これははっきり答えることができます。しかし、これについて閣議決定をそのまましないからどうも不安定なものだ、こういうことには私はならないように思います。これはいままでのやり方についての非常な変化であり、前進であり、こういう方向であってこそ初めて国有鉄道事業が国民に便益を与えることができるのでありますし、さらにそういうものが今後は必要な状況のもとにおいて増加することもありましょうし、あるいは減る場合もあるだろう、かように思います。そこでやはりその見通し、経済の状態を正常に復して、あまり国鉄収支の見込みが違わないように見積もりを立てて、正しいものができるようにこれからしていくことが何よりも大事なことであります。そして収入を大きく見積もり支出は小さくと、これではいかないですね。むしろ逆な方向に見積もりして、余裕のあるような状態にしておくことが望ましいのではないか、かように思います。
  152. 内海清

    ○内海(清)委員 総理も確認され、それぞれそれを基礎にしてやっておるのだからいいじゃないかということでありますが、なるほど総理がおれる時分はけっこうであります。各大臣がおれるならけっこうであります。しかしその後においてはたしてこれが政府の有権的なものになってくるかどうか、ここが私は問題だと思って論議したわけであります。でありますから、これは将来十年間、少なくともこれが出された以上は十年間この内容が完全に実施される、そのことによって国鉄の再建ができるということに、これはどうしても有権的な措置をとっていただいておかなければわれわれは不安であります。  時間がございませんから次へ参りますが、今回の再建目標は計画が予想どおりに進むならば、最終年度、すなわち五十六年度末におきまして償却後の黒字を出すということであります。しかし累積赤字なりあるいは累積債務というものは何ら実際的には解消していないのであります。そこで先ほど申しましたように、真の意味の再建ということから申しますならば、私は最も問題になりますのは、今日までの累積債務である。累積赤字は最終年度から黒が出てまいりますならば、これはだんだんと減っていくでありましょう。しかし累積債務まではなかなかいかぬということであります。これをどう取り扱うかという問題ではないかと思うのであります。  そこで、四十六年度末におきまする累積債務の総額は三兆一千億であります。その内容、内訳というものは、政府管掌債務が一兆四千億であり、その他債務が一兆七千億でありまして、このその他債務の中には政府保証債の六千六百九十億というものが含まれておるのであります。このうち四十七年度におきましては、四十六年度までの政府管掌債務と、それから政府保証債務、この両者の利息というものを全額資金運用部から再建債という形で借り入れますと同時に、それに対しまする利子を全部利子補給するということになっておるのであります。でありますから、その結果、累積債務のうち約二兆円というものは十年間たな上げと同様な結果に措置がとられておる、これはまことにけっこうだと思うのであります。問題は残りの一兆円でございます。これがまた今日の国鉄財政を大きく圧迫しておりますことは今日までのいろいろな審議の過程で明らかであります。そこでこの一兆円の措置をどうするか、この際、政府が真に国鉄財政再建に取り組まれるならば、思い切った措置をとっていただきたい。その他の債務、残りの一兆円につきましては、民間のものもございますし、いろいろございますから、これは利子を払わないわけにいかない。しかしそういう性質のものでありますから、なた上げというわけにもいかぬであろう。そこで私が特に申し上げたいのは、この一兆円を政府が肩がわりするということであります。事実上のたな上げの形にするということ、このことによってこれができるならば、先ほどもちょっとございましたけれども、真に財政の再建の諸につくであろう、かように考えるわけであります。いままで国鉄が独立採算制という美名のもとに国からもたいした援助を受けないで今日かような危機にまで追い込まれたということについては、国としての大きな責任があると私は思うのであります。そこでこの一兆円に対してそういう措置をとるべきではないか、かように考えるのでありますが、これに対する総理の御所見あるいは大蔵大臣の御所見をお伺いいたしたい。
  153. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 先ほどからも出ておりましたように、問題は累積赤字だろうと思います。まず何をおいても累積赤字を処理して、今後この赤字が出ないような措置をとることが、再建政策の一つの眼目でございます。したがいまして、そういう意味から申しますと、今回の措置はひとり累積赤字だけではなくて、それをはるかに凌駕する政府管掌の債務と政府保証債両方、二兆円近い債務を事実上もうたな上げにしたと同じような措置をとるということでございます。そのほかの債務、累積赤字でない債務というものは、先ほど運輸大臣からお話がございましたように、一方に債務があれば一方に営業財産がそれだけできてくる。常業財産があれば営業収益を生むというもので、これは健全なる債務でございます。この点はそこまで考えなくてもとりあえず累積赤字によって国鉄経営が困らないようにするという措置が先でございます。そういうことから考えますと、今回の措置によって国鉄債務について六六%は国が助成の措置を講じたということになりますので、民間債務にまでこれを及ぼさなかったということでございますが、これは援助もやはり応分の負担になることでございますので、そこまではやらなくていい問題だというふうに私は考えます。
  154. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま大蔵大臣お答えしたとおり私も考えております。
  155. 内海清

    ○内海(清)委員 これはさらにひとつ論議したいのですが、時間がないようでございます。  そこでひとつお願いしておきたいのは、これ以上債務をふやさぬということ、これは先ほどもございましたが、五月二日の鉄道建設審議会で、さらに新幹線三線が大体基本計画の中に入れられるようであります。しかしこれはお話がございましたように、東海道、山陽新幹線の役割りとはかなり違うものであろう。ことに東北、北海道あるいは九州は赤字になるのではないかといわれております。したがって、これが建設されるのにおそらく三兆五千億ないし四兆円かかるのではないかというふうにさえいわれておるのであります。したがって、今後そういうふうなものを国の政策としてやらすということに相なりますたらば、その工事費に対しましても国が配慮すベきである、いま四・五%までの利子補給がありますが、これを少なくとも三・五%程度にすべきではないか、そのように考えておりまして、これ以上債務が増高いたしますことは、これは再建の足を引っぱることでありますから、この点については今後十分に配慮していただきたい。このことであります。  最後に、私は時間が参ったようでありますので、国鉄自身企業努力、この点につきまして、これはいままでもお話がございましたけれども、国鉄が合理化し、近代化して、そうして労使一丸となって再建に燃えていかなければならぬと思うのであります。総理のお話がございましたように、確かに企業も従業員の大部分の皆さんも今日まで非常に努力されたことは、われわれも認めるのでありますが、総理も御承知だと思いますが、その一部になおいろいろ問題があるということ、いわゆる職場秩序の確立ができていないということ、職場の中にいわゆる職場暴力があるということ、これは労使の問題以前の問題であると思うのであります。こういう状態であって、はたして国が援助国鉄自身努力し、さらに国民も、利用者も協力しても、真に再建ができるかということであります。まず国鉄企業自身が真に立ち直るということである。このことを私は強く要望いたしたいと思うのであります。  時間が参ったようでありますから、ほかにございましたけれども省略いたしまして、以上て私の質問を終わりたいと思います。
  156. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまのお話につきまして、国鉄財政そのものについては、鉄道当局にまかしていても、それだけではいけないようですから、さらに精査する、そういう意味で相談に乗ることに政府自身がなりたい、かように思いますし、また御指摘になりました労使双方の関係につきましても、昔のいわゆる国鉄一家というものと今日は問題にならない状況でございますから、昔のようにならないでしょうが、それにしても、ただいまの運賃値上げ等々のいろいろの問題を提起しておるこの際でございますから、みずからの姿勢を正す、こういう意味で、労使双方とも一そう精査していただいて、国民の期待に沿うようにいたしたいものだ、かように思います。
  157. 小峯柳多

    小峯委員長 田代文久君。
  158. 田代文久

    ○田代委員 佐藤総理に、時間がないそうですから簡潔に質問いたします。  第一は、国鉄法第一条が明らかにしておるように、公共の福祉の優先ということ、それからまた国鉄運賃法の中で、先ほども出ておりましたけれども、公正妥当とかあるいは賃金及び物価の安定に寄与するというようなことが明確にうたわれておるのですね。実際においてはそれは空洞化している、それは無視されているといっても過言ではないのじゃないか。たとえば、黒字を出しておる旅客に対して二十数%の値上げをするというようなことは、全くこれは公正妥当なものでもないし、あるいはまた公共性にも反するのですね。その他農産物などに対する輸送費を上げるとかあるいはまたローカル線を廃止するというような点は、国鉄法あるいは運賃法からいってもこれは妥当ではないし、間違っておる。ですから政府は、この国鉄法並びに国鉄運賃法を堅持するのか、またこういう計画や運賃値上げを次から次にやるならば、国鉄法は全く間尺に合わないと思う。ですから、これを変えるのかどうかということが第一点。  それから第二点といたしましては、今度の再建計画の中での政府当局説明でも、この計画は累積赤字を解消し、国鉄財政の健全化を目的とするということをしばしば答弁されました。累積赤字を解消し、あるいは国鉄財政の健全化を目的とするという政府答弁を文字どおりに堅持されるかどうか。この法案は堅持することになっておらない。たとえば、これは審議の中でもはっきりしましたけれども、この計画の最終年度において一兆七千億にも余る赤字がちゃんと見込まれておるし、またその年に四千億余の利子負担をやるというようなことになっている。これはさっき言ったこととは全然違っておる。ですから私どもとしては、ほんとうの再建をやるためには、これは公聴会でもいわれておりましたけれども、政府の金の出し方が少ないのだ、今度千億余り出しましたけれども、とてもこれでは足らないと思うのですよ。ですから、そういう国鉄の新しい敷設とかあるいは修繕費などにつきましては、政府が全部その負担をすることが正しいのであるし、また先ほどからいわれておりました借金あるいは利子なんかのたな上げというような問題もこれは当然とられるべき措置であるし、また国鉄の財政や経理の公開というような点もはっきりやらなければこういう再建の根本的なものは解決しないのじゃないかと私は思います。この点についての総理の所見が第二点。  それから第三点は、この再建計画の重要な柱になっておる国鉄労働者十一万人の削減という問題なんです。私どもは現在、国鉄の運営なり政府当局国鉄労働者に対する態度を見ておりますと、ほんとう国鉄労働者を信頼しておるというふうには残念ながら見えないのです。極論するならば、ある場合には敵視されておるのではないか。しかし、ほんとう国鉄を再建しようとするならば、国鉄の労働者を信頼する以外に絶対ないと私は思う。ところが実際にはそうではない。これは審議の中でも、またきのう本会議でも政府当局は御答弁されたように、将来は二日休むのじゃなくて、三日くらい休むような方向に現在の社会は進んでいるとおっしゃいましたね。とにかく一週間のうちに三日も休もうという時代になっているときに十一万人の労働者の削減という方向は全くむちゃな話である。  それからもう一つ大事なことは、ひんぴんとして起こっている国鉄の事故の問題。十年前に起こったあの川崎あるいは鶴見とか、それからつい最近起こりました般橋の数百人の事故、現在のような計画がこういう人員削減を一つの大きな柱にした企業努力というようなことで進められるならば、再び大事故が起こることは明らかである。そういう場合に、政府はいまずらっと並んでおられますが、責任をとられるかどうか、非常に私は危惧いたします。そういう点で国民の身体や生命の安全を守るための安全輸送、足を守るためにこういう合理化計画が正しいかどうかという点ですね。私はそうじゃないと思う。  それからまた、私は非常に敵視政策をとっておられるじゃないかということを言いましたけれども、一部には、これは御承知でしょうけれども、北九州で国鉄の労働者を二日間入隊させるというような処置がとられた。聞いておられなければあなたは非常にふまじめですよ。そういう問題が実際あったということをいわれております。それからまだいろいろありますけれども、時間がありませんから申しません。そういう点で、こういう十一万人の人員削減というような企業努力の方向が正しいかどうかという点ですれ。  最後に、今度の公聴会で全国でいろいろ御意見を聞きましたけれども、この法案に双手をあげてでなくても賛成の方でも、みんなこれは条件つき賛成ですよ。ですから、おそらく政府与党の諸君も自分の選挙区に帰って、この法案はとにかく双手をあげてりっぱな法案であると言い切る人は一人もいないでしょう。ということは、この法案は全国あげて国民が反対している法案であると言わざるを得ない。そういう法案をなぜ強行されるのか。佐藤総理は国鉄で長い間おりました。それから佐藤内閣ができて八年の声を聞こうとするとき、何回の値上げをされたか。これを思い起こしていただきたい。また今後四回これを値上げするというような置きみやげ。立つ鳥はあとを濁さずといいますが、これは全くあとを濁すことになりますが、どうですか。その点の御説明を願いまして、私の質問を終わります。
  159. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 田代君の御質問にお答えをいたします。  ずいぶんいろいろお尋ねが出ましたが、また御意見を交えてですが、一番最初は、国鉄法の基本に、公共の利益を優先するとあるが、運賃を上げることはその公共の利益健先の原則に反しはしないか、こういうような御指摘であります。私はこの点は、田代君は頭がいいのだがどうしておわかりにならないのだろう、国鉄自身がサービスを停止する、そういう状態になろうという、そのほうがたいへんだと思います。運賃を上げることは、公共の利便を守るために事業そのものを継続するために、これは必要なことなんです。さように理解していただきたい、かように思います。したがって、まず第一点はこういうことでお答えをいたします。  ことにまた運賃旅客のほうは黒字、それを上げて、赤字である貨物のほうは割引している等々のお話も出ました。しかし、この割引制度そのものはいろいろ割引の持つ意義等からいたしまして適当なる割引率を適用するわけであります。黒字である旅客にいたしましても、小児や子供や学生やあるいはまた心身障害者等々やはり割引しているものがございます。そういうことも社会的な必要からそういうことをやるわけでありますし、また貨物の割引にいたしましても、全部が割引不適当だ、かようには私考えません。ことに、遠隔の土地から価格の安いものが荷い迎費を払って消費地に送られる、そういうことなど考えると、ある程度消費者の立場も考えて適当なる割引をする、これは適切な方法ではないかと思います。しかし、だんだん議論がこまかくなりますから、これはむしろこの場でお話を申し上げるよりもやはりこれらの点は鉄道当局にまかしたらどうか、かように考えます。御趣旨はもちろん誤解なしによく理解しておると思いますので、適切なる割引措置であればこれはのめる、かように思っておりますのでそういう方向であると思います。  それからその次の累積赤字、これは先ほど来いろいろお話が出ておるやはり第一段の問題のように、国鉄経営が健全でないと公共のサービスが低下する、これはたいへんだということでございますので、これは第一段の大目標とうらはらをなすもの、そういうことでせっかく御審議をいただいております運賃でございますから、どうか御了承を得たいと思います。  ことに運賃値上げについて無条件な者はだれもない、賛成する人でもみんな条件つきだ、こういうお話です。賛成する人も条件つきであるのはこれは当然でありまして、無条件に運賃値上げせよ、こういうことはいえないと思います。私は、共産党もやはり条件つきでけっこうですからぜひ御賛成願いたいと思います。  そこで、十一万人の削減の問題、これはいろいろの見方があります。ずいぶんたいへんな問題を引き起こしておると思います。しかし、このことはいわゆる鉄道経営の合理化、そういう立場から考えると、先ほど来、労使双方が国民から喜んで感謝されるような、そういう状態で努力してほしい、そういう事柄を皆さんのほうからも御発言がありました。私は無理な整理、これをするわけじゃありません。しかし合理化としてこれが当然考えられるべきことはぜひともやるべきだ、かように思っております。今日どういう状況であるか、私はいままでもよく、国鉄の従業員は総体として押えられてきた、今日私どもがいたときの戦後の状態から見ましても、これだけの運輸数量のふえた状態、運輸キロの増加等から見ると、もっと人員がふえてしかるべきだが、そこらに合理化が行なわれたという、これはたいへん努力を多とすべきではないだろうか、かように思っております。  ただ私わからなかったのは、入隊云々ということばがありましたが、これはどういうことなんですか。あるいは再訓練というような意味の話でしょうか、どうもちょっと私にわかりかねたのです。
  160. 田代文久

    ○田代委員 申し上げましょうか。
  161. 小峯柳多

    小峯委員長 簡潔に願います。
  162. 田代文久

    ○田代委員 この二十数人の労働者を二日間陸上自衛隊の特科連隊に体験入隊をさした、こういうものであります。これはいきさつはわかっていると思いますが、こういうことをすべきじゃないというのが結論なのです。
  163. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 それで大体……。  それから、ただいまのような人員整理をすれば事故が起こるんだと、直ちに国民を戦慄させるような事故に結びつけてこれをお話しになるが、そうじゃないので、過密ダイヤもまた人員整理も合理化はさようなものではございませんから、無理をするという、そういうようなことはない、かように私は思っております。どうか十分の実態の認識を賜わりたい。  それで最後の結論は、先ほども申し上げましたが、条件つきでけっこうでありますから御賛成願いたい。(拍手)
  164. 小峯柳多

    小峯委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。    午後五時十五分休憩      ————◇—————    午後七時十分開議
  165. 小峯柳多

    小峯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案に対し、ただいま委員長の手元に、宇田國榮君、加藤六月君、徳安實藏君、細田吉藏君及び箕輪登君から自由民主党提出にかかる修正案が提出されております。  修正案はお手元に配付してあるとおりであります。
  166. 小峯柳多

    小峯委員長 この際、提出者から趣旨の説明を求めます。宇田國榮君。
  167. 宇田國榮

    ○宇田委員 私は、自由民主党を代表して、本法律案に対する修正案について、その趣旨を御説明申し上げます。  修正案の案文はお手元の印刷物のとおりでございまして、原案附則第一項の本法の施行期日、本年「四月一日」はすでに経過しておりますので、これを「公布の日」に改めることにいたしますが、第一条の規定につきましては、鉄道営業法の公告の関係上これを公布の日の翌日、これに伴っている附則第四項の規定も「公布の日の翌日」とするものであります。何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  168. 小峯柳多

    小峯委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  169. 小峯柳多

    小峯委員長 これより国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。内藤良平君。
  170. 内藤良平

    ○内藤委員 私は、日本社会党を代表しまして、本法律案に対する反対の討論を行なうものであります。  この法律案につきましては、本運輸委員会に四月の十八日に提案になりましてから、国会で許されるあらゆる手続を踏みまして私たちは審議を進めてまいりました。現地の調査も行ない、また現地における意見も聞き、さらには参考人の意見、あるいは公聴会の公述人の意見等、またその背後にある国民多数の皆さんのこの法案に対する大きな反対の声を承ってまいったのであります。先ほど来の審議の中におきましても、賛成の方におきましても、全面的に賛成をされた方はおらない、こういう発言がしばしばございました。ことほどさようにこの法案は国民の皆さんから、利用者の皆さんから、反対の声がまことに絶大でございます。国民生活の面から取り上げましても、このたびの国鉄運賃値上げ、旅客におきまして二三・四%貨物におきまして二四・六%、このような率での大幅の値上げでございまするけれども、通勤通学等の内容をつぶさに検討いたしますと、三倍にもなんなんとする値上げがあるのでございまして、今日の物価の上昇にあえいでおります国民の皆さんの生活からこれをとらえた場合には、とうてい許されるものではございません。しかも四十七年度におきましては、この値上げによりまして千七百八十八億円の国民の皆さん、利用者の皆さんの負担を強要しておるのでございます。  しかも私、腹に据えかねますのは、この増収が国鉄人件費にほとんど食われるという表現がしばしば議論の中におきましてあり、あるいは政府当局発言があるわけであります。しかしながら、私の見解におきましては、今日の国鉄赤字の最大の原因は、長年にわたるところの借り入れ金の累増にあるのでございまして、この借り入れ金の総額は、四十六年度末におきまして約三兆円、かようにいわれておるのであります。この約三兆円の借り入れ金があるために、ばく大な利息を払わなければなりません。また元金も払わなくちゃなりません。四十七年度の支払いの元利これだけをとらえましても五千三百九十五億円、かようにいわれておるのでありまして、この三兆円に及ぶところの累増されました借り入れ金が今日の国鉄赤字の最大の原因であることは、衆目の一致するところであります。しかるに、これを人件費が上がるからということでこの大幅の値上げを提案しておるということ自体が、問題をすりかえまして国民の皆さんの御意見、世論を分裂せしむるにある、かように私は当局政府の悪らつなるその提案に対しては強く反対、指摘をしたいと思う次第であります。  さらにつけ加えて申し上げたいのは、国民の負担は、この十カ年の計画によりますると、われわれの積算によりますると五十六年までの間に六兆四千億円余りになるのであります。また政府の負担は約二兆円でございます。国鉄の合理化を含めてのその内部的な努力は約二兆円でございます。この数字は三、一、一でございます。私は昭和四十四年に前回国鉄の再建十カ年計画、この計画を審議いたしました際に、国民政府当局国鉄当局、三方一両損ということばを巧みに使った記憶がございまするが、今日の場合におきましては、この十カ年計画は国民の負担が三、政府の負担が一、国鉄の負担が一でございまして、これは三方一両損といわれました四十四年度の国鉄の財政再建のあの審議の中から顧みましても、国民の皆さんの負担がばく大に増加するというまことに三方一両損よりも悪化しましたところの考え方、十カ年の再建の方策の内容でございます。  またこのことに関連しまして、国民の皆さんの負担は、国鉄運賃から来るところの直接の負担だけでありません。すでに皆さんもおわかりのとおり、国鉄運賃値上げが提案され、報道されまするに従いまして、公共料金値上げが続々と出ておることはおわかりのとおりでございます。私鉄の運賃あるいは航空運賃その他交通運輸関係の運賃料金値上げだけでありません。公共料金といわれるものが続々と値上げを唱えておるのであります。したがいまして、この国鉄運賃によるところの悪影響国民の皆さんの負担の増大は、まことに国民の立場から許しがたい、納得しがたいものであることは、私ここで強く主張をする以上に国民の皆さんがよくおわかりのところでございます。  さらに、私ここで国民生活の上に、この面だけで反対を唱えるほかに、もう一つの点として申し上げたいのは、国鉄の長期にわたるこの十カ年の計画というものは、四十四年のあの際にスタートしたわけであります。当時を振り返ってみますと、この国鉄の十カ年の計画というものはどこから出てきたか、あるいは国鉄の十カ年計画というものが出た際に論議されましたことは、国鉄だけが十カ年というある意味でナンセンスのこの長期の財政再建計画を立てるところのその意義でありました。なぜかといいますならば、皆さんおわかりのとおり、今日の交通運輸の関係は、過密過疎の関係がございまして、まことに混乱をきわめておる状態であります。したがいまして、私たち運輸に関係する者の議論としましては、国鉄のみでありません、いわゆる総合的な交通運輸の体系というものがなければ、今日の国民の皆さんの足をすら守ることができない。過疎地帯の皆さんの問題、あるいは過密の都市の皆さんの問題、あるいはその中間地帯の皆さんの問題、これらを含めて総合的な交通体系がなければならぬ、そういう時期である、したがいまして、運輸省は総合的な交通体系と真剣に取り組むべし、こういう議論でございました。その中から総合交通体系のいわゆる大宗といいますか、骨格といいますか、考え方が出てまいったわけであります。これは四十四年の十カ年計画の際におきましても、国鉄のみが十カ年という長期の計画を立てましても、今日の交通運輸の混乱の実態の中で、これのみを遂行することは不可能である、したがいまして、総合的な交通体系を立てて、その中で国鉄の占めるべき分野をきめ、また運賃等におきましても、調整をしなければならぬ、これが議論の眼目であったと私は思っております。そういう中に今日までまいりまして、まことにそのとおり、四十四年におきまして十カ年という長期のある意味では無謀な計画を立てましたことが、三年後の今日の段階におきまして、新しい十カ年計画を立てざるを得ない、この現実になったわけであります。われわれの議論はまさにそれは当を得たものと私はいま顧みる次第であります。そうしていま総合交通体系が眼目だけでもできたさなかに、またまたこの十カ年という長期の計画を立てた、このことであります。私たちは過去の例を見ましても、この十カ年の長期、そのものに問題がある。しかも今日まで五十有余日、あるいはこの時間を含めて五十数時間の審議をした中におきまして、この十カ年計画というものが、内容におきましてもいろいろ問題があるということがますますはっきりしてまいったわけであります。このように議論をしてまいりますると、私は、今日の国鉄の再建というものは、まことにその美名といいますか、その志といいますか、その出てくるところはわかりますけれども、われわれの立場からいろいろ議論します際におきましては、国鉄の財政の再建はおろか、このことによりまして、ますますいわゆるわが国の交通運輸関係の総合的な体系というものが、この十カ年計画によりまして混乱の度を加えるのではないか、かように私たちは審議の中を通じまして深く強く感じた次第でございます。  また、この問題の中におきまして、特に私は、長々と申し上げる時間もないようでありますから、結論を急ぎますけれども、国鉄性格につきましては、まだまだ、この論議が進む中におきまして、私たちは納得いかない点が出てまいりました。特にこの審議のさなか、鉄道建設審議会なるものが、新幹線の新たな路線というものを審議決定いたしました。これなどはわれわれが真剣に、しかもいままでになく強行採決をしない、物理的抵抗をしない、慎重に審議をするということで、真剣に国会が、運輸委員会が、この国鉄の財政再建促進のための十カ年計画を審議してまいりましたさなかに、全然無関係と私は言いたいのでありますが、東北新幹線の延長、あるいは九州新幹線あるいは北回り新幹線等の建設が、鉄道審議会におきまして、審議決定しておることであります。このこと自体、私は今日のこの十カ年計画というもの、あるいは皆さんがいろいろお話しておりますけれども、現実におきましては、この十カ年計画というものは、いま申し上げました新幹線の新たな路線の設定等のこの関係につきましても、まことに問題がある十カ年計画である。しかも私は議論する中におきまして、国鉄の公共性というものがある意味では確認をされたと思っております。独立採算制というものは、これは精神的なものである、このような議論も私たちはいたしました。ところが今日の新幹線、新路線の決定等のあの経過を見まして、国鉄体質というものが、公共企業体、公共性というものが、この議論の中におきましてある程度われわれは確認されたと思っておりましたものが、あの鉄道新線建設の関係等から考えますと、新幹線を中心とした、いわゆる独立採算といいますか、独算制の関係だけがまた全面に出てきているというぐあいに疑わざるを得ないのであります。  かように議論してまいりまして、またこの運賃問題、まことに私たちいろいろ世論を感ずる中で、あるいはこの委員会で議論する中で、国民生活のしからも、また国鉄の十カ年の財政の再建の上からも、これは議論を深めれば深めるほど、私たちは納得することができない、かように結論づける次第でございまして、本案につきましては、私も本会議で提案の際にも質問いたしましたけれども、これはすみやかに撤回をされまして、そして物価の問題、国民生活の問題、他の交通機関との運賃の調整の問題、公共料金その他の波及的な値上げ問題等考えまして、運賃値上げはこれを撤回し、また国鉄の十カ年計画も、もっともっと国鉄体質の改善とあわせて、政府の財政的な投融資、あるいは大幅の出資、こういうものをもっと徹底的にやらなければ、真の国鉄の十カ年計画は達成できない、真の国鉄の十カ年とは言えません、国鉄の財政再建というものはできない、こういう結論に達しておる次第でございます。  以上、申し上げましたような理由によりまして、私は本案を撤回しまして、そして今日の国民の皆さんの要望にこたえる、あるいは国鉄の真の十カ年計画、再建計画というものを実現をする、こういう趣旨を申し上げまして、反対をさらにさらに強く主張をいたしまして、本案の撤回を重ねて強調して、私の反対討論を終わる次第でございます。(拍手)
  171. 小峯柳多

    小峯委員長 箕輪登君。
  172. 箕輪登

    ○箕輪委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、本案に対し賛成の討論を行うものであります。  日本国有鉄道は、わが国陸上輸送の動脈として、国民生活と国民経済に多大の貢献をなしてまいりまして、ここに百年を迎えるに至ったのであります。  しかるに、国鉄財政は、経済社会の変動と輸送構造の変化に伴い、昭和三十九年度に赤字に転じて以来、急速に悪化の傾向をたどってまいりました。そのため、政府においては、第六十一回国会において成立いたしました日本国有鉄道財政再建促進特別措置法に基づき、昭和四十四年度以降十年間を再建期間として、各種の財政再建施策を推進してまいっているのでありますが、その後の推移を見ますと、依然として輸送量の伸び悩み、人件費の大幅な上昇等が続きましたため、国鉄財政はさらに悪化し、昭和四十六年度末におきまして、純損失約二千四百億円、累積赤字八千億円をこすという、きわめて憂慮すべき事態に立ち至ったのであります。このままに推移いたしますとき、国鉄財政は破綻に瀕し、国民生活に及ぼす影響はきわめて甚大なものがあることは、火を見るより明らかであります。  国民といたしましては、国鉄に対し、全国にわたって整備された近代的鉄道網により、安全、快適な輸送サービスが提供され、国土の均衡ある開発、発展が進められ、もって、国民生活が向上いたしますことを強く要望いたしておりますので、一日も早く国民の輸送需要に適合した良質な輸送サービスが提供されるよう国鉄財政の再建をはからねばなりません。  そのためには、何よりも国鉄自身が増収と業務運営の合理化について最大級の努力を払う必要があることはもちろんでありますが、国の大幅な援助と利用者たる国民協力国鉄の再建に強く要請されますことは当然でありまして、このことは、委員派遣による現地調査に際しての意見陳述者、公聴会における公述人並びに参考人の意見におきましても述べられているところであります。  国鉄財政再建の目標としては、第一に、国鉄の支払う利子の軽減をはかるとともに、施設の近代化、人員の合理化並びに国鉄としての使命を終わった代替輸送のある路線の撤去等を断行する必要があります。  第二に、運賃改定による利用者の協力を願うとともに、総合交通体系確立の見地から、新幹線等需要の多い幹線の増強、都市間輸送強化のための複線電化、貨物輸送の近代化、合理化等による輸送力の増強をはかる必要があります。すなわち、総合交通体系の線にのっとり、鉄道としての特性が発揮できる分野について、新幹線網を根幹とした近代的鉄道への脱皮のための設備投資をさらに促進することにつとめなければならないのであります。しこうしてこの設備投資には長期かつ巨額の資金が必要であり、国鉄の公共的使命を考えるとき、国の最大限度の援助なくしては、これを確保しがたいことは諸外国の例を見ましても明らかであります。ただ、国の助成は全国民の税金によるものでありますので、国鉄を利用する人、しない人全部に負担を課すことには限度があることは当然であります。  今回の旅客運賃二三・四%、貨物運賃二四・六%、収入増約千八百億円の運賃改定は、国鉄国民経済及び国民生活の要請にこたえ、その財政を再建しつつ、国民の輸送需要に今後とも適切にこたえてまいりますため、やむを得ないところであり、利用者各位の深い理解と援助が要請されているものと考えます。  今回の運賃改定の消費者物価に及ぼす影響は〇・四%でありますが、物価に対する心理的、波及的効果、影響考えられますので、政府当局においては、物価対策について今後さらに適切な措置を強化されることを要望する次第であります。  政府は、新しい財政再建計画として、昭和四十七年度以降十カ年間において、運賃改定による運輸収入約六兆七千億円、国鉄の合理化等により約二兆四千億円の節約が見込まれるのに対し、政府は出資金約一兆円、利子補給金、工事費補助金等約一兆円、計二兆円の助成措置を行なうこととしております。また、国民へのサービス向上のための設備投資といたしましては、約七兆円でありまして、これは在来線に対して、その約七割程度、新幹線に対しその約三割程度の巨額の投資が予定されております。  今回の新国鉄財政再建策は、以上の計画を昭和四十七年度から十カ年間行ない、昭和五十六年度の単年度において、償却後の黒字を見込んでおります。  昭和四十七年度におきましては、運賃改定による実収一五%増を含め、運輸収入一兆三千五百八十四億円に対しまして、政府より、出資金六百十六億円、昭和四十六年度から補助率を拡大することとして工事費補助金三百二十一億円、財政再建債の対象を昭和四十六年度末の政府管掌債務及び政府保証の鉄道債券にかかわる債務に拡大することとして、財政再建債利子補給金面六億円、地方閑散線運営費補助金百二十五億円及び合理化促進特別交付金十六億円、計千百八十四億円を支出し、その他財政融資として五千八十八億円、そのうち財政再建債千百十八億円を計上するという画期的な政府国鉄に対する財政措置を講じております。  今回の新国鉄財政再建策は、前回の財政再建策の反省に基づき、国鉄みずからの経営の能率化、合理化と国及び地方公共団体の財政援助並びに国民の理解と協力による運賃改定の三位一体の施策により、抜本的な国鉄財政再建をはかろうとするものでありまして、現下の情勢に照らしきわめて妥当なものであり、これなくして、長期にわたる国鉄の財政再建はあり得ないと信ずるものであります。  しかしながら、国鉄の再建の基本は、何と申しましても国鉄自身努力に負うことが大であることは言うまでもございません。労使一体となっての再建への熱意、特に労使の協調により、サービス改善、安全の確保に一段と意を注がれ、国鉄及び政府当局が不退転の決意のもとに、再建に邁進されんことを要望いたしまして、賛成の討論を終わる次第でございます。(拍手)
  173. 小峯柳多

  174. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、公明党を代表して、ただいま上程されております国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行なうものであります。  国鉄は、本年創立百年を迎え、新しい時代の国鉄へと新たなる歴史をつくる大切なときを迎えたのであります。しかしながら、その反面で、国鉄は創立以来の最大の財政危機に瀕していることは、周知のとおりであります。  このような財政悪化の原因がどこにあったかは、皆さん御承知のとおり、自動車、航空機、内航海運等、国鉄以外の各交通機間が急速に発達したこと。また、このような輸送構造の変化に対応する策を持たない国鉄の放漫経営が原因であります。  しかし、それよりももっと重要な原因は、政府国鉄政策または交通政策の欠陥が、国鉄当局だけでは解決できない各種の問題を引き起こしていると断ぜざるを得ないのであります。  すなわち、政府の無節操、無計画な高度経済成長政策が都市の地価高騰を招き、国鉄用地買収費の増大をもたらし、国鉄財政を圧迫しております。また、都市への急激な人口集中は、輸送需要の増加をもたらし、そのため、膨大な設備投資の必要を生じ、ばく大な借り入れ金政策を国鉄にしいることになったのであります。  さらに政府は、国鉄の独立採算制に固執するあまり、国鉄に対する援助を積極的に行なおうとせず、国民に対しいたずらに、運賃値上げを強要してきたのであります。  したがって、今日の膨大な借り入れ金等の赤字をかかえた国鉄財政の危機は政府みずからの手でつくったものであり、政府の交通政策の欠如と施策の貧困がもたらしたものであると断ぜざるを得ないのであります。  そして、今日まで政府のとってきた国鉄再建策を見ますと、すべて国民負担、すなわち利用者負担をたてにした運賃値上げによって一般利用者にその責任を転嫁することに終始してきたのであります。すなわち、国民生活無視の政策を行なってきたと言っても過言ではありません。私が今回この法案に反対する第一の理由がこれであります。  第二に、現在国民生活における最も重要な課題は物価問題であります。今回の運賃値しげがこの解決をまっこうから否定するものであるからであります。  今回の運賃値上げによって、国民の家計に与える衝撃ははかりしれません。国鉄旅客運賃の二三・四%に及ぶ値上げは、再び物価上昇に拍車をかけることになり、これを是認する政府の態度は、絶対に国民の容認し得ないところであります。旅客運賃値上げが、他の交通料金、特に国鉄運賃値上げによります運賃格差が広がる私鉄運賃は、必然的に値上げが実施されることは明らかであります。その他地下鉄をはじめ航空機、バス・トラック等の料金も続々値上げの動きを見せております。政府の今回の国鉄運賃値上げに対する態度を見ますとき、当然これら各種交通運賃料金値上げをするであろうことは予想にかたくないのであります。さらに、見のがすことのできないものに貨物運賃値上げがあります。二四・六%にのぼる大幅な値上げが、当然生産者の経費負担増加をもたらし、さらに消費者物価の上昇を招くことは明白であります。中でも生活必要品である農林水面物資の輸送費の値上げは、消費者物価に多大な影響を与え、さらに九月から公共政策割り引き措置が全廃されることになっていることを考えますと、その実質値上げ率は約五〇%に及ぶ大幅なものとなるのであります。  わが党はこの法案を審議するにあたって、国民の立場に立って、今回の運賃値上げ国民生活無視の暴挙である点を訴えてまいりました。国鉄財政悪化の根本原因及び財政援助運賃政策等のあり方を含む国鉄のあり方に根本的な検討を加え、政府の積極的施策国鉄企業努力を推進するよう主張してまいったのであります。それにもかかわらず、政府はこれを全く無視して、一方的に値上げを強行しようとすることは全く遺憾であり、国鉄運賃法の改正には断じて賛成し得ないところであります。このように現在における国鉄運賃値上げ国民生活に与える影響にかんがみ、わが党は国鉄運費値上げ案の撤回を強く求めるものであります。  次に、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の改正案の内容に反対する理由を申し述べます。  国鉄赤字財政に占める借り入れ金は二兆六千億円であり、その金利は膨大なものであります。この借り入れ金に対する措置を行なわずに、単なる過去の債務に対する孫利子方式を取り入れることは、一時的な効果しかあげ得ないのであります。要するに当面の湖塗策であり、これをもって政府は事足れりとするならば、まことに無策無能と言わざるを得ません。新再建計画の試算によりますと、十年間に長期債務は四兆六千億円ふえ合計七兆六千億近くになります。五十三年度及び五十四年度は一応黒字となる試算を行なっていますが、これとても初年度から償却前黒字が危ぶまれるという事実を見れば、これは単なる数字のごまかしにすぎません。このままでいけば、十年後には膨大な赤字の累積となり、運賃値上げによってこれを幾ぶんなりとも減少させることはできても、その赤字は絶対に解消できないことは目に見えております。これは国鉄の構造的欠陥に根本的なメスが入れられていないからであります。そのため、この再建計画は二、三年を経ずして、またもや計画の手直しが必要となることは明らかであります。このようなずさんな再建計画を推し進めようとする国鉄再建促進特別措置法には強く反対するものであります。  さらに、この法案に反対する理由は、四十七年から五十三年にかけて三回、実質一五%に及ぶ値上げを強行し、また、最後の五十六年にも一〇%の値上げを行なおうとすることであります。  政府は、当初国民の反発を気にして、十年間で三回の値上げを行なうと言明していましたが、国鉄の試算では、四回になっていることが明らかとなったのであります。このような大幅な値上げを四回にわたって行なおうとすることは、国民生活の擁護、物価抑制の立場から絶対に認めることはできないのであります。  国鉄は私企業と異なり、日本国有鉄道法第一条に明らかなように、公共の福祉増進を第一の目的として設立されております。しかし、政府の再建案は、このような国鉄の基本目的を忘れ、ただひたすら赤字対策にのみ目先を奪われ、さらに今回のみならず今後三回も値上げを行ない、その犠牲を国民に転嫁しようとしているのであります。国民がいま最も望んでいることは、現在の通勤通学の混雑を緩和して、サービスの向上等、利用者の立場に立った国鉄になってもらいたいということであります。しかるに今回の再建計画には、このような国民の声に対する具体的な対策も明らかにされておりません。一方的に世論を無視して、運賃値上げを実施することは絶対に認めるわけにはまいりません。  最後に一点申し上げたい。それは、今回の審議を通じて、国鉄企業努力の推進を訴えてまいりましたが、国鉄の未利用地、不用地の活用、国鉄の経理の明確化、そしてその他関連事業の拡大等の諸問題を解決せずして、国鉄の再建はあり得ないということでございます。今後、国民のための国鉄となるため、国鉄当局は最大の努力が必要であります。さもなくば、国の援助をいかに行なうともざるに水を注ぐものであります。  いずれにせよ、国民の犠牲の上に成り立つこの国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案をすみやかに撤回し、国民生活の安定と国鉄再建の抜本的対策を検討すべきであることを強く要求しまして、私の反対討論を終わる次第であります。(拍手)
  175. 小峯柳多

    小峯委員長 内海清君。
  176. 内海清

    ○内海(清)委員 私は、民社党を代表いたしまして、本案に対する反対の討論を行ないたいと存じます。  まず私が反対する第一の理由は、国鉄運賃値上げ物価全体に悪影響を及ぼすということであります。  最近十カ年間の消費者物価は、毎年平均五・七%と異常な上昇を続けており、国民生活に大きな圧迫を加えていることは周知の事実であります。加えて、今日のわが国経済は、政府が促進した輸出第一主義、成長優先の経済改革の破綻から生じた戦後最悪の不況下にあります。いまやわが国の国民生活は、異常なる物価高騰と戦後最もはなはだしい不況という二重の圧力によって破壊寸前にあるといっても過言ではありません。すなわち、わが国の物価問題は、不況下の物価高、いわゆるスタグフレーションの登場という新しい局面に入りつつありまして、この傾向は今後ますます強まる危険性を持っておるのであります。このようなスタグフレーション下における物価対策の基本は、一定期間公共料金を抑制し、その間に他の諸物価に対する強力な抑制対策を講ずることでなければなりません。  しかし政府は、円切り上げの唯一のメリットである輸入商品の値下げなどの物価安定策を講ずるどころか、むしろタクシー料金、医療費などに引き続き、国鉄運賃値上げを最重点として推し進めようとしているのであります。  特に国鉄運賃値上げは、直ちに私鉄運賃影響するだけでなく、物価全体に大きな悪影響をもたらすことは必至であります。とりわけ今回の値上げ案は、単なる赤字の埋め合わせ対策にすぎず、これまで政府国鉄に対する育成策のなかったことによる財政的責任を一方的に国民の負担に転嫁せんとする政策であって、わが党は断じて容認できないのであります。  第二の反対理由は、政府国鉄財政に対する援助措置がきわめて弱体であるということであります。  政府は今回の再建案において政府管掌債務に加えて、政府保証債に対して利子補給をする方針を明らかにしておりますが、これは確かに一歩前進ではあります。しかし、国鉄にはなお特別債など一兆円に達する債務が残り、再建への足かせとなっていることはいまや申すまでもありません。  そこでわが党は、政府に対して、この際国鉄の累積債務を全部たな上げするよう再三にわたり要請してまいったわけであります。しかるに、政府はわが党の建設的な要請を取り上げないばかりか、逆に国民の負担を増大する運賃値上げによって再建をはからんとする態度は、まさに国民軽視の政治といわざるを得ないのであって、政府の手になる国鉄再建策を認めるわけにはいかないのであります。  第三の理由は、地方交通線に対する合理的かつ抜本的な対策がないことであります。  国鉄の財政再建については、昭和四十四年度からその計画が実施されたにもかかわらず、わずかに二年にして四十六年度償却前赤字は三百四十三億円も見込まれ、累積赤字は八千億にも達し、全くの失敗であったのであります。政府はこの要因として輸送量の伸び悩み、人件費増をあげておりますけれども、最大の要因は地方交通線にあることは明白であります。しかるに、政府は新再建案においても地方交通線に対する抜本的対策を策定しないどころか、依然として公共負担の方策を構ずることもなく、政治路線といわれる地方交通線の建設を推し進め、独立採算制の国鉄に対しこれを押しつけんとする態度は許されないのであります。そうしてその結果を直ちに運賃料金値上げに結びつけんとすることは、国民のとうてい許さざるところであります。  政府は四十三年九月に国鉄諮問委員会から廃止を勧告された八十三線区二千六百キロの問題があり、さらに今回地方閑散線三千四百キロ撤去という問題を提起したにもかかわらず、新たに赤字となるような地方交通線を三十一線にわたり建設せんとすることは、まことに無謀というほかないのであります。一方では地方赤字線の廃止を進めるといいながら、他方では同様な新線建設を行なうため毎年巨額な資金が投入されているのが現状であります。全く矛盾もはなはだしいといわなければなりません。この矛盾を国鉄諮問委員会のみならず、会計検査院指摘していることは政府も十分承知のはずであります。政府はこれらの勧告をすなおに受け入れて、地方赤字線建設計画の再検討を行ない、当面の国鉄再建に最も必要とされる部門に対し思い切って資金を投入すべきであります。  第四の理由は、国鉄当局の惰性的経営が依然として改まっていないことであります。  国鉄は国の財政援助を受け、一方では国民大衆の負担を求めんとするならば、労使を問わず国鉄自身みずから近代化、合理化に邁進しなければならないことは申すまでもありません。なおかつ、国鉄内部には一部とはいえいまだに生産性向上に反対する風潮があり、職場の秩序、規律についても十分に確立されているとは考えられないのであります。このような体制のもとではたして所期の目的を達成し得るやいなや疑問とせざるを得ないのであります。政府の温情ある行政指導と国鉄当局の再建に対する真剣なる態度の確立と熱意を強く要望するものであります。  私は、以上の諸点について、政府並びに国鉄当局の重大なる反省を求めつつ、断固反対する意思を表明いたしまして、討論を終わります。(拍手)
  177. 小峯柳多

    小峯委員長 田代文久君。
  178. 田代文久

    ○田代委員 私は日本共産党を代表して、国鉄運賃法等改正案につき断固反対の討論を行なうものであります。  その第一の理由は、今回の国鉄運賃の大幅な値上げは、何ら国民を納得させるに足る根拠がないばかりか、それ自体、国民の負担を増大させるだけでなく、他の交通、運送料金をはじめ、物価水準を押し上げ、インフレを一そう助長して国民生活を圧迫するきわめて悪質な収奪措置であります。  さらに、公共料金の基準ともなっておる国鉄運賃を向こう十カ年間に四回もの値上げをもくろむ長期計画をたくらむなどということは、言語道断であります。国民公共料金の据え置きを前提とした物価と生活の安定を要求しておるのでありますが、政府・自民党の態度は、この要求とは全く逆のことを国民に押しつけようというのであり、わが党は断じてこれを許すことはできません。  反対の第二の理由は、政府国鉄のいわゆる赤字運賃値上げの口実としてだけ使って、その解消のために正しい政策をとろうとしていないところにあります。  国鉄のいわゆる赤字なるもの根本原因は、何よりもまず政府国鉄当局国鉄を大企業に奉仕する輸送機関に仕立て上げてきたところにこそあると言わざるを得ません。このことは、旅客に高く、大企業の貨物輸送に安い差別運賃制度であり、四十五年度だけでも旅客で四百三十七億円の黒字を出す一方、主として大企業の負物輸送では一千八百三十二億円もの赤字を出しておるということを見ても明らかであります。  また、赤字の根本原因は、国鉄が公共企業であり、安い運賃国民のための輸送の確保など、その公共性を保障するためには、国の大幅な出資、投資が不可欠であるにもかかわらず、国鉄に独立採算制を押しつけ、必要な資金をばく大なる債務によってまかなわせ、年間二千億円もの金利の支払いを余儀なくさせているところにあります。  さらに、国鉄が減価償却費を年々過大に計上するなど、ばく大なる内部蓄積を隠しているところにあります。  このような事態を根本的に解決するためには、政府国鉄国鉄政策の抜本的な改革以外にはありません。すなわち、運賃値上げ、合理化の強行、借金政策をやめさせ、国民の重い負担を解消すべきであります。そして独立採算制を廃止し、必要な政府の財政負担を強化すべきであります。現に国鉄がかかえておる三兆円の借金については、政府資金はたな上げとし、利子支払いを免除する。民間資金については政府が肩がわりをし、利子を安くさせ、補助金を充当するなどの抜本的な措置をとるべきであります。  しかるに、政府国鉄は、運賃値上げや地方線の撤去、駅の廃止、無人化を強行し、生活列車を削減するなど、関係住民の利益を乱暴に踏みにじろうとしておるのであり、絶対に許すことができません。  反対の第三の理由は、いわゆる新再建十カ年計画を強行しようとする政府、与党の、長期構想は、本委員会ではなおその全容が解明されていないばかりか、日本国有鉄道法に明記された公共的使命を踏みにじる、きわめて欺瞞に満ちたものであると言わざるを得ないからであります。政府は、わずかばかりの出資その他の助成を、あたかも画期的なことのように吹聴しておるのでありますけれども、その裏では、四回に及ぶ運賃値上げを見込み、三千キロ以上の地方線を廃止するとか、大がかりな貨物輸送への転換、十一万人の労働者の削減など、どれ一つをとってみても、国民に対して一方的に犠牲をしいるものであり、国民への重大なる挑戦であります。  わが党は、国民国鉄労働者に過酷な犠牲を強要する本法案に反対し、国鉄を真に国民のための公共交通機関としての役割りを果たさせるため、次の諸点を主張するものであります。  すなわち、第一に、大企業本位の運賃体系を根本的に改め、大企業に対する一切の運賃割引制を廃止し、大企業の貨物運賃を適正な水準に引き上げることが必要であるのであります。  第二に、大企業の貨物輸送や新幹線中心の設備投資ではなく、通勤通学輸送力の増強や生活列車の増発、サービス改善、安全性の確保などのための投資を大幅にふやし、これに必要な資金は国の財政でまかなうようにすべきであります。  第三に、国鉄経営、財政の徹底的な民主化、とりわけ国鉄再建計画や各種の長期計画そのものを国会の審議にかけるべきこと、理事、監事の選任方法の改善、大手企業との随意契約などをやめ、完全な公開競争入札制度の確立などを実施すべきであります。  以上、本委員会の審議を通じても、国鉄運賃値上げの根拠は全くなく、国鉄問題の本質的、徹底的解明も不十分なまま本案の通過をはかろうとすることは、きわめて不当であります。  わが党は、本法案を撤回すべきことを強く要求し、反対討論を終わります。(拍手)
  179. 小峯柳多

    小峯委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず、宇田國榮君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  180. 小峯柳多

    小峯委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  181. 小峯柳多

    小峯委員長 起立多数。よって、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案は、宇田國榮君外四名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。(拍手)  おはかりいたします。ただいま修正議決いたしました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  183. 小峯柳多

    小峯委員長 この際、丹羽運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽運輸大臣
  184. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまは、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について、慎重御審議の結果、御採決をいただき、まことにありがとうございました。(拍手)
  185. 小峯柳多

    小峯委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時六分散会