運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-03-08 第68回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月八日(水曜日)     午前十時九分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君    理事 内藤 良平君 理事 田中 昭二君    理事 河村  勝君       石井  一君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    河野 洋平君       菅波  茂君    關谷 勝利君       福井  勇君    細田 吉藏君       山村新治郎君    井野 正揮君       金丸 徳重君    久保 三郎君       斉藤 正男君    松本 忠助君       宮井 泰良君    内海  清君       田代 文久君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君  出席政府委員         警察庁交通局長 片岡  誠君         経済企画庁長官         官房長     吉田太郎一君         運輸政務次官  佐藤 孝行君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸省海運局長 鈴木 珊吉君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         高等海難審判庁         長官      早川 典夫君         自治政務次官  小山 省二君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸省港湾局計         画課長     大久保喜一君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関  する件等運輸行政基本施策)      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 昨日は、大臣から運輸行政基本方針というようなことで所信表明がありましたので、お述べになりました演説について多少関連して二、三お伺いしたいと思うのであります。  まず第一には、総合交通体系についてでありますが、先般、関係省庁から、昨年来のこの種の問題についての見解が表明され、続いて経済企画庁中心にして、関係閣僚会議政府方針が決定されましたが、そこで、この各省庁見解並びに政府の取りまとめた総合交通体系が、新しい年度でどのように政策的に、具体的に展開をしているのか。もちろん各般にわたる問題でもあろうかと思うのでありまして、たいへんこまかいものにもなろうかと思うのでありますが、時間の関係もございますので、本日は大筋をお伺いしたいのであります。もちろん総合交通体系の中できめられた幾つかの大きな問題があるわけでありますから、これらについてひとつお述べいただくと同時に、できますれば大筋として、特に局限してけっこうでありますから、運輸行政の中で、あるいは予算案の中でどんなふうに展開しようとしているのか、それをまず第一にお伺いしたい。
  4. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 総合交通体系につきましては、ただいま久保先生から御指摘がございましたように、昨年の暮れに、各省庁からの意見を総合いたしまして、企画庁中心といたしまして、総合交通体系を閣議で決定した次第でございます。  その概要につきましては、もうすでに御承知のとおりでございますが、非常に変動する経済社会構造の変化に伴いまして、総合交通をいかに現在の需要に適合するようにいたしていくか、陸海空三者が斉合性のとれた、均衡のとれた交通政策をいかにするかということを重点に定められた次第でございますが、私ども運輸省といたしましては、まず総合交通体系確立のねらいといたしまして、御承知のとおり、非常に慢性化してまいりました交通混雑を解消するということをまず第一といたしておりますとともに、過密過疎分化傾向のひどいのを是正をいたしまして、国土均衡ある発展をはかるために、交通網をいかに整備するかということが、まず第一に考えられるところでございまして、第二は、激化する交通事故、また交通公害防止ということ、それから第三には、過疎化現象に伴う地域住民日常交通の足をいかにして確保するかということ。大体この三点に私ども運輸行政の四十七年度の一番の重点が置かれておる、こういうふうに考えて、予算につきましてもそれと取り組んだつもりでございます。  運輸省といたしましては、このような観点からいたしまして、四十七年度予算を編成したわけでございますが、まず第一は、施設整備につきましては、国鉄につきましては、国鉄及び鉄建公団合わせまして六千七百八十三億円の工事規模新幹線及び在来線整備を強力に行なうことといたしておりますが、それとともに港湾につきましては、千五百二十五億円、また空港等につきましては三百七十八億円の予算を計上している次第でございます。  また、第二の交通事故交通公害防止のための予算でございますが、航空機の騒音防止対策関係費用といたしまして五十八億円、廃油処理施設整備のために十億円を計上している次第でございます。  第三には、地域住民日常交通の足を確保するために、過疎バス等に対する補助金を前年度の四倍に当たる六億円を計上いたしておりますほか、離島航路等についての補助にも四億円を計上している次第でございます。  大体概要といたしましては以上のとおりでございます。
  5. 久保三郎

    久保委員 お話がありましたが、関連して経済企画庁から——おいでになっておりますね。企画庁にお伺いするのでありますが、この総合交通体系の中でわれわれが希望していたものとたいへん違うのは、総合交通体系というからには、一応現在時点において予想されるビジョン、そういうものが一応確立されて、それに応じていわゆる財源の配分構想、こういうものがあってしかるべきだと考えているわけです。もちろん現在時点に立っての予想でありますから、将来これが固定していくものではなくて、多少これは変更あるべしという前提でありますが、どうも総合交通体系を見まして、そういうものが一つもない。それからいま大臣、お述べになった、それぞれ来年度予算案の中にあるものは、従来の踏襲でありまして、別に新規のものでもないと思うのですね。特に空港整備五カ年計画あるいは港湾整備五カ年計画、これはもちろん中身は多少変わっていくようでありますが、あるいは運輸省所管ではありませんが、道路整備五カ年計画、それからもう一つは、国鉄再建計画、こういう長期計画というか、こういうものに斉合性を持たせていくことが、これは私は新しい目的だろうと思うのですね、総合交通体系の。ところがこれは来年度予算案の中を見ても別に関連性はないですね。しいて関連性があれば、新全総なり経済社会発展計画というものを、そういうものからそれぞれの中へ、一つ輸送需要等を見てやっていくということで、しかしこのもとになったものも、御案内のとおり最近ではこれはくずれてくるし、それからまた修正をすべきものがあろうかと思うのですね。そういうことを考えると、総合交通体系というのは、何のために書いたのか。学者の倫文であろうかという気がするのです、はっきり言って。もちろんそういう評は非常に酷な旨い方かもしれませんが、いま一番国民大衆が望んでいるのは何であろうかということです。これは運輸省が出してきた、いわゆる利用者選好にまかせた交通市場、それによって形成される分野確立するなんという、そういうものを望んでいる国民は一人もいないのです、いま。国民は、いま公共輸送中心にして、どうしたら自分の足が確保できるか、これを待望していると思うのですね。  それからもう一つは、公害交通事故の問題これは輸送需要はどんどん、たとえば経済企画庁中心総合交通体系も、あるいは多少数字の入っている運輸省中心のいわゆる総合交通体系答申中身を見ても、これはなるほど数字はあるけれども、これはいままでの成り行きにまかせたところのいわゆる引き伸ばしというかの数値、いわゆる需要ですね、多々ますます弁ずというものを前提にして、その計画に立って、たとえば全国交通ネットワークをつくろうというようなことをやっているのですが、たとえば空港一つをとってみても、関西空港を見ても、はたしてこれがいまの時点で可能であるのかどうか。なるほど需要は、いままさにふえていますよ。ふえていますが、ふえているから空港をつくらにゃいかぬということでどんどん空港をつくったり、道路をつくったり、新幹線を張りめぐらしたり、そういうものが可能であるかどうかの問題が一つあるし、それから可能であっても、これは人間の環境保全どうマッチするのかという問題があるのですね。そういうものも、いま振り返って、冷静にこの時点で立ちどまって反省して、初めてそういうものを考えていく時期だと思うのです。そのための総合交通体系じゃなかろうかと思うのでありますが、どうもこれを読んでみてもそういうふうにはとれない。私の思い過ごしであれば、これは訂正をしなければいけませんけれども、そういうふうに思う。わずかに警察庁が出したこれに対する意見はややそれに反省を加えているわけです。これは別にほめたり何かするわけではありませんよ。いわゆる輸送需要があるから輸送力をつけたくちゃならぬという時代ではなくて、いかに需給の合理的なバランスをとって発展さしていくかという問題だと思うのです。それは公告と交通事故の土俵の中で処理していくというくふうがなくちゃいけない。そこに斉合性が必要なんですね。大臣お述べになったそれぞれの五カ年計画は、いま主では各個ばらばら、これに斉合性をどうしたらやれるのかという問題、こういう問題について経済企画庁はどういうふうに考えているのか、ひとつお聞きしたい。
  6. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 久保先生お話、私どもも実は四十五年の暮れ以来この問題を検討いたしてまいりましたときに、非常に重要な問題として研究してまいりましたことでございます。事実、先生すでに御承知のように、運輸省あるいは建設貧さらには警察庁も、具体的な投資計画なり施設整備計画というものをそれぞれ御研究になっておるわけでございます。ただ、これはいささか釈迦に説法でございますが、交通に対する投資あるいは交通政策運用というものも、基本的には経済全体のフレームの中にしかるべき位置づけをして考えていかなくてはいけないということは申すまでもないことでございまして、そういう観点からいたしますと、経済全体のワクと申しますかフレームというものとして今日よるべきものは、新全国総合開発計画という、昭和六十年くらいまでの一応の経済全体の大きさを見渡した政府としての統一見解ができておるわけでございます。同じように、それを昭和五十年までのものといたしまして、先ほど先生の仰せになりました新経済社会発展計画というものがありまして、そういう経済の大きさあるいはGNPの活動規模の中で、交通のあるべき姿を位置づけしていかなくてはならないという観点から、私どもはこれを考えてまいりましたわけでございます。  ただ先ほども指摘のございましたように、今日の経済情勢はきわめて流動的でございます。先を予測することが非常に困難でございます。事実、そういう観点からいたしまして、新経済社会発展計画そのものについても、今年度中にこれを改定するということになっておるわけでございます。同じような問題が新全国総合開発計画についてもございまして、今日これを総点検している、こういう過程でございますので、交通需要あるいは交通投資の大きさ、そのこと自身を先にきめてしまうということについてははなはだむずかしい問題があったわけでございます。まさにそういうものの裏づけの中で、こういう総合交通体系の形成をどうしていくかということを考えるべきことが筋道であろうかと思いますが、昨年の通貨調整あるいは今日の経済活動状況日本経済が大きく変わろうとしておるこの時期において、非常に長期的な見通しを固定的に考えて、先決的に交通投資を考えていくということにも非常に困難があるということでございまして、とりあえずは新全総あるいは変わるべき経済社会発展計画というもののワクの中で、交通に対する具体的な投資計画を考えていきたい、かように考えておるわけでございます。  ただ、非常に急務のことは、それぞれの所管の省、たとえば建設省なり運輸省なり警察庁あるいは自治省というものが、それぞれの所管政策運用される場合に、お互いの連絡をとりながら体系立った政策運用を考えていくということを、とりあえずと申しますか、まずそれを考えていきたいということで、私ども取りまとめ役をいたしましたのがこの総合交通体系でございます。  そういう意味からいたしまして、ことし経済企画庁といたしましても、新経済社会発展計画の改定にあたりましては、社会資本投資の中での交通関係投資というものについても、お互い均衡のとれた投資関係を考えてまいりたい、かよう…考えております。
  7. 久保三郎

    久保委員 いまお話しのような考え方一つあろうかと思うのでありますが、少なくとも新全総なり発展計画を考える場合に、いままでの発想は、交通運輸というのは従属的な立場から考えていると思うのですね。たとえば、物がこれだけふえるから輸送力はこれだけふやす、そういう発想がいわゆる今日の大きな問題を引き起こしていると思うのです。だから、いまお話しのように、これから新全総なりあるいは発展計画を改定されるというのは当然だと思うのですね。その場合に、やはり同じようないままでの筆法なり交通運輸位置づけをやっていたのでは、これは問題は解決にならないと思う。ついては、その点についてどういうふうに考えられますか。
  8. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 お話しのとおりだろうと私どもは考えております。そういう意味からいたしますと、基本的には民間資本社会資本との均衡のとれた経済発展を考えていくことが当然のことでございます。同時に、過密過疎対策あるいは土地利用調整策あるいは都市機能をさらによりよく発揮していくためのいろいろの国土利用計画ということを基本として、それに応じた交通需要というものも考えていきたい、かように考えておるわけでございます。
  9. 久保三郎

    久保委員 次に、それぞれの交通機関輸送分野の策定というか見通しというか、確立というのでありましょうか、そういう問題について、さっきも申し上げたとおり、利用者選好にまかせて、交通マーケットの中で、言うなら自然にできるというか、そういうものを期待しているのが運輸省中心にしたものの考え方のようにわれわれはいままでも読んでいるわけであります。ついては、そういうものをほんとうにそう思っていらっしゃるのかどうか。経済企画庁の調整した体系は少し違うように思うのであります。  これは企画庁運輸省からお聞きしたらいいと思うのでありますが、われわれはやはり、交通分野はその特性に応じて効率的に能率よく発揮できる、そのためにはお互い競争立場にあるのじゃなくて、むしろいまの時代の総合的な交通機関相互機能というのは、お互いに補完し協調していくことが一番大事だと思うのです。ところがどうもそうではなくてやはりマーケットにおける自由競争前提にしてこの問題を処理しようというねらい、これは誤りだろうと思うのです。特に運輸省は、先般タクシーの問題についても、答申を受けて方針をきめました。これは言うならマーケットにおける参入脱退の自由ということですね。参人脱退の自由でほんとうにうまくいくのかといったら、そんなにうまくいくはずはないのですね。しかも最終的には、ずっと先の世の中を見通せばそういうものもあるいは出てくるかもしれませんが、いま大体、警察庁も来ておられますが、都市交通におけるところの渋滞混乱、これをどうしたらいいかという問題、その場合に当然規制の問題が出てくるのですね。規制は、極端な単純な言い方をすれば、白ナンバーを押えるのはあたりまえです。公共輸送を確保するために押えるわけですね。だから、公共輸送確立しておいて初めて押えなければ、これはたいへんなことになるわけです。そういう意味では、やはりタクシー公共輸送の一端をになうものとして位置づけて持っていかなければいけない時代だろうと思うのです。ところが、参入脱退の自由ということを一ついっているわけです。ついては、交通分野確立についてのものの考え方は、そういうマーケットにおける自由競争前提にして考えていくのがいいのかどうか。われわれはそうじゃないと思うのだけれども、どうだろうかということです。これは運輸省に聞いたほうがいいですね。
  10. 見坊力男

    ○見坊説明員 総合交通体系のねらいと申しますか、その基本になるものとして各交通機関特性を発揮させ、全体として効率的な体系整備されるということは、御説のとおりそれが基本であろうと思います。ただ、いま利用者選好にゆだねるという点につきまして私ども考え方は、昭和六十年を目標にいたしました総合交通体系を考える場合に、そもそも輸送機関というのはどうあるべきか。それはやはり利用者選好、自由な選好にゆだねるのが基本であろう。しかし現在、それでは交通機関利用者選好にゆだねられるような状態になっているかどうかということになりますと、これは各輸送機関需要に対応いたしまして、いわば個別対応式整備されてきたというような経緯がございまして、現在必ずしも、現在直ちに利用者選好にまかせる、まかせてよいという状況ではないと判断いたしております。したがいまして、それの前提となります、たとえば社会的費用負担の問題、あるいは開発利益を還元させる問題それらは非常にむずかしい問題で、今後検討すべきものとして指摘されておりますが、それらのものを、息が長いことになると思いますが、努力を重ねていって、将来の交通体系の運営のあり方としては利用者の自由な選好にまかせる、そのための一つ輸送体系の基盤を整備していく必要もあるというふうに考えておるわけでありまして、現在直ちにもう利用者選好にゆだねればいいんだというふうにわれわれは考えているわけではないわけでございます。
  11. 久保三郎

    久保委員 将来にわたっても私は選好にゆだねるべきものではないと思うんですよ。もちろんプライベートの個別輸送選好でいいんです。しかし全体の輸送路ですね、輸送路固定施設の限界というのがございますから、これはそれによって規制していくというのは当然だと思います。私どもはいまのお話にはちょっと異論があるのです。まあその話は別として、いま一番大事なのは、そういう議論よりは、たとえば東京都の交通一つとっても、いま何が一番いいか、何が必要かというと、公共輸送を何とか確保してくれということが一つありますよ。それからもう一つ国鉄の問題はきょうは除外しますけれども、例には引きますが、新幹線という世界でも名だたるスピードの出る大量輸送機関が誇りの一つになっています。ところが同じ国鉄で新宿の乗りかえのホームは前時代的なんですね。これははぎ取りと、押し込みというやつだ。はぎ取りと押し込みというのは世界で例がないのです。まさに前近代的ですね。この問題二つ考えた場合に、何を一番大衆は望んでいるかというと、はぎ取りと押し込みのほうを解決してほしいと思っているわけです。  そこで、具体的な話を一つお願いしたいのでありますが、たしかこれは千代田線ですか、北千住から乗り人れている相互乗り人れがございますね、常磐線の。これはいまだに運賃が解決しないために、いわゆる問題がちっとも解決してない。相互乗り入れのメリットというのはちっとも出てこない。かえって開通させて利用者の不満を買っている事態ですね。これを一つ考えても、総合交通体系というのは利用者から見て、言うなら乗りやすい、使いやすいということだと思うんですね。だから総合交通体系あり方、これはいろいろ議論もあろうけれども、それはそれでいいとして、少なくとも私鉄運賃国鉄運賃、同じところの相互乗り入れをしているのでありますから、同じ地点を通過する場合に運賃が共通であるべきなのが当然なんですね。乗る人にとっては国鉄であろうが私鉄であろうが、はっきりいうと関係ないんです。その問題一つ片づけないでは、新しい総合交通体系を新しい年度に展開しましたとはちょっといえないのではないかと私は思うのです。この点についてはすぐにここで御答弁いただけるわけではないと私は思うのですがね。  それからもう一つは、東京一つとってもやはりそういう問題が幾つかあるんですね。ターミナル共通——都営と営団のために、ターミナルが離れていて、かなりなところを歩かなければいかぬ。ばかばかしい話だ。これは私鉄国鉄の場合でも同じであります。そういう問題をひっくるめて、あるいはバスの問題もひっくるめて、片方は一ぱい乗っかっているバス片方はからっぽで走っているのがある。そういうのを間々見受けます。こういうものをひっくるめて、いわゆる東京都におけるところの運輸連合、そういうものをつくって調整することがいま早急に必要なものだと私は思うのだが、これはどういうふうに考えておられるか、運輸大臣から御答弁をいだたきたい。
  12. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いまいろいろお話がございましたが、先ほど運輸省審議官からお答えをいたしましたが、運輸省では交通機関については市場性を導入した選択的競争にまかせているのではないかというお話がございましたが、その点につきましては、ただいま先生指摘のように、特に大竹市交通におきましては、いまの道路の事情、あるいはまた都市交通空間の効率的な利用というような観点からいたしまして、なかなかにそういうような選択的な、また市場原理を、競争原理利用した行き方ではもういかないのではないか。ただいま先生指摘のとおり、やはり斉合性を主といたしまして、そうして各分野におきまして効率を発揮するように計画的にやっていかなくちゃいかぬという必要性は非常に痛感をされてきた次第でございます。そういう点につきましては、私どももそういう方向に向かってただいま運輸行政を進めていくということでやっている次第でございます。  また具体的な問題といたしまして、常磐線乗り入れの問題がございました。それも御指摘のとりでございまして、御承知のようにいままでの運輸料金の問題といたしましては、事業別個別適正主義をとっております。でございますので、その基本といたしましては、すでに私が申し上げるまでもなく、各事業主体収支率収益性というものを中心といたしまして、特定のサービスに対する対価としての料金を取っておりますので、もちろんその前提といたしましては、合理的な経営ということを大前提としておりますが、そのもとにどうしても一定のかかる経費につきましては利用者負担ということを一応原則といたしております。それゆえに、やはり各事業主体別におきまして料金も違うというようなことが出てまいります。これは御指摘のとおり、利用者本位から考えたらほど遠いのじゃないか、私もそのとおりだと思っている次第でございます。それをどういうふうにこれから調整していくかということがこれからの一番大きな私ども運輸行政課題であろう、ことに大都市におきましてはそれが課題であろうと思っている次第でございます。現にそういう点で、バス相互乗り入れというような点につきましては、料金におきまして調整はとっておりますが、その他の点におきましてはまだなかなかそういうのができてない実情でございます。これをいかに調整してまいるかということがせっかくの問題でございまして、あるいは西独その他におきましてもいますでに実施しているところのプール制その他についても検討を進めておる次第でございますが、それらの点も勘案をいたしまして漸次そういった方面に利用者本位運賃行政を進めるように努力してまいりたい、こういうように思っている次第でございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 お話がありましたが、検討を進めていかれるというので、それ以上くどく私から申し上げるのもどうかと思うのでありますが、この種の問題は何回もこの席で私からも主張していることでありまして、もはや検討を進めるだけでもどうかと思うのです。少なくとも運賃プール制、ターミナルの共用、相互乗り入れバスの路線の再編成、停留所の共通点とか全部ひっくるめて、都市交通におけるところの——東京都なら東京都でもいいのですが、運輸連合というか、調整機関を設けてやる必要があると思うので、幸いにきょうは警察庁企画庁も来ておりますから、関係省庁としての意見を一言だけ聞いておきたいと思います。経済企画庁、あなたのほうは検討しておられるのか。
  14. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 先生承知のように、これは非常にむずかしい問題だろうと思います。国際的に見ても実験段階であろうかと考えておるのが私どもの理解の程度でございますが、国民生活という観点からも企画庁としていろいろ料金政策についてこれから研究してまいらなくてはならないという問題もございます。ただ、交通問題一般的に利用者の選考にゆだねる、あるいは交通機関特性に応じた会計ができていくということは、やはり基本的には重要なことではなかろうか。ただ、地域的な問題、特に大都市というような問題についてそういう考え方がどの程度まで適用できるかどうかということは、確かに先生の御指摘になったような問題もあり、今後研究をしなければならない問題であろう、かように考えております。
  15. 久保三郎

    久保委員 警察庁はいいです。  企画庁官房長お話ですが、官房長は専門ではないと思うので、たいへん無理かと思うのです。実験段階じゃなくてやっているところもあるのです。東京都における運輸連合というか、そういう仕組みですね。運賃プール制とか共通切符とかターミナルの共用、相互乗り入れとか再編成とかいうようなものをひっくるめてやったらどうかという構想は、この委員会で言ったのは十年前なんです。私が言っただけじゃなくて世間でもそう言っていたのです。ところが、いまだにさっき運輸大臣御答弁のように、局部的な運賃の問題さえ解決がつかない。これはやろうとすれば私は実際は簡単だと思うのですよ。もっとも重箱のすみをつついたような話ばかりしていたのでは——それは北千住から北海道の話とか函館、鹿児島のような話までしなければきまりがつかない。運賃の話をしていたのではこれはできませんよ。これはまさに勇断をもって解決していただくことなんで、大臣も私も常磐線には縁がありますから、直接関係はなくても、少なくとも運賃のプール制くらいひとつきめたらどうかと思うのです。さっきも言うとおり決して損はありません。そういうところから入っていくのが当然だと思うのでありますからぜひお願いしたいと思う。  それから東京都におけるところのいわゆる運輸連合というかそういう仕組みですね。これは運輸省中心になると思うので、一ぺん具体的に検討を加えてほしいと思うのですが、よろしゅうございますか。——わかりました。  それでは時間もありませんから先に進めさせてもらいますが、総合交通体系でもう一つ企画庁にお伺いしたいと思うのですが、さっき申し上げたように、それぞれの交通機関特性に応じた一応の分野を想定します。分野を想定すると同時に、輸送の需給について合理的に策定してその量をきめる。量をきめればこれの施設整備についての財源の配分を今度はきめる。財源をどこから求めるかというのは総合的な問題です。  そこで、たしか運輸省答申だと思うのでありますが、総合交通整備の特別会計をつくったらどうかという構想があります。これはわれわれもそのとおりだと思っております。しかも単なる特別会計をつくるというのではなくて、全体の国の財政の規模の中で四次防や五攻防が一つワクをとるのではなくて、交通整備の特別会計が一つワクをとるという考え方、これは社会福祉の面でも同じでありますが、そういうワクをとったところの特別会計の構想をやるべきだと思うのですが、企画庁での考え方というか政府考え方では、その特別会計はまだ十分機能し得ない体制にある。そのとおり、いまのままでは十分機能しません。だから機能しないからやめたというのか、これは検討の必要があると思っているのか、企画庁から一言聞きたい。
  16. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 もうくどくど申し上げる必要もなかろうかと思いますが、現在それぞれの特別計画というものがございます。あるいは政府の公団というのが非常にたくさんあるわけでございます。これがそれぞれの関係でいまうまく機能しておると考えられておる段階におきまして、それをさらにまとめるということについては現実的には通り抜けの勘定と申しますかあまり意味がないのではなかろうかというのが現時点における判断でございますが、しかし基本的には先生先ほど御指摘のような総合的なものの考え方に立って財源を配分していくということが今後は必要でなかろうか。したがって、今後さらに検討を続けていく必要があるというのが私ども基本的な立場でございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 次に、総合交通体系についてはまた別の機会にお伺いしたいと思うのですが、いま当面道路交通の中で一番問題が多いのはトラック輸送の問題だと思うのです。この輸送秩序を確立することによって交通の安全や公害の問題も実はうまくいく面がたくさんあると思うのです。それがいまだに混乱し続けている原因は何かというと、これはいろいろありましょうけれども、その原因よりは虫ず第一に対策はないのかということです。特に、運賃のダンピングですね、ダンピングに対して運輸省はこれを管理できる機能を持っているのかどうか、ほとんど管理していないのではないかと私らは見ているわけです。結局、運賃は最高、最低というか、そういうものをきめてというのだが、これはそれを守られていると思っていらっしゃるかどうか。トラック協会というものがあるそうでありますが、いまだかつて運賃値上げを申請したことはないそうですね、珍しい協会です。珍しいというのはけっこうな話でありますが、なぜしないのかというと、認可されておる運賃を守れないから値上げ申請をする必要はない、こういう話を、これは人のうわさでありますから真実かどうかわかりませんけれども、聞いております。そういうのがほんとうだとするなら、ずいぶんひどい混乱ぶりだと私は思っている。これもいま運賃のダンピングを防止しなければ、交通事故公害もこれは絶滅できない状態にあるのですね。これをどういうふうにやっていくのか。実行不可能だとするなら別なことを考えなければいかぬ。  そこで、時間もありませんから言うんだが、この際、重量税ばかり取るのが能じゃないから、そういう金も回して運賃の管理機構を確立させたらどうかということですよ。そういう機関をつくることによって多少なりとも運賃のダンピングを防ぎ、輸送秩序の混乱を防いでいくのが一つだと思うのです。そういうわけだから、いまトラックは公共的な輸送能力を欠いているのです。全然欠いておるわけですよ。  そこでもう一つ。今度は警察庁にも関係しますが、過積みですね。運賃ダンピングは、裏返せばこれは過積みです。過積みはもう常識になっておるわけですね。過積みの取り締まりはどうなっておるのか。過積みの取り締まりも警察でやっているんだろうけれども、なかなかむずかしい。これはどういう実績なのか。結局、道交法によるところの取り締まりだけでは完全ではないとするならば、もう一つ何かないかということだ。機械的な装置を考える必要がありはしないか。安全の面からもこれは当然。過積みをすればエンジンがかからぬとか、電気まわりが短絡してしまうとか、考えればできるんじゃないかと思うのです。そういうものを考えていく時期だと思うんだが、考えていらっしゃるかどうか、あわせてお伺いしたい。
  18. 野村一彦

    ○野村政府委員 第一点の、先生指摘のトラック運賃のダンピング問題でございます。これは御指摘のように、トラックの運賃は、認可運賃が幅運賃制度になっております。現実に収受される運賃がケース・バイ・ケースでかなりの、一割前後の開きがあるということは御承知のとおりでございますが、なおそのほかに、それをこえて、いわゆるダンピングと称される運賃が収受されておるということは、残念ながら事実でございまして、私どももこの防止についてはいろいろと腐心をしておるわけでございます。基本的には、いわゆる荷主に対して、特に大手荷主に対してトラック業者というのが経済的に非常に弱者である。したがいまして、トラック業者が営業をいたしていきますために、荷主筋の無理な圧力といいますか、そういうものをはねのけて適正な、正当な、認可された運賃を取るという力がない。これにはトラック協会といいますか、そういうもので団結をして収受をはかっていくことを考えなければなりませんが、これは基本的にはなかなかむずかしい問題であると思います。しかし、それだけに、これは基本的なものでございますから、荷主に対するトラック事業者の力を高めていくということを基本的にはやらなければならないと思います。  それから具体的な措置といたしまして、何か運賃管理機構というようなものをつくるべきではないかという先生の御提案でございますが、これに関しまして、現在一部の地域においてやって成功しておりますのは、共同集金会社というのをつくりております。これはある地域におきまして、お互いに自分たちが常時取引するお得意さんの荷主を公開し合いまして、そして一定の金を拠出して共同集金会社を別につくりまして、どこのトラック会社が運ぼうと、その共通の共同集金会社が運賃を取っていく。これは当然法定運賃を取るわけでございます。荷主を公開するわけでございますから、ダンピングというものは行なわれておらないわけでございます。また共同集金会社に要する費用というものは、きわめて低いパーセンテージでございます。そういう意味で私どもはこれを非常にすすめておるわけでございますが、業者相互間におきまして、自分の荷主をお互いに公開し合うということは、いろいろ商売上の問題もありまして、なかなか意にまかせません。そういう方法を私どもはさらに広げるようにやっていきたいと思っております。  それから先ほど先生のほうから、トラック協会は運賃値上げを申請したことはないという御発言がございましたが、これはちょっと事実と違いますので、トラックの運賃改定につきましては、区域トラック及び路線トラックにつきましても、昨年度時期を分かちまして、両方とも十数年ぶりに運賃の改定をいたしました。やっておりますので、その点御承知おき願いたいと思います。  それからトラックの過積みの問題につきましては、これは先般来当委員会におきましてもいろいろと御質問がございました。現在私ども運輸省としてやり得る手段としてやっておりますのは、一つは自重計というものを大型トラックにつけておるわけでございますが、その自重計の精度を向上させるという技術開発をしなければならないということで進めております。これにつきましては先般の国会でも御質問がございましたが、関係機関、学識経験者を集めまして数回会合を開きまして、自重計の精度向上についての研究をいろいろとし合っております。現在までの時点におきましては、まだその誤差というものが上下にかなりございます。これは荷姿あるいは積み方、またその材質等によりましていろいろの誤差というものはどうも技術的に避けられないようでございますが、非常に信頼性のある、誤差のきわめて少ない自重計というものが開発されまして、これを装着すれば、これは非常に過積載防止に役に立つと思いまして、今後も引き続いて関係方面の御協力を得て、この自重計の開発をさらに促進したい、かように考えております。
  19. 片岡誠

    ○片岡政府委員 警察庁といたしましては、過積みの問題につきまして、交通の安全のためにもあるいは振動、騒音あるいは積載物の落下、飛散といった面でも、過積みの取り締まりについてはぜひやっていきたいということで、現在もやっております。昨年は十四万件ばかり全国で過積みの取り締まりをやっております。一昨年が十三万六千、昭和四十四年は十万ばかりでございますので、毎年取り締まりの強化は実績としてもやっておるわけでございますけれども、御指摘のように氷山の一角にすぎないだろうと思います。また単に運転者だけの取り締まりでは徹底いたしませんので、下命容認をした雇い主の安全運転管理者につきましても取り締まりをいたしますし、また両罰規定も活用いたしております。下命容認の違反検挙は昨年は千三十一件でございますが、両罰規定を適用しましたのが四千九百九十三件ございます。しかしこの取り締まりだけではなかなかうまくいかないので、道路管理者と協議いたしまして重量計もだいぶ設けたり、移動式のものを使ったり、あるいは陸運事務所と各県の公安委員会が相談しまして、例のサッシワクをはずすことをやってみたり、いろいろやっておりますけれども、どうも根本的な解決になっていない。私ども立場からいたしますれば、道路運送事業の行政の面なりあるいは車両行政の面で、警察が取り締まりしなくても過積みをしない、つまり適正な積載をやれるような措置がとれるのが一番望ましいと思いますけれども、なかなかそうもいかない。そうだとすれば、最終的にどうしても一部の悪質なものは取り締まらざるを得ないと思いますが、その取り締まりが一々重量計ではからなくても済むような何らか技術的な方法はないものかというような点で、運輸省の自動車同にもお願いをしておりますし、また県にも御協力をいただいておるというのが現状でございます。
  20. 久保三郎

    久保委員 運賃ダンピング、過積み、どうも自動車局長お話では的確なものがないようですね。自車計の問題も出ましたが、単なる自重計をつけても、これは全然効果がないとは言いませんけれども、的確なものはこれで期待することはいまの業界の実態から見ると不可能だと私は思います。特にトラックには速度の標示ランプがついていますね。あれは三つつけば最高なんです。ところがつきっぱなしで走っているのです。そういうなまぬるいものではだめだとするならば、やはり先ほど言ったような機械というか、そういう設備というか装置、一つはそういうものをやはり考案していく以外に、残念ながらない。それからもう一つは、あなたが言った運賃の集金会社、こういうものをどうして——一カ所いまやっているのをぼくも知っています。かなりの成績があがっていると思います。こういうものがどうしてできないのか。単に荷主の公開をはばかるからというのじゃなくて、もしもほんとう運輸省がやろうとするなら、区域にしても一般路線にしてもそれぞれの組織をさせて、そういうものに加盟しなければ認可しないというようなことは、当然これはやっていいと思うのです。また法律改正が必要なら、それまでやってやらなければいけない。警察庁からのお話で、取り締まりだけでは完全じゃない、そのとおりなんです。根源をつかなければだめなんでありますから、そういうものをこの際検討を早急にすべき時期だと私は思うのであります。これから都市交通の部面でも車の規制をしようという中で、そういうものはどうしたらいいのか迷わざるを得ないじゃないですか。しかも総合交通体系でそれぞれの特性に応じた分野をまず第一に確立しようというのでしょう。特性もへったくれもないのです。これは三倍も積んであるというのですから。輸入原木など三倍の重量を積んである。これで事故や公害が起きないのがふしぎです。だからこれは十分検討してもらいたい。  次に、時間もありませんから先へ行きます。  次は、運輸省の組織というか、運輸行政の組織、権限、そういうものでございますが、いま大臣苦労されておるようでありますが、航空庁を設置はしたものの何とか一局減らすということでおやりになっているようでありますが、これはばかばかしいことですからおやめになったらどうかと思うのです。なぜばかばかしいかというと、そんなことやっても運輸行政はよくならぬ。むしろこの際おやりになることは次の二つだと思う。  一つは、交通省の構想をお出しになったらどうですか。建設省、警察庁たくさん関係の向きがあるでしょう。そういう関係の向きが全然ばらばらでいるから、総合交通体系をおつくりになってもこれが推進できないのは当然だと思うのです。交通省の設置をまず第一に考える時期だと私は思うのだが、この点はどうですか。  それからもう一つ、地方自治体と運輸行政の問題であります。最近の過密過疎に代表されるそれぞれの地方自治体における住民の足を守る、そういう最終的な責任はだれだろうか、だれが最終的に責任を負わねばならぬかというと、これは基本的には国だと思うのです。過疎過密を紹来させたいわゆる政治の責任として当然だと思うのです。しかしながら、当面直接責任を負わなければならぬのはその自治体だと思うのです。ところがその自治体は交通運輸行政に対して何らの権限を持っていない。たとえば、タクシーを免許すること一つにしても、その町あるいは市における需給についても、あるいは住民の希望も聞かれままにこれは運輸省で許可されたりあるいは否決されたりする。バス一つとってもそうですね。バスの運行ダイヤを許可するにしても、それに乗る住民の立場を代表する者の意見はちっとも聞いていない。会社と運輸省だけの話し合いでこれは判を押されていくんじゃないですか。停留所一つつくるにしても同じですね。そういうばかげたことが今日までやられてきたところに——交通、運輸というのは、空気と水のように、大体呼べばこたえてきてくれるくらいの立場にあったからだろうと私は思う。もはやそうじゃない。空気と水と同じように、交通も呼べばこたえてきてくれるようなものではなくなったのだから、今度はそういう権限を住民に与える必要があると思うのです。そういう権限について、私はあえて委譲しろとは言わない、権限を譲れとは言いません。譲るべきものは議ったらいいと思いますが、しかし少なくとも自治体の意見、住民の意見を聞くような組織にしなければ満足な答えが出ないと私は思うのです。これは警察庁にも同様だと思う。先般東京都議会でも何か問題があったようでありますが、私はむしろ路面交通のコントロールの権限はその自治体の長が負うべきだと思うのです。交通警察がそれによってやるというのがたいへんけっこうなシステムだと私は思うのだが、現行の制度をそう大きく変革はできないとするならば、少なくとも地方自治体の長が路面交通に対するところの、これまた公安委員会に対する注文を的確につけられる、そういう制度がなければ、警視総監や都知事の対立だけで問題は一つも解決しないと思うのです。私は対立とは思っていませんけれども、やはりそういうものがないから、同じ東京都の交通を担当する者として、考え方が違うために問題が解決しない。だからそういう自治体におけるところの交通に対する権限というか、そういうものについて一ぺん率直に考えてみる必要があると思うのだが、これは大臣からお聞きしたほうがいいかもしれませんね。なお、警察庁からもあとからお答え願います。
  21. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま運輸行政機構につきまして貴重な御意見をいただきました。私ども最近の輸送需要、ことに航空輸送需要の増大と、そしてその安全面につきましてi−私、大臣に就任して以来非常に大事故が起こりましたし、何とかして安全を確保いたしまして、国民の皆さまに安心感を与えなければいかぬということを考えまして、今回航空庁の昇格、そしてまた航空管制、また航空技術方面の増大ということを強く要望した次第でございますが、一応航空庁の昇格は認めるかわりに、どこか少し機構をそれに見合うものを縮めろ、こういうような行管との話し合いになりました。なかなか思うようにまいりません。しかし皆さまの強い御支持をいただきまして、航空局におきまして次長を一人、それから管制保安部というものの新設を見ました。管制官も相当大幅に、いままでになく増員も認められた次第でございます。  ただいまお話がございました、交通で一番大事なものはやはり道路の問題とその規制の問題陸上運送の規制の問題、そういうことを考えると、ただいま久保先生からお話がございましたような、そういった全面的な交通省としての発想、これらの御意見も強くございます。これは各省にわたっての全面の行政改革でございますが、運輸省自体といたしましても、すでに二十年以上いまの機構がそのままにやられております。先般の一局削減におきまして観光局が官房の観光部に変わっただけでございまして、あとはほとんど変わってないというような実情でございますが、先ほどから御指摘がございましたように、運輸行政というのは大体におきまして事業者別の縦割りの行政になっておる、このままで今日のこれからの交通需要に適合するようなことができるかどうか。料金の問題一つとりましても、あるいはバスあるいはまた鉄道その他における斉合性をどうしてとるか、いろいろの問題がございますので、この際先生方のお知恵も拝借いたしまして、できるだけその交通需要に合ったような機構を、少々の時間がかかってもいいから、ぜひひとつ方向だけはきめたいというので、いませっかく努力をしているところでございます。いろいろまた御意見も承ってやっていきたいと思いまして、いま事務的には官房にそういった機構の委員会をつくらせまして研一究しておりますので、ひとつ何ぶんとも御鞭撻と御指導をお願いしたい、こういうふうに思っている次第でございます。  また、いろいろ運輸の具体的な問題といたしして地方民の意見を聞く、それがためにあるい自治体の長の意見を聞くことが必要ではないか全然そのとおりでございまして、私も同感をしいる次第でございます。運輸行政があくまでも利用者本位運輸行政でなくちゃならないということを私も痛感をしている次第でございまして、これらにつきましては具体的にただいま、ことに上輸送をつかさどっております自動車局とそれら警察庁、また自治省といま相談をさしておる次第でございまして、ただいまの御意見を十分取入れた機構なり、あるいはまた権限の委譲なりその他のいろいろの方法を考えてまいりたい、こいうふうに思っておる次第でございます。
  22. 片岡誠

    ○片岡政府委員 公安委員会は、御承知のように、都道府県の機関でございます。道路交通の実情は何と申しても公安委員会と申しますか、各山府県の警察が一番よく知っておると思います。それでただ現実の問題として、大きな交通規制をいたす場合には、もちろん知事部局とも事前に相談いたしておりますし、それから府県会の常任委員にもあらかじめお話しをしてやっておるというのが実情でございます。たとえば、大阪の御堂筋の一方通行をやります場合も、知事、市長はもちろんでございますが、市会の常任委員会にも事前に十分お話しをして、それのみならず関係の沿道の住民の方々にも十分根回しをしてやっていくというようなやり方をいたしております。ただ、先ほど御指摘ございました東京都の問題でございますが、私どもの聞いております範囲では東京都のほうは公共企業体、東京都の交通局の赤字の解消をやりたい、そのために現在バスの運行している片側二車以上の道路の大半について直ちにバスの専用通行帯にしてくれ、またそれを前提再建計画を立てておられたようでございます。しかし、それはいまの東京都の交通の実情からいって、急激にそういうことをやるのはいかがなものであろうか。現在警視庁は東京都内で十九路線の優先通行帯をつくっております。それから六路線の専用通行帯もつくっております。一番全国に先がけてそういうバス公共輸送機関の優先通行を考えておるわけでございますし、またさらにそれを拡大する方向で検討はいたしておりますけれども、都側の御意見については、まだ急激な変化は無理じゃないか、しかし、私どもやらないのじゃないという趣旨の意見を総監が申したというふうに聞いております。警察庁といたしましてはバスの優先通行帯なり、専用通行帯の制度を先般の道路交通法改正でつくりました趣旨から申しましても、公共輸送機関の優先のための交通規制は今後逐次全国的に広げてまいりたい、こういうふうに考えております。
  23. 久保三郎

    久保委員 時間でありますので、たくさんお尋ねができませんから、最後に並べてお伺いしたいので、簡単に結論だけお答えいただきたいと思います。  昨日は参議院の運輸委員会で日中間の航空、特にチャーター便の乗り入れについては前向きで検討しようという何か御答弁があったようでありますが、それはそれでいいと思うのでありますが、民間協定にしても、なかなかいまの佐藤内閣のもとでは話にも耳を傾けないだろうと思うので、民間協定の促進をてまえどもは希望しているのでありますが、これはあえて申し上げません。相手が佐藤内閣ではどうも不可能のようでありますから。ただ問題は、第三国が遠からず、たとえばアメリカあるいはフランス、そういうものが日本経由の対中国との航空路を開設するというようなことが今後問題としてできてくるかもしれませんね。そうなった場合に、日本政府としてはどういう考えでいくのか。私どもの結論から言うなら、これはわれわれが日中間の国交回復、あるいはその前提でもけっこうでありますが、航空協定ができることを予想しておりますから、その場合の留保条件をつけてこれは認めていくことが両国間の友好促進にもなろうかと思っているわけであります。これはどうなのか。これが一つ。  それからもう一つは、交通事故調査の問題であります。  今度国会には航空事故の調査機構が組織法の中で設置されるわけであります。これと同じようなものは海難審判庁の制度があります。いずれもそれぞれの特色は持っておるのでありますが、てまえどもの考えているのは、運輸大臣の所属でこの調査機関を設けることについては、多少われわれは批判的であります。運輸省運輸大臣の何というか所属では、ちょっと第三者的な色彩が薄くなるというふうに思っているのであります。この点から考えれば、しかも航空機ばかりが事故じゃないのでありまして、陸海空全体にわたって重大な事故がありますから、そこでいままでは、これは警察庁がおいでになりますが、交通事故一つとりましても、道交法というものでこれは処分するわけであります。大体がやはり人間を対象にしておりまして、その事故の背景になった環境、構造、そういうものについてはなかなかメスが入らぬ。そのためにこの交通事故防止にもあまり前進がないのじゃないかという見方があります。特にこの交通事故の原因と責任とを明確に分離してこれは処理していかなければ前進できないと思うのです。そういう意味交通事故は全体として、特に重大事故は、これはそういう機関にかけて第三者的にやっていったらどうかという考え方であります。それからいくならば、やや海難審判庁制度は、これは前進的なものであります。ところが、残念ながら時代に適合しない。審判庁制度ができたときには海員の懲戒というものを大体転換して原因の探求というところにも焦点を置いてきたわけですが、ややそういう構想はいいのだが、実際の構成あるいは組織、そういうものがどうしても残ったままでくるから、どうもうまくない。そこで最近におけるところのたとえばぼりばああるいはかりふおるにあ丸、こういうものは審判庁を度外視して大型専用船事故調査委員会というものが運輸省の中にできて、調査委員会が先に結倫を出す。審判庁はそのあとだ。そういうことで公正ないわゆる事故調査ができるかどうかの問題です。これはまさに矛盾撞着だな、運輸大臣所管でありながらそういうものがあることは。だから、この際審判庁制度を改めようということで検討を加えているそうでありますが、第三者的な事故原因の究明機関としてやはり脱皮するように権威をそこに持っていく。そうすることが一番大事だと思うので、これは注文にもなりますが、いままでのようなやり方で結局大型専用船海難特別調査委員会、これはないよりはましかもしれません。しかし何かどうもほんとうのことは公開していないのじゃないですか。ほんとうのことと言ってはおかしいが、中身があまり公開されていない。そういうところにやはり問題があると思う。ぜひ審判庁制度もいまぼくが申し上げたような方向で検討を加えてもらいたい。できれば陸海空全体の事故を掌握する第三者機関を確立することが一番いいと思う。その点はどうですか。  時間がありませんから、以上できょうの質問は終わりにしたいと思います。
  24. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 第一の御質問の日中航空路の開設の問題でございます。先般も私たびたび申し上げましたように、日中国交正常化の一環といたしまして、ぜひとも前向きで進みたい。定期が非常にむずかしければチャーター機でもやりたいという意見には変わりございません。ただ、相手方のある仕事でございますので、その機会をいかにしてとらえるかということの問題でございます。  それから、あるいは第三国の中国乗り入れについてどうかというお話でございます。私もいまお話しのとおり前向きで進みたいと思っておる次第でございますが、以遠権その他の問題がありまして、また権益均衡の問題もございまして、各航空路の権益につきまして、日本も新しく権益を第三国から付加されました場合に、いまおっしゃったような条件づきでもって認めるとか、その他ほかのところにわれわれの乗り入れ権を認めるとか、いろいろな問題もあろうかと思うのでありまして、それらもやはり前向きで検討してみたい、こう思っておる次第でございます。  それから、ただいま事故審査機関を陸上にもひとつ何か考えて、そして人身の、たとえばそういった被害者個人の問題でなく、機械あるいは道路環境その他についても的確な原因究明ができるような施設、機関を考えたらどうか、こういう御質問だろうと思う次第でございます。これは確かに貴重な御意見でございますが、ただいまのところ、陸上交通事故につきましては、第三者のその事故現場に対する証言も相当よく取れるのじゃないか、それからまた生存者も非常に多いというようなことがございまして、ただいまそういったような被害者事故につきましては警察庁が一番の中心でございますが、道路事情あるいはまたそのときの車体の状況、その他につきましてはおもに陸運局、あるいはまた本省におきましては自動車局、鉄監局が中心になってやっておりますが、それらをもう少しそっちの方面に機構を強化してまいって当分の間はやってまいりたいといま考えておる次第でございます。  また海難審判庁につきましては御意見のとおりでございます。私のほうも昨年の十月から海難審判制度につきましての調査委員会をつくりまして、いま御指摘のような点につきまして十分検討をさせておる次第でございまして、その結論を得ましてそれの改革に乗り出したい、こういうふうに思っておる次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  25. 小峯柳多

    小峯委員長 田中昭三君。
  26. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 昨日、大臣所信表明をお伺いいたしまして、その中で、小さい問題でたいへん恐縮でございますけれども、大事な問題かと思いますから、観光行政についてお伺いしたいと思います。  きのうのお話の中で、この観光行政問題も真剣に取り上げられるというように、私、期待しておりましたのですけれども、たった一行程度で終わっておりますのは一体どういうわけだろうかと、たいへん私も疑問に感じ、残念でならないのであります。  御承知のとおり、先日、白浜の椿温泉ホテルが全焼したのでありますが、痛ましい事故でございます。泊まり客が三人死亡し数人の人がけがをしたという現状でございますが、不幸中の幸いに、なくなった方にはまことに申しわけございませんが、この事故が深夜ではなくて朝方であった、そのためにこの程度の犠牲で、済んだのであって、これがもしも真夜中であったならばたいへんな惨事を引き起こしたであろうと思います。この事故を通しまして、被害者の人が、もうとてもこういう高層ホテルには泊まれないというふうなことを口口に言っておられるのを、私聞いております。  大臣、観光行政というのは、高層ビルに客を泊めて、そしてボウリング場、遊技場等、そういうものをどんどん設置して、そうして人を集めることだけにあるのか、それともお客の安全ということ、どうもその点が二の次になっておるというような傾向を感ずるわけであります。この点について、どのように思われますか、御意見をまじえてお伺いしたいと思います。
  27. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま田中先生の御指摘で、昨日の私の所信表明に、観光事業につきましてわずか一行しか触れていない、まことに恐縮でございます。しかし精神は決して観光行政をおろそかにしているわけではございませんので、その点をまずもってあらかじめはっきりと申し上げておく次第でございます。  最近のごとく、都市生活におきまして非常に空閑地が少ない、いろいろの事情で都市生活の環境条件が必ずしも完全でないというところになってまいりますと、国民保健の立場からいたしましても、あらゆる点からいたしましても、余暇を利用いたしまして観光するということは最も望ましいことでございまして、私どもその点につきましては健全なる観光地、そうしてそれがために運輸省といたしましては青年の旅行村の指定あるいは大きな観光レクリエーションの地区というものをつくって、そうして健全なる観光地の育成につとめてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。本年度におきましてもそれぞれの予算も御審議を願いたい、こういうふうに思っている次第でございまして、ぜひとも健全なるところの観光地の育成というものにつとめていきたい、こういうふうに思っている次第でございます。  御指摘の白浜のホテルの惨事でございます。まことに痛ましいことでございまして、ただいま高層建築におけるところの火災その他の問題が非常に問題となっております。御承知のとおり、建築につきましては建築基準法にのっとってやる次第ででございまして、これは建設が主管している次第でございます。また火災その他につきましては、第一次は消防庁におきましてそれらの基準をつくっている次第でございますが、登録されましたところのホテルあるいは旅館につきましては、私どももやはり監督の責任がございまして、そういう点につきまして常々避難路、避難階段等の設置を十分にするようにというような指導も強くしておる次第でございますが、いま御指摘がございましたように、これらにつきまして万一再びああいう白浜のホテルのごとき惨事が起こりましたならばまた一大事でございますので、極力その方面にも注意をいたしまして、旅館業者、ホテル業者を指導してまいりまして、万一のことがないようにつとめてまいりたい。それがために建設省、消防庁とも十分連絡をとりましてやってまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  28. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 くどく申し上げたくないのですけれども、こういう事故が起こりますと、いまおっしゃったような関係官庁に強く指導もし、手当てもしていくというようなことをおっしゃるわけですが、それが私はたいへん残念でならないのですよ。そのことだけに時間をとるわけにいきませんから次に移りたいと思いますが、こういう高層ホテルの事故というのは何回となく繰り返されている。申すまでもなく有馬温泉、水上、片山津、磐梯熱海など、いまだその記憶が新しいわけですが、また最近では外国でも相次いで高層ホテルの火災が起きて、ソウルのあの大然閣、ブラジルのサンパウロでの事故、たいへん大きな犠牲者が出ております。海外の例はともかくとしまして、少なくとも国内のホテル火災の教訓は生かされなければならない。大臣はいまホテル火災に対しても十分な監督を、すると言われましたが、端的にいってその面がおろそかになって、目先の利益追求に経営者は走り回って、そして先ほど言いましたようにいろいろな施設に力を入れるだけで、災害防止のための重点が置かれていない。歴代の大臣は火災事故がありますと、監督を強化する、関係省庁と協力をして善処する、かなり前向きな話はされますが、温泉ホテルの惨事の教訓というのはほんとうに生かされていないといっても過言ではないのであります。  あらためてお伺いをいたしますが、昭和四十七年度の施政方針の中の観光行政はそれでよいのか、私がいま指摘しましたホテルの火災防止については対策を講じられるつもりか、お尋ねしたいと思います。
  29. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまも私から御答弁を申し上げた次第でございますが、再びの御指摘ではなはだ恐縮でございますが、何と申しましても、私ども運輸行政の一番の根本は、施政方針の第一にも安全確保ということをあらゆる問題につきまして第一義といたしまして私はやっているつもりでございます。そういう点につきまして、せっかくのレジャーを楽しみにいらっしゃられた方が不慮の火災によりまして万一生命、身体を失いあるいは損傷を起こすというのは、御指摘のとおりまことに遺憾なることでございますので、そういった方面は十分気をつけて指導してまいる、関係方面ともただのことばだけでなく十分連絡をとりまして今後遺憾なきを期したい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  30. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 ほんとうにくどいようで申しわけないのですが、その十分監督するということを、具体的に四十七年度予算の中でどういう対策を考えておるか。安全ということをおっしゃいますが、先ほど観光行政の精神は生かすというようなことをおっしゃいましたけれども、その利用者が不安におののいて、そして結局は事故にあってとうとい人命を失っていくということに対して何も触れていないのです。そんなこの場限りの御答弁じやなくて、もう少し、そこが大臣としての責任じやなかろうか、こう思うのです。最近また和歌山県でも和歌浦でしたか、旅館の火災で大惨事を起こしました。こういう旅館に対して再三注意はなされておるのです。ところが何の改善もされない。それがこういう惨事を引き起こした、こういう現実をすなおに見詰めて、そして監督者の責任を果たしてもらいたい。もう少し大臣はこの監督強化ということについて関係省庁との話し合いもしなければなりませんけれども、悪質な旅館、ホテル業者は駆逐するというような強い決意で、その名前でも発表して、世論の喚起というようなことでもできないのか、そういう処置でもできないのか、ひとつ率直にお答え願いたいと思います。
  31. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いままでの監督行政に対してぬるいという御指摘、御叱正でございますが、建築基準法違反、これを摘発するのは建設省、それから火災予防につきましてはこれは消防庁でございまして、私のほうといたしましては登録を取り消すかどうか、こっちの命令をいたしました避難回廊、そういったようなものを備えつけておりません場合は登録を取り消す、そういうことになると思う次第でございます。まず第一番に、その直接の省でございます建設省あるいは消防庁、これらの官庁で強く、その具体的な問題につきまして指示をする、監督するということを慫慂することがまず第一番の仕事じゃないか。それがために早急に、またこういうときでございますので、観光部長を中心といたしまして、いま申しました各省庁関係官との連絡会議も開かせまして、そうして末端にそれが浸透するような処置を講ずるということとともに、私のほうから見ました権限におきましてどうしても不適当というものにつきましては、そういったような取り消しその他の処分も加えまして、具体的な問題として注意を喚起してまいりたい、こういうように思う次第でございます。
  32. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまお聞きしておりますと、そういう観光行政に対して現実は何もなされていないのですよ。ですからこういう現実が起こるのじゃないですかということを指摘しながらも、どうもいまの大臣の御答弁では私は納得いかない。それは各関係官庁、摘発したり経営をやめさせるためだけの官庁ですか。いまお聞きしておりますと、それぞれの省が、官庁が、悪ければやめさせるんだ、摘発するんだ。そのとおりやっていないじゃないですか。私はここで結論を出すことはおくとしまして、その点十分指摘しておきます。それが今度のあなたの施政方針の中にもないのです。佐藤内閣が人命尊重だ、何だということはことばだけなんだ、業者に金もうけをさせることが大事なんだということしかこれではとれない。ほんとうに私は情けないような気持ちがします、そういう問題でここでお話ししても具体的な方向が出ないというようなことは。  そういう意味でもう一つ指摘しておきますけれども、レジャー、観光というのは将来——将来といいましても十年、二十年後にはレジャーというものが相当重要視されてきます。現在どうかといいますと、いろいろな旅行あっせん業者のエックとかエースとかいうものを宣伝する。一方では、旅館とかホテルの業者の監督はもう野放しにされたような状態である。そこで現実は、その旅行のあっせん業者と宿泊者との間にいろいろなトラブルが起こっておりますが、そういう場合も、旅館側の責任だけとして、そういう問題だけでほとんどうやむやになってしまう、逃げられてしま、う。結局迷惑をこうむるのは利用者だけだ。政府は観光について一生懸命そういうことをやっていると言いますけれども、それをやるたびに利用者はたいへん泣かなければならない。そういう実情ではないかと思うのですが、そういう面での監督権というものはたいへん不明確です。知事、地方自治体のほうでもそういう権限が守られてない。このようなことを放置しておりますと一つもよくならないのではないか、私はこういうことを思います。どうか大臣一つでもいいじゃないですか、小さなことでもやっていこうという方向を打ち出してもらって、それがいいか悪いか、また検討してもらえばいいわけですから、そういう御答弁をもらうことをお願いしまして、その御答弁によってはもうこれで終わりたいと思います。
  33. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 旅行あっ旋業法は昨年の五月、旅行業法に改正いたしまして、そのいろいろの規定も強化をいたしました。自分の利潤を追求するだけでなく、さらに確実な業務を行なうように直し、ただいませっかく指導しておるところでございます。しかし、いろいろ事故が起こりましてはなはだ恐縮でございます。ただいまの御趣旨を体しまして積極的に再び事故が起こらぬようにホテル業者あるいは旅行業者、あっせん業者等を十分指導してまいるつもりでおります。  また、いまお話がございました各省との連絡を密にいたしまして、そうして具体的に一つ一つそれらの問題に取り組んでまいりたい、こういうように思っておる次第でございますので、御了承願います。
  34. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 どうかひとつ、観光問題につきましては、部長さんもおられますが、まだ大臣も御存じないようないろいろなこまかい問題もあると思いますので、ひとつよく話を聞いていただいて、現実に合うような、そして国民に夢と希望を与えるような行政を行なっていただきたい、こう思います。  次に、先日私のほうの松本が、大臣予算の質問の中で申し上げました国鉄納付金についてお尋ねしたいと思います。きょうは一般的なお話だけにとどめておきます。  大臣、この国鉄の所有財産に対する納付金についてはよく御存じですか。——一応御存じということで話を進めてまいります。この問題は、私たち、よく地元に帰りまして市町村等にも顔を出しまずと、はっきり申し上げますと、市町村では、納付金がなくなるんではなかろうか、いろいろな客観情勢といいますか、国鉄がたいへんだというような話が、どこからどういうふうに来ているのかわかりません、とにかく地方自治体の自主財源がなくなる、たいへんだ、そしていまこういうような不況で地方自治体の財政も苦しい、そこに追い打ちでこの納付金がなくなるようなことがあっては困りますがという話をよく聞くんです。それでは、納める国鉄さんのほうの、言分は、そういうことを聞くのは、やはり国鉄の財産というのはもともと国民のものだというような御認識があるんです。だから、そういうものの納付金は、いま納めなくても——納めぬということも語弊がありますけれども、とにかく財政が苦しいから、もともと国民の財産をお預かりして国民の足を確保するために提供しているのだから、どうもこういう時期に至っては納付金はひとつ何とかならないだろうか。何とかならないかということはわかりますね。はっきり申し上げて、納めずに済むなら納めたくないということです。そういう話をいままで聞いてきました。それで、この国鉄再建が云々されます、前回の四十四年でございましたか、再建計画のときにも、いまの国鉄側の云い分が意見として出されたそうでございます。しかし、いろいろな情勢変化がありまして、結論的には納付金についてはもうあんまり触れないというようにきまった、そういう話し合いになった、このように承知しております。そこで、運輸大臣として、この国鉄についても助言監督を与える立場大臣が、現在この納付金についてどのような見解をお持ちなのか、くどくどしいことは要りませんから、なるべく簡単にお願いします。
  35. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 国鉄の納付金の問題でございますが、納付金の問題につきましては、同じ国の財源配分の問題でございますが、地方財政の事情、それから国鉄の今日の財政事情ということがからみ合いまして、国鉄並びに運輸省といたしましては、ぜひひとつもう廃止してもらいたい。最近の国鉄の事情の悪化に伴いましてこういうものは廃止してもらいたいということを強く言った次第でございますが、地方財政からはこれらはやはり固定資産税相当に見合うものであるから廃止はできぬということで非常に論争を続けたことは、先生承知のとおりでございます。しかし今日の国鉄財政の極度の悪化からいたしまして、できるだけこういったものも削減をしてもらう。これらは一面におきまして国の事業でございますけれども、地方の開発のためにも非常に役立っているというような点から、地方でも幾ぶんの協力をしてもらいたいという立場で強く述べた次第でございます。ことに最近の地方の財政状況は、御承知のとおり交付税も落ち込んで、財源も落ち込んでまいりますし、あらゆる問題はやはり起債に合わなくてはいかぬというような点も勘案いたしまして、四十四年度から納付金の軽減措置が幾ぶんでもとられている次第でございますので、本年はこの問題は休戦というとおかしいのですが、このままで置いておこうということにしている次第でございます。
  36. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それは私がいまずっと述べたことなんですよ。そういう答弁をされては困りますよ。時間のむだですよ。現時点で納付金というものに対してどうですか、大臣は監督者なんですから、国鉄も市町村も困っていなければ別ですよ、市町村は別にして、国鉄はいま困っているのですから、この納付金について大臣は一体どうお考えですかと結論をお聞きしたわけです。それでは私がいま述べたことをあなたが繰り返しおっしゃっただけですよ。そんなでたらめなことがありますか。もう少しはっきりしてください。
  37. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 でございますから、現時点ではしかたがない、いまのままでいくということでございます。
  38. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 現時点ではしかたがない、現実に納付金については法律があるのですよ。それをしかたがないということは、私はこれは時間をいただいて徹底的にやります。現在の法律を何と思っておるのですか。しかたがないでは、ほんとう議論も何もできないじゃないですか。  予定の質問がありますから続けますが、私のほうから指摘しました国鉄の未利用地、不用地、この問題についても、この納付金は重大な問題があることを私のほうから指摘した。そこで国鉄はたいへん困っておる。国鉄の再建のためには、企業努力も涙ぐましいものをやろうという決意に立っておる。そういう観点からも、この未利用地、不用地に対する納付金については、大臣は私のほうから指摘する前に何かお考えになったことがございますか。考えてみたかみないか、それだけでけっこうですから……。
  39. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 未利用地につきましては、できるだけ効率ある利用をするようにしろということは強く指示しておる次第でございます。   〔委員長退席、箕輪委員長代理着席〕
  40. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もう一回お願いします。よくわかりません。国鉄の問題を真剣に考えるならば、国鉄がむだなことをやっておることを大臣がお聞きになっておるならば、それに対して大臣としての御意見を持ってもらわなければ国鉄は動けないのですよ。もう一回、いまのはあんまり簡単でしたから、もう少し中身のあることをつけて、簡単にお願いします。
  41. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 国鉄が合理的経営をするということが前提でございます。いやしくも未利用地その他につきましてただ遊ばしておくというようなことがあってはならないというので、それらは積極的に活用するように指示をしております。また未利用地で、最近におきまして利用価値もない、利用もできないというようなものにつきましては、資産充当しろということをしておりまして、本年度におきましても、六十億円でございますか、というような資産充当に充てるということをしている次第でございます。
  42. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私へのお答えは、どうも大臣は、先ほど最初に聞きました、納付金のことについて御存じですかと私は申し上げたのです。知ってないからかもしれませんけれども、この不用地に対する納付金のむだ払いといいますか、そういうことを事前に検討しましたかと、こう、それだけでいいんですよ。未利用地をどうするとか、そういうことはまだ私は聞いていないのです。そうでしょう。ですから、もうお答えができないようですから、これはまた別の機会にもう一ぺん議論をやり直します。私ここで言っておきたいことは——問題を一つ飛ばしているのです、あんまりわからぬから。そのような認識で、国鉄に対するこまかい配慮がないで、再建策を了承したとか、国に補助をお願いするとか援助をお願いするなんておこがましい、こういわざるを得ないのです。ということは、するべきことをして、そして、こうですからこういう政府考え方によってはどうでもできる、納付金の法律もある、この問題についてはこういうすっきりした姿で、さらにその以外のことについては国の援助も受けましょう、国民の協力も得ましょう、こういう姿勢でなければならない。その責任は一切、私は、国鉄よりも運輸大臣にある。その責任の重大さを考えてもらうためにいまこの問題を提起したわけなんです。ですから、議論はまたあとにやるとしまして、その責任が重大であるということをひとつ御認識願っておきたい、こう思うのです。ようございますか、その点。
  43. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 具体的に未利用地その他の問題につきましても、自治省国鉄とが具体的に一々当たって——私はこまかいことを、具体的の事例を知りませんが、当然当たってきめているものと思っている次第でございます。また私は、そういう問題につきまして国鉄に対する責任は十分感じている次第でございます。
  44. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 次に移ります。  総合交通政策について、私もちょっとお尋ねなりこまかい意見をまじえての提案にもなるかと思いますから、これはひとつお互い率直な交換をお願いしたい、こう思います。   〔箕輪委員長代理退席、委員長着席〕  先ほどからこの問題についてはいろいろお話があっておりまして、私も、経済企画庁のほうからでございますか、提出されました総合交通政策を読んでみまして、たいへんりっぱにできておるようで、どうもあまり抽象的で、これがほんとに今後の日本交通問題を解決するポイントになるだろうかということを常日ごろ考えておりまして、先ほどの議員の質問を聞いておりまして、たいへん私も同感です、そういう問題で。でありますけれども、せっかくできました、中にはりっぱな考え方もあるようでございますから、その総合交通政策考え方基本として国も積極的にこの施策が実施できなければ——実施されることを私も期待するわけです。そこでこの交通対策に悩んでおります東京をはじめ各地域都市ですね、そういうところは、その国の施策を受けまして、受けるとともにその自分の地域、先ほど自治体の話が出ておりましたが、そういうことも含めて、そして交通のいろいろな問題を逐次解決していくための総合交通政策が必要ではないか、こういうように私は思うのです。そういう意味で、大臣として、いろいろなことにこだわらぬで、これはだれが読んでみても抽象的なあれしかないのですから、これをもう少し具体的に、問題解決のために進めていかなければならないと思われるのかどうか、その点を結論として、意見をまじえながらお答えを願いたいと思います。
  45. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま御指摘がございましたとおりでございまして、抽象的なものを具体品的に、現時点でいかに具体化をさせるかということが私の責任でございまして、その方向でやってまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。たとえてみますると、先ほどもお話がございまして、私答弁漏れをいたしましたけれども、たとえば、大都市におきますバス路線をいまの時代に合ったように再編成をするということは、すでに陸運局を通じまして指示をしておりまして、再検討をいま各会社と相談をさしておる次第でございます。またいろいろの交通規制につきましても、陸上運送につきましては警察庁も非常に骨を折っているようでございますが、バス専用レーンあるいは優先レーンの問題、また自家用車に対する、あるいはまたトラックに対する時間帯規制の問題あるいはまた施設問題等につきましても、ただいませっかく検討さしておる次第でございます。まだ各新幹線をはじめといたしまして、長距離輸送につきましてカーフェリーの問題であるとか、大都市を結ぶところの交通拠点の問題であるとか、あるいはまた物的流通におきまするところの直結輸送の問題であるとか、あるいはまたコンテナ輸送の問題あるいはフレートライナーの問題とか、こういうような具体的な問題におきましても指示をしておるところでございまして、今回の国鉄予算におきましてもそういった方面、また大都市輸送におけるところの一般人員輸送につきましての車両編成長の問題あるいは線増の問題その他についても力を入れているところでございます。
  46. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣のいまおっしゃったことをもう少し、先ほどからの議論から考えてみましても、現実に当てはめていけるものはないだろうか、また、そうしてもらわなければ交通問題のもつれた糸をほどくまず最初の出発点にならなければいけない、こういうことも考えますが、たとえば、実際的に申し上げまして東京都でもたいへんな交通渋滞、交通公害交通事故の問題——私は福岡でございますが、福岡でも空港がだんだん整備されておりますが、これから市内に入ります交通の問題、また道路の問題、高速鉄道、地下鉄というような話もいま出ておりますが、ここにまた、市内の交通問題では路面電車を存続するか廃止するかというような問題、そのほかバスタクシー等のいろいろな問題、そういう問題で困っておるわけでございますから、国のつくられましたこの総合交通政策を受けて、地方公共団体並びに関係機関が協力してその地域都市発展のためにそれを具体化していきたい、そうすることが現在の混乱した交通網が何らかの形で整備され解決されていくものだと、こういうように理解したいわけです。そういう意味に立って、もう少しこの総合交通政策を、何か、すぐ行なえるものといいますか、中央の都市をはじめ地方都市に何か実行させるものはないか、そういう点をもり一回お尋ねしたいと思います。
  47. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いまの問題は、具体的の問題につきましては、都市交通審議会におきましても検討をしてもらっておる次第でございますが、具体的の例といたしましては、東京の郊外に通ずる住宅等につきまして、バス会社に、国鉄または私鉄の終電車に見合うようなバスの延長というようなことも強く指導しておりまして、漸次それらの場所もふえてきておる次第でございます。そういったような点におきまして、都民なり市民の交通、足の確保というようなことも進めてまいりたい。それから、先ほども私申しましたが、大量交通機関としてバスの使命というものをもう一ぺん再認識をしてやっていかなくてはならない。それからまた、地下鉄等の問題につきましても、先般は東京都につきまして約三倍になるところの新しい路線についての答申を得た次第でございますが、これらの問題にも早急に取り組んでまいりまして、具体的に地下鉄建設がどんどん進んでまいる、高速輸送機関の増強をはかってまいるというようなこともやってまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  48. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は、この総合交通政策ですか、これについて先ほどから批判がいろいろありまして、それはそれなりに私も同感だということを先ほど申し上げたわけです。ですから、この総合交通体系をおつくりになった、これをそのまま受けて、何とかできないのか。国の総括的な考え方確立することも大事でございますか、それができたわけでありますから、それか実際そのままではいけないでしょう。そうしますと、やはり交通問題で困っております各都市のことが、それの影響を受けて少しずつでも整備されなければならない。とにかく、そういう国の施策をそのまま受け入れたというところで何かできないのでしょうか、こう私は言っているわけです。大臣が一々こまかいことを言われるということは了としまして、何かいい方法があれば事務当局に指示してさせるとか、そういうふうなお答えをいただきたいわけです。  そのために、私が先ほども提案してみたいと言ったことは、地方の自治体を中心として、関係者の方々がいろいろ持ち寄って——先ほどおっしゃった交通審議会というのがあります。これまた、先ほど久保議員の指摘もあったように、利用者の代表というものはないのですよ。それをないからどうだこうだと言いますと今度は議論が分かれていきますから、それはそれとしまして、この交通審議会の中で何とかできないか。何とかするためには、運輸省なり国の出先機関がリーダーシップを握って、現在の機構の中でできないだろうか。  それで、私がいま一つ提案というのは、そういう施策の上に立って——各地方には国の出先機関があるわけです。運輸省には陸運局がありますし、海運局もありますし、国鉄の出先機関もあるわけです。この交通の問題についてはそれぞれ専門家がいらっしゃる。資料もある。詳しくもある。ですから、そういう人たちが、地方の交通問題の指導的役割りを果たす効果のある積極的な意見を検討し合って、それを地方自治団体なり関係者に提示し、協力し合い話し合って問題を解決するというような、そういうものができないだろうか。簡単に言えば、先ほど話もありましたが、陸運局かいろんな仕事をやっておりますが、ただ許可を与えるという仕事だけではなくて、各地方陸運局なり海運局か集まってもいいじゃないですか。その出先か共同してその地域の交通問題を解決する、国のこれを受けて解決するような、企画室といいますか計画といいますか、何かそういうものをつくっていくようなことはできないだろうか、こういうことを提案するわけです。
  49. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 非常に貴重な、けっこうな御意見だと私は思っている次第でございます。いま陸運局に陸上交通審議会というものかございます。そこに、いま申しました総合交通答申を受けまして、具体的にその地方としてはいまの機構でどの点が一番先に取り組むことかできるかというような問題を、ひとつ早急に真剣にやらしてみたい、こういうように思っておる次第であります。
  50. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それはやらしていただくということまでお答えいただきましたから、私たちも地方に帰りましたときによくそういうのを見まして、やっておるかどうかを見てみたいと思います。  次に航空問題でございますが、まず航空の安全につきましては昨年からたいへん問題になりまして、ああいう山場を迎えましていろんな議論か出た。そこで、先ほどの久保議員の話では、航空庁をつくっても何にもならぬじゃないかというようなお話がありました。確かにそういう話を私も聞きます。しかし政府のほうとしては、航空庁をつくるための検討がなされておる、こういうふうに聞いておりますが、航空庁につきましてひとつ大臣の変わらないお考えをお聞きしておきたいと思います。
  51. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 率直にはっきり申し上げまして、私はぜひ航空庁を実現させたい、こういうふうに思っておる次第でございます。  その理由といたしましては、航空でいろいろ問題がございますが、何と申しましても先ほどから御指摘、御叱正をいただきましたが、航空の安全対策というものか第一番であります。そういう航空の安全対策につきましては、急激に航空需要が伸びまして、民間航空の発達に伴いまして、私ははっきり申し上げますとそれらに対する管制組織、それは人的にも物的にもまだまだ理想とは遠いものかあると思っておる次第でございます。先般も私、ワシントンに参りました帰途に、寸暇を利用しまして各管制状況を見てまいりましたが、これは早急に充実しなくちゃいかぬというふうに思っておる次第でございます。ことにそういったような現場的の仕事は、一つの独立した機関でもって、海上保安庁あるいは気象庁というようなものと同じようにやらしていかなくちゃいかぬというふうに私は思っておる次第でございます。  その点で、今回次長あるいは管制保安部というものを認められた次第でございますが、それだけでは将来の航空需要に対処するためにはまだまだ遠いと思っておる次第でございます。ことに、一番の問題は、管制官の定員の増加また管制官の養成、充実ということが一番問題でありましてそれらの点につきましてはせっかくいま苦心をしている次第でございます。今度航空法の改正につきましても御審議をお願いする次第でございますが、民間航空管制というものが確立してまいりまして、私どもの責任、また重大になってまいります。その面におきまして、実際の実質的の充実ということが一番の問題になっておりますので、私はどうしてもそれらの方面の名実ともの充実ということが一番必要である、こういうふうに思っている次第でございます。
  52. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 つくるというはっきりした御答弁をいただいたわけですが、これに対してはいいろ新聞等にも困難な条件がうわさされております。それを押してでもつくっていただくことになりますと、たいへん慎重な、りっぱなものをつくってもらわなければ、それができたことによってかえって問題が紛糾するようでは困る。そういうことは私が言うまでもなく十分御承知と思いますが、しっかりやっていただきたい、こう思いますが、大体いつできますか。聞きますと、大臣も、佐藤内閣の問題もいろいろ取りざたされておりますし、また事務官庁の何か異動ですか、そういうこともいろいろ聞きますと、いま、ただ目標としてはつくるということをきめておっても、またできませんでしたというようなことではいけませんし、現段階でひとつ、もう大体いまごろは固まっていなければいけない、こう思うのですが、最大限延ばしていつごろ構想が固まるのか、つくることの出発のまず第一歩が踏み出せるのかお聞きしておきたいと思います。
  53. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまのところ、いま運輸省の設置法の改正を、次長あるいは管制保安部の増設等でもってお願いをしております。また時期的にもおくれてまいっておりますので、大体目安としては来年度予算になるのじゃないか、もし早くできれば、また改めた補正予算のときになるのじゃないか、こういうふうに私、思っている次第でございます。しかしせっかくあれでございますから、その方向、その運輸省の原案だけではぜひとも私の在任中につくりたいという決心で、いませっかく督励している次第でございますので、またいろいろ御意見、御指導いただければ非常に幸いと思っている次第でございます。
  54. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣は昨年、海外航空事情視察のためにアメリカ等へ行かれたわけですが、そこでいろいろ御勉強なさったと思いますが、一番お感じになったことを一点だけひとつお述べいただきまして、そのものに対する大臣のその後の実のある結果についても触れてお話しいただきたいと思います。
  55. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 まず、私は米英仏の三国の主要なコントロールタワーを視察した次第でございますが、まず装備が非常に優秀、装備が、レーダーその他につきましてもおくれておるのじゃないか。向こうではほとんどブライトデスプレイ方式を使っております。管制官の疲労度も非常に違ってきている。またそれにつきましても、機種あるいは速度あるいは高度につきましても、数字がコンピューターでもって示されるというように、発見が非常に早いというようなこと、それからまた勤務状態につきましても、非常にゆとりのある勤務状態である。待遇の問題もある。これらの点につきまして、日本としては非常に考えていかなければならないということでございまして、ただいまそれらの方面につきましても、航空局といたしまして早急に処理をする。少なくとも安全施設につきましては、前からも私再三述べておりますとおり、五カ年の計画を三年に縮めて安全施設を早くするように、たとえばARSRにつきましても、これをできるだけ早くひとつ装備をするように、日本製ばかりでなく、外国のものも入れてどんどんやるということを指示してせっかく検討さしておる次第でございます。
  56. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 時間があまりございませんから、確認しながらお話を進めていきますが、私がお尋ねしたのは、大臣が行かれまして一番痛感されたことはどういうことでしたでしょうか、こういうことでございましたが、いまのお話からずっといままでの諸般の情勢を見てみますと——私も航空の問題についてはあれを機会に一生懸命勉強したわけでございますが、これの開陳は別の機会に譲るとしまして、いまのお話を聞いておりますと、やはり空の安全というようなことでは、わが国の航空行政の中ではいろいろな問題があるが、飛行機の管制というようなことがその中に一つあった。いわゆる航空機の管制ということについていろいろ報道もされておりますが、大臣が行かれたあとに航空局の専門官が海外にも行った、さらにまたアメリカからは連邦航空局のフレナー管制官が来て日本の実情を見て行った、こういうことも聞いております。  そこで、そのフレナー報告につきまして触れてみたい、こう思うわけですが、専門的なことは航空局長のほうからお答え願ってもいいのですが、フレナー報告を見まして、私一番率直に印象づけられたものは、いろいろな技術的な問題よりも、航空行政とほんとうに取り組むならば、いわゆる管制問題にしましても、現在空の交通というものを管制するための一番ネックになっておる、民間機、自衛隊機、米軍機が飛んでおるものを、どのように把握し、規制、管制していくかということに尽きると思うのです。そこでフレナーもその点を率直に指摘しておるようです。もう日本政府が、いままで安保条約、地位協定によって米軍が実際駐留しておる、その米軍機も強力に管制していかなければならないというような率直な意見を述べておるように聞いております。そういうことはフレナーから指摘される前に、わが国の独自の航空の管制業務を進めていかなければならない。たいへんおくれておるし、ほんとう航空管制ということを真剣に考えてないような処置しかいままでとられてない、そういう感じを受けたわけでございます。  そこで、フレナーの報告の中で、現在自衛隊の防衛用のレーダーが数十カ所ある。これを臨時的に使うということは、その能力も確かにあるのだから、これは潜在的能力を有しておる。そこで、この管制用のレーダーを、自衛隊の防空監視所といいますか、そういうものを利用できるかどうか。運輸大臣は防衛庁長官と可及的すみやかに協議をしなさい、協議をすることが肝要であると書いてある。これが一つの問題です。  もう一つは、しかし防衛用のレーダーを使うについては秘密保護という立場もある、こういうことをいっておりますが、まず第一点の、防衛庁長官とのそういう防衛用のレーダーを使うことについてお話し合いを、いつ、どこで、何回ぐらいされて、どういう了解を取りつけられたのか、そのことだけでけっこうですから、先にお答え願いたい。
  57. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま先生お尋ねの、防衛庁の防衛レーダーの共用の問題でございますが先ほどお話しございましたように、大臣から指示を受けまして、私、防衛庁の事務局と数次にわたって折衝いたしたわけでございます。その結果を申し上げますと、どうも残念ながら共用というのはなかなかむずかしいのではないかというのが私どもの印象でございます。と申しますのは、防衛庁のいわゆるレーダーサイトのレーダーを使うということでございます。これを使うからには民間用のレーダーを使うよりも先に使えるというふうなことがなくてはならない。またかりに時期的には同時になるとしても安く使えるというふうなことになれば、これはメリットがあるわけでございますが、いろいろ検討いたしました結果、時期的に見ましてもあるいは金額的に見ましてもあまり変わりはないというふうな実情でございます。なぜかと申しますと、レーダーサイトからのレーダーを利用するためにはやはり管制部に回線を引っぱってまいりまして、そこでもって直にレーダーの像が見られるようにしなければ使えないわけでございます。そのためにはいわゆるロービデオといっておりますが、なまのままの映像、これを持ってくるようになれば比較的早くこれはできるわけでございます。しかしその点は機密保持その他の点がありまして、防衛庁のほうとしてはぐあいが悪い。どうしてもこれをディジタル化しまして持ってこなければいかぬ。電子処理化して持ってくるということになりますと、どうしてもある程度の期間が要る。そうなりますと、独自にこちらのほうへ民間専用のレーダーをつくるというのと、時間的にも金額的にも大差ないというふうなことが結論でございました。その他いまおっしゃいましたように機密保持の問題もございます。  それから防衛庁のレーダーは、夜、昼回していかなければいけないものですから、整備などについても必ずしも夜間だけやるというわけにはいかない。しかし、私どもの場合は昼交通の多い場合にどうしても使わなければいけないので昼整備されると困る。これは小さなことでございますが、そういうような点もございましてまだ完全に話し合いを打ち切ったわけではございませんが、いまの印象としてはむしろ私どもといたしましては早く民間独自のレーダーをつくるというほうがいいのではないかというふうに考えます。
  58. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もう時間がございませんからあれですが、私、最後に大臣に。  事務当局でそういう話し合いをなされたことはもちろんお聞きと思いますが、航空局独自のレーター管制をつくるというようなことも相当な時間が必要であろうと思われます。私の聞いているところでは、いますぐかかっても三年、三年かかる。どこにつくるのかという場所がきまっておってもそのくらいかかるという。その場所もまだきまっていない。それからまたフレナー報告でも、それは管制だけではありませんが、そのほかの問題全部含めてすぐできるものが大部分なんだというような指摘もあります。これについては、時間もございませんから事務当局に私お願いして——いまの防衛庁と話し合ったという内容、いつどこでどういうことをやるか聞いたわけです。その資料の提出をお願いして、それからもう一つは、航空局の専門家が海外に行って日本の独自の見方もしてきたと思います。その資料も提出をお瀬いしまして、大臣としていままでの感触から見まして、レーダーサイトについても早急に取り組んで実施しなければならない段階だ、こう私は思いますから、それに対する決意をお述べいただきまして、終わりたいと思います。
  59. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの航空管制並びにそれに伴う通信の問題は、ほんとうにいま御指摘のとおり緊急のものと私は考えておる次第でございます。極力その点につきましては推進をし、具体的に利用できるものはどんどん利用をさせてまいりましてやってまいりたい、こういうように思っている次第でございます。
  60. 小峯柳多

    小峯委員長 午後三時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      ————◇—————    午後三時九分開議
  61. 小峯柳多

    小峯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河村勝君。
  62. 河村勝

    ○河村委員 昨日、運輸大臣から所信表明演説を伺いました。いつもの運輸大臣所信表明に比べるとたいへんボリュームがあって、たいへん長文のものでございました。別段長いからいいというわけではありませんけれども、少なくともたいへん意欲的なものであるというふうに考えまして、これにつきましてお尋ねをしたいと思います。  最初に航空関係でありますけれども大臣はこの所信表明の中に「航空につきましても、世界各国との航空交渉を通じ、わが国国際航空路線網の整備をはかることとしております。」、航空についてまっ先にこれが書いてございますが、具体的にどういう計画をお持ちで、どういう見通しでやっておられるか、それを伺いたいと思います。
  63. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 航空路線網の拡充でございますが、まず第一番に私ども具体的にあれしておりますのは日米関係でございまして、日米関係の路線につきまして、乗り入れ地点についての権益の均衡をはかる立場からいたしまして、私ども、ただいまの日米関係航空協定には、実際のところ、率直に申しまして満足しておりません。やはり私どもの権益均衡観点からいたしましても、私先般のワシントンの会議にも、その会議の総会におきましても、シカゴ乗り入れにつきまして強く要請をした次第でございます。これにつきまして、お互いのやはり権益均衡に関する立脚点が異なっておりますのでなかなか意見がかみ合いませんけれども、私どもはしんぼう強く、これらの問題につきまして強く要求をいたしまして、シカゴ乗り入れをはじめといたしまして、問題点の解明に当たりたい。  たしかごく最近またワーキンググループの開催が待たれている次第でございまして、その機会におきましても事務当局から強くこれを推進さしたい。  それからまた、わが国から以遠権の問題、これらにつきましてもまだ私どもの満足していいような状態でございませんので、それらの点につきましても私ども強く主張してまいり、権益の均衡をはかってまいりたい、こういうように考えている次第でございます。  それからまた先般ちょっとあれしましたが、アフリカなどは具体的の乗り入れ点につきましてはまだ協定しておりませんが、各国を通じまして、それらの問題につきまして機会あるごとにわれわれの主張を貫きまして、そうして具体的の乗り入れ地点の解決に当たっていきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  64. 河村勝

    ○河村委員 初めはたいへんすべり出しがよかったのですけれども、あとのほうは、どこの国と交渉するのか、これには「世界各国との航空交渉を通じ、」——世界各国というのも、これはちょっとオーバーであるけれども、日米間の間問題は別として、ほんとうに具体的に計画があるというわけではなしに、ただ一応こういう意欲を書いたというだけのことですか。
  65. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 航空協定の相手方の問題でございますが、これは非常に多うございまして、先般イギリスでもやりましたし、現在フランスともやっております。一般的情勢を申し上げますと、日本の路線というのは相当延びておりまして、それに対して相当飽和状態になっております。したがいまして、これから新たな路線を獲得するということは相当困難であるという事情がございます。そういった中で、何とかしてその路線網をふやすための協定について航空局として苦労しておるというのが実情でございます。
  66. 河村勝

    ○河村委員 日米間の権益均衡の問題は今日始まった問題ではありませんけれども、いまそれについて非常に努力をされるという意思表示がございましたが、具体的に昨年九月の日米貿易経済合同委員会、ここで折衝された際の相手方の応答はどういうぐあいでありますか。
  67. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 実は私がカウンターパートの会合をもちまして——運輸長官がそういった外交交渉の相手方ではございませんので、あれは御承知のとおり商務長官の仕事になっておりますので、私もその点は総会でも強く申し述べました。  それからまた、運輸省関係では、大臣の個別折衝のときにおきましても、運輸長官からスタンズ商務長官に強く要請してもらいたいということを申しまして、ボルピー運輸長官もそのことを了承いたしまして、自分から申すと、こういうことになっております。  それから、引き続きまして、サンフランシスコにおけるワーキンググループの会合におきまして、このことを私ども審議官からるる説明をさせておるような次第でございます。  また、ことしの春におきましてもそれらの会Aが持たれることになっております。その際にも私のほうから強く言いまして、この実現をぜひとも見たい、こういうふうに思って、せっかくいま努力をしておる最中でございます。
  68. 河村勝

    ○河村委員 それに関連をいたしましてけさほど久保委員からもちょっと発言がありましたが、中国との関係でありますね。まあ、アメリカは今回の米中会談ではもちろん航空路の開設までにはいきませんでしたが、そういう可能性は十分あると思わなければいけない。元来わが国のほうの日中正常化がおくれているためにこういう問題が起きるので、そうこっちがとやかく言う資格はないようなものであるけれども、しかしわが国にとっては重大な問題であるということもまた事実です。そこで一体、もしアメリカと中国との間に航空協定が結ばれた場合には、いまの航空協定のたてまえから言うと、当然ノー文句に日本を経由して中国に入る、その場合に当然権利として日本国内で旅客、貨物の積みおろしができる、こういうことになるわけですか。
  69. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいまの先生の御質問は、アメリカから日本を経由して中国に入るというふうなことですが、確かに協定上アメリカは日本からの以遠権、これを無制限に持っております。したがいましてそういう結果に相なると思います。
  70. 河村勝

    ○河村委員 そういう場合に、日本としてそれを拒否する権利はないわけであるけれども、先ほど大臣は、そういう場合に権益の均衡をはかるために何らかの方法で他の路線を求めるというようなことでもって解決をしたい、そういう意思表示があったと思いますが、その場合一体どういう視角に立って、どういう見通しのもとにそういう発言をされたのか、そういう可能性があるのか、その点を伺います。
  71. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 日米の航空協定に以遠権を認めたときの情勢といまとでは私はだいぶ違っておるような感じを持っておる次第でございます。先般も沖繩の復帰の問題につきまして、要するに私どもは一応五年間はサボタージュ禁止ということだけで承諾した次第でございますが、これはいままで向こうか権益を持っていた次第でございますので、過渡的の措置としてやむを得ぬということで承諾をいたした次第でございます。それらも五年後にはもちろん権益均衡で、これはまたあらためてわれわれは主張すべき権利は主張し、向こうからも削除するところは削除するというたてまえでございますが、私どもはこの以遠権の問題につきましては、いまの権利は権利といたしまして、日本航空発達がここまでできてまいりました。そういうようなときに、全面的に、ことにアメリカとは 、交渉して公平な権益均衡をはかりたい、こういうふうな観点でおる次第でございます。  中国との乗り入れの問題、これは決して阻害するわけではございません。日本の国がはいれないからといってアメリカを阻止するというような、そういう考えはもちろんございません。世界人類の共通の念願でございます交通の自由確保という点につきましては、むしろ協力をしたいというような気持ちでおる次第でございますが、われわれのほうも機会あるたびにそれらのチャンスを見っけまして、中国との国交調整、国交正常化の一環としてぜひとも進めていきたいという念願とともに、それらの時点に参りましたらば、アメリカともまた相談をいたしまして、いろいろの策を講じてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  72. 河村勝

    ○河村委員 確かにいまおっしゃったように、航空協定ができた当時からずいぶん日がたっておりまして、いろいろな情勢も変わってきておりますから、積極的にこの権益均衡をはかるように努力していただきたいと思います。  それから貿易経済合同委員会に関連いたしまして、その際に日本航空管制宜が不足である、ひとつアメリカの力を借りたいということで、管制要員の委託養成を大臣から話されたということを聞いておりますが、その経過並びに見通しはどうなっておりますか。
  73. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま先生指摘のように、大臣がこの前アメリカのほうで御交渉になりましたときに、わが国の管制官の質の向上と申しますか、そういうことが必要であるということから、その養成について援助をもらうというふうなことでお話がございました。その結果私どもといたしましては、それをそのあとフォローいたしまして、いろいろ詰めたわけでございます。  そこでアメリカの手を借りてやる場合に、いろいろな方法が考えられますが、一つには大量のフレッシュマンをアメリカに送り込んで、アメリカに養成してもらう。これが一つ。あるいはアメリカのほうから教官を派遣してもらってこちらで教育をする、これが一つ。それからさらにもう一つ考えられますのは、フレッシュマンではなくて、ある程度でき上がった者を再研修の形で送り込むという形が考えられたわけでございます。  そこでまず第一のフレッシュマンを向こうへ送り込むことにつきましては、いろいろ検討いたしましたが、語学の問題がございまして、これにつきましてはむしろこちらでやるほうが能率が上がるのではないかということから、一挙に向こうに送り込んで向こうで養成してもらうことは現実的でないという結論に達しました。そこで残る方法といたしましては、現在まだ折衝中でございますけれども、ある程度のすでにもう現場についておる者、経験者、これを派遣いたしまして、再研修をやってもらうというようなことを一つ考えております。それからもう一つは先方から教官を派遣してもらうという話がございますので、そういったものにつきましてこちらに来てもらって指導してもらうということをいま考えておるわけでございます。
  74. 河村勝

    ○河村委員 問題は別でありますが、最近一部の新聞で騒音防止対策をこれから運輸省として進めていくために、ジェット機に乗るお客から、新聞には迷惑料と書いてあるのですけれども、五百円くらいのものを取ろう、そういうことを運輸省が考えておられるというお話であるが、これは事実であるかどうか。
  75. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 これは全然正式にそういうふうに固まったものではございません。いきさつを申し上げますと、まず航空機の騒音防止対策、これは非常に重大な事項であるということの認識を私どもは持っております。そこでそれに対して現在の五カ年計画、これはまだ航空審議会で審議中でございますので、はっきりした数字は出ておりませんけれども、その中でも相当な数字をあげて準備をしたいというふうに考えております。しかしそれをもちましても、なおかつ騒音の防止対策というものは金が足りないのではないかという議論を、われわれの中でいろいろ議論し合っておるわけでございます。そうしますとその場合に、やはりもっと金をふやさなければいかぬだろう、その場合にどうするのが一番いいだろうということで、寄り寄り議論していったことの一部といたしまして、たとえば非常に騒音の影響が多いところ、そういうところに離着陸する旅客からはある程度の騒音料といったものを取るといったアイデアもあるかな、しかしそれは一方から見れば航空燃料税あるいは着陸料というものから吸収されておるのだから、それだけ切り離すのはおかしいのではないかという議論も一万にはございました。それからさらにこれはいわゆる受益者負担でやるべきなのか、あるいは一般の祝金でもってやるべきなのかという議論もございました。あるいはほかの方法といたしましては、いわゆる航空というものはだんだん飛行機が多くなってまいりますとそれによって着陸料あるいは燃料税等もふえてまいりますから、資本投下に対する回収能力があるわけでございます。したがいまして、それにはむしろ借り入れ金でやるべきじゃないかということから、借り入れ金制度をとって、それから見る必要があるのではないかというような種々雑多の意見がございました。そういったことの一環としてたまたまそういう考えもあるんだというふうなことが新聞紙上伝えられたわけでございまして、いま申し上げたようにこれは毛頭固まったものではございません。現在の騒音対策としては、当然着陸料あるいは航空燃料税というか、そういった現在固まったものの中において騒音対策をやっていこうというのが現在の姿でございます。
  76. 河村勝

    ○河村委員 旅客は別段ジェット機に乗りたいと思って来るのではなしに、ジェット機しかないから乗っておるのでありまして、そういう選択権のない客にそういうものを払わせるというのは本来おかしいんですね。だが、まだ大臣も御存じないくらいのものであるならば、いまの問題ではないでしょうから、それはそれとしまして、一体国際航空では、これは当然国際競争力の問題もあるし距離も長いし、だからジェット機を使うのはあたりまえであるけれども、これだけ騒音公害についての批判が一般にきびしくなってきたときに、日本のような狭い国で、人口の多い国で、ジェット機をどうしても地方交通に使わなければならぬという理由が一体あるのでしょうか。大臣、どうお考えになりますか。
  77. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 最近の輸送需要といたしましては、利用者はやはりスピードというものを非常に希望しておるようでございます。それに鉄道におきましても、新幹線網を早く充実しろということは全国各地でいわれている次第でございまして、御承知のとおりすでに国鉄では二百八十五キロの新記録を樹立したということでございます。もちろん国内の航空路につきましては、プロペラ機で十分であるという意見も相当ございますが、騒音の防止対策ができましてそれで離着陸に安全性があれば、やはりジェット機のほうが望ましいんじゃないか。航空の、ことに国内航空の一番の利用者の希望というものは、やはりスピードが違うというところに航空特性があるんじゃないかというところから見ますと、ただいま述べましたような空港の騒音防止施設というものが完備してまいるあるいはランウエーが完備してまいる、保安施設が完備してまいりましたならば、やはりジェット機のほうが望ましいんじゃないかというふうに思われる次第でございます。しかしいま申しましたとおり、ジェット機を使用する場合にはそれらの三条件が絶対に必要でございます。それらの条件を備えてないところに無理をしてジェット機を使うということは私はとってはならぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。
  78. 河村勝

    ○河村委員 いまの空港整備計画は、全部地方航空のおも立ったものはジェットにする計画で進めてあるわけですね。その点はいかがなんですか。
  79. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 必ずしもそうではございませんが、私ども原則的にはジェットの計画をする、それから例外的に需要の少ないところあるいは地形的にどうしても着けないところ、そういった場合にはYSクラスの滑走路というふうに考えております。
  80. 河村勝

    ○河村委員 保安施設のほうは、これは金さえかければ完備できるでしょう。ですけれども、ジェットの騒音というのは防音施設ができればといま大臣おっしゃったけれども、ジェットが音を出さないようになれば——出さないというのは無理だけれども、プロペラ程度の音にできるなら別だけれども、そうでない限りジェットの防音施設というのはそんなに有効なものはできるはずはないと私は思いますが、いかがですか。
  81. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは空港の設計その他にもよると思う次第でございまして、やはりこれからの空港というものは都市計画の一環といたしまして、そしてそのあとにランウエーを設けるというようなことをして、回りの地帯におきましては、あるいはいろいろの交通ターミナルであるとかあるいはまた倉庫であるとかいうような都市計画ができまして、いわゆる飛行行程におきまして一般民家に騒音が達せぬというようなことができてくればこれは可能になる。  それから、これからの飛行場建設、ことに拠点の建設につきましては、どうしてもそれをしなければ地元住民の反対もございまして、なかなかにむずかしいんじゃないか。  それからもう一つは、海上と申しますか、海上に空港をつくるということによりましてそれが可能になってくるんではないか。最近におきますると、たとえてみますと、大分の空港も海上に出してきた。それから先般起工式をやりました大村空港も海しにこれをつくるというふうに、漸次海上になってきつつある。もう陸しの民衆の密集地帯その他については極力避けてつくるという方向に漸次進んできているようでございます。それができてまいりますると、ジェット機の離発養も可能になってくる、こういうふうに思っている次第でございます。
  82. 河村勝

    ○河村委員 いま大臣はこれからの空港はおっしゃいましたが、大体地方空港や主要なものは現在あるものを改良する以外には方法がないはずだと私は思いますが、そんなにいまのおも立ったところを、たぶんジェットを動かすであろうと思われるところで、そこから全然よそにかえて、一般民家にそれほどの影響がないというところにできる可能性というのはほんとうにあるんですか。
  83. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 それは先生指摘のように、必ずしも全部そういうわけにはまいりません。ただ今後計画するものといたしましても、地元のほうでも従来ある飛行場を売ってそのかわりに新しい飛行場をつくるというふうな場合には、なるべく海に建設していくというような意向を持っているところも若干あるようでございます。  ただ先生指摘のように、必ず海にできるかというと、そういうわけにはまいりません。したがいましてこの点につきましては、先ほど大臣からお話がございましたように、騒音防止対策というものはやはり徹底的にやっていかなければならぬ。その方法といたしましては、騒音の発生源であるエンジン、これを音を小さくするのも一つの方法でございましょう。しかしこれは先生指摘のように、早急に全然音がなくなるものではございません。したがいまして、やはり飛行場というものを地域計画に組み入れまして、その都市計画の一環として騒音というものを全体的に地域からなくすという方向を進めていかなければならぬというふうに考えております。
  84. 河村勝

    ○河村委員 抽象的に都市計画の一環に組み入れて騒音防止するというのはいいけれども、なかなか実際はそうはいかないのですよ。日本みたいな狭いところは、それを条件としてジェットを飛ばすというのはわかるけれども、なるべくそうしますということでどんどん広げていけば、またたいへんな摩擦が起こると私は思うのです。現にいま厚木の飛行場ですね。これはいま、アメリカから日本に返還になります。これは自衛隊ならいいけれども民間ならいけないというのは、感じからいうと非常にふしぎなんであるけれども、それはなぜかというと、自衛隊なら訓練のときしか飛ばぬし数も少ないからそううるさくない。これが民間になったら、あそこからどんどんジェットを飛ばされる。だから困るプロペラならプロペラだとはっきりしておればわれわれのほうはよろしいんだ。これは私の選挙区だからよく知っているのですが、そういう状態なんですよ。ですから、これからほんとうに方々の反対運動がますますひどくなるでしょう。ですから、たぶん、ジェットを使えば便数も少なくて済むし飛行場も少なくて済むとかいう理由もあると思うけれども、現実には使えるところも、国内でジェットを飛ばすがために使えないのですよ。そういうことを考えたら、一体、これに沿って何でもジェットでなければならぬ、速いほうがいいにこしたことはないけれども、長距離の場合には、たぶん日本の場合でいうば縦のメインラインですね。ちょうど新幹線が走るであろうと思われるメインライン、このくらいはしかたがないでしょう。だけれどもそれ以外のものは、ジェットは、音のないジェットができれば別だけれども、そうでなければ考え方を変えて。プロペラにするのだというふうに転換すべき時期が来ておるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  85. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまたまたま厚木の飛行場の問題が出ましたけれども、厚木は私どもはもうプロペラ以外は飛ばさぬということを確約してお願いをしておる次第でございます。その点地元の先生でいらっしゃいますから、ぜひひとつ民間優先のたてまえを貫いていただきまして御説得願えれば、非常に幸いと思います。いまのお話のとおり私も思っておる次第でございます。主要地点でどうしてもジェットのほうがいい。しかもそういうような条件が整っておるというところをジェットにいたします。それでなくて、いろいろ地元の関係から騒音が非常にひどくて、そしてジェット機では非常に支障が多いというところを、無理をいたしましてジェット機を飛ばすというようなことはただいま考えておりません。その点はひとつ誤解のないようにお願いしておきたいと思います。
  86. 河村勝

    ○河村委員 ちょうど佐藤総理のケース・バイ・ケースと同じような答弁でしょう。それじゃみんな安心しませんよ。厚木の人たちが安心しないのはあたりまえなんです。大臣はそうやりませんと言っているけれども大臣がかわったらもうそれで終わりですね。信憑性のある決定というものは、何も法律までいかなくても、そういうものけないから、だからやはり将来に向けての計画をはっきりしてそれでやるべきだと思うのですよ。これは国際競争があるわけじゃないのですから、縦のメインラインを除けば、あとは大体近距離かんですからね。飛び上がっておりるのですから、ジェットとそう違わないのですね。それでわざわざ日本の国内をこれ以上うるさくするというのは、私はもうそろそろ頭を切りかえなければいかぬと思うのですね。その点明確にされる考えはありませんか、どうですか。
  87. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 厚木の場合は、別に羽田もございますし、また成田もできます。それでもう十分で、何らジェット機を使う必要もない、これはもう常識でございますから、この点はひとつ御理解をいただいて御協力を願いたい、こう思う次第でございます。その他につきましても、確かにジェット機を使わなくとも済むというようなところにつきましては、私どもことさらにジェットを使うという気はございません。その点はっきりさせておきます。   〔「大臣局長の答弁が食い違っている」と呼ぶ者あり〕
  88. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 いま大臣の答弁と私の答弁が食い違っておるとは思っておりません。と申しますのは、先ほど河村先生から御指摘がございましたように、やはりジェット機というのは遠距離において効用があるであろう。縦の線、これについてはジェット機は必要であろうということでございます。横のほうはそうじゃないということでございましたけれども、現在飛行機が動いておりますところは、東京中心とし、あるいは大阪を中心とし、九州、北海道、それも札幌だけではなくて、函館、帯広などに直行するとか、いろいろやっておりますけれども、そういうふうなところはほとんど大部分が日本列島の北から南にかけての長い線を動いております。そのほかのもの、つまり短距離のものと申しますか、ほとんどが大体島の上の飛行機、たとえば東京−大島でございますとかあるいは新潟−佐渡でございますとか、そういう点はやはり短距離かもしれません。そういうものにつきましては、現実に飛行場もなかなか大きなものがとれないというふうなことから、プロペラで行なっておるというのが現実でございますから、これもある程度好むと好まざるとを問わずやむを得ないであろうというふうに考えております。  それからもう一言申し上げたいのは、飛行機の生産でございますけれども、現在世界各国ほとんどもうジェット化しておりまして、新しくできる飛行機はほとんどジェット機でございます。別にSTOLという別途の飛行機がございますけれども、いまのYSクラスというような飛行機は、だんだんなくなってくる。YSは現実に生産中止でございます。そういうような点から考えましても、やはり飛行機を利用しようとすれば、好むと好まざるとを問わずジェット機というものをどうしても使わなければならぬだろうというふうな現実を踏まえまして、やはりそれに対する対策を変えていかなければならぬというふうに考えております。
  89. 河村勝

    ○河村委員 その問題は私もあると思います。だけれども、それはそれで解決する方法だってあると思うのですよ。日本で生産をして、それで、たとえばインドネシアとかなんとかいうところは、これはジェットである必要はないですよ。そういうふうに販路を広げて量産することだって可能なんで、だからこれでもって私はメーンライン、メーンラインといっても、メーンラインはたくさん都市があるんですから、ちょこちょこおりるのまでいいと言うんじゃありませんよ。メーンラインのうち主要都市、主要なところだけをやれと言うのですから、とにかくジェットでなければならぬというふうにきめてかかるのは私は間違いだと思うんで、ぜひ御検討いただきたいと思います。  航空関係でもう一つ、こまかいことですけれども伺っておきたいのですが、今度は沖繩返還で、南西航空というのがありますね、民間唯一の定期航空会社で。これは引き継ぎになりますと、ドルから円に運賃も変わるわけですね。その三百六十円問題、それの措置もあるんですが、それを別にしましても、だいぶん運賃格差があるようですが、その点は一体この引き継ぎ以後どういうふうにされるつもりでおるか、それを伺いたい。
  90. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 運賃格差と申しますと、おそらく沖繩のほうが安いということだろうと思いますけれども、私ども、この運賃というものはそもそも原価に立って算定すればよろしいものでございますから、いま安いものを無理につり上げる必要は毛頭ないのであります。安くてやっていけるものはそれが一番いいことだ、そういうふうに思います。
  91. 河村勝

    ○河村委員 そんなことはわかっているんで、もう五月十五日でしょう。だから、運輸省として、そういう抽象論でなしに、具体的に検討されているはずだ。実際、私も比較してみますと、東亜国内航空などに比べると南西航空のほうが非常に安い。どういう理由で安いのかぼくはよくわからないけれども、そういった点を一体具体的にどう考えているのか。
  92. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 この点は今度の運賃値上げ問題とも関連いたします。それでまた運賃の話になりますけれども、これは一つの大きな理由が、航空燃料税というふうな新しい制度をとるということが一つの理由でございます。これが、沖繩につきましては、経過措置といたしまして一年ずらしております。したがいまして、復帰の年度におきましては燃料税がかかってまいりません。したがいまして運賃というものもおのずから内地とは違ってしかるべきだというふうに考えます。
  93. 河村勝

    ○河村委員 沖繩が本土になりますと、すべての条件が変わってきます。賃金その他についても、みんな内地並みになってくるでしょう。ですから、非常に大きな問題があるんです、現実に。ですから、抽象論で言いっぱなしにするんじゃなしに、ほんとうに具体的に検討されるべきだと思いますので、一言これをお願いをしておきます。  次に、カーフェリーの問題について伺いたいと思います。  今度の大臣所信表明におきましても、物的流通の近代化について、フレートライナー網の拡大と長距離フェリー航路の整備というのを二つの大きな柱にしておりますが、この長距離フェリー航路の整備ということについてどのような構想をもって考えておられるのか。
  94. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 カーフェリーの整備につきましては、運政審の答申、また昨年の暮れの総合交通対策にも出ておりますとおり、やはり陸の、あるいはコンテナ輸送あるいはフレートライナー方式というものとも関連をいたしまして、海上におきまする長距離輸送につきましてはカーフェリーを十分活用するという線に沿いまして、カーフェリーが国内輸送における重要なるこれからの役割りを果たすという点に立脚をいたしましてカーフェリーの整備をしてまいりたい。それがために、カーフェリーの造船の資金の手当てだけでなく、港湾におけるところのカーフェリーの埠頭の整備その他もやってまいりたい、こういうふうに思っております。
  95. 河村勝

    ○河村委員 何か終わりに二つばかりちょっと具体的なことが入りましたけれども、ここに書いてある文句とほとんど変わらないのですが、ここに所信表明に述べられた以上、もうちょっと具体的な構想がなければ、いかにボリュームがあって、意欲があっても、さっぱり中身がないんではしかたがないのですが、お書きになった以上はもう少し具体的な整備の構想がおありなんじゃないですか。
  96. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 具体的なことは局長から答弁させます。
  97. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣の御答弁を補足いたしまして申し上げますけれども、いま大臣申しましたように、海陸共同輸送の一環であります。特に先生の御質問は長距離フェリーだと思いますけれども、いわゆる短絡のフェリーは瀬戸内とか数多くありますけれども、これから伸びますのは長距離フェリー、いわゆる三百キロメートル以上のものではないかと存じます。これにつきましては、海陸の一貫輸送という一こまだということで、流通経費の節減とかいうような効果がございますけれども、それ以外に新しい流通経路が出てくる、あるいはまた新しい地域開発の効果をあげるとかいう点もございます。そういった国内での海陸の一貫輸送という意味の効果と、もう一つは、まだ出ておりませんけれどもこれから出ると思いますのは国際コンテナですね、外国から入ってくる、出ていく、そういった国際コンテナの国内の各港への分散でございますね、いわゆるフィーダーサービスといいまずか、そういった面での、国際と国内のカーゴの一貫輸送という面でも大いに意味が出てくるんじゃないかと存じます。かような次第でございますので、もちろん陸上の、たとえばフレートライナーというような、よく似ておるような機能を持ちました、鉄道等との重複等ございますけれども、なるたけそういう重複をしないような面で、二重投資にならないような面で、極力長路離の面で、しかもそういう効果の出る二港間を整備していきたい。ただいま長距離フェリーといたしましては約十航路現在長距離が動いておりますし、また十四航路がいま整備中でございますが、ほとんど阪神なりあるいは京浜なり、そういった都会の中心地からおもに北海道とか九州とか四国とか、そういった遠距離へ向かっていっておる。それはそれなりの効果が出てまいりまして、鉄道輸送に比べますと時間も早いという点もございますし、あるいは費用が安いという点も出てまいります。というようなことでございますので、そういった見地から沿岸をそういったようなネットワークに一応整備していく。  それからもう一つは、やはりこの安全問題なり、船型が大きくなりますので、やはりそれを経営する事業者といたしましてはやはり外洋の大きな船を動かした経験のある事業者のほうが望ましいと存じますので、そういった意欲を持っておりまして、先ほど申し上げましたような国際コンテナとの共同輸送というような見地もございまして、幸いにいたしましていわゆる中核六社、外航会社がバックアップいたしまして、安全問題なりあるいは運営問題、船員問題等について、積極的に役員を送ったり船員を供給したりということをやっておりますので、そういった面につきましても、安全等の面あるいは経験等の面からそういったような指導もやってまいりたい、かようなことでございますので、極力財政資金を、おもに開銀とかあるいは地方の北東公庫とか、そういったようなほうから借りまして、そういう整備につとめたい。これは航路の面でございます。  それから先ほど大臣も触れられました港湾につきましても、極力この効率的な利用をはかるという見地でカーフェリーの専用の埠頭をつくっていきたい——これは私の所管でございませんけれども港湾局長所管でございますけれども、ということでございまして、たとえば国が無利子の金を地方団体に貸しまして、地方団体はその金と、さらに自分の金を出す、あるいはまた地方の金融機関から金を借りて、全国の主要な個所にみんなが共同して使えるようなフェリーのターミナルをつくりたい、こういう構想も実は港湾計画の中に織り込んでございます。そういった面で今後整備をはかっていきたい、大ざっぱですが、そういうことでございます。
  98. 河村勝

    ○河村委員 きょううは港湾局に来てもらわなかったんですが、いまの専用バースですね、それに国の無利子の金を出して、地方公共団体の金をあわせて幾つかつくる。それは具体的に計画にありますか、ほんとうに。
  99. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 いま考えておるのでございますけれども、これは私は所管でございませんので、もし間違いましたら御迷惑でございますので……。港湾局の計画課長が来ておりますので、そちらからお答えいたします。
  100. 大久保喜一

    ○大久保説明員 港湾計画課といたしましては、現在港湾整備につきまして四十六年度からカーフェリーの埠頭につきましては、一昨年港湾法の改正をお願いいたしまして、新たにできました特定用途港湾施設に対する国の無利子融資の仕組みがございますが、その方式を使わさしていただきまして、四十六年度からいわゆる港湾管理者が中心になりましてつくりました公社といいますか、その公社がやりまするものについて無利子融資をするというやり方で、フェリーターミナル整備にかかってございます。それで四十六年度においては五港を予定いたしまして整備を進めてございますが、四十七年度も引き続きその整備をはからしていただきたいということで、予算案の原案には盛り込んでございます。
  101. 河村勝

    ○河村委員 これからどうせ陸上の道路をつくるのにも限界があります。それから労働力はいま一時的に不況であっても、これはもうどうせ非常な窮迫状態になることは目に見えていますね。ですから、陸のフレートライナーとそれから海のカーフェリーというのは、これはまあ将来、将来というかほんとうに近い将来非常に大きなウエートを持つはずですから、ぜひ単なる構想でなしに、いま港湾のほうでは若干進んでいるようですからけっこうだと思うんですけれども、ぜひお願いしたいと思うのです。  そこで、いまトラックの路線事業者、これが引き受けた場合に、路線事業の免許を持っていなければそのラインの荷物は扱えないのか。その場合に一体運転手というのは乗せないでトレーラーあるいは荷物を積んだトラックだけ乗せてもかまわないのか。その辺の運送上の規制はどうなっていますか。
  102. 野村一彦

    ○野村政府委員 フェリーをトラック事業が利用する場合も、いま先生のお尋ねの件につきましては、私どもはこういうふうな扱いをいたしております。つまりフェリーの部分については、従来それをフェリーが道路と見なされた、つまり橋のかわりのフェリーというものが多かった時代におきましては、それを含めましてこの免許の路線の対象にしておったわけでございますが、最近中長距離フェリーの発達に伴いまして、海上部分、つまりフェリーの部分については免許の対象からはずしております。したがいまして、その陸上部分につきましては、その当該発地あるいは着地がその事業区域になっておる、あるいは路線トラックの場合には港まで路線があるということであれば、海上部分は道路運送法上は免許はいらないという取り扱いをいたしておるわけでございます。
  103. 河村勝

    ○河村委員 その場合は一事業者でなくても両側が別の事業者であってもかまわないわけですね。
  104. 野村一彦

    ○野村政府委員 その場合におきましては、両方の事業者に連絡運輸のシステムをとって協定を結べばできるということになっております。
  105. 河村勝

    ○河村委員 現実にそういう連絡運輸の協定をもってやっているところがありますか。
  106. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいまちょっと件数は私手元に持っておりませんが、これはそういう指導をいたしておりますので、現在異種の業者間で、たとえば北海道と東北の青森県、それから中国と四国、これにつきましては、そういう協定をやっておるはずでございます。ちょっといま件数は私記憶いたしておりません。
  107. 河村勝

    ○河村委員 無人のものがあるかどうかというのはいま返事がなかったが、無人でも差しつかえないのかどうか。
  108. 野村一彦

    ○野村政府委員 この点につきましては、海運局のほうとも相談をいたしまして、トラックをフェリ−に積みおろしをするということがトラック運送事業者の責任において行なわれるならば、そのフェリーの上においては、運転者は必要はないということで、海運局との意見調整をいたして、それを実施いたしております。ところが必ずしもそれが円滑には行なわれていない。いろいろな事情があるようでございまして、制度の上ではある一定の条件のもとに運転手は要らないというようなことを話し合って実施いたしております。
  109. 河村勝

    ○河村委員 労働力不足に対処するというのが一つの大きな目的になっているわけですから、路線事業と同じようにトラック運転手を乗せたんじゃ何にもならないわけですね。その点は海運局としては一体どのようにお考えになっておりますか。
  110. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 御指摘のとおりと存じまして、極力長距離における一貫輸送の効果が出ますようにという理念でもって対処していきたいと存じます。したがいまして、ただいまトラックの事業との関係がございましたが、また港湾運送事業でも同じような問題が出てまいります。なるたけそういったものに拘束されないで一本でできるということで処理を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  111. 河村勝

    ○河村委員 運送関係一つの新しい形態ができているわけですね。だからひとつこの辺で新しい体系として別の法制を整備してスムーズにやれるようにすべきだと私は思うのですが、その点はどういうようにお考えですか。
  112. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 共同一貫運送ということは、御承知のとおりいま非常に強く言われているところでございまして、具体的にもその実施を見ている個所もございます。これにつきましては、やはりそれの取り扱いを便利ならしめるように、ただいまは通運業者に利用運送をさせているというような程度でございます。旅客につきまして交通公社が一貫輸送の便宜をはかっているのと同じような共同一貫輸送取り扱い業と申しますか、そういったような種類のものをつくる必要があるんじゃないかということで、ただいませっかく検討さしているところでございます。
  113. 河村勝

    ○河村委員 安全対策のことでちょっと伺いますが、フェリーはいつか事故を起こして、——いまのところ非常に大事にはなっておりませんけれども、旅客を対象にしたものについては、とにかく人間を乗せ、油を積んだ車が一緒におるわけだから、それだけでもあぶない。それともう一つは、フェリーというのはやはり大きなものであってもとにかく防水区画が非常に少なくなってしまいますから、どうしても弱い。これは洞爺丸事件でも非常に明白になっておるように、大きなものでもあるわけです。そういうわけで特に安全対策が大事だと思うのですが、いまカーフェリーというものをとらえてそれに対する特別な安全対策というものをどのように考えておられるか。考えておるならばどういうふうに扱っておられるか、それを簡単でよろしいからお答えいただきたい。
  114. 見坊力男

    ○見坊説明員 特にカーフェリーの安全対策としてまとめまして、大臣の御指示によりまして昨年の十月対策をまとめてあるわけでございます。大きな内容としましては、防火構造の改善、設備基準の改善、運航管理体制の強化、乗務員の乗務体制の強化、総点検の実施というようなことで、昨年の十月省議で決定いたしまして、関係各局においてこの決定の線に沿って安全対策を進めておるということでございます。
  115. 河村勝

    ○河村委員 省議できめて通達を出した、こういうことですね。それは一体どういう性格を持つのですか。そういう方針で指導しろということであろうと思うけれども、それ以上効果はないと思いますがね。その点は一体省議に基づいた決定を通達をしたというのはどういう性格なのか、それを伺いたい。
  116. 見坊力男

    ○見坊説明員 いろいろな内容に分かれるわけでございますが、通達をしておるもの、あるいは関係のところで関係法令、つまり省令の改正を必要とするものは省令の改正を行なうというような所要の措置をとっておるわけでございます。
  117. 河村勝

    ○河村委員 すると、この安全対策、省議で決定したものに基づいて具体的に省令を改正しておりますか。
  118. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 カーフェリーの設備につきましては、まだ具体的に省令の改正まで至っておりませんが、この通達の実施いたしました実績を十分勘案いたしまして、早急に省令の改正をいたしたいというふうなことで、現在準備を進めております。
  119. 河村勝

    ○河村委員 大臣、せっかく何か対策をつくられたようですが、実際は通達というのは、指導というのが限界ですね。一つの規格として強制力はないのです。あったらおかしいのです。あったらそれこそやみで何でも行政できるということになりますからね。やはりきちんとした処置をなさるべきだと思いますが、大臣いかがでしょうか。
  120. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま河村先生おっしゃったとおりと思います。実は、これは陸上交通だけでなく海のほうもひとつ安全対策を早急にやらなければいかぬと思って、私は指示をいたしましてやったのが、いま船舶のうちで一番危険性のあるのはカーフェリーじゃないかということで、昨年の十月に緊急に省議を開かせまして、それできめたわけでございます。これは船舶構造その他につきまして、私もそのときからすでに省令でぴっちりきめろというような気持ちを持っていた次第でございますが、船舶の構造を改造する、その他におきまして相当やはり時日を要する。大体ことしの四月からやることになっておりますようなことでございます。その反応も少し見たほうがいいだろうというような意見もございまして、将来その反応を確かめて効果的にきっちりした省令をつくる。それに合わないものはもちろん認可しないというような法律効果を伴ったものにしなければならぬということで進ましております。早急に結論を急がしまして省令化させたい、こう思っておる次第でございます。
  121. 河村勝

    ○河村委員 カーフェリーというのは最近急増してきたものですから、いろいろ新しい問題もあるでしょうから、急にまとまらぬ場合もあるでしょう。しかし、とにかくこれから一番大きくクローズアップしてくる問題でございますから、ぜひとも積極的に大臣自身がよく見てやっていただきたいと思います。  その次にタクシー運賃の問題、ちょっと伺います。今度大幅な料金値上げをしまして、それはある意味では効果があがって、たいへん近ごろではにこにこして口もきくし、いいこともいいけれども、高いことも高いですね。その問題は一応きょうは抜きにいたしますが、今度のタクシー運賃値上げに際して標準経営費、その中では標準賃金あるいは作業能率、そういうものは一体どういうものか、どのくらいのものかという、一応標準的なモデルをこしらえて、それで原価計算をされたものだと思いますが、そう考えてよろしいですか。
  122. 野村一彦

    ○野村政府委員 今回のタクシー運賃改定につきましては、六大都市につきまして先生のおっしゃるように両極端の事業、つまり非常に収支のいいといいますか、比較的収支のいい事業と、それから極端に悪いところというものを除きまして、それから規模別に大規模、中規模、小規模というもので、一応最も標準的と考えられる事業をピックアップいたしまして原価をはじいたわけでございます。その原価をはじきます場合におきます各種目のとり方といたしましては、たとえば賃金をどう見るかとか、あるいは走行キロをどう見るかというような場合につきましては、標準的なモデルをとってやったわけでございます。たとえば、東京におきましては全部のいま言いました標準的な事業の走行キロを大体一日一車平均三百二十キロ、それから実車率は六二%というような基準を置きまして、それからたとえば賃金のアップ率は、これはいろいろ問題がございましたが、現在の経済社会発展計画で考えられておりますところの一二・一%の年率アップというような点、あるいは燃料消費量等につきましてもそういう標準的なものをとりまして、その平均を見る、こういう作業をいたしております。
  123. 河村勝

    ○河村委員 同時にバス運賃についても改定が考えられておりますが、バス運賃についてはどのように算定をされ、一体バスタクシーとのバランスというものをその際にどういうふうに考えたのか。これはちゃんと総合的に関連性を持たせておるか。バスの使命あるいはタクシーの使命を考えて、それはどう考えておるか。
  124. 野村一彦

    ○野村政府委員 バス運賃についてお尋ねでございましたが、現在バス運賃の値上げの申請といいますのは、具体的に出ておりますのは東京の民営、横浜の民営でございまして、公営のバス事業につきましてはただいままだ各それぞれ都あるいは市の議会で審議中でございまして、まだ私どものほうに申請は出ておりません。したがいまして、現在出されました民営につきましても、これだけを先行して検討するというわけにもまいりませんものですから、いろいろ内々の検討は事務的にやっておりますけれども、まだそれが進行しておる段階ではございません。したがいまして、現在の時点におきましてこれをどう取り扱うかということは、まだ私ども白紙でございます。ただ考え方といたしましては、昨年のバスタクシー答申にありますように、バスというものは大量公共輸送機関でございまして、地域住民の必須の足である。これに比べてタクシーというものは公共性はあるけれども、これは特殊な輸送機関で、ドア・ツー・ドアのきめのこまかい輸送をするものだということから、その公共性といいますか、その必須の度合いという面から見れば、タクシーは相当選択性が高いものである。そういうことから考えますと、また公共輸送機関でありますバス本来の機能を回復するためには、運賃面につきましてもやはりそういう性格を持った運賃バスタクシーが比較された場合に、端的に言いますとタクシーのほうがバスよりも多少割り高と申しますか、そういうものになるべきであろうということは、一般論として考えております。
  125. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、タクシーの場合には標準経営費というものを算定をして、一応妥当な線を計算をする。バスの場合には全然そうした作業は常にやっておらないということですか。バスについてやはり経営能力の低いところ、高いところ、いろいろありますね。そういうものは標準経営費みたいなものを算定をしておくということは、値上げをする、しないにかかわらず常になければならない、そう思うのですが、いかがですか。
  126. 野村一彦

    ○野村政府委員 お尋ねの点でございますが、一般にバス運賃を改定する場合の基本的な審査のしかたと申しますか、改定のよりどころというものは、現在私ども経済企画庁との間に一つの了解事項がございまして、タクシーとはシステムはやや違いますが、やはり路線乗り合いバス部門の標準的な企業を選びまして、その収支率を見ていく。その場合の収入とか支出をどう見るかという見方につきましては、やはり基準的なものを中心に見ていって、その地域の収支を見るということは同じでございます。ただ、タクシーの場合は、今回六大都市の改定をいたしましたときの考え方は、収支率を見て、今後おおむね三年間は今回の改定運賃でやっていけるというめどを立ててああいう結論を出したわけでございます。バスにつきましてはいま申し上げましたように、一般的な改定の基準、考え方、審査をする基準というものが、ございますが、まだそれを具体的にアプライをする段階に至っていない。といいますのは、先ほど申し上げましたように、まだ申請が民営以外については出ておりませんので、その判断の材料が具体的にないわけであります。
  127. 河村勝

    ○河村委員 バスの問題は一応おいて、タクシーの問題について、とにかくずいぶん一ぺんに上がって、一般庶民はずいぶん上げやがったなという印象が強いわけですね。だからこの際、あなた方が自信を持って標準経費なりなんなりを算定しておられるならば、その積算の内容というものを堂々と公表をして、一般の批判を受けるということが私は一番よいやり方だと思うのですけれども、そういう意思は運輸省としておありにならないかどうか、大臣いかがですか。
  128. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 タクシーの値上げにつきましては、ただいま自動車局長から御説明申しましたとおり、実車率、走行キロ、収支率、この三者を勘案をいたしまして、その土地その土地にそれがぴたっと基本に合う点でアップ率もきめた次第でございます。したがいまして、いろいろ御批判がございましたが、東京都あるいは大阪あるいはその他の都市とのアップ率も非常に違ってきておるということでございますが、現在の時点といたしましてこれが一番妥当であるということで、やはりそういったような積算の根拠のみをもとにいたしまして上げたつもりでございます。御承知のとおり、その根拠につきましてははっきりした積算の基礎をもってやっている次第でございまして、私はその点では、むしろ実車率の点につきまして、乗車拒否の問題がむしろ経済問題以上社会問題にもなってきておる、こういったようなことで乗車拒否が非常に行なわれて不良運転手が非常に多いというようなことでは困る。私が申し上げるまでもなく、専門知識をお持ちになる河村先生ですから御承知のとおりでございましょうが、昔は地方のほうが運賃は高い、それは需要が少ないからで、東京に来るほど運賃は安くなったということでございましたが、最近は非常に自動車の渋滞でもって走行キロも少なくなってきて実車率は、需要が多くてしかも適正な料金といえないせいもございましょうが、非常に需要が多くなって、したがって、乗車拒否が多いというようなことからいたしまして、実車率の高いところはやはり思い切って上げなければいかぬというようなことでやりました。ただいまのところその効果はあがっておると考えておる次第でございます。そういうような点で、積算の根拠は私は発表してもかまわぬ、またその点は明確にしたほうがいい、私はそう思っている次第でございますが、三者と申しますか、その三つの根拠は十分自動車局でまとめてあると思いますので……。
  129. 河村勝

    ○河村委員 私が言っているだけでなしに、物価安定推進会議などの答申などでもコストは明示したほうがよろしいという勧告もあるのです。そういう何か、何となくやみでしげてしまったというような批判を避ける意味でも、自信がおありなら私は積算の根拠というものは堂々と出したほうがよろしい、出すべきだと思いますが、重ねて最後にそれだけ伺います。
  130. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま大臣から答弁いたしま  したとおりでございますので、企画庁とも十分相談をいたしまして発表する方向でお約束したいと思います。
  131. 河村勝

    ○河村委員 終わります。
  132. 小峯柳多

    小峯委員長 田代文久君。
  133. 田代文久

    ○田代委員 まず第一に大臣にお伺いしたいのですが、国鉄運賃法の改定の問題、それと同時に財政再建促進問題について、私どもはこれは反対ですけれども、新聞などで政府は今度これを出す、大体運賃の値上げ幅などもすでに新聞などに書かれているわけです。大体これを出される腹かどうか、もし出されるとすればいつごろこれは国会に出されるか、ひとつ簡単に御答弁願いたいと思います。
  134. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 国鉄の再建につきましては、国鉄により良質なサービスを提供させるという観点からいたしましても、最近の国鉄の財政悪化の現状からいたしましても、ぜひとも今回は再建策を議会に提出をいたしまして、そして先生方の格別な御協力をいただきましてこれを実施に移したいと思っている次第でございます。  それにつきまして、いつ出すかというので、君のほうはすでに国鉄運賃改定、そして国鉄の財政再建促進法の改定、この二つの関連法案は二つ一緒に国会に提出済みでございます。これをいつ本会議でお取り上げになるか、また委員会でお取り上げになる時期は先生方の御判断にまっている次第でございます。
  135. 田代文久

    ○田代委員 これは大体今月の中ごろに出されろということですか。
  136. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私どもは審議を十分尽くしていただくためにも、なるべく早くお取り上げを願いたいと思っている次第でございます。
  137. 田代文久

    ○田代委員 すでにこれとの関係で今月の十五日からダイヤ改正が行なわれる。もうすでに私はいただいて、時刻表にもちゃんと(「関係ないよ」と呼ぶ者あり)ありますよ、これは。出ておりますが、この問題について質問したいのです。  いまも関係ないというような不規則発言がありましたけれども、これは大ありですよ。そういう運賃の値上げあるいは財政の再建促進という名のもとにやられる計画のもとに、この三月十五日の時刻改正というものが組まれている。現実にこれが全国的に、またたとえば福岡県の筑豊なんかにおいて、あの方面においてどういう影響を及ぼして地域住民の非常に大きな運動を起こしているかというという点は、御承知かどうか知りませんけれども、大体地方線の営業本数、先ほど大臣は、運輸関係の総合計画として地域住民の足を守るということは、これはやはり三本の柱の一つだとおっしゃいましたが、これは当然のことであります。ですから、そういうときに、この地方線の営業本数のうちに普通列車を九百五十八本、四〇%も削減するというようなあれが出ているようですね。それがたとえば筑豊線などでは、わずかなあの地域でローカル線が五十九本も削減されるということで、実際においてもう時刻表には削減された形で出ておるわけです。ですから、これはいま大臣が説明された地方の住民の足を確保するという政策基本方向にも反しておりますし、これがどういう形でこのようになったのか、またすでに時刻表に出しておられるやつを、これをとにかく撤回される意思があるのかどうか、そういう点をまず私は大臣にお伺いしたいと思います。
  138. 山口真弘

    ○山口政府委員 三月十五日の時刻改正につきましては、これは山陽新幹線の完成ともからみまして、従来の白紙時刻改正のときから相当時間もたっておりますし、この際全面的に改めるという意味で改正をしたものでございます。  その改正の中身といたしましては、列車の利用の実態というようなものを十分踏まえまして、あるいは現実のバスなりマイカー等の道路交通手段というものの実態、発達状況というものを考えて、そして地域の輸送の実情、列車ごとの乗車効率というようなものを考えた上で列車のダイヤを設定をいたした次第でございます。
  139. 田代文久

    ○田代委員 いまの答弁は実際に非常に一方的で、これはこの事態の重要性から、私の党としても先日大臣にも申し入れをやりました。国鉄にもこれは党として甲し入れをやりましたが、いまの御答弁を伺いますと、こういう地域住民にじかに関係のある問題は地元の声を聞くという原則、これをとにかく十分やられることなしにこういうことを進めるということは、これは私は政府のやるべきことではないと思うのです。そうすると、実際において、これは地元の住民の意思を十分お聞きになった上でこういうダイヤ改正を決定されたのかどうか、これは実情としましては聞いてはおられないということが、極言すれば言えると思うのです。たとえば門鉄局、九州総局などに対して、単にこれは関係者のじかのあれじゃなくて、自民党系の市長さん、町長さんあるいは市会議長さん、そういう人たちから、それから通勤者から学校の先生、あげてこういうことをやってもらってはたいへんだという声が出ていることは御存じですか、そういう点は。
  140. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 ローカル列車のダイヤ改正について地元の意見を十分聞いておるかという、こういうお話でございますが、国鉄のダイヤの編成につきましては、ただいま運輸省の鉄監局長から御答弁がありましたように、輸送需要をわきまえまして、その量、質、その動向、こういうものをわきまえまして、それに即応するダイヤを構成するというのが原則的な考え方でございます。  そういう意味合いにおきまして、国鉄としましては、日ごろから地元のそういう動向を十分把握するようにつとめているわけであります。もっと具体的に申し上げますと、国鉄の駅にはいわゆる駅勢圏というものがございます。駅勢圏の状況は常に把握するということで、駅勢圏報告というのを定期的にとっておきまして、それにはお客さんの流動状況、それからお客さんの移動状況、それからまた学校、工場、事業場等の状況もつかまえて、一般的にそういうデータを見ておる。あるいはまた、毎日の輸送活動といいますか営業活動を通じて駅長さんの意見を聞くというようなことで、十分平素からそういうような動向を把握しているわけでございます。しかし、具体的にダイヤを改正するということになりますと、これはそのような平素からのそれだけでは十分でないということで、現実には地方の市町村あるいは県というような公共団体を通じましてその事情を説明し、また事情をこちらも吸収し、そして地元の意向が十分反映されるようにできるだけのことを吸収し、かつ鉄道だけじゃなくて総合的に考えながら、できるだけ不便のかからないような総合的な配慮、対策を考えながらダイヤをつくっておる、こういうことでございます。ただ、具体的な場所についてその点が十分であったかどうかという点につきましては、全国すべてにわたって全部十分であるということは申し上げられないと思いまして、その点につきましては今後また十分そういう地元の意向を吸収できるような指導をしなければいけない、かように考えております。
  141. 田代文久

    ○田代委員 ただいまいろいろ抽象的に御説明がありましたけれども、これはもうきわめて不十分ですよ。なぜなら、現在これが発表されて、地元の市長から町長さんから学校の先生から、もちろん通勤者、あげてこれに反対されておるのです。これは地元の意思を聞いておられれば、いまになってそういう大きな運動が起こるはずはないのです。ですから、私は、これは全然聞いておられない、また実情を全然つかんでおらない、こういうことは申し上げませんが、私は、運輸省としてはまた運輸大臣としてはそういう点に非常に不十分で、いまの実情かそんなふうになって、たとえば筑豊から北九州に通勤する場合に、終列車がカットされたためにもうそれで働きに行けない、学校の生徒は、昼間五時間空白ができたために、土曜日なんかとにかくぶらぶらする時間が三時間もあるとか、あるいは汽車に乗りかえるために二時間も空白ができるから、どうしてもその時間を埋めるために子供が心ならずも非行におちいるというような問題が起きるとか、いろいろのことがいま起きて、それを心配される地元の方があげてこれはやられておるのです。そういう点について、なぜ公共性を持つこういう企業に対して手を打たないのか。意見を聞いたとおっしゃいますが、それじゃ済まないのです。最近聞いたのでは、門鉄局にそういう地元の方が陳情に行かれたら、門鉄局長は、もうそれはきまっております、こっちは印刷までできております、だからこれはもうこのままでやってもらわなければしょうがないというような答えをやったのですが、これはけしからぬと思うのです。ですから、これはまだ時間のゆとりがあるし、間違っていればすぐ変える必要がありますし、十分その地元の現在における声聞いていいただいて——これはいろいろ事情があるかもしれませんが、とにかく日中に五時間も空白ができる。いままで埋まっておったのをとるとか、また夜勤が終列車を廃止するためにそういう事情が起こるとか、あるいは子供の非行ということも考えねばならないといったような問題が起こらない方向で、運輸大臣から、国鉄にとにかくそういうことはやるべきではないという指導なり指示をやって、そうしてダイヤのこういうむちゃな改正は十分柔軟性のある形でやり直すという方針をとってもらいたいと思うのですが、どうですか、それはそういう方向を出してもらえますか。
  142. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 このダイヤ改正につきましては、先般田代先生からも御抗議を受けたものであります。また、よその方面からも事情を承りて灯ります。元来これらの仕事は、国鉄自体が国民のために、国民の陸上輸送の大動脈としての使命を達成するために、国民の便利のためにそういったダイヤを改正するということが趣旨でございまして、国鉄自体もその趣旨にのっとってやっている次第でございますが、いまも原岡常務からも説明がございましたように、地方事情を十分しんしゃくをしてやったということでございます。  いろいろまた御非難もありまして、具体的の非難もありますから、私といたしましても、十分そうい。たような地方事情もくみとって、地方事情をよく考えてダイヤ編成をするようにという注意もいたしておきました次第でございます。将来とも、そういったような問題につきましては、十分地方事情を考えてやるべきだと思います。  ただ、問題は、最近は、先ほども申しましたように、スピード化ということを各利用者は非常に希望している向きもございます。また、ところによりますると、バスに乗りている人のほうが列車よりも非常に人が多いというような場合もありまして、そういうのはバス事業につきましても集約的にいたしまして、それでなるべく経済的に効率にするということも考えているところでございまして、国鉄としてもいま赤字線問題で一番悩んで利用者の御負担までもお願いしよう、こういったことでございまして、やはり増収努力というものはまずみずからもって増収努力をするというような観点から一生懸命やったと思いますが、それにいたしましても一番の、本来の目的でございます国民の足の確保ということに非常な不便を来たすということであってはならない次第でございますので、その点も勘案をいたしまして、十分地方の方々の御意見を尊重してやるようにという注意をいたしておるところでございます。
  143. 田代文久

    ○田代委員 時間がありませんからやりとりはやめますが、いまの大臣の御答弁の線に沿って国鉄本社としても、門鉄局あるいは全国でもそういうところがあろうかと思いますが、十分それが無理のないように処置を指示していただくということをはっきりやっていただきたいということを強く要望しまして、次の質問に移ります。  次は、新東京国際空港の問題ですが、これはあそこで一番機がいつ飛ぶかということに国民が非常に注目しておりますし、またこれについてはこの空港のことが問題になりましたときに、これはたしかことしの四月からとにかく飛ばします、だいじょうぶですかということを私は質問しました。ほかの同僚議員からも質問されて、大体だいじょうぶ、飛ぶつもりである、一向飛び出さないですね。この新東京国際空港はいつ一番機が飛び出すようになるのか。これはまだ飛び出さないが、それについてはどういう問題を解決すべきであるかという点について、大臣から御答弁を願いたいと思います。
  144. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは所信表明にも申し述べましたとおり、六月開港を目途といたしましていま鋭意整備をさせている次第でございます。しかし、まだパイプラインの完成に相当時日がかかる点もございます。しかしながらこれらもできるだけ急がせまして、六月中の開港ということを目途としていま鋭意努力をさせている次第でございます。そのゆえに数日前にも保安施設に対する試験飛行を行なわせまして、その他の行動も起こしている次第でございますが、ぜひ皆さまの御協力を願いまして、この過密状態におきまする空港の事情を一刻も早く緩和したい、こういう念願でせっかくやっている次第でございます。
  145. 田代文久

    ○田代委員 六月とおっしゃいましたが、これはだいじょうぶですか。その点についてはまだ非常に問題が残っているので、でき上がればこれ幸いですけれども、その点私どもは非常に危惧しているわけなんですが、それとの関係で、たとえば単に一番機がその滑走路を走ったというだけで片づく問題ではないわけですね。これは周囲の騒音問題から一切あるわけです。ですから、たとえば、千葉県の知事は関係住民との航空機の騒音防止施設の設置などをめぐる交渉をまかされておる。そういう問題は県知事にまかせてしまっておるようですけれども、そういうことについて住民の不安と要求にこたえることができないまま、知事は四苦八苦して何とか財源を見つけ出すというようなことに苦慮して、そうして単独で外国の航空会社を対象に地方税を賦課するというような意向を示したり、そういうことをやっている。それからまた、そういう点と関連して、運輸省自体も空港周辺の住民の対策に迫られてそれは検討中だというようなことですけれども、こういうことが片づかずに大体飛行機が飛ぶか、飛ばすことができるか、こういう問題について、国の対策がただ滑走路を走らせればいいんだというような非常に単純な一面的な考え方からやられるために、あとからこういう問題がぼろぼろ出てきて、そうして実際・においては国の責任であるべきものが地方の自治体がおっかぶって四苦八苦するというようなことにもなっておるので、この点は非常に政府としては責任を感じなければならないと思うのですが、こういう点について大体どういう対策、また問題点を解決されようとしておるか、御答弁願いたいと思います。
  146. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この成田空港の問題につきましては千葉県の知事に非常にお骨折りをかけております。ことにその一番の大きな問題は騒音対策、これにつきましては騒音のひどい地域における公共施設は当然国で出しておりますが、個人住宅に対する騒音防止施設、これもできるだけのことを見なくちゃいかぬということでやっていただいておる次第でございます。しかし、これは終局においては国の責任でございまして、先般の大蔵省との予算折衝におきましてもこの点を強く私ども主張いたしまして、大蔵省も今回は個人の住宅の騒音防止につきましても前向きで検討しようというので調査費をつけてくれたというところでございまして、これは必ず国の責任で解決をしてまいるという所存でいる次第でございます。  先ほども航空局長からそういったような騒音税というような話も出ましたけれども、私はその税のことは絶対いま考えておりません。これはあくまでも特別別会計において、また国の支出におきましてこれを解決していかなくちゃいかぬ。少なくともまず第一番には、第一種空港につきましてはそれらを解決していかなければならないということをいま考えておる次第でございます。そのつなぎと申しますとはなはだ恐縮でございますが、それが必ず確立されなければならない。それを確立しなければこれからの空港整備というものはなかなかうまくいかないのじゃないかというふうに考えておりますし、世論もおかげさまでだいぶそういうふうになってまいっておりますので、ぜひともそれを解決したい。それまでの間に具体的の問題といたしまして千葉県にごやっかいになる、こういうふうな実情でございますので、これを決してないがしろにしている次第ではございません。必ず国の責任におきまして騒音対策は解決してまいりたい、付近住民に御迷惑をかけないようにしてまいりたい、こういう強い決心でいま臨んでおる次第でございます。
  147. 田代文久

    ○田代委員 ただいまの大臣の御答弁ですが、どうか基本的に県とかあるいは地方自治体、市町村などに非常に重荷がかかるような、そういうことは絶対にないようにこれは責任を持ってやっていただきたいということを要望し、そういう地方自治体に対して空港の建設に伴う特別の措置の義務を負わせるみたいなことは実際どうなっておるかというような点、これはなお知りたいと思いますから、資料をその点ではぜひともほしいと思いますので、出していただきたいと思います。  それから、時間がありませんから非常にこの問題に関係してくる大事なことですが、新東京国際空港が開港されるという場合に、この施設とかあるいは官庁、民間を含めて多くの勤務員がたとえば羽田からあちらにとにかく移動するということが起こるわけです。そういうことが指示されているというような問題が当面あるのですね。こういう問題についてとにかく十分手を尽くしたプランと、またこれが実際において無理なくどんどん進行しているかというと、私実情を聞きますと、そうじゃないのですね。また、この問題については、外国の航空会社からもいろいろのことを言っているというような問題もありまして、とにかく税関とかあるいは管制関係あるいは空港の設備、運営など、そういう不可欠な地上の勤務員の移動あるいは移住の問題で、この家族を含めれば大体一万数千人が移動するというようなことになるというのですね。しかし、そうすると、これは実に大問題なんです。そういうことになると、実際に住宅の問題とかあるいは環境、設備の問題、こういうのはどんどん完成しなければ、ただ行け行け、行ってみたら野っ原だった、まさかそうでもありませんでしょうけれども、そういうことでは、これは問題にならぬ。これでは空港ができ上がったということにならないと思うのです。ですから、こういう問題について、大体どういうふうに進行しつつあるのか。国の出先機関あるいは民間の航空会社も含めまして、関連企業あるいは運輸省関係、これに対しては大体どういうふうな対策を持って進んでおられるか。私どもには、そういう見るべき対策というものがなくて、ただ行け行け、あなたたちは行ってしまったらいいんだということを言っているみたいにしかこれは受け取れない。ですから、こういう点をどんどんやってもらいたいし、またそれはどうなっているか。たとえば、この空港内には医者は常勤しないというのです。そうして、医者が要る場合には外の赤十字社を使えばいいじゃないか、こういうことを言ったり、また数千人が働く職場というのに、休養や簡単なレクリェーションの設備などというものに全然着手もしていない。  それからまた、航空機の整備上の勤務、これは夜間がおもになるわけですけれども、これを三直から四直に引き延ばされるというような——四直なんかやられたら、人間のからだはもちっこないですね。ところが、そういう無理がなされるというような計画なんです。  それから、日本航空などは、食堂なんかというものはなくて、実際上は給食弁当を配って、それで済ませるとか、あるいは人のいない、無人の喫茶というような、そういう方向でとにかくこれを片づけるとか、それから当然そういうたくさんの従業員からすれば、労働組合の事務所なんか必要ですけれども、そういう設備の便宜などというものもはかろうとされておらない。  それから、警備ですが、現在航空問題で警備問題が重要なポイントを占めるようになりましたけれども、警察官と、ガードマン会社との契約によってその警備を片づけるというようなことが考えられているとか。こんなことでは大問題だと思うのです。ですから、住宅の確保あるいは勤労者や通勤者のいろいろな不安というようなものですね、それをどういうふうにして解決するのか。ある会社では独身寮は一人で三畳の部屋があてがわれる、それでやっていけとかいうようなことを言っているそうです。航空関係者だけで一万人をこえるというような多数の人が移動される場合に、これが国家的な事業なんて言えたものじゃないのですね。実際にこれはあまりに無策であるし、むちゃくちゃだと思うのですよ。ですから、こういう問題は非常にトラブルが起こりつつあるし、また起ころうとしている。その場合に、とにかく公務員の場合は労働組合と関係省とがいろいろ交渉すればいいんだとか、あるいは民間のものは民間同士の間で話し合ってやればいいとかというようなことがいわれているでしょう。こんなことでこれは解決できるはずはないと思う。ですから、こういう問題は、運輸省なり政府は、高い観点に立ってこういうまだ新しい空港が開設されるわけなんですから、ほんとうの産婆役をつとめて、そういうトラブルがないような形で処置する、指導する、また責任をもってやられるということが非常に大事じゃないかと思うわけなんです。運輸省なり運輸大臣は、国家公務員それから民間航空関係者を問わず、勤労条件とかあるいは生活条件などについて出されておる不満とか要求、それから要望事項をよく聞いて、そして運輸省として解決すべきことはこれはもちろんですけれども、さっき言いましたような、これは全体の指導と責任の観点に立つわけですから、他省やあるいは地方自治体の責任になっておる事項についても要望を十分聞いた上で、適切な協議を行なう、あるいはまた産婆役を果たすということで、トラブルとか、いろいろ不自由がなくなるようにしていただかなければならないと思うのですが、こういう点についての政策なり考え方はどうなっておるかお聞かせ願いたいと思うのです。
  148. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま先生お話ございましたように、まことにいろいろな問題がございます。そこでまず第一の問題は、私は住宅の問題と交通の問題であろうかと思います。普通、日本の会社ですと、会社のほうで社宅を持つとか、そういうふうな慣習があるわけでございますけれども、一番困るのは外国の航空会社等の従業員でございます。この従業員の方々には、私も現実にお会いしていろいろ話を聞き、御相談を受けた覚えもございます。そういうことで私どもといたしましてもこれが一番気になりますので、あるいは県営住宅のごあっせんを願うとか、あるいは住宅公団並びに建設省にお話をいたしまして、何とか住宅公団の賃貸を優先的に回してくれというお話をいたしまして、現在千葉県営住宅あるいは千葉県の住宅供給公社それから日本住宅公団、そういうものの賃貸、分譲を含めまして大体千戸程度のものがいま確保されているのじゃないかと存じております。もちろんこれだけで足りるとは思いませんけれども、こういったものを軸にいたしまして、さらにできる限りのことはしてまいりたいというふうに考えております。  それからこれも先生指摘でございましたが、下水道の問題がございます。これにつきましても千葉県知事に、この辺の御配慮を、環境整備関係もお願いしているわけでございます。  それから次に、通勤の問題がございます。これは御本人の通勤と子弟の方々の学校その他の通勤、通学の問題がございますので、この点につきましては通勤時間等の実態調査をいましておりますけれども、それによって適切な時間帯にバスなり電車なりの運行がしてもらえるように、そういったことをいろいろお願いしたいというふうに考えております。  それからあと、お医者さんの問題がございました。これはまず、公団の方の管理棟にはお医者さん、医務室をつくるように考えておりますけれども、まだ具体的な人選まではいりていないと思います。そういう方向で考えたい。さらにまたそれだけで足りない医者、医療施設あるいは厚生施設の問題、これにつきましてはいま公団のほうで関係者を集めていろいろ協議しているところでありますので、これがうまく進捗いたしますように私どもといたしましてもできるだけのことはいたしたいというふうに考えております。  それからなお住宅の問題がございましたけれども、これは本来私どもで全部できればよろしいわけですけれども、とてもそれだけの努力はできませんので、やはり民間会社におきましては民間会社の一つの厚生施設というようなことでお考え願いたい。その際に、私どもとしても御援助できるならば、できるだけのことはいたしたい、こういうことでございます。  大体概要を申し上げますと、以上のような考え方で進んでおります。もちろん十分でないことは多々あると思いますが、そういうふうな気持ちでひとつやってまいりたい、こういうふうに存じます。
  149. 田代文久

    ○田代委員 大臣どうですか、家の問題とか、いろいろトラブルがあり、これは運輸省の責任においてとにかくやってもらいたいという問題……。
  150. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 御指摘のとおり国際空港でございますので、私ども全面的に責任を持っておる次第でございます。ことに新しいところに参る次第でございますので、生活の変化その他につきましては、やはり完備しておりましても非常に不十分といいますか、不便、不安というものはつきまとうと思う次第でございます。でございますから、よほど施設その他につきまして十分な配慮をしていかなければならないと思っております。御指摘の、貴重な御意見でございますので、十分拝しまして各機関にそれぞれ周知徹底方をはかりまして、できるだけのことはしてまいりたい、こういうふうに思います。
  151. 田代文久

    ○田代委員 最後の一点ですが、騒音の問題ですね。これも大問題です。運輸省は環境庁が示した航空騒音の規制、この理想的な環境庁の規制はとてもできないんだというふうな、拒否するような姿勢を示されたというんですけれども、これは私ども正しくないと思うのです。そういう点について騒音問題を非常に重視されて、そういう立場からどのようにやられるか。予算の組み方などもさっきちょっと伺いましたけれども、これは非常に不十分だと思う。そういう点では騒音対策として今後非常な大問題になると思うんです。ですから、環境庁のそういうことは聞けないとかいうようなことではなくて、実際に私は同じ政府の施策の重要な点ですから、それに対する、とにかくどういう姿勢でこの騒音対策について臨まれるか、大臣の所見を伺いたいと思うのです。
  152. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 環境保全公害防止というものは、いまもう内政上の一番大きな問題になっておりまして、私ども運輸行政をやります場合におきまして、環境保全公害防止ということは、特に重点を置かなければならないと思う次第でございます。騒音の防止につきまして予算も少ないという次第でございますが、四十六年度と比べていただきますと、相当いまのところ取っておる次第でございまして、それらにつきましても、先ほど申しましたとおり、私どもの責任におきまして将来は騒音の防止対策に当たってまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。それゆえに環境庁もできた次第でございまして、環境庁が大所高所から騒音規制のためにいろいろ基準をつくっている、まことにけっこうなことだと私は思っておる次第でございます。したがいまして、それらの方向に向かって進んでまいりたいと思っておる次第でございます。  それで、伊丹の場合におきましては、大体におきまして国際空港になっておりますが、国際線の乗り入れというものは非常に少ない。ことに夜間はほとんどございませんということでございますので、環境庁の方針どおりやっていけるのではないか、こういうふうに思っておる次第でございます。ただ郵政省のほうの夜間のプロペラ機の問題、これは郵政省すぐ全面的に禁止することにつきましていろいろの問題がございますが、漸次これは具体的に解決をしてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。  一方、羽田の問題でございますが、羽田の問題は国際航空がほとんど非常に大きな部分を占めておりまして、日本におきましても御承知のとおり深夜に外国の空港に着く場合が非常にございます。それに環境庁も非常に余裕を持った勧告をいたしておる次第でございまして、一定の期間を限ってというような問題もございます。実情に合  わしたような方法によりまして、できるだけ騒音防止の趣旨に合うような方向で解決をいたした  い、こういうふうに思っておる次第でございます。
  153. 田代文久

    ○田代委員 終わります。
  154. 小峯柳多

    小峯委員長 本日は、これにて散会いたします。   午後四時五十四分散会