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国務大臣(
佐藤榮作君) ただいま
上田君の
お尋ねは、
国連における
共同提案国になったこと、それが破れた今日、非常にむずかしい
状態になるのじゃないか、追い込まれるのじゃないか、また
日本孤立化と、そういう表現はなさらないが、そういうおそれすらあると、こういうような御
意見のように思います。
私は、いわゆる
共同提案国になったこと、これが破れたこと、これは
国際世論から申しまして、とやかく言う筋のものではないように思う。いまさら破れたからどうこうだと、そういうものではないように思っております、
決議そのものの筋から申しまして。ただ、
日本外交が十分に実情を把握してない、その結果がただいまのような、破れるような
提案をしたのじゃないかと、こういう御批判については、私も謙虚に耳をかしたいと思いますし、これから
十分事態の推移というものを正確に把握しなければならない、そのことが大事なことだと、かように考えております。しかし、ただいま申し上げますように、
流動状態にあるこの
国際情勢、これをある程度の
希望意見を持ちながら把握するということはなかなか困難なことだろうと思います。したがって、あながち
外務官僚だけの
責任というわけにもいかないと思います。どうもこういう
事柄は、純然たる冷静な客観的事実としてなかなか認識されにくいものである。ある程度やはり
自分たちの意欲的なものも入る、そういうところにただいまのような失敗があるのがと、かように
一つ私は思っておりますから、今後そういうような間違いをしないようにいたしたいものだと思いますし、ただ、昨年とことしでは、よほど変わっておりまして、
アルバニア案とわれわれの
提案との
相違は、ただ一点だけ、
台湾の処遇についての考え方だけの
相違であります。そういうことを考えながら、実体的には、何といいましても、
中華人民共和国、これが
国連に迎えられること、同時にまた、
安保委員会の
常任理事国になる、これを勧告するという立場においては、われわれも非常な変化を来たしておるのでありますから、これらの点は十分に評価されてしかるべきではないだろうかと、かように思っております。また、
台湾については、われわれが
日華平和条約を結んでおる、そういう
関係がありますから、これについて一顧だに値しないと、かような態度でいるわけにはまいりません。でありますから、私は、そういう
意味で、このわれわれの案が通らなかったことについては、まことに残念に思いますけれ
ども、私は、いま言われるように、全然別な方向にいっていたと、こういうものでないことだけは、ひとつ御
理解をいただきたいと思います。
第二の問題、いわゆる
沖繩の核の問題であります。
ロジャーズあるいはパッカード等々の
国会における
証言等、これは、申すまでもなく、
返還後において核がないということ、このことを声を強めて表現したものだと私は思っております。したがいまして、この問題について、先ほど
宮之原君からも
お尋ねがあり、また、それについて
外務大臣からもお答えいたしましたが、私は、これらの点は、どうもいままでの
政府の
答弁だけではなかなか
納得が得られないんじゃないかと、かように思っておりますので、そこで、私は、何か県民の不安を除去するような
方法はないだろうか、また、
日本国民としても、そういうような不安、
疑惑、そういうものを一掃する
方法はないだろうか、
そこらについて、これからさらに私
どもくふういたしますと、こういうことを実は申しておるのでありまして、どうも
最高責任者が、核は撤去する、核のない
状態と、かように申しましても、また、
国会で、核がなくなります、いわゆる
返還時にはそういうものはありませんとか、かように申しましても、なお
疑惑が残っている。これは、どうもいま困りますのは、
国際法上から申しまして、外国の軍隊の中の
査察、こういうことができない、こういうことがあるものですから、私
どもも、どうも
国際法上むずかしいことですと、こう言わざるを得ないんですけれ
ども、しかし、何かもう少し、外から見ましても、これはなくなったんだと、そういう
警戒体制、特別な
警戒体制はなくなりました、こういうことが言えるようになれば、
国民としても、いわゆる
査察まではやらないが、その辺で大体
納得もいくんじゃないだろうか、かように私は思う次第でございまして、
そこらの、何か、県民、同時にまた
日本国民からも
納得のいくような、そういう措置をとりたい。
私は申すのですが、いま本土における米軍基地は相当多数ございます。しかし、本土において核があるかもしれないというような
疑惑を持っている人は、まあないようになったと思っております。私は、そういう
状態が、本土並みになる、安全保障条約は本土に適用されると同じように
沖繩に適用される、また、関連取りきめもそのまま
沖繩に適用される、こういうふうに考えますと、おそらく、いまの不安、いまの
疑惑、そういうものはそのうちになくなるのじゃないだろうか、また、それがなくなるようにわれわれも努力しなければならぬ、かように思っておるような次第であります。