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1971-11-08 第67回国会 参議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月八日(月曜日)    午後四時七分開会     —————————————    委員の異動  十一月六日     辞任         補欠選任      上林繁次郎君     中尾 辰義君  十一月八日     辞任         補欠選任      戸叶  武君     上田  哲君      阿部 憲一君     三木 忠雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         徳永 正利君     理 事                 白井  勇君                 玉置 和郎君                 西田 信一君                 初村瀧一郎君                 若林 正武君                 松永 忠二君                 山崎  昇君                 塩出 啓典君                 向井 長年君     委 員                 小笠 公韶君                 長田 裕二君                 梶木 又三君                 川上 為治君                久次米健太郎君                 楠  正俊君                 熊谷太三郎君                 世耕 政隆君                 土屋 義彦君                 内藤誉三郎君                 長屋  茂君                 平島 敏夫君                 山崎 竜男君                 山本敬三郎君                 山内 一郎君                 吉武 恵市君                 上田  哲君                 片岡 勝治君                 神沢  浄君                 沢田 政治君                 杉山善太郎君                 羽生 三七君                 藤田  進君                 宮之原貞光君                 安永 英雄君                 中尾 辰義君                 三木 忠雄君                 矢追 秀彦君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君                 渡辺  武君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  前尾繁三郎君        外 務 大 臣  福田 赳夫君        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        文 部 大 臣  高見 三郎君        厚 生 大 臣  斎藤  昇君        農 林 大 臣  赤城 宗徳君        通商産業大臣   田中 角榮君        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君        郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君        労 働 大 臣  原 健三郎君        建 設 大 臣  西村 英一君        自 治 大 臣  渡海元三郎君        国 務 大 臣  大石 武一君        国 務 大 臣  木村 俊夫君        国 務 大 臣  竹下  登君        国 務 大 臣  中村 寅太君        国 務 大 臣  西村 直己君        国 務 大 臣  平泉  渉君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛施設庁長官  島田  豊君        防衛施設庁総務        部長       長坂  強君        沖繩北方対策        庁長官      岡部 秀一君        沖繩北方対策        庁総務部長    岡田 純夫君        外務省アメリカ        局長       吉野 文六君        外務省条約局長  井川 克一君        外務省国際運合        局長       西堀 正弘君        大蔵省主計局長  相澤 英之君        大蔵省銀行局長  近藤 道生君        大蔵省国際金融        局長       稲村 光一君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十六年度一般会計補正予算(第1号)  (内閣提出衆議院送付) ○昭和四十六年度特別会計補正予算(特第1号)  (内閣提出衆議院送付) ○昭和四十六年度政府関係機関補正予算(機第1  号)(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十六年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十六年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十六年度政府関係機関補正予算(機第1号)  以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。松永君。
  3. 松永忠二

    松永忠二君 議事の進行で発言いたします。  きょうの質問に入る前に、総理大臣にひとつ見解をお聞きをしたいわけです。  御承知のように、必要やむを得ざることではありましたけれども、二日には、園遊会を開かれ、長時間やはり予算委員会審議中断をされ、きょうは、授賞のために総理がやはり長い時間をさいて、結局長い時間審議中断をされた。しかも、政府だけの責任ではありませんけれども、従来、補正予算参議院委員会の中を縫って衆議院が本会議を開くなどということはいまだかつてなかったわけです。これは例を調べてみても、四十五年度、四十四年度、四十三年度、これは二日の補正予算委員会でありましたが、四十二年は五日間あったわけであります。しかし、予算委員会の途中で衆議院が本会議を開くなどというようなことはなかったのであります。今回は、その本会議衆議院は強行してやられて、しかも、ああいうようなざまで非常な長い時間審議中断をするという結果になったわけであります。  御承知のとおり、参議院予算委員会衆議院予算の直後に開かれるのであります。したがって、この国民注視の中で関心を持たれながらこの予算審議をするということについては、参議院としては、よほどの苦心と努力が私は必要だと思うのであります。しかし、こういうようなばらばら審議であっては、こういうふうな国民注視関心の中で重要な予算審議をすることはできない、はなはだ不満であります。  私は、この際、こういう私たち気持ちに対して、総理であり、しかも自民党の総裁である佐藤総理から、ひとつ私たちのこういう見解についてどういう見解を持たれておるのか、その御意見を聞いた上で、私は、本日の審議に入ってもらいたいと思うのであります。
  4. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま、今回の補正予算審議中に衆議院において本会議が開かれ、しかも、それが政府手違いでたいへん時間をとった。そのために、審議における中断、そういう事態が起きたと。これは申すまでもなく、審議は継続されてやれ、そうしてあぶらがのった与野党の質疑応答、そういうことが継続されて初めて十分の効果をあげることだと思います。しかし、ただいま言われるような事態が起きて、そのために、俗なことばで言えば、審議の腰が折られたと、こういうことで、たいへん御迷惑をおかけしたように思います。  私は、もちろん政府側で、政府でございますし、ただいまも、総理であり総裁だと、こういう意味で、私の所見をお尋ねでございましたが、本来、国会審議に関する事柄は、もちろん各党国会対策委員長が折衝して、国会審議正常化をはかっておるわけでございます。それが、ただいま言われるように、補正予算審議中において衆議院において本会議が開かれるということはないというのがいままでの例だと、こういうことですが、ただいま言われるように、私は、中断し、そのために審議の気勢をそいだということで、まことに残念に思います。しかし、事柄各党国会対策同土で相談すべき事柄のように思っております。ことに、私、たいへん心外に思いましたのは、衆参両院同じ時刻に本会議が招集されている。こういうことなぞは、まことにいままでにないことでございまして、これなぞは各党の間でもっと緊密な連絡をする。もちろん、政府与党衆参両院運営についてもそごを来たさないようにする第一の責任だと思いますが、そういうこともありまして、いろいろ今回は皆さま方に御迷惑をおかけしたように思います。国会運営に当たりましては、二院制度であることを前提にし、しかも、その間において円滑なる運営ができるように一そうの注意をはかることが、これはもう当然でございます。私は与党総裁として、まず第一に責任があると、かように思っておりますので、ただいまの御意見につきましては、さらに私は十分与党国会対策にも注意を促すつもりでございますが、どうかこの意味において、今回のできごとも御了承を賜わり、同時にまた、今後の運営につきましても、各党十分話し合いを緊密にいたしまして、それぞれの意見意見として違っておりましても、国会運営そのものについては必ず一致点を見出すように努力するように、またこの上ともよろしくお願いしたいと思います。  以上のように、私は、今回のとられました措置について、参議院予算委員会審議の途中において衆議院で本会議が開かれる、これもやむを得ないこととはいいながら、しかも、それが政府手違いで長時間にわたって皆さん方に御迷惑をおかけした、こういうことなぞを思いますと、その責任はまことに重大だと思うし、今後の運営について、そのようなあやまちが二度と繰り返されてはならないと、かように思いますので、私の党、これがまず第一の責任者として十分気をつけるようにいたしたいと思います。どうかひとつ以上私の率直な意見をおくみ取りいただいて、今回のことは今回のこととし、今後の処置として、十分国会運営そごを来たさないようにいたしたいと努力するつもりでございます。まことに残念なできごとが起きたこと、これを深くおわびをいたします。
  5. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 関連して。  一昨日の事態は、全く私の不注意のいたすところでありまして、その結果、参議院予算委員会審議にたいへん御迷惑を及ぼした。私、深くこれを遺憾とし、この席をおかりいたしまして、おわびを申し上げます。     —————————————
  6. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 宮之原君。
  7. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 具体的な質問に入ります前に、三点ほど、まず確めておきたいことがあります。  その一つは、総理沖繩県民に対するお気持ちにつきましては、一応、所信表明の際にお聞きをいたしたわけでございますが、重ねてこの機会に総理のお気持ちをお聞かせ願いたいと思います。
  8. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはもう所信表明でも申し上げたとおりでございますが、私自身総理になりまして、そうして沖繩に参りまして、そしてその際に申したのは、沖繩本土復帰なくして戦後は終わらない、こういうことを実は申したのであります。ただ口先だけでなしに、私は、戦時中における沖繩県民、それが祖国防衛の第一線だったと、そうしてほんとうに、所信表明演説で申しましたように、全島焦土と化した。また、男も女も、老若その差を問わず、すべてが戦禍に悩んだ、たいへん苦しい思いをされた。そればかりではない、戦争が終わってからは、引き続いてアメリカ施政権のもとで苦労を重ねられた。このことをほんとうにわれわれが表現するようなことばすらないんだ、こういう気持ちほんとうに私は胸がいっぱいでございます。私は、そういう意味で、沖繩県祖国復帰を実現すると同時に、りっぱな沖繩県づくりをしたい、これが私の念願でもございます。その点を率直に訴えた次第でございます。
  9. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ときに、総理中国国連参加ニクソン訪中あるいは朝鮮半島におけるところの南北の話し合いの機運などと、アジア情勢は、日米共同声明のときと比しますと、非常に大きく変転をしていると考えられますが、その点いかがでございますか。
  10. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 確かにアジアの諸事情は変転しておると思います。ことに、中華人民共和国国連に参加する、招請される以前と、招請された今日、これはもう格段の相違でございます。われわれは、その歴史的な事実を率直に受け取るべきだと、かように思っております。  また、ただいまお話のありましたニクソン訪中、これはまだ実現をしておりませんが、近く実現するものだと思わなきゃならない。そうしてニクソン訪中をした暁において、どういうような話し合いをするか、これは十分見守らなければならないと思います。  また、もう一つ、ただいま韓国に触れられました。私はしばしば申し上げるのでありますが、世界において、いままでは四つの分裂国家がある、その一つ、それは韓国でありますし、ベトナムであります、同時に、またドイツであります、同時に、中国がその中に入っていた、かように思います。そういうような分裂国家のあること、それが今後どういうように解決されるか、これは私どもの世代において解決されなければならないたいへん重大なる案件だと、かように私は思います。なかなか簡単なものではありません。むずかしい問題だと、かように思いますけれども、平和のうちにこれらの問題がそれぞれ公正に解決されることを心から願っておるような次第であります。
  11. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いまひとつお伺いしておきたい点は、いまアメリカの議会におきましても、返還協定の問題についていろいろ討議をされ、新聞はそのことについていろいろ報道いたしておりますが、私は、その中で核の問題についてはどうも合点のいかないところの点があるわけでありますが、一応それはそれなりにおくといたしましても、政府は、この上院におけるところのいろんな討議内容についての情報は、新聞紙上にあらわれておるところの内容大差ないものと理解されておるのかどうか。もし違う点があるならば、この際前もって明確にしておいてもらいたいと思います。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 大体大差ないように思います。ただ、核が現在あるかのごと新聞報道は——あるかのごと政府当局答弁をしたということについての新聞報道ですね、これは事実と違っておるようであります。核が今日あるかないかは、あの席上では明らかにされておらない。返還時においては核はなくなる、こういうことを終始言っておると、こういうふうに御理解願いたいと存じます。
  13. 上田哲

    上田哲君 関連。  総理にお伺いをいたします。  ただいま国連の問題あるいはアメリカ上院の問題が焦点になっておりますが、政府対外情勢の分析その他の把握については、たいへん私はあいまいな、正確でない点が多いように思います。その点について二、三お伺いいたしたいと思います。  私自身が、このたび国連アルバニア決議案が議決される瞬間に、野党ではたった一人立ち会ってまいりました。その前後の事情をつぶさに目撃いたしますと、まことに日本外交というものの誤り、ミス、あるいはこれから先のむずかしさということを実感をいたしました。共同提案国政府が踏み切られたということについて、このこと自体は、そのときの問題はともかくとして、まあまあ、それからあとの問題に比べれば影響は少なかったと思います。エドワード・ケネディまでが、一体、この苦しいときに日本佐藤さんだけは一生懸命やってくれたじゃないか、佐藤さんが国会で四苦八苦しているから、これでニクソンはほおっておいていいのかなんということを演説をしておる。そのことを唯一の例外にすれば、共同提案国になったということよりも、それからあと日本代表部を中心にして、実にこまめに勤勉に全世界に多数派工作を行なったということの結果は、あの大きななだれをなしたアルバニア決議案の決定のあとから激しく日本外交というもののあり方について白眼嫉視を大きくしております。中国代表団国連に入って、多国間交渉の場の中でたいへんむずかしくなっている日中国交回復一つの足がかりが得られるのではないかというような希望的観測があるようでありますけれども、しかし、現地においてこれを眺めるならば、はなはだ共同提案国への踏み切り及びそのあとの激しい多数派工作の主役を演じたという日本外交結着というものは、国連の場が全く日本中国との外交関係をいままで以上にもっと遠くに隔てさせた。国連の場では今後日中国交回復への可能性はないだろう、こういうことが定着しております。はたしてそのことが太平洋の波を越えて総理の胸の中にしっかりとたたき込まれているのかどうか。国連そのものは、あの多数派工作の後、非常に日中国交回復の前進のためにむずかしくなっているという現実をどのように御理解になっておられ、また、どのような反省をしておられるかということをひとつ、ぜひ伺いたいと思います。  もう一つアメリカ上院外交委員会公聴会ロジャーズ国務長官が話をいたしました。質疑も行ないました。その後の報告に基づいての国会答弁によりますると、政府は、特に総理は、ロジャーズ国務長官核撤去について確認をしたと、翌日のパッカード次官のことばも含めて、非常に悪いことばを使えば、鬼の首を取ったように御説明をなすっておられます。しかし、ごらんいただきますように、これが当日ロジャーズが読み上げましたステートメントであります。このステートメントは正式なものでありまして、この内容のどこをとりましても、沖繩の核という文字は見当たらないのであります。中に一つ核ということばが出てくるのは単語としては二つでありますけれども、今後とも引き続き日本を核のかさでおおうということは書いてありますけれども沖繩から核を撤去するということはどこにもこの中には入っていないのであります。そのあと、サイミントンあるいはフルブライト等質問に応じて述べたと称するものも、きわめて、たとえばフルブライト質問の、沖繩に核があるなどということはみんな知っておるじゃないか、何を隠しておるのかということに対しては、たいへんセンシブルな質問になるから、きのう提出した書類によって見てもらいたいという以上には言っていないのであります、私の耳に間違いなければ。こういう正式な文書の中には核撤去の「て」の字もない。二、三の雑談のようなものの中にきわめてあいまいに申し、言及させられたというとこばをとらえて核撤去証言が得られたということは、これほどいろいろな側面からわれわれが議論しております沖繩協定についての言質としては非常にあいまいでありまして、手がかりにはならないと思うのであります。このことをもって、総理日本国政府を代表されて、アメリカ上院外交委員会では核撤去証言があったとなされることは、はなはだ不適当であると考えるのでありますけれども、いかがでありますか。二点お答えを願います。
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま上田君のお尋ねは、国連における共同提案国になったこと、それが破れた今日、非常にむずかしい状態になるのじゃないか、追い込まれるのじゃないか、また日本孤立化と、そういう表現はなさらないが、そういうおそれすらあると、こういうような御意見のように思います。  私は、いわゆる共同提案国になったこと、これが破れたこと、これは国際世論から申しまして、とやかく言う筋のものではないように思う。いまさら破れたからどうこうだと、そういうものではないように思っております、決議そのものの筋から申しまして。ただ、日本外交が十分に実情を把握してない、その結果がただいまのような、破れるような提案をしたのじゃないかと、こういう御批判については、私も謙虚に耳をかしたいと思いますし、これから十分事態の推移というものを正確に把握しなければならない、そのことが大事なことだと、かように考えております。しかし、ただいま申し上げますように、流動状態にあるこの国際情勢、これをある程度の希望意見を持ちながら把握するということはなかなか困難なことだろうと思います。したがって、あながち外務官僚だけの責任というわけにもいかないと思います。どうもこういう事柄は、純然たる冷静な客観的事実としてなかなか認識されにくいものである。ある程度やはり自分たちの意欲的なものも入る、そういうところにただいまのような失敗があるのがと、かように一つ私は思っておりますから、今後そういうような間違いをしないようにいたしたいものだと思いますし、ただ、昨年とことしでは、よほど変わっておりまして、アルバニア案とわれわれの提案との相違は、ただ一点だけ、台湾の処遇についての考え方だけの相違であります。そういうことを考えながら、実体的には、何といいましても、中華人民共和国、これが国連に迎えられること、同時にまた、安保委員会常任理事国になる、これを勧告するという立場においては、われわれも非常な変化を来たしておるのでありますから、これらの点は十分に評価されてしかるべきではないだろうかと、かように思っております。また、台湾については、われわれが日華平和条約を結んでおる、そういう関係がありますから、これについて一顧だに値しないと、かような態度でいるわけにはまいりません。でありますから、私は、そういう意味で、このわれわれの案が通らなかったことについては、まことに残念に思いますけれども、私は、いま言われるように、全然別な方向にいっていたと、こういうものでないことだけは、ひとつ御理解をいただきたいと思います。  第二の問題、いわゆる沖繩の核の問題であります。ロジャーズあるいはパッカード等々の国会における証言等、これは、申すまでもなく、返還後において核がないということ、このことを声を強めて表現したものだと私は思っております。したがいまして、この問題について、先ほど宮之原君からもお尋ねがあり、また、それについて外務大臣からもお答えいたしましたが、私は、これらの点は、どうもいままでの政府答弁だけではなかなか納得が得られないんじゃないかと、かように思っておりますので、そこで、私は、何か県民の不安を除去するような方法はないだろうか、また、日本国民としても、そういうような不安、疑惑、そういうものを一掃する方法はないだろうか、そこらについて、これからさらに私どもくふういたしますと、こういうことを実は申しておるのでありまして、どうも最高責任者が、核は撤去する、核のない状態と、かように申しましても、また、国会で、核がなくなります、いわゆる返還時にはそういうものはありませんとか、かように申しましても、なお疑惑が残っている。これは、どうもいま困りますのは、国際法上から申しまして、外国の軍隊の中の査察、こういうことができない、こういうことがあるものですから、私どもも、どうも国際法上むずかしいことですと、こう言わざるを得ないんですけれども、しかし、何かもう少し、外から見ましても、これはなくなったんだと、そういう警戒体制、特別な警戒体制はなくなりました、こういうことが言えるようになれば、国民としても、いわゆる査察まではやらないが、その辺で大体納得もいくんじゃないだろうか、かように私は思う次第でございまして、そこらの、何か、県民、同時にまた日本国民からも納得のいくような、そういう措置をとりたい。  私は申すのですが、いま本土における米軍基地は相当多数ございます。しかし、本土において核があるかもしれないというような疑惑を持っている人は、まあないようになったと思っております。私は、そういう状態が、本土並みになる、安全保障条約は本土に適用されると同じように沖繩に適用される、また、関連取りきめもそのまま沖繩に適用される、こういうふうに考えますと、おそらく、いまの不安、いまの疑惑、そういうものはそのうちになくなるのじゃないだろうか、また、それがなくなるようにわれわれも努力しなければならぬ、かように思っておるような次第であります。
  15. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 関連ですから、質問は簡潔にお願いいたします。
  16. 上田哲

    上田哲君 ただいまの総理のお話は、現場で見ておりました、国連で見ておりました感じからすれば、はなはだしく実感に遠いものであります。失敗したというお話でありますから、そこのところを重ねてひとつお伺いしたいことは、いかにしても、共同提案国になることが一つのポリシーでありましょうけれども、そのポリシーを受けて、いかにも諸外国の評価で言えば、日本は戦後二十六年間最初の外交活動をやったのがこれだと言われておるのであります。いつでも引っ込み思案で、陰に隠れていたが、今回だけは前へ出てきた。出てきたやり方が、何という勤勉にも国府のためにがんばったのであるか、こういうことが非常に強い評価であります。したがって、日中関係は非常に遠くなった。ちょっと間違ったのであるということだけではこれは相済まぬのでありまして、戦後最も遠くになった日中関係を、国連の場で、あるいは北京に直接指向して、どういうふうに外交政策上転換をなさるのかということをひとつ具体的に伺いたいということが一点であります。  もう一つロジャーズの問題でありますけれども、何らかの確認についてのことばが得られなければならない、これはもう外交上の具体的なイロハであろうと思います。また、政府答弁もそこにあったと思います。ペンタゴンの関係者に会って話を聞いてみますと、この問題はペンタゴンではない、核を持っているペンダゴンではない、具体的にはニクソンないしはロジャーズ以外にはないということであります。そこで、私もロジャーズに会いました。ロジャーズは、このことについて、総理がかって国会で表明されたような、返還についての何らかの確認を、ステートメントを出すということについては、出さない、これは今後とも出さないということを明確に答えました。あるいは、日本駐在のアメリカ大使が、返還時にこのことについてステートメントを出すんだというふうな言い方をされているとも聞きますけれども、国務長官の下に大使が含まれていることを考えるならば、ロジャーズ国務長官のこの言明はきわめて重大であると思います。総理は、いま、何らかの確認の方法をとりつけたいのだという趣旨の御発言があったと伺うのでありますけれども、相手側の責任者が、このように明快に、ステートメントを出す気はない、こういうことになっておりますると、総理には、それ以外の何らかの方法をお手持ちであるのでありましょうか、それとも、もはや現在ただいま総理は確認の方途を具体的にお持ちになっておられないのでありますか、そこのところを明確にひとつお伺いいたしたい。  これで終わりますから。第三点は、私も向こうへ行きまして驚いたのでありますが、日本の報道には出ておりませんでしたが、十月の十一日の東京外人記者クラブで西村長官が演説をされたあとのやりとりの中で、アメリカのドル防衛に協力をするために、四次防では三次防の二倍——具体的には八億ドルないし十億ドルという数字があったようでありますが、二倍に及ぶアメリカ兵器購入に踏み切ると、こういうことが大々的にニューヨーク・タイムスに報道されているわけであります。こういう事柄日本国内にはほとんどつまびらかにされずに、アメリカでは大きな記事になっているというところに、私は日本外交の二面性ということの危機を非常に感じたのでありますけれども、さなきだに、在日米軍の駐留費六億ドルの全面肩がわりの交渉が進んでいるなどなどとの風聞も耳にするわけでありますが、はたしてそういう交渉が具体的に行なわれているのかどうかを含めて、西村長官の、三次防に倍するアメリカ兵器購入の計画が、そうした大きな駐留費の肩がわりの中で、ドル防衛協力の問題としてどの程度進んでおられるのかということを、少なくともアメリカへ行ってアメリカ新聞を見なければわからぬという立場でなくて、明確に、日本国会の場で日本国政府を代表されて御意見を明らかにしていただきたい。  以上三点について総理の明快な御返答をいただきたいと思います。
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 第一点。たいへん信用を失ったんじゃないかと、こういうお話ですが、私のところへ入ってきているところでは、よく共同提案国になったと、こういうことで、むしろ、これは日本の信用を高めた、そういう話が入ってきております。これは、どうも残念ながら、上田君とは、私、所感を異にしております。  第二点。いまの核の話になりますと、これは、先ほど来申しますように、私も、何らかの方法がないだろうか、こういうことで、ただいま努力している、これより以上はまだ申し上げるようなことはできません。
  18. 上田哲

    上田哲君 それはないんですか。
  19. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまのところは、ございません。いまの国会におけるロジャーズ証言、そういうものが一つの裏書きだとは思いますけれども、これはアメリカ国会におけるロジャーズ証言でございまして、それが新聞その他で伝えられているというところですから、どうも日本国会じゃないじゃないかと、こういうような議論で、それは信用できないと言えばそれまでだろうと思います。私は、しかし、国会の権威から申しましても、アメリカ国会ロジャーズ証言したこと、これはそれなりに、国は違っておりましても、ロジャーズさんも無責任なことは証言しないと思いますから、それはそのまま私は認めていただきたいと思います。  第三点。西村防衛庁長官の四次防についてのお話でございます。私は、さっきあれは聞き間違いか、あるいは発言が間違ったのか、三次防ということばを使われましたが、四次防の問題だと思いますので、そこでその点は私も認識をしましたが、あとでよく速記を御点検願いたいと思います。どうもいまの四次防の計画、これは、まだはっきりいたしておりません。したがいまして、ただいまいろいろ予算編成の途上にございます。事務当局といたしましては、もっと兵器を買いかえなければ、いまのものは相当旧式なものになっていると、こういうような気持ちがございますから、いろいろそういう意味で検討している段階だと、かように御了承いただきたい、かように思います。それより以上には申し上げることはないように思いますけれども、私、この四次防、そのところから申しまして、兵器の買い入れがどの程度になりますか、これはまだ十分わかりません。そうして、六億ドルというようなことばが出たと思いますが、さような数字は私どもも全然関知いたしておりません。だから、おそらく、さようなのは何かの誤報あるいは誤伝、そういうようなことじゃないだろうか、かように私は思います。
  20. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 外人プレスに招かれましたとき、質問がございました。一体日本は、防衛費について四次防というものを持って非常にやっておられるようだが……。すでに四次防の内容については、中曾根長官当時、多少話は出ておったと思いますが、そこで質問があったわけであります。そこで、これはまだきまってないんだ、検討中であると。ただ、三次防において、大体今日現在までに、五年間の間に五億ドルぐらい、民間、政府ベースを兼ねて買っておる、したがって、かりに原案というようなものを中心に考えたりなにかした場合には、それは八億ドルぐらいになるが、しかし、これはまだ政府ではきめていない問題であると、これははっきり答弁書にも載っておりますので、そういうふうに御理解をいただきとうございます。
  21. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 上田さんの御疑念は、アメリカ上院外交委員会ロジャーズ国務長官ステートメントに核に触れたところがないと、質疑応答でははっきりしておるんですが、そのことは御承知だと思いますが、ステートメントにないと、こういうことのようですが、私は、おそらくアメリカ国会もわが国の国会も似ておるんじゃないかと思います。わが国でも、まず提案理由の説明をやります。これは抽象的なところが多く、あとで皆さんからの質疑に対しまして政府側答弁をする。アメリカでは証言をしますが、そこに私は非常に大きな重点を置いて考えなきゃならぬじゃないか、そういうふうに思います。ところが、アメリカ上院委員会のそういう質疑段階になりますると、ロジャーズ国務長官ははっきり言っておる。返還時において核は持つことはない、またパッカード国防次官、この人は、核が返還時においてないということを確約をする、そこまで言っているんです。必要でありますれば、その速記録の翻訳したものがありまするから、ごらんに入れます。
  22. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ただいまの質疑は、きわめて私、重要な問題を含んでおると思いますから、外務大臣は速記録を出すということですが、原文を添えて本委員会に資料としてひとつお出しを願いたいと思います。  それで、質問を続けますが、総理から先ほど重ねて沖繩県民に対するところのお気持ちを聞いたわけでございますが、もしほんとうにそういうお気持ちならば、復帰にあたっての方針というのは、沖繩県民の真の声を反映をするところの復帰の諸方策がとられてしかるべきだと思いますが、総理のこれに対するところのお気持ちはどうなんですか。
  23. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、沖繩県民の声をいろいろな方法で聞いて、そうしてそれを取り入れて、そうして、返還協定、これに調印をいたしたつもりでございます。その間におきましては、県民の声は十分取り入れられた、かように御了承いただきたい。
  24. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうだとしますれば、過般朝日新聞沖繩タイムスの協力を得てつくったところの、沖繩県の世論調査、「協定に住民の意思は反映しておると思うかどうか」「思う」というのは、わずかに二二%にすぎない。「思わない」というのは過半数の五五%。「協定は満足かどうか」、これに対して「満足」というのは、わずかに一〇%しかないというのが実情でございますが、この世論調査の結果をどのように総理は受けとめておられますか。こう私が質問すると、すぐ総理は、立法院の議決を云々と持ち出して反論をしたいんでしょうけれども、あれはいわゆる反対党が出席しないままに一方的にきめたものでございまして、どうも客観的とは思えぬのであります。それで、ひとつ、答弁は、いま私が申し上げましたところの世論調査のことに対してどう思うのか、ほんとうにそれが、総理がこういう結果に対してもなお沖繩県民の声を自分は十二分に尊重してこの協定や付属文書をまとめた、こう言い切れるぐらいの御自信がありますかどうか。
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 新聞各紙でいろいろ世論調査をいたしております。こういうものが一つの参考資料になることは、もちろん、私も否定するものじゃありません。しかし、これだけが代表するものでないことも、これまた宮之原君も御承知のとおりだろうと思います。私は、いまの時代が、やはり責任を持つのは立法院、また、日本においては、国会、そういうものがやはり国民の世論をそのまま反映しているものじゃないか、かように思います。ただ、そういう事柄が、いろいろ数だけだというような批判もありますし、また、直接総体の、全体の方の意見を聞いたわけじゃございませんから、ある部分的には、沖繩タイムスその他の世論の上に出てきたようなことも、これは無視できないと、かように思いますが、私は、やっぱりいまの状態では代議制度、それがやっぱり大事なことではないだろうかと、かように思います。
  26. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それは私は問題によりけりだと思うんです。しかもそれは先ほども申し上げましたように、反対党不在のままに採決していて、これが世論だ、世論だとは、これはちょっと私は理解できないと思いますし、さらに私もなるほど、先ほども申し上げたところの調査の結果がすべてだとは申しませんけれども、少なくとも圧倒的な大部分の沖繩県民がこれは反対だと、これは不満足だと言っていることだけは確かじゃありませんか。ここに今日沖繩復帰のあり方について、沖繩県民が非常な不安と不満を持っているということを立証しておると思うのですが、重ねてお聞きしますが、どうなんですか。
  27. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま皆さんに御審議をいただこうという行政協定、これが完全無欠だと、私はかようには申しません。私はやはり沖繩県民のいろいろ御不満がおありだと思っております。しかし何と申しましても、今日直ちに片づけることのできる問題と、さらに復帰後においてそういう問題に取り組むか、そこの相違があるように実は思っております。私は、われわれが祖国復帰の後において、沖繩県民のために尽くすべきそういう幾多の問題のあることをよく承知いたしております。むしろ一日も早く復帰を実現して、そうして日本の政権下において住みいい沖繩県をつくるという、それがほんとの気持ちじゃないでしょうか。私は一部、いまの核抜き・本土並みにいたしましても、基地のない沖繩、そういうような表現でいま県民から訴えられておる、そういうような事柄も、私はこれは率直な県民の声だと思っております。そういう状態になれば、そんないいことはございません。しかし、私はこれがいまの状態で直ちにそこまでは実現しないように思う。サンフランシスコ平和条約の第三条が無効だと言ったからつて、現実に沖繩が米軍施政権を持って治めておる、この事実は否定できないじゃないですか。私はそれなぞを考えると、そこらに政治家の政治として取り組むべき問題があるように思っております。いわゆるわれわれは評論家じゃないんだと、現実に一体どうするか、こういう問題と取り組んで初めて、沖繩県民の意思もこれを実現することができるんだと、かように私は思っております。
  28. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 反対だというのは、みんな評論家だとおっしゃるんですか。重ねてお聞きしたい。
  29. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 反対だというのを全部評論家とは私は申しません。私の速記をよくお調べの上で、その上で御疑問があったらお尋ねください。
  30. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 じゃ、総理の考え方はとにかく復帰だと、あとはどういう不満があろうと、あとからなんだと、こういうお考えですか。
  31. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん不満が今日取り入れられることについては、私どもも努力をいたします。一切そんなものはかす耳を持たぬとか、そんなものはさわらないとか、かようには申しません。私はなすべきことはしなければならないと思います。しかし、何と言いましても、そのために復帰がおくれるようなことがあってはならないと、やっぱり一日も早く返ってくること、そこに重点を置くべきじゃないかと、かように思っております。
  32. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 総理沖繩の中で非常な大きな影響力を持っておりますところの沖繩の復帰協議会の態度を御存じだと思いますが、復帰協は、万一復帰がおくれることがあっても、この協定はもう一回やり直して再交渉してもらいたいと、こういう強い声があることを御存じでしょうか、どうでしょうか。
  33. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま耳打ちして聞いたのですが、私、いままでの耳に入っておらなかった、二、三日前にそういうことをきめたと、こういうようなお話がございます。
  34. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 都合の悪いところは耳に入らないのでしょう。これは二、三日前から新聞にも大きく出ていることなんですから、テレビにも出ているそうでございますから、一番マスコミのことについては注意を払っておるところの総理が、都合の悪いところは聞かぬということでは私はこの大事な問題は議論できないと思うのですよ。そこで私は重ねて聞きますが、総理は、いわゆるこの問題について、これ以上この中身の復帰の問題についてあれこれ言うとするならば、アメリカ沖繩返還を認めないのじゃないだろうかとでもお思いなんですか、どうなんですか。そこらあたりの判断、どうなんですか。
  35. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、沖繩が祖国に復帰する、そういう基本的な取り組みについてはアメリカも了承しておると、かように思っております。だから別にこれで変わるとは思いません。ただいま言われるように、もっと日本政府の努力が足らないのだ、かようなおしかりはございますけれども、どういう点について政府を鞭撻する、こういうものがあれば、それについてお答えをいたします。
  36. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 政府はことあるたびに、いわゆる平和裏に戦争で失ったものが返ってきたのは初めてだとか、あるいはまた、この力は佐藤さんでなければできないような印象を与えるような宣伝をしているわけなんですけれども、重ねてお聞きしますけれども、それならば、この返還協定なりいろいろな問題について問題点がたくさん指摘をされて、そしてここで手直しをしようというような形になるとすれば、それをひっさげて総理としては再交渉をやられるところの意思がありますかどうか。
  37. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 沖繩祖国復帰は別に佐藤の専売特許じゃございません。だからこれはどなたでもよりいいものをやると、こういうことがあれば、これはぜひやってもらいたいと思います。私はしかしいまの段階では、過日調印いたしました復帰協定、これが最善のものだと、かように思っておりますから、皆さん方に御審議を願っておるわけでございます。どうか私の専売特許でないことだけ御了承願いたいと思います。
  38. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 先ほど私は、いわゆる問題点が出て、こういう問題についていわゆるアメリカは返して云々というようなお話しだからお尋ねをしたのですけれども、問題かあっていろいろな指摘をされて、こういう点はこうしてもらいたいという再交渉ということになれば、総理はその矢面に立ってやられるところの勇気があられるのですか、ないですかということを聞いているのですよ。
  39. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどもお答えいたしましたように、やはり早く帰ってくることが私の願いでもありますし、大多数の国民の願いでもあると私は確信しております。したがって、いま言われる点がもしもおくらすようなこと、さっき言われた復帰協はおくれてもいい、こう言っているじゃないか、こういうようなお話でありますが、私は復帰協だけがこの問題を代表しているものじゃない、かように思っております。
  40. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は何もすべてだとは言ってないのですからね。ただ、しかしながら大きな影響力を持っていることはあんたは否定しないでしょう。その影響力を持っているところの団体がそこまでやはり言っているということは、これはやはり非常に問題点がたくさんあるということを立証しているのじゃないですか。それをもあんたは否定されるのですか。
  41. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 復帰協を私は否定するとか否定しないとか、こういう筋のものじゃなくて、復帰協は厳然として存在しているのじゃないですか。私の否定がそんなものに及ぶわけがございません。
  42. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 だいぶ答弁をはぐらかしておられるようですがね。復帰協そのもののことを私は尋ねてるんじゃないですよ。そこの意見というものは、これはやっぱり沖繩県民の大きな一つ意見として確かにあると思うんですよ。その沖繩県民意見というものも、あえてその点は聞かないで、やります、復帰だと、こうお考えになっているんですかということを再度。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほども申しましたように、復帰協定が完全無欠なものだとは思いませんと、このことを申し上げたはずでございます。したがって、私どもが努力すべき点はなお残っておる、そのことは私も承知しております。また、今日できるだけ早く復帰を実現して、そうしてそれから後でも、ただいまの県民の要望にこたえるようにわれわれは努力をすると、このことを重ねて申し上げておきます。
  44. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 じゃ、角度を変えてお聞きをいたしますが、総理は、沖繩返還の大きなやはり力は、あくまでもアメリカの善意、好意によるんだと、こういうようにお考えになっておりますか。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは、アメリカ側における好意、善意、これもございます。私は日本国民のやはり復帰、これを実現したいというほんとに力強い願望、それがやっぱりアメリカ側を説得したんじゃないかと、かように思っております。私はだから、ただアメリカ側の善意、それだけでこういうものが実現するとは思いません。両者が合致して初めてこれが実現したんだと、かように思っております。
  46. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それならば、総理は、上院外交委員会におきますところのロジャーズ発言とか、パッカード国務次官の発言については、理解をしておられるわけですね。いわゆる復帰の原動力は沖繩県民の力が最大の力であったと、あるいは全軍労の戦いが大きな力をなしたということについては、これは否定しませんね、どうですか。
  47. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまお答えしたとおりでございます。私ども日本国民、その中でも沖繩県民、これが心から祖国復帰を願う、そういう努力、これが結実したと、かように思っております。
  48. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それならば、私はやはり、先ほど来言うように、その大きな原動力になったところのこの沖繩県民の声、特にその復帰運動のこれが中心になったのは、何と言っても、やはり労働者を中心にするところの民主団体が力になっているわけですから、その力を、その声を私はやはり無視をすると申しますか、あるいはあまり重要視しないところのものの考え方、それに立つところのいわゆるこの運動の一連のものが沖繩県民の大きなふんまんになっているという点は、 これはやっぱり総理は十分わかっていてもらわなければならないと思う。  そこで、引き続いて質問をいたしますが、私は核の問題あるいは本土並みの問題について引き続いてお尋ねしたいと思うんですが、核の問題はだいぶ議論をされておるところの問題でございますので、本土並みの問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、基地の中に沖繩がある、こう言われるぐらいに沖繩の基地の密度はきわめて高い。総理の言う本土並みというのは、この基地の密度も本土並みにするという意味に解するのが常識的な考えだと思うんですが、どうなんですか。
  49. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私も、いまのような基地の密度が未来永劫に続くと、かようには思っておりませんので、われわれの努力によりまして、できるだけ基地の、これも減らしていく、整理統合していく、これがわれわれのこれからの復帰後の努力する点でございます。
  50. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それは一種の総理の願望にしかすぎないのじゃないですか。これは先般、本委員会外務大臣は、たとえばゴルフ場の返還などと、いわゆる基地でもない基地を返してもらうようなふうに、非常に得々としてこの問題について説明をされておったわけでございますが、いわゆる本格的な基地そのものを縮小をするところの自信がおありなのかどうか。その点を重ねてお聞きしたいと思います。
  51. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 基地の問題はA、B、C三表で、はっきりその扱いがしておりますが、このA、B、Cの表の内容を変えることは、これは不可能であります。これは御要請がありましてもお答えはいたしかねます。応じかねます。しかし、この協定成立後におきましてA表がきまる、こういうことになりましても、なるべくすみやかにこのA表の各基地がわがほうに返ってくるように、この点については最大の努力をしてみたいと、こういうふうに考えておるのです。その努力が実るかどうか、これは今後の国際情勢の展開、これがどうなるか、これも大きく影響するであろうと思いますが、とにかく最善は尽くしてみる、そういう決意でございます。
  52. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 米上院外交委員会のこの議論を聞いてみると、基地の縮小に関するところの意図はさらさらないようですね。しかもまた、先般の質疑の中でも、基地がどんどん強化をされておるところの事実が暴露されておる。そういうような事実から見れば、アメリカ沖繩の基地を縮小しあるいはその機能を低下させる意図は毛頭ないようなんです。いま総理は、あるいはまた外務大臣は、この縮小について努力をしたいと言うならば、それほど自信があるならば、国民の前に向かって、こういう方向にやっていきたいならいきたいと、ある程度やはり具体的な、ものの考え方を明らかにすべきじゃないかと思いますが、そこはどうなんですか。
  53. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アメリカ上院委員会でも、アメリカは基地を永久に保有するなんというようなことは言っておりません。これははっきりしております。また、これも先ほど上田さんから御要請のありました資料、その一環として差し上げてけっこうです。いずれにいたしましても、いまA、B、Cを変えるわけにはいきませんけれども、その後におきましては、ほんとうに最善の努力をしてみたい、そういうふうに考えております。
  54. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 しかし、すぐに返すとも言っていないでしょう。しかもいろいろなやりとりの中では、二十年、三十年ということばさえ出てきておるじゃありませんか。それをあなたは、あたかも国民に二、三年すれば基地がだいぶん少なくなるような印象を与えているというのが、いままでの皆さんの答弁じゃないですか。ほんとうに二、三年後、あるいはまた、四、五年後というめどがあるならば、その点を明確に示して、国民にやはりこの問題に対するところの政府の考え方を明らかにすべきじゃないですか、どうですか。
  55. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日米両国でこの協定をつくるにあたりまして、折衝に折衝のあげくの結果があのA、B、C表なんです。ですから、この段階でA、B、C表を動かすことはむずかしい。しかし、皆さんも主張なさっておる。アジア情勢は転換するのじゃないか、しつつあるのじゃないか、あるいはしたのじゃないかと、こういうふうにまでおっしゃっておる。私はそこまではいま見ておりませんけれども、あるいはアジア情勢が転換してくるかもしらぬ、そういう希望的見解を持っておるわけなんでありまするが、そういう情勢に応じまして、本格的な基地につきましても、逐次これが整理される、そういうことを期待し、かつそれに向かって努力をいたしたい。こういうことを申し上げておるので、これは国際情勢という問題もありまするから、それが三年後か、五年後か、そういうことをおっしゃいますが、これは無理です。それにはお答えはできませんが、とにかく精一ばいの努力をいたしてみますという私の誠意を披瀝申し上げてお答えといたします。
  56. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いま外務大臣のお話を聞いておると、いわゆる情勢待ちの全く他力本願的な形にしかこれは聞こえぬのです。一体、本土並みだと言うなら、やはり基地の密度も本土並みにするというのがあたりまえじゃないですか。それが正しいことば、本土並みのことばだと思うのですが、どうなんですか。そのことに対して明確にこれに対するところの御見解を承わっておきたいと思います。
  57. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま外務大臣も、また皆さん方からも指摘されるように、とにかくアジア情勢はよほど変わってきていると、こういうことを言われておりますし、またわれわれがかねて主張するように沖繩が本土に復帰すれば安保条約のそのワク内でのみ活動が許されるわけであります。アメリカにはアメリカの考え方がございましょうけれども、われわれが提供する施設区域、これはそのまま日本本土における米軍と同じような意味合いで基地を提供していると、そうしていわゆる自由出撃などはなくなる、また出撃する場合においては事前協議の対象になる、これはずいぶん何やかやと制限を受けるわけであります。したがって、それらのものがいまあるがままの姿で、またいまあるがままの活動形式、そういうものが続こうとは私は思いません。私どもも基地、その施設を提供しておるそのほうからの制約もいたしますが、同時にまたアジア情勢も変わりつつあるのではございませんか。そういうことを考えますと、私は先ほど申しましたように、これはやはり整理統合されると、こういうことが望ましいということ、またその方向でわれわれが努力すること、これも私どもがいいかげんのことを言っていないのだと、これも御理解いただけるのではないだろうかと、かように思います。私どもずいぶん長く本土の基地、この整理をずいぶん長く時間かかって今日になったのでございます。それは占領当時この安全保障条約ができたときから見るとそれは格段の相違であります。私は沖繩状態が今日このままの状態で長く続くと、かようには私は思いませんし、またそうあってはたいへんだと思っております。そこにわれわれの努力すべき点があるのだと、かように思っていろいろくふうしている最中でございます。
  58. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 くふうをしていくという話でありますが、しかしながら、いままでの質疑の中からやはりはっきりすることは、基地の密度の本土並みは困難だということはこれは確認できますね。いわゆる皆さんが宣伝するところの本土並みだ、本土並みだというのは、基地の密度については本土並みではないと、このことだけは明確にできますか。
  59. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは先ほど申しましたように、現在の状態で基地の密度は非常に高いと、本土と比べものにならないような高い密度だと、このことは私も先ほど来説明したとおりであります。
  60. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 困難ですね。そこを言ってくださいよ。私が聞いているのは、いわゆる本土並みにするということは困難なのかということを聞いている。
  61. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) だから、この現状の密度、これを将来整理統合する、これがこれからの問題だということを先ほど来かみ分けて申し上げたつもりでございます。どうかひとつよろしく。
  62. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それには困難さがあるということですね。どうです。
  63. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 本土並みにしたいと……。
  64. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 だから、それは願望だからわかるのですけれども、困難さがあるということは認めますね、非常に困難だということは。
  65. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私はその困難だというその状態も変わりつつある、こういうことを先ほど日米の側からとまた国際的の情勢と、両方から説明したつもりでございますので、その辺をよく……。
  66. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 困難だということは認めますね。
  67. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 発言は委員長の許可を得てやっていただきたいと思います。
  68. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いや、質問に答えぬから言っておるのだ。
  69. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、困難だとか言われますが、そのことをやらなければいわゆる本土並みにならないのじゃないですか。それがわれわれの努力じゃないでしょうか。このことを私は申し上げておる。困難だからそれはもうしかたがないのだと、こういうふうにあきらめていないということを申し上げているのです。
  70. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 では、政府の、基地の問題については本土並みでないということだけはこれは明確ですね。  それではなお続いて聞きますが、政府は部隊の行動も本土並みにするのだと、こういうようなことをずっと言ってこられておったのですが、そうですか。間違いございませんか。
  71. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 返還後におきましては、すべて安保条約の規制下に移るわけでありまして、これは全く本土並みと、こういうふうに相なります。
  72. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それなら、なぜ特殊部隊やVOAの存続を認めるのですか。復帰後はみな本土並みにするというなら、これもなくなったら本土並みになるはずなんですけれども、矛盾しませんか、どうですか。
  73. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) VOAにつきましては今度特例を設けてお願いしております。それから特殊部隊ですね、これにつきましては返還後におきましてはこれは事前協議の対象といたしまして、その行動につきましては厳に注意してまいりたいと、かように考えております。
  74. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それなら、その特殊部隊の活動状況を、現在のをひとつ説明してもらいたいと思うのです。名前と、どういう部隊か。
  75. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) いわゆる沖繩における特殊部隊というものは通常次のようなものだと考えられております。  まず部隊名、第三海兵水陸両用部隊、それから第七心理作戦群、アジア特殊行動部隊、SR71、楚辺統合情報処理センター、陸軍外国放送情報部、米陸軍混成サービス群、太平洋陸軍情報学校。で、第一の第三海兵水陸両用部隊の任務は、西太平洋地域における不測の事態に対処する、これは構成員は第三海兵師団その他でございます。第七心理作戦群は、その任務は沖繩内外の部隊の心理作戦上の指揮統制、それから心理作戦出版物の作成、太平洋軍に対する心理作戦上の助言支援。それからアジア特殊行動部隊、これは非通常戦争、主としてゲリラ戦争、破壊活動防止作戦、それから民生支援活動でございます。それからSR71、これは高空偵察等を行なっております。それから楚辺統合情報処理センター、これは受信活動を行なっております。それから陸軍外国放送情報部、これは外国放送の受信をやっております。米陸軍混成サービス部隊、これは特殊兵たん補給活動をやっております。太平洋情報学校、これはアジアの友好国や同盟国の将校、下士官兵に情報関係の教科課程を提供しております。  なお、沖繩復帰に伴いまして、たとえばアジア特殊行動部隊が行なっておる第三国人の訓練等は取りやめることになっておりますし、先ほど福田大臣が御発言になったとおり、陸軍混成サービス群は復帰までには撤収されます。それから太平洋情報学校も復帰までに撤収される予定でございます。
  76. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いまのお話を聞いても、それを事前協議で本土並みにすると言うんだったら、この特殊部隊とか、VOAの存続価値なくなるじゃありませんか。それならば、なぜここのところでみんな一緒に帰ってもらえないんですか。これはやっぱりこの性格を残そうとするから、これだけ特別に認めるんじゃないですか。それは事前協議であなたは本土並みにするんだ、こうおっしゃったんですが、それができますかどうか。
  77. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) たとえば、SR71が、これが出撃をするというような事態がありますれば、これは事前協議の対象にならざるを得ない、そういう際には、そのときの状態に応じまして、適正な判断をしなきゃならぬと、こういうふうに考えておる、そういうことを申し上げておるわけでございます。
  78. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まあ、時間がありませんから多く申しませんけれども、SR71偵察機というのは、これは出撃というよりも、日常高々度のいろんなところの偵察をするのじゃないですか。それを一々ほんとうに事前協議でやめさすとすれば、これはもう諸外国の、いわゆるSR71の持っているところの仕事はできないということにはなりませんか。そういう本土並みになるんですね、そんなら。
  79. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) たとえば、SR71が他国の領空を侵犯する、その目的までも持ちまして出動をすると、こういう事態をさしまして私はいま出撃と、こう言ったわけでありまするが、今日はそういう状態はありませんけれども、万一そういうような事態が起こりますれば、これは事前協議の対象として厳重に対処していきたいと、こういうことになるんだろうと、そういうことを申し上げておるわけであります。
  80. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 関連。  いま沖繩復帰について、いわば、この核抜き本土並みというのは、政府の目玉商品と言っちゃ失礼ですけれども、言うなれば目玉政策である。しかし、私どもは、この審議を通じて、残念ながら、そういう点についてはますます疑惑を深めざるを得ないわけです。いま宮之原議員の質疑応答などを聞いても、私は、これはいよいよ疑わしいということを感ぜざるを得ない。というのは、まず第一には、沖繩に核があるんだかないんだか、そういうことは言えない、これは日本政府アメリカも言っておるわけです。これは大統領権限に基づく最高の機密だと、こういうことを言われておるわけです。そういたしますと、いままでまあ原潜やエンタープライズ等でいろいろ論議をされておりましたけれども、この原子力潜水艦には、あのエンタープライズに、あるいはこの軍艦には原子力の装備があるのかないのか、あるいは核弾頭が積んであるのかないのか、あるいは横須賀にいつ幾日入りますよ、あるいは沖繩に入りますよというようなことも、これはアメリカ日本に通知するという意味で、天下に公表するはずがない。もしそれができるとするならば、沖繩に核があるんだということは天下に声明したっていいはずではないか。しかし、総理は、本土並みだ、本土並みだということで、本土には核がないというようなことはだれも疑うことはないだろうと言いますが、私は、率直に言って、この審議を通じて、これは本土のいわゆる核の問題も、もう一度洗い直してみる必要があるのではないか、私はそう感ずるわけです。それは、いま申し上げましたように、沖繩の核の有無さえ公表できない、それほど核という問題については最高の機密であるということになれば、横須賀に入ってくる、佐世保に入ってくる、沖繩に入ってくる原潜やあるいはその他の軍艦の中に、核弾頭があるかないかは絶対に公表するはずがないわけであります。しかし、私は、これを確かめるに一つの道ありと思うわけであります。その点について、ひとつ政府見解を、この際、はっきりしていただきたいと思うわけです。それは、二十九日の衆議院予算委員会においてわが党の楢崎議員の質問に答えて、政府は次の見解をはっきり表明をいたしました。これは、私に言わせれば非常に画期的な一つ見解であったわけであります。要綱だけを述べますと、まず第一に、原子潜水艦は原子力を推進力とするものであっても原子力の平和利用ではない。つまり原子力の軍事利用であることをはっきり答弁をいたしました。これは科学技術庁長官答弁であります。さらに原子潜水艦を保有することと非核三原則との関係はどうなのかという質問に対して、内閣総理大臣である佐藤さんは次のように答えておる。原子力潜水艦は持つべきではない。つまり、非核三原則の趣旨からしても原子力潜水艦は持つべきではないということをはっきり表明をいたしました。このことは何を物語るかといえば、原子力を推進力とした潜水艦であれ航空母艦であれ、それは原子力の平和三原則といいますか、原子力基本法に言うものに抵触するものである。さらにまた非核三原則に抵触をするものであるから、日本の自衛隊はこれを保有しないのだ、つくらないのだ、持たないのだ、こういうことでありますから、この政府の新しい方針からするならば、アメリカの原子力潜水艦あるいはエンタープライズ、原子力を推進力としたそうした艦艇の寄港も私は当然拒否するということになると思うわけであります。これは思想的に、物理的に、そういう論理になると思うのであります。すなわち、非核三原則では持ち込まずということがはっきりしておるわけでありますから、この衆議院における政府見解からすれば、今後沖繩日本——佐世保、横須賀を含めて一切これらの艦艇の入港を拒否するおつもりであろうと思うわけでありますが、この際、この点を明確にお答えを願いたいと思うわけであります。
  81. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 原子力潜水艦のことにつきまして、衆議院で確かに御質問あるいは答えもいたしましたが、原子力潜水艦、言いかえますれば、原子力を推進力とするいわゆる潜水艦、武器でございますね、武器と申しますか、そういうものは、私どもは現在原子力基本法のもとでは持てないわけであります。言いかえれば平和利用に限るというふうになっておりますから、まず持つには原子力基本法を改正しなければならぬ、これは明らかであります。  問題は、方針として将来持つか持たぬかの問題でありますが、私どもは、現在の段階では原子力潜水艦は持つべきではない。ただし、将来推進力が発達してまいりましてこれが常道化してまいった場合、こういう場合には私どもは原子力潜水艦というものを持てるじゃないか。ただし、これは原子力基本法を改正したり、あるいはそのときの国民の判断というものが要るわけであります。そういうふうに私どもは原子力潜水艦に対しては解釈をいたしておるわけであります。
  82. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 片岡君、簡単に願います。
  83. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 私の聞いているのは、防衛庁は、つまり原子力基本法からしても、あるいは非核三原則からしても、これは持てないから、つくらない、持たない、もう一つ残っているのは持ち込まないということだから、アメリカの原潜やアメリカのエンタープライズ等は寄港を許さないということになるでしょう。ここに速記録があるのですよ。
  84. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私がいま申し上げましたのは、推進力の問題であります。エネルギーとしての推進力であります。問題は、核兵器については三原則、言いかえますれば持ち込まない、つくらない、あるいは保有しない、こういうことになります。いま、今日入っておりますスレッシャー型の原子力潜水艦などは常時核兵器は持っていないのが普通の常識であります。したがって、これは寄港はあるわけであります。ポラリス等については、一応今日入っておりません。
  85. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 楢崎議員が、非核三原則からして、この原子力潜水艦を持つことはどうなんですかという質問に対して、総理は、現段階では原子力潜水艦、推進にしても、これは推進力という意味だろうと思うんですが、推進力という意味での原子力潜水艦を持つべきではない。つまり質問は、非核三原則の立場で一体原子力潜水艦はどうなんだと聞いたときに、総理は、それは持つべきではないという明確な答弁をしているんだから、これは自衛隊の問題です。持ち込まないということが非核三原則でしょう。ですから、今後は沖繩本土も含めてこれらの原子力潜水艦、つまり原子力を推進力とした船も持ち込まないということになるのではないか。私は批判をしているんじゃないんです。論理的にそういうことになるでしょう。もしそうでなければ自衛隊の場合には非核三原則ですよ、アメリカ軍の場合には非核二原則でいくんですよと、こういう答弁があればそれでもいいんです。
  86. 西村直己

    国務大臣西村直己君) ちょっと混同されているように思います。  推進力としての原子力はわが自衛隊と申しますか、われわれの考えでは自衛隊はこれは現在の段階では持たない。これは単に核兵器だからじゃありません。推進力としてわれわれは国民の御納得をなかなかいただけない段階であるし、同時に、わが国の国内としては原子力基本法を持っております。しかし将来これがわが国おいても相当一般化してくるというような段階においては、われわれは原子力潜水艦を持てるであろうと、推進力として。ただしその場合には、基本法を直したほうがはっきりすると。平和利用からそういうたとえ推進力でも軍事利用になります。問題は非核三原則は核兵器の問題であります。核兵器は三原則として持たない。したがってポラリスの潜水艦のようなものはこれは、入港していない。こういうふうに御理解を願いたいのであります。
  87. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 簡単に願います。
  88. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 防衛庁長官答弁は、防衛庁の立場での答弁は、衆議院委員会でもそういう答弁をしておるわけです。そうじゃなくて、楢崎さんが総理に対して非核三原則の立場からして原子力潜水艦というのはどうなのかという質問に対して、それは持つべきではないという答弁をしているんだから、そうなれば沖繩、本土も含めて今後はですよ、それは持ち込まないということが非核三原則にあるのだから、そういうことになるでしょう、私は、質問をしているんです、その点ひとつ総理から。もしそうでなければ衆議院答弁を取り消してもらいたいのです。
  89. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま防衛庁長官がお答えしたように、日本では推進力にも原子力は使わない。だから日本では原子力潜水艦というものは考えないと、これはもう言ったとおりでございます。しかしその推進力を使っているアメリカの原子力潜水艦、これはいわゆる核兵器ではございませんからそれは核兵器の持ち込みということにはならないと、こういう解釈でございます。
  90. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 簡単に願います。
  91. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 つまり楢崎さんは、非核三原則という立場で総理質問をしておるわけですよ。それに答えて、総理は、原子力潜水艦は持つべきでないということになるのですからその点は速記録を見れば当然私のような論理になるわけですから、これは。その質問に答えているわけですからね。その点はどうなんですか。
  92. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 楢崎君は、おそらく私のいま申し上げたとおりを理解しておると思います。これはただいまだいぶん拡張して解釈されているようですが、私は、日本ではこれは持たない、推進力でも持たないと、こういうことを申し上げた。アメリカが原子力を推進力にした潜水艦、これは直ちに核兵器の持ち込みということにはならないのでございまして、これは私どもも先ほど来防衛庁長官からお答えしたとおりに考えております。誤解のないように願いたいと思います。
  93. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは事前協議あるいは自由発進とも関連をしますが、外務大臣に明確に御答弁願いたいのは、本返還後はいわゆるB52等の北爆の発進は一切ノーだと、こういうふうに理解してよろしゅございますか。
  94. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) B52はあれだけの問題があって出ていった、こういういきさつがありますので、私どもあれが再び沖繩に移駐をしてくるという事態は想像しておりません。しかし万一移駐してきたという場合のことをお尋ねかと思いますが、その際におきましては、これは当然出撃だとこういうことになれば事前協議の対象になる、その際にはわが国といたしましては、その時点いかなる態度をとることが国益であるかということを踏んまえまして、対処する。これは紋切り型の答弁です。しかし、ざっくばらんに申し上げますれば、B52は再び沖繩には帰ってこない、かように考えております。
  95. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その点明確にしてもらわなければ困りますよ。明確に政府としてはそういう問題については「ノー」なんだと、こういうようなやはり考え方だということに理解してよろしゅうございますか。それとも、いやそのときの情勢にならなきゃわからない、「ノー」の方向だけでもわからない、こう理解するのですか、どっちなんですか。
  96. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま不規則発言で、B52が帰ってきておるのだというような話がありましたが、そういうことはありませんです。これは給油のために着陸をするというようなことはありましょう。これは部隊の移駐でも何でもありません。私は万一、まあB52が帰ってくるという場合があるかどうかというと、万々一にも私はそういうことはないと、こういう見通しでありますから、万一その場合には一体、万々一のその際にはどらするんだという場合のことは考えておりませんけれども、これは非常に異論的になりますけれども、その際は四囲の状況を勘案し、国益を踏んまえまして、これをイエス・オア・ノーという返事は考えなきゃならぬ、これは紋切り型のことなんです。しかし、実際問題として私の頭のすみにもありませんことは、これはB52は再び移駐してまいらない、こういうかたい見通しを持っておるわけであります。
  97. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いや、これは気持ちを聞いておるのじゃないのですからね。あなたの心情を私は尋ねておるんじゃないのですから、政府の方策としてどうかということを聞いておるのですから。だから、あなたはそのときでなければわからないということが一応形式的な答弁ですね、これ。そうだとすれば、本土並みですから、本土にもB52の移駐なり移送ということは、今後やはり想定されると理解していいですか。
  98. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 仮定の場合はいろいろのことがあるだろうと思います。しかし、その仮定のそれぞれの場合においてどういう態度をとるか、それはもうそのときの客観情勢、四囲の情勢、それを十分検討いたしまして、国益に沿うような対応をする、こう申し上げるほかないのです。しかし私が繰り返して申し上げましてくどいようでございますが、B52の沖繩での再移駐ということは、全く私は想像しておりませんです。
  99. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 じゃ、そのことと、共同声明の四項あるいは七項、八項後半の関係はどうなりますか、日米共同声明の。  あのね、あなたは拒否をするというのはほんとうの本心だというお話でしたから、それならば共同声明の四項、七項というのは、アメリカの立場を害することなく、とかね、あるいはアメリカの極東におけるところの云々と、ずっとたくさんありましょう。それとの関係は一体どうなるんですか、ということを聞いておるんです。
  100. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 安保条約の運営につきましては、アメリカの立場もある、これはもちろんありましょう。それからわが国の立場もあるんです。いろんな客観情勢というものがあるわけでありますが、それらのすべてのものを勘案いたしまして、わが国の国益にどういう手段を、態度をとることがよろしいか、そういうことできめる、こういうほかはないと思うのです。これが事前協議というものの本資である、こういうふうに考えておるのです。しかし、くどいようですが、B52は再び沖繩に移駐をしてくるというようなことはあり得ないと、私はそう見ております。
  101. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いままでの答弁を聞くと、あたかも復帰後は基地の機能なり規模が大幅に縮小されるような印象を受けるんですがね。しかしこのことと、たびたび引用するわけですけれども、米上院外交委員会で、返還後も沖繩の基地の機能や規模はあくまでも維持されると、こうやはり明確に言い切っていますね。それでその根拠を、いわゆる佐藤さんとニクソンの共同声明を繰り返し強調をしておるのが、あの上院外交委員会の大体の中身だと、このように考えられるわけですが、その間に、皆さん政府側の主張とアメリカの間の主張には非常に大きな開きがあるんですが、これはどうなんですか。事実そうなんですか、どうなんですか。
  102. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アメリカにはアメリカの希望なり期待、こういうものが沖繩基地に対してあると思うのです。しかし、わが国にもわが国の意見がある。そこで必ずしも日米両国ですんなり一致しない場合があり得るわけであります。そういう際に事前協議というものが働くわけであります。
  103. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 事前協議は発議権はないんでしょう。
  104. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 事前協議、この事前協議に対してわが国がどうするかと、こういうことになりますと、わが国の国益を判断してそのとき対応すると、こういうことなんです。
  105. 神沢浄

    ○神沢浄君 関連。  いまの御答弁ですが、私は何としても納得がいかぬもので、重ねてお尋ねするのですが、外務大臣のいまのお答えによると、出撃の際にやはりそのとき国益を考えて「イエス」か「ノー」をきめるんだ、こういうふうに受け取れるわけです。そうなりますと、まず第一点の問題として、たとえば一つの場面を想定して、国益のために「イエス」と言わなければならないような場面というものはどういうものであるかということをひとつお伺いをいたしたい。  それから本土並みということをいわれているわけなんですが、そうなりますと、これは本土の場合にもやはり本土から出撃するときに、どういう場面か知らぬけれども、国益の上に立っては「イエス」という場面があるのかどうなのか。この二点についてお答えをさらにいただきたい。
  106. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 沖繩から出撃をするという場合、これは先ほども申し上げましたが、これは事前協議の対象になるわけであります。そういう事例は私はめったにはないと思いますけれども、どういう際にどういう事態が起こるかもしれませんものですから、その万々一の際の法的解釈はこうだということを先ほどから申し上げておる。これは第二の質問であります内地につきましても同様でございます。
  107. 神沢浄

    ○神沢浄君 さっぱりわからぬですね、そのお答えは。万一の際というのはどういうような場面があるからわからないというようなことでは私は納得がいかないんですよ。私がお尋ねしているのは、外務大臣が言われるところのいわゆる国益に照らして、そうして「イエス」と言う場合があるというこれは意味になるわけですから、どういうような具体的な場面においては「イエス」と言わなければならぬのかということをお尋ぬをしているわけです。その辺をはっきりしてください。これは重大な問題だと思いますから。
  108. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 実際問題とすると、なかなかそういう場面に遭遇しないと思うのです。つまり「イエス」というような場合には、しかし観念上そういうことがある、あり得る。さればこそ事前協議という制度があるわけなんでありまするから、そういう法的な立場で申し上げますると、紋切り型に申し上げますると、事前協議には「イエス」もあり「ノー」もありと、こういうことで、その「イエス」という場合におきましては、そのときの状態における国益というものを踏んまえましてお答えをすると、こういうことでございます。
  109. 神沢浄

    ○神沢浄君 答弁になっていないと思うのですよ、私は。それはもう事前協議が「イエス」もあり「ノー」もあるくらいのことは、これはだれだって常識的に知っているのですよ。だから、先ほど言われた国益に基づいては「イエス」と言わなきゃならない場合があるという内容の御答弁だから、それはどういうような場面を想定をして言われておるのかという、そのことをお聞きをしておるわけなんで、もう少し具体的に納得のいくようなことをお答えをいただきたい。
  110. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 大体、本土でも沖繩でも今度一緒になるわけでありますが、本土や沖繩から直接出撃するというような場合は、私はちょっと想定、想像できないのです。しかし万一ということのお話のようでありますが、万一そういう場合が起こったらどうすると、そういう際におきましては、これは「イエス」も「ノー」もある。国益を踏んまえましてそのとき判断すべき問題である、こういうことで非常に明快にお答えしているつもりでございますが、実際問題とすると、そういう「イエス」というような返事をする場面というものは、いまどういう仮定の場合があるかというお尋ねでございまするが、私はちょっと頭にこないくらいレアなことであろう、かように考えております。
  111. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 去る何日でしたか、この上院の報告書の中で日本国会で同協定とその関係国内法案が成立をしなければ批准をしない、こういう報告書がまとめられておるようでございますが、その関係国内法案というのはどんなものですか、どういうふうに理解されておるのですか。
  112. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) これは、この沖繩返還協定実施にあたって必須な日本関係法案——実施するのに必須な日本関係法案、こういうふうに考えております。
  113. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 中身を聞いているのです、中身を。答弁にならぬよ、あれは。
  114. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま突然質問を受けまして、私もその点はアメリカにコンファームしておく必要があるということを感じたわけであります。これはコンファームしてお答え申し上げます。
  115. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これはだいぶもう長くなりますよ。それでもまだわかっていないのですか。官房長官は何か談話発表しておったじゃないですか。官房長官の談話発表は、あれは違うのですか。……
  116. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 宮之原君、質問を続けてください。
  117. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それがはっきりしなければ次に続かないのですよ。
  118. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは大事な点でありますので、アメリカ側の関係法案とはいかなるものをさしているかという見解を求めて御披露申し上げます。
  119. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それなら、先般官房長官が談話で発表しておったのとも違うんですね。
  120. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ここで、この厳粛な予算委員会の場で常識的なことを申し上げたんでは相すまぬと思うんです。私どもは大体、公用地、あの問題それからVOAの問題、そこらアメリカ関心があるんじゃないかと思いますが、沖繩の福祉に関する諸問題、いろんな法案が提案されておるわけです。開発に関する御提案もしておるわけであります。そういう問題まで含むのかどうかというところですね。その辺を確かめまして御返事申し上げたい、かように申し上げているわけであります。
  121. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 きわめて大事な問題についてまだ御存じないというんでは、私は政府のやはりこの問題に対するところの熱意のほどが知れると思うんです。一番これはやっぱり国民にとっても大事な問題でしょう。したがって、いつまでにこの問題についてははっきりするということを私はここでお約束してもらいたいと思うんですよ。
  122. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 明日お答え申し上げます。
  123. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 じゃ、質問を次に移しますが、県民の権利人権関係の問題についてお伺いしておきたいと思いますが、米軍用地、自衛隊用地、さらには道路、空港その他の公共用地の確保のためにいわゆる土地収用法みたいなものを、協議が成立しないときには五年間にわたって適用すると、こういう中身のものが出ておるようでございますが、その理由は一体どういう理由ですか。
  124. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 沖繩から御存じのとおり安保条約に基づきまして、まず米軍に基地を提供すると、これは条約上の一つの提供義務があります。それから、いま一つは、沖繩返還されるにあたりまして、国土の防衛という政府には責務がございます。これも米軍の従来の施設区域を一部返還してもらって、その中で責務を遂行する、これも国家機能の一つでございます。また、他の公用地、道路あるいは水道、電気、こういうものも住民生活上、国家としてあるいは公共団体として引き続いて空白を生じないで住民に提供しなきゃならぬという直接間接の責務があるわけであります。そのためにできる限り私どもは地主さんの方々と御相談し、合意を取りつけたいと、こういう考え方は原則としてやって、今日現在もすでに始めております。多数の方々は御理解いただけると思います。ただ、御存じのとおり、沖繩が現在アメリカ施政権下にありまして、日本の講和条約発効のときとはちょっと状況が違います。また地主さんの数も非常に多い。また一部海外にもおられると、こういうようなことからお話し合いがそのときまでに詰まらない方々が相当できると、そういう意味である一定の期間暫定使用さしていただいて、その間に政府としての正式のいわゆるそういう提供の義務なりを遂行する権限を、根拠を持たしていただく、こういう趣旨からあの法案をつくったわけで、原則は、できる限り私どもは地主さんの方々とお話し合いを進めていきたいという姿勢をとっております。
  125. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その法案と本土の米軍基地についてはどうなっておるんですか。違うんですか、同じなんですか。
  126. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 本土が講和発効——占領軍で御存じのとおり入ってまいりました。占領しておりました。で、講和発効後九十日以内に米軍はそれぞれここを動くと。そして、その後に六カ月という期間の間に米軍基地につきましては暫定使用法というものをつくりました。言いかえますれば、六カ月の期間で暫定使用権を——その間にお話し合いをずっと済ませたわけであります。
  127. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 本土の場合と違うところの理由を明確にもう一回言ってもらいたい。
  128. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 本土の場合は、御存じのとおり講和発効以前から日本政府が地主とすでに契約をしておりましたりしますので、当然これはもうそのまま引き継いでいけるような部分がほとんどでありました。そういう意味で、本土と今回沖繩施政権下において、これは沖繩においては琉球政府と地主さんとの契約であります。しかも、本土の場合には日本国内のことであります。すでにもう契約も相当できているものを引き継いでいくようなかっこうになりました。そこが今回は、新しく契約をするという形をとっておりますから、沖繩が復帰する日までには極力、一種の仮契約と申しますか、地主さんの了承を得て復帰と同時に契約に移るわけですが、しかし、それではとても間に合わないと、こういう特殊な事情があるわけであります。
  129. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 自衛隊の用地が公用地だという法律的な根拠はどこにあるのですか。それとまた本土も同じように自衛隊はそのような処置がとられておるのかどうか。そこらあたり明確に。
  130. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 自衛隊の一つの配置と申しますか、活動も、これも一つの国家としての国土の守りという公的機能であります。防衛機能という公的機能であります。またその他のいわゆる道路、たとえば国道に当たるようなものも国家の機能の一つの提供であります。そういう意味から私どもは憲法二十九条の「公共の福祉」という根拠に基づいて、ただし、そのかわり適正なる補償料というものは、私どもは補償をしていかなければならない、こういうふうに考えて立法しております。  それからいま一つは、本土の自衛隊は、確かにほとんど昔の国有地、旧軍のところを、あるいは占領軍の持っておったところを使わしてもらうような形で進んでまいりましたから、本土においては特別な処置はとりませんでございました。ただし、本土におきましても最悪の場合には土地収用法の一種の事業としての認定を受けての方法は残っておるわけであります。
  131. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうしますと、これは沖繩だけに対する特別な措置法案と、こう考えていいですか。
  132. 西村直己

    国務大臣西村直己君) この先例は、多少事情は違いますけれども小笠原復帰のときも同じような法律がつくられておるわけであります。
  133. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 小笠原は一つの小さな村でしょう。同じ地方公共団体といっても、その規模あるいは今度の場合の性格からすれば、非常な異なるところがあるのですよ。それをあなた、小笠原が前やったから、今度は沖繩も同様にやれるのだと、こういう御理解で、そういう立場に立っておられるのですね。そういうことになるとすれば、この法案を成立させたあとは本土にもまたこれを適用されるところの条件が出てきておると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  134. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私は、この法案は五年の期間が過ぎましたら、これ自体をその後に延長してやるべきものじゃないと考えております、沖繩自体におきましても。それから、いま一つは、本土にこういうものを適用するという考えは全然ございません。それから、小笠原の復帰の状況を先例としたわけではありません。これも一つの例であると申し上げております。あくまでも先ほど申し上げましたようにアメリカ施政権下にあり、三万八千名余の地主さんがおられ、そして現在準備しますんでも、非常な制約がある。その上に海外移住者や行くえ不明の方もいらっしゃる。そういう中で国家の機能を続けさせていただく。こういうような意味でいかざるを得ない。ですから、復帰の日がさましても、続いて機能は続けさせていただく。ただし、あくまでも法律の第一条第二項に、小笠原のときは書いてございませんが、今回は特に明示しまして、あくまでも話し合いを原則とするような姿勢を明らかに法律の条文にもうたっておるところがあるのであります。
  135. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どういう理由があろうとも、平時の場合の自衛隊の民間の強制収用というのは認められておるのですか、どうですか、もう一回ひとつはっきりしておいてもらいたい。しかも五年間という……。
  136. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 防衛出動の場合には、自衛隊法で明らかに徴用の権限を持たされております。平時におきましても、法律のたてまえとしては、土地収用法のたてまえはこれは当然当てはまるわけであります。
  137. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 非常にこの問題について沖繩では不満がある、問題点があるし、こういうことには絶対反対だという声が非常に強いんですが、これはあれですか、やはり自衛隊のそれをあえてして、押し切ってでもこの問題について土地を確保しようというのは、これは今回の協定批准の場合の自衛隊の配置というのは、沖繩に対する配備というのは、これは絶対条件だと、このように理解していいのですか。
  138. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 国土の防衛というものは、御意見の違いがあるかもしれませんが、やはり国の大事な責務だと思うのでございます。したがいまして、そういう観点からは自衛隊配備はさしていただきたい。ただし、この法律を使わないで済むように努力はしなきゃなりませんが、三万数千名の方々の地主さんの全部の理解を得るということは、なかなかその日にはむずかしい。そこで私は、大多数の地主さんは御了解できるけれども、海外移住されたり、いろいろな事情からどうしても貸していただけないような方々に対しては、その間お話し合いを続ける意味でも暫定使用はさしていただきたい、こういうふうに考えております。  なお、自衛隊を力で配備する、そんな考えは毛頭ございません。国民の基盤あっての自衛隊でございます。したがって、自衛隊のまた性格等も十分御理解を願う努力はいたしてまいるつもりでございます。
  139. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私がお聞きしておるのは、自衛隊の配備というのは、今度の批准の場合の絶対条件だと理解をしてよろしいかどうかということです。
  140. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 自衛隊の配備は、あくまでもわが国が自主的にやることでありまして、したがって、その面では私は何らアメリカに対する義務であるとか、条件であるとかは考えておりません。  ただ、あそこも国土の一部でありますし、現在はアメリカ軍がすべての防空なり任務をやっておりますし、それから同時に民生協力もアメリカがやっておるわけであります。私どもは、こういう任務は、日本政府としては当然私どもの自衛隊でやらしてもらうというか、するということが必要ではないかと考えておる次第であります。
  141. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いまの法案と、久保・カーチス協定の関係はどうなりますか。
  142. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 自衛隊を配備いたしますには、従来のありますところの基地の機能等を相当生かしていく。機能そのものはやや似た面もあります。自衛ではございますが、似た面がございます。そこで私どもとしては、久保・カーチス協定なるものを取りきめをいたしました。しかしこれは、米軍が返す、同時に自衛隊の配備がそこで円滑にいけるように、あくまでも技術的事務レベルでもって、円滑に自衛隊が配置できるように取りきめをいたした次第でございまして、何らこれはアメリカにどうとか、こういう関係でありません。技術的なものが相当あります。そういうような意味で、取りきめを事務的、技術的な意味でやっておるのです。これが久保・カーチス協定の取りきめと、久保・カーチス間の取りきめと、こういうふうに考えております。防衛当局者同士の技術的な取りきめと御解釈願いたい。
  143. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 事務的な取りきめといいながら——いわゆる事務的なやつもありましょう、中には。しかし、この中には、明確に人数から、それからナイキやホークの配備まで、きわめて具体的に装備の中身についてまで出ているのですが、こういうのはやはり事務的な範囲だとこれはあくまで言われるのですか。むしろ、それはそうじゃなくて、これはグアム・ドクトリンのやはり肩がわりの協定じゃないですか。どうですか、あくまでも事務的ですか。この内容を見たら、国民はこれはあくまでも事務的だというわけには理解できませんよ。どうなんですか、重ねてお聞きします。
  144. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 重ねての御質問でありますが、たとえばレーダーサイトにいたしましても、これは非常に技術を要するものであります。それから、緊急発進と申しますか、スクランブルのようなものも、かなり技術的なものであります。そういう意味で、私どもは、円滑な、いわゆる私どもとしては国防の本来の仕事をやらなければならぬ、防衛の仕事をやらなければならぬ、そういう意味で防衛関係者同士で取りきめをしたと、こう御理解をいただきたいのであります。
  145. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 話はまた返りますけれども、先ほどの土地関係の法案で、五年と六カ月との違いがあることは、これは明確ですね。そうなりますと、これはどのように強弁されようとも、沖繩の県民は事この問題については一つの大きな差がつけられているという事実は、あなた認めますか。
  146. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 確かに差は私は認めます。ということは、日本の講和発効のとき、あるいはその後の自衛隊の配置は、すでにもう日本政府が借りてあげるのを切りかえるような状況であります。これがアメリカ施政権下、統治権下のもとで切りかわれるわけですから、そこはだいぶ違う。その意味からくる違いというものは、そこで私どもはできるだけお話し合いで推進をしていきたい、これを原則にいたしております。
  147. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それなら、明確にやはり本土との差があるということは事実なんですから、できるだけ話をするったって、話がつかない場合だってあり得るんですね。その場合はどうなりますか、憲法十四条との関係は。
  148. 西村直己

    国務大臣西村直己君) ちょっと憲法の十四条というのは私もあれしませんが、これは条文がございませんが、場合によれば法制局長官のほうからお答えを願いたいと思います。
  149. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) 憲法十四条との関係についてのお尋ねでございますが、これは言うまでもなく、法のもとの平等についての規定でございますね。規定をごらんになればわかるんですが、あれは人種、信条、性別、社会的身分、門地等によって差別してはならないということがありますが、少なくもこの法律案はそういうことによって差別しようというものではないということが第一点。それから、ただ、いままでもるる大臣から御説明がありましたような理由に基づいて、これは、そういう法律をつくる、そのつくった法律を適用の結果として、確かに沖繩の住民については一定の制約が加わることは事実でありますが、その制約はまさにそういう事態の置かれた状況からくるものであって、人間を差別するものではないというところから申しまして、憲法十四条ということについて御指摘であれば、十四条の憲法上の問題は生じないというのがわれわれの見解でございます。
  150. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これはまさに三百代言的な解釈だと言われてもしようないじゃないですか。事実、本土の場合は六カ月だけれども沖繩では五カ年も当然の権利が奪われるというんですから、これは明らかな差別でしょう。それを政治的に差別でないと言えますか。もう一回その点を明確にしてもらいたい。
  151. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 基本は、国土の防衛という国家の機能をどう円滑に展開さしていくか、こういう問題になります。その場合に、これは同じような展開でなければいかぬ、ただ、その方法論におきまして、先ほど来御説明いたしますように、講和条約発効後においての基地取得というものは、もうその以前からすでに日本政府が一緒におりましてずっとやっておる、また、どんどん順調に契約もできる、こういうような中で進んでまいりました。今回はアメリカ施政権というのが講和の日まであるわけであります、復帰の日まで。その中で、私どもは合意を得てまいりますから、どうしても——それから沖繩の特殊事情としては、不明な方々、海外に行ってらっしゃる方々、移住してしまった方々もおります。そういうような面から特殊な事情もあって、私どもとしては一定の期間暫定使用という権利は立てさせていただく。しかし、その暫定使用の法律が行なわれましても、その間にもあくまでもお話し合いをしてまいる、こういうふうに私どもは考えておるわけであります。
  152. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 戦後二十六年の間、いわゆるアメリカの強大な権力のもとに、沖繩の人々は基本的な人権が非常に剥奪されてきておったのですよ。その夢にまで見ておった本土への復帰が、復帰してくる場合に、また国益という名で差別がつけられるという結果になりませんか。一体それならば総理にお聞きしますが、総理の冒頭の沖繩県民に対するところの心がまえ、心情というものは、こういう実際の法律の中では生かされてないじゃないですか。総理どう思いますか。
  153. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは、先ほど来防衛庁長官沖繩の置かれておる特殊事情、本土と一緒にできないその状態をるる説明されました。私は、沖繩県民がかような状態に置かれていることに心から御同情申し上げるものでございます。ただいま言われるように、五年もかからないで六カ月で事柄が運べばたいへんけっこうですが、そういう状態、どこかで片づくような状態ではないんです。ここに問題があるわけです。(「それはおかしい」と呼ぶ者あり)ちっともおかしくはない。日本の場合には日本政府がちゃんとそういうものを管理し、それで提供しておる。したがって、短い期間でも済んだ。しかし、今回の沖繩の場合は、いままでアメリカ施政権が続いておる。そういう状態のもとの処理でございますから、どうしても時間がかかる、そのことは私どもたいへん残念ではありますが、だからこそ早くあちらへ帰ってもらおう、かように私どもは考えるのでございまして、先ほど来宮之原君あたりも、いろいろこの五年は長いじゃないか、かように言っておられるけれども皆さん方は同時にいままでの交渉をやり直してもひとつやれ、こうまでも言われる。その意味においては長くかかってもしかたがないのだ、こう言われておるように私は聞いたのですが、そこらにややいま言われることに矛盾があるように(「質問に答えなさいよ、あなた」と呼ぶ者あり)いや、質問に答えておる。答えておりますが、どうも筋道が合わないので、私ども積極的にお答えすることが非常に困難である。だが、いま申し上げるように、沖繩の置かれておる地位は占領の当時に日本の内地における、内地が置かれておる状態とは違っておる。その状態をいかにして克服するかということが今日の問題である、かように私は思います。それを先ほど来防衛庁長官はるる説明しておる。これはひとつ御了承をいただきたいと思います。
  154. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いかにるる説明されても、現実の問題として沖繩県民が差別されるのですから、この事実だけは否定できないということです。それを一体どうしてくれるということを私は聞いているのですよ。  次に、私は引き続いて請求権の問題についてお 聞きいたしますが、返還協定の第四条をここで読んでいただいて、その政府の解釈なるものをはっきりしてもらいたい。
  155. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 第四条を読み上げます。
  156. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私の質問を聞いておってくださいよ。落ちていませんか。
  157. 徳永正利

    委員長徳永正利君) それを解釈してくれということだそうです。
  158. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 米国の沖繩の施政期間中の行為から生じました請求権は、ただいま読み上げました協定第四条二項にありますとおりに、同期間中に沖繩に適用された米国の法令または現地法令により認められるものである限り、米側の責任において処理されることになるわけでございまして、そのために、二項の後段にその処理手続について規定があるわけでございます。そしてさらに、このように認められた請求権以外のものは第一項におきまして放棄するということになっておるわけでございます。  さらに、三項におきましては、これは平和条約第十九条によってすでに放棄されたものでございまするけれども、いわゆる復元補償漏れの問題につきまして、この三項によりまして、アメリカ側がいわゆる自発的支払いを行なうということになっておるわけでございます。  さらに、海没地におきまする、海没地問題の解決に関する交換公文というものがございまして、これも講和前に起こったことでございまするけれども、これについて、埋め立て地を処分してこれに充てるというふうな解決があるわけでございます。  四項は、いわゆる占領中、いわゆる施政権中における作為、不作為の効力の承認の規定でございます。
  159. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この第一項にありますところのこの請求権の包括的な放棄というのは、国際法の原則から照らしてもこれはおかしいと、こういう説がきわめて常識的になされておるのですが、政府はそう思いませんか。
  160. 井川克一

    政府委員(井川克一君) ただいま申し上げましたとおり、四条二項によりまして、アメリカ法令及び現地法令で認められておりますものは、アメリカ側が引き続き処理するわけでございます。  さらに、講和前補償の問題につきましても、すでに放棄になっておりまするものも、これを新たにアメリカ側が自発的支払いをなすということになっておるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、法律的に申しまして、可能の限度を尽くし得たものと考えているわけでございまして、その以外のものにつきまして、これをこの施政権返還されましたときに放棄いたしまして、日米間の関係をこれにて全部終了するということは、これはやむを得ざる措置だと思っております。ただ、先ほど申し上げましたが、われわれといたしましては、法的にでき得る限りのことをいたしましたと思っておりまするけれども、しかしやはり、沖繩の方々のいろいろ御不満もあるわけでございまして、これは山中総務長官のほうでつくられました復帰対策要綱第三次分にも、たとえば講和前人身損害その他のものにつきまして、アメリカが処理すべきことでないものにつきましては、実情調査の上、政府において適切な措置を講ずるというふうになっておる次第でございます。
  161. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、不当でないというのですね、どうですか。
  162. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 従来、アメリカ施政権が全面的に行なわれておりました沖繩が、今回日本に返るわけでございます。しかして、それにつきまして、現在の法令で行なわれているものを引き続きアメリカ側は責任をもって行なう、それ以外のものにつきましては、この際、はっきりと請求権をあるものでも全部この際解決するということは、この返還という事態から見まして、そのものから見まして、決して私といたしましては、不当であるというふうには考えておりません。
  163. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それなら、政府のほうも対米請求権は現在処理済みだと考えておられるんですか。
  164. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 一応この協定を御承認願う、こういうことによって日米間の権利関係、これが確定をする、こういうふうに見ておりますが、しかし実態的に見まして、いま御説明のありました米国政府による補償漏れという問題があります。これはどういうものがあるか。これはたくさんいろいろ現地からは問題が提起されるであろうと思いますが、講和前の人身損害補償、これはとにかく何か日本政府において考えなきゃならぬだろうと、こういう見解を持っておるわけであります。なおその他にそういう種類のものがあるかどうか、これはなお調査いたしまして、もしそういうものがありますれば適正な処置を講ずる、こういう方針でございます。
  165. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 政府は、いままではやはり原則的な請求権はあると考えたから、前の愛知さんの外務大臣時代に、十項目に分かってまとめて、それをパリで交渉されたのじゃないですか。どうなんですか、そこは。
  166. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 愛知大臣たびたび御答弁中に明らかにされておられましたとおりに、この十項目というものは、琉球政府、立法院あるいは地主連合会、あるいは復帰協その他の要請があったものを大別して取りまとめたものでございまして、そこで、それらが完全に法律的に強いとか弱いとかいうふうな判断を加えずに、私どもといたしましては、それらの要請を取り入れて全部交渉をいたしたつもりでございます。
  167. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 根拠があるから、あなた、対米交渉に移されたのでしょう。ただそういうこともなしに、現地から希望があったから交渉したというのですか。
  168. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 一々の具体的請求権につきまして法律的根拠があるかどうかということは、これはどういたしましても私どもの手では判断できかねるわけでございます。それほどの実情もわかりませず、したがいましてこれらの要請書に基づきまして、しかもできるだけ琉球政府の御努力を得まして、われわれとしてはそれを取りまとめて交渉をいたした次第でございます。
  169. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この問題について日本弁護士連合会が一つ見解をまとめておりますが、その見解、御存じだと思いますが、それに対するところの政府の所見をまず承っておきたい。
  170. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 全文は、おそらくけさの新聞にありました——きょう発表になったそうでありまして、私ども、その全文をいまだ入手いたしておりません。ただその原稿みたいな第一項のようなものは拝見さしていただいておりますが、きわめて膨大なものでございます。ただいまここで全文につきましてどうこうと申し上げる能力を持っておりません。
  171. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この問題についても、沖繩の皆さんは非常な不満と不平を持っているのですよ。したがって、この問題に対するところの、この復帰対策要綱の三次分のいわば講和前の人身傷害の未補償云々ということだけで処理されるべきところの問題じゃないと思うんですがね。それをやはりあくまでも政府はこの要綱はそういう講和前の人身傷害の問題だけに限って、第三次要綱はまとめられておるのですか。
  172. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これはそうではございませんで、その時点において明確になっておりましたものが、被害者自身も認め、また人身被害補償連盟の方々もそれを文書にし、琉球政府も公文書としてそれを確認したものが唯一のものとして、講和前人身被害の補償漏れがございました。それを例にして「等」ということばがございますのは、その他いまでも琉球政府も掌握し得ない入会権あるいは漁業その他の通損、その他のなかなかむずかしい、実態に即応した数字の出にくい問題等がございますから、そういう問題等もやはり対米請求を交渉をいたしました後、それを処理し得なかったものについては、本土政府においてこれを処理するという明快な基本方針を示したものでございます。したがって、復帰要綱の考え方は、明快にはっきりと根拠もあり、数字も出ておるものは例があげてあるものでありまして、そのほかのものは予算においては調査費その他を計上して新生沖繩県と申しますか、現在の琉球政府というものと一体となって事実を調査して、その結果逐次それが法律が必要ならば法律をもって処理し、そして予算をもって交付していかなければならない、これは祖国の責任であると考えてあのような復帰要綱をきめた次第であります。
  173. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それならば、憲法の十七条あるいは憲法二十九条の三項と関連をして、国民の保護義務を怠って放棄しておるわけですから、政府はこの問題については明確に調査をし、それに伴うところの立法措置を今後やはり明確にして出すというふうに理解してよろしゅうございますか、どうですか。
  174. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 返還協定の交渉は、私は当事者でありませんから、その経緯は外務省から聞いていただくことにして、結果として対米請求の取れなかったものがあります。したがって、その対米請求権は本土政府に対しては沖繩の方々も持っておられないわけでありますけれども、しかし本土側がアメリカと折衝をした結果、それが合意に至らず残ったものは、これは本土の責任において本土政府が行なうべきであるという考え方で立っておるわけでありますから、事実を調査してみなければ、法律を必要とするかしないか、たとえば那覇軍港におけるコバルト、原子力潜水艦の汚染騒ぎがあって、ちょうど本土では佐世保にその例があったのですけれども、実際上は何の影響もなかったのですが、やはりその数日間はとれた魚が売れなかったということに対する漁業者に対する補償等については、これは法律を要するところまではいかぬのではないかというふうに考えておりますから、法律の要るものと、あるいは予算で、話し合いがつけば予算を交付すればそれでいいものと分かれると私は見ております。
  175. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 やはりこの問題は政府は、先ほどお尋ねしますと、いわゆる請求権の問題については、アメリカ側として処理済みだ云々というふうにこの条項を理解していますけれども、いわゆる占領中あるいは今日行なわれているような布令や、あるいはやはり一方的な権力関係の力づくでいろんな問題をきめられて、実際には泣き寝入りさせられておるところの部分が相当あるんですよ。そこらあたりの問題まで、ほんとうに調査をし、その点をやはり明確に、憲法に照らしてこの基本的な権利が剥奪されておるというならば、それをするというのが当然じゃないんでしょうか。どうなんですか。そこらをあらためて、そういう基本的な姿勢について私はお伺いしておきたいと思います。
  176. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 請求権の経緯は、まあ外務省のほうで御説明いただきましたが、人身被害等、こういった問題の具体的実行になりますと、防衛施設庁と申しますか、私のほうでやらざるを得ないと思います。そこで、他のいわゆる請求権ないしその実態的な被害、これはまあ現在も琉球政府もなかなか実態がつかみにくい面もあろうと思います。しかし、基本的な姿勢としては、本土政府としてこれを、実態をつかみ、そうして理由のあるものは理由のあるものなり、また必要ならば法律、また必要ならば行政措置、予算措置、こういうことはやっていくことが当然であろうと考えております。
  177. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 時間がありませんので多く申し上げませんけれども、やはり請求権の問題については明確な処理がなく、この問題が解決されない以上は、いわゆる戦後が終わったものではないと、こういっておるぐらい沖繩県民のこの問題に対するところの要求は非常に強いんですよ。したがって、その点、やはり政府は明確な責任体制を確立する中で、この問題についての解決を早急に、明確に私は打ち出していただきたいと、こういう要望だけをつけ加えておきたいと思います。  最後に、自治権の問題について触れてみたいと思うんですが、いわゆる出されておりますところの開発庁設置法案あるいは振興開発特別措置法案におけるところの知事の権限をいうのはどういう程度のものですか。それを御説明願いたいと思います。
  178. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 本来、本土の四十六都道府県知事の持っております権限の、部分的にもいささかも沖繩県知事の権限を侵す部門はございません。まあ質問があって逐次お答えするのがよろしいかと思うのですが、たとえば沖繩振興開発計画を策定するにいたしましても、沖繩県知事が原案を作成して提出をする権利を法的に認めておりますし、あるいは全額国費によって道路や港湾、空港等をやってもらいたいという場合にも、都道府県知事の申請によってそれを国が受託して全額国の手によって行なうというふうにいたしてございますので、その他は大体許認可事務等を、本来、沖繩県ならばとてもブロック的な機関は進出できないものを、その権能とブロック的な機能とを下げまして現地限りで処理できるようなサービス行政をしたいというのがおおむねのねらいでございますので、ただ、開発庁が設置されるということは、これは沖繩県について責任の所在を国が明確にする、逆に言うならば、沖繩県の側から、本土政府の行政、財政等に対する責任はどういう分野においてどれだけ果たされたかをはっきりとさせる役所が必要であるということを考えた次第でございます。
  179. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いささかも本土におけるところの知事の権限と変わっておらないという答弁ですけれども、開発庁関係のものを見ても、実際の執行の責任沖繩に設置されるであろうところの総合事務局の長がやるんじゃないですか。言うならば知事は単なるプランづくりにしか終わっておらないように法文上見受けられるのですが、そうじゃなくて、この問題についても、実施上のいろんな責任もみんなやはり本土の知事と同じようにあるんですか、ないんですか。
  180. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは沖繩県知事の本来やりたいと思うことを、逆にこの法律の、設置法なり、あるいはまた振興開発法なり、あるいは振興開発金融公庫法なりというもので知事ができないように制約をしておるという点は全然ございません。したがって、よその県よりも国のほうでめんどうを見て差し上げなければならない義務を果たす場合に、それはあくまでも県知事の申請によるもので、それを受けて初めて国が優遇措置であってもそれを行なうんだという姿勢を貫いておりますので、沖繩県知事の権限を侵す分野はないと私は思っております。
  181. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この件について当初この要綱が発表された前後は、それは沖繩の側も理解をしておったという話を聞いたんですが、その後、その中身をいろいろ調べてみて、この問題について非常にこれは中央が、あまりにも中央権力が集中し過ぎておるんじゃないか、これについては非常に不満だという声があるんですが、長官はその声を御存じだと思いますけれども、いわゆる沖繩大臣といわれるぐらいですから。その点どうお考えなんですか。
  182. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) この開発庁設置法並びにそれに対する出先付属機関、あるいは振興開発法、金融公庫法等、あるいはまた復帰に伴う暫定措置も含めて日常生活に影響のある法案等の内容については、これは責任ある団体であるはずの沖繩、琉球政府あるいは立法院、そうしてまたそのより広範な場面として屋良主席が選任されました県民会議等において了承を得ておると私は確信をいたしております。ただ部分的には、それらの正式な機関以外の団体の掲げておられるスローガン等の中に、そのような本土の中央権力あるいは保存権力というものが干渉してくるおそれがあるというようなことを言っておられることも耳にいたしてはおりますけれども、正式な政府の文書としても、設置はぜひしてほしいという要請書も受け取っておる次第でございます。
  183. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 しかし、そういう関係団体からその声があるということはあながち根拠のないことでもないと思うんです。それならば、やはり今後実際の執行の問題はそういうことのないように明確な手だてをする必要があると思うんですが、どうなんですか。
  184. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは沖繩県のためにどんな努力でもしなければなりませんから、したがって九十四万五千名の人みんなが賛成であるものにしたいと思います。しかし、中には賛成であっても表向き賛成ということができない立場の人もおられますので、したがって、それらの方々について耳は傾けますけれども、一人でも意見の違う人がおったならばやってはいけないんだという結論には私は到達しないと思います。しかし御忠告は十分拝聴して慎重に事を運んでまいりたいと思います。
  185. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この問題と関連して尋ねますが、例の北海道の開発法ですね、これと対比した場合の相違点はどういう点があるんですか。
  186. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) まず目的で、北海道開発法は、これは国民経済の復興と人口問題の解決に資するため北海道の資源の開発を行なうことを目的とするとなっております。今回の沖繩の関連法案すべて、いままでるる質疑応答で述べられました、あるいは総理の方針で述べられましたとおり、沖繩県民の戦中あるいは戦後今日までの御苦労にこたえるために沖繩県民のためにのみつくる法律でございますから、沖繩を利用して、本土の人口問題にしてもあるいは雇用問題にしても国家経済の復興にしても、そういうようなことはいささかも考えていない法律であります。第一その目的においてそれだけの違いがあるということであります。さらに北海道開発法の場合には、関係地方公共団体が開発計画については意見を申し述べることができるとなっておりますが、先ほど申しましたように、沖繩県の場合は原案作成、提出権を知事が持っておるということの違いがございます。さらに北海道の場合には直轄工事が主でありますが、沖繩の場合においては、これも述べましたように、直轄工事ももちろん行ないますけれども、許認可事務その他の行政サービス業務を現地出先において処理できるように全面的な機能を移行しながら、本来置かれないはずのブロック機関等もなるべく多くを設置して住民行政の向上に資したいというふうに考えておりますので、基本的に、考え方とそして行政の行ない方、そしてその形というものが全然違うということでざいます。
  187. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 もう一つお尋ねしますが、戦後沖繩と同じ立場にあって一足先に復帰したところの奄美群島も、大体私は同じ目的で復興特別措置法がつくられたと思うんです。しかし、この中身は相当なやはり違いがありますね。これは規模やその後の状況も違うだろうと思いますが、その異なっておるところの理由は、やはり前の奄美の振興特別措置法がいろんな問題点があったから、より強化するためにこういう手直しをしたと、こういうふうに理解していいんですか、どうですか。
  188. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 奄美振興法は、当初、前期・後期十カ年は奄美復興法でございました。そして補助率等も、旧奄美法と呼ばれるきわめて高い高率補助をいたしておったことは御承知のとおりでありますが、その後、後期の振興計画に移って、一期五カ年計画を終わり、そしていま第三年目に入っておるわけでありますけれども、この奄美復興法をつくりましたときに、私は議員立法の提案者でございますが、気のつかなかったために、あとでやはり奄美の経済振興の上において、もう少し盛り込んでおかなければならなかった点等の反省もございますし、あるいは奄美には、まだ、電力の九電統合なくして奄美の戦後は終わらないということばがありますように、電力問題で手ぬかりをいたしました。したがって、今回の沖繩においてそのことを繰り返してはならぬ。九電などに引き取らせるという形をとるよりも、特殊法人として国が全部めんどうを見て、新規の発電の需要等も開拓しながら、沖繩の電灯料金その他の小売り価格を維持していくように、国が責任を持ちたい。奄美復興法、振興法の反省の上に立って、新しい沖繩に対する法律を立案をした次第でございます。
  189. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは自治大臣にお聞きをしたほうがいいと思いますけれども、いま奄美振興特別措置法の問題と関連をして尋ねたんですけれども、四十八年までで振興法は終わりだと、奄美の場合は。しかし、これは非常に群民の中には延長してもらいたいと、こういうように熱烈な声があるんですが、しかし、ことしはこの問題については自治大臣はやはり前向きにその声を検討すべきだと思いますし、沖繩の振興という問題ときわめて同じ地域であるだけに重要な関連があるんですが、この問題に対するところの自治大臣の見解を聞きたいし、もし今後、前向きに検討していくというならば、これらの、いま山中総務長官からいろいろ話のあった点等を考慮して前向きの検討をされる意思があるのかどうか、その点をやはり明確にしておいてもらいたい。
  190. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) ただいま奄美群島の振興計画のことについてお尋ねございました。もうあと三年で完了することは、いま山中総務長官がお答えになったとおりでございますが、その後の経済情勢あるいは単価等の関係で、現在なお検討すべき点がございますので、前向きに検討いたしておりますのが実情でございます。
  191. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上をもちまして宮之原君の質疑は終了いたしました。  次回は明九日午前十時開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十三分散会