運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-11-04 第67回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月四日(木曜日)    午前十時四分開会     —————————————    委員の異動  十一月四日     辞任         補欠選任      内田 善利君     多田 省吾君      三木 忠雄君     黒柳  明君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         徳永 正利君     理 事                 白井  勇君                 玉置 和郎君                 西田 信一君                 初村瀧一郎君                 若林 正武君                 松永 忠二君                 山崎  昇君                 塩出 啓典君                 向井 長年君     委 員                 小笠 公韶君                 長田 裕二君                 梶木 又三君                 川上 為治君                久次米健太郎君                 楠  正俊君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古池 信三君                 世耕 政隆君                 土屋 義彦君                 内藤誉三郎君                 長屋  茂君                 平島 敏夫君                 山崎 竜男君                 山本敬三郎君                 山内 一郎君                 片岡 勝治君                 神沢  浄君                 杉山善太郎君                 戸叶  武君                 羽生 三七君                 藤田  進君                 宮之原貞光君                 森 元治郎君                 安永 英雄君                 黒柳  明君                 多田 省吾君                 矢追 秀彦君                 木島 則夫君                 岩間 正男君                 渡辺  武君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  前尾繁三郎君        外 務 大 臣  福田 赳夫君        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        文 部 大 臣  高見 三郎君        厚 生 大 臣  斎藤  昇君        農 林 大 臣  赤城 宗徳君        通商産業大臣   田中 角榮君        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君        郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君        労 働 大 臣  原 健三郎君        建 設 大 臣  西村 英一君        自 治 大 臣  渡海元三郎君        国 務 大 臣  大石 武一君        国 務 大 臣  木村 俊夫君        国 務 大 臣  竹下  登君        国 務 大 臣  中村 寅太君        国 務 大 臣  西村 直己君        国 務 大 臣  平泉  渉君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        防衛庁長官官房        長        宍戸 基男君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁人事教育        局長       江藤 淳雄君        防衛庁衛生局長  鈴木 一男君        防衛庁経理局長  田代 一正君        防衛庁装備局長  黒部  穰君        防衛施設庁長官  島田  豊君        経済企画庁調整        局長       新田 庚一君        経済企画庁国民        生活局長     宮崎  仁君        経済企画庁総合        計画局長     矢野 智雄君        沖繩北方対策        庁長官      岡部 秀一君        沖繩北方対策        庁総務部長    岡田 純夫君        外務省アジア局        長        須之部量三君        外務省アメリカ        局長       吉野 文六君        外務省経済局長  平原  毅君        外務省条約局長  井川 克一君        外務省国際連合        局長       西堀 正弘君        大蔵省主計局長  相澤 英之君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省国際金融        局長       稲村 光一君        文部大臣官房長  井内慶次郎君        文部省初等中等        教育局長     岩間英太郎君        文部省管理局長  安嶋  彌君        厚生省医務局長  松尾 正雄君        厚生省社会局長  加藤 威二君        厚生省児童家庭        局長       松下 廉蔵君        厚生省年金局長  北川 力夫君        農林大臣官房長  中野 和仁君        農林省農林経済        局長       小暮 光美君        農林省農地局長  三善 信二君        農林省畜産局長  増田  久君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君        食糧庁長官    亀長 友義君        通商産業省通商        局長       山下 英明君        通商産業省貿易        振興局長     外山  弘君        中小企業庁長官  高橋 淑郎君        郵政省電波監理        局長       藤木  栄君        労働省労政局長  石黒 拓爾君        労働省職業安定        局長       住  榮作君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省住宅局長  多治見高雄君        自治省財政局長  鎌田 要人君        自治省税務局長 佐々木喜久治君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君    参考人        日本銀行総裁   佐々木 直君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十六年度一般会計補正予算(第1号)  (内閣提出衆議院送付) ○昭和四十六年度特別会計補正予算(特第1  号)(内閣提出衆議院送付) ○昭和四十六年度政府関係機関補正予算(機第1  号)(内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十六年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十六年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十六年度政府関係機関補正予算(機第1号)  以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、安永英雄君の質疑を行ないます。安永君。
  3. 安永英雄

    安永英雄君 教育問題について引き続き質問をいたします。  一昨日の教育改革についての政府答弁を聞いておりますというと、改革基本的理念というものが非常に不明確であると私は思います。あるいはまた改革への動機はきわめて薄弱であると思います。ことに総理改革動機として特に強調をされました進駐軍押しつけ説、これが動機だと強調されましたけれども、これほど国民あるいは今日まで新しい教育にまじめに取り組んできた教師に対して不謹慎なことばはないのではないか、このように私は思います。押しつけられて心ならずも間違った教育を今日までやってきたとするならば、戦後二十数年の教育というものがどういうふうに位置づけられるのか、きわめてナンセンスな立場に立ってくる。歴代の保守党内閣総理あるいは文部大臣責任は、この論でいけば非常に重要である。  ことに、佐藤総理にお尋ねをいたしますが、あなたの任期中この説を持っておられるとするならば、この期間における間違った教育をさせたという責任をあなたはどうおとりになりますか。この点を明らかにしていただきたいと思います。
  4. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、ただいまの教育制度が採用されたこと、それは事実なりに評価してほしい、こういうことを申し上げておるのでございます。これが間違っているとか、間違ってないとか、かように申したわけではございません。そういうもとに生まれた、これが第二期の教育改革ではなかったか。だから、当時ずいぶん一部において反対のあったことは御承知のとおりであります。私は、その事実を事実なりに申し上げたのでございます。また、私どもがただいま教育改革を必要とするのは、そういうことから生まれた教育制度であるばかりではなく、戦後、ここ二十数年、これはたいへんな経済的な発展もいたしましたが、また教育要求するものもたいへんなものがあるように実は思っております。これは各個人個人がそれぞれの評価をしておると思います。しかし、これは個人的に一人でとやかく言うべきものではないので、私は、量的に発展したことは、これはもうそれなりに評価してしかるべきだと思います。しかし、質の面においてあるいは抜かっている点があるのではないか、かように考えますがゆえに中央教育審議会答申を求めた。過去四年間にわたって専門的な見地から種々論議を尽くされ、そうして今回答申を得られたのであります。したがって、私は、そういう意味で、これは評価さるべきではないかと思っております。  ただいま安永君は、総理になってから間違った教育をやってた、こういうようなおしかりでございますが、私はさようには考えていない。そこまで申しておるわけじゃありません。やっぱり教育は、そのときどきに、またその国にふさわしい教育制度があってしかるべきだ、かように考えるのは、これは私一人ではないだろうと思います。おそらくこの点では安永君も御同感の意を表されるのじゃないだろうかと思っております。私は、そういう意味から、自分でどう考えたからどうしたとか、あるいはまたいままでやってきたことが間違っておるから改めるのだ、かようには申してはおりません。ただ、教育の問題でございますから、それぞれの専門家の御意見も十分聞いて、しかる上で正しい教育あり方、これをきめたいというのが私の考え方であります。
  5. 安永英雄

    安永英雄君 改革をしなければならない動機を聞いておるわけでありますが、その最たるものとして進駐軍押しつけ説をとられたわけである。したがって、これは何はともあれ、心ならずも間違ったという、全般的ではないかもしれないけれども、その一点があればあなたはどうされるかということであって、私は、むしろ、この進駐軍説ということを取り出して今度の学制改革に取り組もうとされる姿勢がおかしいから聞いたわけであります。いま聞きますというと、その説もあるし、あるいは経済的にも成長していった変化があると、とにかく非常に不明確なんであります。要するに、私は、現在の政府あるいは文部省のこの改革に対する現在の立場というのは手探り状態である、こういうことが明確になったと思う。自信のなさというものをここで暴露したと言ってもいいと私は思うのであります。にもかかわらず、文部省内には改革への基本的な確とした理念もなく、改革をしようという動機も不明確なままにこの改革への先ばしりをしているような動きが確かにある。  文部大臣は、いま文部省として何をやろうとされておるのか、何を計画をしておるのか、これを明らかにしていただきたいと思います。
  6. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) 総理からお答えがございましたが、私は、今日無限に発展をしております社会情勢というものを考えまする場合に、いままでの教育制度のままで一体いいかということになるというと、教育制度全般について考え直さなければならない幾多の問題があると、かように考えておるのであります。  ことに、教育という問題につきましては、絶えざる改革が私は今日まで行なわれてきておると思うのであります。したがいまして、今回行ないまする教育改革は、長い将来の展望に立ちまして、日本教育あり方というものについて根本的に考えてみなければならぬ問題があるんじゃないかと、これが中教審答申を求めました動機でございます。その要望にこたえまして、中教審は、四年間の長期にわたって今後あるべき教育の姿というものについての答申をしていただいたわけであります。  文部省は一体何をやるのだということでありまするが、これは御承知のように、非常に広範多岐にわたっております。人間の生涯を通じて、ただに学校教育体系改革のみならず、生涯にわたる教育あり方というものを考えるべきであるという観点に立っておると私は理解をいたしております。したがいまして、幼児から始めまして老人の、生まれてから死ぬまでの人間完成という教育目的というものを達成していくというシステムをひとつここで考え直さなければならぬ。これが今回における教育改革の私は基本的な理念ではないかと考えておるのであります。
  7. 安永英雄

    安永英雄君 私は、そういうことを聞いてないんです。文部省は動いておるけれども、ことしから来年、どういうところから手をつけていこうと考えておるのかということを聞いている。
  8. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) お答えいたします。  学校教育制度改革につきましては、これは相当科学的な根拠のあるものでなければならないと思います。子供モルモット的な試験台にする教育制度改革というものは、厳にこれは慎むべきであると考えておるのであります。  さしあたり私どもが考えなければならない問題は、いま最も立ちおくれております幼児教育あるいは生涯教育観点に立ちますところの社会教育職場教育、これらの問題にさしあたりは取り組んでいきたいと、かように考えて、予算要求もそういう観点から強くいたしておるのであります。  もとより、安永先生に言わせるならば、学校教育の現在の施設をまず整備するのがあたりまえじゃないかとおっしゃるであろうと思います。中教審答申にもそういうことをうたっております。私も、この趣意を生かしまして、学校教育整備充実については特に力を入れますけれども、同時にまた、幼児教育社会教育等にあるいは体育教育等に特に力を入れていきたいというのが来年度におきまする私どもの考えておる考え方なのであります。
  9. 安永英雄

    安永英雄君 それでは、はっきりしておきますが、先導的試行の先ばしりとかあるいは先導的試行検討とか、あるいは大学改革の問題とか、あるいは教職員の優遇、待遇の問題研修問題等中教審答申をしておる問題については、これは一切さわらないということでありますか。
  10. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) いま御指摘になりました問題は、きわめて大切な問題であります。きわめて大切な問題でありますだけに、この問題については十分の検討を要すると思うのであります。たとえば教員の処遇の改善の問題にいたしましても、学校教育体系の問題にいたしましても、これについては十分な根拠のある検討をいたさなければなりません。さしあたってやらなければならない問題は、何としても学校先生の資質の向上というものを考えなければならぬ。したがって、研修問題等につきましては真剣に考えていかなきゃならぬと考えておりますけれども、これを制度として取り上げまするには相当の理論的根拠というものを持たなければなりません。ことに文部大臣だけの手でできるものではない部面が非常に多いのであります。その意味において、それらのものを踏まえまして、十分の検討を目下改革推進本部検討をいたしておる段階でございます。
  11. 安永英雄

    安永英雄君 研修の問題については、わかりました。  それでは、中教審答申の中に述べておる四十九年度から先導的試行に入るべきだという、これは全く考えてはいないというふうにとってよろしいか。
  12. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) この先導的試行の問題は、一番大きな問題になりましたのは、児童生徒の心身の発達の段階におきまする入学前の幼児幼稚園、それから中・高の間におきまする一貫性というものを考えてみる必要があると、その一つの行き方として先導的試行というものを考えてみたらどうだという提案をいたしております。しかし、この問題は、十分な学問的実証の上に立ってやらなければならぬことであるということでありますので、今後十年間を目やすといたしまして検討をする。したがいまして、今年からやります仕事は何をやるかと申しますると、先導的試行をやるについて、何からどう手をつけていくかという問題の調査研究にかかってまいりたいと、こう考えております。これを昭和四十九年まで続けてまいりたい。したがいまして、これは先導的試行学校をつくるのではございません。あらゆる学者あるいは研究グループ、あるいは特定学校あるいは先生お願いをいたしまして、どういう形で先導的試行学校というものをつくればいいか、またどういう形で先導的試行学校をやればいいかということを御検討を願う、御研究を願うという委託費を今年度予算において、お一人と申しますか、一グループと申しますか、わずかに三十万円という金額でありますが、一グループに対しまして、これを要求をいたしておるのでありまして、四十九年まではもっぱらこの問題につきましての手順についての検討をしていただきたい、研究をしていただきたいと、こういう意味予算要求をいたしておるわけであります。
  13. 安永英雄

    安永英雄君 四十九年度まで検討を加えると言うけれども、現在の状態としては、先導的試行に踏み切るかどうかという問題は、はっきりきまっていない、やめる場合もあり得るというふうにとってよろしいか。
  14. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) やめる場合があり得るという前提で研究をいたしておるのじゃございません。できることなら、やる方向へ持っていきたいと考えておるのでありますけれども、しかし、研究の結果が、結果においてこれはやってはいかぬということであるならば、これはやめざるを得ないということでありまするが、私のいまの気持ちは、これをやる方向に向かっての研究を続けていきたいと、かように考えておるのであります。
  15. 安永英雄

    安永英雄君 そこが問題であります。だから、予算要求内容にいまちょっと触れられましたけれども全国相当数学校を指定して、そうしてこれの研究を委託するという立場は、明らかに先導的試行に踏み切って現実に進んでいこうという姿勢を示しておる。私は非常に危険だと思う。この点はどうですか。
  16. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) 危険であるかないかという問題は、この二年間の調査によってきまることであるのであります。何もいまから、初めから危険であると断定してかかるわけにはまいりません。ただ、しかし、私は、これが直ちにそのまま取り入れていい姿のものであるかないかということは、これからの研究に待ってみなければならない。ただいまの段階では、指定いたしまする学校というものもきわめて限られたものであります。むしろ、どっちかと申しますると、私どもは、研究団体お願いをするとか、あるいは研究者個人お願いをするとかいう面のほうが多いと、こういうように考えておるのであります。
  17. 安永英雄

    安永英雄君 ほんの一部に実験を委託すると言われるけれども中教審答申内容すら、六十六校というのがいま世論の批判の的になっておる。現在予定されておるのは約五十六校でしょう。これをモルモットのように実験をしていくという立場はけしからぬと思う。先導的試行に入るのは、四十九年から入るか入らないかをきめるということで、その実験段階ですでに先導的試行に入っているじゃありませんか、このまま執行していけば。どうです。
  18. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) 六十六校と限ったわけではございません。単なる一個人の研究者お願いをする場合もございますし、あるいは教育研究所お願いをする場合もございます。六十六校と別に限ったわけではございません。ただ、予算積算基礎として一応あげただけのことであります。
  19. 安永英雄

    安永英雄君 先導的試行については、私は、すでに走りかかっておると。この問題だけを先に、先ばしっているという感じがする、あなたがどう言おうとも。研究者に委託しようが、どういう機関に委託しようが、そういった幼稚園小学校、こういった五歳児、四歳児をすでに小学校の低学年とひっつけながら実験的にやっていこうという学校があるとするなら、これこそ先導的試行に入ったと見なきゃならぬ。これはごまかしですよ。はっきり大臣から、絶対にそういうことはないと言うならば、私も納得をする。どうですか。
  20. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) いろいろその点については御承知の上での話だと思いますけれども、私は、いま六十六校というあなたの積算基礎を確かめてみましたが、六十六校にはなっておりません。しかし、大体まあ五十五校ぐらいになるかと思います。五十五校ぐらいになるかと思いますが、これも積算基礎上の問題でございまして、あるいは教育研究所お願いをする場合もありましょうし、あるいは特定先生お願いをする場合も出てくるだろうと思います。ただ、御承知のように、幼・中一貫の場合はわりあい楽であります。中・高一貫の場合でありまするというと、これは国立学校以外にはちょっと考えられない、あるいは私立学校以外にはちょっと考えられないような問題があるのであります。したがいまして、六十六校と初めからきめてかかっているわけではないのであります。ただ、中教審学校体系一つとして考えてみたらどうだという提言に対しまして、私どもは、これを忠実に受けてひとつやってみようと、こう考えておるわけなのであります。この辺は誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。
  21. 安永英雄

    安永英雄君 誤解しないようにと言っても、これは誤解せざるを得ない。  ここで時間がありませんから、はっきり大臣から聞いておきますが、文部省がそういう中教審答申した先導的試行ではないと言って実験的にやる。そういった作業をやれば、これはもう全国的に各都道府県市町村がこれに右えならえする危険が非常に多い。全国津々浦々に先導的試行でもやられたらたいへんです。この点は、文部省実験段階として理論的に解明する段階だというならば、こういう実験都道府県市町村が入ってはならないという通達あたりは出される考え方はありませんか。これを出さないと混乱しますよ。
  22. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) 文部省は、これに対して通達を出そうとは思ってはおりません。  それから、安永先生先ほどおっしゃいましたが、エリート学校をというような考え方は毛頭持っておりません。と申しますのは、この種の学校へ入ります子供は、いやだという子供は入らなくていいように仕組んでおります。したがいまして、子供モルモットにするというようなことはまず起こり得ないという考え方でおるのであります。特別にすぐれました秀才を入れるとか入れないとかという問題ではございません。この点はぜひ御理解をいただきたいと思います。
  23. 安永英雄

    安永英雄君 私は、そこを言っているんじゃない。文部省研究指定校を指定して、そこで先導的試行の前の先導的試行というものに入る、こういうシステムというのを都道府県市町村がやり出したら、全国どこでも先ばしっていくような傾向にあるので、これは文部大臣の本意ではないと思うので、この点の指導はどうかということを聞いているのです。
  24. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) 文部省として、各都道府県教育委員会に対しまして特段の指令をする意図はざざいません。ただ、この学校お願いしてみたいという学校につきましては、個々の学校について文部省からお願いをしてみて、いやだとおっしゃればやむを得ないのであります。やってみようと言われるところについて……。
  25. 安永英雄

    安永英雄君 いや違うんですよ。市町村に……。
  26. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) 市町村に対しましても、そういう考え方は持っておりません。
  27. 安永英雄

    安永英雄君 そうじゃないんですよ。市町村が、あなたが思うような同じ立場でやったらどうする、困るでしょう。
  28. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) いや、そういうことはやらせません。そういうことは絶対にやらせませんから御安心を願いたいと思います。
  29. 安永英雄

    安永英雄君 時間がありませんから、次に教職員の待遇改善の措置というものについて、本会議でも答弁をされましたが、この給与の問題については段階的、継続的に推進していきたいということをはっきりおっしゃった。これは具体的にどういうことなんです。
  30. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) 教職員の待遇が悪いということは、もうこれは御承知のとおりであります。私は、教育における教師の地位というものがいかに重要なものであるかということを切実に感じておる一人であります。いやしくも人が人に対して教育をする、その教育というのは、人間人間との精神的交流によって生まれるということを考えまする場合に、先生というものの立場というものがいかに重大なものであるか、考えてみれば、そらおそろしいぐらいな重大な仕事であることを承知をいたしております。にもかかわらず、先生の社会的処遇というものは、残念ながら、日本のあらゆる社会的な専門職というものが非常に高くなってまいりました関係上、どうも先生に対する社会的な尊敬の念というものがだんだん薄らいでいく傾向があるのであります。これは非常に残念なことであります。  私どもは、少なくとも先生が最高の指導者であり、人生の指導者であるというだけの権威と尊敬とを持ってもらわなければならないと存じております。したがって、処遇の改善の問題は、まだ科学的にいろんな立証をしなければならない問題は走りますけれども、何としても客観的に処遇改善というものをしていくことが大切なことである。中教審答申をいたしておるのでありますけれども、この処遇改善の方法というものを真剣に考えなければならぬということを考えますというと、いますぐというわけにはまいりません。いますぐというわけにはまいりませんけれども、少なくとも学校の教員というものは、他のいかなる職業につくよりも有利であるという客観条件だけはつくって差し上げなければならぬ、これが私の念願であります。この考えのもとに教員処遇の問題を真剣に考えるということになりまするというと、その方法につきましては、あるいは御反対の向きがあるかもしれませんけれども、いろんな方法を考えざるを得ないということを考えておるわけであります。
  31. 安永英雄

    安永英雄君 いろいろな方法についていま検討されておるその大臣考え方を述べてください。そんなことじゃ答弁になりませんよ。
  32. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) 学校先生が一人一人の能力を最高限に発揮されるということが何より望ましいことであります。と同時に、学校先生学校という体系のもとにおいて、組織的な連係活動をされることも必要なのであります。その意味においては、学校における管理職というものも非常に大切な問題になってまいると思うのであります。同時にまた自分は教員で一生を終わればいいんだという先生も多数おありになることも承知をいたしております。これらの方々については、長期研修の方法によって処遇の改善を考えて差し上げるというような、いろいろな道があるだろうと思うのであります。  たとえば日教組がおっしゃる、五段階給与というようなものの考え方も、考え方そのものについて、何だか教員に対して非常な差別をつけるというようなお考えがあるようでありますけれども、一般職の給与の最高まで給与を上げるということにいたしまするというと、長期研修をいたしまする教員は最終的に考えますると七五%になります。七五%になりまするというと、女子教員の大体勤続平均年数が十二年半くらいになっておりますが、男子教員のすべての方が一般職の最高俸まで御本人の努力によってはなり得る。何も管理職だけが特別な処遇を受けるわけのものではないと、私はかように考えておるのであります。
  33. 安永英雄

    安永英雄君 私は、そういうことを聞いておるんじゃない。日教組が五段階を言っておるんじゃなくて、中教審が言っているので、あなた方はそのお先棒をかつごうとしておる。その動きをやっているわけで、継続的に、長期的にしごくのんびりしておるけれども、あなたのほうが、一応中教審答申していますけれども、四十八年度から実施をしたいということで研究をし、来年の人事院勧告にもそれを勧告してもらおう、こういう考え方を表明されたこともあるのであります。いま継続的に、長期的にと、こういってしごくのんびりした話で、いまからかかるというようなことでありますけれども、その点をどう運ばれるかということをお聞きしておるんです。
  34. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) これは、私は安永さんにお願いをしたいのであります。給与を上げるという問題は、文部大臣がさか立ちをしてもできる問題ではありません。人事院という機構がございまするし、大蔵省というお目付があるわけであります。だから教員の処遇改善については、どうぞ国会の全員あげて教員の処遇改善をやるべしという御決意を表明していただきたい、それに基づきまして、私どもは、いま申し上げましたような形での教員処遇改善をやりたいと、かように考えておるわけでありまして、来年から取っ組みたい。しかし、来年取っ組んで来年できるものであるか、再来年できるものであるか、これはなかなか容易な問題ではないのでありますので、ぜひ御協力のほどをお願い申し上げます。
  35. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 関連。  関連して大臣にお聞きしますがね。先ほど大臣のおっしゃった、いわゆる学校の教員の待遇をよくしなければならない、この点はだれしも異議がないと思う、今日よく世間的に、でも先生、しか先生と言われておるこの気持ちや要素の中には、確かに教員の待遇が悪い、このことはもう否定できないきわめて重要なことなんです。  ただ、先ほどから安永君が聞いておるのは、それならば、その待遇の改善の方途をどう考えておるかということを私はお聞きしておると思う。そこらあたりは、大臣は非常にごまかしながらするすると抜けておられるので、私は、重ねてここで具体的に大臣の御見解を聞きたいのですが——まだ早いですよ、最後まで聞いてから答弁してください、的確に。そうしなければまた再質問という形になります、時間の浪費でしょう。それで一番やはり問題になるのは、教員の待遇をよくするというならば、全体の教員の待遇をよりよくしていくということが一番大事なことではないでしょうか。それをあたかもあなたの答弁を聞いておると、その待遇の改善の方途としては、たとえば管理職とか何とかというところを先に持っていって、そうして七五%とか何とかいって、あとは一般の女教員の方が多いんです、こういうものの言い方でしょう。これはほんとうの待遇の改善になるのかどうか。ほんとうに学校先生に人を得ようというならば、全体の学校先生の給与を三〇%でも四〇%でもみなの底を上げていく、上げた上の中で考えるというならば、これは世間さまも納得できるのです。そういうことはしないでおって、ただ管理職だけをどうだとか、あるいは七五%をどうだということでほんとうの教員の改善になりますか。そこのところをやはり明確にして、一体どこにあなたは重点を置かれるのか、そこをやはり明確にしてもらわなければいけないと思うのです。  なお、この問題と関連してもう一点私がお聞きしたいのは、あんたは、教育というもの、教師のそれぞれの立場におけるところの責任の度合いということをどう考えておられるかということ。少なくとも学校教育は、官庁や会社とは違うはずなんですよ。どういう学校先生でも、子供に対するところの責任というものは全く同じなんですよ、それを官庁や民間会社みたいに一つの職階制なり、管理職の者はこれは教育責任が重いんだ、だから待遇をよくしなければならないという、一体そういうものの考え方学校教育というものが発展するのかどうか。ほんとうは管理職も何も目がけない、晩年を平教員でも甘んじようといって教員の道に精進しておるところの先生、特に僻地や離島に多くおられるところのその先生に対するところの待遇を重点的にやってこそ教育の効果があがるのですよ。それを管理者的な、学校をどうすれば管理しやすいかという立場からこの教員の給与のあり方を考えるとするならば、それこそ主客転倒だと私は思うのですよ。そこを一体どう考えるのですか。
  36. 松永忠二

    ○松永忠二君 関連。  いま、宮之原君の第二の点に関連するし、安永委員が言われている五段階をも中教審が通して、それを実施をするのではないかということで、一般の教員の中に非常な心配の面のあることも事実です。同時に、大臣が非常に熱心に言われている教員の待遇というものをこの際改善をしていかなければ、教育改革を実施するとしても、やはり教員志望者も非常に少なくなっているというか、質的な問題を云々されているときでありますので、この点についてはひとつ、ちょうど議題になったところなので、私はお答えを願いたい。  それはつまり五段階とか、管理職を強化するとかというような立場で教員の待遇を改善するのが教育なり、教員の本質的なものにつながるだろうか、どうだろうか。これはユネスコやILOの教員の地位に関する勧告の中にも、教員というのは非常に同質的な責任を持っている職種であるから、ある早い段階で給与を高くして、そうして給与差を少ないままに、つまり終わるという形が最もふさわしいのではないかということを指摘をしているわけです。したがって、いま管理職を強化するとか、五段階とかという観点からだけ教員の待遇改善をすると、結果的には教育そのものを支障におとしいれてしまうとか、あるいは世界的な風潮にも違っているわけであります。そういう意味で、そういうようなことを含んで待遇を改善をしたいと考えておるのかどうか。この点を大臣に聞くと一緒に、総理に特にお願いをし、また明確に答えてもらいたいものは、やはりいま教員の待遇を改善することが教育改革をやる前提というか、まず第一にやる一つの条件であると、欠くべからざる条件であり、これについて教育改革を第三の改革としてやるならば、政府としてもこの点を重要な課題として、最前提として行なう、この内容については、やはり教育そのものの質を高めるということについての考え方が十分反映できるようにしていきたいというような、そういうことをわれわれは考えているのだが、総理としてどういうふうにそういう御決意を持っておられるのか、ちょうど関連であったので、私もお尋ねをするのであります。
  37. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) 大事な問題を宮之原先生に指摘をせられまして、私のほうがやや先ばしっておった感じがいたします。教育改革の一番基本的な問題は、教員の待遇の改善——待遇の改善における社会的地位の向上というものを考える、こういうことを考えまする場合に、第一に考えなきゃならぬ問題は、教員の処遇改善のうちで一番大事な問題は、初任給をまずほかのいかなる職種よりも高いものにするということを考えなければなりません。中教審は、御承知のように、三〇ないし四〇%の処遇改善をやるべきであるということを申しております。この問題を申し落としましたところを突かれたわけでありまして、お話しのとおりであります。この問題をまず真剣に考えなければならないと思うのであります。これは私が先ばしった答弁をいたしましたのでありまするが、宮之原先生のおっしゃるとおり、まず初任給の改定をやるということを前提にいたさなければなりません。  また、松永先生のおっしゃる御議論も、私は理解できないわけじゃありませんけれども学校を出まして一年、二年の先生と、学校を出まして十年、十五年たちました先生とが同じ割合でいくということは必ずしも望ましい姿であると私は考えておりません。これには研修もやらなきゃなりませんし、また、学校という組織体の中にあってのそれぞれの教師が生き生きとした教育活動をやりますために必要な管理体制というものも、やっぱり連合体として考えまする場合には、きわめて必要なことであると、私はかように考えておるのであります。  大事な問題を実は私申し落としましたけれども、初任給の上昇という問題については、これはまず最初に取り組まなきゃならぬ問題であるということは、はっきり申し上げておきます。
  38. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま高見文部大臣からお答えしたとおりでございます。私も教育改革で最も大事なことは、先生の資質の向上、それにふさわしい給与改善をすること、これが基本だと、かように考えております。どうぞよろしくお願いします。
  39. 安永英雄

    安永英雄君 文部大臣はしごくうまく、すべての教員の給与を底上げしていくような印象を与えられたけれども、しかし、中教審なり、あなた方が今日まで給与を考えた場合には、いまも、はしなくもおっしゃった管理職というものを強化して、そうして五段階という職務職階制をこの教育現場に持ち込もうとされておるのが本心なんです。そこに問題があるわけです。いま問題になっておる国鉄のマル生、この問題が非常に批判をされておるわけでありますが、私は、これは教育版だと思うのです。五段階を入れることは、競わせ、そうして圧迫をし、この中でどうしてあなたがおっしゃった生き生きとした教育活動ができますか。この点は、手順としても非常に不明な手順を考えられておるようでありますけれども、これは急ぐべきではなくして、現場の教職員の意見というものを十分聞いて、これはほんとうに納得する賃金というものをしいてやって、一方、そうしてはつらつとした教育現場をつくるということが最も望ましい問題でありますから、そういう方向でひとつ努力をしていただきたい。これは要望としてつけ加えておきます。この問題については、ざらに委員会等で深めていきたいと思います。  時間がありませんから、最後に厚生大臣にお尋ねをいたします。  中教審答申の中で、保育所の問題に触れていますが、これについての厚生大臣の態度をお聞きしたいと思います。
  40. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 中教審答申で、保育所と幼稚園の関係に触れておりますことは、私も承知をいたしております。文部大臣の先般来からの答弁をここで伺っておりましても、いわゆる幼児教育をどういうようにやっていくか、いま検討中であるというお話でございます。したがいまして、幼稚園を今後どうされるかということにつきましては、保育所との関係もあり、厚生省としても非常に関心を持っている問題でございますけれども、本来、保育所は、御承知のように、保育に欠ける児童を昼間八時間養護をするという立場に立っておりますので、したがって、いま直ちに幼稚園と一体化するとか、あるいは二枚看板にするとかいうことにつきましては相当問題があるであろうと、かように思います。慎重な態度に立ちまして、文部省幼児教育に対する方針を伺いながらやってまいりたいと、かように思います。  もちろん保育所におきましても、文部省の考えられる幼稚園教育というものをこの八時間の養護の間においてやっていくというのが方針であり、現にやっておるわけでありますから、必ずしも機構は統一する必要もなかろうかと、ただいまのところ、さように考えているわけでございます。
  41. 安永英雄

    安永英雄君 大臣、医科大学の問題が非常に問題になっていますが、時間がありませんから、どういう構想を持っておられるか、お尋ねします。
  42. 高見三郎

    国務大臣高見三郎君) わが国における医療制度というものがアメリカ、ドイツ、ソ連等に比べまして非常に水準が低いということは、御承知のとおりであります。人口十万人に対しまして、アメリカ、ドイツ、ソ連等はいずれも百五十人の医者を確保いたしております。しかも、アメリカなどでは、その百五十人でもなお足りないというので、医学教育の充実を主張いたしております。ところが日本では、人口十万に対しまする医師数は、厚生省の調べによりますると、百二十八人が少し欠けておるという状態になっておるのでありまして、医学教育の重要性というものがきわめて大切なものであることは申すまでもございません。  そこで、医学教育の振興につきましては、特段に力を入れてみたいと存じまして、来年度から公立学校の創設準備費を二校要求をいたしておるのでありまするけれども、どうもいろいろの方面の御意見を伺ってみますというと、とても二校ではどうにもならないと。まあ今後、昭和六十年までを見通しまして、人口十万に対する百五十人のお医者さんを確保するためには、一年間に千三百人ぐらいのお医者さんを養成するということにしなければならないという状態なのであります。したがいまして、ただいま要求いたしておりまする二校というものにつきましては、さらにこれを上乗せするという問題をいま真剣に検討中でございます。そうして、できることならば、私立医科大学よりも国公立医科大学のほうをふやすことによって父兄負担を軽くするということを考えなきゃなるまいと、これを真剣に考えておる状態でございます。
  43. 安永英雄

    安永英雄君 大蔵大臣、これはどうですか。いま文部省からそういった申し入れがあったら、どうしますか。緊急の問題であります、医科大学の増設というものは。
  44. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まだ来年度の予算編成に入っておりませんが、文部省要求については十分考慮したいと思います。
  45. 安永英雄

    安永英雄君 最後に総理に要望をしておきます。  教育の問題は、国家百年の大計のもとになるわけであります。この第一歩を誤まれば取り返しがつかない問題である。中教審答申はあまりに基本的な問題が間口広く提示されておる。これをこのまま実施すればたいへんなことになると私思うんです。総理もひとつぜひ中教審のこの答申を一通り読んでいただかぬと——答弁では、どうも読んでいらっしゃらないような気もするわけです。十分検討して、この改革の問題については慎重を期していただきたい。これだけを要望して終わります。
  46. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上をもちまして、安永君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  47. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、向井長年君の質疑を行ないます。
  48. 向井長年

    ○向井長年君 私は、日中問題、沖繩経済、そして減税、なお国鉄再建、こういう立場から質問をいたしたいと思います。  それに入ります前に、きょうの新聞にも出ておりますが、アメリカのアムチトカ核実験の問題について、さきに政府は抗議をしたということを聞いておりますけれども、きょうの報道では、これが延びたようであります。六日に延びたと、こう言っております。しかも、これはアラスカ、カナダあるいは日本に対して津波の来るおそれがあると、こういうように報道されておりますが、これに対して政府はどういう態度をもって臨もうとしているのか、お伺いいたしたいと思います。
  49. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 先般、本委員会でお尋ねがありました。その際お答え申し上げたように、厳重な抗議を申し入れておるのです。しかし、本委員会で重ねてのお話がありましたので、私どもといたしましては、また抗議をいたしております。それに対しまして米当局は、抗議の趣旨はテークノートすると、こう言っておるのです。最大の注意を払いますと、ちょうど漁期でもありませんので漁業者に迷惑をかけるというようなふうにも考えませんと、また日本の航空ですね、これにつきましても御迷惑をかけることはないと思いますと、こういうふうな回答があったわけでありますが、けさ受け取りました公電によりますると、いよいよ六日の日にこれを実行するということが知らされたわけであります。たいへん遺憾に存じております。
  50. 向井長年

    ○向井長年君 先般は、こういう津波までわれわれはわからなかったのですが、いま津波のおそれがあるということが一応報道されておる以上は、わが日本にも大きな被害があると考えなきゃならぬと思いますが、これに対して科学的に何か調査されておりますか。
  51. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 津波につきましても、わが国に被害を及ぼすような影響はないと、こういうふうに言っておるそうでありますが、御注意もありますので、政府といたしましても、なお気をつけてまいりたいと、かように存じます。
  52. 向井長年

    ○向井長年君 もしそれの被害があるとするならば、これに対する賠償の問題も明確にしていかなきゃならぬと思いますが、この点いかがですか。
  53. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) この問題が初めて知らされたときに、われわれは、アメリカ政府に対しまして厳重な抗議を申し入れております。その内容といたしまして賠償の権利を留保すると、こういうふうに言っておるわけでありまするが、もし万一被害がありますれば賠償の要求をするという考えでおります。
  54. 向井長年

    ○向井長年君 次に、日中問題について総理にお聞きいたしますが、もうたびたび両院において言われておる問題でございますが、まず、私は、総理に確認したい問題がございます。これはまず第一に中華人民共和国政府は中国を代表する唯一の正統政府であるということ、二番目は、台湾は中華人民共和国の領土の一部であるというこの二点を佐藤総理は明確に確認されますか。
  55. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 向井君にお答えいたしますが、いままでもたびたびその点についてお尋ねがございました、他の委員からでございますが。私は、国連で、中華人民共和国を国連の一員に迎える、そうして中華民国を追放する、こういう処置がとられたこと、この事実は事実なりに認条約が現存しておりますから、ただいまの国連の処置によって直ちにこれらの事態が非常な変化を来たしたと、かようには、ただいまのところ、思っておりません。しかしながら、ただいま国連における代表の立場にある中華人民共和国、これとわれわれが国交の正常化をはかるべきことは、これは当然だと思いますので、こういう観点に立ちまして中華人民共和国と正常化について話し合いを始める、また、その場合に、中華民国、これの扱い方が当然決定さるべきものだと、かように私は考えておる次第でございます。
  56. 向井長年

    ○向井長年君 総理は、この日華条約が現存しておるから、これは破棄しないということを先般本会議場でも言われたと思うのですね。ところで、本委員会においては、先般来、若干ニュアンスの違う答弁をされておる。この点、どうなんですか、変わったのですか。
  57. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いままでの速記を十分見て、また、ただいま申し上げたことと私はたいした食い違いはないように思いますけれども、そのニュアンスが相違していると、かようにお感じになれば、そういう点は、ただいまの答弁で御了承いただきたいと思います。
  58. 向井長年

    ○向井長年君 破棄しないということを言われたけれども、しかし、これは日中正常化交渉の過程において破棄しなければならぬ、解消しなければならぬと、こういうことじゃないんですか。
  59. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 日華平和条約は、交渉の過程においてこの問題が取り扱われると、かように私は思っております。そのときにどういう形になるか、これは、正常化をする場合にそのときの話し合いできまることだと、かように御了承いただきたい。
  60. 向井長年

    ○向井長年君 これはね、総理。その出口とか入り口論じゃなくて、まず、心がまえと姿勢だと思うんですよ。まず、やはり日中国交回復を一日も早くしなければならぬと、こういう立場に立って取り組んでいくとするならば、その日華条約を破棄しないと声を大きくして言うことは、これはおかしいんじゃないですか。少なくとも、やはり心がまえというならば、そういう一つの誠意というものがそこにあらわれなければ、国交回復は、これはおそらく遠のくんじゃないか、こういう感じがするんですよ。
  61. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはたいへんむずかしいことなんですが、日華平和条約が歴史的事実として存在していること、これははっきりしておりますね。これまでを否定はされないだろうと思います。今日の段階において、中華人民共和国、これを中国を代表する政府としてわれわれが国交の正常化をはかる場合に、ただいま申し上げるような日華平和条約、これがどういうように扱われるか、その際にきめるべき問題だと、かように実は申しておるのです。ただいま破棄するとか、あるいは無効であるとか、こういう結論を最初から出すことはいかがかと思っております。過去において厳然たる条約が残っておる、その意味において、われわれは戦争状態を終結し、そうして、ただいまのような平和関係を樹立している、そういうことでございますから、ただいま無効だとか、あるいは不法だとか、かように言われましても、そのままわれわれは受け入れるわけにいかない。しかし、中華人民共和国が変わらず今日まで、あれは不法なものだと、無効なものだと、かように申しておりますけれども、私はさようには考えない。そういう点で、この点は日中国交正常化の場合に取り上げらるべき問題だと、かように申しておるわけであります。
  62. 向井長年

    ○向井長年君 正常化の問題に取り上げるんですが、政府としては、日中国交を回復しなければならぬという意欲、それから、まずやはり国連の決定を尊重するという、このたてまえから、それに対する心がまえというものがまず第一だと思うんですよ。形の問題じゃなくて、その心がまえはどうかと言っておるんです、私は。
  63. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 心がまえは、ただいま申し上げるように、中華人民共和国と国交の正常化をはかるその心がまえであり、また、積極的な意図も持っておる、こういうことでございます。
  64. 向井長年

    ○向井長年君 それであれば、いま日華条約は破棄しないというようなことは大きく言わずして、自然適当な時期に解消しなければならぬ、これは廃棄しなければならぬのだと、こういう心がまえではありませんか。
  65. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうも、ちょっと私が誤解をするのか、取りにくいのか、わかりかねますが、先ほど来申し上げておりますように、私は、日華平和条約は、中華人民共和国と国交の正常化をはかる、その場合にこの取り扱いをきめるべきものだ、かように申しておるわけで、これは絶対に破棄しないとか、絶対に破棄するとか、かように申しておるわけじゃございません。この扱い方はその場できめる、かように申しておるわけです。
  66. 向井長年

    ○向井長年君 一般に言う出口論ですか。
  67. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 出口論だとか入り口論だとか、いろいろございますけれども、とにかく、今日は、国際世論の動向、これをやはりわれわれも正しく認識するという、これは当然のことだと、かように思っております。したがって、ましてや国連中心主義の外交を展開するという日本立場において、その日本の場合において中華人民共和国と国交の正常化をはかること、これは当然のことだと思っております。しかし、その場合でも、過去において果たしてきた日華平和条約の、この条約の効果というもの、これは簡単に無視はできないのじゃないか。そういう点で、十分話し合いのその段階において処置をきめる、かように申しておるわけで、これは出口論だとか、あるいはどういうように考えられますか、そこらの議論よりも、ただいまの申し上げるその点を御理解いただきたい。それは、ことばは非常に簡単でありますから、そのとおりを御理解いただければいい。
  68. 向井長年

    ○向井長年君 あのね。私はこう思うんですよ、総理、あまりかたく考えずに、出口とか入り口とかいう論議はありますけれども、私は、現在まで日華条約をもって交流をはかってきておるのであるから、これはやはり、中国大陸と、北京政府と国交を回復しようとするならば、解消しなければならぬということですよ、どう考えても。しかしながら、その時期の問題、いま言われておりますけれども、まず、それはそういう心がまえで進むということがやはり第一ではないか。これは、出口論、入り口論でいろいろと論議はありますけれども、実は私、ここではっきり申し上げますが、まだ国連で決定する前に中国に日中議連で参りましたときに、中国の要人といろいろと話しました。特にわが民社党の立場もありますから、そういう立場で、中国は少なくとも日華条約を破棄しなければ交渉に入らないのか、こう聞いたんです。そうしますと、中国の要人いわく、そんな問題じゃない、少なくとも、まず第一に、先ほど一、二で確認されました、中華人民共和国が唯一の政府であるということ、あるいは台湾は領土の一部であるということ、これさえ基本的に確認さえすれば、こんな問題については必ずしも出口とか入り口じゃない。そこで、私は続いて、幅があるのかと言えば、幅はあります、こう言われておるんですよ。そういう立場であるから、私は、総理に、まず心がまえは那辺にあるのか、あるいは、まだ従来のいきさつから台湾は重要視しておるという、ここであっては国交回復はなかなか困難であるから、まず心がまえと意欲というものをどこに持っておるかということを聞いておる。この点についてはどうでしょうか。
  69. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、向井君が中国に行かれて、北京に行かれて、どういう交渉をされたか、これはつまびらかでございません。ただいま言われるように、そういう問題もあり、中華人民共和国も、必ずしも、過去の一切の中華民国との条約、これは全部無効にしろと、かような乱暴な言い方はしないだろうと私は思います。だから、私は、先ほど来申し上げますように、中華人民共和国、これと国交の正常化をはかる、その段階において、その過程において、ただいまのような過去の条約その他の取り扱い方はおのずからきまるんじゃないかと、かように申し上げておるのでございます。だから、これは入口あるいは出口ではなくて、今日中華人民共和国が国連に迎えられ、しかも安保の常任理事国の議席を確保する、かような状態になれば、これは中国を代表する正統政権だという国際的な認識ではないでしょうか。私が先ほど来申し上げておるのは、ただいまのような状態を踏まえて、そうして中国との国交の正常化をはかると、かように申し上げておる。日華平和条約は、過去において、その当時私どもは中国の代表者として中華民国を選んだことに別にあやまちはなかったと、私はいまだに思っております。その後の世の変遷、その結果が今日のような国際環境を生んできておると、かように思いますので、過去の条約の取り扱い方は、その正常化の段階において十分話し合う、それができる可能性は十分あると私は思いますし、また、そうあるべきだと、かように思っております。
  70. 向井長年

    ○向井長年君 まず、私は、そういう出口、入口じゃなくて、結局、意欲と心がまえがまず第一だと思うんですよ。そういう立場から、総理も、あるいは外務大臣も、まっ正面から取り組みたいと、こう言われておるんですが、しからば、どういう形で、どういう方法で、いつからこの問題に取り組もうとするのか、明確にしていただきたい。
  71. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私も、また総理も、もとよりでございますが、しばしば申し上げておるように、これは政府間折衝をすみやかに始める、これが一番いい。まあ私は、日中間にはいろんな人が行き来をしておる、そうして日中国交正常化のための雰囲気をつくってくださる、その事実につきましては、これを評価しております。しかし、やっぱり政権の座にある政府、これを代表する人が北京政府の代表とぶつかる、そういうことでないと、いまお話しのような問題、これが具体的に結論を得ないんじゃないか、そういうふうに思うんです。中国側におきましても、たくさんな要請、主張というものを持っておる。わが国のほうでもいろいろあるわけです。で、お互いがそういう話し合いの場を通じまして、お互いの置かれておる立場の認識、つまり、中国について言いますれば、これは、平和国家と言っております、ところが、一方において核を一生懸命になって整備しておる、そういう点につきましていろいろ話をする、そういうことになると、私どもでも、その意図と行動の矛盾しておる点、そういう点についての理解というものが出てくるだろうと私は思うんです。この、核を開発しておる、それから強大な陸軍兵力をたくわえておる、これがどういう目的であるのか、そういう点についての理解というものも届いてくるだろうと、こういうふうに思います。やっぱり私は、政府間がその代表者をもってほんとうにまっ正面からぶつかって話し合うと、そこから理解も出、また具体的問題の結論も出ると、そういうふうに考えまして、何とかして政府間の接触というものを始めたいと、そういう意図をもちまして、いまその基盤、つくりをやっている、こういう段階でございます。
  72. 向井長年

    ○向井長年君 もちろん、政府間の折衝が大事であるし、やらなければまた国交回復もしないわけですが、したがって、それはどういう方法でやろうとするのか。いま幾らそういう心がまえを持っておっても、具体的に行動に移さなきゃならぬ。いつごろから、また、どうしてやるのかということを、これを私は先ほどから聞いたはずなんです。
  73. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私どもの知恵をしぼりまして、その基盤づくり、目下その努力をしておる最中でございます。それをどういう努力をしているんだということになりますと、向井さんも御理解が届くと思うんですが、それをこういう席で申し上げる段階までまだ来ない。しかし、最大の努力をしているということは、はっきり申し上げます。
  74. 向井長年

    ○向井長年君 まあ、この間の新聞にもこういうことが出ておりましたが、木村武雄さんが、近く、孫文会の会長として就任をされて、その機会に中国に渡るとか言っておられますが、何はともあれ、やはりきっかけをつくらなならぬでしょう。いま外務大臣がぽんと先に飛んでいってものを言うわけにはいかぬだろうし、総理がすぐ行くったって、そう簡単に行けないでしょう。それの和製キッシンジャーというか、とにかく、きっかけを何かの形でつくらなければいかぬと思うんですよ。そのきっかけを、幸い、いま超党派で日中議連というものがあるんだから、こういうものをきっかけの形としてつくられるなにはないのですか。私は非常に有効だと思うんです。こういう点について政府は何ら検討していないのかどうか。
  75. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 日中議連が政府を代表するという立場にありますれば、これは……。
  76. 向井長年

    ○向井長年君 政府じゃないですよ。
  77. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 政府の意図を代表するという立場にありますれば、これは非常に有効な働きをなすと思うんです。まだ議連はその段階まで来ておりません。これは向井さんよく承知しているとおりだろうと思います。そういうようなことを考えますと、日中議連、これが政府間接触段階において、まあ役割りをするということにつきましては、私は、あえてこれは否定は申し上げませんけれども、したがって、議連の役割りということに対しましても期待は申し上げまするけれども、まあ議連ばかりじゃない、あらゆる手段を尽くし、あらゆる知能をしぼりまして日中国交の正常化のきっかけを求めるという努力はしておるんです。
  78. 向井長年

    ○向井長年君 見通しはどうですか。
  79. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 見通しとなりますと、相手のあることです。これはまあ、私、ここで相手側の動きというものについて確実な心証は得ておりません。おりませんが、その心証を一刻も早くつかんで、そうして行動に移りたい。こういう努力をいたしておる。こういうことを申し上げているわけです。
  80. 向井長年

    ○向井長年君 いよいよ国連に中国代表が迎えられることになりましたね。代表もきまって、行かれるんですよ。こういう時期でございまするんで、日本としても、いま申し上げましたような、このきっかけを一日も早くつくって、そうして政府間交渉に持っていく、こういうことが正常だと思うんですよ。そういう立場から、われわれは、それを早くつくりなさい、これもどうだろう、これもどうだろうということで、いま意見を言っておるんですが、あまりその段階じゃないというけれども、外務大臣総理も十分相談されたらどうですか。国会にも、あるいは日中議連にも、たびたび、自民党の中にも中国を訪問した人がたくさんあるでしょう。その空気等も十分相談されて、こうしたらどうだろうと、こういう意見もあってしかるべきじゃないかと思うんです。この点、どうですか。あれは別だというかっこうで、別な形をとろうとしているんですか。
  81. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 今度いよいよ国連に中国が入ってくる。ここで、特に安保理事会で、しばしばわが国の代表は中国の代表と席を同じくする、こういうことになるんです。そこで、現実に中国が参加した場合に、わが国がどういうふうな対応をするか。これはまあ歓迎演説をするということになりますが、まあ、その歓迎演説をスタートといたしまして、いろいろまた友好的な話し合い、そういうものもあろうかと思います。そういう場も利用したい。  それからさらに、第二に御指摘の議連、これにつきましては、自由民主党の幹事長にお願いしまして、緊密なる連絡をとっております。
  82. 向井長年

    ○向井長年君 非常にいまいいことが一つあるんですがね。外務大臣総理も御承知かと思いますけれども、国連総会で一九五〇年二月一日に中国を侵略者ときめつけた決議がなされておりますね。あるいはまた北朝鮮、中国への禁輸決議がされておりますね、輸出禁止の。こういうようなことがなされておる。これをこの際日本が提案をして、この決議をいわゆる廃案にするという、こういうことを提案されたらどうですか。
  83. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは中国非難決議のことかと思います。これは、こういうふうに国連の情勢が変わってきますと、まあちょっと死んだ決議だというふうな感じがするんです。実際は、そう、とげとげしく論議すべき、また重要視すべき決議だとは思っておりません。しかし、事実上は死んだような決議を法的にどういうふうに扱うか、これは北鮮の問題もひっからまってきます。そういうようなことで、かなり議論のあるところじゃあるまいか、そういうふうに思いますが、まあとにかくこれは一つの大きなこれは研究課題です。そこで、国連の場におきまして十分検討してみたい。わが代表に対しましてもこのことは指示してやりたいと、かように考えております。
  84. 向井長年

    ○向井長年君 総理、これはこの際いい機会だと思うんですよ。事実上廃案みたいになりますね。そこで、やはり決議としてはまだ生きているんです。だから、廃案決議をわが国が提案をするという形をとった場合に、中国も、いうならば逆重要事項指定方式の提案国になって、悪くいえば名誉回復かしらぬが、とにかくそういうことをわが国がこの際国連へ持ち込んで提案をするということは、非常にいい国交回復への一つの親しみを持って道が開かれるんじゃないかと、こういう感じがするので、これは総理、ぜひこの点を検討されて、やる方向に持っていったらどうでしょうか。どうですか。
  85. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま外務大臣がお答えしたとおり、これは向井君の御意見は御意見として私どもも敬意を表しつつ、ただいま十分検討をしたいと、かように外務大臣が申しましたから、それで御了承をいただきたいと思います。
  86. 向井長年

    ○向井長年君 前向きで検討されますか、実現のために。
  87. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 実際問題としては、もう死んだような形だと思いますが、ただ法的に一体どういうふうにするかというのは、法制的な検討を要する問題でもありますので、これは国連の場で十分、他の国々もいろいろな意見を持っておる、その意見等も聞かなければならぬので、国連の場において十分検討したいと、こういうふうに御理解願います。
  88. 向井長年

    ○向井長年君 法的の問題はあるでしょうが、これはこの際ひとつ政府はそれに踏み切って、提案できるように最善の努力をお願いいたします。  そこで、次に私は沖繩問題に若干入りますが、先般のロジャーズ発言の真相を私は聞きたいんです。アメリカの上院公聴会でサイミントン議員が核についての問題を、もうこれは秘密主義ではいけないという感じを持っておる、しかも沖繩政府をはじめ十分知らしめるべきじゃないかと、こういうことが発言されておるわけです。われわれがこの問題を従来から言ってまいりましたけれども、これは単なる憶測ではなくて、やっぱりその問題を明確にせいということがアメリカの上院の中でも言われておる。この点についてどう政府は見られますか。
  89. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 先般のアメリカの上院外交委員会で、核の秘密性についての議論がありました。しかし、これはアメリカ政府当局は非常に慎重でありまして、はっきりした意見も述べておりません。いずれにいたしましても、これはアメリカ内部の問題なんで、私どもといたしましてとやかく言うべき筋合いの問題ではない、こういう認識に立っております。
  90. 向井長年

    ○向井長年君 こういう核に対する疑惑というものが、沖繩返還に対して意欲を持ってわれわれは返還を希望しておるわけですが、そういう問題が逆となっていまあらわれておるわけですね。もちろん基地の問題もございますけれども、特にわが党はこの核の問題はじめ三点を政府に明確にせいという要求をしてまいっております。いまさら言うまでもなく、返還時の核の点検の問題、あるいはこの国会においての非核三原則の決議の問題、あるいはニクソン米大統領においてこの核は持ち込まないという声明の問題と、こういう三つを何とか明らかにしなさいということを各機会にたびたび迫っておるわけです。この点についていまなおやはり政府はこれに対する態度が明確じゃないわけですが、これに対して今後どういう形で国民を安心させようとするのか、この点を聞きたい。
  91. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 核の点検、これは非常にむずかしいです。折衝の過程でも非常にはっきりしたわけでありますが、核政策は、これはアメリカ最高の安全保障政策の中の第一に位すると、そういうことで、その核に関する権限は大統領一人に集中している、こういうくらいな態度をとっておる。そこで核点検というのは私は、まあせっかくの御意見でございまするが、これはそういうことは不可能であると、こういうふうに考えております。  それから第二の国会における非核三原則、これはしばしば総理から皆さんに申し上げているとおりでございまして、もう総理を信頼してくださるほかはない問題であります。  それから第三の問題です。何かさらに大統領声明とか何とか、こういうことを考えたらどうかと、こういう御意見でございますが、この間、ただいま御指摘の上院外交委員会でロジャーズ国務長官、パッカード国防次官、これは非常にはっきりと返還時においては核はないようにいたしますと、こういうことを言っておる。ことにその実際の責任者であるところのパッカード国防次官、これは確約をいたしますとまで言っておるのです。ですから、私はもうこれ以上の言質という問題、これは必要がないと、こういうふうに考えておるくらいでございます。しかしせっかくの御意見でございますので、ありがたく拝聴はいたしておきます。
  92. 向井長年

    ○向井長年君 いま外務大臣はああいう答弁をされておりますが、総理は何らかの形で明確にしたいということをたびたび言われましたね。何らかの形でということですが、それはどういうことを考えておられますか。
  93. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 基本的にはただいま外務大臣がお答えしたとおりであります。大統領と私が約束をし、さらにまたロジャーズが聴聞会で、パッカード国防次官がやはり聴聞会で確約をしている、これはたいへん条件はそろっておりますけれども、これでもなおかつ心配だと、どうも疑わしいと、かようなお話がいまなお残っております。一体これはどういうようなことをすればいいのだろうか、かように実は考え、何かいい方法があるか、またもう一度ニクソン大統領と話をして、そうして確認するとか、そういうようなことでも必要かどうか、ただいまの状況では私は必要ないと思っております。しかして、なぜ現地の査察ができないのかと、こういうことになりますと、これはやっぱり一国としての主権下、それを侵すことになる。そういう意味で外国の軍隊は軍隊としての一つの自分たちの城を持っておりますから、それを守るという形でございまして、まあ仲のいい日米ではございますけれども、それらの点で話し合いがどうもこの点はつかないと、まあ先ほど外務大臣が交渉の途中においていろいろの話を出したことを裏書きするような話もしておりますが、しかし私はこういう事柄がもっと国民から理解されるような方法はないだろうかと、いま直接の具体案は、これが手ですというようなものはただいまございませんけれども、何か方法があればと実は考えておる、まだもっと国内の国民の不安を除去する、これをもって事足れりとはしておらないと、こういうような意味でございます。私はただいままでのところ、ただ信用してくださいと言うだけでは説得力に乏しいと、これは皆さんと同じように私も感じとっております。しかしまあその他の方法でいろいろ、過日も申し上げたいわゆる七千万ドル前後の撤去費、そういうものも日米間では約束をしておると申しますが、しかしそういうことになると、その積算基礎は一体何かというようないろいろ問題を引き起こしております。これなどはまあ最高の政治責任だということで政府は説明しておりますが、そういうようなことが一そう問題をむずかしくしているんじゃないかなと、こうも実は考えながら、どうも納得さすいい方法はないかなということで、先ほど御引用になりましたように、この場を通じまして国民に何か説明のできるような方法があればと、かように考えておるような状態でございます。
  94. 向井長年

    ○向井長年君 伝えられるところによると、佐藤・ニクソン親書交換で確認をしたいとかするとかいうような、こういうことが若干報道されておりましたけれども、これはほんとうにそういうことを考えておるのですか。
  95. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまそれだけの方法、これでは事が足らぬだろうと、かように思っておりますので、具体的にさような状態を考えてはおりません。
  96. 向井長年

    ○向井長年君 じゃ国民にまだ疑惑を持たした、また非常に危険な状態をそのまま、核抜き本土並みと言いながら、これは明確にできない中でこれを返還せざるを得ないと、こういうことになるのですか。何らかの形でということは具体的にまだ全然国民の前には明確にできませんね、これでは。
  97. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 向井君どうでしょう、本土には核はないという、おそらくこれはもういまは疑問がないだろうと思います。私は、本土でそういうことが皆さんに信用されておる、この状態ならば沖繩の地域にいままではあった、いままでは強力な軍基地があったと、かように思いますけれども、しかし今度は変わるんだということで、それらの点はそのうち解消するんじゃないでしょうか。私はそれを実は非常に期待もいたしております。また本土にないということ、このことを強く私はこの機会に申し上げておきますが、それと本土並みになるんだというそういう立場で、ただいまの沖繩の基地が今度は安保のワク内に入っての行動だと、だから自由出撃などはありませんというようなこと、これはもうそのとおり、そのまま理解されておるようでございますから、また毒ガスは撤去されたと、こういうことでございますし、次々にそういうような問題は具体的にも解消されるんじゃないだろうかと、かように思いますが、いまなおわれわれの努力がもっと県民の御理解を得るようにしたものだと、かように思っております。
  98. 向井長年

    ○向井長年君 時間がないから、討論をやっておってもしかたありませんから、先に進みますが、次に基地の問題ですが、この返還協定の覚え書きのつくり方について、基地の作成はどういう形でなされたのですか、これは。言うならば本土の基地設定と同じやり方ですか。どうなんですか。
  99. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 基地の日本への引き継ぎ方につきましては、ABCというクラスをつくりまして、Aは米軍に提供する、それからBはその中ですみやかに日本政府に引き継ぐもの、それからCは返還時または返還時以前に日本政府に引き継ぎのままにする、こういうことでございます。そこで、それはどういう区分けでそういうふうにしたのか、特にA表の問題でございますが、つまりA表は米軍に施設を提供するわけですから、提供する手続もありまするし、また提供する種類分けという問題もあります。そういう問題につきましては内地における安保条約の適用、これと同じ考え方によってやっておる、こういうふうに御理解願います。
  100. 向井長年

    ○向井長年君 近くコナリー米財務長官が来られますが、これに対して基地の整理、縮小の問題は話し合われますか。
  101. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、ただいまのでき上がっているA表、B表、C表、これを改定するということは、これは不可能と、こういうふうに見ております。しかし、返還時以後におきまして実際上なるべく基地を整理してもらいたい、早く整理してもらいたいという希望を持っておるわけでありまして、また、この希望は沖繩県民の希望にも合致するゆえんであると、こういうふうに考えておるわけであります。そこで、ちょうどこの間、岸元総理がアメリカに行かれ、大統領と会う、こういうことでございますので、これは非常にいい機会だと、こういうふうに考えまして、岸元総理に、A表、B表、C表、これを改定するという考えはないのだけれども、実行上なるべくすみやかに、A表の縮小、これについて考えてもらいたいのだ、これがいま日本の国内におきまして、沖繩はもとよりでございますが、また、国会におきましても大きな問題になっておるので、どうかひとつ大統領の最高の判断を促してもらいたい、こういうお願いをしたのです。そうすると、岸元総理は、そのとおりの話をしてくれたようです。そこで、大統領の返事は、私はその沖繩の基地の態様につきましてはつまびらかにしておらぬ、しかし、近くコナリー財務長官が日本を訪問する予定である、したがって、コナリー財務長官にそのことをよく言っておくから、日本政府当局からコナリー長官によく話してもらいたいのだと、そういうふうなお話です。そこで、コナリー財務長官が来日した際には私からとくと説明し、とくと依頼する、こういう考えでございます。
  102. 向井長年

    ○向井長年君 縮小への話し合いが、コナリー長官が来られたときは話しする、こういうことですね。そこで、本来もう情勢は刻々と変化しつつあるのです。御承知のごとく、国際情勢の変化から見て、沖繩の基地が、これは縮小すべき基地になっておるわけです。これは、アメリカでもそれを言っている。こういうようないわゆる情勢変化の中から、これは少なくとも、今後いつごろまでに、なくするというような、そういうスケジュールを、私はこれは十分話し合って組む必要があるのじゃないか。この点について、どうですか。現在いまの変化している国際情勢から考えなければならない問題です。
  103. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私も、国際情勢が変化のきざしがあることは十分認識しております。しかし、まだ、極東情勢ですね、これはムードが出てきておるという段階である。これが固定化しない。したがって、これが極東の安全保障問題、これにどういう態様の変化を求めるかという段階までまだ来ていない、こういうふうに見ておるのです。しかし、いまのムードが固定化するという方向を見せておると、こういうふうに見ております。そういう固定化の際におきましては、当然、沖繩の基地の態様というものも再検討さるべきであると、こういうふうに考えておるので、情勢の推移に応じながら、この問題は基本的に考え直していくべき問題であると、さように考えております。
  104. 向井長年

    ○向井長年君 この基地だけじゃなくて、VOAの放送の問題もあわせて同じことが言えると思います。特に、これも、アメリカの上院の公聴会で、フルブライト、かはっきり言っておりますね。いままでは、いわゆる冷戦であったと。したがって、冷戦の産物であるから、今後、沖繩の基地というものは、これはなくしなきゃならぬと、こういうことを言っているわけですよ。こういう、特にVOAの問題については早期撤去をすべきであると、こういう考え方に立って五年間の期限をつけられておりますけれども、この期限内でもこれはやめてもらう、こういう形で撤去してもらう、こういう形を政府はやる決意ありますか。
  105. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) VOAにつきましては、これを返還時に撤去してもらいたいんだという主張を強力にしたんです。しかし、アメリカ側としますと、なかなかこれに応諾しない、こういうことで五年間ということになりましたが、まあ、調べてみると、他の国を刺激するような放送は、今日でもあまり見受けられないように存じます。同時に、アメリカ当局は、返還後におきましては、放送内容につきましてもわが国に相談をしましょうと、こういうふうにまで言っておる。そこで、五年という、妥結というか、そういう決着になったわけでありますが、まあ、極東の情勢等において変化があるというような事態がはっきりしてくるという際におきましては、私は、この問題もあらためて検討されていい問題であると、こういうふうに考えております。わが国は、返還時で撤去してもらいたいという主張を強力にしてまいったわけでございまするから、もう当然、その五年という期限はあります。ありますが、情勢が決定的に変わってくるというような際におきましては、その際あらためて考えなきゃならぬ、かように考えております。
  106. 木島則夫

    ○木島則夫君 関連。  そのVOAの問題について、総理大臣と関係大臣にお伺いをしたいんです。  いま、福田さんは、他国を刺激するような番組は多くないというふうにおっしゃいましたけれど、それは、実際にVOAのすべての番組をお聞きになっての上のことなのかということです。  それから、たくさんの番組の内容をほんとうにモニターをすることができるのかどうか。必要と認めるときは、日本政府は、VOAの番組について自己の見解を表明する権利を留保し、アメリカはこれを尊重するということになっております。で、その番組について、VOAの番組について、放送される事前にチェックなさるのか、見解を表明されるのか、あるいは事後にやるのか。私は、事後にやったんでは、あんまり意味がないと思います。しかし、御承知のように、沖繩のVOAというのは中継局です。本部はワシントンで、番組編成はワシントンで行なわれておりますから、その場合に、番組編成を事前に、いろいろこちらからアタックをすることはむずかしいという意味で、お聞きをしたいんであります。  その背景となるところは、要するに、VOAが沖繩のアメリカの戦略の重要な一環というふうに私は考えております。で、返還後は、B52が、たとえば、自由に出撃をしたり、艦艇の出撃に対してはきちっと事前協議が適用されて、歯どめになっているということはよくわかるんでありますけれど、目に見えない電波というものの歯どめが、これでは、私、不十分だというふうに考えます。で、これは、目に見えない電波も非常に重要な戦略の一つだということを考えますと、やはり、事前に何とかしてチェックをしてもらいたい。そういうことができないとするならば、私は、非常に大きな片手落ち、欠陥があると思うんですけれど、この点について、ひとつ具体的にお話をしていただきたい、お聞かせをしていただきたいんであります。
  107. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) VOAにつきましては、国会でもたいへんな関心事である。さようなことから、政府といたしましても慎重な対応をしておるわけです。いま、具体的に、モニターをどうするのか、また、事前、事後の相談、一体どうなるのかと、こういうようないろいろなお話でありますので、詳しい政府委員のほうからお答えをさせることにいたします。——じゃ、郵政大臣から。
  108. 廣瀬正雄

    国務大臣(廣瀬正雄君) VOAにつきましては、放送の内容は、御承知のように、国会からも、衆議院の逓信委員会が向こうに参りまして、テープにとりましたり、あるいは郵政省の政務次官が現地に参りまして、テープにとったりいたしておりますが、そういうテープによりますと、ただいま外務大臣がおっしゃったように、きわめて穏やかな内容のものでありますようでございます。  それから、放送の番組の内容については、御承知のように、検閲するということはできませんから、モニターはどうするかということでございますが、これは、現在のところ、やる意思はございません。モニター制はとらないつもりでございます。ただ、放送の内容につきましては、これはもう、御承知のように、ラジオでございますから、放送を聞いた者から、あとでいろいろな意見、いろいろな不平、あるいはまた非難が出るかと思いますが、そんなのは私どものほうで十分調査いたしまして、また、外務省とも協議をする、そうして窓口は外務省で、外務大臣が見解の表明をするということになりますわけでございまして、つまり、外交ルートを通じて先方の政府に申し入れをするというようなことになっておりますわけでございまして、したがいまして、事前か事後かということになりますと、事後ということになりますわけでございます。そういうような外務大臣の見解の表明が歯どめになるかという御意見ではないかと思いますけれども、これは、誠意をもって、熱意をもって外交折衝すれば必ず歯どめになるもんだと私どもは解釈いたしておるわけでございます。
  109. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま、郵政大臣は、モニター制はおとりにならないというふうにおっしゃいました。モニター制をおとりにならないで、穏やかであるのか、穏やかでないのか、その辺がほんとうにおわかりになるのか。  それから、事は、ニュースあるいはニュース解説というような、番組が非常にデーリーな、即時性を持った番組なんです。そういうものについて、事後であっては、私はこれはやっぱり大きな問題になると思いますので、ただ誠意、熱意だけでは、この辺は、私は解決はしないというふうに考えるんですけれど、どうでしょうか。
  110. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 郵政大臣がただいまお答えになったとおりなんですが、この番組なり放送内容で、どうもこれは日本政府から見て適当でないと、こういうようなものがありますれば、これは、事前において問題を指摘し、協議をするというふうにもいたしたいと、さように考えております。
  111. 向井長年

    ○向井長年君 これは、外務大臣、いま郵政大臣が言われたことは、国民は納得しないですよ。ということは、付属文書で、明確に、わが国に不利益な問題があれば、権利を留保するというようなことが書いてあるんでしょう。そうすれば、やはり、番組から、あるいは事実放送されたやつをキャッチして、初めて、この問題についての意見が言われるのであって、少なくともモニター制の確立というものは必要じゃないか。なぜ、これをやらない。やれないのですか。やらないのですか。どっちですか。
  112. 廣瀬正雄

    国務大臣(廣瀬正雄君) 御承知のように、VOAは、中国に行ったり、あるいは北鮮に行ったり、そういうような各国にまいりますので、そういうようなところから、モニターをとるということはたいへんなことだと思いますので、モニターをとらなくても、そういう、他国から不平、不満、また非難があれば必ず抗議の申し出があると思います。ですから、モニターをとらなくてもそのような見解の表明はできると思いますので、それで十分チェックができると、かように考えております。
  113. 向井長年

    ○向井長年君 とれないのですか、モニターは。確立はできないという理由は何ですか。モニター制を採用できないという理由は何ですか。
  114. 廣瀬正雄

    国務大臣(廣瀬正雄君) 国内的に申しますと、一般論といたしまして、昨年あたり、国内の放送のモニター制をとろうかということについては、非常に野党の方々から非難がございました。これとは全然別個の性質の放送でございますから、必ずしも適用にはならないと思いますけれども、外国のものを一々モニターの制度をとりましてモニターをやるということになりますと、ずいぶん経費もかかる、そういうような外交交渉もたいへんだと考えるわけでございまして、いまのところ、モニター制はとらない方針でございます。
  115. 向井長年

    ○向井長年君 総理、どうなんですか、これは。経費の都合でとれないということですか。それとも、そういうことは、かえって支障になるからとらぬというんですか、どっちなんですか。外務大臣でもけっこうですよ。
  116. 徳永正利

    委員長徳永正利君) もう一ぺん、郵政大臣、やってもらおう。
  117. 向井長年

    ○向井長年君 郵政大臣、経費の都合でとれないというのか、それとも、支障になるからとらぬというのですか、どっちなんですか。
  118. 廣瀬正雄

    国務大臣(廣瀬正雄君) 放送の内容につきましては、あくまでアメリカのVOA当局に責任を持たせるということで、モニターを、紳士的に、こちらのほうではとらないというような立場をとっておりますようなわけでございます。
  119. 向井長年

    ○向井長年君 ちょっと、委員長、解明がはっきりしないから、立ちませんからね。時間をつけんといてください。  郵政大臣、もちろん、VOAの会社、これは信用するにいたしましても、この交換文書にあるように、今後番組の内容を規制するためにですね——規制ですよ、われわれは、わが国に対して不利益な状態が起きてはいけないので、したがって、そういうものはキャッチする必要があるのじゃないかと、そういうことなんですよ。向こうを信用してって、信用するのだったら、こんな交換文書は要らぬです。そうでしょう。なぜ交換文書をつくっているのか。信用するのだったら、こんな交換文書で不利益な問題も言う必要はないじゃないですか。どっちなんですか。
  120. 廣瀬正雄

    国務大臣(廣瀬正雄君) 関係のあります各国から心ず意見が聞き得るものだというように考えまして、そうだということになれば、それに基づきまして、外務大臣が、その公換公文に書いてあります見解の表明をアメリカ政府に対してするということができますので、そのような方法をとっておるわけでございます。
  121. 向井長年

    ○向井長年君 返還協定の付属文書の一つの中に、明確に、わが国に不利益な放送があったとするならばということを書いてあるのでしょう。そうすると、これはキャッチしなければわからないのですよ。そうでしょう。あとから、こんなことがあったからといって抗議するようなことじゃ困るのです。そういう点を明確にしなければならぬから、こういう問題を採用すべきじゃないのかと、こういうことなんですから、そんな、向こうを信用してとか外国の何とかいう……。沖繩返還協定の付属文書なんですよ。そんなあいまいな答弁は、これは納得できませんよ。
  122. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  123. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。  午前の質疑はこの程度といたします。午後は零時四十分より再開いたします。  暫時休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      —————・—————    午後零時四十七分開会
  124. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  三案審査のため、日本銀行総裁佐々木直君を、本日、参考人として出席を求め、意見を徴することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  126. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 休憩前に引き続き、向井君の質疑を行ないます。向井君。
  127. 向井長年

    ○向井長年君 午前中のVOAの政府解明につきましては、私は納得できません。したがって、休憩中にいろいろと相談されたと思いますが、政府の統一見解をお聞きいたしたいと思います。
  128. 廣瀬正雄

    国務大臣(廣瀬正雄君) 午前中のVOAの問題につきまして、休憩中に政府で見解を統一いたしましたので、私から御報告申し上げます。  VOA放送の傍受は実施いたします。なお、番組内容の概要についても、あらかじめ入手できるよう交渉いたします。
  129. 向井長年

    ○向井長年君 そういう結論がなぜ政府で考えられないか。交換公文の付属文書の中で明確になったじゃありませんか。それを先ほど郵政大臣は経費の問題とか、あるいは他の国に対して迷惑かけちゃいかぬとか、そういう形でわが国の不利益な問題が出てくる問題については非常に軽率に考えている。これについてはわれわれは全く納得できない。午前中の郵政大臣の答弁は取り消しますか。
  130. 廣瀬正雄

    国務大臣(廣瀬正雄君) 舌足らずの点がいろいろあったと思いますので、そういう点につきましていろいろ協議いたしまして、ただいま申し上げましたような結論を出したわけでございます。
  131. 向井長年

    ○向井長年君 取り消すのか取り消さないのかと言って聞いてんです。
  132. 廣瀬正雄

    国務大臣(廣瀬正雄君) それは、経費等のことにつきまして申し上げましたのは取り消します。
  133. 向井長年

    ○向井長年君 いま政府から統一見解が述べられましたが、まず第一に、わが国に不利益な放送がなされるかという番組をまず入手するということ、これに対しては、あるいは概要ですね、これは交渉するということですから、これは銘記しておいていただきたいと思います。あわせて沖繩においてそういう問題に対する傍受という問題も合わせてやらなければならぬということですから、それを実施するということですね。それではこの問題は、それで一応了解いたします。  次に、沖繩の返還時期を明確にしていただきたい、外務大臣総理、していただきたいと思います。当初四月一日ということで言われておりましたけれども、ちょうどこの問題については、アメリカの上院でランパート高等弁務官等が参りまして、七月一日を予定しているというようなことも言われております。実際いつになるのか、この点はどういう形で政府として考えておられるのか、日時の問題、明確にしてもらいたい。
  134. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これはまあ準備万端整うと、まあこういうことが絶対前提条件でなければならない、こういうふうに考えておるわけでありますが、これの準備にはアメリカ側の準備もあるし、わがほうの準備もある。アメリカ側では四月一日はなかなか間に合いかねるなあと、こういうような意向をパリでの愛知・ロジャーズ会談で漏らされたと、こういうふうにも聞いておりますが、わがほうといたしましては、何とか一刻も早くまあ四月一日を目途といたしましてただいま諸般の準備を進めておると、かように御理解いただきたいと思います。
  135. 向井長年

    ○向井長年君 問題は違うのですが、天皇陛下が諸外国を回られて友好を深められたり、親善を深められたのですが、沖繩の県民が沖繩の復帰植樹祭と申しますか、これにぜひ沖繩に来てもらいたいと、こういう強い要望があるようですが、これに対して政府は行ってもらうように努力しますか。
  136. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 先月の二十五日に国土緑化推進委員会を開きまして、その席に琉球政府行政主席も御列席を願いました。その結果、予算で準備をいたしてまいりました復帰記念の沖繩における植樹祭の開催が正式に来年の十一月ということに決定をしていただいたわけであります。これは御承知のとおり、植樹祭は毎年各県において順番に開催をされておるものでありますが、それには荒廃した日本国土の新しい緑化のために天皇がおいでいただくことが恒例になっておることも御承知のとおりでありますし、来年は別にまたその順序に従って開催県があるわけでございます。したがって、沖繩の場合は、あくまでもこれは特例の沖繩復帰記念の植樹祭でございますから、場所も沖繩の焦土と化した最後の戦場であった糸満町の摩文仁において植樹祭を行なうという計画をいたしておるわけでございます。この緑化推進委員会の席上には私どもの砂田副長官も列席をせしめまして、その会議の状況も承知いたしておりますが、その席上でやはり復帰記念の、恒例の植樹祭でない特別の植樹祭であっても、陛下においで願うことがよろしいのではないかという意見があったこともまた承知いたしております。しかしながら、最終的にはやはり沖繩の皆さま方から、いまそういう声だと言われましたけれども、やはり責任ある行政主席の立場からのそれに対する御見解を承りまして、その後に宮中のいろいろの予定等も御相談をいたしながら、琉球沖繩県民の御要望がその方向にまとまりますれば、そのような方向に、すなわち両陛下が戦後初めて沖繩を訪れられる最初の機会になる有意義な植樹祭にいたしたいものだと考えておりますが、前提は琉球政府の最終的な御要望を受けて進めたいと考えております。
  137. 向井長年

    ○向井長年君 次に総理にお聞きいたしますが、アメリカのコナリー財務長官が九日に来日すると聞いております。十日、十一日、二日間、政府総理以下閣僚と懇談するということですが、まず第一に、これはアメリカの政府代表として来られるのか。そしてまた、その来られる内容、議題、これはどういうものであるか。これをお聞きいたしたいと思います。
  138. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) コナリー財務長官は、財務長官としての資格で来日するわけであります。また日本に立ち寄りますが、アメリカ当局の話では、交渉案件は持たない、こういう話であります。ただしかし、日本に対するコナリー長官の知識はあまり多くないと、こういうことから、広く人にもお目にかかり、また日本の風土にも接して日本への理解を深めさせたいと、こういうふうに伺っております。
  139. 向井長年

    ○向井長年君 それは外務大臣、そういうおざなりな答弁では納得できないですよね。少なくともコナリー長官が来られて、少なくとも具体的ないわゆる日米経済交渉と申しますか、もろもろの問題が話題になり、議題になるのではなかろうか。これは少なくとも円の切り上げから、あるいはまた対米輸出の調整の問題、あるいはアメリカの、日本からの武器の購入の問題、いろいろな問題が私はふくそうしてくると思うのですよ。そういう問題について、結論は出ようと出まいと、話し合うことは事実だと思う。したがって、そういう問題についてやはり国民に明確にすべきだと思うのですよ。その点どうなんですか。
  140. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたとおり、交渉案件というものはないのです。しかし、幅広く日本の有力者にお目にかかって意見の交換をしたいと、こういうわけでありまするから、その間いろいろな話題が出ると思います。しかし、これは意見の交換でありまして、交渉案件、そういうものではないのです。私もちょうどいい機会でありますから、先ほど申し上げましたが、沖繩基地の問題ですね、これなんかはとくと話をいたしたいと、こういうふうに思っておりますが、これは交渉じゃないのです。話をし理解を求める、こういうことであります。
  141. 向井長年

    ○向井長年君 一連の問題、基地も含めて経済問題一連の問題が、交渉じゃなくて、具体的に話し合われると思うのですよ。話し合われるのではなかろうか、こういうことで、私たち過去からたびたび主張してまいりましたように、多角的ないろいろな諸問題の解決に当たらなければならぬ、こういう中で繊維交渉だけが先にこれが仮調印されておりますけれども、少なくともこれは本調印もそういう中でいろいろな諸問題とあわせて出てくる問題ですから、今度本調印は急ぐべきではないと、こういう考え方を持っておりますが、いかがですか。これは通産大臣も含めて。
  142. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 繊維交渉につきましては田中通産大臣からるるそのいきさつについて申し上げてありまするとおり、この政府間協定ができなければアメリカでは輸入割り当てを施行する、こういうことなんです。そういうことになったらこれはたいへんなんで、そういうようなことから別の扱いになっておりますが、まあとにかくこれができますれば課徴金の撤廃と、こういうような問題もあるわけでありまして、できる限り早く、もうこうなった以上は、協定を結ぶという手続を進める、これが私は最善であるというふうに考えております。
  143. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 正式調印が行なわれれば課徴金を撤廃するという正式な通告もございました。また、もう第一回の両国政府間における専門家会議も開催をいたしたいということでございます。また、第七項の運用その他に対しても、両国で話をその第一回の会議でもってやりたいというような気持ちもございますので、まあイニシアルを行なったものは自動的に正式調印に持ち込むということが筋だと思っております。まあ、いまの考え方では、十一月一ぱいくらいという当初の見込みが変化するような状態にはないわけでございます。しかし、それまでには両国間で、この協定が日米間の繊維貿易の正常化をはかるためにプラスの要因になるように、意思の疎通をはかりながら、万全を期したいと思います。
  144. 向井長年

    ○向井長年君 まあ、繊維問題はあとで同僚議員がまた質問に立つと思いますので、これは私はくどくは申し上げません。ただ問題は、今回コナリーさんが来られて、もろもろの問題についてやはりお互いが話し合う中で、特に私は総理に聞いていただきたいことは、過去においてはアメリカと日本はよきパートナーとしてきたと思うんですよ。いまはもう競争相手だと思うのですね、現在。こういう中で、一歩退いた形で、あらゆる問題に対しての解決というものは急ぐ必要ない。円の切り上げ問題もあるし、輸出の調整の問題もあるし、あるいはまたその他の諸問題がたくさんあるんですよ、沖繩問題もあるし。したがって、それは急がずに十分見きわめて、そしてやはりわが国の国益なり、あるいはまた日本の経済に反しない。この形で私は対処すべきだと思う。総理の決意はいかがですか。
  145. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 日米両国間の問題——急がず、あせらず、これはもうお話しのとおり、それでいい、けっこうだと思います。しかし、すでにもう話ができたもの、そういうものがやはりペンディングに置かれている。そういう状態は私よくないことだ思います。きまった以上は、これはできるだけ早く、最終的意思決定がなされておるんですから、そういう方向でそのものを進める。これがやっぱり双方の信頼にこたえるゆえんだと、かように私は思います。したがって、問題を何もかも一緒にしてとやかくするのではなくて、やはり主張すべきは主張する。また、われわれがあせらないで、向こう側から近づいてくるものもありましょうし、それをやはり受けて立つものもあると、かように私は考えております。とにかく問題は、やはり日米間に誤解や疑惑を持たれないようにすること、これがパートナーであると。競争相手であればなおさらのこと、いままでも手のうちを見せ合って競争していると、そういう関係でございますから、そこらの点は、いわゆる疑うあるいは疑念を持つ、疑惑を持ってつき合う、こういう仲でないことだけはひとつ御了承いただきたいと思います。
  146. 向井長年

    ○向井長年君 いままでは、まあアメリカの言うことは聞かざるを得ないということで、こっちは、言うならば、アメリカに追従している。これは世間もあるいはまた国民もそう考えておるのですよ。これはすべてがですよ、経済問題も含めて。ところが今度は、明確に日本に対する大きな規制というかっこうで来ているのですよ。繊維だけじゃございません。したがって、それに対しては自信を持って、競争相手とするならば当然日本の主張というものをいれていかなければならぬのじゃないか。これが何だか、繊維のごとく、その他の問題もそういう形になってくると、非常にこれは国民は心配しておるのです。そういうことを私は言っておるので、十分ひとつ対処していただきたいと思います。  そこで、次に長期経済政策の展望についてお聞きいたしますが、まず総理に、あなたが直接今日まで責任を持って長期経済計画のこれは会長ですね、そういう形をとってこられましたけれども、社会発展計画に対する会長、ところで、いまそういうことが社会資本の充実という立場から、人間の尊重とかあるいはまた社会開発、こういうことを言われてきましたけれども、その裏は公害であり、あるいはまた物価であり、あるいはその他交通災害等、もろもろのいわゆる高度成長から来るひずみというものが強く出ておる。したがって、この際これを見直して転換すべき時期じゃないかと、こう思いますが、どうですか。
  147. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま向井君が御指摘になるような観点に立ちまして、過日の施政方針演説をいたしたわけでございます。私は、確かにこの際はいままでの行き方、これを、その線を推進するだけじゃなしに、さらに再点検すべきその時期に来ていると、かように思います。
  148. 向井長年

    ○向井長年君 ただ単に資金の投入とかそういう問題じゃなくて、根本的にこれは転換しなければならぬ時期が来ていると思います。これは総理はそう考えられますか。
  149. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) あるいは、簡単ですから、向井君のお考えと私の考えの間にズレがあるかと思いますが、しかし私は、ただいまのように、過日の施政方針で明らかにしたように、内政、外交ともわれわれが新しい方向で進んでいきたいと、かように思っております。
  150. 向井長年

    ○向井長年君 いま総理が言われたことを踏まえて厚生大臣にお聞きいたしますが、特に明年度予算においてまず老人福祉の問題、障害福祉の問題あるいは母子福祉の問題、こういう問題についていろいろと計画しておるようですが、この内容を明らかにしていただきたい。
  151. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 当面非常にやかましくいわれております老人福祉の問題につきましては、まず福祉年金を相当大幅に引き上げたい。ただいま御承知のように、福祉年金は二千三百円でありますがこれを千三百円引き上げまして三千六百円にいたしたい。そのほかに老人医療の問題が当面非常に要望をされておりますので、七十歳以上の老人は自己負担なしに医療にかかれるようにいたしたい。寝たきり老人等に対する養護施設、特別養護施設の充実をはかることはもちろんでありますが、寝たきり老人の家庭訪問をする奉仕員の人数も増し、またその給与も引き上げたいというのが大体老人対策の全貌でございます。  一般に社会福祉施設が非常に不十分でございますので、五カ年内にそういった施設を充実をいたしまして、施設に入りたい、また入れる必要があるという人たちを全部入れることのできるように五ヵ年計画を昨年からいたしておるのでありますが、二年目といたしましてこれも相当充実をいたしてまいりたい。この中には障害者の問題もあれば、またその他全般の問題を含んでいるわけでございます。  なお、乳幼児の健康管理、これも非常に大事でございまするので、いままで三歳児未満の健康診査をいたしておりましたが、これを充実いたしてまいりたい。万般にわたりまして、いま申し上げますような線でいままでよりも画期的にこれをいたしたい。同時に、いま保険の一部負担に苦しんでいる、長期あるいはまたたくさんお金がかかる、一部負担にたえがたいという人たちも相当多いのであります。その訴えもきびしくありますので、これらに対処をいたしまして、医療保険の一部負担の長期あるいは公費の負担につきましては、ものによっては公費負担、ものによっては保険給付というように考えまして、来年度予算とし、また法律として提案をいたしたい、かように考えております。
  152. 向井長年

    ○向井長年君 大蔵大臣、いま厚生大臣が言われましたね、これは明年度そういう立場で実施されますか、福祉に対する予算は。
  153. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 何度も申しますように、来年度の予算はまだ現在査定中でございますので、いまのところは何とも申し上げることできません。
  154. 向井長年

    ○向井長年君 そんな無責任なことではだめですよ。総理が一番最初、今後の経済計画の中で、国内外ともに社会資本のそういう問題についても充実してやりたい、転換しなきゃならぬと、こう言っている。そこを見て、厚生大臣は、福祉問題はこうしたいと言っていま答弁されたんですよ。そしていま計画している内容、額まで示された。これをあなたは実施する決意ありますかと、こういうことなんだ。ずっと一貫しているんですよ。
  155. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この補正予算でやれなかった、補正予算になじまない性質のこの社会保障費関係は、来年度の予算で私は強化したいということをこの間お答えしたとおりでございます。その方針でやりたいと思っておりますが、まだ結論が全然出ていないというところでございます。
  156. 向井長年

    ○向井長年君 総理どうですか、それ。
  157. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま大蔵大臣は真剣に本予算の編成に取り組んでおります。ただいまの段階においては、まだはっきりしたことは申し上げかねると、かように申しておりますから、これはやっぱり本予算の編成、その際に、基本的な方針は十分了承しておりますから、そういう意味で編成されることをわれわれも期待しております。
  158. 向井長年

    ○向井長年君 期待されておるとかそういうことじゃなくて、厚生大臣はこうやりたいと、総理の施政方針に基づいてそのものを基本的に出しておられるんだ。それをやはり実施に移さなきゃならぬ。大蔵省から金を出さなきゃいかぬし、したがって、総理はそういう形でやりたいんだと言っておられるんだから、これはやはり明確にすべきだと思うんですよ。どうなんですか。できないと言うのですか。
  159. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 御承知のように、各省の予算要求が八月一ぱいに来て、いま現在財政当局としてはこの数字の査定中でございますが、来年度の予算の編成方針というものは、最後に閣議をもってきめると。で、その場合に、社会保障についてはこうするああするという政府の方針がきまりますので、そこでまたさらにこの査定がその方針に沿って変わる。そして政府原案ができてからこれが国会に提出されるという順序を経ますので、いまのところはこの各省の要求を聞いておる段階でございますので、こうするああするということをまだ私としては言えない。そのうちに政府の方針というものをきめていただく段取りになろうと思います。
  160. 向井長年

    ○向井長年君 じゃ、大蔵大臣、当面する明年度予算編成方針の基盤はどういうところに置いておるんですか。構想だけでも言ってください。
  161. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いままで申しましたように、やはり財政政策の転換期であるという方針に沿って、来年度は特にまだ不況の克服ができておりませんので、不況の克服ということを兼ねて、おくれておる社会資本の充実をこの予算で具現するという方針でやりたいと考えております。
  162. 向井長年

    ○向井長年君 もう時間がないから言うわけにいきませんので、適当な機会にまたやりますが、特に現在保有する蓄積外貨ですね、これは十月現在で百七十億ドルといわれておりますが、世界の第二位といわれておりますね。これはどういう種類ですか、外貨は。金が幾ら、ドルが何ぼ、その他の外貨はどれくらい、ちょっとお示しいただきたいと思います。
  163. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ごく大ざっぱにいいまして十月末の外貨保有高は百四十億ドル、このうちの約五%、七億ドル程度が金の保有でございまして、大体それよりも少し多い程度にゴールドトランシュ、それからSDRというものを持っておりますが、その他はドル、ボンド、マルクいろいろ外貨を持っていますが、大部分はもうドルでございます。
  164. 向井長年

    ○向井長年君 ドルということになりますと、アメリカに対するわが国のこれは債権ですね。債権ですな。
  165. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そういうことでございます。
  166. 向井長年

    ○向井長年君 この国家間の国際収支のなには、それぞれこれは相違はあると思います。しかしながら、わが国の今後の外貨に対してこれをどう取り扱っていこうとするのか、この点をひとつお聞きしたいと思います。
  167. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 欧州諸国と日本で違いますことは、日本の貿易は三分の一、米国を対象としておるものでございますし、その他の貿易も大半はドルの支払いということになっておりますので、したがって、わが国の外貨の準備は、現実的にはドルを十分に準備しておれば支障を来たさないということになりますので、したがって、いままで外貨の保有は金をそう多く持たなくてもほとんど大半ドルで保有しておったという状態になっておりますが、これは外貨は結局流動性を保持しなければいけないものでございますので、これを運用するにしても、この外貨がこげついてしまうというような形の運用というものは、準備資産の運用としては邪道になることでございますので、したがって、外貨の運用ということは非常にむずかしいことでございますが、いままでこれを預託制度を置いて活用することと、そのほかには、為銀の証券が五分一厘二毛くらいですか、これくらいに利子がなっておりますので、なるたけ逆ざやにならぬ運用というようなことを考えていまして、現在為銀の外貨運用は逆ざやにはなっていないということをやっておりますし、日銀保有のほうも同様でございまして、これは円コストがゼロでございますから運用が楽でございますが、しかし、一番利回りのいい米国の証券を保有するというようなことでただいま運用しておる状況でございます。
  168. 向井長年

    ○向井長年君 今後、高度な国際貿易競争が行なわれてくると思うのですよね。こういう中で、為替管理の緩和というものは当然行なわれなければならぬわけですけれども、現行のこの為替会計が大幅な黒字をいま残している。   〔委員長退席、理事初村瀧一郎君着席〕 こういうことであるとするならば、今後これを見返りに対外の資金融資とかあるいはまた財源調達、こういう形で私は活用すべきだと思いますが、その点、いかがですか。
  169. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 活用は十分しょうと思って現在いろいろ研究中でございますが、この間もちょっとお話しいたしましたように、国内に円を出して買ってる外貨でございますので、この活用のときにはそれだけの円資金を収縮しなければいけないということになりますが、これは結局予算の問題でございますので、対外援助ということも積極的にこれはやりたいと思いますが、これをやるためにはそれだけの予算の計上ということを必要といたしますので、そういう点で、その点を勘案して、日本の援助もおのずから無理のないところに落ち着くというようなことになりますので、外貨が相当たくさんあるからといって、なかなかそれを無条件に活用するということもむずかしいことでございますので、できるだけ矛盾のないような合理性を持った運用を研究したいと思います。
  170. 向井長年

    ○向井長年君 時間がないからもうこれはまた次の機会にしますが、次に大蔵大臣、減税問題ですが、この減税問題、今度は景気刺激の一環として千六百五十億の減税をやる、こういうことになったのです。減税そのものはけっこうです。やるべきだと思います。しかし、これは理論上合わぬのじゃないですか、景気刺激に対しては。理論上どうですか。
  171. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 公共事業量をふやすということは、これはりっぱな景気の刺激対策になることでございますが、同時に、可処分所得をふやして、そうして消費を増大させることによる景気刺激の効果ということもこれは十分考えられることでございますので、今回はそのことも考えたわけでございますが、もしそういうことを考えるとしますというと、まだほかにもいろいろ方法はあるというふうに思われますが、しかし、問題はタイミングが問題でございまして、これが暮れに迫って一番消費活動の旺盛なときにこの需要を刺激するという効果を持つということを考えますというと、所得税を早期に減税するということが最もやりやすく、しかも時期的に効果のある方法だというふうに考えてこの方法を選んだということでございます。
  172. 向井長年

    ○向井長年君 この減税について非常に不平等な状態が出てくるのじゃないですか。たとえば免税点以下の人がいま何人おりますか、あるいは何割程度になりますか。
  173. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 大ざっぱに労働人口を五千万人と見ますというと、所得税を納めている納税者がまあおおよそ三千万人、所得税を納めない、納税しない層が二千万人というくらいの割合になろうかと思います。
  174. 向井長年

    ○向井長年君 非常に不公平な状態がとられたと思いますが、特に政府が言うところの中堅所得者というのはどれくらいの人たちを言っておるのですか。
  175. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) やはり中堅所得者ということになりますと二百万円以下というところになろうかと思います。
  176. 向井長年

    ○向井長年君 二百万円以下じゃないでしょう、それは下を中堅と言ってないでしょう。以上でしょう。そういう人たちが二割程度しかいないのですよね、大体。そしてこの資金の三割程度はそこへ行くのじゃないですか。その点、どうなんですか。
  177. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 大体そうだと思います。
  178. 向井長年

    ○向井長年君 そうですね。不平等と考えられませんか。
  179. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今度の減税が、所得階層でいいますと二百万円、ちょうど中堅層のところが減税率が一番低いと。百五十万円が多くて、三百万円、四百万円が多いということで、この率についてはいろいろ問題がございましたが、結局税制の問題でございますので、これは長期的にやはり均衡をとって考えないとむずかしい問題でございます。すでに本年当初において所得税の減税はやっておりますので、それとの均衡を考えなければなりません。したがって、本年春の減税と今度の減税を合わせて考えますというと、中堅が不当に減税幅が少なかった、減税率が少なかったということにはならないんで、減税率はずっとなだらかに、上に行くほど減税率が小さくて、所得の少なくなるに従って減税率が多くなるというふうに、率についての不公平さというものは今度の減税によって非常に訂正されたというふうに思っております。
  180. 向井長年

    ○向井長年君 少なくとも減税と合わせて給与所得控除の問題も大幅にこれも引き上げなければならぬじゃないか、こう思うのですが、これはなぜ手をつけないのですか。
  181. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは税制調査会の御意見もございましたが、御承知のように、ずうっと三十七年から勤労控除、定額控除は年々やっておりますし、また定率控除の拡大もやっており、本年度も当初において相当大きい定額控除をやっておりますので、現在としますというと、たとえば五十万円の収入で、もうこの控除が二十万円をこえている、八十万円くらいのところを見ますと、二十六万円をこえているというくらいのことで、この控除は他の所得者に比べてそう大きい不均衡にはなっていないというようなところまで来ておりますので、今年初頭にやったことでもございますので、今度の場合は勤労所得控除については手を触れないということにした次第でございます。
  182. 向井長年

    ○向井長年君 来年ふえますか、来年度の予算。   〔理事初村瀧一郎君退席、委員長着席〕
  183. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 来年度の問題でございますが、来年度の税収のいかん、そういうものをにらみ合わせてこの問題は考えたいと思いますが、いまのところはやはりこの控除を上げるのは困難ではないかというふうに思っております。
  184. 向井長年

    ○向井長年君 また次の機会でやりますが、次に総理。いつも予算委員会で私が言うところの、景気刺激のためには、地方税でございますけれども、電気ガス税なんか撤廃することが、あるいはまた軽減することが、かえっていま非常に大きな刺激になると思うのですが、その点、どうですか。
  185. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 毎度電気ガス税が問題になりますし、私もこの税はあまりいい税とは思いません。そのかねての主張は主張でございますが、ただいま非常に困っておりますのは、地方財源、これがたよりになる財源がない。ただいま悪税だと言われながらも電気ガス税は地方財政をささえておる。まあ、市町村税の大きな一つの柱でございます。したがいましてこれに手をつけて、そうして中央で補てんする、こういうことがまことにむずかしい状態でございます。そういうこともありまして、なかなかこれに手がつけかねている。ただいま一方的なその考え方だけではなかなか押せない、そういうむずかしい状態にあることも御了承願いたいと思います。
  186. 向井長年

    ○向井長年君 総理、それは通りませんよ、あなた。大体あなたが総理になってから一回も軽減してないんですよ、七%そのまま据え置きですよ。毎年それを繰り返しておるけれども、一%も軽減しないというばかなことはない。なるほど地方財源は重要ですよ。しかしながら自然増収があるじゃないですか。自然増収が毎年どれくらいあるのですか。少なくとも私の判断では六十億ぐらいはあるはずなんです。自然増収もそれだけふやしていくわけですから、もう佐藤さん、あなたも適当な時期に引退するといわれておりますが、あなたの置きみやげとして、一つぐらい今回、来年度ですから、やったらどうですか。あなたの約束ですよ、公約ですよ、これは。
  187. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま申したとおりでございます。これはもう向井君からたたかれても、ただいまのように振っても出ないものという、これはどうもしかたがない。私は——大蔵大臣自身もこの問題についてはまことに冷たい感じを持っておるわけでもありません。地方財源の公平な分配、そういう意味から見て、電気ガス税、これと取り組んでおると思いますが、どうもただいまの状況ではほんとうに余裕がない状況、この点を御了解願いたいと思います。私も一つぐらいほめられてやめたいと思いますけれども、なかなかそうもいかないようで……。
  188. 向井長年

    ○向井長年君 大蔵大臣佐藤総理大臣ね、新しく、いま申された、取り上げるというのだったら地方財源は困りますよ。自然増収があるんですから、これだけ、一%ぐらいはことしできるはずですよ、来年度。ふえてくるやつを一応やめるということですから、それくらいのことはできないことはないですよ。どうですか大蔵大臣。自治大臣も言いなさい、あなたの所管だ。
  189. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 電気ガス税につきまして、従来国会で、向井委員の御議論はじめその他からもいろいろ議論が出ておりますことは私も十分承知をいたしております。そのために毎年、免税点の引き上げ等はここ数年やっておりますのは御承知のとおりでございます。よく御議論はわかるのでございますが、いま総理もおっしゃいましたとおり、地方財政、たいへん苦しいような状態でございます。また、電気ガス税は市町村民税の税収の中に占める率も非常に高いものもございます。また、普遍性から申しましてもこの税金は高い地位を占めておりますので、地方財政の現状と引き合わしまして考慮さしていただきますが、明年度の地方財政を考えますときに、現在から見通しを立てるということが非常に困難であるという状態でございますが、向井先生の御議論等も十分いれまして、地方財政計画一般の中で十分検討さしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  190. 向井長年

    ○向井長年君 時間がないから困るんだ、私は。総理、それから自治大臣も、あなたたちの言うことはわからないのだよ。新しくふえてくる財源ですよ。池田総理の時代には自然増収を軽減して七%にしたのですよ、一〇%であったやつを。それができるんですよ、今回やるとすれば。それをやらずに、いい財源だ、いい財源だと、いつやるんですか。やるはずないじゃないですか、これは。
  191. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 税でございますから、自然増収がありますことは当然でございます。この点、免税点の引き上げだけでその自然増収が足らぬと言われる御議論もよくわかります。池田総理の時代にその分だけを一%ずつ減税したではないか、こういう御議論もありますが、あの当時には、昭和三十七年度、三十八年度、三十九年度の三年にわたりまして一%ずつ下げてまいりましたが、自然増収があったからその分を下げたんだということだけでなしに、これに対しましてはかわり財源として、たばこ消費税を三年にわたりまして減税補てんとしてやらしていただいたといういきさつもございまして、一%を下げさしていただきました点もございますので、現在、たばこ消費税の税率を引き上げるということが、現在ではすでに国庫収益と地方税の消費税としていただいておりますたばこ消費税の額がほぼ同額の観点にきておりますので、たばこ専売公社を国と地方の分担金としてどのように見積もるかという点につきましても、ほぼ同額という点で限界もあろうという点もございまして、現在免税点を引き上げるという措置で御配慮賜わっておりますので、何とぞ御了承賜わりたいと存じます。
  192. 向井長年

    ○向井長年君 自治大臣、免税点といったらどのくらいですか、一ぺん言うてみなさい。
  193. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 現在七百円でございます。
  194. 向井長年

    ○向井長年君 七百円で電気代を現在この中で払っておる人がいるか一ぺん聞いてみなさい。
  195. 徳永正利

    委員長徳永正利君) さしの取引はおやめいただきたい。
  196. 向井長年

    ○向井長年君 七百円で電気代を払っている人がここにおりますか、一ぺん聞いてみなさい。家庭電化しておりますから、そんな七百円という人はほとんどおりませんよ。ここではおりませんよ。
  197. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) この中におられるかどうかという点は私もわかりかねますが、大体七百円の免税点でどの程度の家庭が免税になるかという点は、大体全世帯の一五%程度は免税になる、このように承知いたしております。
  198. 向井長年

    ○向井長年君 来年度やる気はありませんか。
  199. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 来年度の問題は大蔵大臣がただいま検討しておると思いますが、おそらくむずかしいのじゃないか、かように思います。
  200. 向井長年

    ○向井長年君 たとえば自然増収以外でも、特別交付金で五十億や六十億は下へ交付できるでしょう、大蔵大臣。五、六十億ですよ、一%といったら。交付できませんか。
  201. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 御議論でございますが、特別交付税の伸び率というものも、財政——来年度の人件費の動向あるいは公共事業費の増大に伴うところの負担割合等に比較いたしまして、現在の国税における三税の伸び等から計算いたしますと、来年度は伸びが相当減るのじゃないか、そのために大きな地方財政の問題が起きるのじゃないかと予想されますので、交付税の中からガス税の減税補てん分を見ろという御議論はちょっと解しかねますので、御了承賜わりたいと思います。
  202. 向井長年

    ○向井長年君 佐藤総理は八年間私にうそを言ってきた、こう私は思います。私じゃなく国民にうそを言ってきた。悪税だから撤廃を検討いたしますとたびたび言ってきながら、いまも来年度やることはむずかしい——八年間うそを言ってきたのですよ、あなたは。それでよろしいか。それ以上やっても時間ありませんから先に進みますが、これ、まだ時期がありますから他の委員会でやります。  次に、国鉄総裁にお聞きいたしたいと思います。いま国民の注目になっております国鉄再建の、これから再建するという基本的な方向をどう考えておられるかお聞きいたしたい。
  203. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 国鉄の再建は非常に国民的な関心事でざざいますが、去る昭和四十四年に国鉄財政再建の臨時措置法をおつくり願いましたときに、三つの柱ということが基礎になっております。一つは、国鉄を利用される方の御協力、すなわち運賃の改定でございまして、二番目に、国民全体の御支援、すなわち政府からの財政支出でございまして、それで、国民の御協力、政府の御支援をいただく以上、その前提として、当然、国鉄自体の経営の合理化ということが要求されるのは当然であるということで、物的な面、人的な面、両方につきまして具体的ないろいろの措置を講じてまいりました。やはり私は、今後いろいろ国民お願いする際にその前提といたしまして、国鉄自体の問題、国鉄自体の経営の合理化、これが一番の基礎になるというふうに考えます。
  204. 向井長年

    ○向井長年君 国鉄の再建の問題について、先般来問題になっているマル生運動ですが、これはやはり一つの再建の一部としてやられたのですか。
  205. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま申し上げました国鉄自体の経営努力のうちの一つの精神的な面、人間的な面という意味で、国鉄を利用される方に対する誠意の問題それから国鉄企業に対する愛情の問題、この二つが私は基調にならなければいけないという意味で、その基調として生産性運動を取り上げたわけでございます。
  206. 向井長年

    ○向井長年君 生産性運動をなぜ中止しておるのですか、いま。
  207. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先般来、御承知のとおり公労委の決定がございまして、いわゆる不当労働行為によりまして、生産性運動の純粋なものが歪曲されて理解された事例がございました。その点につきまして、率直に私はその非を認めまして、そしてその点についての、いままでやってまいりました生産性運動の教材、あるいはやり方等について点検をするという意味で、二カ月間の期間でもって点検したいというふうに思って、現在中止をいたしております。二カ月後には再開いたします。
  208. 向井長年

    ○向井長年君 あなたは、いま生産性運動に対して、国鉄には組合が四つあると聞いておりますが、これに対してどういう態度を持って要請されて、その答えはどういうはね返りがあったですか。
  209. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 生産性運動自体のいわゆる計量化は非常にむずかしいと思います。しかしながら、具体的に申しますれば、たとえば事故の防止、あるいは収入の増加、あるいは毎日毎日の仕事の過程においていろいろな改良、改善意見の、いわゆる提案と申しておりますが、提案の増加、あるいは合理化、近代化への協力、こういうふうなものが具体的な形でここ一、二年の間に非常に顕著にあらわれておるというふうに私は思っております。
  210. 向井長年

    ○向井長年君 四つの組合にどういう対処をしているか。
  211. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私のほうには、国鉄労働組合、動力車労働組合、鉄道労働組合、施設労働組合と、四つございます。その中で国鉄労働組合と動力車労働組合は、現時点におきましてはいわゆる生産性運動粉砕ということばを使っております。したがって、生産性運動には反対であるというふうに私は了承いたします。それから鉄道労働組合は、過般の大会におきましても、ぜひ生産性の向上をやるべきだというふうな決定をいたしております。したがいましてこれは賛成だと思います。施設労働組合は、必ずしも明白になっておりませんが、ある一部局の部門を担当する職員でございますが、これも私は、生産性向上運動には決して反対じゃないというふうに考えております。
  212. 向井長年

    ○向井長年君 正しい生産性運動はやらなければならぬ、こういう立場に立っておるのですね。そうすれば、いままでの間違った形があったから不当労働行為の問題が出たのでしょう。しかし正しい生産性運動はやらなければならぬ、こういう立場に立って、今後そういう組合に対してどう対処しますか。
  213. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私は、純粋な生産性運動はあくまでも今後の国鉄の再建のためになければならない運動であるというふうに確信いたしております。したがいまして、この立場を理解する職員諸君とは常に手を携えてやっていかなければいけないし、また反対の立場をとる者がおりましても、極力説得いたしまして、同じ方向に向かわしていきたいというふうに考えております。
  214. 向井長年

    ○向井長年君 いま国民は非常に疑惑を持っておるのですよ。一部不当労働行為等の問題があったから、生産性運動、いわゆるあなたたちの言うマル生運動はいけないものだ、こう国民は見ておるのですよ。これは大きな間違いだ。一般民間を見てみなさい。みな生産を上げて、もちろん利潤配分に対するいろいろな要求としての戦いは労使の中にあるにしても、少なくとも正しい生産性運動は続けなければならぬ。特に、国鉄は国じゃないですか、公営じゃないですか。国民はそれを考えたら——きょうの新聞でもそうでしょう、その世論が見えておるのですよ。あなた、それに対して責任を感じませんか。あわせて、最近職場において非常に秩序が乱れている、あるいは暴力行為が起こっている。これはどこに責任があるのですか。特に、そういう誤った形が今日あることに国民は非常に疑惑を持ってしる。その生産性運動というのは正しいものである、正しいものでなければならぬし、やらなければならぬものであるという決意をあなたは持って進むべきじゃないですか。いま国鉄内部で職員が、まじめに生産性に取り組んでいた諸君は意欲を失っているじゃありませんか。いままじめにやったら損だ、ばからしい、いまこういう気持ちになりつつありますよ。あなたそれを御存じですか。あわせて、最近職場の中において、特に私は先般聞いた話ですが、事実です。これは熊本におきまして、一部生産性に賛成する組合員に対して、毒物を混合して飲ましたという事実がある。そうでしょう、あなた知っているはずだ。こういう職場秩序の乱れというものにどう今後対処するのか、この点を明確にしていただきたい。国民の声を——あなた、自信を持ってやらなければならぬ。二ヵ月したら始めると言うけれども、誤った生産性運動はいけないと思います。しかし、正しい生産性運動は自信を持って進めるべきだ。この点について総裁に聞くと同時に、運輸大臣おられますか——運輸大臣もあわせて答弁していただきたい。あわせて、時間がございませんから、特に二カ月というのはいつから始めるのかということを明確にしていただきたい。
  215. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私も、純粋な生産性運動がいわゆる不当労働行為と同じものであるというふうに誤解されたことはたいへん遺憾に思っております。私の不徳のいたすところと思いまして、今後十分そういう誤解のないようにやってまいりたいと存じております。また、現在先生の御指摘のように、いろいろ事件が起こっております。いま熊本の事件は、刑事事件として警察で捜査中でございますので、私から申し上げるのははばかりますけれども、そういった職場の中の乱れというのは、やはり事故に通じ、あるいはサービスのダウンに通ずるということを考えまして、この点もう一ぺん公共性の原点に立ち返りまして、問題をあらためて一歩一歩前進していきたいというふうに思います。  それから二ヵ月間の中止、現在すでに組合とも話を始めておりますが、極力二カ月間以内に始めますので、検討いたしまして、そして来年の一月には再開いたしたいということを考えております。
  216. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま御指摘がございましたが、生産性向上運動は、それ自体におきましては、ことに国鉄の生産性向上運動は、国鉄を愛し、そして国民の足としての自覚を持って国民に誠意を尽くすということでございますので、私は正しい道であると思っている次第でございます。しかしながら、先般来生産性向上運動の途上におきましていろいろの誤解を生じ、また不当労働行為が起こりましたので、国民の一部に非常な疑惑を持たれまして、それゆえに、国鉄幹部におきましてはこれらの点を率直に認めまして、疑惑を持たれたところは直ちに直す、そして不当労働行為につきましては反省をして事に当たる、こういう態度で臨んでいる次第でございまして、生産性向上運動の正当性につきましては、やはり従来どおり進んでいきたいというふうに思っている次第でございます。そして、私、監督の立場から申し上げますると、最近、申しわけない次第でございますが、交通機関につきましていろいろの大きな事故が起こりまして申しわけなく思っておる次第でございますが、その原因を探求しているところでございますが、いろいろ安全施設、これは十分にこれから整備をしなければならない個所も相当ございますが、それとともに、原因のうちに一部その操縦に当たる現場の方の中に心のゆるみがございまして、そうして事故を起こした例も相当にある次第でございまして、常にやはりその従事員が、機械だけにたよらず、機械とともに自分も一緒になって国民の安全を守るという常に精神を持ってやることが大切でございまして、ことに国鉄のごとき、国民の足として一番国民から関心を持たれている大組織の機関といたしましては、そういった士気が、国鉄を愛するという観点に立ちまして、国民の足としての自覚を持たせるということは、絶対に私は必要であろうと思う次第でございまして、その方向に向かって指導しているところでございます。
  217. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上をもちまして向井君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  218. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、黒柳明君の質疑を行ないます。黒柳明君
  219. 黒柳明

    黒柳明君 私は、中国問題と沖繩問題に集約して質問さしていただきたいと思います。よろしくお願いします。  まず冒頭に、アムチトカ島の核実験の問題についてお尋ねしたいと思いますが、午前中の審議では、米政府から太平洋の津波はなかろうと、こういう発表があった、また、被害があったら補償請求すると、こういう御答弁だったとお伺いしますが、正午の報道ですと、原子力委員会から反対派に対して、文章で、太平洋沿岸に対する津波の可能性はあると、こう発表があったと、こういうことでありますが、政府ではこの実情をどう掌握されていらっしゃいますか。官房長官ですか、外務大臣ですか。
  220. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 正午の発表のことは私まだ承知しておりませんが、午前中もお答え申し上げておりまするとおり、わがほうといたしましては、何とか核実験をやめてもらいたいと、こういう抗議を申し入れているわけです。その抗議の過程で、アメリカ政府は、水産業には迷惑を及ぼさない、また、日本の航空機の航行、これにも支障は及ぼさないと、また、お尋ねが午前中あったんですが、津波、これはいろいろ調査いたしましたが、そのおそれはないものと認めると、こういう回答をいたしておるわけなんです。しかしどういうことがあるかもしれない。そのあるかもしれない事態に対しましては、われわれといたしましては、これは備えるところがなけりゃならぬと、こういうふうに考え、特に津波の点につきましては、これは万全の備えをしなければならぬと、かように考え、関係各省とともにいま鋭意その準備をいたしておる、そういう最中でございます。
  221. 黒柳明

    黒柳明君 私、正午の時点以降のことを言っているんです。だれか政府でつかんでいる方はいらっしゃいませんか。
  222. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 今回の米国の核実験に伴います津波の問題でございますが、ただいま気象庁で研究さしております。大体におきまして、あの実験の程度でございますると、マグニチュード七の地震に当たるんじゃないかということでございまして、あの地方で七の程度でございましては、大体日本の海岸には影響がないんじゃないかというふうに見られておる次第でございますが、しかしそれがいろいろの波動を呼んでまいりますると、あるいはまた津波の影響もあるかもわからぬという最悪の事態も考慮いたしまして、せっかくただいまそういったような事態が起こらないように、また、起こる原因がどういうところに出るかということを、いま詳細に研究中でございます。
  223. 黒柳明

    黒柳明君 私、運輸大臣の答弁はきのうのうちに知っております。  私がいま言ってるのは、昭和四十六年十一月四日正午以降の時点、政府でだれかつかんでいらっしゃるか。これは時間に入れないでください、委員長。——困るですね、これだけの重大問題。政府がこれだけいらっしゃるのにつかんでないですか、正午の報道以降。困るですね、こういう重要な問題。
  224. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 情報ありませんか。
  225. 黒柳明

    黒柳明君 文章で出してるっていうんですよ、文章で。
  226. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) いま私の手元に詳細まいっておりません。直ちに気象庁長官を呼びまして御答弁に当たらせるつもりでございます。
  227. 黒柳明

    黒柳明君 気象庁長官じゃなくて、ニュースでやったんですよ、そんなの。気象庁長官のもとじゃなくたって、外務省かなんか報道が入っているんじゃないですか。
  228. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) その報道ですか。
  229. 黒柳明

    黒柳明君 ええ。
  230. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) そのことでは、ちょっと私……。
  231. 黒柳明

    黒柳明君 だから、よく話、質問を聞いてくださいよ。いないですか、政府で。これだけ重要な問題をつかんでいないということですか。困ったですね。
  232. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) アメリカの委員会のことですか。
  233. 黒柳明

    黒柳明君 そう。反対派に対して……。
  234. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  235. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  236. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいま照会中でありまするから、後刻です。——そう時間かからぬと思いますが、後刻お答え申し上げます。
  237. 黒柳明

    黒柳明君 できるだけ早くおつかみいただいて、できれば、この審議の間に御報告いただきたいと、こう思います。まだ、七日の朝ですか日本時間、まるまる二日以上ございますので、できれば再度の、事情においては申し入れを当然やるべきであろうと、私こう思います。まだ実情がわからないということでありますが、もしそういう報道が正確であるとするならば、総理どうですか、また仮定の事実でありますが、再度強硬にこの中止を申し入れていただきたい、こう思いますが。
  238. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 政府は、この実験は中止してもらいたいと、そういうことで申し入れをいたしたのでございます。しかしながら、ただいま行なわれると、こういう話でございますから、何度でも私どもの意向をはっきりさすこと、これは別に差しつかえはございません。外務大臣もただいま質疑をよく聞いておりますから、さらに必要ならば外務大臣が所要の処置をとると、かように御了承いただきたいと思います。
  239. 黒柳明

    黒柳明君 本論に入ります。  総理大臣、中国の国連代表の派遣ももう一両日だと、こう報道されておりますが、安保理事会の議席の確保等世界の歴史もこの中国の国連入りで大きく変わるんではなかろうかと、当然そうであると、こう思います。一口に言いますと、戦争と対決の時代から、平和と交渉の時代、あるいは三極、日本を含めて三極一焦点外交等々いろいろ言われておりますが、この新しい時代に対処するため、世界平和、そして日本の繁栄を築くために、日本総理としてどのような構想をお持ちになっていらっしゃるか、御所見をお伺いしたいと思います。
  240. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 過日のアルバニア案が可決されて、新しい事態がここに出てきた。今朝の新聞なぞは、国連に派遣される大使、同時に副首席等の名前まで出ている、こういう事態でございますから、われわれも、いままでのような中国大陸と交渉を持たないような、そういう形は好ましくないこと、これはもう申し上げるまでもないことでございます。したがって、中華人民共和国と一日も早く国交の正常化をはかる、こういう態度で進んでまいりたいと、かように思っております。この点は、もうこの国会の議場を通じ、政府考え方はしばしば申し上げておりますから、重ねては申し上げません。ただ、問題は、なかなか簡単な問題ではなくて、当方でかように申しましても、先方でどういうようにこの問題を受け取ってくれるか、そこに過去の断絶というものはなかなか簡単には埋められないような状態にあるのではないかと、かように私は思います。しかし、何といたしましても、新しい事態に対処する、そうして平和で繁栄、それを歩むためにも、この中華人民共和国との国交正常化、これが何よりも先決な大事な問題だと、かように思いますから、このことをはっきり申し上げておきます。
  241. 黒柳明

    黒柳明君 総理、この新しい時代の産物の一つとして、米ソのSALT、戦略核制限交渉があります。聞くところによると、原子力潜水艦を除いてはほとんど交渉妥結に向かっているのではなかろうかと、こういう報道であります。ところが、一方、中国の核開発、先ほど外務大臣もおっしゃっておりましたけれども、すでにアメリカの国防総省では、MRBM、準中距離弾道弾の実戦配置も完了したと、こういうことでありますが、片っ方では制限交渉、片っ方では核開発、こういう二つの矛盾といえば矛盾した、核を中心にしての世界の情勢があるわけでありますが、総理としては、こういう事実をどう認識し、どういうふうにあってほしいと、こう思っていらっしゃいますか。
  242. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 中国がどういうような核兵器を持ち、どういうような装備をしているか、これは私どものつまびらかにしないところであります。これは、だれか知っておれば、そういう点からお話を申し上げます。  ただ、私は、いままでの一つ方向として、核拡散防止条約、この協定を日本も調印しておりますが、まだ批准はいたしておりません。また、私どもは、核をつくらず、持たず、持ち込みを許さないという非核三原則を持っておる。同時にまた、わがほうの原子力基本法、これははっきり、平和利用はさることながら、軍事的にはそれを使わない、こういう禁止規定がございますから、わが国自身は、ただいまのような、現在の態度でこの問題と取り組みたいと、かように思っております。しかし、核拡散防止条約に加入しない国が、核の保有国で二国あるわけです。それらの国々が今後いかような措置に出られるか、私は、この国連加盟、こういう機会に、もうすでにフランスは従前から国連加盟の大国でありますから、こういう問題については非常にセンシチブに考えておるだろうと思います。また、中国自身も、今回のこの国連で国際的に迎えられると、こういう立場になってきますと、あらためてこの核兵器についての所信のほども聞かしていただきたいと、私はかように思います。
  243. 黒柳明

    黒柳明君 防衛庁長官、現在政府は中国の核の開発をどの程度把握していらっしゃるか。また、総理大臣、この中国の核、日本に対して脅威とお感じになるのか、あるいはそう感じていらっしゃらないのか、御答弁いただきたいと思います。
  244. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 中国の核の開発の進展状況は詳細は明らかではございません。ただ、私どもも防衛の立場から多少の資料を御披露申し上げますと、中国が一九六四年十月最初の核実験をやり、昨年十月の末までの間に合計十一回実験を行なっている。開発の重点が水爆の開発に向けられていた。それから実験の実施状況から見まして、すでに標準原爆、強化原爆、それから水爆と、こういうふうな形になって三種類の核爆弾をあるいは設計する能力、つくる能力は持っているが、現物を持っているかどうかはわからない状態であります。  それからミサイル関係であります。運搬であります。一九六六年十月にミサイルを用いての核実験に成功している。これが試射実験に成功したと言われておる。それから今度中距離のMRBM級のミサイル開発実験が一九六七年に終わり、七〇年ごろからIRBM級ミサイルの開発に重点が移行している、こう言われております。  ICBMという長距離の分は、まだ二、三年以上先のところじゃないかというふうに見られております。この開発は一応こういうふうな形でMRBM中心に終わったと見ておられて、一部ではすでに配備されているのではないかというふうに言われておる向きもありますが、確認はできません。これのわが国に心理的、政治的に影響することは、無視はまあできないと思いますけれども、わが国自体がいわゆる安保体制等の中に立っておりますから、直接の影響はないと、こういうふうに私どもは解釈しております。
  245. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私に対する質問まで防衛庁長官がただいまお答えいたしましたから、御了承いただきます。
  246. 黒柳明

    黒柳明君 中国は核の先制攻撃はやらないと、従来からたびたび繰り返しております。アメリカはそのような約束は残念ながらない、のみならず、朝鮮戦争あるいはベトナム戦争ではその使用までも、現実の話題になっております。そこで中国問題の権威者、アメリカの教授ですけれども、オーエン・ラチモアさんは、こんなことを言っております。今日のアメリカのかさは日本を再軍国主義化に追いやり、日本を目標として攻撃されやすいものとし、日本が破壊された後に、初めて作戦行動をとる、こういった米国の保護であると、こう表現しております。私、これ適切な表現ではなかろうかと、こう思う次第でありますが、もう米中接近が行なわれております。もうアメリカの核のかさが性格も変わってきたのではなかろうか。もうそろそろわが国も核のかさから出る時期がきたのではなかろうか、こう思うのですが、総理の御見解いかがでしょうか。
  247. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま黒柳君がみずからお話になっておるように、中華人民共和国、この責任者は、みずから先に進んで核兵器を使うことはない、かように申しております。これを私どもはそのまま額面どおり採用してしかるべきじゃないかと思うと、私どもはもちろん新しい憲法のもとにおいて平和国家でございますから、他国を脅威するとか、あるいは攻撃するとか、かようなことはございませんので、そういう意味では、日中間に別にこれという問題が起ころうとは私、思いませんので、ただいまの状態をそのまま続けていて進まなくて、これという変化なしで、けっこうなんじゃないか、かように思っております。
  248. 黒柳明

    黒柳明君 ちょっと明瞭でありませんが、いよいよ国連で中国代表団の活躍が始まるわけですけれども、今後わが国としてもこの中国の国連における行動を決して妨害するようなことがあってはならない、まあ過去のいきさつを捨てて、全面的にやっぱり世界平和のために協調していくべきではないかとこう思いますが、総理としては今後の国連における中国との協調姿勢、これについてどうお考えになっておりますか。
  249. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 安保理事会におきましても、私どもは常任理事国ではありませんけれども、選ばれた理事国でございます。おそらく常任理事国になった、中華人民共和国その代表と、しばしば席を同じくし、世界の平和、ことに極東の安全なぞについては、話し合う機会も多いことじゃないかと思っております。私はそういうものを通じて、一そう両国間が親善でまた親密であろべきだと、かように思います。とにかくこれは国連の場における問題であります。私は国連の場のみではなくて、日中間において国交の正常化が一日も早く、先ほど申したように実りあるものにしたい、このことが国連における活動と相まって、成果を十分あげるゆえんではないだろうか、かように思っております。
  250. 黒柳明

    黒柳明君 そういう姿勢がありながら、国連の下部機構であるユネスコなどで、中国加盟に対してどうしてこれ賛成しないで棄権に回ったか、この辺の事情、いかがでしょう。
  251. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国連でああいう決議がありました直後のことでもあり、なかなか掘り下げた見解も立ちにくい、そういう時期のことでありますので、とりあえず棄権をいたす、こういうふうにいたした次第です。
  252. 黒柳明

    黒柳明君 これだけの重要な問題をとりあえず棄権したということは、それが大きく日中間の将来に対しての関係を悪化させる原因になったら、それはたいへんなことだ、総理もそれでいいですか。とりあえず棄権したと、よろしいか。外務大臣の答弁でよろしいですか。とりあえず棄権したということでいいですか、その点。
  253. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま外務大臣がお答えしたとおりでございます。これは政府考え方で、別に私が指図したわけでもございませんが、また特に私の意に反した行動を外務当局がとったわけでもない。御了承いただきます。
  254. 黒柳明

    黒柳明君 総理に相談しないでとりあえず棄権したと、こういうことですね。そういうことは一一総理には報告しないで、外務大臣の裁量でとりあえずできるわけですか。
  255. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは全くとりあえずという、そのとおりでございますが、本件は外務大臣として私がきめたわけでございます。
  256. 黒柳明

    黒柳明君 今後、下部機構、IMFやWHOで同じようなケースが当然考えられるわけでありますが、それについての、まあそのときにおいていろんな客観情勢は変わってくるかと思いますけれども、原則はいま総理大臣おっしゃったように、当然協調していくべきだ、あらゆるところで正常化に対してのコンタクトはすべきであると、こうなれば、すべてこの下部機構での表決の際は日本は賛成の態度を示す、こういうことでよろしゅうございますか。
  257. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国連の直接の機構、これについてはもう問題はないと思うのです。下部機構が一体どうなるかと、こういう問題でありますが、それにもやはり国連との関係、厚薄種々さまざまでございます。そういうことで、基本的な考え方といたしましては国連の今回の決定、これを尊重すべきものであるというふうに考えておりますが、その精神のもとにケース・バイ・ケース、そういうことになる場合もまたこれありと、かように考えておるわけであります。まあ非常にむずかしい問題は、たとえばIMFとかあるいはアジア開発銀行でありますとか、共産国が入ってない機構があるのです。それに対しまして国民政府はまあ出資をしておる、また金も借りておる、こういうような複雑な関係がある。そういう問題をどうするか。こういう問題はそれ、その一つ一つについてどういう態度をとらなきゃならぬか、これは慎重に検討します。しかし、あくまでも精神は国連のこの間の決議、これを尊重しなければならぬ、そういう立場に立ちたい、かように考えております。
  258. 黒柳明

    黒柳明君 具体的に言いますと、精神は尊重するが、ケース・バイ・ケースで「ノー」もあり得ると、こういうことですね。
  259. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでございます。
  260. 黒柳明

    黒柳明君 総理大臣も同意見でよろしゅうございますか。
  261. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そのとおりでございますが、もちろんこれからは外務省と私とよくそれぞれ協議をいたしまして、そうして「イエス」もあり「ノー」もあると、かような態度に出ると、御了承いただきたいと思います。
  262. 黒柳明

    黒柳明君 外務大臣総理大臣、これから協議をするということでありますので、ひとつよく連絡をおとりいただきまして、「イエス」もあり「ノー」もある、私はこれは非常に問題だと思います。精神はそうでも現実の面におきまして「ノー」があった場合に、はたして一いま私は非常にいい傾向だと思います。中国は唯一の正統政府である、あるいは台湾が中国本土の一部である、あるいは日華平和条約も決して破棄しないとはおっしゃっていない。話し合いの段階で何とかしょうという前向きの姿勢が出た。ところがまたこの場で、ケース・バイ・ケースで「ノー」があり得る。またそうなると台湾に対してのコミット——コミットがいけないと言うのじゃないのです。もう流れがそうじゃないじゃないですか。いつまでもこの時代の流れにさからっていると新撰組の近藤勇ですよ。みずから、みずからの命を断たなければならない。そんな愚は佐藤内閣総理大臣、福田外務大臣、やられないかと思うのです。どうですか、この点。もうここらあたりケース・バイ・ケースで「ノー」はない、あくまでも精神は尊重するのだから「ノー」はあり得ないという、こういう前向きの姿勢で努力するぐらいのことは言わないと、またすぐこれは北京に通じていますよ。また何とか言ってやがると、こういうふうなことです。私はそう悪意には感じません。どうですか、総理大臣、大問題ですよ、これは。
  263. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま外務大臣が申しましたように、たとえばIMFあるいは世銀等になりますと、この間が、いままでの経過等から見まして、必ずしも国際連合、これに加盟している国は全部同一の歩調はとっておりません。そういう点をも十分御認識いただきたいと、かような点で先ほどのような発言をしたわけでございます。おそらく外務大臣が指摘したとおりのことを私が重ねて申し上げたのですが、そこに誤解がないようにお願いをしておきます。
  264. 黒柳明

    黒柳明君 別に私誤解をしていませんが、せっかく半歩、一センチでも前向きの姿勢になった佐藤内閣のために、日中間のために非常に残念だと、こういうことから発言したわけであります。誤解はしておりません。  その次ですけれども、外務大臣から午前中も話がありましたし、しかるべき人を通じての中国とのアプローチをしておると、こういうことでありますが、これは当然総理御存じでしょうね、総理総理、御存じか。いやいや、総理御存じか。外務大臣は御自分で発言したのだから。総理が御存じか。
  265. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私知っております。
  266. 黒柳明

    黒柳明君 まあ知っている人は総理と外務大臣と保利幹事長ではなかろうかと、こういう新聞報道、私はこれは全面的に信用はしていませんが、どの範囲の人でこれをやっているんですか。総理大臣あるいは外務大臣
  267. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私がしばしば申し上げておること、いま総理が、私も知っておると、こう言うのですから、この二人が知っておることはもう間違いない。そのほかどういう人がこれに関与しているか、これはまあいまの段階で、そこまでひとつ追い詰めないでほしいと、こういうような感じでありますから、どうかひとつお許しを願います。
  268. 黒柳明

    黒柳明君 まあ私も武士の情けを知らないわけじゃありません。だけどね、お二人が知っているったって、ときどき寝首をかかれる場合があるんですよ。われわれ注意しなければならない。そういう意味で念を押しただけであります。外務大臣が聞くなと言うなら私もすなおですから聞きません。  それじゃ一言だけ。このアプローチはアルバニア決議案表決前からやっているのか後からやっているのか。この一点だけでけっこうです。
  269. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 決議案前からやっております。
  270. 黒柳明

    黒柳明君 私はこれは要望なり、また御答弁をいただく、両方入ると思いますが、もうここまで中国に対するわが国の姿勢が明確になったわけであります。そのアプローチの場合、私はこれは云々することではないと思いますが、もうこれはやっぱり両国の首脳会談、いわゆる佐藤・毛沢東会談——まあ向こうじゃ会いたくないと、こう言っております、現在の姿勢では。こういう大上段のかまえからやりませんと、そのほかの問題は解決できないのではなかろうかと、こういう私見を持っているのでありますが、このアプローチのしかた、あるいはそういうことも大きな目標としてやっていられるのかどうか。その辺だけもう一言だけお伺いしたいと思いますが。
  271. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) もしできますれば、それが一番いいと、そういう考えのもとにやっております。
  272. 黒柳明

    黒柳明君 そういう考えもあるということでありますし、そして情勢は非常にむずかしいのですが、これはどこから何が出てくるかわかりません、ニクソン訪中もあったように。もし条件がととのえば佐藤総理としてはいまからでもすぐにでも訪中して正常化の道を開きたいと、こういう御準備、お覚悟あるでしょうか。
  273. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまからでもとおっしゃるが、まあ国会開会中で、皆さん方の御了承を得なければそういうわけにはいきませんが……。
  274. 黒柳明

    黒柳明君 いや、形容詞ですよ。
  275. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまのは形容詞だとおっしゃるので、私は全くそのとおりの気持ちでございます。
  276. 黒柳明

    黒柳明君 非常に決意だけは、精神だけはいいんですけれども、現実がちょっとこう逆行しているようで残念でありますが、総理はせんだって、日華条約について段階的にと、こうおっしゃいましたけれども段階的というのは、具体的にどういうことをお考えになっていらっしゃるのか御説明をいただきたいと思います。
  277. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 問題は、ただいま第一の基本的な問題についてお話がありました。御承知のように中華人民共和国と国交の正常化をすると、そういう立場に立って話をすると、必ず問題になるのは台湾の問題だと、かように私は考えております。ただ、台湾との間に日華平和条約があること、またこの条約が締結された当時、これは現在とはやや違っております。国際的にも中華民国が中国を代表していると、かように見られておりました。これは台湾だけに政権は及んでおりましたが、しかし、中華民国の承認国も中華人民共和国よりも多かった、その事実はそれなりに認めなければならないと思います。その条約に基づいて、あの前文にもありますように、われわれは戦争も終結宣言をいたしましたが、同時に、われわれが放棄した、台湾、澎湖諸島等の領域を放棄いたしましたけれども、また、私ども日本国民の持つ権原、権利——まあ権原というよりも権利でしょうが、権利等は一応あの条約で認められたと、かような経過もございます。したがいまして、この日華平和条約が不当なものであり、不法なものであると、直ちに廃棄さるべきものだと、こういうことはやはり歴史的な経過から見まして私は簡単には賛成できないように思っております。したがって、これらの点について中華人民共和国と十分話し合ってみる必要があるんじゃないかと思う。かような態度でございます。  私は、本来、中華人民共和国が国連にも迎えられ、安保常任理事国にもなったこの段階において、一つの中国である限りにおいて、この中華人民共和国がすべてを代表されるものだと、かように思っておりますから、そういう立場で、ただいまの日華平和条約がいかにあるべきかと、こういうことを十分相談して、意見を交換して、そうして双方が納得いくような結論を得たいと、これが私の考え方でございます。
  278. 黒柳明

    黒柳明君 日華平和条約の破棄、なかなかむずかしいかと思います、政府としてはですね。しかし、いま福田外務大臣がやっていらっしゃるアプローチ、中国側が破棄ということを大前提にしなければ政府間折衝はやらないと、こうなった場合には完全にこれはデッドロックになっちゃうわけなんです。その点どうですか。
  279. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) そういう種類の問題は、これは中国とほかの国との国交打開の歴史ですね、これをひもといてみましても、各まちまちでございます。特に一番大きな問題は領土問題、これなんかになりまするとカナダ、イタリア、ああいう去年あたりから中国を承認している一連の国があります。これは領土問題、最後まできまらないんです。結局こういう主張が北京政府にあるということをテークノートする。いわばたな上げするような形で国交が打開されておると、こういうような状況になっておるのであります。わが国はまあそれらの国と違いまして、台湾と日華条約を結んでおるという特殊な立場があるわけでありまして、したがってこの扱い、これは非常にデリケートであり、むずかしい問題だと、こういうふうに一応考えるのは、これは筋の通らないことではないと、こういうふうに思います。そういうようなことで、私はこれはいま総理から申し上げましたとおり、どうしてもあらかじめ予断をしてかかるということは非常にむずかしいんじゃないか。それよりも何よりも大事なことは、日中間に不信感がある、これを払拭することがまず第一である。こういうふうに考えておるのでありますが、まあいまの日台間の条約を、日本と国府との間の日華平和条約をどうするか、この問題につきましてはまあ信頼感、相互信頼の関係に立って話し合えば必ずこれは妥当な結論が出るのではあるまいか、かように確信を持ちながら、いまアヒルの水かきをやっておると、こういうことでございます。
  280. 黒柳明

    黒柳明君 総理ね、もし中国側から、これは非常にむずかしいと思いますけれども、話し合いの中で、日華条約というものを破棄するということで大きな努力目標をするならば、まあ折衝に応じてもいいとこういうようなことがありましたら、総理としてはこれに臨むつもりはありますか。
  281. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、ただいまのような点が両国の間でむずかしい問題だということは、日本側にもありますが、北京側にもそういうような問題があろうと思います。最初からこれこれの条件だと、こういうようなことは、おそらく交渉を持つ場合に最初からは出てこないんじゃないかと、かように思います。条件下においての国交正常化ということはまずあり得ないと、かように思っておりますので、私どもも過去の軍閥当時の問題を十分考えながら、やっぱり平和共存、そういう路線で、しかも一つずつの中国、そういうこと、同時にまた、過去の軍閥に対する反省はどうかと言われれば、そういうものについてのわれわれの今日歩んでいる平和路線、それは反省の結果こういう路線を選んでいるんだと、こういうことなぞが理解されると、ただいまのようなことはいかがでしょう、黒柳君から何か条件がましいような御提案ですが、その辺をも含めて中華人民共和国との話し合いをすることのほうが、そういう立場で私ども臨みたいと、かように思っております。
  282. 黒柳明

    黒柳明君 別に、私、条件がましく総理に押しつけるつもりはございません。けれども、何かやっぱりこちらから条件を出しませんと、総理の御答弁が同じところに足踏みするんではなかろうかと、こういう意味でお伺いしたわけであります。  次に沖繩問題に移っていきたいと思います。
  283. 多田省吾

    多田省吾君 関連。  中国問題で二点ばかり関連質問をしたいと思います。  一つは、先ほど国連の専門機関における日本の態度は「イエス」か「ノー」か、まだケース・バイ・ケースできまってないし、またそれでやっていくと、こういうことでまあ総理の答弁がございました。特に世界銀行とかIMFの問題等においても、私たちは総理の答弁は絶対納得できません。また具体的にですね、国連の専門機関においては、ユネスコに続いて、たとえばILOにおきましては十一月八日から十九日までに理事会を予定していると。当然国連の専門機関においてそれぞれ自主決定をする方向でございます。またたとえばUPU——万国郵便連合、これも日本が七四年まで理事会議長だそうでございますが、これも決定が差し迫っているわけでございます。まあ先ほどは、とりあえず棄権をすると外務大臣はおっしゃいましたが、十一月八日といえばもうすぐでございますが、今後のこういった、たとえばWHOとか、それからILOとかUPUあるいはWMO——世界気象機関とか、こういった問題について、私は先ほど黒柳委員が質問をしたように、当然今度中華人民共和国の国連代表が安保理事会に来られた場合に、この歓迎の演説をすると、そこまで言っているのに、まだ棄権とか「ノー」とか、そういう態度は、私は日本のこれから、政府としてです、国交回復をはかっていくといういままでの姿勢から見ればおかしいと思う。こういった国連の専門機関においては特に「イエス」と言うべきだ、賛成すべきだと思う。外務大臣総理大臣、いかがでございますか。
  284. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 考え方の基本はですね、そのとおりでいいと思うのです。ただ先ほどから申し上げておりまするように、世界銀行だとか、あるいはIMFでありますとか、あるいはアジア開発銀行だとかそういうものになりますと、なかなか複雑な内容がありましてですね、そう一がいに言えない。あるいはまた結論が非常に複雑なものになるかもしれない。たとえば暫定的にはどうだとかこうだとか、そのようなことになるかもしれない。まあ一がいに言えないということを申しております。  ただ基本的な考え方は、国連でとにかくあれだけの決議が出たわけでございまするから、その決議を踏んまえてやる。これは問題ない機構はかなりあると思うんですよ。あると思うのですが、全部はそうはいかぬ、こういうことを申し上げているわけです。
  285. 多田省吾

    多田省吾君 それでは、いま私が申し上げたような、たとえばWHOですね、それからILO、それからUPU、こういった問題につきましてはイエスという立場をとると、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  286. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいまその一つ一つにつきましてどういう態度をとるか検討しております。しかし、あくまでも精神は国連の決議のあの精神、これを踏んまえてやりたいと、こういうふうに考えております。
  287. 黒柳明

    黒柳明君 沖繩問題に移りますが、政府はかつてサンフランシスコ条約で、沖繩県民の意思を裏切って米軍支配下に置き、いままた返還協定で沖繩の県民に迷惑をかけようとしている、こういうふうに私は思います。これは現地のマスコミの世論調査であります。もう総理も知っているかと思いますが、返還協定をどう思うか、不満四七・六%、わからない三七・八%、合計八五・四%、満足がわずかの九・四。核抜きについて、信じない四七・八%、わからない三八・二%、合計八六%、信ずるが一〇・六、わずかに。自衛隊の配備について、反対が四七・四、わからない三〇・四、合計七七・八、賛成一六・三と、非常に核抜き返還協定の内容、自衛隊の配備について反対が多い、不安が多いということがここではっきりしていると思います。これをどう認識されるか。沖繩県民の納得できるような所信をお伺いしたいと思います。——いや総務長官、またあとから出ますから、出番がありますから、総理ひとつ。
  288. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ世論調査、これはそのときどきの県民の動向を示すものだと。私もそれが間違っているとかなんとか申すわけじゃございません。ただ私はこの際に申し上げたいのは、やはり沖繩における、琉球における立法院、これがやはり県民の意思を代表するものじゃないかと、かように思いますが、この立法院における決議は、ただいまの沖繩タイムス、その他の世論調査とは違いまして、もう決議がちゃんとされて、一日も早く復帰を実現するようにと、こういうような要望を伝えております。私はこれはやはりそれなりにまた評価すべきではないかと、かように思っておる次第でございます。まあいろいろむずかしい問題もございますけれども、とにかく県民にとりましては祖国復帰、それがもたらすもの、これは一体何かと。生活の全般にわたってのこれは大変化でございます。ドルが円に変わるというだけではない。また軍経済それからの離脱というだけでもない。これは私たいへんな問題を包蔵しておる問題だと思っております。したがいまして、本土政府におきましてもこれらの事柄を念頭に置きながら、やはり十分に県民の意向を今回の復帰に際して取り入れるようにあらゆる努力をすべきだと、それで初めて祖国復帰も実現するのではないかと、かように思います。私どもがただ単に戦時中あるいは戦後、それだけの心情だけで県民に同情するのでなくて、ただいま当面しておられるその不安な状態に対してやはり解決する。その努力がされないと十分の成果があがらないんじゃないか、かように私は心配しながらこの問題と取り組んでいるような次第でございます。
  289. 黒柳明

    黒柳明君 総理の、核抜き点検を何らかの方法でやる。午前中も答弁が出てまいりませんでしたが、外務大臣、防衛庁長官、この総理の何らかということの意思を受けて、何か事務レベルで、あるいは技術的での検討はなされたことはあるんでしょうか、外務大臣、防衛庁長官
  290. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 総理はかねがね、総理と大統領との間の話し合い、これであれだけはっきりしているじゃないか、さらにそれを引用して、今回の協定第七条においてあれだけ明瞭になっているじゃないか、金まで出すという、その犠牲を払ってまでそれを立証しようとしておるじゃないか、これではっきりだと、こう申しておるわけです。しかし皆さんからいろいろ御意見がある。御意見があるところを見ると、なおまたさらに上積みしてこれを明らかにすることは考えられないかと、こういうことを私どもに指示されております。そういうことでアメリカ側にもこの問題につきましては話をしております。まあこの間の上院の外交委員会におきまして、ロジャーズ長官、パッカード国防次官、この方々が口をそろえて、返還時には核はありませんと、こう言っている。またパッカード国防次官は核のないことを確約いたしますとまで言っておる。これは私は、そういう私どもの交渉のあらわれではあるまいか、そういうふうに見ておりますが、なおこの話は続けていきたいと、かように考えております。
  291. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 沖繩の核そのものは防衛庁自体の問題ではなく、あくまでも防衛庁は国内の自衛でございます。ただ、間接的な関連もありますから、この問題にどういう考えを持っているか。御存じのとおり、共同声明なり協定でもって確約をしている。さらに上院の委員会において、国務長官、あるいは国防次官自体も確約をいたしておる。したがって私どもは、これに対してその発言というものを十分信頼を持って沖繩復帰に対しては核問題は対処してまいりたいと、こういう考えであります。
  292. 黒柳明

    黒柳明君 私は、本会議での総理の核撤去、何らかの方法でやるという表明は、日本政府としての自主的な何らかのアクションを起こすというふうに理解しまして、ロジャーズさん、あるいはパッカードさんが何かやってくれるだろうと、その何らかとは私理解していなかったのですが、もうそうすると、あれだけのアメリカ側の声明があったから、日本としては何らかをやらなくていい、やる必要がないと、こう総理は判断されているのですか。
  293. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私どもが不安を除去するのは日本国民の不安を除去することであります。私はアメリカ側でもいろいろ言ってくださるけれども、これではまだなかなか納得されないというのが現状だろうと思っております。私は、いま考えているのも、けさほども午前中お答えいたしましたように、やはり本土にはないのだ、この状態沖繩にそのまま続いているのだ、こういう事柄がわかるようになれば沖繩の方々も安心されるだろうと思います。それがまだはっきりできない。ただ説明だけではどうも不十分だと言われている。そこらに何か方法はないだろうか。アメリカ側でこれを声明することはたいへん私は簡単だと思います。大統領自身にお願いして、ひとつ言ってくださいと言えば案外言ってくれるかもわかりません。けれどもそういうことではないように思っておりますので、ここらにむずかしさがあるのです。ただいま模索中だと、何らかの方法というものは模索中だと、かように御理解いただきます。
  294. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 関連。  いまの核の問題に関してですが、いま議論になっておるのは大体陸上の核兵器の問題かと思いますが、海の核の問題についてはどのようになっておりますか。といいますのは、陸上の核兵器につきましては、たとえ何らかの方法で確認がされたとかりにいたしましても、海の核につきましては、核の撤去費用等も要らないわけでありまして、今後また持ち込まれる可能性が十分あります。したがいまして、沖繩返還後は、沖繩の米軍基地に原潜等が、特にサブロックを積んでおると考えられる形の原潜等についての寄港は一切禁止をすると、これくらいの強い態度がやはり沖繩の場合特に示されなければ、沖繩県民も納得しないと思いますが、空も含めまして、海・空両方の核の問題についてはどのようになっておりますか。関連としてお伺いします。
  295. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 沖繩がわが国に返還される、その以後の時点の問題です。その以後の時点といたしましては、陸に限らず海でも空でも、わが国の領海、領空、これを核を持って入港しあるいは航行する、一切これはわが国としては拒否する。そういうかたい考えを持っております。
  296. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ところが、いままでに、佐世保にしても横須賀にしても、原潜は一切事前協議にさえもかけられておらないわけです。アメリカの海軍年鑑等の資料によりますと、スレッシャー型については、大体サブロックを積むのが常識といわれておりますが、そのような形の原潜が入港しても、過去相当原潜も入ってきておりますが、いままで一度も事前協議さえ適用されておりません。したがいまして、こういったことから考えまして、私ども沖繩返還と同時にこの事前協議をさらにきびしくする上からも、いま外務大臣が言われたように、一切拒否をすると、原潜については事前協議かける以前にもう来るなと、これくらいの強い姿勢を示めしてもらいたいと思いますが、その点も含めまして確認をしておきたいと思います。
  297. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 核を持っておらない潜水艦が入港してくる、これは別に事前協議の対象にしておりません。しかし、核を持っておる原潜が入港すると、これは国内におきましても事前協議の対象となる。沖繩がわが国に返ってくる、そのあとにおきましては同じ状態でございます。そういう際におきましては、わが国といたしましては、「ノー」と言うかたい方針をとりたいと思っております。
  298. 黒柳明

    黒柳明君 また何か戻りますけれども総理、模索中とおっしゃったけれども、十月十八日に何らかの方法で撤去すると言って、もう二十日になる。二十日間もお一人で模索しているわけですか。早く外務省に二国間の交渉、あるいは防衛庁のほうに技術的な撤去の方法、こういうものを指示しなければ、私たちはその面だけでも何か安心できない。何か何かと言ったって、結局やる気がないんじゃなかろうか、アメリカのほうからいろいろな発言があると、もうそれでいいよと、現にそういうふうにおっかぶせているのじゃないですか。ですから早くこれを何らかの方法でやる。そういう模索中ならば事務当局におろす必要があるんじゃないですか、検討しなさいと、どうですか。外務大臣、防衛庁長官、いらっしゃるんですからね。——いや総理大臣に。何らかとおっしゃったのは総理ですから。指示して早く検討しなさいと、こうおっしゃったらどうですか。それとももう検討されていますか。
  299. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 総理大臣からきつい指示がありまして、われわれは鋭意検討をいたして、早く米側と折衝をいたしたわけです。それが去る十月二十七日のロジャーズ国務長官、パッカード国防次官の言明になっておる、こういうふうに私は理解しておるんです。しかし、いまはあなたと総理とのお話を承っておりますと、総理は、なおそれでも満足せぬと、こういう様子でありますので、鋭意その話し合いはさらに進めていきたいと、かような考えです。
  300. 黒柳明

    黒柳明君 外務省は受けていると。防衛庁はどうですか。
  301. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私自体といたしまして、核の扱いは、御存じのとおり大統領の非常に高度の権限であると、したがって、核がいつの時点でも、あるとかないとかということはなかなか発言がしにくいだろうと思っておる。しかし、日本政府側で強い要望があって、ロジャーズ長官自体が、核は少なくとも復帰時にはないと、これをはっきりしたのは非常に異例な発言だと私は思う。それをさらに裏打ちするように国防次官自体が核のないことを確約する、こういうふうに言われたわけでありまして、これでかなり私はアメリカの態度ははっきりしたと、こうは思いますが、しかし、さらに私どものやるべき分野がありますれば、それは私どもは指示に従ってやらなければならぬと思います。
  302. 黒柳明

    黒柳明君 米軍基地に関する了解覚え書き、いわゆるA・B・C表ですが、外務大臣、これはもう相当日本政府も基地の実態というものの範囲は知って、そして覚え書きを交換した、日本政府も了解の上で覚え書きを交換したと、こう判断しているわけですが、よろしゅうございますか。
  303. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでございます。
  304. 黒柳明

    黒柳明君 毒ガスのことです。これはもういよいよ総務長官の出番がまいりましたですが、御存じのように安全対策、こういわれましたけれども、初日からウインチがこわれた、八月二十五日には御存じのように毒ガスが落っこってきた、そのときには作業員——米軍の作業員ですよ、すぐ防毒マスクをかけて避難した。五十分間作業は中止された等々のことがありました。新聞を見まして、新たな恐怖と怒り、毒ガス落下事故、これが万全対策か、あるいは補償なき自主避難に怒り、生活もめちゃめちゃ、朝三時から夜おそくまで毒ガス移送沿道の県民、住民は避難をした。私も陳情を受け、あるいはその現場に立ち合いました。非常に悲惨な状態でありました。日本政府としてだいじょうぶだと言っても、現地住民、沿道住民はそういうわけにいきません。これに対して、まあ終わったことでありますけれども総理大臣もつぶさにこまかく実情を掌握しているのじゃないかと思いますが、このつい先月終わったばっかしのこの毒ガス撤去について、住民に与えた不安、それと損失補償に対してまだ請求が何とらちがあかない、こういう問題について、ひとつこの場を通じて県民の方に弁明なり所信なりをお聞かせいただきたいと思います。
  305. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 私に先に答弁させていただきます。  その問題については、撤去日が定まりましたときに、琉球政府と私との間において、それらの一日一ドル、そして対象人員、人員かける日数というものに根拠を置いた一応の試算をいたしました数字というものを了解をいたしました。しかしながら、支払い等については、これはやはり国の金の使途でございますので、そのような計算はなかなか本土の財政執行ではむずかしゅうございましたから、琉球政府において、できればそれぞれの関係部落において住民のお話し合いの上で公共施設その他の、あとに残るものにお使いになるようにということをお願いをして、琉球政府を信頼申し上げてお渡しをした経緯がございます。  なお、その撤去の最中において、いま申されました二回ほどの事故らしきものがございましたが、幸いにして住民には影響がなかったことは私もほっといたしましたが、しかしながら、いずれにしても非常な恐怖心を持って周辺の方々が予想以上のパーセンテージのウエートを持って毎日避難をしておられるという実態は、速報で毎日私も把握しております。それらの点については、琉球政府と現地の関係住民、自治体との間で話がなされたようでございますが、私と琉球政府との間における残った問題は、実際上に撤去作業をいたしました最中のいろいろ沿道において営業をしておられました方々の営業が、撤去作業によって妨げられたことの損失というものを、後ほど実績として、済んだ後において調査の上相談にくるということでございますから、その点は相談に応ずるつもりでお待ちをいたしております。現時点においてはまだ数字はまいっておりません。
  306. 黒柳明

    黒柳明君 そこで、毒ガスの撤去作業は終わって、今度は核の撤去作業、外務大臣がしばしばおっしゃっていますように、現在あるというよりも返還のときなくなっているのだからそれでいいじゃないかと、確かに私もそうだと思います。しかしながら、毒ガスの撤去作業すらこれだけの不安があった。損失を与えた。この次の核、いつの時点か何らかの方法で撤去されるだろう——間違いありません。七千万ドルの積算根拠も出てこない。総務長官、そこで、私はたびたび現地へ行きました。沖繩の、思想的なことじゃなくて、県民の心を知っている閣僚の中で、おせじじゃなくて一人者は総務長官ではなかろうかと、こう思うのですが、核については非常にむずかしいのです。だけど、もしも事前にこの撤去作業に関して何らかこの危険性、不安なりがあったら、これは当然人命尊重の立場から万全の手を打たなければならない、これは常識だと思いますが、この点いかがでしょうか。
  307. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 毒ガスの問題は、これも秘匿されていたのでありますけれども、事故が起こってやむを得ずと申しますか、結果的には米側も認めざるを得なかったという経緯から、核についても、撤去作業についてもオープンでやらざるを得なかったと思います。したがって、撤去作業の新しい道路をつくる費用についても、本土政府が予備費を支出するようなこともできたわけでありますが、問題の核についてはマクマホン法等の問題等もあって、はたしてアメリカ側が現地において、あるいはアメリカの施策として、沖繩側からの核の撤去について、どの基地からどの程度の数量をどういう日程に従ってどういう方法で搬出するという連絡を、日本政府なり現地の琉球政府にするものであるかどうか、そこらのところも全く未知数であり、私として沖繩住民の立場に立って、その不安な沖繩住民の気持ちを代弁して考えるならば、ぜひともそのときには知らしてほしいと、そして住民の方々が少なくとも予測できざる事態の中で恐怖に直面するようなことのないようにしたいものだという念願は持っておりますので、引き続き外務当局ともよく相談をして、そのようなアメリカ側の態度に出てもらうことを期待したいと思います。
  308. 黒柳明

    黒柳明君 総理、重ねてで申しわけありません。
  309. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま総務長官から詳細に話をいたしました。私は、この前の毒ガス撤去に際しても、県民の不安除去について多大の苦労をし、まあ不安のないようにと思ってずいぶん用意もいたしましたが、しかし、先ほど来述べられるように、あれだけな注意をしたにかかわらずその一部事故が起きたじゃないかと、こういうこともございました。今度の核の問題になりますと、毒ガスとまた違う意味の心配があるし、核についての積極的な認識も欠いておる、こういう状態でございますから、これについてはただいまも山中君から詳細に政府の心がまえを申し上げましたが、私はそういう点で県民の了解を得るように万全の処置をとりたいと、かように思っておりますので、この意味で外務当局あるいは防衛庁等とアメリカ側との折衝、あるいは私自身が十分確認して、これならばと思えるような処置をとりたい、このことをはっきり申し上げておきます。
  310. 黒柳明

    黒柳明君 当然総理、総務長官おっしゃったように、何かそういうものがあったら知らしてもらって万全の処置をとりたい。  そこでですね、ここに一冊の本があります。これはテキサス州ランドルフ空軍司令部発行のもの、核についての取り扱い事項を書いてあります。総務長官お知らせしてほしいというんで、特に聞いてください。これ、英文です。長い文章でございます。こういうことです。第十四章、CBR兵器について。第二項、非通常兵器——核ですね、CBRですね、の存在は、もはや少数の空軍基地やミサイル設備に限定されていない。その貯蔵、使用及び運搬が空軍基地内外で行なわれていることはいまやあたりまえとなっている。第三項、CBR兵器はそれぞれ異なった顕著な危険を生ずる。化学兵器、生物兵器、核兵器の三つのうち、米空軍では核兵器を最も重視しているので、まず核兵器についてその取り扱いを次に述べる。  第四項、核兵器——ここからですよ。ちょっと総理大臣、これ、英語ですけれども、申しわけありません。そのマル一、マル二、マル三、 マル四、マル五、赤鉛筆でワクで囲んだところだけ全部翻訳して、外務省、ひとつ助けていただきたい、英語の達人。大体中学生の一学期くらいな英語ですよ。そんなむずかしくないと思います。要点だけでけっこうでありますから。
  311. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  312. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  313. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) お答えいたします。翻訳はこれで正しいと思います。
  314. 黒柳明

    黒柳明君 読んでください。
  315. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 「第五項、核兵器またはその構成物質に出会う可能性が最も大きい状態は、核兵器による敵の攻撃ではなく、むしろ核兵器を積載した飛行機事故、核兵器を輸送するトラック、列車または航空機の事故、あるいは核兵器が貯蔵されている地域の火災などの場合である。第六項、核兵器の特徴。すべての核兵器は、それぞれ異なった量の核物質と通常型高性能爆発物を含んでおり、激しい衝撃を与えたり、火気の影響を受けたりすると爆発を起こす。これはHEが爆発を起こす」こういうことでございます。「第十項。核兵器は事故や火災にあった場合、大規模な核爆発を起こさないようにつくられているが、核物質を囲んでいる通常HEが爆発する可能性はきわめて大きい。高性能爆薬HEの爆風と核兵器から飛散する破片の危険は千フィートまで及ぶ。その距離内にいる人々は爆風や飛散した破片で重傷を負う。」
  316. 黒柳明

    黒柳明君 どうもありがとうございました。もう私再びやる必要ないと思います。  総務長官、これ、いかがですか。いまアメリカ局長のこの解釈で、ランドルフ空軍司令部から出た核兵器HEの危険性がものすごくあるということを述べた文章であります。お聞きいただいたかと思いますが……。
  317. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 私はその方面はよくわかりませんが、衆議院においても公明党の代表質問において同じような内容の御指摘がありまして、私自身、しろうとながら、核兵器の中のそのような、また起爆部分において非常に危険な爆薬があることも知りましたし、それらの運搬について沖繩に貯蔵されている事態がどのような事態であるものやら、そこらのところも、いまのところ、かいもくわかりませんが、その搬出には非常な慎重な作業を要するものである、付近住民にとっては、やはり危険なものであるということを認識いたしております。
  318. 黒柳明

    黒柳明君 総理、いかがですか。
  319. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの総務長官と同じ考えでございます。
  320. 黒柳明

    黒柳明君 さてそこで、先ほど言ったように何らかの不安があったら万全の処置をしなければならない、手を打たなければならない。これについてどういう処置をいたしますか。核兵器というのは敵の攻撃よりも積載するトラックや飛行機の事故のほうが危険が多い。核爆弾そのものは破裂しなくともHE通常型高性能爆薬が爆発する。しかもそのHEは熱と衝撃に非常に弱い。これが爆発すると千フィートまでは死んだり重傷が起こる、どうですか、これ。これについて何らかの対策を立てなければたいへんじゃないですか。
  321. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ガスの場合と違いまして、核兵器の場合は核爆発物質ですね、弾頭ですね。弾頭とその起爆器材これがあってはじめて核爆発現象が起こるわけであります。ところがそれが別々にされておるわけです。ただ、その核弾頭が動きましたということで、それでどうもガスが動いたというような現象にはなってこない。そこが核とガスの場合とは非常に違いがある。こういうことはひとつ御了知願いたいんです。米軍当局に対しましてはとにかくガスのこともこれあり、非常にその核について不安を持っている。この不安のないようにということをきつく要請しておるわけでありまするが、米軍当局といたしましては万全を尽くしてさようなことのないようにいたしたいということを非常に厳粛に言明しておりますので、私どももその核の特性というか、ガスと違った特性をもあわせ考慮いたしまして、万全を期し得るのではあるまいか、さように確信を持っておるわけであります。
  322. 黒柳明

    黒柳明君 防衛庁長官、何かありますか。
  323. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 的確な御返事でないかもしれませんが、いまのお話、お手元にある資料、私どものほうも多少そういう資料があるかと思いまして、在日米軍司令部等に問い合わせました。しかし、核兵器関係資料の存否というものを含めまして、一切公表することができないというたてまえでありますから、私としましては、確実な資料に基づいての御答弁はできないわけであります。ただ、ただいま黒柳さんからもお話がありましたが、核兵器にもいろいろあります。核弾頭をつけられるのとそうでないのと両用のものもありますし、兵器には核一本のものもございます。ただいま外務大臣からお話ししましたように、核物質そのものと、それからそれをいかにして起爆値するかという火薬類の問題と、これ二つに分けていかないというと非常に議論が複雑になってくるんではないか。かってスペインその他におきましても、核物質が飛行機で落ちたり、水中へ落ちた場合もありますけれども、これ自体は、そのものは核は破裂をしておりません。ただ、ラジウムその他を出し得るという状況はありますけれども、したがって爆薬との関係、こういうふうに考えていかなければならないと思います。
  324. 黒柳明

    黒柳明君 ちょっと答弁がわかりませんけれども、要するに、私たちの調査によって、もし毒ガスの経路で核が撤去されると付近住民一万五千戸五万人、この被害にあうのです。それを、外務大臣おっしゃっているように、米軍に申し入れた、申し入れたと言っても、毒ガスだって事故が起こっているじゃないですか。起こってからこれは何のかんの言ったら、佐藤内閣は幾つあっても足りませんよ。総理の首は幾つあっても足りませんよ。これだけの明らかな事実がここに出たんじゃないですか。それでもなおかつ米軍に申し入れる、それだけで済みますか。これでは付近住民の不安は除去されませんよ。何もわからないときはその答弁でよかった。事実がこう出た、ものすごい危険だということを現に認めている、総理大臣も総務長官も。その時点においては厳重に申し入れるじゃあ済まない。何かそれに対して一歩先んじて対策を打たなければ不安は除去されない、どうですか、総理大臣
  325. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まず、全然われわれに知識のない事柄ですから、この米軍が撤去するに際しても、これは事前によく話をしてくれる、そうしてその話を通じてどういう危険があるか、どこに問題があるとか、こういうことに話が展開しないと、ただ、これはこわいもの、こわいものだというだけでもいかないようにも思います。私どもとにかく復帰時にはそういうものがあっては困るのですから、そういうものを撤去するそれについてのその手順、そういうものについて十分話をされて、そしてまず県民の前にわれわれが納得がいかないとこういう事柄はスムーズに行なわれない。こういうことだけは、先ほど外務大臣が申しますように、厳重に申し入れをするというのは、そういう意味のことをも含んでおると、かように御了承いただきたいと思います。
  326. 黒柳明

    黒柳明君 いま総理がおっしゃったことは、そうすると核撤去に対するその手順、方法を聞くということですね、アメリカ側から。
  327. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) さようでございます。まずそのことが大事なことだと思っております。
  328. 黒柳明

    黒柳明君 その核撤去に対しての手順、方法はいつ聞きますか。
  329. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) この手順、方法につきましては、これを知っておくことが非常に大事なんです。そこで私も何とかしてそういうことがわからぬかと思って話はしていますが、核は米軍の最高の機密に関するというようなことで、まだ話を聞ける段階になっておりません。ただ、いろいろ情報はある。情報によりますと、ガスの撤去とこの核の撤去、これは根本的に手段、方法が違ってくるのです。ガスのような危険性、そういうものが核の場合におきましては、私どもの核に対する乏しい頭でも理解し得るのですが、非常に安全度が高い。そういうふうに思われるわけでありますが、なお、とにかく大事な問題でありまするから、アメリカのそういう態度ではございまするけれども、せめて私どもだけでもそういう手順というようなものを承知しておく、そしてその結果、不安があるというならば対策をとるということは考えてみたいと、かように考えております。
  330. 黒柳明

    黒柳明君 乏しいとか知らないとかおっしゃっているから、私はこの最高の権威のあるアメリカの空軍司令部で発行の本、これを出した。まだ一ぱいあるのです、指摘したい点。時間がありません、長くなるから集約していまのところだけを読んでいただいて、確認していただいた。もしこれに対して何かわからない答弁がありましたら、それこそ平和な沖繩として、返還なんという日本政府の態度はでたらめじゃないかと、こういうふうにテレビを見ていらっしゃる沖繩県民、一億国民はおこりますよ。そういうものがないときには抽象的な答弁でよかったと思う。こういう危険というものが目の前に具体的な方法として提示された、それに対して非常に抽象的な答弁ではならない。県民の生命を守るといったってどうやって守るのか、守れない。外務大臣がほんとうに確信を持って何らかの方向を聞けるのか、アメリカから。どうも私は聞けそうもない。こういうことで核撤去はきょうも行なわれるかもわからない。少なくとも外務大臣おっしゃったように、いまあることよりも返還時にないことを考えてください——とんでもない、いまあることが問題なんです。だからどうですか、総務長官、沖繩県の心を知っている総務長官、どうですか。
  331. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 核の問題は防衛庁でもっと研究すればいいのですが、それになるとまた誤解を生じまして、なかなかむずかしい問題。そこで私の手元にありますアメリカの資料を読み上げますと、この出どころもまた議論し合いますといけませんが、次のように記述してあります。「核兵器の輸送または貯蔵の間に生ずる核爆発の事故の可能性は無視し得るほど少ない」、こういうことも書いてあります。「核兵器の取り扱い及び輸送時における事故はきわめて少ない。核兵器のこうした事故で核爆発が一回も起こらなかったことは重要である」、こういうのも私の手元に資料でございますが、核のいわゆるどこでどういうふうにこういう議論が行なわれたということは、アメリカの大統領最高の機密の分になっておりますから、したがってそういうような情報に基づいて私どもとしてはそういう論も成り立つと、同時にまた黒柳さんのような論も成り立つと、こういうふうに思います。
  332. 黒柳明

    黒柳明君 私は再三再四言っているように、核兵器は事故でも爆発しない。その核兵器についている高性能爆薬物が事故を起こす。いまのはそういう例を言っているのじゃないじゃないですか。核兵器でしょう。
  333. 西村直己

    国務大臣西村直己君) おそらく、まあ具体的に言えばHEの扱いになると思います。
  334. 黒柳明

    黒柳明君 見せてごらんなさい。
  335. 西村直己

    国務大臣西村直己君) いや、これは……。
  336. 黒柳明

    黒柳明君 いやいや、見せてごらんなさい。こっちのも見たのだから見せてごらんなさい。
  337. 西村直己

    国務大臣西村直己君) そういうわけにはいきませんから、それはお断りします。
  338. 黒柳明

    黒柳明君 見なければわからない、ぼくは確認しなければ、そっちへ確認させたのだから……。
  339. 西村直己

    国務大臣西村直己君) HEの扱いについて、起爆の問題等に能力の問題があると思います。なおHEの問題、防衛局長からも御答弁させます。
  340. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) ただいま長官が申し述べられましたのは、おっしゃるように核兵器のことであります。そこでHEのほうの問題は、これはHEだけを取り出した化学剤の問題として議論するのは妥当ではございません。言うまでもなく核兵器の中の起爆剤のHEという議論をすべきであろうと思います。その場合に当然核兵器についての知識がございませんので、核兵器そのものがどうなるかということはわかりませんが、ただわれわれのほうで、自衛隊が持っておりますHEの入っている砲弾で実験したところによりますると、先ほどお話がありましたように、HEは衝撃とそれから火災といいますか、そういうものに弱いと、熱に弱いというお話がありました。その場合に衝撃のほうでありますが、過去の実例で言いますと、飛行機が落ちて爆弾を落とした、その場合にHEが爆発している、こういう例はございます。  それから、いま申しそこねましたが、自衛隊の例で言いますと、Gで言いまして、加速度で言いまして一万三千から二万一千というGであります。通常自動車がぶつかりまして発生するGが二百Gくらいでありますから、衝撃については非常に強いということがむしろ逆に言える。ただ言われるように、飛行機から落ちるような場合の衝撃については弱いということが言えようかと思います。それから熱についてでありますが、はだかの砲弾で実験をしたところによりますると、これは爆発する温度が約五百度くらいですが、十分から十五分くらいで、比較的に早く爆発をする。しかし木箱に入れた場合あるいはトラックに積載をしまして燃やした場合には、火災発生後から爆発したのが大体一時間前後の後であるというような例かございます。そこでただいま申し上げたように人災に弱いということであれば、消火の問題がありましょうし、はだかで運搬することがあぶなければそれを何かで梱包するという問題もありましょう。それから米側で聞いたところでは、たくさんを同時に運搬するというのは適当でないというふうにいわれておりますので、やはりアメリカ側の知識によって、アメリカ側で当然持っておる輸送上の規則その他を照会し、それに従ってやるのが適当である、というふうに思います。
  341. 黒柳明

    黒柳明君 いまのはTNT砲弾でしょう。核ではないでしょう。ごまかしです。ぼくは核を聞いておる。普通を聞いているのではないですよ。全般核ではない。
  342. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) HEの中にTNTとコンポジションBがあるということであります。
  343. 黒柳明

    黒柳明君 ぼくは核について聞いておるのですよ。
  344. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) したがってHEの中にTNTがありますから、それの例を申し上げたわけであります。
  345. 黒柳明

    黒柳明君 だから核はわかるのですか、核のHEは。
  346. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 核兵器の起爆剤としてはHEということが言われておるわけで、それの内容についてはわかりません。
  347. 黒柳明

    黒柳明君 わからないならわからないと先に言いなさいよ。
  348. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) TNTもHEであることは間違いございません。ないですか、防衛庁長官。もう一回、聞いておる方はわからない。いま言ったのは普通爆弾、TNT型ですよ。私の言っておるのは核のHEです。
  349. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) HEというハイエクスプロシブの中にTNTとコンポジションBというのがあるということで、HEの一つの種類である。しかし、核兵器、核爆弾そのものに——HEの中のTNTであるのかコンポジションBであるのかあるいはその他のものであるのか、それはわからない。ただHEの一種であるTNTの例を申し上げたわけであります。
  350. 黒柳明

    黒柳明君 だから核にあるHEではありませんねと言っておる。だめですよ、そんなごまかしては。核のHEはわからないでしょう。
  351. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) ええ、わからないのであって、そうではないということを申し上げておるわけではありません。
  352. 多田省吾

  353. 徳永正利

    委員長徳永正利君) いいですか。——多田君。
  354. 多田省吾

    多田省吾君 関連。  ですから、いま答弁なさったのは黒柳委員の言っているように、普通の通常兵器についているHEなんで、いま黒柳委員の言っているのは核兵器についているHEなんです。これは翻訳はされておりませんでしたけれども、この中にある翻訳を申し上げますと、この核兵器についているHEは、ときとしてHEは燃えずに溶けて流れ出す。冷えて再び凝固する場合がある。この残留物は非常に不安定である。その上を歩いたりしても、車が走ったりあるいは他のいかなるものでも、これに触れると直ちに爆発を起こすと、そういう非常に危険なことがはっきりとその資料にあるわけです。ですからあなたがいま読んだような通常兵器のHEと違うわけです。それは一つのごまかしです。  それからもう一つは、黒柳委員が先ほど危険性を盛んに言っておるように、たとえば今度の沖繩の場合でもジェット機が読谷村に墜落しておるじゃありませんか。また今度は那覇港沖に、海中でありますけれども、墜落しておるじゃありませんか。実際に最近ジェット機の墜落事故が二回も起こっておる。またそれからこの前の毒ガス輸送のときだって、あの天願桟橋で十数メートル毒ガスが落ちておる。幸いその毒ガス事故は、落っこったんですけれども被害はありませんでしたけれども、今度HEが、そういう、また核兵器がそういう事故を起こした場合に一体どうなるか、そのことを考えれば危険は非常に重大なんです。しかもいままで核兵器に連なる事故は十九回近く起こっておるわけです。しかも沖繩においては、一万五千戸約五万人が影響をこうむる人口密集地帯を通り核撤去をされるんじゃありませんか。そういう危険性に対して総理府総務長官がはっきり、危険だから何らかの方法をとらなければならないと答弁しておられます。また総理大臣も、核兵器の撤去の手順方法についてはアメリカ側に聞きたいとはっきり答弁なさっておる。そして総理大臣は危険性がある場合は何らかのあらゆる方法を、総務長官が詳しく述べたように、とりたいとおっしゃっておる。いま黒柳委員の資料によってこの危険性がはっきりわかっておる。ですから政府は、総理大臣は、これに対してほんとうに前向きに、人道的な立場から、またいままでの経過から見てもこれは絶対危険のないような方法をとるべきだと思う。どうですか、総理大臣
  355. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどお答えしたとおりでございまして、私、ただいま別に変わったことは考えておりません。
  356. 黒柳明

    黒柳明君 総理、いま言ったHEに対しての危険性はあると認識されましたね。よく相談してください。けっこうです。ゆっくりやってください。TNT型ではだめですよ、HEは。核ですよ。核のHEはわからない、日本政府では。だからここに文章が出てきたんじゃないですか。防衛局長のは、それはだめですよ、普通型じゃ。安全対策、安全対策。一回答弁をお伺いしてですね……。
  357. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 西村長官でよろしゅうございますか。
  358. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 核そのものについたHEの扱いの問題だというふうに受け取ります。HE自体は、先ほど来説明がありますように、これ自体は高性能の爆薬でございます。名のとおりであります。そこで、これが核とどういう形で起爆の状態、平素ついているかついていないか、ここらのところはわれわれにはなかなか内容はわからない。そこでHE自体の扱いにつきましても、まだこれはどの程度の加熱をしたらとか、どういう衝撃を与えたらというのが、私どものほうにも情報的な材料はございますが、そこいらをさらに確かめて、また私どもはまいりたい。したがって、非常に危険度の高いものの扱いを乱暴にすれば、確かにおっしゃるような危険があると、こういうことは言わざるを得ないのじゃないかと思います。
  359. 黒柳明

    黒柳明君 確かめてじゃなくて、だから資料を提出しているのじゃないですか。読んでもらって確認してもらったんじゃないですか。それではだめですよ、確かめてじゃ。何にも——確かめる方法がありますか。それではどうやって確かめますか。アメリカは核のことについては一切オフリミットではなかったのですか、総理。どうやって確かめますか、核のことを。確かめられないから、私がこれを入手して、沖繩県民のためにここで政府の態度を聞こう。私のためだとか政府のためだとかではないのです。もう二度と毒ガスのあの不安を、危険を与えてはならない。私は命がけでこの書類を入手した。(笑声)笑っちゃだめですよ。それに対して、いまの答弁何ですか。ありますか、確認のしようが。安全対策、どうするのですか。それをあれしないうちは、ぼくはだめですね、この審議は。とんでもない話だ。それがはっきりしないうちはだめです。確認するといって、どうやって確認するか。核について確認する方法があるのか。そのたびに答弁が——このあと総理の答弁の食い違いを出します。答弁が変わっていたんでは、幾ら私が人がよくたってもうがまんできませんよ。もうこの辺でしっかりした安全対策を出してもらいたい。どうやってこれを検討するか、アメリカに、これを。情報を入手するか。ないから提出したのじゃないですか。ないから私が確認してもらったんじゃないですか。これに基づいてやってくださいよ、これに基づいて。これがインチキだというならそれでいいですよ、これがインチキだと言うならば。ないから資料を提出したのです、私はここに、ないから。あくまでもこれを中心に論議してくださいよ。——(「どうなっているのか。休憩しているのか、どうしているのだ。」と呼ぶ者あり)
  360. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  361. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。  十分間休憩いたします。    午後三時二十八分休憩      —————・—————    午後三時四十一分開会
  362. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。
  363. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 黒柳君にお答えいたしますが、まあ先ほど来いろいろ御意見も述べられましたし、また参考資料も読ましていただきました。そのいわゆる起爆剤であるHEというそのおそるべきものと、正確には私もいままでは思っておりませんでしたけれども、今回この議場を通じてただいま示された資料等によりまして、おそるべきものであることはよくわかりました。
  364. 黒柳明

    黒柳明君 これはもう、代表質問でも、わが多田委員あるいは各所において述べられたことがあります。政府としてもちょっと等閑視していたのではなかろうか。私は、この際、日本政府沖繩県民のこの毒ガスの不安、あるいは迷惑を二度と及ぼさないような万全の対策を講じてもらいたい。いまの認識したというだけでは私は済まされない問題だと思います。そこで安全対策をどうするか、これが問題です。私はここに提示します。これについて政府はどう考えているか。  まず第一は、アメリカ政府からこのHEの安全対策、危険性というものを明示した文書を提出してもらって国会に報告してもらいたい。第二は、日米琉の合同委員会でこのHEの危険性というものをテーマにして取り上げ、そしてその事務レベルでの検討を国会に報告してもらいたい。第三点、毒ガスと同じように安全対策調査団を派遣して万全の処置をとっていただきたい。この三つのうち、いずれかの手を打ちませんと、非常に憂えるべき事態が発生すると、こう思うんでありますが、総理大臣、いかがでございましょう。
  365. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 返還時においては核がないこと、これをわれわれは心から希望し、その意味において大統領と私との間の約束もできたのでございます。しかして、これらを除くに際してもいろいろHE等の危険性もございます。したがって、ただいまのような御提案のあることは、これがわからないではございません。しかし、私は、核の問題というものについて、国際的な最高の機密事項として取り扱っておる現状において、ただいま御提案になりました三つの問題そのものがそのまま採用できるかどうか。困難さのあることは、これはいまからも予測のつくことでございますけれども、私は、困難さはさることながら、沖繩県民百万の不安を除去すること、これが私に課せられた責務だと、かように思います。さような意味合いにおいて、ただいまの御提案、これを十分検討する、このことだけお約束をいたします。
  366. 黒柳明

    黒柳明君 これはもう、総理大臣の明確な答弁です。私は、信用できないと言ってしまえばそれまででありますが、沖繩九十四万の県民とともに総理のこのことばを信じ、必ずや実行に移されんことを期待したいと思います。  そこで、外務大臣が、核はあることよりも、撤去、返還のとき撤去されるのだからいいとおっしゃったのが全面的にくずれる。いまあることが問題なんです。そこで、私は、外務大臣に答弁いただこうと思わないですが、さらに問題を発展させまして、核撤去確認の方法、これは、防衛庁長官、技術的にこれは全く不可能でしょうか。いわゆる核というものはどういうものから構成されているのでございますか。
  367. 西村直己

    国務大臣西村直己君) これは、ただいまの、御存じのとおりのアメリカの政策として、核の存在そのもの、あるなしを抑止力としては発表しない、これが国策になっている以上、これは私どもが点検するとかいうことは困難であります。
  368. 黒柳明

    黒柳明君 核そのものじゃなくして、従来から言われておりますように、核弾頭、核貯蔵庫、核兵器、運搬手段等々が一連の核を構成するものである、そういう客観情勢というものからこの核の撤去というものを認識する、沖繩住民に理解させるという方法は残っておりませんでしょうか。国民に安心を持ってもらうという方法です。
  369. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 先ほど申し上げましたように、核を前提としてのそういうことは困難であると思います。
  370. 黒柳明

    黒柳明君 時間がありません。私、具体的に提案します。核貯蔵庫の点検、毒ガスと同じようにできませんですか、総理。核がもうなくなったあとです、その点検。毒ガスやったんだから、核についてもできるでしょう。
  371. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいままで話し合っていることを総合して考えますと、核点検、これは不可能だと思います。
  372. 黒柳明

    黒柳明君 核がなくなった倉庫の点検はできませんか。毒ガスやったじゃないですか。できませんか。核がなくなった倉庫の点検。核が撤去されたあとの倉庫。何にもない倉庫ですよ。毒ガスやったと同じように核撤去したという確認。毒ガスやったじゃないですか。
  373. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これはしばらく考えさしていただきたいと思います。
  374. 黒柳明

    黒柳明君 これはにこっと笑って——私も思わずにこっと笑っちゃいましたけれども、これは笑うべきものじゃない。考えさしていただきたい——これはあんまりおかしくてふき出さざるを得ない。何をおっしゃっているんですか。考えさせていただく——これほど核の撤去の確認、核がどうなるのか、こういう問題が論議されて、核がなくなったあとの倉庫を点検するのを考えさしていただく——いままで考えてなかったんですか。政府の閣僚は考えるのがどうも長過ぎる、総理大臣をはじめ。どうですか、外務大臣
  375. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いまアメリカは核があるということを言わないんです、はっきりと。しかし返還時には核がなくなるということをもう保証をいたしますと、こういうことを言っているわけで、核があるということを前提といたしまして、事後においてその撤去ということの点検を行なうと、こういうことだものだから、これは非常にデリケートなひっからまりを持つなあと、こう思いましてしばらく考えさしていただきたいと、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  376. 黒柳明

    黒柳明君 わかりました。  これ見てください。総理大臣、これは辺野古。外務大臣、これは知花。ここにはっきり核倉庫が明示されている。これ見てください。読み方わかりますか。全部英語です。凡例やなんか読んでいただかないとわかりませんよ。レージェンドで出ていますですね。総理がお持ちになっているのは辺野古。外務大臣お持ちになっているのは知花です。黄色く塗った部分が空軍の核倉庫。レッドハットというのは毒ガス。いま撤去終わったレッドハット61の核倉庫あります、そこに。勘定されればわかります。総理大臣お持ちなのは辺野古。海軍の核が十二、陸軍が二十四、ちゃんとこう出ていますよ。凡例を読まなければだめですよ。
  377. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  378. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  379. 黒柳明

    黒柳明君 核倉庫の実態、これは私はここでいま地図見ていただきました。これに伴って私たちの調査した結果というものをここで指摘するよりほかはありません。ということは知花においては、ここにいまありますように空軍用専用核貯蔵庫が五カ所、陸、空専用核貯蔵庫が二十カ所、それから、辺野古は海軍専用核貯蔵庫が十二カ所、それから、陸軍専用核貯蔵庫が二十七カ所、これはいま地図ごらんになっていただいたとおりであります。しかも、この辺野古の海軍専用核貯蔵庫、これは最近できたばっかりです。ここにも書いてありますように、この地図。こういうことで、決してこの核のことは一〇〇%わからないということじゃない。何らかの方法でわかろうという意欲があればわかる。さらに私は話を前進さしていきたいと思います。この核貯蔵庫の点検、これは変なこと外務大臣おっしゃったですね。その次、核保有部隊、核管理部隊、これに対しての解団、いわゆるメースBがなくなった。四九八ミサイル部隊は解団しました。毒ガスなくなった。二六七化学中隊は解団しました。ところがいまある一九六兵器大隊、一八戦術戦略航空団、陸軍五七砲兵第一ミサイル部隊、核を持っています、管理しています。これが返還後存続するとなれば、核有事持ち込みの疑いが少なくとも起こらざるを得ない。これを解団するというその確認をできないのですか。しなきゃならない、これは、むずかしい問題だけれども
  380. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) いまおあげになりました部隊及びその他の関連部隊でありましても核専用とは限りませんで、非核両用でありますから、核を使わないで防衛任務を担当する部隊。たとえば、おっしゃいました一八戦術航空団というようなものは私は当然残るでありましょうというふうに思います。
  381. 黒柳明

    黒柳明君 核専門の管理部隊、保有部隊は解団なりますか、間違いなく。その確認はできますか。
  382. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 私どもでは核専用の部隊があるかどうか存じておりませんので、もしあればこれは当然解体するであろうと私は想像いたします。
  383. 黒柳明

    黒柳明君 だからここにいまあげたんですよ。第五七砲兵第一ミサイル部隊って知ってますか、存在を。
  384. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) おそらくその部隊はナイキ、ホークの部隊ではないかと思いますけれども、ナイキ、ホークであればこれは自衛隊が引き継ぎます。したがって、その部隊はなくなるだろうと思います。そうでなければ私は存じておりません。
  385. 黒柳明

    黒柳明君 存在は知っておりますか、五七。ナイキとかホークじゃなくて、存在を知ってますか。
  386. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 調べればわかると思いますけれども、いまおっしゃってすぐにはわかりません。
  387. 黒柳明

    黒柳明君 何を言っているんですよ、あなたは。調べればわかるなんて、沖繩基地じゃないですか。核を管理している、保有している部隊くらいの実情わからないんですか。それでは審議できませんね。委員長、だめだ、こんなの。調べてごらんなさい早く。詭弁ばっかり使って。私だってだね、人はいいんだ。だけれども変なことを言うと怒りますよ、調べてください、早く。審議できません、こんなんじゃ。
  388. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 私どもの手元では、先ほど来皆さんがおっしゃるように核専用の部隊、核兵器を持っているかということの論議が米側とできませんので、どの部隊が専用であるからということは米側からの教示は受けられておりません。
  389. 黒柳明

    黒柳明君 いま、調べたらわかると言ったんじゃないですか。
  390. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 核とそれから非核両用の部隊というものはわかると思います。
  391. 黒柳明

    黒柳明君 五七砲兵部隊あるかどうか調べたらわかるとおっしゃったでしょう。すぐ調べてください。  防衛庁長官いかがですか。
  392. 西村直己

    国務大臣西村直己君) いま防衛局長からもお話いたしましたが、黒柳さんの五七部隊、これがあるかないか少し時間をいただいてすぐ調べさしてみます。
  393. 黒柳明

    黒柳明君 それじゃそれ時間をおいて調べていただいて、そのほか核専用の管理、保有部隊どういう部隊であるか。それが解団されなければ核撤去されたといっても疑惑が残る。これに対してすぐ調べて実情を調査してください。
  394. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 核専用の部隊は、核のあるなしはアメリカとしてはこれは絶対にわれわれに申しません。したがって、それ自体は核専用部隊があるかないかは確認はできませんが、ただいまのような部隊の存在については時間をいただいて御報告いたしましょう。
  395. 黒柳明

    黒柳明君 それじゃすぐ調べてくださいよ。この次に核兵器、弾頭、保有管理部隊、今度は運搬手段、オネストジョン、リトルジョン、一五五りゅう砲あるいは二〇三ミリ曲射砲、これ等の公開査察はできませんか。こういう核を使える兵器、これについて公開査察をする。どうですか、外務大臣、防衛庁長官
  396. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いずれにいたしましても核を前提といたしましての確認調査、それは私がいままで話し合った経過からみまして絶対にできない、遺憾ながらそう申し上げざるを得ないのです。
  397. 黒柳明

    黒柳明君 最後に、できる可能性があるのを一つ。核基地というのは、すでにもう施設庁なんかお調べになってわかるでしょう。全部二重です、フェンスが。必ず軍用犬が離し飼いになっています。それから、赤外線の警報装置なんかついている。あるいはノーパーキングじゃなくてノーストップというサインボードも出ている。とまるとすぐMPがきます。こういう基地の特殊性、これが除去されたことは核撤去であろうという私たちは、地元住民は安心感も持つであろう。これに対しての撤去はできますか。ここまできてできないということは言わせませんよ。
  398. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 基地が提供されましても、もちろんアメリカの基地としての一つの独立の権限を持っております。しかし、おっしゃるように核自体に触れないで、そうしてそれが非常に疑惑を呼ぶような場合には、私どもは外交交渉を通して住民の不安を解くような意味での交渉は可能ではないか、こう考えております。
  399. 黒柳明

    黒柳明君 総理大臣もう一回確認してください。この基地の特殊基地、核基地というのは特殊です、全部。それ自体存在することは非常に住民に不安を与える。何も実体があったらこれはうまくないですよ。だけれども、そこまではわからない。私そこまでは云々言わない。だから、そういう客観情勢を取り除いてもらいたい。取り除くことがあたりまえだ。必要ないだろう、現状が存続することが、こう言っているわけです。核弾頭があるなし、これはもう秘密だろう。ところが、核管理する部隊あるいは保有する部隊、これが存続する、あるいは核を使える兵器、これが存続する、あるいは核基地が従来同様に存続していたのじゃ、幾ら撤去された、信用しろといったって不安はつきまとう。こういう客観情勢を全部撤去してもらいたい、こういうことであります。総理大臣、いままとめて答弁お願いします。
  400. 西村直己

    国務大臣西村直己君) ちょっとその前に。  兵器の中にも核、非核両用のものがあるわけであります。その点は十分御認識をいただきたいと思います。ただ私が先ほど申し上げたのは、核そのものは先ほどから申し上げているような状況下に立っておって、わが政府としてはタッチできない。しかし、住民が不安に思うような基地の状況があった場合に、外交交渉を通して、その他核以外のことできわめて不安があるような場合には、交渉を通してその状況をわれわれのほうが報告を受けるというような交渉はあり得る、こういうふうに私は御答弁申し上げます。
  401. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま防衛庁長官かお答えしたとおりでございます。核がなくなれば、その米軍の基地にいたしましても、警戒体制は変わるだろうと私も想像いたしますから、さような状態のものがないこと、それは一見してわかるのではないかと、かように思います。
  402. 黒柳明

    黒柳明君 もし変わっていなかったらば、そこに核がある、こうみなされてもしかたがないと、こういう判断でよろしいですね。
  403. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 核がある危険と思われてもしかたがないと、かように思います。
  404. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、いまの核貯蔵庫、知花、辺野古、これはもう常識的にいわれております。これが現状どおりだったら核があると思われてもしかたがない、こういう総理の御答弁。これはもうアメリカ政府にとっても頭が痛い問題ではなかろうかと、こう思いますが、ともかくこれはそうあるべきだと思います。  そこで、総理、メースBの発射台、ランチャーは撤去されていると承知していると、本会議の答弁、これはいまでも変わりありませんか。
  405. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまでも変わりありません。
  406. 黒柳明

    黒柳明君 総理にだれか、まあ外務省当局か何か、報告したのはだれですか、この確認した方は。
  407. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私が総理にそう報告をしておるのです。それから、私はアメリカ局長から聞いております。
  408. 黒柳明

    黒柳明君 アメリカ局長、だれから聞きました。メースBのランチャー……。
  409. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) それは現地で調査した結果、そのような報告をもらっております。
  410. 黒柳明

    黒柳明君 現地を調査した人の名前をあげてください。撤去されていない、ランチャーは。ぼくは見た、この目で。だめです、でたらめ言っちゃ。だれ、調査した人。
  411. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) メースBの撤去は米側の公表資料にもございますけれども、ただいまのお話の分は、沖繩に派遣されている三木一佐という自衛官が——ちょっとあとで、場所を忘れましたが、そのメースBの一カ所について調査をした……。
  412. 黒柳明

    黒柳明君 四カ所ある。恩納は撤去されている。勝連、読谷、金武、ありますか。
  413. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) ですから、一カ所について調査した。その結果、ランチャーでなくて、ランチャーが置いてあったコンクリート製のものが残されている、こういうことであります。
  414. 黒柳明

    黒柳明君 総理大臣。でたらめ。四カ所ある、メースBの基地は。一カ所恩納、これは一昨年の十二月公開された。あとの三ヵ所は公開されていない。ランチャーはそのまま残っている。それでいいですか。一ヵ所だけの確認じゃないですか。それは公開されています。公開されていますよ、一カ所のランチャーは。
  415. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 他の三カ所については確認されておりません。
  416. 黒柳明

    黒柳明君 何を言っているのですか。だから総理大臣、ぼくは本会議で言ったでしょう。総理大臣、だまされている。総理大臣は、メースBの発射台は撤去されている。されていないのです、三カ所。はっきり言ってください。四カ所のうちに一カ所確認して、三カ所確認していない。総理大臣に報告しなさい、もう一回。だめだ、総理にそんなうそついちゃ。かわいそうだ、総理が。
  417. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 大体核の撤去されたあとが確認されるということはなかなかむずかしいわけでありますが……。
  418. 黒柳明

    黒柳明君 そんなことないのだ。
  419. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) ただ一カ所だけについて確認された。あとは米側の説明によりますると、この一カ所と同じであるという報告がまいっております。
  420. 黒柳明

    黒柳明君 総理大臣に言ってもらうのですよ。そういうことです。代表質問の答弁どう直しますか。私はこれを言う理由があるのです。いま説明します、これから。答弁直さないとだめだ。
  421. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま防衛庁の防衛局長から申しますように、一カ所は確認したと。その他は、米軍が、なくなったと、かように言っている。それだけでもう私どもにも、取りはずされたと、かような報告をしておりますから、ただいまさらに具体的な事例について話をしようとおっしゃいますから、私も謹聴して、また別に激動をしないで、穏やかに承るつもりです。
  422. 黒柳明

    黒柳明君 私も総理と同じように声がでかいですからね。総理大臣の答弁、本会議の多田委員の質問に対しての答弁、メースBは昨年七月までに撤去は完了しております。その弾頭はもとより、発射台もすでに撤収されていると承知しております。これはうそである、三カ所については確認できない、こういう答弁に変更と、こういうことですか。そこでその次、問題がまた出てくるのですよ。
  423. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まだちょっとそこまでは早いように思います。先ほど私は防衛局長から報告を聞いたばかりです。
  424. 黒柳明

    黒柳明君 だから、総理は、これをどう直すか、承知しているということは間違いではないですか、少なくとも。報告が間違いだったことがはっきりしたのではないですか。報告が間違いであったということがはっきりしたのではないですか。四基地に対して一カ所だけ撤去……。
  425. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 一基地については現実の調査をした。それから三基地につきましては、米側が、一基地調査した結果と同じである。そういうような答えをしておるわけであります。そういう報告を総理に対していたしておるわけでありますから、総理は全部が撤去されたのだと、こういうような理解をしておるわけです。
  426. 黒柳明

    黒柳明君 だから総理の認識が誤っていたんではないでしょうかと、だから総理に、その誤っていたという認識を言っていただきたい、こういうことですよ。
  427. 多田省吾

    多田省吾君 関連。いま黒柳委員の言うのは、いままでメースBの基地が四つあったと、それでアメリカは、その一つの恩納基地については一昨年の十二月に公開して撤去した。それを防衛庁見てきているのです。あとの三カ所については、われわれが基地調査したときにはっきりあそこに残っている。見てきたのです。それに対して、いま言った三木一佐は調べていないのではないですか。どうですか、防衛局長総理の答弁は変えなければならぬ。
  428. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) さっきお答えしたとおりでありますが、四カ所のうち一カ所について三木一佐が調査したということでございます。
  429. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は本会議で撤去されていると承知している、かように答えたこと、それはそのとおりであります。ただいまこれが問題になっておりますから、もっと詳細を確認をして、しかる上で私が訂正すべきことであれば訂正する、それまでは私は確認を要する問題だと、かように思いますので、その点御了承いただきます。
  430. 黒柳明

    黒柳明君 確認する方法がありますですね。大丈夫ですね。教えてくれないのではないですか、アメリカ。見れるのですよ、外から。
  431. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまここで議論しているこの状態で、佐藤内閣もなかなか苦境に立っている、かように米軍も考えるだろうから、そういう意味ですでに了承しているというか、そういうものは他から見ている人もあるのですから、そういう問題についての確認は、これは私は容易ではないかと、かように思っております。
  432. 黒柳明

    黒柳明君 伊江島において、いま現在、核の模擬爆弾の演習をやっておる。この事実防衛庁つかんでおりますか。
  433. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 私ども承知しているのでは、そういった事実はないということであります。
  434. 黒柳明

    黒柳明君 総理大臣、これも資料はあります。もう時間がありません。この次もあるのです。実情を調べて、そんな核の模擬爆弾を投下するなんて、ばかなことはやらせないでもらいたい。よろしいですか、総理大臣。答弁をお願いします。
  435. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 防衛庁の専門家黒柳君との意見が違っております。この点ではもっと私自身がみずから……。
  436. 黒柳明

    黒柳明君 いやいや、意見が違っているんではない。向こうは知らないのですよ。
  437. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) その実情についての意見が違っております。で、私は、これをこのままに見のがすわけにはいかない。私が確認する。さらに確認するその努力をいたします。
  438. 黒柳明

    黒柳明君 防衛庁、最近、ことしに入って米軍の基地、沖繩ですよ、拡充強化された基地、どういう基地があって、どういう拡充強化をなされたか、長官。
  439. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 具体的には私も知りません、個々には。ただ、米軍といたしましても、やがては返還協定のもとに、返還すべきものは返還する、と。したがって、いろいろ拡充強化ということにとれるか、いろいろな整備をして集約化するとか、いろいろなことはあり得るのではないかと、こう思っています。
  440. 黒柳明

    黒柳明君 辺野古に、いま地図をお見せになったように、十二カ所の海軍専用の核貯蔵庫ができたということは、これは強化拡充じゃないでしょうかね。——まだまだ一ぱいありますよ。まだ一ぱいありますけれどもね……。
  441. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 辺野古に——衆議院のほうの予算委員会で、ポセイドンというものが、いわゆる核兵器で強力なものがあるじゃないかと、こういうかなり強い御発言がありました。ただ、私どもの普通の軍事常識から申しますと、ポセイドンというものは非常に射程も長い……。
  442. 黒柳明

    黒柳明君 それは私、関係ない、そんなこと。
  443. 西村直己

    国務大臣西村直己君) はい。まあ直接関係ありません、が、そういうような意味で、私どもはあそこが拡充されたというふうには必ずしも考えないです。まあ衆議院サイドではそういうふうな意味での御質問がありましたもんですから、そういうふうに御説明した。まあ私どもとしては、基地が集約化されたり、いろいろ返還される過程において、ある程度の整備というものは、これはあるんじゃないかと、こういうふうには考えております。
  444. 黒柳明

    黒柳明君 防衛局長、基地の拡充強化について、わかったら言ってください、ここで。
  445. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 私の所管でございませんので存じません。
  446. 黒柳明

    黒柳明君 だれですか、所管は。——施設庁長官、ことしに入って拡充強化された基地。この基地名、どういうふうに拡充強化されたか。それはただ単に、形態の変更なんというものではないですよ。
  447. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 部隊の機能が拡大されたとか、あるいは部隊の規模が大きくなったというようなことについては、私どもとしては承知いたしておりません。多少の部隊の中に異同はあるかと思いますけれども、大きな拡充については承知いたしておりません。
  448. 黒柳明

    黒柳明君 承知してないとあらば、これ、調査結果、すみませんね、一分くらい、長官、すみませんお読みいただきたい。基地名と状況をですね。——いやいやここから問題が起こってくるんですよ、まだまだ。施政権下はしようがない。そんなことを言っているのじゃない。それからですよ。ちょっと基地名と状況を……。ちゃっちゃっと一分くらいで読めますから、読んでくださいよ。お知りないですから、それを、基地名——辺野古基地、それから状況。
  449. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 私が読みますか。
  450. 黒柳明

    黒柳明君 はい。それはもう私たちの調査とかなんとかじゃない、客観的な事実ですから。
  451. 島田豊

    政府委員(島田豊君) それは、私のほうで調査いたした資料でございませんので、私、ここで読むことは差し控えさしていただきます。
  452. 黒柳明

    黒柳明君 それじゃ、どうしてこういう基地の強化拡充ということがわからないで了解覚書というものをかわしたのですか。さっき、相当数政府は知っていると言ったじゃないですか。基地の状況、了解したと言ったじゃないですか。
  453. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 了解覚書は、了解覚書交換の当日の状況を前提にして交換した次第でございます。
  454. 黒柳明

    黒柳明君 だから——だからこれはその以前においての拡充強化ですよ。こういうことを知らなかったら、A、B、C表は交換できないでしょう。了解できないでしょう。私は、施政権下だからあたりまえ——あたりまえ。返還まぎわでこんなだらだらだらだら、どうしてこの基地の拡充強化が必要かということですよ。地元はこれで不安に思っておる。永久基地になるんではなかろうか。ここに焦点がある。いま現在何をやろうが向こうのかってでしょう。返還まぎわじゃないですか。それなのに、こういういろいろな辺野古、恩納、金武レッド・ビーチ、嘉手納弾薬庫、キャンプ・コートニー、ホワイト・ビーチ、普天間飛行場——永久基地化の方向にいっている。これについてなぜ政府が探知できないのか。できないで了解覚書をかわすことができるのか。
  455. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 了解覚書交換当時の基地の状況につきましては、米側から一応報告を受けております。しかしながら、いずれにせよ施政権下におきましては、米側は基地をその後において、あるいはその前においても多少手直ししたり、改善することは可能であります。また返還後も、地位協定第三条によりまして、基地の管理は米側が一切行ないまして、その中において新たに建造物をつくるとか、その他のことも、基地の管理に関する限りはこれは自由にできるわけでございます。したがって、その間においては、われわれとしてはこの問題について条約上とやかく言うことはできないことになっております。
  456. 黒柳明

    黒柳明君 私、そんなことを言っているのじゃないのです。条約上あるいは現状施政権下、向こう。だけれどもあまりにも多過ぎる。強化の方向にいき過ぎる。アメリカから基地の状況を聞いた。じゃ金武レッド・ビーチ訓練場、どういうことになってますか。金武レッド・ビーチ訓練場、最近どういう工事が行なわれたか、どのくらいかけて。——これは私たちの調査の範疇じゃない。公然の秘密。こんなことぐらいわからなかったら、これは全部たいへんですよ、これ。何審議しているのか。
  457. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  458. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  459. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 金武レッド・ビーチにつきましては、われわれは最近いかなる工事がそこに行なわれておるか承知しておりません。ブルー・ビーチのほうにつきましては……。
  460. 黒柳明

    黒柳明君 レッド、レッド、赤と青じゃ違うでしょう。
  461. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 一応の報告は受けておりますが、レッド・ビーチにつきましては、その後特に何も聞いておりません。ここはまあ御存じのとおり、米海軍の上陸用訓練場でございます。
  462. 黒柳明

    黒柳明君 要するにわからないということですね。はっきり言ってよ。何かじれったくなってきたな。
  463. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) そのとおりでございます。
  464. 黒柳明

    黒柳明君 それなら初めに言やいいじゃないか。  総理大臣、そのうちの一つだけです、私指摘するのは。要するに七月六日から八日まで、ビーチのリーフの爆破作業をやって、大型化輸送船の停泊をこれでやろうとしている。あるいは一・六ヘクタール八十万ドルかけて工事して、集積場をつくっている。こういうことが一つや二つじゃないのです。こんなに一ぱいありますと、何かやはり地元の人は不安。しかも返還がとんでもない昔ならいい。すぐまぎわ、こういうものについて、なぜ政府が目をさらのようにして、それでひそかにでもいい、向こうに注意を促さないのかと、こういう点であります。だんだん時間がなくなってきます、そんなことを言っていますと。  C表 三十四カ所、現況教えてください。
  465. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  466. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  467. 島田豊

    政府委員(島田豊君) C表の三十四カ所につきましては、ここに掲げてあるとおりでございます。その一つ一つの現状につきまして私資料を持っておりませんので、まあ那覇空港以下、これはそれぞれの目的で米軍が現在使用しているものでございますので、中には空港もございますし、陸海空軍の施設もございますし、訓練場もございますし、レーダーサイトもございますし、そういうことでございまして、ここに詳細一つ一つについての資料は持ち合わせておりません。
  468. 黒柳明

    黒柳明君 言ってもらう、三十四カ所全部。こっちはこれだけ汗かいて調査して、政府が知らない、知らないじゃ、これじゃ公明党が政府にレクチュアする会だ、何の意味かわかりゃあしない。答弁もらうほうですよ、こちらは。そのために一生懸命調査したんだ、こちらは。
  469. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  470. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  471. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 御承知のとおりに、C表に掲げてあります三十四カ所の施設につきましては、復帰の際またはそれ以前に返還になるという予定のものでございます。そうして、その中には、那覇空港の場合におきましては、これは運輸省所管の空港になりまして、その施設の一部を自衛隊も使用すると、こういうものでございます。米軍の専用区域も若干ございます。  それから那覇空港、空軍・海軍補助施設のうちに、一部日本政府が使用する部分がございます。これが将来、航空自衛隊が104その他の航空機を展開する予定のところでございます。  それから、番号でいきますと六番、ホワイト・ビーチ地区のうちの日本政府が使用する部分、これは現在米海軍が使用いたしておるところでございますが、将来海上自衛隊がここに若干の艦艇を持ち、所要の部隊を配置するというところでございます。  それから那覇第二貯油施設(与儀貯油施設)、これはもちろん民間に開放されるというところでございます。  それから那覇ホイール地区、これは復帰後におきまして陸上自衛隊が配置される、こういう予定のところでございます。
  472. 黒柳明

    黒柳明君 現在の使用状況なんですよ、ぼくの言っているのは。
  473. 島田豊

    政府委員(島田豊君) いま申し上げましたようなところは、現在、米陸海空軍がそれぞれ使用しておるところでございます。
  474. 黒柳明

    黒柳明君 委員長、けっこう。
  475. 島田豊

    政府委員(島田豊君) それから奥訓練場につきましては……。
  476. 黒柳明

    黒柳明君 けっこう、けっこう、いいです。けっこうですよ。  こういうことです。C表三十四ヵ所、すでにそのうちの十カ所は四月十日に米軍より解放通知が出ている、十カ所は。それから完全にもう消滅している基地が十カ所、基地が消滅しちゃっているのです、現在。それから自衛隊にいく基地が五ヵ所。それから米軍基地じゃない基地、要するに間借りとかなんとかですね、あれが五ヵ所。どういうことか。要するに全然使われていない、米軍基地として使用されていない基地、だから返すのだと、そうじゃないのです。だからパッカード国防次官が言ったように、幾ら返還しても基地の機能の低下はない。ここに出ているじゃないですか。米軍の使っている基地、一つもない、三十四カ所のうち。全部すでに解放通告済み、すでに完全に基地の機能が停止したところ。この三十四カ所返ってきたって八十八カ所、膨大な現状の米軍基地はそのまま残る。だから、本土並みじゃない。パッカード国防次官のことばが裏づけになるじゃないですか、どうですか総理、このこと。
  477. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 現状においてはただいま言われるように、いま返ってくるものはもうすでに米軍が縮小したと、かような状態でございます。しかして、私は現状を恒久化すると、さようなことがあってはならないと思っています。私どもが日米安保条約の範囲に米軍の機能をとどめるということ、これからの問題でございまして、これが祖国に復帰した後においてはこういう点で期待が持てると、かように私は理解しております。
  478. 黒柳明

    黒柳明君 泡瀬ゴルフ場、この現状をお知らせください。
  479. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 泡瀬ゴルフ場は、御承知のとおりにキャンプ瑞慶覧の一角にあるゴルフ場、たぶん十八ホールのゴルフ場だと思いますが、これにつきましては、米軍あるいは米軍軍属あるいはそこの基地司令官の指定いたします若干の者——部外者というふうなものが現在使用いたしておるところでございまして、経営そのものは米陸軍が経営しておる、こういうふうに承知しております。
  480. 黒柳明

    黒柳明君 使用状況。——使用状況、これはべらぼうに利益をもうけているのです。利益があるのですよ、ここは。たいへんなんだよ、このゴルフ場は。安い地代を払ってものすごい利益をあげている、その使用状況。
  481. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 本年九月末現在でメンバーが三百九十六名、いずれもこれは軍人でございます。それから、アソシエートメンバー三百八十一名、これは文官あるいは武官でございます。それから特別会員が六十二名、これは、米国人、沖繩人の在沖米軍関係者で高等弁務官が認めた者と、それから若干名の名誉会員がございます。これはそれぞれの軍人あるいは名士と、こういうことでございます。私どもの持っております資料によりますれば、米人が一日に使用します場合に一・五ドルを支払っておりますし、沖繩の人が使用いたします場合には五ドルと、それから会費は米人が五ドルでありまして、沖繩人が三十ドルと、こういう状況でございます。
  482. 黒柳明

    黒柳明君 時間もありませんから、短い時間で言います。  ここにおける地代、坪二十二セント、面積は十三万二千坪、合計して二万九千ドル、約一千万円、年間地料が……。そこに住んでいる地主はコザに引っ越して坪二ドル十セントの土地を借りて生活している。十倍の地料を払っている、これはまずい。プレーの収入は、いまおっしゃったとおり月に米人が四千五百、日本人が千五百、単位が米人が一ドル五十セント、日本人は五ドル、合計して一万四千二百五十ドル、年間十七万一千百ドル約六千万、一千万の土地代を払って六千万、利潤五千万、経費を二割としても四千万円は実収入ですよ。こんなところをA表に入れていいんですか、外務大臣。ゴルフ場は何とかとおっしゃいました。すぐ、これは地元でも返還要求しているんです。要求すべきですね、これは。当然、日本に、返ってくると、地位協定上問題です。
  483. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これはずいぶん要請をしたんです。したんですが妥結に至らず。しかし、私はこれはあきらめてはおりません。なお協定成立後におきましても早期返還を目ざしまして極力交渉していきたいと、かように考えています。
  484. 黒柳明

    黒柳明君 当然こういう安い地料を払って、そうして、不当なとも言いたいような利潤をあげている。現状はしようがない。これが今度返還後、安保、地位協定のもとにおいては、これはもう当然日本人がこういうところでプレーすることもできない。こういうところで利潤をあげることもできない、こうなると思うんですけれども、返還後はこれはもうだめじゃないですか、こういう状態じゃ。どうですか、現在はまあやむを得ない場合もあるかと思う、返還後は、これはもうだめじゃないですか。
  485. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 返還後もそういう種類の問題、そればかりじゃないんです。いろいろあると思いますが、それらをなるべく早くわれわれの手に返るように努力をしたいと、こういうふうに考えております。
  486. 黒柳明

    黒柳明君 私は返還後、安保条約が適用され、地位協定が適用されると、この状態は現状維持じゃだめじゃないですかと、こう言っている。
  487. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 米軍に基地その他の施設を提供し、米軍の駐留を認める以上、米軍の士気、健康等を維持するためにある種の遊興ないしはゴルフ場のごときものも必要だろうと思います。ただし、その使用の態様その他につきましては、大臣も先ほど申し上げましたように、よく審査いたしまして返還さすべきものは返還させるために交渉すると、こういうことであります。
  488. 黒柳明

    黒柳明君 そうじゃなくて、ぼくが言っている質問はそんなことじゃないんですよ。返還されて安保条約が適用され、地位協定のもとに現状のままじゃだめなんじゃないですかということ、イエスかノーかという、審査じゃないですよ、もうはっきりしていますよ。
  489. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 現状のもとに……。
  490. 黒柳明

    黒柳明君 使用状況じゃだめでしょうということですよ。使用状況じゃ、現状の使用状況じゃ返還後安保条約……。
  491. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  492. 徳永正利

    委員委(徳永正利君) 速記を起こして。
  493. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) その点につきましては、なお、一応審査いたしまして、はたして安保条約あるいは地位協定に適合するような提供状況であるかどうか、こういうことを検討したいと思います。
  494. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  495. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  496. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 原則といたしまして軍人軍属に限ると、こういうことになります。
  497. 黒柳明

    黒柳明君 だからだめなんです、外務大臣。だから撤去しろということにもなるんですよ。どうでしょう、だめなものをA表に入れる必要ないじゃないですか、撤去させなさいよ。
  498. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) そういう問題があるから、私は協定成立後においても返還の努力をしたいと、何回も申し上げているわけなんです。もっとも、ただ一つ違う点がありますのは借料、地代。地代は当然改定をいたしたいと、かように考えておりますが、まあいろいろ、いまお話しのような状態かと思いますが、そういうことを考えますと、地元民との間の摩擦、感触、いろいろあろうと思うのです。なるべく早く返してもらったほうがいい、かように考えております。
  499. 黒柳明

    黒柳明君 これはちょっと、そんな——納得できない。時間がもったいない。まだ、こんなにあるんですよ、楽しみがこんなにあるんですよ。納得できませんよ。安保条約が適用され、地位協定が適用されて現状のままでだめだと言っているじゃないですか。だめなものをなぜA表に入れて継続使用させるんですか。はっきりしているじゃないですか。だめなものは何か手を打たなきゃだめじゃないですか。それを使用させるということは、いかにアメリカびいきだったって、これは納得できない。だから地元が納得できない、返還しろと言っているんですよ。私はその声を代弁しているだけです。
  500. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ゴルフ場が三つあるんです。どうも三つは多いんじゃないか、まあとにかく米軍があすこに駐留して、わが日本の防衛にも当たってくれるわけでありまするから、それらの人たちに対してレクリエーションの施設、これはまあ当然必要だと思います。しかし、三つはオーバーじゃないかと、こういうことで話し合いをしたんですが、話し合いが妥結をしない。残念ながら、これは協定成立後の交渉に移さざるを得ないと、かようにまあ考えておる、こういうことを申し上げているのであります。
  501. 黒柳明

    黒柳明君 私は心情論を言っているんじゃないんです。法の上にのっとった解釈を、説明を問いている。安保が適用され、本土並みになる。そのときには地位協定が適用されて現状じゃだめだ。だめなものをなぜ使用させるといって向こうに言うんですか。極力返してもらうなんということだけで済ましているんですか。
  502. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 先ほども申し上げましたように、軍人軍属に関する限り、安保条約、地位協定においてもこのような遊興施設を維持することは可能でありますから、いまの先ほど説明をいたしました特別会員という一部の米国市民及び琉球、沖繩県人に対するメンバーシップを減ずるというように変更させることによりまして、引き続き提供することが可能でございます。
  503. 黒柳明

    黒柳明君 この問題でやっていてもまた時間おそくなってほかの人が迷惑をこうむるので私は続けます。現状においちゃだめだと、はっきりして、また解釈が、意見が変わっちゃっている。そんなばかな答弁ありません。ですから外務大臣、あのコナリー長官とお会いになったとき、具体的な例を出して基地縮小をするんでしょうね。どうですか、抽象的なことじゃだめなんです。
  504. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 具体的な事例をあげて納得を得たいと、こういうふうに考えています。ただ、誤解のないように願いたいのは、コナリー長官と私の会談でことがきまるんじゃないのです、これは。コナリー長官によく頭に入れてもらって、そして大統領に話してもらうと、こういうことであります。
  505. 黒柳明

    黒柳明君 その具体的な基地名あるいはその状況、どうなっていますか。まだこれからですか。
  506. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まだこれからであります。ただし大体の考え方は固めております。
  507. 黒柳明

    黒柳明君 その大体だけひとつ大ざっぱに言ってください。
  508. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いまのゴルフ場が一番山の問題だろうと思います。それから海水浴場ですね、この問題もまあ問題だろう、さらに数点の問題がありますが、これはまだ結論を得ておりませんから、これから固めまして話をしたいと、かように考えております。
  509. 黒柳明

    黒柳明君 ゴルフ場と海水浴場、それこそこの娯楽施設撤去ばかりじゃもうかわいそうですよ。こんなところをあまり撤去するよう交渉しないほうがいいですよ。もっともっと縮小するべき基地が一ぱいあります。ひとつ公明党の調査資料でもお読みになってじっくりお考えいただきたい、これは私の希望意見であります。  それから八重山の土地改良事業に対しまして政府は補助金出していますね。
  510. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 一九七〇年度において八万七千ドルを支出しております。
  511. 黒柳明

    黒柳明君 その土地改良事業において国庫補助金がある土地業者、これは日誠総業ですよ、これによって不正に着服されたと、こういう事実はありますか、ありませんか。
  512. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは琉球政府の行政権の中の問題でありますから、報告も連絡もありませんが、新聞報道その他もありますし、また少しそのような各地において買い占めとか思惑投機とかというようなうわさも聞きますので、建設、農林両当局を中心に調査団を派遣いたしましてその実態を調査いたしましたが、ただいま申されました地域の一部が、確かに土地改良区の所有の圃場が売られておることも事実であります。しかしながら、日本政府のその当時の援助金といっておりました支出の金額にかかる面積はその中に含まれていない、ということであります。
  513. 黒柳明

    黒柳明君 いないですか。間違いありませんか。
  514. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 現在琉球政府のほうに問い合わせたところでは、琉球政府のほうではこの目的外に転用されたものについて、琉球政府に農地法はありませんが、しかしながら非琉球人ということばを使ってありますけれども沖繩県民以外の日本人その他が土地を取得する場合には琉球政府の許可が要りますから、それらの問題等も関連をして補助金が適正に執行されたかどうかの問題として、いわゆる転用がなされた事実について補助金をどこまで返還させるかという議論をしておるという話でありますが、その議論の対象の地域には、本土政府の援助の八万七千ドルの補助をされた地域は入っていないということであります。
  515. 黒柳明

    黒柳明君 この会計検査院の報告を見ますと、琉球政府の補助金で、ちゃんと会計報告をしろと書いてありますよ。だから琉球政府だけで処理するということはおかしいんじゃないですか、いまの答弁。それから明らかに二万ドルの返還を求めています、琉球政府として。この点も非常に国庫補助金の出し方がうまくない。どころか本土の土地買い業者がどんどん入っている。私これからは一方的発言になっちゃうんでやめますが、これに対して厳重に、先物買い的な土地買いあさり、これに対して総理府としてもきびしい姿勢をとってもらいたい。どうでしょう。
  516. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) そのつもりでやってまいっておりますが、そのような不当な事項等も発見しておりますので、一そうきびしい態度をもって連絡をとってみたいと思います。
  517. 黒柳明

    黒柳明君 最後に、防衛庁長官沖繩において自衛隊の募集はできますか、現状。
  518. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 自衛隊としてはできません。
  519. 黒柳明

    黒柳明君 自衛隊の募集の文書を高校に配りましたね。
  520. 西村直己

    国務大臣西村直己君) かつて東京地連の一部の者が高校の校長さんにそういう文書を配っておしかりを受けたことは、私も知っております。
  521. 黒柳明

    黒柳明君 何校くらい配りました。
  522. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 人事教育局長からちょっと。
  523. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) 沖繩の高等学校約三十七ございますが、三十七の高等学校でございます。
  524. 黒柳明

    黒柳明君 それに対してどういう処分しました、防衛庁長官
  525. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) 明らかに地連としましては権限外の行為でございましたので厳重に注意いたしました。
  526. 黒柳明

    黒柳明君 具体的にはどういう処分ですか、厳重に注意とは、ただ注意だけですか。
  527. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) 本人の行為は非常に募集に対して積極的な努力、意欲はあったことは認めますので、一応口頭で厳重に注意いたしました。
  528. 黒柳明

    黒柳明君 そういう、総理——ちょっと時間に入れちゃだめですよ、また済みませんね、たびたび。そんなもの総理の目に入っていないと思いますよ。ミスといったってミスもはなはだしい、それは。もう防衛庁長官、これ重大責任ですよ、これは。ミスといったってミスじゃ済まされないですよ、これは。現地の高校でどれだけこれごたごたしたか。ミスといったって三十七校全部自衛隊募集なんてパンフレット配って、志願書配って。
  529. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私の着任前のことでございますから詳細知りませんが、これはミスではないと私は、思います。やはりそういうふうな熱心さが足を出したんじゃないかと思います。そこで当時厳重に注意をしてやめさしたんじゃないかと私は想像いたしております。
  530. 黒柳明

    黒柳明君 食い違ったですね、いまと答弁が。人事局長はミスだ、大臣はミスじゃない、どっちですか、ほんとうは。
  531. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) この文書は、東京都内の高等学校長へ出しておる文書でございます。
  532. 黒柳明

    黒柳明君 いやいや、ミスかミスじゃないか。あなたミスと言った、大臣ミスじゃないと言った。
  533. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) それを沖繩の高等学校のほうにも出したのでございまして、これは東京の地連としましては東京都内の人間に対して募集を行なう権限を持っておりますので、したがってまあその行為そのものは権限外、自分の権限の外の県に対する募集広報であるということになります。
  534. 黒柳明

    黒柳明君 私はね、あなたがミスだと言った、大臣がミスじゃないとおっしゃった。局長大臣とすぐ答弁が食い違っちゃ困る、それを指摘している。ミスであったのかミスじゃなかったのか。積極的なら何でもやっていいのか、おかしいですよ、ちょっとこれは。
  535. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) 従来から沖繩の志願者は、おおむね東京に来て受験いたしております。そのような実績から見まして、つい沖繩まで出せば効果が大きいであろうという意味で出したものであると思います。
  536. 黒柳明

    黒柳明君 私は、大臣はミスじゃない、人事局長はミスだ、どっちがほんとうなのかと。
  537. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 時間取って申しわけないですが、私の申しますのは、国内の、いわゆる本土へ出すのに熱心のあまりおそらく誤って出したと、こういうかっこうになるからミスじゃないと一そこで当時国会からもたいへんおしかりを受けたそうで、したがってこの地連部長は募集には熱心であるが少なくともけじめははっきりしろと、厳重に注意はいたしておると、こういう結果を報告を受けておるわけであります。
  538. 黒柳明

    黒柳明君 ミスじゃないですか、結論的に。そしてまたリーフレット、カレンダーつくって沖繩へ送っていますね。
  539. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) 現在具体的に募集業務というものはいたしておりませんが、一般に公募いたしております段階におきまして自衛官を志願するというような者に対しましては、自衛隊の実態をよく知ってもらうという意味におきましてリーフレットとかパンフレットを沖繩の事務所に置いてございます。
  540. 黒柳明

    黒柳明君 部数幾ら、予算、全部。そんなむだづかいして、募集できないところ、なぜ広告なんか送るのよ、パンフレットなんか。全くしようがない、募集できないんだからPRなんかやらなければいいんですよ、誤解されるから。
  541. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 募集そのものではないと思います。ただ、御存じのとおり沖繩も復帰いたしますれば、自衛隊が配備をされると、こういうような意味でも自衛隊に対する御理解というものを願うと、こういう意味のPR活動であるというふうに御理解を願いたいんであります。
  542. 黒柳明

    黒柳明君 部数、予算、どれだけ送ったか、どれだけさばけたか、現状。
  543. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 沖繩における自衛隊の広報の意味でリーフレットを作製しまして、作製しましたのは五万部で、経費は四十八万円でございます。いままでに送りましたのは、そのうちの約五千部程度でございます。
  544. 黒柳明

    黒柳明君 カレンダー。
  545. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) カレンダーは八千部作成をいたしました。経費は百三十四万円でございます。そのうち沖繩へは、現在までに八千部のうち三千五百ほど送っております。
  546. 黒柳明

    黒柳明君 なぜね、募集できないところにこういう宣伝やるか。だから誤解される、紙の弾丸がきたということで。なぜ全部送んないんですか、全部早く配んないんですか、配れないんじゃないですか、慎重にやってんじゃないですか。
  547. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 配りたいと思っておりますが、自衛隊配備等の計画がございますので、自衛隊に対しましてはできるだけ沖繩の県民の方にも理解をしていただきたいと思っておりまして、そういう意味でできるだけ配りたいと思っております。つくったばかりで、まだ先ほど申し上げた程度の配付しかしておらないと、こういうことでございます。
  548. 黒柳明

    黒柳明君 そんなことはない。もう九月下旬にできて、もう十月のカレンダー、十月終わっちゃって十一月に入っている。何言っているんですか。これ、九月の下旬にできているんじゃないですか。慎重にやっているっていうんですよ、防衛庁の見解。慎重にやる必要ないんだよ。こんな気がねしながらやらなきゃいい。募集できないのだから、PR活動なんかやらなきゃいい。やるのを慎重期している。慎重期しながらみちみちやらなきゃいいんですよ、そんなこと。もうすぐ返還するんですから。
  549. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) そこにごらんになっておりますのは見本でございます。表紙でそういうふうになっておりますが、来年のカレンダーを逐次配りたいと、こう思っております。
  550. 黒柳明

    黒柳明君 これ見本じゃない、実物ですよ。実物、実物。見本じゃない、実物。知らないからへんてこりんな答弁しちゃう。
  551. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) そこにありますのは表紙だそうで、中に逐次来年のカレンダーを入れる。
  552. 黒柳明

    黒柳明君 十月ここに入ってんじゃないですか、表紙。九月につくって、十月に配ろうと思って、配り切れないのじゃないですか、ちゅうちょしているんじゃないですか。
  553. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 先ほど申し上げましたように、自衛隊に対しましてはできるだけ理解を深めていただこうということで配っております。また、これからも配りたいと思っております。
  554. 黒柳明

    黒柳明君 また押し問答になっちゃいますけれどもね。そうあることに沖繩の人は反発をしているんです。紙の弾薬がきた、あるいは帰省休暇がくるって。自衛隊がPRするのじゃなかろうか。もう返還まぎわでしょう、こんなお金をかけて誤解されるものつくる必要ない。九月にできて、五万部つくって、まだ五千しか現地に配付されていない。四万五千こっちへ残っている。しかも、五千のうち配付されたのはわずか。なぜか、気がねしながら配っている。かわいそうですよ、現地の人だって。沖繩の自衛隊募集やっちゃいけない、こういう広報、PRもやっていいのかやって悪いのか、だから全部送ってない。これは高い金出して理解させること必要だと思いますよ。もうすぐじゃないですか。これでこういう募集をやって、ミスしたところ、さらにこんな二百万も使って、配れるか配れないかわかんないものでね、みみっちいPR活動やんなきゃいいじゃないかと、私はこう言いたい。いかがですか。現地の人もそうおっしゃっている。誤解を招く。いかがですか。
  555. 西村直己

    国務大臣西村直己君) いろいろありますが、しかし、結論的に申し上げますと、自衛隊というものは沖繩県民の理解をいただかなければなりません。そうして、その上で国土の守りの任につかしていただくわけであります。そのためには、できる限りのPRという行動は、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
  556. 黒柳明

    黒柳明君 委員長、最後に一言。済みません、私の時間まいりましたので、最後に一言。総理大臣の所信表明演説あらためて読みました。「戦後は二十余年の長きにわたって外国の施政権下に置かれてきたこれら同胞の方々に対し、ほんとうに御苦労をおかけいたしました、と申し上げる以外のことばを知らないのであります。この上は、その御労苦に報いるためにも、一日も早く円滑な復帰を実現し、明るく豊かでそして平和な沖繩県を建設することが、われわれに課せられた使命であると信ずるものであります。」、私今回の予算委員会の質問をつくるにあたって、あらためてこの総理のおことば、何としてでもこれが事実として九十四万沖繩県民の腹に、心にぴんとくるような返還協定をつくんなきゃならない。ところが、私がいまわずかの時間で取り上げた問題だけでも、幾多の不安、不備、あるいは手落ちがある。これじゃ、非常にますます、この総理の所信表明演説のおことばがはたしてどこまで信じていいのか悪いのかという、私のみならず、テレビごらんの一億国民あるいは九十四万の沖繩県民がまた疑惑を一段、二段と深めたのではなかろうかと、こう思いますが、ぜひともこの総理のおことばこのままの実現を、沖繩返還協定の実現を最後にお願いしたいと、こう思います。最後にひとつ所信をお伺いしたいと思います。
  557. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 他日の本会議の席で私の所信表明をいたしました。ただいま読み上げられました、またこの予算委員会を通じまして具体的な問題について私どもの思いの至らざる点についても御指摘がありました。私は、これらのものを積み重ねて、そうしてりっぱな返還を、祖国復帰を迎えたいと思いますが、しかし、すでにもう行政協定は調印済みであります。この上は、一日も早く復帰を実現して、そうして私は、その間におきましてもさらにさらにくふうを重ねて沖繩県民の期待に沿いたいと、かように思っております。何とぞよろしくお願いいたします。
  558. 黒柳明

    黒柳明君 以上です。ありがとうございました。
  559. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上をもちまして、黒柳君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  560. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、渡辺武君の質疑を行ないます。渡辺君。
  561. 渡辺武

    ○渡辺武君 私は、現在国民生活にとって重大な経済問題になっております円・ドルの問題について質問したいと思います。  御承知のとおり、八月の中旬にニクソンのドル防衛政策が発表されました。また、八月下旬には円が変動相場制に移ったわけであります。これ以来、すでに国民の生活には、中小企業の経営難、労働者の首切り、不況の長期化など、非常に深刻な影響があらわれております。国民は、一体何でこんなことが起こるのだ、円の切り上げというのは一体どういう原因から起こるのか、将来一体どういうことになるのか、非常に重大な関心と不安を抱いております。ところが、佐藤総理は施政方針演説の中で、このような国際通貨危機の原因が米国の国際収支の逆調にあると述べておられます。この国際収支の逆調、すなわちアメリカのドルの危機のおもな原因、これは何だとお考えになっていらっしゃるか、総理の御答弁をいただきたい。
  562. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 所信表明演説で明らかにしたように、ただいまの御指摘のように、またお読みになりましたように、国際収支の逆調にある、かように思います。その逆調はどこから出てきたか、こういうお尋ねであるならば、それはいろいろな原因が重なっておる。そのうちの一つにはベトナム戦争もありましょうし、またその他の国内の経済政策よろしきを得ない、そういう点もあろうと思います。いろいろな問題が重なり合って、そうして国際収支の逆調を来たし、経済のインフレ、そういうものを実現をしている、これがいま言われる点、だろうと思います。
  563. 渡辺武

    ○渡辺武君 大蔵大臣の御見解を伺いたいのです。
  564. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 大体いまの総理のお答えのとおりだと思います。
  565. 渡辺武

    ○渡辺武君 総理は、わが党の星野議員の代表質問に対して、アメリカの国際収支の逆調なるものの原因として「貿易収支の大幅な悪化が大きな原因であります。」というふうに言い切っておられます。いまの総理の答弁と食い違いがありますけれども、これはどういうわけですか。
  566. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 別に食い違いはないように私は理解しておりますがね。ただ、いま御指摘になる、どこへ重点を置いているかと、かように言われると、そこにはいろんな見方があろうと、かように思います。
  567. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  568. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  569. 渡辺武

    ○渡辺武君 答弁がはっきりしないと思うんです。このアメリカの国際収支の赤字の原因、いろいろあると言われたけれども、おもな原因はどこにあるのか、これをはっきりさせることが当然それに対する対策が正しいものかどうかということを判断する基準になると思う。ですから、原因がいろいろあるというようなことで、あいまいなことで済ますわけには私はいかないと思う。そこで、この問題は非常に重要な問題だと思いますので伺いたいと思いますが、最近数年間のアメリカの国際収支の動向、これを言っていただきたいと思います。またその中で、いま総理大臣の言われた貿易収支の動向、これはどうなっているのか、これを伺いたいと思います。
  570. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 資料を準備しておりますので、国際金融局長からお答えいたさせます。
  571. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいまのアメリカの最近の国際収支の推移につきまして、計数につきまして申し上げますと、まず貿易収支でございますが、これは昨年貿易収支二十一億ドルばかりの黒字でございました。しかし、これは、一九六五、六年に比べますと、当時は四、五十億ドルの貿易収支の黒でございましたから、したがって黒字が減っておるということが申し上げられるかと存じます。さらに、ことしに入りましてからこの貿易収支の逆調の傾向というのが激しくなりまして、一月−六月で申しますと、約七億七千万ドルの貿易収支の赤字でございます。  それから、経常収支でございますが、いまの貿易収支の推移を反映いたしまして、一九七〇年におきましては約四億四千万ドルの黒字にとどまり、ことしの一−六では四億八千七百万ドルの赤字でございます。  それから、その中におきまする軍関係の出資でございますが、これはアメリカの統計によりますと、昨年暦年で約三十四億ドルばかりの流出超でございまして、これはことしの前半は十三億ドル程度の流出超でございまして、特に大きな今年に入ってからの変化というのはございません。  大体以上のとおりでございます。
  572. 渡辺武

    ○渡辺武君 いや、国際収支の赤字、黒字の動向、どうですか。
  573. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) アメリカの国際収支の表示方法がほかの国と違っておりますので、若干複雑でございますが、大体まあほかの国の総合収支と申しますのに当たりますものといたしまして流動性収支というのを使っておりますが、それにつきまして申し上げますと、昨年が三十八億ドルばかりの赤字でございました。それがことしの一−六だけで半年で約八十三億ドルの赤字になっております。これは先ほど申しましたように、貿易収支がことしに入りまして悪くなっておるということと、同時に、ことしの前半におきましてもすでに五月の通貨不安等がございまして、そういう点がこの国際収支の赤字に拍車をかけたということではなかろうかと考えております。
  574. 渡辺武

    ○渡辺武君 最近数年間と言ったから、最近数年間のこの収支の赤字、黒字ですね、これ言ってくださいよ。
  575. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 一九六五年から申し上げますと、六五年の流動性収支の赤字は二十四億九千三百万ドルでございます。それが六六年二十一億四千八百万ドル、六七年四十六億八千五百万ドル、六八年には改善をいたしまして十六億一千万ドルの赤字にとどまりました。それが六九年には赤字がふえまして六十億八千四百万ドル、七〇年及びことしの一月−六月につきましては先ほど申し上げましたとおりでございます。
  576. 渡辺武

    ○渡辺武君 いま御答弁ありましたように、アメリカの貿易収支の逆調というのはことしや去年あらわれたものじゃない。もうかなり前から引き続いてあらわれている。つまりドル危機というのはきょうやきのうあらわれたんじゃないんです。ところが、貿易収支の赤字、佐藤総理が最大の原因だというふうに言い切っておられる。それは、先ほどの御答弁によれば、ことしの上半期、正確に言えばことしの第二四半期に初めてあらわれたものですよ。これはアメリカの歴史上初めてのことなんです。ですから、ドル危機の原因は何かと言われて、佐藤総理が貿易収支のこの赤字を強調する、これは私は事実と違っていると思う。その点をまずはっきり佐藤総理に確認していただきたいと思う。
  577. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私はさようには思わないのです。アメリカがとりました対策をごらんになりましても、たとえば輸入課徴金を課す、こういうような自由経済国にしては珍しい処置をとる、あるいは金の兌換停止をする、さらにまた国内では賃金や物価の凍結をすると、こういうような一連の政策を考えますと、いままでと事変わった状態があったと、それが先ほど来私が説明するものであります。その他にもいろいろ原因はあると思いますが、いまも国際金融局長からも説明をいたしましたように、この両三年、まあ正確に言えば昨年、ことし、これはたいへんな変調を来たしておる、そこらに問題があるように思っております。
  578. 渡辺武

    ○渡辺武君 それでは、もう少し総理に客観的な現実を認識してもらう意味もありまして、アメリカの国際収支の現状について幾つか伺いたいと思うんです。  先ほど軍関係の収支は赤字だというふうに答弁がありましたけれども、これはベトナム侵略戦争を中心とするアメリカの戦争と侵略の政策から起こったものだと思う。その軍関係の海外に対する支出が、御答弁によれば、昨年は三十三億七千百万ドルも出ている、収支の赤字だけで。これは非常に大きな問題だと私は思う。さらに、アメリカ政府が海外に対して経済援助というのをやっている。これは南ベトナムだとか、あるいは台湾だとか、あるいはまた韓国だとか、アメリカのかいらい政府のあるところに特にたくさん出ておって、これまたアメリカの戦争と侵略の政策の一環として出されておるものです。この政府の贈与だとか、あるいはまた借款だとかいうものを中心とする海外経済支出、これは一体どういう状況になっているのか、御報告いただきたい。
  579. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいま御質問の軍関係の支出を暦年別で申しますと、六五年から申しますと、六五年が二十一億二千二百万ドルの流出超でございます。六六年二十九億三千五百万ドル、六七年三十一億三千八百万ドル、六八年三十一億四千万ドル、六九年三十三億四千百万ドル、それから七〇年が先ほど申し上げましたとおり三十三億七千百万ドル、ことしの一−六で十三億四千四百万ドルでございます。それから……。
  580. 渡辺武

    ○渡辺武君 だんだんふえているんです、毎年。
  581. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) これは、昨年まで大体の傾向といたしまして、まあ六七年以来ふえておりますが、ほぼ横ばいというような水準ではなかろうかと存じます。  それから、海外の実は援助関係につきましてはっきりした統計上のあれがございませんので、移転収支の中の政府関係のほうを申しますと、六五年からずっと申しますと、六五年が二十一億七千七百万ドルの流出超、六六年が二十二億七千七百万ドル、大体二十億から二十二億という横ばいの状況を続けております。  それから、援助に関連いたしますものは、おそらくこの国際収支表の中の長期資本収支の中にも入っているのであろうと想像されますが、これにつきましては大体六七年二十四億二千四百万ドルの流出超でございますが、それが大体まあ二十億前後ということで昨年まで続いております。  以上でございます。
  582. 渡辺武

    ○渡辺武君 政府関係の貿易外収支の赤字がありますね。それはどのくらいですか。
  583. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 貿易外収支の中の政府関係のものを申し上げますと、六五年が二億四千五百万ドルの赤字でございます。六六年二億七千二百万ドル、六七年三億一千二百万ドル、六八年三億六千二百万ドル、六九年一億八千二百万ドル、七〇年が二億二千四百万ドル、それからことしの一−六が四億二千七百万ドルでございます。
  584. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、政府関係の経済支出というのもアメリカの国際収支にとっては大きな赤字要因だということが非常にはっきりする。この軍の関係と政府関係、この二つを合わせて大体総額幾らくらいになるのか。一九七〇年と一九七一年の上半期とこの二つだけでいいですけれども、お答えいただきたい。
  585. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 実はそのトータルをいたしておりませんが、大体アメリカの軍関係につきましては、先ほども申し上げましたように、七〇年で三十三億七千百万ドルでございますから、それ以外は、先ほども申し上げましたとおり、この援助関係につきましては、この項目からはそのまま出てまいりません。したがいまして、ちょっと数字で援助関係がどのくらいというのを直ちに申し上げるわけにはまいりませんが、まあ大体GNPの日本と違いまして一%に近くまでやっておりませんから……。
  586. 渡辺武

    ○渡辺武君 この国際収支表でいいです。この国際収支表で軍と政府の関係は合計どのくらいになるか。
  587. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ちょっと計算をいたしまして申し上げます。
  588. 岩間正男

    岩間正男君 関連。  ちょっと関連して申し上げます。いままでの質疑応答でも明らかだと思うのでありますけれども、この円・ドル問題の背景にある根源を明らかにするということは非常にまあ重大な問題だと思うのですが、そこで、佐藤総理の答弁は、本会議の答弁よりも少し変わって、きょうはベトナム戦争が原因だということをちょっと触れておりますが、しかしどうも、全体のこの答弁の調子からいいますと、これは何とか押し隠そうというふうにわれわれに見られてもしょうがないと思う。ところが、実際は、国際収支の不調の根源というのは、非常に軍事的な経済関係にあると思う。私はここでお聞きしたいのです。具体的にベトナム戦費について、一体アメリカがどれだけ支出をしているのか。この問題を明らかにすることが非常にやはり今日の円・ドルの問題に対処する上に重要だと思うのです。病気をなおすんなら、これはヨヂームチンキを塗ったり漢方薬を飲んだってだめなんです。やはり根源をはっきりしなければならぬ。こういう点から考えますと、非常に重大だと思います。したがいまして、一九六五年から七〇年まででいいですけれども、大体アメリカがいままでベトナム特別費として支出した国費はどれだけになるのか、この資料を発表してほしい。
  589. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 総計で六五年から約千二百億ドルになります。六五年が一億ドルくらいですが、だんだんとふえまして、六九年に約二百九十億ドル、それから七〇年にこれが少し減りまして約二百三十億ドル、ことしは百三十億ドルくらいになるであろうと、こういうふうにいわれております。
  590. 徳永正利

    委員長徳永正利君) さっきの答弁できましたか、資料。
  591. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 計算をいたしましたところを申し上げますと、七〇年におきまして軍関係が三十三億七千百万ドルでございます。そのほか貿易外収支における政府関係、それから移転収支における政府関係、これを合わせますと七〇年が五十七億九千百万ドルに相なります。それから七一年——本年の一−六につきましては、同じ計算をいたしますと三十億二千五百万ドルでございます。
  592. 渡辺武

    ○渡辺武君 合計してどのくらいか、合計して。
  593. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 昨年とことしの一−六全部合わせますと、八十八億千六百万ドルでございます。
  594. 渡辺武

    ○渡辺武君 いやいや、一九七〇年度は幾らか、合計して、軍と政府で。それから七一年の上半期はどのくらいか。
  595. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 七〇年が五十七億九千百万ドルでございます。それから七一年の一−六が三十億二千五百万ドルでございます。
  596. 渡辺武

    ○渡辺武君 ちょっと計算違う。
  597. 岩間正男

    岩間正男君 そうしますと、いまの外務大臣の答弁がありましたが、たとえばピークのときですね、六九年だと思いますが、二百九十億ドル、こういうことになるわけです。これは全体のアメリカの軍事費支出の何%ぐらいになるんですか。
  598. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 大蔵大臣の答弁すべきところですが、御指名ですからお答えしますが、大体アメリカの防衛費、これは五百億ドル、これを前後すると、こういうわけですから、それの六割ぐらいに当たるでしょうか、そんな勘定になります。
  599. 岩間正男

    岩間正男君 いまのは違いますよ。国防費は八百億前後——これは前後しているけれども、そういうことです。ですから、国防費の三六%、直接のベトナム支出だけでもそういうことになっておる。そうしてしかも、その国防費は全国予算の四四%ということになりますから、ベトナム戦費は国家予算の一八%ぐらいになる。この金がここでどれほど大きいものかは、大衆的にははっきりわかりません。そこで、わかりやすくするために、たとえば二百九十億ドルというのは、当時のレートに換算してみるというと——大体一日に使うアメリカのベトナム戦費が二百九十億です。明けても暮れても二百九十億です。これは、日本の十万ぐらいの中小都市なら、十何年の予算をまかなうことができる。東京の人口にするというと、一夜明けると赤ん坊を含んで約二千五百円ずつこれは支出することになるわけです。これを七年間も続けたら、一体どうなるのか。どんなにアメリカの金持ちだって、それから金の保有量が世界最大二百四十億ドルのそういう金を持っておる、そういったって、全くこれではもう大きな欠損が出る、赤字になることはあたりまえです。これが一切のアメリカ財政を食ってきた根源じゃないですか。私はこの点はほんとうに明確にする必要があると思うんですが、これは佐藤総理はこれについてどういうふうに考えておられますか。この点を明確にしてください。あなたの答弁は非常にあいまいである。そうしてその点の根源、ほんとうに病気の根源をはっきりつかむということが、今日円ドルに対処するために非常に重大な問題ですから、この点をお聞きします。
  600. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ、先ほど来議論になっておりますのは、軍事費、ベトナム戦争にずいぶん金を使っていると、かように言われております。しかし、いままではアメリカは海外援助や各国の防衛費分担、それなどを何でまかなっていたか。これはすべて貿易収支が黒字だった、そこに財源があったということであります。その貿易収支すら、先ほど渡辺君にお答えしたように赤字になったと、これはたいへんな状態でございます。だから、いまそういうことを含めてということを私、説明したのでございまして、非常にアメリカの財政状態は変わってきていると、これをやはり認識しなければならぬと、かように思います。
  601. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 渡辺君。
  602. 岩間正男

    岩間正男君 委員長委員長
  603. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 意見をひとつ省いて、質問だけにしてください。
  604. 岩間正男

    岩間正男君 そこで、私は、これはまあ、この円ドル問題で先ほど渡辺委員も指摘したように、労働者の首切りの問題、中小企業の経営不振の問題、もうひどいところにこれは追い込まれているわけです。そういう負担を、実はこれは日本にかぶせてくる。しかもアメリカの来年度の予算は、これは史上最大の八百億ドルをはるかに超過したものが国防費として組まれてくる。そうだということがニュースとして伝えられている。これは御存じだと思いますね。これはどういうことになる。このような政策というものは、これは私ははっきりアメリカに対して抗議を申し入れる必要があると思う。問題はベトナムの、この不当な侵略戦争にあるんだ。そういう不当な戦争そのものをやってきたためのしわが、はっきり今日円ドル問題として国民の生活を非常に不振のところに追い落としている。この根源を明確にしないと、一体これはわれわれ予算委員としての責任を果たすことができない。したがって、私ははっきりお聞きします。佐藤総理、どうなんです。このような他国の非常に大きな犠牲のもとに円の切り上げを彼らが押しつけてくる、そういう体制の中で、しかも、軍費は史上最大のものを組もうとしているこのアメリカの政策そのものというものを了承するということはできますか。この点が非常に重大な話だと思いますが、佐藤総理にはっきりこの点をお聞きをしたい。これは断わるべきじゃないか。こういうやり方に対して抗議を申し入れるべきじゃないか。内政干渉じゃありません。これは同時に労働者であり中小企業である国民全体の、こういう犠牲に対する……。
  605. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 簡単に願います。
  606. 岩間正男

    岩間正男君 はっきりした問題を含んでおりますが、はっきり答弁してください。
  607. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) おそらく質問者の渡辺君は、だんだん話をそちらの方向に持っていかれるんじゃないかと思っておりました。どうも関連質問で先走ってただいまのような話が飛び出したんですが、まだ円ドルの問題については私ども渡辺君にもお答えしておりませんが、簡単な私は結論は出てこない、これだけを申し上げておきます。
  608. 渡辺武

    ○渡辺武君 先ほど政府関係と軍関係の支出、一九七〇年の支出の合計が五十七億九千百万ドル、七一年上半期が三十億二千五百万ドルという御答弁がありました。計算違いだ、意識的にこれは低く見せようと思ってそういう答弁をしているんじゃないですか。政府の借款の分ですね、これは削ってあるじゃありませんか。それを入れたら幾らになりますか。
  609. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 政府借款の長期資本収支のほうの政府の部面につきましては、これを全部そういうふうに計算をいたしますことが必ずしも適当でございませんので、それを先ほどは申し上げませんでしたが、それを一応長期資本収支の中の政府関係というのをかりに全部入れますと、これが七〇年につきましては二十億二千九百万ドルの赤でございますから、したがいまして、七〇年が七十八億二千万ドルに相なります。それから七一年、ことしの一−六は四十三億三千六百万ドルに相なります。
  610. 渡辺武

    ○渡辺武君 自分が、政府関係のこの収支の中でこの長期資本収支のこともさっき報告しておきながら、合計幾らかと言ったら、それを抜かす、こんなばかなことがありますか。  ところで、一九七〇年のアメリカの国際収支の赤字は、政府決済ベースで言えば九十八億二千百万ドル。その中でいま報告があったように、軍関係、政府関係の赤字が七十八億二千五百万ドル、大多数がアメリカのベトナム侵略戦争を中心とする戦争と侵略の政策を原因として起こっているというのは、この数字一つ見ただけで明らかじゃないですか。総理は先ほどいろいろ原因があると言った。確かに民間資本の流出、とりわけ短期資本の流出などがあることはこれは明らかだ。しかし最大の問題はここにある。その点を総理ははっきり認められるかどうか。
  611. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど関連質問の岩間君にお答えしたように、いままでもアメリカは相当多額の軍事費あるいはまた海外援助等を出しておりました。しかしそれらの財源は国際収支、貿易の黒字でまかなっていたと、こういう状況でありました。ところが、それまでも悪くなったというのが現況でございますから、この変わらない海外軍事費、そのほうは物価等の値上がりこそあれ、ふえても減ってはおらないと、しかし、それをまかなうほうの財政状況は、国際収支が悪くなっている。そういうことで、そのほうが貿易の黒字でまかなうことができなくなった、これがアメリカの現状ではないかと、かように私は思います。
  612. 渡辺武

    ○渡辺武君 それは論理がおかしいですよ。アメリカの軍事支出及び政府のそれと結びついた海外経済支出、これがアメリカの国際収支の大幅な赤字の最大の要因になっている。総理の答弁は、それをいままでは貿易収支の黒字でもって多少カバーしていたけれども、その貿易収支の黒字が今度赤になったからたいへんだと——根源はどこかということを伺っているんです。もう一回御答弁いただきたい。
  613. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま総理の言われたことは私は正しいと思います。と申しますのは、根源はやはりベトナム戦費の支出にあったとしても、それによってアメリカが国内で財政の赤字を起こし、そのためにインフレになってきている。このためにアメリカが企業の競争力をなくして、貿易収支で赤字を出すようになったということでございまして、いままではこの貿易収支の黒字で、対外援助とこの軍事費の対外支出をアメリカはまかなってまだ黒字であったのが、もう貿易収支が赤になってきたんだからこれがまかなえなくなって国際収支の急速な悪化現象を起こしてきたということだろうと思います。
  614. 渡辺武

    ○渡辺武君 大蔵大臣の答弁と総理の答弁、全く食い違いですよ。いまの大蔵大臣の答弁によれば、アメリカの国際収支の赤字はベトナム戦争にあるんだと、そして、そのベトナム戦費がかさんでいるために国内でインフレが起こって、競争力が衰えて、貿易収支の黒字もだんだんなくなってきたんだと、これがもうすべての原因、これはベトナム侵略戦争にあるということをはっきりあなたは言っておられることと同じことだ。総理はそういうふうには言っていない。一体、総理、この客観的な現実をどう見ますか。
  615. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうも、私は聞いてて、そう違うとは思いません。とにかくいろんな原因がかみ合ってこういう状態になっておると、アメリカが苦境に立っておると、このことを先ほど来説明しておる。少なくとも、アメリカが出すまいと、片一方で入ってきておる間は問題がなかったけれども、そのつじつまが合わなくなったからただいま問題になっておると、こういうことを申し上げておる。これは、どうも大蔵大臣の答弁もやはりそこにありはしないかと私は思いますがね。この点は、渡辺君も経済専門だからその辺は御承知じゃないでしょうか。
  616. 渡辺武

    ○渡辺武君 それは、佐藤一流のはぐらかし答弁。そんなはぐらかし答弁で国の政治をまかなってもらっちゃ困る。そうでしょう。  一九七〇年のアメリカの国際収支の赤、政府決済ベースで九十八億ドル。ところが、そのうちの七十八億ドルは、これはベトナム侵略戦争を中心とするアメリカの戦争と侵略の政策からきている。最大の原因はそこにあるんじゃないですか。重ねて答弁いただきたい。
  617. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど来答えたとおりであります。
  618. 渡辺武

    ○渡辺武君 この討論の結論は、ここにいらっしゃる方々、あるいは国民の皆さんが下すだろうと思います。  討論をさらに進めますけれども総理は先ほどベトナム戦争というのを第一に国際収支の逆調の原因として上げた。ところが、本会議の答弁では、ベトナム戦争ということについては一言も触れておられない。そうして、貿易収支の大幅な悪化が大きな原因だということを言い切っておられる。一体、本会議の答弁は何ですか、これは。国民に対して事の真相を知らせないという態度じゃないですか、どうですか。
  619. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 国民に対して、真相を知らす、そのための国会の審議でありますから、私は真相を知らさないと、さようなことは考えてもおりません。私の答弁をそのままとっていただきたい。
  620. 渡辺武

    ○渡辺武君 あなたは、私のいまここで質問したときには、ベトナム戦争、これを第一に上げられた。本会議場ではベトナム戦争のことはただの一言も言わない。そうして貿易収支の赤字、これが大きな原因だと、こういうことを言っている。これは、それを聞いていた国民は、ああこれは貿易収支の悪化が大きな原因で、それが最大だと、当然受け取りますよ。そんな国民の目をあざむくような答弁を一国の総理大臣するべきしものではない。  もう一つ、この間の日米貿易経済合同委員会の経過でも示しておりますけれども、アメリカはいま貿易収支の赤字というのを盛んに宣伝をして、そうして、各国にこの貿易収支の赤字を負担せよということで強く迫っているのが実情です。日本に対しても輸入課徴金、あるいはまたあの屈辱的な繊維協定の締結、さらには日本の貿易の自由化、すべて日米貿易関係の逆調ということを口実にして押しつけてきている。総理が最大の原因であるベトナム戦争を言わないで、貿易収支の悪化、これが大きな原因だと本会議場で答弁をする。これはアメリカの政策に迎合する立場じゃないですか、どうですか。
  621. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、先ほど来いろいろ御議論を聞いておりますが、また私の意見も聞かれたが、ここは討論の場ではございません。私はやっぱり真相をつかむ、そういう意味で、やはりそれぞれが意見を述べつつ実情を説明する場じゃないかと思います。何だか私に対しての非常な批判がある、総理の態度じゃないじゃないか、かようなおしかりを受けますが、私はさようなことは——御批判は御自由ですけれども、やや会議の筋からそれているんじゃないか、かように私思いますので、この辺はいかがかと思います。ただ、私が申し上げておりますように、国際収支の悪化、さらにまたいろいろの条件、問題がそれぞれ重なって、ただいまアメリカ自身の経済の立て直しと取り組んでいる、こういう実情は国民の皆さまもほんとうによく御承知だと思っております。私はそれを一つの原因だと、かようには申しておりませんから、その辺は、先ほども訂正なさったらと、大きな原因はここにある、かように言われましたが、やっぱりそういうように、私は唯一最大のというような表現はいたしておりません。そこらで誤解のないようにお願いいたします。
  622. 渡辺武

    ○渡辺武君 答弁になってませんよ。アメリカの主張に迎合する立場じゃないかということについてはどうですか。
  623. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) アメリカはアメリカ、日本日本です。別に迎合しておるつもりはございません。
  624. 渡辺武

    ○渡辺武君 同時に、いま総理の言われた点、私は最初からベトナム侵略戦争が唯一最大の原因だなんてことは、一言も言ってませんよ。その点は、意識して言われたのかどうか知らぬけれども、事態を客観的に見て正確に御答弁いただきたい。  ところで、いま大蔵大臣もはっきり言われましたが、国際収支悪化の最大の根源、これはベトナム侵略戦争にある。そうだとするならば、アメリカに対して、いまのドルの危機、これは自分で解決すべきだ。特にベトナム侵略戦争をやめればいまのドルの危機なんていうものは、これは大部分解決していく。それをアメリカがやらないで、他国に犠牲を押しつけて、やれ繊維協定を結べ、自由化を進めろ、その他等々のことをいま日本にも要求してきている。そうして、総理大臣がこのアメリカの言い分に従って繊維協定の仮調印もやられた。自由化も進める立場に立っておられる。これが日本国民の生活に非常に深刻な影響を与えているというのは総理自身も御存じのとおりだと思う。こういう政策はおやめになって、アメリカに対して、ドル危機は自分で解決しなさい、特にその最大の根源であるベトナム侵略戦争はおやめなさいということをはっきり言うべきだと思います。おっしゃいますか。
  625. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私はイデオロギー的にはずいぶん渡辺君とは違った立場におりますけれども、アメリカ自身は、おそらく日本と同じイデオロギー的な立場で経済問題と取り組んでいる。私どもはやはり自由経済、これを伸長さすことがお互いの繁栄をもたらすゆえんだ、かように思っております。そういう意味の主張は、これからもどんどんしていくつもりでありますし、また、みずからの姿勢もさような意味で正していく、これは私どものやることだと、かように思っております。私は、これらの点は国民からの信託にこたえる、こういう立場におきましても政府の当然の責務のように思っております。ただいまの日米間の問題にいたしましても、私はどこの国よりも日米間が緊密であり、そうして円満であることが日本の平和につながり繁栄につながると、かように確信しております。したがって、言うべきことは言わなきゃならないと思います。また同時にアジアの平和、極東の平和、そういうことに深くつながりのある問題でございますから、言うべきことはもちろん言わなきゃならない、かように思いますが、ただいま言われるような意味合いにおいての話、私はやや立場が違うように思いますので、その辺は表現の自由、これは私にひとつおまかせを願いたいと思います。
  626. 渡辺武

    ○渡辺武君 いいですか、総理自身が、いまの日本の円切り上げ問題を含めての現在の国際的な通貨危機、これの原因はアメリカの国際収支の逆調にあると言われている。そのアメリカの国際収支の逆調の原因は何か。いまここで、質問の中で明らかになったのは、ベトナム侵略戦争を中心とするアメリカの戦争と侵略の政策にある。だとすれば、経済問題を解決するためにも、——日本の経済問題ですよ、これを解決するためにも、アメリカに対して、このベトナム侵略戦争を中心とする戦争と侵略の政策をやめるべきだと言うのが当然のことじゃないですか、やりますか、もう一回お尋ねしたい。
  627. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま渡辺君から教わったような議論は、私には通用しないということだけ申し上げておきます。ただいま、いろんなアメリカの国内情勢もあることだと思いますし、また、国際的なその立場に立って、いかにあるべきかということも、アメリカ自身が考え、また、各国の協力を求めておるゆえんでもありますから、渡辺君のただいま言われることは、私は、参考にはいたしますけれども、そのとおりには申さないということだけ、よく御了承いただきたいと思います。
  628. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうすると、総理は、アメリカのベトナム侵略戦争を支持して、そうして、それから来るいろいろな打撃、これは現在、円切り上げその他の形で国民に全面的に転嫁するのもかまわないというふうに考えているとしか理解できません。おそらく国民もそのように判断するでしょう。  それで、さらに質問を続けますけれども、アメリカのドル防衛政策、これについて政府はどういうふうに考えておられるか。八月の十六日——日本時間——ニクソンがドル防衛政策を発表しましたけれども、これの内容について御答弁いただきたい。特に国内政策のことについては日本に直接関係ありませんから、あのニクソンの政策の中で対外的な政策、これについて御説明いただきたいと思う。
  629. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私がいかにもアメリカに追随する、円の問題にしても、ドル中心にものごとがきまると、こういうような考え方をしているという御指摘、これは当たりませんから、それだけは、そういう前提をなくして、ただいまのような御質問に大蔵大臣からお答えいたします。お聞きとりいただきます。
  630. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) アメリカの国内政策に対する批判というものはいま始まったことじゃなくて、IMFの総会でも、毎年これが各国の間に問題になってすでに六、七年繰り返しておると思いますが、ドルの信認が崩れるようなことであったら国際通貨は不安になる。これは基軸通貨国の責任としてアメリカは国際収支のまず均衡、国際収支の赤字を出さぬということを責任をもってやってもらいたいという要望は各国の要望でございまして、そのためには、ベトナムの問題もございましたし、それからアメリカが各国に資本の輸出をする、投資をする、長期資本の輸出というようなことが過ぎるというと、これもアメリカの国際収支を悪化させる原因になる、こういうことについてアメリカ自身は考えてほしいと、やはり国内政策において対処してもらいたいというのは各国の要望でございます。その要望にこたえたことと、それからまた、自分自身の問題としてこの問題を解決せざるを得なくなったところへ追い込まれたことでもございましょうが、そこでとられたのが今度のニクソン政策ということだろうと思います。したがって、まず目的は第一に、アメリカのやはりインフレを押えるということのためには、賃金、物価の凍結というなかなかできない思い切った政策もとりますし、国費も四十七億ドルという削減もしますし、対外援助もここで思い切って切るというようなことをやりますし、さらに、失業の解決ということを中心にして、自動車の物品税の減税とか、あるいは税制による減税の一年繰り上げとか、いろんな内政的な措置をとるということで、これらはやはりアメリカの国際収支の改善には相当役立つ政策でございますので、その点に関する限り、各国ともこのアメリカ政策というものを相当高く評価している。この点については、アメリカもある程度やるべきことをやり出したというので認めておりますが、問題は国内政策じゃなくて、対外政策として、ドルと金の交換を停止するという措置と、サーチャージを一〇%課する。これはガットの違反でもあるし、また、IMF体制というものを根底からゆすぶることでもあって、この点は困るといって遺憾の意を表しているのが、各国共通の態度でございまして、その問題を中心にして、それ以後再三国際会議が開かれて、この問題の協議をしているということでございます。
  631. 渡辺武

    ○渡辺武君 大臣、ニクソンのドル防衛政策の対外面について、一言、一つ落としているんじゃないですか。国際的に平価調整を望んでいるという問題について、どうですか。
  632. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) したがって、このドルと金の交換を停止するというようなことから国際通貨の動揺というものが起こりまして、そして各国はついに、各国とも形は違うところがございましても、ほとんど固定為替制度というものが一時停止されて、全部変動為替相場制に移行したというようなことになってしまいまして、この解決をどうするかということでございますが、結局、ある程度ドルを安定させなければこの国際通貨問題は解決しないということで、ドルの安定のためには、各国共同の負担によってアメリカの赤字をなくすることにこれは協力しようと、ここまでは各国の態度が一致しておりますが、さてそのアメリカの赤字の内容は、先ほど言われましたように、アメリカ自身で解決さるべき問題もございますし、またアメリカの各国に対する二国間で解決すべき問題も残されておる、またアメリカが商業べースで長期資本を流出させる、これもこの責任を各国が負うわけにいかぬというので、国際協力によってアメリカの赤字を調整する幅というものをどのくらいにしてこれに協力するかという作業を行なっているのが、いわゆるOECDの専門部会ということで、一応の作業が済みましたが、各国がこれについて、なかなかその数字について合意するに至らないで今日に至っていると、こういうことでございます。
  633. 渡辺武

    ○渡辺武君 ドル危機のこの最大の原因であるベトナム侵略戦争、あるいはそれを中心とする戦争と侵略の政策、これをやめるというようなことを、ニクソン言っておりますか、ドル防衛政策の中で……。
  634. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) アメリカの国内政策はアメリカの責任において処理してもらうということで、各国が協力すべき赤字幅は大体どれくらいかということのめどをつけて、その範囲の多国間協力をやりたいというのが、いまの国際間の方向でございます。
  635. 渡辺武

    ○渡辺武君 それは非常に大きな問題じゃないですか。ベトナム侵略戦争をやめるということを、一言もニクソンは言っていない。そうして、まさにそのベトナム侵略戦争を最大の原因として起こっているドル危機、これをよその国の負担で解決しよう、そうしてベトナム侵略戦争は依然として続けていこうというのが、八月十六日のニクソンのドル防衛政策の根本じゃないですか。どうですか。
  636. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) アメリカの要望しているいわゆる赤字幅というものの中にどういうものが入っておるか、これははっきりいたしませんが、しかし各国とも、いまの数字は少し大き過ぎるということで、どの国も合意しないで、そのままになっているというのが実情でございます。
  637. 渡辺武

    ○渡辺武君 ニクソンのドル防衛政策の中でどう言っているかということです。それをお答えいただきたい。
  638. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ニクソンのドル防衛政策の中で、国内政策はこれはアメリカにまかせるべきものであるという立場で、そのほかについて協力する限度を各国は相談しているということでございます。
  639. 渡辺武

    ○渡辺武君 各国の立場を聞いているんじゃないのですよ。各国の立場じゃないのです。ニクソンのドル防衛政策の中で、ベトナム戦争やめるというようなことを言っているのか、ということを伺っている。質問に直截にお答えいただきたい。
  640. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ニクソンの政策の中では別にそれに触れておりません。
  641. 渡辺武

    ○渡辺武君 それを早くお答えいただけば早く進むんですよ、時間が。言ってないでしょう。あなたのおっしゃった国内政策、インフレ抑制その他、これらについても、戦争政策やめるなんていうことは一言も言ってない。これについては問題ありますけれども、時間を節約する上で触れません。  さて、その対外政策、大臣もおっしゃっておったように、金とドルの交換を停止したために、各国とも為替の変動相場制に移らざるを得なくなったということは、つまりそのことによって、たとえば日本の場合では、円を切り上げさして、そうしてこのドル危機の責任日本になすりつけようという、あるいは輸入課徴金についてもそうでしょう、各国に対する平価調整、これを盛んに交渉し始めているということも、すべてこれは、他国の犠牲によってこのドル危機を解決しながら、ベトナム戦争を続けようということじゃないですか。どうですか。
  642. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 米国が、国際収支の赤字をこのままに過ごすということは、基軸通貨国としてできないという限界にきたための今度は処置でございまして、それによって、いま言われている政策以外に、ベトナム政策をどうするかとか、そのほかの対外援助政策をどうするかというようなものは、これからの、これからアメリカ自身がきめる問題であろうと思いますが、今度の政策の中では、お説のように明示してありません。
  643. 渡辺武

    ○渡辺武君 いまの御答弁ではっきりわかりますけれども、ニクソンの政策というのは、まさにそういうものだ。−軍事の面でもニクソンは、例のグァム・ドクトリン、ニクソン・ドクトリンというのを発表している。そうして他国の負担、特に日本の負担でアジア侵略戦争を続けていこう、アジア人をアジア人と戦わせようというのがニクソンのドクトリンです。経済の面でも、まさにそのベトナム侵略戦争から起こったドル危機、これの負担を他国になすりつけて、そうして他国の犠牲で解決しながらベトナム侵略戦争は続けていこうということ。八月十六日のニクソンのドル防衛政策、その本質は、まさにそこにある。あなた方は、そのニクソンのベトナム侵略戦争、これをやめるということを一言もおっしゃっておらない。そうして、ニクソンのドル防衛政策に協力するという立場をとっておられるのじゃないですか。どうですか。
  644. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そこで、さっき言いましたように、他国の内政については私どもは何とも申しません。ただ、それはアメリカ自身の責任としてまかせておく。しかし、基軸通貨であるドルをこのままにしておくことは、世界各国の経済を不安にさせて、経済の発展を阻害し、世界経済を縮小させる危険性を非常に多く持っておるものでございますので、適当な、妥当な幅の協力をしようということでございますので、妥当な幅ということは、もう言わなくてもおわかりだと思いますが、いろいろの要素を持っておると思います。
  645. 渡辺武

    ○渡辺武君 いまの御答弁は論理の飛躍ですよ。基軸通貨の安定がなければ世界経済の安定があり得ないというのは、これは自明の理ですよ。しかし、そのことから直ちに、ドル危機の責任を各国が分担して、日本が円を大幅に切り上げる、その他、というようなことに直ちに結びつけることはできない。まさに、その基軸通貨であるドルの危機の原因がベトナム侵略戦争から起こっているならば、なぜ基軸通貨の安定のためにベトナム侵略戦争をやめろということを要求しないのですか。これは他国の内政に対する干渉じゃない。アメリカの責任上、日本にいろんな被害を及ぼしてくるのを防ぐためにも、日本政府の義務としてもやるべきじゃないですか。どうですか。
  646. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 各国とも、いまベトナム戦争を米国に遂行させる、そのために起こる赤字を分担しようということを考えているところはございませんで、赤字の分担は、そういうもののない妥当な部分の分担をしようというのが、いま国際間の、一応いままで何回の会合でもきめられている方向であるということだけははっきり申し上げます。
  647. 渡辺武

    ○渡辺武君 大臣、そんなことをおっしゃったってだめですよ。あなた、いままでいろんな国際会議に出られて、アメリカのベトナム侵略戦争がドル危機の原因だから、基軸通貨国の責任としてもこういうばかばかしい政策をやめるべきだなんて、一言も言ってないじゃないですか。それを言わないでおいて、アメリカの国際収支の赤字を、これを解決するために各国がどのくらい分担したらよかろうかということを、あなたは盛んに強調しておられる。結局これはアメリカの思うつぼにはまっている。日本の大蔵大臣が国際会議の舞台でアメリカの別働隊として活動していると思っても差しつかえない、そういう状態、こんな政策はやめるべきだと思いますが、どうですか。はっきりアメリカに、ベトナム戦争をおやめなさい、はっきり言うべきじゃないですか。
  648. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) アメリカ自身の責任において国内政策はきめるべきであるということは、各国がそういう意思表示をしておることは、いま申しましたようにいろいろな意味を持っておりまして、その一つの中に、そういうものも当然入っておることであろうと思います。
  649. 渡辺武

    ○渡辺武君 それは国会答弁で、何とか言いのがれようと御答弁なさっておるのじゃないかという気がしますね。先ほども佐藤総理が言っておられますように、ベトナム侵略戦争をやめろなんということは言わぬという趣旨も含めて、アメリカの国際収支の赤字の中で特に貿易収支が大事だというようなことで、もうアメリカの言い分をそっくり自分の言い分として、何とか努力するという方向を打ち出しておる。国内政策と言ったっていろいろあります。先ほど大臣強調されておるように、やれインフレだとか、あるいはまた財政の赤字を削るのだとか、いろいろある。しかし、肝心かなめのべトナム問題については一言も言っていないじゃないですか。それはどういうわけですか。はっきり言ったことはありますか。
  650. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大蔵大臣と渡辺君とのやりとりだけではどうも話が進まないようですが、私は、ニクソン大統領自身が訪中、北京訪問を発表した、その際に、一体どういうようなことを考えて北京へ出かけるだろうか、これはやはり世界が緊張緩和の方向に動いた一つの証左ではないか、また平和への願い、そういうところにやはり解決の道を見つけるのじゃないか、こういう意味でニクソン訪中、頭越しだと、かように言われますが、頭越しの訪中ではあるが、そういう意味でこれを歓迎するということを申し上げております。直接の関係はないが、やはりベルリン問題まで、実は多分の影響を与えておる。ここらにもやはり緊張緩和の方向のものがあらわれてきた、かようにいわれております。また、私がいま、直接ベトナム問題にこそ触れませんけれども、おそらくニクソン大統領が訪中すれば、ベトナム戦争についての話し合いも、台湾問題と同じように出てくるのではないだろうか、そういうことも実は期待する一つでございます。私は、そういうような点をもやはり考えておかなければいかぬのではないだろうか。また、そういう意味からも、われわれが横からワシントンに、いろいろサゼスチョンをすることも可能な立場でございます。まあ、最近の状態ならば、ずいぶん日本を訪問する米国の要人、これはもう政治家ばかりじゃありませんし、あるいは議会人、さらにまた実業界からも、それぞれの要人が日本訪問をされます。私はそういう場合に、ただいま言われるような点にも触れるべきじゃないだろうか、かように思いますし、そういう意味で、先ほど来の渡辺君と水田君の論戦を実は静かに聞いていたのでございますが、あまり同じところに定着してはどうもまずいように思いますから、私の感じ方を率直に御披露いたしまして、そうしてこの話は進められるならば次を進めていただきたいと思います。
  651. 渡辺武

    ○渡辺武君 経済の論議に政治の論議が入ってきましたけれども、いま総理の言われた政治問題、これもやはり事実と違っていると思いますよ。ニクソンは、なるほど総理の頭越しに中国へ行かれる。びっくりぎょうてんされたと思うのですけれども、しかしこのニクソンの訪中も、これは総理の言っているように単純に緊張緩和というようなことをめざしてやっているのじゃない。むしろこれは、大きな社会主義国である中国を引きつけて、そうしてベトナム、朝鮮などの大きくない社会主義国を孤立さして、そしてベトナム、朝鮮を各個撃破でやっていこうという戦略のあらわれだとみなければならない。その証拠には、どうですか、訪中を発表して以来、北爆はさらに強化されている。パリにおける和平会談でも、アメリカ側の態度はますます傲慢になってきているのが実情ですよ。そうして、いまこの経済問題でもあらわれているように、そのベトナム侵略戦争から起こってきているドル危機、これの根源であるベトナム侵略戦争はさらに続けながら、そこからくるいろいろな被害は各国に分担さして、そうして解決していく。これがニクソンの立場ですよ。総理もこの点をぜひよく考えていただきたい。  ところで、水田大蔵大臣は、このニクソンのドル防衛政策に対して、IMF総会での演説の中で、真剣な努力のあらわれとして評価するというふうに演説しておられる。佐藤総理大臣も所信表明の中で、「自国経済再建に懸命な米国政府の努力を理解する」ということを言っておられる。ニクソンのドル防衛政策を、そんなにあなた方称賛されるのですか。これは反対されませんか。どうですか。
  652. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) さっき言いましたように、ドル防衛政策については、私どもは、たとえば課徴金の賦課というようなものに対して反対するという態度をとっておりますが、そうでなくて、長い間米国に対して基軸通貨国としての節度を各国としては求めておっても、アメリカはなかなか国内政策に踏み切りをつけなかったというのを、今回、こういう思い切った措置をとるに至ったということについては、さっき申しましたように、アメリカとしては非常なこれは決断だろうと思って、私どもは評価したいと思います。で、特定国の通貨を国際通貨にするということをしましたら、必ずこの国際通貨制度には破綻がくる、矛盾がくるということを早くから各国ともおそれて、そのためにアメリカの責任というものを、ずいぶんいろんな機会に決意を促したんですが、なかなかそれがいままでできなかったということですから、私どもとしましては、今回の措置は非常にアメリカとしてはこれは真剣な決断であったというふうに評価しております。
  653. 渡辺武

    ○渡辺武君 総理はどうですか。
  654. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大蔵大臣が答えたので私からあまりつけ加えるものはございませんけれども、やはり問題は、先ほど来ここで議論がかわされておりますように、自分の国のことは自分がまず先頭に立って解決する、その熱意がなくてはそれは他国の援助はなかなか得られないと、このことははっきりしております。したがって私は、ドル防衛の一連の施策のうちで特に物価、賃金の凍結をした、これは九十日にしろ、またその期限が来た後にどういうことをするかという、そういう意味で深い関心を私は持っておりますが、これなぞはほんとに思い切った処置であったろうと思います。なかなかできることではございません。容易なことではないと、また金の兌換停止あるいは輸入課徴金の制度、非難を受けることはわかっていると、わかっててもさような状態をやったと、こういうことは、これはほんとに思い切った処置だと、かように私どもも考えるのでありまして、この原因がどこにあるにしろ、とにかくアメリカは思い切った処置をしていると、それはすなおにその処置だけは評価してしかるべきじゃないかと、かように思います。
  655. 渡辺武

    ○渡辺武君 理屈は聞きましたけれども、肝心の御答弁がないんですよ。このドル防衛に協力されるのかどうなのか。どうですか。それとも反対されるのか。
  656. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまのような国際情勢のもとにおきましては、一国の経済、それもしかもアメリカのような大国、その経済が正常でない場合においては、国際貿易に及ぼす影響は非常に大きいと、かように思わざるを得ないのであります。私は、日本のような、みずからがやはり貿易によってこの国を打ち立てている、そういうところを考えますと、この状態が長く続くことは双方にとりまして適当な方法ではないと、かように思います。それかといって何らの批判なしにこれに協力しろと、かように言われても、それはできないこと、これもまた御承知のとおりであります。私どもは、そういう意味で多数国が、アメリカの今回とった処置、しかも国際基軸通貨であると、そういう立場から、アメリカのとった態度、これが各国に影響を及ぼしておりますから、そういう間において十分意見を交換して、これが援助というよりもわれわれの防衛、自己の利益防衛のためにも早く処置をつけるべき、結論を出すべき、そういうものだと、かように考えております。
  657. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、いままでのこの御質問を通じて明らかになったことは、ドル危機の最大の原因であるベトナム侵略戦争の問題については事実上不問に付して、そうしてそのことから起こるドル危機の解決、これには協力する立場をとるということになりますね。どうですか。
  658. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) さっきから申しましたように、不問に付すということではございません。われわれの協力のしかたによって、これは事実上、このいまのアメリカの政策はそういう点においてはとり得ないことになるでありましょうし、またいつまでもアメリカが国際収支の赤字を出すようでしたら、ひとりアメリカの問題じゃなくて、これは各国の問題になることでございますから、それをおそれて、アメリカの責任はこのくらいと、各国は自分の問題として共同で分担しようという、責任をこの程度にしようという相談が始まっておるわけでございますから、不問に付しているというわけではございません。
  659. 渡辺武

    ○渡辺武君 不問に付さないとすると、いつかこれは要求されるんですか、アメリカにそういうことを、ベトナム侵略戦争をおやめなさいということは。
  660. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) もういろいろな機会に、アメリカ自身の責任においてこのアメリカの財政赤字を早く解決して、国際収支の赤字問題をアメリカの責任において片づけてほしいということは、一連のそういうものとの関連において各国とも主張しておりますし、現に今回の日米合同委員会においても、日本側から、アメリカの国内政策としてこの問題においてアメリカの責任の分野は果たしてもらいたいという主張を私どもはしておることでございます。
  661. 渡辺武

    ○渡辺武君 そういうアメリカの責任で解決するようにというような抽象的な表現じゃ言っているかもわからぬですね。私も読んだことあります。しかし、何回も申しますように、最大の原因はベトナム侵略戦争にあると、あなた自身も認めている。その点については全くいままでただの一言もアメリカに言ってないんじゃないですか、そのことを、やめなさいということを。どこかの会議で公式に言ったことありますか。
  662. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 公式というのはどういうのか知りませんが、いろいろな協議の場においては、やはりそういう話は当然出てまいります。
  663. 渡辺武

    ○渡辺武君 いままでの十カ国蔵相会議、IMF総会あるいは日米貿易経済合同委員会、最近だけでもたくさんの国際会議があった。どの会議で、どういう場面で、あなた、そういうことを言われましたか。
  664. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 会議においては、途中で会議を抜けてコーヒーを飲む自由時間がございますし、そういうときのいろいろな話としては各国ともこういうものは話題として出ておりますし、こういう問題は、いまあなたのおっしゃられるような明快なことばを使わなくても、各国の会議において、みなが何を言って、何を求めておるかということは、もう自明の理になっておることでございます。
  665. 渡辺武

    ○渡辺武君 コーヒー飲みながら雑談の中で出たという話で、これじゃ話になりませんよ。あなた雑談しに行ったのじゃないでしょう、国際会議に。ちゃんと公式の代表として行ったのでしょう。公式の会議で、日本政府を代表して発言すべきですよ。それをやってないということは、事実上アメリカにそういう要求をしてないということじゃないですか。しかもいまの御答弁の中にもはっきり出ておりますが、基本的にはニクソンのドル防衛政策に協力するという立場で、円も変動相場制に移す、その他等々、あの繊維協定の締結も、これも国内でごうごうたる非難があるのにもかかわらずやっている。一体そういう立場をとっている原因、根源はどこにありますか。私は日米安全保障条約にあると思いますけれども、どうですか。
  666. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 日米安全保障条約、これは私どもたいへん高く評価しておる問題であります。また、各政党によっては、日米安全保障条約は害あって益なしと、こう言う方もあります。私は、むしろそのほうの立場に立っておられるのが共産党ではないか、かように思いますので、これはちょっと私、それと結びつけて御批判を受けましても、ちょっと立場が違うというその一言で私の答弁は終わるようでございます。
  667. 渡辺武

    ○渡辺武君 立場の問題を聞いているのじゃないのですよ。いまの政府の円切り上げその他でとっている立場、その根源には日米安全保障条約があるのじゃないかということを伺っておる。
  668. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 直接関係はありません。
  669. 渡辺武

    ○渡辺武君 それじゃ、日米安全保障条約の第二条をどなたか読んでいただきたいと思います。
  670. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 第二条、「締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによって、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」
  671. 渡辺武

    ○渡辺武君 聞かれたと思います。その最後の「両国の間の経済的協力を促進する。」という条項、これに基づいて円の問題、ドルの問題あるいは繊維協定の問題、自由化の問題、これらの問題が両国でいろいろやられているのじゃないですか、どうですか。外務大臣どうですか。
  672. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) その第二条ですね、これに二つのことを言ってあると思うのです。一つは、日米は相協力して世界の経済政策、これに貢献をする、こういう内容のことですね。それからもう一つは、日米は相協力して日米相互の経済の伸長発展をはかる、こういう二つのことを言ってると思います。そこで、いま日米両国は、まさにそのとおりのことをやっておるのです。やっておりますが、やっておりますから、まさにその条約第二条に該当するということになりますが、しかし、何も第二条を意識してはやっておりません。わが国が置かれておる国益、そういうことを考えますと、やはり大国アメリカ、つまりアメリカとわが日本の経済力を合わせますと、先進国社会におきまして六割の経済力になるわけです。この二つの国が協力する、これは世界経済の安定に大きな影響力があるわけで、まず当然それをやるべきである、これは日本立場でなければならぬ。それから日米両国が協力してお互いの利益をはかる、これもまた当然のことである。当然のことがまた日米安保条約第二条に書いてある、こういうことであります。
  673. 渡辺武

    ○渡辺武君 それでは伺いますけれども、あなた方が出席されて、九月の上旬、アメリカとの間で日米貿易経済合同委員会を開かれた。その席で、この国際通貨の問題、特に円の問題、あるいはまた自由化の問題、あるいはまたアメリカに肩がわりしてのアジア諸国への援助の問題、その他等々、一連の日米間の経済関係の問題が論議された。その立場に立っていままで政府は政策を進めてこられた。その日米貿易経済合同委員会が、これが安保条約第二条に基づいてつくられておるというふうに思いますが、どうですか。
  674. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) それはそのとおりであります。
  675. 渡辺武

    ○渡辺武君 念のために一この日米貿易経済合同委員会についての、日米間で池田総理大臣とケネディ大統領が共同コミュニケを出しております、同時にまた、これに基づいて当時の小坂外相とアメリカのラスク国務長官とが交換書簡を出している。それを念のために読んでいただきたいと思います。  池田・ケネディ書簡については該当個所だけでいいです。
  676. 平原毅

    政府委員(平原毅君) それでは、一九六一年、池田総理・ケネディ大統領共同コミュニケの関係部分をお読みいたします。「大統領と総理大臣は日米両国の提携が強固な基礎の上に立っていることに満足の意を表明した。両者は両国間に存するこの提携を強化するために貿易および経済問題に関する閣僚級の日米合同委を設定し、これによよって相互協力および安全保障条約第二条の目的達成に資することに意見の一致をみた。」、以上でございます。
  677. 渡辺武

    ○渡辺武君 もう一つ、これは短いものだから全部読んでください。
  678. 平原毅

    政府委員(平原毅君) それでは次に、小坂外務大臣とラスクとの交換公文を読みます。   書簡をもつて啓上いたします。本長官は、アメリカ合衆国大統領と日本総理大臣との間において、日米両国政府が相互に関心をもつ経済問題に関し両国政府間の協議を行なうための取極を具体化することが望ましいことについて最近討議されたことに言及する光栄を有します。これに関連して、千九百六十年一月十九日にワシントンで署名されたアメリカ合衆国と日本国との間の相互協力及び安全保障条約の第二条において、「締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」と両締約国が合意したことが留意されました。この討議において、経済政策に関する主要な責任を有する両国の閣僚間に定期的な協議を行なうための委員会を設置することを両国政府が希望していることが明らかになりました。   よって、本長官は、両国政府が次のとおり合意することを提案する光栄を有します  (a) 貿易及び経済問題に関する日米合同委員会を設けること。  (b) 委員会は、      アメリカ合衆国については、国務長官、財務長官、内務長官、農務長官、商務長官及び労働長官      日本国については、外務大臣、大蔵大臣、農林大臣通商産業大臣、労働大臣及び経済企画庁長官      並びにいずれか一方の政府が必要に応じて随時任命する閣僚級の他の政府職員から構成されること。  (c) 委員会の任務は、次のとおりとする。   (1) 両国間の経済協力を促進する手段を検討すること。   (2) 特に、相互に利益のある貿易の継続的な拡大に悪影響を及ぼすような問題及び共同の検討を必要とする両国の経済援助計画に関する問題について情報及び意見を交換すること。   (3) 両国の国際経済政策におけるくい違いを除き、経済的協力を一層十分に行ない、及び貿易を振興するため、適当かつ必要と思われる措置に考慮が払われるようにそれらの討議についてそれぞれの政府に報告すること。  (d) 委員会は、年一回又は両国政府が必要と認めるときはより多く会合すること。  (c) 委員会は、合衆国及び日本国で交互に会合し、合衆国で開かれるときは、合衆国国務長官又は合衆国政府が指名する他の委員が議長となり、日本国で開かれるときは、日本国外務大臣又は日本政府が指名する他の委員が議長となること。   本長官は、日本政府が以上の提案に同意されるときは、この書簡及びその旨の閣下の返簡が両国政府間の合意を構成すること並びにこの合意は本日効力を生じ、いずれか一方の政府がこの合意を終了させる希望を書面により通告する時まで引き続き効力を有することを提案いたします。   本長官は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。    千九百六十一年六月二十二日     アメリカ合衆国国務長官 ディーン・ラ    スク   日本国外務大臣 小坂善太郎閣下  以上が書簡でございまして、返簡は、   書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、貿易及び経済問題に関する日米合同委員会の設置を提案された本日付けの閣下の書簡に言及する光栄を有します。   本大臣は、日本政府がこれらの提案に同意し、かつ、閣下の書簡及びこの返簡が両国政府間の合意を構成すること並びにこの合意は本日効力を生じ、いずれか一方の政府がこの合意を終了させる希望を書面により通告する時まで引き続き効力を有することに同意することを閣下に通報する光栄を有します。   本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。    千九百六十一年六月二十二日             小 坂 善 太 郎   アメリカ合衆国国務長官 ディーン・ラスク   閣下  以上でございます。
  679. 渡辺武

    ○渡辺武君 九月上旬に開かれた日米貿易経済合同委員会は、こういう公式の日米間の協定に基づいて開かれているんじゃないですか。
  680. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでございます。
  681. 岩間正男

    岩間正男君 関連。
  682. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 簡単に願います。
  683. 岩間正男

    岩間正男君 先ほどから、意識してやってないと言うのですね。ところが、もうちゃんと機構の上でも組織的にやっているんじゃないですか。だから、意識してやってないというさっきの御発言、外務大臣の発言は取り消してもらいたい。取り消さなければいけませんよ。とんでもない話だ。意識してやってないどころじゃないでしょう。機構としてはっきりできているんだ。安保との関連は明確です。第二条の経済協力と切っても切れないでしょう。そういう事態を国民の前に明らかにしないで、そのために意識してやっていませんなんて言うのは、これは全くのごまかしの答弁だと言わざるを得ない。したがって、この委員会の経緯から考えても当然その前言は取り消しなさい。外務大臣、どうでしょう。
  684. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 日米経済合同委員会は、これは安保条約に根源を有するのです。その内容を先ほど、二つあると、こういうふうに申し上げたわけなんです。その内容は、もうまさにわが国とアメリカが当面取り組まなきゃならぬ問題である、もう安保条約を意識するとせざるとにかかわらず当然のことである、こういうことを申し上げたわけです。取り消しはいたしません。
  685. 渡辺武

    ○渡辺武君 それはおかしいじゃないですか。外務大臣、あなたは、安保条約の問題については、アメリカとの間では当面の責任者。その外務大臣が出席している日米貿易経済合同委員会は安保条約に基づいてつくられている。それなのに安保条約を意識しないで出席したのですか、外務大臣が。そうしてそこで日米間の経済関係の問題について討議したんですか。意識しておったのでしょう、どうですか。
  686. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは先ほどから申し上げておるとおり、この日米経済合同委員会は安保条約に根源を有する、こういうふうに考えております。しかし、日米間の経済の二つの問題ですね、つまり国際経済に臨む問題、また日米間相互の問題、これは安保条約を意識するとせざるとにかかわらず、まさにわが国が取り組むべき問題である、こういうことを申し上げておるわけなんであります。
  687. 渡辺武

    ○渡辺武君 いまの、わざわざ読んでいただいた理由は、おそらくそのような答弁をなさるだろうと思ったからわざわざ読んでいただいたのです。この小坂・ラスクの交換書簡、この中に、いま大蔵大臣が言ったようなことをこれ取り扱って主として討議するということをはっきり書かれている。意識しないなんてばかなことないんですよ。その答弁お取り消しなさいよ。
  688. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 取り消す必要はないと思います。
  689. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  690. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をつけて。  本日はこれまでとし、次回は明日午前十時半より開会いたします。  これにて散会いたします。    午後六時二十九分散会