○多田省吾君 私は、公明党を代表して、特に
沖繩基地問題を
中心に、日中問題、経済問題について
質問いたしたいと存じます。
初めに
沖繩返還についてお
伺いいたします。
沖繩は一九五二年のサンフランシスコ平和
条約第三条によって
本土から切り離されたときも、
沖繩県民の意思は完全に無視されました。また、今日の
沖繩返還に際し、重要問題については、またもや
沖繩県民の意向は全く無視されたのであります。すなわち、平和で豊かな島としての返還希望は、膨大な基地つき返還となり、苦心してかちとった自治権は抹殺され、強く反対した軍用地強制収用も、
自衛隊配備も強行されようとしております。
ドルショックによる経済危機も
本土に数倍するものがあります。その上、
本土からの土地投機もすさまじいものがあり、また、干ばつや台風の襲来など、
沖繩県民の方々の苦しみはまさに絶頂に達しております。私は、このような
沖繩県民の意向を全く無視した
返還協定は、交渉をやり直して、真に
沖繩県民の希望する平和な島として返還できる
返還協定に改めるべきことを強く訴えるものであります。(
拍手)
初めに、核抜きの確認について
お尋ねいたします。
核抜き
本土並み返還における核抜きの問題につきましては、
総理のたびたびの発言にもかかわらず、
沖繩返還協定には核抜きが明記されておらず、その上、日米共同声明第八項には「米国
政府の立場を害することなく、」とあり、
アメリカ上院では、これが核兵器再持ち込みの論拠と証言されたこともあり、核抜き、再持ち込み禁止を願う
国民にとってなお強い疑惑が残るのであります。
核抜きの確認について、
政府は二転三転した
答弁を繰り返した末、一昨日、
総理は矢野書記長に対し、「何らかの形で確認を得たい」と
答弁しました。昨日午後の記者会見で竹下官房
長官は「
アメリカ側の声明など何らかの形で
アメリカ側が意思表示することによって確認するなどの方法を模索中だ」と語ったそうでありますが、
総理は、具体的に
アメリカ大統領の声明や書簡の形で確認をとるよう折衝をしておるのかどうか、また、一歩進んで、以前の
答弁のように、
アメリカ軍基地立ち入り検査を
アメリカ側に要請すべきであると思うが、そのはっきりしたお考えをお聞きしたいと思います。
次に、核撤去作業の危険性とその安全
対策について
お尋ねいたします。
わが党は、一昨年の
沖繩米軍基地総点検に引き続き、本年八月以来数回にわたって
沖繩調査団を派遣しましたが、その際はからずも
アメリカ空軍司令本部テキサス州ラン
ドルフ空軍基地発行の核兵器輸送に関連する資料を入手いたしました。この資料には、核兵器を輸送する場合のおそるべき危険性が詳しく述べられております。そのきわめて一
部分を御紹介いたしますと、すべての核兵器はそれぞれ異なった量の核物質、それから通常型起爆薬、さらに高性能爆薬HEで構成されております。衝撃を与えたり気温の影響を受けたりいたしますと大爆発を起こし、放射能の危険も生じます。特に高性能爆薬HEは、ときとして溶けて流れ出し再び凝固する、その上を歩いたり車が走ったりすれば直ちに大爆発を起こしてしまいます。そうして爆発地点から三百フィート内の他の武器や高性能爆薬HEの爆発を誘発いたします。さらに爆風とこの核兵器からの破片の危険は一千フィートまで及び、その範囲内の住民やその他は、爆風や飛んだ破片で生命を失ったりあるいは重傷を負ったりすると書いてあります。さらに二千フィート以内の距離でもきわめて危険な結果を及ぼすと書かれているのであります。さらに、その資料によれば、核兵器の貯蔵や使用や運搬は、もはや少数の米軍基地やミサイル設備所に限定されず、
アメリカ軍の基地内外で絶えず行なわれております。そのため、危険性や処理法などを知っている必要があると書かれているのであります。最も危険性の多いのは、核兵器を積んだところの飛行機事故、核兵器を輸送するトラック、列車、また核兵器の貯蔵されている地域の火災であると書かれているのであります。
すなわち
沖繩における核の撤去は、人口の密集地を通るだけに最も危険であり、さきに行なわれた毒ガス移送以上の注意と安全
対策を考えるべきであります。しかも毒ガス移送でも二回の事故が発生しております。一回は天願桟橋で毒ガスが十数メートルも落下して、たたきつけられております。また、世界で発生した十九回の核兵器事故も、すべて核兵器移送の際に発生したものであります。しかるに、このようなおそるべき危険な核撤去作業を、
国民に一切知らせることなく、秘密の中で行なおうとする
政府の考えは、人道上からいっても断じて許さるべきではありません。
沖繩県民無視もはなはだしいといわなければなりません。ちなみに、核兵器の輸送に際しては、知花弾薬庫からホワイト・ビーチヘ、また南部弾薬庫から那覇軍港へと、二つのコースが考えられます。われわれの
計算によれば、危険な二千フィート以内の
住宅戸数は約一万戸、住民数は約五万人に及んでおります。
政府は、この核撤去輸送の際、いかなる安全
対策、避難
対策を考えておられるのか、また、いかにそれを
アメリカ側に
要求するのか、核撤去費七千万
ドルの積算根拠を含めて、まさに人命尊重の人道的立場から、
総理に明確に
お答えいただきたいと思うのでございます。
次に、米軍基地返還について
お尋ねいたします。
沖繩米軍基地の返還につきましては、
返還協定の付属文書とも言うべき米軍基地に関する了解覚書に詳しく書かれておりますが、この文書はきわめて誤りが多く、欺瞞に満ち満ちたものであります。すでに何回も言われているように、返還される
アメリカ軍基地はわずか七分の一にすぎません。返還時におきましても、
アメリカ軍基地は、
沖繩全域については一二・三%、
沖繩本島だけを考えれば二二%の面積を占めております。したがって、
本土における米軍基地面積の割合の〇・〇八%に比較いたしますと、
沖繩全域では
本土の百五十倍、
沖繩本島は
本土の二百八十倍という基地密度を有しているのが現状であります。基地の中に
沖繩があるという現実は、
沖繩返還時においても何ら変わることなく、
本土並み返還がいかに欺瞞であるかということは、だれの目にもはっきりしたことなのでございます。すなわち、返還されるというC表の基地を見ますと、コザ憲兵隊支署とか、コザ憲兵隊詰所、那覇の憲兵隊詰所の
名前が返還される基地として載っておりますけれども、これはすべて民間のアパートとか店の一部を借りたものにすぎません。コザ憲兵隊支署などはわずか五十平方メートルであり、そして、これらのアパートを返還基地三カ所と、全く水増しして数えております。逆に返還されないいわゆるA表の基地について見れば、嘉手納飛行場は、従来の三つの基地を合わせて一基地と数え、面積は何と二千百万平方メートルもあり、また、嘉手納弾薬庫地区は、従来の九つの基地を合わせて
一つの基地と数え、面積は三千二百七十七万平方メートルに及んでおります。このように、返還されないほうの基地はわざと極端に数を少なくしております。これは、日米両
政府が全く
国民と
沖繩県民を愚弄しているのにほかなりません。しかも、
沖繩米軍基地機能は最近いよいよ強化拡充されつつあり、普天間海兵隊飛行場の増強工事等が進められております。また、核戦略体制保持に最も必要なマッハ三の超音速戦略偵察機SR71は、二機から、この六月に四機に増強されました。毎日午後一時から一時十五分まで、また、夜間にも一機ずつ嘉手納飛行場から飛び立っております。さきにSR71の中国領空侵犯がありました。また、今月も、十二日と十九日に朝鮮領空侵犯がありました。
昭和三十五年五月に、
アメリカ国務省は「
日本国内の空軍基地から情報飛行を行なわない」と声明したことがありますが、
政府は、返還時においては、SR71偵察機の撤去、同じく特殊部隊やVOA放送などの撤去を強く求めるべきであると思いますが、
総理はいかがお考えでございますか。
また、米軍基地了解覚書A表の中に、返還されない基地の中に、すでに撤去されたはずの戦術核兵器メースB基地が三基地も含まれております。しかも、いまだに、発射台ランチャーが中国大陸を目標にしたまま現存しているのであります。これは、将来において再び
沖繩が核基地として使用される
可能性が十分にあり、きわめて危険と言わなければならない。
総理は非核三原則を
沖繩においても堅持するというのならば、返還時において断固撤去を求めるべきではないかと思いますが、
総理のお考えをお聞きしたい。
同じくA表の返還されない基地には、戦術核兵器ナイキ・ハーキュリーズの五つの基地も入っておりますので、これも撤去を求めるべきであります。特に憤激にたえないのは、
日本人オフリミットの米軍専用の海水浴場が二カ所もまだ返還されておりません。
沖繩県民感情からいっても、返還時に
日本人立ち入り禁止の海水浴場があることを
総理はどのように考えておられるのか、お聞きしたいものであります。
昨日も
指摘されましたが、A表の中の返還されない基地には、布令二〇号によらない、基地でない基地が七つも含まれております。そのうちの三つの基地は、すでにこの六月に、市町村との間に契約が切れております。純然たる民間地です。そして、現在でも、各市町村は再契約を強く拒否し続けております。その中の
一つの、名護市の瀬嵩訓練場は、市民の意思による総合
中学校の
建設予定地として、市民は絶対基地反対を唱えております。このような、契約が全然ない民有地まで
総理は基地として強制収用するつもりなのか。逆に、了解覚書ABC表に全然入ってない基地が南部の糸満と那覇市内にありますが、このような誤りの多い欺瞞にあふれる了解覚書は付属文書として
歴史に大きな汚点を残しますので、断じて再交渉して、つくり直すべきであると思いますが、
総理の明確な御決意を
お尋ねしたいものであります。
次に、
政府が
返還協定の関連法案として提出いたしました公用地等暫定使用法案、いわゆる軍用地の強制収用法案について
お尋ねいたします。
政府は、国会
対策上の見地から、米軍基地、
自衛隊用地及び公共用地の取得を一本の法案にまとめておりますが、真のねらいは
沖繩米軍基地の維持であることに間違いございません。しかも、現地の地主が賃貸契約や
政府による買収を拒否いたしましても、向こう五年間は強制的に現状どおりの使用を認めさせようという悪法であり、地主の不服申し立ての権限をも奪う完全な強制収用法案であります。すでにこの法案には、琉球立法院も屋良主席も、また多くの地主も、とうていのめるものではないと強く反対しております。そしてこれこそ
本土との歴然たる差別であると憤激しているのであります。
本土では、土地収用の際には、たとえば成田空港の場合でも、
政府と空港公団の間に県知事や裁判所が入って代執行が行なわれる。形だけでも地方自治のたてまえを尊重しているのに、この
沖繩の軍用地強制収用は、地主の意思も
沖繩県の権限も一切否定しているのであります。しかも、
本土では米軍基地の場合でも暫定期間は六カ月でありますのに、
沖繩では五年間も強制収用するのはたいへんな私権の侵害であり、まさに正気のさたではありません。さらに、
自衛隊の場合には、
本土では強制収用は全く認められていないのであります。
総理は、この軍用地強制収用について、返還の前提であるから了承せよというのでありますが、ここにこそ
返還協定の欺瞞性と
沖繩県民無視があり、
返還協定そのものを再交渉する必要があるのであります。したがって、
返還協定の再交渉と、この軍用地強制収用法案の撤回を強く求めるものであります。この法案は、
憲法第九十五条にいう
一つの地方公共団体のみに適用される
特別法でございますから、当然、
憲法十四条及び九十五条によって住民投票にかけるべきであります。
総理が住民投票を必要ないものとして拒否するのならば、その明白な
理由を示していただきたいのであります。
次に、
自衛隊の
配備について
お尋ねいたします。
沖繩に
自衛隊を大量に
配備しようとするのは、明らかに
アメリカに強制された米軍の肩がわりであり、しかも、最小限度と言いながら、
本土の三倍の密度に当たる六千八百名の
自衛隊配備を考えております。これに
沖繩県民は強く反対しております。世論調査でも、
沖繩県民の五六%の方々が反対しているのであります。
沖繩県民の方々は、あの
沖繩決戦の悲しい思い出もあり、旧
日本軍の悪いイメージも、この
自衛隊配備の反対の
理由になっております。
総理は、
沖繩の方々が、二十六年前、
日本軍によってスパイ容疑で惨殺される、集団自決を強制され、防空ごうから追い出されたというような、数々の悲しい思い出を持っておられ、二度とこのようなことがないようにと平和を強く希望して、そうして
自衛隊配備に反対しておられる姿を知ったならば、どうしていままでのような通り一ぺんの
答弁ができるのかと、私は言いたいのであります。
また、ただいまの
総理は、
西村防衛庁長官が、去る十一日に外人記者クラブで、
アジアの天災救援に
自衛隊の
海外派遣をも考慮するとの
演説を聞かれまして、幾つかの
条件つきとはいえ、まさにこれは見のがすことができない重大発言であります。内外情勢の大
転換期に、しかも
アジア諸国が
日本軍国主義を懸念しているときに、
総理はこのような発言を黙認なさるのか、
総理も同じような危険な考えを持っておられるのか、この際、
総理の考えを明確に
お答えいただきたいと思います。
沖繩経済の
一つとして、お
伺いいたします。
沖繩では、
日本政府の先行きの
政策待ちから、
企業活動を手控えており、職場を失う人が増加し、緊急な
景気浮揚
対策が
本土以上に望まれております。いま
沖繩には、鉄道は一本もありません。そこで、都市交通機関
整備、また雇用促進の面から、
沖繩や
本土の学者、経済人によって、強く
沖繩の鉄道敷設が論ぜられております。すなわち、人口過密な那覇市からコザ市、石川市を通り、将来は北部へと向かっていく鉄道敷設こそ、
公共投資ともなり、将来の平和産業にもつながっていくという有力
意見がありますが、
総理は、
沖繩の方々が強く望むなら、このような提案を積極的に取り入れるお考えはないか、
お尋ねしたいと思うのであります。
次に、日中問題について
お尋ねいたします。
総理は、
所信表明演説で、「
政府は、あくまでも中国は
一つであるとの
基本的
認識に立っている」と言っておりますが、一方、国連の中国代表権については、中華人民共和国を安保理事会常任理事国として確認するとともに、経過的な
措置であろうとも、中華民国もまた国連で議席を維持する方針をきめております。この二つの発言は全く矛盾しており、これは「
一つの中国、
一つの台湾」以外の何ものでもなく、それを
一つの中国であるとの
基本認識に立っていると強弁するのは、全く原則を無視し、
国民を欺くもはなはだしいと言わなければなりません。
政府があくまでも「中国
政策に関する重大な
転換」とか、「中国は
一つ」と言うのであれば、いさぎよく中国
政策の大
転換をはかり、中華人民共和国を中国を代表する唯一の合法
政府と認め、真に国連に議席を与えるアルバニア案に
賛成してこそ、
政府の言う「
一つの中国」ということになるのであります。また、「
一つの中国、
一つの台湾」を意図するものではないとあくまでも主張するならば、
国民の納得する理論的根拠を示していただきたい。また、
総理は、経過的
措置は両
政府の話し合いがつき、円満
解決するまでと言うのは、まさに中国側にげたを預けた、まことに主体性のない消極的な外交姿勢だと思いますが、いかがでございますか。
総理は、一昨日、矢野書記長の
質問に対し、逆重要事項指定方式の採決が敗れても、「国連加盟国の多数による決定と、わが
政府の
政治的責任と、直接結びつけて考えるのは妥当ではない」と述べ、昨日も同じ
答弁を繰り返しているのは、明らかに詭弁であり、責任のすりかえであります。
総理が、
国民の反対、党内の反対をも押し切って、
総理自身が全責任を負って決断し、逆重要事項指定方式の共同提案国となり、国連加盟国に積極的に働きかけたのであります。すなわち、事実上、中国の国連復帰を阻止し続けた
中心者は
総理御自身でありますから、当然、
総理は
政治責任を考えるべきであると、何度でも、私たちは強く叫ぶものであります。再び
総理の
見解を求めます。と同時に、
総理が言う責任回避の
理由を、
国民の納得のいくように説明していただきたいと思うのであります。
総理は、中国敵視
政策をとっていないとしばしば明言されますが、
日本政府は、一九六六年の国連総会以後、国連の朝鮮問題決議の共同提案国として票集めの
中心となってきました。この朝鮮問題決議の中には、
一つは、中国の国連代表権回復を妨害してきた決議として有名な、中国を侵略者として規定した決議が含まれ、また、
アメリカ軍に三十八度線突破を認めたものと佐藤
政府が解釈している決議も含まれております。もう
一つは、朝鮮
政府の国連総会への無
条件出席を妨害する決議も、この朝鮮問題決議の中に含まれております。したがって、
政府は、中国敵視
政策をとらない、中国の国連復帰に同意するというならば、ここではっきりと、今後は国連の朝鮮問題決議の共同提案国にならないと明言すべきであると思いますが、
総理の
見解を
伺いたいと思います。
さらに
総理は、しばしばいかなる国とも仲よくすると申されておりますが、これは、当然
政治体制やイデオロギーを異にした国であっても変わりはないと存じます。韓国と同じく三十六年間、わが国の植民地
政策の犠牲となってきた国、そして現在、南北朝鮮赤十字会談を進めている朝鮮民主
主義人民共和国と交流拡大をはかり、友好
関係をさらに開くお気持ちはないかどうか、お
伺いしたいと存じます。
次に、経済問題で
お尋ねいたします。
社会保障、社会
保険の中で、最も重要な
課題となっている
老人福祉問題で
お尋ねいたします。わが国の厚生
年金は、五年ごとに修正する修正積み立て方式をとっておりますが、積み立て方式は、掛け金がインフレで減価してしまうために、非常に不利になっております。特に世界一のインフレに悩むわが国では、そのために老齢
年金は貧弱となり、厚生
年金で月額二万円程度、
国民年金の十年
年金で月額五千円、積み立てなしの
老齢福祉年金はわずか月額二千三百円という貧弱な姿であります。すでに西ドイツ、フランス、イタリア等は、最終の給料の約七割は保障されており、積み立て方式から賦課方式に
転換しております。わが国でも、
老人福祉のために、六兆円に及ぶ厚生
年金の積み立て金等を活用して、西ドイツや欧米諸国並みの賦課方式の厚生
年金、
国民年金に切りかえて
充実していく気はないか、
お尋ねしたい。
また、消費需要の拡大のため、直ちに
老齢福祉年金を現在の月額二千三百円より五千円に引き上げ、その他各種
年金の大幅
増額、
生活保護費の引き上げなどをはかる必要があると思いますが、いかなる
対策を立てようとしているか、お聞きしたいと思います。
また、
景気浮揚のため速効性をねらって
政府は、所得減税とともに
公共投資に力を入れていますが、従来の
住宅、
道路のみならず、さらに速効性のある老朽校舎や老朽病院の建てかえなどに
重点を置くべきだと思いますが、
総理の御
見解をお
伺いしたい。
最後に、地方財政のピンチについてお
伺いいたします。
今日の地方財政は、長期の
不況と
ドルショックの追い打ちを受け、健全化の一途をたどってきたものが、一転して重大なピンチに立たされております。このままでは、
昭和四十年以上の深刻な財政危機に見舞われることは明らかであります。特に、地方議会の九月
補正予算の中で目立っているのは、米国の輸入
課徴金の実施などで、まともに打撃を受けた
輸出関連中小企業の救済
対策であり、繊維、金属
洋食器、皮革製品など、
輸出中心の地場産業を抱えた府県、市町村では、特別
融資制度を新設したり、
融資ワクを拡大したり、年末
融資の繰り上げなど、積極的な
措置を打ち出しておりますが、このような財源捻出に苦慮しているのが実情であります。したがって、何らかの歳入補てん
措置を国がとらない限り、赤字転落組の地方団体は続出し、一方、
公共事業の返上という事態も
予想されますが、
政府は、地方交付税率の引き上げをも含め、この際、抜本的な税、財源の国、地方との適正配分等を行なう用意があるかどうか、
総理の
所見をお
伺いいたしまして、私の
質問を終わりたいと思います。(
拍手)
〔
国務大臣佐藤榮作君
登壇、
拍手〕