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1971-12-16 第67回国会 参議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月十六日(木曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————    委員の異動  十二月十五日     辞任         補欠選任      矢山 有作君     辻  一彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柳田桃太郎君     理 事                 町村 金五君                 安田 隆明君                 上田  哲君                 水口 宏三君     委 員                 黒住 忠行君                 源田  実君                 世耕 政隆君                 土屋 義彦君                 長屋  茂君                 細川 護熙君                 山本茂一郎君                 足鹿  覺君                 辻  一彦君                 山崎  昇君                 沢田  実君                 峯山 昭範君                 中村 利次君                 岩間 正男君    国務大臣        国 務 大 臣  木内 四郎君        国 務 大 臣  西村 英一君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        首都圏整備委員        会事務局長    川島  博君        科学技術政務次        官        粟山 ひで君        科学技術庁長官        官房長      井上  保君        科学技術庁計画        局長       楢林 愛朗君        科学技術庁研究        調整局長     千葉  博君        科学技術庁振興        局長       田中 好雄君        科学技術庁原子        力局長      成田 壽治君        環境庁自然保護        局長       首尾木 一君        環境庁大気保全        局長       山形 操六君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        厚生省公衆衛生        局長       滝沢  正君        農林水産技術会        議事務局長    加賀山國雄君        水産庁次長    藤村 弘毅君        工業技術院長   太田 暢人君        運輸省航空局長  内村 信行君   事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君   説明員        防衛庁長官官房        防衛審議官    大西誠一郎君        原子力委員会委        員        山田太三郎君        外務省アメリカ        局外務参事官   橘  正忠君        厚生大臣官房参        事官       萩島 武夫君   参考人        日本住宅公団理        事        播磨 雅雄君        原子力委員会原        子炉安全専門審        査会会長     内田 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○連合審査会に関する件     —————————————
  2. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  参考人出席についておはかりいたします。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案審査のため、本日参考人出席を求めることとし、その人選は委員長に御一任願いたいと存じますが、さよう決することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議ないと認め、さよう決します。     —————————————
  4. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 水口宏三

    水口宏三君 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案の中で、具体的には科学技術庁無機材質研究所の、いまの筑波研究学園都市でございますか、あそこへの移転の問題でございますが、実は当委員会といたしまして、先日筑波学園都市を見学してまいりまして、さまざま問題もございますので、むしろ無機材質研究所そのものの問題に入ります前に、無機材質研究所筑波移転に伴ってさまざまな問題をはらむのじゃないだろうかということで、初めに首都圏整備委員会のほうからの問題を御質問したいと思います。  筑波研究学園都市建設法の第二章にございます「研究学園地区建設計画」でございますね。これはまあ法律できまっているはずでございますが、この建設計画が一体いつごろきめられて国会に報告されるのか、それを最初にひとつ伺いたいと思います。
  6. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 首都圏整備委員会……  まことに相すみませんが、水口先生もう一度……。
  7. 水口宏三

    水口宏三君 前段を省略いたしまして、首都圏整備委員長にお伺いいたしますけれども筑波研究学園都市建設法の第二章にございます「研究学園地区建設計画」なるものがいつごろ決定されて国会に報告されるのか、その時期について、まずお伺いいたしたいと思います。
  8. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 筑波研究学園都市建設につきまして、この際、質問以外にもちょっと御報告申し上げたいと存じます。  大体、用地その他土地造成日本住宅公団で行なわれておりますが、九九・九%、用地は済みました。残っておるのは、墓地であるとか神社、そういうところがわずか残っておるだけで、用地は済んでおるのでございます。そこで、あとこの国の機関移転計画あるいは公共事業推進、そういうようなものは各省それぞれの担当で、たとえば土木研究所建設省で、あるいはそれぞれの研究機関はそれぞれの省でやっておるところでございまして、また一般公共事業につきましても、地方公共団体の、茨城県が受け持つものは茨城県でそれぞれやっておる次第でございます。そこで、その推進するために、実は三十九年の十二月の閣議におきまして研究学園都市推進本部ができまして、この推進本部長には、首都圏整備委員会委員長でありまする建設大臣がこれを担当するということになって、各省の連絡をとっておるところでございます。  建設計画ですが、その後、昭和四十五年に議員立法法律ができまして、筑波研究学園都市建設法——これは議員立法でございまして、その法によりまして、建設計画をつくって、そして首都圏整備委員会決定する、並びにその学園都市の周辺の地区計画は、これは茨城県で策定して、これまた首都圏整備委員会で了承を受けて決定するということになった次第でございます。  その計画にはおおよそ三つの事柄がございます。その一つは、研究学園都市建設計画大綱をつくるということ、それから公益事業整備計画の概要をつくるということ、第三には、移転する機関移転計画をつくるということの三つでございます。そこで前者、つまり建設計画大綱とそれから公益事業整備計画二つは、本年——四十六年の二月に、これは推進本部決定をいたしましたが、残る移転機関の問題につきましては、各省でそれぞれの意見がございますので、まだ最終的に決定はいたしておりません。ただいま移転すべきそれぞれの機関各省におきまして詰めておるところでございます。大体はきまりましたが、ざっくばらんに申しまして、厚生省関係がなかなか省議決定になっていないのでございまして、厚生省関係機関決定すれば、ほかの機関大かたその省につきまして省議決定を見ておるのでございまするから、出そろいましたところで、本年——年度じゃなしに本年一ぱいで何とかやりたいと思っておりましたが、少しおくれるか知りませんが、いずれ移転予定機関を近く決定したい、かように思っておる次第でございまして、なお御質問がありますれば、あとひとつ詳しくいろいろ申し上げたいと思います。
  9. 水口宏三

    水口宏三君 いや、簡単にお答えいただければいいのでございますけれども、ここにあります要するに建設計画が、一応首都圏整備委員会としていつごろつくられ、御報告できるのかという時期を伺いたいのです。経過は大体私も資料をいただいてわかっておりますから。
  10. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 政府委員にひとつお答えさせます。
  11. 川島博

    政府委員川島博君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたが、筑波研究学園地区建設計画、これは政府責任において策定をすべきものでございますが、その内容につきましてはただいま大臣からも御答弁ございましたが、もう少し具体的に申しますと、「人口規模及び土地利用に関する事項」、第二に、「移転し、又は新設する試験研究機関及び大学並びに第一条の目的に照らし設置することが適当と認められる機関施設建設に関する事項」……
  12. 水口宏三

    水口宏三君 時期だけ言ってくださいよ、内容はけっこうですから。
  13. 川島博

    政府委員川島博君) 建設計画はだんだんとおくれてまいっているわけでございますけれども、おそくとも年度内には決定をいたしたい、かように考えております。
  14. 水口宏三

    水口宏三君 それでは年度内には大体全体の、この法律でいえば第二章に該当する建設計画年度内には確定されると、そう考えてよろしいわけですね。
  15. 川島博

    政府委員川島博君) そのつもりでおります。
  16. 水口宏三

    水口宏三君 実は今度のこの筑波研究学園都市は、私から申し上げるまでもなく、第一に十万規模の新しい都市をつくる。それだけでなしに、これが一般のたとえば住宅の団地をつくるというのと違って、非常に複雑なそれぞれの研究機関というものをつくっていく。しかもそれには、それぞれの各省責任をもって運営していくという非常に複雑な内容を持った都市ですね。こういうものの建設にあたって、本来なら当然マスタープランが先につくられ、そのマスタープランに従って秩序よく建設されていくのが私はしかるべきだと思うのでございますけれども、すでに無機材質研究所あるいは科学技術庁関係研究所——防災研究所ですか、もうすでに行って、一部仕事を始めている。ところが、ほかはいつ来るかわからない。道路整備も一緒にごたごたやっている。そういう形で、本来これほど複雑であり大規模都市建設について、マスタープランが先にきまらずに、何か適当にやっていくという、逐次なしくずしにやっていくという印象を受けるのでございますけれども、それらの点について、これは特に大臣に伺いたいのでございますけれども、こういういわば世界的にも珍しい都市をつくるにあたって、まずマスタープラン、それをなしに着手したということはどうも納得できない。その点についてどうお考えになっているか、伺いたいと思います。
  17. 西村英一

    国務大臣西村英一君) マスタープランができていないのに、ある機関だけ先に行くじゃないか、それはそういうことはございません。マスタープランはこれはしっかりできているつもりです。細部にわたってマスタープランはできておりますが、そのマスタープランの実行が少しおくれている部分があるわけでございまして、したがって、これはある機関がいわゆる先行して、まっ先に進んで積極的に移っていただいていることはこれは非常にけっこうに思っておりますが、その方々が多少の不便を受けるというようなことは、私も行ってみまして考えられました。たとえば住宅の問題とか、あるいはガスの問題とか、水道の問題とか、そういうようなもので多少の不便はあるかと思いましたが、マスタープランというものはできていると私は思っているんですが、もし欠けているところがあればひとつお聞きしたいと思っているのでございまして、マスタープランはできていると思います。
  18. 水口宏三

    水口宏三君 そのマスタープランというもののきめ方の差かと思いますけれども、現に大臣、先ほど厚生省研究機関のほうはまだきまっていない、年内にきめたいというお話でございますね。事実、各省——これはあとで伺いたいのでございますけれども各省研究機関移転にしても、まだ最近きまったのは非常に多い。それから、マスタープランというのは、だれかがつくったものを青写真にするのではなしに、当然政府責任をもって実施するプランのことを私は申し上げているのであって、それは事実また、先ほど年度内計画大綱をお出しになるんだから、それもまだいままでの計画では多少おくれるんじゃないかと思うんですがね。私の申し上げるのは、いまマスタープランと申し上げたのは、法律できめられている学園都市地区建設計画ですね、これは責任の持てるものじゃないと、意味がないと思うんですが、だれかが適当に書いた青写真というものがマスタープランになるはずがないんで、国が責任を持って実施するプラン、これは法律で第二章のプラン、これができてないわけですよ。しかも、年度内につくるように努力したいというお話であって、そういうものなしにやるというところに私は疑問があるのではないかということを申し上げているんです。
  19. 川島博

    政府委員川島博君) お話のように法定計画としての学園地区建設計画、これはまだ策定をされておらないわけですから、そういう意味におきましては、まだオーソライズした計画はできていない。御指摘になることはごもっともなことだと思います。しかし、筑波研究学園都市建設につきましては、この建設法とは別に、首都圏整備法に基づきまして都市開発区域に指定をされております。この都市開発区域としての筑波地区計画は、本年の三月十五日に政府として正式に決定をいたしておるわけでございます。ただこれは、四十六年から五十年までの五カ年計画でございますので、必ずしも全体の計画期間をおおっているわけではございませんけれども、一応法定計画としては、この首都圏整備法に基づく都市開発区域整備計画策定されております。それから、これは法定計画ではございませんが、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、筑波研究学園都市建設推進本部という政府促進機構設置されておりますが、この推進本部におきまして、本年の二月十九日に建設計画大綱決定をいたしておるわけでございます。これは、大蔵省はじめ関係各省が全部、次官が全部入りました組織体でございますが、この推進本部で、建設計画大綱といたしましてマスタープラン政府機関として決定をみておるわけでございます。そういう意味におきましては、ある程度政府機関がオーソライズしたマスタープランというものは、今日の時点において確立されておる。これをあらためて筑波研究学園都市建設法に基づく建設計画として最終的にオーソライズするという手続きがまだ残されておるわけでございますが、内容的にはほぼ政府計画として固まっておるというふうに御理解いただいてよろしいんではないかと思います。
  20. 水口宏三

    水口宏三君 もしそういうものができていて、ただ手続き上の問題であるならば、私はもっと迅速にこれをつくって、具体的に全体の計画というものを公示することが、これは私は各省移転の問題にしても、あるいは行く人の安心感の問題にしても、そういうものを解消するのに必要だと思う。いまのお話を伺うと、法定のものではなくできているんだ、手続き法定のものにするんだというだけなんですね。何も年度内を待たなくても、少し詰めてやれば早くできたはずなんですね。そういう意味でぜひひとつ至急やっていただきたいという要望です。  問題は、これまでおつくりになったさまざまなプラン、最終的にはこの建設法に基づいてつくられるプランの中で、実施する機関がやはり非常に複雑だと思うんです。たとえば住宅公団が何を受け持つ、あるいは研究所建設はどこがやるとか、あるいは公共施設住宅、その他そういう具体的な実施についてどういう機関が受け持つのかということが、たとえば第二条の一項から八項までさまざまございますが、特に四項、六項、七項、八項、ございますね。こういうプランに基づいて実施する機関というものは、大体もう具体的にきまっているんじゃないかと思うんですが、その点について、概略でけっこうですから、たとえば公共施設ならどこがやるとか、住宅ならどこがやる一すでに土地の買収は公団とか、あるいは道路なり水道下水道、やっていることは見てまいりました。その点はけっこうですけれども、この点ひとつ実施についての責任機関……。
  21. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いろいろな事業ばらばらになっているということの感じはございまするが、まず公共事業、これは建設省でやるのでございます。つまり、道路それから下水道、そういうような公共事業建設省でやります。土地造成その他は、これは日本住宅公団がやります。宿舎、官舎、これは大蔵省の所管で、大蔵省がやっておるわけでございます。その他移転する機関につきましては、それぞれの省で予算を組みまして、そうしてそれぞれの省の責任でやっておる次第でございます。大体そういうことでございます。あとこまかいことがありましたら政府委員から説明させます。
  22. 水口宏三

    水口宏三君 一つだけ答弁が抜けているのは、公共事業はあれですが、公益事業はどうなります。公益事業施設ですね。これはどこが担当するのですか。
  23. 川島博

    政府委員川島博君) 公益施設と申しましても、いろいろあるわけでございますが、たとえば学校でございますが、学校高等学校あるいは小・中学校、こういったものが必要になってくるわけでございますが、学校については、小・中学校は地元の市町村高等学校については茨城県が設置をいたすわけでございます。それから法律によりますと、例示として「保育所病院診療所その他政令で定める施設」となっておりますが、病院につきましては、現在は国立霞ケ浦病院、あるいは医科歯科大学の分院がございますが、これらが当面利用されるわけでございますが、将来におきましては、今回地区内に新設されます筑波大学、これに医学部を設けまして、これに付属病院を付設するということで地区住民利便に供するという構想で、これは文部省御当局でただいま構想を進めていただいておるわけでございます。このほか、電話でございますとかガス等がございますが、電話は、これは私どものほうのマスタープランに従いまして、電々公社がだんだんと計画を進めておりますし、またガスにつきましては、筑波学園都市ガス株式会社というのが昨年新設されまして、この会社が専門ガスを供給する。水道につきましては、大体十万トン程度の用水が必要になるわけでございますが、そのうちの九万二千トンは霞ケ浦から水を引っ張りましてポンプ圧送する、残りの八千トンは、地区内に井戸を掘りまして、地下水で供給することになっておりますが、この水道給水施設は、茨城県が事業主体となりまして水道を敷設いたします。それから圧送をいたしまして揚げた水を地区内に配水する事業、これは関係町村が一部事業組合をつくりまして、配水主体として水道事業を経営する、こういう計画になっているわけでございます。
  24. 水口宏三

    水口宏三君 そのほかに、私どもひとつ気になるのは、当然十万人の都市ということで、特にこのプランを拝見すると、中間地帯にいわゆるセンター商店街をつくりますね。こういうものは民間がそれぞれ自分で、民間人たち自分で家を建てるのですか。それともどこかが一括して建てて、それを分譲するということになっているのですか。
  25. 川島博

    政府委員川島博君) 当地区は、大体将来人口十二万程度と予定されております。したがいまして、相当の町になるわけでございますが、この町の中心市街地といたしましては、過日ごらんになったと思いますが、花室地区に大きな中心市街地をつくりますが、そのほか手代木、大角豆の二つサブセンター造成することになっております。  この中心地域の経営でございますが、大体土地の取得、造成に当たっております住宅公団、これは幸いに各地にニュータウンの造成をいたしておりまして、そういった仕事には最も経験があるわけでございます。したがいまして、将来の人口が十二万という相当規模都市になるわけでございますから、これらの住民のための利便施設については十分サービスが行き渡るように計画を立て、また実施をする必要があるわけでございます。  御案内のように、住宅公団賃貸住宅分譲住宅その他中高層住宅建設を担当しておりますが、将来におきましては、大体この町はお役人が中心の町でございますので、相当公務員住宅おそらく一万戸以上建設されることになると思いますが、むろんこの建設大蔵省が担当されるわけでございますが、そのほか関連産業が当然進出してまいりますから、これらの一般住民のための住宅というものが当然必要になってくるわけでございます。これにつきましては、中心市街地には住宅公団中高層賃貸あるいは分譲アパートを建てて収容するということになりますし、また住宅公団一般宅地分譲用用地造成しておりますから、これらの用地については一部は宅地として分譲される、その上にそれを購入していただいた方がみずから住宅を建てるという場合もございます。それから、ショッピングその他の施設も必要になってくるわけでございますが、これは従来の例で申しますと、上屋を住宅公団建設いたしまして、これは入居者を募集して賃貸するという形式になっておるわけでございますし、また土地だけを分譲して、そこに出店者がみずから建物を建設する場合もございますが、いずれにいたしましても、地区内の需要に十分こたえるようにサービス施設については万全を期すつもりでおるわけでございます。
  26. 水口宏三

    水口宏三君 時間がございませんので答弁はなるべく簡単にしていただきたいのですが、いま私伺うと、住宅については主として公団がやる、一部分は宅地を分譲して、その分譲宅地を取得した人たちが店舗を建てる、住宅を建てるような場合もあると、そう考えてよろしいわけですね。
  27. 川島博

    政府委員川島博君) はい。
  28. 水口宏三

    水口宏三君 それで、これは拝見しただけでも、この都市建設にあたって責任機関として、公共事業建設省土地造成公団公務員宿舎大蔵省研究機関各省公益施設は県が主として受け持つ。住宅については公団、あるいは土地を分譲してそれぞれの取得した人が建てると、非常に複雑な事業になるわけですね。こういう事業をだれかが統括しない限り、私はもうばらばらになると思うのです。たとえば極端な例でいえば、建設資材運搬にしたって、これらの機関がたいしてありもしない道路にかってに運び出したら、建設資材運搬だけだって間に合わないと思うのです。実際にこういう事業全般についての事業実施責任と申しますか、あるいは事業実施についての計画的な指導と申しますか、そういうところはどこがやるのですか。
  29. 川島博

    政府委員川島博君) 先ほど大臣からの御答弁にございましたが、政府は三十九年の十二月以来建設推進本部をつくっております。これは委員長が……。
  30. 水口宏三

    水口宏三君 どこがやるかを簡単におっしゃっていただければいいのです。
  31. 川島博

    政府委員川島博君) 西村委員長委員長になりまして、各省次官によって構成しておりますが、ざっくばらんに申し上げますと、具体的な事業促進について調整を要する問題がいろいろございます。これについては町づくりそのものについては首都圏整備委員会事務局、それから各研究機関配置なりあるいは共同利用施設等、いろいろ問題ございますが、研究機関の合理的な配置並びに研究成果の向上のためのいろいろな施策については、科学技術庁が窓口となって調整に当たる、実際上の仕組みはそういうことになっておるわけです。
  32. 水口宏三

    水口宏三君 いや、私が伺っているのはそうじゃないのです。もう大体プランもできる、こういうふうに、それぞれプランに従っての公共事業はどこどこと、建設責任者はきまりますね。実際事業をやるのは、実際家を建てる人あるいは建てるところは、決して、別に研究機関だからといって厚生省のお役人さんが行って家を建てるわけじゃないのです。当然どこかが下請をするわけでしょう。あるいは宿舎にしてもそうでしょう。そういう形で具体的に、その建設について総合的な具体的な建設事業そのものの総合的な責任者、そういうものを推進していく、調整する人というのは、現場にいなければこれはできないと思うのです。そこらはだれがどういうふうにやるのかということを伺っているのです。
  33. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 総体的な調整をとって推進するというのは、学園都市建設推進本部長でありまする建設大臣がやるのでございます。それであまり支障がない。推進本部長はしたがって各省関係者を集めて、また公益事業をやる方を集めて、時々その打ち合わせをして調整をとっておる次第でございます。
  34. 水口宏三

    水口宏三君 いや、たとえばですね、成田空港に例をとりましても、あそこははっきり一本の公団ができて、すべての建設事業をやっているわけですね。いまのお話のはこれは名目上の責任者である。実際の事業を現場でもってほんとうにこれだけ複雑なものを総合調整するのには、責任者は建設大臣ですと言ったって、建設大臣が年中現場へ行って現場監督できるわけではないのです。そういう点で私も不安なんです。現場へ行ってみまして、そういうことで非常にばらばらに行なわれている感じが強い。  そこで、いつまでそれを追及していてもしかたがありませんので、公団のほうに伺いたいのですけれども公団のほうはすでに土地造成をどんどん進めていらっしゃるわけですね。今後の、計画に従っての土地造成が大体いつごろ完成するのか、並びに、それと並行して、いま伺うと、公団が大体土地造成以外に、一般の公務員以外の住宅についての建設も行なうということでございますが、とりあえず土地造成についての完成の時期をいつごろと見ていらっしゃるのか。
  35. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) 住宅公団が行なっております事業は、御承知のように、一団地官公庁施設といたしまして移転機関のための用地と、それから新住宅市街地開発事業といたしまして住宅市街地のための事業と、それから民間土地も残っておりますので、区画整理事業によりまして宅地造成すると、こういう三つの手法をその土地その土地の将来の利用計画に従いまして使い分けまして事業を進めておるわけでございます。用地の手当ては九九・九%できておりますので、一団地の官公庁施設造成そのものはかなり早くやろうと思えばできるわけでございますが、これは移転機関のピッチと合わせてやっていこうと、こういうふうに考えております。それから新住宅市街地でございますが、これも全面買収でございますので、人口の増加に合わせましてやっていこう、こういうふうなことで、大体で申しまして五二年までに半分くらいは使えるようにいたしたい、そういった感じでやっております。
  36. 水口宏三

    水口宏三君 先日伺ったときは、道路なんかも住宅公団がやっておりますね、道路造成なんかも。
  37. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) 道路公共事業といたしまして、補助対象事業になる道路は、いわゆる事業主体は、県道は県、町村道は町村になるわけでございますが、実際に宅地造成と一体としてやりますので、住宅公団がその仕事を受託いたしましてやっておる。したがって事実上は住宅公団がやっているのがほとんどでございます。
  38. 水口宏三

    水口宏三君 私はそこを伺いたかったのでございます。だから、結局建設大臣はそれぞれこういうような名目をお並べになるけれども、これは法的責任者、名目的責任者かもわかりませんけれども、実際現場でやっておるのは公団事業の下請をやっておるわけでございますね。その上、公団がやっております完成時期が大体五十二年でございますか。
  39. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) 今後の移転計画と合せてまいらなければなりませんが、いまのところ大体半分くらいは五十二年までに使えるようにしたい、こういうめどでございます。
  40. 水口宏三

    水口宏三君 実はそういうふうな、五十二年にはほとんど完成するというお話でございますけれども、すでにこれから議題になります無機材質研究所なり、あるいは大型の国立防災科学技術センターなんかが施設を移しているわけですね。それは当然人も行っている、当然その人たちの生活というのは始まっているわけでございますね。そうすると、全体のプランはまだできていない。それから、おそらく公団のほうでは事業をある程度やって、五十二年を目途にしてやっている。そうして科学技術庁のほうの機関はすでに二つも行っている。非常にちぐはぐな感じがするわけでございますね。それらについて、住宅公団のほうと、先ほど大体こういうプランをつくるときに、さっき伺っただけでも六つもの責任機関があるということに私はそもそも疑問があるのでございますけれども、この六つの責任機関と連絡をおとりになりながら、実際は下請をやり推進していく上で何か問題点はございませんですか。いま私行ってみて非常に何かちぐはぐで、いまできているところに行く人は非常に気の毒だという気がしたのですが、その点伺っておきたい。
  41. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) 住宅公団といたしましては、一応用地の取得と造成を担当することになっておりますので、狭い意味で私たちがやらなければならない仕事という点からいえば、大きな問題は一応解決していると思っておるわけですが、いまおっしゃいましたような上物の移転計画との関係、そういったものにつきましては、確かにおっしゃるような印象もございます。これはちょっと公団のほうで何ともできないところもございますので、首都圏整備委員会のほうで調整に当たってもらっているわけでございます。
  42. 水口宏三

    水口宏三君 たとえばその一つの事例として、これはこの前伺ったときに、大体もうすでに百人くらいの方が行っているのでございますか、その人たちが一応生活必需物資を買うのに、公団のいままでの事務所の一階をつぶして、そこに何かマーケットみたいなものをつくってサービス的にやっている。これは現実にそうですがね。そういう状況というのは、これはどこにその欠陥があるのですか。これは当然研究員が行って、研究を安心してできるような状況をつくることが前提であるにもかかわらず、むしろ公団のほうの特別なサービスによって初めて日常の生活物資が買えるようになるというようなことは、ちょっと私、どうも納得できないのでございますけれども、これは公団を責めるのではなくて、公団のほうはむしろ、本来やるべきところがやらないからサービスとしてやっているのだという実情だと思うのでございますけれども、それらについて公団が各関係官庁とどういうふうに御連絡をとり、それについて各関係官庁がどういうような対応のしかたをしたか、もし伺えれば伺っておきたい。
  43. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) 研究機関移転に伴います入居者対策につきましてはいろいろ問題がございまして、首都圏整備委員会科学技術庁中心になられまして、従来からいろいろ検討が行なわれておるわけでございます。ただいま購買施設お話が出ましたが、一応やはりある程度の人数がまとまりませんというと、やはり一般の商売人は店をお出しにならない。そういうことで、ある程度そういった段階に達するまでは、やはり公団施設の一部をお貸しいたしまして、地元の商店に出店をつくってもらうというふうな形でつなぐよりいたし方ないだろう、そういうようなことで、そういう措置をとるようになったわけでございます。
  44. 水口宏三

    水口宏三君 これはむしろ首都圏整備委員長かあるいは科学技術庁長官に伺わなければならないことでございますけれども、この筑波学園都市の主たる目的が、過密の東京の人口を分散するということに一つあるわけですね。それからもう一つは、研究所をあえてあそこに持っていくということは、研究者のむしろ環境を良好なものにしていく、なおかつ研究所を集中することによって、相互の連関、効果ある研究ができるようにするのだということが一つ目的で始めたと、私理解しておりますけれども、現状ではむしろあそこへ行くことは非常に生活を不便にし、むしろ生活上さまざまな障害が起きてくる、そういう状況で、これがだらだらだらだら続いていけば、先に行った人は決して筑波へ行くことが自分たちの生活環境を良好にしているとは言えないと思うのです。どういう計画か知りませんけれども、せっかく皆さんお考えになっておる学園都市そのものは、研究者にとっては非常に研究のしにくい、生活のしにくい場所になるおそれがあるのです。そういうことを実は感じたのでございますけれども、それらについてのそもそもの原因というのは、最初申し上げたように、やっぱりマスタープランがきちんときまっており、一定の時期に一定の責任者が工事を完成して、そうしてそこへ移れるというようなことをせずに、次々、次々に何となくだらだら送っているところに問題があるような気がするので、最初のところに戻りますが、それらについてこの際、法律に基づく計画をおつくりになるこの段階で、事業実施についての体制というものを一本化し、そして、行けばそこで生活も楽にできる、また研究も少なくとも東京でやっているよりはやりいいのだというような環境をつくるような具体的な事業推進についての新しい体制をおつくりになる、そういう計画をお持ちになっているかどうか、これは首都圏整備委員長科学技術庁長官にお伺いいたしたいと思います。
  45. 西村英一

    国務大臣西村英一君) お説のとおりでございます。やはりいままでの既成市街地にそれぞれいた方が新しい土地移転するのでございます。しかも一ぺんに大ぜいの人が行くわけじゃございませんので、生活上の不便は確かにあると思います。私も行きまして、研究者の方々がひとつ安心して研究ができるように、いままでよりはいい環境でこの研究ができるようにということをつくづく考えました。たとえば住宅にいたしましても、やはり一般公務員の住宅と同じ並みでございまするから、何ら改善はされていない。研究者の方々には、もっといい公務員宿舎を提供できないものだろうかというようなことを考えました。これはまあなかなか容易なことではございませんが。その他生活上の非常に不便があるだろうということはつくづく私も考えましたが、これからそういうことについて注意をいたしていくつもりでございます。新しい研究都市をつくるというからには、何かいままでの都市と違ったことをやっぱりやらなければならぬということを考えております。実は、もう話は余分になりますが、せっかくのあれですから申し上げますと、人口の集中する中央の都市等につきましても、電気、ガス水道その他いろいろな施設がいままでどうも思い思いにやっておったということでございますので、共同溝をつくってこれに敷設して、新しいやっぱり都市計画で皆さま方に不便をかけないようにしたいと思っております。この共同溝一つとりましても、なかなか関係者がたいへん多いのでございまするが、たびたび会議をやりまして、私は各省関係しまして、大蔵省はなかなか共同溝は金がかかりますから、金を渋ります。したがって、私はあしたの閣議にこの共同溝をやるということを提案したい。せっかくの先生の御心配でございまするから、そのようにいろいろ皆さん方に不便をかけないように、新しい都市をつくるようにということを心がけておるのでございまして、今後とも、お気づきの点がありますればひとつどしどし御教示を願いたいと思っておる次第でございます。
  46. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 先ほど来御指摘の点、いずれもごもっともなことだと思うのですが、この学園都市建設のねらいは、先ほど来お話がありましたように、共同研究の推進を効果的にする、そして総合的な研究の結果を効果あらしめるように十分にこの間に連絡がとれるようにする、こういうようなことが私ども科学技術庁といたしましてはねらいの一つであると思うのですが、ところでそのためには、研究者が安心して気持ちよく研究を続け得るような生活環境をつくっていただくということが、これ非常に大事なことである、これはいま御指摘のとおりだと思うのです。こういう点につきましては、建設推進本部長の建設大臣はじめ各位に非常にお骨折りを願っておりまするし、いまも建設大臣からお話がありましたように、今後その点に大いに力を尽くしていこうという御方針を御開陳になりまして、私は非常にありがたく思っております。そういうふうにして、研究者は安心して気持ちよく研究を続けることができ、そうして共同研究を推進し、そうしてまた研究の効果を、総合的にひとつ効果あらしめるようにしていくということが大事だと思うんであります。  私どものほうといたしましてはこういう見地に立ちまして、科学技術研究の総合機関といたしまして、関係各省と連絡協議会をつくりまして、各省移転計画を立てておる機関の意見を取りまとめまして、移転によってよい生活環境ができるようにしてもらいたい、これを建設計画のほうに申し入れて、十分反映さしていただくように努力をいたしておるつもりであります。この建設がだんだん本格化してまいりますれば、今後特に各研究機関の相互の協力、連携を深めまして、先ほど来お話しのように、科学技術庁としては十分にその効果を発揮できるようにいたしてまいりたいと思うのでございます。しかし、こういう大きな新しい計画を立てまして、新しい町をここへつくるというようなことは、なかなかこれはやはり建設に時間もかかるものであります。予算の関係その他もありまして、そう急に完全を期するというわけにはいきませんけれども、先ほど来建設大臣お話しになりましたような方針によって、着々その計画を進めまして、そうして私がさっき申しましたように、研究者が安心して気持ちよく研究に従事し得るような環境をつくっていただきたい、かように思っておるのであります。
  47. 水口宏三

    水口宏三君 いま科学技術庁長官のおことばですね、非常に希望としてはごもっともなんですが、希望どおりにいかないところに問題があるわけたんですね。希望どおりにいかないことについて、私が先ほど来申し上げておりますように、一つは、私はやっぱり事業実施主体が非常にばらばらであるということが問題があるということ、もう一つはこういう研究機関移転するにあたって、各省それぞれ自分の所属の研究機関筑波まで移転するということについては、いろいろ問題があろうかと思います。そういう問題が十分審議されて、大体一定の時期には各省研究機関移転できるという見通しが立って、そうしてそれに基づいて、私はやはりそこで働く人たち住宅なり公共施設その他が一斉につくられていく、こういう形でなければ、まず科学技術庁二つ研究所を持っていった、この次に通産省が二つ持っていきます、その次に農林省が二つ持っていきます、次には厚生省一つ持っていきます。次々継ぎ足したような形にしても、これは私はこれだけの大事業というものは、ほんとうにそこへ行って安心して研究できるというようなことは、ことばとしてはわかっても実際にはできないんじゃなかろうか。私はそこへ行って感じたのは、松林が多くて緑が多いということだけで、あとは非常に住みにくいところだという印象を受ました。  そこで、この事業のスムーズにいかない一つの大きな原因というものは、先ほど申し上げました各省に分かれている研究機関をここに集めようという最初の発想なんですね。この点について各省がはたしてほんとうに同意をし、なおかつそこへ行って安心して研究できるという確信がなければ、おそらく研究者を説得できないと思うんですけれども、現在各省別にそれぞれ予定されております研究所について、時間もございませんので、きょうお見えになっている政府委員の方から、大体いつごろ移転が可能なのか、それをひとつ具体的に、主として時期でございますね、もしそれができないとすれば、どういうことが原因で移転がおくれるのか、あるいは移転ができないのか、ひとつ簡潔に、お見えになっている各省政府委員の方から伺いたいと思います。
  48. 川島博

    政府委員川島博君) 研究機関移転建設につきましては、すでに御案内と思いますが、昭和四十四年の六月十三日に閣議決定をいたしまして、全体で三十六機関移転を予定されておるわけでございますが、昭和四十三年度から四十七年度までの前期五カ年には、科学技術庁の二機関、文部省一機関、農林省おおむね五機関建設省機関、計十一機関建設を開始する。それから後期五カ年、すなわち四十八年度から五十二年までには残りの二十五機関建設を開始するということが閣議で決定をされておるわけでございます。したがいまして、現在はこの閣議決定に沿いまして各省が準備をいたしておるわけでございますが、この閣議決定によりまして、すでに七機関建設に着手しておりますし、来年度予算で新たに建設の着手が予定されておりますのが十一機関ございます。したがいまして、明年度には合わせて十八機関建設が開始されるということになっておる次第でございます。
  49. 水口宏三

    水口宏三君 大体四十四年六月十三日の閣議決定において前期期間に予定されておる研究所は、来年度あたりからすべて着手すると、そう考えてよろしいわけですか。
  50. 川島博

    政府委員川島博君) さようでございます。
  51. 水口宏三

    水口宏三君 では残りました研究機関が何で前期に着手できないのです。
  52. 川島博

    政府委員川島博君) これは各研究機関それぞれの事情があろうと思いますが、この各個別機関の事情につきましては各省から御聴取願いたいと思います。
  53. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 簡単に各機関移転の時期並びに移転のおくれておる理由について御説明を願います。  まず、農林省農林水産技術会議加賀山事務局長
  54. 加賀山國雄

    政府委員加賀山國雄君) ただいまの件につきまして農林関係の現状を御報告申し上げますが、農林関係研究機関は、移転を予定されておりますのは十一機関ございまして、前期・後期に分けておりまして、前期六機関、後期五機関ということになっておりまして、まあ数も多うございますので一々名前をあげませんけれども、六機関につきまして四十七年度予算を要求いたしております。残余の残りました機関は四十八年度着工というので、四十八年度予算を要求する。実際に移りますのは、われわれ五十一年度を中心にいたしまして両三年度というふうに考えております。そこら辺に全部まとまって行きたい、そういうふうに考えております。ただ熱帯農業研究センターは、いろいろな事情がございまして早く移りたいという意向がございますので、あるいは一年ぐらい早くなるかもしれません。大体五十一年度を中心にいたしまして、両三年度で移転を完了いたしたい、かように考えております。
  55. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 工業技術院太田院長。
  56. 太田暢人

    政府委員(太田暢人君) 通産省では九つの研究機関移転予定機関になっておりまして、これが今度の十二月の六日に省議決定されまして移転をするということにきまったわけでございますが、最初から後期の移転機関になっておりますので、そういうぺースで進んでおります。実際の建設の着工は五十年ぐらいから始まっていくことになる見込みです。
  57. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 厚生省萩島参事官
  58. 萩島武夫

    説明員(萩島武夫君) 厚生省は後期に移転をすることになっておりまして、現在四つが予定されておりますが、最近組合の御要望もまとめてみますと、そもそも四つをすでに四十二年当時決定した時期に、組合全員の意向を反映したというような経過が少ないではないかというような理由が一つと、それからもう一つ、最近いろいろお示しをいただきました建設計画大綱とか、公共、公益事業整備の概要とか、あるいは課題の処理についても、だんだん条件が明らかになりましたけれども、その細部についてはまだ不明な点が多い。それで、住みにくいという環境づくりについてもう少し説明をしてほしいというようなことがこの反対の理由でございますけれども、先ほどの推進本部の御要望も含めまして、十二月中になるべく決定をいたしたいということで現在努力中でございます。後期に属しますので、五十二年までの間につくりたいと考えております。
  59. 水口宏三

    水口宏三君 いま農林省、通産省のほうは非常にスムーズに移転できるようなお話なんですが、厚生省お話、私これは非常に真実だと思うんでございます。実際、あそこへ行って研究をするにあたって研究者が一番やっぱり心配するのは、自分たちの生活の問題であり、場所を移転することによって研究がやりやすくなるかどうかという問題だと思うんですね。そういう点について、これは何も厚生省だけではなくして、私の聞いている限り、農林省、通産省でもそれぞれ研究者はそういうことで非常に戸惑っている者がおる、ある場合には反対もしているというふうに聞いております。これらを結局解消して、せっかくの研究都市というものを、もし完成させるためには、私は何と言っても、くどいようでございますけれども、まず全体の計画をはっきり法定のものをつくり、これを実際推進する、具体的に建設する機関というものをもっと明確にしていただくことが非常に重要じゃないかということをあわせて、これは要望いたしておきまして、時間もございませんので、その次、先ほど科学技術庁長官が御指摘になりました、この研究都市をつくることが、首都圏整備委員会からすれば、主として東京のこれは過密都市からの人口分散というふうになろうかと思いますけれども、これも、いまの状況のように一年に百人か二百人ずつの研究者が行く、それに伴って十分な環境施設もない。そういうところで、うっかり民間の商店が行って商売にならない、そういう状況でだんだん進んでいけば、これは私は東京からの、それは研究機関移転したかもわからないけれども人口集中を何らかの形でむしろ解決をしていく手段としては、これは私はもっと、さっき言ったように、一言で言えば一挙にこういうものをつくり、一挙にこういうものをやるという覚悟でやらなければ、だらだらやるということは、これは結局人口集中を解決することにならないという気もいたしますので、その点あわせて、くどいようですが、西村建設大臣によろしく対処するように希望いたします。  それから科学技術庁長官のほうのは、これは私は研究所を一カ所に集めることが、先ほど科学技術庁の長官自身もお話がございましたように、相互の研究機関の連携がとれやすい、なおかつ、そうすることによって研究の効果的な推進をはかるということでございますけれども、これはいま伺っただけでも、科学技術庁研究機関厚生省、農林省、通産省、それぞれいわば本省の計画に基づいて研究が推進されていく、それを横に連携して、ある部分では共通点があるかもわからないけれども、多くの部分ではかなり違った部分がある、そういうものを十分に連携して総合的な研究の効果を持たせるというためには、やはりよほど強力なそういう連携機関と申しますか、そういうものが設置されない限り、これはなかなか困難だということは私から申し上げるまでもない。これはよく言われますように、何も官庁の縄ばり問題だけでなしに、研究者というのはどうしても自己の研究に没頭しやすいものだと思う。そういうことからいって、もし科学技術庁長官がそういうふうにお考えになるとすれば、一体科学技術庁としてそれについて、単なる希望ではなしにどういう具体的なプランをお持ちなのか、それを伺いたいと思う。
  60. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いまお話の点、私まことにごもっともだと思うのですが、そういう意味で私は先ほどもお答え申し上げたつもりなんですが、私どもの立場といたしましては、各研究機関の連絡を緊密にいたしまして、そして研究の結果の連絡あるいは共同研究施設の設備、こういうことに力を入れていきたい、かようにいまのところは考えているわけであります。
  61. 水口宏三

    水口宏三君 いや、連携ということはわかるのですが、具体的に何か機関設置なさるのですか。
  62. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 別に機関を設けるというわけじゃありませんけれども、そこにおけるところの研究機関はおのおの自分の分野における研究をやっておりますけれども、その間において連絡、協調といいますか連絡をはかりまして、そしていくようにしたい、そして情報の流通センターなどをひとつ設けるようなふうにいたしてまいりたい、かように思っているわけです。
  63. 水口宏三

    水口宏三君 それじゃ、事実上科学技術庁がいわば指導、ということばが当たらないかもしれませんけれども、中に立って各研究機関の連携をはかり、相互の情報を交換するようにあっせんをする。科学技術庁としてのむしろ主観的な希望であり努力ということですね。
  64. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いまお話がありましたように、科学技術庁といたしましては研究の相互の連絡調整の機能を果たしてまいらなければなりませんので、そういう意味から、研究結果の流通をはかって、あるいはまた人事の交流などもできればひとつはかっていくようなふうにいたしたい、かように思っているわけでございます。
  65. 水口宏三

    水口宏三君 それじゃ、どうももう一人質問者が来ませんので、かわりにひとつ御質問申し上げたいのですが、そこで、きょう議題になっております無機材質研究所の問題でございますが、先日伺いますと、すでにもう建物も建っておるし、全部ではないらしゅうございますが、相当なものが建っておりますし、その上に研究のための機械設備等も入っているわけでございますけれども、現在の科学技術庁の所属の研究所としては、この無機材質研究所とそれから国立防災科学技術センターですか、二つ移転しているわけですね。この二つ研究所の相互連携と申しますか、これがどうも私が行った限りにおいて、これは関係のない研究なのかどうかわかりませんけれども、必ずしも何か連携されて行なわれているというような印象を受けないのですけれども科学技術庁内部においてすらなかなかそういう研究機関の連絡調整ということは困難だと思うのですが、私は重ねて、むしろ効果ある研究をするためには単にそういう希望的なものだけでなしに、できれば一定の機関をつくって、そこで私は相互に連携をとり、あるいは相互の研究発表をするとか、そういう指導性を十分科学技術庁もお持ちになって、具体的に推進できるようなことをぜひ希望したいと思います。  それと関連いたしまして、無機材質研究所の問題でございますが、無機材質の研究そのものについて私全くしろうとでございますが、いわば国際的と申しますか、具体的にはおそらく西欧諸国との関係だと思いますが、一体日本は進んでいるのか、あるいは大体西欧レベルに達しておるのか、非常に西欧レベルから見ておくれているのか、その点について一言伺いたいと思う。
  66. 田中好雄

    政府委員(田中好雄君) お答え申し上げます。  無機材質研究所の研究につきましては、これと同等のような研究がアメリカにおいてはマテリアル・リサーチ・ラボラトリー、物質性研究所と申しましょうか、そこで行なっておりますし、イギリスにおきましては国立物理研究所、西ドイツではマックス・プランクの協会、こういったようなところで行なわれております。それで、わが国といたしましてはスタートいたしましたのが四十一年でございますが、先ほど申しました三つの国の研究は戦後スタートしておりまして、そういう意味からおきまして少なくとも十年ぐらいはおくれてしまっているというふうに考えられるわけでございます。いま鋭意取り戻すべく努力している最中でございます。
  67. 水口宏三

    水口宏三君 一言で言えば、科学技術庁としても無機材質研究については大いに力を入れなければならない部面だというふうに理解してよろしいわけですね。
  68. 田中好雄

    政府委員(田中好雄君) そのとおりでございます。
  69. 水口宏三

    水口宏三君 この無機材質研究所を私実は先日伺いまして、パンフレットもいただき、その研究のやり方の特色として、いわばグループ研究体制というものをつくり、一定のテーマをそれぞれのグループに与えて、それをある程度完成するとさらに研究員を再編成してやっていくという、そこら辺に、他の分野でも、あるいは医学の分野でもやっている部面もあるかと思いますけれども、とかく研究というものはそれぞれの研究者によって固定化されるものをある程度流動化させる、有効にしていくということで、非常に私感銘深かったわけですけれども、現在の研究員の定員、研究補助員の定員でございますね、いわばそういう人的構成とこのグループ研究体制の組み方ですね、そこらについて具体的に御説明いただければありがたいんですが。
  70. 田中好雄

    政府委員(田中好雄君) 先生御指摘の研究グループ・システムというのをとっておりまして、ただいま十一ございます。この研究グループは逐次、四、五年研究をしまして、成果をあげましたところで報告を出し、それぞれ発表した段階で解散していくわけでございますが、現在各研究グループそれぞれ八、九名から構成されております。それで、八、九名でございますが、そのヘッドになりますのが総合研究官という名前になっておりまして、これが一人おります。その下に三ないし四名くらいの研究員、こういう者がおりまして、そのあと補助員ということになっておりすます。総体で申しますと、研究職が七十九名、その他が補助関係の人間となっておりまして、総計百三十一名でございます。
  71. 水口宏三

    水口宏三君 それから、もう一つ無機材質研究所の特色と思われますのは、私は客員研究官制度、これは一般に、大学の場合なんかですと、民間研究所の研究者が大学の研究室に出張して、そこで一定期間研究をやるということがしばしばあるわけでございますけれども、むしろこういう国立の研究所で、制度として客員研究官制度というものをおつくりになったのは、これは無機材質研究所が最初なんですか。そういう事例がほかにもあるんですか。
  72. 田中好雄

    政府委員(田中好雄君) たしか記憶によりますと、これは初めてではなくて、わりに各研究機関では、多少余裕がありますれば、予算をつけてもらってやっている制度かと思います。ただ、私のほうの無機材質研究所の客員研究官は、先ほど申しました研究グループ、この研究グルーブは八、九名で構成されておりますが、中には非常に分野の特定のものがございます。たとえば合成の研究などというものについては、合成方法の大家が必要でございますが、そういう方は非常にお忙しいわけで、ここに張り付けるわけにはまいりませんので、そういう方を客員研究官として招聘して、それぞれのグループに大体一、二名くらいお願いしておる次第でございます。
  73. 水口宏三

    水口宏三君 いまの客員研究官というものは現在何人ぐらいおいでになるのか。客員研究官として研究に参加していただく以上、当然さまざまな待遇上の問題もあろうかと思いますけれども、それに伴って定員というものがあるのかどうかですね。それとも、あるいはこれは運営費の中から適当に操作して増減できるものなのかどうか。現在員と、定員の有無について。
  74. 田中好雄

    政府委員(田中好雄君) 客員研究官はただいま八名おります。それで定員は別にございません。
  75. 水口宏三

    水口宏三君 定員がないということは、それじゃ客員研究官の、当然これは一日来ていただけば、それは日当を出さなきゃいかぬでしょう、交通費も出さなきゃいかぬでしょうし、さまざまの待遇上の、予算上の問題があろうかと思いますが、これらはどういうように処しておられますか。
  76. 田中好雄

    政府委員(田中好雄君) ただいまのところ、お見えいただきますと、一日につき二千五百円の手当を支給することになっておりますし、地方在住の方が三名おられますけれども、この方には旅費を支給するというやり方でお願いしております。そういうことで、予算の要求によりまして増減は可能でございますし、現にそういうふうにやっております。
  77. 水口宏三

    水口宏三君 もう一つ、いまのお話を伺いますと、結局それぞれのグループの研究所、非常に特殊な研究に当たって、さらに、特殊な部門に助言をいただくとか参加をいただくという意味で、具体的にはそれが民間研究機関の方かあるいは大学の先生かわかりませんけれども、そういう方をお招きになるわけでしょう。そういう方は実際上東京にいる方が大部分なんですね。そういう方の一体交通の問題というのは、いまのようなああいう状況の中でスムーズにいくのかですね。
  78. 田中好雄

    政府委員(田中好雄君) 筑波のほうに移転しましたときのことを考えまして、十分打ち合わせをしておりますけれども、いまのところ、客員研究官の宿舎ども、多少その辺は考えております。それで、十分な手当のできるように考えておりますけれども、これは予算上、いま要求しておる段階にございます。それから、筑波までの旅費は当然要求すべきものでございますので、これはお願いしてございます。
  79. 水口宏三

    水口宏三君 せっかくの客員研究官制度というものを生かすためには、これはそれぞれの御本人によって、職業、立場によって違うと思いますけれども、本来ならば一週間なら一週間、十日なら十日研究にずっと参加をしていただくというようなことが効果的なんじゃないかというように、私、しろうとなりに考えるわけです。単に助言をいただくだけならば、これは研究所のほうからそこに出向いていって話を伺えばいいことであって、実際の施設を使って研究に参加をしていただくとすれば、これは研究項目によりましょうけれども、当然一定期間滞在していただく、そのためには、いまお話しのような宿舎の問題だけでなしに、その方に対して相当な待遇をしなければ、いまの有能な人材の集まっております科学技術庁ですら手に負えないような研究に参加していただくそういう方を、有効に研究に参加していただくということは困難かと思いますけれども、それらの点について、具体的に、どうもこの間伺ったあれでは、職員の方すらちょうど東京の郊外にあるような五階建ての公務員宿舎、あれはまさに東京の郊外の宿舎ですね。それを広々とした松原の中に同じような形の公務員宿舎を建てている。ああいう感覚で、私は客員研究官という有能な方をお招きするということは事実上不可能なんじゃないかと思いますけれども、それらについて具体的にどうお考えですか。
  80. 田中好雄

    政府委員(田中好雄君) 確かに具体的な問題になりますとちょっとむずかしい点もございますけれども、ただいまお願いしております先生方は大学の先生が六名、それから民間の方が二人でございますが、民間の方も、鉄道研究所だとか地質調査所の御出身の先生だとかいうふうに、ほとんど大学の教授相当の方でございます。こういう方は、御自分のやっておる仕事無機材質研究所の研究の仕事とを非常に結びつけて考えていていただきまして、これをやることによって、御自身の研究の上にも十分反映してまいるということで出てきていただいておるわけでございます。それで、先ほどお話のありました研究に参加というかっこうでやっておるのでございまして、助言ではございません。年間一人平均してみますと、約五十日くらい滞在して、いろいろと御指導あるいは研究に実際に参加をしておられる、こういう状況にございます。
  81. 水口宏三

    水口宏三君 年間五十日といいますと、日曜日等を抜かせば、これは相当な期間になるわけなんですね。相当な期間そういう方をお招きして一応研究に参加していただくという以上、これは私はよほど施設の問題を十分考えないと、これはもう、もちろん何も客員研究官だけを優遇しろというのじゃございませんよ。いまの先ほど申し上げたような公務員宿舎に研究者が全部あの形で入るような状況の中で、もちろん研究員そのものも決していい環境とは言えないと思いますし、まして有能な客員研究官を招くということは非常に困難だと思いますが、それらの点について十分今後御留意願うことによって、せっかくそういう制度が有効に使われることを希望いたしまして、一応その点についての質問を終わりたいと思います。  その次に、この研究所の運営ですね。これは運営会議というものがございますね。運営会議というものと所長権限の問題にもなろうかと思いますけれども、そういうものはどういう形で調整されておりますか。
  82. 田中好雄

    政府委員(田中好雄君) 運営会議につきましては、これは無機材質研究所の研究しております研究成果は、自分のところでは純粋なものをつくる、高純度のものをつくるというような仕事に集中しておりますので、それをあと引き受けましていろいろと加工する場合のほうは、国立の研究所あるいは民間機関、こういうことになってまいります。そこで、民間の要望あるいは国立研究所等からの要望がうまく反映し得るような形で運営委員会を運営していくと、こういう状況でございまして、中に入ってまでどうこうということはできない制度になっております。
  83. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) それでは午前中の審査はこれで終わりたいと思いますが、休憩に入る前にちょっと理事会をしておはかりをいたしたいことがございますので、ごく少時間でございますから席でお待ちを願いたいと思います。  午後は十二時三十分まで休憩をいたすことにいたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後零時四十三分開会
  84. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  連合審査に関する件についておはかりいたします。  沖繩及び北方問題に関する特別委員会において審査中の沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案ほか六案審査のため、沖繩及び北方問題に関する特別委員会連合審査会を開催することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  85. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  連合審査会開会の日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  87. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  88. 上田哲

    ○上田哲君 無機材質研究所の問題について御質問をするわけでありますが、質問時間の調整、制約等がありますので、これに関連して一点ABCC問題について御質問を申し上げます。  広島と長崎にあるABCC、原爆傷害調査委員会の問題については、一九四六年十一月、アメリカ大統領指令によってこの施設が設けられて以来非常に長い年月が経過しているわけでありますけれども、いまもってこの施設の目的とするところが十分に把握されていないうらみがあります。この段階で、なおABCCの存続問題がドルショックなどともからんでにわかに浮かび上がってきています。この点について御質問をしたいわけでありますが、最近ABCCについては、主としてドル政策の余波を補てんするための立場で、人件費を中心にする八十万ドルの追加予算、これは四十六年七月から四十七年六月までの分でありますが、これが計上されております。したがって、当面四十七年六月までは存続をするということが、これでもう裏打ちをされることになるのかと思いますが、四十七年七月以降については一体どういうことになるのか、その辺がはっきりいたしません。どのようにお考えになっておられますか。
  89. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) ただいまABCCにわが国の国立予防衛生研究所の支所が置かれております関係上、ただいまの御質問について厚生省の担当であります私のほうからお答えいたしたいと思いますが、先生おっしゃるように、ドルショックによるいろいろの問題がございまして、組合の関係者等の不安がございまして、われわれも直接的な責任はございませんけれども、研究の運営の上にやはり重大な問題でございますので、いろいろな情報を承って関心を持っておるわけでございますが、先生おっしゃるように、本年度といいますか来年七月までの問題の処理はおおむね見込みが立ったようでございますが、基本的にこのABCCを存続するということにつきましては、従来われわれの聞いております範囲は、この研究の成果並びに研究の目的がいわゆる原爆被爆者の人体への影響ということでございます以上、少なくとも今後二十五年程度は継続して研究を続ける必要があるということにつきまして、わがほうのこれに関連のある諮問委員会の先生方の意見も、またアメリカ側の意見も、その点については一致しておるというふうに承っております。
  90. 上田哲

    ○上田哲君 いまの御答弁の中で、直接的な責任はないが、と言われたのでありますが、その部分がどうなっているのかというところが問題のポイントであります。御答弁の中では、今後二十五年間は継続するということについては、日本側もアメリカ側も大体合意しておる、こういうお話でありました。その合意の中身ですね、一体日本側がだれで、まあこれは大体見当がつきますけれども、アメリカ側はどの機関で、いっそういう話し合いになっているのかというところを明確に御説明いただきましょう。
  91. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) その点につきましてはやや説明が不十分でございましたが、公式な研究を今後二十五年継続するというような正式な取りかわしというよりも、厚生省関係の国立予防衛生研究所責任者である柳沢所長とABCCのG・ダーリング所長、それとABCCの親元でございますアメリカの原子力委員会関係の学術会議等の関係者の学者間で、必要性というものは、ただいま申し上げましたような原爆被爆者の影響ということを考えますと、少なくとも当時被爆を受けた人の年齢等を考えますと、今後かなり長期にわたって継続する必要があるという意味で意見が一致しておるという段階でございます。
  92. 上田哲

    ○上田哲君 分けて伺うが、日本側は、これから少なくとも二十五年の研究、したがってその施設の継続ということの必要を認めておられるということですね。
  93. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) われわれのただいまの担当しておる段階では、学問的に設置の目的から申しましても、今後途中で打ち切るということについては、影響の観察その他の研究成果が完結しないわけでございますので、当然これは継続すべきものであるという見解に立っております。
  94. 上田哲

    ○上田哲君 その点については、前の平泉長官がそういう趣旨の、前向きという表現だったと思いますけれども、他院で見解を表明されておられます。新長官としての木内長官がそのような御見解を引き継がれるかどうかというところが一つと、それから、研究の目的が十分に存続すべきであるからと、こういうことでありますけれども、このABCCの研究の目的、内容、これをどのように把握されておられるのか、これを大臣からお伺いしたいと思います。
  95. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 私は、前の平泉長官がお答えしたとおりであると、私もさように考えております。また研究の必要性につきましては、いま厚生省のほうからお答えのあったとおり、私はこの研究は続けていくべきものだと、かように思います。
  96. 上田哲

    ○上田哲君 そこでですね、日本側がそうだと。で、先ほどのお話では、アメリカ原子力委員会等の、あるいは研究者間でと、こういうお話がありました。機関としてはアメリカ原子力委員会ですか、それから研究者というのは具体的にだれですか。
  97. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) アメリカ側は、まあ外務省の関係からの組織の関係、つながりの関係は、正確には外務省からお答えしていただくのが最もよろしいと思いますが、一応われわれが理解しているのは、アメリカの原子力委員会が契約を結んで、学術会議の機関としてABCCが研究を続けておる、こういう形でございますので、柳沢予研の所長が、他の目的ではございますが、今回、本年度になりまして三回渡米いたしておりまして、これらの問題について意見を交換した結果を私は聴取しております。したがいまして、こまかくどういう名前の方という表現は私、いまできませんけれども、総体的な向こうの御意見としては、当然二十年ないしは二十五年継続すべきである、こういう見解であると承っております。
  98. 上田哲

    ○上田哲君 総体としてというのは全体としてということですね、機関としてということですね。——個人的な名前は、交渉経過も大事だと思いますから、後ほど資料で提出してください。いいですね。  そこで伺いたいのは、相手方の機関、先ほどまあ親元ということばをお使いになったが、親元は原子力委員会ですか、それとも学士院の学術会議ですか、ここのところをひとつ明確にお尋ねしたい。
  99. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 御存じのとおり、ABCCのそもそもの設立の段階におきましては、一九四六年の十一月にアメリカの当時の大統領が学士院に対して命令を出しておりまして、その中で長期的、継続的に研究をするということもうたわれております。その大統領の命令、それから一九四八年の四月にアメリカの原子力委員会と米国学士院の間に結ばれました契約書、それに基づいて、ABCCが日本に置かれるという形になっていると了解しております。
  100. 上田哲

    ○上田哲君 ですからね、この広島、長崎のABCCの監督官庁と言いましょうか、向こうの親元ですね、あなたの表現に従うならば。これは原子力委員会なのか、学士院なのか、学術会議なのか、どっちかということです。
  101. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 正確な親元という表現が当たりますかどうかあれでございますが、申し上げましたように、原子力委員会、それと学士院というものが契約を結んで、それから学士院の下に学術会議がございます、それが実施をしておるというかっこうになりますので、まあそれを、親が何人かおりますが、そういうふうなものが上に乗っかっておるというかっこうだと考えております。
  102. 上田哲

    ○上田哲君 そこはそういうふうなあいまいなことでは困るわけですよ。親元という表現があるから親元ということばを使ったのですが、ABCCという——日本にあるABCCは言うまでもなくアメリカの公的機関ですね。そうすると、その公的機関を監督するアメリカの機関というのは、原子力委員会なのか、学士院なのか、学術会議なのかということが出てまいります。念のために申し上げますれば、学士院学術会議は民間機関ということになっております、アメリカでは。オフィシャルな機関としての日本にある長崎、広島のABCCの責任機関というものが、そういう意味で学士院なのか、学術会議なのか、アメリカ原子力委員会なのかということをこの際明確にしていただきたい。
  103. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 直接的な形といたしましては、ABCCは学士院に属して、その一部——学士院が監督をしておるというかっこうになっておると思います。ただその根元というのは、基本は、先ほど申し上げましたとおり大統領の命令に基づいて、それから米国の原子力委員会と学士院というものの契約があるというかっこうなんで、非常に直接的な機関の形と、それからその根元にあるもの、この二つあるのではないかと思いますので、実はその親元というのを一人にきめていいのかどうかが、ちょっとそういう意味ではっきり申し上げかねるわけであります。
  104. 上田哲

    ○上田哲君 これは全然だめですよ。これははっきりしていただかなければならない。もう少し突っ込んだ御説明をあえてこちらからすれば、予算は原子力委員会、管理は学術会議ということになっているはずです。そこに契約書というのが一つあるわけですね。ですから、その辺の関係というのは、法体系的には手続論的にしっかりしていただかないと、先ほど来皆さんが御答弁になっていらっしゃるが、アメリカ側と交渉したとおっしゃる。交渉能力を持っている相手と交渉したのか、しないのかということがそこに出てくるわけです。ですからはっきりしていただきたい。大統領命令によって起きていることは間違いない。それが、原子力委員会が引き受けて、民間団体である学士院学術会議にまかせてそこでやっているということになるのか。あるいは民間団体である学術会議が全責任を負うてやっていることになるのか。そこのところをひとつはっきりしてください。
  105. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 繰り返しになりますが、先生おっしゃいましたとおり、直接の運営に関しては学士院のもとに置かれた機関であると思います。ただその運営の基礎になっているという意味におきましては、法的には、基本的にさかのぼれば大統領の命令であり、それに基づく米国原子力委員会と学士院との契約関係があり、そのもとに、運営について学士院が責任を持ちABCCを監督しておるという形であると考えております。
  106. 上田哲

    ○上田哲君 そうしますと、先ほどお認めになったように、公的機関である日本の広島、長崎のABCC存続についての交渉を日本政府が行なう場合の相手方は、民間団体であるアメリカの学士院学術会議ではなくて、アメリカ原子力委員会ということになりますね。そうでなければ、学術会議と話をしても、存続についての決定をする権能はアメリカの学士院学術会議にはないと理解してよろしいですね。
  107. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 先生御存じのとおり、ABCCが日本で——日本政府側との間てその設置、運営についての了解を遂げましたときに、アメリカ側はアメリカ大使館が出て、日本側の外務省との間で口上書をかわしております。それも一つ政府行為として行なったわけでございます。したがいまして、先生お尋ねのように、今後たとえばABCCについて交渉するとすれば、実態的な、直接的な運営に関する面と、それから基本的な、法的な性格というものに関する政府間としての話と、こういうものがあると思いますが、究極的な責任においてはアメリカの政府機関、したがってそのときに直接的な責任を持つのが原子力委員会でありますかどうか、その辺は米側の問題でありますが、いずれにいたしましても、米側の政府としての立場が当然ABCCの基本的な性格をきめるものと考えております。
  108. 上田哲

    ○上田哲君 ちょっとこのところはあまりやっていたくないんですが、あなたがおっしゃる口上書というのは、昭和二十七年十月二十三日にアメリカ大使館と当時の岡崎外務大臣の間でかわされているものですね。これはアメリカ大使館が相手なんです。けれども、そのもとをたどっていけば、あなた自身がおっしゃったように、いまアメリカの政府機関とおっしゃるのですが、アメリカ政府機関というのはこの場合アメリカの原子力委員会しかないじゃないか。学士院学術会議というものが対抗するということは法的権能に反しますね。そういうことになるだろうということなんですが、その点いいですね、理解としては。もしそうでないならば、日本はこの存続についてだれと交渉しているのかということがたいへんあいまいになってくるわけです。これはとにかく予算上の問題もいろいろあるわけですから、その辺の相手方の責任機関というのはどこであるのかということを明確にしておかないと、学者同士で話し合っているのではこれはちょっと国家間交渉にならない、政府間交渉にならない。そこをひとつはっきりしていただきたい。
  109. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 先生おっしゃいますとおり、究極的なその性格に関しては、学士院の根元でありますアメリカの政府機関、したがいまして、おそらくこれはアメリカ内部の問題になりますが、おそらく原子力委員会が学士院との契約で学士院にやらせている関係上、原子力委員会が向こうの政府部内における責任機関であろうかと推測しておりますが、これは基本的には向こうの内部の問題でございます。
  110. 上田哲

    ○上田哲君 向こうの内部の問題ということではこれは逃げられないわけでして、調べてください。おおよそそれしか理論的にはあり得ないわけですからね。もうちょっと詳しく理論的にいえば、アメリカ原子力委員会と学士院学術会議の間にかわされている契約書があるわけですね。トータルでいえばアメリカ政府ということであって、その中で突き詰めていけば契約書というところに問題がある。その契約書のもとはどこかというと、あなたの表現を使えば、根元である原子力委員会ということになりそうだと思うのです。これは間違いないですね。そういうことになるんだが、その契約書というところに実態があったとしても、交渉をする側からすれば日本政府なんですよ。日本政府が交渉する側からいえば契約書と契約するわけにいかないんだから、それでは学士院学術会議と交渉するのか、原子力委員会と交渉するのかということになれば、原子力委員会しかないんだと、これ以外に解釈のしょうがないと思うのですが、それでいいですね。
  111. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 実際の交渉の相手方、実際にそのときにどういう当事者が出てくるかということになりますと、いろいろその交渉のときの形にもよると思いますが、先ほど先生おっしゃいましたように、昭和二十七年、一九五二年の口上書のかっこうで交渉が行なわれました。したがって、この際は東京でアメリカの大使館を相手に交渉が行なわれているというかっこうになっていると思います。したがいまして、将来もし交渉を行なう場合にどういう形になりますか、これはそのときのかっこうにもよると思いますが、先方の内部的な責任機関としては、従来の経緯にかんがみると、原子力委員会が実質的には責任機関であるように推測されます。ただ、その形はどういう形になりますか、交渉のあれによると思います。
  112. 上田哲

    ○上田哲君 そこはもうそれ以外に考えようがないので、さらに詳しく当たってください。交渉する相手の機関がわからぬ、これでは全然交渉していないと同じですから、これはきちっとしてください。理論的にはそれしかない。しかも、実態的にはアメリカ大使館が雇用してはいないのです。現実に日本にアメリカのオフィシャルな機関として存在がもうすでに二十年以上続いているところに日本人の雇用者がいるわけでありますし、経費はどこから出ているのかといえば直接アメリカ本土から出ている。それから給料もそこから払われている。この交渉をするのに、アメリカ大使館では現実にないのでありますから、そういう実態からいっても、その辺明確にしていただかないと、何と言いましょうか、一年きざみでいま追加予算が出ているような状態では、そもそもこの機関の運営のためにも不安が生まれるのは当然だろうと思います。そこで問題となるのは、あくまでもこれはアメリカの機関のものであります。アメリカの研究目的に基づいて設置されているものであります。で、このものについては精一ぱい、昭和二十七年の十月の口上書以上には法的根拠はないものであります。ところが、これに対して経費がどういうことになっているかというと、この予算を出しているのは学術会議ではなくて、アメリカの原子力委員会であって、そこからたとえば四十六年度では四千万ドル、ほぼ四千万ドル出ているのであります。これだけであれば問題はないのだけれども、ここに日本から六千万円の金が出ているわけであります。日本政府の六千万円というのはどこへ向かってこれは出しているのか。これは口上書に法的根拠を求めるとしてもはなはだあいまいな形になっていると言わざるを得ない。それからもう一つ問題となるのは、原子力委員会だというのでないとおかしいので、日本政府は国家予算の支出をアメリカの民間団体である学士院学術会議に出しているということになってしまいます。これはどういうことになるのか。その辺のところが非常にあいまいな形で終始している。これははっきり御答弁いただきます。
  113. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) わが国の約七千万円の予算につきましては、当初申し上げましたように、昭和二十三年に国立予防衛生研究所の支所といたしまして、広島、長崎に原子爆弾影響研究所というものを設置いたしました。これは厚生省設置法で、それから組織の中にきめられております。その関係の人件費、それから人頭当たりの研究費等が出されているのがわが国の支出している七千万の内容でございます。
  114. 上田哲

    ○上田哲君 どういう理由をつけても日本政府機関でないわけです。これはアメリカ政府の一方的な機関の研究と称するものの活動に向かって日本政府が金を出すという法的根拠ははなはだ危ういことになってきます。これはきょうはもうほんとうに時間が制約されておりますから、その辺のところは突っ込みはしないけれども、帰結的な問題として言えば、日本政府としても、一体ABCCをこれから日本の機関として、あるいは協力機関としてどう扱うかという性格決定をしなければ、非常におかしなことになる。六千万が大きいか小さいかという問題だけではなくして、国の会計の使途という性格の面からすれば、この辺はもうはつきりしなければならないという時点に立っていると思うのです。特に日本側がこの存在理由を必要としないと言われるならばともかく、二十五年間はこれから存続しようというような前向きの立場であられるならば、ABCCをこれからどういう形態で存続をするのかということを明確にしていただかないと困る。一つには、ABCCを日本政府が完全に引き継いで、アメリカは引き取ってもらうという考え方がある。一つは、名実ともに共同研究機関という形にするということもある。もう一つは、まあしようがないからこのままほっておくというようなことで、しばらく現状維持ということになるかもしれない。この第三案が代案と言えるかどうかわかりませんけれども、少なくともその方向ははっきりしなければ、研究の必要がある、前向きであるということでは、少なくとも財政上からいって問題がおかしくなってまいります。そこをひとつきちっと見解を明らかにしていただきたい。
  115. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) ただいま御説明いたしましたように、予研の支所の運営費として国費が出されているわけでございますが、これが存続にからむその協力の度合い、ないしは、完全にまあ日本に返還してアメリカが引き揚げる、こういうようなことについてどういうような見解、いま現状にあるかということでございますが、結論を申しますと、アメリカ側との理解におきましては、少なくとも現状の形態において、いわゆる現在の段階の見解としては、現状の段階において共同して研究を進める。ただ、アメリカ側が日本の協力の度合いというものについてより積極的な協力を要求しておるということは、もろもろのABCCが出します年報その他、あるいは所長の見解等の中に積極的な協力を期待するということは出てまいっておりますけれども、これは現状のままでは、公式な政府機関あるいは外交ルートの正式な話し合いがございませんと、われわれの予研の支所としての予算要求の範囲では、三十四名の人件費ということと、それに伴う人頭調査研究費という範囲でございますので、年々人件費のベースアップ程度がわが国からの支出の形であり、それが共同研究の協力の度合いであるというふうに見られるわけでございまして、これをやはりアメリカ側が、正式なものとはまだなっておりませんが、希望としてそういう協力態勢の強化、日本側の参加の強化を要望しているものを具体化するとすれば、やはり正式な外交ルート等を通じて、しっかりした話し合いのもとにその性格をきめてまいりませんと、一般的に厚生省の予研の支所としての予算要求を続けておるという段階では、そのようなアメリカ側の要望にこたえることはきわめて困難ではないかというのが私たちの見解であります。
  116. 上田哲

    ○上田哲君 きわめてあいまいですな。さかさまですよ。そんなことはいいと言っている。そのことを議論するというんなら、もっと議論しますよ。予究に出ているのは、予防衛生研究所の病理部の予算になっている。われわれが審議している支出は、予究の病理部の予算の中にこれがあるかどうかということはあらためてこれは議論しなければならない。そういうことをやっていいという理論はないでしょう、共同研究やっていいという理論はないでしょう。そういうことをかってにやる、そういう事実というのは私は問題があると思うのですよ。だから、せいぜいベースアップの補てんぐらいであるからたいしたことはあるまいと言われるが、これは会計法上の問題として性格論を議論しなければなりませんよ。時間の制限もあるから、その問題を飛ばして申し上げると言って、原理を聞いている。いまのお話ですと、これくらいなら共同研究じゃないということじゃ、私は原理論として納得できない。これは非常に重大な問題なんですから、ABCCというのは非常に重要な問題なんですから、唯一の原爆被災国としての日本国民の感情からいって、モルモットをつくることになるのだから、国際平和の問題ともからんで非常に議論を深めなければならない問題があるでしょう。そこのところを議論しなければならない。非核三原則にだって発展していく問題なんですよ。そこのところをしばらく置くとして、金額が少ないからいいんだということでなくて、いまのお話そのまま原理の問題として取り上げていけば、これは本来共同研究施設なんだ、あるいは共同研究の目的を有するものなんだと言われることになる。共同研究施設、共同研究目的を有するものだということでいいのですか。たとえばそういう論拠はどこにあるのですか。岡崎外務大臣の口上書の中にそのことがありますか。そういう問題をはっきりしていただかなければならない時点にきているじゃないかということで、これくらいならいいだろうということでなくて、これから先はどういう原理に立たれるかということを、大臣でなければだめだ、はっきりお答え願います。
  117. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 厚生省からお答え願うのが適当だと思いますけれども、御指名によりまして私から一言申し上げたいと思います。  これは私の了解するところによれば、このABCCが原爆によるところの被害を受けた人の状態についていろいろ研究している、これは一つの事実ですが、それと、それに協力するというか、それと同じ研究を厚生省の予防衛生研究所、またその支所がやっておる。日本政府の予算を出しているのはこのABCCに対して出しているのでなくて、この予防衛生研究所に出しているのだと。そこで、これは別にたいした問題ではなくて、政府の予算七千万というのは予防衛生研究所に出している。しかし、その二つ機関が今日まで長い間実際問題として同じ問題の研究に向かって協力をし合っている、これが姿じゃないかと思う。また科学技術庁におきましては、科学技術庁長官として御指名を受けましたから申し上げますけれども、放射線医学の研究所がありまして、これは当然別個のものですから、これも放射線の影響に対する研究、これも研究している。それはいろいろなものがありますけれども、アメリカの機関に対して予算を出したというわけではないと私は了解しております。しかし、これはいろいろさっきからも、厚生省局長からもお話がありましたように、まあ国際的にいろいろな変化が起こっていますし、経済的に、あるいはいろいろな面で影響がありまするので、今後これがどうなっていくかということは、これはまた別問題です。その際におきましては、関係機関が十分に連絡をして検討し、窓口はもちろん外務省ですけれども、アメリカと交渉する必要があれば、外務省を通じて、各機関が十分に検討した上でこれをやっていく、こういうことだと思うのです。予算の問題、いまお話のようなふうにそう問題があるというふうに私は思わないのですけれども
  118. 上田哲

    ○上田哲君 大臣、そんなことでいいんですか。完全にトンネル予算を認めるわけじゃないですか。おれのほうは予研の病理部に出しているのだから、それをどこへ使おうとかってだというのは、日本国憲法があり、日本国内の使途に関する限り、アメリカの研究にいささかでも、六千万円であろうが五十円であろうが、これを支出するということは、この共同研究、協力ということを方向づけなきゃ出てこないことですよ。それをたいへんあいまいな形で今日まできている。あいまいな形で今日まできているというふうにお認めになって、これから先ドルはどんどん引き下がるんですから、存続問題も現に出ているわけですから、ほっておいたらドルショックで、あそこで働いている人たちのベースダウンも起こるんですから、負担は過重されていく、こういう曲がりかどに立っているから、この問題をはっきりさせなければならないことが大きくなってきたではないか。考え方によっては、この方向はかまわないんだとおっしゃるならば、これは原理の問題として非常に問題が高まってきますよ。私はここで、一体共同研究機関と見るのか、アメリカの全く一方的な機関であるのか、その辺ははっきりしていただかないと、アメリカに向かって交渉することの方向がないじゃないか、その方向をどっちにするかと聞いているので、共同機関としてこれから考えるんだということでいいんですね。
  119. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いま何かちょっと誤解されているように思うのです。私が申し上げたのは、日本の予算をアメリカの機関に出しているのでなくて、日本の予防衛生研究所に七千万円という金は出している。この予防衛生研究所とアメリカのABCCというものが研究について協力している、こういう姿であるが、しかしいろいろな情勢の変化がありますから、今後そのままでいいというふうにはあるいは考え得ない場合もあるし、そのときにはどうするかということは、これは関係機関で十分検討して、対外的な交渉があるなら外務省の窓口を通して、これはひとつ取りきめるようにしていくのが当然だ、もしそういう場合が起こればですよ、と私は思うのです。
  120. 上田哲

    ○上田哲君 外務省に伺うが、方向としてはどういうふうになっているんですか。それとも方向がまだきまらないんですか。
  121. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 先ほどちょっと先生のお話の中に出ましたので、大臣からいまお話がありましたが、念のため申し上げますと、昭和二十七年の口上書のときにも、アメリカ側の口上書の中に、もっぱら合衆国の資金でこのABCCは運営するが、日本側との密接な協力のもとで、相互に利益をもたらすような独特かつ高度に重要な科学的事業に従事しているんだ……
  122. 上田哲

    ○上田哲君 金のことは書いてないでしょう。
  123. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 金のことはもっぱら合衆国の資金によるということがABCCのことに書いてございます。  それから、これから先のことでございますが、ことし五月ごろに、東京のアメリカの大使館から、今後のABCCのあり方、そういうものについて政府レベルの話をしたいという話が参りました。それで、これは国内の関係方面にも御連絡をして、今後の問題、確かに御指摘のような、いろいろ問題がありますので、研究をして、どういう方向でアメリカと話をするか、御検討をお願いしておったわけでございます。で、先般予防衛生研究所の柳沢所長もアメリカに行かれて直接向こう側の当事者と話されて、政府レベルの話を来年やりたいということをアメリカ側も希望しておるということでございますので、大臣お話にありましたように、これから先の問題について国内官庁の御意見を調整していただきながらアメリカとの話に入りたいと思っております。   〔委員長退席、理事町村金五君着席〕
  124. 上田哲

    ○上田哲君 よくわからないけれども、口上書の中に、大臣、金のことは書いてないんですよ。協力をしてくれというのは、原爆の被害を受けた人を連れてこなければマテリアルもないんだから、これは研究のしようがないんです。そういうことを予見して協力してくれと言っているんで、決して金まで出してくれということは当時アメリカは言ってない。あのときは都築調査団も一緒に行って、これは日本側のやるべきことではないということを言われた。で、都築博士はもう故人になられたが、アメリカ側の調査団が大統領に答申をして、大統領命令で原子力委員会にABCCをつくらせたということになったと出ている。だからここのところに金を使うことは、もし共同研究の多少の協力もあるんだからなんということを言われればたいへんずさんなことだし、それは法的には口上書に求めることはできないわけですよ。この辺はこれは追及しませんから、見解をひとつまとめていただいて、今後どういうふうにすべきかということは原理の問題として考えてもらわなければならぬということを強く申し上げておきます。  そこで問題になってくることは、研究目的についてはけっこうなことだとおっしゃるんだが、研究目的は何かということがわからないんですよ、われわれには。十分に明らかにされておらぬです。原爆を落とした国は日本だけだ。そこで原爆の被害がどうなっているかということを科学的に調べるのだなんということでは、これは研究目的ということばはあまりにも大ざっぱ過ぎますね。一体これはどういうことをやるのかということを、しかも二十五年はこれからも存続すべきだと言われるのであれば、もう少しディテイルをはっきりしなきゃならぬでしょう。こはどうなのか。聞いても抽象的にお答えになるだろうと思うから、しぼってお尋ねをするが、問題は、そういうことはアメリカ側は、アメリカ側に書いてある。書いてあるのはどこにあるかということは、これは先ほど申し上げた、この機関設置決定したアメリカ原子力委員会と、学士院学術会議との間にかわされた契約書、この契約書の中に書いてあるはずでございます。この初めの契約書はAT‐四九‐一‐GEN‐七二号です。この契約書の中に、その当時はアメリカ社会の安全と防衛のために云々というような表現もあります。協力どころの話じゃないんですよ、これは。明らかにあの占領直後、そのあくる年の十月ですから。これはもうそんなことを日本側が言っても、向こう側が一方的にぐいぐいと押しつけて、いまの沖繩の土地収用と同じですよ。そういう事態が背景にありますから。そこで、アメリカ側は一方的にアメリカ社会の安全と防衛のための取りきめ云々ということがAT‐四九‐一‐GEN‐七二号という契約書にはちゃんと書いてある。ここまではわかっている。最近これが変わったんですね。最近これが変わって、現在の契約書はAT(三〇‐一)‐七二です。当然多少の金も出している、協力もする、研究目的はけっこうだと言われる、そういう立場があり得るならば、アメリカ側がいま契約書の内容を変更して、どういう目的で研究機関を今後も存続させようとするかということについての内容、AT(三〇‐一)‐七二ということの内容に徴してはっきり説明をいただいていいと思います。AT(三〇‐一)‐七二を私そのまま資料として御提出をいただきたいと思うが、この場ではその骨子を、研究目的の内容、範囲について御説明をいただきます。
  125. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 先生御指摘の契約書、AT(三〇‐一)‐七二というのは、私どもの入手しているところでは十四項目からなっておりまして、定義、それから仕事内容、それからあるいは経費の問題、それから会計検査の問題、それから雇用者に関する規定その他等々からなっていると存じておりますが、かなり大部のものでございますので、この中身に立ち入るのはちょっと差し控えさしていただきたいかと思います。
  126. 上田哲

    ○上田哲君 どんなに詳しいかという説明を聞いているんじゃなくて、中身がどうなっているか、研究目的、範囲、内容がどうなっているかということをひとつ明らかにしていただきたいと思うんです。まあわれわれのほうも時間の制約がありますから、この質問は留保しておきますから、資料としてきちっと出していただいて、なおまた質問も留保いたします。  そこで、そういうことはありますけれども、きわめて簡単なところだけきょう抜き出して申し上げると、私たちはこのABCCの研究内容というものに非常に疑念を持っております。たとえば、先般も楢崎委員質問で、岩国のABCCの問題が問題になりました。この問題はきょう触れません。触れませんが、岩国のABCCの上に立っていると考えられる広島のABCCについては、たとえば岩国基地から制服のアメリカの兵隊さんがやってきてここで診察を受けておるのです。少なくとも、少ないときでも年間数回はあります。こういう形というのは一体共同研究の対象になりますか。こういう研究目的をもって日本に存在する機関を必要と考えますか。少なくともこれは、何のために日本の中に置かれているABCCの中でこういう診療診断が行なわれるのですか。日本政府はこのことについて知らないということで済みますか。
  127. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) ただいま先生おっしゃいました点は、私ども存じておりませんでございます。
  128. 上田哲

    ○上田哲君 そのぐらいもわかってないでいて、何で協力の予算が出るのですか、これは。内閣のほうは政府研究機関に金を出しておけば、その金がどこへ行くかはかまわない。そこまでは責任を負えない。そこでたいへん日本の平和の維持のために阻害するのじゃないかと考えられるような研究があるいは行なわれているかもしれないものについて金が使われていてもしかたがない、あるいは知らないでいいということにはならないと思います。具体的に、ABCCだけはアメリカから金がくるわけですね、給料でも。そうすると、金をどこに取りに行くと思いますか。これは岩国の基地に行くのですよ。ABCCで働いている日本人というのは、自分の賃金を受け取るために岩国の基地まで行って、アメリカン・エキスプレスで受け取る。そうして東京銀行に持っていって交換をするのです。こういう形になっておるのですよ。歴然としたアメリカの政府機関であり、閉鎖的な研究機関。その内容にタッチすることのできない、こういう状態の中で、日本政府の費用、予算をここへ支出するなんということは、はなはだ問題であると思います。   〔理事町村金五君退席、委員長着席〕 これはひとつその点をきちっと具体例に徴して調査して後刻御提出をいただく、そのことに関しても質問を留保いたしておきます。いいですか。
  129. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) ただいま先生の御質問に関連して、直接的でないお答えになるかもしれませんが、実はABCCが終戦後つくられましたときに予研の協力を求められた理由の一つに、私のほうで理解しております点は、予研の支所に設けられておる機能は、支所としての庶務的な庶務課という機能と、それから病理検査部と臨床検査部がございますが、この部が設置されておる理由に、日本人の健康診断をする、あるいは日本人のからだをいろいろ見るという場合の、まあ医療法に基づく日本人医師の必要性と、それから病理解剖の場合には、解剖の法律に基づきまして、病理解剖のできる立場の条件を必要とする、こういう二点がいわゆるABCCの基本的な活動に協力を、日本側の協力を必要とした理由であるというふうに私は理解いたしておりますので、最小限必要な臨床検査部の関係と、それから病理検査部の関係が設けられておる、こういうふうに理解しておるわけでございます。
  130. 上田哲

    ○上田哲君 私が言っているのは、そんな答弁じゃ答弁にならないから、しっかりデータを調査してくれと言っておるのです。やってくるアメリカ兵が、軍服を着たまま来ているのですよ。ベトナムから帰った兵隊であるという疑いもある。あるいはひょっとすれば原爆を基地内でいじっていて、その汚染した部分についての検診かもしれない。そうでないという反論はできないでしょう。いまのところデータがなければ、いろいろな疑いをもってこの事実をながめているわけですから。きちっとした調査をすみやかにしていただいて、これについてあらためて質問を申し上げようとしているのです。大臣、約束してください。
  131. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) ただいまの、予研の支所がございまして、ABCCの活動のいろいろな実態を調査する立場にあります私のほうでこの問題については調査いたしまして、御報告いたします。
  132. 上田哲

    ○上田哲君 では、もう一点だけにしておきます。八月六日に総理が広島へ行かれて、この問題について若干事情聴取された趣にあるようですが、結論が出ておりません。具体的な問題としてひとつ伺っておきたいのは、このABCCが設置される前に、二十年の十月十三日、八月六日に原爆が落とされてからまだ二カ月余りしかたってない時点で日米両方から行きましたけれども、都築調査団は、これではひどいということで打ち切ったが、アメリカの調査団がその調査をいろいろされて、その結果に基づいてABCC設立の上申をした、こういう経過になっておりますね。そのときのたとえば原爆被災直後の写真であるとか、焼けた着物であるとか、あるいは病理標本、こういうものを全部アメリカ側に持って帰っております。重さでいうならば二百六十ポンドに相当するものであります。こういうものがアメリカにいま持っていっております。このことを御存じですか。
  133. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) そのような事実は私たちは存じません。
  134. 上田哲

    ○上田哲君 そんなことじゃ話にならぬじゃないですか。その置いてある場所を教えてあげましょう。アメリカ陸軍病理学研究所、そこの所長の名前、ジェームズ・イール・アッシュ大佐です。そこにこの二百六十ポンドの重さに相当する——重さだけ言っているんじゃありませんよ——病理標本、その当時の実になまなましいすべてのデータがいまもって保管されております。知らぬということじゃ困るじゃないですか。知らぬということについてどう思うかということですよ。
  135. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) そのような事実はただいま御説明があるまで知らぬわけでございますが、一応当時は平和条約締結前の戦争直後の状態でございますので、どういう理由、あるいはどういう立場でそういうものが国外に持ち去られたか、その点は私たちも、その当時の事情から申しまして、平和条約締結後現在のABCCの研究が柳沢所長とダーリング所長との契約に基づいてすべて公表されておるというその後の実態とその当時のこととでございますので、現在の状態では、われわれはその当時のことについてはわからない、そういうことでございます。
  136. 上田哲

    ○上田哲君 知らぬでいいかと聞いている。知らぬでいいかと聞いている。知らないでいるということはまずいだろうと聞いているんですよ。
  137. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) そういう御見解でございますけれども、われわれとしてはABCCの現状について関与しております関係上、そのようなことを承知することは、それが病理学的にどういう学問的な価値があるのか、そういうことについて知ることは、私は医学関係者としては必要だと思うのでございますけれども、行政の立場では、現状のABCCの研究その他の関係に直接関与している立場以外には、ぜひ知らなければならないというようなことではないと私は考えております。
  138. 上田哲

    ○上田哲君 何を言ってるんですか、あなた。そういうことを言うなら、私は直ちにこの委員会の休憩を求めて、データをいろんなところから集めてもらってやりますよ。病理学上どうのこうのじゃないじゃないですか。原爆を受けたのは日本人じゃないですか。あなた方は金を出しているんじゃないですか、トンネルで。必要だと言ってるじゃないですか。そのデータをより強く、より広く、より深く集めて研究するということでなければ、あなた方の言っていることはおかしい。何が病理学者ですか、何が独立国ですか。そういういいかげんな答弁をしてもらっちゃ困る。日米の力関係の中ではそういうものは手にすることはできぬ。しかし、もしそういう研究を進めなければならぬと大上段にふりかぶるのであるならば、そういうものはやはりアメリカの一陸軍の病理研究所などに置くのではなくて、日本のものじゃないですか。広島で三十万の人が被災を受けた。死んだ。いまだに後遺症がある。アメリカ人ですか。日本人じゃないですか。日本人の病理標本じゃないですか。日本人以外のものがありますか。日本人がとられていない写真がありますか。そんなことは病理学上の見地から云々じゃなくて、日本の財産じゃないですか。これはそういう見解に立たないなら、この委員会の場所を改めましょう。そんなばかな答弁のしかたがありますか。大臣どうですか。
  139. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いろいろおしかりのようでございますけれども、先ほど公衆衛生局長が申し上げましたように、これは終戦直後ですね、こちらがまだ講和の前に、終戦直後の混乱時に、おそらく、いまあなたの言われることが真実であるならば、そのときに持っていかれたというふうにいまお述べになったと思うのですが、その当時の事情はわからなかったということを衛生局長はお答えしているのであって、私はその事実は否定することのできない事実だと思います。それはもしそういうことがあって、これが放射線被害の病状を調べるのに非常に大事なものであって役に立つものであるということであれば、そういう事実がもしあったとして、それが大事なものであるとすれば、これはまたいろいろな手を尽くして先方に交渉して持ち出して、これを参考にすることになるだろうと思います。ことばがあるいは公衆衛生局長が少し足らなかったようでありますので、たいへんおしかりを受けたようでありますけれども、ありのまま申し上げているのですけれども、その点はひとつごかんべん願いたいと思います。
  140. 上田哲

    ○上田哲君 その当時はそういう状況ではあったろう。しかしそのままではいかぬではないか。まさにこのことについては、病理学的な価値があるにきまっていることですから、そのためにABCCが二十何年もやっているわけです。そのことを取り扱わないでいいということにはならない。まさにそういう研究目的があるならば、それこそ日本人の学者によって、日本の科学によって徹底的に究明してもらわなければならぬだろう。これはたいへん科学的な見識を持っておられる木内長官は十分お認めになっているでしょう。いまの御発言はそういうふうに受けとめます。しかるべき手を尽くしたいということばを尊重いたします。念のために申し上げますが、陸軍病理学研究所に保管されている二百六十ポンドの登録番号は、よくメモしてもらいたい、一五八九三〇、登録番号一五八九三〇という登録番号で、ちゃんとカードをつけて、これだけのものが現在保管をされております。これは日本の財産であるということは間違いないのですから、非常に悲劇的な財産であるけれども、当然返還を求めるべきだと思うのですが、少くともこの資料をアメリカ側にこのままの形で保管されているという法的根拠はないだろう。日本政府として、この資料について十分に発言をしてもらいたい、取り返してもらいたい。前に原爆のフィルムがありましたね。あのフィルムはアメリカ側が、日本のものだといって返却しました。私は同じ問題だと思います。そういう交渉を進めていただくことが日本政府としてきわめて当然のことだろうと思いますが、いかがでしょうか。
  141. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) ごもっともな御意見です。先ほど公衆衛生局長が申しましたように、その当時の状態を知らなかったのですから、ですからその前提でお答えしたのですが、しかたがなかったと思います。それがわかった以上は、それについて検討するのは当然だと思っております。
  142. 上田哲

    ○上田哲君 前向きに伺いたいのですが、これはアメリカ側と交渉して明らかにして、登録番号まではっきりしているのですからすぐ交渉できるはずです。ぜひ、ひとつ日本側に返却をしてもらいたいということを申し入れていただきたい、そのための努力もしていただきたいということを申し上げます。
  143. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いまお話のようにできるだけいたしたいと思っております。
  144. 上田哲

    ○上田哲君 それじゃ時間が切れましたから、きょうは問題提起ということに多くなったように思います。私のほうから提起いたしました幾つかの問題点の資料について日本政府としての方針を確定された上で、次の機会に改めてまた御見解も承り、その上の質問をさしていただきたいと思います。この法案の採決の問題からはかかわりないことで、けっこうでありますから、ぜひ、ひとつそのようにしていただきます。  それからなお、このドルショック以来こういう雇用関係にある従業員が非常に不安を持っております。そういう方針がすみやかに提示されることは非常に重要な意味合いを持っておりますので、可及的すみやかに政府見解をまとめ、御答弁をいただくようにお願いをして、きょうは終ります。
  145. 辻一彦

    ○辻一彦君 私、きょう科学技術庁設置法一部改正案を審議するにあたりまして、これに直接関係ではないのでありますが、非常に関係の深い原子力行政の今後におけるあり方、こういう点につきまして若干の御質問をいたしたいと思います。と申しますのは、まあ前回科学技術の特別委員会でも申し上げましたが、若狭湾に非常に原子力発電所が特に集中をいたしております。そのためにいろんな問題が起こっておりまして、私は一カ所に、特定の場所にあまりにも集中し過ぎる、こういうあり方に大きな疑問を持っております。そういう点で御質問をいたしたい、こういうように思うわけであります。  で、いまお手もとに、時間の点がかなり制約されていると思いますので、グラフやあるいは図を差し上げまして、それをひとつ見てもらいながら、ごく簡単に若狭湾の実態について冒頭に申し上げたいというように思うわけであります。この福井県若狭湾の原電配置図というのがございますが、それを見ていただき、さらにもう一枚、これは科学技術庁提供でありますが、世界で一番原子力発電所が集中しているというイギリスのバークレーからヒンクレー・ポイントに至る地点でありますが、そこの地図が大体五キロ、十キロ、十五キロ、そういう円を描いて書いてありますので、御参照いただきたいと思います。この表の第一というのが、もう一つこういうのがありますが、その表をちょっとごらんをいただきますと、世界で一番集中していると言われる福井県を除く地帯は、イギリスのバークレーからヒンクレー・ポイントに至る地帯でありますが、これは集中度、表三の集中度にありますように、七十五キロの距離に電気出力二百六十三万キロワットというのが集中しております。これに対して私どもの福井県若狭湾におきましては、敦賀市から高浜五十一キロで建設中、三百万キロワット、申請中三百十六万キロワット、合わせて六百十六万キロワットでございます。世界で一番集中しているといわれるイギリスの二・三倍、距離を計算に入れますと三・五倍という集中度になっておるということが一つであります。  それからもう一つは、非常に大型化が行なわれておりますが、いま申請されております大飯の百十七万キロワット原電二基は、これをこえる原子力発電所はアメリカに六年後に建設される予定の百十九万キロワットというのが一基あるということで、まあ世界の、アメリカを中心とする原電はこれより容量が小さい。そういう点で非常に大型化が行なわれているということ。  もう一つは、その第一表の一番右のほうに、この福井県の若狭湾にことしの七月一日から八月二十五日の夏場にどれだけ観光客、海水浴のお客さんが来たかという一覧表があります。数字を読むのは省略いたしますが、敦賀市から高浜町にかけまして、三百五十二万八千二百人の人が夏に海水浴に来ているということが言えます。そういう点で、私は非常な集中化、大型化、そして夏期——夏場の人口としましては非常な過密地帯になっている。しかもこの一帯は、御承知のように国定公園で、将来国立公園にしたいという、そういう運動が行なわれておる国定公園であります。  そういうまあ四条件を私は見まして、こういう状況の中になぜこれほど若狭湾に原子力発電所が集中をしているのかと、こういうことについて非常に危惧を持っております。  以下、詳細にわたって質疑はいたしますが、大臣は、前回にも一時間半にわたりましてこの問題について御質問をいたしましたので、大体様子はおわかりでありますし、また、九月の下旬に、参院の科学技術特別委員会委員視察を行ないまして、この委員視察の内容も前回の記録に載っておりますので、これをまあ一応お読みをいただいたと思いますが、そこにははっきりと、最後だけ読み上げますが、六百二十万キロワットに及ぶ大原子力基地が非常に集中して行なわれようとしている。「これに対して、若狭湾にあまりにも集中しすぎることの不安が意外に大きいと感じました。大飯町では原子力発電所誘致の町長に対してリコール運動が起り、誘致反対をかかげた新しい町長を出現させております。以上のような住民の不安を取り除くためには、民主・自主・公開の原則に立って、国は、積極的かつ具体的な諸施策を講ずることの必要性ならびに若狭湾における過度集中について再検討の必要性を痛感した次第であります。」これが参議院の正規の委員会視察の報告書であります。これをひとつ念頭におかれまして、まず大まかにこういう集中の問題につきまして大臣の御見解、原子力行政今後の問題としましての御見解をまず承りたい、このように思うわけであります。
  146. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 辻委員はよく御案内のことだと思うのですが、最近は原子力の平和利用が非常に進んできている、世界各国ともに非常に進んできております。わが国におきましても急速な発展をいたしております。それに伴いまして、各地域に相当原子力発電の施設をこしらえなきゃならぬような状態になってきているのでありますが、それにつきましては、いろいろお話がありましたけれども、私は何としても科学的に安全管理を第一にしていかなければならぬのはもちろんでありますが、それと同時に、その安全管理の体制に対して地域住民の十分の理解を得まして、協力を得て原子力発電の発展を進めてまいりたい、かように思っているわけであります。  そこでわが国では、御案内のように、どうしているかといえば、有能なその関係の学識経験のある人々によりまして安全審査を十分にして、そうして世界の各国にも劣らないような安全管理の審査をいたしまして、そうして原子力発電の振興をはかってまいりたいと思いますが、それと同時に、いま申しましたように、あらゆる方法を講じまして地域住民の十分な理解と協力を得るように、その安全管理はだいじょぶだということを理解してもらって、そうして協力を得るようにしてこれを進めてまいりたい、かように思っているわけであります。
  147. 辻一彦

    ○辻一彦君 いまの御答弁にはいろいろ問題がありますので、それは以下の質疑の中でひとつお尋ねをいたしていきたいと思います。  そこで、いま大臣も十分な安全審査を、世界に誇る安全審査をやりますと、こういうお話でありますが、実はなぜこれだけ集中するかということを考えますと、常識的に言ってなぜ、三百五十万も裸の人が夏集まる、そういうところに世界一のこういうむちゃくちゃな原電を建設する、そういうことがなぜ可能なのかということを考えますと、安全審査の私は基準、立地基準にいろいろな問題があるのではないかということを最近いろいろな角度から調べて、考えたわけであります。そこで、まず日本のいろんな原子力行政、あるいは原子炉の立地基準のもとになっている、おそらくアメリカを私は最も模範にされていると思いますが、アメリカの立地指針あるいは基準、こういうことをまず日本と比べてお伺いをいたしたいと思います。
  148. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 日本の原子力炉の安全審査を歴史的に見ますと、最初に東海村の原子力発電所が入ったことは御承知のとおりでありまして、その際には、われわれはイギリス流というべきか、安全審査の勉強をいたしました。しかし、その後大部分が軽水炉になってまいりましたので、辻先生御指摘のようにアメリカの影響をだいぶ受けておりますけれども、しかし、日本は日本なりの、あるいはイギリスで考えたような考え方を入れた安全審査をやっております。で、アメリカの場合には、たしかこの資料にもいただいておると思うんですけれども、この事故につきましては、たった一種類の事故を考えておりますけれども、一番大きな事故に対して二時間以内に退避をするという前提が入っていると思いますが、二時間以内に受けるべきであろうという放射線量から考えられたいわゆる排除区域、非居住区域、それから無限大の時間、実際には無限大ではございませんけれども、ずっといつまでもいた場合にどうなるかというような低人口地帯、ロー・ポピュレーション・ゾーンというものがございます。これに対しまして日本の場合は、二種類考えておりまして、一つは重大事故と称するものでありますが、これは、イギリスの安全審査の体験からいたしまして、原子炉の炉心をできるだけ溶かす状態にもっていきたくない、そういう努力をできるだけ払うという考え方から、重大事故というものが考えられております。ついでに申し上げますが、アメリカの場合には、全炉心が溶融したと同じような状態の放射能が出してくるということを考えて、二時間を無限大時間にしておりますが、日本の場合には……
  149. 辻一彦

    ○辻一彦君 発言中ですが、往復の時間がきまっておりますから、要点だけでけっこうです。
  150. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 重大事故と仮想事故とございまして、重大事故につきましては日本的な考え方、あるいはイギリス的な考え方が入っております。仮想事故につきましては、大体におきましてアメリカのものと同じであるというふうに考えていただいてけっこうだと思います。
  151. 辻一彦

    ○辻一彦君 前回私は山田委員にお伺いしたときに、アメリカの基準が十年ほど前にこれは大きく変わったという、そういうお話でありましたが、ここに、私科学技術庁からいただいた資料があって、ここに書かれているナンバー2のこの基準は、現在においても変わっていないのかどうか、そのことをひとつお願いいたします。
  152. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) この基準自体は変わっておりませんが、それを適用いたしますやり方につきましては変わってきておるということを申し上げたと思います。一番初めの状態におきましては、いわゆる技術因子と申しますか、技術的に放射能の出るのを防ぐものが格納容器だけであるという考え方からスタートしておりまして、しかし六三、四年ごろからアメリカも考え方をだいぶ変えてまいりまして、やはり格納容器だけではなくて、緊急冷却系その他いろんないわゆる技術因子というものを取り込んでまいってきておるということでございます。日本の場合には、初めから技術因子を考えた重大事故というものが存在しておったわけでありまして、そういう点が変わってきているということでございます。
  153. 辻一彦

    ○辻一彦君 この表のナンバー4がありますね。これにアメリカは、問題は四つの段階が、炉心の周辺とそれから人の住まない地域、それからその周辺の低人口地域、さらに人口集中地域、この中心地から一定の距離をとる、こういうのがアメリカの基準ですね。その基準では、原子炉は二万五千の人口中心地から最も近い距離をとる、これが一応基準になっておりますが、そこで、いまあなたが言われるように、まあこの十年間にはいろんな変化があった、こういうことですね。この適用が変化をしておる、こう言われますが、しかしナンバー4のその右に、アメリカ原子力法の第十章3のパート一〇〇の原子炉敷地指針の参考文献として註記に示されているこの基準というものは一応とってきておるわけですか。
  154. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) どうも不勉強で、これ、指針知りませんけれども、実態において確かに変わってきておることは御承知のとおりだと思います。
  155. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこが非常に重要なところですよ。あなたはこの間の質疑で、十年前と大きく基準が変わったというふうに御発言になって、速記録を見ればわかりますが、技術庁のほうから、どの点が変わっているかということを調べましてここに出していただいたプリントがありますが、この中で、一九六九年の十二月に——これはおととしですね、この放射線防護に関する基準が一部改正されて、「放出に当たって実行可能な限り低くする」、この原則が入った。ところがことしの六月にそれの改正が行なわれて、「実行可能な限り低くする」という原則の数値化がなされた、五ミリレムという。きょうの問題はこれでなしに、第三の、いわゆる原子炉敷地指針で、「一九六三年ごろから3の評価において距離の因子のほか、技術的因子(安全防護設備)の効果も考慮し、設置が認められてきているが、これは原子炉敷地指針の改正ではなく、実際の炉の許可の評価手順上あらわれてきたものである」、こういうふうにして、なおTID、この資料の3の右、これは、TID一四八四四は事故解析の基本的仮定についての参考文献として3パート一〇〇の註記に示されている、こういうように私は確認したわけですね。そうしますと、十年間に技術的な変化ということは、私はそれはいろいろあろうと思います。しかし、あくまでこの一つの、ここに示された第三の基準があって、それを具体的に適用するときに、ここに掲げられたこれを一応計算をして、低人口地域、人口中心地の距離を出して、その中で、技技の進歩に応じてある程度距離を縮めていく、こういうことが認められるということではないかと思うのですが、どうですか。
  156. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) どうも私の発言がまずかったのかもしれないのですけれども、私は彼らの、アメリカがやりました安全審査の結果から申しまして、そう見ざるを得ないということで申し上げております。実際において、昔の考え方から比べて計算をしてまいりますと非常な差があることは明らかでございますので、依然としてこのAECの敷地基準がそのままであるかどうか、実はよく調べてございません。申しわけないのですけれども、しかし実効的には、その後行なわれたものはすべてこのTIDの一四八四四で計算されたものよりも低くなっている場合が非常に多いということでございます。
  157. 辻一彦

    ○辻一彦君 四十六年十二月十日、科学技術庁の原子炉規制課から最近の最新の文献を訳されて持ってまいられた資料でありますから、これは私は間違いないと思いますよ。この基準がこのまま生きているということ、ただ、しかしその中で、技術の変化に応じて距離が縮まっているということは認められますよ、具体的な例として。そこで、それを見ますと、たとえばこの4の表の下に明らかなように、科学技術庁から出されている「原子力ポケットブック」の四四七ページにおもな原子炉が全部出ておりますが、その中の出力二十万キロワット以上をここに全部あげて見ますと、こういう一覧表が出ているわけです。これは山田委員もひとつごらんいただけば、コネチカット・ヤンキー、低人口地帯、計算をすれば二十一・五キロ、二万五千以上の人口中心と炉心との距離は、計算では二十八キロ七、実際は十五・三、インディアン・ポイントは十五・六でありまして、これは実際のほうは何かの都合で多いのですが、二十七キロ、ナインマイル・ポイントが二十九キロでありまして、オイスター・クリークが、三十キロが十六キロ、サンオノフレが、二十五・三キロが二十七キロ、ヤンキーが、十五キロが三十三キロ、若干のばらつきがありますが、計算された値よりもかなりこの実測値が低いということは私も認めます。しかしアメリカの場合は、 はっきりと、低人口地帯というのは炉の周辺につくる、その周辺に人口が密集してはならぬ、距離を一定に置くということはちゃんと計算をして、これこれの地帯だからこれだけは縮めてもいいということを原子力委員会で十分に論議をして、認可を出しているという、これも皆さんの書かれていることの中にそれは書いてありますから、私は確認したいと思うのですが、それはいかがですか。
  158. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 私も同じでございます。
  159. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、私はアメリカのそういういろんな体験を金科玉条のようにほとんど参考にされている日本の原子力委員会が、アメリカと日本の立地指針というのを見たときに、一番最後の、一番大事な、人口が密集したところは距離を置かなければならないというここにおいて、アメリカは指針として生きているのですけれども、日本のほうは、初めからこれは二百万人レムという一つの仮想線量であらわされているのですね。こういうことを私見たときに、ほんとうにあなたが言われるように、大臣言われるように、きびしい審査の基準によってやったというそういう基準が、私は原子力委員会に初めからどう確立されておったかというこういうことについて、私は一つの疑問を持ちます。その点をひとつ解明し、説明をしていただきたい。これは日本流に計算しますと、敦賀、美浜、高浜の原子炉を、これは全部技術庁が出された資料でありますが、アメリカでは低人口地帯はみな何十キロというのを計算として出しています。これが日本の例になると、八百メーターの原子炉の敷地の中に、全部入ってしまうのですよ。アメリカは何十キロというきちっとした数字を出して、そして低人口地域をつくって、実際はこの距離を縮めてやっているけれども、日本は初めから、この計算でいけば、全部八百メーターの敷地の中に低人口地域というものは入ってしまう、こういうことを私は見たときに、この基準が三十九年にできておるのですよ、いまから七年前、アメリカはこの基準が昭和三十七年にできておるのですよ。たった二年間の間に、日本がそんなに長足の進歩をして、そういうことを無視できる要素は何もなかったのですよ。何もないところから出発したのです。なぜ私は、この一番大事なところがこういう審査基準になっておるのだろうか、そのことをしっかり御説明願いたいと思います。
  160. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 最初にお断わりしておきますのは、ここにあげられました、辻先生からいただきましたというか、科学技術庁が出したのですけれども、ナンバー4の低人口地帯、あるいは人口中心距離、この点については確かだと思いますけれども、このほかにたくさんの資料がございます。したがいまして、たとえば一マイルとか三マイルというようなものも当然中にたくさんございますけれども、そういう点はさておきまして、計算は全く同じやり方でやっております。なお、われわれは敷地の中に低人口地帯を閉じ込めるというような目的をもって計算したものではございません。しかし、ここで御疑問が起こると思うのですが、先ほど申し上げましたように、この仮想事故については、アメリカと日本とは基本的には同じ仮定をもって計算をしておるにもかかわらず、なぜそんな違いが出るのだろう。これは安全審査会において、この範囲に入る。同じ計算をいたしますと、入るということでございます。これにつきましては、いろいろ問題点があるかもしれませんが、現実にいまのアメリカの原子力委員会がやっている方法と、日本でやっている計算の内容に差があるということでございます。その内容の差につきましては、むしろここに審査会長の内田先生がおられますから、内田先生からお答えいただいたほうがいいかもしれませんけれども、私の判断しております範囲におきましては、たとえばアメリカの安全審査におきましては、やや技術的になって申しわけないのですけれども、事故が起こりましたあとで、格納容器から放射性物質が外へ出るという計算をいたします場合に、アメリカの場合には、先ほど申し上げましたように、無限大の時間に対して圧力は一切変わらないという仮定を設けております。しかしながら、これは実際にやってみればすぐわかることでございますけれども、これは時間とともに変化いたします。その量を入れますと、五倍から十倍の差が出てまいるのであります。そのほかに、なおTID一四八四四というもので考えております仮定自身に、非常にコンサーバティブなといいますか、どう考えてもそういうふうに考えないほうが正しいという考え方に従っていきますと、いろいろな仮定がございます。そういうものを入れてまいりますと、同じ計算同じ仮定のもとにおきます計算が、結果としてこうなるわけでありまして、こうしようと思って計算したということでは絶対ございません。
  161. 辻一彦

    ○辻一彦君 私はいまの御説明ではわからぬですね。大臣がさきに言われたように、何回も皆さんがおっしゃっておるように、非常にきびしい審査基準をもってちゃんとやっておると言うんですけれども、計算してみたら、初めから皆さん小さい数字で計算がされているんでしょう。仮想事故、重大事故で最もあぶない大きな危険を想定して計算をしていけば数字が大きくなる。しかし、そんな事故は起こらないんだからと、十分の一で初めから計算すれば小さくなる、それはそのとおりでしょう。しかし、仮想事故、重大事故は技術上においてはあり得ないかもわからないけれども、そういう重大事故を想定して、その場合を計算をして、そういうことが万一起こっても人間には被害が出ない安全をとるために、距離をおこうとしているんでしょう。それをあなた初めからそういう数字を小さくされたら、それはあとの結果が違ってくるのは当然でしょう。  それからもう一つ、一マイルと言われるけれども、ここに皆さんの監修された一番新しい四十六年版ですか、これを見ますと、代表的に出されているこの一覧表はどういう意味でここに出されているかといえば、このTIDの基準によって計算すれば、たとえばコネチカット・ヤンキーは二十八キロになっている。しかし、技術が進歩してきたんだからこのくらいでいい、十五・三になったという、こういう例を説明されるためにこの表というものはあがっているんですよ。読んでみましょうか。「TID一四八四四に示された出力と離隔距離の計算例は、安全保護装置、敷地の気象条件等をかなり保守的に見た前提のもとに算出されたものである。」この安全な距離をとるのが保守的だという表現はもってのほかだということで、変えていただきたい。その次に、「実際には上表の如く、個々の原子炉の審査では、具体的な設備、立地条件にもとづく評価が行なわれるため、TID一四八四四に示された距離よりも小さい離隔距離でもAECの許可が与えられている。」そのあとに、性能のすぐれた格納容器構造の、フィルター等の浄化系を備えていれば、その距離というものは小さくなる、こう書いてありますが、これはそういうふうに計算をして、そうして技術が前に比べて進んだんだから、縮めてもいいということであげられた例なんですよ、この一覧表というのは。私はこのほかに、この前も言いましたように地図でいろいろ調べてみましたが、ほとんどアメリカやイギリスの例を見ても、一定の距離を原子炉からとっているということは明らかである、こういうことを私は断言できると思いますね。  そこでそういう点をお認めになるとすれば、アメリカはこの基準を一九六二年、昭和三十七年に出しています。日本は昭和三十九年、二年おくれにこの審査基準を出しておるんですが、いまから言うならば十年前に、アメリカではこの基準が厳密に適用さるべき時期であって、そう大きな進歩というものがあったというふうに十年前にはどうしても考えられない、そのときに出た日本の審査基準の中に、一番大事な人口密集地との間に一定の距離を置くというのがすっぽり抜けておるということについては、これはどういう考えでなされたのか。アメリカの基準を日本に当てはめれば原子炉を設置するということは非常にむずかしい、だから一番最後のところだけ違った方法で計算がなされて、全部敷地の中に低人口地帯が入ったような結果になっているのじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  162. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) いまのお話はちょっと理解できないのですが、日本の計算とアメリカの計算の結果の違いは、先ほど申し上げましたように合理的なと思われる一これは安全審査会がお考えになっているわけですけれども、仮定によって計算したものでございまして、特別意図をしてあるものではございません。なお、アメリカにないマン・レムの考えも入れてあるという意味では、特別日本の安全基準が劣っているというふうには考えられませんし、この基準があるために敷地内に全部入ったということはございません。
  163. 辻一彦

    ○辻一彦君 マン・レムの概念はアメリカにないとおっしゃれば、一体どこにあったのを持ってきたのですか。これは二百万人レムになっているけれども、カナダでは百万人レムになっています。イギリスは敷地基準というものによって、敷地指数というもので計算していますね。このマン・レムはどこを標準にしてこの概念を入れたのか、お伺いしたいと思います。
  164. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 実はこれをつくりました時期のことをよく覚えておりませんが、いま先生御指摘のようにカナダのマン・レムの例しか私も知らないのですけれども、これは百万人レムという値に近い値をとっているというふうにお考えいただきたいと思います。
  165. 辻一彦

    ○辻一彦君 あなた、世界にきびしいきびしいと言われるけれども、そのマン・レムをどこから持ってきたかわからないようなことで、しかもカナダの倍のゆるい基準であって、どこに一体そのきびしい基準があるのですか。私は、原子炉の安全性ということを考えたらこの一番最後の項目は一番大事なんですよ。事故はなかなか起こらないでしょう。しかし万が一起こったときには、これはいかなるほかのものよりも大きな事故が起こる。だから、炉心から低人口地帯をとり、それから人口密集地へ一定の距離をとって、二万五千人以上の距離、この例のように一定の距離をあけている、そういうことをやっているのだから、このマン・レムはどこで——一番大事な問題は、どこから入ってきたのかあなた覚えていないというような、そういう審査の基準をもってなされている。私は原子炉——敦賀、美浜、高浜一号、二号炉、そういうものの私は内容について非常な疑問を持ちますね。少なくもどこからどういうふうにしてこの基準がきちっとつくられたか、そんなことぐらいわからなかったら科学技術庁の存在ありませんよ。どうですか。大臣どうですか。冒頭に、世界でもきびしいといわれる審査の基準と言われますが、一番大事なところが抜けている。はっきりしてない。だから私がさきに申しましたように、若狭湾にも三百五十万人という裸の人間が夏に来て、高浜の八十二万六千キロワット二基のその真下の五キロのところに夏に百四十九万の人がおるのですよ、一夏に。土曜日、日曜日二十万人が裸で、あるいはテントを張っておる。そんなところにどんどんどんどんこういう原子炉がつくられている。認可をされている。私はこの一番大事なところが抜けておるからこういう結果が出ると思いますね。そういう意味では、私は、それについていま御答弁できないならばあとで十分ひとつ検討していただきたいと思います。
  166. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) ただいまのお話につきましては、先ほどから申し上げておりますとおりに、原子炉安全専門審査会におきまして、こういう計算法でやっていけばよろしいという考え方で合理的にしてあるというふうにお考え願いたいのです。それによれば、ある町がそこにあるからそれの少し手前のところまで低人口地帯にとるというような考え方ではなくて、原子炉から絶対的に出てくるものをいっておるというふうにお考え願いたいと思います。
  167. 辻一彦

    ○辻一彦君 安全であるようになっているというようなことでは、こんな大事な指針をきめられた基礎がはっきりしませんよ。きょうは原子炉安全専門審査会の責任者の方にも御出席をお願いしておるのですが、内田先生おられますか。——たいへん恐縮ですけれども、ひとつその間のいきさつについてお伺いをいたします。
  168. 内田秀雄

    参考人(内田秀雄君) 内田でございます。  現在の日本の立地、審査指針ができたときのいきさつを、詳細には存じませんが文献上でわかっている範囲につきまして、いまのマン・レムのことについて思い出してお話し申し上げたいと思います。  これができましたころ、六〇年前後だったと思います、六一年か六二年ごろであります。が、アメリカの原子力船のサバンナ号の港に係留するときの問題で、オークリッヂの研究所にコットレル、という安全だけをやっているドクターがおります。この人がプライベートに出しましたペーパーの中に、都市近郊に係留するときはマン・レムの概念を入れるということで、いまその数値ははっきり覚えておりませんが、百か二百か三百か、その程度のことだというふうに思いますが、二百でそう違った値ではありませんが、二百万人レムという提案をしております。この審査指針ができましたのは、放射線の関係専門家がつくられたのでありますから、その当時の研究の結果で二百万人レムを一つの案として提案されたんだと思いますが、いま申し上げましたように、アメリカにもそういった考え方はございます。それから、先ほど辻先生のおっしゃいました英国の立地的な考え方に敷地の指数がございますが、これは本来平常時、事故時のマン・レムの概念を指数のほうに変換しているものでございますので、事故に対してのマン・レムの考え方は、必ずしも日本がこれを古くから独断的に取り上げているとは私は考えておりません。  以上でございます。
  169. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ私は、非常に専門的になればまた別でありますが、先ほどから繰り返しているように、若狭湾に私は住んでいて、町長がリコールを受ける、村がまつ二つに割れる。そういうことがしょっちゅう起こっている。そういう中で、審査をされる基準が百万だったか三百万だったかわからないけれども安全なんだという、そういうことでは何といっても私はこれは非常に問題があるんじゃないか、参考人に来ていただいてたいへん申しわけないと思うのですが。それから、前にも私アメリカの原子力船ですかがイギリスに入るときに、そこに何百万人というそういう概念が論議されておったということは、その程度は聞いております。しかし日本の、これだけ安全を審査しなければならない一番大事な指針が、その程度のデータでもって指針になっているということであるとすれば、私はもう根本的に原子力委員会における審査基準について再検討をする必要があるんじゃないか、こういうように思いますよ。たとえば、アメリカの船にしても、こんなものは何日もおるわけではないんですよ。一晩か二晩ちょっと寄るかどうか。そのときに百万人いるからあぶないぞ、三百万だからあぶないぞ、そういう計算が出て、何とかというドクター、お医者さんがプライベートにいまお話のように発表をされた。そういうものを導入して私はつくられたところに問題があるんじゃないか。少なくともアメリカが、皆さんほかのことは何でもアメリカに聞かれるわけでしょう。私は聞くことが悪いとは言いませんよ。たとえば敦賀でこの間、アイダホの原子炉の緊急冷却装置実験がうまくいかなかったということが出たら、福井の敦賀や美浜は市町村全部あげて運転をあぶないから中止してくれ、こういう要求があって、科学技術庁に問い合わせたら何ら御答弁がない。アメリカに聞きにいかなければならない。そうしてアメリカに行かれて、お帰りになって、いいんだと、こういうことで終わっていますが、私は何でもアメリカの考えというものを常に皆さん第一に金科玉条にしておられるのに、この一番大事なところだけ何で、アメリカが考えられている、長年やっているこの基準からはずしてしまったのか、どうしても私はわからぬですね。
  170. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 日本の敷地基準に、いまのようなたとえば二万五千人の人口の町に対してどうこうというものがないということについて非常に御不満のようでございますけれども、これは先ほども申し上げましたように、そういうものは外にありましても、すでに敷地に入ってしまうわけですから問題にならないというふうに考えられます。
  171. 辻一彦

    ○辻一彦君 だから言ってるでしょう。そういう計算をするから日本だけ八百メーターの中にみんな低人口地帯が入ってしまうのであって、アメリカはそれじゃあぶないからといって、低人口地帯に十何キロとか二十キロ、そうして人口密集地帯には何十キロおいて、技術が進歩したら縮めていくと、そうやってるでしょう。そういう一番大事なところが抜けていますよ。こういうことで審査がされるから、こういうところに——舞鶴が十万、小浜が三万五千、敦賀が六万、そういう市が周辺九キロか十キロのところにあり、しかも、夏場は数百万人もの人が裸でおる、こういうところに大型の、アメリカで七六年に一台しかできぬという原子炉が平気でどんどん建設されようとしている——大飯のは申請中ですが——ということに私はなるんじゃないかと思います。  そこで、私は角度を変えてもう少し聞きたいんですけれども、きょう私は、安全審査の専門委員の皆さんが、原子炉環境、それから気象とかいう幾つかのグループに分かれて専門的な御審査をされたというように記録をいただいて確認しておるんですが、それはどうですが。それをちょっとお伺いしたい。
  172. 内田秀雄

    参考人(内田秀雄君) いまの辻先生のお話のように、申請がまいりまして原子炉安全審査会で審査をする場合に、まず最初に大分けのグループ別にいたしまして、環境、原子炉工学、それから地域の問題、それから工学的な問題、核物理的な問題、そういったグループに分けて検討いたしますけれども、部会で総合的にそれを集約いたしまして、さらに審査会全体としてそれを総括いたしました全体としての評価をいたしております。
  173. 辻一彦

    ○辻一彦君 それでは環境部会において、この若狭湾における人口分布、並びに夏場に、一定の期間でありますがたくさんの人が来ると、こういう条件をどういうふうに御審議、御論議になったか、そのままの発言でもけっこうでありますから御報告をお願いしたいと思う。
  174. 内田秀雄

    参考人(内田秀雄君) たとえば若狭湾のようなところに多くの炉ができるような場合には、審査の方針といたしますと、その広い地域に対して多数の炉が建設されるという効果を総括いたして評価しておりますので、一つの炉だけの評価を取り上げてはおりません。それから環境につきましては、現在の人口分布、現在の環境——地域環境、社会環境並びに海洋の環境等も含めましてですが、それを考慮するばかりでなしに、将来のその地域の開発の計画がわかっておりますものにつきましては、それを考慮に入れております。
  175. 辻一彦

    ○辻一彦君 私は、環境で一番大事なのは人間ですが、人間の安全ということがどのぐらい進んでおって、それに対してもし事故が起こったときにだいじょうぶかということが環境審査の一番大事なところだと思うんですね。だから若狭湾には夏たくさん人がおるということを申し上げておる。そういうことについて、この環境審査部会におきまして専門的にどう御討議になっておるかということをお伺いしたい。
  176. 内田秀雄

    参考人(内田秀雄君) ただいまの環境と人口の問題、辻先生のおっしゃるとおりでありまして、人口の分布を十分検討しまして、平常時、並びに想定事故が起こった場合につきましての効果を検討しております。
  177. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ非常にすれ違いになりますが、日本の立地指針、皆さんの出された立地審査指針の「基本的考え方」の(2)に、「十分に公衆から離れていること。」と、こうはっきり書いてありますね。ところがどれを見ても、敦賀市、小浜市、舞鶴市を見ても、夏、かなりな期間にわたってたくさんの人がいる、そういうことが私は十分考慮されて出されているかどうか、非常に疑問に思いますね。たとえば高浜の一号、二号炉八十二万六千キロワット、合わせて百六十五万キロワット、ここには夏百四十万という人か——一晩にすれば二十万になりますが、そういう人がたった五キロのところにおる。そういう、屎尿処理場まで夏困って手を上げているような、ごったがえすようなそういう人間の動きということを、環境審査の委員会がほんとうに御検討になってその結論を出されたのかどうか、非常に疑問に思う。このことについては、私はこれ以上お伺いしても、原子力委員、また参考人にお願いしました内田先生でも、何ら私の疑問を解明することはできないと思うのですよ。したがいまして、これは、安全審査会の中で環境問題について専門的に討議をされました議事録をそのまま出していただきたい。そうでなければ、とてもこの問題は論議ができないと思います。かりに全部が出せないとしたら、環境問題について十分論議されたそこを確実なコピーによって、敦賀の原子炉、美浜一号、二号炉それから高浜一号、二号炉、この五つの原子炉について、——美浜三号と大飯一号、二号はいま検討中だということですから、これは皆さんのお答えは無理かと思いますが、すでに出されている五つの原子炉については、環境問題についてどういう論議がされているか、しっかりした議事録を出していただくか、あるいはコピーを出していただくということがなければ審議はできません。委員長からはかっておいてください。
  178. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) これは原子力委員会で後日検討していただいて、出していただくようにできますか。
  179. 辻一彦

    ○辻一彦君 こういう審査についての記録を全部——私から見れば、これを見ても参考になかなかならぬところがずいぶんあるわけですよ。だから、ほしいところを指摘したわけですから、それを出していただきたい。これはちゃんとあるはずであります。
  180. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 安全審査会の議事は秘密になっております。したがって、議事録自体そのまま出すのはあるいは適当でないと思いますが、必要なデータは、極力、辻先生と御相談して提出したいと思っております。
  181. 辻一彦

    ○辻一彦君 またこの間のように企業秘密云々という問題が出るのじゃないかと思いますが、人間がどのくらいおって、あぶないかどうかということを審議することは、何も秘密にならぬですよ。一言一句残さずコピーして議事録を、現物を出してもらう、これは原子力委員会の自主・民主・公開の三原則であって、そんなことが出せないのだったら、これは意味がないと思う。だから、必ずそれを出してください。
  182. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 企業機密に属さないものにつきましては極力提出いたします。
  183. 上田哲

    ○上田哲君 議事進行について。お伺いするが、原子力基本法は自主・民主・公開を明らかにしている。自主・民主・公開の原則のほうが、ただいまの議事録の秘密事項を上回るはずです。自主・民主・公開の原則に照らしてどこの部分が秘密事項になるのか明らかにしてください。
  184. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 御指摘のとおり、原子力基本法は自主・公開・民主の三原則をうたっておりまして、公開の原則というところが平和利用の担保のため最も必要な原則になっております。ただ、申請書等につきましては、申請者の企業機密に属するものがありまして、これは当初、公開の原則におきましても、企業機密に属するものは出せないということになっておりますので、公開の原則の趣旨に立ちまして極力出すようにいたしますが、企業機密を公開の原則というのは全然否定しているものではないというふうに解釈しております。
  185. 上田哲

    ○上田哲君 そうすると、安全基準というのが、残念ながら企業秘密の下に立つということになるのですか。
  186. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 安全基準は企業機密の下に立つという意味ではございませんで、申請書なりあるいは安全審査会の議事録そのままを出すことが、あるいは企業機密に属するものであるかどうか、慎重に検討して、極力、公開の原則の趣旨に沿って出したいという意味でございます。
  187. 上田哲

    ○上田哲君 そんなことは慎重に検討する対象にならぬですよ。安全基準というものが明らかに上に立って、その上に企業秘密があるかないかということは明白じゃありませんか。企業秘密が安全基準の上に立つのだということを検討する——これは安全基準の基本ですか——企業秘密がその下に入るかどうか、検討の必要はないでしょう。明らかに原子力基本法のたてまえからいって、これは出すということになるでしょう。
  188. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 決して企業機密が上に立つという意味じゃありませんので、公開の原則の趣旨に沿いまして、極力提出することにいたしたいと思っております。
  189. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、大臣、お聞きのように、私は何回かこの問題をずっと調べて、この一番大事な設置基準について、やっぱり非常に大事な点が私は抜けているんじゃないかと、こう思いますよ。これは記録の提出を待って、この問題はさらにひとつ論議をいたしてまいりたい、こう思います。  そこで、私はいまこういう意見がわれわれの国会において論議をされるということは大事でありますが、アメリカなんかの例を見れば、全部公聴会によって、各業界いろんなそれの代表の人が公聴会に出て、いろんな意見を述べている。これは電力会社もあるでしょう、重油もあるでしょう、あるいは環境保護に当たる人もあるでしょうが、いろんな人がそれぞれ専門の立場から出て公聴会をやっていますが、私は少なくもこういう問題については公聴会を開くべきであると思いますがいかがですか。
  190. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 先ほど来いろいろこの安全審査について御意見があったようでございますが、私は先ほども申しましたように、今後原子力の平和利用につきましては、何としてもこの安全管理が一番大事だと、かように考えておるものでございまするので、今後におきましては、アメリカといろいろ事情が、地理的の条件、いろいろなことで違うところがありましょうけれども、全体としては、必ず私はアメリカよりも一そうきつい安全管理をいたして、皆さんに御心配のないようにいたしたいと、かように思っておりまするので、どうか辻委員その他関係各位も十分この点を御理解願いまして、原子力の平和利用が一そう積極的に推進できるよう御協力を賜わりたいと思っております。
  191. 辻一彦

    ○辻一彦君 いや、私はそれはけっこうですよ。アメリカよりほんとうにきびしくしてもらうことはけっこうです。そのために私どもも十分協力さしてもらいます。ただ、いま申しましたいろんな意見を、やっぱり公の場で十分聞いて考えていくという点で、公聴会のシステムを、アメリカなんか大規模にやっておりますが、これを私はそのようにやるべきだと思いますが、これについて大臣はどうお考えでありますか。
  192. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) ただいまの御意見、ごもっともな点もありまするので、必要に応じまして、機宜に応じて皆さんの御意見を聞くような機会をつくりたいと思っております。
  193. 辻一彦

    ○辻一彦君 それは公聴会において皆さんの意見を聞かれるということですか。
  194. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 必ずしもそういう意味ではありませんけれども一般の意見をなるべく広く聞いて、地域住民その他の理解と協力を得て、また辻さんその他の特別の御理解と御協力を得てそのことを進めたいと、かように思っております。
  195. 辻一彦

    ○辻一彦君 いや、私は前の平泉長官にも成田局長にもお話しましたが、公聴会やったらどうかということについては、そんなものは陳情に来れば幾らでも聞いてやるということで、それはなるほど聞く場所はありますよ。しかし、陳情にお願いして聞くということじゃだめで、公聴会は、公の場で公の意見をきちっと言えるということで公聴会の値打ちがあるのですよ。だから、皆さんいつでも来れば陳情を受けましょうということでは意味がないと思います。やっぱりちゃんとした公聴会をやってもらいたいということが、こういう疑義に広く国民に対してもこたえる道じゃないかと私は思うのですが、いま一度お伺いしたいと思います。
  196. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 先ほども申し上げましたように、私は広く関係者の意見を聞いて、そうして皆さんの御理解を得てこの問題を進めたいと、かように思っておりますので、御了解願います。
  197. 辻一彦

    ○辻一彦君 どうも、やるのですか、やらないのですか。公聴会はやってもらえるのですか。
  198. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 必ずしも公聴会をやるとは限りません。広く、なるべく広く関係方面の意見を聞いてきめたいと、かように思っています。
  199. 辻一彦

    ○辻一彦君 これは断わるわけじゃないですが、やっぱり公聴会というのは公の場でちゃんと保障されないと、それはもう陳情みたいになってしまうんですよ。公聴会のほかに、じゃあ国会の科学の委員会でも内閣の委員会でも、それぞれの参考人を、代表的な人を呼んで、十分ひとつ公の場で意見を聞くということはできますか、どうですか。
  200. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 先ほど来申し上げましたように、各方面の意見を聞く。本日、辻委員の御意見を伺うのもやはりその一つであるし、私はできるだけ広く御意見を聞いて、しかも了解を得て、そうして平和利用を積極的に進めていくように、消極的でなく、積極的に進めていく方向で私は努力したい、かように思っております。
  201. 山崎昇

    ○山崎昇君 関連。長官に。関連ですから簡単に聞きます。  あなたのいま答えられている、この積極的に聞くというのだが、どういう方法をとるのですか。私たちのいま言っているのは、申請が出てきますね。その申請に基づいて設置しようとする現地で、利害関係者があるでしょう、あるいは利害に直接関係なくても、それに対していろいろの意見を持つ人もおるでしょう。そういう形の方々に集まってもらって、公聴会という形をとりながらその意見を聞いて、その上に立って専門家がいろいろ基準を当てはめて判断するのでしょう。そういうことがやれるかどうかということを聞いている。ただ、いまの法律にはあるいは公聴会というのはないかもしれぬ。なければ、行政権限の範囲内においてそういう行政方法をとることは可能ですね。そういう意味で言うならば、あなたの言う積極的に意見を聞くというのは、どういう方法をとるのですか。私どもに協力せいと言うならば協力します。もう少しその辺を明確にしてください。
  202. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 私が、積極的に原子力の平和利用を進めていきたいというのは、ただ単に一つの申請書に対しての問題じゃありません。もちろん、この原子力の平和利用というのは大いに進めていかなければなりません。それにつきましては、広く、場合場合に応じて、関係者その他の意見を聞いて、そうして安全審査の意見も聞くし、いろいろな意見を聞いて、関係者の了解を得てそうして積極的に進めていきたい。もっと大きなことを言っておるわけです。
  203. 山崎昇

    ○山崎昇君 じゃあ公聴会はどうするんです……。
  204. 辻一彦

    ○辻一彦君 いや、一つの問題じゃないとおっしゃるけれども、その一つの一番大事な問題にこれだけの疑問があって、お答えがいただけないとすれば、やっぱりそういうことはいろんな角度から——私はいまの問題だけじゃないんですよ。多く場合の原子力設置の問題のときについても当てはまると思いますが、やっぱり公の場で、公聴会等によって、それは皆さんの意見を聞かれるというのが一番正しいと思いますよ。大事だと思いますよ。幾らも話す場所があると言いますが、私は国政審議権によってやっているのですから、当然やらなければならぬと思いますが、また公聴会ができれば、一般の人も参加して意見を述べることができますよ。それは保障がなければ、広く意見を聞くと言っても、陳情を受けましょうということになってしまいます。何か具体的に、実際的に、多くの人の意見をきちっと公の場で聞く、保障をする。それは公聴会ということばにとらわれなくてもいいと思いますが、それをひとつ確認をいたしたいと思いますが、どうでしょうか。
  205. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) それですから、私は先ほど来お答えしているように、各方面の意見を広く聞いて、そうして積極的に進めてまいりたいと、かようにお答え申し上げておる次第です。
  206. 水口宏三

    水口宏三君 関連。いまの長官のお話で、大きなことについては各方面の意見を聞くと、一つ一つの申請については云々というお話でございますけれども、日本の国民は一人一人でございますから、どこに原子力発電がつくられるかによってその周辺の人の安全が問題になるので、そういうものの集積が、日本全国民の問題になるのですから、具体的には、そこにつくるかどうかについての意見をお聞きにならないと、大きなことについては一般の意見を、各個の意見を聞きます、一人一人の申請についてはそんな必要はないという考え方は、一人一人の人間の、生活者の安全を考えた問題じゃないんですね。だからこそ若狭湾でこういう問題が起きているのだから、だから辻さんがこういう話を、こういうことを伺っているんですから、具体的な問題について公聴会を開くのでなければ意味がないんですよ。
  207. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 原子炉の安全の、科学的に安全であるかどうかということは、私はしろうとの人の意見を聞いたからつてきまるものじゃない。それはやはり科学的の、有識者の方々の安全審査委員会によって、よく調べて、そうしてそれによって判断するのが私は適当だと思う。数多くの人たちに会って聞いたからといって科学的に安全度を確め得たかというと、私はそうは思わない。失礼ですけれどもそうは思わない。けれども、これを進めるには、先ほど言いましたように科学的だけではいけないから、広く各方面の理解を得て協力を得て進めなければならぬと壁頭に申し上げておるんですが、私はいつもそう思っております。しかし、科学的にこれはどうかということは、多くの人、たくさんの人を集めて聞いたからといって、私はそれで判断できるとは思っておりません。
  208. 水口宏三

    水口宏三君 長官非常にことばを取り違えているんで、私は科学的なことを——長官大きなこととおっしゃるが、これは専門家をお呼びになって十分検討していただきたいと思うんですが、いまここで出されている問題は科学的な問題じゃないんです。若狭湾に原子炉がつくられる、そこの住民は非常に不安におちいっている。毎年毎年夏になれば海水浴の人がふえていく、こういう社会的な問題、これについての安全性、そこに住む住民、海水浴の人たちの不安が残るから、そこで具体的に公聴会を開いて、それらの人々に十分安心できるような形で設置したらどうかということで提案しているんであって、何も科学的なことをしろうとが集まって云々けちつけようということじゃ全然ないんです。これは公聴会の問題は御承認願いたい。
  209. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いま水口さんのお話、私はそのとおりで、そういうふうに御理解願えればけっこうなんです。私は科学的な判断はあくまで専門家の人々が科学的に十分検討してきめてもらう。そのほか、先ほど申しましたように科学的だけじゃいかぬから、そこで社会的に——このことばが熟しているかどうか、適当かどうかわかりませんけれども、社会的に関係の人々その他の意見を聞いて、そして理解を得て、協力を得て進めてまいりたい、かように申しているんですから、その点は水口さんと少しも変わりありません。そう考えていただいて非常にけっこうなわけです。
  210. 上田哲

    ○上田哲君 議事進行。たいへん本日の法案についての審議、これに対する政府側の答弁に不満を持つわけです。先ほど来、たとえば安全審査委員会の議事録を出してくれと。これはもう原子力基本法の精神からいって一点の疑義もないはずなんです。それが企業秘密云々なんということがまぎらわしく出ているということで、私どもは非常に不安を持つわけですが、一方において安全審査委員会の議事録もそのまま出てこないということでありながら、そこで専門家にまかしておけばいいじゃないかということは、全くこうした質問に対してまじめに答えようとする態度ではない。先ほど私が質問したときも、当然この設置との関連において伺っているわけですけれども、率直に申し上げて、政府側に誠意があるならば、この議案については採決に入ろうというつもりでいたわけですけれども、こういうふうに答弁がたいへんあっちへいったりこっちへいったりということで誠意を尽くさぬということになると、きょうは議事進行上採決に至らぬということになると思うんです。もう少し積極的にまじめに御答弁をお願いいたしたい。こういうやりとりは、まるで野党じゃなくて政府側が時間の引き延ばしをはかっているんじゃないかと、議事進行上はなはだ私は不満を感ずる。長官におかれても、質問者は明らかに公聴会を開くかどうかということを言っているんですから、広いとか狭いとかという話でごまかされずに、じゃ、広いとおっしゃることの中に公聴会も含むのか含まないのかということをひとつ明確にお答えいただく、そういう形で議事進行を進めていただきたいと思います。
  211. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) お答えしますが、私は必ずしも公聴会を含むとはお答えすることはできません。もっとあるいは広い意味においていろいろ意見を聞いて、そしてやろうと、私はこう言っているんですから、基本的には広く関係方面の意見を聞いて、そして理解を深めていきたい。その方法につきましては、私は直ちにここでいま何によるとかということをお約束するわけにはまいりません。
  212. 辻一彦

    ○辻一彦君 それじゃ大臣答弁は広い意味の公聴会、こういうように私は受け取って、広くひとつ各方面の意見を聞く機会を公につくっていただきたいと思います。これは環境の問題あり、あるいは社会的な問題があり、もしかりに科学の専門的な知識を聞くとすれば、これは私は日本の中にまだまだその専門的な推薦できる人もいると思うんですから、だからいろいろな分野にそれを総合してもいいし、いろいろな分野で十分国民の声を聞いてやることができると思います。  これだけに時間をとれませんが、あと三十分しかないので、幾つかの問題点を続けて質問いたしたいと思います。  この原電に若干——若干というか関連するんですが、実は九月上旬に前長官とそれから成田原子力局長に、大飯町の住民組織から公開質問状を渡されて、私も預ってお渡しをした。そのときに、九月に大飯の原電の審査の結論が出るというので、その審査の結論が出る前に早く質問のお答えをひとつ出していただきたい、こういうふうに言っておいたんですが、事実はこういう状況であればそんな簡単に審査は進まないと思いますよ。そこでこの大飯原電一、二号、美浜三号炉のいま申請中にかかるこの審査の見通しというものをどういうふうに持っておるかということが一つ。  もう一つはお約束いただいた公開質問状はもう三月以上もたっておるので、早く原子力委員会で御検討いただいて出していただくというお約束でありますので、出していただきたい、それはいつお願いできるか。その二点をお伺いいたしたい。
  213. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) この安全審査会は現在美浜、大飯の二つにつきまして検討をやっております。それで美浜につきましては、七月に申請がありまして、いまいろいろ検討をやっております。大体これはむしろ安全審査会の先生方の今後の検討のあれによりますが、大体見通しとしては、一月中には美浜につきましては安全審査会の結論が出るのではないかというふうにわれわれは見ております。それから大飯につきましては、一月に申請がありましたが、これは先ほど御指摘のように非常に日本としては最初の大きな炉でもございますので、非常に前例のないほど長い検討期間をとっております。これもわれわれ事務局の見通しでございますが、来年二月までには安全審査会の結論が出るのではないかと思っております。  それから大飯の暮らしを守る会からの公開質問状につきましては、先生にお約束しましたように、安全審査会の結論が出る前に回答を出すべくいま案を作成中で、検討中でございます。
  214. 辻一彦

    ○辻一彦君 局長、もう三月半もたっていて、いまさら審査の結論が出る前にと言わずに、あれは九月に結論が出そうだというからその前に少なくとも出してもらいたいということで、あなたもう三カ月もたっているんですよ。そうすれば、もうこの公開質問状で聞きたいことがあるんです、みんな。やっぱりそれに答えていただく、そういうようにお願いしたいと思いますが、どうですか。
  215. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 公開質問状に対する回答は、われわれは安全審査会の審査の状況とも多少にらみ合わせて慎重にいたしたいと思って、いま時間をかけておりますが、なるたけ結論が出る前にも出すように努力したいと思っております。
  216. 辻一彦

    ○辻一彦君 何回も言いませんが、なるたけという、結論が出る前にというように、さっきから同じような御答弁が三回もあった。三月も四月もたてば、住民の皆さんへの答えには何らかいまの状況でこうなんだというものが出ると思うんですよ。それを出していただくようにお願いしたいと思います。  それから大飯原電の一、二号は、申請中にかかわらず大規模な工事が行なわれて、初めに町と企業と約束したというんですが、行なわれた仮協定について地元住民の猛烈な反対運動が起こったということで、関電のほうから、企業のほうから仮協約を破棄してきた、電話ではありますが、役場に対して、前の町長に対して破棄してきたわけですよ。その中で橋をつけ、道をつけるということで、ものすごい工事がどんどん、いまのうちにやらなければならないというような勢いで進められているんですが、一体大飯原電一、二号については、申請中にもかかわらずどこまでああいう工事が許されるのかどうか、その点をひとつお伺いしたいと思います。あれはある面において企業暴力のような形で進められていると思うんです。そこらをひとつ指導官庁としてお伺いしたい。
  217. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 原子炉等規制法による原子炉の設置許可がおりる前には、原子力施設につきましては工事をやれないということになっております。ただし、道路をつくったり事前の土木工事等は、これはまあ原子炉等規制法の問題外でありまして、むしろ地元と当事者間の問題として考えております。したがって、非常に関西電力が地元の感情を無視して土木工事等を強引に進めているということがあるとすれば、それはあるいは地元対策上まずいことだと思いますが、これは町なり地元と電力会社との当事者間の問題として処理していくべき問題だと思っております。
  218. 辻一彦

    ○辻一彦君 これは、たとえば冷却水の取り水ですね、あるいは排水と思われる——取り水の口、そういうところを、海を大きく埋め立てている工事、あるいは炉心と思われるところの山を削って整地をしている。こういうのはどんな範疇に入りますか。
  219. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) まあ土木工事、特に岩盤にいろいろくいを打ち込んだり、そういうのは事前の整地の工事とわれわれは考えております。
  220. 辻一彦

    ○辻一彦君 整地の工事ですか、正規の工事ですか、どっちですか。
  221. 成田嘉治

    政府委員(成田嘉治君) 事前の土木工事と考えられております。
  222. 辻一彦

    ○辻一彦君 そうすると、全部きれいにできて、穴を掘るまではいいということですか、原子炉の穴を掘るまでは。
  223. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) まあいいといいますか、規制法の問題としては対象外であって、これは実際に町なり当事者の問題だと考えております。
  224. 辻一彦

    ○辻一彦君 法的にかりにそうであったとしても、たいへんなあそこはトラブルを起こして、議会も二つに、町長までかわってやっている。こういう状況だから、私は地元の町長がもう少し町民の中でいろんな意見というものがまとまるまで少なくも工事を中止しようという、ああいう考え方を企業のほうも考えて、一々中止をやったって、それが何カ月か半年おくれたってどうということは私はないと思うんだけれども、そういう行政指導を少なくも科学技術庁はやられる考えはないのか、いかがですか。
  225. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 実際発電工事をやる場合、地元と事業者が非常に感情的に対立して、大飯の事態がそのようですが、非常にそれは望ましくないことで、当事者間でいま円満な解決をわれわれも希望しておりますが、ただ、これを行政指導としてやるべきかどうか。われわれはむしろ県当局あたりが両者の間へ入って実際にあっせん等をしてこの問題の処理をはかるほうが、地元問題としてベターなんじゃないかと考えております。
  226. 辻一彦

    ○辻一彦君 県当局のほうに少しそういうような努力をされるように、これはまたひとつ国として、ある意味の助言といいますか、そういうこともお願いしたいと思うんです。  そこで、原子炉の安全性、設置基準の問題はいずれ資料をいただいて、また別の機会にいたして、私はきょうは熱公害、原電の排水によって非常に問題になっている温排水の問題についてひとつ御質問をいたしたいと思うわけです。で、これは美浜の三号炉の申請に対して、漁民の皆さんが過日も漁民大会をやって、非常な反対をされて、役場を取り巻いたという事件がありまして、その中で、この美浜の町長は関電といろいろ連絡をしまして、この工事の中止を——工事は実際やってなかったのですが、中止をすると、こういう言明をしたわけなんです。ところが、それで漁民の皆さんは一息ついておったら、いろんな動きですね、たとえばこれはいまひそかに何か整地が行なわれたと、了解をしたと、こういうことがまた問題になっているということを私は福井、地元の新聞で承知をいたしておるわけなんですよ。  そこで一番の問題は、原子炉の冷却水から大量に出される温排水が水産物に非常な影響を与える、こういうことを漁民の皆さんが非常に心配をし、事実またあの地帯における漁獲が非常に減っているという事実もあります。したがいまして、先ほど読む時間もなかったのですが、九月の参議院委員会視察において、特に漁業関係者からは、温排水による漁業への影響を問題にしている。この調査が明らかになるまで新たな原子炉設置の許可を行なわないようにしてほしいという強い陳情が美浜町議会代表からありました。これは正式に委員会として陳情を受けたことでございますが、こういう報告が出ているのですが、このように非常に温排水のことが問題になっております。  そこで、水産庁にひとつお伺いをしたいのですが、この温排水の、魚や、あるいは魚が通る道の魚道であるとか、あるいは水産物、こういうものに与える影響、こういうものについてかなりな調査をされているのかどうか、どういうふうにこれと取り組んでおられるか、それをまずひとつ、簡単でけっこうですがお伺いしたい。
  227. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 現在大規模の実験をしておるわけではございませんで、理論的な数値を考えておりますが、出力百万キロワットで約七十万トンの温排水が出される。その温排水の差が吸入取水時に対して平均七度ぐらい上昇しておるというふうにいわれておりますので、それの拡散を考えてみますと、排出口から八百ないし千メートルで温度差が二度となります。二千メートルないし二千五百メートルで温度差一度程度と考えられております。そこで、魚介類は一般に生存可能な水温というものはかなり広範囲にございますので、その温排水によって直ちにその魚が死亡するというようなことは考えられませんが、生物層が局部的に大きく変わってくるということも考えられるというふうに考えております。外洋の場合におきましても、表層から二、三メートルの層になるので、一部の回遊魚、特にここら辺ではイワシとかブリ等の回遊に影響があらわれるのではないかというふうにただいまのところ考えておる次第でございます。
  228. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあその程度のことであれば、温排水というのは平野さんの解析数式がありますね、平野さんでしたか、水産庁の。それを使えば、大体美浜、大飯の原子炉周辺における出力と温排水の拡散する度合いというものは、その程度はわかるわけですよ。たとえば美浜一号炉では大体八百から一千メーター、二号炉が動けば大体二千二百メーター、三号が動けば四千百メーターですね、だから半径六千メーターにわたって温排水の帯がずっと周辺にできる。これは水産庁のほうで研究された数式による結果ですね。で、問題は、こういう温度が拡散するということは、これは日本に限らずに、欧米等の大体火力発電所が河口なんかに、湖なんかにありますから、温度の拡散状況というのはいろいろなデータがありますが、いろいろなことを調べても、現実に魚にどういう影響を与えるか。たとえばプランクトンがこれによって影響を受けて、海流に乗ってあたたかい水と冷たい水がお互いに合流する。それによってプランクトンが流されていくとか、あるいはそういう影響によって稚魚の生産に、あるいは稚魚が影響を受ければそれを食べる大きな回遊魚ですね、これが影響を受けるとか、そんなことで、網を張っておっても、この美浜あたりでは、いままで張った網に当然入るのが来なくなったというわけですね。魚群は向こうのほうで迂回をしていっちゃうというわけですよ。そういうものが温度の差による微妙な影響じゃないかと、こういうことを漁民の人は非常に気にして、水産庁に言ってもなかなか調べてくれないので、漁民の小さな船で温度計を持っていってはかった人もあるのです。そういう状態があるわけですね。私は、そんなことについてもっと詳しいひとつ水産庁が何かデータをお持ちなのか、あるいはそこらはほとんど手がついていないのか、そこらはどうなんですか。
  229. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 外洋におきますそういう資源につきましては、現在のところデータを持ち合わせておりません。
  230. 辻一彦

    ○辻一彦君 たとえば、若狭湾は御存じのように稚魚生産地として非常に大事なところをなしております。卵から魚にかえって小さなやつが出て漁場になるわけですから。敦賀湾は原電だけじゃないんですね、貯木場とかそういうものができて、あそこはいい湾だったのが、稚魚の生産地としてはだめになってしまったということを県水産試験場でも言っているわけですよ。いまこの図にあるように、若狭湾の小浜から大飯、高浜にかけてそういう稚魚の生産地があるんですが、これらも温排水が出れば、卵がかえるときにはわずかな温度差によっても影響を受ける、こういうふうに、私、専門じゃないのでわからないのですが、聞いているんですが、そういう問題についての、沿岸の稚魚生産であるとかそういうものに与える影響等についてのデータはありませんか。
  231. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 現在のところ、そういう実験をしたデータはございませんが、本年から科学技術庁の委託費によりまして、日本水産資源保護協会で、温排水が養魚について逆に利用価値がないかということで、そういう点を含めまして研究施設をつくっておる状態でございます。
  232. 辻一彦

    ○辻一彦君 それを私も御質問したかったのだけれども、そこらがさかさまじゃないですか。被害がどんどん出そうな温排水のそういうものを、魚群や魚にどういう影響を与えるかということをよく調査するのが先であって、害の出るのをうまく使って養殖をしようという、そういうところにお金を出してやっていく、そういう発想が私はどうも考えてみるとさか立ちをしているんじゃないかと思います。で、いまのお話のように、たとえば日本水産資源保護協会が政府予算四千万円で委託を受けている、これは科学技術庁から出ているんですがね。そうして温排水の利用について施設をやっている。それから二億円かけてその設備をつくり、二億七千万円で民間の協力を得てそういう施設をつくるとか、こういうものは日本水産資源保護協会の機関紙にずっと出ているんですよ。こういうものを見ますと、肝心の温排水の問題で漁民があれだけわあわあ言っていることを捨てておいて、どうもそのマイナスの面を何にも十分考えずに、何かプラスになることはないかということで、企業ベースですぐこういう温排水の利用というようなところにお金を使うことについて、私は非常に疑問を持つんですが、これは科学技術庁から予算が出ておるならば、ひとつそれをお伺いしたい。  それからもう一つ、これによると、ことしの三月に水産庁から代表団を十名ほど欧米へ送っていますね、各水産試験場長とか。東海試験場の田中さんという方が団長になっていますね。これも欧米における温排水利用のために視察団をA班とB班とつくって二班が三週間と四週間、温排水の利用を見に行っておられる。これは日本だけが何年越しにやっているのではない。原電の温排水というものは日本だけじゃないので、よそからも出ておるならば、もう少しこういう被害をいかに押えるかを考えるべきだ。アメリカなんかは温排水の問題で大問題になっておるわけですね、熱公害というので。そういうことで水産庁が代表団を出されるのなら、A、Bなら、A班は温排水の利用でもいいんですよ。少なくともB班はなぜそっちのほうを見られないのか。私はそういうことが、予算の使い方、欧米への二つの代表団の出し方、こういうものを見ても、どうも企業の単なるベースであって、ほんとうに漁業や漁民の立場に、いまそういういろいろと心配している人たちの立場に立っていないと、こういう感じがいたしますが、それをひとつ科学技術庁と水産庁からお伺いいたしたい。
  233. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 温排水によって魚にどういう影響があるかというのは、一般論としましては、非常に温水によってよく育つ魚もあるし、また温水をきらって逃げる、それで漁獲が少なくなるという魚もありまして、どの魚族に対してどういう影響があるかというのは、先ほど言いました水産資源保護協会に委託費を出しまして、二億円近い水槽をつくって一般的な研究を早急にやることになっております。ただ温排水の影響は、一般的にはそうでありますが、具体的には、その海岸がどういう地形であるか、あるいはどういう魚なりプランクトンが生息しておるかという非常に具体的な調査が必要でありますので、若狭湾につきましては、県の水産試験場等にも連絡をとって、若狭湾の具体的な事例として、温排水が若狭湾においてどれだけマイナスの影響があるかというのを厳重に調査してもらって、その因果関係がはっきりした場合は当然事業者から補償等の形もとらせ、あるいはそういう影響のないようなやり方もまた考えるというような考え方をとっております。
  234. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) ただいま御指摘がありました原子力排水施設の排水の分布、拡散が水産資源にどういう影響を及ぼすかというのは、敦賀で実験、研究をいたしておりまして、四十四年からやっておりまして、来年も引き続きこれを行なっていくつもりでおります。
  235. 辻一彦

    ○辻一彦君 調査団は。
  236. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 調査団につきましても、温排水の利用のほうを主として見ましたけれども、拡散についても全く調査しなかったわけではございませんで、調査をして——私、直接調査結果を聞いたわけではございませんが、調査していると思います。
  237. 辻一彦

    ○辻一彦君 しかし、この水産資源保護協会の記録をずっと見ますと、全部温排水の利用についての調査団の派遣の計画、報告書のまとめがみな載っておりますけれども、そんな、温排水がどういう影響を及ぼすか、そういうことについてはどうも調べてありませんよ。私は公に二班行かれたら、一班ぐらいはそっちのほうを見てくるというのは当然やるべきじゃないですか。それはよく調べてみてください、どういう内容をやられておるか。  それから、私は福井県だから県の水産試験場、敦賀にも何回も行って、何をやっておるかみな調べておりますが、それは気の毒なような状況ですよ。一年に一回か二回行って温度をはかる程度では、そんなものではとても、あのいまのこれだけ原電で問題になっている温排水、熱公害の問題はとても研究できませんね。本格的にやるんなら水産庁、科学技術庁はこれに対してしっかりした対策を立てられる覚悟がなければだめですよ。ちょこっと委託費少しお出しになって、それではできません。四千万円、二億円——五カ年計画、二億七千万円と、これで五億一千万円というものがその温排水の利用のほうに、ことし、少なくもこの四十六年度では使われておるんでしょう。それをもう少し公害のほうといいますか、温排水の被害のほうに、どういう影響が出るのか、こういうことに私は国のお金を回し、あるいは水産庁の行政指導もそういうことを、研究をやってもらいたいと思いますが、その点いかがですか。
  238. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 御指摘のように、現在の分布、拡散の生物資源に対する影響の予算は非常に少ないので、来年度は大幅に増額いたしまして強化いたしたいというふうに考えております。
  239. 辻一彦

    ○辻一彦君 技術庁は。
  240. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 水産庁ともよく相談しまして、そういう方向でやっていきたいと思います。ただ予算上の制約もありますので、いろいろ相談しまして、それから県とも具体的な相談をしまして、相当規模な調査もやっていく必要があると思っておりますので、県ともよく相談をしていきたいと思います。
  241. 辻一彦

    ○辻一彦君 それでは、その御覚悟があれば環境庁にもあわせてお伺いしたいのですが、東京電力の温排水を調査するために赤外線でもって、飛行機でもってはかるという計画があると聞いております。これだけ問題が起きておる若狭湾の具体的なあの温排水の調査を私は優先してやるべきだと思うのですが、これは水産庁、科学技術庁、それから環境庁がそれぞれ御関連がありますので、その分ひとつお伺いしたい。
  242. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 環境庁といたしましては、水の汚染の問題、温度によります汚染、これはやはり環境基準をつくり排出基準をつくるということで、現在調査を進めておるわけでございますが、いまお話の東京湾におきます温度の調査、赤外線によります飛行機による調査でございますけれども、今年度予備調査をいたすということで、地形、距離の関係その他を考えまして、とりあえず姉崎の発電所の沖合いの温度の状況を調べたいと思って考えておるわけでございます。来年度はこれは本格調査に移行いたしたいというので予算要求いたしておりますけれどもお話の敦賀の関係につきましては、実は来年度の計画で取り組む次第で、本格調査の中でこれは取り上げてまいるという考えでおります。
  243. 辻一彦

    ○辻一彦君 これは皆さん専門だから詳しくは申し上げませんが、さっき図で示したように、原子炉周辺に六千メートルの半径で温排水が出るとすれば、その一番先は一度差のところですね。一度差しか温度ははかれないわけです。しかし魚は〇・一度、〇・二度で影響を受けることもあるし、それから卵がかえるときにはそういう温水が非常に影響するわけですね。赤外線で見れば〇・二度まではかれるということで、かなり広範な地域まで私は見ることができるのではないかと思うのです。そういうことで、一番問題になっておるところを私は予備調査もやって、あそこで、ほうっておけば六百万もつくる——いまでも三百万からの建設をやってるのでしょう。そういうところをまず先に予備調査をやってもらうということが、ああいう漁民に対してもほんとうにこたえる道だと思うのですが、ことし間に合うかどうかわからないのですが、最大限の努力でいつごろ具体的にできるのですか。
  244. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) これは環境基準をつくり排水基準をつくるためには、温度が特に外洋において希釈拡散するメカニズム、さらには水産動植物に対する影響を、因果関係を明らかにしませんと、環境基準なり排出基準ができないわけでございます。私どもは努力いたしまして、今年度それから来年度調査をいたしまして、できれば四十八年度には環境基準なり排出基準をつくりたいというふうに考えておるわけでございます。そして本格的な調査は当然来年度になりますが、今年度も従来の金も多少流用いたしまして、二百五十万円という非常に少ない金でございますので、とりあえず東京湾で行なうということで、私どもは、本格調査におきましては重要なところをぜひ入れて実施をいたしてまいりたいと考えております。
  245. 辻一彦

    ○辻一彦君 外洋の太平洋の波と日本海の若狭湾のような入り江になって静かな波のところとは全然条件が違うわけです。私は予備調査という点につきましては、外洋の海原を調べる場合と内海の静かなところを調べる場合と条件が違いますから、私は予備調査は二つ必要だと思いますね。そういう意味で、そこでさっき養殖に四千万あるいは何億というお金があるのですが、こういうお金も使われるのだから、この環境庁だけじゃなしに、科学技術庁や水産庁で御相談して、あれだけ問題を起こしている若狭湾にまずあれして、太平洋岸が一つですね、同時にああいう波の静かな入り江のところ、ああいうところにどういう影響が起こるか、そういう予備調査を今年度あたりに、無理をすれば二百五十万円のお金が、これだけのりっぱな機関でできないことはないと思うのですが、すぐできませんか。いかがですか。
  246. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) もちろん金の点もございますけれども、現在東京湾で赤外線によります撮影をしようというので実は十一月以来実施を予定しておりますけれども、天候その他の関係がございましてなかなか撮影ができない。ことしじゅうに予定いたしておりました日にちもまたこれはできなくて、これは一月にずれ込むという実は実態になっておるのです。そこで、金の問題もございますが、急に調査個所をふやすということは技術的に可能かどうか、検討はいたしておりますけれども、非常に困難ではなかろうかというふうに考えております。
  247. 辻一彦

    ○辻一彦君 それでは、時間が参りましたので詳しくは申し上げませんが、これはひとつ検討をいただいて、特に科学技術庁も水産庁も、そういう問題をかかえている地域ですから、漁民のいろいろな不安や疑問に早くこたえていただくようにぜひ努力をお願いしたいと思います。  それから水産庁にもう一つお伺いをしたいのは、大飯町、あそこは真珠の養殖なんかかなりいい条件を持っておりますね。ところがいま原電でしゃにむに土木工事、橋をかける工事が進んでおる。そのために真珠をやっておる漁民の人たちが、何ら話し合いなしに橋がどんどん離れた所にできると、そこで水がどんどん濁って非常な影響を受けるということで、福井の地方裁判所に仮処分の申請をしておりますが、しかし裁判所はまだ弁明書とか何とか答弁書というものを時間をかけてのんびりやっておるのですよ。これはあくまでやらなければならぬのですが、ああいう実態をひとつ水産庁で調べていただきたいと思いますが、それはどうでしょう。
  248. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 個々の問題につきましていきなり水産庁が行くというわけにもまいりませんが、県の水産試験場を通じまして調査させるようにいたしたいと思います。
  249. 辻一彦

    ○辻一彦君 運輸省の皆さんを呼んでいるので、一つだけお願いして終わりますから、運輸省と防衛庁、両方一緒にお伺いをします。  いまのような状況の中で、若狭湾にはたくさんの原電が現在つくられており、非常に問題が起こっておる。そこであの上を自衛隊の航空機が飛ぶということについては、非常な不安感を住民の人は持っております。これは委員会で視察したときに、やはりこの報告書にも出ておりますが、「八月十二日付けの運輸省の「自衛隊の低高度訓練空域」には原電施設を多数かかえる敦賀半島が含まれているので、これを除外するとともに、原電上空の航空機の飛行を禁止すること」をお願いしたい、こういう陳情を正式に受けておるわけです。そこで、この間も三百メートルから六百メートルというところに上がったのでありますが、私のほうの福井県は、二年前に福井のすぐ隣の金沢に自衛隊の飛行機が町の一番まん中に墜落して二十数人の死傷者、三十七戸の家屋が焼失した、そういう事故が二年前にありました。そういうことで、六百メートルではこれはとても心配だという声が非常に強いわけです。そこで、あぶなくなればパラシュートで出てしまえば、あとは、金沢の場合にはこっちを向いていた飛行機がパラシュートで飛んじゃったものだから、風が回ってずっと迂回をして町のまん中に行った、こういうことがあるわけですね。だから六百メートルのああいう形の半円形ではまだまだ私は危険性があると思う。その点で、あの上空を禁止して、それで今度の場合は少なくとも高度をもっと上げて、そういう不安感を除去するようにお願いしたいと思いますが、それをひとつ運輸省と防衛庁からお伺いをしたい。
  250. 内村信行

    政府委員(内村信行君) ただいまの若狭湾上空の自衛隊の訓練空域の問題でございます。これにつきましては、ただいま先生御指摘のように、八月十一日に初めて実施いたしました。その後やはり当委員会の席上で岩間先生から御指摘がございまして、現地の住民が非常に不安であるというようなお話を承りました。私どもといたしましても、これは鋭意改善をはかりますというお約束をいたしまして、それからいろいろ点検をいたしまして、また外国の例も見まして、先ほど先生のおっしゃったように、従来の千フィートを二千フィートに上げる。それから周囲も半径二マイル、四マイルのところは二千フィートの高さまでは訓練をしてはいけないという区域にいたしました。これは大体英国、デンマークあたりでも同様に二千フィートの二マイルというような範囲をとっております。さらに私どものほうの場合には、二千フィート以上といえどもできるだけこれは飛行はしないでほしい、さらにどうしてもそこを通らなければならぬ場合は水平飛行に限ります、決して訓練的な飛行をやってもらっては困るというようなことを自衛隊のほうに強く申し入れまして、自衛隊のほうでもそれを御了承いただいて運用しておるのが実情であります。  そこで私どもは重ねて、二千フィートあるいは二マイルというような飛行で、発動機が急に停止した場合においても大体滑空して外に出られるというような計算上からいっておりまして、外国の場合もおそらくそうであろうと思いますけれども、まあこれで私は一応十分であると思いますけれども、なお、さらに高度を上げる等の点につきましては、あるいは防衛庁等とも相談いたしたい、こういうふうに考えます。
  251. 辻一彦

    ○辻一彦君 これで終わりますが、さっき言いましたように、金沢にあった場合にも、私は人命が大事ですから、やっぱりあぶないときにはパラシュートでおりるのもけっこうだと思うのですよ。しかし、人間がいなくなった飛行機は操縦ができないわけですよ。そうすると、金沢の場合にはこっちへ行っておったのが、畑のほうを通っておった飛行機が、人間がパラシュートでおりたもんだからかじが曲がって町、の繁華街のまん中に、住宅街のまん中に突っ込んであれだけの事故が出た。そうしますと、六百メートルでエンジンがとまってもだいじょうぶだとおっしゃるけれども、落ちていいというわけにはいかぬでしょう。自衛隊だって大事な命だから助かったほうがいいでしょう。そうすれば、人のいないのがどうなるか予測できない。そうすれば、六百メートルだったらだいじょうぶだなんてもんじゃないですよ。もしあの原電に当たったら——これは言う必要がないでしょうが、これは原電のたった三十三万キロワットのあの原電でも、一日あれが動くと一キロの燃料ウランが燃焼されて灰になりますね。そうすれば広島に落ちた原爆が三十三万で、毎晩一発ずつ下に灰になって残っておるのですよ。まして百万となったら、それの三発分がずっと貯蔵されるわけでしょう。だから事故が起きたときにはこれはたいへんなことだから、それには、かりに当たってもその衝撃に耐えるようないろんな設備がされておると思いますが、起こったら私はたいへんなことだと思います。その点で六百メートルというのは非常に不安だから、これはやはり禁止もしくはその上限を上げるとか、何らかの方法をひとつ防衛庁と御相談してぜひお願いをしたい。
  252. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 防衛庁と相談して鋭意検討します。
  253. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) ただいま運輸省から御答弁がございましたとおりでございますが、私どもといたしましては、先般岩間先生から御質問のときにも答弁申し上げましたが、四十三年の八月以来、原子力発電所の上空の飛行につきましては制限をいたしております。そうして、どうしてもやむを得ず飛ぶ場合におきましても、できるだけ高度、経路を、エンジンがとまっても被害を及ぼさないような形で飛ぶようにというふうに指導をいたしております。それから原子炉の地形とかあるいは図面等の写真をパイロットに渡しまして、十分そういうような場所の上空は細心の注意をもって飛ぶよう指導をいたしております。  以上でございます。
  254. 辻一彦

    ○辻一彦君 どうもありがとうざいました。この問題はもう少し具体的に私いろいろ追及したいのですが、時間がないのでまたの機会に譲ります。
  255. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 参考人の皆さまには、長時間にわたりまして説明に当たっていただきましてまことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。
  256. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案の審議に際しまして、二、三質問したいと思います。  もうすでに同僚委員より種々質問がございましたので、できるだけダブらないようにしたいと思いますが、初めに、今回の無機材質研究所筑波学園都市移転になることになったわけでありますが、そのいきさつ等については先ほども説明がありましたが、初めに、この筑波学園都市全体を掌握していらっしゃる首都圏整備委員長さんがきょうお見えになっておりますので、整備委員長さんとして、この筑波学園都市の今後の展望、あるいはこの学園都市をこういうぐあいにまとめるようになったいきさつ等について簡単に説明をお願いしたいと思います。
  257. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 筑波研究学園都市建設するにあたりまして、初めの目的と申しますか、とにかく昭和三十八年でございますか、そのときはやはり首都に関係のないような研究機関あるいは教育機関等は、どうも少しそれにふさわしいようなところに、何と申しますか疎開させたほうがいいのじゃないか、よってもって首都の人口の緩和に資しようじゃないかということで始まったのでございます。そこで候補地もたくさんあがりました。あがりましたが、究極のところ、いま問題の筑波地方がいいということで始めたのでございます。いま法律に問題になっておりまする無機材質研究所は、そのときはまだ設立を見ていなかったように私は記憶いたしておりますが、とにかく都市人口集中の緩和、都市関係のない機能はなるべくその近郊に移そうじゃないかということで始まったと記憶しておるのであります。
  258. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると筑波学園都市が、いわゆる筑波がこの学園都市に最も適した場所であるという理由は何でございますか。
  259. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 二、三の候補地があがったのでございまするが、私直接その当時のあれは担当はいたしておりませんでしたが、やはり東京に近くなければならぬということ、富士山ろくもそのときに候補地にあがったと思っております。まあいろいろな観点から、やはりこの学園都市をつくるのには、土地の問題、それから学園都市にふさわしい交通の問題、いろいろな点を考えまして、企画してきまったと思うのでございまするが、なかんずくやはりあまり遠いということはいかぬから、都心になるべく接近したところで、ふさわしいところということであったようでございます。
  260. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、私はあんまり大臣の説明わからないのですよね。いまの説明を聞いておりましたら、筑波移転の理由は、まずその近くでなくちゃいかぬ、土地がなくちゃいかぬ、ふさわしいところ、交通の便なところ、これだけ大臣おっしゃいました。なかんずく近くであるところ、ふさわしいところと、こうおっしゃいました。大臣は現地へ行かれましたのですか。そしてあそこが、いま大臣がおっしゃった東京に近いというところ、またもう一つは非常にふさわしいところと感じられたわけですか。この点どうでしょう。
  261. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 端的に申しまして、いま考えても私は研究学園都市としてはふさわしい、ほかのところを考えてもまあふさわしい。私はたびたび行っております。
  262. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題は、私は大臣がたびたび行かれまして筑波研究学園都市に非常にふさわしいところである、こういうぐあいに感じられたということを記憶にとどめておいていただければけっこうです。あとでまたこの問題触れます。  実は私たちも筑波学園都市移転することについては何ら反対じゃないわけです。賛成なんです。その上で私は質問を進めていきたいと思います。  そこで、大臣の先ほどの答弁の中に、要するにこの近くということと、土地あるいはふさわしい所、交通、そういうような中に、それとは別にもう一つおっしゃったことは、要するに東京都の過密、いわゆる首都圏のこの過密な状態を何とか解決する、そのために筑波学園都市移転するんだ、こういう意図が私は含まれておったと思うんですね。そこで私は、大臣が就任していらっしゃる首都圏整備委員会というのは非常に重要な役目を持っているんじゃないかと、こう思うんです。そういうふうな観点から、確かにこの東京を中心とする首都圏、これはもうたくさんの問題が山積みしていると私は思うんですね。そういうような中にありまして、大臣がすでに首都圏整備委員長としてだいぶもう長い間やっておられるわけでありますし、現在のこの首都圏整備委員会、まあ委員会としてでもけっこうですし、また大臣自身——建設大臣としてもけっこうでございますが、この首都圏における現在の問題点、及び大体今後十年間ぐらいで東京を中心とする首都圏で起きてくるであろう問題こういうような問題についてはどういうふうな問題がこれから提起されるであろうか、これは非常に大事な問題だろうと思うんですが、特に、現在問題になっている点はこういう点である、それから今後十年間の将来にわたって首都圏において問題になる問題はこういうような問題であろうという点を、大臣の所見をお伺いしたいと思うんです。
  263. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 首都圏整備委員長、名前はたいへんいいんですが、その名前のわりあいには首都圏整備委員会というものが強化されておらないのでございます。まあこの首都圏につきまして問題点をつかまえれば、それは果てしのないほど大きい問題がたくさんあります。御案内のように初めの目的も、首都になくてもいいというようなところで人口の分散、こういうことを考えましたが、必ずしもこれのためにどれだけ人口の分散ができたかということに、この計画は非常に長くかかりますために、はなはだ微々たるウエートしかないんじゃないかと思っております。したがいましてこの首都圏、この筑波学園都市ができるとできないとにかかわらず、都市人口はやはり相変わらず——多少年度的には人口の流入の伸び率は減っておると思いますけど、相変わらずやはり伸びておるのでございまして、いま問題になっておる、あるいは将来問題になる課題はもう山ほどあります。現在でやはり一番問題になっておりますものは、東京都におけるごみ処理の問題とか、あるいは騒音の問題とか、あるいはその他の公害の問題とか、まあたくさんあります。将来にわたっていまのような、やはりこの程度で伸びていけば、やがて人間生活に最も必要な水問題というようなもの、あるいは住宅、いまでもそうですが住宅に対する土地問題というようなもの、もうたいへんなたくさんな問題を控えておると私は思います。しかしこれが首都圏整備委員会で直ちに解決できるかと申しますと、計画は一応は紙の上ではつくりまするけれども、なかなか実行がそれに伴うような権限も委員会としては与えられていないわけでございます。したがって、今後私といたしましては、まあ首都圏整備委員会の強化というようなことも——ただたいへん名前だけ与えられてたいへん力がないことを常々私は感じておるような次第でございます。  いろいろまあ、御質問に合ったかどうか知りませんが、一応さようにたいへんな問題をたくさんかかえておるということを申し上げておく次第でございます。
  264. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はいま大臣答弁を聞いておりますと、これはきょうはどうも何時間質問しても尽きないぐらいこれは終わりません。  一つは、もうことばじりをとらえるわけじゃありませんが、私は首都圏整備委員会というのが確かに大臣おっしゃるとおりだと思うのですよ。たいへんな名前はいただいておるけれども、全く強化されてない。そんなことを大臣がおっしゃっておったんではしようがないので、そのことは大臣は総理大臣かだれかに言うてください。大体この委員会に来て、首都圏整備委員会はどうも力がないということを私に何ぼ言ってもらってもどうしようもない、これは。私はこれは非常に大事な問題だと思うのですよ。現実にこの筑波学園都市をつくることになって、いろいろな問題、現に出てきています。私もいろいろ調査しましたが、いろいろな問題があるわけです。それと同じように、大臣が、確かにその首都圏整備委員会が全部この問題をかかえている、かかえて陣頭指揮に立って大臣やっていらっしゃるわけですね。その整備委員会が力がないのでは、ほんとうにこれは私ももうこれ以上質問するのは、大臣にいろいろこれはこうだ、これはどうだということもなかなか言えなくなってきます。やはり首都圏整備委員会というのはどうも力がない、だから今後首都圏整備委員会を強化する以外にはない、こう言われると全くそのとおりなんですから。やはりそれはそれで、私は首都圏整備委員会を強化するためにこういうふうにしないといけないのじゃないか、私は前の大臣に続いて委員長になった、またこの次の大臣大臣と同じように思うと思うのですよ。だれかの大臣のときにやはり首都圏整備委員会を完ぺきなものにしないといけない、やはり役に立つようにしないといけないわけです。だから、そういう観点に立ってやはり大臣も本気になって取り組んでもらいたいと私は思う。だからその上に立って、私は、大臣答弁されましたように、東京の人口を緩和するために筑波学園都市をつくった。だからといっていま急にその効果があらわれ、人口がぱっと移っちゃって、その効果が一ぺんにあらわれるなんということはこれっぽっちも私も思ってない。思ってないけれども、確かに意図としては、今後何年かたつうちにはやはり整備委員会なり政府の意図した方向になっていくであろうということはわかるわけです。そこで、それを中心にして、私は今後首都圏整備委員会というこの特殊な役所が私たちの委員会の前にあらわれることもなかなかないわけです、実際のところ。委員会の席上に来て答弁をお願いすることもなかなかないわけです。したがって、きょうはこういうふうな趣旨に立って、いまこの筑波学園都市中心にして首都圏整備委員会ががんばっていらっしゃるということを私たち聞きましたので、これはちょうどいい機会なので、首都圏整備委員会として、東京を中心にした特にごみ処理の問題——いま大臣おっしゃいました、あるいは騒音の問題、公害の問題等も含めてきょうはお伺いしたい、こういうぐあいに思っておるような次第なんです。  そこで、先ほど大臣は、現在問題になっている点はもう果てしない、山ほどある、こういうぐあいにおっしゃいましたが、確かに山ほどあろう。果てしなかろう。これはやはり東京都をよくしていくために、首都圏をよくしていくためにはこれは精魂を傾けてやらなければいけないと思うのです。それがただ単に計画はつくるが力がないためにどうしようもないと言うのじゃなくて、たとえそれは計画倒れに終わろうとも、これはやはり首都圏をよくしていくためにこの首都圏整備委員会というのはできたのであろうし、そういうような趣旨に立って私はやっていただかないと、そういうぐあいな趣旨に立ってやっていくのだという大臣答弁があって初めてこれから質問ができるのであって、果てしがなくてどうしようもないというのではだめですな。大臣どうですか。
  265. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 少し正直過ぎたと思います。ほんとうに力がないから何とかしょうと、こういうことで、一応計画的にはたいへんな調書を積み重ねておるのでございます。たいへん調書は積み重ねておるのですが、それにもかかわらず相変わらず東京が、首都圏が所期のようによくならない、こういうことを端的に申したのでございまして、私といたしましては、職にある以上は全力を傾けて、学園都市の問題につきましても、よってもって首都圏の問題につきましてもやるつもりでございます。御了承を願いたいと思います。
  266. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま大臣の御答弁を聞きまして安心をしました。そこで、それでは私は、実は今回の科学技術庁無機材質研究所が今度筑波学園に移転するというので、科学技術庁は一体何をやっているのかということで、実はこの資料を持ってくるようにいろいろそれぞれの当局にお願いをしまして、資料を取り寄せました。そうしましたらこういうような資料が出てまいりました。みんな非常に上等のパンフレットで、全部もうこれはすごいんですな。一つづつあるんですがね。すベて非常にパンフレットが上等にできております。そこで、私たちはいろいろ勉強もしてみました。どういうことをやっているかということもほぼこれを読んでわかりました。しかしながら、よくよく考えてみると、科学技術庁の基本的なあり方というのは、これは大臣、私は考えないといかぬのじゃないかということをちょっと感じた点があるんですよ。やっぱりどうしても私たち庶民の生活に密接に関係がある、庶民の生活をどうしていこうかという点に立って考えてみると、確かに無機材質研究所、これは庶民の生活に関係ないとは言えません。私は賛成なんです。これも確かにテレビになっております、あれになっておりますと言うておりますけれども、しかしながらもう少し突っ込んだ、私たちの生活をよくするために、いま問題になっている点に私は取り組んでいかなくちゃいけないんじゃないかということを感じるわけです。そこで、きょうは両大臣にお伺いしたいのでありますが、いま建設大臣からも、首都圏整備委員長として、この東京都における問題点をお話しになりました。これは管轄は科学技術庁の長官としては違うかもしれませんが、しかしながら重要な問題でありますのでお伺いしたいのでありますが、まずその東京都のごみ処理です。ごみ処理の問題についてお伺いしたいのでありますが、これは現在確かに東京都下各地でたいへんに問題になっております。そしてこれは、東京都下だけじゃなくて、日本全国でこの問題が大きな問題として取り上げられるのは、これはもう明らかであろうと思うのです。そこでこの問題について、少なくとも首都圏整備委員長、あるいは科学技術庁の長官として、それぞれの考え方はこういうようにしたらいいんじゃないか、あるいはこういうぐあいにして取り組んでいこうというお考えはお持ちだと思うのでありますが、両大臣の御所見を初めにお伺いしておきたいと思います。
  267. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いま峯山さんからいろいろ御注意ありました。私も峯山委員の御意見に聞くべきところが確かにあると思うのです。しかし、科学技術庁は何をしているのか、あまり身近なことをやっておらないのじゃないかというような御意見がありましたけれども、私は必ずしもそうは考えておらないのであります。科学技術庁では、御案内のとおり、科学技術一般に対してその科学技術全般の研究基盤の強化をはかっていかなければならない、この研究というものは科学技術庁研究機関、その他政府関係研究機関でやっておりますことは、これはことごとく国民生活に密着した研究であり、研究の効果をおさめ得るものだと思っておりますが、そのほかに、たとえば先ほど来問題になっている原子力の平和利用の問題、これなども国民生活に密着していないじゃないかと言われると、そうは私は言えないと思う。これは大きな意味において非常に国民生活に重要な関係があるし、さらに宇宙開発にしても、まあお月さんの話をしていると地球のことを置いてきぼり、置き去りにしているのじゃないかというお話がありますけれども、これによるところの科学技術全般の波及効果としてのレベルの向上というものは、これは国民生活に非常に大きな影響を与えるものだと思っております。  それから海洋開発にしてもまたしかり、海洋開発などは何でもないようでありますけれども、もちろん日本は本来の昔からの、古来からの日本の様式によるところの海洋開発については、これは西欧諸国よりはるかに進んでおる点もありまするけれども、近代科学を総合したところの開発の点においては非常におくれておる。これはしかし、この海洋開発というのは、資源の不足のわが国としては国民生活にどうなのかと言われたら、これは非常な関係がある。すぐ目の前にはないけれども、ごみのようにはないけれども、これは大きな関係がある。さらにまた情報関係の問題、これについても同様だと思うのです。そのほか、私どもは国民生活に密着した科学技術の開発ということに最近においては特に注意をしておる。そこで、いろいろなリーフレットをこしらえておりましたので、それをごらん願って御了解願っておると思うのですが、これは懸命な努力をしておるのですが、もちろんこの科学技術全般の研究機関のあり方、あるいは、科学技術庁の全体としての機構その他については、私は大いにまた検討を加えていかなければならぬ点は御意見のようにあると思うのです。そういう点は常に反省しながら、身近な問題について、ごみ処理などについても大いにこれを研究してやっていく、こういうような立場におりますので、その点御了解願いたいと思うのですが、このごみ処理の問題につきましては、御案内のように、ことしから環境庁が設けられまして、環境庁がこの問題に真剣に取り組んでおられますので、私どもはこの研究の総合調整機関として、環境庁においてこの問題を取り扱われるに対して全面的にこれをバックアップして、そうしてともどもに相携えてこの問題の解決に邁進してまいりたい、かように思っておることをこの機会に申し上げておきたいと思います。
  268. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 現在一番都市で問題になっておるのは、ごみ処理、それから下水道——下水道は直接に五カ年計画をことしから発足しまして、二兆六千億円でやろうということで一応緒についております。また、ある年度を限って、現在では二二%ぐらいの普及率ですが、五カ年たてば四〇%ぐらいに東京都だけを考えてなります。あと残っておる問題はごみ処理です。これはごみ処理の担当省は環境庁と申したようでございますけれども厚生省に残っておるわけでございます。ごみ処理が厚生省で、だんだんだんだん廃棄物が多くなるし、しかもその廃棄物の種類がだんだんだんだん変わってくるので、非常に処理がむずかしくなっておるのは御案内のとおりです。したがいまして、これはまあごみ処理は地方公共団体の固有の仕事ということにはなっておりますけれども地方公共団体だけにまかせておきますれば、やはり東京とか大阪とか名古屋とか大都市はとてもやり切れないと、私はかように思っております。私の、建設大臣の直接の所管ではございませんが、首都圏整備委員長としては、こういうような大都市につきましては、やっぱりこの五カ年計画をつくって、ごみの処理の公団をつくって、一括的に金と組織といろいろなものについてめんどうを見なければとてもやり切れないと私は思っておる次第でございます。たとえば、いま出てくる廃棄物は大ものがたくさんございまして、これは統計をとるとたいへんなことで、そのごみの焼却炉をつくる。焼却炉をつくりましても、燃えるものはいいけれども、そう簡単に燃えるものがない場合には、やはりプレス工場を、それも圧搾して、鉄板等は、何と申しますか、ブロックをつくるわけですが、それも都市ではいまやっておる県が六県ぐらいしかないでしょう。早く鉄類はプレス工場をつくってこれはやっぱりブロックのかわりにする。その場合も重金属は除かなければなりませんから非常にむずかしいわけです。まあ端的に申しますと、これはやっぱり地方公共団体では手に負えないところがあるから、政府としてはごみ処理の事業団をつくって資金的に技術的に援助すべきだ。その点について科学技術庁も少し一これは科学技術庁の長官を前に置いて私が言うのはおかしいのですけれども、やはり研究しなければならぬのじゃないかと、まあ私としては考えておる次第でございます。
  269. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はきょうは科学技術庁はもうこれは一時間や二時間では終わりませんぜ、委員長。いまの大臣答弁、ぼくははなはだ気に入らぬ。大体、大臣、ぼくはこのプリントの中に出ているのは、庶民生活に全然関係ないと言っているのじゃない。きのうから私は政府委員の皆さんにもさんざん言っておいたけれども、ごみ処理の問題について、ごみ処理の問題一つは確かに科学技術庁関係ないかもしれない。しかしながらこれだけ大きく問題になって、皆さん方あれでしょう、政府の閣議においてもこういうような問題が相当問題になっているでしょう。そういうような問題になっている問題を、この問題は環境庁だなんという認識がまたおかしい。いま建設大臣から指摘もあったけれども、こういうような問題か環境庁だというまずその認識、私はごみ処理の問題についてこれからいろいろなことを聞こうと思っておりますけれども、そう簡単に、私はいろんなことがわかっているのです、こういうような研究一つ一つが国民の膨大な税金を使ってやるのです。庶民の生活に全然関係ないなんということは私は思いませんよ。何らかの形で、宇宙中継にしたって少しは関係はあるでしょう。確かに関係はあるのです。関係はあるが、やはり幾つかの経路を経過して、そして庶民の生活に結びついてくるのじゃないですか。私は庶民の生活にいま直接関係のある問題、ごみ処理についてはあなたはどう考えているかと、こう聞いたのです。その問題についてのあなたの答弁は、ごみ処理については今度新しい官庁ができた、環境庁だと、そういう認識しかされてないじゃないですか。科学技術庁であるならば、少なくともごみ処理に対する、いま建設大臣、私が言いたいことを全部言いましたけれども、要するにごみの焼却の問題また出てきた汚水の処理の問題、重要な問題に取り組んでない問題が幾らかあるのです。だから、そういうような問題について私は真剣にやってもらいたいということを言いたいからきょうは質問しているのです。それにもかかわらず、そんないいかげんな考え方じゃ私は納得できませんよ。ごみ処理については、あなたの隣にすわっている建設大臣は、重金属の問題にしてもごみ焼却炉の問題にしても、何とか科学技術庁でやってもらいたいと思っているのじゃないですか。そういうことについていいかげんな考え方で、あれはよその官庁だなんて考え方で何が解決しますか、あんな問題。
  270. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) たいへんおしかりのようですけれども、私のことばが足りなかったか、おしかりのようですが、私はさっき申しました、環境庁はそういう問題を直接第一線において担当する官庁だから、これは環境庁が大いに力を入れるだろうが、自分たちのほうも総合研究体制の立場から全面的に環境庁をバックアップしてお手伝いする、こういうことを言っているじゃないですか。私は環境庁や科学技術庁がみんながごみ処理の問題の所管争いをするようなことはいけない。私は科学技術庁の立場から、総合研究の立場において全面的にバックアップして協力する、ことばは少し簡単であったかもしれませんけれども、そのことを申しておるのですよ。それはお忘れのないように特にお願いしておきます。
  271. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣ね、ことばはそれは足りなかったかもしれない、私がちょっとしか聞いてないのかもしれないけれども、私が聞き漏らしたのかもしれないけれども、きょうは境境庁も来ています。きのう私は環境庁の役人を呼んで、ごみ処理の問題どうだと言ったら、ごみ処理の問題は私のほうじゃありません、こう言いました。東京都のごみ処理の問題どうなんだと聞きました、きのう環境庁に。そうすると環境庁は、ごみ処理は私の担当じゃありませんと言いましたから、それならそれでいい、あしたは出てきて、私のほうの問題じゃありませんと答弁しなさい、そんなことを言ったら私は承知しないからと、こういったいきさつがあるわけですがね。すでにそういうぐあいにして、政府の中にさえあるのです、すでにそういうような空気が少なくともあるのです。私は全面的にあるとは言いませんよ、全面的にあるとは言いませんが、少なくとも少しは、そういうぐあいにごみ処理一つの問題についても、ああそれは厚生省だというような、それは環境庁だというようなことをお互いに言い合ってたんじゃ、これはたいへんな問題ですね。したがって私はもうあんまり言いませんけれどもね、こういうようなごみ処理の問題一つについても、いま大臣からあとのほうで答弁がありましたように、やはり真剣に取り組んでいただきたい。科学技術庁としては、いま真剣に取り組むという話がありましたけれども、現実に東京都のほうではもうこの二、三カ月間ごみ戦争で、御存じのとおり、大臣ね、相当都議会の中でも区議会の中でもたいへんな問題になっています。そのわりには国政レベルでこの問題があんまり取り上げられないんじゃないかという批判も、私は現実に、私自身が聞いてきたわけです。したがって、これはやはりそれぞれの官庁、みなそれぞれ関係があると思うのです。全然ないとは思いません、やっぱりね。それぞれの官庁で今後どうすべきであるかということについては、やはり真剣に考えるべきじゃないかということを、私はきょうは言いたかったわけなんですよ。大臣ね、そういうような趣旨について、大臣も今後前向きに取り組んでいただきたいと、こういうぐあいに思うのです。
  272. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) さっきたいへんおしかりを受けたので、私も言いわけが少し過ぎたかもしれませんけれども、いま先ほども申しましたように、この問題は決しておろそかにできる問題じゃありません。これは直接に扱う官庁はあるいは環境庁であり、あるいは厚生省であり、ある場合には東京都であるかもしれませんけれども、私どもはこういう身近な問題の解決に全力をあげて御協力をしたい、かように思っていることをこの機会に重ねて申し上げておきたいと思います。
  273. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 実はこの膨大なごみ処理の問題について、東京都ではもうすでに御存じのように、九州大学の名誉教授の高橋正雄さんですね、あの人を座長にしまして、東京都ごみ対策専門委員会というようなのを発足さして取り組んでいらっしゃるわけですね。やはりこれはいま建設大臣おっしゃいましたように、確かにごみ処理の問題は、焼却炉の問題にしましても、それぞれ非常に重要な問題を含んでおりますし、特に地方自治体においてはこれはたいへんな問題だと私は思うのです。現実に私も何カ所か回って聞いてきたのでありますが、前々からあった焼却炉が、最近は中で焼くものの質が変わってきた関係上、炉がみんなやられちゃってたいへんな思いをしているというようなのを、現実に幾つかの知事さんからも聞きました。そういう点から考えても、どうか政府自体においても、この問題について真剣に取り組んでもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  274. 西村英一

    国務大臣西村英一君) ごみ処理の問題につきましては、おそらく閣議でこれは問題が提起されると思います。何か新しい事業団をつくってやるか、あるいは他の方法をもってやるか、そのときには私も十分重要性についてひとつ閣議で発言をして、やはり地方公共団体の固有の仕事だからそれはまかしておけというようなことだけではいかないように思いますから、十分力を尽くしたいと、かように思っておる次第でございます。
  275. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま大臣から話がありましたが、ぜひとも、閣議で提起されたらということでございますが、まあできることなら建設大臣やってらっしゃる大臣も一ぺんちょっと研究されて、できるだけ早い機会にこの問題に対して政府としても取り組んでいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  276. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 下水それ自身は建設大臣がこれは責任大臣でございます。ごみは責任大臣ではございませんけれども、私も都市計画を持っておる立場におきまして、またあわせて首都圏整備委員長の立場におきまして、十分発言しなければならぬ立場にありますから、十分これには努力をすると、私思っております。
  277. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 よろしくお願いしたいと思います。  それから科学技術庁にもう一つ聞いておきたいのでありますが、現実の問題として、ごみ処理の問題についてはいろんなことが提起されております。これも新聞等によりましても、プラスチックの廃棄物の処理方法とか、あるいは不燃物質、燃えないものの処理の方法とか、相当これは突っ込んだ問題がいま新聞等で連日のように提起されているわけでありますが、こういう問題については、実際問題確かにまあ管轄は違うかもわかりませんが、科学技術庁としてはこの問題についてどこか取り組んでいらっしゃるのか、あるいはまたいまのところ取り組んでないけれども、これからやろうとしていらっしゃるのか、ここら辺のところはいかがですか。
  278. 田中好雄

    政府委員(田中好雄君) 科学技術庁といたしましては、先生のこのパンフレットの中に指摘してございます新技術開発事業団というのがございますけれども、これは新しい技術につきまして発明考案がなされましたものを企業化するための事業団として設立されましたものでございます。で、これは企業がその技術を成功いたしますれば、成功払いということで元金その他返還を要求されますが、不成功の場合はやむを得ないという制度になっているわけでございます。で、この制度を使いまして最近二、三、プラスチックの処理問題、あるいはただいま先生のお話のごみ処理問題の研究などがある程度なされましたので、それを企業化に結びつけるような仕事をしている面がございます。なお、研究調整関係もございますので……。
  279. 千葉博

    政府委員(千葉博君) 私のほうにおきましては、関係各省のいろいろな研究でございますが、そういったものを調整しております。その機能を使いまして、この問題につきまして関係各省にずっと多岐にわたってこの研究が関連しておりますので、十分今後調整しながら、さらに私のほうに研究促進のための特別の調整費を持っておりますので、その金を来年度から非常に生活に密着したような研究に使おうということになっておりますので、こういうものも適宜使用いたしまして、それでこのごみ処理の問題につきまして、どちらかと言いますと相当長期的な対策になりますけれども、前向きに進めていくというようなことをいま考えております。
  280. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まあいずれにしましても、このごみの問題は重要な問題でありますので、それぞれ真剣に耳り組んでもらいたいと思っております。  それからもう一つは水の問題があるわけですがね。これは科学技術庁としては、水についてはどういうぐあいに考えていらっしゃるわけですか。
  281. 千葉博

    政府委員(千葉博君) 水の問題、いろいろございますが、おそらく排水の問題だと存じますが、排水と水質の問題だと思うんですが、その点につきましては、これまた関係各省に非常に関連がございまして、各省においていろいろやっておりますので、これにつきましては……。
  282. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私がちょっと説明不足だったかもしれませんが、私が水と言っているのは、これは現在ごみが問題になっておりますが、しかしこれから十年二十年たってくると、そんな二十年もたたなくてもここ二、三年のうちに、特に首都圏においてはこの水の問題が大きな問題になってくることは私は間違いないと思う。そこで、特に飲料水、いま言われるようにこの飲料水の問題について、やはりこれは確かにこういうふうないろんな技術もこれは重要であります。しかしながらこの水というのは、これはもうわれわれの生活になくてはならない問題でありますから、これは特に重要な問題であると思うのでありますが、この水についてどういうぐあいに取り組んでいらっしゃるかということなんです。
  283. 田中好雄

    政府委員(田中好雄君) 先生おっしゃいますとおり、飲料水、工業水、非常に工業が発達してまいりますと不足してまいります。この点につきましては、科学技術庁といたしましても海水を淡水化するという計画を前々から進めておりまして、この面につきましては東京工業試験所、これは通産省の公務員でございますが、ここにおきまして石坂部長がみずから指揮をいたしまして、ここ五、六年、大型プロジェクトとして工業技術院が開発しております。これにつきましては、当庁は研究調整局のほうで総括的な立場からタッチしている次第でございます。  それから、汚水の処理関係、この問題につきましては、現在だいぶはっきりわかってきておりますけれども、ステンレスの酸洗いの廃液処理の問題、パルプ廃液の処理技術、こういったものにつきましては、先ほどの新技術開発事業団を通じまして技術開発をただいま進めているところでございます。  それから、全般的な汚水の自浄作用というものにつきましては、約七、八年前から手をつけまして、いろいろな測定器具の開発を進めて、その後汚水処理につきましてはそれぞれ所管が変わりましたので、それぞれの場所において研究が続けられておると、こういう状況にございますが、いずれにしても総体を見ておりまして、全体として水質汚濁あるいは環境汚染その他の問題についての国の研究の総括的な調整は研究調整局というようなところでやっているわけでございます。
  284. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま三点にわたって話がございましたが、まあいろいろ聞いてみましても、実際問題としてきょうの審議のあれからはずれてもまずいですから、あと二、三聞いて、次の問題に移りたいと思うのですが、一つは、海水の淡水化の問題については、これは非常に私は重要な問題だと思うのですが、これは一体どの程度進んでいらっしゃるのかですね。まあ単価の問題等も含めて伺いたいと思うのです。  それから汚水処理の問題については、これは汚水にもいろいろあると思うのですが、非常に重要な部分を含んでいると、私はそういうぐあいに考えております。したがって、これは特に海水の淡水化あるいは汚水処理の問題については真剣に取り組んでもらいたい、そういうぐあいに考えております。それで、先ほど言いました第一番の問題について簡単にちょっとお聞きしておきたいと思います。
  285. 田中好雄

    政府委員(田中好雄君) 海水の淡水化につきましては、平塚に工場といいますか、パイロット・プラントがただいま動いておりまして、これで推定されますのは、たとえば、ちょっと数字があやしいのでありますが、五十万キロワットぐらいの規模の発電所につけた場合にどうなるか。あれはあの発電所の排水を使って処理するわけでございますけれども、そういうもので考えますと、ちょっといまの値段に比べまして高いというので、なおその処理技術の開発を進めている次第でございます。  それから、当方におきましては、日米天然資源委員会というものがございまして、年に一回ずつ会合を開いておりますが、ここで海水の淡水化につきましての部会がございまして、毎年交互に訪問し合って内容を詰めておる、こういう段階にございます。まだ十分採算に合うというところまでまいっておりません。四、五年先に何とか目鼻をつけたい、こういうことでございます。  十分なお答えになりませんが、あとの、先生おっしゃいました汚水処理その他の問題についての研究開発、これは当然重要なことでございますので、当庁といたしましても十分意を尽くすことになると思います。
  286. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 整備委員長にちょっとお伺いしておきたいのですが、水の問題については、東京都の水ですね、これはどうですか。これからあとどの程度もちそうですか。それで、どの程度ですね、何年くらいあと、現在の態勢であと何年くらいもつのか。そこら辺のところはどうですか。
  287. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 水の問題は、その量の問題質の問題ございますが、この量の、需給関係の問題につきましては、私はきょうこの表を持っておりませんが、大体ここまあ二、三年の間はまあまあでございますが、いまいろいろなことの目標にしておる昭和六十年には一体どうなるかというようなことになりましたら、いまのような人口と産業の集中ではたいへんな不足になると私は思っております。したがいまして、その面からいきましても、水資源に限度があるから、これを産業、人口の分散をしなければならぬということが考えられるのでございます。いま科学技術庁のほうでは海水からとると、これは海水から真水をとることことができましょう、塩を抜けば水になりますから。しかし、まあこれどういうような計算になるか知りませんが、いままでいろいろやってまいっておりまするが、なかなか高いと思って、普通の値段ではとてもいきそうにないと思います。  また私のほうの下水道でございますが、下水の水はいまは二次処理をやっておるわけです。二次処理をやっていきますというと、大体PPMで一〇くらいでございましょう。PPMの一〇くらいでは飲料水になりません。したがって第三次処理、これをやればこれはもう真水になるのですから飲めるわけです。したがって、その方面からもこの水の循環を考える、もちろんいま第二次処理でも工業用水には使っておるところはございます。それで売っております。その水をトン当たり二円から三円ぐらいで売っているところもございます。しかし、終局は飲料水にするということですと、第二次処理では絶対に飲めません。第三次処理、横浜でいま試験をやっております。これを早く何とか循環して飲めるようにしよう、こういうことでいま一生懸命馬力をかけているところでございます。いずれにいたしましても、この問題にしましても科学技術庁の皆さん方にたいへんお世話にならなければならぬと私はこう思っておる次第でございます。
  288. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 環境庁の水質保全局長さんお見えになっておりますね。いま建設大臣からも、下水の二次処理で一〇PPM、これじゃ飲めませんわね、これじゃ。しかし、私は環境庁としてはこの水の問題についてどう考えていらっしゃるのか。特に最近の汚水の中の洗剤の問題等が最近新聞等でも相当騒がれておりますが、こういうような洗剤の使用、あるいは汚水の処理、こういうことについては、環境庁としてはどう考えていらっしゃるかというのが一つです。それから科学技術庁長官には、こういうふうな、いわゆるいま建設大臣がいろいろ説明をされましたが、こういうふうな汚水を飲料水に持ってくるということは非常にたいへんなことだと思うのですが、ここら辺の研究についてはどうなっているのか、それを含めてお願いしたいと思います。
  289. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 環境庁におきましては水質汚濁防止法を所管いたしておりまして、排水の規制というものにつきましてやっているわけでございます。お尋ねは、洗剤、それから水質等についてどう考えるかというお話でございます。  現在の排水規制は、大体家庭下水程度の汚濁といいますか、それを、工場その他からの排水を規制をするという考え方でございます。したがって、われわれとしましては現在の環境基準というものはもっとよくしなければならない、きつくしなきゃならない。これはやはり家庭下水等の整備というものを急速に進めなければならないというふうに考えておるわけでございます。現在の普及率は二二%前後ということでございますので、これをできるだけ早く整備をお願いをいたしまして、下水の負荷量を軽減したい。さらにそれにあわせまして産業排水の汚濁等も軽減をするというふうにもつていきたいと考えております。  洗剤につきましては、ABSその他がございまして、これらが非常に汚染をする場合には上水道の浄水が不可能になってまいりますから、処理が困難になる場合もあります。ABSにつきましては現在いろいろ研究中でございまして、私どもそれの毒性といいますか環境に対する汚染の度合い等につきまして目下研究中でございまして、なるべく早くその調査結果を待ちまして、規制を要する場合はその規制の度合いその他をなるべく早くやるという段階でございます。
  290. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いまお話にありました下水の処理の問題、これは二次処理まではいまのところやりまして、工業用水として使っております。これを飲料用水に使うということは心理的な影響などもあってなかなかこれはむずかしい点があるのでありまして、科学技術庁のほうとしましてもまだそこまで実は手が及んでおらないのですけれども、いまのような水の将来を考えますというと、大いに研究しなきゃならぬ問題でありまするので、この問題は海水の淡水化とともに、並行しまして今後研究を進めるように各官庁と連絡をとって進めてまいりたいと思います。
  291. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 水質保全局長にもう一つ聞いておきたいのですが、洗剤の問題については、これは先日の新聞報道等を見ましても、要するに洗剤はやめて昔の石けんだけにしろという主張もずいぶんあるわけですよね。あなたはいまABSについて研究中だということでありますが、これについてはどこで研究中なのか、いつごろまでに結論が出るつもりなのか、その点どうですか。
  292. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 御説明が足りなかったかと思いますが、ABSにつきましては、まず下水でどのくらい処理できるかという問題、それらに次ぎまして、飲料水その他に使った場合の健康被害その他がどうかという問題があるわけであります。下水でどれだけ処理ができるかという問題につきましては、従来ハード系の洗剤が多かったわけですが、こんな非常に処理に困難を来たすということがあったわけでございますが、ソフト系というものが開発された、大体そのように変わってくるということであります。そういう処理の方法が可能になってきたという問題がございます。さらに健康被害その他につきましては、現在いろいろ研究中というふうにお答えしたわけです。これは通産省それから厚生省とも連絡をいたしまして、その基準等ができれば、規制の対象にしてまいりたいということを申し上げました。
  293. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしても、このごみ、あるいは水の問題については非常に重要な問題でありますので、今後ともそれぞれの官庁で真剣に取り組んでいただきたいということを申し添えておきたいと思います。  次にいきたいと思うのであります。科学技術庁研究所の職員の処遇についてはいろいろと人事院に対しても要望していらっしゃると思うのでありますが、初めに、科学技術庁当局は、研究公務員あるいは補助公務員等たくさんいると思うのですが、そういう人たちの処遇についてはどういうふうにお考えですか。
  294. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 御案内のように、最近国立の各種の研究機関、私どものほうに所属の研究機関だけでなく、一般研究機関に対する、研究機関の責務というのが非常に重くなってまいりました。したがいまして、この研究機関の諸君が安心して研究に専念するようにしなくちゃならぬということでありまして、私のこの前の在任中あるいはその前からも、たびたびこちらにおられる人事院総裁のほうにお願いして、研究職員の処遇の改善をひとつはかってもらわなければならぬということをお願いしてまいりました。その結果、三十六年以来だいぶこの研究機関の職員の処遇が改善されてまいって今日に至っているようなわけであります。そこで、今後におきましても私はこの点を特に人事院総裁にお願いいたしまして、一そう研究員諸君が安心して研究に専念できますようにいたしたい、かように思っております。
  295. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま大臣お話のとおりだろうと思うのですが、科学技術庁当局としても、研究公務員あるいは研究補助公務員等が真剣に研究ができるように取り組んでいらっしゃると私は思うのです。実は昭和四十六年四月二十一日の科学技術会議でも研究者の処遇改善の問題について勧告が答申されておりますし、これに基づいて科学技術庁としまして、研究公務員の処遇改善についてというのを人事院に申し入れただろうと思いますが、人事院においてはこれに対してどう処理をされたか、初めにお伺いしておきたいと思います。
  296. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 科学技術長官非常に昔から熱心にその点に努力をされておられます。これはいま木内長官のお話のとおりで、木内長官自体、前々から非常に御熱心であるというとかうに考えております。私どもとしては、科学技術庁から大いに要望されたら、それじゃ腰を上げようかという態度では実はありませんので、よけいなことを申し上げますけれども、私ども三人の人事官の一人は研究者のほんとうの大御所でもあります。われわれ自体も相当理解を持っているつもりであります。そこで御要望とうまく話が合いまして、いまの長官のお話のように、近年においては相当実績をあげてきているつもりであります。私どもとしては、特に昨年は思い切った改善をやりました。おそらく皆さんから非常に喜んでいただけたと思っておりますが、ことしも、せんだってお通しいただきました給与法案におきましても、あとの残された問題として、研究補助員の優遇の問題、それから一等級の人たちの一部、こういうところに手をつけまして、まずまずのところへいっておるという自信を持っておるわけでございます。
  297. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 総裁はまずまずとおっしゃっておりますが、特に研究補助員の皆さんの待遇、処遇について、実は総裁は、いま、ことばではまずまずとおっしゃいましたが、勧告の説明におきましては「特に配慮した。」と、こう「特に」となっておりますな、これ、総裁。「特に配慮した。」、この場合私は、どこにどういうぐあいに「特に配慮した」のか、この点を先にお伺いしておきましょう。
  298. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) 研究補助員の等級は、研究職の三等級及び四等級でございます。四等級は行政職(一)の八等級相当でございます。で、それからその上の等級の三等級に昇格するわけでございますが、その三等級のあり方がひとついろいろ問題であるということで、これは研究補助員の最終等級ということになるわけでございますので、本年も勧告の前にいろいろ科学技術庁及び関係の職員団体からいろいろ伺ってまいっておりましたんですが、今回の勧告におきまして、行政職(一)表に対しまして、三百円から最高八百円までの有利な引き上げを行なって、この補助研究員の最終等級であります三等級の後半を引き上、げたということでございます。
  299. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 局長、私はもうごまかされませんぞ、きょうは。  あなた、いま研究職の公務員の給与表の三等級が研究補助員の最終なんだとおっしゃいましたね。研究補助員は何等級が一番多いですか。
  300. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) 間違いましたので訂正いたします。研究補助員は四等級及び五等級でございますが、研究補助員の最終等級は四等級でございます。訂正を申し上げます。  で、その四等級につきまして、従前に対しまして、本年の場合には一般の場合よりも三百円から八百円有利に積み上げて改正をしたということでございます。
  301. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 四等級は、行(一)の給与表に対比しますと、何等級と何等級になるんですか。
  302. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) 行政職に対比しますれば、七等級から六等級にいく線でございます。
  303. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、行(一)の七等級は今回何%引き上げられたのですか。
  304. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) 行政(一)の七等級は一四・二%、五千七百三十二円引き上げております。
  305. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、あなた、対応する研究職の四等級は何%引き上げられたんですか。
  306. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) 対応いたします四等級は一三・七%、六千百二十六円でございます。平均でございます。
  307. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、人事院総裁が「特に配慮した」とは言いながら、研究職の四等級は一三・七%、同じく行(一)で対応する七等級は一四・二%引き上げられておる。そんな、これ、ひとつも……。「特に」だ、これ。「特に」というのは、これは間違っておるのと違うかな、これ。それは合計では、全体では上がっているかもしれないけれども、少なくともこの引き上げ率を見ると、研究補助職員の待遇というものは非常に悪いですね、やっぱり。まだ私はこれで満足なものであるとは言えないと思うのです。何かまだあるんですか、これ。
  308. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) ただいま申し上げましたように、研究職四等級は平均して一三・七%でございますが、これは行政職の対応する等級としましては七等級及び六等級と先ほど申し上げました。七等級の場合には一四・二%、六等級の場合には一一・八%引き上げてございますので、これは平均の話でございますけれども、さっき申し上げましたように、俸給表自体において三百円ないし八百円引き上げたということでございます。
  309. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はそんな、人間は平均しているんじゃなくて、みんな一人一人いるわけです。現実の問題として、特に研究補助者というのはそういうような意味で前々から処遇が悪いということはいわれているわけでありますし、それはやはりそういう比較のし方じゃなくて、やはりもうちょっと実質的に上がるように今後も考えてもらいたいと思うのです。  それから、研究公務員と一般公務員との民間格差は一体どの程度あって、今回どの程度埋めたと人事院は考えていらっしゃるのですか。
  310. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 一応基本的なことを御説明さしていただきますが、これは民間格差がありまして、これは研究職の関係の方々からはまだ民間との格差が完全に埋まっておらぬということを殺し文句にいつもやってこられるわけであります。これは確かに数字の上ではそういうことになりますけれども、私どもに言わしていただければ、資料の示し方、公表のし方があるいは不行き届きということになるかもしれませんけれども、研究職に当たる職種というのは、企業でいうと研究所を持っているような企業ということになり、そうすると、これは相当大きな企業である。ところがわれわれ事務のほうの行政職を比べます場合には、いつも申しますように企業規模百人以上のところで水準をとってやっておりますから、どうもその関係が研究職の場合とバランスがこわれてくる。もしかりに研究所をかかえておる企業の中での事務職と研究職を比べてみた場合に、研究職をどのくらい優遇しているかというと、これは実はベターなんですという事実が基礎にありますので、めったにそれを申し上げる機会がありませんでしたが、きょうは幸いそのお尋ねがありましたので非常にすっきりいたしましたけれども、そういうことがございます。しかしそれだからといって研究職をないがしろにしていいという気持ちでないことは最初に申し上げましたとおりで、科学技術庁からやいやいせっつかれなくても、われわれとしては自主的にこの辺については評価をしておるのだということを申し添えておきたいと思います。
  311. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あまりおそくなってもなんですからどんどんいきますが、総裁、ちょっと私は総裁と認識が違うところがあるのです。というのは、民間格差は、私はこう申し上げますが、おたくの資料に基づいて私は言うわけですが、民間格差は給与で一三・七%ある。今回一一・二%アップしたということになっておるわけですね、全体としては。局長、これは合うてますか。これ私の言うたの合うてますね。——合うていることにしていきますが、総裁、あなたいまおっしゃったように、民間のいわゆる研究者というのは、要するに学者が、科学技術庁はいつも殺し文句のように言うとおっしゃいましたが、私たちからすればそうじゃないのです、これ。総裁は研究所を持っているようないわゆる企業というのは大企業ばかりである、こうおっしゃいました。確かにそのとおりだと思うのです、私。そのとおりであればあるほど、今度逆に考えれば、給与の面でこれだけの差があり、住宅とか、そのほかいわゆる厚生設備だとか、そのほかの点をずっと調べていけばいくほどこの格差というものはもっともっと開いていくと私は思うのです。確かに私は筑波学園都市の、今度研究する学者の皆さんが入るところも行ってまいりましたが、やっぱりアパートですよ、結局は。一般の研究者はみんなりっぱな住宅へ入れてもらっていますよ。そういう点も換算して格差を入れたらえらいことですよ。実際そうだと私は思うんです。そういう点から考えてみると、やはりこれは国の研究施設にいわゆるすぐれた研究者を集めるためには、やはりそういう点まで、こまかいところまで総裁、いつも目を配っていらっしゃると思うんですが、そういうところまでやっぱり目を配って考えていただかないと、ただ単に給料だけでこうするというんじゃ私はいかぬと思うんですよ。そういう点どうですか。
  312. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 全く御同感でございます。何でもかんでも給与、給与とこっちにしわ寄せされまして、これはもう私、非常に乱暴なことばづかいをいたしまして、気を許して申し上げているんで、たいへん差しさわりがあるかもしれませんけれども、いま御指摘のたとえば宿舎の問題その他の勤務の周辺の、給与以外の周辺の条件というものをやはり一緒に考えていきませんと、これは全体の優遇にはならない。これはもう関係大臣にはしょっちゅう私が申し上げているところであり、まことに御同感でございます。
  313. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 総裁、続けていきますが、今回の勧告の中に、筑波学園都市の問題が入っておりますが、この筑波学園都市移転する皆さんの方の調整手当八%につきましては、私はこれは反対じゃありません。当然そういうようにして少しでも待遇をよくしてあげるべきだと、そういうふうな考え方に私は立っておるわけでありますが、実はまさかこんなことはないと思うのでありますが、やはり科学技術庁も、両方に申し上げておきたいのでありますが、現地採用の人がこれから出てくると私は思うんです。そういう場合、現地採用の人は、これは八%はないんだということは私はないと思うんですが、これはどうなんですか。
  314. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これもぜひお聞き取り願いたいポイントだと思います。この研究学園都市移転手当というのは、これは実は給与制度からいうと全然新型のものでございまして、従来の地域給とは全然性格が違う。御承知のように調整手当というのは都会地に出ておりますけれども、これはその地域の賃金が非常に高いとか、あるいは物価が高いとか、生計費が高いとかいうことで、地域の特殊性をとらえまして、給与の底上げと申しますか、をして調整をとろうというために調整手当ができておるわけで、その一般の地域給の考え方から申しますというと、筑波の場合には、先ほど来お話に出ておりましたようなああいう場所でございまして、都会地における調整手当というようなものを出し得る根拠は全然ないわけです。そこで、しかし今回の学園都市建設については、これは一つの大きな国策として、特別の法律までできておるということもございますし、まあここに木内長官がおられますけれども、前に長官であられたころに御熱心な要望もあって、関係各省の熱心な要望もあって、われわれとしては相当な決断のもとに踏み出した新しい政策の手当で、それはねらいはどこかというと、たとえば東京にあります研究施設筑波移転するという場合には、これは職員の方々もまずまず軽く腰をあげて移っていただけるように、いわば移転促進のためのねらいを大きく持っておるわけです。したがいまして、今回の私どもの考え方も、移転促進ということにまず重点を置きますからして、移転をした職員の方々には八%フルに差し上げる。たとえば現地採用の方々についての問題がこれは当然出てきます。しかし、これは同じ庁舎の中で同じような仕事をされるというような方々もあるわけですから、そういう方々には特別に職務の種類をしぼりまして、そして手当を差し上げようというような形でいっておりまして、現地採用の方を全部八%ということになりますと、すぐお隣には土浦があるわけで、土浦はいま全然無級地、これをどうする。また土浦に行けばまた隣のところは、おれのところはどうしてくれるということで問題になる。これは際限なく波及する問題でして、ですから心を鬼にして、ある点で線を引かないことにはこれは取りとめのないことになる。相当の決断のもとにこれはやったものであるということだけは十分御了解をいただきたいと思います。
  315. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はね、総裁、確かに人事院としてこういうふうな特殊な調整手当を出されたということは、まあ確かに相当な決断を要したとは思うんですが、現実に同じ職場で働く場合に、これは相当いろんな問題が出てくると思うんですよ。これはやっぱり人事院としても今後考えなくちゃいけない問題であるし、また科学技術庁としても、これは何とかしないとやっぱりいろんな問題になると思うんですよ。この点一ぺんお伺いしたいのが一つです。  それからもう一点は、総裁、筑波学園都市と同じように、今度成田に飛行場ができますね。こっちのほうも出るんですか、これ。これは現実の問題としてすぐ隣に成田ができるわけです。先ほど私のほうの委員会でも、法務省設置法とかいろんなのをやりました。それで、入管とかいろいろなところが一斉に移ります。これはやっぱり移転するについてはいろいろな問題が出ておりまして、ここはやっぱり同じように支給されるであろうと私は思うのですが、ここら辺のところはどうなんですか。
  316. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これは筑波の手当を考えます場合に、これもある、こういうことも問題になり得るという可能性は十分把握して、そしてまあいわば新しい研究課題として現在検討をしているというところでございます。
  317. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まあいずれにしても成田ができるのは来年でありましょうから、この点はよく検討して処理をしてもらいたいと考えております。  それからもう一つ、研究者の初任給調整手当ですね。これは私の知っている範囲では、どうも一般の何といいますか、お医者さんの初任給調整手当なんかとは全然違いまして、非常に人事院の待遇が悪い。これはどうなっていますか、これ。
  318. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これはお医者さんとお比べになりますと格段の違いがあることは当然でありますが、お医者さんがまた御承知のようなたいへんな特殊の事情を持っておることは数字で明らかであります。民間病院のお医者さんと、われわれ国立病院のお医者さんとを比べますというと、大体何十パーセントという格差があります。これを毎年これでもかこれでもかといって初任給調整手当を上げておりながら、また、ふたをあけてみると開きが出るというような非常な苦しい状況にあるわけであります。したがいましてことしの場合も、ごらんになりましたように、まあなりふりかまわずと申し上げておったんですが、また、医者のほうの初任給調整手当を上げまして、何とかということをやっておるわけであります。この面から申しますと、研究職、それから行政職もそうでありますが、これは官民の格差から申しますと、先ほどちょっとお触れになりましたけれども、お医者さんとはもう比べものにならない。そして研究職の場合においては、たとえば初任給調整手当の場合などを比べますと、今度の勧告でいえば民間とほとんど同じまでいっているという自信を持っておるわけであります。ただ、なぜお医者さんの場合に、初任給調整手当を大きく扱ったかということは、民間のお医者さんの場合を見ますと、たとえば退職金だとかあるいは年金だとかいう面ではあまり行き届いた待遇を受けていないわけであります。現に、その職務にある間ということで待遇を受けていますから、われわれとしても、本俸にこれをかさ上げとして持っていくよりも、やはり在職中のかさ上げとして初任給調整手当の形にしたほうがいいということですから、本俸はあまり実は上がっていないわけであります。それからこれはあまり大きな声では言えませんが、研究職は片方堂々と本俸のほうで上げているわけですけれども、その辺の違いもあるということだけは、これはとっくり御了解をいただきたいと思います。
  319. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、お医者さんと比べれば確かにそうかもしれませんが、この辺のところもちょっと考えるべき点があるのじゃないかと考えているわけです。  それからもう一つは、先ほどから総裁も特に配慮したという研究補助員の問題ですが、研究補助者に対しては非常に人事院は冷たい。頭をひねっておられますが、実際に現実に同じ職場で働いておって、初任給調整手当というのは補助者にはつかないことになっているらしいですね。これはもうほんとうに同じ仕事をやっていて補助者に全然つかないというのはちょっと私いかぬと思うのですよね。ここら辺のところはもうちょっと研究したほうがいいのじゃないかと、そういうぐあいに考えております。それがまず一つです。  それからもう一つは、この研究補助職員の問題で、先ほど等級の問題が出てまいりましたが、補助職員の等級の問題ですがね。これは要するに、私は何年たっても補助職員が研究職の五等級、四等級で終わるというようなことはあまりにかわいそうだと思うんです。そういう点では、少なくとも研究補助者はある程度たてば、またある程度の年限がたてば、そういう方面では専門的になってくると思うのです。そういう面から考えても、行(一)の給与表から考えても多少例外があるわけですから、そういう面から考えても三等級等に上げる、そういうようなことも考えるべきであろうと思うんですが、そこら辺のところはどうですか。
  320. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 初任給調整手当は、御承知のように大卒ということでいっておりますために、この研究補助員には直接かぶってまいりません。それはその点からの問題があるわけだと思いますが、しかしいま御指摘の、上のほうに上げたらどうかというのは、これは全くそのとおりだと私どもも思いまして、特別の勤務年限、その他その人の識見等、業績などを見まして、研究員として三等級に昇格する道を設けているわけです。ただ、研究補助員というのはいろんな人がおりまして、なかなかそれは一括して一律には扱えないわけなんです。ほんとうに学者タイプでやっている人もありますし、文学どおりの補助員である人もおるわけです。したがいまして、これを一律に三等級まで上げるということはまたわれわれとしてはできない。そこでいま言ったようなえり食い、というと少し悪いことばを使いまして恐縮でありますが、素朴に言えばえり食いをして、一般の人は研究員として三等級に上げる、そういう扱いをしております。
  321. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしても、こういう研究補助員の皆さんも含めて、少なくとも一日一日の研究にほんとうに張り合いをもって研究できるように、人事院としても今後とも真剣に取り組んでいただきたい、こういうぐあいに希望しておきます。  それで、次に移りますが、きょうは住宅公団お見えになっていると思うんですが、筑波学園都市の今回の買収にあたっていろいろな問題もあったと思うのでありますが、こまかい問題は全部省きますが、先般から相当テレビやラジオ、新聞等でも報道されておりますが、筑波学園都市のすぐ近くに関東フェザーミール会社というのですか、斃獣処理工場があって、そこの悪臭がたいへんなものです。そういうことで茨城県警の手入れを受けたと、こういうように報じられておりますが、これはやっぱり非常に大きな問題であろうと私は思うんです。現実に公務員の皆さんがそこの宿舎へ移る場合、相当においがしたりしてたいへんな問題だと思うんです。そういうことも含めて、今後の見通し、あるいはこの問題処理についてどういうようにお考えか、お伺いしておきたいと思います。
  322. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) 少しくどくなるかもしれませんが、簡単にお答えさしていただきます。  この関東フェザーミールという会社がございますのは、来年公務員が入ることになっております。宿舎の南方約一キロぐらいのところに所在する、鳥の羽根でありますとか、けだものの内臓でありますとか、そういったものを乾燥いたしまして、飼料をつくっておる会社でございます。で、この区域は、私のほうのこれから申しますと、土地区画整理事業をやる区域になっております。そういった意味で、公団といたしましては強制的に土地を買収する、そうして、あったものは除去するというふうな強制力はない土地でございます。いずれにいたしましても、学園都市建設し、あるいは区画整理事業をやりまして住宅地をつくります上におきまして、こういった既往施設がありますことは非常に好ましくないことでございます。こういったことで、従来から、関東フェザーミールを含めまして他の既往施設に対しましてもいろいろと交渉いたしまして、処理してまいったのでございますが、この一つだけが現在非常に悪い形で残っておるというのが現状でございます。この会社は、実は昭和四十三年ごろに経営者がかわってしまいまして、そして元の債権者が無許可でその仕事を引き継いでやっておるというふうな状況でございまして、県の衛生部でも警告を発したりいたしておるわけでございますが、なかなか応じない、こういうふうなことで、私たちのほうも入居を控えまして各方面からの強い御要請もございます。この十一月に、どうしてもことし一ぱいで営業はやめてくれ、そしてそれに必要な補償額は会社のほうで出してくれ、私のほうからも一応公団として考えられる額は提示するということで、先月の末に両者から金額を出し合ったのでありますが、かなりかけ離れておる状態でございます。交渉事でございますので、金額を申し上げることはごかんべん願いたいのですが、かなり離れておる、そういったことで、至急その金額を詰めようと思っておった矢先に、先ほどお話のございましたとおり、茨城県警で責任者を逮捕したというふうな事態になってきたわけでございます。当面の責任者がそういうことになりましたので、非常に交渉はしずらくなったわけでございますが、一応、県の衛生部等とも相談いたしまして、何とか入居の始まりますことしの間にこの煙をとめてしまうように、さらに最後の努力をしてみたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  323. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは私は非常に重要な問題であろうと思うのですが、まず科学技術庁のほうにお伺いしたいのですがね。私のほうに出していただいた移転の時期のスケジュール等によりますと、研究者の皆さんは来年の三月から四月に大体移転を完了する、そういうふうなことでありますが、いろんな新聞報道によりますと、実際には公務員宿舎には十一月末ごろまでに移る予定であった、しかしながら部内でいろんなにおいの関係等もあって、非常に反対があって、そんな悪臭のするところへは移転したくないということで、相当いろんな反対があったということですが、ここら辺のところはどういうふうになっているのですか。
  324. 田中好雄

    政府委員(田中好雄君) 移転につきましては、この前ごらんいただきましたあの施設建設は本年度予算でつきまして、ずっとやってきたわけでございますから、十一月の末には大体あれをごらんいただきましたように、完成しております。したがいまして、十月末から考えてまいりますと、早くいきますれば十一月、おそくなりますと来年の二、三月、こういうかっこうになるわけで、最初は、四、五月ごろはその辺は流動的でございました。そこで、順次詰めてまいりましたところ、先ほどお話もありました関東フェザーミール会社の問題は、先ほど住宅公団の方からお話がありましたように、本年一ぱいで片づく見通しである、こういうことでございましたので、それも考慮に入れまして移転の時期を決定しましたのが、昨日お手元に差し上げました資料でございます。
  325. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 住宅公団にお伺いしますが、これはいつごろ解決する見通しなんですか。
  326. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) 先ほども申し上げましたとおり、相手方の責任者がつかまったという状態にいまなっておりまして、出ておりましても、従来からの経験からいくと非常につかまえにくい相手でございまして、ほんとうに苦慮いたしておったのでございますが、ただいまも科学技術庁からお話がございましたように、入居が非常に迫っているわけでございますので、私たちのほうといたしましても何らかの手段をとりまして、とにかく妥結に持ち込みたいと考えておったのですが、そういったことでどういうふうな手を打てばと、県と相談しておるという実態でございます。
  327. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、これは解決つきません。これは斃獣工場のにおいというのは相当なものです。これは特に内閣委員会で私は塩釜の問題をやったことがあるのですが、この牛骨処理工場のにおいというのは、たいへんなものです。このにおいをかいだら、研究者一ぺんにだめです。住宅公団も解決の見通しはないというのです、実際のところ。今後この問題はちょっと大きな問題になってきますよ。ですから、これは慎重に取り組んでもらいたいと思いますし、また科学技術庁としても対策を練ってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  328. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いまお話の点ごもっともでありますので、この問題は慎重に関係機関と打ち合わせまして、検討して処理したいと思います。
  329. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 環境庁も来ておると思うのですが、この問題、これ何とかならぬですか。
  330. 山形操六

    政府委員(山形操六君) 本年の五月に悪臭防止法が制定されたわけでございますが、この政令を総理府で目下やっておる最中で、来年の五月末日までに施行ということで、まだ悪臭物質そのものの定義の問題がありますし、それから規制基準をどういうふうにするかといういま作業をやっておる最中でございますが、来年の五月末日までそれはかかりますので、いますぐにはできませんが、それ以後ですと、規制地域の問題、あるいはその基準をオーバーしておりましたら勧告その他いろいろな措置ができる、こういうふうになっておるところでございます。
  331. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そんな、来年の五月じゃこれは間に合いませんよ。やはりもっと私は環境庁にもお願いしたいのですけれども、実際問題こういうような具体的な問題が相当あっちこっち出てきておるわけです。法案をそれ以後に実施するためにいろんなことをやるのもいいですけれども、やっぱり実態は、どんどん現地へ行くなり何なりして調査を進めるようにしてもらいたいと思うのです。その点は要望しておきたいと思うのです。  時間がありませんので進んでいきますが、もう一つは、先般視察に参りましたときに、私たちは学園都市全体の説明をお伺いしました。非常に公園が少ないと私は思うのです。しかも、私たち説明を聞いたときに、公園が少ないということを言いましたら、まわりはみんな山だ、こういう説明がありましたけれども、それにしても向こうは、一番初めに建設大臣が言いましたように、あなたは一番適当なところだとおっしゃいましたけれども、公園が少ないということを私は申し上げたのです。そうしたら、まわりはみんな山だと言うのです。だからそういうような山の中で、公園が少なくてもいいというような話もちょっとありましたけれども、その山という、まわりの緑というのがなかなか問題なんです。学園都市に最もふさわしくない山なんです。マツクイムシが一ぱいたかっているような、やせた土地にやせた松の木が一ぱいあるのです。たいへんなことですよ。研究を始めたら変な虫が一ぱいたかってくるのじゃないかと思うのです。これはやっぱりもっと私は学園都市にふさわしい措置なり何なりをする必要がある。まわりは緑だからいいというような考え方はちょっといかぬのじゃないかという考え方を持っておるのですが、公園が少ないということとあわせて、この辺ちょっとどうですか。
  332. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私も見まして、そのとおりでございまして、松の木といってもろくな松の木がありませんが、それに雑草がはえておるのですから、やっぱりあれでも緑というのですかね。したがいまして、いま聞きましたら、公園は中心部に二カ所ぐらいという話をしております。しかし、これはだんだん進めていく間に、もう少し考えてみたい。せっかくいわれておる俗に世界に誇る学園都市をつくるというのですから。こういうことでは世界に誇れないですよ。書いてあるのは世界に誇る学園都市、どうして誇るのか私はわかりませんから、十分公園と環境は整備したいと、かように考えておる次第でございます。
  333. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣のいまのおことばを信じまして、私の質問を終わりたいと思うのですが、いずれにしましても、昨日の政府委員の皆さんの説明によりましても、ソ連のノボシビルスクですか、いわゆる研究都市に匹敵するようなすばらしい学園都市をつくりたいということでありますが、いずれにしてもいろんな問題がありますけれども、いま大臣おっしゃいましたように、緑の問題一つにつきましても、いろんな問題が私は存在しておると思うのです。そういう点も含めまして、ぜひともいろんな問題、こまかい問題にまで配慮をして取り組んでいただきたいと思っておりますし、また処遇等につきましても、人事院、長官も含めて、どうか待遇をよくしていただきたい。それで、あの公務員住宅は確かにできておりました。部屋の広さも三DK、三LDKとおっしゃっておりますけれども、そんなもので満足なものじゃなかろうと私は考えておりますので、そういう点も含めまして、どうか研究する方々が安心して十分に研究できるような設備をつくっていただきたいということを私は要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  334. 中村利次

    ○中村利次君 世界に誇る研究学園都市をおつくりになるという、これは構想としてはまことにけっこうな話でありまして、そのことはむしろけっこうであって、高く評価したいと思いますが、しかし、私も現地に行って見せていただいたんですけれども、これはいま建設大臣から、峯山委員の公園の問題でまことにりっぱな御答弁がございましたけれども、やはり世界に誇る研究学園都市をつくる、その構想計画が非常にけっこうであるだけに、そういうものが非常に目立つんですよ。何か五十年か五十二年ごろ完成するそうですけれども、この激変する時代の中で、日本人的発想といいますか、島国根性的な感覚といいますか、たとえば道路にしましても——まあ緑や松の問題はこれからでも修正がききましょうけれども道路はもうでき上がっちゃっているんですから、私は修正はきかないんじゃないかと思いますから、質問してもむだかもしれませんが、五十メーター、三十四メーター、二十七メーターそれから二十メーターとありますよ。水戸街道との交差点に近いところは二十メーターです。ところが現在すでに水戸街道の交差点にだんだん近づいていきますと、もう現在相当問題がありそうですね、道の狭さが。あすこを世界に誇る十二万の研究学園都市に完成をして、これは大いに先取りをしようという構想でありましょうけれども、しかし、世界に誇るそういうものが十年、二十年たっていくと、これはあの道では、さあどうしようもないと、私は必ずそうなると思うんですね。だからそういうことが、何というんですかね、まことに島国根性的発想しかできないというところに、残念ながら将来十年、二十年先にはたして世界に誇れるのかどうか。まあ、あすこのいろいろな装備、機器等については、これは雑談の中で振興局長なんかから伺いましたけれども、私はそもそもお役人なんというものは自分の点数のことを気にして、うしろ向きに突っ走るのかと思っておりましたところが、なかなかりっぱな、いろいろ問題がある中で先取りの、前向きのことをおやりになっておるようでありまして、敬意を表しましたけれども、しかし何といいますか、そういう非常に狭い島国根性的な構想、発想というものが、まだどっかに残っているということに対して非常に不安を感じました。これはここで質問してもどうしようもないことでしょうけれども、今後首都圏整備委員会としてのお仕事はどんどん続いていくんでしょうから、今後をどうお考えなのか。  それから、もう建設大臣は御退席になるそうですから、私は続けて基本的な問題だけをお尋ねしたいと思いますけれども首都圏整備はこれはまさに喫緊の問題だと思いますが、そういう意味では、ああいうところに研究学園都市をおつくりになるというのは、私はこれはけっこうだと思いますが、しかしまだまだ、たとえば、試験場、研究所各省庁一ぱいありますね。非常に問題のある、人間が住むにはだんだん不適当になっておる東京に、相当広大な土地を占有をしたそういうものがある。あるいは国立、公立、私立等の大学等が非常に環境の悪い中でこれも相当土地を占有してあるわけですね。その中の学生たちは、一生懸命勉強しておるのももちろん非常にたくさんいることは間違いありませんけれども、中には非常に環境の悪い東京の学校で人の迷惑はかまわない気違いざたをやっている人たちもいる。だからそういうものを総合的に考えまして、一体首都圏整備の抜本的な構想について、こういう問題をからめてどういう構想がおありになるか、どういうお考えなのか伺いたいと思います。
  335. 西村英一

    国務大臣西村英一君) さっきもちょっと、いわゆる既成市街地についてはいろいろな問題があるということを申しましたが、いろいろな問題をしゃべってもしようがないのですが、大体いま首都圏できめておるのが、既成市街地とそれから近郊の市街地、それからそのあとは開発の市街地と、三段階に中心からきめておるわけでございます。したがいまして既成市街地におきまして、まあ二十三区だけではございませんが、東京のまん中には工場を制限しよう、大学を制限しようということで、それは法律で制限をしておるのです。ただしその面積の点につきましても、工場でもある一定の面積、学校でもこうというようにきめてありますが、これを少し強化したいということを考えております。次の通常国会でこの既成市街地の中の制限を強化したい。それから近郊のその外のまわりのところには、それにふさわしいような機能を持っていきたい。それからその次に周辺のところでございますが、そういう周辺のところは、これは新しい都市計画をつくりたい。端的に申しまして、東京の周辺に人口が集まっておるのは、どうも南の方、神奈川県にずいぶん集まっておる。北のほうはあまり集まっていないのでございます。したがいまして、いまとにかく日立、水戸それから宇都宮、前橋、高崎、こういうような都市について、この大都市計画でもっていろいろ都市計画をやって、それをずっとつなぐ横断道路をつくって、都市の周辺に人口の集中できるようなところをつくったらどうか。神奈川県のほうの南のほうといいますか、南のほうはもう東京の人口の移動をやるようなことはできないだろうというので、せっかくいま申しましたような周辺地、日立から水戸、ずっとああいうところを——それにはどうしても、いま道路が東京を中心にしてみな放射線状に走っておるから、これが一つの欠陥だと私は思っております。それを横につなぐ高速道路をつくって、その周辺を都市化したらどうだろうか。これは各県も、茨城県もそれから栃木県も群馬県も非常に希望しておるのでございます。したがいまして、そういう計画でやったらどうかということを考えております。その他いろいろございますけれども、既成市街地における制限を強化したい、これは次の通常国会法律を出したい、かように考えておる次第でございます。  以上でございます。
  336. 中村利次

    ○中村利次君 もう先に首都圏整備についてはいろいろ質問があったわけでありますから蛇足は避けますけれども、とにかく、たとえば先ほども申し上げました研究所だとか試験場だとかあるいは大学等々、そういうものは政治的にほんとうに腹をくくった取り組みをやればできないことはないんですね。だんだん住みにくくなっていくそういう中で、狂暴化する人間というものが出てきて迷惑千万ですよ。ですからそういうおつもりを、私はいま大臣がおっしゃったようなそういうことについてとやかく言おうとは思いません。しかし国民は、あるいは都民は、東京都と限定して考えても、都民はどうもいろんなこういうビジョンをお示しになってもあまり信用しないところにきているところに問題があるんじゃないですか。ですから、少なくともできることはこれは大英断をもっておやりになるおつもりがあるかどうか、それだけ伺って、私の質問をやめます。
  337. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 先生のおことばでございますが、私も十分そのつもりで、りっぱな学園都市をつくりたということでやるつもりでございます。かてて加えて、首都圏としての整備の問題もそれとひっかけて、ひとつまだ東京で立ちのいていい施設も先生のおっしゃるとおりたくさんあるわけでありますから、ひとまずいまきまった施設はおそらく来年は非常に活況を呈すると思います。すべての研究が一斉に向こうで工事を着手しますから。さような御意見を承りまして、ひとつ一生懸命やるつもりでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  338. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ほかに御質疑はありませんか。——別に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認め、これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決を行ないます。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  339. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  340. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決します。  本日はこれにて散会いたします。午後五時七分散会      —————・—————