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1971-12-17 第67回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月十七日(金曜日)    午前十時三十分開会     —————————————    委員の異動  十二月十七日     辞任         補欠選任      沢田  実君     塩出 啓典君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         足鹿  覺君     理 事                 温水 三郎君                 渡辺一太郎君                 和田 静夫君                 中尾 辰義君                 渡辺  武君     委 員                 石本  茂君                 河口 陽一君                 河本嘉久蔵君                 小林 国司君                 佐田 一郎君                 佐藤 一郎君                 細川 護煕君                 小谷  守君                 佐々木静子君                 西村 関一君                 水口 宏三君                 黒柳  明君                 塩出 啓典君                 萩原幽香子君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君        労 働 大 臣  原 健三郎君        国 務 大 臣  江崎 真澄君    政府委員        防衛政務次官   野呂 恭一君        防衛庁参事官   高瀬 忠雄君        防衛庁長官官房        長        宍戸 基男君        防衛庁人事教育        局長       江藤 淳雄君        防衛庁経理局長  田代 一正君        防衛庁装備局長  黒部  穣君        環境庁大気保全        局長       山形 操六君        運輸省自動車局        長        野村 一彦君        運輸省航空局長  内村 信行君        郵政大臣官房電        気通信監理官   柏木 輝彦君    事務局長        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        防衛庁長官官房        防衛審議官    大西誠一郎君        大蔵省主計局主        計官       吉岡 孝行君        厚生省環境衛生        局食品衛生課長  鴛淵  茂君        運輸省航空局飛        行場部長     丸居 幹一君        労働省職業安定        局業務指導課長  関  英夫君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君        会計検査院事務        総局第三局長   桜木 拳一君        会計検査院事務        総局第五局長   中村 祐三君        日本専売公社総        務理事      園部 秀男君        日本国有鉄道副        総裁       山田 明吉君    参考人        日本鉄道建設公        団総裁      篠原 武司君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十四年度特別会計歳入歳出決算昭和四十四年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十四  年度政府関係機関決算書(第六十五回国会提  出)(継続案件) ○昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第六十五回国会提出)(継続案件) ○昭和四十四年度国有財産無償貸付状況計算書  (第六十五回国会提出)(継続案件)     —————————————
  2. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和四十四年度決算外二件を議題とし、総括質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 佐々木静子

    佐々木静子君 私は、大阪国際空港公害問題を中心に、運輸省航空行政などについてお伺いいたしたいと思います。  現在、大阪空港航空機離着陸回数は、一日に約四百六十回で、ピーク時には一分三十秒ごとに一機が離着陸しているというようなありさまだということを聞いております。そのため、大阪国際空港周辺住民騒音をはじめとする公害に深刻に悩まされており、空港の所在する伊丹市、豊中市、池田市その他川西市をはじめとする周辺都市における被害住民は膨大な数にのぼり、被害者らは、異常な振動と騒音によって静かで快適な環境を破壊され、情緒不安定な生活に悩まされ、騒音のために十分に睡眠がとれず、乳幼児もやかましい騒音のために午睡もとりにくい状態で、日常の会話や電話の通話が絶え間なく中断せざるを得なくなっております。また、テレビ、ラジオの視聴が常時妨げられて、家庭の団らんが破壊されるなど、深刻な損害に日夜悩まされていることは、運輸省当局も十分御承知のことと思いますが、こうした事実を運輸省のほうはかなり深く御認識になり、御調査になっておられるかどうか、運輸省にお伺いしたいと思います。
  4. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 大阪国際空港周辺皆さん方に、たいへんジェット機の導入以来御迷惑をおかけしておりますこと、十分調査もいたしておりますし、認識をいたしております。なお、私自身も、何回も大阪へ出かけてまいりまして、そういったところの近くに宿泊等をして、十分認識はいたしております。
  5. 佐々木静子

    佐々木静子君 同じように、いま生活環境が破壊されているということについて、環境庁のほうでもいろいろ御調査になっているということを伺っているのでございますが、環境庁のほうではこの状態をどのように把握していらっしゃいますか。
  6. 山形操六

    政府委員山形操六君) 環境庁のほうにおきましては、騒音規制法一般騒音について制定されました。ただ、航空機騒音新幹線騒音は、特殊な騒音でございますので、これは除かれております。そこで、私どものほうは、まず手始めとして、航空機騒音佐々木先生お話のとおり非常に大きな問題がございますので、航空機騒音に関する環境基準を早くつくろうというようなことで、中央公害対策委員会の部会にお願いして、いま審議中でございますが、航空騒音環境基準ということになりますと、これは国際的な問題が入ってまいりまして、非常にむずかしゅうございます。そこで、長期の方策についていま検討をいただいておりますが、とりあえず東京大阪の現在の騒音を何としても軽減するためのその指針を何とかつくっていただきたいということで、これを年内に何とかして出していただくということで、いま作業を続けている最中でございます。
  7. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、いま航空機騒音に対しては特別の環境基準はないわけでございますか。
  8. 山形操六

    政府委員山形操六君) ございません。
  9. 佐々木静子

    佐々木静子君 航空機騒音に対する環境基準というものがまだできておらないといたしましても、現実に住民の平和な生活が破壊されているということは環境庁も十分御認識になっていらっしゃるわけでございますね。
  10. 山形操六

    政府委員山形操六君) 十分認識しておりますし、私をはじめ課員の者何回も現地に行きまして、事情を聴取し、実際に経験しております。
  11. 佐々木静子

    佐々木静子君 環境庁のほうといたしますと、いまの大阪国際空港における航空公害というものは、やはり騒音が最も主要な部分を占めるとお思いになりますか。また、そのほかに環境庁として把握していらっしゃる公害がありましたら、この際お述べいただきたいと思うのでございます。
  12. 山形操六

    政府委員山形操六君) 先ほども説明いたしましたように、私どもいま焦点を合わせておりますのは、大阪空港と、それから羽田の東京空港、この特殊騒音航空機騒音、この騒音問題にしぼっていま作業をやっておるところでございます。
  13. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは十月二十二日の一流新聞に載っていることでございますが、環境庁事務次官——梅本事務次官ですか、豊中市に来られて、飛行機ジェット音と臭気に驚いて、ひどいなあと感嘆せられたという記事が載っているのでございますが、そのようなことが環境庁のほうでも報告が入っているわけでございますか。
  14. 山形操六

    政府委員山形操六君) 十分承知しております。
  15. 佐々木静子

    佐々木静子君 大阪国際空港騒音問題その他の公害がいかに深刻なものであるかということは、運輸省並び環境庁において把握していただいているとおりでございますが、これは昭和四十四年の十二月十五日に、この国際空港の北西約千五百ないし二千メートルの航空機離着陸直下に居住する住民二十八名が、国を被告として夜間飛行の禁止並びに騒音による慰謝料請求訴訟を起こしている。さらに、大阪国際空港周辺住民騒音公害反対運動が拡大されて、今年の六月三日には百二十六名の住民が新たに原告となって第二次の訴訟が起こされている。また、今年の十一月三十日には新たにまた百二十二名の住民により第三次の騒音による慰謝料請求訴訟が相次いで起こされているということは、これは運輸省も十分御承知のとおりだと思います。そして、これらの訴えを見ましても、いまお話にもございましたように、健康で安心して生活できる環境を奪われた苦しみ、悩み、悲惨なありさまがあらゆる角度からうかがわれるわけでございますが、これに関しましてお伺いいたしたいと思いますのは、運輸省は、昭和三十三年に大阪国際空港を発足させたわけですが、その当時の運輸計画の中に今日のような状態考えておられたかどうか、計画の中には入っていたかどうか、そのことを運輸省に伺いたいと思います。
  16. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 私はその当時航空に実は関係をいたしておりませんでしたので、ちょっとはっきりした御回答をそれに対して申し上げられないのですが、おそらく当時はジェット機が入っていなかったと思います。ですから、今日のようにやかましい状態というものを想定しなかったというふうに私は思います。
  17. 佐々木静子

    佐々木静子君 いまお話しのように、ジェット機乗り入れられたのは昭和三十九年の六月でございます。その当時、この大阪空港周辺住民ジェット機乗り入れにきつく反対をしたわけでございますが、まあたいした被害はないからという運輸省の御説得で、結局ジェット機乗り入れという事実になったわけでございますが、ジェット機が入ればこのような事態が起こるということ、これは運輸省としても当然おわかりになっていたわけでございますね。
  18. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) ジェット機回数が少なければ、その短時間を一時忍んでいただいたらというふうな考え方もあるんじゃないかと思いますけれども、だんだん今日は飛行機がほとんど全部ジェット化される時代になってまいりましたから、したがいまして高い騒音が起こる回数がふえてまいりました。したがいまして、現在の状況においては、私はその被害はかなり住民の皆さまに御苦労をかけておるという状態であると思います。
  19. 佐々木静子

    佐々木静子君 ジェット機乗り入れが少なければあまりたいした被害はないというお話でございましたが、そのジェット機乗り入れを認められた昭和三十九年当時、三十九年から大体まあ五カ年くらい——四十四年になりますね。その間のジェット機乗り入れ運輸行政計画はどういうものだったんでございますか。
  20. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) ちょっとそこまで調べてまいっておりませんので存じませんですが、まあ当時は今日ほど飛行機が全部ジェット化されるというふうには想定していなかったのではないかというふうに想像はいたします。
  21. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、運輸省が初め考えていらした計画よりも、ジェット機乗り入れ回数が予想以上に計画外に多かったというわけでございますか。
  22. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 今日のジェット化状況は、そういうことだと思います。
  23. 佐々木静子

    佐々木静子君 いまのお話のように、これは昭和四十年に八万一千回の大阪空港発着回数であった。ところが、昭和四十五年では十五万六千回となり、本年は一年に十七万五千回に達するというふうに言われておりますが、そうするとこれは、あらかじめ運輸省のほうで計画して、それだけの回数航空機発着させようということでやっているのではなしに、事実上飛行機がそれだけ発着するような結果になったというわけでございますか。
  24. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 最近航空機の増加が非常に激しくなってまいりましたので、各空港ともその飛行場には何年にどれくらいの航空機発着になるであろうという長期計画を立て始めたことは確かでございます。しかし、以前は、航空機需要がこれほど大きくなかった時代には、飛行場自身一ぱいになるというふうなことはあまり考えていなかったものですから、何年にどれくらいになるかというふうな想定は、ジェット機大阪に入った時点あたりでは想定なり計画なりをしなかっただろうと思います。いまは航空機発着回数というものに限度がありますので、その限度がいつになるだろうかというふうなことをただいま申しましたようにいろいろ計画し、各飛行場について、いなかの飛行場については別ですけれども、そういうおそれのある飛行場につきましてはそういう計画を事前にするようにはいたしております。
  25. 佐々木静子

    佐々木静子君 もとは計画を立ててなかったが、いまでは計画を立てるようにしているというお話でございますが、そのもとといまとの境でございますね、いつから計画を立てるようになったのか、それをひとつ聞かしていただきたい。
  26. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 東京国際空港において、最初にそういう長期計画を立てたのは、私の記憶ではたしか十年前のように思います。十年前が飛行場についての長期計画というものを立ててみた最初のように思います。
  27. 佐々木静子

    佐々木静子君 東京では十年前に飛行計画を立てたというお話ですが、大阪空港ジェット機乗り入れるようになったのは昭和三十九年でございます。いまから七年前でございますが、東京では十年前に飛行計画を立てているのに、なぜ大阪国際空港の場合には飛行計画を立てなかったんでございますか。
  28. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 大阪空港でそういう長期計画を立てなかったかということになりますと、ちょっと私のさっきの答弁が悪かったように思いますが、国際空港東京大阪二つあるわけでございますが、全国需要がどうなるだろうかという全体計画に基づきまして、それでそのうちの東京がいつごろ満ぱい状態になるだろうか、そのときにまだ大阪は、東京と少し離れておりましたので、あまり気にしなかったのですが、たしか私の記憶では東京大阪についての満ぱい状態を一応検討したように思います。ただ、東京のほうが早くパンク状態になるというふうに考えたものですから、ちょっと私の記憶の中に東京が残り過ぎておって、さっきのような答弁を申し上げたような感じがいたします。
  29. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは、あなたは運輸大臣じゃないのでお気の毒にも思いますが、この運輸計画というものは非常に重大な問題で、しかも、全国に何十も国際空港があるというなら、その一つ二つあまり頭になかったということは言えるかと思いますが、日本二つしかない国際空港東京から離れておるといっても飛行機に乗れば一時間もたたずに着くわけでございます。そこで、航空機乗り入れ回数などについての計画があまり頭になかったということは、私は運輸省として非常にのんき過ぎはしないか、そういうふうに思うのでございますが、その点どういうふうにお考えになりますか。
  30. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 先生のおっしゃるとおりに、確かにのんき過ぎるんじゃないかと言われればそのとおりかもしれませんが、ここに統計がありますが、私は昭和三十七年から自分のノートに統計をとっております。それの発着回数東京で八万五千回、東京発着回数の限界は十七万五千回——大阪と同じでごさいますけれども、その十七万五千回に対しまして、八万五千回のときに、これの一年前に長期計画を立てまして、それで、ちょうど三十七年ごろだったと思いますが、新東京国際空港を建設しないと東京一ぱいになると言って私はいろいろなところで説明を申し上げましたけれども、なかなか耳をかしていただけないという状況でございました。十七万五千回の容量のあるところで八万五千回というのは、ただいまのような上のほうでホールディングするというような状態はとうてい考えられぬ、すっすっと入れるような東京状態でございます。そこで、私が申し上げました長期計画とは、前にそういう計画がないのかというお話であったものですから、こういった時代にも一応、正式の長期計画ではないのですが、ざっとした長期計画だったんですが、それを一ぺん立ててみた。それがそういった予測をした最初でございますという話でございまして、閣議了解等を経て、最後は閣議決定をお願いいたしましたが、そういう正式なものとしての空港整備計画というものを立てましたのは約五年ほど前でございまして、ことしから第二次整備五カ年計画を立てようというところでございます。ですから、正式なものになってきますと、こまかい数字等も全部ある程度運輸省の正式の統計からはじき出しまして、そしてそういうことをやるのですけれども、私がいまから十年ほど前に試算してみたという程度の計画でございますので、その辺がちょっと少し粗雑でございます。
  31. 佐々木静子

    佐々木静子君 いまおっしゃるとおり、この航空対策が後手になっているということは運輸省もお認めになるとおりでございますね。それで、いま空港整備計画というお話でございますが、これもその整備計画のうちの一つではないかと思うんでございますが、航空機騒音防止法による移転補償の問題、これを大阪空港でも起こしているわけでございますが、この四十五年度、豊中市、伊丹市、川西市などの三市における移転補償区域の四千所帯に対して移転補償を行なうことになったということを聞いておりますが、四十五年度の予算幾らになっておりますか。
  32. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 四十五年度の騒音対策全体の予算は十八億円でございます。失礼しました。そのうちの移転補償だけを取り上げますと、二億九千万円でございます。
  33. 佐々木静子

    佐々木静子君 この二億九千万円はどのように使われたか、御答弁いただきたいと思うわけです。全部もう使われたのか、まだ残っているのか。
  34. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) この移転補償につきましては、二億九千万円が全部使われていなくて、なおかつ四十六年度もかなり残っておるという状況でございます。その理由は、実は移転をしますのにはやっぱり移転場所が必要なわけでございますが、この移転先確保がなかなかむずかしゅうございまして、したがいまして、これでいままで移転をしたと言えるのは、移転場所のあるごく限られた少数の者だけが実現いたしまして、あとのほうは集団移転をしたいというような希望がありまして、かなり大きな土地が要るものですから、そういった土地をつくったりさがしたりするのにいま時間をかけておると、これにつきましては伊丹豊中両市が非常に御協力をいただきまして、そういった土地の造成なり購入なりというものが行なわれようとしておる寸前くらいのところまでただいまきておる。したがいまして、金はまだ残っておるという状況でございます。
  35. 佐々木静子

    佐々木静子君 いまその四十五年度の二億九千万円のこの予算がいろんな事情でまだ残っているというお話ですが、そうすると、結局どれだけのお金が移転補償に支払われたか、ちょっと明快に数字をお答えいただきたいと思います。
  36. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) たいへん申しわけありませんが、ちょっとデータを持ち合わしておりませんのでわかりませんのですが。
  37. 佐々木静子

    佐々木静子君 これはしかし、すぐにでも電話ででも問い合わしていただいたらわかるわけですね。
  38. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) ただいますぐ、衆議院のほうの委員会に係の者が出ておりますから、行って問い合わしてまいります。
  39. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうしたら、この四十六年度の予算を七億五千万円というふうに私聞いているんですけれども、その分についても、その予算額と、それからどれだけ費消されたかということ、その明細を一緒に電話で問い合わしていただきたいと思うんでございますが。
  40. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 係の者がそこにおりますから、全部わかると思います。
  41. 佐々木静子

    佐々木静子君 じゃあそれを待っている間に質問を続けますけれども、この伊丹川西豊中のこの住民人たちの話によると、自分たちが安心して暮らせるのは、パイロットがストをしてくれた日と、それから台風で欠航した日、それ以外の日は自分たちは安心して暮らせないという、そういうことを言っているわけでございます。それは一人、二人の人じゃなくて、多くの住民がそう言っておるわけでございます。それくらいこの航空騒音に非常に悩まされているにもかかわらず、この移転交渉がはかばかしく進まないということは、どこに原因があるか、それはお考えになったことがありますか。お考えになったとすれば、どこに原因があると思いますか。
  42. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) さっきもちょっと言いかけましたのですが、私はやっぱり移転先用地確保がむずかしいということが原因だと思います。それで、もう一つは、やはり部落の方々はできれば集団移転をしたいというふうに考えられますので、その用地確保といいましても、かなり大きな場所が必要であります。で、そういうものを確保するのがむずかしいということが一番大きな原因じゃないかと思います。ただ、もしこうすることができれば非常にもう少し促進できるかもしれぬと思いますのは、この用地代を高く買うことができればあるいはもう少し移転というものは促進できるかもしれませんが、その用地を買うのはやっぱり国が買うわけでございますので、用地を買収する一つ基準等がありまして、やはり近傍類地価格というのが中心になってくる。それよりまあ高く買うということになりますと、会計検査院におしかりを受けるとか、いろいろな問題ございますので、やっぱり別のところに、市や県あたり協力を得まして、そうして代替地をつくって、そこへひとつ引っ越していただくというのが、まああらゆる面から言うて合理的で用地確保も容易じゃないかということで、そのような方向でいまやっておるわけでございます。
  43. 佐々木静子

    佐々木静子君 この用地確保補償、まあ用地確保するためには、国がお買いになるとしても、それに相当する補償額を結局立ちのく人に払うということになって、そうしてそれをまた買い直すというかっこうになると思うのでございますけれども、この立ちのきの補償額ですね、一坪幾ら計算にしていられるか。まあ飛行場部長、非常にこの問題に力を入れていらっしゃるということを伺っていますので、一坪幾ら計算でやっていらっしゃるかということをお答えいただきたいのでございます。
  44. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) まだ大きなそういった立ちのきやっておりませんので、ちょっと一坪幾らで買うかということを聞かれても困るわけでございますけれども、とにかく国がそういったものを買いますときは全部を近傍類地価格によるということでございます。まあ近傍類地価格によりますと、近所でこの問国のほうで買いましたのは、いま立ちのき補償の対象になっておるところがどれくらいな金額になるかということはちょっと私明言しかねるのでございますけれども、安いところで七万円くらい、それから少し高いほうで九万円余りで買ったように思いますから、まあその範囲内くらいじゃないかという感じがいまするのでございますけれども、この近傍類地価格は年々少し上がりますので、私が申し上げた数字どおりで買うという意味じゃございませんけれども、いままで買いましたのは坪そういう価格で買っております。
  45. 佐々木静子

    佐々木静子君 私も関西出身なものですので、この付近のことはかなり知っておるのですが、川西伊丹あたりで坪当たり十万円以下という土地はまずないのじゃないですか。よっぽどの市内の僻地か、よほど地形の悪いところか、低地であるとか、よほどのことじゃない限り十万円以下の土地なんというものはいま川西伊丹両市ではないのじゃないですか。それから、特に豊中市に至っては、これはもう大体坪二十万円近いところが相場であって、これは運輸省がかえ地がないとかなんとか言われるけれども、この補償額をあんまり低いことを考えていられるから、だからこれは話が進まないということ、これははっきりしているのじゃないですか。どうですか、その点。
  46. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 私のほうは、さっきも申し上げましたように、別に値切って買おうというきたない根性は全然ございません。もっぱら皆さん方に何とかして少しでも買われやすいようにしていただこうということばかりを考えておりますので、先生のおっしゃるとおりに、近傍類地価格がそういうことでございましたら、その値段で買わしていただくつもりでございます。  それから、さっきのが参りましたですが、四十六年九月現在で、四十五年度分の支払い済みのものは八千五百万円、世帯数が四世帯、それから寮が一つ、計五件でございます。
  47. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  48. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記を起こして。
  49. 佐々木静子

    佐々木静子君 いまのお話で、四十五年に二億九千万円という予算がありながら、わずか八千五百万円しかまだ補償していないというのは、これはあまりにも怠慢なんじゃないですか。怠慢というよりも、非常に悪い土地を当てがったり、また非常に低い価格で買い取る補償をしようとするために、話が進まないのじゃないですか。やはり、近隣の相場どおりやるといまおっしゃったけれども、これは近隣の相場どおり必ず住民に対して補償するということをここで確約できますか。
  50. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) それは十分確約できます。さっき言いました近傍類地価格で買うということははっきり申し上げます。
  51. 佐々木静子

    佐々木静子君 それから伺いますが、この移転補償の話ができて住民が他へ移転した場合、その残りの土地の管理の責任者はだれになるわけですか。
  52. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) これは国有地になりますので、一応わが省の特別会計の中に入ってくるものと思います。
  53. 佐々木静子

    佐々木静子君 形式的に帳面の上で国のものになるかとかならぬかというようなことは、これは国のものになるとはさまっているのですけれども、現実にだれが管理するかということをお尋ねしているのです。といいますのは、いまあなたのお話しになった川西市で五世帯立ちのいた。ところが、そのあとが全然ほったらかしになっている。土地も管理されていない、明け渡した家もそのままほうってある、だれも管理者がいない、そういうふうなことではあまりにも運輸省としては怠慢ではないか。そういうことから私お尋ねしているわけですが、当面の責任者はだれになるわけですか。
  54. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 空港事務所が管理の責任を持つことになっております。
  55. 佐々木静子

    佐々木静子君 それであれば、空港事務所のほうへさっそく手配をしていただいて、そこへ子供が入り込んで、遊びに入って事故を起こすとか、あるいはだれかがそのあいたうちに住みつくとかいうことのないように、十分これは国の財産ですから監視していただきたいと思います。  それから、いま移転補償の交渉を運輸省がやっているということでございますが、大阪空港の場合、この移転補償に関する専任の担当官は何人置いてございますか。
  56. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 補償関係全体を担当しておる者は八人くらいおると思いますが、これに関係する仕事だけに限りますと四人くらいだと思います。
  57. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは川西市の住民から聞いた話ですが、移転補償の話で交渉に行こうと思っても、担当官がおらぬということで、なかなかいつ行っても人がおらぬという話なんです。これはあなたの話では四人いるという話ですけれども、そういうことで、ほんとうにこの騒音で悩んでいる住民を何とかしようという気持ちが運輸省にあるのかないのか。形の上だけ見ると、あまりにもかって気ままな運輸行政のように思うものですから、私はあえてお尋ねしているわけです。住民の会いたいときはいつでも会える専任の担当官というのが四人いるわけですか——そういうことであれば、必ずその人たち住民が会いたいときはすぐに窓口に出てこれる体制をとっていただきたい。それをお約束できますか。
  58. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) そういう方がおられましたら、単にそういう担当官だけでなしに、また上司もおりますし、空港長もおりますから、そこにたずねていただきましたら会えるように、私は十分申し伝えておきます。  ただ、先生に申し上げたいのですが、私ここで人員増の陳情をするつもりはないのですけれども、ただいまの航空行政のおくれを指摘されましたように、非常に需要増が激しいものでございますので、われわれの体制もそれに追いつかぬ。この間も関西で騒音の測定をやったのですが、しかし騒音測定をするような職員というのは私のところでは一人もいただいておりません。やはりこういう人たちを動員いたしまして騒音を測定するというように、相互融通をしながら職員を使っておりますので、地元の方にたいへん御不便をおかけしたかもしれませんが、どうか、下の者がおりませんでしたら、上司のほうに言っていただいてもけっこうでございますから、よくそういうことを申し伝えておきますから、そういうようにお願いしたいと思います。
  59. 佐々木静子

    佐々木静子君 時間の都合がありますので、私はまだ大阪国際空港についていろいろお尋ねしたいのですが、あとの問題はあなたにお尋ねするよりも大臣にお尋ねするほうが相当だと思いますので、大阪国際空港の問題はこの程度で打ち切って、あと今度計画されている関西国際空港のことについてお尋ねしたいと思います。  この関西国際空港、これは運輸省からいただいた資料——関西国際空港というこのパンフレットによりましても、二千五百メートルの間隔をもって配置された二本ずつ、合計四本の四千メートルの滑走路と、同様に配置された四本の三千二百メートルの横風用滑走路を持った巨大なものであって、成田空港の二倍に当たる二千ヘクタール、東洋一の大規模のものと聞いておりますが、そのとおり間違いありませんか。
  60. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 当初計画したときはそういう考えでおりましたので、そういう発表をしたのでございますが、いろいろ空港風速その他検討しております段階、また収支計算その他をやっております段階におきまして、どうもこれはつくる場所によっていろいろ違うわけでございますが、かりにポートアイランド沖でありますれば、横風用の滑走路をつくらなくとも、九九%までウインドカバレージがございますので、そこで、横風用の滑走路というのをどうしようか、やめようじゃないかというような意見もいまありまして、ちょっとブランクになっておりますので、このとおりの計画になるかどうかわかりません。ただ、これだけはつくらなければ飛行場にならぬと考えられますのは、主滑走路一本、それから将来またどんどん旅客需要がふえてまいりますので、ただいま先生がおっしゃいました二千メートルくらい離しまして、そうしてもう一本主滑走路をつくる。並行滑走路、これまであたりはまあ変わらない計画だと思います。
  61. 佐々木静子

    佐々木静子君 この関西国際空港のパンフレットを見ますと、大体その計画は海の中につくられるというように、このパンフレット及び運輸省のこの青いパンフレットを見ても、海の中につくられる予定が多いようですけれども、海にいま運輸省が予定されている空港をつくろうという場合、非常に大ざっぱな数字でけっこうですが、どれくらいの土砂を必要としているのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  62. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 大体二億三千万立米を当面予定いたしております。
  63. 佐々木静子

    佐々木静子君 この工事建設予算、直接の飛行場建設のための予算、これはその規模によってずいぶん違ってくるでしょうが、それからまたそれに付属する道路その他の建設費用、これ概算すると一兆円というようなことを、これは運輸省の方からお聞きしているのですが、それは大体そのような額になるわけでございますか。
  64. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 将来の夢等も描きながら考えれば、まあ一兆円はちょっと大きいようですけれども、八千億ぐらいの計画ができぬことはないわけでございますが、まあそれはどうせつくるとしましても、東京国際空港あたりは公団でやっておりますが、関西もやはり全額国費でやっていくというわけにもまいりませんでしょうから、やっぱり公団で、借り入れ金等も考えながらやっていかなきゃならない。そうなりますと、そこまでの計画をすぐに考えるわけにもまいりませんので、当座、私がさっき申し上げましたように、第一期と呼んでおりますけれども、その工費は五千百三十億と、いまのところそれぐらいを大体目標にしてすべての計画を進めております。
  65. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは、非常に膨大な国費と、それから二億三千立米ですか——というような相当天文学的な数字の土砂を必要とする。そういうふうなたいへんな犠牲と負担において関西新空港運輸省はあえてつくろうというお考えなんでございますが、関西新空港ができた場合に、現在の大阪国際空港は廃止なさるおつもりですか、どうなるわけでございますか。
  66. 内村信行

    政府委員(内村信行君) よその委員に出ておりましたのでたいへん失礼いたしました。ただいまの御質問でございますが、新しい関西空港ができた場合、伊丹を廃止するかどうかと、こういう御質問だと思います。私ども考えておりますのは、新空港をつくります趣旨は、一つにはいまの伊丹空港がもう一ぱいになりましてはち切れてしまうのではなかろうかということなんであります。したがいまして、その需要を消化するためには新しい空港をつくらなければいかぬと、これが一つ。それからもう一つは、先生いま御指摘のように、騒音の問題でございます。そこで、新しい空港ができました場合にこれを廃止してしまうということは、これはなかなか困難ではないかと思いますが、極力騒音の大きいものは新関西に移し、騒音の少ないものを残しておきたい、そういうふうな措置をいたしまして、少しでも伊丹空港騒音をなくしたいというふうに考えております。
  67. 佐々木静子

    佐々木静子君 騒音の大きいものを新空港に移し——ということでございますが、それじゃ、伊丹——現在の大阪空港騒音は幾ぶん少なくなるかもしれないですが、今度はこれは新空港のほうこそたいへんな迷惑じゃないですか。どこでも騒音がひどかったら、住民である悩みはみんな同じなんで、大阪周辺につくるとすれば、どこだって、都市の過密のただ中につくるわけですから、こっちでぐあいが悪くなったらあっち、あっちで悪くなったらこっちといっても、騒音が解決されない限り、あっちやこっちに伝染病のばい菌をばらまいていくようなことになるんじゃないですか。そういう点についてどういうふうに考えておられるわけですか。
  68. 内村信行

    政府委員(内村信行君) ただいま先生おっしゃいましたように、やはり飛行場の周辺はどうしても騒音がいくということはやむを得ないことでございます。したがいまして、飛行場の周囲に人家のあるところ、そういうところはやっぱり飛行場としては不適当ではないかと、こう思うわけでございます。したがいまして、新空港の場合には、これを海の上へ出しまして、相当の距離を持たせまして、少なくともその周囲の人家には影響のないような、まあこれは絶無とは申せないかもしれませんけれども、しかし極力それの影響をなくしまして、御迷惑を与えないところに場所的に持っていくと、それがおそらく唯一の対策ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  69. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは、運輸省のこの関西新空港の建設について地元の住民に、十月の十六日に大阪空港騒音対策協議会で、運輸省の、どなたですか——丸居部長さんですね、お話しになっていらっしゃるんですが、この関西新空港をつくっても減便の約束はできない、結局大阪国際空港航空量を減らすことはできないということを言うておられますが、これはどうなんですか、ただいまの御答弁と非常に食い違うじゃないですか。
  70. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 私申し上げます。  おそらく飛行場部長の申し上げたのは少し意が足りなかったと思いますが、私の考え方を申し上げますと、新空港ができますと、そうすると、国際線が全部、それから国内線の半分ぐらいは持っていこう、しかも騒音の大きいものから持っていこうという考え方でございます。したがいまして、その時点におきましては、便数も減りますから、騒音も減るということは間違いないことだと思います。それから、新しい空港のほうが一ぱいになるまで続けてまいります、これは時期的に申し上げますと。それで、新しい空港一ぱいになりまして、さらに新しい空港ができればそのほうに拡張するというふうなことも考えたいと思っておりますけれども、そういったことが間に合わない場合、これは航空輸送需要というものがふえてまいります場合、その分は、やはり伊丹空港がもしあいておりますれば、その分はやはり若干便数も伸びようかと、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  71. 佐々木静子

    佐々木静子君 この新空港の問題についてまだいろいろとお尋ねしたいことがたくさんあるのですが、これ実は後ほど大臣にお尋ねするということにいたしまして、あなたのほうが関西国際空港をつくるという理由ですね、これは、伊丹一ぱいだから、この一ぱいのをすけるために関西国際空港をつくるのか。むろんそれも、いまのお話のそれも一つの理由のように言うておられますけれども、それじゃ、この航空機発着量というものはもう現在で頂点になっていて、これからもう——いまはまだ飽和状態になっていないわけです、いまは十七万五千台だけれども、もう一ぱいになっておるわけですね、伊丹のほうは。だから、それをオーバーする分を今度関西国際空港でさばこうというふうなお気持ちだろうと思うのですけれども、これは、今後のこの航空機の利用者の数ですね、どういう計画で進められているのか。私ちょっと私のほうの資料で申し上げますと、おたくのほうのやはりこの関西国際空港のパンフレットを見せていただいたのですが、これは、昭和四十四年度の国際線の乗降客数は二百八十万人となって、十年前の七倍に増加しているということですね。それから、国内線の利用者数は二千四百万人で、十年間で十五倍になっておる。そして毎年三〇%ずつ乗客はふえていくということですが、これは四十四年で二千四百万人、これが毎年三〇%ずつふえておるということになると、たとえば四十六年度の国内線の乗降客数は幾らなんでございますか。
  72. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 四十六年度——ことしでございますか。
  73. 佐々木静子

    佐々木静子君 はい、ことしです。
  74. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) ちょっと私、数字持っておりませんので。
  75. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 申しわけございませんが、四十五年の数字はとっておりますけれども、ことしの数字はまだとっていないのでございます。
  76. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうですか。そうすると、大体一年間に三〇%ぐらいずつふえているということは、ことしも同じ状態でございますか。
  77. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 三〇%より少し落ちておるようでございます。
  78. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、かりに五年後に、仮の話ですが、国際空港ができたときには、国内線の乗降客数何人というふうにあなたは考えていられるわけですか。
  79. 内村信行

    政府委員(内村信行君) ちょっとお待ちいただきます、いま数字を調べておりますから。
  80. 佐々木静子

    佐々木静子君 時間を節約する意味で、そちらでお調べいただいている間に質問続けますが、実はこの間の全日空機の衝突事故の場合でございますね、これは大阪国際空港と直接関係はありませんけれども、この事故の場合に、この事故でなくなった方、たしかちょっと私控えてきたのは百六十五名じゃなかったかと思いますが、そのうち百四十人が観光客だったということを全日空から伺っているわけです。また、先日「ばんだい」号事件という不幸な事件がございました。あの場合も、なくなった方のうちほとんどの大多数が観光客であったということを、これは東亜航空さんのほうから伺っているわけなんです。いまこの国内線の利用者のうちビジネスで利用している人の割合と、レジャーで観光のために利用している人の割合、現在の時点ではどのくらいの割合になっているかお答えいただきたいと思います。
  81. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 大体三割ぐらいと聞いております、観光客のほうが。いま一応そういうふうに聞いておりますけれども、なお詳細は別に詳しい資料を差し上げたいと思います。
  82. 佐々木静子

    佐々木静子君 これはあなた何だか、三割ぐらいだったとか、私も実は詳しい資料持っていたんですが、ちょっとゆっくりさがせば出てくると思うんですけれども、私この航空問題専門じゃないけれども、あなたのほうは航空運輸省のそれ専門にやっている方ですから、それが飛行機、国内線を利用する人がビジネスとレジャーとどのくらいの割合かぐらいは寝ていても言えるようになっていてほしいと思うんです。また、将来運輸計画を立てるのに、どういう人が航空機を利用しているのかぐらいはこまかいことを知っていなければ、その八千億というお金を、これは国民の税金ですから、それを取り立てて飛行場をつくるというのに、そうやってつくった飛行場が、レジャーのために使われるのか、ビジネスのために使われるのか、そこのところもはっきりわからぬようじゃ、あまりにもルーズじゃないかと私は思うわけなんです。それじゃ、むろん運輸省としたら、この国内線、国際線おのおの何%ぐらいであるかということはおわかりだと思います。おわかりになりますか。何%ぐらいずつ使っており、そしてまたこれから五年後、十年後にはその比率がどうなるであろうという見通しのもとに航空計画を立てていると思いますので、そうした資料も、これ口で言っていてもややこしいですから、一ぺんはっきりした資料を出していただきたいと思うわけなんです。
  83. 内村信行

    政府委員(内村信行君) いまの観光とビジネスの比率でございますが——お出しいたします。
  84. 佐々木静子

    佐々木静子君 それでは、その質問はこのあと——大臣がまだお越しにならぬわけですか、お越しになるようだったらこのあと大臣に続けて伺いたいと思うんでございますが。
  85. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  86. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記を起こして。
  87. 佐々木静子

    佐々木静子君 それでは私の質問一時これで中断さしていただきまして、ほかの質問に譲りまして、後日また大臣に伺わしていただきたいと思います。
  88. 小谷守

    ○小谷守君 私は、防衛庁当局に対して二つほどの御質問を申し上げたいと思います。  第一は自衛官の募集のあり方についてでありますが、まずもって、自衛官の募集の今日の状況はどのようであるか、どの程度の募集に関する予算をお持ちになっておるか、募集に専念しておる自衛隊の職員はどのくらいの数であるか、そういう点を伺いたいと思います。
  89. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) お答えしますが、一般論としましては、最近比較的不況の波を受けまして、募集の状況はどちらかといえば頂点に達しております。したがいまして、現在のところは——一方この離職者も減りつつありますので、したがってこの相関関係におきまして、むしろ現在は募集計画を縮小して募集人員を減しておるというのが現状でございます。それから、予算の面につきましては、これは募集予算としましては四十六年度におきまして四億九千万円でございます。それから、現実に地方連絡部におきまして募集に従事しておる隊員は約三千名でございます。
  90. 小谷守

    ○小谷守君 いま自衛官の欠員の状況は、定員に対して大体一割と、こういうふうに了解して間違いありませんか。
  91. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) 陸海空を平均しますと、約一割でございます。しかしながら、陸上自衛隊が約八七%、航空自衛隊はほとんどもう満ぱいに近い状況でございますが、海上自衛隊におきましては九七%台でございます。
  92. 小谷守

    ○小谷守君 仄聞をいたしますと、自衛隊の中で昔流に申して逃亡兵、いまは別のことばをお使いになっておるようでありますが、脱走兵今日約五百近いというふうに伺うんでありますが、そのとおりの事実でありますか。
  93. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) 四十一年、四十二年、四十三年度と大体二百人前後でございましたが、たまたま四十四年度に約五百名程度になりました。四十五年度も大体ほぼ同じでございますが、若干減りつつあります。
  94. 小谷守

    ○小谷守君 また、これまた仄聞でありますが、自衛官の中に保護観察中の非行少年がかなりな数入っておる、採用されておる、こういうふうに伺うのでありますが、事実でありますか。事実とすれば、そのような非行少年が武器を持っておるというふうなことはたいへん危険な状況ではなかろうか、心配でありますが、そういう事実があるかどうか伺いたい。
  95. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) 自衛官の採用の際におきましては、前歴調査をいたしております。したがって、そのような保護観察中の者につきましては、自衛隊としては隊員として採用いたしておりません。しかしながら、何しろ採用の際には未成年でございますので、その未成年の関係上、前歴調査するにあたりまして、警察にしましても、その他の面におきましても、一般に前歴はなかなか公表しないということになっておりますので、非常につかみにくい面がございまして、間々そのような保護観察中の者が入るケースはございます。しかしながら、その数はどのくらいであるかということは私のほうもはっきりいたしませんが、やっぱり入ってまいりますれば、これも日本人でございますので、そこでできるだけの教育をして自衛官として成り立つように善導いたしておるつもりでございます。
  96. 小谷守

    ○小谷守君 局長、そんな白々しいことをおっしゃっちゃいかぬ。行政管理庁がこれを調べて発表しておるではありませんか。六千人のうち七十人の保護観察中の非行少年が入っておったと、自衛官として。こういうことを国の機関である行政管理庁が発表しておるではありませんか。まぎれておったかもわからぬというふうな、いやしくも国会でそういう無責任な答弁をしちゃいかぬ。どうですか。
  97. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) ただいま御指摘の点は、私も新聞で見ました。これは長崎の関係のものであると思います。しかしながら、これはどういうふうにして行政管理庁で調査いたしたのかわかりませんが、少なくとも保護観察中の者というものは公表されないことになっておるはずでございます、法務省におきましても。それがどういう程度でそのような数字になったのか、あるいは私のほうからかりに法務省に聞きましても、絶対にそんな保護観察中というような者の公表はできないことになっておりますので、残念ながら私のほうで法務省のほうで調査することはできない。だから、警察のほうで調査をしましてもなかなかわからないということで、募集の際には慎重を期しておりますけれども、残念ながらそのような者も間々入ることはございます。その点は否定いたしませんけれども、その数はきわめて少ないというふうに考えております。
  98. 小谷守

    ○小谷守君 行政管理庁は同じ国の機関でしょう。横の連絡はないんですか。新聞を見て知ったというふうなことでは、国民は納得しないと思うのですが、いかがですか。
  99. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) 行政管理庁から私のほうにそのような指摘は現在ございません。
  100. 小谷守

    ○小谷守君 ますますおかしくなる。これはあらためて行政管理庁のほうに伺いたいと思います。  そこで、国民の立場では非常に不安だと思うんです、自衛隊の中身がそういうことでは。逃亡兵がどんどん出る、非行少年が入っておるというふうなことでは、非常に不安であります。先般も、本会議におきまして、総理大臣や防衛庁長官は、沖繩に自衛隊の派遣の問題をめぐって、沖繩では自衛隊に対する拒絶反応が強いけれども、自衛隊というものをよく理解してもらえればそういう不安はなくなるのだ、こういうことをいろいろおっしゃっておりますけれども、しかしこのような内容では不安も打ち消すことはできないのじゃないかと思います。  そこで、これの原因ですが、私はこれはあなた方の自衛官募集の姿勢の中に一つの問題があるのではなかろうか、こういう気持ちがしてなりません。具体的に伺いましょう。  最近の自衛官の募集の状況を見ますというと——これが募集のパンフレットです。これはけっこうずくめなことが書いてある。おまけに貯金計画まで書いてある——四年たてば百八十万の貯金ができます。ここに募集のポスターがあります。これは、委員長、一度見てください。これが自衛官募集のポスターです。上に横文字でアラウンド・ザ・カントリー、「一度はふる里を離れてみよう。」、「キミのまだ知らない街で新しい何かが求められるかも知れない。」、この下の段を取りますと、これは国鉄の駅に張っておるディスカバー・ジャパンの旅行のポスターとそっくりだと思うんです。私はこの場所で自衛隊に関する基本論議をしようとは思いません。しかし、自衛隊を肯定する立場をとっても、こういうことでどこに国を守る気概、そういうきびしさがございましょうか。募集状況は非常に楽になったという局長の先ほどのお答えでありますけれども、しかし募集の実際の実情というものは、自衛隊に入ればこういうけっこうなことがある、こういう楽しいことがある、旅行もできる、貯金もできる、そういう即物的なことばかりをまき散らして甘い幻想を与えて、そうしてかき集めておる。そういうことでありますから、一たん入りますとなかなかそう甘いものではありませんから、先ほど指摘をしたような脱走兵の数が年々ふえてきておる、こういう現状ではございませんか。募集の基本姿勢ということについて政務次官はどういうふうにお考えになりますか。
  101. 野呂恭一

    政府委員(野呂恭一君) 御指摘の最近の自衛隊の充足率が低下をしておることは事実でございます。したがいまして、これを充たすために募集にあたりましてもかなり積極的に働きかけようということはやむを得ないところでございますが、先ほどのポスターに見られるように、あるいはその他ややまあ利益誘導的ないろいろな形のものを強く打ち出してその充足にこたえていきたいといったことは、確かに行き過ぎであり、そのことは自衛隊の体質の上に大きな欠陥をもたらすということになるのではないかと、かように思うのであります。先ほど小谷先生御指摘のポスターを、私もここに持っておるわけでございます。昨日もこれを見まして、なるほどポスターそれ自体としてはりっぱな私はものだと考えますが、しかし、これが自衛隊の募集のポスターであるということになりますと、いささか問題点があるのではないか。ただ、「一度はふる里を離れてみよう。」という一つのキャッチフレーズ、これが私は自衛隊という隊員の募集にふさわしいことばであるかどうか、たいへん私も疑問に思うわけでございますが、今後自衛隊の体質の向上、ほんとうにわが国を守るりっぱな公務員の集団を形成するためには、この募集については十分な留意をいたし、さらにまた応募者に対しましては適性検査等を厳正に行なって、充足率を高めるために無理をしないように十分な方法をとっていかなければならないのではないかと、かように考えるわけでございます。率をよくすることよりも、その隊員の質の向上、中身をよくすることに留意をし、さらにそれがためには広く国民の御理解と信頼にこたえられる自衛隊としての努力を続けていかなければならない、かように考える次第でございます。
  102. 小谷守

    ○小谷守君 これはひとつ、政務次官の率直なお答えでありますから、これ以上追及がましいことは申し上げませんが、募集の防衛庁の姿勢というものについてとくとひとつ御反省を願いたいと思います。  労働省の当局お見えになっておりますか——自衛官の募集に関連して、労働省の当局に御質問いたしたいと思います。  自衛官募集の乱れの一つとして、今日職安で自衛官募集をやっておると、国民の印象においてはですよ。こういう実情のように思うのでありますが、労働省の御見解はどうですか。
  103. 関英夫

    説明員(関英夫君) 先生の御承知のように、自衛隊員の募集につきましては自衛隊法に規定がございまして、その関係から職業安定法の適用がないわけでございます。したがいまして、私ども直接は自衛隊員の募集につきまして関与するようなことはいたさないのでありますが、関係機関から協力要請がありました場合には、私どもの安定所の中で業務に支障のない範囲内で、たとえばポスターを掲示するとか、案内書の所内掲示等、そういうことについて業務の支障のない範囲内で協力することにとどめるように、こういうふうな局長通達を出して地方に指示している次第でございます。
  104. 小谷守

    ○小谷守君 具体的に申し上げましょう。  自衛隊法第三十五条の規定によって、職業安定法三十一条の二の規定は、「法律に別段の定のある場合」、こういうことでありますから、この職業安定法の適用はもちろんないものだと、こういうふうに理解をするのでありますが、まぎらわしいことは、労働省は三十年七月二十日付の職業安定局長の通達をもちまして、「自衛官募集に関する職業安定機関の協力について」という通達を出しておるわけであります。これによりますと——私はこのこと自体が問題だと思っておりますよ。少なくとも府県知事の指揮監督する現場の職業安定機関に対して一片の通達で事務を押しつけるべきものではないんで、これは自治法がきめておるとおり、法律ないしはまたそれに足を置くところの政令によってやるべきことでありまして、これは自衛隊法、自治法の——あとで詳しく申し上げますが、それぞれ法的なルールの上で自衛隊に対するところの協力の度合いというものを決定しておるわけです。これを職業安定局長の通達で仕事をつけ加えたということは、法的にこれは問題があると思いますが、きょうはそのことを荒立てて追及しようとは思いません。その通達の中では、いまあなたのおっしゃったとおり、職安で行なうところの協力は、まずもって部屋の中にポスターを張ることはかまわぬ、しかし、来た人が自衛隊に応募したいと思うがどこに尋ねたらよろしかろうかという問い合わせがあったときに、それは何町の何丁目にあるこういう自衛隊の出先機関に対して問い合わせなさい、そういう応待をする、こういうことを限定的に通達しておるものだと思うが、労働省のお考えどうですか。
  105. 関英夫

    説明員(関英夫君) ただいま御指摘の昭和三十年の職業安定局長通達におきまして、自衛官の募集に関する職業安定機関の協力の範囲について一応示しておりますが、それによりますと、まず職業安定機関は積極的に自衛官の募集事務につきまして周知宣伝その他勧誘あっせん等の業務はやらないということが第一点と、ただし、募集機関から依頼がありました場合には、そういう所内掲示とかあるいは案内書等の備えつけについて要請があった場合に、これらを適宜の場所に掲示し備えつけることは差しつかえない、こういう範囲について一応協力の態度を示しておるというふうに理解しております。
  106. 小谷守

    ○小谷守君 いま現に職安の窓口で行なっておる、現に行なわれておる状況というのはどういうことか。これは人づてではありません、私がじかにこの目で見てきたことです。ごく最近、職安の中に机を持ち込んで、私服の募集官がそこに出張って、実際に建物の中で募集事務を行なっておる。そういうことは御承知であるのかどうか。しかも、一人ではない、私が見たのは三名、一つの安定所に三名早朝から出張っておる。そうして、若い職業を求める若年層の人があらわれた場合には、先を争うようにして、こっちへおいでということで勧誘しておる、そういう状況であります。これは人から聞いた話ではない、私がじきじき確かめてきたこと、最近に。そういうことは御承知であるかどうか。御承知であるとすれば、それは先ほど申し上げた局長の通達の範囲内のものであるかどうか。通達そのものにも法的問題があるけれども、通達の範囲内のものであるのかどうか、労働省の見解をお伺いしたい。
  107. 関英夫

    説明員(関英夫君) 職業安定所の中に募集関係の方がいらしている場合もあるということは、私も聞いております。そういう場合に、その募集関係の方が、自発的に自衛官としての応募を希望しない求職者に対してまで積極的に勧誘等の業務を行ないますと、私どもといたしましても、職業安定所の中でそういうことがあると業務に差しさわりがございますので、先ほどの局長通達になっているものと考えまして、私からも、そういう場合には積極的な勧誘なんかを行なうと非常に問題があるがどうかという問い合わせをしたこともございます。そういった場合に、積極的にはやっておらないし、それは安定所の窓口職員が常に見ておるし、来る方も一定しておるので、その辺のところは十分守られておるというような返事を聞いたこともございます。そういうようなことで、自発的に希望しない求職者に募集関係の方が安定所の中で積極的に勧誘するということは、安定行政の上から見ても問題があると思いますので、これからも十分注意していきたい、こういうふうに考えております。
  108. 小谷守

    ○小谷守君 私は、あなたに対する質問の冒頭に、こういうふうに申し上げた。国民は職安が自衛官の募集をしておると印象しておる、こういうふうに申し上げた。その中身は、いま申し上げたように、私服で机を持ち込んで、そして募集をしておれば、そこへ行く者は、職安でやっておると、こう素朴に受け取ると思うんですよ。そういう印象を持たせることは職業安定法の違反なんだ。そこで、はっきり答えてもらいたいと思うんです。私は済んだことをとらまえてとやかく追及がましく長い文句を言おうとは思わぬが、人間のやることですから、間違いがあることはしかたないと思うんです。間違いと思ったら、改めればいいと思うんです。  端的に伺うんですが、まず局長の通達、これにも問題があるけれども、その通達によって後日また雇用安定課長が詳細な文書を出しておる。それには、これとこれとこれの行為については協力してやってくれという限定的なこと——もちろんこれは限定的でなくてはならぬ。法のたてまえからいって、例示的なものではないポスターを張る行為、問い合わせがあったら機関の所在を知らせる行為、こういうことについて協力をしてやってほしい、この原点に立ち返るべきだ。このこと自体にも問題があるけれども、そこで、職安にじきじき出張って机を持ち込んで直接募集事務をすることは今日以降打ち切るということが言えるかどうか。あなたで言えなければ、労働大臣に来てもらわなければならぬ。いかがですか。
  109. 関英夫

    説明員(関英夫君) 現在募集関係者が安定所に参っておりますのも、そこで積極的な募集行為を行なっているような場合には、私ども先ほどお答え申し上げましたように、そういうものは好ましくないということで注意してまいりたいというふうに思っておりますが、先生の先ほど来の御意見が、そういったこと自体の印象、国民の印象までも含めて問題にされておるというふうに受け取りましたので、その辺のことを含めまして十分検討してみたい、今後のあり方につきましてさらに十分検討してみたい、こういうふうに考えます。
  110. 小谷守

    ○小谷守君 まあ、あなたの立場ではその辺が限界ですか——積極的に募集をしたとか、消極的に募集をしたとか、そんなことばを濁さぬでもよろしい。具体的に人の目に映る姿というものをどう改めるかということなんです。  委員長、これは労働大臣に見解を求めなければならぬと思います。
  111. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  112. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記を起こして。
  113. 小谷守

    ○小谷守君 なお、これに関連して、私は先ほど防衛庁の下級隊員のことをいろいろ申し上げたのでありますが、幹部のほうにもちょっと御留意いただかなければならぬと思うのですね。ことしになりましてから、いろいろな事故が起きておる。私の地元——先ほど佐々木委員から空港の問題についてお尋ねがありました伊丹ですが、本年九月たいへん非常識なことをしておる。防衛庁のほうではもうよくおわかりのことと思いますが、着剣をして、そうしてゲリラに対応する訓練を市内でしておったというのです。しかも、伊丹市水道局の職員の住宅も、構内に着剣した部隊が入り込んでおったというふうなこと、あるいは市民のいこいの場所である公園の中で着剣した訓練をしておるというふうなことで、市民に非常に畏怖感を与えたし、非常なひんしゅくを買うたという事件が起こっております。これは詳しいことを申し上げなくても御承知を願っておると思うのであります。  そこで、今後こういうことがあってはならぬと思いますが、この駐とん部隊の司令に対してはどういう処置をおとりになりましたかということを一つだけ伺っておきます。
  114. 野呂恭一

    政府委員(野呂恭一君) ただいま御指摘になりましたのは、伊丹市の市内、あるいはまた昆陽池の公園の中で自衛隊が斥候訓練などを行なったという事実の御指摘だと思うのであります。自衛隊の施設以外で訓練を実施する場合は、事前に関係機関と調整をいたし、実施の時期、あるいは場所、あるいは住民に迷惑をかけないように、しかも安全等に十分な配慮をいたしまして実施しなければならぬことは当然のことでございます。本件事件が発生いたしまして、あらためてこのことにつきましては部隊に示達をいたしました。特に中部方面第三師団におきましては、注意通達を隷下部隊に発するとともに、師団長が直接各部隊長を指導して、末端に至るまでその処置を徹底いたしたわけであります。今後かようなことのないように、どうしてもそういう地帯が必要であるんだということであれば、十分関係機関あるいは住民等の御理解をいただいて、迷惑のかからない、いやしくも異様な形でそれが突如行なわれるということが断じてあってはならないということを十分に通達いたしましたので、今後御心配いただくことはないと私どもは確信をいたしておる次第でございます。
  115. 小谷守

    ○小谷守君 政務次官の率直な御見解でありますから、将来はひとつ十分御留意を願いたいと思うんです。  次に、第二の質問を申し上げたいと思いますが、護衛艦「きくづき」ですね、これは海上自衛隊にとっては非常に自慢の新鋭艦であるというふうに承っておるのでありますが、これはいつ、どこで建造し、建造費はどのぐらいかかったのか、そして概略の装備、性能、こういうことについて簡潔にひとつ伺いたい。
  116. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) ただいま御質問ありました「きくづき」でございますが、これは基準排水量が三千五十トンでございます。速力が三十二ノット出るわけでございまして、このためにタービンを二軸——三万馬力ずつ二つございまして、六万馬力のタービンを持っております。主要装備といたしましては、五インチ砲を二門、それからアスロック一式、ダッシュを一式、ボフォース一門、魚雷発射管が二門でございます。三菱重工業長崎造船所に三十九年発注いたしまして、完成は四十三年三月二十七日でございます。総価額は五十七億円でございます。
  117. 小谷守

    ○小谷守君 運輸大臣来られましたから、中断しましょう。
  118. 佐々木静子

    佐々木静子君 実は空港問題に関して運輸行政の根本的なことについてお伺いしたいと思いまして、大臣にお尋ねいたしたいと思います。  運輸省においては、国民大衆の足を飛行機考えておられるのか、国鉄と考えておられるのか、どちらであるか、まずお伺いいたしたいと思います。
  119. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいまの、飛行機を主とするか、国鉄を主とするかと、こういうような御質問だろうと思う次第でございますが、これはやはり距離によりまして、また場所によりまして、非常に違ってくると思うのであります。また、これは主体的に乗客の方の選択の自由でもありますが、ただいまのところ、大量の輸送機関は、ことに旅客の問題は、国鉄、私鉄を含みました列車によることがやはり一番いいんではないかと思う次第でございます。ただ、非常に急ぎますお客さんも多い、あるいはまた長距離の場合、そういったような場合は飛行機にたよるわけでありますが——というふうなことが時代の趨勢ではないかと、こう思っておる次第でございます。
  120. 佐々木静子

    佐々木静子君 いまお尋ねしているのは、一般的な国民大衆の足、これが、いま大臣がお答えになったように、国民大衆の足はやはり国鉄あるいは私鉄であろうと。これは、実は、大臣が昨年末の運輸政策審議会で、鉄道、バス、船は必要交通機関、航空機、タクシーは選択交通機関ということをはっきりお述べになっていらっして、航空の公共性というものも第二次的であるということをはっきりお述べになっていらっしゃるので、重ねて伺ったわけでございます。そこで一つ運輸行政の根本的なこととしてお伺いしたいのは、国鉄が、たとえばその用地、駅、あるいは線路、踏み切り、車両など、これ全部国鉄の費用によってまかなわれているわけですね。つまり、国鉄を利用する人の運賃の中にそれらのものが込められている、そういうわけでございますね。
  121. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) その点は、最近に至りまして——数年前からその建設費の一部であるとか等につきまして国の助成がございます。しかし大部分は、いま御質問にございましたように、料金によってまかなわれておる現状でございます。
  122. 佐々木静子

    佐々木静子君 これ、私調べましたところでも、四十五年度の設備投資の支払いの金利が千五百二十二億円で、営業収入の二三%以上に国鉄の場合は当たっているということでございますが、それにひきかえ、航空の場合、たとえば航空会社が負担するもの、これは航空機、あるいは格納庫、そのほかに大きなものはどういうものがございますか。
  123. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) そのほかにございますのは、離発着料と申しますか、飛行場に着きます飛行機に対しまして料金を課しております。また、航行援助施設利用料と申しまして、たとえばいろいろ安全施設がございます。VORとか、DMEとか、いろいろ安全施設がございます。それに対する利用料といたしまして料金を取っておる次第でございます。
  124. 佐々木静子

    佐々木静子君 この国鉄でいう駅に相当する空港、これは航空会社が負担するのじゃなくて、現在国及び地方自治体がその経費を負担しておりますね。空港の建設費が国及び地方自治体、それから航空管制の費用も——これは国鉄でいうと信号ですが、航空管制も国が全額負担しておりますね。それから航空気象——これは航行にかけがえのないものですが、気象観測の費用も全面的に国が負担しておりますね。航空機用ガソリンが現在無税でございますね。そういうことは間違いありませんか。
  125. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) そのとおりでございます。
  126. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうしますと、航空料金というものは——航空機を利用する者が航空会社に払う料金というものは、これは航空料金の中には、空港の費用、それからそのほか国の費用というものは入っておらぬ、これらのもろもろのものは飛行機を利用するわけでない国民の税金でまかなわれているということになるわけでございますね。
  127. 内村信行

    政府委員(内村信行君) ちょっと補足させていただきたいと思います。  先ほど、先生の御質問の航空会社の場合は、飛行機の機体とか、乗員とか、運航費、そのほか全部、飛行場その他については国の負担でやるのであるかというふうな御質問でございました。先ほど大臣が御説明申し上げましたように、形式的には確かに国の負担でございます。ただこれは、本年度から空港整備特別会計というものをつくりまして、受益者負担制度をとろうと思っております。そこで、大臣から先ほど申し上げましたように、着陸料を航空会社から取り、あるいは航行援助施設利用料を取り、あるいは通行税といったようなものを一般会計から繰り入れてもらいまして、そういったものでまかなっておりますので、実態的にはほとんどが受益者負担というようなことになりつつある傾向でございます。もちろん、まだ一般会計にも若干ございます。ちょっと若干補足させていただきました。
  128. 佐々木静子

    佐々木静子君 いま離着陸料などのことを伺ったわけですが、これは大衆の足である国鉄において国鉄の利用者がそれらすべてを負担しているのに対して、必ずしも大衆の足とは言いがたいこの航空機の利用者が——航空機の料金というものが、広い意味では一部国民の税金においてまかなわれている。こういうところに、根本的にいまの運輸行政が必ずしも大衆のほうを向いていないんじゃないか。これは、これを見ただけでも、私感ずるのです。国民もたいていの人がそれを感ずると思いますが、その点について、いま、これからだんだんと改めていくというお話がありましたけれども、大臣としてどういうふうに今後運輸行政を切りかえていこうとするのですか。
  129. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいまの御質問でございますが、確かに、大衆の足としての国鉄その他が、大体料金収入でまかなっておる。また、そうでない、選択的であるところの航空機の点につきまして、国費がこれを負担しておる、そのとおりでございます。しかし、今日までとりましたのは、御承知のとおり、航空機企業というものは、日本におきましては非常におくれている次第でございます、諸外国から比べまして。日本がいわゆるサンフランシスコ条約で一応独立を回復するまでは、日本人は航空の権利さえ認められてない、こういうことでございまして、すでに十年以上もおくれているということでございまして、諸外国と比較いたしまして、民間航空が非常におくれているという現状でございます。そういう点で、選択的ではございましても、やはり文明人として航空機も利用することがある。それがためには、育成期間におきましては、これはやはり国の助成も必要であるということで、いままでとってきた次第でございますが、いま航空局長から申しましたように、漸次、航空機、民間航空企業も整ってまいりましたので、それでやはりそういったようなもの、料金その他につきましても、利用者負担の原則を全部徹底しなければいかぬということで、ただいま五千六百億にのぼります空港整備五カ年計画におきましても、その大部分は、着陸料であるとか、援助料であるとか、そういったようなものをもらうというような方針でただいまやっておる次第でございます。
  130. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは先ほどから、大臣がおられない前に質問をしたのですが、これは航空機の利用者が、国内線だけを見ても、年々三〇%ずつ増加しているという話なんですが、これはいま国鉄のことを対比してのことが出ましたが、たとえば大阪−高知間、国鉄の場合は、グリーン券、特急券を含めまして四千八百八十円となるわけなんでございます。ところが、航空機を利用すれば四千円で行けるわけなんです。さらに、国鉄はまた二〇%値上げというようなことをうわさされているわけです。これは航空機需要がふえるというのは、自然発生的にふえているのではなくて、運輸行政のやり方が、航空機——非常に、国民の税金で運賃の一部を持って、意欲的、意識的に、恣意的に航空機需要を多くしてるんじゃないですか。
  131. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいまの御質問がございました料金の不均斉、これはもう早急に直さなきゃいかぬと私は考えておる次第でございまして、私ども、ただいま、航空安全施設の整備状況、あるいは空港整備状況から申しましても、急激なる航空機需要の増加というものは望んでいない次第でございまして、お互いに、そういったようなものが整備されるにつれまして、国民の利便であるところの、国民がお望みになりますれば、それがふえていくということは望ましいことでございますが、政策といたしましては、まず第一番に空港整備であるとか、あるいは安全施設の整備であるとか、そのほうが望ましいと思っておる次第でございまして、いろいろ需要がございました——私、ことし就任いたしましてから、便数の制限をやり、あるいは団体客の制限をやるということをいたしまして、漸次そういうことでむしろ安全度を高めるという方面をやっておる次第でございますが、ただいま申しました、確かに旅客運賃がそれよりも安いというようなことは、非常にやはり不均衡でございますので、早急にこれは検討をいたしまして、その是正につとめるつもりでございます。
  132. 佐々木静子

    佐々木静子君 いま大臣のお話伺いまして、安心したのでございます。航空機需要が増大をするということを運輸省は望んでおらないということなんで、私も安心したわけなんでございます。と申しますのは、大阪国際空港におきまして、いま深刻な騒音問題で、百三十万ほどの住民が現在犠牲になっております。そうして、もう飛行機などは要らないから、ともかく静かな生活をさしてほしいということで、必死になっていま住民運動が盛り上がっているわけでございます。それに加えて、関西国際空港の建設に際しまして、また、大阪湾沿岸一帯の大阪府、兵庫県の各都市において、盛んに空港設置反対運動が起こっているわけでございます。運輸大臣がそのように大衆の足、大衆のための運輸行政を行なってくださるならば、航空機需要はここで頭打ちになり、大規模な国際空港をつくる必要もなくなってくるのじゃないか。そういう意味におきまして、航空機の減便の政策ですね、それをおとりになるおつもりはございませんですか。
  133. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいまでも、先ほど申しました空港整備状況、あるいは保安施設の状況に勘案いたしまして、できる限りそういったような過密化にならないような政策はとらしているつもりでございます。ただ、いまお話がございましたから申し上げますが、伊丹空港につきましては、いまの利用客が非常にふえておりまして、それで、便数を制限しておりましても、お互い、その航行をする場合に、いわゆるホールディングと申しますか、滞空時間を長くして離発着しなければならない、いろいろ苦労がございます。また、いまの伊丹空港状況を見ますると、現在のままにおきましても非常な騒音で、付近住民の方に非常に御迷惑をかける。騒音対策につきましては、いまの現時点の法制上は、私ども最大限の注意を払いやっている次第でございますが、しかしながら、航空機騒音につきましては、非常にやはりまだ住民の方に御迷惑をかけている次第でございまして、それらのことも勘案いたしまして、これからの空港設置というものは、やはり騒音の少ない、騒音公害のない飛行場を設定いたします。そういうことで、いませっかく、関西におきまする新空港の設置を早急にきめなくちゃいかぬというので、急いでいる次第でございまして、それによりまして伊丹の飛行便数の減少がはかれる、騒音の防止も緩和ができるということで、私どもただいませっかく計画をし、審議会にも諮問をする、また地方公共団体の御意見も承ってやっていきたいと、こういうことでやっている次第でございますので、それらのことを御勘案をいただきまして、できるだけひとつ、そういう方面の方法で御協力を願いたいと思う次第でございます。
  134. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは十二月十四日、一流紙に載っているんですが、神戸で新空港建設についての、地元民とそれから運輸省——これは丸居さんだと思うんですけれども、おこしになっての対話集会で、地元市長が反対すれば新空港は建設はあきらめるということを言っておられるんですが、これは非常に、国民のための運輸省のあり方として、たいへん住民意思を尊重されたけっこうなお考えだと思うんですが、運輸大臣におきましてもそういう方向で運輸行政を進めていかれるおつもりでございますね。
  135. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 私はきょうは先生には初めてでございますが、あらゆる委員会の機会に私は申し上げておる次第でございますが、地元の地域住民のコンセンサスを得られなくてあらゆる仕事はやっていけないということが私の根本観念でございまして、したがいまして、住民の代表である市長であるとか知事であるとかいった公共団体でその点が反対がございましたならば、それは幾ら必要でありましても、これは遂行することがなかなかできにくいというふうに私ははっきり考えている次第でございまして、この点をはっきり申し上げる次第でございます。
  136. 佐々木静子

    佐々木静子君 住民の意思を尊重してくだすった運輸大臣の御答弁、非常にありがたいと思っております。そして、さらに重ねてお伺いをいたしますが、十四日の衆議院の大蔵委員会で、大蔵省が関西新空港建設の予算措置は慎重に考えるべきだということで、まあ予算措置は行なわないという答弁をいただいているんですが、運輸省側で公団建設の準備を何か非常に急いでおられるというような話を聞いておりましたが、これは本年度予算では見送られるわけでございますね。
  137. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 地元のコンセンサスを得るというのと、空港の必要性と、これはまた別でございまして、いまの伊丹の現実の問題からいたしましても、これはやはり、住民の自由意思というものは、私ども行政の力だけで押えるわけにいかない。で、ただいまも御指摘がございましたように、三〇%年々伸びる、幾ら押えましても半分は伸びると、こういうような問題でございますし、どうしてもやはり適当な空港というものは必要であるということでございまして、じゃあどこの地点がいいかということの選定のためにも、どうしてもやはり公団をつくっていただきたい、予算もつけていただいて、それでやらなくちゃいかぬというふうに私ども考えている次第でございます。そのために、先般も、異例でございましたけれども騒音公害のないことを第一の主眼としろということで、ジャンボ機も三度にわたりまして飛ばしまして、それで地元住民の御意見も承っている次第でございます。そういうものを煮詰めてまいりますためにも、どうしても来年の予算措置は必要と思っておる次第でございますので、その点はひとつ、住民の意思を無視するのとは逆でございますので、御賛成願いたいと、こう思う次第でございます。
  138. 佐々木静子

    佐々木静子君 最後にこの質問だけ。  成田空港設置の場合に公団がどういう役割りを果たしたかということは、国民は痛いほど知っておるわけでございます。それで、地元の大阪、兵庫県の住民たちが、その新国際空港設立についての公団を設置するということ、それをもう一番反対して、おそれているわけでございます。住民が公団設置に絶対反対であるということを深く御認識いただきまして、今後の運輸行政を進めていただくようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  139. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ちょっと一言だけ。いま、公団ができましたから成田のほうとの不手ぎわがあった、それも一部ございましたかもわかりません。しかしながら、一面におきまして、公団がありましていろいろお互いの了解工作もできた。おそらくは、私ども運輸省直接でありましたならば、もっともっとへたなことになったんじゃないか。やっぱり地元の意思というものを直接コミュニケーションをいたしませんと、これは非常な、東京におりましてやるというより、やはり地元におりましてやるということがあれでございますので、その点は、確かに成田の教訓は重々わかりました。それゆえに、私先ほど申しましたとおり、地元の団体の方の御意思を十分尊重するということは申しましたが、これは公団設置とはまたおのずから問題は別でございますので、その点はもう一ぺんひとつお考えを願がたい、こう思いまして、一言申し上げる次第でございます。   〔委員長退席、理事和田静夫君着席〕
  140. 小谷守

    ○小谷守君 「きくづき」に関しまする質問を続けたいと思いますが、この自衛艦は就役後二年七カ月ほどで故障を起こしておる。この故障の原因なり状況はどういうことでございましたか、概略伺いたいと思います。
  141. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 「きくづき」の事故の概要について申し上げます。  「きくづき」は、四十五年十月三十一日、遠洋航海の帰途、インド洋コロンボ沖におきまして右舷の主機関に異常な振動が発生いたしました。それで、帰国後調査いたしましたところ、次のような事故が発生していることがわかったわけでございます。まず右舷機の高圧タービンでございますが、これがタービンの羽が十三枚ほど折損いたしておりました。その他、羽の植え込み部分にクラックが発生いたしておりました。左舷のほうの高圧タービンにおきましても、羽の植え込み部分にクラックが多数発生をいたしておったわけでございます。ということで、事故がわかったわけでございます。
  142. 小谷守

    ○小谷守君 インド洋で四十五年十月三十一日に故障を起こしたということでありますが、速力はどのぐらいなことでございましたか、何ノットぐらいでしたか。
  143. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 通常、この種の艦艇におきましては、まあ「きくづき」は最大速力三十二ノット出るわけでございますけれども、通常は十二ノットないし十八ノット程度で運航いたすわけでございます。で、この事故の発生いたしました場合は、全馬力の十分の六、二十七ノットで運転し、さらにそれを十分の八、二十九ノットに上げましたときに異常者が、異常震動が発生したと、かようになっております。
  144. 小谷守

    ○小谷守君 その辺が国民の納得できないところであります。三十二ノットの自衛艦で、それが遠洋航海をやって、帰りには二十七ノットから九ノットで故障を起こした、これは防衛庁としては、あるいは海上自衛隊としては、予知できた故障であったのかどうか、設計上のミスがあったのかどうか、あるいはメーカーであるところの三菱長崎造船所にミスがあったのかどうか、その辺の原因の探索はどのようにされたか、それを伺がたい。
  145. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 予知できたのかどうかということでございますが、実は予知できていなかったわけでございます。もちろん、受け取る前に、領収の前に公式試運転をいたしまして、この場合は三万馬力全力で三十二ノット以上の速力も出しましたし、また現実には三万馬力での全速回転、並びに、さらにそれをこえまして三万一千五百馬力まで運転いたしまして試験を終えたわけでございます。その際には、何らもちろん故障もございませんので、一応領収いたしたわけでございます。  で、実はこの三万馬力というのは、当時としてはやや新しい型だったわけでございます。昔は商船も一万馬力程度で済んでいたわけですが、商船並びに艦艇ともに逐次馬力数の高いエンジンを採用するようになりまして、実はこの「きくづき」の前に三十五年度計画——この「きくつき」は三十九年度計画船でございますが、「あまつかぜ」というのがございます。これはやはり三万馬力のエンジンを採用いたしております。それから三十八年度の計画船「たかつき」、これでもやはり三万馬力のものを採用いたしたわけでございます。「きくづき」はそのあとに三番目に三万馬力というエンジンを塔載いたしたわけでございますけれども、実は一番最初の三十五年度の計画船のほうは石川島播磨のGE型のエンジン、「たかつき」のほうは同じ三菱でございますがウエスチングハウス型のエンジン、「きくづき」のほうは三菱でございますがエッシャーウィス型のエンジン、まあ国際的に全部名の売れたエンジンでございますが、かようにスケールアップしたものを採用したわけでございます。で、従来、GE型、ウエスチングハウス型においても、ほぼ三万馬力で十分やっていけるということになりましたものですから、今度は三菱のエッシャーウィス型で新規に三万馬力を設計し、それを採用いたしたわけでございます。
  146. 小谷守

    ○小谷守君 長官御多忙だと思いますので、一問一答していると長くなりますから、この問題についてかいつまんで長官にお伺いしたいと思います。  「きくづき」の故障並びに修理をめぐる問題については、私のところにたくさんの投書が来ております。これはまた長官にお目にかけてもよろしい。どういうことかと申しますと、これは車にたとえるならば欠陥車であると、いま局長説明されたようなことは、もうすでに戦前旧海軍の駆逐艦「朝潮」でも同様の事故があった、造船界では一つの古典的なミスだ、こうさえ言われておる。さらにまた、いま言われましたように、三菱にはエッシャーウィス衝動型タービンの商船三万トンクラスを三隻つくって同様な故障をすでに起こしておる、それに対するアフターサービスも三菱はしていると仄聞しておるわけです。ところが、海上自衛隊の新鋭艦と誇っておられるところの「きくづき」については、その瑕疵保証期間、担保期間が、ここに契約の写しもありますが、一年になっておるということで、一年の瑕疵担保期間を経過しておるということで、メーカーである三菱は何ら責任をとろうとしない。また、防衛当局も、そうかそうかということで、最近に六千万円の国費を投じてこの修理にかかった、こういうことであります。このことをめぐって数多くの投書が私のところへ来ておる。投書というのは無責任なものですから、投書の信憑力というものがどんなものであるかということは、そういうことは国会の場で出すことは差し控えます。しかし、少なくとも、このことをめぐって黒いうわさが立ち込めておることは事実だと思います。また、国民感情として長官どうお考えになりますか。いま電気洗濯機を買いましても保証期間というのは大体一年、五十七億の国費を投じた軍艦、これを建造したメーカーがそういう無責任なことであっていいのかどうか。さらに加えて、仄聞する四次防の中においては、兵器の国産化をやろうということで、その多くの部分を担当すると聞く三菱がこのような姿勢でいいのかどうか。端的に伺いたいことは、防衛産業と防衛庁とが癒着をしておるのではないかというふうなうわさについて、国民の疑念を長官としては晴らしていただかなければならない。「きくづき」の問題についてどうされるのか。また、将来にわたって、一年契約なんていう電気洗濯機並みの瑕疵担保期間というものが、そういうことでいいのかどうか。国帑についても、大いに疑義があると思います。長官の御見解を伺いたい。
  147. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) きょうは沖特の委員会が午前中ありまして、たいへん審議に出席できなくて失礼いたしました。  お説の点は、私も実は話に聞いておるわけでございますけれども、それがまさに御指摘のようであるとするならば、これはやはり問題があると思います。一年という点についても、これはやはり今後考慮の余地があるように思います、商習慣いろいろありましょうが。それから、同型の機関がこわれておるという前例があるとしまするならば、これもやはり当然詳密に調べる必要があります。これは今後の、本質に関することですから、そのあたりについてどういう答弁がありましたか、また私も、その調査はしたのかしないのか、これについてつまびらかにしておりませんが、十分ひとつこれは調査をしてまいりたいと思います。  投書等につきましては、これはどうぞひとつ機会がありましたら御遠慮なく私に回していただければ、これはやはり参考にしてまいりたい。ただ、よく世上投書の場合、特に防衛庁の場合に、私過去に飛行機の機種選定などの防衛担当の議員として見ておりますと、商社間の競争が激烈をきわめるのあまり、これが投書の形になってあらわれたり、他産業をそれとなく妨害するというような、他の商社を妨害するといったような、ちょっといまわしい傾向が見られたことは事実でありまするが、しかし、おのずとそのまた御指摘の投書等相当な根拠があるからここでお取り上げになっておるものと思いますので、ぜひひとつ拝見をさせていただきたいものだと思います。十分、これは重大な問題でございまするので、今後にかけて慎重に検討をいたします。お約束します。  それから、六千万円かけたという点につきましては、現在まだ値段については折衝中、このように私承知をいたしております。  それから、兵器の国産化をどう考えるか、これは非常に重要な問題でありまして、わが国が通常兵器以下の局地戦にたえる、いわゆる局地の防衛を自衛隊が担当していくというたてまえから申しまして、でき得べくんば、でき合いの、あり合わせの兵器を外国から安易に輸入するということより、これは日本全体の技術開発という点から、国産に移していくことが方向としては私好ましいと思っております。ただし、御指摘のような、いわゆる産軍複合体式の傾向が顕著になるとすれば、これはまたわが国の憲法からいいましても、また自衛隊の指向する方向からいいましても、はなはだ憂慮すべきことでありますし、そのために私ども政治家が防衛庁長官になる意義があると思いますので、十分そういう弊害のありませんように、今後にかけて注意をしてまいりたい、これは本気で私そう思っております。
  148. 小谷守

    ○小谷守君 防衛庁長官も御就任早々でありますから、そうして特に御多忙な時期でありますから、いま申し上げたようなことについて詳細な掌握をなさっていないと思いますが、十分御調査願いたいと思います。なお、修理費六千万円はまだ未定であるということであるなら、なおけっこうであります。これは安易に払うべきものではない。車にたとえれば、これは欠陥車ですよ。メーカーの責任を十分追及して、しっかりした姿勢で立ち臨んでもらいたいと思います。
  149. 江崎真澄

    ○国務大臣(江崎真澄君) これは御指摘のとおりであります。しかも、保証期間が一年であるから、それをすでに経過したから知らぬなんという話は、これは巨額な、しかも特殊なものであるだけに、三菱側においてもそういう話は通用しないと思います。また、三菱がほんとうに技術を尊重するというのであるならば、その欠陥の原因が那辺にあるかということを追及することも、探求することも、これは当然会社としての必要なことでありましょうし、今後にかけまして三菱側にも十分反省と検討を求める、こういう姿勢で折衝してまいりたいと思います。
  150. 小谷守

    ○小谷守君 労働大臣、御苦労さんです。先刻、職安で自衛官を募集しておる状況について、ややもすれば職業安定法違反ではないかというふうな誤解を招くおそれがある。職業安定所の職員が募集事務を手伝っておるわけではないのです。自衛隊の募集官が安定所の建物の中に出張って、そうして机を置いて、三人も常駐をして、そこへ職業を求めて訪れる若年労働者に向かって誘いかけていると、こういう姿は、だれが見ても、職安が自衛隊の募集事務をやっておる、こう見るのは当然であります。これについては、そういうことをやってはいかぬという法理論になりますとたくさん用意しておりますが、一々ここで条文を読み上げて長い法律論議をすることは避けたいと思いますが、そういうことは、先般出しました職業安定局長の通達、続いて出した雇用安定課長の文書、そういうものの範囲もはるかに越えておる姿である、こういうふうに考えますので、労働省としては、このような誤解を招く姿は、済んだことは済んだこととして、将来にわたっては改めるべきだということを申し上げたわけでありますが、担当者ではなかなか明快な答弁がありませんので、大臣をわずらわしたわけです。いかがですか。
  151. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) 小谷さんにお答え申し上げます。  御質問の要点は、かねがね事務当局から聞きまして、いろいろ検討して、結論を持ってまいりました。お答え申し上げます。自衛官募集についての職業安定機関の協力については、労働省の職業安定局長通達の範囲を逸脱することのないように処置いたします。今後は、もっと具体的に申し上げますと、たとえば、いまおっしゃられたように、机を置いて自衛隊の募集官が直接求職者に応募を勧誘することなどのようなことのないように、それを善処いたします。
  152. 小谷守

    ○小谷守君 さすがに郷里の先輩であります労働大臣、非常に明快であります。過去はともかくとして、さっそくそういうふうに御処置願いたい。  以上で私の質問を終わります。
  153. 和田静夫

    ○理事(和田静夫君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      —————・—————    午後一時三十五分開会   〔理事和田静夫君委員長席に着く〕
  154. 和田静夫

    ○理事(和田静夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  昭和四十四年度決算外二件を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  155. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私は、国鉄の運賃の値上げのことにつきまして、いまも議論の最中でございますが、国鉄は一方におきましては大きな赤字をかかえて再建対策等考慮しておりますけれども、また一面におきまして、決算の面から見まして、非常にずさんな面もあるように思います。  それで、きょうは、私は、国鉄の再建対策といったような総合的なものではなくして、その中の一環として、地方線の新線の計画、さらに赤字廃線との関係につきまして若干お伺いをしたいと思うんです。  まず最初にお伺いしたいのは、運輸省に申請の地方新線の基本計画で、現在工事中でありますけれども、これは進捗状況はどういうぐあいになっておるのか、その大まかなところを説明をしてください。
  156. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 私のほうで担当してやっておりますのは、いろいろな性格の線がございまして、地方の開発に資する線をいわゆるA線といっておりまして、それから地方の幹線——B線、この二つはでき上がりますと、国鉄に無償で貸すというような線でございまして、それから主要幹線、これはC線といっております。それから大都市交通線のD線、そのほかに海峡線、つまり青函トンネルがE線でございまして、新幹線がG線というふうにいっております。  そのうち、AB線関係が四十一線でございまして、路盤着工しておりますのが三十一線、路盤未着工の線が十線、合わして四十一線でございます。それから主要幹線が九線、それから大都市交通線が四線、青函トンネルのE線、海峡線が一線でございまして、新幹線としまして上越新幹線と成田新幹線とございます。  海峡線と、それから新幹線につきましては、本年度から着工の段階になりましたから、これはまだ工事が始まりかけたというだけでございます。  それからD線につきましては、東京外環状線、武蔵野、京葉、小金の三線と、それから琵琶湖の西にあります湖西線一線を加えまして四線でございますが、これは大体順調に進んでおりまして、四十七年度または四十八年度に開業しようということで鋭意努力しておりまして、もう山場を越えたという形になっております。  それからその次、主要幹線のC線でございますが、この九線につきましては、これもまあ大体六、七割というような程度に進行しております。  それから、問題になりますAB線でございますが、これは地方の過疎を解消しようというような意味で公共性の性格が非常に強いのでございますが、これにつきましては、いわゆる利子のつかない、つまり税金でまかなわれるもの、あるいは国鉄の出資でまかなわれるものというようなことで今日までまいっておりますが、この原資等につきましては、いままでは国鉄に非常に大きく出資していただいておりました。しかし、だんだんその率が減ってまいりまして、今年度は五十億、あとの百九十五億から五十億引いたものはいわゆる国の出資でございます。来年度の要求では全部国の出資をお願いしようというような、政府出資をお願いしようというような形になってきておりますが、これにつきましては、十カ年計画を立てておりますが、そのうちの半分程度しかいっていないというような形になっておりまして、その中で少し数が多いものですから予算を、まあ工費が安いとはいいながら、ある程度全般的にわりあいに重点化しているつもりでございますけれども、それでもやはり非常に多くの線区を手がけておるわりあいに進捗がおそいという形になっております。大体そんなことでございます。
  157. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、私がお伺いしますのは、この新線の中で、いまあなたがおっしゃったような新幹線、津軽海峡線、大都市交通線、こういうものは除きまして、あとのいわゆる久慈線外五十七線をひとつ問題として取り上げてみたいわけです。  で、この五十七線のうちで、国鉄に貸し付けたものが七線あるわけですね。これを除きますと、あと五十残る。ここは決算委員会でございますから、これはちょっと私間違っておるかもしれませんが、五十一になりますか、五十になりますか、要するに、国鉄に貸し付けたものを除きました残りの五十ないし五十一の線区の進捗の状態です。当委員会決算委員会でありますから、総工事費、さらに四十五年度の決算額、進捗率、こういうところを明確にひとつ御答弁願いたいと思います。
  158. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) つまり、いまお話のございました新幹線、津軽海峡線及び大都市交通線を除きました五十七線ございますが、その中で国鉄に貸し付けをしたものを除きますと五十線区になるわけでございますが、これの総工事費は五千六百八億になります。それで、四十五年度末の決算額は千三百六億ということになりまして、大体二三・二%の進捗率になっております。
  159. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、その中で、まあいろんな事情があったんでしょうけれども、路盤等の工事が全部また一部もう竣工しているのに、その後の建設工事が中断をしておるもの、その路線名と、なぜ中断になったのか、その理由をひとつ、それからその四十五年度事業までの投資額ですね。
  160. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) C線では追分線というのがございまして、これはもうすでにだいぶ開業できるような運びにだんだんなってきたわけでございますが、追分と、それから紅葉山線、狩勝線、この三線が通りまして初めて、北海道の横断といいますか、縦断といいますか、輸送ができるという形になるわけでございまして、そういう関連もありまして、国鉄としては、これだけ先ばしってやっても意味がないというようなお考えで、四十二年に協議を出しましたけれども、その後協議が整わないで今日に至っております。その間、ただそんならなぜそんな早くやったんだというお話もございますが、これについては札幌−千歳間の国鉄の建造計画もございまして、千歳の空港の駅をつくるとかいろいろの話もございまして、当初は、いろいろ協議した結果、これを進めてきたわけでございますが、その後、国鉄でいろいろ検討された結果、それをあまり早くやっても意味がないというようなことで、これが中断された形になっております。  それからもう一つの線区としましては白糠線というのがございますが、これは上茶路−二股間でございますが、約七・八キロくらいの線区でございます。これは白糠−上茶路間開業しております。これがすでに開業しておりますけれども、その先を少し延ばすのだということで工事をやっておりまして、部分開業をしたいということで国鉄に協議をしたわけでございますが、これが四十五年の十月でございます。その後、炭鉱の閉山とかいろいろの問題がございましたので、国鉄としてもちょっと待ってくれというお話になって、それが今日に至っているわけでございます。  それからもう一つは、油須原線というのがございます。これは九州の炭鉱地帯でございますが、この油須原線につきましては、ずいぶん前からいろいろ工事を進めてきておりまして、だんだんに開業をいたしまして、最後に残った川崎と油須原間、これにつきまして開業したいということで、四十四年の九月協議に入ったわけでございますが、その後、やはりこれも炭鉱地帯の閉山その他の問題もございますし、輸送量が少ないのだというようなことで、まだ協議が進んでおりません。  それからもう一つは、芦別という線がございますが、これも北海道でございます。これは納内と芦別の間一二・五キロでございますが、これは現実の問題といたしまして、炭鉱の問題もございますけれども、それ以上に現地の用地関係用地取得がいろいろ難行しておりまして、そのためにおくれているわけでございます。そういういままで投資いたしましたこれらの線区に対する工事費としましては、四十四億円でございます。
  161. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 要するに、ただいまの線は、一応は竣工したところもありますけれども、それをどうするか、これはまたあとで運輸大臣にお伺いしますけれども、とにかくいまのところは見通し難であると、こういうようなことらしいのです、いろいろな事情で。  その次にお伺いしたいのは、いろいろ事情を聞きますというと、現在、新線建設を工事しているけれども、いろいろな予算等の関係もあるのかしれませんが、工事が、非常にだらだらとしたいまのような工事の進捗状況でいきますというと、あとまあ相当な年月を要すると、まあ十年近くかかるのじゃないか、こういうことも聞いておるわけですね。これでは全く長期間投資の効果というものが発揮できないようになるわけですが、そういうような路線はどのぐらいあるのか。私がお伺いしているのでは、十幾つある、このように聞いているわけですが、その点ひとつ説明してください。
  162. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) この問題につきましては、どれだけ取り上げるかということはちょっとむずかしい点もございますけれども、一応わりあい長くかかるのじゃないかと言われている線区を申し上げますと、名羽線、興浜線、野岩線、佐久間線、中津川線、今福線、岩日北線、阿佐線、呼子線、白糠線、小鶴線、高千穂線、丸森線、以上十三線区でございまして、四十五年度末までに投資した金は百八十三億でございます。いずれも、こういう問題につきましては、なるべく早く投資いたしまして投資効果をあげるというのが筋でございますけれども、いろいろな点でやはりある程度着手しなければならぬというような形になりまして、今日まで思うように予算もそれほどつかないというようなことで、こういうような形になっているわけでございます。
  163. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、いまおっしゃったそのいろいろな事情ということを私はお伺いしたいのですよ。それでこれはいまトータルで百八十三億円、こういうことですね、事業費が。これは年間で一体どのくらいの予算をつけて、予算を配分をされて、どのくらい工事が進行しているのか、その点ひとつもうちょっと詳しく説明してください。
  164. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) このAB線の原資は、先ほども申し上げましたように、政府の出資と国鉄の出資でございまして、特に国鉄が最近財政上非常に出資しにくくなってまいっておりますので、年々予算規模は、ほかのC線とかD線に比べまして、どうしても伸びが少ない。そのために、本年度は百九十五億ですが、この伸びが非常に少ないものでございますから、どうしても思うように予算がつけられなかったわけでございます。鉄道建設審議会で御審議いただいた新線建設の十カ年計画というものがございますが、それは大体、毎年三百六十億、三百七十億くらいの予算規模を想定しておりまして、十カ年でこれを完成するということでまいってきたわけでございますが、四十一年から四十六年度までの間にその伸びが非常に少なくて、いまのところ毎年伸び率が五割を欠けている、予算規模からいいますと五割を欠けているというような形でまいっておりますので、こういうような形になるということでございます。
  165. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあ要するに、私が聞きたいのは、そういうわけで、五年も十年も、長いのは十五年もかけて、相当な金を投資をしてやっているわけですよ。そうして、路盤工事をしながら、そういうような新線計画というものが、何百億とお金をかけて、実際現実に利用されるまでに一体何年かかるかということです。ほとんどその間は、草がぼうぼうと生えて、地元住民は、一体できるのかできないのか、あるいはもう半分あきらめた方もあるし、非常に国鉄に対して不信感を持っている。あるいは鉄橋なんか見ますと、鉄橋も中途はんぱでほったらかしてあるということで、ですから、投資効果という面から見て、私はもう少しこれはまあ国鉄も運輸大臣もはっきりしてもらわなければ困る、ここは決算委員会なんですから。まあ、これはあとで聞きましょう。  そこで、特に私がお伺いしたいのは、ただいまおっしゃった新線の建設の中で、国鉄側がこの線は赤字廃止路線として発表しておりますね、八十三線区を。その廃止予定線につながっておる、つながろうとする新線建設のものが幾つあるか、その今日までの総工事費、それから進捗率、これをひとつお伺いしたい。
  166. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 国鉄で営業廃止を検討している線区は、一応私どもで知っている範囲で申し上げますと、八十三線区の中で、こちらがその作業をやっているというような線区につきましては二十五線でございます。この二十五線のうちの総工事費は二千三百五億でございますが、四十五年度までの工事実施した額は三百六十七億でございます。
  167. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、これは国鉄のほうにお伺いしますけれども、ここら辺に私は非常に矛盾した点がある、何となしに割り切れない点があるわけなんですね。片方のほうでは、毎年毎年何百億という予算をつけて、マンマンデでありますけれども、ぼちぼちぼちぼち工事をしている。そうしますと、その先のほうは、先のほうといいますか、根っこといいますか、これは赤字だからこれを廃止をするというのでしょう。ですから、根っこのほうをはずして、先のほうはつくれと、こういうような全く奇妙な、これは建設の基本計画として、その辺のところがどうも私どもとしては納得いかないんですよ。で、こうしたような問題を今後どういうふうに取り組んでいくのか、その辺のところを、これをはっきりしてもらわないと、鉄建公団のほうは、運輸省、国鉄の御指示によって工事をやっておるわけなんです。それで、とにかく、あてがわれたところの予算の範囲において年度間の工事を行なう。そうこうしているうちに、片方の根っこのほうははずされる。こういうことじゃ、どうもこれはつじつまが合わぬと思うんですね。それを今日までほうっておいたのは、またどういうわけか。これは運輸大臣の諮問委員会——鉄道建設審議会、あるいは国鉄側の諮問委員会等もありますけれども、これは一体、運輸大臣はどのように決裁をするつもりなんですか。あなたがはっきりしないから、こういうようになる。これはもうばく大な金ですよ、捨て金ですよ。そして二〇%あるいは三〇%工事をやってですよ、あるいは八〇%でき上がったところで、もうこの工事はやめてくれとか、あるいはこの前、衆議院の決算委員会でも、わが党の坂井君の質問にもありましたように、せっかくでき上がった路線を国鉄のほうはいまだに引き取ろうともせぬ、そういうようなことがあるわけですよ。ですから、この問題に対して、運輸大臣はどういうような基本的な計画考えていらっしゃるのか、その辺をお伺いしたい。
  168. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいまの御質問でございますが、御質問の趣旨は、私よくわかる次第でございます。申し上げるまでもなく、いま、国鉄はもちろんでございますが、私鉄を含みまして、軌道企業は非常に経営が困難になってきております。これは一面、御承知のとおり、いろいろの企業内部の体質もございますが、それとともに、やはり軌道企業につきましては、保線管理の方面におきまして、相当大きな人件費を要する次第でございまして、あるいは航空である、あるいは海運である、あるいは道路であるというようなものと比較をしてみますると、相当やはり、そういった方面で非常な経常費がかかってまいりますということが実情でございまして、これはわが国だけではございません。世界的に列車経営、汽車経営というものが経済的に非常に難関に逢着しておる。したがいまして、欧米におきましても、それらにつきまして、いかにして国並びにまた地方公共団体が協力をいたしまして、陸上大量輸送につきましてはどういうふうにしてやったらいいかということで、そういったような協力体制につきまして検討中でございます。もとより、御指摘がございましたように、国鉄内部におきまするところの体制の問題もございますが、そういったような問題で非常に苦心をしているところでございますが、私どもといたしましては、そういったような国鉄内部体制の合理化、そうしてまた、この合理化のうちには、もちろん人員の問題もございますが、地方ローカル線が経済的にどの程度が必要であるか、あるいはまた、道路その他の整備状況ともにらみまして、その他の輸送機関に転換が可能であるか、地方の開発事情から考えまして、どの程度整理ができるかということと、また、国のそれに対する協力、地方団体の協力、また、一般の今日置かれておりまするところの運賃体系が、いまの価格のうちにおきまする位置づけが、これで合理的であるかどうかというようなことで、いわゆる三者が協力いたしましてこれを転換してまいりませんと、なかなかに国民の足であるところの多量輸送機関を円滑に遂行することができないと思っておる次第でございます。その観点から考えてみまして、ただいま御指摘がございましたこの新線計画と、そうして国鉄の経営の問題との矛盾、私、就任いたしましてから、その矛盾を早く合理的に解決をしなくちゃいかぬ、国民の多額の税金をむだにするようなことがあってはならぬという観点におきまして、ただいませっかく調整をさしているところでございます。ただいま鉄建公団の総裁答弁をいたしましたように、あるいはつくった場合に、いままで炭鉱地帯であったところが、その炭鉱が廃止になりまして、いわゆる需要も非常に少なくなった、経済的事情によりまして、それらの多量輸送の必要性がなくなったというような事態もございます。また、いわゆる経営の合理化から申しますと、とても採算に合わない。この場合は、トラック輸送あるいはまたはバス輸送で十分ではないか。機構的にも、あるいは輸送の環境の点からいいましても、それで代替ができるのではないかというような問題等いろいろございますが、ただいまお話もございましたように、この新線建設につきましては、ことごとく、鉄道建設審議会の議を経まして、超党派で国会も通過している次第でございます。したがいまして、必要の改正も行ないまして、厳然として残っておる次第ではございますが、しかし、時世の要求に合いまして、現実に、国民の税金をいかに合理的に国民の需要のために適正に配分できるかということが、運輸大臣といたしましては、責任でございますので、それらもひっくるめまして、私、いま、せっかくその点の調整につとめておる次第でございまして、来年度の予算までには、それらの調整をはっきりとはかりまして、いやしくもそういった御指摘のございましたようなむだの投資にならないよう、結論を必ず得るということで、せっかく検討を進めておる次第でございますので、御了承願います。
  169. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、国鉄の赤字問題は私もよく存じておりますし、その再建策を大きく取り上げますと、非常に議論が広がっちゃって終わりませんもんで、私は、この問題にしぼって、いまお伺いをしておるわけですが、具体的に例をあげますと、たとえば、四国あたりでも、こういう例がありますね。これは阿佐線——四国の高知の近くの後免という駅から室戸岬を通って牟岐まで、これが新線計画でいま着工しておるわけです。ところが、牟岐から徳島までの途中に阿南というところがある。ここははずしてしまう、こういうことになっていますね。あるいは同じく四国の宿毛線、これは、宇和島から中村の間は新線の建設工事中であるけれども、中村から宇和島まではこれは赤字だからはずす、あるいは東北のほうに参りますというと、野岩線、会津の近所ですが、今市から滝ノ原まで新線を建設中である。これなんか進捗率五四%ですよ。そして滝ノ原から会津までははずすと。まあ二、三例あげますと。ですから、こういうような基本線をどうおやりになるのか。いろいろと新聞等の報ずるところによりますと、国鉄の再建十カ年計画等も考えていらっしゃるようですけれども、あれをはずせとか、これをつけろとか、私は個人的には言いませんけれども、どうしても、たとえばいま申し上げましたように四国の阿佐線にしても、中村線にしても、四国を循環する路線、こういうようなものは、やはり政治的配慮から考えてみて、当然私は置いておくべきじゃないかと、このように思うわけです。だから、はずせとか、新線をつくれとか、そういうことは、あなたのほうでいろいろな諮問委員会審議会等を経てお考えになるのはけっこうだと、私は思いますけれども、いずれにしても、当の運輸大臣が、こういうようなはっきりしない、煮え切らないような中途はんぱなものを、御存じであればなおよろしくないですよ、今日までだらだらしているものだから、鉄建公団は当てがわれた予算の範囲で工事しなきゃならぬ。そしてつくったものはふいになって、何百億という税金が損じゃありませんか。その辺のところを、まあ今後さらに検討ということでありますけれども、これは検討、検討じゃ済みませんよ。それならば、いま来年度の国鉄予算について大蔵省と折衝の最中であるということらしいですが、あなたのほうの十カ年計画等を見ますというと、地方交通線三千キロの廃止、地方赤字新幹線の中止、公共負担の軽減、約十一万人の人員縮減、さらに国鉄債務に対する利子補給、工事に対する補助の大幅な拡充、こういうような項目が出ておりますが、これとて、これはあなた方の案でありまして、大蔵省がどう言うやら。ところが、大蔵省もどう言うか、来年度の財政規模等も考えると、相当苦しいようなことを言っておりましたから、一体来年——四十七年度はそれなら新幹線はどうなるのか、やれるのか、予算をつけるのか。いやそれは、またこれからもう少し検討を加えましてと——加えているうちにこれは結論らしきものが、結論が出なければどうなるのかということですよ。ですから、私は伺っているんですが、その辺いかがですか。
  170. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいまの四十七年度の予算につきまして、新線の問題でございます。御趣旨のとおりでございまして、いやしくもその点で不合理であるというようなものにつきましては、一切新しい要求はもちろんさせないつもりでございます。また、ただいませっかく工事中でございましても、国鉄側では経営上非常に困るというような点につきましては、できるだけ早く調整をいま詰めているところでございまして、年内にひとつその調整も進めたいと、こう思っておる次第であります。この問題は、また国の協力、また地方公共団体の協力の問題もございまして、せっかくつくったものが、地方開発のためにはぜひ必要である、それがために、普通の企業採算でいけばこれは赤字は当然であっても、地方の開発のために必要である、国もこれだけの協力をする、地方団体もするというようなものにつきましては、どのくらいで、これをひとつ切り詰めるかというようなこともいませっかく検討を命じておるところでございまして、これもただいま御指摘のように早急に結論を得まして、いやしくもつくりましたもの、また、見通しのいままで間違いも相当あったようでございます。御承知のように、経済変動の激しいときでございますから、あったようでございますが、それらの見通しのあやまちのないように慎重に考慮をさせまして、いま御指摘にございましたような不都合を再び繰り返さないように決心をしている次第でございます。
  171. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、長々と御答弁をいただいているわけですけれども、国鉄側の主張としてはどのように大蔵省に要求なさっていらっしゃるのですか、このローカル線の点について。
  172. 山田明吉

    説明員山田明吉君) いま御指摘のローカル線というのは、現在営業しているローカル線のことかと思いますが、それにつきましては……。
  173. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 新線も入れて。
  174. 山田明吉

    説明員山田明吉君) その現在営業しておりますものに、これは黒字、赤字で私ども扱いを別にする考えはございませんが、一応黒字、赤字という点で申し上げますと、現在営業しておりますのは二万一千キロでございます。そのうち国鉄が、これから国鉄でなければというとちょっとおこがましゅうございますけれども、国鉄の大量輸送、あるいは正確な輸送、安全輸送という国鉄のメリットをこれからもどんどん発揮できると思われる部分が大体一万キロあると考えております。その一万キロが全部黒字ではございません。そのうちの大体二千九百キロ程度が黒字でございまして、残りの部分は赤字でございますが、その赤字の部分であっても、やはりレールとしての特性はこれからどんどん発揮できる。もちろん、それに対してある程度の改良とか、これからの赤字投資の必要もございますが、そこで問題は、それ以外の一万一千キロ程度でございますが、これは全部大赤字でございまして、そのずっと先のほうの部分が明らかに自動車に負けたと申しますか、最近の輸送構造の大変革によりまして、それからまた道路が非常によくなったというようなことからして、鉄道輸送よりも自動車輸送のほうが、道路輸送のほうがむしろ国民経済的に、国民の足として便利じゃないかと思いますものが、昭和四十三年の当時の調査で約二千六百キロ程度あるだろう。これは、先ほど先生の御指摘になりました八十三線区、二千六百キロでございます。四十三年度当時がそうでございますから、その後の経済変革、また道路の投資といいますか、道路網の発達から見ますと、私どもはいまの時点ではそれがもっとふえているんではないかと考えているわけでございまして、それについては思い切って道路輸送に転換したほうが、これは一国鉄の立場だけから申すよりも、国民経済的に有利ではないかというような考えを持っているわけでございまして、それを含めました赤字路線の約一万一千キロ、これのやはり大部分というものは国鉄が経営していかなければならない。しかし、それは国鉄がどんなに内部的に合理化の努力をいたしましても赤字が出ますので、その赤字については国なりあるいは地方財政で補助をしていただけないだろうかということを、いま来年度の予算編成に際して政府にお願いをしているところでございます。  そこで、これからつくる新線、特にAB線でございますが、これはできあがりましたあとは貸し賃はただということにはなっておりますけれども、それを運営する日常の経費は国鉄持ちになるわけでございます。しかも、国鉄が経営する、運営する以上、安全ということをまず第一に考えなければなりませんので、もちろん、修繕費とかあるいは日常の取りかえその他の補修費もこれは国鉄が当然持つわけでございます。それらの今後できるであろうと思われる新線を見ますと、道路輸送に転換してもいいと思われる線と同等あるいはもっと赤字額がふえる見通しが立つわけでございます。  それで、その現在線についても、あるいは今後の新線の赤字につきましても、政府に補助をお願いする。その補助のやはりお金というものは、これは国民の税金から出していただくことになると存じますので、その経費につきましても、できるだけやはり少なくすることが国鉄として国民に対する義務ではないかということで、これからのAB線につきましても、重点的に検討していただきたい。先ほどからお話が出ておりましたように、現在手がけられている新線がもう非常に時間もかかっておりますし、それから相当な金もつぎ込まれている実情ではございますが、その間の経済事情の変化が非常に大きなものがあった。そこで、これを見直していくべきではないかというので、再建計画を再建措置法に基づきましてつくった際から、われわれとしても政府にお願いをいたしているところでございます。政府におかれても、その点いま非常な熱心な態度で御検討いただいている状況でございます。
  175. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 時間がありませんので、ひとつ要領よく御答弁を願いたいのです。   〔理事和田静夫君退席、委員長着席〕  結局、あなたの言わんとするところは、国民経済的な立場から見て自動車輸送に切りかえたほうがよろしいところはこういうふうにしていくと、そのほかに、国なり地方のほうからどうしても置いてくれと、そのかわり金のほうは何とか考慮しようというようなものは置いておくと、こういうような御意向らしいですがね。それは私もわからぬでもありませんけれども、一体そういうような結論が出るのは何年かかるかというのですよ。大体地方に行きましたら、地方の路線をはずすのにたいへんなことじゃありませんか、現に。地域住民が当然、いろいろな条件等もありまして、これは廃線反対であると相当な反対運動も起こっておりますし、そういうようなものを片づけて、それからおもむろにということでしょうが、これは来年度の予算要求に間に合いませんよ。しかも、地方公共団体の地方路線の赤字分を肩がわりというようなことは、あなたも御存じのとおり、来年度の地方財政は、これもまた国の政府と同じようなことで、大体一兆円ぐらいの地方起債をやらなければ編成ができないというようなことでしょう。それでも、これは私は無理なように思います。ですから、出すならば、やはり国のほうにこの際はお願いしなければならぬ。だから、これはひとつ私どもも応援させてもらいましょう、もらいますが、一体そういうようなことが、結論がいつ出るか。出ないままに四十七年度の予算をつくって、そうした場合に、これまた新線の事業計画はどうなるのか、やらないのか、まあしようがないから幾らかつけておけということで、予算を五百億なら五百億つけてまただらだらとやるのか、これはやはり早急に何とかせぬことには、結局それはまた損ですよ。だから、運輸大臣の言うことはよくわかるのだけれども、現実に予算折衝等を見て、大体あなたも判断ついておるはずですよ。きのうの新聞にも出ておりましたが、国鉄総裁の記者会見の内容も私は読みましたし、国のほうの国鉄に対する補助なくして運賃値上げばっかり、そういうことでは私どもはごめんこうむりたいというような意向で、やっぱりその気概というものは私も感心しておりますけれども、現実はどうするかですよ。それとも、来年はばっさりこれやめるのですか。あとはまあ、予算予算とおっしゃるけれども幾らもないでしょう。あの大蔵大臣の談話では、そう膨大なのは出しそうにもないような感じでしたね。そうすると、これはどうするかということです。かりに、今度は二番目にあなた方の要求どおりに大蔵省が国鉄に対して援助するということになりました場合に、これはどうするか。とりあえず四十七年度の赤字路線と新線の中で、その中で特に赤字路線とつながる、赤字廃止路線とつながる二十五線区につきましては、これはどうするかということです。問題が出てくるじゃありませんか。結局、私は考えるところ、まあつけるでもなしつけないでもなしといったような中途はんぱで幾らかつけておけ、まあまあそうやかましいこと言ってったってそう短兵急にいかんわいと言っているうちに、また一年、二年経過して、また二、三百億損になる。この辺のところを私は心配しているのです。これは決算の面から言っているのです。そういう点、これは運輸大臣がしっかりせにゃいかぬのですよ。これは前からわかっておることですからね。もう一ぺんその辺をひとつ答弁してください。
  176. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 当然の御指摘と思います。四十七年度予算におきまして新しく建設するAB線につきましては、重点的に十分検討いたしまして、そうして、いやしくもむだの路線にならないという確信のつく以外の線は絶対にこれは計上しないということでやるつもりでございます。これもまた、時日もございませんけれども、少なくとも予算を出すときに、この確信なくして、国民の税金の負担にかかわることですから、必ずこの決着をつけましていたすつもりでございます。また、いままでやっております点につきましても、前から検討さしておりますが、十分これらの合理性、また代替性を検討をいまさしておる次第でございまして、これを続けまして早急に具体的な結論を得て、そして皆さまの御審議を仰ぎたい、こう思っておる次第でございます。
  177. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあ、それじゃそれでいいでしょう。  それでもう一つ、国鉄の赤字の中身の問題です。これは路線別に、線区別に、幹線、地方交通線、地方閑散線、AB線と、こういうふうにここに分けた表が、これは鉄道公団の出した資料でありますけれども、これは黒字線が九線、千三百十八億となっておりますね。赤字の一番大将、赤字は五十八線、七千三百キロ、これは幹線です、千二百六十五億、それから地方交通線、同じく赤字が千五億、地方閑散線二千六百キロ、これが同じく赤字が百六十七億、いま問題になっておるところのいわゆる地方の赤字廃止線につなごうとする新線ですな、このいわゆるAB線は九線で、百七十一キロで、これはわずか二十八億円しか赤字がない、こういうふうな資料が出ておりますが、国鉄のほうはいかがですか、いま私が読みましたこの経営成績表について、これでよろしいですか。
  178. 山田明吉

    説明員山田明吉君) いま御指摘の資料を私ども承知いたしておりませんですけれども、いま申されました中で、二千六百キロの地方閑散線でございますが、これの赤字額は、大体私どもも、年度のとり方によって違いますが、百六、七十億だと存じております。それで、それに関連したAB線、これについては私どもまだ正確な計算をいたしておりません。
  179. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私はAB線の九線の赤字が二十八億と申しました。これは訂正いたします。二・八億——二億八千万。それですから、いまこの廃止線につなごうとする新線、これが二十五ありますけれども、この路線だけでありますと、わずか二・八億円しか赤字は出てない。この程度のものであれば、当然単なる財政上の問題だけでなしに、せっかくああいうところはいなかで今後さらに経済開発も当然進んでいくだろうし、地域開発のために、この程度のものは財政的に援助しておいでおいでもよろしいじゃないか。そうして、さっき申し上げましたような、四国だとか、会津だとか、ああいうつながるような線はつないだほうがかえって経済効果はあるのじゃないか。現にこの前、只見線ですか、あそこは、大体もともと廃止することになっておったんでしょう。ところが、新線のほうでつないじゃったんでつながったということですね。つないでみると、相当な収入もあがるようになったと聞いております。ですから、そういうことも考慮して、これはここで結論出せというても無理のようでもありますが、私がいま申し上げましたことは、非常にこれは決算の面から損ですよ、何百億という。早急にひとつ結論を出して、ただ財政経理の面からのみ判断をせずに、いわゆる国鉄なんですから、政治的配慮も当然入るわけです。これはもうかるだけであったら、私鉄がやればよろしい。これは余談の話になるかしれませんが、こんなことを言うと、また田中通産大臣にしかられるかもしれませんが、この前、田中通産大臣が只見線の開通式に行って、大体赤字線は廃線にせよというような国鉄側の考え方はどうも納得いかぬというような意味合いのあいさつを彼は開通式でやっている。やはり政治的な配慮というものも必要でありますから、そこはいろいろと正式機関で検討なさって、要するに私が言いたいのは、早く——早くといっても、なるべく早く国の損にならないようにひとつやってもらいたい。これが決算委員としての私の要望であります。  それからもう一つ、この前、衆議院の決算委員会で坂井君が、あの白糠線ほか三線ですか、でき上がっておったけれども、国鉄側としてはこれをまだ受け入れてないと、これらの線につきましては、運輸大臣はよく検討をいたしまして結論を出すと、こういうような御答弁があったらしいんですが、それもまだ結論出てないんじゃないですか。それもあわせてひとつ御答弁してください。これで終わります。
  180. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいまの廃止線につながるAB線をどうするか、しかも二億八千万じゃないかというお話でございます。ごもっともと思う次第でございます。しかし、ただ赤字が非常に少ないということと、それとまた道路を利用したバス輸送で可能であるかということとの勘案の問題がございます。いろいろのまた地方の発展状況、将来の拠点とするかどうかというような問題もございまして、ただいま御指摘のようなそういった点を総合的に判断することがいわゆる政治的判断ではないか、こういうように思っておる次第でございます。それらを慎重に判断をいたしまして決定をいたしたい、こういうふうに思っておる次第でございます。  それから、白糠線その他のせっかくできた問題の調整でございますが、先ほど申しましたように、地方の要望といわゆる経済原則とのこれは調和の問題でございます。いま地方の団体と、いわゆる地方公共団体あるいは国と、財政の問題で折衝しております。その折衝の過程におきましてこれをきめたいということで、ただいませっかくやっている次第でございまして、必ずその結論を得るつもりでございますので、しばらく御猶予をお願いしたい、こう思う次第でございます。
  181. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 けっこうです。
  182. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間が限られておりますので、問題点を端的に聞きたいと思いますが、タクシー運賃の値上げの問題でお伺いしたいと思います。  すでに国鉄の定期料金の割引の削減、あるいは私鉄料金、バス料金、あるいはタクシー運賃と、公共料金、認可料金が来年早々から上がるんではなかろうかと、こういうことで、また物価高の折から、国民の生活を脅かすような来年はまた値上がりの年になるのではなかろうか、こういう心配がございます。なかんずくタクシー運賃につきましては、せんだっても物価安定会議から中間的な報告、示唆がありまして、値上げやむを得ないと、こういう意向も示されておりますし、また自民党のほうも、値上げやむを得ない、こういう意見も出ております。来年早々からまたタクシーが値上げになるんではなかろうか。四十五年一月タクシー料金が上がり、サービス改善が前提であったわけでありますが、それも国民の声を無視して、当局の前向きの姿勢にもかかわらず、サービスもほとんど改善されてないんではなかろうか。こういう最中に、こういう中間報告、二十二日には最終的に答申が出るらしゅうございますが、いまの時点において、これは事務的に自動車局長のほうから御答弁をまずいただきたいと思うのですが、このタクシー運賃の値上げ問題についてはどのようなお考えがございますでしょうか。
  183. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 現在、私ども事務当局といたしましては、東京その他六大都市から値上げの申請がまいっておりまして、ことしの一月を一番最初として、それから各都市から漸次出てきまして、四月ごろまでに六大都市から出てきました。これを受けまして、まず会社の経営の内容を私ども審査をいたしまして、そして経理の実態を把握する、同時に事業者から出されました運賃改定の申請の内容を検討するということで、事務的に検討を進め、目下経済企画庁と私どもとで、事務当局間で、いま申し上げました経営の実態の把握、申請内容の検討ということを、それぞれの資料、それから意見を持ち寄って検討を加えておると、こういう段階でございます。
  184. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣はどのようなお考えをお持ちでしょう。
  185. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいま自動車局長が御答弁いたしましたように、事務的には検討をさしていると、こういうことでございます。
  186. 黒柳明

    ○黒柳明君 十月の補正予算のときに、総理大臣は運賃値上げは絶対しないと、運輸大臣も同じく運賃値上げをしませんと、ついせんだっておっしゃったばっかしですね。となると、現在は事務レベルにおいて検討しているということは、絶対値上げしないということではないということで、可能性もあると、その結果によっては、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  187. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 私、どの委員会でそういう発言いたしましたか……。
  188. 黒柳明

    ○黒柳明君 総理大臣です。
  189. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 実は私、第三次佐藤改造内閣で就任いたしましたときに、初閣議におきまして、物価問題は内閣としては一番の重要な問題であるから、経済企画庁長官にこれは慎重にやれということを総理から話がございまして、私に対しましても、運輸省が実行機関であるから、その点はよく諸機関にはかって慎重にやれという話がございました。私どもそれをいまも守っているつもりでございます。ただ、いまお話がございましたように、先般の運政審の答申にも出ましたとおり、まだバスレーンその他の点ではっきりした多量バスの輸送が整備されておりませんから、必ずしも言えませんが、タクシー輸送というものは選択的機関になるんじゃないか。そうなりますると、将来は公共料金的のものからはずして、国民の好みでやってもいいものじゃないかというような、幅につきましても二段階、三段階と設けてもいいんじゃないかというような答申も出ております。また、現実の問題といたしまして東京にとってみますると、全体の車両の三分の一は個人タクシーが保有しているということでございまして、一方また道路事情からいたしまして、走行キロ数、幾ら労働力を強化いたしましても上がらぬということになってまいりますると、個人の所得というものが上がらぬ。上がらぬということは、いまの物価の趨勢でいきますと、下がるということになる次第でございまして、その点を苦慮している次第でございます。そういう点からいたしまして、いま慎重にそれらの点を勘案をいたしまして検討している次第でございます。
  190. 黒柳明

    ○黒柳明君 私、そういう答申も出ているということも知っておりますが、私いま聞いていることは、ついせんだって総理大臣がタクシー運賃の値上げは絶対やらないと、私たちも、やらないとは言いながら上がるんではなかろうか、国民も心配しながら今日まできているんでありますが、要するに、物価安定会議から答申も出て、この答申に対して、私たちは無視したり、そんなことじゃないんです。いよいよそうかなと、上がるのかなあと。自民党も、一生懸命上げろ、上げろと言っているような表面的な動きもあります、現実的にですね。そこで、大臣はいま自動車局長がおっしゃったように、検討しているということは、総理大臣が絶対に上げないということじゃなくて、結果においては上げる可能性もあるんだと、もうこう考えざるを得ないときにきておる、こういうふうにお思いなのかということをいま御答弁をお願いしたいわけです。
  191. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) その点は、まだ私もはっきりした結論をつけているわけではございません。さよう御了解を願います。
  192. 黒柳明

    ○黒柳明君 絶対に上げないと、こういうことでいま現在認識してよろしゅうございますか。事務当局では、もう上げる上げないは未知数としても、とにかく経企庁のほうと連絡をとって検討するということなんですか、どうでしょう。絶対もう上げないということを言明——話があったんですけれどもね。
  193. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 端的に申しまして、その言明もいたしかねる次第でございます。
  194. 黒柳明

    ○黒柳明君 わかりました。そうすると、私たちは、ここでやっぱりかと、こういう時点を迎えたわけであります。私たちは、そのためにいろんな、審議会答申を受けて、そうして当局が検討すると、こういうシステムがあること、これは理解いたします。しかしながら、上げないと言ったあの時点において、そんなことを言ったってという気が、いま大臣のおことばで、やっぱり上がる方向にいくのかなと、こういうことです。それは上げてもらいたくない、これは国民の一人としてそうなんです。ところが、四十六年の二月、まあこれは御存じのように、旅客自動車協会から運賃料金変更認可申請書が出ておりますね。その中で、特に昭和四十五年九月決算において——これは一月から上がったわけでありますが、さきの運賃改定にもかかわらず、企業の大小を問わずすべての会社が赤字であるという惨状を呈しておりますと、まあこれは値上げの根拠です。大臣もこの認識に立っておられますか、同じような認識に。
  195. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) 大体いま事務当局から聞きまして、なかなか企業もむずかしいのではないか、こういうふうに思う次第でございます。
  196. 黒柳明

    ○黒柳明君 企業の大小を問わずすべての会社が赤字、当然、赤字だということから積算して、そうして物価安定会議あるいは自民党の自動車部会も調査して、それで値上げやむを得ないと、こういう方向にいくんではなかろうかと、常識的にですね。ところがここに、値上げ申請の基準に、企業の大小を問わずすべての会社が赤字と、まあことばというのは、これは形容詞、あやがありますから。ところが、すべてといっても、ここに私、四十五年度決算、東京百六十社あります。大手は全部黒字じゃないですか、大手は黒字、どうですか。大小の企業を問わずすべて赤字となっていますよ。これが積算の運賃変更許可の一つの基準になっています。ところが、大手は全部黒字になっていますね。どうですか。
  197. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいまの点にお答えいたしますと、申請書のすべての企業が赤字という、この表現には、私も御指摘のように問題があると思います。ただ、そのタクシー会社の中には、先生御案内のように、タクシーだけをやっているものは比較的小企業でございますが、中にはハイヤーとタクシーとをやっておると、そうしてそれ以外に関連事業、たとえばガソリンスタンドとか、そういう関連の事業をやっておるものもございます。そうして、大体大手の会社は、相当ハイヤーをやったり関連事業をやったりしておりますので、御指摘のように、大手を含めてすべてが全事業部門で赤字というわけではございません。タクシー部門について言いますれば、もう大部分の企業は赤字である、こういうことです。
  198. 黒柳明

    ○黒柳明君 もうこれは、私がいま言ったのは関連事業は含んでおりません。それはガソリンスタンド、モーテル、あるいは観光事業をやっている。私言ったのは乗用事業だけですよ。これが黒字になっておるじゃありませんか。読み上げましょうか。もうお手元の資料と同じです。国際自動車八千九百万の黒字、帝都七千五百万、大和三千百万、イースタンモータース一千八百万、大旺交通一千百万、ということは、ここに都内百六十社で、五十台以下の所有、五十台から百台の所有——中小でしょうな、零細でしょうな、赤字です。この申請をそのまま正しいと受け取った場合——このあと私まだ問題点を指摘しますが、この各会社の赤字報告というものを正しいと善意に解釈した場合でも、百両保有以下は赤字、百両保有以上、なかんずく三百以上は全部黒字ですよ。ところが、百六十のうちわずかに五社、いま指摘した黒字は五社、百六十のうちの四%です。四%で保有台数は四千台、百六十社一万台の保有のうち五社で四千台、四〇%保有している。そうすると、当然これも値上げの対象になりますね。かつてもそうであった。今回も当然そうでしょう。中小零細だけは上げて、大企業は値上げしないなんていうことは決してありません。タクシーすべてです。関連事業は除きますよ。乗用事業部門だけですよ。そこに大きな矛盾があるんじゃないでしょうか。だから、ここで認可事業、当然合理化——大メーカーと大企業と個人タクシーは黒字なんです。まん中の百台以下、五十台以下だけが赤字なんです。これは私はいま会社のこの申請が正しいとしての上です。正しくないんですよ、この次出します。赤字を赤字として正しいとした場合でも黒字じゃないですか。大手五社が百六十のうちの四%ですよ。その保有台数は一万台のうちの四千台も持っているんですよ。それが全部値上げの基準になるんじゃないですか、一律に。黒字なのになぜ値上げしなければならないんですか。かつても値上げしたんじゃないですか。今回も値上げとなれば、これも値上げの基準になるんじゃないですか。この矛盾はどういうふうに理解さしていただけますか、私たちに。
  199. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいまの先生の御指摘の数字でございますが、私どももそういう数字承知いたしておりますが、現在四十五年度、全部一カ年間を調べました。私どもが現在の審査の基礎にしている数字を申し上げますと、五十両まで、それから五十一両から百両まで、百一両以上という全部について見ますと、結局、タクシー部門においては、タクシーと、それからハイタク——ハイヤーを含む部門と全事業と三つに分けてみまして、タクシー部門につきましては、百六十社のうち黒字会社はございません、全部赤字でございます。そういうことで、収支率はいま申し上げました百六十社について九一・六と——四十五年一カ年の収支率は九一・六、これはタクシー部門について赤字であるということでございます。
  200. 黒柳明

    ○黒柳明君 乗用事業ですよ、タクシーとハイヤー持っている。だから大手は経営が成り立つわけですよ。そのタクシーも含めて値上げの対象になるんじゃないですか。関連事業を除いて、乗用事業。
  201. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) タクシーにハイヤーを加えました事業におきましては、十一社が黒字でございます。そして、現在の運賃制度におきましては、同一事業区域、同一の型は同一運賃ということでございますので、したがいまして、同一事業区域、この場合ですと、東京都二十三区、武蔵野、三鷹、この地域におきましては、同一運賃ということでございますので、かりに値上げをいたす場合には、全部の事業者が同一運賃、こういうことでございます。
  202. 黒柳明

    ○黒柳明君 ですから、値上げの対象になる。私はいま、中小も若干あるけれども、大手だけをわざと特に指摘したわけです。大手の一、二、三、四、五社、三百台以上保有すれば、当然そこにハイヤーが出てくるわけですよ。タクシー、ハイヤーを兼ね合わせてやれば、こういうふうに黒字になる。しかも、四十五年度にほとんどのところが吸収合併して、多くの保有台数を持って、みんな黒字になっているわけでしょう。こういう合理化もさせなければ、今後のタクシー値上げに対して二年ごと、一年ごとにさらに値上げ、値上げ、値上げと、こういう可能性があるんではなかろうか、そういう矛盾。さらにもっと矛盾なのは、この前の四十五年一月も、こういう大手の黒字部門を含めた黒字会社も含めて、値上げの対象になっちゃったんじゃないですか。しかも、この百六十社の中では、十台に四台が黒字のタクシーですよ、黒字の会社だ。タクシー一台、一台じゃない。運転手のなにはなかなか上がらないが、会社自体としては乗用部門でもうかってんですよ。このもうかってるタクシーに乗ったって、結局タクシー料金は値上げを取られる。こうした矛盾した値上げのやり方はうまくないんじゃなかろうか、どうなんであろうか、こういうことですよ。
  203. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 現在、先生御指摘のような運賃の改定申請が出ておりますのは、つまりタクシー運賃部門のみでございます。したがいまして、仰せのようにハイヤー部門を合わせますと、黒字の会社が、御指摘のような会社があるわけでございますが、私どもが現在検討しておりますのは、ハイヤーを除くタクシー部門の運賃改定の内容についていま審査をしておるところでございます。ハイヤー運賃の改定は、今回は審査の対象になっておりません。
  204. 黒柳明

    ○黒柳明君 ですから、私は、いろんな事業をやっていますタクシー会社が——私鉄も同じことですよ、私鉄は赤字だ、だけど観光地で何とかやっている云々と、それは関連事業だからいいですよ。私鉄もよくそういうことを言われます。だけど、タクシーの場合は、ハイヤーもタクシーも乗用部門として、乗用事業として一括されていて、ほかのがここの関連事業として収支決算が出ているんじゃないか。いいですか、あくまでもタクシーは赤字だ、だけれど、それを会社が合理化して、そして合併して保有台数を大きくすることによってハイヤー部門をつくって、そして黒字にしているわけです。また、個人タクシーは黒字なんです。その中間の中小が赤字なわけですよ。ですから、あくまでも会社として考えて、しかも関連事業を除いた場合、それだけ考えた場合でも、これがはっきりした黒字になっている。その黒字のタクシーにまでも、運賃料金の改定になると、値上げという方向に行っちゃう。これは非常にやっぱり私たちとしては納得できない。さらに、私さっき言ったのは、これを正しいとしてなんです。ところが、これはこの中にある一私企業の決算なんです。これは私は大臣だけに見ていただきたいと思うのです。ここに皆さん方のほうに出した赤字だという積算の根拠、これを積算の根拠としていまチェックしているわけですね、妥当かどうか。八八%の申請がある、五〇%にするかしないかといういまチェックをしているわけです。ところが、この赤字の申請と、もう一つ収支決算がこっちにある。全然違うのですよ、収支決算とこれと。なぜこういうのが出てくるのか。これは運輸大臣だけに、一私企業の問題ですから。ちゃんとタクシー会社の名前も出ている。その中の一つですよ。これは事務当局に見ていただくと、またこれ私企業ですから問題あると思うのですが、この収支決算見てください。  それで、だから私は、積算の根拠が赤だから赤だからという申請だけをたよりにして、それで値上げの基準にして、さらにおかしいということが出てくるわけですよ。この決算は何ですか、それじゃ。どこに出している決算ですか。皆さん方のほうに赤で出しているのです。一千八百万の赤、これはいま大臣見ていただいた同年の決算ですよ、同じ会社です。どうしてそこに黒で収支決算出すのですか、おかしく思いませんか。非常に私はおかしいと思う。だから、何を言いたいかというと、赤だと出ている百六十社中、大手は黒です。ほとんど中小は赤。これを積算の根拠にして、赤字だから、それじゃと言って、それで物価安定審議会のほう、あるいは自民党のそういう答申、それも全部これです。それから、この公認会計士、これこそまやかしですよ。四十五年九月決算、値上げしたのは四十五年一月ですよ。値上げした直後というのは、やはりお客さんが少なくなっている。そのときを基準にして公認会計士が赤だとしているのじゃないですか。こちらにあるのは、そちらにあるのと同じ——四十六年三月決算、四十五年九月決算、これだって自動車協会のほうの公認会計士のほうでチェックして赤ですよと出てきたのですよ。こういう業者の一方的な、いや公認会計士が客観的に赤だからと言ったのだ、あるいは各自動車会社のほうから赤だと出ているのだから、これだけを唯一の積算根拠として、それに幾ら審査を加えたってだめですよ。こういう決算が二重に出ている。二つも三つも出せばいいのですけれども、同じことです、出したって。ここまで皆さん方が知った上で、実態というものが赤じゃないのだ、赤じゃないところもあるのだ、まやかしの赤だという申請をしているのだということをはっきり知っていただいて、その上に積算根拠を出して値上げはやむを得なかろうと言えば、国民はやっぱり納得する方向にいくのじゃないですか。ところが、積算根拠が非常に柔弱ですよ。どうですか、こういう点、大臣。
  205. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 大臣から基本的な問題についてのお答えをいただきます前に私として申し上げますと、黒柳先生がただいま大臣にお見せになりました資料、私わかりませんが、おそらく商法に基づくいわゆる営業報告書と申しますか、そういうものであろうと思います。これの内容と同じ会社で、それの内容と私ども調査いたしました百六十社のその中に入っているその会社の内容が違うであろう、違うのはおかしいという御指摘、これは私どもも理論的にはそう思います。ただ、商法に基づく営業報告書につきましては、私どももちろんこれを参考にはいたしますけれども、私どもとしての百六十社の調査、これは先ほど先生がおっしゃった公認会計士の調査より新しい最近の資料に基づいて、私どもで、何といいますか、勘定科目解疎を自動車運送事業の会計準則というものに基づいて指示をして、それに基づいて事業者が提出したというものによって審査をしているつもりでございまして、事業者あるいは事業者の委託した公認会計士が出した資料をもとにして審査をしているわけじゃございませんので、その辺は御理解いただきたいと思います。
  206. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや、審査はね、いろんな観点からしてんですよ。赤字だという根拠、これは業者からのこの申請、これじゃないですか、赤字だという根拠、先ほど言ったこれに基づいてのことじゃないですか。審査は違いますよ、独自でやってんですから。ある場合においてはこれを無視してやるかもわかりません。赤字だという根拠はここにあるんじゃないですか。ほかに独自なものをとってますか。
  207. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 私どものほうで、先ほど先生がおっしゃいました百六十社、四十六年六月に調査いたしましたものは、私のほうが、東京陸運局が、四十五年度の上期、下期一カ年分の営業報告書に基づいて百六十社のタクシー部門についてやったものでございます。したがいまして、それが私ども……。
  208. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、これとこれとが同じだと言うんです。同じなんです、これとこれ。そういうたてまえで言ってるんです。同じです、そっくり。これいただきました。九十八社お調べになったうちの十数社、それと同じなんです。大和です、これ。黒字、一カ所だけ。同じです、ここにあるの、そっくり。収支決算、上半期、下半期、一年分がここに出てる。これで言ったって同じことです。これでしょう、基づいてやってんのは、そうですね。赤字だという積算の根拠、これですね。これいただきました。運輸省のほうからいただきました。
  209. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) いま先生これかとおっしゃったのは、私のほうから差し上げた営業報告書だと思いますが、それは営業報告書でございます。
  210. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、これじゃないですか。これに基づいて赤字だと言った。これイコールこれなんです。これでもいいですよ、営業報告書でも。これに基づいて赤字だと言ったってだめだと言うんですよ。いまみたいに収支決算を二通り出してたんじゃどうしようもないじゃないですか。それを赤字の積算根拠にして、そしてその上に審査する。そうすると、赤字だ赤字だと出して、片方じゃ黒字だと言って出している。それじゃ、その上に成り立った審査というものは非常に根拠が薄弱じゃないですか、赤字の報告が。どうですか、大臣、わかりますか、私の言ってることが。
  211. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) はなはだ恐縮でございますが、沖繩特別委員会で私に質問があると言われておりますので、これで失礼いたしますが、その前に、ちょっといま御指摘のございましたこの報告書というものは、いよいよこれが料金を上げるかどうかという一つの積算の根拠になる重要な問題でございます。しかも、いま私だけ拝見いたしましたが、そういったような全く黒字を赤字というような偽りのことがあるといたしますと、そういったものに基づきまして積算の基礎をつけては、えらいことになりますから、その点は十分ひとつ検討させます。それでやってみたいと、こう思います。
  212. 黒柳明

    ○黒柳明君 もう一言、済みません、大臣、とんでもないことだと、そのとおりです。しかし、これをとんでもないことだからといって、それだけで、いま言ったこれだけを積算の根拠にして、赤字の根拠にしていたのではだめですよ。各社全部何らかの方法でこういうのが出ている。秘密じゃありません、こんなものは。あっちもこっちも出ているのです。それを入手すると、何らかの方法で、ほんとうに赤字だ。そうして、あらゆるところの答申で検討された結果、赤字で値上げというならば、納得できないこともないかと思う。ところが、黒字を赤字と申請して、それに基づいて審査の対象にして、赤字だからやむを得ないとするのだったら、ほんとうに国民は納得できない。憤りに思う。こういうことじゃうまくない。だから、何らかということじゃなくて、もしこのまま値上げになって——私はさらに調べます。次から次からこういうものが出る可能性がありますよ。そうしたら、これはもうたいへんなことだ。むしろ大臣の威信の問題になりますよ。調べますね、調べてくれますね。それに基づいて絶対これはやむを得ないというなら、これはもうしようがない場合もあります。この点を究明してもらわなければならない。
  213. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣(丹羽喬四郎君) それは、入手につきまして、また先生のお知恵も拝借いたしまして……。
  214. 黒柳明

    ○黒柳明君 いや、そこまでは知恵はない。もう時間ですね、大臣どうもすみません。  最後に、それじゃ自動車局長、わかっていただけましたね。同じものです、これとこれと。これに基づいていまやっておるわけです。ですから、大臣はああいう御答弁をなされたわけですよ。とんでもないことだ、そんなことがあったならばと。で、自動車局長としては——私は、値上げ間近だと、こう思うのです。事務レベルで、事務的に、まず、赤字ではないのだ、赤字じゃないところも多いのだ、そこからやはり一つ皆さん方なりの判断を加えていただかなければならないと思うのですが、その方法、どういうふうにこれからおやりになるか、どうですか。
  215. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 私どもといたしましては、いま先生の御指摘の百六十社の収支をもちろん検討したわけでございますが、さらにその上に、その中から規模別に、平均的に四十三社を抽出して原価計算をいたしておるわけでございます。これは一種のランダム・サンプリングと申しますか、一つの新しいといいますか、一番最新の資料でそういう調査をいたしておるわけでございまして、百六十社は、もちろん参考のために百六十社の収支を見たわけでございますが、それだけを判断の資料とするわけではなくて……。
  216. 黒柳明

    ○黒柳明君 それは同じです。だから、あれがうまくないと言っておるのじゃないですか、百六十だって四十三だって。
  217. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) その後の資料を個別的に検討してやると、そういうことでございますので、十分事務的には経理の内容というものを把握して、実態を把握して検討する、こういうことでございます。
  218. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうじゃなくて、事務的に幾ら検討する、百六十社や四十三社といったって、それが違っておるんだからしようがないじゃないですか、いま大臣が言ったように。
  219. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 私の申し上げ方が悪かったと思いますが、それは同じ資料と申しますか——でなくて、同じ会社であっても、別の角度からと申しますか、要するに、端的に言いますと、粉飾決算をされておるような資料をもとにして審査をしたのでは意味がございませんので、そうでなくて、真実の経理内容を把握するような調査をして、それで検討するということにいたしております。
  220. 黒柳明

    ○黒柳明君 だって、あんた方がいまやっていらっしゃるこれが真実の内容であるかどうかなんて、何もわかりゃしないじゃないですか。会社から出てきただけの資料じゃないですか。大臣がそれだけの答弁をしましたから、局長とここでやったって——ほかの人が待っておる、七分過ぎていますからね。いま言ったこういう資料がまた片っ方にある、黒字の資料が。赤字の資料だけをもって積算根拠にしていたのではだめじゃないかと。事務的にこれをどういうふうにやるか、それから始まらなければ、タクシー値上げという方向に断を下した場合には、非常に疑惑が多い。黒字のところをどうして上げるのだ。皆さん方が持っておる資料が間違っておる、赤字じゃない。なぜこんなものを積算の根拠にするのか、こういうことじゃないですか。
  221. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  222. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記起こして。
  223. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいまの先生の御示唆と申しますか、御指摘、十分参考にさせていただきまして、検討いたしたいと思います。     —————————————
  224. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、沢田実君が委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君が選任されました。     —————————————
  225. 渡辺武

    渡辺武君 政府が総予算二兆三千四百億円というばく大な国費を使って第三次防衛力整備計画を今年度で終えて、来年度から五兆八千億円ともいわれる予算をさらに使って第四次防衛力整備計画に入ろうとしております。この計画が、悪名高いニクソンドクトリンに基づいてアメリカの肩がわりとして日米軍事同盟体制のもとでの日本の軍国主義復活を新しい段階に引き上げる危険きわまりないものであり、国の内外から大きな非難を受けていることは、周知のとおりであります。しかも、防衛庁の計画の中には、国民に重大な疑惑を抱かせる隠された部分が数多く存在しております。私は、きょうは、海上自衛隊の敷設艦「つがる」について幾つかの点を伺いたいと思います。  もっとも、きょうは決算委員会の総括質問の日でありますけれども、総理大臣は出ない、防衛庁長官も欠席されるということでありますので、政治的な論議はなるべく次の機会に回しまして、きょうは事実の究明に重点を置いていろいろ伺ってみたいというふうに思います。  さて、艦籍ナンバー四八一号の敷設艦「つがる」は、昭和二十八年度予算によって建造を認められ、二十九年十二月十八日起工、三十年一月十九日進水、同年十二月十五日竣工されました。ところが、その後大改造の結果、現在では改造前とは一変したものとなっていると言われております。で、これは、たとえば海上自衛隊新聞社が出しております「海上自衛隊艦艇と航空機集」、これの昭和四十六年度版を見てみましても、次のように書いてあります。「昭和四十四〜四十五年度に特別改造工事を行なった。そのため外観は改造前の艦影をとどめない程に変貌した。」というふうに書かれております。また、同じこの専門誌の「世界の艦船」の七十年十二月号にも、「戦前戦後を通じてこのように大きな変貌を遂げた艦は、ちょっと他に類例がない」というふうに書いております。そこで、一体この改造の内容は何なのか、これが国民のひとしく疑問に思っているところだと思うのです。  で、伺いますけれども、「つがる」の建造当時の国会での承認事項の内容について、船の形——船型ですね、それから主要な寸法、トン数、装備、速力、主要任務、乗組員数、その兵種などについて報告していただきたいと思います。  それから、同時に、これらが現在、つまり改造後どうなっているか、これも御報告いただきたいと思います。
  226. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) ただいま御質問の点についてお答え申し上げたいと思います。  敷設艦の「つがる」は、改造前は基準排水量が九百五十トンでございます。船長が七十二メートル、幅が十・四メートル、深さが五・六メートル、機関といたしましては、ジーゼル機関二軸、三千二百馬力でございます。乗員は百三名でございまして、艦長のほかに、船務、航海、敷設、機関、補給、衛生の兵員がおります。改造いたしまして、これが二千百五十トン、長さが百三メートル、幅が十二・四メートル、深さが八メートル、機関のほうはそのままでございます。乗員もそのままでございます。で、この「つがる」は、昭和三十年建造の際は機雷敷設及び水中器材敷設の目的をもって建造いたしました。その後、改造の目的につきまして若干御説明いたしますが、港湾とか海峡防備用に種々の水中器材を現在使用いたしておりますが、だんだん機器が大型化してまいりまして、九百五十トン程度の船ではむしろ安全が心配になってきたわけでございます。そういうことから、新しい水中器材敷設の目的を持った船をさがしたわけでございますが、たまたま三十年に竣工いたしました「つがる」を改造すれば、結果において経費が安く済むという判定がございまして、改造いたしたわけでございます。
  227. 渡辺武

    渡辺武君 表面は、いまお答えになったような説明がなされているかと思うのです。しかし、いま御説明された範囲でも、ちょっと聞き捨てならないところが幾つかあると思うのですね。たとえばトン数について見ますと、改造前が九百五十トン、改造後が二千百五十トン、つまり一躍二倍以上になっております。それから長さは三十一メートルも長くなっている。つまり、従来の約五〇%も長くなっている、こういう状況であります。幅が二メートル、深さは二・四メートルふえている、こういうことであります。これだけ見ても、これはただ単なる改造ではなくして、事実上新しい艦船をつくった、新しく建造したと言っても差しつかえないほどだと思うのですね。しかし、いま御報告のあったところよりも、もっと別のところが私は肝心かなめじゃなかろうかというふうに思うのです。たとえば主要装備がどうなりましたか。いま、機雷その他の水中器材敷設をやっておったのだというふうにおっしゃいましたが、それにはそれなりの装備があったと思うのです。改装前のその主要装備と改装後のその状況はどうなっているか、おっしゃっていただきたい。
  228. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 基準排水量は確かに非常に大きくなったわけでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、水中器材を敷設するためにかなり大型の重量のものに耐えなければならないような状態になってまいりましたので、これを改造いたしたわけでございます。で、改装前は、三インチ砲とか、爆雷投下機あるいは爆雷投射機のようなものを持っておりましたのですが、多少兵装のほうは整理いたしまして、三インチ砲も撤去いたしてございます。機関砲はそのまま残してございますが、なお精密音響測深儀のようなものを追加して入れてございます。
  229. 渡辺武

    渡辺武君 いま御答弁になったところも、なかなか大事なところだと思うんですね。つまり、三インチ単装高角砲が一門あった。あるいは二十ミリの単装の機銃が二基あった。それからまた機雷投射機、これが四つと、それから爆雷投下機が一つと、その他若干のものがあった。それがほとんど全部なくなっている。そうして、この二十ミリの単装機関砲二門になってしまったということですね。そうすると、変化したのはそれだけですか。いまの変化も大きいと思いますがね。トン数も二倍、そうしてまた長さも一躍五〇%もふえている、でかいものになっている。しかも、武器類はほとんど撤去されている。そうすると、今度はもっとほかに変わったものがあるんじゃないかという感じは当然持ちますけれども、どうですか。もっとほかに変わったところがあるはずです。
  230. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) まあ大きく変わりましたところはいまのところでございまして、器材を載せるためにスペースを大きくしてございます。そういうところで、あまり変わったところはないかと思いますが。
  231. 渡辺武

    渡辺武君 自衛隊というのは国民の前に隠すところはないんだと、防衛庁長官などはいままで国会でたびたび言明しておられる。あなたは装備局長でありながら、装備の主要な内容について国会に隠すというのはよろしくない。私、具体的に聞きますけれども、まず電纜室はどうなりました。ケーブルを収容する部屋です。これはどのくらい大きくなりましたか。改造前はどのくらいで、改造後はどのくらいになったか。
  232. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) ケーブル・タンクの容量を増大させまして、かつまたケーブル・エンジンの力量を強く増大いたさせまして、水中器材の敷設揚収に楽なようにいたしました。かつまた、甲板作業ができるようにスペースを余分にとっているわけでございます。
  233. 渡辺武

    渡辺武君 そういう抽象的なことを伺っているのじゃない。改造前の電纜室の容量はどのくらいですか。つまり、直径は何メートルで、深さは何メートルで、容積はどのくらいで、これはあなた方はわかっているはずです。改造後はどうなりましたか。
  234. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) ケーブルの搭載容積は、二百立方メートルから一千百立方メートルに増大させました。
  235. 渡辺武

    渡辺武君 二百立方メートルから一千百立方メートルですか。べらぼうなものじゃないですか。五倍以上も電纜室の容量がふえておる。これを、私が時間をかけて粘りっこく質問しなければ言わない。これは主要な装備でしょう。それが五倍以上にもなっている。とんでもないことだ。これはもっと正確に言ってほしい。いま私が言いましたように、直径はどのくらい、改造前は。
  236. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) ただいまちょっと手元にその資料ございませんので、後ほどまでに調べて回答させていただきます。
  237. 渡辺武

    渡辺武君 私が詳しく伺うからと、事前に申し上げてある。あなた方が国会の審議に応ずるつもりがあれば、こんなものはとっくに持ってさておいていいはずだ。最も主要な内容じゃないですか、これは。私のほうにも正確な資料が入っています。ごまかしはききません。ですから、早く資料を取り寄せて報告してほしいと思う。  もう少し聞きます。この中継器置き場、これがあるはずです。どのくらいの中継器を置くことのできる置き場がつくられているか、おっしゃっていただきたい。
  238. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 中継器だけを置くような特別のスペースというものはございません。
  239. 渡辺武

    渡辺武君 ごまかしはいかぬですよ。いま電纜室の大きさが五倍以上になったということになれば、その電纜に必ずつけなければならぬ中継器を置く所がなければならぬのですよ。それを置く所は、これはやはり特殊な所に置かなければ、海底ケーブルなんというものは、いいかげんに扱ったらたちまち折れてしまうというようなものですよ。自衛艦「つがる」にも、ちゃんとそういうものがついている。その点もはっきり報告していただきたい。  それからもう一つ、なお装備が非常に変わったところで指摘したいと思う。ここに専門雑誌に載った自衛艦「つがる」の写真がある。こちらは改造前、いいですか、こちらは改造後です。これを見てしろうとでもわかることは、船の端、船首のほう、これが根本的に変わったということです。初めのほう、改造前のほうはこんな小さな設備、改造後はこういう大型な設備に船首がなっている。これまた、装備という点では根本的な変化です。この点詳細に報告いただきたい、どう変わったのか。
  240. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 先ほども申し上げましたように、設置いたしまする水中器材がだんだん大型化してまいりましたので、それを海中におろしたり、また引き揚げたりするために、艦首の部分からそれを行なうわけでございますが、その部分も改造しているわけでございます。
  241. 渡辺武

    渡辺武君 ですから、どう変わったのです。
  242. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) これも後ほど御提出いたします。
  243. 渡辺武

    渡辺武君 肝心かなめなことを全部そうして隠そうとする、ここに疑惑を持たれる根本的な原因があるんですよ。写真に出ているから、私がその点だけは申し上げましょう。  この船首のまず溝が違っていますよ。ここに鳥瞰図がありますけれども、改造前には溝が二筋しかなかった、改造後には溝が三条ついている、これは根本的な変化の一つだ。ただ数がふえたというのじゃない、これは技術上無視することのできない重要な変化です。その意味はどうなのかおっしゃっていただきたい。
  244. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) はなはだ申しわけありませんが、そこまで調べておりません。
  245. 渡辺武

    渡辺武君 この質問をきょう突然にあなた方にしているんじゃない。「つがる」の改造の内容について詳しく伺うから十分に調べてきてほしいということを通告してある。また、事前にちゃんとあなた方に通告し、一応の回答までもらっている。ほんの表面的のものしかくれない。こういうことで審議進みますか、時間ばかりかかってしょうがないじゃないですか。  私から申しますけれども、改造前船首のいわゆるバウシーブといわれる装置、これが二条だというのは、さっきあなた言われました港や湾に潜水艦を防ぐ装置をつけるんだと。まあこれは、その辺だったらケーブルの距離だって短いし、装置だってそう大型なもんじゃない、そのくらいのものが布設できる、そういう能力のものですよ。ところが、バウシーブが三条になったということは、能力は根本的に違ってきたということです。どう違ったかといえば、海底ケーブルを布設する能力を持つに至ったということです。  いま、私ここに、日本で有名な海底ケーブルの布設船、電電公社の「津軽丸」、いみじくも名前は同じです。「津軽丸」の船首がはっきり載った写真持ってきている。これ見ますと、御承知のように、大きな車輪が三つついている。筋が三つついている。こういうものでなければ、海底ケーブルは布設できないんです。まん中の車輪からロープをおろして、そうして深海の海底ケーブルを探って引き揚げる。両方のこの軌条からは海底ケーブルをずっとおろして布設していく、こういう仕組みになっている。改造前の自衛艦「つがる」ではそれができなかった。改造後に初めて海底ケーブル布設能力を持つに至った。これは重要な変化だ。その点あなた認めますか、隠さないでちゃんと答弁してくださいよ。
  246. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 海底にケーブルも布設できるような装置にはなっております。
  247. 渡辺武

    渡辺武君 以前はどうだったんですか、改装前は。
  248. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 改装前は機雷の敷設と水中器材の敷設両方兼ね備えていたわけですが、私の聞いておりますところでは、大きな水中器材などを投下するときは船に相当なロードがかかりまして危険であるということで、それに十分耐え得るだけの大きなものにしたいということで改造したと聞いております。
  249. 渡辺武

    渡辺武君 大きな小さなというような量の問題じゃない。問題は質の問題ですよ。港湾に設置して、潜水艦の音を聞いて、そしてそれを察知するというような、そういう水中器材と、ケーブル、これとは質の違うもんです。この電電公社の「津軽丸」というのは、これは通信用の海底ケーブルを布設する船ですよ。これは、ちょうどきょうは写真がないけれども、国際電電の「KDD丸」だって、同じような装置をしている。「つがる」のこの船首に取りつけた車輪というのは、これは国際海底ケーブルを敷く「KDD丸」よりももっと大きな車輪。「KDD丸」の車輪の直径は約三メートル、これは普通よりも大きいといわれている。ところが、自衛艦「つがる」の車輪の直径は三・六メートル。べらぼうもないでっかい車輪をつけて、そうして通信用海底ケーブルを布設する能力を持つに至っている。ただ量の問題じゃなく、質の問題だ。そこを認めますか。認めざるを得ない、これは技術的にそうなっているんだから。
  250. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 改造前でもケーブルはおろせたわけでございます。ただ、いろいろつけまする水中器材の重量に耐え得るようにしなければならないというところに設計を持ってきたわけでございます。
  251. 渡辺武

    渡辺武君 あとから先ほど質問して答弁のなかった点が資料が来るでしょうから、その点でもう少し明らかにしたいと思いますがね、いまあなたの答弁考えてみれば、つまり港湾やその他に布設する海底ケーブル、これはあとからも質問の中で明らかにしたいと思いますけれども、これは国際電電や電電公社が敷いている海底ケーブルとは全然質の違ったもんです。長さもこんな短いもんだ。ところが、いままではそれで、改造前には「つがる」で間に合っておったが、それではもっと重量のあるのを布設できなくなったので改造したということだから、別のことばで言えば、国際海底ケーブル布設能力を持つに至った、通信用のですよ、音を聞くやつじゃないですよ、通信用の——そういうふうにあなたが言っていると判断して差しつかえないと思うけれども、どうですか、重ねて。技術的にそうとしか思われない。
  252. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 通信用のケーブルというふうなことになりますと、わが防衛庁海上自衛隊で使っているのは全部通信用のケーブルなわけですが、あるいは先生のおっしゃる意味が国際的な電信電話のできるようなケーブルを布設するのかという御質問であれば、さような考えは全然ございません。実質的に全く同じようなことの作業ができるかどうかは、私これから調べます。
  253. 渡辺武

    渡辺武君 あなたの考えを聞いているのじゃない。技術的にそういうものができたということを伺っている。もう少しさっきの資料が来てから聞きたいと思います。  もう一つ伺いたいのは、そのバウシーブだけじゃない。もう一つ、さっきお見せしたこの改造後の写真、この船首の車輪の部分じゃなくて、上にこういうのがついている、そうでしょう、上にこう、やかたのようなのがついていますね。これは改造前にはなかった。改造後につくようになったけれども、これはどういう装置ですか、何をする装置ですか。
  254. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) まことに不勉強で申しわけありません。いますぐ調べましてお答えいたします。
  255. 渡辺武

    渡辺武君 待っているわけですか。時間がたって困るですね。
  256. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) ちょっとあとから確認いたしますが、多分ワイヤーをつかむためのホーラーというものだろうと思います。
  257. 渡辺武

    渡辺武君 冗談言っちゃいかぬですよ。もう少しよく調べて正確な答弁なさい。あれほど口をすっぱくするほど事前に詳しく聞くからということを言ってある。これはあなた方もし調べて違っているというなら言ってちょうだい。私どもはこれは大きく写っているからわかる。こんな大きなやぐらのようなものがくっついているのですね。そうでしょう。これはワイヤーつかむものだと、そんなばかな話はないですよ。これは等化器——海底ケーブルを敷くときに、ケーブル長いですからね、海底ケーブルというのは、電気的に偏差がいろいろ起こる。それを間に入れて中断して調整する。英語で言えばリピーター、日本語で言えば中継器。これは目方が四百キログラムから五百キログラムもある。そういうものはこのワイヤーをおろす車輪ではおろされない。だから、一度この上のやぐらに載せて、そこからおろすような仕組みになっている。専門語で言えばバウ・ガントリー。さて、その中継器も、先ほど中継器置き場はあるかということを聞いて、いまにそのうち資料が来るでしょうが、海底ケーブルを布設する能力を船首でもってちゃんとつくって、しかも、その海底ケーブルも短いものじゃない、長大なものを調整する中継器をおろす装置までちゃんとここにくっつけている。これは大きな改造の内容じゃないですか。あとから答弁してくださいよ。  もう少し聞きます。ケーブルを接続する部屋ができておる、電纜接続室。それからまた、接続したケーブルを点検するX線室もできているはずだ。これは一体どういう意味で、そんなものができたのか、これも伺いたい。  もう一つ、まとめて聞きましょう。グラブネル・ロープという特殊なロープがある。これを格納する部屋があるはずだ、これも伺いたい。
  258. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) どうもいろいろお詳しい御質問なんで、実はそこまで十分な用意がありませんから、これも後ほど答えさせていただきたいと思います。
  259. 渡辺武

    渡辺武君 答えてくださいよ。  いま申し上げたこのいろいろな研究、それこそが装備でしょう。機雷を敷設するとかなんとかというようなものは全部取っちゃった。そして自衛艦「つがる」は両脇に一つずつ二十ミリの機関砲があるだけだ。あとはどう変わったのだと聞いたら、いや、トン数がふえたとか、長さが長くなる、これは装備の変更じゃない。主要な装備はいま私が伺ったところにある。改造されたその内容は何だ、装備の変更は何だと聞かれたら、そのくらいのことはすらすらと答弁していただくのが、私は国会の審議を尊重する道だと思う。そういうことじゃ困ります。  この点でもはっきりわかりますように、「つがる」の改造の内容についてはもう疑惑の雲に包まれている。そこで、質問を先に進めておきますけれどもね。こういうふうに自衛艦「つがる」が海底ケーブル布設、いわば専用船に変えられた。短い、港や湾の潜水艦の音を聞く、そういうものを敷設するのじゃない。それもやろうと思えばできるけれども。むしろ根本的に変わった点は、海底ケーブルを布設する、こういうところに変わった、その疑いが濃厚です。それ以外には判断できないような改造の内容になっている。  ところで、先ほど私申しましたように、現在、活躍している海底ケーブル布設船、これは国内の海底ケーブルを布設する船としては、さっき写真をお見せしたこの電電公社の名前も同じ「津軽丸」、国際海底ケーブルを布設する専門の船は国際電電公社の「KDD丸」、これが大体代表的なものです。この二つの船と自衛艦「つがる」との能力の比較、これをやっていただきたい。
  260. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 「KDD丸」は、これは私のほうは確認していないわけですけれども、長さ百メートル、幅十五・四メートル、深さ七・九メートルというふうに聞いております。
  261. 渡辺武

    渡辺武君 トン数はどうですか。
  262. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) わかりません。
  263. 渡辺武

    渡辺武君 「津軽丸」のほうはどうですか、電電公社の。
  264. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 残念ながら存じておりません。
  265. 渡辺武

    渡辺武君 国民の税金をたくさん使って改造をやったんです。その改造の内容について詳しく報告してほしいと、貴重な時間を使って、いまあなた方に報告を求めている。何一つ満足な答弁できないというようなことじゃ困りますよ。私のほうで調べてありますので、御参考までに申し上げておきますけれども、たとえば電電公社の「津軽丸」、これは、先ほど申しましたように、国内の海底ケーブル布設をする目的でつくられた船なんです。これの長さは八十四・五五メートル。いいですか、自衛艦「つがる」の長さは百三メートル、自衛艦「つがる」のほうがよっぽど大きい。それから垂線間長、つまり垂直におろした艦の長さですね。これは、「津軽丸」は七十四メートル、自衛艦「つがる」は九十六・四三メートル、これも自衛艦「つがる」のほうがよほど大きい。幅は、「津軽丸」が十二・六メートル自衛艦「つがる」は十二・四メートル、ほとんど同じということです。総トン数を見てみますと、電電公社の「津軽丸」は千六百六十トン、先ほど報告のあった自衛艦「つがる」は二千百五十トン、電電公社の「津軽丸」よりもはるかにトン数は大きい、約四〇%もトン数が大きい。それで、バウシーブ、これも「津軽丸」のほうは直径二・五メートルの車輪と直径一メートルの車輪、この二種類が合計三基入っている。ところが、自衛艦「つがる」は、さっきも言ったように、直径三・六メートルという大きな車輪が三基も入っている。これらを見てみましても、国内布設専用船である電電公社の「津軽丸」より自衛艦「つがる」のほうがはるかに布設能力が大きいということははっきりと証明される。国際海底ケーブルを敷く専用船である「KDD丸」と比較してみても、ほとんどそれに匹敵するくらいの能力を持っている。長さから言えば、さっきあなたもおっしゃいましたが、ちょっと数字が違っているけれども、「KDD丸」は長さ百十三・八四メートル、幅は十五・四メートル、総トン数が四千二百五十六・六トン、こういうことで、トン数は半分だけれども、しかし、長さや幅はほとんど匹敵するというくらいの能力を持っている。さっきの電纜室の容積がわかれば、この点の比較ももっと明確になるだろう。つまり、このことは客観的な資料です。うそだと思ったら、あなた方帰ってから資料を調べてみればはっきりする。私は、ここの席でいいかげんなことを、うそを言うつもりはない。はっきりした数字、この数字の示すものは、自衛艦「つがる」が、国際海底ケーブル布設専用船である国際電電の「KDD丸」とほとんど能力において、わずかに劣るけれども、匹敵する。国内布設専用の「津軽丸」よりもはるかに能力を持っている。そういうことが明らかだと思う。これは、自衛艦「つがる」が、国内海底ケーブルの布設ではなくして、国際的海底ケーブル布設専用船になっているということをはっきりと物語る数字だと思います。このことを認めますか、どうですか。
  266. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 私のほうで調べた数字では、先生御指摘の中の「津軽丸」は千六百五十六総トン、「つがる」が二千百五十排水トンでございまして、私、この総トンと排水トンの理論的な説明はできかねますけれども先生おっしゃるよりは「津軽丸」は大きいようでございます。  それから、「つがる」が国際ケーブルを布設できることを認めるかというお話でございますが、もちろんケーブルは布設するわけでございます。ケーブルを布設しないと水中器材の敷設ができないわけでございます。ただ、国際ケーブルになりますと電纜室のほうがどんなことになるのか、かなりの距離を布設しなければなりませんので、私はその点はちょっとしかとわかりません。
  267. 渡辺武

    渡辺武君 そんな無責任な答弁では答弁にならぬじゃないですか。あなたが装備関係の責任者でしょう、はっきり答弁なさい。
  268. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) はっきり申し上げられることは、国際通信用のケーブルを布設する意思はないということでございます。
  269. 渡辺武

    渡辺武君 あなたの意思を聞いているんじゃない。改造後の自衛艦「つがる」の客観的な数字をもってその能力を申し上げている。機能を申し上げている。それから必然的に引き出される結論は、自衛艦「つがる」は、これはただ単純な潜水艦の音波を聞く、そういうようなケーブルを布設する船ではなくして、国際電電や電電公社が布設している海底ケーブル、これを布設する能力を持った、そのためにつくられた船だ。しかも、その能力は国内海底ケーブル布設専用船である電電公社の「津軽丸」よりもはるかに大きい。先ほど総重量トン云々ということを言いましたけれども、総重量トンで千六百トン以上もあるわけで、それに比べて、自衛艦「つがる」の私が申し上げたのは基準トン数だ。グロスのトン数で言えば、もっと大きくなるはずです。はるかに大きいんですよ。そんなしろうとだましみたいな答弁してはだめですよ。そういうことで、これは明らかに国内に布設するそういう能力だけではなくして、国際的な海底ケーブルを敷くだけの能力を十分に備えた船だ。結論は必然的にそこにきます。それはあなた認めざるを得ない。意思がないというなら意思がないでけっこうだが、能力、機能の点でどうです。
  270. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 何べんも申し上げますように、どうも国際電電の「KDD丸」のほう、あるいは「津軽丸」のほうの勉強をしておりませんので、その状況からできる、できないということは、私実は不勉強で申し上げられないわけでございます。ただ、別の観点から申せば、自衛隊あるいは防衛庁といたしましては、国際的な電信電話をするようなケーブルを何も遠方まで敷く必要は全然ないわけでございまして、かつまた、現在の国際電信電話自体も、これはしろうとでいささか言い過ぎになるかもしれませんが、今日の段階では、何もケーブルばかりにたよるわけではなくして、通信衛星という方法も使って国際電信電話をやっているようでございますので、あえてわが自衛隊がさような通信線を敷くための設備を持つ必要は全然なかろうかと思います。
  271. 渡辺武

    渡辺武君 抽象的に当て勘で答弁したってだめですから、あとからあなたが言っていることはうそだということを証明する材料は幾らでもありますから申し上げますが、そういうことで、とにかく質疑の時間というのは限られている。その時間の中で国民の期待にこたえていろいろな問題を明らかにしなければならぬのだ。もうちょっとしっかり答弁してほしいですね。  いずれにしましても、とにかく機雷敷設機だとかその他のものは全部撤去しろ、あとは二十ミリの機関砲が二つついているだけで、そうして根本的に変わったのは、電纜室の容量がさっきあなたの答弁の範囲内でも一躍五倍になった。いままでよりも五倍の海底ケーブルが積載できるようになった。しかも、船の先っぽのほうには、これは海底ケーブル布設専用の装備がきちっと整えられている。そういうものに変わってしまったのですよ。これが改造という名前で行なわれた。われわれとしては非常な疑惑を持ちますよ。一体この改造はいつやられたのか、またその費用はどのくらいかかったのか、そうしてまた予算項目の中のどの項目からその金は出されたのか、その点を伺いたいと思います。
  272. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 四十四年度及び四十五年度、二カ年で改造をいたしたわけでございます。金額は九億四千七百万円でございます。
  273. 渡辺武

    渡辺武君 予算支出項目は。
  274. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 予算支出項目については、他の政府委員から答弁してもらいます。
  275. 田代一正

    政府委員(田代一正君) お答えいたします。  改造の所要経費はただいま申し上げましたように九億四千七百万円でございますが、これは昭和四十四年度の予算、国庫債務負担行為といたしまして装備品等整備、この年の国庫債務負担行為総額が二百八十二億円でございますが、その一部として国会の御承認を願ったことになっております。
  276. 渡辺武

    渡辺武君 国会の承認を願ったというけれども、「つがる」が、いま私が質問の中で明らかにしたように、根本的にその性格が変わってしまったというようなことが、予算書もしくは決算書に書かれておりますか、そういう内容が。
  277. 田代一正

    政府委員(田代一正君) ただいま仰せのように、これは装備品等整備、いわゆる修理費という形で予算をお願いしているわけでございます。  で、防衛庁の現在の予算の立て方といたしましては、艦船につきましては、新しい艦船を建造する場合には艦船建造費という項がございます。それから、修理をいたす場合には、装備品等整備という項でもって支出いたしております。本件の場合におきましては、たとえ修理の程度が非常に大きいと申しましても、あくまでも既設の艦の改造でございます。そういうわけで、予算の支出といたしましては装備品等整備という項でもって整理いたしているわけでございます。
  278. 渡辺武

    渡辺武君 大蔵省はそういうことになっているということを御存じですか。
  279. 吉岡孝行

    説明員(吉岡孝行君) 防衛庁経理局長のほうからお答えがありましたとおりで、四十四年度の国庫債務負担行為に「つがる」の改造費ということで計上されて、そのとおり実行されております。
  280. 渡辺武

    渡辺武君 その「つがる」の改造費のことなんだけれども、その内容ですよ、事実上新艦建造にもひとしいようなことをやるのだということがはっきり出ていますか。大蔵省はそれを承知しておりますか。
  281. 吉岡孝行

    説明員(吉岡孝行君) 先ほども経理局長から答弁がありましたとおりに、防衛庁の予算につきまして、いわゆる修理——改造も含めまして修理というものは、装備品等整備諸費という項目で計上しております、その中でやるわけで、その他、自衛艦いろいろ老朽化したものをその他の輸送船に変えるとか、そういうことも実施しておるわけでありまして、そういう改造の中の一つであります。
  282. 渡辺武

    渡辺武君 内容を承知しておったのかということです。
  283. 吉岡孝行

    説明員(吉岡孝行君) 内容的には、当時十分防衛庁と相談してやっております。
  284. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、いままでの御答弁を総合しますと、新艦建造の場合は、これは国会の承認を得る。ところが、改造の場合ですと、おそらく目細に属することになってしまう。船艦修理費ということになれば、これは国会には内容は明らかにしない、一括して出しておいて、そうして国会の目に触れないところで防衛庁と大蔵省とが相談をして、そうしてこういうような大幅な改造、事実上の新艦建造をやるということになってしまう。そうでしょう、どうですか、いま首ひねっているようだけれども
  285. 田代一正

    政府委員(田代一正君) ただいま、艦船の建造であるならばきわめて明快に予算書に掲示されるではないか、修理費なるがゆえに明快に予算に表示されないのじゃないかという御質問かと思いますが、いまの防衛庁の予算のたてまえといたしまして、継続費でお願いする艦種がございます。たとえて申しますと、自衛艦、護衛艦でございますが、これは継続費でお願いいたします。それ以外はすべて国庫債務負担行為でお願いしているわけでございます。新艦を建造する場合、予算書に表示される場合には、全部一括して金額があがりますので、一艦ごとの金額は表示されません。その意味におきましては、修理費にあげましても実質的には違わないということじゃなかろうかと思います。
  286. 渡辺武

    渡辺武君 いまの答弁でもはっきりしましたけれども、とにかく国会の目に、したがってまた国民の目に触れないというところが、私は非常に重要だと思うのです。御承知のように、私いまさら指摘するまでもなく、憲法八十三条、これには、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、」行なうと、はっきり言っております。また、憲法八十五条には、国費の支出は国会の議決に基づくことということで、予算、決算は国会の議決に基づかなければならない、支出を含めて、そういうことがはっきりと出ております。財政法十四条、これには「歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならない。」というふうに書かれておって、つまり、予算の内容が国民の目に触れ、国会の規制のもとに置かれなければならぬという趣旨のことをはっきりと示している。ところが、いまあなた方の答弁を伺っておりますと、船艦修理費、この内容は国会にははっきり言わなくていいということで、その船艦修理費の中からお金を九億ですか——九億四千七百万円、ばく大なお金を出して、そしてあなた方の言ういわゆる修理改造をやっている。ところが、その修理改造の中身をいま質疑の中で私明らかにしましたけれども、事実上、新艦建造と同じような状態にしている。これは新艦建造ですよ、こんなことをやられて、国会、国民はどうなりますか。私、いまさら申し上げるまでもない、あの太平洋戦争の始まる前に、当時の軍部は船艦の修理改造ということでどんどん軍艦の装備を変えて、その武装力を飛躍的に高めて、あの太平洋戦争に突入していったのです。来年度から始まる第四次防衛力整備計画、これでも船艦改造修理ということで根本的に自衛艦の武装力を高めようという動きがすでに出ている。こういう動きを前にして、国民はこの自衛艦「つがる」が修理改造という名目で事実上の新艦建造にひとしいことをやっているということをとうてい無視できない。こういうものは当然国会の承認を得るべきだと思いますけれども、どうですか。
  287. 田代一正

    政府委員(田代一正君) ただいまの御質問いろいろございましたけれども、国会の御審議を得ているということは得ているわけでございます。何回も申し上げたとおりであります。  それから、あとどうも非常に予算の中で、明細性と申しますか、詳明性を欠くのではないかという御批判かと思いますが、装備品等整備と申しますというと、航空機の修理費もございますし、それから艦船の修理費もございますし、一般の武器類の修理もございます。非常に複雑多岐、かつ多数のアイテムがございますが、そういうものを一一予算書に掲示いたしますというと、非常に繁雑なものになるのではないか、こういうこともございまして、一括して御審議をわずらわしておるわけであります。だからといって、さっき過去のお話をお引きになったようですが、私ども別にそれでもって故意にものごとを隠そうという気持ちはさらさらございませんので、その点について申し上げておきます。
  288. 渡辺武

    渡辺武君 国会の承認を得ていると言ったけれども、私がこれだけ時間をかけて、しかも事前通告していろいろ伺っても言わないというほど、隠されているじゃないですか、この内容は。さっき、私ちょっと読みましたね。「世界の艦船」その他専門的な雑誌でも、この改造の内容については疑惑をもって見ている。この改造の目的は一体何だろうか。防衛年鑑を見ても、はっきりしていない、こういう状態です。こういう状態において、どんぶり勘定で大まとめにして国会の承認を得ているということで、国会の承認を得たなどと言うことができますか。絶対に言うことはできませんよ。こういう費用も、その内容を明らかにして、国会が十分に検討できるようにしなければ、さっきも言いましたように、国民の知らない間に自衛隊がとんでもない武器を持つことになってしまう。許されないです、こんなことは。内容を明らかにして国会の承認を得るようにすべきだと思いますが、どうですか。
  289. 田代一正

    政府委員(田代一正君) ただいまの御質問でございますが、これはまあ予算書の作成のしかたという問題もございまして、これは大蔵省で答弁を、総括をしてしかるべきかと思いますが、これは予算がなかなかわかりにくい、一般的に申し上げまして、そういうことは確かにあるのではないかと思いますが、私どもといたしましても、国会で予算審議の際、予算委員会等にかかりました際には、いろいろ御質問がございまして、内訳について、こういうものを出してほしいということはちょいちょいございます。そのつど私どもといたしましては詳細なものを提出いたしておるということでございます。したがいまして、そういうことでもって、私どもとしましては、御要求のあり次第、その事項につきまして、詳細な御説明なり、また資料なりを出すということでやってまいりたいと、こう考えております。
  290. 渡辺武

    渡辺武君 この問題は大蔵大臣などにたださなければならぬ問題ですから、これ以上追及するのはやめておきましょう。あなたの御説明はそれだけのものだというふうに思いますので、そういうことを申しては失礼だけれども。  質問を次に移したいと思います。  さて、この艦船修理費ですが、九億四千七百万円という金が使われておりますけれども、これはいろいろな点から考えてみまして、どうもあまり金がかかり過ぎていると思う。同じ海底電線布設船の、先ほど申しました電電公社の「津軽丸」、これはトン数千七百トンで、八億九千万円で新しくつくられているのですよ。八億九千万円で、装備その他を含めてもトン約五十万円。自衛艦「つがる」の改造によって増加したトン数は千二百トン、これを新しくつくられた場合と同然に金がかかるというふうにかりにして計算をしても、最高六億円もあればりっぱに改造できる。ところが、いま伺った数字ですと、九億四千七百万円、べらぼうな金がかかっているのですね。一体どうしてこんな金がかかったのか、この内容を明らかにしてほしい。
  291. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 先生にあらかじめ提出いたしました資料では、大ざっぱに、材料費三億四百万円、賃金間接費四億五千百万円、直接経費、設計並びに用役費といたしまして一億円、一般管理費並びに利益として九千二百万円、総計九億四千七百万円ということになっているわけでございます。これをさらにおもなところだけ拾い上げて申し上げますれば、まず船体の中央部の新造は、材料費で三千二十六万七千円、賃金間接費で八千九百八万四千円、合計一億一千九百三十五万一千円になっております。船体を切断し、かつまた接合いたしたわけですが、まん中を切断いたしまして、まん中に大きな部分を差し入れまして、艦首と艦尾をつなぎ合わせたわけでございますが、それの材料費が百三十一万九千円、賃金間接費が千七百十六万三千円、合計一千八百四十八万二千円ということになっております。ケーブルの関連装置のところは、材料費が一億四千三百十三万三千円、賃金間接費が一億五千七百三十三万二千円、総計三億四十六万五千円ということになっております。その他補機でございますが、補機が、材料費が一千八百九万八千円、賃金間接費が七百三十六万九千円、合計二千五百四十六万七千円、かようになっております。電気関係のほうは、まとめて申しますと電気関係全部で、材料費が四千九百七十六万二千円、賃金間接費が二千七百五十四万八千円、合計七千七百三十一万円、こういうことになっております。
  292. 渡辺武

    渡辺武君 いまぺらぺらと言われたので、これは計算もこの場ですぐにというわけに私もいきませんし、時間もありますので、この点についても私詳しい改造費の内訳を示してくれとあらかじめ言って、いただいた資料が、材料費総計三億四百万円、賃金間接費四億五千百万円云々と、最初に御答弁があったやつですね。そういうことでは、これは決算委員会ですから、その支出が妥当かどうかということを検討しなければならぬ。特にその改造の内容、それとの関連で一体これにどのくらいの金がかかっているのかということも十分検討しなければならぬ。ですから、もう少し詳しい数字をきちっと出して、事前に出していなければならぬですよ。とにかくおかしいですわ。ほかの点から言いましても、「つがる」の進水重量トンは五百七十四トン、われわれが調べた資料によりますと、進水重量トンというのは、つまり艤装は全部はずして、船体の船の本体だけの鉄の重量ですね、それが五百七十四トン、改造前の。それが千二百七十八トン、つまり七百四トンふえました。そうしますと、大体、これもまあ軍艦の一種でしょうけれども、トン約十五万円程度でそのくらいのものはできる。それで計算したって一億円足らずのものだ。それに船のかさ上げその他があって、まあ概略計算しても、一億円ぐらいあれば、いまの造船技術であれば、そのくらいのことはできる。それに若干の艤装費用、これも入れて二億円程度と考えても、約四億円程度でできるという数字も他方から出る。どっちから考えてみても、九億四千七百万円なんて金がかかるのがどうもいぶかしい。これは国民の納めた税金ですよ。会計検査院お調べになったかと思いますけれども、その結果、内容ですね、これを御報告いただきたいと思います。
  293. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) お答えします。  その改造工事につきましては、四十五年の二月に検査をいたしておりますが、必ずしも悉皆的な検査ではございませんで、金額的に申しまして、全体の大体六割程度の項目につきまして検査をいたしました。その結果につきましては、材料費、それから工費、間接費、直接経費、そういったようなものにつきまして、おもな項目を抜き出しまして検査をしたわけでございますが、その時点におきましては、特に私どものほうといたしまして指摘するような事態は見受けられませんでした。
  294. 渡辺武

    渡辺武君 特に問題になるようなところは見受けられなかったとおっしゃいましたけれども、まあ悉皆調査じゃないということで、そういうこともあるいはあり得るかもわからぬということもあります。しかし、私がここで、委員会の席で正式に疑点を出しておる。しかも、何の根拠もなく高過ぎるんじゃないかと言っているんじゃない。いま、私はちゃんとしかるべき根拠を申し上げて言っているんです。会計検査院として、この「つがる」の改造費、これが支出が妥当かどうか、これをあらためて十分に検討してほしいと思いますけれども、おやりになるおつもりありますか。
  295. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) これは、年度的に申しますと、一応検査確認をした事項でございますけれども、ただいまのようなお話もございますしいたしますので、検査につきましては検討いたしたいと思います。
  296. 渡辺武

    渡辺武君 それでは、また次の機会にこの問題は追及したいと思いますので、会計検査院がいままでこの「つがる」の改造費について検討した詳細な資料と、それから今後検討された場合のその詳細な報告をいただきたいと思う。それから防衛庁のほうにも、この改造費の内容、内訳ですね。これを、先ほど言ったように、主要な装備ですね。これで、どの装備にどのくらい金がかかったのかということも含めて詳しい内訳をいただきたいと思う。よろしゅうございますか。
  297. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 主要な装備別というふうには出しておりませんで、先ほど申し上げましたように、材料費はこれこれ、賃金間接費はこれこれ、その部分はどれに、それがどういうふうに使われているかというふうに例挙して、先ほど申し上げたような状態になっております。   〔委員長退席、理事和田静夫君着席〕
  298. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) 検査をいたしました各項目別の確認事項につきましての資料は、御提出いたしたいと思います。
  299. 渡辺武

    渡辺武君 今後のものもいただけますね、今後検査するとおっしゃったが。
  300. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) はい、その場合にまた御報告いたします。
  301. 渡辺武

    渡辺武君 防衛庁はどうですか、船改造するのに、改造する発注に、材料費このくらいで、人件費このくらいでというような発注のしかたするのですか、どうですか。それとも、たとえば電纜室は直径このくらいで、深さこのくらいで、そうして室は幾つつくるとかいうような発注のしかたでしょう。それについての単価。それからまた、それについての値段幾らだと、こういうことをやっているのじゃないですか。それをほしいのですよ。
  302. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 一般的に申し上げますれば、仕様を発注の前にきめまして、その仕様に基づいて入札もしくは商議を行ないまして、それに基づきまして製造請負業者からさらに細部にわたります設計書が出てまいりまして、これを承認した上で、これだけのものであれば工数が幾つかかるかと、材料がトン数で幾らかかるかという計算を全部いたします。全部原価計算をいたしまして、その上で査定をいたすわけでございます。したがいまして、どうしても、この材料で幾らかかっている、賃金で幾らかかっている、その賃金のレートは幾らに見るかというふうなことで詰めてまいりますので、船体の中の電纜室が幾らであるとか、船体のまあ何々室は幾らかというふうな分け方にはなっていないわけでございます。
  303. 渡辺武

    渡辺武君 時間がないのでね。そこの辺も非常に疑わしくて、まだ追及しなきゃならぬ点がたくさんありますが、この先ほど御報告のあったのよりもう少し詳しいもの、特に、たとえばX線の装備もつけているはずですし、それからまたこの電纜の接続装置もつけているはずですし、そういうものは、これは一括して船を改造する費用と、またかかり方も違うのだ、同じ材料費でも。そういう主要な装備、これの値段も含めてですね、報告していただきたいと思います。やっていただけますね。
  304. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 検討して提出するようにいたしたいと思いますが、あるいは先生の御希望のような分類になっていないのでおわかりにくい点があるかもしれません。
  305. 渡辺武

    渡辺武君 それでは、質問を次に進めましょう。  先ほど御答弁の中で、この「つがる」は海底ケーブルを敷くような意図はちっともないのだ、防衛庁としても、「つがる」は改造したけれども——ということをおっしゃいましたけれども、しかし、防衛庁はこうして「つがる」を海底ケーブル布設専用船に改造した上ですよ、ばく大な海底ケーブルを買い込んでいるじゃないですか。いただいたこの資料を見てみますとですね、大洋海底電線株式会社、通称これはOCCと呼んでいる海底ケーブル専門メーカーです。ここから昭和四十五年の七月二十五日、つまり「つがる」改造直後です。七月二十五日から四十六年の十一月三十日までの間です。八回にわたって総額二十七億三千三百三十六万七千円、ばく大な金額のケーブルを、しかも同軸ケーブル、これを買い込んでいる。この資料によりますとですね、このケーブルの仕様は同軸というふうにだけしか書かれておりません。一体このケーブルの直径は何インチぐらいの直径なんです。軸芯はどうなっているのか。そういうことも含めて、もう少し詳細な報告をいただきたい。  同時に、このばく大なケーブル、これの総延長は一体どれくらいなのか、これを聞かしてほしいと思う。私が長さを聞かしてくれと言ったら、あなた方は数量の中にトン数で書いている。一体、海底ケーブルを何トン何トンとトン数で計算するような会社がどこの世界にありますか。目方で計算するというのは、これはスクラップ屋ですよ。スクラップ屋ならば、海底ケーブルをトン数で計算するでしょう。しかし、あなた方は、このOCCに発注する場合に、これこれの仕様の海底ケーブルを何海里なら何海里つくれということで発注するでしょう。長さを言っていただかなきゃわからぬのです。あわせて御答弁いただきたい。
  306. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 私が先ほど申し上げました点は、国際電信電話になるような海底ケーブルは布設する考えなしというふうに申し上げたわけでございまして、海底ケーブル自体は改造前も改造後も布設するわけでございます。  で、仰せのとおり、大量の海底ケーブルを購入いたしたわけでございまして、太いものは外径が八十ミリメートル、細いものは約三十ミリメートルというふうに、各種ございます。約四千トンでございまして、トン当たりの単価は約六十万円でございます。
  307. 渡辺武

    渡辺武君 トン当たりの単価が二百六十万円……。私が計算してみますと、あなた方の報告されたこの資料によると、購入した合計は四千二百トン、それでその総額がいま言った二十七億三千三百三十六万七千円、トン当たり平均六十五万円という数字が出ますよ。
  308. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 私申し上げましたのは、二百六十万円じゃなくて、約六十万円というふうに申し上げたわけでございます。
  309. 渡辺武

    渡辺武君 わかりました。それだけは非常に明確にわかりました。  ところで、私伺ったのは、この四千二百トンというばく大な目方ですね。いまも言ったように、ケーブルを目方であらわすなんて、こんなばかなことをどうしてあなた方考えるんですか。長さがどのくらいかということを知られまいとするいじましい努力の結果じゃないですか。そうでなかったら、はっきりお答えいただきたい。どのくらいの長さか。それから、ただいま、太い部分が八十ミリメートルで、細い部分が三十ミリメートルだとおっしゃったが、太い部分の長さはどのくらいで、それから細い部分の長さはどのくらいか、これも伺いたい。
  310. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 防衛庁で発注いたしますときは、これこれの仕様ということで発注するわけでございます。もちろん、長さもわかっておるわけでございます。仕様、規格、全部そういうものをきめました上でやるわけでございます。スクラップのように大まかに買っておるというわけではございません。  ただ実は、先生後ほど中継器を何個つけるかという御質問もございますように伺っておりますが、そうなりますと、実は長さを申し上げるわけにまいらないわけでございます。専門家の方々から見るとおかしいかもしれませんが、私どもといたしましては、たとえば現在の潜水艦が深度何メートルまでもぐれるかということは一切秘で出していないわけであります。それからまた、それに対抗いたします水中聴音器の能力だとかということも、これまた一切秘にして出さない。これは、何も日本だけじゃございませんで、各国みんなそういうふうにやっているわけでございます。各国みなそういうふうにやっておりますので、お互いにしのぎを削って技術開発していくわけでございます。  なぜ長さくらいお答えできないかということを御説明申しますと、実は、私どもがいろいろ開発しつつあります水中探知機器の開発の問題、その能力の問題、あるいは現在もいろいろ設置しております水中探知機器ございますが、これをまあどういう部分に、どういうところに設置しなければいかぬかという研究をせなければいかぬわけであります。長さくらい何ともないじゃないかという御質問あるかもしれませんが、そういうものを全部積み重ねると、やはりお互いに、何といいますか、まあ各国ともこれは出さないというふうな形になっております。そういう能力に全部ひっかかってまいりますので、残念ながらお答えは保留さしていただきます。
  311. 渡辺武

    渡辺武君 あきれ返った答弁ですね。うそ八百を積み上げた答弁だと言ってさしつかえない。潜水艦の探知をするための聴音施設、これとは全然性質の違ったものですよ、これは。これはあとからその点必要ならば明らかにしたいと思う。それを、全然別のものを理由にして、そうしてこの海底ケーブルの長さ、これについて答弁しない。けしからぬですよ、これは。あなた方がこの海底ケーブルの長さをなかなか言わないだろうと私も覚悟してまいりました。しかし、二十七億も金かけて、そうして海底ケーブル専門の会社から同軸ケーブルを買い込んでおる。しかも、「つがる」の改装は、まさに国際的な海底ケーブルを布設する能力を与えてきている。この両者を考えてみれば、防衛庁が大量の海底ケーブルを買い込み、「つがる」に積み込んで、どこかに海底ケーブルを設置しているという結論が当然出てくる。これは潜水艦の音を探知するためなんというものじゃない。そうでしょう。四千二百トンといえば、べらぼうなものです。この国民の疑惑を解く責任があなた方ある。二十七億の予算といえば、国民の血税です。それを理由にならない理由をかつぎ出して答弁を拒否するとは、言語道断です。はっきりおっしゃいなさい。
  312. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 御承知のように、戦後原子力潜水艦が発明されまして、これがまあ先進国でつくられているわけでございますが、きわめて長時間深水で航行ができるようになったわけでございます。そのスピードは在来型の五倍からあるいは十倍くらいあろうかと思うのですが、諸外国の公表数字だけでは十分につかみ切れておりません。特にその深度については何らの情報がないわけでございます。で、こういう潜水艦がかなりの先進国で使われているという場合に、わが国としてはまあ種々の水中探知機器を開発してまいらなければならないわけでございまして、特に四面海に囲まれておりますし、港湾、海峡の個所も数々ございまして、多少津軽とか対馬にも設置しておることは、わがほうは公表いたしておりませんが、新聞では出ております。こういうような状況でございますので、まず水中探知機器の能力をたゆみなく増進させるということを専念にやっております。かつまた、これを種々の地点に敷設してまいらなければならぬということになります。で、冒頭に申し上げましたように、この探知機器は、昔のものに比べますと、かなり大きな容量、重量のものになりつつありますので、これをまた接続するケーブルも必要になるわけでございます。そういうようなことで御了承いただきたいと思います。
  313. 渡辺武

    渡辺武君 それはとうてい了承できません。これはあとから明らかにしたいと思いますが、あなたがそう言い張るから、この一言だけ申しますけれども、このケーブルの購入費、これも非常に疑惑がある。あまりにも金がかかり過ぎている、何のためにこんなべらぼうな二十七億なんという金がかかるのか、これは詳しい計算根拠を私あとで申します。あなた方は「つがる」の改造にも、私が調べた資料でも、常識では予想できないようなべらぼうな金を使い、そうしてまた、このケーブルの購入でも、どうしてこんな金がかかるかと思うほどの異常な金の使い方をやっている。そうことを隠すためじゃないですか。先ほど申しましたように、潜水艦の探知のための器材というのは、これは決してこんな同軸ケーブルじゃない、別のものですよ。全然別のことを持ってきて説明している。そういうことでは、とうていこれは了解できない。四千二百トンというこの総延長がどのくらいなのか、これを国民の前にはっきりと報告してほしいと思うんです。どうですか。
  314. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 先生がおっしゃったこの水中探知機器に同軸は使わないと申されるのは、おそらくは水中探知機器のうちLQO3に同軸でない多芯のケーブルが使われておるということの御指摘であろうかと思います。しかしながら、先ほども何べんか申し上げますように、水中の器材の開発、現在いろんな面でやっているわけでございます。特にこの音の水中における伝播というものが、海底におきまする温度分布によりまして微妙に変化いたします。あるときは非常に遠いところからもつかまえられるけれども、あるときは全然だめであるという、非常にむずかしい問題がございます。で、この変化量を確実に見なければ正確な探知をする器材が開発されないわけでございます。そういう面もありまして、種々の海洋の状況調査がまず一つ前提として必要になるわけでございます。なおまた、ばく大な量、ばく大な量とおっしゃいますが、何べんも申し上げますように、海峡、港湾がたくさんございます。そういうところで種々調査をいたしまして、今後LQO3なり、あるいは開発中のLQO4なり、あるいはその他の水中器材なりを開発する場合に、どういう場所に設置するか、一カ所ではこれは足りないわけでございます。何か所かに設置しなければならぬわけでございます。そういうことの点も調査しなければならぬということになっております。
  315. 渡辺武

    渡辺武君 調査のことを伺っているんじゃないですよ。調査するんだったら、海底ケーブルなんて必要じゃないじゃないですか、二十七億円もの金かけて。これは調査ではないのですよ。海底ケーブルというのは通信用のものですから。そうでしょう。いまおっしゃったLQO3、それは確かに防衛庁がいま使っている水中聴音機ですけれども、このほかに水中聴音装置としてどういうものをいま使いあるいは開発中なのか、念のためにその点伺っておきます。
  316. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 水中器材は、あるいは航空機に積むもの、あるいは艦船に積むもの、あるいは水中で固定しておくものというふうにあるわけでございます。まあ、それを多少機能的に分類いたしますと、アクティブ・ソーナーというのがありまして、こちらからパルスの電波を出しまして、その反射音によりまして、大体目標がどこにあるか、距離と方向をつかまえる、そういうものが原理的にいうとアクティブ・ソーナーということになるわけでございます。これに対しまして、パッシブ・ソーナーという先方からの音のみを聴取する装置がございます。エンジンの音、あるいは水中をかきまぜる音というようなものを聴音いたしまして方位がわかるわけでございます。このアクティブ・ソーナーは探信機とも呼ばれておりますが、四十数種類ございます。それからパッシブ・ソーナは十数種類ございます。なお、いまは主として音波のことをお話しましたが、このほかに磁気を使用するものもございます。搭載する場所によって、航空機搭載のもの、艦艇搭載のもの、それから水中固定のもの、こういうふうに分かれるわけでございます。
  317. 渡辺武

    渡辺武君 一般論を伺っているんじゃないんですよ。これは決算委員会だから、もう少し話は具体的にしてもらいたいですね。いま自衛隊が使っているこのソーナーですね、これは一体どういうものがあって、どういうような性能で、どんなものを使っているのか、これを伺いたいのです。たとえば、先ほどお話のあったLQO3、これはどういうものですか。
  318. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) LQO3は、陸上から海底ケーブルによりまして水中に固定さした聴音機でございます。船舶が走っておりまする音を水中局の受信機で受けとめまして、これを陸上のほうへ持ってまいる。陸上のほうで音を聞き、あるいは電波の波を目で見るというようなことのしかけになっているわけでございます。性能については、これは各国ともみな秘にしてございますので、私申し上げられません。
  319. 渡辺武

    渡辺武君 そのLQO3が使っているケーブルというのは、どういうケーブルを使っておるのですか。そうして、LQO3というのは、いままでにどこにどのくらい設置されたか、それを伺いたい。
  320. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) LQO3は、先ほども申し上げましたように、同軸ではございません。多芯ケーブルを使用いたしております。
  321. 渡辺武

    渡辺武君 いままでにどこにどのくらい設置したか。
  322. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 昭和四十三年に津軽海峡に二基設置しております。
  323. 渡辺武

    渡辺武君 それだけですか、その後も設置しているはずですよ。
  324. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) それだけでございます。
  325. 渡辺武

    渡辺武君 このLQO3を改良して、LQO2ですね、これを開発中だと聞きましたが、もう完成しましたか。また、これは従来どの辺まで設置されてますか。
  326. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) LQO2はLQO3の前段階のものでございまして……。
  327. 渡辺武

    渡辺武君 LQO4の間違いです。
  328. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) LQO4は、現在開発中でございます。
  329. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、LQO3のほかに、海洋、港湾などに設置する潜水艦探知機、これはどういうものがありますか。
  330. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) ミル、ヘラルド、CCH、こういうものがございます。
  331. 渡辺武

    渡辺武君 それはどういうものなのか。そうして、それに使うケーブルというものは、どういうケーブルなのか、その点伺いたいと思います。また、どこへどのくらい設置されているのか、それも伺いたい。
  332. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) この器材の性能と申しますか、性格は、ミルは磁気による音波の探知でございます。それから、ヘラルドはアクティブによる音波の探知、CCHはパッシィブでございます。これは東京湾とか佐世保方面に使用している、設置をいたしております。
  333. 渡辺武

    渡辺武君 ケーブルはどういうケーブルですか。
  334. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) CCH、ヘラルドは多芯を使用しておりますが、ミルにつきましては御答弁を保留させていただきます。
  335. 渡辺武

    渡辺武君 答弁を保留するということで、まことに不明確ですね。とにかく、LQO3にせよ、ヘラルドにせよ、あるいはそのほかのものにせよ、防衛庁が使っている兵器、器材というものは、これはほとんどもう全部国民の目に明らかになるようにされている。国民の前に防衛庁というのは秘密はないんだということを、防衛庁長官も私は公言しておると思う。ですから、もしこのミルという聴音装置が装置されているとすれば、それがどういうものかということは、国会に十分に報告する義務があるんですよ、あなた方は。答弁を拒否する理由なんて何にもない、はっきりおっしゃっていただきたい。
  336. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 先ほど装備局長からお答えいたしましたように、水中の固定機器というもの、これは水中器材もそうでございますが、いわゆる探知装置、そういう性格のものは、世界各国ともその性能とかあるいは設置場所を具体的には公表をいたしておりません。特にわが国の場合におきましては、専守防衛というたてまえをとっておりますから、監視とかあるいは情報というものについて一そうその重要性が高いということは、おわかりいただけると思います。
  337. 渡辺武

    渡辺武君 何も専守防衛だからといって、国民や国会の前に言ってならないようなことをやっていいということじゃないですよ。むしろ、専守防衛であるからこそ、国民の前に明らかにするということをいままで言っているんじゃないですか。まるっきり答弁逆ですよ。特にLQO3なんか、私、防衛庁の兵器専門家においでいただいて説明いただいた。詳しい絵まで書いて説明してくださっている。防衛庁の性格が専守防衛だというなら、何でこんな詳しい絵まで書いて説明してくださるのか。ですから、あなた方にやましいところがなければ、はっきりおっしゃいよ。やましいところがあるからこうやって隠すんでしょう、どうですか。
  338. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 何べんもお断わり申し上げておりますように、潜水艦の性能、水中探知機の性能は各国しのぎを削っております。私どももまた力を入れておる点でございます。どの程度の開発を進めているかということが、また一つの防衛力になるわけでございます。内容を申し上げられませんことを非常に残念に思います。
  339. 渡辺武

    渡辺武君 時間がたつばかりですから、どうも非常に残念ですね。  なお、もう一点伺いたいのは、港湾・海峡用に設置すると言われたいまの水中聴音装置、これのケーブルの長さというのは大体どのくらいのものですか。LQO3の場合で言えば、まあしろうとが考えても港湾・海峡用ですからね。防衛庁の専門家も言っておられましたけれども、長くて数マイルだということだそうですが、大体そのくらいと見て差しつかえないですか。
  340. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) まことに申し分けありませんが、ケーブルの長さにつきましても申し上げかねます。
  341. 渡辺武

    渡辺武君 痛いところにくると、答弁を拒否する。これはけしからぬですね。  それじゃ、先ほど飛行機などにもつけると言ったけれども、ヘリコプターや飛行機につける探知装置ですね、これはどういう種類のものがあるか。それから、それに使うケーブルの種類はどういうものがあるか。
  342. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 航空機につきますのは、ソーナー及びソノブイというものでございます。これはケーブルは全然使用いたしません。
  343. 渡辺武

    渡辺武君 ヘリコプターからつり下げるSQS13ですね、これはケーブルを使うのじゃないですか。
  344. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 失礼しました。私のものの言い方が海底ケーブルと混同いたしましたけれども、ケーブルは使用します。
  345. 渡辺武

    渡辺武君 これもしQO3と同じように多軸ケーブルでしょう。多芯ケーブルでしょう。
  346. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) どうも先生専門家でおられますから困るのですが、そういうことがやっぱり聴音機の情報量がどのくらいのものかということになりますので、一応公式にはお答えできません。
  347. 渡辺武

    渡辺武君 LQO3のときは答えられて、何でこのSQS13の場合には答えられないのか。まことにその態度は奇怪きわまりない。  それじゃ、潜水艦につける水中兵器、これはどういうものがありますか。
  348. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 潜水艦の聴音機はZQQ1というもので、パッシブ・ソーナーでございます。
  349. 渡辺武

    渡辺武君 ついでにケーブルの質も、そこが焦点ですから、それをおっしゃっていただきたいのです。  なお、JQS3ですね、これはどういうものか。ケーブルの質です。これも伺いたい。
  350. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 潜水艦の艦底につけておりますアクティブ・ソーナーでございます。
  351. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、これはケーブル要らぬということですね。それじゃ、あなたは潜水艦に対するいろんな防衛措置のために必要なものだと言ったけれども、同軸ケーブルを多量に使うようなそういう装置というのは一体何があるんですか、何が該当するんですか。  また、そのほかに伺わなければならぬのは、艦船につける水中兵器だけれども、時間がなくなってもったいなくてしようがない。何があるのですか。
  352. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) そこがどうも一番の大事なところでございますので、そこを開発しておるわけでございます。同軸でありますから、先生御専門家でいらっしゃいますが、かなりの量の情報を伝送し得るわけでございます。ということで、海底の状況から何から調べることになるわけでございます。
  353. 渡辺武

    渡辺武君 とにかくばかなこと言ってもらっちゃ困ると思うのだ。いま開発中だというのに、すでに買い込んだ量だけでも四千二百トン、総額二十七億をこえるばく大な海底ケーブルを買い込んでいる。しかも、これが同軸ケーブルだ。つまり、それはLQO3でもって非常に典型的に出ているけれども、LQO3というのは、これはあなたも御存じのとおり、水中に五十に近いマイクを置いて、そのマイク一つから一本の線が出ている。五十に近いから、五十本近い線が出ている。これを一かためにするから、だから多芯ケーブルだと言われるわけでしょう。海底ケーブルに使う同軸ケーブルというのは、これは通信用のものですよ。電話回線、百何十回線というようなことで、通信用のもの、聴音装置に使うものじゃないんです。あなたは私を専門家だと言うけれども、私は全くのしろうとだけれども、そのしろうとでさえちょっと調べればそのくらいのことはわかる。それが、開発中だというのに、買い込んで、「つがる」に積み込んでどこかに運び込まれていっている。しかも、その「つがる」は海底ケーブル布設専用の能力を持つ船だ。だれが見たってこれはおかしい。そうして、その点を伺えば、言を左右にしてまさにその点を答えない。私どもが概算してみますと、この四千二百トンの海底ケーブルというのは同軸海底ケーブル、これは大体延長にして千六百海里から千七百海里、もう長大なものです。私ども共産党が先日明らかにした台湾−沖繩間の海底ケーブル、これが大体七百海里、それの二倍以上——二・四倍ぐらいになりますか、それほどのものです。戦後日本の海底ケーブルで壮挙だと言われたくらいのあのグアムから二宮にかけて敷かれた太平洋横断海底ケーブル、これだって千七百海里なんていうのはない。こんな長大なものを、これを買い込んで、そうして自衛艦「つがる」に積み込んで持っていった。一体どこにこれを布設しているのか、これは当然国民として知る権利がある。あなた方がいかに軍事上の秘密をたてにして答弁を拒否しようと、何でこんなことをやるのか、これは当然国民は知る権利を持っております。これを明らかにしてほしい。したがって、これに関連する資料を提出してほしいと思う。  まず、同軸ケーブルと言っているけれども、この同軸ケーブルの使用は一体どういうものなのか。それから、先ほど、太いところが八十ミリメートルで、細いところが三十ミリメートルと言ったけれども、この太いところの延長はどのくらいで、細いところの延長はどのくらいなのか、これも明らかにしてほしいと思います。同時に、これがどこに布設されているか、これも明らかにしてほしいと思う。なお、そのほかに伺いたいものがありますけれども、さしあたりその資料を要求して、あなたの答弁を求めたいと思うのです。
  354. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 先生の御計算で千六百海里云々という数字でございますが、これは私のほうは否定も肯定も申し上げません。なぜならば、先ほど長さについては申し上げられませんというふうに申し上げた関係上、そういうことになります。ただ、先生、前に御質問ありましたように、私のほうでは等化器というものは買っておりませんです。等化器を買っておりませんから、そんな長いところにはとても使えない、御了承をいただきたいと思います。  それから、どこで使用しているか、これは本邦内でございます。
  355. 渡辺武

    渡辺武君 資料の提出を求めているんです。
  356. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 資料の提出では、先ほどから私がお断わり申し上げましたように、長さ、性能、仕様についてはごかんべん願いたいと思います。
  357. 渡辺武

    渡辺武君 最後に一言。一番最初から申し上げておりますように、自衛官関係の専門誌でさえも、この「つがる」の改造の内容と目的、これについては、はなはだしい疑問を持っている。ところが、われわれの調査によれば、海底ケーブル布設専門船にそれが変わってきておると、しかも長大な海底ケーブルを買い込んできている。当然のことながら、これは一体どこに使われている、何のために使われている、これについて国民が疑惑を持ち、国会の質疑を通じて明らかにしてほしいという希望を持つのは、これは当然のことです。防衛庁もその国民の声にこたえる義務がある。あなた方が痛いところを持っている。先ほども申しましたが、「つがる」の改造費、これもべらぼうな金額がかかっている。この海底ケーブル、同軸ケーブル、これの購入費だってべらぼうな金額なんです。そういう点の痛いところをつかれまいということで、資料を隠しているんじゃないでしょうか。もし、そうでなければ、すなおに国会のこの審議に応ずべきだと思う。国会の持っている調査権を、そういうことで踏みにじるということは、絶対許されない。重ねて資料の提供を要求します。同時に、私はきょうは準備した三分の一程度しかできない、こういう答弁ではとてもしようがない、これはさらに次の機会にまた重ねて質疑しますが、その点を保留して、私の質問を終わりたいと思います。  なお、先ほど間もなく調査して報告しますと言ったあの「つがる」の中継器置き場の問題、それからケーブル、これの容量の問題ですね、これはどうなりましたか。
  358. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) 中継器置き場は、特別なものはございません。それから……。
  359. 渡辺武

    渡辺武君 容量はどのくらいかということです。
  360. 黒部穣

    政府委員(黒部穣君) それから、電探室の容量は答弁いたしかねます。  それから、艦首についております部分はやぐらと申しております。
  361. 渡辺武

    渡辺武君 その用途です。用途はどうですかと聞いておる。委員長、ちょっとまだ答弁落ちていますからね。
  362. 野呂恭一

    政府委員(野呂恭一君) 「つがる」の改造、あるいは海底ケーブルの資材等につきまして、いろいろ御指摘がございました。きょうの論議を通じまして、資料については、出せるものについては十分検討いたしたいと思います。なお、かなりの時間がかかると思いますので、後ほどできる限りの資料は提出さしていただきたいと、かように考えます。
  363. 山田勇

    山田勇君 時間もだいぶたったようでございますので、当初、公社関係から質疑をしたいと思いましたが、委員部からの要請で、防衛庁のほうからまいりたいと思います。  防衛庁の皆さま方、たいへん連続の審議でお疲れのようでございます。簡潔に質疑いたしますので、明確な御答弁をいただきたいと思います。  陸上自衛隊の朝霞駐とん地の自衛官殺害事件はたいへんショックな事件でございましたが、この犯行に元自衛官が一役買っていたことが判明し、あらためて根の深い問題であることを認識したわけですが、このことについてどのようにお考えになっておりますか。
  364. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) 朝霞事件は、たいへんわれわれとしては遺憾な事件でございますが、捜査の進行にあたりまして、最近、捜査当局から承ったところによりますと、新聞やテレビに出ておりますように、現職自衛官——もう現在やめておりますが、事件当時に現職自衛官であった一名を含め、元自衛官が三名、これに関連しておったということは、たいへんわれわれとしては残念に思っております。  その事件の内容につきましては、大体、この菊井という日大グループの者が中心になっていろいろ計画いたしておるようでございますが、元自衛官三名は、その計画謀議に参画したということでなくして、そのうちの武器、弾薬の奪取に利用されたと申しますか、そういうような関係にあったようでございます。しかしながら、まだ捜査が最後まで終わっておりませんので、その結果を見まして、場合によりましては、関係者の処分というものも考えなければならないと思っております。
  365. 山田勇

    山田勇君 先日も、自衛官をしている友人が私どもをたずねて、いろいろとその友人の自衛官の話を聞きましたが、現在の自衛官は最低だと、これはちょっと極論になりますが、質的な面で、いろいろな問題があるようなことを申しておりました。現在、沖繩への自衛隊の派遣が論議されておりますが、沖繩の世論調査では、自衛隊に来てほしくないというのが過半数以上と聞いております。そのこと自体について論議はいたしませんが、まあとにかく、この自衛隊をあまり歓迎していない。そんなところに質の低下をしている自衛隊を持っていくということは、たいへんなことだと思います。もちろん、全部が全部質が悪いというのではありません。災害復旧などに活躍する自衛官の姿は、国民から信頼の目で見られております。  そこで、お尋ねいたしますが、現在の自衛隊全般の充足率、これは午前中の小谷委員質疑と重複するかもわかりませんが、簡潔でけっこうです、御答弁いただきたいのです。
  366. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) 大体、午前中も申し上げましたが、陸海空を通じまして平均充足率は九〇%強でございます。しかしながら、そのうちで航空自衛隊は九九%近くなっております。海上自衛隊も九七%台でございますが、陸上自衛隊におきまして八七%台で動いておると申しますか、八七%台で推移いたしております。
  367. 山田勇

    山田勇君 募集の方法は、どのような形で行なっていますか。
  368. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) 募集は、各県に地方連絡部というものがございまして、この地方連絡部が自衛官の募集を実施いたしております。
  369. 山田勇

    山田勇君 いまの渡辺委員の論議を聞いておりましても、ポイント、ポイントはすべて機密ということで答弁がない。ぼくはそういうやり方自体に、いまの国民が自衛隊に入りたがらない一つの大きな要因があるように思います。午前中も、ポスターを一つ見ても、ふるさとをひとつ離れてみようなんて、過疎促進のようなポスターでございました。決して私はああいうポスターは好ましいとは思いません。と同時に、やはり真実を、自衛隊の本来の姿というものを形どったもの、そういうもので堂々と募集されればいいと思うのです。職安法を犯すような募集のやり方は、もう一つ私も納得いきません。まあ、自衛隊については、違憲、すなわち憲法違反というような見方もあります。私もいささか疑問を持っていますが、きょうはその問題はたな上げにいたしまして、防衛庁のほうでは、やはり自衛隊を国民から理解してもらい、愛される自衛隊といったことになるようないろいろな広報活動を行なっていると思いますが、どういう方法で行なわれておりますか。
  370. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 先生おっしゃるように、自衛隊は国民の理解が必要でございます。そのためにはいろいろな方法がございますし、われわれも考えておりますが、事務的に申し上げますと、まず予算から申し上げますと、四十六年度で約五億五千万ばかりですが、大分けにしまして、一般的なPRの一般広報といっておりますのと、それから先ほど問題になりました募集のための広報と、それから両方兼ねました帰郷広報というものをやっております。大分けにしましてそういうことですが、またこまかく申し上げますと、一般広報は、たとえば映画やテレビ、映画をつくったりテレビに出たりというふうなこと、あるいはパンフレットやリーフレット、各種の刊行物をつくるということもやりますし、音楽会とか展示会とかというふうなこともやりますし、それから体験入隊、部隊見学、あるいは体験飛行とか、体験航海とかというふうなことで、具体的に航空機なり船に乗ってもらって、あるいは隊内に入ってもらって、実際の姿を見てもらう、そして理解してもらうというふうなことをやっております。募集広報につきましては、先ほどから問題になっておりますが、いろいろなパンフレットやリーフレットももちろんつくりますし、新聞、雑誌もそういう媒体として利用いたしますし、その他各種の案内状等をつくって広報をします。また、隊員自身が模範を示すといいますか、先ほど質の悪いのもいるんじゃないかというお話もございましたけれども、一般的にはまじめな青年たちでございますので、それが故郷に帰って友人に自衛隊の真のあり方を知らせるというふうな方法などもとっているわけでございます。
  371. 山田勇

    山田勇君 広報予算、まあいろいろ分類があるそうですが、その中でPR映画、テレビでどのくらいの予算を使いますか。
  372. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 四十六年度で約一億六千万円程度でございます。
  373. 山田勇

    山田勇君 ところで、ことしの十月一日の読売新聞で、憲法違反の自衛隊のPRを目的とした防衛庁ひもつき番組として、日本教育テレビのドキュメント番組「知られざる人生」のことが報じられていたが、この番組が不偏不党、中立性をうたった放送法に違反するとして、民放労連が放映中止を申し入れたとなっておりますが、実際に中止されましたか。
  374. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 「知られざる人生」というテレビ放映のことは、計画しておりましたけれども、中止をいたしました。社内事情によって放送を中止したいという希望がございましたので、やむを得ず中止になったと、こういう事情でございます。
  375. 山田勇

    山田勇君 中止されたことについての御見解はいかがですか。
  376. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 残念に思っております。
  377. 山田勇

    山田勇君 番組提供のスポンサーがガードマン会社の綜合警備保障会社となっておりますが、実際には防衛庁が広報二千万円の制作費、あるいは二千四百万円かもわかりませんが、まあ全額を負担して電通映画社につくらせたとなっておりますが、これはどういうことですか、なぜ防衛庁の名前を隠したのですか。
  378. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 予算は、先生御指摘のように、約二千四百万円程度でございます。防衛庁は先ほど申し上げました所属の予算をいろいろなかっこうで使いますが、パンフレット等には防衛庁を隠すつもりはございません。テレビ等では、防衛庁自身がやることもありますし、しかし、代理店の電通等にやっていただく場合もある、こういうことでございます。
  379. 山田勇

    山田勇君 簡単にこの「知られざる人生」のストーリーというのはおわかりになりますか、簡単にこうこうこういうものだということがわかればちょっと教えてください。
  380. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 要点を申し上げますと、航空機整備員とか、あるいは沿岸監視隊員とか、あるいは救難隊員等、自衛隊の中でも特に陰の力といいましょうか、そういう人たちをテーマにして、そういう人たちの実際に苦労している姿を描くというセミドキュメンタリーの番組を考えたわけでございます。一般に、F104戦闘機とか、あるいは護衛艦等のことはよくテレビや何かに出ますわけですが、いま申し上げたような陰の力はなかなか一般の人たちに理解してもらえない点がありますので、そういうふうなことを理解してもらうために、そういうことを考えた、こういうことであります。
  381. 山田勇

    山田勇君 いま、内容を聞きますと、たいへんなかなかりっぱな、救難作業に従事しているような自衛隊の印象を受けたんですが、それをなぜ防衛庁の名前を隠してしまうか。これがかりに放映されるとして、防衛庁の名前を隠すんですか。日本警備保障というふうな番組スポンサーをつけて、わざわざそういう二度手間のことをやらなければいけないのでしょうか。
  382. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) これは先生御専門で、いろいろの媒体のしかた、それから聴視者に訴える場合の効果等が技術的にあろうかと思います。防衛庁は、別に防衛庁のことを宣伝するのに、特に防衛庁が一般的に隠れるつもりはごうもありません。数億の予算を使ってどんどんPRしたいというのが一般論でございます。しかし、多少技術的なことですけれども、しょっちゅう自衛隊というものが正面に出て訴えるやり方もございましょうが、そうではなくて、電通の代理で、ソフトなタッチで自然にそういうテレビに引きつけるということで、結果として自衛隊の姿がそのまま映るというふうな技術的なやり方も場合によっては効果があろうかという技術的な判断をしたわけでございます。
  383. 山田勇

    山田勇君 放送法第一条三項に、「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」というのがありますが、これに抵触しませんか、そういう考え方では。
  384. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 必ずしも抵触するとは考えません。
  385. 山田勇

    山田勇君 また、同じく五十一条の三に、「一般放送事業者が、対価を得て広告放送をするときは、広告放送であることを放送によって告知しなければならない。」とあるが、なぜ自衛隊のPRということを隠したのか。
  386. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 隠すつもりも本来的にございません。先ほど申し上げたとおりでございますが、この場合、現実には放映されておりませんが、放映された場合も、電通が代理となりあるいはスポンサーが警備保障ということはテレビに当然出たであろうと、実際にそれを企画をした面が出たであろうと、こう思います。
  387. 山田勇

    山田勇君 このような放送法の内容を御存じだったですか。
  388. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 私、そのほうの専門家ではございませんけれども、常識的には存じております。
  389. 山田勇

    山田勇君 放映中止ということは、結果的には国民の税金のむだ使いということになりますが、その責任はだれにあるのか、またどう処置をするのか、お尋ねいたします。
  390. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 企画が中止になりましたことはたいへん残念でございますが、別のまた同じような効果をあげるような企画を検討中でございます。
  391. 山田勇

    山田勇君 契約を電通が一方的に破棄したのだから一銭も払ってないということであれば、企画、制作の段階で世論を甘く見て、結果的には放映中止となり、相手方に損害を与えた責任はやはり明確にしなければならないと思いますが、どうですか。
  392. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) その点、いろいろな事情調査しまして、検討をしたいと思います。
  393. 山田勇

    山田勇君 なお、制作、取材段階では、人員、機材の輸送など一切自衛隊でめんどうを見ることにしているらしいが、これは問題にはなりませんか。
  394. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 問題といいますか、これが実際にやられ、かつ企画の途中でございましたが、できるだけ防衛庁としては協力したいと、こう思っております。
  395. 山田勇

    山田勇君 これからの広報活動、自衛隊員の募集のPRなどをどのような計画で行なうつもりですか。
  396. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) いまのお尋ね、たとえば今年度の広報の予定等でございますか。
  397. 山田勇

    山田勇君 そうですね。それから、そういうテレビ、映画を通じてのPRなどのいまの予定など……。
  398. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 一般論としては、先ほど申し上げたいろんなやり方をいたしますが、事業別に四十六年度の計画を申し上げますと、大きく分けまして刊行物等、 つまりパンフレットやリーフレットとか各種の刊行物のために約七千四百万円ばかりを計画しております。それから視聴覚広報といたしましては、先ほどもちょっと申し上げました、これが映画やテレビのほうでございますが、約一億六百万円ばかりでございます。それから行事広報といいましょうか、たとえば音楽隊だとか記念日だとかの行事的なこととしまして約三百万円ばかり、それから部隊見学等の部類としまして約九千五百万円ばかり、その他としまして約千八百万円ばかり、こういうふうな計画にいたしております。
  399. 山田勇

    山田勇君 この映画の放映中止について、どのように反省なさっておりますか。
  400. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、中止になりましたのは残念に思っております。いろいろな事情もございましたけれども、今度企画する場合には、テーマとしてはこういうものもなかなかいいテーマじゃないかと自分たちでは思っておりますが、その媒体機関等についてよほど慎重な配慮が必要ではないかと、かように考えておるわけでございます。
  401. 山田勇

    山田勇君 まあ、四次防に見られるようなあの膨大な予算を組んで国防計画を推進している段階で、このようなこそくな手段で自衛隊のPRをしているようでは、ますます私は国民から縁遠い存在の自衛隊ということになっていくと思うんです。いろいろな広報活動の中で、ぼくは、もっと市民対話集会を開くとか、機密事項的なもの等を隠さずに堂々と発表して、これほど自衛隊はかっこいいことをやっているというような、これほどサイエンスな近代的なものをやっているのだということを堂々と述べられることが、私は一番のPRだと思うのです。そういうことを特に痛切に感じました、今回のこの問題について。  また、きょうの朝刊にも、自民党のタカ派の長老で軍備強化の強硬論者の議員が、戦意を失っているいまの自衛隊に四次防の金を使うくらいなら、その金を私学へというような内容の記事が載っていましたが、防衛庁関係でのむだな失費がまだまだほかにも私は多いように思います。そういった面で、武家の商法のたとえはたいへんまずいかもしれませんがね、職業軍人に主導権を握られ、本来のシビリアンコントロールが大きくくずれているのではないかと、私はたいへん不安に考えるわけです。最後にこの点をお聞きして——私は何か警察官と自衛官はわれわれ国民の敵だというような認識のもとで御答弁なさっているように思います。いま渡辺委員との論議のプロセスの中でも、感情的に詰めて詰めて詰め込まれると、いわゆる居直るというような形です。少なくともこれは決算なんですから、決算委員会でやる以上は、これはこうだ、これだけのいわゆるものはかかったからこうだというような形でぼくは堂々と述べられるべきであって、私はここにいまの官僚の政治というものに対してたいへん非常に不満に思うわけです。常に私はそれは感じております。野呂政務次官もおいでですから、最後に政務次官からも——これからの自衛隊のあり方、国民に知らせるべきものはどんどん知らせて、国民に批判を受けていくというような前向きのほんとうの姿勢を持たないと、きれいごとのポスターを張り、きれいごとの映画を流してもだめだということです。その中で、前進していく愛される自衛隊というものは出てくると私は思うのです。その内容の論議をやるつもりはございません。少なくとも、この問題一つをとって、そういうふうな考え方を持ちます。
  402. 野呂恭一

    政府委員(野呂恭一君) 山田先生御指摘になりました広報活動にもいろいろな問題がございますが、確かに自衛隊の体質に対しまして国民の疑惑をいささかでも招くということがあってはならないのでございます。専守防衛は単に自衛隊の機能ではなくして、これは国民総力をあげてのものでなくてはなりません。したがいまして、私どもは、常に国民的広場の中に自衛隊はあるのだ、こういう意識の上に立って今後広報活動を展開していかなければならぬと考えるわけであります。したがいまして、事務的に単にポスターをつくるとか、あるいは自衛官の募集に当たりまする広報官が職場の中に入り込んで積極的にやるということもやむを得ないこともありましょうけれども、単にそういう作業的なものだけでなくて、今日ある自衛隊、そしてその自衛官の行動が国民に正しく理解され、そして信頼を得るための努力をしなければならないわけであります。常に私は、今日ある自衛隊が機能的にこれが広報活動に結びついておるのだと、こういう趣旨で、今後におきましては広報担当の参事官なども設置する構想を持っておりまして、もっと国民の中に入り込んで、そして自衛隊が国民意識の中に定着されるということが望ましいわけでございます。  朝霞の事件等の御指摘がございましたが、この点につきましても、十分監督指導を徹底し、あるいは駐とん地の警備等においても徹底をいたしまして、国民の信頼にこたえなければならないと考えております。なお、先ほどのいろいろの問題点の論議を通しましても、やっぱりいささかも疑惑を招かざるよう、できる限りこれについては国会の皆さんの御理解を通して国民に知らしめる必要があるのだということは、当然であります。ただ、防衛には若干の秘密のこともあろうかと思います。いろいろ問題点がございますので、これは今後、広報活動その他につきましては、皆さん方の御期待にこたえるように全力を傾ける所存でございます。御理解願いたいと思います。
  403. 山田勇

    山田勇君 防衛庁はいいです。  次は、公社の方に塩の問題について若干お尋ねいたします。  第六十五国会におきまして、塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法が可決されましたが、この法律の目的にもうたわれていますように、これは塩業の経済的諸条件の変化に対処して、新技術による塩の製造方法によって近代化を促進する、つまり、非能率的な塩田製法からイオン交換膜製法に切りかえてコストを下げるというのが主眼だと理解しているのですが、いかがですか。
  404. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) 山田先生の御指摘のとおりでございます。
  405. 山田勇

    山田勇君 昭和四十四年度の二十四億七千万円、四十五年度の三十五億といった塩専売の面での赤字が出ているようですが、今回の臨時措置法でこれらの赤字がどのように具体的な過程を経て解消されるのでしょうか。
  406. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) 塩業の近代化をはかり、近代化企業を明年以降発足させることによりまして、公社の収納価格——公社が買い上げる価格を毎年千百円ずつ逓減をさせます。五十年には包装並み塩トン当たり七千円の価格にするということで予定をしております。また、その旨の目標額の公示もいたしております。そういう過程を通じまして塩事業会計の赤字をも解消されるということでございます。
  407. 山田勇

    山田勇君 四十六年度の赤字はどのくらいか、また四十七年、四十八年等の見通しはどうなっているのでしょうか。また、塩業整理交付金の百三十九億九千五百万円の使途について概略説明をお願いしたいと思います。
  408. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) 具体的な各年度の赤字の減少の経緯の具体的な数字については、ちょっと持ち合わせておりませんが、先ほど御指摘の百三十九億の塩業整理交付金につきましては、法律に基づきましてやめていく、塩業に携わっている従業員の退職手当、あるいは減価補てん費用、あるいは塩業組合員が塩業から離脱していくに伴う助成の費用等に支出されるものでございます。
  409. 山田勇

    山田勇君 現在国内で生産されている約九十万トンの塩をイオン交換膜によって製造しようということですが、一つの企業が約十五万トン程度のものを製造しなければ目標価格を達成することができないということですが、現実にどういう会社が選定されているのでしょうか。また、何社にきまっておりますか。
  410. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) 具体的には、明年以降の近代化企業といたしまして七社に選定をいたしました。具体的な企業名につきましては、新日本化学、赤穂海水工業、鳴門イオン製塩、錦海塩業、内海塩業、崎戸製塩、讃岐塩業の七つでございます。
  411. 山田勇

    山田勇君 この製塩事業の独占化と申しますか、寡占化と申しますか、特定の企業をもうけさせるといったような危険性はないですか。
  412. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) 特定の企業をもうけさせるという考えはありません。
  413. 山田勇

    山田勇君 大企業が小さな製塩業者の生活権を奪ったという結果にはなりませんか。
  414. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) 新技術の進展に伴う塩業全体の再編成ということでございまして、それを国民一般に、赤字解消という面を通じて均てんさせる。さらに、塩業がそういう近代化企業の経験なり今後の技術の発展を含めて、さらに前進をするという基盤づくりが今次塩業の近代化と存じますので、現象面といたしましては、御指摘のような塩業関係者が塩業から離脱していくということはございますが、それによって、その人たちの犠牲によって特定の人たちが利益を受けるということではございません。
  415. 山田勇

    山田勇君 整理統合された結果、従業員はどのくらいまだ転職しなければならないのか。また、それらの再就職の指導などはどうなっておりますか。
  416. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) 従前、塩業、製塩に従事しておった従業員が約三千八百人程度ございますが、今次塩業の近代化に伴いまして約三千百人程度の従業員が塩業から離脱してやめていくということでございます。地域的にもたいへん瀬戸内付近に集中しておりますし、年齢も比較的中高年齢層が多いという関係もございまして、失職する従業員の方々の就職のあっせん、職業の指導あるいは訓練等につきましては、労働省並びに地方自治体等の関係機関に依頼あるいは連絡をして、まだ本年じゅうに、今月から一月にかけて実際やめていくということでございますので、具体的な数字なり、どういうふうになっているかという数字なりというものは持ち合わせておりませんが、前々からそういう連絡なり、依頼なり、あるいはそれに伴う職業訓練の内容なりを、また従業員の方にも周知させるということをいたしまして、今後も、公社としてもそういうところに連絡しながら積極的に取り組んでまいりたい、かように思っております。
  417. 山田勇

    山田勇君 この塩田の廃止になったあと地については、どのような施策がなされておりますか。相当、塩田なんというのは広大な土地ですがね。
  418. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) 廃止塩田は約二千二百ヘクタールほどございます。今次塩田のあと地につきましては、大ざっぱに申しますと、半分以上はいずれも今後転用の可能性があるというふうに考えておりますが、その活用なり転用にあたりましては、もちろん土地所有者の意向を十分尊重することは当然でございますけれども、しかし、相当広大な単位で空閑地になるという土地でございますので、国土再開発の観点から有効に使われますように、政府、地方公共団体その他関係方面と十分調整をはかってやってまいりたい、かように思っております。   〔理事和田静夫君退席、委員長着席〕
  419. 山田勇

    山田勇君 この臨時措置法が大蔵委員会で論議される過程で、塩業についての経済的な面のみ論議がなされております。塩というものが人間にとっては必要欠くべからざるものであり、毎日食するものである以上、人間の健康にとって、人体への影響等についてまず論議がなされなければならないのではないかと考えております。まあ、そのような論議を呼ぶような提案を当局側は法律制定の過程でしたことがあるかどうか、お聞きいたします。
  420. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) 国会の段階でその点についての御説明をしたことはございません。
  421. 山田勇

    山田勇君 それがおかしいのです。これだけの化学塩をつくるについて、大きく製造法のあの過程というものは変わるのですから、いわゆる動物実験をなぜしないのか。実験の必要性は、良識ある学者はみんな望んでいるのですよ。ですから、このイオン法に転換をするについて、製造するについて、そういうような動物実験をなぜやらないのですか。
  422. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) イオン交換膜法による製塩の塩についての有害云々の御質問のように承りますが、イオン交換膜と塩田法との相違は、海水を濃縮する過程の違いでございまして、別に化学的に塩をつくるというものではございません。電気エネルギーを使いまして、電気透析によりイオンを移動させて濃縮をするという物理的現象でございまして、あとの煎熬過程は従来の煎熬過程と全く同じでございます。そういう点で、化学的に合成された塩というものではないという点が一つあります。  それから、イオン交換膜製塩に用いる膜は、いわゆるスチレンとジビニルベンゼンを高分子重合させた合成樹脂でございまして、化学的にも物理的にもきわめて安定性の高いもので、海水の濃縮過程ではその成分が溶出するということではございません。あるいはまた、従来塩田の場合でございますと、絶えず私ども海水の汚染による有害金属成分を注意してまいりましたが、そういうものが今度のイオン交換膜製塩ではたいへん除去できるという積極的な利点もございます。あるいはまた、特にイオン交換膜による塩ということでなしに、イオン交換膜そのものが、まあ欧米でも、飲料水の製造なり、牛乳なり、あるいはジュースの精製加工、あるいはビールの水その他に相当利用されておりまして、食品衛生法によるイオン交換樹脂の組成と変わりないというような点からしまして、そういう御心配はないというふうに考えております。  また同時に、そういった塩による有害なり何なりのおそれはないかという御意見があるようでございますが、具体的な実例があるいは臨床例等で具体的にあるわけではございません。そういう点からしますと、実際ではどういうふうに考えるかという点でございますが、いま御指摘いたしましたように、単に塩の問題だけではなしに、飲料水とか牛乳とか全般に関係してまいりますので、あるいはまた動物実験の方法等についても、具体的にはなかなかむずかしい問題を含んでおるようでございますが、その点につきましては厚生省と十分相談をしてまいりたい、かように考えております。
  423. 山田勇

    山田勇君 そこなんですよ。海水汚染で、塩田方式をとっていくというと、そういう不純物が出てきて、逆にそういう害が出てくるということが、イオン交換膜を使うとそういうことはないと言いますが、そういう実験もしないで、ないということを言い切るということは、ぼくはおかしいと思うのです。だったら、こんな新聞紙上をにぎわすように、この塩の問題でいろいろなところからそういうような市民運動が起こるはずはないんですよ。こういう問題が出てから、厚生省と連絡をとった。ここに塩出委員がおられますが、塩出さんがそういう問題を提起してから公社のほうが厚生省と連絡をとったというようなことはありませんか。
  424. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) いろいろ問題が起こってからも、もちろん厚生省と連絡をしておりますし、私どもといたしましては以前から——ことに従来塩田法におきましていろいろ重金属その他の問題、あるいは海水の汚染の問題等もございますので、十分連絡をとってやっております。あるいは食品衛生法による云々という問題点もございますので、厚生省と連絡をとりながら、従来もやってまいりましたし、今後もやってまいりたい、かように考えております。
  425. 山田勇

    山田勇君 動物実験はやっておりませんね。
  426. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) イオン交換膜による塩というばかりでなしに、イオン交換膜そのものの問題とも関連してまいります。まあ、その点につきましては、むしろ私ども公社から御説明するべき問題ではないかと思いますが、イオン交換膜による塩及びそれ以外のイオン交換膜に関係する食品衛生法上の問題を含めてやってまいりたい。イオン交換膜による塩だけの動物実験等についてはございません。
  427. 山田勇

    山田勇君 このイオン交換膜を使って製造された塩というのは、非常に純度が高過ぎて、工業用には適しているが、食塩としてはという疑問とか、いろいろな各方面の意見があるのですが、何度も繰り返して質問いたしますが、人体に対して悪影響はないという、そういうデータがあるのですか。
  428. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) ただいま御指摘の、イオン交換膜による塩はたいへん純度が高いということ自身、まあ塩にしろ、砂糖にしろ、純粋なものを取り出すというのが精製過程のように思いますが、かといってなくなってしまうというものではございませんで、塩田による塩とイオン交換膜による塩とはほとんどその差異はない。水分等の問題の違いはございますが、そういうものでございます。あるいはイオン交換膜による塩そのものが人体に影響がないというものがあるかどうかという点につきましては、先ほど御指摘されましたように、最終的にはやはり動物実験云々ということかもわかりません。そういう具体的な例は、そういう実験例はまだないということでございます。
  429. 山田勇

    山田勇君 そこなんですよ。疑わしきは、すぐそういうふうに調査をやりなさい。そういう形で何かデータを完全に持ってきなさいということを私は申し上げたいのです。まあ火のけのないところに煙は立たぬたとえで、自然食のそういう運動体、市民運動にしろ何にしろ、そういう形でこれに対して疑問を持っている国民が多数いるということについて、その国民に理解を与えるためにも、こういう実験をしました、データはこうですということを私はしなさいと。経済的な方面だけでいわゆる追求をしないで、そういう疑問があればすぐ厚生省と連絡をとってそれをやると。きのうこの説明を聞いて、公社の方は、イオン交換膜の塩とその動物実験というもので一つ取り上げて実験するのは非常にまあむずかしいということです。しかし、むずかしいけれども、厚生省と密に連絡をとればやってやれないことはないということですから、それをやって、こうこうですということがあれば、国民もそれは納得するんですが、そういうデータもなく、何か一方的にこういうものができたということでぐっと押しつけるというところに、ぼくは問題があると思うのです。国民には選択権があるのと同時に、いろいろな塩を買いたいという、そういう国民的な要望を踏んまえてでも、私はそういう一方的なやり方というものに対して疑問に思うわけです。  ですから、影響がないということであれば、これは一応信用するしか道がないんですが、事毎日食べている塩のことでありますから、今後とも安全性に万全を期してもらいたい。とにかく、近ごろあらゆる面で経済的なメリットのみの追求が先行しております。人間優先というか、人間尊重の精神が非常にお題目だけで終わって、その実を伴っていないということが多いのです。公害というものがいまや企業のエゴイズムによるものであることは、もはやだれも疑う余地のないところです。この塩の問題にしても、イオン法に変える前提として、まず人間にとって有害かどうかを定義して、しかる後に経済性を考えるというぐらいの姿勢が、今日の立法、行政の段階では必要ではないかと考えるのです。この「塩と健康問題の解説」にしても、四十六年の十一月に専売公社から出されておりますが、これとて、健康上有害だという民間からの論議に刺激されて編集されたものと思います。幸い、海上汚染など考えた場合、イオン法は健康上もいいということでありますが、私はすべて人間優先の思想がいまほど必要な時期はないと思います。ですから、そういう点で、何度もくどいようですが、動物実験をし——非常に臨床実験的に困難であるということですが、いまの近代医学の粋を集めて、まずそれをやって立証するということがぼくは先決だと思います。ですから、それまでの時期といいますか、そのデータが出るまで、いわゆるイオン方式と塩田式との二本立てで塩をつくっていくというふうなことを考えられませんか。
  430. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) 先生御指摘の点につきましては、私どもばかりでありませんで、先ほど申しましたように、従来からも厚生省と十分連絡をとってまいっておりますが、今後とも十分連絡をとりながら、安全という問題については十分心をいたしてやってまいりたい、かように思います。  それから、塩田とイオン交換膜による塩の両立てはできないのかという御指摘でございますが、今次塩業の近代化の立法につきましては、塩田製塩を法律に基づいて強制的に排除するというものではございません。目標価格に従って、イオン交換膜の十五万トン程度以上のものでなければその目標価格に沿った存立はできないだろうという判断に基づいて、現在のところ今月中に塩田の業者全部が廃止申請をして交付金をもらうという段階にきております。したがって、事実問題として、塩田製塩が全部今月中に廃止の申請が出てまいりますので、残るところがないということでございますが、まあ可能性ということになりますれば、いまある塩業の一部にその交付金に相当する金額をだれか別の者が支出をして——今次近代化立法には、特別の塩については販売特例、専売公社が買い上げない塩の道を通じておりますので、絶対理論的には考えられないことはないというふうになっておりますが、塩田一つ、交付金にしましても数億という交付金が出される、それを負担して云々ということでございますので、事実上ない、かように考えます。
  431. 山田勇

    山田勇君 もう時間もないので、もう一、二点聞きますが、そうしますと、天然の塩というようなものを輸入されておりますね。
  432. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) 輸入塩は、必ずしも天然の塩といいますか、いわゆる岩塩、石炭のように地下に層をなしてある岩塩を輸入しているわけではございません。やはり海水を濃縮して、日本のように煎熬過程がなくてできる塩を輸入をしております。
  433. 山田勇

    山田勇君 ですから、国民には選択する権利があるんですから、そういうふうな押しつけのこういうイオン法によってとった塩だけでなく、やはりそういう天然のものもほしいということになれば、それは三十キロ単位で前日に小売業者に言っておけば、注文をすればそれが運ばれてくるということですがね、その三十キロというような大きなそういう袋に入れないで、それをもう少し小分けにして、常に店頭にそれを置いておくというようなことは考えられませんか。また、そういうふうな行政指導ということはできませんか。
  434. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) 天然の塩といいますか、要するに、天然の塩ではございませんが、輸入原塩を主として業務用といいますか、しょうゆ、水産等のために輸入をして、その原塩をそういう需要家にやるとともに、粉砕塩、原塩等、御指摘のような三十キロ単位包装で売っております。現在のところ、いま御指摘のような単位の包装区分等については、絶えず私どもとしては、一般需要家、業界の需要家等の需要家の声を聞きながらやってまいっておりますが、現在のところその必要は認めておりません。粉砕塩等は買えるシステムになっております。
  435. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、山田委員に関連をいたしまして、二、三質問をさせていただきます。  ちょっと内容が決算委員会と違う点もあるわけですが、沖繩国会が忙しくてなかなか委員会も開かれておりませんので、この問題非常に急ぐ問題で、多少内容が違う点もあるんじゃないかと思うのですが、その点はお許しをいただきたいと思います。  最初に、私は厚生省にお聞きしたいのですが、先般この塩の安全性について、国会法に基づく質問主意書を提出し、厚生省としてのこの塩の安全性に対する見解を求めたわけであります。まあ、有史以来ずっと使ってきた塩田法の製塩を改めて、世界でもイオン交換膜による塩を使うのは日本が初めてである、私はそのように聞いておるわけであります。その安全性についていろいろ調べてみますと、専売公社が発行しておるパンフレットがある。それは、イオン交換膜が溶ける量は非常に少ないのだ、あるいはまた塩の成分がこうだから心配ないのだ、そのように単なるパーセントの上から安全であるということを専売公社が判断しているわけでございまして、食品の衛生を担当する厚生省はどうか、厚生省の各課に問い合わしてみましたけれども、確固たる返答は返ってこない。まあ、そういうわけで、イタイイタイ病にしても、水俣病にしても、ほんとうに何PPMというような微量な成分が長年の間にはこういう公害病を引き起こし、また砂糖の場合も、精製した砂糖を使うと虫歯が多いと、そういうような話も聞いております。そういう点から、特に毎日使う塩については、事人命に関するものであるために、最も慎重であるべきじゃないかと、そういう立場から厚生省の見解を求めたわけでございますが、厚生省の返答は、非常にイオン交換膜は安定度が高く溶解のおそれがないから心配がない、それから有害重金属成分も減少するのでむしろ良好だ、そういうことも言っておるわけですね。私は、従来の塩田法による塩と今回のイオン交換膜による塩とは、当然そのミネラルの成分等も変わってくると思うのですね。そういうように変わってきたけれども、それは人体には心配ないのかと、そこのところの返答は何も書いてないのですけれども、これは厚生省はどう考えているのですか、その点については。簡単に、時間がないから。
  436. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) ちょうどこのイオン交換膜と同じものが、食品衛生法のほうの添加物といたしまして、イオン交換樹脂として三十二年七月に指定をいたしております。で、添加物としての成分、規格がきまっているわけでございます。形態がイオン交換膜は膜状でございますので、形態と、それから使い方が器具的な使い方をするということで、このイオン交換膜そのものは添加物扱いはしてないわけでございます。同じものが食品添加物として指定をされている、その規格にこのイオン交換膜が合うかどうかという試験を公社のほうでやっていただいたわけでございますけれども、私どもの食品衛生法上の規格には適合する成分でございます。  それからもう一つ、イオン交換膜自体の規制といたしましては、アメリカで規制がされておるわけであります。基準がきまっております。その基準にいま使われておりますイオン交換膜は適合しております。そういうことから、私ども、現在専売公社がお使いになっておりますイオン交換膜の安全性については、大体まあ私どもの食品衛法のほうとそれからアメリカのほうできめておりますものには適合する、こういうふうに考えております。  それから、ただいま先生御指摘のミネラルの成分が違うというのは、確かに天日で製塩をいたしました成分よりは若干ミネラルが下がっているようでございます。これはまあ私どもの食品衛生の所管ではございませんけれども、栄養課のほうで一応栄養的価値について検討してもらいまして、やはり塩中に含まれるミネラルの比重とそれから一日に摂取いたします他の食品からのミネラルの摂取量を考え合わせまして、大体ほとんど影響がないという結論を得ておるわけでございます。以上。
  437. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、ただいま公社は厚生省ともよく連絡をとってきたということでございますが、厚生省としてはいつから大体どういう検討をされたのか、いつ厚生省としての正式な見解を出したのか、その点どうなんですか。
  438. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) ただいま申し上げましたように、イオン交換樹脂につきましては、昭和三十二年七月に指定をいたしますときに検討して基準をきめたということでございます。
  439. 塩出啓典

    塩出啓典君 イオン交換膜のことを聞いておるのではなくて、イオン交換膜によってできた塩についても、それは部分的にはいいかもしれませんけれども、全体として——部分がいいからといって全体がいいとは必ずしも言えないと思うのですね。そういう点で、私は、厚生省としてはただ単なる一つの課がちょこちょこっと検討しただけなのか、それとも、たとえば食品衛生法の第二十五条に、そういう重大な問題については食品衛生調査会にかけろとちゃんとあるわけですから、そういうようなきちっとした検討をやったかどうかと、それを聞いておるわけですよ。
  440. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) 塩につきましては、一応考え方は天然物である。古来日本では——世界の人類と申したほうがよろしいかと思いますが、一応習慣上天然から精製をいたしたものを食品として使用しているということで、一般的に食品衛生法で厳重に成分とか使用基準をきめますのは、主として化学的合成品、新しいものに重点を置いて従来やってきておったわけであります。したがいまして、塩につきましては、そういう経過で、天然のものでございますので、成分規格はきまっていないわけでございます。その製造の過程で器具を使います場合に、その器具を介して汚染されるおそれがあるかどうかということにつきましては、これはやはりチェックをする必要があるということで、その過程において汚染されるようなおそれがあるかどうかというチェックはいたした。それも、できてくる天然の塩については、食習慣上の使用をされる限りは安全であるという考え方に立っております。
  441. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、それはだれの考えなんですか。こういう大事な問題が、私はそういう一個人の見解できめらるべきものではないと思うのですよ。いろいろ学者の中にも、大阪大学の丸山博士とか、そういうような先生も、これは非常に検討すべきものだろうと、そういうことを言っている人もいるわけですよね。それに対して、担当の一課長が軽々しく判断すべきものでもないと思うのですね。結局、そういうことは全然やっていないということでしょう。
  442. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) 先生おっしゃいますように、食品衛生調査会を正式に開いて御相談申し上げてはおりません。ただ、ただいま御指摘のございましたように、各先生方の御意見をよくお聞きした上で判断するということは大切だと思います。調査会を開いておりませんが、一応、毒性の関係先生方には御意見をお伺いしてわれわれも判断をいたしたわけでございます。正式には確かに、おっしゃいますように、食品衛生調査会を開いてやっておりません。
  443. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、まあそれはおそらく私の質問が出てからのことですから、時間的にもなかったのは、それはそれなりにしても、ではどういう学者に相談したのですか。それでまた、当然こういう問題のときには、それに反対している学者の意見も聞かなければならないと思うのですけれどもね。やはり一方の意見を聞いてやるというのはよくないと思うのですよ。われわれもしろうとですからよくわかりませんよ、けれども、絶対安全だという学者もいないわけです。反対に、これは非常に動物実験をやらなければあぶない、もっと慎重にすべきだと、そういう声のほうが入ってくるわけなんだ。そういう反対をしている先生の意見はだれに聞かれたのですか。
  444. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) 私どものほうで、御意見は、いまお話のございました丸山先生から文書でいろいろ問題点の御指摘はいただきました。それで、その内容については、主として中身が栄養学的な問題だと判断をいたしましたので、栄養課のほうで栄養の専門の先生方に御意見をお伺いして判断をしたという経過でございます。それから毒性関係については、私どもの国立衛生試験所毒性部がございますので、そこに毒性専門家の先生方もいらっしゃいますので、御相談をしたということでございます。
  445. 塩出啓典

    塩出啓典君 じゃ、丸山博士からのそういう申し入れ書、また厚生省はどういう学者に聞いて、どういう検討をしてこういう答えが出たか、これはひとつ資料として御提出いただきたいと思うのです。それはいいでしょうか。あとから、どういう返答をしたか、文書にして出してもらいたいということです。それはよろしいでしょうか。
  446. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) 御趣旨に沿うような形でできるだけやってみたいと思います。
  447. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから、これは私よくまだ現地を見てなくてわからないのですが、製造工程で硫酸とか塩酸等を使う、そういう話を聞いているのですが、そういうようなものが食品の中で心配ないのかどうか、そういう点は厚生省も検討されたのですね。
  448. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) 硫酸とか、それから抽出するためのノルマルヘキサンとか、そういうものは食品衛生法の中で添加物として指定をしてございまして、製造の過程で使われるものの基準がきまっております。最終段階において製品に残らないようにということになってございます。
  449. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、それは結局厚生省としては、その点は心配ないと、そうはっきり断定しているわけですね。その点はよろしいですか、そういうことなんですね。  それからもう一つ、時間が非常に申しわけないのですが、これは先ほど山田委員からも話がありました、そういう動物実験は、これは非常におそきに失した感もあるわけでございますが、まあわれわれとしては、当然事前にそれをやるべきではなかったかと、これはこの法案が通るときに委員会で問題にならなかったわけで、われわれも責任はあると思うのですけれどもね。そういう実験についての質問に対する回答は何もないわけですが、これは、この実験の方法がむずかしいと、そういう点で、どういうぐあいにやるかということを、まずそれから検討すると、そして実験をやるという方向で、前向きの姿勢でいくと、そのように判断していいんですか。
  450. 鴛淵茂

    説明員鴛淵茂君) 塩そのものの実験については、これは日常私どもが使っているものでございますから、塩そのものについての動物実験というのは、私ども考えてなかったわけであります。ただ、このイオン交換膜を使うことによりまして、それに使用する可塑剤等が融出するようなことがあれば、そういう物質についての動物実験、あるいは毒性試験、それからそういうものの安全なものを使うというようなことについては、私どもも必要性があると考えております。塩そのものの動物実験というものについては、いまのところ考えておりません。
  451. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、ここでそのことを論議してもだめですけれども、最後に、消費者には選択の自由というのがあると思うのですね。これは公社にお聞きしたいと思うのですが、先ほど、強制的には廃止するものではないと、そういうお話でございますが、この法律を見ますと、五年後に塩の値段が下がっちゃうわけですね。塩田法で残ったにしても、結局、七千五百円ですか、下がれば、当然塩田法ではやっていけないわけですね。だから、当然、従来の塩田が残ったにしても、これはもう太刀打ちできない。そういう点で、これは全部変わらざるを得ない。しかも、販売の特例を認めていると言うけれども、この法律を見ると、それはもう当分の間であって、当分の間とは昭和五十年までだと。そうなると、結局は、専売法があるために、もう消費者はイオン交換による塩しか食べることはできない。まあ、いま全国で自然食の運動の人たちが約二百万人おると思っておるわけです。そういう人は、少々値段が高くても、やっぱりいままでの流下式塩田による塩のほうがほしいと、そういう要望があるわけですね。消費者にはそういう選択の自由があり、また消費者保護基本法には、政府はそういう消費者の保護につとめなければいけない。それはやっぱり国民としての——それは公社や厚生省から見れば、これはどっちでもいいんだと言うかもしれぬけれども、消費者にとってはこっちが必要なんだと、そういうときに、それをやはり提供するのは——これは消費者の選択の自由、そういう点からも、当然それを確保していくのは、私は専売公社に責任があると思うんですけれどもね。そういう選択の自由が奪われるという、そういう問題については、専売公社としてはいろいろ検討されたのかどうか。全く強制的にそういうイオン交換による塩になっちゃうということは、よくないと思うのですよ。そういうものは、経済企画庁なり、法制局なり、そういう点検討はされましたか。
  452. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) 法制局なり、あるいは大蔵省なりで法案を審議するにあたって、ただいま御指摘のような自然食運動が何人おって云々というベースの検討はございませんでした。
  453. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、これは法案ができるときの話なんですよ。いまは時代が変わってきているわけですからね、やっぱりそういう消費者の強い声が出てきたのです、最近になって。であるならば、やっぱりそういう点を検討すべきだと思うんですね。その法律をつくるときは問題がなかったけれども、あとになってそういう問題が出てきたわけですから、であれば、塩田をよしんばやめるにしても、外国の塩田法による塩も入ってくるわけですから、そういう塩を希望する消費者にはそういう塩田法による塩を供給できるように、これは私は検討すればできない問題じゃないと思うんですね。そういうやはり選択の道を残すべきだと思うんですが、公社としてはそういう面を検討するのかどうか。検討していただきたい、私はそのように要望したいのですけれどもね。
  454. 園部秀男

    説明員(園部秀男君) 塩田法による塩そのものは、先ほど申し上げましたように、今月全部塩業を廃止すべく申請が出てくる、それに対して交付金が支出される、こういうことでございますので、そういう条件で交付金が出されたにかかわらず、塩田として残っているものをさらに製塩に供するというわけには国民感情としてまいらないかと考えます。  また、輸入塩そのものにつきましては、御指摘のように、塩田で、オーストラリアなりメキシコなりでつくられたものが送られてきているものでございますが、したがって、そういう輸入原塩なり粉砕塩を消費者が入手できる選択の自由はあるわけでございますが、もともと家庭用に向けて輸入原塩を使うようなことで入れているわけではございませんので、そういった点についても十分——輸入原塩だからいいんだというふうに一がいにもまいりません、主として業務用に供してありますので、その辺の問題を含めまして、あるいは各需要家の要望を含めまして、今後どういうふうにしていったら最も適切であるかということを、いま具体的にどういうことがいいかということは申し上げるわけにはまいりかねると思いますが、十分いままでの御意見等を入れながら検討をしてまいりたい。ただ、御指摘のように、どういう需要家がどういうふうにあるかというのは刻々変わってまいりますし、私どもとしては、やはり最小限度、しかも廉価に国民に供給できる、安全なものを供給できるというのを第一義に考えてまいりたいという所存は変わりはございませんので、そういった点も含めて、輸入塩の問題も現在の状態を長い目でどういうふうに考えるか、あるいは価格、あるいは販売特例塩の問題の運用をどういうふうに考えるのかという点について今後十分考えてまいりたい、かように考えます。
  455. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十五分散会