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1971-12-25 第67回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会、逓信委員会、建設委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月二十五日(土曜日)    午前十時五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。    沖繩及び北方問題に関する特別委員会     委員長         長谷川 仁君     理 事                 鬼丸 勝之君                 楠  正俊君                 剱木 亨弘君                 丸茂 重貞君                 松井  誠君                 森中 守義君                 矢追 秀彦君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君     委 員                 稲嶺 一郎君                 今泉 正二君                 長田 裕二君                 梶木 又三君                 片山 正英君                 亀井 善彰君                 古賀雷四郎君                 柴立 芳文君                 鈴木 省吾君                 園田 清充君                 竹内 藤男君                 西村 尚治君                 初村瀧一郎君                 宮崎 正雄君                 山内 一郎君                 若林 正武君                 占部 秀男君                 大橋 和孝君                 川村 清一君                 田中寿美子君                 田中  一君                 宮之原貞光君                 村田 秀三君                 森  勝治君                 上林繁次郎君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 栗林 卓司君                 加藤  進君                 喜屋武眞榮君    逓信委員会     委員長         横川 正市君     理 事                 植竹 春彦君                 古池 信三君     委 員                 郡  祐一君                 白井  勇君                 松平 勇雄君                 野上  元君                 松本 賢一君                 山田 徹一君                 木島 則夫君                 青島 幸男君                 松岡 克由君    建設委員会     委員長         小林  武君     理 事                 中津井 真君     委 員                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 中村 禎二君                 米田 正文君                茜ケ久保重光君                 沢田 政治君                 松本 英一君                 塩出 啓典君                 村尾 重雄君                 春日 正一君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        外 務 大 臣  福田 赳夫君        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        厚 生 大 臣  斎藤  昇君        通商産業大臣   田中 角榮君        郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君        労 働 大 臣  原 健三郎君        建 設 大 臣  西村 英一君        自 治 大 臣  渡海元三郎君        国 務 大 臣  江崎 真澄君        国 務 大 臣  木村 俊夫君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        内閣法制局沖繩        法制参事官    系  光家君        内閣法制局第二        部長       林  信一君        内閣法制局第三        部長       茂串  俊君        内閣法制局第四        部長       角田礼次郎君        人事院事務総局        管理局長     茨木  広君        総理府総務副長        官        砂田 重民君        防衛庁参事官   鶴崎  敏君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛施設庁長官  島田  豊君        防衛施設庁総務        部調停官     銅崎 富司君        沖繩北方対策        庁長官      岡部 秀一君        沖繩北方対策        庁総務部長    岡田 純夫君        沖繩北方対策        庁調整部長    田辺 博通君        外務省アジア局        長        須之部量三君        外務省アメリカ        局長       吉野 文六君        外務省条約局長  井川 克一君        大蔵大臣官房審        議官       前田多良夫君        大蔵省主計局次        長        吉瀬 維哉君        大蔵省理財局次        長        小幡 琢也君        厚生省環境衛生        局長       浦田 純一君        通商産業省企業        局長       本田 早苗君        郵政大臣官房長  森田 行正君        郵政大臣官房電        気通信監理官   柏木 輝彦君        郵政大臣官房電        気通信監理官   牧野 康夫君        郵政省郵務局長  溝呂木 繁君        郵政省簡易保険        局長       野田誠二郎君        郵政省電波監理        局長       藤木  栄君        郵政省人事局長  北 雄一郎君        労働省職業安定        局長       住  榮作君        労働省職業訓練        局長       渡邊 健二君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設道路局長  高橋国一郎君        建設省住宅局長  多治見高雄君        自治省行政局長  宮澤  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        郵政省貯金局次        長        滝本 哲郎君     —————————————   本日の会議に付した案件沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○沖繩振興開発特別措置法案内閣提出衆議院  送付) ○沖繩における公用地等暫定使用に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国家公務員法第十三条第五項および地方自治法  第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の  地方事務所設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出衆議院送付) ○沖繩平和開発基本法案衆議院送付予備審  査) ○沖繩における雇用促進に関する特別措置法案  (衆議院送付予備審査)     —————————————
  2. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会逓信委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案沖繩振興開発特別措置法案沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院地方事務所設置に関し承認を求めるの件、沖繩平和開発基本法案沖繩における雇用促進に関する特別措置法案  以上の各案件を一括して議題といたします。  これより、前回に引き続き質疑を行ないます。野上元君。
  3. 野上元

    野上元君 きょうも、すわってお許しをいただきたいと思います。  先般、外務大臣との間にVOAの問題についていろいろと議論をしたわけですが、帰ってよく考えてみますると、外務大臣答弁は、何といいますか、非常に問題を残したような答弁がだいぶあるように思うんです。そこで、私は、あなたのことばを思い出したのですが、たとえば円の切り上げの問題について、私は頭のすみにもない、こう言っておられましたが、最後には、いや、実は、まん中にあったというふうなことを平然と言っておられる。国際通貨の問題については、うそをつくのは、これは許されておるのが国際的な慣例なんだというようなことまでも言われておるわけですが、これらの問題についても、そういう考え方でお答え願うと非常に困るわけで、その点はひとつ、そういうことのないようにお願いしたいと思うんです。  VOAの問題についていろいろと質問をしましたが、どうもまだすっきりしない点がたくさんあるわけです。たとえば、あなたの答弁の中に、アメリカは御承知のように全世界防衛をになっておる、したがって、世界各国に軍隊を展開しておるし、かつまた経済大国として弱小各国援助しておる、したがって、そういうものに対する宣伝活動があってしかるべきだ、許されてもいいんじゃないかというような御発言があったわけですが、しかし、そのこと自体を聞いておると、なるほどそうかなというような気がするのですが、ただ、VOAというものの性格をはっきりつかんでおる、そういうことは言えないのじゃないかというようなことを考えたわけです。というのは、VOAというのは、御承知のように、非常に指向性を持っておるわけですね、放送自体が。したがって、ある目的の国に向かってこの電波が発射されておるという性格が非常に強いわけです。全部世界各国のを調べていただければわかるのですが、そのサービスエリアは、指向しておる方向は、おおむねいわゆる共産圏を網羅しておる、全部カバーしておる。しかも、そこに向けて出されておるわけです。したがって、あなたの言うように、経済援助をやった国には出しておらぬのです、そういう電波は。ということになると、きのう、あなたが御答弁になったような、アメリカ援助をやっておるのだから、当然それらのことは許されてもいいじゃないかというけれども目的が全然違うということです。その点はどういうようなお考えですか。
  4. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 野上さんのいまのお尋ねは、おそらく中国を頭に置かれてのお話じゃないかと思います。しかし、沖繩におけるVOA放送について、私どもは、中国から苦情が出たという話を聞いておりませんでございます。また、アメリカ当局も繰り返し主張しておりますが、これは平和的放送である、しかも、大統領直属機関であって、これは軍の機関ではございません。こういうことを言っておる。私どもも、できる限り真相を把握したい、こういう意図を持ちまして、テープまでとって聞いておるのです。そういうところから総合的に判断いたしまして、さようなことは万々なかろう。しかし、これはとにかくわが国土の上におきまして外国の放送機関放送が行なわれる。これに対してわが国は十分なことができなくなるということであっては、またわが国益に反する。こういう次第もありますので、そこで、期限をつけ、また、放送内容につきましてもクレームがつけ得るという状態におきましてこれを認可する。こういうふうにいたしたわけでございますが、とにかく、私どもの判断は、これは軍に属しておるいわゆる軍事謀略的な放送ではない、あくまでも平和的な放送機構である。こういう認識をしておるわけであります。
  5. 野上元

    野上元君 私は、そういう、いわば技術的な問題についてはわかるのですよ。それはそのとおりにおやりになっているのでしょう。しかし、後ほどまた指摘したいと思いますが、若干のしり抜けもあるような気がするのですね。というのは、あなたは、だいじょうぶだと言っているけれども一般にはしり抜けだと、こう言っておるのですから、そういう心配を起こしたということは、やはり政府当局の責任でもあるわけですから、その点は後ほど指摘するといたしまして、そういう問題じゃなくして、VOA自体が今日の世界において必要なのかどうか。問題は、むしろ外務大臣立場としては、そのほうに着目される必要があるのじゃないでしょうか。もう今日の世界において、かつて一九四二年、米国戦時情報局のもとに開設されたVOAが今日まで続いておるわけですが、当時、沿革史的に言えば、いわゆる自由主義を謳歌する、そして共産主義欺瞞性をあばくのだというような目的でつくられたVOAが今日必要なのかどうか。むしろ、問題はそこにあるんじゃないか。だからこそ、外務省は反対されたのじゃないか。ただ電波法だけの問題じゃないんじゃないか。それよりももっと大きい問題があるんじゃないか、結論的に見て。そういう気持ちを私は申し上げたのですが、もう時間がありませんから、残念ながら、そういう抽象論をやっておりますと時間がたってしまいますから、私は、これからVOAに対する問題点をあげますから、それについて、ひとつ、あなたのコメントをいただきたいと思うのです。  まず第一に、VOAが残しておる問題点は、電波法五条を侵害することになる。いわゆる日本の主権を制限するようなことになるということが、まず第一点だと思いますが、その点、どうですか。
  6. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 御指摘のとおりだと思います。でございますから、郵政省といたしましては、その五条の精神によりまして、好ましくないということで反対を一応はいたしたわけでござまして、結論におきましては、この前お答え申しましたように、最終的には妥協せざるを得ないことになった。そういうことになりますれば、第三条を置きましてこの規定に従って放送するということになったわけでございます。
  7. 野上元

    野上元君 第二の点は、これは外務大臣にお聞きしたいのですが、いわゆるVOAおい立ち等から見て、先般も外務大臣答弁されたように、物騒なVOAという先入意識があると思うのですね。やはりそういうものは置いてもらいたくないというのは、VOAおい立ちからくる性格、それから波及するところの国際的なトラブル、そういうものが一応心配される、こういうことにあるんじゃないかと思いますが、どうですか。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) VOAおい立ちを考えますと、やはりこれは、いままでは東西対立というか、米ソ二極時代、こういう世界情勢の中にありまして、アメリカ考え方を浸透させるという役割りをになってきたと思うのです。しかし、今日はどうかといいますると、少なくとも沖繩におけるVOA、これは中国からもソ連からも批判が、抗議があったということを私は聞いておりませんのです。そういうことを考えまするときに、まあアメリカ主張——アメリカ主張というのは、そういう平和的なものを友邦日本が、沖繩が返還されるということになりましたその時点で直ちに撤去せよと言うのはどうでしょうか、こういうことなんです。それもそれとして考える必要がある、こういうふうに考えた。過去において、このVOAというものが担当した任務、私はそれはわからぬわけじゃございません。しかし、そういうこともわかりまするから、十分の歯どめ措置を講ずる、そういうことにした次第でございます。
  9. 野上元

    野上元君 歯どめ措置を講ずるということは、そういう心配があるということなんでしょう、逆に言えば。でなければ、そういう心配がなければ、そんな歯どめをする必要はないわけです。そこを私は言っているので、まあいいですか外務大臣、イエスかノーか言ってもらえばいいのです、私の質問に対して。簡単にお答え願ってけっこうなんですが、あなたは、今日の沖繩におけるVOAは、別に大きなトラブルを起こしておらぬ、こう言っている。しかし、今日ないからといって、あすは保証できないわけですよ、問題は。だからこそ、あなたは歯どめと言ったのでしょう。それはやはり物騒なものだという潜在意識があるわけですよ。そう私は思うのですが、あなたには、もう全くそういうものはないのですか。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、そうは思わないけれども、そう心配される人がある、こういうことを申し上げているわけであります。
  11. 野上元

    野上元君 心配される人というのは、どういう人ですか。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) たとえば野上さんのごときであります。
  13. 野上元

    野上元君 そうすると、私がここで意見を申し述べると、私の要望がいれられるというわけですか、この法案の中に。よろしいですか。私はこれから意見を、要求を述べますが、あなたのような要望がここにちゃんと歯どめになってあらわれているじゃないですかというのですから、これから私はVOAに対して要望を述べますが、ここでいれてくれますか。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 広く、野上さんがきょうおっしゃられるようなことを私ども見通しまして、こういう措置をとっているわけでありまして、野上さんはこの道の大家であられますから、おっしゃられることで、ごもっともだなと、こういうことがありますれば、われわれとしても検討せざるを得ない、そういうふうに考えます。
  15. 野上元

    野上元君 私はVOA大家じゃありませんよ。私は謀略大家じゃないのですよ。そういうことは一切私はきらいなんです。ただ、あなた方の心の中には、歯どめをしなければならぬというのは、何となく不気味じゃないか、物騒じゃないかという潜在意識があるからだと思います、これはあなたが、ないと言われてもね。おそらく、そういうつもりで歯どめされたのだと思うのです。その点が第二の点ですよ。これはあなたは、ないと言われても、一般に、あるということなんです。  第三の点は、このVOA放送というものは、世界に知らせるのだということをアメリカは言っているけれども、その機能を見ますと、どうも指向性が強い。しかも、一方指向性が非常に強いわけですよ。灯台もと暗しで、沖繩にはこれは聞き取れないわけです。沖繩にあって沖繩には聞こえないで、何千キロも離れた大陸のかなたまで、奥にまで聞こえるようにできているということが、やはり問題になるのじゃないかというふうな気がするのです。しかも、あなたが言われたように、一九四〇年代には、いわゆる米ソの二極で世界が動いている時代には、あるいは存在価値があったかもしれませんよ。しかし、今日のように、多極化された時代に、しかも中国がすでに国連に加盟をされたというような時代に、こういうものが、なおかつその国に向かって強力な電波を発射して、そしてアメリカの言うことが正しいのだというような放送が、かりにやられるとすると、これは重大問題だというふうに思うのですが、この点も認めますか。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 極東情勢が変わってきつつあるということは、私もそう考えます。つまり、緊張緩和ムードが出てきておる。しかし、これはムードであって、これが定着した状態じゃない。そこで、アメリカ基本的姿勢、こういうものを根本的に変える、こういう時期まで至っていないのが問題じゃないかと思います。そういう流動的な状態下において沖繩返還が行なわれる、こういうことになるわけです。そういう際におけるVOAの扱い、こういうことに着目されると御理解がいただけるんじゃないか、そういうふうに思います。
  17. 野上元

    野上元君 私は、あなたがロジャーズ国務長官ならば、その意見を認めてもいいですよ。しかし、あなたは日本外務大臣として、当初は反対されておったんですから、そういうことを幾ら言われてみても、なかなか、うんと言えないですよ。それが現実じゃないでしょうかね。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 確かに、ただいま私が申し上げましたことは、アメリカ側で非常に強く要望したんです。そして無期限にこれを置いてくれと、こういう話で最後までおりない。わがほうは、それに対しまして、最後まで、直ちに撤去してもらいたいと、こういう要請をした。しかし、沖繩返還協定全体をまとめなけりゃならぬ。そういう際における両国の妥協、歩み寄り、これが行なわれまして、五年の期限、そしてその放送内容について歯どめをとると、こういう方式で妥結をしたと、こういう性格のものでございます。
  19. 野上元

    野上元君 いずれにせよ、あなたは、アメリカ政府代弁もされておるような気がするわけですよね。アメリカはこう言った、日本はこう思った、しかし、アメリカの言うこともわかるというので認めたということですからね、結論的には。したがって、アメリカ立場をのんだわけですから、アメリカ立場を説明されるということはわかりますけれども、しかし、日本外務大臣としては、やはり問題があったんだろうと思うんですね。だから私は、それを指摘しておるんです。こういう問題がやっぱりあなたのほうでは問題になるんだろうということを言っておるわけです。しかし、そういう問題をひっくるめて話をしたけれども結論はこうなったということをあなたは一口で言うから、何もないように思うけれども、実際はその結論が出る前にはこういう議論があった、外務省はこういう考え方だったんだということが、あってしかるべきだと思う。そのことを私は一つ一つ取り上げて、あなたに確認しておるんですが、そういう問題があったんじゃないかというふうに思うわけです。  もう一つの点は、やはりこれがあまり一方的な指向性を持っておる関係で、体制の違う国に対して違う体制の側から、自分の体制が正しいというようなことが、かりにあるとすれば、これは内政干渉の疑いを受けるわけですね。そういう心配もあるわけです、このVOAには。そういう心配はもう全くないんですか。内政干渉だということで文句を言われるという、なには全然ないですか。
  20. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 野上君の言われることもわからないではありませんが、外務大臣は、米国代弁はしておりません。日本外務大臣としてりっぱに働いた。しかし、なかなか米国側要望が強い、そこでどうも決しかねる。で、私のところへ持ってきまして、総理、一体どうしますか、これができないと話が進まないですがと、こういうことですから、これはそれじゃひとつ年限をつけて、そうして撤去してもらうと、そういうことをはっきりし、同時にまた、言われていることは、謀略放送ということを言われるから、そういうことがないという、ひとつ保証を取りつけてくれぬか、そういうことで話をしようじゃないかと、こういうことで私が最終的に決定した。そういう問題でございますから、その点は、外務大臣をどうもロジャーズばりだと言われないように、その点だけは、ひとつ御訂正願っておきます。
  21. 野上元

    野上元君 私は、総理から総括的に答弁された結末についてはわかっているんですよ、もうそうなったんですからね。私ども立場からすれば、残念ながらそうなったんです。なったけれども、そのなる過程において日本立場というものがあったはずだ。したがって、VOAに対して日本は相当発言したというふうになっておるわけですから、議事録を読んでも、愛知報告を読んでも。その中にはこういう問題があったんだろうということを私がついておるわけです。聞いておるわけです。にもかかわらず、押し切られたんだという。押し切られたと言うと、佐藤さんはまた目をむくけれども、そうじゃなくて、沖繩の返還という大問題の前にこれをのんだんだと、言いかえればね。そういうことになるわけです、結論は。その結論はもういいんだ、わかっているんだから。だけれども日本政府としては、VOAに対しては、なおかつこういう問題については真剣に——今後五年間も許しておるんですから、きょうトラブルがないからといって、あしたトラブルがないという保証はないわけです。しかも、今後の五年間、激動と変革の五年間を迎えて、もう一日一日が大切なんですから、一ぺんでも放送をしくじったら、これはたいへんなことになるというふうに思うから私は申し上げておるわけですよ。少なくとも内政干渉があるようなことがあっては、これはたいへんなことになるんじゃないかというふうに思うわけです。だからこそ、あなたは歯どめをかけられたわけなんです。ところが、その歯どめに関して、また、これはいろいろ問題がある。あんなものは歯どめにならぬというわけだ。しり抜けだというわけだ。そういうふうに批判がたくさんあるわけなんです。読んでみると、なるほど、しり抜けのような気もするんですよ。たとえば、歯どめには、いわゆる内容をタッチして日本は常に見解の表明をする権利を留保するということになっておる。これが一つの歯どめですね。そして五年後に撤去するために二年後には協議に入ると、こういうふうになっておるわけです。ところが、最初の歯どめで郵政大臣に聞きたいんですが、これを傍受するための設備は一体いつできるのか、どういう規模でできるのか。大蔵当局とその点はもう話し合いができておるのかどうか、見通しがあるのかどうか、その点はどうですか。
  22. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 傍受につきましては、VOA放送は、御指摘のように、非常に指向性の強いものでございますから、日本なんかではキャッチできないというわけでございます。したがって、幸いに、沖繩の地内の送信所のごく近くで、いま技術的に検討しておりますところでは、南西方六キロないし八キロの地点で全体の放送が把握できるというような場所がありそうでございまして、そこに受信の設備をいたしまして、全部レコードするというようなことにいたしたいと思っております。経費がかなりかかりますので、ただいま四千六百万ほど大蔵省に予算を要求いたしておりまして、外務省外務省で、また翻訳等の問題がございますから、一億数千万要求をされておられますようでございまして、返還までには必ず実現をさせたいと思っております。
  23. 野上元

    野上元君 これは、時間がもうありませんから、後ほど逓信委員会で、ゆっくりまたお伺いすることにいたしますが、二年後に協議に入りまして、そのときに五年後の問題についてお互いに協議するわけですね、この運営について。で、あなたのほうでは、協議がととのわなければ、五年でこの沖繩VOA放送放送をストップするんだと、こういうふうに言っておられる。ところが、新聞等を読みますと、アメリカの国務省の高官談話として、私のほうはそんな約束はしておりません、一応五年で切ることにはなっておるけれども、しかし、切れない場合もある、その点は、何も、すぐ撤去するということは、放送を中止するということは約束しておりませんと、こういうような新聞記事が出ているわけですね。だから非常に問題になると思うのですが、その点はどうですか。
  24. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、はっきり申し上げますが、二年後に行なう協議におきまして結論が出なければ、五年でVOAはその放送を停止すると、こういうふうにいたします。これはこの前も申し上げたんですが、もし存続するにしましても新しい協定を必要とする、あるいは新しい立法を必要とすると、こういうことになるわけなんです。これは、ですから、アメリカが何と言おうと、わが国の外務大臣が、あるいは郵政大臣がこう言っていればそのとおりになりますから、これは御安心願いたいと思います。
  25. 野上元

    野上元君 外務大臣、五年後は、かりに存続するとすれば新しい協定ないし立法をつくるということになるんですね。ということは、存続するという可能性があるということですね。
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 前回も申し上げましたが、もう二年後に話し合いを始めまして、まあ、これをこわしちゃうと、これならもうそれでおしまいです。そうでなくて、問題は、五年後にどこか外国へ——日本以外のところヘアメリカがこの施設を持っていくという際に、その計画ができて工事が始まるわけなんです。ところが、天変地異等のためにその工事が五年後のその時点において完成しなかったという際におきましては、その工事の残存期間だけ沖繩に置くということを考慮するかもしれないと、こういうことなんでありまして、非常に事態ははっきりさしてあります。
  27. 野上元

    野上元君 その場合に、沖繩に置く場合にも、五年を過ぎたら新しい協定、継続協定といいますか、あるいは新しい別の立法によって存続させるということになると、あなたは先ほど説明されたんですが、そういうことになると、また、それじゃそこで五年間という協定が成立すれば、五年間というものが存続するという可能性はあるわけですね。
  28. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 理論的には協定はどういう協定でもできますが、そういうことは日間米では了解はしておりませんです。私どもは、今度の協定に書いてあるとおりに実行したいと、そういう考えであります。
  29. 野上元

    野上元君 その点、ちょっとおかしいんじゃないですか。外務大臣、先ほど答弁されたんですから。外務大臣は、私がこう言っておるんだと、間違いありませんと、こう言っておるんですからね。だから、存続するとしても別の協定を結びますと、こう言っておるんです。そして国会にかけますと、こう言っておる。しかし、そのときもやはり自民党は多数だろうから、通りますだろうと、こういうふうにあなたのほうの腹の中にあるんじゃないですか。そうすると、また五年ないし十年の存続も可能だと言うんです、これは。そういうことが潜在的にあなたの気持ちの中にあるということになると、一昨日来の答弁から見ると非常に違う。私は、協議がととのわなければ、もう五年後はなくなるんだと、こう聞いておったんですが、いや別に、必要な場合には別の協定をつくると、こう言っておるんだから、協定をつくったら何ぼでも置けるということになるんじゃないですか。
  30. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) さような考え方はさらさらしておりませんですから、これは協定どおりに御理解願ってけっこうでございます。
  31. 野上元

    野上元君 再協定ということは、福田外務大臣の頭のすみにもないと言われるんだろうと思いますが、まん中にあるんじゃないですか、頭のまん中に。通貨問題と同じで、円切り上げと。あなたは、そういうふうに言われておるんですからね。もしも存続する場合には別の協定を結んでやりますと、こう言っておるんですから。ということは、とにかく向こうの申し入れによっては存続できるという協定をつくらなきゃならぬということになるんじゃないですか。どこにもないですか、あなたの頭の中に。
  32. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私が、協定を要し、国内立法を要すると、こういうふうに申し上げておりますゆえんのものは、それは非常に、それほどむずかしいもんだと、こういうことなんです。おそらく、五年前にはこういうことを言ったじゃないかと、速記録を出して皆さんから追及を受ける、そういうむずかしい問題が起こるんですよということを私は申し上げておるのであって、協定を結んで、そしてまた延ばすんだというようなことは、ほんとうにこれはもう頭のまん中にも、すみにも、どこにもそういうような考え方はありませんですから、これはすなおに、ひとつ協定どおり御解釈願いたいと、かように存じます。
  33. 野上元

    野上元君 私も、あなたを信用したいと思うのだけれども、すみにもないものがどうしてことばにして出てくるのか、これはふしぎでしようがないですな。どこか発信源があるのじゃないですか、秘密の送信所を持っているのじゃないですか。それが問題なんです。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私の頭にないことがことばに出るわけはないのです。私のことばから、その際には協定は結びますよ、国内立法も必要ですよと申し上げておるのは、逆の意味のことを言っているのです。それほどむずかしい問題です。そういう問題でありまするから、これはほんとうに天変地異等の事態がなければ、五年でおしまいになりますと、また二年後の協議においてととのわなければ、これはアメリカのこの放送は許しませんと、こういうことを裏づけをもって申し上げたいと、こういう意味合いにおいて申し上げておるわけであります。
  35. 野上元

    野上元君 私の持ち時間はもう余すところがないわけなんで、残念ながらどうもしり切れトンボになってしまいました。そして私は、実は極東放送の問題についても時間をかけてお聞きしたいと思っておったのですが、ただ一つ、極東放送の問題についてこの際聞いておきたいのですが、沖繩には、この協定が成立した後に、どういう形になって極東放送が残るかということをいろいろと私も考えてみたのですが、これは非常に複雑なんですね。たとえば、VOAはもう別にいたしまして、あそこにはOHKがありますね。それから民放が二つあります。そのほかに財団法人極東放送というのが一つある、これは日本語を放送する、そして、もう一つの極東放送というのは従来のまま英語の放送を許される。こういうことになっておるわけですね。そうすると、幾つできるのですか。
  36. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) そのとおりでございまして、極東放送は、御承知のようにラジオでございます。ラジオの放送は民放が二つありますわけでございまして、したがって、極東放送が残るということになりますれば英語の放送、それから財団法人の極東放送というものは——英語の放送は会社の極東放送でございますから、財団法人の極東放送ができるということになりますれば、これが日本語の放送をするということになりますわけでございますが、極東放送会社の放送というのは、暫定的に五カ年だけということになっておりますわけでございます。
  37. 野上元

    野上元君 この八条に関連する愛知外相書簡の中に「放送事業」という項目が設けられて、そこに書いてあるわけですが、それには、「日本国政府は、日本国の関係法令に従い、財団法人極東放送による日本語の放送を許す。」となっておりますね。これが一つと、二つ目は、極東放送会社が現在行なっておる英語放送については、沖繩復帰の後五年間この放送を継続することが認められる、この放送日本関係法令に定める条件に従って行なう、こういうふうになっておるわけです。これはどういうふうに違うのですか。
  38. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 日本関係法令に基づいてということは、今度御審議を願っております特別措置法の百三十二条の第一項で、英語の放送は五ケ年間認める、これは復帰のときに、たとえば、免許を受けております英語の放送は、郵政大臣の免許があったものと認める、認め免許でございますが、そうして五カ年許す、日本語の放送については、これはさしむき極東放送会社のものは一カ年間だけこの法律案では認めることにいたしておりますわけでございますけれども、その間、財団法人極東放送に切りかえができれば、これはずっと長く日本放送を認めるということになりますわけでございます。これも、さしあたり日本語の極東放送会社の放送を認め免許で一カ年間だけ放送を許すということになりますわけでございます。
  39. 野上元

    野上元君 この極東放送は島内放送ですね。この極東放送は、いずれも島内放送ですか、海外放送ですか。
  40. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 復帰後は、沖繩県内の放送ということになりますわけでございます。
  41. 野上元

    野上元君 沖繩県内に英語を解する人がどのくらいおるのですか。英語放送をやる必要があるのですか。沖繩県内にどれくらい英語のわかる人がおるのですか。
  42. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 英語のわかる人の人口は、私は見ておりませんけれども、必要であれば外務省のほうから答弁させます。
  43. 野上元

    野上元君 私は、いま事務官僚から話を聞こうと思いません。あなたのほうは、これを免許するというのですから——認めるというのですから、情勢を、ものごとを全部調べた上で認めなければおかしいと思うのですよ。全然英語放送が必要なのかどうかわからないのに、これを五年間も認めるというような、そういう行政のやり方がありますか。それは非常にまずいのじゃないですか。何のために英語が必要なんですか、沖繩に。
  44. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) アメリカの軍人、その家族というのは、英語はもちろんわかるわけでございますが、それと、沖繩県人でも長くアメリカの施政下にありましたわけでございますから、英語を理解するというような人もかなりできているのじゃないかと、かように考えておるわけでございます。
  45. 野上元

    野上元君 郵政当局としては、沖繩に対して英語の放送必要ありと認めたわけですか。
  46. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) これは、御承知のように、アメリカの、外国の法人会社でございますから、電波法では第五条でこれは許されないということになっておるわけでございますけれども、これまた外交折衝上認めざるを得ないということになりましたわけでございまして、したがって、暫定的に短期間認めるということにいたしておるわけでございます。
  47. 野上元

    野上元君 そういう答弁をされると、これは総理に聞かなければなりませんが、郵政当局としては、英語の放送は必要ないと思っておるのだと思いますよ、沖繩に。にもかかわらず、これを置かなければならぬということは外交折衝上やむを得なかったのだ。だから、郵政省もそれに従ったのだという御答弁ですから、総理に聞きたいのですが、VOAがあって、そしてまた極東放送の英語の放送がある。何でそんな二つも必要なんですか。どうしてそれを認められなければならぬのですか。
  48. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いまの極東放送会社は英語と日本語をやっているのです。
  49. 野上元

    野上元君 中国語もやってるでしょう。
  50. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 非常に評判がいい、そしてそういう受けのいい放送でございますが、私どもは、沖繩返還にあたりまして島々の上における米系企業をどうするかと、こういう問題に当面したわけでございます。米系企業は、とにかくアメリカ支配が二十六年続いたわけでございますから、そこで、かなりのものができてきた。それを復帰返還後に一体どういうふうに扱うかということを一般論として考えたわけでありますが、まあ、いろいろ国内法上の手続等はとらせますが、二十六年間、とにかく沖繩の発展のためにも貢献してきた。そういうことも考え、それから日米間の関係ということも考慮いたしまして、原則としてこれは存続ということ。しかし、存続した後においては日本の国内法令に従うわけでありまするけれども、たとえば外資法——自由化されない業種でありましても自由化があったような結果になるように、そういうような認可を与えましょうということにしたわけです。その一環、一つの事例が、この放送なんです。そこで、いまある放送会社を二つに分けまして、そして、いままでの企業は、期限づき、つまり五年間でストップをするところの英語放送、あとは、いままで評判がいいと言われておった、評価も受けておりますので、ずっと日本放送をさせるということにいたしましょう、こういうふうにいたしたわけでありまして、ほかの石油の事業とか、いろいろの事業がありまするけれども、それに対しては、わりあい注意深く扱ったと、こういう感じを持っております。
  51. 野上元

    野上元君 私は、主権国家としての日本という立場から見て、沖繩が返ってくる、しかし、その見返りとして、こういう主権を侵害するようなものが幾つも起こってくるというようなことになると、画竜点睛を欠いておるというような気がするのです。しかも、VOAの問題については、先ほど来いろいろと議論したところですが、このVOAというのは、世界的に有名なアメリカの一つの広報機関です。しかし、極東放送というのは、またちょっと違いますね、性格が。その残す方法が、片一方は、もう全く日本電波法を排除して残しているわけですね、VOAは。ところが、極東放送の場合には、日本電波法あるいは放送法の条規に従って残すわけですからね。そこまでしなきゃならぬ、残してそこまでしなきゃならぬのかということは、だれだって考えるんじゃないでしょうか、これは、常識のある人ならば。何でそこまで——同情的に扱うなんて書いてありますね、愛知交換公文には。なぜそこまで同情的にやらなきゃならぬのかということが私たちの疑問なんです。しかし、あなたは、評判がいいと言っておるけれども、どこが評判がいいのです。屋良建議書によれば、琉球立法府は一致してこれをやめてもらいたいと言っておる。どこで評判がいいですか。
  52. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 聴取者の間におきまして評判がいいと、そういう意味でございます。これは二十六年間、とにかくアメリカの施政が行なわれたわけですから、その施政権下においてアメリカの企業がずいぶん出てくるのです。それを、施政権が返還されましたというので、直ちに業務が停止になる、こういうのもいかがであろうか、そういうふうに考えます。そこで、おおむねの企業につきまして、これは国内法の手続に従って存続を許す、こういうふうにいたしたわけでありますが、特に極東放送会社につきましては注意をいたしましてその取り扱いをきめた。つまり、二つに分けて、英語放送については五年間限り、それから日本放送につきましては、財団法人極東放送というものを新たにつくりまして、完全なわが国の電波行政の一環といたしましての立場においてその営業を免許する、こういう方針をとったわけでありまして、かなり注意したつもりでございます。
  53. 森勝治

    ○森勝治君 関連。  関連でお伺いをしてみたいのでありますが、外務大臣は、非常に評判がよいとおっしゃる。佐藤総理やあなたの頭の中で、われわれと違ったアンテナをお立てですから、あなた方のアンテナがこわれていない限り、キャッチされたのは評判がいいんでしょう。この前私が指摘いたしましたが、沖繩の声が届かなくても、アメリカの声はどんどん入るのですから、協定してどんどん判をおつきになったのでしょう。しかし、あなたは、いま評判がよいとおっしゃるが、沖繩ではこれは完全拒否ですね。五月十七日の琉球立法院は、まさに全会一致で、特殊部隊と同様に、VOAや極東放送施設の完全撤去ということを決議しております。これは屋良建白書でも明白にうたっているはずでありますから、御承知であります。どこをさして評判がいいと言うのか、全くこれは理解に苦しむのであります。  それから極東放送沖繩の民生や復興に寄与してきたというけれども、私は、あなたがそう言ったって、だれが、沖繩の皆さん、また内地の皆さん、本土の皆さんが、信ずるでしょうか。私は、むしろ、それよりも、この外国糸資本の方々が、沖繩で民政府の庇護のもとに、収奪をほしいままにしてきたのではないかということを、われわれは事あるごとにつぶさに指摘をしてきているわけです。あなたの言うようなこととは全然違います。  それから、もう一つ言っておきますが、御承知のように、免許というのは厳重な審査を経て三年間に限って免許をおろし、三年たてばまた次の免許をおろすかどうかということで審査を経るのでありますが、単に愛知書簡ということで、これの英語放送を五カ年間というふうに、厳重な国内法のワクがあるにもかかわらず、そういう書簡で認めるなんということ、これはアメリカに全く押され押されて、押され抜いたのではないかと思うのです。  ですから、私は、いま三点ことあげいたしましたが、どうも外務大臣答弁は合点がいきません。納得ができません。したがって、その点についてお答えをいただきたい。
  54. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いわゆる愛知書簡はわが国の考え方を示したものでありまして、日米間に法律上の権利義務を発生するものではございませんです。日本政府は、米系企業、これにつきましてこういう考え方ですよということを一般的に示したものであります。  それから、もう一つの問題は、何をとらえて評判がいいとするかということでございますが、これは、聴取者の間でもてると、こういうことを申し上げておるわけです。私ども、そういう報告を受けております。そういう意味合いにおいて評判がいいと申し上げたのであって、これは主席がどうだとか、立法院がどうだとか、そういう意味合いのことじゃないんです。
  55. 森勝治

    ○森勝治君 ほかの二点に答えられておらないんです。  それから、評判がよいというのは、評判がよいよいという主観的な表現であります。具体的に沖繩を代表する屋良主席、いわゆる沖繩の政府並びに沖繩の立法院、公的機関で満場一致でよくないと、いただけないと指摘しておるんですよ。あなたは、どこの国の評判がよいというのですか。明確に答えていただきたい、逃げないで。これは非常に大切なことですから、ぼかさないで。時間さえたちゃ何とかなるだろうなんて考えを持たれちゃ困りますから。この前の私の発言と、きょうの発言とに、あなたは答弁の中で非常に隔たりのある発言をされておる。しかし、私は関連ですから、それはここではことあげいたしませんけれども、どうぞひとつ、きのうのことと、きょうのこと、あすのこと、あたかも師走の風の変わる、それのごとき外務大臣の発言ではまことに困りますから、ひとつ千古不易と申しましょうか、何年たっても終生変わることなきおことばをいただかなければ、どうにも納得できません。
  56. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、私の答えが違っているとは思いません。どうも森さんと、この間もやったのですが、全部すれ違いの問答だったように記憶しております。  私は、いま申し上げておるのですが、聴取者の間においてもてる、こういう番組であったと、こういうことを報告を受けておるのです。そのことを率直に申し上げた、そういうことでございます。
  57. 野上元

    野上元君 それは日本語のほうですか、英語のほうですか。——日本語ですね。英語のほうはどうですか。英語のほうは評判いいですか。
  58. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 英語のほうも、非常に聴取者が多いということを聞いております。
  59. 野上元

    野上元君 聴取者が多いというのは、どこですか。それは沖繩以外の聴取者ですか。沖繩島内における聴取者が多いということですか。それはデータがありますか。
  60. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 先ほど外務大臣からもお答え申し上げましたように、一般的に言うと、評判がいいということを聞いております。ただ、聴取者の数はどのくらいであるかということは、私ども、まだはっきりした数字はございません。
  61. 野上元

    野上元君 そういう答弁じゃ答弁にならないですよ、これ。善処してもらいたいですね。評判がいいといっても、そういううわさがあるという程度ですからね、資料がないというのですから。どれくらい英語の放送が聞かれておるか。それが残すに足る放送であるかどうかの資料が全くないのですからね、ただ、あなたのきらうムードですよ。ムードでそういうことを言っておられるわけですよ。これじゃ残すという理由になりませんね。VOAを残し、極東放送の英語放送を残し、そして財団法人日本放送協会の放送会社をつくる、なぜそういうことまでしなければならぬのですか。とにかく評判がいいというやつのデータをくださいよ。データをもらわなければ、これを認める、認めないといっても判断のしようがない。——答弁はいいよ、データをくださいよ。
  62. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) それでは、さっそく調べまして後刻御報告申し上げます。
  63. 野上元

    野上元君 この問題について質問しようとするのに、これではどうも質問しようがないじゃないか。資料がなければ私は判断ができないですよ。資料が出るまで休憩してください。
  64. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  65. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 速記を起こして。
  66. 野上元

    野上元君 それでは、委員長を中心に理事の皆さんでおきめ願ったことに従って質問を続行したいと思いますが、いまの問題は残念ながら質問に入れませんから、後ほどまたその点に関して質問する時間をお与えくださることをお願いして、次に入ります。よろしいですか。
  67. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) どうぞ。
  68. 野上元

    野上元君 郵政大臣にお聞きしたいんですがね。いま、郵政省電波監理行政方針として、各県に波の割り当てがありますね。チャンネルプランといいますか。そういうものがありますね。それによりますと、ラジオについては大体一局、そしてテレビは二局ですか、UHFを入れて二局というような基本方針がありますね。その点、間違いありませんか。
  69. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 詳しいことは、電波監理局長から御答弁させます。
  70. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) おっしゃるように、大体各県に、ラジオにつきましては一局、大きなところでは二局ないし三局。テレビは、各県大体民放につきまして二局、大きなところは三局ないし四局、あるいは東京は五局、そういうことになっております。
  71. 野上元

    野上元君 大体わかりましたが、沖繩の県民は、大体百万ですか。百万というと、日本の県に比較すると、どの辺に当たりますか、佐賀県か山梨県ぐらいですか。
  72. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 大体そうだと思います。
  73. 野上元

    野上元君 この沖繩に、いまでさえ、先ほど私がお尋ねしたように、ラジオ放送は二局あるのですね、テレビも二局あるわけです。ということは、もうすでに、あなたのほうの基本方針から、はみ出ているわけですね。そして、いま電波監理局長が言うように、特に大きな県においてはラジオを二局置いておるところもあるという御答弁ですね。ということになると、この基本方針をきめられたということは、民放の経営状況等にもやはり関係があると思うんですよ。二局でさえ民放として経営が成り立つかどうか、実は心配しておるのです。私も調べたことがないから、わかりませんが、そこにもう一つ日本放送が入る、民放が生まれるということについて、電波行政方針から見て、どうなんですか。どうですか、郵政大臣。
  74. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 新しく日本放送の財団法人を日本で認めるということになりますと、それはもちろん、御承知のように、チャンネルプランを立てなくちゃならぬことになるわけでございまして、県の実勢人口等から申しますと、私は、特に新しいラジオとかテレビが必要だと思いませんけれども、ただ、長年にわたりまして非常に気の毒な状態にあります沖繩県でございますから、特に重点的にそういうような文化施設と申しますか、住民の福祉施設、こういうものにつきましては、他の県よりもむしろ重く考えまして、そういうような放送事業を認めるというようなことにいかなくちゃなるまいというような感じを持っているわけでございまして、もともと、そうした基本的な考え方よりも、むしろ極東放送につきましては、外交上、また、先ほど外務大臣答弁されましたように、長らくそのような放送をやっておりました極東放送の事業というものを突然中止させるということはいかにも気の毒だと、従来の企業の利益を害するということも勘案いたしまして、特に沖繩に限りましては、そのような措置をとろうということにいたしておりますわけでございます。
  75. 野上元

    野上元君 ほかの在来の二つの民放は、どういう意見ですか。もう一つあってもけっこうだと、こう言っておるのですか。
  76. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 在来の二局からは、これは反対であるという御意見が出ております。
  77. 野上元

    野上元君 それは営業が成り立たぬというような考え方から強く在来の二局は反対していると思うのですよ。それを、極東放送がいままでやっておったからこれを引き継いで——突然これを切ることは気の毒だと、だから引き継いでやらせるんだというような郵政大臣の御答弁ですけれども、いままでは、御承知のように、極東放送というのはカリフォルニアのベルモントに本部があるんですね。そして、これは営利事業ではありませんよね。寄付金あるいは補助金というようなもので経営が成り立っておるわけです。したがって、営利は全然関係ないわけです。だから、経営なんていうことを考える必要はなかったのです。しかし、今度は、あなたのほうは、これを極東放送ではなくして——名前は極東放送ということになるけれども日本の財団法人としての一つの民放の性格を持たした新しいものとして出てくるわけですからね。極東放送を引き継いでやらせるということとは全然関係ないわけなんですよ。全然別個の民放をつくるということになるんですよ。そして、ベルモントとは、これは切れなきゃならぬはずですね。何でそれを引き続いてやらせなければならぬという同情的な配慮が必要なんですか。引き続いてやるというんなら、何も日本財団法人をつくらないで、いままでの極東放送で五年間やらせればいい。どうしてそこに財団法人をつくるんですか。
  78. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 英語の放送につきましては、先刻申しましたように、米軍とか、その家族とか、あるいは米系の企業でありますとか、あるいはまた日本人、沖繩人にいたしましても、長らくアメリカの施政権下にありましたわけですから、かなり英語になずんでいる人も多いだろうというように想像されますわけでございまして、英語の放送については、そういう方々が興味を持って受信するということが考えられますわけでございまして、これは日本の内地とは非常に違った趣きだと思っております。日本語の放送につきましては、これはまあ財団法人でございますから、営利を全然考えずに放送する事業体だと、こういうように考えておりますわけでございます。
  79. 野上元

    野上元君 時間が参りましたので、この辺でやめたいと思いますが、どうも時間足らずで、問題の核心に触れ得なかったわけですけれども、まだ発効するまでには相当時間があります。したがって、逓信委員会で引き続いてこの問題については質問していきたいと思います。  で、いずれにいたしましても、いままで私が質問して皆さん方にお答え願ったのですが、なお氷解しない点がたくさんあります。おそらく私一人じゃないと思います。福田さんは、私のようなわからぬのがおるからこういう法律をつくったんだというようなことを言われましたけれども、私一人じゃないと思うのです。相当多数の人が、VOA、極東放送の引き継ぎについては、やはり一つの疑惑を持っておるということは事実だと思うのです。したがって、その点を十分政府は配慮しながら、この問題に対処してもらいたいということを最後に希望して、私の質問を一応きょうは打ち切りたいと思います。  どうもありがとうございました。     —————————————
  80. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 長田裕二君。
  81. 長田裕二

    ○長田裕二君 二十七年ぶりの沖繩復帰を目前にいたしましての、このたびの国会の審議ですが、その復帰そのものも、当委員会で審議されております諸法案の成否あるいは成立の時期にかかっているとも言われておりまして、私ども、その責任を痛感する次第です。  当委員会での審議や、公述人の御意見あるいは国会内のいろいろな審議の機会などを通じまして、今回の復帰に伴う特別の措置は、たとえば第三次の沖繩処分だとか、あるいは本土側の都合でばかり沖繩を左右しようとしているとか、まあ、はなはだしいのに至りましては、毒の入った水を沖繩の人に飲ませるというような見方もあるようでございますけれども、私は、戦時中はもちろん、戦後を通じまして、本土のほうも、飢えと貧窮と、どん底にありました時期も、また相当繁栄していると言われております今日の段階におきましても、一貫しまして日本人ほとんど全部は——ほとんどということばも要らないと思いますけれども沖繩の方々にはたいへんな御迷惑をかけた、まことに申しわけない、何とかしてあげたい、さらに施政権で分離をされておりますけれども、なるべく早い機会に一体になりたい、苦楽をともにいたしたい。ともにするというよりも、いままでのことを考えて、苦はなるべく少なく、楽はなるべく多く与えるようにして差し上げたいという気持ちを持っていると思いますし、政府の施策も、ほぼそういう線に沿ってやってこられたと思うわけでございますけれども、いままであまりそういう声が国会の審議の過程で出ておりませんので、この連合審査の段階で、逓信関係の諸業務に関連して、若干御質問いたしたいと思います。  最初に、いまから二十年前、昭和二十六年、ですから講和条約の発効前、奄美群島復帰の二年前のころですが、沖繩地区、奄美群島地域におりますそれぞれ数百人の向こうの郵政部内におりました職員の人たち、この人たちは、引き揚げという概念には必ずしも当てはまらない、現地で生まれ、育ち、現地の郵政官署につとめておった人たちが、生活事情その他の関連で、どうしても本土に移りたいという希望を強く持ちまして、こちらに——郵政省あるいは電電公社に働きかけてきた。その際、ちょうどこれは第二次行政整理の時期で、いまと事変わりまして、いまは労働力不足ですが、そのころはどうして人員削減をするかということで、それぞれ非常に苦労しておった時期でもございますけれども、そういう時期に、それぞれ数百人の人たちからの強い希望の表明があった。これを、私の記憶によりますと、一人残らず受け入れたと思いますけれども、どういうやり方でその際受け入れましたか、政府委員からでけっこうですが、御説明願いたいと思います。
  82. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 終戦に伴いまして行政権を分離された地区に所在する通信官署に在職する職員の中に、当時、本土に引き揚げたい、かつ部内に就職をしたい、こういった希望が非常に強うございました。具体的に、当時、郵政大臣に嘆願書が出るというような状況でございました。そこで、当方といたしましては、これら職員のうちで本土に参る、そして直ちに部内に就職を希望する、こういう人々につきましては、できる限りこの部内に受け入れるという方針を定めまして、昭和二十六年の九月に、そういったことに関します通達を出しまして、それに基づきまして、そういった措置を実施したわけであります。  その内容について、ごく簡単に申し上げますと、行政権分離当時以前からずっと在職している人たちにつきましては、そういう希望があれば全員引き受けよう、分離後現地で就職した人については極力受け入れよう、また、その内容につきましても、俸給その他につきまして、あとう限り本人の不利にならないような配慮をする、こういったことを実施したわけです。
  83. 長田裕二

    ○長田裕二君 次に、お年玉つき年賀はがきは、終戦後しばらくたってから発行されまして、それについての寄付金をつけることにもなり、その寄付金の配分が毎年行なわれてきたと思いますが、沖繩に対しましても、南方同胞援護会を通じて毎年相当の金額が贈られ、それが施設となって残っていると思いますが、その年次別の金額あるいは施設につきまして、なるべく簡単にお答えを願いたいと思います。
  84. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) お答えいたします。  御承知のように、沖繩地域の住民を援護いたします南方同胞援護会というのがございまして、これを通じまして、昭和三十三年度から現在に至るまで三億五千五百三十万円配分いたしておるのでありまして、その対象は、沖繩福祉病院、中央育成園、血液センター等九か所、十五件の建設にそのような援助を送っておりますわけでございます。
  85. 長田裕二

    ○長田裕二君 本土の各県につきましては、同じような種類のいわゆる多額配分は六、七年に一回くらいしか回ってこないと思いましたが、沖繩については毎年それが行なわれたというふうに私は記憶しておりますが、ただいまのお答えも、そういうような内容だというふうに理解をいたします。  なお、沖繩の電気通信用放送は、それぞれ戦後独自の発達を遂げてきたわけですが、これにつきまして、最近になりまして日本側から支援協力を相当してまいりまして、これが一そう発達をしてきたというふうに考えられますが、その状況をかいつまんでお答えを願いたい。
  86. 森田行正

    政府委員(森田行正君) 年度を追って簡単に説明いたします。  三十六年度、三十七年度に、日琉間マイクロウエーブ回線の建設をいたし、贈与いたしました。次に、四十一年度、四十二年度、先島地区テレビジョン放送設備の建設をいたし、贈与いたしました。四十二年度、四十三年度に沖繩本島——先島間マイクロウエーブ回線を建設いたしまして、贈与いたしました。それから四十三年度には、那覇地区におけるテレビ放送に必要な設備を設置し、無償貸し付けしております。四十三年度には、日琉間テレビジョン用マイクロウエーブ回線を増設いたしております。それはOHK用テレビ一システム、それから民放用テレビ一システム。それから四十四、四十五年度には、老朽局舎の改善のために財政投融資から一億一千万ばかり出しております。それから四十四、四十五年度は、沖繩における郵便貯金の奨励及び簡易生命保険思想の普及に必要な施設等の設置をいたしまして、無償貸し付けをする予定であります。昭和四十五年度には、日琉間電話回線の増設百八十回線をやっております。最後に、昭和四十五、四十六、四十七の三年度にわたりまして、日琉間カラー放送用マイクロ回線の新設をする予定でございます。
  87. 長田裕二

    ○長田裕二君 いま本土では郵便番号制度が実施されておりますが、これは相当前から計画されておったものだと思いますが、その際、復帰沖繩に与えるべき郵便番号、沖繩地域につけるべき郵便番号がそのころからきめられておったと思いますが、その経緯につきまして郵務局長から、なおまた、日本沖繩の郵便制度は、形の上では外国郵便の制度でありながら、実質は内地並み、本土内相互の郵便と同じようなことであったとも思いますが、簡単にその要点をお答え願います。
  88. 溝呂木繁

    政府委員(溝呂木繁君) ただいま先生御指摘のとおり、郵便番号付定のときにあたりまして、将来沖繩日本復帰するであろうことを前提として、郵便番号をとっておいたわけでございます。したがいまして、その郵便番号は東京から始まって南に逐次番号を打っておりますが、鹿児島が八九になっておりますが、その次の九〇番台を沖繩にとっておくということで、当然日本復帰のことを予想して付定しておったわけでございます。  それから、本土と沖繩との間の郵便の制度の問題でございますが、ただいま御指摘のように、当然これは外国郵便で処理すべきものでありますが、特に沖繩間におきましては、これは船便の関係でございますが、完全に本土並みの料金でもって相互に郵便が出せるようなシステムにしておったわけでございます。
  89. 長田裕二

    ○長田裕二君 まあ、通信という特殊性もありまして、同じような制度がやりやすかったというようなこともありますが、今度復帰いたしますと、現在の段階では、まだ相当両方の業務の相違もあるんではないかと思います。こちらではやっておって、向こうでやってないという業務がかなりあるのではないかと思いますが、それらについて郵政省側はどういう手順でその業務をふやしていこうとしているのか、それについての構想をお答え願いたいと思います。
  90. 溝呂木繁

    政府委員(溝呂木繁君) 郵便関係につきましては、沖繩では大体本土並みの制度を、いま、しいておりますが、しかし、こまかく見てまいりますと、速達制度とか配達面における二度配達とか、そういった面、あるいは郵便局の窓口時間の問題、そういった問題につきましては、必ずしも本土並みになっておりません。したがいまして、われわれとしては、復帰後すみやかに本土の制度を沖繩にも施行していきたいと思います。ただ、いろいろ沖繩の特殊事情によって、たとえば窓口時間等になりますと、そこに働く職員等の勤務時間の問題にもからんでまいりますので、そういった点は、いろいろ、労働協約、そういったようなものに基づいて、その窓口時間の延長というものは考えてまいりたいと思います。  それから、なお、速達、二度配達、そういうものにつきましては、運送便、いわゆる飛行機あるいは自動車、バス託送、そういったものの実情によりまして、効果のあがる面のほうから逐次着手していきたいと、こういうふうに考えております。
  91. 長田裕二

    ○長田裕二君 いま日本で、はやっております一種定形、二種の航空送達、普通郵便物でも航空送達にするというやり方は沖繩にまで延ばして実施いたしますか。
  92. 溝呂木繁

    政府委員(溝呂木繁君) 当然、いま本土に行なっております一種定形、二種につきまする航空郵便、いわゆる普通料金で航空で運送するという制度は沖繩にも施行したいというふうに考えております。
  93. 長田裕二

    ○長田裕二君 貯金、保険についてもお答え願います。
  94. 滝本哲郎

    説明員(滝本哲郎君) 貯金関係について申し上げます。  現在未実施のものにつきましては、貯金で、積み立て郵便貯金、住宅積み立て郵便貯金、定期郵便貯金がございます。為替関係で定額小為替が未実施でございます。郵便振替は全面的に沖繩で実施いたしておりません。これらの業務につきましては、復帰後やはりすみやかに本土並みに実施いたすつもりでございます。
  95. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 簡易生命保険及び郵便年金の両業務につきましては、行政権分離後実施されておりませんので、これは復帰の時点におきましてすみやかに本土並みに業務を行ないたいと、かように考えて準備を進めております。
  96. 長田裕二

    ○長田裕二君 沖繩での放送の問題については、先ほどの野上委員の御質問の中にも触れられましたが、公共放送、民放を通じまして、現在とそれから復帰後の状態、まあ直後といいますか、長い目で見てどういうふうになっていくか、そういうことにつきましてもお答えを願いたいと思います。
  97. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。  公共放送につきましては、現在テレビしか放送しておりませんので、復帰後はNHKがラジオにつきまして、すなわちラジオの第一、第二放送をすみやかに実施する。そのほかに、テレビ自体も、御存じのように総合テレビが大部分でございますので、教育放送のテレビのチャンネルも教育放送用の送信機を用意しまして教育放送を実施する、そういうことになっておるわけでございます。
  98. 長田裕二

    ○長田裕二君 民放は……。
  99. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 失礼いたしました。民放につきましては、現在ラジオ二局、テレビ二局ということでございまして、復帰後はそのまま継続する、そして、ラジオにつきましては、日本放送が財団法人極東放送によって行なわれ、英語放送が従来の極東放送株式会社でやられるということでございます。
  100. 長田裕二

    ○長田裕二君 現在、先島地区、宮古群島、八重山群島につきましては通信用のマイクロウエーブはできておりますが、テレビの中継ができないためにビデオでやっておる。そうすると、NHKの朝のニュースが、夕方、向こうで、おはようございますということで始められると、まあ、日本語を間違えてしまうようなことになるんじゃないかとも言われておりますが、それらに対してはどういうようなかまえで臨む方針であるか、あるいはまた、カラーテレビなどが現在沖繩でやられておりませんけれども、そういうものがいつごろ、どの程度これからできていくものか、それらについてもお答えを願いたい。
  101. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) いわゆる先島地区のテレビにつきましては、御存じのようなことでございますので、私どもとしましても一刻も早く同時に放送できるようにということで、従来もある程度調査したわけでございますが、復帰後もさらにその調査を進める。特に現在電話回線、マイクロの電話がございますが、それを利用しまして、実験的に調査をするということで、もしそれがうまくいけば、さしあたりそういった臨時的な措置で、おそらく質はあまりよくないだろうと思いますけれども、先島にテレビを送ってもらおうと思っております。ただし、あくまでもこれは臨時的なものでございまして、行く行くは海底ケーブルを使いまして沖繩本島と先島地区は同時に放送ができるようにしたいと、そういうふうに考えておるわけでございます。  なお、カラーテレビにつきましては、先ほども官房長のほうからお話がございましたように、現在、日本から琉球の本島に対しましてカラーテレビの工事をしておりまして、これがおそらく来年の七月ごろまでには第一回線が完成するということでございますが、年内にはさらに二回線程度を増強するということで進んでおるわけでございますので、そうした暁におきましては、沖繩本島におきましてもカラーテレビが楽しめるということになろうかと思います。
  102. 長田裕二

    ○長田裕二君 電気通信の面につきましても、現在本土と沖繩は相当の違いがあると思いますが、たとえば離島などで昼間だけしか電話の通信を扱っておらない。夜になると、もう全然通信の道もないというようなところも何カ所かまだ残っておる。郵便局があっても、そういう状態であるところが残っておると思いますけれども、これらについてはどういうような方針でその改善を進めていくつもりでありますか、お答えを願いたいと思います。
  103. 牧野康夫

    政府委員(牧野康夫君) お答え申し上げます。  沖繩におきます離島関係の通信は、確かに、先生御指摘のとおり、かなり現在まだ昼間一時間、昼間の一ときだけという状態になっております。これは全体で二十七局あるんでございますが、そのうち、そういうふうになって、二十四時間サービスをしていないところが六カ所ございます。これは、復帰の時点までに、現在の琉球電電公社におきましては、海底ケーブル等でこれをつないで、それを二十四時間サービスに持っていきたい、こういうふうに存じております。また、今度は、復帰後におきましては、これらの回線をさらに完全なものにいたしまして、かつ離島のほうのも手動交換のようなものから自動交換に逐次かえてまいりまして、本土と同様に全国即時通話ができる状態に持ってまいりたい、さよう計画している次第でございます。
  104. 長田裕二

    ○長田裕二君 料金や制度のことについても相当な変化が予想されますが、どういうようなものがありますか、それもお答え願いたいと思います。
  105. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) 復帰後、沖繩の制度、料金は全部本土と同じようなことに運んでおるわけでございますが、概して申しますと、一般的に料金水準が沖繩のほうはかなり高い。たとえば、基本料を那覇局の場合に例をとってみますと、これはドル三百六十円の換算でございますが、ただいま事務用、住宅用、これは区別がないのでございまして、ともに千五百六十六円、これが本土に復帰いたしますと、事務用につきましては千円、住宅用については七百円というふうなことになるわけでございます。あるいは、その通話料にいたしましても、公衆電話は現在十八円、これが十円になる、加入電話の度数料七円二十銭が七円になるというようなぐあいでございまして、特に市外通話、これはたいへん安くなりまして、那覇と名護との間の場合、それは七十二円が二十一円、これは三分の通話でございます。それから那覇−石垣島の場合、これも三分二百八十八円が百八十円というふうに、非常に割り安になると思います。特に、本土−沖繩間のサービスでございますが、これは、ただいまお話が出ておりましたカラーテレビ用のマイクロウエーブの建設を、いま非常な難工事を進めておるわけでございますが、復帰後おそらく三カ月程度の余裕があれば、これによって自動即時のサービスができる。現在二十分ないし三十分の待ち合いの時間があるわけでございますが、これが即時化される。しかも料金は本土並みになるわけでございまして、たとえば東京−那覇間が現在千五十円でございますが、待時式で、しばらくいく間は三百三十円、これが自動化されれば二秒半に七円、東京から福岡、あるいは九州地帯と同じような料金で那覇まで通話できるということになるわけでございます。ただ一点だけ料金の面で違っておりますのは設備料でございます。現在、本年から本土では五万円ということに引き上げたわけでございまして、那覇では現在二十五ドル、約九千円相当の設備料になっておるわけでございますが、これにつきましては、ことしの六月十八日以前に申し込みをされておられる方が、かなり過去までさかのぼってたくさんあるわけでございますが、これにつきましては段階的な料金の減免特別措置をするということで現在運んでいるところでございます。
  106. 長田裕二

    ○長田裕二君 いままでお聞きしました郵便貯金、保険、あるいは電気通信、放送関係、それぞれ業務も相当内容も変わってくる、主としていいほうに変わるわけでございますが、それに関連しまして、たとえば郵政関係では相当業務がふえてくることに伴う増員もかなり必要になるのではないか。あるいはまた、公共放送の面で言えば、テレビでも、現在総合にほぼ相当するものが一チャンネルだけでありますのが、もう一つ一チャンネルができる。あるいはラジオもやる。そういうことに伴うもの、あるいは電気通信につきましても、改善に伴って相当の増員も予想されると思いますが、それらにつきましてのその措置、あるいはまた、OHKからNHKへの職員の異動ですか、移りますこと、そこらにつきまして遺憾のないように、私、郵政大臣に対しまして心から遺憾のないような御措置をお願いいたしますが、大臣のそれにつきましての御所見を承っておきたいと思います。
  107. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私もそのように考えておりますわけでございまして、万遺憾なきを期したい、本土に返ってきてよかったというようなことにしなくちゃならないと思っております。なお、各部門につきましての詳細な御説明が必要であれば、人事局長から説明させます。
  108. 長田裕二

    ○長田裕二君 なお、職員の処遇の問額でございますが、これは、国家公務員、地方公務員、それぞれ一定の基準に従ってなされると思いますが、ある程度事業によって特殊性もある。まあ特例法、郵政職員などについては特例法の適用、公社の職員については公社で定められるものが適用されるわけですが、それらにつきましても、決してひどいことにならないように御留意をお願いいたしますとともに、また、保健関係、健康を保つほうの保健関係、あるいは宿舎その他の厚生施設、従来本土の行き方と沖繩の行き方と相当違っている面がありまして、そういう面から見ますと、向こうのほうが水準が落ちているような感じもいたしますが、それらにつきましても遺憾のないような御措置をお願いいたしますが、これにつきましても大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  109. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) そのことにつきましても遺憾なきを期したいと思うのでありまして、原則としましては、郵政職員あるいは電電公社の職員、国際電電の職員、本土に帰還すると同時に、なるべくすみやかに、そのような状態に持ってまいりたいと考えておりますが、詳細な御説明が必要でございますれば、人事局長から説明させたいと思います。
  110. 長田裕二

    ○長田裕二君 まあ私、時間もありませんので、これでやめにいたしますが、ただいままで数点申し上げましたことは、決して沖繩の人たちに対して善意を売りものにするとか、そういう意図ではございません。冒頭申し上げましたような気持ちから、また、そういう内容が、単に逓信関係だけではなしに、全部に及んでいるというふうに思っておりますが、たまたまこの連合審査ということで、通信関係についてだけお聞きしたわけでございますので、この点、最後に御了解を願いたいと思います。  私の質問を終わります。     —————————————
  111. 長谷川仁

  112. 松本英一

    松本英一君 まず、総理大臣にお伺いいたします。  昨二十四日、夕刊のトップ記事によりますと、ロジャーズ米国務長官は、二十三日の記者会見で、返還期日はまだ決定されていないが、七二年の中ごろのある時期となるであろうと述べておられます。この発言を常識的に解釈すれば、おそらく、返還の期日は六月か七月になると推定されます。この返還の期日から逆算すれば、二月末日までに沖繩返還協定の批准書を交換すればよいことになります。本委員会に付託されている公用地暫定使用法案をはじめとする関係国内法案が、米側が主張するように協定批准の前提であることを認めても、三月末までにこれら関連法案が国会で可決されればよいことになります。  そこで、第一点は、現在の時点でもなお、四月一日返還に米国政府が同意するとお考えになっておられますか。  その二点は、公用地暫定使用法案等、問題となる点が多い関連法案審議のため、このあわただしい年末に会期を延長して、また、本年度予算の年内編成までもあきらめて、これら関係法案の国会通過を意図される理由は何であるか。これら関係法案を次の国会に継続して審議を行ない、国民が抱く疑問点を解明することこそ必要であると考えざるを得ません。通常国会に継続して審査せよとの主張に対する総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  113. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ロジャーズ長官の記者会見、また、その際に話が出た、いわゆる返還の時期が一体いつになるか、私どもは、できるだけ早い時期に返還が実現するようにと思って、鋭意そのほうの努力を続けておる際であります。そういう際に、一昨日のような新聞記事が出ると、たいへん両国の間に準備その他の点で、まだまだ詰めなければならないものが相当残っているなと、こういう感を深くするのでございます。当方といたしましては、ただいま、いままでも四月から七月までの間だと、こういうような言い方をし、特に四月一日返還を強く希望する、こういう態度を申し上げておりますが、いままでのところ、その態度に変更はございません。幸いにいたしまして、皆さんも熱心に関係法律案の討議、御審議をいただいておりますので、私は、今回も、国会が延長になる、そういうことをも考えながら、忙しい年末ではありますが、ぜひこの沖繩関連法案は皆さん方の御審議を得て会期中に終了したい、議決を経たい、かように考えますので、どうかひとつ、よろしくその点はお願いをいたします。  ただいま申し上げますように、重ねて申しますが、ただいま、相手のあることでございますから、まだ返還の時期は確定されておりません。また、私が来春早々出かけるサンクレメンテの大統領との話のうちにも、そういう点を明らかにする、これも一つの私どもの会談の目的であろうと、かように思っております。
  114. 松本英一

    松本英一君 土地暫定使用法案は、従来使用していた沖繩の土地等を復帰後も継続して使用するため、復帰の際生ずる法的な空白を避けるため特別な措置を法制化しようとするものであると説明をされております。しかし、新たに予定されている自衛隊用地に関する限りは、問題は全く異なるものであります。自衛隊は、復帰沖繩において新たに土地の使用が開始されるもので、提案理由の範囲からは説明のできないものがあります。したがって、自衛隊に関しては、関係権利者の承諾もないまま強制的に土地を使用しようとするものであり、従来の土地収用法の体系を全く無視するものであり、憲法第二十九条の財産権に大きく抵触するものと言わなければなりません。  若干、国会の審議を振り返りながら、収用法体系と公共性の解釈及び自衛隊用地との関係について、また、暫定使用するための手続関係から質問、をいたしてまいります。  昭和二十六年、土地収用法の全面改正の審議の過程で、旧土地収用法は、公共事業の対象に皇室の墳墓、軍事に関する事業等を掲げておりましたけれども、新土地収用法では、平和憲法の精神にのっとり、これらの事業を対象事業から削除した旨の説明が、政府委員より明白に行なわれております。また、昭和三十九年五月、公共用地の取得に関する特別措置法の審議の過程でも、土地収用法の体系における公共の範囲の解釈について、当時の建設大臣であった河野一郎氏は、軍施設を「公共の」の範囲に入れるということは適当でない、これはもう社会通念であろうと思うと衆議院建設委員会答弁をされていることも、会議録によって残されております。政府は、現行土地収用法第三条三十一号の条文中の「その他」の中で自衛隊施設用地と読めるとの見解を示しておられますが、非常に無理な解釈ではないのか。土地収用法を所管する建設大臣の所見をお伺いいたします。
  115. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 二十六年、土地収用法が改正になりましたときに、いまあなたがおっしゃいましたように、旧土地収用法に入っておりました国防並びに軍事の事項は削除されたのでございます。したがいまして、そのときに軍の施設が新しい収用法に入っていない云々ということでございますが、それは、土地収用法の新しい第三条の三十一号で読めると、こういうことであったと思うのでございます。それから、三十九年の公共用地の取得に関する特別措置法の河野大臣の言辞が問題になりますが、これは、その質問者の前の部分を読んでみましても、この法律の改正で第八号を入れましたが、その第八号の中に、やはり特定公共事業としてこれを適用するのかという質問者のあれがあるんです。それを受けまして河野大臣が「公共」と、こう言ったんでございまして、あくまでもこれは、この法律の中の特定公共事業というのにはふさわしくないじゃないかということでございまして、前の質問者の質問を受けまして言ったことでありまして、土地収用法が自衛隊の施設その他についての言及はしていないわけでありまして、関係はないわけであると私は解釈いたしております。
  116. 松本英一

    松本英一君 会議録に残っております政府首脳の見解は、すべていま述べました。それらと大きく食い違っておる点、あるいは今日、野党のみならず、法律の専門家である東大の渡辺洋三教授らの学者グループまでが、憲法違反の内容を含むものとして指摘をされております。現行土地収用法は、公共事業の対象事業について厳格な列挙主義をとっており、具体的に事業名を掲げております。それは、憲法二十九条財産権の保障の要請するところであります。こうした法体系の中での「その他」の解釈は極力狭く解すべきものであって、膨大な施設である自衛隊用地をこの中で読み取ることは絶対に許されないことだと私は確信をいたします。国会において明確な解釈が行なわれないままに、既成事実として沖繩での自衛隊用地が土地収用法の対象となることは、土地収用法の公共概念の解釈を不当に拡大し固定化することになると思います。建設大臣の所見をお伺いいたします。
  117. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 学者の議論がいろいろあることも私は知っておりまするが、それは、特定にあげていないからというだけで、いろいろ疑いがあるとかということはありますが、特定にあげていないからということでありまするが、国の行なう事業というものはたくさんございますので、列挙していないから適用がないんじゃないかというふうにも私は解釈していないのでございます。
  118. 松本英一

    松本英一君 それでは、次に暫定使用の手続についてお伺いをいたします。  私有財産を公共のために用いるには適正な手続が絶対に必要であり、これは憲法の法定の手続の保証による三十一条の規定するところであります。告示については、二条二項、暫定使用に供される土地等の区域及び使用方法はこの法律の施行前に告示されるとされております。法律の実質的な部分は復帰日から施行されるが、それに先立って告示行為があるわけであり、この告示はどこでだれがすることになるのか、日本政府は本土で官報でするとしても、それをどのような方法で地元の沖繩住民に周知徹底をされるのか、防衛施設庁長官の所見をお願いいたします。
  119. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 告示をいたしますのは、法律案の二条の二項に規定してありますそれぞれの行政機関の長が告示をいたすわけでございます。告示の方法は官報の掲載ということになりますが、この掲載された内容を、沖繩にあります国の出先機関におきまして縦覧をする、それから、琉球政府にも依頼をいたしまして、その周知をはかってもらう、また、適当な場所に縦覧場所を設けまして関係土地の縦覧をする、こういう方法でその周知徹底をはかりたい、かように考えているわけであります。
  120. 松本英一

    松本英一君 二条三項、土地の区域、使用方法は、この法律施行後遅滞なく所有者に通知するとされております。通知は使用権の効力発生後になることとなり、関係権利者に事前に通知をしないまま使用を開始することになります。この通知行為も一般の場合と逆の手続であり、権利者の利益侵害に通ずるおそれがあります。適正な手続との関連で、どのようにこのことの説明をなされるのか、お伺いをいたします。
  121. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 御指摘のとおりに、二条二項で、あらかじめ告示をいたしまして、そして二条三項によりまして、遅滞なくその区域あるいは使用方法を所有者あるいは関係人に通知をするということになるわけでございます。そこで、この通知を事後にいたしましたのは、事前におきましては、地主をはじめ関係人が多いということで、しかもアメリカの施政権下にありますので、この通知を完全に行なうということが必ずしも保証しがたいということで、むしろその方法としては確実を期する意味におきまして告示の方法がよろしかろう、こういうことで告示をいたすわけでございますが、この通知につきましては、これは本人に通知をいたしまして、その後の損失補償等の手続をやっていただく、そういうために事実行為として通知をいたすわけでございまして、その場合におきましては、その土地の所在地あるいは種類、数量、使用方法等につきまして、十分関係人にその内容がわかりますような方法で通知をいたしたい、かように考えているわけでございます。
  122. 松本英一

    松本英一君 二条二項の告示する内容としては、土地の区域または工作物及び土地または工作物の使用の方法を規定しております。対象物の所在、種類、数量、使用期間等がばく然としており、目的物件が特に規定されておるとは言いがたいのであります。土地収用法の事業認定の告示では、具体的な事業計画、事業期間、図書等が縦覧されることになっておりますが、目的物を特定しない告示は関係権利者の利益を著しく侵害するものと考えますが、御見解を求めます。
  123. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 「前項各号に掲げる土地となるべきものの区域又は同項第一号に掲げる工作物となるべきもの及び当該土地又は工作物の使用の方法」を告示するということになっておりますが、実際には、土地の所有者なり関係人が、自分の土地がその後使用さるべき区域の中に入っているかどうかということを十分に判断できる程度のものでなければならないわけでございますので、お説のとおりに、その区域等につきましては、所在地あるいは区域あるいはその範囲、そして、要すれば図面、こういうものを内容に織り込みまして、自分の土地がその対象となっておるかどうかについて十分に判断できるような資料を整えてこれを告示するということを考えておるわけでございます。
  124. 松本英一

    松本英一君 公用地等暫定使用に関する法律規定する土地の概念について御説明を願いたいと思います。  この法律規定する土地には、海面の下にある土地は含まれないと解するのが正しい。もし海面下の土地でも含まれているとすれば、当然、この法律の中でその旨明記されておらなければなりませんが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  125. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) これは暫定使用の中には含んでおりません。
  126. 松本英一

    松本英一君 現在、米軍は、軍用地内におけるこれらの海没地について、土地とみなして地代を支払っているのですが、政府が今回の協定A表で返還後も引き続いて米軍の使用を認めた八八施設、二百九十四平方キロの土地の中には、那覇軍港地区以外の軍用地内の海没地が含まれていると思いますが、含まれているのか含まれていないのか、明確に御説明願います。
  127. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 那覇軍港内におきます海没地につきましては、お話のように、現在賃借料を払っておるわけでございますが、これは、今回の交換公文によりましてアメリカが埋め立てた土地と交換をするという形で解決をせられることになっているわけでございます。その他の海没地につきましては、これはいわゆる軍用地にはなっておらないと考えます。
  128. 松本英一

    松本英一君 外務大臣にお尋ねします。現在、那覇軍港以外の軍用地内で、米軍が地主に無断で工事用の土砂採取等を行なったため海没地となっているものが、琉球政府の調べで二十三万千三百八十九坪も存在をしております。地主側から多額の補償請求がなされておりますが、これら那覇軍港以外の軍用地内の海没地は本法による暫定使用の対象にはならないと思いますが、念のためにお聞きをしたい。そこで、これらの海没地は本法の暫定使用の対象にはならないが、協定によって米軍に引き続き使用を認める土地のうちに含まれているとするならば、矛盾した関係を発生しますが、この点についての御説明を願います。
  129. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは施設庁のほうの所管でございますので、施設庁のほうからお答えを申し上げます。
  130. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 那覇軍港以外の海没地につきましては、御指摘のように、約二十三万坪ございますが、この海没地につきましては、今度の暫定使用の対象にはならないわけでございます。ただ、米側にその区域としてこれを提供するということは、これは今後の日米間の協議であり得るのではないかと、かように考えます。
  131. 松本英一

    松本英一君 那覇軍港以外の軍用地内の海没地の面積は、琉球政府が市町村からの報告に基づいて一応算出されております。その実態は、軍用地内への立ち入り調査が認められていない現在、正確な把握が不可能であるといわれておりますが、防衛庁はこの正確な実態を把握されているのかどうか、また、今後いかなる方法によってその正確な実態を把握しようとされておるのか、御説明を願いたいと思います。
  132. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 海没地の実態につきましては、現在調査中でございます。
  133. 松本英一

    松本英一君 軍用地内の海没地の実態調査のためには、軍用地内の地籍調査の実施が不可欠でもあります。政府は軍用地内の地籍調査の実施について、米側と、それではいかなる交渉をなされたのか、具体的に御説明を願います。
  134. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 軍用地内の地籍調査は、これはたいへん困難な問題でございますが、現在、御承知のとおりに、昭和二十一年から二十五年にかけまして琉球政府が行ないました土地所有権確認作業、これによりまして、各人の所有権というものがそこで一応確定されまして、それに基づきまして公簿公図ができておるわけでございます。そこで、しかしながら、この土地所有権確認作業自体も、ふなれな人たちが非常に不十分な道具を用いまして測量したというようなこともございますので、それが必ずしも真実をあらわしておらないというところは随所にあると思いますけれども、それを事実に合致させるための再測量ということは、これはなかなかそう簡単にはできない、一カ所を測量いたしますと、それが全体の土地所有者に響くということもございますので、今後は、何かそういう問題が起こりました場合には、やはりその土地所有者を中心といたしまして、その近隣の方々との話し合いによりまして、その土地の区画を訂正すべきものは訂正をすると、こういうふうな作業がなされなければならないのではないか。将来の理想的な形として、すべてにつきましての地籍調査が軍用地につきましても行なわれることが望ましいわけでございますが、従来は、そういうことが、この土地所有権の確認作業の形において行なわれたということでございますので、今後はどういうふうにそれをやっていくかということについて、十分われわれとしても検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  135. 松本英一

    松本英一君 これらの軍用地内の海没地は、米軍が地主に無断で土地の形質を変更したものであります。当然、復元補償の対象となりますが、これら請求権の取扱いについてはいかにお考えであるのか、御説明を願います。
  136. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 那覇の軍港におきます海没地につきましては、従来から賃借料を払っておりました。そこで、その他の海没地につきましても、これも先ほど申しましたように、現在まだ実態を十分把握いたしておりませんので、今後、実態を把握いたしまして、復元補償の問題が起こりますれば適正な補償をする、こういう方針でまいりたいと考えております。
  137. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) ただいまの施設庁長官からの答弁で尽きるわけでありますが、もともと土地所有者の権利を守るというたてまえから申しまするならば、施政権が戻りましてから十分調査をして、こういう問題は行き届いた対策をしてまいりたいと思っております。
  138. 松本英一

    松本英一君 衆議院において、福田外務大臣は、これら那覇軍港以外の海没地について何らかの国内的措置を講ずると答弁をされております。では、すでに地元市町村から補償請求金額が明示をされている今日、具体的に補償の措置を講ずると明確に言明をしていただきたいと思いますが、御見解を求めます。
  139. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 先ほど施設庁長官からも申し上げましたように、軍用地内の調査というのは非常に多岐にわたりまするのと、困難性を伴うわけであります。したがいまして、こちらに施政権が戻りましてから十分調査をするということで御了解を願いたいと思います。
  140. 田中一

    田中一君 関連して。  協定の協議の際には、施政権が日本に戻ったならば、軍用地は全部調査をすることの承認と申しますか、了解をとっておるのかどうか、また、これが時限的に直ちにやるのか、あるいは何年後にやるのかという了解なのか、その点は詳細に、確実性のある答弁をしていただきたいと思います。
  141. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 施政権が当方に戻りますれば、直ちに調査を始めます。調査をいたしました結果、これは防衛庁長官からお答えがありましたように、その実態に応じて適正な処置をする、これが政府の方針でございます。
  142. 田中一

    田中一君 ですから、それを米軍と、アメリカと、はっきりと約束をしているのかどうか。また、そういうのは了解事項として文書を取りかわしてあるのかどうか。時限が直ちにといっても、四月になるのか、五月か七月かわかりませんが、その時点において立ち入りができるのだということを、了解をとってあるのかどうか、これを伺いたい。——これは外務大臣です。
  143. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その立ち入り調査につきましては、話はしておらぬそうです。しかし、現にすでに調査はいたしており、施政権がこっちへ戻ってくるという状態でございまするから、当然私どもは、十分な調査はできると、こういうふうに思っております。
  144. 田中一

    田中一君 それ、一番困るのです。一方的に政府の見解として、できるのだと言っている。また、防衛庁長官は、直ちにやりますと、行動を起こさなければだめです。いままで沖繩基地の周辺を歩いておっても、車をとめると、とめてはいけないといって、ピストルでおどかされる例が現在でも行なわれている。ここまできびしく日本人の立ち入りを拒んでいるところの基地内に、了解なしに立ち入ることは、むろん不可能です。したがって、いまのような答弁を今後もするならば、文書なり何なり了解事項としてきめてあるのだということ以外には信ずることはできないのです。したがって、その点が明確になるまでは、松本君、いまの質問は続けておいていただきたいと思います。
  145. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 御心配の点は、私、ごもっともだと思うんです。しかし、これは、いま外務大臣がお答えしましたように、施政権が戻ってまいりますれば当然立ち入り調査ができるものと理解しておりまするものは、現在米軍側と土地所有者とが話し合いで一応の賃貸料がきまっておるわけでございますが、それを今度本土に合わせまして、また、本土以上にひとつ賃貸料を改めていこうというわけです。したがいまして、復元補償の問題にしましても、継続契約の場面にしましても、地主と話し合いをしてまいります段階に、御心配のような申し出が地主側からあった場合、それを無視して、あとの賃貸料決定というわけにはまいらぬと思いますので、事務的折衝の間に十分ひとつこれは話し合いをし、調査すべきものは調査をして、地主側に不利がないようなあんばいをはかっていきたい、こう考えております。
  146. 田中一

    田中一君 防衛庁長官並びに外務大臣の心情はよくわかるんです。よくわかるだけに、そうした文書の取りかわしなり、あるいは完全な了解がなくては不可能だということは内地においても同じなんです。したがって、軍事目的を持つ、ことに戦闘基地として持っているところの沖繩が、あらゆる面において、日本人の調査とか、あるいは見学等を拒んでおる現状からいって、施政権が返還になった直後に必ずそれはできるんだという観念的な議論は国会ですべきものじゃないです。正しく、協定を結ぶ事前において、このように覚え書きなら覚え書き、念書なら念書を取りかわしてあるんだという前提がなければ国会で発言しちゃならないんです。この点をしておらぬということになるならば、いままで皆さん方が、るる衆議院においても説明している、あるいは答弁していることは虚構であると言わざるを得ないんです。その点は、ひとつはっきりしていただきたいと思う。
  147. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 請求権の問題は、海没地に限らず、これはもう無数にあります。そこで。しかしながら、その実態はつきとめなきゃならぬ。その実態をつきとめるにつきましては米軍の協力を得なければならぬ問題もあるわけです。しかし、施政権が日本に戻ってきたと、そういう段階になりますれば、われわれはその協力を強力に求めるという態勢に移れると、こういうふうに思いますので、請求権の実態を調査するという上におきましては、これはまあそう支障のあることはあるまいと、でなければ、その際外交折衝をいたします。
  148. 田中一

    田中一君 これは総理に伺っておきますがね。その気持ちはよくわかります。事前にそういう協定書の覚え書きを取りかわすことが不可能であったということの証拠なわけなんです。したがって、論理的に施政権が日本に移るならばできるはずだという答弁をしているんですが、まあ私は関連で質問しているから、総理から、総理の信念として、日本政府の代表としてアメリカに対しては必ずそれを実行するという約束をここで取りかわさなければ、ここで表現されなければ、これは国民がばかにされていることになります。しいて言えば、防衛庁長官外務大臣が、だまされている、善意に解釈して。あるいは虚構のことをここで国会で表現する、表明するということになりますから、それに対する裏づけの総理答弁をお願いいたします。
  149. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま外務大臣が申しますように、施政権が返ってくれば当然われわれの権利としてこれはやると、これだけじゃ不十分だと、前もってそういう約束を取りつけろ、こういうお話ですが、私どもは、ただいま同盟国、そういう関係にございますから、ただいまのことは十分行なえると、かような確信を持っております。なお、そういう点で問題が起こる、こういうことになれば、当然これは政府の責任でございます。われわれが善処すること、これはもう田中君御指摘のとおり、私どもも万全を尽くしてこの問題と取り組むつもりであります。すでにもう御承知だと思いますが、米軍基地内のこの土地、これは実際変形され、その区域も旧所有者との間の問題、これはずいぶん至るところにあると思います。したがいまして、この実地調査をしない限り、土地調査をしない限り、十分の権利が実行できないこと、これは私どもにもよくわかりますから、そういう点は、いわゆる問題を起こさないで、両国の間で話をつけていくと、こういうことに取りはからいたいと、かように私は思っております。
  150. 松本英一

    松本英一君 防衛庁にお尋ねします。  民有地、公有地で、沖繩と九州の板付の軍用地賃貸料は、沖繩は坪当たり五十七円六十銭、九州の板付は四百十円四十銭、このように資料が出ておりますが、これは沖繩地主会連合会の資料によったものでありますが、このとおりに理解してよろしゅうございますか。
  151. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 沖繩の場合と本土の場合、全体的に申し上げますと、沖繩の現行借料単価は一平方メートル当たり十七円十七銭、本土の場合におきましては二十七円四十銭ということでございます。そこで、これはまあ、土地の価格なり、あるいは実際の賃貸借の事例等が、それぞれの土地に応じまして異なりますので、一がいにこれを比べるということは必ずしも適当でございません。  そこで、いま御質問の板付の問題でございませが、板付につきましては、本年度の借料額が一平方メートル当たり二百五十五円六十一銭ということでございます。そこで、試みに、この嘉手納飛行場あるいは那覇飛行場について、地主会連合会の要求額を見てみますと、一平方メートル当たりで、嘉手納飛行場が二百九十三円四銭、那覇飛行場が二百九十九円四十三銭ということでございますので、まあ、ほぼ似通ったところでございます。  なお、これは、沖繩の場合は、現在の要求額でございますので、最終的にはこれから決定をすると、こういうことになるわけでございます。
  152. 松本英一

    松本英一君 この賃貸料を見ましても、沖繩のほうが非常に安いというのがおわかりになったと思います。  それでは、沖繩における建設業の保護育成については、戦後二十六年の間米施政権下にゆだねられ、独自の経済圏を形成してまいりました。中でも、米国の自由経済主義的な政策のため、地元企業保護育成の見るべき施策もないまま今日に至っております。特に、狭隘な市場を対象に存立してきた建設産業は、激しい競争で、非常な苦慮と、米軍基地関係工事に依存するという不安定な状態で成長してきたために、その企業の体質は、資本力においても本土大手業者に比べて虚弱であります。この沖繩建設業が置かれてきた事情を十分に考慮して、復帰後、当分の間、国または公団等の施行する公共工事等は、国の定める資格または免許にかかわらず、沖繩県内で行なわれます工事について、地元建設業者に優先権を与えていただけるかどうか。また、本土の大手業者の沖繩への進出は、その及ぼす影響が非常に大きいのでございます。当分の間、沖繩への進出を自粛されるように、政府の積極的な行政指導を強く希望する旨、地元の琉球建設業協会からいろいろな陳情が出されておることは建設大臣も御承知でございましょう。これらの沖繩建設業の実態についての所見をお尋ね申し上げるものであります。
  153. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 復帰後におきましては、公共の工事も相当に多くなります。しかし、多くなるからといって、私たちは決して本土の業界につきまして、この沖繩への進出をすすめるつもりは全然ございません。のみならず、自粛してもらいたい。何と申しましても、沖繩のこれまでの公共事業が多かったといいましても、あまり多くないんです、これはずっと比較して見まして。まあ佐賀県の公共事業よりもずいぶん少ないぐらいです。しかも、業者は相当に多いわけでございます。したがいまして、今後はこの業界の育成のために建設省としては力を入れたいと思っております。この方法につきまして、私も現地に行きましたら、もう建設業界が一番心配しておるところで、工事がずいぶん飛躍的に増加するから、どっと押しかけてくるんじゃないかということを非常に心配をいたしておりますから、建設省といたしましても、この工事の基準等につきましても、中小企業のやる基準、大手のやる基準、こういうものは厳格に守らして、業界の育成強化につとめたいと、かように考えておるものでございます。
  154. 松本英一

    松本英一君 大臣、それでは入札参加資格の一条件になります等級別、いわゆるランクの問題についていまちょっと触れられましたけれども、それではどのようなランクを適用されるのかどうか。本土並みの現在の業法できめられておるランクを適用されるのかどうか、その点、伺いたい。あるいは幅を持っておられるのかどうか。
  155. 西村英一

    国務大臣西村英一君) ランクでございますが、これは、直轄工事は、本土におきましては五段階、ABCDEと五段階になっておりますが、本土の直轄工事はやっぱりそのランクでいきたいと思っておりますが、なるべく進出させないようにということでございます。それから沖繩県でやるものは、これは県独自のランクをつくります。いま沖繩で行なわれておりますランクのつけ方は、内地より一段階多いようでございます。特Aというのがございます。しかし、私は、特Aといえば沖繩の業者でできないというような印象を受けるから、やはり県も、干渉するわけじゃございませんが、特Aなんというランクをつくらぬほうがいいんじゃないかということを思っております。しかし、沖繩の県がつくりたいというなら、これは県の自由でございます。そういうふうに考えております。
  156. 松本英一

    松本英一君 復帰と同時に大企業が沖繩に進出するとした場合、これは地元のランクの業者ではおそらく不可能であるという大型工事が発注になると思います。この場合において、いわゆる共同企業体、ジョイントベンチャーの方式を採用される意図があるのかどうか。それと同時に、沖繩県の市町村の実施する公共工事の入札参加について、国と同様に、積極的に地元業者優先の原則を貫くという建設業法の今度の審議の附帯条項の中にも盛り込まれておるように、これはぜひ実施をしていただきたいと思いますが、建設大臣並びに自治大臣にお伺いをいたし、また、このような行政指導をされることを望むものでございます。
  157. 西村英一

    国務大臣西村英一君) ジョイントベンチャー方式、ジョイントベンチャー制度、これは非常にいい面を持っておるわけでございます。もし沖繩の業者で絶対にできないというような、技術上非常なむずかしい仕事がありましても、やはり地元の協力がなければ、あるいは地元をよく知っておる業者がなければ、やはりやれないことでございまするから、そういうときは、やはり地元の業者とジョイントベンチャーをやっていく。それから、非常に中小企業が多いわけです。ほとんど九九%までが中小企業でございます。いわゆる中小企業法による、資本金が五千万円以下、従事員が三百人以下というような業者ばかりでございます。したがいまして、それらの業者は、やはりこれも共同でやっていかなければ費用も続きませんし、あるいは能力も続かぬというようなことでございまするから、端的に申しまして、ジョイントベンチャー方式、共同企業体方式を活用してまいりたい、かように考えております。
  158. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 地方公共団体の行ないます工事請負契約につきましては、競争入札に参加さすものの資格要件を地方自治法施行令によりまして定めろと、こういうことになっておりますが、公共団体は、大体におきまして、過去における経験あるいは他団体の基準等を基準にして自主的に決定いたしております。もちろん、この規定は、工事が適正に行なわれるという目的のために行なっておるのでございまして、私たちは、その運用が、いま申しましたような目的のとおりに行なわれるように運用を指導いたしております。しかしながら、その実態を見ておりますと、各地方公共団体は、地場業者を育成する、これも地方自治団体の非常に重要なる任務でないか、このように考え、そのような観点から、いまの基本方針のもとに実際資格の要件決定を行なっておるというのが実態でございます。沖繩も、沖繩の実態に即しまして、ただいま申しましたような地場業者育成という観点も含めて、基本方針のもとにきめられるものと私たちは期待いたしております。
  159. 松本英一

    松本英一君 建設大臣にお尋ねをいたします。  沖繩における公共工事の前払い金保証制度は、本土に比較して、たとえば本土では四〇%が実施されておるにかかわらず、三〇%しか実施されていないほど不十分でございます。同時にまた、前払い金保証制度による保証料の金額でございますが、百二十日の日数の保証料は、本土が六千八百四十円であります。沖繩は、現在一万四千三百九十二円であります。倍以上の保証料を支払っているのが沖繩建設業界の実情であります。これは、おそらく西日本建設業保証会社と一緒になって、率も同じになるだろうと期待をいたしておりますが、私が言いたいのは、貸したものの代金は本土より安い、そうして逆に出すほうの金は本土より倍以上も出すというような、このような実情をよく御承知を願いたいということであります。  そこで大蔵大臣にお尋ねをいたします。  租税特別措置法の第四十三条によって合理化機械等の特別償却が認められてございます。タワークレーン、トンネル堀さく機等であります。その購入の初年度でいろいろな償却の便法をはかっておられまして、これは来年の八月の三十一日まで延期されておりますので、これはけっこうであります。次に、中小企業用の合理化機械等の償却については、これは一部来年の三月三十一日まで延期されておりますが、この中でブルドーザー、パワーショベルなどは除外をされております。それから、中小企業者の機械等の割り増し償却、これも四十六年四月十九日で切れております。中小企業を育成するというためにできたものが、あるいは削除になり、あるいは廃止になるということになります。今日まで沖繩においてはこのような租税特別措置法の適用は受けていないのです。したがって、復帰後においてそれ以上のものにかわる特別措置の方法を大蔵省としてお考えであるかどうか、御答弁を願います。
  160. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 前渡金の御答弁を先にするということでしたので……。御質問の来年の三月三十一日までになっておる機械の指定期間につきましては、この対象機械の改正をただいま検討しておりますが、その中で、おっしゃられたような機械は、すでにいままで指定されて、その優遇が済んでおって、これは終わった機械もございますので、そういうものをどうするかというような問題もございますが、法律の趣旨は、大体企業の近代化、合理化の目的に沿った新しい機械であるというようなことでございましたので、この検討はいまやっておりますが、いずれにしましても、来年の三月ではいけませんので、この期間は延ばしたいと思っております。  それから、沖繩につきましては特に青色申告者に五年間三〇%増しの償却を認めるということ、近代化促進法の指定する業種とか、構造改善の業種につきましては五年間本土の企業よりも五〇%増しの償却を認めるというような改正をいたしたいと思います。
  161. 松本英一

    松本英一君 最後に、総理にお尋ねをいたします。  いままでの質問の中で、沖繩の事情も、建設業界の事情も、よくおわかりになっていただいたと思います。また、いろいろな今度の法律に関しまして、衆議院においては、審議を終える段階で与党の一部の中にも、この法律に対する沖繩現地の要望を入れて暫定使用する期間を五年から三年に修正する動きがありましたけれども、結局修正をざれずに、政府原案のまま参議院に送付されてきましたが、総理は与党の総裁として、参議院段階で暫定期間を三年に短縮する与党一部の意見に従う意思があられるのかどうか、御決意をお伺いしたいと思います。
  162. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの点は、簡単にお答えすれば、私は、皆さんの審議の尊重をする、かように申し上げる以外にございませんが、ただ、政府が五年というものを出したのは、沖繩の特殊事情等をも加味し、その事情のもとに五年の暫定法律、こういうものを出したのでございますから、それらの点において御理解がいただけ、また、その後の処置の問題について十分御審議を尽くされれば、政府は、皆さん方のその決定をどうでもこうでも原案どおりでなければならぬ、こういう強い反対意見、そういうものは持っておらぬ、十分審議は尊重する、そういう状況でございます。
  163. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      —————・—————    午後一時五十四分開会
  164. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会逓信委員会建設委員会連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。塩出啓典君。
  165. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、きょうは建設関係と逓信関係の両方について質問したいと思います。  最初に建設関係の問題でございますが、水の問題でございます。  沖繩の将来の発展には水資源の確保が非常に大事であることは当然でございますが、まあ予測では、かなり水需要に備えて供給力が弱いのではないか。そういう点で、沖繩は、非常に雨がたくさん降る、しかし、雨が台風とつゆに集中をして、しかも河川が急峻であるために、川がいたみやすい。そういうような、非常に雨はたくさん降るけれども、水資源の獲得は少ないという、そういう不利な条件があるわけでございますが、今後の沖繩の水の需要に備えて、その開発可能量の水資源は十分あるのか、まだ日本政府としての調査が非常に不十分であると、私はそのように聞いているわけですが、その点についてお願いしたい。
  166. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 現在ありますダムでもって、毎日三十万トン・パー・デー送っております。福地ダムができますと、これはさらに一日十万トンの能力がありますから、来年は四十万トンの送水ができると思います。それから東海岸で、新川外二河川で、これが十二万トンぐらい取れます。これは、さっそく三河川とも調査にかかっておりますので、可及的すみやかに着手したいと思います。さらに、西海岸のほうに、小河川ではございまするが、やはり三河川ほどありまして、それもやりますから、結局、そういうものを合わせますと、本島におきましては五十二、三万トンの送水はできると思っておる次第でございまして、そうすれば非常に楽になると思っております。幸いに、御案内のように、雨が降りましたが、やり方によっては本島においては絶対困らないと、かように思っております。
  167. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まあひとつ、水の問題は、遠い将来を見通して、建設省としてもまだ調査も不十分のようでございますので、そういう点は早急に調査をして、長期的な見通しに立ってやっていただきたい、このことだけ要望したいと思うんです。  それで、問題は、やはりコストの問題だと思うんですね、水のコスト。御存じのように、沖繩は今後経済的に発展していく、そういうのは、むしろ沖繩の中部、南部にかかっているんじゃないかと思うんですね。そうすると、水資源は大体北部のほうに多い。そうなりますと、だんだんダムの建設コストも高くなりますし、また導水管も長く引かなければならない。そういう点で、水のコストというものは非常に高くなってくると思うのですね。そういう点で、ダムの建設についても、日本の本土と同じようなシステムでやったんでは非常に高くなるのじゃないか。特に工業用水等については、いま上水道水よりも高いと聞いておるわけですが、そういう将来の水の価格の対策については、大体まあどれくらいになるように——また、政府は、これ、十分の十以下の補助をするというわけで、一〇〇%補助すればそれはいいわけですが、そのあたりがよくわからないのですけれども、大体コストについてはどの程度にしていくつもりなのか、これをお伺いしたいと思うのですが。
  168. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 確かに、御指摘の点が、水資源の確保に付随して当然考えられなければならないことでありますので、補助率については、北部のダム群——福地ダムの完成を含めて十分の十、石川浄水場までの主要導水管については、工業用水部門、水道部門、いろいろありますけれども、しかし、やはり十分の十で工事を完成さして、石川浄水場からさらに引っぱっていきます上水道あるいは工業用水道等は、利用料率の問題がありますから、四分の三というつもりでおります。したがって、目的は、現在の沖繩で維持されている価格というものが上昇しないような、その他の手段もあわせ行ないたいと思いますが、この手段をとれば、おおむね大体現在の水の価格は維持できると考えております。
  169. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 大体現在の水の価格よりも高くならないように、これは上水道もと、そういうことでございますので、次に移ります。  それで、離島で水のないところが非常に多いと思うのですが、私も先般参りました池間島とか、あそこに水がない、それからまた八重山の黒島も水がなくて、いろいろ、タンクなんかを手を打っているようですが、本年も非常に干ばつで、牛がばたばたやられたり、そういう問題があるわけですね。水というのは人間にとっては一番必要なわけで、そういう点で、私は、これは、憲法に保障された最低限度の生活を維持するためにも、そういう離島の上水道水については経済性を度外視してやっていかなきゃいけないと思うのですがね。そういう問題はいつごろまでに解決するのか、その点、どうですか。
  170. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 池間島については、すでに本年度予算で措置をいたしておりますから、年度内に完成していく予定であります。さらに、いま言われました黒島、新城島は、幸い西表から海底導水管を引っぱれば供水可能でありますので、その間の若干の天水貯水槽等はすでに予備費で支出をしておりますけれども、しかし、その海底送水管については十分の十の国の補助率をもって実施したい。したがって、利用者の負担なくそれが完成することになります。そのほかにも、宮古本島から来間島、あるいは勝連半島から津堅島、そういうところにもやはり海底送水の施設を十分の十で行なうということで、すでに調査も終えて、来年度は着工する予定であります。
  171. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、建設は終わりまして、次に逓信関係の問題についてお聞きしたいと思います。  それで、まず最初に、私は、VOAの問題、これは衆議院におきましても、また先般もいろいろ問題がございまして、できるだけまあ重複を避けて質問をしたいと、このように考えております。  そこで、VOAは、これはまあ日本電波法の特例として、今回五年間で認めておるわけでございます。これについて——外務大臣、ちゃんと目をさまして、ひとつ、これから外務大臣のところに入りますから。まあ、アメリカ側主張では、VOAはこれは非常に平和的な活動をしているんだと、だから緊張を刺激するような行動はしていない、世界の各地にそういうものを置いているわけだから問題ないと、そう向こう側は言っておるようです。で、福田外務大臣も、午前中の答弁では、共産諸国から文句も出ていないし、刺激することにはならないと、そういうように断言されたわけですけれどもね。まあしかし、私は、VOAのそういう放送の内容等を見まして、外務省がそういう判断をされることが非常にぼくは不可解なわけですよ。先ほども、極東放送の問題で、評判だと、評判がいいと。けれども、こういう大事な問題は評判できめるようじゃ困ると思うのですね。先ほど、やじもありましたけれども、評判で言うんだったら、佐藤さんも評判が悪いからやめなきゃいけないと、そういう話もありますしね。国の大事な問題は、やはり慎重に検討していかなきゃいけないと思うのです。そういう点で、外務省としては、このVOAというものが共産諸国に対しても刺激にならないというのは、どういう点から断言されているのか、どういう資料に基づいてそういう結論を出したのか、それを伺いたいと思います。
  172. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 一つは、アメリカの解説であります。説明であります。それからもう一つは、わがほうにおきましても、幾らかテープを、抜き取りをいたしまして、そして調査をいたしております。そういうことから判断いたしまして、これはアメリカ政府の言うがごとく平和的なものであると、こういう判断をいたしたわけであります。しかし、何ぶんにも、わが国の国土において外国の機関による放送が行なわれる、これは重大事であります。そこで、しばしば申し上げておりまするとおりの歯どめ措置を備えた上、期限を付してこれを認めようと、こういうふうにいたしたわけであります。
  173. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いまの外務大臣答弁は、一つはアメリカの情報であると、一つはテープを自分で聞いて、それで判断をしたと。しかし、こういうものごとというのは、なかなか、放送にしても、現在、番組の内容がいいか悪いかという点についても、これは非常にむずかしいわけですね。こちらがほんとうにいいと思っても、共産主義国家がやはり刺激に感ずる場合もあると思うんですよ。たとえば、これは衆議院でも問題になりましたけれども、北京外交は二面的だとか、ソ連スパイの暗殺物語とか、そういうようなことをやはりやっているわけですね。そういう点で、共産主義国家の人たちが、それを聞いた人がどういう感じを持つかということを、外務省は、全国に大使館もあり、大使、公使もおるわけですから、やはりそういうところの情報を集めるなりして、もっと慎重にぼくは検討すべきじゃないかと思うんですね。アメリカの言いなりと、それからテープを見ただけで、それでこういう大事な問題に対して外務大臣が国会で、刺激的でないなんていう答弁をするのは、私は非常に不見識じゃないかと思うんですけどね。もちろん、大使館は、そういう共産主義国家、ソ連のように、いまないところがありますけれども、そのまわりに聞けばわかるわけですから、そういう情報も集めたんでしょう、外務省は。
  174. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いずれにいたしましても、返還前と返還後は非常に違ってくるんです。返還前におきましては、わが国の施政権のない地域における放送であります。ですから、いろいろなことがあったと思うし、それにしても、そう刺激的なことではなかったというふうに解説されているわけです。しかし、今度は、返還後は、わが国とアメリカ合衆国との間の協定によって運営をされるわけであります。で、番組につきましては、アメリカ政府においてこれは全責任を負うということになりまするけれども、わが国はわが国の立場からいろいろな意見を具申することができる、アメリカ政府はこれに対しまして日本意見を尊重する、こういうことになっておりまするので、いまのVOAと返還後のVOAというものを同じに比較されちゃ困るのです。返還後のVOAの運営につきましては、これは、いやしくもわが国の施策、こういうものに反するようなことがありますれば、警告を発し、アメリカ政府をしてこれを尊重せしめると、こういうふうにいたします。
  175. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 外務大臣は私の質問には答えていないんです。あなたは返還前のテープを見て云々されたわけでしょう。返還後はどうの、これは先のことはわからない。ごまかしちゃいけないですよ。私の聞いたのは、そういう外務省の大使や公使、領事館を通してそういう意見も聞いたのかと。そのためにやっぱり出先機関があるわけでしょうが、それに対して答えてないじゃないですか。それはどうなんですか。
  176. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) お答えいたします。  VOAの交渉の過程におきまして、われわれは在外公館を通じまして、まずVOAのある国々の国内におけるVOAの取り扱い、あるいは協定の内容、あるいは評判その他の意見を求めましたし、それからまた、VOAの交渉の最中に、こういう問題につきまして意見のある在外公館はわれわれに電報をいろいろよこすはずでございまして、いままでのところ、共産圏から特に目立ったそのような意見具申が来てない、こういうことを見ますと、在外公館長においても特にVOAについて意見がなかったと、こういうようにわれわれは考えて本件の交渉を行なったわけでございます。
  177. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ、いま各在外公館に対するどういう指示をしたのか、また、どういう返答が来たのか、それはひとつ、あとで文書でですね——われわれも、影響がなければ、それはまだいいですよ。これから中国との国交回復をしていこうというときに、まあ、こういうことで、友好関係、平和外交、佐藤総理がいつも言うように、どこの国とも仲よくしていくという、それをわれわれは心配するわけなんですから、そういう資料を提供していただきたいと思いますが、その点はよろしいでしょうか、外務省
  178. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) この問題は、交渉の過程におけるわれわれの内部関係の問題であり、かつ交渉の内容とも関連してきておりますから、私のいま先生に説明した範囲以上のことは申し上げられません。
  179. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そういうことでは、これはたとえば、ソ連の国はどういう感じを持っているとか、そういうことをこの場で、われわれはやっぱりそれに基づいて、はたしてこれがどうかということを検討していくわけですからね、こういうことでは、これは質問は続けるわけにはいかない。そんなに秘密文書ですか、外務大臣。まあ、そのときの文書がなければ、どういういきさつであったかということを紙にまとめて出してもらってもいいと思うんですよ。総理からひとつ、出すように言ってくださいよ。これで審議がとまったら、あなた、困るじゃないですか。
  180. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 説明のかわりに、文書を書いて出します。
  181. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、いつまでに出すかということですが、これはひとつ早急に、あすぐらいまでにお願いしたいと思うんですよ。  それから、VOA放送に対して妨害電波を出している国があると、そのように私聞いているわけでございますが、この実情はどうなのか、政府はつかんでいますか。
  182. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。  ある程度出しているということは私どもも聞いておりますけれども、どこの国がどれだけ出しているかという的確な資料は持ち合わせておりません。
  183. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それはどうなんですか、私の調査では、いまのところ、ブルガリア、東独、中国、キューバの四カ国が妨害電波を出していると。それが郵政省として調査できないんですか、わからないんですか、そんなのは。
  184. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 御存じのように、VOAというのは短波で指向性が強いわけでございまして、日本国内におきましては、ほとんど受けることができないという状態で、私どもも、監視所というのがございまして、そこで調査もしたわけでございますけれども、的確な調査ができかねるという状態でございます。
  185. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 外務大臣、ともかく、いまも電波監理局長の話がありましたように、そういう妨害電波を出している国もあるんです、どこかはっきりわからないけれども。ということは、このVOA放送共産主義の人たちがほんとうに喜んでいるわけは絶対ないと思うんですよ。そういう点で、こういう大事な問題をそう軽々しくですね——政治的な発言だと私は思うんですけどね、そういうように、刺激を与えない、そのようなことではなしに、もう少し、そういう点を慎重に検討してもらいたい。だから、刺激を与えないなんというような発言は取り消すべきじゃないかと思うんですけれども。もっと慎重に、もう一回検討してもらいたいと思います。その点、どうですか。
  186. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) さらばこそ、日米協定で、日米間で取りきめをしているわけなんです。わが国といたしましても、意見も申し述べる、アメリカはこれを尊重しますと、こういうことになっておる。慎重に今後いたします。
  187. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 だから、結局、外務大臣はやっぱり内心においてはちゃんと認めているんですよ、そういうVOAが非常に刺激するおそれがあるということを。だから、傍受もやるとか、そういう協定も結んだんじゃないですか。これは、まあ、あなたに認めたということを言わせたからといって、別に何も前進はないんですから、そういう点は聞きませんけれども。  それじゃ、いろいろ内容の問題について傍受をする、このように郵政大臣はたびたび答弁をしているわけです。午前中においても、そういう場所はきまってないけれども、すでに大蔵省には予算を請求しておる、そのように私は聞いておりますが、VOA放送はかなり電波の数も多いし、中国語、ロシア語あるいは英語、朝鮮語と、そのように多岐にわたって、かなりの経費もかかると思うんですけれども、大体何人で傍受をやる予定なんですか、そういう人は。
  188. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。  現在、私ども沖繩には監視所というのがございまして、そこの人間も活用する予定でございますので、予算的な要求としましては二名ということでございます。
  189. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 VOAは、この返還協定の付属文書にもありますように、中波が一波、それから短波が六台あるわけですね。放送時間は、中波は六.時間以内、短波は三十二・五時間以内、しかも、時間は臨時的に延長できるというわけでありますが、二人でほんとうに傍受できるんですか。二人は何語と何語をしゃべる人なんですか。ことばだけでも、朝鮮語とソ連語と中国語と英語と四つあるわけですから。
  190. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。  送信機自体は、中波が一台と、おっしゃるように、短波が五台でございますけれども、そのうちの一台は予備でございまして、常時は四台使っておるわけでございます。しかし、私どもの計画としましては、できるだけ人手を省く、自動的に受信をするということを計画しておるわけでございますので、人間も非常に少なくてよろしいというわけでございます。
  191. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 自動的に受信するのは、テープレコーダーでも置いておけば受信できるわけですけれども、しかし、傍受というのは、ただ聞くだけじゃなしに、聞いて、番組の内容というものがはたしていいかどうか、やはり検討するわけでしょう。じゃ、基準はどういう基準なんですか。たとえば、日本放送においては、ちゃんと番組コードがあって、こういう基準で放送しなければならないという基準がある。けれどもVOAについては、どういう基準で傍受をして、これがいいとか悪いとか判断するんですか。傍受というのはただ聞くだけなんですか。聞くだけなら二人でもいいかもしれませんけれども、聞いてやはり判断をするにはもっと人数も必要だし、また、その判断の基準は、一体どういうものを基準にして傍受していくのか、審査の基準を聞きたいと思うんです。その二点。
  192. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) これは、御存じのとおり、VOA放送内容はニュースであり、ニュース解説であり、時事解説であるということが大部分でございますから、これらをテープにとりまして、そしてこれを翻訳させまして、そうしてわれわれが読むわけでございます。大体、ニュースとかニュース解説のようなものは、われわれもほかの同様の資料を世界じゅうから読んでおるわけでございますから、そういうものと比べまして、客観的に判断する、これしか手がないと思います。  なお、わが国の国際関係にとり好ましくないというように判断された場合に、われわれとしては、米側に対して、了解に従いまして、抗議する、申し入れを行なう、こういうことになります。
  193. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ともかく、これは非常に雲をつかむような話で、そういうものがほんとうに実際に効果があるかどうか非常に疑わしいと思うんです。まあ、こういうことも、しかし、政府はやると言ったんですから、ちゃんとひとつやっていただきたいと思います。  それで、先般の予算委員会で、番組内容の概要について、あらかじめ入手できるようにアメリカに交渉すると、そういうように廣瀬郵政大臣は統一見解を発表しているわけですよ。これは、ちゃんと申し入れをして、米側はそういうことを了解したんですか、郵政大臣。
  194. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) あの当時は、そのように申し入れをするというようにお答えいたしましたけれども、ただいま外務省のほうから聞きますれば、もうすでにそのような申し入れをいたしたそうであります。
  195. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは、申し入れをして回答が来るんですね。まだ回答は来てないですか。
  196. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 回答が来ておりまして、そのように協力するという返事だそうでございます。
  197. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 その申し入れと回答、これは資料として——これは決して外務省郵政省を疑うわけではありませんけれども、やはり慎重審議の上に、それは資料として御提出いただきたい、それはよろしいですか。
  198. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 申し入れも回答も口頭でやったそうでありますので、文書はありませんです。
  199. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そういうのは、さっぱり証拠もないし、向こうも、そんなことじゃ……。国際間のことというのは、もう少し、一つ一つがやはり約束なんですから、国と国との。それを、急ぐ場合は電話でもいいですけれども、あとからちゃんとやっぱり証拠ぐらいとってくださいよ。そんなことをするから、アメリカに弱いといって、また言われるのだと思うんです。そういう点、どんなんですか。
  200. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そういう種類のものは、これは日常茶飯事、幾らでもあるんです。これを一々文書でどうのこうのと、こういったら切りがないかと思いますが、これは、そんなに御心配ならば文書をととのえてもよろしゅうございますけれども、これは、口頭で幾らでもそういう話し合いをしております。そのことはとくと御承知おき願いたい、かように存じます。
  201. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それはいろいろあるかもしれませんけれども、やはり国会において問題になり、郵政大臣が約束したんですから、佐藤内閣の統一見解として約束したんじゃないですか。そういう問題ぐらいは、ちゃんとはっきり結末をつけるべきですよ。この委員会が終われば、あとはどうなってもいいんだ——とんでもない、そんな考えじゃ。これは、結局だれに電話して、どうなったかということを、あとで文書でいただくと、そういうことでよろしいですね。  それで、よくない放送があった場合に、日本政府は自己の見解を表明する権利を留保し、米国はその見解を尊重するとあるわけですね。もしや、VOA放送が非常に日本のためによくないと、そういうときに申し入れした場合に、向こうは日本政府の見解を尊重する。これがVOAに関する交換公文にあるわけですが、これは、もし尊重しなかった場合は、どうなるんですか。尊重しなかった場合には、日本のほうからVOAやめろといって停止する権限があるのかどうか。私は、こういう内容は片務的というか、平等でないような、結局アメリカを信用してのことであって、国際間の取りきめというものはそういうものでいいのかどうか。そういう点は私は非常に疑問に思うんですけれども、その点、どうですか、外務大臣
  202. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その種の表現は間々あることであります。もし、意見を申し述べて、そうしてアメリカ側がこれを尊重しないと、こういうことになったら、これは日米国交上の重大問題として日米外交折衝が行なわれる、こういうことになるわけでございます。まあ、しかし、尊重すると言っております以上は、これは尊重するに違いない、私はそう信じておりまするけれども、もし万一そういうようなことがあった場合におきましては、厳重なる外交談判をいたします。
  203. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、このVOAについて最後に。  返還協定に合意された議事録では五年後だけれども、予見されない事情により代替施設が完成しない場合は、その延長することに認識を払わなければいかぬとあるわけですね。それで、米国が一生懸命かわりの土地をさがしたけれども、なかなか見つからない、そういうことで建設できなかったり、建設が大幅に延びたと、そういうような場合には、これはどうなんですか。五年後にきちっと撤去させることができるのかどうか、この点、協定の内容はどうなんですか。
  204. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) VOAの五年後の措置につきましては、あそこでこわしちゃうか、あるいは日本以外の土地に移転するとか、こういう二つのケースがあると思うのです。こわしちゃう場合には問題はありません。そこで、日本以外の土地に移転する場合におきまして、土地が見つからないというようなことは、予見し得ぬ場合とは考えておりませんです。土地は見つかる、アメリカはずいぶん広大な領域を持っておりまするから、どこでも土地はあると、こういう前提です。しかし、工事計画書をつくりまして、その工事に取りかかる、その途上におきまして天変地異等がありまして、その工事が予定のごとく完成しなかったという場合におきまして、その残った工事期間中あるいは延びるというような事態があるかもしらぬ、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
  205. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ、最後に、この問題について総理にお願いしておきたいと思うのですが、先ほどいろいろお話もありましたように、VOAは、やはりできればこれはないほうが好ましい、外国から妨害電波を出している点から考えても、また傍受するにしても、今年度予算では四、五千万円の金を——不十分でも、ほんとうを言えば、もっと金がかかるわけですけれども、四、五千万円の金を使っているわけです。そういう点で、これは早く撤去するように努力をしてもらいたい。それで問題は、こういう中継施設をつくるには、三年から五年かかるといわれているわけです。そういう点で、二年後に交渉したのでは——私は、ほんとうはその前から、どうなんだ、場所はきまっているのかと、そういうようにアメリカにもどんどん要請をして、五年たったときに、まだ建設に着手したばかりで、あと三年待てなんて言われたのでは、これはよくないと思うんです。そういう点で、来年早々総理アメリカに行かれて、ニクソンにも会われるわけですから、そういうときにも、ひとつVOAの移転については、早く場所をさがして移ってもらいたい、そういうように、ひとつ前向きの姿勢で当たってもらいたい。私は強くこのことを総理要望したいのですが、どうでしょうか。
  206. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いろいろニクソン大統領との会談については御要望が出ております。私もそれらを十分とりまとめて、ニクソン大統領と話し合うつもりでございます。ことに外国放送VOA、かようなものが主権国家のもとにあるということは、これはもう異例中の異例と解すべきでございますから、私どもも、両国のためにも、こういうものがないほうが望ましい、かように思いますので、十分話すつもりでございます。
  207. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、次に、これは午前中の委員会でも問題になりました極東放送の問題でございます。これは衆議院の委員会でも問題になりまして、たとえば、この本社がニクソン大統領の出身地であるカリフォルニアのホイティアにあるとか、また、最高幹部の理事にニクソン大統領のおじさんのC・マッシュバーン氏がいるとか、あるいは沖繩の極東放送のニュースの解説者の金城という人が米国第七心理作戦部隊の中にデスクを持ち、その第一五心理作戦分遣隊の職員名簿にもちゃんと載っている。そこからニュースの提供を受けている。また、現在この極東放送放送設備は、米軍基地、このA表の第五六、牧港という、返還されない米軍の基地内にある。そういうような点がいろいろ衆議院で問題になりました。民間放送といいながらも、非常に軍の関係のあるそういう放送であるということで、しかし、この問題については、衆議院の委員会において外務大臣も、返還後はそういうことはないと、そういうようなことをおっしゃっておりますので、今後の問題について私はきょうは触れたいと思うのでございますが、そこで、現在極東放送は、英語、日本語、中国語の三つの中波ラジオの放送をしているわけですが、愛知外相のマイヤー大使あての書簡によれば、英語放送は五年間は電波法の特例として認めるけれども、もう五年後にはストップする、中国放送復帰時までに停止する、このように考えて間違いないですね。
  208. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおりでございます。
  209. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで、問題は、日本語の放送でございますが、愛知書簡では、「日本国政府は、日本国の関係法令に従い、財団法人極東放送による日本放送を許す。」と、このようにあります。この問題について、廣瀬郵政大臣は、復帰後はいままでの極東放送株式会社ではなくして、財団法人極東放送という日本の国籍を持つ放送会社として申請をしてくる、それが電波法に合えばこれは認可をすると、そういうように言っております。そうして、その中で特に競願——もしそれ以外にもたくさんの申請が出た場合には競願処理をすると、公平に審査をすると、そのように答弁をされているわけです。その点は間違いございませんね。
  210. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) そのとおりでございまして、財団法人極東放送の免許申請につきましては、日本電波法の競願の方法によって処理するということは申し上げたとおりでございます。ただ、その後も申し上げておりますように、愛知書簡の趣旨は尊重しなければならない、これは政府の方針を定めた書簡でございますから、その書簡の趣旨は尊重するというように申し添えております。
  211. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 どちらが優先するのですか。たとえば愛知書簡の趣旨であれば、「日本語の放送を許す」とあるのです。もし電波法で審査した場合に、この放送がやはり電波法には適合しないと、そういう場合には、どちらが優先するのですか。
  212. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 電波法に照らしまして財団法人極東放送の申請が適格でないというようでございますれば、これは当然排除されることになるわけでございます。
  213. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、財団法人極東放送というのは、認可される場合もあるし、認可されない場合もあると、そう判断していいわけですね。そうすると、認可されない場合があるということを、ちゃんと——アメリカとの約束の中には、そういう、「許す」とあるわけですけれども外務大臣、認可されない場合もあるということはちゃんとアメリカも了承しているわけですね、そのときはやむを得ないと。どうなんですか、この点は。
  214. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いわゆる愛知書簡はわが国の方針を申し述べたわけでありまして、日米間に権利義務を設定した、こういうことではございません。ですから、法的にわが国がこれを認可しなければならない、こういう事情はないのでありまするが、しかし、そういう方針であるということを申し述べましたに従いまして、これは私といたしましては、廣瀬郵政大臣がこれを認可してくださることを強く期待をいたしております。
  215. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まあひとつ、競願というのは公平に審査するのですからね。まあ、外務大臣の要請は要請として、廣瀬郵政大臣は、大事な国民の電波なんですから、電波はやっぱりほかの企業と違うと思うのです。沖繩にあるアメリカの企業、これを守っていく、これはわかります。けれども電波というのは数が限られているわけですから、これはやっぱり大事な問題で、公平に審査をしてもらいたいと思うのです。それで、電波法の第五条に、外国人あるいは外国政府等には電波を認可してはならない、また、法人の場合、外国人が執行役員になったり、または議決権の五分の一以上を占めているような、そういう放送主体には電波の免許をしてはならないという、こういう電波法の第五条がございます。これは、おそらく私は、外国のひもつきのような、そういう放送日本の国内に許すわけにはいかない、そういう、外国を排除した、そういう趣旨じゃないかと思うのですけれども、その点は間違いないですか、郵政大臣。
  216. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 御指摘の電波法の第五条というのは、一口で申しますと、外国性を排除するという趣旨の条文であろうかと思っております。これは、先刻来御指摘のように、電波というのは国民のきわめて貴重な財産でございます。しかも、その数は有限的な、限られるものでございまして、少ないというようなものでございますから、そのような外国性を排除するという趣旨の条文が第五条で設けられておるというように私ども解釈しておるのでございます。
  217. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、同じく電波法の第七条の第一項には、「当該業務を維持するに足りる財政的基礎があること。」このようになっております。これは、衆議院等においても問題になりましたし、私のいただいた資料にもあるわけですが、現在極東放送というのは、所要経費の六六・九%はアメリカ本国からの献金によって行なわれているわけですね。これはちゃんとこの資料に載っているわけでございますが、そういう外国からの、アメリカからの献金によらなければ財政を維持していけないような、そういう放送会社というものは、これは電波法には明らかに該当しない、いまのままでは、該当しない、そう判断してよいわけですね。
  218. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。  現在そういうことでございますが、財団法人極東放送としまして日本電波法令のもとに服すということになれば、私どもは十分行政指導もいたしまして、外国性が著しいということがないようにしたいと思います。ただ、問題は、財団法人というのは株式会社と違いまして、これはあくまでも寄付でございますので、法律的には寄付がたくさん来たからといって五条に適合しないということではございません。
  219. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 結局、現在のように、アメリカから六六・九%も、まあアメリカの、もちろん民間人等も入っているわけですが、そういう寄付というものを当てにした放送会社、おそらく寄付する人はそれなりの目的があって寄付すると思うのです。アメリカから、はるばる沖繩にある極東放送に、今度財団法人極東放送になるかもしれませんけれどもね。そういう、やっぱり、何の目的か、目的を持って寄付するような、そういうのが認可されるということになると、これは非常に私は大問題じゃないかと思うのです。そういう点、どうなんですか、電波監理局長
  220. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。  私どもは、財団法人というものを、まず考えるわけでございまして、それの許可と、それからもう一つは、この放送局の免許と、二つあるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました行政指導が十分できるわけでございまして、御心配の点がないように十分指導していきたい、こういうふうに考えております。
  221. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 現在、これは沖繩でも、財団法人極東放送として琉球政府に提出をされているわけでございますが、この電波法では、役員等も三分の一以上外人がおってはならない、そういうことで、役員なんかはそれは名前を連ねるわけですからね、実際に三分の一以下にして、あと名前を並べると、そういうことだってできるわけです。だから、私は、やはり電波法のその精神からいって、財団法人極東放送というものがアメリカのひものついているようなものであるならば、これは断じて認可をすべきではないと、そう私は断言するのですけれども、郵政大臣、どうですか。やはり、アメリカのひものついているような、そういう放送は許すべきじゃないでしょう、これは電波法のあれからいって。
  222. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) そういうことが電波法にきわめて厳格に規定されておりますわけでございますから、その電波法の法令に基づきまして慎重に審査いたしまして、免許を与える、あるいは財団法人の許可を与えるというふうなことになりますわけでございます。
  223. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ひとつ、佐藤総理、財団法人極東放送というのは、これは永久に沖繩に残っちゃうわけですね、このままいきますと。VOAや極東放送の英語版は、これは五年後になくなるわけですから、そういう点で、一たび残ると、そう簡単に免許というのは取り消すわけにはいかないわけなんです。だから、表面はどういうていさいであろうとも、やはり財団法人極東放送というのは、いままでのそういう極東放送と何らかのつながりがある放送なんですからね。そういう点をひとつ慎重に検討して、日本人の自主性による放送ならいいですよ。財団法人極東放送がそういう変なつながりがあるならば、これは断じて認可すべきではないと、そういう点を私は総理が総責任者として厳重にひとつ見て、今後の日本の将来に憂いを残すことのないようにやってもらいたいと思うのです、その点どうですか。
  224. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど来外務大臣、郵政大岳ともどもお答えしておりますように、国内法に照らして国内法で許されるもの、大体、愛知書簡というものもそういう前提で了承している。かように説明しておりますから、私はいままでの両大臣の御説明で事足りると、かように思いますが、なお、塩出君がもう一度私の所信を確かめると、かように仰せられるのですから、私もはっきり国内法に準拠してこういう問題は取り扱う、このことを重ねて申し上げます。
  225. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ、ひとつこの問題はこれくらいにして、その次に、沖繩の米軍放送ですね。これはAFRTSですか、これは現在ラジオが二波、テレビが一波と、このように聞いております。それは今年五月にラジオが一波増設をされた。これは千四百二十キロサイクル・一キロワットのやはり中波ラジオでございますが、いま沖繩は祖国に返還をし、そうして米軍基地も政府は縮小すると、そのような方向にある中で、電波がこの五月に一波増設をされたというこの事実は間違いがないのかどうか、また、これはどういうわけで増設されたのか、われわれは非常に理解に苦しむわけでございますが、その点どうでしょうか。
  226. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) おっしゃるように、沖繩には現在中波のラジオが二局ございます。米軍の関係は二局ございます。これはおっしゃるように、五月に一局ふえたわけでございまして、私どもの聞いている範囲では^いままでの一局の放送だけでは足りないというので、もう一局増設したんだと、主としてスポーツ関係放送するのだと、そういうふうに聞いております。
  227. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは、電波局長ちょっと……。ふえてラジオがFMを含めて三波になったわけですからね、テレビが一波と。ところが、日本の国内の米軍基地の米軍放送は、どこもラジオの一波しかないわけですね、佐藤総理。全国では東京とか千葉とか岩国、三沢、佐世保、稚内、板付と、それぞれ大体ラジオ一波しかないのです。ところが、沖繩の米軍基地の場合は、中波二つとFM、テレビ一波と四つもあるわけですね。今後沖繩の経済の発展に伴い、電波の需要も非常に増大していくことを考えると、また本土並みという点からいっても、米軍基地のこの放送網はあまりにも数が多過ぎるんじゃないかと。それで、私総理にお願いしたいのは、沖繩日本に返還になった場合には、米軍の電波の割り当てを、いままでは米軍の電波の割り当ての中でやっておったわけですが、やはり日本に返ってくれば、日本に今度は国際条約で割り当てられた電波に切りかえると聞いております。そうなると、当然これは日米安全保障条約第六条に基づく地位協定によって、あらためて日米の合同委員会に提出をし、協議をしなければいけないんじゃないか、そういう点で、いろいろアメリカの言い分もあるでしょうけれども、やはりわが国の政治姿勢としては、このアメリカの米軍基地の放送も、日本の本土並みに縮小するように、そのようにやはり努力をしてもらいたい、断固そういうふうに交渉すべきだと思うのですが、その点、総理のお考えはどうでしょうか。
  228. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 基本的な方針は、私ただいま御意見述べられたとおりだと思います。なお、この点につきましては、電波局長から詳細にお答えさせます。
  229. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) おっしゃいますように、確かに米軍の放送は多いわけでございまして、この米軍の電波につきましては、先生がおっしゃいましたように、返還までにいわゆる地位協定に基づく協議をやりまして取りきめるということになっているわけでございまして、私どもは現在その作業を進行中でございまして、その作業の中で、中波が二波とFMが一波ということで、それで特に中波が二波というのは、国内事情に照らしても多いわけでございますので、それをやめてもらうように交渉しているという状態でございます。
  230. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ、本土並みじゃなくて、テレビもあるわけですから、本土からいえば、だいぶ多いですね。それはどうなんですか。もう少しやはり本土並みにはすぐいかなくても、もっと近づけるように努力すべきだと思うのですが、それはどうですか。これはやはり電波監理局長というよりも、国の姿勢なんですから、総理なり郵政大臣なり、もっと責任ある人から……これからの姿勢の問題なんですから。
  231. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 御指摘のことは、趣旨が通っていると思いますし、いま、AFRTSの問題につきましては協議中でございますので、そういう方向に向かって努力いたしたいという考えでございます。
  232. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 次に、郵便について伺います。  午前中、いろいろ長田委員からも質問がございましたが、そういう点にさらにつけ加えて、非常に郵便事業にしても本土と格差があるわけでございますが、午前中のお話では、本土並みに近づけるように努力をしていくと、まあ、積立郵便貯金、定期郵便貯金、定額小為替、郵便為替、簡易生命保険、こういうのがまだ実施されていないが、あるいはまた速達とか書留の制度、こういうのもない、それを本土並みにしていくということでございますが、やっぱり当然、そうなりますと人員の問題もあると思うんです。書留一つとってみましても、日本ではもう集配、特定局以上は全部書留をやっているわけなんですが、沖繩にある局はたしか七、八十あると聞いているわけです、この集配局が。そういうのが全部書留とか速達を実施するようになるにはかなりの経費、人員も必要だと思うんですが、そういうようなのは大体どうなっているのか、いつまでに本土並みにしていく方針なのか、その点はどうなっていますか。
  233. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 郵便の事業につきましても、本土に復帰いたしますれば、なるべく早く本土並みにいたしたいという考えを持っておりますわけでございまして、たとえば、郵便局の窓口等につきましては、五カ年計画で郵便局とかあるいは簡易郵便局を増設いたしたいというように考えております。また、速達郵便につきましては、ここですみやかに開始いたしたい、こういうように考えております。その他のことについては郵務局長から詳しく御答弁いたします。
  234. 溝呂木繁

    政府委員(溝呂木繁君) ただいま先生御指摘のうちの書留制度につきましては、現在でも沖繩にございます。したがいまして、今度復帰に伴いまして郵便関係でやらなければならないのは、いま大臣のお話しになりました速達関係などございます。速達関係につきましては、とりあえず定員でやる部分と、それから、いなかのほうは請負でやっていこうということで、現在、沖繩には外国の別使配達というのがございますので、その制度を引き受けた形で実施していきたい、こういうふうに思っております。  それから、置局関係につきましては、日本の国内の平均値までやるとすると、大体六十局程度置けば本土の平均値になりますし、沖繩方面においても大体六十局程度を要望しておりますので、それを五カ年計画でやりたいということで、とりあえず四十七年度予算におきましては、そのうち二十局程度を特定局及び簡易局で処理していきたい。それで、特定局関係につきましては、それの定員を要求していると、こういう実情でございます。
  235. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 局は五年計画で本土並みの数にしていくということですね。ところが、これはどうなんですか、速達等は即刻実施するんですか。大体、速達をやるためには、やっぱり定員の問題、また、郵便を輸送する輸送回数がふえなきゃ郵便もできないわけですから、速達の意味がないわけですから。そういうような計画は、当然これはやはり予算を伴うことなんですから、何年までにどの局とどの局で速達をやるんだと、そのためには、運搬の設備はこういうような計画で増設していくんだと、そういうような今後の計画はちゃんとできているんですか。それができていれば、時間が来ましたから、資料として御提出いただきたいと思うんですが、その点、どうですか、今後の計画は。
  236. 溝呂木繁

    政府委員(溝呂木繁君) ただいま御指摘のうち、ある部分については具体的な計画がありますし、現在沖繩と検討中のものもございますので、すでに検討を終わって具体的な案のあるものにつきましては、時間がございませんので、後ほど資料で提出いたします。
  237. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まあひとつ、この沖繩国会が終われば、沖繩のこともいまのようには関心にのぼらないと思うんです。そういう点で、この国会のときに、ちゃんと、沖繩が返ってくるのは前からわかっているんですから、いまごろになって、まだ計画ができていないなんというのは怠慢だと思うんですよ、佐藤さん。そういう点で、ひとつ早急に今後の計画を出してもらいたいと思うんです。  最後に、一つは、通話についても、二十四時間の通話のできないところがまだあるということを、きょう午前中お話があったわけです。それは復帰までに公社が海底ケーブルをつくってやるというお話でございますが、まあ、私もいろいろこの前調べましたら、特に八重山のほうの離島なんかは、一日のうちにもう何時間かしか通話がない。しかも、そういうところは医者もいないわけです。そういう点で、こういうものはやっぱり復帰を待たずに、いまでも時間的な通話はできるんですから、人員の面さえあれば、何も復帰後でなくても、いまからでもやはり二十四時間通話できると思うんです。これはやはり人間生命尊重の上から——いざというときには全く連絡がとれないんですから、医者も呼べないんですから。そういう点を私はすみやかにひとつやってもらいたい、これはひとつ努力してもらいたいと思うんです。これは琉球政府の管轄ですけれども、こちらからやはり何らかの要望をすると。  それと、もう一つはテレビの問題です。これは午前中も質問がありましたように、先島のほうは、テレビが、ビデオテープで送っておるために、朝のニュースが「こんばんは」で、夜のニュースは「おはようございます」と、しかも台風が来て——あそこは台風が多いんです。宮古島とかいうのは台風銀座なんですから。そうすると、もうその台風の間は全然テレビも見えないんです。そういう点で、昭和五十一年には海底ケーブルによって同時放送を実現するというようなこと、また、いまの見通し外マイクロ・ウエーブによってやるというお話ですが、これは私は、ちゃんと、いつまでにやるかということの計画と目標、その予算がどうなっているのか、これを資料として提出していただきたいと思うんです。先島は、佐藤さんがこの前向こうへ行かれまして、そうしてそのときに、いまのテレビができるようになった。そのことはみんな喜んでいるんですけれども、もう一つこれをやってくれぬことにはいけないと思うんです。そういう点で、これは佐藤総理も前とのつながりがあるわけですから、ひとつ積極的にやってもらいたいと思うんです。  それと、最後にもう一つは、テレビのいわゆる受信料の問題ですけれども、本土に比べて沖繩本島は受信料を少し安くするという、そういう特別措置をとられておる。それは、本土のほうに比べて沖繩はまだ——今度ケーブルで総合と教育が入れば、ほとんど本土並みになるわけです。けれども、先島のほうは昭和五十一年までは総合だけでしょう。教育放送が入るのは五十一年なんですから、それまでは一本しかないと。しかも、それは御存じのように、カラーでもない、しかも時間的には朝と晩がずれている、台風があればしょっちゅう見えない、そういうわけで沖繩の受信料を安くするのはいいんですけれども、もう一つ、やはり先島のほうは、せめてテレビの受信料ぐらいはやっぱりまけてやると、これは別に、まけたからといってたいした財源じゃないですから、それは核撤去費に六千万ドルか七千万ドルを何の根拠もないのを政治判断で出しているんですから、それに比べれば、もうそんなに高度の政治判断は要らぬわけです。中程度の、もっと低い政治判断でもできるわけですから、こういう点をひとつ検討していただきたい。  こういう、いま三つのことを申し上げました。それに対する郵政大臣、それから最後佐藤総理の決意を聞かしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  238. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) まず、電話の問題でございましたが、これは、御指摘のように、沖繩は本土に比べますとたいへん格差がありますわけでございまして、一般の加入電話にいたしましても、本土の半分以下だというような状態でございます。しかも、離島は、ただいまお話がありましたように、待時制度というようなことになっておりますところが多いわけでございますから、こんなことにつきましては、一日も早く本土復帰後は手を打ちまして本土並みに持っていくという努力をしなければならないと、かように考えております。  それからラジオ・テレビの施設でございますが、問題は、沖繩は離島が多いということに非常に難関がありますわけでございまして、ラジオにつきましては、復帰後すみやかに宮古島、八重山にラジオの中継所をつくることになっておるわけでございまして、これができますと、沖繩全地域にラジオが聞こえるというようなことになろうかと思っておりますが、問題はテレビでございまして、テレビは、まあ離島対策、これを早急にしなければならないと思っておりますわけでございますが、ただいま御指摘の先島でございますが、お話しのように、ただいまビデオを送って、非常に時間おくれに放送しているというような状態でございまして、これが午前中も政府委員が御説明いたしましたように、幸いに先島には、電話に利用いたしておりますマイクロウエーブ、見通し外のマイクロウエーブと申しまして、この次の向こうのアンテナが見えないというようなマイクロウエーブでございますが、これを何とか利用いたしまして、白黒のテレビぐらいは空輸でなくても直接で送れるような方法はないものかといって考えておりますわけでございまして、これにつきましては、明年度予算を要求いたしまして、白黒のテレビの放送に利用したいという研究をいたしたいと思っております。  カラーにつきましては、これはこれまた午前中に御説明いたしましたように、見通し内のマイクロウエーブをつくりますか、あるいは深海用の海底ケーブル、これにでもよりますか、いずれかの方法によりまして、五十一年度程度までにはぜひカラーも放送ができるような方法を見出したいということで、努力をいたしております。また、沖繩の本島についてのカラーの問題は、もうすでに御承知のように、佐藤総理がたいへん御熱意を持たれまして、一日も早くそういうようなことができるようにやれという御指示をいただいておりますので、これは新しく昭和四十五年度から見通し内のマイクロウエーブを三十二億円の予算でただいま建設中でございまして、これは四回線でございますが、そのうち一つは、一回線だけは来年の六月ころまでには、カラーテレビが放送できるというようなことになるんじゃないかと思っております。その他の回線、民放等につきましては、来年の十二月ころに利用ができるようなことになるのじゃないかと、かように考えております。問題は、南北大東島でございまして、これは非常に遠隔なものですから、ただいま何とか方法はないものかといって調査研究中でございます。  それから、お尋ねのございました受信料の問題でございます、テレビの。これは、ただいま沖繩は八十セントいただいておりますようでございますけれども、本土は御承知のように、三百十五円でございまして、これは本土に復帰したからといって、直ちに本土並みの料金を取るというわけにもまいるまいということで、いま私どもが考えておりますのは、本土と沖繩との中間程度の料金にしたらどうだろうかというように考えておりますわけでございます。  以上、三つお答え申し上げます。
  239. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 先島は沖繩本島よりだいぶ差があるわけだから、こっちを下げろと、料金。
  240. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 先島の問題については、特別にまだ研究しておりませんけれども、よくひとつ御趣旨に従って検討いたしてみたいと思います。
  241. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) さすがに専門的な詳しい説明がありましたから、私からつけ加えることはないようですが、ただいま言われるように、電話の待時制、こういうものは時間制限をなくする、さらにまたテレビについても、これはマイクロウエーブをもっと利用する、そういうことによりまして、また同時に、カラーテレビ、それが及するように、さらにくふうすること、それから受信料もカラーが見えないところで本土並みに取るわけにまいりませんが、また、いま御指摘になりました最後の点、先島における受信料は、やはり本島とも区別すべきだろう、かように私は思いますので、それらの点は十分御要望に沿えるように郵政省で努力する、かように私は指導するつもりでございます。     —————————————
  242. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 木島則夫君。   〔委員長退席、沖繩及び北方問題に関する特別委員会理事丸茂重貞君着席〕
  243. 木島則夫

    ○木島則夫君 私はVOAに関連してお尋ねをしたいのです。  過日、郵政大臣は、十二月十五日の本会議でしたけれど、民社党の柴田議員に対して、VOAというものはアメリカの海外広報の事業の一環として行なっているのだ、なかんずく、その沖繩の場合にはアジアにおけるアメリカの誤解を防ぐために重要な役割りを果たしている、そういう背景のあるVOAというものを返還と同時に突如やめてしまうのはどうかと思うので、五年間の期限を切って暫定的に存続を認めることに妥協せざるを得なかったという趣旨の御答弁をされているわけですね。そうでございますね。誤解を防ぐためにと言われましたけれど、この誤解というのは何でしょうか、まず伺います。
  244. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) これは外交折衝の段階の問題でありますわけでございますから、外務省のほうからお答えするのがほんとうかもしれませんけれども、私の考えでは、アメリカの政策というものを間違いなく各国に理解してもらいたいという意味だと考えております。そのように私は申したつもりでございます。
  245. 木島則夫

    ○木島則夫君 そうしますと、VOA放送の中で——今度は放送に限りましょう、放送の中で誤解を与えるようなものはいままでなかったかどうか、また現在ないかどうか。外務大臣は、これはそう刺激的なものではなくて、穏やかな平和的なものなんだと終始おっしゃっております。どうでしょうか、放送の中で誤解を与えていたと思われるような節はございませんでしょうか。
  246. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私は、VOAは、外務大臣がおっしゃるように、穏やかな平和的な放送であるというように受け取っております。
  247. 木島則夫

    ○木島則夫君 私も放送関係の仕事をしておりますので、そう一がいに、平和的だから穏やかだといって、はいそうです、というふうには申し上げられない。私もいろいろ資料を持っております。必要とあらば証人に出てもらってもいいのですけれども、私の知人で、中国で長らく戦犯として——はっきり監獄の名前も申し上げていいのです。太原監獄、北京第二監獄、撫順戦犯監獄に十数年間抑留をされていた人が、向こうでラジオを聞くことを許されて、その監房の中でいろいろ、つれづれなるままに放送を聞いたそうです。はっきりVOA放送を聞いて、その内容について私にこういうふうに語ってくれました。それによりますと、その一貫している趣旨は、共産主義は非道なものである、自由がない、資本主義は栄えているのに、あなたのところは貧乏人が多いのだ、それは共産主義体制をとっているからなんだ、という内容が基調になっていたそうです、はっきりと。そうしてですね、その実例としましては、中国から逃げ出していって香港あたりにいる人たちの声を集録をしましてね、それを同時に放送をしている。で、その人たちは、共産主義はおそるべきものであると、そして最後に結びとしまして、だから経済的に封じ込めをすれば共産主義は早晩崩壊をするんだというようなことが、番組内容の基調だったということなんですね。これは事実です。おそらく、私の友人も、つくり話はしてないと思います。こういう事実がやはりあったということ、これは私は共産圏にとってはたいへんな刺激にほかならないと思いますけれど、どうでしょうか。それでも平和的で穏やかだというふうにおっしゃれますか。
  248. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私どもは、すべての放送を傍受しているというわけじゃないんです。テープをとりまして一部を抜き取りをしておる、その限りにおきましては、そう支障のある放送内容ではない、こういう判断を外務当局がしておるわけなんです。ずいぶん古い時期に、どんなことがあったかということになりますと、肯定も否定も私はできませんけれども、いま今日の状況はそうである。それから、アメリカのこれは大統領府の直属機関である。そういうようなことから見て、軍事謀略的な性格ではないというアメリカ主張ですね、これはそう理解はできる。こういうことで、いわゆる謀略放送機関であるというふうな断定はいたしておらないんです。しかし、まあいろいろのいきさつもあるようでありまするし、念には念を入れなきゃならぬものですから、歯どめをしておる、こういうことでございます。
  249. 木島則夫

    ○木島則夫君 私も、念には念を入れてこういう資料を入手したんでございます。したがいまして、そうすると、外務大臣が先ほどからおっしゃっているように、決して謀略的なものではないんだ、刺激的なものだけではないんだということばの中に、過去においてはそういう事実もあった、戦略的な部分もあるということは、お認めになりますか。  もう一つ、それから、確かにダレス外交が転換をされまして、ニクソン・ドクトリンに変わって、ここ二、三年の傾向というものは私も調べておりますけれど、そう刺激的なものは私もないと思います。しかし、さっき塩出さんがおっしゃってたように、アメリカに亡命をしたソ連のスパイの暗殺事件であるとか、あるいは北京外交は二面的というようなこともある以上、必ずしも現在二、三年が穏やかになったとも言い切れないんですね。したがいまして、やっぱり外務大臣の御認識の中に、戦略的であることも含まれているんだということは、やっぱり私はお認めにならざるを得ないと思うんですけど、いかがですか。それでも平和だ平和だとおっしゃいますか。
  250. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 戦略的というのが、どういう意味合いで木島さんはおっしゃいますか、軍事的意味の戦略的、これはそういうことじゃないんだろうと、私ははっきりそう思います。ただ、広い意味の国家施策の放送、そういう意味でありますると、かつては封じ込め政策なんか一生懸命やっておった時期がありまするから、多少のことはあったかもしれない。あるいは東西対立米ソ対立の世界情勢、そういうもとにおいて自由主義のよさというようなことを解説する場面があったかもしれない。その辺は私は事実を握っておりませんものですから、肯定も否定もできませんけれども、今日この時点におきましては、私ども抜き取りまでしておるんです。それには刺激的な要素はない、こういうふうに外務当局も断定をしておりまするし、また、アメリカ当局もそう言っております。したがいまして、私はそういうふうに思っておると、こういうことでございます。
  251. 木島則夫

    ○木島則夫君 わかりました。しつこく伺うことは……。たとえば、日本のNHKの放送というものを一つとりましても、最近二、三年の放送の傾向からしてNHKはこうだということは言えないのと同じように、VOAだって、やはり十数年間放送をしている。そういうものが向こうへ電波として届いているのですから、ここ二、三年の抜き取りによってVOAは平和なものであるという印象は、あまりにも私は片手落ちだと思いますね、そういうことを一つつけ加えさしていただきます。  さて次に、政府は、口を開けば、ドル防衛措置をとりました、アメリカに対しても、また、繊維の規制にしましても、相手のあることなんだから、やっぱりお互いに相互依存、互譲の精神をもって譲り合わなければいけない、いけないということを佐藤総理もおっしゃっておりますね。福田外務大臣もおっしゃっております。で、そういうことをおっしゃっているとすれば、私がさっき申し上げた過去の事実も踏まえて、こういうVOAという放送を聞かされる相手の立場というものを御想像になったことはございますか。これは私は総理に伺いたい。相手の立場に非常に御理解を持っていられる総理が、このVOA放送を聞かれる相手の立場に立ったときに、一体、聞かされるほうは、どういう気持ちになるのだろうかということを伺いたいのです。
  252. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ヴォイス・オブ・アメリカ、これは私ども、なかなか聞かないから、相手がどういう感じを持つかわかりませんけれども、外国から、たとえば日本放送、これは日本放送でやられる。ずいぶんよく事情を知っておるなと、こういうこともありますし、ああいう放送は一体どういうところから出てくるのだ、ずいぶん認識を誤っておるなと、こういうことを感ずることもあります。それはそのときの放送内容によって、それぞれあるように思います。また、音楽など聞くと、なかなかおもしろいじゃないか、こういうようなこともあります。だから、これを直ちにきめつけることはいかがかと思っております。
  253. 木島則夫

    ○木島則夫君 それは、もちろんきめつけはしませんけれど、そういう、つまり戦略的、明らかに戦略的なものであるということも含まれている放送を、たとえば中国の人が——たとえばですよ、聞いたとしますね。そうすると、こんなことはおかしくって聞けないといって、無視する場合だってあり得る。そうですね。こんな認識の違ったことを言っているという、いまの総理の受け取り方も、きっとあると思います。それから、こんなことを言わしておくのは許せないのだという、憤激の受け取り方もございますね。そうですね。それがいわゆる施政権の返ってこないときだったら私はいいと思う。そうですね。だから、そういう意味を踏まえますと、過去の、ずっと過去続いているVOAという番組の印象は、そうぬぐえるものではございません。そうすると、やはり日米が合従をして、一緒になって、合従をしてわれわれに刺激的なことを、こんな不都合なことを言っているのだという受け取り方をされる。そうされた場合に、やはりアジアの平和を求める日本の姿勢と全く相反する結果を生み出して、しかも五年という長い期間ですよ、ほんとうに。日本の姿勢と矛盾しやしないだろうか、私はそのことを非常に心配をするのです。で、いわゆる施政権が返還をされて、VOAの内容がぱたっと改まるということはあり得ないことです、これは。そこのところも踏まえて伺いたい。音楽のことはもうけっこうですよ。
  254. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そこらが、先ほど来、午前中、またこの委員会でたびたび問題になった点だと思います。外務省は、先走って、誤解を受けるようなことがあったり、あるいはまた相手方の感情を刺激したり、あるいはまた緊張緩和の方向へ向かっておるのに逆な方向へ行くような、そういうような放送をしてくれちゃ困る、だから、モニターその他によって十分中身を注意し、そうしてそういうものがあれば談判もしようし、交渉しょうし、厳重な抗議を申し込もうし、また、そういうことをしないということ、これも前もって約束させよう、こういうことで、先ほど来言っておるような処置をとったのであります。私は、いままで日本のNHKがやっておる海外放送、これにつきましては、在留邦人はもちろんのこと、外国のことばで放送しておりましても、これなどはむしろ歓迎されておるように思います。しかし、私どもが聞くラジオで日本放送、ややなまりのある放送、そういうものを聞くと、ずいぶんさっき言うような複雑な感じをもって受け取りますから、ただいまのVOAについても同じことが言えるのではないだろうか、そういうようなことがあってはならない。だから、まあそういう点については外務省で注意を払っておる、そういうところにあるのだ。また、本来から申せば、そういうようなものが施政権下に返った沖繩から放送中継される、こういうことになりますと、日本も片棒をかついでいるのではないか、こういう意味でこれは問題だ。だから本来から言えば日本の施政権下にある地域においてこういう中継所もないことが望ましいわけであります。あってはならない。ただ、一定の期間はどうもやむを得ない。こういうことで、これも交渉の経過でございますから、いろいろ話をした結果これもやむを得ない、ついてはこれだけの歯どめだけはしてほしい、こういうような注意をしたと、こういうことでございます。
  255. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ、この議論を展開しておりますと、私の持ち時間三十五分というのは一気にすっ飛んでしまう。したがいまして、その歯どめというお話がたまたまいま総理から出されましたので、この点については私ちょっと伺っておきたいことがございます。  番組の内容については、アメリカ合衆国政府が責任を負うようになっておりますし、その番組が国際法上、友好上不適当であるような場合には、日本政府としてはその見解を表明する権利が留保されている。そして、アメリカ政府はこの見解を尊重をするということを、はっきりうたっておりますですね。で、この場合ですね、VOAというのは、もう御承知のように、沖繩にあるのは中継局で、本部がワシントンにございます。当然、そのチェックをしても事後になりますね。外交折衝でおやりになろうということですが、デービス局長も一体本部からどういう内容が送られてくるかはっきりわからないのだというようなことも言っているくらいです。ですから、相当時間的にズレがあるということ、いつもそれが事後であるということ、傾向はつかめても、適切なチェックがほんとうにできるのかどうか、チェックをしている間には、もう一カ月も二カ月もたってしまうというような心配が起こるのではないだろうかということです。そして、日本政府の見解は尊重しますと言われてそれっぱなしであったならば、全く私は効果がないと思います。せっかくモニター制をおとりになるのでしたら、前提として内容規制が必ず実効、実際の効果を伴うのだという一札がなければ、こんな高い金と時間と人数を使って、私はモニターなんかする必要ないと思いますね。この点はどなたにお答えいただけますか。——じゃ、郵政大臣、お願いいたします。
  256. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 交換公文に掲げております歯どめの方法につきましては、ただいまのお話のとおりでございますが、なるほど放送の事後になります。事後になりますけれども、私どもは誠意をもって直剣にアメリカに外交手段をもって折衝をするというようなことを、事後でもやっておきますと、その後、将来そういうようなことが繰り返されないというような歯どめには確かになると思うのでございます。そうして、いまあなたがおっしゃる御心配でございますけれども、これは、日米は親善友好関係にございますし、特に認めたVOAのことでございますから、これは誠意をもって外交手段で一生懸命努力すれば、私は、確かに歯どめになるものだと、かように思います。
  257. 木島則夫

    ○木島則夫君 私もその日米間の誠意というものは信じたいのですけれども、その誠意を信じたがために、ずいぶん苦い汁もお飲みになっていらっしゃる。総理も、いまうなずいていらっしゃいますよ。その誠心誠意を尽くせば将来の歯どめになるとおっしゃるけれど、いまのこの情報化の忙しい時代に、将来の歯どめになるって、その将来の歯どめってどういうことですか。やはり情報化の時代で、一刻を争ういまのこの忙しい世の中ですよね。急を要する世の中に、誠意をもって意見を具申すればそれが必ず将来歯どめになって返ってくる、こういうお答えでいいのでしょうか。私は、とてもじゃないけど、納得できませんね。
  258. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私は、まあ、一回そういうことがあるということになりましても、それは放送でございますから、事後になります。しかし、その際、誠意をもって釘をさしておきますと、そういうことが繰り返されないというような、絶対にそれが完全なものだとは思いませんけれれども、そういうことを何度か繰り返しておきますれば、もともと私は、そういうような不穏当な、国際信義を害するような放送はないと思っておりますけれども、しかし、そういうようなことがございましても、外交折衝で努力しますれば、必ず効果がある、そういう信念を持っております。確信を持っております。
  259. 木島則夫

    ○木島則夫君 いや、私も、ほんとうに大臣の御答弁というものを、率直に、すなおに承りたいのです。だけど、ふしぎですね、国会に六カ月もいると、何かお互いに相互信頼がなくなってきますね、ほんとうに。で、いま大臣は、何回も繰り返しているうちにとおっしゃった。だんだん姿勢が後退されていますよ。ということは、一回やってもだめなんだ、二回やってもだめなんだから、何回かやっているうちにこっちの誠意が通じていくというように、何か私は、うしろへうしろへ下がっていくような気持ちがしてなりません。私は、あまりこういうことで、いびるような質問をしたくはございませんけど、やはりお互いに約束をするということは、ただ誠意とかではありませんね。どんなに親しい間柄であっても、借金を口約束でしたがために友情がこわれてしまうなんということだってあり得るわけですから、そういうことも踏まえて、何回も繰り返している間にはという、いまの御発言については、私はちょっと納得がいきません。
  260. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私が何回も繰り返してと申しましたのは、まあ、一回そういうことがある、解除を願うということで向こうが了承いたしましても、また類似のものが起こらぬとは限らぬ。そのときにまたそういう努力をするということにいたしますれば、結局、私どもの誠意、熱意というものが通るものだと、確信を持ってそういうような折衝ができるのだというように申し上げておりますわけでございます。
  261. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ、ほんとうにこれを繰り返していたのでは、もう私、あと七、八分しかございません。だから、これは私の要望として、はっきり申し上げておきたいことは、この尊重ということばを、ずいぶん政府もお使いになりますけれど、何か、から手形に終わっているような場合が非常に多い。尊重する尊重するということばが、しばしばそうであるように、全くたてまえ化していると言っていいと思いますね、私は。で、内容制限の規定が実効をあらわさないものだということになれば、どうでしょうか、逆に考えますと、こういう条項があるために、かえって日本政府が中国や北朝鮮などに対する反共宣伝に同意を与えて、きのうでしたか、ございましたね、共同正犯であることを立証することになりはしないか。ここのところが非常に大事なところだと思います。ここはひとつ、誠意をもって、それこそ私の発言を尊重してお答えいただきたい。
  262. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 共同正犯論が出るおそれがある、まさに私はそういうことも心配しまして、この放送内容につきましては、アメリカ政府が一切の責任を負う、こういう規定を設けておるわけなんです。しかし、同時に、日本の国土に設置された放送局から何か刺激的な放送が行なわれるということになりますると、そういう責任という法律問題以外において、いろいろまた政治的な波及をもたらすかもしらぬ、そういうことを考えまして、歯どめということを考えたわけなんです。いま木島さんのお話を承っておりますと、何回も何回も警告を発しておると、その間に誠意は通ずるであろうという廣瀬大臣の答弁、それに対して、あとの祭りじゃないかと、こういうような疑念を持たれておる。そこで、私どもといたしましては、あらかじめこういうことは困るということを言おうと思うんです、あらかじめ。たとえば、いまわが日本が当面している外交上の最大案件は、日中国交正常化の問題である。そうしますと、いま一番大事なことは、お互いに刺激し合わないということが非常に大事なことなんだ、まあそういう問題を取り上げてアメリカ政府当局に、あらかじめ申し入れしておく、いまわが日本が置かれておるところの立場、また、わが日本が志向しておるところの政策、そういうものはこういうものだということを、それはあらかじめアメリカ政府に申し入れておく、そういうことに従って番組というものができるだろう、その番組も、あらかじめその大要につきましてはわが国に通報してくる、こういう意味です。それからなお、事後においてチェックをします、こういうことですから、これはかなりきびしい指導ができるのじゃないかと、そういうふうに思います。
  263. 木島則夫

    ○木島則夫君 刺激を与えないということは、何か文書でお取りかわしになるのですか。
  264. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そういうことを文書で申し入れておきたいと思っております。
  265. 木島則夫

    ○木島則夫君 文書で、ちゃんと文書で申し入れをなさるおつもりですか。つまり、刺激を与えないように、放送番組の編成上、たてまえ上、やってほしいということは、きちっとおやりになりますか。
  266. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そういうことを考えております。
  267. 木島則夫

    ○木島則夫君 考えている……、それを実行なさいますか。
  268. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 実行するつもりなんです。考えておるということは、そういうことをやるということなんです。
  269. 木島則夫

    ○木島則夫君 いや、考えているとおっしゃっても、どうも政府の場合は実行が伴わないことがあるんでね、考えていることがイコール実行につながるというふうには私は思わない。その辺はいかがですか。考えていたって、やらなきゃ、そんなもの意味がないじゃありませんか。
  270. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そういうことは、いままだやっておりませんけれども、そういうことをしようと思っておると、こういうことでございます。相当はっきりしておることでございます。
  271. 木島則夫

    ○木島則夫君 何か、いま外務大臣のお話を伺っていると、えらい期待を持たせておきながら、うっちゃられた感じですね。何かそういう、やっぱり気を持たせておきながら、思っているというのは、何か私はどうかと思いますけれども、その点、もう一回お伺いいたします。そういうことをはっきり文書でお取りかわしになりますかということです。この点だけ伺います。
  272. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そういうことを考えているのです。考えているということは、それを実行しようと思っているということです。そういうことです。
  273. 木島則夫

    ○木島則夫君 とにかく行動をしていただきたいと思います。  それから、これは郵政大臣にお伺いいたします。  いろいろ大送信所があります付近は、どうしても電波障害が非常に多いですね。で、調査情報TBS六月号というところにも、もうお読みになったと思います、いろいろ電波障害の数々が載っております。たとえば、「テレビの故障が多く、一年ほどの間に、ほとんどの家庭が一〇回前後の修理をしている。」とか、「テレビのつまみやアンテナ、トランス付近に手を触れると感電する。」とか、「夜間、巡回映画を上映する時には真空管が焼けたり、スピーカーが使用不可能になったりするので、昼間に巡回映画を見せている。」とか、村民の一人が空中に裸線を張り、アースをとって電球に接続していると点灯し、夜一〇時すぎなら一〇〇Wの電球もともる。」とか、「裸線につないだ受話機から声が聞こえる。」というような事実が載っておりますけれど、こういうことは実際にございますでしょうか。
  274. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) これは、お話しのように、VOAは千キロの電力を使って放送いたしますものですから、電話とかあるいは放送の受信に非常に支障があるというので、先般、電力線ある、は電話線を地下に埋没しまして、そうしてそういう措置をとったそうでございます。それと、放送につきましては、特に中継所をつくりましてそうした支障をなくしたというようなことで、いろいろの手を打ちまして、現在ではそういうような障害はなくなっておるというように承っております。
  275. 木島則夫

    ○木島則夫君 一々これは資料をあげるとたいへんな数になりますので申し上げませんけれど、結論的に言いまして、現在まだ支障が続いているということは、はっきり出ています。それに対してどういう措置が講ぜられているのか。行く行くはNHKがOHKというものをやはり受け継ぐ意味で、すっかりVOAだけ残しておいて、受け入れ側は、そのまわりに与える影響も全く考えないで返還だといったって、これは私はやはり日本政府のほんとうのあたたかい心は通じないと思います。そういう意味で、実情と、そういう調査、それに対する対策というものは、きちっと政府がおとりになるかどうか、この点だけ聞かしてください。
  276. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) そういうことであれば、直ちに措置をいたしたいと思っておりますが、手をとりたいと思っておりますが、御承知のように、交換公文にも、混信その他の妨害については、すみやかにそれを除去するために努力をしなけれならばないというようにうたわれておりますし、また、VOA並びにその職員に対する請求については、これまた誠意を持ってすみやかに解決せなければならないというように、交換公文にもうたわれております。そういうことで、VOA当局にも、そうした障害については、いろいろな請求ができるというように考えております。
  277. 木島則夫

    ○木島則夫君 そうすると、郵政大臣、まだそういう調査は実際に表立ってはやっていらっしゃらないということになりますね。それと、そういう調査の必要性が一体あるのかどうか。私は当然あると思います。その辺、聞かしてください。
  278. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。  私どもの職員を派遣いたしまして調査いたしております。現在のところ、私どもは、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、特に障害はないと、そういうふうに聞いておるわけでございますが、もしありますれば、当然VOA側で処置をしてもらうというように交渉したいと思います。
  279. 木島則夫

    ○木島則夫君 この問題も、私の要望として申し上げたい。もし障害がありますればVOA側で処置をしてまいりたい、これでよろしいのでしょうか、大臣。これは、藤木さんですか、そこのところをもう少し親切に教えてください。
  280. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 先ほど大臣からお答え申し上げました交換公文の中に、「アメリカ合衆国政府は、日本国の電波関係法令によって規律される無線局又は受信設備が中継局から受ける混信その他の妨害をできる限りすみやかに除去するため必要な措置をとる。」という項がございますので、当然アメリカ側がやるということになろうと思います。
  281. 木島則夫

    ○木島則夫君 最後に、私、総理に御要望申し上げたい。  飛行機とか、それから軍艦の自由出撃は、安保条約の適用によってこれは事前協議のはっきりした対象になるということをおっしゃっておられますね。それと同じように、目に見えない電波だからといって、それがいわゆる安保条約の適用下に置かれないからといって、私は、野放しにされるということはたいへん大きな片手落ちがあるというふうに考えるのです。これは戦略放送ではないとか、軍事的色彩はないとかおっしゃるけれども、私は、決してそうじゃないという意味で、つまり、はっきりとしたやはり歯どめがなければだめだということを申し上げておきたいと同時に、いわゆる撤去の時期についても、二年後の協議、五年後のということでなしに、スケジュール的に、もっともっと早められれば、これは改善をしていただきたい。いかがでございましょうか、最後に結びのことばとして伺いたいのです。
  282. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 電波の問題ですから、これはもうたいへん日米両国とも、事柄の重要性から、この問題に真正面から取り組んだのでございます。そうして、日本側が全面的に撤去、やめてもらいたいと言い、またアメリカ側は、世界的な一つのVOAという網を考えておるのだと、これは本部はワシントンだと、これはもう各地の中継だから、他のほうでも許しているのだからぜひ認めてくれと、こういうことで、最終までこの問題は両者主張を異にしていた。最後になりまして、ようやく、その二年、五年後と、こういうようなことで意見をまとめた、まあ妥協的な所産でございます。したがいまして、私どもは、今日これをやり直すようなことは、これはもうちょっとできないように思いますが、しかし、先ほど来お話があるように、なかなか重要な問題だと、こういうことで、過日もこの席で郵政大臣がぼつぼつ話をすると言ったら、ぼつぼつとは何事だというので、ずいぶんやかましく言われましたが、そういうような経過はあります。したがって、正式な交渉ではございませんけれども、やっぱり、どうしてもこれを続けていくなら、どっか適当な場所を早く見つけて、早くそのほうの工事をやってくれないことには困りますから、そういう意味のいわゆる非公式な連絡はありますけれども、随時にわれわれのほうの希望を述べること、これにはやぶさかではございません。また、先ほど外務大臣と木島君とのやりとりで私どもわかったのでありますが、これはサンクレメンテにおける大統領との会談にも持ち出されるべき筋のものじゃないかなと、話を聞きながら。おそらく外務大臣はロジャーズ長官に対してこの点に触れるだろうと、また私は、どうせアジアの問題、これが主ではございますけれども沖繩返還の問題につきまして、さらにこの時期等も明確にしなければならない、そういう問題がございますから、そういう際には、なお当委員会等におきましていろいろ審議されたその経過も十分話してアメリカ側の理解を深める、これをただすことは、これは当然われわれの責任だと思っております。そういう意味で、最後の私の返事だと、こういうふうにお聞き取りをいただきたいと思います。
  283. 木島則夫

    ○木島則夫君 ぜひよろしくお願いいたします。時間が超過した点については、おわびします。ありがとうございました。     —————————————
  284. 丸茂重貞

    委員長代理(丸茂重貞君) 春日正一君。
  285. 春日正一

    ○春日正一君 私は水の問題をお聞きしたいんですけれども、その前に一言だけ、よく聞かれるんですけれども、例の辺野古のところのノンストップ道路というのですね、あれが今度は全面的に返ってくるんですか。その点、最初に。
  286. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 大体返ってまいる路線の中に入っております。
  287. 春日正一

    ○春日正一君 そこをはっきりしてほしいんですが、返ってくるというふうに。
  288. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 私が大体という前置きを使ったのが、ちょっと変に思われたんですが、それは、国道に直ちに引き取る路線と、主要地方道に分ける路線とが、いまちょっと詰めにかかっておりますので、その意味では大体というのはちょっと正しくありませんで、日本側に返還をされますということでございます。
  289. 春日正一

    ○春日正一君 そうなれば当然ノンストップとか停車したら射撃されるとかというような、一切のそういうものはなくなって、日本の国道なり県道として自由に通行もできれば写真もとれると、こういうことになるわけですね。
  290. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) いま、これは外務省の所管だと思うんですが、当然、日本の道路上において——現在は米軍が、交通取り締まりまで向こうでやっておるわけですけれども、すべてを含めて日本の道路については、一切、米軍のみの意思によるそういう制限とかあるいは禁止とかということは、われわれとしては受け入れないことでありますから、なくなります。
  291. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、水の問題ですけれども、御承知のように、毎年沖繩では断水が起こる。特にことしはひどかったようですけれども。そういう状態のもとで、水道用水の三分の一近くがアメリカ軍に使われておる。そうしてまた、復帰を目ざして、水をたくさん使う、まあ臨海型の工業というようなものが進行しておるんで、そういう状態の中で県民の生活用水を確保するということは非常に大事な問題になってくると思います。そこで最初に、政府として、やはり沖繩県民の生活用水の確保ということについて基本的にどういうふうに考えておいでになるか、そこからお聞きしたいと思います。
  292. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 基本的には、沖繩県民は、復帰日本国民として、安保条約によってその施設区域内に居住を許される米人と全く変わりのない料金その他の処遇を受けるということであります。
  293. 春日正一

    ○春日正一君 米人と全く変わりがないというのはおかしいじゃないですか、日本の国に返ってくるんだから。しかし、まあそれはあれとしてですね、そこで、当然返ってくれば、水道公社、あれは県営になると思うのです。水道公社ということになると思うのですけれども、その場合に、アメリカ軍との供給関係ですね、こういうものは一体どうなるか。たとえば契約の当事者というものは、どことどこがそれに当たるのか、そこらから聞きたいと思います。これは外務省関係になるのですか、そういう問題は。
  294. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 先ほど「米軍と」と言ったのは、「米軍が」というふうに置き直します。すなわち、沖繩県民と同じ待遇を受けることになる。  さらに、ただいまの御質問の点は、沖繩県が所轄する水道供給公社になりますから、したがって、沖繩県が直接給水するものが大部分になると思いますが、しかしながら、場合によっては、本土に見られるような——本土では市町村が一応原則でございましたから、市町村自体で米軍への給水もしたいというような町村が出てまいるかもしれません。しかし、それらの点は、今後沖繩県並びにその県内の市町村内の話し合いにゆだねるべきであると思いますが、現在の水道パイプの現状から見て、市町村ごとに別途軍に、所在する軍の地域に供給を開始しますと、相当パイプの付けかえその他に費用を要することは事実でありますが、これは沖繩県内の県と市町村との話し合いでまとめてもらいたいと思っております。
  295. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、このアメリカに供給する場合には、水道法が適用されますか。これは厚生省の問題ですか。
  296. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 琉球が復帰をいたしましたら、本土と同じように水道法が適用になります。
  297. 春日正一

    ○春日正一君 アメリカ軍に供給する場合と言っているんです。
  298. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 同様でございます。本土も同じでございます。
  299. 春日正一

    ○春日正一君 おかしいですね。私が事前に聞いたんでは、水道法は適用されない。そこで、契約は民法による私契約でやられておるというふうに言われて、私もそういう契約書を、これ、たくさん持っているんですよ、厚生省からいただいて。ちょっとおかしいですね、そこは。
  300. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 米軍専用の水道は、これは水道法の適用はございません。しかしながら、県営なり市町村営の水道から供給する場合には、これは水道法の適用があるわけであります。そこで、水を供給する場合にどうするかということは、これは水道の経営者と水を受けるものとの契約でございますから、したがって、水道法とは関係ございません。本土の場合におきましても、特別の契約ということもあり得るわけでございます。
  301. 春日正一

    ○春日正一君 では次に進みます、そこらの問題を残しておいて。  沖繩協定の合意議事録第六条で、「地位に関する協定の関係規定に従って現在享受している条件と同じような条件でのみ、公益事業及び公共の役務を利用する権利を与えられる。」と、まあこういうふうに書いてあるんですけれども、この「現在享受している条件」というのは、本土でアメリカ軍が享受している条件ということだというふうに聞いているんですが、それでいいですか。これは外務省のほうですね。
  302. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 仰せのとおりでございます。
  303. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、もう一つは、地位協定第七条では、公益事業、公共の役務の利用における優先権——アメリカに優先権を与えるということがうたわれておるんですけれども、この優先権を与えるというのを水道事業において適用する場合、どういう国内法がありますか。
  304. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 水道法上特別の優先権はない。つまり、官庁に与える優先権と同び優先権を持つということになっておりまするから、そのような優先権はないと聞いております。
  305. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、官庁に与える以上のものはアメリカ軍に与えなくてもよろしいと、まあそういうように理解していいわけですね。
  306. 井川克一

    政府委員(井川克一君) 仰せのとおりでございます。
  307. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、先ほど、水道法は適用されないということで、私的契約だといってこれをもらったんですが、これは厚生省水道課からもらったんですけれども、こういうものがあるんですね、アメリカ軍との契約。こっち、抜いたものを読みますか。——これは佐世保のものです。米軍との給水契約の内容ということで契約書があって、それによりますと、有効期間とか、どれだけの値段とか、いろいろ、まあそういうものはきめてありますけれども、同時に、この中には、一方では、「公の規則」、提供される役務は法律、条例——規例ということばを使ってありますが、に従うと、こう書いてあって、特に、紛争の処理は「契約担当官が採決する」と、こういうことになっているんですね。この第十一条で、「この契約に別段の規定が無い限り、当事者双方の協議により解決出来ないところの契約上発生する事実問題に関する紛争は契約担当官が採決するものとする。」と、こうなっているんです。契約担当官といえば、アメリカ軍の契約担当官ですね。つまり、お得意さんのほうがきめるんだと、こういうことになっている。しかも、「この場合、契約担当官は文書による採決書を作成し、これを請負者」、この場合は佐世保市の水道局です。「請負者へ郵送またはその他の方法によりその採決書一通を送付する」、「かゝる採決書を受領してから三十日以内に請負者が在日米国陸軍司令官宛名の文書による提訴書を契約担当官へ郵送もしくはその他の方法により送付しない限り、前記の担当官の採決は最終的のものとする。」云々、そのほかたくさん、こう、書いてありますけれども、こういうような形で——契約というからには対等なものでなければならぬはずです、私の契約なら。ところが、それを一方的にアメリカが採決する、それに訴願というようなものを出させて、それが間に合わなきゃ無効になるというような形で、一方的に義務づけるような条項が入っておるし、もう一つ、もっと大事な問題は、不一致条項というのがあって、この十三条を見ますと、「参照又はその他の図書としてこの契約に組み入れて有る別表添付書類、参照書類とこの契約の規定条項との間の不一致もしくは請負者の条例、規例とこの契約の規定条項との不一致が有る時は、この契約の規定条項が優先する。」、つまり佐世保市の水道条例よりもこの契約が優先する、そういう条項があるわけです。  そこで、自治大臣にお聞きしますけれども、こういう水道条例というようなものを市議会できめてあるわけです。その条例に反して、条例を踏みにじってもよろしいというような契約を水道局長あるいは市長は第三者とすることができるのか、そこを聞かしてもらいたいのです。
  308. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 私も、いま言われましたことにつきましては、詳細は存じておりません。後刻よく調査いたしますが、質問の内容をお聞きいたしておりますと、その契約なるものは、公共事業全体にかかる役務、業務のことじゃないかと思います。その中の水道条項につきましては、大体水道条例に基づきまして一般家庭と同じ料金で契約を結ばせていただき、その状態になっておると、かように承知いたしております。
  309. 春日正一

    ○春日正一君 違う。私は、これ、言っているように、厚生省からもらったもので、これは公益事業の契約だけれども、協議給水役務提供契約というので、水の契約ですよ、これは表題が。そして判こを押しているのは、ここに書いてあるように、アメリカ合衆国契約担当官ジャック・Vウィンザー陸軍大尉、佐世保市水道局請負者永元爲市、佐世保市水道事業管理者、ちゃんとこうなっているのですね。だから、この「条例」という場合は明らかに水道条例だと、市役所できめた水道条例を上回るような契約を市議会に、はからずにきめることができるのか、そういうことを聞いているわけです。
  310. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 厚生省から出た資料でございますので、いま調べさせていただいておりますが、市の条例に基づいて契約しております。市の条例を越えてやるというふうなことでございましたら、当事者の合意におきましてもなかなか困難であろうと、かように考えます。厚生省のほうの資料をよく見せていただきまして、後刻答弁させていただきます。
  311. 春日正一

    ○春日正一君 いまのお話、まだはっきりしない。私の言うことを信用しないようですが、ここにこう書いてあるのですよ。第五条で、「公の規則及び料金の改訂」、「(イ)公の規則」といって、「この契約により提供される役務は、法律又は佐世保市水道条例及び規則の定めるところに従って行うものとする。」と第五条にはっきりそう書いてあって、それで第十三条に、食い違いがあるときはこの契約書のほうが条例に優先すると、こう書いてある。非常にものごとははっきりしているのですよ。
  312. 浦田純一

    政府委員(浦田純一君) この佐世保市の水道供給契約の全体的な中身といたしましては、もちろん、これは市できめました水道条例、あるいはその上にあります水道法のいろいろな規定がかぶっておるわけでございます。この十三条で不一致という件に関しまする契約内容は、「この契約中に統合されているところの、もしくは参照その他によって指示されている目録、添え書きもしくは証拠書類、または請負業者の規則」ということでございまして、いわば付属的な資料でございますので、全般的には市の条例というものがかぶってくることは明らかであると思います。
  313. 春日正一

    ○春日正一君 ちっともわからぬね。市の条例のことは、第五条で、法律または市の水道条例に基づいて契約がされるということが書いてあるんだから、それは非常にはっきりしておる。そうはっきり書いておきながら、十三条で、ここにはこう書いてあるんですよ。この「参照又はその他の図書として、この契約に組み入れて有る別表添付書類、参照書類とこの契約の規定条項との間の不一致もしくは」、だからここまでは一つのフレーズですよ。「もしくは請負者の条例、規例とこの契約の規定条項との不一致」と書いてあるから、この「もしくは請負者の条例」といえば、これは水道条例でしょう。その「規例」ということばは私はわからぬけれども、「とこの契約の規定条項との不一致が」というから、つまり、この契約が水道条例よりも優先するということになるでしょう。あなたは前のほうの部分でもって、ごまくらかそうとしておる。それじゃいけないと思う。はっきり書いてあるんだし、大事な問題で、特にこれだけじゃなくて、同じようなことが岩国でも横須賀でもやられておるんですから、これはあとから私問題にしますけれども、こういうものが許されるのか、だれがこういうことを指導したのか。
  314. 浦田純一

    政府委員(浦田純一君) 先ほど御説明いたしましたように、第五条でもって、全般的に、市の条例あるいはその上にあります水道法といったものがかかっておるわけでございます。第十三条におきましては——まあ先生の手元に資料があると思いますけれども、条例という引用ではございませんで、先ほど読み上げましたとおり、「または請負業者の規則とこの契約の規定の間に不一致がある場合」ということでございますので、矛盾はないと考えております。
  315. 春日正一

    ○春日正一君 だめですよ。私はこれは厚生省からもらったんですよ。私が偽造したものじゃないんですよ、これは。これにはっきりと……。来てごらんなさい。ちゃんとこう書いてあるから。同じものでしょう。「請負者の条例、規例とこの契約の規定条項との不一致」と、はっきり書いてあるじゃないですか、条例と入っておるじゃないですか。これと違うんですよ、私はこれをもらったんだから……。厚生省水道課からもらったんだから……。
  316. 丸茂重貞

    委員長代理(丸茂重貞君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  317. 丸茂重貞

    委員長代理(丸茂重貞君) 速記を起こして。
  318. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) ただいま御指摘の佐世保の資料をこちらに持ち合わせておりませんので、取り寄せまして後刻御返答申し上げます。
  319. 春日正一

    ○春日正一君 それでは、この件については、それが来てから、あとでさらに質問をさしてもらう権利を留保さしてもらいます。そうでなきゃ、時間が来たからといって、これをうやむやにされたんじゃ、たいへんなことです。それは、はっきりさしておいてもらいます。  そこで、問題なんですけれども、これは厚生省からもらった資料ですけれども、私のほう、いま、こういうものはほかにもないかと思って方々聞いてみました。そうすると、横須賀、岩国、佐世保、これはあるということなんで、取り寄せてみたんですよ。大体まあ似たような内容になっています。ほとんど似たようになっている。多少字句の翻訳の違ったところがありますけれども、おそらく英語の原文は同じだろうと思うんですよ。こういう指導をどこでおやりになったのか、そこを聞かしていただきたいと思います。どこでこれをおやりになっているんですか。
  320. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) そういう契約の内容等につきましては、厚生省はいままで指導したことはないそうでございます。自治体と米軍当局との契約でございまして、厚生省はそういった点については関与をしておらないと、かように申しております。  それからなお、これは私の想像でございますが、もし水道条例に反するような契約をしたとするならば、それは、その契約について、都道府県なりあるいは市町村の議会の承認を得ているのじゃないだろうかと、かように推測をいたします。条例に違反をしてそのまま置いておけば——これはまあ自治大臣の所管でございますけれども、自治体の権限を執行部が侵したということになるのじゃないかと、かように思います
  321. 島田豊

    政府委員(島田豊君) この問題は、米軍と現地の市町村との直接契約でございますので、防衛施設庁といたしましてもこの問題について指導したことはございません。
  322. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 市の当事者自身が指導しておりましても、自治行政は自治省で総括的に適正に行なわれるよう監督する義務がございますので、もし御指摘のような点で誤りがございましたら、さっそく取り調べの上適正に行なわれるようにしなければならないと、かように考えております。
  323. 春日正一

    ○春日正一君 この文書の中に「調停」という項があるんですよ。そこには、日米合同委員会に調停の申し立てができるとか、あるいはそれをやるために、調達庁ですね、これを経由して云々というような文句がここに入っているんですね。「調停」というところを見ますと、第十六条、「本契約に規定があるものを除き」云々と、調停について日米合同委員会へ提出できるものとする、こういうふうにし、さらに、「契約担当官の決定が行なわれた後に」云々——時間がたつから向こうに聞いたほうが早いかもしれぬね。合同委員会に調停を申し立てるというと、どういうことになるんですか。それはいきなり合同委員会に持っていくんですか。おたくのほうを経由するんですか。   〔委員長代理丸茂重貞君退席、委員長着席〕
  324. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 調停の問題になってまいりますと、地位協定の十八条の第十項に「合衆国軍隊による又は合衆国軍隊のための資材、需品、備品、役務及び労務の調達に関する契約から生ずる紛争でその契約の当事者によって解決されないものは、調停のため合同委員会に付託することができる。」と。そこで、これは昭和二十七年四月二十五日の閣議決定によりまして、当時の調達庁がこの業務を行なうということになりまして、現在、防衛施設庁がこの調停委員会の日本側の事務局としての業務を行なっております。そこで、聞いてみますと、過去におきましてこの水道問題についての紛争調停のための申請があったことはないようでございまして、もし紛争がございましたら、この調停委員会にこれが申請をされるという形でこれが審議されると、こういうことになります。
  325. 春日正一

    ○春日正一君 だから、私は、その調達庁が中に入ってこういうものを結ばせたんじゃないだろうかと、こう思ったんですけれども、そういうことはないんですか。
  326. 島田豊

    政府委員(島田豊君) この水道問題につきましては、おそらく、何か問題がありましても現地の米軍と市町村との間で大体まあ解決がされておるのではないか。この種の事案が紛争事業として調停委員会にかかったことはございません。
  327. 春日正一

    ○春日正一君 聞いたことを答えてくれないんですけれども、つまり、まあ関係してないというんなら、してないで、どこも関係されないで横須賀市あるいは佐世保市、岩国市が直接米軍と契約を結んだということにしますと、これは対等な民事の契約でしょう。それに、もしこの文書の中で解釈上の食い違いが出てきたときには米軍の原本をもって正しいとすると、こういうことになっている。つまり、全くアメリカペースでこれがやられておるということです。私は、こういうことは、だから直してもらわなきゃならぬし、さっき話のあったような、条例に優先するというようなものは絶対に取り除かにゃいかぬと思いますよ。あるいは、そのままやっておけば市長は背任罪を犯したことになる、市議会にはからずに条例を破っていいというんだから。だから、そういう意味では、これは直させなければいけないと思うんです。  しかし、私がここで特にこの問題を取り上げたのは、本土並みというからには、沖繩県水道公社ができれば当然沖繩県の水道公社はアメリカ軍に対して対等の立場で水の供給の契約を結ぶ権利がある、そこを確認してもらいたいと思ったからですよ。そこのところをひとつぜひ確認してほしいと思います。これはどこで確認しますか。総理大臣、確認しますか、外務大臣、確認しますか、どこで確認しますか。
  328. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは、たしかおとといも答弁したのですが、現実に沖繩県もしくは一部市町村が供水するにしても、これは周辺地域の一般の県民あるいは市民の払っている水道料金というものに基づいてやるわけでありますから、県の場合は県、市町村の場合は市町村が契約をするということになります。
  329. 春日正一

    ○春日正一君 そうなると、当然、この復帰後の県営水道公社の契約というものは対等で結ばれるものであって、各市町村や一般市民に供給するものと少なくとも同じ条件で供給する。現在の条件でいいますと、もう総務長官は一番御存じだと思うんですけれども、実際末端での値段に比較してみると四分の一ないし五分の一の値段で供給しているんですね。これをやはりいわゆる沖繩県民並みに引き上げて取ると、そのことによって全体としての水道料金を引き下げるというようなことも可能になるだろう。そういうことは当然できることだと思いますし、もう一つは、アメリカ軍が三分の一も水を使っておる、この問題です。一方、干ばつで困って断水しておるときに、アメリカ軍のほうは豊富に水を使っておるというような不公平は許されてはいけない。そういう意味で、アメリカ軍に水を供給する量も、県全体の計画のもとで当然制限するということも私は可能だと思うし、できるはずだと思うんですけれども、その点、どうですか。ここは、はっきりしておいていただきますと、非常にいいことになると思うのですが。
  330. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 結論から申しますと、そのとおりでございます。区営浄水場の中の、米軍がわずかな自給自水をしておる、ポンプ二つ、区営浄水場というものを除いては、基地内のものも全部琉球政府の管轄する水道供給公社になるわけでありますから、したがって、仰せのとおりの結論になるということになります。
  331. 春日正一

    ○春日正一君 私、まだあと引き続いて水源の問題とか、その他たくさん聞く材料があるんですけれども、しかし、まあ時間ももう過ぎていますから、ここで質問は打ち切りますけれども総理にぜひ頭に入れておいていただきたいことは、日本の本土並みと言っている本土でさえ、いま言ったような形の契約がされて怪しまれないような状態になっておる、このことだと思います。  それからもう一つは、これは委員長のほうにあれしておきますけれども、先ほどの条例の問題ですね、あれは厚生省でお調べになって資料が出てきたら、その点については再質問さしていただきますから、よろしくお願いします。  じゃ、これで終わります。     —————————————
  332. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 青島幸男君。
  333. 青島幸男

    ○青島幸男君 私も、先ほど来問題になっておりますVOAにつきましてお尋ねしたいと思います。  まず、与えられた時間も少のうございますので、簡潔に結論から先に申し上げますと、VOAの傍受の施設をおこしらえになって、しかも、それを傍受してチェックをするということに、たいへん熱意をお持ちのようでございますけれども、これは事実上意味のないことなので、やめたほうがいいんではないかということを私は結論といたします。以後、それについて、何がゆえにそうしなきゃならないかというお話をするつもりでございますけれども、それから外務大臣の御所見も承りたいと思いますけれども。  まず、その理由は、どの方から伺いましても、事実上歯どめになるということは、いままでの御意見の中では、私は納得できないと思うんです。総理もお聞きになっていらっして、事実何千万円かかけて、しかも二人の人間が、行なわれた放送について、まあ大要は事前にアメリカから、本部から受け取るにしましても、実際のこまごましたことは、放送が行なわれてしまってから認識をするわけですね。事後行なわれる。もう事件が起こってしまってから。たとえば起これば、事件が起こってからそれを認識することができるんだ、そのことは、事実もう、おそいわけですね。傍受がたとえ正確に行なわれたとしても、すでに事件が起こってからではおそいのだから、事実上傍受をして歯どめにしようというのは意味がないことだということが、いままで議論し尽くされたと思うんです。ですから、それをまた再びなさろうということをなさるのは、私は、下世話なことばで言えば、依怙地でやっているとしか思えないような気がするのです。予算措置をしてしまったのだ、そういうふうに政府は発表してしまったのだ、郵政省はそう言ったんだから、言ったことはやらなければならないのだ、たとえ間違っていても、言ったからやらなければならないというような形で行なわれるのだったら、やめたほうがいいと私は考えます。それに、郵政大臣のお答えを伺っておりましても、これは実行上あんまり成果があがらないんだということを、ことばの端々におわせるようなお答えをなさっていらっしゃるし、その辺のところの真意から、私の結論についての御所見も、郵政大臣からまず承りたいと思います。
  334. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 傍受というのは、お話のとおりでございまして、事前に放送の内容の全部を把握いたしまして、このような放送をするから了解してくれというようなことでなくて、これは、もう放送そのものは瞬間的に出てしまうわけでございますから、放送を把握するというのは、どうしてもやっぱり記録にとったものをあとで見る。これはお互いの話と同じでございましてね。ですから、これ以外に方法はない。何か書いたもので前もってもらうということであれば、事前に把握ができますけれども放送の把握というのは、やっぱりどうしても事後になるわけでございまして、その後繰り返してこういうことをやってくれるなということを、まあその改善方と申しますか、そういうことをお願いする、折衝すると、うこと以外にはないと思うのでありまして、まあ一回——さっき申したのでございますけれども、不適当な、国際親善を害するような放送がかりにあったといたしますれば、そういう声がどこからか出てまいりますれば、また、出てこなくても、ちゃんと翻訳するわけでございますから、それによって、これはまあ注意しておかなければならない、後日再びそういうことを繰り返してやってくれるなということをお願いする以外にはないと思うのであります。
  335. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうおっしゃるということは、事実上傍受しても実際は意味があんまり期待できないというお答えと私は認識いたします。事が起こってしまってから、傍受して事が終わってしまってから、これこれこういうことがあった、それは相手方にこういう刺激を与えたかもしれない、それを、放送をしたほうに申し入れても、もう被害を受けたほうは納得しないと思いますね。むしろ、傍受も行なっているし、事前に大要も受け取っていたのじゃないか、おまえのところは、それだったら、あなたのところも加担したことになりはしないかと言われても、これはいたしかたないと思うんですよ。ですから、事前に内容についてチェックをしたり、あるいは傍受をしたりすることが、先ほど木島さんが——歯どめをしようとなさって外務大臣はその条項を入れられたわけですね。何か不適当なものがあった場合には、こちらから申し入れをするから、こちらの言うことも聞いてほしいという条項を加えてあるわけですね。ところが、その条項がむしろ危険を増すんではなかろうかという木島さんからのお話もありました。私も、それも全くそのとおりだし、その上に傍受をしていた、あるいは事前に内容を多少でも把握していたということになりますと、事件が起こった際には共同正犯の立場は全く免れることはできないと私は思います。  それに、そもそもこの問題で一応皆さん方と私ども意見が食い違うのは、謀略放送とは一体何なんだろうか、謀略とは何をさしていうのだろうかということの見解がまちまちだったり、皆さん方の認識が食い違ったりすることだと思います。私は、たとえ郵政省が言うように——事実である、世界じゅうがおそらくそうであろうということを認識するようなニュースとか情報とかニュース解説しか流さない、だから、刺激をすることにはならないのじゃないかとおっしゃいますけれども、真理は一つしかないわけで、それの正邪善悪をきめるのは時の権力なわけですね。だから、体制の違った二つの国においては一つの真理も正邪を異にしているわけですよ、認識が。それに、私どもの実際の家庭生活におきましても、亭主がやっていること、主人がやっていることでも、たとえ事実でも一々女房や子供に知らせたくないということもありますね。たとえば、酔っぱらってホームに寝てたとか、あるいはいかがわしい婦人と同伴して歩いていたということは聞かせたくないわけですよ。それと同じように、その国の体制にとっては、こういう事実があるのだと、たとえそれが事実であっても、それを放送してしまう、きわめて指向性の強い、しかも強力な電波で伝えてしまうということは、これはよけいなお世話です。ですから、近所のおかみさんが来て家庭の中にそういう紛争を持ち込んだのとほとんど同じことですよ。現にポーランドでは、ちょっとした暴動が起こった、それを自由ヨーロッパ放送がとらえて大電力でポーランドじゅうに放送した、そのために政権がひっくり返るような大きな暴動になってしまったということすらあるわけです。たとえ事実であっても、それを伝えることが迷惑だと考える国もあるわけです。その辺のところをお考えいただければ、先ほどの木島さんとのお話し合いは時間が切れて煮詰まったものになりませんでしたけれども総理について、その放送を聞かされているほうの人間の身になってお考えになったときに、どういうふうにお感じになりますかという言い方で木島さんは追及されていましたけれども体制の違った国においては、私どもの考えている常識とは全く違った常識で、ものを考えなければならない場合もあります。それについては、全くの政策の妨害ということに、たとえ事実であっても、当たるわけですが、その点は、総理はどういうふうにお考えになりますか。
  336. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) なかなかむずかしいお尋ねなんですが、何か最初から間違っているという、そういうような話ですが、まあ体制が違っている国でも、月着陸、こんなことが言われることは、それはニュースとしてやっぱり認めざるを得ないのじゃないですかね。だから、ものによっては——さっきは音楽というような話をした、それはやめてくれ、こう言われたからやめましたが、やっぱり、いまのような体制が違っていても、月着陸、宇宙衛星が上がったとか、そういうふうなことは、それはやっぱり世界的なニュースであり、世界的な意義のあるものじゃないか。また、ニクソン大統領の訪中、こういうものが突然電波で報道される、これはショックも受けるが、それはそれなりにやっぱり評価されてしかるべきじゃないか。だから、そういうようないろんないい点もあるのですよ。ただ、それが、一方的に自分たちの主張を相手方に無理やりに植えつけようとする、そういうようなことになると、いわゆる謀略だとかいうようなことになるし、また、軍事的な意義を持つとかいうようなことにもなろうかと思います。私は、必ずしも全部が全部悪いわけでもない、だから、先ほど答えたことと、ただいまも答えること、そう別に違ったことを言っているわけじゃありません。
  337. 青島幸男

    ○青島幸男君 総理は、悪影響を及ぼさないであろうと思われるようなニュースについてだけおっしゃいましたけれども、たとえば、某国で公式の席にいつも出てきた高官の一人がこのごろ出てこない、あの人はなくなったのじゃないか、あるいは粛清されたのではなかろうかというようなニュースがあるとします。そういうことが某国の国民にとってどんなに甚大な影響を及ぼすかということもあるのですよ。それはたとえ事実であったにしても、伏せておきたいこと。月ヘロケットが行った、ニクソンが訪中する、それはいいですよ。しかし、そういうニュースばかりではありませんことは確かです。ですから、先ほども音楽のお話をなさいましたけれども、ある国にとっては、最近もてはやされておりますような享楽的な音楽はどうも国策に沿わないと考える国もあるわけですね。現に私どもは、戦争中には、敵性の音楽だということでジャズを聞くことを禁じられたりしましたけれども、それはやっぱり、たとえ音楽であっても、その体制の国にとっては実に迷惑な話であるということもあり得るのではありませんかというお話を申し上げておるわけです。その点、御見解を聞かせてもらいたいと思います。
  338. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ、先ほど、VOAが何を放送しているか、そんなものをとったって意味ない、こう言われましたが、ただいまのあげられた例は、これはVOA放送したかしないかで、ずいぶん考え方が相違してくるんじゃないか、かように私思いますので、もうあとからやることはだめだと、かように一がいにも言えないんじゃないかと私は思いますよ。青島君とこうして話していると、もう事前に前もって話をしていたら、どうも話が興味なくなる。しかし、打ち合わせなしに話が出てきているところに、やっぱり意義があるわけです。そして、これは意義があるがゆえに、お互いに良識をはずさない限りにおいてこれは意義がある、かように私は思いますので、やっぱりそういうものが録音されるとか、あるいは速記がされると——私など、しばしば、過去何月何日にこういうことを言っているじゃないかといって、ずいぶん速記を引き合いに出されます。私はやっぱりそれが必要なんではないか。ですから、先ほど言われるように、VOAのあとのトレースは意味がないと、こういうわけのものでもないんだと、私はそういうように思いますが、いかがでしょうね。
  339. 青島幸男

    ○青島幸男君 意味がないということではなくて、加担しているというふうに受け取られる危険性が大きいということを私は申し上げておるわけですが、たとえば一国にとってたいへん迷惑な放送がなされたと、一国の体制にとってたいへん迷惑なことがなされたと、この放送沖繩VOAの基地から出た電波である、しかも沖繩日本の主権下にあるわけですね、返ってきてからですから。そうすると、沖繩から放送された放送によってわれわれはたいへんな被害を受けたんだ、しかも、日本政府はそのVOAで何が放送されるかということを事前に知っていたということになると、日本も責任を持ってもらわなけりゃならぬということになりはしませんかということなんです。ですから、そのことをお尋ねしているわけです。
  340. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 前もって話し合って、そういう外国に中傷的な放送が流れたら、これは困るですね、これは、たいへん。それは共犯だと言われるだろうと。また、先ほど言われるように、全然何が放送されているかも知らないで、放送は御自由ですという、そういうところでいわゆる謀略放送というものに該当するものをやったとして、日本は何にも歯どめもないから、日本は基地を提供してとんでもないことをやっておる、かように言われても困るんだと。だから、私は、やっぱりちゃんととって、事後でも、どういうことが放送されているか、そしてそれが日本としては相手方にずいぶん不愉快な思いをさせているとか、これは不都合じゃないかと、かようなことを日本の基地を使って放送するんですから、その国に対して厳重なる申し入れをする、これは当然の主権者の権利じゃないかと、かように私は思いますが、それまで意味がないと、かようにおっしゃる。意味がないことはない、意味があるんだが、どうも時期的に時期を失している、おそらく青島君の言われるのは、そういうような危険があるから、日本の領土内からはそんなものの中継は一切やめさせろ、こうおっしゃりたいんだろうと思っておりますが、しかし、それができないということを、まあ何回も何回も申し上げて、それで次善の策としてただいまのような点を考えた、だからひとつ御了承いただきたいと思います。
  341. 青島幸男

    ○青島幸男君 おっしゃることはわかるんです。私もそれを言いたいわけです、実は、そういう放送があってはならないんだと。しかし、総理は再三答えておられますけれども、二年後に交渉し直す、それで五年たったらなくしてもらうように交渉を積極的に努力したい、しかし、私はいまの協定の中でそれを取り消すことはできないのだとおっしゃいましたね。できないことを私は要求しているわけじゃないんです。それはせっかく御努力いただいて、一日も早く外国の放送が主権のある日本の土地から行なわれないようにしていただきたいと、それは私も要望したいんです。それはいいんです。それは切にお願いしたいんですけれども、その期間、二年あるいは五年の間、どうせアメリカVOAの本部から出るもので、私どもの土地を使って中継はしているけれども放送の内容については私どもは一切関知していないんだという立場を明らかにしたほうが、外国から誤解されるチャンスが少ないんではなかろうかと、こう思うわけです。それからもう一つ——まだ違うとおっしゃっているから、承りましょう。
  342. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまのような話になると、これはもう立場が違うと言わざるを得ない。だから、したがって、私、それは間違いだとは申しません。それは一つの立場だと、かように思います。
  343. 青島幸男

    ○青島幸男君 見解の相違になってしまいますと切りがありませんので、立場と話を変えて申し上げますけれども謀略とは何か。先ほど総理は、外国からこちらに送られてくる日本放送ですね、なまりのある日本語で、たいへんわれわれの考えと違うことを、もっともらしく放送されると、いやな気持ちがするとおっしゃいましたね。しかし、そういうふうなのは、たとえば、どこどこの国、体制の違った国からこういう形で言っている、そういう見方もあるかなと——たとえば、米帝国主義の犬、日本政府は着々軍備を進めつつあるなんというような放送があったとします。それは全然違うんだと思っても、それは体制の違う国から放送しているんだから、あるいはそういう見方もあるだろうと事前にわかるわけですね。それは宣伝みたいなものです。謀略と宣伝が違うのは、謀略というのは、それと気づかぬうちに浸透するところに意味があると思うんです。ですから、チェックしても意味がないんだというのは、そういうことなんです。たとえ事実であっても——日常たいへんおもしろい番組を流しているとします。その放送局のアナウンサーが事実を伝えたということが、その国にとってたいへん迷惑であるということもあり得るわけですね。ですから、それと気づかないうちに流されて浸透していくのが謀略だと、先ほど木島さんが例にあげられました、共産主義のあり方は間違っているんだ、自由主義あるいは資本主義が正しいんだという一つの基本的な理念を植えつけようと、あからさまに出ているのは私は謀略ではないと思います。むしろ、日常茶飯事、おもしろおかしく聞いているうちに、それらしく浸透してしまうことがやっぱり謀略だと思います。ですから、事前にそのことをチェックしても、それは歯どめにはならないし、むしろ、そのことを前もって知っているということが共同正犯を形づくるに違いないということを申し上げているわけです。その点……。
  344. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 共同正犯の問題でございますが、これにつきましては、先刻外務大臣がお答えになりましたように、交換公文の中に、放送の内容についてはアメリカ政府だけ責任を持つということに明らかになっておりまして、そうして傍受の施設をやりましたわけでございますけれども、事前にプログラムをとる、そうしてまた必要とあらば、だんだんやってみまして、それだけでは足らないというようなことで、もう少しチェックしなくちゃならないというようなことであれば、また必要な資料をいただくように交渉するということになっておりますし、また、先刻外務大臣がおっしゃったように、全般的なことについて前もって強い日本の意思表示をいたしまして、間違いのないような放送をぜひやってもらいたいと、特別に認めたVOAだから、国際信義にもとるような、国際友好関係を乱すような放送をぜひやってくれるなということを強く要請するということまで申しておられますから、そういうことで私どもはやってみたいと思います。そうして、もうぜひ青島先生の御期待になるような、不当な放送の出ないような放送をするようなことに監理していかなくちゃならない、こういうところにわれわれの努力の方向があるかと思っておりますわけです。
  345. 青島幸男

    ○青島幸男君 それでは、郵政大臣、たとえば放送の内容について、これは穏当でないとか、あるとかいうことの基準はどこにあるのだと先ほど塩出議員が質問いたしましたけれども、それは明確でないですね、非常に。といいますと、これは、きめる委員会みたいなものをおつくりになるのか、あるいは行政官庁の課長なり係長なりという人の責任で、不適当であるかあるいは適当であるかきめるのか、あるいは大臣が一々認可を与えるのか。その辺で、もし国際紛争の種にVOA放送がなった場合には、だれが責任をとるかということは実に重大な問題になると思いますけれども、その点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  346. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) これは、やってみまして、だんだん、そういうことは事実の放送だけれども、外国を刺激する、そうすれば外国からきっとそういう声が出るでしょうから、そういうような経験も十分しんしゃくいたしまして、それでだんだんよくしていくというようなことでなくちゃならない。御承知のように、日本放送だって、四十四条の三項に、公序良俗に反しちゃならないとか、あるいは政治的に中立でなくちゃならないとかいうようなことを書いてありますけれども、これは具体的な基準じゃないのでありまして、具体的にどういうことかということについては、やっぱり長い間の経験によって、だんだん新しい方向を醸成していくというようなことでなくちゃならないと、かように私は考えます。
  347. 青島幸男

    ○青島幸男君 どうも、郵政大臣のお話ですと、長いこと、このVOAがまだ置かれそうなお話でございますけれどもVOAは五年でもうなくなるのだと私どもは認識しております。福田外務大臣も、そのように努力をするとおっしゃってくださっておりますし、それを御信頼申し上げまして、五年でなくなる。その五年の間に、もしポーランドで起こったような事件が起こったとき、それをどういうふうに、だれが責任を負うのかということは、外交上もたいへんに大きな問題になると思いますけれども、それを外務大臣はどうお考えになりますか。
  348. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 青島さんの先ほどからのやり取りを聞いておりましたら、どうも結論VOAを撤去しなけりゃならぬということへ持っていくのかと思ったら、そうじゃなくて、それの存続を前提としてお話をされておる。承認するかしないかは別としてですよ。そうすると、私は、そういう前提に立ちますると、いまとっている以上のことはできないのじゃないか。つまり責任論、これはアメリカにもう全部かぶせておるわけです。しかし、わが日本の国土において行なわれる放送が外国にトラブルを起こしちゃいかぬ、そういうので、事前、事後のガイダンスを与える、こういうことです。しかも、それをアメリカは尊重しましょう、こう言うのですから、これ以上にどうも手の尽くしようはないんじゃないか。これがだめだ、やめちゃえというのなら、VOAをやめるほかはない。そんな感じを受けながら、いま承っておったんですが、とにかく、こういう仕組みを最善と考えまして、最善を尽くしていきたいというのが私どもの考えであります。
  349. 青島幸男

    ○青島幸男君 VOAがなくなれば一番いいということは確かなんです。しかし、二年後に再交渉といいますと、交渉し直して五年、五年間というものは存続するわけですね、現に。ですから、その間の責任問題はたいへんなことになるであろうということを私は申し上げておるわけです。ですから、ポーランドの例を引きましたけれども、おまえの国でいま暴動が起こっているぞということを、ヨーロッパ放送が流したわけですね、自由ヨーロッパが、ポーランドに。そのことで暴動が拡大しまして、内閣がひっくり返るようなことになったわけですね、政権が変わるような。ですから、たとえ事実であっても、その国にとって迷惑な放送がなされた。しかも、そのことを事前に日本が知っていたということがあとで問題になるから、アメリカに責任があるのだから、事前に打ち合わせをするとか、あるいは傍受をしてチェックをするだとかするほうが、かえって危険ではなかろうかということを私は申し上げておるわけです。
  350. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ちょっと誤解があるように思いますが、相談はしないのです。わが日本意見は述べる、アメリカはこれを尊重します。で、全責任はアメリカ側にあるわけなんでありまして、相談して、謀議をして、共同行為だ、こういうわけじゃないのでありますから、そういうふうな御理解を願いたいと思います。
  351. 青島幸男

    ○青島幸男君 しかし、大ざっぱに、これこれこういうことをやるよということを事前に通告をして、そのことについて意見を言わなくても、黙認をしたということはおまえも同意しているんだぞと解釈されたら、どうなさいますか。
  352. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 何か物騒なことをやりそうだというようなことであれば、わがほうは意見を申し述べます。意見を申し述べる権利を留保するとまで言っているんですから、ちゃんと意見は申し述べまして、わが国土からごたごたは起こらないように、最善の注意をわが日本としてはとっていく、こういうふうにしたいと思います。
  353. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですから、先ほど何回も木島さんがしつこくおっしゃっていましたけれどもアメリカにそういう申し入れをしろ、何か国際紛争とかトラブルになるとか、あるいは国際間の誤解を招くようなことは一切やってくれるなということを、まずアメリカに申し入れるおつもりがございますかと、先ほどただしましたところ、そういうつもりでおるとおっしゃいましたね。ですから、そういうつもりでいるんなら、変な誤解を避けるために、放送内容をチェックするとか、事前に内容について知らされるとかいうことがないほうが、一切アメリカに責任があるんだということを初めから明らかにしておいたほうが、日本はそのトラブルに巻き込まれる可能性が少ないということを私は申し上げておるわけです。
  354. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) やっとお話の筋がわかりましたですが、その辺も気をつけながら、その運用は誤りなきを期していきたいと、かように存じます。
  355. 青島幸男

    ○青島幸男君 もう時間もそろそろでございますけれども、せんだって私はロランCの基地の件につきまして政府の意見を伺いましたけれども、ロランCにいたしましても、先ほど木島さんも最後にそれを言っておられましたけれども、さわったり、触れたり、かいだりできない電波であるから、それをなおざりにされがちだというような考え方を、もしお持ちになっていらっしゃると、これから先、日々たいへんな進歩発展を遂げていくこの社会に順応していくことはできない。ですから、その辺のこと、電波というものの持つ大きな力と、その持つ意味を十分に把握なさって、ロランCについても、それからVOAについても、これから行なわれます種々の放送、あるいはそういう電波事業につきましても、重々、深いおもんばかりを持ってなされるようにしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。     —————————————
  356. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 野上君。
  357. 野上元

    野上元君 午前中の質問で、極東放送に関する私と外務大臣とのやりとりの間で、なぜ極東放送を残すのかということの質問に対して、外務大臣は、非常に沖繩においては喜ばれておるということであったわけですが、そこで、その喜ばれておるという資料というものがあるのかということになって、私の質問が留保されたわけです。そして、いまここへ出てきたのがその資料ということになっておるわけですが、これは、まずお聞きしたいんですが、この協定について話し合われたのは主として外務省米国との間だと思うんですが、外務省においてはこういう資料はないんですか。
  358. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) このような資料は、われわれは当時持ち合わせておりませんでした。
  359. 野上元

    野上元君 資料がないのに、どうして好ましいということが言えるんですか。
  360. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) この問題は、先般から政府側から御説明のとおり、沖繩返還に伴う米企業全体をどういうように取り扱うか、その一環として、交渉のパッケージの一つになったわけでございます。したがって、そのような見地からわれわれは交渉した次第でございます。なお、この交渉の途中におきまして、郵政省と密接に協力して、郵政省意見を聞きながらわれわれは交渉した次第でございます。
  361. 野上元

    野上元君 少なくとも、交渉の主体といいますか、責任者というか、そういう立場にある外務省が、こういうものについての調査がないというのは、私はおかしいと思うんですよ。特に、沖繩は施政権下にあるんですから、郵政省が立ち入って調査するということは現実的にはむずかしいんじゃないですか。したがって、それは外務省が外交ルートを通じてやる以外には方法がないんじゃないかというふうに私は思うんです。ということになれば、この問題についてイニシアチブをとるのは外務省だと思うんです。その外務省に調査結果がなくて、郵政省にはこういうものがあったということなんですが、そういうことなんですか。
  362. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) もう施政権が日本に返ってくる、それが近く展望できる、こういう時期でありますので、もう日本の各省は、それぞれ沖繩のその関係の実情については調査をしているんです。そういう調査をまた聞いて、それを判断の資料にする、これは当然そういうふうなことになると思います。外務省が一から十まで自分で行って調査をする、こういうことはありませんです。  それから、この問題につきましては、私も概括的に話は聞きました。で、先ほども申し上げましたように、たいへんこれは喜ばれておると。ことに私が当時聞いておりましたのは、その放送の前後にいい音楽が入る。音楽の話を言うと、またしかられるかもしれませんけれども、そういうことを聞いております。そういうようなことで、たいへん歓迎されているんだと、こういうような報告を受けておりまして、まあとにかく私ども一般に考えておる、米施政権下において社会的にも有効な役割りを尽くしてきた企業の一つであると、こういう認識でございます。
  363. 野上元

    野上元君 どうも、音楽がだいぶ政府はお好きなようですがね。音楽のいいのがあれば許可したいということなんですか。音楽などは、ほかの民放にやらせればいいじゃないですか。いい音楽が外国語放送で入るからひとつ認めようという、そういう考え方自体が、何となく言いのがれのような気がしますがね。もっと、何といいますか、これを残すという積極的な意味がないと思うんです。そして、この資料を見ても、これは単なる一つの聴取率をまとめたもののようですが、好ましいという資料はないですな、これ。極東放送日本語版は好ましい放送であるか、好ましくない放送であるかというような調査はないんですね。ただ聞いとったというだけの話であって、好ましいという資料にはならぬです、これは。どうですか、どこにありますか、これ。好ましいという……。
  364. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ、基本的にこれを認める事情いかんと、こういう第一点でございますが、これはつまり、二十六年間、米施政権が沖繩で続いたと。そうすると、その施政権にくっついてアメリカの企業が出てきておる。しかも、このアメリカの企業というものが沖繩の福祉向上にも役割りをしておる。そういう実績の上に立ちまして、その実情をある程度認めておると、こういう基本的な考え方なんです。つまり、施政権が返還になりまするから、二十六年間その上に存在した企業がそのとき一時になくなっちゃうという、これは妥当な考え方じゃないんじゃないか、日米友好という考えから見まして妥当じゃないんじゃないか、こういうふうに考えまして、一般的に企業につきまして、わが国の法令に準拠するなどの手続をとらせました上、存続を認める、こういう考え方をとったわけです。その一環です。しかし、この電波というものは非常に大事なものでございますものですから、特に電波につきましては、これは注意深くいろいろな措置を加えておる、こういうことです。  それから第二点の、何か好ましいことはないんじゃないかというような、そういうことが希薄じゃないかというようなお尋ねでございますが、その好ましい点の若干につきまして、これは政府委員のほうから説明させます。
  365. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 先ほどの、極東放送がなぜ評判がよろしいかということにつきまして、われわれは現地において問い合わせましたところ、大体こういうようなプログラムがあるものだから評判がよろしいと。で、その一つは、交通情報を与えているわけです。これはタクシーの乗客から問い合わせを受けたりしたときには、また落としものだとか、忘れもののさがしに役立っていると。そのほか、献血情報といいまして、だれか緊急に輸血が必要であるとかというときには、どこの病院に何型が幾らあるとか、そういうような人道的な放送をして緊急のときに役立っていると。それから特に評判のいいプログラムといたしましては、医療相談をやっている。それから中学生向けの英語放送をしている。それから百万人の英語をやっている。それから台風情報をやっている、気象情報をやっている。それから漁業気象情報をやっている。なお、忘れものにつきましては、やはりタクシーの乗客から毎月三百五十件とか六十件の問い合わせがありまして、また運転手から届けものの申し出があるわけですね。これもやはり二百五十件ばかり平均で毎月届けものがございます。このような統計もございます。まあそういうように見まして、ことに先ほど外務大臣がおっしゃられたように、琉球の民謡等を放送している。したがって、これが非常に現地で受けている。こういうことをわれわれは聞いております。
  366. 野上元

    野上元君 私は、いまの説明を聞いておって、実は、あぜんとしておるんですがね。こんなことでこの極東放送を引き続いて許すというような結論になるんでしょうか。先ほど来、午前中明らかにしたように、日本には日本電波法があり、放送法があり、そしていわゆるチャンネル計画というものがあるわけですね。そして、一県には中波は一つしか流さないんだと、電波は一つなんだと。なぜならば、競合してそれはだめなんだということになっておるわけですよ。経営的に成り立たぬということになっておるわけです。それを、いま、忘れもの情報で報道しておるとか、交通情報をやっておるとか、あるいは民謡をやっておるとか、そんなことで、他の民放二社が猛烈に反対しておるのを押し切ってやっていくだけの価値が、一体あるのかどうかですね。問題じゃないですかね、これは。そんなことにはならぬと思います。そんなことをやったら、ほかの民放はつぶれてしまいますよ、これ。それでもなおかつ、やらせるというんですか。それは、あなたが第一に答弁したように、いわゆる沖繩返還に関する基本的な態度として認めたんだということに尽きるわけですね。そうでしょう。それはもう何回も聞いているんですよ、あなたから。しかしながら、あなたは、極東放送というものは沖繩県民に非常に愛されておる、だから、これも一つの残す要素なんだということを言うから、それじゃ、その愛されている証拠を見せてくれと。ところが、証拠がないじゃないですか。これじゃ、何もないですよ、これ。こんなもので愛されておるという判断をするというのは、まことに軽率のそしりを免れないと思いますがね。
  367. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 繰り返しになりますが、この極東放送を財団法人として認可をしよう、存続せしめようと、こういう方針をとりましたのは、これはどこまでも、アメリカの施政権下において沖繩に進出した企業、これはそれなりに沖繩の福祉向上に役立ってきた、これを認めざるを得ない。そういうようなことから、返還に際して一時にこれが引き揚げよというようなことをできるはずのものでもなし、いろいろな条件もつけて、また、日本の法令に準拠した手続をとった上これを存続を認めようと、こういう基本方針なんです。それに基づく一つの適用が、この財団法人極東放送である。その、福祉にどういうふうに向上してきたかという、まあ設例といたしまして、これが沖繩県民にも今日非常に歓迎をされておる、こういうことを申し上げたわけでありまして、これは補足説明なんです。主文は、どこまでも、沖繩返還に伴いましていままで存続した米系企業といえどもこれを消し去るわけにはいかぬ、何らかの条件、また日本の法令の順守、こういうことを条件として認めざるを得ない、こういう考え方から出ておるわけであります。
  368. 野上元

    野上元君 私は、その話はもう何回も聞いておるんですよ。それで、消し去るわけにはいかぬと言うんだけれども、ところが、愛知書簡等によると、あるいは付属の文書によると、これを改組して永久にその存在を認めようとしておるわけでしょう。消し去るわけにはいかぬという表現は、おかしいと思うんですよ。そうじゃなくて、新しく財団法人極東放送というのが生まれて、適格であれば永久に沖繩本島にこの存在を認めるということになるんですからね。あなたの言うように、にわかにこれを消し去ることはできぬというような表現じゃ、おかしいと思うんですよ。別にこれを認めるんですからね。それはどういう考え方なんですか。消し去ると、永久に認めるというのとは、どういうことなんですか。
  369. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ、消し去るというのは、あるいは表現としては妥当でないかもしれませんが、永久に認めると、こういう考え方です。これは放送ばかりじゃない。他の企業におきましても、わが国の法令に準拠いたしました手続をとった上、適法にその業務を営むことができると、こういうふうにする。ただ、電波の問題ですから、これは事は重大だというので特別の規制を加えたと、こういうことでございます。
  370. 野上元

    野上元君 私は、特別の規制を全然加えてないと思うんです。とにかく電波法に認められれば、永久に今後、財団法人極東放送は認めるというんですからね。ですから、規制も何もないですよ。新しく誕生する便宜を与えたということなんです。どこを、何が規制されているんですか。
  371. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 会社としての極東放送、これは二つの仕事をしておるんです。つまり、日本放送と英語放送。返還時までは中国放送もする。しかし、返還時までにはそれはやめます。返還の時点で日本放送と英語放送が残るんです。その英語放送につきましては、五年の期限というワクをはめたわけです。それから日本放送につきましては、これは通常の電波法上の免許を下す、こういう措置をとったわけです。そのことを言っておるわけです。
  372. 野上元

    野上元君 極東放送は、いまあなたの言われたように、いまもいわゆる日本語と英語と、そして中国語の放送をやっておるわけですね。そして、返還までには中国語の放送は取りやめるという話し合いができておるんだと、こういうわけですね。そして残るのは日本語と英語だというわけです。そして、これはいずれも極東放送会社がいまやっておるわけです。いずれも沖繩県民に対する福祉に貢献をしてきたのだ、したがって、にわかにこれを消し去ることは不本意だということですね。そして英語のほうは、五年間の期限をつけてこれを消し去るわけですね。ところが、日本語のほうは消し去らないのですね。永久に認めるということです。ということは、先ほど来言っておりまするように、日本電波行政に重大な障害をもたらすのじゃないか。それほど、極東放送というものに日本語の放送をやってもらわなければならぬのかというのです。その内容を聞いたら、忘れものの情報だと、こういうわけです。そんなものをなぜ残す必要があるのかと私は聞いておるわけです。沖繩を返還されるという大きな大目的のためには、少しのことは目をつぶらなければしようがないのだというのが、あなたの腹じゃないですか。
  373. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まさに、おっしゃるとおりのことを先ほどから申し上げておるんです。つまり、沖繩返還が行なわれる。その際に、とにかく返還は実現しなければならぬ。その際、いままで平穏に事業を経営してきた。それを、返還だからといいましてその事業を停止するということは妥当でない、こういうことなんです。ただ、電波でありまするから、そこで若干の他の企業と比べての、規制と言うと妥当じゃないかもしれませんが、制限を加えておる。つまり、日本語の部面につきましては、これは財団法人極東放送、こういう形をとる。そして、わが国の公益法人としての規制に服するわけです。それから英語放送につきましては五カ年。これは旧会社が行なう、五カ年の期限を付すると、こういうふうにいたしまして、これは他の企業よりは特段の配慮をした、こういうことであります。
  374. 野上元

    野上元君 私は、そこが理解できないのですよ。にわかに消し去ることは気の毒だというのなら、英語放送と同じように期限をつけて許すというなら、まだわかるのですよ。ところが、日本の法人格を持たして、新しい財団法人をつくって、この極東放送というものを生かしていこうというわけですから、これは根本的に違うのですよ。だから、返還されて一年後は新しい会社ができるわけですよ。別の会社ができるわけですよ、日本の会社が。極東放送と何の関係があるのですか。一年で極東放送日本語版はなくなるわけですよ、理屈で言えば。ところが、あなたの話を聞いておると、その日本の財団法人の極東放送も、やはりベルモントに関係があるのだというふうに聞けるのですよ。
  375. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、新しくできる財団法人、これは前の極東放送会社、これと実体上のつながりはあるのです。しかしながら、財団法人、これは日本の公益法人ですね。日本の公益法人、民法法人としての規制に従う。全く日本の法令によって動くわけです。したがいまして、この法人の免許、そういうものは日本の法令に準拠して行なわれる、そういう形になっております。非常に厳重な手続等を経て免許される、こういうことになる。で、愛知書簡というものは、そもそもアメリカに対して日本政府が義務を負うものじゃないんです。これは日本政府の方針を示すものだと、しばしば申し上げておりますが、そういう性格のものでありまして、これは絶対にもう頭から免許しますと、きめているわけじゃない。日本の法令に準拠しまして、日本電波法運用上適正なものであると郵政大臣が判断した、その場合においてのみ認可が与えられる、こういう性格のものでございます。
  376. 野上元

    野上元君 ちょっと話がそれてしまいましたけれども、それじゃ郵政大臣に聞きますが、郵政大臣は、この八条に関する愛知書簡に基づいて、適格ならばこの財団法人極東放送の存在を許す方針ですか。外務省は、許してもらいたい、これは決して拘束するものじゃないけれども、郵政大臣はおそらくこれを許してくれるだろうという希望を持っておるわけです。郵政大臣としては、それじゃ許しますか。
  377. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) これは、愛知書簡にも書いてありますように、日本の法令に従って財団法人極東放送を許すということになっておりますわけでございまして、したがって、電波法に照らしまして適格であれば許すという政府の方針に従って許すことにいたしております。
  378. 野上元

    野上元君 そうしますと、沖繩に関しては、郵政当局としてはチャンネルプランというものの特例を認める、現在でも二波あるのに、さらに一波をつけ加えて沖繩本島の中で経営させる、こういう方針をとるというわけですか。
  379. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) そのようなチャンネルプランをつくりまして、電波監理審議会にかけて、その了承を得て免許するようにいたしたいと思っております。
  380. 野上元

    野上元君 電波監理審議会がノーという結論を出した場合には、それでは許されないことになるわけですね。
  381. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) そのようになりますわけでございますけれども、政府といたしましては、ぜひお認め願いたいというようなことをお願いいたしまして、そして政府の方針に従って免許いたしたいと、このように考えております。
  382. 野上元

    野上元君 そうすると、電波監理審議会というのは、郵政大臣の諮問機関とはなっているけれども、実際は下請機関ですか。
  383. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。  大臣が申し上げました関係法令に従ってということには、電波監理審議会にかけることも含んでいるわけでございます。
  384. 野上元

    野上元君 その話はもう済んだんですよ。その電波監理審議会にかかったときに、電波監理審議会が、そんなものは日本のチャンネルプランから照らして無理だ、特に沖繩のような、まだまだ後進性を持っておるところに三つもラジオを許すなんてことは、本土でさえできないのに、沖繩でできるはずがないじゃないかというのが一般の常識なんですから、私は、常識のある電波監理審議会ならば、当然これは不許可になると思いますよ。その場合には、極東放送は生まれないんだなということを聞いておるのです。
  385. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私の諮問機関ではございますけれども、独自の見解をもって結論を出すわけでございますから、政府の方針としましてそのような考えを持っているということは述べますけれども、自主的に電波監理審議会がだめだと議決いたしますれば、免許ができないということになりますわけでございます。   上元君 福田外務大臣は、それでいいですか。
  386. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私といたしましては、愛知書簡が尊重されるように極力期待をいたしております。
  387. 野上元

    野上元君 総理に聞きたいのですがね、結局、総理の圧力によって、この問題は結局は許可されるんじゃないんですか、総理もそういう事態によ……
  388. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) ちょっと、総理がお答えする前に私から……。  さっきお答えいたしましたことで、どうも少し私ちょっと足らないことがございましたので、訂正いたします。  電波監理審議会というのは私の諮問機関でございまして、その答申が出てまいります。これは尊重いたしますけれども最後の決定は私がすることになりますわけでございますから、そのようにいたしますわけでございます。
  389. 野上元

    野上元君 そうすると、電波監理審議会というのは、結論を出しても、その結論は必ずしも実行されるとは限らない、これは郵政大臣の権限にあると、こういうわけですね。そうしますと、あなたはそれでは許す方針ですか。そういう、ノーと出た場合には許す方針ですか。
  390. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 申請の内容に適格性がございまして、そうして電波監理審議会のほうでこれを是認すれば、もちろんそのまま免許いたしますし、是認しなくても、政府の方針でございますから、私は政府の一員といたしまして許したい、かように考えております。
  391. 野上元

    野上元君 結局は、やっぱり福田外務大臣の言うように、めぐりめぐるけれどもこれを許すということに、どうもなりそうですね、政府の方針は。そうですね。  ただ、私たちがやかましく言っておるのは、これは衆議院の議事録を私も詳細に読んだわけじゃありませんけれども、とにかく極東放送は、日本語版においても第七心理作戦部隊の協力を得ておったということが言われておるわけです。そして、ゴールディング氏ですか、総局長は。その人の沖繩における記者会見によると、われわれは第七心理作戦部隊とは直接何も関係ありません、ニュースは提供されておりましたと、こう言いながらも、ニュースの提供を拒否したこともありますと、こういうように言っておるわけですから、ということは、通常は第七心理作戦部隊から情報が流れておった、たまたま拒否することもあると、こういうふうに言っておるわけですから、むしろ積極的に向こうからニュースが提供されておったというふうにも受け取れるわけです。これはまあ新聞報道ですから、私も独断的なことを言うわけにはまいりませんけれども、少なくとも、そういう疑惑を持っておるわけですからね。そういうものが引き続いて沖繩本島に残るというようなことは、これは非常に問題があるというふうに私は思うのです。  それと同時に、先ほど来、日本のチャンネルプランというものが、もう明らかになったと思うのですが、あらゆる角度から検討して一県一波というふうに大体なっておるわけなんです。それを三波も許して、どうにもならぬような状態にしてしまう。そして他の民放が、かりに極東放送のほうが好ましい、喜ばれておるということになれば、非常な圧迫を受けるということになるわけなんですね、これはもう理屈の当然として。それでもなおかつ、やらなければならぬかというところに、何か裏にあるんじゃないかというふうに疑いたくなるわけなんです。どうしてそこまでやらなければならぬのか。たとえば、あなたの言うように、にわかに消し去ることはかわいそうだというのならば、向こう二年間この放送を許すとか、あるいは三年間許すとかというのならわかりますけれども、わざわざ組織がえをして、日本の法人として永久にこれを残そうということが、いま明らかになったわけですからね。そこまでする必要があるのか。当然、問題になるんじゃないですか。
  392. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まず、このいまの極東放送の取材源、これはいろいろあるようですが、お話のように、第七心理作戦部隊からニュースの提供を受けておる、これは事実のようです。しかし、アメリカ当局は、この取材源、つまり第七心理作戦から取材するというのは、これは返還日までには一切取りやめます、こういうふうに言っております。  それから、それはそれとして、今度できる日本放送、これは財団法人極東放送として日本の法令で認可される事業体です。これは郵政当局の厳重なる審査を経て、適格性がなければ認可が与えられないはずであります。でありまするから、この放送事業自体に対する疑惑というもの、そういうものは私は全然持っておりません。ただ持っておりますのは、御指摘のように、とにかく電波が、本土で言いますれば一県一波、一県二波、まあ三波というようなところへ、沖繩におきましては三波できるわけです、小さい県であるにもかかわらず。これは、電波行政といたしますと、おそらく歓迎するところではない、こういうふうに思いますけれども、先ほどから申し上げておりますように、この事業は平穏に施政権下におきまして事業を経営してきておる、そういう実績も考え、若干の修正を施したる上存続せしめる、こういうことにしたんです。ほかの事業につきましては、外資法上の手続等一切とりました上、わが国への永久存続を認めるわけです。これはそういう手続をとるというだけの条件でありますが。大事な放送でございますので、いろんな配慮を加えた上、しかも郵政当局が厳重な審査をして、日本の公益法人極東放送というものを認可する。その上に立って事業を行なうというだけのこまかい配慮を加えておる。こういうことでありますので、沖繩返還、こういう大きな問題の一環として、ぜひ御了承を願いたい、こういうふうな気持ちでございます。
  393. 野上元

    野上元君 時間もありませんので、最後に入りたいと思いますが、いま外務大臣も明らかにされたように、現在の極東放送会社は、明らかに第七心理作戦部隊からニュースを提供されておったということが明らかになった。しかし、返還後は一切のそういう関係は断ち切る、こういうことを言われたわけなんですが、先ほどアメリカ局長の話では、人気のあるのは忘れものの情報だと言っておったんですが、そうじゃなくて、やはり第七心理作戦部隊から出ておった情報というものが、あるいはニュース解説というものが大半をなしておったんではないですか。それがやはり一番問題なんじゃないですか。いずれにせよ、こういう関係にあることだけは明らかになったわけですから、そういう点については十分にひとつ考慮を払ってもららいたいというふうに思うわけです。特に極東放送については、いわゆる「みなし許可」という方法をとっておるわけですね。現在のまま一年間を適法なものとみなして許可するというようなことが言われているわけですから、いわゆる本許可ということは将来の問題になるわけですね。したがって、先ほど来私がしつこく申し上げておりまするように、いろいろと疑惑もあるし、かつまた沖繩の経済情勢等から見て、必ずしも私は、ほかの民放に障害を与えないでこれが存在するかどうかということになると、相当疑問があると思う。そういうことを考えながら、この極東放送の問題については十分な配慮をすべきであるというふうに思うのですが、その点について最終的に佐藤総理のお考えをお聞きしたいし、そしてあわせて、あとでいいですから、この日本財団法人としてスタートしようとしておる財団法人の発起人のメンバー、あるいはその他の役員のメンバー等がおわかりならば知らしてもらいたい。あとでけっこうですから、資料を出してもらいたい、かように思います。
  394. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 極東放送日本語版、いわゆる財団法人極東放送、こういうものの設立について、外務大臣、郵政大臣、さらにはまた愛知書簡、そういうものを引き合いに出されて、いろいろ実態についての御審議をいただきました。私は、現在において一体どうするのか、こう言われましても、私自身最終的に結論を与えるべき、まだ段階でないように思っております。もちろん、いろいろの方面から慎重にこれは審議しなければならないのでありまして、したがって、ただ、悔いを将来に残しては困る、こういうこともありますし、また、事業自身が沖繩県の経済情勢から見まして、はたして三つも成り立つか、そういうようなこと、また競争激化というようなことにも思いをいたすと、この扱い方については慎重な上にも慎重ならざるを得ないと、かように私思いますので、せっかく、ただいまの段階でどう思うかと、かように言われましても、まだ結論が出ておらない、また慎重に、先ほど来野上君御自身が御指摘になるような点をも勘案して、これは慎重に決定すべきものだと、私はかように思います。
  395. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 日本に入ってまいりますと、その運営につきましては郵政省のほうで責任が大いにありますわけでございますから、先刻来野上先生からいろいろ御指摘のございました点は十分注意いたしまして、遺憾ないことを期して努力してまいりたいと思っております。  なお、御要望の資料につきましては、必要な資料かと思いますし、委員会のほうで理事会で御協議願って、必要だということになりますれば提出いたします。
  396. 野上元

    野上元君 どうもありがとうございました。
  397. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) この際、委員各位に御報告申し上げます。  先ほどの春日君要求の資料につきましては、後刻理事会においてその取り扱いを協議いたしますので、御了承願います。  それでは、以上をもちまして本連合審査会を終了いたします。  これにて沖繩及び北方問題に関する特別委員会逓信委員会建設委員会連合審査会は散会いたします。    午後五時二十七分散会