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1971-11-10 第67回国会 衆議院 文教委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十六年十月十六日)(土曜日) (午前零時現在)における本委員は、次の通りであ る。    委員長 丹羽 兵助君    理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君    理事 河野 洋平君 理事 谷川 和穗君    理事 西岡 武夫君 理事 山中 吾郎君    理事 山田 太郎君 理事 鈴木  一君       有田 喜一君    稻葉  修君       塩崎  潤君    床次 徳二君       中山 正暉君    野中 英二君       堀田 政孝君    松永  光君       森  喜朗君    吉田  実君       渡部 恒三君    川村 継義君       木島喜兵衞君    小林 信一君       楯 兼次郎君    三木 喜夫君       有島 重武君    多田 時子君       山原健二郎君    安里積千代君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十六年十一月十日(水曜日)委員会におい て、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  文化財保護に関する小委員       久保田円次君    塩崎  潤君       谷川 和穗君    野中 英二君       松永  光君    森  喜朗君       吉田  実君    川村 継義君       山中 吾郎君    有島 重武君       鈴木  一君  文化財保護に関する小委員長  久保田円次君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十六年十一月十日(水曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君    理事 河野 洋平君 理事 谷川 和穗君    理事 西岡 武夫君 理事 山中 吾郎君    理事 山田 太郎君 理事 鈴木  一君       稻葉  修君    小沢 一郎君       塩崎  潤君    中山 正暉君       野中 英二君    森  喜朗君       吉田  実君    渡部 恒三君       川村 継義君    木島喜兵衞君       小林 信一君    多田 時子君       安里積千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 高見 三郎君  出席政府委員         文部政務次官  渡辺 栄一君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省社会教育         局長      今村 武俊君         文部省管理局長 安嶋  彌君         文化庁次長   安達 健二君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局審議官  増淵 亮夫君         大蔵省主計局主         計官      青木 英世君         文部省大学学術         局審議官    安養寺重夫君         文教委員会調査         室長      石田 幸男君 ――――――――――――――――――――― 委員の異動 十一月十日  辞任         補欠選任   堀田 政孝君     小沢 一郎君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     堀田 政孝君 ――――――――――――――――――――― 十月十六日  公立義務教育学校学級編制及び教職員定  数の標準に関する法律の一部を改正する法律  案(川村継義君外五名提出、第六十五回国会衆  法第九号)  大学基本法案鈴木一君外三名提出、第六十五  回国会衆法第一〇号) 十一月一日  学校砂場施設整備に関する請願中谷鉄也君  紹介)(第二〇五号) 同月二日  和裁を学校教育必修科目として採用に関する  請願草野一郎平紹介)(第二一五号)  同(菅野和太郎紹介)(第二一六号)  工業高等学校を四年課程に改正に関する請願  (小坂善太郎紹介)(第三九二号)  国立岩手大学法文学部設置に関する請願(鈴  木善幸紹介)(第三九九号) 同月四日  学校砂場施設整備に関する請願武藤嘉文君  紹介)(第四一三号)  日本学校安全会支部組織改善に関する請願  (川村継義紹介)(第四一四号)  同(斉藤正男紹介)(第四一五号)  私立学校に対する公費助成大幅増額等に関す  る請願斉藤正男紹介)(第四一六号)  同(平林剛紹介)(第四一七号)  同外二件(松沢俊昭紹介)(第四一八号)  同(金丸徳重紹介)(第四八八号)  同(川俣健二郎紹介)(第四八九号)  同外一件(佐野憲治紹介)(第四九〇号)  同(土井たか子紹介)(第四九一号)  同(松沢俊昭紹介)(第四九二号)  同外一件(三木喜夫紹介)(第四九三号) 同月八日  学校砂場施設整備に関する請願堀昌雄君紹  介)(第六四二号)  私立学校に対する公費助成大幅増額等に関す  る請願川俣健二郎紹介)(第六四三号)  同外四件(堀昌雄紹介)(第六四四号)  同外一件(斉藤正男紹介)(第六八三号)  同外一件(斉藤正男紹介)(第七六三号)  養護教諭全校必置に関する請願植木庚子郎  君紹介)(第六八一号)  同(八百板正紹介)(第六八二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月八日  旭川市に国立医科大学設置に関する陳情書  (第二一号)  群馬大学工学部第二部設置に関する陳情書  (第二二号)  宮崎大学医学部設置に関する陳情書  (第二三号)  公立学校建築補助単価引上げに関する陳情  書(第二四号)  遠距離児童生徒通学費補助金限度額引上げに  関する陳情書  (第二五号)  史跡指定地に対する補助率改善に関する陳情書  (第九三号)  人口急増に伴う文教施設整備に関する陳情書  (第九四号)  医師養成機関の拡充に関する陳情書  (第九五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  国政調査承認要求に関する件  文教行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、  文教行政基本施策に関する事項  学校教育に関する事項  社会教育に関する事項  体育に関する事項  学術研究及び宗教に関する事項  国際文化交流に関する事項  文化財保護に関する事項 以上の各事項につきまして、衆議院規則第九十四条により、議長に対し国政調査承認を求めることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 丹羽兵助

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、国政調査承認要求書の作成並びに提出手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 丹羽兵助

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さように決しました。      ————◇—————
  5. 丹羽兵助

    丹羽委員長 文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。河野洋平君。
  6. 河野洋平

    河野(洋)委員 私は、文教委員会国政調査のため十月五日から五日間、長崎熊本福岡地域へ七名の委員を派遣されまして、長崎大学をはじめ地元の多くの方々からいろいろな実態を聞き出し、あるいは目で見て調査をしてまいりました。その報告書会議録に掲載をされることになっておると思いますが、そうした調査に基づいた幾つかの点を、以下その調査に同行されました山中委員あるいは山田委員ともども政府に対して御質問を申し上げ、御答弁をいただきたい。  私は、国政調査が聞きっぱなし、言いっぱなし、行きっぱなし、ということでなくて、文教委員会の権威にかけて、調査をしてきたものはそのつど最終責任まで持つべきであるとかねがね考えておりましたので、調査に参加をされました先輩同僚先生方と話をいたしまして、今回質問の機会を与えていただいたわけでございます。地元方々の御協力に感謝しつつ、以下それぞれの立場から質問をさせていただきたいと思います。  私は、まず最初に、現在わが国が直面をいたしております医師養成の問題についてお尋ねをしたいと思います。  医師養成は、文部省医科大学設置調査会中間報告によれば、当面千二百ないし千三百名の医科大学定員増員をはかるべきだという中間報告も出ておりますし、これをさらに進度を早めて、より多くの医師を養成する必要があるというふうにいわれておるわけでございますが、特に、今回調査に参りました長崎県におきましては、医師不足は非常に深刻でございます。特に五島その他の離島山間僻地では、医師不足最大の悩みだ、最大の社会問題だ、こういうことでございまして、私どもも実際に目で見、耳で聞いて、なるほどこれはたいへんなことだと、いまさらながらそうした問題を再確認をしてきたわけでございます。何とかしてこの問題を解決しなければいけないということで、地元方々もいろいろ知恵をしぼっておられまして、長崎県の久保知事以下、非常な御努力をしておられるようでございますが、特に当面、長崎大学医学部医療研究要員として医師教官増員するとともに、将来にわたって医師の確保をはかるため、医学部入学定員を大幅に増員することによって、この問題を解決していきたいという御要望もございました。私どももやりとりをいたしましたけれども、率直に言って、それが一つの現実的な解決策ではないか、こう考えて帰ってきたわけでございます。この長崎大学という特定の固有名詞を使うのはどうかと思いますけれども、こうした山間僻地あるいは離島等を持っておる地域医師不足解決するために、これらの背景を持つ大学定員増を積極的にやるべきではないかと思うのでございますが、この点について政府の御所見を承りたいと思います。
  7. 高見三郎

    高見国務大臣 河野先生がいまおっしゃった医師不足の問題は、私ども今度は真剣に取り上げていきたいと考えておるわけでありますが、長崎大学につきましては、定員百名のところを百二十名、二十名だけ定員増要求をいたしております。まあ国立大学医学部の現状から申しますというと、一学部の一学年の定員は、中間報告にもございますとおり、百二十名をこえてはどうもぐあいが悪いようだということでありますので、現在百名でございますが、それを百二十名にふやすことにいたしました。
  8. 河野洋平

    河野(洋)委員 ぜひひとつ、こうした現実に医者のないところで毎日暮らしておられる方々、こういう問題を解決をするために、これは厚生省の問題でもあろうかと思いますけれども、特に医師養成責任をもってやらなければいけない文部省立場として、積極的に定員増をやっていっていただきたい。大臣のいまの御答弁で、地元方々もまあ光明を見出したという気持ちになろうかと思いますが、ぜひとも実行をしていっていただきたいということを、特にお願いを申し上げて山中委員に譲ります。
  9. 高見三郎

    高見国務大臣 ちょっと河野先生お答え漏れがありましたが、確かに久保知事が非常な努力をしておられることは私も聞いております。そこで、僻地離島等に対しまする医療というものを、医師養成という見地からだけでなしに考えなければならぬというところで、今回臨床の病院教官を七名増員することにいたして予算要求をいたしておるわけであります。つけ加えて申し上げておきます。
  10. 河野洋平

    河野(洋)委員 主計局からもちょっと答弁してもらえる部分があれば……。
  11. 青木英世

    青木説明員 主計官青木でございます。  医師養成の問題につきましては、ただいま河野先生から御発言がございましたように、私どもも積極的に取り組んでいきたいと考えております。来年度につきましては、七大学について二十名、合計しますと百四十名の入学定員改定の増がございますが、これらの要求については前向きに検討していきたい、このように考えております。
  12. 丹羽兵助

  13. 山中吾郎

    山中(吾)委員 いま河野委員から言われたとおり、文教委員会において九州方面水産教育文化財保護の二点を目的として視察をいたしましたので、政府の御意見を、地元要望についてお聞きをして、前向きに検討をしていただきたいことを念願をしながらお聞きをいたしたいと思うのであります。  いま河野委員から、医科大学定員増の話が出ましたので、念のために大臣の御検討を含んでお願いしておきたいと思うのでありますが、医科大学の問題については、医師の絶対量を多くするということと、卒業生僻地赴任をするという二つのことがあって初めて目的が果たせるので、後者については、卒業生にいわゆる僻地に行ってもらう方途については遠慮がちでほとんど話題を出しておられない。私は、工業教員養成所法案が出たときに、法制局長官を呼びまして、入学するときの契約で、卒業したときに一定期間就職を約束するということが憲法違反かどうかということを質疑をしたことがあります。結論的に違反でないという答弁を得ておるのであって、入学するときに、一定地域赴任をするということを前提とした大学、これは憲法上もう少し深く論議をされて——私は違反でないと聞いておりますので、そういうことも検討されて、大胆に医師量的拡大配分——配分というより配置公正化、二つ含んで御検討願う必要があるのじゃないか。大臣の御意見を聞いておきたいと思います。
  14. 高見三郎

    高見国務大臣 山中先生の御質問契約することは憲法違反でないことは申すまでもないのであります。契約を履行しない場合には、これは民法上の問題になってまいるのであります。いま私ども一番苦心をいたしておりますのは、医師配置を、無医村の多い地区に医科大学をつくってみまして、さてそこに何人定着するかということになりますると、非常に心細い感じがいたすのであります。けれどもお話のような問題を含めて、これからの医師養成というものは考えざるを得ないだろう。契約を履行するかしないかは別といたしまして、そういう方向を含めなければならぬと思いますのは、たとえば北海道に例をとってみますと、北海道全国で、人口に対する医師が一番少ない。それでいて札幌全国で一番医師の数が多いところなんです。つまり北大の医学部あるいは北海道立札幌医科大学を卒業しまして、僻地へは行かないが札幌へは定着する、これはどうにもならないんですね。今度旭川につくってくれという御要望が出ておりますが、これをいれるとしましても、そのうちの何%が一体旭川に定着してくれるかということになりますと、やはり先生がおっしゃるような、ある程度の契約といいますか、約束を取りつけて入学させるというような形のものをつくらなければ、それが何%かは別としましても、困難ではないか。医師の絶対数をふやすということは何より必要なことでありますけれども、これを山村僻地へ定着させるということは、私の仕事よりはむしろ厚生省仕事だと思いますけれども、しかし医師養成立場から考えまして、御意見のあるところは十分に尊重いたしたい、かように考えております。
  15. 山中吾郎

    山中(吾)委員 われわれも協力したいと思いますので、大胆に御検討願いたいと思います。  さて、九州視察のことについて質問いたしますが、長崎県、熊本県、福岡県三県中心に視察いたしましたので、その地域要望された点、同時にこれが日本文教政策全国全体の政策と表裏一体の妥当な要望であるという点をピックアップしましてお聞きし、政府の御意見を聞きたいと思うのであります。  まず第一に長崎県でありますが、長崎大学水産学部視察をいたしました。水産学部長以下、水産教育振興のために非常に意欲に燃えて、これから大いに仕事をしょう、教育研究を進めようという意気込みであったので、われわれ視察委員全部は非常に敬意を表してまいったのでありますが、いろいろな要望の中で、大学水産教育の中でどうしてもなくてはならない練習船要望がございました。長崎大学では大体千二百トンの新造船要望がございますが、これは文部省では大蔵省要望する原案には入っておりますか、入っておりませんか。
  16. 安養寺重夫

    安養寺説明員 四十七年度概算要求には入ってございません。
  17. 山中吾郎

    山中(吾)委員 入っていない。いまからわれわれ追加を要望いたしたいと思うのですが、事実上いま入っていないとすれば非常に遺憾であります。大体、全国水産大学練習船を見ますと、東京水産大学は千四百五十トンの船がある。北海道大学は千百八十トンの船がある。鹿児島大学水産学部は千四十トンの船がある。長崎大学だけは五百六十トンの船であって、大学水産教育としては教育ができない。日本における大学水産学部としては明らかに片手落ちであると私は考える。なぜ要求されないのか。少なくとも大学においては、千トン級の船を一つつくらなければ大学水産教育はできないのです。文部省の怠慢じゃないですか。
  18. 安養寺重夫

    安養寺説明員 お話長崎大学からの千トン以上の船の造船要求は承っております。明年度概算要求の際にもいろいろ審議をいたしました。結論といたしましては、現在の乗船履歴制度改定等が予定されておることでもございますので、将来検討いたしたい。現在のところはわれわれのほうでは、水産大学海鷹丸の代船であるとか、あるいは鹿児島大学敬天丸の代船をつくるとかいうほうが順位が先であるというふうな取り上げ方をいたしておりますので、長崎大学のはこういうことを考えながら将来検討したいと思います。
  19. 山中吾郎

    山中(吾)委員 どこが先ですか。
  20. 安養寺重夫

  21. 山中吾郎

    山中(吾)委員 千四十トンあるのですよ。
  22. 安養寺重夫

    安養寺説明員 古うございますので……。
  23. 山中吾郎

    山中(吾)委員 古いのはまた更新すればできるでしょう。その考えが非常に私は間違いだと思うのです。水産大学の千四百五十トンは古くなったから更新する、原船のあるものをまた再生するのですから別問題ですよ。一体長崎大学水産学部に必要な最低の一千トンの船がないじゃないですか。それをあと回しとは何事です。少なくとも四十八年度に実現するということをぜひ考え直してもらいたいと思うのです。
  24. 高見三郎

    高見国務大臣 いま五百六十二トンの練習船を持っております。持っておりますが、これは運輸省の海技従事者試験免除制度改定とも見合いまして、四十八年度予算には千トン級以上の船をつくるつもりでおるわけであります。さよう御了承いただきたいと思います。
  25. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大臣は更迭をしても、この委員会の御答弁の記録があるのですから、文部事務当局は、四十八年度予算要求には忘れないようにしてください。  そこで、主計官にお聞きいたしますが、私がいま言っていることは最も公平な論議だと思うのです。青木主計官にもう一度申しますが、全国数少ない水産学部において、東京水産大学は千四百五十トンの海鷹丸、三百八十トンの神鷹丸ですか、それから二百二十トン、三隻あります。北海道大学も千百八十トンを最高として三隻ある。鹿児島大学も千四十トンを最高として三隻ある。長崎大学だけが五百六十トンとあと二十トンの二隻しかないのだ。これは大学が古いか新しいかじゃなくて、水産学部教育を必要として九州——あそこへ行きますと、日本海洋教育水産資源の開発には非常に大事なところであると思うので、まずここに優先的に教育に必要な千トンの船をつくるということは、どこから見ても妥当だと私は思うのです。その点、主計官の認識を深めておいていただきたい。  それに関連をして大学でお聞きいたしますと、建造費というのは一回限りの国の支出である。しかし、これに必要な定員経常支出になり、定員増ということが一番大きな問題になるのだが、現在の定員法においては、教育定員が別ワクでないので、船を要求するときに、その建造費ということもさりながら、それに二、三十名の教育職員定員が必要だということが一番ガンになるということを聞いてまいりました。いまの医学部定員増についても教授、助教授の定員が当然伴ってくるわけであります。これは教育政策からいいまして、やはりどうしても別ワクにしなければ、あらゆる教育政策の推進に支障を来たすのだ。大蔵省においてこの点どう考えておられるのか。行政管理庁おりますね。両方から御意見をお聞きしておきたいと思います。
  26. 青木英世

    青木説明員 山中先生御指摘の第一点の例の長崎丸のほかに、千トンクラスの船をつくれという話でございますが、これは四十八年度以降文部省から御要求が出た際に十分検討さしていただきたいと思っております。  それから、船に伴います乗り組み員定員の話でございますが、これは船を建造いたしましたときに必要最小限度定員を張りつけるということは当然でございまして、現に長崎大学長崎丸には二十一名の定員を張りつけております。それから、先ほど先生おっしゃった東京水産大学海鷹丸ではたしか三十五名だったと思いますが、そういう乗り組み員を張りつけております。  なお、教職員の定数を総定員法ワクの外にするかどうかという問題につきましては、先生おっしゃったようなお考え方もあろうかとは思いますが、ただ大学以外に他省庁研究所等におきましても類似の職員がおるわけでございます。それと本質的に区別すべき理由が少ないのではないかという考え方もあるのではないかと思っております。  なお、これは大蔵省だけではなくて行政管理庁にも関連いたしますが、そういう意味で、定員削減のときには通常の職員削減率よりも率を低くするとか、あるいは増員に際しましても、できるだけ必要最小限度のものは見ていく、こういうことで措置しておる次第でございます。
  27. 増淵亮夫

    増淵説明員 お答えします。  新造船定員の問題につきましては、各大学の御要求文部当局でいろいろ御審査になりまして、さらにわれわれのところに要求されてくるということでございますので、いずれ四十八年度にそういう御要求がございますれば慎重に検討したいというふうに考えております。  それから、関連総定員法ワク外とすべきではないかという御意見でございますが、ただいま青木主計官のほうからもお話がございましたのとほとんど同じことでございますが、やはり国立大学教職員一般職職員でございますし、他省庁には同種の職員もおりますので、特に区別すべきものではないというふうに扱っております。また、これは総定員法の総ワクがただいま五十万六千五百七十一名ということになって運用いたしております。それのワク内であるために、国立学校教官職員増員が行なわれがたいというようなことが、特に支障を生じておれば別でございますが、現在の運用でまいりますと、毎年度定員削減をいたしておりますが、各省庁定員削減の中でも、教官等の割合は特に考慮いたしておりますし、また、毎年度増員の中で、学校職員のほうに振り向ける分は、増員の半分ぐらい振り向けております。そういうことで、われわれとしては、ワクの中でどうしても必要なものについては最小限つけたいということで運用いたしておりますので、御了承いただきたいと思います。
  28. 丹羽兵助

    丹羽委員長 関連質問申し出がありますので、これを許します。塩崎君。
  29. 塩崎潤

    塩崎委員 いま御質問のありました医学部定員の問題で、私も一つ関連質問をさしていただきたいのでございます。  総定員法目的は何かということにも関連いたしますが、関連質問でございますので、そういった根本論は別といたしまして、私は、総定員法で役人の数が限定されておる大きな趣旨は、その収入源泉がやはり税金であるということだと思うんです。したがって、公務員の与えるサービスと、そして支払われる報酬との間の関係が往々にして明白でない、そのために無制限にふえる傾向がある、あるいはまた、基準のない定員、これをひとつ現状でとめようということから起こってきておると思うんです。  そういうふうな考え方かどうか知りませんが、そうなりますと、たとえば付属病院の教授あるいは臨床教授あるいは薬剤師、それから看護婦などは、はたして総定員法で縛っていいのかどうか。つまり、患者のほうから収入が医療費として入ってくる、サービスが多くなればなるほど収入も入ってくる、そんなふうなことを考えてみますと、定員法ではたして縛るのがいいのかどうか。私は、この定員法で縛っていることによって、付属病院を含めて医学部設置が非常にむずかしくなっているのではないかと思うんです。現に皆さん、行政管理庁などでも、国鉄などのように収入の入るものは定員法ワク外になっておるはずでございます。あるいは高速度交通営団の定員も、あれはワク外になっているはずで、国費でまかなわれておりましてもおそらく別ワクになっていると思うんです。そんなふうな考え方がとれるかとれないか、行政管理庁ではどう考えているか、その考えている点をぜひともお答え願いたいと思うんです。
  30. 増淵亮夫

    増淵説明員 ただいまの御質問は非常にむずかしい問題でございますけれども、おっしゃるとおり三公社、これは別でございます。しかし五現業は、一応は、定員削減のときなどには、やはり一般職に準じまして定員削減をやっていただくようにいたしております。  そこで、ただいまお話のございました国立病院の医師あるいは国立大学医学部の病院の看護婦とか、そういう方をどうするかということでございますが、現在の扱いでは、やはり行政職の中で、しかも政府の財政の中で扱うということで、そういう方向でまいっております。  先生のおっしゃるような御意見も耳にいたすわけでございますが、一般の行政職につきまして、総体として総定員法ワクの中で、新陳代謝といいますか、行政需要の消長に応じて再配分するというたてまえで運用いたしておりまして、その大きな目的は、やはり行政職一般の行政能率を総体として上げてまいるということが一つの大き主柱になっておりますので、そういう観点で、ただいま簡単に結論を申し上げるわけにはいかないと思うのでございます。
  31. 塩崎潤

    塩崎委員 純粋の行政職の範疇に入るか入らないか、付属病院のお医者さん、薬剤師、看護婦さん、これが中に入るかどうか、私は問題を提起したわけでございます。根本論はいずれまたゆっくり関連質問外でやらしていただくことにいたしまして、ぜひとも総定員法のあり方の問題としてひとつ深く御研究をお願いいたします。
  32. 山中吾郎

    山中(吾)委員 一般論の行政官というだけで論議は割り切れないということは、行政管理庁はおわかりのようでありますから、前向きに検討されることを要望いたします。  付言しておきたいのは、人の命を守る看護とかいうことと同時に、教育は人なりというので、教員の定員というのは実は事業費なんです。教育というのは、人というものが施設であり、事業であり、いわゆる人件費というよりも教育費そのものなんですから、一般の行政と同じように考えられて、そうして総定員法ワク内でというふうに、悩みのない論議では困る。その点はぜひ検討されることを要望いたします。そうで互いと、一つ学校をつくり、学部をつくっても、施設ができても教育がないのですから、どうしたって必要なる教育者というものが要るんですからね。その辺は、やり方によって節約できるというふうな問題ではないのですから、もう少し認識を深めて、大蔵省主計官も含んで御検討要望しておきたいと思います。  次に、長崎大学水産学部でいろいろと要望を受けたので、文部大臣に前向きでひとつ御検討願いたいと思うことを申し上げて、御意見をお聞きしておきたいと思いますが、単なる伝統的な水産学部よりは、海洋全体の学問を研究する海洋学部というようにイメージを改造いたしまして、漁業についても、栽培漁業あるいは未利用資源についての学問、海洋観光についてのいろいろな原理的な問題、水資源あるいは海洋公害に対する基本的な学術を研究する。新しく、洋上国家である日本のあり方も含んで、水産学部というイメージを海洋学部というイメージに切りかえたいという先生方意見に私は大いに共鳴をいたしたのですが、こういうことが一点。  それから、そういう海洋学部というような構想は、日本大学の構想にないものですから、教授の大部分の学位を見ますと農学博士である。水産学を研究しても、実は農学博士という名前をもらっておりますね、大学に農学部しかないから。そうして、農学博士が水産教育をやっておる。まことに奇異に感ずるような一覧表を私はいただいた。ここに一つの矛盾があります。  さらにまた、その学部の中で、いままでのような伝統的な学科の分け方に対して、関連学問をずっと弾力的に総合的に研究できるように、何々学科コース、何々系コースという改造案が出ておったので、私は長崎大学水産学部については非常に感覚が新しいし、いい方向である、こういうものを文部大臣が取り上げて、日本水産教育を、もっと科学的な基礎を持った海洋科学教育に発展さす契機にされてはどうかと感じたので、大臣の御意見をお聞きしておきたいと思います。
  33. 高見三郎

    高見国務大臣 山中先生御指摘の問題は、私も全く同感でございます。ただいま講座につきまして、長崎大学では新しい、海洋開発系と海洋生産系、食糧科学系、海技専攻、経営専攻というような学科別にしたいという構想を持っておるようであります。これはどの水産大学についても当てはまる問題でありまして、実は日本水産大学というものが、何か魚さえとればいい、あるいは魚を加工すればいいというような、まあ高等学校の段階においてもそうなのでございますけれども、そういう形では日本の海洋開発というものは将来できない。これは大学がそういう御要望があるならば、私ども喜んで受けて立つつもりでおります。これははっきり申し上げておきます。
  34. 山中吾郎

    山中(吾)委員 文部大臣が前向きに御答弁されたことを長崎大学学部長が聞けば非常に喜ぶだろうと思います。これは日本の海洋、水産教育の発展の方向として非常に望ましいことでありますので、ぜひひとつそういう方向で文部省の事務当局大蔵省も理解を深めていただいて、そういう方向に発展することを期待いたします。  大学のことはこれくらいにしまして、今度は水産高等学校長崎熊本二県見てまいりました。この水産高等学校における要望も、共通したものは練習船であります。長崎のほうにおいても、すでに老朽しておって、財産処分制限期間十年を経過して非常に老朽化しておる。これは文部省の告示によるものだ。これについての建造の要望があり、熊本でもありました。  そこで、水産高等学校教育は船がなければこれは事実上できない、畳の上の水練ですから。少々金はかかっても、国が援助して船は準備させなければならない。卒業しても、海に入らないで陸で山奥で先生をしたり、そういうふうなことになるので、これは文部省において、全国の水産高等学校における練習船の充実計画、年次計画をお持ちになっておるのか。そういう年次計画のもとに全国教育に必要最低限の船を充実するということでなければ——要望があったらそのつど要望するというのではあまりにも知恵がなさ過ぎると思うのであります。したがって、まずいま言った練習船の充実計画を年次的にお持ちになっているか。それに基づいて大蔵省要求されておるのかどうか。それと、直接行ったものでありますから、長崎及び熊本の水産高等学校練習船要望があれば、文部省の三分の一の補助ですか、非常に少ないのでありますが、それにこたえる準備をされておられるかどうかをお聞きいたします。
  35. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 練習船の建造計画につきましては、一応四十六年から五十一年までの間に大型船、これは二百五十トン以上でございますが十八隻、それから中型でございますが、中型を七隻というふうな一応の目安を立てておりまして、これは実質的には毎年地方公共団体からの要求によりまして予算に乗せておるわけでございますけれども、一応そういうような計画で各県を指導してまいりたいと考えております。  それからなお、来年度は、熊本県の船は古くなっておりますので、熊本県につきまして大型を一隻予算要求をいたしまして、従来からこういう代船建造につきましては大蔵省も非常に理解を示していただいておりますので、たぶん来年には要望が達せられるのではないかというふうに考えます。
  36. 山中吾郎

    山中(吾)委員 五十一年までの計画がおありということでありますから、ひとつその計画案を提出してください。五カ年計画のようですから、老朽練習船を更改する学校も含めておると思いますが、そういう計画を明確に省議で決定をされて、そして充実されることを要望いたしたいと思います。  そういう船をつくることによって、同時に私は水産高等学校を、いまのように海の公害問題があり、また魚は少なくなっておるのであり、それから栽培漁業に発展せなければならぬのでありますから、海洋高等学校というような構想で、少しロマンチシズムを出して前向きに水産教育の計画を文部当局が発想されることを要望いたしたいと思うのであります。そういうものをもって大蔵省主計官と大いに論議を戦わして、日本は洋上国家ですから、日本の国民は全部一度義務教育の間に船に乗せて海を見せてやるくらいの教育政策がなければならぬと私は思っておるのです。そういう方向に御検討願いたい。時間がありませんので、要望いたしてまた次の機会にお聞きいたします。  次に、熊本に行ったときの要望事項の中で全国的な問題として取り上げてしかるべきものを二、三お聞きいたしたいと思うのでありますが、ここに国立工業高等専門学校の新設、国立農業高等専門学校の新設、それから長崎では、長崎大学と水産高等学校の中間の国立水産専門学校、水産、農業、工業全体に高専の要望がある。私はどこかに地域教育要求にマッチする要望があらわれておるのではないか、日本学校制度全体の中に、何か地域社会の要求に合っておるものがあるから出るのかと考えてみました。これは私は要望いたしませんが、そのときに、どうも後期中等教育のイメージでこういう実用教育をするよりも、科学技術の進歩をしている現代の段階においては、前期高等教育イメージのいわゆる職業専門教育、それが要望されておるのではないか。後期中等教育のままのいわゆる農業、工業、商業ではもう足らないのである、そういうことが地域要望の中に各種の高等専門学校要望が出ておるのではないかと思うのであります。そういうことを考えて、六・三制検討の場合に、後期中等教育の多様化が答申の中にあるのを私非常に疑問に思うのでありますが、こういう点について、地域教育要望の中から、現在教育に対する要望が、何が全体として底流に流れておるかということを文部省ではよく洞察をされて善処していただきたいと思うのであります。これはお答えは要りません。  次に、義務教育定員その他について、全国的な要望と同じ要望熊本県から出ておったのでありますが、これに関連して主計官にぜひこの機会にお聞きしておきたいと思うのであります。  義務教育について私は、補助についての基本的な考え方をぜひ修正してもらいたいということが一つあるわけであります。  まず施設のほうからいって、小学校と中学校、同じ義務教育であるのに差別をして、小学校の施設は三分の一、中学校は二分の一という補助の差別を、二十年になんなんとしておるのに、伝統として補助の方針にそのまま残しておることはまことに遺憾であります。義務教育は小学校も中学校も同じなのであるから、同じ国の補助をなすべきだという思想だけは——過去の行きがかりは、もう二十年もたっておるのであるから、義務教育というすなおな立場に立って修正をされ、新しく青木主計官が来られたんだから、この機会に思想を変えてもらいたい。それが一つ。  それから、高等学校についても、地域の高等学校設置の知事その他の説明は、地域開発のために人材を養成するので、高等学校設置するとして提案をし、議会の承認を得てつくっておるのでありますけれども卒業生は全部県外に就職するのであります。地域開発、人材養成でなくて、過密地帯の大都市の優秀な技術労働者の養成のために貧乏な県が負担をしておるという実態に変化をしておる。そうなると、高等学校の施設の補助についても、税金の再配分という思想のもとに、地域の人材養成でなくて、いなかの県が先進県の技術者を養成するかっこうになっておるのでありますから、国が調節をして、同じように施設の補助を出すべきである。そういう思想もまだないように思うのであって、私はこの機会に、新しく文教を担当した青木主計官から意見を聞いておきまして、そして来年度以後の文教予算について、実態に合うような予算の理論、思想というものを発展させてもらいたいと思うので、お聞きしておきます。
  37. 青木英世

    青木説明員 公立文教施設の整備に対する国の補助率につきましては、先生御指摘のとおり、現在小学校は三分の一、中学校が二分の一ということになっておるわけでございます。これはいろんな歴史的な経緯がございまして、御承知のとおり、戦後新しく六・三制の出発に伴って中学校を新設するということで、中学校の補助率を特例的に高くしたわけであります。その後、人口の急増、中学生の増高ということで、その特例的な補助率を据え置いて、これが現在までに至っておるわけであります。まあ財政当局といたしますと——しかられるかもしれないのですけれども、三分の一の補助率のほうが実は通則なんで、二分の一のほうは特例なんだというふうに考えておるわけでございます。先生おっしゃるような御意見もありますが、財政負担が非常に伴う問題でございますので、将来の問題としてひとつ御意見も十分に伺っていきたい、こう思います。  それから、高等学校につきましては、現在御承知のように、国の補助というものはほとんどなくて、地方交付税等で運営費を若干見ておるわけです。これは地方と国との財源の調整と申しますか、そういう問題ともからんでまいりますので、いまおっしゃいましたように、ある県出身の高校生が、実はその県にとどまらないで、東京とか大阪とかそういうところに出かけていくという実態は御指摘のとおりかと思いますが、それを補助金のほうで修正するのか、あるいは地方交付税のようなかっこうで修正するのが妥当なのか、この辺はなお検討の余地があるのではないか、このように考えております。
  38. 山中吾郎

    山中(吾)委員 あとのほうは方法で考えるということですからけっこうですが、前のほうは一〇〇%承服できない。大体義務教育でない教育施設は、三分の一というのが常識ですよ。何でもかんでも社会教育の公民館には三分の一、義務教育だから二分の一という思想が出ておるのであって、しかも中学に二分の一の補助というものが常識化しておるときに、三分の一のほうが本分でという思想は、あまりにもこじつけで、これはとても承服できませんよ。義務教育なんですよ、私の言っているのは。それでほかの教育施設は三分の一というのが鉄則になっているでしょう。義務教育だから二分の一という思想が出ておって、小学校と中学校——行きがかりはよくわかっておるのですよ。しかし、現在はそういう行きがかりは捨てなければならぬほど経過をしておるのだから、義務教育を本来の二分の一に持っていくというくらいの思想を新主計官がお持ちにならぬのは、まことに遺憾で承服できない。もう一度答弁してください。
  39. 青木英世

    青木説明員 公立文教施設について小学校のほうを二分の一としろという御議論は、文部省からも毎年度要求が出ておるわけです。実はそのほか、御承知のように社会教育の問題にしましても、あるいは体育の関係にしましても、あるいは私学の助成にしましても、非常にたくさんな財政的な御要求が出ておりますので、来年度学校の率を三分の一から二分の一に変えるということは非常に困難ではないか。(山中(吾)委員考え方を聞いているのです。」と呼ぶ)先生のおっしゃるような御意見も当然かとは思いますけれども、来年度それを修正するということは非常に困難かと思っております。
  40. 山中吾郎

    山中(吾)委員 主計官、ぼくの考えはもっともだということを確認しましたね。財政的に来年は困難だということならば、あとは政治の問題ですから、私はそれ以上の答弁を求めていないのです。ぼくの考えが間違っておるというならば——義務教育だから三分の一でなくて二分の一、ほんとうは三分の二が正しいとぼくは思うのです。ただし、ぼくも国の財政は知らぬことはないので、まず二分の一ということを言っているのですが、三分の一を原則に持ってくるのでは、これははしにも棒にもかからない。まあ確認されたから、今後またお互いに論議をしていきたいと思います。次に、時間がありませんので、文化財についてお聞きしておきます。福岡に参ったときに、いろいろ文化財の問題がございました。その中で文化財小委員長の久保田さんを中心にいろいろ要望を聞いたのでありますが、太宰府の国有地買い上げについては国が八割、地元が二割というのであるけれども、これは収入の出る財産ではないために、あと二割といえども、五億の二割というと一億になる。だから貧乏な地元の町村からいえば非常な負担である。民族のそういう貴重な文化財を保存する場合には、やはり八割というようなことでなく、全額国が金を出して買い上げるということが至当ではないか。額が非常に多いものですから、その点についての要望があったので、これは検討すべきではないか。  それから次に、買い上げたあと、そのままずっと耕作停止をさせて荒れ地のままに残してある。そのために元の所有者が、他の所有者との関係からいって非常に不合理を感じておるようであります。そこに施設をつくるまでに五年もあるいは十年も残さなければならぬ場合は、国が買い上げても、着手をするまでは従来どおりに耕作をさすくらいの現実に即した処理はしていいのではないか。国有財産法にどうなっておるか、私はいま勉強しておりません。文化財として指定をされて買い上げられて、そのもとの自分の所有地の耕作をその次の年からやめて指をくわえて見ておるということは、やはり目の前に土地を持っておる者からいえば耐えられない不合理を感ずると思う。このくらいの血の通った処理は文化庁長官だけでもできるのではないか。どなたにお伺いを立てなければできないのか、それをお聞きしておきたいし、それくらいの融通をきかせてあげたらどうか。どれだけその地域の人が合理的な満足感を持つかと痛切に感じたので御答弁願いたい。それから、福岡の太宰府に参りますと、福岡県において、県で県立資料館をつくっておるのだか、福岡県知事その他の考え方は、日本の民族上代史の貴重ないろいろの遺跡が散在し、いろいろの文化財があるので、福岡県のエゴイズムだけでなくて、九州全体の博物館にしてほしい。福岡県の施設は全部寄付するから、国立九州博物館分館というのかそれはわかりませんが、そういう要望があった。私は非常に妥当だと思うのであります。この点を非常に妥当な要望と思ったので、文化庁から御答弁をお聞きいたしまして、またわれわれも努力をいたしたいと思うので、お答え願いたいと思います。
  41. 安達健二

    ○安達政府委員 国が指定いたしました史跡等につきまして、これを公有化して将来にわたって保存し、また活用していくということで、史跡等の買い上げを促進いたしておるわけでございます。この史跡の買い上げについての国庫補助につきましては、現在原則といたしましては国が半分、あとの半分を地方公共団体が負担をする、こういう原則で進めておりまして、本年度約十五億の予算を計上しておるところでございます。ただし、地方公共団体の財政負担がその財政力から見て著しく大きい、こういう特例的な場合は、五割といわずにそれ以上の補助率を考えておるわけでございます。  特に太宰府地区の史跡の場合におきましては、史跡の規模が非常に大きゅうございまして、全体で百二十二ヘクタールというような大きな規模でございますし、また町の財政の負担能力等から見まして、これを特に特例的に八割の補助をいたしておるわけでございまして、これは全国でこのほか一つ、二つある程度でございます。このあとの二割をどうするかにつきまして、太宰府の場合におきましては、町が負担する二割について福岡県に一割五分を出していただく。これは三年ほど前から県のほうにお願いをいたしまして、県の補助を多くしてもらいまして、現在町が五%負担するようになっておるわけでございます。その負担分につきましては、実は特別交付税のほうで大体においてこれをカバーしておるというような状況でございます。したがいまして、この太宰府のような場合におきましては、現実的に負担がかからないようにできるだけの努力をいたしておるというのが実情でございます。  この買い上げについて、これを全部国費で買い上げますと、これは国有地に在るわけでございます。その国有地を史跡地として管理するというのは非常にまたむずかしい問題が生ずるわけで、やはり現地の市町村が買い上げて保存し、整備していくというのがいい。そういたしますと、市町村が幾ぶんかの金を出してその市町村有の土地にするわけでございますから、やはり何ほどかの金はそれぞれの負担能力に応じて出していただくのが、史跡保護全体を考えた場合にはいいのではないかという観点もあるわけでございます。したがいまして、現段階におきましてそういう史跡について全額国費による買い上げは実態に即しないのではないだろうかというように考えておるわけでございます。  それから第二の点で、買い上げた土地が直ちに整備できない、できるだけ整備をいたしておりますけれども、御承知のように整備が進まない。荒れ地のまま残しておかなければならない。その場合に、そういう状態になれば元の所有者に耕作をさせたらどうか。これはまことに適切な、非常にいい御意見だとわれわれ考えるわけでございまして、これにつきましては、現在の国有財産法といいますか、そういうたてまえからして、市町村がこれを耕作するというような場合認めるとかいうような特例はございます。ただ問題点は、一たん買い上げた土地を耕作した場合に、耕作権を生ずるとかいろいろなむずかしい問題がございます。しかしこれはやはり前向きに検討していくべき課題であるとわれわれは考えておるところでございます。  それから第三の、九州全体についての国立の博物館を設けたらどうかというお話でございます。これにつきましては、いま御指摘になりましたように、現在太宰府の近くに九州歴史資料館というのを二億二千万円、そのうち七千五百万円ほど国が補助いたしまして今年度中にでき上がる予定になっておるわけでございまして、これは太宰府地区等から発掘されたものを主として収集して展示をする、こういうことになるわけでございます。  こういういろいろな歴史資料、考古資料等が出てきた場合に、どういうように国家的にこれを保存していくかという問題につきましては、われわれとしては、日本全国にわたるところの資料を集めまして、日本の歴史を全体的に物によって把握できるような国立の歴史博物館というものをつくらなければならないということで、現在千葉県の佐倉につくるところで、準備を進めておるわけでございます。  それから、出てまいりましたものをすべて国のほうに収蔵してしまうということもこれは適切でない。現地で、たとえばその市町村で保存することが適切なものもあるわけでございます。そういうもののために市町村立の歴史民俗資料館の設置助成をいたしておるわけでございます。  それからさらに、市町村段階ではなしに、県段階においてこれを保有していったほうがいいというようなものがございます。そういうものは県立の歴史資料館というものをつくっていくということで、ただいま申しました福岡県の九州歴史資料館というものを助成しております。あるいはまた香川県で五色台に瀬戸内歴史資料館というものを考えておる。来年度はまた宮城県のほうから出ておるわけでございます。そして国立と県立と市立とが有機的な連携をとって相互に物を貸し合うとか、あるいはどこに何があるかをはっきりさせるとか、そういうような全国的なネットをつくって、その歴史資料というものを全国的に保存し、かつ活用していかなければならないというふうに考えるほうがより一そう妥当ではないだろうかというのが現在の考え方でございまして、そういう考え方からいたしますと、さしあたりいま九州地方について国立の博物館をつくるという段階ではなく、まず中央のものをつくり、そして県立のものを整備し、市町村立を整備して、全体的なネットワークをつくっていくということがまず緊急の課題ではないか、かように考えますので、九州地方について国立博物館を設置する考え方は現在のところ持っておりません。
  42. 丹羽兵助

    丹羽委員長 関連質疑申し出がありますので、これを許します。久保田円次君。
  43. 久保田円次

    ○久保田委員 いま同僚の山中議員から、太宰府町の史跡の買い上げと、これに関連しまして、私も現地に行ってまいりまして、特に太宰府町長から強い要望があったことは、いろいろお話があったとおりでございます。  そこで、問題になりまするのは、いまの次長の御説明で、その地域が百二十ヘクタール余と非常に膨大でございます。町村の持つべきものが現在五%であるが、これは特別交付税でまかなっておる。その特別交付税のやり方、そこに間違いがあるのではないかと私は思うわけです。これは自治省の関係になるわけでございますが、これがひもがつかないところに問題が出てきておるのだ。それというのが、特別交付税は、要するに町村につきましては、これは県に一括するわけでしょう。それから市のほうは直接いくわけでしょう。このやり方について、そこに私は問題があるようにいま感じたわけで質問するわけですが、そういう特別な地域におきましては、自治省のほうから、特別交付金は、太宰府町につきましてはこれのワクがあるのだ、これだけある、こういうことをはっきり明記をすれば地元では納得するのではないかというぐあいに私は考えるわけです。これは制度上の問題に在りますが、これを解決しないと、各町村におきましては、一体幾ら来ておるのだ、それがわからなくなるから、さあ地元の負担が多い多いと、こう言っているところに要するに誤解があるのではないか、こう思いまするので、この点の見解をひとつ聞かしてもらいたい。
  44. 安達健二

    ○安達政府委員 特別交付税の性格の問題になるわけでございますので、私のほうでこれについての考え方を特に申し上げる立場にはございませんけれども、ただ特別交付税を考える場合に、文化財の点は特に考慮されたいということを自治省にも申し上げまして、現実にその文化財の関係は考慮されておる。たとえば太宰府町につきましては、町の負担額以上の特別交付税が来ておりますが、これはもちろん文化財だけじゃないのですけれども、実態から見ますると、災害もございませんし、また同和問題も少ない。そういうことからすると、これは大部分文化財のためであるということは、関係者としては大体わかるのではないか。ただし、これは文化財のためだということを言うということは、交付税のたてまえからできない。そういうところに実は文化財の問題よりは交付税制度自体の問題につながる問題であると思うわけでございます。
  45. 山中吾郎

    山中(吾)委員 もうお聞きする時間がないので、大事なことだから文化庁に要望しておきますが、熊本におきましても、福岡でもそうなんですが、史跡の調査をするには高い専門性が要る。ところが、その調査員はなかなか地域では獲得できないし、調査が終わるとまた身分を喪失するので非常に困るから、国の公務員として派遣をし、駐在をして、その調査が終わったならば他に移っても身分が保障されるというふうにしてほしいという要望、これは非常に必要だと思うのです。その辺は、実際についてはいろいろとまた定員問題が出るのか知りませんが、国のほうで操作する方法を考えらるべきではないかということを要望して、あとでまた聞きましょう。  それから最後に、少年自然の家でありますが、長崎熊本、各県みな要望がありました。これは、現在のように自然を忘れた都市の少年を、自然の中に修学旅行させ、義務教育の課程として考えるべきだと私は思う。二、三日、一週間でも、子供を自然の中に置いて、そして自由に自然の中で空気を吸いながら——危害予防だけは十分にして、自然の子にするということは、現代の教育に非常に大事だと私は思いますし、そういう趣旨で少年自然の家が設置されておると思うのであります。  それで、各県一つずつという御計画があるように聞いておりますが、その計画で進んでおられるのか。そして、大体現在要望されておるこの地域については予定されておられるのかをお聞きいたしまして私の質問を終わります。
  46. 今村武俊

    ○今村政府委員 少年自然の家は、昭和四十五年度が四館、昭和四十六年度が六館、来年度は二十二館の要望をいたしております。二十二館という要望は、本年度文部省で来年度の見積もりをいたす時期現在で各県の事情を聴取いたしまして、確実なものについて二十二館という決定をいたしたわけでございますが、その後事情の変化がございまして、最近非常に熱が高まってまいったと申しますか、少年自然の家を希望する県や市が多うございます。したがいまして、予算決定後の状況によりまして、どの希望、どの申請を決定とするか、また検討しなければいけないと考えております。  それから、私どものほうでは、目下のところ各県に一つずつという全体計画を持っておりませんで、各県あるいは市町村の御希望にこたえるということを前提にして考えているところでございます。
  47. 丹羽兵助

  48. 山田太郎

    山田(太)委員 私もせんだって九州への文教委員会の派遣調査団の一人として参加させていただきました。それについての各地の調査の結果あるいは要望等は、ほとんどが全国の問題にも影響することでございます。そこで、その問題について逐一お伺いしたいところではございますが、先ほど先輩の山中委員からの質問あるいは答弁で多くを網羅されております。大臣のこれからの予定の時間があって、短時間という約束をしておりますから、約束を守るためにもただ数点だけきょうはお伺いしておきたいと思います。  そこで、私も先ほど来の要請あるいは要望、あるいは質問については全面的に賛同いたします。その点を断わっておいて、まず水産教育についての大臣のお考えを承っておきたいと思います。  なぜかといいますと、四十五年度でございましたか、漁獲量九百三十万トン、日本の国民のたん白源はほとんど五五%は水産物資によっていま摂取しているところです。ことに日本の国民がだんだん高年齢層になってきますし、たん白源といたしますと、やはり畜産の方面よりも水産のたん白がこれからより一そう大切になるのじゃないか。ことに海洋国日本といたしまして、もっとこの面に力を入れていかなければならない。その点からいっても、水産教育への文部省としての熱の入れ方が少々足らないんじゃないかというふうな気がするわけです。  時間の関係でこちらのほうから先に申し上げておきますが、これは四十五年度文部省の「学校基本調査報告書」です。これを見ましても、まず水産高等学校入学定員、それから入学志願者あるいは入学者とありますが、何と入学定員が六千八百四十三名でありながら入学者は六千四百十七名、このような状況になっております。これは一例ですが、こういう面から見て、文部省水産教育に対する熱の入れ方が足らないんじゃないかというふうに懸念されるわけです。文部省としては、この方向を変えるためにどのようにやっていこうとしているのか、あるいはどのようにやっていくかという点を、基本問題ですからひとつお答え願っておきたいと思います。
  49. 高見三郎

    高見国務大臣 山田先生御指摘のとおり、実は水産高等学校は、志願者と入学者との割合を見てみますと、一・二倍という割合になっております。  そこで、実は日本の食糧資源というものを考えます場合に、御指摘のように、水産物のたん白資源というものが非常に重要なものである。しかも、漁業海域は年々狭いものになってくるというようなことになりますと、やっぱり栽培漁業というものが何としても非常に大事な問題になってくるであろう。山中先生にも私お答え申し上げましたけれども、実は、水産教育というものを海洋教育という形のイメージを持った学校にまで発展させなければならぬ。いまも山中先生も御指摘になりましたが、みんな農学士であり農学博士である。そうではなくて、理学博士もなければならぬし、工学博士もなければならぬはずであります。そういう意味におきましても、実は日本水産教育というものは確かに立ちおくれておるということは私も痛切に感じております。ただ、御承知のように、水産教育というものはその地域の特性がございます。私は静岡県の出身なんですけれども、焼津、清水というような特殊な水産地域におきましては、これは志願者が非常に多い。ほかの地域は志願者が非常に少ない。ただ、幸いなことには、水産教育を受けました者が、それではどれくらい水産業に定着するかと申しますと、七二%ぐらい定着をいたしておるのであります。これが農業高等学校と非常に違うところであります。数については農業高等学校のほうが十倍にもなっておりますけれども、定着率は非常に低い。ところが、水産という特殊なものを志します者が七二%の定着率があるというところから考えますと、これからの水産教育というものは、ひとつ幅広く海洋教育というものまで進めていくというぐらいな覚悟で取り組まなければなるまい、かように考えておるわけであります。
  50. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで、先ほどもお話があったかとも存じますが、入学者が定員に満たない。約四百名から五百ほど足らないわけです。そこで、それはやはり何といっても将来への希望というものがないんじゃないかということを、つまり高校の学生さんに聞いてみてそれが返ってきます。やはり将来に希望のある教育というものを目ざしていく必要がある。そこで海洋大学等々、これは一例ですが、こういうものも考えていかなければいけないのじゃないか。いまの海洋学というふうなお話からも、海洋大学というものも計画していいのじゃないかというように思うのですが、その点についてのお考えはどうでしょうか。
  51. 高見三郎

    高見国務大臣 定員に満たないと申されましたけれども、実は全国的に見ますと、入学者に対する希望者は一・二倍になっております。もっとも、学校によりましては定員数に足りない学校もあるわけでありますけれども……。
  52. 山田太郎

    山田(太)委員 ちょっと待ってください。ぼくはこの文部省報告書から言っているのです。それで、入学定員と入学者数、差が四百名以上あります。これがうそなら別ですよ。
  53. 高見三郎

    高見国務大臣 ちょっと私にはわかりませんから……。
  54. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 先生のおっしゃいますように、定員に満たないところが確かにございます。しかし、入学志願者と入学定員の関係を見ますと、ただいま大臣が申しましたように一・二二倍ということでございまして、これはほかの学科に比べますとやはり低いという点はございます。ただいまのは、入学志願者と現実の入学者とそれから入学定員の関係をお示しいただきましたけれども、志願者と定員との関係はただいま申し上げたとおりでございます。
  55. 高見三郎

    高見国務大臣 そこでお話の、これからの水産教育のあり方というものは、私は、海洋全体についての研究まで進めなければならぬという考え方でおるということを山中先生に御答弁申し上げた。その気持ちは変わらない。(山田(太)委員「海洋大学」と呼ぶ)まあ、海洋大学という名前をつける時期が参りますかどうか、少なくとも海洋学の研究というものを、たとえば東海大学に海洋学部というのが一つありますが、そういうもの、つまり海洋資源の開発を目ざしていくというぐらいな意気込みで水産教育というものをやらなければならないし、同時に、海からただ魚をとりさえすればいいという考え方でなくして、海に魚礁をつくるとか、あるいは培養するとか、養殖漁業をやるとかいうような、栽培漁業というよう主面を有効に生かしていくということを考えなければ、先生が御心配になっておる日本のたん白資源というものも実はだんだん減ってくる。したがって、水産教育のあり方というものはそういうあり方に変わっていかなければならぬ、かように考えておるわけであります。
  56. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで、先ほどの問題は、これは定員と入学者の問題を申し上げたのであって、初中局長答弁が間違っておるという意味じゃありませんが、この答弁は入学者と定員との関係。したがって、やはり希望がないということは、この面から見てもあからさまにいえるのじゃないか。実態に当たってみてもそうです。そこで、一つの案として、海洋大学等も考えていいのじゃないか、そういうことをお話し申し上げたわけです。  そこで、具体的な問題、三点ばかりに入らしてもらいます。先ほど長崎大学一つの例を引いて新造船の問題がありましたが、これが先ほどの御答弁では、四十八年度予算要求には入れるという御確答があったということは非常に喜んでおります。さてそこで、これが私の聞いたところによりますと、海技審議会ですか、現在では海上安全船員教育審議会という名前になっておるそうですが、ここで今度答申が出て、今年度中には試験免除の制度が確立されるというふうになっております。それには千トンの答申が出ておるわけであります。したがって、この点についての対応策ですね。文部省としての対応策、四十八年度予算要求して、それがもし実って——実らなければいけませんが、実ったとして、これができるのが一年なり二年かかる。その間の対応策というものも考えておいてもらわないと、迷惑するのは学生さんのほうでありますので、この点ひとつお答え願っておきたいと思います。
  57. 高見三郎

    高見国務大臣 海技審議会の答申は、御指摘のように千トン以上、しかも六カ月ですか、乗船経験のある者に試験の免除をすべきであるという答申が出ておりますけれども、経過措置といたしまして、当分の間五百トン以上の船で六カ月以上の乗船経験のある者に試験免除の特典を与えるということになっております。この当分の間に、私が山中先生答弁いたしましたように、千トン級の船を、少なくとも長崎大学にはつくってやらなければならぬ、こう考えておるわけであります。その当分の間というのがいつまでになりますか、おそらく現在いる学生が迷惑する状態にはならない間に新造船ができるということだけは申し上げられるかと思います。
  58. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで、この審議会には、文部省から専門委員としてはどなたが出ていらっしゃいますか。
  59. 安養寺重夫

    安養寺説明員 お答え申し上げます。  大学学術局長がそのメンバーに入っております。
  60. 山田太郎

    山田(太)委員 そこでこの試験免除のことも、やはり当然討議されております。そこで、五百トンの操船技術とそれから千トンの操船技術とは非常な差があるそうです、実際に聞いてみますと。そうすると、試験免除の問題とは別個にして、操船技術が、五百トンの操船と千トンの操船技術は非常に差がある。したがって、この経過措置によって試験免除を受ける長崎大学卒業生と、それから千トン以上すでに現在操船している他の大学水産学部卒業生と、そこを出たときの就職等の問題についても非常なアンバランスが出てくるわけです。長崎大学卒業生は五百トン、他の大学は千トンの、しかもこれは同じ試験免除になってきます。ところが、受け入れるほうはこれを知っておるわけです。片や長崎大学は五百トン、ほかのは千トンなんだ。そこに非常に差が出てくる。その点についてどのようにしてそれをカバーするかという点は考えておいていただかぬといけないと思うんですが、その点について、ちょっと専門的になりますから大臣でなくてけっこうです。
  61. 安養寺重夫

    安養寺説明員 ただいまのお話でございますが、まず当面は、四十八年度千トンの船をつくることを主題にして努力をしたいと思っております。御指摘のように、かかりました場合は二年はかかるわけでございますが、その二年間どうだというようなお話でございます。大学とは実はいろいろと議論しておりまして、これはもう確定したのではございませんけれども、他の国立大学は、先ほどお話がございましたように、一千トン以上の船も持っておりますし、複数の船も持っております。そういうところでいろいろ共同利用などはできないかというようなことも申しておりますが、大学にとりましては、そういうような他人の船を借りてというのはなかなかうまくいかないということもございまして、十分今後また検討してみたいと思っております。
  62. 山田太郎

    山田(太)委員 時間がもうわずかしかありませんので、その点、長崎大学水産学部の学生が迷惑を受けないように、そういう措置を強力に講じてもらいたいと思います。  そこで、同じく水産学部の問題で、水産学部長からの話もあったわけですが、私は、これは水産学部だけではなしに、農学部どもこれに匹敵するのじゃないかと思うのですが、高校からの推薦入学制度、やはりいま富山県で問題になりました七・三教育等々によって、自分の意思に反して職業教育、職業高校のほうに行っちゃう。しかし、自分の意思は、大学に行きたい、そういう人は、せんだって富山県に参りまして非常に多うございます、父兄からの話も。そこで、やはりそういう人が、数が少なくても多くても、あってはならない。そこでこの推薦入学制度というものも、やはり農学部あるいは水産学部あるいはその他適当な点についてはこれは考えなければいけないのじゃないか。現に非常に良好な成績を出しているという結果も出ております。博士号までとった人も出ております。そういうよう主点についての考え方も聞いておきたいと思います。
  63. 高見三郎

    高見国務大臣 ごもっともでございます。実は職業教育を受けております課程の高等学校の子供が、大学に入りまする場合に差がついておるという現実の問題があるのであります。そこで、入学試験制度について、大体かわりの専門科目についての試験制度を考えてくれぬかということを各大学に要請をいたしておるのでありまするが、これは国立大学ではなかなかうんと言いません。うんと言いませんが、長崎大学では、ことしは各水産高校の卒業生を一名に限り推薦入学をさせるという制度をとってくれました。せめてこの道でももっともっと各大学に広めていきたいと考えておりますし、機会均等という見地から申しましても、文部省もこれについては努力をしなければならぬ、かように考えておるわけであります。
  64. 山田太郎

    山田(太)委員 文部大臣の御答弁のとおり、ひとつ強力に推進方を検討してもらいたいと思います。  そこで、最後に一点、博物館の問題もお伺いしたいのでございますが、あるいは共同研修センター、これはまた時を改めましょう、特別委員会の時間がありますから。  そこで、一つだけ、純粋な、関連した問題じゃありませんが、大学の授業料の問題を、ひとついい機会ですから一点だけ大臣のお考えを聞いておきたい。  早稲田大学をはじめといたしまして、私立大学の授業料のアップの声も聞いておりますし、かてて加えて大蔵省から文部省への要請としては、国立大学の授業料の値上げをというような報道もされております。これは本来の教育からいって、他の先進国等の例を見ましても、全部が全部じゃありませんけれども、これはよからぬことです。そこで学生紛争等々の問題もありますし、この点についての文部大臣の確たるお考えをお聞きして質問を終わりたいと思います。
  65. 高見三郎

    高見国務大臣 私立大学の授業料値上げにつきましてはできるだけ抑制いたしたいと思いますけれども、これは学校教育法の中で届け出事項になっておりまして、文部省が上げてはならぬということを命じてはならないのであります。そこで実は、私立大学で一番大幅に需要を要するのは何かということを検討してみますと、やはり人件費が一番大きいんですね。そこで、来年度はひとつ今年度の二倍以上の私立学校に対する助成費をとる予算要求をいたしております。それによって私立学校の授業料の値上げをできるだけ抑制をいたしたい、また自粛をしていただきたい、こういうような考え方でおるわけでありまして、この予算を二倍以上とるということは、なかなか容易なことじゃございません。どうか御協力のほどをお願い申し上げます。  国立大学の授業料につきましては目下検討中でございます。検討中と申しましても、これは公共料金の中に入っております。だから容易に上げることは実はできないのです。おそらく来年度は見送りということになるんじゃないかと思っておりますが、私は、私個人の意見を聞かれるならば、むしろ国立大学の授業料は安過ぎる、それよりは育英制度というものをもっともっと充実することによって、私立大学のほうの負担を軽くしてやることを考えたほうがいい。国立大学はそのままにしておいてもいいが、育英制度を思い切って拡充するという考え方のほうに全力を注ぐべきじゃないか、こういうふうに思っております。
  66. 山田太郎

    山田(太)委員 これで終わりますが、先ほど大臣の御答弁の中であまり気に入らぬところがある。その点は、たとえば私立大学の値上げは抑制する、これは大臣もおそらく各大学に要請もされると思いますが、そのままほっぽらかしておくのかどうか、その点は何もしないでただ金だけ出せばいいという意味かどうか、この点、大臣としてどういう行動を大学に対してとられるかということを一つと、それからもう一つは、来年度はおそらく見送りになる、しかし私個人の考えとしては安過ぎるというふうなお話がありました。この点はまた他日論議するとして、私立大学に対しては、大臣としては文部予算を大幅に取らなければいけないのは当然ですが、私立大学に対してどのように働きかけをしていくのか。ただ黙っておるのか。予算要求していくというのは非常に大切なことですが、そのほかには何もしないのかという点について一点だけお伺いしておきたいと思います。
  67. 高見三郎

    高見国務大臣 私立大学の授業料値上げ抑制につきましては、文部大臣としては各私立大学に対してできるだけ値上げをしないでくれという通達はたびたびいたしておるわけであります。今後も続いてやるつもりでおります。ただ、問題は、私立大学の経営自体を考えてみまする場合に、何としても国が思い切って補助金を出してやるのでなければ学校自体の経営ができないのでありますから、これはぜひ皆さんの御協力によって予算をよけいとって、授業料を上げなくてもいい状態を私立大学につくってやるという、まず環境整備をひとつ考えてやることが何より大切なことではないか。本来、私立大学というものは、国家公共機関の援助を受けてやるものじゃなくて、一つの建学の精神があったのでありまするけれども、今日のような人件費の急増の状態の時代におきまして、これをほっぽらかしにしておくというわけにはとてもまいりません。   〔委員長退席、西岡委員長代理着席〕 そこで何とかして私立大学の経営が成り立つだけのものは国がめんどうを見るのがあたりまえだろうという考え方のもとに、予算も倍以上要求しており、それから財投のほうも二倍からの増額を要求いたしておる状態でございますが、ただ、これは予算がつくかつかないか、とれるかとれないかということは私の努力にかかっておると同時に、どうか与野党を問わず皆さんの格別の御協力をお願い申し上げるわけであります。
  68. 山田太郎

    山田(太)委員 いまの大臣の御答弁をふえんして、また他日論議を重ねてまいりますので、きょうはこれで質問を終わります。
  69. 高見三郎

    高見国務大臣 通達は文部大臣としては出せないそうでございます。しかし、私個人としては早稲田大学の学長なり総長にも値上げをしないでもらいたいということを申し上げております。慶応はことしは上げませんという返事をいただきました。早稲田はどうしても上げざるを得ないという御返事をいただきましたが、なお努力してみるつもりでございます。      ————◇—————
  70. 西岡武夫

    西岡委員長代理 この際、小委員会設置に関する件についておはかりいたします。  先ほどの理事会の協議により、文化財保護に関する調査のため、小委員十一名よりなる文化財保護に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 西岡武夫

    西岡委員長代理 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 西岡武夫

    西岡委員長代理 御異議なしと認めます。  それでは小委員に       久保田円次君    塩崎  潤君       谷川 和穗君    野中 英二君       松永  光君    森  喜朗君       吉田  実君    河村 継義君       山中 吾郎君    有島 重武君       鈴木  一君 以上十一名の方々を指名いたします。  なお、小委員長には久保田円次君を指名いたします。  なお、小委員、小委員長辞任の許可及び補欠選任、並びに小委員会において参考人から意見を聴取する必要が生じました場合、その人選等所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 西岡武夫

    西岡委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  次回は、来たる十二日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十八分散会