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1971-12-01 第67回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月一日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 青木 正久君 理事 竹内 黎一君    理事 山口シヅエ君 理事 有島 重武君    理事 和田 耕作君       上村千一郎君    江藤 隆美君       木村武千代君    向山 一人君       森  美秀君    山下 元利君       阿部 助哉君    松浦 利尚君       渡部 通子君    栗山 礼行君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      木村 俊夫君  出席政府委員         総理府統計局長 関戸 嘉明君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         農林省畜産局長 増田  久君         建設省住宅局長 多治見高雄君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 神林 三男君         通商産業省通商         局次長     中村 俊夫君         通商産業省企業         局企業調査課長 守屋 一彦君         運輸省自動車局         業務部長    小林 正興君         参  考  人         (社団法人日本         食肉協議会常務         理事)     中沢壽三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本日は、特に輸入食肉流通及び価格問題につきまして、参考人として社団法人日本食肉協議会常務理事中沢壽三郎君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 小林進

    小林委員長 参考人には、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、ありがとうございました。  本日は、輸入食肉流通及び価格問題等につきまして忌憚のない御意見をお述べいただき、本委員会調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  なお、参考人からの御意見は、委員の御質疑によってお述べいただきたいと存じます。  質疑通告がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 まず最初に、総理府統計局長お尋ねをしたいわけであります。  今度、昭和四十五年の新基準に従った新物価指数改正をなさっておるわけでありますが、実はこの数値を見まして、国民、特に東京都民などは、物価指数が一%も下がった、たいへん驚いておりますし、当初政府も、今年度全国指数で七%近くまで物価が上がっていくのではないかということで、経企長官物価担当大臣はたいへん御心配になっておったわけでありますが、これが対前年度比で、全国で六・四%上昇東京都で五・四%上昇、こういうふうに、むしろ、当初の政府の見込みである五・五%という数字を予測したような方向に数字が出てきた。  統計というのは、これは冷厳なる事実でありますから、私は統計上のことをここでとやかく言おうとは思いません。ただ問題は、この統計資料を拝見いたしますと、今年の一月までさかのぼって新指数との関連というのは、ある程度これで明らかになっておるのです。ところが、今月の物価について、旧指数と新指数のものについては全然関連が示されておらない。ここに私は、何か統計が意識的に、政策的に行なわれたのではないかという気がしてならないのです。ですから、なぜ新指数発表して、一月にさかのぼって資料で出しておきながら、今月についてだけ旧指数を見送っておるのか、計算をしなかったのか、その根拠について局長のほうからお聞かせいただきたいと思います。
  6. 関戸嘉明

    関戸政府委員 ただいまの先生の御質問に対しましてお答え申し上げます。  先生もお述べになりましたとおり、統計はいろいろ技術的に、客観的に資料をつくるべき性格のものでありまして、その他の考慮を払って統計というものをつくるべきでない、こういう御意見でございますが、まさにそのとおりでございまして、私ども今回指数改正するにあたりましては、この二月に統計審議会の諮問がございまして、四月にその答申が出たのでございますが、その答申によりますると、基準年次を四十年という年次にとっておったのはいかにも時代が少し古くなってきており、消費構造その他が非常に変わってきておる現在においては、四十五年という時点を選ぶべきであろう、こういう点が一つでございます。同時に、消費構造が非常に変わった、ということはいわゆるウエートが非常に変わってきておるということでございますので、消費物資それぞれに対しますウエートを考え直す必要がある。と同時に、もう一つは、消費構造が変わったということは、いままで、例をあげますれば四十年当時には、カラーテレビというようなものはあまり家庭の中で購入されておらなかった。ところが、いまや相当家庭においてカラーテレビ等が購入されておるという消費構造になっておりますので、それらのものをも含めて調査品目にすべきであろう、こういうことであります。また国会におきましても、先生方から、指数改正にあたりましては、こういったものが消費構造の中で相当多く消費されるようになってきておるので、こういうものも入れるべきではないか、こういうものも調査すべきではないか、いろいろ御意見がございまして、それらをもあわせ審議会において御検討をいただきました結果、ただいま申し上げましたように、品目ウエート基準時というものを改正すべきである、こういう答申を受けまして、私どもはその作業にかかったのでありますが、その結果を十一月に、東京都区部数字発表いたしました。  ただいま先生指摘のようなことで、なぜ旧指数をも計算をして同時に出しておかなかったのか、過去にさかのぼりまして昭和四十五年一月からの新指数計算は出しておるけれども、旧で十一月分を計算しなかったというのは何らかの意図を持ってのことではないかという御質問のようでございますが、これは、改正にあたりまして私ども審議会等においてもそうでございますが、三十年、三十五年、四十年とベース改正してきたそのつど、ただいま行なっておりますような方式での結果発表数字を出すということで御了承を受けてきたものでございまして、今回だけ特に出さなかったということではございませんし、また、私どものほうの考え方といたしましては、新指数に乗りかわるその必要性というのは、やはり旧ベースであってはもう実態にあまり合わない、そぐわないから変えるべきであるという一つ改正理由にあるわけであります。したがいまして、そういう意味合いからいたしましても、新指数で過去の計算をしておいて、その新指数数字を御利用願うということが改正目的にもかなうことではなかろうか、こういう考え方がもう一つございまして、そういう意味で、私ども、従来とも、旧指数をその次の年に使って、数字を、こういう形になったということの発表はしないということでまいってきておるのでございます。かりにその数字計算して出しますと、多方面の利用者の方々がそれぞれの目的を持って御利用になるとは思いますけれども、二つの数字が出るということになりますと、一体どちらをとってものを考えるのが一番妥当であるかというようなことについての一応の御疑問なり誤解なり、あるいは混乱なり等を起こすおそれもございますので、従来とも、そういう意味合いにおきまして、私どもは旧指数計算をしないでいるというのが実情でございます。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 きのう事前に質問通告をしたときに、それでは旧指数で今月は幾らになるのか、ひとつ試算をしてみてくれ、こういうふうに御要望を申し上げておいたのですが、その旧指数試算は、私の要望はどうなっておるのか。できたのかできないのか、その点ひとつお答えいただきたいと思います。
  8. 関戸嘉明

    関戸政府委員 お答えいたしますが、ただいまの御要求につきましては、実は、非常に技術的な問題を申し述べまして恐縮でございますが、指数計算相当の膨大な計算を要しますし、同時に、現在はコンピューターで計算をしておりますので、それを繰り返し再度旧で計算し直すということになりますと、プログラムの編成からその他全部変更いたさなければなりません。したがいまして、正確な数字を出すにはなかなか問題がございます。近似値においての計算ということも一応は考えられますが、これにいたしましても相当の時間を要するものと考えられます。  ただ、ここで申し上げておきたいのは、そういう計算をするしないは別といたしまして、先生も御承知のように、発表のときに申し上げましたとおり、今月の東京都区部は、野菜が二八%も下がった、それからくだものは六・六%下がった、こういう結果数字から一%という下落になったわけでございまして、新旧ウエートを考えましても、野菜でありますとかくだものでありますとかいうものにつきましてのウエートは、新旧においてそれほどの差がございませんので、かりに計算を旧でやったといたしましても、下落ということは当然考えられるわけでありまして、それが一%であるか、一・五%であるか、あるいは〇・八%であるか、そこら辺の幅はございますが、一%に近い下落にはなったであろうということは、推測はできるということでございます。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 一番最後に新旧指数対照表であるわけですが、やはり相当誤差があるわけですね。中にはポイント以下の誤差のものもございますけれども、これで見る限りでは、やはり誤差があるのです。  私は、ここでこういうことを申し上げるのは、実は政府物価対策というものが、極端に言うと、数字によっていまあらわされておるのです。経済企画庁長官も御承知のように、本年度物価は五・五%以内に押えるんだ、こういうことが国会で発言され、政府の施策として行なわれてくるわけですね。それじゃ、その五・五%という物価上昇指数というのは、一体どこが根拠になっておるのか。当然総理府統計上の数字というものを根拠にして政府の五・五%という数字があらわされておる、私はこう理解するんです。そうじゃありませんか。そう思わないですか。どうです、その点は。
  10. 関戸嘉明

    関戸政府委員 政府がそれぞれ対策をお考えいただく場合に用います統計資料としては、先生のおっしゃるとおりに、統計局発表しております数字根拠にいろいろ御計画になるものと考えております。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ここで大臣お尋ねをいたしますが、新聞報道ですから、私はそのことを全面的にここで申し上げようとは思いませんけれども、やっぱり新聞に書いていることはある程度真実だと思うのです。そういう面では今度のこの数字発表が、確かにくだもの等下落をしてきておることは事実だと思います。それと同時に、新統計に切りかえたことによって、たまたま物価が安定するという数字が今月は出てきておる。それで企画庁としてもたいへん喜んでおるということがあるんですね。私は、これはやっぱり政府物価対策というのを、ただ単に数字小手先でいじっておるという表現だと思うのです。これは大臣のお気持ちかどうか知りません。私はここに新聞の切り抜きを、朝日、日経、読売と持ってきておりますが、それが全部、そういう表現があります。ところが、実際に政府が当初発表なさった五・五%というのは、旧指数によって五・五%という数字が出されておると思うのです。ですから、とり方が違うんですよね。いま出てきた統計指数というのと政府発表しておる五・五%という数字というのは、根拠が違うのです。それをあたかも同じようなことで、非常にこれは数字的に満足だ、喜ばしいとかという表現を使うところに、私は、物価に対する政府感覚というものが出ておるんじゃないかと思うのです。その点、大臣どう思われますか。その点、明確にしておいていただきたいと思います。
  12. 木村武千代

    木村国務大臣 私、やはり統計にあらわれた数字というものは、これは重視しなければいけないと思います。近代行政上、統計資料というものは、これは当然なくてはならぬ。しかしながら、その統計数字上ある結果があらわれたからといって、国民実感とのズレがそこにあれば、むしろその点を重視しなければなりません。これはもう当然政治の要求でございます。  そこで、いまいろいろ御指摘のある点、すなわち新しい統計が出てまいりました。これは、私は率直に言って喜んでおります。喜んでおりますが、直ちに私が反問しましたことは、これは一体いままでの、たとえば昭和四十年に改定した当時、一体何月にやっておるかということを事務当局に確かめましたところ、昭和四十年の改定の際にも十一月にやっておるという答えもございました。そうしますと、卸売り物価あるいは生産あるいは貿易、そういう経済指標をとります際に、大体いままで五年ごとにこれを改定しております。そういう中でこの消費者物価指数で、五年目の十一月に当然定期的に改定が行なわれる、そういう客観的事実は、私が確かめたところでございます。  そこで問題は、この新しい消費者物価指数統計上切りかえた、そこに何らかの政策的理由があるかないかということでございますが、私は、統計局がきわめて客観的、技術的な理由のもとに、たとえばウエートの置き方あるいは採用品目拡大——私は、その採用品目内容まで、実は昨日具体的にいろいろ見てみました。なるほど、従来、この五カ年間における日本経済、社会のいろいろな変遷、したがって消費構造の変化、そういうものを端的にあらわしておるということは、私、この自分の認識、理解のもとに確かめましたが、ただ、その結果、たとえば十一月の東京都区部消費者物価のあり方が相当程度下落をしておる。いまおっしゃいましたように、一%も下落しておる。これは私としては、ちょっと数字として大きいのではないかという疑いを一瞬持ちましたが、いろいろ具体的な内容を聞いてみますと、御承知のとおり、十月においても〇・八の下落を示しております。その後における生鮮食料品下落の趨勢を見てみますと、まあ一%でなくとも、それに近いものの下落は当然あってもいいではないかという実態を見まして、統計上、いろいろこれが政策的理由であったんだという報道もございますけれども、私自身の良識において、これをいろいろ検討した上で、まずこれは私ども、今後新しい指数をとって間違いがないであろう。というよりは、私ども経済企画庁としては、今後いろいろ指標をとってまいります際に、やはりこういう新しい物価指数に、統計によらざるを得ない立場にもありますし、そういう意味で、今後はあらゆる経済企画庁のとります経済見通し経済計画上はその新しい統計によるということを、当然私どもとしては考えておるわけでございます。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は統計というのは、品目の選び方、ウエートの置き方によって相当変わってくると思うのです。非常に物価が高いものについては、消費者が買い控える、あるいはほかのものに代がえをする。そういうものは、価格は上がっておるけれどもウエートとしては下がってくる。これは統計数字ですから、その基準を置くものによって、統計をつくるものによって、統計というのが変わってくるのですよ。ですから、そのとる人の意思というのが必ず入ってくるのです。ですから、先ほど言ったように、これはとる人の感覚によって出てきた数字だから、事実は事実として認めざるを得ないというのです。そういうものをとったらこうなるので、また別な人がとれば別なものになってくる。品目ウエートの置き方が変わればまた変わってくる。  ただ問題は、いま政府が五・五%に本年度物価上昇は押えるんだ、そういう発表をなさって、今年度物価対策をずっとやってこられたんですね。これはあくまでも旧指数というものが根拠数字であったはずなんですよ。政府政策というものは、毎年四月一日から新年度政策に変わるわけですから、ですから私が言わんとするところは、この新しい物価指数というものが——年度の四月一日以降の物価政策の中にこういう指数が織り込まれてくる。これを根拠にして何%、こう言われるなら、私はわかる。ところが、実際にいままでは、ずっと政策的に旧指数で五・五%というのをやってこられて、そして今度、その五・五%という数字には何ら変更を加えずに——むしろいままでずっと上昇していますね。それをこの新指数の中で組み入れてしまって、政府が当初出した根拠というものから新しい根拠に、数字は変えずに移し変えてしまう。そういうところに私は小手先という、数字魔術を使う政府物価対策があるのだということで、非常に不満を持つのです。  いま、率直に言って、国民物価が下がったという実感はありませんですよ。いま物価が安定したということを申す人は一人もいないと思うのですね。極端に言うと、今度のこの数字というものについて、国民はあ然としておるわけですね。先ほど大臣も、私もちょっと意外に思いましたとこう言われましたけれども、そういう国民実感から遊離しておるという事実、それは実感ですから、数字にあらわすことのできない感情かもしれませんね。しかし、政府政策というのは、五・五%という数字には根拠があるわけでありますから、そういう意味で、新指数による物価上昇率を今年度は何%にしようとするのか、それを私は、これに裏づけて政府発表すべきだと思いますし、それに対する本年度予算措置というものも、あらためてなされるべきだ、これがほんとうの物価対策だと私は思うのです。ただ小手先だけで、数字だけいじくっておったんじゃ、これは小学校の子供でもやることですから、その点だけ、大臣の基本的な考え方を明確にしていただきたいと思うのです。
  14. 木村武千代

    木村国務大臣 お話の御趣旨はよくわかりますが、しかし、政府のとる指数は、新旧二つあってはならぬということも御理解のとおりであります。そこで、新しい指数とり方があらわれました以上は、私どもは、この制度としては新しい指数によらざるを得ません。  ただ、政府物価見通し、また物価政策のいろいろな面におきましては、たとえ五・五の物価見通しを立てたからといって、私はそれに固執すべきものではないと思います。むしろそれ以下に押えるべきが、政府物価対策として当然の考えでございます。そういう意味におきましては、新しい指数によりまして今後、昭和四十六年度経済見通しの中でわれわれがこの物価上昇というものを、どういうような物価指数を立てますか、これは今後の検討の問題でございますが、まず私ども考えましても、この見通しにはずれたかどうかということより、むしろ物価対策努力をもっとわれわれは推進いたしまして、とにかく国民物価に対する実感と私ども物価努力が一致するように、政策努力を続けていくということに重点を置くべきである。いまおっしゃいましたが、物価指数の、あるいは見通し数字の点に必ずしも私どもはとらわれるべきではない、こういうふうに考えております。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、非常に重要なことを言っておられると思うのです。私も数字にこだわるつもりはないのです。ところが、政府物価指数というのは、当初目標を必ず上回るのです。下回っておれば、何もこんなことを言う必要はないのです。近づけますと言われておるけれども、それを飛び越えていくもんですから、ですからあらぬ疑いが起こるわけです。政府見通し五・五%に数字魔術で近づける。そうすると、今度の新指数で四十六年度物価が、たとえば六・三%、あるいは六%だったら〇・五%しか上がらなかった、政府政策はたいへんよかった、こういうことになるのではないかということを非常におそれるわけです。下回っておれば、何もこういうことを言う必要はない。上回っておるからこそ、いま国民実感として国民の持っておる疑い長官に投げかけておるわけです。私は、物価が安定をするように、むしろ物価下落するように努力していただければそれでいいわけです。数字なんかにこだわる必要はない。ところが、上がるから数字にこだわるのです。  それでは、この五・五%という旧指数に対して、新指数にこれをはじき直してみてごらんなさい。そうすると、おそらく五・五%が下がります。新指数でいけば五・五%が下がります。何%か下がるはずです。その目標内に入れるのだ、必ず入れる、こういうことが政策的にお約束できますか。その点をはっきりさしていただきたい。
  16. 木村武千代

    木村国務大臣 私すでに、今度の臨時国会予算委員会で率直に申し上げたことがあります。一応今度の補正予算関連しての見通し消費者物価五・五%、こういうことであります。しかしながら、とうていそれは困難であろう。あるいは私ども政策努力が実を結んでも六・三ぐらいにはなるであろうということを、私は率直に申し上げました。  そういう意味におきまして、私は必ずしも政府政策努力を軽く考えておるわけではございませんけれども、五・五%という数字は、もうすでに政府としてはなかなか困難である。したがって、今度の新しい指数によりまして、たとえそれが五・五%以内におさまりましても、決して私どもとしてそれを自慢する気持ちはございません。あらゆる政策努力を傾けて、その数字にかかわらず、国民生活実感に合うような物価に持っていきたい、こういうことの努力を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ここでそのことを議論しておっても並行線だし、現実に新指数発表なさっておりますから、私は、この点はこの辺で終わりたいと思いますが、いずれにしても、こういう指数が新しい形で下がった数字が出ても、国民実感として、物価は安定した、下がったとは、一つも感じておらない。むしろ上昇しておるんじゃないかという疑いを持っているんだ。そのことを長官、ぜひきもに厳に銘じていただいて、政策努力をお願いしたいと思うのです。  これは要望ですが、できれば国民にその目安として——新しいウエートに切りかえたときには、基準がないのですよ。いままでは旧基準で来ておるあれがありますから、できたら旧基準と新基準で、十一月、それから一番物価が上がるであろう十二月、来年の一月、二月、三月、それくらいまでは、参考資料程度でけっこうですから、この新指数に並行してカッコ内で、これは旧指数ではこうなりますという程度のことは、ひとつ統計局のほうでわれわれに出してください。われわれ自身でもちょっとまごつきますので、その点は要望として申し上げておきたいと思いますので、総理府のほうではたいへん手間がかかりますが、統計国民のためにある統計ですから、ひとつ出してもらいたい。——国民局長、こうして、だめだだめだと言ったってだめよ。どうですか。
  18. 関戸嘉明

    関戸政府委員 いま生活局長がどういうサインをしたかは別といたしまして、答える必要がないのかと思いますが、これはちょっと余談ですが。……  いま先生がおっしゃいましたように、参考として三月くらいまで出してほしいという御要望ということですが、私ども、いままでの先生の御議論で、先生の御要望そのものにつきまして理解できないことはないのでございますが、先ほど申し上げましたように、私どものほうで計算をして出しております指数利用範囲というのは非常に広うございますし、いろいろの方が御利用になっておりますので、新旧を並べますと、旧と新との間でいろいろの差が出てまいります。利用者のほうで非常に戸惑う面が多うございますので、私どもといたしましては、従来とも、ベース改正いたしました際には、過去にさかのぼりまして一年何カ月分、まあことしで言えば四十五年の一月からは、新指数計算方式によれば過去に出しました数字はこういうふうに直りますという過去を提出いたしますが、将来に向かって、旧指数であればこういう数字であるということは従来とも出してまいっておりませんので、まことに申しわけないのでございますが、新指数発表いたしました以上、その新指数によりましてそれぞれの関係方面で御利用願うということにお願いを申し上げたい、このように考えておるわけでございます。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ発表しなくていいから、われわれに、物価に関する特別委員会委員だけにでもその数字を、概略でいいです、さっき概略なら計算できると言ったのですから、概略でもやってください。旧指数と新指数との関連が、対照表が出ているのですから、新しいものについては、政府物価対策として新しい年度に移り変わるまでには、参考資料としてわれわれに出してください。それは委員長委員長のほうに要望事項として申し上げておきますから、委員会のほうで善処してください。
  20. 関戸嘉明

    関戸政府委員 まことに申し上げにくいのでございますが、先生が御希望になるお気持ちはわかりますけれども、私どものほうで正確に旧計算指数を出すということが、政策上の問題じゃございませんで、技術論といたしましてそれが不可能になる問題であるということを申し上げているわけでございまして、どうかその点は御了承いただきたいと思います。
  21. 小林進

    小林委員長 委員長からお伺いしますけれども関戸君、たとえば十二月の統計をあなたがお出しになるときに、旧に基づいては、さかのぼってことしの一月からならば新旧対照表ができるという答弁をあなたはされているわけなんで、それじゃそれを来年一月、二月、三月くらいのやつを並行して、新がこれだと、カッコして、これを旧に換算すればこれだというようなことが、さかのぼってはできるけれども将来に向かってできないということは、これは私も理解に苦しむのですが、あなた、できませんか。
  22. 関戸嘉明

    関戸政府委員 これは新指数の場合に、品目その他非常にふえております。ウエートも変わっております。したがいまして、旧の場合の計算をし直すということは可能でございますが、将来に向かってそれを、旧であった場合にどういう数字になるかということの計算は、事実上技術的に非常にむずかしいということになりますので、単純にごらんいただきますと、過去の数字が新で計算し直せたものならば、過去のものを将来に向かっても旧でどうであるかということは計算できるであろうというようにお考えいただけるかと思いますが、技術上の問題といたしましては、そういう計算は、私どものほうで行なうことが非常にむずかしい問題であるということで、これは過去におきましても、基準表を改正する際におきましていろいろありましたが、従来ともそういうことで、将来に向かっての旧指数計算は、局としてつくることは必要を認めないで、従来とも御了承をいただいてきておる関係もございまして、今後ともひとつそういうことで新指数を、発表いたしましたその指数に基づきましての政策その他の分野での御利用をお願いするということにお願いを申し上げたい、このように考えておるわけでございます。
  23. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、ここでさっきから言っておるように、品目の選び方、ウエートの置き方等について非常に不満があるのです。われわれは意見があるのです。しかし、あっても、もうすでに出されたものだから、だからとった数字については、冷厳な事実として受けとめざるを得ないのですよ、不満があるけれども。だけれども、あなたはさっき、旧指数でも、概略なら十一月、申し上げることができると言われたでしょう。コンピューターに入れておるなら、ちゃんとソフトウエアはくずさずに持っておるはずですよ。ソフトウエアは全部くずしてしまったのですか。ソフトウエアは旧でとってあるはずですよ、統計上、コンピューターに打ち込むなら。それをそのまま利用すればいいのですよ。ただ、それぞれから集めてくる人たちが二重に負担がかかるということではあるでしょう。だから、先ほど言ったように、概略でいいから、参考資料として教えてくれたらいいというのです。ソフトウエアを全部消してしまうということはないでしょう、コンピューターで。
  24. 関戸嘉明

    関戸政府委員 私どものほうの技術的なことを申し上げるのは非常に心苦しいのでございますけれども、先ほど概略概算でと申し上げましたのは、非常によく統計で使いますが、四捨五入の関係で数字が違うというような点、小数点一位くらいは数字が違ってくるということがございますが、われわれにいたしましても、指数計算の場合、価格その他新旧において非常に変わってきておりますので、一応非常にラフな形での計算をもしもかりにやればというのは、先ほど野菜が二八%くらい下がった、くだものも六・六%ばかり下がった、こういう大きな下がり方のところの新旧ウエートを差だけを計算してみれば、一応やはり下がると出るであろうという、こういうことは言えるという意味合いで先ほど申し上げたのでございますが、指数計算は非常にこまかくなっておりますし、非常に技術的にむずかしくなっております。  ソフトウエアそのものをくずしておらないだろうということでございますが、これは先生おっしゃるとおりに、ソフトウエアはくずすというこはございませんが、計算し直す場合には、価格をパンチに打ち込む作業から全部やり直しませんと、ソフトウエアをかける前の段階において相当の技術を要しますし、そういう意味合いで、参考といたしましても、その計算をつくるということは非常に技術的に不可能である、こういうことを申し上げたのであります。この点、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  25. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは水かけ論だから、そのつどそのつどこの委員会で、この指標が出たときに、それでは幾らになるか、それでは幾らになるかということで、概算をお互いに議論をし合うようにしなければだめですね。そのくらいの親切さがあっていいのですよ、統計局は。自分の都合のいい数字だけ出さずに、要望のあったものもできるだけ努力はしてみる。そして概略このくらいしかできなかったというのが親切であって、もうできなければできない——正確なものを私はいま要求しておらないのですね。概算でもいいからとこう言っている。しかし、それもできないということであれば、もうここで議論してみたってしようがないのですから。あなたはやっぱり数字マンだからね、統計マンだから感情がないわけだ。ここで幾ら議論してみたってしようがない。またそのつど議論をします。非常に不満ですけれども、統一計局長のほうに対する質問は、一応これでやめさせていただきます。あとは有馬委員のほうから統計局長質問があるそうですから、もっと私よりきびしくやっていただくように……。  次に、実は農林省のほうに畜産行政、特に輸入牛肉について質問をいたしたいのですが、その前に、この前、畜産局長は、バターの貸し付けの問題、ただ貸しの問題ですね、これを私が取り上げましたところが、いや、あれは担保を取っておる、こういう御答弁でした。しかも残っておるバターを千九百二十六トン十月に放出したから、年末の業務用バターの市況というのは安定をする、畜産振興事業団としてはこのバターに対してもそれ相当の役割りを果たしておるのだ、こういう概略御説明があったのですが、実は小林委員長と一緒に畜産振興事業団に行って、直接担当者の岡田理事長なりその他の人たちから資料をもらって議論をしたのです。ところが、畜産局長が言われるように、バターの貸し付け契約を調べてみたら、手形貸し付けなんですね、手形担保ですよ。いま公定歩合でも五・二五%ですね。銀行が信用貸しする場合には七・七五%ですよ。信用貸しする場合の最高が七・七五%、最低は六・二五%ですね。ところが、担保の金利を調べてみますと四%で貸しておるのです。四%の金利というのは預金金利なんです。われわれが銀行に金を預けたときに四%の金利がつくのです。貸し付けで借りたときの金利は、最低でも信用貸しの場合六・二五%です。どこからこういう四%という安い金利、数字が出たのか。現実に五億四千六百八十二万九千三百九十円、相当な品物を借りておきながら、払うときには、利子として五百三十九万三千三百七十九円しか三カ月で払っておらない。こんな金ならだれでも借りる。いまは、中小企業でもどこでもたいへん困っているのだ。手形担保でたった四%の、こんな預金金利に見合うようなやつで貸し付けておる。これは業者がもうけるのはわかっておる。そういうことを畜産振興事業団はやるのですか。しかも、この前あなたは、千九百二十六トン放出をしたから年末の業務用バターは安くなるだろう——一つも安くなっておらないですね。それで緊急輸入をしなければならぬという状態に追い込まれておりますね。  こういうことで、この前の委員会での話とわれわれが調査した結果とが相当食い違ってくるのです。いまはバターのことだけですけれども、一体バターに対して、畜産振興事業団に対して農林省はどういう行政指導をしておるのですか。畜産振興事業団というのは、一体業者のためにバターをただ貸しとは言わぬが、手形で貸してやって、預金金利に見合うわずか四%の低い金利で貸し付けるのですか。これは、あまり金利を高くしたら、それがまたバターにはね返ってきて消費者価格をつり上げますからというのが、公式論としてはあるのかもしれません。しかし、こういったことをあなた方は実際にやっておる。そういったことを畜産振興事業団がやっておって、畜産振興事業団はバター行政に対しては万々歳の事業団である、こういうことが言えますか。この前の委員会を通じて、私はあなたの意見を聞いておって、もうだいじょうぶだ、こう思っておった。ところが、調べてみればみるほど、バター一つとってみても不可解ですね。その点をひとつ局長、明確にお答えいただきたいと思います。
  26. 増田久

    ○増田(久)政府委員 先生御存じのとおり、日本の現在のバターの生産というものは、大体年間四万四千トンぐらいの生産が行なわれているわけでございます。ここ数年、というよりも、バターにつきましては大体需要というものはそう伸びるものではない、そう需要が急速にふえる形のものではないというのが、われわれの従来の認識であったわけでございます。したがいまして、事業団が五千トン持っているということは、十数%の手持ちに当たるわけでございますので、これだけあるならば、事業団でバターの市況を冷やすということは十分可能ではないか。むしろ、われわれがことしの当初考えておりましたことは、ことしの市況の中において、事業団のバターというものを全量放出するということは事実上あり得ないのではないかという認識を、実は一部に持っておったことは事実でございます。  ところが、その後われわれの予想といいますか、需給の予想というものが非常に狂って——その原因が何であるかという点については、いま慎重に検討をいたしている段階でございますけれども、われわれの予想しないような需要というものがそこにどうも出てきておる。少なくとも十数%のものを——生産は大体平年ベースに戻っておりますから、それだけのものをさらにくわえ込んで消費するだけの需要というものがそこに新しくあるというふうに考えざるを得ないのでございます。  ところが、われわれがいろいろやってみておりまして気のつくことの一つは、特に、今度千九百二十六トンを放出したあとでなおかつ上がったということの中には、相当思惑というものが入ってきているのではないか。特に事業団の手持ちがすでになくなったということによりまして、相当思惑的にバターの値を上げているのではないだろうかと思われる節が多々あるわけでございます。その結果、われわれといたしまして、緊急輸入ということで二千トンの追加輸入をここに行なおうとしているわけでございますけれども、その結果といたしまして、十一月の中旬からややバターの市況が軟化の傾向を見せ始めておるわけでございまして、われわれとしましては、いまのわれわれの需給の予測というものが非常に誤ったという点につきましては、率直におわびせざるを得ないと思いますけれども、このバターの市況というものは、実は私どもとしては峠を越した、それ以上需要というものがそう深くあるものではないのではないだろうか、かように考えておるわけでございます。  なお、そういうことで、事業団に命じまして緊急輸入二千トンということで、これは一月早々国内に到着するものと思われますので、当然一月、二月にあるでありましょうアイスクリーム需要というものに対しての需要に見合って、必要に応じて放出をしていくということを考えているわけでございます。  それから、担保を取りました金利の問題につきましては、内部でいろいろ議論をいたしましたところで、会計検査院等ともいろいろ打ち合わせをしたところでございます。その際に、預金金利をとるべきか貸し出し金利をとるべきか、あるいは事業団のコストをとるべきかというようなことでいろいろ議論があったところでございますけれども、ああいう時差交換ということをわれわれとして行ないましたのは始めての経験でございましたので、そういう意味で、われわれとしてこの際は預金金利ということで四%の金利をとった、こういうことでございます。
  27. 松浦利尚

    松浦(利)委員 会計検査院やらいろいろと打ち合わせなさったということではわかりますけれども、実際にその貸し付け先が民間のバターの会社ですね。その民間会社も、小さいところなら別ですが、一部に上場しておるような大きな会社ですね。そういったところに四%という安い金利で貸し付けることができるということなら、私はやはり矛盾を感じますね。事業団というパイプを通せば四%になってくる。これは、国民にとっては不明朗さを感じますね。国民のために畜産振興事業団がある。生産者、消費者のために畜産振興事業団がある。その中間にあるそういった業者に益するためにあるわけではないのです。  ちょっと長官お尋ねいたします。これは長官の管轄外かもしれませんけれども、こういったあり方ですね。貸し付け金利を、四%という預金金利に見合ったもので貸し付ける。しかも貸し付けた額は、五億三千五百四十九万九千五百三十円という大きなものです。それを三カ月間、わずか四%で貸しているわけです。そういうことが片一方でやられておって、片一方のほうは信用貸しといったって、中小企業に信用貸しで貸してくれるところはありませんよ、選別融資で選別されてしまって。しかも信用貸しの六・二五%の金利よりもなお安い。現実に引き下げられた公定歩合よりもさらに安い。そういったことをしておったのでは、私は、不信感を招くのは当然だと思います。この点について、これは物価担当大臣でありますけれども、国務大臣としてどういうふうにお考えになるのか、その点をひとつ明確に大臣から御答弁いただきたいと思うのです。
  28. 木村武千代

    木村国務大臣 どうも明確にお答えするわけにもいきませんが、とにかく一つ流通過程における金利の問題でございます。そういう面で、通常の場合とはやはりそこに異なった考え方があったのではないか。特に、いま畜産局長の答弁を聞きますと、会計検査院が入ってその協議にあずかったということを見ますと、やはり国のそういう資金を扱う面において、それがよりいろいろな観点から妥当であったのではないか、こういうことを感ずるわけでございますが、ただその面だけを取り出してみますと、はなはだ何かぴんと来ないものがございますけれども、私、あまりその面については明確なお答えをする自信がございませんので、この程度のお答えにいたします。
  29. 小林進

    小林委員長 増田畜産局長委員長からお尋ねしますけれども、会計検査院と御相談になったというのは、会計検査院は行政庁じゃないんで、監督機関なんだけれども、それもちょっとおかしいが、いずれにしても、その相談をしても、何か理屈があるでしょうから、どういう理由で四%でお貸し付けになったのか、それをひとつ解明してください。
  30. 増田久

    ○増田(久)政府委員 こういう初めての際にどういう金利を取るべきかということについて、初めての経験でございましたので、考え方にいろいろあったということは、先ほど申し上げたとおりでございます。初め、四%を取るべきか、預金金利を取るべきか、あるいは事業団のコスト金利と申しますかそういうものを取るべきか、あるいは一般の貸し出し金利を取るべきかということについて、こういう場合についての基準というものは特にあるわけではないわけでございますので、いろいろ大蔵省なり会計検査院とも御相談いたしたわけでございますけれども、われわれとしては、確かに大手もございますけれども、中には農協あるいは零細な中小企業というようなこともありましたことを考慮いたしまして、預金金利ということをとったわけでございますけれども、これにはいろいろな御議論のある点だろうかと思うわけであります。この点につきましては、今後はこういう時差交換ということを私としては先例といたしたくないと考えておりますけれども、そういう場合には、この実態につきまして十分反省し、検討し、考え直していきたい、かように考えております。
  31. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまぜひということですから、私のほうから御質問をさらに加えますけれども、かりに一歩譲って、これからはこういうことのないようにもっと慎重に配慮するということですから、そのことについてはこれ以上局長に申し上げませんが、いまありましたのは、それじゃ四%に下げて、一体どれだけ消費者に対してこういう制度がプラスになったのか。メリットがあったのか。確かに業者にとってはメリットがあったけれども、一方、消費者に対してはどういうメリットがあったのですか。そのことを明確に聞いてくれ、こういう御連絡ですから、局長、この間もだいぶんやり、ましたが、もう一ぺん教えてください。
  32. 増田久

    ○増田(久)政府委員 前回も御説明申し上げましたとおり、事業団の買い入れましたバターにつきましては、品質管理という観点から、一定の時期がまいりますと、必ず買った先のメーカーから交換をしてもらう、こういうことで事業団の欠損というものを防ぐというやり方をいたしているわけでございます。たまたま本年の三月になりますと、すでに一年以上を経過したというものが千五百トン近く出てまいった。そういうことで、三月にメーカーに対しましてその交換を強く要望いたしたわけでございます。ところが、御承知のとおり昨年の暮れから牛乳の生産というものがひどく落ちてまいりまして、バターの生産も対前年比七割、八割という、あるいは手持ち在庫も対前年比で半分を割るといったような状態の需給状況になったわけでございまして、この交換というものを強行いたしますことは、市場を非常に悪化させるという状況にあったわけでございます。事実上、メーカーとしてそれだけの、交換をするだけの玉をそろえることができないというような一部の状態があったわけでございますので、その三カ月の時差をもちまして交換するということで、三カ月の貸し付けを行なったわけでございます。  と申しますのは、バターは毎年五月、六月、七月というものにおきまして一番生産のあがってくる商品でございますので、その時期になりまするならば、メーカーとしても手持ちの在庫というものが出てくるであろう、そういうことで三カ月間の猶予を認めていたわけでございますが、生産の停滞ということが一番大きく響きまして、その市況というものが一向緩和せず、逆に事業団の手持ちを一部放出せざるを得ないような需給状況に相なったわけでございます。そういうことで、さらにこの際交換を強要して、そのものを事業団の在庫に繰り入れるというようなことに相なりますれば、市況をさらに悪化させるということを憂慮いたしまして、時差交換すべきものを前に行ないました入札の価格で払い下げた、こういうことでございます。
  33. 松浦利尚

    松浦(利)委員 先ほど簡潔に局長から答弁があったように、畜産行政におけるバターですね、見通しを誤った、そのことは逆に言うと、消費者にとってはメリットはあまりなかった、そのことははっきりしておると思うのです。今後そういうことがないようにしてもらいたいということが一つ。  それからもう一つ。先ほど言ったように、こういった四%というような、それはもうどういう理屈があったにしても、国民感情としてはおもしろくないです、こんなことをしておったら。その点は再考するということですから、もう起こった結果についてとやかく言ってもしようがないのですから、将来こういうことのないように要望を申し上げておきたいと存じます。  それじゃ、ちょっと参考人の中沢さんにお尋ねいたしますが、社団法人日本食肉協議会は、大石環境庁長官がこの日本食肉協議会の会長をしておられるということですが、間違いありませんか。
  34. 中沢壽三郎

    ○中沢参考人 御質問のとおりでございます。
  35. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この食肉協議会は、これに入るためには一団体当たり六万円の出資金、こういうふうにお聞きをしておりますが、間違いありませんか。
  36. 中沢壽三郎

    ○中沢参考人 年間六万円でございます。
  37. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣お尋ねをしたいのでありますが、現職大臣がこういった団体、社団法人の会長なり理事長を兼務するということについては、閣議その他で全然議論されたことはありませんですか。
  38. 木村武千代

    木村国務大臣 私の経験によりますと、国務大臣に就任いたします際に、営業あるいは非営業にしろ、そういった団体あるいは会社の役員その他、報酬の有無にかかわらずそういうものに就任する際には、閣議あるいは内閣総理大臣の了承を得た上でということになっております。
  39. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この日本食肉協議会の会長には、学識経験者という立場で大石さんがなっておられる。大臣になられたあとも、役員の改選その他についての議論がないまま、そのまま今日まできておられるというふうに理解をしておるわけでありますが、その点は理事会として手続をとられたことがあるのかないのが、その点、中沢さんからお聞かせいただきたいと思います。
  40. 中沢壽三郎

    ○中沢参考人 特に理事会ではございませんでした。
  41. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、木村長官にこの際お願いをしておくのでございますが、国務大臣がこういった社団法人日本食肉協議会の会長におられることは、私は国の政策上たいへん好ましくないことだと思います。そういう面ではこの際善処を——国務大臣として本委員会に環境庁長官おられませんので、長官その方は非常にりっぱな方ですから、佐藤内閣においても、たいへん国民の立場に立って努力なさっておられる方ですから、そのことで傷をつけるつもりはありませんが、このことでかえって傷がついたら困りますので、この際善処方を御要望申し上げておきたいと存じます。  そこで、畜産局長お尋ねをするわけでありますが、まず、正月用の輸入牛肉二万トンの輸入問題、その問題について、実は通産省とおたくとの間でたいへん問題がこじれておって輸入が間に合わない、こういうことが新聞報道されておるわけですね。これは新聞の報ずるところでは、なわ張り争いというふうに明確に書いたところもありますが、そうでないところもありますね。しかし、大体役所というのは、なわ張り争いが往々にしてあるところなんですよ。そのなわ張り争いでいつも泣かされるのが国民なんですよ。実際にこの二万トンの下期の輸入割り当てはいつごろまでに終わるのか、そのことについて農林省のほうと、通産省のほうからもおいでになっておると思いますから、それぞれお答えいただきたいと思うのです。
  42. 増田久

    ○増田(久)政府委員 下期の牛肉の割り当てにつきましては、従来の事業団のいわゆる瞬間タッチ方式というものを改めまして、新方式によって輸入をいたしたい。その際におきましては、できるだけ輸入のワクを増大すること、それから、必要に応じて輸入商社の数も、三十二年の実績のままというような形ではなしに、もう少し弾力性を持って考えるべきことということ等につきましては、通産省と基本的に意見が一致いたしておるわけでございます。  ただ、その具体的な牛肉の需給の調整のとり方につきまして、われわれは生産との関係も十分考えなければなりませんので、事業団方式というものによる調整ということを強く考えているわけでございますけれども、その具体的なやり方につきまして、通産省との間で現在鋭意検討を深めている段階でございまして、おそらく、できますれば今週中には結論が出るものというふうにわれわれは考えております。  考え方として、需給の調整というものを具体的にどうやれば一番スムーズにいくかということの議論のあり方でございますので、両者に本質的な差があるわけではございません。技術的な検討で、決してなわ張り争いでも何でもないわけでございまして、今後の牛肉というものの食生活における重要性ということを考えまして、それだけ両省として熱心に議論しているのだ、こういうふうに御理解を願いたいと思っております。先ほど申しましたとおり、できるだけ早く、早々に結論が出るものと考えておるわけでございます。
  43. 中村俊夫

    ○中村説明員 お答えいたします。  ただいま農林省の局長からお話がありましたけれども、通産省としても全く同様でございます。農林省からは、さきに農林省で行ないました研究会の結論に基づきまして、下期の牛肉の輸入割り当てにつきましての申し入れがございました。これにつきまして鋭意検討いたしておりますが、先ほどお話ありましたように、下期の割り当て数量をふやすということ、これにつきましても全く同意見でございまして、ほぼ二万トンをこえるものになろうかと思います。その結果、本年度は上期に一万四千トン割り当て済みでございます。なおまた下期は一万四千トンの予定でございましたが、これに追加をいたしましてほぼ二万トンになりますので、約三万五千トンくらいの牛肉の割り当てに本年度はなろうかと思います。そういう点で、農林省とも基本的な意見の相違はございません。  ただ、いま検討いたしておりますのは、数量を極力ふやして輸入いたしますけれども、この入れました牛肉が適時適切に消費者の手に渡るような流通機構というものを合理化しなければならない。その点につきまして、事業団の役割りといったものにつきましてわれわれのほうで検討をいたしております。したがいまして、これも先生指摘のように、いつまでも議論をしておりまして実際の消費者の方に御迷惑をかけるということのないように、今週中には極力結論を得たいと考えておる次第であります。
  44. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま消費者のためにいかにすればいいかということで議論しておられるということですが、あまり議論しておってもらったら消費者のほうが困るんです。だから、いいことは率先してさっとやってもらって、そういった不足するものは早く輸入する、そういうことは、私、積極的に両者間でやってもらいたいと思うのです。今週中にはめどがつく、こういうことですから、その点は一応了解をして、早急に結論を出してやっていただきたいと思います。  時間がなくなりましたので、私は簡単に結論だけ急がしてもらいますが、実は輸入牛肉と国内生産との関係から差益金というものを取っておるということは、この前の委員会でお話を申し上げました。その差益金が昭和四十五年度で約五億円近くあるということもお聞きをしたのです。その差益金というのは一体何に使われるのかということをお聞きをいたしましたところが、農林省のほうの畜産局としては、国内の生産体制の強化、だから生産者ですね。それから流通対策、食肉業者の教育・改善策、こういうことにこの金は使われるのだ、こう言っておられましたね。それで、その差益金というのは一体どこにいくのかというのを調査いたしましたところが、加工業者ですね、加工業者は、消費者を通じて差益金を出す。それから精肉用の業者は、直接精肉用業者が差益金を出す。その出す先は、この精肉用と加工用と合わせた団体で日本食肉協議会というものをつくっておって、そこに全部出すのだ、こういう御説明だった。  そこで、この日本食肉協議会の常務理事さんにきょうは御出席をいただいておるのでありますが、この決算書そのものずばりではありませんが、一応資料をいただいたわけです。ところが、この差益金というのは牛肉の流通対策、生産対策あるいは小売り対策その他について約五億近くの金が使われておりながら、依然として牛肉の生産というものが伸びておらない。この肉牛制度研究会検討要旨の内容を見ましても、和牛の場合には、五十四万頭というほとんど限界に来ておる。それで、そのあとは乳用雄脂育牛、それから乳廃牛、こういったものに主力を置かざるを得ないという状態に来ておるのだ。ですから、こういったものにこういう差益金が回っておるのだろう、複雑な流通機構を簡素化し、改善していくためにこれが使われておるのだろう、実はそのことを私は期待をしておったのです。ところがこれを見ますと、この差益金のうち、生産者団体にいくのは一割ないのですね。五億円のうちに四千五百五十万円しか生産者団体にはいかない。しかも生産者団体からは、一頭について格づけのための手数料といいますか、豚の場合には二十円、牛の場合には六十円を生産者は別途納めておるのですね。ところが、そういう生産対策に回る金というのは、差益金のうちからわずかに四千五百五十万円しかない。ところが一方、中間マージンをかせいでおる業者のほうはどうかと見ますと、日本ハム・ソーセージ工業協同組合五千二百四十一万円、全国食肉事業協同組合一億二千五百六十三万円、日本食肉市場卸売協会七千七百三十一万円、日本食肉罐詰工業協同組合二千四百五十四万円、こういった中間のところばかりにこの差益金というものが使われておるのですよ。  一体これは何ですか。今度農林省は、聞くところによると、この差益金をさらにふみすというのですね。輸入がふえればふえるほどふやす。私は、生産者のほうの生産対策にどんどん回っていくというのならわかりますよ、国内生産を興すためにそちらに回るというのなら。そうじゃない。輸入牛肉でかん詰めをつくったり加工したりする業者あるいは生産者から取ってきて加工する業者、こういったところにこういう金がどんどん使われておるのじゃ、差益金の意味がないのじゃないですか。差益金を出しているのは消費者ですよ。納めておるのは業者だけれども、この差益金は末端消費者全部がかぶっておるわけですからね。生産者のほうは逆に六十円金を納めておるのです、一頭について。こういう差益金の使い方というのは、一体どういう目的で、この差益金というのは何のために使われるのか、もう一ぺん明確にしてください。
  45. 増田久

    ○増田(久)政府委員 前回の際にも申しましたとおり、現在輸入肉と国内産の間には相当価格差があります。それで、関税だけではなかなかカバーできない。それを現在の流通の中に入れておきますと、結局それは一種の不当利得と申しましょうか、中間の中に消えてしまう。そういうことは、割り当て物資としては最も不明朗な形になるのではないか。そういう意味でわれわれは、差益金を取って、それを生産者なり消費者のために使うのが妥当ではないか、かように考えてその差益金を取っているわけでございます。特にわれわれとしまして、これは事業団のほうとあわせてごらんいただきたいと思うわけでございますが、このうち、先ほど先生のおっしゃいましたことと若干違うかもしれませんが、現在五億のうち一億一千万円は生産対策に使っておるわけでございます。それからまた格づけの事業についても、これはなるほど手数料は生産者からいただきますけれども、この中から七千六百万円ほど出しておるわけでございまして、それやこれや考えますと、かなりのものが生産者にいっておる。それから、事業団のものはほとんど生産者の、たとえば肉牛価格安定基金だとかあるいは産地の処理施設だとか、そういうものに全部振り向けられているという形でありまして、差益金の多くのものが生産者に返っていることは事実だろうと思うわけでございます。  ただ、先生に御理解を願わなければいけませんのは、輸入牛肉というものは最近とみにふえてまいりました。確かにふえてまいりましたけれども、輸入肉に対する消費者の認識と申しますか知識というものはきわめて低いという実態がございます。そういうことで、相当消費者の啓蒙ということについてもわれわれとして力を入れざるを得ないというような実態、あるいは現在、たとえば屠場の用務員というものが非常に確保できないような状態になって、それが全体としての肉牛の、肉の流通のボトルネックになりつつあるというような問題、そういった問題もあわせて考えませんと、全体としての食肉流通の合理化につながらないわけでございますので、そういうことも早く手を打たなければならない問題でもございましたので、そういう点に当初のうちは力を入れていたということは事実だと思います。しかしながら、今後のやり方といたしましては、差益がふえるわけでございますから、これは当然生産者サイドのほうにより多く傾斜して使っていくということは当然のことである、かように考えております。
  46. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は非常に不満ですね。これからのことはわかりました。これからは生産者サイドに向かってやるというのですから。国内の生産者を保護するために、生産をふやすために使うということ、そのことは了解いたしました。しかし、いままでの使い方があまりにも極端じゃありませんか。五億のうち、あなたは一億と言いましたけれども、どこに一億ありますか。日本食肉協議会が一億百六十二万円、日本食肉市場卸売協会が七千七百三十一万円、全国食肉事業協同組合連合会が一億二千五百六十三万円、日本ハム・ソーセージ工業協同組合が五千二百四十一万円、日本食肉罐詰工業協同組合が二千四百五十四万円、残り生産者団体が四千五百五十万じゃありませんか。生産者団体というのは中央酪農全販連あるいは全国肉用牛協会、中央酪農会議全国信販農協連——信連ですね。やはり生産者団体のところにいっておる金は事実上少ないです。まあ日本食肉協議会のほうは、先ほど言ったように、格づけその他の仕事をしておるから一億何ぼ持っていった、そのことはわかります。食肉協議会一億何ぼというのは、食肉協議会は金を集めておるんだから、一億くらい取るでしょう。しかし、あとの団体、何ですか、これ。差益金たくさんやったところへたくさん還元しておるじゃありませんか。差益金の集まった団体に、逆にその集まったパーセンテージで還元しておるのじゃありませんか。そのことは数字から見て出てくるのです。間違いないでしょう。どうですか。
  47. 増田久

    ○増田(久)政府委員 団体別に申し上げますれば先生のおっしゃったようなことでございますが、たとえば日本食肉市場卸売協会を通じまして六千万円ばかりの金が流れておるわけでございますが、このやっております仕事は、たとえば市場に乳用牡犢を出荷した場合に、出荷奨励金として出しますということで生産者に還元される金でございます。そういう意味で、生産者団体ということではなしに、生産者サイドに還元されていくのだということで、私は一億一千七百万円ということを申し上げたわけでございます。
  48. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ一歩譲って——いまのところはちょっと疑義がありますけれども、生産者から一頭六十円金を取っておって、そして奨励金としてまた渡す、そんなよけいなことはせんければいいのです。取らなければいいのだ。議論してもしようがない。しかし、そういうことは一歩下がって、一億一千七百万としたって少ないじゃないですか、五億の中で。あなたの言う数字を認めたとしたって、少ないじゃないですか。こんな差益金の制度を消費者がかぶっておるのですよ。国内のおいしい牛肉が生産されてくる。差益金を出して、国内の生産者の意欲を高めてください。逆じゃないですか。中間者がみな取っているじゃないですか。しかも、流通機構の改善、こう言っているけれども、牛肉の流通ほど複雑なものはないでしょう。その流通機構が、一体どういうふうに合理化になっているのですか。逆に古い流通機構の中で、これは分けておるじゃないですか。この前の委員会における局長の答弁と実態が非常に違うのです。こういう差益金なら国民は払いませんぞ。何で払う必要がありますか。しかも国民がみんな払っておる。  こういう差益金について社団法人のこれが、監査は農林省が認可、許可をするだけ。農林省に事業計画を持っていって、農林省が認めれば、それでみなオープンでオーケーですよ。末端においてどういう支出があったかということはわからない。こういう計画があるからこれだけ金をくださいと言えば、みな出すのです、農林省が許可しさえすれば。しかし、実際に使われておるかどうかを監査する機構がないのです。農林省はこういうあいまいな日本食肉協議会——日本食肉協議会というものの事業報告書がここにあります。この報告書に書いてあることはりっぱです。その限りにおいては必要でしょう。社団法人の定款そのものも確かに必要なことでしょう。格づけ二億五千万という金が三十八年度、国庫から支出されておるという事実です。これは、必要だから一億五千万の国庫支出があったのだと思うのです。ところが、実際に運営されておるのは、業者自身がやっておるじゃないですか。分け取りしておるじゃないですか。  こういうものをこのまま放置しておったのでは、物価対策はできない。生産対策はできない。流通対策はできませんね。将来に向かって、こういうことのないように、生産者サイドに今度は傾斜させたものでやります、こう言うのだから、将来については認めます。しかし、こういう実体である食肉協議会のあり方を認めてきたということについて、私は非常に問題があると思いますね。これは、農林大臣おられませんから、物価担当の大臣として——こういう差益金というものが流通機構の中に必要があって、政府が定めて差益金というものを取るんですね。それがこういった、流通対策なり生産対策のほうに回っておらないという事実が厳然としてある。将来は生産者に傾斜するようにやると言われるのですが、こういった事実について現実にあるわけですから、物価担当大臣としての木村長官のこういうものに対する考え方についてお述べいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  49. 木村武千代

    木村国務大臣 いま問題になっております牛肉の輸入問題に限らず、現在まだいろいろ広く考えますと、わが国の旧来の行政の仕組み、また特にこういう流通過程における諸団体の中のいろいろな機構の問題、従来の惰性をふっ切れない面が多々あることは、私どもも認めます。そういう観点から、この臨時国会における総理の所信表明の中においてすら、いままでの諸制度の見直しをやらなければならぬということもうたっております。そういう意味で、特にいま問題になりました面を含めまして、流通機構の改善の中でそういう不合理な点を、農林省もぜひひとつ改めていただきたいということにいたしたいと思います。
  50. 松浦利尚

    松浦(利)委員 将来のことについては、局長からお話がありましたからよくわかりました。大臣のほうから前向きの御答弁がありましたから、これで了解いたしますが、少なくとも物価対策をつかさどって、佐藤内閣の重要な柱としておる物価対策の、こういった日本食肉協議会の差益金を扱う団体の中に閣僚がおられる、しかもその閣僚がおられながらこういう状態であるということについては、私は非常に不満ですね。ですから、こういった協議会、社団法人というのは原則どおり——冒頭に申し上げましたように、国務大臣がおられるということは、私は非常に大きな影響を国民に与える、誤解を与えるというふうに思いますから、再度善処方を要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  51. 小林進

    小林委員長 ちょっとこれ、農林省にお伺いしますけれども、あなた方監督官庁として、そういう五億有余の差益金が食肉協議会を通じてそれぞれの団体に流れているんですが、その流れた団体から会計報告をこまかく受けているんですかどうですか。もし受けていられるなら、これは事業団——協会、協議会でもいいが、農林省お持ちになるなら、その五億円の末端まで流れていった会計の決算書をひとつ国会に出していただけないものかどうか、どんなものですか。
  52. 増田久

    ○増田(久)政府委員 差益につきましてそれぞれの団体からは、それぞれわれわれの監督団体でございますので、それぞれ決算の報告をいただいております。そういうことで、後ほど国会に出すようにいたしたいと思います。
  53. 小林進

    小林委員長 有島重武君。
  54. 有島重武

    ○有島委員 ただいま松浦委員のほうから詳細にわたっての御質問がありましたので、私、だいぶ重なる点がございますので、簡単に結論だけをしっかりと聞いておきたいと思うのでございます。  まず、新しく定められました物価指数の問題です。私も、これは新旧対照表をぜひともつくっていただきたい、そう思います。  それから、この新しい表によって見ますと、昨年の物価上昇は一体どういうことになるのか。昭和四十五年の指標が四・八%でございましたが、実際には七・三%の物価上昇があった、そういうことになっておりますね。これは新表であると一体何%の上昇であったということになるんでしょうか。
  55. 関戸嘉明

    関戸政府委員 発表いたしました資料に書いてございますように、七・二%でございます。
  56. 有島重武

    ○有島委員 昭和四十五年四月から四十六年三月までのその差になるのですか。もう一ぺん。
  57. 関戸嘉明

    関戸政府委員 まことに申しわけございません。いま四十五年度数字をちょっと手元に持ち合わせておりませんで、四十五年度の上期と四十六年度の上期という半年分での数字を持っておりますが、それで代替させていただきたいと思います。  四十五年度の上期と四十六年度の上期の上昇率をとりますと、旧指数におきましては七・一%、新指数計算いたしますと六・六%、こういう数字であります。
  58. 有島重武

    ○有島委員 上期だけ考えても、旧指数でいけば七・一%、これが新指数でやると六・六%になるわけですね。〇・五%このほうが甘くなっているわけだ。それで、年間通して七・三%でございますね。ここにいただいたものがあるのですが、これをちょっとこちらで試算したのによれば、四十五年の四月が九九・九、それから四十六年三月が一〇四・〇ですね。年間を通して幾らですか。
  59. 関戸嘉明

    関戸政府委員 正確な数字はちょっと、計算しないとあれでございますが、大体五%見当になろうかと思います。
  60. 有島重武

    ○有島委員 企画庁長官にお伺いするわけですけれども、新表と旧表との対照表を将来にわたっても、少なくとも来年度まで出していただきたいという先ほどの松浦委員の御意見に、私は全く賛成なんでございます。過去にさかのぼって、昭和四十五年の指標でまいりましても非常な開きがあるわけであります。  そういたしますと、今年度目標は五・五%、この前は六・三%までいくであろう、そういうお話でございましたけれども、この目標ないし予想に対しても、新指数によれば大体目標は幾つになるのか、それをお示しいただきたいと思います。
  61. 木村武千代

    木村国務大臣 どうもいま統計局長の話を聞きますと、昭和四十五年度の実績七・三ですか、それと六・六、ちょっと開きが大き過ぎるのではないかと思います。  まだ私、お答えする自信がございませんけれども、そういうことになりますと、私ども昭和四十六年度見通しを立てております五・五、これがもっと下がるのではないかと思います。そうしますと、いまどうも新指数でやりますと、たとえばわれわれが考えております五・五がたとえ達成できましても、国民物価実感からいいますと、非常にそれに矛盾するものが出てくる。それは決して政府政策努力のあらわれでも何でもない。ただ統計とり方が変わったということから出てくる結果でございますから、そういう意味では、とうてい国民の皆さんから御満足の得られるようなことにもならぬと思います。そういう意味におきまして、私、まだ実は確信は持っておりませんが、ある程度の旧指数による腰だめのものができないかどうかということ、もちろん統計数字でございますから一つしかないことは当然でございますが、われわれ物価担当である経済企画庁としては、統計を担当しております統計局のとるもの以外に、もう少し国民実感に合うような数字をあわせてとることができないかどうか。私まだ、非常に確信のあるお答えではございませんけれども、たとえば旧指数、これはもうすでに廃止した品目がございますから、正確なものは、とうていこれはとることができないのは御承知のとおりであります。何らかの関係で、統計とは申しませんが、いままでのような旧指数によるのではないが、もう少し新指数国民実感とのズレをあらわすようなやり方がないものかどうかということをこれから少し検討してまいりたい、こう、現時点では考えております。
  62. 有島重武

    ○有島委員 少し話が途中でよじれちゃったような感じがいたすのでございますが、指数実感の問題ですね、これは数字でございますから、国民実感とは必ずしも一致しない。国民といってもいろいろな階層がございますから、それはある程度やむを得ないわけです。その問題は、むしろわれわれはもう旧指数になれてしまいまして、こういう発表なんだから大体このくらいひどくなるであろう、そういったことは、多くの方々がそれぞれの立場でもって実感しかかってきたところなんです。それが今度新しく変わりましたので、今度の新しい指数がどのくらい生活実感に合うかどうか、これはまた別問題で、まあこれから合わせる、それについていまお願いしたように、じゃ新旧の違いがどのくらいになっているのかということが知りたかったわけです。まあ、その点についても努力してくださるそうでございますから、おそらくその努力のあらわれとして、新旧対照をもっと国民にわかりやすい形でもって御発表いただけるのだと、私は期待いたします。  それから第二番目に、いまお伺いしているのは、大体六・三%を四十六年度は見越しておるということでございますけれども、これは新指標によればこんな数字ではなくて、もう少しおそらく少ない数字にならなければならない。ですからそれを発表し直す。今年度目標は、幾つになるかわからないけれども、新指標によれば四・幾つであって、けれどもそれに押えるのは無理であるから大体五ぐらいになるとか、そういうふうな発表のし直しをなさるべきではないかと私は思うのですけれども、その御用意があるかどうか、この点を伺いたい。
  63. 木村武千代

    木村国務大臣 先ほどのお答えは非常にことばが足りませんでした。当然私どもは、次の本予算の編成に際しまして、来年度経済見通し改定いたします。その際における物価指数を大体どの辺に置くかということを、あらためて十二月末までに概算の中で出していきたいと思っておりますが、私どものいまの感じ方としましては、先般の予算委員会で私が申し上げました、大体政策努力を、今年度内六・三%ぐらいでおさめたい、それを新指数に換算いたしますと大体六・一ぐらいになるであろうということを申し上げてよろしいのじゃないかというふうに思います。
  64. 有島重武

    ○有島委員 新指数でもって六・一の努力目標でなさる。それが先ほどの四十五年度の差と、これでもって妥当かどうか、これはやはり国民としてもほんとうに知りたいわけなんです。その目標が、何とか数字を言われている間に甘くなってしまったのではないか。ですから、新旧対照表については、やはり三月までは、少なくともこの四十六年度一ぱいはやっていただくことを、重ねてお願いしておきます。
  65. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いま御要望の、来年三月まで新旧指標の対比を何かの方法で推定してというお話でございましたが、私どものほうではもちろん、新指数が出ました際に、過去にさかのぼっていろいろ対比をいたしました。先ほど統計局長の御説明のように、大体これは新しい指数が出ますと、当然最近のウエートになりますから、若干下がる傾向にあります。これは四十年の改定でもそうなります。そういうことで、いろいろのつなぎの検討はいたすわけでございますが、今後の指標ということになりますと、何と申しましても品目の入れかえが相当ございまして、新しい指数ではもう通らなくなってしまう品目相当ございます。したがいまして、推計といいましても、なかなか簡単にこれはいかないのではないかと思います。どういう方法があり得るものか、なお統計局のほうともよく御相談しまして、何かそういう参考数字を出せれば、私どものほうでも努力してみたいと思いますが、どうもいま考えてみましても、なかなかそういう数字は出にくいのじゃないかと思いますので、検討さしていただきたいと思います。
  66. 有島重武

    ○有島委員 廃止した品目は何品目ですか。
  67. 関戸嘉明

    関戸政府委員 十六品目でございます。
  68. 有島重武

    ○有島委員 いまの国民生活局長のお話ですと、廃止したものがあるから非常にむずかしいだろうというお答えですけれども、これは承服しかねると思うのです。十六品目ということですね。これはデータとしては大体同じになるわけです。さっき松浦さんからお話があったように、データがしっかり同じものが入っていれば、それを二通りに答えを出していくなんということはそれほどむずかしいことではないと——コンピューターについては私はしろうとだけれども、察することができるわけです。いまのお答えの、廃止した部分もあるからこれはできないということは、私ならずとも国民が納得しないと思いますね。ぜひやっていただきたい。重ねてお願いします。
  69. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 もちろん御理解願っておると思いますが、ここに十六品目の廃止品目というものについては、新指数になりましてからは、現指標としての価格のデータがなくなるわけでございます。したがいまして、いわゆる物価指数としての計算ができなくなるわけでございますので、その辺を省略か何かしてやれるような方法があるのかどうか、私はちょっとそれは、理論的にもできなくなるのじゃないかと思いましたので、先ほどのような御返事をいたしたわけでございますが、なおよく検討さしていただきたいと思います。
  70. 有島重武

    ○有島委員 通産省から、ジェトロが海外駐在員を通じて世界の主要都市の消費物価を調べたところが、東京は八番目に物価が安い都市だ、そういうような御発表があったわけでございますけれども、こうした調べ方ないしこの発表が、どういうおつもりでこういうようなことをなすったのか。通産省としては、現在東京というところは非常に物価が安定して住みよいところであると、そのようにほんとうに思っていらっしゃるのかどうか。
  71. 守屋一彦

    ○守屋説明員 お答えさしていただきます。  先生いまおっしゃいましたように、私ども、ここ三年ばかり前から、大体三十カ国ばかりの都市をとりまして、そこの物価状況がどうなっているかという調査をいたしておるわけでございます。  それで、今回の調査結果によりますと、全体といたしまして、耐久消費財、個人サービス関係が比較的割り安である、それから食料品関係が割り高だ、それで全体としては比較的割り安の水準にあるという結論が出ておるわけでございます。  ただ、先生いま御指摘ございましたように、それをもって直ちに東京が割り安であると私ども考えておるわけではございませんで、これは報告の場合にもいろいろ書いておいたわけでございますが、所得との関係でございますとかなんとかというあたりをよく見ていかなければいけない。そうすると、その場合に、欧米先進諸国に比べて全体的な形では比較的割り安に出ても、所得との相関関係があるということで、その報告書の中でも、所得との関係等を考えていけば、むしろ国民の負担感というのは大きいのではないかというようなことを書いておるわけでございます。それと、もう一つの点といたしましては、東京の場合、ほかの諸国に比べても消費者物価上昇率が非常に高いので、この二つから、今後も決して安心もできないし、今後とも物価対策を十分にやっていく必要があるという結論を出しておるわけでございます。  それからもう一つは、比較的割り安に出ました点につきましては、国際比較が非常にむずかしいわけでございまして、調査に非常な制約があるわけでございます。特に、国際的に見まして同じようなものを拾うということが非常に困難でございまして、カバレージがどうしても低くなるということで、ほぼ三割程度のカバレージがカバーできなかったわけでございます。その点が一つ。  それからもう一つは、比較をする場合にどこのウエートを使ってやるかという点が問題になるわけでございますが、一応私どもとしては東京ウエートをとりまして、それで比較をやりましたものですから、東京の生活水準を諸外国に持ち込むという形の比較にならざるを得なかったわけでございまして、そういう点の問題点があろうかと思っております。  なお、この点につきましては、アメリカの消費構造に合わせたらどうなるか、イタリアの消費構造に合わせたらどうなるか、それからフランスの消費構造に合わせたらどうなるかというのを、若干補論といたしましてうしろのほうで検討してみたわけでございますが、この辺になりますとさらにカバレージが低くなるものですから、若干その割り安感が減るという形は出ますが、はっきりとした比較は困難だった次第でございます。
  72. 有島重武

    ○有島委員 企画庁長官に伺うのですけれども、これもまた、別なウエートを置きながら一つの比較が出たわけでございますね。これは国民にとっては非常に混乱させられる問題であり、もう一面から考えると、政府物価安定について苦慮している、そのわりに成果はあがらぬという状態の中でこういうような発表というものは、何かやはりこれは気脈を通じてやっていらっしゃるのじゃないか、そう勘ぐる向きもあるわけでございます。これは通産省のほうとそれから総理府発表、いずれもこれは実感からかけ離れておるわけでございますけれども、こういった点について、経済企画庁のほうとはいまの通産省のジェトロのほうとも連絡があって、そうして企画庁長官もやはり一つの責任を持って発表なすっているのかどうかですね。こういったことについて、一体どういうふうに企画庁長官としては考えていらっしゃるか。
  73. 木村武千代

    木村国務大臣 私どもには何らの連絡なしに発表されたわけでございます。  そこで、先ほど通産省からお答えしましたとおりに、それは相当の評価さるべき比較かもしれませんけれども、これでもって国民物価負担感を減殺するとか、毛頭そういう意図に出たものでないことは私どもわかりますが、それにいろいろな前提条件があることですし、お互いの所得の水準の差というものもいかに物価負担感に大きな影響があるかということも、この統計、比較からは全然出ておりません。  ただ、私がそれを見まして感ずるところは、私どもが日常一番購入頻度の高いたとえば日常生活品、特に生鮮食料品は、確かに日本のほうが非常に高いということを見まして、そういう面では、一つの国際比較としてもおもしろいものではないか。またサービス料金のごときは、私ども外国へ参りましても、たいへんあちらが高いということは実感で味わっております。そういうような限定された意味における国際比較としての評価はされてもしかるべきだろうと思います。これでもって、東京物価が安いから国民物価負担感はややおかしいんではないかというようなことになるとは毛頭考えませんし、また、その意味における限定された評価であるべきだ、こう考えております。
  74. 有島重武

    ○有島委員 先ほども食肉の問題で取り上げられておりましたが、私も調べて非常に不審に思っておりました点で、さっきも質問ございましたが、社団法人日本食肉協議会の会長として大石さんがやっておられる。これについて企画庁長官からはお答えがございませんでしたけれども長官としては御所感はいかがですか。
  75. 木村武千代

    木村国務大臣 先ほど松浦さんからお話がありましたので、直ちに内閣官房へ確かめましたところ、どうもまだはっきりしない点がございます。私、官房長官に申しまして少し確認をさせたいと思っておりますが、こういう社団法人の無報酬の会長という職、そのこと自体には問題はないわけでございますが、ただどうも食肉輸入協議会ということになりますと、私の個人的な考えでも、これは一応政府全体としても考えるべき点があると思いますので、私から官房長官に申しまして、政府全体としての考え方をきめたいと思っております。
  76. 有島重武

    ○有島委員 食肉の流通機構の問題でございますけれども、だいぶ先ほどもこまかい話があったので、これは結論だけ伺いたいのだけれども、この流通機構を縮小して、もっと簡明な流通機構をおつくりになるお覚悟があるかどうか、その点だけ……。
  77. 木村武千代

    木村国務大臣 流通機構の改善については、これは物価対策の一番大きな点であると思いますけれども、その基本方針においては、私どものほうの企画庁で実際その実施に当たっておりませんので、実際その行政に当たっております農林省、通産省に、ぜひそういう面での根本的な改善をやってもらいたい、こう考えております。
  78. 有島重武

    ○有島委員 いまの点、特に農林省だけでは、いままでの行きがかりというようなことが非常にあると思うのです。ぜひ経済企画庁長官が本気になっていただいて、推進していただきたいと思うわけであります。  それから、関税の問題ですけれども、大体、食肉を輸入するという趣旨でございますが、これは非常に基本的なことですけれども、絶対量が足りないからである、それからもう一面には、国内の価格を安定させるという一面が確かにあると思うのですけれども、関税のレートがいつも画一的にきまっているわけでございますね。そういったことを、物価の情勢ないしは国内の生産量に対して、弾力的に企画庁のほうで操作するというようなことは考えられますか。
  79. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 関税の問題でございますが、豚肉については、去年自由化に伴いまして、本年の春に関税制度を通常国会で改めていただいたわけでございまして、これはあの方法でやっていきたい。つまり上限下限の価格のちょうど中間になるように差額関税を設定していこう、こういうことでございまして、これはやはり国内の食肉価格の安定ということを政策的にやってまいるわけでございますから、輸入についてもこれに整合的に価格がきまっていくという形でございますので、これはやむを得ないと思います。  牛肉については現在二五%の関税でございまして、定率でございます。これは現在でも差益が問題になるように、国内の価格に比べると、これで輸入しても、輸入のほうが安くなるということでございますが、やはり二五%というものはかなり高いという感じもいたしますので、私どもとしてはいま関税局のほうに対して、この関税についてもう少し考えてもらえないかということを申し入れをいたしております。ただ、先ほどから議論になっておりますような差益というような問題とどう調整してまいりますか、その辺のところもしっかりやりませんと、せっかく関税を下げても、それが差益にまた振りかわってしまうということではいけないと思います。その辺の検討がなお必要である、こういう状況でございます。
  80. 有島重武

    ○有島委員 国民としては、どうしたら安くておいしい肉が食べられるか、それで栄養を確保するか、そこにおもな関心があるわけでございますから、そこに向かってほんとうに努力をしていただきたいと思うわけです。  それから、これは新聞報道で、輸入肉を国内肉にまぜて売るというような報道がありました。これは農林省に伺いたいのですが、この中で、ステーキ用として売られている上肉用輸入原価は一キロ四百八十五円程度である、そういうふうにあるのですが、私の調べたのとだいぶ値段が違うものですから、これでよろしいのか、これを聞いておきたいと思います。
  81. 増田久

    ○増田(久)政府委員 いわゆるステーキ用となりますと、トップサイドという一番いい肉となっておりますが、私どもの現在の調査では、キログラム当たり四百九十二円という調査になっておりますので、大体その線であろうかと思うわけでございます。
  82. 有島重武

    ○有島委員 ステーキ用というと何かもっと高いように、私どもは報告を受けていたわけです。  それから、この輸入肉を国内肉にまぜているのは東京では少なくて、九州なんかでは多い。こうした事情はどういうところから出ているのですか。
  83. 増田久

    ○増田(久)政府委員 いま価格のお話がございましたけれども、向こうでたとえばテンダーロインというようなほんとうの高級なステーキ用の肉、あれになりますと、現在円の切り上げといいますか、その関係でちょっと、安くなりましたけれども、千二百七円という高い値段でございます。  それから、輸入肉につきまして御承知おき願いたいと思いますことは、相当量扱える小売り店でありませんと輸入肉をなかなか扱い切れないという問題がございます。御承知のとおり東京と大阪を比べてまいりますと、大阪は東京の三倍牛肉を食べておるわけであります。   〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕 したがいまして、小売り店の扱い量もきわめて多く、まとまった輸入肉を扱うということが可能になってまいるわけであります。それに対しまして東京は、肉の消費量が少ないために、なかなか輸入肉が小売りとして扱いにくいという形があるわけでございます。したがいまして、関西では、そういう一人当たりの消費量が多いという事実の中から向こうで輸入肉を多く扱っている、こういう形があるわけでございます。
  84. 有島重武

    ○有島委員 九州はどうなんですか。
  85. 増田久

    ○増田(久)政府委員 御存じのとおり、名古屋から以西が非常に食肉の消費が多いわけで、東京から北に行くに従って消費が減っていくという傾向がございます。九州におきましても大体東京の二倍から三倍ぐらい食べておるわけでございますが、一番多いのは、京都が東京の四倍食べているという事実がございます。
  86. 有島重武

    ○有島委員 次に、牛乳の問題を伺っておきます。  普通牛乳とそれから加工牛乳等の標示問題でございます。消費者が品質を知るということがこれは大前提であろうかと思うのですけれども、加工乳の標示について現在のままでよろしいかどうか、これを何か考えていらっしゃるか。
  87. 神林三男

    ○神林説明員 お答え申し上げます。  現行法では一応牛乳、加工乳は、種類別でもって牛乳あるいは加工乳として、五号活字以上を使わしておるわけであります。しかし、五号活字以上をきめたのは、びんでキャップにさせておる時代の考え方がかなり入っておりますから、いまは紙製容器としていろいろなものがございますから、今後これにつきましてはなお検討してまいりたいというふうに考えております。
  88. 有島重武

    ○有島委員 私が申し上げているのは活字の大きさの問題だけでなしに、たとえばほんとうの牛乳が何%あるのか、それから脱粉だとかクリームだとかバターだとか、そういった標示ですね。それからビタミンが何%であるとか、そういうような標示をすべきではないか。そういう問題は今後の問題としてはどうですか。
  89. 神林三男

    ○神林説明員 一応標示とともに成分規格の問題が、私ここに存在しておると思います。現在、加工乳は「牛乳の例による」というふうな表現を使っておるわけでございますが、牛乳はしからばどのような成分規格を持っておるかと申しますと、いま品質の問題に直接関係あるところだけ申し上げますと、脂肪を除きました無脂乳固形分八・〇%以上、それから乳脂肪分につきましては三・〇%以上ということになっておりまして、現行ではそういう成分規格でございますけれども、なお加工乳につきましては、それでいいかどうかということで現在私たちでも検討を加えておりまして、それによりましてまた標示の問題もおそらく改まってくるんじゃないかというふうに考えております。
  90. 有島重武

    ○有島委員 規格の問題と標示の問題と混乱があると思うのですね。それで、規格をつくってからでないと標示ができないというのはおかしいと思うのですよ。いろいろな成分のものがある。それはやはり消費者がわかるようにしておく。いまでさえ、もうすでにいろんなふうになっているわけでありますから、規格はまた別の問題としてお立てになるべきじゃないか。規格をつくってその標示をさせるということになりますと——そういうことばっかりやっているから、その標示と中身とがちょっと違う場合が起こってくるんじゃないか。ですから、いま伺ったような標示の問題、標示を規格をつくるのに先行させて、そうしていま申し上げたように、牛乳分が何%である、それから加工した物質はどういうものが何%であるということを標示させるべきではないか、そう思うのです。
  91. 神林三男

    ○神林説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のとおり、一応成分規格と標示は別個のものでございますが、なお、私のほうといたしましてはやはり中身の問題も重要であるということでございまして、とりあえずいま内容の問題につきましても検討を加えておるわけでございますが、なお標示もこれに付随していろいろ検討を加えていきたいと思っております。
  92. 有島重武

    ○有島委員 どうもまだすっきりしないんだけれども、標示をしっかりさせるということはなさいますね。
  93. 神林三男

    ○神林説明員 そういう方向でやっております。
  94. 有島重武

    ○有島委員 そうすると、食品衛生法の一部改正ということが考えられなければならないと思いますけれども、いまの答えに従ってそういうことが考えられますか。考慮なさいますか。
  95. 神林三男

    ○神林説明員 お答えいたします。  食品衛生法の改正は、私、直接担当の者ではございませんが、現在、食品衛生法の改正等につきましてもいろいろ検討を加えておる最中でございます。
  96. 有島重武

    ○有島委員 いまのは国民生活局長に伺いたかったのです。
  97. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 牛乳の成分等については、乳等省令という省令の形できまっておるところが多いと思いましたけれども、しかし、いまの御質問の点で、やはり法律に関係する部分もあるようでございまして、そうなれば当然法律改正の問題が生ずると思います。私どもは、消費者行政の面から食品問題の連絡協議会という場を持ちまして、いろいろ議論を進めておりますので、そういう形を通じて、ひとつ必要な点があれば法律改正をいたしたいと考えております。
  98. 有島重武

    ○有島委員 牛乳問題は今後ますます重要になってくると思うのですけれども、業界にしてもあるいは厚生省にしても、新しい行き方ということをこれから開拓していかなければならないと思います。  やはり先日の新聞報道でございますが、牛乳リース協会というのが問題にされておりました。これは元食糧庁長官である須賀賢二さんというのが会長だというのですね。この牛乳リース協会の目的とその実績について、御報告いただきたいのです。
  99. 増田久

    ○増田(久)政府委員 リース協会と申しますのは、昭和四十一年に設立されたものでございます。その当時の考え方といたしまして、御承知のとおり不足払い制度というものが行なわれたわけでございますが、その際に、今後加工乳を一そう市乳化する必要がある、そういう意味で、遠距離から、たとえば九州の宮崎、鹿児島から大阪の牛乳を持っていく、あるいは長野から大阪に牛乳を入れる、あるいは青森から東京に牛乳を持ってくる、こういうことを積極的に推進しよう、そういう目的で、考え方としまして、国、事業団が半分、関係県が四分の一、それから希望する生産者団体が四分の一というものをそれぞれ出資いたしまして、出資した者に対しまして、出資に応じてクーラーステーションとかあるいはタンクローリーとか、そういう長距離輸送施設をリースで貸していこう、こういう目的で行なわれたものでございます。  ところが、率直に申し上げまして四十一年、二年、三年の段階におきましては、まだそういう長距離輸送というものが技術的な面でも若干問題があり、価格的にも問題があったわけで、なかなかリース協会というものが思ったような稼働をしなかったということで、実績を申し上げますと、昭和四十一年では件数で三件、四十二年になりましては一件、四十三年になって四件、四十四年に五件、四十五年になりまして五件、四十六年になりまして九件、しり上がりに需要というものがふえてきておりまして、最初国が出資いたしました金ではもはや足りなくなりまして、出資金額が国、事業団と関係県、団体、合わせて全部で二億五千百十万円でございますが、これを全部使い切ってしまった、こういう実態でございます。  将来の方向として、先生御存じのとおり、たとえば都市近郊酪農というものがどんどん衰退をしていっているというようなことで、北海道だとかあるいは南九州、こういうところで牛乳の伸びが伸びてきているわけでございますから、将来の牛乳の需給の上からいっても、どうしてもそういうところの乳というものを持ってこなければいけない、こういう必要性がますます高まってくるであろう、そういうことで、今後このリース協会というものは——最初休眠法人というような非難は受けましたけれども、現在ではフル稼働して需要に応じ切れないでいるという実態でございます。今後リース協会の果たす役割りはますます高まってくるものと考えておるわけでございます。
  100. 有島重武

    ○有島委員 遠距離から牛乳を運んでくるわけですね。いまのお話では、近郊の牛乳というものが今後はますます衰微していくであろう、そういう予想から出ているんだというお話でしたね。逆にこれを進めていくことによって、近郊の酪農はずいぶん大きな痛手をこうむっていくということも考えられるわけですね。  それから、農林省の考えとして、牛乳は、大体近郊の牛乳というものを否定的に考えるというところに腹をおきめになったのかどうか。
  101. 増田久

    ○増田(久)政府委員 昭和四十五年から六年にかけまして、酪農の農家数が九%急速に減ったわけでございます。その内容を特にしさいに検討いたしてまいりますと、従来は、先生御存じのとおりかす酪農、一腹しぼり、こういうようなことで都市近郊に非常に大規模な酪農家があって、それが牛乳の生産の上で非常に大きなウエートを占めておる。これは日本的酪農と私いえると思いますけれども、そういうもののウエートが高まっておったわけでございますが、最近になりますと、たとえば公害問題あるいは労働力の問題、そういうようなことから、そういう都市酪農の有利性というものが急速に失われてまいりまして、現在、そういう方が酪農をやめていくという傾向が顕著に見えてきておるわけでございます。それからもう一つの傾向は、従来の一、二頭層の方、一頭ないし二頭しか飼っていない農家の方が脱落していくという傾向が非常に顕著に見えてまいりまして、全体的に見まして現在牛乳は生産が落ちている段階でございますけれども、北海道と南九州だけは対前年比を上回って牛乳の生産が伸びている、その他の地区はおしなべて対前年比を下回り、あるいは同じぐらい、こういう形で明らかに酪農の立地特化傾向というものがはっきり出てきておるわけでございます。そういう点にわれわれとしてはやはり着目せざるを得ないだろうというふうに考えておるわけでございます。
  102. 有島重武

    ○有島委員 今度は、その際の価格の問題なんですが、近郊で大体六十円の水準のものが、北海道なり九州なり青森だと四十六円というその差額がある、それだからこっちへ持ってきてもよろしい、そのためには補助を出そう、そういう発想であろうと思うのですね。それが高いほうに標準を置いてやっていくのではなしに、やはり牛乳全体が価格がつり上がらないように、そういった配慮を、このリース協会の運営についても配慮してやっていただきたい。  それから、今後牛乳と乳製品について、還元乳というものが増大していくという傾向にどうしてもなっていくのでしょうか。その点について……。
  103. 増田久

    ○増田(久)政府委員 たびたび申し上げますことでございますけれども日本は、国の地形が南北に非常に細長い国でございまして、しかも、その端のほうに牛乳の生産が行なわれ、人口はまん中のいわゆる太平洋ベルト地帯に集中している、こういう一つの特殊な形がある。しかも牛乳につきましては、夏と冬との間で非常に需要の差がある、こういうようなことで、この間の地域的な需給調整、時期的な需給調整、こういうような関係から、日本で還元乳というものが出回ってきているわけでございます。その数字を見てまいりますと、四十一年に十一万八千トンが、現在四十五年には二十一万二千トンという、これはいろいろ統計上推計をいたしたわけでございますが、非常に増加傾向にあるわけでございます。  こういうことが、私はやはり牛乳の不信感と申しますか、そういうことにつながる問題でもある、そういう考えを持ったから、今後はやはりできるだけ自然のままの牛乳を消費者のもとに届ける、こういう観点から、リース協会というものなどを活用いたしまして、遠距離からなまの牛乳を持ってきて、それを消費者に届けていく、こういう政策を強く進めていく必要があるんではないか、こう考えているわけでございます。
  104. 有島重武

    ○有島委員 いまのお話では、遠距離からフレッシュなものをそのまま持ってくる、そういった方向をいま目ざして努力しているのだというお話でございますね。それでフレッシュ牛乳は、確かに消費者に対して安く、継続的に供給してもらえるということが一番重要であると思うのですけれども、それについての何か新しい事業を計画していらっしゃいますか。
  105. 増田久

    ○増田(久)政府委員 リース協会を活用いたしまして、来年度は四億八千万円の予算要求をいたしまして、先ほど申しました長距離輸送施設というものを大々的に整備するということを考えて、現在予算を要求している次第でございます。
  106. 有島重武

    ○有島委員 その際に、現在の不足払いと今度新しく拡張された場合の不足払い、そういったものの関連はどうなりますですか。それから、新しく拡張しただけなのか、その際に何か、その新しい事業の目的といいますか、そういうものが変更されるのかどうか。
  107. 増田久

    ○増田(久)政府委員 生産者を通じまして遠距離から持ってくる、こういうことでございまして、要するに加工乳を減らして、できるだけ市乳化していく。その市乳化することが日本の酪農を最も安定的な形にする一つの原因ではないだろうか、われわれが酪農政策の基本をそこに置いておりますので、リース協会というものを強化して、そういう線で強力に進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  108. 有島重武

    ○有島委員 前段の不足払いの点については、変化がありますか。
  109. 増田久

    ○増田(久)政府委員 特にございません。
  110. 有島重武

    ○有島委員 こうした方向というものがほんとうに効率的に運用されれば、これは農林省としても、牛乳問題を解決する非常に重要なものになるんじゃないかと私も思います。  それで、来年は四億八千万ですか、これは継続してずっと長期にわたっての計画になっているのですか。それとも来年度だけの話になっているんですか。この割合でぐんぐんふえていくのですか。
  111. 増田久

    ○増田(久)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、現在還元乳というものが相当量飲まれているという実態があるわけでございますので、その分をできるだけなま乳に切りかえていく、こういうことで、全部とは申しませんけれども、さしあたり、その半分程度をそういうことに切りかえ得る予算額として、四億八千万というものを要求いたしておるわけでありますので、それが進んだ段階ではさらにもう一度拡充していく、こういうことに相なろうかと思うわけであります。
  112. 有島重武

    ○有島委員 わかりました。将来その方向でもってさらに進んでいくということですね。  以上で終わります。
  113. 竹内黎一

    ○竹内委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  中沢参考人には、お忙しいところ、御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。     —————————————
  114. 竹内黎一

    ○竹内委員長代理 質疑を続行いたします。栗山礼行君。
  115. 栗山礼行

    ○栗山委員 この間の物特で、私と長官と、例のタクシー問題で若干大ざっぱな質問を展開いたしまして、いろいろ御意見を伺ったのであります。きょうは、内容的な問題についてはいろいろございますけれども、参議院では核抜き、本土並みの審議をいたしておるのでありますが、物特では食事抜きでひとつ連続審議、こういうことでございます。あまり皆さんからおしかりを受けない範囲で、ひとつできるだけ時間を縮めて御質問を申し上げてみたい、かように考えております。御了承いただきたいと思います。  けさの新聞をながめたわけでございますが、日本経済新聞に「七大都市タクシー年内値上げ」「参院運輸委自動車局長が示唆」こういう大きな見出しで拝見をいたしました。おそらくもう決定版的な、その内容が行なわれておるわけであります。特に経企のほうあるいは物価安定政策会議一つの方向も、いまの沖繩国会の終了した時点をとらえて値上げが本ぎまりになる見通しがきわめて強い、こういう記事が日本経済に載っております。「三十日の参院運輸委員会で運輸省の野村自動車局長東京など七大都市のタクシー料金値上げについて「経済企画庁意見を聞き、業務サービスの改善ぶりを見たうえで近く結論を出したい」と述べた。すでに木村企画庁長官、自民党交通部会も値上げを認める方針を決めているので、この発言は年内のタクシー料金値上げを示唆したものとみられる。タクシー料金の値上げについては東京、大阪、福岡など七大都市の業界団体がことし一月から四月までに平均八〇%の大幅値上げを運輸省に申請した。これを運輸省は業界の経営実態の点から、また企画庁は物価安定の見地から検討してきた。特に企画庁は物価安定政策会議の中にタクシー小委員会を設けてこれまで二回審議しており、十二月二日に三回目の会議を開いて結論を出す段取り。タクシー料金の最終的な決定は物価関係閣僚会議で行なわれることになっているが、これまでのいきさつから、沖繩国会の終了する十二月二十四日直後の閣僚会議で値上げが本決まりとなる見通しが強い。」これは一つの観測でございますが、昨日の参議院の運輸委員会における野村自動車局長の発言がこのような一つの方向の記事になってあらわれておる、こういうふうに私は理解をいたしておるのでありますが、局長がお越しをいただけないということで、部長さんにお越しをいただいたわけです。  若干の論議はこの聞いたしました。まだあまり日にちを経過いたしておりません。その中にはいろいろな事務的な説明がございましたし、あるいは企画庁長官の主観的な問題あるいは客観的な諸条件の問題等についても非常に苦悩深く検討を深めておる、こういうことでございまして、私は総括した原則論を申し上げて、御要望を申し上げておいたことは御承知のとおりでありますが、ひとつ部長、この事柄はその後に大きな変化があった答弁だということを積み重ねて、そしてすでに一定の方向路線として進めてこられた、こういうように解釈をせざるを得ないのでありますが、私の意見を申し上げますと、もうずばり、あなたのほうはもう隠れみのじゃなくて、このような態度決定で強く推進しておるということなら、そのとおり明確に一つの御答弁をされてしかるべきじゃないか。運輸省側の、自動車局の一つの方向としての明確な態度を表明いただきたい、こういうことであります。
  116. 小林正興

    小林説明員 前回もお答えいたしましたとおり、運輸省といたしましては、出された申請の内容につきまして現在鋭意検討をいたしておる段階でございまして、その内容につきまして経済企画庁と協議をいたしておる途中でございます。きのうの自動車局長の発言も、その現状検討の段階、これをいろいろ御答弁になったというふうに聞いております。
  117. 栗山礼行

    ○栗山委員 そこが何といいますか、私のお尋ねしておる要旨がどこか貝がらの中に入れられているような御答弁なんでありますが、まさにそのとおりでございますが、私は、要するにそういう作業をされておる一つの過程というものが、運輸省として経済企画庁のほうと御相談をされておるけれども、その基本的な態度というものがどのような態度をもってそれに臨まれておるか、こういうことが大きな中心だ。事務はいろいろ手続が、ビジネスとしてございましょう。そういう過程は問題じゃない。少なくともあなたのほうが取り組んでおる一つの基本は、各種の諸条件から——前回もお話がありましたように、値上げはこの前には六大都市でありまして、七大都市は申請ございません、こういうような部長みずからの私への御答弁をいただいたと記憶するのでありますが、きのうの参議院の運輸委員会におきましては、七大都市、こういうことで、まあその後に申請が参ったのかどうか存じませんけれども東京の申請は非常に早い申請なんであります。そういうふうな見出しで新聞が書いておるので、この点についても私は若干疑心を持たざるを得ない、こういうことでございます。  要するに、あなたのほうの基本的な態度あるいは具体的な路線というものが、どういう一つの姿でこれを進めてまいるのか、こういうことだけ、やはり私は明確にすべきだと思うのですよ。もしそうでないと、何かあなたのほうは、いろいろ申請に基づいて作業をした、そしていろいろ折衝しておる、あとはあちらの機関決定まかせであるという無原則論ではないと思うのです。かく願いたい、かくあるべきだというやはり明確な内容の裏づけをして、そしてその手続をはかられる、こういうことなら、きわめて一つのプロセスとしての内容をもたらすものだ、こう理解するのでありますが、どうもこの間、部長とお話を申し上げておる中でも、あなたはそこへ出ないんですね。時間がございませんでしたから私は総論で終わったのでありますけれども、また一週間ほどの間においてこういう変局がある、こういう事態ですから、問題はずばりそのものをひとつ御答弁をいただこう、こういうことでありまして、再度ひとつ同様にわたらないように、こういう方針でございます、あとは関係機関の御決定を求めることだ、こういうことでおっしゃっていただいて、あなたの行政上の立場を責めるということではございませんので、もう少しひとつ、この場合になって論ずるところを的確に御答弁をちょうだいしたい。できなければようございます。
  118. 小林正興

    小林説明員 六大都市のタクシー運賃は、事柄の重要性からいたしまして、物価関係閣僚協議会に付議する事項になっておるわけでございます。したがいまして、事業者の申請は、今年の二月から四月にかけましてすでに出そろっておるわけでございますが、経営の苦しい現状、内容、こういったことにつきまして、運輸省といたしまして、もちろんつぶさに検討を加えて、経営収支の状況から見ればこれは運賃改定の作業を進めるのに値するという判断に立ちまして、その後検討いたしておるわけであります。  さらに運賃をどうするかということになりますと、その値上げ幅あるいは運賃制度ということにつきまして、それぞれ全体的な検討を加えるわけでございまして、そういった問題につきまして、現在原価計算あるいは運賃制度のあり方ということにつきまして、運輸省といたしまして検討中でございます。その内容につきまして企画庁の事務当局と個々に折衝いたしまして、現在検討の段階にあるということでございます。
  119. 栗山礼行

    ○栗山委員 そこまで最初にお話を求める質問をいたしておるわけです。それで、もっと具体的に言えば、運輸省のほうとしては、どの程度の幅がどういう内容づけによって望ましいということで御検討願いたいということでの、いま機関での申請を進めておるというような、ほんとうはこの時点に参りまして、われわれとその質疑をできなければならない。これでもかこれでもかというようなことで、どうも目をむいてものを申さなければほんとうの片鱗を示さないということについては、できるだけ、ではございません、これはやはり行政当局の、質問に対するもっと真摯な立場で御答弁をいただかなくちゃならぬ、こういう点があろうかと思うのでありまして、やや私は了解が不十分ながらでございますけれども、値上げの一つの方向づけでそれは推進をいたしておる、こういうふうに私自体の受けとめ方をいたすということで、これはお答えがなければそれでけっこうだ、こういうように考えております。
  120. 小林正興

    小林説明員 そのとおりでございます。
  121. 栗山礼行

    ○栗山委員 それに関連いたしまして、もう一つだけあなたにお聞きいたします。この問題はこれで終わります。  ハイヤー料金についてです。御承知のように、タクシー料金とハイヤー料金システムがございます。私どももなかなかタクシーが拾えないもので——小さい政党なんで、えらい人が全部乗ってしまうので、われわれはタクシーに乗る、こういうことになるのでありますが、たいへんなのです。早朝出てまいりますのにタクシーを拾うのはたいへんでございまして、宿舎でハイヤーを頼んでおく。請求がまいりますのはタクシー料金の三倍でございます。ハイヤーについては私はまだ勉強足りませんが、タクシーとハイヤーを兼業いたしておるところは、タクシーの実損をハイヤーによって大きくカバーしておる、ハイヤーは非常にもうかっておる、こういうことがいわれておるのであります。  このハイヤーの問題について、私もいま、大体基準が何ぼでというようなことをこまかく部長にお伺いするということをいたしませんが、ハイヤーの問題というものが、そういう是正の態度を含めての料金改定に相なるのか、それは据え置いて、タクシー料金だけが値上げという方向で皆さんのほうがお進めになっておるか、この一点を明確にしていただきたい。
  122. 小林正興

    小林説明員 東京はじめ大都市におきましては、タクシー以外にハイヤーという形の料金が別に定めてございます。現在のハイヤーの料金につきましては、申請ももちろんございませんし、一般的に特に問題が起きているというようなことは聞いておりません。現在はタクシーの運賃問題だけを処理しておるわけでございます。  なお、タクシー料金とハイヤー料金との格差といいますか、そういったことにつきましては、当然利用の形態、運送契約の形態というものが非常に違ってくるわけでございます。一般的に申し上げますと、ハイヤーでございますと、営業所に連絡をしてそこに来る、あるいは大都市あたりでは、時間貸しあるいは日貸しというような、あるいは月ぎめというような契約形態をとっておる場合本非常にあるわけであります。いわゆる流しのタクシーとは非常に実態において異なっておりますし、また、使用車両の程度、サービスの程度というようなものも格段の相違があるようでありまして、そういった点から、現在でも相当な運賃の格差があるわけでございます。したがって、現在のハイヤー料金についてこれを値上げするとかどうというような問題については、現在全く起きていないようでございます。
  123. 栗山礼行

    ○栗山委員 部長、私は、ハイヤーの料金を値上げするということなら運輸省の頭が狂った、こういう解釈を持たざるを得ないと思うのですよ。サービスとか車種とかあるいはいろいろな点において、ハイヤーとタクシーとの条件格差があるというのは御指摘のとおり。しかし、あまりに料金の基準率を少し勉強いたしておらないのであるけれども、三倍であり、あるいは長距離なら四倍であるというようないろいろ付帯的条件がつきますから、そういうような一つ内容というものを、兼業いたしておるタクシー業者というもの、それから純タクシーとしての経営の収支面の一つの問題、こういうものとの関連から見て、私はこの間も申し上げたのでありますけれども、単に経営の収支面あるいは公益事業というような一つの事柄だけでとらえるというものであってはならぬ。基本的には、大都市にはやはり都市政策、交通総合政策の貧困からこういう経営上の行き詰まりを来たすという問題と、タクシー業界内部自体の経営の運営と構造上にも欠陥がある。それらの問題を関連せしめて料金体系というものをお立てを願うことが望ましいということを、長官といろいろ論争をいたして、その限りにおいては栗山君の質問に同感の意だ、こういうふうな御賛成をいただいた点があるわけです。  たいへん話が横道にそれますけれども、値上げの申請もございませんし、その意図もございませんということですが、私の申し上げるのは、単に収支面というだけでなくて、ハイヤーとタクシーとのそういう格差の増大という一つのものの均衡性というものを考えてタクシー料金というものを検討しなくちゃならぬ。さらに私は、ハイヤーがあまりもうかり過ぎるという状態に放置をするということは、物価問題の立場において好ましい姿であるかどうかということを考えざるを得ない。こういう観点から、ハイヤー対策というものはどのように料金問題をお取り組み願っておるかというのが私の尋ねておる問題なのでありまして、あなたは別に、私が東京都というのに、鹿児島の話をされておる、こういうことなんで、その点がよくおわかりでありながらそういうふうに御答弁をされておるのか。この点は無方針だということなら、率直に、無方針で臨んで、タクシー料金オンリーで今日まで対処をいたしてまいりましたと、こういうことならそれでけっこうだと思います。どうですか。
  124. 小林正興

    小林説明員 現在タクシー料金だけの問題を検討いたしておりまして、ハイヤー料金の問題については問題が起きてない。はっきり申し上げれば、現在の料金でハイヤー関係は円滑にいっておるというふうに見ておるわけでございます。  非常にもうかり過ぎるかどうかというような問題につきましては、もちろん、タクシー事業者が兼業いたしておる際に、ハイヤーを含めて全体で収支がどうなっておるかということにつきましても検討いたしておるわけでございまして、ハイヤー関係は順調にいっておりましても、タクシー部門だけの場合、もちろん非常に経営が苦しい状況になっておりますし、また、ハイヤーの利益というものを合わせましても、なおハイヤー、タクシー事業は全体として赤字の経営の状況になっておるわけでございます。
  125. 栗山礼行

    ○栗山委員 部長、それでもうけっこうです。あなたとばこれ以上進めても、これはもう論争が尽きません。  長官、いまお聞きのとおりでございます。この間あなたから御高説を承ったときから、あまり日を経過いたしておらないわけなんです。長官相当これに苦悩があるな、自民党の交通部会の圧力もあるし、運輸省があるし、物価問題の本家本元の長官としてこれをどう対処するかということについて、まさに誠実な意味における苦悩の表現を私はくみ取ります。したがって、あまり具体的に申さずに、私は総括した立場でいろいろ申し上げておいたわけであります。いろいろお伺いいたしました。その中に特に私の印象を受けましたのは、いろいろ倒産をいたしておる七百何件というような事実も、私は数字をお聞きいたしましたが、いろいろそれは経営上から来るやむを得ざる倒産的条件かどうかというような問題もいろいろございます。  私は総括していろいろ意見を述べておいたのでございますが、ずばり長官、もう経済企画庁としても頭を下げたのだ、もうこの事態にはしかたない、こういうような前提のもとにおける作業の方向が進展しているのか。また、強い姿勢で、いや栗山君、そうじゃない、もう少し検討していろいろ進めていかなくちゃならぬという問題で対処をしておるのだ、こういうことになりますか。そうして、その内容的な問題について、もし前者の方向であるとするなら、どの程度幅を縮小して利用者にこたえるか、あるいはタクシーの将来の一つの方向の政策的条件というものは、こういう点を並行したいとか、すみやかに解決の方向を見出したい——この間も申し上げておきましたように、実際は個人タクシーとそれから会社でやっておりますタクシーには、いろいろ不利な条件や長短があるわけでありますが、私自身としても、小さいところは、経営の規模形態が新しい一つの企業化の体制というもので、合理化とむしろ収益性とサービスを拡大していく方向が、タクシーの場合については残されておる。それから個人タクシーについても、交通災害、安全交通の面から見て非常に信頼の度合いを持つような内容を持つ。それは非常に制限された走行キロ数と、それから適当なみずからのワクの収入が保証されておる中において適正運行をやっておる。これなんかについてその比率の増大をしていって、そしてその企業化の資金の問題をどうするか、ガレージの問題をどうするか。それから運転手は就業年数が非常に短い。それから神経を使うのでありますから、一面非常に悲壮なんです。労働条件と職業的分野というのは、恵まれざる職業の本質だというふうに理解をしているのですが、そういう人たちが、せめて一定の年齢になりますと安定した、そして個人で、自分の経験豊かな運転で一定収入をもって働くんだ、こういう路線も、単に値上げだけじゃなくて、そういう総合的な交通政策のきめこまかいところを、ひとつ血の通うようにやっていただかなくちゃならぬ、こういうふうに思うのでありますが、長官、ずばりこの時点でどういう結論を出そうという心がまえで進んでいらっしゃるかということをお伺いをいたしたい。
  126. 木村武千代

    木村国務大臣 いろいろこれについて前の委員会で申し上げました。その後、御承知のとおり私どもは、党の意見でもない、また運輸省、自動車行政を担当しておる運輸省の考え方でもない、広く国民意見あるいはこれに対する受け取り方を最大公約数に代表する何らかの客観的な、また第三者的な考え方を私どもは判断の基礎にしたい、こういう考えから、御承知のような物価安定政策会議の小委員会にお願いして、いろいろの観点からいま検討をしていただいております。この第三回目が実は明日開かれることになっておりますが、初めて私自身そこへ出席いたしましていろいろ意見を承りたいと思っておりますが、ずばり申しまして、私はまだ結論に達しておりません。したがって、私自身が納得いくまでは、経済企画庁としては結論を出さないということだけは申し上げておきたいと思います。
  127. 栗山礼行

    ○栗山委員 タクシー問題は、現時点で長官の結論づけを御信頼申し上げて、今後の方向をわれわれは鋭く見守る、こういうことにいたしてまいりたい。タクシー問題は一応これで終わります。  建設省の住宅局長、たいへん御苦労でございます。  これも新聞によるのでございますが、ことしの参議院選挙を中心に、自民党が勤労者の持ち家政策の一環として公営住宅、公団住宅の払い下げ、こういうことをスローガンで掲げておりましたことは御承知であろうかと思います。特に、それを契機にいたしまして、全国的な規模でこの種の会ができまして、そうして年間の会費を徴収して、圧力団体としてこれの払い下げを求める、こういう運動が、大阪においても、全体的じゃございませんけれども、部分的に、自民党の来たるべき総選挙対策も含めまして、そういう方向で地方議員及び代議士先生が動いておられるのであります。私のほうにもそういう問い合わせがございます。しかも、会費は払うわ、そうしてその具体性があるのか、また選挙に一ぱい食わされたということになるのか、先生、どっちとったらよいのだというような、たいへん失礼な言い方でございますけれども、そういうような質問等もございます。私、そういうことで適正なアドバイスをする内容等を持たないのでございますが、新聞を拝見いたしますと、自民党の特別委員会が、いろいろ賛否両論のある中に「公団住宅払下げ決る」しかも来年度から、なお尚早論の意見もあったけれども、これを押し切っていく、こういうようなことで新聞がとらえておるのであります。しかも、建設省のほうにあるいは住宅公団に、ひとつ可及的すみやかにこれの具体的な一つ内容づけを求めるという作業を要請されておるというようなことが新聞で伝えられておるのでございますが、以上申し上げた点について、住宅局長はどの程度新聞じゃなくて、建設省の住宅局長として払い下げ問題についての把握をされておるか、御意見をお伺いいたしたい。
  128. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 御質問の冒頭にございました、参議院選挙のときに自民党が公約されましたという中に公営住宅の払い下げというのがございましたが、それはございません。公社、公団の住宅について払い下げをやるということで、公営住宅については触れられておりませんので、われわれとしては、公営住宅は別格の扱いをしていただいておるというふうに考えております。  そこで、現在の住宅事情から申し上げますと、われわれ住宅統計調査をたびたびやっておりますが、昭和四十四年に住宅統計調査というのをやっておりまして、それで国民の住宅に対します性向をいろいろ調べておるわけでございますが、昭和三十五年、昭和四十一年、昭和四十四年と逐次持ち家性向というのが非常に高まっております。賃貸住宅ではなしに、持ち家住宅を持ちたいという性向が最近非常に強くなっております。これはもちろん、経済の成長に伴います当然の性向だと思います。したがいまして、住宅政策といたしましては、持ち家住宅を供給するという面に力点を置く必要がだんだん強くなってきておるというふうに判断はいたしております。ただそれと、公共的な賃貸住宅を払い下げをして、それによって持ち家を持たせるという問題は、現在の外的な経済条件のもとでは別だというふうに考えております。  それで、そういった国民の持ち家を持ちたいという強い要望に対しまする政策といたしましては、減税なりあるいは融資なりいろいろな施策がございますので、そういった面で国民が持ち家を持ちたいという希望をできるだけかなえたいということで、その面の施策は重点を置いてやっているつもりでございますけれども、ただ、現在の公共住宅そのものを払い下げるということにつきましては、やはり現状といたしまして住宅難世帯というものが、四十三年の住宅統計調査で三百六十万世帯あるというはっきりした数字がございますので、これは住宅政策の基本でございますけれども、家賃と収入水準とのギャップからくる問題でございまして、収入水準が上がり、住宅の供給価格が下がれば、この問題は当然解決いたしますので、そういった方向で努力する必要があるけれども、現状では、公共的な賃貸住宅を供給しなければ一般の都市勤労者に対する住宅の供給はできないという結論から、ことし第二次五カ年計画を立てたわけでございます。われわれとしては、この五カ年計画をまだ推進する必要があるということで、公共賃貸住宅の払い下げという問題は、ごく特殊な例外はございますけれども、原則としてやりたくないというつもりでやっております。
  129. 栗山礼行

    ○栗山委員 これは公団、公社の問題ということでスローガンになっておる。あなた、実情をよく知らないんだ。私がなぜ申し上げたかというと、公営住宅まで、たとえば大阪市営住宅、大阪府営住宅、こういうところまで、自民党の諸先生が払い下げ運動と称する会に参加を慫慂されておる、こういうことであります。これは自民党の党是として、皆さんにサービスをするんだ、それでこういう動きに入っておるのでありまして、一部の新聞も、だから公団、公社ということじゃなくて、そういう公営住宅を含むこの種の問題だという、いわゆる新聞の不徹底なとらえ方でございます。私はそういうような意味を含めて申し上げた、こういうことでございます。  いろいろお話を伺ったのでありますが、住宅政策というものの重要性、それから三百万戸から足らない、これをどうするかということと、それから公団も土地問題、あるいは都市政策、交通政策等々の関連から、一つの転機であり、盲点になっておる、結論的には私はそういうふうに考えておるわけなんですが、いま、住宅の足らない住宅政策とそれから持ち家制度というものとおのずから別だ、相当持ち家制度の要望が日々高まってまいるので、それはそれなりに問題をとらえて、ひとつ対処しよう、こういうことなんだ。ただし、建設省側としては賃貸し及び持ち家だ。払い下げということについては、場合によれば管理運営上の問題やスプロールというような問題等も発生をするやに私も理解をいたすのでありますが、そういう点から、建設省としては、あなたとしては賛成の態度をとっておらない、こういう御答弁をされた、こういうふうに理解してようございますか。
  130. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 住宅全般の問題で、先生のおっしゃること、よくわかります。ただ、新聞紙上その他で議論されておりますものに公営と公団と公社が若干混同されておりまして、議論が、われわれから見ますと若干間違っていると言うとおかしいのですが、われわれは、公社、公団、公営というのはそれぞれの収入階層に応じた供給のしかたをしているというふうに考えております。それについての考え方というのは、全部収入階層に応じて供給していくということで変えているわけでございます。  いまお話の公営につきましては、実ははっきり実態を申し上げますと、終戦直後、土地が全部焼け野原になったときに、要するに、壕舎に住んでおるような人にとにかく住宅を供給しなければいかぬ。要するに建てればいいんだという段階がございまして、そのときに建てた住宅というのが現在残っております。全体で百五十万戸くらい建てたわけでございます。したがって、そういった非常に特殊な事情に置かれている住宅というのが現在も残っているわけでございます。これにつきましては、この処分は何らかの方法で考えなければいかぬ。したがって、これの基準は、相当耐用年数を過ぎておりまして、現在の経済成長のもとで考えられます将来の都市計画の、いろいろな都市としての機能を考えた場合に、その住宅をそのまま残して払い下げたほうがいいのか、あるいは都市計画上建てかえて土地の効率的な利用をはかるべきかということで、いろいろ特殊なケースがございます。そういった面を考えて処分をするということで、現在までに公営住宅につきましては、そういった戦後の応急措置で建てました住宅のうちで、約十一万戸くらい現実に払い下げております。それで、現状では、まだそういった特殊条件の公営住宅というのがあるわけでございます。そういったものについては払い下げてもいいだろう。ただ、百二十万戸まだ残っております公営住宅につきましては、やはり都市計画上の配慮を払って、効率的な土地利用ということをまず第一に考えて建てかえていきたいというふうに考えております。
  131. 竹内黎一

    ○竹内委員長代理 関連質問の申し出があります。これを許可いたします。和田耕作君。
  132. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの住宅の問題ですけれども、持ち家政策というものを建設省としては住宅政策全体の中で重点を置いて考えておると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  133. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 持ち家政策ということがどういう中身かよくわかりませんけれども、われわれといたしましては、要するに住宅問題というのは、収入の水準と家賃の水準のバランスの問題というふうに考えているわけでございまして、したがって、収入水準に応じて、低所得の都市勤労者には公営住宅、それより少し上の収入の方には公団住宅、それよりもう少し上の方には住宅金融公庫の融資をして自分で家を建てていただくということで、これを精密に分析をいたしまして、いまの国民の収入階層に応じたそれぞれの住宅を供給していくということを考えておるわけでございまして、持ち家政策とか貸し家政策とか、そういうことは考えておりません。
  134. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 まあ政府の全体の予算があるわけでして、三つの五カ年計画というものがあるんですけれども、私のいまお聞きしたいのは、土地つきの持ち家政策ということです。土地つきの持ち家政策というものを全体の——いまの収入階層、いろいろあります。そうして公社、公団、公営というように、いろいろあります。あるが、その土地つきの持ち家政策というものを全体の資金のワクで一番重視して考えておるかどうかということを、いま御質問申し上げておるわけです。
  135. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 この問題、非常に微妙な問題でございますが、現在われわれが立てておりますこの五カ年計画では、国民全体の住宅供給の態様といたしましては、持ち家が五五%、それから借家が四五%という形になっております。それで、そのうち公的に供給いたします住宅につきましては、借家を六〇%、残りの四〇%を金融公庫の融資、それから公団の分譲住宅等で四〇%供給しようということでやっているわけでございまして、公的資金の何らかの形で関与します住宅につきましては、借家を主体に考えているわけでございます。
  136. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この問題は、まあ六十年までの展望で三つの五カ年計画として、私は、第一期は貸し家、これは公営的な貸し家というものにもつとはっきり重点を置くべき問題だというふうに考えるんですけれども局長はどういうようにお考えになりますか。
  137. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 先ほど申し上げましたように、住宅の供給態様というのは、それぞれの個々の方の要望といいますか、欲望といいますか、そういった面を考えて建てていかなければならない問題でございますので、非常にむずかしい問題でございます。ただ、諸外国の例を見ますと、ヨーロッパでは先進工業国、いわゆるイギリス、ドイツ、フランス、イタリア、全部借家が六、持ち家が四、これは大ざっぱな数字でございますが、大体それに似たような数字になっております。アメリカはその逆で、借家が四、持ち家が六というような数字になっております。現在の日本はアメリカと似た数字になっております。  それで、どうしてそういうことになるかという現状の分析は、いろいろな要素がございますのでなかなか結論は出ませんけれども、ただ、戦前と比較いたしますと、日本もいまのヨーロッパの六対四の比率、あるいはそれ以上に借家が多いという数字になっております。したがって、これから日本が工業的に発展していくという前提で考えますと、やはり現在のヨーロッパの先進工業国並みの借家と持ち家の比率になるのが自然の姿ではないかというふうにわれわれは考えておりますので、そういった姿に持っていきたいというふうに考えているわけでございます。
  138. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 ヨーロッパとアメリカの問題は確かにそういう傾向だと思いますけれども日本の場合に、特にヨーロッパとかいうようなことが例にならないのは土地の問題がありますね。これは言いにくいことですけれども、持ち家政策を進めていくということは、つまり土地つきの持ち家政策を進めていくということは、地価の値上がりを促進していくという大きな要素につながるわけですね。そうでしょう。と同時に、苦心をしてためたお金で家を建てた人は、つまりあまり所得の多くない人たちが、一たび苦労をして土地を持って家をつくりますと、その人は地価の値上がりに対して異常な関心を持ってくる、こういう問題がありますね。つまりそういう人がどんどんとふえていくということは——それは一般の人の調査をすれば、土地つきの持ち家ということを望むでしょう。それは人気のある政策でしょう。しかし、そういう政策を進めていった結果、地価の値上がりを防ぐことはできない。また、地価の値上がりを希望する人たちが勤労者の中からもふえてくるという結果になるとすれば、住宅問題全体からすれば、住宅問題は土地問題の解決であるということになれば、そのような大きな目からの政策から見て、いまの日本の住宅をほしい人は、五人家族、六人家族の人が四畳半、六畳におるのですから、こういう人たちの要望を第一に考えるということは、土地問題の解決について困難な事態を累積させないということではないかと私は思うのですよ。そういう点から見て、三つの五カ年計画を組むとすれば、第一の五カ年計画では八割、九割のウエートを公営住宅、つまり貸し家のほうに向けていく。しかもそれは高層ビルでよろしい。第三の五カ年計画になって初めて持ち家という問題を考慮していくというような、時期によるウエートの置き方が経過的にも必要だし、現在の第一期においてははっきりとそういう政策をとるべきである。そうでないと、土地問題がネックになっておると言いながら、実際にやっている政府政策は土地を持つことに関心を持たすような政策になっている。だから、その結果、地価の値上がりに対して期待する勤労者の人たちが多くなっている。そういう矛盾を持っているわけですね。だから、この住宅政策というのは、単に国民が希望するような世論調査によってやっていくという安易なかっこうではいけないと思うのです。これは政治家として言うのは損ですよ。損だけれども日本の場合外国と違う点は、土地問題の解決なしにはできないわけですから、そういう点について政府の再考をお願い申し上げたい。この点について経済企画方長官のお気持ちもお伺いしておきます。
  139. 木村武千代

    木村国務大臣 確かに住宅問題は土地問題、地価の問題であり、これはたいへんな問題であると思います。率直に申して、政府の地価対策というのは決して成功いたしておりません。そういう面からいって、住宅問題の解決に土地問題が相当ウエートを占めるという面で考えれば、いま和田委員のおっしゃったように、私は、しばらくはやはり貸し家のほうにウエートを置いて進めていくべきではないか、これは私個人の見解も含めてそう思います。
  140. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 地価問題は私の所管ではございませんので、それについてはお答えできませんけれども、ただ、われわれ住宅を建てる側といたしましては、確かにいま先生のおっしゃったような地価問題が一つの大きなポイントになっている。住宅難解決のため土地問題が非常に大きいということ、これはわれわれも十分了承いたしております。政府部内でも地価対策閣僚協議会等をつくりまして、地価安定策に努力しておるというふうにわれわれは承知をしております。  ただ、われわれといたしましては、現在置かれている条件のもとで、収入階層に応じた住宅の供給方式を考えなければいかぬという立場でございますので、それでやっておりますことは、一番大きなポイントは住宅の高層化でございます。これは公共施策によります住宅につきましても、非常に高層化に力を入れておりますし、民間の現在建っておりますいろいろな住宅につきましても、だんだん高層化されていくということで土地の効率的な利用をはかっているというふうに、住宅政策の側からはそう考えておるわけでございます。  まあできればもう少し地価が安定して、住宅の需要に応じた数量の供給ができるようにということを願っておるわけでございますが、これは何ぶん私の所管ではございませんので、御答弁を申し上げかねます。
  141. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 まあ、あなたの段階ではこの問題の解決はできないと思いますけれども、少なくともあなたは住宅問題についての責任の個所にあるわけで、住宅問題の一番ポイントは土地の問題であるということですから、そこのあたりの問題はもっと真剣な配慮が必要である。特に、いままでの公営住宅の分譲払い下げという問題などは、私は全部ストップをかけるべきであると思う。建てかえをして高層化させて、そしてそれぞれ条件のいいところから次々と優先順位によりやっていくということで、はっきりとその方針を持つべきであると思う。こういうような問題も、いまの土地問題についての今後の国民の動き——つまりこれを離れて土地問題の解決はできませんよ。土地をどんどん小さく分けて、それに政府相当多額の金を出して家をつくらせていく、こういう問題がどんどん重なっていけば、土地問題の解決というのは言うべくして実際は逆なんだ。ちょうどわれわれが株を持って株の値上がりを期待するのと同じで、もっと真剣な地価の値上がりに対する期待を持つ、それと同じことですよ。そういうことですから、単に先進国がどうのこうの、経済成長がどうのこうの、所得階層がどうのこうのと言う前に、土地問題についての、いまの住宅のあり方についての考え方が必要だと思う。私はこれを痛感するのですけれども、まああなたも、土地問題の所管でないという、そういう答弁をなさらないで、土地問題についてもっとそういう見識を持たないと、住宅問題に対しての指導の責任は果たされないというふうに私は思うのです。  これはあなたに申し上げてもしようがないことですけれども長官、ひとつこの問題は、ぜひとも住宅政策の大きな視野から見て、今後の展望に立って優先順位という問題を、年度年度に起きる順位というものを考えながら、今後の五カ年計画の問題ともあわせて、ぜひともひとつお考えを願いたいと思うのです。こういう要望をいたしまして私の関連質問を終わりたいと思います。
  142. 栗山礼行

    ○栗山委員 時間が経過いたしておりますから、もうあと一点だけで質問を終わることにいたします。  次の問題でございますが、またひとつ、建設省の御意見を先に承らなくちゃなりません。  十月十一日の日経でございます。「統制家賃・地代上げる」「建設省方針二・八−二・七倍に」ということでの新聞が出てまいりました。経企のほうは物価からみ難色を示しておるというような意見があるわけなんでありますが、物統令の問題で、これは読まなくてもよく御承知だと思うのでありますけれども、建設省は、新聞に掲載されておりますような内容を打ち立てるという御意見かどうか、お答えを願いたい。
  143. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 これは先生承知で御質問になっていると思うのですけれども、かつて国会に四回廃止の提案をいたしまして、御承認いただけなかった。その後も政府といたしましては、一応廃止ということで方針をきめてやっておるわけでございます。なかなか国会の御承認を得られません。今後も、内容から見ますと非常に不合理な面が多いので、できれば廃止したいということで進めたいというふうに考えております。
  144. 栗山礼行

    ○栗山委員 いまお説がございましたように、これは三十年の後半でございますか、議員立法で二回にわたってこれを進めてまいったという内容等も若干承知をいたしておるわけですが、いずれも審議未了になりました。そして、いま結論といたしましてはどうなんでしょうか、具体的な問題、内容的な問題までお尋ね申し上げることは時間がございませんから。私も若干意見を持っておるのですが、執拗に物統令の一つの解決をはかっていく、そして地代及び家賃というものを、新聞に載っているような内容で値上げをいたしたいという一つ根拠はどこにございますか。
  145. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 実は私、その新聞内容をいまよく記憶しておりませんので、具体的に申し上げられませんが、過去に四回国会に御提案申し上げたということがございますが、その後物価問題、特に私鉄の運賃の問題とか米価の問題いろいろございまして、物価問題が国民生活に非常に重要な影響を及ぼすということになりまして、当時とは状況が変わってきております。われわれとしては、戦争前にきめられましたこういう地代家賃統制令が、現在の条件では非常に不合理であるということは考えておりますので、これを何とか現在の具体的条件に合わせていきたいということで、できれば廃止というふうに考えておりますけれども、過去の戦争前にいろいろきめられました物統令の問題でございますので、そういう問題とからんで、現在の条件に合わせて解決していきたいというふうに考えております。
  146. 栗山礼行

    ○栗山委員 確かにこれは前時代的な物統令の本質を持っておるものでございましょうが、しかし、現在家賃、地代、アルコール等ですか、これは今日まだその状態に置かれておる、ほかのものは全部これからはずされてまいった、こういうふうな内容であろうかと思うのであります。  御承知のように、新聞で伝えるところによりますと、「二十五年七月十日以前に建築に着手された住宅で、床面積が九十九平方メートル(三十坪)以下のものと、その敷地などが統制対象となっている。今回の値上げの対象となるのはこの統制家屋、借地のすべてで、その数は統制借家が二百三十三万戸、」膨大なものですね。それから「同借間十五万室、同借地八十五万戸となっており、統制家屋は全国住宅件数の四分の一程度にあたる。」私は詳細な資料を持っておりませんが、新聞の示すところによりまする資料がそういう内容のものであるということでございます。  私は、時間があれば少し——ただ、前時代的なものを現行の一つの状態にはめていこうというその主観的論点はわかるのでありますけれども、いまの借家及び借地の現状の姿というようなことについて、間借人協会長の中村武志さんが、いろいろな講演なり、それから意見を寄せられておられますが、その事柄については、もちろん土地政策の問題、その中心をなすものは土地問題であるという意見一つの展開、それから住宅政策の問題は、政府・自民党は一世帯一住宅を解決する、それか一人一室だということを提唱いたしておるけれども、それは全く政策不在のナンセンスであるというような事柄で、ほかの公害問題とかあるいは野菜の問題とかいろいろなことがあるけれども、住宅問題についてほんとうに本腰を入れて政府がやることによって、政治というものはよほど変わってまいるんだというような一つの御意見が出ております。  現状は都市によっていろいろ違うのでありますけれども、家賃の高いのはおそらく東京が一番高い、こういう都市条件から想像できると思うのでありますが、中村さんのなにによりますと、民間の貸し間、アパートというものは、契約時に二カ月の礼金、敷金二カ月ないし三カ月、不動産業者については一カ月の周旋料、こういうような非常に困難な状態である。これは主として東京の実情に基づく内容のものだ。しかも契約更新するんです。二年しますと更新料といって、また取っちゃう。借家人、あるいはアパートにいたしましても、いかに今日の生活が深刻な住宅問題であるか、こういう一面をいろいろ指摘されておる。  私は資料等も持っておるわけなんですが、そういう観点からこれを関連せしめて、法律の制度上の問題は前時代的な問題でございましても、それを廃棄をして、そして新しいいまの借地及び借家の内容、条件に対応することを踏まえて進められるという内容なのか、その点、私は住宅問題の中で貸し問及び借家問題のそういう深刻さというものを痛感いたしますので、あなたからひとつ所信を伺っておきたい、こういうことなんです。
  147. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 お話しのとおりの現在の事情でございます。われわれもそれの解決に非常に努力しているつもりでございます。力及ばずながら解決できない。  そこで、いまお話しございました中村武志先生のお話、私も何回か対談その他でお会いして、お話を伺っております。そこで権利金の問題、それから更新料の問題、子供が生まれたら追い出される問題、いろいろ申しておられました。ただ、これは住宅政策と直接関係のある問題でございませんので、まあ借地借家法なり民法なりとの関係で、こういった面で解決する以外にはわれわれの力が及ばない限りである。そういった面についての法務省その他の関係部局には、こういう話があるということで、その改正について働きかけてはおりますけれども、なかなかむずかしい問題である、私権の制限の問題がからみますので。まあ事務的には非常に困難であるというふうに現在は感じております。ただ、今後も中村先生が言われるような面についての住宅政策からの声は出していきたいというふうに考えております。
  148. 栗山礼行

    ○栗山委員 それはそれで局長なりの一つの住宅政策と、それから中村武志先生のお話との問題というものは混濁して見るわけにはまいらないと思います。ただ、私が混濁して見ておるのは、物統令における借家及び借地というものが二・八及び二・七を値上げをしてまいりたい、こういうことが建設省で進められておるやに新聞にある。このことは直接、いまの借家料金は、住宅政策ということよりも物価問題の最たるものだ、こういう深刻な条件が含まれておりますので私はお伺いをいたしておる。あなたはそれをはずされておる、こういうことになるのでありまして、少しこれは行き違いがございます。
  149. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 その問題は、先ほど御答弁申し上げましたように、国会にすでに四回提案して御承認を得られなかったという事情がありますので、現状にできるだけ沿いたいということの努力をしたいということでわれわれは考えておるわけでございまして、できれば次の通常国会にでも御提案申し上げて、廃止ということに持っていきたいというつもりでおりますけれども、なかなか情勢困難なようでございますので、現状に合うような解決の方策が何らか次善の策としてあれば、それを進めたいというふうに考えております。
  150. 栗山礼行

    ○栗山委員 局長をこれ以上責めません。まだ私、足らざるものがございます。こういうものはプロセスの一つとしてはかっていこう、そして本来的な内容に持っていこうというような御意図が建設省にあるやにも、私は疑念の一面を持つのでありますけれども、論争になりますから、その点は避けてまいりたい。  長官にお伺いいたすのでありますが、以上申し上げておるような物統令、家賃及び借地の問題で、ともかく建設省が隠れみのをおそらく含むものを入れての御意見、御答弁があったやに私は承知をいたすのでありますが、経済企画庁長官として、きわめて住宅政策としての重要性ということよりも深刻な物価問題、これは貸し間あるいは貸し家というような一つの家賃の深刻な問題としてこの問題と対応しなくちゃならない、こういう問題でございますので、ひとつ長官の御意見を伺って私の意見を終わりたい、かように考えておるわけであります。
  151. 木村武千代

    木村国務大臣 まだ建設省からは何ら聞いておりませんけれども、いままでのいろいろお話を伺っておりまして、いろいろ不合理があることはよくわかっておりますが、現内閣としては物価問題を最重点に置いておりますので、そういう面から政府部内で慎重に検討していきたい、こう考えます。
  152. 栗山礼行

    ○栗山委員 それでけっこうでございますけれども、どうも一般的な大臣答弁をされたように思うのですが、私の申し上げているのは、やっぱり物価問題としてあなたががんばっていただかなくちゃならない、こういうことをひとつ役目柄じゃなくて、しかも国民物価問題に大きな期待を寄せている、一向解決しないじゃないかということで、長きにわたって信望高かった木村経済企画長官に私は求めるものが大だ、こういうことを申し上げておいたのでありますが、そういう意味で、この問題、深刻な問題としてあなたが対処していただくということに御期待を重ねて申し上げて、私の質問を終わることにいたします。
  153. 竹内黎一

    ○竹内委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時六分散会