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1971-11-10 第67回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月十日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 青木 正久君 理事 竹内 黎一君    理事 武藤 嘉文君 理事 武部  文君    理事 有島 重武君 理事 和田 耕作君       石井  一君    小坂徳三郎君       森  美秀君    田中 恒利君       松浦 利尚君    渡部 通子君       栗山 礼行君    谷口善太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      竹下  登君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      木村 俊夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         農林省畜産局長 増田  久君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         水産庁長官   太田 康二君         自治省税務局         長      佐々木喜久治君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局環境整備課長 山中  和君         農林省農林経済         局企業流通部長 下浦 静平君         通商産業省重工         業局鉄鋼業務課         長       勝谷  保君         運輸省自動車局         業務部長    小林 正興君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事長)   岡田 覚夫君         参  考  人         (食肉輸入商社         協議会会長)  河村 雄次君         参  考  人         (食肉輸入商社         協議会専務理         事)      宮崎 貞雄君      ――――◇――――― 委員の異動 十一月六日  辞任         補欠選任   戸叶 里子君     角屋堅次郎君      ――――◇――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  この際、御報告を申し上げます。  長い間、本特別委員会委員として御活躍なされ、物価問題等に深い造詣を有し、われわれの先達でもあり、本特別委員長の要職にもつかれました戸叶里子君が、去る七日逝去されました。まことに哀惜のきわみであります。ここにつつしんで哀悼の意を表し、御冥福をお祈りするため黙祷をささげたいと存じます。御起立お願いいたします。   〔総員起立黙祷
  3. 小林進

    小林委員長 黙祷終わり。御着席を願います。      ――――◇―――――
  4. 小林進

    小林委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、木村経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。木村経済企画庁長官
  5. 木村俊夫

    木村国務大臣 物価問題等に関する特別委員会が開かれるにあたりまして、物価対策及び国民生活行政について所信の一端を申し述べたいと思います。  最近の物価動向について見ますと、卸売り物価は、景気情勢を反映いたしまして、工業製品中心として落ちついた動きを示しております。  しかしながら、消費者物価につきましては、本年春以来幾ぶん落ちつきぎみ推移してはまいりましたが、九月に入って、生鮮食料品等季節商品急騰もあって、かなりの上昇を示しました。十月の東京消費者物価は、九月に比べて若干反落はいたしましたものの、前年同月比では、なお高い水準にあります。このような最近の消費者物価上昇は、国民生活の安定にとってまことに憂慮すべきものであることは言うまでもございません。  このような事態に対処し、私といたしましては、物価の安定が強く国民の求めるところであることを深く認識いたしまして、経済運営の最重点課題一つとして、物価安定に着実な努力を積み重ねてまいる決意でございます。  このため、私は、わが国経済を早期に安定成長路線に定着させ、長期的な物価安定の基盤を整備いたしますとともに、農業、中小企業等の低生産性部門に対する構造改善対策流通対策、さらに独占禁止法の厳格な運用等による競争条件整備など、各般の施策を総合的、かつ着実に推進してまいる所存でございますが、特に、当面の経済情勢にかんがみ、次の対策重点を置く考えでございます。  その第一は、円の変動相場制移行に関連して、輸入政策を有効に活用し、輸入品価格低落の効果を消費者物価の安定という形で国民に還元することであります。  このため、各省と協力して、主要な輸入品価格動向等について追跡調査を実施し、必要に応じ適切な措置を講じてまいります。また、これとあわせて、輸入自由化関税率引き下げ等を一そう推進することとし、輸入政策を通ずる物価安定に一段と配慮する考えであります。  第二に、生鮮食料品、特に野菜の価格安定であります。  最近における野菜価格急騰は、気象条件直接的原因ではありますが、その背景には、都市化の進展に伴う近郊産地の衰退、労働力不足等から、野菜供給が必ずしも十分には確保されがたい面があることも否定できません。したがって、私は、野菜についての生産者作付意欲を増進させ、安定的な供給の確保を期し得るよう、現行価格安定制度充実改善をはかるとともに、卸売市場取引方法等についても、大幅な合理化を促進することが重要であると考えます。  これらについては、目下、関係省庁と所要の対策を具体的に検討しておるところであります。  なお、公共料金につきましては、引き続き抑制の態度を堅持することを原則といたして、企業等合理化努力を推進するとともに、国民経済的観点に立った合理的な公共料金政策あり方につきましても十分な検討を加え、その長期安定を期してまいる所存であります。  次に、国民生活において、物価政策と同様に重要であります消費者行政につきましては、消費者保護基本法の精神に従い、また消費者行政に関する本委員会の御決議を尊重いたしまして施策を進めてまいっておりまして、今日までのところ、次第にその成果をあげつつあると考えております。しかしながら、有害食品虚偽表示等消費者にとって問題となる事例は、依然としてあとを断ちません。このため施策をさらに強化する必要があると考えます。  このため政府は、昨年の第三回消費者保護会議の決定に従いまして、消費者保護に関する諸般の施策を鋭意進めてまいったところでありますが、さらに、去る十月十二日に第四回消費者保護会議を開催いたしまして、新たに微量重金属規制の計画的な実施、医薬品の効能等の再検討割賦販売及び不当表示等規制強化のための制度改善など、具体的施策を決定いたしたところであります。  また、国民の直面する生活上の諸問題について円滑な情報意見の交流をはかるため、昨年十月に発足いたしました国民生活センターは、テレビ・ラジオ番組の提供、広報誌発行苦情処理窓口の開設など、その充実をはかってまいりましたが、なお一そうの充実をはかりまして、国民との対話の場を確保してまいる所存でございます。  政府は、以上申し述べました諸施策を一そう強力に推し進める所存でございますが、本委員会におかれましても、このような政府考え方を御理解いただきまして、よろしく御支援、御叱正を賜わりますようお願いいたす次第でございます。      ――――◇―――――
  6. 小林進

    小林委員長 続いて、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本日は、特に輸入食肉流通及び価格問題につきまして、参考人として畜産振興事業団理事長岡田覚夫君食肉輸入商社協議会会長河村雄次君、食肉輸入商社協議会専務理事宮崎貞雄君、以上三名の方々から御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  8. 小林進

    小林委員長 参考人方々には、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございました。  本日は、輸入食肉流通及び価格問題につきまして、忌憚のない御意見をお述べいただき、本委員会調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  なお、参考人からの御意見は、委員質疑によってお述べいただきたいと存じます。     ―――――――――――――
  9. 小林進

    小林委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  10. 松浦利尚

    松浦(利)委員 長官が本委員会においでになるのはきょうで二度目だと存じます。大臣就任以来相当経過をするわけでありますが、本委員会に御出席をいただいて、物価問題で直接質問を通じて大臣の御意見を聞くというのは、私、物特委員として初めてでございます。  外務大臣代理として、相当重大な局面を迎えられて外務関係のお仕事が多かったことは、私は理解をいたします。しかし、内政の非常に重要な柱でございます消費者行政あるいは物価問題、こうしたものが佐藤内閣の非常に大きな重点施策であるということは、総理所信表明でも明らかなところであります。ところが、その柱であるべき担当大臣を、重要なしかも重大な局面に来ておる外務大臣兼務させる、こうした姿勢の中に、今日の佐藤内閣物価に取り組む姿勢あり方というものを私は知ることができるし、そこに本質的な、物価問題を軽視するというような姿が浮き彫りにされておるのではないか、こういうことが懸念されるわけでありますが、長官は、こういった国民批判に対してどのようにおこたえになるのか、まずその点について承っておきたいと思います。
  11. 木村俊夫

    木村国務大臣 むしろ総理からお答えするのが本筋かと思いますが、私から、いまの御批判に対してお答えをしたいと思います。  私、七月に経企庁長官就任以来、もちろん物価問題がわが国経済運営上の最大の課題であるという認識に立ちまして、努力はしてまいりました。たまたま外務大臣の病気によりまして、その臨時代理を承りました。これは、政府物価問題を軽視するための人事とは決して私は思いませんが、ただ、私の力が足りないために、こういう物価対策の重要なおりから当委員会出席することが非常に不足であったということは、これは政府物価対策に対する態度でなしに、私自身努力の足らざるところであると、私は御叱正を賜わりたいと存じます。
  12. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これ以上その問題について長官自身を責めるつもりはありませんけれども、やはり外務大臣という重要な職責と、内政の柱である物価あるいは消費者行政というものを兼務では、私はおそらくむずかしいと思うのです。それでは、長官外務大臣代理のときに、次官以下物価行政に積極的に取り組んだ姿勢があったかどうか、そういうことについて、これから私は浮き彫りにしていきたいと思うのです。やはりそういった兼務であるという仕事の量というものが今日の物価に対する不満というものを助長しておる、そのことを私はいまから浮き彫りいたしますから、最後に、この問題に対して、今後の考え方として物価担当長官としてどうおこたえになるのか、こういった兼務という問題についてどう将来に向かってお考えになるかということは、もう一ぺん最後お答えをいただきたいと思うのです。  御承知のように、いま佐藤内閣は、景気の落ち込んできておるその景気浮揚策として、景気対策は非常に積極的に進めておる。そのことは私も賛意を表しますし、決してそのことを非難はいたしません。公共投資の繰り上げとかあるいは公定歩合の引き下げとか、あるいは赤字国債発行とかということによって景気を刺激しようとしておることは事実でありますが、逆に、国民は非常に不安に感じておる点があるのです。それは、こうした景気対策というものが逆にインフレを加速するのではないか、非常にインフレを加速していくのではないか、そのことを非常に国民は不安に感じておるし、疑問視しておるわけですから、この点を長官として明確にお答えをいただきたい、国民に向かってお答えをいただきたいというように思うわけです。
  13. 木村俊夫

    木村国務大臣 御承知のとおり、いま政府のやっております景気浮揚対策、これはあるいは、いろいろ従来からの長い日本経済運営の結果かもしれません。しかしながら、この八月以来の非常に流動的な国際情勢、それがもたらします景気の不況、これはわが国経済にとって、また国民所得にとっても重大な影響がございます。そういう面から、政府といたしましては、とにかく以前のような高度成長でなしに、わが国経済を安定した成長路線に定着させるための努力を続けつつあるわけでございまして、その一つとして、今回御審議を願いました補正予算中心にいろいろ景気浮揚対策をとっております。  しかしながら、これがいま松浦さんがおっしゃったように、インフレ傾向を助長するようであってはならぬ。これはもう当然政府が戒心しなければならぬところでございます。しかしながら、御承知のように景気の落ち込みが非常に激しく、かつ御承知のような、この数年来の供給力の過剰といいますか、非常に設備能力が過剰のような状態推移しております。もうすでに需給ギャップがはなはだしいものがございますので、今回とりました、また来年度も続くであろう景気浮揚対策のために、この需給ギャップを埋めて、しかも余りあるようなことには万ならない、こういうような考えのもとに景気浮揚対策をいま続けておるところでございます。したがいまして、その中の一環であります公債発行にいたしましても、当然これは節度を持たなければなりませんし、当然また、市中消化についてもその限度内でこれを行なうということで、インフレ傾向を刺激しない、インフレにつながらないような公債発行政策を堅持してまいりたい、こういう態度でございます。
  14. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま長官の御答弁を聞いておりまして、私はやはりきめ手を欠いておると思うのです。確かに言われるように、ことばの上ではインフレを加速しないようにするんだ、それで事は簡単に答弁できたようでありますが、それでは具体的にどういうことをして、そういったインフレを加速しないという手だてにしようとするのかという具体策はないのですね。抽象的にはわかります。具体的にどうするのか。その点について、もう一ぺん具体的に御答弁いただきたいと思うのです。
  15. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほど申し上げましたような景気浮揚によってわれわれが最も懸念いたしますのは、これがコストプッシュになりまして卸売り物価上昇させる、また一面、これが消費を刺激して消費者物価上昇させる、こういうような現象が生ずることが、最もわれわれとしては懸念するところでございます。しかしながら、御承知のように、わが国需給ギャップというものは非常にはなはだしいものがございますが、この景気浮揚によって卸売り物価上昇するような懸念は当面ございません。その実証といたしまして、御承知のとおり、ここ数カ月間卸売り物価横ばいまたは、むしろ低落傾向を示しております。そういう面からのインフレ傾向は、いまのところ見当たりません。  しかしながら、消費者物価は、先ほど所信表明で申し上げましたとおり、非常に高い上昇率でございますが、これはインフレ傾向を広くいえば、一つインフレ現象かもしれません。これは一つわが国経済構造上の原因からくるものであって、必ずしも景気浮揚対策のために――将来そういう面があらわれることは、もちろん警戒しなければなりません。そういう面で消費者物価が急上昇しておるのではなしに、一にかかってわが国経済構造的な、いわゆる低生産性部門流通機構からくる物価上昇が、この消費者物価現象に強くあらわれておる。  こういうことから言いまして、総じて、いま御懸念のような、景気浮揚策によってわが国インフレ傾向が非常に加速度を速めるというような懸念は、いまのところ私はないと考えております。
  16. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、大臣にさらにお尋ねをいたしますが、いま、流通機構あるいは低生産性部門の問題が潜在しておる、そのことが実は消費者物価上昇を誘引しておるんだ、こういう御説であります。確かに現在、先ほどの長官のごあいさつの中にもございましたように、この八月、九月の全国の消費者物価指数、そういったものは、ここでくどくどと申し上げませんが、上昇傾向にある。東京都の消費者物価は、先月に比べて、確かに若干下降線をたどっております。これは先月が非常に急騰しておりまして、その反動がきておるんだと思うのですが、全国的に見ますと、消費者物価というのは上昇傾向にある。なるほど卸売り物価は安定をする方向に進んでおる。しかし、現在安定しておるんで、これがどうなるかはまた推移を見なければわかりませんが、現状としては安定しておる。そうすると、通常諸外国の場合は、卸売り物価が上がれば消費者物価も上がる、下がれば下がるという関係があるのですけれどもわが国の場合は、卸売り物価が安定しておるにかかわらず、消費者物価だけは、ずっと上昇をしているという特異な性格を現在示しておるわけでありますけれども、この両物価卸売り物価消費者物価が上がっていけばいくほど、消費者の負担というのは非常に大きくなってくる。逆に言うと、景気浮揚策として、いま言ったようなもろもろの政策をとっていきましても、最終的に末端の消費者物価はどんどん上昇するということになれば、物価上昇という中に政府景気対策というのは吸収されてしまうのじゃないか。結果的には、景気浮揚策というのは政府目安のとおり進まないのじゃないかという懸念も、現実的にあるわけですね。こうした問題はないのか、そのことをひとつまず第一点、お聞かせいただきたいと思うのです。  それから二番目の問題は、当初本委員会でも問題になったんですが、前の長官から、本年度消費者物価は五・五%以内に押えます、こういうお約束があったんですが、先般の参議院会議でしたか、長官のほうから、本年度消費者物価は六・三%程度に改めざるを得ない一ことばは違いますが、そういったお考えが開陳されております。もうすでに五・五%という目安は狂ってきておるわけでありますが、具体的には、それじゃ六・三%に入るのかということを試算をしてまいりますと、これもなかなかむずかしい。六・三%に押えるといういまの政府の自信ありやなしや。  そのことの二つをお聞かせいただきたいと思うのです。
  17. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほど御指摘になりました卸売り物価小売り物価格差と申しますか、これはわが国はたいへん特異な現象でございます。各国とも、卸売り物価上昇し、また消費者物価もこれにつれて上昇しておる。わが国卸売り物価小売り物価がどうしてそういう格差があるか、これは私は、日本経済構造一つ特異現象だろうと思います。  すなわち、卸売り物価というもの、これはマクロ的な計量でやっておりますが、卸売り物価を構成しておりますいろいろな物資消費者物価を構成しております品目との間に、御承知のように非常に大きな品目的差がございます。卸売り物価を構成しております物資は、主としてわが国が非常に生産性の進んだ、たとえば製造工業あるいは技術開発が導入できた、非常に技術的に開発の進んだような、わが国のどっちかといいますと先進的な部門構成比の中の品目に占めております。したがいまして、これがまたわが国経済成長の大きな原動力になったのではないかと思います。そういう意味で、各国に比べますと、わが国卸売り物価は、わが国工業部面先進性をあらわした結果として、非常に落ちついた推移を示しております。ところが反面、消費者物価になりますと、その構成たるや、御承知のように、生鮮食料品等が非常に大きなウエートを占めておる。これはわが国経済構造上最も後進性の強い部面でございます。そのウイークポイントがはしなくも消費者物価指数にあらわれてきておる。すなわち、わが国経済構造上の特異な点、いい点、優劣が、この卸売り物価消費者物価構成比にいみじくもあらわれておる、こう考えます。  そういう意味で、これは卸売り物価に対する物価対策消費者物価に対する物価対策は、おのずからその対策を異にしなければならない、対象を異にしなければならない、こう考えます。したがいまして、消費者物価の面につきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、やはりこれは低生産性部門に対する構造改善というものが一番大きな比重を占めなければならない。こういう関係で、私どもその対策を実は急いでおるところでございます。そういう面で、今後は私ども資源配分の面で、どうしても低生産性部門流通機構に対する資源配分ウエートを集中的に高めるということが、わが国消費者物価の安定のためにどうしても必要なことではないか、こういう考えでございます。
  18. 松浦利尚

    松浦(利)委員 消費者物価指数はどうですか。
  19. 木村俊夫

    木村国務大臣 先般参議院予算委員会で、羽生さんの御質問がございました。先般の経済見通し、これは、補正予算が出されますので、一応の暫定試算としての見通しでございまして、その中でわれわれといたしましては、今年度はまだあと半年ある時期でございますが、政策努力を加味して、目標努力として五・五%を実は計上したのでございます。まあ例年から申しますと、十一月は消費者物価が下落する傾向になっております。また一月から三月は大体横ばいというのが、例年一つのカーブでございます。そういう面と、その後に参ります不景気による物価低落現象、または輸入課徴金為替変動相場制による輸入品価格低落という、こういう一つ現象を織り込みまして、それを政策努力に結びつけて、何とかひとつ五・五%の目標値に近づけたいという努力を、実は私どもはその中であらわしたつもりでございますが、正直申し上げますと、とてもそれは五・五%におさまることは困難でございますし、また、いま申し上げましたわれわれの希望的観測から申しましても、六・三におさめることは非常に困難である。しかし、困難であるからといって、まだ五カ月もありますその間に政策努力を無にすることはできないということで、現在もなお私どもは、五・五は無理としても、六・三以内に何とかひとつ消費者物価上昇をとどめたいという努力を今後も続けていきたい、こういう考えでございます。
  20. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣にぜひお願いをしておきたいのです。特に、大臣はベテランの大臣でありますから……。いつも、五・五とか数字が出るのです。そして、質問をすると、五・五以内に政策努力をいたします――ふたをあけてみると、全然ものすごい数字になるのですね。長官は正直に、六・三%というのを参議院で言われたと思うのです。しかし、それでも実質的に、私はもう無理な状態ではないかという気がしてならないのです。だとするなら、いま六・三という数字にあんまりこだわって、政策努力をしてみましたが、結果的に七でした、あるいは七・一でしたというようなことになりますと、そのことに対してやはり国民は非常に不信といいますか、物価に対する政策無力化というものを批判をするわけです。ですから、そういう意味では願望的な、期待可能性的な答弁ではなくて、むしろ前向きに、絶対に六・三を動かさない、逆に六・三%より上がったらぼくはもうやめてもいいんだというぐらいの気持ちがあって数字というものがあらわされるのかどうか、そのことが私は非常に重大な問題だと思うのです。だから、そういう点についてもう一ぺん、くどいようですが、長官の覚悟のほどをお聞かせいただきたいと思うのです。
  21. 木村俊夫

    木村国務大臣 まあ私の進退のことはものの数ではございませんけれども、先般の暫定見通し後に、私どもとしましては、この年末にいよいよ来年度の本予算を組みます。その際にもう一度見直し作業をやることは例年のとおりでございますが、その上で――これはもう試算でございますから、それに基づいて本予算を組む際に、一月の下旬に本格的な改定作業をいたすことになっております。したがいまして、十二月末の本格的な作業の際には私どもは自信を持った数字を出したい、こう考えております。そういう意味で、今回の五・五は、全くこれは暫定的な一応の試算であるということを御了承願いたいと思います。
  22. 松浦利尚

    松浦(利)委員 では、六・三%というのも、これは暫定的な見通しであるというふうに理解してよろしいですね。
  23. 木村俊夫

    木村国務大臣 参議院予算委員会でもそのように私はお答えしておきましたが、いま申し上げましたとおり、この年末にいたします作業の際には、ひとつできるだけ責任のある数字を出したい、こう考えております。
  24. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは長官、各関係省庁も来ておられますので、これから具体的な問題について一つ一つ国民が非常に問題にしておる生鮮食料品について、魚、肉、野菜等について質問をいたしますから、その矛盾点について、物価担当大臣としてどういうふうに是正されていくかということについてお聞かせいただきたいと思うのです。ですから、いまから各省庁のほうにまず御質問をしていきたいと思うのです。  まず一つは、水産庁のほうに具体的にお尋ねをしたいのですが、実はいま非常に魚価の高値というのが問題になっておるのです。魚の値段が高い。非常に高い。これをわれわれはわれわれなりに、あるいは新聞報道あるいは水産庁の資料、そういったことでいろいろと調べてまいりますと、実は魚そのものが投機的に使われておる。御承知のように、いま水産庁なり農林省が意図しておる流通機構の上に乗ってこないんですね。あるいは市場制度の中に乗ってこない。ここでくどくど申し上げるつもりはないですが、浜において漁民は、浜値で安く仲買い人あるいは大手の水産会社に魚を買いたたかれる。買いたたいた大手業者なり仲買い人というのは、浜に冷蔵庫を持っておって、その冷蔵庫に全部しまい込む。そして今度は、中央卸売市場の荷受け人に対して、さし値ですね。ほんとうはさし値というのは市場に公表して、たとえば東京都の場合は、東京都の認可を受けてさし値というものが実際は作用するんだけれども、やみさし値というのが、荷主のほうから荷受け人のほうに指示される。あるいは荷受け人に、半分はおまえが買い取れといって買い取らせる。それに言うことを聞かなければ、おまえのところにはもう浜から出荷をせぬ、こういったことが行なわれて、公然とやみさし値というのが市場を横行しておる。逆に言うと、市場は管理価格によって支配されておるんですよ。それ以下で売ろうとすれば、市場に出たものを全部引き揚げてしまう。しまい込んでしまう。さし値以上に高いときに初めて市場から消費者へ向かって出ていく、こういった経路というものが出てきておるのです。極端に言うと、市場で価格の操作が行なわれておる。管理価格を中心にして、せり値ではなくてさし値中心の操作価格というものが、今日の魚価というものを高騰さしておる原因になっておるのですね。そのことは間違いない。現実に冷凍魚というのがそういった対象になってきておりますね。その点間違いないですか。水産庁長官、どうです。
  25. 太田康二

    ○太田(康)政府委員 御指摘のとおり、魚介類につきましては生産者価格並びに消費者価格、いずれも一貫して高騰いたしております。ただ、生産地におきます価格につきましては、水揚げのいかんによりまして、時によりましては非常に暴落するというようなこともございますが、長期的に見ますと値上がりをいたしておるという実態にあるわけでございます。  魚の場合には、御承知のとおり、他の生鮮食料品と違いまして一応産地に市場がございまして、消費地への出荷もございますけれども、産地の加工業者に対する分荷というようなこともあるわけでございます。まず、産地において市場が形成されておるというようなこと、そして、それが大部分のものでございますけれども消費地の卸売市場に出荷されるということになるわけでございまして、二度せりが行なわれるというようなことがあるわけでございまして、これらが価格の値上がりにつながっているのじゃないかという指摘もあるわけでございます。  ただいま先生が御指摘になりましたところのいわゆるさし値の問題でございますが、卸売市場法のたてまえから見ますと、一応現行法のもとにおきましては自由裁量の範囲のことであるわけでございまして、なぜそういったことが行なわれるかということにつきましての考え方でございますが、われわれといたしましては、荷主が自己の生産コスト等をカバーするために荷主のさし値ということが行なわれるというふうに見ておるのでございまして、さし値制度そのものが直ちに魚介類の高値を招来しておるというふうには考えていないのでございます。いま御指摘のございましたように、さし値をめぐりましていろいろ問題もあるわけでございますので、われわれといたしましては、その適正な実施ということにつきましては、十分指導、監視をしていかなければならないだろうというふうに考えております。  なお、一部の商品、特に御指摘のございましたようなスルメイカ等につきまして、産地におきますところの思惑買い等によります冷蔵保管というような実態のあったことも事実でございます。これらにつきましては、あまり高値になりますと、将来の安値の際に大暴落というようなことで、たいへんな損失を招くというようなこともございますので、私どもといたしましてはそういったことのないように、県庁等を通じまして指導もいたしたような次第でございまして、確かに御指摘のような実態があったことは事実でございますが、今後さような場合には、いま申し上げたようなことを通じまして、不当な高値を招かないような指導を徹底してまいるというふうに考えております。
  26. 松浦利尚

    松浦(利)委員 長官、先ほど黙祷されました戸叶先生が、魚を持ってきて本委員会でやられたこともあるし、予算委員会でやられたこともあるのです。いまの答弁は、それから全然、一歩も進んでおらない。現に東京都の十月の卸売りの魚介類の状況を調べますと、サバ、スルメイカで昨年の約二倍ですね。サンマが六割高、アジで四割高値ですね。昭和四十五年度東京都における消費者物価指数のうち生鮮魚介類は、昭和四十年を一〇〇としますと、いま一七八になっておるのですね。総合物価指数が一三〇ですね、その中で生鮮魚介類は一七八。いかに生鮮魚介類というものがずっと暴騰しておるかというのが、数字から見てもわかるのですね。現にいま浜で一匹十円のものが、消費者では百二、三十円しておる。安くて百円です、十円のものが。そういった状況です。しかし、あなたの答弁を聞いていると、依然として同じことの繰り返しなんですね。いままで答弁なさったことを、会議録を見られたらわかる。いままで言われたのと全く同じことを言っておられる。いま国民が期待しておるのはそんな抽象的な答弁じゃない。いまあなたが言ったことは、前から指摘をされておる。それでは、それをいまどうしてくれるのだというのが国民の声なんです。どうしてくれますか。いま言われたことが欠陥です。その欠陥に対して指導監督したけれども、依然としてその指導監督の効果はあらわれておらない。それではあなたは、いまどうしますか。
  27. 太田康二

    ○太田(康)政府委員 私たちが魚の値段の高騰の原因を探求する場合に、やはり基本的に需給の不均衡にあると見ております。御承知のとおり、旺盛な魚需要、特に中高級魚に対する需要が非常に強いわけでございますけれども、中高級魚の漁獲高はむしろ減っておるというような実情でございます。それから、かつて多獲性大衆魚といわれたものにつきましても、これまたサンマ、イワシ、アジ等につきましては、実は漁獲が減っておる。御承知のとおり昭和四十五年の速報値によりますと、魚介類の生産高が九百三十一万トンということで、初めて九百万トン台をこえたのでございますが、そのうち実は、スケソウダラとサバ、両者合わせますと約三百六十万トンというような数字になっております。これらを差し引きますと、漁獲の生産高というのはむしろ過去よりも減っておるというような実態でございます。スケソウダラは御承知のとおり、すり身といたしまして練り製品等の原料になる。サバにつきましては、はなはだ残念なことではございますが、魚体の小さいものが七〇%こえておるというようなことで、ほとんど加工に回っておる。したがいまして、生鮮あるいは冷凍としてわれわれの口に入るものといたしましての供給というものは必ずしも多くないというような実態でございます。  したがいまして、基本的には、やはり沿岸漁業におきますところの養殖事業を振興するとか、あるいは新漁場の開発によりまして魚の供給をふやすというようなことが基本であろうかと思います。  そうはいいましても、先生がただいま御指摘になりましたように、産地では非常に安いのに消費地では非常に高いという意味での流通上の問題がございます。これらにつきましては、農林省といたしましても、卸売市場整備あるいは、私のほうで申し上げますと産地の流通加工センター形成事業というようなことで、これらの助成を通じましてその合理化をはかるというようなことをやっておるわけでございますが、なおそれにつけ加えまして、私どもといたしましては、全漁連等の生産者団体を通じまして、たとえば非常に魚がたくさんとれまして、生産地におきまして価格が非常に暴落したというようなときにこれを買いまして、産地あるいは消費地の冷蔵庫に保管をいたしまして、価格の高騰時に市場を通じて放出するという形での流通の実験事業というものを実施いたしております。四十五年度の事業も今日まで実施してまいったわけでございますが、近く四十六年度の事業にも着手をするというようなことになっております。年末等も控えまして、これらの事業によりまして価格の高騰を押えてまいりたいというふうに考えておるのでございますが、何ぶんにも、こういうことを申し上げますといかにも弁解がましくなるわけでございますけれども、数量それ自体、まだあまりそう大きな数量でもございませんので、十分市場を牽制するだけの力というものはないというふうに考えますが、将来これらをさらに拡大をして実施することによりまして、価格の高騰を押えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  28. 松浦利尚

    松浦(利)委員 やはり将来ということで、将来に向かっての努力目標だけなんですね。御承知のように、昭和四十三年の行管の勧告で廃止されました、魚価安定基金法という法律がございました。これは大衆魚の魚価安定に資する目的の法律でありますが、この行政管理庁の意見ですね、あるいは臨時行政調査会の意見等を調べてみますと、廃止せよといった臨時行政調査会の答申、「当面、魚価安定基金を解散し、別に必要に応じ総合的な価格調整機構の設置(一般行政部局の外局として)を検討することが適当である。」こういうふうに、これは昭和四十三年に臨時行政調査会がすでに出しておるのですね。そのときにすでに魚の価格という問題は、臨時行政調査会で取り上げられておるのです。それを受けて行政管理庁の意見としては、この魚価安定基金というのは眠り法人である、事業実績がほとんどない。ですから、これは非効率的な組織だから廃止せよ、また設立した当時よりもこれらの施設の整備促進、強化をすることによって対処することができるのだ、そういった意味で廃止するようになったのですね。これに対して農林省は、魚価の安定対策については水産行政上必要と考えるので、その具体的な方法については別途検討する。こういうことで、実はこの魚価安定基金法という法律は廃止になったわけなんです。  その後、水産庁は一体何をしてきたのかということです。浜で買いたたかれ、消費者は高い魚を食べさせられておる。四十三年から今日まで、魚価安定基金というものが廃止されましたけれども、漁民の所得というのは上がってきておらないし、むしろ買いたたかれておる。消費者は高値で買わされておる。そういう状況なんですね。しかも、報じられるところによると、いま現在、東北各県ではサバが大量水揚げされておる。あまり大量に水揚げされておるので、漁民自身が出港規制をして、二日に一ぺんしか出港しない。サバをとってこない。それじゃサバが安くなったかというと、東京ではまず安くなっちゃおらない。一体これを廃止をしましたときに、水産庁のほうでは、価格安定機能というものは漁連でやればいい、そういうお考え方が基本的にあったというふうに私は聞いておるのです。  一体いままで漁連に対して、この漁連の価格安定機能というものを発揮させるためにどういうことをしてきたのか。浜にある漁連の倉庫なり何なりを見たことがあるのか。漁連の倉庫の中には魚が入っておらない。逆に大手水産会社なり仲買い人のところには、どっと水産物が冷凍されて入っておる。漁連の中にはむしろ入っておらない。こういう状況がいまの浜における姿ですね。やろうと思えばできるじゃありませんか。漁連じゃなくて、現実いまとれ過ぎているサバがある、安く供給しようと思えばこれができる。どうしますか。
  29. 太田康二

    ○太田(康)政府委員 魚価安定基金は確かに四十三年に廃止いたしたのでございますが、これはむしろ多獲性大衆魚でございますが、これらの産地における価格安定のための事業として行なわれたのでございまして、先生、事実の認識につきまして、私どもと若干違った御見解をお述べになったわけでございますけれども、産地の生産者価格は決して安くはなっておりません。これも先ほど当初に申し上げましたように、産地価格におきましても消費地価格におきましても、魚介類は一貫して実は値上がりをいたしております。  ただ、産地におきましては、確かに一時的に、水揚げが非常にふえますと価格が暴落するということはございます。事実、サバ等につきましてはそういったことがございます。しかし、サバ等につきましても、この点だけはぜひ御理解をいただきたいわけでございますけれども、よく、産地では一尾たとえば十円である、ところがそれが消費地に運ばれると百二十円になるということがいわれます。確かにそのとおりであるわけでございますけれども、しかし、これらはしさいに実態を見てまいりますと、産地で水揚げをいたしましたときに、大中小まぜまして実は取引が行なわれております。産地の仲買いといたしましては、それをさらに大中小に分けまして――要するに、先ほど申し上げましたように魚体の非常に小さいもの、これがサバ等につきましては七〇%をこえておるというような実態もあるわけでございまして、これらは大部分加工に回るわけでございまして、いま消費地で形成されております、たとえば五百グラム百二十円というようなものは、産地では決して十円で出荷されているわけではないわけでございまして、そういった実態があるということは御理解をいただきたいと思うのでございます。  もちろん、中間経費が非常に高いという意味におきまして、産地では安く消費地では高いという実態があることは間違いないわけでございまして、われわれはこれらにつきまして、流通改善、合理化という点についても一段と努力をいたさなければならぬことは御指摘のとおりでございます。  なお、生産者団体を通じての施策といたしまして、先ほど申し上げましたように、流通合理化の実験事業というのを昭和四十一年から実施をいたしておりまして、年々その取り扱い数量等も着々ふやしております。特に四十六年度以降におきましても、従来の取り扱い数量をさらにふやす。なお、やり方といたしましても、必ずしも市場を通さないで、場合によりましては直接大口需要者に出荷する、あるいは小売り店に出荷する、あるいは消費生協に出荷するという形での事業の道を新しく開きたいというふうに考えております。  なお、それ以外に、従来は産地におきますところの生産者団体に対する冷蔵庫の補助あるいは処理加工施設の補助等も実施いたしておったのでございますが、これらを全部統合いたしまして、現段階におきましては、産地におきますところの流通加工センター形成事業という形での補助を生産者団体等にいたしておるのでございまして、流通合理化のための施策といたしましては、不十分ではございますが、こういった事業を通じましていま実施をいたしておるという実情にあるわけでございます。
  30. 松浦利尚

    松浦(利)委員 実施しておる、実施しておるというだけで、具体的な改善策というのはとれないのですか。長官もぜひ聞いておってもらいたいのですが、消費者は、何も魚を大中小と選別してもらわなくてもいいのですよ。いまの御売市場に行きますと、要するにマージンのたくさん取れる魚というのが大体市場にたくさん出てくるのですよ。というのは、金目にならないから、選別して、できるだけ金目になるのだけ仕分けして市場に出すのですよ。そういったことは、漁連の機能を発揮すれば全部持ってこれるのじゃないですか。もう持ってこれないのですか。食べるほうは、大中小という選別よりも、同じ蛋白源なんだから、安いものを求めておるとすれば、それに対応するのが出てきていいはずなんです。ところが、それに対応するのが出てくるどころか、高いものがどんどん出てくる。それは、大中小に振り分けて、大型だけどんどん市場に送ったほうがもうかるでしょう。しかし、消費者は中でもいい、小でもいい。そういったことは行政指導でもう全くできないのですか。拱手傍観ですか。年末を迎えて、これからますます魚は高くなるでしょう。正月を控えて、これから魚というのは投機的に、冷蔵庫にどんどんしまわれると思うのです。将来のことはいろいろ施策を講じていくから――今度は間違いなくやってください。もう毎年毎年同じことを言わずに、来年からはこうして安くなるという具体的なプランをここに示してください。来年のことよりも、いま現実に高いものをどうするのかというのが、やはり国民の痛切な願いです。  市場手数料も五・五%ですね。だから、せり値の高いものを持ってくれば持ってくるほど、五・五%ふところに入ってくるから、そういう手数料の問題等についてもどうかならないのか。さし値の問題についてもどうかならないのか。あるいは、荷主が荷受け人に対して買い取りさせるという制度はどうかならないのか。流通過程に疑問がたくさん、国民からもうすでに出されておるのですね。そういったものに何もこたえておらぬじゃないですか。具体的にいま指摘されておる一つ一つの問題について、洗いざらい、いまどうするかということを検討したら、いますぐでも改善できるものがあるはずですよ。何もないのですか。あなたは何もない。拱手傍観です。将来に向かって安定するように努力いたしますから待ってください、これが水産庁の生鮮食料品における魚介類の物価対策である、こういうふうに国民が理解をせよ、あなたはこう言っておられるのですか。どうです、その点もっとはっきり言ってください。
  31. 太田康二

    ○太田(康)政府委員 年末を控えての物価対策ということは、われわれ当然念頭に置いて行政を進めておるわけでございまして、先ほど申しましたように、確かに年末におきましてはたいへん需要が旺盛になりますので、供給が少ない場合には当然価格が高騰するということが起こるわけでございますので、これは毎年やっておることでございますが、出荷者団体等に依頼をいたしまして出荷の増大をはかってもらう、あるいは輸送関係の方方に輸送の増強をはかっていただくというようなこと、さらには、先ほど来申し上げておりますような、全漁連が実施しておりますところの流通改善事業等をこの時期に集中して実施いたしまして、価格の安定をはかってまいるということを考えておるのでございます。  なお、先生から具体的に、たとえば市場におきますところの卸売り手数料の問題あるいはさし値の問題等のお話があったわけでございますが、先般の参議院におきますところの予算委員会の審議におきましても、ここにお見えの経済企画庁長官から、現在の卸売市場の手数料の定率制の問題につきましては、まさに先生が御指摘のような問題もあるわけでございますので、これには今後メスを入れてまいるということを御答弁なさったわけでございます。これらに従いまして、われわれのほうといたしましても当然検討をしてまいることになるわけでございます。幾つか指摘された点につきましては、みなごもっともなことでございますが、われわれといたしましてもこれらを着実に踏まえまして、できるものから手をつけてまいるという強い姿勢で対処してまいりたい、かように考えております。
  32. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ここに、エコノミストの「私の発言 組織の中からのことば」といって、農林省のある課長が原稿を寄せておられるのです。これは長官もよく聞いておってください。私は、これが政府姿勢だ、ほんとうの気持ちだと思うのです。これは何と書いてあるかといいますと「農産物価格が上昇するのは当たりまえだと言えば、消費者は憤激するであろうし、逆に大いに価格を下げようと言えば生産者承知しないだろう。勢い生産性の向上とか流通の改善とか、当たりさわりのないところへ話が落ちてしまう」のである。「通流の合理化は真に消費者価格の引下げに到達できるのか。どうも答えは自明のように思われる。」こういったことがここに書いてある。農林省の方ですよ、これは。  あなたがいま、流通機構のどうのこうのと言うけれども、結局きめ手がないから、当たりさわりのないところで、生産性の向上とか流通とかいっておればこれで済むわい、これが偽らざる心境でしょう。だから何もせぬのでしょう。やれないのでしょう。したいと思ってもやれないというのが実相じゃないですか。これは農林省のちゃんと組織の中の、しかも御丁寧に「組織の中からのことば」、こうなっている。農林省の組織の中から、悲痛な叫びをあげているのですよ。  長官、いまの水産庁の長官と私とのやりとり聞いておって、まさしくこの組織の中からのことばそのものが、今日までの生鮮食料品に対する価格政策であるというふうにしか国民は理解しないし、真実こういうことが出ておるわけですから、これが真相だと思うのですが、長官、どう思われますか。
  33. 木村俊夫

    木村国務大臣 いまいろいろ承っておりましたが、私はその点について、私みずから非常に痛感しておるところでございまして、いろいろ農林省も真剣にやっておりますが、どうもやり方が中途はんぱである。先般も行政監理委員会から指摘されましたとおり、主食の行政については非常に完全なものをやっておるが、こういう生鮮食料品の問題については片手間行政である、こういう指摘が行管からもございました。私もそのとおりだと思います。  しかし、これは農林省だけを責めるわけでなしに、われわれ、いままでの政府考え方生鮮食料品に対する行政のあり方というものをこの際思い切って反省すべき時期ではないか。いままでの主食、これは食管制度として非常に完備したものが、戦後二十五年間の社会不安をあるいは救済し得たかもしれません。だんだん世の中が変わりまして、経済社会情勢も変わってくる。国民生活水準も上がってまいりますと、主食ももちろん最も重要な点でございますが、いまや生鮮食料品を安定的に供給することは、国民の食生活あるいは一日常生活にとって不可分の問題である。こういうようなことに行政が変わっている。その際に、この生鮮食料品に対する行政が片手間の行政であっていいか悪いか。そういう点をいま御指摘のエコノミストが、いみじくも苦悶の状態でそれを表現しておると思います。そういう意味におきまして、私ども政府が反省しなければならぬ。  すなわち、いままでの資源配分上、この生鮮食料品対策あるいは流通構造対策について、予算についても非常に中途はんぱなつけ方をしております。私、経企庁長官になりまして、農林省の野菜行政に、一体昭和四十六年度にどれくらい計上しているか調べてみましたら、わずか二十五億円。これでは、買い占めをしようとする生鮮食料品のブローカー等が一年に動かす運転資金には及ばない。そういうような現状では、私は、国民の皆さんから批判を受けるのはもっともだ。いままで財政事情等もあったでしょう。しかしながら、いまや百四十一億ドルにのぼる国際収支のゆとりを控えておる今日、もうそういう財政事情でこの生鮮食料品に対する行政を片手間でやるべき時期ではない、こう思います。  そういう意味におきまして、いままで農林省の真剣な努力にかかわらずそういう事態で推移したことは、私はこれは当然反省すべき必要があるということから、また今後のことかとおっしゃるかもしれませんが、こういう大きな経済政策の転換期でございますから、そういう意味においても、政府の行なう今後の生鮮食料品に対する、特に魚介、野菜――これは生鮮食料品を対象にするのは非常にむずかしいことはわかっております。今度ニクソン大統領が物価凍結をやりましたが、その中にいま申し上げるような生鮮食料品が省かれております点からいっても、非常にやりにくいものであるということはわかりますけれども、しかしながら、アメリカと日本との食生活の嗜好その他も違います。かん詰めとかあるいは冷凍品にたよっているアメリカの食生活と、生鮮食料品にたよる日本国民の食生活とおのずから違います。そういうことにとらわれず、これから思い切った資源配分考えてこの問題に真剣に取り組んでいかなければならぬ、まさにその転換期であるということを申し上げておきます。
  34. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そのことば、いつも言われることですけれどもことばはつくろえばいいわけですから。ただ、出てくるものがなければ政治じゃないわけですね。ですから、いま長官の言われたことは、まじめに御答弁なさったのですから、そのことをとやかくここで言うつもりはありませんが、そういうことで努力をしてもらいたいと思うのですが、しかし、率直に申し上げて、長官が言われるようなことで政治というのは進んでおらないという一つ二つ例があるのですよ。  そのことについて、野菜の問題がいま長官から出ましたから、野菜の問題についてお尋ねをしておきますが、野菜の問題について、本委員会でもあるいは農林水産委員会でも常に問題になっておるのですが、指定産地と出荷の義務が非常に不明確なんですね。ただ補償率、基準の引き上げとかあるいは補助金だけで問題が解決するというふうに考えておられるのかどうか、そういう点が一つです。もう時間がありませんから、一問一答の方式を避けて、全部質問いたします。  もう一つは、本院の予算委員会でも、佐藤総理が、私の出身地の宮崎の一日内閣に出席なさるときに、カーフェリーに乗られて、宮崎県の蔬菜園芸がカーフェリーを通って大都市市場に来ることを、私はからだを船に乗せて経験をしてきました、こう言って大みえを切られたのですが、ところが、実際に宮崎県からカーフェリーで品物、野菜を運んだら、カーフェリーの運賃のほうが高いのですよ、陸送するよりも。農協で扱うものについては三割安いが、その他の出荷団体は全部料金の割引がない。高い。陸送したほうが安い。そういったことを総理は知っておられたのかどうか。おそらく総理はそこまで知っておられなかったのだろうと思う。カーフェリーというものをこういった野菜生産地と結びつけるならば、そのカーフェリーの運賃機構というものについてもチェックをして、運賃コストが上がらないように、むしろ安くなるような方向でどういうふうに手当てをするかという政策が出てこなければならぬでしょう。そういう具体的なことを検討されておったのかどうか、あの総理の発言の中で。これが二番目。  三番目の問題は、いつも口には、天気が悪い、冷害だ、干害だ、天気が悪かったからだめだ、できなかった、凶作だ、だから高いのです。こう言って、気象相談ではありませんが、野菜のできふできはいつも気象庁まかせ、これが実は政策だったのですね。ところが、そういった問題を改めるために施設園芸、ビニール栽培ですね、こういったものに転換をさせていくという政策がいまとられておるのですが、それじゃ農民がこういった施設園芸、ビニール栽培等に進んだ場合に、これに対する農業共済制度というのは全くありません。全然ない。台風の被害を受けたときに、被害総額の中には入るが、天災融資法の対象にはこのビニールハウスはなっておらない。しかも御丁寧に、来年の四月一日からは自治省で、この施設園芸のハウスに対して一五%の固定資産税をかけるというのです。つくった野菜はまた、一五%の固定資産税がかかれば、その分だけ高くなるでしょう。こういった矛盾があるのですね。こういったものに対して、ほんとうに真剣に野菜増産のための意欲を燃やしておられるのかどうか、局長のほうから明確にお答えいただきたいと思うのです。  その前に、自治省の局長が来ておられますね、お忙しいそうですから、あなたにお聞きしておきますが、四月一日以降、ビニールハウスは家屋という気持ちで一五%の固定資産税をおかけになろうとしておるのかどうか、そういうことがあるのかどうか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。
  35. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 ビニールハウスの場合には、一般的には、その構造がたとえ軽量鉄骨等で構成されているものでございましても、現在は家屋としての取り扱いはいたしておりません。ただ、ビニールハウスの構造物は、現在、所得税の取り扱いといたしまして、減価償却資産というものとして取り扱われておりますので、これは固定資産税の上では償却資産としての取り扱いがなされるということになっております。
  36. 松浦利尚

    松浦(利)委員 局長、実質的にセメントで打ち込んである、永久的に鉄骨だけで組んである、そういったものはどうですか。
  37. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 柱の部分あるいは基礎の部分がコンクリート造であり軽量鉄骨で組み立てられておるというものでございましても、それに対してビニールシートでおおっているというようなものは、家屋ではないという扱いになっております。ただ、これは農業構造物として、償却資産としての扱いになっております。
  38. 松浦利尚

    松浦(利)委員 償却資産であれば、税金は四月一日からはもうかからないということですか。一五%税金をかけるというのは、何にかけるということですか。
  39. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 固定資産税は土地、家屋、償却資産が課税対象になっておりますので、農業用の施設でございましても、それが償却資産として扱われる限り、固定資産税の課税対象になるわけでございます。  なお、固定資産税は一五%というお話がございましたけれども、これは価格の一・四%というのが標準税率になっております。それからまた、来年四月からというお話がございますけれども、これは別に来年から課税をするというような取り扱いではございません。従来から課税になっておるわけでございます。
  40. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それは具体的に、地方自治団体にその判断はまかせられておりますか。
  41. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 地方税法に償却資産の定義がございます。それに基づきまして各市町村が、その施設が償却資産であるかどうかということを判断をいたしまして、その価格を評価をして課税をするということになっておるわけでございます。
  42. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは具体的に、もうずばりお尋ねしておきますが、農業構造物である限り税の対象にはしない、ずばりそういうことで理解をしていいですか。
  43. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 農業用の構築物でございますと、これは償却資産として固定資産税の課税対象になるわけでございます。
  44. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私が聞いておるのは、農業構造物であってもやはり実際にかかるのでしょう。だから逆に言うと、いままでかかっておらなかったものも、農業構造物について全部四月一日からかけていくということでしょう。いままで大目に見ておったけれども、四月一日から原則的にきびしく取るぞ、こういうふうな理解のしかたですか。
  45. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 これからかけていくということではございませんで、従来からも課税対象になっております。したがいまして、すでに課税しているところも相当の町村数あるというふうに私ども考えております。ただ、ビニールハウスというものの構造が、最近次第に恒久化してまいるといいますか、耐用年数も相当長いもの、あるいはまた構造も非常に堅牢なものができてまいり、そしてまた、それが大規模なものになってまいりますというと、課税対象として捕捉されるという例が次第に多くなってきておるということでございます。
  46. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、ありがとうございました。どうぞお帰りください。  農林省の園芸局長のほうにもう一つ。  いま自治省の局長からもお話があったように、法人税がだんだんとれなくなってきた、地方財源が苦しくなってきた、ですから、従来農業構造物として、償却資産として課税すべきであろうが、大目に見ておったといえば問題があるけれども、まあ大目に見ておった。ところが、促成栽培のための構造改善事業で大々的に農業構造物をつくったという者については、ずばっと償却資産としての固定資産税がかかってきた。しかし、先ほどから言っておるように、天候に左右されない蔬菜園芸というものを奨励していけばいくほど、そういった農業構造物というものをつくっていかなければならない。ところが、農業構造物をつくっていけば、それに税をかけて税金をいただく、それは消費者にはね返ってくる、こういう状況になってくるので、こういうものには物価対策上もうかけないのだという特例措置、こういったことが当然されるべきだと私は思う。そういうものがされて初めて生鮮食科品としての政策というもの、蔬菜園芸の奨励というものがなされていくのだ、こういうふうに思うのです。ですから、そういうものも含めて、先ほど言った四つの点について御答弁いただきたいと思う。
  47. 荒勝巖

    荒勝政府委員 まず御質問の第一点の、指定産地の指定と出荷関係の点について御説明いたします。  私たち指定産地を指定いたしますときに、おおむね二分の一以上のものを指定消費地へ出すということを指定の要件といたしまして指定している次第でございます。ただ、指定後時間が非常にたっているものもあり、またたっていないものもありまして、出荷率等が具体的に非常によくないという地域も相当あると思っております。ただ、その間、実際問題として野菜の出荷ということに関しまして、やはり需給関係が適正であれば、不当な横流れといいますかルートもできないのであって、やはり基本的には野菜の生産、出荷と需要が安定的なバランスある関係にあることが何よりも大事ではなかろうか、こういうふうに思っております。したがいまして、われわれも指定後、出荷率が高まるように常に指導しておりまして、現在東京におきます重要な指定野菜につきましては、東京都に入っております野菜のうち、出荷指定産地からの出荷割合がおおむね五割以上になって、ものによっては六割以上になっているものもあると思いますが、個々の指定産地からの出荷割合ということになりますと、まだ非常に乱れておる点は十分にわれわれもわかっておるわけでございますが、今後そういうことのないように、関係都道府県並びに出荷団体とも一体となりまして、その現状の把握並びに出荷の督励ということにつきまして大いに指導してまいりたい、こういうふうに思っております。  第二点の、カーフェリーの宮崎からの輸送の点でございますが、農業団体が共同出荷して東京など指定消費地へ持ってまいります場合には、われわれのほうでも打ち合わせしたわけでございますが、海上で運ぶ場合はおおむね半分くらいの運賃ということで、系統農協とカーフェリーとの間で取りきめが行なわれておりまして、陸上運賃で運びますと十五万円かかるものが、海上のカーフェリーだと七万円くらいというふうになっておるやに聞いております。  それから第三の、施設園芸に対する固定資産税の件でございますが、われわれといたしまして、天候に左右されない施設野菜の生産ということにつきましては、ただいま全力をあげて生産奨励をいたしておりまして、この冬場におけるトマトあるいはキュウリというふうに施設園芸でつくられましたる野菜は、最近、過去の二、三年の例を見ましても、ほとんど価格が安定的に推移しているというふうに判断しておりまして、今後ともさらにこの施設は大いに伸ばしてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。  先ほど来御質問のありました固定資産税の取り扱いについては、今後関係省庁、特に自治省のほうと、適正な課税がなされるように折衝してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  さらに、農業共済で、この施設園芸の施設が共済の対象になってないのではないかという御意見でございましたが、これにつきましては、農林省もかねてから、やはり台風のたびにこの施設園芸のビニールハウスが相当な大被害を受けるということで、これにつきまして農業共済の対象とするよう、農林省内部におきましてもただいま研究が行なわれておりまして、準備的な補助金等を出しましてそういった研究といいますか、作業をしている次第でございますが、いずれにいたしましても、やはり台風に耐え得る施設の構造的なあり方ということがまだ十分解決されてないといいますか、それについて、この程度の施設ならば台風についてある程度耐え得る――やはり風がちょっと吹けば全部飛んでしまうという形では、なかなか農業共済の対象にも仕組みにくいという点もございまして、その辺の適正なる施設の基準というものの策定を、ただいま経済局のほうで検討されておるやに聞いておる次第でございます。
  48. 松浦利尚

    松浦(利)委員 野菜の問題で長官お願いをしておきたいと思うのですが、先ほど自治省のほうと話しましたように、台風等に耐え得る構造物の農業施設ということになりますと、これが農業構造物として税の対象になるということでは、それがまた物価にはね返ってくる。繰り返しでありますから、長官として、物価対策上こうした税というものは、いま取っておるものは廃止をさせるし、将来そういったものは課税をさせないのだ、除外していくのだ、こういうことについてぜひお願いをしたいということが一つと、それから、やはり物価対策上、農民が、天候に左右されない、しかも価格が安定しておるわけですから、意欲的にそういった施設園芸に進むためには、この際共済制度の問題とか、いまあげました天災融資法のワクに入れるとか、こういった制度上の恩典、制度上のものをつくって生産意欲を高めていく、そういったことについて、物価担当大臣としてぜひ各省庁間の調整あるいは意見具申等の方針をとっていただきたいと思うわけでありますが、どのようにお考えですか。
  49. 木村俊夫

    木村国務大臣 いまのお話、私、自治大臣とよく話し合って、そういうことが万ないように取り計らいたいと思います。自治省として別に通達は出したわけではないということをさっき言っておりましたし、おそらく固定資産税を扱う各市町村で、財源上そういうことも考えておるのだろうと思うのです。そうなりますと、そういう市町村の財源補てんのこともあるかと思いますが、そういうことを総括して、一度自治大臣とお話をしたいと思います。
  50. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それと園芸局長最後になりますが、実は野菜対策として野菜価格安定事業団構想というのが、農林省の中で発想として検討されておるやに報道等でお聞きをしておるのです。ところが、先ほど水産庁長官とお話をいたしました魚価安定基金、これは眠り法人だということで廃止をされたのですけれども、実際にこの魚価安定基金というものを中心にして、これを物価対策上の一つの方針に取り上げて、法律の修正なりそういったことをやっていったら、これが物価安定対策に資する一つの基礎法律になすことができたと思うのです。これは生産対策だけですけれども、これをむしろ修正をすることによって、生産者も含めた物価対策として、畜産事業団等のような形の組織にこれを改めていくことが可能だったと私は思う。ところが、これは眠り法人ですよといって廃止したわけですね。ところが、あとからいろいろと具体的に御意見を申し上げますが、結論だけ申し上げますと、この畜産事業団というのは眠り法人で、価格安定機能というものを発揮しておらない。逆に言うと、この魚価安定基金と同じように眠り法人です。眠り法人じゃないと畜産局長は言われるでしょうけれども、これはあとで議論しますが、われわれからいうならば眠り法人です。だから、この行管の指摘からいくならば、かりに眠り法人であるということが明らかになるならば、廃止しなければならない運命にあるわけですね。そうだとしたら、今度は野菜対策として野菜価格安定事業団構想、こういったものがここに出てくる。機構をつくれば価格が安定するというふうに思うところに――確かに機構をつくることも一つですが、その機構が眠り法人であってはならぬ。常にそれが価格に影響を与えてくる、価格安定の中の一つの事業団としての機能を発揮する、そうでなければならぬと思うのですがね。そういったことを考えてくると、いま構想として出されておる野菜価格安定事業団というものは、野菜の価格安定をするために間違いない事業団であるというふうにお考えになっておるのかどうか、その点、園芸局長どうですか。
  51. 荒勝巖

    荒勝政府委員 私たちのほうで、この二、三年来の野菜の暴騰あるいは暴落の繰り返しということにつきまして、生産から出荷の安定を期すればおのずから価格の安定が期せられるのではなかろうかということで、行政指導的に生産出荷の安定というところに従来全力をささげてきまして、また相当効果のあった部分もあるのではなかろうか、こう思っております。  しかし、やはり最近の価格の暴騰、暴落ということを見てまいりますと、単なる従来のような行政指導あるいは補助金だけを配賦いたしまして生産の振興をはかるというだけでは、場合によっては限界があるんではなかろうかということで、野菜行政のあり方につきまして、現在、農林省をあげて検討中でございます。その中の議論の一つといたしまして、やはり政府みずからが、単なる行政指導ではなくて、野菜そのものに多少需給調整的な機能あるいはその介入といったことも必要ではなかろうかということで検討をしている次第でございます。特に、中でも貯蔵性のあるタマネギ、あるいは将来はさらにバレイショというふうに、現在の科学技術水準をもってして、あるいは低温貯蔵あるいはガス貯蔵ということで、確実に貯蔵性のあるというものにつきましては、何らかの形で需給調整の現物操作をしてみたらどうかということで研究をしている次第でございます。したがいまして、そういう議論の過程で、場合によっては特殊な機関を設立してやっていく必要も出てくるんではなかろうか、こういう発想方法で現在検討いたしております。  現在、野菜の価格暴落ということに対処いたしまして、野菜の生産出荷安定資金協会という、法律に基づきます特別な協会は設立されておりますが、これは主として暴落時における農民に対する価格補てん事業ということに重点が置かれておりまして、性格的には農民の相互共済的な性格が非常に強いので、こういったものの法律ともからませながら、その性格につきまして検討を今後さらに続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  52. 松浦利尚

    松浦(利)委員 局長、いまの構想は、もう具体的な構想として次の通常国会あたりには出されるわけでありますか。
  53. 荒勝巖

    荒勝政府委員 われわれのただいま検討しておりますのは、次の通常国会に法律あるいは予算という形で出すべくただいま検討している、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  54. 松浦利尚

    松浦(利)委員 野菜問題で野菜価格安定事業団構想に、長官、非常に乗り気だというお話を承っておるのですが、これは長官として、野菜価格安定のためのきめ手になる、そういうふうにお考えになって、積極的に農林省と接触をなさって、次の通常国会では法案あるいは予算、こういったものの裏づけをする、こういうふうにお考えになっておりますか。
  55. 木村俊夫

    木村国務大臣 私、その事業団の構想については、まだ確信を持っておりません。ただ、いま局長が申しましたとおり、とにかく何らか強力な手を市場介入という形で流通機構に加えなければならぬ、こういう大きな目的から申しますと、とにかく具体的に何らかの手を打つべきであるというために、一体どういう構想が具体的にいいか、もう少し検討すべきではないかと思います。ここにいろいろおいでになるようですが、いまの畜産振興事業団のような、そういうもっと機能的に、もっと動くような、また事業団のような欠陥を持たないような構想がはたして可能かどうかということで、もう少し慎重に考えてみたいと思っております。
  56. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私も、農林省が積極的に現物を握って市場に介入していく、こういった価格安定に介入をしていくということについては賛成です。しかし、いまの畜産振興事業団のような形であったらこれは賛成できないという幾つかの問題について、いまから指摘をしますので、長官のほうから御意見を承りたいと思うのです。  実は、いま新聞等で見ましても、また、この前ここで小林委員長が発言をいたしまして、この畜産振興事業団について非常にきびしい追及を行なったのですが、いまの畜産振興事業団というのは、価格の安定供給のための操作をしておるというよりも、むしろ価格を上げる役目をしておいでになります。そのことに対して、非常に国民の間に不満があります。  ここに幾つかの資料があるのですが、輸入牛肉の取り扱い状況が事業団の資料として出されておるのですが、畜産事業団が扱った輸入牛肉のうち、昭和四十五年に七千二百二十八万トンの畜産事業団輸入牛肉割り当てですが、そのうち、市場売りとして出されたのはわずか六十二トンです。あとは全部業者団体等に売られておるのですね。日本ハム・ソーセージ工業協同組合とか日本食肉市場協同株式会社とか、こういったところに全部売られておる。こういったように、市場に入っていくという市場売りはわずかに六十二トンで、ほとんど大半は加工業者なりそういったところに流されておる。  しかも、三年間事業在庫はほとんどない。三年間そういった事業在庫というものは、畜産事業団にはございません。その上に、先ほど大臣のごあいさつをいただきましたが、輸入自由化というものを条件にして消費者物価安定に資していきたいというお話でしたが、この畜産事業団というのは、当然、商社が輸入した牛肉を買い入れて手持ちして、そうして市場が高騰したときに放出をして価格を鎮静化させるという役目があるのに、そういったものは全くないのです。在庫牛肉がないのです。豚肉もない、何もない。あるのは、ワンタッチ方式といいまして、ただ輸入割り当てを商社にしてやるだけなんです。ぱあっとトンネルするだけです。政府がこれだけ輸入せよという割り当てがきたら、そのうち民間貿易で幾ら、畜産振興事業団で幾ら、そのうちの畜産振興事業団の割り当てを、ここに私は名簿を出してもらいましたが、十六社ですか、食肉輸入商社、こういうところにただ切符で、クーポン券みたいに割り当てる、それだけの役目をしておるのですね。何も市場価格安定のための操作というのは、現実的に畜産事業団では行なわれておらないのです。これでは私は、何のための畜産事業団かという疑いが国民に出てくるのは当然だと思いますね。  しかも、これは畜産局長のほうに行きますけれども、いま国内の生産者を保護するために、輸入牛肉と国内生産の牛肉というものとのバランスをはかるために、差益金をキロ当たり平均二十円というものを徴収しておる。ところが、その二十円というのを今年度から、まだ実施はしておらぬのでしょうが、今度は二倍ぐらいにする。ところが、その二倍ぐらいにする理由をいろいろ畜産局の課長さん方にお聞きをいたしますと、その上げた分はもうかっておる業者、輸入商社なり中間業者から吐き出させるんだ、もうかっている部分を吐き出させるんだ。私は、なるほど、そのことは理解できる。もうかっているところから吐き出させるために二十円を上げることはいいでしょう。しかし、流通機構の末端の消費者の価格にそのことがかぶされるということは、これは間違いない事実ですね。そういった歯どめがないにかかわらず、そういう構想というものが出てきておる。生産者を保護することは賛成、しかし、生産者を保護するために行なうそういった操作というのが、全部末端の消費者にかかってきたんじゃたまらないですね。  畜産振興事業団は、牛肉の価格安定のための価格操作機能というもの、安定機能というものは持っておらない。持っておらないと同時に、輸入してくる牛肉については、いま言ったような形で、消費者のほうに差益金を倍にしてまたはね返ってくる。こういうことでは、私は、一体牛肉の価格安定というものはどういうことで保たれるのか、全くわからないのですね。私は、これはまさしく眠り法人、まさしく、この魚価安定基金と同じようにこれは眠り法人で、消費者としては要らない。むしろ商社から直接入ってきたほうがましだ。こういうものに金を出してやるより、そんなことなら畜産振興事業団は、もうこの際どっかへいってもらったほうがいいんじゃないかというのが、事実上私は国民の声だと思うのです。どうですか。
  57. 増田久

    ○増田政府委員 事業団につきまして非常にきびしい御批判をいただいたわけでございます。率直に申し上げまして、畜産事業団というのは、牛肉あるいは豚肉あるいは乳製品その他不足払いあるいは学校給食の補助金その他の助成という、いろいろな多角的な仕事をいたしておるわけでございまして、その中に、そういう牛肉等についての需給安定事業ということを行なっているわけでございます。  これは前回、委員長からの御質問の際にもお答え申し上げましたが、四十四年までは、事業団が買いまして、それを市場を通じて売るというたてまえで運用をしておったわけでございます。ところが、現実問題といたしまして、その間ほとんど輸入牛肉が市場ではさばけないという実態が出ましたために、四十五年下期から、いわゆる先生のおっしゃいました瞬間タッチ方式というものに変わったわけでございます。しかしながら、これは先生御指摘のとおり、その点のいろいろのメリットもまた一面にあろうかと思いますけれども、事業団として本来行なうべき需給調整機能というものはそこで全く失われてしまったということは、私も御指摘のとおりだと思います。そういう点で、前回の御指摘もございましたので、われわれとしましては輸入制度研究会というものを設けまして、これに御答申をいただきまして、この答申の線に沿いまして、事業団というものを牛肉価格安定のためにどのように機能さすべきかということにつきまして、目下鋭意検討いたしているところでございます。  なお、差額としての調整金を取るという問題でございます。この点については、確かにおっしゃるような批判があるわけでございますが、一面、生産者との間の調整をどうとるかという問題が一つございます。  それからもう一つは、現在の流通機構と申しますか、自由経済、自由取引というものを前提といたしました場合、そこにある差額がある場合に、それを放置すれば、どっかの流通過程にそれが吸収されてしまって消費者のほうには返らないということは、当然考えられることでございます。そういう点は、いわばIQ物資としての利権物資的な性格をもたらす可能性があるのではないか。そういう点で私は、ある程度の課徴金と申しますか、調整金というものは徴収するほうが正義に合うんだという感じを持っております。ただし、それが末端の消費者に反映せしめないような機構をそこにどう仕組めるかというような点が、一つ問題であろうかと思っております。  現在、全小売り店を相手として輸入牛肉を扱うということは、特にチルドビーフというようなことになりますと、その商品の特質から見て非常に扱いがむずかしい。どうしてもこれはスーパーであるとかデパートであるとか、大量に販売できる小売り店でございませんと、この肉を扱えないという実態がございます。そういうことでございますので、そういう点を重点的にしぼりまして、そういうところの価格指導をいたしまして、輸入牛肉が適正な価格で末端に流通していくような措置をこの際検討し、やってまいりたい、かように考えているわけでございます。
  58. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ひとつ具体的な問題についてお尋ねしておきますが、国内の生産者との価格調整のための例の差益金ですね。これについては、末端消費者に負担がかからない制度が明確になるまでは、そういう制度はとりませんね。とらないということを言い切れますか。
  59. 増田久

    ○増田政府委員 先ほど申し上げましたとおり、輸入肉を扱う商社と申しますか小売り店というのは、数多くこれからあるだろうと思います。しかしながら、それを全部そういうことで調整し、指導し、押え込んでいけるということは、率直に申し上げまして申しかねる点があるわけでございます。そういう意味で、先ほど申しましたとおり指定店制度あるいはスーパー、生協、農協、こういったところに重点的に輸入肉を流して、そこに価格の指導性を持たせる、それを確保するというやり方をとってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  60. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それではやはりそういう制度は、そういうところに価格指導させるから、いま抽象的であったけれども、倍にしますぞ、そういうことで私どもは理解をするのですか。
  61. 増田久

    ○増田政府委員 この倍にするかどうかということは、実はまだ結論が出ておりませんので、ここではまだ検討中と申し上げる以外にないのでございますが、現在の課徴金というものは、実は冷凍肉を基準としてできたものでございます。ところが、今後多く流通いたしますのはおそらくチルドビーフであろう。そうすると、そこにある程度の価格差というものがありますので、その間の調整をはかる必要があるのではないかということで検討いたしておるわけでございます。
  62. 小林進

    小林委員長 委員長から一言申し上げますけれども、先ほどの畜産局長答弁の中に、事業団の存在がメリットもあるというふうなお話があったと思いますが、どういうメリットがあるのか、具体的に御答弁をいただきたいと思います。
  63. 増田久

    ○増田政府委員 事業団の仕事というのは、いろいろと多角的に仕事をいたしておりまして、指定乳製品についての需給調整機能ということで、現在若干の乳製品について高騰していろいろ御迷惑をかけている点もございますけれども、過去四年間というものはいわゆる安定価格の中に安定させてきた。それで、その間加工原料乳地帯における生産を伸ばしてきたということにつきましては、やはり私は、事業団のメリットの一つとして考えていいものではないかと思っているものでございます。  なお、豚肉につきましては、確かに事業団というものが下ささえ価格というものに機能を置いていた、そういう意味生産者サイドについては非常な機能を果たすけれども消費者サイドにおいてあまり機能を持たなかったという点については、私も、その批判はそのとおりであろうと思っております。そういう点で、いろいろの方面から、生産者団体等から反対があったわけでございますけれども、私はあえて九月から豚の自由化に踏み切ったわけでございます。その結果といたしまして、十月から豚肉の卸売り価格が急速に、五百円台から安定上位価格の線まで低落をしてきているというようなこともあるわけでございます。  その他、助成あるいは不足払い、学校給食、こういうふうなことで、それなりの機能を果たしてきていると思っておりますけれども、それが十分であるかあるいはそのとおりであるかという点については、いろいろと御批判があるところだろうと思っております。
  64. 小林進

    小林委員長 委員長から申し上げますけれども、畜産局長答弁の中に、乳製品の価格の安定について過去四年間云々というお話がありましたけれども、これは事業団の事業のみに限定されたものかどうか。農林省にはちゃんと農林省の係の課もあるのでございますから、それが畜産事業団のみの存在によって可能であったというような、これは私は存在の理由にはならないと思います。その特有のメリットであるという説明にはならないと思います。いまの特に豚肉の問題等も、これは事業団特有の云々という理由にはならないと私は思います。しかし、委員長はいま質問中ではございませんので、これは略しますが、いま少し具体的に、答弁らしいきちっとした答弁をしてもらいたいと思います。国会の委員会ですから、いま少し権威のある答弁をしてもらいたいと思います。
  65. 松浦利尚

    松浦(利)委員 畜産局長、私は確かに豚肉の問題は、委員長の指摘したように、畜産振興事業団があったから、あの上限下限の上限のところ、五百円のところに卸価格が下がってきたということじゃないと思うのですね。やはりそれは農林省のほうの輸入行政なり、そういったものがからまってきてやっておるわけですからね。だから、具体的に、畜産振興事業団そのものが三年間もワンタッチ方式でやって、実際に倉庫には何にもなかった。冷蔵庫の中に何もなかった。あるのは空気だけだった。現実的に価格操作に介入するということはなかったのです。  私は、時間がなくなったから言いませんけれども、ここに畜産振興事業団からいただいた資料がいろいろあるのですが、この輸入割り当てを昭和四十六年度の上半期で、割り当て総量一万四千トンのうち畜産振興事業団に七千トン、それから民間貿易商社に七千トン、こういうふうに分けていますね。ところが、実際は畜産振興事業団がワンタッチ方式で、さっき言った商社に全部割り当てたのですね。ですから、結局、畜産振興事業団の七千トンの割り当てなんか必要はないのですよ。この七千トンというのは、当然、民貿のほうに一万四千トンと書けばいいのです。ワンタッチで畜産振興事業団が利ざやをかせぐから、その分価格が上がるんですよ。何にも役に立っていない。これは事実、資料にあるのですからね、おたくの資料の中に。だから、畜産振興事業団というものは、逆に言うと価格安定機能というものは果たしていない。メリットはない。デメリットばかりだ。  もう一つの例は、例のバターの問題です、業務用バターの問題。この業務用バターの問題が実質的に、新聞報道等によりますと――これは課長さんに来てもらって資料をいただいたのですが、バター売買操作状況というのを四十四年から四十六年の間のやつをいただいたわけですけれども、この中で、実は業者に対してただ貸しをしておるわけですね。当然市場の操作として放出されたのではなくて、バターそのものが千四百六十二トン、これだけ三つの大手メーカーと酪農業界二つにただ貸しをしているわけですよ。ただ貸しということは、まさしくただで貸しているわけですね。  ところが、これが農林省の課長さんの説明によると、担保を取っております。担保を取っておるとかなんとかは別にして――それをただ担保を取って貸したなら貸したでもいいですよ。しかし、貸したということ自体が、畜産振興事業団の価格安定機能としての機能のために貸し出されておるのじゃないですね。それを戻してくれと言ったら、それをひとつこの際決算をしてくれということで、買い取るということで決算されておるわけですね。戻ってきたのじゃなくて、現物をもらわず、やったという形で決算をしてしまっておるわけですね。これでは――いまバターの価格が、業務用の価格はクリスマス等に向かって上がってきておりますね。実際に介入して、業務用バターの価格を安定させる機能というものはないですね、手持ちバターがないから。こういうことまで畜産事業団は行なわれているのですね。これでもなおかつ畜産振興事業団は価格安定機能を発揮しておると、畜産局長は御理解になるのかどうか。どうです。
  66. 増田久

    ○増田政府委員 先ほどの答弁にちょっと触れさせていただきままけれども、牛肉についてのいまの事業団のやり方が、事業団としての本来の機能を果たしておるものではないという点は、私は率直に認めております。  それから、豚肉につきましても、下ささえ価格については機能しているけれども、上位価格を越えた場合はほとんど機能するものはなかったという点については、私もおっしゃるとおりだろうと思っております。  それから、バターにつきましての問題について若干御説明申し上げますと、四十六年三月時点におきまして、事業団は五千八百八十八トンの手持ちをいたしておりました。これは四十三、四十四年度に事業団が買い上げたものでございます。これは事業団のきまりといたしまして、買った場合は、たとえば一年たてば必ず交換してもらうということで品質の低下を防止する、それによって事業団の損失を防ぐということを従来からやっておるわけでございます。そういう意味で、そのうちの千四百六十二トンのものにつきまして、これを強く交換を要求をいたしたということがございます。  ところが、たまたま、先生御存じのとおりに、昨年の暮れから牛乳の生産というものが著しく低落して、停滞傾向よりもむしろ低下傾向に入ってまいりました。そのためにバターの生産というものが非常に落ちてまいりました。それに対しまして、一方クリスマス需要と申しますか、それから年を越して一月、二月にはいわゆるアイスクリーム需要というものがございますので、そういうことで市況の中の全部が非常に堅調になってまいった。そういうことで、その際手持ちのものを交換ということをここで強行いたしますと、それだけ市場を暴騰させるということに相なることが一つでございます。といって、みすみすこれを交換できないままにほってまいりますと、事業団といたしまして品質低下を招くわけでございますので、損失を招くことになる。  それをいかに防止したらいいのか、こういう問題があるわけでございまして、御承知のとおりバターの生産というものは四月から七月にかけまして一番生産の伸びる時期で、これは季節的には四月-七月が伸びる時期でございます。そうなれば、おそらく需給は緩和するであろう。こういうことで、三カ月後に返してもらうということで、先ほど御指摘のとおり、保証金を取り、その間の金利も取りまして、三カ月の時間差を置いて交換を行なった。ところが、四月、五、六、七に至りましても実はバターの生産が伸びてこなかった、思うように伸びてこないというような事態がまいりまして、市況全体が依然として堅調になって、それで安定指標価格を越えるというような状態になりましたので、われわれとして持っている千五百トンを一般入札に売るとともに、先ほど時差交換いたしましたものを、これを交換を強行するということになりますと市況を非常に悪化させるということを考慮いたしまして、これも決済をした、こういうことでございます。
  67. 松浦利尚

    松浦(利)委員 局長局長なりに言い分があると思うのです。しかし、課長の話あるいは新聞報道等によると、ただ貸しではなかったけれども、あるいは生産が伸びなかったということもわかります。しかし、実際的にいま価格がずっと上がってきておるときに、畜産振興事業団がバターの上昇に対して安定機能を発揮できなかった、することができない状態にあるということだけは事実だと思うのです。もう間違いない事実です。ですから、そういうことを考えてきますと、私は、畜産振興事業団というのは一体どういう事業団なのか。やはり消費者が言うように、逆に振興事業団があるために物価上昇するという原因しかつくり出しておらないじゃないかというのが、私は国民の偽らざる意見だと思うのです。現に局長も、そういう点は一部認めておられる。  そこで、いま参考人の方来ておられますが、私はここに、この畜産振興事業団ができましたときの参考人意見とか、あるいは政府提案、質疑、こういったものを全部持ってきております。こういうものに対して、いまの畜産振興事業団というのは全く期待を裏切っておる。これは非常に重大な問題ですね。そのために、これからできる野菜価格安定事業団構想というのもまた、こういう機構になるのではないかという不信感すら国民の間に出てくるかもしれない。そういう面で、いまあなたがたまたま責任者で理事長なんだから、参考人として、いままでの畜産振興事業団のあり方から見て、いままでがよかったのか悪かったのか、これからそういう点をほんとうに国民の立場に立ち、この設立趣旨に従って、畜産振興事業団としてやっていく自信があるのかどうか、その点を明確にお聞かせ願いたいと思います。
  68. 岡田覚夫

    岡田参考人 私、畜産振興事業団の理事長をいたしております岡田でございます。  ただいまの御質問でございますが、畜産局長からいろいろ御説明があったわけでございますが、畜産振興事業団というのは、価格安定業務を中心といたしまして、畜産の振興ということでいろいろな仕事をいたしておるわけでございます。事実、中心になりますのは、もちろん価格安定業務でございまして、おもなものは乳製品それから豚肉と牛肉ということになるわけであります。御承知のように、乳製品にいたしましても豚肉にいたしましても、ある期間をもちまして上下の価格の変動を繰り返しておるわけでございます。これを放置しておきます場合には、下落するときは極端に下落する、それから上昇するときは極端に上昇するということになりますので、何とか上限価格と下限価格をきめましてその間に安定するようにということで、畜産振興事業団の使命があると思うわけであります。もちろん、われわれ役職員一致いたしまして、法律の目的に沿いまして努力をいたしておるわけでございますが、いろいろ御指摘もございましたように、現実問題としてはなかなかむずかしい問題もございまして、われわれが意図しておりますように思うようにはいっておりません。いっておりませんけれども、われわれといたしましては、一致いたしまして努力をしてまいっておるわけでございます。  私が過去の問題につきましてとやかく申し上げるべきことではないと思うのでございますけれども、少なくとも豚肉につきましても乳製品につきましても、曲がりなりにも多少の役割りは果たしてまいっておるというふうに感じております。  牛肉の問題は、先ほどからるるお話がございましたけれども、四十一年に発足いたしまして四十四年まで続けましたけれども、法律では市場を通じて売るということがたてまえになっておりますので、その原則に従いまして努力をいたしましたけれども、どうしても売れない。しかも、その結果事業団にも相当な赤字が出てまいるというふうな事態も生じましたので、何とか需給調整ということのねらいを持ちながらも、需要者の欲するところへ欲するものを供給するというふうな形にしたらどうだろうかということで、一つの新しい試みとして、四十五年度から新しい方式をやったわけでございます。やりまして、その結果につきましても、またこれは評価されるべき点もございますけれども、問題となる点もあるわけでございまして、やはり需給調整という本来の面からいえば、いまのようなやり方では必ずしもいいとも言えない。もっといい方法を考えるべきだということで、先般農林省のほうで研究会を設けられまして、その答申も出てまいっておりますので、その方針に従いまして、本来の目的に沿いまして役に立って、需給調整を果たすということができますように制度を仕組みまして、一そうの努力をいたしたいというふうに考えておりますので、今後ともよろしく御指導をお願いいたしたいと思います。
  69. 松浦利尚

    松浦(利)委員 最後になりましたが、長官にお尋ねをして、決意のほどをお聞かせいただきたいと思うのです。  来年度の予算編成のときに今年度物価上昇指数を明らかにすると、明確に当初御発言なさいました。物価上昇の最大の原因が低生産部門であり、あるいは生鮮食料品であるということも、内容的には明らかになっております。水産庁長官をはじめ各農林省担当局長あるいは畜産振興事業団の理事長も、いま明確に言われました。この際、この委員会で担当の責任者がそれぞれ発言をなさったのでありますから、こういう人たちから、明確な具体的な安定策というものをお聞きいただきまして、ほんとうに今度は、物価の中で生鮮食料品が異常に上がったために上がりましたといって物価指数の変更が行なわれないように、この際長官の具体的な――具体的なというよりも、そういったものを督励して、今度こそは間違いない、もう具体的に最高の数字というものを明確にするという決意のほどを承りまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  70. 木村俊夫

    木村国務大臣 いろいろ物価対策について御批判を賜わりました。私、もとより微力ではございますが、来年度の予算、特に生鮮食料品についての農林省の予算――これはすでに概算要求はしておりますが、いま農林省で根本的に洗い直しをしております。そういう意味におきまして、私も農林省に協力いたしまして、強力にこれは政府の問題として取り上げたい、こう考えておりますので、いま御指摘のとおり、私の最大の努力を傾けまして、来年度の本予算の編成の際における物価見通しには確たる見通しをつけたいと思っておりますので、御理解を願いたいと思います。
  71. 松浦利尚

    松浦(利)委員 水産庁長官に対する質問が残りましたが、もう時間が来ましたので、これで質問を終わります。
  72. 小林進

    小林委員長 委員長から、食肉輸入商社協議会会長河村雄次君にお尋ねいたしますが、いままでの討論を聞きながら、畜産振興事業団のあり方、特に輸入商社との関係において、これでよろしいと考えられるかどうか、参考人としての御意見を賜わりたいと思います。
  73. 河村雄次

    河村参考人 食肉輸入商社協議会の会長をしております河村でございます。  食肉輸入商社協議会というのは、牛肉と豚肉をやっておりましたけれども、十月一日から豚肉は自由化になりましたので、いま牛肉が引き続きIQ物資なものですから、牛肉の割り当て商社十六社で構成されておるわけです。  先ほど来お話がございましたけれども、牛肉の輸入は民間貿易と事業団の輸入と二つでやっておるわけでございますけれども、民間貿易のほうは、全肉連という小売り屋さん団体と、市場共同株式会社という全国十四市場から構成されておる人たちと、ハム・ソー・メーカー、それからかん詰めの原料、これはそれぞれ原料なのですが、この四団体に売ることになっているのでございます。したがって、この民間貿易の売り先というものは固定化されておりますが、最近のごとく輸入牛肉が非常にクローズアップされてきまして、また同時に、国内の牛肉の需要も非常に拡大しておるときに新しい需要先、先ほど局長もおっしゃったように、大量販売店、スーパーであるとかデパートであるとか生協であるとかその他消費者団体、この人たちが輸入牛肉をそのまま大量に安く売りたい、そういう希望が最近出てきておるわけでございます。そうすると、その人たちに売るにはやはり事業団の――民貿が先ほど申し上げましたように固定化しておりますから、そちらのほうから売っていかなければならない。したがって、商社は、やはり与えられた商品の売り上げの拡大と、同時に需要の開拓に日夜頭を悩ましているわけでございますけれども、やはり割り当て物資であるということにおいては、需要が拡大しているときには、ややもすれば、従来の買い先にできるだけ物を売るということに力を注ぐ傾向がございますので、その点、事業団のほうの割り当ては、今後新しい大量販売店あるいは消費者団体、そういうふうなほうに持っていけということに指導していただけば、やはり輸入牛肉が効果的に安く売られる、そういうことになりまして、需給調整及び価格安定効果を果たすんではないかと思います。
  74. 小林進

    小林委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に対する質問は、時間の関係で十分ではありませんでしたので、後日またおいでを願って、さらに国民の疑惑を解明していただく場合もあるかと存じます。  本日は、まことにありがとうございました。本問題の今後の調査参考になりましたことを申し添えて、ここに委員会を代表してお礼を申し上げます。
  75. 小林進

    小林委員長 引き続き質疑を行ないます。有島重武君。
  76. 有島重武

    ○有島委員 七〇年代に入りまして、あらゆる問題について意識転換をしなければならない、そういうことがいわれておるわけでございますが、その中でもわが国経済の方向が、いままでの成長一点ばりの経済の行き方でもってよろしいかどうかということが、きびしく問われているんだと思います。   〔委員長退席、武部委員長代理着席〕 そして、このたびのドル・ショックをめぐって、これがまた、どうしても何か具体的な踏み出しをしなければならない、そういう状態に追い詰められていると思うわけであります。  この中でも、日本の基幹産業であります鉄について、最近鉄鋼の不況カルテルという問題が騒がれております。それで、いままで大体毎年一五%アップしておったのが、ことし初めて少し下ったということになっております。それに対して、いま政府景気の浮揚対策をする。何か、いままでの設備投資がストップしないようなふうに食いとめられないかというのが、これが通産省のお考えであります。通産省としては、全体的な日本経済ということよりも、業界を守っていくという姿勢は、これは当然であると思われます。それで、経済全体をコントロールなさっていらっしゃる経済企画庁としては、今後日本の基幹産業である鉄を、だんだん押え込んでいく方向にすべきなのか、あるいは設備投資した分はあまりへこまないように、それをフル回転させていくべきだとお考えになっているのか、その辺の御判断から伺っていきたいと思います。
  77. 木村俊夫

    木村国務大臣 鉄鋼生産、またその需給の見通しについて、確たることを申し上げるのはなかなか困難だと思います。いま現在日本の鉄鋼の生産力に比べまして、昭和四十六年に入りまして、輸出その他の影響から非常に設備能力を下回る操業を続けて、私ども試算では、昭和四十六年度見通しにおきまして、生産能力に対して約七〇%の需要ではないか、こういう見通しをしております。  そうなりますと、この鉄鋼生産についてそれだけ生産性が低下するわけですから、価格の問題にも響いてまいりましょうし、そういう面から申しまして、先ほど御指摘になりましたとおり、これからの日本経済政策の転換期でもございます。ただ、輸出第一主義でこれを海外に売りまくるということもなかなかむずかしいだろうと思いますが、その反面、また政府固定資本というものをこれからそのシェアを拡大していくのも、また日本のこれからの経済政策あり方でもあると思います。そういう面におきまして、設備投資あるいは公共投資、これを今後どういうシェアでもって経済運営をしていくかということにつきましては、私ども経済企画庁が長期見通しを立てるべきだということで、御承知のとおり、新経済社会発展計画を改定するべく、いまその補正の準備作業に着手した段階でございます。そういう中で、将来あるべき鉄鋼生産力をどう一体見通すかということが、具体的に数字となってあらわれてくるであろうと思います。  そこで、現実の問題としましては、そういうことを背景にしまして、粗鋼問題について不況カルテルをつくりたいという申請があることも聞いております。通産省におきましては、これを勧告操短にすることを避けまして、不況カルテルでいくべきではないかというような意見を持っておるようでございますが、これはまことに妥当な意見であろうと私は思います。ただ、この問題は、もちろん独禁法によって公取委員会が判断すべき問題でございます。その問題について経企庁といたしましては、公取委員会に厳正な裁断をひとつしてもらいまして、消費者あるいは他の事業者が不当な不利益をこうむらないようにしてほしい、こういうことが、今度起こっております粗鋼の不況カルテルに対する経済企画庁としての態度でございます。
  78. 有島重武

    ○有島委員 後段のカルテルのこまかい問題は、またあとで伺います。  それから、新経済社会発展計画には手直しをするというお話でございます。そのこまかい数字については専門の方々がなさると思うのですが、大ざっぱな見通しとして、これから減産に向かっていくという方向づけをおつけになったのかどうか、その点、大きい方向だけ伺いたい。
  79. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 鉄鋼の今後における生産の見込みにつきまして、いま御指摘の新経済社会発展計画の作業段階で、これは産業関係の部会の作業でございましたが、五十年度に一億五千万トンというような数字が出て、だいぶ議論を呼んだことは御承知のとおりでございます。それから、その前に新全国総合開発計画、この作業の段階でも、六十年度一億六千万トンくらいの数字が出ております。両計画ではかなり差もございますが、いずれにいたしましても、今後におけるわが国の成長ということをある程度の水準で考えてまいりまして、それに応じた各種の生産の見込みということをとってまいりますと、ただいま申しましたような、長期的にはかなり大きな数字が出てくるという作業もあるわけでございます。しかし一方では、最近におきまするところの不況の影響等から見まして、そういった形での非常に大きな数字が期待できるかどうかということも非常に問題になっておるのも事実でございます。何と申しましても、今後においてわが国が、ますます重化学工業化の傾向を高めていくようなかっこうに持っていくのか、あるいはいわれておりますように、情報産業とかその他いろいろの、物の生産からそれ以外のものにもう少しウエートを置いたような経済構造に持っていくのか、その程度はどうかというようなことによって、この辺の数字が、いろいろ見通しが変わってくると思うのでございます。  そういう点が、いま大臣もお話がございましたように、新経済社会発展計画の見直し作業ということでいろいろ検討が行なわれておるわけでございます。いずれにいたしましても、新経済社会発展計画の部会で一ぺん議論になりました一億五千万トンというような数字にはならないのではないか、こういうふうに私は思っておりますが、それがどのくらいのことに持っていくか、これは全体としてのこれからの作業の結果としてある程度出てくるというふうに御理解願いたいと思います。
  80. 有島重武

    ○有島委員 長官に伺っておりますのは、この作業させる云々の一つ以前の問題ですね。政府姿勢として、四十五年の九千二百三十万トンですか、こうしたものをさらに上げていく方向にするのか、下げていく方向にするのか、あるいは横ばいにするのか、そういった大ざっぱなこともいまはわからないのですか。それとも大体その方向性だけは、どのようにいま考えていらっしゃるのか、それだけいま承っておきたいと思います。
  81. 木村俊夫

    木村国務大臣 具体的な数字は別といたしまして、大ざっぱなところ、いまの設備、非常に過剰ではございますが、これを今後減産体制に持っていくことは望ましくない、こう考えます。ただ、それを適正な規模で今後生産力をどう発揮させていくかということについては、先ほど局長からお答えいたしましたとおり、今後の経済政策全般からその規模を算出していきたい、こう考えております。
  82. 有島重武

    ○有島委員 減産には持っていきたくない、今年度の落ち込みもやがてカバーするであろう、復元するであろうというようなお話なんですね。その方向はわかりました。  カルテルの問題でございますけれども、これ、いろいろに取りざたされておりますので、公正取引委員会とそれから通産省のほうとに分けて、先に通産省のほうに伺いたいのですけれども公正取引委員会のほうでは以前から、勧告操短というのが、これはカルテルの隠れみのになるんだから望ましくないということは、ずっと言っておったわけですね。それで、このたび通産省としては、勧告操短のお話は出ておらないようですけれども、勧告操短もしくは個別の勧告操短というようなことは、万が一にもなさるお考えは全然ないのであるかどうか、これは確かめておきたいと思うのですけれども……。
  83. 勝谷保

    ○勝谷説明員 お答えいたします。  現時点では、私どもは、公正取引委員会に業界としては不況カルテルを申請するように指導いたしておりますので、公正取引委員会から協議がございましたらば、私どもの見解を述べて助言をいたしたいと思っております。したがいまして、現時点では、通産省としては不況カルテルの結成に全力をあげたいということでございます。それ以外の考えは、現時点ではございません。
  84. 有島重武

    ○有島委員 現時点ではございませんというお話でございますけれども、勧告操短、それから個別の勧告操短の考えはないと、そうみんな判断してよろしいわけですか。簡単に……。
  85. 勝谷保

    ○勝谷説明員 現在の諸条件のもとでは考えていないということでございまして、将来どういう事態に対してどういうことをするかということまで、この時点でお約束はできないということでございます。  現時点ではない、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
  86. 有島重武

    ○有島委員 わかりました。すると、将来可能性があるということも考え得るというようなお含みを持っていらっしゃるわけですか。
  87. 勝谷保

    ○勝谷説明員 従来二回にわたっていたした経緯もございますし、今後全くないということをここで断言するのもおかしゅうございますので、私としては、現時点では考えていないということを申し上げるしかお答えするやり方がないのでございますけれども、先生のおっしゃる意味が、何か両刀使いでもやっているのかというお考えでございますれば、そういうことはございません。不況カルテル結成に全力をあげて業界並びに通産省は進んでおります。
  88. 有島重武

    ○有島委員 公正取引委員長に伺いたいのですけれども、粗鋼であっても減産するためのカルテルは法律上不可能でないというような、そういった意味の御発言であったのではないかと思います。それがいろんなふうにとられて、新しい拡大解釈であるというような報道もございました。その真相をひとつ承っておきたいと思います。
  89. 谷村裕

    ○谷村政府委員 こういう機会をかりまして、やや法律論でございますが、私ども考え方を述べさしていただくことができますことは、私はたいへんありがたいことだと思っております。  と申しますのは、非常に何か独禁法を曲げたとか、非常に弾力的になったとか、あるいはひどいのになりますと、何か風穴があいたようなことを書いたような報道ぶりもあったんでございますが、公正取引委員会としては、決して法律的な論議を曲げたり、あるいは私どもの、先ほど企画庁長官も述べられたような、独禁法についての厳正な態度をくずすというふうな実態は、全然ないわけでございます。  それをいま申し上げますと、独禁法の二十四条の三というのが、不況カルテルを特に公取が一定の要件のもとに一定の程度認可した場合には、それはいわゆる独禁法にいう不当な取引制限の適用除外になるのだ、こうしているわけでございます。ですから、本来ならばいけないカルテルが、不況という要件のときに限ってよろしくなるわけでございます。そしてそれは、先ほど言われたように厳正にしなければならない。  そこで、まず粗鋼の減産ということを内容とするカルテルでございますが、御承知のように二十四条の三の第一項では、いかなるときに不況カルテルということができるかということが書いてございます。そうして第二項に、どういう内容のことができるかということが書いてございます。で、いかなるときに不況の要件を考えるかということは、商品の面で見ることに書いてございます。特定の商品の需給が不均衡になりとか、あるいはそういう当該商品の価格が平均生産費を下回るとか、すべて不況要件の判断は商品ですることになっております。  したがいまして、鉄鋼の場合には、粗鋼という商品が不況になったということはこれはないわけでございまして、粗鋼はあくまで中間製品でございますから、商品ではございません。しかし、粗鋼からつくられますところの、たとえば板物でありますとかあるいは形鋼でありますとか、その他そういった普通鋼鋼材の製品の価格、その他不況要件というものがあるかどうかということは、これは二十四条の三第一項に従って、そういう商品についてまず見ることができると思うのです。  そして、その際にいかなることをすることができるかということは、今度は第二項のほうでございまして、これは販売数量あるいは生産設備というようなこともいっておりますが、「に係る共同行為」と、こう書いてございます。「係る共同行為」とは何であるかというときに、それぞれの商品の、たとえば生産制限をするということもございましょう。あるいはまた、その生産に非常な大きな因果関係を持つ中間製品の段階で調整をするということも、「係る共同行為」の手段の問題として考えられる。こういうのが私ども公正取引委員会の解釈でございまして、従来ともその解釈は、表に出る機会がなかっただけであります。  というのは、先ほどお話がありましたように、勧告操短ということ、粗鋼による減産という、そういうカルテルの申請がいままでなかったわけでありますから、私どものほうにも、そういうことを私どものほうで扱うことについての表明はする機会がなかったんでございますけれども、決して粗鋼を商品と見たとか考え方を変えたとか、そんな話ではなくて、手段の問題として粗鋼を使うことができるかどうかというその問題としては、私どものいまの法律の論議の上に立って申し上げましたようなことを考えていたわけでございます。  そのことは、逆のことを一つ申し上げさしていただきたいと思います。すなわち、悪いカルテル、カルテルをやっちゃいかぬといっておりますときに、粗鋼減産をみんなが申し合わせてやったといたします。それはまさしく私どもが見ると第三条違反、不当な取引制限をしているということになるとせざるを得ない。なぜかといえば、それは粗鋼を締めることによって、粗鋼からつくられるところの商品の一定の取引分野における競争を制限することになるから、したがっていけない。これは二条の六項に、不当な取引制限とは何であるかということが書いてございますが、そのときはかくかく、かくかくの手段をとることにより、一定の取引分野における競争制限をするというのが不当な取引制限であるといっております。その一定の取引分野における競争の制限というのは個個の商品について見るわけでございますけれども、それに甚大な影響を及ぼすところの粗鋼の減産を単に申し合わせだけでやるということになれば、当然第三条違反であるという解釈になっておりますから、不況カルテルはまさにそれに対応する形のものになるわけでございます。  ただし、それについてはあとから御質問もあろうかと思いますが、その生産を落とすということと、その目的としている不況商品の不況克服に必要な程度、限度、それとの関係を見なければ、粗鋼だけのための減産ということではなく、商品のための不況の克服のために粗鋼という手段をとるわけでありますから、したがって、その因果関係の強さ、弱さ、程度の問題、それは確かに重要な因子になると思います。  一応ここまで申し上げて、さらにもし御質問があればお答え申し上げるつもりでおります。
  90. 有島重武

    ○有島委員 後段のお話でたいへんよくわかりましたけれども、独禁法の二十四条の三、ここに「特定の商品の需給が著しく均衡を失したため」に「その商品を生産する」――「その商品」というのがございますね。いまのお話でまいりますと、レールであるとか丸棒であるとか薄板、厚板、そういった商品についてももちろんやるけれども、それ以外に、それプラス粗鋼についても、粗鋼は別に商品でないのだから、ここで話し合いをしてもよかろうというようなことは許さない、いままでよりもよりきびしくしていいんだ、そういうふうにおっしゃった、そう受け取ってよろしゅうございますか。
  91. 谷村裕

    ○谷村政府委員 三条にいうところの不当な取引制限、したがって、それは第二条の六項に掲げられている定義、何々等相互に拘束し合ったりして何々する行為が一定の取引分野において競争を制限するという結果を招来する場合には、たとえばそれが最終末端製品でなくても、その末端製品をつくるために非常に大きな影響を及ぼすところの段階のものであっても、やはりそれはいけない。   〔武部委員長代理退席、竹内委員長代理着席〕 要するに、申し合わせしたりして何かするその行動それ自体は商品とは無関係、その商品というものは、最終的に競争制限を受けることとなる商品であります。そういう関係にあるというふうに御了解いただければ、したがって、従来公取が、たとえ通産省が行政指導ということをなさっておっても、粗鋼の減産をなさることは独禁法に触れますからということを申し上げていたのは、まさにそこにあったというふうに御理解いただければ幸いだと存じます。
  92. 有島重武

    ○有島委員 大ざっぱに申しまして、いままでよりか拡大解釈をして穴があいたということではなしに、いままでどおりの運用はする、それ以外にもう一つきびしくなったんだ、そういうお話になりますか。
  93. 谷村裕

    ○谷村政府委員 いままでよりきびしくはなっておりません。いままでと同じ考え方でございます。  いままででも二条六項の解釈――不況カルテルのほうを申しているんではございません。生産制限を粗鋼の段階で業者が申し合わせをもってやったとしたならば、やはり独禁法違反であるという見解は、従来も私どもはとっておったわけでございます。ただし、従来の勧告操短というやり方については、これは個別に勧告しておって、業者同士の間の相互拘束なり相互の話し合いがないじゃないか、いやあるかもしれぬとか、そういう議論があったことは御承知かと思いますが、少なくとも業者段階で、業者だけが自分たちの話し合いで粗鋼減産を実行いたしましたならば、それは私どもはやはり独禁法違反になる、これは二条六項からするところの解釈でございます。
  94. 有島重武

    ○有島委員 わかりました。  そういたしまして、今度、まだ業界からはそちらに直接は来なかったんじゃないかと思いますけれども、万が一来たといたしますね。それで、これは不況カルテルを許可するような事態になるかもしれない、ならないかもしれない。もしなったときに、このカルテルをもし許すということになれば、そこに当然配当であるとか、経費をどこからどういうふうにするとか、そういう条件がつくべきであろう、そう思われますけれども、そういう条件についてはどうなりますか。
  95. 谷村裕

    ○谷村政府委員 私どもは法律によって、不況を克服しようと思っている当該商品の販売価格と申しますか、その事業者が売っている価格が生産費をとうてい償えないような状態になっているかどうか、そしてまた、相当部分の事業者が事業の継続ができないというふうなそういう姿になっておるかどうか、さらにまた、不況を克服するに必要な程度を越えていないかどうか、あるいはまた他の事業者、一般消費者等に対する影響はどうか等等を実態的に審査することになるわけでございまして、有島委員も非常に慎重におっしゃいましたように、まだどっちともいまの段階で申し上げるわけにいかないのでありますが、かりに私どもが審査をするときにどういう態度で臨むかと申しますと、やはり私は実態を見ることが大事だというふうに思います。そして、確かに配当の問題あるいは重役賞与の問題、さらに言うなれば、たとえばむしろ月給も少し返上するといったようなそんな問題、あるいは交際費の問題、宣伝費の問題等等もございましょう。しかし、それは全体としての経理を見るという中の一つになってくるわけでございまして、従来の、私が事務局からも聞いております、不況カルテルを認めましたときに、一切無配にしろとかそういう条件をつけていたかというと、さようなことはしておりませんで、事実無配のところもあり、あるいは配当を継続したままやったところもあり、あるいは配当を減らしてやったところもあり、重役賞与をすっかり返上してしまったところもありというふうな、いろいろな姿があるようでございます。   〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕 これは私は、経理の実態と申しますよりは、むしろ企業のビヘービアの問題であろうかと思います。もちろん、二割配当をしておりながら何だというような御批判は、これはあるかもしれませんけれども、配当をどの程度にするか、しかもその期の配当を、前期からのたとえば積み立て金をくずして配当するのがいいかどうかというふうな、これは個別の企業のいわば配当政策、経理政策の問題であろうかというふうにも思われますので――もちろん水増しの架空決算なんかしたら、これは大蔵省のほうからしかられると思われますが、そうでない限り、私どもは企業のビヘービアの問題として、世間さまに対しあるいは自分の実態として合理化をこの程度にしなければならぬというふうな、そういうことはあると思いますけれども、配当をしておったらいかぬとか、重役の賞与、月給も引かなければいかぬとか、さような条件というものは、私の聞いておりますところでは、過去においてもやっていなかったというふうに申し上げられると思います。
  96. 有島重武

    ○有島委員 それから、相当部分ということがございました。これも何かいろいろ取りざたされていたようで、これが大体五〇%なのか七〇%なのかというような話があったようでございます。これについては「当該事業者の相当部分の事業の継続が困難となるに至る」こうした問題ですね、それについての御見解は、いままでの例として一般的にどういうことになっておりますでしょうか。
  97. 谷村裕

    ○谷村政府委員 この場合に従来私どもがとってまいりました態度は、事業者の数で見るという場合もございましょうけれども、また場合によれば見方を変えまして、生産力と申しますか、さっき企画庁長官からもそういうようなことに触れてのお話がございましたが、事業者全体として見て、ある程度の生産力、あるいは生産能力といってもいいかもしれませんが、それが国として必要な程度を割ってしまってばたばたいくようなときになりますと、やはりそれを「相当部分」という、物量的に考えることもできるのではないか、そういうような考え方があったようでございます。その「相当部分」が五〇であるか七〇であるかというふうなことは、私ども申したことはございませんで、それは実態に即して個別のケース、ケースによってもちろん見ていくということになりますが、もし新聞でパーセンテージの話がかりに出ていたとすれば、それはむしろ必要の程度、粗鋼と商品との結びつきの関係をどの程度と見るかというときに触れた問題ではなかったかと思います。「相当部分」というところの問題でそういうふうな数字が新聞に出たのは、私はちょっと記憶いたしておりません。ただ「相当部分」が何%と思っているかということについては、これはやはりその業界あるいはその商品生産等との関連において個別的、具体的に、やはりこの問題としては判断していくことになると思います。
  98. 有島重武

    ○有島委員 企画庁長官にいまお願いしておくわけでございますけれども、これも世間の取りざたといえばそれまででございますけれども、大体大手六社、これが八〇%を占めておる。その筆頭である新日鉄、特に旧八幡というところは、これは通産省と非常に関係の強いところである、そういういまの事態でございますね。そういう中でもってこういった話が起こっておる。これが形式上の手続は踏んでいるわけでありますけれども、鉄鋼業界は非常に強いわけでございますから、これが不当な圧力にならないように見守っていただきたいと思うわけでございますが、御所見を承りたいと思います。
  99. 木村俊夫

    木村国務大臣 経済企画庁といたしましては、経済運営全般もさることながら、やはり消費者の立場に立ってこの問題を取り扱うのは当然のことでございます。これは一にかかって公取委員会を信頼して、その公正な処理に依存するということ以外にないと思います。その点は、どうぞ御心配ないようにお願いしたいと思います。
  100. 有島重武

    ○有島委員 次の問題に入ります。  先ほど来企画庁長官は、たいへん前向きの御決意を述べておるように思いますけれども、せんだって、十一月の六日でございましたか、第十回全国消費者総決起大会というのがございました。そこでいろいろな決議がなされたわけでございますけれども、そうした報告は当然受けていらっしゃるのじゃないかと思います。これに対しての御所見だけ、まず承っておきたいと思います。
  101. 木村俊夫

    木村国務大臣 消費者総決起大会、その決議等も私いただきました。それから、いまの消費者物価が、現在の国民の日常生活にとってたいへんな問題になっておるということからするその要請なり御要望なりは、私ども痛切にはだで感じております。そういう意味におきまして、先ほどからるる申し上げておりますとおり、既往のことについての政策的反省も含めまして、今後の消費者物価の安定については、政府の立場として最大限の努力をしてまいりたい、こういう決意でございます。
  102. 有島重武

    ○有島委員 ずいぶんたくさんの決議がございましたけれども、これは一々、今後私たちも検討して、お話をしていきたいと思いますけれども国民選好調査で明らかになっておりますが、日常の物価上昇で困っておるのは食料だ、これは七〇%になっているわけでございますが、先ほどからお話しございましたように、生鮮食料品がたいへんな日常の影響力を持っているわけであります。先ほど松浦委員からいろいろお話がございましたからそれに関連的になりますけれども、先ほど長官が、野菜というものについての位置づけというものが、従来食品といえば米に片寄っておった、今後野菜というものの重要性も十分見直していかなければならないとおっしゃいましたね。それで、野菜に対する措置の予算というものは二十五億であった。これも今後どのくらいになさるか。その金額も概算要求を出されておると思いますけれども、これはお米のことなんかを考えますと、五千億から使っている。これに対して二十五億ですから、二百分の一にしかならない。当然二百億ないしはもっとになるのか、大体のけたをどのように考えていらっしゃるか、それを承っておきたい。
  103. 木村俊夫

    木村国務大臣 予算をつけるから政策の効果があがるとも私は考えません。しかしながら、どうしても農林省が野菜行政を、完ぺきにはいかなくとも、これなら国民としてはしんぼうできるという程度にまで高めるために、どうしてもやはり農林省自体が力を持たなければならない。そういう意味におきまして、私は予算のあと押しについてぜひ来年度の予算、農林省の特に生鮮食料品についての予算要求には、私ども政府全体としてあと押ししなければならない、こういう考え方でおります。  そこで、具体的にいま農林省が来年度の予算概算で要求しておりますのは約八千億、今年度の予算に比べると三・一二倍くらいになりましょう。たいへん大きな予算でございますが、私はそれでも足りないと思います。したがいまして、来年度野菜行政に対する考え方、これは魚介類も含めてでありますが、これはいままでと違った財源配分の考え方でやらなければならぬということを、すでに大蔵大臣に話をしております。また、これは政府全体の問題として、単に農林省の努力だけでなしに、内閣全体としてこれに取り組みたい、こういう考えでおります。
  104. 有島重武

    ○有島委員 先ほどからお話が出ておりましたように、需給のバランスの問題、天候の問題、それから流通機構の問題ということになっておりますが、いままでの野菜対策のお金の使い方ですね。その重点が一体どこにあったのかということが一つありますけれども野菜をつくっていらっしゃる方々にじかに伺ってみますと、野菜をつくっていくことにもう熱を入れなくなってしまう、そういった傾向が間々見られるわけです。特に問題になりましたのはキャベツですね。とれ過ぎて全部それを廃棄してしまったわけでありますけれども、それに対しての見返りのお金――幾らお金を払ってもいや気がさしてしまって、これは牛でも飼ったほうがいい。生産者自身がやっていこうという情熱を失ってしまうような、そういった政策は非常に問題ではないか。どうしたら喜んで生産者が生産に向かっていくか、こういうような問題が一番基本の問題になるのじゃないかと思います。  それで、生産者代表が直接卸売市場に来て卸売りすることは望ましいのかどうか、私どもは、これはこれでいいのじゃないかと思うのです。これは神田市場に例がございまして、マル英というのが全販連から出ておる。これに対しては、そんなことをすると八・五%のリベートがどうせまた生産者にいっちゃうのだから、消費者にとっては同じことじゃないかという議論があったようでございます。しかし、生産者に戻っていくならば生産者は喜ぶわけでありますから、喜んでつくってくれればいいのじゃないか。いまの荷受け人の方々、これが、生産にも消費にもあまり関係のない方がいらっしゃるわけです。これもまた、旧来の惰性のようなシステムになっているわけでございます。そういった考えをここで改めるということをお考えいただきたいと思うのです。  それからもう一つは、同じく荷受け人の中に今度は消費者サイド、地方自治団体が出資する、そういうことも望ましいのじゃないか。これは大阪の東部市場にその例がございます。こうした市場でございますね、これについて御所見を承りたいと思います。
  105. 木村俊夫

    木村国務大臣 詳しくはまた事務当局から説明をいたさせますが、いまお話のありましたとおり、現在の市場機能、これがたいへん問題があるということはもう御指摘のとおりでございます。今回の卸売市場法の改正によりまして、その面についての改善を相当行なうことになりましたが、まだまだそういう面で、非常に不足の点はございます。今回卸売市場法の改正によりまして、たとえば生産者と卸売り人との間の直結ということも考えております。相対取引できるようにということを考えております。そういう面の改善もございましょうし、また、いわゆるバイパスと申しましょうか、生産者消費者が直結するような生活協同組合の活動を中心とする形も、非常に強力になりつつございます。そういう面から、卸売市場法の改正を機会に、その面の改善がこれから具体的に進むだろうということは申すことができると思います。  なお、具体的なことについては、農林省その他から御説明いたしたいと思います。
  106. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 大体いま大臣の御答弁で尽きておるように思うのでございますが、若干具体例を申し上げてみますと、一つは、卸売市場の機能に関連いたしまして、生産者団体が市場に関与してくるということ、あるいは荷受け人のほうが、もっと生産地のほうに対して需給調整機能を居たすというようなことが考えられないか、この点は、昨年物価安定政策会議におきまして取り上げました野菜の提言という問題でも、実は問題になったところでございます。今回の卸売市場法の改正に伴いまして新しい業務規程がつくられるわけでございますが、できるだけそういった方向に指導をしていってもらいたい、こういうことを私ども考えております。なお、近くまた物価安定政策会議の第一調査部会としての緊急提言ということを考えておりますが、その際にも、こういった点についてもう少し具体的なことを言っていただきたいと思っておる次第でございます。  それから、消費者サイドの方々がいろいろの形で市場に影響を及ぼしてくる。特に地方公共団体の出資する法人のようなものが入ってくるというようなことが、大阪で具体的事例があるわけでございますが、こういったことも、言ってみればルートの多様化、あるいは消費者サイドにおきますところの買参人その他の力が大きくなってくるというような面から、今後ともこういった買参人の資格等につきましても、今度の卸売市場法の改正に伴いましていろいろ改善されることになっております。そういったものを一環として考えていくべきではないか、こう思っておる次第でございます。
  107. 有島重武

    ○有島委員 先ほど野菜供給事業団の構想の話がございましたけれども、いまでも需給見通しというようなものが示される。大体農家がそれを知っておるかというと、農家はほとんどそれを知らないわけであります。ですから、この前、群馬県のキャベツのようなことも起こりました。これをもっと、一つの計画を立てたならばそれを徹底しなければならないのじゃないか。もう一面には、決定されたその計画というのが非常に信用がなくて、この反対をやればうまくいくんだなんて、そういうことをまたいわれております。  それで野菜生産出荷安定法、これが安定的な供給をはかるために産地と指定の大型消費地とを結びつける。ところが、これが実際にはスムーズに働いていないわけですね。それで、これをどうしても産地にいる仲買い人がなぐり込みをかけてしまう。実際にこれが何%ぐらい行なわれておるか。場所にもよりましょうけれども、ひどいところは一割もそういうことが行なわれていない。そういう実態もあるわけであります。こうした問題について、幾ら法律をつくっても、あるいはお金をかけて市場の建物なんかをりっぱにしても、つくったこういったものが行なわれていない。こういった実態に対しては一体どうなさろうというおつもりなのか、これを承っておきたい。
  108. 荒勝巖

    荒勝政府委員 お答えいたします。  野菜生産安定法第三条に基づきまして、政府といたしまして、野菜の種類ごとにまた消費地ごとに具体的に、ただいま現在では四十九年度の需要の見込みを立てまして、その供給見込みを立てまして、それに基づいて指定産地を指定いたしまして生産の振興をはかっている次第でございます。各指定消費地の総需要量に対しまして、指定産地から供給される野菜の量をおおむね六割ぐらいというふうにおきまして、それに向かって指定産地制度を指定している次第でございます。そのほかの地域から、いわゆる指定産地以外の地域から指定されるものも四割前後はあるということで、そういったことで一〇〇%の達成率ができることをわれわれは期待している次第でございます。  さらに、その指定産地から指定消費地域へ出荷される野菜につきまして、現在、たとえばキャベツならキャベツというものを例にとりましても、おおむねこの出荷割合というものは、目標に向かいまして五、六割前後まで至っておるわけでございまして、特に指定産地の中で、この指定の要件でありますところの二分の一以上を目的の指定消費地域へ出荷するということにつきましては、おおむね出荷は守られているわけでございますが、ただ大都市近郊で、われわれのところで五、六年前に指定いたしました地域が、多少指定産地としての要件が欠けるようなかっこうで、都市化の波に洗われまして逐次消滅的になってきているということで、われわれといたしましては、今後都市近郊の産地よりも中距離圏あるいはさらに遠距離圏に指定産地を求めまして、今後産地の育成をはかってまいりたいと思います。  先ほどお答えいたしましたように、こういう大都市近郊で最近指定いたしました産地におきましては、従来の指定の要件であります二分の一の共同出荷ということがまだ十分体制が整っておりませんが、それにつきましては、需給バランスを合わせて、需要量に対する供給量の需給バランスさえ合うならば、ある程度こういう共同出荷体制というものは今後逐次育成されていくんではなかろうかということで、県、農業団体を中心といたしまして共同出荷体制というものを今後さらに指導強化してまいりたい、こういうように思っている次第でございます。
  109. 木村俊夫

    木村国務大臣 いま農林省当局から申し上げましたが、先ほど有島さん御指摘になりました、この夏のキャベツ廃棄処分、あれなんかは、私は蔬菜農民の心理に非常に大きな影響を与えていると思います。そこで、予算をつけてこういう政策を実行するにしましても、やはり血の通った予算を執行してもらわなければならない。それは確かに国民の税金を使うのですから、でたらめなことはもちろんできませんが、たとえば仲買い人に売ればすぐ現金が入る。農協等を通ずると一カ月かかる。この辺に農民心理の微妙な点もあると思います。そういう点もよくひとつ農林省に研究してもらって、血の通うような生産行政といいますか、そういうようなことをやってもらった上でひとつうんと予算を使ってもらうということでなければならぬと思います。一言だけ申し上げます。
  110. 有島重武

    ○有島委員 ここでもって休憩さしていただいて、後ほどまた続行させていただきたいと思います。
  111. 小林進

    小林委員長 午後三時再開することとし、この際、暫時休憩をいたします。    午後一時三十四分休憩      ――――◇―――――    午後三時十一分開議
  112. 小林進

    小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。有島重武君。
  113. 有島重武

    ○有島委員 今後の政治の一つの焦点として都市問題があるわけであります。都市政策のいろいろな焦点がございますけれども、現在非常に騒がれておりますのがごみの問題、これについて、一つにはごみをどう処理しようかということで非常に騒いでおりますけれども、そのごみは一体どこから出てくるのか。それは家庭から出てくるんだけれども、その前に生産過程があるわけでございます。そして、その生産をあおっているようないまの一つ経済の方向というものがあろうかと思うのです。こうした消費生活、これが正常なのか異常なのか。いままではほとんど無意識に来た問題でございますけれども、やはりここでもって大きく意識転換をしなければならないんじゃないか。そういったことから、現在ごみ戦争といわれてあちこちで騒いでおる。あるいは世界の各主要都市から来て会談をしておる。こういったことについて経済企画庁長官の御所見を承っておきたい、そういうわけであります。
  114. 木村俊夫

    木村国務大臣 ごみ問題、たいへんいま大きな問題になっておりますが、その処理については、なわ張りではございませんで、厚生省とか環境庁で所管をしておりますが、国民生活全般ということからいえば、私どものほうとしても関心を持たざるを得ない問題でございます。  一般の家庭から出る廃棄物、それから産業から排出される産業廃棄物、この二通りあると思いますが、先般国会を通りました法律によって、一般廃棄物は地方の公共団体が処理をする、産業廃棄物はその排出者である産業が責任を持つ、こういうような一応の区分はできておりますが、いずれの責任にしろ、おそらく数年後にはこのごみ問題がわれわれの日常生活の、最大は少しオーバーかもしれませんが、大きな問題になるであろうということは、これは否定できないと思います。  そこで、そのごみが出る結果でなしに、ごみを出すまでのいろいろなプロセスなり考え方、これはいま御指摘になりましたように、すでに工場から出て消費者の手に移る段階の問題もございましょうし、また、その製造段階におけるごみの処理、いろいろな段階がございましょうから、まず、ごみの処理については、製造段階において、ごみをできるだけ技術開発によってそういうものが出ないようにするような方法はないものか、あるいはまた、出たあとのそれを一つの廃物利用と申しますか、有益な方面にこれを処理するような方法はないものか。プラスチックの廃棄物のごときはまさにそういう段階で、いま通産省でいろいろ技術開発検討しているわけでございますが、それ以外に、もっとわれわれの生活に非常に近い面で贈答品、これがたいへん過剰の包装紙といいますか、こういうものが案外われわれの日常生活において、家庭廃棄物としてごみ問題を惹起しておる面も相当大きいと思います。こういう問題については、われわれ家庭の消費者の嗜好もございましょう。あるいは贈答品においては、そういうものこそ贈答品としてふさわしいというような、われわれ消費者自身考え方にもよるでしょうが、もうこの際でございますから、そういうような消費者の嗜好面についても相当反省しなければなりませんし、また商業主義という面についても私どもはそれに改善を行なうように、これは統制経済じゃございませんのでそういう強制はできませんが、そういう面の消費生活における行政指導もこれから強めていかなければならない、こう考えておるわけでございます。
  115. 有島重武

    ○有島委員 厚生省の方来ておられるそうですけれども、現在、大体五大都市におけるごみの量ですね、それから、その処理のために使っているお金は大体どのくらいの見当ですか。
  116. 山中和

    ○山中説明員 ただいまの、五大市という御質問でございますが、まず、全国で一日に大体七万トンのごみが出ております。五大市というのは、特別市七つございますので、七大市でちょうど三分の一の二万三千トン、一日に出ております。  これに対しまして、このごみの処理施設、おもに焼却炉でございますが、焼却炉の予算として国で補助金として出している額が、四十六年度十五億でございます。それから、現在粗大ごみが出てまいりまして、粗大ごみを破砕しあるいは粉砕するということで、それを大きな都市に設置するということで、そのほかに一億の予算を組んでございます。あと公共投資としまして、起債その他市町村の持ち出しということでやっております。
  117. 有島重武

    ○有島委員 国として十五億だ、それから粗大ごみの粉砕が一億だ、そういうことでございますけれども、それじゃこの七大都市自身がどのくらいのお金を使っていますか。
  118. 山中和

    ○山中説明員 申しわけありませんが、七大都市の資料、ちょっと持ち合わせがございませんので、総額を申し上げられません。
  119. 有島重武

    ○有島委員 長官、私は東京都で聞きましたけれども日本全国で七万トンだというのですが、東京で一日に一万三千トン。ですから、大体年間五百万トン程度、四百七十万トン出るわけであります。このごみ処理に使っております四十六年度の予算が二百三十七億九千万円。そういたしますと、いま石炭一トンでもって大体四千円くらいだと思うのですけれども、ごみ一トン処理するのに五千円くらい使っているわけです。いま国として出しているお金はそんなところかもしれないけれども、実際に国民が処理に使っている金はこれだけあるわけであります。  それからまた、それを見に行ってみますと、まだまだ使えるようなもの、包装もですけれども、テレビやそれから電気洗たく機やオートバイや車、そういったものですね、それからビニール、全部ごちゃまぜに入っているわけです。そういったような状態を、これはいままではうちの所管ではなかったかもしれないが、今後どうなさるおつもりか。これは国でもってしっかり方針を打ち出して考えていっていただかなければならない問題ではないか。地方自治のほうは、いろいろ考えましても、これは権限がないわけでございます。ですから、住民運動のようなことでもって消費者サイドのほうから、むしろ包み紙なんかはあまり使わせないという運動もあちらこちらで起こっているようでございますけれども、国としての施策を強化しなければならない、そういうふうに私は思うのであります。いかがですか。
  120. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 確かに御指摘のように、非常に大きな問題でございます。私どものほうの立場といたしましても、やはりこれは経済の構造そのものに由来する問題が大きい。つまり大量生産、大量消費というようなかっこうで、今後ともこれがどんどん成長を続けていったならば、推定されるごみの量というのは非常に大きな量になってしまって、生態学的な面からいいましても、そうまでいかなくてもたいへんな問題になるということは明らかなわけでございます。したがいまして、一方では、先ほど長官からお答えございましたように、現在法律的にも整備されました廃棄物処理法、これに基づきまして環境庁のほうが母体となっての計画をつくっていただくわけでございますが、それで処理をしていくということが現実的な解決方法ではありますけれども、同時に、もう少し広い目でこの問題を扱っていかなければならないだろうということで、実は消費者保護会議のほうでもこの点が議論になりまして、特に一般の家庭において消費されますものについての過大包装の問題、こういったことは何かひとつ行政的に取り組んでいこうではないかということで、いま実は環境庁のほうとも御相談しながら、この辺についての対策検討中でございます。  全般といたしましては、やはり産業、家庭を通じまして廃棄物を徹底的に減らしていく。そのためには一体どういう仕組みが要るか。たとえばプラスチックなんかの場合には、これをある程度使用すればそれに応じたように負担をかけるというようなことによって、マーケットメカニズムを使いながらなおかつ量を減らそうというような試みも、アメリカあたりでは出てきておるようでございます。そういったいろいろの考え方があり得ると思いますけれども、ともかく関係各省力を合わせてこれは取り組んでいかなければならない問題である。われわれといたしましても、国民生活という立場からこういう問題につきまして、ただいま申しましたような形でいろいろ検討していきたい、こういうことをいまやっておるところでございます。
  121. 有島重武

    ○有島委員 先ほど申し上げましたけれども、そういった値段というのは、全部消費者の買いものの値段の中に含まれているわけですね。物価の問題で、これは上がると安定しろと言っているけれども、大きく下ざさえしているわけであります。これはほんとうに見のがすことができないであろうと思うわけでございます。  それで、最近は廃品回収業というものがあまりはやらないといいますか、やる方があまりいなくなってしまったわけですね。しかも、いま一番大切なのは、家庭から出るごみにせよ工場から出るものにせよ、それをある程度仕分けをして、これは合成樹脂系統のものである、これは金属系統のものである、これは繊維であるというふうに仕分けをする。どんな技術開発でありましょうとも、仕分けをするということがなければ、これは成り立たないのではないかと思うのです。通産省のほうで、あとのほうのプラスチックなんかの利用について開発なさっているお話も聞いておりますけれども、その前段階の民間企業ではこのごろはやってくれないけれども、ぜひやらなければならない。そういうものについては公営企業でこれはやらなければならない。これは原則であろうと思うのですね。廃品を回収して仕分けをするというようなことについて、これを公共事業としてやらざるを得ないんじゃないか、私は、これは実感としてそう思うのでございますけれども、いかがでございましょうか。
  122. 木村俊夫

    木村国務大臣 法律での区分を申し上げるわけではございませんが、一応こういうものは、もちろん最終的には国の責任でございますけれども、やはり日常生活に最も密着しておるのは地方公共団体でございます。国からの補助その他の助成方法は考えるといたしましても、やはりこれは地方公共団体が第一次責任を負ってもらうのが適切ではないかと思います。  ただ、いまいろいろお話がありました過大包装の問題にしましても、やはり私どもの日常の嗜好と申しますか選好と申しますか、やはりいまでも、実はわれわれ反省するのですが、何か贈答する場合におきましても、きれいな包装のものを贈りたがるというようなことが、なかなか抜け切れない習慣であろうと思うのです。こういう家庭習慣から改めていかないと、おそらくそれにつけ込んだ商業主義、当然これは営業としてはそういうものをつくるのは自然の勢いでございますし、また、そこまで国民の嗜好に政府が関与することもどうかというふうなことも考えられますので、これはおいおいそういうような考え方――もうごみ戦争になって、これはわれわれの責任で解決しなければならぬというような、消費者のそういう自覚と申しますか、そういうことを政府が主導するというのは少しおこがましいのですが、やはり行政指導の中で消費者保護という観点から、消費者に対する一つのPRといいますか、そういう面で考えていかなければならぬ時期ではないか、たいへん御不満ではあろうと思いますが、そのようなことしかお答えできないわけでございます。
  123. 有島重武

    ○有島委員 いま、やはりきれいなものは側で買うといいますか、そういった国民的嗜好だからと言われましたけれども、これはごく最近のことでございまして、経済の高度の成長ということに伴って起こってきたことである。むしろこれは、こうした嗜好そのものが政府によって主導されたものではないか、そう思わざるを得ない。こうなりますと、これはぜいたくになってしまったものをまた質素にするということは非常にむずかしいことかもしれませんけれども、しかし、これは政府がほんとうに責任を持って、こんなばかげたようなことがないようなことに、これは相当憎まれても努力しなければならないんじゃないかと私は思うわけです。  それから、ただいまの廃品回収などについての公営事業、これは第一次的に地方自治でもってやるのが当然かもしれません。けれども、そこにやはり相当財政の援助をしてやらなければ、これはできない問題です。いまいろいろな公団ができますね。廃品回収に関する公団みたいなものがもし計画されれば、これはいまでしたら、ほかの公団はみんなけしからぬと言うかもしれないけれども、こうした公団は、おそらく国民はみんな賛成するんじゃないですかね。ということは、やはり国民全体が望んでいることじゃないか、そう思うわけであります。  それからもう一つ、今度はさらに話がみみっちい話になるのですけれども、古着だとか古本だとか古道具ですね、こうしたものがやはりはやらなくなってきた。ほんのここ四、五年のことですがね。それで、全部使い捨てということが美徳にされていて、たまに災害でもございますと相当たくさんの物が集まってくると思うわけですが、そうでないと、人にそういうものをあげたらかえって失礼じゃないかというので、みんな捨ててしまうような風潮があるようであります。そうかといって、神田なんかに行っても、古本屋が、ずいぶん少なくなっていて、みんな喫茶店になってしまっている。これもやはり国全体の風潮ですね。  それで、こうした古物の売買、これも聞いてみますと、特にいまの若い人なんかは非常に新しいものを、ばりっとしたものばかりをほしがっているのかというと、それはもう一時代前の若い人たちであって、いまは違うというのですね。そうかといって、それでは古着屋や古道具屋さんを政府が助成するわけにもいかないけれども、公営のそういったバザールみたいなものを、試験的にそういうものをつくってやってみるということをお考えになったらどうか、いかがでございましょうか。
  124. 木村俊夫

    木村国務大臣 なかなか日常生活に触れたお話でございますが、政府がそれをどの程度行政の中で取り入れてやるかということになると、非常にむずかしい点があると思います。政府はあまり国民生活に無用に関与すべからずということもございましょうし、また国民の嗜好にあまり立ち入ってはいけないような現代民主主義の原則もございましょうから。しかしながら、これが国民の日常生活に非常に大きい影響があるということから考えれば、ある意味では政府がそういうことについて、行政指導というおこがましい考えではなしに、そういう面についてのPRを高めるということも必要でございましょう。  ただ、私、先ほどいろいろ包装の面で申し上げましたが、外国へ参りまして買いものをいたしますと、御承知のように、何でもない袋にぼっと入れてよこしてくれるのです。そういうのが何でもない風習のように、外国では慣行になっておりますが、日本ですと、それが過大包装といわれるような形でわれわれの買いものにやってくれるわけです。これは少し余談にわたりますが、料理を一つとらえてみましても、外国の料理ではそこまでこまかに、日本料理のようにくふうをした料理も少ないわけでありますが、どうもやはり、日本のそういう日本的と申しますか、そういう慣行が過大包装にもあらわれておるのではないか。これは一つの私見にすぎないかもしれませんが、そういう面で、何と申しますか、日本人的な考え方を一体どういうような考え方に直していくかということは、これは一つのまた考え方、思想の問題にもわたりますし、そこまでは政府として介入すべきではございません。  いまおっしゃったような、あるいは古着、古本の公営売店と申しますか、そういうものをつくるまでは、政府の手ではどうもいきかねるのではないかという気がいたします。
  125. 有島重武

    ○有島委員 いま長官は、政府国民生活に無用に関与しないと。それは原則でございましょう。しかし、これが無用かどうかという問題ですね。それで、さっきごみの量のお話を伺いましたけれども、あれは大体経済成長なんということの幅よりもさらにさらに大きい幅でもって、大体一五%から二〇%くらいの勢いでどんどんふえておるわけですね。そうして、景気が抑制されてきていても、ごみのほうはやはりふえておるわけですね。こうなりますと、これは決して無用な問題ではない。かなり英断をもって――これはそれほどいやがられないで済む問題ではないかと思うのですよ。ですから、腹をきめてやっていただきたい。そう申し上げておきたいと思います。  ごみの問題は終わりまして、あと公共料金の問題についてお伺いいたします。  来年に向かって、あるいは来年になってから、次々といろいろ公共料金が上がるということがうわさされている。あるいは郵便のようにほぼ決定になっているものもある。これについて極力押えていくというさっきのお話でございますけれども、具体的には、極力押えるというのは一体どういうことになるのですか。では国鉄、私鉄はほんとうに押えられるのかどうか、それはどうなんですか。
  126. 木村俊夫

    木村国務大臣 公共料金、これは極力押えていく、これはもう私ども態度を変えておりません。  ただ、私ども非常に苦慮しておりますのは、公共料金にしております事業、これは公共性の強い業種もございましょうし、また、公益性のある事業であるがゆえにその料金を認可制にしておる業種もございます。いろいろございますが、要するに、そういう事業を認可制にして、その料金について政府の認可、許可が要るということにしておりますゆえんのものは、やはりその事業の経営が国民の日常生活にとって非常に大事なものである、その経営が健全に発展することが国民経済上あるいは国民生活上も望ましいことである、また絶対必要であるということから、そういうような公共料金制が生まれておると私は考えておりますが、そういたしますと、そういう事業が、経済、社会情勢が非常に急激な変化をいたしまして、そういう変化を受けて、なかなか企業自体の合理化努力をやってもなお事業の維持が非常に困難であるという場合がいろいろ生じてくる。これはもうわれわれが経験しておるところでございます。  そういう場合に、考え方といたしましては、その事業の公益性あるいは公共性の強弱によりまして、いろいろ考え方があると思います。非常に公共性の強い事業であれば、当然これは財政措置をまず考えるべきである。財政措置といいましても、当然これは国民の税金を使う財政による負担といいますか、そういうもので、財政措置によってそれを救済するということも、国民の公平観からいいまして適当であると判断される場合には、これは私どもは、あえてそれについて財政措置でこれを処理いたします。  しかしながら、たとえばこれは一例と申しますか、非常に公益性は強いが、しかしながら、国民の一般の税金を使ってまでその事業の経営を助けるのが、はたして国民の公平観からして適当かどうかという業種もあるはずでございます。まあ例をあげてどうかと思いますが、たとえばタクシー料金。タクシー事業というものはもう都民あるいは市民の足としてなくてはならぬ事業である。しかし、そうかといってその事業が――安易な経営によってできた赤字は、これは問題になりませんが、いろいろな交通渋滞等から、あるいは人件費、資本費等がかさみましてもうとても立ち行かない、倒産の一歩手前だというようなことになった場合に、それをはたして財政措置によって救済することが適当かどうかといいますと、これはおそらく、国民の公平観からいってノーという答えが出ると思います。そういたしますと、どうしても利用者の負担でその料金を引き上げなければならない事態も予想されるわけでございます。しかしながら、そういう場合におきましても、私どもはやはり利用者のことをまず考えてまいらなければなりません。その事業の経営がはたして十分な合理化努力のもとに行なわれておるか。経営者の態度、まず私どもはこれを追及しなければならないと思います。しかしながら、客観的に第三者的に考えて、しかもその事業が経営が困難になった場合に、それもあえてして、倒産その他によって事業の遂行ができなくなるまでこれを追い込んでいいかという、一つの選択の段階になってくると思います。  そういう意味におきまして、私どもはこの公共料金を取り扱う場合におきまして、まず国民経済の全体から見まして、その事業が、財政負担にウエートを置いて、その経理問題を処理するのが適当かどうか、あるいは一般利用者の負担においてやることもやむを得ない、しかしながら、これは最小限度のものでとどめるべきだということも含めて判断すべきことが重要になってまいります。そういう場合に、われわれは公共料金の問題についてよく遭遇するわけですが、いまいろいろ問題になっておりますのは、いま申し上げましたタクシー料金あるいは私鉄のバスの料金、国鉄の問題地下鉄の問題、いろいろ報道されておりますとおり、メジロ押しに並んでおるように伝えております。私ども、いま具体的に検討しておりますのはタクシー料金の問題でございます。これは昨年、まだ一月から三月の間にこれを値上げしたばかりでございますから、そう一年くらいでこれを値上げすることはとうてい国民が納得しないということで、ことしの二月には総理大臣が、本会議であったと思いますが、当面値上げしないということを言明いたしました。しかしながら、最近非常に経理上困難になってまいりました。運輸省等でも、このタクシー運賃の問題を具体的に取り上げて検討しておるわけでございます。  そこで経済企画庁といたしましては、やむを得ない場合にこれを認めるにいたしましても、まだその段階ではない。これがはたしてタクシー運賃を上げるような事情にあるのか、ないのか、あるいはそれを上げるにしても、市民の納得のいくようなサービスの改善が行なわれておるかどうか、いろいろな面について客観的な、あるいは第三者的な判断が必要でございますので、先般物価安定政策会議の中の第三調査部会の中に小委員会を設けまして、これについて忌憚のない、公平な第三者としての判断をひとつ出してもらおうじゃないか、その上で経済企画庁は、その立場においてこの問題をどう一体判断するかということの資料にしたいということで、ただいま検討を始めていただいておる段階でございます。  その他国鉄運賃の問題については、いろいろ国鉄自身あるいは運輸省自体の中で考えはありましょうが、まだこれは、私どものほうで検討すべき段階ではございません。また私鉄バスの問題も、申請は出たようでございますが、もちろん私どもは当面これを認めるつもりはございません。また地下鉄の問題もございますが、これはやはり都営の地下鉄あるいは五大都市の地方公共団体の経営しております地下鉄運賃との関連もございますので、当面これも認めるつもりはございませんし、また、もし経理上困難であれば、これについてのある種の財政的な措置も考えなければならぬと思っておる段階でございます。  以上、申し上げましたとおり、公共料金と一口に申しましても、いろいろその性格上差がございますので、それに応じた今後の考え方を慎重に検討してまいりたい、こう思っております。
  127. 有島重武

    ○有島委員 タクシーの問題はちょっと別といたしまして、国鉄なんかの問題ですね。これもいろいろな論議がされるわけでございますけれども、大体国鉄がやってどんどんもうかるものならば、これは別に国鉄にしないで私鉄でもっていいわけでございますね。これは赤字になるということは、ある部分をとってみれば当然だという、その前提のもとに始まったことであろうかと思います。  それで、この利用者の負担ということですね。確かに公平、不公平の問題があるでございましょうけれども、ああいった輸送の問題になりますと、それのはね返りがあらゆる人、あらゆる物品にまで及んでくる。そういうことをまたさらに勘案していただいて、そうしたほんとうに基幹的な公共料金は極力というか、絶対押えてもらいたい。少なくともこの不況下の物価高といわれる趨勢の中で、この不況状態を盛り返すまでは絶対に押えるのだ。そのくらいの御覚悟を国民は非常に望んでおると思うのですよ。一言言っていただいて終わります。
  128. 木村俊夫

    木村国務大臣 国鉄運賃の問題、非常にむずかしい問題で、国鉄自体といたしましても、その公企業性と独立採算制、この二つの矛盾でいろいろ悩んでおると思います。また政府もこの国鉄問題については、三Kの一つとして非常に重大の関心を持っておる次第であります。当面この国鉄の再建問題も、これは国民のためにたいへん重大な問題でございますけれども、この国鉄再建計画の中で、国鉄運賃についてその値上げを計画しておりますのは、昭和四十八年になっております。したがいまして、ちらほら出ております明年度において国鉄運賃の問題云々の話は、まだ私どもとしてはこれを取り上げる段階ではない、経済企画庁としてはそういう態度を現在とっておるわけでございます。
  129. 有島重武

    ○有島委員 少なくとも四十八年までは絶対上げない、そういうことをほんとうにやっていただければ、それは押えるのだということがはっきりすれば、それなりの波及効果は必ずあると、私どもはそれを期待するわけであります。  では、終わります。どうもありがとうございました。
  130. 小林進

    小林委員長 官房長官出席されましたので、栗山委員の官房長官に対する質疑を許します。栗山礼行君。
  131. 栗山礼行

    ○栗山委員 きょうは竹下官房長官に、ことのほか御多用でございまして、与党の先生の御配慮を得て、ようやく五分間だけならひとつ出ようじゃないか、こういうことでございました。たいへん恐縮いたしておりますが、私は半分で、また半分を官房長官からお答えをいただくということで、二点だけひとつ御意見を承りたい。  内閣の大番頭で、そのお役目柄の重大性を私理解をいたしまして、一つ質問は、六十五国会の二月十六日に、郵便法の法律の一部改正の提案が本会議に上程をされました。そのことで私は、郵便法の、公共料金の値上げに具体性を持っておるものでありますから、公共料金に藉口いたしまして、公共料金のそれぞれの立場における論点をいろいろ展開したのでありますが、それは別といたしまして、その当時に、都市におけるタクシー料金の値上げというものを満を持しておるという情勢を、私は承知をいたしております。たがわず――あと経済企画庁長官にいろいろ御意見を伺ってみたいと思うのでありますけれども、十九日に、東京の陸運局長のほうに八〇%の値上げを申請いたしておる、こういう一つのズレであります。わずか三日間の一つの差異でございます。この間に、たとえばタクシーの値上げのごときにおいては満を持して待っておる。公共料金の誘発要因というのが最たるものがあるという緊迫した立場において、私はこの問題を論じたわけでありますが、そのときに佐藤総理大臣は、いみじくも、私にさしで御答弁されたように理解をいたすのでありますが、栗山君にお答えをする。「まず、公共料金に対する政府姿勢でありますが、公共料金の値上げを厳に抑制し、政府みずからが物価上昇を主導することは厳に避けるという基本方針は、あくまで堅持する考えであります。」郵便料金については、やむを得ないものだ、こういうふうなことでありますが、「六大都市のタクシー料金については、当面これが引き上げを認めるつもりは毛頭ございません。いやしくも便乗値上げのごときは厳に排除してまいりますので、御安心いただきたいと思います。」こういう本会議における御答弁がされております。  小党でございますけれども、民社党を代表し、国民の皆さまにかわりまして、本会議総理大臣の御答弁を求めておる、こういうことなんでございますが、新しく官房長官におなりになりました竹下官房長官が――一体行政府の最高責任者が本会議で言明、公約をされたものが、関係担当各省において、あたかも値上げするかのごとき準備作業がされつつあるやに記憶といいますか、感ずるのであります。これは、これからの質問でございますが、それとの関連を見て、私は、総理大臣の本会議における答弁というものは、厳たる政治責任を持っていただかなくちゃならないものだと、かように理解をいたしておるのでありますけれども、官房長官は、この点についてどういう見解をお持ちであるかということが、重要な、一つの聞いてまいりたいところでございます。  それからもう一点は、これは主として木村経済企画庁長官にお話を申し上げるのでありますけれども、過般の予算委員会において、あるいはまた所信表明においてお伺いいたしまして、一番内政の重要な転機に直面いたしまして、政治がいま緊急課題として取り組んでまいらなくちゃならぬということは、やはり物価対策の問題でございます。公共料金あるいは管理価格、特にいろいろな要因を持ちます生鮮食料品のごときにおきまする異常な高騰というものが、たいへんな一つの様相を呈しておりますことは御承知のとおりでありまして、これらを含んで官房長官に、佐藤内閣がどのような姿勢でこの困難な経済情勢に向かって、国民国民たる政治の方向をお示しになるか、この点をひとつお伺いいたしたい。  以上、二点でございますが、若干長くなりました。
  132. 竹下登

    ○竹下国務大臣 ただいま栗山委員から御指摘のとおり、私も調査をいたしましたが、栗山委員お答えをいたしますということで、本会議におきまして、「六大都市のタクシー料金については、当面これが引き上げを認めるつもりは毛頭ございません。いやしくも便乗値上げのごときは厳に排除してまいりますので、御安心いただきたいと思います。」こういう答弁が去る二月十六日にあることは、私も調査をいたしてまいりました。  この内容は、おおむね間隔から申しまして、従来八十円から百円あるいは百円から百二十円という間隔というものは、四十五年から今度は翌年の四十六年にまたぞろということは、いかに考えてもたいへん時期尚早であるという感じがいたしますので、そういう考え方から申し述べたものであると思います。そうして現実、タクシー運賃問題については、その後のタクシー事業者の経営状況等の推移をもあわせて、現在経済企画庁を中心としまして、関係各省間で慎重に検討しておるというふうに承っておりますが、これはただ事実をお述べしたにすぎません。  先生がお聞きになっておるのは、それ以上に佐藤内閣としての物価対策に対する政治姿勢、こういうことであろうと思います。  そこで、そもそも院に対して発言をしたことに対しては、それなりの責任というものがあることは私も十分承知をいたしております。それだけに政府としては、このいろいろな要因の中に物価上昇というのが現実の問題としてあらわれておる、それに対して、たとえば努力してもその実効があがらないものであっても、さらにその隘路を探求して国民の皆さん方に協力を呼びかけていく、こういう姿勢を基本姿勢としなければならないと思います。  特につけ加えて申し上げますならば、今回の所信表明におきまして、主として沖繩案件並びに中国問題、そしてドル問題等が主題であるだけに、物価問題等のほうを私の草案に落としておきました。そうしたら総理みずからが、いかにあろうとも物価問題は、そのたびそのたびに呼びかけることが政治の姿勢をあらわすものである、こういうことでつけ加えました。そのつけ加えたという精神をひとつ評価をいただきまして、鞭撻をいただきますようにお願いをいたしまして、答弁にかえさせていただきます。
  133. 栗山礼行

    ○栗山委員 いろいろ私も意見が存するところでございますけれども、時間も相当経過をいたしました。あらためてまた御所見をお伺いするようにいたします。どうもありがとうございました。  同様な問題でございますが、その当時は佐藤企画庁長官でございまして、いろいろ委員会及び理事懇でお話を申し上げてまいった経緯もございます。木村先生に経済企画庁長官に御就任をいただいて、期待深いものが実はあるわけでございますが、いまお尋ねいたしました要点については、私ちょっと竹下さんの、おそらく「当面」という一つことばに政治的答弁をしてくるであろう、こういうふうに理解をいたしておったのでありますが、そうは言わさぬぞ。申し上げましたように、十六日の本会議で、すでにその様相が運輸省でわかり、政府でわかってまいらなくちゃならぬということでございます、業者の動きというものについて。それが、三日前に提出をいたします本会議における一つの問題であって、その「当面」ということばについては、私はいわゆる「当面」ということを、四十六年度年度内についてはこれをいたしませんということでないと、あとの、ひとつ御安心をいただきたい、こういうことばが出てまいらないのだ、常識的にそういうふうに理解をいたすのであります。  私、これから運輸省のほうで、いろいろ記憶が間違いましたらお許しをいただかなくちゃなりませんが、東京陸運事務所に、東京で十九日に八〇%の値上げ要求をいたしまして、その他の都市が続々と同一傾向で値上げ申請をいたしておるやにお伺いをするのでございます。私が伺いましたのは大都市ということでございますから、六大都市という一つの理解をいたしておりますが、一部の新聞等については七大都市というような表現をいたしておりますが、これもひとつ新しく勉強させていただかなくちゃならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。運輸省の自動車関係局長からその間の経過について――私はもう見解をお伺いいたしません。経過について、それから、いかような作業とどういう認識のもとにその作業を進めておるか、こういうひとつプロセスと内容を御説明いただきたい、かように思います。
  134. 小林正興

    小林説明員 ただいまの御質問の点、まず第一は申請状況でございますが、東京都の区域にかかわりますタクシー事業の運賃申請は、四十六年二月十九日付になっております。その他の都市につきましては、横浜市の地区にかかわる運賃申請はそれより早く、一月十六日付。その後順次、京都が三月三十日、それから神戸市が四月十日、それから大阪市が四月二十六日、名古屋市が四月二十七日となっておりまして、六大都市につきまして現在申請が出ております。  それから、七大都市というお話につきましては、現在まだ申請が出ておりません。  なお、第二点の作業の模様でございますが、道路運送法におきまして、陸運局長に運賃改定申請が出ますと、法律に基づきまして審査をいたすわけでございますが、まず第一が経営の状況、収支状況、それから原価計算、こういった作業を逐次やっておるわけでございます。そういった作業は当然申請順にやっておりまして、東京、横浜、こういったところについて、現在作業を鋭意進めておる段階でございます。  この六大都市の運賃の取り扱いにつきましては、先生御承知のとおり、経済企画庁と協議し、さらに物価関係閣僚協議会の付議事項になっておるわけでございまして、現在、私どもが作業をしております内容につきまして経済企画庁に相談を持ちかけておるという段階でございます。
  135. 栗山礼行

    ○栗山委員 たたみかけるようでございますけれども、いままでの経過を承知をいたします。ただ問題は、これもあと木村長官にお尋ねしなくちゃなりませんが、私の質問を、白々しくも佐藤総理が、その以前に申請が出ておるのに、それを、ひとつ上げないんだ、御安心を願いたいと、こういうような一つの政治のモラル、一つ姿勢といいますか、そういうことが一体本会議で望ましいかどうか、こういう点も後ほど長官にひとつお伺いをいたしてまいりたい、こう考えておりますが、あなたのほうとすれば、よく存じませんが、どのように値上げ申請すれば、それは調査及び諸般の審議ということになるのでありますか。値上げの一つの原則的基準といいますか、それから経済的状況が――一つの大衆の足でございまして、別な意味における公共性を持っておる公共料金とも、一般的に通念で理解されておるこういう料金でございます。どのようにこれを把握をされて、そして、どういう終着点にどの時点で持ってまいりたいのか。ただいま経企とあなたのほうとの御相談、その他の機関の結果を待とうということですが、所管省といたしましての一つの率直な見解を、ほんとうは私は、大臣に来ていただいてこの問題の明確な御答弁をちょうだいするということが望ましいと、こう考えておったのでありますけれども、きょうは局長にわざわざお越しをいただいて、御答弁を伺いたい、かように考えております。
  136. 小林正興

    小林説明員 申請が出ましたものにつきまして、どういった時点でどういう観点から審査を開始するかという点につきましては、まず第一点は、その改定の必要性があるかどうかというようなことにつきましては、先ほど申し上げましたが、道路運送法に基づきまして審査をいたすわけでございますので、経営の状況というようなものから見て改定の必要性があるかどうかということでございますから、これは当然事務的な問題といたしましては、いわゆる収支率というようなものがまず第一の判断の基礎になる。そのほか現在、タクシーならタクシーの事業がどういった状況で行なわれておるか、現在の運賃のもとで適正に行なわれておるかどうかというようなことも調査いたすわけでございます。そういった点から改定の必要性といったようなものをよく慎重に検討いたすということでございます。  それからもう一つの、物価等の影響、これは当然考えるべき問題でございまして、主としてそういった点から経済企画庁と協議するたてまえになっておるわけでございまして、運輸省といたしましても、そういった点については慎重に進めていくという態度でございます。
  137. 栗山礼行

    ○栗山委員 実は私もタクシーに友人がおりますし、それから私みずからかつてはタクシーの経営者であったと、こういう関係から、若干タクシー経営のその本質を理解をいたしておるものでございまして、大まかには把握をいたしておるわけでございます。これは、こういうようなことを申し上げることはたいへんいかがなものかと思うのでありますが、そこで、ほんとうはいまの問題は全くこう事務的に御説明をいただいたということで、何かこういう重要性について、その見解なりそのあり方というような事柄にお触れになって御答弁をいただかなかった、こういうふうなことであろうか、ここに私はやはり一つの弊があるのじゃないかと、こういうふうに痛感をいたしておるわけです。  何か新聞その他で承りますところによりますと、あたかも非常に運輸省がハッパをかけて、そしてこの問題が、自民党の中曽根総務会長を中心として関係機関の了承を求めて、さらに可及的すみやかにこれを実施をするようにと、こういうふうな受けとめ方ができるような新聞の記事を拝見したりするのでありますが、私は、困った、まさに政党とそれから官僚の、あるいは業界の癒着性というものはここだなというような感じを、一面抱くわけであります。経済企画庁の長官の御説明については、値上げを認めることを前提とされて、サービスその他の充足部分についてそれの適正をひとつ検討中だ、こういうことで、私どもから見ると、値上げはもう承知をした、しかしそれには付帯的条件があるぞ、こういうような問題等において取り組んでいらっしゃるような感じをいたすのであります。  そこで長官、いま運輸省の自動車担当局長からお伺いをいたしたのでありますが、私は本論に戻りまして、竹下官房長官にお伺いをいたしましたように、あなたの担当、ひとつ長官としてあるいはまた関係大臣として、少なくともこの日にちの経過を見ましても、答弁の内容等について、まさにこれはもう茶番劇だ、こういうふうな感じをいたします。その後の役所の経過というものもまた申し上げましたとおりでございまして、新聞で知る限りでございますから、一体長官は、これをほんとにどう受けとめられて、そしてこれをどうしろということをされるのか。もちろん機関がございますけれども、主として関係機関にはかってまいる立場において、やはり長官の決意のほどというものが大きな方向をたどるものだ、こういうふうに考えておりますので、この点は明確にひとつお答えをいただきたい。
  138. 木村俊夫

    木村国務大臣 私の正直な気持ちを申しますと、認めたくございませんです。しかしながら、先ほどちょっと触れましたとおり、それなれば一体いまのタクシー経営がこのままでいけるかどうか。タクシー経営は私企業でございますから、それが倒産しようと知ったことではない、これも一つ態度でございましょう。しかしながら、いやしくもこれを公益性の強い事業として、その事業の開始を認可制にし、また運賃を認可制にしておるところから見ますと、これはやはり国民生活に非常に必要不可欠の交通機関であるという認識に立っての政府の立場ではないかと思います。  そうしますと、これは一体事業の経営が成り立たないかどうかということを、まず客観的に判断することが必要だ。そういう意味におきまして、私はその事業の経営が成り立たない、したがって倒産が相次いで、都民の足が非常に奪われるというような事態が来れば、これは政府の責任でございますから、それについて何らかの措置を考えなければならぬと思います。また、はたしてそこまで行っておるのかどうかということすら、私、確信が持てない、現時点におきましては。もう運賃を値上げすることを前提にして審査にかかっておるという態度ではございません。  しかしながら、私の乏しい常識からいうと、もうことしになってからでも七百四十台以上、車が廃車になっている。ただ、率直に考えまして、これは非常に経営困難であろうということはすなおに私もわかったわけでございますので、これは何とかひとつ考えなければならぬだろうという気持ちは持っております。しかしながら、そういうことが、今度はいろいろな国民感情において、特に東京であれば都民感情にどういう影響があるか。経済的な影響も無視できませんが、やはり都民感情というものが、タクシー問題については絶対に無視できない要素であろう。そういうことを総合判断して、きわめて健全な社会常識でタクシー問題を扱うほうがより適切ではないか。純粋の経済問題というよりも、むしろ社会常識の問題としてこれは扱うべきであるということから、あえて専門家をあまり交えないような、公平な第三者機関である物価安定政策会議の第三調査部会の方々お願いいたしました。その中には、たとえば主婦連の副会長さんとか、利用者の方も相当部分を占めております。こういう方々が全く経企庁あるいは運輸省、ましてや業者の立場でなしに、客観的に公平な社会常識でもって判断していただいて、はたしてこのタクシー問題を、運賃の値上げ問題だけでなしに一体どうするのかということをひとつ正直に出していただいて、その上に立って私ども国民的な立場でこれを判断するというのが、少なくとも運輸省ではない経企庁としての当然の立場であろう。こういうことからいまいろいろその御審議をお願いしておるわけでございます。  したがいまして、もしこれを認めないで済むようになれば、これは最高でございます。総理が当面と申しましたが、当面どころではなしに、これはずっと値上げをせずにいくような事態であれば、これは最も望ましいことである。しかしながら、運輸省から入ってまいりますこの資料その他からいうと、非常に経営困難であることも数字上はっきりしております。ただ、これが安易な経営で出た赤字であれば、これはもうわれわれは賛成するわけにいきませんが、非常に合理化努力、あらゆる努力をしてなお出た赤字、経営困難であれば、それはそのままわれわれとしても審査の対象にしなければならない、こういう気持ちはございます。  しかしながら、これによって、もし利用者負担による運賃値上げがどうも社会常識上望ましくないといった場合に、はたしてほかにどういう方法があるか。結局私は財政負担だ。しかしながら、財政負担といいましても、タクシーに乗らない一般の国民の納税者、その方々の負担でこういうタクシー業の経営を救済するということは、はたしてまた国民の公平観念から適当かどうか、これも私、社会常識上大きな問題だと思います。したがって、率直なところ、私はそういう面で非常に苦慮しておる最中でございます。  そういうことから、私はまだ、タクシー料金の値上げをこの際認めるべきだというところまでは踏み切っておりませんし、また、タクシー料金を認めない場合において、あるいは緊急融資ということも考えられるかもしれません。しかしながら、昨年やりました緊急融資は、そのままやはりタクシー業者の借り入れ金になって、その利子負担等によって経営が困難になっておるということもございます。これはイタチごっこであろうと思います。もしこのままタクシー料金を認めないとなれば一体どういう方法があるかということを、あわせて実は識者の判断におまかせしよう。もちろん責任を回避するようなつもりは毛頭ございません。一応健全な社会常識の上に立った公平な第三者の判断をまず得て、しかもそれだけでは済まないと私は思います。それを公開の場に出して、おそらく私どもは報道機関その他に御協力をお願いして、これがはたして、出た結果が健全な社会観念からいって適当かどうかということを、もう一度ひとつ洗い直していただいて、その上で私どもは選択をしなければならない、実はそこまで考えて、いま正直なところ苦悶しておる最中でございます。
  139. 栗山礼行

    ○栗山委員 いろいろ御意見のほどはわかりました。私は賛否の意見を保留いたしますが、願わくは、重大な国民経済的な立場あるいはまた物価問題の立場等々も踏まえまして、この問題のあるべき姿というものをやはりき然としてここにひとつお示しできるように、しかもそれは国民のコンセンサスを得られるような一つの方向での御検討お願い申し上げるということにいたしてまいりたいと、こう思うわけであります。はなはだ抽象的でございますけれども長官の御意見に私もそういう表現をせざるを得ないわけでございます。  小林業務部長にちょっとお伺いを申し上げますが、実際は、いま伺ってみると、大阪におきましてもずいぶん経営が苦しい様相のものがございます。しかし、それは過去の惰性の経営の姿勢との関連がございます。あるいは自動車から多面産業への移行の方向で進めてまいりましたり、それから小規模である、こういう一つのいままでの認可の台数上の経済単位としての考慮を払わざる要点等も、またそれは経理状況の困難性の一つになっておる、こういう点もございます。もちろん運転者の雇用構造上の困難性、そうして他地方から、いろいろ多額な金をかけまして社宅及びその他の施設等行ないまして、これが原価計算になってまいるというような、一人の運転者について前貸し金その他して百万円の資金を投入いたさなければ一人の運転者が参らない、こういうふうな深刻な一面もあることは事実であります。また、運転者の声を聞きましても、これでけっこうだ、ただし実質的に道路の狭隘や、あるいは時間的に走行キロ数の伸びないようなこの都市政策の貧困の中で料金をながめるとき、ひとつストレスをわれわれも解消して、快適に、十分な能動的なかせぎをさせてもらいたい。そういたしますと、現下の一つのシステムにおきましても私どもの収入はかくかくになります。こういうような計算上の問題が出る合理主義者もおるわけでございます。  したがって私は、個人タクシーとそれから法人タクシーとの過去の歴史的な経過――楢橋さんですか、運輸相時代において比較的これは成果をあげておる。いろいろ育成をされておりまして、問題点も私は承知をいたしておりますが、あれなんか協業化の方向でこれを育成するということになりますと、心のゆとり、そしてノルマでございませんから、ある一定の時間帯を走っておりますので、交通安全対策上非常に事故件数も――あるいはまた、それがとても償却もできません、給料にも相なりません、こういうような状態ではない。自由性といいますか、創意性というものを発揮してやられておる。そしてその経営の規模というものが、戦後の、車がなくて、私ども実は薪炭を入れたりバッテリーで動いておったような時代等もあるわけでありますけれども、いまの時代的な一つの近代経営のあり方というものから見ると、タクシー企業というものが公益企業としての、都市及びその条件に適応する一つの制度上の問題というものがどのように検討されておるのかという問題が、大きな問題だ。  それから、将来の路線としては、やはりこういう都市の条件――中都市、大都市いろいろございますけれども、それらの条件を勘案いたしましたタクシーの認可基準というものも一応検討しなければならない。それから、法人と個人経営との、そのメリットの面あるいはデメリットの面というものがいまやデータで出ておるのでありますから、やはりゴルフばかりして遊ばないで、もう少し真摯に勉強して、大きな公益事業たる本来性を発揮するような行政上の方向で進めてもらわなければならぬ。  私は、議論いたしますと、この点で一時間くらいの資料は私の頭に持っておると思うのでありますけれども、たまたま、いろいろ苦慮されておる経済企画長官のお話がございました。ですから、単なる経営の現状が行き詰まっておる、だから経理面でこれを救済しようという一つ現象面的方策が正しいのか、長期的タクシー企業のあり方という路線の上に立ってこの問題をどう対処するかという問題をいたさなければ、結局こう薬や場当たり的な無原則、無方針の内容によって対処されておる観が過去の歴史でございますので、こういう点について、私はあなたの行政分野としての専門的な御見解をお伺い申し上げ、長官について御答弁を求めませんけれども、ただ現象でながめちゃなりません。この問題は、やっぱり経営の運営と機構上の一つの体制をどのように対応させる対策を立ててまいるかということが含まれての一つの適正料金という検討お願いすることが最も合理的だ、私はこういうことを申し上げて、あえて御答弁をちょうだいするということをいたしませんが、部長からひとつ御見解を承りたい。
  140. 小林正興

    小林説明員 先ほど御答弁申し上げました経営状況から、事務的にはいろいろな作業計算をいたすわけでございますが、ただいま先生の御指摘のとおり、単に現象面だけで経営の実態をそのまま把握するということでなくて、たとえば収支状況を見るという場合におきましても、先ほど若干話が出ました廃業あるいは休止の状態、そのほか個人タクシーの話も出ましたが、個人タクシーにおいてはしからば収支の状況はどうか、いわば傍証的な関係からいろいろなデータをできるだけ精密にとりまして対処していきたいと思うわけでございます。  また、能率的な経営をやっておるかどうかという点につきましては、いわゆる標準的な原価計算をいたすわけでありまして、私たちとしてもそういった点で、単に収支のつじつまが合わないからその分を穴埋めするというような、安易な料金改定はいたすつもりはございません。  それから、非常に大きな問題といたしまして、これからのタクシー企業のあり方というような問題を並行して考えるべきだというような御指摘、これはまことにごもっともでございまして、交通の実態は非常に変わってまいってきております。特に、御指摘のとおり大都市におきましての交通事情というものは変わってきておるわけでありまして、私どもでもおくればせながら大都市におけるバス、タクシーのあり方というものを取り上げまして、タクシー事業というものを、単に従来のままの形で今後はたしてやっていけるのかどうか、そういったことにつきましても、新しい企業のあり方というものを考えていきたいということで、過般運輸政策審議会というところで学識経験者の方にお集まりを願いまして、いろいろ御討議願った一応の答申といいますか、考え方も出ておるわけでありますが、こういったことを今後さらに具体的に詰めていきたい。従来のような免許制のままでいいかどうかということ等につきまして根本的に考えていきたいと思っておるわけでございます。
  141. 木村俊夫

    木村国務大臣 答弁はお求めになりませんでしたが、私もきわめて同感でございますからあえてお答えいたしますが、私、率直に申し上げますと、タクシー業というのははたして許可営業であるべきかどうか、むしろこういうものは自由企業としてもいいのではないか。ただ、そのためには公共の足を整備しなければならぬ。はたしていまのバスの経営状態は都民のバスといわれるまで発達しているかどうかということを考えますと、これはもちろん、交通政策を担当している政府の責任にはなりますけれども、まだ、そういう満足な公共の足の整備が整っておるとは申せません。そういう面で、私はある意味で過渡期だと思います。したがって、当面は、もちろんタクシー料金の問題は国民生活上大きな問題でございますが、われわれ経企庁といたしましては、もっと本来の仕事である将来の総合交通体系をどう持っていくかということと根本的にひとつ取り組まなければならないということで、先ほど部長も申しましたが、おそまきながら総合交通体系のあり方について、いま真剣に作業を続けているわけでございます。一言申し上げます。
  142. 栗山礼行

    ○栗山委員 以上、これはもう尽きない議論でございますので、問題点の検討を新たに、これこそ画期的な方向、路線を打ち出して、体系をひとつ御研究願うという問題でありますから、ひとつせっかくの英知の御傾倒をいただいて御決定をいただくということにお願い申し上げて、この質問は終わってまいりたい、かように考えております。どうも運輸省の方、ありがとうございました。  次に、農林省の下浦農林経済局企業流通部長、率直に申し上げまして、実はきょうお伺いを申し上げる問題は、過般、十月の二十五日の予算委員会におきまして、わが党の佐々木良作書記長が特に生鮮食料品の問題、流通機構の問題等について、きめこまかくいろいろと御質問を申し上げた。総理にも申し上げ、それから経済企画庁長官の御答弁も、先ほどお伺いいたしておりますけれども、非常に意欲的に御答弁をいただいた。赤城農林大臣にぜひお越しをいただいて、この問題について非常に具体的に進めてまいる問題がございます。私の論点からまいりますと、実はこの間成立いたしました市場法の改正法との関連において検討いたしてまいらなくちゃならぬ問題等もございます。これは何といっても農林大臣でないとこの問題にお答えをいただけない、御意見をちょうだいできない、こういう関係等もございましてお願いを申し上げたのでありますが、農林省の大臣のお計らいをいただきますことと、当委員会も定められた日にちにやっておりますので、委員長において適切な時期に農林大臣の御出席を求めて、この問題の本格的なお尋ねを申し上げることにいたしまして、若干、経済企画庁長官と担当部長等にお尋ねをし、御答弁をちょうだいいたしたい、こういうふうに御了解をいただきたい、かように考えております。  前言を別にいたしまして、私は、いままでの流通対策がおくれておるという一つの前提に立つわけであります。認めるか認めないかという議論をいたしますよりも、緊急事態として対処いたしてまいらなくちゃならぬという切実な物価問題、特に流通機構の問題、秋冬に向かってまいりました季節的な条件からいきます生鮮野菜の問題というような事柄について、先ほどもいろいろ伺っておりますと、長期的な展望はあるのでありまするけれども、ただいま、もう年末に直面し、お正月に直面しておるこの生鮮食料品にどう対処するのか、こういうような実感と方策がございません。これははなはだ遺憾なことであろうかというふうに思うわけでございますが、明年度の予算は野菜対策として、私の調べました数字では七十八億三千七百万円を要求をされておるやに資料をちょうだいをいたしておるわけであります。間違えましたら私の勉強不足でございます。これは本年度の二十四億九千四百万円でございますか、これに比べると約三倍だ、こういうようなことでございます。この数字だけを見ると、たいへんな要求を意欲的にされておるやに理解をいたします。  内容の問題につきましては、野菜生産対策に三十四億二千七百万円でありますか、野菜価格対策に三十四億四百万円、野菜加工流通対策に十億五百万円、こういうふうな数字を大体拝見をすることができるわけであります。生産、流通、加工、この三つの施策のうち、野菜の価格対策として最も立ちおくれております集配センターの問題、それから消費地のストックポイントの問題、冷凍野菜工場設置の問題、低温出荷体制の整備等々の問題が、盛りだくさん出ておるのでありまして、これは来年度の新規要求として出ておるのでありますから、いままでにそういう消費者側に立つ対策がなかったということをいみじくも物語っておるのではないか、かように、皮肉じゃございませんけれども考えざるを得ないわけであります。  以下、順を追って御質問を申し上げてまいりたいと思うのでありますけれども、私がいま御質問申し上げておる一つの予算要求と内容について、間違っておりますかどうか、お答えをいただきたい。
  143. 荒勝巖

    荒勝政府委員 来年の予算要求といたしまして、狭義の野菜対策といたしまして約七十八億円前後の概算要求をいたしております。そのほか従来から、端的に野菜ということにはなっておりませんが、土地基盤整備とかあるいは構造改善事業とか、あるいはそのほかの試験研究というようなことの予算も相当あるわけでございますが、狭義のいわゆる生鮮食料品のうち野菜対策といたしましては、先ほど申し上げました七十数億の予算を要求している次第でございます。  そのうち生産対策というのが、大きく分けまして指定産地に対する予算を概算要求しておりまして、大体二十億前後の予算があります。  さらに価格安定対策といたしまして、現在野菜生産出荷安定資金協会に対しまして不足払いの予算を計上いたしております。これは野菜のいわゆる暴騰暴落を防止して生産と出荷の安定を期するということでございまして、これに非常に力こぶを入れまして約二十六億、さらにそのほか基金造成としまして三億四千万円ほど、都道府県の地方の野菜価格安定のために四億円ほどの予算を要求いたしております。  この資金協会に対する資金造成といたしまして、従来と違いまして相当保証基準額を引き上げるということで、従来、平均市場価格のうち七五%を保証基準額にしておりましたものを八五%に引き上げ、さらに補てん率も秋冬の問題野菜――大根、白菜、キャベツ等につきましては、従来八割の補てん率でございましたのを一〇〇%の補てん率に引き上げて、特に秋冬野菜の生産の刺激をはかっている次第でございます。さらに、国庫補助率につきましても、従来は国が二分の一、都道府県が全体の四分の一、さらに農民のふだんからの積み立て金が四分の一というかっこうでありましたのを、問題野菜中心といたしまして補てん率の引き上げをはかっていきたいというふうに考えております。  さらに、先ほど御指摘になりました野菜流通加工対策といたしまして、集送センターに二億七千五百万ほど、生鮮食料品の集配センターに二億九千万円、野菜消費地ストックポイントに九千八百万円、それから野菜供給安定実験実施といたしまして、わずかでございまして十件でございますが五千五百万円、冷凍野菜等を中心といたします加工野菜につきまして二億三千六百万円というふうに、流通加工対策重点を置いて今後生鮮食料品の価格対策をやっていきたい、こう思っております。  ただいま御指摘になりましたが、これは来年度の概算要求でございまして、今後極力、野菜価格の安定に資するため野菜に対する予算を確保いたしたいと思っておりますが、問題は、ことしの秋から来年春にかけましての野菜対策につきまして、さらに現在いろいろと検討をしておる次第でございます。
  144. 栗山礼行

    ○栗山委員 若干の数字上の問題はございますけれども、総額上の予算要求については私の数字と合っておりますね。そういうことですね。そして、これは従来にない新しい生鮮野菜対策の、流通機構の安定化への一つ政策路線ということでこういう要求をされておる、こう理解していいでしょう。どうですか。
  145. 荒勝巖

    荒勝政府委員 御存じのように四十六年度予算は二十五億円前後の予算でございましたが、四十七年度の概算要求といたしましては七十八億をこえる要求をいたしておりまして、われわれは量的にも、生産から流通、加工すべての面に予算を置いておりますほか、従来野菜対策として抜けておりました点を、特に消費者のことを考えまして、野菜予算の質的な拡大をはかることにいたしております。
  146. 栗山礼行

    ○栗山委員 大体わかりましたが、これは、明年度の予算要求が成立するかしないかということについて、成立をした場合の一つの前提でございます。明年度対策でございます。こういう新しい制度上の問題を予算要求化して対応をしなくちゃならぬというところに、当面の望むべき生鮮食料品対策の安定的方向路線というものが出ておらない、こういうことについていまお答えがないわけであります。ただ、適宜やってまいるというようなことなんでございまして、もう少し、いま切実に迫っておる問題を具体的にどう進めてまいるのかということについてお伺いをいたしたい、こういうことが一点であります。  それから、これが通りました場合に、集送センターは八カ所でしょう。集配センターが二カ所、ストックポイントは三カ所。現在東京でストックセンターが一カ所あるやに承知をいたしておって、二カ所をどうする、こういうふうなことだと思います。供給安定のための実験施設が二カ所、野菜冷凍工場は二カ所、こういうことだというように思うのでありますが、この点が間違っておるかどうかお伺いをいたしたい。  これらは卸売市場法との関係が一体どうなるのかということが、私の問題なんであります。改正されました市場法の問題について、こういう法律の条項がこれはございません。そこに、この間できたばかりの法律それ自身がどのように対処いたしてまいるかという重要な問題点が存するということを、私は農林大臣にいろいろ御意見を伺ってみたい、こういうことなんであります。  それともう一つは、集配センターやストックポイントは卸売市場の機能の一環としてこれは進められるのかどうか、こういうことがポイントの一つになろうかと思いますので、お聞かせをいただきたい。
  147. 荒勝巖

    荒勝政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げました野菜集送センターといいますのは、最近高速道路網の整備あるいはいわゆるカーフェリーの発達によりまして、従来野菜の出荷区域というのは近距離圏が中心でございましたが、逐次中距離からさらに遠距離圏へと野菜の出荷範囲が広まってきております。われわれといたしましても、都市化の波をかぶらない中距離圏から遠距離圏のほうを、野菜の長い生産安定という面からも今後育成してまいりたいと思っておりますが、そういう意味で高速道路網の整備によりまして、高速道路が、相当野菜の産地周辺に大きなインターチェンジができてまいっておりますので、そのインターチェンジあるいはカーフェリーの出発点あたりに野菜を集めまして、野菜の発送の大規模化という点をねらいまして、そこへこの集送センターを設けまして野菜を大規模に出荷してまいる、こういうことを考えておるのがこの集送センターの考え方でございます。  それから次に、生鮮食料品の集配センターは、これはむしろどちらかといいますと都市に設置いたしまして、大型の野菜が都市へ入ってまいりまして、それをある大都市の近辺にストックいたしまして、そこでディストリビューションといいますか、分配をするための貯蔵関係でございまして、これは主として全販連を中心としてこういうことを考えておる次第でございます。  さらに、野菜のストックポイントというのを三カ所ほど考えておりますが、これも初めての事業でございまして、カーフェリー等で宮崎から大規模の野菜がかりに東京なら東京、京浜地区へ出荷されてまいりましても、その特殊な野菜につきまして一気にそれを市場におろしますと、結果的には非常に暴落といいますか、採算が合わない。やはり平均的に出荷しまして、毎日平均的に出荷することによって価格の安定を期していきたいということで、どちらかといいますと、産地の出店としまして、消費地において、夏場におけるたとえばカボチャであるとかこういったものを、ここに低温貯蔵によってストックしておいて平均的に出荷したらいかがか、こういうことでございます。  それから、野菜の加工需要緊急対策というのでございますが、最近、冷凍野菜あるいはつけものにつきましても、非常に大型化のつけものが需要が増大しておりまして、一般的な指定野菜というものだけが消費者の口にのぼるものではなくて、あるいは冷凍野菜なりあるいはつけものというふうなものが最近非常に出てきて、需要が強くなってきておるということを踏まえまして、こういったいわゆる加工需要についての工場といいますか、そういったものを政府でめんどうを見ることによって今後育成してまいりたい。この冷凍野菜工場といいますものは、御存じのように急速に西欧諸国では最近伸びておりますが、日本では、一部企業の方々の間では多少売れ始めているといいますか、初期の段階でございますが、この際政府で、多少実験的ではございますが、大いに奨励してみたいということでつくった予算でございます。
  148. 下浦静平

    ○下浦説明員 ただいまの先生の御質問のうち、後段の部分につきましてお答え申し上げます。  集配センターにつきましては、ただいま蚕糸園芸局長から答弁がございましたとおりでございますが、これはただいまの答弁にもございましたように、生産者団体それから全販連でございますが、これが設置をいたすということでございます。   〔委員長退席、武部委員長代理着席〕  ねらいといたしましては、卸売市場によります流通以外に何らかの経路を求めるということでございまして、いわゆる流通経路の多角化をはかりたいという点、あるいは予約取引によります仕入れの合理化をはかる、さらには相対取引によりまして価格の安定を推進してまいる、こういうようなねらいでありまして、来年度予算といたしまして二億九千万強を要求をいたしておる次第でございます。したがいまして、この問題につきましては、直接、と言いますよりも、直接間接的に卸売市場との関係はないということでございます。  それから次に、ストックポイント二カ所というお話でございますが、これは消費地におきまして卸売り業者それから小売り業者等の段階で、貯蔵性のある野菜、それはタマネギを考えておりますけれども、これを安定的に供給を確保いたしたいということをねらいとしておりまして、収穫時期に購入をいたしまして貯蔵をし、これを端境期に販売して需給調整に資してまいりたい、こういうねらいでございます。これは五千五百万円の来年度予算の要求ということになっております。この部分につきましては、これは卸売市場の卸売り業者それから一般の小売り業者、こういうことでございますので、これは卸売市場との関係はその意味ではございます。  以上でございます。
  149. 栗山礼行

    ○栗山委員 いろいろ理解をいたします点といたしかねる問題がございまして、各論をやっておりましてお尋ね申し上げると相当な時間がかかってまいろうかと考えますし、先ほどお願い申し上げましたし、委員長によって、現下の重要な政治課題一つの問題でございますので、農林大臣等の御出席を求めて再度発言を求める機会があろうかと思いますから、簡略にいたします。  私の受けました感じというものは、この間の二十五日の総理答弁、それから赤城農林大臣の御答弁、それから木村長官の御答弁もいろいろ拝読をいたしました。去年の二倍だって、こんなもので足らぬ、とんでもないことだ、もっと大きな予算をつけてまいらなくちゃならぬという抜本改正への意欲的な御発言がなされているやにお伺いするのでありますけれども、御案内のとおり、いまの具体的な予算要求の事実というものが、御説明を受けましたような内容でございます。春を求めて春来たらず、こういう感をするようなことでございます。もう少しことばを言わしてもらいますと、とかく政府の大きな責任、行政上の責任の存するところは、やはりどろぼうを見てなわをなう、こういう感よりこれは考えられないのだ、こういうことでございます。  私は、やはりいろいろの重要な転機にあたりまして、物価政策あるいは流通機構の問題、特に季節的要因を持ちますそういう生鮮食料品等の問題というものは、非常に深刻な内容等がございまして、画期的にひとついまの状態に対応して前進するという方向、政策路線をとってまいらなければ、あとで、ひとつ先へ走れということでよちよちついてまいりましたら、走った体にしておこうかというようなどろなわ的な一つ政策の方向というものについて、重大な政治課題を解決することができない、こういう結論を強く抱くのであります。  私は、最後長官に、きょうのごあいさつをお伺いをいたしまして、また拝読もいたしたのでありますが、政府公共料金の問題について、退潮的表現と内容を事実の上にしてまいった、それが公共料金に対する姿勢の後退性という文面や表現にあらわれておるのでないかと、かように考えられるわけであります。  私は、公共料金というものについて、いろんな角度における問題の公共料金の質的な内容がございますけれども、議論をいたしますと、一体公共料金とはどう定義をして、そしていまの公共料金に対応策を講じていくかというようなことを進めてまいらなくちゃいかぬというように考えるのでありますけれども、一括していわゆる公共料金というものが、いまの形の制度上で抜き差しならぬ姿において、制度上あるいは独算制やあるいは財投や柔軟な対応力がないというところに、私は、公共性の一つの能率化及びそのもとの完成に遠い感があるということの原点にいま思いを深めてみなくちゃならないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。  その他寡占価格もございましょう。いろいろの物価対策上の問題がございますけれども、ともかく一番大きな課題は、国民にこたえる道は、外交上の問題もございます。あるいは輸入を通じまして物価政策と取り組むというような、円の変動制に左右されるような糊塗的なことをこのごあいさつに書いておるのでございますけれども、一体円の変動制という一つの姿が世界通貨と日本の通貨対策として望ましいものであるかどうか、こういうような本質的な議論の展開もあろうかと私は思うのでありますけれども、要は物価問題に政府が何か投げやりで、無原則、無方針、こういうような感を私は今日深く抱くわけであります。どこを見ても、ふんどしを締めて事態の対応性にひとつ臨んでいこうというような具体性が発見し得ないということを、はなはだ残念に思うわけでございます。  私は、しばしばアメリカに行っておるのでありますけれども経済企画庁長官として初めて御高説を承り、また論点を若干さしていただくということがきょう初めてでございますけれども、私は、そういう基本姿勢や、それの所管長官としての物価対策にどう臨むかというような御所見をお伺い申し上げて、私の質問を終わってまいりたい、かように考えます。
  150. 木村俊夫

    木村国務大臣 確かにいまの物価問題、これは目ざすところがきわめて遠いと思います。わが国の急激な経済成長、そのひずみの中に、すでにこの物価問題が社会資本の相対的不足という大きな観点からも論じられるわけであります。そういう意味におきまして、私はあえて幸か不幸かと申しますが、すでに百四十一億ドルにのぼる国際収支のゆとり、これはわが国が初めて経験したことであります。いままで、財政事情とはいいながら、一ある一つの何かをやろうとすれば、必ず国際収支の赤字という壁にぶつかって、それがあえてできなかったというところに政治決断の欠如もありましたが、そういう財政事情もございました。この時期にあたりまして、そういうような一つの壁が取り除かれた。これは永久的にそうは申しませんが、当面そういう心配のない今日の財政状態、また国力からいいまして、いまこそ、栗山さんがおっしゃっているように、この政策転換すべき絶好のチャンスが来た。この際になお政府が遅疑逡巡して惰性に流されておれば、これは全く政治責任の問題である。野菜の問題一つ取り上げましてもそれが政治不信につながるというようなこの時点において、なおやはり農林省の行政が米中心であっていいかどうかという問題、あらゆる制度の見直しも含めて、私どもは今後政府物価対策について、皆さまの御批判を仰ぎつつ真剣に取り組んでいきたい、こういう決意を持っております。
  151. 栗山礼行

    ○栗山委員 もう一問だけ。  私、非常に重大なことをお尋ねすることをなにいたしたのでありますが、いままでの日本経済成長というものは設備投資型経済成長方式と申しますか、そういう一つの規定で定義づけられると思うのでありますが、今日のような内外経済情勢に対処いたしますと、そうでなくて、別な角度における経済安定成長型という方策に転換をいたさなくちゃならぬ、こういうことであろうかと思います。  ところが、日本経済が非常に鈍化をいたしまして、これの経済浮揚策を急速に求めてまいらなくちゃならぬ、こういう事態に日本経済の立場が置かれておる。だといたしますると、私は、この間の補正予算の問題について、これが赤字国債かあるいはしからざる一つの公債かという議論の問題もございますけれども、当面、来年の予算等も含めまして、政府の財政投資型の経済浮揚策、こういうような内容に進んでいかざるを得ないという日本経済状態だ。明らかにその事柄はインフレ経済一つの様相がございます。  いま歯どめをどうするかという問題等もございますけれども、そういう中における物価問題の対策でございまして、物価問題というものは、こういう日本経済の様相から、安定を求めることが春を求めて春を見ず、こういう結論になるのでないか、こういう私の書生論を持っておるのでございますけれども日本経済の浮揚型安定成長への具体的な一つ経済政策の方向路線としての物価問題の推移、それからインフレに対応してまいらなくちゃならぬということから、不況の中における物価高の状態の避けることのできないことについて、私は、長官はいまどのような心がまえと対応策をもって臨まんとするのか、こういう決意を、えらい恐縮でありますけれども、もう一点伺って終わることにいたします。
  152. 木村俊夫

    木村国務大臣 いまお話がありましたとおり、わが国経済政策転換というのは当然必要であると思います。従来の設備投資主導型と申しますか、それから財政主導型と申しますか、公共投資主導型に移らざるを得ないと思います。これは政府がそう申すだけでなしに、すでに産業界、経済界もそういう決意を持っておると思います。   〔武部委員長代理退席、委員長着席〕 これはもう国民全般に徹底しておると思いますが、そういう中で、しょせん財政主導型と申しましても、民間設備投資がダウンするような傾向であれば、その財源を一体どこに求めるか。どうしても財政主導によらざるを得ない今日におきましては、それを国債に求めなければならぬ。その国債発行の節度というものを失えば、これは直ちにインフレ傾向につながります。その節度を失わないで十分な財源、公共投資主導型の財政における財源をどうして求めるか、これはたいへん困難な問題であります。しかしながら、困難であるがゆえにこれを回避できません。その間には、おそらく税体系そのものの根本的検討を行なわなければならぬ時期もあると思います。そういう意味において、わが国の財政金融政策全般を通じて今後大きな一つの見直しをやらなければならぬという時期もあろうかとも思います。  その中におきましても、当面、いまの非常に落ち込んだ景気をこの短期間に浮揚させなければならぬ。それがわが国国民経済の最大課題でもあるし、また、非常に迂遠なようではありますが、そういう物価安定にいたしましても、やはり景気が安定しないとほんとうの意味物価安定にもつながらないというようなことから考えますと、さしあたり私どもは、やはり当面景気浮揚策をとらざるを得ませんが、その中において物価問題の重要性を見失ってはならないということは、われわれも常日ごろ大いに戒心しておるところでございます。ともすれば、いまの政治の表面にあらわれる問題は沖繩でありドル問題であり、またそういうことが非常にはなやかに論じられておる中で、また景気浮揚が最大課題であるという中で、物価問題が見失われることのないように最大の努力と細心の注意をもって取り組んでいきたい、こう考えております。
  153. 栗山礼行

    ○栗山委員 いろいろありがとうございました。  私は、最後に、木村経済企画庁長官、佐藤さんは何かもうやけっぱちになっているのじゃないかというような国民感情が一部にあります。何というても切実な問題を願っておるのは、経済企画庁がはたしてほんとうに、いまのわれわれの願いの政策を実行し立案してくれるかというところに期待、注目をいたしておる。また、私どもも十分、あなたの御活躍について激励するところは激励申し上げ、御批判申し上げるところは御批判申し上げまして、現下日本状態の未来像をひとつつくり上げていかなくちゃならぬ、こういうような使命を加えられておると思うのでありまして、せっかく国民の期待に沿われる経済企画庁長官としての御健闘をひとつお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  154. 小林進

  155. 松浦利尚

    松浦(利)委員 最後に。実は私は発言をするつもりはなかったのですが、栗山先生は非常におとなしい方ですから、あるいはあえて質問なさらなかったのだと思うのです。これは公式の委員会ですから、私はぜひこの際、政府姿勢をただしておきたいと思うのです。  それは、官房長官がお忙しい政務の中おいでいただいたことは、私たちも非常に感謝いたします。ところが、あの発言の中に重大な問題があるのですね。  その一つは、官房長官が、総理所信表明の中に物価対策ということばを入れておらなかった。ところが総理は、その中に、みずから筆をとって物価対策という字を挿入したんです、こういうふうに言われましたね。私は、物価対策という字句を中に入れることによって物価対策ができるなら、十ぺんでも百ぺんでも書けばいいと思う。もう繰り返し繰り返し施政方針演説、所信表明の中には、物価対策ということがうたわれておるのですね。それをあたかも物価対策をやっておるんだというような言い方でここで発言をされたということが一つ。  それともう一つの問題は、どんなにむずかしくても、国民に注意を喚起するために――ことばは違いますけれども、注意を喚起するために、物価対策だ、物価対策だということを繰り返し繰り返し訴えておるんです、こういう趣旨の発言があったのです。  この二つですね。物価対策国民に向かって訴えるのではなくて、国民物価が高いからどうかしてくれと言うことに対してどう対応するかというのが、政府姿勢でなければいかぬと思うのですね。逆になっておるのです。  あなたは池田総理時代の官房長官、名官房長官ですね。しかも、そのあと副官房長官になられて佐藤内閣をささえてこられて、そして今度経済企画庁長官になられたのですね。あの先ほどの官房長官の発言というのは、この前の補正予算の審議をした予算委員会で、民社党の和田春生委員質問しておる最中に、佐藤総理がほかのことを話をしておってしかられたのですね。私は、いやしくも片腕であるべき官房長官が、ここで、たった五分間という時間であったけれども、暴露してしまっておると思うのです。きょう一日、朝早くからおそくまで物価担当経済企画庁長官につき合っていただいて、誠心誠意お話しいただいたことに私は感謝をいたします。しかし、幾ら物価担当長官がここで誠意をもって答えられても、たった五分間のあの官房長官の発言は、ぶちこわしだと思うのです。あの官房長官の真意が那辺にあるのか、わずか五分間ですから、栗山先生も質問なさらなかったのでしょうけれども、こういった発言は、たとえ短い時間であってももっとまじめに答弁をしていただきたい。私は、このことをぜひ物価担当大臣として官房長官に注意しておいてもらいたいと思うのです。その点長官どう思われますか、あの発言について。
  156. 木村俊夫

    木村国務大臣 私、実は総理所信表明演説に最初から関与しておりました。したがって、私が手にしました第一次原稿には、確かに物価問題は含まれておりました。そういう意味で、官房長官の先ほど申しましたことばに、私自身も非常に疑義を感じました。おそらく官房長官としては、まだなれないせいもございましょう、また総理をかばうと申しますか、総理が決して物価問題に対して熱心でないことはないんだ、真剣であるということを言うための表現で、かえってああいうことを官房長官が言う原因になったのではないかというふうに、それしか私はとれません。そういう意味で、先ほどの官房長官ことばは、わが佐藤内閣が、ことに総理自身、またこれを補佐する官房長官物価問題について無関心であるということについて誤解を与えたとすれば、私自身たいへん憂慮にたえません。私自身の確信においてそういうことでないということをぜひ御了承願いたいと思います。
  157. 小林進

    小林委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。    午後五時九分散会