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木村国務大臣 公共料金、これは極力押えていく、これはもう私
ども、
態度を変えておりません。
ただ、私
ども非常に苦慮しておりますのは、
公共料金にしております事業、これは公共性の強い業種もございましょうし、また、公益性のある事業であるがゆえにその料金を認可制にしておる業種もございます。いろいろございますが、要するに、そういう事業を認可制にして、その料金について
政府の認可、許可が要るということにしておりますゆえんのものは、やはりその事業の経営が
国民の日常
生活にとって非常に大事なものである、その経営が健全に発展することが
国民経済上あるいは
国民の
生活上も望ましいことである、また絶対必要であるということから、そういうような
公共料金制が生まれておると私は
考えておりますが、そういたしますと、そういう事業が、
経済、社会
情勢が非常に急激な変化をいたしまして、そういう変化を受けて、なかなか企業自体の
合理化努力をやってもなお事業の維持が非常に困難であるという場合がいろいろ生じてくる。これはもうわれわれが経験しておるところでございます。
そういう場合に、
考え方といたしましては、その事業の公益性あるいは公共性の強弱によりまして、いろいろ
考え方があると思います。非常に公共性の強い事業であれば、当然これは財政措置をまず
考えるべきである。財政措置といいましても、当然これは
国民の税金を使う財政による負担といいますか、そういうもので、財政措置によってそれを救済するということも、
国民の公平観からいいまして適当であると判断される場合には、これは私
どもは、あえてそれについて財政措置でこれを処理いたします。
しかしながら、たとえばこれは一例と申しますか、非常に公益性は強いが、しかしながら、
国民の一般の税金を使ってまでその事業の経営を助けるのが、はたして
国民の公平観からして適当かどうかという業種もあるはずでございます。まあ例をあげてどうかと思いますが、たとえばタクシー料金。タクシー事業というものはもう都民あるいは市民の足としてなくてはならぬ事業である。しかし、そうかといってその事業が――安易な経営によってできた赤字は、これは問題になりませんが、いろいろな交通渋滞等から、あるいは人件費、資本費等がかさみましてもうとても立ち行かない、倒産の一歩手前だというようなことになった場合に、それをはたして財政措置によって救済することが適当かどうかといいますと、これはおそらく、
国民の公平観からいってノーという答えが出ると思います。そういたしますと、どうしても利用者の負担でその料金を引き上げなければならない事態も予想されるわけでございます。しかしながら、そういう場合におきましても、私
どもはやはり利用者のことをまず
考えてまいらなければなりません。その事業の経営がはたして十分な
合理化努力のもとに行なわれておるか。経営者の
態度、まず私
どもはこれを追及しなければならないと思います。しかしながら、客観的に第三者的に
考えて、しかもその事業が経営が困難になった場合に、それもあえてして、倒産その他によって事業の遂行ができなくなるまでこれを追い込んでいいかという、
一つの選択の段階になってくると思います。
そういう
意味におきまして、私
どもはこの
公共料金を取り扱う場合におきまして、まず
国民経済の全体から見まして、その事業が、財政負担に
ウエートを置いて、その経理問題を処理するのが適当かどうか、あるいは一般利用者の負担においてやることもやむを得ない、しかしながら、これは最小限度のものでとどめるべきだということも含めて判断すべきことが重要になってまいります。そういう場合に、われわれは
公共料金の問題についてよく遭遇するわけですが、いまいろいろ問題になっておりますのは、いま申し上げましたタクシー料金あるいは私鉄のバスの料金、国鉄の問題地下鉄の問題、いろいろ報道されておりますとおり、メジロ押しに並んでおるように伝えております。私
ども、いま具体的に
検討しておりますのはタクシー料金の問題でございます。これは昨年、まだ一月から三月の間にこれを値上げしたばかりでございますから、そう一年くらいでこれを値上げすることはとうてい
国民が納得しないということで、ことしの二月には
総理大臣が、本
会議であったと思いますが、当面値上げしないということを言明いたしました。しかしながら、最近非常に経理上困難になってまいりました。運輸省等でも、このタクシー運賃の問題を具体的に取り上げて
検討しておるわけでございます。
そこで
経済企画庁といたしましては、やむを得ない場合にこれを認めるにいたしましても、まだその段階ではない。これがはたしてタクシー運賃を上げるような事情にあるのか、ないのか、あるいはそれを上げるにしても、市民の納得のいくようなサービスの改善が行なわれておるかどうか、いろいろな面について客観的な、あるいは第三者的な判断が必要でございますので、先般
物価安定
政策会議の中の第三
調査部会の中に小
委員会を設けまして、これについて忌憚のない、公平な第三者としての判断をひとつ出してもらおうじゃないか、その上で
経済企画庁は、その立場においてこの問題をどう一体判断するかということの資料にしたいということで、ただいま
検討を始めていただいておる段階でございます。
その他国鉄運賃の問題については、いろいろ国鉄
自身あるいは運輸省自体の中で
考えはありましょうが、まだこれは、私
どものほうで
検討すべき段階ではございません。また私鉄バスの問題も、申請は出たようでございますが、もちろん私
どもは当面これを認めるつもりはございません。また地下鉄の問題もございますが、これはやはり都営の地下鉄あるいは五大都市の地方公共団体の経営しております地下鉄運賃との関連もございますので、当面これも認めるつもりはございませんし、また、もし経理上困難であれば、これについてのある種の財政的な措置も
考えなければならぬと思っておる段階でございます。
以上、申し上げましたとおり、
公共料金と一口に申しましても、いろいろその性格上差がございますので、それに応じた今後の
考え方を慎重に
検討してまいりたい、こう思っております。