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1971-12-02 第67回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月二日(木曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 高橋清一郎君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 樋上 新一君       亀岡 高夫君    坪川 信三君       中村 拓道君    羽田  孜君       安宅 常彦君    阿部未喜男君       米田 東吾君    中野  明君       和田 春生君    土橋 一吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君  出席政府委員         郵政政務次官  松山千惠子君         郵政大臣官房長 森田 行正君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政省郵務局長 溝呂木 繁君         郵政省貯金局長 石井多加三君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         郵政省人事局長 北 雄一郎君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     斉藤  清君         参  考  人        (国際電信電話         株式会社取締役         社長)     菅野 義丸君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         副社長)    板野  學君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     増田 元一君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月二日  辞任         補欠選任   武部  文君     山本 政弘君   池田 禎治君     和田 春生君 同日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     武部  文君   和田 春生君     池田 禎治君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 高橋清一郎

    高橋委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。米田東吾君。
  3. 米田東吾

    米田委員 私はきょう、主として郵政省のいま進めておられるいわゆるマル生運動といわれる関係につきまして御質問をしたいと思うわけであります。  郵政省のいわゆるマル生といわれるこの施策、あるいは施設というようなものについてはいろいろあるようでありますし、ことに労務関係という面につきましては、われわれが前々から指摘してまいりました不当労働行為の疑いを持つ関係部分が非常に多いように私ども思うわけでありまして、きょうお聞きしたい重点は、いま郵政省が進めておるいわゆるブラザー制度といわれる世話役制度、これにつきまして私はひとつ大臣並びに関係局長から御説明をいただきたいと思って、質問をしたいと思うわけであります。  このブラザー制度というものにつきまして、大臣も御承知だと思いますけれども、これにつきましてひとつ最初郵政省のこの制度についてのお考え、それから、これはどういう目的に基づいて、どういう根拠でおやりになっておられるのか。それから、このブラザー制度には多分に、郵政省のお金が相当使われておるわけでありますし、ことにブラザーの諸君には、立てかえ払い等をもちまして、庁費需品費が使用――流用でしょうか――されておるというようなことでもございますので、そういう関係も含めまして、ひとつこのブラザー制度についての郵政省の方針とお考えをまず聞かしていただきたいと思うわけであります。
  4. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま米田先生から、郵政省のいわゆるマル生運動というようなおことばがございましたけれども、私どもといたしましては、マル生運動なんということはやっていないつもりでございますし、もとよりそういう考え事業の運営に当たっておるのではございませんけれども、日ごろ考えておりますことは、郵政事業を運営していく、推進していくにつきましては、何と申しましても労使間の安定ということがきわめて大切である。それには、労使双方不信感を持ってはならない。誠実を持ってその間に相対処していかなければならないという気持ちを持っておりますわけでございます。御承知のように、昨年のきわめて深刻ないわゆる高原闘争の非常に苦い経験、苦闘の末に、労使相互間で話し合って、幸い確認事項をつくることができたのでございまして、その確認事項は、私はきわめてりっぱなものだと思いますし、今後郵政事業につきましては、労使間の問題はこれを基本として進めていかなくちゃならない。幸いにそういうものができましたことを喜んでおりますわけでございますので、この確認事項につきましては、その後二回にわたりまして強い通達を、各地方郵政局あるいは現場に徹底するように指示いたしたわけでございます。通達を指示いたしたわけでございまして、なお、その後機会あるごとに、地方局長に徹底するように示達をいたしておりますわけでございます。  そこで、そういうような確認事項から出ました一つの案としまして、ただいま御指摘ブラザー制度というものがただいま設けられておりますわけでございますが、これは一口に申しますと、先生もよく御承知のように、郵政事業は何と申しましても人がきわめて重要な要素になりますわけでございまして、郵便に例をとりますとその八割は人件費に使っておるというような状況でございます。いかに郵政事業において人が大切であるかということは御承知のところでございます。したがって、労使問題は郵政事業において一番肝要な課題でありますわけでありまして、そこで、最近の人を要します郵政事業、わけても郵便仕事におきましては、青少年の確保ということが非常にむずかしい問題になっておりまして、採用したと思いますと間もなくやめてしまうというような実情が最近の実態でありますわけでございますから、これを何とか定着させなくちゃならない。地方から出てまいりまして都会の従業員になっております者が青少年の大部分でございますけれども、それを事業に定着させることが必要である。これに非常に頭を痛めまして案出しましたのがブラザー制度でございます。  なお、その詳細あるいは経緯のこと等につきましては、担当の人事局長が参っておりますので、局長から御説明させることにいたします。
  5. 北雄一郎

    北政府委員 ブラザー制度のまず目的でございますが、ただいま大臣がお答え申し上げたとおりでございます。そういったことで、この制度、昨年四月から発足をしておるわけでございます。この世話役ブラザー役割り、あるいは範囲、そういったこと等につきまして通達が出ておりまして、通達によってこの制度を運用しておる、こういうことであります。すなわち、昨年から始めました東京郵政局管内世話役制につきましては、昨年東京郵政局通達を出しまして、これによって東京郵政局管内普通局において実施をしておる、こういうことに相なります。  本省施策といたしましては、これを受けまして昨年の八月に、またことしの二月にやはり通達を出しまして、この場合は職場リーダー制という名前にいたしまして、そしてこれを推進するために職場リーダーになります者の講習会等を開く経費、それから実際世話役になる人の活動に要する経費、こういったものの令達をいたしておるわけであります。  なお、本年度におきましては、引き続き東京管内においてこれをそういう形で実施いたしますほかに、大阪及び名古屋郵政局管内についても、それと同様の内容を持ったものを実施するように通達をいたしております。したがいまして、これに伴う経費というものも令達をいたしておるわけでありますが、これは需品費、それから諸謝金あるいは業務旅費というものを配算しておる次第であります。現在、東京郵政局管内で実際に委嘱されております者が三千百名ということであります。  また、ただいま申し上げました世話役になる者あるいはリーダーになる者の講習でありますが、これにつきましては、東京の場合は代々木のセンターにおきましてその理論、実践について大学教授お話を聞かせる、あるいは青年心理カウンセリングの勉強をさせる。これは理論を聞かせたり、あるいは事例研究をさせたりする、また郵政局係官がこの制度についてのシートを用いましての会議式研修を行なう、こういうようなことをしておるわけであります。  なお、諸経費のうち、ただいま申し上げましたリーダーもしくは世話役研修と申しますか、講習に要します経費といたしましては、東京大阪名古屋配算をいたしておるわけでありますが、そのほかに世話役そのものに対しまして、この活動に必要な経費、これは東京大阪のみに本省として令達をいたしております。これは一カ月一千円以内、それからまた一件一千円以内という二重の縛りをつけまして、それぞれ証拠資料をチェックいたしまして、立てかえ払いの形で事後補てんをしておるわけであります。  なお、この立てかえ払い方式と申しますのは、軽微な経費につきまして便宜職員が一括立てかえまして、後日正規の支払いを行なう、こういう方法であります。たとえば、出先での電話代でありますとか、あるいはパンク修理代有料駐車場駐車券というようなものについてこういった方法をとられておる、そういう方式でございます。  以上でございます。
  6. 米田東吾

    米田委員 大臣からと局長から、それぞれ御見解を含めてお聞かせをいただきましたけれども、なおこの内容につきまして、もう少し詳しく説明をいただきたいと思いますので、順次質問をしていきたいと思います。  まず、この制度は、いま大臣お話局長お話でもそうでありますが、青少年職員不平不満を解消したい、あるいはこれら新規青少年職員定着率を高める、そういうところに目的があるというお話でございます。この不平不満疎外感を解消するというようなことについての施策といいますか、そういうものについてはこれは大事なことだと思うのでありますけれども、しかし、定着性を高めるという点についてはこの制度というものははたしてそういう実効といいましょうか、効果があらわれておるのかどうか、私としては非常に疑問があるわけであります。まあ現況をあとでいろいろ説明をいただきますけれども、現に起きておる事象からいきますと、多分定着性を高めるというような大義名分については実際の実効は伴っておらない。もちろんこれはまだ始めてそう時間もたっておらないわけでありますから、いまここで結論を出すことはどうかと思いますけれども、いままでの経過からすると、そういうことが十分考えられるのではないか、こう思っておるわけでありまして、したがって、他に何か目的が、むしろほんとうの目的がそこにあるのではないかというような感じがするわけであります。  いまの御説明によりますと、東郵でこれが昨年の四月ごろから始められて、郵政省としてはそれを受けて郵政省一つ施策としてやるようになったというお話でもございます。まあ東京郵政といえば、大臣からお話がありましたように、特に昨年以来労使関係というものは非常に激しい混乱の状態といいますか、緊迫した紛争の状態というものが起きておるところでございますし、そういうところに、この中にあるリーダー制度とか、ブラザー制度とかいっておりますが、要は職員一人に対して一人の職員をつけて、マン・ツー・マン方式で、そうして二十四時間フルに職員を管理する。そうして職員の思想、それから生活、そういうものも含めまして改造していくというところにねらいがあるのではないかというような感じもするわけでありまして、この制度がたまたま東京郵政の当時の浅見局長から発想として出てき、また、実際のこういう制度というものがなされてきたということからかんがみましても、そういう感じがするわけでありまして、したがって、若年労働者定着性を高めるというようなことは、どうも私としてはまゆつばではないかという感じがするわけであります。  そういう観点で、ひとつこのブラザー制度というものについては、郵政省がいまどういう実態にあって、どのようなプラスあるいはマイナスがあるのかというようなことについて、もう少し正確に聞かしていただきたい、こう思っておるわけでございます。
  7. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ブラザー制度につきましては、ただいま先生指摘のように、定着性ということがねらいであればどういう実効があがっておるかということが私は非常に大切な要素になろうかと思っております。全くその点は同感でございます。また、いまもお話ございましたように、このことにつきましては、昨年から始めたばかりの制度でございまして、長い間の実績、それ以前と比べましての定着性の向上ということについてはすぐれた資料がございませんけれども、ただ、昨年から始めまして、それ以前に比べますと、定着性は少しばかり向上してきたという事実はございますので、その数字につきましては、あと人事局長から御説明をさせることにいたしますが、ただいまお話ございました、それがねらいだと郵政当局は言うけれども、そうでなくて他意があるのじゃないかというおことばでございまして、はっきりおことばにはお出しにならなかったわけでございますけれども、何かこのブラザー制度というものが、組合の所属の転換でも慫慂するような意図をもって私どもが創設したのだというような御心配ではなかろうかと思いますけれども、さようなことは断じて私どもといたしましては考えてないのでございまして、そういう事実があるということになりますれば、これは私ども責任をもってさようなことのないように指導していかなくちゃならないと思っておりますわけでございます。  なお、その辺の詳しいことにつきましては、いろいろお尋ねございましたから、人事局長から御説明を申し上げることにいたします。
  8. 北雄一郎

    北政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございます。若干詳細に申し上げますと、先生お示しのとおり去年から始めた制度でございまして、いまだ、始めまして数年を経なければはっきりこうだからこうということはなかなか申し上げにくいとは思います。しかし、東京郵政局の場合、ことに先年来欠員の発生と申しますか、欠員が発生してもなかなか補充ができない。一とき補充してもすぐ離職して、また欠員が発生するということに悩まされておりましたので、東京郵政局管内に限りましては、実は四十一年ごろから新規採用者につきまして個人個人追跡調査という形で、その人が一年以内にどれだけ離職したか、また二年以内にどれだけ離職したかというのを、五年以内までずっと調べるようにいたしております。  ただ、東京ブラザー制度を始めましたのは去年の四月からでございますので、去年の離職率と、おととしの離職率というものを便宜説明いたしますと、四十四年度の場合、採用してから一年間以内で離職した者の率が、内勤職員で七・六%、外勤職員で九・一%、こうなっております。これに対しまして、制度を実施しました四十五年には、内勤職員におきまして六・一%、外勤職員において八・三%と、いずれも相当離職率の低下を示しておるわけでございます。また、一般的な感触といたしましても、それによって多分疎外感、あるいは不平不満というものが消えてきておる。職場に、また新しい生活に急速になじんできておるという感触を得ておるわけであります。  また、この制度は、部内におきましては東京最初に採用した制度でございますけれども東京が独創的に思いついた制度ではございませんので、民間の大企業等においてすでにこれを採用しておる企業が非常に多いわけでございます。  また、この制度の持っていき方でございますが、これも大臣説明なさいましたとおりでありますが、私ども決して、たとえば職場リーダー講習する場合にも独特のものをたくさん持ち込むということはしておりませんので、先ほど触れましたように、カウンセリングのやり方というようなものに大きなウエートをとっております。また、青年心理ということについても、十分世話役のほうに注入をする。それからまた郵政局係官等をして教えさしております内容というのも、実はEPPの兵庫県経営者協会というところで出しました「職場リーダー定着性コース」というシートが実はございます。内容は煩瑣でございますのであれでございますが、たとえば菊池寛の「近醜遠美」、近くのものは醜く見えて、遠くのものは美しく見えるというような短文を引用したりいたしまして、要するによその花はきれいに見えるが、実際はそうではないんだというようなことを中心に講習をしておるわけでございまして、決して他意があるものではございません。  以上でございます。
  9. 米田東吾

    米田委員 いま人事局長から説明していただきました中にありましたが、この定着性関係は実は私も資料をもらっておりまして、いま説明ありましたことを承知しておりますが、私は、あまり信憑性がないと思いますので、あとでまた聞きたいと思います。  ただ、民間等にもこのような制度があるというようなこともいわれておるわけでありまして、それにならったということでしょう、そういう御趣旨だと思うのでありますが、私は、民間の場合はこれはまた別でありますから、全然議論の対象にする必要はないと思いますけれども郵政省がこういう制度を採用するということは、それなりに根拠となるべき法規法令がしかとあって、それに基づいてこのような制度、それから公金の支出というようなことが、責任所在を明確にしながらなされていかなければならないのではないかと思っておるわけであります。この制度というのは一体どういうものなのでしょうか。いま局長説明ですと、郵政省から二回くらい通達が出ているというお話でありますが、私が聞いたところでは実はそういうものを聞かせていただいておらないわけであります。私、資料要求いたしまして、そういう通達なり、指導文書なりがあったらいただきたいという要求をいたしたのでありますが、通達等はいただいておらないし、そういうものがなかったように実は聞いておるわけであります。はっきりとしたそういうものがあるならば、ひとつその通達、八月と二月に出した郵政省通達等についてもひとつ資料としていただきたい、こう思っております。  とにかく、いずれにしても郵政省としての制度を採用するにあたっての法規法令上の根拠というものがどこにあるのかということを明確にひとつ聞かしてもらいたい、こう思います。
  10. 北雄一郎

    北政府委員 郵政事業を円滑に回すという場合、当然これの業務の衝に当たるべき労働力というものが要るわけであります。これの定着性を増すということは、もう郵政事業を回すというところから当然必要になってくる問題であり、あるいはそれがとりもなおさず郵政省責務である。したがいまして、そういった責務に基づきまして、関係の局で、それに対する通達を出して制度を施行するといいますか、指導するということは当然のことである、かように考えております。
  11. 米田東吾

    米田委員 根拠は何です。
  12. 北雄一郎

    北政府委員 そういうことで、東京の場合は、東要訓第八〇一号通達というものでございますし、本省の場合は、文書番号はちょっとここにございませんが、昨年の八月、人事局長経理局長連名通達、それから本年二月、同じく人事局長経理局長連名通達、こういうものを出しておるわけであります。
  13. 米田東吾

    米田委員 私聞いておるのは、法的根拠は何かということを聞いているのですけれども郵政省仕事として郵便を円滑に配達をする、あるいは郵政事業というものを円滑に進める、そういう面で要員の問題は大事だ。したがって、何をやってもいいということにはならないと思いますし、何に基づいて何をやるかということは、これは法規法令できめられておるわけでありますから、その根拠になるものは何かということをお聞きしておるわけなんです。
  14. 北雄一郎

    北政府委員 郵政省職務規程の第二条に「郵政省内部部局」、これは人事局経理局いずれも内部部局でございます。それから「地方支分部局」、東京郵政局地方支分部局一つであります。云々「の長は、その機関の事務を総括し、所属職員の服務を統督し、事務の能率的な遂行を図るものとする。」こう規定してございます。したがいまして、そのあらわれといたしまして先ほど申しましたように、人事局長経理局長並びに東京郵政局長関係通達を達示した、こういうことであります。
  15. 米田東吾

    米田委員 郵政省設置法関係はどういうことになるのですか。もし、そういうものだとすれば、もう少し職制上からしても明確にしておかなければいかぬのではないか。主任、主事あるいは課長代理、副課長、それからいろいろ役職がそれぞれきめられておるわけでありますし、そういう系統的な職制というものは、郵政省の場合は明確になっておるわけであります。このブラザーというのは、一体それとはどういう関係を持つようになっておるのですか。私が聞いておるところによりますと、いまあなたが説明されました東京郵政が出しておるその通達といいますか、東要訓第八〇一号、これも私、資料としてありますが、この中を読んでみましても、たとえば辞令等については口頭をもってやるのが原則であるとか、大事な点になるとみんなそれは口頭もしくは明確性を欠いておるわけであります。あとになって責任所在はどうかということになりますと、全然これは追跡できないという内容であります。したがって、責任所在というものはどういうものかということを、私は非常に重視しておるわけでありますので、そういうことでお聞きをしておりますから、ひとつ御回答いただきたいと思います。
  16. 北雄一郎

    北政府委員 世話役あるいはブラザーというもの、これは当該郵便局長が本人に委嘱をする、こういう形をとっております。すなわち官職ではございませんので、それに任命するという形をとるものではございません。もっと詳しく申しますと、要するに当該所属長が、ブラザーないし世話役として適任だと思う人間に対して、君こういうことをやってくれぬだろうか、やりましょう、といった場合に、じゃお願いします、こういう形でありますので、正式の役職ではなく、したがって、任命行為というものではございません。と申しますのも、この仕事自体が先ほど来申しておりますように、新規採用青少年職員定着度を高めるという施策であり、しかも、その方法がこういった新規採用職員がともすれば抱きがちであって、そのゆえに離職しがちであるところの不平不満であるとか、あるいは疎外感というものを、相談相手になってやることによって解消するというところに主眼がある。いわば何と申しますか、インフォーマルな形での指導、こういうことに相なるわけであります。したがいまして、管理職というものではございません。そういうことでございます。  それから、先ほど職務規程と申しましたが、職務規程と申しますのも結局設置法の第二章でございますか、「内部部局及び地方支分部局」というのがございまして、それぞれの局につきましての仕事割り振りあるいは権限の割り振りというものが定められております。これを実行いたしますために、さらにそれを受けまして詳細な職務規程というものがある、以下それに基づいて通達が出る、こういう形であります。
  17. 米田東吾

    米田委員 全然わからぬね。もっとはっきり、私も頭が悪いほうですからわかりやすいようにすぱすぱと説明をしていただかないと、どうも判断できないのですが、私のところに、これは中原郵便局の世話役制度の内規がございます。これによりますと、あなたのほうは任命ではない、本人の了解を得て委嘱するというようなお話でありますけれども、この中では指名することになっております。局長が指名する。第三条「世話役は、志操堅固にして明朗、指導性、協調性、献身性を有し、かつ、業務に精通し、職員の信望あるものとし、原則として主任またはこれに準ずる者の中から局長が指名する。」こうなっております。この指名ということは、法律的に解釈するとまた何か意見が分かれるかもしれませんが、内規として局で定めて、そして局長が指名するということになりますと、これははっきり根拠を持たなければならぬだろうと私は思うのです。郵政省法規法令に基づかないで何かばく然とこんなことがなされるということは、私は理解できない。指名された者は、そういうふうに理解しておらぬはずであります。したがって、ここでいう指名というのはどういうことなんでしょう。これは間違いなんでしょうか。
  18. 北雄一郎

    北政府委員 実は、先ほど申しましたように、任命行為ではない。頼む、やりましょうということで、じゃ、お願いする、こういう行為であります。その場合に、実は指名ということばと委嘱ということば、これはいずれも法律用語ではございませんで、いわば俗語でございます。法律的にいえば任命行為でない。先ほど言っております、やってくれぬか、やりましょう、じゃ、お願いする、こういうことですけれども、それを実は指名と委嘱という二つに区分しております。なぜ区分するかといいますと、御承知のように、新規採用職員というのは年間のある同一の時期に一ぺんに来るものでございません。ある短時期に相当大量入る時期もございますけれども、それ以外の時期におきましても、随時といいますか、局情に応じまして随時新規採用職員というものが発生してまいります。やはりリーダーについては、カウンセリングとかいろいろ訓練も必要になってまいるわけであります。したがいまして、たとえばある局で、去年の実績あるいはことしの増員のぐあい、いろいろなことを勘案しまして、かりにことしはわが局には三十名なら三十名新規採用職員があるだろうという見当をつけますと、おおむね三十名の人に対して、一応新規採用職員が入ってきたら、君、ブラザーになってくれぬか、やりましょう、じゃ、お願いする、これが指名であります。その後具体的に新規採用職員が入ってまいります。そうしますと、あらかじめ指名しておった職員の中から、君はだれのそれがしという新規採用職員の具体的な指導員もしくは世話役であることをお願いする、これが委嘱、こういう意味でございます。
  19. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、これは本人の了解が前提だということでありますね。本人の了解が前提である。したがって、ここでいう指名とかそういうものは一方的なものではない。要するに権限に基づく任命ではない、こういうことで明確なんですか。これをもう一ぺんはっきり聞かしてください。
  20. 北雄一郎

    北政府委員 全くただいま先生のおっしゃったとおりでございます。
  21. 米田東吾

    米田委員 あなたの説明によりますと、現在約三千百名あるというふうに聞いておるわけでありますが、そうしますとこの三千百名は、全部本人の了解を得て、要するに承諾を得て任命されている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  22. 北雄一郎

    北政府委員 そのとおりでございます。
  23. 米田東吾

    米田委員 この三千百名の中には、私がいただいた資料によりますと、全逓所属ブラザー、要するに兄ですね、これが約千九百名おる、こういうふうに資料としていただいておるわけでありますが、このことは間違いありませんか。
  24. 北雄一郎

    北政府委員 三千百名と申しますのは、東京郵政局管内におきまして、現実にブラザーを委嘱しておる人の数でございます。その中で千九百名が全逓所属の組合員であるというふうに把握しております。
  25. 米田東吾

    米田委員 そういうことになりますと、この千九百名は全逓の方だというのでありますけれども所属も全部――三千百の中身というものは、全逓関係者が幾らだ、それから全郵政関係者が幾らだ、そうでないのが幾らだというふうにして、事前にその所属だとか、そういうものも相当調べて、本人の了解を取りつけるという手の込んだことをやっておるわけなんでございますね。  それからもう一つは、全逓関係の方々千九百名にすでに東京郵政管内だけでも委嘱をしておるということでありますから、これは少なくとも、あなたのほうと全逓と持たれておる労働協約等の関係からいきますと、こういうことになりますと、労働条件等についても相当関係が出てくるように当然なるはずでありますから、したがって、これは全逓といわれる労働組合のほうとこれももちろん了解がついて、団体交渉等で話がついて、そうしてこの制度というものが全逓関係の方々にも協力してもらうという体制でなされておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  26. 北雄一郎

    北政府委員 三千百名、千九百名ということは、実は先般来本問題につきまして組合のほうから問題提起がございました。それによりまして初めて調べて得た概数でございます。したがいまして、事前にそういったことを考えて委嘱したというものではございません。  それから第二点でございますが、私ども、これは新規採用職員定着性の問題、かように考えておりますので、そのために、この制度を採用する場合に、団交をしたとか、あるいは協約化したということではございませんし、今後もそういう考えはございません。ただ、本制度を採用するときに、そのことを組合に説明はいたしたわけであります。現に今日も、その問題につきましていろいろ問題提起がございますので、別途労使間において、十分意思疎通をかわしておるところであります。
  27. 米田東吾

    米田委員 それはおかしいじゃないですか、局長。これは、あなたのほうの施策であろうと何であろうと、対象となる方の労働条件というものは、労働条件の変更になるわけでありますから、当然関係してくる。これは、何か説明をして話をしたということではなしに、組合に正式に当の制度の全体を明確に説明をして、そして一致した上でなされなければならない、こういうことに、当然これはなるはずじゃありませんか。あなたのところでは、こういうことについてあいまいにして、話をして聞いてもらえばいいんだということで、この種のことはやられておるのでありますか。
  28. 北雄一郎

    北政府委員 先ほども世話役というものは正式の職務ではないから、したがって、任命の対象になるものではないと申し上げました。同様に、その仕事内容といいますものは、いわばインフォーマルなものでございまして、省の施策である、したがって、職務上これを命令しているものではないというところから、先生お話ではございますけれども、やはり先生とは若干見解を異にするわけであります。
  29. 米田東吾

    米田委員 見解を異にするのは、これはまあそういう場合はやむを得ないでしょうけれども、あなたのほうでは、要するに権力の側はそういう理解をしておっても、受け取るほうの側というものは、局長に言われ、あるいは課長に言われ、あるいは口達であろうと、文書であろうと、一つの任命的な行為が持たれてやらされれば、これは当然一つ施策として、責任関係も伴うところの任命だというように理解をするわけであります。したがって、それはその人の勤務条件、労働条件等について影響が出てくることは、受けるほうの立場からしまして当然の話であります。あなたのほうで、郵政省の解釈はそうなんだから、団体交渉の対象にもならぬし、本人にそれほど苦労をかけていることにもなっておらぬというのは、あまりにもてまえがってじゃないかと思うのであります。やはりルールがあるわけでありますから、こういう関係を組合と話をする、あるいは職場では、支部なり、分会なりの組合ときちっと話をつけて、こういうことは堂々とやられたらどうなんでありますか。私は、その点どうも納得できないですね。そういうところから今日、このブラザーというものについての理解が一致しない、あるいは非常にいま問題が出てきておるということになっておるのじゃないか、私はそんなふうにも思うのでありますが、これはどうですか。
  30. 北雄一郎

    北政府委員 繰り返して恐縮でございますけれども、君、やらないか、やりましょう、こういうことであります。したがいまして、一言でいえば、善意によってお願いをしておる、こういうものでありますので、裏返せば、いやだと言って断わる自由も当然あるわけであります。そういう関係から考えまして、やはり私ども、そういうわけにまいらぬ、そういう性質のものではない、かように考えております。
  31. 米田東吾

    米田委員 そういう性質のものではないということを、何かかたくなにさっきから繰り返して非常に強調しておられますけれども、そういう性質のものになるかならないかは、これからだんだん、私、質問していけばはっきりしてくると思いますけれども、あらかじめ恣意的に、どうしてあなたはがんとしてそういう態度をとっておられるのか。もっとフランクに、そういうようなことは職場で組合のほうと話をして、それほどいいことで、しかも本人が了解するということが前提となるならば、これはもう話をして、やられて差しつかえないんじゃないか。そこでさっき私は、法規法令は何かということをお聞きしたのでありますけれども郵政省は常に、職場の中ではそういうけじめというものはつけられておるはずでしょう。そこに責任というものが存在をして、それを対象として規律というものが確立をしていっているわけなんですね。おい、ひとつやってくれ、はい、わかりました、それじゃ頼む、それでやっているんだなんという、そういうあいまいなことが今日の近代的な労使関係においてあるということは、納得できないわけです。これはもう少し、あなたのほうの率直な見解を聞かしてもらいたい。  それから、今後といえどもこの方針で、なんておっしゃっておられますけれども、今後のことはまだ聞いておりません。これからいろいろ聞こうと思っておりますが、私の質問をある程度想定して、先取り先取りで答弁しておられますけれども、それだけになおさら私は、意識過剰な、かたくななあなたのほうの態度がわからないわけなんです。どうなんですか、これは。
  32. 北雄一郎

    北政府委員 どうも失礼いたしました。  しかし、やはりこれは職務そのものではないのであります。職務であれば、当然任命をするということになります。したがって、職務ではなくて、これは世話役をお願いするということでありますから、本人がいやだと言って断わる自由も十分にあるわけであります。これは、イエスかノーかは本人が握っておるわけでありますから、そういった意味で正式の職務ではない。したがって、そういった労働条件というものにはならない、こう考えております。
  33. 米田東吾

    米田委員 そういうことになりますと、局長、これは問題ですよ。さっきあなたの説明では、一カ月千円という一つのあれはあるけれども、このブラザーに対しては、そういうふうに自由に金を使わせるわけですね。そうして、それは、証拠さえあれば、あとから立てかえ払いをして決済するということになっているわけですね、あなたの説明によりますと。正式な職務でも何でもないのに、何で公金をそういうふうに自由に使わせるのですか。そんないいかげんなことをあなたのほうはやっておるのですか。だから、私はおかしいと思うのですよ。もし公金上、そんな不正があったり何かあったりしたら、だれが一体責任をとるのですか。そんないいかげんなことであなたのほうはこの需品費なるものをやっておるのですか。そういう点、もう一ぺん答えてください。
  34. 北雄一郎

    北政府委員 そういう、先ほど申しましたような形で経費の補てんはいたしております。これをいたしますのは、これも先ほど申しておりますように、それが郵政省として必要といたしておりますところの、大都会における新規採用職員定着性の向上という一つ施策であるからであります。
  35. 米田東吾

    米田委員 大臣にひとつ見解を聞きたいのですが、私、これからまだずっと質問の予定がありまして、一度に出しておらないので恐縮なんですけれども、少なくともいままでの段階で、局長大臣が答弁されておるように、郵政省施策として、定着性を高めるとか、要員関係の向上をはかりたいとか、そういうことでこの制度は必要だとするならそれはそれでわかるから、それじゃもっと役所がやりやすくはっきりしたらいいじゃないかということでお聞きしているのですよ。いまの局長の答弁では、どうもその点がはっきりできない。しかし、これは実際問題、郵政省としてこういうままでいいのでしょうか。民間でやっているからというさっきの答弁がありました。私がいただいた資料の中でも、民間でそれぞれやっているというようなことについていっておりますけれども民間のことは全然対象がまた別であります。伊勢丹がどうやっておろうと、三菱がどうやっておろうと、日本航空、日本電気、 トヨタがどうやっておろうと、これはもう別の問題です。郵政省としてやっているだけに問題がある。ですから、これはきちっとされたらどうですか。これは大臣の見解はいかがでございますか。
  36. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 米田先生の御追及もよくわかるのでございまして、こちらの答弁は郵政省設置法に基づく職務規程、その職務規程によりまして、通達によってそういう制度も設けておりますけれども、とにかく法的な根拠がございます。それから個人個人世話役の委嘱につきましては、本人の自由の意思を尊重いたしまして、そういう仕事はやりたくないということであれば委嘱もしないわけでございまして、本人が承諾いたしまして初めて委嘱するということになるわけでございますから、これは役所のいわゆる任命行為ではない、かように思います。制度につきましては職務規程あるいは通達根拠はございますけれども個人個人世話役ということになりますれば、任命行為でなくて委嘱だということになります。  経費の面につきましては、これは一見不明確のようでございますけれども、ただ、当今、役所のきわめて重要な仕事でもございます青少年従業員の定着ということにつきましては、相当経費をかけなくちゃならない、経費をかけて定着の方途を講じなければならないというような精神に基づいてやっておるわけでございます。しかし、御質問の御趣旨はよくわかりましたので、さらに十分こちらのほうとして検討いたします。私どもただいま考えておりますことは以上お答えしたとおりでございます。
  37. 米田東吾

    米田委員 大臣から、検討もしてみたいというお話でございますから、それはそれでひとつぜひ私はお願いしておきたいと思います。  もう少しこの関係について私は聞きたいのです。  イエスかノーかと言う権限は相手にあるのだから、もし相手がノーだと言えば頼まないのです。したがって、これはそういう制度、そういうシステムでやりたいのだけれども、諾否の権限というものを相手に与えてあるだけに、これは命令というようなかっこうで強制するようなことはしていないからよろしいのだ、こういうお話のようでありますけれども、実際問題、そういうことにしても、これはまたあいまいだと私は思います。そんないいことなら諾否の権限なんていわないで、それこそこれの中にあるように、職員の信望のある者、あるいは協調性、献身性を有して、かつ業務に精通している者、そういうものがあったらきちっとして任命すればいいじゃないですか。あなた、そんなことを言って、もし、みんな私はできませんと言ったらどうするのですか。せっかくあなたのほうのいい構想、施策は成功できないでしょう。どうです、そんなあいまいなことでやっておられるのは、私はけしからぬと思うのです。それだけの熱意と、情熱と、郵政事業に対するうんちくがあってなされるならば、私が言ったように、きちんとしなさいということについてわかりませんか。みんな断わってきたらどうするのですか。  それから、全逓の関係の方々は千九百名といわれておりますけれども、その方々の意思を代表して労働組合が、これは全部お断わりします、もしやるとするならば、一応組合のほうの意向も聞いて話を詰めて、組合が納得できる、協力できる線でやりましょうというふうに言ってきたら、あなた、これはどうするのですか。全逓さんから協力してもらわなくてもいい、それはもうけっこうであります、よそのほうからやってもらいます、こういうことになるのですか。この点、局長からお聞きしておきたい。
  38. 北雄一郎

    北政府委員 全部が断わったらどうするかということでありますが、全員がいやだと言ったらこれは指名も委嘱もできないわけであります。  それから組合との関係でありますけれども、先ほども少し申し上げましたが、この問題について現に組合からいろいろ話がございます。それに対しまして、これは話をせぬといっておるのでは一つもないのでありましで、それに対して私ども十分話をしております。この問題についての労使間のコミユニケーションというものについては、これを拒否するというつもりは全くございません。十分話は聞いて全逓の協力も求めてまいりたい、かように考えておるような次第であります。
  39. 米田東吾

    米田委員 あげ足か、ことばじりをとるわけではありませんけれども局長、みんなが断わればしようがないです、やりません、そんな答弁でいいのですか。責任ある郵政省局長として、何か開き直ったようなそういう無責任な答弁は、私はちょっとどうかと思うのです。あなたは、どうも言外には、断わるのは断わっていただいていいのだ、むしろすっきりするのだ、やってくれる人がいるのだ、そういう腹があるからそういうことをおっしゃるのですか。私はいまブラザーの兄のほうの立場から取り上げておりますけれども、今度は弟のほうの立場が一つあるわけです。もし、あなたがそういうことでその答弁でいいなら、これは徹底的に、弟のほうからも問題は今後出てきますから、組合の所属はどうあろうと、これは全部返納するようになりますよ。そのときはそれでいいのですというのだったら、何も金を使ってこんな制度を生み出して、いままで一年間もやってきて、そんないいかげんな、だめならいつでもやめるのですということでいいなら、国の金を使って何のためにこういうことをいままでやってきたのですか。あなたのいまの答弁は、ちょっと無責任過ぎるのではないかと私は思いますから、訂正する意思はありませんか。
  40. 北雄一郎

    北政府委員 私のことばが足りませんでしたことはおわびいたします。そういう、何か腹の底にあるのではないかということは、皆目ございません。むしろ断わってきたらやれないことに一応形式上なるわけでございますけれども、そういったことにはならないよういろいろ話もしてまいりたい、かように考えております。  また、この世話役でなくて、世話されるほうの人間、このほうもいやだと言った場合にどうするか、これはいやだと言った人がいるということを、私、実は聞いておらないのでございますが、ただ世話役のほうをかえてほしいというような申し出があって、かえた例はあるやに聞いております。しかし、この問題も世話役の委嘱、指名と同様に、やはり本人が、ぼくはどうしてもそういうのは困りますということであれば、強制してまでつける、こういうことはすべきではなかろう。しかし、やはりこういった制度が、青少年職員定着性ということを配意した、私どもとして非常に大事な制度というふうに考えておりますので、極力そういったことがないようにいろいろ話をしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  41. 米田東吾

    米田委員 そこで、今度ブラザーの弟のほうの立場から私は二、三聞いてみたいのですけれども、いままでの現況は、あなたのほうの把握ではそういう、断わった者はないというお話でありますけれども、そんなはずはないだろう。いまいろいろあらわれてきておる資料からいきまして、もし断わっていないとすれば、おそらくその人は強制的な局の施策ブラザー施策に一応面従の形でやらしておくのではないか、そういうふうに私は思うのであります。  それで、原則的なことで聞きますけれども、この弟のほうがそういう制度は要りません、私にはそういう兄は要りません、一人に、自由にさしておいてくださいと言ったら、それはそのとおりやらせるのですか。
  42. 北雄一郎

    北政府委員 この制度のねらいは、再三繰り返しておりますようなところにございますので、そういった申し出がありました場合には、極力そのほうが君自身にとっても職場に早くなじめるし、いいんだというふうに説得すべきだと思いますけれども、いかに説得いたしましても、どうしてもいやだという場合に、強制するということはすべきではないだろう、かように考えております。
  43. 米田東吾

    米田委員 郵便局に試験を受けて入る、その段階でブラザーというようなものがあらかじめあって、そうしてあなたは採用して入ってくればこういうものになるのですよというような、そういう雇用上の関係としてその新規採用の人に明示をして、そうして入ってもらっているはずはないわけであります。ですから、入ってみたところがこういうようなものがある。私は主任さんなり、主事さんなり、課長さんなり、局長さんなり、あるいは同僚がいるから、もうそれで十分、私としてはよろしゅうございます、こういう情けの押し売りのような、何か一人の者をつけてもらって、朝から晩まで監視されておるようなかっこうで、そしていろいろやられるということについてはもうごめんでございます、したがって、こういう制度にも私は納得できないし、ましてやブラザーの兄などというものについて特定されて、どんな人を私につけてもらおうとも、これはもう要りません、そういうふうになれば、それじゃ強制じゃないのだから、それはそれで通るということでございますね。そういうことなら、それでよろしい、こういうことでよろしゅうございますね。
  44. 北雄一郎

    北政府委員 そういうことでございます。
  45. 米田東吾

    米田委員 それからいまの答弁で、ブラザーの兄がどうも気に食わないから、ほかの者にしてくれと言われたら取りかえてやるのだ、こういうことでもございますが、それもそういうことでございますか。
  46. 北雄一郎

    北政府委員 これもはいと、すぐやるというものではなくて、やはりそういった疎隔の原因というものがあるならば、やはりそれをよく聞きまして、何か誤解であれば誤解を解くということもいたしますでしょうが、やはり終局的にどうしてもいやだということなら、先ほど申しましたとおり変更する。現に変更した例もあるように聞いております。
  47. 米田東吾

    米田委員 そのブラザーの兄のほうと弟のほうの両方のサイドから聞きましても、実際問題、まことにこれは根拠のないいいかげんな施策ですね。そうして、あとで金をどれだけ出しているか聞こうと思っておりますけれども、国の金だけはおそらく相当つぎ込まれておるのではないか。そうして私は、ここである局の経費の使用状況資料、これはこの前調査に行ったときもらってきておるわけでありますけれども、ずいぶんむだに飲み食いをされておるわけですね。ボウリングだとか、あるいは映画だとか、こんなようにしていいかげんに国費を使う。まことに権威のない――断わられたら兄も取りかえますし、それならそれでやむを得ない、それから兄のほうも本人の諾否の権限があるのだから、断わられればこれもしようがない。郵政省として行なう施策がそういう権威のないようなことで、一体これはいいのでしょうか。これはそんなことなら――大臣いま問題になっておるのは御承知だと思うのでありますけれども、それほどたいして根拠がないなら、この際これはやめていただいて、そうして、もう一ぺんひとつ検討してみるということでどうでしょう。これは根拠がないです。われわれ、米田東吾が納得できるような説明がないもの。これはどうですか。
  48. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ブラザー制度の問題につきましては、全逓とただいま折衝中の課題の一つにもなっておりますが、大体納得していただけるのじゃないかと思っておりますけれども、また、必ずしもそうでもないと思っております。それから先般現業局十四局を視察していただきました全逓の顧問議員団その他の方々からもいろいろ承っておりますし、また、数日来の当委員会におきましても、賛否両論の御意見があるようでございます。そのように私は拝聴するわけでございますが、そこで根本的にこいつをなくしてしまえというような御意見でございますけれども、私は、まだそこまで考えられないと思うのでございまして、ただ運営につきまして悪弊がある、余弊があるということでございますれば、これは改善しなければならない。全部なくしてしまうということでなくて、改善の必要があれば改善したいということで、十分検討いたしてみたい、このように考えております。
  49. 安宅常彦

    ○安宅委員 関連。大臣、あなたはそういうふうにおっしゃるわけですけれども、こういう立場から考えたことがないのでしょうかね。たとえば労働基準法に基づく寄宿舎規定、そういうものがありますね。それは寄宿舎では自治が行なわれなければならない。その中で選んだ代表がおる、自治組織でなければならない。会社側や企業がそういうものに介入してはならない。こういうことまできちっとしてあるのですよ。このブラザー制度は、ことばがわからないからつくったなどと言っておるけれども、そういういなかから出てきた人を初め対象にしてやったんだというなら、独身寮だとかいう、そういうものに入って、ブラザーというのはそういうところまで権限が及ぶ行動をとっているようですね、そうじゃないですか。そうすれば、これは労働基準法の精神にもとることになるのじゃないですかね、どうですか。これは大臣でなくてもいい、人事局長でもいいです。
  50. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 寮のことについて、お名ざしでないようでありますけれども、なお詳しいことは人事局長から説明させます。
  51. 北雄一郎

    北政府委員 ブラザーが世話をする、世話役が世話をする被世話者、これも寮におる者もたくさんございます。おりますけれども世話役が寮の運営に関し口をいれるとか、そういうことは全然ございません。
  52. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、職場にいるときだけの話だとすると、係長とか、課長とか、主事とか、主任というのは、一体何のために置いておくのですか。労務の課長もおるだろうし、管理だとかいう名前の課長もあなたの省にはおるのですけれども、その人は一体何をするのですか。労務というのは、労働組合の弾圧だけに一生懸命になって、労働者の福祉関係や何かは、それは厚生のほうだというかもしれないけれども、そういう労働者を世話をする仕事ブラザーにみんなまかせてしまえば、その人たちは何もすることはないじゃないですか。
  53. 北雄一郎

    北政府委員 私申し上げましたのは、世話役が寮の運営に関与することはないと申し上げました。ただ、世話役そのものが、先ほど来申し上げております趣旨のものでございますから、したがいまして、職場生活におきましても、また私生活におきましても両方におきまして、やはり新規採用職員のよい相談相手になってやる、こういうことでございます。
  54. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、そろそろしっぽを出してきたが、私生活というのはどこにあるのですか。いなかから出てきた人の私生活はどこにありますか。いなかにありますか、東京にありますか。
  55. 北雄一郎

    北政府委員 これは申すまでもないことでありますが、家へ帰って寝るところ、これは確かに寮でありますけれども、私生活と申しますれば、勤務時間が終わればすべて私生活でございますので、寮におるときもございますでしょうし、あるいは外でいろいろレクリエーションする場合もございますでしょうし、いろんな局面があろうかと存じます。
  56. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、郵政省というのは、私生活まで全部ブラザーなるものの制度によって掌握する、あるいはいろいろくちばしをいれるということが可能だと思ってあなたはおられるんですか。役所の事務時間だけで、あと終わったら、私生活というのはあなた方の権限から離れているはずです。人間のプライバシーというものは、そんなものじゃないはずです。そうじゃないですか。
  57. 北雄一郎

    北政府委員 そういうことでございますから、世話役というものも任命あるいは職務というものではないというわけであります。そして、世話役になるのも本人の合意が要る、同意が要る。それから世話されるほうも終局的には本人の同意が要る、合意が要る。そういう労使のいわばインフォーマルな関係ということであり、それが定着性向上に役立つというところで経費等を支出している、そういう制度であります。
  58. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういう任命制でも何でもないもの、で、私生活の分までやるものに、あなたは公費を使うことがいいと思っておるんでしょうかね。それは間違いじゃないですかね。仕事のことについてだけ、あなた方には予算を国会が審議をして出しているんですよ。従業員の私生活の分まで、何かわけのわからない機構をつくって、そうして、しかも需品費なり、そういうものをごまかして、ほんとうのことをいえば流用して、そういうものを出す権限はあなたに与えてないはずですが、どうですか。
  59. 北雄一郎

    北政府委員 おことばでございますけれども……(安宅委員「おことばでございますとは何だ。そんなことになっていないはずだ。なっているのですか」と呼ぶ)たとえばレクリエーションという問題もございます。これはやはり国で経費を出しております。リクリエーション自体は業務でないわけでありますけれども、やはりそういったことがひいては業務の能率的な運営に寄与するということからやっておるわけでありまして、この世話役制度につきましても同様であろうかと存じます。
  60. 安宅常彦

    ○安宅委員 そんなばかなことあるかね。そんなことは、レクリエーションならレクリエーションは、労働組合と協議する場合もあるでしょう。あなたのところは協議でないか私はわからぬけれども、しないにしても厚生なら厚生という職責があるじゃないか、厚生課。その中で認められた経費配算はあると思うんですよ。そういうところでやるでしょう。分課分掌の規程というのは、そのために設けているんですよ。そうじゃないですか。そして、ボーリングへ行こうが、酒を飲ませようが、ビールを飲ませようが、焼き鳥を食おうがかってだなんて、そんな金の使い方をあなた方に許容した覚えは絶対にありませんからね。大臣、いいと思いますか。あなたがいいと言ったら政治責任をとってもらうよ。
  61. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 そういうような面に使うことがいいとは思っておりません。たとえば、ただいま人事局長から御答弁し、また私から御答弁いたしましたように、経費の面につきましては、定着性という面に従って考えておるわけでありまして、いろいろ従業員が、若い方々がいなかから出てまいりますと、どうも東京に行ったけれども東京生活はいやだということで、扱いをどうしますかということもあるだろうと思う。それからまた、おとうさん病気ということを聞きましたから、帰りたいが、非常にその点、心配しております、どうでごさいましょうか。――やはり関係のある従業員に、そういうときにはことばによってそれをなだめて、ひとつしんぼうしてくれぬかというような場合に、ついコーヒーを一緒に飲むとかいうようなこともあり得ると思うのであります。かってに仕事以外のことで飲ませるということではなくて、定着性ということに関連のある、そのようなことをしていただくということです。
  62. 安宅常彦

    ○安宅委員 ばからしいからやめますけれども、これはあまり長くなると米田君におこられますけれども、あなたのほうで出しておるのがありますね。「職場リーダー定着性向上コース」というのがある。そこを見ると、どんなことで退職する理由が多いか。民間のやつをまねしたものですが……。「賃金が安かったから」というのが大部分だよ。いま土橋さんが言っていたけれども、「賃金が安かったから」というのが一番大きいんですね。「企業将来性がないと思ったから」とか、「自分の能力を認めてくれなかったから」とか、いろいろありますけれども、これが大体離れていく一番大きな理由ですよ。ことばがわからないから気の毒だなんというのはあまりないんだよ。それで、「職場生活での悩み」だとか、いろいろ書いてあるけれども――あなた、しっぽ出しているんです。「企業の様子がわからない」とか、「仕事のやり方がわからない」とか、それが一番大きな理由だと書いてありますよ。ことばがわからないというのも「私生活での悩み」の一つにあるようだ。しかし、ことばがわからないというだけのものだったら、そういうことをいろいろ相談をするところは庶務課なり、もっとレクリエーションをしたいといったら、厚生課なり、労働条件が悪いといったら、そういう労務管理をする職制なりあるんじゃないですか。そいつが聞いてくれないから労働組合つくって、何だ、このやろうとやっているんだ。世の中はそうなっておるのだから。それが職務でもない、何でもない、ブラザーだかシスターだかが出てきて、そうしてちょっかいいれて、一ぱい飲みに行こうなんて、そんなばかなことをやることが公費を使う正当な理由にならない、私はそう思うのですよ。寄宿舎に関与しないと言っておりますけれども、寄宿舎にみな関与しますよ。寄宿舎には門限があるし、いろいろあるでしょう。寄宿舎だっていろいろ会合するときもあるでしょう。ブラザーの連中と主任と意見が食い違ったら、それじゃどうしますか。米田さんの言うように、これは主任と課長だけはいいと言った、ところがブラザーはいいとは言はない。主任が、役所の規定はこうなっておりますといって、違ったとき、どっちに軍配あげるんですか。必ずそうなることがあるでしょう。寄宿舎には介入しないといったって、そのブラザーに指名された人が独身だったりして寄宿舎におったとしますと、そうしたら、寄宿舎の自治なんというものは全然なくなりますよ。あなた方はそういうことを考えた上でやったんでしょうかね。これは聞いてみたら、寄宿舎の中でも、ああせいこうせい、すべった、ころんだ、ちゃらちゃらやってくるのだけれども、そんなことでは寄宿舎の自治なんというものは全然ないじゃないですか。いわゆる労務介入の中で、ストライキをやらないほうがいいだろうとか、そんなことばかり言って、全逓に行くと将来性がないだろうとか、ブラザーというのはそんなことばかり言っておるのだよ。だからあなた方はとんでもないことを無理してやっておるということなんですよ。大臣、これは寄宿舎に関係ないといって、寝るところが寄宿舎だとは何です。失礼です。寄宿舎は寝るところだけですか。あなたみたいに夜中まで銀座で飲んできて、寝るところがうちだったら、それは寝るところかもしれないけれども、そうじゃないのですよ。寄宿舎というのはそういうものでない。少し頭を冷やしてあたりまえの答弁ができるようにしてください。私はあと質問する権利を留保したから、あとでやります、関連ですから。そんなばかなことがありますか。寄宿舎というのは寝るところだけですか。
  63. 北雄一郎

    北政府委員 先ほども申し上げましたが、仕事が終わりましてからあとの勤務時間以外は全部私生活だ、それは寄宿舎だけではない、こういうふうに申し上げたわけでありまして、むろん寄宿舎は寝る以外にもいろいろ私生活の場であることは当然であります。  それから、先ほどレクリエーションなら厚生課というものがあるとおっしゃいましたけれども、やはり定着性の問題につきましても所掌のところがあるわけでありまして、要員訓練課とかそういうものがございますけれども、厚生課にいたしましても、要員訓練課にいたしましても、これは郵政局とか本省にしかございません。そういうことでありますので、定着性の向上という喫緊の問題を前にいたしまして、こういうブラザー制度ということでそれを強くプッシュする、こう考えております。
  64. 米田東吾

    米田委員 いずれにしましても、この制度というものは、弟のほうから見ますと、多分に人権侵害の行き過ぎの制度だということははっきりしておるのです。あなたのほうから出しておられる「指導要領」、東京郵政から出しておられる「世話役必携」という、こういうのがありますけれども、この中に、たとえばあなたが答弁されましたように、一対一の関係でもって世話をするとか、それから二十四時間世話をしろとか、それからつけられた兄はとにかく一年間関係を持つ。そうして、これはまた引き続いて再度任命するのがたてまえだそうでございます。だからその人が、どちらもよろしいと言えば二年も三年も続く。そんなに長く続かぬ制度になっておるかどうか知りませんけれども、任期は一年ということになっておるそうでございますが、また引き続きということは当然考えられておるようであります。そうしてその中身というものはもうその人のあらゆる面、プライバシーまで含めてあらゆる面に関与せいということになっておる、二十四時間、一対一で。だから私がさっき申し上げましたように、ブラザーの弟そのものを、あなたのほうの思うような人間に変えていくということなんですよ。これぐらい人権を無視したファッショ的なやり方というのは郵政省だけじゃないですか。民間のことを例に引いておられますけれども民間関係で議論すると次元が違ってきますからやらない。こんなことが許されるかというのです、大臣。私は、この制度のことを聞きましてある一つの連想をしたのです。私もこの年で八年間の軍隊の経験がありますけれども、ちょうどあの戦友という組織、軍隊の場合は、軍国主義の時代であったということで時代が違う。それから社会から隔離されておるというようなことで、いろいろ条件は違いますけれども、あの戦友制度でもって寝るまで全部しぼられた、いいこともあるけれども。とにかく、その戦友と関係することにおいて人間も変わっていく。いま郵政省はこの戦友制度をやろうとするのです。こんなことは人権の面からいっても許されないのじゃないか、憲法の条文をあえて出すまでもないと思いますけれども。若い人はもっとドライだ、そういう教育を受けておりますから。明けても暮れても、四六時中自分の兄だといわれる人が――それも恋愛結婚ならいいけれども、押しつけ結婚でしょう。さっきのあなたの説明によるとそうなんだ。入ってくるときに、おまえさん、ひとつ何のだれ兵衛を受け持ってくれないか。本人は承知をした。そこで委嘱するのだ。その弟の意思に反してとにかく押しつけ結婚をやらされて、そうしてプライバシーまで含めてこれはどうしたのだ、あれはどうしたのだと言って相談させられる。これは弟のほうからすると、労使、労務の関係を離れて、人権に触れる問題じゃないかと私は思います。どうしてこんなことが近代的な郵政省の労務管理の中に取り上げられたのかということなんです。郵政省は、去年私ども委員会でも問題にしましたけれども、幹部を自衛隊に何か二週間か三週間入れまして教育をされました。どうも軍隊が好きなようであります。この間、名古屋へ私どものほうで現地調査に行きましたら、軍歌「露営の歌」をかえ歌にして、「結束の歌」というようにして出かける前に全部歌わせる。「勝ってくるぞと勇ましく」を、何か「持って出るぞ」というかえ歌の歌詞がありますけれども、持って出た限りは全部配ってこなければ帰らぬぞというかえ歌をうまくつくって、それをやらしておる。どうも郵政省の人間管理というものはどこから見ても行き過ぎじゃないか。行き過ぎというのは、人権侵害という面でより重大な行き過ぎがあるんじゃないか、こういうことなんです。したがって、大臣、これは十分検討に値すると思いますから、あなたはきょう私の問題提起に対してしばしば、検討するとおっしゃっておられるわけなんですけれども、私率直に言わしてもらえば、これは検討に値する問題じゃなくて、やめてもらわなければならない問題だと思います。しかし、そういうことがまだできないとすれば、ひとつ検討してもらう、少なくともその間ブラザー制度というものはこれ以上進行させないように、あなたのほうが検討して、そうして答えを出されるまではこれ以上進行させないように、一定のこの次元でとめておいてもらわなければならぬ。そうして、これはあなたのほうで検討してもらう。  時間がありませんから、実は、ブラザー関係で弟のほうが非常に苦情が多いことも私資料として持っております。それからまたこのブラザー制度というものが、労使関係ということの面でどういう役割りを果たしているかということを、実は私資料として相当持っております。定着性を高めるという方向での、要するに不平不満を解消するとか、あるいは若い人との断絶をなくするとか、そういう関係を越えて、あるいはそういう関係はよそへいってしまって、二十四時間つきっきりであなたのほうの労務対策を明らかにこのブラザーの兄がやっているのですよ。そういうふうにブラザー制度というものはすりかえられてきておる。私はすりかえということばは、あえて善意を持って言っている。ほんとうはそれがねらいじゃなかったかと私は思うのでありますけれども、しかし、あなたのほうの答弁からいきますと、必ずしもそうでなかったようです。しかし現状は、そういうふうに変わってきていることだけは認めてもらわなければならぬと私は思うのです。認められないなら、私はここでもう少し時間をかりて資料を出しましょう。とにかく変わってきておる。  それから、もう一つ出ているのは、大臣、金の使い方について問題が出ております。不正が出ております。そのことをめぐってまた労使関係で不安定な状態が出てきておるし、個人個人職員間で悪い関係というものが出てきておるわけです。それはあたりまえですよ、こんなずさんな、いいかげんなかっこうで公金を使わせているのですから。私のここにある資料によりますと、局長が利用券というものを出しておる。その利用券を持たしてやって、そしてそこへ行って飲んだり食ったりすると、その利用券を店の主人が持ってくれば払ってやる、そういうようなところもあります。それはすし屋と飲み屋です。とにかく金の使い方一つとりましても、これは相当検討してみなければならないルーズな支出の方法になっている。それから目的がとにかく映画、食事、 コーヒー、ケーキ、はとバス、劇場、ボーリング、すし、肉、からあげ、これは一人で千円ですから相当な金額です、一件に千円、一カ月に千円ということなんですから。とにかくこういうふうにして公金が使われているということはこれは問題だ。  それから郵政省はいままでも需品費や何かについては、たとえば保険や貯金の奨励とか、その他の面について立てかえ払いを認めておる制度もあったようであります。しかし、今度労使関係でこのことが使われれば、まるきり際限なくこういうふうになってきますよ。銀座のバーやそこらの飲み屋の支払いは、みんなこうしなければならないようなことになってきますよ。規制がないでしょう。これは業務のためにやったんだ、定着性を高めるためにやったんだ、おれはこれだけ立てかえて払ってあるのだ、いま金がこなければ、このあと、この次にくるやつでひとつ立てかえてください。いま私が出しておきましょう。だんだんそうなってくるじゃないですか。ですから、そういうふうに目的はもう変えられてきておるわけでありますから、ひとつこれは十分検討していただいて、そしてこのブラザーというようなものがもっと一新されて、ほんとうに事業のために必要なら、再スタートするように私はやってもらわなければならないと思う。  それから局長大臣もおっしゃっておられるのでありますから、気になるから言うのでありますけれども、全逓との関係で、何か団交の対象になって云々というようなお話がありますけれども、そういう立場で私どもはきょう御質問申し上げているのじゃありませんから、全逓の関係がどうなろうと、私ども調査をして得た根拠資料に基づいてこれはお聞きしておりますので、郵政省の方針がぱきっとしなければ、全逓の関係がどうあろうと私どもは今後もさらに質問を続けていかなければならぬ、こう思っております。大臣の見解をひとつ聞かせていただきたいと思います。
  65. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 さっきから申し上げておりますように、いろいろ御意見を拝聴いたしましたので十分検討いたしまして、余弊があれば改善してまいりたい、このように考えております。
  66. 米田東吾

    米田委員 したがって、私が言ったように、検討して答えが出るまでは進行させない、これはぜひはっきり大臣から約束してもらいたいと私は思う。  それから人事局長、幸いに全逓と話をしているそうでありますけれども、これは団交として話をしているのですか。もし、ただ説明するから聞いてくださいという程度なら、もう一歩踏み出して全逓と話をする。それはそれで私は意味あることだと思いますから、やっていただくようにしてもらいたいと思います。  この二つだけもう一回はっきり答弁していただきたい。
  67. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 早急に両三日のうちにはっきりした方針をきめたい、このように考えております。
  68. 北雄一郎

    北政府委員 全逓との間で、実は先ほど来先生おっしゃっております不当労働行為関連で話が出ておりますので、六人委員会という中でこの問題をいろいろ議論しておる、こういうことでございます。  それから先ほど先生、更新が原則なんだというふうにおっしゃいましたが、そうではございませんで、世話役のほうは一年こっきり、ただし更新を妨げない。更新いたしましても、弟のほうは完全に一年こっきりでございまして、二年、三年ブラザーをつけるということは絶対にありません。  それからいま一つ、一件千円、一月千円以内と申しますのは、世話役と世話される者とワンセット、つまり二人でそういう制限を課してある、こういうことでございます。
  69. 米田東吾

    米田委員 「指導要領」によりますと、ブラザーの兄のほうは、要するに思想堅固だとか、業務の精通度だとか、そういうようなことを勘案して委嘱するのですから、りっぱな人だという前提で委嘱するのですから、確かに任期は一年ということになっておりますけれども、原則的にはむしろ引き続いてやってもらうのですよということを「指導要領」に書いてあります。いいですか。おそらくあなたのほうは、そういう方法をやっているのでしょう。だからそれを私は言ったのです、ブラザーとしてだんだんベテランになっていくものだから、そのベテランさを買って、ずっと引き続きあなたのほうはやっていく。おそらくこれがだんだんうまくいくと、もう主任だとか、主事だとか、課長なんというものはあまり要らなくなるのじゃないですか。あるいは業務上必要だったとしましても、対人間関係職員関係においては、ほとんど役がなくなってしまう、ブラザーがみんなやるから。そういうことになるのじゃないですか。私はそういう心配もあると思います。ブラザーの兄がやるから。そういうことで私はさっき聞いたわけであります。  それから千円の関係はわかりますよ。二人で、ブラザーで千円。だけれども、それはたいして意味のないことです。それは原則的に千円だという一つのものさしがあるという話であって、ある局では一度に、きた経費をみんなそこに使わしておるなんということもありますから、これはあなたのほうがただ手続上そういう基準を設けているだけの話であって、千円というのははっきりとしておって、それ以上使わせないとか、あるいは必ずしも一カ月であるというようなことはないのです。これは非常に弾力的に使われております、これを見ますと。ですから、私はそういうことを申し上げている。だから、私ども実態を知らないで言っておるわけじゃありません。  それから、六人委員会というのは、それこそ苦情が出たものを解決するのがその六人委員会でしょう、私の承知しているところでは。こういう制度そのもの、あなたのほうの施策そのものについて、これはどうなのかということを検討するのは、どこですか。対組合との関係においては、やっぱりあなたのほうがいまやっておられる団体交渉の場しかないでしょう。だから、それでやったらどうですか、そういうふうに申し上げておるわけなんです。これは当然それに値する問題です。私はそういう意味で申し上げているのです。もう一ぺん、局長返事してください。
  70. 北雄一郎

    北政府委員 最後の点については、私、事実を申し上げておるわけであります。しかし、その中で組合のほうからこの制度をどうこうという話も出ておるわけでありまして、その点についても実際話はしております。
  71. 米田東吾

    米田委員 終わります。
  72. 高橋清一郎

    高橋委員長 阿部未喜男君。
  73. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 先ほど、同僚の米田委員からも質問がございましたが、大臣も御承知のように、いま国鉄当局がマル生運動なるものを起こして、それが労働組合に対する組織介入、あるいは人事差別とか、労働組合無視とか、人権問題等に発展をして、今日社会的な問題になっておる。これはすでに大臣も御存じだろうと思いますけれども、郵政の労使問題につきましても、最近郵政省マル生であるとか、いやマル生運動郵政省のほうが御本家なんだ、こういうようないろいろな取りざたがありまして、国鉄の労使問題と並んで、いま郵政省労使の問題が非常に社会的な議論を生んでおる。とりわけ、大臣も御承知のように、いま郵政省は来年の一月一日に配達する年賀はがきを、膨大な数、売りさばいて、これを配達しなければならぬという重大な責任もある時期であります。こういう状態の中で国鉄と同じようなマル生運動というものが郵政省の中で行なわれ、紛争を呼んでおるということについて、大臣はどういう責任感じておられるのか。ひとつ大臣の所感を聞きたいと思います。
  74. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 さっき米田先生のお尋ねにもお答えいたしましたように、郵政省マル生運動なんてやっておりません。ただ常時、大いに事業のために御奮闘願いたい、御尽瘁願いたいということは、これは絶えず指導いたしておるわけでございます。労務対策の姿勢といたしましては、これまたさっきお答えいたしましたように、昨年十二月十四日の労使間で締結されました確認事項に基づきまして、双方不信感を払拭いたしまして、信頼感を持ち、誠意を持って相対処していく、これが根本的な姿勢ではないか、私はこのように考えておるわけでございます。
  75. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣は新しいので、過去の経緯をどの程度御存じか知りませんけれども、郵政の労使間の紛争は、特に去年の四月八日の春闘と呼ばれる段階でたいへんな紛争を起こして、時の郵政大臣井出さんと全逓の委員長との間でトップ会談が行なわれて、これで正常になりますということで、私ども委員会で満腔の敬意を表したいきさつがございます。  ところが、そのせっかくのトップの約束が破られて、一向に約束が実行されないということで、昨年の暮れの十二月にまた同じ労使間の紛争で世間を騒がして、今度は、先ほどお話のありました昨年十二月十四日ですか、ここでまた話し合いがついたというふうに聞いておりましたので、これで私はもうだいじょうぶだろうと思っておったのですが、それから約一年、三たび同じ労使間の紛争についてわれわれが委員会で議論をしなければならないということを私はきわめて遺憾に思います。どうかひとつ新しい大臣はこの紛争についていまお話のありましたように誠意をもって努力をしてもらいたいと思いますけれども、一体三たびも同じ問題が繰り返されるということについて、その責任がどちらの側にあるとお考えでしょうか、その点大臣からひとつ伺っておきたいと思います。
  76. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 この昨年暮れの確認事項につきましては、先刻申し上げましたように通達を二回出しましたし、またその後絶えず機会ありますごとに、各現業の末端まで徹底するように指示いたしておりますけれども、したがって、私といたしましては、従前に比べますと、あの確認事項を取りきめまして以来、少しずつではございますけれども、だんだんいい方向に向かっておるのだ、このように考えております。  ところが、今度いろいろ御指摘をいただいておりますけれども、これは大いに反省をしなければならない、改善すべきことがまだたくさん残っているというように感じておりますけれども、いずれに責任があるかということにつきましては、明確にお答えできませんけれども、やはり双方ともこの際大いに反省し、大いに不信感をなくしまして、相ともに携えて郵政事業を盛り立てていくというような気持ちが肝要ではないか、このように考えております。
  77. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 世の中の一般的な常識としまして、両方が約束をして、腹を立て状態になるというのは、片方が約束を破ったときに、約束を守ったほうが腹を立てる、これは常識です。したがって、同じ問題が三回繰り返されるという裏には、約束をしておきながら当局が約束を守らないから労働者側のほうが腹を立てて紛争が起こる、こう常識的に理解すべきだろう。それは一〇〇%そうであるとは言いませんけれども、大体、そういうものだというふうに理解します。  そこで、私は少し具体的な問題でお伺いしたいのですけれども人事局長、ことしの二月十七日のこの委員会であなたと私と約束事項がありますが、その取り運び状況をちょっと報告してもらいたいと思います。
  78. 北雄一郎

    北政府委員 二月十七日と特定されますと、ちょっと私、どの件でありましたか、まことに申しわけないのでありますが、ちょっとただいま記憶しておりません。
  79. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 非常に重大な問題なので、実は私あなたに議事録をもう一ぺん読み返してもらいたいと思うのですけれども、時間がないから私のほうから申し上げますが、大臣、大体こういうふうに委員会において約束をした問題でも、一向に真剣に手がけようとしない。要するにその場が過ぎればそれでいいんだというようなお考えがどうも郵政の幹部の中にあるような気がしてなりません。  私と人事局長の約束は、こういう内容のものです。行政処分については、いま特に労働組合関係の行政処分は、管理者側の恣意的な一方的な判断によって行なわれておる。しかし、尊属を殺害したような極悪犯人でも本人に疎明の機会を与えられるし、弁護士もつけることができるのだ。ましていわんや、労使関係の紛争の行政処分については、一方的な管理者の判断だけでこれを行なうべきではないのではないか。本人の疎明をする機会も与えてやってもらいたいし、また公平なというか、管理者の側でもないし、組合側の者でもない者がおれば一番いい。それがない場合にも、せめて管理者のほうは、組合側の主張も聞いた上で行政処分を行なうのが妥当でないかという私の質問に対して、かなり長い時間議論をした結果、人事局長、あなたみずから、なかなかむずかしい問題ではありますけれども、人事権の一環をなす問題でもございますので、真剣にひとつ検討さしてもらいたいと思います、こういうふうにお答えになった。そのときの状況からいうならば、この行政処分については今後、一般の事故による行政処分と同じように、本人からもてんまつ書等もとった上での処分をすべきだろうというふうなお考えがあなたの答弁の中に見えておったのですけれども、それから一年近くになりますが、この行政処分に対する取り扱い手続についてどのような検討を進められておりますか、お聞きしたいと思います。
  80. 北雄一郎

    北政府委員 その件は、しかと私記憶いたしております。そのことにつきまして、その後担当の地方の人事部長でありますとか、人事課長会議等におきましてもその点ははかっておるわけでありますが、たいへん残念でございますけれども、遺憾でございますけれども、何ぶんいまむずかしい問題がいろいろございまして、ただいまのところ、はっきりした結論を得ておらないわけでございます。今後さらにその点十分に念頭に入れまして、何かそういったことを具体的に考え、そのようなことでやっていきたい、かように考えます。
  81. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣お聞きのように、私が提案をしてからすでに一年近くになるわけでございますけれども、普通、事業について事故を起こしたような場合には、その職員の意思によって疎明をする機会が与えられる。たとえばてんまつ書、たとえば始末書、そういったものを出さした上で処分の量定を行なうわけであります。ところが、労働運動の場合、特にこれが明らかにストライキでもやった、特にそれに参加をしたというような場合はこれは別だ。そうでなくて、大きな声を出したとか、いや出さなかったとか、前に立ちふさがったとか、立ちふさがらなかったというのを、単に管理者の一方的な判断だけで行政処分をするのは不都合じゃないか。少なくとも本人に疎明の機会を与えるべきだ。またできるならば、労使労使という関係ではやはり違う立場にあるわけですから、管理者の言い分が片方にあるならば、片方の組合側の言い分を聴取した上で処分の量定をきめるのが正しい手続ではないか、こういう提案をしまして、いま局長のお答えのような大体内容になっておるのですが、もう一年近くになりますので、ひとつ鋭意この点については大臣にも気にとめていただいて、この行政処分のあり方について、手続の問題について結論を急いでもらいたい、このように要望します。  次に、私もこの逓信委員会に所属をする議員の一人として、郵政事業労使間の紛争の問題が非常に気になりまして、先般御承知のように東京都内の幾つかの局について現場の状況を見せていただきました。そこで気がついたのですけれども、これはもう大臣局長、あなた方のお気持ちとは違って、現場の局長課長、もうちょっと下までいっています、課長代理の副課長というんですか、こういうところは一番悪いのですが、こういう諸君に至っては、先ほどからお話がありましたような人権のじゅうりん、あるいは差別人事、特に昇任、昇格、転勤、配転に至るまで、すべて所属組合によって色分けをしておる。私が行った豊島の局では、郷里のほうに転勤をさしてもらいたいと頼むと、全逓に入っておったんではそれはだめだぞ、こういうことを平然と課長が口にしておりますし、あるいは去年の七月、三十数名の者が主任、主事に昇格をしておりますけれども、その中に全逓の組合員が一人もいない。調べてみますと、三十三人も二十九人も全逓組合員を飛び越えて下の者が上になっている。いわゆる序列というのがございます。常識的な序列がございますが、これを飛び越えて上の役職につけておる。こういう差別人事が平然と行なわれております。これは、この国会で議論をして前の大臣なり今度の廣瀬大臣にしてもお答えになっておるお気持ち、あるいは人事局長をはじめとする郵政省の幹部がこの委員会でお答えになっておるお気持ちとおおよそ似ても似つかない実態にあるのですが、そういう点、どのように把握をされておるのか、ひとつ人事局長からお答えを願いたいと思います。
  82. 北雄一郎

    北政府委員 先生ただいまおっしゃいましたことにつきましては、やはり組合からいろいろそういう話が参っております。むろん私どもといたしまして、そういったことが事実あるということであると、これはたいへんなことだと思っております。また、そういった疑いを持たれる行為ということも、これも遺憾である。しかし、抜てき人事ということは当然あるわけでありますが、結局、そういったことで、そういった人事につきましては、実は労使間に六人委員会の小委員会というものをこの十月一日から発足させて、そういった人事上の不当労働行為関連、人事差別関連のグリーバンスというものをそこで扱うということにいたしておりますが、この六人委員会の小委員会というもの、これを何らかの形でさらに補強する、あるいは一般的に昨年の一二・一四確認、こういったものを補強するというような方向で、さらにその趣旨を下部まで徹底させるということが有効ではなかろうかということで考えておる次第であります。
  83. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、六人委員会がむだであると思いません、それなりに私は意義があろうと思いますから。しかし、やはり一番基本になるのは労使間の信頼関係だろうと思います。そこで、いま六人委員会がいろいろな作業を進めておるにしても、一体、現場の局でそういう労使の信頼関係が回復されつつあるのかないのか、それはやはり一番大きい、あなた方が目をつけなければならない基本だろうと思うのです。  少し具体的になりますが、たとえば現場の局で、出勤というものについての解釈をどんなふうになさっておるのか。私、具体的に言いますと、豊島の局では〇・一分という賃金カットの一つの表示があるのです。〇・一分とは、私の常識では六秒だろうと思うのです、これは。そうでしょう。〇・一分とは六秒になるわけなんですが、〇・一分という賃金カットの表示があるわけです。  ところで、この局は四階建ての局でございます。門を入って、一階の人はこれはないのですね、〇・一分はないのです。四階まで上がると、これは〇・一分が出てくるのですよ、ちゃんと表示が。それだけならまだいいのです。その〇・一分なら――〇・一分というのは一つの例ですけれども、要するに一分とか二分とかという出勤時間におくれたという表示が、三回重なると処分を受けるのだそうでありますが、一体出勤というような基準をどこに置いて考えておられるのか、お伺いしたい。
  84. 北雄一郎

    北政府委員 私どもは、出勤時間にはもう作業をできる体制になっておる、こういうことが基本だ、こういう考え方であります。
  85. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、私も非常に疑問を持つのですけれども、それではいま申し上げたように、一階と四階の人が勤務場所によって違う。郵便局の門を一緒に入ってきたが、片方の勤務場所は四階だ、片方は一階であるから、同じ時間に入りながら、片方は処分をされて片方は処分をされないという実態が出てきております。私は、きょうは労働省に出てもらって出勤の定義を聞きたいと思っておったのですが、向こうに行っておるそうですから、いま言った、作業ができる状態が出勤という解釈はどこからくるのですか。
  86. 北雄一郎

    北政府委員 勤務時間というのは、勤務する時間であって、これが、その趣旨がきまっておるということから、当然にさようになると思っております。  ただし、豊島局の場合、具体的にどうかということは存じませんが、一分程度で、そういった二十秒が三回重なって一分になった、で、処分をするということは私はないと思いますし、そういうことはないと確信しておりますが……。
  87. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは私は、一緒に行った人と豊島の局長に聞いたのです。三回あったら処分をします。ただ、処分もいろいろな処分内容がありましょう、量定はありましょうが、処分をするということは豊島の局長が明確に、三回重なれば処分をするということを答えておる。この問題は、具体的に調べてみればわかりますよ。  次に、もう少し具体的に突っ込みますが、それでは、いまの公傷等の認定にあたっては、出勤してからが公傷になるわけですから、郵便局の門を入って、階段を上がってけがをしたのは、出勤前ですね、おたくの解釈では。公傷にはなりませんか、これは。
  88. 北雄一郎

    北政府委員 公務傷害、公務災害の認定につきましては、詳細存じませんので、まことに申しわけありませんけれども、一般的には、最近は、出勤途上の災害を公務災害にとる例が相当多くなっておるように承知しております。  なお、門を入りまして職場という間はやはり出勤途上の災害、こういうことになるかと思います。
  89. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私が聞きたいのは、まあ法の解釈もあれですけれども、知らねばそこにたくさん並んでおられるから聞いてもらってけっこうですが、大体いままでの例ですと、特に要請によって出勤の時間を変更したとか、そういう場合には、出勤の途中でもまあ公務災害と認める。それから最近では、あなたのおっしゃるように、幾つか出勤途中についてもこれは公務災害と認めるべきだという判例もあるようでございます。しかし、郵政省がとっておるのはそうではありませんよ。出勤してからですよ。出勤してからしか公務災害にならないという原則は、まだくずしておらぬはずです。  まあそれはどちらでもけっこうですけれども、さて、出勤の定義ですが、同じように郵便局の門を入りながら、片方は一階だから出勤に間に合ったけれども、片方は四階だから間に合わないというこの不合理はどう考えますか。
  90. 北雄一郎

    北政府委員 厳密に言いますと先ほど私申し上げたとおりでありますけれども、しかし、かといってその微々たる何秒、十何秒とかいうようなものを集積してどうするということは、必ずしも妥当ではないのじゃないか、かように考えますが、具体例がございましたら、具体例について私ども適切な措置をとるつもりでおります。
  91. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 かりに処分があるないにかかわらず、郵政には良識職員ということばがあるようでございますけれども、遅刻があれば、やはり良識職員でなくなる一つ要素になるようでございます。  これも豊島の局長から聞いたんですけれども、そこで大臣考えてもらいたいのですが、被服の貸与規程等がございます。そうすると、人事局長考えでは、事務服なるものはうちから着ていくものだとお考えですか、職場で着るものだというふうに考えておりますか。
  92. 北雄一郎

    北政府委員 どこで作業衣を着てもよろしいのでありますが、やはり勤務時間が始まりますときには作業でき得る状態になっていなければならないということは、やはりそれまでにはどこかで着ていてもらわなければならぬ、こういう解釈であります。
  93. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 被服規程がありまして、これは着用するようになっておりますね。これは郵政省して被服を貸与する以上、着なさいということを命令するわけでしょう。あなたは、賃金を払わない時間にそういう命令ができると思っていますか。
  94. 北雄一郎

    北政府委員 その問題につきましては、実はだいぶ前にいろいろ労使間でも問題に相なりまして、当時、その論点そのものは両方で対立しておりましたし、対立したままでございますけれども、実際の扱いとしては、その更衣時間、更衣のために五分以内程度であれば、勤務時間に食い込みましても処分や何かはしない、こういうことで現在に至っております。ただ、戦術としてこれを用いる場合は別だ、こういうことで現在に至っております。
  95. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あなた方は、信頼関係と言いながら、信頼しておらぬからそういうことばが出てくるのです。それは、闘争期間中とかいうようなときに、それを戦術として、全員がわざと五分おくれるとか、こういう態度をとるなら、それはあなた方のお話もわかります。しかし、日常平常の業務を行なっておるときに、その事務服を着かえる時間も認めない、出勤簿に判を押して机にすわったときが出勤ですというのが、豊島の局長のがんとして聞かない言い分なんです。そういうふうに現場の局長は思っておる。あなた方は、五分ぐらいはきびしく処分をしないとかうまいことを言っておりますけれども、現場の局長はそういうふうに思い込んでおるから、〇・一分という表示がちゃんと出てくるし、しかも、三べんやれば処分をする、こうなっておるのです。それは根本は信頼がないから、何か戦術に利用されるのじゃなかろうかということを先にあなた方が考えるから、そういうわずかな〇・一分というような表示が出てくる、不信感が生まれてくるわけなんです。  したがって、いま労使関係の正常化をはかろうとするのならば、思い切ってそういう問題については措置をする。たとえば、もうそれはあまりいろいろ言うな、郵便局の門を入ればそこが出勤だ、それから先、職場に着くまでは常識の問題ではないか、このくらいの信頼関係が確立しなければ、幾ら口で信頼関係を唱えてみても、職場の信頼関係は確立しないと思うのですけれども、そういうふうな信頼をして、いわゆる一般の社会通念のように、郵便局の門を入ったときが出勤ですぞ、しかし、労働者にとってはやはり常識として、仕事ができるくらいな態勢で出てもらいたい、そういう気持ちは持ってもらいたいし、また管理者のほうは、被服を着かえて出てきて、それが三分おくれたから、五分おくれたからということで、直ちにそれは処分の対象だというようなことを考えるのは、これはやはりどうもほんとうの信頼が回復してない。どうですか局長、あなたの責任で、この点に対して善処する意思がありますか。
  96. 北雄一郎

    北政府委員 勤務時間内みっちりと仕事をする、これは当然の責務だと思うのであります。したがって、そういったことを中心にいたしまして、われわれの職場というものは、やはりそこで公務を実現する場所でありますから、あくまで秩序ある職場であるということは動かせない基本だと思います。ただし、その運用につきまして、先ほど申しましたように、更衣時間等につきましてははっきり組合とそういう申し定めがございまして、この点は各局で全部徹底しているはずでございます。それ以外の点につきましても、いろいろそういった、類した問題があろうかと思いますけれども、これみなやはりやわらかいことでいくということになりましても、一方で秩序が立たぬということになる場合もあろうかと思います。ですから、何と申しますか、非常に抽象的で申しわけございませんけれども、私ども秩序ある、そして明るい職場ということをやはりモットーにさせておりますので、そういった見地から十分具体的な問題については考えてまいりたい、こう考えております。
  97. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま五分という問題が出ていますが、現場の局長のほうでそういうものは全然認めていないようですよ。これはもう一ぺん通達なりしておかなければ、前にそういうものもあったけれども、組合のほうで悪用しますので最近は認めておりません、これも豊島の局長の言い分ですよ。したがって、八時半出勤の者は八時半きっかり、ここから一秒でもおくれたらだめだというようなこと。それから〇・一という表示は間違いだと思いますけれども、〇・一という表示があることは間違いないのですよ。常識でいくと六秒になるのですが……。そうすると、さっき申し上げた郵便局の門を入ったときが大体出勤だという、その程度の常識さえ通用しませんか。
  98. 北雄一郎

    北政府委員 その点につきましては、やはり私どもは基本的には勤務時間の初めになったら作業をし得る状態になっていなければならぬ、これがあくまでも基本だと考えております。
  99. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうするとおかしい。作業をし得る状態というと、事務服を着て、机に着いて、出勤簿に判を押していなければならぬ。そうすると、五分というあなたのお話はどうなるのですか、作業をし得る状態は八時半ですから、八時三十五分だと。こういうこまい話になっていやなんですが、現場ではそういうこともあるので聞いておりますが、八時三十五分でいい、そういう意味ですか。
  100. 北雄一郎

    北政府委員 この更衣時間の五分と申しますのは、もっと詳細に申しますと、集配課の場合に限っての申し合わせであります。集配課に限って、これも権利として五分あるということではございませんので、たまたま、定刻より少しおくれたという場合、五分以内は問責はしない、こういう申し定めができておる、このことは各局に徹底していると思います。
  101. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そういうかたくなな、こまいことを局長言うというならば、私は言いたくなかったのですが申し上げざるを得ませんが、豊島郵便局長はことしの六月、ある参議院の候補者が、部内の先輩になるそうでありますが、そこをお通りになるというので、局長が命令を出して、全管理者を引き連れて、その候補者がお見えになるのがおくれたものですから、二時間近い時間を郵便局の門の外に待ってお迎えをしておるという事実がありますが、どういう処分をしたか、お伺いしましょう。これは局長自身も認めているわけでございますよ、やりましたということを。
  102. 北雄一郎

    北政府委員 私、ちょっといま存じませんので、調べたいと思います。
  103. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣もお聞きいただきたいのはここのところなんですよ。管理者であれば何をしてもかってだ。私はその先輩が通るならば、窓から顔を出して、手を振るとか激励のことばを送るというのは、人情としてそれくらいはいいと思うのです。ところが、組合員には、あとで申し上げますけれども、便所へ行くのにストップウオッチを持ってついてくる。大便ですと言ったら、大便ならうちでやってこい、こういうことまでやっております。片方で局長が命令を下して、全管理者を門の外に二時間近くも立たせ、業務放棄してその人がお見えになるのを待っておった。こういうことが許されて、片方で一分も出勤時間におくれずに机についていなければいけない。そういう姿勢が一体労使の信頼関係にどういう役割りを果たすか。私はもっと人事局長の明快な答弁を聞きたいし、大臣についてもこれは考えを承りたいと思う。
  104. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 一般の職員と管理者との間に、不公平があってはならないということは当然のことだと思いますし、それからいまの〇・一分とか、あるいは五分というような問題でございますが、人事局長が答弁いたしましたように、職場の規律を厳重にやるということは当然でございますけれども、やはり私の考えをもっていたしますれば、ケース・バイ・ケースで、常識的に信頼感を持って対処するということが必要じゃないかと思うのでありまして、そのようなことはもう少しひとつ研究してみたいと思います。
  105. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 局長、どうですか。
  106. 北雄一郎

    北政府委員 いまの点につきまして、大臣もそうお答えになりましたので、十分に私どももそういった問題があるということについては頭に入れまして研究してみたい、こういうふうに思います。
  107. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体、郵政局なり本省に、そういう大きい問題が耳に入っておらぬことは私はないと思うのです。ほんとうは申し上げたくなかったのですけれども、〇・一分まで出勤時間の問題を片方でやかましく言うということになれば、どうしても私としても言わざるを得ないことになったのです。これは私一人でなくて、そこに行った人はたくさんおりました。そうして局長自身も率直に認めていました。ただ、幾らか違ったのは、二時間というような時間じゃありませんでした。それじゃ、幾らかと言ったら、一時間くらいということを言っていましたが、その時間に差はあっても、一時間というのは六十分でございますから、六十回処分ををされることになる。三回に一回やったって二十回処分しなければならぬということになるわけですね。そういう長い時間をやっておった。しかし、私が申し上げるのは、そのことの処分をどうするかということを追及するのじゃないのです。それでは職場の信頼関係ができ上がらないじゃないかということが基本です。管理者はかってなことをしておりながら、片方でこういう締めつけをしておる。これは無理じゃないかということを私はいま申し上げたかったのです。  そこで、いわゆる一二・一四の確認は、昭和四十五年十二月十四日でございましょう。その後こういう問題があるのです。これは国分寺の局ですけれども、ことしの四月十五日に郵便局の郵便課長は、職員を自分の机の前に立たせて説教をして、自分の説教を聞いたらおまえそこで見学しておれ。その次に何を言うかというと、その次は就業規則か何か読めと言って読ませて、一ぺんでなくて、再三にわたってこういうことをやっておるのです。それほど、課長職員を遊ばせておいてもいいほど、いま郵政の職場は人間が余っておるのですか。
  108. 北雄一郎

    北政府委員 詳細は少し覚えておりませんが、そういったことがあったことは存じております。そうしまして、これはやはり当該職員に、要するに毎日しっかり仕事をやれという意味であったように記憶しております。
  109. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これもさっきの、局長が選挙の出迎えをしたのと同じで、管理者ならばどういうことでもできると思っているのじゃないですか。郵政省職員を雇用しておるのは、仕事をしてもらうために雇用しておるのであって、人間訓練をする道場か何かのように勘違いして、課長なら何でもできると思って、本来郵便業務につかなければならない職員を、自分のかってで、気に入らないからといって机の前に立たせておいて、第一回が八時から十時三十分まで、その次は午後一時二十三分から二時三十分まで、これも一時間余りです。それから二時三十分から三時三十分まで、服務基本基準というのを暗記せよ、こういうことをやっておる。これがことしの六月ですが、前にも同じことをやっておるわけです。前にやったことを不問にするというわけではありませんが、そういうことがあったので、労使関係を直そうということになったので、そこまでは私は言いません。ところが一二・一四の確認の後に、なおこういう人権の侵害を平然と現場の局長が行なっておる。ここに、私はさっきから言う、あなた方の考えとは違う現場の実態があるんじゃありませんかということを言っておるんです。どうしますか、これは一体。
  110. 北雄一郎

    北政府委員 十分にやはり実情を調べまして、私どもとして適正なことをいたしたい、こう思います。
  111. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 さっきも話が出ましたが、大臣、片方ではどんどんかってに金を使わして、立てかえ払いなんか、請求書さえ持ってくれば金をどんどん払う。これはあとでどうせ決算委員会で問題になりましょうからあまり言いませんが、片方ではそういう、おまえは前へ立っておれと、机の前へ立たしておく。これでは一体、労使の信頼ができる道理がないじゃないですか。  それで、もう少し私は具体的に問題を二、三提起したいんですけれども、良識職員をつくるということについて郵政省は異常な熱意を持っておるようでございます。われわれも良識ある職員ができることを非常に期待しております。良識ある職員がたくさんできることはけっこうでございますけれども郵政省が期待をする良識職員の基準を、こうこうこういう者が良識職員であるということを、ひとつ列挙して知らしてください。
  112. 北雄一郎

    北政府委員 私どもは、良識職員というのは、結局、順法精神、それから企業意欲、企業意識というものを持った職員というのをいわば良識職員ということだと考えております。
  113. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これが何か一二・一四の確認のようで、ここでいわゆる良識者職員対策についてというので幾つか省の考えが述べられておるようですけれども、その中で、いろいろな会についてはどうこうするとか、こういうようなものがあるようです。これは必ずしもあなた方が考えておったように行っていないので、是正をすべき必要が生じたものと思いますが、私は一つ一つ具体的に、こういうものが良識職員になるかならぬか伺いますから、一つ一つ答えてください。  まず、先ほどの関係で、朝たまたま一分とかあるいは〇・一分遅刻をした、そういう職員はおたくでいう良識職員になり得るか、なり得ないか。
  114. 北雄一郎

    北政府委員 私どもは、この良識というのはさっき申し上げたようなことなんだ、しかし、個個の職員を、良識ある職員あるいは良識のない職員というふうにきめつけること、安易にきめつけることのないようにというのは、これは去年の一二・一四確認にもあるところであります。したがって、これが良識職員であるというきめつけには全然重点は私どもは置いておらないわけであります。ただ、そういうことでありますので、一般論になってはなはだ恐縮でございますけれども、この企業意識、順法精神ということだけで、あるいはその良識あるということだけで、その職員はよい職員だということにもこれは全然ならないんだということも去年確認しておるとおりであります。
  115. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その順法精神というようなことばは非常に抽象的で、局長自身もおっしゃるように、これはなかなか、みんな何が順法かわからないですよ。  時間がなくなりますから急ぎますが、私はこういう例を出したいのです。ある子供に親が、ふろに水をくみ込んでふろの火をたくことを命じた。子供はそのとき勉強していたので、その子供が、いま勉強しておるからあとでやります、こう言ったそうです。親は、親の言いつけだからすぐやれ、こう言ったんですね。子供はあとでも間に合うじゃないかというので、それをやらなかったそうです。勉強しておる子供がその勉強を続けて、終わってから水をくみ込んでふろの下を燃やしても、けっこうおやじがふろに入るのには間に合う時間だそうです。どちらが合理的かといえば、子供の考え方のほうが合理的である。親が言ったのだから子供は言うことを聞きなさい。いま郵政の職場はこれと同じで、課長が命令したんだから、局長が言ったんだから、それを聞かないから良識ではないというのが、いま一般的な郵政の職場の良識といわれるものの通念です。一体局長はより合理的な――たとえばいま順法精神ということばを使われましたが、順法という場合でもいろいろあると思います。法の解釈はいろいろ成り立つわけでございますから、判決が出ない限りぐあいが悪いでしょう。――いまちょっと冗談言ってましたが、国鉄で手続どおりの仕事をすれば列車がおくれる、これだって順法ですよ。しかし、それは不都合だと経営の側から見れば言うでしょう。そういう順法ということばにもいろいろなあれがあるわけでございますから、単にあなたが言うように、順法精神というだけでは下部の管理者が迷う。何が順法精神かわからない。そうして抽象的であるがゆえに、さっき申し上げたように、おれの言うことを聞くやつは良識職員だ、いい職員だ、おれの言うことを聞かないで反発するやつは悪い職員だ、良識職員じゃない、こういうきめつけ方になっておるのですが、これはどうですか。
  116. 北雄一郎

    北政府委員 必ずしも管理者がすべてそういうことだということではないと私は思います。よく精神を理解してくれていると思いますけれども、そういった点につきましてなお今後具体的と申しますか、むろんそういったことに関連したものの考え方を、あるいは評価のしかたというようなものを、考え違いしないように、さらに具体的な何か指導をしたいと思っております。
  117. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこでやはり、具体的な指導をするというなら内容に入らざるを得ない。ただ順法精神というだけでは何が順法かわからないし、局長が、課長が法の神さまになって、そうでない者にはわからないような順法精神になるので、もう少し聞いてみますが、いわゆる良識職員養成の問題について、郵政省側としても、主事主任会ですか、主事主任会等についてはもう組織をしないとか、あるいは労務連絡官とか労務担当主事は出席しないようにするとか、こういうことがいろいろ話し合いがされておるようでございますけれども、これにかわるものがいま職場に生まれておるのです、たとえば就業規則を勉強する会とか、業務研究会とか。そうしてあなた方は、それは自主的な会合だからと、自主的ということばでもってのがれてしまう。ところが、この就業規則を勉強する会なら勉強する会に入っておる者は良識ある職員だけれども、入っていない者は良識のない職員だというふうに現場の管理者がかってにきめつける傾向があるが、この就業規則を勉強する会とかいうもの、あるいは業務研究会というようなもの、自主的なそういう組織に参加するをもって良識とし、しないゆえをもって良識がないという判断をするかしないか。これはどうです。
  118. 北雄一郎

    北政府委員 その主事主任会、これは実は去年の十二月十四日のときに問題になりまして、この問題になりました主事主任会というものが自主的なものであったわけであります。ところが、当時その自主的なそういうものに、管理者やあるいは労務関係の担当職員が出入りをしていろいろ影響力を行使しておる、これは困るという話がありまして、当方としてもそういったものへ管理者が出席してはならないことにするということにいたしまして、自主的な主事主任会等に管理者もしくは労務担当官という者の出席関係による連絡、あるいは影響力の行使、あるいは事実上の影響力の発散と申しますか、そういったものを遮断した次第であります。このことにつきましては、今日まず一〇〇%守られておると私考えております。ただいま御指摘のものは、一つ業務研究会で、これはそれ以前から、昔からありました省の施設であります。やはり業務を遂行していく中で、当然仕事につきましての、新しい仕事のやり方もございますし、それからいろいろな問題がございますので、この業務研究会というものを郵便局の施設として組織してやらせておる。これは一部の者を集めるのではなくて、たとえば主任なら主任全員を集める。そして管理者から最近のいろいろな変化、法規の改正とか、あるいは集配機構の変化とか、いろいろな問題があると思いますが、やらせる。そうして、その中にやはり就業規則の勉強会というものもあると思います。そういったことで、これは官の施設でありまして、しかも、これは一部の者だけが参加するのではなくて、主事なら主事全員、主任なら主任全員を集めて訓練をする、あるいは職場訓練をする、こういうものでございます。
  119. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 しかし、いま申し上げたように、さっきの主事会、主任会あるいは就業規則の勉強会――業務研究会は別にいたしましょう。そういうシステムで全員が参加できるものはいいわけでありますが、就業規則の勉強会に出席する者が良識職員で、出席しない者は良識職員でないというふうな分け隔てを考えておるかどうかということです。
  120. 北雄一郎

    北政府委員 その就業規則を勉強する会というのが自主的なものであったかどうかということだと存じますが、私はそういったものは業務研究会でやっておるのだというふうに存じておりましたので存じません。いずれにしろ、そういうものに出たら良識職員であって、出なかったら良識を欠く職員であるということになるのかどうかということでございますが、先ほども申しましたように良識というのは一二・一四確認にありますように、順法精神なり企業意識ということになるわけでございますが、その職員を、この人は良識職員である、この人は良識を欠く職員であるというきめつけをしてはならないというのも、同時に一二・一四確認に盛られておりますし、その後これを徹底しておるので、そういうきめつけ方はすべきでないというふうに断言をいたします。
  121. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ただし、その自主的な会合に対する参加、不参加は、良識ある職員、ない職員の判断の基準にはならない、こう理解いたします。  その次に聞きますが、全逓の組合員になった者は良識ある職員であるか、ないか、これを聞きます。
  122. 北雄一郎

    北政府委員 これも繰り返しで恐縮でございますが、良識職員である、ないという言い方自体がいかぬというふうに私は考えております。ましてや、いわんや、先生がおっしゃるようなことはあり得るわけがないと思います。
  123. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、こういう発想、立論を実行になっておるのですけれども、全逓は違法なストライキを指導する組合である、順法精神というあなたの考え方から言うと、違法なストライキをする組合だから、全逓に属する組合員は良識職員ではない、これが現場の管理者の判断ですが、これはどうですか。これははっきりそう言っておりますよ。
  124. 北雄一郎

    北政府委員 そういう考え方は間違っておるということも指導いたしております。個々の違法行為はいかぬけれども、たまたま違法行為をしたらこれはどうだ。全逓――全逓という名前を出しますが、全逓はことしの何月にまたストライキをやったから悪い組合だとか、そういう言い方は全然いかぬぞ、本質的にいかぬぞ、こう言っております。
  125. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 全逓の組合員の関係はわかりましたが、ここにこれだけ膨大な資料がありますが、これにはいま私が申し上げたような趣旨の、全逓という組合はストライキをやる組合だ、だから全逓の組合員は良識職員ではないのだという意味のことがるるこの資料の中に全部載っています。したがって、いま局長が言ったように、全逓の組合員であるから直ちに良識職員ではないという判断ではない。個々の違法行為については問題があるとしても、全逓に所属をしているから直ちに良識職員ではないということはすべきでないし、公平でないということをもっと徹底して下部を指導してもらいたいと思いますが、いいですか。
  126. 北雄一郎

    北政府委員 さよういたしたいと思います。
  127. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで基本は出ました。あとは派生的な問題ですが、したがってそうなれば、たとえば全逓という組合が主催する集会に参加したから良識のない職員、全逓の主催する会議に参加しなかったから良識ある職員だ、こういう分け隔てもありませんね。
  128. 北雄一郎

    北政府委員 ないことは当然だと存じます。
  129. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私もそう思います。  その次の、それでは全逓の組合が指導して、たとえば腕章をつけるとか、ワッペンとか、リボンをつける、こういうことがありますね。これもその行為をもって良識があるとかないとかいう判断の基準にはなりませんね。
  130. 北雄一郎

    北政府委員 そのこと自体については好ましくないと思っております。腕章をつけたり、ワッペンやリボンをつけるということ自体についてはよくないと考えております。しかし、先ほど来言いますように、この人が良識職員でこの人は良識職員でないというきめつけ方はいかぬということは、一二・四にもはっきりしておりますし、そういうふうに考えております。
  131. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ちょっとあいまいですが、好ましくないというあなた方の考え方、このほうが好ましい、好ましくないと考えるのとは別に、全逓の組合員である職員がそういうワッペンやリボンをつけたからといって、そのことが良識職員でないという判断になるものですか。このことは、ならないですね。
  132. 北雄一郎

    北政府委員 やはりそういったものを職場でつけるべきでないという考え方があります。これが違法であるかないかということはともかくといたしまして、そういうことは好ましくない、やめなさい、こういうことであります。
  133. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 好ましくないことをやれば良識職員じゃないということになるのか。その行為そのものについては見解の相違で好ましいとは思わぬが、それが直ちに良識職員であるなしの判断の基準にならぬというのが――私は法解釈からいうなら局長と議論したい、労働者団結の基本的な権利について議論したいけれども、時間がないからそれは避けます。問題は、そういう行為について好ましくないということと、それを良識職員であるという判断の基準に置くか置かぬかということは別ですが、置くか置かぬか、それを答えてください。
  134. 北雄一郎

    北政府委員 繰り返して申し上げておりますとおり、良識職員である、ないということはないということであります。
  135. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうもはっきりしませんが、リボンをつけておっても、腕章、ワッペンをつけておっても、そのことによってその人が良識職員である、ないということにはならない、こういうことですね。
  136. 北雄一郎

    北政府委員 一二・一四確認の第三の一の(二)というところに関連するかと思うのでありますが、要するにそのことが良識ある職員であるかどうかの基準のすべてだということには……。
  137. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは確かに一つの行為だけがすべての基準にならぬのはだれが考えてもわかっています。ただこの行為が、双方に言い分はあると思うけれども、あなた方が言う良識職員の判断の基準になるかならないか、その点をひとつはっきりしてください。
  138. 北雄一郎

    北政府委員 単にワッペンをつけておるからといって、だからこの人間は良識職員でないという言い方はないと思います。
  139. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その次ですが、これは非常に問題があるのですけれども、全逓の各級の役員であった者、これは良識職員ではないとしてなかなか役職につけないのですが、こういう差別はどこからくるのか。そして全逓の各級役員であった者はいわゆる良識職員でないと考えておるか。これは役員の場合です。さっきの組合員の場合はわかりましたが、役員の場合はどうですか。
  140. 北雄一郎

    北政府委員 むろん、全逓の役員であったからその人が良識を欠く人だというふうな考え方は毛頭ございません。
  141. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 最近ではないので、少し旧聞になりますが、これは局長に申し上げておきますが、全逓の支部長さんはやめてもらわなければちょっと主任にするわけにはいきませんよ。全逓の支部長をやめてもらわなければ主事にするわけにはいきません。きわめて非常識な話を私は二、三度聞いております。(「最近もあるよ」と呼ぶ者あり)これは最近は私は知りませんが、私が聞いた範囲でもそういうものがある。そして、聞くところによると、最近もなおその風潮といいますか、その傾向はずっと下部に流れておるようですが、いま局長の答弁のように、全逓の役員であるゆえをもって役職、主事とか主任になれないということがないとすれば、この点も機会を見て明確にしてもらいたいと思います。どうでしょう。
  142. 北雄一郎

    北政府委員 それは当然のことでありますし、そういう徹底がなされておると思いますけれども、不徹底であるならば徹底させます。
  143. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それからもう一つ局長、全逓の役員として責任を問われて処分をされるということがいろいろありますね。処分をされたことについて、それは大体どのくらいあなた方は次の任用等について考慮といいますか、基本に考えるのか。たとえば一年たてばもういいとか、半年たてばそれでもってもういいじゃないかというような考え方があるのか、一ぺん処分を受けたことによって一生その人間は、こいつは処分を受けたやつだからという考えになるのか。その点は基準をつくって――あなた方の立場とすれば、処分した者はすぐには任用できないかもしれません。しかし、六カ月たてばその処分は時効で切れるとか、一年たてば切れるとか、こういう考え方を明確にしてもらえませんか。
  144. 北雄一郎

    北政府委員 昇任等への影響のことだと存じますが、一生なんということは全然考えておりません。しかし、全然それを考えぬということでもございません。処分につきましての軽い重いもございます。ですから、やはりそれぞれに応じまして一定の期間は、という考え方はございます。ただ、人事のことでございますので具体的にはなんでございますが、私どもそういったことにつきましては、一定の常識といいますか、そういったものをもって執務指針といいますか、執務のよりどころとしてまいりたい、かように考えております。
  145. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それはわかりました。しかし、それが明確になりませんと、運用にあたって下部の管理者は迷います。たとえば、戒告を受けたときには六カ月とか、減給のときには一年とか、停職の者は一年半とか、何かそういう内規みたいなものをつくっておかないと、かってに解釈しますよ。この人は三年前に処分を受けておるからだめだとか、人によっては、こいつは処分を受けておるけれども、おれの言うことをよく聞くからやってやろうとか……。何か内規みたいなものを、あなたはいま何とか指針と言いましたが、そういうものをつくりますか。
  146. 北雄一郎

    北政府委員 御承知のように、処分に当たる事案というものの態様は千差万別と申してもいいわけですので、なかなかそういった書いたものということはむずかしゅうございます。ですけれども、私ども人事担当者の会議というようなものも開くわけでありまして、そういったときに、そういった問題も十分に討議もしましたし、するわけであります。ですから、そういった中でおのずから何か常識的なものが出てくるということでございますので、具体的にどうということはひとつお許し願いたいと思います。しかし、結果的にまちまちにならぬようにすべきではないかというつもりは十分にございます。これはやはり結果で見ていただくことになろうかと思います。
  147. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これはやはり何か内規みたいなものをつくらないと、さっき言ったようにかってな運用をされるおそれがあります。  それからもう一つ、事案の内用でそれぞれ違うじゃないかというお話があったのですけれども、それは量定にあたって配慮さるべきものであって、戒告なら戒告、減給なら減給という形で処分が出た以上は、戒告についてはここまで、減給についてはここまでというものを設けなければ、その事案の質が悪かったからということで一生その人間があれされるということでは困ります。それはありませんか。そういうものをひとつつくってみてください。
  148. 北雄一郎

    北政府委員 先ほど申し上げましたような理由で、これをつくることは非常に困難でございます。ただ、おもな処分は事実上郵政局がよく見ますので、私ども郵政局の間で、そういう意識統一といいますかをしておけばそういったアンバラというような問題は、そういう弊害はない、こう確信しております。
  149. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その問題は、ひとつ検討課題として考えておいてもらいたいと思います。本来的にいうならば、処分をしたことによって、減給ならば減給をしたことによって終わらなければうそなんです。たとえば、昇給の基準か何かあるようですから、あるとすれば任用についてやはり考えなければならぬのではないか。それをかってに管理者が、あいつは三年前処分をしたからという理由で、昇任昇格にそれを持ってきて故意に妨げるというようなことがあってはならない問題であります。ひとつ検討しておいてもらいたいと思います。  それから良識職員関係でもう一つ、年次有給休暇、これは職員の権利ですけれども、たくさんとった人間と、あまりたくさんとらなかった人間が、良識ある職員とそうでない職員の差別を受くるかどうか。
  150. 北雄一郎

    北政府委員 全くそういうことはございません。
  151. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それから、管理者がネームプレート、胸章をつけよということを最近盛んに言っておるようです。私が行った局でも言っておりました。これは郵政省のほうでも強制するものではないというふうな意見のようですけれども、それを管理者がつけよと言ったけれども、つけたくないからといってつけなかった、そのことが良識ある職員である、ないの判断の基準になるかどうか、これもひとつ……。
  152. 北雄一郎

    北政府委員 これにつきましては、つけてもつけぬでもいいということじゃなくて、何も省全体が一本でつけろということはしておりませんが、やはり職場によっていろいろな実情がある。したがいまして、できるだけそういった気分を盛り上げた上で各局ごとにつける、こういうことになるわけであります。したがいまして、それは一種の、大げさにいえば職務命令になるわけであります。その中でつけないということは、若干違いますけれども、先ほどのワッペンのたぐい、あるいはリボンのたぐいというようなことと同じようなケースだろうと思います。したがって、結論といたしまして、そのことのみをもって良識職員であるかないかという判断をするのは間違いだ、こう考えます。
  153. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは重大な問題です。職務命令であるならば聞かなければならぬというのが原則じゃないですか。聞いても聞かぬでもいいような職務命令があるのですか。
  154. 北雄一郎

    北政府委員 ですから、ある意味では職務命令だと申しました。しかし、じゃこれに違反したら処分するかということになりますと、胸章で処分するというようなことは、これはちょっと常識という問題もあるだろうということで、そこまでは考えておらないといいますか、処分する、せぬは別として、要するにできるだけ説得に重点を置きまして、そういった職務上の指示あるいは命令というものをやらせる、こういう考え方でおるわけであります。
  155. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それはどうも納得ができませんね。ある種の職務命令と理解すべきであるということならば、少なくともそれは聞かなければならぬのがたてまえのはずです。ところが、あなた方のいままでの話し合いで、大体これは強制するものではない、こういうふうな内容になっておるように聞き及んでおりますが、強制するものでないならば、あくまでもこれは納得ずくでやってもらうものであって、職務命令であるならばちゃんとつけなければおかしい。そうでしょう。私はつけることがいいと思いませんけれども、本人の自由な意思にまかせるべきだと思いますけれども、もし局長の言うように、ある種の職務命令であるとするならば、つけてもつけぬでもいいというのはおかしな話です。どうです。
  156. 北雄一郎

    北政府委員 厳格に解釈すれば、確かに先生のおっしゃるとおりになると思います。しかし、職務命令、あるいは職務上の指示、あるいは郵便局長の指図――どういうことになりましょうか、やはり広い意味では一種の職務命令、しかし、その程度のことでということもございますので、つけない人に対しましてはできるだけ説得をしてつけるように、こういうことで臨む方針でおる、こういう次第であります。
  157. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 一番原点に戻りますが、それじゃ、つけないからといって必ずしも良識のない職員だというふうな判断はしない、あるいはつけたからといって良識ある職員だということにもならない、こういうことですか。
  158. 北雄一郎

    北政府委員 そのことだけでそういう判断はしない、こういうことであります。
  159. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 時間がたいへん過ぎまして恐縮ですが、最後に大臣にもう一ぺんお願いしたいのですけれども、るる申し上げましたが、私は、いまここにあらわれておる現象をいろいろ議論してみても、それでいまの郵政の労使関係の基本がなるというふうには考えられません。やはり労使の基本は職場で信頼関係を打ち立てなければならない。そのためにもいま具体的に個々の事例をあげて、こういうものはどうかと聞きましたけれども、それが本旨ではありません。あくまでも、さっき申し上げましたように、管理者みずからも姿勢を正す、これが第一点。二点目は、信頼関係を回復するためには、いままでのいろいろな行きがかりはあろうけれども、そういうものを捨てて、新たな観点から、管理者と働いておる職員との間の話し合いの場をつくって、そしてほんとうの信頼関係を打ち立てる。そのためには、さっき申し上げましたように、たとえば一分遅刻したからどうこうとか、三十秒遅刻したからどうこうとか、便所に行くのにストップウォッチを持ってついてくるとか、そういうばかげたことはやめて、ほんとうに原点に返って労使関係の信頼を回復する。そこから郵政事業全体の運営なり、あるいは国民に信頼される事業が生まれてくるだろう。お互いに不信感を持ち合って、お互いのあらを探し合っていく間は決して、幾ら口先でうまいことを言ってみても、六人委員会で何をやってみても、ほんとうの信頼は回復しないだろう。やはり現場の管理者がいままでの行きがかりを捨てて、原点に返っての信頼回復に努力する、このことを大臣からひとつ言明をしていただいてかつてのような明るい、国民に信頼される郵政の職場をつくってもらうように希望してやみません。大臣の所信を承って、質問を終わりたいと思います。
  160. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 労使間の問題につきましては、冒頭申し上げましたように、昨年十二月十四日の確認事項に基づきまして、信頼感をもって対処していくということが根本だと思いますので、いま御指摘のことについては十分反省いたしまして、明るい明朗な職場をつくっていくということに努力をしたいと思います。
  161. 高橋清一郎

    高橋委員長 この際、午後二時二十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二十二分休憩      ――――◇―――――    午後二時二十五分開議
  162. 高橋清一郎

    高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を続けます。  この際申し上げます。  本日は、本件調査のため、日本放送協会専務理事野村忠夫君、理事斉藤清君及び国際電信電話株式会社取締役社長菅野義丸君、取締役社長板野學君、常務取締役増田元一君の各君に御出席いただいております。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。樋上新一君。
  163. 樋上新一

    ○樋上委員 きょうはいろいろお忙しい中を参考人として御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  まず私は、国際電電並びに政府に最初にお伺いいたしたいと思います。どちらからでもけっこうでございますからお答えいただきたい、かように思う次第でございます。  中国の歴史的な国連加盟によって、今日わが国としても過去のいろいろないきさつもあったでしょうけれども、それらを捨ててわが党が去る六月に中国に参りまして、中国とわが公明党との五項目の共同声明を発表いたしまして、その後中国の現実に国連加盟が実現された。まことに世界平和の上からいっても喜ばしいことであると喜んでおる一人でございます。ここにおいて、わが国と中華人民共和国との貿易の再開、通信・人事の交流が、一日も早く実現しなければならない、そういう時期を迎えたのでありますが、ときあたかも、ニクソン大統領の中国訪問の日時が、七二年の二月二十一日から始まると発表されたのでございます。そこで、アメリカが米中間の国交回復について積極的な動きを始め、また実現されてきたのでございます。またニクソン訪中の際に、特に北京からアメリカへの大量の電報、電話を日本が中継してほしいという米側の要請があったと新聞は報じておりますが、この間の経緯をお聞きいたしたいと思うのでございます。
  164. 菅野義丸

    ○菅野参考人 私、国際電信電話株式会社の取締役社長菅野でございます。  本年の五月の末に取締役社長に就任いたしましたが、本日は、当委員会に参考人としてお呼び出しをいただき、発言の機会を与えられたことを光栄に存じます。まことにありがとうございました。今後ともよろしく、委員長はじめ諸先生方の御指導と御高配をお願いいたしたいと存じます。  ただいま樋上先生から、中華人民共和国との間の電気通信の現状並びに今後の見通しについての御質問がございましたので、お答え申し上げたいと存じます。  中華人民共和国との間の通信は、現在短波無線通信という形式でもって行なっております。電信が日本から二回線、それから電話は四回線ございますが、そのうちの一回線は写真電送と共用になっております。最近、両国の間に人の往来が非常にしげくなりましたし、また貿易もだんだんと盛んになり、見本市等も開かれるような情勢にございますので、回線の増設をはかりまして、あるいはまた運用の時間の延長等も相手方と相談して行ないまして、目下のところは非常に順調に運営が行なわれているような次第でございます。  御参考までに本年の十月の取り扱い数を申し上げますと、電報の取り扱い量は、発着信合計で三万四千通に達しておりまして、昨年の同月に比べますと一二〇%になっております。また、電話につきましては非常に激増しておりまして、月間八百度をこえておりまして、これは昨年の同月に比べますと二三〇%という数字になっておるのでございます。  次に、ただいま御質問のニクソン米国大統領が来年中華人民共和国を訪問されるということにつきましては、われわれといたしましても、必らずその間に通信の需要が増加するであろうということを予想いたしまして中国側との折衝につとめております。何とかして疎通に遺憾のないようにいたしたいという考えでもって、せっかく努力しておるような次第でございます。現在、中華人民共和国とアメリカとの間におきましては、日本を中継して電話の一回線がございますが、これを何とかして増加いたしたい、かように考えておるような次第でございます。
  165. 樋上新一

    ○樋上委員 電報、電話、写真電送料の料金の計算がわかりましたらお知らせ願いたい。なお、米中間の中継基地としての料金はどのくらい取れるのか。
  166. 増田元一

    ○増田参考人 お答え申し上げます。  電報は一語七十二円でございます。電話は一通話、三分、二千百六十円でございます。アメリカとの間に中継いたしました場合には、アメリカと中共との間は十二ドル、四千三百二十円でございますが、それを三・三・三、三等分に分けております。
  167. 樋上新一

    ○樋上委員 そうすると、三・三・三になっておるのですけれども、中継するだけで国際電電はもうかるということでございますね。
  168. 増田元一

    ○増田参考人 アメリカから私どもの局に、アメリカの交換手が私どもの交換手を呼んでくるわけです。交換手はそれを受けまして、また私どもの交換手が北京の交換手を呼びます。中継はそういう仕事をするわけでございます。それで三分の一をいただくわけでございます。
  169. 樋上新一

    ○樋上委員 交換するだけで料金が入ってくるんですね。交換するだけで、ほかの自分の機械を使わずに、中継するだけのことで国際電電はもうかるということなんですね。
  170. 増田元一

    ○増田参考人 交換だけではございませんで、アメリカから日本に来ます場合には太平洋ケーブルあるいは太平洋の衛星回線を経由してくるわけでございます。それにつきましてはKDDの施設を通ってくるわけです。また、東京におきまして電話交換局の機械を通っていくわけでございます。そういう費用を全部中継のために費やしておるわけでございます。それから短波につきましては、アンテナとかいろいろな機械設備が必要でございます。
  171. 樋上新一

    ○樋上委員 日中回線通信需要の見通しについて、政府の御見解をお伺いいたします。
  172. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいま国際電信電話会社のほうから御答弁がありましたように、最近は日中間の通信量もたいへんふえておるわけでございます。それにつきましては、さしあたり短波回線をできるだけ増長して円滑な疎通をはかりたいということで、たびたび国際電信電話会社のほうから中華人民共和国政府のほうにそのような申し入れをいたしておりまして、そのたびに多少ずつの回線増をしているわけでございます。なお、さらに今後の問題につきましての回線強化につきましても最近申し入れをしておられると思います。またさらに今後も、少し先の正常化といいますか、大きい通信量が当然期待されるような状態になりましての通信手段の改善につきましても原則的な話し合いもしたいということで、先日国際電信電話株式会社のほうから正式の申し入れもしている次第でございます。
  173. 樋上新一

    ○樋上委員 将来の見通しですが、この中継だけじゃなしに、将来日本との国交回復、貿易の面において、海底ケーブル回線を設定した場合、どこからどこまで、また、費用がどのくらいかかるか、また、その時期はどのくらいの見通しをされておるか。
  174. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 その海底ケーブルは、昔の日本から中国大陸に結んでおりましたようなケーブルとは全く違う、最近の新しい同軸ケーブルを当然開設するわけでございますが、それにつきましては技術的な方式、陸揚げ地点等、まず相手国と十分合意を得た上でするということが必要であるかと思います。そのために、先ほど申し上げましたような予備的な交渉についての申し入れもしてあるわけでございますが、現在のところ、まだそれに対する回答が来ておりません。  次に、国際電信電話会社のほうで、さしあたりどんなような回線容量あるいはそれに対する設置する費用がかかるかということについては、国際電信電話のほうからお答えをいただきたいと思います。
  175. 樋上新一

    ○樋上委員 国際電電のほうからお答え願います前に、もう一つ重ねて御質問申し上げておきます。  それはいまの海底ケーブルのことですけれども、衛星通信回線を使う、中国が国連に加盟した現在、インテルサットに加盟の動きがあるのかないのか、それから衛星通信を利用する場合はどの衛星を使われるのか、この点についてお伺いいたします。
  176. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  最初の、ケーブルの建設が考えられるとしたら一体どういうことになるかということにつきましてお答えを申し上げたいと思いますが、ルートをどうするか、あるいはケーブルの容量をどうするか、あるいは陸揚げ地点をどうするか、こういうような問題につきましては、将来いろいろ交渉の事項と相なるわけでございますが、たとえて申しますと、昔、明治四年には長崎-上海間に電信ケーブルがありましたが、たとえばこの間にもし敷くということを仮定をいたしますと、この間が約九百三十五キロございます。そういたしまして、これはどういうケーブルを用いるかということにもよると思いますけれども、ただいま一番大型の、SFケーブルといっておりますけれども、八百四十五チャンネルのケーブルをもし敷くということになれば、全体の経費が約五十億ないし六十億くらいかかるのではないか、こういうぐあいに考察されるわけでございます。  それから、次は衛星を用いる点でございますが、これは、中共がインテルサットの制度に入ってくるかどうかということにつきましては、現在まで何もニュースを得ておりません。入ってきたいという希望がもしあるときには、これはインテルサットの理事会なり、あるいは恒久制度になりますれば総会というようなところでいろいろ論議が重ねられるということになると思います。しかし、現在までまだはっきりそういうことはわかっておりません。  それからもう一点は、米中間の衛星の利用はどうかということでごさいましたか。――この点も、確かなことはまだわかっておりませんが、アメリカ方面からのニュースを私どもが聞いたところを申し上げますと、ニクソンの訪中に際しましては、十フィートくらいの可搬型と申しますか、ポータブルのアンテナを持ってまいりまして、それで北京からテレビの放送をするような計画がいまあるようであります。あるいは訪問後には、それと同じような十フィートのポータブル型の地球局を残しておいてその通信に当てる、あるいはもう少し大きい三十二フィートのアンテナを持っておりますような、これもポータブル型の衛星をいろいろ考えておるんだ。  それから四番目には、いま日本も持っておりますような二十九メートルの大型の固定的な地球局を将来はつくるようなことも考えておるんだ、こういうニュースを私どもは得ておるだけでございまして、はたしてこれがそのようにできるかどうか、やるかどうかということにつきましては、確実な情報はございません。
  177. 樋上新一

    ○樋上委員 十一月二十四日の閣議の発表でありますが、第二太平洋海底ケーブルの計画ということが報ぜられておったのですけれども、これはどうなっているのでしょうか。
  178. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  御承知のように、大陸間の広帯域と申しますか、非常に良質の通信をどういうような組み合わせにおいてやるかということにつきましては、ここ二、三年来たいへん議論がございまして、衛星回線、それからケーブル回線、新しいケーブル回線をどういうような組み合わせでやるかということにつきましていろいろ議論が重ねてこられたわけでございますが、私ども、それから世界の大部分の国も、衛星それからケーブルを五〇%ずつ、半々で使うのが最も安定して良質なサービスができる、こういうように大体議論が一致しておりまして、太平洋におきましてはケーブルと衛星をただいま使っておりますけれども、衛星のほうはこれからまたどんどん回線もふえてまいります。ケーブルはただ一条、日本とアメリカの間にあるだけでございまして、これでは安定した通信を供給することはできない。こういうことで、昨年の九月ごろから、日本、米国、豪州の間におきまして、第二太平洋ケーブルをひとつつくろうではないか、こういうような話し合いをいろいろ重ねてまいりました。  その結果、今年の秋九月、十月ごろになりまして大体の計画が固まってまいりまして、第一段階といたしまして昭和四十七年から四十九年ごろまでに、電話回線に換算いたしまして八百四十五チャンネルの容量を持ちますケーブル、先ほどちょっと申し上げましたようにこれはSF型ケーブルと呼んでおりますが、この型の海底同軸ケーブルをアメリカ西海岸からハワイ、グアム、それから日本までひとつ布設しよう。それからなお、グアムからオーストラリアの間につきましては、とりあえず現在ありますケーブルの容量を少し増す、いわゆるTASIと私ども呼んでおりますけれども、TASIシステムを導入いたしまして需要に応ずるようにしたい、こういうことでおのおの政府、あるいは関係業者が政府の同意を得て、そのような手続を目下進めようということで合意に達しておる次第でございます。
  179. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは、さらにこまかいことを言うのですけれども、各国で協議されておるのですが、通信の容量がどのくらいか、何回線を使うのか、その費用並びにKDDの分担金はどのくらい出すのかというようなところまでは進んでおりませんか。
  180. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  アメリカから日本までこのケーブルを敷きました場合の総経費が大体六百五十億くらいになる。その中で、日本の分担金が大体百億程度というふうに考えております。  それから、その使用回線数でございますが、ただいまちょっとここに手持ちの資料がございませんので、後ほどまた資料を整えまして御報告申し上げたいと思います。
  181. 樋上新一

    ○樋上委員 着工日はわからぬですか。
  182. 板野學

    ○板野参考人 まだ未着工でございます。  まず最初に、米本土-ハワイ間につきましては、すでにAT&TのほうでFCCに認可の申請をしております。それからハワイ、グアム島以西につきましては、おそらく今年中にその申請をするのじゃないか。そのような結果を待ちまして、私どものほうも具体的な条件等をそろえまして政府の認可を得る、このような手続になると思います。
  183. 樋上新一

    ○樋上委員 これは政府のほうにお伺いするのですけれども、モルニヤの衛星ケーブルによる札幌オリンピックの中継の話があるというのですが、  これはどうなっているのですか。
  184. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 本年の四月にソ連の逓信次官――郵政次官ですかが日本を訪問した際にこの話が持ち出されたのでございますが、その後日本政府といたしましても、なるべくこれを積極的に実現する方法はないかということで、関係機関でいろいろ打ち合わせをしておりまして、まずこれの実現のために必要でございますモルニヤ衛星、あるいはそれを中継する宇宙局を積み込む設備の状況等、詳しく向こうの技術、期間、条件等も照会しておったわけでございます。ところが、なかなかこちらの思うようなタイミングにその資料がこないということで、かなりこちらもあせっておったわでございますが、その後そういうことについての相当の資料もそろいまして、こちらとしても、まず電波法上の問題、その他技術的な問題につきまして検討を進めておりまして、これを実現するための条件等もソ連側に申し入れをしていたわけでございます。  ところが、その後、その問題につきまして、向こうからの回答がいまだに来ておりません。  なお、情報によりますと、すでにソ連側では西欧の国のキー局を使いまして、インテルサット衛星を使って、この中継を実現したいということでの話し合いが進んでいるというように聞いておりまして、また、その当事者であります国からも、国際電電のほうにもそれに対します照会等も来ておるようでございますが、まあ、その点の最近の取り運び模様につきましては、国際電電のほうから御回答していただきたいと思っております。
  185. 樋上新一

    ○樋上委員 菅野社長に最後にお伺いするのですが、これは新聞によることでございますけれども、「たまたまニクソン米大統領の訪中が世界に大きな反響をよんだ直後のことだった。国際電電は、米中国交回復の将来を予測して、中継問題と本格的に取り組み出し、」ということを報じておるのですが、その他飛ばしまして、「このへんの事情について故松村謙三氏の葬儀に列席のため来日した中日友好協会副会長王国権氏と結びつけて考える向きは多い。王氏が滞在中、国際電電の中にも財界を通じて要請しようという動きが一部にあったが、菅野義丸社長ら幹部が訪米中とあって、立ち消えたいきさつがある。しかし、王氏が離日したのが八月三十一日、九月一日に香港-広州経由で帰国したという事実と、翌二日に返事がきたという時間的な符合から」、財界からこういう動きがあり、また、こういった促進をしようという動きに対して、社長が御存じの範囲内で教えていただきたいと思います。
  186. 菅野義丸

    ○菅野参考人 ただいまのお話は、ちょうど、私、その新聞が出たころはアメリカへ行っておりまして、よく存じませんが、KDDとしましては、財界の使節あるいはそういう人たちに、この両者間の通信の増強とか疎通についてお願いをしたことは絶対ございませんし、また、お願いする気持ちもないのでございます。というのは、中華人民共和国と私どもの会社との間には、非常に緊密な関係がございまして、先ほど来お話が出ておりますように、必要だと思えば、回線を増したり、あるいは取り扱い時間の延長をしたりして、互いにその必要があれば相手方に要求する、相手方は必要とあらばそれに承諾するという形になっておりますので、特に使節団だとか、そういう方にお願いしなくても、直接意思が通ずるようなわけでございます。  そこで、中華人民共和国の国連加入とか、あるいは、ニクソンアメリカ大統領の訪中とかというようなことがございましても、両者間でよく話し合いをすれば、解決する問題と存じますので、私どものほうでは、特にそういうことをほかの人にお願いするということはいたしておりません。  また、先ほど政府のほうからお答えがありましたように、私自身の考えを申しますと、これから中華人民共和国と日本との間の通信というものは飛躍的にだんだんと大きくなるということは、だれが考えても当然のことでございますので、何とかして、この通信関係でもって国の需要を阻害してはいけないという考えから、この際、画期的な、良質な、また非常に容量の大きい通信方法をとるということも考えられますので、現在の短波通信の方法ばかりでなく、その他の方法も十分考えようというつもりで、実は、先般十一月の初めに、先方の郵電部のほうに電報あるいは手紙を差し上げて、ひとつ両者でもって打ち合わせをしようじゃないか、こういう実は呼びかけをしておるのでございます。不幸にしてまだその御返事はございませんが、これはもう必ず実現すると私は思います、というのは、通信の疎通ということはこれはもう両者の共通の利害でございまして、だんだんと通信需要が多くなれば、当然これは相手方と相談して、その間の通信を増強しようということになるのでございまして、とりあえず私どものほうでもって呼びかけましたけれども、早晩これは必ず実現して、両者で十分打ち合わせをして、両者間の通信の増強を相談することができると私は考えております。
  187. 樋上新一

    ○樋上委員 松山政務次官に一言お尋ねするのですけれども、いま私たちがこういうぐあいに話をしておりますが、いまも社長の言いましたように、通信、人事、そういうことは大事である。だから、政府としては、いわゆる米中接近ムードがにわかに盛り上がってきて、各国が非常に注目している今日、わが国の通信網が日中平和のかけ橋となるように先べんをつけていくのがいいことである、こう私は思うのです。  そう考えてみますと、いろいろな具体的な問題をお尋ねしたいと思うのですけれども、結論的に、政府みずからも――国交がいま正常の国交ではないのだから、そういうようなものには政府が積極的にやるのでなく、国際電電なら国際電電にそういうものはまかせておいて、そうしていいぐあいになってきたら政府がやるというのか、現在の佐藤政府においては日中国交の通信を通じてでも、人事を通じてでも、平和のかけ橋となっていこうという、積極的にこういうところに政府みずからが何らかの方法で、アメリカがこういうぐあいに積極的にニクソンがやっておるのですから、そうして通信もやっておるのですから、日本政府としても、こういうところに積極的に何らかの具体的な方法を示して進んでいくべきだと私は思うのですが、御所見を承りたいと思うのです。
  188. 松山千惠子

    ○松山政府委員 日中国交正常化が軌道に乗り始めまして、そして国連でもあのような結果がはっきりと出ておりますので、日本といたしましても、当然中国との国交は、これから積極的に進めていかなければならない段階にきていると思います。そしてこれはやはり政府といたしましても、何らかの方法を通じまして、そのような方向に積極的に進んでいくべきだと私は思うわけでございます。
  189. 樋上新一

    ○樋上委員 現在の佐藤政権の中では、なかなかこれが促進ができぬように思うのです。だから、佐藤総理がみずからこういうことに積極的に乗り出してくれればいいと思いますけれども、私は、きょう郵政大臣がおいでになったら、廣瀬郵政大臣が、それは佐藤総理の中でもやられるのだ。総理大臣がかわらなければこれはできないのだということではなしに、いま政務次官のおっしゃったように、これは早くこういう正常化というものにいってもらいたいという要望をいたしておきますので、よろしくひとつお願いいたします。  では、今度はNHKさんのほうにお伺いしたいのでございますが、OHKが今度NHKに放送関係が全部移譲されて、引き継がれてくるというようなことになっているのですが、現在の本土復帰に対する問題で、OHKの職員は全部NHKが引き継ぐのか。  OHKは現在白黒テレビ一本しか出ていないのですが、復帰後すみやかに本土並みの放送サービスを私はやってもらいたいと思うのですが、NHKはどのような計画を持っておられますか、お伺いしたい。
  190. 野村忠夫

    ○野村参考人 お答えします。  ただいま本国会で審議中の沖繩復帰に関する特別措置法案が成立しました暁には、その中に規定されておりますように、沖繩放送協会、OHKの権利と義務をNHKが継承することになります。当然OHKの職員は私どもが継承いたします。  また、第二点の現在OHKは白黒テレビ一波で沖繩をサービスしておりますが、当然のことながら、本土に復帰しました暁には、できるだけすみやかにテレビ二波、カラーテレビ及び音声三波の本土並みの放送が実現するように努力する考えでございます。
  191. 樋上新一

    ○樋上委員 OHKの現在の受信料契約状況はどうなっておりましょう。
  192. 野村忠夫

    ○野村参考人 現在OHKの受信料を納入している、いわゆる契約の数は大体十二万世帯でございます。これは沖繩における総世帯数が約二十万、テレビを持っている方を考えますと、その普及率は本土より多少落ちている数字でございます。
  193. 樋上新一

    ○樋上委員 経営状態の実情が非常に苦しいようにも聞いております。また赤字があるようにも承っておるのですけれども、この赤字が出てきた原因はどこにあるのか、これは経営はOHKですけれども、今後引き継がれる上において、こういうところは検討されていると思うのですけれども、こうした膨大な赤字はどこに原因しておるのかということについてのNHKの見解をお伺いしたい。
  194. 野村忠夫

    ○野村参考人 私どもがOHKから聞いております数字及びOHKが過去二年間の経営の中で公表しています数字を勘案いたしますと、一九七〇年の決算におきまして、OHKは一億七千万円程度の欠損を計上いたしております。現状から見ますと、一九七一年度、つまり現在締め切っておりますOHKの経営においても、同額もしくはそれよりもやや上回る赤字が出るものと予想されます。ただ御承知のように、向こうの決算年度は七月から始まる決算でございますから、復帰までさらにもう一年この状態が続きますと、同じような額の欠損が出てくるというぐあいに予想しております。  この欠損の原因は何かといいますと、やはり沖繩における受信料収入というものが根本的に少ない。また受信契約をいたしましても、沖繩の場合にはNHKと違いまして政府機関でございますから、いわゆる契約ではございませんで、支払い義務が最初から出ておりまして、受信機を持った者は届け出をしなければならぬという義務がございます。それにもかかわりませず、いわゆる契約率が低い、また契約した方々が滞納をする。これは一昨年の場合では、大体契約した方の五一%しか金が入ってこなかったというのが現状でございますし、さらにことしになりましての状況を調査いたしますと、一〇%落ちて五〇%を割る状況になっています。  なぜ、そのように収納が悪いかということは、いろいろ考えられますが、根本的には過去二十六年の沖繩の放送界は、商業テレビが二波サービスしておりましたところへ、沖繩放送協会が二年前に新しく出現した。つまり受信料制度が定着していなかったというのが第一点であります。また、この受信料制度をとるOHKのいわゆる収納体制、集金体制自体もまだ技術的にも幼く、なかなかうまく取れないというのが現状でございます。ただおっしゃいますように一県だけで、つまりこれが沖繩県という県になりました場合でも、一県だけでそこで働いております従業員や、施設の経費や、あるいは放送の経費を全部まかなうということは、これはとうてい無理な話でございまして、現在日本全国の各都道府県は、もし県単位で独立採算制のような経営をしますれば、半分以上は赤字でございます。したがいまして、当然のことながら、NHKという全国組織の中でこの経営の問題を処理していかなければならない、かように考えております。
  195. 樋上新一

    ○樋上委員 NHKが今後その対策をいろいろ考えておられるのですけれども、聴視料の問題ですね、額の問題、そういう点からいろいろ問題が残ると思うのです。これは一ぺん政府にお伺いしたいのですが、今回の特別措置法により受信料を本土との差をつけることは、これは従来政府が説明してきた受信料の性格論からすれば筋が通らないと思うのです。といって沖繩の放送事情や社会的経済的事情からすれば、受信料は本土よりも低廉にすべきではないか、これは当然だと私は思います。つまりその分、受信料の減免規定により措置をしたほうがいいのではないかと私は思うのですが、この点についての御見解をお伺いしたい。
  196. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。沖繩におきまする受信料の問題につきましては、いまNHKのほうからも御説明がございましたように、確かに本土とは違うわけでございまして、しかも、これからという点が多々あるわけであります。私どももいろいろな角度から検討したわけでございますが、受信料の減免ということよりも、むしろ現在特措法にもございますように、沖繩におきます社会的事情を考慮した上の受信料ということで検討したほうがいいのではないかということで法案を提出したという状態でございます。
  197. 樋上新一

    ○樋上委員 声が小さくて聞き取れなかったのですが、もう少し大きな声で答弁してください。  それでは沖繩復帰後は、NHKと沖繩におけるところの差額はどうされるのですか、そのままになっておるのですか。その差額はそのままでいいとおっしゃるのですか。
  198. 野村忠夫

    ○野村参考人 お答えいたします。沖繩が本土復帰した暁の沖繩の受信料金の問題でございますが、これも特別措置法案が今国会で審議されておりますが、その百三十五条に、その社会的な、あるいは現状に照らして特別に配慮するような条項がございます。したがいまして、私どもは本法案が成立しました暁には、その趣旨に沿いまして沖繩の放送料金というものを考えなければならないと思っております。ただ問題は、先ほど先生が御指摘になりましたような、沖繩県という県を特別に減免するというような措置はいかがかという御見解でございましたけれども、この点は私どもとしてはむしろ本土と同じような同一の料金のシステム、すなわちカラー料金なり白黒料金なり、一カ月制という月額なりという体制はくずさないでおいて、措置法案の趣旨に照らしまして特別な考慮を払う必要があるのではないかというぐあいに考えて、検討中でございます。
  199. 樋上新一

    ○樋上委員 いま検討中で結論はまだ出てないということですね。それでは電波監理局長、政府は、いまNHKさんのほうから話がありましたが、私は減免処置をしたらいい、そういうところへは政府は、それだけに対する補助、いろいろな名目で助けていけばいいのじゃなかろうかと思うのですよ。その点はどうですか、NHKに対して。
  200. 藤木栄

    ○藤木政府委員 現在NHKに対しましては、政府としては一文も補助ということはやってないわけでございまして、これはNHKの特殊的な性格の上からもこのほうが好ましいと私どものほうも思っておりますので、特別沖繩に対しまして補助をするという考え方はございません。
  201. 樋上新一

    ○樋上委員 それではNHKのほうはそのくらいにしておきまして、次に電電公社、郵政省のほうへお伺いしたいのですが、特例法の百三十条の関係を申し上げるのですが、第一次復帰要綱では、「電信電話の制度および料金は、復帰と同時に本土並みとする。」となっているのですが、この設備料について、申し込みの期間に応じて差異を設けたという理由及びその経緯をお伺いしたい。
  202. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 日本本土の設備料は、御承知のとおり、本年六月から三万円のものを五万円に引き上げたわけでございます。一方、これに相当いたします沖繩の設備料相当のものは二十五ドル、約九千円ということでございまして、これを復帰後に、従来申し込んだものについてすべて一律に五万円に引き上げるということになりますと、かなり問題があるという点についてはいろいろ検討を進めていたわけでございます。さらにまた、沖繩現地当局等より、この点について、いろいろ改善措置につきまして強い要望等もございまして、政府部内でもこの問題、いろいろ煮詰めておりましたわけでございますが、その結果、この法律案にありますように、段階的な取り扱いをする、つまり昭和四十五年十一月二十日の第一次沖繩復帰対策要綱を決定しましたとき、これ以前の申し込みのものにつきましては、従前どおり九千円相当額を敷設する電話についていただく、それから本年の六月十七日の沖繩返還協定調印の日までのものにつきましては、三万円相当額のものをいただくというふうにいたしまして、この六月十七日以降の申し込みの分につきましては、本土並みの五万円をいただくというふうな案にいたしまして、従前の申し込みのものにつきまして段階的な措置をするということでこの際法案を御提出をしているわけでございます。
  203. 樋上新一

    ○樋上委員 いまの、段階的にいろいろな話を聞いたのですけれども、どうも理論的に私は根拠が薄いと思うのです。従来、国内におきましても、設備料金の場合には、加入申し込みの期間に応じて設備料の額に差異を設けるべきではないかということをわが党の中野議員は何回も申しておりましたけれども、これは受け入れられずに退けられてきた。これは、すべて一律できたというのに、今回の処置はこの理論の一貫性を欠いているのではないか、こういうように思うのですよ。私は、これを申し上げているのは、そんな段階的にそういう差異をつけるのではなくして、むしろいままでどおり、九千円なら九千円ということにすべきではないか、こう思いますし、また屋良主席の持参した建議書によると、復帰前に申し込んだ加入契約に対しての設備料は従前の例によることとすることを強く要望しておると出ております。これは当然のことだと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  204. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいま御指摘のように、本年度の六月からの設備料の引き上げ、また四十四年の五月からの設備料の引き上げにつきまして、いろいろ御要望の点もございましたが、これは施行の日から、過去の申し込みのものすべて一律に新しい設備料金を適用するというふうにいたしたわけでございまして、この点からいたしますと、沖繩復帰に伴う特別措置と申しますのは、理論的と申しますか、一貫性を欠くじゃないかという御指摘でございますが、その面から申せば確かにそういう形になっているわけでございます。  このような措置をなぜとるようになったかと申しますと、沖繩関係の方々の非常に強い要望があったということのほかに、この設備料の引き上げの法律案改正につきましては、当時まだ本土法の審議には沖繩の方々は一般に参画されていないわけでございまして、そういうような事情と、本土復帰という特殊な事情にかんがみまして、このような特別の措置を考えたわけでございまして、これを今後かりに本土でさらに設備料を引き上げるという際に段階的な措置をとるかどうかという問題がまたあるかと存じますが、そういうようなことは、本土全体として行なう場合には、実は考えておらないわけでございます。
  205. 樋上新一

    ○樋上委員 まだまだ突っ込んで聞きたいところがあるのですが、時間が来ましたので、最後に、電電公社総裁がお見えになっていますので、締めくくりのことばとしてお伺いするのですが、現在沖繩には電話債券というのはございませんね。ですから、復帰と同時に本土並みとなってきたときに、電話債券が沖繩県民にとっては大きな負担になるのではなかろうか。また、屋良主席の建議書にもあるように、三十五年法律第六十四号、いわゆる電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律の適用は、復帰と同時からではなく、暫定期間を設けてあげるべきでないかと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  206. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいま沖繩の電話の加入者負担の問題につきまして御質問がございました。沖繩の電話につきましては、最初に料金的に申し上げますと、本土に復帰いたしますと、これはその業態によりまして違いますけれども、平均で三割から四割値下げになる、こういうような制度でございます。それから新たに架設される件につきましては、今後とも公社は七カ年計画の中で、ほかの県と同じように昭和五十二年度末には、申し込んだら全部直ちに応ずるようにしたいと思っております。これに対しましては建設資金が要るということになるわけでございます。その負担につきましてもっと減免できないかというお考えでございますけれども、これにつきましては先ほど申し上げましたように、料金自体が、現在の電話の使用者あるいはまた今後架設、利用される方も、いままでに比べますと大体三割から四割安くなる、この事情も二つございますし、それからまた今後いろいろ要望がございます。要望には極力応じていくということもありますし、また電話の債券そのものも負担していただきまして、実際これを銀行の窓口等で、あるいはまた市場で売却していただきますと、まず九五%はもとへ戻り、実質負担は五%程度であるというようなことも総合的に考えまして、今度のような措置をとりたいというふうに思っております。
  207. 高橋清一郎

    高橋委員長 中野明君。
  208. 中野明

    ○中野(明)委員 過日来、私ども沖繩協定にも逓信委員会として連合審査を要求してくれということをたびたび申し上げておりましたが、それも実現できず、今回の沖繩特別委員会にも連合審査ということで委員長に要望しましたところ、何かいままで聞いておりますと、わずかの一日に四委員会が合同で連合というようなことで、私どもに発言できる時間というのはわずかに三十分というような計算になります。沖繩国会といわれるようなこの大事な国会に、逓信委員会として数多くの所管事項が特別措置法の中に盛り込まれております。それを責任をもって審議をしようとすれば、三十分や一時間ではどうしようもないのでございますが、そういう事情になっておりますので、きょうは樋上委員質問に引き続いて沖繩の問題について焦点をしぼってお尋ねをしたいと思います。それも、申し合わせの時間が非常に制約されておりますので、たくさん聞きたいことがありますけれども残余は沖繩協定委員会のときに質問するといたしまして、きょうお尋ねしたいのは、たしか四十四年だったと思いますけれども、沖繩における戦前の郵便貯金、これを払い戻しするということをこの委員会で承認をしたことがありました。それについて、沖繩の戦前の郵便貯金のその後の支払い状況がどうなっておりますか、最初にその一点からお尋ねしたい。
  209. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  ただいまお尋ねのございました終戦前の沖繩住民の持っておりました郵便貯金の支払い状況でございますが、為替、貯金関係と簡易保険関係と両方ございますが、私の所管しております為替、貯金関係について申し上げますと、支払い予定件数が、貯金関係だけで十七万五千六百十一件、予定いたしておりましたものに対しまして現在まで支払い済みになっておりますのは、十月三十一日現在でございますが、十二万三千三百十三件ということでございまして、パーセンテージで申しますと七〇%というようになろうかと思います。そのほか、為替で申しますと四百三十二件でございましたが、そのうち三百九十三件、九〇%の支払いの比率でございます。なお、振替は七十二件に対しまして二十件、二八%というふうな数字に相なっております。
  210. 中野明

    ○中野(明)委員 四十四年当時の確認した口数と、そして現在掌握しておられる口数との違いはございましょうか。
  211. 石井多加三

    ○石井政府委員 昭和四十四年当時、当委員会でもいろいろ問題が出ました当時、最初にわれわれのほうで掌握いたしました数字は十九万一千件あるというふうにお答えいたしておるはずでございますが、その後、先ほど申し上げました十七万六千件というふうに一万五千件減りましたのは、いろいろ調査いたしました結果、本人の思い違いがあったとか、あるいは重複して請求しておったとかいうようなもの等ございまして、われわれが実際に支払わなければならないと判断いたしましたのは十七万六千件という数字で出発いたしております。現在もその数字がわれわれとしては正しいものというふうに判断いたしておる次第でございます。
  212. 中野明

    ○中野(明)委員 そうしますと、これは確認された数字で、現在もその数字をもとにして支払いをしている、そういうことでございますか。――そうしますと、現在御承知のようにアメリカのドルの値段が下がりまして、一ドル三百六十円の固定相場が移動しておるわけですが、現在はどのような支払い方になっておるのでしょうか。
  213. 石井多加三

    ○石井政府委員 支払いの上でちょっとお断わり申し上げておかなければなりませんのは、法定支払い金と、御案内の当時特別に見ましたいわゆる見舞い金と両方あるわけでございますが、私先ほど申し上げましたのは法定支払い金について申し上げたわけでございますけれども、同時にこの件数は、法定支払い金を取りにきた人に見舞い金を出すわけでございますから、同様の比率で見舞い金も支払われていると考えていただいていいかと思います。  いまお尋ねがございましたこの払い方につきましては、法定支払い金は、当時も申し上げましたように、沖繩の個々の戦前の郵便貯金の預金者の方々にかわりまして、私のほうの郵政省の貯金局でいえば、第二業務課長、保険局の業務課長がそれぞれ皆さん方の代理となって一括してこれを受領し、このお金の送金ルートといたしましては、われわれの郵政省から市中銀行を通じまして沖繩の琉球政府へ渡し、琉球政府の郵便局を通じてそれぞれの預金者にお支払いをするということになっているわけでございます。  ただいまドルの問題が出ましたが、その際当然われわれとしてはドルで御本人にお払いするわけでございますので、円とドルとの換算の割合の問題が出ますから、その際は、いまの変動相場制のもとでございますので、いわゆる実勢価格によってお払いするわけでございます。したがって、沖繩の預金者の方々から見ますと、現在のようにドルが下がっておる場合は円に対しましては比較的従来よりよけいのドルを取得できるということになるわけでございます。
  214. 中野明

    ○中野(明)委員 変動相場ということになりますと、そのときによって非常に異同があるのですが、これは固定相場制にするほうがいいんじゃないかという意見があるのですが、この点どうでしょう。
  215. 石井多加三

    ○石井政府委員 わが国で現在変動相場制をとっておりますので、そのような形になるわけでございますが、たまたま向こうからこちらへ送金される場合でございますと、逆に円でお取りになる沖繩の人は不利になりますけれども、円からドルヘの交換ということになりますので、むしろいまの場合は沖繩の方々にとっては有利ではないかと考えますので、いまのままで進めてよろしいかと考えております。
  216. 中野明

    ○中野(明)委員 それでいまお話が出ましたが、これをきめましたときに、たしか四十六年、ことしの十二月二十四日で一応の期限ということになっております。先ほどのお話では、これは簡易保険のほうは御答弁がなかったようですけれども、大体平均して六〇から七〇の間だろうと思うのですが、本年の十二月二十四日の期限までに全部支払いができるという見通しを持っておられるのかどうか。
  217. 石井多加三

    ○石井政府委員 ただいまお話にございましたように、昭和四十四年の十二月二十五日から向こう二年間ということでこの支払いを開始いたしまして、お説のとおり今月の二十四日で終了することになっております。現在までのところ、先ほど申し上げました約七割の数字で、貯金でいいますと七割、保険関係はやや下回りまして六割四分というような数字になっておりますので、あと一カ月の間にかなりピッチを上げてもらいまして、沖繩の郵政庁その他の関係に現在督励してもらっておるわけでありますが、まだこれからあとの二十日間くらいの間に残りの三割あるいはそれ以上のものが完全にお支払いできるということは、おそらく困難ではなかろうかとわれわれも考えております。
  218. 中野明

    ○中野(明)委員 その期限までに支払いが完了しなかった場合、あとどういうふうになるんですか。
  219. 石井多加三

    ○石井政府委員 これも二つ分けてお話し申し上げる必要があろうかと思いますが、法定支払い金につきましては、これは貯金であれ、保険であれ、今後とも引き続きまして、沖繩が復帰後われわれ日本の郵政省としての債務を引き継いでおるということになろうと思いますので、預金者に対しては今後とも御請求があればお払いするということになると考えております。  ただもう一点ございます、いわゆる見舞い金のほうにつきましては、この十二月二十四日を過ぎますと、現在のところそれから以降は、御請求がありましてもお払いできないというふうな告示に相なっておるわけでございます。
  220. 中野明

    ○中野(明)委員 見舞い金のことについても、私この審議をした当時は、何か一括して琉球政府に渡して、そしてそれで加入者の住宅を建てて便宜に供する、そういうふうな趣旨で御答弁があったように記憶しておるんですが、いまの局長お話ですと、法定のお金と一緒に、見舞い金も個々に支払っておった、そういうふうになっておるのですが、実情はそのとおりでございますか。
  221. 石井多加三

    ○石井政府委員 当時の国会の議事録を私も読んでみましたが、ただいまお話しのように、見舞い金のほうにつきましては、日本の郵政省から沖繩政府に一括してこれを支払う。法定支払い金のほうは郵政省として個々の沖繩の預金者の方々に対する債務であるので、直接お払いするというふうな形をとっておりますけれども、実際上は見舞い金と申しましても、個々の郵便局へ御本人が御出頭になりまして、あるいはお申し出がありました際に、法定支払い金と同時にお支払いしておるわけでございまして、見舞い金を一括して受領するというふうな当時のお話は、現在実際には行なわれておりません。
  222. 中野明

    ○中野(明)委員 そうしますと、いまのお話では、期限が切れてから後の法定の貯金額、保険とか、それは当然支払われる。しかし、見舞い金のほうは打ち切られてしまうというようなお話ですが、今日まで戦前の貯金を封鎖されて、そして権利というんですか復活をして支払いを受ける。こういう条件のもとで、どちらに手落ちがあるのか、これは現地でないとわかりませんけれども郵政省のほうでも確認をしたということでした。その確認の十七万六千件ですか、そのうちで二年もたっているのにまだ七〇%しか支払われてない。こういう状態でございますので、この十二月二十四日でもう期限が切れたから、それから後に言うてきた人は法定だけであって見舞い金はやらない。私非常に不合理のような気がいたします。そうなりますと、見舞い金はたしか四億一千四百万円余りだったと思いますが、現在見舞い金は幾ら残っておりますか。
  223. 石井多加三

    ○石井政府委員 現在の見舞い金の支払い状況でございますが、ただいま御指摘のとおり、貯金、保険を合わせまして総交付額は四億一千四百十三万四千円でございまして、多少古くなりますが、四十六年九月末現在で支払い済み額は二億六千四百八十九万二千円でございます。今後の支払い見込みを一応立ててみまして、これを約三千万円と見込んでおりますが、合わせまして最終的には一億一千八百万程度は残額として残るであろうというふうに予想いたしております。
  224. 中野明

    ○中野(明)委員 その残ったお金はどういうことになりますか、どこに戻っていくようになるのでしょうか。
  225. 石井多加三

    ○石井政府委員 このお金につきましては、わが国の政府から琉球政府に一括して支払い、このあとの処理につきましては琉球政府に一切をおまかせするということで当時覚え書きが成立いたしておりますので、現在のところおそらく一億一千万か二千万が残るであろう。見舞い金の処理につきまして、われわれ日本の郵政省のほうからとやかく申すことはできないお金である。あくまで琉球政府自体で決定すべきものであろうというふうに考えておるわけでございます。
  226. 中野明

    ○中野(明)委員 これは本土に復帰後当然郵政省に復帰するわけですが、この見舞い金の性質がやはり沖繩の戦前の郵便貯金あるいは簡易保険者に対する見舞い金ということで、最終的に個々に支払われるというような形をとったんじゃなかろうかと思うわけですけれども、そのお金の性質からして、十二月二十四日の約束の日まででこれが打ち切られるということは、私非常に問題があるように思います。それでこれは法律事項でも何でもないわけですから、現在のところ来年の四月あるいは七月とかいって、いろいろ復帰の時期がうわさされております。これを今月の二十四日で一応、これは法律を根拠にした期限じゃありませんので、延長するような手続というんですか、そういう考え方は持てないもんだろうか。大臣がいまおられませんので、局長のほうから御答弁をいただきたい。
  227. 石井多加三

    ○石井政府委員 ただいまお話がございました見舞い金に残高が出た場合の措置でございますが、先ほど申し上げましたように、われわれ日本の郵政省といたしましては、積極的にとやかく言うことではございませんけれども、先方からこの残額が出た場合の処分のしかたについて助言を求めてきました場合には、先般の国会でこの制度が認められました経緯にかんがみまして、できるだけ慎重にその趣旨をくみまして、適切な助言をしなければならないと考えておるわけでございます。同時に、先ほどお話のございました十二月二十四日でこの期限が切れることにつきましても、現在沖繩の現地の政府とわれわれ連絡をとりまして、一人でもこの見舞い金に本来権利がありながら落ちこぼれるというようなことがないようにするために、なお一そうの努力をしてもらいたい。  なお、でき得れば、いまお話がございましたように、本土復帰の日の直前までというわけにいかぬと思いますけれども、少なくとも十二月二十四日ということを延ばして、一カ月でも二カ月でも長くお支払いしたらいかがであろうかということで、目下琉球政府と相談中でございますが、まだ現在のところいつまでというふうにきまっておりません。
  228. 中野明

    ○中野(明)委員 もう十二月に入っておりますので、政務次官いまお聞きのとおりであります。大臣にも御進言いただいて、相なるべくならばお金の性質がそういう性質でございますので、沖繩復帰という歴史的な事業ですから、復帰の時点にもう最小限度近い時期まで期限を延ばすような折衝をしていただいて、そして不公平のないようにお願いをしたい、こう思うわけであります。もし時間がありましたら、連合審査でももう一ぺんここのところだけ申し上げてみたいと思っておりますが、その点よろしくお取り計らいをお願いしたい、このように思います。  それからいま一点。このときに法案としてかかってまいりました沖繩の郵便貯金保険会館の設置、そしてこれを無償貸与するという法律、これがそのときの法案でございましたが、この法案でたしか五億円だったと思いますが、郵便貯金保険会館の建設の状態はどのようになっておりますか。
  229. 石井多加三

    ○石井政府委員 沖繩に設置される貯金保険会館の問題でございますが、御指摘のとおり貯金で四億、保険で一億、合計五億の予算をもってこれを建設する予定で、すでに予算も四十四年、四十五年に分かれて成立いたしておるわけでございますが、この建設用地の取得が沖繩の特殊事情がございまして非常におくれまして、四十六年、ことしの三月に買収済みでございます。現在その建物の設計につきましては、琉球政府の希望、意見等を求めながら、四十七年の六月着工を目途に現在設計を進めておるところでございます。
  230. 中野明

    ○中野(明)委員 そうすると、いま想定されているのが四月ないし七月というのですから、復帰前にはでき上がらない、こういうことですか。
  231. 石井多加三

    ○石井政府委員 さようでございます。
  232. 中野明

    ○中野(明)委員 これはたしかこの前の審議のときにお伺いいたしましたら、大体設計に六カ月、積算に二カ月、契約が一カ月、工事十三カ月の予定で完成する、四十六年三月には完成する、こういうふうに明確な御答弁を得ているわけであります。そのとおりでありますと、すでにもうことしの三月には完成しておらなければならない性質の土地、建物ですね。それがいまのお話では、来年の六月ごろからぼちぼち建物を建てようという、まるで一年数カ月おくれているわけですが、そのおくれた理由はどういうことでおくれたんでしょうか。
  233. 石井多加三

    ○石井政府委員 ただいまもちょっと触れましたように、沖繩の建設用地の取得が実はたいへん手間どりまして、ことしの三月にやっと手に入れたというところでございまして、たしか、ただいま先生指摘のとおり、私の前々任の局長のときの国会答弁で、四十六年三月には完成するというふうな予定であるということを申し上げましたわけでございますけれども、いまのところ、先ほど申し上げましたように設計中でございますけれども、着工いたしますのは四十七年の六月ごろになるかと思いますから、それから工事が始まりまして約一年六カ月ぐらいかかりますので、四十八年の年末近くにならないと建物は完成しないのではないかと思います。  そのおもな原因は何かというお尋ねでございますけれども、先ほど申しました建物の買収自体が非常におくれましたことが何よりも最大の原因でございまして、土地買収後の設計その他の進捗状況は、本土の貯金会館の建設と大体同じくらいのテンポで進めておりまして、現在建築部において鋭意その設計を急いでおるところでございます。
  234. 中野明

    ○中野(明)委員 沖繩が復帰するにあたりまして、沖繩の人たちの苦労というものを考慮に入れ、また戦前の貯金、保険の加入者に対する見舞いの一環としてこれができているということがこの趣旨でありまして、そういう意味からいいまして、沖繩の復帰までにこの工事が終わらないということは返す返すも残念でありますし、当局は一体何をしておったんだろうか、このように私どもも歯がゆい思いをするわけであります。  特に私気になりますのは、今回の一括上程されております沖繩関係の改廃法の中に、この法律が廃止されるというふうになっております。そうしますと、沖繩の郵便貯金保険会館の設置及び無償貸与に関する法律、これによって郵便貯金保険会館が建設されるようになっているわけですが、この法律がなくなってしまうと根拠を失うわけですが、どのように理解していったらよろしいのでしょう。
  235. 石井多加三

    ○石井政府委員 ただいまお話しのございました沖繩における郵便貯金の奨励及び簡易生命保険思想の普及に必要な施設及び設備の設置及び無償貸付けに関する法律は、ただいま御指摘のとおり今度の改廃法で廃止になるわけでございます。ただ、この法律は廃止になりましても、廃止後はこの貯金保険会館は、本土の貯金会館と同様のものでございまして、郵政省設置法第四条第二号に定めるいわゆる業務施設ということでございまして、最初目的と同様に、郵便貯金及び簡易保険の周知宣伝を行なうための施設として管理を行なう予定でございます。
  236. 中野明

    ○中野(明)委員 そういたしますと、会館の名称はどうなりますか。いままでは郵便貯金保険会館、こういうふうに私たち理解しておるのですが、そして保険会計から一億、貯金会計から四億、こういうふうな形をとっておったと思うのですが、この法律の根拠を失うと、いま局長郵政省設置法郵便貯金会館ですか、そして本土でやっているような形態に移行したいというようなお話でしたが、そうすると名称も問題になってきますし、保険関係の一億というのも少し問題になってくると思うのですが……。
  237. 石井多加三

    ○石井政府委員 ただいまの問題は実は検討中でございますけれども、沖繩郵便貯金保険会館という名称でおそらくけっこうであるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  238. 中野明

    ○中野(明)委員 少し疑義があるように私も思いますが、まだ検討中であるということでございますのでよく検討していただいて、とにかく現時点においてすでにおくれてしまっているのですから、ここで幾ら文句を言っても始まらぬと思いますが、御承知のとおりこの法律は私たちも非常に残念な記憶の一つになっておりますが、成立を急ぐのあまりだったんでしょうか、強行採決をされている法律でございます。強行採決までして急がなければならないような法律で、貯金会館をつくろうといいながら、今日に至るもまだ土地だけで、姿も形もない。その上に、いまのお話では、予定より二年もおくれるというようなことになっております。この一点をとってみても、沖繩が本土に復帰する、気持ちよく、あたたかく迎えてあげなければならないということを、たびたび私、耳にしますけれども、こういうふうなことでは、とうてい沖繩の人たちは納得できないのじゃないか、そういうふうに非常に遺憾に思っておるわけであります。いまの問題は、私、まだ法的にも少し疑義があるような気がいたしますので、よく検討をしていただいて、あとからとやかく批判が出ないような処置をお願いして、終わりたいと思います。
  239. 高橋清一郎

  240. 和田春生

    和田(春)委員 きょうは、郵政省における労使関係の基本的な問題について、当局の見解をただしたいと考えるわけであります。  といいますのは、また師走を迎えたわけでございますが、例年のように年末近くになると、郵便事業関係労使のごたごたが起きまして、国民がたいへん飛ばっちりを受けることがあります。あるいはぎりぎりのところで決着をつけましても、結果は、滞貨の整理等で残業また残業。民間企業なら企業の損失であり、労使がかぶるわけですが、郵政事業の場合は、結局、国民の税金でしりぬぐいをさせられる、こういうことについて、多くの国民は、非常に割り切れない気持ちを持って見ているわけでありまして、今日でも、そういうことに対する懸念がすでに出てきているわけであります。  それに加えて、最近の郵政の労使関係を見ますと、たとえば全逓組合員による全郵政組合に対する暴力事件というものが告訴ざたになっているわけであります。それに関連して、一、二、処分をされた者もおりますけれども、そういう問題は、むしろ労使関係の問題というよりも、職場規律の確立の問題であるわけでありますし、暴力をふるった者がおるとすれば、はなはだけしからぬわけであります。そういうことを起こさせないように、職場管理をきちんとする責任は、当局並びに職制にあると私は考えるわけです。  さらにまた、一方、全逓の組合からは、人権擁護の申し立てとか、あるいは国公法三十九条違反の告訴等が持ち出されているわけです。このことも、内容を見てみますと、どうやらこれは労使関係の問題であり、本来、われわれの常識でいけば、苦情処理に属する問題が、告訴というような形で外に持ち出されているのではないかという感じがするわけです。  こういう点について、私のように労働法あるいは労働協約、労使関係というものを長年手がけてきた者から見ますと、郵政省という、あるいは郵政事業という特殊の制約を受けた特別の条件を割り引いてみても、なおかつ割り切れない問題がたくさんあります。一挙には解決できないかもわかりませんが、毎年毎年同じことの繰り返しに終わらないように、特段の善処を当局に要望したい、こういう気持ちを前提に置いて、質問をするわけです。  そこで、本日は、そういう労使関係の基本問題に焦点を合わしてお伺いをするので、しかと答弁をされるように準備をしてほしいということを言っているわけですが、こういう点につきまして、郵政大臣をはじめ、関係局長等に御質問を申し上げたいと思うわけです。  まず、最初にお伺いしたいのは、この種の問題を扱っている当局、これはまた当局だけではありませんで、全逓の労働組合の行動についても、同じように考えるわけですが、公共企業体等労働関係法いわゆる公労法の位置づけというものについて明確な理解がないのではないかという気がするわけですけれども、一体、労働法並びに労働協約と労使関係の間において、公労法というものの位置づけをどういうふうにお考えになっているのか、当局側の責任ある見解をまず最初にお伺いしたいと思うのです。
  241. 北雄一郎

    北政府委員 お答え申し上げます。  私ども労使関係、これにつきましては当然公労法の適用があるわけでございます。もとより、一般公務員の場合でございますれば国家公務員法ということでございます。また、民間の場合はむろん労働三法、かようなことになります。そういう中で、国家公務員法でもなし、それから民間でもなし、その中間と言うと語弊がございますが、公労法という一つの特殊な法律でわれわれの労使関係は律せられております。むろん労組法等の適用もございますし、国家公務員法等の適用もございますけれども、やはり中心は公労法、そういう立場で、郵政省の場合、労使関係は律せられておる、かようなことになると考えております。
  242. 和田春生

    和田(春)委員 そういうことをお伺いしたわけでは実はないのでございまして、質問のしかたが悪かったのかもわかりません。もっと端的にお伺いいたしますが、公労法というのを一般的な意味の労働法とお考えですか、それとも労使関係の労働協約にかわるべき特別の立法措置であるというふうにお考えですか、どちらかをお伺いしたいと思う。
  243. 北雄一郎

    北政府委員 私どもの場合、公労法の適用がございまして、公労法の中に、こういったものにつきましては団体交渉の対象になる、すなわち労働協約を結ぶべきものである、かような定めがあるわけでございます。でありまするから、どちらかといえば前者というふうに考えております。労働協約にかわるものとして公労法があるということではないんじゃないだろうかと存じますが。
  244. 和田春生

    和田(春)委員 私は、実はその辺に問題が発生する大きな理由の一つがあるように思うのです。郵政事業に従事している郵政省職員の諸君には、もちろん国公法も適用されておりますけれども、公労法というのが労働法の特別法としてあるわけです。たとえば争議関係一つとってみても、そのことは非常によくわかると思うのですが、かりに民間労使関係におきまして、労働協約を結ぶ、そして三年間は争議行為を一切行なわない、そのかわり、労使の意見が食い違ったときには仲裁裁定にかけて、仲裁裁定に従うものとする、そういう協約の例というのは、国内にも外国にもあるわけです。その場合は、労働協約において、仲裁裁定で労使の紛争を解決する、それを代償措置にして、三年間は争議行為を行なわないという平和協定を結ぶ。民間ならばそういう協約関係がつくれるわけですけれども、公共企業体等の労働関係においては、その事業の性質上、法律でそれを定めているのが公労法のたてまえではないでしょう。ILOによってもそういうふうに指摘をされておるわけであります。つまり、適当な代償措置を見返りにして争議行為を禁止する、そういうことは差しつかえない、と言うと語弊がありますけれども、許されるということになっておる。そこで、公労法に違反をする争議行為の場合には、別に刑事罰というものがかかってこない。解雇その他の処分を受ける。つまり、民間企業における協約違反の処分というものと質的には変わりがない、こういう関係になっているわけでありますから、結局公労法によって仲裁裁定というものが強制をされておる、労使双方を最終的に拘束する、そういう代償措置のもとに郵政省職員の争議行為というものは禁止をされている、こういうバランスをとった関係であります。  また、これから質問する内容関係するわけでございますけれども、組合員と非組合員の範囲につきましても、民間においては、団体交渉を通じて労働協約できめるわけですが、そういう点がなかなかきまらないで、紛争があってはいけないというので、これは公労委によって非組合員の範囲というものが指定をされて、それに労使が従っている。さらにまた、公労法の規定あるいは労働協約の規定に反したり、人事の運用その他について問題があれば苦情紛争処理しなければならない。民間の場合もそういう苦情処理等については労使の団体交渉によって協約にきめる。それが公労法の場合には公労法の中におきまして苦情処理共同調整会議というものを設けることが法律的に強制されておる。そういうふうに公労法の規定というものを見ていきますと、民間労使関係であれば労働協約できめられる基本的な問題がこの特別立法の中に多く取り入れられておる、こういう関係になっていると思うのです。そういたしますと、公労法というものはある意味でいけば労使の自主的な賛成において行なったものではないけれども、これに従い、公労委を利用し、仲裁裁定を尊重し、公労法の規定に従って労使関係を運用していくという場合には、労働側のみならず、使用者側も労働協約と同様にお互い順守をしていく、お互いこれに反するところがあれば拘束からは免れるという基本的な観念があって労使関係に対処しないと私はよろしくないと思う。そういう点について、いままでどういうふうにお考えになっておったのですか。これは大臣にお伺いしたいと思うのです。
  245. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 御指摘のとおりだと存じます。
  246. 和田春生

    和田(春)委員 そこで、もしそうであるとするならば、いまの郵政事業における労使関係、これについては非常に多くの問題があるように思うわけでございます。ところで、労使が対等の立場に立って交渉をする、こういうことは労働組合というものの存在を前提にした団体的労使関係のあり方の問題だと思うのです。そのほかに事業を営んでいる郵政省としての、一つ企業経営組織としての職場秩序の問題があります。職場の規律を維持し、上は郵政大臣から末端は昨日入ったまだ見習いの段階の職員に至るまでどこにも切れ目がないので、局長、係長、現場長からそういうふうにずっと一つの指揮、命令という体系がある。そういう問題について労働組合の存在を前提にする団体的労使関係と、職場における秩序を維持していくという経営組織における指揮、命令の関係というものがうまく分離をされ、運用されているとお思いですか。それともその点が混乱しているようにお考えですか。その点を人事局長にお伺いしたい。
  247. 北雄一郎

    北政府委員 お示しのように、その両方の関係は表裏一体ということでなければならない、かように考えております。またそういったものとして就業規則その他のものがあるわけでございますが、それが現実にそういう望ましい姿のとおりになっておるかということでございますけれども、全体としては、これまでいろいろ労使間の経緯はございましたけれども、そういった経緯を踏み越え踏み越え、やはり望ましい方向へ向かって相互の努力でもって、そのテンポはともかくといたしまして前進しておる、また、そういう努力というものを強くお互いが払わなければならない、私はかように考えております。
  248. 和田春生

    和田(春)委員 さて、そういたしますと、望ましい姿になっているかなっていないかということは、民間企業においてもいろいろ問題があると思うのですが、私は、御承知のように、公労委の委員といたしましても公共企業体の労働関係に足かけ五年タッチをいたしておりました。いろいろ持ち込んでくる内容を見てみますと、どうもわれわれの常識では理解できないようなことがちょいちょい出てくるわけです。こういう点について当局側から言わせると、それは労働組合のほうがよろしくない、こういうふうにお考えかもわかりませんけれども、外国には、労働組合は企業経営者のかがみであるということばもあるわけで、片方だけが悪くて片方だけがいいということは私はないと思う。  そこで、具体的に最近起きておる問題に関連して、以上のような前提と関係を持ちながらお伺いしたいと思いますけれども、たとえばいまブラザー制度とかいうものが問題になり、午前中当委員会においても同僚委員から質問があったわけであります。こういうふうなブラザー制度というものが、いいか悪いかの論議を私はしようとしておるのではない。これを設けて、そうして若い新しい職員に対して、郵政の職場になじみやすいようにしていく。この種の問題はいわゆる郵政事業の円満な遂行をはかるための職務上の指揮、命令あるいは事業の運営、こういうふうな関係によって行なわれておるものである、こういうふうに理解をしてよろしいか、それともほかの目的があるわけですか。
  249. 北雄一郎

    北政府委員 その制度は、おっしゃいました新規採用職員定着性を高めるということによって郵政事業の運営を円滑ならしめる、こういう目的のために設けておる制度でございますけれども、ただ、そのあり方というものが職場生活、あるいは私生活、そういった面におきましていわゆるインフォーマルな指導をする、こういう中で郵政事業になじませる、こういう目的並びに内容を持ったシステムでございます。
  250. 和田春生

    和田(春)委員 そこで、そういうシステムというのは民間企業でもありますし、本質的に間違ってない、けっこうなことだと私は思うのです。ただ、どういう仕組みでも、運用上人間のやることですから、完ぺきにはいきません。問題が起こるかもわからない、あるいは本質的に問題ではないようなことでも、受け取る側から問題だと思うことがあります。当然そういう制度を運用していくという中においてはごたごたが末端の現場では起こりますけれども、それは苦情とお考えですか、それとも苦情ではないとお考えですか。公労法にもきめられておりますね、苦情処理についてという、そういうものについて異議があるという場合に、それは苦情というふうにお考えですかどうですか、その点をお伺いしたいと思います。
  251. 北雄一郎

    北政府委員 必ずしも苦情というふうにも考えないわけでございます。ただ、現実に当事者になりたくないとか、受けたくないとかいうような問題、あるいはその制度をめぐりましていろいろな現実の苦情と申しますか、グリーバンスがある、そういう事態はあり得るわけであります。また、現に最近そういった声が集中的に出ておることも事実であります。したがいまして、御質問に対しては私少し言い過ぎかもしれませんけれども、そういった点につきましては謙虚に反省をいたしまして、この制度は守っていく、非常に有効な制度だと考えますので、ずっとやっていきたいわけでありますけれども、そういった運営上のいろいろ問題のあるような点につきましては、これは謙虚に受けとめてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  252. 和田春生

    和田(春)委員 そこで、えらく早く反省をしてもらわぬでもいいのです。これから問題が出てくるのです。私がお伺いしておるのは、苦情というものを当局が一体どういうようにお考えになっておるのか。先ほどの告訴とか、労使関係で解決すべき問題と思われるものが、どんどん外に出てくるということで疑問を持っておるものですからお伺いしておるわけです。  法律の文句は別にいたしまして、一般的に苦情というものは労働協約や、就業規則や、そういうものに定められてあることの運用について出てくる異議とか紛議、あるいは定めのない事項についての紛議等を一般に苦情、こういっておる。これは定義として一般的に是認されておるところの考え方ですね。そういたしますと、職務を円満に遂行していこう、制度として、一つの仕組みとしてブラザー制度というものを郵政省がおつくりになった。それは定着性を高め、若い職員の能率をあげていこうとか、いろいろなことでお考えになっておると思うのです。そのことがいいとか悪いとか私は批判しておるのではないのです。そういうことをおやりになって、それを運用していくということについて、受け取る側が、それはぐあいが悪いとか、あるいはその目的に逸脱したものがあるとか、そういうふうなごたごたが出てくれば、一般的にいって職場における苦情という問題ではないでしょうか。あなたは、先ほどそれを苦情とは思わない、こう言われたのですけれども、苦情でなければ一体何ですか。私は苦情だと思うのです、そういうものは一般論的にいって。あなたは必ずしもそれは苦情ではないと言われた。そうすると、それは一体何になるのでしょうか。
  253. 北雄一郎

    北政府委員 先生おっしゃいます苦情は公労法の十二条のことだと存じますが、そういったことに関する事項は、団体交渉で定めるとなっております。非常に卑近な申しようで恐縮でありますけれども、私どものほうは、これは団体交渉で苦情処理ということにつきまして一種の協約をつくって運用いたしております。ただ、その中の現実に対象にしておりますものは、主として給与の関係でございまして、それも一定の範囲内にとどめて苦情処理の対象にしておるわけでございます。そういったいわば卑近な考え方からいたしますと、現在、わが労使関係の中でありますこの苦情処理からは現実にはずれている、こういうことを申し上げました。  ただ、先生指摘のような問題が、直ちに労使間の外へ出ていくべき問題であるかどうかということになりますと、これは私どもも、それが苦情処理協約の対象に入るか入らぬかは別といたしまして、労使間の中でまずこういった問題は処理するということが、労使関係の安定あるいは改善という見地から最も望ましい、こう考えておりますし、現実にそういうことで組合ともいろいろ話をしておる、それが先だ、先と申しますより、そこでなるべく解決をはかる、これが筋だ、こう考えております。
  254. 和田春生

    和田(春)委員 いまの問題につきまして、そういうお考えだから問題が起こると私は思うのですよ。労使間で処理するということをいま局長はおっしゃいました。公労法に苦情ということばについて、この法律でいう苦情とはかくかくのものであるというふうにずっと例示をしていないというのは、労使関係における苦情というものについては、一般的な概念というのは当然わかっているという前提に立っていると思うのです。いま言ったように、協約できめたことや、就業規則できめてあることや、あるいは仕事を遂行する上においていろいろ命令を出すとか、仕組みをつくっていく、そういう点についてごたごたが起きてくる、それに対して異議を申し立てる、紛議が起こる。それを、労働組合がない場合は別ですけれども、労働組合があって、労使間で関係するということは苦情じゃないのですか。それは苦情でなければ何でしょう。もう一ぺんお伺いします。
  255. 北雄一郎

    北政府委員 私、たいへん浅学でございまして、なかなか的確なお返事ができないわけでございますが、私の申しますのは、十二条の第二項に、「苦情処理に関する事項は、団体交渉で定める。」ということになっておりまして、現実に先ほど申しましたようなことを団体交渉できめておりますので、ひっくり返しの議論になるかもしれませんが、それが苦情なんだ、こう考えております。  しからば、それ以外の労使間の問題は何かとおっしゃいますと、少なくとも私のほうで団体交渉にかけておる苦情処理の苦情とは違うものである、こういうふうに考えております。
  256. 和田春生

    和田(春)委員 これは、ここでやりとりをしておってもしかたがないので、その点はあとから御検討願いたいと思うのですが、十二条第一項で、主文規定は、「苦情処理共同調整会議を設けなければならない。」こういっている。その前提は、公共企業体等及び組合は、職員の苦情を適当に解決するために、苦情処理の共同調整会議を設けなさい。民間の労働協約でいけばそもそもそこから始まることなんです。それ以上のこまかいことについては団体交渉できめろ。苦情処理調整会議の組織であるとか処理の手続であるとか、そういうような苦情処理に関する事項なんです、ここに言っているのは。苦情を団体交渉できめろとは書いてない。いいですか。苦情というものは、一般概念として労使関係ではわかり切ったことなんです。苦情というものは職場では必ず起きるのです、人間は神さまではないのですから。それを処理するためには苦情処理共同調整会議を設けなければならない。労使に強制をされている。その苦情処理調整会議の組織その他苦情処理に関する事項、苦情処理に関する事項といえば、どういう手続でやるか、苦情処理調整会議をどこに設けるか、申し立てばどういうかっこうでやるのか、だれが出てくるのか、最終的にどう処理するか、そういうことについて苦情処理に関する事項をきめるわけです。それは労使の団体交渉でそれぞれの事業場に適するようにおきめなさい、こういっているのが公労法のたてまえなんです。  そこで、ブラザー制度というようなものを当局はよかれと思って設けていると思うのです。また、われわれもそういう制度の効用というものは一般論として否定できない。しかし、それを運用していく上においては、いいと思ってやったことが受け取るほうの側から誤解をされたり、あるいは問題を起こすことがあるかもわからない。当然苦情じゃないでしょうか。そういう問題は苦情処理として支部段階なり、あるいは地方局段階なり、あるいは本部と郵政省との段階において、この公労法の手続に従って苦情処理としてやりましょう。最終的に郵政省当局と組合とで解決がつかなければ、公労委に持ち出して仲裁裁定に従いましょう。そういうことを、法律を守れと主張する当局がきちんとした姿勢をもって労使関係を正しておれば、こういうような問題に関連して人権擁護の申し立てだとか、あるいは国公法三十九条違反だとかいって、告訴だとかいって裁判ざたにならないと私は思う。そういう苦情処理というものがきちんと行なわれる、あるいは当局が行なおうとしているにかかわらず、かってに裁判に持っていくのは国民の権利だというなら、これはもう普通の労使関係の問題じゃないからかってにせよ、こういうことになるかもしれません。しかし、やはりその段階において、当局が公労法と労使関係の原則に立って、団体的な労使関係で処理の手続というものをはっきり守るということをきっちりしない。しないから、こういういいかげんなことが起きてくる、私はそう考えるのが正しいと思うのです。あなた方がどうお言いになるかどうかわかりませんけれども、そういう点を、いわゆる親方日の丸に依存をして当局側がきちんとしない。組合側も、騒ぎを大きくすればどこか新聞かなんかに出てぐあいがいいだろうというような形で告訴かなんか持ち出す。国民は一体何のことだ、ばかばかしいことをやっているじゃないか、こういうことになると私は思うのですよ。そういう点についてここですぐお答えがしにくければ、すぐお答えをしろと言いませんけれども、ひとつ郵政大臣、きちんと、せっかく公労法にきめてある一般的な労使関係における苦情処理という概念は確立しているのですよ。やはり今後検討した上、十分善処するという当局の姿勢をはっきりしてもらいたいと思う。その点についてひとつお答え願いたいと思います。
  257. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私自身にもたいへん示唆に富んだ御意見でございますが、こちらの不勉強の点もあるかと思いますけれども郵政省といたしましては、一応六人委員会とか、あるいはブラザー制度というようなことによって、事業の運営に労使間の不平不満のないようにというようなたてまえでやっておるわけでございます。指揮命令の系統を順守して、はっきりした職場を確立するということは当然必要なことでございますけれども、そういうような方針に基づきましての御主張、よく吟味いたしまして善処してまいりたい、このように考えております。
  258. 和田春生

    和田(春)委員 これはぜひそういう点を、大臣は最高責任者でございますが、現場のそういう問題をつかさどる最も中心的な人事局長として、十分お考え願いたいと思うのですよ。戦後二十数年間の労使関係の実践の中において、民間企業においては――未熟な組合や、最近労働組合ができたところは別であります。十年、二十年と経験のあるところでは、そういうものは慣習的に解決をするようになっているわけです。したがって、裁判ざたとか、そういうようなことになるというのは、よほど特別の事件でも起きない限りこれは労使の間で解決をされているわけです。それは人事とか、あるいは賃金とか、労働時間とか、いわば労働生活条件に関するもろもろの問題は団体交渉で基準をきめる。その基準の運用についてごたごたが起きてくれば、それは苦情として処理する。どうしても処理できないときには、最後に争議に発展するでしょう。公企体の労使関係では、それは公労委に持ち出せばいいわけです。そういう点を十分根本的に当局側が御反省にならないと、でたらめな労働運動というのは続くのですよ。やはり当局側がきちんとしないというところに、国民の目から見て、あるいは民間の一般の労使関係の当事者から見て、何とも不可解な、理解できない問題が起きるんだということについて、私はもっとちゃんとしてもらいたい。単に上から権力で押しつけるということだけではなくて、そういう仕組みや運用という面について当局側の姿勢を正すということが、今後の労使関係正常化に非常に大事であるように、私自身の経験を通じても考えるわけです。  そこで、苦情という問題についての意見が違ったと思うのですけれども、一体当局側は、あるいはこれに対応する労働組合がそうでありますけれども、苦情というものをどういうふうに考えているかということを実態的に少し知りたいのでお伺いしますが、苦情処理として、いわゆる郵政省と、全逓労働組合なら全逓労働組合の本部にまで上がってきた件数は、古いことは別であります、過去一年間に何件ぐらいございましたでしょうか。本省まで上がってきたことならば扱っておられるので記憶があると思います。
  259. 北雄一郎

    北政府委員 当方の苦情処理協約は、先ほども申し上げましたように、ほとんど給与上の問題に限られております。それも、給与の問題でも、所属長の裁量権に属するような問題については、またこれからはずれるというような非常に制約がありますので、現実に苦情処理の各段階を経まして、三段階目であるところの中央へ上がってくるものは、毎年数件というような状況でございます。
  260. 和田春生

    和田(春)委員 苦情の概念がはっきりしないことで、ずいぶん狭く解決しておるようでございますからそういうことでございますけれども、なかなか中央で解決できずに本庁まで上がってくるものが数件だ。何十万という従業員をかかえておる。もしそういう労使関係があれば、これはりっぱな労使関係で、ごたごたが起こらないまことにけっこうな職場だと思うのですけれども、事実はそうじゃないですね。やはりその辺に私は大きな問題があるということをお考え願いたい。  それから、今度は次に、これは先ほども触れた問題ですけれども、その事実があったかどうか、私は実情について触れているわけではございませんが、組織問題やその他に関連をいたしまして、暴力事件というものが報道されている。新聞にも出ております。告訴もされております。そういうものについて、当局側が処分をした件数というのは何件ございますか。
  261. 北雄一郎

    北政府委員 残念ながら、毎年相当件数そういうものがございます。でありまするが、申しわけございませんが、ただいま手元に件数を把握いたしておりませんので、調べた上で御返事申し上げたいと思います。
  262. 和田春生

    和田(春)委員 その問題については、後ほど調査をした資料を提出をしていただきたいと思います。  しかし、この問題についてぜひただしておきたいことがあるのですけれども、先ほど言ったように、事業運用上の仕組みとか、人事とか、あるいは労働条件にかかわりのある問題については、苦情として労使関係で処理する。しかし、暴力行為が行なわれるということは、理由のいかんを問わず、これは労使関係の問題ではございません。職場秩序の確立の問題だと思います。そういうものが起きたと言って、暴行を受けた被害者が告訴をする。これは法律の手続に従がつたことだと思いますけれども、そういうことを起こさせないように、少なくとも職務上に関連がある、あるいは職場内における組織問題に関係してそういう暴力行為を起こさせないようにということは、職場の秩序あるいは職場管理の問題だと思う。したがって、そういう問題が起きているということが外に出るということは、職務上の指揮命令と職場秩序の確立という面において、当局の姿勢に欠けるところがあるのではないか。そういう意味では、かりに暴力行為を行なったものがあるとするならば、行なったものはいかぬかもしれぬけれども、そういうことを何度も何度も繰り返して起こさせるということについては、当局側職制に問題があるように思います。そういう点について、かりにも職場における暴力行為、あるいは暴力行為に疑わしき行為が起こらないようにするために、どういう措置をおとりになっているか、お伺いしたいと思うのです。
  263. 北雄一郎

    北政府委員 そういった事象の起こります原因と申しましては、いま先生おっしゃったことごもっともでございまして、私どもも深く反省するわけでございます。  そういうことが起こらないためにどういう方策をとるかということでありますけれども、これはそれこそ諸般の措置をとっております。とても一つや二つの方策だけではない。あらゆる考え方、手法でもってそういった嘆かわしい事態が起こらないように当然つとめておるわけであります。一言でこれを申しますと、私ども、明るい秩序ある職場を築く、これをひとつモットーにしてやろうじゃないかということで日夜苦心をしているところであります。
  264. 和田春生

    和田(春)委員 諸般の措置をとっておられるということでは、どういう措置をとっているかよくわからないわけですけれども、先ほど来の質問と関連をさせますと、苦情に属すること、紛争、そういう問題については、個人と個人の間、そういう形で解決できる範囲内のものならよろしいのですけれども、なかなかそれでは解決できない、そういう点については、いわゆる労働組合があるわけですから、労働組合とも団体的労使関係の中で労使が既定の手続に沿ってすみやかに解決する。それには誠意を尽くす。しかし、少なくとも暴力をふるうとか、職場の秩序を乱すとか、職務上の指揮命令に従がわないとか、そういうものについては、これはき然としてこれを処置する。信賞必罰の体制がなければ労使関係はうまくいきません。これは日本のみならず、外国の労使関係においても広く実証されているところであります。それを混同して、本来労使関係で、労働組合と当局との間で正規の手続に沿ってすみやかに解決するような問題についてはなおざりにしておいて、いいころか、げんにやろうとする。そうして、暴力とか、職場秩序を乱すという行為については、事なかれ主義で、あいまいもことした態度をとっているというところに、私は労使関係が乱れてくる、そういう大きな原因があるように思います。したがって、そういう点については、今後、団体的労使関係における問題処理と、郵政事業の組織上における秩序を維持して職員サービスを国民に提供するという指揮命令の関係というものには、き然とした態度をとる。そこのところを、上は郵政大臣以下、末端職制に至るまできちんとするということが、毎年毎年繰り返されるごたごたを起こさせないようにする。もちろん紛争は起きます。紛議は起きます。それはルールに従って解決はできる、こういう道をつけることができると思う。これは民間企業においては、へたをすると企業がつぶれる、追い詰められる、それは労使双方がかぶらなくてはいかぬという形になりますから、そういうことを経験してきますと、労使双方が真剣になって考える。しかし、俗にいう親方日の丸に寄りかかっておって、そういう点に対する当局側のはっきりした方針がないというところに、戦後二十何年、毎年のように同じことが繰り返されていくこういう原因があると思うのです。そういう点について私は、今後、はっきりした態度をとってもらいたいというふうに考えるわけでございますが、郵政大臣いかがですか。
  265. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 先生お話を承って、非常に反省をさせられるところが多いように存じますが、御承知のように、職場におきましては、命令系統を確立いたしまして、職場の秩序をはっきり守り、そうして他面におきましては、労使双方の団体折衝を、不信感を払拭いたしまして誠意をもっていろいろな問題について対処していくというようなことがきわめて必要だと思うのであります。そういう二面の措置を講じつつ、明るい明朗な職場を打ち立てていきたい、かように考えておる次第でございます。
  266. 和田春生

    和田(春)委員 いま大臣の御回答を得ましたので、本日の問題についてはこれ以上人事局長との間にやりとりいたしましても、時間もだいぶん経過をいたしております。質問はやめたいと思いますけれども、ともかくいま言ったようなことにつきまして、労使間の紛争の問題については、やはり親切にすみやかに手続を通して解決をする、そういうことをはっきり示す、私は、そういうことが行なわれていけば、ブラザー制度というような制度も円満に当初の目的どおりに運用されていくと思います。告訴ざたもなかなか起こらないようになっていく。また、職場における暴力行為につきましては、事実あれば、すみやかに調査をして処分すべきものは処分をして明らかにしていく、そういうことを通じて、少なくとも、残された時間は短いのですが、ことしの年末のごたごたは避ける。いいかげんなあいまいな妥協ではなくて、ことしの年末のごたごたを筋を通しながら解決していくきっかけをつかむということに御努力を願えますでしょうか。  最後にそのことを大臣に重ねて確認をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  267. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 そういう覚悟をもって対処してまいりたいと考えております。
  268. 和田春生

    和田(春)委員 終わります。
  269. 高橋清一郎

    高橋委員長 土橋一吉君。
  270. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、昨日郵政大臣にお尋ねをした試験局の免許申請問題について、ちょっと劈頭に明快な御答弁をいただきたいと思います。  この内容は、新聞で示されておるように、私も昨日指摘をいたしましたように、きわめて重大な問題を含んでおるわけです。昨晩おそく郵政当局の幹部から私のところに電話がかかりまして、つぶさにこの内容についていろいろ御説明がございました。私は非常に参考になったわけですが、基本としては、結局電波法施行規則のうちの第四条第二十三号でございますか、それによって、要するに本来ならば現在の実験局は二年の免許でございますからこれをいわゆる返上さして、新しく実施を中心とするところの試験局に新しい免許を書きかえて出させるようにするということだけで問題は済むわけです。ところが、郵政大臣のこの新聞の発表を見ると、免許を取り消しをする。したがって、この免許を取り消しをする場合には、免許の要件になっておる事項で何か不都合があったとか、あるいはやってはならないことをやったとかという場合における郵政大臣の行政行為であります。ところが、そういうことがなくて、ただ切りかえをしてやるということであれば、あなたが発表されたこの内容は全くの間違いであって、これは事務当局だけでNHKとの間においてそういう手続をかわして、これから新しい実験用の実験局なり、あるいは実行的の実験局というものをつくるようにしたいから免許の書きかえをしてもらいたいというだけで済むことなのである。それを、記者会見をしてこういうような大げさなことをすれば、これはだれが見てもNHKが何か悪いことをしているのじゃないか、やってはならないことをやった、したがって、その取り消しを受けたんだ、こういう印象を受けざるを得ないのであります。でありますから、もし郵政大臣が、この発表している趣旨はいま私が言おうとした趣旨と違うというのであるならば、新聞社に対して厳重な抗議を申し込んで記事の訂正方を要求するのが至当であるし、また、あなた方が、いま申し上げるようないわゆる事務手続上の問題でこれを処理したいというのであれば、いま私が申し上げたような方法でやればいいのを、わざわざ郵政大臣がこういうことをやるということについては、何か特別の意図を持ってやったのじゃないかということがうかがえるのでありますが、そういう点について、あなた一体どう考えておられるか。私は、昨晩の郵政当局の幹部からの電話で、事情はよくわかりました。しかし、こういうことを発表するということは、非常な重大な問題であって、いま申し上げまするような、NHKに対して疑惑を与えるものであるし、もっと正確に言うのであるならば、放送大学を、電波をやるからして、これは将来実験の域を越えて、要するに試験的な放送であるということをはっきり言ったらいい。それを言わないでこういう発表をするということは、非常に郵政大臣としては間違いではないかという点をただしたいと思うのであります。
  271. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 土橋さんにはきのうもはっきり御答弁申し上げておりますが、それは放送の実験を取り消して、そして新しく放送の試験をするという意味ではない。電波はそのままであって、従来実験をやったものを切りかえまして放送試験をやるということは、きのうも二度もあなたに御答弁申し上げてあるはずであります。ただ、はっきりしておきたいことは、いよいよ放送大学をやるにつきましては、まだ、NHKにやらせるものやら、特殊法人をつくってやらせるものやら、国立大学にやらせるものやら、その辺ははっきりしておりません。NHKにやらせるという方針を郵政省はまだとっておらない。その点は誤解のないように願いたいと思いますが、将来の放送内容につきましては方針がまだきまっておりません。ただ、電波の実験から放送試験に切りかえるのはあくまで切りかえでありまして、新聞にどんな報道をしておりましょうとも私はそういうつもりで申し上げたつもりであります。
  272. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、電波法施行規則の四条の二十二号ですか、それと、ここにいわれておるあなたの発表された放送試験局制度とは違うものか、同じものか。
  273. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  放送試験局の制度は、現在施行規則の中にまだございませんので、そのためにそれを追加するということで、郵政省といたしまして現在電波監理審議会に諮問いたしまして、その答申を待っているという状態でございます。それができましたら――どういうことになるかわかりませんけれども、答申がございましたら、その放送試験局という制度をそこで追加するということになるわけでございます。
  274. 土橋一吉

    ○土橋委員 それならば、この内容と四条の二十三号は違うわけです。新しい省令を出してこれをやらなければならないということになるわけです。  続いて私は、先ほどから同僚委員からいろいろお話がございましたが、ブラザー制度――ブラザー制度というのは、先ほどのことばどおりからいうと、ブラザーあるいはヤンガーブラザーというきょうだい関係をつくる、あるいは一種の友情的な、何でもその人の言うことを聞くというような、そういう制度をつくるように、先ほどからのお話内容を私は承っているのです。しかし、問題の中心は全逓の労働者の賃金が低いということです。労働条件が非常に悪いということです。これをよくすればそういう苦肉の策を用いなくても済むと私は思うのですが、これは国家公務員という立場、あるいは公共企業体労働関係法の適用を受けるというような問題から、基本的に賃金を上げてやる、基本的に労働条件をよくしてやる、この観点を抜きにしておいて、人事院の勧告によってそういうなまぬるい労使関係をつくり上げておる、ここに一つの重大問題があるわけです。この問題を抜きにして、先ほど和田委員からいろいろお話がございましたが、いかにそんなものを操作してみても――基本的には、待遇が悪いということ、そうして労働条件がきついということを緩和する、定員をふやすなり、賃金を上げてやるなり、手当をどっさり出す、これが基本であります。これをやらないでおいて、いかようの操作をしてみても問題の解決はしないのであります。  特に私はブラザー制度について、このような従属的な身分制度を成立させることはどうかということでいろいろ研究してみました。これは御承知のように、近代的な法律制度においては、封建的な身分制度を打破するために十八世紀以来戦った。また戦後わが国においても、特定局長の封建的な身分制度打倒のために戦った。この身分制度を一体どういうわけでつくるのか。従属的関係に立つところの、兄さんと弟、親分と子分、郵政省内においてこういうような従属的な身分制度立てるということは、わが国の近代憲法の原則に違反するわけです。なぜ郵政省はこんなことをやるのか。われわれは憲法十一条の規定によって基本的人権を保障されているわけであります。十二条においてもそういうことについてはきちっと書いてあるわけです。十三条の規定は具体的に書いてあるわけなんです。ましてや、労働者は憲法二十八条において団結権、団体交渉権、ストライキ権を持っている。それを制限するかのようなブラザーという一種の奴隷的な身分制度を確立することは、これはわが国の法体系を破るものです。郵政大臣、どう思うか。こういう身分制度をつくってはならないのです。
  275. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ブラザー制度につきましては、昨日も土橋委員御出席の前で他の委員に答弁をいたしました。きょうも和田委員に御答弁申し上げたのでございますが、青少年定着度を高めるということにねらいがありますわけでございまして、私どもは、ただいまのおことばにあるような隷属的な主従関係というようなことには毛頭考えていないわけでございます。同士、同じ職場の同僚である。ただ年齢の上下があるかもしれませんけれども、そういう愛情の通ったブラザーという制度であるわけでありまして、隷属的な封建的な、そういうような考えは毛頭差しはさんでいないわけでございます。
  276. 土橋一吉

    ○土橋委員 先ほど以来ずっと答弁が、兄貴分になっていろいろ世話をする、この者に従って何でも行動をやる。これは明らかに身分的な隷属制度であります。このことは断じてわが国会においても許すことはできません。こんなでたらめな制度をつくって、せっかく近代的な憲法を持っておるわが国において、こんな隷属的ないわゆる身分関係を打ち立てる――たとえば里親制度であっても、里子は親に隷属するのじゃないのです。それは子供の将来のためを考えて、愛情を持って育成していくわけです。養子縁組制度を法律においても結ぶわけで、これは親のために子供が従うという前提でいわゆる養子縁組制度を結んでおるのじゃないのですよ、みなさん。こういう基本的な観点がはっきりしておるにもかかわらず、こういう身分制度を打ち立てていこうというのはもってのほかではありませんか。郵政官僚はなぜこんなでたらめなことをやっているのか。兄弟とか、姉さんとか妹という関係において封建的なことをやらせるという態度は、これは明らかにわが国の憲法九十九条の規定に反して、公務員としてあるまじき行動をいま郵政省はやっておるじゃないか。  続いて私は申し上げます。第二点は、全逓労働組合を破壊するところの、いわゆる潜在的な不当労働行為を前提とするものじゃないか。これは明らかであります。同時に、逓信官僚の不法不当な行政行為を正当化するものであります、この内容は。でありまするから、この全逓労働組合、これらの破壊をねらったところの潜在的ないわゆる不当労働行為を行ないつつ、同時に、逓信官吏としてはやってはならない、要するに不法不当な行政行為をこれによってやろうとしている。おまけに郵政省の貴重な金を使って飲み食いをしている。たとえば月千円だといえばたいへん安く見えますね。ところが年間通じて一万二千円ですよ。三人ブラザーが集まって三人連れていけば三万六千円、相当の遊興ができるわけです。これだけの遊興をした人が、その兄貴分の言うことを聞かなければならぬことは、これはあたりまえじゃないか。なぜこんなことをやるのか。そういう金があれば、なぜ賃金を上げてやらないのか。なぜ労働条件を高めてやらないのか。そして腐敗、堕落、こんなことを招くようなことをやって、それでもブラザー制度がいいのか。先ほどの人はけっこうだと言った。私は言いたい。わが国の労働関係の法律というのは、これは二十三年につくっておる、十二月の暮れにつくったのです。これはアメリカ軍の全日の支配のもとにつくった、いわゆるストライキ権を奪取するところのねらいをもってつくった法律であります。憲法二十八条は厳然として存在しておるわけだ。したがって、この法律は憲法二十八条の規定を中心にして、そして公務員関係その他についてやや見るべきものがあればこれを見ていくというのが基本であって、この法律が基本で、憲法や労働法が補完をするような説明をしておったけれども、それは誤りじゃないか。北人事局長、どう思うのですか。憲法二十八条を否定するのですか。あなたは日本の労働組合法を否定するのですか、国際的なILO条約その他の規定を否定するのか、説明してもらいましょう。そんな労働行政はないのです。
  277. 北雄一郎

    北政府委員 ブラザー制度につきましては、先ほど大臣がお答え申し上げましたとおり、新規採用の若い職員のよい相談相手になってやるということだけでございまして、何らそういった隷従制度等はないものであります。したがいまして、そういった法律に違反するというものでもさらさらないわけであります。またしかし、それが一つの組合組織の破壊に通ずるものではないかという仰せでありますけれども、そういったこともないわけでございまして、万一そういったブラザー制度というものの中で運用を間違えるという筋がございますならば、そういった間違いの起こらないようにいろいろ、俗なことばで申しますれば、歯どめを講じていく、こういう考えでおるわけでございます。
  278. 土橋一吉

    ○土橋委員 国会ですよ。ここは団体交渉の場ではございません。国民を代表する国会議員があなたに質問する。いまの答弁は一体何ですか。私たちは、いま申し上げますように、わが国の基本的な憲法の原則に立って、第二十八条は厳然として存在しておるわけです。したがってまた、郵政省設置法のどこの条文を見ても、こんなことをつくっていいという余地は一つもないわけです。また、厚生は厚生が責任を持ち、また人事関係は要するにあなたの系統の、いわゆる人事関係の主事とか、あるいは課長とか、そういうものがちゃんといるわけです。業務は普通の主任とか主事とか課長代理とか、そういうものがある。何の余地があってそういうものをつくっているのか。しかも、郵政省設置法にも何らこれを認める余地のない問題である。たとえばレクリエーションからして――これもレクリエーションの延長だと先ほどあなたは答弁をしたでしょう。レクリエーションは厚生関係がやることだ。厚生関係が要するに一定の資金を出して、健全な健康のために、たとえば川に行くとか山に行くとか、これをやってしかるべきだ。ところが、いまこういう金によって、ボウリングに連れていって、酒を飲まして、義理にからましてその兄貴分の言うことを聞かなければという仕組みをつくっている。あるいは料理屋に呼んで酒を飲まして、そしていろいろ因果を含めて、その男の言うことを聞かなければならぬような仕組みにしている。こういう忌まわしいお金を使うということはレクリエーションとは全然違う。そういうようなごまかしをして郵政省の貴重なお金を使っている。そして制度にもない、あらゆる面から見てもそういう制度を設ける余地がない、つまり労働を売って賃金をもらってくる、その職場の規律、要するに郵政省の従来の規則をどうして守らすかということに、真剣に主事、主任、課長局長考えればいいことであって、厚生関係は庶務に行って要するに厚生関係の方にお願いして、寄宿舎の問題であるとか、あるいは定期券をどうするかという問題は処理すればいい。何の余地があってこんなものをつくるか。これは明らかに、いま申し上げるように、身分制度を確立しようとすることで、わが国の憲法に違反をする最も政治的な大きな犯罪であります。また全逓労働組合を破壊する目的を持っている。これは全逓の場合はっきりしておる。つまり、全郵政に入らなければ昇給もさせない、あるいは昇格もさせない、あるいは栄転もさせない、試験も受けさせないということを、こういう機関を通じてやろうとしておるわけだ。であるから、この労働関係に関する法律というものは、これはアメリカの全日支配のもとに彼らがつくったところの、要するに公務員を分断をして、そして国家公務員と公共企業体と違うというへ理屈をつけて、そしてでたらめな人事院制度をつくっておいて、物価が五%上がれば必ずこれは人事院が勧告を出す、政府は必ずこれに従う、こういうような前提でつくり上げた虚構じゃありませんか。虚構をさらに上回るような今度は身分制度をつくっていく。何事だ。憲法第二十八条は断じてそういうことを許さない。憲法十二条以下の基本的な人権は許しませんよ。それを知っておってこんなことをやるのか。まことに違法といわなければならない。  私は繰り返して申しますが、たとえば最近福生の郵便局にも事件が起こっておる。そして全郵政という第二組合をつくらせるためにいろいろ狂奔しておる。ほかの郵便局からどんどんオルグが入ってきて、これが暴力を加えたという事件が起きておる。福生郵便局ですよ。私の地元の立川市にも中野銀造という局長、まの前追及しましたが、あの男は夜中、要するに二軒先の児童会館に入り込んで、酒をふるまいながらいろいろなことを画策している。いま立川の郵便局は、全逓労働者と、いわゆる全郵政と、ほとんどとんとん、むしろ全郵政が多くなっている。それだけではないのです。きょう私は報告を受けたのですけれども、平のあの佐藤治郎局長、依然として悪いことをやっておる。私があれだけ注意をして、この局長に対しては、逓信委員会は委員を派遣をして直ちに調べなさい。これは局舎はよごしているし、不届き千万な局長だ。あれはちょうど昨年の暮れであったと思うのです。このとき彼の脱退させた人が大体四十九名くらいおります。全逓から一人ずついわゆる局長室に呼んで、おどかしたり、いろいろすかして、そして脱退させたのが四十数名くらいだ。いま聞いてみると六十九名。この一年間にそういうことをやって、それが全部全郵政、つまり特殊の労働組合をつくってそれがやっておる、こういう状態をつくっておる。それで今度いよいよ中央労働委員会にこれを提訴するというので、これは地本のいわゆる全逓の幹部も支部の支部長もこの問題の提訴に踏み切っておるわけです。  それだけではございませんよ。私の言っているように、たとえば姫路の郵便局の向井局長のあの例を見ても、あるいは大阪中央郵便局の例を見ても、福島の例を見ても、東淀川の郵便局の例を見ても、全国至るところこういうことをやっているじゃないですか。だから最近全逓でもマル生運動というので大運動が起こってきたわけです。あたりまえのことじゃないですか、あなた。昨年の十二月十四日、井出郵政大臣と全逓の幹部が一応話をしたというその口裏のかわかないうちに、これをどんどん進めてきたというのはあなた方じゃないですか。この責任は重大ですよ。単に現在の自由民主党佐藤政権を維持するなんて、そういう問題じゃないです、これは。日本の労働運動全体に対してどういう姿勢をとるのか、どういう態度で、労使間のいわゆる業務の運行のためにはどの程度が限度であるか、こういうことを考えなければならない重大問題ですよ。あなたいま人事局長だって、あなたなんかまた一年もたてばまたどこかへ行ってしまうでしょう。あなたが要するに現在のそういう地位を確保するためには、現在の廣瀬郵政大臣を何とかするために、そういう問題じゃないのであります、この問題は。全逓というのはわれわれが死んでも永久に残る一つの組織であろうし、郵政省はわれわれが死んでも百年二百年も続く問題であります。したがって、この憲法を守る、この憲法の条章を基本として、そして労使関係についてはできることならば、労働組合の基本的な態度を堅持しながらこの公共企業関係――これは第二項に規定しているわけなんだ。公共企業体は労働関係の基本じゃないわけなんだ。これは国有鉄道と専売公社と電電公社がきまっているわけです。郵政は公務員であるけれども、いわゆる内容が作業的な仕事をやっておるから公共企業関係の法律を一応適用するという、こういう形をとっているわけなんです。基本はやはり憲法の第二十八条の規定に基づく基本的な態度をとった上でどうするかという問題であります。人事局長、どう考えておりますか。私がいま申し上げたような問題についてどう考えておりますか。直す考えか、直さないのか。いつまでこういうでたらめなことを続けておるのか、はっきりしてください。
  279. 北雄一郎

    北政府委員 私どもは、先生も先ほどおっしゃいました去年の十二月十四日の労使の確認、これも卒然として当時生まれたものではございませんので、これまた先生よく御承知のとおり、特に昨年の二月ごろから、途中一時問題として、紛争としては、やまりましたけれども、結局去年の暮れに及ぶそういう一連の間にいわゆる、これまた労使間の問題で恐縮でございますけれども、紛争がございました。その中で四月九日に一ぺん、そういうことではならぬ、前向きにお互いにいこうじゃないかというような確認がなされ、十二月には、四月に確認をしたけれどもそれでもまだしっくりせぬ、だからこの際四月の確認というものをさらに徹底した確認をしよう。しかもその中で、労使関係というものが、お互い相手もあることであるけれども、しかし、その相手が一歩進んでこなければこちらもよろいかぶとに身を固めて前へ出ぬのだというようなことではらちがあかぬから、この際は省がむしろ一歩先に踏み出しましょう。そういった形におきまして、当時存在する労使間の不信感というものを誠実に払いのけていこう。のみならず、両者間の意思疎通の道を広げるとか、いろいろ具体的なことも当時確認いたしました。そういったことによりまして、さらに新しいその信頼関係の確立、改善というところへ踏み出していこうじゃないか、こういうことを約束をしまして、自後これを私のほうとしては一生懸命定着化するということにつとめてまいってきておるわけであります。
  280. 土橋一吉

    ○土橋委員 委員長も御承知のように、アメリカが朝鮮侵略戦争を行なうにあたって、いわゆるレッドパージというものをやり、三鷹事件、松川事件をつくり上げて、それに便乗して郵政省が、御承知のように、たいへんな進歩的なまじめな労働者を職場からみな追っぱらった。いまアメリカがまたベトナム侵略戦争を今日行なって苦境に立っている。そしてニクソン大統領が訪中するとかなんとかで、いろいろな茶番劇をやっておるわけだけれども、ここでまた、要するに日本の労働者階級にこういう形をもって襲いかかっているのは郵政であります。ですから、私が申し上げるように、郵政事業将来のことを考えるならば、こういうでたらめな労働政策をやらないで、もっとまじめに、賃金を上げるということ、労働条件をどう改善をするかという問題、これが基本であります。これをやらないでおいて、そんな小細工を幾らやったってだめなんです。これは第二のレッドパージであるし、第二の松川事件のようなことをやろうとしているわけであります。私はそういう点に反対をいたします。  時間がありませんのでもう一つ郵政省は二月一日から売り出す十円のはがきを二十九日に売っておるのだが、これはどういうわけか聞きましょう。
  281. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 どうもあの問題はたいへんなエラーをいたしまして、まことに申しわけないと存じております。今後十分気をつけて、さようなことは絶対あってはならないと思っておりますので、十分管理者、職員を督励いたしましてやりたいと思っております。  なお、詳細につきましては郵務局長から……。
  282. 土橋一吉

    ○土橋委員 いいです、大臣の答弁で。いま大臣が陳謝をされまして、私もその点については一応恐縮するわけですが、問題は、そういう労使間がでたらめなことをやっておるから、二月一日から売り出さなければならないはがきを十一月二十九日に渡してしまうというようなでたらめをやっているわけです。これは北九州市の戸畑の市職の片岸という委員長の労働組合で、これを六十枚ほど印刷したところでわかった。十円だ、これはおかしいというのでわかって、郵政省に電話をかけたけれどもさっぱり郵政省は出てこない。取りにも来ない。二十九日の次の日、待っておるけれどもやっぱりやってこない。こういうでたらめなことはいけませんので、やはり事業はまじめにやる。しかも、こういう手抜かりというのは、これは私はほんのミスだとは思うけれども、たとえばこれは四千枚であったからいい。これがもし一万枚で二月の一日まで黙っておいて、そしてこれをどんどん書き出していけば、これは郵政省はそのときにどうするのか。三万円損をする。これは一万二千円しか損をしていないけれども、労働組合だからまじめにそれを返してやって郵政省は救われたけれども、これは人の悪い人だったら、三万枚買ってしまったら九万円もうかってしまうわけですよ。そういうでたらめなことをなぜやっているのか。これは要するに労使関係が正常でないからこういうことも起こってくるし、最近のたとえば郵政省におけるいろいろな不祥事件、こういうこともからんでおると私は考えておるのです。これは郵政大臣として今後こういうでたらめなことをさせないように――特に貯金の問題、保険の問題、また郵便のこういう問題が随所に起こってきておるわけです。なるほど局長が二万いるから、なかなか管理はむずかしいと思いますけれども、こういう点についてもひとつ真剣に、今後こういうことが起こらないように、そしていま申し上げるように、再び一九七一年の今日においてあるいは七二年に向かって、あのレッドパージのような事件、あるいはこの間から紛争しておるような事件、たとえばあなたのほうの元の杉並の郵便局長、いまどこに行っておるか知らぬけれども、あるいは現在の八王子の馬場君なんか、こういうのが至るところで不当労働行為をしておるわけなんです。これを直すという体制をとらなければ、私は真に郵政事業は発展しないと思うわけです。それは賃金がかりに低くても、やはり職場があたたかく――先ほどのように、たとえば六秒で賃金カットをするとか、佐藤治郎のごときはまことに不都合千万だ。これは自分から体当たりしておいて、文句を言うと賃金カットといっておどかして、局長室に全部呼んで、そしてお前は年は幾つになるのかと同じ人に何回も聞いて、いやな顔をすると、おまえはわしの言うことを聞かれないのかというようなおどかしをかけている。佐藤治郎なんというのはごろつきじゃないか。委員長も行って見てごらんなさい。平に行って佐藤治郎という局長の顔や態度を見てごらんなさい。これで局長かと思う連中を連れてきておる。福島の局のこれは次席をしていた男です。ごろつきですよ。こういう者を依然として北君はまだ任命しておるじゃないですか。私はあれほど注意をしておった。郵政省において調べなさい、不届き千万な男だ。こういう者をかばって点数をあげておるじゃありませんか。私はこういうことについて断じて許すことはできないし、国会においてもこういうのはやはり厳重に監視しなければ、北君の行動は私は安心できないと思っています。それで来たかというわけじゃございませんけれども、非常に北君はもっとまじめに国会においてやらなければならぬと私は考えております。  まことに簡単ですが、時間も来ましたので、以上をもって私は質問を終わります。
  283. 高橋清一郎

    高橋委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会