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1971-12-01 第67回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月一日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 高橋清一郎君    理事 内海 英男君 理事 古川 丈吉君    理事 本名  武君 理事 水野  清君    理事 古川 喜一君 理事 樋上 新一君    理事 栗山 礼行君       江藤 隆美君    亀岡 高夫君       坪川 信三君    中島源太郎君       中村 拓道君    羽田  孜君       長谷川 峻君    阿部未喜男君       八百板 正君    米田 東吾君       中野  明君    土橋 一吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君  出席政府委員         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君  委員外出席者         文部省大学学術         局視学官    遠藤  丞君         会計検査院事務         総局第二局参事         官       池田 伊臣君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   松浦 隼雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     吉田 行範君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     斉藤  清君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀場 仁徳君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月一日  辞任         補欠選任   服部 安司君     江藤 隆美君   森  喜朗君     中島源太郎君 同日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     服部 安司君   中島源太郎君     森  喜朗君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  参考人出頭要求に関する件  日本放送協会昭和四十四年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書      ――――◇―――――
  2. 高橋清一郎

    高橋委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和四十四年度財産目録貸借対照表及び損益計算書を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。樋上新一君。
  3. 樋上新一

    樋上委員 本日はNHK決算審議でございますので、限られた時間で相当たくさんの質問者がありますので、特に要点のみを申し上げて御答弁を願いたい、かように思う次第でございます。よろしくお願いします。  NHKの四十四年度決算によれば、受信料収入は八百三十四億二千八百五十九万一千円、その収入内訳を見ると、カラー料金伸び率が著しくなっておると思いますが、四十五年度はどういうお考えですか。また四十五年度見通しについてお伺いしたいと思います。
  4. 斉藤清

    斉藤参考人 お答え申し上げます。  四十五年度カラー受信者伸び状況につきましてのお答えでございますが、四十五年度年間増加を二百四十万というふうに予算上予定いたしました。年度の初めからカラーの獲得に鋭意努力をいたしまして、一年間経まして決算時点におきましては三百六十六万六千件というような数字に達した次第でございます。
  5. 樋上新一

    樋上委員 今年度はどうでございますか。
  6. 斉藤清

    斉藤参考人 四十六年度につきましては予算が四百二十万件でございます。本年度につきまして実施中でございますが、現在かなり順調に推移いたしておりますが、社会的ないろいろな変化というようなものもございまして、四百二十万の達成ということについてはなかなか困難な状況にございます。現在の時点ではカラーの総契約者数は一千万まで達しまして、年度半ばでございますが、年度初めからいきますと二百四十万の増加になっております。しかしながら、なおこれからあと四カ月で百八十万件を達成いたしませんと予算目標に達しないというような状況にございまして、本年度末におきましては、精一ぱいやりまして大体そのくらいの数字が達成し得るかどうかというようなところでございます。
  7. 樋上新一

    樋上委員 百八十万件を目標努力されるということでございまして、考えてみますと、ここ数年の決算を見せていただきますと未収入金が年々増加している傾向にあるのですが、そこで、四十四年度における未収入金は幾らになっていますか。
  8. 斉藤清

    斉藤参考人 四十二年度からお話しいたします。各年度決算時点未収金の額について申し上げます。  昭和四十二年度末の未収金状況は十億六千四百万でございます。昭和四十三年度につきましては十億四千七十三万七千円でございます。昭和四十四年度につきましては十三億九千八百五十四万八千円でございます。
  9. 樋上新一

    樋上委員 私の手元にあります資料から見ますと、四十二年度財務上の未収入金残額が四億二千七百三十六万二千円、欠損引き当て金が六億三千六百九十万円、四十三年度が、財務上の未収入金残額が四億八千二百十三万六千円、欠損引き当て金が五億五千八百六十万円、四十四年度が、財務上の未収入金残額が六億六千一百九十四万八千円、欠損引き当て金が七億三千六百六十万円となっているのですが、これでよろしゅうございますか。
  10. 斉藤清

    斉藤参考人 ただいま御指摘のあったとおりでございまして、先ほど私申し上げましたのは総額で、ただいまのはその内訳になっておるわけでございます。
  11. 樋上新一

    樋上委員 これで毎年欠損額増加している。これに対してどういう対策を講じておられるのですか。
  12. 吉田行範

    吉田参考人 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、最近の社会情勢変化から、単身世帯とか不在者が著しく増加しております。それとまた同時に、視聴者の意識の変化というようなことから、収納困難者の数も御指摘のとおり逐次増加しつつあることは事実でございます。  私どもはこれに対しまして全力をあげて、集金職員受託者などの要員によって反復説得につとめておりますとともに、単にそれらの職員だけでなくて、内務の職員あるいは部課長までも動員いたしまして、総力体制でこれの説得に当たっているわけでございます。また、単にそういう人間によるだけでなくて、文書による督促、請求なども行なっておりますし、それからアパートなどの常に不在受信者に対しましては、管理者受信料を預託するという制度を設けまして不在者の便をはかるとともに、受信料の確実な集金をしたいと努力しているわけでございます。なお、このほかに不在者に対する対策といたしましては、郵便局、銀行の振替制度ども利用しております。さらに、御承知のとおり前納や口座を推進することによりまして、こういうことを解消するように全力をあげて努力している次第でございます。
  13. 樋上新一

    樋上委員 いまお聞きいたしまして、いろいろな手は講じられておりますけれども、どうも帳簿上を見ていますと、はかばかしくいっておらない。  私はここに一つお伺いしたいのですが、欠損引き当て金というのはどういうものか、またどういうところでその算出の根拠が出されておるのか。実は、これをお聞きするのは、四十四年度に十三億九千八百五十四万八千円の未収入金がある。それに欠損引き当て金が七億三千六百六十万円である。ですから、財務上の未収入金残額が六億六千百九十四万八千円、こうなっておるのですが、七億三千六百六十万円という欠損引き当て金というものを、どういう根拠でこれを見越していられるのでしょうか。ここに私はどうも納得のいかないところがあるのですがね。
  14. 斉藤清

    斉藤参考人 お答え申し上げます。  受信料欠損の問題につきましては常々頭を痛めておるところでございますが、これが事実かなりな数になってきているというのはただいまの御指摘のとおりでございます。したがいまして、財政上の処置といたしましては、契約しまして、そのあといろいろ移動してしまったり、転居先が不明であったりというようなことで、債権はあったはずのもので、しかも翌年度末までこれを追いかけましてもついに取れないというような事例もございますように、結局取れなかったというような数字は過去の実績が出てきているわけであります。したがいまして、各年度決算をいたします場合に、そういうような危険をある程度予測をせざるを得ないというのが財政上の実態でございまして、そういう意味欠損引き当て金というものを決算上計上いたしておるわけでございます。  これをどういう形で算定いたすかと申しますと、基本はやはり過去の実績、実態的な状況というものが基礎でございまして、われわれとしては、経営あり方としてこれをできるだけ少なくしたいという願望並びに一つ指導方針を持っておるわけでございますから、これをある程度加味いたしまして、すなわち回収に積極的に努力するというような要素を加味いたしまして率を定めておるわけでございます。四十四年度につきましては御指摘のような計数で、引き当て金の額としては七億三千六百万円でございますが、これにつきまして内訳を申しますと、調定額全体に対して何%くらいに当たるかというのが実績上の一つ根拠でございます。これは当時におきまして〇・八八%に該当いたします。このような数字で、翌年度にはそれ以外は回収していこう、こういうようなことにいたしておるわけでございます。
  15. 樋上新一

    樋上委員 財務上の未収入金が二年後に決算処理されておるのですね。その理由をお聞かせいただきたいのと、それから二年後に徴収された未収入金はどのように処理されておるのか。
  16. 斉藤清

    斉藤参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、財務上の債権処理を二年後に行なうというふうな定めにいたしてございます。これは実際の経営活動といたしましては、その債権はさらに営業上の具体的な債権として追及いたすわけでございます。したがいまして、お話のございましたように二年たったあとでさらにその受信料は入ってくるという事態がございます。そのときの経理上の処理をどうするかというやり方につきましては、これは性格としては欠損年度受信料ということに相なります。欠損年度でございますから、当年度財務上の収支という面でいきますと当年度受信料ではなく、欠損年度受信料ということで、これを雑収入の中でさような区分をいたしまして収入経理をいたしているわけでございます。
  17. 樋上新一

    樋上委員 二年後に徴収された未収入金雑収入に入れられておる。どうも私たちしろうと考えでございますけれども――雑収入に入れておる。それでは、雑収入に入れておる未収入金回収されたものはどのぐらいあるのですか。
  18. 斉藤清

    斉藤参考人 四十四年度におきまして、欠損年度受信料といたしまして雑収入経理をいたしましたものは二千三百三十二万円でございます。なお四十五年度はこれが三千百九十二万二千円。回収努力をいたしましてさような数字に相なっております。
  19. 樋上新一

    樋上委員 それでは、二年後においてもこの雑収入に入れるその徴収がされない場合、未収入金はどう処理されるのか。
  20. 斉藤清

    斉藤参考人 お答え申し上げます。  されないという場合、ただいま申し上げましたように、財務上の処理としては、二年間追及いたしました結果取れなかったという事実のあらわれましたものについては、欠損処分という形で整理されておるわけでございます。したがいまして、そのあとにつきましては、その追及の結果入ってきたものにつきまして雑入金という形になります。したがって、財務上はそれ以上の表示は出てこないということに相なります。営業活動自身としては、これは相手方がそこに現に存在されております限り、お払いを願うというようなことを繰り返し行なっておるというような次第でございます。
  21. 樋上新一

    樋上委員 いままでのお話を聞いておりますと、欠損引き当て金にしろ非常に多額引き当て金を充てておる。四十四年度先ほど申しました十三億九千八百五十四万八千円ある未収入に対して、七億三千六百六十万円も欠損引き当て金を充てておる。財務上の未収入金残額が六億六千百九十四万八千円もある。これが二年後に雑収入に入るのだけれども、その効力がどういうぐあいにやられておるかというところに、私はどうも、日銭三億円といわれておるNHK財産から何としても――こんな欠損引き当て金を七億三千万も充てておる。そして未収入金は二年後に雑収入に入れている。これは私はもっともっと未収入金というもの――聴視料不払いということが最近非常にやかましくいわれておる。一つの例をもちましても、昨日の新聞に報ぜられているとおり、日銭三億円といわれるNHKに対する支払い拒否の運動はどうやら野火のように全国的に広がっておるとこの新聞は報じております。受信料不払いに変なうわさが出ておる。だから、この新聞は昨日の新聞で御承知かと思いますが、「空手道連盟NHKと対決」、こういうぐあいに大きな見出しで出ておりまして、なお、「動じないNHK」こういうぐあいにまた出ております。さらに、「NHKの横暴を許すな」「みない、きかない、NHK受信料払いません」というような張り紙がされておるということは、私はNHKのほうも非常に考えねばならぬことかと思いますし、一般社会問題としてこういうものが取り上げられてくるということに対して会長としてどうお考えになりますか。こういうような最近のいろいろなこれに類した受信料不払い、それからいま受信料未収入金というようなばく大な未収入金がある、これに対して前田会長はどうお考えになっておりますか、御所見を伺いたい。
  22. 前田義徳

    前田参考人 御指摘のとおり、何と申しますか、社会的風潮の中で特殊のNHK受信料に対する感じ方、あるいは特殊の目標を持った一つあり方というものがびまんしてくることについては、私どもも非常にこれを遺憾に思っており、この対策についてもいろいろな角度から問題点を検討していることは事実でございます。  先ほど来からの未収金の問題、あるいはその処理の方法とも必然に、この数字動向の中ではただいま御指摘のような点も反映されてくるわけでございますが、放送法の中でNHK商業放送と異なった環境に置かれ、しかもNHKというものに対する一般的理解は、おおよそは私はかなり完全な理解をいただいておると感じ取っておりますが、ただいま御指摘のような面で、この理解完ぺき性と申しますか、これが多少いろいろな意味で修正されてきておるという点については、これは単にNHK事業そのものばかりでなく、社会的な動向関連の上でも、この受信料についてあるいは受信料制度との関連で、放送法で規定されたわれわれの行動限界というものについても私どもはいろいろな角度考えていることも事実でございます。ただ、現段階では、NHKの与えられた使命とその目標に向かって、よりよい理解をしていただくように、私どもとしては全力をあげて、これらの起こってくる事象に対して、その事象原因となるもの、またそういう考え方の異なった立場にある人たちとの接触に全力をあげているわけでございますが、これが今日のところまだ完全にわれわれの方向とその方々の考え方が一致するに至っていないという点は、私どもとしてはまことに遺憾に思い、今後一そう努力を傾けたいと考えている次第でございます。  ただ、受信料というものについて今日ほど、御指摘のような社会現象の中でいろいろな論議の対象となる時期はなかったかと思いますし、このことは今日やはり社会環境複雑多様性を非常に持ってきているというような環境が映し出している一つのあらわれであり、このことは同時にNHK自体目標とするばかりでなく、社会現象の中でNHKをとらえながら、その根本現象との関係でもNHK一つ目標と置きかえながら進んでいく社会現象に対しても、私どもとしてはもっと繊細な読みと申しますか、対策を考究していく必要があるということを痛感いたしております。ただ、御質問に対してきわめて明快適切なお答えを申し上げ得ないことは私としてもはなはだ残念に思っておりますが、御質問の趣旨については、私どもも頭を悩ませている非常に大事な問題の一つであるというように感じておることをお答え申し上げたいと思います。
  23. 樋上新一

    樋上委員 御答弁を聞いておりますと、何かもうひとつすっきりしないものがあり、明快なる答弁を差し控えられている点もよくわかるのですけれども先ほど来から申しておりますとおり、未収入金欠損引き当て金というものを多額に見積もっておるということは、こういう社会情勢をいろいろ見越してそれだけの引き当て金を用意しなければならないのか。会長のおっしゃるように、こういう受信料不払い問題が出ない、何とかそういう未収入金の膨大なるものがないように、もっともっと努力を重ねてもらわなければならないし、先ほどからお伺いしているのですけれども、一本筋の通った、こうやっていくのだというところがどうもうかがい得ない。また過日問題になりました伊丹の空港の難視聴の問題に対して、あの市会で決議を持ってこられたということを考えてみますと、だんだんこういうことが社会的になってくるということは、私は大NHKに対する集中攻撃という意味じゃないのですけれども、われわれの公平な電波を供給されておる国家の放送事業というものに対して、民間放送と違ったNHK性格からいって、もっともっとこういった問題の解消努力してもらいたい。もうひとつ私は納得がいきませんけれども、これのみにかかっておれませんので、いまの会長答弁を了といたしまして、今後再びこういうことのないように努力を要望しておきます。  それで次の問題に移りたいと思います。難視聴の対策についてNHKにお伺いしたいのですけれども山間僻地の難視聴対策に対してどういうように手を打たれておるのか。難視聴解消に対して手を打たれておるのですけれども、最近これが解消されてきた徴候、また今後の見通し、そういうことについてお伺いしたいと思うのです。
  24. 松浦隼雄

    松浦参考人 テレビジョン難視対策につきましては、先生御指摘のとおりの、地形により現在NHK電波がまだ届いていないところに対する対策の問題と、それから、すでに届いているけれども、人工的な建造物その他による難視対策の問題とに大きく分かれると思うのでございますが、前段のほうの辺地あるいは山間における電波の届かないところに対する対策といたしましては、これも大きく分けて、一つ放送所の設置、置局による対策と、それから共同受信施設ケーブルを使いまして対策をとる。この二つに分かれる対策をとっております。  置局につきましては、四十四年度におきましては百八十六局、四十五年度二百四十局、四十六年度二百二十局というふうに、大体二百局以上の置局を続けておりまして、現在九七%のカバレージに到達しております。  一方、共同受信によります対策につきましては、四十三年度まではいわゆる助成策をとりまして、三十五年度以降六千七百施設、約五十万世帯についての難視解消をいたしまして、四十四年度から幹線についてはNHKが負担し、引き込み線について各受信者が負担されるというかっこうで、四十四年度六百五十施設、四十五年度八百施設、四十六年度施設、三カ年で二千四百五十施設世帯数にいたしまして約十八万強の世帯難視を救済しております。辺地あるいは山間における状況はそういう状況でございます。
  25. 樋上新一

    樋上委員 ビル陰都市難視につきまして、最近の手を打たれた状況をお伺いしたいと思います。
  26. 松浦隼雄

    松浦参考人 主として大都会、都市における難視のほうにつきましては、従来から受信改善対策ということで実施をしておりまして、四十四年度総額で約四億六千万円強で、救済世帯数を合計いたしますと七十九万六千九百世帯、四十五年度で申しますと五億九千八百万円強で、救済世帯七十二万六千八百二十四世帯、四十六年度の予定といたしましては七億以上をつぎ込みまして、この上半期、いままでの実績といたしましては三十三万四千世帯を救済しております。  その内容をやや申し上げますと、一つ建造物受信障害でございますが、この種の人工によるテレビ難視につきましては、原則として原因者が明確な場合は原因者に負担していただくという線を強力に進めまして、そしてできるだけ受信者の負担を軽減し、かつ妥当な範囲においてNHK自体もこれに対して協力するというかっこうをとっております。  やや詳しく申し上げますと、建物ができて難視があった。で、原因者が非常にはっきりしている場合は、そこにその難視改善の費用を負担していただく。ただし、いろいろな技術的な問題についてはNHKのほうの営業技術関係専門家調査を地元に協力して行なう、あるいはさらに進んで、その共聴施設設計を行なうというところまでやっております。ただし、建物がたくさんありましてどれが原因者ということが明確でない場合がございます。そういうような場合につきましては、一つは最近できましたCATV、東京ケーブルビジョン、あるいは大阪、福岡、名古屋というところに、できますところに出指をいたしまして、これを難視解消の一環として協力しております。そのほか、設計からさらに進んでアンテナの改善あるいは個々の家庭における受信機そのもの改善、あるいは受信障害防止対策等を非常にきめこまかく行なっているというのが実情でございますが、都市難視につきましてはきわめて原因あるいはその現象が複雑でございますので、さらによい、有効な対策について目下鋭意研究開発を進めております。
  27. 樋上新一

    樋上委員 四十四年度決算によると、NHK東京ケーブルビジョンに四千八百五十万円を出指したが、東京ケーブルビジョンのその後の状況、その後どういう働きをしているか、私は政府当局にお伺いしたいし、また、その加入状況、今後の見通し等についてどういうぐあいに考えておられるか、簡単にひとつ政府側からお願いしたいと思います。
  28. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  東京ケーブルビジョンにおきましては、現在新宿地区におきまして約八百五十世帯が加入し得る規模の施設を建設しておりまして、ただ、実際その後の加入者は大体その半分程度でございますけれども施設としてはそれだけしているわけでございます。さらに池袋地区で約三百世帯が加入し得る施設をいま建設中でございまして、来年の二月にはサービスができるという計画でございます。
  29. 樋上新一

    樋上委員 いまの加入状態新宿東京ケーブルビジョンといいましても、こういう状況では当初の目的であるところの、高層建築物等人為的原因によるテレビジョン放送受信障害解消してはいけないのではないか、私は非常に見通しが甘いのではないかという苦言を監理局長に申し上げておきたいと思うのでございます。  まだほかにいろいろ申し上げたいのですけれども、時間が迫ってまいりましたので、大臣に出ていただいているのですからお伺いいたしたいと思いますが、最近の東京十二チャンネルの問題になりましたあの二十二日のスクープ、「予告爆弾時代」を放送し、爆弾製造現場を映して問題になっていたのですが、政府はこれに対してどのような処置をとられたか。また、この問題に対する大臣のお考え政府のお考えを一ぺんお聞かせいただきたいと思うのです。
  30. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいまお尋ねの十二チャンネルの「予告爆弾時代」の放送の問題でございますが、実は私はこのテレビは見ていないのでございまして、どういう放送をしたかつまびらかにいたしませんけれどもあとで聞きますれば、若い過激派の人物がパイプ爆弾を製造しております状況放送されたということでございまして、これは御承知のように警察庁等の問題になりまして、たいへん論議がやかましくなりましたので、放送を監理いたしております郵政省といたしましては、その事態の真相を知らなくちゃならない、実情を知っておく必要があると存じまして、何日か後に十二チャンネルの最高幹部に郵政省に来ていただきまして、私は出席しなかったのでございますけれども電波監理局長その他に会ってもらいまして、実情の調査を、お聞き取りをいたしたわけでございます。その結果、そういうような放送であったということがわかったわけでございますけれども、これにつきまして十二チャンネル当局は、暴力の否定と犯罪の防止ということに重点を置いて放送したつもりである、しかし、暴力にきわめて関係の深いそういうような放送をやってみて、非常に反響が大きかった、いろいろな非難があったというようなことに顧みて、そういうような問題の取り扱いについてはよほど慎重で、よほど節度を考えなくちゃならないというようにいま深く反省いたしておりますというようなお話でございまして、郵政省といたしましても、そうであろう、こういうように考えておりますわけでございます。
  31. 樋上新一

    樋上委員 この問題は、大臣もごらんになっていない。私も見ておらないのですけれども、非常に問題になって、これは放送委員会でこれを取り上げて、もう一ぺんわれわれはよくそれを見て、そしてさらに深くこの問題を取り上げてみたい、こう思うのですけれども、この問題が出ましてから政府のある人の話では、自民党内のあることばを漏れ承ったのですけれども、こういう問題があると、現行法の電波法、また放送法を改正したいという意向を発表しておるんですが、ここに私は問題があると思うのです。一部のこういう動きに便乗して電波法を改正して言論の取り締まりというようなところまで波及していくんじゃなかろうか、こういうところに非常に私は不安を持つ一人でございますが、こういう点について大臣はいかがお考えになっていますか。
  32. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 電波法と放送法の改正につきましては、御承知のように昭和四十一年度に一応案をつくりまして、第五十一国会だったかと思いますけれども、提案をいたしたのでございますけれども、いろいろ審議の末、審議未了ということになってしまったのでございまして、流産をいたしたわけでございます。自来郵政省といたしましては、そういうようなことでございましたから、毎国会つど提出予定法案といたしまして準備を進めてまいってきたわけでございますけれども、いまだ成案を得ておりませんので、この問題につきましては、自来ずっと引き続きまして真剣に改正に向かって検討を続けておりますということが実情でございます。  もちろん、ただいま御指摘のように放送番組の内容に触れるということになりますれば、憲法で保障されております自由、あるいは放送法で認められております放送番組編成の自由というようなことにきわめて重大な関係を持ってきますわけでございますから、これについては最も慎重でなくちゃならないというように私考えまして、実は現行法の電波法あるいは放送法の改正につきましては――一番最初のこの両法は昭和二十四年度にできたんじゃないかと思いますけれども、ただいまの法律は私が郵政省の政務次官をいたしておりますときに、数年来の懸案でございましたけれども、これをぜひ実現させたいということで微力を尽くしたわけでございますが、幸いにその目的を達成いたしましてただいまの電波法なり放送法になっておるわけでございまして、私はいまの法律のいいところもちゃんと知っております。いまの法律を擁護いたしまして答弁に立った私でございますから、いまの長所もよく知っておりますわけでございますが、したがって、私郵政大臣になりましても、この両法を守っていかなくちゃならない。この両法に基づきまして、ときどき問題になります放送内容の偏向でありますとかあるいは低俗化でありますとかいうようなことにつきましては、放送業者自体において自主的に御反省を願いたい。そうしてその向上に、改善に御奮闘願いたい。現行法をそのままにいたしましてそのような御努力放送業者にお願い申し上げたいということで、私は大臣になりまして以来、声を大きくいたしましてそういう指導をしてきたつもりでございます。  ところが最近のようになかなか暴力ざたが多い。テレビにおきましても、すでに御承知かと思いますけれども、成田空港で騒動が起こった。警察官が三名殺されました。ところが放送に出ましたある若い者は、あれはわれわれが殺したんだ、三名では少な過ぎた、もう少したくさん殺すつもりであった。あるいはまた、天皇は戦犯者の首魁である、これはどうしても殺害しなければならない、殺さなくちゃならないというようなテレビ放送をいたしておりますわけでございまして、その断片だけをとらえましては直ちに電波法の七十六条に抵触するというわけにはいかないと思いますけれども、そういうような暴力に関係のある事態、放送がひんぴんとして起こる、こういうような最近の情勢、また、すでに私は樋上さんも御同感だと思いますけれども、ベッドシーンというようなわいせつな放送も最近は非常に多いのであります。こういう暴力、こういうわいせつ、これをこのままにしておいていいだろうか、放送業者自体の自覚に待つだけでいいであろうかというような感じが私はしみじみといたしておるわけでございまして、そこでこういう暴力とかわいせつとかいうことについては、あるいは放送法の四十四条の三項に掲げる必要があるんじゃなかろうかというような気持ちが最近はいたしておりますわけでございます。四十四条の三項に掲げましたからといって直ちに電波法の七十六条にはいかないということは私はよく知っております。放送法ができましてもうすでに二十年になりますけれども、四十四条の三項の準則に背馳するということで、電波法の七十六条で業務の停止を命じたりあるいは免許の取り上げをいたしたり、そういうようなことは一件も事例がないわけでございますので、そういうような四十四条の三項に掲げましてもどういう効果があるのかわかりませんけれども、とにかく道徳的にでもあそこに暴力とかあるいはわいせつとかいうことを掲げておきますと、幾らか放送業者の反省がもう少し具体的になってくるのじゃないだろうか。私はそういうことは好まないという方針で、自主的な御自覚を願って、改善、向上を願いたいということで考えてまいりましたけれども、最近のそういうような現象を見ましては、どうしても何とかしなくちゃならぬような気が痛切にいたしております。  しかし四十四条の三項の、つまり放送番組の内容に触れる改正ということになりますと、これはよほど慎重にやらないと、憲法の自由、表現の自由あるいは放送の番組の編成の自由ということに非常に関係を持ってくるわけでございますから、こういう問題につきましては先生方の御意見も十分拝聴し、そうして世論の動向も察知いたしまして、世論がどうもいまの放送はよろしくない、暴力が多いじゃないか、わいせつ行為が多いじゃないかというようなことで、いま四十四条の三項に掲げてあります公序良俗に反する――公安を害してはならない、あるいは善良な風俗をそこなってはならないというあれだけの条文では足らないという声が出てきますと、どうしてもそういうことを考えなければならぬということになってくるわけでございまして、私は、ただいま世論の動向を静かに見守っておりますけれども、皆さんの御意見も拝聴してからそうした問題と取っ組んで考えてまいりたい、こういうふうに現在思っております。
  33. 樋上新一

    樋上委員 大臣の所感を承っておりまして、一部安心いたしましたが、自民党の中の一部の動きがあるということも考えていただきたい。大臣のいまおっしゃっている反対的な問題もあるというように思うのでございます。  そこで、われわれとしては過激集団の無法な行動を容認することはできない、これは大臣と同じ意見なのです。ところがそれを口実にして、いわゆる言論、放送の自由を狭めるような、いわゆる戦時中に軍部が言論統制をやって国を破滅に追い込んだというような苦い経験を持っているわれわれでありますから、このあやまちを再び繰り返してはならない。たとえ政治権力に不都合な言論があっても、言論には言論をもって報いていくのが民主主義ではなかろうか、こう思う次第でございます。  また、先ほど大臣もちょっと述べられましたが、いろいろな放送番組について、わいせつなところもあれば、またいろいろな問題のところもあります。また最近の週刊誌に出ております「郵政大臣ちびっこ番組をしかる」というようなことで、東京十二チャンネルの日曜「ちびっこスペシャル」番組が廣瀬大臣から、番組内容がはなはだいかぬと注意を受ける事件が起きたということですが、十二チャンネルの問題については大臣もいろいろ関心を持っておられるようですけれども、私は、これはやはり大臣がおっしゃったように、あれがいかぬ、これがいかぬ、どういかぬというように政府みずからが放送法によって縛りつけるのではなしに、放送業者の自主的な向上、それに番組審議会とか番組向上協議会とかいろいろなものが三十幾つ、外郭団体にございます。こういうところで問題を検討し、またそういうところから放送業者が自主的にこれを解決していくような方向に持っていくのが私は妥当ではないか、こう思う次第でございます。  それからいま私が――大臣ちょっとお手をおあげになったが、自民党の中の一部にそういう動きがあるのは大臣承知かということをお伺いしたわけであります。
  34. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 よく知っております。つまり、自民党の中のああした声も世論の動向一つでございますから、そういうような声が出るようになってはいけないということになってくるわけでございまして、公明党からもそういう声が出るかもしれません。そういう世論の動向を察知いたしまして私どもは善処しなければならない、検討しなければならないということになってくるわけでございまして、自民党のお名ざしがございましたから、これは世論の一つであるというように申し上げるわけでございます。
  35. 樋上新一

    樋上委員 極左分子の発言を取り上げて問題になった。また最近フジテレビで、天皇が和歌山で狙撃されたというようなニュースを流した大誤報事件があったのです。これは御承知かと思いますけれども、すぐに取り消したのですけれども、このよう――ないと思いますけれども、このような誤報とかそういうようなものが、かりにNHK番組にこういう問題があったときにはどうなろうか、番組のチェックをNHKのほうはどういう方法で行なわれておるか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  36. 坂本朝一

    ○坂本参考人 お答えいたします。  NHKといたしましては、報道番組はあくまでも公正な立場で、ニュースは事実を正確に報道するということを至上命令にいたしております。私が日ごろ現場に指示しておりますことは、もちろん報道機関でございますから速報が大切であることは言うまでもありませんけれども、速報にのみ走って事の正確さを欠くというようなことがあっては聴視者に対して申しわけない。したがいまして、万一速報に欠けるところがあっても、事実の確認ということをまず第一にするようにというふうに指示しております。したがいまして、現場といたしましては、ニュースの取材から出稿までの段階では、出先の記者からそれぞれ経済部、政治部、社会部に原稿が上がってまいりますが、その場合に、それぞれの各部の管理職、デスクがこれをチェックいたしましてその確認を行ないます。そして確認を行ないました後、整理部へ回します。整理部は、回されました原稿を放送に取り上げるかどうかという取捨選択をいたしまして、取り上げるときめましたものはもう一度整理部において管理職、デスクがチェックをするというたてまえになっております。したがいまして、それらの管理職、デスクの勤務体制は二十四時間体制をしきまして、万全を期しておるわけでございます。  なお、番組面につきましては、本部に例をとりますと、考査室というところがございまして、その考査室のおおよそ七十名の管理職が事前の原稿ないしはリハーサル等に立ち会いまして内容のチェック、考査をいたしまして、なお放送後におきましては、それをそれぞれモニターいたしましてその効果等を確認する。そしてなお、事前に措置いたしましたものが措置したとおり放送されているかどうかということの確認も行なっておる次第でございます。  以上でございます。
  37. 樋上新一

    樋上委員 それでは、ニュースや番組の最終編集権はだれが持っておるのですか。
  38. 坂本朝一

    ○坂本参考人 NHKにおいては最終責任者は会長でございます。ただ日常のニュースの編集の現場の責任者は報道局長でございますが、総括的に最終責任者を申し上げれば放送局長でございます。
  39. 樋上新一

    樋上委員 会長が編集権を持っておられる。総括的なことは放送局長ですけれども、もしこういうような大誤報問題があったときは会長は責任をとられるのですか。会長にお伺いしたいと思うのです。
  40. 前田義徳

    前田参考人 そのとおりでございます。
  41. 樋上新一

    樋上委員 時間の関係上飛ばしまして、放送大学についてお伺いいたしたいと思います。  文部省とNHKとの間に放送大学の実験番組等調査研究の実験委託契約が成立いたしまして、NHK東京、大阪のUHF実験局で実験放送実施されているのですが、文部省としてはこの実験放送をいつまで続けるのかお伺いしたい。
  42. 遠藤丞

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  放送大学を設立すべきであるということで、数回にわたりまして文部省あるいは郵政省関係の審議会を設置いたしまして御審議いただきましたところ、放送大学を設置すべく積極的に準備を進めるべきであるという御答申をいただいて、私ども及ばずながら準備を進めておるわけでございますが、その放送大学設立準備の過程におきまして、ラジオ及びテレビにつきまして番組編成上のいろいろな調査研究をする必要があるということで、昭和四十六年度予算におきましてその必要経費を計上いたしまして、テレビにつきましてはNHKに御委託申し上げるということで契約をいたしたわけでございますが、明年度予算につきましてもそれを若干上回る程度の事業規模で継続したいということで、現在概算要求を提出してございます。
  43. 樋上新一

    樋上委員 また、放送大学設立はいつごろできるのかということと、それからもう一つは、放送大学の設立形態が、国立大学方式と、また公的性格を持つ新しい形態による方式、さらにNHK自体に行なわせるという三つの形態が考えられるのですが、文部省としてはどれをとられるのですか。
  44. 遠藤丞

    ○遠藤説明員 一昨年文部省のほうに設置いたしまして御検討をお願いいたしました放送大学準備調査会で種々御審議を願いましたところ、それらの問題についてはなお慎重に検討を要するということで、最終的な御見解を示していただくに至っておりませんので、引き続きこれらの問題についても今後なお検討を進めてまいりたいというふうに思っております。  なお、いま先生御指摘の問題は非常に大きな問題ではございますが、それ以外にも、多分に新しい大学の形態になるということでございますので、多くの大学関係者からこういった方法だけで十分な大学教育というものがはたして与え得るであろうかというかなり強い疑問が提出されてございますので、それらの問題点も含めまして、また調査会のようなものを設置し、多くの学識経験者にお加わり願いまして、今後検討を進めてまいりたいということで、現在のところまだ結論を得るに至っておりません。  なお、設立の時期の問題でございますけれども、当初文部省として設立の目標を何度か置いて、国会でも御説明を申し上げたわけでございますけれども、いま申し上げましたような問題点の結論を得るのにいろいろ困難な問題がございまして、最近では本年の春ごろの当委員会におきましても文部省の政府委員お答えしたかと思いますが、そのときには昭和四十八年度以降に設立の目標を置くということで御説明申したかと思いますが、若干準備がおくれてございますので、その時期よりも、さらに一年ないし二年は遺憾ながらおくれそうな形勢にあるということを、おわびとともに申し上げたいと思います。
  45. 樋上新一

    樋上委員 実験放送も必要であろうと思いますが、こういう基本的な問題がいまだに結論が出ておらないということと、まだ二、三年向こうということは、相当前から論議されているんですけれども、私は、早急にこの基本的な問題の結論を出していただきたい、こう思う次第でございます。  なお、現行法令によると、実験局は「科学又は技術の発達のための実験を行うために開設する無線局であって、実用に供しないものをいう。」こうなっているんですが、放送大学について、実験局で実験放送するのは、法令上無理ではないか、こう思うんですね。ですから、郵政省は放送について、この実験局について、法令を改正するやに聞いておるんですが、この具体的な案は、大臣ございますか。
  46. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 従来は、御指摘のように、科学技術ということに重点を置きました実験放送でやっておりましたけれども、ただいま御指摘のように、それではいろいろ問題があるということで、今度は、放送試験というような形態の放送NHKにやっていただくということを考えておるわけでございまして、それには、新しく省令を出しますつもりでございます。法令の規定に基づいてやっていただくというようなことを考えておりますわけでございます。そういう目途で、ただいま着々手続を進めておりますわけでございます。なお、詳細について必要でございますれば、電波監理局長から説明をさせますが、方針といたしましては、そういうふうにやっておりますわけでございます。
  47. 樋上新一

    樋上委員 放送試験局を設けるといういまのお話ですけれども、現在の実用化試験局と放送試験局の違いはどこにあるのか。また、これに対するNHK考え方NHKからお伺いしたい、こう思います。
  48. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  現在、放送試験局というのは、先ほど大臣からお答えがありましたように、準備中でございまして、実は来週、法令の手続によりまして聴聞会を開きまして、利害関係者の御意見を伺って、そして電波監理審議会でそれをまとめまして、郵政大臣に答申する。その答申に基づきまして、郵政大臣は省令を決定する。そういうことになっておりまして、現在進行中でございます。  お尋ねの実用化試験局というものは、これは実用を目的として試験的に行なう無線局でございまして、その期間も一年ということでございます。その実用化試験局を実際に運用しまして、それがよろしければ実用に移す、そういうかっこうのものでございます。ただ、放送試験局のほうは、実用ということももちろん考えられるわけでございますが、あくまでも放送及びその受信の進歩発達に必要な試験的な放送を行なうということでございまして、これは案でございますけれども、実用試験局とは、すぐさま実用に移すかどうかという点はその放送試験局ではまだ決定していないわけでございます、その点が違うということでございます。
  49. 藤島克己

    ○藤島参考人 ただいまNHKからもという御質問がございましたので、お答えいたします。  放送試験局の開設につきましては、ただいま大臣並びに電波監理局長からお話がありましたように、私どもも連絡を受けておりまして、来たる十二月六日にこれに関する聴聞会を開くから、出席をして意見を述べよという連絡も受けております。そこで、私どもも鋭意これにつきましていろいろ検討を重ねておるわけでございますけれども関係する規則の改正がかなり広範囲にわたっておりますので、また放送法その他の関係もございますので、今日の段階では、まことに残念でございますが、これに対して明確な意見を申し上げるまでに意見が集約されておらないのであります。この点、あしからず御了承いただきたいと思います。
  50. 樋上新一

    樋上委員 電波監理局長に再度お伺いするのですけれども、かつてFM東海がFMの実験番組を出したときに、これにスポンサーをつけたが、これについてのお考えはどうか。また、放送試験局は技術的な調査だけをやっておるのかということ。さらに、番組内容についてこまかい規定を設けているのですが、どんな規定を設けているのか。こういう点についてお伺いしたいと思います。
  51. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  FM東海の問題でございますが、御存じのように、一番初めは実験局ということでスタートしたわけでございますが、これは純粋の実験をやったわけでございます。その後は、実用化試験局ということで運用してもらっていた。実用化試験局というのは、先ほども申し上げましたように、実用を目的とするわけでございますので、私どもとしましては、それにスポンサーをつけてもよろしい、そういうことでFM東海の実用化試験局を免許してきたという状態でございます。  いま問題になっておりまする放送試験局というものは、先ほども申し上げましたように、実用を目的とするものではございませんので、これはあくまでも、先ほど申し上げました放送並びにその受信の進歩発達というものに必要な試験的な放送局でございます。ただ、これは、先ほど大臣からもお話がございましたように、実際、一般の人々が受ける状態で放送するというかっこうでございますので、やはり放送法というものを適用しなければならないということで、こういった特別の試験局を設けたい、こういうことで準備を進めておるわけでございます。これにつきましては、そういう関係でございますので、いわゆる広告放送をするということは認めていないというわけでございます。
  52. 樋上新一

    樋上委員 まだ答弁一つ落ちていますよ。番組内容についてこまかい規定を設けるのかどうか。
  53. 藤木栄

    藤木政府委員 どうも失礼申し上げました。  先ほども申し上げましたように、放送法が適用されるということでございますので、現在放送法にありまする番組に関連する規定は、全部適用される。たとえば放送法の四十四条の三項のような番組の準則というものは当然規定されるわけでございますし、また、番組審議会というものも当然設けられなければならないということでございます。
  54. 樋上新一

    樋上委員 番組内容に規定がされるなら、今度のNHK放送大学の放送内容についても、郵政省なり文部省なりがある程度干渉できることになるのかどうか、その点はどうですか。
  55. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  放送試験局につきましては、先ほど来申し上げているように、全く放送局と同じように取り扱うわけでございまして、放送法が適用されるということでございますので、私どもは、放送局に対しましては、先ほど大臣からお答えがございましたように、あくまでも番組の内容につきましては自主的に規制していただくということでございまして、先生のおっしゃるような、番組の内容にこちらが言及するということはいたさないつもりでございますし、また法律からいいましてもいたすべきでないと思っております。
  56. 樋上新一

    樋上委員 まだたくさんお伺いしたいこともありますし、OHKの今度の沖繩問題についてもお伺いしたいが、これはまた明日といたしまして、私の時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。
  57. 高橋清一郎

    高橋委員長 阿部未喜男君。
  58. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は先般の委員会でも、NHK決算につきましてはかなりの時間をいただいて質問をいたしておりますので、なお時間切れで質問のできなかった決算関係をする二、三の問題についてお伺いをしたいと思います。  受信料の未収あるいは不払いの問題については、いま樋上委員からかなり突っ込んだ質問もございましたので、重複を避けますけれども先ほど前田会長もおっしゃいましたように、今日ほどあらゆる角度、あらゆる観点からNHK受信料の問題が議論を呼んでおるときはないのではなかろうか、私どももそういうふうに考えますが、いろいろ議論をされておりますけれども、そういう社会情勢であるだけに、いま一回NHK受信料というものはこういう性格のものだということを明らかにして、聴視者の理解を求める必要があるのではなかろうか。そういう観点から、会長として聴視者に対して、NHK受信料とはこういう性格のものでございますので御協力を願いたいという考え方をひとつ、受信料性格について明快なと申しましょうか、お考えを承りたいと思います。
  59. 前田義徳

    前田参考人 受信料の一般的、原則的性格とそれから受信料の決定と徴収という問題が、原則論と事実上の処理という点で関連を持ってくると思います。原則的な考え方としては、NHKという、国民の機関としてのNHKのサービスに対して公共負担的な御分担を願うというのが基本的な考え方でございますが、同時にこの基本的な考え方を実行する方法としては、まず第一に、国会において、NHKがどういう事業計画を持っているか、それとの関連で料金はどうあるべきかという御審議をいただくわけでございます。したがって、その意味では、形式論になるかもしれませんが、いわゆる国民の機関としてのNHK財政あり方と事業の進め方については、あらかじめ国民の代表の機関である国会において審議されている、こういう形でございますし、事実上も今日すでに当委員会においてもきわめて詳細に問題点を究明していただいているわけでございますが、そういう観点から申しますと、放送法というものを中心にして現代の民主主義の審議のあり方、ものの考え方としては、私はこのNHKという特別な性格を与えられた放送事業体の料金の問題については、原則的にはきわめてはっきりした性格を持っていると考えております。ただ、これらの原則の処理の過程を通じて、最後の事実上の処理の段階になりますと、御承知のとおり、この決定に基づいて私どもとしては聴視者一人一人と、一世帯ごとに料金について、あるいは聴視について契約を行なうことになっておるわけでございます。この契約の面においては、現在の法律上は民法の規定を土台にしているということが、今度は事実問題として、その原則の行使の裏打ちの手続として、この事実が存在するわけでございます。私としては、現行放送法の精神から申しましても、また皆さんに対する私ども関係からいたしましても、現行法に基づくこの考え方とその実施の方法は最も民主的なものだと考えております。  したがって、先ほど来現実の問題として、この根本的なあり方とその実施の方向に対して、全く異なった立場から異なった見解を基礎にして、一部の方々がこれに疑問を持たれている、ないしはその疑問を土台として不払いを標榜されるということについては、私は現在の民主主義の過程の中でもきわめて遺憾なことだと考えているわけでございます。そういう意味では私どもはこのあり方理解をさらに進めていただくために特別の措置をとっており、私どもとしては全力をあげてこのあり方の御理解を願っているわけでございます。そしてまたこれは非常に時間がかかり、またお互いに、私どもばかりでなく聞いてくださる方々にも非常な忍耐力を必要とする問題でございますが、この時間をかけることによって御理解を願うというのが私どもの基本的な姿勢でございます。したがいまして、ある経過的な時点において外見きわめて逼迫したような印象を持たれる場合もあるかもしれませんけれども、私どもとしてはただいまのような考え方の上に立って、時間がかかっても究極的には、NHKを聞いてくださっているという事実との関連でこれが御理解願えるものという確信を持っている次第でございます。
  60. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 会長もおっしゃるように、民主主義というのは非常に時間のかかるものですから、私は会長のお考えに全く賛成でございますけれども、少し具体的に問題を詰めていきますと、先ほどどなたかの御答弁の中で、会長のおっしゃったように、まず国会で受信料の額がきまり、一つ一つ世帯と契約をする。その契約をした際に、先ほど未収について債権だというようなおことばが出ておったようであります。NHKの側からいえば当然債権かもわかりませんが、片方に債権があれば片方には債務があるという理屈になりますので、その債務が不履行になったといいますか、これが不払いという問題になってくるのだと思いますけれども、そうなりますと片方は債権理解しておるのに片方が債務と理解していないというところに非常に問題が起こっているような気がしますが、債権という理解でいいのかどうか、この辺はどうでしょうか。
  61. 前田義徳

    前田参考人 経理処理のきわめて原則的な考え方では、おそらく債権ということばが常用語になるかと思います。しかし、私どもの精神としては、先ほど来申し上げましたように、これが単なる形の上で結果的に数字の上では未収の債権という理解も、事務処理の上ではきわめて簡単な処理の方法としてあり得ると考えておりますが、私の立場からいうと、それにプラスわれわれと聴視者との関係、これに対する奉仕とそれに寄せられた理解の上での協力の問題という精神面を私としては非常に大きく考えておる次第でございます。
  62. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 受信料性格については大体会長のお考えに私どもも賛同いたします。でき得る限りNHK受信料というものの性格を広く聴視者に理解してもらうような努力をなおこの上続けてもらいたいと思います。  そこで未収金関係についてもう少し具体的に触れさしてもらいたいのですけれども、たとえば不払いの場合でも、先般の大阪空港のごとく、航空公害に対して、当たるところがないのでNHK受信料不払いという全く飛ばっちりを受けるような不払いの場合もありましょう。それからおことばに出ましたが、見えないから払わない、きれいに映像が出ないから払わないという不払いの方方もあろうかと思います。それから抵抗といいますか、電波は入るがNHKは見ていないから払わないのだ、こういう考え方もあろうと思います。さらに民放は受信料を取らないのにNHKだけが受信料を取るのは不合理ではないか、そういう考え方もあろうと思います。したがって、先ほど会長からそれらの原因を明らかにしながら措置をしなければならないというふうな意味のおことばがあったように思いますが、NHKのほうではその不払いのよってきたる理由、原因について、どういう理由で未収になっておるかというものの大体の概数、こういう関係の未収はこのぐらい、こういうものはこのぐらいというような数字がわかっておるかどうか、わかっておればお聞かせ願いたいと思います。
  63. 吉田行範

    吉田参考人 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、現在、受信料不払いというのは大体大ざっぱに分けまして三つぐらいに分けられると思うわけでございます。それで、ただいま御指摘のとおりで、航空騒音とか新幹線の騒音によるというふうな放送の聴視障害、またはビル陰による受信障害、これをひっくるめて申しますと、ある意味では公害的原因と申し上げていいかと思いますけれども、そういう公害的な原因が理由で集団的な受信料不払い運動というものがあらわれてまいっております。そのおもなものは大阪空港、つまり伊丹市における受信料不払い運動で、これは航空騒音でございます。それから新幹線関係では名古屋の新幹線公害対策同盟、これで受信料不払い運動が若干起こっております。こういうふうな公害的なもの以外ではNHK性格に対する無理解あるいは放送番組についての批判、そういうものを含めたものがございます。私どもはこれらに対してはできるだけその原因を除去することによって、むろん公害的なものにはNHKだけで除去できないものがございます、しかしわれわれのできる限りのことはこれに対処してまいりたい。それから無理解の方々に対しては、先ほどからも出ておりますように、できるだけねばり強い説得によって理解していただきたい。そういう努力を常に続けてまいっておるわけでございます。
  64. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは私が質問したのと同じ内容で、そういう内容があるだろうことは想定ができるのですけれども、その原因を除くとするならば、未収のうちあるいは不払いのうちで、それぞれの原因によって起こっておる未収の割合ですね、たとえばこの第一点の公害関係では未収のうちの何%ぐらいが該当するとか、あるいは無理解、番組に対する批判ではどのくらいだ、そういうものが大体つかめておるはずだと思うのですが、どうでしょうか。
  65. 吉田行範

    吉田参考人 大体現在私どもがつかんでおります数字は、全部で十四万八千件でございます。この内訳を申し上げますと、先ほど申しましたように、航空騒音によるものが約一万二千件、それから難視によるものが一万二千件、その他の十二万四千件というのは、これは常時不在と申しますか、ただいま御承知のとおり年間三百万以上の移動世帯がございますし、そういうものの把握並びにいつ訪問してもお留守である、そういう方々を含めて十二万四千件でございます。   〔委員長退席、水野委員長代理着席〕
  66. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。そのうちでまず解決できるものから一つずつ考えていきますと、難視地域は、これは難視解消すれば不払いは起こらないということになろうと思います。NHKのほうではいま、先ほども御説明ございましたように、中継局やあるいは共同受信施設等で解消につとめておるようですけれども、この基準、いわゆる共同受信装置の場合には、何か六十世帯とか百世帯とか二百世帯とか、いろいろ理屈がついておるようでございますけれども、みずから聴視料のほかに負担をしてでも共同受信の装置をつくって何とかNHKテレビを見たい、こういう願望を持っておる辺地難視地域の人たちのためにもっと払うべき努力があるのではないか。しかもこれは聴視料関係からいくならば、努力をすれば聴視料も入ってくる分野に属するものですが、この点はどうでしょうか。
  67. 松浦隼雄

    松浦参考人 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、まだテレビ電波が届いていないというところに対しては、先ほど吉田理事お答えしました数には入っておりませんで、まだ未契約でございます。したがってあの数字とは関係ございません。そういう要望がございますところに対して、従来いわゆる放送所によってやっておりましたけれども、四十四年来助成ではなくてNHK自体が幹線を持ってやっていくということでやっていきまして、その数が逐次、たとえば四十四年六百五十であったものが本年四十六年千施設というふうに上げてございますが、この努力を今後についてはさらに充実するということを、今後数年間強力に進めたいということでやっておりますので、できるだけ受信者の方の御要望にこたえられるような体制をとりたいと思っております。
  68. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 よくわかりました。ただその場合、さっきちょっとお伺いしましたが、非常に強い要望があってもその地域の希望する世帯の数が少なければなかなか幹線の負担をしてもらえないとか、そういういきさつがあるようでございますが、そういうものをワクを取り除いて、その地域の強い要望があれば、支線の部分については、引き込み線については聴視者で負担をすると、ここまで申し出る地域があれば、もう一つ制限を取り除いて、予算関係がありますから必ずしも全部取っ払うわけにはいかないでしょうが、もう少しワクを緩和をして、難視解消がはかれないものでしょうかどうでしょうか。
  69. 松浦隼雄

    松浦参考人 原則といたしまして山間僻地ケーブルによる共聴は二百世帯以下でございます。先生御指摘のとおりでございますが、実態としてはいま平均七十三世帯というところまでいっております。  それから幹線というふうに私申し上げましたけれども、現在やっております線は先生御指摘のとおり非常に受信者の負担の多い場合は、それをもNHKの側でくふうをいたしまして、受信者の負担ができるだけ少なくなるような措置をすでにとっております。そのほかこの置局と共聴というやり方だけではなかなか――家と家との間がだんだん離れてくると、ますます負担が多くなるということで、さらに技術的にも新しい方策を鋭意検討開発中でございますが、これはまだ確実にこれでやれるということを申し上げられる段階には至っておりません。  以上でございます。
  70. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 極力努力を続けていただきたいと思いますが、そうしていきますと、難視といわれる地域でもかなり受信料が入ってくる可能性があるように思われます。  二点目は、公害関係受信料不払い関係ですけれども、これは先般来議論をしておりますから繰り返しませんが、会長、あくまでも原因者負担の原則を貫いて――ここでNHK受信料が未収になって、そのために難視地域の解消がおくれるというようなことがあってはならないと思いますので、先般会長のお考えも承りましたから回答は要りませんが、あくまでも原因者負担の原則を貫いて、相手が何人であろうともばしっとやってもらいたい。そうすれば、一万二千世帯の公害関係受信料の未収は解決する。残るのが十二万四千世帯のいわゆる移動する人たちとか、あるいは批判する人たちとか無理解な方々ですから、ここに集中をして受信料性格納得してもらうような努力が必要ではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、次にもう一点、契約のできていない方がかなりあると思う。未収でなくて未契約の方がかなりあると思うのですけれども、これは大体どのくらいの数字にのぼると推定されておりますか。
  71. 吉田行範

    吉田参考人 お答えいたします。  ただいま未契約者の数字はどのくらいかという御質問でございますが、私どもは具体的に契約をしないというはっきりした形の方はある程度つかんでおりますけれども、全体でそのあとの方々は、われわれの努力の足りないという部分もございますし、それから先ほど来申し上げておりますように、移動が非常に激しくてそれで捕捉できないということもございますし、それからまた立ち入って調査できないというような事情もございまして、全体で未契約者が、受像機は持っているけれどもまだ契約していないという数はどのくらいになるのか、はっきりした数字は私ども自身もまだ捕捉できないわけでございます。
  72. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たとえばテレビの販売台数等から推定をして大体このくらいではないかという、もちろんこれは概数だと思いますけれども、そういうものも全然ございませんか。
  73. 前田義徳

    前田参考人 補足して申し上げますが、先ほども担当から御説明申し上げましたように、今年度これから契約をしていただく目標はおおよそ百六十万ないし百八十万ございますから、まず端的に言えることは、今日現在ですでに契約をすべき数字は約百八十万であるということははっきり申し上げられると思います。  さらに今日以降新しく受像機をおつけになる方も出てくるわけでありますから、したがって私ども考え方として申し上げれば、年度中にミニマム百八十万、年度の中の時間的経過に従って、明年度との関連でこの数字はさらにふえてまいるということだけは申し上げられると思います。
  74. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 抽象的ですけれどもやむを得ないと思いますが、極力この未契約者に対しても努力を払ってもらわないと、私もよく聞くのですが、あそこはテレビをつけてあるけれども受信料を払わずにかってに聞いておる……、これでは非常に正直者がばかを見るような結果にもなりますので、この点にもまた格段の努力をお願いしたいと思います。  同じくこの受信料関連するのですけれどもNHKの場合は、いままでお話もございましたように、聴視者の受信料NHKが運営されておりますが、民放の場合には、これは広告収入経営が成り立っておると申しますか、運営をされておる。民放の場合の広告収入総額は大体どのくらいのものになるのか、これは政府のほうでもどっちでもけっこうですが、わかっておれば知らしてもらいたいと思います。
  75. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  はっきりした数字はちょっとつかんでおりませんけれども、大体のところ年間二千八百億くらいのようでございます。
  76. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 年間二千八百億といいますと、これはNHK受信料よりもだいぶん収入が多いようですが、そういうことで間違いございませんか、数字は。
  77. 藤木栄

    藤木政府委員 間違いないと思います。これはいわゆるテレビ、ラジオ以外の広告の全体が約七千億くらいだろうと思いましたけれども、それの約三分の一くらいがラジオ、テレビというものの広告、しかも民放の場合はラジオも入っておるわけでございまして、その点は多少違うかと思います。
  78. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで実はNHK受信料との関連ですけれども、よく聴視者の方々は、民放はただで見せてくれるのにNHKは金を取る、不都合ではないかと、また民放の経営に当たっておられる方々は、NHK受信料の中には民放の分も少し入っておるのだから、NHKから少し金を回してもらわなければ困ると、こういう意見もときどき耳にするのですけれども、少なくともNHK受信料性格を明確にする上からは、民放がこのような広告収入で成り立つものであり、NHKはそういうものがないから、国民の聴視者の理解を得て運営をしておるのだ、受信料をもらわなければならないということを、もっとはっきり堂々と宣伝といいましょうか、理解を深めるための努力をすべきではないかと私は思うのですが、その点はどうもNHKは民放に対してずいぶん気がねをしておるようですが、これはどうでしょうか。
  79. 前田義徳

    前田参考人 同じ放送事業者ですから、特別にその点を強調するという気持ちにはブレーキをかけております。しかしながら、放送法に従って経営の実態が異なりますので、その点については私どもは大いに理解をいただくという努力をいたしております。
  80. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体わかりましたが、なるべくそういう点については、性格を明らかにすることによって理解を得るということも、受信料というものに対する一つ理解を得る方法だろうと思いますので、特に意見を申し上げたわけです。  そこで、先ほど番組の内容の問題にも触れたのですが、放送番組センターと放送番組向上委員会というのがございますが、これにNHKからも負担金を出しておられるようですが、どの程度年間支出をされておりますか。
  81. 斉藤清

    斉藤参考人 お答え申し上げます。  財団法人放送番組センターに対しましては、NHKといたしまして、四十四年度におきまして三億円の拠出をいたしております。次に、放送番組の向上協議会でございますが、これにつきましては、昭和四十四年度におきましては千二百万円の拠出をいたしております。
  82. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 先ほど樋上委員質問でも、この番組向上委員会が十分な役割りを果たしていないのではないかというふうな御意見もあったように聞いておりましたが、私はその点には触れずに、ただこの分担金の内容ですけれども、その場合の民放の負担はどうなっておりますか。
  83. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  放送番組センターの関係でございますが、四十六年度としましてはNHKが三億、それから民放は一億三千万という内訳でございます。
  84. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 番組向上委員会、番組センターを含めて昭和四十四年度決算ですから、四十四年度NHKが番組センターのほうに三億、向上委員会のほうに千二百万ですか、その場合の民放のほうの負担です。
  85. 藤木栄

    藤木政府委員 失礼申し上げました。  民放のほうは向上委員会としまして七百二十万でございます。
  86. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もちろん民放の場合には幾つかの社が集まっておるわけですから、それぞれ経営の内容いろいろあると思います。しかし私どもが知る限り、少なくともいまの民放が非常に経営が行き詰まって難渋しておるというふうには考えていないのですが、そういう観点からしますと、たとえば民放の広告収入が二千八百億というようなことを考えてみるときに、NHK受信料との関連で案分をしてみますと、この負担の割合はちょうど逆になっておるように思われますが、この番組センターなり向上委員会について、郵政省はどの程度タッチしておるわけでございますか。
  87. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  番組センターにつきましては、これはいわゆる財団法人でございまして、郵政大臣の主管に属する公益法人ということになっておるわけでございます。  それからなお、番組向上委員会のほうは、これは現在任意団体ということでございます。
  88. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 続けてお伺いしたいのですけれども、それでは、先ほど申し上げました、番組センターのほうで昭和四十四年度NHKの分担金が三億円、民放連が全部含めて一億二百三十万ですか、こういう数字になっておりますが、まあ三分の一程度の負担にしかなっていないように思われますが、この負担が妥当と思われますかどうか。これは政府でもNHKでもけっこうですが、こういう負担の割合が妥当であると思っているのかどうか。
  89. 藤木栄

    藤木政府委員 妥当かどうかという点は、私どももまだはっきりしておるわけではありませんけれども先ほどの民放全体の収入というものは、これはNHKと違いまして会社の収入ということでございまして、まあ株主に対する配当ということも考えなければならないというわけでございますので、その二千八百億自体がNHKの約一千億に対するものと対比できるかどうかは多少問題かと思います。私どもとしましては、確かに民放としましてはNHKに対しては少ないと思いますので、さらにもっと増額をしてもらうようにいまいろいろ働きかけはしておるわけでございますが、現在のところはそういう状態でございます。
  90. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、この番組センターがどういう十分な役割りを果たしているか知りませんが、局長、何も増額するだけが能ではなくて、私はむしろNHKの負担を減らしてもらうことによってそれを他に振り向けてもらいたいと思うのですけれどもNHKのほうはこれをどうお考えですか。こういう割合ができた根拠は、これは郵政省の指導か何かできまったのですか。民放とNHKの話し合いでこういうものを取りきめたのですか。どう考えてもこの負担の割合が納得できないのですが、NHKのお考えを聞きたいと思います。
  91. 前田義徳

    前田参考人 当初お誘いがあったときには、大体民放関係が五億、したがってNHKは三億というお話を承った記憶がいまだに新たでございます。
  92. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまNHK会長から非常にいいお話を聞いたのですが、そういうお話があって民放が五億負担をし、NHKが三億負担するということを原則にしながら生まれてきたものが、すでに数年を経過してなお今日その負担の割合がほとんど変わっていないようです。幾らか民放がふえるのはふえているようですが、民放は一億が一億三千五百万になっているようですが、まだまだこの五億と三億という比率からいきますとまるきり逆でございます。おそらく話し合いの中心になるのは郵政省だろうと思うのですけれども、どういうお考えですか。
  93. 藤木栄

    藤木政府委員 放送番組センター自体は、御案内のように、すぐれた教育・教養番組を充実するためにできた財団法人でございますので、私どももその活動を大いに期待しているわけでございます。それの基礎になりまするそういった寄付金というものはできるだけ多いほうがそれだけ活動ができるわけでございますので、先ほど申しましたように、民放につきましてはさらに増額をしてもらうように働きかけたいと思っております。
  94. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 まあ非常に抽象的ですが、電波監理局長、一番最初に話があったときには五億、三億という話であった、そういう基本についていまどう考えておられますか。
  95. 藤木栄

    藤木政府委員 確かに、一番初めにそういうお話があったやに承っておりますけれども先ほども申しましたように、民放自体はやはり会社組織ということでございまして、結局民放連が取りまとめて、たとえば四十六年度は一億三千万ということになったわけでございまして、まあそれぞれの会社の内容にもよるわけだと思いますが、民放連としても苦労してその一億三千万を集めていると思いますが、私どもとしましては、従来もそうでございましたけれども、さらに増額するように働きかけたいと思っておるわけでございます。
  96. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私くどく申し上げますのは、さっきから申し上げておりますように、民放ではやはり電波の届かないところにまで採算を度外視しての電波の普及はなかなか行なわないのです。それができるのはNHKしかないのです。したがって、NHKのお金は大事にしてもらいたい。これがまあ私どもの悲願ですので、取り違えのないようにしていただいて、NHKが取りやすいから、郵政省の言うことをよく聞くからということだけでNHKに大きい負担をかけて、そのために、一日千秋の思いで電波を待っておる辺地人たち電波が届かないようなことがあっては、電波行政としても決して好ましいことではない。私はいま何も民放の悪口を言う気持ちは毛頭ありませんけれども、それほど民放のふところぐあいが苦しいとは思っておりません。各地域の状況を見せていただきまして、配当などについてもかなりりっぱな配当をなさっておるようですから、ここの負担金がNHKに比べて、これを出したために株主の配当が落ちるとか、そういう状況ではなかろうと思います。むしろこれは郵政省自体の行政的な配慮、指導の問題だろうと思いますので、特にひとつ留意をしてもらいたいことを申し上げておきます。  それから、最後ですけれどもNHKの長期借り入れ金の借り入れ先はどこになっておりましょうか。
  97. 斉藤清

    斉藤参考人 お答え申し上げます。  NHKの借り入れ金の相手方でございますが、これは市中金融機関の、俗に申します都市銀行でございまして、日本勧業銀行、第一銀行、三菱銀行、三井銀行、住友銀行、富士銀行、以上六行でございます。
  98. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは不勉強で申しわけないのですが、このNHKの場合には政府財政投融資の融資を受けられるのではなかったかと思うのですが、どうだったでしょうか。
  99. 前田義徳

    前田参考人 私の記憶では、多少後ほど訂正いたしますが、昭和三十二、三年のときに、実はその当時の料金では新しい事態に即応できないというために、まあ皆さんの御内意も伺いながら、料金の改定を行ないたいと思った時期がございます。しかし政府の方針で、一切の公共料金はストップだというたてまえから、当時それにかわる方法として財政投融資をいただいたことがございます。しかしこれは、その後数年間にわたって完全に返済いたしております。
  100. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 以上で質問を終わらしてもらいたいと思います。  くどく申し上げておりますが、一番大きい任務は何といってもあまねく国民に電波を届けてやる、これがやはりNHKの使命でございますので、その点をこれからも運営の中に十分生かしていっていただきたいことを最後に希望しまして、質問を終わります。
  101. 水野清

    ○水野委員長代理 この際、午後一時二十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ――――◇―――――    午後一時二十九分開議
  102. 高橋清一郎

    高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。中野明君。
  103. 中野明

    ○中野(明)委員 きょうはNHK決算でございますので、決算書に基づいて二、三お尋ねしたいと思います。  前々から減価償却の費用が非常に多いということがしばしば問題になっておりますが、ちょっとお尋ねしておきたいのですが、内幸町にある本館の土地、建物の現在の帳簿価額は、大体どのくらいになっているのでしょうか。
  104. 斉藤清

    斉藤参考人 お答え申し上げます。  内幸町所在の放送会館の現在の帳簿価額でございますが、これは御存じのとおり土地、建物とございまして、土地につきましては三千百九十一坪ございます。これの現在の価額は三億一千七百九十四万二千円でございます。それから建物につきましては項目が二つに分かれておりまして、建物本体が総体で二万三百八十四坪ございます。これの現在価額は三十四億百八十八万六千円でございます。建物にエレベーター等の付帯設備がございますが、これらの付帯設備を全部集めまして五億三千五百五十八万五千円でございます。  以上でございます。
  105. 中野明

    ○中野(明)委員 それで、これは近く売却されるということを前々からお話が出ておりますが、いつごろ移転をされるようになるのか、その売却の予定、あるいは予定価額をどの程度に考えておられるのか、事情の許す範囲でお答え願いたい。
  106. 斉藤清

    斉藤参考人 御指摘のとおり、この施設につきましては、私どものほうの計画といたしまして、現在代々木のほうにございます放送センターに増築を続けております。鋭意これの工事を進めておりまして、昭和四十八年の半ばには大体完工できるという見込みでございます。したがいまして、その時点に移転いたしますと、これに対応いたします財源といたしましてこれを売却しよう、このような計画になっておるわけであります。したがいまして、売却の時点は移転後ということに相なります。  それからどのくらいで売るかということについては、いろいろ経済、社会の動向というようなものにも左右されますので、いまから確然とした数字の予定というのはなかなかむずかしい問題でございます。その時点でできるだけ高い額で売っていきたい。しかも相手方は堅実なものを選んで、そして処分をいたしたい、かように考えている次第でございます。
  107. 中野明

    ○中野(明)委員 三千百九十一坪ということをいまおっしゃったのですが、時価で坪は大体どれくらいというふうに考えておられますか。
  108. 斉藤清

    斉藤参考人 値段の点につきましては非常に微妙な点がございますので、確たることはちょっと申し上げにくいのでございますが、その点御了承をいただきまして、大体の近隣の取引の実例とかあるいは権威ある機関の評価でございますとか、さようなものを基礎にいたしまして相手方と折衝する、こういうようなつもりでおります。なお、呼び値としてはいろいろ高い値段も安い値段も出ておりまして、非常に微妙な点でございますので、そこのところはちょっと差し控えさしていただきたいと思います。
  109. 中野明

    ○中野(明)委員 それでは、固定資産の売却収入という決算書の中で、当初の予算では八千万円になっておったのが決算で一億幾らになっておるように私ちょっと見受けたのですが、これは場所はどこでどこへ売られたかということ。
  110. 斉藤清

    斉藤参考人 御指摘のとおり四十四年度におきます固定資産の売却につきましては予算が八千万円でございましたところ、実際の実行結果での決算額は一億六百八十七万円というふうになってございます。  ところでその内容でございますが、施設の取りかえとか、建設工事の進捗に伴って旧施設が要らなくなったとかいうような事例に対応して処分をするわけでございますが、この年度の代表的なものを申し上げますと、愛媛県の宇和島にございました旧局舎がございます。これの自動化を行ないました結果、旧来の木造の建物とそれのもとである敷地、これが不要になってまいりまして、これを売却いたしましたものが一番大きい金額で二千九百九十万でございます。これは地元の不動産建設業者に売却いたしてございます。それから次に大きい点といたしましては、盛岡の放送局が盛岡市のやや郊外に所在いたしておりますが、建設省東北地方建設局の計画が促進してまいりまして、道路工事――国道四号線に沿ったバイパス工事を盛岡地域で行なうという関係で、一部の敷地がそのバイパスに必要なところになってくるというようなかかわりがございまして、これは私どものほうの事情から申しますと、割愛してもいい、こういうような状況がございまして、土地の敷地の一部、三百十六坪を売却いたしました。これは相手方は東北地方建設局でございます。これにつきましての金額は一千三百四十四万というような金額になっております。その他地方におきまして不要になりました社宅、たとえば社宅などにつきましては集合した鉄筋コンクリートの社宅というふうにかえてまいりまして、戦後早々につくりました、あるいは購入しました古い社宅、こういうものの処分をいたしております。そういうような関連が数件ございます。それらのものが四、五百万の金額のものが重なりまして大体三千万ほどに相なります。  そのほかには各地で行なっております機械設備の自動化、さようなことに対応いたしまして老朽化した機器の売却というようなものを行ないまして全部合わせまして一億六百八十七万、こういう数字に相なった次第でございます。
  111. 中野明

    ○中野(明)委員 参考までにお伺いしておきたいのですが、予算で八千万円というふうに組まれたのですが、いまいろいろ御説明がありました固定資産の売却された分の帳簿価額の合計は大体どれくらいになるでしょう。すぐ出ませんようでしたらあとでもけっこうです。
  112. 斉藤清

    斉藤参考人 不動産等は非常に明確でありますが、機械等についてこまかい点もありますが、いまの対応して売却しました総体に対して申し上げますと、現在帳簿価額で二億七千五百十六万八千円でございます。
  113. 中野明

    ○中野(明)委員 そうしますと、帳簿価額で二億何がしが、売却をして一億何がしにしか売れなかった、こういうことになるのですか。
  114. 斉藤清

    斉藤参考人 さようでございます。  それで、ちょっと補足いたしますと、ただいま申し上げましたようなかかわりで、土地建物の売却については、総じて簿価よりも高く売れております。機械関係につきましては、技術革新等の関係もございまして、自動化を促進して経営の効率をあげる、こういうようなことをやっておりますので、それに伴います一部の機械がまだ償却がそれほど進んでいないというような事例がございまして、機械関係の売却につきましては事実上他に転用するというような機能を持っておりませんので、そういう意味で売却額が非常に少なくなります。したがいまして、売却損と、帳簿上の決済上はいわゆる積み立て金の減少というような形に処理されるわけでございます。
  115. 中野明

    ○中野(明)委員 いまのお話で、まだ償却がそんなに進んでおらないのに売却をするということもありましたが、これはどういうことでしょう。それだけ技術が進んだのか、それともそういう機械を購入する時点において、見通しの誤りであったのか。そこら辺はどうなんでしょう。
  116. 斉藤清

    斉藤参考人 お答え申し上げます。  これは御指摘のとおり、技術革新が非常に速いというのは、放送の技術の世界での特徴的なものでございます。それが一点と、もう一つ経営全体として事業運営を効率化していくという精神から申しますと、たとえば録音・録画設備で、これは自動編集というようなことが可能に相なります。これは購入当時はすべて人力でやっておったのです。ところが日勤編集というようなことが可能に相なりますと、たいへんに省力化できます。したがいまして、増員をしないで済むというような形の経営上のメリットがほかの数字として出てまいります。そういうようなことを勘案いたしまして、全体計画として総合的にメリットがあるという判断をいたしました場合には、年限がかりに来なくてもそこを改善をしていく、そうして経営全体としてはメリットが出る、さような配慮で仕事を進める場合がございます。この年の場合はそれにたまたま該当しております。
  117. 中野明

    ○中野(明)委員 最初に申し上げましたように、新しい、どんどん進歩していく機械類ですから、減価償却もかなり高く見られているということはたびたび議論になっておるわけでありますけれども、そういう点から考えまして、いまの説明で大体わかりますが、何かどこかにその機械の買い手がやはりあるわけですから、そういたしますと、NHKが損をして機械を売っている、買った人は非常に得する、そういうふうなことにもなるのではないかと考えられますので、実情やむを得ないところもあるのではないかと思いますが、なるべくならば償却間なしのものを、NHKがいま財政が苦しくてお金がどうもならぬというようなことじゃないのでしょうから、あまり安く機械類を売って損をするようなことのないようにつとめていただきたいというような気がするわけです。いまの説明を聞いておりますと、なるほど経営の効率化という上から万やむを得なかったというようなお話でもありましたので、一応は了解しますけれども、逆から考えますと、NHKから機械の払い下げを受けて、非常に得をした、安く買えてよかった、こういうふうな問題がもし出てまいりましたときには、そこらはまた問題になってくるのではなかろうか、こういうふうに思いますので、今後の問題として一応参考意見としてお聞きおきを願いたい、このように思います。  それから積み立て金の中でございますけれども、これも私いまの御説明を聞いておりまして大体理解できるのですけれども、この積み立て金の中に固定資産の売却益等、売却損等、このようにあがっております。ここのところ辺をもう少し理解できるように説明願えればありがたいと思います。
  118. 斉藤清

    斉藤参考人 御指摘の点は、決算書の説明部分で二一ページに記載した点かと思います。これにつきましての内訳の御説明を申し上げたいと思います。  第一点は、「固定資産売却益等積立金の増加高九千八百四万七千円」というふうに記載してございます。この九千八百四万七千円の件でございますが、ただいまの御指摘の、お話として出ました固定資産の売却に関連いたしまして帳簿価額より高く売れたものの部分が、その差額がここへ入ってまいります。この部分が六千九百四十七万九千円ございます。それからこれは会計用語上のことばでございますが、偶発益ということばを使っておりますが、私どものほうの研究所等でいろいろ機械の試作研究を行ないます。これは通常の場合研究費でやっておりまして、組み立ててみたりあるいはまたそれをこわしたり、そしてさらにまた違う形に組み立ててみたり、そういうことを研究の過程として行なっております。ただ研究の段階が進みまして、それが完全に実用できる、こういうような機械ができました場合に、それを資産として帳簿に計上するという行為をいたします。さようなものが会計上の処理としては剰余金の増というようなことばで普通扱われるわけでございます。ここで申します「売却益等」の「等」に該当しますものは、いま申しましたようなものでございます。これがこの年には二千八百五十六万七千円ございました。  なお、これは念のため申しますと、内容はカラーテレビの標準方式の変換装置でございます。カラーの宇宙中継等が日常化してくるというような時期に非常に必要であった研究の成果が実りまして、実際に実用できる、こういう状況になった結果がそこへ出たわけでございます。  それから次に、その後段のほうにございます「固定資産の売却損等積立金の減少高三億一千六百十九万」とございます。これはただいまの売却損の部分が二億三千七百万ございます。それからこれも会計用語上、除却損と申しておりますが、たとえば社宅等で建物が非常に老朽化いたします。その場合に建物のほうを解体いたしまして、そのあとに新しいものを建てかえる、こういうことをやります。建物のほうの解体をいたします場合に、帳簿価額が残っております。これは現在償却制度上、その使用しているという状況に対応して、取得価額の一割だけ残すようになっています。それを解体いたしまして、新しく建てるということに相なりますと、さような意味での解体といいますか、財産の取りくずしという形に相なるわけです。そういうようなものがこの年に四千五百五十二万一千円ございました。これが先ほどの二億三千万に加わります。それから最後に、受信料欠損償却に関連いたしまして、過年度において四十三年度決算のときにこれこれの金額がたぶん欠損になるであろうという状態で決算をして引き当て金を計上しております。この引き当て金を計上いたしまして、あとずっと受信料の収納に努力してきて、最後にその引き当て金の予定された額とそれから実際の結果とどれだけ差異があったかという状態が現出いたします。その差異のあった部分を、要するに金が余った場合には積み立て金がふえるという結果に相なります。それから、不足いたしますと、どこかからそれだけの資金を食わなきゃいかぬということになります。その場合には、予定の引き当て金が三千二百万円不足した、従来手持ちに持っておる過年度までの積み立て金からそれを充当する、こういうような経理行為が必要と相なります。その部分が三千二百八十九万でございまして、以上、三件を合わせますと三億一千六百十九万円ということに相なります。
  119. 中野明

    ○中野(明)委員 いまの御説明にありましたように、やはり機械を売った売却損が二億三千七百万円ほどあるということでございます。先ほど申し上げましたとおりでありますので、こういう点、ちょっと私たちも直観的に誤解しそうな感じがするわけであります。今後十分その辺を検討して処分をお願いしたい、こう思います。  それから、二十三ページに出ておりますが、国際放送関係政府の交付金、これが四十三年度と四十四年度と見てみますと、金額はわずかかもしれませんが、九十四万円減になっております。これは、何か特別にわけがあったんでしょうか。
  120. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  国際放送の交付金は、昭和四十四年度は当初一億四千六百四十三万五千円を交付したのでございますけれども、その後公務員の給与改定に関する人事院勧告の実施財源の一部に充てるために、五%を目途として行政経費の節約が決定されたということによりまして減額をいたしたわけでございます。
  121. 中野明

    ○中野(明)委員 NHKのほうではこの国際放送、これについては四十三年度と四十四年度は内容がどこか変化したところがあるんでしょうか。
  122. 坂本朝一

    ○坂本参考人 四十三年度と四十四年度の間には、内容的な変化はございません。
  123. 中野明

    ○中野(明)委員 いま電監局長が申されましたが、何か公務員の給料のベースアップの関係というようなお話ですが、何か国際放送というのは国策に沿ってNHKとしては非常に大きな役割りを果たしているように私も理解をしておりますが、そういう点、金額はわずかでございますけれども、公務員のベースアップの影響がこんなところに出てくるというのは私非常におかしいような感じを受けるわけですが、この点大臣、今後もあることでございましょうが、どういうお考えをお持ちでしょうか、ちょっと。
  124. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 国際放送の重要性につきましては、ただいま中野委員の御指摘のとおりでございまして、ますます充実していかなくちゃならないという考えを、先生と同様に持っておりますわけでございますが、四十四年度はただいま監理局長が御答弁申しましたように、公務員のベースアップということで予算の全面にわたりまして行政費から五%の削減をする、節約をするというようなことにいたしまして、そのベースアップの原資を捻出することになりましたものですから、心ならずもこういうことになったのでございまして、今後は十分気をつけてまいりたい、かように考えております。
  125. 中野明

    ○中野(明)委員 これは郵政省の基本的な姿勢だろうと思うのですけれども、公務員のベースアップ、もちろんこれは当然のことですが、NHKとしてもやはりベースアップがあって、国際放送の内容は同じでも、経費は前年度よりもたくさんかかっているのじゃないかというふうに想像できます。ですから、それで、当然相殺されるべき性質のものじゃなかろうか。それを無条件で――そこら辺はわかりません。何度も交渉をされたのだろうと思いますけれども、やはり強い姿勢で、こういうところまで行政費の五%削減をすべて一律に突っ込みで何もかも持ってくるというのであれば、こういう機械的なやり方というのは、私はあまり芳しくないと思いますので、今後の課題としてぜひやはり、ベースアップならベースアップがあればNHKもそれだけ経費はたくさんかかるのですから、こういうところに、わずかのことですけれども、経費を、余分な負担をかけないような対策を今後考えていただきたい、このように思います。  それから、けさほども少しお話が出ておったと思いますが、VからUへ転換するという電波の問題ですが、これは小林郵政大臣のときに出先で記者会見で発表されて、私どももいまだに釈然としておりませんし、基本的に問題があると思っております。発表の手続その他の方法については異論がありますが、いずれにしても、現在はその路線が踏襲されておるように私も理解しておりますが、このVからUに移行するということにあたりまして、NHKでは四十四年度ですかから、東京、大阪でUの実験局、これを完成して放送を開始しておる、こういうことでございますが、現在東京では十三チャンネルですか、というのが実験放送をやっております。最初にまずこれについての経費がどれくらい、大阪と東京、Uの実験放送をするにあたって、実験放送をしなかった場合と、した場合と、経費はどのくらいかかっておるかということ。
  126. 松浦隼雄

    松浦参考人 UHFのテレビ実験局につきまして東京では十キロ、大阪では五十キロということで十四チャンネルでやっておりますが、これについての放送所の経費は、東京の場合に四十四年度と四十五年度合わせまして一億七千七十万円、それから大阪について二億九千三百七十万円、合計四億六千四百四十万円が建設経費としてかかっております。そのほかに番組の時差放送をやっておりますので、それの送出のための演奏設備として両方合わせて約四億六千五百万円かかっております。それから年間の運用経費として、これは四十六年度、最近におきまして総計一億二千万円、そのうち番組制作経費が六千六百万円でございます。  以上であります。
  127. 中野明

    ○中野(明)委員 相当の金をやはりかけてやっておられるわけですが、実験をされた結果、これは二年にわたってなさっておるので、だいぶいろいろと資料も集めておられるのじゃないかと思うのですが、東京と大阪で実験局の、このUの電波を出して実験放送している世論調査と申しますか、NHKとしてどのような掌握のしかたをなさっておるか。そこのところをお尋ねいたしたい。
  128. 松浦隼雄

    松浦参考人 このUHFテレビ実験局は実験局でございまして、主として技術的な問題、つまりUHFによる大都市内の伝搬の問題が主でございます。当初予定いたしました放送区域は大体所期どおりでございまして、東京が約五百七十万世帯、大阪が三百六十万世帯というものを予定どおりカバーしたという状況でございます。  それで一方、このUHFを受信いたしますには、オールチャンネルあるいはUHFが受けるコンバーターを持った受像機が必要でございますけれども、この普及数が両方合わせて約三百三十万世帯というふうに想定されますが、その中でさらに実際にUHFのアンテナをつけて受かるようになっておりますところで、このUHFの実験局が受かる数が両方合わせて約百七十万、東京五十万、大阪百二十万というふうに推定されます。これはあくまで実験局でございますので、番組内容については聴視好適時間に時差放送しているにとどまっておりますので、番組内容についての調査は特に深くは触れておりません。
  129. 中野明

    ○中野(明)委員 いまの実験でございますが、内容はともかくとして、おそらくUの普及ということがやはり実験の一つの大きな主眼点であろうと私は思うわけですが、そういう点について東京と大阪でこれだけの経費をかけてなさっているわけですが、現在Vの番組が非常に多い東京と大阪の中で、Uの普及というのですか、Uに対する考え方がどこまで高まってきたと考えておられるのか、そこら辺、担当しておられる人の感じはどうでしょう。
  130. 前田義徳

    前田参考人 技術的実験はただいま松浦専務理事から申し上げましたが、放送という観点に立っての実験ということになりますと、やはり普及の可能性の実験が同時に行なわれなければいけないかと私は考えております。  これと関連して、問題は番組の中身でありまして、すでにVHFで放送しているものと相前後して放送するという限度では、普及の可能性を確かめる手段としては不十分である、私はそのように考えており、したがって、その結果が技術的実験の中にもあらわれてきている、私はそのように理解いたしております。
  131. 中野明

    ○中野(明)委員 つまらぬ質問かもしれませんけれども、もう一度、NHKにUの実験局を東京、大阪で許可をした、この目的、何の目的で許可をなさったのか、当局のほうから……。
  132. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  東京、大阪のUの実験局は昨年の十二月からやっておりまして、約一年やっておるわけでございますが、その目的とするところは、東京、大阪のような大都市におきます電波の伝わり方、そのカバレージと申しますか、それがどうなるか。特に建物等の影響が相当あるわけでございますので、そういったものを加味した電波の伝わり方というのが実験の目的でございます。  ただ、先ほどお話がございましたように、それはUの電波が出るということによりましてUの受像機の普及ということもあわせて考えているというわけでございます。
  133. 中野明

    ○中野(明)委員 私、なぜこんなことを聞くかといいますと、東京とか大阪の現状では、せっかくNHKが経費を使ってUの実験放送をしておられても、一般の人たちはそれを見る必要もないし、また何ら関心がないのじゃないか、非常にむだなことじゃないかというような感じを受けるわけであります。ですから、けさほども話が出ておりましたように、実験をなさる以上は、やはりそれだけの効果のある、目的にかなうような方法でやられないと困る。番組の周知の方法にしましても、新聞のラ・テ番の端のほうにちょっと出ているだけでして、あまり関心もないようですし、NHKのほうとしてもUの電波を出してどの程度まで映るかという辺まではある程度つかめるかもしれませんけれども、一般の人たちの関心がどの程度までUに高まってきているかはおそらく不可能じゃないかという気がします。私どもも、Uのアンテナをつける必要もないくらいに十分テレビが見えるものですから、受像機は持っておってもアンテナを立ててないものですから十三チャンネルは全然いいように映りません。だから、ことしから始めたのだなという程度しか、われわれ自体に関心がないわけです。こういう現状でございますので、けさほど大臣もおっしゃっていたように、放送試験局ですか、そういう方向に変えていこうということもわからぬでもございませんけれども、問題は、いままで二年間にわたってこういうことをやっておって、はたしてそれだけの効果があったかどうか。考え方によれば、NHKとしても迷惑だろうという気もしますし、またNHKも、やる以上はもっと効果のあるようなやり方を推進もされなければならぬと思いますし、そこら辺を考えましたときに、私、何か非常にむだなことをしているような気がしてならぬわけであります。  この機会にお尋ねをしたいのですけれども、郵政大臣としてもVからUに移行していく、俗にUターンといわれておりますが、このUターンの基本方針は変わりませんか、そこの点をもう一度はっきりしていただきたいと思うのです。どうも私ども現状をいろいろ想像してみますと、VからUへ切りかえるといいながら、何もしてないような感じがしてなりませんし、このままでうやむやに済んでしまうということになれば、これまた大問題であります。だからといって、私どもはUに即座に移行しろというような考え方は毛頭持っておりません。基本的に発表の手段、方法、こういう点についていまだに釈然としないものを持っているのは、先ほど申し上げたとおりであります。廣瀬郵政大臣としてVからUへの移行の問題についてどのように考えておられるのか、この際、御所見をお聞きしておきたいと思います。
  134. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま御質問のVHFからUHFへの移行の問題は、日本の放送行政といたしましてはきわめて重大な問題だと思っておりますが、私は前大臣からそのことを継承いたしましていろいろ考えてみたのでございますけれども、Vの波の確保、移動無線と申しますか、私の表現が間違っておるかもしれませんけれども、そういう面にVを利用しなければならない。それにはどうしても波が足りない。そこで放送についてはUをもって充てるという方針でございまして、その方針は私も変更しようと思ってはいません。そういう方針を堅持してまいりたい。ただ御指摘のように、そういう方針を決定いたしましてもう三年以上経過いたしておるかと思いますけれども、いわゆるじんぜん日をむなしくして今日に及んでおるという形ではないかと思っておるのでありまして、これは私は中波のFMへの切りかえ――中波につきましては、御承知のようにNHKのほかに十七の民放に対しまして増力ということによって混信を防止する方法を一つとっておるのでございますけれども、残りの二十八社に対しましては中波をFMにかえたいという方針を持っておるのでありまして、そういう方針は持っておりますけれども、まだ具体的に計画が樹立いたしておりません。井出大臣のときに、ことしの六月までに中波からFMに切りかえるというその計画を確立するということをおっしゃっておったそうでございますが、私がかわりましたときはすでに七月でございましたけれども、まだその計画は立っていなかったのでありまして、これは私はできればこのFMへの切りかえについては年内に計画を立てたいと思っておりますが、VHFからUHFへのこの切りかえにつきましては、これはテレビでありまして一そう大問題でございます。送信者の立場も考えなければなりませんし、受信者の立場も考えなければならぬわけでございますから、よほど慎重に対処しなければならない。計画としましては十カ年くらいで切りかえたいという方針を持っておりますが、御指摘のようにまだはっきりした方針は立っておりませんけれども、そういう方針で向かってまいりたいという、そのことは従来と変えないつもりでございます。
  135. 中野明

    ○中野(明)委員 いまの大臣お話を聞いておりましても、電波行政の根本を動かす大問題ですから非常に重大だというお答えですが、こういう重大なことを小林郵政大臣のときに出先のどこかの駅頭での記者会見でやみくもに発表されたところにも大きな問題があるわけですけれども、現状として、十年ということを目標にして、いまもお話がありましたように三年有半経過しているわけですが、VからUへ切りかえる基本的な理由は、Vの波が必要だということをいま大臣もおっしゃったのですが、どういう方面に必要で切りかえをされるかということを、もう一度再確認の意味でお尋ねしておきたいと思います。
  136. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私に御指名でございますけれども、かなり技術的にわたりますので、電波監理局長から、私と同じ気持ちで御説明をさせますから……。
  137. 藤木栄

    藤木政府委員 この委員会でもしばしば御説明申し上げたわけでございますけれども、現在、先ほど大臣が申しました移動無線と申しますか、これは陸上の移動無線、海上の船舶の無線、あるいは航空機の無線、その他いろいろ電波を使用するものがございますけれども、特にこのVHF帯という周波数帯は、波の伝わり方がもっと高い波に比べて非常によろしいということがございまして、私どもとしまして、いまこまかい資料を持っておりませんけれども、具体的に計算をいたしまして、今後十年にわたりまして大体約百メガ近くの周波数帯を必要とするという計算が出てきたわけでございまして、これをどこに求めるかということをいろいろな角度から検討したわけでございますけれども、やはり現在のところほかに適当な周波数帯がない。ほとんど全部使ってしまっておりまして、どうしてもない。このテレビ電波というのは御存じのようにVHF帯とUHF帯とありまして、しかもこのUHF帯で東京、大阪以外のところではもうどんどんやっているわけでございます。受像機も普及しているというわけで、残されたのが東京と大阪だけだというような状況でございますので、これをVの周波数帯を全面的にUに移行しまして、残りの余った周波数帯が約七十メガございまして、先ほどの百メガには少し足らないわけでございますけれども、それでもその大部分を充当することができるというところから、相当長期計画でございますけれども、そういった移行をやりまして、特に人命、財貨に影響するような船舶に使う無線であるとか、あるいは陸上で使っております種々の、たとえば警察の無線であるとかあるいは消防の無線であるとか、もろもろのそういった重要な無線にその波を振り当てたい、そういうことから出発したわけでございます。
  138. 中野明

    ○中野(明)委員 どうしても国策としてVからUへ切りかえをする、この考え方は変わっておらぬ、こういう御返事でございます。そうしますと、具体的にいまの電監局長お話では、東京、大阪を除いて地方は全部もうUの波が出ている、こういうことでございます。またそのとおりだと思いますが、そうするともう東京、大阪を除いて地方ではVからUへ、現在のVの局をUに切りかえさせることも可能じゃないか、もう三年もそれ以上もたってきたのですから。その動きが全然ないということになりますと、一体郵政省として本気でVからUへ切りかえようとしているのかどうかということも、私どもも非常に疑問に思いますし、放送業者のほうとしてもこれは大問題でございますので、かなり議論のあるところだと聞いております。現在VからUへの切りかえが、事務的にもあるいは具体的にもどの程度まで進んでいるのか、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  139. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました重要無線というものが一番波が欠乏しているところは東京、大阪という大都市でございます。これは北海道の山の中では別に欠乏しているわけじゃございませんで、どうしても必要なところ、まず第一に必要なところは東京、大阪というところでございます。したがいまして先ほども申し上げましたような、東京、大阪のNHKにUの実験局を設置して受像機の普及をはかるということを昨年の末から始めた、やっと一年たったという状態でございまして、先ほど御説明ありましたように、徐々ではございますけれども受像機は普及しているという状態でございます。それで、移行するのにあたりまして一番必要なことは何かということでございますが、それは何よりも受像機の普及ということでございまして、放送業者のVの送信機をやめましてUに切りかえるということももちろん必要でございますけれども、何よりも一般テレビを受ける人の迷惑にならないようにするためには受像機を普及しなければならない、これが一番の問題でございますので、私どもはそれをまず普及をはかるということを考えたわけでございます。ただ、先ほどNHKのほうからも御説明がございましたように、現在のUの実験の番組の内容自体は、これは実験ということもありまして、NHKがおつくりになる番組をそのまま放送する、一部だけは先ほどお話がありましたように時差放送といいますか、Vのほうで少しあと放送するものをUで早く放送するという程度のことでございますが、それでも少しは役に立つだろうというようなことでいままで続けてきていただいているわけでございまして、私どもとしましてはまず受像機の普及をはかり、それと同時にもちろん、いかにして具体的に切りかえをするかということを種々の角度から検討しておるわけでございまして、ただ一番問題はその切りかえに要する経費が相当問題でございますので、それをどういうふうにして分担させるかということも一つの問題でございます。それからまた受像機の普及とあわせまして、ある期間はVとUとの電波を並行運転する必要もあろうじゃなかろうかということも考えておりまして、いろいろな角度から検討を進めておるわけでございますが、まだ具体的にいつからスタートするというところまではまだいっていないわけでございますが、私どもとしましては、先ほど大臣の答えもありましたように、原則的にはこれを方針としまして、それに基づきましていろいろな角度から検討を進めているという状態でございます。
  140. 中野明

    ○中野(明)委員 そうしますと、いまの局長お話ですと、東京と大阪が波が不足している、いなかのほう、山間部、郡部のほうはそうでもないのだということであるとしますと、東京と大阪だけVをUに切りかえて、郡部のほうは現状のままでかまわぬというような基本的な考え方を持っておられるのか、それともやはり全面的にVからUへ切りかえるのか、そこのところをもう一度はっきりしておいていただきたいと思います。
  141. 藤木栄

    藤木政府委員 私の説明が少し足らなかったわけでございまして、現在一番不足しているのは東京、大阪というところでございます。電波の利用というのは、御存じのように、現在無線局の数が七十万以上もあるわけでございまして、毎年非常な勢いでふえている。これは必ずしも東京、大阪だけではございませんで、だんだんと地方のほうでも不足しているわけでございます。ただ、まず解決しなければならない一番のところは東京、大阪。それから順次に各地方に及んでいくということになろうかと思いますので、その切りかえの順序としましては、東京、大阪からスタートするということを考えているというわけでございます。
  142. 中野明

    ○中野(明)委員 ほんとうにVからUへ切りかえるという基本的な強い線を持っておられるのでしたら、できるところからやっていかれるという姿勢を示されたほうが全体がはっきりするのじゃないか。もちろんこれは私ども基本的に賛成じゃありませんので、異論はありますけれども、省の方針として、国策でそういうようにやられるのならやられるように、やはり具体的な前進をなさらないと、一歩も前に進まぬのじゃないかという気がするわけです。それでいろいろお尋ねをしているわけでございますが、いずれにしましても、これは重大な国策の変更でございますので、損害賠償とかいろいろな問題も、これに関連をしましてややこしい問題がたくさん残っております。ここで議論をしても解決つかぬことだと思いますが……。  この機会にもう一点。大臣、過日難視解消で公団か何か適当なものをつくってということをお話しになったのでございますが、いまなかなか沖繩国会その他で大臣も頭が一ぱいで、いずれ私も連合審査でVOAとか極東放送の問題については議論をしてみたいと思っておりますが、この難視解消の問題について、その後どのような考え方で進んでおられるか。
  143. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私が大臣に就任いたしまして、放送行政で特に重点的にやりたいと思っておりますことは、放送番組の内容の向上ということと、いま一つ難視地区の解消ということ、この二つを特に重点的に考えておるわけでございます。  番組の向上につきましては、たまたまきょう午前中に御質問をいただきまして、私、信念を申し上げたわけでございますけれども難視地区の解消につきましては、すでに御承知のように、NHKは非常に力を入れてくださいまして、現在難視世帯が約八十万戸までぐらいにこぎつけてくださっておるのでございます。日本の全世帯数に対する割合からいいますと三%でございます。ところが民放関係は百数十万世帯まだ難視世帯が残っておるのでございまして、民放は民放でいろいろたてまえがございますし、そういうような開きもやむを得ないかと思っておりますけれども、それにつきまして、民放をおんぶするような気持ちでNHKさんに、中継所でありますとかあるいは共同施設の増設について積極的に御協力を願いたいということを、私は前田会長さんに特に強く御要講申し上げておるわけでございます。会長さんよく御理解いただきまして、そういう気持ちでどんどんやっていこうということをおっしゃってくださっておりまして、私も非常に感謝いたしておるわけでございます。しかし、そういうようにNHKにおぶさるばかりでは相済みませんので、政府といたしましても何か促進の手を差し伸ばすべきであるということで考えましたのが事業団でございまして、これは実は昭和四十七年度――新年度予算に要求したかったわけでございますけれども、私がこちらに入ってまいりましてそういうことに思いつきましたのが少し後だったものですから、概算要求にはいたしておりませんけれども、ただ、いま郵政省といたしましてはこの事業団の実現、これが非常に効果があるだろう、そういうことに対しまして事業団から民放にお金を貸して差し上げる、そうしてそういうような施設ができるようなことに御援助いたしたいということで考えておるわけでございます。いまいろいろ大蔵省と折衝中と思います。ですけれどもまだ実を結ばないのでございまして、ここでこのような報告をしなければならないようなことはまことに残念に思っております。さらに当局を鞭撻いたしまして、一日も早くいい結果を実現するように努力をしてまいりたい、このように考えております。
  144. 中野明

    ○中野(明)委員 VからUの話に戻るようですけれども、VとUとはこれまた電波の性質が違いますので、Uになりますとなおさら難視がふえるような状態になると思います。これは相当本腰を入れて難視解消に取り組んでいただかないと、やはり国民全体の文化の向上にたいへんな影響を持つのがテレビあるいはラジオ、こういうことになっておりますので、そこら辺をさらに力を入れて、せっかくの大臣の御構想でありますから、今後とも努力を要望しておきます。  なお、けさほど樋上委員が少し触れておられましたが、NHKは、都市難視解消をするためにということでできました東京ケーブルビジョンですか、あそこに三千四百万円でしたか、金額は私ははっきり覚えておりませんが出掛をされておるのですが、さっぱりこの東京ケーブルビジョンが所期の目的を達成してないという現状でございます。この点について、NHKとしてどのようにお考えになっているのか、最初にお考えを聞きたいと思います。
  145. 松浦隼雄

    松浦参考人 御指摘のとおり、NHKとしては都市難視解消の一環として都市ケーブルビジョンに出指し、これの事業に協力しておりますけれども先ほど電監局長からお話もありましたように、東京、たとえば新宿におきまして八百五十世帯施設をしたということで、今後の見通しといたしましても、施設建設という、難視解消という点につきましてはそれほど飛躍的な期待は率直に申してできないのではないかというふうに考えております。  一方NHK自体といたしまして、受信改善対策として規模の大きなものではございませんで、原因者のはっきりしないビル陰あるいははっきりしたビル陰というようなところに対しては、数世帯、数十世帯というようなものに対して技術協力をするというようなかっこうで、たとえば建造物難視ということだけをとってみますと、四十四年度で約四万、四十五年度で七万以上の難視解消をしておるということで、これら両方相まって、テレビ難視解消という点からすればNHK自体がさらに努力を払わなければいけないんではないかというふうに考えております。そういう点から技術的な手段としても、単にいままでありましたもの以外にあらゆる可能なものをいろいろ試みてみまして、これも郵政当局の御指導のもとに、こういうようなこともできるならば展開していきたいということで鋭意努力しておりますが、実情はそういうことでございます。
  146. 中野明

    ○中野(明)委員 NHKとしてこの東京ケーブルビジョンに出捐をしたこと、これはお答えにくいかもしれませんが、成功したと思っておられるでしょうか。この出指したことがよかったと思っておられるのでしょうか。そこはどうでしょう。
  147. 松浦隼雄

    松浦参考人 都市ケーブルビジョンにつきましてはいろいろの論議がございまして、まあ当面の目的としてテレビ難視解消と再送信ということが第一目的になっておりますけれども、たとえば、郵政当局におかれましてもCCIS調査会というところで、新しい情報手段としてのケーブルの利用ということ全般についていろいろ調査をお進めになっておるという状況であろうと思います。それで、NHKとしては、都市難視NHKのかかわります限りにおきましては、これはテレビジョン難視解消ということが唯一無二の目的でございます。その点で、率直に申し上げましてその進捗状況がたいへんゆっくりでございますけれども、この面も難視解消に役に立つというふうに考え努力しております。
  148. 中野明

    ○中野(明)委員 私は、NHKがこれに出捐されてあまりたいした効果があがっていない、出捐される必要なんかないんじゃないか、それよりも、独自で現在難視解消に取り組んでおられることにもっと力を入れて進まれたほうでいいんじゃないかというふうに、いま考え方を変えておるわけでありますが、この点、会長のほうは何か御意見がありましたら……。
  149. 前田義徳

    前田参考人 何回かの当委員会で、その問題が当初から御質問をいただいていることを記憶しておりますが、私としては、まあしかつめらしく申しますと、放送法第七条の解釈の問題が、それだけでいいのか、従来の解釈でいいのかどうかという点がまず検討される必要がありはしないか。いわゆる全国難聴あるいは全国難視という点においては、先ほど郵政大臣もおっしゃいましたように約七十九万の世帯を残すばかりになってきておりますが、逆に都市構造の変化、国民生活の急激な変化によって、日本の世帯配置は過密と過疎という形になってきております。現実的には、東京の問題を取り上げてみても、至るところで難視の問題が生じている。こういうときに、現在新宿方式のケーブルビジョン程度で足りるかどうかということが当初から予想された問題ではないかと考えております。ただ放送法七条の問題については、有権的な解釈が下されない限り、私どもとしては恣意にこの解釈を左右するわけにはまいりません。ただ、実情からいって、松浦専務理事から申し上げましたように、NHKとしては聴視料をいただく経営体でございますので、聴視料の問題から見ますとこれはバイタルな問題である。それで法律上の解釈の問題でなくて、現実に聴視者との関係においてこれを処理しなければならない問題である。したがって法律上の問題からいえば、ケーブルビジョンにわれわれが協力するということは、ただいまも松浦専務が申し上げましたが、われわれがとり得る方策の一部になるという考え方を持つわけでございます。この考え方は今日依然として変わっておりませんし、したがって、われわれはケーブルビジョンにたよるばかりでなく、聴視者との関係においては全力を尽くして難視をなくしていかなければならないという考え方を持っているわけでございます。
  150. 中野明

    ○中野(明)委員 会長のいまのお話で私感じるのですが、結局聴視者との関係で、受信料集金しなければならないからこれに加わっているというような印象を受けたのですけれども、これは私のとり違えかもしれませんが、そういう点だけでこの問題と取り組んでおられるのじゃないとは思いますけれども、そういう受け取り方を私いましたのですが、どうでしょう。現在の東京ケーブルビジョン加入者、この人たち受信料の収納の状態ですか、これはスムーズにいっているのでしょうか。二重に払うような形になっていますが、一切文句を言わないで気持ちよく納めてくれているものかどうか。そこら辺、どうでしょう。
  151. 前田義徳

    前田参考人 私からは前段のお話についてお答え申し上げたいと思います。  私の説明が非常にばく然としていたかと思いますが、私どもとしては当初から、都市難視対策NHKが積極的にやるべきものである。したがって先ほど私は放送法第七条の問題を出したわけですが、御記憶かと思いますが、この問題ではNHK都市難視に対して責任はないというようなお話がございまして、責任がないという形で行なう、そのかわりにケーブルビジョンを育てていくというお考えとのギャップの中で、私としては、ケーブルビジョンもNHKの方針を遂行するための幾つかの手段の中の一つの手段であるというように受け取っておるということでございます。
  152. 松浦隼雄

    松浦参考人 都市ケーブルビジョンの加入者の中で、NHK受信料との関係でございますが、実例を申し上げますと、東京ケーブルビジョン新宿地区につきまして八百五十世帯と申しますのは、加入し得るようにケーブルビジョンが施設した数でございます。現実に現在きょうというわけではございませんけれども、十一月に加入しております数が五百十世帯でございますが、ここについては、いわゆる使用料とNHK受信料ということについて二重払いは困るということは、声としては出ましたけれども、現実には納めていただいております。そういう点からいたしましても、NHKがこの都市ケーブルビジョンに全く無縁であるということはやはり、単に受信料だけの問題とは思いませんけれども、ちょっとわれわれとしては危惧するところでございます。  そのほかの地方につきましても大体そういうかっこうで、きわめて数が少のうございますので、その点についていままでは問題が起こっておりませんけれども、同じケーブルビジョンの営業区域といいますか、施設した区域の中で、もしそのケーブルビジョンには加入できない、しかし難視であるという場合の問題が今後起こってくることは十分予想されますので、先ほど会長の申し上げておりますような基本的な解明が必要ではないかと、実際にやっておりまして感ずる次第でございます。
  153. 中野明

    ○中野(明)委員 時間がだいぶたちましたので、最後に一点だけ。  NHKは番組のカラー化に努力をされまして、現在はもうオールカラーというような時代になっておるわけでありますが、日ごろから私申し上げておりますように、このNHK受信料を納めている人たち、現在ではちょうど大体半々くらいになってきたのじゃなかろうか。カラーが半分、それから白黒が半分と、まあこういう現状で、すでに番組のほうはオールカラー、こういう方向で番組を送り出しておられる、こういう現状になってまいりました。オールカラーの番組を出される以上は、白黒テレビ受信者に何がしかの受信料の割引というのですか、減額というのですか、これをされる時期じゃないだろうかというふうに私は考えております。この点について、結局白黒受信をしている人もやはり受信料を払っているわけです。ところが番組の制作は一切カラー、そうしますと白黒の番組をつくるよりはカラーの番組をつくるほうが二、三割方おそらく経費は高くかかるんじゃなかろうか、このように思います。そしてオールカラーの番組になったことを一つの大きな契機にして、白黒の料金の値を下げるべき理由になれへんか、このように思うわけですが、会長の御所見を……。
  154. 前田義徳

    前田参考人 御承知のとおり、昭和四十三年度からかと思いますが、当時の白黒料金を値下げしまして、将来の経営のためにカラー料金を百五十円付加するという新しい受信料を、皆さんの御支持をいただいて実行して今日に至っているわけです。現在有料、無料を通じて、数字を私記憶で申し上げますから多少の出入りがあるかもしれませんが、二千四百万世帯が契約を願っておる。その中で大体三百万強が、生活環境との関連NHK受信料を免除しあるいは減じているという部分になるかと思いますが、その残りの段階で申し上げますと、お説のとおりに、先ほど斉藤理事からも午前中お話し申し上げたように、あるいはまた吉田理事からも申し上げたように、今月になって一千万のカラー契約が成就したことは事実でございます。したがって、そういう数字をかね合わして考えますと、料金としては有料の中で半分近くがカラー化されている、そういうことは申し上げられると思います。しかし同時に、実は四十三年に受信料体系を変更させていただいたときには、同時にラジオ料金を全廃いたしております。ラジオ料金を全廃し、無料とし、そして白黒料金を値下げし、それに対応する処置として、五カ年計画上赤字を覚悟しながら百五十円の付加料金をお許しいただいたわけで、この見地に立って現状を見ますと、当時もそのような御質問に答えて、私は少なくとも二千万世帯、有料世帯を二千万考えますならば、その中の八〇%ないし九〇%の線がカラー料金にならない限り非常に困難であると思っているということをお答え申し上げた記憶を持っております。その点から申しますと、この四年間にいろいろな公共料金あるいは関連経費の中核となるものがかなり値上がりしておりまして、したがってパーセンテージにおいても私どもが予測した限度には達しておりませんし、それから経営の内容からいって、いわゆる歳出の基礎が非常に高くなってきているという点では、私としては、ただいま値下げの時期に来た、白黒の特別料金を考える時期に来たということは申し上げかねると考えております。ただ、私どもはその当時から申し上げておりますが、ことに昨年、今年度予算の審議に際しても、私どもはこういう経済環境の中でも四十七年度並びに四十八年度受信料には手をつけない、簡単に申しますと、値上げの方向には向かわないということは申し上げてございます。したがいまして、私といたしましては、まだこの料金を調整する段階に達していないということを御理解いただければ幸いだと存じます。
  155. 中野明

    ○中野(明)委員 いま会長が申されたことは、会長と私との間に少し誤解があるように思いますが、私当初から申し上げておりますのは、カラー加入者がどの程度までふえれば白黒をラジオと同じように無料にすることができるだろうかというような前提で議論をしてきたつもりでございます。いまここで議論をしているのは、その前提をもちろんくずしてはおりませんけれども、番組が全部カラー放送されるようになった。だから白黒の人たちに少しでも――ここで無料というのじゃありません。結局、私自分がカラーを持っていないのでひがんで言っているわけではございませんけれども、やはりカラー番組で送られてくるのを白黒で見ているということ、非常にそこに複雑な気持ちがあるわけです。NHK、民放でもそうですが、テレビの画面を見ておりまして、下のほうに「カラー」というのが出てくると、白黒で見ている者は非常にひけ目を感ずるし、またいい感じじゃないのです。それで、番組を送るのにカラーで送れば相当経費がかさむ。そういうオールカラーの番組を放送するようになったという一つの時期、これはやはり白黒を見ている人たちに少しでも割引をする時期じゃなかろうか。全部根拠のない議論じゃなかろうというふうに私思いまして申し上げているので、会長が最初言われたように、カラーの付加料を取るときには、カラー加入者がどの程度になったときにはラジオと同じように白黒を無料にすることができるだろうかということで私質問をしたように記憶をしているわけです。その点を誤解のないようにしていただきたい、こういうことでありますが、この点について、それは私の個人的な見解ですから、そんな考えは違うと言われればそれまでかもしれませんけれども、私なりにこのような考えを持っているわけです。会長はいまその時期じゃないとおっしゃっていますので、それは全責任を持って経営をなさっているのですから、それを無理にどうせい、こうせいという考えは私は毛頭持っておりませんが、こういう意見を持っておるということを承知しておいていただきたい。  最後に大臣に聞いておきたいのですが、この私の言っている議論、間違っておると思っておりませんが、大臣のお考えだけ聞いておきたいと思います。いまオールカラー放送をするようになったこの時点において、白黒は少しでも値を下げるべきじゃないか、取りまとめて申し上げればそういうことですが、大臣のお考えを……。
  156. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 中野委員の御所見は将来の展望でございますし、御希望でございますわけでございますけれどもNHK会長の御答弁は、現状ではこうだという現実の問題でございまして、双方事由があると思うわけでございます。つつしんで拝聴いたしました。
  157. 高橋清一郎

    高橋委員長 栗山礼行君。
  158. 栗山礼行

    ○栗山委員 きょうはNHKの四十四年度決算に関するのみの委員会でございますので、限定いたしまして、許される時間に若干の御質問を申し上げてまいりたい、かように考えております。  まず最初に、いわゆる有料受信料の滞納者に対して現在どういう処置を具体的におとりになっておるか。多くの同僚が数字を見まして、数字的な傾向から見て一面、念ずるものがございますので、私も重複いたしますが、担当の理事の方からお答えをいただきたい。  特に若干付言をいたしますと、電波公害なりあるいは騒音等の公害要因がございまして、それ自体の問題を解決する手段的に利用されまして、NHK聴視料不払い同盟というような事態も現実に起きておりまして、NHKが徴収に参られましてもがんとして払わないという特定の地域も私は存知をいたしておる、こういう状況でございます。まことに憂慮すべき、あるいは不合理な一面に尽きると思うのでございますけれども、そういう状況から考えまして、また週刊誌をながめてみますと、日本人は最近分裂症的傾向がだんだん強くなってまいりまして、いろいろ理由づけをして、乏しい根拠のもとに、こう然と、おれはNHKの料金は払えないんだ、NHKがきらいなんだ、こういうような、まるで論理の展開が感情論でございまして、そういうようなことが週刊誌に掲載されるというような状況下にもございますので、その点をひとつ、現状においてどのように有料聴視料というものの具体的な方策をもって進められておるか、あるいは将来そういう客観的情勢等を踏まえて、何らかの、当然たる権利の聴視料をどのように進めていこうという構想がおありか、こういうことをひとつ所管の理事の方からお伺いを申し上げたい。
  159. 吉田行範

    吉田参考人 前回の委員会で栗山先生から伊丹の問題についていろいろ貴重な御意見をいただいて、われわれ非常に感謝いたしております。  ただいまの御質問につきまして、まず受信料不払いと申しますか、契約して払わない方の実態ということをまず申し上げて、それからそれらの方々に対する対策ということに触れたいと思いますが、御指摘のとおり、ただいま公害的要素、これは伊丹も含めまして、公害的要素のために払っていただけないもの。それから航空だけではなくて新幹線関係の、やはりこれは聴視障害でございますが、そういう理由のもの。それから先ほど来御意見が出ておりますようなビル陰などによって受信障害が起こっている。これを一括いたしますと公害的原因、そういう意味での集団的な不払い運動というのが若干起こっております。その内容は、ただいま申しましたように大阪国際空港周辺の問題、あるいは名古屋の熱田の南方貸物線の問題、その他若干、横田、厚木、小牧などの基地周辺の問題もございます。これらのほかには、NHK性格と申しますか、公共放送であるNHKというものに対する理解が若干欠けているという方方がおいでになって、そういう方々の不払いもあるわけでございます。おおむねそういうことでございますが、これを大体ひっくるめて申し上げますと、航空騒音については一万二千件程度、それから難視聴その他につきましても同様に一万二千件程度、そうしてその他の常時不在とか、あるいはNHKに対する理解の欠如とか、そういう意味での不払いの方が十二万四千ばかりございます。合わせて十四万八千件でございます。  で、これらに対しましては、私ども全力をあげて委託集金人あるいは職員の外務者、ことに一昨年度からは職員の中でこういう未収に対して専門に回るという職種も内部にできておりますので、そういう人々を十分に動員して、十分理解を持っていただくという努力を続けているわけでございます。しかし、それと同時に、たとえば、先ほどもちょっと申し上げましたが、いま移動がきわめて多くて、年間三百五十万をこえるというデータもあるわけでございますが、そういうことも含めて、何と申しますか、常時不在とかそういう人たちに対しては、アパートの管理人にお願いして、そうして不在者の便をはかってもらう、そういうこともやっております。それから不在者に対して、郵便局とか銀行の振替を利用して払い込みをしていただくということもやっております。それから御承知の前納口座、これはさらに一そう推進して、そういう私ども集金人なり職員が訪問いたしましても常時不在であるという方のために、そういうやり方をさらに推進してまいる。これらはきわめて一般的なあれでありますけれども、具体的には私どもの持っている人間的な力を総動員いたしまして、そうしてこれにいま当たっているわけでございまして、まだただいま申し上げたような若干の、まあ公害の問題の場合には私どもが幾ら努力してもだめな部分もありますけれども、それ以外の部分についてはできるだけ全力を尽くして御理解を得たい、そういうふうに努力しているわけでございます。
  160. 栗山礼行

    ○栗山委員 以上、御意見を徴しておくということにいたします。しかし、個々のケースの問題については、やはりなお努力を必要とする内容等もあるということを踏んまえて進んでいただかなければならないのでないか。たいへん抽象的なことでございますけれども、この種の問題は名誉ある内容ではございません。他を責めてみずからの努力の隠れみのにする、こういうことであってはならない、かように考えておりますので、老婆心ながら、ひとつこういう膨大な数字について解消への一段の努力をお願いするということを冒頭に申し上げておきたい、かように考えております。  第二番目の問題ですが、受信者の中で正式に契約をされておらない、したがって聴視料をお支払いになっておらない方も、相当広範と言ったらなにでありますが、私ども案外限られましたところでありますが、よく地域に参るのでありますが、こういうような合理性に欠けるところに向かっての具体的な対策はどのように従来お進めになっていらっしゃるか。またそういうところは私の誤りであるか、あるいはやはり聴視者であるが十分に発見ができないとか、あるいは努力が足らないということで、こういう方向で取り組んでおるというような点でございますか。この点を、これも担当の理事でけっこうでございますから、お伺いを申し上げておきたい。
  161. 吉田行範

    吉田参考人 ただいま未収の分につきましてお答えしたことの延長になるかと思いますが、具体的には私どもいろいろな措置をとっておるわけでございます。これはあんまり具体的なことで申し上げるのはどうかと実は考えましてただいま差し控えたわけでありますけれども、一応申し上げます。  たとえば、初めにアンテナなどによって調査する。これはカラーアンテナを目じるしとした調査でございます。それから同様に、共同アンテナの場合は引き込み線を中心にして調査いたします。それからさらに、カラーテレビの探知器がございますから、これによって設置の確認をいたします。それから放送受信章が貼付されている受信住宅に対しては、必ずカラー契約の有無を確認いたします。それからさらに、私どもが持っております受信契約者のリストによりまして、居住者名と契約者リストとを照合して、契約者リストにない者については訪問調査をいたします。それから受信機の故障などで廃止、解約が過去にあった方に対しては必ず訪問して、さらにその後の状況調査いたします。それから普通契約の受信者の方で口座や前納を利用しておいでになる方につきましては、カラーに変わっているかどうかということについて詳しく調査いたします。これはたいへんこまかい具体的なことを羅列して申し上げたわけでありますけれども先ほど申し上げた一般的なことと合わせて、私どもは現在私どもの人員でなし得るすべてをやっているつもりでありますけれども、それでも結論的にはっきりして契約を拒否しておいでになるという方が、私ども調査では約三万でございます。
  162. 栗山礼行

    ○栗山委員 大体総括してお伺いを申し上げましてお答えをいただいたのでありますが、未契約の契約化への制度上の問題を私は検討をいたしてまいらなくちゃならない問題点があるのでないか、かように考えております。手近に、私この間ある友人の家に参りました。白黒もあるわけでありますが、小さいカラーがございます。少し金ができたのでカラーを買ったんだということでございます。百五十円聴視料が高まるんだが、そうしていただかないと困るんだということで、NHKに弁護料をいただいているわけじゃないけれども、そういうような話をいたしておったのであります。カラーの上に小さいアンテナがございまして、それで受信をいたしておるというようなことで、公然とこういうようなカラーを見さしてもらっている、こういうような問題等がございます。どう把握するか、どう調査するかということにつきましては、いろいろ法制化のもとにおける問題等があろうかと思いますが、私はそれは悪意ということではなくて、いわゆる無責任ということにはなりましょうけれども、安直な考え方でものを運んでまいるという、案外日本人というものはどうも軽い、そういう事柄でものを処する、こういう一面をやはり国民性の一部としてお互いに持っておるのじゃないか、こういう観察をいたしておるわけで、責めるというような罪悪感じゃなくて、こういう制度、こういう内容のものだから公然とひとつ見られるような方向でやってもらわなくちゃ困るなという話をした面がございます。これは他山の石でありまして、すべてがそういうような内容だと申しませんけれども、いまの数字を三万件と言われたのであるけれども、その数字がどういう調査に基づくかということにつきましては、これは私が御質問申し上げるとかなり苦しい一つの御説明を受けなくちゃならぬ。こういうような根拠、基準というものを理論的にお尋ねする場合については、一つの抽象論に終わってまいるのじゃないか、かように考えるのでありまして、結論から申し上げますと、一つの例を引用いたしまして、この種の問題についても未契約者のカラー化への問題、あるいはいろいろ合理性を持って適正な未契約者の契約化への努力NHKはいたしていくべき当然なる権利と責務が存する、こういう私の見解でございますが、これは会長さんに言うてもらっちゃちょっと困るのですが、いまお答えいただいた担当理事は、私の見解はいかがなものか、もう一ぺん重ねてお尋ね申し上げたい。
  163. 吉田行範

    吉田参考人 ただいま御指摘のとおりだと思います。私どもも、先ほども申し上げましたけれども、当然の権利と義務として十分に責任を果たしてまいりたいと思います。
  164. 栗山礼行

    ○栗山委員 それでいいんです。私がちょっと寸足らずで、舌足らずで、御答弁も舌足らずということになっておったのでありまして、ちょっと御答弁としては十分でないわけなんですが、私はNHK自身がやはりその努力をすべき要因をもっと高めていただかなくちゃならぬ、それが当然な義務であり、それから権利に属する問題ではなかろうか、こういう点で意見を申し上げておるのでありまして、せっかく可能な限りの最善の方策を立てて努力を進めてまいりたい、こういう御答弁を期待をいたしておったのでありますが、何かどこかでエアが抜けちゃったような御答弁をいただいたように思うんです。もう一回御答弁をというようなことは願いませんけれども、私はそういう意味でお尋ねを申し上げておるということだけ御記憶をひとつ深めていただきたい、かように思っております。  次の三点でございますが、私少し勉強が足りません。何さま選挙でおどかされて選挙区にばかりで、国会の勉強がおろそかになって相済まぬわけでございますが、四十四年度決算によりますと、受信料収入予算に対しまして九億円の増収になっておるやにこの資料で示されておると思います。カラー契約の年度増加の予定が百十万件に対しまして、実績は二百三十万件というような増加決算の事実になってあらわれておる。これをどう私はながめてみるか。二つの見方があると思います。大体予算は健全予算ということで、百点を七十点ぐらいで押えていくという一つの方式の予算の立て方もございましょう。またある貧弱なところは、収益のないのに粉飾決算というようなことで膨大な利益を計上する予算方式もあると思うのでありますが、これはあまりに数字が大き過ぎると思うんです。  これはもちろん日本人の特性といたしまして、隣でカラーだと、ぼくのところはカラーなんだよといえば、金があろうがなかろうが隣の親はもう耐えられない。こういうことで、うちのおとうちゃん、月賦でもいいから、ひとつほかのことを始末してカラーを買ってよというような、そういう一つの傾向がこれまた日本人の特性でございまして、皆さんの計数をお立てになります場合に、案外一つ数字増加の要因として入ってまいった、こういう一因もあろうかと思います、すべてではございませんけれども。そこで私がお尋ねしたいのは、まさにこの数字が意外な数字として結論的になったのか、あるいはまた別な要素における予算数字をお立てになったのか。たいへんこれは無理押しするお尋ねでありますけれども、あまりにも大きな開きがございますので、この間を所管の理事からお伺いを申し上げたい。
  165. 斉藤清

    斉藤参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、四十四年度におきますカラー契約の増加というものは、当初予定に対しましてかなり大幅に上回りまして、百十万の予算でございましたが、結果は二百三十万というようなことで、たいへんに成績は上がったというような形になっております。ところで、先生御指摘のとおり、これは予算が堅実にといいますか、いわば低目に押えて事実出てしまう、こういうような見方もこれは当然出てくるわけでございますね。それからまた、それではその年の実際はどうであったのかということをよくよくたどってみますと、この間の事情も御理解いただけるのじゃないかというふうにも考えられる点でございます。  一般的に、予算をつくりますときにやや堅実な収入の見方をするということはいずれの企業も機関もやっておりますが、そのことは抜きにいたしまして、この年の状況をさかのぼって考えてみますと、当時、私どものほうでカラーの料金制を設けましたのが四十三年でございます。その第二年目に当たる。この期間中の私どもの事業計画の主眼というものは、一つには全国放送、地方放送を通じまして難視をできるだけ早く解消すると同時に、カラーの普及を促進しながら、それによりまして受信者もできるだけとっていく、こういうような基本的な考え方を持っておりました。  当時、四十四年のこれは暦年の数字でございますが、受信機の生産がどのくらいあるであろうかということを、予算を立てます前にあらかじめ工業会その他の資料によりまして基礎的に収集いたしまして、それによって大体どのくらいの普及が出るであろうか、こういうようなことをやるわけでございます。それをたどってみますと、いわば予算編成期ですから、四十三年の暮れごろ、四十三年一年間の実績がまだ終えてない時期でございますが、当時の電子工業会筋の大体の考えは百六十万近くの生産が行なわれるであろう。そのうち一部が輸出されて、さらに大部分が国内に出回るであろう、こういうようなことでございました。それから受信機の価格につきましても、昭和四十三年ごろは、たとえば十九インチのカラーでございますと十九万前後というような値段がついておりました。それがどのくらいになるか。さらに四十四年度中のカラーの生産高が実際にどのくらいになるであろうかということは非常にむずかしい判断の問題でございますが、実際に国内に出回ろうというような見込みを収集いたしまして、さらにわれわれの経験の中から、百十万程度というものが妥当ではなかろうかというふうに判断いたしたわけでございます。それをもとにいたしまして予算は組まれまして、その年度予算の審議の際におきましても先生御同様の御意見もあったかと存じております。  そういうような環境でございますし、基本的に考えてみましても、私どものほうの立場から申しますと、何といってもカラー受信者を伸ばすということが事業の一番重点になりますし、経営の基盤を安定させるということにも相なるわけでございますので、あらゆる努力をこの面に注いだという次第でございまして、具体的には営業の現場の活動だけでなくて、経営全体としての努力をそこに注ぎ込んだというようなあり方で実際上の一年間を進めたわけでございます。  この間、実は先ほどちょっと触れました実際の受信機の生産及びそれの国内出回りというようなものが、当初の専門家筋の推測をかなり上回りまして、実際には二百数十万というものが出回ったわけでございます。しかもその中で注目すべき点は、技術の進歩というものに対応いたしまして、非常に安定して、映像面もしっかりしたもので、しろうとが使っても十分使いこなせる、あるいはまた値段も二割方安くなる、こういうような状況があらわれてまいりました。したがって結果としては生産の出回りも非常によろしくなった。それからまた私どものほうも番組面での努力あるいはまた施設面での努力、それからまた別な意味で、たとえば番組面で、従来の連続的にやっておりますようなドラマをカラー化したとか、あるいはスタジオ一〇一をカラー化したとか、そういうような契機もございますし、また大阪におきまして万博が開かれるというかかわりの中で、これを大々的に取り上げて継続的にやっていくというようなこと、こういうようなことをやりまして、国民の皆さんのほうでもカラーを見たい、こういうような気持ちが非常にわき上がってまいりました。  これらが相まちまして、非常に大きな数字というふうな印象をお受けと思いますが、結果としては、私どものほうから申しますとたいへんな努力をいたしましてここまでやっと到達したというようなふうに考えているところでございますが、いずれにせよこの状況というものは、カラーの全体的な普及というものが四十三年を契機として、四十四年、四十五年というふうに非常に急テンポに展開されたというような社会環境の中で獲得できたということでございます。
  166. 栗山礼行

    ○栗山委員 私あまり文句ばかり、漫才みたいなことで申し上げるのはちょっといかがなものかと思うのです。そういう答弁の方式があろうかと思うのです。確かに努力もそれに集中されたということもございましょうし、それから珍しいという一つの問題もございましょうし、見れば価値があるんだというような、いろいろ多面的な価値観の複雑さというようなものも大きな要因になっておりましょう。万博もそういうふうになっておりましょうけれども、それは単に好ましい結果でございますが、これが逆に出た場合にその責任はどうしなさるか、こういう問題がございます。順風満帆に、予想外にあらゆる条件が好ましい状況に進んでまいった、こういうことですから、したがって結果においていいことであったのでありますけれども予算処置として、成績が上がったんだということだけで誇るべき問題ではないと思います。私はやっぱり予算というものについては、あらゆる総合的な価値と分析と内容にひとつ取り組んで進めてまいらなければ、予算予算的条件は意味をなさないというようなことはこれは予算の初歩的な論法でないか。そういうふうに私がとらえて伺ってまいると、あなたの答弁はいささか私がまた文句を言わなくちゃならぬというような御答弁をいただいている、こういうことでございます。結果、あらゆる一つの好ましい条件が予想外の一つの成果を得たんだ、こういうことであって、決して自慢をしてもらったり、それから全力投球してこういうような結果になったんだという一面観で御答弁されるということは、あまりまじめな御答弁でないんじゃないか。それなりに価値あるものとして伺ってまいりたい、こう考えておるわけです。たいへんおきゅうをすえて悪いのでありますけれども、私の率直な感じ方をいま申し上げておきたいと思います。  廣瀬郵政大臣に若干、これと直接間接関連いたします。大臣に御就任されまして、私は敬意を表しに参って、そしてしばし御歓談を申し上げた、こういうことでございます。その後の委員会には沖特の関係で御出席いただけなかった、こういうことで、委員会で質疑をさしていただくというのは、きょうが初めてなことでございます。  過般、お聞きのことであろうかと思いますけれども、伊丹市の周辺を中心に、特に兵庫県伊丹市の市会における動きがございます。その事柄は、地域における自治会の動きというものが、騒音の規制の問題あるいは伊丹空港からの運航の規制の問題、あるいは基地の騒音に耐えかねて、発展いたしますと伊丹空港存置反対というところに論理の展開が進んでまいるのじゃないか、こういうふうに私は考えているのであります。なかんずく、その中で、意識的に地方の自治会が議決をいたしまして、NHK聴視料は厳として払わないという、これは一部じゃなくて、広い地域にわたります問題が展開をいたしておる、こういうことから、私の論法をもって申し上げますなれば、一つの手段的、戦略的要因としてNHKに差し向けたという一面観もございましょう。結果といたしまして、市会が空港における騒音あるいは運航規制の問題、それから自治会のそういう市民運動というものの議決や、運動の熾烈化に、特別委員会を設置いたしまして、そしてその委員会の大勢はそれを全面的に支持をして、NHK聴視料不払いの市会の議決に発展するという内容の状況があったのであります。これは、一つの万やむを得ざる事態でございまして、私は大臣に質疑をさしていただくことの機会がなかったので、はなはだ残念でございましたが、若干、きょうの機会をかりまして――そのことは関係者からお聞きのことであろうかと思うのでありますけれども、私の言いたいことはこういうことだと思います。  もう済んだことはしかたないのでありますが、現状は解決したものではないのです。海上における騒音調査の問題とか、あるいは運航規制の問題とか、それから騒音規制について、イギリスがどうだ、ロンドンの空港がどうだというようなことで、調査団を派遣されまして、それなりにいろいろ調査が目下関係者によって行なわれておる。これの協議会の加盟が大阪市を含めまして十一市でございました。もしその手段が誤るといたしますなれば、十一市にNHK聴視料不払いという発展につながる問題であった。これはたいへんオーバーな表現でございますけれども、そのような要因がなしとしない一つの運動でございました。  私はこれについてそれなりの御質問をいたしてまいったのでありますが、電波監理局長お答えになって、はなはだ不十分であった。あるいは管理当局は運輸省の航空局でございます。それからまた市会のそういう動向について、少なくとも自治省の行政局がいかような見解を持ち、いかように対処をいたさんとしておるのか、こういうことについて、非常に重大な問題でございましたので、承知をいたしました。当然、郵政省側としてこれに対応策を立ててもらわなくちゃならぬということで、いろいろ御質問を展開いたしました。今日まで相当長い経過がございます。突如として起きてまいった問題でないわけでありまして、しびれを切らして、そして、その残された最後の戦略的手段によって、NHK不払い同盟ということによって問題の解決をはかっていこうという一面観もまた否定することのできない運動の内容であった、かように考えておりまして、結論からいいますと、やはり当局と政府それ自身が責任をもって対処をせなくちゃならない問題であった、こういうふうに考えております。  NHKはいい電波、いい商品を送って、その送った商品が不良商品となって、まともに料金を払えるかい、こういう感情の一面もございましょうし、そうして料金の問題じゃなくして、文化の恩恵に浴さないという一つの大きな抵抗と怒りというものがございましょうから、政治はそれに対応性をもって解決をいたしてまいらなくちゃならない。それがやはり割拠主義といいますか、あるいは大きな一つの政策的方向が存在いたさなかったところから、そういう問題の決着の場面に発展いたした、こう考えておるのであります。したがいまして、私はその当時、大臣の所見を伺いたかったのであります。きょうはお忙しいことでありますが、今後、この問題が委員会で論議されまして、今日的問題にどのように対処するかということについて、郵政省側が積極的に関係省と連絡をとり、そしてあなたも、所管大臣であり、国務大臣でございますから、政治のそういう停滞の事実にやはり一面の責任を持っていただいて、対処を求めなくちゃならぬ、かように考えておるのでありまして、私はそういうふうに前向きに、建設的に、大臣の御意見をこの機会にお伺い申し上げておきたい、かように考えております。
  167. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま栗山委員から、NHK経営につきまして非常に御同情いただき、受信料不払いという問題が拡大していかないようにというような御心配を持たれまして、お地元における切実な問題を取り上げて、たいへん御心配、ごあっせんくださっているように拝聴いたしまして、私といたしましても感謝にたえない次第でございます。前回の当委員会に私が出席できなくて、直接御答弁ができなかったことはまことに申しわけないと思っておりますけれども、ただいまお話しのように、他の委員会に出席をせなければならないというような事情がございましたものですから、その点、あしからず御了承を賜わりたいと思っております。  伊丹市を中心といたします航空機の騒音による難視聴、視聴が不十分だ、できないというようなことの問題でありますわけでございますけれども、これも明らかに航空機の騒音が原因であるということはわかり切っておりますわけでございますから、私どもはこういう問題については、障害発生の原因者に措置を求めるというのが当然だとかねがね思っておりますわけでございます。障害発生の原因者が適当な、妥当な措置を講じますように、関係の省庁に対しまして郵政省といたしましては努力すべきであると思っておるのでございまして、前回の御指摘によって、郵政省といたしましてはそのようなことを続けておりますようでございます。折衝、努力を重ねておるようでございますが、航空局におきましては、どうも本年度予算がないのでとかなんとかいって言を左右にしておるというような様子も、必ずしもなきにしもあらずというように、いまちょっと電波監理局長に耳打ちいたしましたところが、そのような話もちょっと――私の聞き間違いかもしれませんけれども、聞こえてまいりましたので、そういうような事実があればまことに当を得ない航空局の態度であろうかと思っておるわけでございます。御指摘の点はよくわかっておりますので、その御理解に基づく御好意にこたえるために最善の努力を続けてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  168. 栗山礼行

    ○栗山委員 それでけっこうでございますが、確かに運輸省の航空局の予算要求といたしましては、別な立場における予算要求をされておるということは、その特定地域の騒音対策のところを立ちのいていただくということのみに重点をかなり置かれまして予算を要求をしておるのだ、こういうことでございます。それも解決策の一つでありますけれども、広範にわたっておる騒音対策の問題でございます。そして一部公共施設については、たとえば二重窓にするというような事柄についての補助金や施設の方向づけを進めておるのですけれども、大きく起きておる民間の被害については、何ら一銭の予算や対応策がない、こういう事柄が大きな要因になっておるということもお聞きを願ったことであろうかと思うのであります。  問題は、相手方を責めるということも必要でありますけれども、やはり痛切に感じますのは、今日の行政の割拠主義ということの弊が深刻に私どもの胸に一つ打つものがあるわけなんであります。私は、この間電波監理局長に申し上げたのでありますけれども、運輸省は悪いけれども、郵政省もまた怠慢ですよということを頭に入れて取り組んでいただかなくちゃならぬ。それから行政当局と大臣が、そういう国の政治の方向として閣議その他で進めていただく問題等もございますから、現状ではこの点は解決せぬとエスカレートの方向にあるということを頭に入れて、そして相手方の深い理解を求めなくちゃなりません。筋も通さなくちゃなりませんけれども、当局がこれに対応策を具体的に進めつつある、こういう事実をもってお願い申し上げ、以後、そういうような民間航空基地の騒音対策はこればかりじゃないと思うのでありますけれども、ひとつ積極的に解決への努力をお願いを申し上げたい、かように、これも要望だけ申し上げまして、これはもう委員会で適当な御答弁をされるということでは解決はつかない問題だ。要は、政治はそういう先見性も必要であるし、それから、やらなくちゃならぬということの行動性の実績をもって臨んでまいらなくちゃならぬ。そうでなければ今日の政治を語る資格なし、こういうふうに私は極言してもいいと考えておるような次第でございまして、初めて質疑を申し上げてずばり申し上げるのでありますけれども、ひとつ特に大臣に御要望申し上げておきたい、かように考えております。  たいへん時間が迫っておりますので、国際放送の問題について若干お尋ねを申し上げたいと思います。  これはNHKの担当の方でけっこうでございます。四十四年度はどの程度の実施をされまして、特に国際放送においてどの面に力点を入れてお運びを願ったか、たくさんございますから要点でけっこうでございます。
  169. 坂本朝一

    ○坂本参考人 先ほど中野先生に、四十三年度と四十四年度においては内容的に変わりはないということを申し上げましたが、それは方向であるとか、使用をいたします言語の数であるとか、放送時間であるというところに変わりがないということでございまして、当然四十四年度としての特徴づけと申しますか、重点事項と申しますか、そういうものがございます。  まず、第一に、四十四年度放送番組の充実、刷新ということで、イタリア語とスウェーデン語番組の拡充をいたしました。これはヨーロッパ地域におきます聴取の実態を勘案いたしまして、欧州向けの放送時間を三十分拡充いたしまして、イタリア語、スウェーデン語を毎日おのおの十五分ずつ放送することにいたしました。それにかわりましてゼネラル・サービスの英語放送が、東南アジア地域で良好に受信されておるという実態から、「東南アジア向け(III)」の英語番組三十分を廃止いたしまして、要するに放送時間の長短はない、増減はない、こういうことでございます。  二番目は、万国博関係の番組の編成ということで、四十四年度一つの重点項目として力点を置いた次第でございます。  それから三番目は、アジアの紹介番組の編成ということで、「今日のアジア」という発展途上にありますアジア地域の現状を広く世界に紹介する番組に重点を置いて編成いたしました。  それから四番目に、日本語習得番組の拡充ということで、「やさしい日本語」をイタリア語、スウェーデン語、マラヤ語に新設いたしまして、日本語習得番組の拡充をいたしました。  五番目に在外邦人向け番組の強化ということで、大相撲のハイライトであるとか、あるいは「ふるさとの歌」というようなものを在外邦人向けに編集するという重点事項を置いた次第でございます。
  170. 栗山礼行

    ○栗山委員 要点だけおっしゃっていただいたらけっこうだと思います、五、六点ございますから。  第二点は、海外の聴取状況というものがどういう状況かということを伺いたい。もとよりこれに関連いたしまして良質の波が届いておるのかどうか、たいへん失礼でございますけれども、この二点について要点を御答弁いただきたい。
  171. 松浦隼雄

    松浦参考人 先生のおっしゃるとおり、短波の放送電波については非常にあいまいなところがございます。一般的にやられております方法は、当該の出しましたラジオジャパンに入ってくる投書の数から推定するということが世界的に行なわれております。大体年度ごとに四十四年度約四万五千八百二十通、大体四万五千から五万の投書が年間参っておりますので、そこから推定いたしますと、これは五十倍ないし三百倍といろいろな見方がございますが、そこから見ますと、最低で約三百万近く、最高で千三百五十万近くの人々が聞いているというふうに推定しております。ちなみに全世界の短波を受信できる受信機の数、これも推定が非常にむずかしゅうございますけれども、約一億二千万ないし一億三千万台といわれております。
  172. 栗山礼行

    ○栗山委員 そういたしますと、海外からの反響というものをどういうふうに把握をされていらっしゃいますか。それからそれに関連いたしましてどんな番組が海外放送として多く望まれるか、この二点をひとつ。
  173. 坂本朝一

    ○坂本参考人 国際放送の反響といたしましては、やはり報道、インフォーメーションの番組に対する反響がひとしお強いようでございます。NHKの番組につきましては、評価といたしましては良心的に編集され、興味深く、しかも有益であるというような御意見を多くいただいております。  それから、反響の一つの手段といたしまして、全世界に定期的報告者を委嘱しておりまして、技術的な面では百四十名、それから番組関係では全国にわたりまして百二十七名の契約者と申しますか、委託者をお願いして反響を取り寄せている次第でございます。
  174. 栗山礼行

    ○栗山委員 これはNHKに関してお尋ねを申し上げてまいりたいと思いますが、国際放送の交付金の問題について、同僚の各位からいろいろ御質問があった問題であろうかと思いますけれども、国際放送の重要性に特にかんがみまして、私も若干お尋ねを申し上げておきたいと思います。  国際放送に要しました費用を四十三年度と四十四年度を比較して私数字を拝見いたしたのでありますが、NHKは四十三年度は七億一千百万であります。もし数字が間違っておりましたら私の勉強足らずでございます。内、交付金が一億四千六百四十三万円でございます。それから四十四年度NHKが七億一千九百万円、そして交付金が一億四千五百四十九万円、こういうふうになりまして、四十五年度は七億四千百万円ということで、交付金が一億四千四百九十三万円と、私の調べました資料に出ておるのであります。したがいまして、四十三年度ではこれだけの、前年度からの交付金の対比を見ますと五%の減でございます。四十四年度は八%の減でございます。それから四十五年度は二千二百万円増を国際放送NHKがされておるのでございますけれども、百五十万円の減である。こういうふうに年次別に交付金が減ってきておる。こういう数字が私の手元にあるわけでございます。  御承知のように、四十六年度予算の審議をさしていただきましたときに、私は国際放送の重要性というものについて前田会長自身に見解をお尋ね申し上げたことがあると記憶いたしております。それから、井出郵政大臣に同様にお尋ねを申し上げたのでありますが、ここに速記録を持ってまいっておりませんけれども、ますます国際化の進展の中における国際放送の重要性を痛感する、これに対処してまいりたい、こういうふうな御答弁をちょうだいをしたやに私は理解をいたしておるわけであります。そういたしますと、これと相矛盾する交付金の内容ということになってまいります。元来、これは命令行為でございますから、命令行為でおやりになる一つの費用というものは、政府それ自身が交付金の形において充当せしめるということに当然なるたてまえ、あるいは原則といいますか、そういうものがなければならぬと私は思います。したがって、聴視料を取って、そうして公共放送をやっておるところに政府がおんぶをいたしまして、そうして使った金の幾ぶんの、何割に達するような交付金をもって処理をするというような事柄については、私は国民の納得をしがたい内容であろうか、かように理解をいたしておるのであります。  申し上げましたようなことが数字上の間違いがございませんでしたら、矛盾撞着もはなはだしい。こういうような、決算を見ます場合にこういう経過があらわれてまいるのでございます。  したがって、郵政大臣としてなぜこのようになったかということは、歴代の一つの方針がございまして、廣瀬郵政大臣に責めを求めるべきものではございません。その原因も存ずることであろうかと思うのでございますが、来年度予算要求等もございまして、そして慣習によるこういう概算要求をされておるのか、私はまだ予算措置について、省側に資料をちょうだいするというようないとまなくして今日に至ったのでありますけれども、歴年こういうようなかっこうをもって進んでおられますと、おそらく来年の予算要求についても大きな飛躍した予算要求ということは考えられないというような一面の常識的な見解を持たざるを得ないのでありまして、過去の経過につきましてはそれなりの問題がございましょう。当委員会におきましても、大臣みずからが国際放送の重要性に対処いたしてまいるということを明確に答弁をされておる事実がございます。こういう点から、ひとつ明確に郵政大臣の所信を伺ってまいり、来年にわたる問題は、あやまちは二度と繰り返すなかれというわれわれの鉄則を踏まえてどのように対処されるか、私はそういうような御所見をお伺いを申し上げたい、かように考えます。
  175. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 いま国際放送の問題について御指摘いただきましたが、事実私もそのとおりだと思うのでありまして、わが国の文化、産業の実情を広く国際に放送する、世界各国に報道する、そして日本の理解を深めてもらって国際親善に資するという国際放送の使命、役割り、意義、これはただいまお話しのようにまさに重大だと思います。したがって、歴代の大臣政府の交付金はすべて増額しますというようなことを御答弁してまいったかと思います。お話の金額につきましては間違っていないようでございますけれども、もっと以前の金額をとりますと、交付金は以前に比べますとずいぶんふえてまいっております。ふえてまいっておりますけれども、その当時はNHKの負担分と申しますか、支出分と申しますか、それもきわめて少ないのでございまして、したがって、政府の出します交付金の額は大体ずっとふえてまいっております傾向でございますけれども、――でこぼこが多少ございますよ。しかし、傾向としましてはだいぶふえてまいっております傾向でございますけれどもNHKの支出分がだんだんふえてまいっておりますから、そのNHKの支出分に対する政府の交付金というのは、パーセンテージは率直に申しましてだんだん下がってまいっておるようであります。一時はそのパーセンテージが一〇〇%のときもございます。これは昭和二十六年度でございますけれども、その後五二%、五六%というようなことで半分程度出しておった時期も何年か続いておりますけれども、最近は一四%から二二%に落ちて、昭和四十五年度が一二%、本年度は一一%というようなことで、本年度は成績が一番悪いわけでございまして、まことに恥ずかしく思うわけでございます。これはただいま御指摘のとおりだと思いますので、来年はひとつうんととって御期待に沿わなくちゃならないと思っておりますが、ただいま予算要求いたしておりますのは二億円でございます。一億四千万余ことし出しておりますが、来年度は二億円要求いたしておるのでございまして、これがはたしてどれだけ取り切るか、これは私どもの腕の見せどころだと思いますので、最善の努力をいたしたいと思っております。さよう御承知願いたいと思います。
  176. 栗山礼行

    ○栗山委員 もう概算要求の提出済みのことでございまして、何らかの技術的な方法があると思います。私は、いま大臣の御答弁を伺いまして、だんだんよくなるということでありますけれども、だんだん悪くなっておるという数字があらわれておるということは、これは一面観で、事実でございます。年次別に減額されておるという事実は――だんだんよくなった、それは国際放送の重要な様態に対応しての金額の問題であって、NHKが使っておる一つ総額から、そうして年次別に金額を減らしておられるというような、もう主客転倒といいますか、行政が先行いたしまして、政治不在、こういうような一つの郵政当局の姿勢だけは――藤木さん、あなたひとつぼくの言うことを聞いておいてもらわなくちゃいかぬ。あなたが、電波監理局長で非常に個人としてはエンジニアで、りっぱな人であるけれども、やはり行政が先行するというような、政治が無視されるというような状態を放置するということは私は許しません。私は、そういう点でえりを正してこれを聞いていただいて、善処を求めなくちゃならない。私はNHKに一点の野心もありません。これは筋を立ててまいらなくちゃならぬということであります。少なくとも、命令によってこれをやりたまえ、栗山礼行、ひとつ沖繩へ飛んでいけと、その負担は自己負担で交付金は幾らだと、こういうようなべらぼうなことはいまの社会通念としてはそれは通用いたしません。そうすると、どこか聴視料を払ったものを持ってきて、これを国の所要の放送に向かって利用しておる。私は、こういうようなゆがんだ態度というものは改めていかなくちゃならぬということが重点だ。金額をよけい出すということよりも適正料金は当然に払うべきだ、こういう考え方の原則を持って申し上げておるのでありますが、私の原則論についてひとつ廣瀬大臣が異存がおありかどうかということだけお伺いいたしたい。
  177. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 金額がずっと減っておるという重ねての御指摘でございましたけれども、それは必ずしも当たっておりません。具体的に申し上げてよろしゅうございますけれども、(栗山委員「いやよろしゅうございます。総括でよろしゅうございます。」と呼ぶ)原則論は賛成でございます。
  178. 栗山礼行

    ○栗山委員 前田会長に、ちょっとこんなことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、やはりこれはNHKさんのほうとしてもいろいろ交渉されておるんだと思うのですけれども、こういう事実をわれわれが知るに至ったという経過については、NHKと郵政省側とのそういう話し合いにおける姿勢の問題もあるんじゃないか、若干ひとつ大きなところで襟度を示していこうじゃないかと、こういうことになるのでありますが、あるいは別の角度からながめられるかもしれませんけれども、やはり筋だけは前田会長方式で、厳として立ててもらうという態度を私は切望いたしたいのであります。いろいろ御所見があろうかと思うのでありますけれども、もし私に答えていただくんなら、私の原則論にひとついかようの御見解をお持ちになるか。それから、過去のなには省側にあるのか。NHKも安直に過ごしてまいった、こういう形を謙虚にひとつ御検討を求めなくちゃならないのではないか。  もう一点申し上げます。私、いろいろ抽象論でありますけれども、公共放送NHKの状態は、今日まで非常に順風満帆に、皆さんの精力的な知能を結集されまして進んでまいった、こういうように理解をいたしております。現在がピークになるのか、来年がピークであるかということについては、私は学者でございませんし、コンピューターも持っておりませんから、よくわからないのでありますけれども、やがて近いうちに聴視料を中心とする公共放送の限界点に到着をいたすのではないか、こういう一面の杞憂をいたしておるわけであります。もちろんNHK自体の存立の重要性にかんがみて、そういう変化に対応し、将来の方向づけというような大局的な見地から、会長はいろいろ想を練っていらっしゃると思うのでありますが、そういうすべてをここで手品を明かしていただくということは困難でございますけれども、私のそういう客観的な一つの把握、それから将来のNHKあり方ということについての片りんを私はお伺いしたい。  二点を会長に御質問申し上げまして、私の質問を終わりたい、かように考えております。
  179. 前田義徳

    前田参考人 まず国際放送について申し上げますが、国際放送政府交付金が一億円をこえたのは昭和三十三年度予算においてと記憶いたしております。したがって、過去十三年間に、その意味では三千数百万円の間を往来していたということは、私の記憶ですから百万円か二百万円違うかもしれませんけれども、大体そういう記憶を持っております。この昭和三十三年度予算で一億円をこえたという点については、これは当時の会長に従って私自身が関係方面にお話を申し上げて、初めてその時期に一億円をこえたわけです。自来、そういう見地で見ますと、政府財政も逼迫しているのであるかもしれませんけれども、いわゆる命令と交付金との関係が何らの伸展を示していない、物価の騰勢から考えても示していないということは、大臣もおられますけれども私としては経験上そういう印象を持ちます。ただし、この昭和三十四年に、したがって放送法が改正されております。この改正部分には国際放送に関しても大きな転換を遂げております。と申しますのは、戦前からも国際放送政府命令による放送ということになっておりました。昭和二十五、六年に国際放送が復活した際にも、その精神は変わっておりませんでした。しかし、敗戦というものを通じて、ほんとうの日本人を知ってもらい、ほんとうの日本の文化を知ってもらうためには、私としては政府命令放送に甘んずべきでないという考え方を持っております。したがって、昭和三十四年の放送法改正にあたっては、私は、国際放送は命令放送ではなくて、NHKの本来業務であるという点を明らかにしていただきたいという意見を具申いたしております。その結果として、今日、この昭和三十四年の放送法改正によって、NHKは自主放送として国際放送を行なうというたてまえが厳然として明らかになったわけでございます。しかしながら、同時に関係方面におかれては、NHKの一種の歯どめとしては、やはり部分的な命令放送も必要ではないかという御意見もあり、その範囲における命令放送が今日のNHKの国際放送の命令放送部分であります。したがって、これが一億円であるか二億円であるかという判定は、私どものいわゆる商人的計算で、これだけかかるから少ないぞとか、そういうこととはかかわり合いないたてまえで――事実上はかかわります。なぜかならば、金を使うわけですから。しかし、精神の上では、そこまで割り切ってこの命令放送というものを処理していない、お互いにですね。政府関係者においても、またわれわれ自身においても、していない。ただ、昭和三十四年の放送法改正でNHKが国際放送を本来業務とするというにあたっては、衆参両院、特に参議院の逓信委員会において、その国外放送に対して国内聴視者の聴視料を使い得るかという点で問題がございました。この問題点を中和するために一部の政府命令放送という旧来のたてまえが残った理由の一つにもなっているかと私は解釈いたしております。したがって、今日のような状態で、特に十二、三年前よりももっと日本の実態を真に国際的に理解してもらうというたてまえでは、私としては現行放送法による国際放送の本質がやはり維持、延長されなければならないと考えております。したがって、私としては、この放送法改正以前にはいろいろな関係方面に増額をお願い申し上げましたが、今日私は積極的に増額をお願い申し上げるという気持ちは持っておりません。  ただ問題は、それではNHK聴視料の中から国際放送のために支出する金額が、一般に妥当と認められる限度は、一体幾らであるかという問題に私はむしろ心を痛めております。昭和三十四年の放送法改正と関連して、私の記憶によりますと、参議院の逓信委員会において、これが本来業務となった場合、ここ数年間のNHKの海外放送に要する費用はどの程度と考えるかという御質問をいただきました。当時私は、番組担当の専務理事として、大体年間六億ないし七億の間と計算されるというお答えを申し上げております。四十四年度におきましても、四十五年度におきましても、当年度におきましても、その比率は大体安定していると私は考えている次第でございます。したがいまして、私は郵政大臣の立場も現行放送法においてはかなり妥当な立場ではないか、それから国際放送を重要視される先生の御発言もまことに妥当だと思います。ただ、現行放送法、しかも三十四年に改定された国際放送NHKの本来業務という点からいきますと、私としてはできるだけ自主放送の方向に行くべきであるという考え方を持っている次第でございます。  NHKの将来の問題については、私はこれまでもそうでしたが、将来についてもきわめて楽観的でございます。もし、国民のすべてがNHKを必要とお考えくださるならば、私はNHK経営について将来心配することは何もないと考えております、きわめて概括的ですが。ただその間、NHKをいろいろな意味で鞭撻し、それからまたNHK考え方を発展させるために、多くの批判があることは当然だと考えております。言論機関としての公共企業体というようなものが自己満足で終始するならば、これは国民の機関としての存在の意義はないと思っております。そういう意味で、私はたとえば部分的に起こっている考え方の相違の上からくる不払いの問題であるとか、そういう問題については極力理解を願いたいという努力は続けますが、やがて御理解いただけるものという、私はわりあいに楽観的な考え方を持っております。そうしてNHKが真に国民の要望にこたえ、また国民の発展、それは単なる文化的な発展ばかりでなく、国際社会の一員としても有効な存在を位置づける基礎の一つとなり得るならば、私はNHKの将来について取り越し苦労する必要はない、このように考えており、同時に私どもは、この点を深く反省して、日夜やはり国民の要望と、国民のための放送局としての内容の充実と責務の完遂を期していくべきである、このように考えております。
  180. 栗山礼行

    ○栗山委員 以上をもって質問を終わります。
  181. 高橋清一郎

    高橋委員長 土橋一吉君。
  182. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は四十四年度決算の内容についてのいろいろな放送番組などについて御質問を申し上げたいと思いますが、その前に緊急に、昨三十日、閣議の終了後、廣瀬郵政大臣は記者会見で「「NHK東京と大阪で実施しているUHFテレビの実験局は、放送番組の編集責任を規定している放送法四十四条の対象外となっているので、実験局免許を取り消し、近く制定する放送試験局の免許に切り替える」と語った。」という記事が昨晩の夕刊に載っておるわけです。この問題は、電波法の規定によりまして実験局というのは法律事項でありますが、はたして日本放送協会が、どういう免許を取り上げられるようなことをしたのか、またこれに対する、先ほどからも論議されておるVHFを急遽UHFにかえて、そして日本放送協会及び放送業者に多大の損害を与えておる、また一般聴視者にも、先ほどからも論議されておりますような、はかり知れない経済的な負担、こういうものをかけておるのであって、これは電波法の規定七十一条によって、当然郵政大臣がその賠償の責任を負うべき重要な案件であります。  ところが、日本放送協会政府のかような波の変更に伴いまして、鋭意実験局としていろいろ放送をやっておるわけであります。ところが、どういう話し合いによってこういうことになったのか私よく存じませんが、電波法の五十二条、五十八条、その他の規定から見てまことに重大な問題を含んでおる。はたしてこういう言明を郵政大臣はやったのかどうか、やったとすればどういう意味を持ってこういうことを、法定事項であるにかかわらず、この免許を取り上げるというようなことをやったのか、こういう点について、簡単に、やったかやらないのか、あるいはどういうことを目的としてこういうことをやっているのか、お答えを願いたいと思うのであります。
  183. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 実験放送といえども免許によってやってもらっておるわけでございますから、これを取り上げるというようなことは考えていないのでありまして、放送試験に切りかえるという意味でございます。
  184. 土橋一吉

    ○土橋委員 ちょっと聞こえなかったのですが……。
  185. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 従来実験放送というようなことでやっておりましたけれども、いろいろ、そういうところではよろしくなかろう、実験放送ということになりますと、技術、科学というような点にのみ重点があるわけでございますから、放送大学のための準備の放送でございますから、放送試験ということに切りかえようということでございまして、電波の免許は継続いたしておるわけでございます。取り上げて、新しく波をやるという意味ではございません。
  186. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは、電波法の規定によりまして、実験放送ということは認められておるわけです。しかもNHKは、先ほどからいろいろ問題が出ておりますように、困難な諸問題をかかえながら実験放送をやっておるわけです。この新聞報道を読むとこういう内容にもとられるように思うわけです。「本放送中のVHFテレビの番組以外に、新番組を流している。しかし、これは放送法の適用外である実験局としては不適当であると判断したもの。」というように記者はこれを書いておるわけですが、はたしてそういう事実に該当しておるのかどうか。御承知のように、NHKが第四十四条の規定とか、あるいは中央放送番組審議会であるとか地方番組審議会などによって厳選をされた内容を放送しておるわけです。したがって、この内容がVHFを先にしようと、UHFはあとで同じ番組のものをしようと、これは日本放送協会が持っておる現在の移行過程においては当然にあり得ることであって、もしそれが不都合であるというならば話し合いによってまずVHFを先にやらしておいて、そして試験的に実験としてUHFをやってくれというふうに言って何ら差しつかえない問題を、なぜ免許を取り上げたか、どういう不都合があるのか。NHKはどういう悪いことをして免許を取り上げられなければならないのか。たとえば五十八条の規定によれば、暗語の電波を送った場合にこれは取り上げるようになっておるわけです。あるいは記載事項の申請以外の事項についてやった場合にはそれは免許を取り上げるということになっておるわけです。それ以外にないわけです。ですからNHKがどういう不都合なことをやったというので免許を取り上げるのか。免許の取り上げは一種の行政的な処分行為であります。この点を私は明確にしておかなければならないと思うわけですが、簡単に答えていただきたい。
  187. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 きょう午前中も論議が出たのでございますが、放送大学につきましてはだれにやらせるかということについてはまだ方針がきまっていないのでございまして、国立大学にやらせるという説もございますし、また別に特殊法人をつくってやらせるという説もございますし、またNHKにやらしてはどうかという説もあるわけでございます。  そこで、ただいま御指摘になっております問題は、VHFでもできるじゃないかというお話でございますけれども放送大学につきましてはUHFでやらしたい、将来はVHFはUHFに切りかえるという方針もあるわけでございますから、UHFによってやらしたいということで、UHFの放送実験をやっておったわけでございますけれども、実験ではいろいろ弊害もあるそうでございますから、放送試験ということに切りかえて、取り上げるのじゃなくて、切りかえて、そうしてやらせるということにいたしたわけでございまして、それには省令も出しまして、はっきりした法制的な根拠もつけてやらせるということにいたしたわけでございます。  なお、きのうの新聞云々ということでございますが、それはおそらく電波監理局長が一昨日記者会見いたしまして、そのときに詳しく説明いたしました。それによって報道されておるものだと思いますので、電波監理局長から技術的な面も詳しく説明させたいと思います。
  188. 土橋一吉

    ○土橋委員 この問題は、逓信委員会において一般質問のときによく御意見を聞くし、また日本放送協会が、このことによってどういうふうになっておるのかもお聞きしたいと思うのです。本日は四十四年度決算の問題を中心とする内容ですから、次の機会の一般質問で十分話を聞きたいと存じておりますので、これで打ち切らせていただきたいと思います。  さて、日本放送協会が四十四年度中に行なった放送の内容の中で、私は二点問題を提出してみたいと思うわけです。  第一点は、大阪の万国博覧会、あるいはまたアポロの月面探険とでも申しましょうか、こういうかつてない画期的な、科学的な宇宙探険、これらを放送しておる。また、総選挙において立候補者が政見発表するというようなこと、国会議員の選挙の問題については、特に憲法の前文の一番最初に書いておることでありますが、同時に、第七条の規定とか、四十三条の規定によってこの問題は非常に重視をしておる国家の形態であります。こういうことについてNHKがたいへん努力をされまして、特にこの政見放送では、画期的な一つ事象を残したというふうに私は考えております。そういう一定の前進について、私は評価すべきものがあるのじゃないかというふうに考えております。  だが、他の半面について二、三私は指摘をしなければならない。放送番組の取り上げ方、あるいは放送のしかた、あるいは当時の社会情勢から見て、どうしてもわれわれは納得できないというような放送もまた二、三あったように思うわけです。そういうものの中心的な問題について、NHKのどなたでもよろしいですから、質問に対する回答をしていただきたいと思うのであります。  国際反戦デーというのが御承知のように十月二十一日に毎年行なわれております。この国際反戦デーにおいて、日本の労働組合、あるいは民主的な諸団体、平和団体などが、大会やデモンストレーションをやっております。こういうようなことについて私は、適当なことであるし、また憲法で保障された表現の自由を行なうのでありますから、当然これは尊重しなければならない一つ放送内容であるというふうに理解しておるのです。  ところが最近は、御承知のように反日共系全学連と称する――最近はそういう名前ではいわれていないようですが、いわゆる暴力的な学生集団が非常に横行いたしております。これはもう最近の事象によっても御承知のように、たとえば中核派であるとか革マルであるとか、ブントであるとかいうような、多くの暴力的な学生集団が非常に横行いたしております。そして、これらがあたかも民主的な運動であるかのような装いをいたしまして、たとえば松本楼を焼くとか、あるいは渋谷方面において騒ぐとか、いろいろなことをやって、いわゆる暴動、あるいは暴行、あるいは殺傷というようなことを繰り返しておるわけです。  ところが、放送局の放送を見ますと、あたかもそれが反戦デーにおいて重要な労働組合、民主団体、平和団体がやっているものとまぎらわしく、それが反戦デーにおける一つの事実であるかのような放送が間々行なわれておるように私は思うわけです。具体的にそれを映されたものをここに持ってきてお見せすることはできませんので残念ですけれども、一部の文化人その他の中にも、新左翼運動であるとか、これが反戦デーにおける平和を求める諸君の姿であるかのような印象を間々与えるような放送が多く行なわれてきたわけです。私は、こういう間違った放送が依然として行なわれているということについて残念に思うと同時に、こういうことについては、一体中央番組審議会などではどういうふうにこの問題を取り上げておるのか、あるいは放送局としては、一体これをどういうふうに改めなければならないと考えておるのか。それとも、いままでやったような放送で、はっきり申し上げるならば、日本共産党のたぐいであるかのような、そういう意味合いを持って、日本共産党と何の縁もない、民主団体とは全く無縁のこの暴力的な学生集団をはびこらす、そういうことに手をかすような、そういう放送が間々あるように思っておるのですが、放送協会は、一体これに対してどういうふうな措置を講じて適正な放送をやろうと考えておられるのか、お聞きしたいと思います。これが第一点であります。
  189. 坂本朝一

    ○坂本参考人 報道につきましては、先ほども申し上げましたように、起こりました事実を正確に伝えるということをモットーにいたしておりますので、御指摘のようなふうに御解釈いただいたとすればはなはだ残念でございますが、私どもはどのパーティーに加担する、どのパーティーを特に抽出して伝えるというような意図はございませんので、なお御指摘のような点がありとすれば、やはり今後の問題として検討していかなければならないと思っております。  また中央番組審議会等におきましても、もちろんいろいろな御意見は寄せられておりますけれども、特にNHKの報道が片寄っているというふうな御指摘をいただいた事実はないように記憶しております。
  190. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは現物をここへ持ってきてお見せすることができませんから残念なことでありますが、いま申し上げまするように、どのパーティーであろうと、われわれ事実を報道するという陰に隠れまして、そういうことを一つの口実として、そして正当に、正しい政策、正しい民主主義、正しい平和を仕立てている、そういう団体のたとえば集会であるとか、あるいはそういう人のそれぞれの意見であるとか、あるいはそういう人人が主張しておるそういう内容であるとか、あるいはデモンストレーションとか、大会というようなものについては、どっちかというと、いわば特だねにならないというような気持ちもあってかどうか存じませんけれども、そういう暴力的な学生集団が、たとえば渋谷におるとか、あるいはどこの大学に立てこもってやっておるとか、あるいは松本楼に火をつけたとか、そういう諸君とたとえば機動隊がチャンバラをやるとか、そういうところだけ見せて、これが反戦デーにおけるいわゆる左翼と称する者の活動であるかのような印象を与える、ここに問題があるのであって、あなたはどのパーティーも同じように扱う、こういうふうにおっしゃっておるけれども、そのパーティーの暴力的な学生集団は、これはもう最近おそらく多くの方々がその本性を見破っておられるように、いままではこれを利用するそういう団体もございました。また、これを一つの理由として、いろいろな新左翼運動と称するような、そういう論文を書いた人もありました。しかし、今日これらの正体がどういうものであるかということは、ほとんどもうこれは治安当局ばかりでなくて、大多数の人は知っておる時代においても、依然としてこういうことが行なわれておったということであります。ですから、あなたがおっしゃるように、どのパーティーも同じようにしなければならぬというような説明ではこの内容を明確にすることはできない。ちょうど十二チャンネルで、過日、御承知のように爆弾のようなものをつくっておるところを、そういうものをやっても、やはりそれも一つのパーティーの一員だというようなことでは話にならないと思うのです。日本放送協会は、そういうものに対してどういう態度あるいはどういう姿勢を持ってこれを見ておるかという点を、はっきりと答えていただきたいと思うわけです。
  191. 坂本朝一

    ○坂本参考人 私の説明にいささか不十分な点がございまして、ただ、報道は事実を伝えるということではございますが、暴力を肯定するというようなことは、番組基準にのっとりましてもございませんので、そういう運動については明らかに間違っているという態度で臨んでおります。
  192. 土橋一吉

    ○土橋委員 それがはっきりすれば非常にけっこうでありますし、今後そういうものについてもいま申し上げるような態度から、やはり放送の内容に解説を加えるとか、あるいはこれが反戦デーにおける中心的な問題じゃない、これは暴力学生がこういうことを利用してやっているんだということをはっきりすべきだというふうに私は思うわけです。  続いて私は、過日アメリカの国防総省においていわゆるマクナマラ元長官が反省を込めて作成したといわれておる国防総省の秘密報告、その名前は「ベトナム戦争にかんする米国の決定の歴史」という題で、四十七巻、二百五十万字という膨大なものが御承知のようにニューヨーク・タイムズや、あるいはその他の新聞において報道されました。このことの内容については、もうおそらく郵政大臣前田会長もほぼ御存じだと思うのです。この事実は政府当局は、これは公式の文書でないというような一応説明をしておりますけれども、日本共産党が、あるいはこのベトナム民主共和国などが従来ずっと一貫して指摘した内容とほぼ合致をするような、アメリカの仕組まれたいわゆるベトナム戦争であったことは明瞭であります。  さてそこで、こういうことについて歴代の外務大臣とか、官房長官であるとか、あるいは内閣総理大臣の佐藤さんなどのこれに対する国会の答弁、あるいはその他の内容を見ますと、これは全くアメリカの報道機関や、アメリカの政府要路の諸君が説明したことをただ蒸し返しをやっておった。つまり虚構の上にこういう事実が実は行なわれておったということであります。これは世界周知の事実であるし、もう日本でも多くの新聞が取り上げました。ここにサンケイ新聞という、人によってはこの新聞は、全く日本の資本家階級の最もよくない面をあらわしている新聞、だという酷評をする方もございますが、このサンケイ新聞の夕刊に、わずかこれだけの紙面でその全体をきわめて要領よく示しておるこういう記事が出ております。これを見ましてもわれわれは、いま申し上げまするように、日本放送協会は、こういうような政府や、あるいは外務大臣や、あるいは関係諸君の発言をうのみにしまして、そうしてたとえば解放民族戦線の諸君に対してはベトコンであるとか、あるいは解放民族戦線ばかりじゃなくて、北が南に浸透しているんだ、これを守るんだという、こういう虚構の上にずっと日本放送協会放送しておったと思うのです。たとえば中華人民共和国にいたしましても、あれは中共だ中共だ。中共なんという国はありはしないのです。最近やっとこの問題が中華人民共和国というふうになった。また解放民族戦線につきましても、従来はベトコンだという、何か侮辱をするような意味を含めて、そうしてあれはベトコンなんだという、こういうようなまことに事実に反する報道を繰り返してまいりました。私はこの責任はまことに重大だと思うのであります。こういうことについて日本放送協会は前非を悔いて、解放民族戦線あるいはまたベトナム民主共和国の正当なる――要するに一国において交戦状態を続けておれば、この両者はともに対等に扱わなければならないのであります。これは国際法の原則です。一国において二つの政権が武力をもって抗争する場合には、この交戦団体を正当に見なければならぬという原則は国際的に当然であります。ところがNHKは、日本の佐藤政府、歴代自民党のそういう言動のままこれを報道しておったという事実がきわめて明らかであります。私は、聡明な前田会長は、このあやまちを再びおかさないという決心を持っておられると存じますけれども、たとえば今日の諸問題でもこういうことが多く見られるわけであります。でありますから、こういうことについて前田会長がこのあやまちを認められ、そうして交戦をやっておるそれぞれの戦闘団体に対しましても、双方の国において、その彼らが名のっておる名前どおりにやはり正しく放送する、特にアメリカのつくったいわゆるトンキン湾の爆撃であるし、アメリカの仕組んだベトナム侵略戦争だということは今日明瞭でありますので、日本放送協会は、そういう点についてもはっきりとさした態度で臨まれるのかどうか、依然としてベトコンであるとか、あるいは中共であるとか、北京とかいうような、そういう当該の戦闘団体や国家が呼称もしていないものを、かってに自分たちがつくり上げて放送するのであるか、こういう点をひとつ私は明確にお聞きしたいと思うのであります。
  193. 前田義徳

    前田参考人 私どものたてまえは、簡単に言いますと、言論の自由を守るためには、私どもは政治的には局外中立の立場をとらなければならないと思っております。したがって、私ども放送は、内外の諸問題に対してどの立場をも支援する立場で報道をしているわけではございません。この点についてややもすればNHKが、当世流行のことばで言えば体制側であるとか、いろいろな御批判を承るわけでありますが、われわれの基本的姿勢は、あらゆる思想をこえて、あらゆる派閥をこえて、日本全体のために、または国際社会全体のために、透徹した客観的報道を行なうということをたてまえとしているわけでございます。これらのたてまえに立って行なっている報道の中で、それぞれのお立場から、あるいはわれわれの用語等についてもいろいろな御批判が出ていることは、先刻から私ども承知いたしております。中共ということば、たとえばこれがアメリカ製であるというようには私どもは実は考えておりません。中華人民共和国の略語であって、その中と共を取ったものであるというように、これは新聞協会等においても新聞用語の研究委員会がありますし、NHKの中にも用語の委員会がございます。ただ、立場を異にする方からの印象では、おそらくそういう御理解を賜わることは困難かと思い、その困難なことばを使っていたという点については私どもも用語上の問題としてこれを反省すべきであるというように考えております。  それから、ベトコンという問題は、これは今次大戦が終わる前からベトミンとベトコンということばはインドシナに存在しておりました。したがって、ベトコンということばは、ベトミンに対することばであって、これはインドシナにおいても現地人も普通に使っていることばだと私は記憶いたしております。しかし、そのことばの使い方が特にそれぞれのお立場の方々に悪い印象を与えるということであれば、やはり公共放送としてはこれを考え直さなければならないということは当然だと思います。おそらくこの数年間、私どもはアメリカの新聞等あるいはヨーロッパの新聞等でもときどきそういうことばを使っているようですが、NHKでは、もうベトコンなどということばは使っていないというように私は記憶いたしております。そういう意味で、まことに世界が分裂していく中でできるだけ中正な立場をとりたい、そういう意味では、たとえば今日まで事実上の効果はあがっていないようですが、パリでアメリカその他の各派の話し合いが始まったときには、私自身まことにほっとした気持ちでございました。このことは、こういう環境の中でそれぞれの立場で御批判されてきた方々が、やがてNHKの立場も御理解願えるのではないかという一るの期待を持ったからでございます。先生のお立場での御批判は、私としても十分理解できます。私どもとしては、ただいままでも、いま申し上げたような態度を堅持してまいってきておりますが、今日以後においても、この態度を変えることはございません、ひとつよろしく御理解いただきたいと思います。
  194. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまの前田会長お話の中には、一点は私もまことによくわかりますが、他の一点においてはまだまだ私は釈然といたしません。それは、いま申し上げまするように、自由民主党佐藤内閣、その前の政府もそうでございましたが、常にそういう体制を国民に植えつけようとしてきゅうきゅうたる努力をしてまいりました。したがって、そういうあおりを食って、あなたのお気持はそうであっても、いま申し上げるような、そういう体制の中の放送をしなければ、いわゆるNHKの通常放送ではないかのような印象が、全国的にやはりあったというように私は考えております。でありまするから、今後はこのようなことがないように、やはりどこの国においても、二つの交戦団体が争っているという場合には、そこの実態を見きわめて、そうしてその実態を適正妥当に事実に基づいて報道する。一方をあしざまに言いながら、一方を持ち上げるということは慎まなければならない。いまのベトナム戦争でもはっきりしてまいりました。また、最近のアメリカの政策に対しましても、大体皆さんもわかってきたと思うのであります。でありますから、やはり事実に基づいて適正にその内容を報道する、つまり報道機関でもございますので、ただ、新聞放送局と違う点は、新聞は御承知のように自由に許可を得て自由に主張を述べるものであります。NHKの場合は、やはり放送法の第一条の「目的」を中心に、四条とか四十四条三項というきついワクが入っておるわけです。同時に営業内容については七条や九条においてきちっと明瞭になっておるわけであります。でありますから、そういう制約はあるけれども、いま申し上げる基本原則は変わってはならないという点は、私、強く主張したい点なんであります。  次に私は、これは参考までに前田会長、逓信委員会の皆さんに委員長も含めて、ぜひ聞いていただきたいと思います。  これは過日アメリカにおいて米国の高等裁判所の判決が出まして、ニクソン政権が、こういう秘密文書を公開することはけしからぬというので、その差しとめの申請をいたしました。そこでアメリカの高等裁判所は九名の判事をもってこれを審査いたしました。その九名のうち六名がこれは公開すべきである、裁判長を含めて三名は少数派になりまして、これは公開することになりまして、御承知のように引き続いてこれがニューヨーク・タイムズとかあるいはその他の新聞によって掲載されるようになったわけですが、そのときの裁判官の賛成派、つまりこれを報道さすべきであるという意見を述べた判事の、二人の判事の意見を非常に参考にしてみるべきだというふうに私は思っているわけです。これは報道という事実から見ても当然だというふうに私は考えております。  それは一つは多数派のダグラス判事でございます。ダグラス判事は、憲法修正第一条を中心にいろいろ論議いたしておりますが、ここでこういうことを言っています。「政府の秘密性は本質的に反民主的であり、官僚のあやまちを永続させるものである。公共的問題の公開された討論は、米国の国家の健全性にとって絶対に必要である。」こういう一つの発言をいたしております。  また、続いて同じブラック判事は、いろいろなことをずっと申しておりまして、憲法修正第一条を中心にいろいろ論議をいたしておりますが、ここでこういうことを言っています。「新聞はおさめられるものに奉仕するものであり、おさめるもののために尽すものではなかった。」こういう一つのことばを述べております。  また同じくブラック判事は、「新聞が保護されたのも、政府の秘密をはだかにし、国民に伝えることができるからである。自由な新聞の最も大きい責任は、政府が国民をあざむき、外国の病いに倒れ、外国の弾丸に死ねと国民をはるかなる外地に送りこむことを防ぐ義務である。」こういうふうに言っておるわけです。  この両判事の内容というのは、やはり報道関係という観点から見ても、きわめて重要に考えなければならない一つの意見であるというふうに私は考えておりますが、前田会長はこういう意見についてどういうふうにお考えでしょうか。
  195. 前田義徳

    前田参考人 私もこのアメリカの事件については報道で一応承知いたしております。ただ私は、判事の立場もさることながら、ニューヨーク・タイムズないしワシントン・ポストの態度を高く評価しているものでございます。それはこの二社は、この事件が発生した当時、二つの原則を打ち出しました。その一つは言論の自由を守るためにあくまで法律的に争うというのが第一点であります。第二点は、結論としては裁判を通じて法律の判断に従うということを同時に明らかにいたしております。私は、民主主義国家の言論機関として、まことにみごとな態度であるというように感じとったわけでございます。
  196. 土橋一吉

    ○土橋委員 大体前田会長の基本的な理念と申しましょうか、民主主義に対する信念と申しましょうか、こういう点が一応聞けまして、私も非常に喜んでおります。ありがとうございました。  さて、NHKの四十四年度放送内容について、もう一つ苦情を申し上げなければならない問題があると思います。これはあなたのほうで発行されておる、何と申しましょうか、いわゆるNHKの年鑑というのであります。この年鑑を拝見しておりますと、これは一七七ページでございますが、その他の個所にもいろいろ問題がございますが、ここでこういう放送をあなたのほうでおやりになっておるようです。「総理と語る」という題、総合第一(C)として午後七時三十分から八時三十分。これは十六回、十七回、十八回、十九回と連続的におやりになっておるわけです。この内容を見ると、「現代における教育とは」という題、佐藤榮作総理大臣と日向さん、福田さんの対談が載っております。十七回は「転換期におもう」という題、佐藤榮作さんと東畑精一さん、評論家の江藤淳さん。十八回は「戦後からの脱却」という題で、やはり佐藤榮作さんと木川田一隆さんに高坂正堯さん。十九回は「繁栄と責任」という題で、佐藤榮作さんと石田礼助さん、坂本二郎さんの番組が載っておるわけです。私はこの番組を編成されるにあたって、当時四十四年のこの状況から見まして、総理大臣と、俗にいうこういう資本家の代表といわれ、あるいは御用学者といわれ、あるいは御用的な評論家といわれる諸君の対談をずっと四回も続けておやりになっておるというのは、一体どういうわけか。佐藤総理とたとえば農民の代表、主婦の代表、あるいは労働者の代表、市民の代表ときわめて平易なことばでお互いに話すというならば、私はこの題目にふさわしい放送内容であったと思うわけです。ところが、題目を見て、当時の重大な問題について全部あげておるわけです。これは中央教育審議会の答申の最中の問題です。ここで佐藤総理大臣と福田さんや、あるいは日向さんなんかあげてやるということは、御用放送じゃないか。佐藤榮作さんを次の選挙においていわば持ち上げるといおうか、俗なことばでいえば。そういうきわめて政治的な意図を持って、いわゆる御用評論家といわれる諸君や、あるいは御用的なそういう官僚とか、そういう諸君と対談をさせておるというのは、一体どういうわけか。これは私は言いたくはないのですが、NHKはいまも会長が申されましたように、ある人は体制内の放送であるとか、あるいは御用放送であるとか、こういうことを多くの方が言う一つのゆえんは、こういうところにあるのじゃなかろうかというふうにも推定をいたしております。でありますから、こういう当時の重要な時期、時期における問題については、総理とおやりになってけっこうです。しかし、やはり一般の大衆なりむしろ反体制側に立っておる人とお互いに話をする。片方のこの人たちは、石田礼助さんにしても、三井の番頭さんですよ。しかも、国有鉄道の総裁をして、そしてカーといえばツーのような資本家の代表なんです。それと総理大臣と話をさせて、「繁栄と責任」の問題を論じさせて、一体どういう効果があるのか。「繁栄と責任」という問題で石田礼助さんのような人と総理大臣と坂本二郎君なんかと対談をさせて、一体何を効果としてねらっていたのか、きわめて明瞭でないかと思うのです。たとえば、内閣総理大臣昭和四十四年度においてアメリカに参りましたね。このときにもNHKは四十五分間も内閣総理大臣の要するにプライベートな、飛行機に乗っていくところから、ホワイトハウスに行くところまでみな放送している。こんなのはニュースでけっこうじゃないですか。佐藤さんが行くという重大な使命については、当時いろいろ問題があったわけです。それを四十五分間も放送して、まるで佐藤さんのちょうちんといいましょうか、言いたくはないのですが、そういうことすらもうかがわせるような放送番組を、なぜ行なっているのか。それは私は、日本放送協会としてはいままでのあなたのお話の内容から承ると、かなり異例なものではないかと思うがどうか。私はこういう放送があってはならないという観点に立っての立論であります。でありますので、総裁及び番組の責任者の方は一体どういう意図でこういうことをおやりになったのか。ちょっと所見を聞きたいと思うのであります。
  197. 前田義徳

    前田参考人 「総理と語る」という番組は、佐藤内閣に始まったものではございません。これは池田内閣のときから始まりまして、NHKだけがやっているものではございません。民放と交互に持ち回りでやっております。先ほど来申し上げましたように、私どもの立場は第三の地点にあるわけでありまして、それぞれの立場の方とはまた異なる地点に立っている。したがって、私どもとしては、それが池田さんであろうと、佐藤さんであろうと、国民の生活に直接影響を与える問題については、これはできるだけ放送を通じて国民に知らせ、国民の批判を求めるべきものであるという考え方に立つわけでございます。そのお相手となった方について、それぞれの御感想ないしそれぞれの御批評があることは当然だと思っております。したがいまして、その点についても最大公約数に立って人選するということをたてまえといたしております。たとえば、必要に応じては農林大臣、いわゆる所管大臣と農民との話し合いという番組もございます。その他厚生大臣とその他の人との話し合い、必要に応じて、総理大臣ばかりでなく、各所管大臣と大衆との話し合いという番組もございます。したがいまして、これはよかれあしかれ国の政治の、あるいは行政の最高機関として、時の総理大臣が何を考え、何をやろうとしているか、これを語っていただいて、国民はこれに対してどういう感想を寄せるか、したがって、あの番組は同時に世論調査をやるたてまえのもとに、それからまた、あの番組の中でも文字で出しておりますが、この番組についての御感想を寄せてくださいということまでつけ加えてあります。したがいまして、私どもといたしましては、ことに私ども先ほど来申し上げた所信に立って私どもはこの番組を編成しているわけで、しかも、NHK独特の番組ではなく、民放と交代してやっている番組であり、民放の場合と異なって、私どもは同時にその結果について世論を調査し、結果に先立って感想を求めているという番組でございます。この点ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  198. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、この題材が悪いとか、佐藤さんだけしゃべっちゃ悪いとか、そういうことを言っているわけじゃないわけです。この題材のもとに佐藤総理が出られて、そうしてまた佐藤総理の意中の人、これは番組編成委員会の人が指名したのではなくて、おそらく佐藤さんが指名して、こういう人と一緒にやりたいということであったように私は聞いておるわけです。この点はさておきましても、ここへ出ている方々は、自由民主党のたいへん支持されている、たいへんじっこんの方々が多いわけです。特に先ほどもちょっと申し述べましたのですが、「戦後からの脱却」ということについては、これは沖繩問題をめぐりましても、あるいは最近の高度経済成長政策に対しましても、いろいろ国民が考えておるわけです。ここで東京電力の社長で経済同友会の最高責任者の一人である木川田さんと総理大臣が、「戦後からの脱却」というこの問題について論議をしていく場合には、どのような結論を出すかということは、もうこの顔ぶれを見れば大体話のつくような題名と顔ぶれであるわけです。あとの場合もそうです。「繁栄と責任」、佐藤さんと石田礼助さんの、これを見れば大体――かねがねの石田さんのお説なんか新聞で拝聴している者は、どういう結論を出そうとしてこのメンバーが組まれているか、一番最初の問題もそうです。「現代における教育とは」という題、総理大臣と福田さんが出ておられるわけです。私は、そういうことについて反省をすべきではないかということを言っているのであって、これが他の民放連の諸君もやっておられるからうちも軒並みでやるのだ、こういうことでは説明にならないと思うのであります。やはりNHKが、当初申し上げますように、放送法の第一条の「目的」を中心に、とりわけ四十四条三項の規定ではきついワクが入っているわけです。しかも、報道する内容は、国民全体には、当時総選挙を控えまして大きな関心事になっておる、国民全体が注視をしておる中でこういうふうな番組の組み方、こういう人の編成で番組をやらせるということは、やはり大きな問題であります。  この問題については、たとえばことしのあの参議院選挙の最中でございます六月の十七日の日に、御承知のように沖繩返還協定が結ばれた。あと十日で参議院の投票日を迎えるというときに、これを国際的な放送をやって、そして結局佐藤内閣の参議院選挙に政治的にも結果的にも大きな成功をおさめさせるようなことをNHKがやったわけです。これについても私は本委員会において発言をしたわけですけれども、これはそこだけ見ればなるほどもっともらしいけれども、結果的には、もう十日で参議院選挙の投票をするというときにあの問題を打ち上げるようなことについては、聡明な前田会長としてはそんなことがわからないはずはない、もう大選挙をやっておるわけですから。そこへもってきてあれを国際放送をやるということは、郵政大臣もそうです、電波監理をする責任上、そのとき幾ら自分が国務大臣になっていないからといっても、これはおかしいじゃないか。結局、参議院選挙のお手伝いをするようなことになるということがわからないはずはないと私は思うのであります。でありますから、これもやはりそういう問題をかかえてのいわゆる番組編成でございますので、私が申し上げたい点は、こういう内容について語るならば、むしろ佐藤さんについて意見を持っておる人にいろいろな意見を出させたらよろしい。あるいは農民とか、あるいは漁民とか、労働者とか、あるいは主婦であるとか、勤労婦人であるとか、幾らもいるじゃないですか。こういう点について、私はあなたの御意見はさることながら、やはり反省すべきものがあるんじゃないか。これは逓信委員会であります。私個人で述べておるのじゃありません。逓信行政については最高の責任を持たなければならないこの委員会において、私はこれを指摘しておるのであります。でありまするから、どうか日本放送協会もその点を十分認められまして、今後こういうことをおやりになることも多いと思いますので、われわれが見ても全く同感しかねるような方と対談させるということはやめていただいて、もっと民主的に述べるべき意見は十分述べさせる。また、首相もお答えになったらよろしいのであって、そういうことが必要ではないかということを私は主張するのであります。でありますから、どうか先ほど申し上げましたように、皆さんの四十四年度における放送内容については、アポロの問題、あるいはまた万国博とか、あるいは政見発表をテレビでやるというようなことは、私は画期的なことであったと思うのです。しかし、またこういう反面を持っておるということを指摘せざるを得ないのであります。  最後に、私が申し上げておるその主張の意味、その内容をおわかりいただいたかどうか、将来実行するかは別として、私が言おうとしておることについての趣旨は理解されたかどうかを最後にお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思うのですが、会長から最後に私の申し上げておることについて趣旨を説明をしていただきたいと思います。
  199. 前田義徳

    前田参考人 「総理と語る」というものの歴史は、簡単に申し上げますと、岸さんの時代から始まったのですが、岸さんは一方的にお一人でお話しになることがお好きでした。これではやはり調子が悪いと思いました。したがって、池田さんからは相手をつくる、こういう方向できているわけです。そして、その目的は、そのお話に対して国民全体がどう感じているか、したがって、同時に世論調査もやるわけです。それからまた御意見も承るという、二つの方法の対象としての番組でした。しかし、土橋先生の御意見も、土橋先生のお立場からの一つ考え方かと思います。これらにつきましても将来、その御自身の考え方についても私どもは自主的に検討させていただきたい、このように考えます。
  200. 土橋一吉

    ○土橋委員 終わります。
  201. 高橋清一郎

    高橋委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  202. 高橋清一郎

    高橋委員長 これより討論に入るのでありますが、申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  日本放送協会昭和四十四年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について、異議なきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  203. 高橋清一郎

    高橋委員長 起立総員。よって、本件は異議なきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 高橋清一郎

    高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  205. 高橋清一郎

    高橋委員長 この際、前田日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。前田会長
  206. 前田義徳

    前田参考人 当協会の四十四年度決算に関しまして、本日を第二日目として非常に御熱心な御検討をいただき、また貴重な御意見を拝聴しながら、結論として全会一致御承認いただきましたことはまことにありがたいと深くお礼申し上げます。  私どもは、この審議を通じて承りましたお考え方、あるいは議論の焦点等を、今後慎重にわれわれの経営の中に取り入れてまいりたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。      ――――◇―――――
  207. 高橋清一郎

    高橋委員長 この際、先刻の理事会において協議決定いたしました連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。  沖繩及び北方問題に関する特別委員会において審査中の各案件について、沖繩及び北方問題に関する特別委員会に連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 高橋清一郎

    高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、開会日時等につきましては沖繩及び北方問題に関する特別委員長と協議の上決定されることと存じますので、御了承願います。      ――――◇―――――
  209. 高橋清一郎

    高橋委員長 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  逓信行政に関する件について調査のため、日本放送協会及び国際電信電話株式会社から参考人の出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 高橋清一郎

    高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人の人選、日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 高橋清一郎

    高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次回は明二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会