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1971-11-12 第67回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月十二日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君    理事 塩川正十郎君 理事 中村 弘海君    理事 豊  永光君 理事 山本弥之助君    理事 小濱 新次君 理事 吉田 之久君       國場 幸昌君    高鳥  修君       永山 忠則君    下平 正一君       山口 鶴男君    桑名 義治君       門司  亮君  出席政府委員         警察庁長官   後藤田正晴君         警察庁交通局長 片岡  誠君         経済企画政務次         官       木部 佳昭君         大蔵省主計局次         長       平井 廸郎君         運輸政務次官  佐藤 孝行君         自治政務次官  小山 省二君         自治大臣官房参         事官      立田 清士君         自治大臣官房参         事官      森岡  敞君         自治省行政局公         務員部長    林  忠雄君         自治省財政局長 鎌田 要人君        自治省税務局長 佐々木喜久治君         消防庁長官   降矢 敬義君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部外勤課長  朝比奈仙三君         大蔵省主税局税         制第二課長   渡辺 喜一君         大蔵省主税局税         制第三課長   福田 幸弘君         運輸大臣官房政         策計画官    富田 長治君         建設省道路局企         画課長     井上  孝君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 十一月十二日  辞任         補欠選任   青柳 盛雄君     林  百郎君     ————————————— 十一月十一日  自動車税納税義務者に関する請願(谷川和穗  君紹介)(第一二四四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十六年度分の地方交付税特例等に関す  る法律案内閣提出第一七号)  消防に関する件      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  昭和四十六年度分の地方交付税特例等に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 きょうは大蔵省関係に主として聞きたいのですが、大蔵省関係でいま見えている人はだれですか。私が要求しておった人がおいでになっていないようですが……。
  4. 渡辺喜一

    渡辺説明員 主税局税制第二課長です。
  5. 門司亮

    門司委員 局長さんは来ないのですか。
  6. 渡辺喜一

    渡辺説明員 局長大蔵委員会のほうへ……。
  7. 門司亮

    門司委員 それではちょっとどうかとも思うけれども、いまこの委員会で、地方に最も大きな影響のある今年度交付税の問題を、政府提案に基づいて審議していることは御承知のとおりです。これの処置は一応行なわれておりますが、将来の問題について二、三気にかかることがあるので聞きたいと思います。  同時に、いま自治省から出ておる案の内容というのは、要するに、来年度税収落ち込み分を、主として起債と、それから地方自治体の節約というようなことで一応まかなおうとしておる。しかし、これは一時的なものであって、毎年百三十億余り地方自治体に節約せよという指令は出せないと思う。いわゆる、緊急の場合の一応の処置として自治省が出しておるということはよくわかるのであります。ところが、こういう問題であるから、したがって、将来への見通しというのが一体どうなるかというと、自治省は、来年度赤字総額は大体一兆円ぐらいだろうと言っておる。その財源は一体どこから持ってくるかということになると、どこにもありはしない。結局、起債にまつ以外にない。こういう問題が一つ出てくる。  そこで、起債をするにしても、起債のしかたなんだけれども、来年度の一兆円を、何とか大部分は起債によって片づけなければならぬが、いまの日本起債状態というのを見てみると、政府資金割合というのが非常に少ないですね。これは大蔵省に特に聞いておいてもらいたいが、昭和二十八年の地方財政の、ほんとうのピンチ状態にあったときの地方自治体起債政府資金、いわゆる資金運用部資金と称されておる郵便貯金なり、簡保のお金というのが、総額の五四・七%らいである。約五五%ぐらいが地方起債に振り向けられておる。いわゆる長期で低利なお金地方自治体に貸し付けようということでこれをやっておる。ところが、そのウエートがだんだん減ってきて、四十六年度を見てごらんなさい。そうした政府の手持ちのお金が三兆六千億ある。それで、地方自治体に貸し出したのは六千四百億でしょう。一八%なんです。年々こういう形で来ている。その他のものは一体どこで埋めているかというと、地方自治体はみんな、期限の短い、利息の高いお金でずっと埋め合わせてきている。それが今日の地方財政赤字を生む一つの大きな原因になっていることはいなめない事実だ。こういう問題に対して、大蔵省は一体どう考えているかということです。これをここではっきりひとつ答弁をしておいてもらいたいから、私は主税局長に来てくれと言っておいた。その割合をどうするか。二十八年と同じように戻してくれれば、大体来年は一兆円の赤字といっても、政府責任をもって、とにかく政府資金で何とかまかなえるということになれば、結局利息も一番安いし、償還年限もわりあいに長く、地方債よりは三倍くらい長くなる。地方債は何といったって五年か七年のものであって、そんなに十五年、二十年というわけにはいかぬ。こういう地方財政全体のワクをずっと考えてくると、ここでひとつ来年度地方財政をどうするかということについては、交付税落ち込みはもうわかったことだし、それから税収が減るということもわかったことだし、そうすると、残りのものは、さっきからくどく言っているように借金以外にない。その借金のしかたが、将来の地方財政に非常に大きく影響してくるということである。こういう点に対する大蔵省考え方を、この際はっきり聞いておきたいと思うのです。
  8. 渡辺喜一

    渡辺説明員 先生のおっしゃること、私個人としてはまことにもっともと考えるわけでございますが、どうも私の所管外のことでございまして、この席で大蔵省考え方を述べるというわけにはまいりませんものでございますから、よろしく御了承を願いたいと思います。
  9. 門司亮

    門司委員 局長もだれも出てこない。大蔵省がだれも出てこないということになれば、これ以上論議したってしようがありません。だから、自治省次官なり委員長にひとつこの点は十分聞いておいていただきたいと思うし、それから、同時に、自治省からの答弁を求めておきたいと思いますが、いま申し上げましたような地方財政の非常に大きな逼迫、ちょうど昭和二十八年と同じような形が出てきておる。ところが、昭和二十八年と形の違うのはどこが違うかというと、来年度地方財政落ち込みというのは——昭和二十八年のときには、おしなべて大体地方財政がいけなかったという形が出ております。ところが、今度の場合は、必ずしもそういっておらないところに一つの大きな問題が残されておると私は思う。それは、御承知のように、アメリカドル防衛からくる産業別地方自治体に及ぼす影響というのはきわめて大きいのであって、たとえば繊維産業が、いま政府が言っている十万台の織機を買い上げるということになれば、一体十万台はどこをどう買い上げるか私にわからぬが、とにかく買い上げるということになれば、それだけ産業が縮小されるということである。そうすると、そこに働いている労働者はむろん首になるでしょうし、地方財政に及ぼす影響というのは、法人事業税というようなものはほとんど望み得ないということになってくる。しかも、これらの産業は、いずれも地場産業として発展した日本産業であります。大きな紡績会社ができたというのも一つのポイントではありますが、しかし、日本繊維産業は、大体が地場産業として伸びているということは隠せない事実である。したがって、いまでも同じような経路をたどっておる。そうなりますと、たとえば一つの市、一つの県というような形にすれば、具体的に言うならば、栃木県なら栃木県に一つの織物の産業があることは事実であって、いずれも地場産業から発展をいたしておりますから、非常に小さい。あるいは福井においても同じことであり、愛知においても同じことである。どこに行っても農業と関係した一つ産業であって、いわゆる綿と絹糸という、糸に関係した産業であっただけに、非常に地場産業として伸びてきている。この地場産業として伸びてきている形の中で、そういう中小の業者が破産し、やめなければならぬということになりますと、全体的に一兆円のワクというものはあるかもしれないけれども、詳細に一つ一つ調べてみると、きわめて深刻なものが出てくるわけであります。ほとんど町ぐるみ全滅しやしないかというのが出てくるわけであります。これは何も繊維産業だけでなくて、たとえば新潟の燕市は、市全部がどうにもならない。市役所もどうにもならない。これは至るところにそういうのがある。あるいはおもちゃの産業であるとか、あるいは——大きな造船産業についてはそう大騒ぎはしていないようですけれども、これも一つ産業、たとえば兵庫県の相生のようなところはIHIの会社でほとんどもっておる。人口四十五万の中で、大体八割くらいはこの会社に関係しておると言ってもちっとも差しつかえない。したがって、その造船がどうにかなるということになると、町全体がだめになってしまう。これは二十八年来のわが国の地方行政恐慌状態とは違った形の、非常に混乱した形の地方財政の様相を呈してくるということです。  そういう特性を持っておることが考えられるときに、さっき申し上げましたように、国の財政援助というのはきわめて冷淡であって、そういうように三兆六千億もあるというのに、わずか一八%くらいしか貸し出していない。しかも、この資金のほとんど全部と言っていいほど地方住民貯蓄なんです。税金ではないのです。地方住民がみずからの生活を節約して、自分たちの将来の生活に備えるために貯蓄をした、その金が全部国に吸い上げられてしまって、地方自治体には使われていないという理論的な不都合さを、大きな声で責めようとは思わない。しかし、問題は、自治体についての考え方をそこに及ぼさないと、私は、来年のピンチは切り抜けられないと思う。そこで、その問題に対する自治省考え方と、それからもう一つは、そういう次元でありますから、交付税でこれをまかなっていこうとする場合に出てくるものはどういうことかというと、財政需要と収入とが非常に大きなアンバランスを来たすということが事実である。したがって、いままでの交付税配分方式でよろしいかどうかということになると、私は問題が出てきやしないかと思う。これは市町村、県も同じことであります。こういうことについて自治省意見があるなら、この際自治省意見を聞いておきたい。
  10. 鎌田要人

    鎌田政府委員 来年の財政見通し、あるいはそれに対します財源手当てをどうするかという点につきましては、ただいま御指摘のようなことが最も焦点になってくるだろうというふうに存じます。ある程度起債に対するウエートというものは高くなってくる。その場合に、現在でも、御指摘のとおり政府資金充当というものが少ないではないかということで、毎年その充当率を上げるという努力を私どもしてきておるわけでございますし、今度の暮れ、当面の財源対策におきましても、二千五百億余り地方債需要の中で、千六百億の政府資金充当するということで努力をいたしましたのも、やはり、比較的弱小団体公債費の負担がかからないようにということで努力をしたつもりであります。明年度かなりウエート地方債にかかるということになりますと、当然、政府資金割合というものを大きくしてまいらなければならない。あるいは、それができないという場合でございますれば、それに対応する別途の財源措置というものを講じなければ、地方債の消化それ自身に難渋をするのであろうということでございまして、その点は、御指摘の線に従いまして明年度財政対策を講じたいというふうに考えております。  それから、第二の交付税配分方式というものについても根本的な検討を加えるべきではないかという御指摘でございますが、来年度交付税総額の確保をいかなる方法によってはかるかということが、おそらく来年度財政対策の最焦点になるだろうと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、伸びは、いままでのようにはそう期待できないということになりますと、明年度交付税配分につきまして、かつて、昭和四十一年におきまして、交付税伸びが少なくて、特別事業債を出したわけでございますが、そのときには投資的経費にかかるところのいわゆる事業費補正というものをやめまして、起債のほうへ全部振り向けていった、こういう形の操作をしたことがございますが、そういった過去の経験等を織り込みまして、交付税配分についても一くふうをしなければならないというふうに考えておりまして、目下検討中でございます。
  11. 門司亮

    門司委員 私は、当然そういうことになると思います。そこで、さっきから申し上げておりますように、従来の財政需要という形の上の配分はもうできなくなる。それをカバーしようとすれば、この際大蔵省に腹をきめてもらわなければならぬのは、交付税率の三二%を、四〇%なり、あるいは四五%に上げる以外にない。そうしなければ、来年度地方財政計画の中で、いままでのような交付税にたよった財源配分はとてもできなくなるのじゃないかというようなことが考えられる。したがって、所得税は減税をするという、国としては非常にていさいのいい処遇なんだけれども、そこからくる地方財政に及ぼす影響というものはきわめて大きいのであって、これはやはり政府責任大蔵省責任でひとつ埋めてもらいたい。これは何も地方自治体のみずからの招いた財源不足じゃないのであって、政府施策による。しかも、繊維協定なんというものは政府がかってにやったことで——かってにやったと言うと政府はおこるかもしれないけれども、大体業界の意見も何もろくに聞かないで政府間協定ということでこういうことがきめられておる。とするならば、そこからくる財源不足額というものは、政府責任をもって補てんすべきだ、私はそういうふうに考えたほうが理論的には正しいと思う。ところが、三二%では十分に満たすことのできないことも数字上明らかである。だとするならば、交付率の三二%をふやす以外に私は手はないと思う。こういうことを一体大蔵省は考えておるかどうか。それをいまのところ聞いたって、答弁ができなければ言うだけで言いっぱなしですが、事実上、実態としてはそういうことがこの際考えられる状態であって、一方においては、起債の問題をどう解決するか、どう始末するかということだが、一方においては、交付税をふやす以外に今日の地方財政ピンチを切り抜けるわけにはいかぬのじゃないか。しかも、その半分というか、ほとんど全部は政府責任であって、地方自治体がこれを背負う筋合いは毛頭ないのである。その反面に、いままで論議し尽くされておりますので、私からは申し上げないが、何か景気刺激のために公共事業を興すなんという妙なことを言われておるのでありますが、景気が不景気であろうとなかろうと、人間の生活環境を整備するのはあたりまえのことであって、不景気だからそっちへ出して少しやってあげようというのは、政府は何を考えておるのかちっともわけがわからぬ。そういうことを口実にして仕事を出す。国のほうは、公債をするのに何もたいして困難はないのですからね。露骨に言えば、ことしは日銀が引き受けないなんて言っているようですが、これを日銀引き受けにでもしてごらんなさい。政府は痛くもかゆくもない。そういう形で、政府のほうは財源措置は幾らもつく。しかし、地方自治体が、政府施策に基づいて非常に困らなければならぬ事態は来年だけではないと私は思う。これからずっと二十八年度と同じような状態が起きると思うのです。来年度地方財政計画は、ここで腹を据えて政府がやってくれないと非常な問題を残しはしないかということです。いまそういうことを答弁ができなければ、言いっぱなしでいいと私は思いますが、何か、理財局のほうが見えるそうでありますけれども、私の受け持ちの時間もそう長くありませんので、もう一つだけ、これは直接大蔵省意見を特に聞きたかったのでありますが、自治省側意見を聞いておきたいと思います。  それは、先ほど大蔵大臣が発表いたしましたものの中で、税制調査会の答申に基づいて、できるだけ直接税を少なくして間接税に移行するという方向を、はっきり出したわけではありませんが、大体出しているようです。それにこたえて大蔵大臣は、付加価値税検討しておるという発表を、いつからやるとははっきり言っておりませんが、なされております。ここにまた地方財政としては一つの大きな問題が生じてくるわけであります。本来、付加価値税とはどういうものだということをここで議論することもいかがかと思いますけれども、御承知のように、付加価値税というのは、昭和二十五年に日本にできた税法であります。ところが、講和条約が発効すると同時に、こんなばかばかしい税金はやめておこうということで、結局、アメリカさんの圧力でできた税金でありましたから、おもしがなくなったから、日本政府というか、国会の自主性で、こんなものはやめてしまえということから廃止になり、一ぺんも実行はしなかった。そのときにちょうど、この取り扱いが、当時、いまの地方行政委員会にかけられておりましたので、私はとことんまでこれは審議をして、一番最後にはマッカーサーのところまで直訴するというような事態まで起こして、この税金はあまりおもしろくない税金だからやめてくれということを話した記憶がございますけれども、この税金は実にやっかいな税金であって、どんなものが出てくるかわかりませんが、これには幾つかの種類がありますので、直ちにこの前のようなものが出てくるとは考えませんけれども幾つかの問題があろうと思います。  それにしても、直接税が減っていって間接税がふえてくるということになってまいりますと、当然交付税額は減るということになる。そうすると、この付加価値税地方財政にどういうふうに影響してくるかということが一つの大きな課題になる。したがって、自治省としては、こういう税金政府の構想について、賛成であるか、反対であるか、この際ひとつはっきり言っておいてもらいたいのです。
  12. 小山省二

    小山政府委員 大蔵当局のほうから本来申し上げるような事項のように私も考えておりますが、自治省側としての考え方についてお答えを申し上げたいと思います。  付加価値税につきましては、税制調査会においていろいろと検討され、研究をされておるようでございますが、まだ、私どものほうに、これに対して正式の問い合わせがあったわけでもございません。したがいまして、調査会における検討等を勘案いたしまして、私どものほうでも内部的に多少の検討はいたしておりますが、今日の段階において、これを公式にどうこうというところまでまだ進行しておらないような状況でございます。
  13. 門司亮

    門司委員 大体これで約束の時間になろうかと思いますが、もう一つだけ突っ込んで聞いておきたいと思いますことは、いま申し上げましたように、交付税税率が現状のままでは、来年度地方財政のそうした特殊の落ち込みがあるということであって、これを特交でまかなうというわけに私はなかなかいかないと思う。そういう筋合いのものではなかなかないのではないかと私には考えられる。そうして、これはあげて政府責任である。将来こういう形はずっと続いていく。同時に、さっきから申し上げておりますように、直接税を安くしていこうという大蔵省のお考えだとすると、この際、どうしても税率を上げるということ以外にないのではないか。付加価値税をそれでは全部地方にまかせるというなら、これはまた一つ考え方でありますが、しかし、この税金はまかせられたところで、これをやろうとすれば、結局、いまの事業税のようなものがどうなるかということであって、税制のからみ合わせが私は当然出てくると思うのです。そこで議論がかなり行なわれようと思います。私ども悪い税金であるということだけはわかっておりますけれども、こういう日本のような風土のところにこういう税金を持ってきたのではたいへんなことになると私は考えておりますけれども、これ以上ここで議論はいたしません。  もう一言だけ次官から聞いておきたいと思いますけれども、いま申し上げましたように、交付税率の三二%をこの際上げる必要があると考えておりますが、この点に対する所感をひとつお伺いしておきたいと思います。
  14. 小山省二

    小山政府委員 いま門司先生指摘のように、明年度におきます地方財政状況はまことに困難でございます。いまから予測することはちょっとむずかしいのではございますが、私ども、来年度地方財政を考えます場合に、やはり日本景気見通しというものを的確にとらえなければならないというふうに考えておるのでございます。  実態を申しますれば、本年度の当然起こる給与改定によりますところの平年度化により、四千三百億ほどの純増もございます。さらに、沖繩特別交付金等、まだ予算要求でございますが、これが六百三十億、本年度景気の後退によって交付税落ち込み等が千二百八十億、これらを勘案いたしますと、私は、来年度地方財政を考えます場合に、交付税というものの配分比率ということが当然問題になるような感じがいたすわけであります。しかし、これはかかって今後の日本経済動向いかんによるものと私は考えております。  したがって、この不況が相当長期にわたって持続するような見通しでありますれば、当然何らかさような面に手をつけなければならぬと思いますが、いま政令でもできるだけ景気の回復に努力をいたしております。また、この不況が短期間にとどまるということになりますれば、何らか一時的な財源補給によって当面を切り抜けるということに相なろうと思うのでございまして、私どもとしては、まだ交付税配分比率にまで大蔵当局と相談をいたしておりませんが、それらの事態は十分考えながら、今後地方財源の獲得に善処をいたしたいというふうに考えております。
  15. 門司亮

    門司委員 さっき私はちょっと皮肉なことを申し上げましたけれども、これはあまり理解されていないようですけれども景気が落ち込んでおるから公共事業をやるのだということで政府お金を出すということは不都合だと私は申し上げたのですが、この裏をひとつ考えておいていただきたいのです。地方財政需要というのは、住民環境整備のためにこれからどれだけのお金が要るかということを、いつか自治省が試算したことがありますが、とんでもない、百何兆円という金が要るということでありましたけれども、そういう財政需要が、景気がいいからとか悪いからということを離れて、地方自治体としては実際にあるのですよ。自治省の試算で百十一兆ぐらいあったでしょう。そういうものの一つのプランというか、絵にかいたものがあるはずである。それに近づけなければならぬので、いままでの政府のやっていることは、不景気刺激剤地方公共事業をふやそうなんという不都合なものの考え方だ。いまの次官のお考え方のように、不景気だからそうやっているので、景気がよくなればもとに戻すということでは、それこそ百年河清を待つようなものであって、地方環境整備というものはできないわけなんです。ですから、そういう政府の不都合な態度というものは、この際それは不都合だということで押えてもらっておく。そうして、財政需要というものがそういうことでだんだん多くなるのはわかったことなんですし、財政需要と、住民生活環境整備のためにも、いまの三二%では、実際分け方が少ないと私は思っているのです。にもかかわらず、来年度はそういう乱調子になるということは、これはあるいは来年一年の現象かもしれない。あるいは再来年までも続くかもしれない。あるいはそう長い間続かないかもしれない。いずれにしても、来年度乱調子になるが、財政の部分的な落ち込みとかなんとかいう問題とは離れてこの際考えていただかねばならぬ。この際、大蔵省のえらい人が来れば、その辺をよく話して、政府考え方を改めてもらおうと思っているのですよ。財政需要の見方が、まるで、景気が不景気だから公共土木をやらせるなんて——公共事業というのは、好況であろうとなかろうと、下水は下水でやらなければならぬでしょう。不景気だから下水をやらなければならぬという理屈はどこにもないのであって、そういう政府のものの考え方を変えるために、自治省は、この際、ことしはほんとうに思い切って腹をきめていただかぬと、将来えらいことになると思うのですよ。日本産業がいままでどおりにいくはずもございませんし、それから同時に、最も大きな問題としてここで考えなければならぬのは過疎地帯であります。税収はほとんど上がってこないが、しかし、住民生活意識というものはずっと向上していまして、都会と何ら変わりがなく生活意識が向上しているから、それに対応するにはどうすればいいかということです。  これ以上きょうは私は議論いたしませんが、きょうは大臣はおいでになっていないようですけれども次官からひとつ十分御注意を願って、そして二十八年の次元のようなことがないように——もう今度はあれ以上やれませんからね。町村合併をこれ以上進めろといったってなかなかできやしませんし、財政が困るからといって、あの当時のような形で大きく負担するわけには私はなかなかいかないのじゃないかと考える。と同時に、地方財政というものは、悪い事態がずっと出てくるということが恒常化してきた。この辺をひとつ考えておいていただきたいということを申し添えまして、ちょうど約束の時間になりましたので、私はこれで終わります。
  16. 大野市郎

    大野委員長 山口鶴男君。
  17. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 最初に、昭和四十六年度の今回の財源措置の問題について若干お尋ねしたいと思います。  その前に委員長に申し上げておきますが、沖繩返還協定特別委員会あるいは沖繩及び北方問題に関する特別委員会の審議がありますので、自治大臣のお忙しいことはわかりますけれども、しかし、先ほど来門司先生が言われたように、いまだかつてない地方財政の危機、これに対してどう措置をするかという議論をいたしますときに、自治大臣がさっぱり姿を見せぬということは私は遺憾だと思います。したがって、これはやはり大臣の時間をいずれかの機会にとっていただきまして、ひとつ大臣に対してお尋ねできる機会をぜひともつくっていただきたい。お願いを申し上げておきます。
  18. 大野市郎

    大野委員長 御趣旨よく承知いたしました。
  19. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 さて、今回、国税三税の減収分七百四十六億円、これは財投から特別会計が借りて地方配分するという形になっております。まあ、千六百五十億円の減税分に対する五百二十八億は一般会計から入れておるようでありますが、国税三税の減収分については一般会計から入れておりません。また、給与改定七百億、節約を見込みまして交付団体分五百五十億、これにつきましても借り入れであります。政府とすれば、できるだけ公債発行の額を小さくしたいというような、きわめて政策的な面からこういう措置をとったのかとも思いますけれども、私はやはり筋が違うと思います。四十年不況の際には、少なくとも、国税三税の減収分については一般会計から入れて措置したはずであります。なぜ今回はそれをやらなかったか。この点まずお伺いしたいと思います。
  20. 鎌田要人

    鎌田政府委員 昭和四十年のときの措置と今回の措置と違うということについては、まさにそのとおりでございます。昭和四十年のときは、御案内のとおり、交付税の計上額を減額しないということで、一般会計から金を入れまして、それにつきまして、当時の大蔵大臣と自治大臣との間で、俗に申しますいわゆる出世払いというもので、俗なことばで申しますと証文が一札入りまして、その出世払いの証文の解釈、扱いをめぐっていろいろ紛議があったことは御存じのとおりでございます。これは議論になろうかと思いますけれども、国税が減収になる、もしそれが予算編成前でございますというと、当然、その減収後の額に対しまする三二%というものが交付税としてあがるわけでございますので、理論的には、その交付税額というものが減額に法律的にはなるわけでございますけれども、しかし、現実問題といたしまして、すでに年度の半ばを過ぎまして、この段階で、地方団体に参りますところの交付税額というものの手取りを減らすわけにはまいらないということから、そのための財政上の操作といたしましては、一般会計から入れるか、あるいは交付税特会で借り入れをするか、そのいずれかの方法があるわけでございますが、私ども考え方といたしましては、地方団体に参りますその手取りというものを減らさない、しかし、運用部資金から特別会計が借りる、借りて、そのあとというものは、きっちり年次計画をもって償還をしていったらいいのじゃないだろうか。要するに、地方団体サイドに立ってみますというと、それだけの交付税というものが確保せられるということでございますれば、いまの交付税特会借り入れという形をとっても支障はないのではないだろうかという考え方に立ったわけでございます。
  21. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大蔵省の平井さんがまだ見えていないようですから、そちらのほうはあとに譲りますが、特に、四十年の措置に比べて、実質的にも形式的にも後退していることは事実であって、当時の自治省に比べて今回の自治省は弱腰であった、こういう点は私ども非常に遺憾だと思います。特に、公債発行の額を見せかけ的に小さくするためにそういうつまらぬ操作をしたということになれば、国会をなめた考え方でありまして、これまた私どもとしては非常に遺憾であるということを申し上げておきましょう。  次に、公共事業の追加実施千五百二十二億円の問題ですが、これも先ほど来門司先生がお触れになりましたが、地方財政景気調整の役割りにするということは誤りだということは私どもかねがね主張いたしてまいりました。いかなるときであろうと、少なくとも、国として、住民のために拡充すべきナショナルミニマム、また地域におけるシビルミニマム、これをやはり達成をしていく、そうして福祉社会をつくっていくということが自治体の任務だと思います。  さて、性格はまあそういうことでありますが、当然、国が景気浮揚対策として公共事業を追加したんだ、それで起債を千五百二十二億円、そのうち八割は利子の安い政府資金だ、こういうことなんですけれども、しかし、国が景気浮揚対策のために、いわば公共事業地方におっつけたわけなんですから、当然、これに対する元利償還というものは国が見るべきではないか、私はかように思うのですが、この点はいかがですか。
  22. 鎌田要人

    鎌田政府委員 俗に、景気浮揚のために公共事業の拡大をしていくとか、地方負担がふえたとか、こう申しておるわけでありますけれども、今度の公共事業の追加の対象として取り上げられておりますものにつきましては、本来、地方団体が地域住民の需要に応じまして拡大していかなければならない生活関連道路でございますとか、あるいは下水道の整備でございますとか、あるいは住宅、義務教育施設、こういったものがあるわけでございまして、これはやはり国と地方とがお互いに金を出し合って施設を整備していく、こういうものの一環として把握すべきものではないだろうかというふうに考えるものでございます。したがいまして、それに伴いまする地方団体の負担につきまして、これは本来国がやるべき仕事を地方団体にかわってやらせるのだから、全額元利補給すべきだという考え方は私どもとっておらないわけでございます。地域住民生活に直接受益をする面もあるわけでございますので、地方団体としての財政負担というものも応分のものはすべきである。その場合に、財源が枯渇しておるときでございますので、全額地方債を充てますと同時に、政府資金をできるだけこれに充当するということで、この消化の促進と、地方団体の後年度財政負担を減らしてまいる、重くしないようにする、こういう配慮をしたわけでございます。もちろん、それと合わせまして、毎年、地方財政計画におきましては、御指摘のとおり、景気がよかろうが悪かろうが、やらなければならないものを、いわゆる単独事業系統で、一般事業費、特別事業費あるいは過疎対策等の事業費、こういうことで毎年二割程度ずつふやしてまいっておるわけでございます。両方相まって、やはり地域の生活環境を中心に充実をはかっておるということに相なろうかと思います。
  23. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 とにかく、四十年不況のときには、先ほど申し上げましたように、いわば出世払いといいますか、一般会計からの繰り入れの措置をとった。それから四十一年の不況対策におきましては、公共事業に対する起債については、元利償還の措置もとった。そういうことから見ますと、それより深刻な今次不況に対して、いずれの措置も当時から見ると後退をしているということについては、私は非常に残念に思うのです。いろいろ理屈はおっしゃいましたけれども、とにかく後退をしている事実は間違いないわけなのでありまして、これは、少なくとも昭和四十七年度の対策においてはそういうことのないように、強く要請をいたしておきたいと思います。  そこで、明年度昭和四十七年度地方財政対策についてお尋ねしたいと思います。巷間伝えられるところによりますと、明年度地方財政財源不足は九千億円、あるいは一兆円、こういうふうに言われております。このような深刻な地方財政の危機に対して、先ほど、門司先生は、交付税率は当然引き上げるべきだというお話をされました。私も同様の態度であります。沖繩返還が実現をするという要素も考え合わせまするならば、少なくとも交付税率は三五%ぐらいに引き上げるべきであるというふうに、私どもとしては政府にも申し入れをいたしております。交付税率の引き上げはもちろんでありますが、その他、昭和四十一年の対策においてとりました以上の各般の措置をとることが、時間がありませんからこまかいことは申しませんが、必要だと思います。これに対する決意というと、当然大臣にお尋ねしなければならぬわけでありますが、大臣がおりませんので、政務次官からひとつ御決意を承っておきたいと思います。
  24. 小山省二

    小山政府委員 いま御指摘になりました交付税率の引き上げにつきましては、そういう方向で、自治省としては全力をあげて解決をいたしたいというふうに考えております。
  25. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 交付税率を上げるだけでは、一兆円を穴埋めすることはできぬと私は思うのです。ですから、こまかいことは申しませんでしたが、四十一年の不況では、交付税率も引き上げ、それから地方税の減収に対する措置をするとか、あるいは、三二%引き上げでも、なおかつまだ交付税が足らぬ、それに対する穴埋めをどうするとか、各般の措置を講じて、やっとこさっとこ切り抜けたという状況だったと思います。したがって、今回も、交付税率の引き上げを考えることはもちろんでありますが、それ以外の各般の措置を講ずる必要があるということを申し上げたつもりであります。大蔵省の平井主計局次長もお見えでありますが、明年の深刻な地方財政危機に対して、大蔵省は一体どうするつもりですか。
  26. 平井廸郎

    ○平井政府委員 先ほどから御指摘がございましたように、地方財政の来年度財源不足の問題は、かなり大きな額に達するであろうということは推測いたしておりますが、ただ、現在のところ、まだ未確定要素がきわめて多い。たとえば、経済見通し等もまだ立っておりませんし、また、地方につきましてもいろいろ御検討中の要素も多いようでございまして、自治省としての要求の形というようなことにもなっておりません。私どもといたしましては、御指摘のような点は十分検討しなければならぬと思っておりますが、基本的な財源といたしまして、確かに、四十一年度の際においては、そのような国から地方に対するかなり手厚い措置をとり得たわけでございますが、来年度におきましては、率直に申し上げて、国の状況からいたしましても、非常に予算の編成がむずかしいような状況にございます。  御承知のように、景気停滞のために租税収入の伸びは多くを期待できないというような状況にもございますし、一方では、景気対策のための国の施策が望まれるというような状況でもございまして、国も、来年度財政運用ははなはだ困難であろうということでありますし、国、地方ともきわめてむずかしい事態に立ち至るであろうと考えておるわけでございまして、こういった段階においてどのような施策が考えられるかという点については、私どもといたしましては、まだ結論を得ておりません。率直に申し上げるならば、四十一年度の当時のような考え方で進むかどうかは、かなりむずかしい問題ではないかというふうに考えております。
  27. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 時間もありますから、私はこれ以上申しません。  委員長にこれはお願いしたいのですが、地方交付税のこの法律が上がりましたあとも、明年の地方財政の危機は深刻であると思いますので、これらの問題を主題にした論議をする機会をぜひつくっていただきたい。そこでさらに掘り下げた質問をいたしたいと思いますので、ひとつよろしく、お願いいたします。
  28. 大野市郎

    大野委員長 承知いたしました。
  29. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そこで、具体的な問題をひとつ聞いておきたいと思うのです。  昭和四十五年、資本金一億円以上の法人に対しまして臨時措置を行ないました。これによりまして、住民税の法人税割りが実質的に一・七五%引き上げられたわけであります。昭和四十六年度のベースで、これによる額が約百六十億円、また、国税において、臨時措置をいたしますものが交付税にはね返りますので、これらを合算いたしますと、約五百億円程度の地方に対するところの財源が臨時措置として確保されております。聞くところによりますと、財界等におきましては、深刻な不況だ、したがってこの際この臨時措置ははずせというような声があるやに聞いております。これに対する自治省のお考え方は、そんなことは断じてならぬというお気持ちであることは佐々木さんに聞くまでもなく、わかっておるような気がいたしますが、そこで、大蔵省は一体これについてはどうお考えでありましょうか。
  30. 福田幸弘

    ○福田説明員 来年度適用期限が参りますが、社会資本の充実、これは相当な規模に達すると思います。それから、社会保障の充実その他、財政需要も相当強い状況下でございますので、この一・七五につきましては、大蔵省としてはできるだけこのまま存続したいというふうに思っております。
  31. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 けっこうです。ひとつ、財界の圧力に屈することなく、堅持をしていただくことを強くお願いをいたしておきます。  次は、深刻な都市問題、わけても、その中で最も事態が窮迫をいたしております地方公営企業、公営交通の問題について幾つかお尋ねをいたしたいと思います。  まず、自治省にお尋ねしたいと思うのですが、私どもがいただきました四十六年度の「地方財政状況」を拝見いたしますと、交通事業におきましては累積欠損金が千三百三十一億円に達している。昭和四十五年度の決算もすでに出ておるはずだと思いますが、それによりますと、約一千六百億円に達する累積欠損金を出しているという状況のようであります。よく、三Kと申しまして、国鉄の赤字が問題になりますけれども、全国網の目をめぐらしておるあの国鉄の累積赤字が、昭和四十五年五千六百億円と聞いています。国鉄の累積赤字が五千六百億円。一部の都市で実施されております都市交通事業の赤字が一千六百億円ということは、私は、公営交通の会計というものが非常に危機に瀕している、国鉄以上の危機的状態にあるということを、その数字からも感ずるのであります。  さて、このような数字は、若干違いがあればあとで鎌田さんからお答えをいただきたいと思いますが、少なくとも、昭和四十一年、公営企業法を改正いたしまして、赤字をたな上げをいたしまして再建に乗り出したわけでありますが、横浜を除いては、おおむね再建期間は七年でありますから、やがてもう再建計画が終わるのを間近にした段階に至っているわけであります。そういう中で、これほど危機的な赤字を出したということは、私は、当時の公営企業法の考え方、その後の再建計画、政府全体としてのこの都市交通に対する対策というものがきわめて不足だったということをこの数字は物語ると思うのです。何ゆえ公営交通の再建は失敗をしたのか、この点の御反省があれば、まず鎌田さんからお伺いしたいと思います。
  32. 鎌田要人

    鎌田政府委員 実は、私、その昭和四十一年の地方公営企業法の改正の際の担当の参事官でございました。公営交通を中心にしまして、公営企業の財政再建というものについては、終始身をもって当たってまいったわけでございますが、率直に申しまして、いま御指摘のように、あの当時、たしか、六百億の赤字を再建債へ振りかえて、その利子補給をやるということで、それと同時に、公営交通の中におきましても、路面電車の撤廃、あるいはワンマンカーの採用、あるいは人件費に関連いたしましての各種手当等の整理、そういう内部の合理化も徹底して行なわれてきたと私は思うわけであります。ところが、その後に発生した累積欠損金というものが、いま御指摘になりましたように千六百億というものでございまして、実はいささか暗然としておるところでございます。  これの原因といたしましては、一つは、路面電車を撤廃いたしまして、その路面電車にかかる赤字の消しようが結局ない。頼みのバスがやはり乗客が減っておるわけでございまして、バス自身が赤字を出しておる。実は、あの計画の当時には、将来、バスの事業に転換することによって、その路面電車の赤字というものも逐次解消していくということを考えておったわけでございますけれども、その路面電車の赤字解消のめどが立たない。それから、バス事業自身について、収入は上がらないけれども人件費、金利等は上がっている。それから地下鉄も同様、やはり建設費のコストというものが非常に上がっておる。こういったもろもろの要因が累積をいたしまして千六百億の赤字を生ずるに至ったということでございまして、これは、いま御指摘のとおり、現在せっかく再建期間中でありますので、再建期間が完了いたしました段階で、もう一ぺん、根本的に、第二次の財政再建というものの方策を、国全体、いわゆる総合交通体系の中で、都市交通、公営交通の位置づけも行ないながらやってまいらなければならないだろうというふうに考えておる次第でございます。
  33. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 過般の委員会で、私、公営交通の問題を若干取り上げまして、小山政務次官の御見解も承りましたが、現在のこの深刻な状況、再建計画の失敗という現実を見ますならば、独立採算を強制するだけではこの公営交通の問題はもう解決できないという小山政務次官の先般の御答弁は、まさにそのとおりだと私は思います。また、過般、鎌田財政局長に私がお会いいたしましたときに、この問題をいろいろ話しましたら、やはり、財政面からこの問題の対策を考えても、これだげではどうにもならぬ、そういう時期に来ておるということは、鎌田局長もお認めになった次第であります。  さて、そこで、政府におきまして臨時総合交通問題閣僚協議会というものが設置をされました。幹事役は経企庁のようでありますが、大蔵、農林、通産、運輸、建設、自治、さらに官房長官、総務長官及び国家公安委員長、これらの方々を網羅する協議会で、総合交通体系の問題についていろいろ御検討しておるということを承っております。そして、現在、運輸省におきましては、運輸省の諮問機関であります運輸政策審議会がまとめた総合交通体系のあり方、それからさらに建設省におきましては、総合交通体系についての見解、それから警察庁では道路交通管理についての意見書、こういうものを各省まとめられまして、さらに経済企画庁におきましては、総合交通政策試案というものを作成しつつあるということを承りました。各省が作成されましたそれぞれの意見書、試案、考え方というものを拝見をいたしたわけであります。  そこで、これらの問題についてまずお尋ねをしたいと思うのでありますが、路面電車を撤去してバスにした。そして、路面電車の累積赤字があったわけでありますが、それもバス等で何とか赤字を解消していこう、自治省としてはそういうお見込みのようでありました。しかし、バスはかつて時速十七キロあるいは十八キロ、場合によっては二十キロぐらいで走れたと思うのですが、現在はまあ時速十一キロあるいは十二キロ、場合によってはさらにおそいというような状態にまでいま現状は落ち込んでおる。そういう中で、バスの関係の赤字もどんどんと累積している。一方、地下鉄を掘れば、地下鉄は建設費が非常に高いわけでありますから、資本費の元利償還のために、これまた財政を圧迫している。こういう現状だろうと思います。  そこで、これらをずっと拝見をいたしたのでありますが、建設省のものを拝見いたしましても、それから運輸省の資料を拝見いたしましても、警察庁の資料を拝見いたしましても、いずれも、公共輸送優先、大量輸送優先というものをやはり実現しなければならぬということは、たいへんみんなよく書いていただいておるのであります。ところが、それでは現実に、全国で、優先レーンなり専用レーンなりというものが一体どの程度できておるかというと、東京都ではまだ専用レーンがないでしょう。優先レーンが若干ある。今度の御計画によれば、わずか十八キロ、朝七時から九時、それから夕方五時から七時ですか、専用レーンをわずかにぼつぼつ引こうかというような計画ができたという程度だと聞いておるわけであります。警察庁のこの資料を見ましても、いま私が申し上げたようなことがたいへん書いてあるわけですね。問題は実行ではないかと思うのですね。結局、財政だけでは無理だ。バスが走れるように、大量輸送優先、公共輸送優先の原則を打ち立てようということは政府のほうも言うわけですが、それがさっぱり実行に移されぬ。ですから、公営交通のほうはますます赤字がふえておる。こういう状況だろうと思うのですが、これについて後藤田さんいかがですか。ここに書いてありますような公共輸送優先の原則というものを、どのような計画で、具体的にどこまでやるというおつもりがいまございますか。それをまずお伺いをいたしたいと思います。
  34. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 公営企業の赤字の問題、これをどう考えるかということはきわめて重要なことだと私は思います。しかしながら、発想のネックは、私どもはさように考えておりません。問題は、今日の多くの交通需要に対して、安全で、しかも快適で、十分な交通サービスをどのように提供するかという、その発想から出なきゃいかぬ、かように私は考えております。その結果、今日の交通実態から見れば、やはり大量の公共交通機関の優先ということにならざるを得ないと思います。さらに、その結果が、今日の公営企業の赤字の解消にも結果としてはつながってくるであろう、かように考えております。  そこで、問題は、そういう施策を実現するために、さしあたって、優先レーンなり専用レーンをどのようなやり方でやっていくかということですが、これは、他の路面における交通供給の手段を一挙に犠牲にしてしまうということであるならば問題は比較的簡単だと思いますが、しかしながら、今日の路面の状況から見て、各種の交通手段をどうあんばいしていくか、公共の大量輸送機関のために優先レーンなり専用レーンなりを設置した場合に、その結果が、全体として路面をほんとうに効率的に使うという結果になるのかならぬのか、ここらの見きわめをやらなければ、これはかえって逆効果を来たすであろう、私は、かように考えております。そういう意味合いから、今日、大都市等の実態を十分に調査をし、さらにまた、地元の意見、あるいは知事、市町村長等の意見、こういうような関係者の意見を十分に聴取しながら、無理のない形でやろうということで、今日、東京その他で、そういう優先レーンなり専用レーンなりの設置にぼつぼつ着手しつつあるということで、今日、キロ数が少ないから云々という問題ではない。やはり、私どもは、そういう基本線に乗っかってやっていきたい。なお、その場合に、私の基本方針は、まず最初に優先レーンのほうから入っていきたい。そしてその結果を見ながらさらに専用レーンに進んでいく。かような方針で臨んでおるような次第でございます。
  35. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 後藤田さんのおっしゃるように、大都市交通をどうするかということから発想すべきだという御意見、まさにそのとおりです。そういうことは当然踏まえた上で、いま当面する公営交通の危機があるじゃないかという意味でお尋ねをしたわけです。  さて、そこで、ヨーロッパの都市等へ行きましても、時間帯によるところの規制、それからトラック等に対しましての車種別の時間帯による規制等、いろいろくふうをして努力をいたしております。そこで、私が感じますのは、ロンドンへ行きましても、パリへ行きましても、自治体の中で、当該都市の総合的な交通体系はどうあるべきか、パリでしたら、パリの郊外から毎日どのくらいの人が通勤をしてくる、そしてそれは地下鉄を利用する人が何%で、自家用車を利用する人が何%で、バス等を利用する人が何%で、それが将来、五年、十年後にどのように変化をするであろうか、そして、それをまかなうために、道路は一体どのように配備をする、地下鉄はどのように敷設をする、それから駐車場はどのように整備をする、さらに専用レーン、優先レーンについてもどのようにしていくかということを総合的に立案をいたしまして、優先レーン、専用レーンを引くときには地域住民の理解と協力を求めるために非常に時間がかかる、ということも言っておりましたが、少なくとも、当該都市における総合的な交通はどうあるべきかということを、自治体が中心になって立案し、それを進めていくという点はやはり私は学ぶべきではないかと思いました。  さて、そこで、具体的に優先レーン、専用レーンの問題に限定して考えましても、光化学スモッグ等を予想いたしました公害対策におきましては、都道府県知事と政令都市の市長が公安委員会に対して要請権がございます。今度の、本年の道交法改正におきまして、歩行者天国とか、あるいは優先レーン、専用レーンについては、道交法上規定を明確にいたしました。ただ、問題は、この専用レーン、優先レーン等については要請権というものがありません。もちろん、十分相談してと言っているわけでありますが、私は、この際、大都市の交通について、大都市の首長が相当な発言力を持つための法律的な規定というものも設けるということが必要ではないのかと思います。これはあとで運輸省に、認可その他の問題についても触れてお尋ねをしたいとは思いますが、とりあえず警察について、道交法上のそういった都道府県知事、政令都市の市長の要請権というものくらいは入れることは決して御反対はされないと私は思うのですが、後藤田さんいかがでしょうか。
  36. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 まさに、御趣旨のようなことから、今日、交通安全基本法で交通安全の基本計画を考える、それではどうも足らぬではないかということから、先ほど御質疑にありました企画庁中心の総合交通体系をつくっていく、こういう仕事が始まっていると思います。  問題の要請権等の問題ですが、交通安全基本計画、今日あるところの制度ですが、その安全計画を立てるという際には、安全基本法の二十七条に要請する権限を与えてある、こういうことでございまして、いま一点の、公害の場合と同じように、道路交通法のたてまえの上から要請権を与えたらどうかという御趣旨ですが、道路交通法の問題というのは、やはり、そういった交通安全の基本計画の上に立って、そして技術的な、しかも細部の処置をどう考えていくかという問題に相なろうかと思います。したがって、こういう点については、私は、立法の問題も、御趣旨わからぬわけではありませんけれども、これはやはり法律の問題ではないじゃないか。これは、現実にどういう場所にどのくらいのキロ数をつくるかといったような、計画を立てる際の実際の警察行政運営上の処置の問題ではなかろうか。したがって、こういう計画は警察だけでやるというようなことはさらさら考えていないわけなんで、当該大都市の市長なり、あるいは知事なり、さらには地元住民なりと十分な話し合いを遂げた上でやらなければ、とうてい実効を期せられる問題ではない。したがって、私は、運営上は御趣旨の点を十分尊重しながら、円滑な実施をはかってまいりたい、かように考えております。
  37. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 後藤田さんは自治省の税務局長もされまして、地方自治の本旨ということについては十分御理解ある長官だと思って、敬意を表しているわけでありますが、どうも、警察庁長官になりますと、やっぱり警察のなわ張りを守ることに御熱心であるようでして、その点は若干残念に思います。しかし、時間のこともありますから、押し問答を繰り返してもしようがありませんから、そういう意見もあるということを十分尊重をしていただきたいと思います。  実は、これは日経の社説でありますが、「公営交通の赤字対策を急げ」ということで、幾つかの提言をいたしておりますが、ただいま指摘をいたしました公共輸送機関の優先通行の充実強化が必要だといっている。そういう中で、公営交通のみならず、大都市内のその他の公共輸送機関もあるわけでありますが、そういったものの運行というものをスムーズにして、少しでもスピードアップしていくということが必要だということをいっております。第二番目には、施設整備に対する国の助成というものを考える必要があるのじゃないかと提言している。それから、料金政策について、交通渋滞によるコストアップ分をすべて利用者に負担させることは問題があるとして、交通渋滞は政府の政策の不手ぎわが招いたものであって、いわば過疎、過密現象の激化とか——きょうは通産省を呼んでありませんけれども、大いに自動車ばかりをつくり過ぎたということもあるかもわかりませんが、まあ、それは別といたしまして、政策の不手ぎわが招いたものだ、したがって、利用者だけにコストアップ分を負担させることは問題だ、より違った形で経費の負担というものを考えるべきじゃないかということを提言をいたしております。また、運輸省に出されました「総合交通体系に関する答申」を拝見いたしますと、同じような問題に触れておられます。これはたいへんいいことばだと思ったのでありますが、「都市高速鉄道は都市の公共施設としての側面をも有する」ということを書いております。まさにそうだと思います。私どもは、この都市交通に独立採算ばかりを押しつけるということは無理だ、やはり都市になくてはならない公共施設だという認識が必要ではないかと思っておりますが、そういうことを書いておられます。そうして、「国および地方公共団体の財政支出により、資本費の負担を軽減する必要がある。」と書いて、独立採算一本やりでは無理だということをいっておるようであります。それからさらに、「都市高速鉄道の整備は沿線土地所有者、事業所等に多大の便益をもたらすことにかんがみ、これらの間接受益者に対しても、その費用の一部の負担を求めるべき」ではないかということをいっておりまして、やはり、社会的費用を企業者にも負担させろということを書いておられます。まさにそうではないかと思うわけであります。  そこで、お尋ねをいたしますが、確かに、二年前、従来の都市高速鉄道、地下鉄に対する助成について再検討いたしまして、国が二五%、それから自治体が二五%という形で補助率を大幅に引き上げられました。しかし、建設省も呼んでありますが、少なくとも、県道に対する補助率は三分の二ですよね。国道は四分の三です。そうなりますと、五〇%の負担では、道路に比べまして、まだまだ不足ではないのかというふうに私は思います。せっかくこういうことを書いておられるわけでありますから、ただいまのような私の考え方に対して、佐藤政務次官としてどうお考えでありますか。  さらにつけ加えまして、地下鉄をつくるところは、大体大都市、百万以上が必要ではないのかというお考えを運輸省は持っておいでのようです。しかし、私、過般仙台に参りましたが、仙台は人口は百万に足りませんけれども、周辺の地域から仙台に通勤する方々というのは非常に多いわけですね。それを考えますと、ほぼ百万に近い人口がこの仙台の都市交通を利用するということになると思います。したがって、いま仙台でも地下鉄の計画があるわけでありますが、この百万という限度にこだわらぬで、いま申し上げた要素を加味する必要があると私は思いますが、この点はいかがでしょうか。  さらに、いま私鉄の過疎地帯のバスが問題になっております。これに対して運輸省といたしましても援助いたしておるわけでありますけれども、同じような意味で、公営交通の中でも、団地ができたりして、いろいろ地域住民の要求があるので、やはり採算を度外視してバスを運行せざるを得ないというものもあるわけだと思います。また、軌道につきまして、いまスピードがおそいから赤字だ、しかし、市民の要請で、この軌道についても存続させなければならぬ、という地域もございましょう。また、そういう運動が起きているところもございます。そうなれば、路面電車についてもやはり補助の道を開いてもいいのじゃないのか、かように私は思います。  これらの私の考え方に対して、ひとつお考え方をお示しいただきたいと思います。
  38. 佐藤孝行

    ○佐藤(孝)政府委員 都市交通全体の問題については、また後ほど運輸省の考え方を申し上げたいと思いますが、いまお話のあった地下鉄の問題については、仙台と同様な札幌がございます。札幌は百万都市ですが、来月のちょうど中ごろ南北線が開通いたします。引き続いて札幌市からは東西線の認可申請が出ております。したがいまして、仙台市においても、かような計画があって、認可申請があったならば、運輸省としては前向きに検討したい、かように考えております。  過疎バスについては、過疎バスの現在の経営状態から見て、生活路線は、経営について何割が生活路線として必要であろうかという点を考慮して、目下検討中でございます。全体としては、来年度から都市交通総合施設整備事業団という構想をまとめまして、目下予算要求中でございます。
  39. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 運輸省の職員名簿を拝見いたしますと、鉄監局というのがあるようであります。それが二つに分かれまして、国有鉄道部と民営鉄道部というものに分かれておりまして、その民営鉄道部の片すみに公営交通があるというような形になっておるようでありますが、いま、あとで公営交通全体に対する考え方も申し上げたいと次官が申されましたから、そのことにも触れまして、もう少し公営交通というものを運輸省全体が十分配慮する必要があるのじゃないのかと私は思う。いまの運輸省のお考え方はどうか知りませんけれども、職員名簿等を拝見する限りでは、何か、公営交通というものをまま子扱いにしておるのではないかというような感じもいたすわけであります。ひとつ、公営交通に対する運輸省としてのお考え方もあわせて、ただいまの点もお答えをいただきたいと思います。
  40. 富田長治

    ○富田説明員 お答え申し上げます。  私ども、実は、そういう御趣旨もございまして、今後、都市交通その他について、もっと大きな別の観点から、単に鉄道監督行政というだけでなくものを見る必要があるということで、この官房の機能を強化いたしまして、たとえば、私、都市交通を担当いたしておりまして、もっぱら都市交通という観点から、相当スタッフをかかえまして、いろいろ検討しているわけでありまして、決して公営交通を経視しているわけではありません。今後の仕事といたしましては、確かに、公営企業というのは、都市交通事業そのものが非常に採算が合いにくくなっているということから、この経営の中に公営のものがどうしても相当多くなってこざるを得ません。それについては、もちろんそれをどういうふうに採算を合わしていくかということが非常に大きな問題になるという問題意識を持っておりまして、今後は十分関係方面と連携をとりまして、この問題に取り組みたいと思います。
  41. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 補助の引き上げのほうはどうですか。
  42. 富田長治

    ○富田説明員 何せ、去年から補助の制度が変わったばかりでございまして、われわれといたしましても、もうしばらく経緯を見守りたいと思います。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕
  43. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 経済企画庁におきましても、建設省におきましても、いろいろな構想を発表しておられます。先ほど運輸省の御見解についても触れたわけでありますが、やはりこの開発利益というものを考えなければいかぬ。そこに公営交通ができました場合に、非常に便益を受ける事業所等について、社会資本をやはり応分分担をさせるべきで、利用者だけに料金の値上げということで負担を課することは問題ではないかというようなことを言っておるわけでありますが、特に、経済企画庁の総合交通体系試案の内容というのを拝見いたしますと、日経新聞で発表されたものでありますが、「費用負担と財源調達の合理化」では、「交通施設の整備およびその運営費用は社会的費用も含めて考えるべきである。社会的費用を含めた総費用の負担のあり方については利用者が交通施設を利用する場合の利用の程度に差があり、その受益が特定しうる場合には受益者負担を原則とすべきである。」といっておりますが、ともかく、そこのところで、交通整備については社会的費用の負担も含めて考えるべきだといわれております。そしてまた、国の財政援助の問題についても触れておるわけでありますが、ともあれ、現在の都市交通は深刻な赤字でありまして、これは財政的にいえば、料金の相当な大幅値上げをしなければどうにもならぬ。また、自治省におきましては、鎌田さんも心から喜んで、ということじゃないのでしょうけれども、当面、公営交通については料金の値上げをせざるを得ない、また、そういう形でなければ、そこに働く労働者の賃上げも認めぬというような態度をおとりになっておるようであります。先ほど私が引用いたしました社説にもありましたように、とにかく、利用者のみにコストアップの分をもろにかぶせるということはやっぱりまずいということは、これは間違いないところだと私は思います。総合交通体系試案を作成されつつあります経済企画庁としては、この公営交通の料金の値上げについては一体どういうお考えでありますか。  それから、少くとも大都市におきましては、公営交通というものは、都市の公共施設としての位置づけも当然考えていい問題だと思います。そういう面から、現在いろいろな形で国が若干の援助はしております。地下鉄について、あるいは過疎バス等についても問題はあるわけでありますが、国の政策のひずみでもって起きてまいりましたこれらの課題に対して、より進んで国が財政援助をすべきだということについては、一体どのようにお考えでございますか。お聞かせをいただきたいと思います。
  44. 木部佳昭

    ○木部政府委員 先ほど山口委員から、日本経済新聞の記事につきましてお話があったわけでありますが、われわれ経済企画庁といたしましては、総合交通体系の策定につきまして、ことしの春から各省庁の担当官がひんぱんに会議を開きまして、一体となってその政策づけを進めておるわけであります。したがいまして、政府といたしましては、総合交通政策体系の基本的な考え方を申し上げる段階ではないわけでありまして、その総合交通体系の取りまとめは、来年の予算編成くらいまでに政府部内の結論をまとめるために、いま検討中であります。したがいまして、日本経済新聞の記事の報道につきましては、現在、企画庁で作業中でありますので、その内容がどういうふうなことで掲載されたか、われわれも理解に苦しむところでありますが、いま山口先生がおっしゃいましたのは企画庁の案ではないことだけは御理解いただきたいと思います。  先ほど来山口先生がいろいろと御指摘になっておられましたけれども、都市の交通機関のあり方と果たすべき役割りというようなものをわれわれは十分検討しておるわけであります。そうした中にありまして、都市交通の円滑な遂行ということを考えた場合には、若干の運賃の改定ということもやむを得ないのではないかという考えを持っておるわけであります。しかし、その場合でも、物価に与える影響を極力考慮いたしまして、最小限のものにしていかなければならぬと考えます。御承知のとおり、たとえば地方自治体の経営しておる公営の交通事業もありますし、また、民間の経営しておるのも多いわけでありますが、その中にあって、民間と比べて、地方公共団体というものは、やはり経営の内容におきましてもかなり合理化しなければならぬ問題もあると思います。そういう点等も十分配慮していかなければならぬと考えておるわけであります。
  45. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これはまだ作成の過程であって、正式のものではないというようなお話がありましたが、しかし、ここに盛られましたような考え方は、少なくとも、経企庁の中である程度煮詰まりつつあるということだろうと思います。コストアップに対する経費をすべて利用者に負担させるというようなあり方については、少なくとも、そのようなことのないように、すぐれた総合交通体系を確立していただくようにお願いをしておきます。  さて、そこで、大蔵省の方もおられますからお尋ねしたいのですが、七〇年代の都市問題は、わが国の当面する大きな課題だと思います。そういう中で、都市交通の問題、その大きな部分をになう公営交通の問題も、これは決して軽視することのできない、いや、より重視しなければならぬ問題だと思います。それが、先ほど来申し上げたように、規模を考えれば、国鉄の赤字を上回るような深刻な赤字です。これについて、大蔵省としても、万般の施策を各省が要求いたしました場合に、やはり十分な理解を示していただくことが必要ではないかと思います。特に、自治省大蔵省にお尋ねしたいと思うのですが、路面交通の赤字はバスが返せといったって全く無理なんでありますから、路面電車の赤字というものはこの際たな上げにして、また、その措置については、大蔵省もぶうぶう言わないで、すんなりと認めるということぐらいはまずぜひやっていただきたいものだと思います。そうしてその利用者にのみコストアップの分をかぶせるということについては、経企庁としてもやはり問題じゃないかと言っておるわけであります。とすれば、どのような事業所に社会的費用を持たせるのか、あるいはそのほかに国、自治体というものがどのような公共負担をするのかということを当然考えなければならぬと思います。これらの問題についても、大蔵省としてのお考え方があればひとつお示しをいただきたいと思います。
  46. 鎌田要人

    鎌田政府委員 路面電車の赤字の問題でございますが、四十五年度末の路面電車事業の累積赤字は四百四十六億円に達しておるわけでございます。この点につきましては、軌道撤去の費用、それから財政再建の繰り入れ等につきましては、一般会計からの援助を行なっておるわけでございますけれども、先ほども申しましたように、再建計画の考え方といたしましては、バスと路面電車を通じて赤字の再建をはかっていくということでやってまいりました。ところが、端的に見まして、先ほどから申し上げておりますように、頼みの路面バスのほうが赤字が出ておるものですから、バスで黒字を出して路面電車の赤字を消していくということが困難になっております。  そこで、私、率直に申しまして、四十八年には再建計画が完了してまいるわけでありますので、その再建計画が完了いたしました時点で、もう一ぺんいまの路面電車の赤字、まあ、たな上げということをおっしゃっておられるわけでありますけれども、その問題も含めて、いわば第二次の財政再建というものを考えざるを得ないというふうに現在考えておるところでございます。
  47. 平井廸郎

    ○平井政府委員 路面電車の赤字たな上げの問題につきましては、ただいま自治省から御答弁がございましたように、四十八年度以降の第二次再建整備計画の問題であろうと存じますので、第二次再建整備計画の一環としてそういう御要求が出ますれば、私どもといたしましても真剣に検討いたしたいと存じます。  また、大都市交通についての社会的費用をある程度企業に負担させるべきではないかという御意見でございますが、この点につきましては、実際問題としまして、受益者を特定することがなかなかむずかしいという問題もございますが、たとえば、ニュータウンの場合のように、受益者が限られているというようなケースにつきましては、東京における多摩ニュータウンの例にもございますように、ある程度受益者負担の問題を取り入れていくべきではないかと考えております。  なお、全体として、都市交通に対して国の補助をさらに厚くしていくべきではないかという御意見でございますが、この点につきましては、やはり先ほど来御意見もございましたように、総合交通政策体系の整備を待って、その中における位置づけを考えながら検討を進めていかなければならないというふうに私ども考えている次第でございます。
  48. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 多摩ニュータウンのような特定されたところは、ということをおっしゃいましたが、たとえば、三十六階の霞ヶ関ビルができましたね。あれによってこうむる地下鉄の被害、と言ってはなんですけれども、とにかく、地下鉄が非常にこむわけでありまして、ああいう便利なところへどんとビルを建てるということは、ビル自体にとってはやはり非常な利益だと私は思うのですね。ですから、多摩ニュータウン、一般の住民が入居するような、そういうところだけ、特定しやすいからといって、社会的費用云々ということだけではやはりきわめて不公平な感じを私は持たざるを得ません。  時間がありませんから、自分の考えだけ申し上げておきたいと思いますが、最後に、私は、公務員給与の問題について触れたいと思います。  昭和四十六年各都道府県の人事委員会の給与勧告の状況を拝見いたしました。国の人事院の勧告と全く同じというところがかなりあるようでありますが、しかし、たとえば、石川県は通勤手当の一部が若干高いとか、東京では扶養手当が国より若干高いとか、あるいは福井のごとく、通勤手当の一部の限度額が若干高いとか、京都のごとく、扶養手当及び通勤手当の限度額が若干高いとか、徳島のように、通勤手当の限度額が高いとか、いろいろ苦労をした勧告が出ておるようであります。実は、私は、佐藤人事院総裁等にも当委員会に来ていただきまして、人事院は国家公務員を対象にして勧告を出す、ところが、地方公務員は国家公務員とは違った環境に勤務していることも考えなければいかぬ、特に、通勤手当のごときは、先ほど来議論のあった大都市交通が曲がりなりにも整備されているところと、それから、バスが一日二回しか通らぬ、どうしてもバイクだとか自動車等を購入しなければ現実に仕事にならぬというような地域に勤務しておる諸君、また、そういう諸君の多い地方公務員の場合というものを考えた場合に、人事院の勧告というのはどうも少し不十分ではないのかということを申しましたら、佐藤人事院総裁は、制度上それは無理です、私どもは国家公務員を対象にして勧告をするんです、ただ、御意見は、地方公務員の御意見も十分承っておりますということでございました。そういう議論をいたしましたあと、当時、野田自治大臣だったと思いますが、そういうことならば、人事委員会が大いに地方公務員の実態を考えて勧告をすることを奨励したらどうか、そうしてまた、そういう勧告があった場合に、自治体はけちなことを言わぬでこれを実施をする、また、自治省の側も、国の基準より高いからけしからぬとかいうようなことで、公務員部長さんがやかましく都道府県を指導するようなことはやめてもらいたい、ということを申し上げたら、当時の野田自治大臣は、私は議事録はきょう持ってきませんでしたが、そういう点は十分配慮いたしましてやりますというようなお答えをいたされました。  今度このような勧告が出ておるわけでありますが、どうでしょうか、林さん、やかましいことを地方に言うつもりはないだろうと思いますが、いかがでしょうか。
  49. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これは地方公務員法あるいは警察法、教育公務員特例法で、一応国に準ずるというたてまえにはなっておる。ただ、国に準ずるほか、その地方における民間給与とか、その他いろいろ書いてありますので、人事委員会としては、それらも考えて、しかるべくその団体に適した勧告をしているものと現在考えております。ですから、私のほうも、ただ国に準じないということだけでいかぬということを別に言っておるわけではないのでございます。場合によれば、その地方の民間給与というのは、国全体よりも給与のレベルが低いところもあるというように、長短いろいろあるものでございますから、それらをいろいろ含めて現在のような勧告が出ていると思います。したがって、現在出ているのは、御指摘のとおり、国と全く同じものが非常に多くございます。しかし、いま先生のおっしゃったような事情を考えて、一部、通勤手当その他について多少違う数字が出ているものがあると思いますが、これらについてまで、一々国と同じ額でなければならぬというような指導はしておりません。
  50. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 小山政務次官もおられるのですが、かつて、東京では、実施の時期を人事院とは違う勧告をされたことがございまして、そのときに、わざわざ自治大臣が東京都知事を呼びまして、いろいろ勧告らしきことをいたしまして、まあ、地方自治法に基づくところの、例の国が自治体に介入する手はおとりにならなかったようでありますが、起債その他について若干意地悪をされたようなことが新聞にも報道されておりました。ですから、ただいまのような林さんのお話からすれば、今後は、実施時期等について違った勧告を出しても、自治省としてはそうそうやかましいことは言われぬというふうに理解してもよろしゅうございますか。
  51. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 時期につきましては、あのときの件もそうでございましたが、現在でも、国と違う時期でなければならぬというような地方の特殊事情があるというようなことは、私たちはあまり考えられないのでございます。
  52. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 たぶん、来年は、佐藤人事院総裁も四月実施で勧告をするでしょうから、これ以上議論しても意味がないからやめておきましょう。  最後に、公営企業職員の給与でございますが、まだ昨年の分が解決されていないということは、私は、これはやはり異常過ぎると思います。きょうも公営交通の問題について各面から議論をいたしたわけでありますけれども自治省としても、従来までの再建計画というものは、財政面だけ縛っても、肝心の大量輸送優先の原則ということを言いながらも、結局それはなかなか実施をされない。利用者だけにコストアップを負担させるということも問題だと言いながらも、現実の施策としてはなかなかこれが改善をされていかない。こういう中での状況でありますから、したがって、私は、この公営交通の労働者諸君の賃金の問題についても、やはり再建計画自体が無理があった、失敗だったということを素直にお認めいただきまして、そうして、公営交通の労働者諸君の給与改定が、昨年の分も、本年の分も、スムーズに実行されますように強く要請をいたしたいと思います。この問題に対する御見解を承りまして、質問を終わっておきましょう。
  53. 小山省二

    小山政府委員 公営企業の実態を見ました場合、公営企業の持つ公共性というものに重点を置くか、また、公営企業が法に示されたとおり独立採算制というものを堅持するか、最近におきます公営企業の事例等を見ました場合、私は、やはり公共性というものにウエートを置かなければならぬじゃないかというふうに実態については承知をいたしておるわけでございます。しかし、現在、公営企業法のもとにおいて企業を行なっております限りにおいては、やはり法の精神というものは守っていかなければならないと考えます。したがいまして、現在公営企業関係職員の給与の引き上げがかなりおくれておるという点につきましては、私どもも、関係団体とひとつよく協議をいたしまして、できるだけ財源措置を講じながら、これらの問題を解決するために、自治省としても積極的に努力をいたしたいというふうに考えております。
  54. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 再建計画の変更にあたっては、十分各種の実情を考慮いたしまして、ただいまおっしゃったような趣旨をより一そう生かしていただきまして、弾力的に措置をいただくように要請をいたしまして、質問を終わっておきたいと思います。
  55. 大石八治

    ○大石(八)委員長代理 午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ————◇—————    午後一時二十四分開議
  56. 大野市郎

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  消防に関する件について調査を進めます。  川崎市生田において発生したローム層斜面崩壊実験事故に関する問題について、消防庁当局から報告を聴取いたします。降矢消防庁長官
  57. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 昨日の十五時三十三分に、川崎市生田緑地公園内の実験場におきまして、がけくずれのため、ここに書いてありますとおり、十五名の死亡者と十名の負傷者を出しました。これは、科学技術庁を中心にいたします政府のローム層斜面崩壊実験の最中に起きた事故でございまして、私たち関係者といたしまして、死亡された方々に対して深くおわびを申し上げ、かつ、哀悼の意を表さなければならぬと思っております。  概要でございますが、人工隆雨によるがけの崩壊実験を実施中に、突然、長さ百五十メートル、幅三十メートルにわたり、約三百立米の土砂が崩壊いたしまして、付近にいました実験関係者、報道関係者等二十四名が被災したわけでございます。  事件が起きますと、直ちに、川崎市の稲田消防署、地元の消防団が現場にかけつけまして、救出作業に当たりまして、十名を救出いたしましたが、十五名は死亡したのでございます。その十五名の関係者の所属関係は、科学技術庁が三名、通産省工業技術院の地質調査所の関係でございますが、それが四名、自治省の消防庁消防研究所が一名、報道関係者が四名、その他三名ということになっております。  それから、当日の消防関係の救出活動でございますが、二時三十四分に覚知いたしまして、直ちに現場にかけつけまして救出作業に当たりました。ここに書いてありますような隊というものを組みまして、合計二百六十八名が出動いたしたわけでございます。  それからなお、このプリントに書いてございませんが、補足させていただきたいと思います。  崩壊実験の概要でございますが、これは、科学技術庁の特別研究促進調整費というものによります「ローム台地におけるがけくずれに関する総合研究」というものでございまして、これに参加しました機関は、防災科学技術センター、これは科学技術庁の付属機関でございますが、それから、建設省の土木研究所、通産省の地質調査所、自治省消防庁の消防研究所が参加いたしまして、ロームがけの人工降水による崩壊実験を、九日から生田の実験場で行なってまいりました。  実験の方法は、各種の測定機器を設置された実験斜面に大型の特殊のスプリンクラーを用いまして、実際の降雨に似た散水を行ない、崩壊させてデータを得よう、これによってローム層に対するがけくずれの防災措置を進めよう、こういうことでございます。これは、四十四年度から三カ年計画で実施されまして、本年度は、消防研究所のほうとしては、科学技術庁から五百二十八万の配賦を受けております。総額は約二千万の予定で本年度はこの実験を開始いたしました。四月の二十七日及び八日に予備実験をやりました。また、七月の八日、九日に予備実験をやりまして、それから、十一月の四、五、六というものを予備実験に当てました。本実験が九日から十二日までということでありましたが、その半ば、十一日にこういう事故を起こしたということに相なっておるのでございます。  この実験に関しまして、消防研究所の役割りでありますが、各研究所は、それぞれ、科学技術庁から調整費の分配を受けたわけでございまして、わが消防庁といたしましては、五百二十八万の本年度の予算の配賦を受けまして、第三研究部の細野主任研究員、第一研究部の菅沼技官がこれに参加したわけでございます。消防庁といたしましては、水理特性に関する研究を受け持つということで、生田の実験場に観測用の井戸を掘さくして、隆雨に伴う地下水面の変化等の観測を行なうということが主たる役割りであったわけでございます。  以上が事故の概要の報告でございますが、私は、昨晩現場に急行いたしましたが、まず、第一番に、救出作業がかなり難航しておりまして、川崎市の総務局長と打ち合わせをいたしまして、二つの池のうちの一つのほうは大体終わりましたが、もう一つの池のほうにおきまして、なおそれをさらって捜索しなければならぬということでございまして、つまり、当時、新聞関係の方々あるいは見学者と思われる方々が何人現場に居合わせておったのかということが確認されておりませんので、したがって、夜を徹して現場の土砂の排出作業を続行いたしまして、きのうの十一時過ぎだったと思いますが、最後の遺体を発見いたしたのでございます。  それから、政府といたしまして、昨晩、科学技術庁に事故対策本部を設置いたしまして、その事後の処理に当たるということにいたしますとともに、本日、第三者による事故調査委員会というものを総理府に設置いたしました。それは、元東大教授の安芸皎一先生委員長にいたしました五人の事故調査委員会を設置いたしまして、本日第一回の会合をすでに開いておりまして、その後現地調査もするということで、至急にこの原因の究明をするということを始めたわけでございます。  以上が、事故の概要の報告でございます。
  58. 大野市郎

    大野委員長 これにて報告の聴取は終わりました。     —————————————
  59. 大野市郎

    大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大石八治君。
  60. 大石八治

    ○大石(八)委員 なくなられた方に心からお悔やみを申し上げたいと思います。  非常に簡単な質問をするわけですが、こういう実験をやるという場合には、一体黙ってやれるのですか。あるいは地元の警察なり——それで、私は警察にも来てもらいたいと思っていますが、警察なり、消防にそういう計画書を出して許可になるということではないのでしょうか。何か、そういう連絡をしてやる必要があるような種類の仕事のように思いますが、そういうことはあったのでしょうか。
  61. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 この実験は、四十四年から同じ場所で続けておりまして、実験のたびに、この生田の緑地公園の事務所には連絡していることは確認いたしましたが、ただいまのこの実験に際しまして、消防署あるいは警察署に事前に常に連絡しておったかどうかということについては、きのうの段階、いまの段階でもまだ確認しておりませんが、私の想像では、おそらく、この公園事務所に連絡しておる程度で、特に今回に限って警察あるいは消防署には連絡をしなかったのではなかろうかというのが私の現在の推測でございます。  と申しますのは、私たちの関係者で、一人、細野技官は何ら生命に別状なかったわけでございますが、昨晩現地に私が到着しましてから全然会いません。つまり、警察のほうに事情聴取のために出頭を命ぜられまして、結局全然会えなかったのでございます。けさも、朝早くから現場検証に立ち会うことを命ぜられまして、そういう状況で、私自身確かめることができなかったわけでございますが、推測ではそういうことはなかったと私は思っております。
  62. 大石八治

    ○大石(八)委員 山津波になったようですが、土砂崩壊の実験だと思うのですが、こういうことをやるときに、役所がやるにしても、こういう危険な実験をすることについて、どこかで何らかのチェックをするという手続法なり何かというものは全くないわけですか。こういうことは、だれが好きなようにどこでやってもよろしいということになっているのでしょうか。
  63. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 私は、いまの段階で、こういう実験について、法律的にどういう手続を踏んでどうするかということは承知しておりません。ただ、私たちが、火災の実験あるいは先般の空中消火の実験を埋め立て地でやりました際は、東京消防庁のほうからも、万一の場合の消火に備えまして、あのときにはヘリコプターも使いましたし、化学車、それから普通の消防車の出動も求めて実験をやっている次第でございます。
  64. 大石八治

    ○大石(八)委員 そういう意味でも、事実がどうであったかということ、連絡があったのに警察も消防も来なかったのかという事実が不明でありますからわかりませんが、こういうことはやろうとすればかってにできるように、いまの御答弁だと考えられるわけであります。たとえば民間でも、こういうことについて何かくふうしたいというような場合に、こういう種類の実験というのは何らのチェックも手続もなしでできるというふうになっているとすれば、何か、非常に危険な感じがします。いままでの場合、それぞれの当局の善意で取り計らってきたのか。その辺、今度の事故を通じて、そういう点に多少どこか抜けているところがあるという感じが私は実はいたしておるわけであります。これで見ても、急遽やってきて十名ばかり助けたというふうに書いてあるわけであります。山くずれが起こってから山津波になったようですが、確かにそういう危険があるわけであります。何か野方図であるというふうに私には考えられますが、その点はどうでしょうか。
  65. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 政府機関といわず、こういう危険を予想されるわれわれの火災実験にいたしましてもそうでありますが、それにつきましては、確かに、制度的にそれを事前にどうするという制度はないと思います。ただ、いま先生指摘のような、こういう危険を伴うものについて、何かの意味でチェックするとか、あるいは事前にそれを承知しておって、一緒になって災害を防止する、安全を確保するための仕組み、こういうものはぜひ必要だろうと私も思っておりますので、その点は至急検討いたしたいと思っております。
  66. 大野市郎

  67. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 今回の事故につきましては、現在、全国的に急斜面の崩壊の危険のある個所はたくさんあるわけでありまして、これらに対しまして適切な対策を早急に講ずるということの必要性があるために、四十四年からこういう実験の計画が行なわれたということは私どもも十分了承できるわけでありますが、この貴重な実験に、結果におきましては、万全の体制を講じ得なくて、多数の死亡者を出したということは、まことに遺憾に存ずるわけでありますが、また、犠牲になられた方には心から御冥福を祈るほかはないわけであります。  そこで長官に、事故発生して間もなくでありますので、簡単に一、二の点について御質問いたしたいと思います。  第一点は、急斜面のこういった豪雨の際の事故というものは、過去において数多く起こっているわけでありまして、それらの点については、結果的ではありますが、各技術関係官庁において、相互に集まって、その発生の原因その他について十分検討されておると私は思うのでありますが、それらは十分連絡をとって行なわれておったのでございますか。
  68. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 御指摘のように、建設省の調査では、急傾斜でがけくずれのあるようなところは一万五千カ所くらいあるだろうといわれておりますが、いまのような急傾斜の地帯について、防止、安全対策を講ずるということは、御案内のとおり、公共投資の方面で計画を立ててやるということになっております。ただ、具体的の場合に、先般、千葉で、いままで一回もなかったような地帯で多数の土砂くずれを起こしまして、犠牲者を出したわけでございます。  私たちのほうは、市町村に対しまして、一つは、大体経験的に消防団の方々が地質をある程度承知しておりますので、あなたのところの付近はあぶないからということで、水害、豪雨の際は事前に注意を喚起するとともに、避難経路と避難場所を早くきめるということで、最近強力に指導を始めておるわけでございます。ただ、学問的に、と申しますか、行政的に、先般の千葉のような場合にも、それぞれの機関におきまして調査をしておるわけでございまして、私たちの側面からいえば、むしろ事前の安全対策ということで、地質と避難と、もう一つは避難場所というものを町村の計画の中に見込んで、それを万一の場合にこうする、こういうことでやっているわけでございます。
  69. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私のお聞きしたいのは、消防の研究所の職員も一人犠牲になったわけでありますが、従来いろいろな個所に起こった事故もありますし、現に千葉県の予測しないような事故が起きているわけですね。それらの問題について、消防研究所あるいは科学技術庁関係といったふうにばらばらなものでなくて、今回実験をなさいましたような、これらに関連のある総合の技術官庁が、千葉の実態の調査をするとか、あるいは図上の調査をするとか、あるいは場合によっては小型の模型をつくって一応検討を加えるとか、そういったまず事前によくやるべきことの連絡を緊密に進めてきて、それで本格的な実験をやろうか、相当規模の大きな実験をやろうかということになるのが順序ではなかろうかと思うのです。そういった事前の調査なり、災害の起きたあとの調査なり、あるいは模型による実験なり、そういったものをなぜまず総合的に相協力しておやりにならなかったか。それをおやりになったのかどうか。その結果大規模な実験をやることが妥当であるということで今回の実験に踏み切ったのか。  先ほどのお話を聞きますと、この実験をやる前に予備実験等も二、三回おやりになったというようなことも聞いたわけですが、それらを含めまして、そういった緊密な体制のもとに、これなら——大きな実験をやる場合には、今回発生したような事故の危険防止等の策もとりながら、この程度の実験をやれば万全な実験ができるというようなことを考えて、また、図上調査なり、あるいは小型実験による結果に、同じものが出るのかどうなのかということとにらみ合わしてやって、初めてりっぱな実験が完了するのじゃないかと私は思うのであります。事前にそういうことをおやりになっていればいいわけでありますが、それをおやりになって、なおかつ事故が出たということはやむを得ないということになりますけれども、そういった事前の連絡その他の準備体制が、こういう大型の実験をおやりになる事前に十分にできておったものかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  70. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 その点につきましては、この実験を始めましたのは四十四年からでございまして、四十五年、四十六年と、いわば本実験の下準備的な調査並びに研究をやってきたわけでございます。それは、各省みな一緒になって、科学技術庁の一つのプロジェクトの中でそれぞれ分担してやってまいりました。四十六年になりまして、先ほど申し上げました四回の予備実験をやって、従来の結果を総合して、これでこの研究をまとめるというところで本実験に入ったわけでございます。
  71. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 どの省かはっきりいたしませんでしたけれども、どこかの技術官庁の職員の一人で、難を免れた方がテレビで放送をしておったのを私ちょっと見たのでありますけれども、その方の発言によりますと、危険の発生が予想されていたということと、もう一点は、危険発生の場合の非常避難といいますか、事故防止の措置というものが、内部では徹底しておったが、報道関係には十分徹底していなかったように思うということを言っておるわけですが、その点につきましてお聞かせ願いたい。  それから、もう一点さらに聞きたいのですが、私ども、技術関係は全く何もわからぬわけでありますけれども、ちょうど土砂がくずれてくる下に防護壁をつくって、実験の小屋を置いて、その先が池みたいになっておるわけですね。そういう、もし予想以上の土砂の崩壊があった場合、もろに遭難を受ける可能性のあるような体制で実験を行なうということが、どうもしろうと考えでは納得がいかぬ。また、事故発生の場合に、避難の命令が出ましても、どういうふうに避難するか。話を聞きますと、地形も悪くて、どうもそう敏速な行動もとれないというようなことも話の中に出ておったように思いますけれども、これらの点につきましてお聞かせ願いたいと思います。
  72. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 第一点の、危険が発生するおそれが予想されておったという御発言に対してでございますが、この点は、実は、私は少なくともまだ承知しておりません。この点につきましては、実は問題でございまして、第三者の専門委員の方々に御調査を願って、はっきり結論をつけてもらわなければならないという点でございます。  それから、その次の避難のやり方でありますが、これも、わが研究員がそういう状態でありますので、私自身直接確認する機会をいまだに持たないわけでありますけれども、いま先生のおっしゃったようなことで、関係者の間には、レシーバーを若干用意したり、あるいは笛で合い図をするとかというような、いわゆる符号的な危険を知らせるようなことがあったやに聞いておりますけれども、この点は私にもう少し確認させていただきたい、こう思うわけでございます。  それから、第三番目の点は、実は、私も、現場にきのう実際に行ってみたのですが、その物置きといいますか、観測器材を入れておるところの付近が一ぺんでのまれて、そこにかなりのカメラマン等がおりまして、それが池のほうに流されておるわけでございます。確かに、土砂くずれのちょうど真下に当たるところでございます。私もそういう意味ではしろうとでございますが、行ってみて、率直にいって御発言のような気持ちを持ったわけでございます。この点は、やはり、この実験に対する予測というものをどういうふうにしたのかというところにございまして、これも、新聞等では、ある程度の距離をとって、だいじょうぶだという予測であったけれども、大量の土砂が流れて、安全なる距離を全部土砂が埋め尽くしたというようなことでありますが、この点は、実は、私もまだ確かめる機会を持ちませんので、いまの御指摘の点は、私のほうの研究員によく確かめて御報告させていただきたい、こう思っております。
  73. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 最後に、この事故に対する措置ですね。これは当然検討しなければならぬのですが、どういうふうな検討を進められるか。あるいは、犠牲者には万全の措置を講じていただきたいと思っておりますが、この事故の対策、あるいは犠牲者の措置その他について、まだ早々のうちだと思いますけれども、その点をお聞かせ願いまして終わります。
  74. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 一つは、犠牲になられた方々に対する措置でありますが、きのう科学技術庁に事故対策本部を設けて、そこを中心に至急進めることにいたしました。その考え方は、科学技術庁長官が御発言になっておられますように、十分遺憾ないようにいたしたいという考え方で、この事故対策本部を中心に措置をとるという、こういう考え方でございます。  それからもう一つは、この原因が何であったかということは、学術的に究明いたさなければなりませんので、これは第三者機関であるものとして、総理府に事故の調査委員会というものを設けまして、その先生方によって事故の原因を徹底的に究明していただくということで、この面からの措置をとりまして、先ほど第一回の会議を開き、現地にも行きたい、こういうことでございます。
  75. 大石八治

    ○大石(八)委員 関連して警察の方にちょっとお伺いしたいのですが、消防庁にもちょっと聞いたわけですが、こういう危険な実験をやるという場合に、いまの法制の中では、届け出とか計画を出して許可をもらうとか、そういうことは全くないようになっているのですか。これはまあ役所だったわけですけれども、民間でもこういうことを別に届け出る必要もない、あるいは計画を許可をとる必要もないというふうになっているのでしょうか。そこをひとつ……。
  76. 朝比奈仙三

    ○朝比奈説明員 最初に、今回たくさんの犠牲者が出ましたことをたいへん残念に思っております。  警察といたしましては、いろいろな事故を未然に防ぐという立場から、根拠があろうとなかろうと、危険の予想されるところについては警戒をすべき義務があると存じますけれども、どういうものについて届け出をしなければならないかというのは、たとえば道路交通法でございますとか、個々のものにはございますが、ちょうどこれに該当するようなものはちょっと覚えておりません。たとえば、演習をやりますとか、こういうものは逐一通知を受けて、それで住民にも知らせるということをやっております。また、花火とか、危険の予想されるような行事等につきましては、その主催者と連絡をして必要な警戒をするというふうなことはやっておりますが、この点については、ちょっと規定その他根拠を思い浮かべません。
  77. 大石八治

    ○大石(八)委員 したがって、この場合は、この実験をやるということは、地元の警察には届け出も何も全くないということだったのですか。
  78. 朝比奈仙三

    ○朝比奈説明員 私どものほうで、たとえば所轄の警察署員——地元の駐在所、派出所でございますね。そこのほうでその事情を知っておったかどうかという点まではまだ調べておりませんですけれども、少なくとも、警察庁あるいは警察本部段階では御通知をいただいておらなかったようでございます。
  79. 大石八治

    ○大石(八)委員 そうすると、いままでは、こういうことに対する警戒の立場というのは、察知した場合とか、あるいは届け出があつた場合だけに限られるということになるわけですね。ですから、こういうプロジェクトとか計画でこういう大実験をやろうということについては、いまの法制の上ではだれにも相談しなくてもできるということになっているわけですか。
  80. 朝比奈仙三

    ○朝比奈説明員 この場合は、専門家の方が計画をされまして、大部分の構成員の方が、それに携わっておる人たち、特定の方たちでございまして、一般の見学者等は少のうございます。また、万全の対策といいますか、見通しのもとにやられたものであって、危険が予想されなかったのではないかと思われるわけです。したがって、御通知がなかったのではないかと思いますけれども、もしも、一般の見学者等がたくさんここに蝟集をするというふうな場合であれば、当然、警察としてもその事情を知って、現場に配置をするというようなことは必要であったろうと思います。今回、そういうこともございませんでしたので、御通知がなかったのではないかというふうに考えます。
  81. 大石八治

    ○大石(八)委員 もちろん、専門家が計画したものでしょうから、そういう届け出という制度があっても、警察署としては、その計画について文句をつけるとかなんとかということは、実際上おそらくあり得ないと思う。しかし、土砂くずれですからね。したがって警戒をする。計画を、こんなものはいかぬとかなんとか、そういう専門的な指図はなかなかできなくても、それについての危険を予知するということはあり得る。私は消防庁のほうにも聞いたのですが、それをだれがしなければならぬかということはまだわかりません。警察なのか、消防なのか、その辺よくわかりませんが、かってにやれるんだという形になっているらしいということがいま少しわかったわけですけれども、それは何となくうまくないという感じが実はしているわけでありまして、先ほど消防庁にもそう申し上げたわけですが、その点、警察のほうから見た場合にどうでしょうか。
  82. 朝比奈仙三

    ○朝比奈説明員 最初にも申し上げましたように、私どもといたしましては、届け出る義務のあるものであるといなとにかかわらず、たとえば花火大会であるとか、祭礼であるとか、あるいは非常に群集の殺到するような催しものであるとか、いろいろそういうふうな場合には、極力私どものほうで情報を集めまして、主催者等とも相談をいたしまして、危険のないようなやり方で実施をしていただくというふうに努力をいたしておりますので、この場合につきましても、もし危険の察知されるような状況がございましたら、当然そうすべきであったというふうに思いますけれども、事前の段階ではそういった状況が感ぜられなかったのだろうと思います。ただ、これからも危険の予想されるようなものにつきましては神経質に気をつけて、事前に警戒の措置をとりたいと思います。
  83. 大石八治

    ○大石(八)委員 気持ちはわかるのですが、知らされなければ知らないで済んじゃうということにもなると思う。あなたが危険というのは、実験をやる人以外の第三者に危険があると考えるのかもしれませんが、現に、第三者以外に、実験をやる人にも死者が出ている。現に十五人という人が死んでいるわけです。それの救出という問題が出てくるというふうに私は思うわけですが、このままでいいという感じなんでしょうかどうか。少しくふうを要するという考えはないのでしょうか。
  84. 朝比奈仙三

    ○朝比奈説明員 今回の場合は、思いがけなかったとはいいながら、結果的に見ますとこれだけの犠牲者が出たわけでございますので、私どもとしては、今後こういった問題につきましては、危険があるかないかということについて、もう少し神経質に、事前に主催者等と連絡をいたしまして措置すべきものというふうに思います。
  85. 大野市郎

    大野委員長 関連して、山本君。
  86. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 ちょっと関連いたしまして……。  ただいま大石委員からの質問ですが、全く私も同感なわけなんですが、警察のほうといたしましては、警察本部も、地元の所轄警察署も、こういう実験をやるということについての連絡は全然なかったわけですか。
  87. 朝比奈仙三

    ○朝比奈説明員 最初に申し上げましたように、正式の御連絡はいただいておらないように聞いておりますが、なお、地元でそういう状況を知り得る状況にあったかどうかという点につきましては、これからさらに調べてみたいと思います。
  88. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 ここはどういう公園の状況をしておるか、現場を私もわかりませんけれども、一応、実験をする関係者で万全の体制をとったと思うのですが、結果から見ますと、こういった思いがけない事故が出ているわけです。たまたまそういう実験に興味を持って、付近の一般の市民がその付近に立ち入るとか、あるいは見物をするとかいうことになりますと、私は、今後思わぬ事故が起きるのではないかと思うのでありますが、警察には責任がないわけでありますけれども、これは、警察としては、危険区域の立ち入りその他、危険が発生した場合の措置ということは、やはり、当然、事前に通報を受けて措置すべきであると思うのであります。今回の場合は通報がありませんので、警察の責任はないわけですけれども、警察としては、そういう場合には、国がやろうとどこがやろうと、一般の市民が立ち入り可能な地域なんですね。ですから、それが万全の取り締まり体制がとられておるかどうかということは、やはり通報を受けて、一応のそういう措置がとられておるかどうか検討される必要はあるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  89. 朝比奈仙三

    ○朝比奈説明員 仰せのとおり、当初の計画としては、人に危険が及ばないような計画のもとに実施されたことだと思いますし、また、現場の状況が、小田急の向ケ丘遊園駅から徒歩で約二十分であり、それから山林の中で、雑木林でございまして、付近には民家もない。それからまた、四十度ないし五十度の傾斜というふうな地点でございまして、特に見学者の蝟集というようなこともありませんでしたので、御通知がなかったと思いますけれども、結果から見ますと、やはり非常に大きな事態が起こったわけでございますので、あらかじめ御連絡をいただくように措置できればたいへんよかったのではないかと思いますので、その点、私どものほうでも、そういう状況承知し得る状況であったかどうか、さらに調査をしてみたいと思います。
  90. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 これは消防庁長官に要望しておきますが、今後、こういう実験は、やはり必要であれば継続し、あるいは、さらに万全の体制のもとに実施されるものと思うのでありますが、消防庁も、関係者の一人として、こういうふうな大がかりの実験をされるというときには、法規的にどうなっておるかはともかくといたしまして、警察のほうに通報して、一般市民がそういう実験のために犠牲を受けないような十分な体制をとる必要があると思いますので、十分通報するということを関係者の一人としてのあなたに私は要望したい、かように考えております。
  91. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 消防独自でいろいろな火災実験を野外でやっておりますが、そういうときには、先ほど御答弁申し上げたとおり、現地の消防にも全部連絡をして、警戒体制をとっていただいてやっているのが実際でございます。ただ、今回の場合、非常に残念なことには、わが研究所の職員は参加するというかっこうでございまして、総括者的な地位になかったものですから、おそらく、そこまで実は配慮が及ばなかったのだろうと思います。こういうことは当然反省しなければなりませんので、いま御注意のありましたような方向で、今後、必ず、われわれが独自でやっている場合と同じようなことをやるように当然やらなければならぬと思っております。
  92. 大野市郎

    大野委員長 小濱新次君。
  93. 小濱新次

    ○小濱委員 私も、川崎の崩壊実験事故について御質問を申し上げたいと思いますが、私も、なくなった方々に心からなるお悔やみを申し上げたいと思います。なお、また、重傷をされたけが人もおるわけですけれども、こういう方々に対しましても、一日も早く全快されますように、心から念願をする次第でございます。  そこで、私は何点かについて御質問をしていきたいと思うのですが、まず、今回の実験でございますが、先ほど長官からお話がありましたように、科学技術庁の防災科学技術センターと、自治省の消防庁と、建設省の土木研究所、それから通産省の地質調査所、この四者が共同でこの実験を試みたわけでございますね。そうして、死者が十五名、負傷者が十名出た。災害防止のための実験が人災を招いてしまったということになるわけですが、自治省はどういう責任があるのか。これは消防庁としても、長官としても、大いに責任をお感じにならなければならないのじゃないかというふうに、こういう内容を見てまいりますと、私としては感じられるわけですが、どうでございましょう。長官の責任という問題について、私は、ただ御意見を聞くだけでございまして、その処置をどうしろとかこうしろという、そういう内容をお尋ねしているわけじゃございませんが、その責任の所在をあからさまにしていただきたいと思いますが、お答えいただきたいと思います。
  94. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 御指摘のとおり、このプロジェクトには消防研究所も参加をしてやったわけでございまして、この原因の究明が出ますれば、われわれとしてどういうようなところを反省し、またどうすべきかというところがはっきりいたすと思います。私は、御指摘までもなく、とにかく、当然、現在のこの事故の究明と、少なくとも、犠牲を受けられました方々に対する万全の措置をとるということに全力を尽くしまして、そしてあとの措置につきましては、私自身また自分の問題として考えてみたい、こう考えております。御指摘のとおり、私の部下の者が参加しているのでございまして、長官として当然十分な責任を考えておる次第でございます。
  95. 小濱新次

    ○小濱委員 長官のほんとうに真意を披瀝されるような御答弁をいまいただいたわけでございますが、先ほどの大石委員の質問のときに、長官といろいろとやりとりがございましたけれども、長官のお答えの中で、内容については長官はあまり御存じないように私は聞き取れたわけです。  こういう研究、実験のために派遣をされるときにも、やはり長官の許可を受けて出張されるのであろうと思うわけですけれども、そういう点はいかがでございましょう。
  96. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 この点につきましては、この職務の直接の監督者である消防研究所長というものが、研究員の出張について、あるいはそれに伴う職務の執行について、私の委任を受けるというかっこうで全部処理しております。
  97. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほど、いろいろのやりとりの中で、特に私が感じたことは、科学技術庁の長官はいろいろと責任をお感じになって御意見も述べられておられるようでした。向こうの委員会ではそういうやりとりの話が入ってまいりましたけれども自治省の消防庁が職員を失っているという、こういう事件の内容からして、きびしくこれは反省し、今後のためにも努力をしていくという決意を披瀝していかなければならぬだろうと私は思うわけですが、いま少し確認をさしていただきたいとか、だれがチェックするのかという問題についても承知をしていなかったような、そういう内容である。あるいはまた、各地元の役所、消防署、警察署等にも連絡がしてなかったんじゃなかろうかという御質問に対して、してなかったのではないかと思うというふうな——新聞を見ますというと、長官は現地に飛ばれたようであります。そして現地を見てこられたようでありますが、しかし、いろいろとお話を伺いますというと、実態を全部は掌握できないで帰ってこられたような感じを受けるわけでございます。川崎の市役所では全然連絡は受けておりません。あるいは、警察もそのとおりのようでございますが、何かあったのではないかというような感じは受けた、そこで、テレビの報道を見て事件の発生したことがわかった、こういう地元の声があるわけですね。ですから、事故発生後の連絡もまた非常に悪かったんじゃなかろうかというように思います。  そこで、先ほど長官の御説明を伺いますというと、十五時三十三分に事件は発生したと御報告されました。川崎のほうでは、三十四分に事故の覚知をしたというふうに川崎の消防署では言っておられるようであります。ところが、いろいろと新聞やら報道機関を調べてみるというと、大体二十分ごろに発生しているような記事が多いんですね。ここにも新聞持ってきておりますが、こういうふうに、二十分ごろというんですから、これは少しニュアンスがありますけれども、長官は三十三分と言われた。川崎の消防署では三十四分覚知、こう言っておられる。少し誤差があるように思うのですけれども、この点についてはどうでございましょう。まだ確実な内容をここで御報告をいただくことはできませんか。
  98. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 いま、私は、承知している時間で十五時三十三分と申し上げました。川崎の消防署では三十二分と言っているようでございますが、その点は再確認させていただきたいと思います。ただ、私たちが、登戸の稲田消防署におきまして、現場に到着をしたときの時間が、現場報として三時四十二分というのをいただいております。先生のほうが地理に詳しいと思いますが、私が参りました——つまり、自動車で行って、それから相当歩いて参らなければなりませんので、いまの三十二分か三十三分かというところは、おそらく大体その近所であろうと思いますが、時間の違うところは再確認をさせていただきたいと思います。
  99. 小濱新次

    ○小濱委員 朝比奈外勤課長さんにお尋ねしたいのですが、実験の正式な通報は受けなかった、これは私も現地で聞きましたから、よくわかりました。ただ、やることはわかっておった。しかも、くずれの実施日時は、ほんとうはきょう十二日であったわけです。ところが、きのうこの事故が発生してしまった。こういうことですけれども、やはり防災ということになれば、消防署もその地域内は常にくまなく調査をしております。実際にやっておる。警察もこれに携わっておられる。こういうことからして、今度の実験を、正式な報告がなかったからといって、まさかないがしろにしておったとは私には思えないわけですね。そういう点で、警戒体制といいますか、どういう警備体制をとっておられたか、そういう内容がおわかりならばお知らせいただきたいと思います。
  100. 朝比奈仙三

    ○朝比奈説明員 当日は、正式の御通知はありませんでしたので、特別な体制はとっておりませんでした。ただ、警察というところは、御通知があってもなくても、もしもという危険が予想されるような場合には、それに対応する適切な配置をとるべきものであり、それによって、できれば災害の事前防止をはかるし、また、あるいは、一般に累を及ぼすことが少ないように警戒をするというようなことは当然の義務でございます。  起こったあとでの知恵でございますけれども、事前にこの実験を承知をして、消防その他の関係機関と協力して警戒に当たることができたならば、というふうなことを考えさせられておりまして、その意味から、今後とも検討してみたいと思います。
  101. 小濱新次

    ○小濱委員 課長さん、警戒体制はしいておったのかどうか。幸い警察官には事故はなかったわけですね。したがって、警戒体制をしいておったとすれば、現地のそういった崩壊のときの実況がわかっておる方がおるのではないかとも思えるわけですし、もし、そういう方がおったならば、あなた方はまたそういう方の報告を受けておるのではないかと見ておるわけですが、どうでございますか。
  102. 朝比奈仙三

    ○朝比奈説明員 事前にこの計画を承知しておりませんでしたので、特別な体制はとっておりませんでした。したがって、現場に居合わせた警察官もございません。
  103. 小濱新次

    ○小濱委員 これは、報道陣も代表が相当入っておりました。そういう点で、私は、気がつかなかったというふうには受け取れないわけですけれども、これはやむを得ません。  そういうわけで、事故は忘れた時分にやってくるとよくいわれますが、決して油断があってはならないと思うのです。これは不注意というそしりも免れないであろうと思うわけです。地域内のそういういろいろな諸問題については十分注意を払い、どうか、今後また同じような事故を起こさないようにしていただきたい、こういうように思います。  そこで、遺体の問題ですが、これはやはり、消防、警察でたいへんお骨折りをいつもいただいておるわけですけれども、この重軽傷者も交えて、高津中央と、登戸の病院と、大貫病院、この三つの病院にそれぞれ収容されたようでございます。それで、遺体は同夜家族に引き渡しをされたというふうになっておるわけですが、中には、遠隔地に住まいがあって、その引き取り手が来ないという方もありました。それから、お年寄りだけで、おろおろしてどうにもならない人もおったようでございます。そこで、病院としては、その遺体をいつまでも病院に置いておかれちゃ困るというような意見もあって、その間に入っておる人が非常に困ったという話を伺いました。こういう場合にはどういうふうな対策を講じられていくものなのか、今後のためにもひとつ参考にしたいと思いますので、お答えいただきたいと思います。
  104. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 私が現場に参りまして、それから病院に行きまして間もなく、遺族の方の御対面がございました。その前後から、遺体の処理については、科学技術庁が中心になりまして、現地で各省のそれぞれの方々が来ておりますので、至急本省と連絡をして、どこに安置所を設けてどうするか——私はそれが一番妥当なしかたじゃないかと思ったのですが、病院のほうは、いま御指摘のとおり、遺体の検視も終わり、御家族の御対面も終わって、早く引き取っていただきたいという意向だということは私も聞きました。そういうことを科学技術庁にも申し上げて、各省ともにするようにということで、私のほうは、第三研究部長と予防課長を、その会合があれば出るようにということで、現場の対策本部に残してまいりました。私がこちらに帰りましたのは十二時ちょっと前でありましたが、そうしたら、現地から、それぞれ御家族の御意向を聞いたら、引き取りたいという方がありまして、そして順次引き取っていった、こういう報告を受けたのでございます。私は、やはり、いま御指摘のように、遠くからの御家族の方もおられますので、できれば、近くのお寺さんなり何なりを借りて、とりあえず遺体を安置をするというやり方が穏当ではないかと個人的には思っております。御案内のとおり、全日空事故の際も、あそこで検視が済み次第、遺体を、学校なり何なりを借りまして、早急に安置をして、それから御遺族にお渡ししたという事例もございますので、私はそれが妥当じゃないかと思いましたが、今回は、御指摘のとおり、御家族の御意向もあったようでございまして、お引き取り願ったような次第でございます。
  105. 小濱新次

    ○小濱委員 本年は、自衛隊機の追突事故であるとか、「ばんだい号」のこと、それから成田での警察官の殉職、今回また沖繩でも警察官の殉職がございました。こういうことで非常に残念な社会悪をかもし出しているわけでございますが、今回の場合は国の責任で、研究実験のための犠牲者ですから、これは長官としても、できるだけの補償とその扱いをしていかなければならぬことであろうと思うわけです。いろいろと事情はございましょうけれども、その考え方、決意をひとつ御披瀝をいただきたいと思います。
  106. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 私としては、当然、御指摘のような方向で最善の努力を尽くすべきものというふうに考えております。
  107. 小濱新次

    ○小濱委員 これは長官に要望しておきたいと思いますが、今度の計画を私どもが伺いまして直感的に感じたことは、やはり計画のミスといいますか、甘さがあって、この総合計画ができていない。だれが責任者で、だれが指揮をとっておって、そして最後の事後処理はどうなっているのかということまでも織り込んだ実験計画でなければならなかったんじゃなかろうかと思うわけですが、どこをどう調べてみても、どうも地元へも連絡がない。あるいはまた、計器小屋の避難訓練もできていない。そして、あっという間に土砂に巻き込まれていってしまった。こういうことであっては、今後また反省をきびしくしていかない限り、連続繰り返しになるであろうとわれわれは憂えるわけでございます。そういう点で、これからのこういう災害の実験、それから災害については——いつの場合でも、もう消防隊員が先頭に立って御苦労してくださっておられまして、その御労苦は非常によくわかるわけでありまして、これからもなお努力を重ねていっていただくようになるかと思いますが、再びこういう事故を起こさないようにしていただくための長官のお考え、決意を、最後に、特に、要望ということですが、お願いし、このお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  108. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 私たちは防災の仕事を担当しております。したがって、どんな場合でも、人命の安全を脅かすというようなことは事前に防止するということが、私たち消防の最大の任務だと心得ておりまして、今回のようなこういう実験におきましても、そういう点について今後十分に配慮をして、消防の本来の任務達成に一そう努力いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  109. 小濱新次

    ○小濱委員 終わります。
  110. 大野市郎

  111. 上村千一郎

    ○上村委員 一、二点お尋ねをいたしておきたいと思います。  お尋ねをいたす前に、今回のきわめて残念な痛ましい事故の結果おなくなりになられた方に対して、ほんとうに御冥福を祈りたいと思うわけでございます。  実は、当委員会委員が御熱心に御質問なっているのも、この実験というものが、災害の防止を主目的としての実験であろうからと思うのであります。そういう点から考えますれば、常に一つの災害関係を防止するという観念が必要である。こういう意味から考えますと、消防庁あるいは警察という方面は、常にそれを、実験を遂行する際に頭に入れておかなければならない。それが、先ほど委員の御質問の中で明らかになってまいりましたように、連絡が欠けておるという点がある。これは、この痛ましい結果というものを頭に入れて、今後慎重な対策を講じなければならぬと思うわけでございますので、そういうような立場に関連しまして、一、二点お尋ねをしていきたいと思います。  先ほど、消防庁長官からもちょっとお話があったかと思いますが、たとえば野火などで、要するに草その他のものを焼くことがある。あるいは都市の内部で、いろいろと、紙その他の燃焼物を相当大規模に焼却するとか、あるいは花火の例などがございますが、そういうようなことが起きる際に、消防署その他警察のほうへ御連絡するというふうになっておると思いますが、それは行政指導でされておるのか。何か、法的な根拠に基づいて、通知あるいは許可というようなことになっておるのか。いま単なる事例を申し上げましたけれども、抽象的に申し上げますれば、それに基因して災害が起きるような、危険性を生ずるような諸行為につきまして、たとえ自己の所有に属するものの自損行為でありましても、そのことについて、治安当局なり、あるいは災害防止の責任の当局に対しまして通知をする義務づけがしてあるのか、それとも許可を要する問題になっておるのか、あるいは、単なる行政指導で、そういうような場合には、消防署あるいは警察のほうへ通知をしてほしいという行政指導になっておるのか、そのことにつきまして一応お尋ねをしておきたいと思います。
  112. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 御指摘の野火のような場合には、火災予防条例というものを、消防法に基づいて市町村で制定しておりまして、それに従って規制しています。規制しておりますが、一般の例を言いますと、特に、御案内のように、火災警報発令中はこれを禁止をする。それから、そういう場合にも、なお特に野火等の火を使わざるを得ないというような事情の場合には、事前に消防署の許可を受ける。こういうようなことで、市町村では、火の措置について、火災の予防という見地から、そういう規制を、火災予防条例という消防法に基づく条例でやっております。それから、山における火入れその他の点につきましては、やはりこれは森林法に基づきまして、火入れ等の場合にはやはり許可を受けなければならぬというふうな規制をやっております。  ただ、いま御指摘のような実験というようなケースについては、一般に、許可とか、事前の通知とか、届け出ということはございません。
  113. 上村千一郎

    ○上村委員 大体そういうふうな状態だろうと思います。  しからば、私人関係、いわゆる民間人と申しましょうか、役所でない方々がやる場合の規制、どこかの役所でやる場合、その場合には、要するに何らかの規制措置がどこかにあるのかないのか、その点をひとつお尋ねいたします。
  114. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 火災予防条例において対象としておる行為は、かりにだれがやろうと、消防の見地から火災が発生しやすいのでございますから、その点は、役所であろうと何であろうと、つまり、役所のあるブランチがやろうと、事前に許可を受ける、こういうことにしてあるわけでございます。
  115. 上村千一郎

    ○上村委員 私は、いまの御説明のようだと思うのです。と申しますのは、災害に関連し、人命に関連をするというようなことは、それが民間であろうが、役所であろうが、それは規制をする意味におきましては同列に扱っていかなければならぬ、こう思うんです。  そうすると、今回のこの実験の問題でございますが、一つの自損行為と申しましょうか、その所有者におきまして承諾をし、そしてそれだけの損壊をするということでございましょうが、しかし、少なくともこれだけの規模の状態において、そして危険が発生をするということの認識はあったようです。というのは、きょう私テレビなど拝見しておりましても、なかなか専門家がそろいまして、そして、今度お気の毒な結果になりました方々がお見えになられた観測所付近、それらは、現在の実験においてはまあ危険はなかろうというふうないろいろな御検討をされておったということは、裏返してみますれば、結局、危険が発生するという認識は少なくともあったと思うのです。そうすると、そういう危険が発生をするというようなものについては、官庁間におきましても、何らかの通知なり、少なくともそういうことをすべきではないか。また、こんな事故が起きたから、今後は必ず急速にするだろうと私は思うのです。するだろうと思うが、通知義務といいましょうか、あるいは何らかの関連のつく規制というものを法制的に考える。そうすることが、すなわち、施行する当事者もより一そう慎重になってくるというふうに考えられる。私は、こういう実験自身ということも今後やらなくてはならないだろうと思うが、また、相当慎重におやりになったということもうかがえるが、自然というものは、われわれの科学の知識では及ばないいろいろな不測のものを持っておる。こういうような点からいいますれば、災害防止ということについては、念には念を入れても入れ過ぎたということはない。それは、今回の一つの事故によって大きく教訓を与えられておるものと私は思うのです。  ですから、今後ひとつ急速に御検討を賜わりたいとともに、現在の法制上、どこかに規定があるかどうかよく知りませんが、通知なり、その他、連絡をしなければならないというような根拠、あるいは解釈をすべき規定があるのかどうか、あるいは全然そういうものは考えられないのか、これは今後の対策上重要な検討資料になるだろうと思うので、私、その一点をお尋ねをいたしておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  116. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 私が所管している法律の中では、消防法を中心に規定がされておりまして、こういうような事例について事前に通知をしなければならぬという規定はございません。だから、あと、一般通達のような形態という問題でこれをどういうふうに考えるかということになろうかと存じております。
  117. 朝比奈仙三

    ○朝比奈説明員 さだかには覚えておりませんけれども、消防法の諸規定なり、あるいは災害関係の規定なり、あるいは爆発物などを取り扱う場合のいろいろな定めの中に、やはり通報しなければならないというものが幾つかあるだろうというふうに思っております。いまさだかには記憶しておりませんが、ただ、そういう規定の有無にかかわらず、私どもといたしましては、経験的に遭遇いたしましたいろいろな事案の中で、今後も繰り返して起こるおそれがあるというふうなものにつきましては、できるだけそういうものを事前に掌握をすることによりまして、主催者その他と連絡をして、事故防止に遺憾なきを期してまいりたいというふうに思います。
  118. 上村千一郎

    ○上村委員 もう一点だけ。いま私がお尋ねしておるのは、こちらから警察なり消防なりに何も通知しなくても、危険だと思えばやらねばならぬということで、これは当然だと思うが、もちろんそういうことは一生懸命でおやりであろう。また、しなければならぬ、とともに、やる施行者のほうにも、万全を期するような状態の法規なり措置なりをしておくことが、やる方がより一そう慎重になるであろう。こういうふうな意味において、きょう委員の方々が熱心にお尋ねをしておられる点などを考えて、私は、これは早急に対策その他を検討しなければならぬと思う。それとともに、当局においてもぜひ検討をしていただきたい。こういうことを要望しまして、私の質問を終わります。
  119. 大野市郎

    大野委員長 次回は、来たる十六日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十一分散会