運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-12-17 第67回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月十七日(金曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 齋藤 邦吉君    理事 木野 晴夫君 理事 藤井 勝志君    理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君    理事 松尾 正吉君       上村千一郎君    奧田 敬和君       木村武千代君    倉成  正君       佐伯 宗義君    坂元 親男君       中川 一郎君    中島源太郎君       坊  秀男君    松本 十郎君       三池  信君    村上信二郎君       森  美秀君    山口シヅエ君       吉田 重延君    吉田  実君       平林  剛君    藤田 高敏君       堀  昌雄君    伊藤卯四郎君       津川 武一君  出席政府委員         総理府総務副長         官       砂田 重民君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         大蔵政務次官  田中 六助君         大蔵省主計局次         長       吉瀬 維哉君         大蔵省銀行局長 近藤 道生君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  古谷 光司君         大蔵省主計局主         計官      徳田 博美君         自治省行政局行         政課長     遠藤 文夫君         国民金融公庫総         裁       澤田  悌君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 十二月二十六日  個人企業税制改正に関する請願(麻生良方君  紹介)(第三三三九号)  同(石井桂紹介)(第三三六九号)  同(金子一平紹介)(第三三七〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩振興開発金融公庫法案内閣提出第四号)      ————◇—————
  2. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 これより会議を開きます。  沖繩振興開発金融公庫法案議題とし、質疑を続行いたします。平林剛君。
  3. 平林剛

    平林委員 議題は、ただいま委員長がおっしゃったことにありますが、私は、沖繩関係法案質問に入るにあたっては、やはり主務大臣である責任者出席のもとに質問を続けたいという意思を申し上げておきたいと思うのであります。  そこできょうは、最近の金融情勢の問題につきまして、これに関連をしてお尋ねをいたしてまいりたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。主務大臣である大蔵大臣もきょうはお見えになりませんから、主として大蔵省銀行局長に対してお尋ねをしたいと思います。  御承知のように、最近のわが国経済不況状態にございまして、そのために経済見通しが非常に困難であるため、資金需要の渋滞がございます。また、国際収支の大幅な黒字によりまして、外為会計の巨額な散超などがございまして、わが国金融情勢緩和基調に向かっておる。私の承知しておるところでは、四十六年度上期の資金状態を見ますというと、約一兆八千四百十三億円程度資金余剰という状態にあります。昨年の同期は約七千八百二十四億円の資金不足であったということに比べますと、わずか一年の間に、これだけの資金余剰が生まれているということは、金融緩和もいままで私ども承知しておった日本経済史の中におきまして、まれにしかない超緩慢基調であるということがいえるのではないだろうか。そのためには、この状態におきまして、いろいろ私ども考えなければならぬ問題点が生まれてくるように思うのでございます。  そこでまず初めに、この金融緩和基調は一体今後どうなるであろうか、その見通しはどういうふうにお持ちであるかという点を、最初に銀行局長からお答えをいただきたいと思うのであります。
  4. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたように、本年の金融基調は、まさに超緩慢の状況にあるわけでございます。そうしてその原因といたしましては、これもただいま御指摘のございましたように、外為会計の大幅な払い超、これが一月から十一月末までにすでに百十五億ドル前後でございますが、本年一ぱいを通じましても相当な払い超になる、これが一つの大きな緩和の要因でございます。したがいまして、将来の状態予想いたします場合に一番大きな要素は、この外為払い超が今後どうなるか、言いかえれば、急激に外貨準備が減るという現象でもございますれば、再び金融緩和基調から離れてまいるということになるわけでございますが、ただいままでの入ってまいりました外貨情勢その他の内容からまいりまして、金融基調全体に影響するほどの大幅な動きが、外へ流れ出すという動きがあろうとは、ただいまのところ考えにくいわけでございます。その意味では、緩和基調はまだ続くというふうに判断をいたしております。  もう一つ今後の情勢予想いたします大きな材料といたしましては、需要の側におきまして、資金需要が急速に燃え上がるかどうか、この点が今後の情勢一つのポイントになろうかと思いますが、現在のところ、本命製造業設備投資につきましては、これは御高承のとおりかなり冷えきったということばが当たるような状況になっているわけでございます。非製造業の一部その他につきましては設備投資需要などが現在でも出ているわけでございますが、本命製造業設備投資につきましては、そういう状況である。したがいまして、需要の面から見ましてもそれほど急速に緩和基調がくずれるということは考えられない。  以上、二面から見まして、この本格的緩和基調は相当長続きする。いつごろまでということは、私ども見通すことはなかなかむずかしいのでございますが、かなり長く続くのではなかろうかというふうに判断をいたしておるわけでございます。
  5. 平林剛

    平林委員 大体の見通しお話がございましたが、御承知のように、いまアメリカのニクソン大統領緊急措置に端を発しました世界各国通貨調整の問題は、急速な展開を見せようといたしております。新聞で伝えられるところによりましても、円の切り上げあるいはドルの切り下げなど、各国通貨多国間調整が年内にも終わることを目ざしまして、十カ国蔵相会議が開かれ、ワシントンでは十六日、十七日とその話し合いが進められておりまして、大蔵大臣もこの通貨調整話し合いが急展開する可能性があると観測しておるように伝えられておるわけであります。円の問題がどうなるかということは、今後のわが国経済におきまして重大な影響を与えようといたしておるわけでありますけれども、こうした予想される一つ事態に対しまして金融緩和状況はさらにどういう方向になっていくのか、そしてまたこういう事態に直面をしたとき予想される金融行政というようなものは何があるのかということについて、お考えを承っておきたいと思います。
  6. 近藤道生

    近藤政府委員 まず第一点の国際通貨問題の決着がどうなるか、それによりまして今後の金融情勢に非常に大きな影響があるかという点でございますが、確かに国際金融問題の決着しかたいかんによりましては非常に大きな影響もあろうかと存じますが、ただいま予想されておりますような程度の形で、もし落ちつくといたしますれば、先ほど申し上げました、金融に与える影響という面からまいりますと、ことしの一月から十一月末までに百十五億ドル払い超がございました外為会計、またそれに伴って蓄積されました外貨準備、これが急激な変動を生ずる、急に海外に流れ出すというような事態を起こすかどうかということにかかるわけでございますが、私どもは現在それほど大きな影響は、国際通貨問題の決着いかんにかかわらずその面ではないのではないかというふうに判断いたしております。したがいまして、その点からは金融緩和大勢にはあまり強い影響は出てまいらないということが一つでございます。  それから第二点といたしまして、金融緩和状況のもとで金融政策上どういう点を考えていくかというお尋ねでございますが、これにつきましては全般的緩和基調のもとにおきまして、まず貸し出し金利をできるだけ低下させてまいるための環境整備につとめていくということが一つ着眼点であろうかと存じます。それからまた金融緩慢下におきましては、金融機関経営につきましてかなりきびしい点がいろいろと出てまいります。それらのきびしい客観情勢に十分たえ得るような経営体質経営のしぶり、そういうようなことについての指導を十分に行なってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  7. 平林剛

    平林委員 私がこれから問題を発展させたいのは、後段の今後の金融政策でどういう問題点があるかということにお答えをいただきました点でございますが、それをひとまずおきまして、その前にもう少しお尋ねをしておきたいと思います。  かりに大詰めの通貨調整によって一つの転機が来たその場合に、現在の金融緩慢の基調というのはそう大きな変動はないだろう、そしてまたこの緩慢の基調というのが、急に特に外貨が移動して引き締まってくるというようなことは考えられない、こういうお話ですが、どの程度影響があると見ておりますか。つまり、私はいずれまたこれはこまかく議論しなければならぬ課題だと思いますけれども銀行局長としては現在の外為の散超から起きている金融緩慢、それは多少は変わってくるだろうと思うのですね。どの程度変わってくるだろうかという観測、これはなかなかむずかしいことだと思いますけれども、どの程度に見ておられるか、そのことについてひとつお聞かせをいただきたい。
  8. 近藤道生

    近藤政府委員 何ぶんにもまだ国際通貨問題の決着がついておりませんので、その決着のつき方いかんによりましてたいへんに変動がありましょうと思われますので、ただいまの御質問、たいへん難問でございますが、いまの感じを言えというお話でございますのであえて感じを申し上げますれば、おそらくは多少のあや程度動きでありまして、金融緩和大勢から見ればあまり影響のない程度ではなかろうか。いずれにいたしましてもこれは将来の条件がございますので、まだ自信をもって何とも申し上げかねますが、そういう感じを持っておる次第でございます。
  9. 平林剛

    平林委員 これはあらためてまた議論をし、それによってドルショック以来起きてまいりましたわが国金融機関あるいは外為銀行中心にした動き等については議論をしなければならぬときが来ると思いますから、そのときまで保留をしておきますが、問題は、金融政策上どういう問題点があるかにつきましてお答えになりました貸し出し金利低下させる環境整備をする、この点についてまず触れておきたいと思います。  この間、これは先月の十日ごろでしたか、一月くらい前ですが、日本銀行の総裁の佐々木さんが、第五次の公定歩合引き下げという問題に触れまして、当時はまだ、これは白紙状態である、白紙状態ではあるけれども、今度実施するときは預金金利引き下げ可能性が強いということを新聞記者会見で語ったということを、私は重視いたしておるわけであります。この問題は、わが国経済、それから金融環境全般から見まして、従来みなこれに触れたがらなかった。また触れることを避けた。これは私は当然だったと思うのです。少なくともわが国公定歩合は現在戦後最低の水準の五・二五%ですか、低下をいたしてまいりまして、今後の事態予想いたしますと、国際的にも相当金利は低くなってくるときに、わが国はこれでよいのかどうかという議論はございましょうけれども、しかしその際に、預金金利引き下げるというようなことを軽々しく議論するということは私はどうも問題があるんじゃないか。消費者物価上昇はとにかくことしの七月、八月、九月だけを見てみても、昨年の同期に比べて七月はもう七%上昇しておる。八月は六・八%でございましたが、九月は八・四%、十月はもっと上がる。こういうぐあいに物価上昇定期預金の一番率のいい一年半ものを比較いたしましても六%でございますから、それを上回っておる。そこへ預金金利を下げる、その可能性が強いとかというようなことは、私は国民貯蓄という点から考えましてもかなり議論が出てくる問題ではないだろうかと思うのでございます。そこで、銀行局長としてはこの問題についてどういう考えを持っておられるか、お伺いをしたいと思います。
  10. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいまの定期性貯蓄定期預金につきまして、その金利を下げるというような場合にはきわめて慎重でなければならないし、またそういう発言も軽々にすべきではないという御意見、全く同感でございます。現在の情勢から見まして、消費者物価動向その他諸般の情勢から見まして、国民の最も主要な貯蓄手段一つでございます銀行定期性預金金融機関定期預金につきまして、もしそれを下げるというような方向で検討するというような場合には慎重の上にも慎重でなければならない点、まさにただいま御指摘のとおりであると私は考えております。
  11. 平林剛

    平林委員 原則的には私の意見をお認めになっておりますけれども、もしそれを引き下げる場合には慎重の上にも慎重でなければならぬということがつけ加えられておるわけであります。私は、大蔵省の一部あるいは日本銀行の一部におきましても、趨勢として預貯金の金利については、まあ金利全般についてもこれは長期的には引き下げあるいは自由化方向でいかなければならぬといろ議論のございますことは承知しております。しかし、ただいま申し上げましたようなことから考えて、これは軽々に行なうべきでないことをはっきり申し上げておきたいと思うのであります。ところが一部には、まあしかし大衆に迷惑がかからぬようなことは考えられないものかということで、たとえば法人預金金利を下げるというようなことだとか、定期預金金利は据え置いておいて要求払い預金だけを下げるというような考えはどうであるとかいうような考えが一部にあると伝えられておるわけであります。しかし私は、これもどうもこれを行なうということを仮定いたしますと、いまそうでなくとももうけ過ぎている都市銀行のもうけ過ぎにかえって水増しをするというか、追い銭をやるというようなことに相なりまして、中小金融機関のほうはあまりこれはプラスにならぬということから考えますと、これはどうかなと思うのですけれども、その点はいかがでしょう。
  12. 近藤道生

    近藤政府委員 金利水準全般につきましての考え方は、先ほど先生指摘になりましたように、国際金利動向とか、あるいは最近における国内の産業金融中心からたとえば社会福祉というようなものを中心とする貸し出しに次第にウエートが移ってきつつある、そういう点を考えますと、当面、全般としての低金利が求められるというような趣旨のお話がございましたが、そういう傾向は全体としてあろうかと存じます。ただ具体的に考えます場合に、いまお話がございましたような銀行収益の度合い、そういうものも十分考え、そのほか先ほどおっしゃいました消費者物価動向、それらの点をも考え合わせ、そして慎重の上にも慎重な態度で臨むという配慮が必要であるということは私もそのとおりであると考えております。
  13. 平林剛

    平林委員 私は、将来金融機関がその使命に立って、わが国の置かれている経済国民生活使命感に燃えまして、社会資本充実だとかあるいは国民生活重視経済へ移っていく、そういうときにこそコストの安い資金を提供するという考え方に徹して、その傾向が大きくなる、拡大されていく、あるいはまた拡大したという実績があればまた話は別でございますけれども、まだまだ産業投資中心経済にございますし、そういう状況下におきまして、この措置は一体どうかなという見解を実は持っておるわけでございまして、この点も私は慎重にそれこそやってもらわなければならぬ問題だと思っております。特に不況の中で都市銀行は非常にもうかっているのじゃないか。ドルショックでみんな青息吐息し、つぶれるものがあるという中で、都銀だけはこの九月の決算期を見ても、相当の利益をあげておるという声は町に非常に多いし、産業界からもこれは相当の批判が出ている点でございます。特に私も九月決算期、各都市銀行とも点検をしてみたのでありますけれども、いずれも好決算でございます。しかも奇妙に数字をよく合わせてございまして、こんなにそろうものかなと思うのですけれども、中身を見ると、やはり預金の伸びがいいような状態にありますし、あるいは八月のニクソンショックで巨額の輸出代金の流入がございまして、これがいわば定期性預金より普通の預金としてとどまっておることから見て、かなり利益があがったということもうなずけるし、あるいはそれらの関係商社等輸出見通し等ができないまま当座とか通知預金にしてあるために、コストの安いものが入っておるというようなことから、かなりの利益が出ているというふうにはうなずけるわけでありますが、それにしても、どうも退職給与引当金の積み増しを、従来は分割をして積み増ししておったのを、今度は二回くらいに一ぺんにやってしまうような形で、なるべく利益を出さぬようなくふうをしておる状態もうかがうことができます。それに私は、問題なのは、貸倒引当金の問題ですね。特に貸倒引当金の問題はしばしばこの大蔵委員会におきましても、本会議におきましても議論がございまして、現行の繰り入れ率は、千分の十八でしたか、税金を取らぬやつが千分の十五ある、これはおかしいじゃないかということで、実際の貸し倒れというような状況に備えるという理屈はわかったとしても、金融機関としては、その公共的性格から考えて、やはり不況下に太る都銀商法なんて言われないようにするためには、ある程度公共的な性格考えて、収益の一部を税金に還元をするというようなことを考えるとかという措置が、私は態度として必要なんじゃないか。それをなるべく利益を隠そう隠そうというような考え方によって操作をするということは、それが許された範囲内であったとしても、私は一般からの批判を免れることはできぬと思うのであります。ですから、この際、貸倒引当金の無税組み入れの率は、これは引き下げるとか、あるいはわれわれが主張しているように、無税をやめるとかいうような措置がやはりとらるべきだと私は思うのです。銀行当局としてはこれについてどういう考えを持っておられますか。
  14. 近藤道生

    近藤政府委員 金融機関貸し倒れに伴います実際の償却額が、法令上定められております貸倒引当金繰り入れ率に比べましてかなり低いという状態にございますことは事実でございます。ただいま先生の御指摘のありましたような方向で、すみやかに貸し倒れ引き当て率引き下げるという方向で処置をしたいと考えております。  ただ、金融機関におきましては幾つかの問題点はございます。例をあげて申し上げますと、貸し倒れ償却は、金融検査官償却証明が得られました場合に限って認められるということになっておりまして、範囲がかなり厳格にしぼられております。これが一つ。それからまた、これは公共性という見地から内部留保充実がきわめて強い要請でございます。通常の予想をこえる貸し倒れが発生することがありましても十分に対処し得るだけの引き当て金を積んでおく必要が、特に中小金融機関などにつきましてはあるわけでございます。それから、こういう見地から統一経理基準は、先ほども指摘のありました千分の十八まで貸倒引当金を積むことを義務づけているというようなこともございますし、またさらに、いまの情勢では国際通貨不安というようなことを背景といたしまして、これから貸し倒れ発生の増加がかなり懸念されるというようなこともございますので、それらの点、特に中小金融機関についての点は十分に配慮しながら、御指摘のような方向ですみやかに考えたいと思っております。
  15. 平林剛

    平林委員 不況の中で太り過ぎる都市銀行に比較をいたしまして、中小金融機関は、これはまた私は別な観点から考えなければならぬ問題だと思います。特に先ほど局長からお話がありましたように、金融機関はきびしい情勢下にある。それに耐えるような経営体制をとらなければならぬというお話でございました。同時にまた、それに耐え得るような行政というものも同時に配慮をせらるべき必要がある、こう思っておるわけであります。特に中小企業金融を担当するところの信用金庫あるいは信用組合等におきましても、 コールレート低下、あるいは貸し出し金の九割を占めるところの代理貸しが、金融緩和状況下においてうまくいかぬ深刻な状態に置かれておるわけでありまして、特にそういう意味では、それぞれが苦労をしておるという実情は私もよく承知しておるわけでございます。  そこでまず、信用金庫等に対する金融行政指導について、当面政府当局としてとるべき措置がございますか。相手に経営体制を締めつけるということだけではなくて、行政の中においてもこうした問題についてとるべき措置は何があるかということについて、お考えがあったら聞かしていただきたい。
  16. 近藤道生

    近藤政府委員 四年ほど前から唱えられ、実行をしてまいりました金融効率化行政というものの一つのねらいは、今日のような険しい事態予想をいたしまして、そのためにあらゆる面で効率化をはかってまいる、そうしてその効率化された体質をもって公共に奉仕するという目的でやられてまいったわけでございまして、たとえば信用金庫のような場合におきまして、体質強化のための内部のしぶりの改善あるいは業務提携合併等を通ずるスケールメリットの発揮、そういったような方向を推し進めてまいったわけでございますが、今日まさに外からは国際化、内からは金融の超緩慢という、たいへんきびしい情勢を迎えまして、そういう方向での行政を一そう推し進めると同時に、万一にも破綻がございませんように、私どもといたしましてはその点は注意深く見詰めてまいりまして、ケース・バイ・ケースで処置してまいりたいと考えているわけでございます。
  17. 平林剛

    平林委員 おおよその姿勢はうかがえましたが、きょうはもう一つ信用組合の問題についてちょっと触れておきたいと思います。  ここでもやはり余裕金の運用は非常に困難をきわめておるということは、私は、信用金庫の場合と同じだと思います。そこで、信用組合員外預金受け入れという問題あるいは機能の拡充、こういう問題がいま痛切に叫ばれておるわけでございます。この問題は、現状におきまして放置いたしておきますと、信用組合というものが衰退し、弱いところはもう非常な危険な状態になる。そういうことになりますと、中小企業、いや中小企業というよりはもっと小企業零細企業、こういうところを担当しておる金融陥没地帯が生まれてくるんでないだろうか。これは私は、単に中小金融機関経営という問題を越えて、そうした小規模零細企業金融の危機である、そしてまたドルショックあるいは不況、ダブルパンチを受けたこれらの企業の死活問題に発展をするおそれがある、こういうことを考えますと、やはりこの際信用組合員外預金受け入れ制限緩和というような点も十分考慮しなければならぬ問題ではなかろうかと考えるわけでございまして、この点につきまして銀行局長のお考えをひとつ示していただきたいと思うのであります。
  18. 近藤道生

    近藤政府委員 信用組合中小金融機関といたしまして、信用金庫と同様、あるいはそれ以上のきびしい情勢に置かれておりますことは、ただいま御指摘のとおりと存じますし、特に信用組合経営破綻を生ずるようなことが万々一あれば、そこが陥没地帯となってゆゆしいことになるということもお示しのとおりであろうかと思います。そこで、員外預金の御提案があったわけでございますが、員外預金の問題につきましては、第一にそれが協同組合の事業であるという点におきまして、協同組合自体のあり方をどうするかという問題があるわけでございます。この点につきましては、中小企業政策のあり方の問題全体といたしまして中小企業政策審議会において検討されると聞いております。  第二に、今度は金融制度の中での信用組合をどう考えるか、どう位置づけるかという問題があるわけでございます。これにつきましては金融制度調査会におきまして昭和四十二年にいろいろ検討されました結果、御高承のとおり一応信用金庫信用組合という二つの別個の制度として確認をされまして、その異種の機関の間での転換を認めるということにされた経緯がございます。  なお、かりに員外預金の規制を緩和するというような場合におきましては、今度は信用金庫との権衡からまいりまして、信用組合の設立、業務の監督、検査などにつきまして現在都道府県知事に権限が委任されております体制につきまして、根本的に見直さなければならないような問題点もあろうかと存じます。まあこのようにいろいろ広範な問題がありますので、今後とも引き続き慎重に検討をいたしてまいりたいと考えております。
  19. 平林剛

    平林委員 私は当面の緊急の課題として、特に零細企業を担当する信用金庫あるいは信用組合状態から考えてとるべき措置を要求しておるわけでありますが、員外預金の受け入れの問題は、まあ協同組合の組織といいますが、同じ協同組合の中でもすでに員外預金の受け入れが大幅に緩和されているところがあるわけであります。水産漁業関係とか農協もそのとおりでございます。また信用組合でも、大蔵省はそれは解消せいと、こう言っておるたてまえはございましょうけれども、実態は違う。法律のたてまえと実際とは違ってきておる状態である。これをどちらかにするというのは私は一つの曲がりかどに来ておると思うのです。そしていまお話しのように、かつて金融二法の議論をいたしましたときにそれぞれの部門があったことは事実でありまして、信用組合信用金庫の違いをどうするかという点などもあったと思います。しかし私は、かりに信用組合員外預金を認めたとしても金庫と組合とは違っていると思います。たとえば員外貸し出しという点におきましては金庫と組合との間においては違いがございますし、また監督という面でも大蔵省監督と地方公共団体の監督という点でもけじめがつくわけであります。私は問題は、信用組合の中には数がたくさんあって、そしてその中には経営状態が悪いものがある。かりに員外預金を認めた場合にその検査体制がどうなるかという点が残ると思うのであります。もちろん員外預金を受け入れたといたしましても、直ちにそれでは信用の問題がくずれるかというと、そんなことは私はあり得ないと思うのです。それぞれの経営者は員外預金を受け入れたといたしましても、当然信用の問題から見てこれを重視する姿勢を示すだろうし、また示さなければならぬ、示さなかったらその存在そのものが危うくなりますし、みずから墓穴を掘ることになるわけですから、みずからの姿勢をきびしくする。しかし、それだけではなお満足できないということから、先般預金保険のときに大蔵委員会では附帯決議をつけた例もございます。つまり地方公共団体から要請があったときは大蔵省はこれに介入をして監査をすべきである。私はその趣旨をさらに一歩進めるようなことを考えるその前提の上で員外預金というものを前進させるべきではないかと、こう思うのですが、重ねてひとつ御意見を伺いたい。
  20. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいま信用金庫信用組合の実情を含めまして傾聴すべき御意見を承ったわけでございますが、それらの点をも含めまして今後引き続き慎重に検討をいたしてまいりたいと考えております。
  21. 平林剛

    平林委員 自治省のほうにちょっとお伺いしますが、私は、そのことに関連して、信用組合はいまどちらかというと地方団体において監査しておるわけですね。私の承知しておる限りでは、その監査をする人がまあしろうとといってはおかしいけれどもどんどんかわっていく、そのために行き届かないというような点がありはしないか、そのことが員外預金受け入れ制限緩和というような点に支障がありはしないかという点も考えなければならぬと思うのですね。ですから、私はここに一つの提案があるのですけれども、少なくとも当面こういう信用組合を監査をするという体制を強化すべきである。そして監査する者もこうした事情に詳しい人を充てるべきである。少なくともそういうことにたんのうな人を選ぶとすれば五年間程度はそういうものに詳しい人をこれに充てるというくらいなきびしさがあって、初めて信用組合の監査体制というものは、先ほど銀行局長の言われた根本的見直しといいますか一歩前進させるための措置が備わってくるのじゃないだろうか、こう思うのでありますけれども、そういうような体制をおとりになるというような気持ち、あるいはそういうことについて検討する用意があるかどうか、それをひとつお尋ねをいたしておきたいと思います。
  22. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 御質問の点お気持ちはわかるような気がいたしますわけでございますが、問題が二つございまして、一つはこの問題は、この仕事の中身が御存じのように大蔵大臣のほうの、主務大臣のほうの所管で、そちらのほうが責任を持っておやりになっておるので、都道府県知事はいわばその指揮、監督のもとに仕事をやっておる仕組みになっております。したがいまして、そういうふうな現在の国の仕組みといたしまして、もちろん私どもといたしまして、その主務大臣のほうから御相談があれば中で御相談いたしますけれども、地方に対するところの指導、監督というのは主務大臣のほうでおやりになっておるという仕組みになっておることが第一でございます。  第二の問題といたしまして、そのような大蔵省、主務省のほうで都道府県にいろいろ指導、監督、アドバイスをするということは、これはもう当然のことでございますけれども、一方これは都道府県自体の組織ないし人事の問題、自治権の問題でございまして、その点につきまして国のほうがものを言うというのはどちらかといえば慎重であるべきであるという一つの問題がございます。  そのような点も踏まえまして、私どもはこのようなたてまえにおきまして直接地方に口を出すということはいたしておりませんでしたけれども、まあ国の内部におきまして大蔵省のほうからそういう御相談がございますれば、その範囲内におきまして、国の内部におきまして御相談には応じたい、かように考えております。
  23. 平林剛

    平林委員 いま私そのお話を聞いておったわけですが、実際上は地方団体にこの監督権というのはあるのじゃないですか。主務大臣というお話がございましたけれども銀行局長、これはどうなんですか。私は、だからその点について、どうもその責任の所在がはっきりしないのでありますから、明確にしてもらいたい。それから私は検査体制というものはやはりある程度見直しをして、それにふさわしい体制をとるということが、今回のこういう状態下に置かれている信用組合措置を進める前提であると考えておるわけでございまして、そういう方向に進めなければならぬ。主管がどうもはっきりしないようなのでありますけれども、それについてはいかがでありますか。
  24. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいま御指摘のとおり、従来は大蔵省といたしまして一般監督権だけにとどまっておりまして、実際の仕事は都道府県においておやりになるという状態であったわけでございますが、この前の預金保険法の際の附帯決議の御趣旨にもかんがみまして、その後におきましては、できるだけ積極的に都道府県の行ないます検査の指導を行ないますとか、あるいは要請がございますれば、国から職員を派遣いたしまして臨検検査指導を行なう、あるいは都道府県の検査担当要員のレベルアップと申しますか、そのための研修会を催すとか、できるだけ積極的に大蔵省といたしましても出ていくようにつとめているところでございます。
  25. 平林剛

    平林委員 私はこの問題については、気持ちの上では自治省のほうもよくわかっておるようです。実際上の運用の問題について私が指摘した点を、意のあるところを組んでひとつ善処をせられるように希望いたしておきたいと思うのであります。  次に私は、国民金融公庫の問題について御質問申し上げます。そろそろ年末も迫ってまいりまして、民間の金融機関はそれぞれ先月の初めに年末金融対策をきめられまして、私の承知しておるところでは十月−十二月の貸し出し増加目標として大体合計一兆八千九百億円、昨年の実績の一兆四千五百九億円と比較いたしますと、三〇%増の年末金融対策をそれぞれ進められました。これは銀行関係でも九千四百億円、相互銀行関係でも四千億円、信用金庫関係でも五千五百億円それぞれとられまして、政府関係機関におきましても千八百八十億円ですか、との増加を見られたわけであります。ところが私、政府関係機関三機関をずっと見まして、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金を見まして、どうも国民金融公庫に対する年末金融の増加というのが何にもないじゃないがという点、非常に不満なのであります。中小企業金融公庫が昨年は五百五億円でありましたけれども、十月−十二月、ことしは五百四十億円、約三十五億円程度ですがふやしておる。商工中金のほうは昨年は五百四十五億円であったのが八百億円で大幅にふやしておる。これは私の承知しておるところでは、繊維関係の問題があるというので特にふやしておるようであります。ところが国民金融公庫は昨年は五百四十億円、ことしも五百四十億円、同じじゃないですか。大体年末金融としては当面予想される不況の深刻化、ドルショック、いろいろなことを考えて、それぞれ銀行関係でも昨年同期に比較して一九%ふやしておる。相互銀行関係でも二七%もふやしておる。信用金庫関係では三八%もふやしておる。これが私は事態認識に対する対応すべき姿である。  ところが、政府関係の三機関は千八百八十億円であるが、一八・二%、問題のとらえ方が一番低いと言っても差しつかえない。加えて国民金融公庫は昨年と大体同額である、これは一体どういうわけなんだ。私はこういう一八・二%、政府関係機関平均でも少な過ぎると思うのに、国民金融公庫は全く同額である。これは一体どういうわけなんだろう、この方面を担当するのはこれで十分なのか、これでいいのか、こういう点が私はどうも釈然としない。そこできょうは総裁においでをいただきまして、この点をはっきりさせてもらいたい、こう思う次第でございます。
  26. 澤田悌

    ○澤田説明員 ただいま御指摘の年末対策の資金についてでございますが、御承知のように、本年は一般的不況に重なりましていろいろな経済界の問題がございます。それに応じて何回か資金の増額が行なわれたわけでございます。一般不況対策として百五億円、それからいわゆるドル防衛問題に対応してわが国金融公庫は三百五十億、これで年末に五百四十億、こういう追加が行なわれたのでございます。そういうふうに逐次資金の増加が行なわれた関係もございまして、私どもは実は年末の要求は八百六十億円要求をしてお願いをいたしたわけでありますが、ただいまのような措置の重なった関係もございまして、その他の金融機関とのバランスも考えたことであろうと思いますが、国民金融公庫はそういうこととあわせて年末には五百四十億円でどうか、こういう御決定に相なったわけでございます。私どもはそれによりまして極力国民金融公庫の守備範囲に不都合を生じないように、緊急なものを優先させるとか、万全の配慮をして対応してまいりたい、かように考えておるわけであります。
  27. 平林剛

    平林委員 金融公庫の総裁は八百六十億円を要求したのだけれども押えられた、こういう話でございます。大蔵省は一体どういう考えですか。大蔵省が押えたとおっしゃった。何でこれでいいというふうに御判断なさったのですか。
  28. 近藤道生

    近藤政府委員 私どもも決してこれで十二分とは考えておりません。ただいまのような御意見があり得ることは十分私ども自身も考えておるわけでございます。ただ総裁から御答弁がございましたように、本年度の特色といたしましては、不況対策、それからいわゆるドルショック対策、それから年末対策、例年と違いまして三度にわたる追加が行なわれまして、しかもドルショック対策、不況対策というような特別の観点からの追加が三機関に対して行なわれたわけでございます。したがいまして、これらの資金の三機関への配分につきましては、それぞれの中におきまするドルショックならドルショックに応じての資金需要性格、あるいはまた不況対策なら不況対策に応ずる資金性格、それらの資金需要性格と、それから三公庫の特性と申しますか、たとえば生業資金を主とする国民金融公庫あるいは設備投資資金供給を主とする中小公庫あるいは組合金融を主といたしまする商中といった三機関のそれぞれの性格を一方に考えまして、その両者のコンビネーションによりまして、それぞれの段階における資金の配分をいたしております。三機関の間における配分はまあまあ性質から見まして、三度累計いたしますれば大体この辺が一番バランスのとれたところであろうかと考えております。ただ、それぞれの機関につきまして、まだまだこれでとうてい十二分だというふうに私ども自身も考えているわけではございません。バランスにつきましては、そういうような感じを持っております。
  29. 平林剛

    平林委員 きょうは銀行局長、ほかの答弁は私は大体了解するけれども、いまの答弁は全く了解できません。大体ことばもよくない。十二分だと思ってない。十分だと思ってないというならまだ話はわかるけれども、十二分だと思ってないなんというのは何事ですか。十分でないというならまだ話はわかるのですよ。バランスがとれているというようなごときはとんでもない話で、ちっともバランスがとれてない。これはどうも銀行局長の姿勢が悪い。いままではちょっといいと思いましたけれども、これでは全然話にならぬ。いいですか。私はおとといの委員会で、「国民金融公庫の現状」というのを読んでみた。これを見ても、銀行局長、十月の現状を見ても、公庫の申し込みは昨年の九月同期に比較をいたしまして、申し込みでも八%ふえている。金額でいえば二〇・八%の状態になっている。十一月の現状を見ると、十月でも申し込みは前年同月比の四・四%、金額にしても一五・九%伸びている。十月−十二月の年末金融はとんとんでいいなんという考え方はどこから出てきたのですか。私たちは「国民金融公庫の現状」というのを見せてもらって、そして資金需要国民金融公庫を利用する階層の動きを見ながらそれに対応する金融措置をとるというのが、これが十分な措置とまでいかなくとも、まあ最低の努力でなきゃならぬ。とんとんじゃありません。わざわざこういう現状を出してその実情をわれわれに知らしておきながら、それでバランスがとれているとか、十二分ではないがなんというのはちょっと伺えないです。大体貸し付け金額を国民金融公庫の調査で見ると、昭和四十五年、一件平均の申し込みが百三十八万円だ。貸し付け金額の一件平均を見ると百十万円だ。だから、申し込み金額に対する貸し付け金額の割合は七〇%じゃありませんか。それでどうして十二分ではないがとか十分だとか言うのですか。私は、決定的に資金量が少ない、こう言えると思うのですね。もう一回、いまの十二分なんというのは、これはちょっと訂正をしてもらいたいし、バランスがとれているなんというのは、何とバランスがとれているのか説明がつかないと思う。言いかえてもらいたい。
  30. 近藤道生

    近藤政府委員 私どもも十二分ではないと思っておりますというふうに申し上げたわけでございます。あるいは十分ではないという言い方のほうが妥当であったかと思いますが、必ずしも満足すべきものではないという感じは持っておるわけでございます。
  31. 平林剛

    平林委員 総裁、大体あなたのほうも腰が弱過ぎますよ。八百六十億円要求したら、一歩も下がらぬくらいの態度をとって——大体銀行局長、私に言わせるとこの問題についてはちょっと認識が甘いですよ。ことしはあれだっていうじゃないですか、例年なら十二月の十日ころまでは申し込みがあれば年内に貸していたというじゃないですか。ことしはもうだめだというような行政指導をやっておるというような話を私聞いております。これはどういうわけなんですか。例年なら十二月の十日くらいまでに申し込んだやつは年内に貸し出しますよとやっている。年末にかけ込んでくる人たちに対しては、これはもう切実なる問題ですよ。新年にいくのか、ことしになるのか。それを国民金融公庫は十二月十日までで例年やっていたけれども、ことしはだめですと言ったのは、原因はどこにある。これは銀行局長にもよくわかるように、その実情というのはこういうもので、やむを得ずこうやったということを少し聞かせてもらいたい。私はどうも納得できない。
  32. 澤田悌

    ○澤田説明員 毎年、年末は融資の申し込みが殺到いたしますので、できるだけ早目にお申し込みを願いたいということをお客さんにお願いをいたしておるわけでございますが、ことしは特に先ほど申しましたようないろいろな措置による追加融資が重なりました関係もあり、一そう早目にお申し込みを願いたい、こういうことをいたした関係もございまして、早目に出そろったということは申せるかと思います。ただ、それでもう全く十分であったかということになりますと、これは二十日とか二十何日とか、年越しの未処理件数が手続上も資金の点からも残りますのが毎年の例でございますから、そういう点も考えまして、できるだけお客さんに御不便、御不自由をおかけしないように、設備資金で翌年に延ばせるものは延ばす、緊急な運転資金は極力はめ込む、窓口でできるだけの措置をいたしまして対処をいたしておるような次第でございまして、その辺お含みいただければたいへんありがたいと思う次第であります。
  33. 平林剛

    平林委員 国民金融公庫の総裁は、せっかくいい機会を私は与えてやったのに何ですか。私は正直にお話しいただいたほうがいいと思うのですよ。われわれも見ているのですよ。実際の動きから見て、これでは資金量が足らぬということはわかっているのですよ。わからないのは大蔵省のほうなんだ。ですから、こういう機会にもっと大胆におっしゃっていただくことが国民金融公庫の前進をはかるということに大事なことなんで、あなた、ちょっと腰がふらふらしていますよ。大体、なるべく早く、早目にしろ、出そろった。こんなのは飾ったことばだよ。国民金融公庫だけなぜそんなことをするのですか。他の金融機関と比較いたしまして、これでは国民金融公庫は泣きますよ。あなた方をたよりにしている一般の国民は泣きますよ。私は今日まで国民金融公庫が総額で七千億円をこえてくるというような現実から見まして、ここに期待をする層というのは広がってくると思うのですよ。それがそんな姿勢ではだめですよ。結局、資金量が少ないんじゃないですか。資金量が少ないからやむを得ずそういうことをやっている、こういうことじゃないのですか。もう一度発言の機会を与えますから、もっと積極的な姿勢で、早目にやったからこれでもうだいじょうぶですなんという態度はもう一回あれされたほうがいいですね。
  34. 澤田悌

    ○澤田説明員 まことにありがたい御声援でございまして、感激をいたすわけでございます。決して早目にやったから十分だということを申し上げたわけではございません。これは、資金がもっと潤沢にございますればベターであることは申し上げるまでもないのでございます。ただ、いろいろなバランスの中で配分されます財投を受けまして、その中でいかにそれを有効適切に使うかということについて心を砕いておりまして、その点だけ申し上げます。
  35. 平林剛

    平林委員 貸し付け期間の問題だってそうなんですよ。運転資金なんというのはたとえば五年以内とか、あるいは設備資金は七年以内というのがたてまえになっておるのに、国民金融公庫はどうですか、実際は三年以内の貸し付け期間によるものが、昭和四十五年度の実態から見ますと八一%。圧倒的多数じゃありませんか。公庫は資金不足だから、資金量が足りないから、運転資金も三年以内という形でなければ貸せないんじゃないですか。各支店は私どもときどきおじやましますけれども、それが実態じゃないのですか。利息だってそうです。公庫の利息は八・二%ですね。日本輸出銀行は四%から七%、農林漁業金融公庫なんというのは三・五%から六・五%。八%が一番高い。公庫は条件が悪い。先ほど銀行局長は、産業的な金融よりも生活的な金融にウエートをかけるなんておっしゃったけれども、政府の関係機関自体が国民生活優先というような金利になってないじゃないですか。これが一番高い八%じゃないですか。市中銀行はだんだん金利引き下げなければいかぬという。国民金融公庫は八%じゃありませんか。貸し付け期間にしても金利にしてもこういう状態にあるというのは、これは資金量が足りないからですよ。猛省を促しておきますよ。  それに、大体私は政府出資の増加が必要だと思っています。国民金融公庫の出資金は昭和三十年から二百億どまりじゃありませんか。これはもっとふやせばまたそこに運用というものが生まれてきて、できるだけ安い金利で一番たよりにしている国民金融公庫の貸し出しができるじゃありませんか。資金量が決定的に足りない。こういうことについてもう一度ひとつ私は猛省を促して、来年は少なくともどういうようにするということをやはりここではっきりしてもらいたいと思うのです。
  36. 近藤道生

    近藤政府委員 来年以後の方針につきましては、ただいまの御趣旨、十分銘記いたしまして事に当たりたいと思っております。
  37. 平林剛

    平林委員 公庫の総裁、幾ら要求していますか。
  38. 澤田悌

    ○澤田説明員 四十七年度の要求につきまして申し上げますと、最初に四十六年度どういう結果になったかを申し上げますが、貸し付け予定額七千百六十九億円を要求いたしまして、六千六十三億円という当初予算が成立したわけでございます。四十七年度につきましては八千四百六十億円の貸し付け予定額を要請いたしておるわけでございまして、その中には普通貸し付けが七千九百二十億円、それから恩給担保貸し付けが四百九十六億、それから記名国債担保貸し付け等が若干ございます。これが四十七年度の要求でございます。
  39. 平林剛

    平林委員 ここで予算折衝をやるつもりはないけれども、少なくとも金融公庫が八千四百六十億億、四十七年に要求している。私がいま述べた理由を十分受けて考えると言うのだけれども、どのくらいまで、ひとつ見ていただけますか。
  40. 近藤道生

    近藤政府委員 先ほど来るるお述べになりました実情を十分踏まえまして、来年度につきましては、具体的な処理はまだ今後の問題でございますが、その際には十分これらの点を参考にいたしまして考えてまいりたい、関係者との折衝もそのつもりでやってまいりたいと考えておるわけでございます。
  41. 平林剛

    平林委員 資本金の問題についても申し上げますけれども、私、先ほど指摘したとおり、国民金融公庫は昭和三十年度に資本金二百億円、昭和四十五年、十五年たった後も資本金二百億円ですね。あなたから答弁をしてもらったほうがはっきりするかもしれないが、私、一応資料要求しまして調べてみた。住宅金融公庫は、昭和三十年に四百二十五億円であった。十五年後には九百七十二億円になっておるから、二倍程度ふえておる。国民金融公庫は十五年間ほうりっぱなしである。住宅のほうは、まあこういう問題についてやるということは悪いことじゃありませんから、積極的におやりになることはけっこうです。しかし、国民金融公庫は同じである。農林漁業金融公庫、昭和三十年は四百九十二億円であった。いまは千七百二億円である。三倍以上ふえておる。これもまことにけっこうである。もっとふえたほうがなおよろしい。中小企業金融公庫、昭和三十年に二百四十一億円であった。これはいま二百五十二億円。伸び方が足りない、もっとふやすべきである。日本輸出銀行、昭和三十年にこれは三百五十億円、いまは四千四百八十三億円、これは何倍になっているのですか、計算ができない。日本開発銀行は、昭和三十年、二千三百三十九億円の資本金であった。これは同じである。初めが多かった。  いずれにいたしましても、政府関係機関の資本金の推移を三十年と比較いたしましても、おくれているのは国民金融公庫と中小企業金融公庫であるということは間違いない。いいですか。だから、今日までの政府の姿勢というものは産業基盤に対するところの融資、金融は至れり尽くせりである。しかし、国民あるいは中小企業というところについては全くほうりっぱなしである。資本金の比較から見て端的にあらわれているじゃありませんか。政府出資の増額が必要である。すみやかに必要である。佐藤総理大臣も、今度は生活基盤に重点をかける、こういうことを本会議で述べた。ことしはどうしますか。大蔵大臣がいないのは残念だけれども銀行局長と政務次官、この問題についてひとつ——委員長、そうですね、はっきりした答弁を……。
  42. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいま御指摘のとおりに、各金融公庫別に出資の額の変遷、非常にふえておりますもの、あるいはほとんど変わっておりませんもの、いろいろございます。そしてそれらは、そのときどきの情勢に応じて考慮されてまいったと思いますが、ただいまはまさに転換点に入ってきているということは御指摘のとおりであろうかと思います。そういう角度から、今後出資の額を考えますような場合におきまして、たとえば輸出、産業基盤、そういったものから次第に国民福祉というような方向に転換をしてまいるということは、大きな方向として当然のことであろうかと存じます。そういう点を踏まえまして、今後とも関係者との間で折衝を進めてまいりたいというふうに考えております。
  43. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 ただいま銀行局長が申し上げましたように、国際的にも平価調整というようなことで大きな均衡を迫られておりますし、国内的にも、三十年から十数年たっておる現状で大きな転換期に来ておりますので、そういう点を十分配慮して、国民金融公庫につきましてもそういう基盤を十分考えて対処していかなければならない時期に来ているというふうに確信しておりますので、そういうような観点からライトを浴びせて再検討する必要が十分あるというふうに考えております。
  44. 平林剛

    平林委員 主計局のお墨つきをいただきたい。
  45. 徳田博美

    ○徳田説明員 先生指摘国民公庫の出資金でございますが、これは先生御存じのとおり、出資金の効果といたしましては、貸し付けの原資となるということと、もう一つ資金コストを下げて収支面に寄与する、この二つがあるわけでございます。先ほど先生指摘のとおり、確かに国民金融公庫に対する出資につきましては、昭和二十四年から三十年までの間に二百億が行なわれたわけでございますが、その間におきまして、出資としては漸次後者の収支に寄与するという点にウエートが置かれてきたわけでございます。確かに三十一年以降は出資は全然ないわけでございますけれども、ただ昭和四十一年に至りまして、当初予算におきましては収支がバランスしないというような状態になりましたので、その間四十一年から四十五年までの間におきまして、この収支をバランスさせるために十二億二千九百万円の補給金が出たわけでございます。これは一応数字的に換算いたしますと、出資に換算して大体百五十億円ぐらいに上がるわけでございますが、そういう措置も別面に行なわれていたわけでございます。  それで、先生指摘の今後の問題でございますが、一応公庫の健全な運営ということをわれわれは期待しておりますけれども、収支のバランスに問題が生じたような場合には今後とも財政面の措置をやってその点を補完していきたい、このように考えております。
  46. 平林剛

    平林委員 まあ銀行局長も政務次官もおおむねかなりの答弁をなさいました。これは私は、ことしの予算をあれするときにも政府の姿勢がこれではっきりすると思うんですね。国民金融公庫、中小企業金融公庫に対する出資をふやしていくその度合いがどうであるかによって、文字どおり政策転換の時期において国民生活優先の道を選ぶか、従来どおり身動きがつかず、私が言ったようにブレーキもハンドルもきかない佐藤内閣に終わるか。この間藤原弘達さんが、あれは間違いだ、もう古くてさびて使いものにならない内閣だ、こう言ったけれども、ほんとうに使いものになるかならないか。これは私は中小企業金融公庫や国民金融公庫の出資をふやすという積極的な姿勢でバロメーターが一部うかがえる。それによって金利の問題もあるいは資金量の増加、運用が国民生活の面にどう振り向けられるかという一つの証拠に私はなると思うので、政務次官もどうかひとつせっかくこの面についての御努力を願いたい。  ついででございますからもう一つ。大体国民金融公庫というのは、私、今度ちょっと調べてみたのだけれども、公庫を十分知っている人は少ないですね。大体私の神奈川県なんていうのは、いま横浜、小田原、川崎の三カ所しか支店がない。全国で百三十何カ所あって、人口五百万から六百万ある県が三カ所しかないんですよ。私はこれは人口別にもう少しあれしてみなければいかぬと思うのだけれども、公庫の支店の少ないことは非常に問題ですね。ある金融機関が調査をいたしまして、これは公庫のほうがおそらくお願いしたんじゃないかと思うのですけれども国民金融公庫があることを知っていますかということに対して、よく知っていると答えたのが二〇%、ほとんど知らないといったのが四〇%です。私は、公庫の広報というものも必要だと思いますけれども、その調査を見ますと、一番知る機会を得たというのは広報や何かじゃないですね。代理店へ行って、こういうものがありますよといって教えられて行ったのが一番ウエートが高いですね。また今度は利用者の身になってみると、傾向的にはできるだけ金融機関は近いほうがよろしい。いろいろなサービスを受けられるし、交通上の問題もあって近いほうがよろしいというようなことから考えると、国民的な金融を担当するところの公庫の支店があまりにも少な過ぎるんじゃないだろうか。こういう点では、いわゆる浸透度を調べてみたのですが、神奈川県が一番浸透度が悪い。都会の周辺が一番悪い。千葉県、埼玉県が一番悪い。いなかへ行きますと商工会なんていうのがありまして、いろいろめんどうを見てくれるですね。だけれども都会周辺は非常に浸透度低いですね。  ですから、そういう意味では私はこの店舗行政というものは、一般的な市中銀行信用金庫、組合、いろいろなことがあるでしょうけれども国民金融公庫のあり方ということも一度見直してみる必要があるんじゃないか。大蔵省は大体一つの県に一行というような形で原則的には押えているようなやり方をとっておるけれども国民的な見地に立てば金融公庫を少し前進させるような措置が必要である、こう思っておるわけであります。総裁、あなたは来年度予算において公庫の支店増加はどのくらい要求しておりますか。
  47. 澤田悌

    ○澤田説明員 ただいま御指摘の点、まことにごもっともでございまして、われわれも毎年店舗の増設を要求いたしておるわけでございます。遺憾ながらここ数年、人員の問題もございまして店舗の増設が停滞いたしまして、四十五年度に初めて武蔵野支店というのが一カ店認められました。それで四十六年度は増設はございません。四十七年度は二カ店、具体的に申しますと埼玉県の第三支店、神奈川県の第四支店、この二カ店を要求いたしておりますわけでございます。先ほどお話もございましたように、地方の県等におきましてはおおよそ充足しているかという感じをいたしておりますが、大都市及びその周辺の過密地帯につきましては私どももその手薄さを感じておりますので、ただいま申しましたような例でもおわかりのように、大都市周辺に毎年増設をお願いいたしているような次第でございます。
  48. 平林剛

    平林委員 銀行局長いかがですか。
  49. 近藤道生

    近藤政府委員 今後の予算折衝の過程におきまして、総裁とも十分お話し合いをいたし、また関係者とも相談をしながら態度をきめてまいりたいと考えております。
  50. 平林剛

    平林委員 きょうはお許しをいただいて実は一般的な質問を続けてまいりましたけれども、最後に一つ。これは大蔵省に関係するのですが、きょうは大臣がちょっといないものだからやりにくいのでありますけれども、公団住宅の家賃を上げるという問題ですね。これは大蔵省が先がけて公団住宅の家賃を上げるというやり方を打ち出しておる。大蔵省というのはこういう数字のことはいろいろ明るいかもしれないけれども、政治的センスは全くゼロである。特に今日、佐藤内閣の一番のウィークポイントはどこにあるかといったら住宅政策ですよ。もちろん物価もありますし、いろいろありますが、その中でも住宅という問題については重大な国民関心を持っておる。その中で大蔵省が公団住宅の引き上げを率先してやるという感覚というのはどこから出てきているのでしょうか、ひとつ承りたいと思います。
  51. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 いま先生の御指摘のとおり、住宅の居住者にとりましては家賃というのは非常に切実な問題でございます。私どもこれに対しては慎重に対処しなければいけないと考えているわけでございます。ただ去年の六月に建設省の住宅宅地審議会で、古い住宅入居者と最近の住宅入居者との間の家賃のアンバランスがあまりにも大き過ぎる、こういう御指摘がございまして、その不均衡是正につとむべきであるというような答申が行なわれたわけでございます。これにつきましては私どもいろいろ検討いたしましたところ、たとえば昭和三十一年の入居者が、これはいわゆる給与、所得に対する家賃負担率でございますが、これが四%程度でございます。最近の昭和四十五年ごろでございますと一五%程度、相当なるアンバランスがございますので、一ぺんにこれは修正できませんが、これを相当上げましてそれでアンバランスを是正していこう、こういうような感じで打ち出しているわけでございます。私ども出っぱなしの計算でいきますと相当な額になりますが、それを数分の一に圧縮いたしまして頭打ち三千円ということで考えているわけでございます。
  52. 平林剛

    平林委員 大体団地における家賃というのは、そのときにかかった地代、土地の購入費あるいは建築費というのを相当長い期間償却をするという一つの計算の基礎に立ってきめてきたわけでしょう。いまはだいぶ新しい住宅ができてまいりましたから古くなってきておりますけれども、その当時はそれなりの一つの計算基礎に立って家賃がきめられたのでしょう。バランスの問題を言うなら、なるべく低いほうにバランスをとるのがほんとうですよ。高いほうにバランスをとるなんという考え方は、私はちょっと政治的感覚が欠けていると思うのです。いわんやあなた、政府がこれから住宅政策に力を入れなければならぬというときに、全くマイナス、しかもわれわれの信頼する大蔵省から出ているところに私は問題があると思うんだ。こんなものは、今日まで政府自体として住宅政策がなかったという点を反省すべきだし、それから自力の建築だけにたよっていたいままでの住宅政策というものを坊主ざんげしなければいかぬ。一番問題なのは土地の値上がりなんだから、土地の値上がりについてどうするかということで血道をあげるならいいけれども、価格是正なんていって高いほうにつり上げるなんという、一番困っている大衆にしりを持っていく考え方をおやりになるというのはいかがでしょうか。大蔵省というのは大体計算の基礎に立っているのですから、私は、むしろそういう考え方はこの際撤回して、あまり火の手が大きくならぬうちに大蔵省はいさぎよくこの案を撤回すべきである、こう思うのでありまして、信頼すべき大蔵省にこういうことがまかり通るなんということは避けるべきでしょう。これはあなたが最高の責任者でないかもしれませんが、どうなんでしょうか。ひとつ慎重の上にも慎重というふうに、まだこれは発想はないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  53. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 公団家賃の改定につきましては御指摘のとおり建築費、この償却額が相当大きいわけでございます。公団は七十年という長期の償却で計算していますが、最近非常に問題になってまいりましたのは、たとえば窓のサッシとか、あるいは排水・給水管とか、外側のフェンスとか、いろいろの意味の修繕の不足が出てきているわけでございます。修繕費の不足が現在の計算で六十四億円。こういうような相当な不足が出てまいりまして、たとえば今度の家賃是正で増収になりました分をこの修繕費の是正にまず充てまして、実質的に古い住宅の居住者に対してそれだけのサービスをいたそう、こういう感じでおります。  なお、この値上げ問題につきましては、平林先生指摘のとおり私どもなお慎重に検討していきたい。  それからなお、よけいなことでございますが、現在公団賃貸住宅を三十五万戸持っております。ことしは賃貸住宅は、補正追加を含めまして六万戸建設しております。来年度も私ども公共事業の予算の編成にあたりましては生活環境に重点を置いて編成いたしていきたい、こう思っているわけでございます。
  54. 平林剛

    平林委員 伝えられている発想につきましては、これは慎重にやるというのでありますから、撤回せよと要求するのは、ある場合に撤回せよというのであるから、ちょっと問題はあるかと思いますが、私は六十億か七十億円のお金を捻出をするために一体一般の物価のはね返りだとか一般家賃のはね返りだとかいうことを考えないということは、これはもう論外ですよ。こんなことを認めるということになったらわが国に政治はないといわれてしまいますよ。私はそういうことを考えまして、この問題につきましては慎重の上にも慎重だ、そういう発想が伝えられるとすれば、その発想まで消すような努力をして、別なところにウエートをかけなさいよ。六十億や七十億円の予算財源のためにやるなんということは、そういうことはもうないんだというくらいのことをはっきりさせるべきですよ。政務次官、これははっきりさせてもらいたいと思います。
  55. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 平林委員指摘のとおり、事務当局といたしましてはいま財源がない関係上いろいろなものを洗いざらいする仕事はするわけでございます。しかし、そこに政治というものがタッチする限りこれは十分検討すべき余地があるというふうに考えております。
  56. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 関連して堀昌雄君。
  57. 堀昌雄

    ○堀委員 国民金融公庫の総裁にお伺いをいたしますが、吉瀬さんもちょっとそこにおってください、あなたは直接ではないですけれども。  最近の資金貸し出しの量は、昨年の六月とことしの六月を見ると、約一九%くらいふえておりますね。そこで、貸し出し金額もさることながら、おそらく件数としても相当に伸びておるのではないかと思いますが、最近の件数の伸びぐあい、この一、二年の経過を伺いたいのです。
  58. 澤田悌

    ○澤田説明員 お答えを申し上げます。  何せ御承知のように、公庫の貸し出し対象は非常に零細でございますので膨大な件数が動いておるわけでございます。年度を追って申し上げますと、四十四年度で申しますと、申し込みの件数が五十六万六千件、これに対しまして貸し出しをいたしました件数が四十九万件、四十五年度で申しますと、申し込みの件数が五十九万八千件。これはもちろん普通貸し付けでございます。そのほかにもあるわけでございます。それで貸し出しの件数が五十一万三千件。こういうふうに申し込み、貸し出しが動いているわけでございます。  一方、返済が年々ございます……。
  59. 堀昌雄

    ○堀委員 そのくらいでいいです。  そこで、人員はどのくらい増加しておりますか。
  60. 澤田悌

    ○澤田説明員 公庫の人員は、役員は十人でございますからどちらにしても問題ございませんが、定員の推移で申しますと、四十四年が四千三百五人でございます。四十五年も四千三百五人でございます。四十二年が四千三百三十五人で、これがピークでありまして、四十三年が四千三百二十七人、四十四年、四十五年とただいま申し上げたように若干減少をいたしております。
  61. 堀昌雄

    ○堀委員 これは、主計局はおそらく平井さんの担当だろうと思うのですが、ちょっと私いまの関連で伺うものだから、吉瀬さんの直接の担当でないかもしれませんが、お聞きをいただいて主計局として配慮してもらいたいのです。  ちょっと行政管理庁入っていただいたのですけれども、たしか行政管理庁では、現在一般公務員の行政職の人員の削減といいますか、これはルールによって行なわれておりますね。これは四十二年にここは四千三百三十五人であった。これが減っておるわけですが、一体行政管理庁のいまの方針は一般職についてはどうなっておりますか。
  62. 古谷光司

    ○古谷説明員 お答え申し上げます。  四十三年より定員削減をやっております第二次といたしまして、ことしの八月十日定員に対するトータルで五%の定員削減をいたしております。これは先ほどもすでに御承知のとおり、行政管理庁としては行政機関の定員のことだけであるので、特殊法人については当庁としては関係はない、こういうことでございます。
  63. 堀昌雄

    ○堀委員 いま行政管理庁は行政職の一般職員についてそういうことをやっておる。ところがどうも私がひょっと聞いたところでは、大蔵省はこれを援用しているかなんかして、さっきの四十二年がピークになって、それから人員を削減しつつあるように思うのです。業務量はどんどんふえ、特に小口の貸し付けがふえて国民金融公庫のようなところで、人員を削減するというのはこれは一体どういう発想に基づくのでしょうか。直接担当でない方に伺って悪いけれども、もしお答えがいただければお答えいただきたいし、お答えをいただくのがむずかしいようなら、では政務次官に申し上げておきたいのですが、おかしな話だと思われませんか。大体現業庁である、特に国民金融公庫、私は、中小企業金融公庫もおそらくそういうことがあるのじゃないだろうかという気がするのですが、中小公庫のほうは調べておりませんけれども、いま国民公庫のほうは、伺えばともかく業務量がどんどんふえてきておるにもかかわらず、人間は四千三百三十五人が四千三百五人と三十人削減されてそのままになってきておるということは、これはどう考えても国民に対するサービスの低下あるいは公庫職員の労働過重、いずれにしても望ましくないことだと思うのです。ですからひとつそれについて……。
  64. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 これは私は都市銀行の連中から聞いているのですが、この四、五年ずっとオンラインシステムでコンピューター化していますので、かなり人員が整理できるのだということを聞いておりますが、業務量の割りにむしろ人員が多少減っているのは、そういうことが、特にこの年次を見ておりますと、四十二年までそうであって、その以後こうだということから見ましてもそういう点があるのじゃないかというふうに考えてもおります。
  65. 堀昌雄

    ○堀委員 これはひとつ総裁、都市銀行の場合にコンピューターを使って非常に効果があがっているのは預金業務のほうであって、貸し出し業務をコンピューターでやるというわけにはいかない。やはり個々に案件を調査をしてやらなければいけない。国民金融公庫というところは預金がないわけですから、預金業務というのはないわけだから、要するに貸し出し業務が主たるものだと私は思います。貸し出し業務とその返済に関する事務ですから、いま政務次官はちょっと実情を御存じないからあれなんで、国民金融公庫の立場としてこの人員問題をどう考えておられるか、ひとつ率直にお答えをいただきたいと思います。
  66. 澤田悌

    ○澤田説明員 一般的な人員の節約という政府の御方針にわれわれも極力おこたえするようにいたしておりまして、事務の機械化、合理化あるいは事務の進め方等につきましては最大限の努力は払っておる次第でございまして、会計機、出納管理機の採用でございますとか、恩給担保貸し出しのように非常に定型化されておる貸し出しの管理、回収というような面につきましてはこれはオンラインに乗せまして、これで若干の人員の節約ができております。そういうことでいままで人員がふえない、むしろ減りがちだという事態には極力対処いたしてまいったわけでございます。将来の問題も考えまして、実は普通貸し付けにつきまして、これをできるだけお客さんに御不便をかけない限度において定型化して機械に乗せようという実は画期的な計画をただいま三年計画で進めております。これにつきましては大蔵省でも御理解をいただきまして予算をつけていただきました。  こういうことをして対処いたしませんと、現在公庫本来の貸し出しで百六十万、それから環衛公庫の代理貸しがございます。それを含めますと百八十数万円の貸し出し残高になっておりますが、こういうものの管理、回収というのが実は不可能になってくるおそれがあるわけであります。そういう意味で、極力合理化、機械化によって対処いたしてまいりたいと思います。人員の点につきましてもあまり無理をいたしますと決してプラスにはならないという感じを私率直に申し上げて持っておるわけでございます。その感じだけを申し上げてお答えといたします。
  67. 堀昌雄

    ○堀委員 公庫も政府関係金融機関ですからやはり来年度予算を出しておられるでしょうが、人員増加は要求しておられますか。
  68. 澤田悌

    ○澤田説明員 人員は二百六十名の増加を要求いたしておる次第でございます。これはただいま御指摘の件数の増加その他どうしても人員の増加を必要とすると私ども計算をいたしました人数でございます。
  69. 堀昌雄

    ○堀委員 政務次官、いまお聞きのとおりです。それは二百六十名が相当かどうかは別として、やはりこれは国民に対するサービスですから、ある一定の量以上に削減をさせればサービスの低下が起こるのは当然でありますから、私は、一般的行政職の問題はさておき、こういう現場で業務量がどんどんふえるところでは、やはりその業務量の内容に応じて適当な人員を配置することが、さっきの平林委員資金量を増加して国民生活に瑕疵のないようにしろという要請、私ももっともだと思うのですが、しかしそれを瑕疵なく運営するためには、人間の適当な増加を含めてやらない限り、これは私は円滑な処理はできない、こう考えますので、これはぜひひとつ、いまの二百六十名の増員について、それを全員認めるのが適当かどうかをまた検討されることはかまいませんけれども、しかしこれをかなり大幅に、かつて多かったものを最近減らしたという経緯等もあるわけでありますから、それらを含めて勘案をして、必要な人員配置について大蔵省としてここでお約束をいただきたいと思います。
  70. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 来年度の増員計画二百六十名を削るという問題ですが、やはり中心になるものは国民金融公庫総裁の考え中心にしていくことがベターでしょうから、私どもはその意向を十分尊重して、人員増加についても考えていきたいというふうに思います。
  71. 平林剛

    平林委員 どうもきょうはありがとうございました。  総裁、ただいまの点についても私はやはりバランスというものがあると思うのです。ですから貸し出しの容量というのが一般の市中銀行その他と一体どうなっておるかという上においても、私はやはり比較の上でもっと増員してしかるべきものだと思っているのです。これはそういう点での資料も十分御検討いただきたいと思います。同時に、私の聞いておるところでは、公庫職員の中で健康を害する者が四〇%にもなっているという話もあるわけです。これは程度の差はいろいろありますし、それがどういう実態であるかということを私はつまびらかではございませんけれども、そういう訴えもある段階でございますから、公庫総裁もきょう私が申し上げた資金量の問題だとか支店だとかいう点は遠慮なくどんどんやるべきですよ。国民金融公庫という国民を基盤にしてこれから最もたよられる重要な金融機関になってくるわけですから、あなたがんばってくださいよ。私たち応援しますよ。だからひとつ遠慮なくおやりなさいよ。同時に、ただいまのような問題についても十分配慮をすべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  72. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 次回は、来たる二十一日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十分散会