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佐藤(観)
委員 この問題は非常に大きな問題ですので、私はさらにまた別の機会に、今度は具体的な例で輸銀の問題をまた質問いたしますし、それから今後の
政府の
中国に対する具体的な姿勢というものについて問うていきたいと思っておりま
す。
もう一つの問題は、これは
予算とも関連をしてくるのですけれ
ども、先ほど私は冒頭に
丹羽委員の質問と関連して、どうも
政府というのは自分の都合のいいほうばかりに法律を解釈して、そうして
国会を無視しているのではないか。これは先ほど申しましたように、あるいは先ほど
予算委員会でも民社党の方が質問なさっておりましたように、三年なら
国会承認は要らないのだ、五年だったら要るのだというような、かってな論理をつくってきて、たいへん
予算措置の必要なものまでそれを
政府の
行政権の範囲であるとやっておるわけですけれ
ども、ひとつ私がお伺いしたいのは、この公債の発行の問題ですね。これはもう新聞等で、あるいは
予算委員会で、ある
程度論議があったところですけれ
ども、この問題にしても、私は、少し
政府は自分の都合のいいほうばかりに解釈し過ぎているのではないか、こう思うのです。で、
政府は
予算委員会の提出資料として「本年度の
補正予算における公債発行の
追加について特例法によらない理由」というのを四項目にわたってあげられているわけですけれ
ども、どうも私は、これも手前みそで、あまり法律的裏づけもない、こう思うのです。
そこでお伺いをしたいのですけれ
ども、もちろん
水田大蔵大臣も中身については御存じかと思いますけれ
ども、本年度の
国債発行額、これが
追加額が七千九百億円です。しかし、このうちの
公共投資の
追加が二千三百二十億円、残り五千五百億円というのは、これはいわゆる税収や日銀納付金の歳入の見込みが狂ったことによる、いわゆる赤字
国債に私はなっていると思うのです。そこで、もう釈迦に説法でございますけれ
ども、財政法第四条の第一項には、
政府が公債を発行するときには、
公共投資あるいは貸し付け金等以外のものには使ってはいかぬというふうに書いてあるわけですね。そこで、特例法によらない理由の第一項目にあげていることが、こういうことですね。簡単に申しますと、当初
予算と本年度の
補正予算と合わせれば、公債の発行額というのは
公共事業費のワクの中に入っているから、ですから、これは財政法第四条第一項のただし書きによるところの発行であるのだというふうに、まず特例法を出さない理由を述べていらっしゃるわけです。しかし、私は財政法第四条第一項のただし書きというのは、基本的には公債というものは出しちゃいかぬ。ただし、出す場合には、ただし書きに書いてあるように、
公共投資あるいは貸し付け金、こういうもの以外には出しちゃいけませんよというふうに書いてあるのだと思う。財政を扱う場合には、きわめてシビアに、公債を発行しちゃいかぬのだ、こういう精神が、私はまず第四条の第一項には書いてあると思うのです。私たちが座談会でまた公債を発行すると言うと、年寄りの人一は、年をとった方々は、たいへんいやな顔をするのです。なぜならば、戦争のときの
国債ですね、これを思い出しますから、
国債と言うとくすくすと笑うくらい非常に信用がないわけですね。ですから、あの戦前の例を踏んじゃいけないということで、私は財政法第四条第一項というのはあると思うんです。
それからもう一つは、この第一項目に、当初
予算と今度の
補正予算を合わして
公共事業費の中でおさまっているからいいじゃないか、こういうふうにいわれておりますけれ
ども、まだ、これは内閣改造があったとはいえ、首相は
佐藤首相であるのですから、昭和四十年のいわゆる特例法をつくったときの福田
大蔵大臣のことばというのは、私は生きていると思うのです。福田
大蔵大臣は、四十一年の二月七日の
予算委員会では、こういうふうに述べているんですね。「年度途中で税収が落ち込んだ」のに
国債を出す、これを四十年度
予算に「建設費があるからといって、それの見合いである」、いわゆる建設
国債のことですが、「という
考え方をしてはならぬ。そういうこじつけ的なやり方をしてはいかぬ、これは率直に歳入補てんの公債であるという理論をとるべきである、」こういうことを言われて、そうして特例法を
国会に提出されたわけですね。私は、このことばというのはまだ生きているし、そのくらい、やはり財政支出の場合には当然インフレがからむわけですから、非常にシビアにやらなければいけない。シビアにやるということは、財政法第四条第一項の精神をやはり踏まえてやらなければいけないと思うのです。その面では、今度の、先ほど数字をあけましたように、公債発行額というものは、
公共投資の
追加よりも倍以上、いわば私たちが言うところの赤字
国債というものがあるわけですね。これは私は、
予算をつくる場合に、あるいは
国会に提出する場合に、法律が一つ少ないとそれだけスムーズに
国会が通るから、こういう
政府の
国会対策のうちの一つだと思っているのです。特例法を出せば、やはりそれだけ審議がかかるから。私はそう思うのです。そういう面で、まず
大蔵省が出されたこの資料の第一項目には、総ワクが
公共投資の中だからいいのだというふうに書いてあるけれ
ども、私はそうであってはならぬ。これは福田
大蔵大臣のことばも、
答弁もございますし、あるいは財政法第四条第一項の精神からいっても、しかもこのインフレの時期において、公債発行については非常にシビアにやらなければいけないのじゃないか、こう思うのですが、いかがでございますか。