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1971-12-23 第67回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月二十三日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 鬼木 勝利君    理事 大坪 保雄君 理事 神田  博君    理事 藏内 修治君 理事 岡田 利春君    理事 相沢 武彦君       阿部 文男君    有馬 元治君       金子 岩三君    佐々木秀世君       篠田 弘作君    三池  信君       細谷 治嘉君    松本 七郎君       伊藤卯四郎君    田畑 金光君       田代 文久君  出席政府委員         通商産業政務次         官      稻村佐近四郎君         通商産業省公害         保安局長    久良知章悟君         通商産業省鉱山         石炭局長    莊   清君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 青木 慎三君         労働省職業安定         局失業対策部長 遠藤 政夫君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      徳田 博美君         大蔵省銀行局特         別金融課長   北田 榮作君         労働省職業訓練         局管理課長   石田 卓造君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月二十三日  辞任         補欠選任   田畑 金光君     伊藤卯四郎君 同日  辞任         補欠選任   伊藤卯四郎君     田畑 金光君     ――――――――――――― 十一月四日  残存鉱害早期復旧に関する請願宮井泰良君  紹介)(第四八三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月八日  炭鉱閉山合理化反対等に関する陳情書  (第一二四号) 十二月九日  住友炭鉱閉山回避に関する陳情書  (第一八九号)  産炭地域開発就労事業内容改善等に関する陳  情書  (第二六七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  石炭対策に関する件  請 願  一 残存鉱害早期復旧に関する請願宮井    泰良紹介)(第四八三号)      ――――◇―――――
  2. 鬼木勝利

    鬼木委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程の、残存鉱害早期復旧に関する請願を議題とし、審査に入ります。  本請願内容につきましては、請願文書表等によりましてすでに御承知のことと存じますが、さらに先ほどの理事会において御検討願いましたので、紹介議員説明等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。  それでは、直ちに採決いたします。  残存鉱害早期復旧に関する請願は、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  6. 鬼木勝利

    鬼木委員長 なお、今会期中、本委員会に参考のため送付されました陳情書は、炭鉱閉山合理化反対等に関する陳情書外二件であります。念のため御報告申し上げます。
  7. 鬼木勝利

    鬼木委員 長次に、閉会審査申し出の件についておはかりいたします。  石炭対策に関する件について、議長に対し、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  9. 鬼木勝利

    鬼木委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
  10. 岡田利春

    岡田委員 過般十二月十日、石炭鉱業審議会体制委員会で「新長期石炭対策実施までの間における緊急対策について」の決議がなされておるわけです。初めに、これに関してお伺いいたしたいと思うのでありますが、まず、この決議内容をずっと読んでまいりますと、当面緊急に措置しなければならないこと、及び来年度予算に向けての体制委員会としての意見というものに尽きておるのではないか、かように私は考えるわけです。  そこで、問題は、内容に入る前に私がお伺いいたしたいのは、石炭特別会計の期限は昭和四十九年三月三十一日までに一応なっているわけです。したがって、この石炭特別会計については別にこの決議は触れていないわけです。しかし、一方、通産省としては、石油特別会計の要求が今日なされておりまして、私どもの伺っておるところでは、今後新設をされる石油特別会計石炭特別会計を一本にする、したがって、石炭石油特別会計という形でこの新設石油特別会計を処置するという方向に大体意思が固まっておると伺っておるわけです。かかる重大な問題に対して今度の体制委員会で触れていないということについて、一つの大きな問題がありますし、まして、この決議が示しておりますように、新長期石炭対策実施までの間における緊急対策でありますから、当然新しい石炭政策が三月末までに体制委員会として結論を見る、こういう日程でいま作業が進んでいるわけです。こういう点と関連して、私は、そういう意味で非常に重大な問題ではないか、したがって、この間の事情と、石炭石油特別会計にするという場合には、では、どういう原則を踏んまえて石油石炭特別会計にするのか、この点が明らかにならなければ、この決議そのものが根本的に基礎を失うことになるのではないか、こういう点を非常に心配をいたしておるわけです。したがって、この間のいきさつについて、通産省並び大蔵省両省から、この間の問題について原則的な考え方をこの際ひとつ明確にしていただきたいと思う次第です。
  11. 莊清

    莊政府委員 今回の石炭鉱業審議会体制委員会審議過程におきまして、主として現在までの過程議論になりましたことは、この決議に盛られておるとおり、今年度の緊急対策及び来年度の予算措置に対する政府への要望ということに尽きておるわけでございますが、審議過程におきまして、御指摘のございました今後におけるエネルギー対策基本的な一つの問題といたしまして、石炭及び石油を一体化した新しい特別会計設置が問題があるということで通産省側からお話を申し上げておるという事実はございます。それで、来年度の新しい予算にからむ問題でございますから、現在の段階では、そういう新しい特別会計がはたして設置されるかどうかというふうなことは、まだ未定の段階でございますが、考え方として、その特別会計をつくる理念というものは、やはりわが国エネルギーは現在石油が主になっておりますが、その石油需要者関税という形で負担をしておる、その国家の財政収入というものを、エネルギーの大宗をなしておるところの石炭及び石油の二つに対しまして還元をしていく。現在は全体が利用されておるわけではなくて、一般会計に繰り入れられておるという部分もございますが、それをやめまして、全体を振り向けていくということが、今後の長期エネルギー対策としてまず必要ではないか、こういう認識から始まっておるのだということを申し上げたわけでございます。その場合にも、当面の問題といたしまして、事石炭に関しましては、四十七年度及び四十八年度の、現在の第四次対策の残りの二カ年間につきましては、そういう新しい制度のもとにおきましても、現在確保されておる財源というものは明確に確保する措置をあわせ講ずる、こういう考え方であるということを事実上御披露申し上げておったような次第でございます。決議には、その点については、先ほど申しました決議性格から申し上げまして特に触れておらないということでございます。
  12. 岡田利春

    岡田委員 今度の決議内容で、特に従来の政策的な方向を変える問題が出されておるわけです。いわゆるハイサルファ対策として、ローサルファ一般炭輸入という問題について検討すべきであるという趣旨がこの内容に盛られているわけです。御承知のように、一般炭については、これは自由化対象品目ではないわけでありまして、しかもこの点については長い十年間の論争を積み重ねてきておるわけです。しかしながら、ハイサルファ対策として一応の考え方であるとはあれ、これはやはりいま、三月末に長期政策を出すのでありますから、緊急的にこういう問題が盛られて、あとから指摘しますけれども、盛られるべきものが盛られていない。こういう点について実は私は奇異な感じを抱くわけです。これは一体、何か具体的に緊急に実施しなければならぬという前提があってこういう決議が生まれてきたのか。こういうことを簡単に出す体制委員会のメンバーの頭の中は一体何を考えているのか、私は理解に苦しむわけです。事務当局として、この点については、当面の三月末に長期政策を出すのでありますから、それを待たずしてこういう問題に軽々しく触れたのは一体どういう意味なのか、承っておきたい。
  13. 莊清

    莊政府委員 今回の決議に至ります過程におきまして、この体制委員会内部で、今後の石炭需要の見通しにからみまして、専門委員会による検討が実はある程度行なわれたわけでございます。この問題につきましては、重要問題でございますから、今後さらに引き続き一そう掘り下げた検討が必要でございますが、従来の検討過程におきまして、非常に長期的な問題として、しかも早急に何らかの手を打っていく必要がある問題として出てまいりましたのが、公害規制の一そうの強化という問題でございます。これによりまして一般炭需要というものが非常に急激な影響をどうも受けかねないという緊迫した事態が出てまいりました。そこで体制委員会としても、これが四十六年度中だけでできる措置ではございませんけれども、来春予定されております基本答申決定を待つまでもなく、この問題については、海外事情調査なりユーザーとの打ち合わせの問題、価格条件検討等、具体的に検討に着手すべき緊急な問題が多々ございますので、特に全委員の一致した御意向として、四十六年からこの措置を直ちに検討に着手せよという御意向になりまして、ここに入ってきたということでございます。基本的な答申が今後検討される際には、この今回の決議を踏まえて、今後なさるべき調査研究というものを踏まえまして、より明確な、より具体的な対策として立てなければならないというふうに通産省としては考えておる次第でございます。
  14. 岡田利春

    岡田委員 いま局長から答弁がありましたけれども、そういう調査とか、そういうものは何も決議に盛らなくたってできるわけです。だから、麗々しくこういう緊急の対策に盛ったというところに、従来の政策基本を何で軽々しく変えるのか、非常に重大な問題なわけです。私はその点についての意味が実はわからないわけです。そういう調査をするということは、何も決議に盛らなくたってできるわけでしょう。内外の石炭情勢調査などは、いままでやってきているわけでしょう。しかも三月三十一日までに本格答申を出す、こう言っているわけでありますから、そういう基本に触れる問題は、これからの一定の展望を持った中で重要な柱としてきめられるべきだというのが私の見解なわけです。したがって、本件については、私はいまの答弁は納得できませんけれども決議がなされておるわけでありますから、この点については、そういう意味で、石炭政策の重大な基本に関する問題だという受けとめ方をして慎重にひとつ対処していただきたい、かように思います。  次の問題は、いま関連業界に期待する措置、こういう内容が実は出ているわけであります。特に、最近の円切りの問題をめぐって、鉄鋼等のいわゆる輸入石炭価格というものは安く入手できる。しかし、一方においては、アメリカでは、新しい賃金決定、したがって、スライド条項ですでに一ドルの値上げを要求してきておる。しかし、これは一ドルでおさまらないことはもう常識なわけです。相当大幅な炭価引き上げというようなことは、もうだれが見ても明らかなわけです。アメリカが上がれば、国際的なプライスリーダー役割りを果たしておるわけでありますから、カナダ豪州炭も当然上がってくるということになってくるわけでありますが、円切りをめぐる石炭情勢について当局はどう判断をされておるのかというのが一つと、これからの、特にわが国輸入先であるアメリカカナダ、オーストラリアの炭価引き上げ動向は一体どういうカーブを描いていくという把握をされておるのか、どういう見解を持っておるのか、この点について聞いておきたいと思います。
  15. 莊清

    莊政府委員 当面の輸入炭価格動向でございますが、今回大幅な円切りがございましたので、たとえば原料炭豪州の弱粘等、日本の原料炭と似たような原料炭の比較で申し上げますと、二千円をこえるほどの値差というものが出てお為ものと判断いたしておりますが、御指摘のように、資源をめぐる国際情勢というものも流動的でございますし、資源生産国国内景気動向でございますとか、賃金物価動向というものもまた現在きわめて流動的で、将来を明確に見通しにくい状況にあると、率直に申し上げたいと思います。  そこで、石炭の場合、特に先進国でありますアメリカなりカナダというところのそういう状況が響いてまいるわけでございますが、米国でもかなり賃金値上げ動向というものは根強いものがある、それで米国物価政策のもとで現在相当大きな問題になりつつあるということは、私ども承知いたしております。そこで、やはり長期的には、私は、資源状況等自然条件の差も大きうございますけれども、やはり資源という産業特殊性から申しまして、先進国において主として産出されておる原料炭というふうなものには、先進国賃金アップ影響というものは、長期的にやはり相当無視できない値上げ要因として働くものと判断をして対処すべきである、かように考えております。
  16. 岡田利春

    岡田委員 先ほど指摘しましたように、緊急対策関係のないような、基本に関する問題を簡単にこの決議は触れて、触れるべき問題については触れていないのではないかと私は思うわけです。それは保安の問題であります。一言一句も保安の問題についてはここには触れられていない、こう言っても過言ではないと思います。こういう問題は、いわゆる体制委員会として議論対象にならなかったのかどうか、議論対象になったのかどうか。やはり住友閉山に伴う奔別炭鉱閉山ということについて、どうしてあの山が閉山になったのだろうか。いろいろな要因があります。通産省説明等もあって、その内容を分析すると、もちろん、その坑道展開のおくれという問題もありますけれども、やはり深部移行に伴う高温問題というのが非常に大きな問題であり、しかも北海道空知炭田におけるそれぞれの炭鉱深部化に伴って、高温問題というものが非常に保安上の問題に発展しつつあるという新たな問題であるわけです。こういう問題について、住友奔別閉山問題というそういう事実について何らこの決議は触れていない。保安の問題については触れていない。まことに遺憾だったと思うわけです。今後この奔別の場合の内容等検討する場合に、あの空知炭田のそれぞれの深部移行化している各炭鉱条件というものを分析してみますと、高温対策保安の問題として受けとめて進めていかなければならない段階にきておる、このことをはっきりあの事実は教えておるわけです。そういう大事な問題についてはこれは何も触れていなくて、基本に関する問題に逆に触れる、われわれ専門的に見ますとまことに不可解千万、こういう印象を受けるのでありますけれども、この点についてのいきさつ見解について承っておきたいと思います。
  17. 久良知章悟

    久良知政府委員 先生指摘のとおり、奔別炭鉱閉山一つ理由に、やはり深部移行に伴います作業場環境悪化、中でもその高温化ということが大きな問題だったことは事実でございます。奔別炭鉱以外におきましても、やはり最近、この作業場深部移行に伴いまして、摂氏三十度以上と申しますか、かなり高温作業場が増加いたしてきておるわけでございます。作業場高温になりますと、第一には、やはり生理的理由から注意力が限度に達する等の理由によりまして、災害率が高くなる。それから、さらに高温になりますと、やはり作業能率もそれに応じて低下をするわけでございます。作業場のこの環境をよくするということにつきましては、人気温度を下げる。坑内構造を変更いたしまして、作業場の近くに人気立て坑を掘って新鮮な空気を導入するという根本的な対策もあるわけでありますが、現在のいろいろな自然条件からいたしますと、海底炭鉱、あるいは非常に深いというふうなことから、そういうふうな新しく立て坑を掘るということにつきましてもむずかしい条件が多くなってきておるわけでございまして、やはりどうしても坑内冷房をやりまして、これによって温度、湿度を下げ、坑内作業条件改善をはかるということが必要になってまいるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、四十七年度、一つ重点対策といたしまして、作業環境改善を主目的といたします坑内冷房の進展並びに坑内作業場の照明の改善ということに重点を置いた対策を進めていきたいと考えておる次第でございます。体制委員会におきましても、今後、そういう点を中心にいたしまして保安の問題についての論議をお願いしたいと考えておるわけでございます。
  18. 岡田利春

    岡田委員 私は、かつて坑内温度三十五度の三井三池の坑内の第一線の現場指導員をやってきた経験を持つわけですが、特に北海道の場合は歴史的に非常に坑内は低温なわけですが、最近急速に高温化しておる。やはりそういう実情というものに対応する姿勢が非常に大事ではないのか。それと同時にまた、先ほど申し上げましたように、奔別閉山という、そういう経験をわれわれは経てきている。こういう点には敏感に反応することが最も大事な問題ではないか。いま局長答弁がありましたけれども、これらの問題については、当然触れるべき問題を私はむしろ触れていないという観点からも、ぜひこの点の対策を進められることを特に強く希望いたしておきたいと思います。  大蔵省が参りましたからお伺いしますけれども、今度の決議には、基本石炭特別会計については触れていないわけです。しかし、新聞の報ずるところも、あらゆる情報等をわれわれ受けますと、もう大体内部的には、政府内部では、新しく通産省が要求している石油特別会計単独設置をやめて、石炭石油特別会計にすることに踏み切った、これが実情だと思うのです。しかし、これはいままでの石炭政策から見ればきわめて基本の問題でございまして、まさかいますぐそういう特別会計の変更というものがなされるものではないとわれわれは認識しておりましたけれども、急速にそういう方向に進んでいるわけです。この基本の問題は、やはりそうする以上、一定原則というものがぴしっと立てられていなければならぬのではないか、こう思うわけです。  一方において、田中通産大臣は、本来であれば十二月末までに出すものを、時間がずれて三月末に本格答申をする、そして今後五年ないし十年手直しをしなくてもいいような石炭政策を立てるのだ、そういう意欲でやっていきます、こういうことが明確に答弁されているわけですね。そうしますと、結局、この政策をささえる体制というのが非常に大きな問題になってくるのでありまして、少なくともわが国のいままでの計画の出し方からいえば、大体五年間ぐらいの計画でいままでの第四次政策まで出されてきておるわけです。したがって、政府は、この特別会計について石炭石油特別会計とする以上、そういういま進められている政策審議動向等を勘案して、受ける場合には、一定原則がその場合でもなければいかぬのではないかというのが私の意見なんでありますけれども、この点については一体どう受けとめられておるのか、大蔵省としての見解を承っておきたいと思います。
  19. 徳田博美

    徳田説明員 お答えいたします。  いま先生の御指摘のとおり、先般財政制度審議会建議の提出がされました。その内容を読み上げますと、合理的財源配分見地から、特定の税収による特別会計設置は好ましくないが、財政資金効率的活用見地から、エネルギー資源確保のための施策を総合的に行なうため、石炭石油特別会計を設けることも考慮に値すると思われる、大体このような建議が提出されているわけでございまして、われわれといたしましては、この建議に沿っていろいろ検討しているわけでございます。  しかしながら、また、この建議に関しましては、ただいま先生の御指摘にございましたように、他方におきまして、石炭審議会体制部会基本的な方針が検討中であることも伺っておりますし、それからまた、特に現在の石炭対策特別会計存続期間である四十九年三月までの間は、これまでと同様、原重油関税の十二分の十を石炭経営に充てることが望ましいという各方面の強い御意向のあることもわれわれは十分承知しております。現在予算編成の途中でございますので、申しわけございませんが、明確なことは申し上げられませんけれども、かりに石炭石油特別会計、こういうものが認められるような場合には、いまの先生の御指摘のような趣旨は十分にこれを尊重して勘案してまいりたい、このように考えております。
  20. 岡田利春

    岡田委員 私もこの石油関税の問題については実は当時反対をしたわけなんです。ということは、答申政府政策具体化は違ったわけですよ。答申は、西ドイツ石炭政策にならって、いわゆる重油消費税ということで、キロリットル千円ということが答申であったわけです。これを転化して石油関税にしたわけです。こういう歴史的な経過が実はあるわけです。ですから、関税にしたものですから、一二%の関税をかけることがどうかという点について大蔵省当局はいろいろ議論を呼ぶわけですけれども、本来は関税財源にすべきだということは、だれ一人主張しなかったわけです。むしろ、それは当然石炭政策である場合には、西ドイツと同じように、重油消費税を創設すべきだ。それが政府のいろいろな関係関税に転化をされたといういきさつがあるわけです。こういう流れを無視して、いまのこの関税一二%だけを取り上げるということについては、私は非常に疑問を持っているわけです。したがって、いま徳田主計官から答弁がありましたけれども、要は、そういう建議を出されているわけですから、その方向に進めるのでありましょうけれども、いまこの新しい長期計画を立てるにあたって、この原則だけはきちっと踏んまえておいていただきたいということが一つ。  特に、その場合の特別会計は、従来の石炭特別会計原重油関税基礎でありますが、石炭石油特別会計の場合には、この一二%の原重油以外に——従来であれば石油開発公団一般会計から予算が組まれているわけです。きのうも商工委員会で私ども石油政策に関する決議を実はいたしておるわけです。したがって、当然、従来の石炭特別会計と、石炭石油特別会計になった場合の特別会計性格は変わるのではないのか。いわゆる一般会計からも必要によっては繰り入れられる、こういう性格になるのではないか。すでに開発公団予算はそういう方向で組まれているわけですから、これを一緒にするということを機械的に考えても、そういう性格になることがきわめて当然だと私は思うのでありますけれども、この点はいかがですか。
  21. 徳田博美

    徳田説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御質問の点でございますが、確かに、エネルギー資源輸入について関税を課することがおかしいというような意見もございまして、この点は、先般開かれました関税審議会におきましてもいろいろと議論されたところでございますが、ただ、他面におきまして、ただいまの財政制度審議会建議基礎になりました報告につきましては、一応、石炭石油特別会計原重油関税を特定財源とすることが望ましいというような報告も得ておりますので、その辺は彼此勘案いたしまして今後の検討を行なってまいりたい、このように考えております。
  22. 岡田利春

    岡田委員 主計官は忙しいようですから、もう一問だけ主計官に引き続き質問いたしますけれども、「新長期石炭対策実施までの間における緊急対策について」、去る十二月十日体制委員会から決議されているわけです。これは関係各省にそれぞれ送付されておると思うわけです。さっきも通産省指摘をしたのでありますけれども、不十分な面があるのではないか、こう思っておりますけれども、当面いま基本になる石炭特別会計についての考え方をお聞きしましたけれども、この決議を受けて、大蔵省としては、原則的にこういう方向について受けとめるという考え方にあるのか、それとも、特にこの決議について問題点が財政当局としてあるとお考えになるのか、この点について率直な見解をひとつ承っておきたいと思います。
  23. 徳田博美

    徳田説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御指摘決議の点はよく承ったのでございますが、四十六年度内における措置につきましては、近代化資金の返済猶予について今回措置がとられるようになりましたことは、先生承知のとおりであります。それから四十七年度の問題につきましては、次年度予算編成の問題として検討中で、まだ結論を得ておりませんけれども、御存じのとおり、経済の低迷を反映いたしまして原重油関税収入の伸びが悪いので、今回は相当苦しい予算編成になるとは思われます。しかしながら、他面、歳出の内容につきましては、現在通産省ともいろいろ検討しておりますが、必要な歳出につきましては何らかの確保をするようにこれは万全の努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  24. 岡田利春

    岡田委員 新しい政策を組まなければならぬというのは、結局、過去三年間で二千万トンの閉山が行なわれた。まさしくなだれ閉山が行なわれているわけです。成長の中にこれだけ大きな閉山が行なわれているという国は、他に類例を見ないと言っても差しつかえないわけです。私は、やはりそういう反省の上に立ってこれらの長期政策も打ち立てられなければなりませんし、そういうまた三年間の経過等にかんがみて、これからの政策というものが、緊急なものは緊急なものとして、当面必要なものは必要なものとして、具体化されなければならないのではないか、こう実は考えておるわけであります。本来ならば第四次政策は一年で瓦解すべき政策であったわけです。これをささえたのは、従来なかった炭価政策というものが出てきた。これが、大型閉山があったけれども、ささえられた最大の理由であろうと私は思うわけです。そういう意味で、ともすれば政策はタイミングを逸して、いままで数次にわたる政策が一年あるいは半年で瓦解をするという経過を繰り返しておるのでございますから、そういう点についての適切な措置をこの機会に強く要望申し上げておきたいと思います。  次にお伺いしたいのは、来年度に向けて前国会から当委員会でも問題になっておりました、産炭地域振興法は改正をする、そういう条件になっておるわけでありますが、聞くところによると、最近、この産振法の改正については見送るかもしれないというような情報を、実は私どもはそれぞれの自治体の関係から得ておるわけです。この点についての真偽についてこの機会に承っておきたいと思います。
  25. 莊清

    莊政府委員 さきの国会におきまして産炭地域振興臨時措置法十年延長御決議の際に付されました附帯決議の線に沿いまして、通産省としては現在関係各省と懸命に折衝中でございます。予算に関連する事項でございますから、見通しは、正直申し上げまして、現在立っておるわけではございません。しかし、これは法案を出さないとか、通産省があきらめたとかいうふうなことは、全く根も葉もないことでございまして、そういうことがもしいわれておるとしたら、まことに遺憾なことであると存じております。今後一そうこれの実現に努力いたします。
  26. 岡田利春

    岡田委員 これは前の法案審議のときの約束でありますから、通常国会には、その審議内容にかんがみて、必ず提出をされるべきであるし、私は、いま局長答弁を、間違いなく提案されるものとひとつ受けとめておきたいと思います。  次に、住友の二山の閉山が行なわれて、いま赤平一山が二山の負債をかかえて、生産は一応好調な傾向を示しておるわけです。この場合に、当然、この二山の大きな負債をかかえて残る赤平については、一連の再建対策としての計画が組まれ、その上に問題の処理が進められてきたことは、御承知のとおりです。いわばこの住友の問題の一つの解決のまだ政策的に残されている問題については、当然これはタイミングを逸せずして行なわれるものと私は理解しているわけですが、そういう理解でよろしいかどうか。それとも、何か事情があって、この問題については事情変更か何かあって御破算にするとか、こういう考え方があるのか、この機会にはっきり承っておきたいと思います。
  27. 青木慎三

    ○青木政府委員 住友の再建につきましては、御承知のとおり、経理審査会で再建計画審議していただきまして、現在大臣の認可を受けているところでございます。この再建計画に従いますと、非常に苦しい内容ではございますけれども、労使一体の再建の意欲をもってすれば、四十七年度の苦しい時期を乗り切りますと、四十八年度以降黒字に転ずるというような計画になっておりますので、その方針に従って進めてまいりたいと思います。
  28. 岡田利春

    岡田委員 前の委員会で私も触れたこともあるわけですが、第一次肩がわり、第二次肩がわり——第一次肩がわりは、もう半ばを経過しようといたしておるわけです。概算、第一次、第二次一千八百億の肩がわりでありますが、現在まで肩がわりした金額と、債務として残っておる金額は一体どうなっておるか。ということは、当然、閉山がございますから、この額は大幅に減っておるはずです。この総括はどうなっておるのか。  と同時に、第一次、第二次肩がわり、今度の決議でも若干触れておりますけれども、第一次、第二次肩がわりの担保について、いわば有価証券、土地とかの、すぐ換金できるというか、新たな担保の効力を発生し得る担保の内容、あるいはまた、鉱業財団の担保もあるでしょうけれども、こういう分析について通産省は正確に把握しておるかどうか、把握しておれば、その内容についてお知らせ願いたいと思います。
  29. 青木慎三

    ○青木政府委員 第一次、第二次の肩がわりの債務につきましては、現在残高が千七十五億円になっております。これを含めましてほかの非肩がわりの債務がございますので、大手再建整備会社の金融機関の借入残高総額は千七百六十五億円になっております。この千七百六十五億円の借入金に対しまして、提供されております担保は二千百十億円という数字でございます。この二千百十億円の担保のうち、有価証券が約二百六十億円程度、土地が百四十億円程度、鉱業財団関係が千六一百三十億円程度ということになっております。  それから、四十四年から四十六年までの大手石炭企業の担保がその後どう解除されたかという点につきましては、担保を解除されました総額は、簿価で三十七億でございます。それから、これは担保を解除した後売却しておりますので、売却額で申しますと、七十四億という数字でございます。その内訳は、財団関係が、簿価で約十億、売却額で二十三億でございます。有価証券が、簿価で十六億、売却額で二十六億。不動産、主として土地でございますが、簿価で十億で、売却額が二十四億ということでございます。  私どもの把握しております担保の関係はこういうことでございます。
  30. 岡田利春

    岡田委員 そうしますと、いままで政府が肩がわりした額は幾らですか。
  31. 青木慎三

    ○青木政府委員 現在まで肩がわりしました額は、金融債について申しますと、スタート時の金融債が千三百四十六億円でございまして、それに見合う残高は千六十六億円ございます。九月末で見ますとこの数字は若干違っておりまして、千七十五億円でございますが、現在の残高は千六十六億円でございます。したがいまして、この差し引きが金融債に対する肩がわりでございます。
  32. 岡田利春

    岡田委員 問題は、ここでも資金対策という問題が今度の場合でも強く触れられておるわけでございますが、結局、肩がわりしても担保物件ははずされない。したがって、金融の道は非常に枯渇しているような状況に置かれているということは、一目りょう然なわけです。政府としては、先般来、この問題は、ここ一年間とにかく担保解除については努力をするということがしばしば言明されておるわけですが、そういう努力がなされた結果どうなのか。私が前に答弁を受けたときには、大体担保解除したのは五十億、こう承っておるわけですから、あまり進展は見られないもの、こう受け取らざるを得ないわけです。政府として努力をしたけれども、なかなかできなかった、非常にむずかしい。むずかしいということは、この問題は幾ら取り上げても、担保解除ということは期待できないという率直な認識にならざるを得ないのではないか、こう思うのですが、その点いかがです。
  33. 青木慎三

    ○青木政府委員 現在の制度でまいりますと、政府の肩がわりは、石炭鉱業を続けておる間継続いたしますけれども石炭鉱業をやめた場合には打ち切られることになっておりまして、その場合の金融機関に対する政府の保証する額は半額でございますので、金融機関としては担保をなかなか放したがらないという一般的傾向にあることは、御承知のとおりでございます。このたび緊急対策の中で書きましたように、この問題につきましては、私ども石炭鉱業審議会の資金経理部会にはかりまして、金融機関の意見も十分聞いた上で、極力こういう担保はずしがスムーズにいくような方法を研究いたしまして、関係金融機関に要請していくようにいたしたいと思っております。
  34. 岡田利春

    岡田委員 部長はそう答弁されますけれども、この問題はもう五年も経過して実績のあがらないことですから、まあ率直に言って、むずかしいという認識に立たれることが正しいのではないかと思われます。いずれにしても、三月末に新しい政策を立てる場合の一つの重要なポイントであると思うのです。これをどうするかという問題が一つの重要な柱であると思いますので、この点は、時間がありませんので、指摘をしておくにとどめておきたいと思います。  次にお伺いしたいのは、今日のこの石炭産業、各企業によって構成されておるのでありますが、この石炭産業内のそれぞれの企業の実態というものを一体どういう現状認識を通産省としてはなされておるか。いわば、非常に格差というものが拡大しておることは、いなめない事実であると思うのです。これを一体どう把握をするか。第一次、第二次肩がわりでは、いままで数山あった山が閉鎖をしている、そのときにかぶった負債については、かぶった額については第一次、第二次で肩がわりして整理されたわけです。したがって、第一次、第二次が終わった場合に、たとえば閉山した住友のような場合、あるいは大島の閉山による松島のような場合、これはすべてかぶっているわけですね。それで、そういう単位の炭鉱がよくても、そういうものをかぶっていますから、気息えんえんという状態で経営を続けざるを得ないという状況にあるわけです。そういう問題を含めて、今日のこの石炭産業内の産炭構造を構成している企業の実態というものは、どういう把握と認識をされておるのか。私は、これからの政策は、その正確な認識から出発することによってのみ必然的な政策の結論というものが導き出されるのではないか、こういう見解を持っておりますので、この点についての見解を承っておきたいと思います。
  35. 莊清

    莊政府委員 各石炭企業の内情は、これは企業ごとにも相当な違いがございますし、また、御指摘のように、一つの企業の中でも、山ごとによりまして、自然条件とか、あるいはそこの出炭の需給の関係というふうな事情がかなり違いますので、一つの企業の中でもまた違うという、いわゆる企業間あるいは企業内格差ということは事実であると思います。したがいまして、過去からのいわゆる閉山の歴史の中で、どうしても企業が合理化のためにある程度縮少しながら集中合理化を行なっていくという場合に、御指摘のような困難な事態を招きながらそこを切り抜けてやっていかざるを得ないという形で推移していくことは事実でございます。昨今の住友赤平一社体制というのも、その規模の一つの大きな例であると存じます。政府といたしましては、そういう状況に対しまして、現行の予算及び制度の許す範囲内において最大限の努力を尽くしまして、そういう体制合理化が極力進展いたしますようにあらゆる努力をいたしてきたつもりでございます。今後ともその決意にいささかも変わりはございませんで、ますますそれを推進いたしたいと考えておりますが、御指摘の問題については、今後の石炭産業のあり方、国としての指導のあり方に非常に根本的に関係のある、たいへん大きな問題の御指摘があったように私は拝聴したわけでございます。御質問の御趣旨をよく体しまして、今後の体制委員会内部で、その点を含めましてよく検討をさせていただきたいと考えております。
  36. 岡田利春

    岡田委員 田中通産大臣の大胆な答弁によれば、石炭は別に私企業ではない、政府が管理している企業である、こう明快な答弁をされておるわけですし、そういう認識は、事実上、実体論上正しいと私は思うわけです。まあ表面的には、私企業だと、こう言いますけれども、あれだけの法律のもとで管理をしている炭鉱であるので、国家管理の企業である、こう言っても差しつかえないと思います。ですから、結局、いまのままでどのようなことを考えても、石炭産業というものは不安定の要因は消えないわけですね。ただ、今後また新しい政策を出しても、三つあれば、一つつぶしてその借金を全部かぶりますと、不安定になっていくということは、あたりまえな話です。完全に全部一社化すればこれは問題ないわけですね。だから、これからの政策は、これらをどう解決をするかという政策が、これが一番いいというものが出れば、その結果としてこういう体制にあらねばならないという、こういう結論が私は導き出されるのだと思うのです。いわゆる新しい政策へのそういう基本的な問題のアプローチをどう描くかということによって、体制問題というものは必然的に結論が導き出されるものである、私はこう認識をしておるものであります。そういたしますと、結局、いま言った不安定な要素を除くとすれば、完全一社化にするか、あるいはまた、それぞれの単位ごとの炭鉱を、これを一つの受けざらでささえ、管理をするシステムにするか、こういう方向以外にこの不安定な要因というものは除外できないことだけは明らかではないか、これ以外に方法があるだろうか、こう私は考えるわけです。ずいぶん考えてまいりましたけれども、結論は、この問題を解決しないで、いわゆる重点的な炭鉱キャプティブで行くことは不可能に近い、不可能である、こういう認識を持っておるわけでありますが、局長は、いま、これから本格的に三月末まで検討を進めていくわけでありますが、こういう点については、率直にどういう認識を持たれておるのか、この機会に承っておきたいと思いますし、私は、そういう意味で、現在の炭鉱の精密な分析と、そして次の石炭政策へのアプローチの描き方によって、石炭体制はどうあるべきかということは必然的に出るのだ、こういうすなおな形で受けとめていかないと、なかなか期待に沿うような政策はできないのではないか、こう思うわけでありますが、この点についての見解を承っておきたいと思います。
  37. 莊清

    莊政府委員 今後の石炭政策につきましては、いずれにせよ、国がよほどやはり腰を据えまして強力な指導とそれから助成ということを行なわなければならないということは、これは私ども全く同感でございます。ただ、その場合に、言われておるような国家管理的な構想とか、あるいはまた全国一社化案というような構想、あるいはそれの中間のような、また、体制についてのいろいろな考え方等、現在いろいろ議論がなされ、意見が出されておるわけでありますが、いずれにいたしましても、やはりエネルギー革命の中で、今後重要なエネルギーとして安定的な地位を確保し、エネルギー供給者としての重要な使命を長きにわたって石炭鉱業が果たしていかなければならないという場合に、これは現実の問題といたしまして、すべての鉱山をそのまま、現状のまま維持するということは、これまた実際問題として相当困難が多いであろうということもまた認識せざるを得ないわけであります。そこで、今後のこういう問題に対する施策の進め方といたしましては、やはり従来の路線の一そうの強化ということが重要であることは、もう言をまたないところでございます。と同時に、やはりそれぞれの炭鉱の優劣とか、あるいは企業間の格差ということも、体制審議会の場でも今後さらに突っ込んだ検討をいたしまして、それらの客観的な事実を踏まえまして、全体としての石炭というものが最も効率よく合理的な姿で存続をし、長期的に安定した形でエネルギー供給者として存続させる、こういう見地から私ども検討いたしたいと思っておるわけでございます。具体的にどのような体制が最もふさわしいかという問題は、いろいろな問題もあろうと思います。今後各審議委員先生方の御意向を詳細に率直に承って、通産省としてもよく勉強さしていただきたいと思っております。
  38. 岡田利春

    岡田委員 時間がありませんから、きょうは詰められませんけれども、ひとつ三月に向けてわれわれ委員会としても積極的な意見を反映してまいりますけれども、そういう弱体化してきておるような問題をこれをどう解決をするかという視点に立って、すなおな方向で今後のあるべき姿を打ち出していただきたいということを強く要望いたしておきます。  最後に、労働省にお尋ねいたしますけれども住友閉山に伴い、しかもわが国の経済の不況、加えて円一ドル問題等、産炭地進出企業についても大きな影響があらわれている。そういう意味で、産炭地の場合は、特に失業者の滞留、これの再就職あっせんということは、中高年齢者なるがゆえにより一そう困難をきわめてきているのではないか、こう言わざるを得ないと思います。したがって、最近の炭鉱離職者の就職あるいは未就職の動向について、第一点承りたいと思います。  それと、第二の問題としては、たとえば北海道の場合には、緊急就労も開発就労も行なわれていないわけです。労働省から見れば非常に安上がりの再就職、転換というものが行なわれている、こう言わざるを得ないと私は思うのです。けっこうなことだとは思うのですけれども、しかし、今日の情勢の中で、たとえば奔別炭鉱閉山のその後の動向を見ますと、ある程度は開発就労でささえなければならぬし、ささえたいという意向も市当局から出されているわけですが、特にこれらについてはどう把握をされているか。そういう自治体の意思があれば、当然、九州、常磐のようにこれを受けとめて、おそらく来春早々、冬を越してからになると思いますけれども北海道でも初の開発就労事業を行なうという決意ありや、この点について承っておきたいと思います。
  39. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 住友二山の閉山に伴いまして、約四千数百名の離職者が出ております。歌志内、奔別両地域におきまして、地元関係者の御協力も得まして対策本部を設置いたし、離職者の再就職に万全を期してやっておりますが、現在までの状況では、この年内に大体半数程度の人たちが再就職の措置が終わりまして、あと残りの約半数の人たちは、おそらく雪解けを待って来年三月かあるいは四月ごろに何とか再就職のめどをつけたい、こういうことで現在努力いたしておるわけでございます。  先生指摘の開発就労事業につきましては、実は先般の国会で御審議いただきまして成立いたしました中高年齢者雇用促進特別措置法によりまして、特定地域の開発就労事業という制度を新しく設けております。この制度の運用につきましては、実は北海道につきましては、奔別は岩見沢の管内ですでに指定されております状況によりまして、今後こういった離職者の発生に伴って雇用状況が悪化するような事態になりますれば、来年四月の時点でさらに特定地域の指定ということも十分に考えておるわけでございます。
  40. 岡田利春

    岡田委員 質問は終わりますが、最後に、政務次官に特に要請し、政務次官の確たる見解をひとつ承っておきたいと思うのですが、今度の体制委員会で出されておる決議については、これは十二月やったものと、来年度予算向けのごく限られたものについて、安定補給金の増額、坑道掘進補助金の拡充、この二点が中心になっておるわけです。それと、先ほど来私が討議をし質問をしてまいりましたように、国が肩がわりをした有価証券と土地の分だけでも二百億をこえているわけですが、これが全然閉山されても最後はつぶれていけば残額の二分の一しか払わぬのですから、その担保を抜くことができないわけです。この担保抜きは、私は、答弁としては、努力しますということばが出てきますけれども、なかなかたいへんな問題だと思うわけです。そういう点で、特に当面のこの問題を確定すると同時に、担保抜きについては別に予算その他関係ないのでありますから、鋭意ひとつこの問題の解決に政務次官としても、どれだけ前進できるか、結果を見なければわかりませんけれども、この問題に対処していただきたい、こう私は要請をし、この機会に見解を承って、質問を終わりたいと思います。
  41. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 たいへん専門的な広範多岐にわたる御指摘でございましたが、石炭対策は、日本の地下資源エネルギーの中でもたいへん私は重要であると思っております。そういう意味において、やはり国の安全保障、あるいはまた、地域の生活環境の不安等々考えた場合に、今後、いま御指摘の問題等々も含めて、やはりこれは長期的な積極的な施策を進めていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけです。ただ、全体を大まかにながめた場合において、いろいろな国民感情——という表現がいいのかどうかわかりませんが、いろいろな問題も私はあると思いますので、そういったものも踏まえて、そして先ほど申し上げたところの、何と申し上げましても貴重なエネルギーの地下資源というような関係から、強力に進めていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  42. 鬼木勝利

    鬼木委員長 相沢武彦君。
  43. 相沢武彦

    ○相沢委員 私も、この十日、石炭鉱業審議会が決議しました決議書につきまして若干のお伺いをしたいと思います。  通産当局は、四十七年度石炭特別会計内容をまとめて大蔵省と折衝中と思うのですが、石特会計の財源である原重油関税収入は、御存じのように、ドル・ショック以降深刻化している国内経済の不況のあおりを受けて減少しておりまして、四十七年度歳入分は、四十六年度予算額の一千六十億円を大きく割って、九百六十億円ぐらいにとどまるんじゃないかという見通しだそうでございますので、こういった現状では、今回出された緊急対策にしてもかなり制約を受ける、こう思うのですが、通産省としては、今後の原重油関税収入の見通しをどのように把握をされているのか、また、特に四十九年三月期限切れとなる石特会計は今後どうなるのか、この点について非常に石炭関係の人たちは心配しているわけでありますが、四十九年以降の石特会計のあり方と、また、財源となるべき原資について通産省としてどういう展望を持っておられるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  44. 莊清

    莊政府委員 基本的な前提になります原重油関税の収入見通しでございますが、これは長期的な見通しは、今後の経済成長率の見方等ともからみますので、はっきりしたことは申し上げられませんが、今後六年ないし七年程度の期間で見ましても一兆一千億ないし二千億程度、十年程度で見ますと、ある程度原重油輸入の伸びが現在よりも低くなると見ましても、二兆円弱の大規模な歳入が見込まれると思われます。  ところで、問題の来年度でございますけれども、御指摘ございましたように、私ども、ことしの夏の時点では、千百三十億程度のものを石炭財源として使える、原重油関税のうちの十二分の十の部分が千百三十億程度と見ておったわけでございますが、現在では、千億を若干切るのではないかというふうに非常に憂慮しておるわけでございます。それで、現在の制度のもとで石炭財源として使えるのは千億を若干切る程度ということでございますが、私ども通産省といたしましては、これは予算折衝の過程において確定するわけではございますけれども石炭石油特別会計が来年度から発足するのであれば、その際には将来の長期的な財源見通しというものも出るわけでございますから、したがいまして、どうしても不足を将来来たした場合には、借り入れと申しますか、補正と申しますか、そういうことで四十七年度も緊急やむを得ないものについてはぜひ考えてもらいたい。そういうものは、借り入れないし補正というふうなことで、この千億弱と見込まれるワクを越える部分につきましては、今後の石炭石油特別会計の全体の中で処理をしていくという考え方をぜひとるべきであると考えております。現在財政当局ともその点について鋭意折衝しておるところでございます。  なお、石炭石油特別会計の発足にからみましてはもう一点ございますが、四十七年度及び八年度というものは、現在の四次対策でも、十二分の十は石炭対策財源であるということがはっきり法律上も明記されておるわけでございます。これは現在の石炭対策特別会計法に明文規定がございます。この趣旨を受けまして、かりに石炭石油特別会計が来年度から発足となりました場合にも、四十七年度、八年度の二カ年につきましては、それと同様の趣旨を法律上明らかにすべきであると考えておりまして、この点も財政当局と詰めを行なっております。  四十九年度以降についてお尋ねございましたが、これは実は、第五次石炭対策とかりに申し上げますが、現在体制委員会検討中の基本対策の確立をまちまして、それに基づきまして、今後ともやはり石炭対策につきましては国としても所要の財源は確保していくという基本に立ちまして、善処いたしたいと思っております。
  45. 相沢武彦

    ○相沢委員 局長の御答弁の中で、四十七年、四十八年度については、法律もあることなので、原重油関税収入の十二分の十は確保できるということでございますが、第四次石炭対策以後なだれ閉山が続いておりまして、このままでいけば三千万トンを切るのではないか、こういう状態になってきたときに、はたして従来の線を確保できるかどうかという点が非常に心配になっておるのです。もしか三千万トンを下回るようなことになった場合に、この原則はくずされるのではないかというおそれもありますが、この点のからみというものはどうお考えですか。
  46. 莊清

    莊政府委員 石炭の需給というのは非常にむずかしいいろいろな要因が出始めておりますが、出炭規模と、私先ほど御答弁申し上げました四十七年、八年度に対するわれわれの基本姿勢というものは関係ございません。出炭規模が、やむを得ざる閉山によりましてかりに御指摘のような事態が起こりましたといたしましても、石炭対策の中身というものは、現在予想される原重油関税の十二分の十は少なくとも絶対確保を要するものであるべきであるという基本的な認識に立って、四十七年、四十八年は絶対明確にすべきであるということを御答弁申し上げたつもりでございます。この線に沿って努力をいたします。
  47. 相沢武彦

    ○相沢委員 石炭企業が現在資金調達の面で非常に困難な立場になっていることは、御存じのとおりでございまして、特にこの石炭企業の越年資金の確保ということが一つの山になっておりますが、通産当局としては、どれくらいの資金が確保されれば石炭企業はこの冬を越せるのかという見通しを持っておられますか。
  48. 青木慎三

    ○青木政府委員 現在石炭企業の経理状況が非常に苦しいのは、御指摘のとおりでございますが、ことしの年末の資金につきましては、一時相当多額の不足が生ずるであろうという見通しもあったわけでありますが、十一月から十二月にかけまして、無利子の近代化資金の融資の実行あるいは安定補給金、坑道補助金等の繰り上げの交付その他の施策を政府としては講じました。また、企業のほうにおきましてもいろいろ努力しておりまして、現在の見通しでは、大手の会社は年末は資金の見通しがついたというふうに私どもは理解しております。
  49. 相沢武彦

    ○相沢委員 大手の場合は見通しがついたというお話でございますが、全国の石炭企業合わせまして大体七、八十億円の資金融資がないとあぶないのではないかという声も一部にあるわけですが、その点、通産当局のその見通しは非常に安易じゃないかという感じがするのです。その点と、また、年を越したとしても、明年三月までの融資対策が引き続き講じられなければ、また大幅な閉山等も予想されるわけでありますが、三月末までの融資対策について通産当局はどのように講じられますか。
  50. 青木慎三

    ○青木政府委員 ただいま年末資金は何とか乗り切れると申しましたが、三月末までに私どものほうで予定しております施策は、近代化資金の返済猶予でございまして、これは十二月から三月に至るまでに返済時期の参ります近代化資金融資につきまして、返済の猶予を行なうということでございます。これは全体で約十一億円程度の猶予に相なることになっております。それから近代化資金の年度末調整融資というのがございます。これは近代化資金を一応春と年末にやりまして、残りを三月末に調整融資ということでやることになっておりますが、これを約十億程度実施する予定でございます。それから整備資金の保証という制度がございまして、これは企業が銀行から金を借りますときに、整備資金の保証をいたしますと非常に金融がつきやすいということがございまして、この保証資金に一億ばかり積み増しいたしまして、これで約十二億程度の保証ができるということになっております。これらをすべて実施いたしまして、企業のほうにも努力を願って、何とか年度末を越したいというのが私どもの念願しておるところであります。
  51. 相沢武彦

    ○相沢委員 緊急対策の中で、先ほど岡田委員も触れられておりましたいわゆる政府の肩がわりとなっている債務について、肩がわりの進行に対応して担保をはずしていくように指導するということでございますが、この点につきまして、肩がわり進行に対する担保はずしが行なわれれば、その分で新たな借り入れができるわけでありまして、現在ほとんど一般市中銀行からの借り入れが閉ざされている石炭企業にとっては、非常に大きなメリットになるわけでありますが、直接この金融関係に対する指導の任に当たる大蔵省の担当主計官のほうから御答弁願います。
  52. 北田榮作

    ○北田説明員 ただいまお話のございました肩がわり債権につきましては、石炭鉱業が事業を廃止いたしますと、あと交付金が停止されまして、あと取り立て保証については二分の一を国が保証いたしますが、二分の一は金融機関の資金になる、こういうことになりますので、このリスクをカバーいたしますために金融機関が担保を徴するということは必要なことであると思います。ただ、いまお話のございましたように、債務の返済が進行いたしまして債務の残高が減り、それに従って担保に余力の生じました場合に、これをはずしていくということは可能であろう、こういうふうに考えております。ただ、担保について余力があるかどうかということにつきましては、その担保の実質的な価値ということが非常に問題になるわけでございますが、こういった点につきましては、やはり金融機関が具体的にその担保の状況、債務の状況といったことをいろいろ調査いたしまして、金融機関において適正な判断をし処理をするということになろうと思います。通産省のほうにおいては、こういった点につきまして、各金融機関等に対しまして、いまそういった石炭鉱業審議会の委員会の御要望等もいろいろありまして、そういった点について御要望をされるというふうに聞いておりますので、私のほうといたしましても、そういった点につきましては、機会をとらえまして、趣旨に沿うように金融機関を指導いたしたい、このように考えております。
  53. 相沢武彦

    ○相沢委員 大蔵省のほうとしても、機会をとらえて前向きに指導してくださるというようなお話があって、期待したいのですが、やはり実際的に行なわれるまでかなり期間がかかると思いますし、これまで運転資金のじき貸し制度の創設ということがたびたび要請されておるわけでありますが、金融機関からの資金調達が困難であれば、石炭合理化事業団に運転資金のじき貸し制度を創設するという要望に対して、どのように取り組まれておるか、その後の経過状況、見通しについてお伺いしたい。
  54. 青木慎三

    ○青木政府委員 石炭合理化事業団の運転資金のじき貸しにつきましては、各方面から非常に強い要望を承っておりますけれども、これは新しい制度の創設になるわけでございまして、非常に大きな問題でございますので、緊急の短期対策ではなかなか取り上げにくい問題でございます。根本対策議論いたしますときに、その中で議論していただこうというふうに考えております。
  55. 相沢武彦

    ○相沢委員 「昭和四十七年度において講ずべき措置」の中で、「現下の関税収入等石炭対策特別会計の現状からみて石炭鉱山整理促進交付金、炭鉱離職者就職促進手当等の資金の確保に遺憾なきことを期するため何らかの措置検討すること。」この一項があります。これに対して、予想以上に今後閉山が進んで、予算以上の支出が出た場合、これを借り入れする等の手段を講じて完全に補充をする、この見通しはだいじょうぶですか。もう一回念を押しておきます。
  56. 莊清

    莊政府委員 現在の石炭特別会計は四十八年度末までということに一応なっておりますので、現在のままでは借り入れということは実現が事実上なかなか不可能かと存じますが、幸いと申しますか、かりに石炭石油特別会計という制度が来年度から数年間新たに発足するという場合には、会計全体の中で長期的なやりくりということは当然考えるべきであると思いますので、それを背景に、御指摘のような緊急やむを得ない支出増というものがありました場合には、それに円滑に対処するために、ぜひ御指摘のような施策を講ずべきである、通産省としてはかたく考えております。これが来年度の予算編成上非常に重要な事項であるということで、現在財政当局と鋭意折衝いたしておるところでございます。通産省としては、ぜひその道を開きたい、かように考えております。
  57. 相沢武彦

    ○相沢委員 同じく「昭和四十七年度において講ずべき措置」として、一般炭の安定補給金単価の格差是正を政府に要請して「価格の引上げについても応分の協力を行なうことを期待したい。」こうあるわけですが、すでに電力業界では、炭価引き上げには絶対に応じられないということを表明しておりますし、また、原料炭の大口需要側である鉄鋼業界においても、国内炭の引き取りは敬遠したいということを申しておりまして、石炭業界にとって非常にきびしい情勢にあるわけでございますが、政府は、このような審議会の決議と現実の需要業界等のこういった意向に対して、どのような対処をされてこの決議の実施をはかろうとされるか、その点を承りたいと思います。
  58. 莊清

    莊政府委員 一般炭の単価というのは、本年度は残念ながら実現の見通しがないわけでございますが、来年度石炭予算の重要な柱といたしまして、原料炭一般炭との安定補給金格差是正ということをぜひ実現をすべく、現在政府として努力中でございます。これの実現も一つ背景にいたしまして、政府としてもこれだけの努力をするのだから、ユーザー側の電力業界としても応分の協力をひとつしてもらいたいということを基本に、今後需要業界の協力をぜひ得られるように努力を続ける所存でございます。  原料炭は御案内のように値上げが実施されたわけでございますが、鉄鋼業も現在非常な不況に突入はいたしておりますけれども、五千万トンという大規模な原料炭輸入が行なわれており、その輸入価格というものは現在幸いに低下しておるという面が実はあるわけでございますから、そういう点も総合的に考えて、原料炭業界についてもひとつ何らか応分の協力ということを、政府としては明年度の施策として強く要望してまいる所存でございます。
  59. 相沢武彦

    ○相沢委員 特に原料炭の国内炭の引き取りの問題なんですが、これは通産省がやはり鉄鋼業界との積極的な話し合いをして国内炭引き取りの量の確保をしておかないと——いま北炭新鉱開発をやっておりますけれども、大体順調に進んで四十八年秋には出炭が可能である、こういうふうにいわれております。出炭開始が四十八年十月の予定で、当初は日産千トンでスタートして、坑内開発が終了する五十年度には日産五千トンを軌道に乗せたい、こういうわけでありますが、今後鉄鋼業界が海外炭にたよって国内炭の引き取りというものを促進しないということになりました場合に、この新鉱開発、特に原料炭を主体とする新鉱開発による出炭増、この点の問題が非常に大きな問題になる。多額の金をかけて新鉱開発をした意味がなくなってしまう。また、こういったことは、早目に通産省の指導を発揮し、また業界との話し合いがつかないと、新鉱開発が進んでいる間に、実際にそのときになって、働く炭鉱技術者、労務者というものが見切りをつけてどんどん別な方面に就職してしまう。開始されたときにはさらにまた事情が変わって、さあ今度は掘ってほしいというときに、そのときになったら、すでに労務者はもう途中の経過を見て先行き不安を感じていなくなってしまったというような、いろいろな問題が発生すると思うんですが、この点について局長からもう一ぺん明確な答弁をお願いしたいと思います。
  60. 莊清

    莊政府委員 北炭の新鉱のお話がございましたが、これに限らず、今後国内で新しい有望な原料炭中心の資源の開発ということはやはり行なわれると考えるわけでございますが、これらを通じまして最も大切なことは、やはり内外原料炭の価格差というものは、これは自然条件の差等もございまして、一挙にこれが縮まるというふうなことはなかなか現実問題として困難かとは存じますけれども、極力政府の諸施策の充実ということによりまして、なるべく有利な条件で新しい地下資源が開発され得るような条件を整備するということだと思いますし、また、今後の原料炭の新しい開発計画等が出てまいりました場合には、そういう条件のもとでの採算ということも相当詳細に検討をすることが、逆の意味でまた必要になろうかと存じます。これが第一の点だと思いますが、先ほども申し上げましたように、やはりアメリカとか豪州とか、露天掘りをやっておるようなところからの原料炭の数量は年々ある程度ずつふえましょうし、やはり価格の差というものはある程度のものはどうしても残るということを十分認識せざるを得ませんが、この際やはり、鉄鋼業界等大量の海外資源というものを各種類にわたって使用せざるを得ない産業というものは、いわばわが国産業の宿命的な一つの弱点と申しますか、構造的な特色でもございますから、国内資源というものに対しては、ユーザーも長期的な観点に立って、一円高ければ使わないとか、たとえばそういうただ数字だけの割り切りというのは企業体自身も実はできないわけでございます。政府としても、そういうユーザーに対してそういう点の認識を十分持ってもらうように今後とも一段と努力をする、そしてユーザーも政府も一緒になって、何とか国内の原料炭というものが、これは完全にあまりに採算に乗らないというものは無理かと思いますが、そうでないものは極力使っていくということを基本に対処いたしたいと考えております。こういう姿勢で臨みたいと思います。
  61. 相沢武彦

    ○相沢委員 それから、住友歌志内、三笠奔別閉山に伴っていま再就職が進められておりますが、約二千人の人たちが失業のまま年を越さなければならない、こういう状況でございます。特にここで一点お伺いしておきたいのは、職業訓練所に入所したくとも、現在入所希望者が奔別関係だけで二百人以上おりまして、岩見沢職訓の定員二百人をオーバーしておりますし、炭鉱離職者だけでなくして一般の入所希望者等を考えますと、かなり不採用が出るんじゃないか、こういう心配を現地ではしておるようであります。これについてどのような対策を講じられますか。
  62. 石田卓造

    ○石田説明員 炭鉱離職者が再就職いたします場合に、本人が希望し、あるいは企業が需要いたします職種の技能を訓練いたしまして、要するに、職業転換訓練をするということが再就職にあたりまして非常に有利であるということは、先生も御指摘あるいは御承知のとおりでございます。そのために、労働省では、県立あるいは雇用促進事業団立の公共職業訓練施設におきまして、能力再開発訓練の中に職業転換訓練課程をたくさん設けまして、積極的にこのような訓練を実行いたしておるところでございます。特に北海道につきましては、今回の閉山、かなり多数になりまして、一番多いのは、最近、十一月の末に出てきたばかり、こういうのもございます。それで、道内のこういう職業転換訓練を行ないます訓練施設は約十三カ所ございまして、それぞれで受け入れるべく準備をしております。ただ、こまかく見てまいりますと、岩見沢地区に比較的多くの希望が集中しておりまして、ここの岩見沢総合高等職業訓練校だけではその希望を全部収容し切れないというような事態も予想されております。そこで、この面につきましては、一月の中ばに離職者の方々と個別に職業相談をいたしまして、十分その実情を把握した上で、職種の増設とか、あるいは新しい施設をどこか借り上げてつくるというようなことで対処してまいりたい。要するに、十分支障のないような訓練体制を築きたい、こういうように考えておる次第でございます。
  63. 相沢武彦

    ○相沢委員 通産大臣が、八月の委員会で、きめ手のない石炭対策じゃなくて、前期五カ年、中期五カ年、後期五カ年といったような年次計画を立てて、突発的な問題でも起こらない限りは、議論の余地はないというくらいにしたいというお話もありましたし、また通産省も、腰だめでなくて、通産省案というものをたたき台として出して明確な方途を講じたい、それも予算審議の前の十一月ごろまでには出したいという、そういうお話があったわけでありますが、まただんだん後退して、すでに審議会も今回、新石炭政策は三月に出されない、当面ということで、つなぎ対策を出されたわけでありまして、どうも通産当局のほうも、この石炭鉱業審議会の審議の経過を見て通産省の案を出すんだというような話ですが、大臣の御答弁とはだいぶ食い違ってくる。今回の対策にしても、やはりこれまでのその場しのぎの対策の感がしまして、やはりどうしても長期ビジョンを明らかにした上で、それまでどうしてもこういう対策が必要なんだという緊急対策であって初めて緊急対策の意義があると思うのでありますが、この点について、通産当局は、現在通産省独自のたたき台を作業を進めているのかどうか、あるいは石炭鉱業審議会が出す前に通産省案というものをまとめようとするのか、それとも石炭鉱業審議会の審議を待った上で出てくるのか、あるいは全然通産省がやろうとしないで、石炭鉱業審議会の案だけ、出た案を検討しようというのか、その辺を明確にしていただきたい。
  64. 莊清

    莊政府委員 通産省といたしましては、お話のございましたように、なるべく早期に第五次石炭基本対策というものを確立いたしたいと思って努力をしてまいったわけでございますが、たとえば住友石炭の再建問題というふうな突発的な問題あるいは常磐の問題等、意外にこれはむずかしい問題でございまして、予想以上に長引いたというふうなことも一つございまするし、また、審議会の中で専門的に小委員会等をつくりまして、各ユーザーの業界等から長期的な需要の見通し等についての調査というふうなこともある程度行なったわけでございますが、経済の見通しがきわめて立ちにくいというふうな状況のもとで、ユーザーのほうもなかなか長期のビジョンというものが急には明確な形で出てこないというふうな、いろいろな困難な事情が累積をいたしまして、なかなか本格的な新石炭対策検討に入れないまま今日に至ったわけでございます。審議会としては、当面、本格的な議論というものは年明けに譲らざるを得ないという判断のもとに、当面対策にしぼりまして十二月に連続的な御審議を賜わったような次第でございます。したがいまして、現在、私ども、率直に申しまして、新石炭対策についてのいわゆる骨格というものを事務的にまだ持つに至ってはおりません。ただし、なるべく早い機会に第五次対策の確立をはかるという見地から、御趣旨を体しまして今後最善の努力を尽くすということをここでお約束申し上げたいと思います。
  65. 相沢武彦

    ○相沢委員 時間ですから、以上で終わります。
  66. 鬼木勝利

  67. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私に与えられておる時間は二十分という約束ですから、その時間内に二点だけ質問をいたします。  石炭問題の根本的な解決策については、これは来たるべき通常国会で論議をするよりほかにはない、こう思っております。当面する問題として、炭鉱の年末越年資金について、先ほど答弁を伺っておりますと、大体相当片がついたというようなことをおっしゃっていたようです。もちろん、石炭部のほうで努力をしておられることを私も伺っております。そこで、これで完全に解決ができるのかという点です。全従業員の期末手当などもこれで完全に支払いができるのかどうか、そういう点についてひとつ……。
  68. 青木慎三

    ○青木政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、年末は何とか越せるということでございます。といいますことは、企業には相当無理な資金対策をしてもらっているわけでございますので、これが根本的な解決になっているということはまだ言えないというふうに私ども一は理解しています。それから期末手当等につきましても、支給のめどがついておるわけでございますが、一部社内預金にしたりあるいは繰り延べ払いになるような会社も中には出てくるというふうに理解しております。ただ、ここで会社がつぶれてしまうような事態というのは一応回避したというふうに理解しております。
  69. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 炭鉱の若い従業員がいなくなってしまう、人的な問題をいかにしてこの炭鉱の不安な状態を解決するかということが、一番大きな問題になっておるのです。どころが、どうも、いま石炭部長から伺っておると、いささかあいまいなような気がするのです。従業員の期末手当が、労働組合のほうで労働金庫から借りて、それを会社側に貸してそれで支払われておるが、六割以上支払いできる炭鉱はほとんどない状態になっておる。期末手当がそういう状態であって、一体人的な問題等の解決をこれでできるだろうかどうだろうかという点について、ひとつお伺いしたいのです。
  70. 青木慎三

    ○青木政府委員 非常に企業は苦しいために年末資金等につきましても支払いが非常に先に延ばされておるような実態であることは、御指摘のとおりでございます。ただ、この対策は、あくまで基本的な対策ができるまでのつなぎの対策でございますので、私どもはその基本的な対策ができる前になだれ閉山のようなことが起こることは極力避けたいと思いましてやっておる施策でございますので、十分とは申せませんし、いろいろ影響はあると思いますが、精一ぱい、この辺で最悪の事態を回避してまいりたいというふうに考えております。
  71. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私がいま答弁を求めた、労働組合がそういう処置をとってなおかつ六割以上の期末手当を支払いすることができないという状態については、お認めになりますか。
  72. 青木慎三

    ○青木政府委員 正確な数字は私どもまだ把握しておりませんけれども、そういうような事態が起こっていることにつきましては、私ども承知いたしております。
  73. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それで、若い従業員を炭鉱から去らせない、人的な問題が炭鉱はいま一番大きな悩みになっておりますが、その解決ができるという見通しですか。
  74. 青木慎三

    ○青木政府委員 この問題、確かに人的問題に非常に大きな支障があることは私ども承知いたしますけれども、ともかくこういうことで切り抜けて長期的な対策につなげてまいりたいということで私ども対策をとっている次第でございます。
  75. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 そういうことでは人的な問題を炭鉱で解決ができない、ますます人的な問題では不安を起こしてくる。しかも若い中堅の炭鉱従業員がいなくなってくれば、自然に山は、したがって能率もあがらなくなってくる、経営状態も不安定にますますおちいっていくということは、火を見るより——過去の例をさかのぼってみるまでもなく、きわめて明らかです。そういう点においても十分お考えになっての対策をお立てになっていますか。
  76. 青木慎三

    ○青木政府委員 そういう点にも心は配っているつもりでございますが、現在の石炭企業の現状から申しますときわめて困難な状況でございますので、極力そういうことはないような運営を企業にも期待し、労働組合の協力も期待してまいりたいと思います。
  77. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 まあこれより以上、これを突っ込んで具体的な事例をあげて私がお伺いすると、ますます窮地に立ってこられるだろうと思いますから、私はこの問題はこの程度でとどめておきますが、炭鉱の若い中堅層を炭鉱から去らせないためには、やはりこの問題を解決することが一番大きな問題であるぞということを十分石炭部のほうでは考えてもらいたいということを私は申し上げておきます。  さらにもう一点は、明年、四十七年度の石炭の安定対策です。体制委員会決議を受け取って、これをどのように具体的に生かそうとしておられるか、この点を先にひとつ伺います。
  78. 青木慎三

    ○青木政府委員 決議の線に沿いまして現在財政当局予算の折衝中でございますが、極力この実現をはかってまいりたいというふうに考えております。
  79. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 どうも禅問答みたいなことで一向はっきりしないのだが、体制委員会決議の中にも、原料炭一般炭との単価の格差を是正しなければならぬ。結局一般炭の単価引き上げの問題をこれはいっておるわけでありますが、この単価引き上げの問題と安定補給金の問題、どの点でこの石炭問題の安定化を解決しようとしておられるか、この点を伺いたい。
  80. 莊清

    莊政府委員 一般炭の安定補給金の格差是正、これは非常に緊急を要する問題であると考えておりまして、来年度予算の超重点施策ということで、実現にいま努力をしておるところでございます。単価の引き上げということは、ユーザーの協力なくしては、実は財政だけでは解決できない面がございますので、本年度不幸にして一般炭につきましては一銭の引き上げも実現の見通しがございませんが、財政の措置をひとつ契機といたしまして政府としても需要業界に今後強く要請をいたしまして、一般炭単価の引き上げと、ユーザーの協力を得て単価の引き上げということを強く推してまいりたいと思っております。これが来年度非常に重要な施策であることは、先生指摘のとおりであるということを十分認識して努力をいたしたいと思います。
  81. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 この単価引き上げ問題は、もう局長が、あるいは石炭部長も番御存じだと思うが、なかなかこれは私は容易じゃないと思うのです。非常な努力をされるというか、政治的な非常な力を持たなければ、私はこの需要家との間における単価引き上げの問題の解決は容易じゃなかろうと思っております。安定補給金の問題であれば、これは国、政府が解決のできる問題ですから、これはわりあいに私はでき得ると思うのです。ところが、この特別会計の問題等については、これも私は、相当この石炭部の関係では努力をされないと、予算上の解決あるいは特別会計の配分との問題等においてもなかなかこれは容易じゃないと思います。  そこで、この石炭の不安、危機を解決するために、明年度の予算上でどういう措置をしてこれを具体的に解決しようとしておられるか、具体的なそれぞれの例をあげてひとつ説明を願いたいと思います。
  82. 莊清

    莊政府委員 現在の時点で、予算折衝中でございますだけに計数等も明確ではございませんので、具体的になかなか申し上げにくい面が多いのでございますが、考え方をひとつ御了承いただきたいと思います。  来年度は関税収入のほうが今年度よりも若干減りそうだという事態のもとで、なおかつ石炭対策というものを充実したいというのが私ども考え方でございます。ただ、出炭規模という点では、これは客観的な事実でございますけれども閉山等もございますので出炭規模としては下がっていくために、その意味で、トン当たり幾らということで組んでおる予算というものが、ある程度増額を考えても、予算面ではそう多額のものを要しないというふうな出入りの面も実はございます。私どもは、必要な予算については必要な額は絶対確保するということを基本に全体の予算編成をいまやっておるわけでございまして、ただし、先ほど来私たびたびここで御答弁申し上げておりますように、そういうことをやっても全体としてはやはりどうしても私どもは足りないと見ております。そこで、来年度はひとつ別のパイプで、特別会計が途中で足りなくなれば補てんができるという制度をどうしてもつくりたい、あるいはそういう歯どめというものをはっきりさせておきたいということを、これは最も重要な点だと考えておりまして、その点を含めて、いま財政当局と各項目の予算の金額の詰めをやっておるところでございます。ただし、詰める場合には、そういう点を基本前提におきながらやっておるということをひとつ御了承いただきたいと存ずるものでございます。
  83. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私は、時間の関係もあって、きわめて軽い気持ちで、また、あなた方をあまり窮地に追い込んでもどうかという、ある意味においては老婆心をもって実は質問をしておるのですが、一番予算上解決をせなければならぬという最重点として取り上げておられる点は、どれとどれですか、それをひとつ示してくださいませんか。
  84. 莊清

    莊政府委員 私どもは、当然、石炭産業の助成策として最も効果の大なるものに力点を置いて考えるべきだと思っております。その一つは、安定補給金の格差是正であり、第二は、坑道掘進補助金の増額でございます。さらに石炭会計全体の問題といたしまして、非常に大きな変動要因を持っておりますのが、残念ながら閉山交付金でございます。したがいまして、どうしても、ある程度の見通しがついております閉山につきましては、これはもちろん確保いたしますけれども、年度の途中におきまして不幸にしてさらにこれをこえる大規模な閉山等が生じました場合には、円滑な処理を要するためにも、また石炭会計全体の適正な運営を確保するという見地からも、そういう問題については、石炭石油特別会計と、新しい制度が来年慶から発足することになりましたならば、将来返すという前提での資金手当を来年度緊急にできる、借り入れ等の措置ができるということ、この三点を中心に考えております。  重点は以上でございます。
  85. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 明年度の閉山のトン数をどのくらい見ておられますか。
  86. 青木慎三

    ○青木政府委員 現在、自然条件その他の理由によって閉山するものを、大体明年度三百十万トン程度というふうに考えております。
  87. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 四十六年度の政府側のほうで閉山トン数を見ておられたその倍ぐらい閉山しておると思うが、どういうようになっていますか。
  88. 青木慎三

    ○青木政府委員 四十六年度におきましては、予算をつくりました当初、三百五十万トンという予想をしておりましたわけでございますが、その後現在までに大体見通しとしております閉山量は、四十六年度約六百十万トンでございます。
  89. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 明年度の閉山炭鉱のトン数を三百六十万と見ておられるが、単価問題、補給金問題等々でよほど解決されなければ、私はこの二倍以上にこの閉山炭鉱が出てくるという非常に不安を持っておるのですが、その点において、三百六十万で必ず食いとめてみせるという石炭の安定対策に自信がございますか。
  90. 青木慎三

    ○青木政府委員 これにつきましては、今後の長期対策の立て方の推移その他を見守らなければならないと思いますが、私どもとしましては、極力この範囲内でとどめて、なだれ閉山のような現象を回避したいというふうに考えております。ただ、炭鉱特有の事情といたしまして、特に事故などがありますと、思わぬ閉山が出てくることもございますが、そういうものを除きまして、極力現在の施策の範囲内できめのこまかい施策をとりまして閉山をその程度に食いとめたいというのが私どもの念願でございます。
  91. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 時間が来ましたから、私これで質問を終わることにいたしますが、石炭部長、別にことばじりをとるわけではありませんけれども、いまおっしゃった、四十七年度は閉山炭鉱三百六十万トンで責任を持ってこれを守るということを必ずやってもらいたい。その場合に、五百万トンになったじゃないかということになってくると、私も黙っておるわけにいきませんから、その点を強く、ひとつ責任を持ってもらいたいということを私は要望しておきます。この閉山トン数をふやすかふやさないかということは、結局は単価問題と安定補給金の問題にあるわけですから、そういう点等をひとつ十分責任を持って解決をするということを強く要請をいたしておきまして、私の質問を終わります。
  92. 鬼木勝利

    鬼木委員長 田代文久君。
  93. 田代文久

    ○田代委員 予算編成期に当面して、特に通産当局、それから大蔵当局に、この石炭産業に関する予算との関係での基本的な考えをまずお伺いしたいと思うのです。  というのは、石炭産業は、御承知のように、いわゆる高度経済成長の、終戦後における基礎的な産業として出発したわけですね。現在の高度成長に到達するしょっぱなからの国の経済に対する貢献というものは、ばく大なものがあると思うのです。それが現在の実情はどうであるか、これは申し上げるまでもないのであります。特にドル・ショック、それから円の切り上げという問題に当面して、現在政府予算を組む、あるいは、もちろんまだ確定しておるわけではありませんけれども、大体景気浮揚型の実に大きな大型予算を組むという方針で進められておるようでありますし、十一兆をこえる予算あるいは国債、公債が二兆円もに達するとか、あるいは財投関係が五兆円になるとかいうような、いままでにない実に膨大な予算を組もうとしておるわけなんです。しかもそのねらいというのが、申し上げるまでもなく、いわゆる景気の浮揚型ということで、そういう点で、円切り上げ問題が起こり、アメリカから日本がああいう形で切り上げを迫られたという根本には、社会保障の問題とか、あるいは公共投資あるいは労働条件、こういう問題について、行き届いた、満足するような状態で運営されずに、大企業優先みたいな形でやられて、結局世界第二のGNPというようなことで、高度成長だ高度成長だといっても、そういう大きな穴があいておる、そこをねらわれてきておるわけですね。そこで当然、今度の大型浮揚予算は、その点の反省の上に立ってやられておるということを承っておるわけなんですね。そういう点から、特にそのような役割りを果たしてきたこの石炭産業に対して、通産省なり大蔵当局は、そういう現在の予算編成基本方針から見て、私どもとしては、当然これは石炭産業にこそ、また、それとの関連のあって石炭産業なり日本の産業に貢献したこの炭鉱の労働者あるいは地域の自治体が、実際において非常に大きな公害を受けておる、あるいはまた失業者を出しているというような問題が起きている場合、そういう点にこそ大々的に、これは私はどんなに予算が大きくても大き過ぎるということはないと思うのです。そういう点で、この予算編成にあたってどういう基本的な観点で臨まれておるのか、また、臨まれようとしておるのか。特に大蔵当局は、私がちょっと承ったところでは、たとえばこの公害問題にしましても、あるいは失業者の問題、あるいは産炭地の振興というような問題におきましても、通産省の要求なり御意見は非常に消極的ですね、そういう消極的であるにもかかわらず、それをまた大蔵省のほうでチェックされるというようなことになれば、これは私は、この石炭産業に対する理解、あるいはこういう現時点における浮揚型の予算を組むとき、認識が全くなっておらぬということを言わざるを得ないと思うのです。おそらくそういう観点には立っておられないと思います。したがって、その点をはっきりさしていただきたいのですが、この石炭企業につきましてはいろいろ御意見も出ておりますけれども石炭産業自身は、これは唯一のエネルギー資源ですから、これを発展させるという第一の柱、それから産炭地の振興の問題、あるいは鉱害の復旧の問題、こういう点についての予算をとにかく大幅にふやすという観点に立っておられるかどうか、その基本的な理念なり考え方を、通産当局並びに大蔵当局から御意見をまず伺いたいと思います。
  94. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 田代委員が御指摘のとおりでございます。石炭産業わが国に貢献、これはもうたいへん大きいものがあったと思います。私も通産省へ参りましてから日が浅いのですが、同じ不況で鉱山関係、特に金属鉱山関係がいろいろ参りまして、石炭のような状態にしてくれないかというような形でよく陳情を受けるわけです。そういう意味合いから、私はその貢献度というものをたいへん高く評価をいたしまして、石炭産業には精力的に政府そのものも取り組んでおるのではないかと思います。  そこで、来年度の予算の問題ですが、これは先ほど来から局長、部長しばしば各委員に対してお答えをいたしております。当初見込みましたのが千百三十一億ということでございましたが、関税収入というものが昨年から見れば落ち込んでおる、そこでこれをどうするかという問題については、これをどう補てんをして石炭対策というものを樹立をするかということで先ほど来局長がお答えをしたとおりでございます。労働問題にいたしましては、労働省からも来ておりますし、先ほど来からも各委員にお答えをしておるとおりでございます。  問題は産炭地の問題でございますが、これは通産省といたしましても最重点として、地域の状態を把握いたしまして、工場誘致、こういったものに全力を進めてまいらなければならぬ、こういうふうに考えております。
  95. 徳田博美

    徳田説明員 お答えします。  石炭対策の問題につきましては、御承知のとおり、石炭対策特別会計が特定財源基礎としておりますので、それによる一応の制約があるということは、これは御承知のことと存じますが、ただしかし、石炭問題というのは、単なるエネルギー資源問題だけではなく、いろいろ地域問題あるいは労働問題等に結びついた問題であるということもわれわれは十分承知しております。その点は先生指摘のとおりだと思います。  それで、石炭対策といたしましては、企業対策あるいは産炭地振興対策、鉱害対策等に分かれるわけでありますが、企業対策につきましては、実は先般の財政制度審議会の報告におきまして、今後のわが国資源問題において国内炭の占めるべき位置を勘案しながら、この際あらためて慎重な検討が行なわれることが望ましいと考えられるというような報告が出ておりまして、こういう報告も勘案しながら、われわれは慎重に検討したいと思っております。ただ、産炭地振興問題あるいは鉱害問題は、先ほど先生の御指摘のように、確かに、現在のような経済情勢におきましては、いろいろ経済的な波及効果の大きいものでございますので、これは今後もかなり乏しい財源の中でも極力各方面の意を用いまして配慮してまいりたい、このように考えております。
  96. 田代文久

    ○田代委員 一応、抽象的には前向きの御答弁で、それを具体的に実際問題として実現させていただきたい。なお申しますと、さっき言いましたように、非常に消極的な通産省予算に対してチェックするとかいうようなけちなことは絶対やらずに、通産省予算は少ないじゃないかという形で、もう少しふやすような形でやってほしいと思うのです。それはどんなにふやしてもらっても、地域住民なりあるいは労働者なり、そういう方々にとって決して多いわけじゃない。ほんとうにがまんしておるわけですから。あまり時間がありませんから、これは次の国会にでも詳細に具体的に質問したいと思いますが、ごく大づかみのところだけ、全体で二十分しか時間がありませんから、申し上げますけれども、いろいろ全国の石炭鉱業関係の地方自治体からの要望がきておることは、御承知だと思うのですが、産炭地振興の措置法をとにかく内容を変えてくれということですね。これは十年延長になって、その点は非常にありがたいのだがということで見えておりまして、そして補助率の引き上げの問題で、離島振興法同様の一定の高率補助に改正してもらいたいとか、あるいは公共事業については、過疎債と同様に、産炭地振興公債というようなそういう起債ワクを設けるようにしてもらいたいとか、それから課税免除の問題等について、事業税などをこれに加えてほしいとかいうような、いろいろの要望がきておるわけですが、大体こういう方向に対して通産当局はどのようにお考えになっておりますか。
  97. 莊清

    莊政府委員 産炭地域振興対策、とりわけ、公共事業の推進と企業誘致策の強化、この二点につきましては、現行法が前国会で十年延長が行なわれました際の国会審議でも、大きな問題として取り上げられ、それらの問題の推進が強く政府に国会からも附帯決議という形でなされておるということを踏まえまして、私ども、自来鋭意努力をしておるところでございます。  この問題は、国家財政の問題であると同時に、また地方財政に非常にからんだ問題もございまして、非常に多岐にわたる問題でございます。来年の税収見通し等も非常に困難であるというふうなこともいわれておる昨今でございますけれども、何とかその中でできるだけの措置をこの際ぜひ実現してもらいたいということで、いま鋭意折衝をしておるところでございます。ただ、時期の関係から、これの帰趨については、ここである程度の見通しを申し上げるということは、まだ残念ながらできないという実情でございます。
  98. 田代文久

    ○田代委員 その点では、先ほど申しましたような基本的な観点から、積極的に努力をしていただきたいと思います。  それから、鉱害問題についてですが、これは一例を申し上げますけれども、福岡県の日炭高松炭鉱のあった地域ですね、これから陳情なんかがきておりまして、どうしてくれるんだということできているのですけれども、過去五年間平均の復旧実績というやつは、これでいくならば、この復旧が完了するまでに今後八十年間かかるというんですね。八十年間かからないとこの鉱害は解決しないというんです。その他、これはまたほかの地域なんですけれども、家屋の復旧なんかが、認定された鉱害家屋というのが七百戸ある。それから、実際にこれが復旧されているのは、年間わずか十戸だというんですね。そうすれば、これも七十年間しないと、ひっくり返った家、住めないような家になっているのが復旧しない。七十年といえば、全部これはもとの家も倒れてしまいますね。ですから、鉱害復旧がやられておるということは、実際問題としては、これはただそういうことで力を入れておりますというような、上なでの実績でしかない。これはほんとうに鉱害復旧になっていないと思うのですよ。これは予算が足りないとか、それから無資力炭鉱がふえたとか、いろいろ理由がありますけれども、鉱害を認定する速度なども非常におくれているという問題もあると思うのですね。ですから、これはほんとうにいろいろな面から、きめのこまかい、住民の自分の家が傾いているんだ、そうして井戸水が出ないんだということを身にしみて考えて真剣にやっていただかないと、八十年かかって鉱害が直るとかというようなことじゃ、とてもこれは政策でも何でもないと私は思うのですよ。  これはまた次の機会に質問したいと思うのですが、基本的に、来年の七月に、いわゆる鉱害二法ですね、この鉱害二法が期限切れになります。当然これは延長してもらわなければ、これほど、全国的にいって千三百億も残存鉱害がある。しかし、これは通産省の皆さん方のほうで調べられたもので、実際の福岡県なら福岡県、地方自治体が言っているのでも、福岡県だけでも二千億円の鉱害があるんだといわれているくらいで、非常にひどい状態なんです。ですから、この二つの鉱害法規を当然延長されるべきだと思うのですが、それに対する考え方、それから同時に、それが延長された場合に、その内容を非常に充実されるというような方向で取り組まれておるのか、そういう点の御答弁を大きな点でお願いしたいと思うのです。
  99. 莊清

    莊政府委員 鉱害の復旧は、私、石炭対策の中でもとりわけ重要な一つ政策課題であると考えております。これは民生の安定という見地からもゆるがせにできません。それで、七十年、八十年かかるというお話もございましたが、通産省調査でも、千三百億というふうな数字が一、二年前の時価で出ております。これはようやく鉱害が安定期に入ってまいりましたので、今後十年間で現在の鉱害を解消しようという見地から調査したものでございます。十年の間には工事費等の単価アップ等もございましょうから、現実に必要となる復旧資金というものは千三百億を上回ることになることは当然でございますが、相当大規模な復旧になるわけでございます。この場合基本になります鉱害二法というものは、私ども間違いなく次期通常国会に御提出をし、御審議をいただきたいと思います。その中で復旧のために諸施策の充実強化ということを当然考えるわけでございますが、これとあわせまして、やはり地域地域によりまして、地域の土地利用の状況等も時々刻々変わってまいります。長期的な観点に立ちまして、単に十年、二十年前に機械的に返す、ただこれがいいというわけではございませんので、新しい時代にマッチした形で、それがほんとうに役に立つというふうな、最もくふうされた復旧ということもあわせ講ずるような方向での法律改正をやりたいと思っております。
  100. 田代文久

    ○田代委員 もう本会議のベルが鳴っておりますが、緊就、開就の問題ですね、これは遠藤部長が見えておりますので聞いておきたかったのですけれども、時間がありませんから、要望いたします。  開就、緊就、これはやはり予算の組み方が少ないのではないかと私は思います。あなたの御意見を聞いていろいろやり合わなければいかぬけれども、時間がありませんし、実情をよく御存じでしょうから、どうか緊就、開就の予算をうんと取って、とにかく就業労働者も確実に吸収されておりませんから、十分できるように御努力願いたいと思います。  以上で終わります。
  101. 鬼木勝利

    鬼木委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十一分散会