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1971-11-30 第67回国会 衆議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月三十日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長代理理事 進藤 一馬君   理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 岡本 富夫君       石井  一君    稲村 利幸君       内田 常雄君    小川 平二君       大久保武雄君    北澤 直吉君       左藤  恵君    斉藤滋与史君       羽田野忠文君    八田 貞義君       前田 正男君    増岡 博之君       山田 久就君    石川 次夫君       松平 忠久君    横山 利秋君       近江巳記夫君    松尾 信人君       川端 文夫君    米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 角榮君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         農林省畜産局長 増田  久君         通商産業政務次         官      稻村佐近四郎君         通商産業省重工         業局長     矢島 嗣郎君         通商産業省化学         工業局長    山形 栄治君         中小企業庁長官 高橋 淑郎君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    手塚豫州雄君         大蔵大臣官房審         議官      植松 守雄君         通商産業省通商         局次長     中村 俊夫君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 十一月三十日  辞任         補欠選任   海部 俊樹君     斉藤滋与史君   松永  光君     石井  一君 同日  辞任         補欠選任   石井  一君     松永  光君   斉藤滋与史君     海部 俊樹君     ————————————— 十一月十八日  山村開発次期対策早期実現に関する請願外十  三件(大村襄治紹介)(第一六二九号)  同外十二件(亀山孝一紹介)(第一六三〇  号)  同外六件(田中龍夫紹介)(第一六三一号)  同(橋本龍太郎紹介)(第一六三二号)  同外十二件(古井喜實紹介)(第一六三三  号)  同外三件(古内広雄紹介)(第一六三四号)  同外二件(前田正男紹介)(第一六三五号)  同外八件(松野頼三君紹介)(第一六三六号)  同外六件(武藤嘉文紹介)(第一六三七号)  同外十七件(綿貫民輔紹介)(第一六三八  号)  同外十一件(足立篤郎紹介)(第一七一五  号)  同外二件(加藤六月紹介)(第一七一六号)  同外七件(金子一平紹介)(第一七一七号)  同外二件(鈴木善幸紹介)(第一七一八号)  同外二十件(藤田義光紹介)(第一七一九  号)  同外十九件(山口敏夫紹介)(第一七二〇  号)  同外五件(奧野誠亮紹介)(第一七四八号)  同外六件(佐々木秀世紹介)(第一七四九  号)  同(椎名悦三郎紹介)(第一七五〇号)  同外三件(田中六助紹介)(第一七五一号)  同(高鳥修紹介)(第一七五二号)  同(谷川和穗紹介)(第一七五三号)  同外二件(辻原弘市君紹介)(第一七五四号)  同外九件(野田卯一紹介)(第一七五五号)  同外九件(長谷川峻紹介)(第一七五六号)  同(古屋亨紹介)(第一七五七号)  同外八件(松浦周太郎紹介)(第一七五八  号)  同(松野幸泰紹介)(第一七五九号)  同外三件(武藤嘉文紹介)(第一七六〇号) 同月二十二日  山村開発次期対策早期実現に関する請願外十  八件(井出一太郎紹介)(第一八三八号)  同外二十六件(小川平二紹介)(第一八三九  号)  同外七件(塩崎潤紹介)(第一八四〇号)  同外二十一件(藤井勝志紹介)(第一八四一  号)  同外八件(村上信二郎紹介)(第一八四二  号)  同外四件(毛利松平紹介)(第一八四三号)  同外二十九件(森下國雄紹介)(第一八四四  号)  同外二十六件(赤澤正道紹介)(第一九〇四  号)  同外一件(金子一平紹介)(第一九〇五号)  同外一件(亀山孝一紹介)(第一九〇六号)  同(倉石忠雄紹介)(第一九〇七号)  同外八件(小渕恵三紹介)(第一九〇八号)  同外六件(園田直紹介)(第一九〇九号)  同外四件(高橋英吉紹介)(第一九一〇号)  同外十四件(羽田孜紹介)(第一九一一君)  同外三十二件(増田甲子七君紹介)(第一九一  二号)  同外四十件(大村襄治紹介)(第一九九七  号)  同外九件(亀山孝一紹介)(第一九九八号)  同外六件(關谷勝利紹介)(第一九九九号)  同外七件(前田正男紹介)(第二〇〇〇号)  山村振興次期対策実施に関する請願佐々木  良作君紹介)(第一九一四号)  中小企業に対する公害防止設備資金融資拡充  に関する請願倉石忠雄紹介)(第一九七五  号)  同(羽田孜紹介)(第一九七六号)  同(増田甲子七君紹介)(第一九七七号) 同月二十六日  中小企業に対する公害防止設備資金融資拡充  に関する請願小川平二紹介)(第二一〇一  号)  同(中澤茂一紹介)(第二一〇二号)  同(原茂紹介)(第二一〇三号)  同(松平忠久紹介)(第二一〇四号)  同(井出一太郎紹介)(第二二六三号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二二六四号)  山村開発次期対策早期実現に関する請願(貝  沼次郎紹介)(第二二〇〇号)  同外五件(笠岡喬紹介)(第二二〇一号)  同外十一件(唐沢俊二郎紹介)(第二二〇二  号)  同外九件(金子一平紹介)(第二二〇三号)  同外五件(關谷勝利紹介)(第二二〇四号)  同外八件(田中正巳紹介)(第二二〇五号)  同外十二件(福永一臣紹介)(第二二〇六  号)  同外八件(毛利松平紹介)(第二二〇七号)  同外五件(森下元晴君紹介)(第二二〇八号)  同外十件(足立篤郎紹介)(第二三〇七号)  同外七件(高橋英吉紹介)(第二三〇八号)  同外二件(野原正勝紹介)(第二三〇九号)  同外五件(福永一臣紹介)(第二三一〇号)  同外八件(古屋亨紹介)(第二三一一号) 同月二十九日  中小企業に対する公害防止設備資金融資拡充  に関する請願向山一人紹介)(第二三八〇  号)  同(小坂善太郎紹介)(第二五七四号)  同(下平正一紹介)(第二五七五号)  山村開発次期対策早期実現に関する請願外八  件(愛知揆一君紹介)(第二四〇一号)  同外十件(亀山孝一紹介)(第二四〇二号)  同外八十八件(田村良平紹介)(第二四〇三  号)  同外八件(徳安實藏紹介)(第二四〇四号)  同外二件(早川崇紹介)(第二四〇五号)  同外九件(向山一人紹介)(第二四〇六号)  同(渡辺肇紹介)(第二四〇七号)  同外十二件(小坂善太郎紹介)(第二四七〇  号)  同外八十一件(大西正男紹介)(第二四七一  号)  同外八十三件(仮谷忠男紹介)(第二四七二  号)  同外一件(渡辺栄一紹介)(第二四七三号)  霞ケ浦開発事業実施に関する請願塚原俊郎  君紹介)(第二四〇八号)  中小業者の営業と生活擁護に関する請願(小林  政子君紹介)(第二四七四号)  同(土橋一吉紹介)(第二四七五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際経済上の調整措置実施に伴う中小企業に  対する臨時措置に関する法律案内閣提出第九  号)  通商産業基本施策通商並びに私的独占の禁  止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 進藤一馬

    進藤委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長所用のため、その指名により、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出国際経済上の調整措置実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。岡本富夫君。
  3. 岡本富夫

    岡本委員 大臣の時間もあろうと思いますから、ただいま提出されております法案審議で私が質疑した残り、それからそれにちょっと関連した問題について、最後にただしておきたいと思います。  そこで、十七日の委員会のときに、大蔵考え方とそれから通産省のこの法案についての資本金の点について確実なお答えがいただけなかったわけでありますが、この法案に示すところの中小企業者、これは資本金が五千万以下ということになっておりますけれども、大蔵のほうでは一億以下の中小企業者に対しての課税特例、こういうように少しこの五千万と一億とのギャップがあったわけでして、この点を明確にしておきませんと、地方自治体知事認定するときに非常に迷うのではないか、こういうふうに考えますので、もう一度大蔵とそれから通産省意見調整、これをはっきりひとつ示しておいていただきたい、こう思うのです。
  4. 田中角榮

    田中国務大臣 中小企業という定義につきましては、三十八年制定をせられました中小企業基本法によりまして、中小企業定義というものが明確になっております。しかもこの面からでも五千万円、三百人というようなものでは、その後日本経済基盤が大きくなってきた現状に徴してみるときには、だんだん大きくしなければならないんじゃないかという議論がございます。しかし、これは実態的に各方面の意見を聞いて、実態に合うような規定をしなければならないことでございまして、審議会結論等を待ってきめなければならない問題だと思うわけでございます。  それから、大蔵省税法上考えております中小企業、これも中小企業ということをいっておりますから、中小企業基本法による中小企業を考えるとおかしいじゃないか、同じ政府でもって二つ同じことを一億円と五千万円と分けたのはおかしいじゃないかといいますが、これは税法上の問題でございまして、四十一年からそのような制度をとったようでございます。これは端的に申し上げると徴税上の問題、税調査の問題、その他いろいろな問題を国税庁税務署だけでやっておるものがございますが、かつてはこれも五千万円でございました。五千万円までは税務署限りでやる、五千万円以上は国税庁で直接やるということに区別をしておったわけです。これは徴税上の手続その他の問題と、国税庁及び税務署機構問題等もございまして、五千万円のときは同じだったわけでございますが、その税務面だけを一億円にしたわけでございまして、いま一億円までは増資する場合でも自動的に認可を必要としないで、財務局の認可なしでやれるわけでございますし、それから税金の担当も国税庁で一億円以上行なうということになっております。ですから、これは中小企業定義としての五千万円と徴税上考えた一億円というものと必ずしも一緒でなくていいのでございまして、これは当委員会中小企業定義という意味で考えられれば、これは五千万円であって三百人である。そして、この五千万、三百人というものがもう少し拡大をせられることが必要であるということで考究をいただけば足ることだと思います。税の一億円の問題は、これはほんとうに中小企業者範囲、まあ人の数が動くので三百人ということだけできめ切れないというようなもので、一億円としたのです、こう大蔵省は答えておりますが、実際は徴税機構の問題、いろいろな問題で区別をしたにすぎないということでございまして、これと、中小企業基本法における中小企業の明確な範囲というものと必ずしも同一でなければならないとは考えておらないわけであります。
  5. 岡本富夫

    岡本委員 それで確めておきたいことは、この国際経済上の調整措置実施に伴う中小企業に対する臨時措置について、五千万以下、いまおっしゃったように三百人以下でなければ認定ができないのか、一億以下でも認定できるのか、この点をはっきりしておきませんと、知事が困ると思うのですよ。
  6. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 転換特例につきましては、臨時措置法に規定する転換計画に基づく課税特例対象は、中小企業基本法によって定められた中小企業者のうち、都道府県知事認定を受けた中小企業者であります。  それから欠損繰り戻しの特例に関しましては、還付の特例対象となる者は、いま申し上げました中小企業者のほか、資本金一億円以下の中小法人であって、租税特別措置法の政令に基づいて事業所管大臣あるいは業種所管大臣認定を受けた者ということでございます。
  7. 岡本富夫

    岡本委員 そうしますと、産地とそれから業者業種ですか、こういうような認定は、これは地方自治体知事認定するわけですね。それからそれ以外に、今度は租税特別措置を受けるほうは主務大臣、たとえば大蔵大臣、こういうことになるわけですか。この二つあるわけですね、これだったら。その点がひとつはっきりしないと思うのですがね。
  8. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 全国ベース業種指定、それから産地指定、これはいずれも主務大臣が行ないますので、都道府県知事業種指定を行なうわけではございません。それから、私がいま申し上げました欠損金繰り戻しの特例についてその対象となる認定中小企業者というのはいかなる者かということにつきましては、この臨時措置法に定められております定義対象となる中小企業者都道府県知事認定を受けた者と、それから資本金一億円以下の中小法人でありまして、その認定中小企業者に準ずる者。ただ、そこの差は資本金が一億円以下の中小法人という者が加わるというところでございますから、知事認定をするということではございません。
  9. 岡本富夫

    岡本委員 ちょっとその点がぼくははっきり納得いかないのですがね。たとえばAなる業者、これの認定をするのは知事ですわね。その知事認定をした者に対してこの法律が適用されるわけです。それは資本金五千万以下です。そうすると今度は五千万以上一億までのものは、これはだれが認定をするわけですか。その点だけひとつ。これは認定しない。認定業者でなくていいわけかね。
  10. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 繰り返して申し上げますが、資本金一億円以下の中小法人でいわゆる認定中小企業者に準ずる者ということで認定をいたしますのは都道府県知事ではございませんので、通商産業大臣とか農林大臣とかいうそういう事業所管大臣でございます。
  11. 岡本富夫

    岡本委員 そうすると、この特例を受ける範囲が五千万以上の一億に対しては、別に主務大臣認定する、こういうことになるわけですか。だから都道府県知事認定しないわけですね、それは。その点はひとつはっきりしておいてもらいたい。
  12. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 さようでございます。
  13. 岡本富夫

    岡本委員 時間があれですから、そこで、この転換計画について中小企業がいろいろと計画をする。そのためにはいろいろな問題が出てくるであろうと思うのですが、そこでやはり転換するについては、これから輸入するもの、輸入してどんどん入ってくるもの、そういうものと同じものに転換したんじゃ何にもならないということで心配になりますものの中に、ちょっと確かめておきたいことは、一つ関税で、韓国台湾、こういうところは中国から比べると関税が非常に安い。たとえば生糸の例をとりましても、韓国では七・五%、中国は十五%、こういうように関税差別があるわけですが、この中国に対する関税差別は今後どういうように政府は考えていくのか、どういうようにするのか、ちょっとこれは大蔵省のほうだろうと思うのですが……。
  14. 植松守雄

    植松説明員 いまお尋ね中国から輸入する産品韓国台湾等からの産品関税格差お尋ねでございます。これはいわゆる中国格差ということばでわれわれ呼んでおるのでございますけれども、これまで毎国会、中国から輸入の実績がございますところの産品について個々に検討いたしまして、特に国内産業保護観点から、問題がないものについてはできるだけその格差をなくしようという方針で年々実行いたしてまいっております。そこで、現在たしか三十九ぐらいなお格差があるものがございます。しかしその中には、いま御指摘のような生糸でございますとか、国内産業保護観点から申しましても、格差解消、つまり関税を下げるということ自体がなかなかむずかしい産品が残っておりまして、完全にはまだ解消し切ってない状況でございますけれども、なお個々調査をいたしまして、特に差を設ける理由のないものについては格差解消していこうという方針で努力いたしております。
  15. 岡本富夫

    岡本委員 それもはっきりしておきませんと、格差が必要でないもの、あるいは格差の必要なもの、これはあなたのほうで調べるわけでして、中小企業者にするとわからないわけですよ。あらかじめ大体その方向というものをやはり示しておいていただかないと、事業転換については非常に見通しが立たない。こういう考え方、要求もあるのですが、もう少し詳しく……。
  16. 植松守雄

    植松説明員 いままでのやり方は、もちろん関税のたてまえと申しますのは、いわゆる関税交渉を各国とやりまして、そこでお互いに相互に関税を引き下げる。そこで協定税率と申しますか、協定によりまして一般の国内税率よりも優遇した税率を適用するというたてまえになっております。  そこで、中国との間ではそういう関係がないわけでございますから、そこに格差が生じてくるということでございます。しかし、中国からの産品で同じ種類のものが輸入される場合に、特に関税の差を設けておく必要がないといった場合には格差解消しようということでございます。  そこで、やはり国内産業の動向との調整ということが一番重要な問題になるわけでございまして、もちろん大蔵省だけでやれるわけのものではありません。中小企業につきましては、通産省中小企業庁と十分に協議をいたしまして、そこで個々品目を選定をして格差解消についての決定をいたしておるということでございます。年々やっておるわけでございまして、先ほど申しましたように、特に国内産業保護の上において問題のあるものにつきましては、ただ一律にどれもこれも関税を下げるということにまいりませんものですから、それについては十分に慎重に配慮しておるということでございます。  そこで、何かそれについての考え方ということでございますけれども、これはやはりあくまで個々産業についての調査、その影響というのをどう見ていくかということでございますから一がいには申せないわけでございます。もちろん、関税率審議会というものがございまして、そこで一々個々産品について審議を受けて、答申をもらって実行するということでやっておるわけでございます。
  17. 岡本富夫

    岡本委員 最後通産大臣に……。  いよいよ中国国交回復もしなければならぬ、こういうような機運になり、またそれが何といっても大事な世界の趨勢である。中華人民共和国もとうとう国連に入ったわけでありますから、だいぶ政府は抵抗したけれども、これは結局入ったわけです。  そこで、韓国台湾中国との関税格差、こういうものをやはりここでひとつ考えて、こういう格差をなくしていくということが、今後の日中国交回復にも非常に大きく作用してくるのではないか。そこで、いま大蔵省答弁では、国内のことを考えてやるのだというけれども、台湾やあるいはまた韓国も、中国から入ってくるのは同じですから、ここに格差があるというのはちょっとおかしいように私は思うのです。いままでは正常化されておらなかったということですが、この点については高度な政治的配慮も必要と思いますから、実力大臣ですからひとつよく検討もし、そういうような格差をなくしていこう、こういう方向に進んでいくという確たる答弁をいただきたい。
  18. 田中角榮

    田中国務大臣 御発言趣旨は十分理解できます。いままでになぜ差がついておるかというと、一方の地域は国交がありますから交渉をしてお互いの間に関税を引き下げたり、また特恵を供与したりいろいろな問題が起こるわけでございますが、日本中国大陸との間にはそのような状態がなかったから原則どおりということになっておるわけでございます。しかし、日中間だんだんと前向きな方向にあることは御指摘のとおりでございますし、国連にも加盟をしたことでございます。国交がないということでいままでのように基本的な状態にあるわけでございますが、しかし国交もおいおい回復正常化方向にございますし、日中間もいま御指摘になったような方向で両国の国交回復されれば、当然貿易や交流を進めるために必要な交渉が行なわれるわけでございますので、いままでよりも正常な方向に向かう状態でございますので、いますぐどうこうということではございませんが、いずれ解決する問題である、こういうふうに理解していいと思います。
  19. 岡本富夫

    岡本委員 大臣、そんなありきたりな答弁でなくて、おいおい国交回復されたら——そうではなくて、少しあなたのほうで高度な政治的な判断で、この日中国交回復に対するあなたの態度がこういうことでわかるわけですから、ひとつもう少し——そんな抽象的なことでなくて答えてもらいたい。
  20. 田中角榮

    田中国務大臣 いま事務当局に聞いたのでございますが、だんだんと進めておりまして、約四百二十品目に対してはそういうふうになっておる。あと残っておるのは三十九品目だそうでございますから、そういう方向で進めておるということでございますので、これはひとつ水田大蔵大臣帰ってまいりましたら、私も貿易をする立場にございますし、いま大蔵大臣のほうは臨時代理でございますから、大蔵省通産省との間にいま御発言のような方向がだんだんと実現するように協議を進めてまいりたい、こう存じます。
  21. 岡本富夫

    岡本委員 終わります。
  22. 進藤一馬

  23. 川端文夫

    川端委員 先般来いろいろ大臣にも政府委員にも質問をいたしておりますから、一点にしぼって質問申し上げて、大臣の明快な御答弁をいただきたいと思います。  そこで、昔から商売は元手次第ともいわれておるわけでありまして、中小企業対策のためには政府政策金融として二本の柱がありますことはいまさら言うまでもない。一つ政府系三機関における金融であり、一つ信用保証協会を通じての信用補完制度ではなかろうかと、こう思うわけであります。今回の提案されている国際経済上の調整措置実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律案においても、貿易関係に対しては、金融政策としていわゆる信用保険に大幅な資金を出して、従来七〇%の保険であったものを八〇%に直すということに対しては、その趣旨に対しては私らは賛意を表しておるものでありますが、なるほど、これをしからば実施に移した場合に、そのメリットが下部に及ぶかということになれば、私は実際調べたところによると、そうならないという実情を実感として持たざるを得なかったということであります。今回のいわゆる補正予算政府がお出しになって衆議院を通過した補正予算から見ましても、四千数百億円という減税を見込んでこれを穴埋めする、いろいろ処置もとりながらの公共投資による景気浮揚策一つ予算の柱として立てられておるわけでありまして、しかしながら、このことは同時に地方自治体も大きな減収に悩んでおるという実態が出てきておること、これまた事実であって、いろいろ自治大臣等も苦労されているところではないか、こう思うわけです。  そこで、先日ある府県を調査いたしましたところによれば、政策金融としてつくられている信用保険、なるほど理屈はわかるけれども、いままでどのようにしておったかと、こう聞きましたところが、言うならば、先日来質問申し上げておるように、政府の意図が十分下部に浸透しない理由はどこにあるかと調べてまいりましたところが、大体地方自治体は二・三%程度の代位弁済予算をいわゆる地方持ち出し分として年間予算に組んできておる、したがって、政府の政策がどのようであろうとも、その三〇%なり二〇%の保険金の不足分に対しては代位弁済分は地方自治体が負担せざるを得ない——永久であるかどうかは別です。景気がよくなれば返ってくるものもありましょうけれども、当面の場合は、その予算をやはり地方自治体が損金として穴埋めをしていかなければならない現実があるわけだ、したがって、このようなドル・ショックとかいろんな不況対策ということで、次々に政府政策金融を強行しようとされても、地方自治体はこれに対応できる財源は持ち合わせておりませんという答えをある府県の話で聞いたわけです。したがって、このことは、この政策をここできめても、実際に運用するときに地方自治体予算を持たない、資金を持たないということになって運用が困難になった場合に、親心が下までしみ通らないというときに対する対処のしかたを大臣はどのようにいま準備されているか、お考えになっているか、お答えを願いたいと思うわけです。
  24. 田中角榮

    田中国務大臣 今回の補正予算で保証協会の機能強化のために一億円を出しておるということもその一端でございますが、一億円ばかりということよりも、だんだんとこれを拡大していかなければならないということでございます。もう一つは、県当局も事実かぶってもらわなければならないということでございますが、これはなるべくかぶらせないようにしなければいかぬ。これはもう県がかぶらなければならないという原則から考えますと、保証協会の基本財産等をだんだんと大きくしていくということが一つでございます。もう一つは、やはり交付税その他でこういうものをひとつ、県が確実にかぶっていくのが何%というものはおよそわかるわけですから、そういうもの、二%とか三%というものが、年々過去の実績からいっても県がかぶるというのであるならば、そういうものを国がどのように補てんできるのか、交付税とかお互いの地方財源の中でどのようにカバーできるのかということが第三に考えられるべき問題だと思います。こういう問題、御指摘もございますし、十分通産省でも検討してまいります。
  25. 川端文夫

    川端委員 私は帳簿等を査察したわけではありませんが、一億円の金がどういう配分方法をされたか知らぬが、神奈川県では二百万しかもらえない。そんなところじゃなかろうかと考えるのだが、信用保証協会ではそういう程度の金しか来ない、こういう事実があるようです。したがって、信用保証協会の内部には、ある程度の黒字のところと赤字のところもあって、そういういろいろな案分をされたに違いないという、私は答弁はかわってしてきましたけれども、しかしながら一億円というものを全国に配付するには、あまりにも子供だまし程度の金ではないのか、こういう意見も地方にはかなり強いものがあって、政府が何をやろうとしても地方のことを考えることなしに一方的にやる、こういう意見がかなり強く指摘されてきたことを大臣に申し上げてひとつ考慮願いたい。  もう一つは、時間がありませんから言ってしまいますが、政策金融である三機関の中の政策金融であるならば、保証協会の保証をつけさせないで貸すくらいのことをできないのか。だんだんと保証率が高まってくると、地方の持ち出し分もふえるのであるから、中小企業公庫なりあるいは商工中金なりの金融に対しては、政策金融であるならば保証協会の保証をつけさせないというくらいのことはできないのか。現在、少し何かいうとやはり保証協会の保証をつけるならば貸すという、政府系金融機関ですらそうであるから、われわれ将来どのように変わっていくのかという不安を常に持っておるという陳情を受けたわけです。この点は大臣はどのように対処されようとしておるか、お考えであるか、考え方をお聞きしておきたいと思います。
  26. 田中角榮

    田中国務大臣 政府三機関等は信用保証の道を講じなくてもいいじゃないかという議論は前からございます。ところがいまの制度——私自身も昔から商工委員時代から皆さんと同じような議論をしたわけでございますが、どうもいまは、税金の次はすぐ政府の債務を優先債務としておる、これではほんとうの中小企業や零細企業の育成にならないんじゃないか、これは逆で、協調融資をもしするとすれば、民間の融資のほうが優先債務であって、最後は国が——いまと逆にならなければならないのじゃないかという議論が民間にはございます。私も民間企業出身者でございますから、そういうふうな気持ちもよく理解できます。それからもう一つは、政府は担保を一番強固に取るということでは中小企業育成にはならないじゃないか、政策金融は補助金の次に行なうべきものだから、補助金はやってしまうものでありますが、政府金融機関は貸すわけでありますから、返ってこない場合の危険負担は政府が行なうのがほんとうだという議論、これはいままでの制度、現行制度とは全く逆な考え方でございますが、私は発想の転換というのはそういうところにあると思います。思いますが、制度の中で現行制度と全く逆なものを直ちに行なうということの間には、時間的な問題、いろんな制度の改正も必要だろうということを一つまず前提に申し上げておきます。  もう一つは、これは制度の中での——答弁のための答弁になるかもしれませんが、政府金融機関といえども金融機関であることは間違いない。金融機関であるならば、債権確保の道を考えなければならない。こういうことで、いま信用保証の道はつけられておるわけでございますが、前段申し上げた政府関係機関、なぜコマーシャルベースの金融機関以外に政府金融機関を必要としたか。これは補助金を出すには至らないが、やはり誘導政策の一つとして、補完政策の一つとしてやっているのだという考え方はよく理解できますので、こういうものはいますぐ片づく問題ではなく、やはり徐々に消化をし、いろいろ合理化していくべき問題だと思います。  ただ利点は一つあるのです。利点が一つあるのは、信用保証のワク内に入っておるということになりますと、事務が非常に早くいって、貸し出しが非常にスピーディにきまる促進剤になっておるということは事実でございますが、どうもそういう現実論と理想論というのはなかなかかみ合わないものでございまして、こういう問題がやはり商工委員会で真剣に議論になり、いい結論が出ていくということが望ましいことだと思っておるわけでございます。
  27. 川端文夫

    川端委員 質問を終わりますが、言うならば、一般質問の中で将来の信用保証協会のあり方に対してはじっくりとまた御質問申し上げますが、いわゆる商工委員会で相談して議論をしてもらうにはあまりにも緊急を要するからといって臨時措置法をお出しになったのだから、現実の問題はそんななまやさしいものではない。現実とりあえずの問題は十分考えていただくことを強く要望申し上げて質問を打ち切りたいと思います。
  28. 田中角榮

    田中国務大臣 十分弾力的運用をはかって、その実をあげてまいりたい。
  29. 進藤一馬

    進藤委員長代理 中村重光君。
  30. 中村重光

    中村(重)委員 法案の中身に入る前に通産大臣——これは通産大臣というよりか国務大臣お尋ねすることになろうと思うのですが、もちろんこれは法案との関連性がきわめて強いだけにお尋ねするのですが、平価の調整というのは、年内妥結の見通しというのはいかがですか。
  31. 田中角榮

    田中国務大臣 端的に申し上げますと、年内にはできるだろうというところでございます。それから、協定案に沿って協定案文がつくられるわけでございますから、普通からいえば十一月の初めにも、おそくとも十一月中にはといっておりましたのがだんだんと延びてまいりました。十二月の半ばごろまでかかるかもしれぬということでございます。それが年内一ぱいになるかもしれぬというようなことになっております。それは日米間では、いま事務当局で、国会で議論をせられましたようなもの、私が答弁をしましたようなものを具体的に両国で詰め合っております。詰め合うというのは、理解を深める、死にワクの活用とかというけれども一体どうしてやるのかというような、この協定は綿製品協定のようにどんどん、どんどんと対米輸出が減っていくことを目途としているものではないのだから、この運用に対してどうするとかというこまかい問題を、通産省からも人を派遣をしてやっております。これは非常に両国ともうまくいっております。両国とも理解を持っておりますし、国会の議論もちゃんと反映していると思いますし、そういう意味で時間がかかっても、もうスタートは十月一日からやっているわけでございますから、これは両国が、これから長い一年ないし二年、三年というものでありますので、十分意思の疎通をはかって協定案が成文化されることが望ましいということで、そんなに一日、二日を争わないで両国が納得するまでひとつ話し合おうということでございますから、十二月一ぱいかかるかもしれません。しかし十二月の半ばごろまでにうまくいけばいくかなというのが、外務省当局ではそのように言っておりますが、通産省から出張して帰りました者の報告によりますと、ことし一ぱいかかるかもしれませんというのがそのままの御報告でございます。
  32. 中村重光

    中村(重)委員 政府の従来とってきた態度ですね、円の切り上げ幅を小幅にするために輸入自由化等日米案件というものと一緒にやるのだ、そういう態度をおとりになってこられた。ところが、この間コナリー財務長官が来られた、そのあと帰られてからその記者会見等々新聞報道を見ると、そういう日米案件というものはたな上げにしてしまって、そこで平価調整だけ切り離してこれを最優先にやるのだということ、そういう態度をとっているようですが、それに対して日本政府が何か同調するような印象を受けるのですが、態度としてはどういうことですか。
  33. 田中角榮

    田中国務大臣 日米間の問題としては、ことしを見ますと、アメリカは八十数年ぶりで貿易収支が逆調になった。その中で日米の貿易が一番大きい。二十数億ドルの赤字が出そうであるということの中で日本からアメリカへの輸出の赤字分が二十億ドルにもなるというから、その大半は日本だということでございますから、その意味で日米間の貿易収支のバランスをとりたいということはあります。ありますが、これと平価調整は直接の関係はないということでございます。これはなぜかというと、日米間だけでレートをきめてもどうにもならないものである。これは全世界がこれを納得し、少なくとも今度の平価調整で直接レートを動かさなければならないというのは、十カ国の蔵相会議できまれば十カ国全部が幾らかずつでも動くと思いますので、利害関係はみなあるわけでございますから、日米だけの話し合いできまるものではないというので、平価調整は十カ国の蔵相会議で、そして日米間の懸案の問題は日米で、また米国と西ドイツとの関係のものは米独でというふうに、二国間、多国間、また十カ国というようないろいろな機会において交渉が行なわれておるということでございまして、平価調整に対しては、日米間の経済問題、特に自由化の問題とか繊維というような二国間交渉というような問題とは直接関係はない、こう理解いただきたい。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 水田大蔵大臣がローマの十カ国蔵相会議に臨まれる前に、通産大臣ももちろん出席されて関係大臣でもって円切り上げ幅についていろいろと検討された。一五%の腹をきめたとか、あるいは一二・五%であるとかいろいろなことが報道されているわけですね。その点がそのとおりなのかどうかということと、それからコナリーさんがこの間参りました際、円の切り上げ幅については触れたとか触れないとか、あるいは何か二八%を提案をして、通産大臣はその数字ではだめだと言って断わったとか、いろいろな報道をされているわけですが、そこらあたりの関係はどうなのか。また一二・五%であるとか一五%であるとかいう腹をきめた、現実に一〇%以上というような実績を示しておるようなんですが、そこらあたりいかがですか。
  35. 田中角榮

    田中国務大臣 第一に、コナリー氏との会談で向こう側から何%引き上げるべきであるというような、数字の提案は全くありませんでした。  第二は、水田大蔵大臣がローマへ出席の前に関係閣僚が懇談会を行なったわけでございますが、このときも日本の円平価がどのくらい切り上げられるというような話は一切いたしておりません。これは相手のある話でございまして、とにかく平価の調整は不可避である、やるならば早いほうがよろしい、同時にこれは多国間協定でなければならない、多国間協定とは十カ国蔵相会議できめなければきまらない、こういうことでございまして、そのときは水田大蔵大臣が十カ国蔵相会議に出席をして、各国の考え方を十分ただしながら、フランクな気持ちでお互いが共同して平価調整という問題に対して前向きで取り組み、しかも国際通貨の安定、国際流動性の確保というものに対しては、やはり十カ国で必ず結論を出すという基本線に対しては、日本も協力的でなければならないという基本的姿勢をお互いが確認をして水田大臣は国際会議に出席をしたわけでございまして、これは相手の出方によってお互いが胸襟を開いて検討し合うということでございまして、数字などをきめてそれを持っていくような状態ではないということは御理解いただけると思います。  どうも私は、日本でもっていろいろな数字として一〇%以上などという数字が出ておりますが、一〇%というのはおそるべきものでございます。私はそう思っております。こうしていま中小企業対策を行ない、繊維の対策を行ない、これだけ苦労しておるときに、口で簡単に、フロートしておる市場で一〇%をこしたから一〇%以下ということはないんだというような考えで円の平価がきめられてはたいへんである。私は、どうも適当なことばであったかどうかわかりませんが、一〇%以上などということは、それは日本の経済はひっくり返ると言ったかどうかわかりません。もう少し専門的ことばを使ったと思いますが、いずれにしてもそんな高い切り上げは望ましくない、そんなことはたえられるものではないということは、私は、その他の場所でいろいろ議論をしたときに私の考え方を述べたのであって、公の立場で平価調整の率が議論されたということは全くありません。明確にお答えをしておきます。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 いまの通産大臣のお答えのようであればよろしいのですけれども、新聞で報道されているのをあなたもお読みになっておわかりでしょうけれども、新聞報道というのは必ずしもそうじゃないのですね。私は、全く報道機関の推量というのですか、そういったような記事だけだとは受け取れないのです。やはり関係大臣があまり不用意にしゃべるんじゃないですかね。もう確定的に報道されているわけです。だから、それが違う、しかもいま通産大臣お答えになりましたように、及ぼす影響が非常に大きいということになってくると、そこらあたり、もう少し不用意な発言をしないように、またもし、全くないことを新聞が報道しておるとするならば、そこらあたりに協力を求めるような態度があってしかるべきだと私は思うのです。その点通産大臣はどうお考えになっておられるのか。いかがですか。
  37. 田中角榮

    田中国務大臣 平価が調整が行なわれるということを前提に考えて、一%上下することでもたいへんなことでございます。それは、日本の年間の輸出入が四百億ドル、一〇%ずつ増していくということになると四百五十億ドル、五百億ドルというふうに伸びていくわけでございますが、その一%、これはもうたいへんな影響があることは申すまでもありません。その意味で、国益を守るということで、特にマスコミの方々やいろいろな方々に協力を求めておるということは、これはいつでも会ったら、お互いお互いの財産を守ることである、生命を守ることであるということで、慎重にやりましょう、こう言っておりますから、この限りにおいては中村さんと同じことです。ただ、何で一体こんなのが出たのかというのは、これは地球が狭くなったのです。IMFで、大臣日本の平価は二五%切り上げ、二五%の話半分にしても一二・五だ、そういうのが固定的な数字になって流れておった。アメリカのコナリー氏が二八%と言ったとか、三〇%と言ったとか、私はコナリー氏がそう言うとは思いませんが、経済ミッションが行くと二五%以下は絶対ありません、こう言うらしいのです。そうすると、それがこのごろは水田大蔵大臣、いや私が言うことよりも、経済ミッションの団長などが言うと、それがさっと数字になるという、そういう世の中でもございますので、そういうことで数字がいろいろ出るということで、現在日本社会の特性ともいわれるわけでございます。しかし、こういうことはいずれにしてもお互いの生活そのものに直ちに影響のある問題でありますから、十分政府も民間の協力を求めてまいりたいと思いますし、日本の平価調整でございまして、人のことじゃないわけでございますから、慎重の上にも慎重な態度を持すべきことは御指摘のとおりであると思います。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 どうも実力大臣があまり多過ぎるもので、必ずしも報道機関の推測記事だとばかり受け取れない面がありますね。しかし慎重におやりになることは強く私要望しておきたいと思うのです。  それからコナリーさんが通産大臣に、六週間以内にハワイかどこかで話し合いをしようという提案をされた、それから水田さんには、大蔵大臣には何も言わなかったと、おもしろおかしくマスコミも取り上げておりましたですが、そこらがどういうことでああいうことになったのか。また佐藤総理が一月七日ですか、ニクソン大統領と会われるということになったようですけれども、そういった時間的な関係というのもあるのではないかと思うんですが、六週間以内のそのコナリー財務長官との会談ということはおやりになるのかどうか。おやりになるとすると、ただ会おうということだけでなくて、ある程度、こういったことについて話をしようじゃないか、平価調整も、あるいはまた日米の関係ですね、諸案件についての話し合い等々いろいろ話し合いを実はされたのだろうと思うのですが、そこらあたりの経緯はいかがですか。
  39. 田中角榮

    田中国務大臣 コナリー長官と会いましたときに、水田大蔵大臣と会ったときにこのような提案をしようと思っておったのでございますが、話が途中、中から入ったのと、時間があっという間にたったので、一番重要なことを忘れてきましたので、恐縮ですがあなたからひとつ御披露いただきたい、それは六週間以内に一と、まあ二十五日のクリスマス以前だと思いますが、そんな計算だったと思います。六週間以内に日米の主要経済閣僚を含めた首脳会談というものを開きたい、それは両国の中間地点、まあハワイかそれからアンカレッジのいずれかでもけっこうですということですから、私も少し簡単なほうでございますから、けっこうですよ、関係閣僚に連絡しておきましょう、こういうことを言っておきました。それから、きょう閣議で福田外務大臣から、一月の六日及び七日の両日にわたってカリフォルニア州サンクレメンテにおきまして佐藤・ニクソン日米両国首脳会談を開くことに両国が正式に合意をいたしましたという報告がございました。これは正式な報告でありますし、発表でございますから、そういうことになったわけであります。コナリー氏が私に述べたものは、その後何となく消えてしまったようなかっこうでございますし、私も仲介をした程度でありますので、消えていれば消えたでけっこうだ。どうも少しアメリカのほうは繊維以来いろいろな問題がありますから、私もそんなに積極的にどうしようということもなく、頼まれたから報告したというだけでございますので、気にもかけておらなかったのですが、きょうそういう発表がありましたので、この前者と後者との間にはどんな脈絡があるか私もさだかにはわかりませんが、あの会談だったんだなということは、その後の情勢で見るとそんな感じがいたします。それはアメリカと西ドイツがやったわけであります。その次には日米、日仏、日英、そして米仏、米英、それから米・カナダと、日米経済閣僚会議のあたりに話をされている。その後一つずつ報道されてきましたので、やっぱりこの話は一つだったのかなという程度に理解をしておるということでございます。  何をしゃべるかというのは、まだけさ発表があったばかりで閣議で聞いたばかりでございますので、佐藤さんが出ることだけは間違いないと思います。外務大臣もこれはもう出るでしょう。ところが、そのほかはもう全然わかりません。わかりませんけれども、どんな話をするのか、日米間の懸案の問題をお互いに胸襟を開いて会談をする、こういうことしか考えられないわけであって、それまでに平価調整が行なわれればもう平価調整ということでなくなるわけでありますし、日米間にはもう経済的には繊維は片づいておるし、ほかの問題も私が述べたような方向に進んでおりますから、そんな問題は、何か……(「片づいていない」と呼ぶ者あり)いや、日米間だけにおいては片づく、こういうことでございます。(「日本では片づいていない」と呼ぶ者あり)日本はまだでございます。そういうことで、この会談でどういうものが具体的に論じられるのか、これはこれからおいおい政府間で協議をされるということであって、ここで申し上げられるような段階では全くないということを御理解いただきたいと思います。
  40. 中村重光

    中村(重)委員 あなたがコナリーさんから提案されたか、あなたのほうから切り出されたか、それは別として、私はそれは問いません。あなたが言われたことを、そうかなと実際腹ではそう思っていますけれども、そういうことで了承しますよ。ただ言いたいことは、あまり二国間で深く入り過ぎないほうが私はいいじゃないかということですよ。やはり十カ国蔵相会議、そうした多国間の会議の中で話し合いを進めていかなければ、どうしても日本が負い目に考えておるような気がしてならない。アメリカの赤字の問題等々、国際収支の赤字の問題にしても、アメリカのいういわゆる国際収支の赤字というのと日本の場合とは、私は線の引き方が違っているのだと思うのですよ。だから国際収支が赤字だ、赤字だと、その数字だけでどうも発表しておられるところに問題があるのじゃないでしょうか。これは貿易収支あるいは貿易外収支、総合収支、いろいろあるでしょう。日本の場合とこれは違うのですね。その線をどこに引くかということによって、アメリカがいう国際収支の赤字というのは赤字ではなくてゼロになるということだってあり得るわけですね。だからそこらあたりをもっとわかりやすくしてもらわなければいけないのじゃないか。私は私どもなりに、ここで質問をするだけでなくて、それなりに実はいろいろな学者であるとか、あるいは経済人であるとか、いろいろな人たちから話を聞く勉強会等をやっているわけです。ですから、そういった中身についてきょう申し上げることは時間的な関係もありますから控えますけれども、どうもアメリカさんの言うことを——おっしゃるように貿易関係だけは日本のほうが輸出超過になっておる。しかし、かつては、日本は大きく輸入超過であった。そのときは何も問題にならなかったですよ。日本はアメリカに対して、いまアメリカが日本に対して文句を言っておるようなことを言っていたことはないのです。ところが、アメリカさんは、どうも自分のほうが輸入超過になっておるじゃないか、こう文句をつける。そして国際収支の赤字の問題をあげる。国際収支の赤字の問題についても、いま申し上げたように、線の引き方によって問題が変わってくる。そこらあたりについては日本は何も言わない。負い目だけがあるように国民に印象づけていくという行き方は、私は正しくないと思う。二国間だけでおやりになると、そこらあたりの問題があるから——二国間でも話をする必要はあるでしょう。あるでしょうが、できるだけ多国間で堂々たる論陣を張っていかれる必要がある。それが私は、自由貿易を守る道でもあり、国益に通ずる道である、そのように考えますから、賢明な通産大臣ですから釈迦に説法であると思いますけれども、十分にそこは留意をしていただきたいと申し上げておきたいと思います。一日、三日、八日と一般質問をやることにいたしておりますから、そこらであなたの考え方も十分伺っていきたいというように思います。  そこで、長官でけっこうですが、特恵対策の臨時措置法、それから輸出手形買い取り制度というものが出ておるのですが、これはどういうような結果になっておりますか。実は、特恵対策に対しましても、あなたも御承知のとおり、二十五億円の予算を実は計上しておるのですね。それはほとんど使っていないで、今度のドル・ショックにこれを回すといったようなやり方をおとりになっておられる。何かいろいろな制度をおつくりになるのだけれども、どうしてか少しもそれが働かない。じゃ中小企業が非常に安定しておるのかというと、それは苦しい。倒産に倒産を続けておる。この実態との矛盾というか、ギャップがあまりにもあり過ぎるように思うのですが、中小企業の最高責任者として、これらの点に対して長官はどのようにお考えになっておられますか。具体的な点はどうなっておるか。いかがですか。
  41. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 最初のお尋ねの特恵対策臨時措置法の施行につきましては、まず輸出面につきましてはアメリカにおいて特恵の供与を実施をしておりません。それから輸入面におきましては、わが国の特恵供与の方式が、できるだけ中小企業に急激な影響が与えられないように考えてつくられておりますので、それとともに、特恵供与を実施してからまだ日も浅いということもございまして、いまのところ輸入面において特恵供与による大きな影響が出ていない、こういう事情にあるわけでございますが、今後事態の推移によりまして必要性が生じました場合には、後手にならないようにすみやかに特定事業の指定を行なうということを常日ごろ心がけておる次第でございます。現在はまだ特定事業を指定いたしておりません。  それから、第二のお尋ねの為替予約の実績につきましては、十月二十三日にこの制度を開始いたしまして、十一月二十五日現在で約二億四千万ドルの実績となっております。  それから、為替銀行のいわゆる船積み後の期限つき手形の買い取りは、順調に推移しているというように承知いたしております。
  42. 中村重光

    中村(重)委員 第一の特恵供与の問題ですが、わが国の中小企業に急激な影響を与えてはならない、それは、私どもが法律案審議の際もその点は十分議論をしたところです。これは、まあ日本中小企業を守りたいという立場から、考え方は同じなんですね。だけれども、特恵供与をなぜにしなければならないのかというようなこと、これもまた私は軽視してはならないんだろう、こう思うのですよ。八月一日から実施されまして今日まで、まだその影響がないからだというようなことのようですが、まだこの業種指定も行なっていない。それでいいとお考えになっておられるのかどうか。その二カ月たった今日までの具体的な影響、あまりというおことばをお使いになったのだけれども、どの程度の影響というものが出ているのか。十八品目の供与ワクというのがこれはあるわけですから、このワクの状態はどうなっているのか。いかがですか。
  43. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 ごく最近の資料でございますが、特恵の供与を停止いたしました品目は全部で十五でございます。それから台湾とか韓国とか、こういう特定の国に対して特恵の供与を停止いたしました品目は、亜麻とかハンカチとか入れまして同じく十五品目でございます。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 あなたは、この供与ワクというのが狭いと思いますか、あるいはこれで適当であるとお考えになっていらっしゃいますか。ということは、発展途上国というのは、特恵関税制度というものはできたけれども、どうもあまり自分の国に影響がないというようなことだけを考えて、ほんとうに発展途上国のことを考えていないのだという非難というものがあるわけですね。それから、輸出手形買い取り制度、こういう制度もつくったけれども、あまりにも繁雑過ぎる。もう少し簡便な方法でやってもらわなければどうにもならないんじゃないかといったような非難、これは、内に外に非難が相当強いわけですよ。だから、日本の第一の問題点の特恵関税供与の問題、わが国の弱い中小企業に急激な影響を与えてならないということ、このことはまあ考え方は一致しているわけです。いるわけですが、先ほども申し上げましたように、であるけれども、やはり特恵関税制度というものを設けなければならないという国際的な取りきめという形でこれをやっているわけですから、せっかくやったことが相手国に喜ばれないというようなことですね。これは海外経済協力の問題だってそうなんですが、せっかく国民の血税というもので援助する、そういったような経済協力というものをやって、そしてそれが実際その国の所得の向上に役立たない、その国の国民の生活を豊かにすることにつながってこない、そしてエコノミックアニマルとかという非難を受けるというようなことでは、これは国民のコンセンサスを得ることはできないということに実はなるわけですから、せっかくおやりになった制度であるならば、それが十分国民には理解され、そして相手国からは喜ばれるということでなければならないと私は思う。したがって、その改むべきところは改める、また手続が非常に繁雑であるならば、その繁雑な手続というものはできるだけ簡便な方法でやっていくという、絶えず創意くふうというんですか、そういうことをおやりになる努力というものが私は欠けておるような感じがしてならないのです。そうは思いませんか。
  45. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 特恵供与にあたりましては、先生御指摘のように発展途上国の立場を考える、それから国内中小企業の立場を考える、その両面を考え合わせていろいろ苦心をした末、今回のような措置がとられたわけでございますので、まあいろいろな影響がありますから、直ちにワクをうんと広げるというようなこともなかなかむずかしいことだとは思いますが、しかし事態の推移は十分見守っていかなければならないと思います。  それから、為替予約なりあるいは手形の買い取り制度について、手続面で極力簡素なものにしていくということについては、私どももその方針によりまして関係者といろいろ折衝いたしまして、極力簡単な手続ということでやっておりますが、もし至らぬところがありましたら、さらに改善のために努力をしたいと考えます。
  46. 中村重光

    中村(重)委員 私がいま申し上げておりますのは中小企業関係でございますから長官にお尋ねをしておるわけですが、どうも通産省はそれぞれ原局がありまして、繊維雑貨の問題を中小企業関係があるからといって長官に尋ねると、どうも原局を無視するというような御不満等もあるようでございますから、いま私が質問をしたことに対しての関連がございます原局は、この際どうぞ御遠慮なく私のいまの質問に対してお答えをいただきたいと思います。(田中国務大臣「きょうのところはありません」と呼ぶ)ありませんか。これは通産大臣、こそこそと話があることを公の席上で申し上げることは、私もあまり本意じゃないのですよ。ただ、少なくとも田中通産大臣のもとにおける通産省、そして中小企業庁、やはり私どもは、高橋長官非常に誠実でまじめに取り組んでおられるということを評価しているのですよ。だから何でも知っているというようにばかり考えてない。知らないことだってある。答弁に窮せられることだってあるだろう。私はそのことを責めようとは思わない。しかし、少なくとも長官は、事中小企業関係する問題、このドル・ショックの問題あるいは特恵関税問題等々、いかなる影響を及ぼしておるのかということは浅く広く長官は知っておらなければならぬ、こういう考え方で、あまり深く入らないで、常識的な質問をするわけです。それに対しまして、原局のほうは心おもしろくないというような気持ちがあるように伺うのであります。ですから、そこいらは十分連携を密にして、そして私どもの質問に対しましては、名ざさなくとも進んで出席をしておる原局のそれぞれの局長は答弁に立つ、こういうことは、私は、積極性、その熱意を高く評価をするわけでございますから、そういう点を十分ひとつ御指導いただきたいということを、たいへん蛇足でございますけれども申し上げておきたいと思います。  それから長官、先ほど私が触れました特恵対策の融資ワク二十五億ですが、これはどの程度使っていますか。
  47. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 未使用でございます。ただしこれを今後の事業転換のために使うようにいたしたいと思っております。
  48. 中村重光

    中村(重)委員 お聞きのとおり、この法律案審議に入ります前に、実はヒヤリングをしたことがあるのですよ。ところが未使用なんですね。これは影響がないにこしたことはないわけです。しかし影響がないということがおかしいですよ。あってしかるべきなんです。それがなぜに未使用なのか。これは私はきわめて重要な問題点であろうと思うのです。なぜに未使用なのか。具体的に、こういうことはあったけれども、こういうことでこの融資ワクを使うまでの必要性というのはなかったんだというような具体的な答弁がなければ、特恵供与を八月一日から実施いたしまして今日まで、少なくとも無税の、あるいは五〇%の品目の輸入というものがなされていないということは私は考えられません。それだけの影響というものはあっているはずです。にもかかわらずこれが未使用であるということは、これはやはり調査というものが十分行き届いていない、中小企業の苦しい声というものを耳にしておられない、そう私は指摘せざるを得ないのです。それらの点に対して、十分やった、ほんとうにその必要はないということを確信を持ってお答えになることができますか。
  49. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 私の答弁に足らざるところがございましたが、実は、先般来影響業種と思われるものについて、いろいろと関係業界また関係の局と御相談をしてまいりまして、二十くらいの業種について、いろいろ検討いたしたわけでございますが、まだ業種として指定するまでの必要性がないということと、このたびの臨時措置法によりまして、輸出面における影響というものはある程度やわらげることができる、そういう経緯がございまして、ただいまのところ特定業種指定いたしておらないわけでございまして、いままで何もしなかったということではございません。
  50. 中村重光

    中村(重)委員 影響の有無というのはどういうことで判断をいたしますか。
  51. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 輸入面について見ますと、当然のことではございますが、輸入の価格によって国内価格が大きく左右されて、特に市況商品というようなものでありますれば値くずれが生ずるというような状態、またそれが進みまして仕事を続けていけなくなるような状態、こういうものを影響があらわれてきておるというように私考えます。
  52. 中村重光

    中村(重)委員 近く商工会の大会も実はある。小川国連の会長も御出席であるわけです。それから中央会、これは小山さんが理事長ですか会長をしていらっしゃる。そういった会合に出ますと、深刻な声があるんですよ。おそらく小川国連会長も相当業者の方々からその苦衷を訴えられておるであろう。これじゃいかぬ、何とかしなければという気持ちを持って、いまあなたと私の質疑を聞いておられるのじゃないかというような感じがしてなりません。ともかくあなた方の調査というのは、何か中小企業、なかんずく小規模企業というものを守っていきたい、そういったような前向きのかまえで取り組む、あるいはせっかく融資ワクはつくった、こういう制度もつくったけれども、どうも国の負担になるようなことはなるべくやりたくない、やらないようにしよう、これは大蔵省から締められるかどうかわからないのだけれども、そういうかまえでやるかどうかということによってだいぶ違うんですよ。どうも私はいまのあなたの答弁には納得できないですね。具体的に私が伺っておることも、実はこれでもかと申し上げたいわけでありますけれども、きょうは通産大臣の時間的な関係がありますから、できればきょうはこの法律案委員会で上げたいという気持ちがございますから、長い時間をとることを避けて一般質問の際に回したいと思いますが、いまの質問に対してはあらためて伺うことにいたしましょう。しかし長官が、いや、これは一口どうしても答弁しなければということであれば答弁してけっこうです。
  53. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 決して定められた、あるいは認められたワクをなるべく大切に使わないようにと、そういう気持ちは全然ございません。積極的に活用いたしたいと思っております。
  54. 中村重光

    中村(重)委員 ドル・ショックの影響の問題なんですけれども、あらためてここで伺いますが、契約は通常の何%になっているのか、それから受注残高というものはどうなっているのか、この前簡単にお尋ねいたしましたが、今日の実態についてお答えをいただきたいと思う。
  55. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 これは輸出比率が一〇%以上の全国百二十産地につきまして聞き取りあるいは書面で調査をいたした結果でございますが、調査の性格上、正確度といいますか確度については限界があると思います。  まず輸出成約の状況でございますが、九月には大体二割程度のぺース、十月の下期には六割程度、十一月の上旬にはほぼ七割程度、それから受注残につきましては、同じく九月半ばころが五十七日分、十月の下期が五十一日分、十一月上期が四十七日分、平均でございます。大体こういう傾向でございます。
  56. 中村重光

    中村(重)委員 四十六年度の輸出の減少の見込みですが、これからの関係もあるわけですけれども、現時点の見込みと比較してこの後どういう推移をたどるというように見ておられますか。
  57. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 これも全般的ではございませんで、いま申し上げました中小企業製品の集中しています輸出産地百二十についてのそこから得た見通しでございますが、四十六年あるいは四十六年度中の輸出減少の見通しというのは一五%程度ということでございます。
  58. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのほうが調査をされた数字を見ると、繊維でもって二一・一%、食料品で四八・二%、金属製品一六・五%、いずれも一〇%をこえる見込みの違いが生じておるということを調査の結果明らかにしておられるわけですね。修正された輸出見込みとして四十五年度実績に比べると、食料品が四七・四%減、繊維が一七・一%減、金属製品が一〇・七%減、全体でいまあなたが言われた一四・九%、約一五%の減である。こういうことを具体的に明らかにしておられるわけですが、四十七年度の輸出見通しということについてはどういうように見ておられますか。
  59. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 そのあたりが一番むずかしいところだと思いますが、いまのような制限のもとに一応の聞き取りをやりました感じでは、四十六年の修正見通しの輸出金額に対しまして、やはり一〇%から一二%ぐらい、というよりも一二%ぐらいの減というように調査の結果はなっております。
  60. 中村重光

    中村(重)委員 それもあなたのほうの調査の結果で出している数字ですが、しかしこれを二年連続ということになってまいりますと二七・八%、約三〇%。実際は私はもっと大きい数字になるのではないかというふうに感じます。私がなぜにこのことについてお尋ねをし、指摘をするかというと、いま私どもが審議をいたしております中小企業の緊急対策、それから、これから単に対症療法的だけではなくて中小企業の振興のためにどう対処していくのかということとの関連があるから実はお尋ねをいたしておるのです。政府は十一月の十六日の閣議で、中小企業の年末融資対策、政府三機関でもって貸し出し計画で千八百八十億円ですか、これを追加された。民間金融機関も昨年を三割上回る一兆八千九百億円の貸し出しの増加をおきめになった。これは単に目標にすぎないと実は思うわけです。そこで私は、アメリカの輸入課徴金それから円の変動相場制への移行に伴って減産とそれから滞貨の増加に悩んでおる中小企業、これに対するところの年末の資金需要にこたえるためにということであろうと思うのです。ところが、いま政府が十分留意をしていかなければならないことは、ドル・ショックに対するところの緊急対策、当面の対症療法的な資金対策は一応そういうことで出そろったということだろうと私は思うのです。これでは私どもは不十分であるというふうには感じておるわけですけれども、ところが四十七年度の問題に対しましても、いまお答えになりましたように一〇%から一二%程度中小企業の輸出減であるという数字を明らかに見通しとしてされたわけでありますけれども、波及的な影響等々でこの不況というものは相当深刻になっていくのではないか、そのように考えるわけです。そこで、現在中小企業の倒産の状態はどうなのか、それから今後倒産はどういう推移をたどってくるのか、そこらあたりの見通しについて明らかにしていただきたいと思う。
  61. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 一件当たりの負債総額一千万円以上の倒産件数は、九月七百二十四件、十月八百六十五件、これはおのおの前年同月に比べまして約一〇%の減でございます。それから十一月につきましては二十七日までの倒産件数が五百四十三件で、これは前年同月で約二三%の減でありますが、しかしこれはあくまでも数字の上のことだけでございまして、先行きどうだということにつきましては、来年一−三月期の不況の深刻さということが憂慮されますので非常に懸念をいたしており、そういうことのないようにできるだけの対策を講じたい、このように考えております。
  62. 中村重光

    中村(重)委員 今度の三月期というのは、中小企業者には死活的な危機である、こういっているのです。この点長官はどう受けとめておられるのか。この危機を切り抜けるために、いわゆる混乱した破局からのがれる、これを防ぐ、このことが非常に重要であることは、これはもう言うまでもないわけです。まずその三月危機に対して、中小企業者が、いわれるような死活的危機であるというような受けとめ方を中小企業庁もされておられるのかどうか。そう受け取っておられるとするならば、あるいはそういったような深刻な受け取り方をしておられないにしても、大きな影響があるということだけは避けられないと私は思う。そういう場合に、単なる中小企業に対するところの応急対策、そのことが単に場当たり的である、それから延命策であるというような形であってはならないと私は考えるわけです。ならばどうするのかということがきわめて重要な問題点でございましょうから、まずこの点は大臣から——三月の死活的危機ということに対する受けとめ方、それからいま一連のドル・ショックに対するところの対策あるいは年末の対策、政府も民間金融機関もそれぞれの対策を打ち出されたわけでありますけれども、あえて私は、これは場当たり的で単に延命的な対策にすぎないのだというように考えているわけでありますが、通産大臣としてはこれをどうお考えになっておられるのか、これはそうでないためにどう対処しようとお考えになっていらっしゃるのか。
  63. 田中角榮

    田中国務大臣 いま中小企業庁長官が述べましたとおり、八月、九月、十月、十一月とこう見ておりますと、対前年度比の件数は倒産件数の上でも減っておりますし、また倒産金額そのものも二〇%から四〇%に減っておるわけでございますが、これが実態であるとは私は考えておりません。それは高い高原横ばい的な景気がずっと続いてまいっておりますし、多少の含みも残しておりますから、この九月、三月というような決算は何とかやっていけると思います。しかし実勢を考えますと、やはり整理をしなければならないような状態は相当あると思います。私は、特に三十七年、四十年と今回を比べてみまして非常に違うところだと思っておりますのは、大なり小なり、日本産業各部門別に見てまいりますと、米の生産調整を必要とするような状態が見られるわけでございます。必ずしも構造改善が終わっておるとも考えませんし、また世界的に見て、各国に比べて日本の設備がすべて優秀だというふうには考えません。考えませんけれども、いまの中途はんぱな設備においても、ある意味で生産は過剰である。もう鉄鋼が不況カルテルの申請をしなければならない。石油化学もしかりでございます。繊維などは、七十四万台の織機のうち三十五万台を買い上げてくれないかというような状態。これは、繊維産業だけではありません。そういう状態から考えてみると、やはり九月よりも三月のほうが苦しい状態になりつつあるということは事実でございます。特に、今度は財政的にも大きな補正をやっておりますから、これが集中的に投資をされる。そうすると、その次には、前からのパターンを見ますと、財政が先行してそのあとには必ず民間の設備投資が引き続いて起こってきましたが、どうも今度はそういうような感じは考えられないと思いますので、スクラップ・アンド・ビルド——私がここで、七月の五日に通産大臣になりましたときに、避けがたい実態だと思いますと述べたこと、そのとおりの状態が続いておるようでございますので、恐慌というようなこと、どうにもならないような情勢になるとは私は思いません。それは底力もついておりますし、政府自身も相当大きな施策をやっておりますから、私は、そういう破局的なもの、いままでなかったたいへんなことだとは——そういうことになっては困りますし、またそうはならないと思います。そうはならないと思いますが、長期的な不況というものを考えて、適切な施策を行なわなければならないというような感じでございまして、これから通産省は地方の財務局等と連携をとりながら、通産局が実態を把握をして、来年の三月、九月というような状態に対しては、遺憾なく対処してまいるということがほんとうに必要だということを私も真剣に考えて、政府に対しても一いまはもう金はだぶついておりますし、いま倒産しないのは、一つには、市中で公定歩合を下げられるだけ下げておる、コールも下がっておる、だぶついておる、日銀からの都市銀行に対する貸し出しはほとんどゼロであるというようなものが多少ささえにもなっておると思います。そういう点も十分考えながら、今度は、いままでの政策だけを進めるのではなく、実態把握をして、直ちに突っかい棒ができるような状態も考えながら、中小企業対策を進めてまいるつもりでございます。甘く考えておりません。
  64. 中村重光

    中村(重)委員 考え方は、通産大臣、私は正しいと思うのですよ。ただ、実態把握が若干私と違う点があると思う。いまの倒産の問題にいたしましても、中小企業庁調査した結果によると、非常に減っている。これは大臣も、減っている数字を認めながら、実態は必ずしもそうではないだろうというようにおっしゃった。私もそう思っているんです。  そこで、大臣のお答えのとおり、いま非常に金融緩慢期なんですよ。市中金融機関というものは金が余っている。ですから貸し出し競争みたいなことをやっている。そういうことで、昨年を三割上回るような年末資金対策というものを立てた。ところが中小企業は非常に苦しい。だから金を借りなければならない。借りるから無理な輸出をする、あるいはまた自転車操業をするというようなこと、現在置いているところの労働者というものも、これは整理をできるだけしないでおきたいということになることも無理からぬことでありましょう。金は借りるからというので実際は経営の刷新をはかっていかなければならないということも、安易に流れるという危険性と可能性ということもなきにしもあらずであります。そうなってくると、金は貸してもらった、当座はしのいだけれども、それがむしろ中小企業を破局に追い込んでいくということにつながらないとは、私は言えないと思うわけです。今日の不況というものは、いままでの不況とは違う。四十年のときも大不況でありましたが、質的に私は違っておると思う。すなわち、今日は世界市場の構造変化、ここに根ざしたものであるという受け取り方をしなければならないのではないか。ならば、それに対応するような施策が必要である。いま通産大臣は、そういうことで施策を進めておるのだと、こうおっしゃる。しかし、私どもの前に明らかにされておるものは、その施策というものは何も示されてはいないわけです。中小企業に対するところのビジョンというものも私は示されていないと思う。それだけに中小企業の大きな不安となり、私どもがここでこうした質疑を展開しなければならぬという形に実はなっておる。いまの通産大臣答弁は、単に答弁のための答弁ではないというように私は感じました。ならば、当面のそうした緊急対策ということだけではなくて、こういうことをやっておるのだ、やるのだという確信のある、しかも具体性を持ったお答えを伺いたいものだ、こう思います。
  65. 田中角榮

    田中国務大臣 私もいま申し上げておりますとおり、この前もここで答弁申し上げましたが、いままでは、日本産業の自然発生を前提として、その自然発生の中で相互間の調整をはかり、摩擦が起こらないようにし、正常な発展を願ってコントロールをするというのが大体通産省の役目でございました。ところが、今度はどうもそういう過去のような考え方日本中小企業対策等を考えてはいけない。今度はスクラップ・アンド・ビルドということを——まあスクラップということは石炭以外には絶対に使わなかったんですが、私は七月からここで、避けがたいと思ってそう申し述べたわけでございます。そうすると、スクラップになる場合ということになると転廃業ということであります。いままでも、転廃業ということばは与野党からもなかなか出なかったわけでありますが、転廃業は避けがたい。転廃業といったら、次のものは何をやるのかということを指導し、助長していかなければいかぬ。それがいままでの日本の行政の中にはあんまりなかったんです。ですから今度は、繊維の問題のときに、転廃業したら何をするのかということで、いままでは通産省に介入してもらいたくないといっておったような産業界が、通産省から何をすればいいのか明示をしてください、そうしないと、いますぐどうにもならないんですということでございます。これは、かつて縫製の諸君がどうするのかといったときに、産炭地に行きなさいといって産炭地に縫製をやったら、その縫製が今度整理をしなければならないようになって、これを動かすには、通産省はどこかへ、何かいい商売を必ず世話しなければならぬわけでございます。実際、いま、燕のように全市がナイフやフォークをやっておるところは、三分の一に仕事が減るときに、何をやればいいのかということに対しては、やはりこれは、日本の新しいビジョンというよりも具体的な計画を持って、誘導するものは誘導しなければならない。私は、通産省はそういう任務が今度非常に大きくなってきたと思うのです。かつては満州に企業誘致をしたことがありますが、どうもこの商工省時代の仕事は、必ずしも成功したとも思えません。しかし今度は、国内的には、好むと好まざるとにかかわらず、自然発生の状態における各産業間の調整とバランスをとるというような状態だけではなく、通産省は新しく中小企業に対して、産業のスクラップ化される面に何を与えるかということをやらなければならぬわけであります。私は四十七年度の予算で、何をやるのかということをいま通産省に検討さしております。しかし、四十七年度の予算で必ずしも全部片づくとも思わない。だから私は、通産省も考えるが業界も考えて、通産省と一緒になって検討しましょう、その間何もしないでは済まぬので、産業の立地政策を進めよう、こういうことをいま考えておるわけでございまして、新しい日本中小企業の将来というものに対しては通産省は正面から取り組んでまいりますから、いい案があったらひとつ皆さんも積極的に御協力のほどを切にお願いいたします。
  66. 中村重光

    中村(重)委員 いまの通産大臣答弁というのか考え方は、私も同感なんです。今日までの中小企業政策というのが金融と税制面に裏打ちされた、ただ生産規模拡大をすればよろしいということに終始してきたということです。これは私は政府だけを責められない。また与党だけを責められない。私どももそういう面について保守的な面がなかったとは私はいえない。確かにいま大臣がお答えになりましたように、いわゆる転業政策というものは強力に推進をしていかなければならないであろうと思う。ただ言えることは、農業の場合だって作付転換をしなさい、こういう。じゃ転換をしたならば、その次の農作物によって生計を営み得るまでの生活保障をどうしてくれるのだ、何をやればよろしいのかを明らかにしてくれ、ビジョンなくして、ただ転業をやれ、廃業をやれということでは納得できないということが今日の農民の不満であり、非常な不安となってあらわれてきている。中小企業の場合だって私は同じであると思う。そのビジョンをまず明らかにする、そうしてそのビジョンに基づいて具体的にどうしていくのかということを、この際明確にしていく必要がある。その点は私どもも今日まで強く指摘をしてきたところです。ですから、いまの通産大臣考え方というものは私は支持いたします。それは具体的な、ほんとうに裏打ちされたもの、そうして中小企業者がほんとうに一緒になってついてくることができるもの、不平と不満がない、みずから自助努力をもって対処し得る、そういうものが十分満たされるものでなければならないということを強く望んでおきたいと思います。  まだいろいろお尋ねしたいのですが、時間の関係がありますから、この法律案の中で問題であるという点を数点しぼってお尋ねいたします。  この委員会で大きく議論をされましたのは、この法律案がただ、いま言うておる転業対策というための応急対策にすぎないという点、これでは不十分である。要するに、減産をした、だが転業まではできない、企業の縮小というものはあるのだ、これは何回か質問がなされ、大臣もお答えになったところであります。この遊休設備というのか不用設備というものが何も考えられていないということは、やはり私はこの法律案の欠陥であると思うのです。中小企業者はどうすることもできないのです。だからして、この不用設備の買い上げということはどうしてもなさらなければならない。横山委員からも指摘がございましたように、税制の対策の問題にいたしましても、私はこれも当然のことであると思うのです。しかし、それは税制上の面から何とか今回はひとつがまんをしてもらいたい、できるだけその線に沿ってそういう方向に改めていきたいという政府並びに与党の理事諸公の御意見というようなものも、ある程度私どももこれを信頼をしなければならないということで、附帯決議に譲っておる面も実はあるわけです。この設備の買い上げということについ私は強くこの点を指摘しているわけですが、これがなぜにできないのであろうか。また、やらなくてもよろしいというように大臣はお考えになっておられるのかどうか。大蔵省との折衝段階において、これがどうしてもだめであるというようなことであったとするならば、この点をこの際明らかにされ、将来これをどうするのかということについて、ひとつ明確にお考え方をお示しいただきたいと思います。
  67. 田中角榮

    田中国務大臣 同じ問題であっても、日米交渉を前提として織機の買い上げをやっておるのでございます。全部の織機を買い上げる、こういうこともそれは国民の側に立って私たちもよくわかることでございますが、やはりものには限度と際限があるということでございまして、何でもかんでもみな買ってしまうということになると、これは減反政策をやるときに、持っておる耕うん機からくわやかまの果てまで買わなければいかぬ、こういうことにも通ずるわけでございますから、繊維対策として一定の量が算定をされるもの、こういうものに対しては織機は買い上げます、より糸機も対象にいたしましょう、何も対象にいたしましょう、こういうことになるわけでございますが、中小企業、零細企業というもののすべてのものを買うということになりますと、繊維でもいま働いておるものではなく、将来もし繊維が拡大されるかもしれないと思っておって、倉の二階に上げておったものまで全部買うのかという議論が現に存在するわけでございますから、これは一般的なものすべての機械設備を買い上げるということになるとなかなかむずかしい問題でございます。これが災害にあったとか、それからその地域というものが全部破産状態になる、恐慌状態になるという場合に、その土地を、その家屋をということよりも、まず何かを対象にする場合、機械設備を対象にして金を貸すとかという問題が起こり得る問題でございます。これは石炭鉱山に対しても石炭の鉱業権を対象にして金を出すとかいろいろなものがありますから、起こった場合いろいろ考えられることでございまして、いまこれから恐慌というよりも不景気が続きそうだから、相当の部分が転廃業をしなければならないと思うので、その転廃業部面の機械部分をすべて買い上げるということに踏み切るには、これは財政上もなかなかできないことであり、理論上も非常にむずかしいことでございます。ですからそういうものは、これこそほんとうにどうにもならないような必要なときがくれば、バイケースでいままででも処置されていることでございますから、これはこれからいろいろ検討していただく問題であって、これをすぐ買い上げるようにいたしますということを答えられるような状態にはありません。これはあなたもよくおわかりになると思うのです。何でもかんでも全部買ってしまう、こう言ったらこれは景気のいい話でございますし、非常に積極的ではありますが、ものには限度がある。やはり際限ということで、実態に即応してお互いが考えるということでございまして、いまのところはひとつこの程度でどうぞお許しのほどをお願いします。
  68. 中村重光

    中村(重)委員 あなたも附帯決議の案は大体お目通しをいただいておると思う。あとで私どもが附帯決議をつけます場合に、御趣旨に沿って善処いたしますというお答えをなさることは間違いないわけです。私も何もかにもとは言いません。したがって、附帯決議の中には「特定」という字句を実は使っておるわけです。しかし、いまのあなたの答弁と矛盾するものではない。ただ前向きでやらなければならぬということ。横山委員指摘いたしましたように、事業転換の際の設備の加速償却、これもまた常識なのです。落とされたことが実は私はおかしいと思うのですね。それから千五百億の緊急融資の問題、これとても私どもの質問に対しましてはその積算の基礎すら明らかにされないというような、そういうことではきわめて不十分であり、私どもも納得のいかないところなんです。ですけれども、これはあなたが大蔵省と折衝をやってふやしていこうとするならば、容易にふやすことができるわけですから、それはあなたを信頼をして、今回はこれでがまんをするということにはしたいと思うのです。  もう一つは、先ほど来いろいろ指摘がございましたように、信用補完制度というのがこの法律案の大きな目玉になっている。この目玉に対しまして二十億円の準備基金だけが出資されているという事実であります。これに対しまして、準備基金というのはいま直ちに生ずるものではないから、来年度予算において二百数十億円か何か予算要求をしておるからという長官のお答えであったわけです。お答えのとおり、準備基金というものは貸し倒れになる段階の中で必要になってくるわけでありますから、いま直ちにということではありますまい。ですけれども、いま直ちに必要なものは融資基金なんです。融資基金というものがどうして今回出資されなかったのであろうか。融資基金というものが出資されて信用保証協会の保証能力というものがついてくるわけですから、準備基金も必要であるけれども、融資基金というものは準備基金よりさらに早くこれが対象にならなければならない。それがならなかったというのは、先ほど私が申し上げましたように、特恵ワク、融資ワクなんというものは、この金は使われておらぬから、だからそれを回せばいいというような安易な私の気持ちもなかったとはいえないと思う。ここらあたりも問題であります。法律案の中身においてきわめて不十分である。だから、不十分であるけれども、今後あなたの政治力によって必ず委員会の期待にこたえるという確信あるあなたのお答えがなければ、私どもは残念ながら質問を続けなければならないし、きょうこの法律案を上げるわけにはまいらない。だからほんとうに責任ある、確信のある、私どもの納得できる、賛成できるお答えをひとつ力強くやっていただきたい。
  69. 田中角榮

    田中国務大臣 中小企業、零細企業等に対して積極的な施策を行なわなければならない実態にあることは私も理解をいたしておりますし、万々遺憾のない措置をとってまいるつもりでございます。今回御審議をいただいております法律案は理想的なものでないということを御指摘になれば、そのとおりかもわかりません。しかしすべてのものに対して理想的なものが直ちにできるわけはないわけでございまして、高い理想を掲げながら一歩ずつこの理想に近づくべく努力を続けておるのでございます。しかし、理想に近づけるべく努力を続ける過程において大きな犠牲が出てはこれはたいへんでございますので、私は自分の行政的な責任の立場で遺憾のない施策をいたしてまいりたい、こう思うわけでございます。この法律審議期間において御指摘になられたいろんな問題に対しましても慎重に検討しながら、しかも実情に対処して遺憾のないように全力を傾けてまいるつもりでございます。
  70. 中村重光

    中村(重)委員 お答えは力強いお答えであるわけです。ただ、いま大臣は理想とおっしゃった。私どもが申し上げているのは理想を言っているのではない。現実にいま指摘をしましたようなことは必要であるということなんです。融資基金の問題、これは決して理想ではありません。保証ワクを、付保限度を二倍に拡大をした。これとても実行面においてはたして可能なのかどうなのか。いわゆる担保という問題が生じてくるのであります。それだけ保証ワクは拡大はされたけれども、無担保、無保証というものは五十万が八十万になったにすぎません。ほかは全部担保というものがついてくるのであります。これを実効あらしめるためにはどうするのかということは、私はこれは現実問題として真剣にこれに対処していかれるのでなければならぬと思う。だからその点を十分配慮されることを期待して、私の質問はこれで終わります。
  71. 進藤一馬

    進藤委員長代理 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  72. 進藤一馬

    進藤委員長代理 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出国際経済上の調整措置実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  73. 進藤一馬

    進藤委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  74. 進藤一馬

    進藤委員長代理 次に、本法律案に対し武藤嘉文君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。中村重光君。
  75. 中村重光

    中村(重)委員 自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、私から附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしておりますので、時間の関係もあり、省略をさせていただきます。  主要な点につきまして簡単に御説明いたしますと、まず認定中小企業者の特定設備の買い上げについてであります。  今回のドル・ショック等により転廃業ないしは事業の縮小を余儀なくされる中小企業者が続出することが容易に予想されるところでありますが、これら中小企業者の遊休設備を買い上げることが何より根本的な対策であると考えます。したがって、本法による金融、税制上の措置を講ずるとともに、特定の設備に対する買い上げ措置、たとえば構造改善事業を行なう組合に対する助成等をすみやかに講ずべきであります。  また、経済環境の激変に直面する中小企業対策を進めるために、本法の運用につきましては効果的、弾力的に行ない、政府関係中小企業三機関等の資金量を拡大するとともに、雇用と労働対策には万全を期し、本法の実効をあげるべきであります。  以上の趣旨に基づきまして、本附帯決議案を提出した次第であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。     —————————————    国際経済上の調整措置実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、激動する経済情勢を的確には握しつつ、産業政策全般、通商産業行政機構、なかんずく、中小企業政策に根本的な再検討を加え、適切な中小企業施策の展開を図るとともに、経済環境の激変に直面して転廃業ないしは事業の縮小を余儀なくされる中小企業者に対する指導、援助体制の整備に遺憾なきを期し、特に本法施行にあたつては、次の各事項につき適切な措置を講ずべきである。 一、本法の対象となる中小企業者であって事業の転換又は縮小を行なうものの特定の設備に対する買上げ措置(構造改善事業についての助成措置等)を速やかに講ずるよう努めること。 二、本法の対象となる中小企業者認定並びにこれらに対する金融措置、課税特例、労働者対策等については、効果的、弾力的な運用を期するとともに、個人企業における事業主所得について、国税、地方税の負担の大幅軽減に努めること。 三、本法の実効をあげるため、中小企業向け資金量の拡大並びに中小企業信用保険公庫の保険準備基金及び融資基金の速やかな増額を図るとともに、信用保証協会の機能の強化を図ること。   なお、倒産関連保証保険制度の弾力的運用を図ること。 四、中小企業者の事業の縮小又は転廃業に伴う便乗的な従業員の解雇又は不当労働行為の防止、賃金、退職金、社内預金等の支払の優先的確保について適切な措置を講ずること。 五、小規模企業施策の一層の充実を前提として、中小企業者定義の上限引上げに関する検討を開始し、さしあたりは、本法の対象とならない中堅企業対策の拡充を図ること。  右決議する。     —————————————
  76. 進藤一馬

    進藤委員長代理 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  77. 進藤一馬

    進藤委員長代理 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。田中通商産業大臣
  78. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま議決をいただきました法律案に対する附帯決議につきましては、政府はその趣旨の実現に対して努力を続けてまいることを申し上げておきたいと思います。
  79. 進藤一馬

    進藤委員長代理 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 進藤一馬

    進藤委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  81. 進藤一馬

    進藤委員長代理 次に、通商産業基本施策に関する件、通商に関する件、及び私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。中村重光君。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 この前私が鉄鋼の不況カルテルについてお尋ねをいたしました。けさの日刊工業新聞を見ると、通産省は十二月一日から不況カルテルが実施できるようにということを公取に申し入れをした。これを受けたのかどうかわかりませんが、公取はきょう委員会を開くということも実は報道されているわけですが、この点について事実なのかどうか。これは重工業局長がお見えですから、こういう申し入れをされたのかどうか。
  83. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 通産省といたしましては、十一月十一日に鉄鋼業界六社より不況カルテルの申請が公取のほうに出されたことを承知しておりますが、鉄鋼業界の不況の現状にかんがみまして、十二月一日からこれができるように公取のほうで御認可をいただくということを希望している次第でございます。
  84. 谷村裕

    ○谷村政府委員 重工業局長から、さような希望を持っている旨、私どもにきのう伝えてまいりました。御本人がおいでになりまして、さような希望を申し述べられました。それは事実でございます。  それから、新聞には、十二月一日に間に合わせようとすれば、きょうにでも委員を開かなければならぬかという想像のもとに、本日委員会を開くというふうに何か報道しているようでありますけれども、私ども、ただいまの時点までではまだ委員会は開いておりません。別の案件について本日は委員会を開いております。本日午後においてそういうことをするかどうかということはまだきめておりません。そういう状況でございます。
  85. 中村重光

    中村(重)委員 申請が出ましたのは何日でございましたか。
  86. 谷村裕

    ○谷村政府委員 たしか十一月十一日であったと記憶いたしております。
  87. 中村重光

    中村(重)委員 十一月十一日ということになってまいりますと、まだほんのわずかの期間しかたっていない。鉄鋼の問題というのはきわめて重要な問題であり、国民の関心事であるということ。八幡・富士の合併の問題を中心にいたしまして、それからその後一連の設備制限であるとか、あるいは生産制限であるとか、あるいは価格の引き上げであるとかいうことで非常に反発も実は強いわけです。かてて加えて、新聞報道によると、川鉄の社長がトン当たり五千円、来春早々値上げをするということを示唆している、そして新日鉄がプライスリーダーの役割りを果たしてくれることを期待している、こういうことが書いてある。また稲山鉄連会長も、鉄鋼価格をトン五千円値上げをする、そういったことを堂々と発表しているわけです。こういうようなことを考えてみますと、今回の不況カルテルというのは、これはもう経営がどうにもならないというようなことの行き詰まり、それに対するところのいろいろな対策というものがなければならない。たとえば配当の問題あるいは重役賞与であるとか、あるいは経営面の刷新の問題であるとか、やらなければならないことは何にもやらないで、これをサボっておいて、不況カルテルによって価格を引き上げていくといったようなことを考えているのだというように私どもは受け取らざるを得ない。これらの点等々から、あらゆる角度から公取は調査をしておるでありましょうし、時間もかけて十分調査をしなければならないと思うのですが、公取の作業の状態はどうなのか。  また、いま確定的にこれを認めるとか認めないとかいう答弁はできないと思いますが、先日のあなたのお答えを伺っておりますと、かりに不況カルテルを認める、かりに不況カルテルを認めた——あたかももう不況カルテルを是認するような考え方が絶えず答弁の中に出てくるというようなこと等から、私どもは非常に抵抗を感じているわけです。だから、私がいま指摘をしましたようなことについてどうお考えになっておられるのか、この後の調査方針等々について伺っておきたいと思う。
  88. 谷村裕

    ○谷村政府委員 先般お答え申し上げましたように、不況カルテルをする必要があるかどうか、またその内容が適当であるかどうか等々、事務局におきまして十分に審査を進めておると思っております。まだ私どもは何らのそこの報告を受けておりませんから、まだ事務局の段階にあるわけでございます。そして事務局は、いま御指摘になりましたような問題まで含めまして、非常に広い範囲にわたって、数字的な調査もあれば考え方調査もある、また関連業界についての調査もあるというぐあいに、慎重に調査を進めてまいっておるという、そういうことは私は報告を受けております。私どもといたしましては、いわば先入観にとらわれないで、公正な立場において厳正に本件の処理をいたしたい、かように考えております。
  89. 中村重光

    中村(重)委員 あなた、私の先日の質問に対して、何時間でも納得をしてもらうまで、十分期待にこたえて答弁もするのだ、こういうことでございました。私どもは一日、三日、八日と一般質問を、また鉄鋼の問題、繊維の問題等々いろいろあるわけでありますが、これらの問題について質問する用意があるわけです。ですから、この問題についてはきょうは質問を保留いたしまして、あらためてそうした日程に従って質問をしてまいりたいと思いますから、そのおつもりでひとつ準備を願っておきたいと思う。  次にセメントの値上がりの状況をひとつ伺っておきたいと思うのですが、実は私は調査をいたしますと、五十キロで販売されておりましたセメントが四十六年十月一日から四十キロになっているわけです。この点、御調査になっておられるかどうか。これは一斉にやっているようですが、私は独禁法違反になるというふうに見ているわけですから、この点、御調査になっておられるといたしますならば、ひとつ内容を明らかにしていただきたい。しておられないとするならば、これに対してどうされるのか。
  90. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 セメントにつきましては、いま御指摘のとおり、従来五十キロの袋詰めでありましたのですが、港湾荷役等の労務者が非常に減りまして、運送業界、左官業界等からの要望もございますし、諸外国でも大体四十キロで袋詰めしておりますのが慣例でございまして、主としてそういう重筋肉労働者の減少ということを理由にいたしまして、四十キロにこれを減少いたしたわけでございます。
  91. 谷村裕

    ○谷村政府委員 私どものほうの事務局ではそういうことがあったということを承知いたしており、かつまた、何社かが十月一日でありましたか十一月一日でありましたか、ちょっと私記憶いたしませんが、値上げをやり、またそれに続いて何社かがそういう小袋詰めのものの値を変えたというふうなことを知っておるというふうに私は聞きました。知ってどういう状況かということを、いわゆる公取としての調査ということにはならないと思いますが、いま資料を集めたり何かするような、そういうことはしているというふうに私は聞いております。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 いま山形局長のお答えのとおり、これは荷役の関係で五十キロから四十キロにしたというならそれはわかりますよ。ところが、四十キロにして値段は同じなんだから、これが問題なんですよ。それで、あなたは何社何社ということで、どうも私はあなたの答弁を聞いていると、私どもが非常に問題視して質問をすることについて、これは重大な関心を持って聞くというのではなくて、何か知らぬ何社がやっているように聞いているというように、裏返すと独禁法違反なんということはやっていないんだというふうに受け取られる答弁なんですよ。そういう印象を受ける。あなたはそういう気持ちでないかもしれないけれども、そうなんだ。議事録をあとで見られたらよろしい。私が言いたいのは何社じゃないんだよ。一斉に値上げしている。五十キロを四十キロにして値段は同じなんだから、事実上十キロ分値上げしたことになる。これは独禁法上差しつかえありませんか。
  93. 谷村裕

    ○谷村政府委員 実は私そこの点についてはつまびらかにいたしておりません。出てまいります前にちょっと担当の者からどういう状況であるかということを聞いたときに、先ほど申し上げたようなことを承りましたので、もしお差しつかえなければ担当の審査長からお答え申し上げてもけっこうでございますが……。よろしゅうございますか。
  94. 手塚豫州雄

    ○手塚説明員 私どもといたしましては、かねて関心を持って資料を集めております。私どもの集めました資料では十月一日から数社が、また十月中旬からさらに数社が四十キロのセメントを出すようにした。価格については現在のところまだいろいろの状況のように承知しております。  ただ、共同行為があったかどうかという点については、現在資料を集めておるところでございます。
  95. 中村重光

    中村(重)委員 谷村委員長、私も質問をするくらいですから私なりに調査をしているのです。メーカーは二カ月前くらいから販売店にそのことを予告しているのです。一斉にやっていますよ。共同行為をやっているかどうかわからない、これは答弁としてはそういう形で返ってくるんだろうと思うのです。これをふしぎに考えないことがおかしいと私は思うのですよね。ビールのように、きのうは朝日が上げる、十日たったら麒麟が上げるんだなんて、こうやったら、料亭の奥座敷かどこかでポソポソと話をしたって、そんなことはしっぽをつかまれるものじゃないのですよ。これはもう大同小異だ。共同行為であるということは間違いない、私はそう確信している。多くのユーザーから私は聞いている。そこでお尋ねをしているわけです。ですから私の質問ということを全く問題にされないで、これ以上この問題について調査をしようとはお考えになっておられないかどうか、私の言うとおりであるとするならば、独禁法違反であるというようにあなたはお考えになるか、問題点として十分真剣に調査をし、その事実によってそれぞれの法に従った措置をとるというような用意があるかどうか、その点について明確にひとつ考え方を聞いておきたいと思う。
  96. 谷村裕

    ○谷村政府委員 何事でもさようなことが私ども常に質問されるわけでございますけれども、独禁法違反の疑いありとするに足る十分な心証を得られれば、当然私どもとしては厳正に法の執行のためにとるべき措置をとるということでございまして、たとえて申しますならば、昨年のいつごろでありましたか、あるいはことしになってからでありましたか、ちょっと記憶いたしませんが、石油の問題についてもずいぶんそういう御質問を受けましたけれども、その御質問を受けている段階では、私どもとしては、どういう端緒をつかみ、どういう心証を得て必要な審査に乗り出すかどうかについては、明確に、こういたしますというお答えをしたことはなかったわけでございます。しかし、たまたまその御質問を受けた翌日でございましたか、石油連盟のほうの調査を現実にやるということをしたことがございますので、こういう問題についての御質問に対して、いま直ちにどうしますというお答えを具体的に申し上げるということは私どもできかねるのでございますが、少なくとも疑いを持つに足るだけの心証を得ましたならば、当然私どもとしてとるべきことをするということになるというのを一つの例を申し上げてお答えにかえさせていただきます。
  97. 中村重光

    中村(重)委員 私はあなたに、これは独禁法違反であるから、これに対してこうしなさいといって、いわゆる法に従ってのそれぞれの処分があるわけですから、罰則その他のことをいま直ちにやりなさい、こう注文しているのじゃないんです。私はこういうことをユーザーから聞いて、これは確かに共同行為であるという確信を実は持っているのだということであなたに指摘をし、またお尋ねをしているわけなのです。だから、少なくともこの委員会においての指摘であるから、あなたもそれだけ重視される必要は私はあるだろうと思うのです。ですから、私が言っていることは調査をされるか、調査をされて、確かにこれは共同行為をやっているということであるならば、法に従ってこれを処分をしていくということなあければならないと私は思う。後段に対しての——前段後段を問わず、そういうような指摘を受けた、だからひとつ調査をしてみようというようなことを明確にお答えになることだって差しつかえないのじゃないか、私は、またそれが少なくとも議会制民主主義を尊重する立場であろう、そのように考えるわけです。何かあなたに、的確にこれがあるんだから、これに対して第何条に基づいて処分をしなさい、こういうことを私は注文つけているわけじゃないのだからね。私が言っていることが無理でしょうか。
  98. 谷村裕

    ○谷村政府委員 御指摘の点は私どもも十分に、私どもの仕事の上に有力なる御意見として伺わせていただきたいと思います。決して先生のおっしゃっていることに無理はございません。私はさように拝承し、また先生の御意見というものも一つの有力な端緒ないし私どもが得るときの心証の問題として伺わしていただきたいと思います。
  99. 中村重光

    中村(重)委員 それでけっこうです。セメント業界は前も問題になっていた。これは前科ということばを申し上げてもよろしいくらいですね。ですから重大な関心を持って対処していただくように、いまのお答えでけっこうですから、期待をしておきます。  それから、畜産局長がお見えになっておられますからお尋ねいたしますが、新聞を見ますと、「「すきやき」危うし」「お役所の争いの巻添え」「牛肉輸入割当てできず」「年末年始向け2カ月空費、在庫細る」そして次の見出しは「農林省、通産省、商社利権めぐり攻防」なんて書いてあるのです。実は私、大きな関心を持ってこの記事を詳細に読んでみたのですが、家庭の主婦の方々、同じだろうと思うのです。この経緯を簡単でけっこうです、あらためてまた質問することにいたしますから。きょうは、こういう一人か二人の委員の出席で質問するなんて不見識ですから、あらためてお尋ねしたいと思ったのだけれども、せっかく御出席願っているのでお尋ねします。
  100. 増田久

    増田(久)政府委員 先生も御存じのとおりでございますけれども、最近牛肉の需要というものが飛躍的に増大してまいりまして、ここ二年間は年率二〇%という形で需要が伸びている実態でございます。その結果、国内資源、特に和牛と申しておりますけれども、肉牛の資源の食いつぶしというような形に非常になってまいりまして、将来にわたりまして需給の問題が非常に問題になってまいっておるわけでございます。したがいまして、国内資源をつぶさないで需要というものに対処していくという形になりますと、どうしても輸入というものを大幅にふやしていくという形にならざるを得ない。そういたしますと、当然国内生産と輸入というものをどのように調整するかということが非常に問題になるわけでございます。そういう意味で、私のほうでは、今年の八月に牛肉輸入制度研究会というものを設けまして、現在の輸入制度というものを根本的に改めるべきではないか、特に現在は全体の牛肉の輸入を民貿と畜産振興事業団の半々で輸入しておるわけでございますが、実は事業団の輸入のしかたというものは、需給調整ということの機能というものは果たしていないような実態であるわけでございます。そういうことを考えまして、今後の輸入のあり方につきましては、事業団というものが主体的に需給の調整をはかって、国内生産との調和をはかり、また消費者の需要と申しますか、希望にも沿っていくというやり方に制度を考え直すべきではないか、こういうことで十月に答申をいただいたわけでございます。その結果、今後民貿につきましては現状程度にとどめ、増加する分については事業団にワクをふやし、その事業団の調整のもとに輸入をやっていってはどうかという内容の答申をいただいたわけでございますが、いま通産省とその線に沿って御相談を申し上げている。それで、考え方としてわれわれと通産省との間に基本的な考え方の相違というものはございません。と申しますのは、輸入ワクをできるだけふやしていく、あるいは輸入の商社の問題等についてももっと弾力的に考えていく、そういう基本的な問題については意見の相違は全然ございませんし、また現実にどのように需給の調整をはかっていくかという、その調整のしかたにつきましていろいろ内部的に議論をしているというのが現状でございまして、決して通産省とわれわれと基本的に対立して、そのために割り当て業務がおくれているというようなことではないという点を御承知おき願いたいと思います。
  101. 中村重光

    中村(重)委員 中村通商局次長がお見えですから……。
  102. 中村俊夫

    中村説明員 お答えいたします。  いま農林省の畜産局長からお答えがありましたとおり、この下期の牛肉の輸入割り当てにつきまして、いま方式について検討いたしておりますが、基本的な意見の相違はございません。特に物価関連品目でございますので、われわれも極力輸入数量をふやして、しかもその輸入されたものが消費者の手元まで適時適切に流れるということが確保されることが必要だと思いますので、そういった関係につきましていま事務的な検討を農林省といたしておる段階でございまして、間もなく割り当てを行ないたいと思っております。
  103. 中村重光

    中村(重)委員 あらためて質問することにしますが、増田局長は基本的な違いはないとおっしゃったのだけれども、お役所ですからそういう答弁をせざるを得ないでしょう。ところが、これは私は基本的な問題だと思うのですよ。ただ通産省は、商社にやらせる、商社活動を通じて競争をやらせる、そうして消費者にこの利益が還元されるようにするのだ、こう言うのです。あなたのほうはそうではなくて、生産者の生産意欲を刺激する、そうして国内の畜産振興をやっていく、そのことが生産者を守る道であるし、また消費者の利益を守っていくことになるのだ、答えはどちらも消費者の利益を守ると、こう言うのだな。しかし、どの道を選ぶかという選び方だけの問題じゃないのです。通産省の言うような形で道を選んだ場合、ほんとうに消費者の利益につながっていくのか、途中で流通経費に消えてしまうおそれはないのかどうか。そうして、国内の生産意欲を刺激するということをむしろ沈静させることにつながっていかないのかどうか。そうなってくると基本的な問題なんです。私はこれは問題である。  だからして、なわ張り争いということでは——新聞はこう書いている、なわ張り争いということを。大いに議論をしてください。議論をして、基本的な違いはないのだ、こうおっしゃったのだから、消費者の利益を守る、国内の生産者の利益を守っていくのだ、国内生産というものをさらに向上していくのだ、この基本を忘れないようにして、それで意見が一致するなら一致をさしてもらいたいと思うのです。そのことをかたく要望しまして、それに沿うことであるならば私は別にどの道をお選びになってもけっこうだと思うのです。しかしたいへんこれは問題でしょうから、大いにひとつ議論をして、よりよい道を選んでいただくことを期待をして、あらためてまたお尋ねすることにして、もう時間の関係もありますからこれで終わります。
  104. 進藤一馬

    進藤委員長代理 次回は明十二月一日午前十時理事会、十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十八分散会