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1971-11-16 第67回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月十六日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君   理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君    理事 進藤 一馬君 理事 橋口  隆君    理事 中村 重光君 理事 岡本 富夫君    理事 吉田 泰造君       稲村 利幸君    神田  博君       坂本三十次君    塩崎  潤君       前田 正男君    増岡 博之君       石川 次夫君    岡田 利春君       加藤 清二君    横山 利秋君       近江巳記夫君    松尾 信人君       川端 文夫君    米原  昶君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画庁調整         局長      新田 庚一君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         通商産業政務次         官      稻村佐近四郎君         通商産業省通商         局長      山下 英明君         通商産業省貿易         振興局長    外山  弘君         通商産業省重工         業局長     矢島 嗣郎君         通商産業省繊維         雑貨局長    佐々木 敏君         中小企業庁長官 高橋 淑郎君  委員外出席者         大蔵省主税局総         務課長     山内  宏君         大蔵省銀行局特         別金融課長   北田 榮作君         労働省職業安定         局業務指導課長 関  英夫君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 十一月十五日  山村開発次期対策早期実現に関する請願(安  宅常彦紹介)(第一五五八号)  同外七件(足立篤郎紹介)(第一五五九号)  同外四件(愛知揆一君紹介)(第一五六〇号)  同外六十三件(有田喜一紹介)(第一五六一  号)  同外九件(笠岡喬紹介)(第一五六二号)  同外二件(金子一平紹介)(第一五六三号)  同外二十件(箕輪登紹介)(第一五六四号)  同外十一件(正示啓次郎紹介)(第一五六五  号)  同外三十五件(中川一郎紹介)(第一五六六  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際経済上の調整措置実施に伴う中小企業に  対する臨時措置に関する法律案内閣提出第九  号)      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国際経済上の調整措置実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近江君。
  3. 近江巳記夫

    近江委員 この法案がつくられたという最も大きな動機は、ドルショックということで特に地場産業等が壊滅的な打撃を受けておる、こういうことでつくられたと思うのであります。それで、御承知のようにあのニクソンのドル防衛政策、この八項目を見てまいりますと、課徴金の問題とかアメリカの国内問題、いろいろあるわけでございますが、その後わが国変動相場制に突入をした、こういうことで、そういう国際環境というものは非常にきびしいものがあるわけでございますが、特に現在の変動相場を見ておりますと、すでにもう九・何%というような状態になっておりますし、その辺将来円切り上げがされるということは情勢から見ましてもこれはもう間違いないことであろうかと思いますが、結局その時期、幅ということが問題になってくるわけです。しかし、この法案をつくられた上において、この円切り上げということを想定して、大体どの程度これを予想してつくっておるのかということであります。その辺のところは加味された上でつくられたわけですか。一説によれば、円切り上げは、アメリカ側に言わせれば二五%だとか、日本政府としては一〇%以下に押えたいとか、その辺はどういう感触でこの法案をつくられたのか、中小企業庁長官にお伺いしたいと思います。
  4. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 この法律アメリカ合衆国におきます輸入課徴金の賦課、それに引き続きますわが国における為替変動相場制への移行、こういうことによりまして、特に輸出関連中小企業者に対して影響あるいは被害が及ぶ、これを最小限に防いで経営の安定をはかる、またあわせて事業転換に資する措置を講ずるということが主眼でございまして、しかし、いまお話のございました将来多国間協議場等を通じて平価調整が行なわれるというようなことがもしありとするならば、それも本法にいいます調整措置対象となりますので、したがいまして、その際影響を受ける業種に属する中小企業の方、あるいは直接個別に影響を受ける中小企業の方に対してはこの法律適用があるということでございまして、円の切り上げ幅がどの程度であるかというようなことをあらかじめ想定してこの法律を立案したわけではございません。
  5. 近江巳記夫

    近江委員 しかし現実変動相場制ですでに九%以上の円高を示しておるわけです。ところがアメリカのほうは二〇%、二五%というようなべらぼうなことを言っておるわけです。そういう点でやはり現実ということを見てみた場合、その辺のところはどの辺に落ちついてくるか、たとえば一〇%かあるいは、多国間調整ありますけれども、最悪考えた場合に二五というようなことも現実アメリカは言っておるわけですから、そんな大きな幅があるわけですよ。その辺のところはどう対処しておるか、よく加味してつくられたのかと言っているわけです。
  6. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 本法で規定しております措置のおもなるものは、金融が円滑に行なわれるように信用補完制度を特にこの際特例として拡充するということ、それから近代化資金返済猶予を認めるということ等が主眼でございまして、その背景として緊急に必要な融資を量的にも相当程度用意をいたしております。したがいまして、将来もしいま用意しております資金量で不足するというようなことがありとすれば、それはその際また政府部内で早急に検討してしかるべき措置をとるということでございまして、あらかじめどういうところで円の平価がきまるかというようなことを想定して、そしてそれにどれだけの資金量が要るかというようなことをきめなくても、この法律運用によりまして、先ほど申し上げましたように、将来影響がもし著しく出てくるときは、業種指定を行なうことによって適切な措置がとり得る、そういう仕組みをこの法律は用意いたしておるわけでございますので、繰り返しになりますが、平価調整がどのポイントで行なわれるかということをあらかじめ想定しておかなければ対策が十全講ぜられないということではないと思います。
  7. 近江巳記夫

    近江委員 あなたのそういう御意見は御意見で聞きますけれども、これは全然現実を真剣に考えてないですよ。たとえば一〇%で切り上げになって、最悪、そんなことはないとしても二五%と、これは一緒ですか。一〇%も二五%も影響というものは当然拡大するんですよ。そうした場合に、それは政府系金融機関で倍のワクを設定するとか、金利をこれだけにしますとか、いろいろあるけれども、被害が拡大していけば当然それに対してワクだってもっと拡大するというようなこともしなければならぬでしょうし、金利だってもっと引き下げるということもしなければならぬでしょうし、法律ではきちっと規定してしまってあるわけですよ。ですからそういうことは今後の情勢の推移を見て、今後政令なら政令でこういうようにいけるというようなことを弾力的に見ておるかどうか、そういうようなこともあるわけです。政府がつくる法律なんというのは——これもこの間予算委員会で言うたのですよ。いろいろ法律の矛盾を出しました。下請振興法にしてもそうですし、特恵法にしてもそうです。何も使われてないわけですよ。あるいは、あとでまた申し上げますけれども、下請代金支払遅延等防止法にしてもざる法ですし、現実ほんとうに生きない法律ばかりつくっているわけです。ですから、これからの国際化、流動化していくそういう情勢を見て、当然そういうことが予想される。これに対してはどうしていくかということを法律にもどう盛り込んでいくか、これがほんとうに生きた法律なんです。そういう固定された、死文化したような法律——よくその点を考えて、生きた法律をつくってもらわなくちゃ困るわけです。ですから、この辺はよく政府部内で今後検討してもらって、そして政令なり何なりでほんとう現実に対処していける、そういう生きた法律運用、そういうことをひとつ考えてもらいたいと思うのです。この点についてどうですか。簡潔に答えてください。
  8. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 この法律運用によりまして、業種指定を追加して行なうことができます。それによって、十分実情に対処し得るように運用をはかっていきたいと考えます。
  9. 近江巳記夫

    近江委員 私が運用と言ったからあなたも運用とおっしゃったのかもしれぬけれども、指定業種だけやったってこれは解決せぬ問題があるのですよ。これだっていま倍のワクしかないのですから、それを三倍にも四倍にも拡大するということがこの法律でできますか。できないじゃないですか。金利の問題にしてもそうですし、固定して縛られてしまって、また新たにつくらなければならぬという形になってくるわけですよ。ですから、そういうことをよく考えていただきたいということです。これはいまあなたに言ったって、いまの段階ではすぐ結論も出せぬでしょうし、法律をつくる前においてはほんとう現実をよくわきまえて、そうして生きた法律をつくってもらいたいということです。  それから次に申し上げたいのは、輸出産業ということになっておるのですが、これはアメリカであろうが東南アジアであろうがヨーロッパであろうが、別に地域は限ってないわけです。ところが、御承知のように、アメリカに対する輸出というのは非常に大きいわけですね。またその業者の中には、品物によっては東南アジアばかり輸出しているところがある。ヨーロッパ諸国ばかり出しておるところもある。これだけの国際経済のもとにおいて、いろいろな影響をみな同じように受けておりますけれども、特にアメリカを中心にやっておるところは一〇%の課徴金がかかっておるわけですよ。当然将来平価調整ができれば課徴金ははずすだろうということが予想されますけれども、日米関係摩擦状態というのはそんな簡単なものじゃないと私は思うのです。これからますますいろいろな点で、繊維だけではなくていろいろな状態で規制しようという動きも現実に出ているわけですね。自動車にしろ、テレビにしろ、鉄鋼にしろ、いろいろあるわけですよ。そういう点から考えていきますと、私は今回の法案のそういう適用という点から考えて、まだまだ非常に乏しいと思いますが、さらに、対アメリカ向けに非常に輸出しておるところについては、この法案でカバーする以上に何重もの援護策を設けるべきじゃないか、その辺のところを考えておりますか。地域一定でしょう。その点について考えましたか。
  10. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 そういう観点から、特に輸出比率の高い産地というものに重点を置き、いろいろ調べました。そうしますと、そういう輸出比率の高い産地の中で対米依存度の高い産地が非常に多うございます。ですから結局はそういうところを業種指定をいたしまして、本法律適用が受けられるようにということで配慮をいたしておるつもりでございます。
  11. 近江巳記夫

    近江委員 私の言うのは、要するに東南アジアであろうがヨーロッパであろうがアメリカであろうが、輸出一定比率があればそれは指定対象になるわけですよ、これはおわかりでしょう。特にアメリカは一〇%の課徴金をかけて、対米輸出のところが一番被害を受けておるわけです。ですから、あなたのつくったこの法律は、全体の輸出ということについて網をかぶしておるのですから、さらに対米輸出の多いところについては二重、三重の保護をするべきじゃないかということを言っているのです。これについては、そのダブルの手厚い対策ということは考えてないでしょう。
  12. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 仰せのとおり、対象のつかまえ方としては、輸出比率一定率以上というとらまえ方をいたしておりますけれども、さっき申し上げましたように、その業種指定の際に産地というものに特に重点を置いて考えておるということは、対米輸出に依存しておる産地影響が非常に強いということで考えたわけでございまして、対米輸出をやっているから特にそこに対して二重、三重の、たとえば金融特例措置を講ずるというようなことはいたしておりませんけれども、経果的には、私は、対米輸出依存度の高いところに対する配慮ということを基本に考えて施策を立てておるとお答えできると思います。
  13. 近江巳記夫

    近江委員 いまの説明では私にとっては非常に不十分ですけれども、これもよく中小企業庁、通産省考えてください。運用の点で、いろいろな点でカバーできるはずです。ですから、せめてその辺のところでさらにひとつ対策を考えていただくことを強く要望します。  それからこの認定について、指定業種あるいは指定産地業種以外の個別の中小企業者輸出比率の二〇%、これは一七%とか一八%とかボーダーラインがあるわけです。そういうところについては何の特典もないのです。現実には困っているわけです。その辺のところの救済を実際政府としてどう考えているかということなんですが、それについてはどう考えていますか。
  14. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 ただいま考えておりますのは、輸出比率おおむね二〇%以上ということでございまして、特にいまお話のございました個別の輸出業者につきまして認定対象とするかどうかということにつきましては、実情をよく考えまして、極端な不均衡、不公平のないような運用を考えたいと思います。
  15. 近江巳記夫

    近江委員 これもいま運用ということをおっしゃっていますけれども、これだって、ほんとうに実際に法的にきちっと規定をすれば、救えるものは救えるわけです。ところが運用だったら、実際の担当官によってどうなるかわからぬわけです、はっきり言って。ですから、これだって法的に見れば非常に不整備であります。  それから、都道府県知事認定についてアンバランスは生じませんか。どのように政府としては考えておりますか。
  16. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 大筋は全国ベース業種指定それから産地業種指定でございますが、これは主務大臣基準をきめます。その基準に従って都道府県知事が該当するかどうかということを当該中小企業者について認定するわけでございますから、これは決して不公平なことは起こらないと思います。
  17. 近江巳記夫

    近江委員 ですから、まあそれはひとつその辺のところを不公平のないように、さらによく政府として見守っていただきたいと思うのです。  それから設備近代化資金関係ですが、都道府県は国と同額特別会計に繰り入れなければならないわけでございますけれども、今回のドルショックはこの地方財政まで非常に圧迫しておるわけです。税収が上がってこないということで非常に苦しい状態です。こういう点でほんとうに、いまや佐藤総理国民優先であるということをおっしゃっていますが、私は、その国民優先、一番生活に密着したそれは、地方自治の充実だと思うのです。ところが、地方自治現実にいま三割自治といわれておるように、政府がほとんどひもつきで握っておる。やはりこの地方自治というものを充実しなければならぬわけですが、その地方自治体が非常に財源的に苦しんでおる。そういう状況をわかりながら都道府県と国と半々だ。一つもあたたかみがありませんよ。なぜもっと国が負担してあげないのですか。これは大蔵省さんも来られておりますから、ひとつその点お聞きしたいと思うのです。
  18. 北田榮作

    北田説明員 ただいまお話のございました設備近代化資金貸し付けでございますが、実はこれは一般会計負担に属することでございまして、直接私のほうの所管でございませんので、あるいは的確な御返答ができかねるかと思いますが、その点御了承願いたいと思います。  この制度は、御承知のように中小企業振興資金等助成法に基づきまして、各都道府県が国からの補助金を得まして、これに自分自身資金を合わせましてこれを貸し付けるという制度でございます。いまお話ございましたように、都道府県は国の補助金同額以上の資金をこれに投入するということになっておるわけでございますが、ただいまの国の負担をもっとふやすべきではないか、こういうお話でございますが、これは補助金全体のバランスを考慮した上でいかに配分するかという問題でございますが、最近の設備近代化資金貸し付け状況を見てみますと、かなり資金的に蓄積ができておりまして、回収金等で相当な資金回転ができる状況になっております。たとえば四十六年度の資金貸し付け計画について見ましても、貸し付け規模が約二百五十億というような規模になっておりますが、これに対して都道府県負担は約一割程度の二十六億というようなことになっておる次第でございまして、ほとんど大部分が回収金等自己資金等でまかない得るというような状況になっておりまして、県自身負担もそう大きなものでないというふうに考えておる次第でございます。
  19. 近江巳記夫

    近江委員 この中小企業ほんとうに見守るということであれば、直轄の官庁である中小企業庁はもとより、特に財政金融、税制とまたがるわけですから、大蔵省さんももっと中小企業を守るという立場を真剣に考えてもらわなければ困るわけですよ。ほかの補助対象が大体こうだからあまりぬきんでることはできないとか、そういう固定された考えであってはよくないと私は思うのです。大体、今回のドルショックによってこういう状況に追い込まれてこういう法案ができたのですから、少なくともそれに対していまよりも一段とやはりそこに加味したそういうものがあって私はしかるべきだと思うのです。あなたもきょうは大蔵省代表課長さんとして来られているわけですから、いまここで変えますなんということはあなたの立場としては幾ら聞いたって言えぬと思いますけれども、大蔵省に帰えられて、大臣以下最高首脳陣で一ぺん検討していただきたい、これをひとつ強く要望しておきます。よろしゅうございますか。検討しますか。
  20. 北田榮作

    北田説明員 御要望の趣旨は伝えます。
  21. 近江巳記夫

    近江委員 それから設備買い上げの問題ですが、繊維などは政府間協定を結んで非常に大きなそういう被害を受けておりまして、織機の買い上げというのはかなり政府も力を入れておりますけれども、こういう設備の他の産業ですね。買い上げがいろいろな問題点は確かにあろうと私は思いますけれども、ただ問題があるからということで放置しておいていいのですか。何にも考慮していないのですか。それに対してあなた方はどこまで苦しみ、どこまで考えましたか。大蔵省中小企業庁長官に聞きます。簡潔に答えてください。
  22. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 繊維につきましてはもう御存じのような特別な経緯と事由がございます。繊維以外の業種につきまして設備買い上げということにつきましてはいろいろ複雑な問題が多うございまして、かりに一たん買い上げをするということになれば際限がない。あるいはどこで歯どめをするか、どういう程度買い上げが必要であるか、あるいは買い上げをやることによってその業種に一体どういうメリットがあるかというようなことをいろいろ考えますと、複雑な問題を内包しておりますので、実はこの輸出関連業種につきましていろいろと関係者とも話を詰めてみましたけれども、なかなかいま申し上げましたような問題点を克服できるような具体的な案というものが出てまいりませんし、またいまの段階において、こういうような設備買い上げというようなきわめて特殊な異例の措置をとるというだけの実態にあるかどうかという点につきましても、まだまだ検討を要する点があるということで、内部的にはいろいろと検討いたしましたが、設備買い上げにつきまして何らかの措置をとるということは、現段階においてはとりがたいという結論になりまして、この際は措置をとらないということになっておるわけでございます。
  23. 北田榮作

    北田説明員 今回、ドルショックによりまして影響を受けます中小企業者に対する対策といたしまして、設備買い上げがどうかというお話でございますが、この点につきましてはただいま中小企業庁長官から御答弁のありましたとおりでございまして、現在の段階でそういった設備買い上げのことについては非常に困難であろう、こういうふうに考えております。むしろこういった状況によって滞貨が生じ、あるいは減産を余儀なくされるというようなショックをできるだけ緩和し、影響最小限に食いとめるというようなことで必要な金融対策を講ずるということにわれわれとしては努力をいたしておるところでございます。また転業される方等につきましても、そういった転業に必要な資金等について、金融的な措置によってその促進を円滑化するというような努力をするという方向で考えておるところでございます。
  24. 近江巳記夫

    近江委員 非常にその点はあなた方も責任者として考えていらっしゃるということだけはわかりますけれども、やはり実を結ばなければ何にもならぬわけですよ。いまいろいろとやってくださっていることは、非常にそれは手ぬるいということを私はここで声を大にして申し上げておきます。これもひとつ中小企業庁、通産省、大蔵省、寄って、この点をどうしていくかということを、問題が多いからということだけで片づけずに、ほんとう中小企業零細企業立場に立って皆さん方としては真剣に考えていただきたい。強くこの点を要望しておきます。  それからまた事業転換などとおっしゃっていますけれども、政府に大体転換ビジョンがいまあるんですか。中小企業零細企業に非常に力がないわけですよ。資金的にもそうですし、あるいは将来を見定めてどうやっていけばいいか、いまや中小企業零細企業は五里霧中の中に立たされているのです。これに対して明確なビジョンを示して指導性を発揮するのが政府じゃないですか。転換ビジョンがいま政府のどこにありますか。どう考えておりますか。これは長官にお聞きします。
  25. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 事業転換につきまして個々の中小企業方々自分で考えていくということについてなかなかむずかしい点があると思います。したがいまして、やはり産業構造全体を考えまして、これからあるべき日本産業構造、その中で中小企業の新たに開拓していく分野というようなものについて一つビジョンを持たなければいけないということで、実は私たちも勉強をし、かつ中小企業政策審議会場等におきまして、これからの中小企業のあり方あるいはその裏づけとなるべき施策ということについて検討を始めておりますが、それにはやはり時間がかかります。それでその間同時並行しまして、県の総合指導所であるとか中小企業振興事業団でありますとか、こういうところの指導も得て、また中小企業の方もみずからも考えながら転換の先を考えていく、その間、このたびの一連の措置によって影響の急激に加わらないようにということで今回の措置をとっておるわけでございまして、基本はおっしゃるとおり、一日も早く中小企業のこれからの進むべき道あるいはビジョンというものを関係者相協力してつくる、それに基づきまして中小企業方々ができるだけ付加価値の高い、また新しい需要に合った分野に進んでいくということを、政策当局者としていろいろ助成をはかっていくというのが基本であろうと考えます。
  26. 近江巳記夫

    近江委員 カルテル等をつくっているところもたくさんあるわけですが、どこの業種についてはいけないかとかそういうようなことを何にも徹底されてないわけですよ。そうでしょう。しかも政府は、この間、中小企業特恵対策臨時措置法、これをつくったんですけれども、この現状を聞いてみたらどうですか。まだ業種指定もしてないでしょう。法律をつくったって実際に動きやせぬじゃないですか。裏づけは何十億の金を組んでおいて、どうするんですか、これ。ビジョンがないとか現実法律をつくったって業種指定もしない。そういう手ぬるい対策でいいんですか、政府は。それはもう、政府中小企業対策については世界に冠たる法律体系を整えておるとおっしゃるかしらぬけれども、それは一つも動いていないじゃないですか。動かない法律をつくってどうしますか。運用自体もなっていないですよ。その辺あなたどう思いますか。
  27. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 八月一日から日本は特恵を供与いたしました。しかし日本の大きな輸出市場であるアメリカはまだ特恵を供与いたしておりません。それで日本からの輸出面で考えますと、アメリカ市場における日本製品の特恵に関連しての影響というのはまだあらわれておらない。それからヨーロッパ市場においても、まだそれほどの影響はあらわれていない。それから輸入面につきましては、特恵供与の仕組みが中小企業にとって急激に大きな影響が与えられないような仕組みで運用されておりますことと、特恵供与されましてまだ日が浅いということで、輸入面においてもまだ大きな影響は出ていないといろことで、業種指定を行なっておらないわけでございますが、しかし影響が出てきて手おくれになって業種指定をするということではいけませんので、この点はそういうことのないように、必要に応じていつでも業種指定ができるようにそれなりの準備はいたしておりますので、決して特恵を供与しそのまま法律運用についてなおざりにしておるというわけではございません。
  28. 近江巳記夫

    近江委員 いずれにしても、そういうような事業転換等についてはもっと力を入れていただかないと、いまや国際経済の大きな変動のもとで、中小企業ほんとうにさまよっているのです。いまこそ私は政府指導性を発揮して、いまこそこうであるということを示していただきたいと思うんです。またその対策を強化していただきたいと思うんです。それをみな望んでいるんです。これを私は強く申し上げておきます。  それから、いろんなこういう対策をつくってくれるんですよ。しかし私が申上げたいのは運用面です。政府系金融機関、国民金融公庫なりあるいは中小企業金融公庫あるいは商工中金、いろいろありますよ。ほんとう長官、あなた現場に行ってごらんなさいよ。ほんとうに借りたい人が借りられないんです。いま選別融資は日を追うごとにきびしくなっていますよ。内容のいいところばかり借りている。ほんとうに借りたい、まじめにやって苦しんでいる中小企業零細企業には貸さぬのです。そういう運用面をあなたには一体どう考えておるかということです。どういう指導をしておりますか。いまだに歩積み両建てだってやっていますよ。そういうようないろんな——政府は常にそういうことは注意しております、何にも下へ徹底していない。たとえば中小企業金融公庫法が昭和二十八年の八月一日できているんですよ。「目的」の第一条にどう書いてありますか。「中小企業金融公庫は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」としてあるんですよ。一般の市中銀行から、金融機関から締め出されているそういうところを救うために、政府機関が設立されたんじゃないですか。そういう運用の点について現状をどのように把握され、どういう反省をされ、それに対してどういうように指導しておりますか。簡潔に答えてください。
  29. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 民間金融機関の場合でございますと、相当長期にわたりまして預金取引を通じて企業者実情を知ることができるというのに対しまして、中小企業金融公庫の場合は初めて接するそういう中小企業者に対して貸し付けをやるということで、まあ確かに審査が慎重にならざるを得ない場合があるというのも実情でございます。しかし政府系金融機関として、できるだけ中小企業者立場配慮して、まあ担保の取り方その他についても過大な負担にならないように、従来から指導大蔵省とともどもやっておることでございます。  このたびの緊急融資につきましては、中小公庫のみならず政府系三機関に対しまして、こういう事態であるから、できるだけ金融態度については積極的に、また弾力的に行なうようにということを先般通達を出した次第でございます。
  30. 近江巳記夫

    近江委員 たとえば、中小企業金融公庫なんかも、まあ額面が一千万以下くらいでしたらたいがい代理貸しですよ。そうなってくると、たいがい両建てさせるのです、市中銀行は。それが現状なんですよ。長官。  そこで、本法にも盛られておりますけれども、この設備近代化資金の二年以内の償還期限が延長されるのですけれども、政府系金融機関のこの貸し付け金についても、支店長権限で二年以内の延長ができることになっているのですけれども、これはまあ結局支店によって延長してもらえないようなところもまた運用の面で出てくるんじゃないかと思うのです。だから、その辺の第一線機関を長官がよく握っていただいて、大蔵省の首脳者も一緒に行って、そして運用面をもっとやっていただかないと、何ぼ法律をつくり、何ぼ手当てをしたって、これは生きた制度じゃないのですよ。どれほど中小企業、雰細企業者がいま政府を恨んでいますか。いま中小企業庁を恨んでいますよ。一体何をやってくれているんだ、法律は何ぼでもあるけれども、実際に生きていないじゃないか。全部の声です。特にこういう支店長等にまかされた権限等についてはどういうように指導をしていただいておりますか。これは具体例としてひとつお聞きします。
  31. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 仰せのとおりでございます。八月十六日以降、その直後に三機関の責任者に集まってもらいまして、そうして実際に貸し出しを行なうというのは各支店のウエートが多いわけでございますから、支店長権限でできるいま御指摘の返済猶予あるいは据え置き期間を貸し出し期間中につくる、こういうようなことについて、できるだけその実情をよく聞いて、積極的にそれに応じてあげるようにということを指示しまして、そして、そのことは各三機関の責任ある者から各支店長にしさいに指示をされておりまして、すでに幾つかのそういう返済猶予の事例も出てきております。今後とも一そうその点については留意をしていくつもりであります。
  32. 近江巳記夫

    近江委員 私はその反対の事例を何ぼでも知っているんです。だが、私は本委員会においてはそんな個々の名前の出るような、場所の出るような、そういうようなことは申し上げません。これは全国どこへ行ったって同じなんですから、そういうことまでは私は申し上げませんが、私も根拠があるから言っているんです。実際を知っているから言うのです。その点、ほんとうにあなたがおっしゃるような、そのことが実践できるようにひとつ指導していただきたいと思うのです。特にこの運用の点について政務次官にお答え願いたいと思うのですが、現状は、私が申し上げたのはほんとうに氷山の一角なんですよ。ですから、その点、政務次官として今後どういうように強力な指導をしていただけるものか、その御決意をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  33. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 まあおことばを返すようですが、全部が全部たいへん中小企業庁を恨んでおるということは——これは私も中におって、前から見ればたいへんよくなってきておりますよ、こういうことはずいぶん聞いておるわけですよ。ただ、またそれ以外の、いま近江さんがおっしゃったことも、いやめんどくさいとか、なかなか書類がむずかしいとか、それからまた、なかなか言ったようにやってくれませんよという声も実は聞いておるわけですよ。だからそういう意味合いから、先ほど長官が答えましたように、一般の金融機関ですと長い信用状態であるとか、俗にいう人脈ですね、こういった形から、その人の信用の度合いとかいう問題をいろいろ調査というか、いろいろはだざわりに合った関係からスムーズにいく場合がある。政府機関の場合はぶっつけ本番でいく。こういう場合においてなかなか慎重を期すという場合は私はあると思いますが、その反面、信用保証というような関係でこれをカバーしておるというような関係から、必ずしも全部がうまくいっておるとは思いません。そういう意味合いから、ひとつ現場の支店長等々に私のほうからも特に借りやすいように、まあ現在のこういう状態を認識の上に立って、お説のとおりひとつ指導を強力にすることをお約束をしておきたいと思います。
  34. 近江巳記夫

    近江委員 そこで、いま非常に繊維が自主規制をやって、引き続いて政府間協定ということでたいへんな壊滅的な打撃を受けておるわけでございます。そこで政府としても繊維の救済について具体的にいろいろと検討なさっておると思うのですが、一説には二千億というような話もあるわけですが、どの程度それがほんとうに煮詰まってその実行段階にかかろうとしておるのか、この救済についてどこまで煮詰まっておりますか、繊維雑貨局長来られておりましたら、答えてください。
  35. 佐々木敏

    ○佐々木(敏)政府委員 今回の日米繊維政府間協定につきましては、業界に与える影響は非常に大きいと考えておる次第でありますが、ただその影響の度合い、あるいは現在業界が救済対策についての要望も検討いたしておりますが、まだ最終段階に至っておりません。したがいまして影響の度合い並びに救済対策の計数的なことはいま大蔵省と事務的にやっておりますけれども、ただいま申し上げられない段階でございます。ただ、繊維の対米輸出依存度は申し上げるまでもなく非常に大きいのでありまして、したがってその影響はきわめて大きかろうと考えておるわけであります。さらに、対米輸出の直接輸出減という影響のみならず、通産省といたしましては、この際繊維産業の抜本的な構造改善といいますか、慢性的不況であり、過剰設備を常時かかえておるという繊維産業の抜本的な体質改善も、ある程度長期にわたると思いますけれども、同時に配慮したい、かように考えておる次第であります。
  36. 近江巳記夫

    近江委員 非常に抽象的なあなたの答弁ですけれども、大体いまの段階になって煮詰まっていると私は思うのです。もう少し具体的にお答えになったらどうですか。どの辺まで大蔵省と話し合っているのですか。繊維ほんとうにもう生産はとまっておるし、そういうところが多いのですよ。私の話は決してオーバーじゃないと思うのですよ。どのくらいまで煮詰まっているのですか。あなた、もう少し明確に、もう少し真実のことをお答えになったらどうですか。私はそんな抽象論を聞いているのと違うのだ。
  37. 佐々木敏

    ○佐々木(敏)政府委員 先ほど申し上げましたように、まだいま計数的に申し上げられる状態でございませんけれども、私ども、繊維産業を抜本的に体質改善する立場から、設備買い上げと長期低利の融資、その二つの柱を中心にいたしまして、大蔵省検討いたしておる次第であります。
  38. 近江巳記夫

    近江委員 答弁は私にとっては非常に不満足であります。大体このくらいまで固まっているのだけれども大蔵省が言うことを聞かないとか、大蔵省が来られているのですから、大蔵省さんどうなんですか。
  39. 北田榮作

    北田説明員 繊維につきましては、従来から金融面ではいろいろな面で配慮をいたしておるわけでございます。たとえば七月から実施されました自主規制に伴う特別融資、あるいは今回ドルショック対策といたしまして三機関から千五百億円の特別融資をすることにいたしておりますけれども、こういったドルショック対策の中でも、業種指定をした中で繊維関係というのはかなりのウエートを占めております。そういった意味では、ドルショック対策資金につきましてもかなり繊維のほうに回るというようなことが予想されるわけでございます。そういったことから、現存自主規制対策としての資金ドルショック対策としての資金や、そういったものがだんだんと融資をされ、実行されている段階にあるわけでございまして、こういったものの効果というものもだんだんとあらわれてくるだろう、こういうふうに考えております。  政府間協定に伴います措置につきましては、ただいま通産省のほうからお話がありましたとおりでございまして、長期低利の融資についての御要望を伺っておりますが、具体的な数字につきましてはまだ伺っておるような段階ではございませんので、今後とも通産省のほうと十分打ち合わせさしていただきまして、適切な処置をとってまいりたい、このように考えております。
  40. 近江巳記夫

    近江委員 これ以上申し上げても具体的な数字等はお出しにならぬと思いますが、いずれにしても遅々としております。政府がおとりになっていらっしゃる態度は、現状を非常に無視した遅々とした態度でございます。したがって、すみやかなかつ強力な助成をすべきである、救済をすべきであると私は強く申し上げます。私は政務次官にその御決意をひとつお聞きしたいと思うのです。
  41. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 これはおっしゃるとおりでございます。  そこでこの救済問題ですが、繊維はもうすでに自主規制に伴って七百五十一億、あれは自主規制によるものでありまして、今度は政府間協定によってどの程度被害があるか、これは一般災害と違ってこれなら幾ら、これなら幾らという試算ができるものではないと思います。そういう意味合いから、中小企業庁中小企業庁なりに、また繊維局は繊維局なりに産地等々の被害状況、こういったものをいまいろいろ集約している最中であります。そこで、いま大蔵省金融課のほうから、まだ話しには来ておらぬということでございますが、これは私はそうだろうと思います。そこで、これは政府間協定という形になったわけですから、被害がどの程度に出るかという問題はこれからの問題でございますが、これは他の業種もさることながら、特に繊維だけはやはり救済に万全の措置をとるのが当然過ぎるくらい当然だ、こう考えております。
  42. 近江巳記夫

    近江委員 そこで、政府間協定が結ばれて今後専門家会議でいろいろこまかい点が検討される、私はこのように思うのですが、交渉団はいつごろ出発されるのですか、またその構成等についてはどうなっておりますか。
  43. 佐々木敏

    ○佐々木(敏)政府委員 先生御承知のとおり、日米両国の専門家会議は、今後協定が結ばれた暁におきまして毎月一回会合いたしまして、統計のレビューなりその他協定の運用の全きを期するということで行なわれるのでありますが、今回通産省といたしましては、正式調印をするにあたりまして、まずいろいろな具体的な経過措置なりあるいは定義、範囲等の問題を正確にする必要があろうかと考えまして、今週末から通産省を主体にした専門家の派遣を考えておる次第であります。ただいまのところ外務省を通じまして米側の意向を公式に聞いております。したがいまして、最終決定ではありませんけれども、通産省といたしましては繊維雑貨局の牟田口審議官以下関係課長二、三名、あるいは事務官を含めまして通産省全体七、八名の構成で今週末派遣すべく現在内定をいたしております。
  44. 近江巳記夫

    近江委員 それでいろいろ具体的な点を御相談されるわけですが、繊維の中小零細の方々ほんとうに苦しんでおられるということをどうかひとつよく肝に銘じて交渉に臨んでいただきたいと思うわけです。  それから、特にこの繊維それからまた雑貨ですね、これが非常に大きな影響を受けておるわけです。特に米国において締め出しがきついわけですが、もうすでにEC等におきましても、今回英国が入りまして拡大欧州ということになったわけですが、日本品の輸入ということについては非常に自主規制をやるというような動きも出ておるかのように私は聞いております。諸外国とも、米国から締め出されたのがわが国に来るのじゃないかというようなことで非常に警戒をしております。そういう点で、今後市場開拓とか、あるいはこの繊維雑貨等についてはどうあるべきかというようなそういうビジョンというものは何もないわけですよ。ですから、これだって特に中小企業零細企業の中で繊維雑貨が迷っております。ですからその辺のこと、その方向、路線、ビジョン、そういうものを政府としてはほんとうに示されるべきじゃないか、私はこう思います。また、外国等におけるPRなども今後市場開拓においては非常に大事なことでありますけれども、私聞いておる範囲ではやはりまだまだ弱いようにも思うわけです。ジェトロ等のそういうところもやっておるとは思いますけれども、今後そういうPRあるいは市場開拓、そういった点、今後のビジョン等も含めてどういうようにお考えになっていらっしゃるか、時間の関係もありますので、骨だけ明確にひとつ御答弁願いたいと思うのです。
  45. 山下英明

    ○山下政府委員 お尋ねのこれからの貿易政策の骨組みという点に関しましては、御承知のとおりに一つの曲がりかどともいえる時期でございまして、きわめて問題が複雑かつ困難だと思いますが、現在私どもが考えておりますことは、ガットの諸原則に対して幾つか例外的な事象が出てきておりますので、できるだけ多国間、国際的な場所で、ガットの原則に従ってそういう問題をどう処理していくか討議してまいりたい。OECDの研究グループもその一つでございますし、またガット自身の中で農業、工業両委員会から代表を出して検討しようという案もまたその一つでございまして、いずれにも日本はきん然参加してまいりたいと思います。大きく分けまして二つありますが、日本がガットの原則から見ておくれておるので早く自由化をしてほしいという要望がございます。これについては過去三、四年格段の努力をして、現在ではほぼヨーロッパアメリカ等に近い水準まできておるわけでございますが、そのほかに、日本品が優秀でかつ国際競争力があるので、それを制限してほしいという問題がございます。これは輸出規制あるいは自主規制あるいは政府間協定というようないろんな形をとっておりますが、世界貿易上新しい問題だと思います。先生のおっしゃったヨーロッパにおけるセーフガードもその一つの変形と考えております。  PR関係は、そういう時期でもございますので、昨年十一月から私どもの省においても特に海外普及室を設けまして、在日の在外公館、新聞記者等、また海外のPRにつきまして格段努力をいたしております。   〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕 予算的には外務省、ジェトロ等が第一でございますが、私ども自身も及ばずながらやっておる次第でございます。
  46. 近江巳記夫

    近江委員 そこで、国際経済の問題がちょっと出ましたので、私具体的に何点かお聞きしたいと思うのですが、一つは中国との貿易等を積極的に拡大するということで、政府としての努力も私、認めるわけですが、今回たとえば牛肉についても、生牛であればかまわない、これは中国ははっきり断わってきました。口蹄疫を疑っておるんだ、そんなもの出す必要ない、こういうふうに言っておるのです。向こうがはっきり断わってきた以上、これは進まないですね。どうしますか、これは。どうお考えになりますか。
  47. 山下英明

    ○山下政府委員 中国との貿易拡大には幾つか具体的な問題がございますが、御指摘の牛肉の口蹄疫は最たるものでございまして、年来の懸案でございます。現在農林省と話を進めておりまして、生きた牛の場合に、口蹄疫地区でありますことはヨーロッパと同じで、これはまだ国際的にそうなっておりますので、入れます前に、口蹄疫がないという保証をどうやって取りつけられるか、生きた牛と牛肉の場合とを区別して具体策を検討中でございまして、できるだけ早く解決したいという方針でおります。
  48. 近江巳記夫

    近江委員 それも検討しておるという段階で終わっておるわけですね。その辺のこともほんとう政府が積極的に進める意思があるならば、強力にこれをどう解決していくかということをほんとうに煮詰めていくべきじゃないか、私こう思います。これは特に強く要望しておきます。  それから御承知のマグロのかん詰めですね。これは米国がどんどん送り返しておりますけれども、この検査のしかた等非常に問題があるわけです。まじめにやっておる零細業者、中小業者がどんなにこれで被害をこうむっておるか。そういう米国の一方的なやり方に対して、政府としてはこれは黙って何ぼでもそうやって送り返さすのですか。米国に対して、政府としてはどういう対策をとっていかれるか。また、このように送り返されてくるそういうかん詰め業者等については、どういう救済を考えておりますか。これについてお聞きします。
  49. 山下英明

    ○山下政府委員 マグロのかん詰めの検査は、ここ一、二カ月アメリカが極端に制限をしてまいりまして、私どもも緊急の問題として取り上げたいと思っております。そもそもは、去年、マグロに入っております水銀の問題から端を発したのですけれども、そのほうは比較的科学的な基準が討議された結果解決してまいったのですが、最近は魚肉の腐敗という観点、しかもそれを検査、検量というよりも、かん詰めをあけまして感覚的に腐敗の度合いを見て積み荷を返してくる、それがたび重なってきております。まだ交渉の方法は正確にきまっておりませんが、この際強力な調査団を出しまして、米側とも突っ込んだ交渉をしてまいりたい、こういう方針で、通産、農林両省とも進めておる次第でございます。一般的に検疫あるいは検査、これが科学的な技術論に入りますので、時間もかかる上、かつそれが背後の保護貿易的な圧力に悪用されております場合には、問題がきわめて困難になる例が過去に多々ございますので、そういう前例から見ましても、腰を据えて交渉してまいりたい、こう思っております。
  50. 近江巳記夫

    近江委員 腰を据えて交渉する、要するに中小零細はたいへんな困難に入っているわけですよ。ですから、じっくり交渉してもらう、それは大事かもしれませんけれども、やはり私はじっくりではいかぬと思うのです。交渉のそういう態度についてはいろいろ政府もお考えになっていると思いますけれども、強硬に、やはりもっと国民が納得するような接触をしてもらわなければ困ると思うのですよ。また、この救済についてはどう考えているのですか、もう一ぺん答えてください。
  51. 山下英明

    ○山下政府委員 腰を据えてと申しましたのは、同時に、強力にという意味でございます。  救済につきましては、主としてマグロかん詰めの輸出県というのは静岡その他に集中しておりますが、そういうところの事情に合わせまして金融措置、これから手始めていくべきだと考えておりますが、具体的にはまだ打ち合わせ中の段階でございます。
  52. 近江巳記夫

    近江委員 この点は強く要望しておきます。  それから国内において、合板業界、これがまた非常に最近はドルショック等で不況におちいっておるわけです。政府に対して転廃業等に非常に特別融資等を強く望んでおるのですが、こういう個々の業界等についてどういう対策をとっておりますか。特に合板業界等についてお聞きしたいと思います。
  53. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 合板につきましては、このたび、影響を著しく受ける業種ということで、本法案による指定業種を予定しておりますし、また緊急融資の対象業種としても考えております。   〔進藤委員長代理退席、委員長着席〕
  54. 近江巳記夫

    近江委員 それから全業種、全産業ドルショックでたいへんな苦境に立っておるわけですが、いつも年末になってくると問題になってきます年末対策——年を越してからさらに倒産が拡大するだろう、当然これだけ不況におるわけですから。年度末融資については、今年度初めてわずかですけれども年度末融資が出たわけですが、来年四十六年度末については、こういう不況下におるわけですから、格段の対処をすべきである。年末、そして年度末、これはもうたいへんな問題であると思います。これについて、具体的な長官また政務次官の御構想をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  55. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 年末融資の問題ですが、千八百八十億現在考えておるわけですが、それに合わせて、千五百億は年末融資じゃございませんが、そういう意味合いから、こういったものをずっと含めてまいりますと、この程度ならば十分ではなかろうかというふうに考えておるわけです。もちろん、いまお説の中では年を明けてからという問題が御質問でございましたが、こういった問題も成り行きを見きわめつつ、もし必要があるとするならばこれはやはり考えていくべきではないか、こういうふうに考えております。
  56. 近江巳記夫

    近江委員 もうすでに昨年度末においては、年度末対策も非常にわずかでありますが対策をとったわけですし、それからさらに不況の底が深刻化してきております。当然私は大幅の対策をとるべきである、まだ煮詰まってないなら、これ以上お聞きしてもしかたがないと思いますが、強力にこれを要望しておきます。  それから、特にこういう不況になってきますと、非常に下請が泣かされるのです。もう御承知のとおりです。現金を払っていたものを一部にして、長期手形だ、台風手形、お産手形、あるいは単価の切り下げにくる、仕事をとめてくる。それは確かに下請代金支払遅延等防止法はあるのかもしれませんけれども、これはあまりにも天下にざる法として名が通っていますよ。少々通達をし、何したって、これだけ不況になってきますと、なかなか通達ぐらいじゃ進みません。これについては、政府総力をあげて私は下請を守ってもらいたいと思うのです。下請についてはこの前に下請振興法もできましたけれども、これだっていまだに何にも動いてないですよ。そういう法律の面から見たって不備です。また、きょうは公取さんも来られておるのですが、どうやって下請を守っていただくのですか、まず公取さんに私はお聞きします。
  57. 吉田文剛

    吉田説明員 ドルショック影響もございまして不況が深刻化するにつれまして、そのしわ寄せが中小零細の下請事業者に対して、下請代金の支払いの遅延でございますとかあるいは長期サイトの手形交付、さらには値引きでございますとか買いたたき等としてあらわれてくることが非常に懸念されておりますが、公正取引委員会としましては、現在の下請法のより強力な運用によってこれに対処してまいりたいというふうに考えているわけでございます。公正取引委員会としましては、ドルショック問題の発生以来、下請法運用協力団体並びに全国にわたって委嘱配置してございます下請取引改善協力委員、こういう人たちから、各業界の経済実態それから下請取引の実情等につきまして報告を求めておりまして、特に下請法上の問題があると見られる業界に対しましては特別調査を実施してまいり、下請法違反の行為がありますれば、これに対して法律上の勧告その他必要な措置をとろうという方針のもとに、現在強力に運用してまいっております。  こういう方針に基づきまして、ドルショック影響も大きく、下請事業者も多いと認められております電気機器製造業界、これは約千二百の親事業者がおりますが、これに対しまして現在特別調査を実施中でございまして、その報告を回収中でございますので、その結果を見まして、違反があればこれに対して勧告等適切な措置を迅速にとってまいりたいというふうに考えております。
  58. 近江巳記夫

    近江委員 特に電気関係ということをおっしゃったわけですが、全業種非常にあるわけです。限られた公取の機能で、はたしてどれだけそれが効果を期待できるかということであります。公取さんは中小企業零細企業の、言うならば守り手です。どれだけあなた方に期待しているかわからぬわけです。ですから、ほんとうにここで下請を守るという観点で、真剣にやってもらわなければ困るわけです。また、通産省は変にそういう親企業を守るというような気持らはないと思いますけれども、強力に公取さんと力を合わしてやってもらわなければ困ると思います。  それについて、下請を守るという観点に立って、どういう決意で、対策で望んでおられますか、長官、そして政務次官に簡潔にお答え願いたいと思います。
  59. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 九月一日には、公取委員長と通産大臣名で、親事業者あてに、中小下請企業者に対してしわ寄せをやらないようにという警告をいたしまして、さらに十月一日には、中小企業庁長官名で、重ねてこの趣旨の徹底をはかっておるところでございますし、また下請代金支払遅延等防止法運用につきましては、立ち入り検査、招致検査、文書警告、また公取への措置請求ということもやりまして、この四月から九月までの間に六千六百事業所に対して調査をいたしております。こういうことで、決して親企業のことを考え、そちらに片寄った考え方というのはとっておりません。  また、それと同時に、下請企業の振興のために、現在できております下請中小企業振興法を十分活用して、下請企業の体質を強化していくということが大事なことであろうと考えております。
  60. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 いま長官が答えたとおりでございますが、これは前々からこの問題を論議しておりまして、なかなか実効があがっていないわけです。そこで、通産省は親会社べたというお話が出ましたが、そうではないと思います。そして長い手形が出ておるということについても、これは御指摘のとおりだと思います。そういう意味合いから、こういうときでございますから下請の実態等々もひとつ愛情をもって調査してみる。また親会社に対しても、どういう状態でそういったことを、下請振興ということがやかましくいわれておる今日において、そういった長期の手形を発行しなければならないのかという、こういう問題も不離一体のものだと私は思いますので、ただ下請振興ということで、そういうことじゃいかぬじゃないか。枝も育てなければならないが、やはり幹も、幹が育たなければ枝が育たない、枝が育たないと幹が育たない、こういう関連の問題があると思いますので、そういったこともあわせて、いま御指摘のようなそういうお考えに基づいてやはり強力に進めてまいりたいと思っております。
  61. 近江巳記夫

    近江委員 時間がありませんので簡単にあと二点だけお聞きします。一点は経企庁にお尋ねしますけれども、この改定経済見通しにおいて、課徴金は当分継続される、そして円の切り上げ幅を八%と想定されているんですけれども、現在もうすでに九%以上に円高という為替市場の実勢の状態です。そういう場合、この改定経済見通しは、非常に見通しとしては正確を得ておらないと思うのです。したがって、今後のそういう状態を見てこれを改定されるのか、あるいはさらに何らかの対策をとられるのか、経済企画庁、この一点です。  さらに労働省にお聞きしますが、一時帰休制の問題とか、あるいはさらに最近パートタイマー等が非常に首を切られてきておりますし、あるいは新規採用を見合わすというような状態になってきております。そういう点についてどう対処されておるか。  もう時間がありませんから、簡単にその二点両省にお聞きします。それで終わります。
  62. 新田庚一

    ○新田政府委員 ただいま御指摘のとおり、私ども十月の十二日現在で本年度の経済見通しの改定をいたしました。これは御承知のように、昨年の下期以降経済が停滞しまして、六、七月ごろ、輸出の好調あるいは在庫調整の進展を背景といたしましてやや回復のきざしが見えたのでございますが、ドル防衛措置によって再び停滞色を強めておる、そういった背景、それから今度の補正予算あるいは減税の効果を織り込みまして、年度当初のGNP一〇・一%を五・五%と改定いたしたわけでございます。ただ、今後の平価調整の行くえあるいはフロートの見通し、そういった点非常に不確定要因がございますので、一応十月十二日現在の状態で見通しをつくったわけでございますが、当然来年度の予算編成に関連しまして、本年度の見通しをさらに正確にどう置くかということが当面の問題になってくるわけでございまして、今後の一、二カ月の推移を見まして、年末にはもう一度来年度の見通しと関連しまして見直してみたい、そういうふうに考えております。
  63. 関英夫

    ○関説明員 最近の雇用失業情勢を見てまいりますと、新規の求人が減る一方、新規の求職者がふえるというような状態になってきておりますが、なお現在のところは、従来の人手不足の傾向を反映しまして新規の求人のほうがなお多い状態にございます。しかしながら、今後さらに雇用失業情勢が悪化することも考えられますので、私どもといたしましては、この法案の九条の措置を活用いたしまして、やむなく発生する離職者に対して対処してまいりたいというふうに考えております。なおまた、繊維その他いろいろ今後の雇用失業情勢に対処するために、現在、今後の雇用対策のあるべき姿につきまして中央職業安定審議会にいろいろ御検討をお願いしているところでございます。
  64. 近江巳記夫

    近江委員 終わります。
  65. 鴨田宗一

    鴨田委員長 吉田泰造君。
  66. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 今回提案になっております法律案につきまして、まず具体的な質問に入ります前に、この法案の提案をされた背景の中で、現在の価格調整ドルショック、そういうものによる輸出の減少あるいはその見通し、そういう背景に基づいて出てまいった法案でございますが、その現在時点の輸出減少の実績とその見通し——計数的に現在の輸出が現時点でどれほど減っておるかということ、それから見通しをまず質問に入る前に御答弁をいただきたいと思います。これは長官にお願いいたします。
  67. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 直接のお答えになりませんのでちょっとお許しいただきたいと思いますが、九月末時点くらいまでの間、輸出成約状況中小企業については通常の二割程度、それが十月末から十一月にかけて五、六割程度に上がってきておる、こういう傾向が一つございます。  それから中小企業輸出額の減少見込み額といいますのは、全体で八億程度ではなかろうかというように、これは試算でございます。いまお尋ねの現時点における輸出の見通しということになりますと、輸出全体としまして通関ベースで二百二十億ドル程度という一応の見込みをとっております。直接のお答えになりませんので、申しわけありませんが……。
  68. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 どうも現在時点の輸出の減少とその見通しということで、なかなかはっきりしたお答えになっていないような気がいたします。法案が提案された背景のグルントの状況でございますので、もう少し明確な御答弁が望ましいと思います。再度、また——あとでけっこうでございます。  その具体的な質問に入ります前に、中小企業問題について、私は特に二点ほど長官にお伺いいたしましてそれから法案に移りたいと思います。  まず第一点が、近代化促進法による高度化資金が出されましたね。その高度化資金が過去いろいろな推移でだんだんふえております。これは非常にけっこうであります。ただその中で二つに分けてお答えをいただきたいのです。一つは高度化資金に関係なく中小企業のここ二、三年の転業趨勢がどうなっておるかということ。自主転業ですね。その業界の見通しを業者自身が自覚をして転業をした、過当競争に耐えられなくて転業していったその数字ですね。なおかつ、その上に高度化資金の融資を受けながら——一時いわゆる高度化貧乏ということばがはやりました。これは政府の意図しないところで起こったのです。ドルショックじゃなくて、高度化資金を借りながらしかも自主的に転業を余儀なくさせられたその数字を把握しておれば、ひとつお答えを願いたいと思います。
  69. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 中小企業設備近代化資金貸し付け件数、これは昭和四十五年度累計で約一万一千七百件程度でございます。実は貸し付け先の多い東京、愛知あたりにつきまして調べてみたのでございますが、いま仰せの貸し付けを受けておる業者で、今度のドルショックとは無関係に、どの程度転業したかという数字は、手元にございませんし、またいま申し上げましたように、ちょっと府県のほうにとりあえず照会しましたがわかりませんので、御了承いただきたいと思います。
  70. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 高度化資金を使いながら転業した数字を、いまおたくの事務官が大阪とか全国のあちこちに電話で聞いていますという状況が先ほどありましたが、少なくとも高度化資金運用効果——これは中小企業庁怠慢だと私は思うのですよ。たとえば高度化資金を出しながら、毎年漸増していっているわけです。三年前三百億になっていますね。だんだんふえていくことはけっこうなんです。中小企業が高度化の意欲に燃えてやることは……。ただしその効果のあとをフォローしていないということ自身がまずこれは非常におかしいと思うのです。たとえば高度化資金を出した成果はどのようにあがっているかぐらいのことは把握しているんでしょうね。何もやらずにただ貸しっぱなしですか。高度化資金は現に出している。出して、その結果というのは何もしていないのですか。まとめておくところはないのですか。
  71. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 先生お尋ねの件がもし中小企業振興事業団が扱っております高度化資金のことでございましたら、これは工場団地それから商業団地、卸団地、いろいろございますが、これにつきましては事業団のほうで効果を取りまとめ、また現在そのフォローアップをしておるということで、これはきちんと調査をいたしております。
  72. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 どうもすれ違いの答弁になっているのですが、それでけっこうです。ただ私一番最初に質問申し上げたのは、転業の趨勢をまず聞いたのです。これは高度化に関係なく。その趨勢のお答えが全然ない。どのように中小企業者が転業しているかということぐらいはわかっていますね。もう一つ、高度化資金の中で、中小企業近代化促進法による高度化資金を使いながらなおかつ自主的に転業した実績がどのようになっているかというような、きわめて簡単な質問なんですよ。両方答えられないことないでしょう。
  73. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 二つに分けまして、私たち中小企業近代化資金助成法による近代化資金貸し付け、それからいま申し上げました中小企業振興事業団の取り扱いにかかる高度化資金、先生のおっしゃいますのはその前者のほうのお尋ねで、この点につきましては、申しわけありませんが、いま申し上げたように、ちょっといま照会したところでは、転業が何件あるかということについて正確な数字を持っておりませんことをおわびを申し上げます。
  74. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 この委員会でこれ以上この問題について——私はあとの中小企業政策というもう一つ本論の質問をしたいためにお伺いをしたのです。結論的に言うならば、中小企業庁長官の答弁としては、私は全く不本意でございます。そのことだけは念を押しておきます。  もう一つ、事実転業者というのは非常に多いのです。中小企業の近代化助成法の近代化資金を受けた中にも転業しておる人がおります。私はこのことは、あえて中小企業政策が悪いと言うのではないのです。自主的に転業をするそのことについてぼくはむしろ賛成者の立場で言うておるのです。これはあとで本論に入ったときにその私の気持ちが明確になると思います。  もう一点、まず私が質問をいたしたいのは、先ほど同僚委員からの質問がありましたが、いわゆる中小企業法案、私が国会に出てまいりましてからもいろいろな中小企業法案が出てまいりましたが、極論をすればいわゆる糊塗策といいますか、こう薬ばりといいますか、ほんとうにそういう法案が非常に多いということです。たとえばいま話がありました下請代金の遅延の問題、これも非常にざる法である。  いまここで一つ取り上げたいのは、特恵関税の問題あるいは今回のドルショックの問題。こういう問題を通じて、注文したものが受注停止になる、回収金は回収不能になっている、金はくれない。いろいろな問題でまたぞろ経済基盤が悪いという理由のもとに下請企業が代金のしわ寄せを受けているという実態が非常に多いと思うんです。たとえば一例を申し上げますと、これは長官に御答弁願いたいのですが、繊維産業だけというとなかなか資料がないようでございますので、機械産業のいわゆる下請代金の遅延の現状を把握しておられるかどうか。現在ですよ。御答弁を願いたいと思います。
  75. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 いま繊維機械だけを抽出した資料はございませんが、繊維機械を含みます一般機械ということで申し上げますと、九月におきます手形のサイトは平均百十五日ということになっております。それでこの数字はここ数カ月来特に著しい変化は示しておりません。ただ今後事態が悪化するということははなはだ懸念されるところでございます。申しわけありませんが、分類上のあれで繊維機械そのものについての数字がございませんので、一般機械ということでお答えさしていただきました。
  76. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 私はいま二点を具体的な例で御質問しました。  そこで、私はこれから少し長官に、現在のこの法案ということではなくて、この法案ももちろん中に含まれておりますが、政府中小企業政策の見通しの甘さということをここで議論をしてみたいと思うのです。ということは、特恵関税問題がある、ドルショックがあると、すぐに手直しの法案が出されなければいけない。そこに中小企業政策——寡少過多、寡少資本で過多業種、高度化をやると高度化貧乏が始まる。しかし中小企業政策のもとに保護政策をとらなければいけない。なんとなしにお茶を濁した政策をとる。たとえて言いますと、これは一例ですが、鋳物屋がたくさんある、みな高度化したいのだ、全部が高度化してしまって、需要と供給のバランスは、見通しはだれも教えてやらない。全部が高度化されたらとてもじゃない、売れないのですよ。そういうことが各業種にいままでたくさんあると思うのです。そういうことがおざなりのままに、出てきた事象の、何か傷の手当てばかりしている。抜本的な政策を打ってない。したがって、私はこの問題が、中小企業政策の法案が今回ドルショックで提案されて、中小企業者ほんとうに喜ぶかどうか。これは自分だけが、政府が、こうやってドルショック中小企業のためにこの法案を出したのだというひとりよがりになってくれたら困るのです、ほんとうは。それを私はどうしてもこの際言いたいのです。もっと前に政府が、中小企業庁という庁があって、長官がおって、たくさんのスタッフを持っているのだから、もう少し長期的な見通しで、いわゆる既存の企業を全部温存するという形のもとで企業指導をするということでは、いつまでたっても、何か事があれば必ず中小企業が代金においてもしわ寄せを受ける、また政策の変更においてもしわ寄せを受ける、そういう形になるのではないか。先ほど私が近代化をやりながら転業をした人がある、これについて否定しないと言ったことは、ここにあるのです。自主的に、たまたま中で優秀な中小企業の経営者は、長年やってきた高度化資金をいただきながら非常に内部体制を整えたけれども、自分なりの長期見通しで、これはもう転業すべきだと勇気をもって転業していく、これは私はごくまれだと思うのですね。したがって、中小企業の衝に当たられる長官は、これは歴代そうなんですが、もう少し長期的な見通しを立ててやって、その業界、業界でグループで正しい情報を正しく伝えてやるということくらはしないと、何か事が起こったらちょっと法律をつくる、いわゆるごまかしの法律と言ったらはなはだ申しわけありませんが、根本的な中小企業者の救済に私はなり得てないという気がするのです。だから、もう少しいわゆる寡少過多の本質的な中小企業者の持った体質を変える努力をふだんからしでいるなら、ドルショックがあろうが、特恵関税があろうが、いまほど大きなしわ寄せを受けずに済むのじゃないか、そんな気がするのです。それがいわゆる高度化資金を受けながら、意欲に燃えてやろうとしながら、なおかつ、おたくは資料がわかりませんと言いますが、ほんとうは転業した人が、私は大阪ですが、ずいぶんおるわけです。そういう人がたくさんおればいいのですよ。中小企業庁指導しないからなんですよ。指導を得て、寡少過多の基本的な根本的な弊害を除去していくということでないと、私は真の中小企業対策にはならないのだという気がいたします。これは長官、どうですか。何かあればちょっとごまかした、金を貸そうとか、そういうことをするのです。ごまかしというのは、かんべんしてもらわなければいけませんがね、ほんとうはそういう法案なんです。もっと基本的に中小企業を抜本的にやるなら、その業界ごとに需要と供給の展望を示してやって、これを高度化したらこのくらいの業種しかもたないぞ、それ以上のものは過当競争になって倒れるぞというようなことが、事前に行なわれるべきである。壊滅的な打撃を受けて手直ししても、金を貸してやろう、救済してやろう、いまから転業せいといって、中途はんぱな、お茶を濁したような法律中小企業者を救ったと思っていますか。これはお役人の理屈だと思う。私は一人よがりだと思うのです。これは長官、どうですか。
  77. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 私、このように考えております。この数年来実は国際経済のもとにおいて中小企業はいかにあるべきかということをいろいろと検討してきてはおりましたが、その点について必ずしも十全ではなかった。それで今回のこういう非常事態に直面しました際、先ほども申し上げましたけれども、中小企業のこれからのあり方ということをここでさらに構造問題としてとらえて、真剣にあるべき姿を描かなければならないということで検討を開始いたしました。やはりいまお話しのとおり中小企業はいろいろ構造上の問題、弱さを持っておるわけでございますから、その点について、こういうたいへんな時期においてこそ基本的な検討を加えなければならない、ほんとうにそう考えております。それでただいま緊急融資であるとかあるいはそれを補完するための信用保険の特例措置とか、返済猶予とかあるいは税制上の措置とかいろいろございますが、これはやはり根本的に中小企業の構造問題に立ち入った施策でないことは、自覚をいたしております。ただ、この際一番弱いところにとりあえずできるだけの手当てをまずして、そうして基本的な問題を同時に考えていかなければならぬ、こういうように考えておりますので、先生御指摘のとおりであると考えております。
  78. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 いま長官の御答弁の中で、需要構造の長期的な取り組む姿勢ということをお伺いしまして、私もそのとおりで同感でございます。ただ特に、再度繰り返すようでございますが、私は中小企業政策というのは、ほんとうの親切な政策は、いまも申し上げましたように、需要構造の長期的な見通しによってはっきりしたものを政府が立てて、それに沿って、たとえば事業を集約するものはする、技術を高めるものは高める、あるいは生産量を減らすものは減らす、あるいは転業するものは転業するという、大きな意味でないと、そういう政策を政府がとらないと、百年河清を待つごとく、中小企業はいままでと同じように、出てきた、こう薬をはっていく、いま困った人がおるから緊急融資をしようじゃないか。——そのことも非常に中小企業者は待っておりますよ。しかし、だからといってそれが中小企業ほんとうの根本的な、政府の親切な政策にはなり得ない、私はそのように考えます。もう少し中小企業政策を根本的にやり直していただきたい。これは、本委員会で私が声を大にして言ったところでなかなか直らないのかもしれぬと思いますがね。残念なんです、ほんとうは。だからいつも糊塗的な法案だけが出てくる。そうじゃなくて、もう少し見通しを立てて——中小企業の見通しあるいは日本の、大きな意味で産業構造の見通しの甘さが現在の中小企業の不況、非常な不安、そういうものを招いた最大の原因である。ドルショックというものはたいへん大きゅうございます。価格調整の問題、たいへん大きい問題でございますが、かといってこういう長期的な需要構造の見通しを政府がちゃんと持って、基本的な中小企業政策をいままで行なっておったならば、もう少し被害が少なくて済んだのではなかろうか、私は常々そう思っております。したがいまして、そういう意味で今後の、これは要望も多分に入っておりますが、特にお願いを申し上げたいと思います。  こういう問題について、中小企業のあり方について、これは政務次官、一言現在の中小企業の思い切った発想の転換とまでは言いませんが、やりたくてもなかなかできないという点があると思うのです。もう少し需要構造の長期的な見通しを立てて、それに即応するような考え方をしないと、いつまでもよくならないんじゃないか。糊塗策の連続の中小企業政策、そんな気がします。中小企業問題が何かあるたびに起こるというのは、法律が必要になってくるというのは、中小企業政策がないからなんですよ、逆に言えば。何かあれば、ドルショックがあれば、あるいは特恵関税の問題があれば中小企業保護政策が要るということ自身が、日本の国に真の意味の中小企業政策がないから、そういう法律が絶えず起こってくるのです。これはどうですかね、そういう気持ちが私はしてならないのです。
  79. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 これは全く私もお説のとおりだと思います。そこで、今度の法律改正というのは、中小企業を長期的にこれは私はやはり見ていかなければならぬと思うのですよ。たとえば繊維なんか見ましても、まず救済ということよりか、どう将来の繊維業界というもののあり方を位置づけていくか。やはりこの災いを福に転ずるというような形で、たとえばいま繊維の問題を例にあげましたが、全体の私はやはり中小企業問題の恒久的な対策の確立が必要だと思います。しかしながら、こういった予測をしていないものに出っくわしまして、それを立てつつも、やはり今度の法律改正というものは、先ほど来長官が申し上げたように、一時的に救済をする場合においてたいへんな大事なことがあるわけでございますから、今度提案をいたしまして御審議を願っておる、こういうわけでございます。一日も早くこの問題については御審議を願わなければならぬわけでございますが、いま中小企業の恒久的な長期的な対策というものについては、私は、当然過ぎるくらい当然考えなければならぬときに来ておるのではないかと思っております。そういった意味で、お説のとおり積極的に進めることを申し上げておきたいと思います。
  80. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 これは、私はもう一回繰り返しますが、中小企業の救済、いわゆる保護、そういう法案が出ること自身は、真の意味の中小企業政策がないということなんですよ。わかってもらえますか。絶えず急場しのぎの法案が出なければならないということは、真の意味の中小企業政策がないからなんだということを腹にわきまえて、答弁なり中小企業指導してもらわないと、ほんとうの意味で中小企業者は喜ばないですよ。困るから、こういう法案を通してやったじゃないか、緊急融資をこうしてやったじゃないかということは、ほんとうの正しい政策ではないのですよ。だから、中小企業庁方々が、中小企業を救済するためにこんな法律をつくりましたよということは、場合によれば、一時的に救済することによって——需給見通しを立てないで、転業も積極的に進めないで、一時的に安泰を保ったままで、また内部要因で崩壊するときが来る。延命策をやっただけなんですね。そういう結果になりかねませんよ。私が言いたいのは、したがって、思い切った見通しをはっきり知らしてあげること。そうでないと、なるほど政府中小企業問題に真正面から取り組んでいるということにはなりませんよ。何か困っているから救済してやるんだというような横着な考え方では私はいけないと思うのです。これは何度も繰り返すようですが、私はこの商工委員会にずっとおりますが、はなはだ残念なんです。またか、またかという感じなんです、ほんとうは。だから、そういう私と同じような中小企業者の声もずいぶんありますね。そのことを知っておいていただきたいということなんです。知って、政策立案に真剣に取り組んでもらいたい、お茶を濁すような政策の連続であってはならないんだということなんです。それを踏んまえて、現在のこのドルショック問題、価格調整問題でたいへんな問題が起きていますが、中小企業庁としては、思い切って各業種について需給見通しを立てて、思い切って転業を進めますか、どういう姿勢でいくか。ここで困った人に金を貸そうというのですか、思い切って将来のためにほんとうに親切な指導をしようとしておるのか、これはどうですか。もう少し基本的に、いいチャンスと言ったらいけません、いいことではないですが、非常に不況、これは避けがたい不況です。これを契機に、思い切って中小企業者の需給見通しを政府は示してやって、転業する者はいまのうちにしなさいという指導なのか、緊急融資をして延命をはかろうとするのか、どういうところに力点を置かれているかということですね。
  81. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 先生御承知のように、十数年前に比べますと、かつては低生産低賃金という悪循環がありました。それで、当時は、大企業との格差が五割。それがやはり中小企業方々の自主的な努力と創意というものが基礎にあって、それからいろいろな政策もこれに加味されて、そして現在、大体格差は三割程度ぐらいまで縮まってきておる。しかし、いままさに国際化時代であり、終戦後もうちょうど二十五、六年たつこの時期、それから国内においては公害問題が出て、これは中小企業といえども避けられない。また労働力不足というものも克服しなければいけない。これは当然私は、構造問題として取り上げなければならない時期に来ておると思います。それで、長期的なビジョンあるいは中小企業のあり方ということについては、中小企業政策審議会の場を中心としてもう検討を開始していただくようにしました。それから、現在やっております構造改善事業についても、御指摘のありましたような需給の見方、その中でも輸出の見方、これはまた、輸出市場の分散とか多角化とか、こういう問題にもつながりますし、内需というものでの見直しということもあります。そういうふうなことも同時に並行してこの際やらなければいけない。また、中小企業振興事業団とか、あるいは府県にあります総合指導所とか、あるいは公設の試験研究機関、そういうようないろいろな機関からの診断、助成、こういうものについて、中小企業者に対してアドバイスを与えるということで、やはり基本は、この際、ほんとうの意味の競争力を持った、体質を強化された中小企業にならなければならない。そのための施策を考えなければいけない。しかし、この際は、やはり緊急の措置として、できるだけのことを対策を講ずる、こういう考え方に立っております。
  82. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 いま長官の御答弁で、現在の緊急対策、これは全く心から賛成しているんです。反対しているんじゃないのです。あなたは私の質問に答えてくれていないのです。趣旨は全くそのとおりなんです。私が言いたいのは、企業合理化をして中小企業がどんどん体質がよくなっていく、全部体質がよくなっていったら、オーバープロダクションですよ。これはもう目に見えてはっきりわかっておるのですよ。だから、そういう需給の見通しを立てて、転業を進める方向に持っていくのか、緊急対策だけやるのか。私は、なぜこういう質問をしているかといいますと、あとの質問で言うつもりでしたが、もういま言ってしまいますが、ほんとうは、たとえば転業するときに、もう少し広範囲に設備を買い取ってやるというような方向に行ってほしいから言うておるのです。転業しやすいように、そこまで思い切った転業の助成をするという形が最終的に望ましいから、いま申し上げておるのです。なるほど大企業との企業格差を追いつけ、追い越せ——まあ追い越しはせぬが、だんだん縮めてきたことは御説のとおりだと思います。しかし、全部がそうなったら、長官、やっていけますか。中小企業が全部が体質改善できたら、これは需給見通し、国内あるいは輸出を含めて、需給のバランスはとれますか。私はとれないと思うのですよ。だからその矛盾点を含みながら中小企業庁がやっておるでしょう。だから全部が企業の合理化ができて、体質改善ができて、生産性が上がってみたら、私は製品の余りものがたいへんたくさんできてくると思うのですよ。そういう見通しのもとに、あるいは製品を減少すべきもの、生産を落とすべき業種もあるだろうし、あるいは大いに転業させなければいかぬ業種もあるだろうし、そういう見通しのもとに、中小企業庁が真剣に取っ組んでくれる。それがためには、不用設備の機械でも、お茶を濁した助成策ではなくて、思い切って買い取るような、そういう理念がないと、買い取るというところまで私は行かないと思うのです。そういう考え方があるからこそ、思い切った、いわゆる設備の買い取りという、そういう方向に向くような努力が行なわれる。だからいま緊急融資が急いでおる不可欠の問題であるというような認識については、長官も私もちっとも変わっていない。そのとおりなのです。ただ、そのままで行ってくれたら困るのだということを長官に私は質問しているのです。転業を進めなさい、需給の見通しはちゃんと示してやりなさい、減産しなければいかぬものもたくさんあるでしょう。それがために設備の買い取りも思い切ってやるような方向に——いまこの法律助成では非常に不十分です。なかなか転業しにくいと思うのです。もう少し転業しやすい、そういう政策を立案して実行していく、そういう気持ちがあるかどうかということを質問しておるのです。
  83. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 やはりこれは中小企業だけでなくて、日本産業構造全体として考えまして、;百でいえば、やはり日本産業全体が知識集約型の産業構造に向かうべきものと思います。その中で、たとえば七〇年代を考えてみますと、いわゆる情報産業であるとか、住宅産業であるとか、あるいはレジャー産業とか、公害防止産業とか、いろいろ分野があって、その中で中小企業に向いた分野がいろいろあろうかと思います。それで先生おっしゃいますように、そういうような分野に向かって中小企業もやはり転換をはかっていくということは、産業構造の中で当然行なわれていくべきものではなかろうかと思います。それからまた、二次産業から三次産業へという転換も出てくると思います。しかし、そういう大筋あるいは広い意味の青写真というものを描いても、じゃこの企業はここへというような、そういう個別の当てはめということまではこれはできませんので、大体こういうような方向が望ましいということを情報として与え、そしてそういう大きな流れ、線に沿った動き方を中小企業の方にもしていただきたいし、そういう意味の助成策ということについて考えるべきではないか。したがいまして、自主的に転業をはかる、あるいは共同して、そのために業種全体、業種ぐるみとして、みずからその中における過剰問題というものを解決するのにどうするかというような考え方も、業界自体からも出てくると思います。そのときに、国としてどういうところまで協力し、あるいはアドバイスするかというようなこと、これは個別、具体的な業種ごとにいろいろ出てくるのではないかと思いますが、基本的にはやはり、あるべき産業構造の中で正しい位置づけを持つということが大筋であろうと思います。
  84. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 やはり私が予期したような御答弁になってしまいましたが、ほんとう中小企業者の体質上出てきた姿で、それを集約するのが政府中小企業庁の役割りであるというふうにも受け取れますが、そういう側面もあると思いますが、私が言いたいのは、そうではなくて、たとえて言いますと、長官、出てきた事象をとらえて集約するという形でなくて、そういう側面もありますが、そうではなくて、たとえば需給の見通しなんか、やはり情報を集めることは中小企業者はなかなかむずかしいと思うのです。政府の信頼すべき情報というものをどういう形で伝えてやるかということも、これは中小企業者の教育にもなります。それが一つですね。もう一つは、具体的に、たとえば転業しろといってもなかなかできません、できるような条件をつくってやる、そういう条件をつくるのは何かというと、たとえば機械を買い取ってやるとか、具体的な問題をひっさげてやらないといけないと思うのです。だんだん構造上の動きを中小企業者が理解をして、だいぶみんながけがをして、どうにもならなくなってそういう声が起こったときに、中小企業庁は需給の見通しを立てながらやっておるというのでは、私はもう一つ指導性がないと思うのです。私が申し上げたいのは、どういう形で中小企業庁はPRをしているか、指導をしているかということ。もう一つは、まだ法律的にいろいろ予算も伴いますが、そういう基礎的な考え方があって初めて、予算の問題で機械の買り取りとか具体的に動けるような状況をつくってやれる、このように思うのです。何となしに中小企業者の中からそういう声が起こってきて、中小企業庁あるいは通産省がそれを見るのだというのでは、やはり一歩おくれた行政で、私が冒頭から言うておるように、中小企業政策というものは、あくまでこう薬ばりなんだ。やっていることはもっともなんです。もっともなことしかできないのですよ。もっと一歩進んだことがなぜできないのだろう。いつまでもやはり答弁がすれ違いみたいになっているのですが、そういう積極的に指導をしよう、具体的な指導をしているという例がありますか。たとえばどういうPRをしているとか、具体的なことがあったらそれを示してほしいのです。転業についてどういう指導をしているのだ。予算の問題で、機械を買い取ってほしいという希望はありますが、なかなかむずかしい問題もあると思いますが、そういう方向に向いてほしい。中小企業者はそういうことでいわゆる光を見出すと思います。こう薬ばりでは光を見出さないと思います。糊塗策では、うれしいのですが、将来に光がないと思いますね。そういうことはどうですか。
  85. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 具体的にどういう指導をしておるかということにつきましては、先ほど申し上げました都道府県にあります総合指導所を通ずる指導、それから公設の試験研究機関におきます技術相談あるいは技術研修、それから小規模の企業者にとっては巡回技術指導、こういうような手段をとっておりますし、中小企業振興事業団におきまして基礎的ないろいろ事業転換指導のための研修制度をやるとかいうようなことで、まだ決して十全ではありませんけれども、たとえばどういうことをやっておるかということにつきましては、いまのようなやり方をやり、これは私はうんと質的にも量的にも拡充していかなければならないと思います。それでやはり中小企業方々の自主性というものが基礎にあって、それから先ほど来お話のありました将来のビジョンというものを示して、その大ワクの中でいろいろとこの過剰問題、あるいは転換の問題を解決していくということだと思います。
  86. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 この中小企業政策の基本的な問題については、私は最後にこういう要望だけしてこの質問を終わりますが、中小企業方々の自主性といいますか、いまも長官の御答弁の中で出ておりましたが、そういうことはなるほどそのとおりなんです。ただ、私が再度申し上げたいのは、少ない情報の中の中小企業者の自主性ではなくて、政府指導のもとで大きな情報を与えてあげて、情報化時代ですからたくさんの情報を与えてあげて、その中で自主性が育つように、ということは転業のできやすいような指導、これは強制じゃないですよ。もう少したくさんの需給の長期見通しを与えることによって、多くの情報の中で、中小企業者の自主性を育ててあげてほしい、それがほんとうの親切な中小企業政策であろうと私は思います。そういう意味で、基本的にこの現在提案になっている法案の、緊急を要する問題の手当てについては、何ら異議ございませんし、もう一歩進んだ中小企業政策が望ましいことを要望しておきます。  最後に、もう一点だけ質問いたします。これは労働問題です。どなたかお見えになっていると思いますが、一点だけ。労働問題で非常に離職者がふえると思うのですが、現在の中小企業者の離職者の趨勢、見通し、どのように考えておられるか。
  87. 関英夫

    ○関説明員 お答えいたします。  私ども、求人求職の関係が企業別につかめておりませんが、全体といたしまして最近新規求人が減りまして、一方で新規求職者がふえつつございます。九月までの実績を見ますと、前年度に比較いたしまして相当求職のほうがふえてきておるという状態になっておりますが、なお従来の人手不足の傾向を反映いたしまして、現在までのところはまだ求人数のほうが超過している状態にございます。  個々の見通しでございますが、これは非常に困難でございまして、私ども積極的な景気浮揚策なり、あるいはこの法案に盛られておりますような中小企業対策、こういったものによりまして、できる限り離職者の発出が避けられることを期待しているわけでございますが、なお今後の状態を慎重に見守りつつ、そのつど必要な対策を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  88. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 一般的に、いまの御答弁とは別に、いわゆる労働者は、離職者がふえるのじゃないかというような心理的な非常な不安感が国内的にだんだん出てきておると私は思います。そういう意味で労働省の方々にも特にこれはお願い申し上げたいのですが、離職者対策が、おそらく来年ごろからいろいろな形で出てまいるのじゃないかと思うのですが、基本的に細部にわたりきめのこまかい政策を特にお願い申し上げておきます。  最終的に私の質問を終わるにあたりまして、基本的な法案の個々の問題については時間的にも触れることができませんでしたが、ほんとう中小企業者の現在置かれた地点というのは、政策的な政治のいわゆるゆがみといいますか、間違いといいますか、間違いとまではいえないかもしれませんが、そのプロセスを、あるいはまたこのドルショック、いろいろな政策的な問題を一身に——下請遅延防止法の問題とか、いろいろな問題を含めて、だんだん中小企業者が大企業よりもよりきびしい条件になることはいつの場合でも明白です。したがって、その糊塗策だけが中小企業政策ではない。何度も繰り返しますが、中小企業臨時措置法が出るたびに、ほんとう中小企業基本的な政策がないような気がしてならないのです。だからもう少し中小企業臨時措置法を出さぬでいいような、そういう中小企業政策ができる日が、一日も早く来ることを私は希望したいのです。特にいまのこの問題については一日も早く救済の具体的な手当てをするだけにはとどまらないで、長期見通しを通産省、中小企業庁がしっかり持って、いろいろな形で中小企業指導に当たってもらいたい。需給の見通しのつかないものに対してはやはり親切に転業指導をしてやっていただきたい。一時の延命策では中小企業者ほんとうにたいへんな痛手を受けると思うのです。そういう基本的な中小企業庁長官の決意を聞きまして、私の質問を終わります。
  89. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 仰せのとおり、こういう際にこそほんとうに長期的視点に立って、施策の根本に触れた態度で行政に当たるべきものであると考え、微力ではありますが、その方向に沿って力を尽くしたいと思います。
  90. 鴨田宗一

    鴨田委員長 横山利秋君。
  91. 横山利秋

    ○横山委員 この間私も原則的な御質問をしましたので、きょうは少し具体的な問題ばかりで恐縮でございますが、政府側は簡単に答えていただきたいと思います。  いま皆さんのお手元へ時間の節約上ちょっと配付をいたしておりますが、中小企業ドルショックに伴う税関係から伺います。  ドルショックによって、中小企業輸出関係を中心として甚大な打撃を受けました。これがため、中小企業の納税に次の問題が広範に生じています。  法人税法七十二条により、企業は中間申告をすることになりますが、これは過去の実績によるものでありますから、黒字が多いのであります。したがって、中間納税も黒字納税ということになります。しかし、企業の数多くがドルショック繊維に関する政府間協定などによって、本年度は通算してみますと赤字となり、還付金の交付を受けると推定されるのであります。現在中間納税をすることは、したがって無意味なことであり、かつその資金もないことを中小企業は訴えています。  一方所得税法は、百十一条により、中間納税見積り額、今期見積り額になりますが、それが予定納税基準額(前期実績)に満たないときは減額承認申請をすることができるのであります。したがってこの際、中小企業(法人税法六十六条の資本金一億円以下)についても、所得税法に準じて減額承認申請をすることができるように改めるべきであると考えます。これは現行法、つまり法人税法ではいろいろな難点がございますから、私の意見としては租税特別措置法を改正いたしまして、著しく経済変動のあった場合、あるいは特別の理由ある場合など列挙して、国税局長の承認事項とするべきである。  これが私の意見であります。端的に申しますと、ドルショックがあるまで、たとえば八月決算のところで見ますと、前期は黒字であった。前々期も黒字であった。したがって当然中間申告は黒字。そして納税をする。けれども年間通算してみると赤字にきまっている。ドルショック以後、後半に輸出関連産業は落ちたのでありますから赤字にきまっておる。ことしは還付金が来年の初めにもらえるにきまっておる、きまっておるのにいまどうして税金を出さなければいかぬのだ、こういう痛切な訴えを受けまして、しかもなお私に主張されたことは、還付金を繰り上げて支給をしてもらいたい、こういう端的な要求でありました。私も大蔵委員を長らくやっておりますから、還付金の見込み繰り上げということはやや困難であろうと思う。しかし、その前提となりますことにつきましては、まことにもっとも千万だと考えました。この点につきまして、一体中小企業庁はこの種の問題を把握しておるかどうか、まずそれを伺います。イエス、ノーをはっきり、簡単でいいですから、伺います。
  92. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 率直にお答えいたします。  中間申告制度の概要については承知をいたしておりますが、いま先生いろいろお述べになりましたようなしさいな点について、私、不勉強でよくそこまでは承知をいたしておりません。制度は存じております。
  93. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵省には事前に通告をいたしておきましたが、御検討をされたと思いますので、御返事をいただきたい。
  94. 山内宏

    ○山内説明員 法人税の現在の制度におきましては、いま御指摘のように、一年決算法人の場合、六カ月目のところで中間申告をいたすことになっております。その中間申告は、一般的にはいまこれもお話のありましたように、前年の所得を基準といたしまして計算をすることになっておりますけれども、その段階におきまして、つまり最初の半年の間に前年の所得金額を基礎として計画をした金額よりも所得が下回るというふうに考えられた場合には、その段階で仮決算をやることによって、その新しい所得の金額つまり前年を下回る所得の金額により申告をするということができることになっておりますので、そういう制度によって、いま御質問の点についてはかなりの部分が解消するのではあるまいかと考えております。  なお、仮決算あるいは仮決算をしないまでも、中間申告をいたしましたあとで、その期の業況が非常に悪くなったというようなことが明らかになった場合においては、現在のところ申告を改めるという制度はございませんけれども、納税の猶予を機動的に認めるということで処置をしてまいりたいということで考えておる次第でございます。
  95. 横山利秋

    ○横山委員 あなたの答弁は、二つの点で問題があります。  まず、あとのほうの納税の猶予というのは利子がつくんですね。そうですね。  それから、もう一つの御答弁の点でありますが、少なくとも八月決算の場合に、六月なり七月ごろに減額がしておる、収益が減っておるということがあればということなんで、私が提起しておりますように、八月決算の場合、決算までは黒字である、九月からドルショックでがたんと落ちた、年間を通じて赤字にきまっておる、そういう場合には、これは救済の方法は現行法ではありませんよ。ですから、お答えはお答えとしてわかりました。私が提起しておる問題について御検討願えたであろうかどうか。租税特別措置法の改正をして、著しく経済変動のあった場合と提起したのはドル・シッョクのような場合、それから、あるいは特別の理由ある場合にというのは、法人の中小企業がその会社独得の理由で、八月決算であるけれどももう九月には店をしまったとか、あるいは何かそこのうちの特殊事情で変わったという場合、そういう二つの場合においては減額承認申請方式をつくって、そして国税局長の承認を得て減額修正をするようにしたらどうか、こういう提起です。
  96. 山内宏

    ○山内説明員 現在のところでは、先ほど申しましたように、現行法の取り扱いで、つまり仮決算を行なうこと、あるいは納税の猶予を行なうことによって大体解決をし得るのではないかと思っておりますが、なおその実情につきましては、今後状況を勘案をいたしながら検討を続けてまいりたいと思います。  なお、ただその場合、いま御指摘のような形で仮決算が終わりましたあとで状況が悪くなった、あるいは中間申告をしたあとで状況が悪くなったということで申告のし直しをやるという点につきましては、これは現在ございます一年決算法人に対する中間申告の制度が、主として半年決算法人とのバランス上考えられている制度でもありますので、そちらとのバランスから考えました場合、なかなか具体的に制度として取り入れることはむずかしいのじゃなかろうかという感じはいたしますが、先ほど申しましたような事情もございまして、検討はいたしたいと思います。
  97. 横山利秋

    ○横山委員 検討はいたしたいなんということじゃなくて、もっとすなおにまじめに前向きに、一ぺんこのドルショックをもっと真剣にとらえたらどうでしょうか。半期決算のところもあるから、それとのバランスがあるとおっしゃるのですが、私の提起しているのは中小企業、法人税法六十六条の資本金一億円以下の中小企業——中小企業で半期決算はほとんどないと思います。大企業はいざ知らず、中小企業で半期決算はほとんどない。したがいまして、とにかくもう今日のドルショックで八月というものを境にしてがたんと落ちた。もうこれで還付金が来ることがわかっておる。還付金が来ることがわかっておるのに、いまなぜ黒字の納税をしなければならぬのかという素朴なこの中小企業の訴えにもう少し耳を傾けたらどうであろうか。私も、自分の経験がございますから、広範に何でもかでもやってやれと言っているわけではない。条件を二つ出して、そうして国税局長の承認事項にしろ、こういうきわめて建設的な意見をしておるわけでありますから、検討はいたしますでなくて、検討いたしますとはっきり言ったらどうなんですか。
  98. 山内宏

    ○山内説明員 法人税は期間を区切りまして、その期間の中での所得を計算をするというのがたてまえでございます。したがいまして、その半年決算法人とのバランスもございますし、またそれだけでなくて、やはり期間の経過をいたしました一定の期間の間の所得を計算をして税額を算出するというたてまえ上、今後におきまして損失が発生するかもしれないあるいは発生をする可能性が相当あるというふうな場合においても、今後の所得におきます所得の推移を見込んだところで所得計算を行なうということはたてまえ上不可能なわけでございます。そういう事情もございますので、御質問の御趣旨はまことによくわかるわけでございますけれども、制度として取り込むのは困難かと考えておる次第でございます。
  99. 横山利秋

    ○横山委員 何が困難でしょうかね、同僚諸君もひとつ考えてもらいたいと思うのでありますが、大体、中間申告及び中間納税とは一体何かといいますと、少なくとも一年の収入、利益について税金を出すのだけれども、しかし中間的に一回納税をしておく、そのほうが納税者も便利であるというふうに、不確定要素を含んで中間に納税をする。だから中間といっているのですね。したがって、年間を通じてみて、おれのところは赤字になるのだという見通しがあるときに、黒字の立場において中間的に黒字を出すということが、いかに素朴におかしいと考えるべきか。それから一般の所得税——サラリーマンは毎月納税しますね、それから一般的な企業の場合におきましても年間所得税四期に分けていますね。この人たちは。いま私が提起しておるのは一年一回の中間納税だ。したがって、ほかのものは大体収益のアンバランスがある場合におきましては、整理されていくわけです。四期ないしは毎月というわけでされていくけれども、この一年決算のもの、しかも中小企業のものについては実績主義がかたくとられているということに私はかえって不合理がある、こう言っておるわけであります。あなたは、まずまあ断わっておこうというつもりでおいでになったかもしれませんけれども、もう少し平ったくお考えになって、やはりドルショックがどんなに大きな影響があったか、こんなことはめったに来るわけじゃありませんよ。ありませんけれども、全国の広範な中小企業が、前期は黒、後期は赤、全体を通じて赤というところがいま広範にあるわけです。したがって、いま資金繰りで困って、金を貸そう貸そう、こういってここでわあわあ言っているときに、あとで返してもらえることがはっきりわかっているのに、いま税金を出せということがどうにも納得できぬ。どこかこれ横山先生おかしくはないですかという点には、私はまことにもっともだと思います。野方図にやれと言っているわけじゃないのです。経済の変動が著しい場合という点については、何かの政令でつくればよろしい、あるいは特別の理由がある場合も制限列挙してもよろしい。少なくとも所得税法には減額申請の措置があるのに、なぜ法人税にだけ減額申請の余地がないのか。大体あなた方は、ちょっと話が脱線して恐縮ですけれども、更正決定、たとえば横山商店が何か脱税をしているという疑いをして更正決定する、同じ横山商店を同じときに何回でもできるしかけになっておる。ところが、ぼくのところが減額申請をした、けれどもそれは一回しかいかぬという。あとは税務署長に頼んで拝んで誤謬修正をしてもらうならいいですけれども、税務署としては同じ店を何回やってもよろしいけれども、その店は税務署に対しては、私は間違っておりましたから、資料が間違っておりましたから減額申請しますということは一回しかいかぬというばかげたことはないではないか。そういう点では私は非常に不合理を感じておるのだけれども、いま私が提起しておるこの問題でも同じことがいえると思うのです。もう少し素朴に、すなおにいまのドルショック下における特殊な問題を考えて、それからこの中小企業状況も考えて、減額申請制度、この中間納税についての申請制度についてきわめて具体的に私が問題を提起しておるのですから、善意をもって前向きに検討されることぐらいは言うべきではないかと思う。どうなんですか。断わるつもりであなた出てきているのならだめだよ。
  100. 山内宏

    ○山内説明員 法人の場合、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、最初の半年を経過いたしましたときに中間申告をいたすわけでございますが、これは考え方といたしましては、あくまでも実額でそのときまでの所得を計算するというたてまえでございます。もともとそういう制度であったわけでございますが、制度の簡素化の観点から、御承知のとおり、前年の所得を基準にしてもよろしいということに現在なっておるわけでございます。ただ、考え方は、あくまでもそういう意味で法人税については半年単位の実額計算をやるということが基本的な考え方になっておるのだろうと考えます。その期限が経過をいたしました後に損失が発生することが明らかであるというふうにおっしゃるわけでございますけれども、たとえば給与所得者の場合、ことしならことしの八月に定年で退職するということが明らかである人につきましても、その人の一月から七月までの給与所得については、別に八月以降所得がなくなるということを勘案をいたしませんで源泉徴収をやるということでございますから、そういう意味で、あらかじめ将来の損失を見込んで税額の計算をやるということは、現在のたてまえではいたしておらぬということを申し上げるわけでございます。
  101. 横山利秋

    ○横山委員 いささか押し問答になるわけでございますが、委員長は大蔵系統ですから私の主張がよくわかりますね。わかっていらっしゃるはずだ。今度は、客観的にこのやりとりを聞いておられて、政治家として政務次官はどういうふうにお考えになりますか。私の提起している問題、よくおわかりになりましたか。わからぬですか、あなた。わからぬ。あなたは商売をやっていらっしゃるのだから、わかるだろう。
  102. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 なかなかこれはむずかしいことだから……。ただ、私ちょっとさっきからのやりとりを聞いておって、こういうときでありますから当然であるけれども、しかしながら、起き得るであろうという損失を予測して算定をしそれを減額という問題については、これはなるほどこういうときですから、予測じゃなく当然起きるわけですから、そういう意味でこれはやはり前向きに、こういうときはこういうときなりにやはり考えていくべきじゃないかな、こういうように考えておりました。
  103. 横山利秋

    ○横山委員 どういうことか、何かよくわからぬじゃないですか。何を言っておられるかよくわからぬな。少なくとも、私は、予測といってもとほうもない予測をしておるわけじゃない。八月決算して十月ごろに中間申告をする場合に、もうドルショックが起こっているのです。そして同時に、自分のところも輸出関連産業として大打撃を受けているわけです。決して野方図もない予測をやれといっているのではないのです。現に中間申告をするころには問題が生じておる。その生じておる事態に伴う減額修正をしろ、こういっているのです。
  104. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 これはなかなかむずかしい問題だと思いますが、大蔵省とよく相談をして、その方向にひとつ検討してみたいと思います。
  105. 横山利秋

    ○横山委員 長官に少し苦情を言っておきますが、これはさっき御連絡をしなかったのは悪いけれども、しかし、こういうことはいま町の中小企業で広範に起こっていることなんですよ。ぜひひとつこの問題について長官としても、私は具体的な問題提起をしておるわけですから、お骨折りをいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  106. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 税法上いろいろ体系があって、非常に基本的にむずかしい問題があるからこそ、いまのような大蔵の答弁があったのだろうと思いますが、とにかく大蔵省のほうともこの問題については話をしてみます。
  107. 横山利秋

    ○横山委員 委員長、何か見解表明ありますか。
  108. 鴨田宗一

    鴨田委員長 委員長はありません。
  109. 横山利秋

    ○横山委員 ありませんか。あなたは賛成でしょう。
  110. 鴨田宗一

    鴨田委員長 まあ御想像にまかせましょう。
  111. 横山利秋

    ○横山委員 こんなことを御想像にまかされたってかなわぬ。  私が先ほど委員長と雑談をいたしましたところ、横山君、なかなかこれはもっともだというふうに委員長がおっしゃったのを記録にとどめておいてください。  大蔵省にもう一つ伺います。今後変動為替相場が継続するにしても、あるいは固定相場制に復帰するにしても、やはり完全固定相場制に推移することはやや困難だと思う。そこで為替損失準備金制度があちらこちらで議論をされております。大蔵省はこの為替損失準備金制度についてどうお考えですか。
  112. 山内宏

    ○山内説明員 為替損失に関する準備金をつくれという要望が各方面からあるということは承知をしております。ただ、そういう準備金の場合に、具体的にどういう形で為替損失を準備するかということについては、必ずしもまだ定まった一つの考え方があるわけではないように私どもは受け取っておる次第でございます。たとえば、将来の為替損失を準備するという意味で準備金を設けるといたしますと、一つの考え方としては、手持ちの外貨の金額をもとにしてその何%といったようなものを準備するということになろうと思いますが、その場合は、切り上げ、切り下げ両方の危険に担保をする、あるいはわが国のほうで切り上げ、切り下げということだけでなくて、外国のそれぞれの通貨が切り上げ、切り下げをするということもあわせて担保をするというようなことを考えますと、単に対外債権だけでなしに、対外債務も含めて準備の対象にせざるを得ぬと思いますが、そういうふうにした場合には、たとえば切り上げの危険があった場合には——切り上げの危険と申しますか、日本円が切り上げられる可能性がある場合にそれを担保をするのは、本来でありますれば対外債権についてだけ準備をしておけばよろしいわけでございますけれども、その場合にも、いまのような構想をとります以上、対外債務についてもあわせて準備をするということに相なります関係上、その目的といたします効果に比べまして非常に効率の薄い準備金ということを考えざるを得ないというふうに考えますので、そういう意味からいたしますと、効果の点から、減収の大きいわりには効果が乏しいというふうに私ども考えておりますので、そういう意味で、現在われわれとしては消極的な感じでございます。
  113. 横山利秋

    ○横山委員 この点については、私ずいぶん意見を持っておりますが、また後日にゆだねます。  もう一つ大蔵省に聞いておきます。これはけんかになるかもしれませんが、中小企業者がどうしても個人事業事業主報酬制を実行してもらいたいというほんとうに熾烈な要望が数年続いておるわけです。本質的な改正ではないけれども、若干の改正は行なわれました。しかし、基本的に大蔵省は消極的らしいのであります。大体大蔵省の考え方もわからぬではありません。多くの伏在する問題があるわけでありますが、いま日本中小企業をどうするかという点で具体的なアローアンスのある施策となると、一番オーソドックスな問題は減税と金融です。したがって、この際いろいろな諸般の情勢を踏まえて、大蔵省も税制だけで考えないで、中小企業政策全般の中の一環として、個人企業の事業主の報酬制を実現したらどうか、こういうことを私は言いたいわけであります。このことについては、政務次官もおそらく御賛成だろうと思いますから、まず賛成の弁を一言、言っていただきたいと思います。
  114. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 いま大蔵省のほうは、数回いろいろな御要望をされておるがノーという返事をされておるのですが、通産省というのは、御承知のように大蔵省と違いまして中小企業対策に全力を注いでおる省でございますので、そういう意味合いから、いまお説の問題についてはよく相談をして、できるだけその方向に行くように全力を注いでいきたいと思います。
  115. 横山利秋

    ○横山委員 長官の御意見はどうですか。
  116. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 個人事業主報酬制度の創設につきましては、従来から各界から強い要望があります。それで、私どものほうとしましても、昨年度大蔵省に対して要望いたしました。来年度も要望いたしております。それで、本年度ある程度の前進は見られたわけでございますが、本件についてむずかしい問題、税理論の問題があるということも承知いたしておりますが、私どもは税制改正の要望を出しておりますので、この要望について大蔵との折衝を続けていきたい、こう考えております。
  117. 横山利秋

    ○横山委員 先ほどの私の中間申告の答申に関する通産省側の御意見と、それからいまの問題に関する通産省側の御意見と微妙にニュアンスが異なるし、政務次官と中小企業庁長官との答弁も微妙にニュアンスが異なるし、政務次官は、大体私が見ておりましても、初めてこういう話を答弁をするなら、まず長官に聞いてもらいたい。長官があれほど熱心に言っていることを、あなたは大蔵省を呼んでどうなっておると——向こうはいやだと言うにきまっておるのだから、長官があれほど熱意を込めてものを言うものを、あなたが大蔵省意見を聞いて、そうか反対か、ではおれは適当に言おう、こういう態度では困ると私は思うのでありまして、その点は、通産省は中小企業のために全力をふるうところだったら、先ほどの中間申告で、わかった、ひとつおれにまかしてくれ、大臣はきょうおらぬけれども、おれが一ぺんやってみる、こうこなければうそですよ。
  118. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 さきの問題は、これはどうしても大蔵省の関係もありますし、やはり大蔵省に聞いたほうがいいのじゃないか、そこであの問題は先ほどお答えしたとおりです。しかしいまの問題は、いま中小企業庁長官が二回にわたって中小企業対策として大蔵省に詰めておる、こういう報告があれば、私は二回目ですから、今度はやはり全力をあげてその方向にやってみることをお誓いしたいと思います。
  119. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵省わかりましたね。もうあなたの答弁はいいです。何か言うことありますか——ないでしょう。ではどうぞお帰りください。御苦労さまでした。  次に移ります。簡単なことで伺います。特定繊維工業構造改善臨時措置法、これは終了は来年の三月三十一日でございますね。
  120. 佐々木敏

    ○佐々木(敏)政府委員 法律のうちで、特定紡績業と特定織布業の廃止の時期は来年六月三十日になっております。
  121. 横山利秋

    ○横山委員 私のところへ陳情が来ましたのはどういうことかな。そうすると、三月三十一日で終了するものがある、それで一月から三月までの間ブランクになる、構造改善事業はその間行なえないという陳情がありましたのはどういうことでしょうか。
  122. 佐々木敏

    ○佐々木(敏)政府委員 ただいまのように、法律のその二つの業種につきましては来年六月末になっておりますが、ただ従来の経緯からいたしまして、まだ十分実効のあがっておらない面もございますから、実は昨年十二月並びに本年九月の産業構造審議会の答申で、この二つの業種についてはもう二年延長するという答申になっております。それを受けまして、私ども通常国会に延長の改正案をお願いしたい、かように考えております。したがいまして、先生御指摘の来年一月から三月までの間構造改善事業がストップになるということは私ども伺っておりませんし、またかような事態は起こらぬであろう、かように考えております。
  123. 横山利秋

    ○横山委員 それでは注文をしておきます。あなたはそう起こらぬとおっしゃるのだけれども、業界から、法律が来年の四月からになるから、国会を通るのがそのころになるから、したがってその間はお役所のお役人がまあまあと、こう言っている、したがって実際の構造改善の仕事が一月から三月までブランクになりそうだということでありますから、そういうことに役所の仕事の上でならないようにひとつ御注意を願っておきたいと思います。  次に具体的な問題について伺います。パキスタンで昨年サプライヤーズクレジット七百五十万ドル成立したそうでありますが、これは日本政府が最初認めて、頭金一〇%、金利六%、十年、七百五十万ドル日本繊維機械輸出組合がパキスタンのIDGBと輸銀を通してやったにもかかわらず、その後日本政府が承認しないことになった。パキスタンの経済情勢、印パ紛争等もあってそれは待てということだそうでありますが、こういうふうにドルショックがあってまいりますと、この種の問題につきまして、もう少し政府側として考えるべきではないかというのが一つであります。パキスタン政府はもうすでに承認済みであります。  それから次はインド。インドは日本は一般延べ払い輸出は認めない、インドの銀行保証はいかぬ、第三国の銀行保証を要求しているそうであります。そのために二次、三次と協定があり、その後インド大使からも第四次の千五百万ドルも来たけれども、日本政府はたな上げになっておるためにこの種の取引はヨーロッパへ変更した。これを一般延べ払いとして承認をしてもらいたい、こういう事態となればますますその切実な要求があります。  第三番目、輸出保険制度ヨーロッパEC諸国は半官半民の保険会社がある、日本政府のように政府の承認は不要である、で、保険のついたものは自動的に金融がつく、こういうことであるから、この問題につきましてもすみやかに善処をしてもらいたい、こういう要望であります。  この種の問題を私がここで取り上げますのはいかがかとは思うのでありますが、こういうドルショックで、私が先般申しましたように、単に繊維のみならず、繊維機械メーカーのほうが、社会的には繊維繊維といっているけれども、繊維機械メーカーが非常な打撃を根底的に受けておるから、いろんな注文があるわけでありますが、さしあたり輸出関係についてもう少しこの機会にめんどうを見てやったらどうか、こういう点についていかがお考えになりますか。
  124. 外山弘

    ○外山政府委員 まず第一のパキスタンの件でございますが、御承知のように、本年三月東パキスタンにおきまする内乱の発生という事態が起こりまして、保険の事故事由の認定をいたしましたわけでございます。その後さらに外貨事情が悪化したというふうなこともございまして、五月以来保険の引き受けを停止しているわけでございます。しかし、最近だいぶ外貨事情も好転しておりますし、情勢も正常に戻りつつあるやに聞いております。で、九月の一日以降、短期のものにつきましては再開をしているわけでございまして、すでに若干の件数が輸出代金保険として引き受けられているという事情でございます。  それから第二にインドの件でございますが、インドは御承知のようにやはり外貨事情が非常に悪い。なかなか好転の見通しがない。累積債務も非常に多いというような関係から、政府援助によりまして、累次の借款によって援助をしているわけでございますが、一般の民間信用の延べ払いにつきましては、これはよほどの特殊なケースでないとこれを認めないというふうなかっこうで対処してきているわけでございます。しかしながら、第三国銀行の支払い保証というふうなことでもあって、その輸出契約に対する保証がかなりはっきりしておれば、ケース・バイ・ケースで引き受けるというふうなことはやっておるわけでございますが、インドにつきましてはそういうふうな立場で処理をしているわけであります。  先生御指摘のように、繊維の機械につきましても、それからまたこういう際でございますので、商品援助といいますか、あるいはそういう延べ払いの件につきましても、できるだけ事情の許す限りこれを認めることによりましてそういった影響に対する対策をとりたい、こう考えますが、やはり輸出保険というふうなたてまえから見ては、一つの限界もあるかと思います。できるだけそういうふうな具体的な事情をつかみまして、今後も保険の運用につきまして実情に合った運用、それから保険を要請する事情といったようなものをよく勘案いたしまして考えてまいりたい、こう考える次第でございます。  それから第三番目のECの問題でございますが、御指摘のように、たとえばフランスは公社でやっております。それからドイツはヘルメスという民間会社に政府が保険を委託しております。まあ政府だけでやっておるのはイギリスでございますが、これは政府承認があるといいますか、その半官半民でやりましても、保険の運用につきましては日本のやり方とあまり変わっていないというふうに理解をしております。したがいまして、組織の上で、組織がそうだからもっとうまくいくのではないだろうかという点はないのではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  125. 横山利秋

    ○横山委員 この機会に、まあどうしても内需の振興もなかなかできない段階でございますから、これらの打撃を受けた企業が他に市場転換をするわけでありますから、その市場転換をさせなければならないとするならば、いままで、いまお話しのようにパキスタン情勢だとかあるいはインドの経済情勢だとか、そういう点はわからぬわけではないのでありますが、少なくともこの機会に多少ひとつ緩和をして、引き合いのあるもの、成約のできるもの、ヨーロッパへ逃げていくものをつかまえるような努力をこの際しておいていただきたい、こう希望します。  それからその次は、この間政令案をいただきました。政令案を見ますと、認定基準のところを拝見しますと、法第六条の一項の計画は次に掲げる事項を記載するものとする、といって、イ、ロ、ハ、ニ、四点あり、認定基準については、当該事業転換を確実に遂行するために適切なものであること、ということばがございます。特にここに確実ということを入れられた趣旨、これはまあ案でありますから長官のほうもあまり固執なさらぬと思うのでありますが、一体、当該事業転換を確実に遂行するために適切なものであること、ということばが入れば、実際問題として転換というものはそう簡単に行なわれるものじゃないのだから、私のところがたとえばかじ屋をやっておる、そして、まあ何か隣で食堂でもやりたいという場合に、確実にかつ適切に転換計画がなければならないという逆の受け取り方を、県庁や市役所がする場合が多いと思うのです。転換というものは、こうしたいと思う、ここに土地があります、ここで家を建てます、ここでうどん屋をやりたいと思いますということであって、確実性というものはぼくはないと思う。この確実ということばをひとつなくしたらどうか。当該事業転換を遂行するためにまあ妥当なものであることということが、大体法の趣旨の趣旨たるところではないのか、こう私は率直に思うわけですが、この政令案は案でありますから、何も固執なさるおつもりはないと思うのだが、中小企業庁や通産省の皆さんに会ってお話を聞いてみると、先生これは善意をもって運用しますと、こう言っているんだな。ところが文章になると、転換事業を確実に遂行するために適切なものと、こうなれば、下っぱのお役人と言っては失礼だけれども、どういうことになるか。実際問題として、この法の運用は魂が入らない。私の提案は、当該事業転換を遂行するために妥当なものであること、こういうふうに修正案を、最後案をおきめになるときにはお考えになったらどうか、こう思う。
  126. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 特恵法政令の文言が、いま先生おっしゃいましたような文言になっておりますので、いま政令案としてこういうことを一応考えております。ただ、これから政令案について各方面と話をするわけでございますので、先生のおことばもよく念頭に置きまして折衝いたしてみるつもりでございます。
  127. 横山利秋

    ○横山委員 次は、都道府県知事が、今度は取り消しの場合、事業転換実施していないと認めるときは、その認定を取り消すことができる、こうなっていますがね。取り消しをすれば、金融措置それから税制の措置がここでアローアンスをなくする、こういうことになろうかと思うのでありますが、この期限内に何かの関係で実行ができなかった場合あるいは一部しかやれなかった場合、いろいろの場合があるだろうと思うのですが、この取り消しについても、ここは先ほどみたいなしっかりしたことばではないのですけれども、事業転換実施していないという場合には、どういうことが一体想定されるのかという点について伺います。
  128. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 転換計画に定めましたことを変更する場合、この変更は認めるということでございまして、取り消し以外にどういうことがあるかというと、変更を認めることができるということでございます。
  129. 横山利秋

    ○横山委員 やや私の目を見てにこっと笑われたから、あうんの呼吸が若干そこにあるかと思うのでありますが、この事業転換をしているかいないかという判断について、やはり若干のアローアンスを持って行政措置をなさるべきだと思うのです。ここではもう簡単に、取り消しの場合は実施してないと認めるときといっておるのでありますが、この取り消しの場合の行政判断について、若干のアローアンスを持つべきだというのが私の意見であります。  そこで、政務次官にお伺いします。いま私が申し上げておるこのこと、おわかりになったと思うのでありますが、この法律というものはもう、私が悪口言って悪いですけれども、鬼面人を驚かす題材を設けながら、実際の効果はきわめて乏しい法律なんであります。しかもその効果の中で、事業転換を非常に主力にしておるんだけれども、転換をするにもしようがない。大臣がこの間ここでお述べになりました。何に転換させるのかといわれても私は困ってしまう、こういう意味のことをおっしゃった。そういう中で転換をするというのでありますから、転換の計画が確実であり、もう実際にできてなければいかぬ、とはいいませんが、そうはいいませんが、確実であり、適切なものであるとか、あるいは取り消しがはっきりちょんというような形では、ますますこの法律の効果というものは実際問題として——私は一年たったらあとで一ぺんここで、この法律転換問題にどれだけ効果があったか聞いてみようと思うのですけれども、行政の運営というものが大きく違うわけであります。この点について、政務次官は私の意見をどうお考えになりますか。
  130. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 これは、なかなか転業という問題はむずかしい問題だと思います。そういう意味で、いまも確実、適確、それから取り消しの場合ですが、相当これは弾力的にやはり考えていかなければならぬ、こういうふうに思っております。
  131. 横山利秋

    ○横山委員 これもまた政令で最終的におきめになるときに考えていただきたいところでございます。  それから、先般私がしばしば言うておったわけでありますが、理事会でも修正をすべきだと言ったのは、この転換だけであって事業の縮小がないという点であります。この点は政務次官と一問一答したいと思うのでありますが、少なくとも中小企業ドルショックを受けてどうするかというときに、最初に直面する問題は縮小なんであります。転換はそのあとになる。また、かりに転換をしようとしても、まず計画なんでありますから、実行段階に移るには相当時間がかかる。したがって、いきなりそのまま十のものが転換をするということはあり得ない。一部転換。そうすると、残ったものは縮小するということになる、あるいは転換計画は持っているけれどもさしあたっては縮小ということになる。ともあれ、縮小が一番最初つきまとうのですね。したがって私は、この中に縮小をうたうべきだ、こういうことをもう口をきわめて言うておるわけです。   〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕 与野党の中で御相談を願っておるそうでありますが、この間理事会の中で、もう一つ、浦野委員でありましたか、横山さん、縮小もないが廃業についても施策は何もないということを与党から指摘をなさいました。まことにこれも私はもっとも千万だと思う。縮小と廃業がない。そして転換だけである。転換もきびしい制限に立っておるということでありますから、この際もう少し縮小と廃業について修正をなさるべき必要はないか、そういうお気持ちにならないか。私は特に一般論として、オーソドックスに行なわれる縮小、しかも何でもかでも、百のうち一つ縮小したからって縮小にしろとは言いませんよ。一般的に言われております二割、三割という水準でいいから、それだけ縮小したらこの法律の恩恵に浴せるようにしてやるべきだ、こう主張しているのですが、どうもやはりこの辺になると、修正になりますと長官以下皆さんはあまりいい顔をなさらぬ。ここで、政務次官も向こうを向かぬで私の話を聞いておったほうがいいですよ、私の話を聞いて私に耳を傾けなければいかぬですよ。縮小を入れることによって私はそんなに財政的にも問題はないと思うのです。そんなには問題起こらぬと思うのですね。どうですか、縮小を入れることに賛成なさいませんか。
  132. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 それは、おっしゃることはよくわかるのです。ところが修正ということになりますと、やはりいろいろな問題からむずかしい。(横山委員「どんな問題が」と呼ぶ)たとえば事業に縮小に減産、滞貨を余儀なくされる場合は、本法の目的である経営の安定のための処置としての設備近代化資金返済猶予あるいは信用保険の特例を受けることができる。だから、そういう意味から修正ということになりますと、基本の問題がくずれてくる、こういうふうに思うわけです。
  133. 横山利秋

    ○横山委員 どうして基本の問題がくずれるのですか。縮小というのは、あなた御商売をやっていらっしゃっておわかりのように、ドルショックを受けてこれから景気が悪くなるとすれば、縮小こそ一番最初にだれでも考えることではないか。転換なんというものはそう簡単にできるものじゃないですよ。これから景気がよくなっていくなら転換もいいだろう。しかしまず中小企業は縮小を考えるというのに、縮小を入れてやらないということはおかしい。これは法律の立案過程で、私ども野党でありますから野党が法律の立案過程に参画することはできませんけれども、少なくともこれは法律の立案過程でぼんやりしておったやつがある、だれか立案者が。いま私が縮小問題を持ち出して、ああでもない、こうでもないとおっしゃるけれども、転換ではない、縮小がまず一番の問題だ。縮小をいま平たく考えて、ここに法案があるということを忘れて、まず縮小を考える場合に、一番最初にこれをやらなければならぬと思えることではなかったか。先走りで何でもかんでも転換転換と言っているけれども、転換が目先のいいような政策として飛びつかれたかもしれないけれども、縮小こそ全くオーソドックスな問題ではないか。それをつかまえられなかった、それをひたむきに現場を見詰めなかった立案者の責任問題だと私は思う。これは政治次官に、あなた白紙の問題が言える立場だから、あなたに意見を聞きたい。中小企業立場に立って考えてごらんなさい。
  134. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 それでは、こまかい、事務的に進めてきました長官に答えさせたいと思いますが、これは租特法の改正とかいろいろな問題がからみ合っておりまして、なかなかむずかしいと思います。
  135. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 本法案の事務的な取り進めをしてきました責任者は私でございます。  先般来御指摘がございました。繰り返すようでございますが、この法律適用は、事業転換に関する条項のところだけは、事業縮小の場合には適用になりません。しかし、金融上の措置とかその他は全部適用になります。  それから、結局、租特法の適用を、事業縮小の場合にするかしないかという点でございますが、まあこの点は税制のたてまえからいって、転換の場合は、新規事業のための投資を円滑に行なうように内部留保を増加させるというような前向きの目的を持っている、事業の縮小の場合はそういう点がないというようなことを考えまして、租特法の適用をこの際は受けない取り扱いにするのが至当ではないか、このように考えまして、転換計画の以下の条項に事業縮小の場合を入れなかった次第でございます。
  136. 横山利秋

    ○横山委員 納得できません。立案過程において、本法に魂が入ってないと私は言うのでありますが、この点については納得できません。  第九条に「就職のあつせん等」という項目がございます。非常に抽象的な文章で、あるとすれば、「中高年齢失業者等求職手帳の有効期間の延長」、私の承知しておりますところは、四十五歳以上の人の六カ月を一年ないし一年五カ月にするということだけが具体的でありますが、このほかに、第九条で、この政策として本法によって新たに国が行なうことはどんなことがありますか。  先ほども同僚委員が質問をしておったわけでありますが、本法のもう一つの欠陥は、労働者対策というものについて柱が十分に立っていないということであります。数多くの労働者が退職せざるを得ない、首切りを受けざるを得ない。そしてその場合に、退職金、社内預金、下請代金、賃金等が十分に確保されないままに終わるおそれもある。あるいは場合によっては、百人首切ればいいところを百五十人にする便乗首切り、あるいは不当労働行為というものがあるであろう。また本法のときの経緯を聞いてみますと、一時帰休について政府部内で争いがあったそうでありますが、一時帰休制度について、失業保険の適用本法はされないということから考えまして、本法案のもう一つの最大の欠陥は、労務対策について何らの新しい新鮮味がないということであります。第九条について私が申し上げたことについて御意見を伺います。
  137. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 第九条につきましては、現行の制度を十二分に活用するということが主眼でございます。仰せのとおり、この法律でもって、新たにいわゆる立法事項を規定した条項はございません。現行制度をフルに活用したいということでございます。  それから一時帰休の問題につきましては労働省ともよく相談をいたしまして、いろいろな審議会の場で検討を行なっておる次第でございます。
  138. 横山利秋

    ○横山委員 時間がございませんので問題提起だけをしておきますから、あとで御検討の上、しかるべく、あしたでも私に御解答願いたいと思います。  一つは、先ほど大蔵省は帰りましたけれども、通産省にお願いしておきます。この法律の中に、先ほど還付金の問題を出しましたが、これと関連法規の租税特別措置法の中にも還付の措置があります。しかし私の承知いたしておりますところによりますと、たとえば八月十五日以降決算期の来るものは二カ月後、十月十五日までに申告したものは法律施行後還付するとなっています。私の言いたいことは、還付というものは納税者の権利であると思っているわけですね。自分が納め過ぎたのだから返してもらう権利がある。あたりまえのことですね。それを一定の期日までに申告しなければ、逆説でいうと還付してもらえないということなんです、この法律体系は。そのことについて、大蔵省のやることは、納税者については何回でも更正決定できる。納税者からいうと、そろばんを間違えましたから減額修正をさしてくださいと一回は言えるけれども二回は言えない。自分が納め過ぎたものを返してもらうについて、一定の期限を過ぎたら返してもらえないという法律の体系になっている。この点について、一ぺん中小企業庁として骨折って、そうして、どうなったか私に解答をしていただきたいことが一つであります。  それから二つ目は、先ほど繊維機械についていろいろ問題を提起したのでありますが、もうあれは見込み生産をしない企業でありまして、注文生産をする企業でありますから、ドルショック後、ばたんと注文が減ればたいへんなことなんで、しかもキャンセルがあるわけであります。   〔進藤委員長代理退席、委員長着席〕 そこで文部省との間に話があるそうでありますが、通産省が骨折って繊維機械を教育訓練用にひとつ転用ができないのかということについてどういうふうになっておるのか。通産省はどういうふうに骨折っておるのかという点について伺いたいと思います。  それから三つ目は、織布業の構造改善実施要領の改正をひとつしてもらわなければならぬではないか。これは北陸方面でありますが、構造改善をする、そうして構造改善をすれば、大商社及び大紡績等が仕事があるということで、業務保証の約束がされておる、ところがその業務保証を、こういうことになると守らないということになってくる、その問題をどういうふうに処理をすべきかという問題があります。  最後は、同僚議員がたびたび指摘してきたことであり、私もこの前言ったことでありますが、この前六社ばかり引用をいたしました。この法律の恩恵を受けられる中小企業よりも、一つ上の水準の中小企業、これがどうにもなりません。その点については強く附帯決議にも、ひとつ委員長にお願いしますが、これらの点について最善の努力をすべきであると思います。  いまレポが来まして、本会議開会の時間になりましたというので、御返事をあしたでも適当な機会にいただきたいと思います。  以上です。
  139. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次回は、明十七日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することにし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十九分散会