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1971-11-12 第67回国会 衆議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十六年十月十六日)(土曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 亀山 孝一君    理事 天野 光晴君 理事 金子 一平君    理事 田村 良平君 理事 葉梨 信行君    理事 服部 安司君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 渡辺 武三君       小沢 一郎君    大村 襄治君       金丸  信君    砂原  格君       浜田 幸一君    藤波 孝生君       古内 広雄君    村田敬次郎君       森下 國雄君    山下 徳夫君       山本 幸雄君  早稻田柳右エ門君       井上 普方君    卜部 政巳君       佐野 憲治君    松浦 利尚君       柳田 秀一君    新井 彬之君       北側 義一君    内海  清君       浦井  洋君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十六年十一月十二日(金曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 金子 一平君 理事 田村 良平君    理事 葉梨 信行君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 渡辺 武三君       砂原  格君    藤波 孝生君       森下 國雄君    山下 徳夫君       山本 幸雄君  早稻田柳右エ門君       井上 普方君    佐野 憲治君       藤田 高敏君    柳田 秀一君       新井 彬之君    浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         建設大臣官房長 大津留 温君  委員外出席者         農林省農地局参         事官      住吉 勇三君         建設省都市局参         事官      大塩洋一郎君         自治省行政局行         政課長     遠藤 文夫君         自治省税務局固         定資産税課長  小川  亮君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十三日  辞任         補欠選任   山下 徳夫君     奧野 誠亮君 同日  辞任         補欠選任   奧野 誠亮君     山下 徳夫君 同月二十五日  辞任         補欠選任   浜田 幸一君     大平 正芳君 十一月一日  辞任         補欠選任   大平 正芳君     浜田 幸一君 同月十二日  辞任         補欠選任   卜部 政巳君     藤田 高敏君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     卜部 政巳君     ――――――――――――― 十一月一日  不動産鑑定士等特例試験期限延長反対に関す  る請願奧田敬和紹介)(第八二号)  同(小川半次紹介)(第八三号)  同(左藤恵紹介)(第八四号)  同(正示啓次郎紹介)(第八五号)  同(松野幸泰紹介)(第八六号)  同(三池信紹介)(第八七号)  同(松山千惠子紹介)(第一七三号) 同月二日  不動産鑑定士等特例試験期限延長反対に関す  る請願關谷勝利紹介)(第二三九号)  同(田中六助紹介)(第二四〇号) 同月四日  不動産鑑定士等特例試験期限延長反対に関す  る請願安宅常彦紹介)(第四五五号)  同(塩崎潤紹介)(第四五六号)  表具工技能検定試験合格者建設業許可基準適  用等に関する請願石井桂紹介)(第四八二  号) 同月八日  都市公園整備事業に対する補助金増額に関する  請願宇田國榮紹介)(第七八七号)  表具工技能検定試験合格者建設業許可基準適  用等に関する請願早稻田柳右エ門紹介)  (第八四二号)  京滋バイパス計画変更に関する請願柳田秀  一君紹介)(第八四三号) 同月十日  不動産鑑定士等特例試験期限延長反対に関す  る請願地崎宇三郎紹介)(第九〇三号)  同(春日一幸紹介)(第九五二号)  同(谷川和穗紹介)(第一〇七〇号) 同月十一日  銚子大橋渡橋料免除に関する請願伊能繁次  郎君紹介)(第一一五八号)  不動産鑑定士等特例試験期限延長反対に関す  る請願木野晴夫紹介)(第一二一二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月八日  公共用地先行取得財源確保に関する陳情書  (第六八号)  公営住宅建設費増額等に関する陳情書  (第六九号)  住宅団地関連公共施設整備に対する財政援助に  関する陳情書  (第七〇号)  道路災害防除事業費わくの拡大に関する陳情書  (第七一号)  国道の整備促進に関する陳情書  (第七二  号)  持ち家対策の推進に関する陳情書  (第七三号)  高速道路建設に伴う地域開発促進に関する陳情  書  (第七四号)  高速道建設に伴う用地取得費全額国庫負担に  関する陳情書  (第七五  号)  老朽ため池補強事業に対する国庫補助率引上げ  に関する陳情書  (第七六号)  中国縦貫自動車道等建設促進に関する陳情書  (第一一五号)  河川高潮対策に関する陳情書  (第一一七号) は本委員会に参考送付された。     ―――――――――――――本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  建設行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、  一、建設行政基本施策に関する事項  二、国土計画に関する事項  三、地方計画に関する事項  四、都市計画に関する事項  五、河川に関する事項  六、道路に関する事項  七、住宅に関する事項  八、建築に関する事項 以上八項目について、建設行政実情調査し、その運営を適正ならしめるため、小委員会の設置、関係方面からの説明聴取及び資料の要求等方法により、本会期調査を進めるため、議長承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、議長に提出する国政調査承認要求書の作成及び手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 亀山孝一

    亀山委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  6. 亀山孝一

    亀山委員長 それでは速記を始めてください。  次に、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、川崎市におけるがけくずれ実験事故について、建設省官房長より説明を聴取いたします。大津留官房長
  7. 大津留温

    大津留政府委員 昨日の午後、川崎市生田におきまして発生しましたローム層斜面崩壊実験事故につきまして御報告申し上げます。  実験概要といたしましては、最近の頻発するがけくずれ災害実情にかんがみまして、がけくずれの実態を解明するため、科学技術庁主管とし、同庁防災センター中心となり、消防庁、通産省、建設省がこれに協力して、共同研究として「ローム台地のがけくずれに関する総合研究」と題して、昭和四十四年から昭和四十六年まで研究費約五千五百万円(昭和四十六年度約二千万円)をもって実験を行なっていたものでございます。  実験の内容は、ローム層のがけに人工的に雨を降らせることによりがけくずれを発生させ、その発生機構調査し、がけくずれ災害対策に資するものでございます。  実験に対する建設省の分担でございますが、今回の実験には、建設省としましては土木研究所より三名が参加し、観測の一部を担当しておりました。このほか、昨日の実験に際しましては、土木研究所より十五名がその実験の見学に参加しております。  事故概要といたしましては、今回の実験は、去る四日に予備実験を開始し、十日の午前午後にわたり約百ミリの人工降雨を降らせ、さらに十一日の朝から約三百ミリ、最高時間雨量六十ミリの人工降雨を降らせて、昨日の午後崩壊するであろうという予定をしておったのでございます。  実験には一般人の立ち入りを禁止の上、実験関係者報道関係者等が、安全であると考えられたプレハブ小屋付近実験を見守っていたのでございますが、十五時ごろ、実験主管者が前後二回にわたりがけくずれの予告を行ない、また、事故直前にさらに関係者注意を呼びかけたのでございますが、その直後、幅約三十メートル、長さ約数十メートルにわたって崩壊が起き、これが全く予想しない量、かつ速度でございまして、約二十名が生き埋めとなり、うち十五名が死亡し、十名が負傷したものでございます。  なお、建設省関係職員は、幸いにも被害は受けておりません。  これに対しまして、昨日直らに平泉科学技術庁長官を長とする事故対策本部を設け、関係省からもこの本部に参加して対策に当たっております。また、原因調査のために調査委員会が本日設けられる予定でございます。  一応御報告させていただきます。
  8. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、建設大臣から発言を求められております。これを許します。建設大臣
  9. 西村英一

    西村(英)国務大臣 ただいま官房長から今回の事故につきまして報告がございましたが、まずもって、犠牲者をたいへん出しましたこと、並びに犠牲者の家族に対して、はなはだ相すまない思いでございます。つつしんで御弔意を申し上げたいと思っております。  実は本日の閣議でも、政府は今回のこの事故を重要視いたしまして、総理府事故対策調査委員会を設けたような次第でございます。もちろん科学技術庁中心科学技術庁科学技術庁として対策本部はつくっておりますが、特に総理府調査委員会をつくりました。調査委員会のメンバーも、役人を入れないで、学識経験者五人で構成するということでございます。第一回の会合はきょうの昼開くようでございます。委員長安芸皎一博士ですが、調査委員長になっておるわけでございます。  ほんとう想像もつかないような事故で、研究そのものでこういうような大きい事故を起こしたということはちょっと想像もつかないようなことでございまするが、いずれにいたしましても大きいミスがあったんだということだけは否定ができないわけでございまするから、私たちといたしましても、今後のこういうような研究事故については十分の注意を怠ってはならないということを思うものでございます。  とりあえず皆さま方に御報告申し上げる次第でございます。     —————————————
  10. 亀山孝一

    亀山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部昭吾君。
  11. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 ただいま建設大臣、それから大津留官房長から御説明がございました。政府の、今回の起こった問題に対する遺憾の意思の表明、それから事故が起こった状況経過等について説明があったわけでありますが、第一に、きのう事故が起こった。そういたしますると、報道陣やその他が危険な場所におったからなんだ、こういう言い方をしておるようですね。たぶんあれは、私の記憶によれば、科学技術庁関係のどこかの部署の人じゃないかと思うのですが、いわば政府関係立場にある人であります。いま大臣説明によりますと、どこかで大きなミスがあったんだということであります。したがって調査委員会ということになるのですが、十五名という人命を失う、こういう事故が起こった、また大ぜいのけが人が出た、この責任は基本的に一体どこにあるのか。調査委員会をつくってずるずるやって、こうこうこういうことで事故が起こりました、今後はかようなことは再び繰り返さぬようにいたしますということなのか。今回起こった事故経過——今回だけのことじゃなしに、どうも危険な場所に来ておったからこういう事故になったんだ、こういう言い方さえ政府のどこかのポジションにいる方が言っておったようでありますけれども、私はこの基本的なところに責任体制の、あるいは責任感の欠如というのがあると思うのです。所管の平泉長官は進退伺いを出しておるかどうか、聞きたいと思うのであります。
  12. 西村英一

    西村(英)国務大臣 責任は一体どこにあるのだ、あやまっただけでは済まぬじゃないかということはもっとも、わかります。どこにあるか。端的に言えば、やはりこういうことを計画した政府にあると思います。しかし、平泉長官は進退についてどういうことを考え、どういうことを総理に申し上げたか、それは私はいま存じておりません。
  13. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 西村大臣はどう思いますか。
  14. 西村英一

    西村(英)国務大臣 私は個人的にそういう問題について触れないほうがいいと思います。
  15. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 それはどういう意味ですか。事故は起こったから起こったのだ、そういうことは言わぬほうがいい……。政府責任感政治姿勢勢、これを私は問うておるわけです。触れないほうがいいという問題じゃないと思う。
  16. 西村英一

    西村(英)国務大臣 いや、そういうことは私から申し上げる範囲を越えた問題でございまするから、私はそう思っておるわけでございます。
  17. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 あなたならばどうしますか。私どもは、たとえばかつて隅田川の橋脚を工事しておる際にも、農村から出てきておった季節労務者が大ぜい死んだ、あるいは至るところのがけくずれや何かで、あるいは工事中に、その他たくさんの犠牲者が出ておる。そういう意味で、今回は幸いにしてというとよくないけれども、西村大臣の直接の責任ではなかった。しかしもしこの場合、そういう責任の衝にあった者はいかなる責任感を持っておるのかということは、政治に対する国民の信頼を確保していくために不可欠の問題だと思うので、触れないほうがいいという問題じゃなくて、やはり明快に所信を述べてもらわなければならぬと思う。
  18. 西村英一

    西村(英)国務大臣 君だったらどうするのかという非常な、何と申しますか、仮定の問題でございまするが、それはその場合の自分主観に基づいてやはり態度をきめなければならぬので、それはぼくだったらこうするのだとは一がいに私はなかなか言えないと思いますが、いずれにしても、たとえ科学技術庁主管してやっておっても、私のほうも無関係であったわけではないので、三人の研究員をやってそれに参加させておるのでございまするから、私にも十分責任はある。責任は私にもあろうかと思います。大いに反省する。しかし、科学技術庁長官立場であったらどうするかということは、この場合なかなか言えないと私は思います。
  19. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 少なくとも災害の現場に復旧対策その他で行って事故が起こったというのと違うのですね。しかも私が非常にやるせない気持ちを持ちますのは、事故が起こったのは報道陣関係者があまりにも大胆にそばに寄っておったからだ、最初はそう言っておった。だんだんなってきたら、予想以上のスピードと量が一気に出てきたからだ、こういう言い方をしているのですね。私はそこで感ずるのは、やはり先に立つ指導者事故責任というものを明瞭にしなければ成り立っていかぬ問題だと思うのです。そういう意味で、いまの大臣答弁は、自分のほうも全く無関係ではないとおっしゃるのですが、大臣仮定の問題には答えませんなんということじゃなしに、私ども聞きたいのは、今後建設行政を推進する過程でいろいろたくさんの問題が起こってくると思うのです。起こり得る可能性条件を持っておるわけです。したがって、その際に指導者はどういう心がまえと決意を持っておるのかということが明らかでなければ、政治に対する信頼感というものは生まれてこないと思う。行政に対する信頼も生まれてこないと思う。そういう意味で、この際あいまいな答弁ではなくて、少なくとも政治家として長い長い経歴を持ち、われわれが評価をしております西村大臣として、やはりその辺の政治家としての所信、決断、こういうものをお聞きしたいので、ございます。
  20. 西村英一

    西村(英)国務大臣 報道陣がそんなに前のほうにいて、危険なところにいるからだというようなことは、これは私はいまあなたから聞いて初めて知ったことなんです。だれがそういう乱暴な意見を吐いたか全然知りません。またそういうことは言語道断の話です。またおのおのの人も、それは危険であるからと言って、そんなところにおるはずはないのです。そこに非常なミスがあったのでしょう。  そこで、私が科学技術庁立場であったらどうするかということでございますが、それはやはりそのときの状況とかということで、私が現在科学技術庁立場に立ってそれを云々するというのはちょっと適当でないと思いますから私は何とも言えない、こう言っておるのでありまして、決して私は逃げておるわけではないけれども、私はそう思うのです。
  21. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これ以上押し問答はいたしませんが、大臣、私が問うておるのは、仮定のこととかなんとかということではない。方々の自治体の村長さんだとか町長さんが、部下職員に万が一、汚職や何かがあった場合は私はいつでもやめますということを議会で明言しておる指導者もいるのですよ。私がいま問うておるのは大臣——やはりこれだけ日本の膨大な建設行政を進めていかなければならぬ過程ではたくさんのそういう問題が起こり得ると思う。その条件が全く皆無だとは言えない状況下にあるわけです。したがって、常に不断に心を引き締めていかなければならぬ。そういう意味では指導者決意所信というものを明らかにしておくということが必要なのではないでしょうか。そういう意味で、仮定の問題ということではなくて、私は、指導者は一体いかにあるべきかという意味所信を問うておるのです。適当でないとか適当だとかいう問題ではないと思う。いま言ったとおり、いなかでは、部下職員に腐敗や汚職の事実があったら私は直ちにやめます、こういうことを議会やあるいは住民の前でも明言して市政をやっておる首長の方を私は知っておるのですよ。私は指導者姿勢は何が問題なのかということを言っておるのです。
  22. 西村英一

    西村(英)国務大臣 もちろん指導者はそれだけの心持ちを持ってそれはやらなければならぬことは当然でございます。しかし、私がここでその問題に触れて、たとえ私の主観から出たことを言いましても、それはいろいろな響きを与えることでございますから、この際私は言わないほうが、私の気持ちとしても、また事柄にもよりまして、事故調査をしようというのですから、そこまで私がその立場になってどうするかということは、ちょっとこの際は言わないほうがいいだろう、こう自分で考えておるわけでございます。
  23. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そういうコンニャク問答みたいな答弁は納得はいたしません。  最後に、今回なくなられた皆さんあるいはけがをされた皆さん、こういう皆さんに対する補償、これはひとつ万全を期してやってもらいたいということを希望しておきます。  終わります。
  24. 西村英一

    西村(英)国務大臣 犠牲者に対することは、きょうも科学技術庁長官から万全を期する。私たちもまたその点につきまして万全を期するように、関係のところでそれぞれ弔慰のあれをやるでしょうから、それは私も協力をして万全を期するようにしたい、かように思っております。
  25. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、小川新一郎君。
  26. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、お忙しいところで御苦労さまでございますが、今回なくなられた方々の御冥福を祈るとともに、こういった惨事を二度と繰り返してはならない。アメリカがアムチトカ島で実験したような核実験と違う実験でございます。そういう面においてもわれわれは、建設省中心になって急傾斜地崩壊防止法という法律をつくった。特にこの急傾斜崩壊実験を三年もかかってやったという背景については、おそらく都市計画の中で急増地帯宅地造成問題、また関東ローム地帯とか九州方面のシラス問題、こういった土壌の問題等々を勘案の上でこれは実験を行なったと思うのでありますが、建設省といたしましては今後こういう実験をどんどんやっていかれるお考えがあるのですか。
  27. 西村英一

    西村(英)国務大臣 これは普通のことでございますが、やはり研究は必要だということはこれはもちろんでございます。そのやり方とか規模とか方法というものは、今回のこの事故から考えまして当然これは改善されなければならぬと思っております。すべての研究を打ち切るというようなことではなくて、やはり研究研究として続けていきますけれども、方法等相当に考えなければならぬのじゃないか。ことに今回のこういう相当にその方面学識経験者方々がそろっての事故ですから、何があやまちのもとになったか、その辺は私も非常にふしぎでたまらないのです。しかし、こういうことを再びやる、こういう規模研究をやるとかいうようなことは別として、やはり研究はやっていかなければならぬと思っております。これはある何カ年計画でやったのですから、この計画はこれで一つ終止符を打ったようなことになるのでしょうが、新しいローム地帯に対する対策とかなんとかいうようなことについては、これはまた別な観点から調べていかなければならぬのではないかと思っております。現に先般私はちょっと陳情を受けましたが、このローム地帯の東京都及び埼玉県あるいは千葉県、神奈川県というような県知事さんから、ローム地帯工事をやるのも工事費が非常に高くつくからいろいろ研究をしてくれ、そういうような陳情も受けたことがございます。方法は別といたしまして、今後もいろいろ研究という点については続けていくべきじゃないか、かように思っております。
  28. 小川新一郎

    小川(新)委員 こういうことを言うことははなはだ不謹慎であって、私好ましくないと思うのですが、こういった委員会でございますので明らかにしたいのですが、こういった急傾斜地崩壊の問題で一番問題にするのは災害対策特別委員会で、われわれは十分視察にも行きました。実際そういうのを見ているときに——建設省のお役人も直接行っているわけですね。このがけくずれのおそろしさを一番よく知っている建設省としては法律を出したわけですね。急傾斜地崩壊防止法案を出した。ところが、建設省のお役人が十八名も行っておられて、こんなことを言うのははなはだいかぬのですけれども、犠牲が出てないことはたいへんしあわせだったと私は思いますが、また一面ひっくり返して話をしてみると、建設省の方がよく実態を知っておって、あのような防護さくとかあの程度のことでは危険なんだ、こういう実態のもとに前のほうに行かなかったのじゃないかというような考え方も私はするのですけれども、そういった問題が一つほんとうによく知っていらっしゃるのは、建設省のお役人が一番よく知っていらっしゃるのじゃないかと思うことが一つ。それはそういう実態から見てもそういうことがあらわれておる。  第二点は、この計画そのものについてはだれが最終の責任を負うのか、この計画をしたことについて。要するに、建設省がこういった問題を法律の面、いろいろなこれからの宅地造成建設行政で必要だからどうしてもやらせるのだ、やってそれを行政の上に反映させるための実験であるならば、今回の問題についての責任というものは建設省が最終的に持つのではないのか。また持たないでおるならばどこが一体責任を持っているのか。そして最後のチェックはだれがしていくのか。この三点についてお願いいたします。
  29. 西村英一

    西村(英)国務大臣 建設省の方がその難からのがれた、それがどうもちょっとおかしいじゃないかというようなことですが、それはやはり偶然であったのであろう私は思います。何も憶病で遠いところにおったからということで難をのがれたんじゃないと思います。  それから法律としては、私のほうは災害防除をやらなければならぬのですから、急傾斜はもちろんですが、それは各省でやってこういう事故が起こったんだから——私のほう、それから通産省の地質調査所、それから科学技術庁で、計画科学技術庁中心になってやったんですから、それの中心科学技術庁でございます。私のほうもそれに若干の経費をいただいて加勢をした。この計画については私はそういうふうに聞いておるのでございます。
  30. 小川新一郎

    小川(新)委員 地元では、危険だからこの土地についての研究はやめてくれ、実験はやめてくれ、こういうふうに言っているのに、学者がやることなんだから心配はないと言って押し切った。また地元の川崎市でも、がけくずれの問題で参考になり、またそういった面でやってくださるという態度に押し切られたということが新聞報道なりで報じられているし、きのうわが党の議員が現地に行って聞いてきたところによりますと、そうである。そういった地元の意向というもの——科学技術庁の人たちよりも建設部門で一番苦労なさり、こういうところにおうちを建てることの人命の危険というものを痛切に感じているのが地元の自治体の方であり、また当面建設に携わっている建設省役人の意向というものは非常に強く動かなければならぬ。できたあとだからこういうことを言っていると言われればそれまでなんですが、そういった万全の配慮をなされなかったところに原因があると思うのですが、地元の反対ということについては建設省としては何らか察知しておったのか。またそれについてはどういう説得をしたのですか。これは大津留さんにお聞きしたい。
  31. 大津留温

    大津留政府委員 先ほど大臣から御答弁ありましたように、この実験科学技術庁主管し、中らとなってやったので、建設省としましては三人の技術者をこれに参加せしめ、観測の一部を分担したというような関係でございましたので、実験そのものの全体計画については関与していなかったような実態でございます。
  32. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間がありませんから関連を……。
  33. 亀山孝一

  34. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 今回の事故による犠牲者に対しましては、まずもって心から弔意を表する次第でございますが、いずれにいたしましても今回の事故は全くの人災である、こういうふうに考えるわけでございます。過去に台風、大雨等によって、急傾斜地の崩壊により人命が失われた例というのは非常にたくさんあったと思うのです。そこで、建築基準法に関連すると思いますが、いま急傾斜地の付近に建築が許されておるのは、私の記憶する範囲では、たとえば十メートルの高さがあればその倍ですか、二十メートル離せば建築は許される、こういう形になっておろうかと思います。ところが今回の事故等を考えてみますと、従来の経過を振り返って見てみましても、実際にはそれでは間に合わない。ことし起きました事故を私も実際に経験したのですが、高さ四メートルの急傾斜地がくずれて、その人家は十二メートル離れて建てられておったのだけれども、やはりその人家もろとも土砂にのまれてしまった。そうしてとうとい人命が失われたという事故が私の近くに起こったわけです。  そこで私自身は、従来からそういう事故がありながら、建築基準法でいまだにがけの高さの二倍にわたる範囲をとれば建築が許されるということが続けられておること自身非常に疑問に思うし、特に今回の実験等を見ましても、実験小屋が建てられておるわけですが、その小屋そのものももう土砂に取り巻かれた、こういうことですから、今回予期せざる急速な土砂くずれによって不測の事故が起こったのだというふうにおっしゃっておりますけれども、ほんとうにそうなんだろうかというふうに反省をしていきますと、決してそうではなくて、過去にもそういう例が幾らも起きて実際にはとうとい人命が失われておるにもかかわらず、それらの反省がなされていないというところに非常に大きな問題があるのではなかろうか、こういうふうに私は考えるわけでございます。その辺の建築基準法の関係、さらに、実験小屋は一体何メートル離れて建てられておったか知りませんけれども、ほんとうに予測せざるスピードと土砂量が落ちてきたのかどうか、過去にはそういう例はなかったのかどうか、その辺ひとつ大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。
  35. 大津留温

    大津留政府委員 過去の実例を十分調べておりませんけれども、御指摘の建築基準法のがけの高さと建築すべき距離の問題、これはやはりがけの構造なりあるいは地質なりによりましていろいろ違ってこようかと思います。お話しのように、地質によりましては二倍程度ではなお危険があるという場合もあり得ると思います。したがいまして、建築基準法の上におきましては災害危険区域という制度を設けておりまして、そういう危険性のある場所におきましては条例でいろいろ規制をするという制度になっております。それが必ずしも十分活用されておるかどうかという問題はなお残ります。そういう実態ではございますが、今回のような事故にかんがみまして、現行の基準法の基準がなおそれで足りるかどうか、十分検討していかねばならぬ問題だと考えます。
  36. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 過去の実例をよく把握していないという話ですが、それでは私はもう何にもならないと思うんです。実際に過去にそういうとうとい人命が失われた事故がたくさん起きておるんですよ。それを一つ一つこまかく分析、解明をして、そうして再び人命が失われないような対策を施していくという責任は当然あるわけでしょう。どうなんですか、その辺。
  37. 西村英一

    西村(英)国務大臣 いま官房長が言うのは、そういうあれをいま持っていないということだろうと思います。もちろんそういう事故が起これば、がけと人家との距離、そういうものは十分調べていっているわけでございます。したがいまして、それはたくさんな事故がございますから調べておりますけれども、いまそのたくさんのあれを持っていないというわけでございます。私は、がけと人家との距離、それがいま建築基準法でどうなっておるか存じませんでしたから官房長に言わせたのですが、これは当然調べなければならぬ最も大事な問題でございます。これは余談になりますけれども、大崩海岸の事故、あれは非常な研究をせられまして、あそこで原形の、トンネルそのままでやろうかしらんと思ったけれども、学者を動員してやらせましたら、いかなる防護措置を講じても、スピードにより、また上から落ちてくる重量によってとても防ぎ得ないということで、別ルートを通って、多額の金がかかりましたが、海岸を通したのですから、そういうことについては十分調査はいたしておる次第でございます。
  38. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうもポイントがはずれてくるのですけれども、そうではなくて、つまりそういう急傾斜地がくずれてきた場合には一体どうなんだろうかという実験をなさったわけでしょう。そういう実験をなさるときに、過去の例があるのだから、その際実際には安全係数というものをとらなければいかぬわけですよ。自然に、知らぬうちに起こったわけではないのですから、わざわざ人工的に起こしたわけですから。新聞報道によれば、科学技術庁の係官か何かが三十メートル離れてくださいと言ったと出ておりますけれども、それは過去の例から見ましても、おそらく当然こういう事故が起こるということは明らかですね。そこに建設省方々もたくさん行っておるのだし、そういうことは過去の例から照らして十分御存じだったのではないか。なぜ建設省はもっと大きな声で、三十メートルくらいでは足りないのだ、もっと遠くに避難をして見なければいけないということが言えなかったのか。全体がもっと安易に考えておられたのか。事故が起こってから、予期せざる土砂が猛スピードで落ちてきたのでどうにもならなかったということだけでは済まされない問題だと思うのです。何のためにいままでとうとい人命が失われてきたのですか。今回は人工によってわざわざ土砂くずれを起こしておる。それにもかかわらず人命が失われてしまった。これで一体防災計画なんというものはできるのですか。先ほどから阿部君も追及しておりましたように、今回の事故は明らかに人災だと思うのです。政府政治責任というものはきわめて大きい。私はいまの答弁等を聞いておりましても、本来的に過去に起こったとうとい犠牲のそれをほんとうに無にしておる。これでは何にもならないと思うのですね。人命尊重だとかなんとか、口ではうまいことを言いますけれども、実際に行なわれていることはどうも人命軽視のことが行なわれているのではないか。私は、こういう点について非常に重大な反省をしていただかなければいけないということを強く要望しておきまして、終わります。
  39. 小川新一郎

    小川(新)委員 急傾斜地崩壊防止の法律、これを実施するには地方公共団体ではいま非常に重荷になっておる。そういう面で、安全対策からいきますと、たとえばいまお話がありましたように、今回の場合、山頂からののり面、下までの距離が百メートル、角度が三十度で、その高さが一体どれくらいあった実験なんですか。こういった問題がはっきりしませんと、急傾斜地崩壊防止法なんといって出されているあの法律が私はいま疑問になってきているのです。あの法律に出されたのと同じような危険度に従った実験をしなかったら意味がない。この高さが何メートルかわからないのですが、底辺百メートルのそして三十度の角度ではかれば当然高さが出てくるのですが、正確にその高さを要求したいのでありますが、そこからわずかに離れて、五十メートルのところに小屋が建って、防護さくがあった。こんなことは急傾斜地崩壊防止法の中にもうたっていない。三年間も準備段階を踏まえながら、建設省役人が今回も十八人の方々が行っていらして、法律を出したところの所管のお役人さんが見ている前でそういう無謀な計画を許可した責任は一体だれにあるのか。またその問題について国立防災科学技術センターのほうでゴリ押しをしたのかどうか、そういう点が問題になってくると思うのです。私はこの実験ほんとうに生かされてこれからの法律の中に盛り込まれて、なっていくのじゃないかと思っております。どうかひとつよろしくお願いします。その点の質問にお答えいただきたい。
  40. 大津留温

    大津留政府委員 お尋ねの実験のがけの高さは三十メートルというふうに報告されております。
  41. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、浦井君。
  42. 浦井洋

    浦井委員 なくなられた方に哀悼の意を表するとともに、けがを受けられた方が早くよくなることを祈るわけであります。  今度の実験の大体の前提、ことしもつい九月の台風二十五号で千葉県下だけでもがけくずれで五十六人の方がなくなられた、こういうようなことで、国民的な要望として危険な個所に対する科学的な調査が非常に要望されておった。これにある程度こたえた実験であるということで、実験そのものは技術者の良心に基づいた、非常に精神的な意義を持ったものであるというふうに思うわけでございますけれども、現実にこうして事故が起こってきたということで、その実験のやり方に非常に大きな認識不足があったのではないかというふうに思わざるを得ないわけなんです。関東ローム層で、しかも連続雨量が、先ほどの官房長のお話では四百ミリということであれば、相当規模な山くずれが起こるというふうに予測しなければならぬにもかかわらず、こういう事故が起こっておる。安全性が全く考えられておらなかったようなやり方で実験がやられたのではないかというふうに思うわけですが、ひとつ大臣の御認識をお聞きしたい。
  43. 西村英一

    西村(英)国務大臣 私も、今度の実験がどういう計画でどういうものか、一応役人から聞きましたけれども、まだ自分としてずっとこなして調査をしておりません。いたす時間がないわけでございます。そこで、研究者は十二分にその安全性はみずからは考えておったのでしょうが、どこかに何か抜け目があったということはこれは否定することはできないのであります。これから事故調査対策委員会ができまして事故調査をするわけですから、その間に判明することでございます。連続雨量四百ミリないし五百ミリ、しかも時間雨量にしても相当な雨量をやっておるのですから、相当な危険性があるというようなことは十分踏まえてやっておるものだと思いますけれども、こういうことが起こってから、まだ私としても実験そのもののやり方を十分つかんでおりませんので、何とも申し上げられないわけでございます。
  44. 浦井洋

    浦井委員 そこで大臣、時間がないそうなんで要望しておきたいのですが、本年度、各地でがけくずれが起こっておる。実験でさえもこういうがけくずれが起こるということで、やはり防災対策に対する認識が非常に不足しておるというふうに思うわけなんです。そこで大臣、今度の事故現場にさっそく行かれて追跡調査をし、今後その原因を徹底的に究明する、その先頭に立ってやっていただきたい、これを要望したいと思う。  それから、これは専門的なことかもわかりませんけれども、地質学や土の性質というようなものについて実際的な研究というものが科学的に非常におくれておる、こういうことを私聞いておるわけなんです。おくれておるということは即、金が不足しておる。そこへ出す予算が不足しておるということだろうと思う。そういう点で、今度の事故を頂門の一針にしていただいて、この方面でも十分な予算措置をとっていただきたい。  それと同時に、安全性ももちろんですし、今度なくなられた方に対する補償、それからけがを受けられて現在入院されておる方の治療の問題、こういうことでも十分な配慮をひとつお願いしたいと思うのですが、御意見をお伺いしたい。
  45. 西村英一

    西村(英)国務大臣 これはざっくばらんに言いまして、急傾斜地が全国で調べて一万四千カ所もあるだろう、こういうような個所について予算も非常に少ない。ことしでわずか十八億くらいでなかったかと思いますが、来年はもう少しふやします。しかし、どんなに予算をかけてもなかなか防げないところもこれはあると思います。私は鹿児島の事故を見ましたが、シラス土壌なんかはこれは想像がつかないのです、山それ自身が動いてくるのですから。したがってそういうところは、人命の事故をなくするためには、やはりそういう降雨量が相当に多いというときには公共団体を通じて避難の体制をとらせる。あるいはもうそういうようなところは集団的に移転をさせる。やはりいろいろな方法で防がなければならぬと思っておりまするけれども、この急傾斜地、これだけの大きい個所に対して防ぐには予算の点を十分考えたい。事故の現場に私もまだ行くいとまもございませんが、この問題については私も十分研究したい、かように思っておる次第でございます。
  46. 小川新一郎

    小川(新)委員 では続けますが、大臣のいまの御決意は私非常に不満足です。たとえその十八億が二十億かかっても、わが建設省としてはどんな万難を排してもこの問題に対して真剣に取り組んでいただかなければならぬ。こういったなくなった方々の御冥福を祈る立場に立っても、われわれ建設関係がやはり生活の分野に関連して最先頭に立つところですから。科学技術庁のほうはそういうものを実験する段階なんです。われわれ建設省側としては、こういった問題が住宅問題、都市計画宅地造成といった実際の分野に影響してくるのですから、この実験を通して、もっと強力なお金をいただいたらあれだけれども、損害が防げないとか、そんな弱気であっては困る。いまも言ったとおり、こういった問題はそういうところを目的として行なわれたのでございますから、もう一ペんちょっと決意のあるところを聞きたいのですよ。
  47. 西村英一

    西村(英)国務大臣 私の言い方を誤解してとられましたか、急傾斜の防止のためには予算をもう少しつぎ込まなければならぬ、こういうことを言ったわけです。今回の事故についてはもう少し研究したい。科学技術庁は学問的なそういう実験をしたのであって、すべて私のほうが国民生活に密接な関係を持った、直接関係があるのですから、あなたの言うことは十分私は了承するわけでございます。
  48. 小川新一郎

    小川(新)委員 全日空機と自衛隊機の衝突事件、また成田の警察官の殉職事故、こういった面に照らし合わせて、補償の額でございますが、建設大臣としてはどれくらいのあれがございますか。そういった補償について、前例に合わせて大体お支払いをするような御計画、お考えがあるのですか。また閣僚会議等で大臣としてはどういう御意見を出されるお考えなのか、ちょっと御決意を聞きたいと思うのです。
  49. 西村英一

    西村(英)国務大臣 きょうもお話が出ましたが、まだ具体的な数字等は結論を得ておりませんが、私も十分な補償をすることについてはひとつ努力したい、かように思っておる次第でございます。
  50. 小川新一郎

    小川(新)委員 最後に、死体の引き取りの件について非常に問題になっているのは、病院においては早く死体を引き取ってくれということで、役所のほうはどんどん引き取ったのでございますが、報道関係、読売新聞の記者の方は、おかあさんとそのなくなられた方と、親一人子一人というかわいそうな御家庭のために引き取ることができなかった。それでもって、それが民間だったらもっとやるのに、お役所の事故のときには責任の持ち回りであった、こういった苦情が、事後の処理の問題についていま現地において非常に出ておりますが、こういった事後の死体処理の問題等を含めて、まだまだ混乱しておる関係もございます。対策本部ができておりますが、実際にはそれが機能を発揮していないという点については非常に遺憾に思っておりますが、大臣最後にこの点について対策の考え方、いまのような具体例を私はあげましたから、それについての見解を述べていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
  51. 西村英一

    西村(英)国務大臣 そういう方のためには、建設省といたしましても十分な力を尽くしたいと思っております。
  52. 亀山孝一

    亀山委員長 がけくずれ実験事故についての質疑はこの程度にとどめます。  次は藤田高敏君。
  53. 藤田高敏

    藤田(高)委員 私はきょうは特別出席というような形になりますが、お許しをいただきまして、主として新都市計画法に基づく問題について質問をいたしたいと思います。  まず、事務的なことになろうかと思いますが、新都市計画法に基づく、俗にいわれておる線引きがいま相当具体的に進んでおるわけですけれども、新聞その他で報道されておる範囲では、当初の計画よりも相当おくれているのではないか、こういうふうに聞いておりますが、現在、建設省が当初線引きの予定地域として計画したもののうち、線引き完了地域は全体の何割程度、いまだに線引きが完了していない地域はどの程度あるか、そういった進捗状態をまず聞かしてもらいたいと思います。
  54. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 お答えいたします。  現在までにいわゆる線引き作業の完了いたしました市町村は四十四都道府県、六百九十三市町村でございまして、全体の八七・五%でございます。
  55. 藤田高敏

    藤田(高)委員 当初計画したもののうち一二・五%は残っておるわけですが、その個所数及びまだやっていない県名ですね、これを説明してください。
  56. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 残りの県はそれぞれ現在進行中でございまして、都市計画の案の縦覧を終わったところが二県、八市町村でございます。それから建設省とまだ事前協議中であるという府県が、京都府など四府県、二十六市町村でございます。それから公聴会を開催してしまって済んでいるという県が三県、十六市町村でございます。それからその他が、まだ公聴会の開催日が未決定という都市を残しておる道府県、ほかは済んだけれども一部残っておるというのが十一県、北海道、茨城、群馬、静岡、三重、岡山、広島、徳島、福岡、佐賀、熊本の十一県中に残っているところがございます。
  57. 藤田高敏

    藤田(高)委員 ごく概括的な進捗状況については理解することができますが、見通しの問題について、これも新聞記事によれば、約五十カ所ないし六十カ所の地域については見通しとしてめどが立たない、いわゆる線引きができないのではないか、こういう一部報道がありますが、そういった見通しについて聞かしてもらうと同時に、当初予定したものよりも相当時間的にはおくれておると思うのですが、いま説明のあった地域を含めて、おくれている具体的な理由あるいは原因といったようなものについて説明をしてもらいたいと思います。
  58. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 線引きの作業が各市町村にとりまして非常に大きな問題でございますので、時間的に予定よりもだいぶんおくれております。法施行以後二年以上たらまして、まだ以上申し上げたような段階にありますので、できるだけ早くこれをそろえたいということで、建設省におきましてはぎりぎり来年の三月までには全部手続を終了させたいということで、関係の、まだ未定の県を呼びましてその事情等を調査して、これから対策あるいは促進の方針をきめようとしております。  おくれておりますいろいろな原因がございますけれども、一つ政治的な県内事情等で、たとえば知事選挙等で手続的におくれたというような点が一つある。それからもう一つは、内容的に見ましてやはり問題になりますのは農業との調整ということでございます。特にその中に含まれますところの農地との調整の問題に隘路がございます。これが第二点でございます。その他いろいろございますけれども、大きな理由としましてはそういう特殊な事情があるところにつきましておくれている、そのように理解しております。
  59. 藤田高敏

    藤田(高)委員 選挙その他でおくれておるということは主体的な条件にはならぬと私は思うのです。問題は、この新都市計画法それ自体の中身の問題でこの新都市計画法に基づく線引き自身が非常におくれてきているのではないか。それは、いま説明もありましたが、これは見方にもよりましょうけれども、その一つとして、この法律相当地域住民の権利を半ば不当に制限をする条件がある。二つ目には、これはあとでも触れたいと思いますが、主として農民のサイドからする税金問題を中心とする非常な犠牲、負担の増大ないしは不利益扱いの条件が強い。三つ目には、この法律自身が人口十万以上の都市あるいは新産都市ないしは工特地域の指定を受けた地域というふうに画一的にきめておるために、そういう画一主義からくる弊害というものが障害になって、なかなか線引き自身が前向いていかない。こういうことになっているのじゃないかと思うのですが、私自身の見方なり認識に同調できるかどうか、私自身の考え方、見方が間違っておるのかどうか、そのあたりの見解を聞かしてもらいたい。  と同時に、いまの説明にもありましたが、農業関係の問題については、これは特に建設省自体としても、また農林省としても、あるいは自治省、関連省として、この段階においては洗い直すというか、再検討の時期に来ておるのじゃないか。というのは、これは質問の時間を効率化するために集約して申し上げますが、この法律ができたのが昭和四十三年、四十四年の六月から施行。ところが、法律としては、器は四十四年にできたけれども、実質的に、たとえば市街化地域の中における農地に対してどういう税金のかけ方をするかという実体論としての法律はことしの三月にできた。ですから、そういう中身が、法律ができてみないことには、該当地区の住民といえども、該当地区の農民といえども、この法律によってどうなるのだろうということはごく抽象的にしかわからないわけですね。そういう中身がだんだんわかってくる。新都市計画法というのは、一面都市化を形成促進さしていくためには非常にいい法律だというような見せかけをやっておきながら、中身をよく検討してみると、これは毒まんじゅうじゃないけれども、おかしな条件がたくさんあるぞ、こういうことになってきてこの線引き自身が非常におくれてきておるのじゃないか。ですから、いままでのおくれと、いま答弁のあった現在時点においておくれておる条件というものは、なかなかこれは前向いて進まないような条件といいますか、そういう事態の性格を持っているのじゃないかと思うのですが、そのあたりの見方について答弁してほしいと思います。
  60. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 御指摘のとおり、都市計画法策定の過程におきましても、最も中心の議論になりました点の一つに農地との調整、特に農業との調整という問題があったのでございまして、都市計画法の中に、農林漁業との調整をはかりつつというようなことを冒頭に書きましたのもそういう点を考慮したからでございます。  御指摘になりました市街化区域の中に含まれることとなる農地については、農地法の適用を除外したという点におきまして画期的な意味を持つものでありまして、市街化区域は計画的にすみやかに、おおむね十年以内に市街化をはかろうとする区域としてきめる以上、農地法との調整をそのようにとったのでありますし、それから段階的に市街化を進めていく必要上、調整区域はしばらく待てという、そういう時間の観念を都市計画区域の中に入れまして、どこでもあたりかまわずスプロールしていくという従来の姿勢を、計画的な都市計画姿勢に変えようとするところに一つのねらいがあったわけでございます。  したがいまして、農地の所有者からいたしますと、早く市街化して財産価値としての農地の価値を高めたいという地主的な欲望が、調整区域になりますと果たされないのではないか。それからもう一つは、市街化区域の中において、今度は逆にもっとずっと農業を続けていたいのに、それがいつでも宅地化し得るということになったために、それから起こる、主として税金の問題だと思いますけれども、負担がかかりはしないか。この二点に問題の重点がおおむねあるのでございまして、調整区域につきまして特にこれは永久封鎖ではないのである、計画的にこれから市街化をはかるので、段階的に市街化区域の中に漸次編入していくようなことが将来にとられるべき区域であるから、しばらく待つ区域だというふうにわれわれはずっと説明してきておりますし、それから市街化区域の中におきましても、実質的には宅地としての価値を持つに至るのですけれども、税制面の緩和措置をとることによって、一挙にはそのような急激な負担が起こらないようにしようということで調整をとってきたような次第でございます。  それからもう一点、画一主義的だということにつきましては、全国的に一つの水準を設けて、どういうところについて市街化区域、調整区域を引くべきかという、都市計画をするかという基準をきめませんと、アトランダムではいけませんので、そういう一種の基準を設けて、政令におきまして市街化区域、調整区域をやるべきところというのをはっきりきめたのでございます。この政令のきめ方が、市町村が多過ぎたかどうかということにつきましていまの御意見があったと思うのでございますけれども、われわれは一つの人口集中地区という基準をあのようにとったという意味で理解しておる次第でございます。
  61. 藤田高敏

    藤田(高)委員 その見方については、基本的にはおくれておる原因ですよ、原因については大かたの意見の一致を見るのではないかと思うのですよ。しかしそのこと自体のやりとりをしていても時間がありませんから、具体的な問題に入りますが、私は先ほど指摘したような、大きく分けて三つの条件があると思うわけです。そこでひとつ具体的に聞きたいわけですが、いま、先ほど説明のあったまだ線引きの完了していない地域ですね、その地域では、線引きそれ自体にいろいろな形の反対運動、線引きを返上しろ、指定地域を取り消してもらってはどうかというような反対運動、あるいは、答弁の中にもありましたが、線引きの線の引き方を変更してほしい——これは公聴会あたりでやられることでしょうけれども、そういう形で、条件が満たされない場合にはおれは反対だというような、そういうケースもあろうと思うのです。しかし、私はここでひとつ基本的なことをお尋ねしておきたいと思うわけですが、先ほども指摘したように、この新都市計画法というもので指定を受けた八百程度の地区の住民は、必ずしもこの法律の性格なり内容というものを理解していない面があると思う。比較的このPRのきいた、法律自身からもたらされる地域住民に対する生活上の利害得失というものがどういうことになるかということを知ってきた住民は、この法律というのはとてもじゃないがいただけないぞ、こういう世論が強まってきておるのではないかと思うのです。そこでひとつお尋ねしたいのですが、これは具体的なケースとして公聴会自身をボイコットしておる地域があろうかと思うのです。といいますのは、県が素案をつくって示した線引き自身ではこれは了承することができない。いま一つは、法律自体の問題として、市街化区域内の農地に対して宅地並みの固定資産税がかけられる。こういうものについては、これは新都市計画法に基づく地域指定自身を返上しようではないかということで公聴会をボイコットする。その勢いで、今度は市議会あるいは町議会の決議によって返上してはどうか、こういう動きも私の知っておる範囲においてもあるわけです。そこでお尋ねしたいのは、地方自治の本旨からいって、そこまで地域の住民がこの指定地域になることについてきらっておる、市議会あるいは町議会の決議をもってしてまで地域指定を取り消してもらいたい、返上したい、こういうことになれば、これは建設省としては取り消しをなさるかどうか。また自治省としては地方自治のたてまえからいって、どういう都市を形成していくか、どういう地域社会を形成していくかということは、それは国は国としての指導的立場もあるでしょうが、基本的には私は地域住民の意思によって決定すべきものであろうと思う。そういう観点からいけば、新都市計画法ができておるのだから、これはちょっと無理でもこうしてもらわなければいかぬのだという、そういう半ば強制的な拘束力をもってこの地域指定というものを実施することについては問題があるのではないか。したがって、それぞれの自治体の議会において指定の取り消しというような意見書が出される、あるいは決議がなされる、そういう地域についてはこれは取り消しをすべきじゃないかと思うが、その点について自治省の見解もあわせて聞かしてほしい。
  62. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 市街化区域、調整区域の決定の手続の過程におきまして、市町村の意見を聞くことになっております。市町村の意見を聞く聞き方は、市町村が意見をまとめるまとめ方、いろいろございますけれども、議決をして反対するという場合もあります。しかし、都市計画法では意見を聞くことを法定しておるのでございまして、線引きそのものにも全部反対であるというような意見もそれはありますけれども、どういうふうに直したらいいかとか、ここは反対であるとか、さまざまな技術的な意見を期待しておるわけでございます。その意見が出ましたならば当然尊重するという立場で考えているわけでございます。ただ、線引き絶対反対という決議をなされましても、法律の手続上は線引きをするについての意見を聞いておりますので、尊重するにしましても、線引きすることを前提としての意見というふうに私は解釈しておりますので、線引きをしないというわけには法律上いかないというふうに考えております。
  63. 小川亮

    小川説明員 私、直接の責任者ではございませんけれども、やはり地方自治のたてまえからいきますと、住民の意思というものは尊重しなければならないということでございますが、この問題は所管省で法令に従って進められておりますし、やはりそういった事実の上に基づいて措置をされるというふうに考えております。
  64. 藤田高敏

    藤田(高)委員 いまのは、自治省はだれですか。
  65. 亀山孝一

    亀山委員長 固定資産税課長です。
  66. 藤田高敏

    藤田(高)委員 これはちょっと委員長になにしますが、私は要求としては、もちろん固定資産税の関係もお尋ねするのでその関係者をなにしておきましたが、この種の問題について行政局といいますか、そういった所管の政府委員を要求しておりましたから、委員長のほうで適当にひとつお呼びをいただきたい。これは直接の担当のなにでないからああいうような答弁をしたのだろうと思うのだけれども、自治省の役人というか、自治省のたてまえとしてはおかしな答弁ですよ。私から言わせれば、自信のない、所管外のことは……。場合によれば呼んで答弁をするようにしてもらいたい。これはあとで担当局長なりあるいは課長が来てから質問します。  前段、建設省のほうの答弁ですが、なるほど線引きをやるというたてまえで作業を進めていますから、法律のたてまえに沿っていけば線引きをやめるというわけにはいかぬ。これは事務当局の考え方としてはわかります。しかし線引きをずっと進めていても、その線引きに基づいて公聴会をやる、意見を聞く、そのこと自身をもうボイコットするという事態が現実的に生まれてきているという場合は、線引きをやろうとしても法律上公聴会を開いて意見を聞くということ自身ができないわけですから、法律上の形式行為の整わないようなそういう地域について、そこまで無理をして地域指定をやって線引きを強行する必要はないのではないかという点が一つ。  それといま一つは、地域指定は私から申し上げるまでもなく、三つの都市圏については政令指定、その他の都市については大臣の指定、こういうことになっておると思うのですよ。ですからいまあなたが答弁になった線引きそれ自体をやめるというのでなくて、そこまで、指定された当該地区において地方議会の決議をもってまで反対ということになってくれば、大臣の指定自身を取り消すということがあってもよろしいのではないかということを尋ねておるわけです。これはたいへん失礼ですが、官房長でお答えができるのかどうかわかりませんが、事務当局としては事務当局の責任ある見解というもの——私は取り消しをすべきじゃないかと思うんです。そこまでいやがるものを無理して押しつけてやったってこれはしかたがないんじゃないか。この新都市計画法の指定を受ければどういうメリットがあって、どういうデメリットがあるということは、もうその地域のそういう市会を構成するようなメンバーであれば大かた理解をしておる。その代表がこの取り消しをやってほしいということになれば、それはもう認めざるを得ないんじゃないかと思うんですが、そのあたりの見解について聞かしてもらいたいと思います。
  67. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 政令で指定されているものを除きまして、確かにおっしゃるとおり大臣がある一定の先ほど申しました基準をもちまして、その基準に合致する都市計画区域について線引きをすべきところと定めております。先ほど言いましたように、それが画一的というよりはむしろ一定の基準で均衡のとれた基準でなければいけないと同時に、きらいなところはやめてもいいんだという任意性ということがあってはならない。これは法律の、市街化をはかる、あるいは計画的な市街化をはかっていく必要上からする都市計画の最初のステップでございますので、そこのところをはっきりしなければいけない。これは事務的にわれわれのそう考えているところでございます。  それで、そうまでいやがるものをやらせる必要はないじゃないかとおっしゃるのでございますけれども、一つはPRが非常に足りなかったんじゃないかということがございます。公聴会等の手続が非常にボイコットされまして、手続が整わないできめてしまうということはできません。したがって、いかなる意見であるにせよ公聴会を開くような努力をいたしまして、そこに集まってきていただくように、これは県当局にそういう努力をしていただくということが必要であろうかと思います。そういう手続がどうしてもできない、手続の欠であってどうしても決定できないということであれば当然その決定を延ばさざるを得ない、つまり決定ができないということになると思います。
  68. 藤田高敏

    藤田(高)委員 二つの面があるわけですね。既成事実としてそういう事態が発生しておる地域、あるいは指定を受けた市町村において私が前段触れたようなことが起こっておる場合は、大臣の指定によって地域指定をやったけれども、その指定自身を取り消すという場合、あなたのいまの答弁では、これは実際問題として公聴会だったら公聴会というものができなければ、開けなければ法律上の形式行為が整わないわけだから、これは法律上も線引きをやることを決定することはできない。結果論としてそれは引き延ばさざるを得ないということですが、この種のことをやるのに、ある地域は二年前に完了した、ある地域は一年たってやった、ある地域は三年たっても四年たってもやれないなんという、そういうしり抜け的な行政のあり方というものは、行政のあり方の問題としても問題があるのじゃないか。それよりも、冒頭答弁されたように、来年の三月の末だったら末までに、四十七年の三月末までに、もう法律上の手続行為が整わない地域については一ぺん線を引く——線を引くというのはこの指定を取り消すという、そういう行政上の手だてをして、そうしてこの新都市計画法に基づく線引きというものについての折り目をつける必要があると思うんですが、その点はどうでしょう。
  69. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 ことばが足りませんでしたが、来年の三月を期してわれわれは現在県と調整中でございます。その見通しのいかんによりましては、おっしゃるとおりできるだけ一斉にスタートをされることが行政上どうしても必要でございますので、場合によっては他の措置、たとえば法律上規定されておりますところの大臣の指示権その他の方法も考慮せざるを得ないようになろうかと思います。ただ形式上そういうことが、公聴会等ができないからずるずると引き延ばすというつもりで申し上げたのではなくて、そういう手続が整わなければ決定できないということを申し上げたのでございます。われわれとしましては来年の三月を期しまして、どうしてもある線にそろえたいという強い希望を持っており、その線で県と協議中でございます。
  70. 藤田高敏

    藤田(高)委員 来年の三月までにその目標を設定して、全体的にその計画を完了したいという希望なりあるいはそういう考え方というのはわかるのですよ。しかし現実の問題として、先ほど言ったように公聴会自身をボイコットする。それに加えて、これは法律上の新都市計画法にはそんなことを予想していないわけですが、いわゆる市町村議会の決議で反対の意見書を出すとか、そういうふうな事態が生まれてくれば、これは実際問題として法律上の行為が整わないわけですからね、公聴会ができなければ。だから、仮定ですが、来年の三月一ぱいまでやってみたけれどもいかないということになれば、これは指定を取り消すか、対象外、いわゆる新都市計画法の指定地域外にせざるを得ないのじゃないですか。実際問題としてどうですか。それといま一つ大臣の指示権によってという、その指示権によって行なおうとする中身は何ですか。
  71. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 まず指示権の問題からお話しいたしますと、法律の二十四条におきましては、二十四条の三項、市街化区域に関する都市計画に関しまして、期限を定めてその決定または変更——この場合は決定でありますが、——のために必要な措置をとるべきことを指示するということでございまして、期限を定めていついつまでにこれをやりなさいということでございます。もしそれができないときには二十四条の第四項におきまして、そういった措置をとらないときには「中央審議会の確認を得たうえで、みずから当該措置をとることができるものとする。」ここまで法律的には担保されておる。(藤田(高)委員「当該措置……最後がわからない」と呼ぶ)そのとるべきことを命じた措置を知事がやらない、中身となっている措置でございますから、この場合は市街化区域の線引きの決定権を知事にかわって大臣がみずからとることができるという規定が書いてございます。しかしながら、こういう措置をとることは異例の場合に属するとわれわれは考えておりまして、われわれはまだその前にすべきことがたくさん残っているはずだということで、県を呼びまして、目下その中身を鋭意検討中でございまして、どういう方向で促進をはかるべきか、県によっていろいろ事情も違いますから、現在検討している最中でございます。
  72. 藤田高敏

    藤田(高)委員 これは実体論としては、そうすると来年の三月末までに公聴会だったら公聴会が開けなかったとすれば、その分だけ事実問題として線引きができなかった地域、こういう取り扱いをすることになりますね。
  73. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 公聴会を開催をすべきことを手続上知事に義務づけております。公聴会を開催して人が来なかったということだと、事実上公聴会が開けなかったことになると思いますけれども、公聴会を開催したというのは何をもって公聴会を開催したというか。私が言うのは、実質的に公聴会に当たらなくても、公聴会を開催する告示を出し、その日に人が集まらなかったというようなことがありましても公聴会を開いたということになるのではないだろうかと思います。   〔委員長退席、田村(良)委員長代理着席〕 ただし、そのような公聴会は何の役にも立ちませんので、やはり公聴会の開催規定に基づいた正規の公聴会が開けるように指導すべきだと思いますけれども、公聴会を開いたことになるかどうかということは、その公聴会の開催規則できめている形式を踏んで開かれるべきだと思いますので、公聴会を最後まで開けないということは形式上ないと思いますけれども、実質的には開けないということになろうかと思いますが、形式的には公聴会を……(藤田委員「実質問題だよ」と呼ぶ)ですから、手続的に必要なのは公聴会を開くことでございまして、公聴会を開いたけれども人が来なかったということがありましても、公聴会を開いたということになるのではないかと思います。
  74. 藤田高敏

    藤田(高)委員 こういうふうに詰めていきますと、やはり役人というのは、私は俗な言い方をさしてもらうが、非常に横着な答弁をしますね。それはあなたらの立場というのはわかりますよ。しかし、公聴会を招集したけれども、中身が、実体が伴わない公聴会なんというのは、それは公聴会としての開いたという実体が伴わないんじゃないか。こんなものは公聴会として認めるわけにいかぬでしょう。そういうことが実体論として起こっておるのですよ。具体的なところはあなたらお調べでわかっておるから言わないけれども。そういう地域について、これは来年の三月まで公聴会を開けなかった、実体として公聴会としての意義を持つことができない事態が発生したという場合は、これはもう残さざるを得ないじゃないでしょうか。その最終的な状態をどうするかということなんです。どうですか。
  75. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 いまおっしゃるとおり、公聴会が現実に開けない、かつ公聴会が必要だと認めているのに公聴会が開けないということになりますとと、形式上要件を整えることができませんので延ばさざるを得ないと思います。なお、その大臣の政令区域からはずすかどうかということにつきましては、別の観点から大きな問題がございますので、これはここでそうするということは申しかねると思います。
  76. 藤田高敏

    藤田(高)委員 それでは一つ明確になりました。その法律的行為が実体論として伴わなかった。いわゆる公聴会に一人も公述人といいますか、なにが出席しなかった。もう俗にいうボイコットという事態で開けなかった。開けなくして、来年の三月なら三月末までに開けなかった場合は、これはもう指定することはできない。実体論としてそういうことですね。私はもうそこまでくれば、いわゆる審議会あるいは自治体の議会の決議の問題とも関連いたしますけれども、そこまで無理してまでやる必要はないんじゃないか。ですから、大臣の指定による取り消しができるかどうかということは、まあ参事官自身のお立場ではいますぐ答弁はできないかもわかりませんから、これは私は保留しましょう。次の機会にまた大臣にもお尋ねするということで保留しますが、少なくともそれはもう実体論としてそこまできたらはずさざるを得ないんじゃなかろうかというぐらいなことは、建設省を代表してお答えできるんじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  77. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 市街化区域、調整区域というのは非常に大きな問題でございますので、法律上は、公聴会を開催することが必要と認めるときにはと書いてありますけれども、私は必ず公聴会を開催することが必要だと思いますのでさように申し上げました。公聴会が開けずということは、したがって決定するのに必要な手続上の欠缺、欠陥を持っているものでございますから決定はできない。決定ができないということは延ばさざるを得ない。まあ一線にそろえるといいましても、そういう特殊な事情があるときにはさらに猶予期間をおきまして、あるところを延ばすかどうか、そういうことになろうかと思います。
  78. 藤田高敏

    藤田(高)委員 ちょっと最後のところ……。
  79. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 延ばさざるを得ないということになろうかと思います。
  80. 藤田高敏

    藤田(高)委員 取り消し——指定それ自体を。
  81. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 大臣の指定の取り消しでございますか。——これは、いま私が申しましたのは、三月までを一応のめどとして努力しているのでございまして、特殊な事情があればその中の一、二の都市計画区域が三月までにそろわないということもやむを得ない、そういう態度で処すべきだと思っております、現在の段階では。
  82. 藤田高敏

    藤田(高)委員 これは行政的には、四十五年のいつまで、四十六年のたとえば九月の末までとか、そういうふうに目標をきめてずっとやってきたと思うのですよ。冒頭言ったように、ある地域ではもう二年も前に線引きが完了した。   〔田村(良)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、同一の法律行政をやっていくのに、ある地域は二年もかかってもやれない。これはやはり行政的な観点からいってもまずいと思うのですよ。そうまで時間をだらだら延ばすのではなくて、私はそれこそ今度——質問の時間の関係もありますから、このあたりでこの問題については終わりたいと思いますが、これは少なくとも来年の三月だったら三月でもうこの措置は打ち切る、それまでに法律上の手続すべてが完了しない場合は大臣の地域指定それ自体を取り消す、こういうことでひとつそれ自体の線引きをやってもらいたい。これは強く要求しておきます。これはいずれあらためて大臣出席のときにその問題点だけ私は質問することにして、時間の関係で今度は中に入っていきたいと思います。  いわゆるこの線引き自身がおくれている条件の中にはいろいろありましょうけれども、市街化区域内の問題としては、区域内に点在する農地に対して宅地並みの固定資産税ないしは都市計画税をかける、課税する、これが一番いま問題になっておると思うのです。極端に言えばこの条件がなくなれば、私は建設省自身はそんなにいま頭をかかえなくとも比較的順調にこの計画は進むんじゃないかと思うのです、線引きが。ですから、むしろこの中身の問題について建設省あるいは自治省の見解を聞きたいわけですけれども、この条件自身が線引き自身をおくらしておる最大の条件になっているのではないか。少なくとも、最大といわなくとも主たる条件になっているのではないか。この見方についてはどうですか。これは建設省と自治省から聞かしてもらいたい。
  83. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 先ほど申し上げましたように、市街化区域は、おおむね十年以内に鋭意整備すべきところとして、公共団体が都市整備の場所、重点をはっきりときめるようにしたところでございます。したがって市街化が非常に近いわけでございます。したがって、それに伴って農業のサイドとしましては、農地法の転用規制の適用をはずした。だからその農地の所有者は、いつでもそれを自分の意思で宅地とすることができる、届け出さえすれば、という、そういう土地になったのでございます。したがいまして、近傍の宅地と類似の性格を持つようになったのでございます。いつでも市街化できる、そういう土地になったのでございますので、宅地並みの評価をすべきであろうというふうに考えられるのは当然だと思います。ただ、先ほど申しましたように、いま直ちに市街化をするのでなければ非常に激変になりますので、激変の緩和の措置は要るだろうということで、自治省とも相談いたしまして、激変緩和のA、B、Cの三つのランクに分けまして、それぞれその宅地並みの評価の適用をおくらしておる、こういう措置でもって都市計画の趣旨とそれからいま言いました土地対策との考え方を斉合さしていく、このように考えております。
  84. 小川亮

    小川説明員 いま説明がありましたけれども、さらに、現在の市街化区域内の宅地との均衡を考慮するというような意味で宅地並みの課税ということになったわけでございますが、ただ、できるだけその負担を段階的に持っていきたいということで、A、B、C農地に分けまして、A農地は四十七年から、B農地は四十八年から、それからC農地は五十一年からというふうにいたしまして、さらに数年にわたって調整措置を講じていくというようなことで操作していただいておるわけでございます。さらにその他の措置もあわせて、できるだけ住民負担が一挙に来ないように、段階的に進めてまいっていくということでございます。
  85. 藤田高敏

    藤田(高)委員 これは農林省にも聞きたいわけですけれども、線引きが完了した、そうして市街化地域の範囲に入った。しかしその中では依然として農業経営が続いておる。これはなるほど十年以内に新都市計画法に基づく市街化地域を形成するのだということですけれども、売り手、買い手の問題もあり、それはなるほど十ヘクタール以上の集団農地的なものは、水玉地域というのかどういう地域というのか、そういうところははずすというような規定になっておるらしいですが、たとえば一ヘクタールであってもあるいは〇・五ヘクタールであっても、その市街化地域の中で現実の問題として農業が営まれておる。そうしてその登記の名目は農地で登記をされている。そのものに宅地と同じ税金をかけるということは、私は税の課税をする根本原則にも反するのじゃないかと思うのですよ。その点についての見解を聞かしてもらいたい。これは自治省からも聞かしてもらいたい。役所のセクショナリズムではないけれども、自治省なり大蔵省の考え方は、市街化地域として、線引きが完了したら、実際は農地であっても宅地並みの税金をかけるのだ。そういうようなことに唯々諾々として農林省が妥協するようなことでは、私はオーバーな言い方かもしらぬけれども、極端に言えば農林省なんか要らぬと思うのだ。だれのための役所であるかということになるので、そういうものの考え方は間違っておるのじゃないかという点についての見解をひとつ農林省から聞かしてもらいたい。  それと同時に、少し調べてもみなければいかぬと思ってなにしますと、この法律が提案された昭和四十三年の四月十八日の衆議院における建設委員会及び農林水産委員会の連合審査の議事録の中でこういうやりとりがなされておる。自民党の丹羽兵助先生が、いま私が質問をしているように、市街化地域内の農地に対して宅地並みの固定資産税、地方税をかけるなんということはこれは不届き千万じゃないか、こんなべらぼうなことが通るのであれば、政府与党である自民党の議員がこの法案に賛成することはできないという質問をやったのに対して、時の保利建設大臣はこういうふうに答弁をしておるのですよ。「これは政府部内でも、その点はきわめて重要でございますから、今日まで当局間でも折衝し調整をしてきておりますが、私が了解いたしております点は、都市計画事業が進行してまいりまして、客観的に市街化区域として認められるようになれば、おのずから評価のとり方はあると思いますけれども、そうでなくして、都市計画事業は急速にやりたいのですけれども、なかなかやれない、実際がそうだろうと思います。したがって相当部分市街化区域内に農地が残る。その農地については、」これからです。「固定資産税の取り方において——税を取るほうはよけい取りたいでしょうけれども、そういうわけにはいかぬので、これは農地として扱ってまいるようにいたしたい、いたすべきである、いたすことに責任を持つというようにいたしておるわけでございますから、どうぞその点は御了承を願いたい。」こういうように時の建設大臣が、主管大臣が、思うようにはいかぬだろう、市街化地域に線引きが決定しても、その中で農地として農業を営んでいく地域については、これは宅地並み扱いはいたしません、こういう答弁をしておるのですよ。こういう答弁をして、それで政府自民党の議員もこの法律案には賛成した。ところがどうかというと、ことしの三月になって、これは先ほども答弁があったが、いわゆる税の激変緩和の措置として、何とかかんとか理屈をつけて、A、B、Cの農地に対して段階的な課税をやる。しかし、段階的に課税する方式はとっても、基本的には農地に対して宅地並みの固定資産税をかける、地方税を課税するというこの考え方は、この大臣答弁と違ったことをやっておるじゃないですか。主としてこれは農民サイドからする意見ですけれども、こういうことをやって、全国八百の地域の農民をだましてまでこういう法律行為をやるということは、これは問題じゃないですか。これはどうですか、各省ともこんなことが許されていいのですか。社会党がもし政府をつくっておるのであれば、こういう前言についてはああいう事情でありましたけれども、こういうふうな事情でこうやりますという、やはりそこには、事情変更の原則ではないけれども、十分説得する法律案の提案説明がなされなければいかぬ。そんなことはどこにもなされてないじゃないか、どこの議事録を見たって。これは明らかに政府自身の国民に対する違反行為じゃないか。これは各省ともどうですか。
  86. 小川亮

    小川説明員 建設省からも説明がありましたように、市街化区域内の農地につきましては転用の規制というものがなくなりまして、その点では宅地と同じような扱いがされるということで宅地並みの課税に踏み切られたわけでございますが、さらにいまおっしゃいましたような事情もあるわけでございます。しかしその後、地価が高騰いたしまして、また昭和四十五年度にも土地の評価がえをいたしまして、宅地は評価額が非常に上昇した。農地の評価額は三十八年度以来据え置きになっておりまして、その辺の不均衡がさらに強くなってきたというようなことで、四十五年の八月に地価対策閣僚協議会におきまして、市街化区域内の農地の固定資産税につきましては、農地と近傍宅地との課税の均衡を考慮して、土地保有課税の適正化をはかるというような決定がその後なされたわけでございます。こういった趣旨に沿って立法化されたということでございます。(阿部(昭)委員(あのときの附帯決議もあるんだ。その附帯決議も何も踏みにじって、大臣答弁も踏みにじったら大問題だ。都市計画法はもう一ぺんやり直しだ。」と呼ぶ)
  87. 住吉勇三

    ○住吉説明員 農林省といたしましては、御案内のように、市街化区域に指定されたところは十年以内に宅地化をはかられるという区域になっておりますので、段階的に近傍の宅地と均衡な課税をされていくということは、新都市計画法の趣旨に沿いましてやむを得ない措置ではないかと思っております。しかしながら、今後の市街化の進捗の状況とか土地の利用の変化とか、いろいろな事情の変化等も考えられますので、特別の措置を設けるようにいたしまして、たとえば五年以内にその線引きを見直してもう一度検討する。それで不適当な場合には調整区域に戻す。見直しというような特例を設けまして、これからの事情の変化に応じて対処してまいりたいというように考えております。
  88. 藤田高敏

    藤田(高)委員 課長には失礼だけれども、これは正直言って課長に答弁してもらうには少し荷が過ぎるんではないかという気もするのですよ。というのは、いまあなたが言われたようなことでやりましたと言うけれども、この連合審査の議事録というのは、農地であるものに対しては宅地扱いはいたしませんと大臣は明確に答えているんだ。いま議事録を読んだように、「これは農地として扱ってまいるようにいたしたい、いたすべきである、いたすことに責任を持つというようにいたしておる」こう言っておるのです。これは三べんも念を押してやっているんだ。それは、都市近郊との均衡、調整をとるということとこのこととは、直接関係はないのです。これはもう完全にこの大臣答弁に即応しない。いま阿部先生もこちらから言われておりますけれども、衆議院、参議院のあの当時の附帯決議というものはそういう意味の趣旨をもって、この線引きをやっても、農地に対する課税は、農地は農地としてやらなければいけませんよという趣旨が含まれておるのです。そういうことに平気でほおかぶりしてこういう税制の改正案を出してくるということは問題じゃないのか。  これは私は農林省にお尋ねしておきますが、いま答弁がありましたが、そんなことを聞いているんじゃないんだ。農林省は、あなたたちは、あえて言えば、農地法だったら農地法を守る役所だったんだ。この登記しておる土地は農地ですよ。それで現実にそこで農民が農業経営をやっておるわけですよ。まだこれから五年先になるか七年先になるか十年先になるか、そういう事態があるわけです。農地で農業経営をやっておる間、その農地に対して宅地として取り扱って税金をかけるなんということを農林省は認めるのですか。そんなことは不合理だと思いませんか。さればこそこの保利建設大臣のこういう答弁になっておるんじゃないでしょうか。そのことの見解を私は聞きたいんだ。新都市計画法ができたからやむを得ないなんという妥協的なことでなくて、基本的なものの考え方を私は農林省には聞いているわけです。  自治省に対しては、われわれはもちろん基本的に税制改正には反対をしておるけれども、私は一ペん新都市計画法それ自体を再検討し直さなければいかぬと思うんですよ。そういう立場から私はいま一歩突っ込んで聞きたいと思うのですが、実質的にこの段階でどうすべきかということになれば、なるほどいまの答弁でいけば、こういう形の段階的な税金のなにによって、主としてCの農地に指定されたらまだ四、五年間は増税にはならないのだ。かりに上がるとしても五十一年からだ、心配することないのだ、こういう形のPRがなされているんです。しかし、この税制改正の法律体系の根本はやはり農地を宅地並み扱いをするということが基本ですから、この税制自身は国会答弁との関係において食言問題にもなるし、一ぺん基本的にこの税制自身の改正をやり直すべきである。しかし実際問題としての取り扱いとして、その間どうすべきかという点についてはどうですか。これは自治省と建設省にお尋ねするわけですが、新都市計画法に基づけば知事が緑地を指定することができる。これは、イギリスの都市計画ではないですけれども、市街化区域の中に計画的に農地を設定していく、そういう都市形成のあり方もあるわけです。多くの例を申し上げる時間がありませんが、私はそういう意味において、一定期間、少なくとも農耕地としてその土地が利用されておる間は緑地として扱う、緑地とみなして課税する、そういう実態に即した取り扱いをすべきではないか。そうして当時の建設大臣の国会における答弁とも符合するような実質的な措置を講ずるべきではないかと思うわけですが、その点についての見解をひとつ聞かしてもらいたい。
  89. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 市街化区域の中に現存する農地がある一定の条件、すなわちそこでしばらくの間は農業を続けていくのだ、こういう意思が確認されていなければ別でございますけれども、そういう意思が確認されるようなものでありまして、かつそれが公園あるいは墓園あるいは緑地というようなものとして適当な位置にある、そういうものにつきましては積極的にいわゆる生産緑地として緑地の決定をしていこう、こういうことで、本年の三月三十日、農政局、農地局、都市局、税務局、四局長の覚え書きをもちましてこういう措置をとり、そしてこれを都市計画で決定いたしまして、その都市計画で決定いたしました土地につきましては都市計画法五十五条による指定を行なう。五十五条の指定というのは建築の全面禁止でございます。これを指定いたしまして、そうすれば五十五条の指定によって五十六条の規定が働いて、持ちこたえられないというときには買い取り請求が出てまいります。こういう制度を今後積極的に進めていこうというふうにいたしたいと思っていま進めております。
  90. 小川亮

    小川説明員 いま説明ありましたとおり、関係省協議いたしまして確認しておるわけでございますが、地方税法の中にその規定も織り込んでありまして、建設省都市計画の実施に伴って税の問題はそういうふうに運用されるということでございます。
  91. 藤田高敏

    藤田(高)委員 ことしの三月三十日に各省で協議してそういう取り扱いをするようにやっておるということですが、なるほどこの市街化地域の中にも公園だとか緑地、墓園、そういったところは、これは課税対象としてはいわゆる宅地並み扱いしない、こういうことですから、せっかくこういう条件を入れるのであれば、事実問題として営農がなされていく、耕作地として農業用地に利用されるという農地に対しては、いまの局長通達のワクにそういうことを入れて、法律の規定との関係も生まれるだろうと思いますが、実際問題として、これは説明せぬでもわかると思うのですが、この表からはずすと、市街化地域の中でA地区、B地区に該当する地域もあるわけですから、文字どおり宅地になるところもあるわけです。宅地になるところはこれはしかたないにしても、農地として農業経営を営んでいるものについては緑地扱いをして、緑地扱いとみなして、法律一つの制限があるかもしれぬから、いま参事官答弁されたようなことで緑地扱いをしてこの課税対象からははずしていく、これが一番実態に即したやり方じゃないかと思う。こういうことができれば、私は冒頭かなり時間を費やしてやりとりしましたけれども、結局いまひっかかって前に進んでいない、残っておる線引き問題というのは、場合によっては比較的スムーズに、来年の三月末までに進む条件になり得るのではないか、これは有力な条件として。私は道理にかなったことを言っていると思うのですよ。男であるのにこれは女じゃというて、男に女の服を着せたり化粧をさすのと一緒だ。そんな不合理なことがこの民主政治の世の中に通ること自身がぼくはおかしいと思う。ですから、法律の新都市計画に基づく市街地をつくるというその目的を達成するのであれば、やはりそれにふさわしい、実態に即したことをやるべきじゃなかろうか。その程度のことはきょう御出席の皆さんのところでも、局長通達でできるくらいなことはひとつ責任ある答弁として、しかもこの四十三年の連合審査の大臣答弁もあることですから、そういうことにしてはどうでしょうか。これは私はひとつ具体的な提案として質問をいたしたいと思います。
  92. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 市街化区域内の農地の宅地並み評価の問題と相関連しまして、先生御指摘のようにそういう動きが全国に出てまいっておりますことが、線引き作業におきましての一つの障害になったことは事実でございます。しかしながら他方、事実上農地が宅地としてのそういう価値を持つに至った以上、あのA、B、Cのランクをつけて宅地並み評価という措置をせざるを得ない土地も出てまいっております。われわれとしては、できるだけ市街化区域の中にそういう空閑地をとって保存しておくということは、これからの都市環境上きわめて大事なことだと考えておりますので、ただいま申し上げました趣旨で、生産緑地の制度を拡大的に積極的に進めてまいりたい。そのためには、もちろん農地局あるいは自治省等の御協力を得なければならないということで、先ほど申し上げました覚え書きをかわしましたので、今後これを軌道に乗せていきたいと思っておる次第でござます。
  93. 藤田高敏

    藤田(高)委員 基本的な考え方で抽象的ではありましたけれども、私の考え方を一部取り入れてくれたように思うわけです。というのは、その生産緑地のワクを積極的に拡大する、そういう中で税問題もこなしていきたい、こういう答弁であったと思いますが、それで間違いがないかどうかを一ぺん確認すると同時に、そこまでお考えが前進されるのであれば、私は先ほどから何回も言っているように、農耕地として農業が経営される以上は、実際の取り扱いとしてA地区になるものも現実にあるわけですし、完全に宅地になる、B地区になるところも、C地区になるところもあるわけだから、農業が営まれておる間は、さっきの局長通達ですか、それで処理する。実際の処理のしかたとしてはそういう税制上の取り扱いをする、こういうことにしてはどうかということを、一つの提案を含めて質問しておるわけなんです。ですから、そこは建設省の意見をもう一度、また自治省の意見も——場合によれば各省間で協議をしなければいかぬ事態も発生するかもわからないと思うのですが、どうですか。
  94. 小川亮

    小川説明員 協議の中身といたしましては、都市計画法第四条第五項に規定する都市計画施設として定められた公園、緑地または墓園の区域内の農地で都道府県知事の指定を受けたもの、これはそういった宅地扱いから除かれるということであります。内容につきましては、都市計画法の運用でございますから建設省中心になってやられるというふうに思いますが、そういうことで今後進めてまいりたいと思います。
  95. 藤田高敏

    藤田(高)委員 ぼくはいまのような答弁では理解できないのですよ。もう少ししろうとわかりするように答弁してもらいたいのだ。私の質問はわかりやすく質問しておるつもりなんです、失礼だけれども。  そうすると、いまの都市計画法の中にもありますが、公園、緑地そして墓園、こういうものは宅地並み扱いをしないということははっきりしている。ぼくが提案しているのは、それに一つ加えて農地——現実この中には農地ももちろん含まれるでしょうね。緑地なんかにも農地も一部指定されて入るのでしょうけれども、何回も言っておるように、指定された後に、線引きが完了した後においても事実問題として依然として農業が営まれておる地域、その土地に対してはこれは緑地扱いをしなさい、税の上では。その程度のことはできるでしょう。そういうことをしないと、一方で新都市計画法の線引きをやるのだと言ったって、そこにはおどしか強権か何かが伴わなければそれは前向いていかないですよ。現実にどうですか。阿部先生は山形の御出身だが、山形は一番最初都市計画法の線引きが完了した地域だというふうに私聞いていますが、こういう地域は——これは時間の関係でなにしますけれども、市街化区域内には住宅が建たないで、どんどん外へ向けて住宅を建設するような事態が生まれている。そして、すでに線引きの完了した地域でも、ことしの三月にこの法律が通ってから、これはたいへんだ、私がいまここで質問をしておるような取り扱いをやらすためにひとつ運動を起こそうじゃないかというので、農協なりそういう農業団体がいまこの問題に真剣に取り組んでいますよ。ですから、時間の問題として、もうすでに完了した地域でさえ、この法律が通ってから、ある意味においては国がだまし討ちをやったじゃないか、きれいな見せかけの新都市計画法はこうですといって、二年たったあとでこういう毒まんじゅうを食わすようなことをやるのはけしからぬということで、税の取り扱いとしては私がいま提案しておる、そういう処理を現実的にはしてほしい、やるべきではないかという運動が高まりつつありますね。そういうことを現実に即して——私の言っておることはやはり道理にかなっておると思うんだ。さればこそ、そのことは三年前のこの法案審議をしたときでさえ予言されたことだからね。与党の議員が、そのことが保証されなければこの法律案は成立させぬぞ、こう言っているんだ。大臣はそれを受けて、それはもうあなたのおっしゃるとおりに責任をもってやります、ということは、その農地は宅地扱い並みの課税はいたしませんと、こう言っているわけですから、そのことはあなたら、きょうここにおるメンバーだけででも、そういう扱いをするように、少なくとも最善を尽くしますとか、やるように努力しますとか、そのくらいのことは答弁できるでしょう。答弁できないのだったら課長や参事官答弁に出てくる資格はないと思うね。どうですか。
  96. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 建設省としましては、農業をしばらくするという、そういう農業に主として着眼いたしまして、いわゆる生産緑地という制度を先ほど御説明したわけでございます。もちろんそのほかに公園、墓地の適地がございますけれども、いま申し上げているのは、市街化区域の中で農地としてしばらく存続する、こういうことがはっきりしているものについては、積極的に都市計画の墓園、公園としてそれを取り込んでいこう、それについてはもちろん自治省と相談いたしまして、税の減免について考慮していこうということで了解している次第でございます。ただ、そのワクを積極的に広げていこうということで、先生のおっしゃるすべて、そういう意思を持っている農地全部についてこういう決定ができるかということにつきましては、先ほど言いましたが、都市計画で決定するということを要件としたいと私どもは考えておるわけでございます。都市計画できめたところについて、それは将来もし農地をやめるときでも、あとは墓園としてあるいは緑地として使いたい、買い取っていきたい、このような意思をもって積極的に指定してまいりたいと思っております。
  97. 藤田高敏

    藤田(高)委員 具体的な措置としては、たとえば市街化区域がこれだけの面積であった、その百ヘクタールなら百ヘクタールの地域が指定された、そのうちで公園とか墓園とか緑地といわれるようなものは、いままでの、きょうまでの考え方では一割程度だというふうに考えておったとすれば、これは仮定だけれども、いまの答弁では、そのワクを積極的に二割にするとか、そういうワクを拡大する努力をしてみましょう、こういうふうに解釈していいのですか。——いまちょっと訂正しますが、百ヘクタールであれば、そのうちで農地が一割として十ヘクタールとしましょう。その一割の中のさらに一割がいま言った宅地扱いをしないという面積であったとすれば、その一割を二割にふやすような努力をするということであって、農地全体には適用ができない、そういう答弁だったと思うのです。私は少なくともそのことが、私の言っておる提案がなされなければ、私らの立場からいえばやはり法律改正案として出さざるを得ない。大臣責任追及、政府責任追及を含めてやらざるを得ないと思うのですよ。そこのところをもう少し明確に答えてほしいと思うのです。
  98. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 もしできれば、緑地、墓地として、あるいは公園の予定地としてできるだけたくさん指定したいと思うのでございますけれども、逆の意味におきまして、指定されると五十五条の規定が働きますので困るというような面もありましょうと思いますから、全部それをするのだということは言えないと思います。したがって、従来考えておったよりも積極的にふやしていこうというつもりであることには変わりございません。
  99. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 ちょっと関連。私らいまの新都市計画法の審議に携わってきたわけですが、いまの答弁は私ちょっと違うと思うのです。当時の審議経過、あの当時の附帯決議なり委員会審議の議事録なり、十分ひとつ勉強してもらいたいところがある。たとえば、市街化区域に決定されますね。そういたしますと、この区域に決定された土地は十年以内に市街化されていくわけです。そこで、その際の市街化区域の市街化をする内容の決定権はだれが持っていますか。
  100. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 内容という意味がよくわかりませんが、市街化するということをきめるのは、市街化調整区域を現実に決定する権限を持っている都道府県知事でございます。しかして、その市街化区域の中で具体の市街化行為というのは何かといいますと、街路、公園その他の公共施設を決定する行為と、それから建築行為だろうと思います。これを一元的に都市計画の決定をする場所は、都道府県かあるいは小さいものは市町村、都道府県知事と市町村とが相互にきめていく、こういう仕組みになっております。
  101. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そういたしますと、おおむね十年間以内には市街化をされるべき場所を市街化区域に指定されるわけですから、十年たてば個人の意思で一定の現状を維持するということが非常に困難な状況になっていくという限界を持っておると思う。したがって私どもの認識は、市街化区域に指定された区域であって、周囲が全部大きな建物や何かどんどん建っていった段階で、ここはたんぽですといってもそうはいかぬ周囲の問題もあり、いろいろな問題もある。しかしながら、都市計画区域に指定をされた場所であっても、市街化がずっと進行していく経過の中、その段階で、一定の期間は農地として使用することはできるわけですね。その期間内に宅地課税をすることは絶対にない、こういう答弁が繰り返し繰り返し行なわれてあの新都市計画法はきめられたという経過があるのです。それを、いま線引きの段階で宅地並み課税あるいはそれに近い課税、あるいはいまお話しのように、そういう緑地なり公園なりといったものに農地規模のものをできるだけ、いままで一〇%考えておるところを二〇%にしようとか三〇%にしようとか、努力をいたしますなんということじゃ、当時の新都市計画法がきめられていった経過の政府答弁と全然違うのですよ。それは問題にならぬじゃないですか。決定権はおたくのほうで持っているんだ。中身のほうはおたくなり知事なり市町村自治体が持っているのですよ。その段階でだんだん都市計画が進めば、農地として存続することは困難になっていくのです。それまでの期間は農地として存続することは住民の意思ですね。少なくとも現状が、客観的な諸般のそういう制約の中で農地として存続しておる限り宅地並み課税するようなことは断じてない、こういう答弁が繰り返し行なわれてあの新都市計画法は通った、こういう経過があるのですよ。それを途中でなしくずしに変えるようなことはいかぬ。どうですか。
  102. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 先ほど自治省のほうからも御説明があったことと重複すると思いますけれども、市街化区域、調整区域が指定されますれば、調整区域のほうの地価は安定し、あるいはそれと反対に市街化区域のほうの値上がりが目立ってきたというような状況があって、その後の四十五年の地価対策閣僚協議会におきまして、先ほどのA、B、Cというような措置をすべきことが決定されたということでございます。そういう事情の変更等を踏まえての措置というふうに私は思っております。
  103. 藤田高敏

    藤田(高)委員 私は、時間の関係がありますので、これは継続してまた質問の機会をつくってほしいと思っていますが、私たちは比較的建設的な意見を含めて質問をしておるつもりですよ。そこでなにしたいのですが、私は、この法律が通っても実際のやり方としては、いまひんしゅくを買っておるような、農地であるものを宅地課税をしなくて済むような方法もとれると思うのですよ、やり方によれば。それはさっき言ったように、たとえばの話であるけれども、生産緑地というもののワクを拡大する、農地を緑地扱いにするということで当分の間はいきますというのも、この法律は存続しておっても実際の取り扱いとして、さっきの局長通達で、各省が相談をして局長通達を出したようなことはできるのじゃないか。実際の扱いとしては、こういうふうにA、B、Cに分けるけれどもほとんどの農地はC扱いにするのだ、そうすればここ四、五年間は現状のままでいけるというような方法も、実際のこなし方としてはできると私は思うのです。このこと自身が、こういうものがくっつくからいまの新都市計画法の線引きが前へ向いて進まないのだということであれば、その法律の目的に合致して進めるような措置も講じなければいかぬじゃないか。そうでしょう。ですから、当面の問題としてはいま言ったように農地を緑地扱いをする、少なくとも当分の間は農地のほとんどといっていいぐらいはC扱いをする。それはできるでしょう、その程度のことは。それはどうですかということが一つ。  それと、自治省の行政課長がお見えになって、沖特との関係もあるらしいですが、私のさっきの質問は行政課長に言ってくれていますね。聞いていますか。——そうしたら、もう時間の関係で繰り返しませんから、その答弁をやってもらう。そうして、いま私が言った、農地は令部C扱いをする、そうしたら五年間は税法上は実害というか、そういうものはないわけですから、当分は全部C扱いをする、こういうことはどうですか。かなり具体的に、進める側の意見も含めて質問をしておるのだから誠意をもって答えてくださいよ。これは実現できるまでは何回でも来てやる。農林委員会にも出てやるし建設委員会にも出てやる。こんなばかな話はないよ。
  104. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。直接お聞きしておりませんのであるいは聞き違い、取り違えがありましたら御指摘いただきたいと思うのでございます。  都市計画法によりましては、都市計画区域の指定がありまして、都市計画区域の指定がありましたら、都市計画といたしまして市街化区域及び市街化調整区域というものがきめられるということになって、どちらのほうについての決議かということでございますけれども、都市計画区域の中の計画の中身として市街化区域にする、あるいは調整区域にするというようなことがございますれば、十七条、十八条で法律上も意見を十分尊重する手続がございます。ただ五条の都市計画区域そのものの指定ということでございますれば、すでに指定がされてしまったあとということになりますと、法律的には、計画区域の変更とか何か、そういう問題としてこれがあるかどうか。区分についての御意見でしたならば、やはり十七条、十八条の形で当然地元の意見を尊重するという、意見を反映する道があるわけでございます。しかしながら、地方団体の議会の議決というのはここにいう法律上の意見ではございませんので、法律上のもちろん拘束ではございませんけれども、そのような地方団体の代表の方の議決があったということは、もちろんほかの意見その他の関連、あるいは法律の全体との関連もございましょうけれども、できる範囲においてこれを尊重して扱っていくというのが行政運営の当然のあり方だと思います。
  105. 小川亮

    小川説明員 A農地、B農地にしないで、全部C農地にできないかということでございますが、これは法律の中にA、B、C農地を織り込んでありまして、それぞれ要件がきめられておりますし、これはできないと思います。ただ、関係省で協定いたしました中に、先ほどのお話のほかにも、少なくとも五年ごとに市街化区域の見直しをして、市街化の見通しのつかない地域は市街化調整区域に変更するというのを関係省で確認しておりますし、またおおむね十ヘクタール以上の集団農地で、長期にわたって農地のまま保存されることが確実と認められる農地は、いわゆる水玉模様の形になる場合もあるけれども、時宜によって市街化調整区域に編入するというような確認もいたしておりまして、こういうものもあわせ実施することによりまして、それから段階的な課税というようなものもあわせて、これを進めていきたいというふうに考えております。
  106. 藤田高敏

    藤田(高)委員 時間の関係もありますから、私もう結論を急ぎたいと思います。  いま答弁のあったようなことは私も承知した上で私の前段の質問をしておるわけです。これは見通しの問題になりますが、いま進行しつつあるものを含めてA、B、Cというふうに分けた場合に、Cの対象になるもの、Bの対象、Aの対象になるものの比率はどのぐらいになるかということを、ひとつ判断材料として聞かしてもらいたい。いま答弁のあったようなことはわかりますけれども、私はさっきから言っておるとおり、当時の主管大臣はこういう答弁をしているぐらいですから、それに見合うような実際上の取り扱いというものは行なわれてもいいんじゃないか、むしろそのことのほうが——いま私が質問しておるのは、むしろ新都市計画に基づいて前向いていく場合にはこれが障害物になっておるから、障害物を除いてはどうか、除けという論拠も、歴史的な経過なり、そのこと自身は農地なんだから、農地として生きておるのだから、そういう実態論からして無理なことは言っていないのですからね。そういう点からいって、私が提案している緑地化扱いをするか、これがどうしてもできなければ農地のC扱いをする、そしてそのワクを最大限にふやすということでやるとかというぐらいな答弁は、政府側のあなたたち立場に立っても答弁はできないことはないんじゃないかということを言っているのだよ。歯車の合った答弁をしてくださいよ。それをひとつやってください。あとはもう一つで終わりますから……。
  107. 小川亮

    小川説明員 実際にA農地がどれくらい、B農地がどれくらい、C農地がどれくらいということは来年にならないともちろんわからないわけでございますが、その予定されておる、少し前の資料でございますが、五百二の市町村につきまして調べましたところ、これも概数でございますが、A農地が四%ちょっと、それからB農地が約一二%、残りの八十数%がC農地というような一応の数字が出ております。
  108. 藤田高敏

    藤田(高)委員 肝心なことを……、そういうなにだけ言って、困るね。大体、税金を取ることばかり頭の中にあるから答弁がまともにできないんだよ。ちょっと若い課長は——ぼくらより君は若いと思うが、若い連中はもっとスマートな答弁をしなさいよ。ほんとうに頭へきますよ、これ。  そのことも聞いた。しかしぼくが言っているのは、せっかくそういうことでもあれば、実態論としてこれはC扱い。いまの経過からいっても、A、B両方合わせて一五、六%くらいでしょう。そうしたら、まあC扱いをするように当面はやっていくということで努力をするというぐらいなことは、これは皆さん立場においても御答弁ができるんじゃないかと、こう言っておるのだ。そのことについて、できなければできないと言えばいいんですよ。それはまたあなた以上の責任者を呼んでまたやりますよ。だからその点についてのひとつ答弁をしてもらいたい。そのことは建設省とも、これはまあみんな関係各省が相談をしてやっておることだから、それは建設省の意見もいれてあなたが答弁されるのだったら固定資産税課長からやってもらいたいし、そこらのところをひとつ……。
  109. 小川亮

    小川説明員 先ほど申し上げましたように、A農地、B農地、C農地は法律で要件もきめられておりますし、A、B農地をC農地にするということはできません。協定の内容につきましては、実際の運用につきましては建設省その他関係省とも十分相談をしていきたいというふうに思います。
  110. 藤田高敏

    藤田(高)委員 私の求める、満足する回答は得られません。しかし、この問題は歴史的な経過もありますから、あらためて、委員長及び各党の御了解を得て、しかるべき委員会で私、機会を見て継続して質問をするということにさせていただきたいと思います。  最後一つだけ、時間をとって恐縮でありますが、いままでは主として市街化地域内のことを言ったわけですが、調整地域ですね。これももう問題点として出ておると思いますが、結局、今度は内と外で言えば、調整区域のほうで言えば、いわゆる調整区域に対する開発行為は非常にきびしい制限がある。たとえばもう住宅建設なんかはなされない。しかしこの問題は、多くを申し上げるまでもないと思いますが、この税法がことし通ってからもうはや、さらに思惑相場で市街化地域は土地が上がっておるのです。これは政府主導型の土地の値上げですよ。そういう重大な土地の価格つり上げを規制させにゃいかぬ、いかぬといいながら、一方ではこういうことをやるから市街化地域の土地がこう上がっていく。ですから、この法律でいくと市街化地域内に住宅を建設する、調整区域はまあ原則的にはまかりならぬといいますけれども、これは農民の立場からも問題でしょうけれども、都市周辺のサラリーマンからいってもたいへんです。それはやはり地価の安くて生活環境なり自然環境のいいところへ住宅を求めますね。そうすると、大綱的な言い方をすれば、市街化地域内に住宅を建てるよりも、一昨年あたりから公害問題がやかましくなってきてからは、サラリーマン住宅なんかは、この新都市計画法でいう区域からいけば、むしろ調整区域にみんなが住宅建設をしたい、またそうすべきだという条件が出てきておるわけですね。これは地価の問題、それから交通機関もよくなったですから、市街地の中に住宅を建てたりしないでも、むしろ周辺の地域のほうが住宅建設地域としては適当な地域だ。どうしてもその市街化地域というのは何だかんだといって、私どもの知る範囲では、公害の問題からものさしを当てれば、やはりこの新都市計画法でいう市街化地域内のほうがいわゆる公害の多い地域です。そういう地域へもってきて住宅を建てろ、みんなが求めようとする市街化調整区域には住宅建設はまかりならぬということは、この法律自身が人間生活の今日の実態に即してないと思うのです。その点については、この開発行為の制限条件というものを大幅に緩和する必要があると思うのですが、その点はどうですか。  それといま一つは、この法案審議の過程でもやられたと思うけれども、憲法の二十二条ではありませんが、こんなことで、個人が住宅建設する地域をこの法律で縛られたのでは、新都市計画法の指定地域になった地域の住民は居住選択の自由まで奪われることになるじゃないですか。これは、憲法上の問題についてはどうですか。私はその市街化地域の中、こんな公害の多いところはきらいだ、やはり市街地域からずいぶん離れた地域に住宅を建設したい、その自由まで奪うことができますか。ぼくは、憲法上の問題もこれは起こってくると思います。そのあたりについての見解はどうかということで私の質問を終わりたいと思います。
  111. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 第一点の、住宅建築につきまして、市街化区域の値段が上がっているから調整区域のほうの制限の緩和をすべきではないかという点につきましては、この調整区域の中におきましても、三十四条の規定におきまして一号から十号までの相当の緩和規定、例外規定を置いておること、それから許可不要のものとして、農家の次三男対策とかそういった日本の現状を踏まえて、この程度ならばという点で相当緩和規定を置いておるわけでございます。もちろんそのほかに重大なミス等があればこれを法改正して追加すべきだと思いますけれども、現在の段階ではそのように考えており、したがって憲法上の、その土地の自由な管理、処分権を奪ったというところまで考えておりません。この点は法律作成の段階におきまして十分考慮を払った点であり、国会におきましても参考人等を呼ばれまして、その点は十分審議された点でございます。  それからもう一つは地価問題との関係でございますけれども、もしこの市街化区域、調整区域の制度がなかりせば、人口集中地区におきましてはわが国ではどこでも家が建つという特殊な社会的条件がありますために、ここが二十万すれば、農地であっても山林であってもここは十八万だというふうな波及効果が、東京でいえば関八州に及んでしまう。これに歯どめを打ったということでございまして、問題はそれだけではとどまらないことは御承知のとおりで、市街化区域の中に地価問題を限定いたしまして、したがって今後の問題は、この市街化区域の中でいかにして正当な価格で土地が取得できるかという地価対策を進めていく必要があろうかと思います。地価対策場所を市街化区域に限定した効果を持っているんだというふうに私は理解しておる次第でございます。
  112. 藤田高敏

    藤田(高)委員 たいへん長時間、時間をいただきましたので、私はこれで終わりたいと思います。委員長はじめ各党の代表の方に、長時間いただきましたことをお礼申し上げたいと思います。ただ、質疑応答の中でも御理解いただけましたように、質問者側としてはもちろん納得しがたいこともありますし、かたがた質疑を続けていきたいという、そういう問題点もまだたくさんあります。それと、私なお一つ、地元の問題にも関連いたしまして、愛媛県宇摩郡新宮ダムの建設にかかわる問題をぜひ質問させてもらいたいと思っておりましたが、その問題は時間の関係でできませんので、そのことを含めて後日の委員会で質問をさせていただく、その点は留保させていただく、こういうことできょうの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  113. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、阿部昭吾君。
  114. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 最初に、ただいまの藤田委員の質問の中で出ました各省協議の覚え書きを資料として要求をしたいと思います。  そこで、きわめて簡単にお尋ねをいたしますが、公共事業、公共工事の場合の補償の問題、実は急いでおりますのは、わが党に対して関係者の側から問題を持ち込まれておるのであります。そこで、物件補償と営業補償、その他の補償というのがあるんだと思いますけれども、主として物件補償というのはきわめて明快な内容を持っておる。ところが営業補償ということになりますと、物件補償の対象になるべきものがその物件を公共工事のために提供しなければならない、そこでたとえば店舗などでやっておった営業ができなくなった、営業補償だ。これならきわめて明快にわかるのであります。ところがそうじゃなくて、地下鉄工事をいまやっておる。目の前のこの道路をひっくり返してものすごい大工事になった。この道路に面したところでレストランなりあるいはその他の営業行為を行なっておったのが、その工事が二年にも三年にもわたったために全然営業収益がダウンして倒産したという状態が起こっておる。こういう場合は、いろいろ調べてみましたが、どうも補償のしかたというのが全然明確にされておらない。この場合一体どうなるのか。建設省が行なっておる公共工事の場合にそのような例が全くなくはございません。物件の所有者がそこで物件で営業行為を行なっておったのに補償すべき条件が生まれた、したがって補償した、こういうのでない、工事のために特に顕著な不利益を他の第三者に及ぼした、物件補償の対象にならない方々に営業上の不利益その他を与えたということで補償した例は、私の調査では全く皆無ではない。こういう場合に、一体制度的に法律的にどういうふうになっておるかということをぜひひとつお聞かせを願いたい。
  115. 大津留温

    大津留政府委員 公共事業に伴います損失補償のやり方につきましては、損失補償基準というものを閣議できめまして、各省並びに政府機関はこれにのっとって実施しておりますから、おそらく地下鉄の場合も、建設省が直轄で行ないます事業につきましても、基準としては共通だと考えます。その場合に、御指摘のいわゆる第三者補償につきましては基準が必ずしも明確ではございません。御指摘のように、公共事業に伴いまして土地あるいは物件を買収され、それに伴いまして営業ができなくなるという場合の補償はございますが、そういった土地あるいは物件の買収を伴わない第三者につきましては、その及ぼす損害が社会生活上受忍すべき範囲を越えるものであるときはこれに対して損害を賠償するという基準が示されておるだけでございまして、この社会生活上受忍すべき範囲というものの解釈につきましては、これは一つは社会通念の変遷に伴いましてまた基準が変わってくることがあろうかと思いますが、またそういったいわばばく然たる基準でございますので、実施の主体によりましてこの運用に差が出てきているという面がございます。建設省が直轄事業で行ないます損失補償につきましては、ただいま申しました社会生活上受忍すべき範囲を越えるということで、営業が全くできなくなったというような場合には補償した例がございます。しかし一般にはそういう例が非常に少なうございまして、そのかわりといいますか、建設省の実施の方針としましては、たとえば工事によりまして通路を一時通行ができなくなっているというような場合には、これにかわる通路を仮設して通行の機能を確保するというようなことはやるように指導しておりますので、補償という形でなく、その機能をそこなわないような形でかわりの補償行為といいますか、そういう工事によって補うというやり方をとっておるのが現在のやり方でございます。
  116. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 損失補償基準というのは閣議で決定をしたということなんですが、その基準の根拠をなすものは何ですか。法律か何かあるんですか。
  117. 大津留温

    大津留政府委員 閣議決定と申されましたが、閣議了解でございます。これは公共事業の施行に伴いまして、事業主体が任意契約に基づいて買収する場合の補償の基準ということで、特に法律上の根拠があるというものではございません。
  118. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これは所管がどこになるのかよくわかりませんが、私の友人が川崎のある町で商売をやっておった。隣にものすごいどえらい六階建てくらいのビル工事が始まったのです。私の友人というのは床屋さんだった。パイルか何か打ち込むのでがたんがたんやるものですから、ちょっと床屋がうまくやれなくなったというので、そのビル工事の期間中どこかに店舗を移さなきゃならぬという問題が起こったのですけれども、年がら年じゅうどえらいことをやっておるわけじゃないので、店舗を移すまでに至らずに営業は続行した。しかし営業利益はずいぶんと減退をいたしましたということで、ビル工事の施主に対していま、少しは何とか考えてくれというので、何か話になっておるという話をこの間も聞いたんです。一般民間の間でさえそういう問題が起こっておる。いわんや公共工事の場合に、第三者の場合もいま特に準拠法律なんというものじゃなくて閣議了解だなんということで、これで一体どういう銭をどういうふうに出すのかということは、法律的にはよく調べてみないとわかりませんけれども、私問題があると思う。補償として閣議了解で出すというのなら、どこかにやはり法律の根拠がなければ、少なくとも国民の金を、そこへ血税を動かしていくわけですから、血税を支出をするという行為を伴うわけですから、その場合に閣議了解なんということでいいのかどうか。基準というものが、どこかにやはり法律上の根拠というのがなきゃならぬのじゃないかというふうに思うのですが、その辺、官房長法律論上ちょっと問題ございませんでしょうか。現況そうだとしても、将来何とか問題を組み立てて見なきゃならぬという、そういう性格になるんじゃないでしょうか。
  119. 大津留温

    大津留政府委員 御承知のように、任意買収が成立しません場合には土地収用法という手続になりまして、この法的な根拠に基づいて裁決が行なわれる。その場合には法的根拠としての措置でございますし、また損失の基準もそれぞれあるわけですが、いま申し上げましたように、大部分は任意の交渉によりまして買収しておりますので、いわば事業主体である国または国の機関が任意契約でやる場合のこちら側の基準というものをそういう形で定めておるわけでございます。
  120. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そういたしますと、いまの場合には、任意で話がまとまる場合、これはこの基準だということなんですが、土地収用法ということになるとどうなりますか。いまの場合土地収用法の関係にはなりませんね、物件がそこなわれておるとかということは何もないのですから。前でものすごいどえらい工事をやっていたために、この二、三年全然商売が成り立ちませんでした。しかも都内のものすごい繁華街の問題でありますから、地下鉄工事が三年間も続いておるために商売ができない。営業実績が、税務署に対する申告でもものすごく落ち込んだ。したがって、建物が何か借家契約か何かでやっているために、それも支払えなくて倒産だ。こういう状態が起こるという場合に、さっき官房長がおっしゃる、何ですか、社会生活上受忍すべき範囲を越えているものになるのかどうかということですね。倒産するんですから……。これは毎日、前でごとんごとん地下鉄の工事をやっているわけですから、それは商売の性格にもよるでしょう、建設業のような商売ならあまり関係ないと思うのですが、そういう目の前の道路が荒れておるということで商売に影響するというような場合に、これは何か根拠がきわめてあいまいなんですけれども、社会生活上受忍すべき範囲を越えるものということになりそうな気がするのですが、その辺はどうでしょう。
  121. 大津留温

    大津留政府委員 これは事実関係に基づくわけでございますけれども、お話しのように営業が著しく困難になった、それから先ほど申しましたように、他にそういう従前の機能を維持するための仮設の工事というような方法もないというような場合には、受忍の範囲を越えるものとして補償の対象になり得るかと思います。
  122. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 委員長、この問題は残念ながらちょっときょうだけで済まそうというのは無理のようです。ぜひひとつ官房長のほうも——いまみたいな事例が全国至るところたいへんに広がっている。民間なんかでもさっき言ったとおり、隣のうちででかいビルディング工事をやるという場合には、人家密集地帯の隣家に対して一定の補償をする、こういう状態にさえ世の中は変わってきておる。この場合に、政府もしくはその他公共的な事業によって、顕著かつきわめて重大な不利益を相手に及ぼしておるというふうに認定される場合は、これはやはり何とかしなければならぬというのは筋からいって当然だろう、こう思うのです。これはひとつ検討をお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  123. 亀山孝一

    亀山委員長 次回は、来たる十七日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十七分散会