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1971-12-22 第67回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月二十二日(水曜日)     午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 福田 繁芳君    理事 菅波  茂君 理事 濱野 清吾君    理事 森下 元晴君 理事 綿貫 民輔君    理事 華山 親義君 理事 鳥居 一雄君    理事 吉田 賢一君       阿部 文男君    笠岡  喬君       中村 弘海君    中山 利生君       丹羽 久章君    坂井 弘一君  出席政府委員         内閣官房長官 三原 朝雄君         内閣法制局第三         部長      茂串  俊君         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         大蔵政務次官  田中 六助君         厚生政務次官  登坂重次郎君         厚生省公衆衛生         局長      滝沢  正君         厚生省医務局長 松尾 正雄君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      松川 道哉君         大蔵省主計局主         計官      海原 公輝君         大蔵省理財局管         理課長     高橋  良君         国税庁税部長 江口 健司君         厚生省人口問題         研究所長    舘   稔君         会計検査院長  白木 康進君         会計検査院事務         総局次長    鎌田 英夫君         会計検査院事務         総長官房会計課         長       松田 賢一君         会計検査院事務         総局第一局長  服部 桂三君         会計検査院事務         総局第三局長  桜木 拳一君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十四年度国税収納金整理資金受払計算  書  昭和四十四年度政府関係機関決算書  昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十四年度国有財産無償貸付状況計算  書  (厚生省所管会計検査院所管)      ————◇—————
  2. 福田繁芳

    福田委員長 これより会議を開きます。  会議を開く劈頭に委員諸君に御了承を求めとう存じます。  きょうは、過般の理事会に基づき、なおまた昨日の委員会継続としまして、厚生省所管会計検査院所管に入ることになっておりますので、多.数の委員より御質疑申し出があったのでありまするが、きょうは諸君も御承知のように、時を同じゅうして同僚議員告別式があり、加えて、各党も会期末としてのもろもろのことがありますので、若干時間がおくれるという通告が数名の諸君からありました。その方々も徐々に御出席されると思います。幸いに各党理事の諸先生の御出席を賜わっておりますし、政府委員諸君先ほどからお待ち申しておりますので、これから会議に入りたい、かように考えます。  昭和四十四年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、まず厚生省所管について審査を行いたいと存じます。  昨日に引き続いて質疑申し出がございますので、順次これを許します。華山親義君。
  3. 華山親義

    華山委員 昨日、鳥居委員医師脱税に関することにつきまして税務当局からのいろいろなお話の中で、妊娠中絶脱税、そういうふうなことにちょっとお触れになったと思います。私聞き漏らしている点もあろうかと思いますけれども、きのうのおっしゃった趣旨を、そのことだけに限って簡単にひとつもう一度おっしゃっていただきたい。
  4. 江口健司

    江口説明員 昨日次長から御説明申し上げましたのは、医師全般関係につきまして私どものほうで調査した事例も含めまして御報告申し上げたと思いますが、その中で、いま御指摘の産婦人科医師についても同じような状況があるという御質問かと思いますが、いまのところ医師ごとに全国の計数の報告を求めておりません。いま手元にございますのは、東京局で過般新聞発表をいたしました部分と、それからその後若干の局につきまして具体的な事例等について報告を徴したものがございますが、産婦人科の場合にも、残念ながらかなりの脱税——意識的な脱税をわれわれはシビアに脱税と呼んでおりますが、そのほかに、御承知のとおり、お医者さん方は、いわば二十四時間体制で患者の処理をなさっておるといったようなこと、あるいはわれわれの知る限りにおきましては、奥さんが主として記帳をやっておられる方が多いといったようなことで、その点のふなれから来る記載漏れといったような両方の内容を含めまして、結果的には脱漏になっておるものというのが残念ながら相当ございます。東京事例を見ましても……。
  5. 華山親義

    華山委員 いや、妊娠中絶の問題にちょっとお触れになったのじゃないかと思いますが、ひとつ簡単にそのことだけ、私、間違えて聞いておるといけませんから伺ったのです。
  6. 江口健司

    江口説明員 脱税の具体的な内容から言いますと、妊娠中絶というものも相当大きな脱税の原因になっております。
  7. 華山親義

    華山委員 いまお話がございましたけれども妊娠中絶によって脱税が行なわれておるということは、これは数字的のことはわかりませんけれども国税庁がおっしゃいましたように、世の中の常識的なことにさえなっております。それはなぜかと申しますと、妊娠中絶が暗々裏に行なわれる性格を持っておる。そのためにこれが表面に出てこない。表面に出てこないところから脱税というものにつながっていく、こういう傾向が私は多いと思うのです。私の知っておるある知事は、脱税のおもなるものは産科婦人科妊娠中絶だとさえ言って、たいへんな問題を地方に起こしたことさえあるわけであります。それで伺いますが、この妊娠中絶というのはだれでもできるものではない。医者だからといって手術はだれでもできるものではない。ある一定の医師に限られていると私は思うのでございますが、法律上どんなふうになっておりますか。この点厚生省からお願いいたしたい。
  8. 滝沢正

    滝沢政府委員 優生保護法に基づきまして指定医制度があるわけでございますが、この指定医制度は、わかりやすく申しますと、各県の医師会認定に基づくということになっております。医師会がみずからの会員の認定をするということは一見安易な認定になりはしないかというような感じを持たれる向きもあるかもしれませんが、実は同業の間で資格認定するということは、比較的他に例を見ない、優生保護法の特徴でございますけれども経験年数が少なくとも三年以上、しかもその三年間、相当指導者のあるところで経験を積まなければならない、しかも同業でございますので、お互いにかえってきびしいチェックが行なわれるということからいって、この医師指定資格制度というものはかなり厳正なものである、こういうふうに理解しております。
  9. 華山親義

    華山委員 税関係の方に、この点もわかっておればお伺いいたしたいのでありますが、妊娠中絶による脱税があるということを一応お認めになっておるわけでございますけれども、その脱税なるものがいまおっしゃった指定医だけに行なわれているのかどうか。指定医でない産科婦人科のお医者さんもそういうことを行なって、なおさらこれを公にできない、その間に脱税があるのではないだろうか。その点を、おわかりにならないかもしれませんが、お調べになった結果、そういうふうな脱税をやったお医者さんには指定医でなかった者があったのじゃないか、こういうふうに思われますが、どうでしょうか。
  10. 江口健司

    江口説明員 優生保護法妊娠中絶をできる場合、いろいろな条件がきめられておると聞いております。私ども専門でございませんので、あまり詳しいことは存じませんが、法律で知る限りにおいては、いろいろな条件がついておる。しかし、われわれのほうは所得脱漏あるいは所得の申告が適正であるかどうかということを調べるにとどまるという立場でございまして、各税法でも犯罪捜査のために調査を行なうものではないという限定の規定もございまして、なかなかそこまで突っ込んでの調査をする権限もございませんし、またかりに突っ込んだといたしましても、いろいろな条件患者医者との間で知り得るのみでありまして、私どもにはなかなかわからないというのが実態でございます。
  11. 華山親義

    華山委員 私は、決してすべてのお医者さんをかれこれ言うわけではございませんし、すべてのお医者さんに疑いを持って見るものでもございません。大部分のお医者さんはりっぱな人だと私は思います。しかし、そういうふうなことがあって、現実に妊娠中絶による脱税があるとするならば、先ほどおっしゃったとおり、一応信頼のできる医師の方が指定されまして、そしてその中に脱税があるとするならば、これはゆゆしい問題じゃないかと私は思うのです。それで、そういう指定医でないお医者さんの中にいまのような脱税が行なわれているのではないかというふうに私は察するわけであります。  なお、いま犯罪捜査のために税の調査をやるのではないということを言われました。それで、この点は税と犯罪との関係でございますけれども税務署のほうでは、いかなる犯罪がそこにひそんでおったといたしましても、税の調査上わかったことは、決してよそに対して、たとえば検察当局等に対しては言ってはいけない、こういうことになっておりますか。
  12. 江口健司

    江口説明員 調査の過程で犯罪に関連ありということを知り得ることももちろんございますが、私どものほうでは、所得の把握ということを中心にやる立場でございますので、かりに犯罪に近いものがこちらの調査でわかったといたしましても、それを直ちに告発するということはいたしてございません。税務行政をスムーズに進展させるためには、一々それを取り上げて告発その他の手続をとるということは、事後の税務行政執行にいろいろ問題があるという感触がありますし、一方では守秘義務関係がございまして、かりに官庁同士の問題でありましても、やはり税務本来のあり方から判断して、告発すべきかどうかということは中で十分討議をする、あるいは場合によっては関係方面と事前の協議をいたしまして、その上で当方の姿勢をきめるというようなこともないわけではございませんが、一般的には、直ちに告発するという姿勢では現在執行しておりません。
  13. 華山親義

    華山委員 私はきょうよく勉強してまいりませんでしたけれども告発には至らなくても、一般の官吏には、職務上犯罪ありと思量した場合にはそのことを通報しなければならないというふうな規定があったように思われますが、その点につきましては、税の関係においては特別なものというふうにお考えになっておりますか。
  14. 江口健司

    江口説明員 刑法にそういう規定があることは存じております。告発しなければならないというふうに、強行規定のように表現がされておることも事実でございますが、従来法制局その他とも意見を交換いたしまして、いまのところ、税務に関する限りはということではなしに、各省各省でそれぞれの行政目的に従っていろいろな執行をやっておるわけでございますが、その行政目的に沿って判断した上で、必要なものは告発の措置をとるということで、強行規定でなく任意規定解釈してよろしいという有権解釈法制局のほうからもらっておりますし、数年前でございますか、法制局長官が、各主務官庁行政目的に即応してあの規定判断してよろしいという答弁をされたことも記憶してございます。
  15. 華山親義

    華山委員 優生保護に関する法律があるわけでありますけれども、その中で、指定された以外の人がいろいろな優生手術等を行なった場合には、これは処罰されるということになるわけですね。私は、ああいう手術をするというふうなことにつきましては、母体の健康から言いましても、これはまた非常に重要な問題だと思うわけであります。それを知り得たのであるから、私は、そういう場合には通報があってしかるべきものじゃないのか、こんなふうにも考えますが、これは通報することによって税の取り立てについて何か障害がございますか。
  16. 江口健司

    江口説明員 われわれのほうの通報手続としましては、単純な通報手続と、それから、正式の手続を踏みまして告発する場合とございます。従来は、先ほども一方的な通報という手続の前に必要な場合には協議するということを申し上げたわけでございますが、ただ、税に関して知り得た中で通報あるいは最終的に告発をするということになりますと、現在のところは、一般税務調査はいわゆる任意調査でございます。各税法主務法に従いまして任意調査をやっておるわけでございますが、この任意調査段階でかりに告発をするといったような正式の手続を踏みます場合には、必ずしも物的証拠その他が十分でないということになりますので、おおむね脱税告発する場合がわれわれの場合には普通でございますが、その他の事例等についても、場合によっては手続が要るといったようなときには、任意調査強制調査に切りかえをいたしまして、その段階告発手続をとっております。強制調査になりますと、これは御存じのとおり、物的な証拠を十分取り上げることが可能になってまいりますし、相当の時間も投入できるということで、訴訟維持にたえ得るという状態になりますので、強制調査に切りかえて告発をするというのが従前の例で、いままでは任意調査段階では一件も告発という手続を踏んだことはございません。
  17. 華山親義

    華山委員 厚生省のほうにお伺いいたしますけれども、このような優生手術が行なわれた場合は、指定医はそのことを県に報告することになっているやに聞きますけれども、そうでございますか。
  18. 滝沢正

    滝沢政府委員 優生手術の場合も、それから人工妊娠中絶の場合も、二十五条によって届け出をしていただくことになっておりまして、これに違反した場合、罰則までついております。
  19. 華山親義

    華山委員 妊娠中絶報告は一年間に大体どのぐらい統計上出ておりますか。
  20. 滝沢正

    滝沢政府委員 二十五年優生保護法が施行されて以来、逐年増加傾向をたどりまして、人工妊娠中絶につきましては、最高百十七万という数字報告されておりまして、昨年の四十五年の数字は七十三万ということで、逐年低下してまいっております。それから優生手術につきましては、四十五年一万五千件でございます。条件は、本人の同意の場合と、医師の判定に基づいて申請をして許可されてから優生手術をする場合と二つございますが、これが一万五千件くらいでございます。
  21. 華山親義

    華山委員 そうすると、最近の傾向といたしましては、妊娠中絶は大体七十万程度でございますね。出生はどのくらいございますか、一年間に。所長でなくともよろしゅうございますが……。
  22. 舘稔

    舘説明員 最近におきましては幾らか出生の数がふえてまいりまして、最近の数字を申し上げますと、ひのえうまの迷信が終わりました昭和四十三年が百八十七万件でございます。それから昭和四十四年が百八十九万件でございます。それから昭和四十五年が百九十三万件でございますが、百九十三万件の出生増加につきましては、出生力が少し回復いたしましたことと、ベビーブーム時代に生まれました婦人が今度は生み手のほうに変わってきたという二つの理由が重なっております。
  23. 華山親義

    華山委員 まあ年によって多少の相違があるわけでございますが、お聞きしたところで大体百七十万の出生というふうに大づかみにいたしまして、そして七十万の妊娠中絶、両方合わせますと二百四十万になります。二百四十万のうち、七十万の妊娠中絶があった。妊娠のうちの七十万人が届け出として妊娠中絶があったということは、大体三分の一弱、その程度のものが妊娠中絶があったということになるわけであります。妊娠していて妊娠中絶が三分の一。それほど日本人たちはからだが弱いとか、妊娠に耐えないとか、分べんをしたならば母体影響を及ぼすとか、そういうふうな現在の日本実態でしょうか。
  24. 滝沢正

    滝沢政府委員 この問題につきましては、なかなか解釈がむずかしいところでございますけれども、一応人工妊娠中絶の最も多い理由の中に、母体の健康の理由がございます。この点につきましては、優生保護法理由の中に、母体の健康を害するということを理由にして中絶ができるという規定にはなっております。しかし、先生のおっしゃるように、それほど日本人の母性なり母体が不健康であるかということでございますけれども、これはやはりその妊娠継続あるいは将来の育児、そういうことを総合されての判断も含まれるものでございますので、日本人の健康が一般的にはいいはずなのに、なぜ中絶理由母体の健康の理由が多いだろうか、こういうことになりましても、優生保護法運営としては、一応それにより合法的に行なわれておるということでございまして、しかもそれが育児と将来の予測しがたい分娩に伴う母体の健康の障害ということを予測する本人判断ということ、あるいは医師との協議による結果ということになりますと、これをにわかに日本人全体の母体の健康問題に結びつけるということは、いろいろの見解はあろうと思いますが、なかなかむずかしい問題であろうというふうに思うわけでございます。
  25. 華山親義

    華山委員 この優生保護法のたてまえは、母体の健康、そういうことを主眼にして、そのほかにも遺伝とかいろいろなことはございますけれども母体保護ということを主眼にしてつくってありますから、私はそれほどの、妊娠した人の三分の一弱、その程度の人が妊娠中絶をしなければいけないというふうな母体では日本人はあるまい、環境もそうではあるまい、こういうふうに考えるのであって、この優生保護法は、私は優生保護法が間違えているのかどちらかの問題かと思いますけれども、適正な運営がなされていない問題じゃないか、こういうふうに考えるわけであります。  その次に伺いますが、先ほども申しましたとおり、この優生保護法によって妊娠中絶が行なわれて、そうして県庁のほうに届けられた以外の、全くのやみ、そこに私は税法上の脱税等があると思うのでございますけれども、その数の推定というものはなされるものでしょうか。これは特に人口問題に御研究の深い所長にひとつ伺ってみたいと思います。いかがなものでしょう。
  26. 舘稔

    舘説明員 ただいまたいへんむずかしいお尋ねをいただきました。実は私どものほうばかりではなしに、いろいろの推計がなされておるのでございまして、これは大体、全然出生を抑制しない場合の出生の確率というものを仮定いたしまして、それから受胎調節がこれだけ、それから人工妊娠中絶で届けられたものがこれだけ、これだけがおそらく違法のものだろうというような方法をもって推計をいたしておるのでございますが、この推計には相当の幅がございまして、ただいま大体七十二万件の届け出人工妊娠中絶でございますけれども一般のいろいろの推計を寄せ集めて調べておりますと、優生保護法によって届け出られましたものの四〇%ないし六〇%の間にいろいろの推計が落ちる模様でございます。ただし私どものほうの推計におきましては、約二十五万件と推計いたしておるのでございまして、これはどちらかと申しますと、ただいま申し上げた範囲内におきましては少な目の推計になるわけでございますが、それほどただいま私どもの見方では多いものとは考えておりません。約二十五万件と私どものほうでは推計いたしております。
  27. 華山親義

    華山委員 まあ少なくても二十五万というお話でございますから、三十万と仮定いたしますと、公然と法律に認められて、それも私はこの優生保護法範囲内に入るものかどうか、非常におかしいと申し上げましたけれども、それが七十万、優生保護法に基づかないところの妊娠中絶が三十万、二十五万とおっしゃいましたけれども三十万とかりにいたしますと、百万の人が妊娠中絶をしている。そして生まれるのが百七十万といたしますと、二百七十万人の妊娠中百万が妊娠中絶が行なわれている、こういうふうな実態と一応推計されるわけであります。これは非常に大きな問題だと思うのでございまして、私はいまここで政治論を打つ自信も何もございませんけれども人口問題——少し余談になりますが、この間何か新聞か雑誌で出ておりましたけれども、七・五・三ということばがあるわけですね。それは、明治から大正にかけての人は七人の子供を持つ、昭和になって、戦争前ごろまでは大体五人の子供だった、いまは三人だ、こういうのですね。七・五・三と、こういうのですが、私も自分のことを考えてみますと、自分のことを言うのはおかしいですけれども、私はきょうだいが七人おりました。私の子供が五人ありました。大体健全に育ちましたけれども、私の子供の生む数を見ますと、大体二人ないし三人。私は非常に当たっていることばだと思うのでございますけれども、こういうふうな傾向というものは将来の日本人口にどういう影響を与えるでしょう。所長さんにちょっとお伺いしたい。
  28. 舘稔

    舘説明員 ただいまはたいへん貴重なサゼスチョンをちょうだいいたしまして、七・五・三説、これは非常に重要な問題でございますので、検討いたしまして、私どものほうでもぜひ援用させていただきたいと存じますが、ただ無断援用は決していたしませんから、お許しをいただきたいと思います。  この七・五・三説、非常にけっこうなんでございますけれども、ただいま出生力の情勢を申し述べまするならば、この前先生からお尋ねをいただきましてここでお答えをいたしました場合に、ちょうどひのえうまでわけがわからなくなっておりまして、ひのえうまの直前の昭和三十九年の状態について申し上げますならば、日本人口が将来大体一億三千万ないし一億四千万の間で横ばいになっていくためには、十五歳から四十九歳までの婦人一人当たり二・二人の子供を産まなければなければならない、これが人口静止限界出生力であると申し上げたのでございます。ところが、昭和三十九年には二・〇四人でございましたので、この昭和三十九年の出生力が続きますと、日本人口昭和八十五年を境といたしまして減退に転ずるということをこの前申し上げたのでございます。ところが、昭和四十二年でひのえうま影響が大体消えたといたしますならば、昭和四十三年、四十四年、四十五年のところにおきましては大体一・一三人見当でございまして、大体ただいまの状態が続くといたしますならば、日本人口は三十年ぐらい先から一億三千万と四千万の間で横ばいになっていくところまで出生力というものは、わずかではございますけれども回復をした、かように見てよろしいと思います。したがいまして、現在の状態が、まだ二年や三年でございますから、確たる断定はできませんけれども、少なくとも現在の出生力が続く限りにおきまして日本人口の減るおそれはなくなっている、大体三十年ぐらい先から横ばいになっていく、こういう出生力の現状でございます。
  29. 華山親義

    華山委員 所長のおっしゃったことは一つには、——お触れにならなかったようでございますけれども平均寿命が延びましたために、出生率は減っておるけれども死亡率も減ったために起きる結果じゃないか、単なる出生率の問題じゃないのではないかというふうな気持ちがいたします。したがって今後老齢人口はますます多くなってくる。そういう社会になるのじゃないかというふうに考えますし、この点所長日本の政策にも反映するよう大きく力説していただきたい、厚生省に御所見を反映させていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  それで、私は優生保護のこの法律のことをかれこれ申しませんけれども、この法律にかかわらず、出生ということは世の中から生まれてくる自然の趨勢ではないかと思う。かつてのように富国強兵的な、人口はふえなければいけないというふうな思想のもとで、非常に強く取り締まった時代、その時代はふえたと私は思う。いまは一体どうなのか。こういうことでございますけれども、いま女の人は二人ということで満足しているのではないのじゃないか、もっと産みたいのじゃないか。これは一般的なものの言いようでありますけれども、三人程度は産みたいのじゃないか、こんなふうにもいろんな婦人の言うところを聞いてみますと察せられるのでございますけれども、そういうことに対するお調べ等、政府のほうで何かおやりになったようなことがあるようにも聞きますけれども、どうでしょうか。
  30. 滝沢正

    滝沢政府委員 実は実態調査と申しますか世論調査等がございまして、ただいま先生御指摘の三人子供を持ちたい傾向がふえているかということでございますが、この点について、二人という率が一番高いという——正確な数字はいま手元にございませんが、二人というのでとどまっていたいという世論調査の答えが一番高いのでございますけれども、三人という希望が出てきている傾向は以前より高まっているという調査の結果が出ているわけでございます。
  31. 華山親義

    華山委員 三人産みたいけれども二人にとどめておきたいということは、社会の抑制だと私は思う。住宅の問題、教育の問題、世の中がいろいろなことで生活は向上するけれども、それに伴うところの収入がないというふうな問題、国民大衆のそういうふうな環境が二人ということにとめているのではないだろうか、こういうふうな気持ちがいたしまして、まあ三人程度産みたい人は産めるという日本の環境にならなければいけないのではないか、こんなふうにも考えるわけであります。少し自分の意見を言わしていただければ、どういう御批判を舘所長お持ちになるか知りませんけれども、われわれが若い書生のころに習ったときは、人間も生物であって、食糧とそれからいろんな環境等の関係のもとに、神の意思といいますか、そういうことによって人口のふえるのを抑制される。それが大きな飢饉であったり、大きな流行病であったり、戦争であったりするというふうなことであったわけでありますけれども、いま先進諸国におきましては、大きな飢饉とかあるいは大きな流行病とか、そういうものがなくなってきた。それで人為的に人口を抑制して生活環境に合わせるということが行なわれてきたのではないだろうか、こんなふうに思われますし、その人為的に行なわれなかった、いわゆる避妊ができなかった、避妊に失敗したというのが、この面に流れてくるのじゃないか。こんなふうなことがあるのは、これは神の摂理かもしれません。そんなふうにも考えるわけでありまして、私は選挙運動のときには、それだから日本は戦争ができないんだぞ、戦争ができないように、神の摂理というものが人口をふやさないのだ、こういうふうに言っているのですが、これは私の意見になりますけれども、そんなふうなことでございます。優生保護法というものが世の中のことに少し合っておらないんじゃないですか、どうでしょう。これは次官、どんなふうにお考えになりますか。これは非常にむずかしい問題で、各人各人の人生観もありましょうし、国家観もありましょうから、お答えしにくいかもしれませんけれども、こういう母体を中心にする、あるいは遺伝を中心にする、そして生活というふうなものをあまりにもあと回しにしているという優生保護法は、いまでは時勢に少しおくれているのじゃないか。次官、どうでございましょう。
  32. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの華山委員の非常に適切な高邁な御意見に対して、もちろん政治のひずみということも一大要素でありまするが、厚生省の政務次官の登坂さんに、現在の厚生省としての指導原理というか御所感を一括してお答えしてもらいたいと思う。
  33. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 華山委員の高邁なる人生観、人口問題、優生学、あらゆる見地から貴重なる御意見をいろいろ承りました。全くお説のとおりであります。  民族の発展、いな人類の幸福というものは、やはりりっぱな人間を育てる、また、りっぱな人種を後世に残す、こういうことであろうかと思います。そのためには、やはり地域社会において最大のくふうをすべきである。もちろん、これに対しまして、われわれ行政を担当する者といたしましては、すなわち、日本国民が今日の国情において、いかなる幸福を求め得られるか、また、そのためにわれわれ行政当局としては、いかなる責任を持つべきか、こういうことを真剣に考慮しなければならない。今日、日本の経済の状態からするなれば、いまや世界の経済的な先進国といわれるようになりました。しかれども、その内容に至っては、御指摘のように、非常に生活に対する安定感というものを失っておるように思います。  そこで、政府といたしましても、福祉優先ということばを唱えておったのは前からでございまするが、なかなかそれが実行に至らなかった。また、一般国民の認識においても、ややそういう点で世論も等閑視しておったし、政治を預かるわれわれといたしましても、これに対する心がまえが必ずしも十分でなかった。これを大いに反省しつつ、今後日本人口問題と取り組むにあたりまして、優生学というものを念頭に置きつつ、健全なる社会をつくるためには、やはり人でありますから、人をより健全に、より幸福に、そして高福祉国家行政に向って努力すべきである、かように存じます。全く先生のお説のとおり、私どもも将来福祉国家建設のために努力いたす決意でございます。
  34. 華山親義

    華山委員 それから、一言厚生省のほうに御注意を申し上げたいのでございます。  私の知っている農村の保健所の女医さんでございますが、この人が私にしばしば言っていることは、農村の婦人は大体第二子あるいは第三子を産むと入院をする。その際に、輸卵管結紮ですか、あなたのほうのことばで何というのですか、手術ですね。これを行なうことが非常に多いと言うんです。それで、その女医さんは、それだけはやめなさい、あなた方の、いま産んでいる二人のお子さんがなくなっても、その手術をしたならばもう子供は産めないんですよ、そういうことを考えて、非常に心配なので、私は農村を思って、妊娠中絶はやむを得ないとしても、そういうふうな手術を受けることはやめなさいと言っておるんだけれども、どうしてもとまらない、そういう手術を受けた婦人は、うちに帰って、あんな手術は何でもないんですよと言って、みんなにふれ回って歩く、ほんとうに私は、その点は将来のために心配だ、こういうことを言っております。ですから、厚生省のお役人が机の上で考えているよりももっともっとこの出生を抑制するというふうなことが強く行なわれているということなんです。  そういう面は、やはり行政上非常に困難だと思います。私もわかります。それだからどうするのかということは非常に困難だと思いますけれども、やはりそういう点は留意していただかなければいけないし、またこういう避妊の手術などということを軽々しくお医者さんがやれるようにすべきではない。それをお医者さんが平然として多くの場合にやっている。妊娠中絶もやっている。それが脱税につながってくる。私は、何か一つの夜の暗黒面を見せられるようなことを、きのうの御質疑応答の中で伺いましたので、きょうは御質問したようなわけであります。  御参考になりますかどうか、あまり具体的なことを申し上げませんでしたが、ひとつ十分に御考慮願いたい。ありがとうございました。
  35. 福田繁芳

    福田委員長 華山先生、あなたの御質問、これで終わりましたが、あなたの質問が終わりますれば、江口税部長も、もうこれで終わったので帰ってもらうのでありますが、私、委員長として、昨日から諸先生お話を伺って、直税部長に要望申しておきたいと思う。  ほかではないんだが、江口君、あなたもお聞きのように、昨日からきょうにわたって、お医者さまのほんの一部分の方かも存じませんけれども脱税と言うてはどうかと思うが、税に協力してくれないために、全部の医師会に非常に御迷惑をかけるような傾向の御質問なり御答弁があったわけです。察するのに、御承知のように、これまた政治のひずみかも存じませんが、昨今の医療費の値上げ、なかんずく、きのう、きょうの中医協の行き方、ひいては日本医師会の行き方、こういった点において国民感情上、一部分の方かも存じませんけれども、税に協力してないことに対する風当たりが非常に強うございますから、直税部長税務行政本来の職責を国民にかわって全うされる、ひいてはそれが日本医師会の質の向上になると私は思いますので、御要望申し上げておきまするが、それに対する江口税部長の御所感を伺って、御退席願いたいと思います。
  36. 江口健司

    江口説明員 ただいまの委員長の御要望でございますが、私ども医師に限らず、そのつもりで日夜励んでおるつもりでございます。特に医師関係につきましては、御承知の特別措置法の関係で、七二%の経費控除があるということが法定されております関係上、一般的にも医師に対する別な納税者の見方があるのではないかという感じがいたしておりますので、特にわれわれとしましては、医師関係について注意をして調査をしておるというような状況でございます。御指摘のとおり、今後も課税の公平のためにわれわれは全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  37. 福田繁芳

    福田委員長 江口税部長御苦労でございました。どうぞ御退席願います。  次に、菅波茂君、発言を許します。
  38. 菅波茂

    ○菅波委員 きょうは主として公衆衛生行政の中で、保健所の実施体制と、その基本的な運営あるいは業務の運営について御質問いたしたいと思います。できるだけ簡潔にお答えをいただきたいと思います。  最初、私の所見でありますけれども、保健所がつくられてからもう三十年、結核とかあるいは性病、その他寄生虫、伝染病、そういう対策、つまり疾病予防とかあるいは健康増進、保健所の行政というのはそういう点に重点を置いたわけであります。それなりに保健衛生というものは向上してまいったわけであります。私は、この役割りは非常に大きかったと実は考えておるわけであります。しかし、最近急速な生活環境の変化とか、あるいは産業構造のこれまた高度経済成長とでもいうのでしょうか、そういうような中で公害とか、あるいは食品衛生等の環境、あるいは公衆衛生上の諸問題も起きておるわけであります。これに対して現状の保健所機構では何か全くたよりないというような感じが私はいたしておるわけであります。やはり何か新しい時代に沿ったような、対応するような改革を怠っておったのではないかという気もしているわけでございます。もちろん現在の機構の中では、保健所に対する関係法律というのは八十くらいですか、非常に多くて、たいへんで、その法律に縛られており、そのために機能が何か麻痺して、地域住民の要望に沿った独自の、よりよいところの機敏な活動ができなくなっておるのが私は保健所の実態でないかと思うのです。  ちょうど今年の十月に行政管理庁のほうから行政監察の結果が出たわけでございます。これを私もずっと一読いたしますと、今日の保健所のあり方は全くあらゆる点を改めなければならないとこれに書いておるようでございます。ちょうど現在の保健所は、何か百貨店のように厚生行政というのが並べてあるが、どれ一つとっても、いわゆる実情に合わないようなそういうものがあるのではなかろうかと私は感じておるわけであります。  保健所法というものが二十二年ですか改正せられて今日に至る間、もちろん老人福祉とか学校保健法だとか、あるいは食品関係法律、新しく設けられた公害衛生、環境衛生、あるいは医務、あるいは薬務、非常に法律の取り扱いが、すべて窓口が保健所にからんでやってくるわけであります。保健所の窓口は複雑多岐に、非常に広くなっておるという実情であろうと思う。あるいはまた一方では、人口がどんどんふえていく。都市の場合でも、いわゆる過密の地帯でも、あるいは過疎の農村、漁村の場合でも、全く同じ法律で全く同じ仕事が与えられておるわけですから、非常にそこに能率が、現状に合わなく渋滞してくるのはやむを得ない一つの機構でないか、こう私は考えておるわけです。  そこで、質問の第一点でありますが、私が聞いたのでは、行政管理庁が三十一年にもやはりこれと同じような行政監察の結果を勧告いたしておるようであります。しかし、その当時、実際は三十五年に、都市型というのですか農村漁村型というのですか、そういう分類はなすったと聞いておるのですが、しかし、当時の勧告を完全に行なっておったのかどうか、完全ということでございますから、そういうふうにも見受けられる点がないとは言えないのであります。ですからまず、その当時のそういうものがあったとしたならば、それは実態としてどのように行なわれてまいったのか、その効果とでもいいましょうか、そういうものをまず第一点お伺いしたいのであります。
  39. 滝沢正

    滝沢政府委員 三十二年に勧告がございまして、そのときの勧告の要旨は、主として予算の総合的運営、これは国庫補助が各事業ごとに非常に零細にわたりばらばらであったということから、当時の行管から総合的な運営をすべきであるという御指摘がございました。それから実施体制の強化の面では、保健婦等の充足あるいは当時まだ——まだと言っては語弊がございますけれども、依然として重要ではございますが、結核対策も一そうの強化をはかるべきである。主として大きな主題はそのようなものでございますが、これを受けてやりました措置といたしましては、予算の総合運営では、経理事務の合理化に関する法律というのができまして、ただいまその年ごとに大体百分の三十四という一括した補助率で、かなり総合的な運営ができるように経理事務の合理化をはかりました。それから実施体制につきましては、先生御指摘のように型別の運営ということに踏み切りまして、それぞれの地域事情にできるだけ合うような方策を講じたのでございますが、これがいま先生お話しのように、その後十年以上経過した今日、また再びこの点が問題になってきておる、こういうふうに理解いたしております。
  40. 菅波茂

    ○菅波委員 次に、大臣の諮問機関、これは私的なものでありましょうが、何か保健所問題懇談会というのが昨年の秋発足いたして、あれからもう一年になるわけでございますが、現在その会が一体どのように運営せられて、結果はまだ出ないようでありますけれども、もしそういうお話し合いの中で何か保健所の運営上りっぱな提言でもありますならば、中間でありましょうが、お聞きしたいと思うし、いつごろそういうものに対する答申というのか、諮問されたものについての結論が出る見通しなのか、まずお伺いしたいのです。
  41. 滝沢正

    滝沢政府委員 発足がたいへんおくれておりましたが、昨年十月から保健所問題に関する懇談会が大臣の私的諮問機関として発足いたしておるのでございます。これは、委員の構成につきましては学識経験者をお願いしてございますが、範囲としては、医師会関係あるいは地方の医師会関係の実際に現場で僻地医療等を担当している方、それから現場の保健所の所長、保健婦、それから一般的な医事問題に対する学識経験者、行政の経験者等を交えまして発足したわけでございます。  これがただいままでに九回会合を重ねまして、予定といたしましては、大体三月までに月二回の予定で懇談会を重ねまして、あと数回で取りまとめ、おおよその結論を出していただき、そして具体的な答申的な作業の予定を四月、五月——とい  いますのは、六月に四十八年度予算を編成いたします関係上、最終的な取りまとめを五月一ぱいにしていただきまして、六月には四十八年度以降の予算要求に具体的にこれが対策を盛り込めるような予定で、ただいまお話し合いを進めていただいております。  その中で重要なあるいはいろいろの面で提言が確かにございますが、まず行管の御指摘がタイミングよくちょうど懇談会の開催中に出ております。これはきわめて重要な御提言であるわけでございます。そのほかにいままで御提言いただいているのは、日本医師会が、昭和三十八年の医療制度懇談会のときに医師会が提案いたしました、地域医療制度に関係ございます地域保険調査会という問題の提起をいたしておりまして、これを中心に医師会が考え方を御提案になっております。それから全国衛生部長会は、ここ数年来保健所問題についていろいろの討議を重ねてきておりまして、その中間的にまとまりました大綱を御提案いただいております。それから全国保健所長会もこの問題にかなり前から関心を持ちまして、委員会等をつくって御検討を願っております。これはかなり最終報告的な御意見につきまして御提出願っております。そのほか秋田県、岩手県等の僻地における医師会あるいは医療関係者の地域保健調査会的な活動資料等についても御提案をいただいております。その中できわめて重要な問題は、保健所は従来地域の中で保健所法にございますように保健所運営協議会というものを持っておりますけれども、これは名が示しますように、保健所の運営協議会というような感覚でございまして、広い意味の地域の医療保健問題全体を討議するという場ではないような感じをことばの上で——法的な表現では必ずしもそういうことじゃなくて、広い地域の公衆衛生の向上に関することを協議するように指導通知も出ておりますけれども、保健所運営協議会という感覚はどうしても現在までの保健所自体の運営というような感じでございまして、地域の保健問題全体を統括して調整し、向上させるという面に欠けるきらいがございます。その点が今後重要なポイントでございます。  もう一点重要な点は、保健所の医師確保等の困難な現状において、先ほど先生が御指摘のように、母子保健、結核対策のごく入り口のところまではどうやらいままでこなしてまいりましたけれども、最近のような高度の医療、あるいは老人成人病対策、ガン対策等を考慮いたしますと、このままでは保健所の機能というものは、よほど地域社会の医療の協力を得られるような仕組みに持っていきませんと、保健所自体できりきり舞いしておっては地域社会の保健衛生が向上しない。その問題の指摘がかなり重要な点であるというふうに理解いたしております。
  42. 菅波茂

    ○菅波委員 たいへんいい提言が各方面から出ておるわけですから、できるだけこの結論をいまの日程のようにお急ぎになったらいかがかと私も存じております。  次に、保健所の業務の中心的な役割りをいたしておるのは、やはり専門の医者ではないかと思うのです。何か聞いておりますというと、年々その充足が不足しておるという。行管の勧告を見ておりましても、三十一年度が大体六一%と充足率を書いてございます。ところが四十四年度は四二%になって、今度の行管の勧告によりますと、何か五十六の保健所を調べてみたと書いてありました。お医者さんはみなどうしても都会に集中してしまって、農漁村が非常に不足しておるという状態、これは一般的にみなそうなんですけれども、やはり保健所にも同じような型があらわれておる。五十六の中でも、専任のお医者さんがいるのは十九くらいだ、それも一名というようなことで、あとは全然専任のお医者がいなくて、何か兼任の形だとか全然お医者さんがいない保健所がある。こういう状態ではほんとうの中心的なものが抜けているわけですから、これは大きな行政上のマイナスじゃないか、実は私はこう考えておるわけです。一体保健所の適正な人員構成とかあるいはまたそういう職員をどう充足していこうと考えておるのか、簡潔にひとつお考えをお聞きしたいのです。
  43. 滝沢正

    滝沢政府委員 全く先生の御指摘のとおり、充足状況は年々低下をいたしてまいりまして、ただいま四〇%程度でございます。われわれとしては、従来いろいろの手を打っておるわけでございますが、まず給与の改善につきましては、医療職では、当初給与法の医療職を適用する地方が少なくて、やはり行政職というような感じが強かったのですが、現状ではほとんど保健所は全部といっていいほど医療職の適用を受けましたので、比較的給与の改善は行なわれたという結果でございます。そのほかに研究手当あるいはいろいろの調査手当というようなことも、国が補助金を出しまして、それに都道府県が上のせして、給与改善の一環としてこれを活用していただいておる。それから大学と保健所との連携を強化いたしますことが、やはり大学等から優秀な医師を確保する上に多少なりとも役立っておりますので、これを引き続き強化してまいりたい。それから医学生の修学中に修学資金を貸与する制度がかなり前から行なわれておりますが、これがたいへん希望者も少ない上に、歩どまりがあまりよくない。四十二年に四十一名修学資金を受けて卒業したのでございますが、保健所に就職した方は十名ということ、それから四十四年は二十七名のうち五名だけ保健所に残った。四十五年は三十六名の修了者のうち七名だけ残った。せいぜい二〇%前後の歩どまりでございます。この関係で似たような制度は、法務省の関係あるいは防衛庁の関係等で行なわれておりますが、いずれも歩どまりはあまりよくございません。しかしながら多少なりとも歩どまりがある。こういう若手の医師がいま足りない中で、われわれの今後の行政をになう役割りを多少なりとも地方、中央を含めてやっていただいておるわけでございます。  以上のようなことで、ほんとうにきめ手になる問題は、やはり医師が臨床的に興味を持ち、あるいは医学教育との根本的なつながりがございまして、医学教育の中に公衆衛生学教室ができましたけれども、やはり医学教育の主体は臨床医の養成という感が深いわけでございまして、したがいまして、保健所のように臨床的に興味が持てない施設における医師の確保という問題は、基本的にはむずかしさがあるわけでございます。しかしながら、公衆衛生院等で医師の研修をいたしておりますが、これを大学院コース等に切りかえることによって、外国に例がございますように、もう少し権威のある公衆衛生専門の医師を養成することのほうが逆にかえって確保できる道につながるのじゃなかろうか。こういうような面を含めまして、むしろ保健所長資格なりあるいは確保という立場で、中心的な保健所にはやはりできるだけそういう専門的な医師を配置し、むしろ地方僻地等の保健所には、医師会等の御協力をいただきまして、地元の医師会の責任者の方にむしろ保健所の具体的な運営にタッチしていただくというようなことも含めまして、医師の確保については広い立場から検討してまいりたい、こういうような考え方でございます。
  44. 菅波茂

    ○菅波委員 いまの局長お話は私も全く同感なんですが、ただ、厚生省医師の充足対策としていまおっしゃったように修学の資金制度というのをおつくりになって、三十二年ですか、実施しておるわけで、調べてみますと、四十五年度までのその実績、貸与終了者六百三十九人と書いてあるわけで、就職者がその中で百七十八人しかないと、こうあるわけです。このうちで現在一体どれだけ就職しておるのか。  それからまた、お医者さんと歯医者先生、こうあるわけです。それが実態は一体どうなっておるのか、その区分。それからこういうような修学資金貸与制度というものは現状においては有効とお考えになっておるのかどうか。同じようなことですが、その点をもう一度お伺いしたい。
  45. 滝沢正

    滝沢政府委員 ただいま先生御指導の百七十八名のとどまっておる状況については、ちょっと手元に数字がございませんでたいへん恐縮でございますが、医師と歯科医師では、ほとんど歯科医師はございませんで、大部分医師でございます。  それからいまの修学資金制度は、実は予算のことを率直に申してですが、かなりずっと前から月六千円という金額でございます。これは生活資金的なものは一切除いて、学習に必要なる資金という性格になっておる関係もございまして、この点防衛庁などはもう少し生活資金的な考え方を導入する方向で考えているようでございますが、この点若干金額的に、いまの時勢で月六千円ということでは魅力そのものがたいへん不十分で、この点については改善の要求を今後とも続けて、できるだけ改善してまいりたい。これは多少なりとも役立つのではなかろうかと考えております。  それから修学資金にかわる制度は、各都道府県等でも県の職員の確保、県立病院、保健所を含めた県の医師、職員の確保のためにこれをあわせて行なっておりますが、この制度は国のほうと地方の制度を両方受けても差しつかえないことになっておりまして、これらの点の問題の整理等もございますが、一応修学資金制度は内容を改善しながら今後とも続けてまいりたい。これは歩どまりが悪くても、せめてこの中からの若手の医師の確保に役立てていきたい、こういう考え方でございます。
  46. 菅波茂

    ○菅波委員 さっきも全国の保健所長会議だとか、いろいろ保健所の機構に対する提言というものがたくさんあるというお話を承ったのですけれども、最近のある新聞を見ますと、非常に適切な提言じゃないかと私は思うのです。国立公衆衛生院の衛生行政学部長橋本さんの提言にこんなことがあったようですが、不必要な、いま八十もある法律でがんじがらめにされて動けない、それを整理なさったほうがいいのじゃないかという適切な提言だと思うのです。それからいまの縦割り行政をやめて、地域に合った保健所行政をするための、何か地域の保健に対する基本法とでもいうのでしょうか、そういうものをつくって保健行政というものにシビルミニマム的な考え方を取り入れたらどうなんだろうか。それから、たくさん許認可があるわけです。こういうものはやはり保健所でなくても本庁に移管したらどうかというようなお話もあったようです。あるいはまたいろいろな試験研究が、最近は食品の問題とか公害の問題を保健所がたくさんややこしくやっているわけですけれども、そういうようなものはやはりセンターにまかしてしまって、保健所から全く切り離してしまったら一体どうなんだろうかという提言が新聞にあったようなんですが、こういったような提言について局長さんは一体どうお考えか。これは局長さんか政務次官かわかりませんけれども、そういう提言は私は非常にいい提言だと思っておるのですが、ひとつお聞かせ願えれば非常に幸いだと思うのです。
  47. 滝沢正

    滝沢政府委員 橋本先生の専門的な立場からの御提言、私も承知いたしますが、ただいまの法律関係の整理ということは、結局許認可等の地方委譲的な問題ともつながり、あるいは市町村への委譲ともつながるので、この点につきましてはかなり重要な問題でございます。場合によっては各法律全部に触れてくる問題でございますので、これはやはり時間はかかると思いますけれども、この点についてはむしろ中央に移してしまうべきもの、あるいは市町村におろすべきもの、あるいはやはり保健所に残すのが最も妥当なものということで整理する方向は、当然やらなければならぬ方向だと考えております。  それから縦割りの行政ということで、その地域の問題、基本法の考え方、これは私は公衆衛生の予防行政と医療、狭い意味の医療行政、これを一元的にすることが今後の重要な課題だと思っておりますので、その点が従来はやや国民にとっては予防的な活動が治療なり正確な診断との間にとぎれができてしまっている、最後の一貫した結びつきがない、いわゆる包括的な医療というものがない、こういう御提言が多いわけでございますので、地域保健医療基本法というよりも、わが国自体に医療基本法、健康増進、予防を含めた広い意味の医療、ヘルスとメディカルを合わせた基本法というものがやはり検討されてしかるべきではなかろうか。こういうふうなことで、厚生省におきましても、そういう広い意味の医療に対する基本的な考え方が検討されておりますので、その中で公衆衛生、地域の医療のあり方、こういうことも当然論じられてまいる、こういうふうに考えております。  それから許認可の問題も、いまの法律の整理とからむわけでございますが、今度の保健所問題懇談会の重要な課題の一つに、現在政令市というものがございますが、一たんこれを認めた、スタートしただけで、その後、たとえば静岡県の浜松のように、四十万以上でも依然として政令市という方向でなしに、県の保健所の形でやっておりますけれども、この政令市の保健所というものを今後ふやしていくべきである、こういう議論がかなり強いわけでございます。一般的に市の行政と保健所の行政とはもうかなり密着しているのじゃないか、極端に言えば、市であるものは保健行政についてはもっと責任を持つような方向で改善すべきである、こういう御見解がございます。そうなりますと、現在の政令市が行なっているような許認可がかなりの市の段階までおろせる。町村段階までについては、実情を勘案して考える、こういうかね合いが出てくると考えております。  それから、最後に御指摘の試験研究等についても、どこの保健所もどうやらやれるというのではなくて、やはりこれだけ高度の検査が必要になってまいりますと、公害問題等も含めまして、やはりセンター的な機能というものは、各県ごとにただいま公害衛生研究所あるいは公害研究所という形で行なわれておりますので、これに伴いまして、保健所全部ではなくて、県の中に中心的なこういう検査機能を持った保健所を充実することが、行監の指摘にもありますように、今後重要な課題ではなかろうか、こういうふうに考えて、先生御指摘の、あるいは橋本先生御提言の問題は、われわれの今後の対策を推進する上に非常に重要な提言であると理解いたしております。
  48. 菅波茂

    ○菅波委員 本年の九月の下旬ですか、名古屋で十七回目の東海の公衆衛生学会があった、こう新聞で見たのですけれども、いままでも外からはたくさんあるわけですけれども、しかし内から、現場関係者から何か鋭い意見がたくさん出たというその中で、もう私は保健所の所長になりたくないとか、所長の権限があまりにも少な過ぎる、そういうお話があったと書いてあるようであります。また、所長は本庁のほうからの指令を部下に伝達するだけで、何か新聞には、手配師のようになってしまった、住民の苦情は直接本庁のほうへ持ち込んでしまっておる、それから、仕事の内容がもう広過ぎてどうにもならぬというようなお話があり、また所長はたいがいはみな医者ですから、医者立場に返って、保健所はやはりいままでのように健康一本やりでいくのがほんとうじゃないかというような意見がたいへん出たと新聞にあるのを私拝見したのですけれども、こういうことが内から、現場から出てきたということ、こういう批判を外からはもうちょいちょい聞いておりますが、内からもそういう批判が出ておるということになると、これはなかなか重病だなというふうにちょっと私考えたわけです。  そこで、厚生省は、保健所の機構というもの、いままでいろいろ諮問もなすっておるわけですけれども、現時点においては一体どういうふうにこの機構の改革をしたらいいのかということを、これは非常に大きな問題だと思うのですけれども、二、三でもけっこうですから、さっきの橋本さんの提言とか、いろいろいままでお話し合いの中でやりとりがありましたが、そういうものはみなそうだと思うのですけれども、特に大きな柱をあげるとするならば一体どういうものなのか、かいつまんで。くどいようですけれども、もう一つ二つ、こういう現場の声があるものですから、お聞きしたい。
  49. 滝沢正

    滝沢政府委員 おっしゃるとおり、いろいろの意見が出ておるわけでございますし、学会等も含みまして、最近は内外ともの御意見が相当交錯して活発な論議がされております。特に御指摘の、保健所の間口が広くて何となく焦点がない、こういうような点につきましては、先ほど先生の御指摘に、百貨店という話がございましたが、これは懇談会でも出ておることばでございまして、やはり専門的な、保健所にふさわしい、あるいは地域社会で、よそでやれることと保健所でやることが最もふさわしいことをもっと整理して、そして焦点をしぼる、専門店的な機能に切りかえていく必要がある。この点について、私のほうでは、行管の指摘にも一部触れられておりますように、結核対策は、これはやはり家庭訪問等を含めまして、医療と社会的な対策を講ずる関係上、依然として重要な課題である。それからもう一つ、新たに重要な課題として検討しなければならぬのは、精神衛生の問題、これについては、入院よりもだんだん外来で精神医療を受ける傾向が強まってまいっておりますので、そういう点から地域の精神衛生対策がきわめて重要である。こういうようなことを含めまして、保健所の業務というものをもっと焦点をしぼっていくということが、おそらく結論として出てまいるものというふうに思っております。  それから、所長の中に、もう健康一本やりという御意見がございましたが、むしろ健康問題、医療問題は、地域のほうの医療機関その他の御協力の方向に持っていって、むしろ環境衛生等を中心とした新しい要請に対応していく。したがって、保健所の機構としては、従来保健所の中に総務課というような感覚がある。総務課というのは、結局所のまとめ役だというような感覚であって、その地域の企画調整的な名前を冠した課がない。こういうようなことも含めまして、地域的な活動というものを、いわゆる保健所の機構からもそういう姿勢なり考え方を改めていく必要がある。これがおそらく十分検討していかなければならぬ問題点ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  50. 菅波茂

    ○菅波委員 次は、公害対策の中でちょっと一つ二つだけお聞きしたいのですが、厚生省は四十四年度から公害の多発する地区を管轄しておる保健所に対して、公害技術担当職員を国庫補助により配置いたしておるのでありますか、保健所職員を対象として国立公衆衛生院ですが、あそこで公害科というものを設けて、四十二年から研修をしていく。三カ年の修了者をちょっと見たのですけれども、何か専門課程が三カ年で、まだ十五名だというお話なんです。これは私のほうの調べが誤っておればなんですが、専門課程を出た者が十五名、特別課程の者が百二十三名と、こう出ておるようであります。現状においてはそういうような数でははたして対応し切れるのかどうか、私は非常に疑問だと思うし、あとでも申し上げますけれども、いろいろな機械類もかなり多くなってきておるわけですから、専門的な知識を持った方をもっとふやしていくべきではないかと考えます。そのためには、やはり定員をふやすということも大事でしょうが、また科もふやしていくとか、あるいはまた研修の回数などももう少しよけいおやりになっていったらどうか。定員増とか科をふやすとか、あるいは研修の回数などをもう少しふやすとか、厚生省が積極的にそういう方向にいったほうがいいのじゃないかと私は思うのですけれども、これは局長、どうお考えになっておりますか。
  51. 滝沢正

    滝沢政府委員 四十四年から四十六年までで百二十三名、公害関係職員を補助対象にいたしまして、それぞれ必要な保健所に補助いたしておるわけでございますが、この職員の確保、そういう専門技術者としての確保ということがなかなか地方ではむずかしい。あるいは基礎的な学科だけを履修していただけば、その後やはり公衆衛生院等で具体的にさらにその上に専門知識を積み上げていただく、こういう姿勢でございますので、先生御指摘の公衆衛生院の教育課程は確かにおっしゃるとおり弱体でございまして、いまのままでは今後のわが国の公害問題の保健所としての対応には不十分でございます。  ただ、問題点の一つに、環境庁が発足いたしまして、あそこが公害研究所にあわせて公害技術職員の研修所をつくる、これはむしろ公害研究所よりも早くに発足させたい、こういうお考えがございますが、公衆衛生院としては他の講習を割愛してでも当面つなぎとしてはできるだけ努力はいたします。また、おそらく環境庁のほうの発足までに若干時間がございますので、われわれとしては、公衆衛生院の強化を他の講習を振りかえてでもする必要があると思っておりますが、基本的には、環境庁とのからみ合いもございまして、極端にいえば公衆衛生院のそのコースは環境庁のほうの研修と一緒でいいのではないかという見解も出始めまして、役人のなわ張りではございませんけれども、公衆衛生院そのものの学科のコースの中に公害的な教育をする必要はございますが、保健婦さんにもやはり公害問題に対する理解が必要でございますから、公衆衛生院そのもののコースをどうするかは確かに一つ問題はございますけれども、公衆衛生院に公害関係を教える機能を持たす考えはございません。したがって、これは結論としては、環境庁の研修所とのかね合いで検討しなければならぬ、こういうふうに考えております。
  52. 菅波茂

    ○菅波委員 あと医務局長さんのほうに一つだけあるのですけれども滝沢さんのほうには最後です。  厚生省が保健所に対して国庫補助の対象として指定しておる公害測定機器、これが、行管のものを見てみますと十六品目あるわけです。こういったような公害測定機器の整備基準をまた設けていくというような考え方がないのかどうなのか、これをちょっとお伺いしたいのです。
  53. 滝沢正

    滝沢政府委員 この点につきましては、実は各地方からもいろいろの見解がございまして、あまり機器を指定されても困るというような見解もございますし、一面、地方的に統一したデータを持つためには、測定する機器もある程度統一する必要があるのじゃないか、こういう見解もかなり強く出ております。したがいまして、この点につきましては環境庁とのからみ合いになりますが、当時発足したままでいいかどうか、これはやはり検討する必要がある、したがって、その地方の統一的なデータを出すためには、やはり相当限定した機種まで指定を標準化する必要がある、こういうふうに考えて、この点については再検討さしていただきます。
  54. 菅波茂

    ○菅波委員 もう滝沢さんのほうはけっこうでございます。  医務局長にちょっとお伺いしたいのです。私も最近中国へ行って見たわけですけれども、最近の医学界に話題をまいておるのにはり麻酔というものがあるわけです。そればかりではありませんし、漢方薬とかその他鍼きゅう、そういうものが全般的に——私も西洋医学だけなものですけれども、何か東洋医学がどこかに置き忘れられている現状であった、これは否定できないと思うのです。ところが、中国のはり麻酔という、テレビでもおやりになったし、私も現実に広州の中山医大で二つの手術を見てきたわけですけれども、帰ってきて、私も大学の教授の友だちがたくさんいるものですから、いろいろほんとうの姿を申し上げましても、あなたは暗示にかかっていたのではないかとか、外科の諸君でもなかなか本気にしてくれないのです。しかし、私ばかりではなくて、多数の同僚の方々が行って見たわけです。写真にもおさめておりますし、私はあるいはこれは一つの非常に大きな医学に対する貢献があるのではなかろうかというふうに実は考えております。聞くところによると、すでに諸外国、ヨーロッパあたりで中国と国交を回復している国は、当然文化交流の中でそういうものがあるでありましょうし、フランスあたりではもうすでにそういう研究ですか調査というものを非常に積極的にやっておるという。あるいは日本の、これは私立の大学でしょうが、そういうところでもはり麻酔というものを含めた東洋医学の研究というものがされてきておるという、いろいろな情報を聞いておるわけなんです。  そこで、厚生省としては、こういうような東洋医学全般に対するところの前向きな検討を一体する考えがあるのかどうなのか、これをまず一つお伺いしたいわけです。  もう一つは、終わりですからついでに、私もどういう構成になっておるかよくわからないのですけれども、東洋医学協会といったと思うのですが、民間のものなのですかどうなのか、何か知っておればそれを。これは御存じなければけっこうなんです。四年ぐらい前ですか、中国へそういうような名前で渡ったという話も聞いたのですけれども、そういう協会は一体どういう構成になって、どういう内容のものなのか。何かこういう協会が、今回松村先生がなくなったときに王国権さんに会見したりしたようでもあるようなんですが、もし松尾さんのほうで御存じならばお聞かせいただきたいと思うし、第一点の重要な問題は、厚生省として医学の日進月歩の中で東洋医学というものを一体どう見ておるか、これをひとつお伺いしたい。
  55. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 東洋医学、これは私から申すまでもございませんが、明治の初年に治政が改革になりますまでは、むしろ日本の伝統的な一つの医療であったわけでございまして、御指摘のようなはり、あるいはおきゅう、その他漢方薬というものにつきましても、わが国でも今日までこれがずっと長い間やはり定着をしてきておる、これは決してゆえないわけでもないと思います。ただ問題は、分析的な西洋医学的な考え方ということからいたしますと、作用機序であるとか効果であるとか、なぜそうなるかといった点が十分解明されない、そういった点に一種の学問的な不信感があったことは否定できないと思います。ただ、今日まで西洋医学が分析的な手法だけで走ってまいりましたけれども、言うまでもなく、人間全体が一人の全体性を持っておるわけでございまして、そういったことに着目した東洋医学の発想というものはやはりもう一度高く評価されるべきである、私たちもそう考えております。  厚生省でも、すでに医療研究補助金等で、こういう診断等の科学性というものをどうするかということについての研究の補助金を出しております。ただ、まだ完全な姿ができておりませんが、私どもは、中国のはり麻酔だけに刺激されたわけではございませんで、かねてからいま申したような観点に立ってやってまいっておりますので、特に今後はひとつ新しい研究所をつくろうじゃないか、これはもちろん国がつくるわけではございませんが、たとえば北里研究所というようなところが非常に積極的な協力を見せております。そういったところで、いわば従来の医学とそれから東洋医学というものを結合させるということが非常にいいのではなかろうかということで、そういう方向の補助金をもらうような努力をいましておるわけでございます。  なお、こういう問題について今後の研究を進める上において、研究の方法なりいろいろなテーマなりについては、やはりわが国の権威者を集めた検討が必要ではなかろうかということで、厚生省の予算といたしまして、そういう検討会を発足させるということで、来年の要求に約五百万近い要求を出しております。そういうことで、従来研究費の補助金という形でも若干手をつけておりますけれども、いま申し上げましたようなことでもって、もっと大々的にこれを進めたい、かように考えておるわけでございます。  それからいまの第二点の協会のこと、私もちょっと聞いておりません。ただ、私の知っておる方の中にも、かなりこういう問題を研究しておるグループもございまして、一つ二つならず、いろいろなグループが存在してこういう問題を研究していることは事実であろうと存じます。
  56. 菅波茂

    ○菅波委員 一つだけ、これは私が中国で見たこと、聞いたことなんですけれども、残念ながら私が調べたものでは、中国の場合、大学のプロフェッサーと話しても、実際あまり教えてくれないのですよ。私どもの習った西洋医学であれば、いま局長おっしゃったように、論理的な究明がないとやらない。ところが、やっておるのですかと聞いても、どうもあまり答えてくれないのです。しかし、現実としてそれをやっておることは事実な問題です。いま承りますと、厚生省は前向きで取り組んでおるという。来年度の予算の中でも五百万ぐらい要求して、おそらく専門家を集めて探求していくということなんでしょうが、私も非常にいま、たとえば手術一つ見ましても、全然全身麻酔もなくて大きな、たとえば私が見たのは甲状腺摘出とじん臓結石ですけれども手術そのものは何にも驚きませんし、日本の医学のほうが、私は西洋医学そのものがすばらしいと思っておるのですけれども、薬を使わないで人間のからだを、手術中に本人が意識が正確であったり、白湯を飲んだりあるいはリンゴを食べたりするという、疼痛感も何もないということは、やはり私はある意味ではたいへんなエポックだと思うのです。ですから、そういう意味ではぜひ前向きで検討するというのですから、これは人類のためにも厚生省のほうはしっかりとひとつ取り組んでいただきたいということを最後に御提言を申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  57. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 ただいままで菅波先生からうんちくの深い御経験のあるおことばをちょうだいいたしまして、特に保健所問題につきましては、厚生省の顔がまだ地方になじんでいないとか、あるいは今後あるべき保健所の姿についていろいろ御示唆を賜わりました。これは厚生省といたしましては、今日生活が多様化し、また公衆衛生の面で考えさせられる点が相当多いのでありまして、私どもは、その内容の充実、特に医療職員の確保、こういう問題については真剣に取り組まなければならぬ、これは厚生省あげての要望であります。なお今後先生の御提言を前提といたしまして、私ども厚生省といたしましては、できるだけすみやかに中央のわれわれの公衆衛生指導方針が地方に徹底し、また地方の意見が中央にはね返って、そして円満なる今後の公衆衛生行政並びに福祉行政が徹底するような、そういう機構に改めたいと思います。なお今後ともひとつ専門的な先生立場から御鞭撻いただきますようこちらからもお願い申し上げまして、貴重な御意見ありがとうございました。      ————◇—————
  58. 福田繁芳

    福田委員長 次に、会計検査院所管について審査を行ないたいと思います。  まず、会計検査院所管について概要の説明を求めます。白木会計検査院長
  59. 白木康進

    ○白木会計検査院長 昭和四十四年度会計検査院所管一般会計歳入歳出決算の大要を説明申し上げます。  会計検査院主管の歳入につきましては、予算額三百三十二万余円に対しまして、収納済み歳入額は五百五十一万余円でございまして、差し引き二百十八万余円の増加となっております。  収納済み歳入額のおもなものは、公務員宿舎貸付料等の国有財産貸し付け収入三百十九万余円であります。  次に、会計検査院所管の歳出につきましては、当初予算額十八億七千四十八万余円に、補正予算額五千二百三十七万余円を増加し、これに予備費一千百九十七万円を加えた予算現額十九億三千四百八十二万余円に対しまして、支出済み歳出額は、十九億三千四百六十万余円でございます。その差額二十二万余円を不用額といたしております。  支出済み歳出額のうちおもなものは、人件費十六億六千三百三十八万余円、検査旅費一億二千四百六十六万余円、施設整備費三千二百四万余円となっております。  以上、はなはだ簡単でございますが、会計検査院所管昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算について説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     〔委員長退席、森下(元)委員長代理着席〕
  60. 森下元晴

    ○森下(元)委員長代理 次に、会計検査院当局から検査の概要の説明を求めます。服部会計検査院第一局長
  61. 服部桂三

    ○服部会計検査院説明員 昭和四十四年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございませんでした。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。     —————————————
  62. 森下元晴

    ○森下(元)委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。菅波茂君。
  63. 菅波茂

    ○菅波委員 憲法第九十条は「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」と規定しておるわけであります。また会計検査院法第二十一条においては、「会計検査院は、検査の結果により、国の収入支出の決算を確認する。」ともあるわけであります。このように私たちは会計検査院の検査確認した国の決算を毎年審査しておるのでありますが、いまここで事新しく承るまでもないことかもしれませんが、委員の方々にも私のような新しい者もおるわけでございまして、あらためて会計検査院の検査の方針とかあるいはその権限について、まず承っておきたいと思うのであります。
  64. 白木康進

    ○白木会計検査院長 お答え申し申し上げます。  会計検査院は、ただいま条文等をもちましてお示しのとおり、憲法上の財政監督機関といたしまして、毎年収入支出の決算あるいは国の財産等全般にわたりまして、その会計の検査をいたしまして、特に収入支出の決算につきましては、毎年これを確認いたしまして、その結果を検査報告として内閣に送付し、決算に添付されてお手元に届いておるわけでございます。  私どもの検査の権限は、ただいまお示しのとおり、基本的には憲法、具体的には会計検査院法によりまして、国の決算、あるいは特に法律によりまして私どものほうに検査の義務が課せられております政府の出資団体その他の団体、補助団体等について検査を実施しておるわけでございます。  検査のやり方といたしましては、これはここで申し上げるまでもなく、全国の決算個所から書類として収支の内容を提出してもらいまして、これについて書面の検査を実施し、必要によりまして全国各地に職員を派遣して実地検査をし、この過程におきまして決算の総体的な確認をいたしておるわけでございます。  概要は以上でございます。
  65. 菅波茂

    ○菅波委員 同じようなことになるかもしれませんけれども、会計検査院の検査は毎年どのように行なっておるか。いまおっしゃった中で、書面検査とかあるいは実地検査、こうおっしゃっておるわけであります。その検査の施行の状況とか検査の結果などについて、特に結果から見て、過去数年間の趨勢は一体どうなのであるか、説明をしていただきたいのでございます。
  66. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 最初に、私このたび事務総局次長に命ぜられました鎌田でございます。よろしく御指導のほどをお願いいたします。  答弁申し上げます。検査院の検査の施行率について申し上げますと、逆から申し上げて恐縮でございますが、昭和四十六年つまり四十五年度の決算につきまして検査いたしました率は、これは重要個所甲、それ以外の個所乙、こういうふうに区分してございますが、これをトータルしてまいりますと、パーセンテージでは七%。ただ、これを分析いたしてみますと、重要な個所では三〇・九%、それ以外の個所では一・九%、平均しますと、いま申し上げましたように七%、こういうような数字になるわけでございます。それから四十五年つまり四十四年度につきまして検査いたしました施行率について申し上げますと、平均して七・一%、それから四十四年つまり四十二年度について検査いたしました検査の施行率は平均して八%、四十三年に実施いたしました、つまり四十二年度の決算につきまして実地検査いたしました施行率は七・三%、それから四十二年つまり四十一年度につきまして検査いたしました実地検査の施行率は今回と同じように七・一%、こういうような趨勢でございます。  なお、検査の結果、不当と批難いたしました金額でございますが、この趨勢を申し上げますと、四十五年度につきましては約十二億六千万円、四十四年度につきましては十九億九千万円、四十三年度につきましては十二億六千万円、四十二年度につきましては十二億五千万円、四十一年度につきましては十三億四千万円、以上のような状況でございます。  最近の五カ年間について申し上げました。
  67. 菅波茂

    ○菅波委員 最後に、検査の結果から見て、予算の執行に対する検査院当局の見解とでもいうものがありますならば承っておきたいのです。
  68. 白木康進

    ○白木会計検査院長 検査の結果は、ただいま次長から申し上げましたとおり、内容的に見ましても、あるいは計数的に見ましても、毎年ほぼ変わりないような状況になっております。  よく私ども聞かれますが、一体実態はどうであるかということでございますけれども、これはもちろん十数年前のまだ終戦後の混乱の引き続いておりました時代には、国や公共団体の会計も相当に乱れた面が多うございまして、したがって指摘事項、指摘金額ともに非常に多かったわけでございますが、最近は、ことばで申しますと平常化と申しますか、いろいろな間違いが通常的に起こっておるということでは平常的と申してもいいかと思いますけれども、これをもってよくなったということは、私ども立場からはちょっと的確に判断はできませんし、まあ漸次改善の努力を政府当局においてもやっておられるという事実は認めております。
  69. 菅波茂

    ○菅波委員 終わります。
  70. 森下元晴

    ○森下(元)委員長代理 華山親義君。
  71. 華山親義

    華山委員 沖繩の返還のことにつきまして会計検査院の方にお伺いいたしたいと思います。  沖繩の返還ができる今日まで、あるいは今後もそうでございますが、沖繩の会計の検査というものをなすったそうでございますけれども、どういう経緯でなすったのでございますか。またその結果等につきまして、非常に簡略でよろしゅうございますから、御報告を願いたいと思います。
  72. 白木康進

    ○白木会計検査院長 沖繩の経理につきましては、御承知のとおり日本国政府、具体的には総理府でございますが、総理府と琉球政府との間に財政援助金の交付について覚え書きの協定がございまして、その中で財政援助金の使途について日本政府、具体的には総理府が、一応その内容を検査する権限を有しております。これは、日本国政府として財政援助金を交付しておるたてまえ上、その使途の内容を見るということでございまして、もちろん私どもの憲法上の検査権限に基づくいわゆる決算の検査とは性質が違うわけでございますが、私どもの検査の職制上、ただいまの覚え書きの検査を会計検査院が実施するということになりまして、たしか昭和三十九年以降であったかと思いますが、毎年援助金の使途について私どものほうで検査を実施しております。  その結果については、いろいろ調査担当官から報告がまいっておりますが、特に不当ということで総理府に対して正式に申し入れをした事項はございません。もちろん現地においていろいろな、特に公共事業関係におきまして経理の不十分な点は相当ございまして、これはそれぞれ現地において注意をしたり自省を求めたりはいたしておるわけでございます。
  73. 華山親義

    華山委員 書面検査と実地検査、両方おやりになったわけでございますか。
  74. 白木康進

    ○白木会計検査院長 沖繩の検査については、全部実地の検査だけでございます。
  75. 華山親義

    華山委員 それが悪いとかなんとかいう問題じゃございませんけれども、そういうふうなことを行なうところの権限、そういうふうなものは会計検査院法の何から出てきましたのですか。会計検査院法の職能の中に、そういうことのできる条文があるのですかということをお聞きしたい。委託によって、依頼によって調査をする、検査をするというふうな権限が、検査院法によって与えられているかということをお聞きしている。
  76. 白木康進

    ○白木会計検査院長 私どもの検査の権限は、会計検査院法に基づきまして、国の収入支出の決算以外は、特に法律に基づきまして検査院の検査に付するという事項でございますので、ただいまの援助金のようなものにつきましては、直接会計検査院法に基づく本来の権限の行使でやっておるわけではございません。
  77. 華山親義

    華山委員 頼まれればやるという性格というものが、そういうことのやれるという権限が、会計検査院に法律上あるのかということなんです。
  78. 白木康進

    ○白木会計検査院長 いまの先生の御質問の趣旨でございますが、頼まれればそういった検査でも何でもできることになっているかということかと存じますけれども、そういう規定はございませんので、これは何といいますか財政援助金も、これはわが国民の税金によってまかなわれるわけでございますが、これを実際に総括する主務官庁は総理府でございまして、総理府のそういう財政支出と申しますか、これに対する検査というのがやはりその根底に私はあると思います。ただ、具体的に向こうに行ったものを向こうに行って検査するという権限はございません。
  79. 華山親義

    華山委員 私は、そのこと自体非常にとがめだてをしてかれこれ理屈を言うわけではございませんけれども、よほどはっきりしていただかないといけないと思うわけなんです。それは、これからいろいろな海外投資が行なわれる。民間の投資ばかりでなく、日本政府が直接投資をするような場合もあるわけです。そのときに会計検査院に検査してくれと言われたって、一体どの権限によってそれをやれるのか、私はその点はあらかじめきちんとしておおきにならないといけないのじゃないかという気持ちがするわけです。日本の財政資金が行った個所は、どこでも頼まれればやるのだ、こういうふうなたてまえであれば、法律上お書きになっておいたほうがいい。法律は改正なすったほうが私はいいと思うのでございますけれども、現在の会計検査院法にはないわけでございますね。私は、そういうふうな会計検査院法をお改めになって、そして検査なすったほうがいいと思うから申し上げるのです。  それでお伺いいたしますが、沖繩に対して政府それ自体がやったものがありますね。補助金等でなしにそういうものがあったように思うのです。たとえば郵政省のいろいろな施設等は、政府自体の資金がそのまま行ってあちらで仕事が行なわれた、そういうふうなものは、本来これは検査のできるものなのか、委託によって行なわれたものなのか、どちらなのでございましょう。
  80. 白木康進

    ○白木会計検査院長 私ども慣行で——慣行と申しますとあれでございますけれども、沖繩にいまの財政援助金の検査で参ります関係上、ただいま華山先生のおっしゃいましたような、たとえば電電公社の放送施設の沖繩の施設関係等がございますわけでございますが、こういったものを便宜見てまいっております。ただ、これは覚え書き協定ということでなくて、もしこれが日本政府の広義の琉球政府に対する援助の施設とすれば、これはあるいは協定に入るかと思いますけれども、その点はなはだ申しわけございませんが、根拠の点がもうちょっと私現在明確になっておりませんので、後日はっきりいたしてお答え申し上げたいと思います。
  81. 華山親義

    華山委員 私は何も悪いとかなんとか会計検査院のあげ足をとる意味ではございませんけれども、会計検査院の権限としてああいうことができるのであれば、今後外国の領域内において政府が直接投資を行ないあるいは補助をして行なったもの、それは補助をして行なったものに対しては外国政府との関係がありますから、理論的にはまた問題あると思いますけれども、そういうものはやれるのだという立場に立つのかどうかという重要な問題があると私は思うのです。特にこれから、いまでもそうですけれども、海外のそういうふうな援助についてはいろいろな問題がふくそういたしますし、またそのつくるものはりっぱでなければいけないし、会計上の誤りがあってもいけないわけでございますから、そういうことについて会計検査院としてどうすべきかということをきちっとお定めになっていたほうがいいのじゃないか、こういうことで申し上げているわけで、ただいまのお話しのように、ついでがあったから見てきたという程度ではどうかなという私は気もするわけです。ひとつ御勉強をお願いいたします。——何かお答えございますか。
  82. 白木康進

    ○白木会計検査院長 はなはだ答弁要領を得ませんで申しわけございませんが、国が外国等に対して直接投資をする等の事態も今後おっしゃいますとおり予想されますので、この点について会計検査院の検査の権限、根拠を明確にするようにという御趣旨はまことにごもっともでございます。ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、現在の法律におきましても、国の収入支出の決算等のほかに、特に法律をもって会計検査院の検査に付するというものについての条項がございますので、条約なりあるいはそれに関する関連法律なりにおいて、特にこの分については会計検査院の検査に付するという条項をそれぞれ付するということも一つの方法として考えられるかと思います。そういう点は私どもも積極的に考えてみたいと思っております。
  83. 華山親義

    華山委員 私もその法律のあることを知っておりますし、法律があるから、法律がないのにやったのはおかしいじゃないかという反問もできるわけなんです。それで、これからそういう外国関係がありますから一がいにいかないと思いますけれども、できるだけ日本が海外に投資したものは有効に使われなければいけないと思いますので、そういう点につきまして政府とともによく御研究をなすっていただきたいと思うわけです。ただ安易に頼まれたから行ってみましょうというようなことはおやめになったほうがいいのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  それから、つけ足しでございますけれども、そういうふうに沖繩までいろいろ調査をなすったわけでございますが、その経費はどちらで持ったのですか。
  84. 白木康進

    ○白木会計検査院長 全部経費は本来の会計検査院所管の経費内においてまかなっております。
  85. 華山親義

    華山委員 何だかおかしいですね、頼んでおいて金もくれないというのは。おかしいとお思いになりませんか。それに要した実費というものは、やはり頼んだほうから、日本の役所のほうから支出すべきものじゃないのでしょうか。会計検査院法からいってもおかしいじゃないですか。
  86. 白木康進

    ○白木会計検査院長 沖繩の財政援助金の検査を相当長くやっておりますので、私ちょっと当初の経緯等に記憶のさだかでない面もございますけれども、ただいまの先生のおことばにもございますように、頼まれたからやるのだということは、まあ形の上ではそうでございますけれども、やはり私どもとしましては、本来的に国の、平たく申しますと、国民の税金を財源とする支出については無関心ではあり得ない、この気持ちは当時相当強く政府側にも表明いたしまして、ただ、私の記憶では、当時アメリカ合衆国の民政府の関係がございまして、その点にいろいろ問題があったように思いますが、それでもなお万難を排しまして、とにかく援助金の使途は検査院が見たいというようなことであったと思います。したがいまして、その経費等についても、頼まれたからそれじゃ経費をよこすならやろう、こういうことではなくて、法律上の根拠は先生御指摘のとおり明確でございませんけれども、やはりこれは本来の検査院の実質的な分野であるということで、私どもの所管の経費で実施しておったように思っております。
  87. 華山親義

    華山委員 その点は、これでとめます。また、おやりになったことは、決して私は悪いというわけじゃございません。そういう点は、やはり明らかになすっておいていただきたいのでございます。何かお聞きいたしますと、やはり会計検査院が積極的に、国の金がいくのだから、ひとつ検査してみようという、むしろ初めは会計検査院のほうからの働きかけによって行なわれたようにもお聞きするわけでございまして、私はあえて過去のことをかれこれとがめようとはいたしませんけれども、どうぞそのような気持ちで、日本の内地ばかりでなくて、外国に日本の財政資金がいくというふうな面についても、でき得る限り目を届けるように、今後も制度等もきちんとしてやっていただきたい。このことを、政府もおられませんけれども、機会があったならば政府にも私言いたいと思いますが、ひとつお願いをいたしたいと思います。  その次に伺いますが、最近、来年度の予算でも、公共事業等によって景気の回復をはかろうということで膨大な公共事業が起きるという計画のようでありますが、それについて、新聞等を見ておりますと、それに追いつくだけの工事力が日本にはあるのかどうか、こういうふうなことがいわれ、それについて検査あるいは監査、そういうものを省略といいますか、簡略化といいますか、そういうふうなことでないと工事が進まないというふうなことが見えるわけでありますけれども、これについて会計検査院は、そういうふうなことがいままで何か要求があったかどうか。要求があるとすれば、どういうふうにこの問題に対処されますか。
  88. 白木康進

    ○白木会計検査院長 公共事業費等の、特に景気対策等としての繰り上げ施行というようなことは、私ども新聞紙等で承知いたしておりますが、その実施上、私どもの会計検査と関連いたしまして、特に便宜をはかってもらいたいとか、そういう公式の申し出等は私は全然聞いておりません。
  89. 華山親義

    華山委員 あったらどうなさいます。
  90. 白木康進

    ○白木会計検査院長 具体的にいろいろ私どもで検査事務等の配慮を通常やり得る範囲内であれば、もちろんその点で政府に協力する気持ちはあるわけでございますけれども、本来、公共事業費の決算検査の実態の面におきまして、いかに繰り上げ施行でありましても、通常の検査と基準において何ら変わるところはないと考えております。
  91. 華山親義

    華山委員 繰り上げ施行でなくて、工事量が増すわけですね。それで、その点について、やはり検査とか監査とかということでやられますと工事が進捗しない、そういうふうなことから簡略にしてほしいというふうなことが言われておりますので、お聞きするわけでございます。この点につきまして、非常にむずかしい問題じゃないかと私思うのでございますけれども、どうでしょうか。そういうことで、何かいままでと違って、少し検査のやり方を簡単にしようとか、簡略にして、そして工事をどんどん進めるのだというふうなものの考え方もあり得るわけでございますけれども、検査院はどういうふうにお考えになりますか。まあ仮定のようなことをお聞きして恐縮でございますけれども、そういうことが新聞でちょいちょい出てきますから、お伺いするわけです。
  92. 白木康進

    ○白木会計検査院長 公式にそういう申し入れを受けておりませんので、私まだ具体的にそういう問題につきまして事務当局から内容を聴取したり、あるいは私自身検討いたしたこともないわけでございますけれども、いろいろそういった問題が年初来ございますので、いろいろ座談的に話は伺っております。  ただいま先生の御趣旨の点でございますけれども、たとえば政府当局におきましても、若干そういった情勢に対応した応急措置と申しますか、たとえば契約の内容であります設計あるいは積算という問題につきましても、一応従来やっております基準の設計ないし積算でやっておって、そして特にそういった早期施行の分等につきましては、条項を設けまして、設計変更なりあるいは金額の更改というようなことを逐次やっていって、最終的にこれを確定する、こういう方法をとることも政府側では考慮しておられるやに聞いております。  なお、これは一般論でございますけれども先生御指摘のとおり、一時的に多数の公共事業を発注する能力がどうかという点でございますが、これは先生に対するお答えになるかどうかと思いますけれども、私ども、公共事業の施行に関しましては、予算執行の平準化ということを前から申しておるわけでございます。にもかかわりませず、実際はほとんど大部分のものが第三・四半期ないし第四・四半期に片寄っており、これが工事の経費だけでなく法律という面からもかなり阻害する面があるのじゃないかと、私ども検査の結果見ておりますが、その平準化ということを政府のほうでほんとうに取り組まれまして実施されましたならば、あるいは今回の繰り上げ施行のような場合にも、かなりそれが一つの力になってくる可能性があるのじゃないか、こういうふうに考えております。あながち設計能力がないというよりも、いまの機構をもっとフルに活用することを考えてもらう、あるいは標準的なものにつきましては、設計等の外注ということを、現在公団、公社等においてもかなりやっておるわけでございますが、政府側においても若干そういうことが始まっておるように聞いておりますけれども、こういったことも、こういった場合の一つの対策ではないかと考えております。
  93. 華山親義

    華山委員 私、政府のほうも、地方公共団体も、全力をあげて大量の公共事業を消化すべきだと思うのでございますけれども、それに会計検査院も協力をするということについては、大いに協力をしていただきたいと思います。それだからといって、もう検査が簡略にわたってしまうとかなんとかということにならないように、十分ひとつ気をつけていただきたいと思うわけであります。  それで、私、地方等におりまして気がつくのでありますけれども、たびたび申し上げておりますから、最近はお変わりになったかと思いますが、会計検査院の検査ということで、特に私のお願いいたしたいことは、あまりにもそのために県庁の職員なりあるいは官公庁の職員なり、役場の職員なりを使わないでもらいたいということですね。また、そういたしますと、専門家でございますからそれだけ事務能率が落ちる、そういうふうなこともありますから、職員がその検査に立ち会うとか、そういうことを極力少なくするというふうに御努力を、この際特にお願いしておきたいと思うわけであります。決して悪いことを言う意味じゃありませんが、いなかの道を歩くと、行列のように自動車がつながってくる。それで私は、きょうは何があるんだと言ってその中の県庁の人に聞くと、きょうは会計検査院の検査があるのですと言う。数台の自動車が並んでいなか道を行く、そういうふうなやり方、これは会計検査院が悪いのでなくて、地方庁も悪いのかもしれませんけれども、極力あなたのほうからもお進めになって、非常に忙しくなりますので、職員をあまり使わないでおやりになる、この点が大事じゃないかというふうに私思います。  それから、公共事業が多くなる、今後は沖繩の問題もやらなければいけないようになる。私が心配いたすのは、そのために検査の率、実地検査の率というものが低下するのじゃないか、こういうことをおそれるわけでございますけれども、これに対するお見込みとか、そういうものについてはどうでございましょう。
  94. 白木康進

    ○白木会計検査院長 ただいま、私どもの実地検査に伴いまして、相手方にいろいろな負担をかけ過ぎておる点を排除せよというお話でございますが、まことにおっしゃるとおりでございます。従来は、これは別に先生に言いわけをするわけではございませんけれども、たとえば大きな災害等がございました場合には、私どもの検査の計画を変更して、あとへずらすとか、それから検査の際には、いろいろ書類を調製してもらうわけでございますけれども、この書類等も従前に比べますと、必要最小限度にとどめるということで、現在はかなり簡略化してきておると思います。  なお、現在立ち会う職員が非常に多数にのぼるという点は、これは私どもの要求という面ばかりでなくて、相手方においてどうしても大ぎょうなことになりやすいということもあろうかと思いますので、これは、さっそくきょう帰りまして事務当局にも申しまして、相手方にもそういう面で、立会い人等は必要最小限度にとどめてもらうということについても配意したい、かように考えております。  それから、今後検査量が漸次ふえてくるということで、私どもの検査の数量的あるいは質的な浸透度が下がりはしないかという御心配、まことにごもっともでございまして、私どももその点で一番苦慮するわけでございますが、そのために、人員の増加とかあるいは現在の検査体制の強化ということにつきまして、これはここ一両年来、従前に増して真剣に取り組んでおるわけでございまして、この点については、なお、当委員会におきましても私どもにいろいろ御鞭撻いただければたいへん幸いと考えております。
  95. 華山親義

    華山委員 それについては、会計検査院の職員の処遇等の問題につきましても、いろいろ問題も多かろうかと思いますが、またあとで御懇談でもいたしたい、こんなふうにも考えております。  それから、今後の沖繩のことでございますけれども、当然、沖繩については、返還後は日本と同じように行なわれるわけでございます。それで私、大いに気にかかることがあるのです。きょうは大臣の方々もおられませんし、また同じことを繰り返してみてもどうかと思いますので、根本的なことは申しませんけれども、今度の協約によってアメリカに三千二百万ドルを払うことになっておりますね。これは、会計検査院としましては、ただ三千二百万ドルを五カ年間に払うということだけの検査になりますか。それがどういうふうなことに使われ、またどういうふうになったかということについては全然検査の手は伸びない、こういうことになりますか。どうでございます。
  96. 白木康進

    ○白木会計検査院長 返還協定に基づきまして合衆国政府に支払う金の問題でございますが、これについては、私どもまだ具体的な内容を詳細に検討する時期に至っておりませんので、ここでその金額について、どの程度会計検査院が内容に立ち入って検査をすべきかどうかという点については、ちょっと的確にお答えいたしかねます。
  97. 華山親義

    華山委員 この三千二百万ドルのことにつきましては、この国会でもたいへん問題になっていて、口頭でも外務大臣等がお答えになっているところでございますけれども、本来から言いますれば、たとえばこの中には核の撤去費も含まれているというならば、核が運び出されたかどうかということぐらいは、会計検査院は見ていなくちゃいけないわけですよ。それは、基地に入って検査をすることはできない、外国の圏内だからできないということはあっても、核が運び出されたかどうかという程度のことは、残っておるかどうかということはわからなくても、会計検査院は見届けなければいけないと私は思うのです。そういうふうなことは、おそらく政府当局においでを願ったならば——会計検査院は、独立の官庁ではありますけれども、おそらくできないのじゃないかというふうな気もするわけでありますが、今後研究してごらんになりますか。
  98. 白木康進

    ○白木会計検査院長 施設の返還等がございました場合には、当然これは日本国の国有財産になるわけでございまして、国有財産の関連する事務の内容については、当然私どもで検査をするわけでございます。また、ただいまの核の問題等につきましては、そのための経費等が特に積算されている場合には、これはその結果の確認ということも理論としては当然のことかと思いますけれども、これはいろいろ私どもの決算検査という面以外の要素も多々あろうかと思いますので、今後私ども重要な問題として検討さしていただきたいと思います。
  99. 華山親義

    華山委員 検査院長、あなたのおっしゃったことはたいへんなことですよ。検査院はその後に核が残っているかどうかということを検査することについて検討するとおっしゃったことは、これはたいへんなことなんですよ。会計検査院は政府と別個の権能を持っているのですからね。政府の言っていることには拘束されないわけだ。会計検査院は政府とは別に、それは外務省を通じなければいけないかもしれぬけれども、検査さしてくれということを申し入れられるということであるならば、私はたいへんな問題だと思います。ぜひひとつそういうふうに踏み切っていただきたい。  それから、先ほどちょっとお触れになりましたけれども、これは審査会でもよく言われたことでございますけれども、ここに文書になっておるものがあります。大出委員と横路委員の資料提出要求に応じて外務省から出された資料でございますけれども、その中に三億二千万ドルについて「内訳はないが、交渉の結果として総額三億二千万ドルで合意したものであるところ、その主たるものは協定第七条に記されているが、資産の引継ぎで一億七千五百万ドル程度」と、こうなっております。そうしますと、あちらから財産が来るときに、それに見合うものとして大体一億七千五百万ドル程度払われるわけです。これは日本の財産になりますね。日本の国有財産の台帳に載る。国有財産の台帳に載る場合には日本の円に換算されるわけだ。その際に積算の結果一億七千五百万ドル程度になるのかならないのか。「程度」と書いてありますから多少の相違はあり得たとしても、これにある程度の相違があるならば、この三億二千万ドルはうそだということになるわけだ。会計検査院といたしましては、その際にあちらから引き渡された財産につきまして正確な検査をなすって評価なさいますか。
  100. 白木康進

    ○白木会計検査院長 協定に基づきまして米国の施設が返還されました場合に、これは国有財産になるわけでございまして、国有財産の取り扱いとしては、一般の場合と何ら変わるわけでございませんし、私どもの検査も同一の基準において実施することになるわけでございます。  ただ、その評価の問題につきましては、これも事実の問題としていろいろ国会の御審議その他新聞紙等において私ども承知いたしておりますけれども、協定に基づきましてアメリカ合衆国に支払う金額が明確な内訳をもって積算されたものであるかどうか、あるいは総体のうちにいろいろな点からこの程度のものという腰だめ程度のものであるか、この点は私どもまだ政府に確かめておりませんので具体的にわかりませんけれども、もしこれが明確に積み上げた金額、あるいは支払い金額の計数的な内容をなすものであるということになれば、これはその評価についても当然検討しなければならぬかとも思いますが、ただいまその性質がはっきりいたしませんので、ここではちょっと明確に御答弁いたしかねる次第でございます。
  101. 華山親義

    華山委員 しかし国有財産は、ただ台帳だけでなく、各省庁から報告して、会計検査院が見て私たちに見せるのではなくて、やはり一応は目を通して、この評価が正しいかどうかということを見てお出しになるのでしょう。ただ台帳を出すのですか。国有財産としてわれわれに提出されたものは、一応これで正しいのだということでお出しになっておるのでしょう。どうなんですか。その点は私は前から疑問に思っておるのですが、どういうものなんですか。
  102. 白木康進

    ○白木会計検査院長 国有財産の台帳に登載いたします場合には、これは当然評価が行なわれるわけでございまして、評価の基準につきましては、たとえば購入価格でございますとか、購入価格のないものは、一定の基準に基づく統一した評価基準を設けて大蔵省で実施しております。この評価の一般的な内容については、国有財産の検査をいたしますわれわれの立場としても、これは当然検討するわけでございます。沖繩の施設につきましても、その点はもちろん変わることはございません。ただ、アメリカ合衆国に対する返還施設の支払い額との関連において適正であるかどうかということについては、評価の点についてはっきりここで申し上げられぬということを先ほど申し上げたわけでございます。
  103. 華山親義

    華山委員 よくわかりましたけれども、私の言うのは、そういうふうにしてあちらから返還されたものは、評価をした上でこれを台帳に載せる、こういうことになると思うのでございますけれども、評価して台帳に載せられた分、この分とあちらで政府が言っておるところの一億七千五百万ドルとの間にある程度の開きがあるならば、この積算は間違いである、間違えたものを払ったのだということになりはしないかということなんです。お答えは要りませんけれども、ひとつ返還のあった場合には、その一つ一つについて、どういうふうな値打ちのあるものか、きちんと会計検査院は評価をしていただきたい、国民の払う金ですから、そういうふうにお願いをいたしたいと思うのです。しかし条約でございますから、この金を払うことはもうきまっちゃっておるというか、きまるでしょうけれども、これだけの金を払ったということについて、やはり政府としての責任というものは残るわけでございますから、その点をお願いしているわけであります。  その次にも、退職金の負担で七千五百万ドル程度と書いてある。これはやはりある程度の基本があるのではないかと思いますけれども、ほんとうは退職金が七千万ドルしかいかなかったというならば、五百万ドルはアメリカが何とはなしにふところに入れてしまったということにならないとも限らない。そういうふうな性格のことがありますので、お願いをいたしておくのでございますけれども、いままで会計検査院の経験で、こういうふうな、何かわからないけれども、まるめて外国に差し上げたという例はございますか。
  104. 白木康進

    ○白木会計検査院長 今度の協定に基づく支払い金のような形で定額を外国に支払ったということは、従来は、たとえば賠償金の関係でありますとか、あるいは終戦後のいわゆる対米債務の返還の問題でございますとかいうことがあった以外には特になかったように記憶しております。
  105. 華山親義

    華山委員 非常に異例なことでございますけれども、何か戦争に負けて賠償金を払うようなかっこうと同じようなかっこうですね、この金のやり方は。そうでないというならば、積算をもっときちんとしてもらわなければ困るということなんです。これは会計検査院に申し上げることではございませんから、この程度にしておきますが、その点いま申し上げたようなことをお含みの上、会計検査院は政府から独立したものですから、ひとつがんばっていただきたい。先ほど核の問題につきましてはたいへんいいことをおっしゃったと私は思います。  それから、国有財産の問題でございますが、大蔵省のほうにお聞きいたします。  このたびの平価の切り上げということによって日本の国有財産上のドル建ての証券等に異動がございますか。どんなものにありますか。ちょっと伺っておきたいと思います。
  106. 高橋良

    ○高橋説明員 現在、米ドルで出資いたしましたものの中に、国際復興開発銀行に対する出資といたしまして一千二十三万ドル、それから国際金融公社に対しまして二百七十六万九千ドルございます。そのほかに国連公債として三百六十六万ドルを持っております。これはいずれも国有財産台帳その他整理しておりまして、ドルで出資したことを明確にしておりますので、異動と申しますよりも、ドルであることを明確にしておれば、それで十分であろうか、こういうような性質のものであろうかと思います。
  107. 華山親義

    華山委員 国有財産をわれわれに報告なされるときには、それは円で表示されているわけじゃございませんですか。
  108. 高橋良

    ○高橋説明員 その点につきましては、実は円でカッコ書きの形で載せておくというようなことにいたしております。
  109. 華山親義

    華山委員 実質的にはやはり国有財産の損失になるわけでございますか。
  110. 高橋良

    ○高橋説明員 損失と申しますよりも、出資について申しますれば、いわゆる出資というのは債権債務というようなものではございませんで、持ち分でございますので、一がいに損失というようなものにはならないと思います。
  111. 華山親義

    華山委員 持ち分と申しますと、各国間の持ち分がきまっておって、日本の円が上がったのだから返してもらうということになりますか。
  112. 高橋良

    ○高橋説明員 その辺は各国際機関におきましてこれから論議される問題であると聞いております。
  113. 華山親義

    華山委員 それから、外為会計にはドルがありますし、日本銀行にもドルがある。私しろうとでよく一わからないのですが、こういうふうに分かれて持っているわけでありますけれども、これはどういうわけでこうなるのかということについては、私の部屋ででも皆さんから教えていただくものであって、いまここでは私はお聞きいたしません。  それで、外為会計で持っているドルというものが、これが日本といたしましては損になるわけになりますか。どうでしょう。
  114. 松川道哉

    ○松川説明員 本日のお尋ね日本銀行であるということでございましたので、私、銀行局担当の審議官参りました。外為会計のことは私が権限を持って御説明することはできないのでございますが、そこにございます外貨は当然評価減が立つことになると思います。
  115. 華山親義

    華山委員 それでは、銀行局からおいでになりましたので、お伺いいたしますが、なぜ日本で持っておるドルというものが、それは民間でも持っておりましょうけれども日本銀行と外為会計に大口に分かれておるのか、どういうわけでそうなるのか。それで一体、日本銀行にはどれだけのドルがあって、外為会計にはどれだけのドルをお持ちになっているのか、あるのか、お聞かせ願いたい。
  116. 松川道哉

    ○松川説明員 ただいまの御質問の前段の部分でございますが、外国の通貨をどういうふうにして管理するかということは、これは国際金融機関がやっております為替対策の基本でございます。したがいまして、私がここで中途はんぱな御説明を私見として申し述べますよりは、あらためて機会を得て担当の者によく御説明するように取り計らいたいと思います。  それから後段の部分の日銀の関係でございますが、これは外国の通貨はドルに限らずいろいろなものを持っております。一番最近の十二月十日現在の数字で御説明申し上げますと、円価で五兆二千五百三十三億円、これだけのものを持っております。もちろん、これは今回の通貨調整の前の平価でもって換算された金額でございます。
  117. 華山親義

    華山委員 どなたか外為のほうはおわかりになりませんか。——外為のほうはわからない。それじゃ、たいへんなにでございますけれども、お聞きしたいと思ったのでございますけれども、いま各方がおいでになっておりますから申し上げるのはどうかと思って、結論だけ私考えておったのでございますけれども、とにかく日本銀行の総裁はよく言われます。ドルのいろいろな操作というのは、これは政府がやるのであって、日本銀行は代理業務をやっているにすぎない、こういうことを言っている。したがって、前々からのお話もございましょうけれども、ドルが日本銀行に集まったということは、これは政府の代理業務によって日本銀行は来ているわけです。それから、本来外為会計がやるべきことであるけれども、外為会計といたしましては資金が足りない。そのためにドルを日本銀行に売って円と取りかえているのじゃないか。そのことによって日本銀行にドルがたまっている、こういうことじゃないかと私は私なりに考えるわけなんです。私は専門家でもございませんし、その辺うといものですから、よくわからないのでございますけれども、そう思うのです。それですから、日本銀行というものが外国のドルを持っているということに関する限り、これは日本政府の責任なんです。大蔵省の責任だと私は思うのです。独自でドルを持っているということは、一般のただの業務上のことは多少あれかもしれませんけれども、私はないのじゃないかと思う。したがって、現在日本銀行が評価で損をしたというのは、これは日本銀行の責任じゃありません。日本政府の責任だ、こういうふうに思うわけであって、日本銀行のそういうふうな代理業務のようなことで集まったドル、そういうものの評価損というものを日本銀行に出すということはおかしいのじゃないか。そういうふうな損失や評価損は政府がこれを充てるべきじゃないか、政府がこれを出すべきものじゃないか。そういうことによって計算をして、そして日本銀行の帳じりがどうなるのか、一ぺんに出せないならば、今後の問題については、政府から出されるものはバランスの上では一つの債権としてお考えになってもいいと思いますけれども、そういう方針のもとで計算をされて、そして出るか出ないかわかりませんけれども、日銀の納付金というものが出てくるのじゃないのか。あるいは出ないかもしれぬ。そうしないと、日本銀行というものの内地におけるところの操作、外国のドルにおけるところの操作というものはごっちゃになってわからなくなってしまう。そういうふうにしてこれは日本政府の責任、大蔵省の責任として日本銀行のドルによる損失というものは埋めて——結論は同じかもしれません。日銀の納付金が入るか入らないか、あれが多くなるか少なくなるかだけの話でございますから、結論は同じかもしれませんけれども、私はそういう方途をとるほうが条理が整然としておるんじゃないか、こんなことを申し上げたいためにきょうおいでを願ったのでございますけれども、その方面の方もおいでにならないようでございますし、これは係官の方よりもむしろ大臣のほうに申し上げるべきかもしれませんので、これだけにいたしますけれども、私の申し上げましたことにつきまして、責任をお持ちにならなくてもいいから、銀行局からおいでになった方、率直にどういうふうにお考えになりますか。
  118. 松川道哉

    ○松川説明員 世界の各国の例を見ましても、大蔵省ないし財務省と呼ばれております政府の一部門と中央銀行との関係というのは非常に複雑になっております。あるものは大蔵省がやるべきことを中央銀行を通じてやっておる。いろいろなことがございまして、その間の関係というのは、たとえ大蔵省が日銀をしてある仕事をやらしめておるにしましても、通常の場合の大蔵省が一般の銀行にものごとを委託した場合とはおのずから異なるところがあろうかと思います。この点は各国の中央銀行の法制を見ましても明らかでございます。  それで、ただいま端的にお尋ねの外国為替の問題につきましては、お説のとおり、大蔵省が窓口になってやっておりまして、日銀がその下請をしておるわけでございます。したがいまして、そこに出ました損失は大蔵省の責任ではないか、これも御意見でございます。しかし、そういった財務当局と中央銀行との関係ということを頭に置いて考えますと、計算上出たから、これを全部日銀のほうで一回立てて、これを大蔵省がどうするということにすぐには結びつかないのではなかろうかと思います。  現在の法令といたしましては、日本銀行法の附則に、これは昭和二十二年につけ加えられました規定でございますが、日銀のほうの勘定に損失が出ましたときは積み立て金その他をもって埋めて、なお足りないときは大蔵省が補給金を出す、このような規定になっておりますので、今回の問題、これの最終処理に至ります間には、評価減がどのくらいあったかとか、いろいろな問題があろうかと思うのでございますが、最終的に出ました場合にはこの条文の援用でもって足りるのではなかろうか、このように現在の段階では考えております。
  119. 華山親義

    華山委員 お帰りになったらお伝えください。決算委員立場としては、そういう形で条理を立ててすきっとしてもらわなければならない。日本銀行がそうなろうとも、やはりこれは国の責任なんだけれども、わからなくなってしまう。決算の上でこれだけの損をしたのだということが明らかに出るようにしていただきたいと思うのです。納付金が減ったとか増したということではそれが出てこないのです。私が決算委員立場からそういうことを申し上げていたということを、機会でもあったら、次官にでも大臣にでもひとつ話しておいてください。  どうもありがとうございました。
  120. 松川道哉

    ○松川説明員 お説はさっそく上司にも報告いたしますし、直接の担当である国際金融局のほうにもよく伝えるつもりでおります。
  121. 森下元晴

    ○森下(元)委員長代理 鳥居一雄君。     〔森下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
  122. 鳥居一雄

    鳥居委員 きょうはたいへんお忙しい中をおいでいただきまして恐縮に存じます。  会計検査院の所管でございますので、本委員会といたしましては最も基本的な問題でもあり、大事なことであります。決算委員会は、予算の使用実績あるいは事業の施行実績、その効率性などにつきまして審議をいたしまして、文字どおり行政府の実績が明確にされていかなければならない、こう考えるわけです。  現行の決算審査のこの制度につきましては、先ほどお話にもございましたが、憲法の第九十条を根拠といたしまして、会計検査院の検査報告を中心にして審査を行なっているわけであります。そうしたことから、特に基本的な問題になるわけでありますけれども、まず院法の一条で独立性がいわれております。この独立性につきまして解釈をお願いしたいと思うのですが、法制局、来ていらっしゃいますね。
  123. 茂串俊

    ○茂串政府委員 ただいまの御質問、会計検査院法の第一条の趣旨いかんということであろうかと思うのでございますが、先生先ほどの御質問の中にもございましたように、憲法の九十条で、国の収入支出の決算につきましては、会計検査院という特殊な国家機関を設けまして、これがその検査を行ない、また検査報告を作成するということが憲法上はっきりとうたわれておるわけでございます。したがいまして、会計検査院の職務は、まさにその決算を的確に確認し、そうしてその適法性なりあるいは妥当性を十分に検討した上で報告するという重要な職責を持っておるわけでございまして、その職責の性格上、内閣から独立性を保持しなければそういった的確な検査が行なわれ得ないという趣旨からして、会計検査院法の第一条が置かれているものと考えております。
  124. 鳥居一雄

    鳥居委員 内閣からの独立性、その内容ですけれども、検査をする以上は、逆に今度は検査をされるほうの立場の圧力ということに対する独立性だと私は思うわけですけれども、もうちょっと具体的に、その独立性の内容について——非常に抽象的です、独立ということば自体。——独立というのは何ですか。
  125. 茂串俊

    ○茂串政府委員 具体的に申しますると、検査院法にもございますように、職員の身分保障の問題もございますし、また財政法の問題から申しましてもいわゆる二重予算の制度というものが規定されておりまして、予算の面でもいわゆる独立性を内閣によって侵害されることがないように担保がなされておる次第でございます。
  126. 鳥居一雄

    鳥居委員 ただいまのお答えで確認したいと思うのですが、身分保障とそれから二重予算制度の二つをあげられておりますね。よろしいですね。
  127. 茂串俊

    ○茂串政府委員 独立性の本質というものはなかなかむずかしい点でございますが、それが実定法的にあらわれた部面につきまして、二つの例示をあげたわけでございます。
  128. 鳥居一雄

    鳥居委員 それでは検査院長に伺いますが、検査院長のお立場で独立性をどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  129. 白木康進

    ○白木会計検査院長 ただいま法制局から御答弁がありましたことに尽きるわけでありますけれども、平たく申し上げますならば、会計検査院がその職務を執行するにつきまして、会計検査院も広い意味では行政部門の一国家機関ではございますけれども、最高の責任者である内閣総理大臣の区処を受けない独自の立場で職務を執行する。これは非常に大ざっぱな言い方で恐縮でございますけれども、具体的には、これもただいまお話がございましたとおり、人事の面あるいは予算の面、なお検査の実施の面に関連して申し上げますならば、会計検査の執行に必要な限度においては、通常ならば政令あるいは省令等の規定によって規定すべき事項を会計検査院独自に会計検査院規則で定めることができる、こういうことも一つの独立性の実定法的な面ではなかろうかと考えております。
  130. 鳥居一雄

    鳥居委員 わかりました。  さらに、検査院の予算はどういうふうにして一般にきまっておりますか。検査院のほうの側から伺いたいと思うのですが……。
  131. 白木康進

    ○白木会計検査院長 会計検査院も、一般の政府機関と同様に、財政法等の規定に従って概算要求をいたしまして予算が提出されるわけでございまして、その間他の機関と特別に変わったことはございません。
  132. 鳥居一雄

    鳥居委員 それでは、予算という非常にワクの広いお話だものですから、特に検査院の検査院たるポイントといいますか、現地調査をするために特に必要な、この点について焦点をしぼりたいと思うわけです。少々さかのぼって恐縮でありますけれども昭和四十二年、四十三年、四十四年、四十五年、四十六年と、この五年間を取り上げてお伺いしたいと思いますが、検査旅費、この概算要求額、当初予算額、それから予算現額、これはいかがでしょうか。
  133. 松田賢一

    ○松田会計検査院説明員 お答え申し上げます。四十二年からの検査旅費の状況でございますが、四十二年が予算額一億九百二万四千円、四十三年度は一億一千四百六十九万三千円でございます。四十四年度は一億二千四百六十六万三千円、四十五年度は一億五千九百四十六万円でございます。それから四十六年度は、これは当初予算になっておりますが、一億七千七百三十四万七千円と、そういう額になっております。
  134. 鳥居一雄

    鳥居委員 概算要求額はいかがでしょうか。
  135. 松田賢一

    ○松田会計検査院説明員 私どものほうで一応見積りました額は、四十二年度が一億八千三百二十九万三千円、四十三年度が一億八千五百三万三千円、四十四年度は一億九千三百五十五万六千円、四十五年度は一億九千三百六十三万八千円、四十六年度は二億一千二百九十八万一千円と、さようになっております。
  136. 鳥居一雄

    鳥居委員 そうしますと、検査院として検査の計画を立てまして、検査旅費としてこれだけ必要である、こういう概算要求をしますと、大蔵当局ではそれに対しまして表向きは削れない立場にあるけれども、話し合いの結果、確定するまでに、ひどい年で四割、パーセンテージで申し上げますと、四十二年以来のことでありますが、事例として取り上げている分が、四十二年で四〇%削減、四十三年度で三八%、四十四年度で三五%、次が一六%という削減、これが現に現実の問題として行なわれているわけですけれども、この点について、大蔵主計官が見えておりますが、いかがでしょうか。
  137. 海原公輝

    ○海原説明員 お答えいたします。検査院の検査旅費につきまして、要求ベースと実際の概算決定額と開きがあるのではないかという御質問かと思いますが、これは各省庁とも要求に対しましていろいろ御相談申し上げまして、そうして解決を見ているという実態でございます。
  138. 鳥居一雄

    鳥居委員 そうしますと、この検査旅費が決定されるまでの段階において、各省庁と同様に検査院——特別機関でありますけれども、検査院に対してもその折衝が行なわれる、そういうふうに受け取ってよろしいですね。
  139. 海原公輝

    ○海原説明員 財政法上のたてまえといいますか、制度上の問題につきましては、先ほど茂串部長からお答えございましたとおりでございまして、私はもっぱら実際的な面でどういうふうにセットしているかという点にしぼってお答えいたしますれば、もちろん検査院の独立性と申しますか、そういうものは十分踏まえながらも、実際の交渉と申しますか、そういう形の上では特に異なったところはない、こういうふうにお答えしたいと思います。
  140. 鳥居一雄

    鳥居委員 実態は各省庁の予算折衝と全く変わらない、そういう折衝が検査院の場合にも行なわれてきた、そういうふうに説明があったと受け取りたいと思うわけです。  次に、この検査院が行ないます検査の施行率、さきの質問におきまして説明がございましたけれども、検査の実績の上からいいまして、どの辺を理想的な線と見ておりますか。検査院どうでしょうか。
  141. 白木康進

    ○白木会計検査院長 私どもが検査いたしまして毎年度の決算を確認するという職責を持っておるわけでございますが、この確認の前提として、どの程度の検査を実施すればいいか。これはいろいろ見方もあろうかと思いますが、むしろそういう見方と申しますよりも、現制においてどの程度やっておって、それが決算を確認するということについて著しく足りないかあるいは相当であるか、こういう見地からの検討になろうかと思いますが、これは先ほどここで数字を申し上げましたとおり、数量的に見ますと七%程度になっておりますけれども、これは一つの腰だめとしまして、私どもとしてはやはり一〇%程度までは浸透率を上げたい、かように考えております。
  142. 鳥居一雄

    鳥居委員 そうしますと、やはり検査の実績の上でこれを強化していこうということになりますと、一つは検査旅費、これを大幅に認める以外にないわけでありますけれども、予算確保という面でこれは独立性が確保されなければならないわけです。現実の問題としては各省庁と同じようなぐあいで予算折衝が行なわれまして、もう少し減らすように、新しい年度においては何割増し、こういうワクをきめられて検査院の旅費がきまるようなことがあっては、独立性という名のもとに、実態はそれが伴わない、こういうことになってくるだろうと思うわけです。この独立性ということに関しまして、実態が伴わない現実を、きょうは行政府を代表して総理の出席がいただけないものですから、官房副長官においでいただいておりますけれども、どうでしょうか、この問題、どういうふうにお考えになりますか。
  143. 三原朝雄

    ○三原政府委員 鳥居委員御指摘のように、内閣に対して会計検査院が独立いたしておる機関であるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、内閣におきましても、いまお話しのように、その検査を厳正に、しかも十分に実施できるだけの、量的にも質的にも成果をあげていただく体制をとらねばならぬという考え方のもとに、今日まで予算等におきましては、そういう配慮のもとに努力をいたしてまいっておりますし、今後もそういういまの姿勢で予算等においても配慮してまいりたい、そういう考え方でおるわけでございます。
  144. 鳥居一雄

    鳥居委員 それで、私もこの問題についていろいろ調べてみました。いろんな角度からその点については言えるわけでありますけれども、ここ十年間の国家予算の推移を見てみますと、昭和三十七年度二兆五千五百六十六億という数字が出ております。一応この三十七年度を基準一〇〇として考えてみますと、今日の昭和四十六年度の予算、これは九兆円をこえる予算でありまして、一〇〇ととった場合に三二六という数字が出てきております。大幅に国家予算がふくれているわけでありますから、それに伴う会計検査の業務もこれまた重視しなければならない。次に申し上げます予算定員の問題でもそうであります。  人事院の総裁が見えておりますが、先ほどの独立性の内容としまして、身分保障の面で、待遇の面でも独立性が確保されなければならないという見解がございました。この点について少々お伺いしたいわけです。会計検査院の調査官の身分、これはいまどういうふうになっておりますか。検査院のほう、いかがでしょうか。
  145. 白木康進

    ○白木会計検査院長 会計検査院の調査官も一般職の公務員でございますので、服務、任用、給与、その他、一般職の他の官庁の職員と何ら変わるところがございません。
  146. 鳥居一雄

    鳥居委員 今回始まった論議ではありませんで、昨年もその前もやはりこの検査院が一般職である問題については論議されてまいりました。そうして、第一段階として特別調整額という線が出てきたのだろうと思うわけです。検査院のほうで今日まで調整額要求がありましたけれども、この経緯について御説明願いたいのです。
  147. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 いまのお話は前々から承っております。ただ、最初にお述べになりました身分保障その他一般の扱いとして、一般職の扱いになって国家公務員法の適用を受けておるという基本的な問題が、一つ前にお話に出たわけであります。私どもとしては、そういう身分保障その他の点においては、国家公務員法は非常に厳重に身分を保障し、またそのうしろだての規定を設けておりますからして、その点においては遺憾はないたてまえになっておる。またそのお世話をしております人事院そのものも、これは検査院法のように独立性ということばはありませんけれども、実質的にはもう検査院の独立性と同じ独立性を持っている。二重予算の制度もございます。人事官の身分保障の厳格である点においても、検査院の場合と全く同じ、そういう意味で独立性を持っているわけです。そういうわれわれは中立的、独立的の立場からお世話を申し上げているわけでございまして、他の一般の行政府の機関とはまたわれわれ違った立場を持っておるということを申し上げておきます。  いまの調整額の問題は、これは先ほど申しましたように、前々から承っております。しかし調整額に焦点をしぼって御説明申し上げれば、これは給与法にもございますように、勤務条件、勤務体制というものは特殊なものであるという前提がかぶっておりまして、現在の調整額の対象となっておりますものをあげますと、たとえば航空管制官でございますとか、らい病院あるいは身体不自由児の療養施設に勤務する者でありますとか、あるいは京都大学あたりの原子炉の関係の仕事に従事しておられる方々というふうに限定しておりますために、これをさらに幅を広げるということになりますると、相当また類似の職種が他にたくさんあります関係上、それらと一括して検討しなければならぬという基本問題にこれは触れるわけでございます。したがいまして、現在のところでは調整額に対する御要請に対しては、われわれなお慎重な態度をとっておるというのが実情でございます。  一応その点だけお答えを申し上げまして、またお尋ねがきっとあることだと思います。お待ちいたします。
  148. 鳥居一雄

    鳥居委員 そうしますと、昭和四十四年度から昭和四十六年度までの三年間、毎年調整額の要求があったという事実が明らかになったわけですけれども、この調整額の問題の基本には、やはり検査院の調査官の置かれた位置ということが大きな問題だと思うわけです。  そこで、前後いたしますけれども、少なくともこの検査旅費については、計画どおりの旅費が組まれなければならないと私はかたく信じておるわけですけれども大蔵政務次官、いかがでしょうか。概算要求に対して、過去には四〇%から二〇%近い削減が現に行なわれてきている一わけです。検査院の働きは、国家予算の使われたあと、この厳正な検査が行なわれなければならない。検査されるほうの側は行政府です。ですから、その行政府のほうに予算を左右できる権限があるわけですから、まことに機能の上からいっても、機構の上からいっても、矛盾した話でありますけれども、それでも独立性を確保できるようにしなければならない、こう考えるわけです一いま申し上げました検査旅費については、なるべく概算要求どおりできるような、そういう方向づけというのはできませんでしょうか、どうでしょうか。
  149. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 内閣に対して独立の地位を保ってあり、そのためには検査する人の自由な配慮ということがやはり要求されると思います。しかし、鳥居議員御承知のように、予算のワクがきまっておりまして、この点から私どもも頭を痛めておるわけでございます。しかし、だんだんそういうところにウエートを置きまして、四十五年、四十六年になりますと、概算要求と実行予算との差が縮まっているのは、数字上にあらわれておりますし、私どもは、毎年旅費の増額については、よその省よりも頭をひねっておるということは言えると思います。
  150. 鳥居一雄

    鳥居委員 その努力が全くないということではないのです。先ほど法制局のほうの見解もありました。行政府からの独立ということは、身分保障の上で、それから会計検査院の予算の上で行政府から全く独立したものが確保されなければならないというのが法律のたてまえです。そうして、検査院の検査院たるゆえんというのは、この調査旅費にあるわけですよ。現実はそれが四〇%も削減されておるわけですよ。これは何とかしなければならないというのが私たちの気持ちです。この点につきまして、いま四十七年度の予算折衝の最中だと思います。折衝自体、これは実態が独立していないという証拠ですけれども、現実の問題としてそうもいかない面があります。少なくとも、この検査旅費については特段の配慮があっていい、こう考えますけれども、重ねて質問します。どうですか。
  151. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 概算要求、つまり要求どおりにすることが一番いいという鳥居委員の御指摘でございますが、私どももそうとは思いますが、先ほどから申しますように、総体的な予算というものがワクはきまっておりますし、それに一生懸命沿うような効力はいたしますが、やはり予算の総ワクというさいふの中身の関係がございまして、その要求どおりに沿えないことは残念でございますが、四十七年度予算におきましても、鳥居委員御指摘の点を十分頭に置きましてやっていきたいというふうに考えております。
  152. 鳥居一雄

    鳥居委員 私、思うのですけれども、二重予算制度があっても、別にいままでこれが国会に示されたわけでもない。ですから、予算がきまるまでの過程においては、もうほんとうにおかしなことになっておると思うのです。検査院の要求どおり予算が通らなかった場合には、それを国会に示して、そうしてその承認を得ることができるような——もちろん国家予算ですから、ワクがあっての話です。しかし、独立機関としての独立性の上からいって、要求の予算をかなえることができるようになっておるわけです。現実はそうじゃないんですよ、こういうふうに最も大事な検査旅費が削られているわけですから。この点について、現実の上からいって、概算要求に近い、ほんとうに削らないで通るような仕組みにならなければならないわけですけれども、ものを言わない、今日までそうした形できた検査院に対しまして、現に四〇%削られてきたわけですから、そこにやはり私は問題があると思うわけです。  この点について私は、ただワクがあるから、そうして話し合いを進めて納得してもらうという行き方に大きな問題があると思いますので、この点につきましては、今後の理事会等におきまして皆さんと協議できるようにしたいと考えております。  政務次官、お忙しいようですからどうぞ。  検査院の院長に伺いますけれども、概算要求に対して四〇%削られるということは、検査院にとっては最も大きな痛手だと思うわけです。その場合に、検査計画を変えるという手と、もう一つは二重予算制度に従って国会にその実態を示す、提出するという手と、二色考えられるわけですけれども、今日までこの二重予算制度が発動しなかった、そこら辺に検査院の非常に姿勢の弱さがあるだろうと思うわけですが、その辺についてどうお考えですか。
  153. 白木康進

    ○白木会計検査院長 検査旅費の概算要求額と実際の予算額の間にかなり開きがございますが、まず、いまの検査計画を予算査定額に応じて変更しなくちゃならぬという問題につきましては、この概算要求と申しますのは、私どもの実際に検査を担当する調査官の定数から見まして、これをフルに駆使した場合にはこの程度の実地検査ができるという一つの目安をもちまして、そこから、まあいわば一ぱい一ぱいの要求をするわけでございます。もちろん会計検査院といえども行政の一部局としまして、一般の財政の統制に服するのは当然でございますので、私どもの実際の決算確認に必要な検査の必要度を著しくそこなうような査定を受けました場合には、これはもちろん会計検査院としましても財政法の規定の発動というようなことも考えられますけれども、現在までの経過におきましては、まあ開きはかなり大きいわけでございますけれども、一面におきまして、調査官の実地検査というのは非常に負担が大きいわけでございまして、単に出張中の検査だけでなくて、前にその準備をして参りまして、そして検査の結果は帰庁後処理いたしまして、事態によっては不当事項あるいは是正改善の要求事項として処理する。全般を含めまして非常に負担が大きいわけでございますので、現在の実施状況ともにらみ合わせまして、まあこの程度ならばというところで、おそらく大蔵省と協定しておるのじゃないかと思います。  なお、関連して申し上げますが、最近旅費の面につきましては、主計局におきましても十分に本院の立場を理解してもらいまして、若干ずつは、先ほどお話しのとおり増加してまいっております。  また、財政法の十九条の規定の問題でございますけれども、これは私どもの何でもかんでもこれに持っていくということではございませんで、先ほどお話しの、憲法上の機関として検査院がその職責を遂行するに必要な独立性がこれはそこなわれるとわれわれが認定した場合には、もちろん発動しますけれども、現在までにわれわれがそういう段階には立ち至っていないというふうに御理解願えばよかろうかと思います。
  154. 鳥居一雄

    鳥居委員 私ははなはだ不満です。先ほどの独立性の内容からいって、これだけ現実の問題として削られておるわけです。削られている、現実は。この具体的な二つの事例があがったわけです。  法制局に伺いますけれども、一つは検査旅費、これが現に四〇%削減されている現実。それから身分保障の上で、四十四年度以来調整額として八%要求をしてまいりましたけれども、歴年これが認められないまま今日に至っております。具体的にいって、こういうことが認められないことが独立性をそこなうということじゃないんですか。イエスかノーかで答えてください。
  155. 茂串俊

    ○茂串政府委員 私ども実は法律解釈をする立場にあるわけでございまして、ただいまお話しの旅費その他の予算の削減の問題、これはまさにその法律の運用の問題でございます。したがって、法律の制度的な解釈論として申し上げる立場でございますので、その面から申し上げますと、先ほども院長からお話がちょっとございましたように、あくまでも財政法の十九条といいますのは、内閣が会計検査院のような独立機関の意に反して歳出見積もりを減額するというような場合の規定でございまして、先ほどからお話のございますように、いわゆる予算折衝の過程で両関係者の合意ができた上で減額をするというようなものでございました場合には、これは財政法十九条に規定する、内閣が会計検査院等の歳出見積もりを減額した場合には当たらない、したがってこの規定の適用はないというふうにお答え申し上げたいと思います。
  156. 鳥居一雄

    鳥居委員 非常に疑義のある問題であります。検査院の調査官の数は年々ふえております。しかし予算定員というワクがきまっておりまして、そうして国家予算の規模は指数で三〇〇をこえるほどになっておりますけれども、この予算定員のワクが千二百人前後でかたくもう壁に閉ざされてしまっている。これではやはり一〇%を目ざす検査施行率、その上からいっても大きな壁だと思うわけです。先ごろでありますけれども、国家公務員に関しまして五%削減ということがきまりました。そうしますと、会計検査院もこのワクの中に入る国家公務員でありますけれども、それで一がいにこの五%のワクの中にはめる、これに大きな問題があるだろうと思うわけです。もちろん行管のほうからじかに各省庁あてにいくような形の削減ではありませんけれども内閣官房から五%を協力してほしいという要求となって形の上ではきますけれども、そのワクの中にあることには違いない。ですから、会計検査、この独立性という問題を考えてみたときに、内閣としてその独立性を確保しなければならないという真剣な姿勢がない限り、この独立性は守られないと思うわけです。そうした意味で副長官から総理に対しまして、この点の厳重な確保をお願いしたいと思うわけですけれども、副長官いかがでしょうか。
  157. 三原朝雄

    ○三原政府委員 鳥居委員御指摘のように、国の予算が年々増額をしていく、業務も増大をしていき、したがって会計検査という重要な業務につきましても、量質ともにこれを厳正に実施しようとすれば、いま言われる人事の問題でありますとか予算の問題等、国として内閣として十分考えてまいらねばならぬと思うのでございます。いま御指摘のように、その独立性を保持させながら十全にその職責を果たさせるためには、特別、内閣として姿勢を改めて見直していくという決意が必要である。特にそれを総理にも伝えよということでございますので、私から先生の意のあるところを十分総理にも伝えまして、そうした独立性を保持しつつ、厳正に、しかも十全な検査ができまするよう特段の配慮をするように処置いたしたいと存じております。
  158. 鳥居一雄

    鳥居委員 これで質問を終わりますけれども、この調整額の問題ももう百歩も二百歩も譲った話だと思うわけです。これは一般職の職員の給与に関する法律第十条に明示されているとおり、「勤労環境その他の勤労条件が同じ職務の等級に属する他の官職に比して著しく特殊な官職に」ある者ですから、その中に「困難若しくは責任の度」というあたりがまさに私はこれに当たるだろうと思うわけです。しかも独立の位置、こうした点から調査官の身分保障を、まず調整額という、不満足ながらこうした方法で講じて、そうして特別職として、各国にありますような司法官待遇というのが先進諸国の、国の会計検査に当たる者の立場でありますし、そうした意味で改善されなければならない、こう強く感じております。今後さらにこの問題について理事会等で協議をしたいと考えております。  以上で終わります。
  159. 福田繁芳

    福田委員長 私はこの際、白木院長並びに決算委員会の首脳部の方が多数来られておりますので、一応私見を申し上げて御用意願いたいと思うのです。  それに対して一応伺いたいのですが、先々週の日曜日、テレビを通じて、政治、経済の評論家と称される斎藤何がし博士、細川隆元、この御両君が、国会の決算委員会の実情を全然存じなくて、会計検査院の非常に辛らつなる御批判をとうとうとやられた。のみならず、それに関連して、会計検査院がかような状態であるにかかわらず、衆議院の決算委員長は何をしているんだというように、ずうっと前の有名な決算委員長さんのお名前も出て、もろもろの批判をされました。非常にわれわれ決算委員各党諸君が憤慨すると同時に、事実の真否を確めたい、こういう意味合いで鋭意いま検討を加えておるのです。事の起こりは、決算委員会における事柄に端を発しておるのを決算委員会が黙認しておるかのごとき誤解をこうむっておるのです。多数いらっしゃる頭脳明晰な決算委員皆さんたちのほうも、お役人の方も、おそらく日曜日にはブラウン管を通じてお聞きになられて憤慨されていらっしゃると思うから、いずれ近いうちにわれわれ理事会にあなたのほうをお招き申し上げて、この問題を鋭意えりを正して御意見を交換いたしたいと思いますので、でき得る限り、皆さんたち、もし幸いそれをお聞き取りなさったお方がありますれば、つまびらかにお聞き取り願って御用意願いたいのです。事いやしくも当委員会並びにあなたの重要な責任のあるお役所の権威にかかわる問題である、かように考えておりますので、その御用意を願いとう存じ上げます。  次に、吉田賢一君。
  160. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いま委員長の御発言もございましたが、この発言は非常に大切な問題を指摘いたしておるのでございまして、実は過日も、ある経済界のしかるべき人と私、ドル・ショックの問題についていろいろと伺ったり何かしておったのですが、その方いわく、吉田先生、あなた国会で何をやっておられますか、こういうことでございましたので、私は、決算委員会をやっております。決算委員会をやっておられますかと開き直られましてね。それは大切な委員会ですな、この一言でございました。ほかの問題もいろいろとあったので、深く問答を重ねることなしに終わったのでございますけれども、温厚な経済人で国会のあり方をじっと見ておる方が、決算委員会運営についてかなり注目しておるということを感じたのでございます。  そこで、いまの御発言があったのでございまするが、やはり私どもは、釈迦に説法になりますけれども、内外ともきわめて重大な時期に際会しておりますので、政治といわず、財政といわず、国民の生活といわず、あらゆる面に、言うならば総点検をいたしまして、この内外の重大課題にほんとうに取り組んでいく姿勢をつくり上げなければならぬ時期にきていると思うのです。そういう意味におきまして、じみですけれども、一発勝負というのははやらぬ委員会ですけれども、ほんとうに国民の言うなら血税を九割までつぎ込んだ予算の行くえの探求ということでございますので、ほんとうに私はそのような趣旨で取り上げていきますると、決算委員会の指摘しようとする事柄につきましては、金額の大小にかかわりませず、やはり間違いなく、筋も通って、きちっとそこでけじめはつけられていくのだ、こういうふうな印象を国民に与えたいと思うのです。そういたしますと、検査院のお立場まことに重かつ大であります。憲法によって独立的な地位も与えており、検査院法という特別な法律もあり、特にあなたは一般公務員とは違うのでございますので、そういうことは釈迦に説法でまことに恐縮でございますけれども、みずから省みて、ほんとうはそのように私自身も姿勢を正していかねばならぬ、こう考えております。  一点まず伺いたいのでございますけれども、検査院が財政運用上の検査をなさるときの、いわゆる不当として指摘なさっておることでございますが、しばしばこれは問答もいたした事柄でございますけれども、なお結論は明確になっておりません。院長もせっかく院長に御就任になったのでございますので、一体不当とは何ぞや、どの範囲を一体さそうとしているのか、これをぜひともこの機会に明らかにしておいていただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  161. 白木康進

    ○白木会計検査院長 会計検査院法には、不当と認めた事項を検査報告に掲記するということになっておりまして、何が不当であるかの具体的な記載は何もございません。それで、私ども従来からこれを不当事項として実際問題として検査報告に掲記しておるわけでございますが、その考え方の基本となりまするところのものは、政府の予算執行あるいは財務の管理につきまして、いわばその決算が適正に執行されなかった、裏から申しますると、瑕疵があったと認められるような事態を一般的に不当と見ておりますが、そのどの程度のものをいうかと申しますると、これは私ども一つの従来からの考え方としまして、当事者の過失の程度あるいは金額の大小、そういったものから、これは非常に主観的になりますけれども、毎年度それがくるくる変わるのではなくて、従来からの一つの私どもの持っております判断の基準と申しますか、これは非常に抽象的で恐縮でございますけれども、そういうものでいまの過失の程度でありますとか、金額の程度でありますとか、あるいは違法性の程度でありますとか、そういうものを判断して不当として掲げております。
  162. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまの御説明でなお不当の明確な御説明にはどうもなりかねております。予算というものは款項目等はありといたしましても、適正に執行したかどうか、適正とは一体何ぞやということにまたなってくるわけでございます。ということになりますと、犯罪を追及していくということであるならば、またものさしと鏡は別にあるのでしょうね。一応それはそれとして、言うなら概念的に不法とでもいうのですか、しかし相変わらず不法も不当も過失の程度でということをおっしゃれば、重大過失、重大過失というのは当然知り得るものを知らなかったというような間抜けた場合が重大過失でありますから、あるいは犯罪性があるかもわからないということになると、その辺もややあいまいということになってまいるのでありますが、やはり今日の世界情勢なり国内、国民の要請からいたしまして、そのような消極的な、狭い、あらさがしのような考え方だけではもう事足りないというふうになりつつあるのではないだろうか。なぜならば、それなら予算は一億円と組んだ、予算を組んで何々に使えばいいというように、そこに何のくふうも創意もなくして、国民の税金であるという考えもなしに一億円をさっぱり使ってしまえばよいということになりかねない、親方日の丸の場合は。しかし多少でも節約ができればしたらいいじゃないか。同じセメントを運ぶにしても、遠方から運ばぬでも近くにあるのではないか、そんなことは何ぼでもあることは万御承知のとおりなんです。かつて検査院は幾らでもこういう点も出しておられるのですよ。ですから、もっと広範に予算の執行について目を向けるということが一つの課題。  もう一つは、ひっくり返して言うならば、予算の執行を通じまして合法的な罪悪も相当可能なんです。そういうことを思いましたならば、これは検査院の指摘のものさしというものの不当事項というものにつきましても再三検討いたしまして、いまの時世に合うようにしてもらわなければいかぬだろう、こう思うのです。そうなりますと、いまおっしゃったことは、私にすれば同じことで、年々それなら同じことをまた伺い、同じことを繰り返していくということになるので、一歩前進、内外の諸情勢に適応し得るようなかまえが、前進的なものが見えぬ。それでよいのだろうか。実際は、検査院にしても内閣にしても、行政府にしても立法府にしても、すべてが大きな流動のときには対応し得るような可能性のあるような進歩がやはり望ましいと思うのですが、それが全然ない。もっと明確にずばっといきませんでしょうか。過去のものは少し狭過ぎて、もっと拡大しなければいかぬとか、こういう新しい条件に変化があったとか、要素が生じたとか、何かもっとずばりと院長そこらを御説明できるような、もしくはもの足りないとかいうような意見を付している、何か出ませんか、どうでしょう。
  163. 白木康進

    ○白木会計検査院長 ただいまの御質問の御趣旨は私よくわかるわけでございますが、不当事項というものについては、私ども特別の法律用語と申しますか、ただまずいことをした、失敗したということではなくて、従来当委員会におきましても、不当事項の事後処理の問題がたびたび御審議になりまして、その事後処理をどうしておるか、特に不当事項の当面の責任者の処分はどうなっておるかということがたびたび問題になっております。私どもが不当事項というものを考えます場合には、そういうことも一つの決定の基準になるわけでございますが、そういうことで先生の御趣旨はよくわかるのでございますが、私どもとしては、不当事項というものを検査報告に掲記して、これをもって足りるということでは、経理の適正を完全に期することはできないのではないか。これは経験上申し上げるわけでございますが、私どもとしては、検査の着眼といたしましては、先生いま御指摘のように、いやしくも国民の税金を財源とする財政処理として適正であるかどうかという感覚、これは必ずしも旧来の考え方だけに拘束されないようにつとめておるわけでございます。たとえば、単に経費が高いとか安いとか、あるいは浪費とか、あるいは設計、出来高の不当とかいうことのほかに、本来、予算が成立したときの趣旨を十分に生かしておるかどうか、予算の効率的執行と申しますか、そういう面にここ数年来特に配意をいたしておりまして、その結果は、個々の当事者の責任あるいは金額の明細の確定というところまではいきませんでも、やはりこれはこのままでは困るということにつきましては、最近、特に会計検査院法の三十四条あるいは三十六条の規定を発動いたしまして、是正改善の要求をかなり積極的に実施してまいっております。全般として、検査の執行のたてまえとしては、私ども先生の御趣旨と同じような考え方でだんだんまいる体制にはあると考えております。
  164. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 予算を効率的に執行をするという点は、一つの前進かと思います。いつも指摘することですけれども、たとえば予算のぶんどり合戦ということばをしばしばこの委員会でも用いたわけであります。予算の作成期になりますると、全国から殺到するところのぶんどり合戦は、御承知のとおりであります。これが世界で最も激しいのは、おそらく日本じゃないかと思うんです。これは、一つは中央集権、一つは惰性ですから、国民の税金という厳粛な態度が欠けておるという面はないか。  試みに伺いますが、国並びにこれにつながる公共諸団体におきまして、政府なり、国会なり、要するに東京、中央に向かっての陳情の経費は、どのくらい使っておると御推定になりますか。私の推定では、これはもう十数年前の話でしたけれども、五、六百億円という推定を、いろいろな資料によって得たのでありますが、どのくらい使っておるとお思いになりましょうか。
  165. 白木康進

    ○白木会計検査院長 ちょっと的確に見当をつけかねております。
  166. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 おそらく千億円を下るまいと思うんです。一体、どんな名目で東京へ来るとお思いになりますか。来なくて、電話でも済むし、電報でも済む。でも、東京にみなのぼってきます。のぼってくれば、数日滞在する人もときにあり、要らぬ経費を使って、ホテル大はやり、こういうことになってきます。議員がそんなことをしゃべることは、選挙区のためにはマイナスなんです。要らぬことを言ってくれるな、せっかく東京へ熱心に陳情に行くのに、何かそれがむだ金を使いに行くような発言は困る、これは感情ですね。感情だけれども、いずれにしても、やはりそこから姿勢を正してくるようにしなければ、これはどうにもいかぬということにもなるわけです。国会の立場といたしましても、選挙によって当選している者ばかりですから、有権者の一票の力というものは非常に大きい。そういうことを思いますと、その辺が何かベールをかぶされたようなことになりがちなんです。けれども、その辺からしておのずから姿勢を正してくるということで、自他ともにえりを正して予算に臨む、そこで初めて効率の問題が起こってくる。やはりそうでなくちゃいかぬ。  そこで、検査院はまことにいやなお仕事の立場だと思います。ほめるのじゃなくて、けしからぬと言う立場ですから。ものをもらうときは、みなにこにこ顔をしているけれども、出すときに渋い顔をするのは人情です。ですから、お立場は苦しいと思いますけれども、そこに私は、さっきの院長の発言の一面があると思うのです。けれども、これは、泣いて馬謖を切るということばがあるくらいでありますので、しゃんとえりを正してまいりましたならば、ほんとうに福祉国家も実現しますし、大きな予算の目的に向かって前進するだろう、こう思うのです。  院長、最近、国際検査院長会議がありましたね。院長がまだ御就任の前でありましたから、前院長のときだったかと思いますが、これはカナダに行ったと思います。重要な国際会議でありますから、御報告があったと思いますが、その報告はもちろん御承知でございますね。ちょっとそこにまず触れておきます。
  167. 白木康進

    ○白木会計検査院長 先般、九月の初旬でございましたが、カナダで会計検査院の国際会議がございまして、前院長の山崎検査官が代表として出席いたしました。そのときの議題は、会計検査院職員の採用と研修、電子計算機の活用と会計検査、それから経営検査、これは主として公共企業体等についての問題でございます。もう一つは、会計検査院の意見勧告を受けた各当局が実際にどういうふうに履行しておるかという、勧告の履行状況についてでございます。  大体以上のようなことで会議が行なわれましたが、その討議の詳細な報告はまだ参っておりません。
  168. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 二番目の電算機と会計検査という問題、これは方法といたしまして、いかに効率化を推進するか、もしくは検査自体の効率をあげるかということに通ずると私は思うのであります。宇宙旅行にコンピューターが使われておりますことは公知の事実です。すべてを符号化してキャッチしていくということが、最近の新しい科学手法になりつつある時代であります。いち早くこちらでも、それぞれこの手法が行政の上に用いられているときでもあります。検査院というものは率先いたしまして、一切の森羅万象じゃないのですから、すべての予算科目、費目、款項目等々のいろいろな事項につきまして、やはり符号化してキャッチするということは可能な社会じゃないのか。その辺が課題になっておるんだろうと思うのです。その辺のことは相当詳細に論議されたはずなんです。私は、この会議のあることを事前に聞いたのです。大事なことですから、ひとつうんと徹底的に論議してほしいなということを言ったりしたこともございます。  そこで、これはやはり会議で問題になっている効率化につながっていきます。いかにして効率化すべきかということにつながっていくのです。それならば、検査院法でも改正するというように、姿勢を正して、やり方も変えなければいかぬのじゃないかということにまた発展していくと思うのです。こういうような段階へ来たし、周囲の条件変化が生じておると思うのですが、これはどうでしょうね。たとえばいつも問題になっております例のPPBSの問題、これとても早急にさっと実現するものではございません。息の長い努力、準備が要りましょうけれども、やはり長い展望に立ちまして、日本の会計検査、検査院のあり方、権威、そうしてその効果、功績というものをほんとうに輝かしていこうと思いましたならば、そういう基本的な問題に取り組んでもらわなければいくまいと私は思うのです。どうもその辺がマンネリズムになりつつあるんじゃないかという実は心配、そこらが評論家はぴんとくるのですよ。評論家というものは、これは私もほんとうにびっくりしたことがあるのですよ。詳しくは調べなくても、ぴんときたときちゃんとキャッチしますよ。これは独特の、天才みたいなものですよ。アンテナみたいにちょっとひっかかると、ぱっときます。ぱっとくると、ずばっとさします。ほんとうはその辺が注目すべきことなんですよ。大事な点なんですよ。それはいいかげんにすべきではなくて、九月のものが、十二月ですから、十二月でいまだにそれが報告されていないのは一体何ということなのか。少しだらしないのじゃないか。そんな重大なことは、会社の社長が外国へ出張して会議でもやるならば、すぐ帰ってまいりましたならば、職員の幹部全部集めまして、直ちに報告して、これに対処する方針を立てるというのが企業の実態です。少し検査院、のんびりムードじゃないかと思います。きょうはえらい口が悪うてかんべんしてもらいますが、どうでしょう。
  169. 白木康進

    ○白木会計検査院長 ただいまの御忠告、まことに肝に銘じて私どもも考えなくてはならないことだと思っております。  ただいまの国際会議の、電子計算機と会計検査の関係でございますが、これは話のあらましを、当時帰国いたしました際に、ごく簡単に報告を受けましたけれども、最近印刷物ができ上がりまして、配付する直前だということで、これは当然他の三議題も合わせまして、その内容について私ども検討したいと思います。  また、全体といたしまして、最近の実情が、検査の対象も非常にふえますし、内容も複雑化してまいりまして、それに対応しまして、先ほど来諸先生からの御指摘もございましたように、増員ということが非常にむずかしくなっております。これに対応して、検査院がいままでのようなことでは重責を完全に遂行することはできぬのではないか、これは私ども全体考えておることでございます。まあマンネリズムとおっしゃられる面もあるいはあろうかと思いますけれども、新しい検査のシステムということについては、電子計算機等も含めて、現在相当積極的に検討いたしております。そのことだけちょっと御報告しておきます。
  170. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 検査院は行管と同じことで、むやみに人をふやすということを簡単に踏み切れない、これはよくお立場はわかります。わかりますけれども、やはり人がふえるとか減るとかいう形式の問題ではなしに、ほんとうに取り組んである成果を期待するということに必要な条件は何かということになりましたならば、相当具体性のある、正確な、客観性のあるものであるならば、それはうんもすんもないのです。人を減らすとかふやすとか、そんなことは末の話なんです。どうしてもっと合理化するか、もっと生産性を上げるか、効率化をはかるかということは、何も検査院だけではありません。国会自身もそうです。昨年もアメリカの国会は相当大幅な改正もやりました。われわれにしましても、国会がマンネリズムになってしまえば、ぬるま湯につかったままの国会さまになってしまいますから、だめなんですよ。絶えずそういうことも反省をしながら進んでいきます。ですから、その辺は、やはり大事な問題に触れたときは、その問題は俊敏につかまえて、これを活用するというふうにやってもらわなければいけませんな。せっかくあなたも院長御新任でございますから、あなたは院長時代相当そういった成果をあげるというようなことをなさるべきだと思うのだ。ごく最近でありましたね、行管が公益法人の問題を取り上げておりましたが、これは勧告したことは御承知と思います。御承知でございましょう。ちょっと私も簡単な資料を持っておりますけれども、各省庁に向かって相当範囲の勧告をしていますね。民法三十四条のあの公益法人です。営利にあらざる公益法人、これは一々検査院の対象ではございますまい。けれども、非常に重大な点を突いております。というように、こまかい点でありますけれども、そこらに注意していくということ、敏感にくるということ、横に行管と連絡するということ、大蔵省とも連絡するということ、そこらは検査院の立場立場でしゃんとしたものが一本ございますけれども、常時連絡していくということは必要なことでございます。この間指摘いたしました行管の勧告ですな、これは相当広範なものですが、御承知でございましょう。連絡はあるのですか、ないのですか、こういうことは。
  171. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 お答え申し上げます。その勧告の内容について、そのつど行管からいただいておるという事実はございません。ただ、印刷物になったものをあとから配付されまして、それを拝見しておるという状況でございます。
  172. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ずばりと検査対象ではなくても、一つの資料といたしまして、法はいたずらに公益法人をつくるにあらず、やはり公益法人として国民、社会に、公益のために幾らかでも寄与するということが許可をする理由であります。その辺からしてもやはり筋を通してくる。行管はずいぶんたくさんな公益法人を一応取り上げまして、各省庁に向かって相当勧告をやったわけなんです。ですから、その辺はそれ自身が検査対象になってもならぬでも、類似の現象としてこれをつかまえて材料にするというぐらいな目の届かし方が必要だと私は思うのです。もっと言うなら、がめつくいかなければいくまいと思うのです。がめついということばはえらい悪うおますけれども、ともかくそういうことも対象といたしまして、それはぴんとくる。しかしじっと見ておる。直ちにそれに手を触れ、どうということではなくても、何かあるかもわからぬというぐらいな姿勢がありましたならば、検査院の存在がやはりほんとうに厳としたものが確立していくと思います。それならば一々手を下さぬでも、ちょっとことばをかけるだけでも効果は一〇〇%あがってきます。そこですよ。一々全部手を下して、ああやこうや言うて言うて言いまくるということは下の下ですよ。語らずして——日本ことばに、目は口ほどにものを言いということばがあったと思いますね。というように、私はやはりそこまでほんとうに行くべきじゃないかと思うのですね。ですからこれは、あなたのほうから報告書も毎年いただいておりますのです。いただいておりますので、これはまことに御苦労千万でございます。御苦労千万でございますけれども、もっと何とかならぬものかな、大事な点だけでもちょっと突く。私が言う大事な点というのは、根本に触れるという意味ですよ。こんな大きな問題でなくてもよろしい、根本に触れたことをちょっちょっちょっと各省とも相当触れていく、その辺が大事です。その辺のところがあうんの呼吸ができておらぬ。国会とあなたのほうはその辺一致して、決算委員会と検査院とがその辺のあうんの呼吸が一致しなければいかぬです。私はそう思います。  私は、アメリカで先般、PPBSについての効率の問題もちょっと聞いたことがあるのですよ。そのときにやはり会計検査院というものの存在とか、その活動の効率化というものを少し聞いてみたりしておったのですが、だいぶ政治や根本が違いますから、ずばっと日本はそのとおりにはいきませんけれども、いずれにしても、検査院というものの存在性の重大であることをわれわれは意識しておればこそ、時に触れまして予算効率化とそれは結んでいきたいのです。でありますので、何とかこれは予算の効率的執行という面に数歩前進ということで、四十七年度に実現するようなところまで少しがんばりませんか。そうしなければ間尺に合いませんよ。来年も再来年も同じことで、また不当事項で新聞には何億円の何とかいうふうにちょいちょい書くようなことをいたしますけれども、何億円の何ぼというような、それが最終の問題でもないですよ。そういうふうにできぬものですかね。もし何でしたら、われわれ自身も御協力いたしまして、われわれの考えているところ、見てきているところ、経験するところを資料として提供して、そして改正するなら改正のいろいろな御参考としていただく、もしくはその辺の懇談もしていく。検査院の権威を発揮して、日本の予算の執行を全国民が信頼するということに持っていきたい。究極はそこですよ。だれが憎いんでも、だれがどうというのでもないのです。全国民のために、信頼し得る予算執行のあり方、この実現が望ましいだけですよ。だからそういう意味におきましては、委員会でこんな開き直った問答をせぬでも、別室で、常任委員長室というものも国会にはあるわけですから、委員長をまじえていろいろと御懇談する場を持ってもいいんです。どうしたらよかろうかということ、そんなことで検査院と国会とは呼吸が一致しなければいかぬと私は思っております。それだけは聞いておきます。委員長、どうでしょう、場合によってはそんな会でも持ったら……。
  173. 福田繁芳

    福田委員長 この際、会計検査院の諸君に申し上げます。  諸君承知のように、先ほどから、長らくの御経験によるところの吉田先生から、本委員会の本日の総括的の御質問と御要望事項が多々あられたようでございまして、検査院長としてのこれに対する御決意のほどを御開陳願って終わりとう存じます。検査院長。
  174. 白木康進

    ○白木会計検査院長 ただいま吉田先生からほんとうに決算監督の根本に触れる御意見を伺いまして、私どもとしても御趣旨は十分にわかるわけでございまして、今後の職務執行上においても、そういう御趣旨の実現に努力したいと考えております。ただ、会計検査院が憲法上の機関といたしまして、行政管理庁などとは若干違った組織なり権限というようなことで、その発言がどうしても予算あるいは法律ということにどちらかというと狭く限定されるということでございまして、まあそういうことはもちろんございますけれども、やはり私どもとしましては、貴重な税金を財源とする財務の執行というものについては、もっと基本的に先生の御趣旨のような感覚を持つべきであるということについては異存ございませんので、そういうふうに努力いたしたいと考えております。
  175. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと申し上げておきたいのですが、各理事の皆さんとも御相談申し上げまして、もしできますれば、お互いに少し準備をして、どうあるべきか、どういう点をどうしたらいいだろうかという私見も材料も一ぺん出して、たとえ一時間でもちょっと懇談する場をひとつ御用意願う、そういう方向へ委員長お取り計らいいただいたらどうかと思います。
  176. 福田繁芳

    福田委員長 吉田先生に申し上げます。  しかとあなたの御高説を拝聴いたしました。いずれ理事諸君と御相談申し上げまして、貴意に沿うようにいたしとう存じます。      ————◇—————
  177. 福田繁芳

    福田委員長 この際、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  すなわち、決算の適正を期するため、  一、昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算    昭和四十四年度特別会計歳入歳出決算    昭和四十四年度国税収納金整理資金受払計算書    昭和四十四年度政府関係機関決算書  二、昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算書  三、昭和四十四年度国有財産無償貸付状況計算書  四、歳入歳出の実況に関する件  五、国有財産の増減及び現況に関する件  六、政府関係機関の経理に関する件  七、国が資本金を出資している法人の会計に関する件  八、国または公社が直接または間接に補助金、奨励金、助成金等を交付しまたは貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する件 以上、八件について、議長に対し閉会中審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 福田繁芳

    福田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十六分散会