運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-12-21 第67回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月二十一日(火曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 福田 繁芳君    理事 菅波  茂君 理事 濱野 清吾君    理事 森下 元晴君 理事 綿貫 民輔君    理事 華山 親義君 理事 鳥居 一雄君    理事 吉田 賢一君       笠岡  喬君    中川 俊思君       中村 弘海君    中山 利生君       丹羽 久章君    高田 富之君       坂井 弘一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤  昇君  出席政府委員         厚生大臣官房審         議官      江間 時彦君         厚生省公衆衛生         局長      滝沢  正君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         厚生省薬務局長 武藤き一郎君         厚生省社会局長 加藤 威二君         厚生省児童家庭         局長      松下 廉蔵君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部防犯少年課         長       川崎 幸司君         大蔵省主計局主         計官      渡部 周治君         国税庁次長   村田  博君         文部省体育局学         校保健課長   橋本  眞君         労働省労働基準         局安全衛生部計         画課長     倉橋 義定君         会計検査院事務         総局第三局長  桜木 拳一君         医療金融公庫総         裁       山本 正淑君         環境衛生金融公         庫理事長    大山  正君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ————————————— 委員の異動 十二月二十一日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     芳賀  貢君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十四年度政府関係機関決算書  昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十四年度国有財産無償貸付状況計算書  (厚生省所管医療金融公庫環境衛生金融公  庫)      ————◇—————
  2. 福田繁芳

    福田委員長 これより会議を開きます。  昭和四十四年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、厚生省所管医療金融公庫及び環境衛生金融公庫について審査を行ないます。  まず厚生大臣から概況説明を求めるのでありまするが、委員各位に一言御了承を求めとう存じ上げます。  本国会開会劈頭より当委員会では、昭和四十四年度に関する厚生省所管に関して、厚生省当局からもろもろの御質問にお答え願いたいというところの各党派からの強い御要望がありましたけれども、御存じのように、各般の事情がありましたので、今日までおくれておりました。きょうは厚生大臣劈頭から終日御出席くださるという御予定でありましたので、きょうは九時半から各党の代表諸先生たち出席賜わって、いままで打ち合わせいたしておったわけでございます。聞くところによりますると、他の委員会厚生大臣が招致されまして、そちらのほうでいま途中でありますけれども、先約の関係上当委員会斎藤厚生大臣は御出席くださいました。聞くところによりますると、厚生省所管審査が非常におくれておる関係上、きょうは大臣は終日本委員会の終わるまでこの席で皆さんの御高見を承りながら御答弁されるというところの御決意と承っておりますので、さようなおつもりでよろしく御質問を願いとう存じます。  まず、厚生大臣から概要説明を求めとう存じます。斎藤厚生大臣
  3. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 他の委員会関係でおくれまして申しわけございません。  昭和四十四年度厚生省所管一般会計及び特別会計決算大要について御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算については、予算現額九千四百二十一億五千六百二十九万円余に対して、支出済み歳出額は九千三百五十億一千四十八万円余、翌年度繰り越し額は二十八億二千五百四十三万円余、不用額は四十三億二千三十八万円余で決算を結了いたしました。  以上が一般会計決算大要であります。  次に、特別会計大要について申し上げますと、厚生省には五特別会計が設置されております。  まず第一は、厚生保険特別会計決算でありますが、健康、日雇健康、年金及び業務の四勘定あわせて申し上げますと、一般会計から六百八十五億八千七百八十一万円余を繰り入れました。  その決算額収納済み歳入額一兆五千五十九億二十万円余、支出済み歳出額八千三百四十五億一千三百九十三万円余、翌年度繰り越し額九億五百七十七万円でありまして、差し引き六千七百四億八千百四十九万円余の剰余を生じ、これをこの会計積み立て金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。  第二は、国民年金特別会計決算でありますが、国民年金福祉年金及び業務の三勘定あわせて申し上げますと、一般会計から一千二百一億一千五百十三万円余を繰り入れました。  その決算額は、収納済み歳入額二千八百五十一億七千四百二十二万円余、支出済み歳出額一千五百九十億二千六百八十四万円余、翌年度繰り越し額六千五百万円でありまして、差し引き一千二百六十億八千二百三十七万円余の剰余を生じ、これをこの会計積み立て金として積み立てたほか、翌年度歳入に繰り入れて、決算を結了いたしました。  第三は、船員保険特別会計決算であります。  船員保険特別会計につきましては、一般会計から二十億八千八十万円余を繰り入れました。  その決算額は、収納済み歳入額四百二十一億二千三百二十九万円余、支出済み歳出額二百四十億六千七百三十三万円余、翌年度繰り越し額一億九千五百七十七万円余でありまして、差し引き百七十八億六千十八万円余の剰余を生じ、これをこの会計積み立て金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。  第四は、国立病院特別会計決算でありますが、病院及び療養所二勘定あわせて申し上げますと、一般会計から三百十九億八千六百八十八万円余を繰り入れました。  その決算額は、収納済み歳入額一千三十七億八千八百六十四万円余、支出済み歳出額一千二十五億四千二百五十一万円余、翌年度繰り越し額七億二千十七万円余でありまして、差し引き五億二千五百九十五万円余の剰余を生じ、これをこの会計積み立て金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。  第五は、あへん特別会計決算であります。  あへん特別会計決算額は、収納済み歳入額九億九千五百八万円余、支出済み歳出額二億九千七百三十六万円余でありまして、差し引き六億九千七百七十二万円余の剰余を生じ、これをこの会計の翌年度歳入に繰り入れて、決算を結了いたしました。  以上が厚生省所管に属する昭和四十四年度一般会計及び特別会計歳入歳出決算大要であります。  最後に、昭和四十四年度決算検査報告において掲記されております事項につきましては、検査院の御指摘のとおりで、まことに遺憾にたえないところであります。  指摘を受けました件につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一そう厳正な態度をもってこれが絶滅を期する所存であります。  以上をもちまして、厚生省所管に属する一般会計及び特別会計決算大要について御説明を終わりますが、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。  なお、詳細につきましては、お手元に配付してございます資料を御参照願いたいと存じます。
  4. 福田繁芳

    福田委員長 次に、会計検査院当局から検査概要説明を求めとう存じます。桜木会計検査院第三局長
  5. 桜木拳一

    桜木会計検査院説明員 昭和四十四年度厚生省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が三件、是正改善処置を要求したものが二件でございます。  まず、不当事項について説明いたします。  五号及び六号の二件は、健康保険及び厚生年金保険並びに船員保険保険料に関するもので、いずれも保険料算定の基礎となる報酬月額の把握が適確に行なわれなかったなどのため保険料の徴収が不足していたものでございます。  七号は、国民健康保険調整交付金に関するもので、調整対象収入額算定が誤っていたなどのため調整交付金交付が適正を欠いていたものでございます。  次に、是正改善処置を要求したものについて説明いたします。  一つは、北海道及び山形県管内の市町村が実施いたしました簡易水道事業におきまして、管路の掘削はすべて人力により施工することとして積算しておりますが、機械施工を取り入れて工事の経済的な施行をはかる要があると認められたものでございます。  他の一つは、都道府県知事等児童収容施設に入所させる措置をとった場合、国は厚生省が定めた国庫負担金交付基準に基づき、都道府県等が支弁した費用の十分の八を負担することとなっておりますが、そのうち医療費の支弁につきましては、必ずしも交付基準等適確に施設しているとは認められないものがございましたので、基準趣旨を徹底し、医療費算定の適切を期する要があると認められたものでございます。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  6. 福田繁芳

  7. 山本正淑

    山本説明員 医療金融公庫昭和四十四年度業務概況について御説明申し上げます。  昭和四十四年度貸し付け計画額は、貸し付け契約額三百二十億円、貸し付け資金交付額三百十億円を予定いたしまして、その原資としては、資金運用部資金借り入れ金二百七十億円、貸し付け回収金四十億円、計三百十億円を充てることといたしました。  この計画額に対する実績は、貸し付け契約額三百二十億円、貸し付け資金交付額三百十億円でありまして、これを前年度に比較いたしますと、貸し付け契約額で六%、貸し付け資金交付額で二・八%の増となりました。  この貸の付け契約額内訳は、設備資金三百十七億円、長期運転資金三億円であり、また、貸し付け資金交付額内訳は、設備資金三百七億円、長期運転資金三億円であります。  貸し付け残高は、前年度末で一千七十億円でありましたが、昭和四十四年度中に三百二十億円の貸し付けを行ない、九十八億円を回収いたしましたので、当期末においては一千二百九十二億円となっております。  次に、決算状況について申し上げます。  昭和四十四年度損益計算上の総収益は八十五億四千四十三万円余、総損失は八十四億九千六百三十二万円余でございまして、差し引き四千四百十万円余の償却利益を生じましたが、大蔵大臣の定めるところにより固定資産減価償却引き当て金へ六百二十八万円余、滞り貸し償却引き当て金へ三千七百八十一万円余を繰り入れましたので、結局、国庫に納付すべき利益金は生じなかったのでございます。  以上で昭和四十四年度業務概況につきまして御説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  8. 福田繁芳

  9. 大山正

    大山説明員 環境衛生金融公庫昭和四十四年度業務概況につきまして、御説明申し上げます。  昭和四十四年度貸し付け金は、当初五百十億円の予定でありましたが、資金需要が増加いたしましたので、四十億円を追加しまして、五百五十億円に改定されました。  これに対しまして、貸し付け実績は五百二十五億二千万円余であります。  次に、貸し付け残高について、御説明申し上げます。  昭和四十四年度末における貸し付け残高は、六百一億一千万円余でありましたが、昭和四十四年度における貸し付け金五百二十五億二千万円余が加わり、一方、貸し付け回収金が百七十九億二千万円余がありましたので、差し引き九百四十七億一千万円余の貸し付け残高となっております。  次に、昭和四十四年度収入支出決算について御説明いたします。  昭和四十四年度における収入済み額は六十八億九千万円余、支出済み額は六十五億九千万円余でありまして、収入支出を上回ること二億九千万円余となっております。  まず、収入の部におきましは、本年度収入済み額は六十八億九千万円余でありまして、これを収入予算額六十八億四千万円余に比較いたしますと、四千万円余の増加となっております。  この増加いたしましたおもな理由は、貸し付け金利息収入予定より多かったためであります。  次に、支出の部におきましては、本年度支出予算現額六十六億七千万円余に対し、支出済み額は六十五億九千万円余でありまして、差し引き七千万円余の差額が生じましたが、これは借り入れ金利息等予定より減少したためであります。  最後に、昭和四十四年度における損益について申し述べますと、本年度の総利益七十六億二千万円余に対し、総損失は七十三億七千万円余でありまして、差し引き二億四千万円余の償却引き当て金繰り入れ利益をあげましたが、これを全額滞り貸し償却引き当て金及び固定資産減価償却引き当て金に繰り入れましたため、国庫に納入すべき利益はありませんでした。  以上が昭和四十四年度における環境衛生金融公庫業務概況であります。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     —————————————
  10. 福田繁芳

    福田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。丹羽久章君。
  11. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 お許しを得ましたので、厚生省所管について、先ほど委員会からもお話がありましたように、非常に広範囲にわたりますけれども、与えられた時間がほんのわずかよりございません。そういう意味におきまして、特に最近医療問題でいろいろと国民のためにお骨折りをいただいておりましてお疲れでありましょうけれども、きょうは特に大臣が一日御出席になって御答弁いただけるということでありますので、大臣には特に少なくお尋ねをいたしまして、あとは所管の方々に御答弁をいただきたいと思います。  それにつきまして、大臣承知のとおりに環境衛生法というのができまして、これは環境衛生業者営業衛生基準あるいは営業許可等を規定した昭和三十二年の環境衛生法によって業者の義務や責任を定められておりますから、四十二年にこの環境公庫法によって公衆衛生の徹底をするという保護措置がとられたわけでございます。そして資金力のない人々がただ一つのたよりとしてこの公庫によっていろいろと資金面考えていただくということは、この際私ども、国の政治の上におきまして非常に真価があって、政府がこういうものをおつくりいただきましたことに対して感謝いたしておるわけであります。  設立当時を考えてみますると、国民金融公庫だけでいいじゃないか、環境衛生公庫なんというようなことは、公庫をつくるというのをある程度整理統合しろという意見も出ておりましたときでありますので、相当、国会議員多数の中には反対の意見もあったわけであります。しかし私どもは、こういう零細小規模業者のためにやはり一つの専門的な分野において考えてあげるということが必要であろうということを力説いたしまして、政府もこれに協力をしてつくっていただいたわけであります。そういう意味から考えてみますと、現在できて以来非常に成績もよく、たいへんにみな感謝いたしております。そういう点について、先ほども申し上げましたように、私も非常にうれしく思っております。  そこで、大臣に特にお尋ねいたしたいと思うことは、このお金を借りようとするときに、業者がさて組合を通じて融資申し込み書を出さなければならない、そういうような形になっておるわけであります。組合を通じなくても受け付けいただくことにはなっておりますけれども、中心をなすものは組合を通じて出せというような指導的な方向で行なわれておる。そういうことでありますので、組合長推薦書を書いてくれる。組合長と仲の悪い人あるいは感情的にもつれのある人等々、なかなか推薦書を書いてくれない場合がある。そういうようなことはほんとうに融資を受けようとする者において非常に迷惑な話でありますが、こういうことを前向きで考えた場合には、やはり公平に扱っていかなければならない。あえて組合を通じなければ全然受け付けないとか、組合推薦がなければ全然問題にしないとかいうのではありませんけれども、なかなかそういうときの指導的な面が、組合へという一応暗示的な面がある。それがために非常に困っておる人が一部あるようにも聞いておりますが、そういう場合には大臣はどういうような姿勢でもって進めていくということをお考えになっておるか、この点だけひとつ大臣お尋ねいたしておきたいと思います。
  12. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 丹羽委員のおっしゃいますように、環境衛生金融公庫法が成立をいたしますにつきましては、各位のたいへん御協力を得まして、おかげさまでその後成績を相当あげておりますので、今後ますますこの金融公庫というものの使命を十分達成するように資金ワク等につきましても考慮いたしたい、かように考えておる次第でございます。  御意見のございましたこの公庫貸し付け融資を受けます際に、同業組合経由をするということが一応原則になっておりますが、私は、これの運用において、ただいまおっしゃるような弊害と申しますか事柄が万が一にも起こるのではなかろうか、そういうことが起こっては相ならぬ、かように心配を私自身もいたしておったわけでございます。またおるわけでございます。伺いますと、そういう例が絶無でないということでございますので、そうかといって、この組合を通じてという制度をやめてしまうというのもいかがであろうか。せっかく同業組合設立目的趣旨に照らしまして、同業組合自身がやはり健全に育っていくということが肝要でございますから、今後さらにそういったことのないように十分注意指導をいたしたいと存じまするし、また万一そういう場合がありました場合には、これは県の関係当局組合にも注意をいたしますとともに、そういったことで融資が受けられないということのないように配慮いたさせたい、かように思う次第でございます。
  13. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大臣から非常に前向きな姿勢でこれから進んでいこうという御答弁をいただましたので、一応私自身自信をつけ、皆さんにもお話が申し上げられるわけであります。  もう一点この際お尋ねをいたしておきたいと思いますことは、この組合責任的立場に立つ理事長あるいは組合長というものが何年も何年もワンマン的でなかなか交代しないというような事態があったり、これはやはり組合員総意推薦を受けるとか選挙をするとかということで、年々かわることが必要だとは考えておりません、何年でも続けられてけっこうだと思いますが、総意を年に必ず問う、そういうような資金を借り入れするに判を押すというような重要な役割りをせられるのでありますから、やはり一年に一ぺんなり二年に一ぺんなり必ず総会を開いて、そこでその役職、理事長たるものの資格を得る、皆さん方がこの人ならいいだろうという総意で決定づけられていくような制度という考え方を持って、初めてその資金借り入れのときの判を押す資格ができてくるものであると私は考えるのです。これがいつまでもいつまでもそういうようなこともなく、総会も何もしないでずるずるべったりで、そして感情的になってくる。だんだん日がたってくるに従って、感情的になる。感情的になると、やはりめんどうを見る書類に対して見てやらないというような事態が起きる。それはたとえば県当局なんかではそこまで十分にいかない。何か法的に、そういうような環境衛生という一つの金を借りるという目的に対する、それに関連するそうした判を押すということを考えた場合には、公平な理事長が出、組合長が出なければならないと思いますが、その点はどうでしょうか。そういうような規定を設けるとか、何かひとつお考えになるような意思はございませんでしょうか、どうでしょうか。
  14. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 同業組合規約と申しますか、約款と申しますか、私どういう基準を示しているかまだつぶさに承知をいたしておりませんが、よく検討をいたします。いまおっしゃいますことはごもっともだと存じます。少なくとも総会は年一回開き、そして役員は公正に選出をする。少なくとも総会を開けば、そこで苦情も出るでありましょうし、したがいまして、組合規約について基準を示しておるならば、必ずそういう点が書かれておると思いますが、その点も十分調べてみまして、そういう点にぬかりがありはしないか、またそういった基準どおりにやっているかどうか、県の指導監督ということも十分配慮させますように注意をいたしたいと存じます。
  15. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 どうも大臣ありがとうございました。  ちょうど環境衛生金融公庫大山理事長出席になっておりますので、お尋ねいたしたいと思いますけれども、お聞きいただいたように、環境衛生金融公庫というのは非常に成績よく、小規模業者等はこれで喜んでおるわけでありますが、いま申し上げましたように、この組合推薦なくして書類を持ってくる人というのは、パーセントにすると非常に少ないと私は思うのです。直接あなたのほうへ出すのは少ないと思うのです。大体は組合に入っておると思いますが、その組合に入っていない人で借りたい場合に、やはりあなたのほうの指導としては、そういう組合推薦を持っていらっしゃいという指導が出ておるようでありますけれども、それはそれで、県もあなたのほうもせられることに対して私はとやかく言うのでなくして、一つの秩序の上においてはけっこうだと思いますが、やはりそこでボス的な人が相当強く公庫に対して割り込んでいって、都合してやれということで、あなたのほうの出先では聞かざるを得ないというような面が、一部片寄った運用のしかたがあるのじゃないかという声があがっておりますが、理事長の耳にはそういうことは全然入っていないでしょうか、どうでしょうか。
  16. 大山正

    大山説明員 推薦制度につきましては、現在では五十万円以下の小額申し込みについては知事推薦を必要としませんので、したがって組合経由もないということにいたしております。五十万円以下の小額のものがかなりございますので、そういうものはまず推薦からはずれておる、こういう形でございます。  それからお話しアウトサイダーの場合でございますが、これは私どものほうのたてまえといたしまして、必ずしも組合経由しないで知事推薦を直接受けてよろしい、こういうことになっております。この点は先ほどから先生も御指摘のとおりでございまして、そういうことになっております。実際問題として、各県、地元におきまして、そういう場合にもなるべく組合推薦組合経由して持ってきてほしいというようにやっているところがあるのでございます。これはこれで話し合いがつけばけっこうなことだと思っておりますが、どうしてもアウトサイダー組合推薦を得られない、しかもそれがしかるべき理由でなしに得られないというふうなものもあり得るかと思いますが、そういうようなものは県で直接推薦をする、組合経由しなくてもよろしい、こういうことにいたしております。  ただいまお話しの点は、実際問題として、地元で一部片寄ったことが行なわれているということをおまえは承知しているか、こういうお話でございますが、私どもただいままでのところ、そういう特に不当に圧迫といいますか、組合幹部のために推薦がされなくて困っているというような事例は、実はあまり聞いておりません。この点は、私どものほうの仕事が、先生承知と思いますが、大体国民金融公庫の窓口あるいは中小企業金融公庫の窓口を現在使っておるわけでございます。国民金融公庫の窓口が最も多いわけでございますが、国民金融公庫組合あるいは県と非常に密接に連絡をとってやってもらっておりますので、ただいままでのところそういったような問題はあまりないものと、かように承知いたしております。
  17. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 理事長、こういうことなんですよ。帳面づらさえうまくでかせばお金が借りられるというところから、専門的に非常にうまく帳面をつくって——人員不足という面もありましょうね、調査自体よりも帳面記帳そのものの説明、デスク的プランで話し合いを進めていって、それで金が借りられる。ところがそういうことのうまくいかない人はほとんど却下せられていくというような形が多い。そこで、常にそういうところに出入りしている一部の連中には帳面をうまくつくってあげる、そして数字を合わせるようにすれば金が借りられるというような形に、そういう傾向が最近少し多くなってきたという世論があるわけなんです。これは都市中心的にそういう面が多くなってきているような声があがっておりますので、どうかひとつ出先にも十分注意をしていただいて、公平な判断のもと、人手は足らなくともできるだけ実地調査をしてあげるというようにお願いをいたしたいと思いますが、お考えはどうでしょう。
  18. 大山正

    大山説明員 現在組合経由さしておりますのは、ただいま御指摘ありましたように、むしろ一般の中小企業はそういう書類等の作成もなれない、したがって組合等で専門的な知識を持った者がお世話をしてあげて申し込み者の便宜をはかるように、こういう考え方でございますので、そういう意味組合経由の意義が非常にあるもの、かように考えておる次第でございますが、お話によりますと、そういう者が借り受けようと思っても、組合の一部幹部と感情的によくないために、十分な指導を受けられないといううらみがあるという御指摘でございますので、今後そのようなことのないように、私どもも十分組合と連絡をとり、また私どもの第一線の窓口であります国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫等と十分連絡をとりまして、そういう弊害のないようにつとめてまいりたいと存じます。
  19. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 どうもありがとうございました。  それでは理事長お尋ねすることはこれで打ち切りまして、さらに新しくお尋ねいたしたいと思いますが、ことしの三月に出ました税務統計から見た四十四年分の交際費というのは九千億円になるのです。この九千億円という交際費というものは非常にいろいろの広い範囲で使われたものでありますが、そこのうちで接待費という金額が相当パーセンテージが伸びておるわけなんです。特にバー、キャバレー等の問題について、これから厚生省を中心として少しお尋ねいたしたいと思いますが、まず最初に従業員の健康保険制度でありますか、この従業員の健康保険制度というのは、いまのところ国民の医療制度国民皆保険となっておるわけであります。事業等に使われている者は健康保険法等の被保険者となり、それ以外の者はすべて市町村の国民健康保険の被保険者となるように制度上なっております。  バーとかキャバレー等の風俗営業について見ると、健康保険法については、従業員の移動が、きょうおってあすおらないというように激しい変わり方であるから、また事業主は保険料の二分の一という負担をしなければならないために、いろいろの関係で加入をしておるのがほとんどないというような関係であります。したがって、国民健康保険ということは、これはその市町村に住んでおる関係でやむを得ぬで入るということになるわけでありますが、これも先ほど言っておるように、本人の自覚の不足のために未加入も相当あるわけであります。  厚生省においては、健康保険、これは組合保険と政府管掌健康保険とありますが、その適用をどういうように指導していらっしゃるかというと、まず国民健康保険へ入れという指導だと私は思っております。彼らが転々と変わるということはよくわかりますけれども、さていよいよ病気になっちゃったというような場合に、給料はきめられておるけれども、給料の何%というものはもらえない。ただ医療的に一部が国民皆保険によってめんどうを見てもらえるというだけのことであって、そうした病気になった場合においては全く何ともならないという状態になるわけでありますが、この点について、今後移動が激しいからといってこのままに進めていくものか。こうした営業を続けておる、そこに働く従業員ならば、やはり何らかの考え方を新たにして、姿勢を本人たちにもよく考えさせて、そして少々掛け金が高くなろうとも、あるいは営業主の負担率が多くなろうとも、そうした健康を守ってあげるという意味におき、あるいは生活の保障をどれだけかしてやるという意味においても考えてやることがほんとうでないかと私は思っております。  たまたま行ってよく聞きますと、私どもが変わることはやはりせつない、全く自分自身考えてみると、病気になったときには国民保険だけである、国民保険だけであるとするならば、もうどこからも一銭の給料ももらえない、会社へつとめておればやはり何%かが、七割なり六割がいただける、そういう意味から考えてくると、さみしい、私どもの職場であるためにどうしても一銭でも多く給料をもらう、そうしてそういうような場合に自分自身のからだを守っていかなければならぬ、こういう考えになりますよという声が最近非常に多くなってきたわけでありますが、その点についてどういうお考えを持っていらっしゃるか。これから先のことでけっこうでありますけれども、ひとつ環境衛生局長お尋ねをいたしたいと思うわけであります。
  20. 福田繁芳

    福田委員長 丹羽君に申し上げますが、あなたの非常に間口の広い、奥行きの深い多種多様にわたっておるいまの御質問に対して、幸いにきょうは厚生省審議官の江間君が参っておりますので、いま大臣の了解も得ましたから、江間君から専門的にお答え願いたいと思います。江間君。
  21. 江間時彦

    ○江間政府委員 お答えいたします。バーやキャバレーにつとめております従業員は、おっしゃいますように非常に移動が激しい、また捕捉が非常にむずかしいというようなことから、原則として健康保険の適用を受けませんで、一般的には国民健康保険の適用を受けておる場合が多いわけでございます。御指摘のように住所を転々と変わり、国民健康保険に入りそこねておるというような方がありましても、もし病気になられた場合に、それからでも手続をとられて国民健康保険にお入りになるということはできますので、病気をされたときにお困りになるというようなことはないと思います。  それから、これからどうするかということでございますけれども、原則として、われわれの考えでは、被用者は健康保険の適用を受ける、そうでない方は国民健康保険の適用を受けるという方針でいきたいわけでございますが、ただ、いま話に出ておりますように、やはり就業形態が特殊であって移動が激しい、また賃金の捕捉が非常にむずかしいというような態様のもとにおきましては、やはり被用者でございましても現実には自営業者と同じような取り扱いをやってまいらないといけないのではないだろうか、そのように考えております。国民健康保険という制度は決して悪い制度ではございませんで、われわれはりっぱな制度だ、決して健康保険制度にそれほど劣るというふうには考えていないわけでございます。  当面はそのような考え方でまいりたいと思っております。
  22. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 お尋ねいたしますが、私は、国民健康保険制度が悪い制度だとは考えていない、あなたと同じ考えなんです。ところが国民健康保険だというと、病気の医療に対してはめんどうを見てもらえるけれども、給料そのものに対しての交付金はないでしょう。それは御存じでしょう。移動が激しいとおっしゃるけれども、そうすれば彼らは一体源泉徴収せられておるのかおらないのかというところに問題点がある。そして三人、五人というようなところでなくて、最近は何百人というようなホステスを使っておるところが非常に多くなってきておる。あるいは何十人というのが多くなってきた。そうすると、若い間にしても何にしても十年なり十五年の間働く、その間に早く変わっていく人もあるけれども、その間病気になったときに、お医者代はめんどうを見てもらえるけれども、給料は一銭も交付せられない、そういう点が彼らに対するほかの保険制度と違った立場にある。これを何とかして給与をもらえるように、自分たちも月給はちゃんときめられた月給がついておるのだから。こういうことを言っておるが、その点についてはどうお考えになりますか。
  23. 江間時彦

    ○江間政府委員 御指摘のように、確かに国民健康保険制度というのは自営業者を対象としたものでございまして、その関係から傷病手当金に相当する制度がないわけでございます。これは自営業者の態様としてまことにやむを得ない次第なのでございます。御指摘のように、確かに医療の面においては何とかなるかもしれない、病気で休んだときの所得保障という面ではおっしゃるとおり若干不自由なものがある、このような方につきまして源泉徴収があるのかというお話でございますが、この方々が健康保険の適用を受けておらないという以上、健康保険からの源泉徴収が行なわれるということはないわけでございます。確かに、そういう疾病の場合の所得保障の面で何らかのことを考えなければならぬということも事実ございますが、ただ申し上げましたとおり、非常に移動が激しくて、被用者としての実態を把握するのが非常にむずかしい問題が現実にあるというその事実問題をどのように解決をつけるか、もう少し検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
  24. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 移動が激しいからこれは何ともならないということで何年も何年もこのままの現状では私は許されないだろうと思うのですね。そうなってくれば、やっぱり自分の身を守るために、病気になったときはある程度は国民保険でやってもらえる、しかし、給与というものは全然どこからも入ってこないとなれば、人間本能として、一銭でも利益が多いようにというような考え方に進んでいくのは当然でしょう。病気のときでも六割もらえるのだ、そして医療はめんどうを見てもらえるのだというようなところに人間性の落ちつきが出てまいるのじゃありませんか。それが私はいい政治であろうと思うんですね。そういうことに一歩一歩前進することが必要であろうと思うが、審議官どうお考えになりますか。これは、ひとつ、いますぐできなくても、十分考えてもらわなければならぬ問題だと私は思うのです。どうでしょう。
  25. 江間時彦

    ○江間政府委員 お答えいたします。いま申し上げましたように、いろいろな種類の問題があるのでございますが、先生の御指摘のような非常にふぐあいな点もあることをわれわれ意識いたしております。現在、われわれ医療保険制度につきましてできるだけ早い機会に抜本改正を行ないたいというふうに考えております。こういういろいろなふぐあいな点をよく勘案いたしまして検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
  26. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 審議官、ありがとうございました。  次に、お尋ねいたしたいと思いますが、バー、キャバレー、クラブ、料理屋等のホステス等は、お客さんの身辺において接待あるいは飲食をさせているのでありまするが、結核または皮膚病等伝染病を持っていた場合は、客に感染するおそれが非常にあると思うのですけれども、これらの者の健康管理についてみますと、労働基準法の五十二条においては「使用者は、労働者の雇入の際及び定期に、医師に労働者の健康診断をさせなければならない。」ということになっており、また安全衛生規則では、五十人以上の労働者を使用する場合には衛生管理者を置かなければならぬということが、これも労働省関係においてはあるのであります。その場合に、定期健康診断の結果を労働基準監督署長にこれまた報告をせなければならぬ。これによって実施状況及び指導について、これはまず最初に労働省のほうへお伺いをいたしておきたいと思いますが、従業員の立場に立った健康管理という面で規制しておるようであるが、利用者の側の立場から厚生省に伺いたいと思います。  厚生省関係の定期健康診断についてみますと、公衆衛生という立場から結核予防法に定められておりますが、これは実際、まず一点をあげてみると、結核の定期的診断というものが完全にほんとうに行なわれておるでありましょうか、どうでありましょう。これは労働省関係のほうにはきびしい規定があって、報告しなければならぬという義務づけもありますけれども、衛生関係のほうではどうでしょうか。
  27. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先生指摘のように、基本的には労働基準法の五十二条で、結核も含めた十分な健康診断が行なわれますれば結核予防法の診断とみなすというような考え方がございますけれども、現実には、結核に対しては結核予防法が適用されまして、その実施の状況を数字をあげて申し上げたいと思いますが、まず定期健康診断というのは結核予防法の四条にございまして、これは事業主が人を使っておる場合、この関係でございますけれども、四十五年の成績は、これが七百七万健康診断が行なわれております。それから学校関係は、学童生徒に対して行なうべく定められておりまして、これが千八百五十八万行なわれております。それから工場、事業場、これは使用者のほうですが、児童福祉施設等の施設関係、これが百十二万、それから一般の住民に対する市町村長の実施義務がございまして、これが約千七百万、合わせて四千三百七十八万という数字が出ておりますが、これによって発見される患者につきましては、御存じのように、結核の成績がだんだん患者数が減ってまいり、実態調査の結果も、わが国は結核問題に対して減少の傾向は明らかでございますけれども、しかしながら使用者については〇・一、約千人に一人は発見される。学校関係については〇・〇二、施設長関係の実施義務のある分につきましては〇・〇五、市町村関係で〇・一四、こういうような定期の健康診断、これは使用者の立場からその検査を受けるように義務づけられておりますが、御指摘のバー、キャバレー等の従業員の場合には、こちらのほうでも受けるべく一つの機会は用意されておるわけでございます。そのほかに、結核予防法の第五条、定期外の健康診断、これは結核感染のおそれのある者、伝染させるおそれのある業務に従事する者に対して、都道府県知事は健康診断を実施する。これが五条の定期外の健康診断でございます。これが百二十六万、結核家族あるいはこのような業態者を含めまして百二十六万の実施でございますが、発見率は、結核患者の家族の場合は〇・八、業態者の場合は〇・二六でございますので、先ほど一般住民の場合の〇・一四%よりは約二倍、あるいは使用者の関係では〇・一という数字を申し上げましたので、それには二・五倍ということで、定期健康診断の数は百二十六万で、そう十分ではございませんけれども、患者の発見率は若干高い、こういうことが言えると思うのでございます。申しわけございませんけれども、具体的に業種別の成績が現在統計がとられておりませんで、この点が手元にございませんので、的確に業種別、たとえば料理店関係はどのくらい患者が発見されるか、キャバレー関係はどうか、営業所数等からいきまして百二十六万という定期外の健康診断の成績はかなり受診率が悪いのじゃないか。したがって、われわれは、結核の患者の把握という立場からは、このような業態は一つの盲点になっておる、非常に把握しにくい、あるいは先ほど指摘のような移動等が激しくて健康管理面に対する配慮が個人、本人を含み、また使用者の側からも十分行き届いていないというふうに認識いたしております。
  28. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 局長さんにはまたお尋ねいたします。時間が済んだからやめろという通知が来ておりますから、ひとつ簡単にお願いいたしたいと思いますが、理容師法、美容師法、クリーニング業法には健康診断が規定されております。毎年二回以上結核、トラホーム、皮膚病等の疾病の有無について行政庁の行なう健康診断を受けなければならないということになっておりますが、バーやキャバレーという、お客さんの出したビールをホステスが飲む、またそれを相手に飲ませる、照明的にもそう明るくない、こういうところで取引をしておるということについては、やはり一番心配をしなければならないことはそういう問題であろうと思うのです。ただ、これは結核だけでなくて皮膚病においても、あるいはほかの伝染病を持っておっても、やはり健康診断というのは本人のためでもあるし、相手のお客さんのためでもある。全体的なみんなのためだと私は思う。こういうような点につきまして、今後何らかの考えをしていかなければならぬと私は思うのですが、どうでしょうか。実際問題、いま数字をあげられて、何千万、何百万いろいろやってみた、それが区別せられないのは残念だというようなお話ですけれども、私どもはこうやって調べてみまして、君らは健康診断を受けたことがあるのかというと、ありませんという人がほとんどなんですよ。そういうところの全部が病気を持っておるようなことはありませんし、そういうようなことはないと私ども考えてはおりますけれども、やはり安心感を持つたてまえから考えてみたときに健康を守るという立場に立っていく政府指導の立場においては、そういうことを考えていかなければならぬと思うのですが、局長、どうお考えになりますか。今後の問題でけっこうです。
  29. 浦田純一

    ○浦田政府委員 理容師法、美容師法の所管でございますので、関連して私からお答えいたします。  バー、キャバレー等の従業員につきましては、先生御案内のとおり、あるいは先ほどから公衆衛生局長からお答えのとおり、現在、結核予防法による定期健康診断のほか伝染病予防法によりまして、必要があるときには知事さんがいろいろと健康診断その他につきまして施行することができるようにはなっております。しかしながら、現実の問題といたしまして、結核予防法の実施にいたしましても、伝染病予防法の実施にいたしましても、なかなか励行されていないということでございまして、私どもの立場からは、何とかこれを推進したいということで、食品衛生監視員が監視に回ります際に、従業員の健康状況その他についてチェックいたしておるわけでございます。しかしながら、先生の御指摘のございます点につきましては、やはり何らかの明確な形でもってもっと推進できるように環境関係の局、省庁とも相談いたしまして、今後の問題として考えてまいりたいと思います。
  30. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いまのお話でいきますと、臨検もできる、監視、指導は同法施行令で年間十二回実施を基準としておるというようなことになっておるようでありますが、実際問題として人手も足らないだろうし、ほんとうにこういう問題がすなおに進んでいないというところに問題点があろうと思いますから、きびしくなるようでありますが、ひとつぜひ前向きで今後考えていただきたいとお願いいたすわけであります。  もう一点聞きたいと思いますことは、最近、もうかるのかもうからないのか別として、バーだとかキャバレーだとかいうものが非常にふえてきた傾向にあるわけであります。そういう意味では、たとえば、これは例でありますが、十坪ぐらいのところでも、お金があれば女の子をたくさん雇い、ホステスを雇い入れて、十五人も二十人も使っておるというところがある。ところが金のない人は三人か二人使っておる。これは営業の方針であろうけれども、環境的には、こんな小さな店でこんなにたくさんホステスがおるが、このもうもうと立った煙は一体どこに消えていくのだろうという感情を持つのです。そうして残ったビールも、極端なことをいうと、またびんに入れてせんをしておいて、また出すというような、そういうようなことも裏口でやればできると考えます。これはほんとうに一つ環境衛生考えていく上において、そういう店の指導、坪数に対して何名とか平米に対してどれだけとかというような制限は無制限ですから、何人でも力があったら連れてくればいい。  そこで関連するけれども、警察庁の方もおいでいただいておるが、最近金で女の子を連れてくる。前借があれば金を貸して私の店へいらっしゃいといって連れてくる。それは一札入れのか入れぬのか、どういう契約にするか知りませんけれども、その子に聞くと、私はこの店へかわってきたのには何十万円向こうに借金があったのを出してもらいました、私はそれに対しプラスアルファでかわってきました。それは極端なことばで言うなら、まるきり昔の女郎さんがあちらこちら転々と引きずり回されたようなかっこうになっている。そういう力でもって幾らでも人が使えるというようなあり方というのは、私は正しくないと思うのです。スペースによって人員をきめるべきである。そこに初めて環境的なものが生まれ出てくるのじゃないかしらんと思うのですが、これは局長どうお考えになりますか。
  31. 浦田純一

    ○浦田政府委員 これは私所管ではございませんけれども、現在このような店で従業員につきましては、労働基準法の中の労働安全衛生規則で一応気積その他についてのきめがあるように記憶しております。しかしながら、問題は、たくさんのお客さんがそこに詰めかけてきた場合の人数の制限、あるいはそこにおきまするたとえばたばこ等によりまする空気の汚染の問題、こういった環境条件につきましては、現在のところ、すべてのこういったような、場合によりましては中小企業とも言える狭い店についてはございません。大きなビルディングについては、このたびビルの環境衛生を守るための法律、いわゆるビル管理法ができておりますけれども、そこまではいま及んでいない状況でございます。おっしゃる点につきましては、私は確かに改善すべき問題があると考えております。関係の省庁とも十分に相談いたしまして、検討させていただきたいと思います。
  32. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 局長さん、それは来るお客に対してもうもうとしている煙、そうした環境に対しては十分考えなければならないということで、もう一つのほうの、ホステスが何名使われようとも、その所管は、ある程度席によってきめられておるから、私のほうの所管ではないとおっしゃるが、これはどこの所管になるか知りませんけれども、そういうちぐはぐな、おまえの店は何席よりないから何名以上を使用してはいけないというようなことで取り締まり処分を受けた店があるでしょうか。関係省の方、どなたかいらっしゃいますか。おまえの店ではホステスを何名以上使ってはいけない、席がもしきまっておるとするならば、その席に対する人員以上たくさん使っておったから、おまえのところは処罰するぞという処罰を受けたところがありますか。その例をひとつ聞きたいと思います。
  33. 倉橋義定

    ○倉橋説明員 ただいま先生の御指摘の点につきましては、労働基準法に基づきます労働安全衛生規則に定めがございます。これは特にバー、キャバレーを前提としたものではございませんが、労働者一人当たりにつきまして気積は十立方メートルという定めがしてあるわけでございます。こういうような規定はございますが、いま先生の御質問がございましたこれに対しましての違反率につきましての把握は、いまのところ私のほうといたして統計の持ち合わせがございません。
  34. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 持ち合わせがないというよりも、バー、キャバレーに対してそういうような一人当たり十立米、それ以上おまえのところはたくさん使っておったから処分するのだというような処分したような例がない。資料の持ち合わせよりも、おそらく例がないと私は思う。だからかってほうだい、どれだけでも力があれば人を雇い入れて、バー、キャバレーに限って使っておるというような状態、このごろ非常に激しい競争戦が始まっておる。それはしいて言うなら、ほんとうに厚生省と労働省とが人という問題に対しての交互の密接な連絡ということが欠けておると私は思う。厚生大臣いらっしゃるけれども、最近バー、キャバレーで働いておるホステスはどのくらいいるかというと、八十万人からおるというじゃないか。かつてこれらの者は戦後の当時は全国で十万か十五万、あとはもろもろの人がおったろうけれども、店舗をかまえてやっておったのは十万か十五万にすぎなかったのが、いまでは八十万人から働いている。もっと多いかもしれない。百万人にならんとしている。こういうときに姿勢を改めて何らかの考え方をしなければならぬと思うから、お帰りになりましたらよく話してくれませんか。  きょう警察庁は少年防犯課長がおいでいただいておりますが、前借、金を借りてそして働くということは、そういうことによってここで働けということを条件にして金を貸すというようなことは、法規的に人権的な問題は何もないのかどうか、この点ひとつ聞きたいと思います。
  35. 川崎幸司

    ○川崎説明員 お答えいたします。前借の場合、その態様にもよろうかと思いまするけれども、現実の問題といたしまして起こっておりますのは、暴力団が人身売買的なケースでそういう前借をして女を風俗営業の場所で働かしておるというケースが圧倒的に多かろうかと思うのでございます。そういうものにつきましては、職業安定法六十三条違反であるとか、その他関連する取り締まり法規があろうかと存じます。
  36. 福田繁芳

    福田委員長 丹羽君に御相談申し上げますが、あなたの厚生行政に対する非常にとうとい御質問に対して、もう少し詳細にと思うのですが、理事会の打ち合わせの時刻がだいぶ超過しましたので、幸いにして厚生大臣が終始一貫耳を傾けてあなたの御質問を聞いておりまするから、斎藤厚生大臣よりあなたの御質問に対する一括しての御所感を申し述べてもらって、先生御交代願いたいと思います。
  37. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それなら私から厚生大臣にお願いしておきたいと思う。  ただいま委員長から御注意がございましたし、もうすでに時間はたいへん経過いたしました。大臣お尋ねする時間がわずかで、あとは局長さん、課長さんに質問をし、しかも厚生省所管外の、関連性を持った質問をいたしたわけでありますが、実際厚生省という間口の広い立場に立っていただいた大臣お話聞いておっていただくように、ほんとうにいろいろの関係で密接な連絡が欠けておる面があると思うのです。いま言ったバーのホステスにしたって、小さいところにそういうようなたくさんの人が働いておる、これは労働省所管だとかいう、保健においてはまた形が違っておるというような、そういうような点から考えてみますと、やはり厚生省が中心になっていただいて、警察庁あるいは労働省それぞれの省ともっと煮詰めて、やはり国民の健康を守る、いま健康保険がたいへんな赤字財政になってお苦しみになっておるとき、これを国民がまた負担率をみずから持たなければならぬといえば大騒動になるというような現状でありますので、どうかひとつ、一人でも疾病にならない、病気にかからないという前提の行政が行なわれていかなければならぬと思っております。そういう意味から、まことに恐縮でありますけれども大臣どうお考えになっておるか、聞いていただいた所感をひとつお聞かせいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  38. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 先ほどから丹羽委員の御質問、また政府関係者の答弁等を聞いておりまして、なるほどバー、キャバレー等の従業員に対する保健衛生、あるいはまた福祉施設と申しますか、お触れになりませんでしたけれども、おそらく国民年金等の関係もあって、厚生年金をもらうというような状況の人もないだろうと私は思います。大体この雇用関係が、はたして固定給与を付与されているのか、客からもらうサービス料を主にしているのか、いろいろな形態があったりいたしまして、そういった問題で労働基準法の適用の問題も、その他の問題も非常にむずかしい問題があって、いま申しましたいろいろな労働者の福祉あるいは保健衛生、環境衛生等について、このバー、キャバレーはある意味において盲点になっておるような感じがいたします。厚生省におきましても、関係者とよく連絡をいたしまして、非常にむずかしいことと思いますが、御期待に沿えるようにやっていくのにはどうしたらいいか、ひとつ十分検討いたしたい、かように考えます。
  39. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 どうもありがとうございました。委員長ありがとうございました。  まだたくさんありますけれども、またひとつお願いいたしたいと思います。
  40. 福田繁芳

    福田委員長 次の質問者高田富之君に発言を許します。
  41. 高田富之

    ○高田委員 私は、薬効、薬の効能の再審査の問題に限りまして簡潔に二、三お尋ねしたいと思います。  たしか四年ほど前になると思いますが、斎藤厚生大臣予算委員会でお答えをいただきました薬の効能の問題、当時二、三べん私予算委員会で一般質問あるいは分科会の質問等で斎藤大臣の御答弁をいただいた問題なのですが、幸いにいたしましてその後この決算委員会でも同じ問題を取り上げられまして、特に昨年は内田厚生大臣の御出席をいただきまして、こまかく薬の名前をあげて、効能についていろいろ世間で権威ある人々の間から疑問が出されているという問題を重ねて提起いたしました。その結果、公聴会というようなことにもなり、本委員会で権威者を集めまして、薬効についての公聴会などもやっていただきました。その結果、厚生省におきましても積極的にこの問題を取り上げられることになったわけでありまして、私ども非常に喜んでおるわけであります。つきましては、今後ともこれが実際に効果をあげまして、国民の期待にこたえられるような結果を一日も早く出していただきたいということに非常に大きな関心と期待を実は持っております。  きょうは、そういうことで昨年当委員会から特に要望申し上げ、それを受けて立たれました厚生省が、今日まで薬効の審査についてはごくあらましどういう経過を経て、いまどういう段階にあるかということを最初に簡潔に御説明いただきたいと思うのです。
  42. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 ただいまの先生の御質問につきまして、まず当委員会で御要望がございました以後の経過を簡単に御説明いたします。  昨年七月、当決算委員長からいまお話しの御要望がございました。八月に厚生大臣の私的諮問機関として薬効問題懇談会を関係学界の学識経験者十一名で発足いたしました。約一年後の本年の七月十日に厚生大臣に答申が出たわけでございます。本年七月の二十日に、この答申を受けまして、薬事審議会に諮問を行ないました結果、審議会は医薬品の再評価の特別部会を同審議会に設置するという決議を行なったわけでございます。そういたしまして、十月一日に医薬品再評価特別部会というものが発足いたしまして、直ちに四つの調査会——基礎、ビタミン等代謝性製剤、それから抗菌製剤、精神神経用剤という四つの調査会が設けられたわけでございます。  大体概略はいま御説明したとおりでございますが、この経過の当時、次々と調査会を設けまして、薬効別に再評価を行なっていきたい、大体昭和五十年、約五カ年の計画をもって、現在出回っております約四万の医薬品の中で、四十二年の九月以降に承認されました新薬等、これは非常に厳重になっておりますので、そういうものを若干除きまして、約四万のものを再評価を行なっていきたい、こういう計画でございます。
  43. 高田富之

    ○高田委員 そうしますと、現在までに許可されております医薬品は何万、何十万とあるのかということと、そのうちで調査の対象になりますのは、四十二年九月以降のものを除いた市販されておる約四万ということですね。そうすると、その残余のものはどういう処置をされますか。
  44. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 薬事法で現在まで承認をいたしております医薬品は約十万でございます。で、昨年の十二月に、実際に医薬品が出回っておりますものを拾いましたら、先ほど申しました約四万でございます。したがいまして、この四万につきまして薬効の再評価を行なう。それから、現在進行中でございますが、以前承認をいたしましたものの中で、現在のところもう許可をしないということで廃止届けが出てまいっておりますのが約一万五千ございます。もっとこの数はふえると思いますけれども、そういうふうな状況でございまして、四万以外の、十万から四万、それに一万五千、さらに今後加えるところのものを除きまして、また承認されたものがございますけれども、これはもちろん今後製造許可が行なわれますならば、当然再評価の対象になる、ただ実際のところ、現在出回っております四万以外には増加はしない、かように考えております。
  45. 高田富之

    ○高田委員 そうしますと、それは聞きましても何万とあるわけですが、これはあらためて許可を取り消すとかなんとかという処置をしないでほっておいても差しつかえないものですか。
  46. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 医薬品の製造許可は、まず最初に承認という厚生大臣の行為がありまして、それにつきましてさらにまた許可をいたしております。したがいまして、現在出回っておりますのは、先ほど申しましたように四万件でございます。承認しておりますものの中でさらに製造許可をしたいということでございますれば、これは二年ごとに許可の更新を行なっておりますが、その際あらためて再評価の対象に加わっていく、こういうことでございます。
  47. 高田富之

    ○高田委員 そこで今度は、いま対象にされておるものをこれから順次おやりになるということでありますが、何しろ数が非常に多いので、これは実際問題として何万というものを五年間にやるというのですか。具体的には、どういう方法でこれをやりますか。
  48. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 先ほど説明いたしましたように、医薬品の再評価特別部会というものを中央薬事審議会の中に設けておりますが、ここの部会の中にそれぞれの薬効別の調査会を設ける。いま申しましたように、現在スタートを切っておりますのは、基礎とビタミン剤関係、それから抗菌製剤、つまり抗生物質でございます。それから精神神経用剤、精神科系統の薬でございます。現在ビタミンと抗生物質と精神神経科関係の調査会を発足させまして、各業界のほうに資料の提出を現在求めております。この資料が、収集について大体二、三カ月かかると思いますが、それが業界から出てまいりますと、その資料と、それから厚生省で集めました資料と、それから学会等で発表になっております資料を関係の各調査会の先生方が審議いたしまして、薬効の再評価を行なっていく。以下順次この調査会を大体三十ぐらいつくる必要があるということで、本来ならば一斉にその三十ぐらいの調査会を発足させるのが理想でございますけれども、なかなか一度にいきませんので、とりあえず問題になっておりますビタミンとか、それから学者の中で比較的早くこの薬効の再検討を行なう必要があるという抗生物質とか精神神経関係の調査会を発足させたわけでございまして、以下次々と調査会の発足をさせたい、かように考えております。  この二十幾つの調査会を発足させますと、中立的な、日本でいわゆるトップレベルの各学者を網羅する、しかも同時に発足させるということが、実は非常にむずかしい問題がございますけれども、できるだけそういう関係学者の協力を得まして、この問題について取り組みたい、かように考えております。
  49. 高田富之

    ○高田委員 私は、もう申し上げるまでもなく、全然しろうとなんでございますが、しろうと考えで、何万というものを、かりにいまおっしゃった二十ですか、幾つかの委員会に分けたとしましても、一つ委員会の扱うものはたいへんな数ですね。業界から出してくる資料というものはおそらくきくという資料ばかりが来るだろうと思うのです。それは膨大なもので、しかもきくという資料ばかりがたくさん集まってくるものを短時間の間にぽっぽっと処理していくので、事務的になっちゃうのじゃないかと思うのです。それで再検討ということは一体できるのでしょうか。どういうことになりますか。
  50. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 もちろん第一には、業界で収集いたしました、あるいは自分のところでいろいろ臨床データを持っておりますから、それによるものでございます。したがいまして、単に結論だけを持ってくるわけでございませんで、その経過、臨床データはもちろん、学問的な基礎の上に立ったものであるべきでございますけれども、それにつきましては、十分専門家が評価する。それから、これは世界各国に出回っておる薬も当然含まれるわけでございますけれども、そういう点につきましては、学会あるいは学者のほうも資料を持っておられますし、それから厚生省もいろいろ資料を集めておりますので、そういうものを全部総合的に判断をしていく。先生おっしゃるとおり、これは数ある何万という薬でございますから、非常に作業としては膨大かついろいろむずかしい問題があるということは承知いたしております。
  51. 高田富之

    ○高田委員 これだけのことをおやりになるのに、厚生省自体としては、いままでやっていたかったことをおやりになるわけですから、新たにどれだけの陣容を整え、それに必要などれだけの予算を組んでおやりになる予定ですか。
  52. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 ことしの七月にこの答申を得ましたので、本来ならば、来年度予算を要求して来年度から開始するというのが行政の通常の形態でございますけれども当局の中でいろいろ検計いたしまして、新たに製薬第二課、医薬品の再評価と副作用の問題を担当いたします製薬第二課というものを、従来の製薬課から独立させまして八月から発足させたわけでございます。人員等につきましても、現在十一名の課でございまして、これは製薬課から分かれた分とそれから部内で合理化をはかったものと合わせて十一名で発足したわけでございまして、来年度におきましても、この人員増ははかりたい。責任者だけを別に分けて対応策をとった、こういうことでございます。
  53. 高田富之

    ○高田委員 それで、たくさんの学者に委嘱をしたり、膨大な仕事だろうと思うのですが、具体的には予算は、来年度予算にはこのためにどれだけのあれを要求なすっているのですか。
  54. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 本年度予算は約四百万ぐらい予定しておりますが、来年度は約一千八百万の予算要求をいたしております。
  55. 高田富之

    ○高田委員 千八百万の予算で、さっきの何万の薬の再検査ができるのですか。どういう使い方をなさるのですか。
  56. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 もちろんこれは、四十七年度に行なう予定の再評価の計画を五カ年間で割り振ったわけでございます。この費用は、当然会議をやります費用、それから先生に払います謝金等でございます。まあ、これは必要最小限度だと私ども考えております。
  57. 高田富之

    ○高田委員 この前当委員会でいろいろ問題になりましたときに、臨床のデータなんかばかりでは、これはなかなか主観的なもので客観性がないんだという御議論がございました。われわれしろうとですからよくわかりませんですが、結局、二重盲検法というものがいま考えられる非常に客観性のあるものだというようなことであって、それにもむずかしさがあるというお話がたくさんありましたけれども、結論的には、これは非常にいい方法だということで、金もかかるし、容易じゃないのだが、これでやればある程度信憑性のあるものだというふうに私ども受け取っておったわけです。そうしますと、いろいろないままである資料で、業界から出してくる資料で見るほかに、どうしても二重盲検法のようなものを使ってやらなければならぬ、やる必要があると思われるものが相当たくさんあるのじゃないかと思うのですが、たとえば、どういうふうなものについては二重盲検法を使ってあらためてやる、あるいはやったのであればその資料でいいでしょうけれども、新たにやらなければならぬものが相当あるのじゃないかと思うのです。それはどういうふうなものについてお考えになっておりますか。
  58. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 おっしゃるように、二重盲検法の問題はいろいろ議論があるところでございますが、たとえて申しますと、いま始めております精神神経用剤等につきましては非常になじむものというふうに私どもは聞いております。したがいまして、すでにいま臨床のあるものもございましょうし、それからまた、討論の過程で、足りない分は当然資料の再提出を専門家の議論によって求めるということもあり得る、かように考えます。
  59. 高田富之

    ○高田委員 そこで、非常にこれは関心の高い問題でありますだけに、国民の大ぜいの人が注目しておる種類のものからひとつ徹底的に、相当経費をかけても、大がかりにおやりになって、きちっとした結論をお出しになることによって、国民のこういう仕事に対する信頼感を高めるということが、今後この仕事を継続していく上において、私は最初に必要じゃないかと思うのです。ちょっとぼくら考えてみても、そんなたくさんのものをわずかの経費で、業界の資料でやったって、それはたいしたことあるまい、こう考えやすいですよ、どう考えても、これは普通常識的に。だから、それをそういうことでなく、こういうふうにやるんだぞということをお示しになる意味で、最初に当委員会あたりで、あれだけ問題になりましたような、たとえばアリナミンだとかグロンサンだとかいうようなものですね、そういうふうなものについてどんなやり方で厚生省がやるだろうか、ほんとうに客観性のある結論を出すだろうかということが、何万のものをやるてっぺんに必要なことじゃないかと私は思うのですよ。その点はいかがお考えですか。
  60. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 当委員会等で昨年いろいろ議論になったものはビタミン類だというように私聞いておりますが、今回も一番最初にビタミン類を取り上げております。  それから、業界等だけの資料ではたして十分かどうかということにつきましては、先ほど私、厚生省なり、あるいは関係学会、あるいは内外の資料を当然これは加えて検討するというふうに申しました。外国におきましてもこの再評価の問題は、FDAの再評価が現在一部に行なわれておりますが、各国ともこの問題につきましては、いろいろ困難性はあるけれども、各国の事情に沿っていろいろ熱心にやっておるようでございまして、私どももそういうものを参考にしながら、やはり先生いまおっしゃいました医薬に対する信頼というものを一つの目標に置きまして十分やっていきたい、かように考えます。
  61. 高田富之

    ○高田委員 効果がないというようなことが判明した場合、あるいは効果があるという積極的な証明ができなかったという場合に、すでに許可されておるものを取り消す——取り消すというのは法律上はできないと聞いておるのですが、どういうふうな方法で取り消し処分をやりますか。
  62. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 薬効につきましての判断ができました場合は、ものによっては、先生がおっしゃいますように、すべて薬効を否定するというようなことが理論的にはあり得るわけでございます。そのほか、たとえばこの薬効については認められないとか、あるいはこの薬効についてはまだ不十分であるとかいうことがあるわけでございますが、そういう点につきましては、これは現在薬効の再評価というものを法律上の権限として行なうわけでございませんけれども、これは一つの行政指導の形として形式的には行なうわけでございますが、少なくとも審議会の結論でございますので、当然これは業界に対してその結論については十分守らせる。もちろん、議論がありますものは、各国が行なっておりますように、何べんも議論を行ないまして結論を出す、かように考えております。
  63. 高田富之

    ○高田委員 実際問題としてはそれで差しつかえないのでしょうけれども、しかし、きちっと取り消しができるというふうに法律を改正して、取り消した場合異議の申し立てや何かもちろんできる道を開くでしょうが、きちんとしたそういう規定を設ける必要はありませんか。
  64. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 各国の薬事法制を見ましても、そういうような法制は現在のところ見当たらないわけでございますが、先生のような御意見も私どもは聞いておりますので、そういう点は今後十分検討していきたい、かように考えます。
  65. 高田富之

    ○高田委員 それから数が、外国で再検討しても何千、千単位ですね。日本のように何万というのはあまりないのですが、これは、製法特許か物質特許かということが問題なんでしょう。種類が、あまりこう似たようなものがたくさんあとからあとから出てくるということでは、今後この検討をするにしてもしにくいし、取り締まりもやりにくいし、いかがわしいものもできやすいわけですから、これを何とか製法特許でなく物質特許に改めてしまったらどうかと思うのですが、その点はいかがですか。
  66. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 外国におきましての薬の数と日本の薬の数との比較を先生おっしゃいましたけれども、これはアメリカにおきましても、いわゆる局方品的なものはまあ万以下でございますけれども、一般大衆薬も含めますと数万ございます。こういう問題もFDA等では現在再評価の検討が行なわれておりまして、いろいろ結論等も私どもにニュースが入りますので、こういう点は十分参考にしたい。  それから、ただいまおっしゃったいわゆるものまね的なもの、あるいはちょっと内容を変更して新しいものに見せかけるとか、そういうものにつきましては、この配合剤の問題につきましては四十二年以降、非常に厳重にやっております。それから、いわゆるものまね的なものを防ぎ、それから新しい独創的なものを志向させるということでは、先生おっしゃるように、先進国では大半すでに物質特許なり医薬の特許が認められております。十数年前までは、わが国におきましては技術等がまだ不十分でございまして、この物質特許につきましての関係業界なり関係者の意見は非常に消極的でございました。十年後の現在におきましては、そういう点、だいぶ変わってまいりまして、むしろ積極的に賛成する人のほうが多いようでございます。現在この問題につきましては、特許庁の工業所有権審議会の中に物質特許に関します特別部会が最近発足しまして、具体的には海外への調査団の派遣等も特許庁のほうで行なっておられますので、いろいろむずかしい問題もございますようでございますけれども、おそらく先生のおっしゃるようなその方向で議論が展開して結論が出るもの、かように私は考えております。
  67. 高田富之

    ○高田委員 それから、直接関係はないかもしれませんが、当委員会で議論しましたときに出ました薬の変質、あまり期間がたってしまって変質するということで、製造年月日や有効期限を表示するように厚生省指導してほしいという強い要請をしてあったわけですが、その後この点についてはどういうふうに進めておられますか。
  68. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 この問題につきましては、本年の四月に厚生省関係業界といろいろ話をいたしまして、業界のほうで自主的に使用期限を設定する。具体的にはビタミンその他変質しやすい九品目について、三年以内に変化しやすいものを使用期限をつけるということで、現在業界のほうでこの問題の実施を検討しております。大体十月目標で行ないまして、私昨日調査いたしましたところ、約七百品目につきまして使用期限が付されておりまして、現在約百のものが試験中ということでございますので、来年初めには、現在出回っておりますビタミンAその他九品目につきましての使用期限がすべての製品に設定される、かように考えております。
  69. 高田富之

    ○高田委員 それから、これもあわせて強く要請しておいたのですが、薬が非常にはんらんしておる。わが国は、特にそういう点では世界にもまれに見るほどの多種類の薬が販売されている。その広告が非常に人心を惑わすような広告が多い。したがって、せっかく再審査を始められる機会に広告の規制を厳重にして、そうして特に効能の疑わしいというようなものについては、一般大衆への広告宣伝は当分の間、効能がはっきりするまで禁止しておくというぐらいの思い切った規制をしなければならないのではないかということを、再三にわたりまして強く要請をしておいたわけですが、この点につきましてはその後どういうふうに指導をされておりますか。
  70. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 広告の問題につきましては、現在医薬品の広告適正化基準というものがきめられておりまして、法律の運用なりあるいは行政指導基準がきめられております。これにつきまして十一月に当局で検討いたしまして、いろいろ乱用助長の問題とか、あるいは医者がなおすような、医者にかかるのが適当である病気のものを宣伝しないとか、そのほか、ある効能を強調して、あたかも非常にその効能がその医薬品の中心であるかのような宣伝をしないとか、そういう点、数点を改正しまして、広告問題につきましては前向きで取り組んでいるところでございます。
  71. 高田富之

    ○高田委員 せっかくお始めになりますこの再審査につきましては、最初申し上げましたように、国民の非常な注視の的になっております大事業でございますから、ひとつ十分予算もお取りになって、強力な体制で適正な結論を早く得られるようにひとつ推進していただきたいと思います。  それからこの機会に大臣にも一つ御注文申し上げたいのですが、わが国の医療行政、医療システムというものがいま非常に重大な点へ逢着しておって、このままではもうどうにもならぬ、抜本改正をやらなければならぬという声が出てすでに久しい。しかし、なかなかあっちこっち抵抗があったりいたしましてやれないということでありますが、この薬の問題も私はその中の重要な一つだとかねがね考えております。この薬の問題に徹底したメスが入れられるならば、あわせて医療のいまのシステムにも当然メスが及んでくると思います。たとえば医薬分業というようなことを、どうしたってこれは理想的には完全に行なわなければならぬと思うのですが、それにはいまありますような製薬企業や開業医との関係、こういうようなものにも相当思い切った近代的再編成をやらざるを得ないと思いますし、あるいは公立病院と一般の病院との関係、こういう点も考えなければならぬでしょうし、保険制度そのものも考えなければならぬと思うのですが、ぜひひとつその大きな問題にぶつかって、にっちもさっちもいかないで、この数年間全くどうなることかと思われる状態にあるのですが、また医療費の値上げだけはぼんぼんきまっていくということのようでありますが、ぜひひとつ大臣も、せっかくこの大仕事に一角から手をつけられたのですから、再編成、医療制度の抜本改正に向かってひとつ蛮勇をふるっておやりになるように、特に御要望を申し上げておきたいと思います。
  72. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 高田委員の薬事に関係いたします御熱意、かねがねから承っておりまして、またきょうもいろいろと政府委員に御質問がございましたが、私も、この薬効の再評価の問題は、ぜひ高田委員のおっしゃるように完全に国民の方々の御期待に沿うようでなければならない、かように思っているわけでございますが、私、先般就任をいたしまして、その再評価の問題がすでに薬事懇談会あるいは中央薬事審議会等において審議をせられておった段階でございまするし、はたして四万品種にのぼるものが五カ年以内に一体国民の期待に沿い得るようなあれができるかどうか、私もしろうとでございますので、非常に危惧の念を持ちながら今日までおるわけでございます。それで先般、この再評価の特別委員会が薬事審議会に設けられまして、その初会合の際に私も出席をいたしまして、そのときに感じましたのは、各委員の諸先生方がきわめて熱心に大いにひとつりっぱな成績をあげようという意気で御発足をくださったような様子を見まして、まあこの様子なら諸先生方に信頼をし、またその御進言によってうまくいくのではなかろうか、かようにただいま思っておるわけでございますが、これが進行の過程等を見きわめながら、ただいまおっしゃいますように、不足いたしております分はさらに補い、あるいは予算の面においても補うようにいたしまして、そうして御期待に沿うようにいたしたいと存じます。今日の医療制度全般につきましても、この薬事関係の問題が非常に重要な一面を占めておりますことは御承知のとおりであります。製薬関係の事業の近代的あるいはその価格の決定の問題等にも及ぶであろうと思うわけでございますが、なかなかこれまたむずかしい問題でございまして、御承知のように本日の、昨晩から今暁にかけまして中央社会保険医療協議会で、今度の医療費の上げ幅、その内容等は一応合意を得たけれども、しかし今後さらにこの薬事についてメスを入れていくという段階の建議の段階で話がまとまらないで、そして診療報酬の改定問題も結論に——結論といいますか答申に至らなかったというのが今暁の様子でございまして、この一事を見ましても、この薬事行政、医療問題というものはきわめてむずかしい問題である、かようにその事実を、現実に中央医療協議会においても、きょう見たわけでございまして、諸先生方のひとつ絶大な御鞭撻と御支援を得まして、このむずかしい問題とも取り組んでまいりたい、かように考えますので、ひとつよろしく御鞭撻のほどをお願いいたしたいと思います。
  73. 高田富之

    ○高田委員 以上で終わります。
  74. 福田繁芳

    福田委員長 この際、ただいまの高田君の御質問に関して、かねてより華山君から関連質問の申し出がありますので、よい機会だからこれを許します。華山君。
  75. 華山親義

    ○華山委員 私しろうとでわからないのでございますけれども、薬屋さんに行ってみますと、幾種となくかぜ薬が並んでおるわけでございますけれども先ほどおっしゃった四万種というのは、一つ一つの品物のかぜ薬を一つとして勘定した四万種でございますか。
  76. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 さようでございます。
  77. 華山親義

    ○華山委員 あのかぜ薬というのは、大体まあ主成分は同じものだ、それに添加しているところのビタミンとかそんなものが多少違っているものであって、大体みな同じものだということを聞きますが、専門的にはどうお考えになっておりますか。
  78. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 成分につきましては、先生がおっしゃいましたように、大体同じといえば同じでございますが、やはり薬を個々に見ますと、私どものほうで許可する際に、現在は一つ基準を設けておりますが、その基準の範囲内で多少違っております。
  79. 華山親義

    ○華山委員 多少というおことばですから、多少は違っておるのでございましょうけれども、そういうものを一つ一つ勘定して四万種というものをやるということではなくて、そのもとになっている一番初めの何というか、専門のことはわかりませんけれども、そういうものからお始めになる、こういうことではないのでございましょうか。あれを一つ一つやっていたのでは私はたいへんだと思います。たとえば、ばんそうこうにしましても、いろいろなものがありますね。あのばんそうこうの中の油分が幾らで、のり分が幾らで、ハッカ分が幾らだなんということからみな調べたのでは、これは四万種というのはたいへんだと思うのです。ハッカならハッカ、油なら油、そういうふうなものを調べるということじゃないのか、四万種というものはそういう何でも並べたものを一つ一つ取り上げていたのではたいへんじゃなかろうか、こう思いますが、審査の方法はどうなんでございますか。
  80. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 先生がおっしゃいますように、かぜ薬の中に入っております単味と申しますが、これを最初調べまして、あとは配合関係につきまして専門学者が検討していく、そういうことでございます。
  81. 華山親義

    ○華山委員 そうすると、薬の一番もとになるところのものが初めに調べられるわけでございますね。それにつきまして、私聞いているところでは、イギリスやドイツではすでにいろいろな調査をして、何か五百種とかきめられたとかなんとか一この五百種というのは間違えているかもしれません。そういうふうになっているそうでございますが、日本でやろうとしているところのものは、もう完了した各国の資料を取り寄せて、それによって効力がないあるいは効力がある、副作用があるというふうなことで排除されたものをまず調べて、日本の見解を出して、そういうものから排除していくという調査の順序のほうが効率があがるのではないか、こう思うのですがいかがでございましょう。
  82. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 先生がいまイギリスでは何か数百種あるいは千とおっしゃいましたが、それはおそらく局方品だろうと思うのです。日本におきましても局方品が約一千ございます。これはいわゆる繁用されておる、よく使われておるものがきめられておりまして、これは厚生大臣の承認が要らないで許可だけで薬が許可されておりますが、こういうものにつきましては、もう過去のいろいろの学問の結果相当明らかになっております。したがいまして、そういうものにつきましては比較的簡単に——もちろんこれは局方に載せられているものでも、各国で評価を行ないますと、いろいろ意見が出てきているものもございますので、先生がおっしゃいましたように、外国での文献等も十分取り寄せまして、あるいはニュースを取りまして再評価をやってまいるということは当然だろうと思います。
  83. 華山親義

    ○華山委員 何というのか私わかりませんけれども、混合のもとになる薬から手始めに、その薬の中でも外国等でこれはあやしいというふうなものはまず調べられて日本の見解をきめられたほうがいいのじゃないだろうか、そのほうが早いのではないだろうかということを考えるわけです。  それから広告のことで私いろいろやかましいことを申し上げましたが、私、最近の広告は、去年ここで申し上げたときよりもずいぶんよくなったと思っております。大体どういう原則が新しく加えられておりますか。
  84. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 先ほど高田先生の御質問の中でも申し上げましたけれども、ちょうど十一月の一日に医薬品の適正広告基準というものの一部改正を行ないました。これの改正要点を簡単にお話しいたしますと、すでに効能をとっておるものの中で、一部だけを特に強調いたしまして、ある特定の疾病の専門薬であるような誤認を大衆に与えるという表現はやめるということが第一点。第二点は、医薬品の多量消費または乱用助長を促すような広告、これはやめてもらう。第三点は、たとえば糖尿病とかあるいは十二指腸かいようとか、医者にかかる必要があるようなものの効能を持っている薬の場合に、それを広告宣伝をして、その薬が病気の特効薬であるような印象を与えることをやめること。それから第四点は、広告によって食品的な用法あるいは化粧品——これはあまりないと思いますけれども、食品的な用法を強調する、つまり薬が食品のような用い方をする、つまり多量に用いるとかあるいは任意に用いるとか、そういうような広告をしない。この四点の改正をいたしました。したがいまして、最近広告がよくなったということに加えまして、さらにこの四点が十一月から改善された、私どもはかように考えております。
  85. 華山親義

    ○華山委員 念のために具体的に伺いますが、そうしますと、胃かいようには何とかというのは、これからはいけませんね。
  86. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 さようでございます。
  87. 華山親義

    ○華山委員 それから神経痛には——名前を言って恐縮でございますけれども——アリナミンの大量投薬、こういうようなものはいけませんね。
  88. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 いまの先生の御設例につきましては、特にそれを強調して広告するということは不適当、ただ効能等をとっている場合には、それを一般的にほかの効能と含めて広告をするということは差しつかえない、かように考えます。
  89. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、それを太い字に書いて——アリナミンのことを敵視しているわけではありません。ただ、ことばがありませんから言うのですけれども、しばしば見受けましたが、大きな字で、腰痛にはアリナミンを大量に飲めというふうなことは、これからはいけないわけでございますね。
  90. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 さようでございます。したがいまして、そういうような広告につきましては、現在改良されているはずでございます。
  91. 華山親義

    ○華山委員 それから高血圧の薬、高血圧にはもう多数の人が悩まされているわけでありますけれども、高血圧にはこれがきくのだ、高血圧にはこの薬だというようなことを特に強調して大きな活字等で書くことはいけないわけでございますね。
  92. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 ただいまの点は、今度の改正で取り入れましたので、今後はなくなる、かように考えます。
  93. 華山親義

    ○華山委員 ひとつそういうことにしていただきたいのでありますけれども、そういたしますと、いまの大衆薬というものは、あれは大体疲れをなおすということですね。疲れをなおすというのは、これは神経でしょうから、人によっては薬を飲むよりも運動でもして滋養分をとったほうがいいのだ、こういうこともいわれますが、そのとおりだと思います。大体ビタミンというふうなものは、あれは食べものを食べればいいのであって、運動すればいいのであって、ああいう薬は、疲れを直すという程度のものだと思うんですが、疲労にはアリナミン——何もアリナミンを目のかたきにしているわけではないのですが、これはいいわけですね、疲労という病気はないわけですから。
  94. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 それは、私は差しつかえない、かように考えます。
  95. 華山親義

    ○華山委員 どうもありがとうございました。
  96. 福田繁芳

    福田委員長 鳥居一雄君。
  97. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 先ごろ医療法人の所得申告に関する調査を国税庁のほうでいたしました。その結果の概要をまず私はお伺いしたいと思います。
  98. 村田博

    ○村田説明員 国税庁で医療関係者の調査を全国的に取りまとめた計数は、手元にございませんけれども、ただいま御指摘のございました東京国税局で調査した結果について申し上げてみたいと思います。  まず法人から申し上げたいと思いますが、東京国税局管内の昭和四十五年度上半期分の法人税の調査をいたしました実績によりますと、調査をいたしましたものは四百一件でございまして、そのうち誤りを発見いたしまして更正した件数が、九三%に当たります三百七十三件、脱漏所得金額が合計十三億四千五百万円、更正しました一件当たりの脱漏所得が三百六十万八千円ということになっております。脱漏の多かった課目といたしましては、・総合病院であるとか、精神科、産婦人科、外科等に脱漏が多いという状況でございます。  それから個人のほうでございますが、個人につきましては、手元にございます四十四年度分の調査でございますけれども、同じく東京国税局管内の調査実績によりますと、病院につきまして五十件調査いたしました一件当たりの平均脱漏所得金額は七百五十四万四千円、外科医二百十二件について調べました一人当たりの平均脱漏所得金額は三百四万四千円、それから産婦人科医、二百八十八件でございますが、これにつきましての一件当たりの脱漏所得額は百六十四万二千円、こういうことになっております。
  99. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 東京国税局管内の医療法人の数はどのくらいありますか。
  100. 村田博

    ○村田説明員 全体で七百十二件でございまして、調査いたしましたのが先ほど申し上げましたように四百一件でございますので、五六%調査した、こういうことになっております。
  101. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうしますと、調査対象になりました四百一件というのは、不審な点があったと見られるもののすべてと見てよろしいですか。
  102. 村田博

    ○村田説明員 通常、私どもが調査いたします場合には、やはり申告状況から見まして漏れが多いと目される納税者を選定して調査を行なっておりますが、そのような事情で調査いたしましたものの中では、脱漏が九三%ということで、かなり多かったわけでございます。
  103. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうしますと、医療法人七百十二のうち疑わしいものが四百一件、その四百一件を対象に調査した、その九三%に当たるものが摘発されたということになるわけですね。
  104. 村田博

    ○村田説明員 さようでございます。
  105. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうしますと、調査対象の二件に一件が不正だったということになるわけであります。不正所得の平均が一件当たり三百六十万八千円だそうであります。課目別に見まして、不正や誤りが見つかったもの、これは特に、いまのお話の中で外科と産婦人科と精神科に多かったと言いますけれども、調査の結果、不正、誤りが見つかったのは十件のうち何件くらいに当たりますか。
  106. 村田博

    ○村田説明員 手元の資料で、多い順番から申し上げますと、産婦人科でございますが、産婦人科のうち調査しましたものが二十三件、そのうち不正件数が十二件、ちょっとパーセンテージでは申し上げにくいのでございますが……。総合病院でございますと、調査が七十四件で、不正が二十六件。それから精神科でございますが、調査しましたものが五十件で、不正が二十二件。それから、これは内・外科、産科でございますが、四十件調査いたしまして、十四件の不正件数。それから外科が、二十七件調査しまして、不正件数が二十件、こういう状況でございます。
  107. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 もう一つお伺いしたいのですが、この医療法人七百十二の申告した所得総額はどのくらいになっておりますか。それから、調査結果の所得額の大体どのくらいのごまかしがあったか。
  108. 村田博

    ○村田説明員 もちろん七百十二件の法人の全部が黒字ではございませんので、このうち約八〇%に当たります五百六十四件というものが黒字申告をしておるわけですが、要するに出ました申告所得額といたしましては、総額で二十一億九千六百万、このうち不正所得と目されておりますものは全体で六億三千九百万、こういうことになっております。
  109. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ただいまの次長の説明にありましたとおり、きわめてひどい悪質な不正の数字が明らかであります。これに対しまして、医療行政をつかさどる厚生省の立場として、どのようなこれに対する考え方、また対策をとってきたか、まず伺いたいと思います。
  110. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 税の問題自体につきましては、実は直接の医事の問題とは言えない問題でございますので、従来税の問題について行政上直接厚生省が云々ということはなかったということでございます。ただ、一般的に私どもが理念として指導いたしておりますことは、これは言うまでもございませんが、医療自体というものは非常に人間関係の信頼が大事な問題でございますので、少なくとも、医事の上のことはもちろんでございますけれども、医事に関係しない部分におきましても、医療関係者はやはり社会的な道徳と申しますか、そういうことをきちんと守るべきだ、これが私どもが従来言っておることでございまして、そういう観点で今後も指導いたしたいと存じます。
  111. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 国税庁のほうに伺いますが、やはり具体的な事例をもって、その内容について考えてみたいと思うわけです。この調査の中の典型的な事例を幾つかあげていただきたいと思うのですが、国税庁のほうの調査によりますと、東京都下A法人、事例の一でありますけれども、この事例はどのような指摘と、その後告発に至っておるかどうか、その点についてどうでしょう。
  112. 村田博

    ○村田説明員 特定の法人のことでございますから、名前をあげるのはお許し願いたいと思いますが、かりにA法人ということで私どもつかまえておりますものを御披露申し上げますと、この法人につきましては、自賠責収入の一部を帳簿から除外したということで脱漏して、その金を建物の建築費に充てたということでございます。そこで、利益をこういうことで調節したわけでございますが、三年間に申告が八千九百三十万円ということで、これだけの申告額に対しまして五千八百五十万円を脱漏したということで、これは所得でございますので、法人税が二千五十万円、重加算税が百八十万円の追徴をした、こういうケースがございます。
  113. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 多少補足の意味で申し上げますが、自賠責収入の一部をこの病院理事長の実兄名義の口座に振り込んでおります。そうして法人帳簿から除外していた、そういう指摘を受けまして、ただいまの五千八百五十万円相当の脱漏の事実の指摘があったわけです。  次の、事例の二をひとつ御説明いただきたいと思います。
  114. 村田博

    ○村田説明員 これは一つの事例でございますので、私どもかりにB法人ということで名づけておりますが、これにつきまして調べてまいりますと、調査の結果では、三年間の申告額が四千五百三十万円でございます。これに対しまして脱漏が三千三百五十万円。そのやり口としましては、現金収入が入ったものあるいは初診料の一部を除外する、こういうやり方で脱漏したわけでございます。その結果といたしまして、法人税千百七十万円、重加算税三百五十万円を追徴いたしております。
  115. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これは国税庁のほうではB法人、湘南地区の総合病院ですけれども、医師が十六人、ベッドが百二十床あるかなりの規模の総合病院で、理事長の指示によって事務長が入院患者から受けた現金収入を一部除外する、そういう方法をとりまして、明らかに申告のごまかしですけれども、そのごまかしをいたしまして、割引債券の購入をやる、それから病院建設資金に充てた、こういう不正の明確な事例であります。  第三の事例、どうですか。
  116. 村田博

    ○村田説明員 第三の事例は、これは単科の病院でございますけれども、四千三百五十万円の所得額をあらためて発見した、要するに脱漏額が四千三百五十万円であった。五年間でそうなったわけでありますが、これは院長の指示によりまして、妊娠中絶をやったたそういった収入を除外しておったということでございまして、これに対しまして法人税を千五百二十万円、重加算税を四百五十万円追徴した、こういうケースでございます。
  117. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この第三の事例は、病院の院長の指示で中絶に要した費用が患者のほうから入りますと、一日三万円ずつこれを除外をして、そうしてそれを院長に手渡し、院長はこの同額、その金額を百万円単位の無記名貸付信託としてそれをたくわえていたという明白な事実があります。  こうした、いま三つ事例があがりましたけれども、これに対して国税庁としてはどういうふうな態度で臨んでおりますか。単に追徴する、それにとどまっているわけですか。
  118. 村田博

    ○村田説明員 ただいま御指摘をいただきましたような医療関係者の申告漏れというものがこのように巨額になりますことは、私どもとしましてもまことに遺憾でございますが、これにつきましては、やはりその契機になっておりますものが自由診療の多いお医者さんに多いようであります。したがいまして、われわれとしましては、まず自由診療の多いお医者さんにつきましては、できるだけひとつ青色申告をしてもらうということで積極的に働きかけてまいりたい。しかし、それだけではなかなか公正な課税ということは実現できませんので、従来やっておりますとおり、今後とも調査を重点的にやっていく、そういうことで調査と指導を織りまぜまして適正な課税が実現できるようにきびしい態度で臨んでいきたい、このように考えております。
  119. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 不正ということにつきまして、立証に足る証拠がはっきりしているわけです。これは東京国税局の調査で明らかなとおりでありまして、告発に踏み切る考えがないのかどうか、どうですか。
  120. 村田博

    ○村田説明員 脱漏、不正所得を発見しました場合に、すべて告発に値するかどうかということになりますと、諸般の状況も考えなければならぬと思いますけれども、やはり悪質の程度が、積極的に仮装、隠蔽が行なわれている、しかもその金額が申告額に対してかなり巨額にわたっている、こういうケースの場合にはやはり告発という問題も考えざるを得ないと考えております。
  121. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いま具体的な事例が三つあがりましたけれども、この三つのケースについてひとつ考えを聞きたいのです。告発するか、しないか。
  122. 村田博

    ○村田説明員 これらの事案につきましては、東京国税局長が第一次的に判断することでございますので、庁といたしましてはまだ必ずしもつまびらかにいたしておりません。現段階におきましては、やはり告発すべきものであれば当然査察事件として取り上げてまいるということでございますが、現状ではそういったことになっておりませんところを見ますと、まだその内容も熟してきておらない面もあったのではなかろうか、このように推察しております。
  123. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 管内七百十二ある医療法人に対しまして、四百一件が疑わしい。そのうちの九三%に及ぶ、もうほとんどといってもいい不正というものが明らかになっておるわけでありますから、これに対しましては、やはりきびしい措置がとられなければならない。今後この絶滅のためにどんな行政指導をし、また努力をしていくのか、その辺がどうも疑わしいわけでありますけれども、かなりきびしい措置で臨むが筋じゃないでしょうか。そういう意味からいって、具体的なはっきりした手口がこういうふうに明らかになっているわけでありますから、これは厳然と臨むべきことを要望したいわけです。  そこで大臣に伺いたいわけですけれども、調査したうちの二件に一件は不正な手口が明らかになっているわけです。これは単に医道に関係ないというわけにいかない現実であります。どう考えますか。
  124. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 まことに何と言いますか、けしからぬことだ、私はこのように考えます。
  125. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 医道審議会があります。ことしからあわてて名前を明らかにするようになったようでありますけれども、どういうケースの場合に医道審議会にかかるか、御説明願いたいです。
  126. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 医道審議会では、医師法上で罰金刑以上の刑に処せされた場合、あるいは医事に関しましての犯罪または不正があった、こういった場合、そのほかに麻薬中毒でありますとか、欠格条件が当然ございますが、犯罪関係についていえばそういうような場合につきまして、これの行政処分を審議する大臣の諮問機関でございます。
  127. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 医道審議会で処分を受けた人の名前を今日まであかされてきませんでした。十月に処分を受けたこの事件につきまして説明していただきたいです。
  128. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 十一月に行ないました処分では、四件ございまして、全部公表してございますが、一つは、いわば詐欺という形のものでございまして、この方については免許の剥奪をいたしました。それからその他の方につきましては、一人は窃盗というようなことでございまして、それは業務停止でございます。また麻薬法違反というようなものについても、やはり業務停止をいたしております。
  129. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうしますと、医道審議会で行政処分が決定しますと、どこに所在するどういう医師であるか、それは今後一切明らかにされることになるわけですか。
  130. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 その方の住所、氏名並びに処分の内容、それの有効に発します期限と申しますか、いつからということはすべて公表いたします。
  131. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 所得税法違反ということで、普通は追徴ということで済んでしまうわけですけれども、悪質な場合これが告発ということになるわけですが、告発され、確定に向かう、そうした場合に医道審議会にかけて行政上の処分を決定するという考えはありませんか。今日までそういう事例がありますか。
  132. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 税の問題につきましては、いまもいろいろ問答があったようでございますが、いわば刑罰というようなものを受けることが比較的少なくて、税制上のいろいろな処分といたしまして追徴その他で終わっておる、こういうことであります。ただ、非常に悪質でございまして、告発をされて、それが先ほど申し上げましたように罰金刑以上の刑になったという場合には、一応この解釈上からは医道審議会にはかって検討する価値はあるわけでございます。ただ、あくまで医師法の一つのねらいというものが、やはり医師としての業務上のと申しますか、医事に関することを中心に考えておるということでございまして、たとえば一般市民といたしまして、あるいは国民としておかしかったというような事例をすべて医道審議会で扱うかどうか、この辺は実は相当慎重に検討すべき問題であると思います。ただ、事例によって、著しくそれが医師全体の品位をけがすという場合には、御指摘のようなケースとして取り扱い得る場合もあるのじゃないか、かように考えております。
  133. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 よく悪貨が良貨を駆逐するというたとえがありますけれども、医師の場合全くそのとおりだと思うわけです。いまの調査対象のうちの二件に一件不正な手口があったという点、これは税の公平というたてまえからいっても、ゆゆしき問題だと思うわけです。医師だからということでいろいろな大きな圧力があります。しかし悪徳医師を見のがすということは、これは社会道義上も許されていいわけではないわけでありまして、そうした意味から言いまして不正な手口、ごまかし、こういうものが明白に立証できるものに対しましては、国税庁としては厳然とした態度で臨むべきである、これが筋である、こういうふうに思うわけです。その点につきまして次長、どういうふうに考えられますか。
  134. 村田博

    ○村田説明員 私どもといたしましては、医療関係者の所得漏れの中でも、特に先ほど来申し上げておりますように自由診療分の収入漏れが多いということでございますので、こういう方々に対しましては積極的に青色申告をしてもらう。白色をいつまでも続けられては困るので、青色によってはっきり所得を残してもらうという指導をもっと強力にやってもらいたい。それから調査その他につきましても、査察その他も含めまして今後強力な調査をやってまいるということで、裏と表の両面から課税の適正を期してまいりたい、このように考えております。
  135. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、告発はするのですか。する方針をひとつ固めてもらいたいと思うのですが、その点どうですか。
  136. 村田博

    ○村田説明員 ただ、いま申し上げました点がすべて告発に当たるかどうかということにつきましては、私いまちょっと回答を保留させていただきたいのでございますが、私どもの調査の中でも、特に捜査令状を持って強制調査を行ない、最後に告発するという査察事案というものがございます。これは年に二百件やっておりまして、その中には若干医師関係の方が入っておられますので、私どもといたしましては、従来と同様、査察事件の中にそういうものも入ってまいることは当然予想されるというふうに御理解願いたいと思います。
  137. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それから、今後の調査でありますけれども、東京国税局に限るということにやはり不自然があると思います。これは同じように考えていかなければならないことであると思いますが、その点についてはどうですか。
  138. 村田博

    ○村田説明員 たまたま東京国税局の数字がまとまっておりましたので発表したということになっておりますが、これは全国的に各国税局のそれぞれのやり方で調査をいたしております。その集計もいずれわかると思いますが、若干やり方が、それぞれ重点の置き方が違いますので、必ずしも東京並みの基準で数字がまとまるかどうかわかりませんが、調査としましては各局で引き続きやっておる次第でございます。
  139. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 次にドリンク剤、いわゆる厚生省が認可いたしますビタミン入りの医薬品でありますけれども、ドリンク剤につきましては先ごろ東京都の衛生研究所で、表示と違うということで指摘がありました。これについて報告を受けているようでしたら、その概要について説明を願いたいと思います。
  140. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 ただいま先生お話の点でございますが、これは十一月十日に東京都で発表したものでございます。内容は、厚生省のほうで毎年品目をきめまして一斉取り締まりを行なわせているわけでございますが、これの一環として行なわれたものでございます。  東京都からの報告によりますと、東京都では三十二検体を、このドリンク剤につきまして検査をいたしまして、不合格のものが五検体出たということでございます。この中身は、五つのうち三つは同じ会社のものでございますので、会社としましては三つの会社でございます。
  141. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうしますと、その三つの会社に対しましてはどういうふうなことになったわけですか。
  142. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 この不良品につきましては、さっそく都のほうで回収命令をいたしております。行政処分につきましては、現在まだそれにつきましての内申がまいっておりませんが、それを待ちまして検討いたしたい、かように考えます。
  143. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 私の調査によりますと、東京都の衛生研究所で二十社の二十三種類のドリンク剤を検査した結果、効能書きで表示されているものでそのとおりないという指摘があった。一つはチスゲンバナール、これは効能書きでは百ミリグラムあるはずのアスコルビン酸、ビタミンCでありますが、これが全くない。それから塩酸チアミン、これはビタミンB1だそうですが、十ミリグラムあるはずが四・六ミリグラムしかなかった。もう一つ指摘を受けましたのが、四十五年五月製造のマムシグロンA、これもやはりビタミンCが百ミリグラムあるはずが、わずか十七ミリグラム、それからビタミンB1が二十ミリグラムあるところがわずか十四・六ミリグラムに減っていた、こういう指摘があったわけです。昨年もこの経時変化につきまして、特にドリンク剤、水溶液になりましたビタミンC並びにビタミンB1につきましては非常に変化が激しい、ビタミンCで大体半年ぐらいから経時変化が起こる、それからビタミンB1では一年半程度で経時変化がすでにある、こういうことでありまして、このドリンク剤につきましては、かねてからいろいろ論議があったわけです。はからずも今回のこの都衛生研の指摘は、いわゆる店頭売りになっているものではなくて、医薬品として厚生省が認可しているそういう医薬品です。しかもこうした表示で百ミリグラムあるはずが全くなかったというような結果が出ているわけです。この事実につきましてどういうふうにお考えになりますか。
  144. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 先生がただいま御発表になりましたとおり、ビタミンCが全くなかったのが五つのうち一件ございます。そのほかは、先生いま御指摘のように、ビタミンB1、それからCにつきまして、少ないのは二〇%、それから八〇%までの間のそれぞれ表示を下回っているというものがあったわけでございます。  いまお話がございましたように、ビタミンB1、C等につきましては経時変化等が行なわれやすいものでございます。これは先ほど高田先生の御質問の中でもお答えいたしましたように、本年四月からこのビタミンA、ビタミンB1、ビタミンC、そのほか六品目、つまり全部で九製剤を含有するもので三年以内に変化するものにつきましては、業界のほうで自主的に検査をいたしまして、使用期限、つまりいつまで当社の製品の内容は確保できるか、品質の確保ができるかということを試験をやりまして表示させるということを現在行なっております。大体七割程度ができ上がっておりまして、来年早々までには全製品につきましてこれをやらせたい、かように考えております。したがいまして、今後はこういうビタミン等が入っておりますもので少なくとも三年以内に変化するものにつきましては、使用期限が表示されることになると思います。したがいまして、それについての検査のみならず、それ以外のものについても、当然その内容については会社が責任を負うものということでございますので、検査、いわゆる医薬品の取り締まりという点につきましても、そういう方面について私どもは重点を置いていきたい、かように考えます。
  145. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 現在、何社で何種類、ビタミン入りの医薬品が製造されておりますか。
  146. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 ドリンク剤の問題でございますが、これは百十二社で三百二十一品目がドリンク剤として生産されております。
  147. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 年にどのくらい売れておりますか。
  148. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 生産数量は、四十五年度で約四億本でございます。生産金額にいたしまして約三百十一億でございます。
  149. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これは重大問題だと思うのですね。そうして本委員会で昨年経時変化について論議がありまして、都衛生研のついせんだってのその調査の結果は、ビタミンCが百ミリグラムあるはずが全くなかったというような事実が立証されたわけで、その点につきましては、今後厚生省としてこれに対するかなりきびしい措置をとっていく以外にない、私はこう思います。  そうして特に保管の問題、これは薬局における問題です。飲食店の店頭にあるそういう清涼飲料の分ではなくてビタミン入りの医薬品として薬局の店頭売りがこのようなありさまであるわけでありまして、保管あるいは管理、有効期限の表示、製造年月日の表示、いろいろ議論がありますけれども、保管それから管理という点でどういうふうに考えていますか。
  150. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 このドリンク剤につきましては、いろいろ議論があるところでございますが、先ほどお話しいたしましたように、現在相当の数が出回っておるわけでございます。特にこのドリンク剤につきましては、変化しやすいビタミンA、B1、C等が大半のものは含有されております。先ほど東京都が検査して発見いたしました三社の製品につきましてこの含有不足だということは、私どもとしては非常に遺憾に考えております。こういう使用期限を現在実行中のものにつきましては、やはり日光に当たらない、あるいは夏場においてはロッカーに入れて温度が上がらないようにするというような点は、専門店であります薬局なり薬店では注意すべきことであります。しかしながら、間々そういう点について不十分な店があるかもしれませんので、こういう点は薬事監視員等を十分督励して取り締まりを行なうと同時に、行政指導は十分行ないたい、かように考えております。
  151. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それじゃいままでと変わらないと思うのですね。業界の自主規制王大体二年から三年という有効期限を表示することになったわけです。ところが、今回の東京都のこの三品目、ビタミンCなど全くないという指摘を受けたのは、四十五年の八月、十月製造のもので、わずかに一年しかたっていないものがこのとおりです。ですから、そうした意味で、厚生省としてはその販売、保存方法について明確なものを持たなければならない。現状は野放しです。ともかく薬局にまかせるような形になっているわけですから、そこら辺に明確な線が出てこない限り、一年間に四億本も生産、消費されているドリンク剤に対しては全く何もないということになるわけです。その点について大臣、どうでしょうか。
  152. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 ことしの四月に、こういう変化しやすいビタミン等を入れているものにつきましては、使用期限を設定するように行政指導したわけでございまして、現在これが実行中でございます。したがいまして、今後は各社が自社製品につきまして使用期限を設定し、その使用期限がはたして妥当なものであるかどうかという点は、当然これは監督の必要もございますし、それから、それ以外のものにつきましても、当然この表示と内容が一致しているかどうかという検査は今後とも厳重にやりたいということでございます。
  153. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 実際問題、実態からいきまして、検査は追いつかないじゃないですか。ですから、この販売、それから保存方法について厚生省が明確な線を出す以外にないですよ。それを言っているのですよ。どうですか。
  154. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 製品につきましては、当然製造責任がございますし、表示の責任を負わしているわけでございます。したがいまして、それの違反につきましては、もちろん本年の一斉取り締まりでもこのビタミンB1、Cを重点として取り締まっておりますので、こういう点は、いまの先生の御趣旨に沿って取り締まりを重点的にやっていけば、私は、消費者保護の見地から相当の効果がある、かように考えているわけでございます。
  155. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この抜き取りによる厳重な監視ということも私は大事だと思います。これは無視できません。しかしそれだけで事足れりという、それがやはりこうした問題の解決にならないことは、これはもうしろうとが考えてもわかることです。現在の薬局の店頭における保存、販売、こうしたものについて、いますぐ答えが出てこないと思いますけれども、これは検討にやぶさかであってはならない、検討すべきである、こう思うわけです。検討していただきたいです。どうですか。
  156. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 こういう変化しやすいものにつきましては、外部の日光等を直接受けるようなところに置かないということは、これは当然薬店としての責任があるわけでございます。そういう店につきまして十分指導を徹底すると同時に、万一そういうことが見つかりました場合には厳重な処分をいたします。
  157. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 最後に、大臣、現在店頭売りにおいて、どういう置かれ方をしようが、これはもう薬屋さんにまかされているわけです。ビタミン入りの薬品というのはきわめて経時変化を起こしやすい。いまの事例では、製造して一年以内のものが変化して、ビタミンCが百グラムあるはずが、なかった、こういうことが明らかになっているわけです。ですから、もちろん製造年月日、有効期限については、これが議論がたくさんあります。優秀な技術で開発したということもありますけれども、二年ないし三年という期間を自主的にきめているという、これは自主的です。管理も自主的、販売も自主的です。これでは薬務行政はないと思うのです。そういう点で、こうした問題についてはひとつ十分な検討をしていただきたいと思うのですが、大臣、いかがです。
  158. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいまお話を承りまして、経時変化のしやすいビタミン入りのドリンク剤につきましては、ただ自主的に製造年月日なりあるいは有効期限を書くというよりは、その有効期限はどれくらいでなければならぬとか、また管理方法につきましてもどうしなければならぬとか、もう少し検討する必要があると存じます。特に先ほどの一年以内で全然なかったということは、当初からどの程度入れておったかということも検討をする必要があるだろうと思います。したがって、そういう場合にはしかるべき行政処分もまた必要であろう、かように考えますので、ただいま御指摘の数々の点につきましてはひとつ十分検討させたいと思います。
  159. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 以上で終わります。
  160. 福田繁芳

    福田委員長 この際、華山君よりただいまの質問に対する関連質問の申し出がありますので、これを許します。華山君。
  161. 華山親義

    ○華山委員 あとで吉田委員質問されるので、時間がございませんから、私は、あしたございますので、あしたに延ばします。それにつきまして、きょうおいでの特に医務局長、それから税務関係の御担当の方、ひとつお忙しいところ恐縮ですが、御出席願いたいと思います。
  162. 福田繁芳

    福田委員長 よくわかりました。後ほど委員長からも当局にお願いしておきます。  吉田賢一君。
  163. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは、主として大臣に伺いたいのです。時間の関係がございますので、また別の機会を持ちまして、ひとつ大臣から詳細に伺うようなことにいたしまして、大まかな点、言うなれば厚生大臣としてのわが国の福祉国策に対する姿勢という根本的な面を少し伺っておきたい、こう思います。  そこで、まず一般的にちょっと聞いておきたいのでありますが、申すまでもないことでありますけれども、来年、昭和四十七年こそはまさに福祉国策がぐっと前進されるべきであろうということを国民は期待しております。世論は特に、高度経済成長もさることながら、その一つの反省、批判等々から進んでまいりまして、福祉国策にかなりの力点を置きまして来年は取り組んでいこう、こういう姿勢にありますので、これを背景にいたしまして、厚生大臣の任務、使命はまことに重大と思います。でありまするので、一般論といたしまして、すでに予算関係として大蔵省に種々要求せられておるものがあるはずでありますので、どのような面に重点を置いて、何をどうしようか、特に当委員会の性格といたしましては、過去における一切の経費支出、使用の効果等の十分な反省に立ちまして、より効果的な、有益な国費の使い方ということも考えてもらいまして、来年は何をどのような大綱のもとに進めていかれようとするのか、これをまず伺っておきたい。
  164. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 基本的には、ただいま吉田委員のおっしゃいますように、いままでもそうであったのでございますが、特にこれからは、日本の経済成長というよりは、国民福祉ということに重点を、政治の志向を切りかえていかなければならない。これは一般の世論でもあり、また政府もかように感じております。したがいまして、そういった一端を担当いたしまする厚生行政はますます重要性を占めてまいる、かように考えておる次第でございます。  日本の福祉行政は、私から申し上げるまでもなく、まだまだ日本の今日の国民総生産あるいは国民所得という点から考えますると、不十分の点が多々ございます。すべてにわたって不十分と申し上げてもけっこうだと思うのでございますが、とりわけ、戦後の日本の人口構造の変化等から考えまして、老人福祉の問題が非常に手薄である、かように考えております。昨年は児童手当法も制定をしていただきました。これは来年の一月からまだ段階的の実施というわけでございますが、制度といたしましては児童手当制度という制度もできましたので、各種の制度は一応先進国並みの制度ということになりましたが、いずれの制度もまだ未成熟でございますので、これらを充実してまいらなければなりません。とりわけ、先ほど申し上げます老人福祉については、いままで非常に手薄であったといわなければなりませんので、来年度予算要求の金額等から考えますると、老人福祉が一番大きなものになろうか、かように考えます。それは老人の医療の無料化、いわゆる保険の一部負担を公費でするということ、あるいは福祉年金を大幅に引き上げるということ、また寝たきり老人に対する対策、また老人の養護施設といったものの充実というようなことに重点を置いてまいりたい、かように考えます。  同時に、まだ母子対策も必ずしも十分ではございません。それが同時に心身障害児対策にも通じるものでございますが、母子保健、それから母子福祉、それから障害者に対する対策、そういったもの、また福祉施策も十分でございませんから、保育所あるいはその他の福祉施設を五カ年以内に満足なものにいたしたいという五カ年計画を実施して、来年度は二年目でありますが、これも重点を置いてまいりたい。福祉施設に働いておられる職員の方々の処遇の改善もしなければならない。  また、厚生省といたしましては、環境衛生という点についても重点を置かなければなりません。ことに最近問題になっておりまするじんあいと申しますか残滓と申しますか、そういった処理の問題、また水道の問題も軽視することができません。そういった点を重点的に考えてまいりたい、かように考えます。
  165. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 社会福祉の各般の財政計画になりますと、しょせんは、たとえば公共事業投資のように公債でもって一時的にまかなうということは困難だろうと思います。やはり一般会計によりまして、必要経費、義務的経費として支出しなければならないということになるだろうと思います。そこで、一つの基本点に触れるわけでありますが、よくいわれます高福祉高負担、これは根本的にうんと負担さして、そのかわりうんと福祉をするというのが基本的なかまえになるのかどうか。また別な角度から申しますと、年金制度は、無拠出年金あるいはまた国民保険的な拠出制度で給付するというのが基本原則になるのだろうかどうだろうか。日本も、発足がおそいので、長い伝統を持っておりませんから、容易に一本にぱっと踏み切っちゃうわけにいかぬだろうと思いますけれども、基本線は、財政計画はどういう方向へ行こうとするのでしょうか。そこをひとつはっきりしておいてもらいたいと思うのです。  詰めて言いますならば、高負担で高福祉という中で、うんと負担しろ、そのかわり一切のものは、所得の六割ぐらいは税金で取る、そのかわりうんと福祉をするというようなかまえでいくのか、無拠出でそれぞれ給付するというのが基本原則になるのか、当然通常の保険のような拠出給付という、そういうふうな行き方になるのか、その辺のかまえは一体どうなるのでしょうか。
  166. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私から申し上げるまでもなく、厚生、福祉を厚くしますためには金が要るわけであります。これを税金でまかなうか、あるいは応分の自己負担といいますか、保険的な考え方あるいは積み立て的な考え方でいくか、この二つであろうと思います。したがってこれは、その種類によって考えていかなければならぬじゃなかろうか。いまおっしゃいました年金あるいは国民医療——医療なんかも非常に金のかかる問題でございますが、これらは保険あるいは拠出という面を重点にして、そして一般会計、税金からの支出というものは、これは必要に応じて一般の財源を充てる必要もありますが、原則といたしましては負担能力のある者の拠出で財源に充てるという行き方であろうか、かように考えます。しかし一般の、たとえば一つの病気を例にとりましても、社会防衛的な意味でどうしてもその患者の治療をしなければならぬというようなものは、これは公費負担、いわゆる一般の国費あるいは地方費の負担、そういうぐあいに種類によって分けてまいらなければならないのではなかろうか、かように考えます。
  167. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは大蔵省と折衝なさるときに、やはり社会保障的な施策に対する財源の要求等についての説得の基本態度、方針にもつながっていくわけでありますが、たとえば七十兆円をこえますGNPにいたしましても、ただそれだけで経済大国といっておるから、ドル・ショックでぴしゃんとやられちゃって、いまのような状態になるわけであります。でありますから、反面におきまして不均衡である。これはまた、不均衡を是正するのは社会保障の一つの社会的な基本原理でございます。でありますから、たとえばアメリカのように所得が三倍である、あるいは北欧あたりのように個人所得は日本の倍であるというような場合とは違いまして、GNPはうんと上がりましたけれども、それぞれの個人所得は低い、そこに社会的断層がある、いろいろな問題が起こってくる。だからそのほうへ高負担しろ、かわりに高福祉だということは、日本にはぴたっと当てはまらないものがずいぶんと起こってくるだろうと思うのです。結局そういうことをしますと、それならば所得をふやしてくれ。賃上げになるということになりますとコストインフレの原因もまたつくっていく。ぐるぐる回りしていくというようなことにもなってまいりますので、そんなことは私からあなたに申せば釈迦に説法でありますから言いませんけれども、ひとつ十分にお考えの上、やってほしいと思います。  そこで、具体的にひとつ入りたいと思うのでありますが、老人の問題であります。老人問題は、おっしゃるように、いま緊急を要する最大の一つの課題でないかと私も思うております。一人暮らしの老人が、あなたの白書によりますと六十四、五万、それから寝たきり老人が三十一万と推定されておりますね。重大な社会的な一つのあらわれです。でありまするので、これは一事が万事でお聞き取り願いたいのであります。一例をあげましたならば、ホームヘルパーの問題にいたしましても、ホームヘルパーをことし二百人もふやすとかいうような御計画があるらしいのですが、ホームヘルパーというものは簡単にできません。二万三千円やりまして、それぞれの熱練者を集めてきて、そうして老人をよくいたわって、食事の準備をしてあげたり、あるいはまた衣類の世話をしてあげたり、何か病気の世話も若干するというような、そんな能力者は得られませんです。いまの経済価値、それから見まして。しからば、しかるべき報酬を与えなければならぬ。しかるべき報酬を与えてある程度熟練させなければいかぬ。たとえば、一月でもホームヘルパーとして訓練所へ行って、そしてそこで何の仕事をどうするか、何時から何時までどうするか。それ自身が健康でなければいけません。たとえば、食事するにいたしましても、栄養価はどうか、たん白はどうか、ビタミンどうかということくらい頭がなければいけません。全然頭がない人であってはそんな世話はできはしません。ことに老人の食欲は申すまでもないことでありますけれども、やはり相当たん白も要求いたしますから、その辺のところも必要でありまするので、そんな準備もしなければいけない、準備をするならその経費が要る。施設が要る。そこで一月でも養成する。どんどん出していく。そうして、三万でも五万でも、しかるべき手当を出していくということにしなければ、それは大臣、ホームヘルパー、だめですよ。  そういうふうにいたしまして、そしてこの三十一万の寝たきり、六十四、五万の一人暮らしの六十五歳以上の老人にいたしましても、それを完全に一つの福祉の典型的なものに実現いたしましたら、これは大きなアドバルーンを上げたことにたりますよ。おそらくは国民は、そういうことを一つの転機としまして、日本の福祉行政に対して大きな将来の夢を持ちますよ。私は、そこにやはり日本的な一つの将来の文明の、物心両全を得るところの文明の一つの目標ができると思います。でありまするから、先進諸国のように、イギリスにいたしましてもスウェーデンにいたしましても、その他の諸国にいたしましても、ずいぶんと福祉施設が進んでおりますけれども、私ども考えからしますると、やはり唯物的な経済一本の頭でありまして至れり尽くせりだけでは、終局満足できないものができます。だから、日本的なそれからいたしますると、やはりそこに血の通ったものが要りますので、私は、老人施設、老人問題が重大施策といたしまして来国会に打ち出されるということをおっしゃいましたから、それはもう大きな期待をするのです。その意味において、一例をあげたら、ホームヘルパー一つの問題でも、扱い方をそうしてもらいたいと思う。そういたしましたならば、そのホームヘルパーは、よしんばホームヘルパーにあらずとも、その人はりっぱに一つの職業を持つようになるかもしれません。若い女性もそうした志願者が出ますよ。どんどんと志願者が出ます。     〔委員長退席、森下(元)委員長代理着席〕 こういうこともございますので、ひとつそこは、老人問題、健康問題もあるし、たくさんにございますけれども、そういうこともありましょうし、その他の施設もそこにございましょうが、一つ例をとってみましたら、そういう点についても、ひとつ模範的な対案を用意して臨んでもらいたい。  それからもう一つは、老人問題につきましては、例の大臣に対する去年の十一月の答申、老人問題の総合施策についての答申がございますね。六つか七つか、要約したやつがあるわけであります。その答申も出ておりますので、これはやはり相当具体的な専門研究の結論を出したところでございまするから、せっかくのことですから、答申の趣旨は尊重されまして施策の実現に進んでいくように御計画を願いたいと思います。  それからもう一つは、これは、時間がないからやむを得ませんので羅列しておきますけれども、私は、やはりいまのところ緊急を要する問題として、老人問題は典型的な問題と思っております。世界的な趨勢として、だんだんと老人がふえていくことでもありますから。  次は、やはり児童問題です。児童問題は、一つの年齢の両極であります。けれども、人生の出発でありますので、この間も文部大臣に、児童問題について教育の面からいろいろ申し上げたり問答しておったのです。私はやはり相当の力を入れてもらいたい。たとえば保育事業。保育事業にほんとうに力を入れてもらいたい。保育と幼稚園をもっとつながらしたい。母体の赤ちゃんの、おなかの中から保育へつながらしてもらいたい、こういう趣旨でつかんでもらいたい。そして、あそこで二、三年の場で保育事業は、先生一つの何かを示唆されるような、たとえば天分があります。特性、何か持っていますよ。自由にこう伸ばし得るような場を与えるようなこともしてもらいたいと思うのです。言うならば、あそこで一つの大きな夢を持った保育事業を厚生省は計画してもらいたいと思うのです。ただ、たくさんに収容するだけが能じゃありませんです。あそこでほんとうに有効に施設を生かしてやってもらいたい、こう思うのであります。  その他健康もあります、等々たくさんにあります。ことに非行少年がどんどんできる時代ですから、これに対する予防もあります。  ことに健康問題になりましたら、一つなお御注意を喚起しておきたいのは、いつかも私は尋ねたことがあるんだが、一体日本人の梅毒患者は何人ありますか。そして梅毒の原因は何でしょうか。母が梅毒では、生まれる赤ちゃんが健康体であるはずがない。精薄者の原因は何であるかというようなこと等を追及していきますと、これはもうたいへんであります。ですからそういう点につきましても、ひとつ健康管理の面から万全の対策を立ててもらわなければいくまい、こう思います。  それから、身障者の問題であります。この間も兵庫県の身障者大会に私参りまして、ほんとうにほろっとするような場に実はぶつかったのであります。それほど、形は整っておって五官そろわずという人、もしくは、もうほんとうに痛々しい、かわいい顔で、そして人並みの動きができぬような子供ですな、あれを思いますと、こうした心身障害者に向かっての施策は最も力を入れる一つの問題ですね。  ことに車いすですね。兵庫県だけでもこの車いすが五千あるのですよ。車いすが五千ありますけれども、車いすというものを使う場が一体社会にありますか。ないんです。病院の廊下だけです。この間も住宅公団の幹部さんに、一体住宅公団は、住宅をつくるときに老人だとか身障者のために何か考慮しますかと言うたら、そんな頭ないですわ。ですから、せっかくああやって車いすみたいなものがございましても、車いすで自由に動けるように社会が相呼応してこないのであります、例をあげましたら。  身障者の問題はたくさんにあります。リハビリテーションの問題でもやはり同じことであります。リハビリテーションを老人に適用していくということは、これはおもしろいですね。この社会復帰についてうんとやってもらいたい。これもやはり厚生省としてはずっと前から新宿のほうでやってもおいでになりますけれども、いずれにいたしましても、この身障者のためにリハビリテーションは、施設、機械、それからその他医学的な面につきましてひとつ特段に力を入れてもらいたいと思います。もっと原子力を利用なさい。ニューヨークあたりでは、やっています。ニューヨークのあの兵隊さんの足切ったり手切ったりしたやつをやっているのなんか、巧みに電子計算機なんかも使いまして、いろいろなものを測定してやっております。ですから、このリハビリテーションについては特段にひとつ力を入れていかなければいくまいと思う。身障者の問題。それからそういう施設の問題。  それからもう一つは、母子家庭の問題です。これはいろいろとお尋ねしたいのですけれども、ほんとうに母子家庭こそ、これは大きないろいろな荷物を背負って、人生半分涙のうちに送るのですよ、残余を。幾多そういうようなのがあるわけです。母子家庭につきましては、ひとつまた特にあたたかい手を差し伸べていただきたい。母子家庭が寄りまして、そしてある小さな営業をやっておるのですよ、安い値段で。私に懇意な人々が何人か寄りまして、そして「おふくろ」という食堂をやったりしている。うどん六十円ぐらいで売るのですよ。そこまでやっておりますが、そんなものも税金を取られちゃうんですね。何かもっと簡単に、税金でも取られないような手がないのかということも考えるのです。それはほんの一例ですよ。母子家庭につきましていろいろな面から、経済的援助とか、あるいはその他子供、家庭等々に問題がございますけれども、いずれも足りない。  もう一つ重大なことは血液の問題なんです。血液事業です。血液事業は重大でございますので、ことし十一億円要求なさっているらしいが、これは非常に大きな仕事でございますから、ひとつ委員長とも相談しまして、小委員会皆さんの御協力を得て、血液の事業につきましてひとつ論議する必要があると思っております。非常に大きな課題であります。     〔森下(元)委員長代理退席、委員長着席〕  全体といたしまして、私は健康管理の問題、これは健保の問題につながりますから、きょうは触れません。健康管理の問題。健康管理なくして福祉国策はない、そういうふうに思いますので、これら四つ、五つ羅列してみたのですけれども、ひとつ簡単でよろしゅうございますから、時間もないことですから、一応締めくくって厚生省姿勢をちょっと明らかにしておいていただきたい。  それから血液の問題について文部省、教科書に取り上げることが非常に大事だと思いますが、これは三十九年の八月でしたか、三十九年の閣議決定もあるようでございますので、教科書に取り上げて、そして私はこういう一つの資料を持っているのですが、こういう教育社から出しているものがございますが、第一ページには大きく取り上げています。「愛の献血」としておりますので、教科書に取り上げるといたしましたら国民は血液の重大性がわかります。血液事業の重要性、献血の重要性はわかりますと確信します。そうしたら血清肝炎もなくなるし、梅毒患者も少なくなります。そういうこともやっておいてもらいたいと思いますが、ちょっと文部省からもその点つけ加えておいてください。大臣、ひとつどうぞよろしく。
  168. 福田繁芳

    福田委員長 厚生大臣並びに政府職員、委員諸君にお願いしておきたいのだが、本来ならもう数刻やりたいのだけれども、どうしても二時の本会議には各党の先生全員定刻に出席してくれという事務局のほうからの申し入れがありましたので、明日十時に厚生省所管を継続して委員会を開きますから、明日は大臣御都合が悪い場合には、きょう御出席政府委員各位はまげて、大臣、御出向させてもらいたい。ようございますな。さような意味合いにおいてごく簡単に厚生大臣から御答弁いただき、残余の御答弁は明日願うということで、よろしく願います。
  169. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいま吉田委員の御所見は、まことにこれからの社会福祉行政の核心に触れた、そしてまた要点をつかまえてお教えをいただいた、かように考えます。私も全く同感でございます。いまおっしゃいました中に一、二私の気づかなかったところもございました。これらを十分身につけまして、そして努力をしてみたい、さように存じます。
  170. 福田繁芳

    福田委員長 次回は、明二十二日水曜日午前十時に委員会を開くことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後二時散会