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1971-12-10 第67回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月十日(金曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 福田 繁芳君    理事 菅波  茂君 理事 森下 元晴君    理事 綿貫 民輔君 理事 華山 親義君    理事 鳥居 一雄君 理事 吉田 賢一君       阿部 文男君    笠岡  喬君       中川 俊思君    中村 弘海君       中山 利生君    丹羽 久章君       坂井 弘一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 高見 三郎君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      茂串  俊君         大蔵政務次官  田中 六助君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局審議官    安養寺重夫君         文部省大学学術         局審議官    犬丸  直君         文部省社会教育         局長      今村 武俊君         文部省体育局長 澁谷 敬三君         日本ユネスコ国         内委員会事務総         長       西田亀久夫君         文化庁次長   安達 健二君  委員外出席者         外務省経済協力         局経理課長   加藤 淳平君         外務省情報文化         局文化事業部外         務参事官    中村 輝彦君         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         大蔵省銀行局総         務課長     磯辺 律男君         国税庁次長   村田  博君         国税庁税部長 江口 健司君         文部大臣官房会         計課長     須田 八郎君         会計検査院事務         総局第二局長  柴崎 敏郎君         会計検査院事務         総局第三局長  桜木 拳一君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ————————————— 委員の異動 十二月三日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     角屋堅次郎君 同日  辞任         補欠選任   角屋堅次郎君     中澤 茂一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十四年度政府関係機関決算書  昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十四年度国有財産無償貸付状況計算書  (文部省所管大蔵省所管)      ————◇—————
  2. 福田繁芳

    福田委員長 これより会議を開きます。  昭和四十四年度決算外二件を一括して議題といたしたく存じます。  本日は、文部省所管について審査を行ないます。  まず劈頭に文部大臣から概況説明をいたしてもらいとう存じ上げます。高見文部大臣
  3. 高見三郎

    高見国務大臣 昭和四十四年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計決算概要を御説明申し上げます。  まず、文部省主管一般会計歳入につきましては、歳入予算額二億五千九百六十八万円余に対しまして、収納済み歳入額は三億五百十九万円余であり、差し引き四千五百五十一万円余の増加となっております。  次に、文部省所管一般会計歳出につきましては、歳出予算額七千五百五十億五千百万円余、前年度からの繰り越し額二十八億七千百五十九万円余、予備費使用額五億三千二百五十二万円余を加えた歳出予算現額七千五百八十四億五千五百十二万円余に対しまして、支出済み歳出額は七千五百五十二億八千八百二十四万円余であり、その差額は三十一億六千六百八十八万円余となっております。  このうち、翌年度へ繰り越した額は二十三億一千七十万円余で、不用額は八億五千六百十七万円余であります。  支出済み歳出額のうち、おもな事項は、義務教育費国庫負担金四千億三百六十七万円余、国立学校特別会計へ繰り入れ二千二百八十五億三千六百四十五万円余、科学技術振興費八十四億九千六百二十二万円余、文教施設費三百七十二億七百七十一万円余、教育振興助成費四百七十三億九千五百六十万円余、育英事業費百五十一億九千九百六十六万円余、青少年対策費三十五億四千三百十五万円余となっております。  次に、翌年度繰り越し額二十三億一千七十万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、文教施設費用地の選定、気象の関係設計変更等により、工事施行不測日数を要したこと等のため、年度内支出を終わらなかったものであります。  次に、不用額八億五千六百十七万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、教育振興助成費私立学校助成費を要することが少なかったこと等の理由によって不用となったものであります。  次に、文部省におきまして、一般会計予備費として使用いたしました五億三千二百五十二万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、文教施設災害復旧に要した経費であります。  次に、文部省所管国立学校特別会計決算について御説明申し上げます。  国立学校特別会計収納済み歳入額は二千八百十八億三千五百二十九万円余、支出済み歳出額は二千七百三十九億四千四百十六万円余であり、差し引き七十八億九千百十三万円余の剰余を生じました。  これは、国立学校特別会計法第十二条第一項の規定により、翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  その内容について御説明を申し上げますと、まず、歳入につきましては、歳入予算額二千七百五十一億七千五百七十八万円余に対しまして、収納済み歳入額は二千八百十八億三千五百二十九万円余であり、差し引き六十六億五千九百五十一万円余の増加となっております。  次に、歳出につきましては、歳出予算額二千七百五十一億七千五百七十八万円余、前年度からの繰り越し額四十一億七千三百八十一万円余、昭和四十四年度特別会計予算総則第十一条第一項の規定による使用額五億三千八十六万円余を加えた歳出予算現額二千七百九十八億八千四十五万円余に対しまして、支出済み歳出額は二千七百三十九億四千四百十六万円余であり、その差額は五十九億三千六百二十九万円余となっております。  このうち、翌年度へ繰り越した額は二十五億九千七十八万円余で、不用額は三十三億四千五百五十万円余であります。  支出済み歳出額のうち、おもな事項は、国立学校千六百十六億五千五百四十六万円余、大学付属病院四百四十二億七千九百八十九万円余、大学付置研究所百九十億六千百七十四万円余、施設整備費四百六十九億二千三百四十一万円余となっております。  次に、翌年度繰り越し額二十五億九千七十八万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、施設整備費で、用地関係設計変更、資材の入手難等により、工事施行不測日数を要したため、年度内支出を終わらなかったものであります。  次に、不用額三十三億四千五百五十万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、施設整備費で、学校財産処分収入が予定より少なかったこと等のため、これに伴う施設整備費を要しなかったこと等の理由により、不用となったものであります。  次に、国立学校特別会計におきまして予備費として使用いたしました金額は一億円でありまして、これは、国立学校退職手当の不足を補うこと等のために要した経費であります。  なお、昭和四十四年度予算の執行にあたりましては、予算の効率的な使用経理事務の厳正な処理に努力したのでありますが、会計検査院から不当事項三件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところと存じます。今後、このようなことのないよう適切な措置を講ずる所存であります。  以上、昭和四十四年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決意につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。
  4. 福田繁芳

    福田委員長 次に、会計検査院当局から検査概要説明を求めとう存じます。柴崎会計検査院第二局長
  5. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 昭和四十四度文部省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは不当事項が三件でございます。  これは、検査報告の二号から四号までに記述してありますが、いずれも補助事業実施及び経理が不当と認められるものであります。すなわち、初等中等教育助成費私立学校助成費公立文教施設整備費関係国庫補助金にかかる補助事業実施及び経理におきまして、補助対象事業費を過大に精算しているもの、または補助対象外施設整備費補助対象としていたものについて指摘したものでございます。  なお、以上のほか、昭和四十三年度決算検査報告に掲記いたしましたように、昭和四十三年度検査の進行に伴い、国立学校における受託研究等及び奨学寄付金の取り扱いについて、是正改善処置要求し、また、四十三年度検査の結果、国立大学における国有財産及び物品の管理について改善意見を表示しましたが、これに対する文部省処置状況についても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     —————————————
  6. 福田繁芳

    福田委員長 これより質疑に入るのでありますが、委員諸君に御了承を求めたいことがあります。先ほど理事会で申し上げたように、本日は高見文部大臣は午後二時まで当委員会に御出席で御答弁を賜わることになっておりますが、ちょうどいま隣室のほうに文教関係議員が参っておりますので、ほんの五分か七分間中座をさせとう存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 福田繁芳

    福田委員長 御異議ないようにつき、さようにいたします。文部大臣どうぞ。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森下元晴君。
  8. 森下元晴

    森下(元)委員 私の質問は、通告にございますように海外留学生の問題、特に東南アジア中心とする開発途上国からたくさんな留学生日本に参っております。この海外援助というものは経済大国日本として当然課せられた使命でもございますし、最近、特に経済援助とか技術援助だけではどうも援助効果があがらない。ちょうどことしの八月二日から二十八日まで京都京都ホテル教育者社会活動研究集会というものが開かれまして、東南アジアその他太平洋諸国からたくさん教育関係者がお集まりになったようでございます。その中でも、日本に対するいろいろな注文もあったようでございまして、いわゆるエコノミックアニマルとか、またイエローヤンキーとか、非常に日本は偉大な国だけれども、どうも海外援助理念というものが間違っておるのじゃなかろうか、非常に効果もよくない、こういうような批判もかなりあったようでございます。  それで私は、これに関連しております文部省外務省関係の方に質問をするわけでありますけれども、初めに、東国アジア中心とした海外教育援助はどうなっておるのか、昭和四十四年、四十五年を例にとって御説明願いたい。大学学術局審議官おいでになっておるようですから、御説明願いたいと思います。
  9. 福田繁芳

    福田委員長 文部省大学学術局安養寺審議官が来られておりますから、森下君の御質問に対して安養寺審議官答弁させます。
  10. 安養寺重夫

    安養寺政府委員 お答えを申し上げます。  留学生制度目的といたしましては、わが国と諸外国との文化国際交流をはかり、あわせて友好親善を促進するというものでございまして、特に、いまお尋ね東南アジア諸国等につきましては、同時にこれらの国の社会的、経済的発展に寄与するような人材養成ということにも大いに貢献をいたしたいということでやっておるわけでございます。  四十五年、六年という御指摘がございましたが、留学生には御承知のように国費外国人留学生、すなわち日本政府が諸経費を給費いたしまして、それで日本大学等で勉強してもらうというような制度と、私費留学生というのがございます。これは政府でそういった直接的な給費その他の援助をいたさないのでございますが、本人の希望によりましてわが国大学等で学ぶものでございます。四十四年、五年と次第に数は総体的にはふえております。ざっと申しまして、現在わが国大学におきましては、国費留学生が六百人見当、私費留学生が約三千七百人、合わせまして約四千三百人程度の人たちが勉学中でございます。これらの留学生のうち約八三%がアジア地域から来ておるわけでございまして、その他の北米、ヨーロッパあるいは中南米、中近東地域等人たちが残余の約一七%を占めておるというような概況でございます。
  11. 森下元晴

    森下(元)委員 いま審議官から数字的なお答えがあったわけでございますけれども、次に、大臣おいでになっておりますので、高見大臣にこの教育援助理念と申しますか、また何をねらっておるかという、海外留学生に対する援助目的、そういうものをお聞きしたいと思うのです。  文部省では、ことしの八月、京都で、先ほど申し上げましたように十三カ国の教師、それから教育行政関係者を含めまして約二百四十名が集まって、いろいろ討議をしたわけでございます。いろいろ日本に対する批判と、また注文は、先ほど申し上げましたとおりでございますけれども、そのほかに、やはりことしの五月から六月にかけましてシンガポールで第三回のアジア文相会議、これも二十カ国の教育担当者が集まりまして、特にユネスコ国内委事務総長出席されたようでございます。その会では、各国教育文化面わが国に何を望んでおるか、いろいろ具体的な話が出たようでございますし、またこの留学生受け入れ条件改善の問題とか、いろいろな前向きのお話が出たようでございます。まあ援助というもの効果がなければならないし、わが決算委員会では、やはり国家財政支出がいかなる効果をあげておるか、いわゆる効率をあげておるか、こういう目的をもって私は質問をするわけでございまして、この点ひとつ大臣教育援助目的理念、それについて御発言を願いたいと思うわけでございます。
  12. 高見三郎

    高見国務大臣 お話のように、大事な国の金を使うことでありますから、留学生制度につきましても慎重な扱いをしなければなりませんが、留学生制度目的は、先ほど審議官が申し上げましたように、諸外国との間の文化国際交流をはかり、友好親善を促進することを基本の理念といたしております。御指摘のように今年八月に、これは文部省政府がやったのではありませんが、京都でやりました会合、それから本年六月でありましたか、五月でありましたか、アジア文部大臣会議はわがほうからも代表を出しました。その際の一連した課題は何であるかといいますと、日本留学生援助をもっと充実してほしいという意見が一般的な意見として出ておるのであります。  具体的な課題といたしましては、アジア文部大臣会議におきましては、アジア地域教育開発センターをつくる、これに協力してもらいたいという御要望がございました。その御要望にこたえるべく、日本特定の国に物的施設を出すということは今度が初めての試みでありますけれども、日本特定の国に金を差し上げるということはいろいろな意味において弊害があるだろうということから、ユネスコ基金の中へ繰り入れることにいたしまして、ユネスコ教育開発センターをつくる、その基金日本は金を出すという予算をただいま要求いたしておるところでございます。
  13. 森下元晴

    森下(元)委員 外務省のほうからは文化事業部参事官協力局経理課長おいでになっておるようでございますので、この援助のうちでも教育援助についてのお考え方、これをお尋ねしたいと思うのです。  いままで経済援助とか技術援助また協力をかなりやってまいりましたし、また将来はGNPの約一%くらいを海外援助のために回すのだ、経済大国としての当然の義務であるのだ、こういう方向も示されておりますし、特に四十五年度は十八億ドルくらいの海外援助額が計上されておるようでございます。大体〇・九%ぐらい。しかしいままでのが、先ほど申しましたように少し物的に片寄り過ぎておるというようなこともございまして、外務大臣からも、教育援助に力を入れたい、特に開発途上国教育援助に力を入れたい、人的な協力に重点を置くべきである、こういう御発言もあったようでございますし、具体的にはフルブライト留学生制度日本版のような制度をつくりまして、人の触れ合いを通じてエコノミックアニマルという日本に対する風当たりをやわらげていこう、こういうような考え方が発表されております。それで、外務省として海外教育援助についての実態、どういう機構を通じてやっておるか、またその考え方についてひとつお伺いをしたいと思います。
  14. 福田繁芳

    福田委員長 森下君にちょっと申し上げまするが、ただいまのあなたの御質問に関して外務省諸君が来られておるので答弁に立ちまするが、ただいま高見文部大臣の御答弁の中に、ユネスコのほうにという点がございますので、幸いにきょうはユネスコ事務総長の、西田君が参りておりますので、先ほどの文部大臣の御答弁に伴うて答弁させ、それから外務省に入りたいと思いまするから、御了承願いたい。西田日本ユネスコ国内委員会事務総長
  15. 西田亀久夫

    西田政府委員 先ほどの大臣お答えに補足いたしまして、私が関係いたしておりますユネスコ国内委員会関係海外に対する協力関係考え方及び概要を申し上げたいと思います。  ユネスコは、御承知のとおり、国連専門機関として教育科学文化を担当する機関でございまして、私ども国内委員会は、この加盟国である日本立場から、ユネスコの全体計画にどのように協力するかという立場から事業計画を進めております。  戦後二十五年の間、先進国あるいは開発途上国発展の格差をいかにして是正するかということが国連の全体の問題でございました。お話しのように、これまで物的な資本あるいは技術援助というものをさまざま繰り返してまいりましたけれども、それらの援助というものは、最終的にはそれらの開発途上国が将来援助を必要としなくなる状態をつくることが目標でございます。そのためには、さような物的、資金的な援助というものを受けて、これをみずからの手でその国の発展の力として活用できる人的な能力というものが最も大きな問題であるということが、国連及びユネスコにおいて取り上げられてまいりました。したがって、今後の開発の促進について、じみではございますが、教育の問題をきわめて重点的に取り上げていきたいということでございます。  日本国内委員会としましては、これまでもアジアのそれらの国々に対しまして、あるいは教育の質的な水準の向上のために、専門的な指導者各国を歴訪して指導するようなこともやっております。また各国の高い水準研究開発後継者を養成いたしますために、日本大学大学院レベル研修生を招致して勉強する機会を提供するということもやっております。  しかしながら、先ほど大臣申し上げましたように、今後アジア教育を総合的に発展させるために、その量的、質的な根本問題を検討いたしますために、本年五月のアジア文部大臣会議におきまして、各国がこぞって教育の根本問題を検討する開発センターをつくり、これをアジア地域相互協力によって発展に結びつけていこうという決議がなされております。その場合におきましても、何と申しましても、そのような開発センター各国に設置し、これを運営していくために相当な資金が必要になります。そこで、わが国は、ユネスコ及び当事国協力いたしまして、これらに必要な資金援助を与えるために、これをユネスコ信託基金に拠出いたしたいということが、現在の概算要求の基本的な考え方でございます。ユネスコにおきましては、単に日本を諸外国理解をしてもらい、日本に対しての正しい認識を持ってもらうということももちろんでございますが、国際関係におきまして、加盟国として日本がその国際的な義務をいかに有効適切に果たすかという観点から、ユネスコ本部事業計画と十分な連絡をとりながら各種事業を進めたいと考えておるわけであります。
  16. 福田繁芳

    福田委員長 森下君、ちょっとお待ちください。ちょうどあなたの先ほどの御質問外務省中村文化事業部参事官が来られておるから、ただいまの御答弁に補足じゃありませんけれども、外務省のお立場として一応答弁に立たせたい、かように思いまするから、ちょっとお待ちください。
  17. 森下元晴

    森下(元)委員 ユネスコ関係で、ちょうどユネスコの方がおいでになっておるものですから、外務省の前にもうちょっと具体的に簡単な質問をしたいと思います。  西田事務総長おいでになっておるので、ただいま御答弁ございました内容で具体的にちょっと御質問したいと思いますけれども、このユネスコ本部、それと当該国、まあこれは日本が出しておる間は日本なんですが、その分担の率でございますけれども、どういう率でなっておるか、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  18. 西田亀久夫

    西田政府委員 分担率お尋ねがどのような点か、ちょっと理解いたしかねるわけでありますが、ユネスコ本部協力して事業を行ないます場合に、ユネスコ本部は、世界各国加盟国からの分担金をもちまして、世界じゅうにわたって各種事業計画を進めてまいります。最近年度におきましてユネスコ本部の年間の事業費の額は、約百六十億円に相当するくらいの規模でございまして、事業規模としては小そうございます。アジアにつきましても、各国教育発展させるための努力に対しまして、その誘い水としてあるいは研修生資金を与えたり、あるいは研究開発のために会合を催したり、そういう場合にユネスコ側として専門家を派遣したり、各種資金援助を行なったりはいたしております。  しかしながら、本来的にユネスコ本部は、その限られた予算の範囲で、各国の自主的な努力を刺激することを目標にいたしております。先ほど申し上げましたユネスコ信託基金に対するわがほうの拠出の計画は、でき得れば全体のかかる費用の三分の一くらいはわがほうから費用として用意をいたしたい。これに当事国も三分の一、あるいはユネスコ本部からも物的あるいは人的に三分の一くらいの援助を行なっていただいて、アジア各国努力を十分に助長するように持っていきたい。一応予算要求としてはさような考え方でございます。
  19. 森下元晴

    森下(元)委員 ただいまの説明でよく承知いたしました。直接援助費を出す形式じゃなしに、ユネスコを通じて、相手国の反感を買うことなしに、いわゆるユネスコ信託という形で出す。私は非常にいい考え方であると思います。先ほど文部大臣からもまた西田事務総長からもお答えございました、また御説明ございましたこのアジア教育協力のために、いわゆる教育刷新センターをつくる、非常にりっぱなお考えでございまして、これを強力を進めていただきたい、このように思うわけでございます。  それで、先ほど質問をいたしました外務省のほうに御答弁を願いたいと思います。
  20. 中村輝彦

    中村説明員 アジア各国に対しまして教育協力をやるにあたり、外務省としてどのような理念に基づいてやっておるか、またその実態はどういうものであるかという御質問と存じますが、前者に関しましては、先ほど高見文部大臣から御説明がございましたとおり、外務省といたしましても、広く諸外国文化交流を進め、それによって相互理解を増進し、親善友好関係を緊密にするという大きな考えに立ってやっておるわけでございまして、特にアジア地域に対しましては、もちろんその大部分は後進国でございまして、わが国に隣接しており、きわめて重要な地域でございますので、教育協力というものを通じまして、ほんとうの心と心の触れ合いを進め、それによって友好親善関係をよりますます増進したいと考えておるわけでございます。先ほど文部大臣から御説明がございましたとおり、特にアジア地域に対しましては、わが国の経済的な進出が進みますにつれまして、いろいろな摩擦が生じてきておる現状でございまして、これを是正するためには文化交流をますます進めなければならないと私どもは考えておるわけでございます。このために、外務省といたしましては、明年度予算に特殊法人でございます国際文化交流事業団、これはかりの名前でございますが、これを設立いたしまして、アジアだけではございませんけれども、特にアメリカとも並びましてアジアに対してよりますます文化交流を進め、それによって相互理解を増進し、平和を築く努力をしたいと考えておるわけでございます。  なお、外務省関係しております教育協力援助実態については、担当の課長から御説明させたいと存じます。
  21. 加藤淳平

    ○加藤説明員 中村文化事業部参事官答弁に補足いたしまして、援助関係を担当いたしております経済協力局立場から、現在やっております事業並びに考え方について御説明さしていただきます。  私ども、先ほど御指摘ございましたように、今後日本援助というものがGNPの一%という目標に向かって次第に近づいていくに際しまして、どうしてもそこから、援助が大きな量になりますと、いろいろな形での摩擦が出てくる。そういう摩擦が、たとえばエコノミックアニマルとかイエローヤンキーとか、そういう形の批判となってはね返ってくる場合が多いわけでございまして、そういう批判に対処するために、何らかの形の、経済というものを直接の目的としない援助、すなわち社会の開発、ほんとうに向こうの人たちのためになるような、向こうの人たちの心に響くような援助というものをしていかなければ、全体としてのバランスを失するのではないかという感じを非常に強く持っておるわけでございます。こういう考え方に基づきまして、教育分野につきましても、二、三年来、非常に小さな規模でございますが、幾つかの事業を始めておりまして、たとえばベトナムのカントというところに大学がございますが、そこの農学部設立に対する援助、あるいは韓国の金尾というところがございますが、そこの工業技術高校の設立援助というような事業を徐々に取り上げてきておるわけでございます。  他方、一般的な技術研修員の受け入れあるいは専門家の派遣というような、私どものほうで言っております人的協力でございますが、これは現に向こうの研修員が日本にたくさんやってくるということ、あるいはこちらの専門家の方々が現地に行かれて、人と人との触れ合いの中で向こうの方々の技術水準を高めていくという形での人的協力でございますが、こういう協力も徐々に伸ばしておりまして、たとえば研修員の受け入れという点をとってみますと、昭和四十三年度には千五百十人であった援助が、四十四年度には千六百二十七人となり、四十五年度には千七百四十五人、それから四十六年度におきましては、予算定員でございますが、千六百五十人という規模考えておりますけれども、それが来年度では二千二百人という規模に伸ばすことを要求してございます。それから専門家の派遣につきましては、本年度の定員三百七十人というものを、来年度四百人という規模に伸ばすことの予算要求をしておりまして、かような形で徐々にこういう種類の教育を伸ばしていきたいというふうに考えております。
  22. 森下元晴

    森下(元)委員 外務省に対する質問でフルブライト日本版、これがお答えにならなかったようでございますので、あとでお願いするとして、対外教育援助目的は、いわゆる人間関係をつくっていくのだ。どうも日本のいままでの海外援助考え方というものは、援助ではなしに投資的な考え方、いわゆるギブ・アンド・テーク、与えればまた何かいただけるのだ、そういうふうな考え方が先行したために、案外多額の金を援助しながら、どうもそういう開発途上国の国々からむしろ軽べつされておったのではなかろうかというにおいがいたします。そういうところに今後は対外教育援助のワクをかなりふやして、人と人とのつながりを強めていこう、非常に前向きの姿勢だろうと私は思うのです。ただ問題は、いままで多くの方が日本に留学されまして、もちろん国費を支給された方もおるし私費おいでになっておる方もおると思いますけれども、不平不満がある、トラブルが起こっておる。こういう事例を見ました場合に、国費を使いながら、その結果は非常に悪くなっている場合が多いと思うのです。日本に留学して帰った留学生の方が、欧米とかその他の国に比べて、日本に行った留学生は二流、三流の会社につとめるしか道がない。またときには通訳以外に道がない。そういうような悪い結果が出ておるし、一人の留学生を育てるために苦労をしながら、その留学生が帰って、いわゆる反日的な多くの方をつくるための効果しかなかったというようなことさえもいわれておるのです。  それに関連しまして、たまたま財団法人国際学友会というところで学生たちがストをやって、待遇改善を叫んだのが、新聞に載っておりました。この留学生の受け入れ状況がどうなっておるか。それからまた国費留学生私費留学生、この二種類があるようでございまして、国費のほうはかなり恵まれておるようでございますけれども、私費で参った方々がいろいろなトラブルを起こしておる。その一つの例がいま申し上げました国際学友会の例でございます。この件につきまして御答弁を願いたいと思うのですが、国際学友会の方はおいでになっておりませんね。——どなたか御答弁願いたいと思います。
  23. 福田繁芳

    福田委員長 森下君に申し上げます。あなたのいまの多岐にわたるところの御質問に対して、外務省中村参事官答弁させます。
  24. 中村輝彦

    中村説明員 いま御質問のございました点は、国費留学生にもちょっと触れておられると思いますが、外務省のほうでは私費留学生のほうを扱っておりますので、国際学友会を中心にその点についてお答え申し上げたいと存じます。  国際学友会は、創立以来たいへん長く存在いたしておりまして、諸外国の、特にアジア諸国でございますが、留学生のめんどうを見て、そういう点におきましてたいへん貢献があるのでございますが、御指摘のとおり、新聞などにも伝えられましたが、いろいろ問題がございまして、去る九月いわゆるストが行なわれまして、世人の関心を引いたのでございますが、この問題が起こりましたのは、主として寄宿舎その他の設備がよくないということ、それから冬に向かっておりました際なもので、特に暖房の問題などが取り上げられまして、暖房をしている時間が短いじゃないかというような点、あるいは運動の設備が整っていない、これを充実してほしいといったようなさまざまな不満が寮生にございまして、そういう点を改めてもらいたいということから、十月に入りまして、学友会で併設しております日本語学校のストが始まったわけでございます。これらの問題点は、もちろんつとに何らかの改善を要することと考えていたことではございますが、こういう事態になりまして、国際学友会と学生の代表との間の話し合いが始まりまして、結局、学生の要望に沿って事態を改めるということでストは間もなく円満に解決いたしまして、機能は平常状態に戻ったわけでございます。われわれといたしましても、これでもってすべての問題が終わったともちろん思っているわけではございませんで、もともと、先ほど申しましたように、学友会の施設が非常に古く、したがって老朽の度合いがたいへんはなはだしくなっておりますので、これを部分的に補修したり手直しをする程度ではなかなか抜本的な解決になりませんので、いずれは全施設を抜本的に改めて、特にアジア留学生が多い、その皆さんの要望に沿えるように、できる限り努力したいと考えておるわけでございます。  なお、この国際学友会においてどの程度留学生を受け入れているかという点について申し上げますと、現在、国際学友会は留学生寮を三つ持っておりまして、東京と京都、大阪、それに明年は仙台に新しく学生寮をつくる予定にしております。これらの寮で留学生を受け入れておるわけでございますが、現在のところ約二十カ国から延べ二百人ばかりの留学生研修生を引き受けております。この数は、希望者を全部入れますればもっと多くなるので、希望者に比べれば少ないわけでございますが、最近は大体毎年その程度の数を受け入れております。  それから、先ほどちょっと触れました留学生に対して日本語の予備教育を施す施設としまして、日本語学校を併設しておりますが、ここには昨年度十五カ国から二百三十名、本年度は十八カ国から二百四十名の留学生を受け入れておりまして、このうち四十五年度では百四十名ばかり、本年度は百六十名余りが大学に入っております。  また国際学友会は、このような日本教育とそれから宿舎設備の提供というほかに、特に日本語に関連いたしまして日本語学習のための教科書をつくっておりまして、これはたいへん好評を博しております。目下、各種取りまぜますと約一万四千冊の教科書をつくっておりまして、そのうちの半分を私どもの外務省で買い上げ、残りの半分、全体の四分の一、これを海外技術協力事業団で買い上げて、それぞれ諸外国でやっております日本教育のために利用しております。また残りの四分の一、これは一般に販売されておりますが、実際にはその大部分は海外に販売されておりまして、そのほかは日本の国内でも方々でやっております日本教育に利用されているのが実情でございます。  国際学友会に関しましては以上のとおりでございます。  先ほど御質問のございました点で、まだお答えしてございませんでしたフルブライト計画日本版という点についてお答えしたいと思ます。  御承知のとおり、戦後米国との間ではもっぱらアメリカの金によりまして日本からアメリカに留学生が参り、またアメリカから日本に人が参りまして、大いに交流が行なわれてきたわけでございます。その数は、日本から行きました者、これが圧倒的に多いわけでございますが、アメリカから来た者を合わせましていままでに約五千人くらいの多きにのぼっております。最近はこの数がたいへん減ってきているのが実際でございますが、従来このように多数の交流がこのフルブライトによって行なわれたわけでございます。またアメリカとの間では、このほかにもちろんいろいろな経路を通じまして人の交流が行なわれたわけでございますけれども、これらをざっと合わせまして、過去二十年くらいの間、おそらくアメリカはこのために百五十億円くらいを使ったのであろうというふうにいわれているわけでございますが、これに対しまして日本のほうは、ほとんど政府としては見るべきことをやっていなかったのが実情でございます。それが、御承知のように最近の日米関係というものから、われわれは前から主張していたところでございますけれども、日米の経済関係というもののワクの中だけでは日米関係も打開できないのではないか、やはりより広い文化交流をこの際大いに拡大すべきでないかというふうにわれわれも考えておりまして、このためにこのフルブライト計画日本版——そのままの日本版ということではもちろんございませんけれども、考え方といたしまして、アメリカ側の資金に依存するという行き方でなく、日本が、われわれの自主的な発意に基づいて、われわれの力で日米の間の人の交流をより拡大していこうという考えで、いろいろ計画しているわけでございます。そのために、先ほどちょっと申し上げました国際文化交流事業団を設立して、その体制も整備する。  また、資金といたしましては、将来はずっと拡大することになると思いますけれども、とりあえず明年は百億円の基金を設けまして、この事業団を受け入れ先といたしまして、その百億円の運用利子、これは年七億円ぐらいになるはずでございますが、この運用利子をもちまして年々の事業をやっていく。その大部分は、いままで述べました人的交流の拡大、充実のほうに使っていこうという計画でございまして、ぜひその実現をはかりたいと考えておるわけでございます。
  25. 森下元晴

    森下(元)委員 最後に、文化庁の安達次長と高見文部大臣に御質問をしたいと思います。  いま、いろいろお答えいただきましたが、国内留学生の方にいろいろなトラブルがある、特に私費おいでになる方にトラブルが多い、こういう結果になっているわけでございますけれども、海外援助費というものが増加する傾向の中で、技術援助また教育援助は非常に少ないわけでございますが、いまのお話で、前向きでやっていくような意向も見られるわけでございます。そういうことで、いわゆる人と人との関係をつけていく、これが一番大切なことでございますので、将来この海外援助、特に教育援助に対する姿勢を、安達次長並びに高見文部大臣にお聞きして、私の質問を終わりたいと思うわけでございます。
  26. 安達健二

    ○安達政府委員 教育協力の問題を分けますと、三つになろうかと思います。一つは留学生等の招致にかかわる問題、第二がユネスコ等の国際機関を通ずるところの教育協力の問題、第三は二国間における教育協力の問題、こういうふうに分かれると思うのでございます。  前の二点は、すでにお答えがございましたが、二国間の教育協力の場合に、特に大事なことは、相手国の要請というものを基盤にいたしまして、それに応じて相手国教育が振興できるような形において、いわばその教育の振興を助けるという観点に立って援助なり教育を行なうべきであるということが言えると思うのでございます。  私のほうでは、主として二国間の教育協力をやっておるのでございます。たとえば、アジア教育指導者アジア各国文部省の次官、局長クラスを呼びまして、日本教育事情を見ていただいて、その上で自分の国をどうするかをみずから考えていただくというようなことをやり、あるいは理科とか農業等の専門家を派遣いたしまして、現地の教育の研修のお助けをするというようなことをやっておるわけでございます。さらに、その根拠となるべきセンターの設置というような要望も強うございますので、そういう点についても、なお努力いたしたいと思うのでございます。  しかしながら、根本的には、先ほど来先生から御指摘になっているように、今後の教育協力の必要性ということがたいへん高まっておりますので、これに対してわが国としていかに対処すべきかをさらに根本的に検討する必要がある、こういう考え方によりまして、ことしの七月に、文部省の事務次官裁定をもちまして、外務省の担当の部長局長も入っていただきまして、今後の教育協力をいかに進めるべきか、先ほど申しました、大きく分けました留学生の問題、国際機関を通ずる教育協力の問題、二国間の教育協力の問題を総合的に勘案いたしまして、いかにすべきかという協力のための協議会を設置いたしまして、十九名の委員をお願いし、会長に国立教育研究所の平塚所長を依頼いたしまして、目下検討を進めておるわけでございます。  また、それと並行いたしまして、実態をよく見きわめた上での施策でなければならないということで、ことしの秋に、アジアの六カ国に調査団を派遣いたしまして、各国教育実態教育協力に対する要請などを総合的に調査していただいたのでございます。さらにこの調査を明年度も継続していきたい、そういうことで、今後の教育協力のあるべき姿を描きまして、それに基づいて強力なる教育協力の仕事を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 高見三郎

    高見国務大臣 いま安達次長からお答えを申し上げましたので、大体尽きておると思うのでありますが、私は、教育協力という名のもとに教育を押しつけてはいけないという基本的な姿勢を持っておるのであります。したがいまして、二国間の教育協力という場合には、ややもすると非常な誤解を招くおそれがある。できることならば、ユネスコ機関を通して日本協力をするという形を基本的にはもっていきたいものだ。しかしながら、ある特定の国が、日本で、ある特定技術を学びたいというような御希望がありますときには、これは積極的に受け入れて御指導も申し上げる、同時にまた、日本からこういう学者を派遣してくれというような御要請があるならば、進んで御協力を申し上げるという形においての国際協力には惜しみなく努力をする、かようなつもりで教育国際交流というものを進めていきたいと存じておるわけであります。
  28. 福田繁芳

    福田委員長 次に、華山親義君。
  29. 華山親義

    ○華山委員 四十五年度会計検査院の報告に、国立大学の試薬品等につきましての取り扱い、支払い等の方法について、文部省や各大学に注意をされたということが出ております。まだ御質問するための報告は国会に出ておらないのでございますが、新しい年度も始まることでございますから、少し先走りますけれども、お聞きいたしたいと思います。  会計検査院にお伺いいたしますが、これをお調べになった際に、なぜこういうことが起きるのかということについて、大学の教授、そういう方にお聞きになりましたか。お聞きになったとすれば、その大学の先生方はどういうふうに言っていらっしゃいますか、お聞きいたしたい。
  30. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 ただいまの件でございますが、検査の際には、大学の先生方にもその点については十分に伺っております。その際の先生方の御意見は、一つには、多年にわたる慣行としてこういうことが行なわれているのだという点、それから教育研究ということの特殊性あるいは緊急性からして、自分たちの手で直接必要な研究用物品等を調達するのが一番手っとり早くて便利だというような御意見は伺っております。
  31. 華山親義

    ○華山委員 私詳しく見ておりませんけれども、会計検査院等の報告によれば、緊急性等の名をかりて、こういうふうに言っておるのでございますけれども、私は少しことばが過ぎているのじゃないかという印象を受けます。いろいろな先生もいらっしゃいましょうけれども、多くの先生方はそんな悪意を持ってやっているのじゃないと私は思う。一がいにやっつけるというふうに聞こえることばはどうかと思うのでございますが、さて私も大学の先生にお聞きしたのでございますけれども、大学の先生にはこういうことを言う人があります。とにかく自分が、あるいは教室あるいは教授に対して今年度使える経費は幾らかということがわかるのは十月か十一月だ、こう言うのです。そうすれば、十月や十一月まで研究のための試薬というものをほっておくわけにはいかない。それで、その間において必要な試薬というものをある程度買うことはやむを得ないのじゃないか、こういうことを言う先生がいらっしゃいます。  それで文部省にお伺いいたしたいのでございますけれども、各教室や教授に対しましてその年度に研究のために使えるところの金、いわば経常費といいますか生活費——まあ生活費もおかしいのでございますけれども、そういうことのための金、大きな設備等は別でございますけれども、それが各教授や教室にわかるのは一体何月ごろにわかるのでございますか。
  32. 須田八郎

    ○須田説明員 お答えいたします。ただいまのことでございますが、各大学、学部、学科によりましてそれぞれ配分の方式が違っておりますので、一がいに画一的に何月にどうなるということは言えないかと思いますが、一わたり学部、学科に至る学内の予算の配分がどういう方式でどういう経路で回っていくかというあたりからまず御説明を申し上げたいと存じます。  まず予算が成立いたしますと、文部省といたしましては、四月一日付で各大学に対する予算の配分案を作成いたします。これはたとえば基幹的な経費が、教官当たり積算校費ないし学生当たり積算校費が経常的な経費としましては一番大きい金額になっておりますので、こういうものに例をとりまして御説明申し上げますが、この教官当たり積算校費につきましては、講座制、修士講座制、学科目制というような別がございます。それは博士講座を持っている学部、学科、講座につきましてこれは博士講座と呼びますし、修士課程を持っておりますものは修士講座というランクにいたしてございます。その他は学科目制、そのほか短期大学、高等専門学校研究所、研究施設によりましてそれぞれ単価が違います。それから同じ講座でございましても、実験講座と非実験講座、それから医学部の臨床講座によりまして、これまた単価に相違がございます。  それから同じ修士講座ないしは学科目制の非実験、実験におきましても、教授、助教授、講師、助手というふうにそれぞれ単価に差がございます。それぞれの積算単価とそれから当該大学の教官定員の数、この積算基礎によりまして各大学に配分案をつくるわけでございます。さようにしましてできました配分案を、四月一日付で、実際通知が行くのは若干おくれますが、一日付で各大学に示達をいたします。もちろんその前に各大学は自分の大学の積算を文部省にございます帳簿から写し取りまして、大体自分の大学ではどのくらいの金額が配当になる予定ということを事前に承知をいたしております。そういうことで、実際問題といたしましては、学科まで金の配当が正確にきまりませんでも、おおよその見当はつくわけでございますので、多くの大学におきましては、前年度予算の範囲内とか、あるいは前年度予算の五〇%以内とかいうようなことで事実上の執行が可能になるような措置は暫定的にとられております。  そういうことで、今度大学に伝達されました予算が学部、学科にどのように配分されるかということでございますが、これまた大学によっていろいろ事情を異にいたしておりますが、ごく一般的な例につきまして御説明を申し上げたいと存じます。  これも総合大学ないしは単科大学等規模により、また大学の態様、あるいは従来からの方式、こういうことによりましていろいろと相違があるわけでございますが、まず、本部本省から参りました積算基礎に従いまして一応各学部別に配当案をかりにつくりまして、同時に共通的な経費、これも大学によりまして若干相違がございますが、光熱水道費でございますとか、通信運搬費、あるいは事務局、学生部の経費その他大学の共通的な施設に要する経費、あるいは環境整備費、図書館維持費といったようなものにつきまして、俗に本部とめ置きと称しておりますが、本部で留保をする部分を除きまして、その他の残りの金額につきまして先ほど申しましたような積算に従いまして各学部に案分をする、さような作業を伴う事務局の原案作成が大体四月から五月の上旬にかけて行なわれます。そうしまして事務局原案ができました場合に、これまた大学によって違うのでございますが、それを学内の予算配当委員会、あるいは学部長会議ないしは部長会議、こういった学内の諸機関にこの事務局原案をはかりまして、御審議をいただいた上で、最終的には評議会で決定をいたします。ごくレアケースといたしましては、評議会に報告という大学もございますが、これはほんのわずかでございまして、大部分は評議会で決定をされる。その評議会決定の時期でございますが、都内の十数大学について調べてみたわけでございますが、評議会決定の時期が、早い大学で五月の中旬ないし下旬、一般的には六月から七月ごろということで学部に配当される予算がきまるわけでございます。  そこで、それがきまりますと、今度はそれぞれ学部段階で、やはり学部で共通的にとめ置く経費がございますと、それを差し引いて、学科、教室、講座というふうに配分になるわけでございますが、大学によりましては、学部で全部留保しておきまして、必要のつど学科からの要求に基づいて支出をするというところもございますし、学科、教室の末端まで配当する大学もございます。学科、教室等に配当になることをきめます教授会の決定の時期が、早い大学で六月の上旬、大かたは七月ないし八月、ある大学では、これは特殊事情があったようでございますが、九月に入っておる大学も一、二ございます。  さようなことで、先生の御指摘の教室、講座までおりる時期はいつかという点につきましては、いま申し上げましたように七、八月ごろが一般的でございます。
  33. 華山親義

    ○華山委員 私の聞きました先生方のお話よりは七、八月ということで早いようでございますけれども、ひどい先生は、私が研究実施に使える金は幾らかということが自分の手元でわかるのは十一月だという先生さえもあったわけであります。そうですから、十一月にならなければ本来から言うならば物品購入の請求ができないわけでありますけれども、いまお話のありましたような、その前でも本部には金があるのだから、あるいは昨年度経費の八割とか五割とかそういう程度のものは請求すれば間に合うのだということをおっしゃいました。しかし、私の聞いた範囲では、大学の先生はそれを知りません。それが実態ではないかと私は思うわけであります。そのよく知らせるようなことをまずしなければいけないのではないか・こういうふうに思うのであります。  私、会計法規のことは詳しくありませんけれども、やや疑問に思うことは、支出を請求するところのものといいますか、そういうものに対して、おまえのところで使える概算はこれだけだということを通報して経理をすることははたして適法なのかどうか、大蔵省のそのほうの方にひとつ御答弁を願いたい。
  34. 宮下創平

    ○宮下説明員 お尋ねの点は、各大学文部省から示達された場合はできるというように解されます。
  35. 華山親義

    ○華山委員 それだったならば、四月初めには各教室なり各教授なり、その単位その単位によって自分の一年間に使える経費はわからなくとも、あるいは前年の分あるいはその何割か、そういうふうな数字をはっきり四月なら四月の段階において各教室に示すべきではないか。それを示しておらないところにこういうふうなもろもろの問題が起きるのではないかと思いますけれども、今後文部省はどういうふうになさいますか。
  36. 須田八郎

    ○須田説明員 予算配当の早期化という点につきましては、従来とも指導してまいっておりますが、先生御指摘のとおりのような状況で、末端に至る時期がきわめておそくなっている、そのことについては私どももたいへん遺憾に存じますので、今後とも指導に手抜かりのないようにいたしたいと存じます。ただ一つ申し上げておきたいことは、四月の初めに参りました際に、末端に幾ら行くという確実な数字は、それぞれの大学学部の段階で計上される共通的経費、これがどのくらいになるかによって末端に行く金に影響が出てまいるわけでございますから、正確な数字は無理かと思いますが、前年度の範囲内とか、あるいは前年度の何%以内とか、先生のおっしゃるような数字は学内で運用上できる話かと存じますので、さような点も踏まえまして今後指導いたしたいと存じます。
  37. 華山親義

    ○華山委員 そういうことでとっていらっしゃるならば、そういうふうに、これは今年度の何月程度までの経費である、そしてこれは何々に使ってもいいのだというふうなことで、極力早く各教授なりその単位の教室なり、そういうところに通報されたほうがいいのじゃないか、こういうふうに思われます。  概して申し上げますと、私は文部省はお気の毒だと思うのですよ。各大学というものは、権力的といっては悪いのですけれども、やはりプライドを持ちまして、なかなか文部省の会計課長の言うことは聞かないのじゃないかと私は思うのですよ。それは大学の独立という問題もありますけれども、そういう面で、私は会計課長文部省当局にいろいろ申し上げることは非常にお気の毒であるような気もいたしますけれども、その程度のことはできるのではないか。そういうふうにして、ひとつできるだけ早く自分はどれだけのものを使えるのだということを教えてあげる必要があるのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  それから、大体物の買い方というものが、会計法規にも出ておりますし、私も本省の会計課長をやった古い経験もございますからわかるのでございますけれども、非常にこまかいですね。これは専門家でなければわからない。大学の先生にこれを読めなんといったって、読んだってわかるものじゃないのです。ですから、これを買いたいなということを言った場合に、補助するところの人がすぐこれを買ってあげるだけの方法をとっておかなければいけない。それが長引きますと、それは学者でございますから実験を休むわけにもいかないでしょうし、薬がなければいままでにやった実験もむだにもなる場合がありましょうし、実験の過程において新しい薬品をほしくなられる場合もありましょうし、すぐ買ってあげるだけの体制が整っておりませんと、もうだめだ、事務屋に頼んだってだめなんだからこれは買うよ、こういうことになりがちだと思いますので、大学の事務の方も少ないように思われますけれども、しかし、そういう点は十分に御手配にならなければいけないのじゃないか、こんなふうな気もいたします。  それから私、これは概数かもしれませんけれども、たとえば今度のここに出ておりますところによりますと、群馬大学会計検査院のとらえた金が八百五十万八千円なんですね。そしてその件数が五千八百三十三件、一件当たり一千五百十九円という数字が出ている。試薬品等はこまかい、非常にたくさんなものなんです。これをそのたびごとにやっていたのじゃ、これはたいへんなことになるのじゃないか。非常にめんどうなものだから、要るときどきによって物を買うというふうなことになるのじゃないか。大蔵省の会計の規定等によりますれば、そういうふうな多くのものは一括した請求書でできるのだ、こう言われますけれども、教授が一生懸命に研究している合い間にどれだけのものが要るのかということをまとめて出すということは私は実際上なかなか困難だと思う。この薬がなくなったからこの薬を買おうか、買ってもらおうか、そういうふうなことが、はなはだしい場合は一品ごとにあるいは十数品目に出てくるのじゃないか。それを一々手数をかけているということはたいへんな手数なんです。そういうまとめて請求ができるのだという方法があっても、こんなに多い件数で、一件当たりが少額だ、何千円、何百円だというふうなことになりますと、あの法規も無視されるのじゃないのか。こういう点について大蔵省も改善される余地があるのじゃないかと私は思うのですけれども、どうでしょうか、ひとつ大蔵省のほうから御回答願いたい。
  38. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答えいたします。先生がただいま御指摘になりましたように、そういった非常にこまかいものの購入等につきましては、一括していろいろ購入ずるような便法も会計法上規定されているわけでございまして、たとえば単価契約というのがございます。これは、通常、物を購入する場合は競争入札に付さなければなりませんが、その場合はその物の価格の総額について契約をいたさなければならないわけでございますけれども、あらかじめ単価だけについて契約しておきまして、その総量につきましては精算の段階で請求していただくというような方法もございます。これはたとえて申しますと、物品の中で文具品でありますとか消耗的な器材でございますとか、文部省関係で申しますと薬品でございますね、薬品とか燃料等のものについてはこういった会計処理の手続を認めておるわけでございます。なお、大学の研究、教育というのは、御指摘のように、非常に特殊な性格を持っておりまして、会計処理上、何らかの特別な取り扱いをするものがあるかどうか、今後検討してまいりたいと存じております。
  39. 華山親義

    ○華山委員 私が申し上げようと思っておることをもうお答えになりましたから、私は申すことばもないわけでございますけれども、こんな千円とかなんとかのものを五千件も六千件も買うというのに、普通の会計法規でやっていたのじゃ、これはもうめんどうくさくなっちゃって、先生方が薬屋ですか試薬品を売る店から直接買ってしまおうということになるのは、何か許されるような気さえするわけです。しかし、許されてもならないことでございましょうから、その点については、これは行管のほうからも前に会計の経理についての簡素化ということも提案されておるわけでございますし、ひとつ御検討願いたいと思います。要するに、会計法規を正しく施行しようということによって——中には私は悪い人もいると思いますよ、思いますけれども、大部分の人は正直な人であり、悪意を持ってやるのじゃない。そういうことをきびしく取り締まるといいますか規制することによって、私は角をためて牛を殺すようなことにならないようにしたい。そういうふうなことから一方的に角をためることばかりに熱中することはどうかというふうな気持ちがいたしますので、お願いしているわけであります。ひとつこの点については御検討をお願いしたい。どういうふうになるのか、新しい年度が始まりますから、その前までにひとつ御検討願って、できればこういうふうにするというふうなことをひとつ委員会でも御報告願いたい。こういうふうに、私、簡単でございますけれども、お願いしておきたいと思います。  それからちょっと時間がございますので、十分ばかりひとつ許していただきたいのでございます。  実は、私ちょっと心もとなかったのでございますけれども、三年ばかり前に、との決算委員会文部省にお聞きしておる間に偶然わかったことがあるのでございます。それは具体的に申しますと、教育委員会月報という雑誌がございますね。教育委員会月報に出ている文部省の役人の方々の記事、その記事について原稿料を払うのかということを聞きましたところが、初等中等教育の職員には払わないけれども、そのほかの体育局とか、やはり初等中等教育に密接な関係のあるあるいは地方教育委員会に密接の関係のある、そういうところの局の職員には原稿料を払っているのだという話があったわけであります。それはおかしいじゃないかということを、そのことを聞こうと思って質問したのじゃないのですけれども、話がそこにいきましたので申し上げたところが、しかし、あまりお役人のことをいろいろかれこれ言っちゃいけないと思って、私黙っていたのですが、この間文部省の方がおいでになりましたときに、どうしましたと聞きましたら、ずいぶん部内でも反撃が多かったのですけれども、省内ではああいうことはやめにしましたと、こういうふうにおっしゃいました。それで、私は、これは文部省に申し上げるわけじゃありませんが、主計局の方もおりますし、検査院の方もおられるのでございますけれども、文部省がそういうことに踏み切ってきちんと清潔になすったのですから、ほかの省にもそういうことが——なければけっこうです、あるのかないのか調べていただきたい。そうしませんと、私は文部省だけにつらく当たることになりますからね。各省にわたって調べていただきたい。それから、私つくづく思うのですけれども、この机の上にいろいろな各省からの配付物がございます。PRの時代でございますし、そういうふうな経費も見積もられておることでございますから、別にどうこうということもないでしょうけれども、出し方がばらばらなんですね。省でつくって、そしてこれを一般に書店等を通じて販売しておるのもあるし、それから、ある会社が原稿を各省からもらってつくっているところもあるし、まちまちなんですね。そういうふうなことが一体いいのかどうか。先ほどの話に戻るならば、省内の本屋が編集して、そうして売る。それを頒布するには、私これは邪推かもしれませんけれども、各省が関係のところへ行って、これを買ってくれと言えば、これは買いますよ。月にわずか百円とか二百円のもので本省のきげんを害したくないですからね、正直に言って。そういうことによって、省外のものであったならばそれに寄稿したところのお役人というものは原稿料をもらうのは何でもないわけだ。しかし先ほど私が御注意申し上げたようなことになっておりまして、省内で編集してこれが市販されるというふうなことになりますと、これは原稿料は入らない。こういうふうなことになりまして、その間、私は、きちんとしたものが、神経質かもしれませんが、あまりないというような気もする。ひとつその点は、各省を見ておられる大蔵省の主計局なりそれから会計検査院で統一したものの見方をして、正すべきものは正していただきたい。こういうことをお願いしたいのでございますが、大蔵省と会計検査院から、そういうことは検査したことがあるとか、今後ひとつしてみようとか、そんなことはとてもできませんよとか、御回答願いたい。
  40. 宮下創平

    ○宮下説明員 会計検査院局長さんから、各省をつぶさに検査した結果については、私のあとで御答弁がある予定のようでございますが、私の知る限りにおきましては、通常、行政内部の固有の業務として発行するそういう出版物等につきましては、有料で頒布するというようなことはないと私は承知しております。ただし、たとえば私どもの主計局で編さんしております予算関係の解説等の書類がございますが、これは別個の財団法人なり協会というようなものを組織いたしまして、そこの責任において出版する、そして実際主計局の査定官等はそれに協力してやるというようなことに相なっておりますので、御指摘のような点があるかどうか、私ちょっと、各省全体を見ておるわけでございませんので、検査院の方からお願いしたいと思います。
  41. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 お答えいたします。ただいま先生御指摘の点でございますけれども、検査の結果につきまして具体的にただいま承知しておりませんので、どこではどうやっているというようなことについてこの席で御返事はいたしかねますけれども、先生のおっしゃいました御趣旨の点につきましては、今後十分に検査をいたしまして、統一的な取り扱いになるようにいたしたいと思います。
  42. 華山親義

    ○華山委員 お話しになりました主計局の所管の予算概要とか、そういうふうなことを私言っているのじゃございません。なるべく国民にたくさん知ってもらいたいのですから、それはそういうものでけっこうだと私は思うのでございますけれども、そういうことをきちんとしておきませんと、何か各省各省がまちまちになっているのじゃないか。私の知るところによりますと、これはやり方がいいのか悪いのかわかりませんけれども、自治省では、自分のところで編さんして自分のところで出しているというものは、予算説明というようなものはありますけれども、ほとんどないのじゃないか。諸論文なんというものは全部何かの雑誌にまとめて、その雑誌は、編集は自治省でやって外部のほうから売らしている。編集の責任はあるけれども、売るほうは別の機関だ、そういうふうなことになっておりまして、私は、政府の定期的なあるいはいろいろな刊行物というものは、ある制度のもとに一括して売る、頒布する、そういうふうな方法に統一されたほうがいいんじゃないのか、こんなふうにも考えますので、その点ひとつ御検討を願いたいと思いますが、ただいま会計検査院お話では、何か調べたことがあるのですか。各省にわたって調べたことがあるようなお話ですが、どうなんですか。
  43. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 お答えいたします。ただいまの点ですが、先ほどお答えいたしましたのは、具体的にそういった目でもって特別のテーマとして取り上げて、全院的な問題として検査をしたことがあるという意味で申し上げたわけではございませんので、検査内容として私どものほうの各局、各検査課において検査の途次そういった点について触れているものもありましょうし、あるいはその点にまで及んでいないものもあるかもしれませんので、その結果について具体的に御説明申し上げることができないのが遺憾である、そういう意味でお答えしたわけでございます。
  44. 華山親義

    ○華山委員 一ぺん一つのテーマとして、たいして人手も要らないでしょうから、各省の定期刊行物あるいはいろいろな刊行物について、これがどういうふうにして市販されているのか、そしてその利益というものはどういうふうになっているのか、国民にはできるだけ安い値段でいろいろな白書等も知らしてあげるべきが当然だと思いますし、そういう点について調べていただくことを私から御希望申し上げておきます。御採用になるかどうかは会計検査院の御所見がありましょうけれども、希望しておきます。  では、これで私の質問を終わります。
  45. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの華山君と須田会計課長との質問答弁の中で、御案内のように、大学に関する支出問題に対してのもろもろの御質問があったわけです。幸いに高見文部大臣も御臨席くださったので、おそらくお聞きと存じまするが、まずそれを一点。第二点には、いま言った各官庁の出版刊行物の質疑でありまするが、文部省に関する問題、この二点に対する高見文部大臣の御所感をこの際伺えれば、時節柄当委員会として非常に参考になると思うのです。高見文部大臣
  46. 高見三郎

    高見国務大臣 華山先生は本省の会計課長をおやりになって、その方面の専門家でおられます。したがって、御質問の趣意は、文部省に対してきわめて同情的な御質問でございました。私は、今回指摘されました問題につきましては、少なくとも国民の血税を使っておる大学は、金の支出については厳正な態度をとらなければならないという趣意から、会計検査院の御指摘に応じまして、関係大学に対してそれぞれ指示をいたしましたが、先生御指摘のように、実は大学の教官には会計規則というようなものの理解を求めることがやや無理な面がございますし、それから大学で必要といたしまする薬品等につきましては、ただ市販のありあわせのものでなくて、特定の薬品を必要とする場合もあるのであります。したがいまして、順序を経て、大学の学部のほうの会計係を経て、大学の会計課を通じて購入をするということが実際の問題としてはできない場合があり得るということは承知をいたしております。むしろ大学に対して気の毒だという気持ちを持っておりますけれども、いやしくも国民の税金のことでありまするので、経理の適正化をはかりまするために、直ちに私のほうでは検討の委員会をつくりまして、経理担当者に対しまして、どういう扱いをするかということを検討する方向にただいま方針を定めてやっておるわけであります。さしあたって指摘された学校に対しまする注意を促しますと同時に、大学全般に対するこれからの経理のあり方というものについての検討を始めておるところでございます。この辺で御了承をいただきたいと思います。
  47. 華山親義

    ○華山委員 いま大臣から御答弁がありましたけれども、まず現在の会計法規でできるのかできないのか、極力文部省で御研究になって、その案につきましてはひとつ大蔵省も御協力を願いたい。そして大蔵省の御協力を願って、現在の法規ではとてもできないのだ、むずかしい面があるというならば、やはり法規の改廃までいかなければいけないのじゃないかというふうにも考えますし、またそれにつきまして会計検査院等には御回答しなければいけないでしょうが、会計検査院等もひとつこういうことについて御協力を願いたい、このことを申し添えておきます。
  48. 福田繁芳

    福田委員長 次に、吉田賢一君の御質問を許します。吉田君。
  49. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きょうは大臣教育の基本的なあり方、特に初等教育とか、あるいはさかのぼりまして、いかに将来よりよい政治をつくるべきかというあたりから出発してみたい、こう思うのであります。  私は、教育制度というものは、明治以来だんだん大きな変遷があったようでございますけれども、このあたりでもう一ぺん、言うならば最近いわれている社会事情の激変の過程におきまして、生涯教育も叫ばれているおりからでもございますので、もう一ぺんやはり教育のあらゆる面を総点検するというぐらいの姿勢が必要ではないだろうか。もちろん中教審などにおきましてだんだんと専門家の研究もありますけれども、それはそれといたしまして、やはり文部省がみずから積極的な姿勢をもって乗り出していく、各省との関連の問題があれば、横の連絡を十分に遂げる、やはり閣僚の一人として文部大臣は文教のあり方につきまして、いま根本的に考えていかねばならぬ面が多々あるんじゃないか。きょうは時間の関係等の事情もありまするから、あらゆる問題を指摘するわけにはまいりません。ただ、私は、社会教育の一環といたしましての家庭教育のあり方、そういう方面を少しせんさくいたしまして、そして発展させて、いかなる教育体系があらまほしいかという点をはっきりさせてみたい、こう思うのであります。  家庭と学校と社会が三者それぞれ連携をとりまして、そして児童、子供の教育に当たる、相互の関係はお互いに緊密に補完をしていくということは、これはもう申すまでもないことであります。  そこで、この問題につきまして、やはりそれぞれの部署においての認識の相違、それからそれぞれ制約されておるような諸般の事情あるいは習慣等から、かなり大きく食い違ったものが食い違ったままにきておるのがいろいろな弊害をかもすのじゃないだろうか、こういうふうなことが考えられます。  そこで、文部省におきましてずっと引き続いておやりになっておりまする家庭教育につきまして、親の教育、その諸要件の整備というようなたてまえから教育学級の開設問題、これはずいぶんあちらこちらでやられておるようでございますけれども、あるいはテレビ放送とか、あるいは録音機の配付であるとか、資料の作成などをおやりになっておるということを報告を受けております。つきましては、大臣に伺いまする前に、事務的にこのあたりについての資料整備をまずやってみたい、こう思うのであります。  これは社会教育局長に伺いたいのでありまするが、これらの施策の最大のねらい、眼目は何なのであろうか、その点をひとつずばっと明確にしておいていただきたいのであります。
  50. 今村武俊

    ○今村政府委員 家庭教育に関する施策の最終のねらいは子を持つ親それぞれいろいろな考え方がございます。それぞれの価値観に従って自分の子供を養育すべきものでございますが、なるべく多くの情報を提供して、自分の子供を教育する場合の参考にしていただきたいというのが最終の眼目でございます。
  51. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 このおやりになっておる番組などを調べてみますると、何かと農繁期等も考慮した、地域考慮も入っておるようでございますけれども、そこであなたのほうに伺いたいのでありますが、たとえばそれぞれの地域で放送をやっておりますね。これは主として放送材料を利用してやっておるようでございます。録音機の配付は別ですけれども、それぞれの地域で行なったものについてそれぞれの報告を得て、そしてその成果いかんということについて検討をしておりますかどうか。そしてその評価をあとの参考にするというような、そのような順序になっておるかどうか。そこをはっきりしておいてもらいたいのです。
  52. 今村武俊

    ○今村政府委員 テレビの放送につきましては、昨年度から財団法人の民間放送教育協会、通常民教協と訳しております団体に委託をいたしまして、昨年度が四分の一・四半期、今年度が年間を通じて五十二回、全国の民間放送業者三十二局がネットを形成いたしまして、「親の目・子の目」と題する三十分の家庭教育番組を放送いたしております。それは各放送局がそれぞれに制作をいたしまして、そしてそれを全国的にネットするものでございまして、あるいは都市的な内容のものもあれば、あるいは農村的な内容のものもあるわけでございます。それらの企画は民教協を主体として行ないますが、私どものほうではそれに参画する程度でございますが、民教協の仕事も、民教協自体におきまして企画委員会をつくっておりますし、また三千名のアンケート調査もいたしまして、調査の結果を基礎にしながら次の番組をつくっていくというようなことでございます。今年度四期のことをちなみに申し上げてみますと、第一期は子供の心理、生理の発達を理解するということが眼目で各テーマがつくられ、第二期は家庭における人間関係理解、第三期が市民性の教育、第四期が親の生き方が子供に対して無言の感化を与える、したがって親の生き方に対するテーマを取り扱っているというようなことでございまして、しかも推計によりますと、全国で五百五十八万の子供を持つ母親が視聴しておるという推計でございます。それらの母親と民教協の関係は、定期的にあるいは地域的に懇談会を持ちまして、放送局と視聴者の間の意見、意思の交流が常に行なわれるような配慮もしておるわけでございます。
  53. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 教育の問題でございますので、たとえば企業における製造のような物質的な過程を経るような、成果が一々目につくということを私も期待はいたしておりません。しかし同時にまた教育のあり方がよいと悪いとは、社会的に深刻な影響、打撃を与えることは、物質社会と違うのでありますから、そういう意味におきまして、よほど厳密なる実績の評価を後日する、それはどこにまかしておるにかかわりませず、文教の府として行政の主管庁である文部省は一々それにつきまして十分なみずからの評価もし、認識をするということが前提にならなければ、次の計画は立たぬ、こう思うのであります。思いつきにすべきものではございませんです。そう思いまするから、評価いかんということもいま申した次第であります。そこで、たとえば農村地帯におきまして、これは秋田、山形等々放送などもあり、南日本等々もありまするので、それぞれ分布されて行き渡っておるかと思いますけれども、一体こういうような場合に、日本で、たとえば農村地帯でテレビを持っておらぬ家はどのぐらいのパーセンテージになるのですか。その辺はつかんでおりますか。
  54. 今村武俊

    ○今村政府委員 直ちに計数を申し上げる資料を持っておりません。
  55. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 何%ですか、それはわからぬですか。
  56. 今村武俊

    ○今村政府委員 あとで調べて御連絡いたします。
  57. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最近はマスコミが発達いたしまして、テレビ放送というならば、これは毎日お日さんの顔を見るがごとくに、ともかく空気を吸っているがごとくにみんな享受しておるような感覚でありましたならば、それはあやまちであります。でありますので、暗い半面が社会にあるということも考えて、数万円、数十万円するようなテレビは持てないというような家庭もあることも考えて、さてそういう方面に対してはどういう手を差し伸べればいいのであろうか。ことにかぎっ子なんかの家庭におきまして必ずしもテレビありとはいわれません。そういうようなことを思いますと、その辺につきましても、これはずばりと一番大事な問題をついた、これはこうだというくらいな用意があってしかるべきだ、こう思うのであります。これは残念であります。やはりあなた方としましては、非常に大事な目として指摘されなければならぬ問題であります。  たとえば、いま農村地帯でありましたが、それならば階層の問題でありますが、しかるべき会社の社長の妻女と労働者の妻女とは社会環境が違いますね。この社会の階層的な断層に対しまして何らかの配慮があるのかどうか、そのことはみなひっくるめてアンケートをとってやっておるのだから、ぱっとやれば、五百数十万人の婦人が聞いているからいいじゃないかというぼやっとした行き方になるのか、その辺のねらい撃ちがあるのか、階層を区別して対象を把握していこうという用意があるのかどうか、そこはどうですか。
  58. 今村武俊

    ○今村政府委員 社会の階層があり、あるいは人々の階層があるということは、私、定義次第では感じ方が違うと思いますが、先生のおっしゃるような意味でそれぞれ職業が違いあるいは境遇が違うというようなことはわかりますが、その階層の違いによって親が子供に対する教育の基本的な問題、生理、心理の問題、あるいは家族関係の問題、あるいは親の態度が子供に影響を与えるといったような、こういう問題について、直ちにその階層による区別をしてテレビを放映しなければならないとまで思っておりませんので、その階層のことを意識した区別ということは、この家庭教育番組のテレビ放映の中には考慮されておりません。
  59. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、やはり客観的な実情に対応した計画が必要だと思うのであります。机上の設計をみなに振りまいていくということが真の教育効果を発揮するゆえんでない、こう思うのであります。しからば、現実でありますから、三時ごろに子供が学校から帰っても、まだおかあさんは労働していて帰ってこない、かぎっ子であるというような家庭と、そうでなくして、至れり尽くせりの環境の家庭生活で、家へ帰ればもちろん人はおるし、坊ちゃんお帰りあそばせというような家庭もあるのですから、それらはみな違うのであります。でありますので、そこらについての配慮がなされてしかるべきでないか。何もそれは親子のあり方、家庭のあり方がそう区別あってよいと私は言うておるのじゃないのですよ。現実はそうなんだから、それに対して、いずれもより高い水準の、よりよい家庭を営むための、よりよい子供をつくるためにはどうしても適当な方法がなければいくまい、こう思うからお尋ねしておるのであります。  そこで一転しまして、大臣に伺いたいのでございますが、たとえばことしの四月から六月、それから七月−九月の「親の目・子の目」というこのテレビ家庭教育番組の資料をもらってみたのでありますが、たとえば四月−六月の一のテーマに遊び場の問題が出ているのです。遊園地を見ながら子のために全く自由な遊び場があったらなあと思う。思うぞんぶんやって、やりほうだいにできるようなところはないかいなというそれは趣旨なんです。こういうような思うぞんぶんやりまくるような場、何々すべからず、それはしてはいけませんぞ、というような窮屈な遊園地でなくて、思うぞんぶんやりまくる場というようなことをこれは提供しているわけですね。一体これはまず提案者みずから主観的に、何はどうあるべきか、ありたいか、あったらよいという、そういうような考え方がどうなんだろう。一体大臣、どういうふうにお考えになりますか。この点、文部省みずからが、こういうふうにありたい、こうあってほしい、だからこれを提供したのである。ともかく何でもいいのだ、やりっぱなしにしてやりほうだいやりなさい。夕方三歳の子供が寄ってきたら、むしろでも敷いてキスでもして遊びなさい、何でもできる場だから、なぐり合いでもいじめ合いでもしなさい、何でもかんでもやってよいという趣旨なのか。そうでなくして、みずから規範たるべきものを持って提案しているのかどうか。提案者みずから、一体どういうふうになるのか。文部省の基本的な姿勢はどうなんでしょうね。局長でよろしい、どうぞ。
  60. 今村武俊

    ○今村政府委員 第一期の目標は「子どものからだと心」というテーマによる番組でございまして、子供の時分に遊び場所を準備する必要があるということをねらっておるものでございます。昔は家庭の近くに遊び場所が外にたくさんございましたけれども、だんだん人口が都市に住むようになって、回り近所に遊び場がない、子供は遊びを通じてそのからだをつくり、心をつくって、習慣もできる、友達との関係も身に覚えていくということで、こんな遊び易をつくっていく必要がある、子供にはそれが必然的に要求されるのだということが、このことばの裏にあるねらいでございます。
  61. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは政治の問題です。家庭の問題じゃないです。それは要するに行政の府にあるもの、国会等みずからが、子供のために全国に子供の遊び場をつくらねばいかぬ、遊び場の設計はかくせねばいかぬということは、それはおとなの世界の政治、行政の場の問題であります。親を教育する条件づくりでも何でもございません。私の申しましたのは、文部省自体が主体的にどのようなものがあってほしいということを考えていくのかどうか。もし遊び場がもっとあったほうがいいというなら、それは国会で論議したらいい、省内で論議されたらいい。親を教育する問題じゃないと思います。ちょっとその辺が私とピントが合わないのです。局長、時間もだんだんたってくるから、これはよろしい。また問答しましょう。  五番目に、「無理解といわれて」こういうことになっておるのです。団地の子供を喜ばしたいばかりに高校生の女の子が毎夜おそくまで芝居の練習に打ち込んでおる。そこで若い男と一緒くたになってやっている。そのわが子の行動について口を出してしまう親、親が理解がないなといわれる、「無理解といわれて」——一体これはまた何を目標にするのだろう。こういうようなことにつきましても、大臣、私が思いますのは、これは私の考え方があるいは間違っているかわかりませんけれども、みずから守るべきものがあって、みずから求めんとするものがあって、それを提供するという行き方が文部省としては必要ではないのであろうか。そうじゃなしに、伸びようとするのだから、みな伸ばしてやったらいいじゃないか、それが教育だ、みずからあるものをこうしたほうがよろしいというのは押しつけ教育になるのだ、教育勅語になってしまうおそれがある、というような批判もあるかもしれませんけれども、そこはやはり主体的なものがなくちゃいかぬ。それが文教の府であります。こういう意味におきまして、以前から、文部大臣というものは伴食の大臣であってはいかぬ、閣僚のうち最も尊敬すべき、三年でも五年でもその地位に安住し得るような大臣文部大臣である。それほど文教というものは国の施策として根本の柱であるというくらいにまで私は思いますので、そこで、やはりこの子供というものを大事に考えますので、子供をねらい親をねらい、そこまで打ち込んでいこうとする打ち込み方ですから、全国五百万が聞くというのならこれはえらいことですよ。そこで、どうもこの辺がしり切れトンボになって、何が頭やら尾やらわからぬようなあれを一体文部省は求めておるんだろうかというふうに実は考える。高校生はうんとやりなさい、深夜徹夜もよろしい、やりなさい。最近ドイツにおきまして、ドイツの大学におきましては女性があまり夜中まで入ってくることは許さないという学校の規則がございますが、ところが夜十一時、十二時まで女性がおるということが一つの問題になっておることがあります。それほどやはり社会の一つの規律というものが最近言われる時代でございますので、一体これはどっちの味方をしようとしているのか。若い女の子が夜おそくまで芝居に打ち込んで若い男と一緒くたにやっているということに賛成する意味なのか、口出しするおかあさんに賛成するのか、口出したらいかぬというのか、一体何を言おうとしているのかということ、この辺を私はあなたに聞きたかったのです。これはずばっとでよろしい。
  62. 今村武俊

    ○今村政府委員 女の子が夜おそくまで外にいるということ、そのことだけをもって、他の条件を加えないで、いいとか悪いとかということはなかなかむずかしいことだと思います。具体的に出てまいります例は、子供たちを喜ばすために青年男女が一緒になって一生懸命芝居を練習して、家庭環境の恵まれない子供たちを楽しませてやるために一生懸命努力した青年たちの例が出てくるわけですが、その具体的な例をめぐって、親によっては、女の子がおそくまで外にいるのはいけないというところもあるし、あるいはそのこと自体を評価してくれるところもあるし、いろいろな場面が出てくるわけでございまして、そしてそういうものに対して具体的に青年は親に理解を求めるという努力をしておりますし、親もまた青年たちとよく話し合って、その意味を知り、しかしまたおのずから社会には限度があるということを親のほうが知らせ、そして気持ちが解け合ってうまく仕事ができるといったような筋書きでございまして、先生、ここに書いてある事項内容をごらんになってすぐ御批判でございますけれども、これは五万部つくって全国に配っております番組解説資料であって、多くの人がこれを見て、どういう番組であるかということの興味を持ってくれるきっかけにしたいという趣旨もございますので、これにすべて文部省のインテンションが出ておるわけではないわけでございます。
  63. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わかりました。  それから、願わくは文部省は常に厳とした姿勢をもちまして、これは商店のチラシビラじゃないのでありますから、いつも教育の姿勢だけはあらわれておる、片りんもあらわれておる、興味を持ってつっていくという魚じゃないのですから、そういうような姿勢が私は望ましいと思うのです。あなたは御承知かどうか知らぬけれども、最近夜十一時、十二時になりまして、公園の池の近くへ行きまして若い男女が手を握って、十一時、十二時までじっと遊んでいるという事実もあるのです。そういうこともございますので、一がいに私はどれもこれも否定はしませんけれども、よほどこの辺は、社会教育と打ち出す以上はあらゆる配慮が望ましいと思うので、ちょっと伺ったのです。  そこで大臣、私は一つ伺いたいと思うのですが、やはり親を教育する、成人教育をする、同時にそれは子のためでしょう、それで親のためでしょう、家庭のためでしょう、社会のためでしょうが。そこで、これを妨害するものは何だろう、阻害する因は何だろうというふうに思いますと、どうもおとなの世界じゃないかと思うのです。この間もある成人が、若い女性を見つけるとさっと手をまたぐらへ突っ込むようなことが十数件あった事実がございますので、何でそんなことおまえやったのかと私聞いてみましたところが、実は映画の看板に刺激されて、それから何とか週刊誌に刺激されたのか、どうもかっとなってきたんだと。酒飲むのか、酒は飲まぬ。平素はどうやらよく働くし、夫婦仲はいい、家庭はちゃんとした家庭。そんなことがきっかけになっていると聞くんですね。そこで、やはり私は、おとなの世界が妨害しているという面が多分にあると考えるのです。容易なことじゃないです。そんなことを言い出しましたらば際限ありませんので、そこで私は、児童の将来をほんとうに考えましたときに、前の坂田さんにも申し上げたのでございますけれども、どう考えましても私の結論は、やはり原点は胎児だと思うのです。胎児はほんとうに大切にするというところにさかのぼって、そうしてそこにはぐくんだ新しい生命、新しいこの生命を大切にするというところから教育は出発すべきだ、こう思うのです。  で、大臣、できましたらあなた在任中に、新しい時代における胎教とは何ぞやということについて、ひとつずばっとあなた、ほんとうに国会に回答でもしてほしいと思うのです。これを申し上げるゆえんのものは、家庭教育そのもの、これは原点であると私は考えるのです。ほんとうに、生命が宿りましたときにそれを大切にするということは、健康児を生むゆえんではないでしょうか。同時に、それは母が子供のことを考える、赤ん坊が生まれるだろうということを考える、その考え方を練っていくということが大事じゃないでしょうか。どうも子供の計画はそんなつもりじゃなかった、適当にもう人工流産しておこうかというようなことが日本では行なわれますが、これはえらいことですね、この思想が。そんなところから生まれてきた子供の教育なんてできやしませんです。それで、御承知のとおりにいまの身体障害児、精薄者、梅毒患者というものの数ははっきりわからぬわけです。推定です。障害児はわかっていますけれども、梅毒患者は日本でわからぬです。こういうことを思いますと何かしらん混乱してきますわ。私は、文教の原点はやはりここだと思うのですね。そこで、おなかの中に宿したときからひとつ教育のあり方を考えてもらいたい。もちろんそれは衛生がありますし、医学的なものがあります、栄養があります、経済もあります、考え方もあります。教育でございます。私は、どうしてもそこまでさかのぼっていくのじゃないと、家庭教育も成人教育も児童教育もあり得ないと思うのですね。この間も実は私、保育所、幼稚園というものを少し回って、あれこれと調査したりしてみたのでありますが、さかのぼりますと、そこまで何ぼ考えても行くのであります。大臣どうお思いになりますか。
  64. 高見三郎

    高見国務大臣 吉田先生の御意見全く同感であります。今日のように価値観の変動の激しいときに、一番残念に思いますことは、核家族化いたしました状態において、実は私も幼稚園のPTAの大会に出てみたのでありますが、この人が幼稚園児のおかあさんかなと思うような若い、一見お嬢さん風のおかあさんが非常に多い。極端に申しますと子供の抱き方も知らないというような——結婚するとすぐ別居する関係がありまして、子供の抱き方も知らぬというような状態があるのじゃないか。いま胎教のお話が出ましたが、確かにお話しのとおり私もその問題を真剣に考えなければならぬと思っております。と同時に、できることなら、私はあまり理屈がましいことを申し上げたくはないのですけれども、母乳でもって育てるおかあさんというものを一人でも多くしたいという気持ちを切実に持っております。子供が母親の乳ぶさを含みながら泣き寝入りをする、その間に実は私は親子の間の人間としての愛情の交流が生まれるのじゃないかと思う。ところが今日は、牛乳を飲んでゴムの乳首をなめておるという状態であるところに実は、まことにいやなことばでありますが、親子の断絶などということばが生まれざるを得ないということを考えますと、私どもこれからやらなければならぬ仕事は、まず、生まれ落ちてから死ぬまでが教育の期間だ、生涯が教育の期間であるという意味において、私は、学校制度の改革もさることながら、一番大事な問題は、生涯教育というものに重点を置かなければならぬ。これは文部大臣としていささか筋違いなことを考えておるとお考えになるかもしれませんけれども、私は、人間生まれてからどうせ死ぬのでありますから、死ぬまでの間は教育の期間だ。一番大事な問題は、胎教から出発して、息を引きとるまでの間が人間修業の期間である。そういう意味において、先生の御意見には全く同感であるということを申し上げておきます。
  65. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、社会におきまして文明が進歩し、それぞれの分野に分業が発達いたしましたときに、制度は非常に完備するのが現実でございますが、非常に制度が完備し、高度な発達を遂げまして、科学性を持って運営されていく、それも当然でありますけれども、反面、やはり制度以前の、科学以前の持っておる人間の生命とか、あるいは親子とか夫婦とか家庭とか、そういう人間の持っておるほんとうに本質的な、自然的なものが失われないようなあり方が望ましいのではないだろうか。過日、私スウェーデンに参りまして、少し社会福祉の状態を見せていただいたのでありますが、やはりあの国におきましても、日本の家族制度の今日のあり方よりも、ともかく伝わる家庭制度というものに対する一つのあこがれをほんとうに持っていますね。よく知らぬけれども、ともかくさびしい。制度は至れり尽くせりだがさびしい。そのさびしさをほんとうに埋めてくれるものは、日本のああいうあり方ではないだろうか。ずっと昔、戦前のいまからもう三、四十年も前のことですけれども、私、満州でユダヤ研究をしている人にちょっと会ったことがあるのですけれども、この人に、ユダヤにおける民族の終局のねらいはどんなものですかと聞いてみたところ、日本のような家庭をつくってみたい。そこに私は、現在の日本の核家族関係、あるいはばば抜き結婚というような新しい時代の風潮もありますけれども、よいものはよいもので守っていく、保存していく、伝統を持っていくというところに一つの国の進歩があるのじゃないだろうか。そう思いますと、息の長い仕事ですけれども、文教の府は、ほんとうに小さい子の教育から打ち込んでいくその姿勢が、いまのような面について少しでも目をそらさないで保っていくということが大事でないだろうか、こう思うのであります。ですから、いま文部省と厚生省で、幼稚園は文部省、保育行政は厚生省になっていますけれども、国全体の立場から見ましたら一本でございます。だから、関連がありますので、絶えずその辺の交流はなされていると思うのでありますが、とにかくそれが望ましい。  もう一つは、大臣、私思いますのに、忙しいとはお察ししますけれども、できるなら大臣が先頭になりまして、部下を督励して日本じゅう歩かなければならぬと思うのです。それは水戸黄門のような歩き方という意味じゃありませんけれども、それは初等教育——たとえば私、先般ある小学校へ行きまして、小学校の先生が向こうで会議している、子供は自由に討議している場を見せてもらったりしたのでありますが、やはりいろいろな場に大臣みずから出まして、そして特に私は初中教育ないしは児童教育のあり方、保育あるいは家庭のあり方、社会との関連の重要さを思いますので、その辺、お歩きになって、そして率直に平易に、PTAの皆さんとの会合もやってみたりなんかするようなことをちょっとやってみるということも大事じゃないだろうか。生きた政治ができます。それが大事じゃないだろうか。特にこんなような「親の目・子の目」、こういう番組を持って全国に訴えていきなさるときに、一そうそういうことを切実に思います。だから、そこは大臣、先頭を切ってやるというぐらいの姿勢を持っていただきますことが、非常に大切なことでないであろうか、こう思いますが、その辺について、ひとつ御所見を聞いておきたいと思います。
  66. 高見三郎

    高見国務大臣 確かにお話しのとおりであります。私みずからこの目で確かめてみたいと思っておりますが、就任以来、臨時国会が二度もありまして、ほとんど寸暇もないような状態なのであります。しかし、いま吉田先生が御指摘になりました点は、私身をもって実行いたしたいということを申し上げておきます。
  67. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最近、小中学校で女性の教職員がだんだんとふえるのは一般の傾向かと思いますけれども、どうしてかと聞いてみると、やはり待遇の問題が出ておったわけであります。大学を卒業して、もっと民間企業のほうがいい、そういうことが出ておったようでございます。私は、教育機関たるものは、またそれに従事する教職員は、ほんとうに名実ともに社会的に尊敬を受けるような立場でなければならぬ、こう考えるのであります。おれは労働者なんだから超勤するのはいやだ、もっと給料をよけいもらわなければもう働くのはいやなんだ、一時間何ぼでもらうのはいやなんだというような算術で教育されるということになりましたら、これはもう言うなれば教育公害を起こすおそれがある。何にも知らない子供が被害者になる危険がございます。やはりそこは教育ですから、そろばんではございませんので、木と鉄で合わせて何かをつくるのではございません。やはり持って生まれた天分もあろうし、体質もあろうし、いろいろな諸般の傾向もあろうし、すき好みもありましょうから、その能力を開発し、天分を引き伸ばしていくというような、至大な一つの使命感を持って教育に当たり得るような教育官が充実できぬものか。何が一体それをさせぬのか。待遇が悪いからさせぬのか、そもそもそんなことはこの時勢に合わぬからだめだというのか。私は、やはりどこから考えましても、教育というのは国策の大本を占めるべきものであって、未来を担当する者は教育によって生まれてくるはずですから、教育の場は、特に初中教育はもう重要だと思うのです。そういう意味におきまして、その辺についてほんとうに不足するものがあるなら充実したらいいです。しかし、千円よりも千五百円のほうが、一万円よりも一万五千円のほうがいい人が雇えるのだという、それもまた情けないことです。そのかわり、小学校の校長であろうと、抜てきして文部省課長局長にするくらいな、自由に人材の交流ができるような社会の構成があってほしいと私は思うのであります。ともかく何か知らぬけれども、その辺に停滞しておるものがあるのですね。その停滞しておるものがあっては、これは教育の妨害になりますね。ですから、もう触れて生き生きしたもの、フレッシュなものは、われわれは感じませんよ。何かありきたりのことになっちゃうのです。それじゃほんとうの教育はできませんわ。子供はやはりまっ白なものです。白紙であり、白糸ですよ。どうでもなるのです。私は、成田騒動でゲバや火炎びんをぶつけたようなそういう者も弁護してやります。しかし、人間は扱いようによりましてどうでもなり得るのは、それは小さい子ほどです。ここで私は、初中教育の重要性をほんとうに痛感したいのです。ですから、改めるものがあったら大胆に改めて、よい人を選んでいきたい。学校の教職員こそほんとうに生涯を打ち込んでいく仕事だというふうに一体できぬものか。何がそうさせぬのか。これを打開することが、大臣、文教の府をほんとうに権威あらしめる道で、文教の成果をもたらす道でないだろうか。こう考えるのですが、その辺はどうでしょう。何も私は具体的に提案をしておるという意味ではないのですけれども、ばく然としたものですけれども、基本的なお考え方としてはどうお思いになりましょうね。
  68. 高見三郎

    高見国務大臣 全く御意見に同感であります。私は、教育というものは人と人との魂の交流から生まれるものだという理念を持っております。その意味におきましては、教師のいかんということが教育の成果を左右する。しかし、現在におきましても、教師みずからがみずからをいやしくしておるような、自分を労働者だというようなことを言っておりますけれども、子供のほうはどうかというと、おじいちゃん、そんなこと言ったって先生はこう教えたのだというので、先生のほうを尊敬しておるというのが実情であります。この問題を考えまするがゆえに、私は先生の影響力というものがいかに大きいかということをしみじみ感じます。親が言うことより、文部大臣である私が言うことよりは、孫は先生はこう言ったんだ、こう言っておりますところを見ますると、先生の影響力の大きさというものに、いまさらながら驚嘆するのであります。  ただ、残念ながら御指摘のように、教師が——教師としての使命感に燃える教師を私は得たいものだと思う。質のいい先生ということは、何も大学の成績がいいということを意味しておるのじゃなくて、ほんとうに教育者として一生をささげようというだけの情熱を持ってくれる人が質のいい先生で、こういう先生をつくり出すことを私は考えなければならぬ。私がやらなければならぬ仕事は、教師の養成の仕事をまず手がけなければならぬ。処遇の改善の問題は、もちろんいい教師を得る客観条件としては何より大切なことでありましょう。けれども、処遇の改善というだけでいい教師が得られるかというと、必ずしもそうじゃないと私は思うのであります。というのは、別にまた処遇のいい場所があればそこへ回っていくというだけのことであるならば、それは処遇の改善そのものが直ちにいい教師を得るという必須の条件にはならない。ただ、現在の先生の待遇は、こんなことで、先生が先生としての体面を保つことができないという状態であってはならぬ。だから、処遇の改善については特に力を入れるという意味はそういう意味で考えておるのであります。  たとえば昔の旧制高等学校の先生などというものは、学生がたずねてきますと、ビールを飲んで、学生と一緒に放歌高吟して、恋愛を語り人生を語りする余裕がございましたけれども、いまの高等学校の先生は、生徒が身の上相談に来ても親身に相談に乗ってやるひまもないという状態になっておるところに、私は、日本教育界の非常な大きな不幸がある、こういう考え方でおるものであります。  そういう意味におきまして、いま先生の御指摘になりました点は全く同感であると申し上げておきたいと思います。
  69. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 終わりますので、最後に大臣、いずれ教育の問題は、後期中等教育の問題も、それから大学教育のあり方——さっきも大学の先生方が会計知識がないとおっしゃっておりましたので、まことに奇異な感じもいたしました。科学性をもって人生を行く人が、科学的な会計処理について無知だというようなことがありましてはたいへんでございますので、これはこれで一応また検討してみます。そして私は何かと論議したいのですが、きょうはこれで終わりますけれども、教えるというようなことは、古いことばに、述べて作らずということばがございますとおり、それほど謙虚に、みずからものを教えるというような姿勢ではと思うたのが、これはほんとうに徳の高い人のことでございまして、いまは、おしゃべりはするけれども実行が伴わない。教えるけれども実践はしない。私は、やはり全責任を自分が持つということが大事でないだろうか。この間船田さんと一緒にちょっと外国を旅行したのですが、船田さんと二人、個人主義のいいところは何だろうといって、しみじみ話し合っていたのです。個人主義のいいところ、船田さん自身も、私もこんな経験をしたという話なんです。親が子供に言いつけたり何かしているときに、おまえのしたことはおまえが責任を持つのだということを何かの形で打ち込みよることを自分は見たというのです。それは私もおもしろい。自分の行為について自分が責任を負う。それは個人主義の到達点かもわかりませんが、私はやはりそれと同じように、言うたことは行なうのだ、自分がようせぬようなこと、行なわないようなことは言わないことだ、これが教える者の資格だと思うのです。学問がありとか知識がありとか経験があるとかいうようなことは、それはどんな人でもありますが、しかし言うたことはすること、しないことは言わないこと、言行みずから一致していくという、そこに教育の基本姿勢がなければならぬ、こう思うのです。その辺がやはり、おとなの世界が混乱しておるので、混乱しておる中で子供に押しつけていこうというような傾向がありますので、むずかしいことです。何がもとやら、原因結果がわからぬようなことでございますけれども、教育の分野、世界だけは、常にみずから言行一致の世界であるというふうな厳然としたものが秩序として守られていく、どうかこういうことに何とかあってほしいな。そうしてほんとうに教育の業務に携わる者は、それは行政であろうと教育自身の仕事であろうと、何にかかわりませず、ともかく非常に尊敬さるべき社会的の地位、誉れある仕事である。人生ほんとうに誇りとし得るものだ。こういうふうにすべきじゃないか、こう思うのですが、そのぐらいの誇りをもってひとつ文教の仕事をやってもらいたい、こう思うのです。御感想だけ聞いて、きょうはこれで終わっておきます。
  70. 高見三郎

    高見国務大臣 全く同感でございます。     —————————————
  71. 福田繁芳

    福田委員長 諸君におはかりいたします。  本日の理事会の申し合わせによりまして、最後に大蔵省所管に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 福田繁芳

    福田委員長 御異議ないようですから、さようにいたします。  大蔵省所管に関して質疑の申し出がございますので、これを許します。  本日は、大蔵省所管に関する御質問発言を求められておるのはお一人でございますので、ごゆっくりと、当局のほうも丁重に御答弁賜わりたいと、委員長は特にお願いいたしておきます。坂井弘一君。
  73. 坂井弘一

    ○坂井委員 質問の要点に対しましてはひとつ簡明に御答弁をお願いいたします。  問題は手形の取り扱い高で日本最大といわれております株式会社日証、貸し金業者でございます。この日証にかかる問題でございますが、日証の資本金は四千五百万、これが手形取り扱い高が年商七百億ともいわれております。きわめて奇怪な、いうならば一種の怪物会社と申しましょうか、そういう存在でございます。この日証に対しまして、国税庁は何らかの調査をされていらっしゃると思いますけれども、十分な調査をされたかどうか、まず第一点お伺いしたいと思う。
  74. 江口健司

    ○江口説明員 現在まだ調査を続行中でございますが、若干説明を補足させていただきますと、もうすでに調査を開始いたしましてから二カ月余になりますが、この種のものにつきましては——この種のものと申しますのは、いわゆる貸し金業務の調査につきましては、従来からいろいろ困難な問題がございますので、今回は局員を主力にいたしまして、一般調査という形で現在続行中でございます。
  75. 坂井弘一

    ○坂井委員 調査の目的と、それからこの日証を調査しているのは一体どこが調査しているのでしょうか。大阪国税局でありますか、あるいは南税務署でありますか。
  76. 江口健司

    ○江口説明員 ただいま申し上げましたように、大阪国税局が主力になりまして、南税務署管内でございますので、若干名手伝いという形で一緒にやっておるということになっております。  それから目的でございますが、日証関係につきましては、実は連年調査をいたしてございます。ところが、いろいろこうした貸し金業につきましては問題がございますし、先生御指摘のとおり、日証の場合には、この種のものとしましては最も規模の大きいものの一つでございます。したがって、いろいろ複雑な問題がございますので、一般調査といいながら、ことしは特に日証の実態の解明をはかりたいという目的でもって、局員が主力になって調査をしておる、こういうことでございます。
  77. 坂井弘一

    ○坂井委員 一般調査ではあるけれども、日証の実態を把握したいという目的がある。この日証に関係をしていろいろの問題がある。そのいろいろの問題というのは、いわゆる日証を舞台としたところの金主——多額の金を日証に導入しておる、日証に貸しておるそういう金主の中に大口の脱税者がある。すでに国税局でも六名ばかりそういう金主をつかんで、いずれも数千万ないしは一億以上であります、うち一名は告発をいたしておる。これはまあ後ほど触れたいと思いますが、そういうような大口脱税があったがゆえに、それの裏づけといいますか、反面調査というような意味もかねて日証の実態をこの際は把握したいための調査である、そう理解してよろしゅうございますか。
  78. 江口健司

    ○江口説明員 一般調査でございますから、すでに申告がされております、これは十二月決算の法人でございますが、その申告の分につきまして一般の調査をするということが一つございますが、そのほかに、御指摘のように金主からの金が流れておるという点がなかなか解明がしにくいということで、その旨もあわせまして実態を把握するということでございます。
  79. 坂井弘一

    ○坂井委員 それではお伺いしたいと思いますが、最近におきます日証の手形扱いの総高、それから買い入れて割り引いた総額、それからこれをさらに、いわゆる金主に対する再割りに出しますその額、それからその間の利率、口証の利ざやと申しますか、利益はいかほどになっておりましょうか。
  80. 江口健司

    ○江口説明員 先ほど申し上げましたように、もうすでに二カ月をけみしておりますが、実は全体の数字その他についてはまだ確定的になっておりません。もちろん為替取引あるいは不動産担保による貸し付けといったようなものが主たる業務でございますが、その場合に、現在のところまだ抽象的な内容でまことに恐縮でございますが、自己資金によっていま申し上げたような事業をやっておる部分と、それから金主から入ってきております資金をもとにしておるものと、こう両方あるという前提で、その部分がそれぞれ幾らであるのか、あるいはどういう手続、経路を経ておるのかというのを現在解明中であるということでございます。
  81. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、金主の実態、金主がどれくらいおって、どれくらいの規模の金を日証に提供しておる、そういうような事実についてもまだ把握されておりませんか。
  82. 江口健司

    ○江口説明員 現在その点について解明中でございますが、現在のところ金主が何名おるのか、それに基づく、動いておる金がどうあるのかということは、残念ながら現在のところはごく一部でございまして、まことに、解明の度合いとしましては時間をかけたわりに少ないということが言えると思いますが、なお今後の問題につきましては、金主全部を把握できるかどうかは、日証側の業務態様等からいきまして、協力困難といったような事情があるようでございますので、なかなか解明は難航するのではないかということが現在の段階では予想されます。
  83. 坂井弘一

    ○坂井委員 私の知り得た範囲におきましても、この金主の中には非常に規模の大きな人がおります。年間数億、数十億、あるいは百億を突破する、そういうそのあらましについては国税庁はつかんでいらっしゃると思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  84. 江口健司

    ○江口説明員 いま御指摘の数百億ということについては、まだ、少なくとも私の段階では報告を受けておりません。ただ、何回も回転してその資金が使われるということになりますと、相当の金額になろうかと思いますが、現在のところまだ推測の域を脱しておりませんけれども、一人の金主が現実のキャッシュその他でもって動かしておるものというのは、数百億ということにはならぬのではなかろうかという感じがしております。
  85. 坂井弘一

    ○坂井委員 前段申しましたように、日証それ自体の資本金は四千五百万、自己資金というものはきわめてわずかだ。これが年商七百億といいますと、その多くはいわゆる他の金主によって提供されておる。したがって、この巨額の財源の出所というものは、その大部分は金主であろうということは推測されるわけでございますけれども、国税庁はそういうふうに見ていらっしゃいますか、どうですか。
  86. 江口健司

    ○江口説明員 御指摘のとおり、私たちもそう感じております。
  87. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは、出資法、正確には出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律、この解釈についてお尋ねをいたしたいと思いますが、これは第九条におきましては、手形の割引については金銭の貸借とみなすとなっておりまして、第二条におきましては、不特定かつ多数から業としての預かり金の禁止、これをうたっております。  この日証の手形の割引、さらに再割引、この実態とこの法律との関係はいかがでございますか。どう考えていらっしゃいますか。
  88. 磯辺律男

    ○磯辺説明員 お答えいたします。ただいま先生御指摘のように、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の第二条によりますと、「業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。」という明文がございまして、当然これには罰則の規定もございます。しかしながら、この法律の解釈というのは、非常にいろいろなケースがございまして、実態を見きわめた上でなければ、軽々にそれが違法であるとかあるいは合法であるというのを判断するのは非常にむずかしいケースでございます。いろいろこういった類似のケース等につきまして疑義のある場合には、警察庁等取り締まり官庁のほうから大蔵省銀行局のほうに対しまして、こういうケースについてはこの第二条違反であるかどうかという問題についての照会がございまして、その具体的なケースに基づきまして私たちは関係方面と協議をしまして、違法であるかどうかという判定をしておるわけでございます。  したがいまして、一般的にそれが違法であるかどうかということは言えないわけでございますけれども、抽象的に申しますと、かりに一つの貸し金業者が手形の割引をする、それで現在日証でやっておりますように、それをまた金主に再割引に出すとか、あるいは金主を見つけましてこの手形の割引の媒介をするといったような場合には、これはあくまでも一般論でございますけれども、その手形の振り出し人そのものが全く架空の人物であるとか、全く営業活動をやっていない、実際に商行為なりそういった商活動の裏づけのないような架空の手形を使用しまして、それを再割に出すというふうなことがあれば、この場合には、それが手形取引を擬装した一種の受け入れ金に該当するというふうなケースもあろうかと思います。  以上でございます。
  89. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは、この再割引の際に、金主と日証との間に何らかの証拠になるようなものが発行されておりますか、どうですか。
  90. 江口健司

    ○江口説明員 まだ調査進行中でございますので、いま御指摘のような、われわれのほうからいきますと、物的証拠的なものを私はまだ見ておりません。ただ現地のほうでは部分的に解明ができたものもあるやの報告を受けておりますので、その限りにおきましてはそうした証拠もあるものと思われます。
  91. 坂井弘一

    ○坂井委員 金主から金を受け入れた際に、これは「代金取立手形受託証」の写しであります。こういうものを国税庁は手に入れていらっしゃると思いますが、いかがですか。
  92. 江口健司

    ○江口説明員 具体的に私、いまの書類を見ておりませんが、部分的には持っておるはずでございます。
  93. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは一体この「代金取立手形受託証」なるものは、何の目的をもって発行された、出されたと解されていらっしゃいますか。
  94. 江口健司

    ○江口説明員 その辺が取引の実態関係に触れる問題でございますので、まだ解明ができてないと思いますが、おそらくこれは想像でまことに恐縮でございますが、日証が為替の取引についていわば仲介的な立場にあるといたしますと、金主のほうから金を借りてまいりまして、それをもとにして手形の取引を行なうということであるとするならば、預かり証的なものは当然金主のほうに、元本の保証というあとの手続の関係がございますので、預かり証を常識的には発行するものと思われるわけでございます。もちろん、あとで元本だけを返すわけにはまいりませんから、利子あるいは手数料ということばを使っておるかどうか、その辺がまだつまびらかでございませんけれども、何らかの形でマージン的なものを金主のほうに払わなくちゃいかぬということも当然予想されますので、それらに関する書類もあるかと思います。
  95. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは申し上げたいと思いますが、まさにいまおっしゃるとおりの預かり証的な意味もあります。しかしながら表現は受託証であります。言うならばこの受託証は元本を保証しますという一種の約束だと私はとっております。これを見ますと、金を出した金主の名前は出ません。額面は出ます。それから支払人は出ます。支払日は出ます。日証の判があります。これを受け取った金主は日証へ持参すれば金にかわる、こういうことでございます。しかもこの中には「銀行承認印」とあります。何ら銀行には関係のない受託証であるはずであります。あたかもこの受託証は、一種の金券預かり証ではありますけれども、この受託証によって元本を保証いたしますというそういう色彩がきわめて強い。いわゆる出させた金の預かり証的なものであります。したがってそうなりますと、先ほど説明のありました出資法の第二条、これは「預り金をしてはならない」、いかなる名目をもってしても預かり金をしてはならない、これは法の中に明白であります。したがって少なくともこうした受託証を発行しているということは出資法に抵触するのではないかという強い疑いを私は持ちます。この点について法制局の見解を聞きたい。
  96. 福田繁芳

    福田委員長 坂井君、法制局への質問はあとに回していただきたいのです。
  97. 坂井弘一

    ○坂井委員 では銀行局。
  98. 福田繁芳

    福田委員長 磯辺銀行局総務課長にお願いいたします。
  99. 磯辺律男

    ○磯辺説明員 ただいま先生の御指摘がございまして、それは率直に申しまして私は非常にいろいろ解釈できると思うのでございます。一つの解釈としましては、まずそれは単なる手形を取り立てるための一種の受託証であるというふうな解釈もできますし、それからまた先生がおっしゃいましたように、これはそういったことを仮装して一つの元本を保証した保証書であるというふうな解釈もできるかと思いますが、いずれにしましても、この問題については国税庁関係で、いまずっと実態を調査しておりますので、その具体的なる事実関係をもって私たちも判断していきたい、かように考えております。
  100. 坂井弘一

    ○坂井委員 それではもう一ぺん元へ戻しますが、一体この出資法が制定されたその立法の趣旨は何でしょうか。
  101. 磯辺律男

    ○磯辺説明員 これは御承知のように、当初、貸し金業というものに対します取り締まり法で貸し金業等取締法というのがありました。これは終戦直後と私は記憶しておりますが、これによりますと、貸し金業を営もうとするときには大蔵大臣に対して登録をするということになっておりまして、その後数がふえてまいりまして登録制がなくなりまして、現在は、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の中の一条として、貸し金業を営んだ場合にはすみやかにこれを大蔵大臣に対して届けなければならないという規定がございまして、これが現在はその届け出の先というのが都道府県知事に政令によって委任されておるという状態でございますが、この立法の趣旨といたしますところは、やはり金融というものは一つの秩序がなければいかぬということが一つ、それから同時に、むしろ現在の法律のねらいとするところは社会的な弱者といいますか、つまりいわゆる高金利によりまして経済的に弱い人たちに対して不当な損害を与えるということの取り締まりということが主となって現在の法律が構成されておる、かように考えております。
  102. 坂井弘一

    ○坂井委員 立法の趣旨につきましてはいま答弁があったとおりだと思います。経済秩序を維持し、ないし投資家に対して不測の損害を生ぜしめないという目的がある。この法律が制定される以前にもずいぶんいろいろ問題があったのですね。そういうことからこれは制定されたということであります。貸し金業者については、いまお話のありましたとおり、これは届け出のみですね。一般預金というものは、銀行法に基づく銀行並びに証券取引法に基づく証券会社しか扱うことはできない、そういうことであります。そこで私が前段、事実をもって示しましたように、この受託証なるものはすでに大阪国税局もこれを手にしていらっしゃるはずですね。そうしてずいぶんいろいろ検討もなさったかと思います。それでは逆に申します。もしかこの受託証なるものが許されるとするならば、出資法に抵触しないというならば、これは一般的に認められますかどうですか。
  103. 磯辺律男

    ○磯辺説明員 それは先ほどお答えいたしましたように、一般的な解釈としましては、それは単に手形を取り立てるための委任状であるというふうにも解されるのでありまして、その点につきましてはもう少し関係方面と議論をいたしましてお答えをいたしたいと思います。
  104. 坂井弘一

    ○坂井委員 進まぬようであります。私はまさに問題があるということを指摘申し上げたい。立法の趣旨に照らしても二、三点問題があります。少なくとも問題はある。それから第二点、これは法に照らしてです。第二条、いわゆる預かり金としての経済的性質のきわめて濃厚であるということを事実をもって申し上げておるわけです。すべてこういう受託証によって金主から金が出ているわけです。この受託証を受け取った限りは絶対に元本は保証される。いまだかつて一件も不渡りはない。しかもこの受託証の中に「銀行承認印」がある。何ら必要のないものまでもこれを印刷して暗に信用をさせておる。しかもこれを使った、これを受け取って金を出した金主群の中に、あなた方が摘発された悪質な金主もある。しかもこれをこういう受託証によって事業形態をなしているのは日証だけであります。六万数千に及ぶ金融業者はやっておりません。なぜやらないのか。少なくとも出資法に触れるでしょう。立法の趣旨にも反するでしょう。もしそうでないとするならば、これはまさしく脱法行為である。法十一条第一号、第二号。これはまさしく脱法行為である。こういうものをそのままなぜ放置するのか。現実に日証自体が昭和四十一年六月——五月ですか、問題になった。その時点から調査を始めておる。これは反面調査であるかどうか知りません。今日の時点においてこういう事実も出てきておる。したがって、他の金融業者なりあるいは一般の国民の目から見て、日証自体がまことに奇怪な怪物会社である、こういうような疑惑の声がちまたにはあふれております。なるほど調査は困難でありましょう。ありましょうけれども、少なくともこういう事実を手にした以上は、これは少なくともそれを実証する一つの有力な証拠であると私は思う。いま申しましたような点から、法制局のひとつ正式な見解を伺いたいと思います。
  105. 茂串俊

    ○茂串政府委員 ただいまお話のございました手形取り立ての受託証の問題だと思うのでございますが、実は私どももこの件につきましては、新聞報道等で承知している程度でございまして、したがいまして、この受託証なるものの性格と申しますか、それ自体がまだ実は十分にもつかめていないのでございます。ただ、まあ非常に形式的に申しますと、先ほど銀行局総務課長も申し上げましたように、手形取り立ての委託、受託ということは商慣行としても行なわれているところでございます関係で、この受託証がその委託、受託の関係の契約だけを憑証する文書であるということであれば、これは先ほど御指摘の出資の受け入れ等の取り締まりに関する法律二条に触れるということはないのではないかというふうに考えておりますが、なお先生のおっしゃるとおり、この受託証の性格なり本質、これをさらに検討してみなければ確たる御返事はできないというような段階でございます。
  106. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは、もう一回銀行局にお尋ねしますけれども、こういう受託証なるものが日証を舞台として出ておる、そしてこれを一つの媒体として数多い金主の中に大口な悪質な脱税者を出しておる、そういう事実は歴然とあります。しかも先ほど申しましたように、これは日証だけがやっておる特殊なシステムであります。あなた方がこれを手にされて今日まで相当な時日を経過したはずであります。いま他の金融業者は、これをやらしてもらえれば、まさに公平な土俵の中で——出資法に違反するかどうか知りません。知りませんが、公平な土俵の中で取引ができる。日証だけはこういう特典がある。やっていいものならみんなやりますよ。やってよろしいかどうか、その一点、お聞きしたい。
  107. 磯辺律男

    ○磯辺説明員 先ほどからお答えいたしておりますが、いまこの場で、非常に申しわけございませんけれども、やっていい悪いということの結論をすのはちょっとむずかしいかと思います。これは早急に関係方面と協議いたしまして、そして結論を出したい、かように考えております。
  108. 坂井弘一

    ○坂井委員 少なくとも非常に大きな問題があろう、こう私はとっております。十分な調査をされたいと思いますが、ただ、この受託証は、日証の社長自体も、いろいろ問題があるのでこれは廃止したい、こういう意向を漏らしているようであります。したがって、そういう点も踏まえられて、勘案されまして、十分ひとつ慎重な御検討をしていただきたいとは思いますが、政務次官にこの際お尋ねをしておきたい。  少なくともこの日証に対しましては、先ほどこれは十分な調査をするように、たいへん困難ではあるけれども進めていくということでありましたけれども、いまのような内容を含めまして、こういう受託証というものを用いたところの業務形態ですね、こういう内容を含めた日証そのものに対する調査、これを徹底して私はやるべきだと思うわけでありますけれども、さらにひとつ政務次官の答弁を承っておきたいと思います。
  109. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 お答え申し上げます。  出資法に触れるかどうかということは、今後の十分な検討をいたしたいところでございますが、法律に触れる触れないは問題外でございまして、道義的には大きな責任があると思いますので、私どもは十分調査の上に調査を重ねまして、御意向に沿いたいというふうに考えております。
  110. 坂井弘一

    ○坂井委員 まさにおっしゃるとおり、たとえこれが法律に直ちに抵触しないまでも、道義的には非常に大きな責任もあろうと私も思います。ただ、いま申しましたように、私はあくまでもこれは法律に抵触するおそれ多分にあり、そういう見方をしておりますので、そういう点をあわせてひとつ強い態度でもって調査を行なっていただきたいということを強く要望申し上げておきたいと思います。  ここでもう一点、どうしてもこういうことになりますと触れざるを得ないことは、むしろ日証に対する調査、その実態の把握がおそきに失した。この原因として、私は日証に対する数多くの公務員の天下りの問題がある、こう指摘せざるを得ないわけであります。  お伺いいたしますけれども、この日証の所轄の税務署である南税務署の署長、日証へ天下りした南税務署の署長は何人いらっしゃるか。その署長名と、それからわかれば天下った年月、なお報酬等について示していただきたいと思います。
  111. 村田博

    ○村田説明員 日証に関与いたしました元南税務署の署長というものが若干おりましたことは事実でございます。私ども十月ごろ調査いたしました結果では、こういった方々を含めまして約六名の人が日証に関与しておったということでございます。その後われわれといたしましても、このような事態を承知いたしましたので、各自に対しまして自粛を要望いたしました。ただいま現在では三名の方が顧問税理士という資格でそれぞれの専門の立場で関与しているというふうに聞いておりますが、その三名の方は元南税務署長ではございませんので、御了承賜わりたいと思います。  なお、報酬その他につきましては、私どもあまりつまびらかに承知いたしておりませんので、御了承願いたいと思います。
  112. 坂井弘一

    ○坂井委員 すでに国税庁からいただいた資料があります。いまおっしゃった三名の方、しかし事実は十月以前には六名いらっしゃった。私は、たまたまここに天下ったというのならば、ことさらにこれを問題にしようという気持ちは実はありませんでした。歴代の署長であります。試みに申し上げます。  署長在任期間三十四年七月から三十六年七月、松田寿栄男さん、これは日証。続いて三十六年七月から三十八年七月、高井保雄、日証へ。続いて三十八年七月から四十年七月、井内田正雄、これは一たん国税局を通って日証。それから四十一年七月から四十二年七月、これは溝畑由造、これは国税局を通って日証。四十二年七月から四十五年七月、木田清蔵、これは東署長を通って日証。四十五年七月から四十六年七月、杉井勤、これはストレートで日証。これはどうですか。政務次官。歴代の南税務署長、所轄の税務署長が全部日証に天下っておる。この間一人抜けておりますが、それは副署長であります。副署長を合わせまして、署長ともに七名、しかもいまおやめになった三名というものは、南税務署長からストレートに日証に行かれた三名なんです。これはそうでしょうね。おそらくおやめになるでしょう。こういう状態は一体 私はいままでずいぶん天下りのことにつきましても聞きました。またそうした事実も知りました。しかしいささかといいますか、これはきわめてひどいじゃございませんか。政務次官、きわめて好ましくないと思うのですが、いかがですか。
  113. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 お答え申し上げます。  全く坂井委員のおっしゃるとおりに私どもも恥ずかしい思いをいたします。同じところに歴代の署長がそういうふうに就職しているということは、やはりどこから考えても私ども反省すべきことで、本人たちにも自粛を勧告はしておりまして、おっしゃるとおり三名になっておりますが、ただ、考えますと、税理士という一つの資格があるということで、就職の自由というととはあります。その点がちょっとひっかかりますが、しかしおしなべて考えますと、これはやはり大きな問題で、これからそういうことがあるということはいけませんので、十分道義的な責任を感じまして、そういうことのないように自粛するよう、さらに十分注意をしていきたいというふうに考えております。
  114. 坂井弘一

    ○坂井委員 このほかに国税庁関係の方も多数いらっしゃいます。これはここで皆さん国税庁のほうから御報告をしてもらいたいと思いますが、国税庁のほうでは実態をつかんでいらっしゃらないということでありますので、あえて私申しませんけれども、少なくとも国税庁関係した方々が十五名もいらっしゃる。それから、ほかに元検事、警察署長、これはどういう役職かだけは申し上げておきましょうか。元最高検次長検事、元大阪高検検事長、元最高検検事、それから元東警察署長、こういう方たち、そういう人たちが四名弁護士として、それから一般担当として、合わせて元公務員が二十名一私企業に天下るのは、私は他に例を知りません。こういう実情なのです。これは政務次官、十分ひとつ認識をしていただきたい。いまの御答弁で私は満足はいたしておりますけれども、そういう実態だということをこの際あらためてひとつ認識していただきたい。実情はそういうことであります。したがって、先ほど申しました南税務署長さんに対しましても、歴代でございますから、いまの現職の署長さんは一体いつ天下るのかということまで伺いたい。職業の選択の自由などあるはずはないというような、そういう実情なのです。そういう多くの顧問団にまるがかえされた日証、この日証を舞台としてこのような「代金取立手形受託証」なるものを用いて、そうしてあまたの金主から数百億という金を引き出して、そうして業としておる。まさに出資法違反ではないかという、そこに大きな問題点があるから、私はあえてこの問題を取り上げたわけであります。しかも金融秩序上、業者間においてもきわめて不満の声は高いようであります。しかも、もし一たび日証が破裂した、パンクしたら、これはどうなりますか。たいへんな混乱が起こるでありましょう。日本の手形の扱い高の約一〇%ばかりは日証に来ておる。そういうような顧問団にかかえられたこの日証を舞台に、これを介して脱税が行なわれておる。私は言いたくはないのですけれども、あたかも国税庁がある意味ではこういう脱税行為のために寄与しているのじゃないか、脱税の温床である、そういうところをかばっているのじゃないか、そうまで実は口ぎたなく言うわけではないですけれども、ある種の怒りを込めて私は言いたくなるわけであります。  なお日証に関係した問題については、具体的な数々の事実がございます。残念ながら本日は時間がございません。他にも具体的に日証自体のこの業態のあり方が、まさに出資法に抵触をするというような、そういう具体的な事実もあります。本日はあえてその問題については時間もございませんので触れませんが、先ほどの御答弁を得ましたように、少なくともそういうようなことをよく勘案された上で、含まれた上で、日証そのものに対する調査というものを厳重にかつ十分な調査をして、ひとつ実態の掌握をしていただきたい。昭和四十一年には銀行局長は、十分な調査をしていなかったということはまことに遺憾である、出資法八条に基づいてこれは調査の事項が明記されておるので、十分な調査をして日証の実態を明らかにいたします、こういう答弁があった。昭和四十一年であります。今日五年を経過しておる。なおかつこういう状態である。  したがって、確かにこういう仮名といいますか偽名を使っての金主もたくさんあるわけであります。また役員の中にもいろいろな問題があるようであります。またそれに関係した政治家もある。しかもそれが国会議員である。多額の政治献金が行なわれて、その政治献金によってこの出資法を買収した、そういうようなことも巷間きわめて強い根拠のある議論として取りざたをされておる。私もそういう政治資金実態についてはある程度の資料を持っております。したがってそのことについては、本日は時間もありませんので、いま前段から申しておりますような事項を一切含めまして今回は留保しておき、質問を終わりたいと思います。
  115. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの坂井君の最終の御質問に対して、あるいは御意見に対して、幸いに大蔵政務次官いらっしゃるから、あなたの決意のほどを当委員会で示していただきたいと思います。
  116. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 ただいま坂井委員の私どもに質問いたされましたことにつきましては、坂井委員のおっしゃるとおり、十分かつ厳重な調査をして、私どもともどもえりを正していきたいというふうに考えます。
  117. 福田繁芳

    福田委員長 次回は公報をもってお知らせすることにして、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十七分散会