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1971-10-22 第67回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十六年十月十六日)(土曜日) (午前零時現在)における本委員は、次の通りであ る。    委員長 櫻内 義雄君    理事 青木 正久君 理事 坂本三十次君    理事 正示啓次郎君 理事 永田 亮一君    理事 山田 久就君 理事 松本 七郎君    理事 曽祢  益君       池田正之輔君    石井  一君       宇都宮徳馬君    北澤 直吉君       鯨岡 兵輔君    小坂徳三郎君       田村  元君    竹内 黎一君       西銘 順治君    野田 武夫君       福田 篤泰君    福永 一臣君       豊  永光君    勝間田清一君       河野  密君    戸叶 里子君       堂森 芳夫君    中川 嘉美君       西中  清君    渡部 一郎君       松本 善明君 ————————————————————— 昭和四十六年十月二十二日(金曜日)     午後三時四分開議  出席委員    委員長 櫻内 義雄君    理事 青木 正久君 理事 坂本三十次君    理事 正示啓次郎君 理事 永田 亮一君    理事 山田 久就君 理事 松本 七郎君    理事 西中  清君 理事 曽祢  益君       石井  一君    鯨岡 兵輔君       小坂徳三郎君    竹内 黎一君       西銘 順治君    野田 武夫君       福永 一臣君    豊  永光君       河野  密君    戸叶 里子君       堂森 芳夫君    中川 嘉美君       松本 善明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         外務政務次官  大西 正男君         外務省アジア局         長       須之部量三君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省条約局長 井川 克一君         外務省国際連合         局長      西堀 正弘君  委員外出席者         外務委員会調査         室長      吉岡 俊夫君     ————————————— 十月二十二日  理事大久保直彦君十月八日委員辞任につき、そ  の補欠として西中清君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 櫻内義雄

    櫻内委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任についておはかりいたします。  去る八日、理事大久保直彦君が委員を辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。ごの際、その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 櫻内義雄

    櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、理事西中清君を指命いたします。     —————————————
  4. 櫻内義雄

    櫻内委員長 引き続き、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  本委員会といたしましては、国際情勢に関する事項について調査をいたしたいと存じますので、この旨議長承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 櫻内義雄

    櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  6. 櫻内義雄

    櫻内委員長 国際情勢に関する件について調査に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永田亮一君。
  7. 永田亮一

    永田委員 私は、与えられた時間の範囲で外務大臣に対して御質問を申し上げたいと思いますが、最初パキスタン難民救済の問題について、それから時間がありましたら沖繩の問題と中国の問題について御質問申し上げますので、なるべく簡単明瞭に、かつ的確にお答えをいただきたいと思います。  最初に、パキスタン難民の問題でありますが、実はこの間、九月の二十日前後に、私ども櫻内外務委員長団長といたしまして、青木理事中尾議員と私、四人パキスタンへ行ってまいりました。難民状況を視察してまいったのでありますが、これは一言で申しますと、まことに悲惨でございます。ほんとうに気の毒な状態である。二十世紀の後半になっておるのに、地球上にこんなみじめな状態があったのかと思うほど気の毒な状態でありまして、決してオーバーではなく、地獄のような気持ちがいたしたのであります。私どもが参りましたときにはレフユージーが八百五十万人ということでありましたが、帰ってきてから、この間二、三日前の新聞を見ますと、すでに九百万人をこえておる。まことに驚くべき数字だと思うのであります。いままで難民の中で最大といわれたアラブ難民が百二十万人といわれておったのでありますが、それはけたが違う。もうじき一千万人になろうとしておる。東京都の人口くらいの難民が逃げてきておるという状態でございます。三月の末に東パキスタン内乱が起きてから毎日三、四万人、多いときは十万人も逃げてきておる。それがもうほとんど裸でありまして、頭に家財道具を乗せて、子供の手を引いて国境を越えてくる。アリの大群が押し寄せてくるような勢いで入ってきておるわけであります。この六月にインド文部大臣をしておるライという方が日本へ来られまして、その状況を訴えに来ておられましたが、最初は小学校、中学校、大学、高等学校というようなところ、あるいは役場などに難民を収容したそうでありますが、何万という人が入ってくるから学校は授業ができない、役場は仕事ができない、西ベンガル州は行政が全く麻痺してしまった。これはかなわぬというので、キャンプをつくってそちらへ全部移して、そちらへ行かなければ食糧を与えないというようなことでだんだん移しておるようでありますが、そのキャンプをするテントがとても間に合わない。私ども行ったときには、オーストラリア、カナダあたりからテントがだいぶ来ておりましたが、とても足りない。テントがない者は野原で野宿をしなければならぬわけであります。インドは暑いところでありますけれども、夜は夜露がおりるわけで、やはり肺炎になったり気管支炎になってばたばたと死んでいくわけであります。さらに、この八月の末に洪水が二回ほどありまして、これがダブルパンチのような形で、なかなか水が引かないで、びしゃびしゃ残っておるところもあります。ほんとうに非衛生でありまして、コレラが流行する。コレラのために大ぜいの人が死んでおります。便所なんかも、あるところはあるけれども、ほとんどない。臭気を発するし、ハエが一ぱいおるし、ほんとうに悲惨だという気がいたしました。さらに、食糧が足らないわけでありまして、インドは、ガンジー首相に会ったときに、一日に一千万ルピーも、これは日本の金で四億八千万になりますが、一千万ルピー出しているけれどもインドは財政が逼迫しておって、とてもこんなものは出せない。九月一ぱいでもう予算はないということをガンジー首相は言っておられました。しかし、ないと言ってほっておくわけにいかない。ほっておいたら飢え死にするわけであります。こういう状態でございまして、わが国としてパキスタン難民にいままでどの程度援助をされたか、またこれからされようとしておるか。ついでにおもな世界各国援助状況についてお知らせをいただきたいと思います。
  8. 福田赳夫

    福田国務大臣 永田さんのお許しを得まして、一言皆さんに御了解を得たいのですが、私は九月の初めに当外務委員会皆さんにお目にかかりました直後、つまり九月六日から日米貿易経済合同委員会、さらに日加閣僚委員会に出席し、さらに帰国後一週間おきまして天皇、皇后両陛下の首席随員としてヨーロッパを回ってまいりまして、実に五十日ぶりに皆さんにお目にかかるというような次第でありますが、よんどころない事情でありましたので、ひとつお許しを願いたい、かように存じます。  ただいま永田さんからインドパキスタンの窮状についてのお話です。私もこの状態につきましてはつぶさに承知をいたしておるのであります。東パキスタンは昨年大洪水があった。自来不幸続き、ことにこの三月内乱が発生する、その余波がインドに波及する。いまお話しのように、私が承知しておるところでは難民がいま九百五十万人、こういうような状態である。そういう状態に対しまして、わが国といたしましても、国際社会の一員といたしましてできる限りの援助をいたしてきておるわけであります。詳細については政府委員から申し上げまするが、とにかく直接、間接、主として食糧、それからまた、いま悪疫の流行の話がありますが、ワクチンでありますとか、そういう種類のものを供与して今日に至っております。きょうも東パキスタン自体難民に対して救済の手を差し伸べようということで閣議の決定を見ましたが、私がさらに心配しておりますのは、印パ国境、これが最近軍事的に非常に緊迫しているという情報なんです。これが爆発しないということを念願いたしておりますが、もし不幸にしてそういう事態にでもなったらたいへんなことになるだろう、こういうふうに存じておるわけでありまして、何とかこれが和平裏に解決されるようにという念願をいたしております。とにかく非常な困窮事態であるというふうに承知しておりますので、わが国といたしまして関係各国とも協議する、また国際機関とも協議いたしまして、私ども経済もかなり強大になった国として恥ずかしからぬ救援をしてまいりたい、かように考えております。  詳細につきましては政府委員からお答え申し上げます。
  9. 須之部量三

    須之部政府委員 数字を申し上げます。  問題は、インドに入りました難民東パキスタンに残っておる者との両方ございますが、インドに入りました難民に対しましては、本年の六月に二百五十万ドル、それから九月にさらに二百五十万ドル、これはいずれも大部分米及び粉乳等食糧でございますが、これを国連機関を通じて供与いたしております。このほかにコレラワクチン等々、これも国連世界衛生機関を通じて贈与しておりますが、いままでのところ大体五百万ドル強というのが日本贈与額でございます。  東パキスタンのほうの難民につきましては、昨年の末の高潮当時等から、これもやはり四百万ドルほどのものを供与しておりますが、内乱に伴っての贈与ということになりますと、実は東パキスタンでの港の倉庫能力とか内地での輸送能力も限られておりますので、いまのところは、いま大臣の言われました五十万ドル、さしあたり四千トンの米を贈与するということにしておりますが、これは今後の問題として、実は内々もう検討は進めておる問題でございます。  それからほかの国の状況ということでございますが、インドにおける難民につきましては、一番多いのはやはりアメリカの約七千万ドル、それからイギリスの二千二百万ドル、それからソ連の千百万ドル、それからスエーデンの五百九十万ドル、それから日本の五百万ドル強、それからドイツの四百七十万ドル、それからカナダが約四百万ドル、その他ノルウェー等々が二百万ドル以下というのが大体の現状でございます。
  10. 永田亮一

    永田委員 わかりました。  先ほど大臣から、印パ国境の緊張を憂えておるというお話がございました。実は、私どもインドへ行きましたときも、インドタカ派の意見として、インドが毎日日本の金で四億何千万円も金を使うのなら、いっそ戦争したほうが安上がりだというようなことを言う人があるということでありました。非常に危険な状態になってきておることは事実でありますが、邦人が、カラチあたりには相当商売をやっておる商社なんかの人もあるのでしょうし、またインドの北のほうにオイスカだとか、事業団なんかで青年が——ほんとうに私は頭が下がるのですが、電灯もないようなところへ行って、一生懸命に農業の技術指導とか養鶏などを教えている人がいるのですが、こういう邦人の安全ということは何か手をお打ちになっておられますか。国境紛争がどうもあぶなくなってきたという気がいたしますが、いかがでしょうか。だいぶ邦人がおると思いますが……。
  11. 福田赳夫

    福田国務大臣 この国境紛争の先々に対しましては、まだ見方が区々であります。あるいは非常な楽観的な見方をする有力な国もあります。しかし、万一ということがありますから、したがって、こういう情勢であるということを邦人に知らしておく必要があるだろう、こういうふうに存じまして、その程度の手配をしておりますが、情勢の変化に応じまして適当な対策をとる、かように考えております。
  12. 永田亮一

    永田委員 この印パの問題について、援助はもうさしあたって大急ぎでやらなければ難民が飢え死にするという状態でありますが、根本的な解決という点について大臣のお考えがあったらお聞きしたいと思うのであります。  この印パ紛争といいますか、難民が出てきたというのは、御承知のとおり、去年の十二月にパキスタンで総選挙が行なわれて、東パキスタンのムジブル・ラーマンが率いておるアワミ連盟が多数をとって、東パキスタンの自治を要求しておったようでありますが、ヤヒア・カーンがなかなか国会を開かない。それで全学連のような連中などがおこって暴動のような形になった。これを押えるために西パキスタンの軍隊が戒厳令をしいて片っ端から殺したようであります。インドで聞くと、射殺された者が百万人だという話でありますが、東パキスタンの人民は、間違って殺されちゃかなわぬというので、部落ごとこぞってみんなインドへ逃げてくる。それで、こんなに大勢の人間が逃げてくるわけでありますが、私ども考えると、どうも西パキスタン戒厳令をしいて武力で弾圧したということが少し行き過ぎじゃないのか。アンドレ・マルローが東パキスタンの義勇軍に参加すると言って新聞をにぎわしておりましたが、そういう正義感から出ておるんじゃないかと思うのであります。インドガンジー首相に会いますと、ガンジー首相は、インドは一番の被害者だ、たまたま隣の国で内乱が起きて、自分の国へ何百万という人間が入ってこられたのでえらい迷惑だ、これをインドだけで助けなければならぬという義理はない、世界じゅうの国が助けるのが当然だという議論をされております。パキスタンのほうに言わせると、インドが扇動したのだ、東パキスタン暴動を起こしたときに、ダッカの学校の寄宿舎なんかに武器、弾薬をインドから持っていったから、インドがそそのかしたのだから、難民がみんなインドに逃げてきたって、それは自業自得だ、そういう議論パキスタンのほうはしておるようであります。どっちにしても、これはどっちがいいとか悪いということでなしに、早くこれを何とかしなければならぬ。ところが国連世界じゅう各国もみんなパキスタンの内政問題だから干渉したくないというような立場をとっておるために、いつまでたってもこれは解決しない。解決しないということは、すなわち一千万人近い人間がだんだんばたばた死んでいくのを見ておらなければならぬという状態になってくるわけであります。人道上からも何とか手を打たなければならぬという気がするわけでありますが、何か外務大臣として、日本として政治的な和解のあっせんというようなことをお考えになるかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  13. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は印パ問題というものは、一つ経済的側面があると思っておるのです。つまり印パ両国とも経済が非常に困窮しておる。民生が安定しない。つまり政治的不安の土壌というものがある。そこへもっていって印パ両国間には昔からカシミールなんかをはさみまして積年の対決というか、そういう状態があり、そこへ近くは東パキスタン難民が九百五十万人もインドへ流れ込む、こういうことがあってますます印パ関係が緊迫してきておる、こういうふうに思うのです。ですからこの問題は、やはり問題の根源、つまり両国経済の安定だ、こういうふうに見るのです。  そこで、日本といたしましては、世界銀行を中心とする両国に対するコンソーシアム、これには重要なメンバーとして参加し、国の対外経済援助とするとかなり思い切った援助を続けておる、そういう状態です。と同時に、最近火のついたような印パ両国間の情勢、そういうものに対しましては、これはやはり日本がひとりでどうのこうのというわけにはいかぬと思います。やはりこれは国際連合——こういう際にこそ国際連合というものがある。国際連合でもそういうふうな動きもいま胎動しておりますので、日本政府といたしましては、その国際連合動きに対しましては協力し、これを助成していく、こういう態度をとりたい、かように考えております。
  14. 永田亮一

    永田委員 先ほど援助の金額の御説明がございましたが、初め二百五十万ドル、それからあと二百五十万ドル、合計五百万ドルというのは経済大国としての日本としてはいかにも少な過ぎるという気がするのであります。アメリカが七千万ドル、コンソーシアムも入れて二千万ドルほど出しておるということでありますから、一億ドル近くアメリカが出しておるのに、日本合計五百万ドル。これはいかにも少ないという気がしますが、もっと思い切って、ドルがたまっておるのでありまするから、こういう人道問題には大臣の御決断でさらに二、三千万ドルも出そうかという御決意をいただければ私も安心をするわけでありますが、いかがでしょう。
  15. 福田赳夫

    福田国務大臣 これからもこの問題は積極的に考えていきたいと思います。パキスタンは特に洪水等で困ったわけでありますが、これに対しましては、これは贈与じゃないのですが、米の借款を供与するというような方法食糧援助を与え、たいへん感謝をされている、こういう状態ですが、その根っこにある問題は、わが日本はかなりの経済安定協力をしておるのです。いまパキスタン数字はちょっと覚えておりませんが、インドだけでも毎年ここ数年間もう四、五千万ドルの援助、これはたいへんな額でありますが、そういう協力をしている、こういう状態であります。しかしこういう非常な困窮状態でありますので、なお積極的に考えていきたい、かように存じます。
  16. 永田亮一

    永田委員 時間がなくなってきたので、次に沖繩の問題をちょっとお尋ねいたします。  核抜きの問題であります。この間やはり櫻内委員長団長として青木理事と私ども沖繩へ参りまして、ランパート高等弁務官に会ってこの核抜きの問題についてだいぶ話をいたしました。われわれが安心できるように、佐藤総理はいつも核抜き本土並みということを言っておるので、それが実現できるようにということを弁務官に話をしたのでありますが、高等弁務官は核の問題は自分よりもえらいところできめるのだ、だから日本国会議員が来てそういう強い要望があったということは、直ちにワシントンに報告するということでありました。核の使用とか配置については、これは大統領の専管事項でありますから、それ以上ランパートさんに話をしてもらちがあかないと思って帰ってきたわけでありますが、この核の問題で最初にちょっとお尋ねしたいのは、いままで外務委員会などで沖繩核兵器があるかどうかということをお尋ねすると、歴代の外務大臣はそれはわからないという御答弁であったのです。ところが今度協定を見てみますと、第七条のところで核兵器撤去について七千万ドルの中に撤去費が含まれているのだということが書いてある。そうすると核兵器撤去の費用が含まれているということは、裏を返すといままで核兵器があったということを言われておるのじゃないかと思いますが、さよう承知してもよろしいですか。
  17. 福田赳夫

    福田国務大臣 核兵器があるかないか、これがどこにどうしたかしないか、そういう問題はアメリカの戦略、戦術上の最高の機密事項になっておる。これは御了解も願えると思うのです。現に沖繩につきましてはメースBというものがあったということは大体常識化されておるわけです。また今日それが撤去されまして、もうあとかたもなくなっておるのだということも、これもまた常識化されておるのです。そういうようなところから見まして、私どもがどうも核兵器というものがまだあるのじゃないかというような推測をいたしておるわけです。そういうものを一切きれいにもする、これが私ども考え方なんでありまして、そういうようなことを考慮しながら支払いというような問題も起こってくる、そういうことなんです。私は沖繩問題の御審議にあたりまして、核兵器の問題、これはやはり一つの大きな問題と思うのです。特に野党の皆さんから御指摘を受けている。それからもう一つ基地の問題、基地が多過ぎるじゃないか、こういう問題。それから特殊部隊という問題、VOAという問題、これらがいろいろ御論議のあるところだろうと思いまして、今度幸いにワシントンに参りましたので、わがほう国会における問題点はそういうところなんだ、できる限り御協力願いたいのだという話をしたのですが、核についてはなかなかむずかしいのです。しかし核につきましても、なお何かいいくふうがあればなあと、こう思っておるのでありますが、とにかく協定第七条にあれほど書いてあるのですから、私どもとすると明白だ、こういうふうに考えておるところなんでありますが、いろいろ言う人がありますものですから、その方々に対して何かできないものかということはなお考えていきたい、かように考えています。
  18. 永田亮一

    永田委員 二十日の本会議佐藤総理が、何らかの形で核撤去を確認したいというお答えをされておりましたが、この何らかの形で核撤去を確認したいということについて、これはどういうことなのか、あるいはこのことでアメリカ外務省のほうで何か交渉をやっておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  19. 福田赳夫

    福田国務大臣 総理が何らかの形と申し上げましたが、これは文字どおり何らかの形でありまして、まだ固まったことを頭に置いてのお答えではない、こういうふうに御了解願います。  アメリカと話し合っておるかという話でありますが、私は、ワシントンに行きました際にも問題点として提起しておるのですが、なかなかこれは壁の厚い問題だ。壁に話をしているような感じがいたしたわけでありますが、なおこの上とも、皆さんが心配しておることでありますので、これがいい方法があったらなあというふうに存じておりますので、話はしてみたい、かように考えております。
  20. 永田亮一

    永田委員 あともう五分しかなくなりましたので、今度国連の問題についてちょっとお尋ねいたします。  いま新聞なんかで見ますと、逆重要事項が通るか通らないか、非常な接戦になってきたという報道が伝わっておるのでありますが、この逆重要事項がかりに可決された場合と否決された場合を考えてみて、ひとつ大臣のお考えをお聞きしたいと思うのでありますが、逆重要の問題がきょうの新聞にも出ておったと思うのですが、アルバニア案の全体にかかってくるものなのか、あるいは国府追放ということだけに逆重要というものが適用されるのか、そこのところをまずお伺いしたいと思います。
  21. 西堀正弘

    西堀政府委員 御承知のように、変型重要事項決議案は、国府追放といいますか、国府からその代表権を奪うようなことは重要事項であるといっておるわけであります。  さて、アルバニア案を見ますと、第一項に中華人民共和国、これを唯一の正統政府ということはうたってありますので、そういたしますと、結局これは国府から代表権を奪うことに相なるという解釈も成り立ち得るわけでございます。したがいまして、現在のその変型重要事項決議案というものが全体にかかると考えてよかろうかと思うのでございますけれども、この点は異説のあるところでございまして、その段階になりまして、結局は票の問題でございますから、したがいまして、こちらからの解釈を提起いたしましても、あるいはアルバニア案側のほうから反対論が出るかもわかりません。というわけで、この点は解釈の分かれる点でございますけれども、まあわれわれといたしまして第一義的には一応全体にかかると考えたほうがいいのではないか、こういうふうに考えております。
  22. 永田亮一

    永田委員 これはいろいろむずかしい、複雑なことが考えられるわけでありますが、一応私どもは、国府追放ということを逆重要でしておるのじゃないかと初めは思っておったわけです。もし国府追放だけということであれば、前段が生きてくるという解釈をとれば、唯一の正統な中国の代表が中華人民共和国だということになってしまうので、そうすると、これは中国が入ってきた場合に、台湾は自分から出ていく可能性もある。しかし台湾が逆重要で残された場合には、中国は台湾との同席を好まぬでしょうから、国連に中国が入ってこないと私は思うのですけれども、そこのところは、いまの国連局長解釈ではアルバニア案全体にかかるのだということであれば、私は了解をいたします。しかし国府追放だけにかかるのだというと、問題がたくさんあるわけです。  そこで一つ、もしも逆重要が否決された場合、通らなかった場合のことを政府はどういうふうに考えておられるか。これが通らなかった場合に、この間の本会議で佐藤さんは政治責任をとる必要はないという御議論、これはよく承りました。しかし通らなかった場合に、台湾は国連を出ていくでしょうが、そのときに日本は台湾に対してどういう態度をとるか。いままでどおりなのか、あるいは通らなかった場合には、私は台湾の独立運動みたいなものが起きてくるのじゃないかという感じがするのです。そういう場合に、政府はいつでも中国は一つだという態度をとっておられるのですから、一つだということになってくるとどういうことになるのか。独立運動みたいなものが起きてきてもこれを無視するのか。蒋介石との関係を維持していくのか、あるいは蒋介石じゃなくて、もし蒋介石が権力を失っても、台湾との関係を維持していくというのか。そういう関係を少し考えておられるんじゃないかと思いますので、お漏らしいただいたらと思います。
  23. 福田赳夫

    福田国務大臣 国連の決定がどういうふうになりますか、これは国連の決定があったときにこれを尊重する。紋切り型に言えば、そういうことなんです。そこで、いまわが国は二つの決議案について共同提案国になっておるわけですから、その共同提案した決議案の通ることを期待し、一生懸命運動しておるということなんです。それが負けた際にはどうなるのだ、こういう問題であり、ことにいまお話を伺いますと、逆IQが負けたら一体どうするのだという話のようですが、誤解のないように申し上げますが、推進しているのは逆IQばかりじゃないのです。二重代表決議案ですね、複合二重代表決議案と呼ばれるほうです、これとともに、これが一体として成立するということを期待しておるわけなんです。そういう前提で申し上げておるわけですが、万一そういうあれが敗れたという際、ことに逆IQが敗れたという際には台湾問題が大きな問題になってくる、これはまあ私もそういうふうに心得ております。しかし、いま一生懸命で運動している段階で、敗れたらどうなるんだというそこまで、いろいろ頭にあることはありまするけれども、申し上げる段階でもなかろう、これは御了察を願えるんじゃなかるまいか、かように存じますので、お許し願いたいと存じます。
  24. 永田亮一

    永田委員 時間が来ましたので、これでやめますが、将来のことだからいま申されないということはよくわかります。ただ、もう三、四日したらこれは結果が出ることですから、そのときになって腹づもりができておることは当然でありますと思いますので、外務省大臣も、どういう場合に処しても誤りなきようお願いいたしたいと思います。  以上であります。
  25. 福田赳夫

    福田国務大臣 一言つけ加えさしていただきますが、国連の表決の結果とわが国と国民政府との関係、この二国間の関係、これは全く別の問題でありますから、国連がこうなったから自然に二国間の関係がこうなるんだ、そういうものじゃありませんから、この点はそういうふうに御了解願いたいのであります。
  26. 櫻内義雄

  27. 松本七郎

    松本(七)委員 新しい福田外務大臣初めての委員会で質問します。  いま、ニクソンの訪中とか、あるいはいま質問に出ておりました国連の動向その他で、やはり日本国民の期待も福田外務大臣で何らか従来と違った態度なり方針というものが出て、この国際的な激しい動き日本も対応していくのではなかろうかという期待は確かにあると思うのですよ。外務大臣も、就任されてから、中国問題についてはかなり積極的に取り組む、そしていままでと何らか違ったような方向が出るかのごとく、端的にいえば思わせぶりな発言もあったようです。したがって私どもは本会議における総理大臣の答弁なり外務大臣の答弁を通じて、新しい方向というものは何であるかということを知らなければならない。ところが、先般来の本会議における総理大臣の答弁を聞いても、少しも従来と違った線が出てくる気配もないし、それから相変わらず矛盾した答弁をしておる、こういう感じを非常に強く持ちますので、それらをめぐった二、三の点について、きょうは外務大臣としての考え方をはっきりひとつ伺っておきたいと思うのです。  第一は、いまも逆重要事項指定その他の問題で質疑応答が重ねられておりましたが、経過的措置ということですね、これ一つとってみましても、経過的措置と言われておるからには一時的なものだろう、そうすると何を契機にその経過的措置は別なものに変わるのだろうかということを当然期待もするし、聞きたいところなんですね。本会議でもそういう質問が出ました。そうすると、首相の答弁によると、これは当然なんですが、いまも永田さんの質問にあなた答えられたが、近く国連で何らかの結論が出るでしょう。この結論を待って新たな態度を決定するという意味で経過的なのか。それを含めて世界の状態も少し変わってくるでしょう。ニクソンの訪中もあります。ニクソン・周恩来の会談、その他の動向に応じてはっきりした態度を打ち出す。新しい態度を打ち出すというのも、これは経過的措置ということの一つの具体的意味だろうと思いますね。そういういろいろの推測だとか、あるいは期待を持ってみな聞いているわけです。それに対して先般の総理大臣の答弁は、結局経過的措置というのは、両政府、中華人民共和国政府と中華民国政府との間で話し合いができるまでだ、そういうふうな答弁のように先日私は聞いたんですが、この点はどうなんですか、間違いないですか。
  28. 福田赳夫

    福田国務大臣 経過的措置というのは、客観情勢が非常に大きく変わるというときまでの間、こういうふうに私は理解しております。その客観情勢の一番大きく変わるポイントは何だ、こういうと、総理が申し上げましたように両政府の間で話し合いがつくと何らかの決着がつく、こういうことだろう、その他、いまあなたが御指摘になったようないろいろな問題があるだろうと思いますが、一番大きな、また一番はっきりしたその決着点は何だ、こういうと、両国間で話し合いのつく、こういうことだろうと思います。
  29. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、最近の事態で両政府間で何らかの話し合いがつく見通しというものはかなり期待も持てるのでしょうか。ただばく然として、これはいままでも言われていたんですよ。この中国問題の解決には日本政府は何ら自主的な積極的な方針なり態度というものは表明されないで、両政府の間の話し合いに期待するということで一貫してきているわけですから、何らかここで新外務大臣なり、新しいこの世界の動きに応じて日本がはっきりした態度を打ち出すということについては、しかも経過的措置という説明もその裏にはある、そういうことになれば、この両政府間で何らかの話し合いが近くあり得るという見通しか何かがあるかどうかということが当然疑問になってくると思うんですよ。そこのところはどうでしょう。
  30. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、この両政府の間でいま接触が始まっておるという情報に接しておりませんです。しかしこれは可能性の問題、中へ入る人があるという場合もありましょう、あるいは両国自主的にという場合もありましょう、そういう接触ということもそれは考えられないではない。ことに人によりましては、私はそういう情報には接しておりませんけれども、国共合作が進んでおるのだというようなことを言う人もあります。ありますが、とにかく私どもはその可能性というものに一つは期待をしておる。それからもう一つの問題は、やはりそれ以外の大きな客観情勢の変化、こういう問題だろうと思うのです。どういう変化が起こってくるか、国際社会のことだからそう簡単には予断はできませんけれども、重大な客観情勢の変化、こういうものもあり得る、こういうふうに思うのであります。その的確な、具体的にどうだ、こういうことになりますと、私もまだここでお答えをいたすだけの資料を持っておりませんけれども、そういういろいろな事情があるのじゃないか、そういうことを想像し、そういうまでの経過的措置である、こういう見解であります。
  31. 松本七郎

    松本(七)委員 ニクソンの訪中で何らかそれに関する話し合いはある見通しですか。
  32. 福田赳夫

    福田国務大臣 ニクソンの訪中問題につきましては、これは大統領から直接伺ったわけではございません。いろいろ私も話をしたけれども、その点はここで申し上げることができませんけれども、私がアメリカの当局と接する、またいろいろなわきからの情報等もいろいろ聞いておる、そういうことを総合して判断いたしますと、ニクソンの訪中というものは、それによっていままで断絶しておったアメリカと中国との間に対話の道を開くんだ、こういうことだということに理解されております。少なくとも私が大統領と会談し、またその他の首脳と会談した九月の時点におきましては、まだ何らのプレコンディションといいますか、訪中の前提条件となる政治的な了解には達していない、そういうような状態です。そういうことにつきましては、私はそのとおりであろうというはっきりした心証を得てまいりましたが、さて、対話が始まってどういうふうな形でその対話が進行していくか。ニクソン大統領訪中後の状況につきましては、私もああではなかろうか、こうではなかろうか、いろいろな推想はしております。その推想の中でも最も私はありそうだなというような見方もしておりますが、まだここでそれを申し上げる、これも適当ではないと思いますが、いろいろな変化は出てくるであろう、かように考えております。
  33. 松本七郎

    松本(七)委員 われわれもいろいろな情報は聞いておりますが、ベトナム戦争処理と関連した第七艦隊の撤退問題、これが中華人民共和国にとってみれば、いま米中で話し合う一番大きな課題として考えられておるということも聞くのですが、そういうことは可能性があるでしょうか。
  34. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは私が情報としていろいろ主筋から聞いたことを総合しての話ですが、訪中の際の一番大きな話題になるのは、ベトナムの問題、それから台湾の問題、それから国連における中国の問題、こういう三点だろうというふうに伺っております。その台湾の問題というのは一体どうなんだというと、やはりそれはアメリカがあそこに派兵をしておる、第七艦隊もおれば陸兵もおる、こういう状態、これなんかも一つの話題にはなるのだろうという見方も多いですが、これはあくまでも情報の話でありまして、私自身も直接聞いたわけでもなし、またいまこういう段階でアメリカとしても話せる問題でもないというふうに存じますので、そういうこともあり得るかなというふうに思っておるだけのことでございます。
  35. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、いまそういう推測されるような問題について、米ソの間で話し合いがなされるということも、この経過的な措置が終わる一つの大事主要素と期待していいのでしょうか。それとも米中間でかなり話が進んでも、いかようにこれが進もうと、やはり何といっても中華人民共和国政府と中華民国政府との話し合いということが進まない限りは、経過的措置は依然続く、こういうように理解すべきでしょうか。そこのところをはっきりしてほしいですね。
  36. 福田赳夫

    福田国務大臣 総理は、経過的措置として国連における二つの決議案を提案をいたしておりますと、こう言っておるわけですね。国連におけるこの二つの決議案、これは皆さん見方によると矛盾しているじゃないかと言われる。それは何でそういうかっこうになるかというと、中国がいま非常に異常な状態にある。つまり一つの民族、これが二つに分かれておる、一つの中国の上に二つの政府がある。そういうようなことから、そういういろいろ相矛盾するがごとき決議案というような態様のものも出てくる。そういうような状態でありますが、しかし、この両国間の話し合いによって一つの中国に一つの政府ということになりますれば、そういう問題は自然に解消してしまうのです。そういうことを言っているのです。  それに加えて、私は申し上げているのですが、まあ二つの政府の間で話し合いがつく、これは非常にけっこうなことだ。しかし、そのほかに、さらにこの両国間をめぐる重大なる客観情勢の変化、これは国際情勢だから、いろいろな変化が出てくるでしょう。そういう変化があった際には、また見方を変えなければならぬ。これは当然のことだろうと思います。
  37. 松本七郎

    松本(七)委員 確かにあなたの言われるように、総理の説明を聞きますと、この共同提案は経過的措置としてしたのだという説明があるわけですね。それだけ聞きますと、それじゃそれが否決された場合には、いわゆる経過的措置なんだから今度は新しい逆の方向というか、新しい政策というものが出ることを期待するのはあたりまえだと思うのですね。そういう点で、経過的措置とは一体具体的には何かという再質問が当然出るわけです。それに対して、両政府の話し合いがつくまでという意味だ、こういう答弁をしているでしょう。これでは、さっきからここであなたに答弁を求めておるように、それじゃ、話し合いがつかない間はいつまででも経過的措置は継続するということになりますから、ここでわざわざ経過的措置として出した、その経過的措置は両政府間の話し合いまでと言う以上は、何らか新しい話し合いが行なわれる動向なりそういうものを期待しているとわれわれは考えざるを得ないのですよ。それがないにかかわらず、両政府の話し合いがつくまでの間だとわざわざうたっても意味がないと思うのですよ。いままでとちっとも変わらない。だから、私どもからいうならば、たとえば国連の動向もあるでしょう。ニクソンと中国側の首脳との話し合いの内容その他の進展もあるでしょう。そういうことに応じて、何らか政府がここで新しい態度を打ち出すことが可能じゃないかという期待があるから、そこのところに対する政府自身の持っておる期待を聞いておるのですけれども、ただ両政府の話し合いがあるまでは変わらないという結論では、これはいつまででもいままでとあまり態度が変わらないような気がするのですよ。
  38. 福田赳夫

    福田国務大臣 まあ、国連の場というのはなかなかデリケートな場だと思うのです。まあ、やりとりというか、折衝というか、虚々実々いろいろなかけひきのあるところだ。しかし、私は、また政府は、国連の場の問題はさることながら、もっともっと重要な問題は日中両国の問題をどうするかという問題だ。そっちへ行っているのです。その問題についてとにかく真正面から取り組んでいこう、これをひとつ何とか打開し、解決しよう、こういうふうに考えておるわけなんで、国連の場において経過的措置というような考え方に立って、二重代表というような、あるいは逆IQというような決議案を出す、そういう説明をしておりまするけれども、まあ本心というか、私どもほんとう考え方は、そっちのほうじゃないのです。問題は日中間直接の問題にある、二国間の問題にある、こういうふうに考えておるのです。それら彼此あわせて考えてくださいますると、国連における出方、またそれに対する説明のしかたが十分御理解がいただけるのじゃあるまいか、そういうふうに存じます。
  39. 松本七郎

    松本(七)委員 そこのところははっきりしましたね。私は、共同提案国になることが経過的措置だと、こう言われるから、そういう答弁をされているから、それじゃ、この提案がもし否決されたときはどういう態度になるかと当然期待するわけでしょう。そういう質問をすれば、今度はそれだけのことじゃないのだ、国連の場だけのことを言っているのじゃないのだ、ほんとうは二つの政府の間の話し合いがつくまでという意味だ、こう首相が言われるから、そこをいまあなたに聞いているのです。そうしたら外務大臣は、話し合いもさることながら、大きな国際的な変化もありそうだ、だから、その変化があれば当然その経過的措置というものは変わってくるんだという意味のことをいま言われましたね。だから、私どもに言わせるならば、そういう国際的な動きがいまは激しいときですから、日本政府もみずからそういう変化をつくる努力をする時期に来ているのじゃないか、私どもはそういう立場でいるわけです。国民もそういうことを新外務大臣に期待していると思うのです。そこでさっきから、それでは国際的な変動、大きな変化というものは、どういう要素を中心にして変化のきざしがあるかということをあなたに聞いていたわけです。その内容についてはここでは全然説明できませんか。
  40. 福田赳夫

    福田国務大臣 国際的にはいま非常に変化の時期に来ておると思うのです。つまり極端にいいますれば、戦後、今日まで一貫して、米ソ二大勢力の対立また均衡、そういうことによってささえられてきた世界である、こういうふうに思います。ところが、そこへさらにイギリスを加えるEECというものがかなり勢力を固めてきておる。これを考えなければならぬ。また問題の中国、これが文化革命を経て政治形態の状態も整ってきた。また、これが国際社会に初めて入るか入らないか、こういう段階まで来ておる。また同時に、わが日本経済的には自由世界で第二位の地位を占めるに至った。つまり二極時代から多極化時代化しておる、こういう世界情勢だろうと思うのです。  ですから、わが国の外交政策というものは、二極時代に対する考え方と変わってくる。つまり、多極化時代に対する考え方、そういうかまえになってくるというふうに思うのです。世界情勢がどこが変わったかといえば、大きくいいますとその辺が大きく変わっておるというふうに申し上げて差しつかえないのじゃないか、そういう認識を持っております。
  41. 松本七郎

    松本(七)委員 そういう変化の中で、日中の問題が日本に対する一つの大きな課題になっているわけですから、これは国連の場だけの問題ではないのだ、むしろ本来の日中の関係が重要なんだ、こうあなた御自身も言われるわけですから、そこで、日中の問題の解決のしかたというか、前進のしかたがいま焦点になっているわけでしょう。総理大臣の答弁を聞くと、中華人民共和国というものがある、これも認めなければならぬ、中華民国というものとの従来の関係も歴史的に無視できない、そう言っておいて、今度は、だが中国は一つだ、こういうことを言う。概念の違うものを説明していて国民はいよいよ惑わされるのですよ。いまほんとうは、一国を代表する正統政府の選択の問題を迫られているわけなんですよ。それは、中華人民共和国政府があります、そしてこれも承認しなければならない、あるいは国連に代表を認めなければならない、そういうことは積極的にやりますとあなたも言われる。一方、中華民国との関係は無視できません、中国は一つです、こういう説明をしている。その場合の中国が一つですというのは、概念上、資源あり、領土あり、人民ありというその中国国家というものは一つだということを言っているにすぎないのです。そうではなくて、元来問題なのは、その一つの中国を代表する正統政府はいずれにありやということが、あの日華条約をつくるときから、ダレスの勧告当時からずっと続いた課題なんですよ。それをあいまいにしておって、新しい前向きの政治を出すなんということは、おこがましくて言えないのです。だから新外務大臣に、どちらを正統政府として認めるかということをここではっきりすることを私どもは期待しているのです。その点はどうでしょう。
  42. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、いま中国に二つの政府が存在しているという厳然たる事実を無視することはできない、こういうふうに思うのです。しかし、とにかく大陸には八億の民を擁する中華人民共和国がある。二十二歳になっておる。しかも、最近はかなり内政も安定し、経済も伸びている、こういう状態です。国際社会においてはどうだというと、国際社会でもこれを承認する国がずいぶん多くなってきておる。その存在というものを、いままでは無視してきておるといってもいいと思うのです。そういう状態だった。それと国交を持つということに積極的なかまえというものはなかった。私はそれは非常にいかぬと思うのです。これと国交を持つこと、これはわが国が多極化時代に置かれて外交施策の重要なる一つとして取り上げなければならぬ問題である、こういうふうに思うわけでありまして、この問題に真正面から取り組んでいく。ただ、いま松本さんの話で、台湾の領土権の問題になるのでしょう、そういう問題をどういうふうに考えるかということ、これはまたなかなか問題のところなんです。わが国は紋切り型というか、法的にいえばサンフランシスコ条約において台湾の領有を放棄した、その台湾の帰属はわれわれの交戦相手国がきめる問題である。こういうふうに、紋切り型というか、法的にいえば言わざるを得ないのでありますが、常識的にいって、これは中国国民のものである、私はそう思います。しかし、それがいま厳然として二つの政府がある。その中においてどっちのほうの領土なんだというその問題は、これは非常にむずかしい問題であります。法的な立場からいってもいま申し上げたようなわけでありますが、たとえば去年カナダと中国が国交を開いた。その際にこの問題がどういうふうに片づけられておるかというと、中共側は、カナダに対しまして、台湾は中国の領土であるということを承認せよ、こういう要求をしておる。この一事がどうしてもきまらぬ。二十一カ月かかったという話ですが、それでもきまらぬので、ついにテークノートする、記録にとどめる、こういうようなことで、この問題はたな上げされております。イタリアの場合にもそういうふうになっておる。いま現に中共を承認するという問題が起こっておる国におきましても、この問題が最後まで議論になるところなんです。そういう問題をいまからきちっとしておったのじゃ、なかなか日中国交問題というものが始まっていかないのじゃないか。むしろそういう非常にむずかしい問題は両国の会談の過程を通じましてだんだんと固めていくという方式のほうが実際的じゃないか、そういうふうに思うのです。まあとにかく隣同士だ、お互いにりっぱな国じゃないか、手を握ろうじゃないか、そういうことで接触を真正面から始めていく、これが私は一番早道であり、いい結果を生んでいくゆえんじゃあるまいか、そういうふうに考えております。
  43. 松本七郎

    松本(七)委員 カナダの例とかいろいろ引かれたですが、日本としてどういう具体的な案でいけばこれが可能かということを出すことが、私は先決だと思います。いまのような御説明、いまのような態度が続く限りは、せっかく福田外務大臣が次期総理を目ざして中国問題解決をやろうといって力んでも、おそらくこれはできないですね、残念ながら。しかし、これは論争になりますし、今後まだ時間がありますから、もっとあとでゆっくりやりましょう。  次に、もう一つ伺っておきたいのは、いずれ沖繩協定の問題は詳しく今後時間をかけてじっくりやりますが、一つだけきょうお聞きしておきたいことがあるのです。それは、サンフランシスコ平和条約第三条と施政権返還というものとの関係は、一体どういうふうに理解されておるのですか。——外務大臣、それじゃ質問のあれをよく言いますから……。外務大臣になられて沖繩返還をやられる以上は、当然そのことの基本的態度はあるだろうと思うのです。第三条は御存じでしょう。いわゆる——答弁は聞かなくていいです。第三条だけまず見てください、答弁はあとでいいから。第三条わかりましたね。
  44. 福田赳夫

    福田国務大臣 わかりました。
  45. 松本七郎

    松本(七)委員 それとの施政権返還の関係。
  46. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは平和条約三条に基づいて持っておるアメリカ側の施政権を日本に今度返す、こういう意味合いと了解しております。
  47. 松本七郎

    松本(七)委員 しかしそれがどういう経過とあれによって返すことになるのですか、法的には。だって、この三条というのは、もうずっと有効だという立場を自民党政府はとってきたんでしょう。これはここの解釈からするならば、当然提案が行なわれ、かつ可決されるまでは施政権は返せないということになるんじゃないですか。
  48. 福田赳夫

    福田国務大臣 ちょっと条約局長に……。
  49. 松本七郎

    松本(七)委員 そんな大事な点、外務大臣がまず答弁してから、詳細を局長がやるならいいけど……。
  50. 櫻内義雄

    櫻内委員長 局長に発言を許しました。
  51. 井川克一

    ○井川政府委員 平和条約第三条、これは先生御存じのとおり、確かに「唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。」と、日本国の同意義務を掲げてあるわけでございます。そしてその間施政権を持っておるということでございますが、アメリカは何も三条に基づきまして完全に信託統治に置くという義務もまた一方持っておらないわけでございます。したがいまして、この三条によりまして現在持っております施政権をわが国に今度の協定によって返すというわけでございまして、小笠原協定の場合も奄美大島協定の場合も全く同様な法的構成によって行なわれているものでございます。
  52. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、他の連合国との関係はどうなりますか。
  53. 井川克一

    ○井川政府委員 確かにこの条約は多数国条約でございまするけれども、この第三条に基づく権利と申しますのは、唯一の権利保持者は、権利を保有し得べきものはアメリカ合衆国でございます。したがいまして、アメリカ合衆国と日本国との間の協定によりまして第三条の権利を放棄することができるというふうに考えられます。そして先ほど申し上げましたとおり、現在まで奄美大島及び小笠原協定もそれによって行なわれております。そしてほかの国から何らの異議も出されておりませんし、今度返る場合も何らの異議が出され得べきものではないと思っております。
  54. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、これはいつかな、平和条約のときの審議で並木芳雄さんが「日本の管轄下にもどる場合の手続、方法、そういうものはどういうふうにしてとらえるのか。要するにこの第三条が必要がなくなる場合にやはりこの条約に署名し、批准した国々との間で、別の新しい何らかの条約をつくるのか。」という質問を当時していますね。これに対して当時の条約局長は「そういう問題が起ったときに、日本より先にその問題に直接関係している、米国政府の方で、十分検討されると思う。」という答弁をしてあるわけです。そうすると、その検討した結果何ら特別の手続は、日米間の協定だけでもう全部が解決済みという解釈アメリカはとったんでしょうか。
  55. 井川克一

    ○井川政府委員 お説のとおりだと思います。と申しますのは、先ほど来申し上げておりますように、奄美、小笠原の先例がすでに明白にあるわけでございまして、沖繩も法律的にいえば全く同じ状態のもとにおいて日本に返るわけでございますので、日米間でこれが処理できるということになるわけでございます。
  56. 松本七郎

    松本(七)委員 その場合に、処理して、そして関連署名国が何ら言ってこなければいいというようなものでしょうか。やはり事前に、こういう処置をするということを中心国であるアメリカ政府から関連国に通知するということは必要ないのですか。
  57. 井川克一

    ○井川政府委員 これはアメリカ側の問題でございますけれども、私どもといたしましては、アメリカがそのような通知をしたということは聞いておりません。  それに理論的に申しましても、御存じのとおり、第三条地域に関しましては日本国が潜在主権を持っている地域でございます。その潜在主権を持っており、アメリカは施政権のみを保有しているわけでございます。したがいましてその施政権を放棄することによって日本国の潜在主権が顕在的なものになるという理屈でございますので、別段他の国に特に相談する必要もないかとも思いますけれども、いずれにいたしましても、そのような特別の措置をとったということは私ども聞いておりません。
  58. 櫻内義雄

  59. 戸叶里子

    戸叶委員 いずれ沖繩協定が出ましてからいろいろな問題を質問したいと思いますが、きょうは私に与えられた時間があと十五分ぐらいですから、簡単に二、三点だけお伺いしたいと思います。  まず最初にお伺いしたいことは、国連での中国の代表権の問題がもう数日にして決定されると思います。そこで、日本が二つの決議案の提案国になって、一生懸命これに賛成国を募って奔走したということを私ども聞かされておりますが、いままでのところの見通しはどうなっているかをまずお伺いしたいと思います。
  60. 福田赳夫

    福田国務大臣 その問題につきましては、提案国たるわが国といたしましては、たいへん重大な関心をもって票読み等をいたしておりますが、どうも五分五分という結論しか報告されてこないのです。それから、どっちがどういうふうになりましてもきわめて小差であろう、こういう報告になっております。
  61. 戸叶里子

    戸叶委員 本会議でもこれは問題になりまして、もし日本が一生懸命になってやってもこれが通らなかった場合の政治責任はどうするかというようなことが質問されました。これに対して佐藤総理は、まあそういうものは国際的な問題だし、たいして責任のないようなことを言っておられましたけれども、私どもからいたしますと国際舞台で日本が相当の努力をし、踊り、そしてその見通しが間違っていたというようなことになれば、外交上の責任というものがあるのじゃないかというふうに考えるわけですけれども外務大臣としてどうお考えになりますか、この点伺いたいと思います。
  62. 福田赳夫

    福田国務大臣 二つの決議案を提案いたしました趣旨がどういうのか、こういうところに問題はあると思うのです。私どもの提案いたしております趣旨は、いままでは中華人民共和国を国連に加入せしむることには反対の態度をとってきたのでありますが、今度は常任理事国をも含めまして賛成する、こういう態度を出しておるわけなんです。  一方国民政府を追放すること、これは二分の一の投票じゃいかぬ、これは慎重にすべきものである、三分の二以上の票を要するというふうにする。それはどういうわけかというと、本会議でも申し上げておるように、現状をにわかに変えてそして緊張を激化するというようなことになっても悪いし、それから同時に国際信義です。いままで非常に円滑に両国の関係が結ばれてきた。しかも国民政府は国連におきましても、よき協力者としての活動をしてきておる。それを少し形勢が悪くなったからといって手の平を返すようにこれを追放するというようなことは、これは国際信義に反するのじゃないか、こういうようなことでありますから、努力はいまいたしております。そして、提案国である立場といたしましては、ぜひこの両決議案が通過するということを期待しておりますが、万一のことがありましても、信義は尽くしておる、こういうことでありますので、そういう状態においてまで信義を尽くしたのかという評価も一面においてお与えいただける立場にあるのではあるまいか、そういうふうに考えております。
  63. 戸叶里子

    戸叶委員 政府の考えていられることは、たびたびの本会議での答弁でも伺っておりますから、私どもも大体は了承いたしております。ただ、問題は、いまおっしゃったような見方をしてほしいというのは、外務大臣の希望的な考え方でいらっしゃるかもしれませんけれども、私どもからしてみれば、非常に何か見通しの悪さというものを感ぜざるを得ない。そういうふうにだいぶ違いますから、この問題についてそれ以上のことは申しません。  ただ、ここで簡単にだれでもわかるようにはっきりしたことは、結局、一つの中国に二つの政権を認める、こういうふうなことで結論をつけられると思うのですけれども、そこで、それ以上のことは多くは聞きませんが、それに関連して想像できますことは、朝鮮の場合に例をとりますならば、一つの朝鮮に二つの政権があるというような解釈をしてもいいのかどうか、この点を関連して伺っておきたいと思います。
  64. 福田赳夫

    福田国務大臣 私も、朝鮮半島の場合の法的なことを考えたことがないので、あまり自信はありませんけれども国連から見た立場、つまり国連憲章上の立場からいいますと、韓国が全朝鮮半島を代表する、こういう立場であります。しかしながら、事実問題として三十八度線以北に厳然たる政府がある、こういうこともまた事実である、こういう状態かと思います。
  65. 戸叶里子

    戸叶委員 そうすると、結論的にいって、中国でのいま私が申し上げましたような解釈とは違うふうに解釈をしなければいけないということでしょうか。その点だけ伺って、あとこの問題はほかの機会に質問を続けたいと思います。
  66. 福田赳夫

    福田国務大臣 法的にはちょっと違うのじゃないかと思います。しかし事実関係といたしますと、同じ状態になっておる、こういうふうに考えます。
  67. 戸叶里子

    戸叶委員 それでは沖繩問題について二点だけ伺いたいと思います。  その一点は核兵器の持ち込みの問題でございますが、先ほど永田委員からも、核兵器の問題についてはアメリカからちゃんとした証明をとっておくようにというような希望条件も入れながら質問があったと思います。このことは国民のだれもが願っていることなのですが、佐藤総理の答弁等を伺っておりますと、共同声明の八項でだいじょうぶだというようなことをおっしゃっていられる。しかし、あの項だけではどうしても私たちは心配でたまらない。十二日だったと思いますが、読売の夕刊でしたか、何かこの問題についてアメリカのほうでは日本の持ち込みをしないようにという申し入れに対して拒否をしたというようなことが出ておりましたけれども、そういうふうな記事のあとで、一体この問題についていろいろお話し合いになっているかどうか。先ほど外務大臣はたいへん壁が固い、こういうことを言われましたけれども核兵器の問題についてはアメリカの原子力法によりますと、核兵器の所在は大統領の指示なくしてはだれも明らかにできないということが書いてある。結局そのことは言いかえれば、大統領の指示さえあれば核兵器の所在がはっきりできる、こういうことになるわけですから、もしもその意思さえあれば、大統領が日本総理に対して持ち込みませんということをはっきり言えるはずだと思う。言わないところに私はやはり問題があるのじゃないか、それがまた国民の不安を非常に呼んでいるのではないかと思う。一体今後において外務大臣は交渉の結果、だいじょうぶ核兵器は持ち込ませないようにいたしますよという、その自信がおありになるかどうか、この点を私はまずはっきりさせておきたいと思います。
  68. 福田赳夫

    福田国務大臣 核につきましては、戸叶さんも御承知のように、政府におきましては非核三原則を堅持しているわけでございまして、つくらず、持たず、持ち込ませず、こういうことでございます。今度沖繩日本に返ってきますれば沖繩にその原則が適用されるわけです。そしてこの政府の見解をアメリカがどういうふうにとっておるか、こういいますれば、沖繩に関しまして日本政府の核についての見解、これは尊重する、こういうふうなことに共同声明でもなっておりまするし、またそれに基づきまして、今度の返還協定第七条におきましてもアメリカ日本の核政策を尊重するということがはっきりされておりますので、いささかの不安もないのじゃないか、私はそういうふうに思います。しかし、それにもかかわらず不安だ不安だとおっしゃるから、私といたしましては、なおさらにつけ加えることができるかどうかということにつきまして、なお今後とも考えていきたい、かように考えております。
  69. 戸叶里子

    戸叶委員 協定を批准するなら、その前に必ず核は持ち込ませないのだ、核は持ち込みません、そういう取りきめを最小限度取りつけていただきたい。協定自体に非常にたくさんの問題がありますから、そのまますなおに私たちはこれを受け入れることはできない。再検討を必要としますけれども、しかし、その中でも核の問題についてはきちんとしておいていただきたいということを要望したいと思います。  そこで、時間がないのでもう一点だけ大急ぎで伺いますけれども外務大臣の所信表明といいますか外務大臣の外交演説の中を読んでみますと、沖繩に対して、戦争によって失われた領土を平和的に返されることはほとんどない、こういうことばを言っていらっしゃる。そしてよく自民党の方なども、外へ行っては戦争によって失われた領土、戦争によって失われた領土ということを言われて、沖繩を返してもらってたいへんいいことだという宣伝のためにそのことばを使われるわけですが、私に言わせますと、沖繩が戦争によって失われた領土であるかどうかということを考えますとそうは思わない。沖繩はやはり日本固有の領土である。ただ施政権というものは失っていたけれども、それが返されるということであって、戦争によって失われた領土が返されるということばは当たらないのじゃないか、こういうふうに思いますけれども、この点はどういうふうに説明していただけるのでしょうか。
  70. 福田赳夫

    福田国務大臣 お話しのように、今度返ってくるのは施政権、その前提として、われわれが失ったのは施政権なんだ。しかし、これは実際領土権と同じような効果がある。そこで、この施政権の返還と領土権の返還、これを並べて比較するということは、別に何の不自然もない、こういうふうに思います。そういう意味合いで、ちゃんと心得ながらやっておりまするから、その辺は御心配ないようにお願いしたいと存じます。  また、先ほど核についてたいへん御熱心な御要請がありましたが、この辺につきましては、絶対に御心配をかけないように、非核三原則、こういうことは厳守してまいりますから、これもまた御安心願って差しつかえない、かように存じます。
  71. 戸叶里子

    戸叶委員 いまの御答弁に対して、反論するというか何というのですかするのですが、たとえば北方領土の場合でも、国後、択捉というものは日本固有の領土である、しかし千島、樺太は平和条約でもってこれを放棄したとかというような言い方を政府自身もしているわけですね。そういうふうなところから見ましても、「戦争によって失われた領土」というようなことばを沖繩に使うということは、私は適当とはどうしても思えない。やはり日本国有の領土であって、施政権というものがアメリカの手にあったんだ、それを返してもらう。それが証拠には、今度出される沖繩協定にも施政権の返還ということが書いてあるんであって、沖繩を返す、沖繩という領土を返すというようなことはいっていないと思うのですが、やはりこういうことばというものは正確に使うべきではないかと思いますけれども、この点ももう一度伺いたいと思います。
  72. 福田赳夫

    福田国務大臣 私の外交演説は、その辺は非常に正確に申し上げております。つまり「戦争によって失われた領土が、平和的な話し合いによって返還されるということは、歴史上ほとんどその前例を見ないところであります。」これはそのとおりなんです。どこにも間違いはないと思います。それから「話し合いによる沖繩の施政権の返還、その本土復帰という歴史的できごとが可能となったのは、戦後一貫して」云々と、こういうふうに申し上げておるのであります。これは何かお読み違いであろうかと思います。
  73. 戸叶里子

    戸叶委員 読み違いだと言われるとちょっと言わざるを得なくなるのは、そのとおり読んでみてください。「戦争によって失われた領土が、」とあるわけですよね。「戦争によって失われた領土」というのは、一体沖繩は固有の領土じゃないのかということを私たちは言いたくなってしまうわけなんです。でも、あとのほうと一緒になって解釈するということなんでしょうけれども、どうもこのことばはひっかかりますが、大臣と私との考え方が違うんじゃしかたがないと思いますけれども、もう一度よく御研究をお願いしまして、時間がないですから、私はやめたいと思います。
  74. 櫻内義雄

  75. 西中清

    西中委員 いま戸叶委員から質問があったのですが、私も非常にひっかかるので、一言だけ申しておきたいと思います。  やはりこれはあくまでも施政権の返還であって、何だかこの文章、演説を読んでみますと、アメリカのたいへんな好意によって領土が返されるのだ、これは認識の相違ということは確かにあると思いますけれども、そういうニュアンスが非常に強い。総理演説ですと、幾ぶん御苦労をかけたということが載っておるんですが、外務大臣の演説では、そういう要素は全くなくて、もっぱらアメリカの好意を宣揚しているという、しかも「失われた領土」というような表現が出ておるわけでございますから、これはあくまでも施政権の返還である、潜在主権というものはあくまでも確保されておったものだ、こういう考えを私たちは持っております。ですから、その辺は、政治的な何らかの考えがあっておっしゃっているような印象をわれわれ国民は受けるということをよくお考えいただきたい。こういう意味で先ほども同僚委員からの質問があったのではないかと思いますが、その点、もう一度だけ御回答願いたいと思います。
  76. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは私どもがたいへんよく吟味をいたしましてやったので、別にこれに間違いがあるというふうには存じません。つまり、とにかく戦争で失った領土を取り戻す、これは大体において戦争でなければ取り戻せない、これはもう古今東西の歴史の示すところだと思います。しかし、領土じゃない、施政権だ、問題は。しかし、これも領土権とほとんど似たものでありまして、どこが違うのかというと、きわめてノミナルなものになる。施政権と領土権とほとんど似たようなものです。そこで、話し合いによる沖繩の施政権の返還——沖繩の領土権の返還とは言っておりません。「その本土復帰という歴史的でぎごとが可能となったのは、」といっておりますので、私、これは間違っておるという感じは持ちませんが、ただ皆さんが、アメリカの好意だということを強調するその方便としてそういうことを言っておるんじゃないか、こういうようなことかと、こういうふうに思いますが、私はこの点も、アメリカの好意である、日米関係のもたらした——そればかりじゃございませんけれども、それがなければ、こういうことは実現できなかったのだ、こういうふうに考えます。この点だけは、せっかくのお話なんだが、どうも私、納得いかないんです。
  77. 西中清

    西中委員 それは潜在的に主権があるということで、憲法上の問題とか、本土法のたとえば恩給の問題等は適用されておるという例もあるわけでございますから、やはりこの点は正確であったほうがいいんじゃないか、このように私たちは思います。  これはこれ以上追及いたしません。  それで、先ほど御質問になった点で、一、二関連いたしまして、最初に簡単に聞いておきたいと思います。  「経過的措置」の問題でありますけれども、当事者間の話し合いによって解決をするまでの経過的措置ということでございますが、実際問題として当事者間の話し合いが可能なのかどうなのか、またそれは実際具体的にどのような把握をしておられるかという問題、こういうことがやはりはっきりしなければことばが間違っているんじゃないか。むしろ戦後以来今日までの日米の姿勢というものは、日本アメリカと一緒に、台湾及びその近海において第七艦隊の派兵とか、さらにはまた日本からの借款等のいろいろな問題、いわゆる台湾に対して一方的なこういうてこ入れといいますか、こういうことが続いておった。ですから、いまになって、双方の話し合いを期待し、それによって解決を待つ、こういう虫のいい話し方はないわけであって、当事者間の話し合いがほんとうに可能だ、こういう判断をなされておるのかどうなのか、その点をお答え願いたいと思います。
  78. 福田赳夫

    福田国務大臣 その辺は先ほどもお答え申し上げたのでありますが、「経過的措置」と申し上げておりますが、これはあくまでも国連の二つの決議案を提出した理由の説明なんです。私どもは、問題はその辺じゃなくて、日中間、いまも第七艦隊だというようなお話がありましたが、日中間の問題にあるのだというふうに考えておるのです。その辺をお考えいただきますと、経過措置とは一体何なんだという、こういうことは御理解いただけるのじゃないか、こういうふうに思いますが、形式的、理論的にどうだ、こう言うと、客観情勢の非常な大きな変化である、そのうち特に大きな変化は両国間の話し合いである、それを切に期待する、こういうことになるのであります。
  79. 西中清

    西中委員 それでそれに関連して、現在の経過的措置というものは、国連における代表権は二つということを最終的にもそうだというふうにお考えでやっておられるのか。これは一つであるべきであるというお考えでいま二つの重要事項、二重代表制というものをおとりになっておるのか。最終的にですよ。それはどうなのか。
  80. 福田赳夫

    福田国務大臣 最終的には一つであるべきだ、一つの国には一つ国連代表権だ、こういうふうに考えております。
  81. 西中清

    西中委員 それから演説の内容についてちょっとお伺いをしたいのですが、総理演説の中に「国連創設以来の重要メンバーである中華民国政府が、いわゆるアルバニア決議案によって一方的に国連から追放されることは、国際情勢の現実にそぐわないばかりでなく、アジアにおける緊張激化の要因ともなるおそれがあります。」緊張激化の要因と在るおそれがあるということはどういう認識、どういう背景でもってこういう表現をされておるのですか。何が緊張だ。むしろ私たちは、今日まで中国を国連に入れることについて重要事項、こういう扱いをしておった、その他いろいろな政策的な問題で緊張激化を招いておった、こういう考え方、そして世界各国の認識というものが大きな背景になっている、このように考えておるわけでありますけれども、この緊張激化の要因となるというように判断をされたそういう背景と、また何らかの確固たるお考えがあってのことなのかどうなのか、その辺はどうでしょう。
  82. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは総理がよくお使いになるのですが、現状を急激に変えるということは、それによって不安定な状態をかもし出す、こういうことだと理解しております。やはり二分の一というような方式によるアルバニア決議案、これで国民政府が国連から去らなければならぬ。それよりは三分の二という世界の大勢がというならばやむを得ないのじゃないか。しかし二分の一というようなところで離脱しなければならぬということ、それも一つ問題点として考えておるようですが、現状を急激に一方的に変化するということはいろいろな意味において不安動揺をかもし出す原因になるのじゃないか、そういうふうに理解しております。
  83. 西中清

    西中委員 その辺の見解はかなり私たちは違っておるわけなんですが、それはさておいて、「わが国の対中国政策に関する重大なる転換を意味する」ということを演説でもまた答弁においても繰り返しておられるわけですが、これは見方によっては重大な転換ともいえますが、重大な転換の中にも、やはり前向きの転換もあればうしろ向きの大転換もあるわけで、少なくとも昨年までは一つの中国論というもので筋はそれなりに通っておった。台湾をどうしても正統政府だというように認めた立場かどうか、ともかく重要事項としてこれを擁護しておった。これはこれなりの一つの中国論として筋は通っている。しかしながら今回の措置は、代表権の問題として扱っておるけれども、最終的に、これは結論的にいえば、台湾をあくまでも残すという方針ではないか。特にこの前、大臣も否定をされておりますので深くは申しませんけれども国連局長お話に対して大臣が否定をされたというような報道がありました。しかしながらそれはそれとして、ちらりとよろいが見えたともいえないことはない。それで世間は少なくとも通る。結局それは一つの中国、一つの台湾ないしは一つの中国、二つの政府というものをあらわしているというようにわれわれは判断をしております。ここで考えてみれば、これは中華人民共和国が最も忌みきらうというか拒否しておりますこういう姿勢をとるということは、むしろ私たちは、うしろ向きの大転換、このように判断をせなければならぬと思っております。その点はどのように考えておられるか。
  84. 福田赳夫

    福田国務大臣 中国問題につきましては、昨年までは国連に中国が参加することまでも、阻止というと語弊がありますけれども、これは重要事項だ、慎重にしなければならぬという立場をとってきたのです。そういう日本政府が、今回はこれを国連に迎えることを国連に勧告をする、さらに安全保障理事会の理事国になることまでも賛成する、こういう態度をとるに至ったのです。これは私は国連の場における非常な転換である、こういうふうに思うわけであります。同時に、さらにまたその背景です。これは日中関係であります。日中二国間の関係につきましても、ひとつすみやかに日中関係を打開しよう、正常化しようという決意をほんとうに固めたわけでありまするから、これもまた大きな転換だというふうに見て差しつかえないのじゃあるまいか、そういうふうに思います。私も私の演説で言っておるとおり「まっ正面からこれと取り組む決意であります。」こう言っておるのですから、そのとおりにやっていくつもりであります。
  85. 西中清

    西中委員 さらに引き続いて「この措置は、国連の普遍性の原則にかなう」こういう一文があるわけですが、国連において台湾の議席がなくなるというか追放されるというか、そういうことで国連の普遍性に反する、こういうお話だと思います。しかしながら、これは少しおかしいのじゃないか。むしろ日米両政府が今日まで国連において取り続けていた態度、これは国連の普遍性にもとっておるものではないか。もしも普遍性というものを口にするならば、七億以上の人民を擁する中華人民共和国、これを国連に復帰させるのが、そういうようにまた前向きに努力を重ねていく、これが普遍性ではないかというふうに私たちは考えております。これを慎重にということは先ほどおっしゃったけれども、そういう言い分で普遍性云々ということは非常に矛盾をしておる。やはり圧倒的多数であるこの七億を——いまでこそ中国招聘、こういう立場を一応は出しておられるけれども、いままではそうではなかった。重要事項だった。こういう点からいけば普遍性に欠けておった。いま愛知代表の国連演説の中でも、こういう点についてそういうニュアンスの話も入っておりますが、この国連における普遍性というものの意味、そういうものを曲解して、そうして台湾擁護、そういう立場をとるということは、明らかに矛盾をしておるのじゃないか、このように私たちは考えますが、その点どうでしょうか。
  86. 福田赳夫

    福田国務大臣 この普遍性というのは、ひとり国民政府に国連の中にとどまることを進めておるばかりじゃないのです。これは同時に二重代表というか、そっちのほうの決議におきまして、中華人民共和国政府が国連に加入し、かつその安全保障理事会の常任理事国になるという勧告ですね。その両方をさしまして言っているわけでありまして、まさにこれが普遍性じゃあるまいか、そういうふうに考えます。
  87. 西中清

    西中委員 そういう点では少し私も意見を異にしております。普遍性ということを口にするからには、少なくともいままでの行き方というものは考えなければならぬ、ないしは間違っておったのではないか、こういう判断が必要だろうと私は思います。  これはまた後日に論議を残しまして、最後のところで「今後とも通信、気象、航空、漁業等の諸協定の取りきめなど当面する諸案件について積極的な働きかけを行なうとともに、機会あるごとに、政府間の公式接触の呼びかけを行なう決意であります。」これについてはいままでも、わが党からもまた同僚委員からも何回もこういった取りきめをするようにと言い、そのときに政府も考えたいということであった。しかし具体的にこれを実現するよう要求するとどうもやれない、または拒否をするというのが今日までの政府の姿勢であったわけですが、今回こういう演説の中であらためておっしゃった意味は、ほんとうにやる気があっておっしゃっておることなのかどうなのか、リップサービスでこういうことをおっしゃっているのか、その点はどうでしょうか。
  88. 福田赳夫

    福田国務大臣 これはただ単にお題目を並べた、こういう趣旨ではないのであります。つまりこれらの具体的案件ばかりじゃないのですね。もっと基本の問題についてひとつ国交の打開をはかろう、こういう考えでありますので、これらの当面の具体的案件がそういう基本的問題のきっかけともなれば幸いであるというくらいな気持ちでこれらの問題をここに掲げたのでありますが、もっと私どもは進んでおります。基本的な問題について日中双方がぶつかる、こういう考えをしておるのであります。
  89. 西中清

    西中委員 それは何か具体的にいま措置をとっておられるのかどうなのか、その辺はどうでしょうか。
  90. 福田赳夫

    福田国務大臣 ここに掲げた四つの問題につきましては、具体的に話はありませんです。しかし、いろいろのくふうをこらしておるという段階であることを御承知願いたいと存じます。
  91. 西中清

    西中委員 それに関連して、外務大臣は八月三十日の記者会見で、訪中も辞さない、こういうお話があったように聞いておりますが、そのお気持ちはいまも変わりありませんでしょうか。それから、その後何かそれについての具体的な行動を起こされて寄るかどうか。総理外務大臣も訪中の意思は一応は示しておられるわけですが、むしろいま国連における姿勢等を見ますと、訪中を辞さないけれども中国が招聘しない、こういうような方向で進んでおられるようでもありますので、そういう点のお考えはどういう気持ちでおっしゃっておるのか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  92. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、外交演説で申し上げているとおり、日中国交の正常化はいまや歴史の流れである、この問題とまっ正面から取り組む、こういうふうに申し上げているのですが、そのとおりに考えております。そのとおりに行動いたしております。これは外交上の問題でありますので、これを一々申し上げるわけにはまいりませんけれども、今後もその方向をさらに展開をいたしていきたいということだけをお答え申し上げます。
  93. 西中清

    西中委員 次に、沖繩の問題で一、二聞いておきたいのですが、SR71、これは沖繩返還後も沖繩に駐留を認めるというように聞いておりますが、特殊部隊等も合わせまして、このSR71、これはやはり駐留を認めるということは変わりございませんか。
  94. 福田赳夫

    福田国務大臣 当分駐留することにならざるを得ないような情勢でございます。
  95. 西中清

    西中委員 もし駐留を認めるということになりますと、これもやはり安保のワク内でということになりますか。
  96. 福田赳夫

    福田国務大臣 さようでございます。
  97. 西中清

    西中委員 そうすると、本土並みで、安保のワク内でということになりますと、SR71が日本基地に駐留ないしは一時着陸ということはあり得るわけですか。
  98. 福田赳夫

    福田国務大臣 まあ飛行機のことでございますから、何か天候、気象等の関係で不時に着陸をするというふうなことがあるかもしれませんけれども、内地に常駐する、こういうことはあり得ませんですから、その辺は御安心願いたいと存じます。
  99. 西中清

    西中委員 その点、安心できるかどうかということは、またいろいろ問題はあるわけですが、時間の関係上、それは省略しますが、もしその駐留を認める、こういう立場を変えておられないとすると、これは当然外国の領空、領海等の侵犯という問題があるわけです。これは条件をつけられたというように聞いておりますが、その点はどうなんでしょうか。また、具体的に何か文書にされておるかどうか。
  100. 福田赳夫

    福田国務大臣 中共が問題になるわけですが、中国政府からこのSR71が領空を侵犯をいたしましたというような抗議は、まだ一つもないようでございます。もちろんそういう問題が起こらないように、私どもとしても警告をし、注意をする必要があると思いますが、中共については、いままで幸いにそういう問題が起こっておらぬということを申し添えておきます。
  101. 西中清

    西中委員 そういう領空、領海を侵犯しないということについての合意はできておるのかどうか。それともまた、それについての何らかの文書はあるのかないのか。
  102. 福田赳夫

    福田国務大臣 米側におきましては、国際法にのっとって行動をする、それは他の領空を侵さないということも含めての意味でありますが、そう言明をしておるそうでありますので、さように御了承願います。
  103. 西中清

    西中委員 そうしますと、国際法を守らなければこれはやむを得ないという立場でございますね。そうしますと、去る二十日の朝鮮中央通信によりますと、アメリカの高速度高空偵察機、すなわちSR71が北朝鮮領空に侵入し、スパイと敵対活動を働いた。また、十二月にも侵入していると発表しております。この点のことについては、政府は真偽を確認しておられるかどうか、この点どうでしょうか。
  104. 福田赳夫

    福田国務大臣 ちょっと政府委員からお答え申し上げます。
  105. 吉野文六

    ○吉野政府委員 お答えいたします。  われわれの承知するところでは、北朝鮮政府がSR71の名をあげまして侵犯をあげた例は本年三月十五日が最初でありまして、その後合計五回抗議を行なっております。しかしながら、御承知のとおりこのSR71というのは非常に高度を飛ぶ飛行機でございまして、三十八度線すれすれに上空を飛びますと、どちらの領空におるかということはなかなか判断できない状況でございます。まあそういうような点もありますし、先ほど申しましたように、いずれにせよアメリカ政府は、国際法違反をしない、他国の、第三国の領空を許可なくして飛ばない、こういうことを言っておりますから、そのようにわれわれは信じております。
  106. 西中清

    西中委員 確認をしたかどうかということを聞いておるのです。  それから、いまのお答えでいくと、高いので入ったか入らないかわからぬということですから、入っている場合もあれば、入ってない場合もあるということは理論的には言えるということですね。これはこれとして、どうもいまのお話では、未確認という以外にないと思いますが、これはやはり沖繩返還協定の批准というものを大詰めに迎えまして、私は非常に問題だろうと思います。  SR71について、安保のワク内でその機能は変化するという、こういうような特殊部隊についてもそういうような答弁が続いておりますが、現実問題としてこういう事件が起こっておるといいますか、確認はしていないようですが、公表されておるわけでございますから、当然これは政府としては確認をしなきゃならぬ問題であろうと思います。これに関連して、もし復帰後にSR71が某国の領空領海を侵犯した場合、これは明らかにSR71のこの行動というものがいわゆる安保条約及び協定文等の範囲を飛び越えた行動をしておるということが立証されるわけでありますが、そのときは政府は一体どういう態度をアメリカに対してとるのか。言いかえますと、単なる抗議で終わらすつもりなのか、何としても撤去をさせるという考えに立つのか、その辺はどうでしょうか。
  107. 福田赳夫

    福田国務大臣 さようなことが不幸にして起こった場合におきましては、それが反復されないような厳重な措置をとります。
  108. 西中清

    西中委員 反復されないということは、抗議程度で終わるということですか。もう一ぺん言ってください。
  109. 福田赳夫

    福田国務大臣 その措置はいろいろあると思いますが、いずれにいたしましても反復されないような措置をとりまするから御安心願いたい、かように申し上げたいのであります。
  110. 西中清

    西中委員 じゃこれ以上追及をいたしませんが、その辺は十分お考えであろうかとほんとうは思うわけでございますが、時間も参りましたので、以上で終わります。
  111. 櫻内義雄

    櫻内委員長 曽祢益君。
  112. 曾禰益

    曽祢委員 去る九月一日の当委員会におきまして、外務大臣アメリカに行かれる際に、特にニクソン大統領との会見も予想されるのであるから三つばかりの問題について御質問をいたしました。  その中で、一つは、言うならばニクソン大統領の日本の頭越しの米中接近、この問題等もあったので、アメリカのほうでもその点について、日本に対する態度がこれじゃいかぬじゃないかという反省も起こっている。有力な意見として、民間の意見ですけれども、ニクソン大統領の訪中の前に、むしろまず日本に行って十分にその理解を得、それから訪中すべきだという意見もある。したがって私はその問題をとらえて、これはやはり両国の親善のためにも、よりよき友好のためにも、そのこわされた信頼関係を軌道にのぼすためにも、むしろニクソン大統領が日本に来るのが筋じゃないかということを申し上げたわけなんです。それらに関連いたしまして、外務大臣も、この記録にありますけれども、ニクソンに会った場合、国際情勢全般についての見方について意見を交換する、特にアメリカ側から聞きたい点はニクソン訪中問題である、一体どういうところからこれがきたのか、中国問題の国連の場のかけ引きとは別に米中関係というものをどういうふうに持っていくつもりなのか、その前提として中国をどう考えているのか等々の、また極東情勢がこれからどう変わっていく見通しか、こういう問題についても十分意見をたたいてみたい、こういうことでございました。またあなたは、たしかニクソン大統領にお会いになって、そしてその後の新聞等にあらわれたところによると、ニクソン訪中には裏がないということがわかったということを言っておられましたが、このニクソン訪中の経緯、経過、これから日本との関係においてどう進めていくのか、これらの点についてどういう話をされて、いかなる心証を得られたのか、これをまず伺いたいと思います。
  113. 福田赳夫

    福田国務大臣 ニクソン大統領と私との会談は、会談をするに先立ちまして、この会談の内容をお互いに話さないということにしようじゃないか、そういう前提で話し合いをしよう、そうしないとざっくばらんの話ができないということがあるんじゃないか、こういうことで、私も、もっともだ、こういうふうに存じまして、そういう前提で話し合ったのです。  で、話し合った問題点はいま曽祢さんからお話があったような点ですが、それについて向こうでどう言い、こっちでどう言いということをここで御報告申し上げることができない、まことに遺憾に存じます。  ただ最後に、何も会談の結果を他に申し上げないということでも困る、私のほうから、この会談の——北京訪問ですね、米中会談、これについては、何というか、いま政治原則として両国の間にきまったものはないのだ。これは私相当はっきりしたそういう心証でございましたが、その点だけは、私はこれは日本に帰ってから内外に報告をいたしますよ、それはまあけっこうでしょう、とこういうことでありましたが、まあこういうことしか申し上げられないのはまことに残念ですが、外交上のことでございますので、お許しを願いたい、かように存じます。
  114. 曾禰益

    曽祢委員 それ以上お答えを求めるのは無理かと思いますが、問題は、ただああいうことをやっちまったから、どうも何とか親善ムードだけ出そうということだけでは済まぬのじゃないか。むろんそういうことだけだとは言いませんが、両陛下のアンカレジ寄港に際してやや異例ともいっていいような親善的な儀礼交歓を行なった。これもそれ自身決して悪いことではない。問題はしかし政治行動ですから、いまおっしゃったような、もうすっかり原則がきまっちゃっているのだ、動きがとれないのだ、ただ日本あとで通告するのだというのではなくて、とにかく訪中はああいうことで決定したのだ、通知等があまり時間がなかったのは申しわけない——そう言ったかどうか知りませんけれども、それだけでなくて、今後一体アメリカ日本との日米関係をどう見ているのだ、米中接近はたいへんに、それ自身決して悪いことではない、いいことなんですけれども、それとの関係において一体日本との関係をどう考えているのか。今後の米中接近にあたって一体アメリカ日本ほんとう国連の場におけるかけ引きの共同歩調だけではなく、米中接近とそれから日米関係のそのコンテクストから見て、日中関係とのこういったような三角関係をどういうふうに考えていくのだというようなことについてのハイレベルの話し合いがなされなければならぬ。私はこれは当然だと思いますね、個々の内容を聞いているのではなくて基本的態度として。したがってニクソンについても、まあ総理大臣は外国通信社の問いに対して、それは何も中国へ行く途中に日本に来る必要はない、それはむしろ別個の問題だ。これは私はいろいろタイミングの問題がありますから、儀礼的には日本に先に来るのがほんとうだと思うけれども、その前後を必ずしも問題にするのじゃございません。かりにニクソン大統領と外務大臣と話されたことは、これは一つの一段階でしょう。さらに今度キッシンジャー特使がまた行く。そのタイミングも、国連総会の中国代表権問題の表決の間近に行くということ自身に一つの問題があるでしょうけれども、それも差しおいて、一体そういったことについて、やはりわれわれ日本人全体としてはアメリカの行き方に対する不信感というものはこれはぬぐい去れないと思う。したがって、キッシンジャーが向こうに行く前にもあるマスコミに出ておったように、キッシンジャーは実際は日本にちょっと立ち寄って何か話をするやのゼスチュアがあったということですが、それはほんとうですか。そういうことがあったのですか。そういうアプローチがあったのですか。途中日本へ立ち寄るということのアプローチがあったのかどうかだけ御答弁願いたい。
  115. 福田赳夫

    福田国務大臣 情報としてそんなことを考えておるやのことはありましたが、直接正式なものはありません。
  116. 曾禰益

    曽祢委員 そういう場合にその情報に対して外務省側、日本政府側の態度はこうだということを何らか発信したのですか。つまり、いま来るのはかえって迷惑だからもう一ぺん顔洗って表面から出直せとでも言ったのですか。来るのならやはり表面から来い、ちょっとこっそり来るなんかいけない、とこういう発信、信号を出したのですか。
  117. 福田赳夫

    福田国務大臣 何もキッシンジャー氏が直接日本に来なければ日米間の中国問題の意思が疎通しないということはないのです。いま牛場大使がおります。牛場大使は幅広く各方面から接触をとっております。もちろんキッシンジャー氏とも、キッシンジャー出発の前に、先立って会談をしておる、そういうようなことを通じまして、私どものほうにもアメリカがどういうふうに考えているかということも刻々と知らされておるわけでございます。そういうので、そういう情報を聞いたけれども、こちらでは何らの反応を示しておりませんです。
  118. 曾禰益

    曽祢委員 キッシンジャー氏にこだわるわけじゃありませんが、よくキッシンジャーがこういう種類の外交をやったあとには——これはむしろ大統領の命令で、その帰り道かどうかは別として、実はこういうことを話したんだということを説明にくることがあるんですね。常駐の大使だけじゃ済まない世の中です。アメリカの国務長官ですら実際上たな上げされておるような忍者外交みたいなことをやるのです。だからそういう意味で、キッシンジャーが日本に来ることもいいだろうし、キッシンジャーよりかもっと偉い人が——岸さんがいま大統領の個人的な友だちということで行かれるのもそういうあれもあるかもしれません。ですからそういうあらゆる方法を、方法一つに限りませんが、やはりそういうことのコミュニケーションは従来足りなかった、あまりにも足りないと思うのです。そういうことで日米間に相当ずばりものを言うような、しかもハイレベルの話、それから常に情報の交換、これが必要だと思うのです。その点はどうお考えですか。
  119. 福田赳夫

    福田国務大臣 御説のとおりに考えております。そういうルート、これはしっかりしたものをつくっておくべきである、こういうふうに考え、またそういう方向でいろいろ工作しております。
  120. 曾禰益

    曽祢委員 時間がないので次の問題に移りますが、この同じ外務委員会におきまして私が沖繩問題について、特に核抜き、これはあとでその点を質問いたしますが、返還時における核抜きということ、核持ち込みよりも、核がないということをいかにして沖繩県民を含む日本国民にはっきりわかるようにするか。  それから基地、それこそ米中接近という新しい時点から見れば、いかにもあの付属書を見ると、これは全く現状のままで、日本に返ってくるものはほんとうの全く名目的なものだ。B表は自衛隊に移管される。要するにアメリカが、軍部が考えておるのは基地はそのまま、これだけではおかしいではないか。私ども全部交渉をやり変えろとは言っていない、ここまで積み上げてきたのだから。しかしその基地の返還の内容があまりにもひどいじゃないか。それからもう一つはVOA、こういう問題についていい機会であるから、新情勢の転換と相まって、これはニクソン自身のまあ頭越し外交といいますか、米中接近等のいわゆる冷戦緩和ということもいえるこの方向からいっても、もう一ぺんこれらの点についてだけもう少し真剣に日本側の協定並びに協定に関連する重要問題を改善してくるようにひとつぜひやってほしいということを申し上げた。それに対しては、あなたはむしろ私の指摘した問題のほかに特殊部隊の問題等もあげられまして、その辺については非常に重大な関心を持っているので、ひとつ示唆のあったような考え方で米当局と接してみたい、最善の努力をしてみる、こう言っておられる。まあワシントン滞在中の時間も限られておるでしょうから、どこまで進んだかは別として、今日までのその努力、どういうことをされて、現状においてどういう結果になっているかお示しを願いたいです。特に、もう時間がありませんから、まず核の問題については同僚委員からも取り上げられましたけれども、返還後の持ち込みの問題については、これは事前協議の対象になるし、日本政府がイエスを言わない限りはこれは断るということのルールはある。問題は、確かにかつてはメースBがあったし、いまいろいろの戦略核兵器にも種々雑多なものがあることは、推定してこれは絶対に間違いありません。それは証拠をあげなくてもあるにきまっているわけです。しかもその持ち出しの費用までわざわざこの協定に触れて、この共同声明の第八項に関連する、要するに核持ち出しのこともあるのでこの費用ということまでいっているのですから、それだけの問題なんですから、返還の時点までに撤去したということをはっきりあらわすということを真剣に考えなきゃいかぬと思うのです。またそのプロセスにおいて、毒ガス兵器の持ち出しみたいに一々そのときに交渉し、チェックするのは問題でしょうけれども、一体ほんとう撤去にあたって、ある時点においてこれが確かに撤去されたのだということがわかる方法が、やろうとすればないこともないと思うのですね。それで昨日ですか一昨日ですかの議会における総理大臣の答弁で触れているように、何らか友好関係を害さない方法で確認してみたいということを言っている、日本側による確認、両国の合意による確認、それからもう一つは、これも多くの人から指摘されているのですけれども、いますぐじゃないだろうけれども、いわゆる協定の批准書交換あるいは発効、いろいろな時点が考えられますけれども、少なくともこの返還が実現するまでの適当な時点に、これは共同声明ではかえってぼけるのなら、むしろ大統領が取っ払ったということをはっきり言う、そういう一方的声明もあるでしょう、何らかの意味でいままでは置いておったに違いない核はとにかく取り払ったということを明らかにする方法をぜひ私はやるべきだ、もっと真剣にこの問題を考える必要がある、こう思うのですが、まずこの一点を伺いたいと思う。
  121. 福田赳夫

    福田国務大臣 私がアメリカに行く前に、曽祢さんからこの席でいろいろ承ったあのお話はまことにもっともだ、こういうふうに存じたわけなんです。ただこの問題は、とにかく前大臣のとき、あれだけ交渉しまして、煮詰めに煮詰めたそのあげくのことでありますから、そう簡単な問題ではない、しかしお説はごもっともだ、こういうふうに存じまして、核ばかりではない、あの御指摘の諸点は私の念頭に今日までずっとある問題であります。いま特に核だけについてのお話でございますが、この問題もいま私の頭の中を去来し、また私の行動の中の一つの問題にもなっている問題でありますが、いまちょっとひとつ時間をかしていただきたい、何とか前進してみたい、こういうふうに考えておるのです。
  122. 曾禰益

    曽祢委員 この問題とそれから基地の問題ですね。基地はどう考えても、私はあのA、B、C表はやはり新しい時点で考え直すのがほんとうではないか。米中接近がどれほど進んで急速に行くかわかりませんけれども、少なくとも常識的に考えて第七艦隊が全部西太平洋から姿を消すなんということは考えられないけれども、台湾におる九千名というアメリカの将兵を撤退することは一と同時に、何といいますか、アメリカと国民政府との安全保障条約はそのまま残っておるけれども、しかしとにかく台湾からの撤収はあるだろう、そういう場合に、二年前の冷戦構造のままで、ほとんどその上に、さらに最近の沖繩と繊維交渉とのからみ合いから、もうアメリカの軍部の言いなりほうだいのことを言って、基地をほとんどそのままで、それで返還ということのあのA、B、Cの付表ですね。これがこのままというのでは、私は、これは米中接近なんだから、基地があったって戦争の危険は薄らいだからいいじゃないかと言うが、ものの見方ではそうも言えるかもしれないが、逆に、ほんとう沖繩というものが極東緊張のかなめで、まあ大陸に対する巨大な前進基地的のいわゆる基地である、要するに中国その他から、彼らから見たら潜在的脅威を日本だけが背負わされたということにもなりかねない。ですからやはり基地の撤収、縮小をもっとスピードアップするということで、あの付属書そのものの書きかえを——あのままでいつまでも固定的に考えるのはとんでもない、私はそういうふうに考えるので、これについてもやはり私は真剣に考えて、少しでもいわゆる内地並みといいますか本土並みといいますか、非常に大きな、ベトナム戦争中のときに大いに活用したような嘉手納基地というものはこれは大体において撤収されるのが当然なんです。ですから、そういう意味で基地の縮減、縮小のスピードアップのプログラムぐらいは出すのがほんとうじゃないかと思う。  それからVOAにしても、これは戦争をやっていないときは直接の軍事的謀略放送ではないかもしれぬ、しかし、アメリカ側にはアメリカの言い分があるだろうけれども、これこそ異例中の異例なんだから、こういうのは、協定には一応五年間ということになっているけれども、もうすみやかに撤収する、こういう方向でぜひひとつやってもらいたいと思うのですが、いかがですか、その二点。核ばかりでなくて、基地とVOAのやつ……。
  123. 福田赳夫

    福田国務大臣 基地問題でA、B、Cという付表をいま変更する、これはこの段階になってきますともう不可能だと思います。ただ、これらを実行するその実施過程において状況もだんだんと変わってくると思いますが、そういうものともにらみ合わせ、またわが国の国民感情というものの移り変わりもあります、そういうものも踏んまえなければならぬ、そういうようなことで、あのA、B、C付表はこれはそのとおりにせざるを得ないと思いますけれども、そういう環境の中で基地撤廃が進行する方向で進めたい、そういうふうに考えておるのです。ただ、これはどこまでいまの段階でいけるか、いま曽祢さんは米中接近、米中接近と言うが、アメリカに接した私どもの感触では、そう米中接近ということはまだ強調をしておりませんでした。まだこれからだ、北京訪問はこれはビギニングである、こういうような考え方でありまして、いま米中について、中国訪問がきまったからそれで極東情勢が大きく変わったのだ、こういうような話をしかけますと、かなり向こうでは反撃をしてくる、こういうような認識を持っております。  それからVOA、これは一応五年ということになっており、場合によってはこれがまた延びるかもしらぬ、こういうような協定にはなっておりますけれども、これも同じような配意で対処していきたい、かように考えます。
  124. 曾禰益

    曽祢委員 先ほど時間をかしてくれというお話で、何もきょうが最後ではございませんが、しかし国会の、特に本院の審議の日程を考えますと、そういつまでもでは困るのです。私どもはやはりこの協定が全部ペテンだとか、全部基地なしに返ってこなければ絶対反対だとかいうのではない、やはり早期核抜き本土並み、こういうものに焦点を合わせて、いま申し上げた三点くらいはこれは真剣に直さなければ、やはりわれわれは良心的に協定に賛成できない、こういう意味で申し上げているのですから、本院における特別委員会の審議の過程くらいまでに、やはり政府がぎりぎりここまではわれわれの意見に——これは私は国民の総意と言っても言い過ぎじゃないと思うのです、このくらいはやれという。それに対する真剣な努力とそれからお答えを期待しておきます。  きょうはその程度にしますが、それに関連しまして委員長にお願いがございます。資料請求、これは外務省にお願いするのです。  VOAの放送の内容、実際謀略放送ということはいわれているのですが、ほんとうに朝鮮戦争のさなかとかあるいはベトナム戦争に対する場合の謀略放送もむろんあろうと思うのですが、平常の場合にどんなものを何語でどっち向けにやってるんだか、これはテープ全部を聞かせろといっても無理だろうけれども、どういう趣旨のあれを何時間、どっちの方面へ流しているか。その中で、たとえばわれわれがそれを、サンプルでもいいと思うのですね、どういうニュースとどういうコメントをやってるか、実態がどうなんだということを知らずに議論しても始まらない。VOA放送の内容についてもっと詳しい資料、それから若干のサンプル、中国語の放送はこうだ、朝鮮語はこうだ、ベトナム語はこうだ、こういうようなものを出してもらいたい。資料の要求をしておきます。
  125. 櫻内義雄

    櫻内委員長 曽祢委員の申し出については了承いたしました。
  126. 曾禰益

    曽祢委員 時間がありませんので松本君に席を譲ります。
  127. 櫻内義雄

  128. 松本善明

    松本(善)委員 最初に中国問題について伺いたいと思います。  外務大臣永田委員お答えになったときに、国連の表決と二国間の関係は別であるということをお答えになりました。これは国連の表決がいわゆる逆重要事項指定外計二提案が否決になろうとあるいは可決になろうと、いまの蒋介石政権との関係は変わらないんだ、そのことによっては影響されないんだ、こういう意味に受け取ってよろしゅうございましょうか。
  129. 福田赳夫

    福田国務大臣 さような意味でございます。
  130. 松本善明

    松本(善)委員 それからもう一つ伺いたいのは、経過的措置についていろいろ御質問がありましたが、客観情勢が非常に大きく変わるまでの措置ということで、そのポイントが両政府間の話し合い、こういうことでありますが、この両政府間の話し合いがつくということ以外の客観情勢の変化というものが最近の間に予想されましょうか。
  131. 福田赳夫

    福田国務大臣 一番最近のあれは、国連で二決議案が否定されて、そしてアルバニア決議案が通ったということになれば、この問題は一切形勢は変わっちゃうわけですわね。私どもが経過的というのは、国連におけるわが国の態度、これについて言っておるわけでありまして、そういうことになるわけなんです。いま、そういう否決されるというようなことを私は想定はしておりませんけれども、何かほかに最近あるかと言われれば、非常に最近あり得るかもしれない。これは非常に仮定な話でございますが、そういうことであります。
  132. 松本善明

    松本(善)委員 そういたしますと、国連で二決議案が否決をされるということになりますと、いわゆるいままでの経過的措置というのは変わって新しい接触の方向に進むかもしれぬ、こういうことを言われるつもりでありますか。
  133. 福田赳夫

    福田国務大臣 経過的措置と申し上げますのは、これは国連におけるわが国の立場の問題なんです。ところが表決があってもうピリオドがこの問題では打たれるということになれば何をか言わん、こういう意味を申し上げておるわけであります。
  134. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると二国間の問題については先ほど言われたとおり国連でどういうふうになろうとも変わらない、こういうことを言われたわけでございますね。そうだといたしますと、これは国連から蒋介石政権が追放されてもなおいわゆる日華平和条約を維持して、蒋介石政権との関係を維持していくということは変わらないということをきょう外務大臣が表明をされたということは非常に重大なことで、私は中国との国交回復ということはそういう態度ではとうていできないというふうに思います。この点については外務大臣、これ以上追及いたしましても変わりようもないと思います。たいへん遺憾であるということだけを申し上げておきたいと思います。
  135. 福田赳夫

    福田国務大臣 誤解されているようですから……。  国連における結果が日中関係に影響しない、こういうことを申し上げたわけなんで、その日中関係が一体どうなるか——日中というか日台ですね、日台関係がどうなるか、これはまた別の問題なんです。これが未来永劫まで変わらないんだというような意味において言っておるわけじゃないんですよ。これはよくはっきりしておいていただきたいのですが、国連における決定と日本が国民政府に対する関係とは、これは別の問題です。日本と国民政府との間の関係は、これは国連の決議いかんにかかわらず二国間において決定される問題である、こういうことを申し上げているのです。未来永劫変わりませんとか、そういうことを申し上げているわけじゃないんで、総理も私も言っているのですが、国民政府と中華人民共和国とは話し合いによって一つになることを期待する、これまで言っているんですからね、それは国民政府、未来永劫変わらないということを私が意味した、こういうことではありませんことをはっきりとひとつ御理解願いたい。
  136. 松本善明

    松本(善)委員 その御趣旨が結局においては二つの政府が話し合いで一つになるということを期待するということに落ちがいくということになれば、結局は私は、当面は中国との国交回復の見通しがないというのはだれが見ても常識だろうと思います。  この点をいつまでもやるわけにいきませんので次の問題を伺いたいと思うのでありますが、この中国問題にいたしましても、根本の問題は、日本政府が社会主義国——社会制度や政体の違っておる国、社会主義国に対する敵視政策といいますか、こういうものに根源があるように私は思うわけです。本来社会制度や政体が違っておりましても、そういう国と国交を閉ざしたりあるいは往来の自由を制限をしたりというようなことがあってはならないと私ども考えるわけであります。その全体の社会主義国への外交政策という点で伺いたいのでありますが、特にわが国にとっては関係の深いのは朝鮮民主主義人民共和国とそれからベトナム民主共和国であります。この二つの国に対する国交の問題あるいは往来の自由の問題、あるいは友好関係という問題についての外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
  137. 福田赳夫

    福田国務大臣 社会主義国とのつき合いは、これは自由主義国とのつき合いと多少違うところがあると思うのです。つまりこれは主義、主張というか、あるいは世界に臨む態度、世界観、そういうようなことの違う国でありまするから、まあ自由主義を志向する国同士とちょっと違う面が出てくると思います。しかし、そういう面はそういう面といたしまして、そういう違いなんかを乗り越えて私は社会主義国との間にも友好を深めていくべきである、そういうふうに考えます。ただ、いま御指摘の北朝鮮、また北ベトナム、これはそういう社会主義国であるからという問題よりは、むしろそうじゃなくて、これは分裂国家の一つであるというところに問題がある、こういうふうに考えるのです。そういうようなことからいまだ国交というものが十分でない、こういう実情にある、かように理解をしておるのであります。
  138. 松本善明

    松本(善)委員 この問題はまたあらためて伺うことにいたしまして、沖繩の問題に関係して、いまの前提で伺いたいと思います。  沖繩に駐留いたしますアメリカの陸軍第一特殊部隊とか第七心理作戦部隊とか混成サービスグルーブとか、先ほど問題になりましたSR71という、こういういわゆる特殊部隊の危険性というのは、私ども従来から指摘をしてきましたけれども、今度日本共産党の国会議員団の調査で、第七心理作戦部隊が作成をしておりますベトナム語のビラが明らかになりました。いずれも浦添市の牧港陸軍施設内の第二〇五号ビルにあります第七心理作戦部隊印刷中隊付属の印刷工場でつくられたものであります。これは現物がここにございますけれども、こういうものでありまして、一つを読んでみますと、B52の写真が載っている裏に、「これが巨大な爆撃機B52です。みなさんは、死と破壊をもたらす恐ろしい爆弾の雨をすでに何回もくぐってきました。みなさんの住んでいる地域はもっと爆撃をうけるでしょうが、みなさんはそれがいつくるかを、いつでも知ることができないでしょう。すべての飛行機がとても高く飛んでいて、聞くことも見ることもできないのです。それはなんの予告もなしにみなさんに死をもたらすでしょう。いますぐこの地をはなれて、みずから自分の生命をお守りなさい。このビラか政府の通行証明書をもって、もよりの政府の前哨所においでなさい。ベトナム共和国政府の同胞と軍民は、よろこんでみなさんを歓迎するでしょう。」こういう趣旨のことが書かれているわけです。ほかのビラも同様であります。たとえば「飛行機が死をまきちらすためにまたやってくるときまでに、みなさんがその選択をおこなうための時間はもういくらもありません。」「さあ、うまくやりましょう。もうこれ以上ぐずぐずしてはおれません」あるいはB52は「どんなに頑丈な構築物であろうと、すべて破壊しつくすことができます。」「投下地点の近くにいる人はだれでも、口、鼻、耳、胸がばらばらにとばされてしまいます。」「ベトナム共和国政府のもとに帰順しましょう。」こういうようなことの書かれているビラが沖繩でつくられております。私どもはこの種のビラを六種類入手をしております。いずれも住民の住んでいる地域に対する無差別爆撃が行なわれていること、そしてこれを脅迫の材料としているものであります。  外務大臣に伺いたいのは、これは陸戦ノ法規慣例二関スル規則の二十五条でも、都市、村落、住宅、建物で防守されていないものはいかなる手段でも功撃することはできない、これは空からの場合でも同じだというのは国際法学者の通説でありますけれども、こういうことを、私は外務大臣に条約論をお聞きしようとは思わないけれども、こういう非戦闘員に対する無差別爆撃でありますとかあるいはそういうことを脅迫に使うということについて、これはいいことだというふうに外務大臣考えかどうか、この点をまず伺っておきたいと思います。
  139. 福田赳夫

    福田国務大臣 そのビラのことは私は承知しておりませんので、政府委員のほうからお答えさせますが、まあ戦争類似状態がいまベトナムでは行なわれているのですからいろんなことがあるだろうと思うのです。私の所見を求むというお話でございますが、具体的にどういうことなのか、そういうことをかなり正確に承りませんと何か間違った前提の上に所見を申し上げるということになりますので、この際は所見は申し上げません。
  140. 松本善明

    松本(善)委員 私が申し上げるのは、住民に対する無差別爆撃、こういうことはいいことだとお考えかということです。
  141. 福田赳夫

    福田国務大臣 それはよくないことであると、かように考えます。
  142. 松本善明

    松本(善)委員 これらのビラは、サイゴンのかいらい政権ベトナム共和国政府ということになっておりまして、これが住民に呼びかけるという形をとっております。これはサイミントン委員会の議事録によりますと、第七心理作戦部隊が南ベトナムでばらまいているビラやリーフレットは発行責任者を明らかにしない、ベトナム政府とか連合軍から出したもののように思わせるというやり方をとっているということがサイミントン委員会議事録でも明らかになっております。しかも沖繩で発行されております「オキナワ・インフォーメイション・ガイド」という一九七一年の資料によりますと、アメリカ軍当局提供の沖繩基地についての解説で、第七心理作戦部隊は「ベトナムで使われる全リーフレットの八〇パーセントの製作に責任を負っている」こういうことであります。まさに沖繩がこういうベトナム向けの心理作戦の中心になっておるわけです。こういうことを返還後も日本政府は認めるという考えなのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  143. 福田赳夫

    福田国務大臣 まあ返還の時点からは、これは米軍の資格も変わってくるわけでありまするから、その際は人道上にそむくというような行動のないように、そういうようなことは印刷に限らず諸般の問題につきまして注意し、なからしめると、こういう方針といたしたいと存じます。
  144. 松本善明

    松本(善)委員 特殊部隊というのは、先ほど四つ私があげました、第一特殊部隊いわゆるグリーンベレー、第七心理作戦部隊、混成サービスグループ、SR71、ほかにもありますが、そういう部隊は平時でも不正規の軍事作戦、破壊撹乱活動、スパイ情報活動、こういうのをやるのが特徴だということが、この間明らかになりましたアメリカ国防総省のベトナム秘密報告書によっても明らかになっております。こういう部隊に基地を提供するということ自身がベトナムでありますとかあるいは朝鮮でありますとか中国とか、そういう国に対する敵対行動になり、安保条約そのものによっても正当化することのできないような性質のものであります。こういう特殊部隊はその任務がそのままである限り、これはその存在を認めるということ自身が、こういうアジアの社会主義国に対する敵視行動であります、敵対行動であります。安保条約によって正当化することはとうていできないと思います。この点についての外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
  145. 福田赳夫

    福田国務大臣 沖繩の内部におきましていろいろな訓練をする、これは、まあ沖繩が返還になる、そういう際にこれを承認するということは私はやむを得ないと、こういうふうに考えるのです。特殊部隊の存続、これにつきましても承認をせざるを得ないと、こういう考えを持っております。ただ、沖繩わが国に返還になってきてからは、この特殊部隊といえどもわが国の領域におる部隊でございまするから安保条約の適用を受けると、こういうことになるわけです。したがいまして、問題によりましては事前協議の対象となる、こういうこともありまするし、われわれからいろいろ注意し警告をするというようなことも可能のものもあると、こういうようなことでありまして、国際的に問題を起こすというようなことのないようにつとめていきたい、かように考えます。
  146. 松本善明

    松本(善)委員 特殊部隊といいますのは、いま申しましたように不正規の軍事行動でありますとか平時の敵視、敵対行動をとる部隊なんです。だから問題にしているわけですが……。  外務大臣に伺いたいのですが、私どもはこれらの部隊の存続そのものが問題になる、注意して直すとかなんとかいうものでない、部隊としてそういうことをやるものなんだ、こういうふうに考えているんです。もう政府としてはこの国会協定の批准を求めているいわゆる最終段階です。この段階で一体この特殊部隊というものがどういうものだというふうに米軍から説明を受けているか。この点を最後に伺いたいと思うのであります。第一特殊部隊、第七心理作戦部隊、それから混成サービスグループ、SR71、その他わかっているならば、ほかのものもお答えいただきたいと思います。
  147. 吉野文六

    ○吉野政府委員 いわゆる特殊部隊というものにつきましては、われわれの一般的な見解は、軍隊である以上それぞれいろいろの能力がある。しかしながら、いずれにせよ返還後は安保条約、地位協定その他のわが国アメリカとの間に結んでおる協定によって縛られるわけでございますから、したがって彼らの行動も自由でない、こういうように解しております。  いま先生の御指摘の混成サービス部隊につきましては、これはわれわれは従来調べたところ、主として兵たん補給の任務を扱っておる、こういうふうに理解しております。それから第七心理作戦部隊につきましては、心理作戦出版物の作成、太平洋軍に対する心理作戦上の助言、支援というようなことをやっておると理解しております。それからSR71につきましては、すでに先ほど政府側から答弁がありましたとおり、国際法を守って、その範囲内において行動する、こういうことでございます。それから第一特殊部隊、つまりグリーンベレー部隊のことでございますが、これにつきましては、返還後は第三国軍の訓練をしない、こういうことになるはずでございます。
  148. 松本善明

    松本(善)委員 これで終わりますが、そういういまの説明のようなものでは、とてもない。私は、最終段階で、政府のこの問題についての説明がそういうものだということは、まことに遺憾だと思います。国民に対してこうこうこういう部隊だけれども、これを置くのだということをもっと正確に知らさなければならない。私は、この問題は、時間がありませんので、たいへん残念ですけれども、そんな簡単なものでない、重大な問題だということだけを指摘をして、きょうは質問を終わりたいと思います。
  149. 櫻内義雄

    櫻内委員長 次回は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十三分散会