○山原
委員 この事件が起こりましたのが十二月の一日ですね。
国会において保安庁長官の答弁によりますと、十二月一日の午前零時三十分にこの事件が起こっておるということなんですが、第三管区保安部の発表ではそういう発表になっておりません。実は最初から全部第三管区の発表と食い違いが生じているわけです。私はちょっと経過を申し上げてみまして、その中で疑惑点を申し上げたいと思いますから、お聞きいただきたいと思うのです。
第一点は、十二月一日にこの事件が起こりまして、十二月の四日に御
承知のようにノリが全滅をするという事態が起こっております。そしてその
原因は何であろうかということで、この当時は航行中の船舶による不法投棄であろうというふうにいわれておったのです。ところが調べてみると、油質が非常に悪質なC重油であるということがわかりまして、そのためにこれは陸揚げ中のバルブミスによる油の流出であるという可能性が出てまいりました。千葉県のほうでは十二月の六日に特捜班といいますか、油被害
関係特別
対策本部というのをつくっております。これはなぜ千葉県がこういうものをつくったかといいますと、千葉県なりの長い間の苦闘の歴史があるわけです。というのは、ごく最近の数年間に十四件の油による被害が起こっておりまして、そのために漁民の生活が破壊されるという事態が起こっているわけですね。その十四件のうち、
原因がわかったのはわずか三件です。この十四件の被害によりまして起こった漁民の受けた被害というのは、二十億円に達しております。三件の
原因のわかったものによる補償金額が九千九百万円で約一億、二十分の一という状態で、あとは全部泣き寝入りなんです。どの船が不法投棄をしたのか、さがせどわからないという、全く
相手を見つけることのできない苦悩ですね。県民、漁民の間から
意見が起こってくる。そこで千葉県としては、今度こそは
原因を突きとめなければならないということで特捜班をつくったわけです。これが十二月の六日のことであります。千葉海上保安部のほうでは、同じく十二月の六日の日に捜査をしておりますが、これはたしか千葉海上保安部のほうでは十四隻の船が目撃をしておるということで、この
調査をしておるわけですね。これが六日のことです。ところが十一日に至りまして、第三管区海上保安部より県への
報告があって、川崎市の扇島シーバースで、大型タンカーが給油作業中、相当量の燃料油を海中に流出した事実があるということをつかんだということを県に
報告をいたしております。ところが、この船の名前については、第三管区は依然としてM事件と称して、名前は発表していないのです。ところが、これは明治海運所属の明原丸十万トン、そしてそれをチャーターしたのが東亜燃料株式会社ということはほぼ明らかなところであります。ところが、この明原丸が十二月一日に扇島シーバースにおいて給油中、操作を誤って油を流したということは、海上保安部のほうに通報しておるわけですね。ところが、これは全然調べていないでしょう。そしてこの船は当日の十二月一日の夜半に出発をして、ペルシャ湾に再び向かっているわけです。こういう経過をたどっているわけです。
十二月十二日に第三管区保安部のほうでは、東亜燃料を呼びまして、油濁防止法違反の容疑で
事情を調べております。それによりますと、十二月一日、ボイラー用重油を誤って二リットル海へ流した。二・七リットルともいわれておりますけれ
ども、わずかな油を流したということを発表しているわけです。こういう状態の中で、確かに明原丸にも失敗が、落ち度があった、というのは、この給油中に
関係者が、当直員が立ち会っていなかったということなどをあげておりますけれ
ども、そういう状態です。
そこで県のほうでは、御
承知のように明原丸を追跡せよということを第三管区保安部のほうへ
要求しましたけれ
ども、これをけっておりますね。県は、関達哉さんという千葉県の内湾水産試験場の養殖課長さんを派遣をするわけです。しかし、この方はサウジアラビアのラスタヌラ港まで行っておりますが、一昨日私がお聞きしたところによりますと、電報が入りまして、この方は明原丸の船にまでは入っておりますけれ
ども、この油の採取は拒否されております。いわば坊の使いになって拒否されて帰ってくるという状態が起こっているわけですね。企業のほうも全く非
協力、海上保安部のほうもこれを厳密に追跡するという
態度が見えないわけです。
それでこういう経過、ちょっとあと先しましたけれ
ども申し上げましたが、その中で私が疑惑に思う点を幾つかあげてみます。
なぜ第三管区海上保安部は明原丸の船名を明らかにしなかったのか。第三管区海上保安部の松井次長は、この明原丸と因果
関係を直接結ぶことは非常に危険だと言い、千葉県が明原丸の名前をあげたことはきわめて迷惑であるというようなことまでぬけぬけと言っておるわけです。これが疑惑の第一点です。
それから第二点は、千葉県が海上保安部に対して捜査資料の提出を要請しましたが、これを断わっております。捜査の秘密だということで断わっておるかもしれませんけれ
ども、一方では、
原因者を追及しなければ補償も取れないという切実な気持ちがあるわけですからね。それを拒否したのは一体どういう
理由か。
第三点は、明原丸が証拠隠滅のおそれがあるというので、千葉県としてはペルシャ湾に向かうこの船を追跡をしてもらいたいと追跡
調査を第三管区保安部に対して要請しておるが、これも拒否しておる。ところが、海上保安庁は十三日に第三管区のやり方を改めるよう指示をいたしまして、再
調査を長官名で命じておりますね。そして、つまり第三管区は最初の方針を改めて係員二名を派遣したというのが、今日先ほど私が
質問したまでの状態です。
これまでの経過を私が申し上げまして、三つの疑点を申し上げました。これに対して
弁明することができますか。どうしてこういう食い違いが起こってきたのですか。