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1971-12-23 第67回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月二十三日(木曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 渡部 一郎君    理事 木野 晴夫君 理事 佐々木義武君    理事 前田 正男君 理事 石川 次夫君    理事 近江巳記夫君 理事 内海  清君       稲村 利幸君    加藤 陽三君      小宮山重四郎君    菅波  茂君       田中 武夫君    堂森 芳夫君       山原健二郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大石 武一君  出席政府委員         近畿圏整備本部         次長      朝日 邦夫君         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         科学技術庁長官         官房長     井上  保君         科学技術庁計画         局長      楢林 愛朗君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         科学技術庁原子         力局長     成田 壽治君         環境庁自然保護         局長      首尾木 一君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         外務省条約局長 井川 克一君         厚生省公衆衛生         局長      滝沢  正君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         自治大臣官房参         事官      立田 清士君  委員外出席者         科学技術庁資源         調査所所長   酒井忠二三君         外務省アメリカ         局外務参事官  橘  正忠君         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         海上保安庁警備         救難監     武市 一郎君         建設省都市局下         水道部長    久保  赳君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月二十二日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     山原健二郎君 十二月二十日  原子力発電所設置地帯安全性確保に関する陳  情書  (第三二五号)  大飯原子力発電所原子炉設置許可延期に関す  る陳情書  (第三二六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  科学技術振興対策に関する件(環境科学技術に  関する問題等)      ――――◇―――――
  2. 渡部一郎

    渡部委員長 これより会議を開きます。  まず、閉会審査申し出に関する件についておはかりいたします。  本委員会は、閉会中もなお科学技術振興対策に関する件について調査を行なうため、議長閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渡部一郎

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 渡部一郎

    渡部委員長 引き続き科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。田中武夫君。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 委員長委員長席に着き、そして担当国務大臣をはじめこの科学技術振興対策特別委員会関係政府委員は全部着席いたしております。当然十時十五分から委員会が開かれることはわかっており、前もって政府委員要求をいたしております。しかるに、外務省条約局長ないし参事官が、委員長開会を宣言してなおこの時間に至るまで来ないということはもってのほかです。しかもその理由は、条約局長参議院の本会議に出なくちゃならないからということであったのです。ところが、現にいま調べましたら、参議院会議ではなしに本省におったわけなんです。少なくとも国会呼び出しに関する大きな義務違反であり、国会軽視であります。  したがいまして、条約局長が入りましたその節においては、委員長からしかるべく取り扱いをしていただくか、あるいはそうでなかったら、この席において私は外務省条約局長問責決議を当委員会でやるように提案いたします。
  6. 渡部一郎

    渡部委員長 ただいまの田中武夫委員の御提案でありますが、その御趣旨についてはきわめてごもっともなる趣旨であると思います。この件の取り扱いについては、理事会の協議にまって取り扱いを定めたいと存じます。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 直ちに委員会休憩して、外務省条約局長が入るまでに理事会結論を出してください。そうして問責決議に対しましては私が提案をさせていただきたいと思います。
  8. 渡部一郎

    渡部委員長 それでは休憩をいたします。    午前十時四十七分休憩      ————◇—————    午前十時五十八分開議
  9. 渡部一郎

    渡部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  外務省井川条約局長より発言を求められておりますので、これを許します。井川条約局長
  10. 井川克一

    井川政府委員 たいへん当委員会に御迷惑をかけまして、まずおわびを申し上げます。  ただいま御存じのような事情でございまして、また一方、外務省側連絡が非常に不十分でございまして、御審議に御迷惑をかけましたことを心からおわび申し上げます。  本日、参議院の本会議が開かれておりまして、私、原則として、外務大臣が行きますところ必ず随行するか、あるいは、その場にいないときは、必ず本省におりまして、呼び出しに応じて随行するということになっておりましたもので、そういうふうな関係で、私、当委員会出席がおくれまして、ほんとうに申しわけないことと思っております。どうぞお許し願います。
  11. 渡部一郎

    渡部委員長 質疑を続行いたします。田中武夫君。
  12. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいま外務省条約局長から弁明といいますか、行なわれましたが、私は了承することができません。なぜかと申しますと、昨日、委員部を通じて出席要求をしたわけであります。その際、外務省から連絡がありまして、条約局長参議院の本会議に出るから、そういうことであったので、一応参事官でも、こう言っておったわけであります。その時点でいっても、当然参事官は当委員会開会せられる十時十五分にはもう委員会に入っておくべきであります。しかも、調べましたところ、参議院の本会議では条約局長は必要でない。そこで、あらためて局長出席要求したわけであります。  御承知のように、国会法の七十一条には、もちろんこれは「議長を経由して」云々となっておりますが、政府委員は、国会呼び出しに応じて出席をして答弁することが義務であります。国会先例を常にとうとび、その例によって行なわれております。したがって、議長を通じということに国会法はなっておりますが、委員部を通じて行なうのがいままでの先例であります。したがって、これは国会法七十一条が適用せられるものと私は解釈いたします。  しかるに、呼び出しがあって、出席要求があって、しかもその出席ができない理由を、はっきり言ってうそをついておる。参議院の本会議がありますからということですが、そういうことでなくて、本省におったわけなんです。しかも、そのかわりに出席すると言ったところの参事官が定刻には入っていない。委員長委員長席に着いて、あるいは担当科学技術庁長官もあるいは関係政府委員も入って、速記も入って、委員もおりまして、委員会開会がすべて準備をせられてから一体何分たつと思いますか。そういうようなことで、私はいまの弁明は了解をすることができません。  したがいまして、直ちに当委員会において外務省条約局長問責決議提案いたしたいと思います。その理由はいま申しましたようなことであります。委員長において善処願います。
  13. 渡部一郎

    渡部委員長 ただいまの田中武夫君のお申し出につきましては、後刻理事会において御相談することにいたしたいと存じます。
  14. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、直ちに委員会休憩して理事会において相談していただん、あるいは委員長の裁量でこうやるということであるならば、私はそれに従ってもいいと思います。しかし、問責決議を正式に取り扱わないにしても、最小限度外務大臣が後日当委員会に出てきて、今日の事情調査の上、弁明し、謝罪することを要件といたします。
  15. 渡部一郎

    渡部委員長 田中武夫君のただいまのお申し出も含めまして、理事会において協議することにしたい、こう存じております。
  16. 田中武夫

    田中(武)委員 私は条約局長には問責決議提案いたしました。したがって、条約局長には質問いたしません。  私の本日の質問は、先日の大原委員の当委員会における原子爆弾傷害調査委員会、いわゆるABCCについて、当時私が関連でいたしましたことにつきまして、あらためて質問する予定でありました。したがって、私の質問の順序は外務省から入ることは、外務省も知っておるはずなんです。しかし、一たん問責決議案を出した以上、それが片づくまでは、私は条約局長相手にいたしません。したがってい本日の私の質疑はやめます。あらためて行ないます。私の提案したことが処理せられた後に行ないたいと思います。
  17. 渡部一郎

    渡部委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  18. 渡部一郎

    渡部委員長 速記を起こしてください。  井川条約局長より釈明をいたしたいとの申し出がありますので、これを許します。井川条約局長
  19. 井川克一

    井川政府委員 釈明と申しますよりはおわびでございます。ほんとうにこちらの連絡不十分その他の事情によりまして、田中先生はじめ委員会の御審議にたいへん御迷惑をおかけし、心からおわび申し上げるわけでございます。  私、ただ、昨日の連絡参議院会議のことを申し上げました。確かにいま私は参議院会議に行っておりませんけれども、先ほども申し上げましたとおり、外務大臣出席しますあらゆる会議には原則として随行しているということでございますし、万一随行しない場合は、本省において待機して、いつでも会議に入れるというかっこうをとっておらなければならないわけでございます。特にまた、今回は円の切り上げの問題でございまするけれども沖繩の問題とも直接関連もあるというわけでお許しを願ったわけでございます。  いずれにいたしましても、私がこの会議におくれましたということによりまして、皆さま方田中先生はじめたいへん御迷惑をおかけいたしましたのは、ほんとうに私の責任でございますので、もう一度心からおわび申し上げる次第でございます。  なお、橘参事官がおくれました理由につきましては、橘参事官からおわびを申し上げます。
  20. 渡部一郎

    渡部委員長 続いて、橘外務参事官より同じく釈明がございますので、これを許します。橘外務参事官
  21. 橘正忠

    橘説明員 橘でございます。ただいま条約局長からおわびがございましたが、私もおわびを申し上げたいと思います。  昨日、外務省としての事情先生に御説明申し上げまして、私が本日さっそくにあがっておるべきところを、省内の連絡がおくれまして、出席連絡を受けてかけつけましたときにはすでにおそくなっておりました。まことにそのために先生はじめ委員会の議事の進行に障害を来たしましたことを深くおわび申し上げます。委員会の始まる前からでも来ておらねばいかぬところをたいへんおそくなりまして、申しわけありませんでした。
  22. 渡部一郎

    渡部委員長 それでは、ただいまより休憩とし、直ちに理事会を開きます。    午前十一時十三分休憩      ————◇—————    午前十一時五十三分開議
  23. 渡部一郎

    渡部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  本委員会開会に先立ち、出席要求のあった政府委員開会時間よりも大幅に遅刻し、本委員会審議に重大なる支障を与えたことは、国会軽視にも通ずるきわめて遺憾な事態であった。当該の外務省井川条約局長及び橘外務参事官反省を強く求めるとともに、今後かかる不祥事を惹起せぬよう政府反省を求めたい。  なお、外務省に対し同趣旨の申し入れをしたいと思いますが、その案文、方法については委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 渡部一郎

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り扱います。  なお、田中委員より提案のありました問責決議及び外務大臣謝罪の件については、引き続き理事会において協議することにいたします。  質疑を続行いたします。田中武夫君。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 私は本日は、先ほど申しましたように、原子爆弾傷害調査委員会、いわゆるABCCの、先日の私の関連質問に引き続いての質疑を行なう予定でありました。そのことは、端的に申しますと、外交上の口上書というもので関税を免除しておる。これは憲法八十四条の租税法定主義、それにも大きな関係がある。したがって、口上書なるものがいかなる性格であるのか、そういうことをはじめといたしまして、外務省アメリカに対する一般的な態度、あるいは当然国会承認を必要とすべきものについて二国間の行政協定というようなことで、しかもそれが法令の範囲内とか予算の範囲内とかいうことを暫くことによって国会承認をのがれようとする態度がますます最近は多くなっております。したがって、そういう点に焦点を合わせての質問を行なう予定でありました。たまたまその外務省立法府軽視態度は、いま私が提案いたしましたような条約局長態度にもあらわれております。  したがって、この問題につきましては、私は小さな問題として取り扱うことなく、立法府と行政府関係、ことに、たとえばいま問題になっております繊維に対する二国間協定、これは国会の数回にわたる本会議を含めての決議、あるいは協定といいますか、憲法の規定等々から見ても、国会承認を求むべきものを二国間協定で行なうという、これはここの問題ではありませんが、ガットの一般的拘束力を二国間によって排除しようとする、そういったようないわゆる一般的国際条約、しかも立法的な条約政府間のいわゆる行政協定国会を通さない協定によってこれを逃げ切ろうとするようなこと、こういう点と共通な点があります。したがって、本日は私は、予定質問は、私自体が問責決議提案しておりますので、その条約局長相手質問はできません。したがって理事会の決定、その上に立っての委員長の御判断に私は委員として従いたいと思います。  しかしながら、いま申しましたような点に立ちまして、この問題は今国会だけでなく次の国会へ持ち越す、そうして機会を見て、外務大臣出席を求めて自後の質問をいたしたい、このように考えておりますので、あらためてABCCに対する私の質問は保留いたします。同時に、私の提案いたしました条約局長問責決議は来国会へ持ち越す、来国会において十分にひとつ論議をいたしたい、そういうことを特に要望し、私は質問をこれにてやめます。同時に、委員長はじめ各理事諸君の善処と、同時に外務省の今日までの態度、ことに今日とりました態度等については徹底的に追及することをお約束いたしまして、私の質問は保留いたします。
  26. 渡部一郎

    渡部委員長 次に、堂森芳夫君。
  27. 堂森芳夫

    堂森委員 十月の二十一日に私は福井大飯大飯本郷における永谷君からの依頼によりまして、大飯町における原子力発電所工事中止をしてくれ、地域住民諸君の納得し得るまで、条件が熟するまで延期をしてもらいたい、こういう意味請願依頼を受けまして、提案をいたしたのでありますが、本日の当委員会理事会で、その取り扱いにつきましてそれぞれの党の理事からいろいろ主張がなされまして、残念ながら意見の一致を見ることができませんでした。  私は、そこで発言を求めまして、政府要求をいたしまして、なるべく早い機会大飯本郷における原子力発電所建設についての現在の状況と、地元住民たちとの間に大きな意見の相違が生まれてきまして、町長がリコールされるとか、いろんなトラブルが起きておる地域でありますので、いろいろな事情等について早く調査をされまして、そして政府としてのこの原子力発電所工事の問題について詳細な調査をしてもらいまして、この委員会報告をしてもらいますように要求をしまして、私のこの請願についての発言をいたしておきたい、こう思うのでありまして、政府の答弁を願いたい、こう思います。
  28. 木内四郎

    木内国務大臣 この原子力発電の問題につきましては、いろいろ平素から御配慮願いまして、まことにありがとうございます。  私から申し上げるまでもなく、原子力平和利用は今後非常な速度をもって進んでいくし、発展してまいると思うのですが、それにつきましては、私はかねがねこの委員会でも申し上げておりますように、立地の問題、また安全管理の問題が非常に大きな問題になってくると思うのです。そこで私は、科学的にあくまでも安全性を確保しなければならぬと同時に、社会的ということばは適当であるかどうかわかりませんが、社会的に安全性が認められるような方法をとっていかなければ、これから先どうもうまくいかないのじゃないか、かように思っておるわけです。  そういう見地から、堂森委員におかれましては、この原子力発電を常に御推進願っておって、私ども常に感謝しておるのですが、そういう点に思いをいたされてこの点を御心配になっておること、またそういう地方の事情を私どもに知らせていただくこと、まことにありがたいしあわせでありますが、どうか今後とも、地元住民の理解と協力を得て、そして原子力平和利用わが国におきましても今後一そう進んでまいりますように、格別の御高配をお願いいたしたいと思うのでございます。  そこで、ただいま、大飯原子力発電所工事中止の問題、建設工事中止するようにという地元の御要望その他につきましてお話がありました。この点につきましては、十分調査をいたしまして、私がいま申しましたような趣旨によって万全の対策を講じてまいりたい、かように存じておることをこの機会に申し上げ、そして今後一そうの御協力を賜わるようお願いいたしたいと思うのでございます。
  29. 堂森芳夫

    堂森委員 先刻私が申し上げましたのは、政府責任をもって現地状況等を詳細に調査して、この委員会報告してくれ、こういう要求をしたのでありますが、局長、言ってもらえますか。
  30. 成田壽治

    成田政府委員 大臣のお答えを補足して申し上げますが、大飯原子力発電所建設問題につきましては、現在安全性の問題につきまして、原子力委員会原子炉安全専門審査会におきまして、申請がことしの一月でありましたが、長期間をかけまして非常に慎重に検討をやりておりまして、この結論が出た場合には、その審議経過なり結論につきましてここで十分調査結果を御報告申し上げたいと思います。  それから、地元民との関係の問題につきましては、安全性以外にも、やはり事業者地元民との関係が円満にいかないと、建設その他十分に進みませんので、現在は福井県当局が中心になって、県当局地元民との関係の問題を十分調整をはかってもらっておりますが、この点につきましても、ある点の段階において御報告申し上げたいと思います。そういう意味で、実情十分調査いたしまして、ここで御報告申し上げる所存でございます。
  31. 堂森芳夫

    堂森委員 もう終わりたいのでありますが、局長、県に依頼してなんて、私は福井県の者ですよ、県なんか何もやってないです。地元の紛争が激しいために、やれないのだ。手をこまねいて見ているようなものですよ。だから、科学技術庁わが国における原子力発電の最高の責任者ですからね。これは他の産業もそうでありますが、原子力発電のこういう仕事というものは特に地元住民たち協力がなかったならばできないことは、もう私が申し上げるまでもないのでありますから、責任を持って、県などに依頼せずに、科学技術庁が自分の手で詳細な調査をして、そうしてこの委員会報告をしてもらって、またそのとき私も質問してもいいですから、そういうふうに扱ってもらいたい、こう思います。
  32. 木内四郎

    木内国務大臣 御説ごもっともでありますが、しかし、科学技術庁は何といいましてもこちらにおりまするし、向こうに現地のあれもありませんので、常々県当局の御協力を得ているということはいま局長の申し上げたとおりでございまして、今後におきましても県を無視して私どもが行ってそれを調べたり、そしてそのままのことだけを御報告するというわけにもいきませんけれども、県とも十分協力いたしまして、そして今後お申し出の件を十分に調査してまいりたい、かように存じておりますので、その旨御了解願いたいと思います。
  33. 成田壽治

    成田政府委員 安全性の問題その他科学技術庁として責任のある問題につきましては、十分調査して、まとめて御報告したいと思います。  それから、大臣の言われましたように、地元との関係は、やはり県当局協力がないと十分実情把握もできませんし、また解釈もできにくい点がありますので、県とも十分相談をして、政府の背任で御報告したいと思います。
  34. 堂森芳夫

    堂森委員 まあいいです。終わります。
  35. 渡部一郎

    渡部委員長 次に、近江巳記夫君。
  36. 近江巳記夫

    近江委員 最近非常に環境破壊ということが問題になってきておるわけでございますが、特にわれわれ人間として生活していく上において最も正常でなければならないのは、御承知のように空気と水でございます。こういう問題は前国会で十四本の法案が通りまして、大気あるいは水質のそういうふうな規制ということが法律においてもきめられるようになりまして、あとそれを政府がどれだけ真剣に運用していくかという問題にかかっておるわけです。  私は、きょうお聞きしたいのは水の問題です。御承知のように、最近は水道水においても非常にカビ臭がしたりあるいは赤い水が出たり、いろいろなそういうことが起きておるわけです。そういう原因は、どこから出るかといえば、結局原水の問題に入るんじゃないか、このように私は思うわけです。そういうことでこの水質の汚濁という問題は非常に大きな問題であると思います。特にその悪い水道水が出るのは、東京あるいは大阪の大都市圏、ここに顕著であります。東京などを見ますと、江戸川あるいは多摩川とか利根川とか、いろいろな取水源があるわけですが、また片や西の関西におきますと、関西というのは琵琶湖を唯一の水源にしております。言うならば、琵琶湖問題等については、これは関西水がめでございまして、ここが汚染されていくようなことになりますと、これはもうたいへんなことになります。ところが、最近は非常に琵琶湖汚染も進んでおりまして、それから流れてくる淀川の水系を見ましてもたへんな汚染ぶりであります。  そこで、一番の関西水がめであるという琵琶湖におきましても、最近瀬戸内海と全く同種類の赤潮が発生しておる。京都大学臨湖実験所根来助教授もおっしゃっております。私もこの間調査に行ってまいりまして、六時間以上、根来助教授から話を一部始終聞いてまいりました。瀬戸内海と同じ赤潮の状態になっておる。あるいはそのほかもういろいろな悪弊がいま出てきております。いろいろな例がございますけれども、たとえば最近、漁船で地びき網、これは貝をとるあれですけれども、そういうところでモロコやフナ等が捕獲されるようになっている。ということは、もう魚が弱ってしまっているわけですよ。そんなので簡単にとられるようになってきている。あるいは非常に大多数の魚のひれに黒い斑点が出ているわけです。引き揚げた直後も、以前のようにぴちぴちとはね回る元気がないということです。捕獲した貝についても、中身がやせたままで大きくならない。そういうような問題が出ておるわけです。これはいろいろあとで原因を聞いていきますけれども、そういう問題であります。  こういう赤潮に似た現象について、まず環境庁にお聞きしますが、これはどういうわけですか。
  37. 岡安誠

    岡安政府委員 いまお話しの琵琶湖におきまして赤潮類似の現象が出ているという話を、私どもも聞いておりますが、私どもの考えといいますか、今後さらに原因その他は究明しなければならないというふうに思っておりますけれども、想像されますものは、やはりああいうように湖でございまして、水の交換といいますか、それが非常に少ないというようなところにおきましては、周囲の工場排水または家庭下水その他の汚水によりまして琶琵湖の富栄養化が進んでおる。やはり窒素、燐を主体といたしまして富栄養化が進みまして、その関係から従来の生物相が相当変わってくる。この生物相の変化の様相が、いわば海洋の一部におきまして赤潮が発生するようなものと類似した現象を起こしているのではあるまいかというように私ども考えておるのでございます。
  38. 近江巳記夫

    近江委員 科学技術庁は、この三年計画で瀬戸内海赤潮調査をされたのです。非常にりっぱなレポートもできておりまして、それぞれの立場の方がそれぞれ評価なさると思いますが、正直申し上げて、もっと原因究明というものをやるべきじゃなかったか、このように思うわけです。いまの環境庁の御答弁を聞いておりましても、はっきり申し上げて非常にあいまいとしておりますね。根来助教授によれば、琵琶湖はあと四、五年で完全に、特に南湖は死滅する、死んでしまうというのですよ。御承知のように、南郷の先堰からずっと淀川水系に送り込んでおるわけです。一番の原水を取らなければならない南湖一帯が死んだらどうなるのですか。あそこの水源から少なくとも一千万の人が水を飲んでおるのですよ。これはたいへんな問題であります。しかも、滋賀県が、この十二月二十日にデータをまとめておるのですが、魚類のフナあるいはハエ等にPCBが大量に検出されておるわけです。このデータをあなたももらっておると思いますけれども、それをごらんになっていただいたらわかると思うのですが、いままでたとえばPCBについても愛媛大学が中心に調査を独自にやっております。同県内の魚から最低〇・〇五PPM、最高〇・八六PPM、カラスから一・〇ないし二・〇PPM、人体から〇・〇七から〇・一九PPMのPCBが検出されておる。これで今後のPCB問題について、これは非常に大きな問題であるということで、今後対策をどうするかということが政府でも非常に大きな問題になっておるわけです。その数値をごらんになってあなたの御見解をお聞きしたいと思うのです。まず説明してください、とれたときの時点から何から。
  39. 岡安誠

    岡安政府委員 琵琶湖のみならず、淀川におきましてもそれからその他の水系におきましても、最近PCBが底質その他から検出されるということは私どもも聞いております。そこでPCBにつきましては非常に安定でございまして、人体その他に蓄積するという特性を持っておりますので、これらにつきましてやはり近い将来、排出の規制その他の措置をしなければならないというように考えておるわけでございます。ただ問題は、PCBにつきまして、まず測定の方法等につきまして必ずしも統一された方法が確立しておらないということもございますし、また汚染の経路その他につきましても必ずしも明らかでない点もある。それから人体に対する影響も——もちろん影響があることは事実でございますけれども、どういうような限界が来たならばどういう問題が起きるかというような慢性毒性につきましての影響も必ずしも明らかでないということがございまして、現在、四十六年度でございますけれども科学技術庁と相談いたしまして、関係各省庁が、それらの三つ、測定方法の問題、それから汚染経路のメカニズムの解明の問題、それから人体に対します慢性毒性の問題、この三つのグループに分かれまして調査をいたしておる段階でございます。なかなかむずかしい問題でございますけれども、少なくとも調査方法等につきましては四十六年度中には結論を得ていただきまして、その方法によりましてできるだけ広範に調査をし、早期に対策を確立いたしたいというふうに実は考えておる次第でございます。
  40. 近江巳記夫

    近江委員 測定方法がきまってないとか、いろいろおっしゃっておりますけれども、昨年末きまったあの公害十四法案は、地方自治体に権限を委譲しておるわけですよ。そうでしょう。そこで公害課が責任を持って調査しておるのです。琵琶湖浜大津付近、採取年月日、四十六年九月四日、魚類のフナ、測定値五から一五PPM。同じくフナ、瀬田川唐橋付近、四十六年八月二十三日、五ないし一五PPM。ハエ、瀬田川南郷付近、四十六年九月四日、一五から二五PPM。愛媛大学において、〇・幾らという数値で今後人体に与える影響等がたいへんな問題であるということで、政府に対しても今後さらに力を入れてもらいたいという要求もしているわけですよ。〇・何ぼのサイドでそれだけ問題になっているのに、このような大きな数値が一体何を物語るかということなんです。地方自治体に権限委譲された、しかし根本の一切の責任政府にあるわけですよ。これはどういうわけでこんな大きな数値が出るのですか。単なる測定方法が違うとか、そういういろんな経過とか根本的なことはわからないという、そういう無策なことではたして国民の健康が守られるかということです。一千万の人が飲んでいるのですよ、あの琵琶湖の水を。どういうわけでこういう数値が出るのですか。
  41. 岡安誠

    岡安政府委員 私どももこの測定方法等につきましては詳しく聞かなければならないと思っておりますし、この測定方法また測定結果が誤りであるとかいうことを申し上げているわけではございません。私ども聞き得る範囲におきましては、PCBそのもの、純粋なPCBの分析につきましては、明らかな数値が出ることはわかっておるようでございますけれども、それがほかの物質と混在をしている場合に、PCBを見分けるといいますか、それにつきましては非常に個人差がある、そういう状況であるというふうに聞いているわけでございます。これを全国的に調査をするという場合には、そういう個人差がないような確立された測定方法をとりたいということで、現在急いでやっているわけでございまして、それがきまり次第、私どもはさらに精密な調査をいたし、対策を樹立するという方向に進みたいと思っているわけでございます。
  42. 近江巳記夫

    近江委員 科学技術庁瀬戸内海赤潮調査をやってこられたわけですが、根来助教授の話でも全く同じ微生物が検出されておる。しかもあの瀬戸内海と同じ赤潮が発生しているわけですよ。これについて科学技術庁調整局長はどう思われますか。
  43. 千葉博

    ○千葉政府委員 私のほうは、この赤潮につきましてはきわめて重要な問題であるというような観点から、御案内のとおり三カ年計画で瀬戸内海赤潮については相当研究をいたしました。さらにそのあともこの研究をまた続けるようにいまいたしております。  それで、いま先生質問琵琶湖赤潮につきましては、私どもまだ実態をよく把握しておりませんけれども、この実情調査いたしまして、きわめて重大なことでありますので、瀬戸内海と同様に本件につきましても調査、研究をいたしたいというふうに考えております。当庁は特別研究調整費というものを持っておりますので、環境庁が主でございますが、十二分に協力してまいりたい、このように考えております。
  44. 近江巳記夫

    近江委員 赤潮の点について今後調査をしていくということをおっしゃっているわけですが、住民の不安というものはたいへんなものですから、調査をやっていただくについてものんびりした調査じゃ困るわけですよ。まあ赤潮にはまだなっているかどうか知りませんけれども、これに似たようなああいう富栄養化という問題は全国の湖沼でやはり起きているわけですね。特に霞ケ浦、諏訪湖等においても非常に富栄養化というものがやはり進んでいるわけです。こういう点、おもなところを、もちろん全部を調査するわけですが、もう早急に全力をあげてやっていただかないと、一千万の人が水を飲んでいるわけですよ。瀬戸内海もこれはもう最大に重点の問題です。私はあのレポートにさっと目を通しましたけれども、正直に申し上げてまだまだ原因究明において甘いように思います。これは評価は人によって違うと思いますけれども。そういう点からいきまして、飲み水なんですからね、これはもうたいへんな問題だと思うのです。その点、環境庁としてはこれをどのように把握され、今後どうされるのですか。いま科学技術庁は非常に前向きの答弁をされたのですが、これについてお聞きしたいと思うのです。
  45. 岡安誠

    岡安政府委員 おっしゃるとおり、大体全国の湖沼は、これは流入河川の状況によりますけれども、富栄養化が進んでいるというふうに考えておりまして、その中で特にその度合いが進んでおりますのは諏訪湖、霞ケ浦、琵琶湖であろうというふうに実は考えております。それで私どもは、来年度この諏訪湖、霞ケ浦、琵琶湖等につきましては、富栄養化の実態調査をするということで予算を要求いたしております。これらは環境庁のみならず、関係のところにも御協力をいただかなければならぬと思いますけれども、早急に結論を出しまして対策を打ちたいというふうに実は考えている次第でございます。
  46. 近江巳記夫

    近江委員 こういう赤潮の現象と同じことが起きておるということ、これはもうほんとうにたいへんな問題であります。それから流れてくる淀川の源水ですね。あの一帯は非常にくさい水が出るわけです。やはりそういうことが原因じゃないかということもいわれておるわけです。しかしながら、根本的には、いままで政府が放置してきたがためにそういう疑惑のままで来たわけです。したがって、両庁とも今後力を入れていただくということで、われわれとしては政府の誠意にまつ以外にないわけです。いままで政府は、GNP世界第二位だということで誇ってきましたけれども、そのひずみというものがあまりにも大き過ぎた。こういう点で特にわれわれの健康の問題、生命の問題ということがこういうような公害問題等で非常に破壊されてきておるという点、これはもうたいへんな問題だと思うのです。  いろいろ原因はあろうかと思うのですが、工場から流れ出てくる排水が富栄養化になるとかいろいろいわれておりますが、御承知のように、あの一帯は非常に工業団地も進んでおりまして、ここにも滋賀県が出しておるあれがありますけれども、この赤で入っているのがみな工業団地ですよ。委員の人もこれを一ぺん見てください。一千万人の水がめの周辺にこれだけの工業団地があるということを皆さんほんとにどう思われますか。大きい団地がいろいろありますけれども、特に草津工業団地、湖南工業団地、日野工業団地等、非常に大規模な工業団地をやっているわけです。それについてそれじゃ下水道を完備しているか——近畿圏整備本部でも琵琶湖の総合開発をいっていますよ。やっていますけれども、今年度十億ですよ。来年度要求は幾らか、四十億。何に使うのですか、ダムに使います。本年度の十億は何も使っていない。下水道なんか促進も何も全然やっていませんよ。工場では公害十四法律によっていろいろ規制はやっていますけれども、排出口じゃありませんか。一日に何万トン、極端にいえば何十万トン放水したってかまわないわけですよ、排出口での基準だけ合えば。それが全部琵琶湖へ注ぐのですよ。こういうようなずさんなことをやっておっていいかという問題なんです。先ほどの魚のPCBの汚染だって、こういうものはどこから出るんですか。これをひとつお聞きします。
  47. 岡安誠

    岡安政府委員 PCBのお話でございますが、実ははなはだ申しわけないわけですけれども、どういうルートで琵琶湖汚染されているかということは必ずしも明らかになっておらないのでございます。それで私ども考えますのは、工場排水もあるかもしれませんけれども、主としてやはり廃棄物といいますか、従来PCBが絶縁体その他によりまして変圧器その他に入っていたわけでございまして、それらの廃棄物の処理が適正でないために雨水その他を通じて琵琶湖に流れ込んだものではあるまいかというふうに想像はいたしておりますが、実はその辺必ずしも明らかでないので、現在いろいろそういうからくりの調査をいたしておるという現況でございます。
  48. 近江巳記夫

    近江委員 それで、先ほど申し上げたように、このPCBの問題にしても、いままで零コンマ、それで大騒ぎになっているわけですよ。これをはるかに数十倍するこれだけの大きい問題が出ているわけです。  いま大石長官出てこられましたので、いままでの経過をちょっと申し上げますと、瀬戸内海赤潮が出まして、これを科学技術庁が三年間でいままで調査をしてまいりまして、環境庁も、大臣もやっていただいたわけでありますが、そこで評価はまちまちですけれども一応意欲的になされた。ところが、最近全国的に問題になっております水質の問題ですが、特に大都市圏にいま問題が集中しているのです。ところが、特に東京でいえば利根川あるいは江戸川とか多摩川、ございますが、関西の場合は琵琶湖水がめになっているわけです。この琵琶湖で一千万の人が水を飲んでいるわけですよ。ところが、この琵琶湖赤潮が発生しいてるわけです、赤潮に似た現象が。これは京都大学臨湖実験所根来助教授にも会って私は六時間話を聞いてきたのです。あともう四、五年放置すれば、特に琵琶湖の湖南は完全に死滅するということを言っているわけです。湖が死んでしまう。ところが、御承知のように湖南から淀川に流れて、桂川、鴨川、いろいろありますが、要するに淀川水系に流れて、その水を取っているわけですね。そうした場合に、そのような現象をほっておいていいかということをお聞きしまして、それについては科学技術庁あるいは環境庁が今後琵琶湖をはじめとした湖沼のそういう富栄養化の問題等、来年から強力に実施したいという御答弁があったわけです。  それから十二月の二十日に滋賀県の公害課が発表したこのデータ、そこに手元にございますが、フナとかハエを採取したところにPCBがこういう大きな数値で出ているわけです。大臣も御承知のように、愛媛大学でいままでPCBのことを独自で調査してきた。それがPCB研究の最高をいくということを言われておるわけですが、愛媛県下でとれた魚の中でもみな零コンマのサイドなんです。たとえば魚は最低〇・〇五PPMから最高〇・八六PPMなんですね。それとこういう一五や二五という大きな数値は一体何を物語っておるかということです。そうしたときに、測定方法はまだちょっとはっきりせぬからとか、どういうわけでこういうことになるのかわからないという非常に不安なお話なんです。PCBは御承知のように、ぼくらもしろうとでよくわかりませんけれども、とにかく生物体に蓄積をするということはすべての学者が言っているわけです。全部生物体に蓄積される。そんな魚を食べたりあるいはそれが原水にどんどん入っていって、そういうものを飲んでおったら一体どのようになるかということです。こういうことが科学的に何も究明されていないわけです。特にこういうことを正式に滋賀県の公害課は二十日に、この間数日前にこのデータをまとめたわけです。これだけ大きな数値が出ておりますし、何とか赤潮と同時にこのPCB等も一切含めたそういう総合調査を強力にやっていただかないと、このまま放置していけばほんとうに取り返しのつかない状態になるわけです。このことをいま政府の皆さんに申し上げておったわけです。  いま申し上げたことについて、大臣の所感とまた今後の対策をお聞きしたいと思うのです。
  49. 大石武一

    ○大石国務大臣 ただいまいろいろな公害問題につきましていろいろと御意見をいただきまして、ありがたく存じます。私もあなたと同じようなやはり非常な不安と心配を持っておるわけでございます。  いま琵琶湖が富栄養化いたしまして、赤潮に似た現象が起こっているそうでございますが、これも非常に困ったことで、いま瀬戸内海では赤潮が一つの重大な問題になっておりまして、これをどのように処理したらいいのかということで私どもも頭を痛めておる最中でございます。幸いに科学技術庁では昭和四十二年から三年がかりでいろいろと研究してくれました。おかげで赤潮発生の機序の一端はわかったようでございます。とにかく少なくとも燐とか窒素のようなものがたくさん海水に出まして、その富栄養化になる、それが大きな基盤であって、その上に何かピストルの引き金のようなものが引かれるとそこに赤潮が発生するというようなことまでわかったわけでございまして、非常に感謝しておるわけでございますが、もう一息の努力によりまして赤潮原因も究明されるかと思いますし、そうなれば対策もこれに応じまして——ずいぶん長い時間はかかると思いますけれども対策も立てられることになるわけでございます。  琵琶湖ではいまどのような赤潮みたいな現象があるか、私つまびらかには存じませんけれども、やはり当然あり得ると思います。ことに、あそこにはいろいろな工場なり家庭の下水なり汚水がみんな流れ込んでおりますし、いろいろな中の水質を見ましても、ことに南のほうが非常によごれておるようでございまして、これは困ったことでございます。何とかしてそれに対する対策を立てなければならないと思いますが、その原因の究明はいずれ多少時間がかかりましょうけれども、それにしてもとりあえず下水の処理はできるだけ早くこれを完全にしなければどうにもならないと思いまして、そのように関係省庁とも十分に調整をいたしまして努力してまいりたいと思います。  ことにそのような琵琶湖の水を中心に、大阪の人はあの水を飲んでいるわけで、京都の人は琵琶湖の水を飲ませてやっているんだと言っているそうでありますが、これはまことにお気の毒なことで、あそこに入ってまいります——三日、四日前にあそこの方々があそこの桂川だのいろいろな川の水をびんに詰めて持って、こういう水をわれわれは水道の原水にしているのだ、非常に濁って一ぱいこんなに沈でんしている水なんですね。ところが、ある人に聞きましたら、この程度は水道水で普通でございます、九州あたりではもっとひどい水を飲んでおりますということで、いかに日本の川の水がよごれているかわかるわけでございますが、そのようなことで非常に汚染されますので残念でございますが、何としてもこれは早くいろいろな総合政策、たとえば各川には環境基準がございますけれども、それを守らせるためには何としても排出基準をきびしくしなければなりません。その基準も、御承知のように旧法によるものと新しい一般の排出基準とがございますが、それをもっともっときびしくしまして、十分に上乗せをして、できるだけきびしい——基準をきびしくしたって監視並びに実行が伴わなければだめでございます。それも体制を整えなければなりませんが、そのような方向に進みまして、できるだけ川の水をきれいにしてまいりたい、こう心から願っておる次第でございます。  PCBにつきましては、いろいろと水質保全局長から話があったと思いますけれども、はなはだ残念でございますが、いままでPCBについての確たる文献とかそういうものはほとんどないのでございます。これからそういうものを整えまして、はたして何PPMを一体人体に関する環境基準となしたらいいのか、そういうことさえまだわかっていません。そういうことで、われわれは至急——しかしこれはほっておくわけにはいきません。カネミ油症の患者を見ましてもこれは重大なことがわかりますので、何とかしてこのPCBにつきましても、できるだけ早い機会に環境基準なり排出基準というものをきめまして、きびしく規制してまいらなければならぬと願っておるわけでございます。  ただ、局長からお答えがあったと思いますが、私わかりませんが、大体いま測定方法がまだ確定しておらぬ。人によっていろいろな差があって必ずしも信頼しにくい点があるということで、いま分析方法の確立に努力しているわけでございますが、それが近く確立するだろうという見通しでございます。そういうものを早く確立いたしまして、それを土台としてPCBのいろいろな研究も、それは実際実験をしなければならぬでしょうから、生物実験とかいろいろ要るのでしょうから、そういうことを早くやって、できるだけ早い機会に正確な環境基準なり排出基準というものをきめまして、そうしてこれを十分に規制してまいりたい。また気持ちだけはあせっておりますが、何せまだ新しい問題で、全体の日本の科学体制がこれに伴っておりませんので、はなはだ申しわけないことでありますが、そのようなことになるわけでございます。一生懸命にやってまいりたいと考えております。
  50. 近江巳記夫

    近江委員 長官、この愛媛大学の数値は零コンマなんですね。測定方法は確かに定まってないということはわかるのですけれども、その数値がこれだったらもう百倍以上になるわけですね。幾ら測定方法が違うといってもあまりにも数値に隔たりがあり過ぎるわけですね。こういう点で、いま長官非常に前向きにおっしゃっていただいたわけですが、これはほんとうに国民の全部が心配していることでありまして、総力をあげて調査していただきたいし、現実に琵琶湖で魚がこれだけ汚染されているわけですから、赤潮と同時にほんとうに総合調査に全力をあげていただきたいと思うのです。その点ひとつ長官に、重ねて恐縮ですがもう一度お伺いしたいと思うのです。
  51. 大石武一

    ○大石国務大臣 いまの近江委員の御指摘はごもっともでございます。われわれも当然そう思いますので、一生懸命に努力してまいります。
  52. 近江巳記夫

    近江委員 それから、根来助教授の話でも四、五年すれば、特に南湖は完全に富栄養化してしまって、琵琶湖はそれでいけば死ぬというんですね。死んだ琵琶湖になってしまう。ところが、いろいろ琵琶湖の総合開発を聞きましても、たとえば下水道なんかあと二十年だというんですね。先ほど予算も申し上げましたが、現実に下水道には何もついていないわけですよ。そういう遅々とした状態でいいかどうかということなのです。先ほど私、大臣お見えになる前にお見せしたんですが、工業団地もこれだけあるわけですね。こんなところで下水道もつくらないで排出だけ規制して、量は関係ないんですから、とっとっとっと水がめに水を放出したらどうなるか。一千万の人間が水を飲んでいるわけですよ。そういう点で早急にやってもらわなければ困るわけです。そういう点総合開発について、きょうはもう関係各省、特に建設省、近畿圏整備本部はじめみんな来られているわけだ。時間がありませんから、簡単に下水道のことはどうなっているか、大臣実情をちょっと聞いてもらいたいと思うのですよ。その点でお返事聞きたいと思います。それでは一番よくつかんでおられるところから、もう時間がありませんから簡潔に答えてください。
  53. 久保赳

    ○久保説明員 琵琶湖周辺の下水道計画でございますが、この問題につきましては、昭和四十四年に琵琶湖周辺全域の下水道計画をどういうふうに進めていくかという点にしぼりまして調査を実施いたしました。これは国土総合開発計画、国土総合開発調査調整費で実施をしたわけでございますが、それに基づいて流域全体を四つのブロックに分けまして、流域下水道を整備するというのが適当であるという結論を得たわけでございます。その結果、先ほどから議論がなされております南湖周辺、これが一番よごれておるということから、南湖の流域下水道を最優先に実施すべきであるという観点から、本年度から事業に着手をしたところでございます。ことしは国費が五千万、事業費にいたしまして約一億一千万ほどになりますが、それで事業に着手をいたしました。それ以外の地域につきましては、大津市の一部に公共下水道を実施しておりますが、それ以外はまだ公共下水道を実施しておらない、こういう実態でございます。なお、流域下水道に関連をいたしまして、流域下水道は末端の処理場並びに大幹線を府県、滋賀県が実施をいたしますが、それに関連する公共下水道につきましては、引き続き実施をする予定になっております。  以上でございます。
  54. 近江巳記夫

    近江委員 この琵琶湖の総合開発は、滋賀県側と政府側の要望の一覧表が出ておりますが、滋賀県側の要望は四千三百五十億、政府がこれだけにせいといっているのが三千七百五十億なんですね。特にこの下水道を見ますと、滋賀県は九百八十四億一千六百万、政府は五百九十億といっているわけですね。それだけ総額がかかるわけですよ。五千万や一億ぐらいの金でどれだけ進むかということなんですよ。だから対策ほんとうにやっていただかないと、あと四、五年で南湖は死ぬと学者は言っているわけですよ。そんな遅々とした状態でいいかということなのです。これに対して大臣どう思われますか。
  55. 大石武一

    ○大石国務大臣 実際いま私たちこうやって環境庁の仕事に取り組んでおりますが、いろいろと公害問題がたくさんございますけれども、その中で一番対策でむずかしいと思うのは、現在では水の問題であります。水はおそらく今後人類にとっては最も大事なものの一つ一いまでもそうでありますが、最も大事なもの、最大なものだと思いますけれども、その水の利用法なり、ことに汚染の問題、これを正常にするにはたいへんな努力と時間がかかる。いつできますかわからない状態でございます。それに対するいろいろな研究開発も非常におくれておりますし、これが私一番頭痛の種でございます。したがって、できるだけ水をそまつにしないようにということと水をできるだけよごさないようにすることがまず最大のわれわれの課題ではなかろうかと思います。  そこで、下水道でございますが、何といっても下水道さえ完備すれば水のよごれの問題の七割か八割ぐらいは私は必ず解決できると思うわけです。ですから私は下水道の完備に一番意を注いでもらいたい。これが行政の重大な問題だろうと考えております。御承知のように、ことしから下水道整備五カ年計画で一応二兆六千億円でやることになっておりますが、とうていこんなことでは問題になりません。われわれの現在の環境庁の立場から申しましても、それだけでも汚水の問題は足りない。ですからこういうものはもっともっと多くの金を早く使わなければならぬ。そこで建設大臣ともいろいろ相談をいたしまして、閣議におきましてもいろいろ発言をいたしまして、この五カ年計画を決定する場合にもこれはとても現在では問題にならぬ、ですからこういうものはすぐ三年や三年半でこれを使い切って、繰り上げて使って、すぐまた新しい計画を立てなければならぬということを西村さんや私どもが申し述べまして、皆さまの共鳴を得たわけでございます。そういうことで一応の五カ年計画はできておりますが、これをもっともっと早く繰り上げて使うようにわれわれもがんばってまいりたいと思います。いま下水道部長さん遠慮してあまり言われなかったのでしょうけれども、来年度はいままで考えておりますよりも下水道につきましては大きな予算がつくと思います。そういうことで多少希望を持っておるわけでございますが、もっともっと努力をして、下水道をもっともっと早くやるようにするよう心がけてまいりたいと考えておる次第でございます。
  56. 近江巳記夫

    近江委員 時間がありませんのでもう結論を急ぎますが、結局琵琶湖がそれだけよごれておりますので、厚生省からきのういただいたデータでも、たとえば淀川は毎月一回測定して年十二回の平均値を出しているのですけれども、この淀川の柴島の浄水場ですが、原水が——原水の一番悪い三類の基準でいきますと、濁度が一〇でPHが五・八から八・六、アンモニア性窒素が〇・一、過マンガン酸カリ消費量、これが一〇PPM、BODが三以下、こうなっているのです。ところが淀川の場合は、濁度が一〇に対して二一・九、PHが六・九、PHはまあまあいいと思いますが、それからアンモニア性窒素が〇・一に対して〇・九五、過マンガン酸カリ消費量が一〇に対して一二・八三、BODが三以下でなければならぬというのが五・〇一、こういう高い数値を示しているわけです。  さらに特に東京、大阪の実態を見ますと、江戸川においては濁度が二五・二、PHが六・九、アンモニア性窒素が〇・二、過マンガン酸カリ消費量が九・五七、BODが四・二。それから特に浅香山の浄水場、大阪の大和川ですが、これは日本一の汚濁度であるということをきのうおっしゃっていましたが、これは濁度が九七。一〇以下でなかったらいかぬという水道の三類の限度というのは一番悪い水ですよ。それに対して九七、PHが七・三、PHはなにとしても、アンモニア性窒素が〇・一でなかったらいかぬというのが四・五一、過マンガン酸カリ消費量、これが四三・一八、BODが何と三二・三あるのですよ。これはおそろしい数値です。多摩川にしてもそうです。濁度が四八、PHが七・〇、アンモニア性窒素が三・二八、過マンガン酸カリ消費量が一七、BODが五・四。  大臣、これだけ汚濁しているわけですよ。こんな水を原水としてわれわれは飲まされているわけです。もうほんとうにこれは生きていく限界ぎりぎりだと思うのです。ほんとうにいまこそ国民優先とおっしゃるなら政府の総力をあげてこれを解決していただきたいと思うのです。これを両大臣から決意とお考えになっていらっしゃる点をお聞きして、時間がありませんので、また本会議が終わってからにしたいと思うのです。両大臣からお願いします。
  57. 木内四郎

    木内国務大臣 近江委員におかれては、かねがねいま一番大事な水質の問題に対して、非常な関心を示されて御研究になり、また私どもに対して激励、鞭撻をしていただいておりますことを非常に感謝しておるのですが、実は私どもは、先ほどお話がありました赤潮調査、そのことは近江委員も御承知で、先ほどお話がありましたが、四十二年から三年間で各省庁、水産庁、水産大学あるいは京都大学その他関係機関の御協力を得て一応研究したのです、十分ではありませんでしたけれども。その後、今回環境庁がおできになりましたので、今度はこの水質汚染対策の問題は環境庁を窓口としてともども対策を力を合わせてやっておる。ことに科学技術庁は科学技術一般の総合調整官庁としまして、環境庁を全面的にバックアップしまして、全面的に御協力して、そしていまお話があったようなわけでありまするし、私は大石長官ともよくお話ししているのですが、先ほど来お話がありましたように、これはもっとスピードを早めなければならぬ、そういうことで大石長官のほうにおいては非常に積極的な計画を立てていただいておるのですが、それでもなお足らないのでありまして、それもさらに早めてやらなければならぬという状態でありまするので、ともども力を合わせまして予算を獲得し、対策の実行、すなわち原因とか現状の把握を第一として、またこの汚染を防止すること、発生を防止することからその対策までにつきまして、積極的にともども力を合わせてやっていきたいと思いますので、御了解願いたい。なお今後とも御鞭撻を願いたいと思います。
  58. 大石武一

    ○大石国務大臣 いま科学技術庁長官からお話がございましたとおりでございます。問題は、下水道の処理につきましては、一番大事な問題でございますから、これに対する認識と、予算の増大が一番大事だと思いますので、その方面に全力をあげて戦ってまいりたいと思います。  なお、琵琶湖につきましては、今年度中にわれわれ環境基準を設定いたします。そしてきびしく排出基準もきめてまいる考えを持っておりますので、これに対して当然その企業なり県側は単なる安易なたれ流しをできないようにわれわれする決意でございますから、十分県のほうにも連絡をいたしまして、企業が出てまいる場合にはこれに対する汚水の処理を自体において十分やれるようなことを考えていきたい、そういう考えでございます。
  59. 近江巳記夫

    近江委員 これで留保して終わります。      ————◇—————
  60. 渡部一郎

    渡部委員長 念のため申し上げます。  本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してあります原子力発電所設置地帯安全性確保に関する陳情書外一件でございます。  暫時休憩いたします。  本会議散会後再開いたします。    午後零時五十三分休憩      ————◇—————    午後二時十一分開議
  61. 渡部一郎

    渡部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
  62. 近江巳記夫

    近江委員 先ほどは時間の関係もありまして、ほんとうは私いま非常に問題になっておりますPCBの問題について先に入って、それから具体例として入りたかったのですが、時間の関係でああいう形になったわけです。  いまからお聞きしたいのは、まず初めにPCBの汚染でございますが、先ほど環境庁長官もお見えになって、これについては実際上何の研究も進んでいない、したがって何のそういう規制のそれも具体的にはない、だから早急に研究を進め、やっていきたいと、そういう旨の発言があったのですが、これは非常に大事な問題でございまして、御承知のように、このPCBは例のカネミライスオイル中毒事件、この原因になった物質であります。これは非常に特性がございまして、薄い膜にした場合にも乾燥しない、あるいは他の物質と化合しにくい、あるいは燃えにくい、水に溶けず油によく溶ける、電気絶縁性がすぐれている、いろいろそういう特性があるわけであります。このPCBというのは化学構造、性質というのがDDTと非常によく似ているために、このDDTと同じように環境に残留する時間が非常に長いといわれておるわけであります。そして各微生物に大きな影響を残す心配が強いわけであります。したがって、先ほどの魚の残留の問題もおそらくそういう微生物を食べてきたんじゃないかと、まあしろうとなりに考えておるわけです。そういうことで、このPCBが動物の体内に蓄積をされている。こういうことがこの数年前からアメリカ、オランダ、スウェーデン、イギリス、カナダ、こういうところで研究されまして、このPCB汚染が拡大をしておるということがいわれたわけであります。わが国においても愛媛大学で調査をやっておるということを聞いておるわけですが、そういうことで、こういう複雑怪奇な、また悪影響を残すものについての研究がやはり放置されておるということは非常に残念なことであります。それにつきまして、このPCBのそういう研究あるいはその汚染に対する対策、公害対策、こういうことについて今後どのように進めていかれるか。これはもう実に重要なことであります。調整局長また環境庁局長さんにその辺の考え方についてお伺いしたいと思います。
  63. 千葉博

    ○千葉政府委員 このPCBの汚染につきましては、実はきわめて重大なことであるということで、当庁といたしましては本年度、六月でございますが、当庁にございます特別研究促進調整費の中から三千七百万円を計上いたしまして、それで関係各省の試験研究機関にお願いいたしまして研究をいま進めております。  その内容は、先ほどからいろいろ出ておりますその分析方法を確立しなければいかぬという点が一つでございます。それから二番目が、実際のこの汚染の実態がなかなか把握できない、この実態をどういうふうに調査していくかというこの調査の問題。さらにまた三番目には、このメカニズムがわかりませんので、PCBの汚染メカニズムの解明につきまして研究を進める。さらに最後に、一番問題でございますこの毒性の蓄積、慢性の毒性につきましてそれの状況がどういうふうに変化するか、その辺のところの実態を研究しようということになっておりまして、試験研究機関といたしましては厚生省の国立衛生試験所、さらに労働省の労働衛生研究所等に、それから水産庁もございますがお願いして、いま研究を進めている最中でございます。  それで、この汚染のいろいろな資料の収集は、先ほどからいろいろ御質問のありました琵琶湖と大阪湾の高砂地区と、その他の地区の汚染のサンプルをとって、いろいろ研究を進めておるわけでございます。  さらにいま一点、私どもといたしましては、母子の健康に対するPCBといったような有機塩素剤の影響に関する研究、要するに人体に対しての影響でございますが、こういった点もまだ解明されていないという実情でございますので、この点につきましても厚生省にお願いをして、それでこれは二千三百万という研究費をこの特別研究調整費の中から支出しまして、本年度その研究をお願いいたしておるわけでございます。  このように、先生の御意見のとおり、確かにまだその研究端緒についたばかりでございますが、今後も当庁のこういった試験研究分野の調整機能を使いまして、さらに私のほうにございます特別研究促進調整費、これによりまして今後こういった方面の研究を推し進めていきたい、かようにいま考えておるわけでございます。
  64. 岡安誠

    岡安政府委員 PCBにつきましては、大体現在製造している会社は鐘淵化学と三菱モンサントの二社でございまして、年間約一万一千トン程度の生産があるわけでございますが、そのうち大部分は電気機械用絶縁体でございます。電気機械用または熱媒体用として合計八千トン程度が消費されておりまして、それ以外はかつてございましたノーカーボン紙ですね、感圧複写紙用その他に使われるというような現状でございます。  私どもは、これらに対します科学的なメカニズムが明らかになる前におきましてもいろいろ問題がございますので、まず電気機械、器具等に使われましたPCBにつきましてはなるべくこれがみだりに放置されないように、不要なものは完全に回収するように、これは通産省を通じてお願いをしておりますし、回収されました廃棄物につきましては、先般出ました廃棄物に関します政令で、これは大体油に溶けておりますので、油の処理を厳重にするということで、これがみだりに放置され、河川等を通じまして水なり底質をよごすということのないように措置をいたしておるわけでございます。  それから開放体系といわれますノーカーボン紙その他の処置でございますけれども、これは通産省のほうがことしの三月にはすでにノーカーボン紙の製造の中止を命じておりますし、それからさらにその後問題になりました、これらが故紙となりまして再生利用されるという問題がありますので、十一月の末にはノーカーボン紙を故紙の原料として使うことをやめるように、これも通産省のほうから指示をいたしておるわけでございます。  それで、さらに今年中にはそれ以外のたとえば塗料とか接着剤とか、そういうところに入っておりますPCBにつきましても出荷を停止するように通産省のほうからもお願いをするというような措置をいたしておりまして、私どもはとりあえずそういう措置をいたしますと同時に、基本的には環境基準その他を早急につくりましてこれの規制を強化するというような方向で努力をいたしておるという現状でございます。
  65. 近江巳記夫

    近江委員 きょうは資源調査所長も来られておりますし、厚生省も来られておりますので、所長と環境衛生局長からも考え方について承りたいと思います。
  66. 浦田純一

    ○浦田政府委員 私どもの所掌しております範囲の問題といたしましては、二つあろうかと存じます。  一つは、水道原水のPCBによる汚染によりまして飲み水への影響がないかどうかということでございます。これは先ほど研究調整局長のほうからも御紹介ございましたように、科学技術庁のほうから研究費をいただきまして、公衆衛生院の南部博士を中心といたしまして、すでに分析方法の標準化についてある程度の結論を得ました。全国の主要河川についての実態調査に乗り出すという段階でございます。  同じく、これもやはり科学技術庁からの特別の研究費をいただいて計画しているわけでございますが、もう一つの問題といたしましては、魚介類を通じましてそれが食物として人体に取り入れられた場合の影響いかんということでございまして、これにつきましては国立衛生試験所を中心といたしまして、また愛媛大学の立川助教授の御協力も得まして、実態調査に乗り出すための分析方法の標準化もほぼ結論が出まして、調査に乗りかかっている段階でございます。  それから慢性毒性につきましては、これは結論を出すまでに若干の月日を要するわけでございますが、国立衛生試験所を中心にいたしまして、専門の方々の御協力を得ながら実験に取りかかるという準備の段階でございます。できるだけ早く結論を得まして、科学技術庁あるいは環境庁とも十分連絡いたしまして、早く所要な結論を得たいと考えております。
  67. 酒井忠二三

    ○酒井説明員 お答え申し上げます。  資源調査所は、水資源につきまして総合的な基礎資料を現在取りまとめておりまして、その重点となりますのは、先生御指摘の水質の保全ということと、もう一つはやはり需要が多くなりますので、その水資源開発という二本立てで進めております。  で、ただいま先生御指摘の、最近におきまして水質汚染源になりますものが単に有機物質だけにとどまらず、富栄養化を起こしますような無機窒素または燐というようなものとか、PCBとかまたは油とか、いろいろな微量重金属も新しいものも加わっております。そういうものを発生の段階から最終的な段階までどうしたらいいか、それにはいろいろの研究開発もございますし、またモニタリングというような監視機構というようなこともございます。そういうことも含めまして、基礎的な調査をただいま鋭意進めております。
  68. 近江巳記夫

    近江委員 この資源調査所は、科学技術庁の中で非常にそういう基礎研究もやっていただいて、言うなら、科学技術庁のシンクタンクであるとわれわれ思っております。いま申し上げたこういう水質保全の問題等、重点項目として従来もやってこられたわけですが、さらにひとつ力を入れてやっていただきたいと思うんです。その点ひとつ所長の今後に対する決意をさらにお聞きしたいと思うんです。
  69. 酒井忠二三

    ○酒井説明員 ただいま近江先生からありがたいおことばをいただきまして、ありがとうございました。現在私のほうでは、ただいま申し上げました水質保全につきましては、三カ年計画でルーチンの予算でやっておりますが、来年度は特別調査費をいま要求しておりますので、そういう方面で大いにがんばっていきたいと思います。  現在まで私ども四十六年度で大体わかりましたのは、先生が先ほど御指摘の富栄養化、琵琶湖の南湖につきましては、京都大学が発表いたしました資料等もただいまそろえてございます。それからOECDの水管理研究部が発表しました湖水及び流水の富栄養化というような資料等も翻訳いたしまして、活版印刷していま刊行を交渉してございます。そういうもの等参考にいたしまして、ただいまわかっております琵琶湖南湖では、昨年の春におきましては全窒素が三百六十PPM、それから燐が十五PPMで、OECDが富栄養化と定義いたしますものと大体同じものになっている。それでOECDの資料によりますと、やがて富栄養化が進むとそこは湖でなくなる、湿原になるというようなデータ等も出ております。先生御指摘のように、鋭意もっと期間を縮めまして、基礎的な調査も完成していきたいと思っております。
  70. 近江巳記夫

    近江委員 このPCBの問題について、最後に大臣にお聞きしたいと思うのですが、いま各省庁からいろいろ御答弁があったわけでありますが、何といいましても各省庁の連絡調整機関として科学技術庁の果たす役割りというものは非常に大きいと思います。最高責任者として長官がこの点をどれだけ重視され、今後積極的にやっていかれるか、この問題について長官に締めくくりの御答弁をお願いしたいと思うんです。
  71. 木内四郎

    木内国務大臣 先ほど来、政府委員の諸君からるる申し上げましたように、この問題はきわめて重要な問題でありまするので、科学技術庁を中心にいたしまして研究促進調整費を出資いたしまして研究を進めておるのでありますけれども、どうもやや少し研究がおそいような感じのする点もありますので、今後におきましては一そう研究を促進していくような方向に向かって努力をしてまいりたい、かように思っております。
  72. 近江巳記夫

    近江委員 それでまた先ほどの問題にちょっと返りたいと思うのですが、御承知のように、現実に琵琶湖の魚介類がこういうように汚染されておるというような非常に心配な事実が具体的に出たわけであります。そういう点で、即刻その対策に全力をあげていただかなきゃならないわけであります。そこでこの琵琶湖の総合開発というのが関係省庁で計画はされておるわけですが、当然滋賀県との打ち合わせ、むしろ滋賀県というよりもこれは近畿圏全体の大きな問題でありますが、ただいつまでたっても計画計画ということでなかなかかみ合わないように私思うわけです。したがって、ほんとうにあと四、五年たてば南湖は死んでしまうというような学者の話も聞きまして、これは早急にやっていただかないと、下水道だけで二十年もかかる、そんなことを言っておれば、死んでから手を打ったってしようがないわけですよ。ですから、ほんとうにいま言うならば、危篤寸前の存在じゃないかと思うんですね。ですから、そういうことで早急に抜本対策を打っていただく必要があるんじゃないか、このように思うわけです。その点非常に心配な問題点というのはさらに増加しているわけです。先ほど工業団地の地図もお見せしましたけれども、ああいうようにどんどんと無計画に、そういう対策をなおざりにして進めていっておる。一体政府の計画は何をしておるかということになってくるわけです。そういう点で、きょうは経企庁からもわが国のそういう根本的な計画をされている岡部総合開発局長も来られておりますし、その辺をそういう放置したままで進めていいのかどうか、その辺の考え方についてまずお伺いしたいと思うのです。
  73. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、確かに従来のいわゆる国土開発は開発面で不備と申しますか、なかなか及ばなかった点があることは事実でございます。それが計画自体の欠点、それから非常に経済の成長が早過ぎたという問題、そのようないろいろな条件がからみ合いまして、現実にいろいろ御指摘のございます公害問題等で問題が起きていることは事実でございます。私どもこういう全国的な開発というものの基本問題として、現在いわゆる新全国総合開発計画、新全総と呼んでおりますが、この計画が決定された一つの指針であるということで、この線に沿って実施を各省庁にお願いしているわけでございますが、この計画自体の中で特に大きく取り上げておりますのは、自然を保護、保存すべきことである、あるいはナショナルミニマムと申しますか、都市、農村を通じて安全、快適な生活ができるような計画をしていくんだという考え方がこの基盤になっておるわけでございます。  そこで、先ほどもいろいろ御指摘のございました、こういう実際の実施の問題として、確かに国民の生活というものを考えますと、まず水の問題が非常に大きなウエートを占めてくることは事実でございます。そこで、いわゆる水資源の確保、開発の問題、それとあわせて水の利用のために水質の保全と申しますか、そういうことを十分していかなければならない。そういうような点で、従来のいわゆる新全総計画でもそういう大きな問題点については、今後も具体的な事項として点検をしていくという考え方でこれから進んでまいりたい、かように考えております。
  74. 近江巳記夫

    近江委員 問題のとらえ方が確かに時代のそういう要請ということはとらえていらっしゃるのですが、非常に大まかなような感じがするのです。したがって、さらにその細部に至るそういう点検をしていただかないと、大まかなことだけを指示しておるのではまずいのじゃないか。いまもうそう、いう時点じゃないと私思うのです。そういうことで特にこれだけの具体例が琵琶湖には起きておるわけですので、十分その点加味していただいて、全国のそういうことも一切進めていく中においても早急にやっていかないと、ほんとうに飲料水の水がめの問題でありますので、無計画にああいう琵琶湖の周辺にあれだけの工業団地が計画されておる、考えただけでもそらおそろしい気がするわけです。その点さらにひとつきめこまかに実態把握の上で対策を立てていかないと困ると思うのです。その点は特に今後留意していただいて、チェックをお願いしたいと思うのです。きょうは近畿圏整備本部の朝日次長も来られておりますし、この問題についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞きしたいと思うのです。
  75. 朝日邦夫

    ○朝日政府委員 先生ただいまお話しの、いわゆる琵琶湖総合開発でございますが、これは御承知のとおり昭和四十六年度の予算編成の際に、琵琶湖の水資源開発事業の予算計上がなされたわけでございますが、水資源開発事業の着手と関連をいたしまして、琵琶湖並びにその周辺地域の総合的な開発を進めなければならぬという政府部内の意見の一致を見まして、それに基づきまして早急に各省の連絡会議を設置いたしまして、私どものほうで実はお世話役をしながら、どういう事業をやるかにつきまして鋭意検討を進めてまいっております。何しろ非常に数多くの事業もございますし、関係各省多岐にわたっておりますので、相当の時日を要しておりますけれども、特にこの下水の事業につきましては、琵琶湖の保全という見地から、地元の滋賀県もこの総合開発事業の中で最も重要な事業として御要望もございます。私どももさようであろうと考えておりまして、その問題を含めまして、いまの総合開発事業についての政府部内の意見の一致をなるべく早く得られるように努力してまいるつもりでございます。
  76. 近江巳記夫

    近江委員 先ほど申し上げたように、琵琶湖はもう危篤の状態にあるわけですので、いつまでもそんな話し合い、打ち合わせ、そんなことばかりやっておったのじゃ手が打てぬわけですよ。その中でも重点項目をまず下水道の完備ということが、私しろうとなりに考えて一番大事じゃないかと思うのです。そうしたところをほんとうに積極的に推していただかないと、話し合いをやっていますけれどもというような段階ではもう済まぬわけです。死にかけの人間にどんな注射をしてやろうかと相談している間に死んでしまうわけです。早いことカンフルを打つなり何なり一番きき目の早い注射をしなければいかぬと思うのです。そういう点、ただ関係省庁の意見がまとまらないから、そういうことではよくないと思うのです。ですから特にいま予算編成期でもありますし、これは大きな問題として、私は政府部内で取り上げていただいて対策を練ってもらわなければ困ると思うのです。  特に下水道部長、きょうは建設省お見えになっているわけですが、先ほどから私いろいろこうやって質問しておるわけですが、ほんとうに事の重大さをここで認識していただいてやっていただかないと、このままで進めば、もう工場がどんどん建つし、御承知のように関西は緑地の少ないところですし、水もすでに大阪湾沿岸もあのように汚染されておりますし、琵琶湖はレジャーの中心としてホテルがどんどん建つしあるいは宅地開発が進むし、そういうことでたいへんな状態にあるわけですね。ですからそういう点さらに建設省の中でも最重点項目として考えていただかないと、私は間に合わぬのじゃないかと思うのです。その点重ねていままでの論議を通じて感じられた点なり、また今後の対策なり決意なりをひとつ簡潔に承りたいと思うのです。
  77. 久保赳

    ○久保説明員 下水道の整備、先ほど来の論議の中で琵琶湖の問題として非常に重要な対策であることは私も十分承知をしておるつもりでございます。なお、下水道の整備は全国的におくれておりますが、その中でも特に重点を入れていく下水道整備といたしまして、環境基準がすでに制定されました水域の中の流域下水道並びに公共下水道でございます。そういう趣旨から、下水道整備五カ年計画二兆六千億の中でも、特に重点を指向しておるのがただいま申し上げました流域下水道並びに環境基準がきめられた地域の公共下水道でございます。琵琶湖もその趣旨に沿って特にその中で重点を入れていきたいということから、先ほど御説明いたしましたように、今年度から南湖地域を中心に流域下水道の着手をしたわけでございまして、これを強力に進めることによりまして、琵琶湖水質保全対策の一環にしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  78. 近江巳記夫

    近江委員 この琵琶湖赤潮の兆候が出たのは昨年からですが、湖面が約六百平方メートルにわたって赤褐色に変色しておるのです。そうして昨年ことしにも五件ずつ近江八幡、草津、大津市沖で発生しておるのです。これは根来助教授が言っておるわけですが、いずれにしてもプランクトンが異常発生した。その中に瀬戸内海赤潮に見られるプランクトン、渦鞭毛藻類の中のペリディウム・アフリカナムという種類が見つかっておるのですけれども、そういうことで全く赤潮と同じ傾向にある、こう言っておるわけです。結局こういう原因は富栄養化を防がなければならぬということですが、窒素とか燐という問題が非常に大きな影響じゃないか、このように助教授も言っておるわけです。そういう点で考えていきますと、規制項目の中に、環境基準項目に燐とか窒素は入っていないわけですよ。これについては環境庁はどうお考えですか。
  79. 岡安誠

    岡安政府委員 お話しのとおり、富栄養化というものにつきましては、窒素なり燐が果たす役割りが非常に多いわけでございます。私どもはできるならば窒素、燐につきましても規制をするという方向でいきたいと思っておるのでございますけれども、実は窒素、燐等を除去する施設といいますか、防除施設、公害防止施設といいますか、それが必ずしもまだ十分開発されておらないというのが現状でございます。これはやはり企業にとりましても、また下水処理の面におきましても、最終的には窒素なり燐をもう少し落としまして放流をしてもらうという方向で私どもは進みたいと思っておりますが、現状としましては、その技術の開発、普及というのが当面の私どもの任務であろうと考えまして、そういう方向で関係各省とも現在相談をいたしておる段階でございます。
  80. 近江巳記夫

    近江委員 その辺の考え方はわかったのですけれども、全国のそういう湖なり沼、これは海ももちろんそうですが、結局環境基準項目に入れないというところに対策も推進しないということがあるわけです。したがって、いまこそ私は勇断が必要じゃないかと思うのですね。そういう点、大石長官はじめ環境庁はいまや国民の皆さんが絶賛するとまで言うのはオーバーですけれども、非常によりどころにしているわけです。そういう点で、あくまでも国民のサイドに立って勇断をもってやっていただかないと困るわけですね。その辺さらに具体的に、大体いつごろこれを環境基準に入れていただくのかどうか、さらにひとつお伺いしたいと思います。
  81. 岡安誠

    岡安政府委員 私どもも、窒素、燐を環境基準の項目、ひいては規制の項目に入れたいというふうに考えておりますが、先ほど申し上げましたような段階でございますので、いまここで何年度から規制項目に入れるという約束はいたしかねるのでございますけれども、なるべく早い機会にそういう方向に持っていきたいと考えております。
  82. 近江巳記夫

    近江委員 それはできるだけすみやかにお願いしたいと思うのです。  それで、この琵琶湖のそういう下水道促進等についても、何といっても一番要るものは金なんですね。ところが、大蔵省が非常にやかましく言うとかなんとかいって、すぐにそこへくるわけですね。しかし、お互いに各省が逃げ回るような、そういうひきょうな態度じゃいかぬと思うのです。きょうは主計官も来ていただいているわけですので、ひとつ大蔵省からお伺いしたいと思います。
  83. 藤井直樹

    ○藤井説明員 下水道の整備につきましては、四十六年度から新しい下水道整備五カ年計画を策定して、二兆六千億円の規模に拡大していることは御承知のとおりでございます。そこで、この事業を実施していくにあたりまして、どこに重点を置くかということになりますと、やはり水質環境基準の設定を要する個所、そういうところに重点を置いて、特に流域下水道等を中心に下水道の整備をはかっていきたい、こういう考え方でございますが、お尋ねの琵琶湖につきましては、ことしから新たに湖南地区の流域下水道に着手いたしまして、これを強力に実施していこうという態勢になっております。今後ともこの事業の実施につきまして、予算上配慮していくという考え方でおります。
  84. 近江巳記夫

    近江委員 あなたもずっといろいろお聞きになっておられて、要するに、もうたいへんな状態にいまなっているわけですので、さらにひとつ最重点の項目としてその中で力を入れていただかないと——これだけしか予算ないんだからという考えであれば、もう手の打ちようがないわけですね。そういう点で大蔵省としても全力をあげて、この点については予算獲得に力を入れていただきたいと思うのです。それを特に要望しておきます。特にこの点力を入れてやっていただけますか。
  85. 藤井直樹

    ○藤井説明員 下水道事業については、全国至るところでその要望が出ております。したがいまして、その全体のワクの中でどういう配分をしていくかということは非常に問題になるわけでございますが、流域下水道につきましては下水道事業の中で相当大きなウエートをさいていきたい、こう考えておりますので、その中で、琵琶湖周辺の事業につきましても同じような考え方で処理していきたい、こういうふうに考えております。
  86. 近江巳記夫

    近江委員 またちょっともとへ戻るようで恐縮ですけれども、PCBがこれだけ魚に蓄積しておる。しかもその使用しておるものは、おそらく私大体見当つくんじゃないかと思うのです。こういうところについては、公害十四法案が通りまして地方自治体に権限が委譲ということになったわけですが、当然環境庁としても強力な指導というものが自治体にもできると私思うのです。ですから、大体の都合があると私思うのです。その辺はどうお考えになっておりますか。
  87. 岡安誠

    岡安政府委員 先ほど先生からお見せいただきました資料の中でも、琵琶湖周辺の中でPCBを取り扱っている工場、それからそれが原因と思われるような工場の当たりがついたというような文章がございました。県としましてはある程度の当たりがついているように私ども聞いております。  対策は、先ほど申し上げましたように、私どもは、製品をつくる過程におきましてPCBが流れ出るということもあろうかと思いますけれども、それ以上に、やはり製品となりましたものの回収処理、そういうようなものが適正に行なわれないということから流出することのほうが割合として多いんじゃなかろうかと考えております。そこで、製品の製造過程はもちろん、それ以後におきます回収品の処理等につきましても、製造いたします工場等につきましては特に注意をするというようなことを県を通じまして指示をいたしたい、かように考えております。
  88. 近江巳記夫

    近江委員 それから先ほど特におもな東京あるいは淀川あるいは大和川の問題についてお伺いしたわけですが、水道水の原水としては、もうあまりにもよごれ切っていると思うのです。ですから、この辺の問題と——いま対策から先に入ったわけですけれども、さらにこれが汚染されていくというような心配があるわけです。そこで、各取水点における各河川のそういうような水質保全の問題ですが、これについては一番痛切に被害者の立場にあるのが厚生省だと思うのです。そこで、環境衛生局長としてはどう対策をとったらいいと思うのですが、水質をよくしていくためには。各省に遠慮せぬとひとつ……。
  89. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先生の御指摘のとおり、最近におきまする都市部の急速な人口増加に伴いまして、その周辺の環境が汚染いたしまして、ひいては水道水の水源が非常に汚染してきておるということは種々の数値からも明らかに示すとおりであると思います。したがいまして、水道といたしましては厳重な水道水の——配給いたします水道水水質というものの基準がございまして、それに合致させなくてはならないのでございますが、そのためには現在のところ、どうしても原水にまずいろいろと普通の場合では行なう必要のない前処理をいたしております。たとえば塩素でもって滅菌する、あるいは活性炭を用いていろいろな有機物その他を除却していくといったようなことで、水道水のコストが非常に増高してきております。もちろんどのようなことがありましても、安全な水を供給するということにつきましては努力しているわけでございますけれども、抜本的にはPCBその他の例に見られますように、排出源において押えていくということが一番肝要であろうと思います。また廃棄物の処理あるいは排水の処理というものにつきまして施設を持っていくことが、どうしてもこれは進めなければならない問題でございますが、とりあえずの問題として考えられますのは、少なくとも取水口よりも上流におきまするそのような汚濁源、たとえば工場排水が取水口の直前にあるといったようなものにつきましては、取水口よりも下流のほうに放流していただくといったようなことなどを関係のほうの方にもお願いして、また現にそういった工事を進めているところもございますが、そういうことによってしのいでいくほかはないと思います。いまの状況以上に悪化しないように、水道の立場からも実に強く関係各省に要望するところでございます。
  90. 近江巳記夫

    近江委員 特に淀川水系を見ますと、これだけ汚染されているわけですが、当然これは瀬戸内海に流入するわけです。瀬戸内海には環境保全推進会議というものがあるわけですけれども、こういう問題はどのように取り扱うのですか。これと同じような会議を設置して特に総合対策を実施されるのかどうか、この点お聞きしたいと思います。
  91. 岡安誠

    岡安政府委員 瀬戸内海につきましては、お話しのとおり環境保全対策協議会というものを設けまして、関係各省寄りまして御協力願って推進をするということにいたしておりますが、この琵琶湖、淀川等の水系は、すべてこれは瀬戸内海関係ありということで、私どもの今回の瀬戸内海対策会議の対象県といたしましては、滋賀県、京都府それから大阪府、和歌山県も入れまして、大阪湾に流入する限りにおきましてはすべて対象として今後の対策を検討するということにいたしております。
  92. 近江巳記夫

    近江委員 いろいろ質問したいわけですが、あんまり時間がありませんが、いずれにしてもこういう水道の原水が、先ほど私数値を申し上げましたけれども、もう実際に、幾ら水質基準をつくっても、もうそれの何十倍というようなそういうようなよごれ切った状態になっているわけですね。これはもう、私はほんとうに話にならぬと思います。そういう点で、ほんとうにこの水質の保全ということに政府が全力をあげて、全知全能を傾けてやっていただかないと、もはや救いようがない状態に来ているのではないか、私はこのように思うのです。したがって、これを特に今後、水質の保全について、あらゆる総合研究対策をひとつ強力に進めていただきたいと思うのです。最後に、大臣に今後の決意なり対策をお聞きして、一応終わりたいと思うのです。
  93. 木内四郎

    木内国務大臣 この問題につきましていろいろ御研究になって御指導願って、まことに感謝にたえないのですが、この問題は、先刻大石環境庁長官もこの水質保全に対する対策をひとつ積極的に進める、しかもこれを早く、スピードを速めてやらなければならぬじゃないか。いまお話しになったとおりでありまして、その線に沿ってひとつ今後各関係省庁力を合わせて進んでまいろう、こういう決意でおりまするので、どうかひとつその点を御了解願いたいと思っております。
  94. 近江巳記夫

    近江委員 時間があれば、私御新潟のジュリアナ号の事故の現場も二日間行きまして調査もしてきました。質問したいと思うのですが、時間がありませんから、もしもあれば一問か二間、あとでまたお許しいただきたいと思います。一応要望だけしておきまして、これで終わりたいと思います。
  95. 渡部一郎

  96. 山原健二郎

    ○山原委員 海洋汚染と漁民の生活といいますか、漁業の問題について私はお尋ねしたいわけですが、最初に三点お伺いするわけです。一つは、木更津沖の重油による汚染の問題であります。もう一つは、足摺国定公園と原油基地の問題であります。もう一つは、いま近江委員から言われました新潟のジュリアナ号の事件によりまして、ここから何を学ぶかという問題です。この最後の点については、最後に各省庁について時間があればお伺いをいたしたいと思っておりますが、今度のジュリアナ号事件で、私ども調査したところでは、いままでの国際的な国内的ないろいろ事件の研究結果というものが全く生かされていないということを聞いているわけです。事実、調査の結果はそういうことになっておると思うのですが、これについては最後にお伺いをいたしたいと思います。  そこで、最初に伺いたいのは、主として海上保安庁に対してでありますけれども、木更津沖における重油の汚染問題ですね。これはもうすでに御承知のように、今月の四日正午過ぎに、木更津地区地先の金田、牛込、奈良輪の三カ所におきまして重油が襲いかかりまして、ここでノリがほとんど全滅をいたしているわけですね。奈良輪地区においては全滅です。牛込地区でも全滅であります。金田地区におきましては約五〇%の被害、合わせてこの三つの漁業協同組合に加盟しておる組合員の数が千三百七十四名、そして受けた被害が現在八億八千万円という、史上空前の被害を受けておるのであります。  ところで、この問題の経過を調査をしてみますと、どうも海上保安庁の第三管区のとりました行為というものについて疑惑を持たざるを得ないのです。このことを主にして質問をしていきたいと思うのです。  最初にお伺いしたいのですけれども、犯人であるといわれておりますところの東亜燃料工業株式会社のチャーターしております明原丸ですね。明原丸の油というものは、これはサウジアラビアにおきまして二人の係官を派遣をしておりますが、ラスタヌラ港まで行っておるわけですが、油はとりましたか。お伺いしておきたいと思います。
  97. 武市一郎

    ○武市説明員 お答えいたします。  いま先生のおっしゃられましたとおり、二名の海上保安官を現地に派遣いたしまして、現地で任意提出の形で明原丸の油を入手いたしまして、目下帰国の途中でございます。
  98. 山原健二郎

    ○山原委員 油はとったわけですね。
  99. 武市一郎

    ○武市説明員 はい、任意提出の形で提出させまして、目下それを持ち帰る途中でございます。
  100. 山原健二郎

    ○山原委員 いつ帰ってくるかということと、重油の分析による比較検討は大体いつごろ出ますか。
  101. 武市一郎

    ○武市説明員 明日飛行機で羽田に着く予定になっておりますが、持ち帰りました油のいろいろな化学的な分析につきましては、相当日数を要するのではないかと考えております。
  102. 山原健二郎

    ○山原委員 この事件が起こりましたのが十二月の一日ですね。国会において保安庁長官の答弁によりますと、十二月一日の午前零時三十分にこの事件が起こっておるということなんですが、第三管区保安部の発表ではそういう発表になっておりません。実は最初から全部第三管区の発表と食い違いが生じているわけです。私はちょっと経過を申し上げてみまして、その中で疑惑点を申し上げたいと思いますから、お聞きいただきたいと思うのです。  第一点は、十二月一日にこの事件が起こりまして、十二月の四日に御承知のようにノリが全滅をするという事態が起こっております。そしてその原因は何であろうかということで、この当時は航行中の船舶による不法投棄であろうというふうにいわれておったのです。ところが調べてみると、油質が非常に悪質なC重油であるということがわかりまして、そのためにこれは陸揚げ中のバルブミスによる油の流出であるという可能性が出てまいりました。千葉県のほうでは十二月の六日に特捜班といいますか、油被害関係特別対策本部というのをつくっております。これはなぜ千葉県がこういうものをつくったかといいますと、千葉県なりの長い間の苦闘の歴史があるわけです。というのは、ごく最近の数年間に十四件の油による被害が起こっておりまして、そのために漁民の生活が破壊されるという事態が起こっているわけですね。その十四件のうち、原因がわかったのはわずか三件です。この十四件の被害によりまして起こった漁民の受けた被害というのは、二十億円に達しております。三件の原因のわかったものによる補償金額が九千九百万円で約一億、二十分の一という状態で、あとは全部泣き寝入りなんです。どの船が不法投棄をしたのか、さがせどわからないという、全く相手を見つけることのできない苦悩ですね。県民、漁民の間から意見が起こってくる。そこで千葉県としては、今度こそは原因を突きとめなければならないということで特捜班をつくったわけです。これが十二月の六日のことであります。千葉海上保安部のほうでは、同じく十二月の六日の日に捜査をしておりますが、これはたしか千葉海上保安部のほうでは十四隻の船が目撃をしておるということで、この調査をしておるわけですね。これが六日のことです。ところが十一日に至りまして、第三管区海上保安部より県への報告があって、川崎市の扇島シーバースで、大型タンカーが給油作業中、相当量の燃料油を海中に流出した事実があるということをつかんだということを県に報告をいたしております。ところが、この船の名前については、第三管区は依然としてM事件と称して、名前は発表していないのです。ところが、これは明治海運所属の明原丸十万トン、そしてそれをチャーターしたのが東亜燃料株式会社ということはほぼ明らかなところであります。ところが、この明原丸が十二月一日に扇島シーバースにおいて給油中、操作を誤って油を流したということは、海上保安部のほうに通報しておるわけですね。ところが、これは全然調べていないでしょう。そしてこの船は当日の十二月一日の夜半に出発をして、ペルシャ湾に再び向かっているわけです。こういう経過をたどっているわけです。  十二月十二日に第三管区保安部のほうでは、東亜燃料を呼びまして、油濁防止法違反の容疑で事情を調べております。それによりますと、十二月一日、ボイラー用重油を誤って二リットル海へ流した。二・七リットルともいわれておりますけれども、わずかな油を流したということを発表しているわけです。こういう状態の中で、確かに明原丸にも失敗が、落ち度があった、というのは、この給油中に関係者が、当直員が立ち会っていなかったということなどをあげておりますけれども、そういう状態です。  そこで県のほうでは、御承知のように明原丸を追跡せよということを第三管区保安部のほうへ要求しましたけれども、これをけっておりますね。県は、関達哉さんという千葉県の内湾水産試験場の養殖課長さんを派遣をするわけです。しかし、この方はサウジアラビアのラスタヌラ港まで行っておりますが、一昨日私がお聞きしたところによりますと、電報が入りまして、この方は明原丸の船にまでは入っておりますけれども、この油の採取は拒否されております。いわば坊の使いになって拒否されて帰ってくるという状態が起こっているわけですね。企業のほうも全く非協力、海上保安部のほうもこれを厳密に追跡するという態度が見えないわけです。  それでこういう経過、ちょっとあと先しましたけれども申し上げましたが、その中で私が疑惑に思う点を幾つかあげてみます。  なぜ第三管区海上保安部は明原丸の船名を明らかにしなかったのか。第三管区海上保安部の松井次長は、この明原丸と因果関係を直接結ぶことは非常に危険だと言い、千葉県が明原丸の名前をあげたことはきわめて迷惑であるというようなことまでぬけぬけと言っておるわけです。これが疑惑の第一点です。  それから第二点は、千葉県が海上保安部に対して捜査資料の提出を要請しましたが、これを断わっております。捜査の秘密だということで断わっておるかもしれませんけれども、一方では、原因者を追及しなければ補償も取れないという切実な気持ちがあるわけですからね。それを拒否したのは一体どういう理由か。  第三点は、明原丸が証拠隠滅のおそれがあるというので、千葉県としてはペルシャ湾に向かうこの船を追跡をしてもらいたいと追跡調査を第三管区保安部に対して要請しておるが、これも拒否しておる。ところが、海上保安庁は十三日に第三管区のやり方を改めるよう指示をいたしまして、再調査を長官名で命じておりますね。そして、つまり第三管区は最初の方針を改めて係員二名を派遣したというのが、今日先ほど私が質問したまでの状態です。  これまでの経過を私が申し上げまして、三つの疑点を申し上げました。これに対して弁明することができますか。どうしてこういう食い違いが起こってきたのですか。
  103. 武市一郎

    ○武市説明員 第一点の、三管区の松井次長が船名が明らかにできなかった、しなかったという点につきましては、その当時におきましては、第三管区といたしましても、はっきり明原丸というようなことが、まだ捜査中でございまして、はっきりしなかったということでないかと思うのでございます。  それから資料の提出につきましても、捜査中の事件でございますので、われわれといたしましては慎重を期して、従来からもこうした事件の途中におきましては資料の提出はいたしてないというのが実情でございます。  それから第三点の追跡調査の件でございますが、これにつきましても、その当時の情報収集中の段階で、はっきり明原丸というような断定ができない状況でございましたので、追跡調査はいたしておらないわけでございます。
  104. 山原健二郎

    ○山原委員 少し答弁が抜けておりますけれども、まあそれはいいとして、第三管区は追跡調査しないと言いながら、保安庁のほうでは長官命令で再調査を命じているわけですね。食い違いがあるわけでしょう。保安庁の長官の態度とそれから第三管区のとっておるのと、違いますね。  それから、もう一つの問題を出したいのですが、第三管区保安部は、川崎保安署に全面的にこの捜査を命じております。そして同時に、千葉海上保安署に対しては、捜査担当をはずして、もう文句を言うなということを言っているわけですね。これも明らかです。そして、千葉海上保安署のほうでは全く手も出ないという状態に置かれている。これは捜査の常道からいいまして、実際に被害を受けた海上保安署のほうが被害を出したであろうところに乗り込んでいって捜査をするのが捜査の常道じゃないですか。それをどうしてこの場合ははずしたのか。現に保安庁のほうでは、川崎保安署に対しても千葉保安署に対しても指示を出しているわけですね。ところが、第三管区のほうは、川崎保安署だけに捜査の担当を全面的にさせて、千葉のほうには、一切手を出すなということをやっているわけです。どうしてこういうことが起こるのですか。
  105. 武市一郎

    ○武市説明員 お答えいたします。  いま先生のお話の中に、本庁と三管区本部と本件について思想統一ができていないじゃないかというような御指摘でございますが、そうしたことは私どもでは毛頭ございません。長官からも、三管区本部長に対しましては当初から、本件については全力投球するようにというような指示が出ておりますので、そうしたいわゆる本庁、三管におきましてそごを来たしておるというようなことはないと確信いたしております。
  106. 山原健二郎

    ○山原委員 ないと言われますけれども、本庁のほうは通達を出して、千葉海上保安署のほうへも連絡をしているわけですよ。ところが、第三管区保安部のほうは、おまえのほうは黙っていなさい、川崎の保安署だけがやるんだという全面的捜査の担当を命じているわけですね。それもやっぱり違うのですよ。  次に移りますが、今度の明原丸による油漏れは二・七トンだというふうにいっておりますが、目撃者は数十トンだと言っておるのです。しかも明原丸は川崎保安署に対して、この事故が発生した当時通報しておりますね。通報しておりますが、同時に、油が流れたけれども中和剤で処理したという事故届けを出しているのです。ところが川崎保安署のほうでは、中和剤で処理してあれば問題はないといって放置している。ここに問題があるわけですね。この油の漏れた扇島シーバースというのは、川崎保安署からそんなに遠いんですか。なぜこれを放置したのですか。
  107. 武市一郎

    ○武市説明員 最初の点でございますが、川崎にやらして千葉をはずしておるということではございませんで、第三管区保安本部が現在百名の捜査官をこれに投入しまして、千葉も、それから川崎も、その第三管区に設けました捜査本部の傘下に入れまして全力投球で捜査を続行しておるわけでございます。  それから第二点の、事故のありました東亜燃料のシーバースと川崎保安署とは、そう遠くはございません。保安署のすぐ前面の港内といいますか、海面でございますから、そう遠くはございません。
  108. 山原健二郎

    ○山原委員 遠くはないのに——一方で新潟のあれだけの事故が起こっておるわけでしょう。油が漏れた、中和剤で処理したといって、目の前にあるところに、何で調査に行かないのですか。ここの調査をしておればこんな問題はないのですよ。これは読売新聞だと思いますが、保安本部がかばっておるという大見出しで書いてありますね。これは千葉県の県庁に聞いたって、もう許せぬということを言っておるんですよ。だから故意に犯人をかばい、事実を隠すものだとまで言い切っておるのです。私は昨日県庁のほうも調べさしていただいたんですが、十二月の一日に事件が起こって、十二月四日にノリが全滅をして、そして十二月九日まで、この重大な時期がもう何にもできなかったのですよ。むだに過ごしてしまったわけですね。これが今後この原因調査にどれほど響いておるかということを考えましたときに、明らかにこれは怠慢ですよ。いま新潟その他でこの事故が多発しておるときにこんな緩慢な態度、こんな態度でよいのかということを、保安庁に対して私はきびしく追及したいわけです。一言でそれを言ってください。
  109. 武市一郎

    ○武市説明員 事件発生後、明原丸のほうから流出のあったという通報を受けまして、川崎保安署では巡視船を現場に派遣いたしまして調査はいたしておるわけでございまして、私どもは厳正な態度でもって本件は徹底的に追及するという方針でございまして、いささかも本件について云々されるような態度はございません。
  110. 山原健二郎

    ○山原委員 くしくも、答弁をしておる武市さんは私と同県同郡の同郷でありますけれども、こればかりは私情をはさむわけにいかないので、実際私が言っておるこの事実から判断をしまして、誠心誠意やったとはいえないでしょう。ことに、もう一つ申し上げますと、目撃者がおるんですよ、二隻のタンカーの船長さんが。P汽船とFタンカーの所属の船長さん、この二人が千葉の県庁の方と目撃の事実を明らかにしておりますが、それによりますと、P船長の場合は、同タンカーの船尾側より二百メートルの海上に海上保安庁の巡視船が一隻認められた——これは当日のことです。十二月一日のことです。F船長の目撃談によりますと、この日の午後一時前後、海上保安庁の巡視船が油の帯状の内側を航行していたので、すぐ処理するものだと私は考えた、こう言っておるんです。これは一日のことですよ。油の内側を通っているんです、巡視船が。それにもかかわらず処理をしていないわけですね。  さらに有力な目撃者が東亜燃料系列の築港興業所属の光隆丸の船長さんですが、この方は浅野弘幸さんという方です。この方は有力な証人として県の本部としてはおいで願って、この方の証言をお聞きしたいと思っておったのですが、突如九日付で同所属の光輝丸の一等航海士に転勤をさせられておる。こういうようなことから見まして、有力な目撃者に圧力をかけてこれを消していく。これは保安庁のやっておることではないかもしれませんが、企業側でも証拠を隠滅しようとするよらな態度が私は明らかに見られると思うのです。  こういう点から考えまして、今度の第三管区のとりました態度についてはどうしても了承することはできない。だから、現在第三管区のほうではどう言っておるかというと、損害賠償の問題は私たちは関係がないということを言っております。それはどういう意味かといいますと、海洋汚染防止法違反の容疑で調べるだけだということですね。これは御承知のように海洋汚染防止法は、単に十万円以下の罰金が科せられるだけなんです。県民が、漁民の方たちが求めているのはそういうことではなくして、原因を調べて、それに対して漁民が訴訟を起こし、その船に対して損害賠償を要求できることをしてもらわなければ生活ができないんだということを言っておる。このことに対して、なぜ保安庁はこたえようとしないのか、ここらが大きな問題だと思うのです。この点についてお答えいただきたいと思います。
  111. 武市一郎

    ○武市説明員 まあ先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもは、そうした海洋汚染につきましてはその原因等を徹底的に調べる立場にございますので、今後ともその点は、先ほども申しましたが、厳正な立場で捜査を続行していきたいと考えている次第でございます。
  112. 山原健二郎

    ○山原委員 時間もありませんから、委員長のお許しをいただきまして、私ここに持っておる資料をちょっと皆さんに見ていただきたいと思います。  第二幸宝丸という船が高知県の柏島で座礁しまして、そのためにテングサ、ハマチ、真珠が全滅をした事件があるのです。今度の明原丸事件で出ておりますところの油によってこれは汚染されたものなんです。これは下のほうを見せますと、ここから下はノリなんですね。このノリが、これは最後まで見せればいいんですが、というのは、よごれますから……。こういう形でやられておるのです。全滅です。この悲惨な姿がずらっと並んでおるんです。この被害が九億円です。どうしてくれる、どうやって生活していくのか、こういう切実な気持ちに対して、これは捜査当局である、捜査をすることの権限を持っておる保安庁が当然こたえるべきなんです。このことを私は申し上げているのです。ところが、あまりにも第三管区の態度があいまいなために、いま県民の間では、県議会でも問題になっておりますけれども、こういう声が起こっております。海上保安庁のOBはみんな船舶会社や石油荷役会社に天下りしているので強い姿勢がとれないんだろうということを言っておるんですね。こういう疑惑が起こるのは私は当然だと思いますが、そこで私は調べてみました。調べてみますとこういう状態が出てきたわけです。  海上保安庁の職員の方たちでこの昭和四十三年から、おやめになってそして営利会社に行かれておる人たちを調べてみますと、もう東京湾の各要所要所にぴちっと配置されているんです。ことにこの事件と関係のありますところの東亜燃料と富士銀行を資本とするところの全く同系列の会社、東亜港湾工業株式会社というのがありますが、ここに第三管区保安部の水路部長さんが行っておられる。いわゆる天下りをしておられるんですね。この二つの会社はどういう関係にあるかといいますと、この東亜港湾株式会社というのは、私がいま申しました、この事件の起こった扇島シーバースをつくった会社です。そうしてその扇島シーバースは、現在東亜燃料株式会社の使用のバースになっているわけですね。こういうふうにぴったり結びついているわけですね。そうしてその東亜燃料が明治海運からチャーターしたのがいま問題になっている明原丸でございまして、この一つの事柄から考えましても、どうも第三管区保安部が強力に明原丸に対して捜査をし得ない原因があるのではないかという疑惑が生じてきたわけであります。この点についておそらく否定をされると思いますけれども、どういうお考えか、お聞きしておきたいと思う。
  113. 武市一郎

    ○武市説明員 私どもは東亜港湾にOBが行っておるということは存じておりますが、東亜港湾と今回の事件の関連会社との関係というものは全然存じませんので、またそうしたことに関係なく私どもは、繰り返すようでございますが、今後とも厳正な態度で本件の捜査を続行していくということをお答えいたします。
  114. 山原健二郎

    ○山原委員 こういうやりとりをしておりましても、保安庁の答弁としてはいまのような答弁しか出てこないので、時間がたちますけれども、私は千葉県民——千葉県庁対策本部ですね、あるいは千葉県で出されておる地方新聞を見ましても、この辺の疑惑を解かなければならぬと思うのです、官庁としては。だからその意味において、私は保安庁に厳重な警告をする意味でいまのような事実を明らかにしてまいりました。だから保安庁として今後の態度、そして千葉県民に対する、また漁民に対する考え方をどうしても改めていただいて、事件の発生源を明らかにしていく。そうして漁民の人たちがほんとうに損害の賠償を要求できるような体制をつくる、そういう資料の提出を要求したいわけでございます。  ちょうどきょうは水産庁のほうも、各省お見えになっておりますが、この問題はここでちょっとおかしていただきまして、三時三十分に何か問題があるようでございますから、もう一つの問題に移りたいと思います。  これは水産庁と環境庁にお伺いしたいのですが、十一月十九日に足摺国立公園というのが審議会の答申によって決定をいたしました。これはいままで御承知のように高知県の足摺周辺からずっと愛媛県の宇和海域に至る間のところなんです。これは審議会に出された資料によりましても、日本でも一番美しい海中自然公園としての性格を持っておるということで、今回国立公園昇格の審議会の答申がなされておるのです。だからいままでの経過から申しますと、おそらくここは国立公園に昇格を決定するのは時間の問題だろうと思うのです。一方では、そのように自然環境というものを国立公園に昇格をしていくというそういう政府態度、もう一つはこの国立公園のどまん中に宿毛湾というのがありまして、そこへ伊藤忠が原油基地を持ってくる。しかもその原油基地構想というものは、世界第一大きないわゆるCTS設置を出してまいりました。そのために愛媛、高知県の漁民の間では、この一年間伊藤忠の計画のために全く振り回されてきたわけです。政争の論争にもなりますし、地方自治体においても大混乱です。漁民の方たちはしばしば集会を開いて、この原油基地の問題で頭を悩まさなくてはならないという、一つの企業のために全く数万、数千の漁民、地域住民が振り回されるという事態が起こりました。その中で今度国立公園昇格がほぼ決定をしてきたわけでございます。  この点について最初に環境庁にお伺いしたいんですが、この審議会の答申が出るにあたりまして、国立公園昇格にあたってこの原油基地の問題が考慮をされたのかどうか、論議をされたのかどうかというのが第一点です。  もう一点は、こういう海中自然公園として日本でも一番美しい海といわれるところ、このどまん中に原油基地をつくるなどということが——現在の状態の中で海の汚染がされないという保障のない事態の中で、特に新潟の問題、ただいま申しました木更津の問題あるいは本日も方々で油の流出による事件が起こっておりますが、そういう状態の中で原油基地をとの国立公園のどまん中につくるということは好ましいことであるのかどうか。  この二つについてお伺いしておきたいのです。
  115. 首尾木一

    首尾木政府委員 先生のお話しになりました宿毛湾の原油基地の建設問題につきましては、十一月の十九日に国定公園を国立公園に昇格する問題が議論されました際に、審議会におきまして、その原油基地問題についてはどうなっておるかというような御質問がございました。確かにこの地区につきましてはそういったような伊藤忠がそういう構想を持っておるというようなことはわれわれとして伺っておるけれども、その点についてはまだ構想だけのものであり、最終的に定まっていないものであるということにつきまして、私ども審議会のほうにお話を申し上げた次第でございます。  第二点の問題でございますが、仰せのように、足摺の今度予定になっております国立公園候補地としてあげておりますところは非常に海中景観のすぐれたところでございまして、この原油基地を設けるところ自体は、足摺国立公園の候補地の中ではございませんけれども、約八キロばかり離れたところというふうに承知をいたしておりますが、これはやはりお話しのように、これまでの原油基地の状態でございますとか、あるいはまた事故等のおそれといったようなことを考えますと、このすぐれた海中景観に、もし事故等による油の海上流出等があった場合に、影響がなしということは保障できない状態だと考えておるわけでございます。  したがいまして、私どもは、これはまだ構想中のものであり、今後この問題についてはもちろん地元においても慎重に検討される点でもありますし、私どもといたしましても公園外で直接規制というものは及ばないわけでございますけれども、これはやはり足摺のあの自然景観とそして自然環境というものを保持していくという観点から、この問題については、こういう問題が起こりますれば十分慎重に検討をいたして対処をいたしたい、かように考えているわけでございます。
  116. 山原健二郎

    ○山原委員 十分に構想が出てきた場合に——伊藤忠は依然として本社に宿毛湾開発本部というのをつくって看板をおろしていないわけですね。ところが、御承知のようにもう漁民はほとんど全部反対といってもいいでしょう。地元の市長も中止をしろ、県知事も一昨日の県議会の答弁で、埋め立て申請が出ても許可をしない、こう言っておるのです。それから四国管内に二十九の市がありますけれども、二十九の市長会におきましても、原油基地誘致には反対だ。これはほとんど世論として反対になっているわけですね。  しかも、汚染をされないという保障がないということになりますと、ことに海中の問題でしょう。海中自然公園ですから、たとえば油が流れた場合に、これは新潟の例ですけれども、魚群探知器で写した写真なんです。これが海面でありますが、中和剤を投げたために油の層がどこへできておるかというと、この海の底に油の層が全部沈んでいるのです。魚介類は死滅です。あの足摺の国立公園に指定をされようとしているところは、御承知のように造礁サンゴ、熱帯魚、もうずいぶんだくさんな宝庫があるわけですね。そこがこういう形で汚染をされるということになりますと、これはたいへんな問題なんです。  だから環境庁、いままでずいぶんりっぱなことを言ってきておられるのでありますけれども、こういう構想だからということは、今度審議会が出されたのはおそらくそういうことはなかろうということで私は決定をされたと思うのです。それは当然のことだと思います。だからこういうことについては、やはり汚染をされないという保障がない限りにおいては、環境庁としてはそういうことは全く好ましいことではないんだという御答弁を私はいただきたいのです。だから昨日環境庁長官のほうに御連絡をしていただいて、長官の声としてここであなたに御答弁をお願いしたいと私はお願いしたのですが、もう一度、ここへ原油基地ができることは好ましいと思いますか、好ましくないと思いますか。
  117. 首尾木一

    首尾木政府委員 私どもは自然環境の保全という立場から考えますと、そういう国立公園の観点から考えますと、この点についてそういう大規模な原油基地ができる、その汚染の保障がないままにそういったようなものができるということについては、これは好ましくないと考えております。
  118. 山原健二郎

    ○山原委員 時間が参ったようでありますから、ジュリアナ号の問題につきまして近江先生も言っておられましたが、私はこの点については、ジュリアナ号から何を学ぶかという点で、各省の方、また科学技術庁長官もおいでになりますからお聞きしたいのですけれども、時間がございませんので、保留させていただいて、これで終わりたいと思いますので、よろしく……。
  119. 渡部一郎

    渡部委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十八分散会